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特表2024-538329ストラップストランドの小型時計ケースへの連結
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】ストラップストランドの小型時計ケースへの連結
(51)【国際特許分類】
   A44C 5/14 20060101AFI20241010BHJP
   G04B 37/16 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
A44C5/14 L
G04B37/16 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526479
(86)(22)【出願日】2022-10-31
(85)【翻訳文提出日】2024-06-25
(86)【国際出願番号】 EP2022080370
(87)【国際公開番号】W WO2023078836
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】21206681.5
(32)【優先日】2021-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】599091346
【氏名又は名称】ロレックス・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】ROLEX SA
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン, マーティン
(72)【発明者】
【氏名】デュフォー, ステファン
(57)【要約】
【解決手段】
本発明は、ストラップストランド(10)または小型時計胴部(20)との接続が意図される接続要素(11)と、少なくとも1つのピン(1)と、小型時計胴部(20)またはストラップストランド(10)の他方へ接続される受入要素(21)と、少なくとも1つのインサート要素(2)を含む、ストラップストランドを小型時計胴部へ固定する装置であって、固定装置は、少なくとも1つのピン(1)が、接続要素(11)から突出する位置と凹部(11a)内に後退する位置を占めることができるよう、接続要素(11)の凹部(11a)内で、並進で自由に移動可能な、第一構成と、少なくとも1つのピン(1)の接続要素(1)から突出する位置を保持するために、少なくとも1つのインサート要素(2)が、少なくとも1つのピン(1)と協働する、第二構成と、の少なくとも2つの構成を占めるよう設計される、固定装置に関する。
【選択図】 図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リストバンド(10)または小型時計胴部(20)のそれぞれとの接続が意図される接続要素(11)と、セラミック製の、特に焼結セラミック製の、少なくとも1つのピン(1)と、小型時計胴部(20)またはリストバンド(10)のそれぞれへ接続される受入要素(21)とを含む、リストバンドを小型時計胴部へ固定する装置であって、少なくとも1つの取り付け要素(2)を含み、
前記固定装置は、
前記少なくとも1つのピン(1)が、前記接続要素(11)から突出する位置とハウジング(11a)内に後退する位置を占めることができるよう、前記接続要素(11)の前記ハウジング(11a)内で、並進で自由に移動可能な、第一構成と、
前記少なくとも1つのピン(1)の前記接続要素(11)から突出する位置を維持するために、前記少なくとも1つの取り付け要素(2)が、前記少なくとも1つのピン(1)と協働する、第二構成と、
の少なくとも2つの構成を占めるよう設計される、
固定装置。
【請求項2】
前記取り付け要素(2)が取り外し可能である、
請求項1に記載の固定装置。
【請求項3】
前記固定装置が前記第一構成にあるときに、前記取り付け要素(2)が前記固定装置から引き出され、前記第二構成にあるときに、前記取り付け要素(2)が前記固定装置に固定される、
請求項2に記載の、固定装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの取り付け要素(2)は、前記少なくとも1つのピン(1)が前記ハウジング(11a)内で並進で移動することを防止するために、また前記接続要素(11)から突出する位置を保持するために、前記第二構成において前記少なくとも1つのピン(1)の第一表面(1b)と協働する、少なくとも1つの第一当接部(2b)を特徴とする、
