(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】自動車前照灯用レンズシステム
(51)【国際特許分類】
F21S 41/29 20180101AFI20241010BHJP
F21S 41/25 20180101ALI20241010BHJP
F21S 45/40 20180101ALI20241010BHJP
F21W 102/00 20180101ALN20241010BHJP
【FI】
F21S41/29
F21S41/25
F21S45/40
F21W102:00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526492
(86)(22)【出願日】2022-10-20
(85)【翻訳文提出日】2024-06-14
(86)【国際出願番号】 EP2022079159
(87)【国際公開番号】W WO2023078683
(87)【国際公開日】2023-05-11
(32)【優先日】2021-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】593045569
【氏名又は名称】ツェットカーヴェー グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】リーグラー、ハンス-イェルク
(72)【発明者】
【氏名】ヤークル、クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ハッカー、アレクサンダー
(57)【要約】
【課題】自動車前照灯用レンズシステムに対する熱作用を減じること。
【解決手段】自動車前照灯用レンズシステム。レンズシステムは光源(2)、レンズアレイ(3)及びレンズアレイ(3)を包囲するレンズ保持部材(4)を含む。入口レンズ(3a)、第1離隔手段(5a)、少なくとも1つの中間レンズ(3b)、最終離隔手段(5b)及び出口レンズ(3c)がレンズ保持部材内において順次的に配置されている。最終離隔手段(5b)は、出口レンズ(3c)の方へ作用する、熱膨張のために縦軸(x)に沿った入口レンズ(3a)及び/又は中間レンズ(3b)の変位によって生成される力が最終離隔手段(5b)の収縮によって吸収されるように、出口レンズ(3c)と少なくとも1つの中間レンズ(3b)との間のバネ結合を可能にする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車前照灯のためのレンズシステムであって、
前記レンズシステム(1)は、
光源(2)、
順次的に配置された複数のレンズ(3a、3b、3c)からなるレンズアレイ(3)、但し前記レンズアレイ(3)は前記光源(2)からの光を受光するよう構成されており、前記レンズアレイ(3)の各レンズ(3a、3b、3c)は
・受光側、但し前記受光側の部分は光入射面として構成されており、光は前記光入射面を介してレンズ(3a、3b、3c)に入射する、及び、
・光を放出するための放光側、但し前記放光側の部分は光出射面として構成されており、光は前記光出射面を介してレンズ(3a、3b、3c)から出射する、
を有し、
前記受光側は前記放光側の反対側に位置し、前記レンズアレイ(3)は前記光源(2)からの光を光パターンとして前記レンズシステム(1)の前方へ投影し、
及び、
前記レンズアレイ(3)を包囲するよう構成されたレンズ保持部材(4)、但し前記レンズ保持部材(4)は第1端部分(4a)、第2端部分(4c)、及び、縦軸(x)において縦延伸を有するボディ構造体(4b)、とりわけ中空ボディ構造体を有し、前記ボディ構造体(4b)は前記第1端部分(4a)から前記第2端部分(4c)へ延伸し、
を含み、
前記レンズアレイ(3)は、
前記レンズ保持部材(4)の前記第1端部分(4a)に取り付けられた入口レンズ(3a)、但し前記入口レンズ(3a)は前記光源(2)からの光を受光し、該光を前記レンズアレイ(3)の他のレンズの方へ放出するよう構成されている、
少なくとも1つの中間レンズ(3b)、但し前記中間レンズ(3b)と前記入口レンズ(3a)の間には第1離隔手段(5a)が配置されており、前記中間レンズ(3b)の受光側は前記第1離隔手段(5a)に部分的にコンタクトし、前記入口レンズ(3a)の放光側は前記第1離隔手段(5a)に部分的にコンタクトし、前記第1離隔手段(5a)は、前記ボディ構造体(4b)の第1コンタクト面にコンタクトすることによって、前記入口レンズ(3a)の方への前記中間レンズ(3b)の運動を阻止するよう構成されている、
及び、
出口レンズ(3c)、但し前記出口レンズ(3c)は、前記出口レンズ(3c)の放光側が前記レンズ保持部材(4)の前記第2端部分(4c)の保持突出部に部分的にコンタクトするよう、前記レンズ保持部材(4)の前記第2端部分(4c)に配置されており、前記出口レンズ(3c)の受光側は最終離隔手段(5b)に部分的にコンタクトし、前記最終離隔手段(5b)は、弾性的であり、前記少なくとも1つの中間レンズ(3b)と前記出口レンズ(3c)の間に配置されており、前記少なくとも1つの中間レンズ(3b)と前記出口レンズ(3c)との間のバネ結合(sprung connection)を形成するよう構成されている、
を含むこと、
前記少なくとも1つの中間レンズ(3b)は、前記少なくとも1つの中間レンズ(3b)が前記レンズ保持部材(4)の縦軸(x)に沿ってのみ運動することができるよう、前記ボディ構造体(4b)の内部において保持されていること、
前記バネ結合は、前記出口レンズ(3c)の方へ作用する、熱膨張による前記縦軸(x)に沿った前記入口レンズ(3a)及び/又は前記中間レンズ(3b)の変位によって生成される力を前記最終離隔手段(5b)の収縮によって吸収する結合であること
を特徴とする、レンズシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のレンズシステムにおいて、
前記第1離隔手段(5a)は、前記最終離隔手段(5b)の硬さよりも少なくとも2倍、好ましくは4倍超、より高い硬さを有すること
