IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シェブロン フィリップス ケミカル カンパニー エルピーの特許一覧

特表2024-538360エチレンの四量体化のためのクロムホスフィニルイソインドリアミジン錯体
<>
  • 特表-エチレンの四量体化のためのクロムホスフィニルイソインドリアミジン錯体 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】エチレンの四量体化のためのクロムホスフィニルイソインドリアミジン錯体
(51)【国際特許分類】
   B01J 31/24 20060101AFI20241010BHJP
   C07C 2/06 20060101ALI20241010BHJP
   C07C 11/02 20060101ALI20241010BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20241010BHJP
   C07F 9/46 20060101ALN20241010BHJP
   C07F 11/00 20060101ALN20241010BHJP
【FI】
B01J31/24 Z
C07C2/06
C07C11/02
C07B61/00 300
C07F9/46
C07F11/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526937
(86)(22)【出願日】2022-11-08
(85)【翻訳文提出日】2024-05-07
(86)【国際出願番号】 US2022079497
(87)【国際公開番号】W WO2023081930
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】17/521,494
(32)【優先日】2021-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524085640
【氏名又は名称】シェブロン フィリップス ケミカル カンパニー エルピー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビショフ、スティーブン エム.
(72)【発明者】
【氏名】サイドラ、オーソン エル.
(72)【発明者】
【氏名】エス、ダニエル エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】キルゴア、ウリア ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】クウォン、ド - ヒュン
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
4H050
【Fターム(参考)】
4G169AA06
4G169BA27A
4G169BA27B
4G169BC58A
4G169BC58B
4G169BE13A
4G169BE13B
4G169BE26A
4G169BE26B
4G169BE37A
4G169BE37B
4G169BE38A
4G169BE38B
4G169CB47
4H006AA02
4H006AC21
4H006BA14
4H006BA46
4H006BA48
4H006BA81
4H006BC32
4H006BC37
4H039CA19
4H039CF10
4H039CL10
4H050AA03
4H050AB81
4H050WB14
4H050WB16
(57)【要約】
本開示は、i)(a)二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩または(b)クロム塩及び二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンと、ii)有機アルミニウム化合物とを含む触媒系に関する。本開示はまた、a)i)エチレンと、ii)(a)2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体、または(b)クロム塩及び二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン、ii)有機アルミニウム化合物を含む触媒系と、iii)任意選択で有機反応媒体と、を接触させることと、b)反応ゾーン内でオリゴマー生成物を形成することと、を含むプロセスに関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒系であって、
i)(a)構造BPACICr Iまたは構造BPACICr IIを有する二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体、
【化1】

または
(b)クロム塩及び構造BPACI Iまたは構造BPACI IIを有する二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンであって、
【化2】

式中、
23、R24、R25、及びR26は、独立して、水素またはC~C30オルガニル基であり、
及びLは、独立して、C~C30ヒドロカルビレン基であり、
及びRは、独立して、C~C30オルガニル基であり、かつR及びRは、任意選択で、組み合わされて、リン原子を含む環または環系を形成するL45が形成され、式中、L45は、C~C30オルガニレン基であり、
CrXは、クロム塩であり、式中、Xは、モノアニオンであり、pは、2~6の整数である、前記二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体または前記クロム塩及び前記二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンと、
ii)有機アルミニウム化合物と、を含む、前記触媒系。
【請求項2】
前記クロム塩は、カルボン酸クロム(III)、クロム(III)β-ジケトネート、またはハロゲン化クロム(III)である、請求項1に記載の触媒系。
【請求項3】
前記クロム塩は、塩化クロム(III)、またはクロム(III)アセチルアセトネートである、請求項1に記載の触媒系。
【請求項4】
前記有機アルミニウム化合物は、アルミノキサンを含む、請求項1に記載の触媒系。
【請求項5】
前記アルミノキサンは、メチルアルミノキサン、修飾メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、n-プロピルアルミノキサン、イソプロピルアルミノキサン、n-ブチルアルミノキサン、sec-ブチルアルミノキサン、イソ-ブチルアルミノキサン、t-ブチルアルミノキサン、1-ペンチルアルミノキサン、2-ペンチルアルミノキサン、3-ペンチルアルミノキサン、イソペンチルアルミノキサン、ネオペンチルアルミノキサン、またはこれらの混合物を含む、請求項4に記載の触媒系。
【請求項6】
前記触媒系は、前記有機アルミニウム化合物のアルミニウム対前記クロム塩のクロムまたは前記2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体のクロムのモル比が10:1~5,000:1の範囲である、請求項1に記載の触媒系。
【請求項7】
及びLは、独立して、メチレン基、エタ-1,2-イレン基、またはプロパ-1,3-イレン基である、請求項1に記載の触媒系。
【請求項8】
23、R24、R25、及びR26は、独立して、水素またはC~C10ヒドロカルビル基である、請求項1に記載の触媒系。
【請求項9】
23、R24、R25、及びR26は、独立して、水素またはC~C10ヒドロカルビル基であり、
及びLは、独立して、メチレン基、エタ-1,2-イレン基、またはプロパ-1,3-イレン基であり、
及びRは、独立して、C~C10ヒドロカルビル基であり、かつR及びRは、任意選択で、組み合わされて、リン原子を含む環または環系を形成するL45が形成され、式中、L45は、C~C10ヒドロカルビル基であり、
Xは、モノアニオンであり、かつ、
pは3である、請求項8に記載の触媒系。
【請求項10】
前記二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンは、構造BPACI 1、BPACI 2、またはBPACI 3を有し、
【化3】

かつ、前記二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体は、構造BPACICr 1、BPACICr 2、またはBPACICr 3を有する、
【化4】

請求項1に記載の触媒系。
【請求項11】
プロセスであって、
a)
i)エチレンと、
ii)
(a)(i)構造BPACICr Iまたは構造BPACICr IIを有する二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体、
【化5】

または
(ii)クロム塩及び構造BPACI Iまたは構造BPACI IIを有する二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンであって、
【化6】


式中、
23、R24、R25、及びR26は、独立して、水素またはC~C30オルガニル基であり、
及びLは、独立して、C~C30ヒドロカルビレン基であり、
及びRは、独立して、C~C30オルガニル基であり、かつ
及びRは、任意選択で、組み合わされて、リン原子を含む環または環系を形成するL45が形成され、式中、L45は、C~C30オルガニレン基であり、
CrXは、クロム塩であり、式中、Xは、モノアニオンであり、pは、2~6の整数である、前記二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体または前記クロム塩及び前記二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン、
(b)有機アルミニウム化合物、を含む、触媒系と、
iii)任意選択で有機反応媒体と、を接触させることと、
b)反応ゾーン内でオリゴマー生成物を形成することと、
を含む、前記プロセス。
【請求項12】
前記クロム塩は、カルボン酸クロム(III)、クロム(III)β-ジケトネート、またはハロゲン化クロム(III)である、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記クロム塩は、塩化クロム(III)、またはクロム(III)アセチルアセトネートである、請求項11に記載の触媒系。
【請求項14】
前記有機アルミニウム化合物は、メチルアルミノキサン、修飾メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、n-プロピルアルミノキサン、イソプロピルアルミノキサン、n-ブチルアルミノキサン、sec-ブチルアルミノキサン、イソ-ブチルアルミノキサン、t-ブチルアルミノキサン、1-ペンチルアルミノキサン、2-ペンチルアルミノキサン、3-ペンチルアルミノキサン、イソペンチルアルミノキサン、ネオペンチルアルミノキサン、またはこれらの混合物を含むアルミノキサンを含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項15】
前記反応ゾーンは、前記有機アルミニウム化合物のアルミニウム対前記クロム塩のクロムまたは前記2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体のクロムのモル比が10:1~5,000:1の範囲である、請求項11に記載のプロセス。
【請求項16】
23、R24、R25、及びR26は、独立して、水素またはC~C10ヒドロカルビル基であり、
及びLは、独立して、メチレン基、エタ-1,2-イレン基、またはプロパ-1,3-イレン基であり、
及びRは、独立して、C~C10ヒドロカルビル基であり、かつR及びRは、任意選択で、組み合わされて、リン原子を含む環または環系を形成するL45が形成され、式中、L45は、C~C10ヒドロカルビル基であり、
Xは、モノアニオンであり、かつ、
pは3である、請求項11に記載のプロセス。
【請求項17】
前記二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンは、構造BPACI 1、BPACI 2、またはBPACI 3を有し、
【化7】

かつ、前記二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体は、構造BPACICr 1、BPACICr 2、またはBPACICr 3を有する、
【化8】

請求項11に記載のプロセス。
【請求項18】
前記エチレン三量体は、少なくとも95重量%の1-ヘキセン含有量を有し、及び/またはエチレン四量体は、少なくとも95重量%の1-オクテン含有量を有する、請求項11に記載のプロセス。
【請求項19】
前記オリゴマー生成物は、少なくとも1.5:1のC/C比を有する、請求項11に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン及びクロム塩または二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体を含む触媒系に関する。本開示はまた、エチレンのオリゴマー化における、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン及びクロム塩または二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体を含む触媒系の使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
一般にアルケンとして知られているオレフィンは、商業上の重要な製品である。その多くの用途としては、洗剤の製造の中間体として、より環境配慮型の精製油の前駆体として、単量体として、及び多くの他の種類の製品の前駆体としての利用が挙げられる。オレフィンの重要なサブセットは、α-オレフィンである。α-オレフィンを製造する一方法は、様々な種類の触媒及び/または触媒系が関与する触媒反応であるエチレンのオリゴマー化を介したものである。エチレンのオリゴマー化で一般に使用される触媒及び触媒系の例としては、アルキルアルミニウム化合物、特定のニッケルホスフィン錯体、ルイス酸(例えば、塩化ジエチルアルミニウム)によるハロゲン化チタン、クロム含有化合物(例えば、クロムカルボキシレート)を含有する選択的1-ヘキセン触媒系、窒素含有配位子(例えば、ピロール)、金属アルキル(例えば、アルキルアルミニウム化合物)、及びジホスフィニルアミニル基を有する化合物の金属錯体を使用する選択的三量体化及び/または四量体化触媒系が挙げられる。
【0003】
いくつかの非商業的なエチレンオリゴマー化触媒系は、ピリジンビスイミンの金属錯体、及び金属錯体形成基を有するα-ジイミン化合物の金属錯体に基づく。これらの触媒系は、典型的には、アルキルアルミニウム化合物(例えば、アルミノキサン)を使用して、オレフィンのオリゴマー化のために金属錯体を活性化する。
【0004】
オレフィン(例えば、α-オレフィン)の用途及び需要は、拡大し続けており、それに応じてそれらの供給の競争も激化している。したがって、エチレンのオリゴマー化に対する追加の新しく、かつ改善した触媒系及び方法が望まれる。
【発明の概要】
【0005】
i)(a)構造BPACICr Iまたは構造BPACICr IIを有する二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体、
【化1】

または(b)クロム塩及び構造BPACI Iまたは構造BPACI IIを有する二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンであって、
【化2】

式中、R23、R24、R25、及びR26は、独立して、水素またはC~C30オルガニル基であり得、L及びLは、独立して、C~C30ヒドロカルビレン基であり得、R及びRは、独立して、C~C30オルガニル基であり得、かつR及びRは、任意選択で、組み合わされて、リン原子を含む環または環系を形成するL45が形成される場合があり、式中、L45は、C~C30オルガニレン基であり得、かつCrXは、クロム塩であり、式中、Xは、モノアニオンであり、pは、2~6の整数である、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体またはクロム塩及び二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンと、ii)有機アルミニウム化合物と、を含む触媒系を本明細書で開示する。
【0006】
a)i)エチレンと、ii)(a)(i)構造BPACICr I及び/または構造BPACICr IIを有する2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体、
【化3】

または(ii)クロム塩及び構造BPACI Iまたは構造BPACI IIを有する二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンであって、
【化4】

