(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】インダクタレス電力変換器
(51)【国際特許分類】
H02M 3/18 20060101AFI20241010BHJP
【FI】
H02M3/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526701
(86)(22)【出願日】2022-11-08
(85)【翻訳文提出日】2024-06-17
(86)【国際出願番号】 NL2022050630
(87)【国際公開番号】W WO2023085924
(87)【国際公開日】2023-05-19
(32)【優先日】2021-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(32)【優先日】2022-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517438583
【氏名又は名称】ネクスペリア ベー.フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ファン デル フェルデン ヨラム ピーテル
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA14
5H730AS04
5H730AS05
5H730AS08
5H730BB02
5H730BB03
5H730BB06
(57)【要約】
第一の態様に係る、入力電圧を変換比で出力電圧に変換するためのインダクタレス電力変換器は、複数のステージを含み、各ステージは、スイッチトキャパシタとして構成されたキャパシタと、前記ステージをスイッチングし、前記キャパシタに接続するように配置されたスイッチング手段と、入力電圧、出力電圧又は接地のうちの1つに接続するように配置されたノードと、を含み、前記インダクタレス電力変換器は、少なくとも4つのステージを含む再構成可能電力変換器であり、各前記ステージは、入力電圧ノード、出力電圧ノード及び接地ノードを含み、前記スイッチング手段は、複数の異なる構成を得るためにそれぞれの前記ステージを前記入力電圧ノード、前記出力電圧ノード及び前記接地ノードのうちの1つに接続し、前記入力電圧を前記出力電圧に変換するための複数の異なる変換比を提供するように配置される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧を変換比で出力電圧に変換するためのインダクタレス電力変換器であって、複数のステージを含み、各ステージは、スイッチトキャパシタとして構成されたキャパシタと、前記ステージをスイッチングし、前記キャパシタに接続するように配置されたスイッチング手段と、入力電圧、出力電圧又は接地のうちの1つに接続するように配置されたノードと、を含み、前記インダクタレス電力変換器は、少なくとも4つのステージを含む再構成可能電力変換器であり、各前記ステージは、入力電圧ノード、出力電圧ノード及び接地ノードを含み、前記スイッチング手段は、複数の異なる構成を得るためにそれぞれの前記ステージを前記入力電圧ノード、前記出力電圧ノード及び前記接地ノードのうちの1つに接続し、前記入力電圧を前記出力電圧に変換するための複数の異なる変換比を提供するように配置される、インダクタレス電力変換器。
【請求項2】
前記ステージのそれぞれの前記スイッチング手段は、それぞれの前記ステージを前記入力電圧ノード、前記出力電圧ノード及び前記接地ノードのうちの1つに接続するための単極単投スイッチを含む、請求項1に記載のインダクタレス電力変換器。
【請求項3】
前ステージ及び後ステージを更に含み、前記前ステージ及び後ステージのそれぞれは、好ましくは、入力電圧ノード、出力電圧ノード及び接地ノードのうちの1つに接続するためのスイッチング手段を含む、請求項1又は2に記載のインダクタレス電力変換器。
【請求項4】
前記ステージのそれぞれの前記スイッチング手段を制御するためのコントローラを更に含み、前記コントローラは、少なくとも(k-1)相分配置される、請求項1~3のいずれか一項に記載のインダクタレス電力変換器。
【請求項5】
双方向電力変換用に配置される、請求項1~4のいずれか一項に記載のインダクタレス電力変換器。
【請求項6】
直流(DC)入力電圧用に配置される、請求項1~5のいずれか一項に記載のインダクタレス電力変換器。
【請求項7】
複数の異なる構成用に配置され、前記入力電圧を前記出力電圧に変換するための3
k個の変換比を提供し、kは、前記ステージのそれぞれの前記スイッチング手段と、入力電圧、出力電圧及び接地とを含むスイッチング手段のセットの数である、請求項1~6のいずれか一項に記載のインダクタレス電力変換器。