を特徴とする、レンズシステム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のレンズシステムにおいて、
前記レンズシステム(1)は、前記少なくとも1つの中間レンズ(3b)と前記出口レンズ(3c)の間に配置された更なる、好ましくは複数の、中間レンズ(3d)を含むこと、前記更なる中間レンズ(3d)は、前記更なる中間レンズ(3d)が前記レンズ保持部材(4)の縦軸(x)に沿ってのみ運動することができるように、前記ボディ構造体(4b)の内部において保持されていること、前記更なる中間レンズ(3d)と前記少なくとも1つの中間レンズ(3b)の間に更なる離隔手段(5c)が配置されていること、前記更なる中間レンズ(3d)の受光側は前記更なる離隔手段(5c)に部分的にコンタクトすること、前記更なる中間レンズ(3d)の放光側は前記最終離隔手段(5b)に部分的にコンタクトすること、前記少なくとも1つの中間レンズ(3b)の放光側は前記更なる離隔手段(5c)に部分的にコンタクトすること、前記更なる離隔手段(5c)は、前記ボディ構造体(4b)の更なるコンタクト面にコンタクトすることによって、前記第1中間レンズ(3b)の方への前記更なる中間レンズ(3d)の運動を阻止するよう構成されていること
を特徴とする、レンズシステム。
【請求項4】
請求項1~3の何れかに記載のレンズシステムにおいて、
前記レンズアレイ(3)の各レンズは円形球面レンズ(circular spherical lens)であること、好ましくは、前記レンズ保持部材(4)の前記ボディ構造体(4b)は円筒形状を有すること
を特徴とする、レンズシステム。
【請求項5】
請求項1~4の何れかに記載のレンズシステムにおいて、
前記レンズ保持部材(4)の前記第2端部分(4c)の前記保持突出部は前記出口レンズ(3c)の周に対応する形状を有すること
を特徴とする、レンズシステム。
【請求項6】
請求項1~5の何れかに記載のレンズシステムにおいて、
前記レンズシステム(1)は、更に、前記レンズ保持部材(4)の前記第2端部分(4c)に対応する形状を有するスリーブ部材(6)を含むこと、前記スリーブ部材(6)は、前記スリーブ部材(6)が前記レンズ保持部材(4)の前記第2端部分(4c)に押し付けられている際に、前記スリーブ部材(6)が前記レンズ保持部材(4)の前記第2端部分(4c)に対する前記出口レンズ(3c)の位置を固定するように、前記レンズ保持部材(4)の前記第2端部分(4c)に押し付けられるよう構成されていること
を特徴とする、レンズシステム。
【請求項7】
請求項6に記載のレンズシステムにおいて、
前記スリーブ部材(6)は、前記第2端部分(4c)に押し付けられている際に、前記レンズ保持部材(4)の外側に沿って、前記第2端部分(4c)から前記第1端部分(4a)へ向かって前記レンズ保持部材(4)の縦延伸全体の少なくとも30%にわたって延在すること
を特徴とする、レンズシステム。
【請求項8】
請求項1~7の何れかに記載のレンズシステムにおいて、
前記レンズ保持部材(4)は、前記第1端部分(4a)から前記第2端部分(4c)へ向かうカスケードの形状の断面を有すること、前記カスケードは複数のステップを含むこと、順次的に位置する複数のステップは前記レンズ保持部材(4)の縦延伸に対し直角をなす方向においてオフセットを有すること
を特徴とする、レンズシステム。
【請求項9】
請求項8に記載のレンズシステムにおいて、
カスケード状のレンズ保持部材(4)の各ステップには、前記レンズアレイ(3)の1つのレンズが夫々配置されていること
を特徴とする、レンズシステム。
【請求項10】
請求項1~9の何れかに記載のレンズシステムにおいて、
前記第1離隔手段(5a)は、前記レンズアレイ(3)のレンズの材料の熱膨張係数より高い熱膨張係数を有する材料を含むこと
を特徴とする、レンズシステム。
【請求項11】
請求項1~10の何れかに記載のレンズシステムにおいて、
前記レンズアレイ(3)の複数のレンズ(3a、3b、3c)は互いに対し平行に配置されていること
を特徴とする、レンズシステム。
【請求項12】
請求項1~11の何れかに記載のレンズシステムにおいて、
前記レンズアレイ(3)の各レンズ(3a、3b、3c)は光軸を有すること、これらのレンズは、すべてのレンズ(3a、3b、3c)の光軸がコアキシャルであるように、配置されていること
を特徴とする、レンズシステム。
【請求項13】
請求項1~12の何れかに記載のレンズシステムにおいて、
前記レンズ保持部材(4)は前記光源(2)からの光に対し不透明な材料を含むこと
を特徴とする、レンズシステム。
【請求項14】
請求項1~13の何れかに記載のレンズシステムにおいて、
各離隔手段(5a、5b、5c)は、貫通穴を有する実質的に環状の形状を有すること、前記光源(2)からの光は各離隔手段(5a、5b、5c)の貫通穴を通過すること
を特徴とする、レンズシステム。
【請求項15】
請求項1~14の何れかに記載のレンズシステム(1)を含む、自動車前照灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車前照灯のためのレンズシステムであって、
前記レンズシステムは、
-光源、
-順次的に配置された複数のレンズからなるレンズアレイ、但し前記レンズアレイは前記光源からの光を受光するよう構成されており、前記レンズアレイの各レンズは
・受光側、但し前記受光側の部分は光入射面として構成されており、光は前記光入射面を介してレンズに入射する、及び、
・光を放出するための放光側、但し前記放光側の部分は光出射面として構成されており、光は前記光出射面を介してレンズから出射する、
を有し、
前記受光側は前記放光側の反対側に位置し、前記レンズアレイは前記光源からの光を光パターンとして前記レンズシステムの前方へ投影し、
及び、