式中、R23、R24、R25、及びR26は、独立して、水素またはC~C30オルガニル基であり得、L及びLは、独立して、C~C30ヒドロカルビレン基であり得、R及びRは、独立して、C~C30オルガニル基であり得、かつR及びRは、任意選択で、組み合わされて、リン原子を含む環または環系を形成するL45が形成される場合があり、式中、L45は、C~C30オルガニレン基であり得、かつCrXは、クロム塩であり、式中、Xは、モノアニオンであり、pは、2~6の整数である、2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体またはクロム塩及び二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン、(b)有機アルミニウム化合物を含む触媒系と、iii)任意選択で有機反応媒体と、を接触させることと、b)反応ゾーン内でオリゴマー生成物を形成することと、を含むプロセスもまた本明細書で開示する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】5つのN-ホスフィニルアミジンクロム塩錯体触媒系を使用した、実験的に評価した5回のエチレンのオリゴマー化の、1-ヘキセン及び1-オクテンに至る遷移状態の間の計算されたギブズ自由エネルギー差ΔΔGと、それに対する1-ヘキセン及び1-オクテンの量の自然対数(ln(C/C)、ならびにΔΔGの予測値のプロット図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書において使用される用語をより明確に定義するために、以下の定義が提供される。別段の指示がない限り、以下の定義が本開示に適用される。用語が本開示で使用されているが、本明細書で特段定義づけられていない場合、本明細書で適用される定義がいずれかの他の開示または定義と矛盾しておらず、その定義が適用されるいずれの請求項も不確定または無効にしない限り、Chemical Terminology,2nd Ed(1997)のIUPAC Compendiumによる定義が適用され得る。参照により本明細書に組み込まれる任意の文書によって提供される任意の定義または使用が、本明細書において提供される定義または使用と矛盾する限りにおいて、本明細書において提供される定義または使用が優先する。
【0009】
周期表の元素の族は、Chemical and Engineering News,63(5),27,1985において公表された元素の周期表のバージョンにおいて示された付番方式を使用して示される。一部の場合では、元素の族は、族に割り当てられた一般名、例えば、1族元素についてはアルカリ土類金属(またはアルカリ金属)、2族元素についてはアルカリ土類金属(またはアルカリ金属)、3~12族元素については遷移金属、及び17族元素についてはハロゲンを使用して示され得る。
【0010】
特許請求の範囲の移行用語または移行句に関して、「を含む(“including)」、「を含有する(containing)」、「を有する(having)」または「を特徴とする(characterized by)」と同義の「を含む(comprising)」という移行用語は、包括的であるか、または制限がなく、追加の未記載の要素または方法のステップを排除するものではない。移行句「からなる(consisting of)」は、特許請求の範囲で指定されていないいずれの要素、ステップ、または成分も除外する。「~から本質的になる(consisting essentially of)」という移行句は、特許請求の範囲を、特定された物質またはステップ、ならびに本明細書に記載の主題の基本的及び新規な特徴(複数可)に実質的に影響を及ぼさないものに限定する。「~から本質的になる(consisting essentially of)」の請求項は、「~からなる(consisting of)」の形式で書かれたクローズド請求項と、「~を含む(comprising)」の形式で書かれた完全にオープンな請求項の間の中道を占める。別段の指示がない限り、「から本質的になる(consisting essentially of)」化合物または組成物と記載されている場合、「を含む(comprising)」と解釈されるべきではないが、この用語が適用される組成物または方法を大幅に変更しない物質を含む列挙した成分について説明していることが意図される。例えば、物質Aから本質的になる供給原料は、商業的に製造されるか、または商業的に入手可能な、列挙した化合物または組成物のサンプルに通常存在する不純物を含む場合がある。特許請求の範囲が、異なる特徴及び/または特徴クラス(例えば、とりわけ、方法のステップ、供給原料特徴、及び/または製品特徴)を含む場合、移行用語「を含む(comprising)」、「から本質的になる(consisting essentially of)」、及び「からなる(consisting of)」は、利用される特徴クラスのみに適用され、かつ特許請求の範囲内で異なる特徴で利用される異なる移行用語または移行句を有することが可能である。例えば、方法は、いくつかの列挙したステップ(及び他の列挙していないステップ)を含む場合があるが、特定のステップからなる触媒系調製を利用することがあるか、あるいは代替的に、特定のステップからなるか、及び/または列挙した成分及び他の列挙していない成分を含む触媒系を利用する。
【0011】
本明細書において、「を含む(comprising)」または同等の表現の使用は、制限のない表現に対する代替的態様として、語句「から本質的になる(consisting essentially of)」、「から本質的になる(consists essentially of)」または同等の表現の使用を意図している。さらに、本明細書における「を含む(comprising)」または同等の表現の使用、または「から本質的になる(consisting essentially of)」の使用は、制限のない表現または中間的表現に対する代替として、それぞれ、語句「からなる(consisting of)」、「からなる(consists of)」または同等の表現の使用を意図している。例えば、「を含む(comprising)」は、別段の指定がない限り、本明細書に提示される態様、特徴、及び/または要素に対する代替的態様として、「から本質的になる(consisting essentially of)」及び「からなる(consisting of)」を含むと理解されるべきである。
【0012】
組成物及び方法が種々の成分またはステップ「を含む(comprising)」という観点で説明されるが、この組成物及び方法はまた、種々の成分またはステップ「から本質的になる(consist essentially of)」または「からなる(consist of)」場合がある。
【0013】
「a」、「an」、及び「the」という用語は、別段の指定がない限り、複数の選択肢、例えば、少なくとも1つを含むことが意図される。例えば、「トリアルキルアルミニウム化合物」の開示は、特に明記しない限り、1つのトリアルキルアルミニウム化合物、または2つ以上のトリアルキルアルミニウム化合物の混合物または組み合わせを包含することを意味する。
【0014】
本明細書にて開示する任意の特定の化合物に関して、提示される一般的構造または名称もまた、特に明記しない限り、置換基の特定のセットから生じ得る全ての構造異性体、配座異性体、及び立体異性体を包含することが意図される。したがって、化合物に対する一般的な言及は、明示的に別途示されない限り、全ての構造異性体を含み、例えば、ペンタンに対する一般的な言及は、n-ペンタン、2-メチル-ブタン、及び2,2-ジメチルプロパンを含み、その一方で、ブチル基に対する一般的な言及は、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソ-ブチル基、及びtert-ブチル基を含む。加えて、一般的構造または名称に対する言及は、文脈により許されるか、必要とされる場合、鏡像異性またはラセミ形態であるかどうかにかかわらず、全てのエナンチオマー、ジアステレオマー、及びその他の光学異性体、ならびに立体異性体の混合物を包含する。提示される任意の特定の式または名称に関して、提示されるいずれの一般式または名称もまた、置換基の特定のセットから生じ得る全ての配座異性体、位置異性体、及び立体異性体を包含する。
【0015】
化学的「基」は、その基がこの様式で文字通り合成されていない場合であっても、その基が参照または「親」化合物からどのように形式的に誘導されるかに従って、例えば、その基を生成するために親化合物から形式的に除去された水素原子の数によって記載される。これらの基は、置換基として利用されるか、または金属原子に配位または結合される場合がある。例として、「アルキル基」は、アルカンから1個の水素原子を除去することによって形式的に誘導することができ、「アルキレン基」は、アルカンから2個の水素原子を除去することによって形式的に誘導することができる。さらに、親化合物から任意の数(「1個以上」)の水素原子を除去することによって形式的に誘導される多様な基を包含するためにより一般的な用語を使用することができ、この例では「アルカン基」として記載することができ、これは「アルキル基」、「アルキレン基」、及び状況に応じて3個以上の水素原子がアルカンから除去された物質を包含する。全体を通して、置換基、配位子、または他の化学的部分が、特定の「基」を構成する場合がある本開示は、その基が記載されるように使用される場合、化学構造及び結合の周知の規則に従うことを意味する。ある基が「によって誘導される」、「から誘導される」、「によって形成される」、または「から形成される」と記載する場合、そのような用語は形式的な意味で使用され、別段指定されない限り、あるいは文脈が別段必要としない限り、任意の特定の合成方法または手順を反映することを意図しない。
【0016】
「置換された」という用語は、基を説明するために使用される場合、例えば、特定の基の置換類似体を意味する場合、その基中の水素を形式的に置換する任意の非水素部分を述べていることが意図され、非限定的であることが意図される。1つまたは複数の基はまた、本明細書において、「非置換(unsubstituted)」として、または非水素部分がその基内の水素を置換しない元の基を指す「非置換(non-substituted)」などの同等の用語によって表すこともできる。「置換された」とは、非限定的であることが意図され、無機置換基または有機置換基が含まれる。
【0017】
二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンとは、イミン基の炭素原子に結合した(ホスフィニル)アミニル基を有する二環式イミンを有する化合物を指す。二環式イミンとは、イミンが二環式構造内に含まれているイミンを指す。
【0018】
「オルガニル基」という用語は、本明細書において、IUPACによって指定された定義に従って使用され、官能タイプにかかわらず、炭素原子において1つの遊離原子価を有する有機置換基である。同様に、「オルガニレン基」とは、官能タイプにかかわらず、1個の炭素原子から2個の水素原子、または2個の異なる炭素原子の各々から1個の水素原子のいずれかで2個の水素原子を有機化合物から除去することによって誘導された有機基を指す。「有機基」とは、有機化合物の炭素原子から1個以上の水素原子を除去することによって形成された一般化された基を指す。したがって、「オルガニル基」、「オルガニレン基」、及び「有機基」は、炭素及び水素以外の有機官能基(複数可)及び/または原子(複数可)を含むことができ、すなわち、有機基は、炭素及び水素に加えて官能基及び/または原子を含み得る。「オルガニル基」、「オルガニレン基」、及び「有機基」は、脂肪族(環式もしくは非環式、または直鎖もしくは分枝鎖であることを含む)であり得るか、または芳香族であり得る。
【0019】
本出願の目的のために、「不活性官能基からなるオルガニル基」という用語または用語の変形は、有機官能基(複数可)及び/または官能基中に存在する炭素及び水素以外の原子(複数可)が、金属化合物と錯体を形成せず、及び/または本明細書で定義されるプロセス条件下で不活性である、官能基(複数可)及び/または炭素及び水素以外の原子(複数可)に限定されるオルガニル基を指す。したがって、「不活性官能基からなるオルガニル基」という用語または用語の変形は、不活性官能基からなるオルガニル基内に存在し得る特定のオルガニル基をさらに定義する。さらに、「不活性官能基からなるオルガニル基」という用語は、オルガニル基内の1つ以上の不活性官能基の存在を指すことができる。「不活性官能基からなるオルガニル基」という用語の用語またはその変形は、メンバーとして(他の基の中でも)ヒドロカルビル基を含む。同様に、「不活性官能基からなるオルガニレン基」とは、不活性官能基からなる有機化合物の1個または2個の炭素原子から2個の水素原子を除去することによって形成される有機基を指し、「不活性官能基からなる有機基」とは、不活性官能基からなる有機化合物の1個以上の炭素原子から1個以上の水素原子を除去することによって形成される不活性官能基からなる一般化された有機基を指す。
【0020】
本出願の目的のために、「不活性官能基」は、不活性官能基を有する物質が金属錯体の金属化合物に関与する、及び/またはそれと錯体を形成しない、本明細書に記載されるプロセスを実質的に妨害しない基である。「金属化合物と錯体を形成しない」という用語は、金属化合物と錯体を形成することができる基を含み得るが、本明細書に記載される特定の分子において配位子内のその位置関係により金属化合物と錯体を形成しない。例えば、エーテル基は金属化合物と錯体を形成することができるが、N-ホスフィニルアミジン中の置換フェニルホスフィニル基のパラ位に位置するエーテル基は、単一の金属化合物が同じ金属錯体分子のパラエーテル基及びN-ホスフィニルアミジン基の両方と錯体を形成することができないため、不活性官能基であり得る。したがって、特定の官能基の不活性は、官能基が本質的に金属化合物と錯体化することができないことに関連するだけでなく、金属錯体内の官能基の位置にも関連し得る。本明細書中に記載されるプロセスを実質的に妨害しない不活性官能基の非限定的な例としては、とりわけ、ハロ(フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨード)、ニトロ、ヒドロカルボキシ基(例えば、とりわけ、アルコキシ、及び/またはアロキシ)、スルフィジル(sulfidyl)基、及び/またはヒドロカルビル基が挙げられ得る。
【0021】
本明細書及び特許請求の範囲において用いられる場合、常に、「炭化水素」という用語は、炭素及び水素のみを含む化合物を意味する。他の識別語を用いて、炭化水素中の特定の基の存在が示される場合がある(例えば、ハロゲン化炭化水素は、その炭化水素中の等しい数の水素原子と置き換わっているハロゲン原子が1つ以上存在することを意味する)。「ヒドロカルビル基」という用語は、本明細書において、IUPACによって指定された定義に従って使用され、炭化水素から水素原子を除去することによって形成された一価の基である。同様に、「ヒドロカルビレン基」とは、1個の炭素原子から2個の水素原子、または2個の異なる炭素原子の各々から1個の水素原子のいずれかで、2個の水素原子を炭化水素から除去することによって形成された基を指す。したがって、本明細書で使用される用語法に従い、「炭化水素基」とは、炭化水素から1個以上の水素原子を(特定の基に必要に応じて)除去することによって形成された一般化された基を指す。「ヒドロカルビル基」、「ヒドロカルビレン基」、及び「炭化水素基」は、非環式もしくは環式基であり得、及び/または直鎖または分岐鎖であり得る。「ヒドロカルビル基」、「ヒドロカルビレン基」、及び「炭化水素基」は、炭素及び水素のみを含む環、環系、芳香環、及び芳香族環系を含む場合がある。「ヒドロカルビル基」、「ヒドロカルビレン基」、及び「炭化水素基」には、例として、他の基の中でも、アリール、アリーレン、アレーン、アルキル、アルキレン、アルカン、シクロアルキル、シクロアルキレン、シクロアルカン、アラルキル、アラルキレン、及びアラルカン基が員として含まれる。
【0022】
「アルカン」という用語は、本明細書及び特許請求の範囲において用いられる場合、常に、飽和炭化水素化合物を指す。他の識別語を用いて、アルカン中の特定の基の存在が示される場合がある(例えば、ハロゲン化アルカンは、そのアルカン中の等しい数の水素原子と置き換わっているハロゲン原子が1つ以上存在することを意味する)。「アルキル基」という用語は、本明細書において、IUPACによって指定された定義に従って使用され、アルカンから水素原子を除去することによって形成された一価の基である。同様に、「アルキレン基」とは、(1個の炭素原子から2個の水素原子、または2個の異なる炭素原子から1個の水素原子のいずれかで)2個の水素原子をアルカンから除去することによって形成された基を指す。「アルカン基」とは、アルカンから1個以上の水素原子(特定の基のために必要に応じて)を除去することによって形成された基を指す一般用語である。「アルキル基」、「アルキレン基」、及び「アルカン基」は、別段の指定がない限り、非環式もしくは環式基であり得、及び/または直鎖または分岐鎖であり得る。一級、二級及び三級アルキル基は、それぞれアルカンの一級、二級または三級炭素の原子から水素を除去することによって誘導される。n-アルキル基は、直鎖アルカンの末端炭素の原子から水素原子を除去することによって誘導することができる。
【0023】
シクロアルカンは、側鎖を含有または非含有の飽和環状炭化水素、例えば、シクロブタンである。1つ以上の環内二重結合または1つの三重結合を有する不飽和環状炭化水素は、それぞれ、シクロアルケン及びシクロアルキンと呼ばれる。1つのみ、2つのみ、3つのみなどの環内二重結合または三重結合を有するシクロアルケン及びシクロアルキンは、それぞれ、シクロアルケンまたはシクロアルキンの名称の中で、「モノ」、「ジ」、「トリ」などの用語を使用することによって識別することができる。シクロアルケン及びシクロアルキンは、環内二重結合または三重結合の位置でさらに識別することができる。
【0024】
「置換された」という用語は、化合物または基を説明するために使用される場合、例えば、特定の化合物または基の置換類似体を意味する場合、その基中の水素を形式的に置換する任意の非水素部分を述べていることが意図され、非限定的であることが意図される。1つまたは複数の基はまた、本明細書において、「非置換(unsubstituted)」として、または非水素部分がその基内の水素を置換しない元の基を指す「非置換(non-substituted)」などの同等の用語によって表すこともできる。「置換された」とは、非限定的であることが意図され、無機置換基または有機置換基が含まれる。
【0025】
「オレフィン」という用語は、本明細書及び特許請求の範囲において用いられる場合、常に、芳香環または環系の一部ではない少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する炭化水素を指す。「オレフィン」という用語は、特に明記しない限り、芳香族環または環系の一部ではない少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する、脂肪族及び芳香族、非環式及び環式、及び/または直鎖及び分枝鎖化合物を含む。1つのみ、2つのみ、3つのみなどの炭素-炭素二重結合を有するオレフィンは、オレフィンの名称の中で「モノ」、「ジ」、「トリ」などの用語を使用することによって識別することができる。オレフィンは、炭素-炭素二重結合(複数可)の位置によってさらに識別され得る。
【0026】
「アルケン」という用語は、本明細書及び特許請求の範囲において用いられる場合、常に、1つ以上の炭素-炭素二重結合を有する直鎖または分岐鎖炭化水素オレフィンを指す。1つのみ、2つのみ、3つのみなどのような複数の結合を有するアルケンは、名称の中で「モノ」、「ジ」、「トリ」などの用語を使用することによって識別することができる。アルケンは、炭素-炭素二重結合(複数可)の位置によってさらに識別され得る。その他の識別子が利用されて、アルケンの中の特定の基の存在または不存在が示される場合がある。例えば、ハロアルケンは、ハロゲン原子で置換された1つ以上の水素原子を有するアルケンを指す。
【0027】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される「α-オレフィン」という用語は、炭素原子の最も長い連続鎖の最初と2番目の炭素原子の間に炭素-炭素二重結合を有するオレフィンを指す。「α-オレフィン」という用語は、明示的に述べられていない限り、直鎖及び分枝鎖α-オレフィンを含む。分枝鎖α-オレフィンの場合、分枝は、オレフィン二重結合に対して2位(ビニリデン)、及び/または3位以降に存在する場合がある。「ビニリデン」という用語は、本明細書及び特許請求の範囲において用いられる場合、常に、オレフィン二重結合に対して2位に分岐を有するα-オレフィンを指す。明示的に示されていない限り、「α-オレフィン」という用語自体は、他の炭素-炭素二重結合の存在または非存在を意味するものではない。本明細書で使用される「直鎖α-オレフィン」という用語は、最初と2番目の炭素原子の間に炭素-炭素二重結合を有する非分岐のα-オレフィンを指す。
【0028】
「標準的なα-オレフィン」という用語は、本明細書及び特許請求の範囲において用いられる場合、常に、最初と2番目の炭素原子の間に炭素-炭素二重結合を有する直鎖炭化水素モノオレフィンを指す。「直鎖α-オレフィン」という用語は、最初と2番目の炭素原子の間に二重結合及び追加の二重結合を有する直鎖オレフィン化合物を含む場合があるため、「標準的なα-オレフィン」は、「直鎖α-オレフィン」と同義ではないことに留意されたい。