【請求項8】
最大1:2^(k-2)の昇圧変換比と最小2^(k-2):1の降圧変換比を提供する複数の異なる構成用に配置される、請求項7に記載のインダクタレス電力変換器。
【請求項9】
出力キャパシタを含む後ステージを更に含み、前記出力キャパシタは、前記後ステージのノードに並列に接続される、請求項1~8のいずれか一項に記載のインダクタレス電力変換器。
【請求項10】
入力キャパシタを含む前ステージを更に含み、前記入力キャパシタは、前記前ステージのノードに並列に接続される、請求項1~9のいずれか一項に記載のインダクタレス電力変換器。
【請求項11】
10μW~100mW、より好ましくは、50μW~50mWの電力範囲で入力電圧を出力電圧に変換するように配置される、請求項1~10のいずれか一項に記載のインダクタレス電力変換器。
【請求項12】
センサモジュール、IoTデバイス、USBデバイス又はブルートゥース(登録商標)モジュールのうちの1つ以上に電力を供給するように配置される、請求項1~11のいずれか一項に記載のインダクタレス電力変換器。
【請求項13】
エネルギーハーベスタ配置であって、
入射エネルギー、好ましくは、太陽エネルギー、運動エネルギー又は無線周波エネルギーのうちの1種を収集し、収集した前記エネルギーを入力電圧として前記エネルギーハーベスタ配置に提供するためのエネルギーハーベスティングモジュールと、
請求項1~12のいずれか一項に記載のインダクタレス電力変換器と、
を含む、エネルギーハーベスタ配置。
【請求項14】
最大電力点追従モジュール
を更に含む、請求項11に記載のエネルギーハーベスタ配置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、電力変換器に関する。より具体的には、本発明は、入力電圧を変換比で出力電圧に変換するために、複数のステージのスイッチトキャパシタを有するインダクタレス電力変換器に関する。
【背景技術】
【0002】
電力変換器は、入力電圧を出力電圧に変換するための電気デバイスである。これらの電圧は、変換比に応じて異なる場合があり、入力電流は、形態及び/又は周波数が出力電流と異なる場合があり、例えば、変換器は、交流(AC)の入力電圧を直流(DC)の出力電圧に、好ましくは異なる電圧差で変換するように配置される場合がある。
【0003】
このような電力変換器は、電気エネルギーをある電圧レベルから別の電圧レベルに、又はある周波数から別の周波数に、又はあるタイプから別のタイプに変換するために、通常、携帯電話、ラップトップコンピュータ、ポータブルコンピュータなどのポータブル電子デバイスに使用されているが、モノのインターネット(IoT)、デバイス又は無線センサノード、WSNにも広く使用されている。このような用途では、主電源は、多くの場合(主に)電池から供給されるが、これらのデバイスは、電池充電及び/又は、負荷への電力供給のためにエネルギーを収集するエネルギーハーベスティングモジュールを更に有することが多い。
【0004】
一連のスイッチ及びキャパシタを中心に設計された電力変換器は、よく知られており、広く使用されている。最近では、複数のステージを有するスイッチトキャパシタの設計は、ますます一般的になってきている。このような設計は、既知のインダクタベースの電力変換器に比べて、磁気部品又は大きなフォームファクタの部品がないため、小型の統合設計又は完全統合実装に適しているという利点を有する。
【0005】
また、このような設計は、疑似負荷を必要とせず、より広い範囲の負荷に使用可能である。また、これらの電力変換器の変換効率は、通常、インダクタベースの代替品の変換効率より高い。全体として、このようなインダクタレス設計は、通常、電池駆動適用に理想的である。
【0006】
しかしながら、インダクタレス設計は、インダクタベースの代替品に比べて欠点もあり、その理由は、インダクタベースの電力変換器は、大きな変換比から連続した変換比を有するのに対し、インダクタレス設計は、変換比の離散数が限られており、最大変換比及び/又は最小変換比が小さいことである。
【0007】
したがって、改善されたインダクタレス電力変換器が求められている。本開示は、前述の欠点の少なくとも一部を解決する、改善されたインダクタレス電力変換器を提供することを目的とする。
【0008】
本開示は、変換比の数が多く、最大変換比及び最小変換比がより大きく、設計の完全統合実装に適する、改善されたインダクタレス電力変換器を提供することを更なる目的とする。
【発明の概要】
【0009】