-前記レンズアレイを包囲するよう構成されたレンズ保持部材、但し前記レンズ保持部材は第1端部分、第2端部分、及び、縦軸において縦延伸を有するボディ構造体、とりわけ中空ボディ構造体を有し、前記ボディ構造体は前記第1端部分から前記第2端部分へ延伸し、
を含む、
レンズシステムに関する。
【0002】
本発明は、更に、レンズシステムを含む自動車前照灯に関する。
【背景技術】
【0003】
複数のレンズのアレイ(レンズアレイ)を有する、自動車ヘッドランプのためのレンズシステムは従来技術からよく知られている。通常は、個々のレンズはハウジング構造体内に配設されており、スペーサ(複数)によって互いに対し離隔されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
レンズアレイのレンズ(複数)及びスペーサ(複数)は、光源のごく近くにあるため、熱膨張を蒙る。熱膨張と(光源がスイッチオフされる場合の)その後の冷却によって、ハウジング内のレンズの緩み(loosening)が生じる。これにより、レンズシステムによって生成可能な理想的な光分布ないし光パターンにエラーが生じる。
【0006】
それゆえ、本発明の課題は、自動車前照灯用のレンズシステムのコンポーネント(複数)に対する熱作用を減じることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は請求項1に応じたレンズシステムによって解決される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
好ましい形態は従属請求項に記載されている。
【0009】
本発明の第1の視点に応じ、レンズアレイは、
・レンズ保持部材の第1端部分に取り付けられた入口レンズ、但し入口レンズは光源からの光を受光し、該光をレンズアレイの他のレンズの方へ放出するよう構成されている、
・少なくとも1つの中間レンズ、但し中間レンズと入口レンズの間には第1離隔手段が配置されており、中間レンズの受光側は第1離隔手段に部分的にコンタクトし、入口レンズの放光側は第1離隔手段に部分的にコンタクトし、第1離隔手段は、ボディ構造体の第1コンタクト面にコンタクトすることによって、入口レンズの方への中間レンズの運動を阻止するよう構成されている、
及び、
・出口レンズ、但し出口レンズは、出口レンズの放光側がレンズ保持部材の第2端部分の保持突出部に部分的にコンタクトするよう、レンズ保持部材の第2端部分に配置されており、出口レンズの受光側は最終離隔手段に部分的にコンタクトし、最終離隔手段は、弾性的であり、少なくとも1つの中間レンズと出口レンズの間に配置されており、少なくとも1つの中間レンズと出口レンズとの間のバネ結合(sprung connection)を形成するよう構成されている、
を含み、
少なくとも1つの中間レンズは、少なくとも1つの中間レンズがレンズ保持部材の縦軸に沿ってのみ運動することができるよう、ボディ構造体の内部において保持されており、
バネ結合は、出口レンズの方へ作用する、熱膨張による縦軸に沿った入口レンズ及び/又は中間レンズの変位によって生成される力を最終離隔手段の収縮によって吸収する結合である。
【0010】
これは、入口レンズと少なくとも1つの中間レンズの熱膨張によって生成される力が弾性的な最終離隔手段によって補償されることができるという利点を有する。その結果、熱的により安定なレンズシステムが得られる。最終離隔手段はレンズ保持部材の縦軸(長手軸)及び/又は縦延伸(長手延伸)に沿って可逆的に圧縮可能であるように構成されることができる。
【0011】
好ましくは、最終離隔手段は、入口ないし中間レンズの熱膨張による縦軸に沿ったそれらのレンズの変位(シフト)によって生成される力によって、加熱(温度上昇)中に圧縮し、(例えば光源がスイッチオフされる場合の)その後の冷却(温度低下)中に膨張(復元)する。
【0012】
好ましくは、最終離隔手段は、レンズ保持部材の縦延伸(ないし縦軸)に沿った最終離隔手段の圧縮及び膨張を可能にする弾性部分を含む。弾性部分はバネ要素であり得る。最終離隔手段の弾性部分は、少なくとも1つの中間レンズの放光側及び/又は出口レンズの受光側と直接的にコンタクト(接触)している状態であり得る。
【0013】
好ましくは、第1離隔手段は、入口レンズと少なくとも1つの中間レンズとの間に一定の距離を維持する。第1中間レンズと出口レンズとの間の距離は、レンズ(複数)の熱膨張のために変化し得る。最終離隔手段は、最終レンズから(光源側に)2番目の(1つ手前の)レンズ(最後から2番目のレンズ)(これは少なくとも1つの中間レンズとも称される)と最終レンズ(これは出口レンズとも称される)との間の温度依存性距離(温度に依存して変化する距離)を可能にするよう構成されている。
【0014】
好ましくは、(光源がスイッチオンされて光と熱を生成する際における)より高い温度では、少なくとも1つの中間レンズと出口レンズとの間の距離は(光源がスイッチオフされて光も熱も生成していない際における)より低い温度における少なくとも1つの中間レンズと出口レンズとの間の距離と比べて、より小さい。
【0015】
レンズ保持部材の縦延伸は、好ましくは、レンズ保持部材の縦軸に沿って延伸する。レンズ保持部材は、シングル(単一の)要素又はマルチプル(複数の)要素を含むことができる。
【0016】
各レンズの光入射面又は光出射面は、当該レンズの受光側又は放光側の全体の一部分であり得る。各レンズの光入射面又は光出射面は、当該レンズの受光側又は放光側の実質的に全部でもあり得る。コンタクト面は、レンズ保持部材のボディ構造体からレンズ保持部材の縦軸の方向に(に沿って)延出する突出部であり得る。
【0017】
有利には、第1離隔手段は、最終離隔手段の硬さ(剛性:rigidity)よりも少なくとも2倍、好ましくは4倍超、より好ましくは6倍超、更により好ましくは8倍超、より高い硬さ(剛性)を有する。有利には、これは、第1離隔手段が入口レンズと少なくとも1つの中間レンズとの間において実質的に一定の距離を維持することを保証(確保)する。
【0018】
好ましくは、最終離隔手段は、第1離隔手段よりもより高い弾性(higher elasticity)を有する。