【0029】
脂肪族化合物は、芳香族化合物を除く、非環式または環式の飽和または不飽和炭素化合物である。したがって、脂肪族化合物は、芳香族化合物を除く、非環式または環式の飽和または不飽和炭素化合物であり、すなわち、脂肪族化合物は、非芳香族有機化合物である。「脂肪族基」は、脂肪族化合物の炭素原子から1つ以上の水素原子を(特定の基に必要に応じて)除去することによって形成された一般化された基である。脂肪族化合物、及び、ゆえに、脂肪族基は、炭素及び水素以外の有機官能基(複数可)及び/または原子(複数可)を含有する場合がある。
【0030】
芳香族化合物は、ヒュッケルの(4n+2)規則に従い、かつ(4n+2)個のπ電子を含む環状共役二重結合系を含有する化合物である。式中、nは、1~5の整数である。芳香族化合物は、「アレーン」(芳香族炭化水素化合物)、及び「ヘタレン」とも称される「ヘテロアレーン」を含み、これは、芳香族系特有の連続したπ電子系及びヒュッケルの規則(4n+2)に対応する面外π電子の数を保つような方法で、環状共役二重結合系の1つ以上のメチン(-C=)炭素原子を三価または二価へテロ原子と置換することによってアレーンから形式的に誘導されるヘテロ芳香族化合物である。アレーン化合物及びヘテロアレーン化合物は、芳香族化合物のグループの相互排他的メンバーであるが、アレーングループ及びヘテロアレーングループの両方を有する化合物は、一般に、ヘテロアレーン化合物と見なされる。芳香族化合物、アレーン、及びヘテロアレーンは、特に明記しない限り、単環式(例えば、ベンゼン、トルエン、フラン、ピリジン、メチルピリジン)または多環式であり得る。多環式芳香族化合物、アレーン、及びヘテロアレーンは、特に明記しない限り、芳香環が融合され得る化合物(例えば、ナフタレン、ベンゾフラン、及びインドール)、芳香族基が分離され、かつ結合により接続され得る化合物(例えば、ビフェニルまたは4-フェニルピリジン)、または芳香族基が連結原子(例えば、ジフェニルメタンのメチレン基中の炭素;ジフェニルエーテル中の酸素;トリフェニルアミン中の窒素;その他の連結基)を含有する基によって接続される化合物を含む。本明細書にて開示されるように、「置換された」という用語は、非水素部分が化合物中の水素を形式的に置換した、芳香族基、アレーン、またはヘテロアレーンを説明するために使用される場合があり、かつ、非限定であることが意図される。
【0031】
「芳香族基」とは、芳香族化合物から1個以上の水素原子を(特定の基に必要に応じて、かつそのうち少なくとも1個は芳香環炭素原子から)除去することによって形成された一般化された基を指す。一価の「芳香族基」の場合、除去された水素原子は、芳香環の炭素からのものである必要がある。芳香族化合物から2個以上の水素原子を除去することによって形成された「芳香族基」の場合、少なくとも1個の水素原子は、芳香族炭化水素環の炭素からのものである必要がある。加えて、「芳香族基」は、芳香環または環系の同じ環から除去された水素原子(例えば、フェン-1,4-イレン、ピリジン-2,3-イレン、ナフト-1,2-イレン、及びベンゾフラン-2,3-イレン)、環系の2つの異なる環から除去された水素原子(例えば、ナフト-1,8-イレン、及びベンゾフラン-2,7-イレン)、または2つの分離した芳香環または環系から除去された水素原子(例:ビス(フェン-4-イレン)メタン)を有する場合がある。
【0032】
「アリール化合物」とは、芳香族炭化水素を指す。「アリール基」は、芳香環炭素原子に遊離原子価を有する一価の芳香族炭化水素を指す。同様に、「アリーレン基」は、芳香族炭化水素から2個の水素原子を(そのうち少なくとも1個は芳香環炭素から)除去することによって誘導された基を指す。したがって、「アリーレン基」は、2個の水素原子が同じ芳香環炭素から形式的に除去される芳香族炭化水素から誘導される基、2個の水素原子が2個の異なる芳香環炭素から形式的に除去される芳香族炭化水素から誘導される基、ならびに、最初の水素原子が芳香環炭素から形式的に除去され、かつ2番目の水素原子が、芳香環炭素ではない炭素原子から形式的に除去される芳香族炭化水素から誘導される基の両方を含む。「芳香族炭化水素基」とは、芳香族炭化水素化合物から1個以上の水素原子を(特定の基に必要に応じて、かつそのうち少なくとも1個は芳香環炭素から)除去することによって形成された一般化された基を指す。
【0033】
「アリールアルカン」とは、少なくとも1個のアルキル基置換を有する芳香族炭化水素を指す。「アラルキル基」は、アリールアルカンの非芳香族炭素原子に遊離原子価を有するアリール置換アルキル基(例えば、とりわけ、ベンジル基、または2-フェニルエタ-1イル基)である。同様に、「アラルキレン基」は、アリールアルカンの単一の非芳香族炭素原子に2つの遊離原子価、またはアリールアルカンの2つの非芳香族炭素原子に遊離原子価を有するアリール置換アルキレン基であり、その一方で、「アラルカン基」は、アリールアルカンの非芳香族炭素原子(複数可)に1つ以上の遊離原子価を有するアリール置換アルカン基である。本明細書で提供される定義に従って、一般的なアラルカン基は、アラルカン芳香族炭化水素環または環系炭素原子に位置するヒドロカルビル置換基を0個、1個、または2個以上有するようなものを含み、かつ炭化水素基の基のメンバーであるという点に留意すべきである。しかし、特定のアリール基を指定する特定のアラルカン基(例えば、とりわけ、ベンジル基または2-フェニルエチル基のフェニル基)は、特定の非置換アラルカン基(アラルカン芳香族炭化水素環または環系炭素原子に位置するヒドロカルビル基を含まない)を指す。したがって、特定のアリール基を指定する置換アラルカン基は、1つ以上の置換基(とりわけ、ハロゲン、ヒドロカルビル基、またはヒドロカルボキシ基を含む)を有する対応するアラルカン基を指す。特定のアリール基を指定する置換アラルカン基が、炭化水素基のグループのメンバー(またはアラルカン基の一般的なグループのメンバー)である場合、各置換基は、ヒドロカルビル置換基に限定される。炭化水素基グループのメンバー(またはアラルカン基の一般的なグループのメンバー)として利用することができる特定のアリール基を指定する置換アラルカン基を容易に識別及び選択することができる。
【0034】
「ハロゲン化物」は、通常の意味を有し、ゆえに、ハロゲン化物の例としては、フッ化物、塩化物、臭化物、及びヨウ化物が挙げられる。
【0035】
本明細書において、「反応器」という語は、例えば、反応が起こる容器などの単一の機器を指すが、容器の外部にある配管、ポンプなどの任意の関連する機器を除外する。反応器の例としては、撹拌槽反応器(例えば、連続撹拌槽反応器)、栓流反応器、または任意の他の種類の反応器が挙げられる。本明細書において、「反応ゾーン」とは、反応器、関連配管、関連ポンプ、及び任意の他の関連装置を含むがこれらに限定されない、所望の反応がその中で起こる装置の任意の部分を指す。場合によっては、「反応器」はまた、「反応ゾーン」であり得るという点に留意すべきである。「反応器」及び「反応ゾーン」という用語は、追加の修飾用語を使用することによって、より具体的な「反応器」及び「反応ゾーン」を指すように修飾される場合がある。例えば、「オリゴマー化反応器」及び「オリゴマー化反応ゾーン」という用語の使用は、反応器及び/または反応ゾーン内の所望の反応が、オリゴマー化反応であることを意味する。
【0036】
本明細書において、「反応ゾーン」という用語は、反応が所望の速度で起こり得るように、全ての必要な反応成分及び反応条件が存在する、プロセス、関連装置、及び関連プロセスラインの部分を指す。すなわち、反応ゾーンは、反応を平均反応速度の25%以内に維持するために必要な反応成分及び反応条件が存在する時点で開始し、反応系は、条件が反応速度を平均反応速度の25%以内に維持しない時点で終了する(反応系の反応速度の体積平均に基づく)。例えば、オリゴマー化プロセスに関して、反応ゾーンは、十分な供給原料及び活性触媒系が、所望の速度でオリゴマー生成物の生成を維持するのに十分な反応条件下で存在する時点で開始し、かつ、反応ゾーンは、触媒系が不活性化されるか、オリゴマー生成物の生成を持続するのに十分な供給原料が存在しないか、または他の反応条件が、オリゴマー生成物の生成または所望のオリゴマー生成物の生成速度を維持するのに十分でない時点で終了する。本明細書において、「反応ゾーン」は、反応が所望の速度で起こり得るように、全ての必要な反応成分及び反応条件が存在する、1つ以上の反応器ゾーン、1つ以上の反応器、及び関連装置を含む場合がある。「オリゴマー化反応ゾーン」という用語の使用は、反応ゾーン内の所望の反応が、オリゴマー化反応であることを意味する。
【0037】
「室温」または「周囲温度」という用語は、15℃~35℃の任意の温度を説明するために本明細書で使用され、ここで、外部の熱源または冷却源は直接適用されない。したがって、「室温」及び「周囲温度」という用語は、15℃~35℃の温度の個々の温度、ならびに任意の及び全ての範囲、部分範囲、及び部分範囲の組み合わせを包含し、ここで、外部の熱源または冷却源は直接適用されない。「大気圧」という用語は、外圧修正手段は利用されない場合の地球の空気圧を説明するために本明細書で使用される。概して、極度の地上高度で実施されない限り、「大気圧」は、約1気圧である(あるいは、約14.7psiまたは約101kPaである)。気体、液体、及び/または固体の物質への言及は、特に明記しない限り、25℃及び大気圧での物質の物理的状態を指す。
【0038】
最小値として提供される本開示内の特徴は、代替的に、本明細書に開示される特徴について列挙された任意の最小値「少なくとも」または「以上」と記載することもできる。最大値として提供される本開示内の特徴は、代替的に、本明細書にて開示される特徴「以下」と記載される場合がある。
【0039】
本開示内では、有機命名法の通常の規則が優先される。例えば、置換化合物または基に言及する場合、置換パターンへの言及は、示される基(複数可)が示された位置に位置し、全ての他の示されていない位置が水素であることを意味する。例えば、4-置換フェニル基への言及は、4位に位置する非水素置換基ならびに2、3、5及び6位に位置する水素が存在することを意味する。別の例として、3-置換ナフト-2-イルへの言及は、3位に位置する非水素置換基ならびに1、4、5、6、7、及び8位に位置する水素が存在することを意味する。示された位置に加えた位置での置換を有する化合物または基への言及は、「含む」または一部の他の代替の言語を使用して言及される。例えば、4位に置換基を含むフェニル基への言及は、4位に非水素原子を有し、2、3、5、及び6位に水素または任意の非水素基を有する基を指す。
【0040】
オリゴマー生成物を形成するためのプロセスについて、本明細書に記載する。このようなプロセスは、一般に、エチレン及び触媒系を接触させて(または代替的にはエチレン及び触媒系の成分を接触させて)、オリゴマー化条件下でオリゴマー生成物を形成することを含む。
【0041】
「反応ゾーン流出物」という用語及びその派生語(例えば、オリゴマー化反応ゾーン流出物、三量体化反応ゾーン流出物、四量体化反応ゾーン流出物、または三量体化及び四量体化反応ゾーン流出物)とは、一般に、反応ゾーンを出る全ての物質を指す。反応ゾーンから出る場合がある物質としては、反応原料(複数可)(例えば、エチレン、触媒系または触媒系成分、及び/または有機反応媒体)、及び/または反応生成物(複数可)(例えば、オリゴマー及び非オリゴマーを含むオリゴマー生成物)が挙げられる。「反応ゾーン流出物」という用語及びその派生語は、追加の修飾用語の使用によって特定の部分を指すように修飾することができる。例えば、反応ゾーン流出物とは、反応ゾーンを出る全ての物質を指すが、反応ゾーンオリゴマー生成物流出物は、反応ゾーン流出物中のオリゴマー生成物のみを指す。
【0042】
「オリゴマー化」という用語及びその派生語は、2~30個のエチレン単位を含有する少なくとも70重量%の生成物を含有する生成物の混合物を生成するプロセスを指す。同様に、本明細書で使用される場合、「オリゴマー」は、2~30個のエチレン単位を含有する生成物であり、一方、「オリゴマー化生成物」または「オリゴマー生成物」は、「オリゴマー」及び「オリゴマー」ではない生成物(例えば、30個超のエチレン単位を含有する生成物)を含むプロセスで作られた全ての生成物を含む。さらに、「オリゴマー生成物」及び「オリゴマー化生成物」という用語は、同じ意味で用いられる場合がある。
【0043】
「三量体化」という用語及びその派生語は、3個または3個のみのエチレン単位を含有する少なくとも70重量%の生成物を含有する生成物の混合物を生成するプロセスを指す。「三量体」は、3個または3個のみのエチレン単位を含有する生成物であり、一方、「三量体化生成物」は、三量体及び三量体ではない生成物(例えば、二量体または四量体)を含む三量体化プロセスで作られた全ての生成物を含む。概して、エチレンを使用する「三量体化」プロセスは、少なくとも70重量%のヘキセン(複数可)を含有するオリゴマー生成物を生成する。
【0044】
「四量体化」という用語及びその派生語は、4個または4個のみのエチレン単位を含有する少なくとも70重量%の生成物を含有する生成物の混合物を生成するプロセスを指す。「四量体」は、4個または4個のみのエチレン単位を含有する生成物であり、一方、「四量体化生成物」は、四量体及び四量体ではない生成物(例えば、二量体または三量体)を含む四量体化プロセスで作られた全ての生成物を含む。概して、エチレンを使用する「四量体化」プロセスは、少なくとも70重量%のオクテン(複数可)を含有するオリゴマー生成物を生成する。
【0045】
「三量体化及び四量体化」という用語及びその派生語は、3個及び/または4個、及び3個及び/または4個のみのエチレン単位を含有する少なくとも70重量%の生成物を含有する生成物の混合物を生成するプロセスを指す。「三量体化及び四量体化生成物」は、三量体、四量体、及び三量体または四量体でない生成物(例えば、二量体)を含む「三量体化及び四量体化」プロセスで作られた全ての生成物を含む。概して、エチレンを使用する「三量体化及び四量体化」プロセスは、少なくとも70重量%のヘキセン(複数可)及び/またはオクテン(複数可)を含有するオリゴマー生成物を生成する。
【0046】
特に明記しない限り、「接触した」、「組み合わせた」、及び「の存在下で」という用語は、プロセスの2つ以上の成分を接触させるか、または組み合わせる場合の、任意の追加の順序、順番、または濃度を指す。本明細書に記載の種々の方法に従って成分を組み合わせるか、または接触させることは、温度、圧力、接触時間、流速などの好適な接触条件下で、1つ以上の接触ゾーンで行うことができる。接触ゾーンは、容器(例えば、貯蔵タンク、トート、コンテナ、混合容器、反応器など)、ある長さのパイプ(例えば、成分供給ラインを通常のラインに組み合わせるための、ティー、入口、注入ポート、またはヘッダ)、または成分を接触させるための任意の他の好適な装置内に位置する場合がある。プロセスは、所与の態様に適したものであり得るバッチでまたは連続プロセスで実施される場合がある。
【0047】
特許請求の範囲の任意の要素に対する「任意選択で」という用語の使用は、対象の要素が必要であるか、あるいは代替的には必要でないことを意味することが意図される。両方の代替案は、特許請求の範囲の範囲内であることが意図される。
【0048】
本明細書に記載のプロセスは、本明細書に独立して記載されるステップ、特徴、化合物、及び/または装置を利用することができる。本明細書に記載のプロセスは、ステップ識別子(例えば、とりわけ、1)2)など、a)、b)など、i)、ii)など、または第1、第2など)、特徴識別子(例えば、とりわけ、1)2)など、a)、b)など、i)、ii)など、または第1、第2など)、及び/または化合物及び/または組成物識別子(例えば、とりわけ、1)2)など、a)、b)など、i)、ii)など、または第1、第2など)を利用する場合もあるし、利用しない場合もある。しかし、本明細書に記載のプロセスは、記述子を使用しない、または場合によっては同じ一般的な識別子を有する、複数のステップ、特徴(例えば、とりわけ、試薬比率、形成条件)、及び/または複数の化合物及び/または組成物を有する場合があることに注意すべきである。したがって、本明細書に記載のプロセスは、本明細書に記載の特定の態様で利用されるステップ、特徴、及び/または化合物識別子に関係なく、適切なステップまたは特徴識別子(例えば、とりわけ、1)2)など、a)、b)など、i)、ii)など、または第1、第2など)、特徴識別子(例えば、とりわけ、1)2)など、a)、b)など、i)、ii)など、または第1、第2など)、及び/または化合物識別子(例えば、第1、第2など)を使用するために変更され得、かつステップまたは特徴識別子が、全般的な開示を損なうことなくプロセス内で利用される個々の異なるステップ/特徴/化合物を示すために、追加及び/または変更され得ることに注意すべきである。
【0049】
本開示は、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体、または代替的には二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン及びクロム塩を含む触媒系に関する。一態様では、触媒系は、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体及び有機アルミニウム化合物、または代替的には二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン、クロム塩、及び有機アルミニウム化合物を含み得るか、またはそれらから本質的になり得る。本開示はまた、a)i)エチレンと、ii)(a)(i)二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体、または(ii)クロム塩及び二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン、及び(b)有機アルミニウム化合物とを含む触媒系と、iii)任意選択で有機反応媒体と、を接触させることと、b)反応ゾーン内でオリゴマー生成物を形成することと、を含むプロセスに関する。触媒系及びプロセスで利用することができる、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体、クロム塩、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン、有機アルミニウム化合物、及び任意の有機反応媒体については、本明細書に独立して記載され、かつ本開示の触媒系及びプロセスを記載するために、任意の組み合わせで、非限定的に利用され得る。
【0050】
概して、本開示に包含される二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン及び二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体は、少なくとも1つの二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン基を有する。一態様では、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン及び二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体は、1個のみの二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン基を含む場合があるか、または代替的には2個のみの二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン基を含む場合がある。一態様では、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンは、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン基または構造の数に関係なく、非金属(すなわち、非金属の二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンまたは二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン基を有する非金属化合物)であり得る。一部の態様では、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン及び/または二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体の二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン基は、非環式アミジン基(アミン基の2個の窒素原子及び中心の炭素原子が同じ環に含まれていないアミジン基)であり得る。
【0051】
一態様では、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンは、構造BPACI IまたはBPACI IIを有する場合がある。一態様では、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体は、構造BPACICr IまたはBPACICr IIを有する場合がある。
【化5】