第一の態様に係る、入力電圧を変換比で出力電圧に変換するためのインダクタレス電力変換器は、複数のステージを含み、各ステージは、スイッチトキャパシタとして構成されたキャパシタと、前記ステージをスイッチングし、前記キャパシタに接続するように配置されたスイッチング手段と、入力電圧、出力電圧又は接地のうちの1つに接続するように配置されたノードと、を含み、前記インダクタレス電力変換器は、少なくとも4つのステージを含む再構成可能電力変換器であり、各前記ステージは、入力電圧ノード、出力電圧ノード及び接地ノードを含み、前記スイッチング手段は、複数の異なる構成を得るためにそれぞれの前記ステージを前記入力電圧ノード、前記出力電圧ノード及び前記接地ノードのうちの1つに接続し、前記入力電圧を前記出力電圧に変換するための複数の異なる変換比を提供するように配置される。
【0010】
提案された(k-1)相電力変換器は、既知の電力変換器に比べて、16というより大きい最大変換比、1/16というよりよい最小変換比、より一般的に2^(k-2)という最大変換比又は最小変換比を提供するといういくつかの利点を有する。したがって、入力電圧は、出力電圧より2^(k-2)倍、又は上記特定の例では16倍大きくても小さくてもよい。
【0011】
制御の設計がより複雑であるが、提案された設計は、容易に実現できるより多くの離散的な変換比を提供し、その結果、入力電圧と出力電圧をよりよくマッチングすることができる。この設計により、完全に統合された実装も可能である。
【0012】
好ましくは、4つのフライングキャパシタを用いた5相バイナリスイッチトキャパシタ(SC)変換器が提案される。既知の設計に比べて、16というより大きい最大変換比を達成するために、フライングキャパシタと相の数は、増加する。6セットのスイッチを制御し、SC変換器の6つのノードを接地ノード、入力ノード又は出力ノードのいずれかに接続することにより、多くの異なる電圧変換比をかなり容易に実現することができる。6セットのスイッチの構成では、これらの接続により729(3^6)個の異なる構成を得ることができ、そのうち178個の固有電圧変換比が得られ、119個の電圧変換比が正である。
【0013】
昇圧変換と降圧変換の両方が可能であり、達成可能な最大正電圧変換比と最小正電圧変換比は、それぞれM=16とM=1/16である。
【0014】
また、この設計は、通常のSPTTスイッチを使用する代わりに、SPST(単極単投)スイッチのみが提案されるため、CMOS技術の設計に適することを特徴とする。
【0015】
理論的に任意の変換比を達成できるインダクタベースの電力変換器とは異なり、インダクタレス電力変換器は、常に限られた数の電圧変換比で動作する。
【0016】
提案されたインダクタレスSC変換器は、広い範囲及び多くの変換比により、変換範囲内の任意の入力電圧と出力電圧をよりよくマッチングさせることができる。一般に、これは、変換効率を向上させ、入力又は出力の電圧リップルをより小さくすることができる。エネルギーハーベスティングの分野では、(適用する場合)これは、電力変換器の入力電圧をハーベスタの最大電力点(MPP)電圧にマッチングさせる能力を向上させることができる。
【0017】
一例において、前記ステージのそれぞれの前記スイッチング手段は、それぞれの前記ステージを前記入力電圧ノード、前記出力電圧ノード及び前記接地ノードのうちの1つに接続するための単極単投スイッチを含む。
【0018】
一例において、前記変換器は、前ステージ及び後ステージを更に含み、前記前ステージ及び後ステージのそれぞれは、好ましくは、入力電圧ノード、出力電圧ノード及び接地ノードのうちの1つに接続するためのスイッチング手段を含む。
【0019】
一例において、前記変換器は、前記ステージのそれぞれの前記スイッチング手段を制御するためのコントローラを更に含み、前記コントローラは、少なくとも(k-1)相分配置される。
【0020】
一例において、前記電力変換器は、双方向電力変換用に配置される。
【0021】
一例において、前記変換器は、直流(DC)入力電圧用に配置される。
【0022】
一例において、前記変換器は、複数の異なる構成用に配置され、前記入力電圧を前記出力電圧に変換するための3k個の変換比を提供し、kは、前記ステージのそれぞれの前記スイッチング手段と、入力電圧、出力電圧及び接地とを含むスイッチング手段のセットの数である。
【0023】
一例において、前記変換器は、最大1:2^(k-2)の昇圧変換比と最小2^(k-2):1の降圧変換比を提供する複数の異なる構成用に配置される。
【0024】
一例において、前記変換器は、出力キャパシタを含む後ステージを更に含み、前記出力キャパシタは、前記後ステージのノードに並列に接続される。
【0025】