【0019】
有利には、レンズシステムは、少なくとも1つの第1中間レンズと出口レンズの間に配置された更なる、好ましくは複数の、中間レンズを含み、更なる中間レンズは、更なる中間レンズがレンズ保持部材の縦軸に沿ってのみ運動することができるように、ボディ構造体の内部において保持されており、更なる中間レンズと少なくとも1つの中間レンズの間に更なる離隔手段が配置されており、更なる中間レンズの受光側は更なる離隔手段に部分的にコンタクトし、更なる中間レンズの放光側は最終離隔手段に部分的にコンタクトし、少なくとも1つの中間レンズの放光側は更なる離隔手段に部分的にコンタクトし、更なる離隔手段は、ボディ構造体の更なるコンタクト面にコンタクトすることによって、少なくとも1つの中間レンズの方への更なる中間レンズの運動を阻止するよう構成されている。
【0020】
好ましくは、入口レンズ、少なくとも1つの中間レンズ(これは第1中間レンズとも称され得る)、更なる中間レンズ(これは第2中間レンズとも称され得る)及び出口レンズは、異なる光学特性を有し、及び、自動車前照灯のための光(ライト)分布又は光(ライト)機能を生成するよう構成されている。入口レンズと出口レンズとの間に配置される第3又は第4以上の中間レンズも設けられることができ、2つの隣り合う中間レンズの間には対応する離隔手段を設けることも可能である。入口レンズと出口レンズとの間の中間レンズの個数に拘わらず、出口レンズ(最終レンズ)と最終レンズから(光源側に)2番目の(1つ手前の)レンズ(最後から2番目のレンズ)との間の離隔手段は、好ましくは、弾性離隔手段、即ち、弾性部分を有しかつ他の離隔手段と比べてより高い弾性を有する離隔手段である。更なるコンタクト面は、レンズ保持部材のボディ構造体からレンズ保持部材の縦軸の方向に延出する突出部であり得る。
【0021】
有利には、レンズアレイの各レンズは円形球面レンズ(circular spherical lens)であり、好ましくは、レンズ保持部材のボディ構造体は円筒(シリンダ)形状を有する。有利には、これらのいわゆるバレル型(barrel-type)レンズシステムは自動車前照灯の応用分野において広く使用されている。
【0022】
有利には、レンズ保持部材の第2端部分の保持突出部は出口レンズの周に対応する形状を有する。有利には、これは、レンズ保持部材の第2端部分への出口レンズの容易かつ確実な取付けを可能にする。好ましくは、出口レンズのエッジ部分(縁部分)全体、とりわけ出口レンズの放光側のエッジ部分は、レンズ保持部材の第2端部分の保持突出部にコンタクトする。保持突出部は、縦軸に沿った、とりわけ光伝搬方向における、出口レンズの運動を阻止することができる。
【0023】
有利には、レンズシステムは、更に、レンズ保持部材の第2端部分に対応する形状を有するスリーブ部材を含み、スリーブ部材は、スリーブ部材がレンズ保持部材の第2端部分に押し付けられている際に、スリーブ部材がレンズ保持部材の第2端部分に対する出口レンズの位置を固定するように、レンズ保持部材の第2端部分に押し付けられるよう構成される。
【0024】
有利には、スリーブ部材は、レンズ保持部材の第2端部分への出口レンズの迅速かつ容易かつ好ましくは工具フリーでの取付けを可能にすることができる。
【0025】
好ましくは、レンズ保持部材は第1半径を有する円筒(シリンダ)形状を有し、スリーブ部材は第2半径を有する円筒(シリンダ)形状を有し、第1半径は第2半径よりも小さい。
【0026】
有利には、スリーブ部材は、第2端部分に押し付けられている際に、レンズ保持部材の外側に沿って、第2端部分から第1端部分へ向かってレンズ保持部材の縦延伸(縦(方向)の長さ)全体の少なくとも30%にわたって延在する。
【0027】
有利には、レンズ保持部材は、第1端部分から第2端部分へ向かうカスケード(ないし階段)の形状の断面を有し(断面で見てカスケードないし階段の形状を有し)、カスケードは複数のステップ(段部)を含み、順次的に位置する複数のステップ(段部)はレンズ保持部材の縦延伸に対し直角をなす方向においてオフセット(段差ないしずれ)を有する。
【0028】
有利には、カスケード状のレンズ保持部材の各ステップには、レンズアレイのレンズが夫々配置される。好ましくは、カスケードの各ステップには1つのレンズが配置される。
【0029】
有利には、第1離隔手段は、レンズアレイのレンズの材料の熱膨張係数より高い熱膨張係数を有する材料を含む。好ましくは、すべての離隔手段が、レンズの材料の熱膨張係数より大きい熱膨張係数を有する。材料のこの選択は、光源によって生成される熱(及び/又はレンズシステムの付近における変化する環境(周囲)温度、例えば季節的な温度変化から生じる熱)が離隔手段に及ぼす影響はレンズに及ぼす影響より小さいという利点を有する。
【0030】
有利には、レンズアレイの複数のレンズは互いに対し平行に配置される。この配置は、レンズシステムのレンズ保持部材内における構造が極めてコンパクトであるという利点を有する。
【0031】
有利には、レンズアレイの各レンズは光軸を有し、これらのレンズは、すべてのレンズの光軸がコアキシャル(同芯)であるように、配置される。
【0032】
有利には、レンズ保持部材は光源からの光に対し不透明な材料を含む。換言すれば、光源によって放射される光はレンズ保持部材を通り抜けることはできない。レンズ保持部材は、光源からの光が出口レンズを通ってのみレンズシステムから出る(出射する)ことができるよう、遮光(光遮断)部材として構成されることができる。
【0033】
有利には、各離隔手段は、貫通穴を有する実質的に環状の形状を有し、光源からの光は各離隔手段の貫通穴を通過する。有利には、光源からの光は、レンズアレイの全てのレンズと全ての離隔手段の全ての貫通穴を通過する。貫通穴は、レンズアレイの各レンズの光出射面及び光入射面の形状及びサイズに対応し得る。各貫通穴の形状及びサイズは、対応する離隔手段の夫々の側に配置されているレンズの光出射面(又は放光側)及び光入射面(又は受光側)の形状及びサイズに対応し得る。例えば、第1離隔手段の貫通穴は、入口レンズの放光側(又は光出射面)及び少なくとも1つの中間レンズの受光側(又は光入射面)に(その形状及びサイズが)対応することができる。