構造BPACI I及び/またはBPACI IIを有する二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン内では、R23、R24、R25、R26、L、L、R、及びRは、構造BPACI I及び/またはBPACI IIを有する二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンの独立した構成要素であり、本明細書に独立して記載される。R23、R24、R25、R26、L、L、R、及びRの独立した説明は、本明細書に記載の任意の態様で利用され得る構造BPACI I及び/またはBPACI IIを有する二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンを説明するために、非限定的に、かつ任意の組み合わせで利用される場合がある。構造BPACICr I及び/またはBPACICr IIを有する二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体内では、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンのR23、R24、R25、R26、L、L、R、及びRならびにクロム塩CrXは、構造BPACICr I及び/またはBPACICrを有する二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体の独立した構成要素であり、本明細書に独立して記載される。R23、R24、R25、R26、L、L、R、及びR、ならびにCrXの独立した説明は、本明細書に記載の任意の態様で利用され得る構造BPACICr I及び/またはBPACICr IIを有する二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体を説明するために、非限定的に、かつ任意の組み合わせで利用され得る。
【0052】
概して、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン構造及び/または二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体構造のR23、R24、R25、及びR26は、それぞれ独立して、水素もしくはオルガニル基、代替的には水素もしくは不活性官能基からなるオルガニル基、代替的には水素もしくはヒドロカルビル基、代替的にはオルガニル基、代替的には不活性官能基からなるオルガニル基、代替的にはヒドロカルビル基、または代替的には水素であり得る。一態様では、非水素R23、R24、R25、及び/またはR26として利用することができるオルガニル基は、C~C20、C~C15、C~C10、またはC~Cオルガニル基であり得る。一態様では、非水素R23、R24、R25、及び/またはR26として利用することができる不活性官能基からなるオルガニル基は、不活性官能基からなるC~C20、C~C15、C~C10、またはC~Cオルガニル基であり得る。一態様では、非水素R23、R24、R25、及び/またはR26として利用することができるヒドロカルビル基は、C~C20、C~C15、C~C10、またはC~Cヒドロカルビル基であり得る。
【0053】
一態様では、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン及び/または二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体の各非水素R23、R24、R25、及び/またはR26は、独立して、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、もしくは置換アラルキル基、代替的にはアルキル基もしくは置換アルキル基、代替的にはシクロアルキル基もしくは置換シクロアルキル基、代替的にはアリール基もしくは置換アリール基、代替的にはアラルキル基もしくは置換アラルキル基、代替的にはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、もしくはアラルキル基、代替的にはアルキル基、代替的には置換アルキル基、代替的にはシクロアルキル基、代替的には置換シクロアルキル基、代替的にはアリール基、代替的には置換アリール基、代替的にはアラルキル基、または代替的には置換アラルキル基であり得る。本明細書に開示される任意の態様では、任意のR23、R24、R25、及び/またはR26アルキル基は、独立して、C~C20、C~C10、またはC~Cアルキル基であり得る。本明細書に開示される任意の態様では、任意のR23、R24、R25、及び/またはR26置換アルキル基は、独立して、C~C20、C~C10、またはC~C置換アルキル基であり得る。本明細書に開示される任意の態様では、任意のR23、R24、R25、及び/またはR26シクロアルキル基は、独立して、C~C20、C~C15、またはC~C10シクロアルキル基であり得る。本明細書に開示される任意の態様では、任意のR23、R24、R25、及び/またはR26置換シクロアルキル基は、独立して、C~C20、C~C15、またはC~C10置換シクロアルキル基であり得る。本明細書に開示される任意の態様では、任意のR23、R24、R25、及び/またはR26アリール基は、独立して、C~C20、C~C15、またはC~C10アリール基であり得る。本明細書に開示される任意の態様では、任意のR23、R24、R25、及び/またはR26置換アリール基は、独立して、C~C20、C~C15、またはC~C10置換アリール基であり得る。本明細書に開示される任意の態様では、任意のR23、R24、R25、及び/またはR26アラルキル基は、独立して、C~C20、C~C15、またはC~C10アラルキル基であり得る。本明細書に開示される任意の態様では、任意のR23、R24、R25、及び/またはR26置換アラルキル基は、独立して、C~C20、C~C15、またはC~C10置換アラルキル基であり得る。置換アルキル基(一般的もしくは特定の)、置換シクロアルキル基(一般的もしくは特定の)、置換アリール基(一般的もしくは特定の)、及び/または置換アラルキル基(一般的もしくは特定の)の各置換基は、ハロゲン、ヒドロカルビル基、もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルビル基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはヒドロカルビル基もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲン、代替的にはヒドロカルビル基、または代替的にはヒドロカルボキシ基であり得る。置換基ハロゲン、置換基ヒドロカルビル基(一般的及び特定の)、ならびに置換基ヒドロカルボキシ基(一般的及び特定の)は、本明細書において独立して開示される。これらの置換基ハロゲン、置換基ヒドロカルビル基、及び置換基ヒドロカルボキシ基は、置換非水素R23、R24、R25、及び/または26をさらに記載するために、非限定的に利用され得る。
【0054】
一態様では、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン構造及び二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体構造のR23、R24、R25、及び/またはR26のいずれかが、水素でない場合、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン及び/または二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体の各非水素R23、R24、R25、及び/またはR26は、独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、もしくはオクチル基、または代替的にはメチル基、エチル基、n-プロピル(1-プロピル)基、イソ-プロピル(2-プロピル)基、tert-ブチル(2-メチル-2-プロピル)基、もしくはネオペンチル(2,2-ジメチル-1-プロピル)基であり得る。一部の態様では、R23、R24、R25、及び/またはR26として利用され得るアルキル基は、置換され得る。置換アルキル基(一般的または特定の)の各置換基は、独立して、ハロゲンもしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲン、または代替的にはヒドロカルボキシ基であり得る。置換ハロゲン及び置換ヒドロカルボキシ基(一般的及び特定の)は、本明細書において独立して開示される。これらの置換基ハロゲン及び置換基ヒドロカルボキシ基は、非水素R23、R24、R25、及び/またはR26として利用され得る置換アルキル基をさらに記載するために、非限定的に利用され得る。
【0055】
一態様では、L及び/またはLを有する二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン及び二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体のL及びLは、独立して、オルガニレン基、代替的には不活性官能基からなるオルガニレン基、または代替的にはヒドロカルビレン基であり得る。L及び/またはLオルガニレン基は、独立して、C~C20、C~C15、C~C10、またはC~Cオルガニレン基であり得る。不活性官能基からなるL及び/またはLオルガニレン基は、独立して、不活性官能基からなるC~C20、C~C15、C~C10、またはC~Cオルガニレン基であり得る。L及び/またはLヒドロカルビレン基は、独立して、C~C20、C~C15、C~C10、またはC~Cヒドロカルビレン基であり得る。
【0056】
一態様では、L及び/またはLを有する二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン及び二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体のL及び/またはLは、独立して、表1に提示される任意の構造を有し得る。一部の態様では、L及び/またはLは、構造1L、構造2L、構造3L、構造4L、または構造5Lを有し得る。一部の態様では、L及び/またはLは、構造2L、構造3L、または構造4L、代替的には構造5Lまたは構造6Lを有し得る。別の態様では、L及び/またはLは、構造1L、代替的には構造2L、代替的には構造3L、代替的には構造4L、代替的には構造5L、または代替的には構造6Lを有し得る。
【表1】