請求項1から3のいずれか一項に記載の固定装置。
【請求項5】
前記第一構成において、前記少なくとも1つのピン(1)は、その並進運動とは独立して回転自在であり、前記第二構成において、前記少なくとも1つの取り付け要素(2)または 前記接続要素(11)または前記受入要素(21)は、前記少なくとも1つのピン(1)の回転を防止するため、前記少なくとも1つのピン(1)と協働する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の固定装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの取り付け要素(2)または前記接続要素(11)または前記受入要素(21)は、前記少なくとも1つのピン(1)が前記接続要素(11)に対してまたは前記受入要素(21)に対して回転で移動することを防止するため、後退位置及びまたは突出位置において、前記少なくとも1つのピン(1)の非円筒状部分(1c)と協働する、少なくとも1つの補完部分(3)を有する、
請求項5に記載の固定装置。
【請求項7】
前記接続要素(11)は、前記ハウジング(11a)の少なくとも一部に位置する凹部(2a)を有し、及びまたは前記受入要素(21)は、前記穴(21a)の少なくとも一部がその中に位置する凹部(2a)を有し、前記少なくとも1つの取り付け要素(2)は、前記第二構成において、前記少なくとも1つの取り付け要素(2)が前記凹部(2a)を占有し、その可視面が前記接続要素(11)及びまたは前記受入要素(21)の隣接表面を支持して実質的に連続する表面を形成するよう、前記凹部(2a)の体積に対応するまたは実質的に対応する体積を有するカバーの形状を取る、
請求項1から6のいずれか一項に記載の固定装置。
【請求項8】
前記接続要素(11)及びまたは前記受入要素(21)は、少なくとも1つの内部ねじ山(4)を有し、前記少なくとも1つの取り付け要素(2)は、前記第二構成において、前記少なくとも1つの内部ねじ山(4a)と噛み合う少なくとも1つのねじ(4)により固定される、
請求項1から7のいずれか一項に記載の固定装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つのピン(1)は、第一非円筒状部分(1c)と前記第一表面(1b)とを含む、
請求項4及び6に記載の固定装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つのピン(1)は、第二部分の高さに、前記固定装置の前記第二構成において、前記接続要素(11)または前記受入要素(21)のピボット(1a)周りの回転を可能にすることが意図される、少なくとも1つのピボット(1a)を含む、
請求項1から9のいずれか一項に記載の固定装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つのピン(1)は、前記第一構成において、工具の助力を得て、前記少なくとも1つのピン(1)の並進の移動を可能にする、少なくとも1つの溝(1f)を含む、
請求項1から10のいずれか一項に記載の固定装置。
【請求項12】
実質的に整列され、前記ピン(1)に垂直な前記接続要素(11)の正中面に対して対称的に配置された、2つのピン(1)を含む、
請求項1から11のいずれか一項に記載の固定装置。
【請求項13】
前記接続要素(11)は、リストバンドの端部に固定されるよう設計された、接続リンクであり、前記受入要素(21)は、前記接続リンクの少なくとも1つのピン(1)が前記固定装置の前記第二構成において少なくとも1つの突出部の穴(21a)内に収容されるよう、胴部に固定されるよう設計された、前記少なくとも1つの突出部を含む、または
前記接続要素は、胴部に固定されるよう設計された、少なくとも1つの突出部であり、前記受入要素は、前記突出部の少なくとも1つのピン(1)が前記固定装置の前記第二構成において前記接続リンクの穴(21a)内に収容されるよう、リストバンドの端部に固定されるよう設計された、接続リンクである、
請求項1から12のいずれか一項に記載の固定装置。
【請求項14】
前記受入要素(21)の前記少なくとも1つの穴(21a)及びまたは前記接続要素(11)の前記ハウジング(11a)は、止まり穴の形状を取る、