【0034】
本発明の他の一視点により、自動車前照灯は、本発明の第1の視点に応じたレンズシステムを含むことができる。
【0035】
以下において、本発明を更に説明するために、図面に示されているような、例示的かつ非限定的な実施形態(ないし実施例)が説明される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明に応じたレンズシステムの一例の断面図。
【実施例】
【0037】
以下において、同じ図面参照符号は、別段の明示がない限り、同じ特徴を指す。図面参照符号は説明のためのものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【0038】
簡単化のために、本発明にとって重要ではない要素は図示されていない。
【0039】
図1は、自動車前照灯のためのレンズシステム1の一例の断面図である。レンズシステム1は、光源2と、順次的に配置されたレンズ3a、3b、3c、3dのアレイ3とを含む。レンズ(複数)のアレイ(レンズアレイ)3は、光源2からの光を受光するよう構成されている。
【0040】
レンズアレイ3の各レンズ3a、3b、3c、3dは受光側を有し、受光側の一部分は光入射面として構成され、光は光入射面を通ってレンズ3a、3b、3c、3dに入射する。レンズアレイ3の各レンズ3a、3b、3c、3dは光を放出するための放光側を有し、放光側の一部分は光出射面として構成され、光は光出射面を通ってレンズ3a、3b、3c、3dから出射する。受光側は放光側の反対側に位置し、レンズアレイ3は光源2からの光を光パターンとしてレンズシステム1の前方へ投影(投射)するよう構成されている。
【0041】
レンズシステム1はレンズアレイ3を包囲する(収容する:encase)よう構成されたレンズ保持部材4を含む。レンズ保持部材4は、第1端部分4aと、第2端部分4cと、縦軸xに沿って延伸する縦延伸(部)を有するボディ構造体4b、とりわけ中空ボディ構造体を有し、ボディ構造体4bは第1端部分4aから第2端部分4cまで延伸している。レンズ保持部材4は光源2からの光に対し不透明な(非透過性の)材料を含むことができる。
【0042】
レンズアレイ3は、レンズ保持部材4の第1端部分4aに取り付けられる入口(entrance)レンズ3aを含む。入口レンズ3aは光源2からの光を受光し、その光をレンズアレイ3の他のレンズの方へ放出するよう構成されている。
【0043】
レンズアレイ3は、更に、少なくとも1つの中間レンズ3b(これは第1中間レンズとも称され得る)を含み、第1離隔(distance)手段5aは中間レンズ3bと入口レンズ3aとの間に配置されている。中間レンズ3bの受光側は第1離隔手段5aに部分的にコンタクト(接触)する。入口レンズ3aの放光側は第1離隔手段5aに部分的にコンタクト(接触)する。第1離隔手段5aは、ボディ構造体4bの第1コンタクト面(係止面)にコンタクトすることによって、入口レンズ3aの方への中間レンズ3bの運動を阻止するよう構成されている。少なくとも1つの中間レンズ3bは、該少なくとも1つの中間レンズ3bがレンズ保持部材4の縦軸xに沿ってのみ運動することができるよう、ボディ構造体4bの内部において保持されている。
【0044】
レンズアレイ3は、更に、出口レンズ3c(ないし最終レンズ)を含み、出口レンズ3cは、出口レンズ3cの放光側がレンズ保持部材4の第2端部分4cの保持(係止)突出部と部分的にコンタクトするよう、レンズ保持部材4の第2端部分4cに配置されている。出口レンズ3cの受光側は最終離隔手段5bに部分的にコンタクトする。最終離隔手段5bは、弾性的であり、少なくとも1つの中間レンズ3bと出口レンズ3cの間に配置されることができ(一般的には、最終離隔手段は最終レンズ即ち出口レンズ3cと最終レンズから(光源側に)2番目の(1つ手前の)レンズ(最後から2番目のレンズ)の間に配置される)、少なくとも1つの中間レンズ3bと出口レンズ3cとの間のバネ結合(弾性的介装(部材):sprung connection)を形成するよう構成されている。第1離隔手段5aは、最終離隔手段5bの硬さ(ないし剛性:rigidity)よりも少なくとも2倍より高い硬さ(ないし剛性)を有することができる。
【0045】
少なくとも1つの中間レンズ3bと出口レンズ3cのバネ結合(接続)は、出口レンズ3cの方へ作用する、熱膨張による縦軸xに沿った入口レンズ3a又は中間レンズ3bの変位によって生成される力が最終離隔手段5bの収縮によって吸収されることを生じさせる結合である。
【0046】
図1に示した実施形態では、レンズシステム1は、少なくとも1つの中間レンズ3bと出口レンズ3cの間に配置された更なる中間レンズ3dを含む。レンズシステムは、2つの、3つの又は4つ以上の中間レンズを含むことも可能である。更なる中間レンズ3d(これは第2中間レンズと称され得る)は、更なる中間レンズ3dがレンズ保持部材4の縦軸xに沿ってのみ運動することができるように、ボディ構造体4bの内部において保持されている。更なる離隔手段5c(これは第2離隔手段と称され得る)は、更なる中間レンズ3dと少なくとも1つの中間レンズ3bの間に配置されている。更なる中間レンズ3dの受光側は更なる離隔手段5cに部分的にコンタクトする。更なる中間レンズ3dの放光側は最終離隔手段5bに部分的にコンタクトする。少なくとも1つの中間レンズ3bの放光側は更なる離隔手段5cに部分的にコンタクトする。更なる離隔手段5cは、ボディ構造体4bの更なるコンタクト面(係止面)にコンタクトすることによって、第1中間レンズ3bの方への更なる中間レンズ3dの運動を阻止するよう構成されている。
【0047】