表1の構造の中で、L及び/またはLの指定されていない原子価は、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン及び/または二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体に存在する場合に、L及び/またはLが二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン及び/または二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体の指定された原子に結合する点を指す。一態様では、構造1Lを有するL及び/またはL連結基のmは、独立して、1~5の範囲、代替的には1~3、代替的には1、代替的には2、または代替的には3の整数であり得る。一態様では、構造1Lまたは構造2Lを有する連結基のRL1及びRL2、構造3Lを有する連結基のRL3、RL4、RL5、及びRL6、構造4Lを有する連結基のRL3、RL4、RL5、RL6、RL7、及びRL8、構造5Lを有する連結基のRL11及びRL12、ならびに構造6Lを有する連結基のRL21、RL22、RL23、及びRL24は、独立して、水素もしくは非水素置換基、または代替的には水素であり得る。非水素置換基(一般的及び特定の)は、独立して本明細書に開示され、構造1L、構造2L、構造3L、構造4L、構造5L、及び/または構造6Lを有する連結基をさらに記載するために、非限定的に利用され得る。一態様では、L及び/またはLは、独立して、メチレン基(-CH-)、エタ-1-2-イレン基(-CHCH-)、エテン-1,2-イレン基(-CH=CH-)、プロパ-1,3-イレン基(-CHCHCH-)、プロパ-1,2-イレン基(-CH(CH)CH-)、プロペン-1,3-イレン基(-CHCH=CH-)、プロペン-1,2-イレン基(-CH=CH(CH)-)、ブタ-1,4-イレン基(-CHCHCHCH-)、ブタ-1,3-イレン基(-CHCHCH(CH)-)、2-メチルプロプ-1,3-イレン基(-CHCH(CH)CH-)、2-メチルプロプ-1,2-イレン基(-C(CHCH-)、ブタ-1,2-エン-1,4-イレン基(-CHCHCH=CH-)、ブタ-1,2-エン-1,3-イレン基(-CH(CH)CH=CH-)、ブタ-2,3-エン-1,4-イレン基(-CHCH=CHCH-)、または2-メチルプロペン-1,3-イレン基(-CHC(CH)=CH-)であり得る。一部の非限定的態様では、L及び/またはLは、メチレン基(-CH-)、エタ-1,2-イレン基(-CHCH-)、エテン-1,2-イレン基(-CH=CH-)、プロパ-1,3-イレン基(-CHCHCH-),-)、プロパ-1,2-イレン基(-CH(CH)CH-)、プロペン-1,3-イレン基(-CHCH=CH-)、プロペン-1,2-イレン基(-CH=CH(CH)-)、ブタ-1,3-イレン基(-CHCHCH(CH)-)、2-メチルプロプ-1,3-イレン基(-CHCH(CH)CH-)、2-メチルプロプ-1,2-イレン基(-C(CHCH-)、または2-メチルプロペン-1,3-イレン基(-CHC(CH)=CH-)、代替的にはメチレン基(-CH-)、エタ-1,2-イレン基(-CHCH-)、プロパ-1,3-イレン基(-CHCHCH-)、プロパ-1,2-イレン基(-CH(CH)CH-)、ブタ-1,3-イレン基(-CHCHCH(CH)-)、2-メチルプロプ-1,3-イレン基(-CHCH(CH)CH-)、もしくは2-メチルプロプ-1,2-イレン基(-C(CHCH-)、代替的にはメチレン基(-CH-)、エタ-1,2-イレン基(-CHCH-)、もしくはプロパ-1,3-イレン基(-CHCHCH-)、代替的にはメチレン基(-CH-)、またはエタ-1,2-イレン基(-CHCH-)、代替的にはメチレン基(-CH-)、代替的にはエタ-1,2-イレン基(-CHCH-)、または代替的にはプロパ-1,3-イレン基(-CHCHCH-)であり得る。特定のL及び/またはLが、それらの固有名称を与えられる。しかし、これらの固有名称は、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン及び/または二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体のどの原子に、指定されていない原子価が結合しているかを暗に示すことを意図したものではない。指定されていない原子価は、特に明記しない限り、適切な二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンまたは二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体を提供する限り、2つの二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンまたは二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体の指定された原子のいずれかに結合され得る。
【0057】
概して、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン及び/または二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体のR及び/またはRは、独立して、オルガニル基、代替的には不活性官能基からなるオルガニル基、または代替的にはヒドロカルビル基であり得る。一態様では、R及び/またはRオルガニル基は、C~C20、C~C15、C~C10、またはC~Cオルガニル基であり得る。一態様では、不活性官能基からなるR及び/またはRオルガニル基は、不活性官能基からなるC~C20、C~C15、C~C10、またはC~Cオルガニル基であり得る。一態様では、R及び/またはRヒドロカルビル基は、C~C20、C~C15、C~C10、またはC~Cヒドロカルビル基であり得る。一態様では、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン及び/または二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体のR及び/またはRは、独立して、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、もしくは置換アラルキル基、代替的にはアルキル基もしくは置換アルキル基、代替的にはシクロアルキル基もしくは置換シクロアルキル基、代替的にはアリール基もしくは置換アリール基、代替的にはアラルキル基もしくは置換アラルキル基、代替的にはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、もしくはアラルキル基、代替的にはアルキル基、代替的には置換アルキル基、代替的にはシクロアルキル基、代替的には置換シクロアルキル基、代替的にはアリール基、代替的には置換アリール基、代替的にはアラルキル基、または代替的には置換アラルキル基であり得る。
【0058】
本明細書に開示される任意の態様では、R及び/またはRアルキル基は、独立して、C~C20、C~C10、またはC~Cアルキル基であり得る。本明細書に開示される任意の態様では、R及び/またはR置換アルキル基は、独立して、C~C20、C~C10、またはC~C置換アルキル基であり得る。本明細書に開示される任意の態様では、R及び/またはRシクロアルキル基は、独立して、C~C20、C~C15、またはC~C10シクロアルキル基であり得る。本明細書中に開示される任意の態様では、R及び/またはR置換シクロアルキル基は、独立して、C~C20、C~C15、またはC~C10置換シクロアルキル基であり得る。本明細書中に開示される任意の態様では、R及び/またはRアリール基は、独立して、C~C20、C~C15、またはC~C10アリール基であり得る。本明細書中に開示される任意の態様では、R及び/またはR置換アリール基は、独立して、C~C20、C~C15、またはC~C10置換アリール基であり得る。本明細書に開示される任意の態様では、R及び/またはRアラルキル基は、独立して、C~C20、C~C15、またはC~C10アラルキル基であり得る。本明細書中に開示される任意の態様では、R及び/またはR置換アリール基は、独立して、C~C20、C~C15、またはC~C10置換アラルキル基であり得る。置換アルキル基(一般的もしくは特定の)、置換シクロアルキル基(一般的もしくは特定の)、置換アリール基(一般的もしくは特定の)、及び/または置換アラルキル基(一般的もしくは特定の)の各置換基は、ハロゲン、ヒドロカルビル基、もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルビル基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはヒドロカルビル基もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲン、代替的にはヒドロカルビル基、または代替的にはヒドロカルボキシ基であり得る。置換基ハロゲン、置換基ヒドロカルビル基(一般的及び特定の)、ならびに置換基ヒドロカルボキシ基(一般的及び特定の)は、本明細書において独立して開示される。これらの置換基ハロゲン、置換基ヒドロカルビル基、及び置換基ヒドロカルボキシ基は、R及び/またはRをさらに記載するために、非限定的に利用され得る。
【0059】
一態様では、R及びRは、独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、もしくはオクチル基、または代替的にはメチル基、エチル基、n-プロピル(1-プロピル)基、イソ-プロピル(2-プロピル)基、2-メチル-1-プロピル基、tert-ブチル(2-メチル-2-プロピル)基、もしくはネオペンチル(2,2-ジメチル-1-プロピル)基であり得る。一部の態様では、R及び/またはRとして利用され得るアルキル基は、置換され得る。置換アルキル基の各置換基は、独立して、ハロゲンもしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲン、または代替的にはヒドロカルボキシ基であり得る。置換基ハロゲン及び置換基ヒドロカルボキシ(一般的及び特定の)基は、独立して本明細書に開示されている。これらの置換基ハロゲン及び置換基ヒドロカルボキシ基は、R及び/またはRとして利用され得る置換アルキル基をさらに記載するために、非限定的に利用され得る。
【0060】
一態様では、R及びRは、独立して、シクロペンチル基、置換シクロペンチル基、シクロヘキシル基、もしくは置換シクロヘキシル基、代替的にはシクロペンチル基もしくは置換シクロペンチル基、または代替的にはシクロヘキシル基もしくは置換シクロヘキシル基であり得る。一態様では、R及び/またはRとして利用され得る置換シクロアルキル基は、2-置換シクロヘキシル基、2,6-二置換シクロヘキシル基、2-置換シクロペンチル基、もしくは2,5-二置換シクロペンチル基、代替的には2-置換シクロヘキシル基もしくは2,6-二置換シクロヘキシル基、代替的には2-置換シクロペンチル基もしくは2,5-二置換シクロペンチル基、代替的には2-置換シクロヘキシル基もしくは2-置換シクロペンチル基、または代替的には2,6-二置換シクロヘキシル基もしくは2,5-二置換シクロペンチル基であり得る。置換シクロアルキル基(一般的または特定の)が2個以上の置換基を有する場合、それらの置換基は、同じまたは異なる、代替的には同じ、または代替的には異なるものである場合がある。指定された数の環炭素原子を有するシクロアルキル基(一般的または特定の)の各置換基は、独立して、ハロゲン、ヒドロカルビル基、もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルビル基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはヒドロカルビル基もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲン、代替的にはヒドロカルビル基、または代替的にはヒドロカルボキシ基であり得る。置換基ハロゲン、置換基ヒドロカルビル基(一般的及び特定の)、ならびに置換基ヒドロカルボキシ基(一般的及び特定の)は、本明細書において独立して開示される。これらの置換基ハロゲン、置換基ヒドロカルビル基、及び置換基ヒドロカルボキシ基は、R及び/またはRとして利用され得る置換シクロアルキル基(一般的または特定の)をさらに記載するために、非限定的に利用され得る。
【0061】
非限定的な態様では、R及びRは、独立して、シクロヘキシル基、2-アルキルシクロヘキシル基、もしくは2,6-ジアルキルシクロヘキシル基、または代替的にはシクロペンチル基、2-アルキルシクロペンチル基、もしくは2,5-ジアルキルシクロペンチル基であり得る。アルキル置換基(一般的及び特定の)は、本明細書に独立して記載され、これらのアルキル置換基は、R及び/またはRとして利用され得るアルキルシクロヘキシル基(一般的または特定の)、ジアルキルシクロヘキシル基(一般的または特定の)、アルキルシクロペンチル基(一般的または特定の)、及び/またはジアルキルシクロペンチル基(一般的または特定の)をさらに記載するために、非限定的に利用され得る。概して、二置換シクロヘキシル基または二置換シクロペンチル基のアルキル置換基は、同じであり得るか、または代替的にはジアルキルシクロヘキシル基またはジアルキルシクロペンチル基のアルキル置換基は、異なり得る。一部の非限定的な態様では、R及びRは、独立して2-メチルシクロヘキシル基、2-エチルシクロヘキシル基、2-イソプロピルシクロヘキシル基、2-tert-ブチルシクロヘキシル基、2,6-ジメチルシクロヘキシル基、2,6-ジエチルシクロヘキシル基、2,6-ジイソプロピルシクロヘキシル基、または2,6-ジ-tert-ブチルシクロヘキシル基であり得る。他の非限定的な態様では、R及びRは、独立して、2-メチルシクロヘキシル基、2-エチルシクロヘキシル基、2-イソプロピルシクロヘキシル基、または2-tert-ブチルシクロヘキシル基、または代替的には2,6-ジメチルシクロヘキシル基、2,6-ジエチルシクロヘキシル基、2,6-ジイソプロピルシクロヘキシル基、または2,6-ジ-tert-ブチルシクロヘキシル基であり得る。
【0062】
一態様では、R及びRは、独立して、フェニル基、置換フェニル基、代替的にはフェニル基、または代替的には置換フェニル基であり得る。一態様では、R及び/またはRに利用され得る置換フェニル基は、2-置換フェニル基、3-置換フェニル基、4-置換フェニル基、2,4-二置換フェニル基、2,6-二置換フェニル基、3,5-二置換フェニル基、もしくは2,4,6-三置換フェニル基、代替的には2-置換フェニル基、4-置換フェニル基、2,4-二置換フェニル基、もしくは2,6-二置換フェニル基、代替的には3-置換フェニル基もしくは3,5-二置換フェニル基、代替的には2-置換フェニル基もしくは4-置換フェニル基、代替的には2,4-二置換フェニル基もしくは2,6-二置換フェニル基、または代替的には2,4,6-三置換フェニル基であり得る。置換フェニル基(一般的または特定の)が2個以上の置換基を有する場合、それらの置換基は、同じまたは異なる、代替的には多置換フェニル基の置換基のすべては同じ、または代替的には、多置換フェニル基の置換基のすべては異なるものである場合がある。置換フェニル基(一般的または特定の)の各置換基は、独立して、ハロゲン、ヒドロカルビル基、もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルビル基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはヒドロカルビル基もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲン、代替的にはヒドロカルビル基、または代替的にはヒドロカルボキシ基であり得る。置換基ハロゲン、置換基ヒドロカルビル基(一般的及び特定の)、ならびに置換基ヒドロカルボキシ基(一般的及び特定の)は、本明細書において独立して開示される。これらの置換基ハロゲン、置換基ヒドロカルビル基、及び置換基ヒドロカルボキシ基は、R及び/またはRとして利用され得る置換フェニル基(一般的または特定の)をさらに記載するために、非限定的に利用され得る。
【0063】
非限定的な態様では、R及びRは、独立して、フェニル基、2-アルキルフェニル基、3-アルキルフェニル基、4-アルキルフェニル基、2,4-ジアルキルフェニル基、2,6-ジアルキルフェニル基、3,5-ジアルキルフェニル基、もしくは2,4,6-トリアルキルフェニル基、代替的には2-アルキルフェニル基、4-アルキルフェニル基、2,4-ジアルキルフェニル基、2,6-ジアルキルフェニル基、もしくは2,4,6-トリアルキルフェニル基、代替的には2-アルキルフェニル基もしくは4-アルキルフェニル基、代替的には2,4-ジアルキルフェニル基もしくは2,6-ジアルキルフェニル基、代替的には3-アルキルフェニル基もしくは3,5-ジアルキルフェニル基、代替的には2-アルキルフェニル基もしくは2,6-ジアルキルフェニル基、または代替的には2,4,6-トリアルキルフェニル基であり得る。アルキル置換基(一般的及び特定の)は、本明細書に独立して記載され、これらのアルキル置換基は、R及び/またはRとして利用され得る任意のアルキル置換フェニル基をさらに記載するために、非限定的に利用され得る。概して、ジアルキルフェニル基(一般的または特定の)もしくはトリアルキルフェニル基(一般的または特定の)のアルキル置換基は同じものであり得、または代替的には、ジアルキルフェニル基(一般的もしくは特定の)もしくはトリアルキルフェニル基(一般的もしくは特定の)のアルキル置換基は異なるものであり得る。一部の非限定的な態様では、R及びRは、独立して、フェニル基、2-メチルフェニル基、2-エチルフェニル基、2-n-プロピルフェニル基、2-イソプロピルフェニル基、2-tert-ブチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、2,6-ジエチルフェニル基、2,6-ジ-n-プロピルフェニル基、2,6-ジイソプロピルフェニル基、2,6-ジ-tert-ブチルフェニル基、2-イソプロピル-6-メチルフェニル基、または2,4,6-トリメチルフェニル基、代替的にはフェニル基、2-メチルフェニル基、2-エチルフェニル基、2-n-プロピルフェニル基、2-イソプロピルフェニル基、または2-tert-ブチルフェニル基、代替的にはフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、2,6-ジエチルフェニル基、2,6-ジ-n-プロピルフェニル基、2,6-ジイソプロピルフェニル基、2,6-ジ-tert-ブチルフェニル基、2-イソプロピル-6-メチルフェニル基、または2,4,6-トリメチルフェニル基であり得る。