請求項13に記載の固定装置。
【請求項15】
前記受入要素(21)の穴(21a)内に、または前記接続要素(11)の前記ハウジング(11a)内に任意で固定された、または前記固定装置の前記少なくとも1つのピン(1)に任意で固定された、少なくとも1つのインサート(5)を含み、前記少なくとも1つのインサート(5)は、前記受入要素(21)及びまたは前記接続要素(11)のそれぞれに対する、前記少なくとも1つのピン(1)の回転で擦り合わせることによる摩耗を最小化する境界面を形成する、
請求項13または14に記載の固定装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つのインサート(5)は、管または軸受けの形状を取る、
請求項15に記載の固定装置。
【請求項17】
リストバンドの少なくとも1つの端部を胴部へ取り外し可能に固定する、請求項1から16のいずれか一項に記載の少なくとも1つの固定装置を含む、時計、特に腕時計であって、
前記リストバンドは、前記固定装置の接続要素(11)である、接続リンクを含み、前記接続リンクは、前記接続リンクの少なくとも1つのピン(1)が前記固定装置の前記第二構成において少なくとも1つの突出部の穴(21a)内に収容されるよう、前記固定装置の受入要素である、胴部に配置された前記少なくとも1つの突出部と協働するよう設計される、または
前記胴部は、接続要素(11)である、少なくとも1つの突出部を含み、前記少なくとも1つの突出部は、前記少なくとも1つの突出部の少なくとも1つのピン(1)が、前記固定装置の前記第二構成において、前記接続リンクの穴内に収容されるよう、受入要素であるリストバンドの接続リンクと協働するよう設計される、
時計、特に腕時計。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リストバンドを小型時計胴部へ固定する装置に関する。本発明はまた、固定装置がリストバンドと時計の胴部との間に配置された、少なくとも1つの当該固定装置を含む、時計そのもの、特に腕時計に関する。
【背景技術】
【0002】
リストバンドを、取り外し可能且つ関節接合の態様で腕時計の胴部へ固定するために、様々な装置が使用されている。例えば、従来技術の一般的な解決策によれば、小型時計胴部は、2組の突出部を有し、各突出部の組は、リストバンドの端部に配置されたリンクを受けるハウジングを区切る。突出部の組の、2つの突出部の間に延長するピンが、リストバンドのリンクと噛み合い、リンクの2つの突出部の間の位置を保持する一方、当該ピン周りの旋回によりリストバンドと小型時計ケースとの相対的関節接合を可能にする。
【0003】
リストバンドを小型時計ケースに、特に胴部に固定するこの方法は、理想的には、以下の目的を達成する必要がある。
- より具体的にはリストバンドのあらゆる意図しない分離を防止するために、信頼性がなければならない、
- 特に経時的に機能性を劣化させる、あらゆる摩耗を防止するために、頑強でなければならない、
- 例えば簡単且つ迅速な交換を可能にする、リストバンドの使いやすい取り外しと固定を可能にしなければならない、
- 魅力的な審美的外観を有さねばならず、特に最高級時計の審美的要求と両立可能でなければならない。
【0004】
既存の解決策は、上記目的の少なくとも一部は達成するものの、改善の余地はある。このため、本発明の目的は、この状況を改善することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このため、本発明の全般的目的は、リストバンドを小型時計胴部へ、より一般的には小型時計ケースへ固定する、改善された解決策である。
【0006】
より詳細には、本発明の第一目的は、リストバンドを小型時計ケースへ固定する、信頼性があり頑強な解決策である。
【0007】
本発明の第二目的は、リストバンドを小型時計ケースへ固定する、使いやすい解決策である。
【0008】
本発明の第三目的は、好ましくは、リストバンドを小型時計面へ固定する、審美的解決策である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このため、本発明は、リストバンドまたは小型時計胴部のそれぞれとの接続が意図される接続要素と、少なくとも1つのピンと、小型時計胴部またはリストバンドのそれぞれへ接続される受入要素とを含む、リストバンドを小型時計胴部へ固定する装置であって、少なくとも1つの取り付け要素を含み、