図示の実施形態では、レンズアレイ3の各レンズは円形球面レンズ(circular spherical lens)であり、好ましくは、レンズ保持部材4のボディ構造体4bは円筒(シリンダ)形状を有する。非円形球面レンズ(non-circular spherical lens)もレンズアレイ3のために使用することができる。
【0048】
円形球面レンズの場合、レンズ保持部材4の第2端部分4cの保持(係止)突出部は出口レンズ3cの周に対応する円形リング状形状を有することができる。一般的に、レンズ保持部材4の第2端部分4cの保持突出部の形状はレンズの形状に対応する形状を有することができる。
【0049】
レンズシステム1は、更に、レンズ保持部材4の第2端部分4cに対応する形状を有するスリーブ部材6を含むことができる。スリーブ部材6は、スリーブ部材6がレンズ保持部材4の第2端部分4cに押し付けられている際に、スリーブ部材6がレンズ保持部材4の第2端部分4cに対する出口レンズ3cの位置を固定するように、レンズ保持部材4の第2端部分4cに押し付けられるよう構成されている。スリーブ部材6は、第2端部分4cに押し付けられている際に、レンズ保持部材4の外側(外周)に沿って、第2端部分4cから第1端部分4aへ向かってレンズ保持部材4の縦延伸(長さ)全体の少なくとも30%にわたって延在(延伸)する。スリーブ部材6は、レンズ保持部材4の第1端部分4aにまで延在(延伸)することも可能である。
【0050】
レンズ保持部材4は、第1端部分4aから第2端部分4cへ向かうカスケードの形状の(階段の形状の)断面(図示の断面で見てカスケードないし階段の形状ないし構造)を有することができ、カスケード(階段)は複数の段部(ステップ)を含み、順次的に位置する複数の段部(ステップ)はレンズ保持部材4の縦延伸に対し直角をなす方向においてオフセットを有する(互いに対しずらされている)。レンズアレイ3のレンズが、好ましくは丁度1つのレンズが、カスケード状(階段状)のレンズ保持部材4の各段部(ステップ)に夫々配置されている。
【0051】
第1離隔手段5a及び/又は更なる離隔手段5c及び/又は最終離隔手段5bは、レンズアレイ3のレンズの材料の熱膨張係数より高い熱膨張係数を有する材料を含むことができる。各離隔手段5a、5b、5cは貫通穴を有する実質的に環状の形状を有することができ、光源2からの光は各離隔手段5a、5b、5cの貫通穴を通過する。
【0052】
図1に見られるように、レンズアレイ3の複数のレンズ3a、3b、3c、3dは互いに対し平行に配置されている。更に、レンズアレイ3の各レンズ3a、3b、3c、3dは光軸を有し、これらのレンズは、すべてのレンズ3a、3b、3c、3dの光軸がコアキシャル(同芯)であるように、配置されている。
【0053】
本発明は、本開示を考慮して当業者によって実施可能な本発明の実施形態(複数)を示しているに過ぎない本書に与えられている実施例(複数)に限定されないことは勿論である。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車前照灯のためのレンズシステムであって、
前記レンズシステム(1)は、
光源(2)、
順次的に配置された複数のレンズ(3a、3b、3c)からなるレンズアレイ(3)、但し前記レンズアレイ(3)は前記光源(2)からの光を受光するよう構成されており、前記レンズアレイ(3)の各レンズ(3a、3b、3c)は
・受光側、但し前記受光側の部分は光入射面として構成されており、光は前記光入射面を介してレンズ(3a、3b、3c)に入射する、及び、
・光を放出するための放光側、但し前記放光側の部分は光出射面として構成されており、光は前記光出射面を介してレンズ(3a、3b、3c)から出射する、
を有し、
前記受光側は前記放光側の反対側に位置し、前記レンズアレイ(3)は前記光源(2)からの光を光パターンとして前記レンズシステム(1)の前方へ投影し、
及び、
前記レンズアレイ(3)を
少なくとも部分的に包囲するよう構成されたレンズ保持部材(4)、但し前記レンズ保持部材(4)は第1端部分(4a)、第2端部分(4c)、及び、縦軸(x)において縦延伸を有するボディ構造体(4b)
又は中空ボディ構造体を有し、前記ボディ構造体(4b)は前記第1端部分(4a)から前記第2端部分(4c)へ延伸し、
を含み、
前記レンズアレイ(3)は、
前記レンズ保持部材(4)の前記第1端部分(4a)に取り付けられた入口レンズ(3a)、但し前記入口レンズ(3a)は前記光源(2)からの光を受光し、該光を前記レンズアレイ(3)の他のレンズの方へ放出するよう構成されている、
少なくとも1つの中間レンズ(3b)、但し前記中間レンズ(3b)と前記入口レンズ(3a)の間には第1離隔手段(5a)が配置されており、前記中間レンズ(3b)の受光側は前記第1離隔手段(5a)に部分的にコンタクトし、前記入口レンズ(3a)の放光側は前記第1離隔手段(5a)に部分的にコンタクトし、前記第1離隔手段(5a)は、前記ボディ構造体(4b)の第1コンタクト面にコンタクトすることによって、前記入口レンズ(3a)の方への前記中間レンズ(3b)の運動を阻止するよう構成されている、
及び、
出口レンズ(3c)、但し前記出口レンズ(3c)は
、前記出口レンズ(3c)の受光側
が前記少なくとも1つの中間レンズ(3b)の下流側に配置された最終離隔手段(5b)に部分的にコンタクト
するよう配置されており、前記最終離隔手段(5b)は、弾性的であり
、前記少なくとも1つの中間レンズ(3b)と前記出口レンズ(3c)との間のバネ結合(sprung connection)を形成するよう構成されている、
を含むこと、
前記少なくとも1つの中間レンズ(3b)は、前記少なくとも1つの中間レンズ(3b)が前記レンズ保持部材(4)の縦軸(x)に沿ってのみ運動することができるよう、前記ボディ構造体(4b)の内部において保持されていること、
前記バネ結合は、前記出口レンズ(3c)の方へ作用する、熱膨張による前記縦軸(x)に沿った前記入口レンズ(3a)及び/又は前記中間レンズ(3b)の変位によって生成される力を前記最終離隔手段(5b)の収縮によって吸収する結合であること
、