【0064】
非限定的な態様では、R及びRは、フェニル基、2-アルコキシフェニル基、または4-アルコキシフェニル基であり得る。一部の非限定的な態様では、R及び/またはRは、フェニル基、2-メトキシフェニル基、2-エトキシフェニル基、2-イソプロポキシフェニル基、2-tert-ブトキシフェニル基、4-メトキシフェニル基、4-エトキシフェニル基、4-イソプロポキシフェニル基、もしくは4-tert-ブトキシフェニル基、代替的には2-メトキシフェニル基、2-エトキシフェニル基、2-イソプロポキシフェニル基、もしくは2-tert-ブトキシフェニル基、または代替的には4-メトキシフェニル基、4-エトキシフェニル基、4-イソプロポキシフェニル基、もしくは4-tert-ブトキシフェニル基であり得る。非限定的な態様では、R及びRは、独立して、フェニル基、2-ハロフェニル基、4-ハロフェニル基、または2,6-ジハロフェニル基であり得る。概して、ジハロフェニル基のハロゲン化物は、同じであり得るか、または代替的にはジハロフェニル基のハロゲン化物は、異なり得る。一部の態様では、R及びRは、独立して、フェニル基、2-フルオロフェニル基、4-フルオロフェニル基、または2,6-ジフルオロフェニル基であり得る。
【0065】
一態様では、R及びRは、独立して、ベンジル基もしくは置換ベンジル基、代替的にはベンジル基、または代替的には置換ベンジル基であり得る。置換ベンジル基の各置換基は、独立して、ハロゲン、ヒドロカルビル基、もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルビル基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはヒドロカルビル基もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲン、代替的にはヒドロカルビル基、または代替的にはヒドロカルボキシ基であり得る。置換基ハロゲン、置換基ヒドロカルビル基(一般的及び特定の)、ならびに置換基ヒドロカルボキシ基(一般的及び特定の)は、本明細書において独立して開示される。これらの置換基ハロゲン、置換基ヒドロカルビル基、及び置換基ヒドロカルボキシ基は、R及び/またはRとして利用され得る置換ベンジルをさらに記載するために、非限定的に利用され得る。
【0066】
さらなる態様では、R及びRは、結合して、リン原子を含有する環または環系を形成することができる。R及びRの結合は、L45として表すことができ、オルガニレン基、代替的には不活性官能基からなるオルガニレン基、代替的にはヒドロカルビレン基、または代替的にはアルキレン基であり得る。一態様では、L45オルガニレン基は、存在する場合、C~C30、C~C20、C~C15、またはC~C10オルガニレン基であり得る。一態様では、不活性官能基からなるL45オルガニレン基は、存在する場合、不活性官能基からなるC~C30、C~C20、C~C15、またはC~C10オルガニレン基であり得る。一態様では、L45ヒドロカルビル基は、存在する場合、独立して、C~C30、C~C20、C~C15、またはC~C10ヒドロカルビレン基であり得る。さらなる態様では、L45アルキレン基は、存在する場合、独立して、C~C30、C~C20、C~C15、またはC~C10アルキレン基であり得る。一態様では、L45は、ブタ-1,4-イレン基、1,4-ジフェニルブタ-1,4-イレン基、1,4-ジ(2-メチルフェニル)ブタ-1,4-イレン基、1,4-ジ(4-メチルフェニル)ブタ-1,4-イレン基、1,4-ジ(4-t-ブチルフェニル)ブタ-1,4-イレン基、1,4-ジ(3,5-ジメチルフェニル)ブタ-1,4-イレン基、ペンタ-1,4-イレン基、1-フェニルペンタ-1,4-イレン基、4-フェニルペンタ-1,4-イレン基、ヘキサ-2,5-イレン基、2,2’-ビフェニレン基、2,2’-(メタンジイル)ジフェニレン基、または2,2’-(1,2-エタンジイル)ジフェニレン基であり得る。
【0067】
本明細書に記載される種々の態様は、ハロゲン(またはハロ、ハロゲン化物)、ヒドロカルビル、ヒドロカルボキシ、アルキル、及び/またはアルコキシ置換基などの非水素置換基を指す。一態様では、置換基を必要とする任意の態様の各非水素置換基は、ハロゲン、ヒドロカルビル基、もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルビル基、代替的にはハロゲンもしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはヒドロカルビル基もしくはヒドロカルボキシ基、代替的にはハロゲン、代替的にはヒドロカルビル基、または代替的にはヒドロカルボキシ基であり得る。各ヒドロカルビル置換基は、独立して、C~C10ヒドロカルビル基、または代替的にはC~Cヒドロカルビル基であり得る。各ヒドロカルボキシ置換基は、独立して、C~C10ヒドロカルボキシ基、または代替的にはC~Cヒドロカルボキシ基であり得る。各ハロゲン化物置換基は、独立して、フッ化物、塩化物、臭化物、もしくはヨウ化物、代替的にはフッ化物もしくは塩化物、代替的にはフッ化物、代替的には塩化物、代替的には臭化物、または代替的にはヨウ化物であり得る。
【0068】
一態様では、任意のヒドロカルビル置換基は、独立して、アルキル基、アリール基、もしくはアラルキル基、代替的にはアルキル基、代替的にはアリール基、または代替的にはアラルキル基であり得る。一態様では、任意のアルキル置換基は、独立して、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、2-ペンチル基、3-ペンチル基、2-メチル-1-ブチル基、tert-ペンチル基、3-メチル-1-ブチル基、3-メチル-2-ブチル基、またはネオペンチル基、代替的にはメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、もしくはネオペンチル基、代替的にはメチル基、代替的にはエチル基、代替的にはイソプロピル基、代替的にはtert-ブチル基、または代替的にはネオペンチル基であり得る。一態様では、任意のアリール置換基は、独立して、フェニル基、トリル基、キシリル基、もしくは2,4,6-トリメチルフェニル基、代替的にはフェニル基、代替的にはトリル基、代替的にはキシリル基、または代替的には2,4,6-トリメチルフェニル基であり得る。一態様では、任意のアラルキル置換基は、独立して、ベンジル基もしくはエチルフェニル基(2-フェニルエタ-1-イルもしくは1-フェニルエタ-1-イル)、代替的にはベンジル基、代替的にはエチルフェニル基、代替的には2-フェニルエタ-1-イル基、または代替的には1-フェニルエタ-1-イル基であり得る。
【0069】
一態様では、任意のヒドロカルボキシ置換基は、独立して、アルコキシ基、アリールオキシ基、またはアラルコキシ基、代替的にはアルコキシ基、代替的にはアリールオキシ基、またはアラルコキシ基であり得る。一態様では、任意のアルコキシ置換基は、独立して、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ペントキシ基、2-ペントキシ基、3-ペントキシ基、2-メチル-1-ブトキシ基、tert-ペントキシ基、3-メチル-1-ブトキシ基、3-メチル-2-ブトキシ基、またはneo-ペントキシ基、代替的にはメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert-ブトキシ基、またはネオペントキシ基、代替的にはメトキシ基、代替的にはエトキシ基、代替的にはイソプロポキシ基、代替的にはtert-ブトキシ基、または代替的にはネオペントキシ基であり得る。一態様では、任意のアリールオキシ置換基は、独立して、フェノキシ基、トリルオキシ基、キシルオキシ基、もしくは2,4,6-トリメチルフェノキシ基、代替的にはフェノキシ基、代替的にはトロキシ基、代替的にはキシルオキシ基、または代替的には2,4,6-トリメチルフェノキシ基であり得る。一態様では、任意のアラルコキシ置換基は、独立して、ベンゾキシ基であり得る。
【0070】
本明細書に開示する種々の態様は、クロム塩または二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体を利用することができる。概して、クロム塩及び/または二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体のクロム塩は、式CrXを有する場合があり、式中、Xは、モノアニオン性配位子を意味し、pは、モノアニオン性配位子の数(及びクロム化合物中のクロムの酸化状態)を意味する。モノアニオン性配位子(X)及びpは、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体のクロム塩及びクロム塩部分の独立した構成要素であり、本明細書に独立して記載される。モノアニオン性配位子(X)及びpのこれらの独立した説明は、本明細書に記載の種々の態様で利用され得るクロム塩及び/または二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体のクロム塩をさらに記載するために、非限定的に、かつ任意の組み合わせで利用され得る。
【0071】
概して、クロム塩(CrX)または二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体のクロム塩のクロム原子は、クロム原子に利用可能な任意の正の酸化状態を有し得る。一態様では、クロム原子は、+2~+6、代替的には+2~+4、または代替的には+2~+3の酸化状態を有することができる。一部の態様では、クロム化合物(CrX)のクロム原子は、+1、代替的には+2、代替的には+3、または代替的には+4の酸化状態を有することができる。
【0072】
クロム塩及び/または二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体のクロム塩のモノアニオンXは、任意のモノアニオンであり得る。一態様では、モノアニオン(X)は、ハロゲン化物、カルボキシレート、β-ジケトネート、ヒドロカルボキシド、ニトレート、またはクロレートであり得る。一部の態様では、モノアニオン(X)は、ハロゲン化物、カルボキシレート、β-ジケトネート、またはヒドロカルボキシドであり得る。任意の態様では、ヒドロカルボキシドは、アルコキシド、アリールオキシド、またはアラルコキシドであり得る。概して、ヒドロカルボキシド(及びヒドロカルボキシドの副区分)は、ヒドロカルボキシ基のアニオン類似体である。他の態様では、モノアニオン(X)は、ハロゲン化物、カルボキシレート、β-ジケトネート、またはアルコキシド、または代替的にはハロゲン化物またはβ-ジケトネートであり得る。他の態様では、モノアニオン(X)は、ハロゲン化物、代替的にはカルボキシレート、代替的にはβ-ジケトネート、代替的にはヒドロカルボキシド、代替的にはアルコキシド、または代替的にはアリールオキシドであり得る。一態様では、モノアニオンの数は、2~6、代替的には2~4、代替的には2~3、代替的には1、代替的には2、代替的には3、または代替的には4であり得る。
【0073】
概して、クロム塩(CrX)または二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体のクロム塩の各ハロゲン化物は、独立して、フッ素、塩素、臭素、もしくはヨウ素、または代替的には塩素、臭素、もしくはヨウ素であり得る。一態様では、クロム化合物の各ハロゲン化モノアニオンは、塩素、代替的には臭素、または代替的にはヨウ素であり得る。
【0074】
概して、クロム塩(CrX)または二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体のクロム塩の各カルボキシレートは、独立して、C~C20またはC~C10カルボキシレートであり得る。一態様では、各カルボキシレートは、独立して、アセテート、プロピオネート、ブチレート、ペンタノエート、ヘキサノエート、ヘプタノエート、オクタノエート、ノナノエート、デカノエート、ウンデカノエート、もしくはドデカノエート、または代替的にはペンタノエート、ヘキサノエート、ヘプタノエート、オクタノエート、ノナノエート、デカノエート、ウンデカノエート、もしくはドデカノエートであり得る。一部の態様では、各カルボキシレートは、独立して、アセテート、プロピオネート、n-ブチレート、バレレート(n-ペンタノエート)、ネオ-ペンタノエート、カプロネート(n-ヘキサノエート)、n-ヘプタノエート、カプリレート(n-オクタノエート)、2-エチルヘキサノエート、n-ノナノエート、カプレート(n-デカノエート)、n-ウンデカノエート、もしくはラウレート(n-ドデカノエート)、代替的にはバレレート(n-ペンタノエート)、ネオ-ペンタノエート、カプロネート(n-ヘキサノエート)、n-ヘプタノエート、カプリレート(n-オクタノエート)、2-エチルヘキサノエート、n-ノナノエート、カプレート(n-デカノエート)、n-ウンデカノエート、もしくはラウレート(n-ドデカノエート)、代替的にはカプロネート(n-ヘキサノエート)、代替的にはn-ヘプタノエート、代替的にはカプリレート(n-オクタノエート)、または代替的には2-エチルヘキサノエートであり得る。一部の態様では、各カルボキシレートは、トリフレート(トリフルオロアセテート)であり得る。
【0075】
概して、クロム塩(CrX)または二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体のクロム塩の各β-ジケトネートは、独立して、C~C20またはC~C10β-ジケトネートであり得る。一態様では、各β-ジケトネートは、独立して、アセチルアセトネート(すなわち、2,4-ペンタンジオネート)、ヘキサフルオロアセチルアセトネート(すなわち、1,1,1,5,5,5-ヘキサフルオロ-2,4-ペンタンジオネート)、もしくはベンゾイルアセトネート)、代替的にはアセチルアセトネート、代替的にはヘキサフルオロアセチルアセトネート、または代替的にはベンゾイルアセトネートであり得る。
【0076】
概して、クロム塩(CrX)または二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体のクロム塩の各ヒドロカルボキシドは、独立して、C~C20またはC~C10ヒドロカルボキシドであり得る。一態様では、各ヒドロカルボキシドは、独立して、C~C20もしくはC~C10アルコキシド、または代替的にはC~C20もしくはC~C10アリールオキシドである。一態様では、各アルコキシドは、独立して、メトキシド、エトキシド、プロポキシド、もしくはブトキシド、代替的にはメトキシド、エトキシド、イソプロポキシド、もしくはtert-ブトキシド、代替的にはメトキシド、代替的にはエトキシド、代替的にはイソ-プロポキシド、または代替的にはtert-ブトキシドであり得る。一態様では、アリールオキシドはフェノキシドであり得る。
【0077】
一部の非限定的態様では、クロム塩(CrX)または二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体のクロム塩は、ハロゲン化クロム(II)、カルボン酸クロム(II)、もしくはクロム(II)β-ジケトネート、または代替的にはハロゲン化クロム(III)、カルボン酸クロム(III)、もしくはクロム(III)β-ジケトネートを含み得るか、それらから本質的になり得るか、またはそれらからなり得る。他の非限定的態様では、クロム塩(CrX)または二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体のクロム塩は、ハロゲン化クロム(II)、代替的にはハロゲン化クロム(III)、代替的にはカルボン酸クロム(II)、代替的にはカルボン酸クロム(III)、代替的にはクロム(II)β-ジケトネート、または代替的にはクロム(III)β-ジケトネートを含み得るか、それらから本質的になり得るか、またはそれらからなり得る。ハロゲン化物、カルボキシレート、β-ジケトネートは、本明細書に独立して記載され、これらのハロゲン化物、カルボキシレート、β-ジケトネート、及びこれらの独立して記載されるハロゲン化物、カルボキシレート、β-ジケトネートは、クロム塩(CrX)または二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体のクロム塩をさらに記載するために、非限定的に、かつ任意の組み合わせで利用され得る。さらなる非限定的な態様では、クロム塩(CrX)または二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体のクロム塩は、塩化クロム(II)、塩化クロム(III)、フッ化クロム(II)、フッ化クロム(III)、臭化クロム(II)、臭化クロム(III)、ヨウ化クロム(II)、ヨウ化クロム(III)、酢酸クロム(II)、酢酸クロム(III)、2-エチルヘキサン酸クロム(II)、2-エチルヘキサン酸クロム(III)、クロム(II)トリフレート、クロム(III)トリフレート、硝酸クロム(II)、硝酸クロム(III)、クロム(II)アセチルアセトネート、クロム(III)アセチルアセトネート、クロム(II)ヘキサフルオルアセチルアセトネート、クロム(III)ヘキサフルオルアセチルアセトネート、クロム(III)ベンゾイルアセトネート、またはクロム(III)ベンゾイルアセトネート、代替的には、塩化クロム(III)、フッ化クロム(III)、臭化クロム(III)、ヨウ化クロム(III)、塩化クロム(III)(THF)錯体、酢酸クロム(III)、2-エチルヘキサン酸クロム(III)、クロム(III)トリフレート、硝酸クロム(III)、クロム(III)アセチルアセトネート、クロム(III)ヘキサフルオロアセチルアセトネート、またはクロム(III)ベンゾイルアセトネート、代替的には塩化クロム(III)、もしくはクロム(III)アセチルアセトネート、代替的には塩化クロム(III)、または代替的にはクロム(III)アセチルアセトネートを含み得るか、それらから本質的になり得るか、またはそれらからなり得る。
【0078】
一態様では、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンは、構造BPACI 1、BPACI 2、またはBPACI 3、代替的には構造BPACI 1、代替的には構造BPACI 2、または代替的には構造BPACI 3を有し得る。
【化6】