前記固定装置は、
前記少なくとも1つのピンが、前記接続要素から突出する位置とハウジング内に後退する位置を占めることができるよう、前記接続要素の前記ハウジング内で、並進で自由に移動可能な、第一構成と、
前記少なくとも1つのピンの前記接続要素から突出する位置を維持するために、前記少なくとも1つの取り付け要素が、前記少なくとも1つのピンと協働する、第二構成と、
の少なくとも2つの構成を占めるよう設計される、固定装置に基づく。
【0010】
少なくとも1つのピンは、セラミック製、特に焼結セラミック製であってもよい。
【0011】
本発明は、より具体的には、請求項で定義される。
【0012】
本発明の目的、特徴、及び利点は、添付の図面を参照して非限定的な例として与えられる、特定の実施形態についての以下の説明において、詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、リストバンドを小型時計胴部へ固定する、本発明の一実施形態にかかる装置の、分解斜視組立図である。
図2図2は、リストバンドを固定する構成にある、リストバンドを小型時計胴部へ固定する、本発明の実施形態にかかる装置の、部分的切り取り斜視図である。
図3図3は、後退位置にあるピンを含む、本発明の実施形態にかかる固定装置の、斜視図である。
図4図4は、本発明の実施形態にかかる固定装置の、変形実施形態の上部からの図である。
図5図5は、本発明の実施形態にかかる固定装置の、変形実施形態の上部からの図である。
図6図6は、本発明の実施形態にかかる固定装置の、変形実施形態の上部からの図である。
図7図7は、本発明の実施形態にかかる固定装置の、変形実施形態の上部からの図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の説明を単純化するため、異なる変形実施形態の対応するまたは同一の要素には、同一の参照番号を付す。
【0015】
このため、本発明は、リストバンドを小型時計胴部へ、より一般的には小型時計ケースへ、固定する装置に基づく。当該固定装置は、それぞれリストバンド上と小型時計ケース上に、またはその反対に配置された、2つの補完的主要素、すなわち接続要素と受入要素とを含む。接続及び受入要素は、以下に説明するように、互いに取り外し可能に固定されることが意図される。
【0016】
図1から3は、接続要素11が、接続リンクを形成するリストバンドリンクの形状を取る、本発明の実施形態を示す。当該接続リンクは、リストバンド10の端部に配置されることが意図される。接続リンクは、有利には、他のリストバンドリンクと同一の形状を有し、同一の外観を有する。
【0017】
本実施形態において、固定装置は、更に、胴部20上で対向して配置される、2つの実質的に平行な突出部の形状を取る、受入要素21を含む。各突出部は、特に止まり穴の形状を取る、穴21aを含む。2つの突出部のそれぞれの穴21aは、好ましくは実質的に整列された、軸に沿って配置される。穴は、好ましくは、円形断面を有する。2つの穴の開口は、互いに向けられる。2つの突出部の間の空間は、リストバンドの接続リンクが占めることが意図される、ハウジングを定義する。突出部の可視外面は、その外観を劣化しかねない不連続性がなく、いかなる方法であっても変更されない。にもかかわらず、代替として、2つの穴は、貫通孔であってもよい、及びまたは軸受け面が設けられてもよい、及びまたは互いに平行ではない向きを有してもよい。
【0018】
固定装置は更に、接続要素11を受入要素21へ固定するまたは固定しないことが意図される、2つのピン1を含む。各ピン1は、後述するように、図2に示すように接続要素11から突出する位置と、図3に示すように接続要素11のハウジング11a内に後退する位置の、2つの位置を占めることができる。
【0019】
このため、固定装置は、
- リストバンドリンクが小型時計胴部から分離されることを可能にする、ピン1が接続要素内へ後退した位置を占める、第一構成と、
- 接続要素11と受入要素21とを両者の間で固定するように、そしてリストバンドを小型時計胴部へ接続するように、ピン1が接続要素11から突出する位置に保持され、受入要素21のそれぞれの穴21a内に位置決めされる、第二構成と、
の少なくとも2つの構成をとるよう設計される。
【0020】