一例において、前記変換器は、入力キャパシタを含む前ステージを更に含み、前記入力キャパシタは、前記前ステージのノードに並列に接続される。
【0026】
一例において、前記変換器は、10μW~100mW、より好ましくは、50μW~50mWの電力範囲で入力電圧を出力電圧に変換するように配置される。
【0027】
一例において、前記変換器は、センサモジュール、IoTデバイス、USBデバイス又はブルートゥース(登録商標)モジュールのうちの1つ以上に電力を供給するように配置される。
【0028】
第二の態様に係るエネルギーハーベスタ配置(energy harvester arrangement )は、
入射エネルギー、好ましくは、太陽エネルギー、運動エネルギー又は無線周波エネルギーのうちの1種を収集し、収集した前記エネルギーを入力電圧として提供するためのエネルギーハーベスティングモジュールと、
前述の説明のいずれか一項に記載のインダクタレス電力変換器と、
を含む。
【0029】
一例において、前記エネルギーハーベスタ配置は、
最大電力点追従モジュールを更に含む。
【0030】
当業者であれば、第一の態様の例、特徴、効果及び利点が第二の態様及びこの第二の態様に関連する例に同様に適用できることを理解する。
【0031】
6セットのスイッチと4つのステージのスイッチトキャパシタの一例において、以下の変換比が達成可能である。
(実施例1)
達成可能な電圧変換比のリスト:
【表1】
【0032】
添付の図面を参照しながら、特定の実施形態により本発明をより詳細に説明し、同一又は類似の部分及び/又は構成要素は、同じ参照番号で示される。本発明は、開示された実施形態に決して限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
以下の図面を参照しながら、第一の態様に係るインダクタレス電力変換器及び第二の態様に係るエネルギーハーベスタ配置の実施形態の説明により本開示を説明する。
【0034】
【
図1】本開示の第一の態様に係る5相インダクタレス電力変換器(5-phase an inductor-less power converter)の一実施形態を示す。
【
図2】
図1の5相インダクタレス電力変換器をより詳細に示す。
【
図3A】本開示の第一の態様に係る電力変換器を含む効率的なインダクタレスPMICの一実施形態を示す。
【
図3B】
図3Aの効率的なインダクタレスPMICを含む、本開示の第二の態様に係るエネルギーハーベスタ配置の一実施形態を示す。
【
図3C】
図3Bのエネルギーハーベスタ配置の時間に対する電池エネルギーの純変化を示す。
【
図4A】本開示の第一の態様に係る電力変換器を含む効率的なインダクタレスPMICの別の実施形態を示す。
【
図4B】
図4Aの効率的なインダクタレスPMICを含む電力変換配置の一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1及び
図2は、DC入力電圧V
Iを変換比MでDC出力電圧V
Oに変換する(k-1)相再構成可能インダクタレス電力変換器10を示し、(k-1)が5に等しい。5相再構成可能電力変換器10は、センサモジュール、IoTデバイス、USBデバイス又はブルートゥース(登録商標)モジュールに電力を供給するように配置される。本開示に係る変換器10は、特に極低電力条件に対して設計され、10μW~100mW、より好ましくは、50μW~50mWの電力範囲で入力電圧V
IをDC出力電圧V
Oに変換するように配置される。
【0036】
5相再構成可能電力変換器10は、4つのステージ1、2、3、4を含む。各ステージnは、キャパシタCn、スイッチング手段Sn1、Sn2、Sn3及びノードnnを含む。各キャパシタは、スイッチトキャパシタとして構成され、スイッチング手段Sn1、Sn2、Sn3は、ステージnをスイッチングし、キャパシタCnに接続するように配置される。ノードnnは、入力電圧VI、出力電圧VO又はノードnnに対する接地のうちの1つに接続するように配置される。
【0037】
5相電力変換器10は、前ステージ6及び後ステージ5を更に含む。ステージn、前ステージ6及び後ステージ5のそれぞれは、入力電圧ノードV
I、出力電圧ノードV
O及び接地ノードを含む。スイッチング手段S
n1、S
n2、S
n3は、それぞれのステージ1、2、3、4、5、6を入力電圧V
I、出力電圧V
O又は接地のいずれかに接続するように配置される。これを
図2により詳細に示し、スイッチS
11及びS
12は、個別のスイッチS
11A、S
11B、S
11Cで置き換えられ、スイッチS
n3は、個別のスイッチS
n3A、S
n3B、S
n3Cで置き換えられ、n=1~4であり、スイッチS