一態様では、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体は、構造BPACICr 1、BPACICr 2、またはBPACICr 3、代替的には構造BPACICr 1、代替的には構造BPACICr 2、または代替的には構造BPACICr 3を有し得る。
【化7】
【0079】
クロム塩については識別されておらず、かつ本明細書で提供する二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体構造では示されているが、当業者であれば、中性配位子Qが、本明細書に記載/描写される二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体のクロム塩に関連し得ることを理解するであろう。加えて、本明細書に記載/描写/提供されるクロム塩及び二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体は、中性配位子の存在を形式的に示さないが、神経配位子(例えば、とりわけ、ニトリル及びエーテル)を有するクロム塩及び/または二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体が、本明細書に記載される発明の態様において使用される触媒系において利用され得る潜在的なクロム塩及び/または二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体として暗示的かつ完全に企図されることを理解されたい。
【0080】
概して、任意のクロム塩及び/または二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体の中性配位子は、存在する場合、独立して、クロム塩及び/または二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体と単離可能な化合物を形成する任意の中性配位子であり得る。一態様では、各中性配位子は、独立して、ニトリルまたはエーテル、代替的にはニトリル、または代替的にはエーテルであり得る。中性配位子の数qは、クロム塩及び/または二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体と単離可能な化合物を形成する任意の数であり得る。一態様では、中性配位子の数は、0~6、代替的には0~3、代替的には0、代替的には1、代替的には2、代替的には3、または代替的には4であり得る。
【0081】
概して、各ニトリル配位子は、独立して、C~C20、またはC~C10ニトリルであり得る。一態様では、各ニトリル配位子は、独立して、C~C20脂肪族ニトリル、C~C20芳香族ニトリル、C~C20アラルカンニトリル、もしくはこれらの任意の組み合わせ、代替的にはC~C20脂肪族ニトリル、代替的にはC~C20芳香族ニトリル、または代替的にはC~C20アラルカンニトリルであり得る。一部の態様では、各ニトリル配位子は、独立して、C~C10脂肪族ニトリル、C~C10芳香族ニトリル、C~C10アラルカンニトリル、もしくはこれらの任意の組み合わせ、代替的にはC~C10脂肪族ニトリル、代替的にはC~C10芳香族ニトリル、または代替的にはC~C10アラルカンニトリルであり得る。一態様では、各脂肪族ニトリルは、独立して、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、ベンゾニトリル、もしくはこれらの任意の組み合わせ、代替的にはアセトニトリル、代替的にはプロピオニトリル、代替的にはブチロニトリル、または代替的にはベンゾニトリルであり得る。
【0082】
概して、各エーテル配位子は、独立して、C~C40、C~C30、またはC~C20エーテルであり得る。一態様では、各エーテル配位子は、独立して、C~C40脂肪族エーテル、C~C40脂肪族環式エーテル、C~C40芳香族環式エーテル、代替的にはC~C40脂肪族非環式エーテルもしくはC~C40脂肪族環式エーテル、代替的にはC~C40脂肪族非環式エーテル、代替的にはC~C40脂肪族環式エーテル、または代替的にはC~C40芳香族環式エーテルであり得る。一部の態様では、各エーテル配位子は、独立して、C~C30脂肪族エーテル、C~C30脂肪族環式エーテル、C~C30芳香族環式エーテル、代替的にはC~C30脂肪族非環式エーテルもしくはC~C30脂肪族環式エーテル、代替的にはC~C30脂肪族非環式エーテル、代替的にはC~C30脂肪族環式エーテル、または代替的にはC~C30芳香族環式エーテルであり得る。他の態様では、各エーテル配位子は、独立して、C~C20脂肪族エーテル、C~C20脂肪族環式エーテル、C~C20芳香族環式エーテル、代替的にはC~C20脂肪族非環式エーテルもしくはC~C20脂肪族環式エーテル、代替的にはC~C20脂肪族非環式エーテル、代替的にはC~C20脂肪族環式エーテル、または代替的にはC~C20芳香族環式エーテルであり得る。一部の態様では、各エーテル配位子は、独立して、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、メチルブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、テトラヒドロピラン、ジヒドロピラン、ピラン、ジオキサン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、ジフェニルエーテル、ジトリルエーテル、またはそれらの任意の組み合わせ、代替的にはジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、メチルブチルエーテル、またはそれらの任意の組み合わせ、テトラヒドロフラン、ジヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、テトラヒドロピラン、ジヒドロピラン、ピラン、ジオキサン、またはそれらの任意の組み合わせ、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、またはそれらの任意の組み合わせ、ジフェニルエーテル、ジトリルエーテル、またはそれらの任意の組み合わせ、代替的にはジメチルエーテル、代替的にはジエチルエーテル、代替的にはジプロピルエーテル、代替的にはジブチルエーテル、代替的にはメチルエチルエーテル、代替的にはメチルプロピルエーテル、代替的にはメチルブチルエーテル、代替的にはテトラヒドロフラン、代替的にはジヒドロフラン、代替的には1,3-ジオキソラン、代替的にはテトラヒドロピラン、代替的にはジヒドロピラン、代替的にはピラン、代替的にはジオキサン、代替的にはフラン、代替的にはベンゾフラン、代替的にはイソベンゾフラン、代替的にはジベンゾフラン、代替的にはジフェニルエーテル、または代替的にはジトリルエーテルであり得る。
【0083】
本開示の全体を通して、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体の単量体形態が示されている。明示的に示されていないが、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体は、2つのクロム原子を架橋する2つのモノアニオン配位子を有する二量体構造として存在し得ると言う点に留意すべきである。したがって、本明細書では単量体の二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体が示されているが、これらの構造は、架橋単量体配位子を有する二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体の二量体形態が形成されない、及び/または利用されないということを必ずしも意味するわけではない。
【0084】
一態様では、本明細書に記載の触媒系及びプロセスで利用され得る有機アルミニウム化合物は、アルミノキサン、アルキルアルミニウム化合物、もしくはこれらの任意の組み合わせ、代替的にはアルミノキサン、または代替的にはアルキルアルミニウム化合物を含み得る。一態様では、アルキルアルミニウム化合物は、トリアルキルアルミニウム、ハロゲン化アルキルアルミニウム、アルキルアルミニウムアルコキシド、またはこれらの任意の組み合わせであり得る。一部の態様では、アルキルアルミニウム化合物は、トリアルキルアルミニウム、ハロゲン化アルキルアルミニウム、もしくはそれらの任意の組み合わせ、代替的にはトリアルキルアルミニウム、アルキルアルミニウムアルコキシド、もしくはそれらの任意の組み合わせ、または代替的にはトリアルキルアルミニウムであり得る。他の態様では、アルキルアルミニウム化合物は、トリアルキルアルミニウム、代替的にはハロゲン化アルキルアルミニウム、または代替的にはアルキルアルミニウムアルコキシドであり得る。非限定的な態様では、アルミノキサンは、式Iによって特徴づけられる繰返し単位を有し得、
【化8】