前記レンズアレイ(3)の各レンズ(3a、3b、3c)は光軸を有すること、これらのレンズは、すべてのレンズ(3a、3b、3c)の光軸がコアキシャルであるように、配置されていること
を特徴とする、レンズシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のレンズシステムにおいて、
前記第1離隔手段(5a)は、前記最終離隔手段(5b)の硬さよりも少なくとも2
倍より高い硬さを有すること
を特徴とする、レンズシステム。
【請求項3】
請求項
1に記載のレンズシステムにおいて、
前記レンズシステム(1)は、前記少なくとも1つの中間レンズ(3b)と前記出口レンズ(3c)の間に配置された更な
る中間レンズ(3d)を含むこと、前記更なる中間レンズ(3d)は、前記更なる中間レンズ(3d)が前記レンズ保持部材(4)の縦軸(x)に沿ってのみ運動することができるように、前記ボディ構造体(4b)の内部において保持されていること、前記更なる中間レンズ(3d)と前記少なくとも1つの中間レンズ(3b)の間に更なる離隔手段(5c)が配置されていること、前記更なる中間レンズ(3d)の受光側は前記更なる離隔手段(5c)に部分的にコンタクトすること、前記更なる中間レンズ(3d)の放光側は前記最終離隔手段(5b)に部分的にコンタクトすること、前記少なくとも1つの中間レンズ(3b)の放光側は前記更なる離隔手段(5c)に部分的にコンタクトすること、前記更なる離隔手段(5c)は、前記ボディ構造体(4b)の更なるコンタクト面にコンタクトすることによって、前記第1中間レンズ(3b)の方への前記更なる中間レンズ(3d)の運動を阻止するよう構成されていること
を特徴とする、レンズシステム。
【請求項4】
請求項
1に記載のレンズシステムにおいて、
前記レンズアレイ(3)の各レンズは円形球面レンズ(circular spherical lens)であるこ
と
を特徴とする、レンズシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のレンズシステムにおいて、
前記レンズ保持部材(4)の前記ボディ構造体(4b)は円筒形状を有すること
を特徴とする、レンズシステム。
【請求項6】
請求項
1に記載のレンズシステムにおいて、
前記レンズシステム(1)は、更に
、スリーブ部材(6)を含むこと、前記スリーブ部材(6)は、前記スリーブ部材(6)が前記レンズ保持部材(4
)に外嵌されている際に、前記スリーブ部材(6)が前記レンズ保持部材(4
)に対する前記出口レンズ(3c)の位置を固定するように、前記レンズ保持部材(4
)に外嵌されるよう構成されていること
を特徴とする、レンズシステム。
【請求項7】
請求項6に記載のレンズシステムにおいて、
前記スリーブ部材(6)は、
前記レンズ保持部材(4)に外嵌されている際に
、前記出口レンズ(3c)から前記第1端部分(4a)へ向かって前記レンズ保持部材(4)の縦延伸全体の少なくとも30%にわたって延在すること
を特徴とする、レンズシステム。
【請求項8】
請求項
1に記載のレンズシステムにおいて、
前記レンズ保持部材(4)は、前記第1端部分(4a)から前記第2端部分(4c)へ向かうカスケードの形状の断面を有すること、前記カスケードは複数のステップを含むこと、順次的に位置する複数のステップは前記レンズ保持部材(4)の縦延伸に対し直角をなす方向においてオフセットを有すること
を特徴とする、レンズシステム。
【請求項9】
請求項8に記載のレンズシステムにおいて、
カスケード状のレンズ保持部材(4)の各ステップには、前記レンズアレイ(3)の1つのレンズが夫々配置されていること
を特徴とする、レンズシステム。
【請求項10】
請求項
1に記載のレンズシステムにおいて、
前記第1離隔手段(5a)は、前記レンズアレイ(3)のレンズの材料の熱膨張係数より高い熱膨張係数を有する材料を含むこと
を特徴とする、レンズシステム。
【請求項11】
請求項
1に記載のレンズシステムにおいて、
前記レンズアレイ(3)の複数のレンズ(3a、3b、3c)は互いに対し平行に配置されていること
を特徴とする、レンズシステム。
【請求項12】
請求項
1に記載のレンズシステムにおいて、
前記レンズ保持部材(4)は前記光源(2)からの光に対し不透明な材料を含むこと
を特徴とする、レンズシステム。
【請求項13】
請求項
1に記載のレンズシステムにおいて、
各離隔手段(5a、5b、5c)は、貫通穴を有する実質的に環状の形状を有すること、前記光源(2)からの光は各離隔手段(5a、5b、5c)の貫通穴を通過すること
を特徴とする、レンズシステム。
【請求項14】
請求項1~
13の何れかに記載のレンズシステム(1)を含む、自動車前照灯。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
【特許文献1】JP 2016 083994 A
【特許文献2】KR 2020 0082303 A
【特許文献3】US 2007/121223 A1
【特許文献4】WO 2017/163920 A1
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
この課題は請求項1に応じたレンズシステムによって解決される。即ち、本発明の第1の視点により、自動車前照灯のためのレンズシステムが提供される。
前記レンズシステムは、
光源、
順次的に配置された複数のレンズからなるレンズアレイ、但し前記レンズアレイは前記光源からの光を受光するよう構成されており、前記レンズアレイの各レンズは
・受光側、但し前記受光側の部分は光入射面として構成されており、光は前記光入射面を介してレンズに入射する、及び、
・光を放出するための放光側、但し前記放光側の部分は光出射面として構成されており、光は前記光出射面を介してレンズから出射する、
を有し、
前記受光側は前記放光側の反対側に位置し、前記レンズアレイは前記光源からの光を光パターンとして前記レンズシステムの前方へ投影し、
及び、