各ピン1は、接続要素11のハウジング11a内に位置決めされる。2つのハウジング11aは、好ましくは、同一軸A1に沿って延長する。更に、ハウジング11aは、横方向貫通孔の形状を取る。このため、当該穴は、接続要素の2つの反対側の壁または側面11bに開口する。各ハウジング11aは、ピン1を、並進での1の運動の自由度をもって、軸A1に沿って自由に摺動可能にする。当該並進での運動の自由度は、ピン1を、それぞれ接続要素11の組み立てと取り外しを可能にするよう、接続要素11の側面11bから突出するまたは側面11bへ後退するように位置決め可能にする。代替として、ハウジング11aのそれぞれは、側面11bへ開口する止まり穴の形状を取ってもよい、及びまたは軸受け面が設けられてもよい。
【0021】
接続要素11は更に、オペレータによる凹部2a内でのピン1の操作を可能にするように、接続要素11の壁から延長し、ピンのハウジング11aの少なくとも一部に開口する、凹部2aを含む。本実施形態において、カバーの形状を取る取り付け要素2は、凹部2a内に位置されることが意図される。当該凹部内に位置決めされると、取り付け要素2は、後述のように、ピン1と協働する。ねじといった固定要素4は、接続要素11のハウジング2a内で取り付け要素2が固定されることを可能にする。このため、接続要素11は、内部ねじ山4aを含む。取り付け要素2は、好ましくは、着脱可能である。更に、取り付け要素2は、有利には、取り付け要素が接続要素11に固定されると、その可視面は、実質的に連続する面を形成するよう、接続要素11及びまたは受入要素21の隣接面と同化するように、凹部2aの形状を補完する形状を、特に凹部2aの体積に対応するまたは実質的に対応する体積を有する。当該配置を理由として、取り付け要素2は、固定装置と統一され、接続要素11及びまたは受入要素21の審美的外観を最適化してもよい。加えて、取り付け要素2は、好ましくは、接続要素11の見ることができない側に配置される。例えば、取り付け要素は、装着者の手首と接触することが意図される接続リンクの面に設けられる。代替として、取り付け要素は、その他の形状を取ってもよく、特に接続要素11及びまたは受入要素21から突出してもよい。更なる変形例として、取り付け要素は、打ち込み、接着、クリップ留め、溶接、ろう付け、等といった、その他の手段により接続要素に固定されてもよい。このため、取り付け要素は、取り外し可能である必要はなく、その場合、リストバンドは、胴部へ固着されると着脱不可となる。後述のように、他の変形例において、取り付け要素は、複数のパーツからなってもよい、及びまたは受入要素21内に配置されてもよい。このため、凹部2aもまた、複数のパーツからなってもよい、及びまたは受入要素21の、ピンのハウジング21aの少なくとも部分に配置されてもよい。もちろん、取り付け要素または複数の要素の固定手段は、受入要素に適合される及びまたは再配置される必要がある。
【0022】
本実施形態において、各ピン1は、完全に同一の形状を有し、接続要素11に対称的態様で配置される。当該接続要素11は、軸A1に垂直な正中面に対して実質的に対称的な形状を有する。各ピン1は、円筒状中央部分と、接続要素11の外部に向けられ、円筒形状を有する、第一機能的部分と、接続要素11の内部に向けられ、複数の機能的表面を有する、第二機能的部分と、を有する。各ピン1の第一及び第二部分は、中央部分のそれぞれ反対側に配置される。各ピン1は、少なくとも第一部分が接続要素の側面11bから突出し、受入要素21の穴21a内に配置されることが可能なように、突出位置を占めることができるように、接続要素のハウジング11a内で並進で可動である。このように、第一部分は、受入要素21がその周りで接続要素11に対して回転で可動となるよう、ピボット1aを形成することが意図される。
【0023】
各ピン1は更に、第一部分と反対の、第二部分に、機能的表面を含む。特に、各ピン1の第二部分の第一内端は、当接面または止め具1bを形成する。取り付け要素2は、取り付け要素2が接続要素11に固定されると、接続要素11の側面11bから突出する位置にピンを保持するために、各ピン1の当該当接面1bと協働することが意図される、軸方向第一当接部または止め具2bを定義する、少なくとも1つの第一表面を含む。換言すれば、取り付け要素2が接続要素11に固定されると、その第一表面は、突出位置にあるそれぞれのピン1の当接面1bと噛み合うことで、ピン1が接続要素11の側面11bから後退するよう動くことを防止し、これによりピン1は突出を継続する。