5は、個別のスイッチS
5A、S
5B、S
5Cで置き換えられる。各スイッチは、ステージnをスイッチングし、キャパシタC
nに接続し、それぞれのステージn、前ステージ6及び/又は後ステージ5を入力電圧V
Iノード、出力電圧V
Oノード及び接地ノードのうちの1つに接続するための単極単投スイッチとして実装される。
【0038】
5相電力変換器10は、双方向電力変換用に配置され、n個のステージ、前ステージ6及び後ステージ5のそれぞれのスイッチング手段S
n1、S
n2、S
n3を制御するためのコントローラ20を含み、コントローラは、少なくとも(k-1)相分配置され、この実施形態では、(k-1)が5に等しい。
図1を参照して、以下の表は、相ごとのスイッチング手段及びS5の位置を示す。
【表2】
【0039】
5相電力変換器10は、複数の異なる構成を得るように配置され、DC入力電圧VIをDC出力電圧VOに変換するための3k(この実施形態では729に等しい)個の異なる構成を提供し、kは、前ステージ6、ステージn(n=1~4)及び後ステージ5のそれぞれのスイッチング手段{S11A、S11B、S11C}、{Sn3A、Sn3B、Sn3C}及び{S5A、S5B、S5C}のセットの数である。スイッチング手段のセットのそれぞれのセットは、それぞれのステージn、前ステージ6及び/又は後ステージ5を入力電圧VIノード、出力電圧VOノード又は接地ノードに接続して、上記入力電圧VIを上記出力電圧Voに変換するように配置される。
【0040】
スイッチング手段のセットをスイッチングすることにより、729個の異なる構成を得ることができ、そのうち178個の固有電圧変換比Mが得られ、119個の電圧変換比Mが正であり、1:2^(k-2)の最大昇圧変換比Mと2^(k-2):1の最小降圧変換比Mが提供される。変換比Mは、以下のように表される。
【数1】
ここで、
【数2】
であり、ノードn
nが入力電圧V
Iに接続される場合にa
n=1であり、そうでなければ、a
n=0であり、
【数3】
であり、ノードn
nが出力電圧V
Oに接続される場合にb
n=1であり、そうでなければ、b
n=0である。a
n=0及びb
n=0である場合、ノードn
nは、接地に接続される。
【0041】
変換比(Conversation ratio)M=16は、例えば、
【数4】
により得られ、変換比M=13/5は、例えば、
【数5】
により得られ、変換比M=1/5は、例えば、
【数6】
により得られる。
【0042】
5相再構成可能電力変換器10は、効率的なインダクタレス電力管理集積回路(PMIC)モジュールに適用するために設計される。
【0043】
効率的なインダクタレスPMICモジュール100の第一の実施形態は、
図3Aに示される。効率的なインダクタレスPMICモジュール100は、コールドスタート機能を有し、その中に埋め込まれた、5相再構成可能電力変換器10、最大電力点追従器(MPPT)12、パワーオンリセット(POR)14、ポストレギュレータ16、バイパスレギュレータ18、コントローラ20及び基準発振器22を含む。キャパシタC
nは、PMICモジュール100の外部に接続される。インダクタレスPMICモジュール100は、太陽エネルギー、運動エネルギー又は無線周波エネルギーなどの入射エネルギーを収集する(harvesting)ように配置される。
【0044】
電力変換器10を含む効率的なインダクタレスPMICモジュール100は、
図3Bに示すエネルギーハーベスティング配置200に適用され、PMICモジュール100は、無線周波エネルギー110などの入射エネルギーを収集するように配置される。収集されたエネルギーは、入力電圧としてエネルギーハーベスティング配置200に供給される。エネルギーハーベスティング配置200は、電池120、バッファキャパシタ130及びセンサモジュール140を更に含む。
【0045】
時間tに対する電池エネルギーE
battの純変化を示す
図3Cに示すように、収集されたエネルギーは、期間t
1に、PMICモジュール100を介して電池120に転送されて、電池120を充電する。期間t
1に、センサモジュール140は、非アクティブである。期間t
2に、センサモジュール140がアクティブである場合、電池120は、センサモジュール140に対して放電し、電池からのエネルギーは、PMICモジュール100及びバッファキャパシタ130を介してセンサモジュール140に転送される。
【0046】
効率的なインダクタレスPMICモジュール100’の第二の実施形態は、
図4Aに示される。効率的なインダクタレスPMICモジュール100’は、コールドスタート機能を有し、その中に埋め込まれた、5相再構成可能電力変換器10、パワーオンリセット(POR)14、ポストレギュレータ16、コントローラ20及び基準発振器22を含む。キャパシタC