前記レンズアレイを少なくとも部分的に包囲するよう構成されたレンズ保持部材、但し前記レンズ保持部材は第1端部分、第2端部分、及び、縦軸において縦延伸を有するボディ構造体又は中空ボディ構造体を有し、前記ボディ構造体は前記第1端部分から前記第2端部分へ延伸し、
を含み、
前記レンズアレイは、
前記レンズ保持部材の前記第1端部分に取り付けられた入口レンズ、但し前記入口レンズは前記光源からの光を受光し、該光を前記レンズアレイの他のレンズの方へ放出するよう構成されている、
少なくとも1つの中間レンズ、但し前記中間レンズと前記入口レンズの間には第1離隔手段が配置されており、前記中間レンズの受光側は前記第1離隔手段に部分的にコンタクトし、前記入口レンズの放光側は前記第1離隔手段部分的にコンタクトし、前記第1離隔手段は、前記ボディ構造体の第1コンタクト面にコンタクトすることによって、前記入口レンズの方への前記中間レンズの運動を阻止するよう構成されている、
及び、
出口レンズ、但し前記出口レンズは、前記出口レンズの受光側が前記少なくとも1つの中間レンズの下流側に配置された最終離隔手段に部分的にコンタクトするよう配置されており、前記最終離隔手段は、弾性的であり、前記少なくとも1つの中間レンズと前記出口レンズとの間のバネ結合(sprung connection)を形成するよう構成されている、
を含むこと、
前記少なくとも1つの中間レンズは、前記少なくとも1つの中間レンズが前記レンズ保持部材の縦軸に沿ってのみ運動することができるよう、前記ボディ構造体の内部において保持されていること、
前記バネ結合は、前記出口レンズの方へ作用する、熱膨張による前記縦軸に沿った前記入口レンズ及び/又は前記中間レンズの変位によって生成される力を前記最終離隔手段の収縮によって吸収する結合であること、
前記レンズアレイの各レンズは光軸を有すること、これらのレンズは、すべてのレンズの光軸がコアキシャルであるように、配置されていること
を特徴とする。
本発明の第2の視点により、本発明のレンズシステムを含む自動車前照灯が提供される。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
好ましい形態は従属請求項に記載されている。
以下に本発明の好ましい形態を示す。
(形態1)上掲本発明の第1の視点参照。
(形態2)形態1に記載のレンズシステムにおいて、
前記第1離隔手段は、前記最終離隔手段の硬さよりも少なくとも2倍より高い硬さを有すること
が好ましい。
(形態3)形態1又は2に、とりわけ形態1に記載のレンズシステムにおいて、
前記レンズシステムは、前記少なくとも1つの中間レンズと前記出口レンズの間に配置された更なる中間レンズを含むこと、前記更なる中間レンズは、前記更なる中間レンズが前記レンズ保持部材の縦軸に沿ってのみ運動することができるように、前記ボディ構造体の内部において保持されていること、前記更なる中間レンズと前記少なくとも1つの中間レンズの間に更なる離隔手段が配置されていること、前記更なる中間レンズの受光側は前記更なる離隔手段に部分的にコンタクトすること、前記更なる中間レンズの放光側は前記最終離隔手段に部分的にコンタクトすること、前記少なくとも1つの中間レンズの放光側は前記更なる離隔手段に部分的にコンタクトすること、前記更なる離隔手段は、前記ボディ構造体の更なるコンタクト面にコンタクトすることによって、前記第1中間レンズの方への前記更なる中間レンズの運動を阻止するよう構成されていること
が好ましい。
(形態4)形態1~3の何れかに、とりわけ形態1に記載のレンズシステムにおいて、
前記レンズアレイの各レンズは円形球面レンズ(circular spherical lens)であること
が好ましい。
(形態5)形態4に記載のレンズシステムにおいて、
前記レンズ保持部材の前記ボディ構造体は円筒形状を有すること
が好ましい。
(形態6)形態1~5の何れかに、とりわけ形態1に記載のレンズシステムにおいて、
前記レンズシステムは、更に、スリーブ部材を含むこと、前記スリーブ部材は、前記スリーブ部材が前記レンズ保持部材に外嵌されている際に、前記スリーブ部材が前記レンズ保持部材に対する前記出口レンズの位置を固定するように、前記レンズ保持部材に外嵌されるよう構成されていること
が好ましい。
(形態7)形態6に記載のレンズシステムにおいて、
前記スリーブ部材は、前記レンズ保持部材に外嵌されている際に、前記出口レンズから前記第1端部分へ向かって前記レンズ保持部材の縦延伸全体の少なくとも30%にわたって延在すること
が好ましい。
(形態8)形態1~7の何れかに、とりわけ形態1に記載のレンズシステムにおいて、
前記レンズ保持部材は、前記第1端部分から前記第2端部分へ向かうカスケードの形状の断面を有すること、前記カスケードは複数のステップを含むこと、順次的に位置する複数のステップは前記レンズ保持部材の縦延伸に対し直角をなす方向においてオフセットを有すること
が好ましい。
(形態9)形態8に記載のレンズシステムにおいて、
カスケード状のレンズ保持部材の各ステップには、前記レンズアレイの1つのレンズが夫々配置されていること
が好ましい。
(形態10)形態1~9の何れかに、とりわけ形態1に記載のレンズシステムにおいて、
前記第1離隔手段は、前記レンズアレイのレンズの材料の熱膨張係数より高い熱膨張係数を有する材料を含むこと
が好ましい。
(形態11)形態1~10の何れかに、とりわけ形態1に記載のレンズシステムにおいて、
前記レンズアレイの複数のレンズは互いに対し平行に配置されていること
が好ましい。
(形態12)形態1~11の何れかに、とりわけ形態1に記載のレンズシステムにおいて、
前記レンズ保持部材は前記光源からの光に対し不透明な材料を含むこと
が好ましい。
(形態13)形態1~12の何れかに、とりわけ形態1に記載のレンズシステムにおいて、
各離隔手段は、貫通穴を有する実質的に環状の形状を有すること、前記光源からの光は各離隔手段の貫通穴を通過すること
が好ましい。
(形態14)上掲本発明の第2の視点参照。
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】