【0024】
加えて、各ピン1の第二部分は、取り付け要素2の存在下でのピン1の軸A1周りのあらゆる回転を防止するため、図2で見ることができる付着部分2の補完部分3と協働することが意図される、非円筒状部分1cを含む。図示した実施形態において、ピン1の非円筒状部分1cは、3つの表面1dで形成された三角形断面を有し、これら表面の一方または他方は、取り付け要素2の補完部分3と協働することが意図され、これによりピン1のそれぞれの回転を防止する、第二当接部3を形成する。このため、取り付け要素2の回転第二当接部3は、接続要素11に対して各ピン1を回転で不動化することを可能にする。代替的に、非円筒状部分1cは、例えば、四角、3つの丸突出部、または半月断面を有してもよい。代替的に、ピン1の回転第二当接部3は、取り付け要素2ではなく、接続要素11上に配置されてもよい。この種の変形例において、接続要素の回転第二当接部は、自身の突出位置においてのみ、または代替的に自身の後退位置においても、ピン1と協働してもよい。更なる変形例において、ピン1の回転第二当接部3は、自身の突出位置のみにおいてピン1と協働するよう、穴21a内に配置されてもよい。更に、ピン1の様々な機能的部分は、本発明にかかる固定を可能にする、あらゆるその他の態様で配置されてもよい。例えば、他の設計変形例において、当接面1bは、非円筒状部分1cが位置される他の部分と反対の、ピボット1aと同じ部分にあってもよい。もちろん、当該例は、本発明を限定するものではない。可能な変形例のうちのいくつかを、以下で明記する。
【0025】
まとめると、当該実施例において、取り付け要素2がない場合には、各ピン1は、接続要素11に対して、軸A1に添った並進の運動と、同一軸A1周りの回転の、2の運動の自由度を有する。ピン1が接続要素11から突出する位置にある中で取り付け要素を固定することで、これら2の運動の自由度を除去可能にし、これによりピン1は自身の突出位置で不動化が維持され、接続要素11のハウジング11a内でもはや回転不可能となる。
【0026】
本発明の実施形態にかかる固定装置の操作を、以下に説明する。図2に示すように、装置が固定構成にあるとき、職人は、ねじ4を回して外すことにより、取り付け要素2を除去可能である。このため、職人は、接続要素の凹部2aへ、また当該凹部内に少なくとも部分的に配置された2つのピン1の第二機能的部分へ、アクセスすることができる。その後、職人は、ピンの突出位置からピンの後退位置へ、凹部2a内で並進で動くように、ピンを動かすことができる。当該操作を補助するため、各ピン1は、好ましくは、当該第二機能的部分の高さに、2つのピンの並進の後退運動を手動で案内するため、ピンやピンセットといった、単純な工具の挿入を可能にする、切り欠きまたは溝1fを含む。もちろん、例えば磁石といった、2つのピンの作動を可能にする、あらゆる他の手段や工具も予想される。当該操作が完了すると、各ピン1の第一機能的部分は、特にそのピボット1aは、接続要素11内に収容され、受入要素21の穴21aから自由になる。その後、接続要素11は、受入要素21から取り外し可能になる。逆の操作が、2つの要素を互いに固着することを可能にする。
【0027】
接続及び受入要素に対する関節接合の摩擦摩耗面を減少させるため、ピン1及びまたは、ピン1を受ける、受入要素21の受入面、及びまたは接続要素11の受入面は、好ましくは、有利にはジルコニア系の、焼結セラミックといった、摩擦摩耗を制限する素材製であってもよい。
【0028】
代替として、当該実施形態によれば、要求される審美的仕上げを得るために、突出部を含む胴部を、そして受入要素21及びまたは接続要素11を、金属で、特に金や白金といった貴金属で、製造可能であることが必要である。同様に、ピンも、鋼または貴金属製であってもよい。もちろん、複合素材といった、他の素材も予想される。
【0029】
有利な実施形態によれば、本発明は、固定装置の摩擦面において接触面を形成するインサート5を使用する。説明した実施形態において、当該摩擦面は、ピン1の第一部分に形成されたピボット1aと、受入要素の穴21aとの間の接触面に配置される。当該実施形態において、インサート5は、好ましくは、管または軸受の形状を取る。インサートは、穴21a内に固定されてもされなくてもよい。代替的に、インサートは、ピン1の第一機能的部分に固定されてもされなくてもよい。他の変形設計において、当該摩擦面は、ハウジング11aとピン1との間の接触面に、例えばピボット1aと接続要素のハウジング11aとの間に、配置されてもよい。当該変形例において、インサートは、任意で、ハウジング11a内に固定されてもよい。代替的に、インサートは、任意で、ハウジング11aとの(摩擦で)摺り合わせる区域において、ピン1に固定されてもよい。