nは、PMICモジュール100’の外部に接続される。
【0047】
電力変換器10を含む効率的なインダクタレスPMICモジュール100’は、
図4Bに示すように電力変換配置300に適用され、PMICモジュール100’は、電池120からの入力電圧を変換し、PMICモジュール100’及びバッファキャパシタ130を介してセンサモジュール140に転送するように配置される。
【0048】
以上の説明に基づいて、当業者は、開示された方法及び配置に修正及び追加を提供してもよいが、これらの修正及び追加は、全て添付の特許請求の範囲に含まれる。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧を変換比で出力電圧に変換するためのインダクタレス電力変換器であって、複数のステージを含み、各ステージは、スイッチトキャパシタとして構成されたキャパシタと、前記ステージをスイッチングし、前記キャパシタに接続するように配置されたスイッチング手段と、入力電圧、出力電圧又は接地のうちの1つに接続するように配置されたノードと、を含み、前記インダクタレス電力変換器は、少なくとも4つのステージを含む再構成可能電力変換器であり、各前記ステージは、入力電圧ノード、出力電圧ノード及び接地ノードを含み、前記スイッチング手段は、複数の異なる構成を得るためにそれぞれの前記ステージを前記入力電圧ノード、前記出力電圧ノード及び前記接地ノードのうちの1つに接続し、前記入力電圧を前記出力電圧に変換するための複数の異なる変換比を提供するように配置される、インダクタレス電力変換器。
【請求項2】
前記ステージのそれぞれの前記スイッチング手段は、それぞれの前記ステージを前記入力電圧ノード、前記出力電圧ノード及び前記接地ノードのうちの1つに接続するための単極単投スイッチを含む、請求項1に記載のインダクタレス電力変換器。
【請求項3】
前ステージ及び後ステージを更に含み、前記前ステージ及び後ステージのそれぞれは、好ましくは、入力電圧ノード、出力電圧ノード及び接地ノードのうちの1つに接続するためのスイッチング手段を含む、請求項
1に記載のインダクタレス電力変換器。
【請求項4】
前記ステージのそれぞれの前記スイッチング手段を制御するためのコントローラを更に含み、前記コントローラは、少なくとも(k-1)相分配置される、請求項
1に記載のインダクタレス電力変換器。
【請求項5】
双方向電力変換用に配置される、請求項
1に記載のインダクタレス電力変換器。
【請求項6】
直流(DC)入力電圧用に配置される、請求項
1に記載のインダクタレス電力変換器。
【請求項7】
複数の異なる構成用に配置され、前記入力電圧を前記出力電圧に変換するための3
k個の変換比を提供し、kは、前記ステージのそれぞれの前記スイッチング手段と、入力電圧、出力電圧及び接地とを含むスイッチング手段のセットの数である、請求項
1に記載のインダクタレス電力変換器。
【請求項8】
最大1:2^(k-2)の昇圧変換比と最小2^(k-2):1の降圧変換比を提供する複数の異なる構成用に配置される、請求項7に記載のインダクタレス電力変換器。
【請求項9】
出力キャパシタを含む後ステージを更に含み、前記出力キャパシタは、前記後ステージのノードに並列に接続される、請求項1~8のいずれか一項に記載のインダクタレス電力変換器。
【請求項10】
入力キャパシタを含む前ステージを更に含み、前記入力キャパシタは、前記前ステージのノードに並列に接続される、請求項1~
8のいずれか一項に記載のインダクタレス電力変換器。
【請求項11】
10μW~100mW、より好ましくは、50μW~50mWの電力範囲で入力電圧を出力電圧に変換するように配置される、請求項1~
8のいずれか一項に記載のインダクタレス電力変換器。
【請求項12】
センサモジュール、IoTデバイス、USBデバイス又はブルートゥース(登録商標)モジュールのうちの1つ以上に電力を供給するように配置される、請求項1~
8のいずれか一項に記載のインダクタレス電力変換器。
【請求項13】
エネルギーハーベスタ配置であって、
入射エネルギー、好ましくは、太陽エネルギー、運動エネルギー又は無線周波エネルギーのうちの1種を収集し、収集した前記エネルギーを入力電圧として前記エネルギーハーベスタ配置に提供するためのエネルギーハーベスティングモジュールと、
請求項1~
8のいずれか一項に記載のインダクタレス電力変換器と、
を含む、エネルギーハーベスタ配置。
【請求項14】
最大電力点追従モジュール
を更に含む、請求項
13に記載のエネルギーハーベスタ配置。
【国際調査報告】