【0030】
インサートは、有利には、焼結セラミック、または例えばセラミックと金属の混合物から形成される複合材料、または(例えば熱可塑性の)ポリマー製であってもよい。インサートは、この種の素材で完全に、または部分的に製造されてもよい。例えば、この種の素材は、単純なコーティングを形成してもよい。インサート5は、有利には、800HV以上の硬度を有する。
【0031】
更に、説明した実施形態において、接続要素11の側面11bと、受入要素21の側壁21bとの間の接触を、そして結果として摩耗を防止するよう、ピン1の第一部分に形成されたピボット1aは、ピボットとインサート5との間の軸方向当接部1eを定義する、軸受け面を含む。
【0032】
もちろん、本発明は、説明した様々な要素の正確な形状に限定されるものではない。このため、ピン1の軸受1aは、固定要素の2つの要素の関節接合を可能にする他の形状を有してもよい。例えば、ピボット1aは、円錐状または切頭円錐状であってもよい。もちろん、インサート5の形状は、適切に適合され、ピンの形状と補完的であってもよい。
【0033】
説明した実施形態において、ピンは、好ましくは、関節接合の摩擦面が、ピン1と受入要素の穴21aとの間の、そしてより具体的にはピン1とインサート5との間の、接点に局部集中するよう、接続要素11と回転するよう拘束される。もちろん、その逆もまた可能であり、関節接合の摩擦面が、ピン1と接続要素のハウジング11aとの間の、そしてより具体的にはピン1とインサート5との間の、接点に局部集中するよう、ピンが受入要素21と回転するよう拘束されてもよい。
【0034】
本発明は、説明した実施形態に限定されず、多数の変形例を導入可能である。このため、図4から7は、本発明のいくつかの変形例であって、変形例の独自の特徴のみが図示された図である。
【0035】
例えば、上述のように、取り付け要素2は、異なる形状を取ってもよい。図4は、取り付け要素2が接続要素11の広い範囲を占める、図1から3を参照して説明した実施形態に対応する、実施形態の上部からの図を示す。
【0036】
代替的に、ピン1は、受入要素21に対して回転することが防止されてもよく、その場合、接続要素11は、ピン1に対して回転で可動となる。この種の変形例として、インサート5は、以下で説明する、図6及び7の変形例で示されるように、ピンと接続要素との間の接触面を形成する。このため、インサート5は、接続要素11内に収容される。更に、ピンは、例えば、突出構成において受入要素21内に収容されることが意図される、上述の非円筒状部分1cと類似の、非円筒状第一部分を含んでもよい。特に、ピン1はまた、第一部分が接続要素のハウジング内に収容されるピボットを形成し、非円筒状部分が接続要素の外部に向けられ、固定構成において受入要素内の突出位置を占めることが意図される、上述のピンに関して実質的に逆転した形状を有してもよい。更なる代替として、ピボットを形成するピンの部分は、ピンの中央位置に対応してもよい。図7は、図式的に、このような実施形態を示す。
【0037】
更なる変形例に従い、取り付け要素は、受入要素の高さでピンと協働するため、受入要素上に設けられてもよい。当該協働は、当該ピンの少なくとも1の自由度を、例えば、ピンを突出位置に保持するために並進の運動を、及びまたは回転の運動を、阻止することからなってもよい。一変形例において、単一の取り付け要素または複数の取り付け要素は、接続要素及びまたは受入要素と協働してもよい。例えば、第一取り付け要素は、軸方向第一当接部を含み、第二取り付け要素は、回転第二当接部を含んでもよい。これら第一及び第二取り付け要素は、それぞれ、接続要素と受入要素に、またはその逆に、配置されてもよい。
【0038】
例えば、当該変形例において、取り付け要素は、胴部20の突出部のそれぞれに固定されてもよい。図5は、胴部のそれぞれ対向する突出部が、各突出部に取り外し可能に搭載され、接続要素から突出する位置を維持するようピンと協働するよう、即ち接続要素への後退の並進の運動を防ぐよう配置された、取り付け要素2を含む、この種の変形例を示す。図5に示す当該変形例において、各ピン1は、少なくとも突出位置にあるときに、回転第二当接部3を用いて、当該接続要素により接続要素に対して回転で不動化され、各ピンに対する各突出部の回転は、各突出部に収容されたインサートを用いて達成される。
【0039】
更なる変形例において、胴部に配置された受入要素は、2つの突出部を有する形状を有さず、例えば単一突出部の形状を有してもよい。当該変形例において、リストバンドの端部に配置された接続要素11は、それぞれピン1を包含する2つの補完的かつ別個の横方向要素の形状を取ってもよく、これら2つのピン1は、リストバンドを胴部へ固定するため、単一突出部の両側の位置を取るように定められている。図6は、この種の実施形態の、固定構成を図示する。取り付け要素2は、単一突出部の形状の受入要素上に配置され、接続要素の各横方向要素は、単一突出部の穴内へ延長する突出ピンを含む。取り付け要素2は、これらピンを、突出位置において、また受入要素に対する回転において、不動化する。接続要素の各横方向要素は、それぞれのピンに対して回転で可動を維持し、ピン1とそれを受け入れるハウジングとの間に、インサート5を包含する。最後に、胴部は、少なくとも1つの突出部を、特に1つまたは2つの突出部を含んでもよい。その他の胴部構造も、特に1以上の突出部の形状を取らなくてもよい、本発明の固定装置の要素を含むものも、予想される。
【0040】
他の変形例において、固定装置は、1つのピン1を含んでもよい。このため、固定装置は、少なくとも1つのピンを含む。更に、本発明の実施形態についての上記説明から明らかなように、少なくとも1つのピンは、ねじ山が設けられていない。ピンは、回転で不動化されていることとは独立して、並進で移動可能であり、その逆も可能であることを注記する。
【0041】
上述のように、一実施形態によれば、接続要素は、リストバンドの端部に配置される。リストバンドがリンクの、特に金属リンクの、組立体を含む場合、接続要素は、有利には、連続する審美的外観を与えるため、リストバンドの他のリンクと同一または類似の形状を有する、接続リンクの形状を取る。変形実施形態によれば、リストバンドは、可撓性のある素材、例えば皮製であってもよい。この場合、接続要素は、可撓性のあるリストバンドの端部に、好ましくは完全にまたは部分的に隠された態様で、統合されてもよい。代替的に、接続要素は、可撓性のあるリストバンドの端部に配置された、金属エンドピースの形状を取ってもよい。
【0042】
更なる変形例として、接続要素は、小型時計ケース上に、特に胴部上に配置され、受入要素はリストバンド上に配置される。例えば、図4から7に図示した変形例の固定装置の構成は、逆転することができる。すなわち、これら図面の全てにおいて、受入要素21はリンクであってもよく、接続要素11は胴部の1以上の突出部であってもよい。
【0043】
説明した全ての変形例において、インサートは、同一のピンと、接続要素と受入要素の両方との間に位置決めされてもよく、このためインサートは、ピンの全体または一部を包囲することができる。この種の変形例は、摩耗の最良の減少を可能とする。代替的に、説明した全ての変形例において、インサートは、任意であり、省略されてもよい。
【0044】
補完的に、全ての変形例において、取り付け要素は、ピンの凹部内への位置決め中に、及びまたは接続部材及びまたは受入部材からの後退中に、ピンを後退位置から突出位置へ、及びまたはその反対へ、自動的に移動させるよう、並進で駆動するためにピンへ作用する手段を含んでもよい。
【0045】
更に、上述の全ての実施形態と互換性のある一実施形態は、取り付け要素が取り外し可能な固定装置に基づく。このような実施形態において、取り付け要素は、有利には、固定装置が第一構成にあるときに、固定装置から引き出される。取り付け要素は、第二構成において、当該固定装置に固定される。
【0046】
更に、全ての実施形態と変形例において、ピンは、有利には、セラミック製、有利にはジルコニア系の、特に焼結セラミック製、である。
【0047】
本発明はまた、上述の少なくとも1つの固定装置を含む、時計、特に腕時計そのものに関する。この種の固定装置は、有利には、リストバンドの各端部の取り外し可能な固定のために、小型時計ケース、特に胴部の両側に配置される。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】