式中、R’は、直鎖または分岐鎖アルキル基である。有機アルミニウム化合物のアルキル基は、本明細書に独立して記載されており、かつ式I有するアルミノキサンをさらに記載するために、非限定的に利用され得る。概して、式Iのnは、1より大きい、または代替的には2より大きい場合がある。一態様では、nは、2~15、または代替的には3~10の範囲であり得る。
【0085】
一態様では、本明細書に開示される任意のハロゲン化アルキルアルミニウムの各ハロゲン化物は、独立して、フッ化物、塩化物、臭化物、もしくはヨウ化物、または代替的には塩化物、臭化物、もしくはヨウ化物であり得る。一態様では、本明細書に開示される任意のハロゲン化アルキルアルミニウムの各ハロゲン化物は、フッ化物、代替的には塩化物、代替的には臭化物、または代替的にはヨウ化物であり得る。
【0086】
一態様では、本明細書に開示する任意の有機アルミニウム化合物の各アルキル基(とりわけ、アルキルアルミニウムトリアルキルアルミニウム、ハロゲン化アルキルアルミニウム、アルキルアルミニウムアルコキシドまたはアルミノキサン)は、独立して、C~C20、C~C10、またはC~Cアルキル基であり得る。一態様では、本明細書に開示される任意の有機アルミニウム化合物の各アルキル基は、独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、またはオクチル基、代替的にはメチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、またはオクチル基であり得る。一部の態様では、本明細書に開示される任意の有機アルミニウム化合物の各アルキル基は、独立して、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、イソ-ブチル基、n-ヘキシル基、またはn-オクチル基、代替的にはメチル基、エチル基、n-ブチル基、またはイソ-ブチル基、代替的にはメチル基、代替的にはエチル基、代替的にはn-プロピル基、代替的にはn-ブチル基、代替的にはイソ-ブチル基、代替的にはn-ヘキシル基、または代替的にはn-オクチル基であり得る。
【0087】
一態様では、本明細書に開示される任意のアルキルアルミニウムアルコキシドの各アルコキシド基は、独立して、C~C20、C~C10、またはC~Cアルコキシ基であり得る。一態様では、本明細書に開示される任意のアルキルアルミニウムアルコキシドの各アルコキシド基は、独立して、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキソキシ基、ヘプトキシ基、もしくはオクトキシ基、代替的にはメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ヘキソキシ基、もしくはオクトキシ基であり得る。一部の態様では、本明細書に開示される任意のアルキルアルミニウムアルコキシドの各アルコキシド基は、独立して、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、n-ブトキシ基、イソ-ブトキシ基、n-ヘキソキシ基、もしくはn-オクトキシ基、代替的にはメトキシ基、エトキシ基、n-ブトキシ基、もしくはイソ-ブトキシ基、代替的にはメトキシ基、代替的にはエトキシ基、代替的にはn-プロポキシ基、代替的にはn-ブトキシ基、代替的にはイソ-ブトキシ基、代替的にはn-ヘキソキシ基、または代替的にはn-オクトキシ基であり得る。
【0088】
非限定的な態様では、有用なトリアルキルアルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、またはこれらの混合物が挙げられ得る。一部の非限定的な態様では、有用なトリアルキルアルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリ-n-ブチルアルミニウム、トリ-イソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリ-n-オクチルアルミニウム、またはこれらの混合物、代替的にはトリエチルアルミニウム、トリ-n-ブチルアルミニウム、トリ-イソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリ-n-オクチルアルミニウム、またはこれらの混合物、代替的にはトリエチルアルミニウム、トリ-n-ブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリ-n-オクチルアルミニウム、またはこれらの混合物が挙げられ得る。他の非限定的な態様では、有用なトリアルキルアルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、代替的にはトリエチルアルミニウム、代替的にはトリプロピルアルミニウム、代替的にはトリ-n-ブチルアルミニウム、代替的にはトリ-イソブチルアルミニウム、代替的にはトリヘキシルアルミニウム、または代替的にはトリ-n-オクチルアルミニウムが挙げられ得る。
【0089】
非限定的な態様では、有用なハロゲン化アルキルアルミニウムとしては、塩化ジエチルアルミニウム、臭化ジエチルアルミニウム、二塩化エチルアルミニウム、セスキ塩化エチルアルミニウム、及びこれらの混合物が挙げられ得る。一部の非限定的な態様では、有用なハロゲン化アルキルアルミニウムとしては、塩化ジエチルアルミニウム、二塩化エチルアルミニウム、セスキ塩化エチルアルミニウム、及びこれらの混合物が挙げられ得る。他の非限定的な態様では、有用なハロゲン化アルキルアルミニウムとしては、塩化ジエチルアルミニウム、代替的には臭化ジエチルアルミニウム、代替的には二塩化エチルアルミニウム、または代替的にはセスキ塩化エチルアルミニウムが挙げられ得る。
【0090】
非限定的な態様では、有用なアルミノキサンとしては、メチルアルミノキサン(MAO)、エチルアルミノキサン、修飾メチルアルミノキサン(例えば、MMAO)、n-プロピルアルミノキサン、イソプロピルアルミノキサン、n-ブチルアルミノキサン、sec-ブチルアルミノキサン、イソ-ブチルアルミノキサン、t-ブチルアルミノキサン、1-ペンチルアルミノキサン、2-ペンチルアルミノキサン、3-ペンチルアルミノキサン、イソペンチルアルミノキサン、ネオペンチルアルミノキサン、またはこれらの混合物が挙げられ得る。一部の非限定的な態様では、有用なアルミノキサンとしては、メチルアルミノキサン(MAO)、修飾メチルアルミノキサン(例えば、MMAO)、イソブチルアルミノキサン、t-ブチルアルミノキサン、またはこれらの混合物が挙げられ得る。他の非限定的な態様では、有用なアルミノキサンとしては、メチルアルミノキサン(MAO)、代替的にはエチルアルミノキサン、代替的には修飾メチルアルミノキサン(例えば、MMAO)、代替的にはn-プロピルアルミノキサン、代替的にはイソプロピルアルミノキサン、代替的にはn-ブチルアルミノキサン、代替的にはsec-ブチルアルミノキサン、代替的にはイソ-ブチルアルミノキサン、代替的にはt-ブチルアルミノキサン、代替的には1-ペンチルアルミノキサン、代替的には2-ペンチルアルミノキサン、代替的には3-ペンチルアルミノキサン、代替的にはイソペンチルアルミノキサン、または代替的にはネオペンチルアルミノキサンが挙げられ得る。
【0091】
一態様では、触媒系は、任意の有機アルミニウム化合物及び二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体(または代替的には二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンのクロム塩)比率を有する場合があり、これにより、活性触媒系が形成され得る。一態様では、触媒系は、有機アルミニウム化合物のアルミニウム対二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体のクロム(または代替的には二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンと連結したクロム塩のクロム)の最小モル比(すなわち、最小Al対Crモル比)が10:1、50:l、75:1、または100:1であり得、代替的または追加的に、有機アルミニウム化合物のアルミニウム対二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体と連結したクロム(または代替的には二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンと連結したクロム塩のクロム)の最大モル比(すなわち、最大Al対Crモル比)が5,000:1、3,000:1、2,000:1、1,500:1、または1,000:1であり得る。一態様では、触媒系は、Al対Crモル比が本明細書にて開示する任意の最小Al対Crモル比から本明細書にて開示する任意の最大Al対Crモル比までの範囲である場合がある。非限定的な態様では、Al対Crモル比は、10:1~5,000:1、50:1~3,000:1、75:1~2,000:1、100:1~2,000:1、または100:1~1,000:1の範囲である場合がある。他のAl対Crモル比の利用可能な範囲は、本開示を用いて当業者には容易に明らかとなるであろう。
【0092】
触媒系が二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン、クロム塩、及び有機アルミニウム化合物を利用する場合、触媒系は、任意の二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン対クロム塩のクロムの当量比を有し得(または触媒系は、該当量比で形成され得)、オリゴマー生成物は、該当量比で形成され得、反応ゾーンは該当量比を有し得、または反応ゾーンは、該当量比で作用し得る。一態様では、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン対クロム塩のクロムの最小モル比は、0.8:1、0.9:1、または0.95:1であり得、代替的または追加的には、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン対クロム塩のクロムの最大モル比は、4:1、2:1、1.5:1、または1.1:1であり得る。一態様では、触媒系は、本明細書にて開示する二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン対クロム塩のクロムの任意の最小モル比から本明細書にて開示する二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン対クロム塩のクロムの任意の最大モル比までの範囲の、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン対クロム塩のクロムのモル比を有し得(または触媒系は、該モル比で形成され得)、オリゴマー生成物は、該モル比で形成され得、反応ゾーンは、該モル比を有し得、または反応ゾーンは、該モル比で作用し得る。非限定的な態様では、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン対クロム塩のクロムのモル比は、0.8:1~4:1、0.9:1~2:1、0.9:1~1.5:1、0.95:1~1.5:1、または0.95:1~1.1:1の範囲内であり得る。その他の二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン対クロム塩のクロムのモル比の利用可能な範囲は、本開示を用いて当業者には容易に明らかとなるであろう。
【0093】
一態様では、本明細書に記載のプロセスは、a)エチレンと触媒系とを接触させることと、b)オリゴマー生成物を形成することと、を含み得る。一部の態様では、本明細書に記載のプロセスは、a)エチレンと水素と触媒系とを接触させることと、b)オリゴマー生成物を形成することと、を含み得る。一部の態様では、オリゴマー生成物は、オリゴマー生成物を形成することができる条件下で形成され得る。一部の態様では、オリゴマー生成物は、反応ゾーン内で形成され得る。一態様では、プロセスは、エチレンオリゴマー化プロセス、代替的にはエチレン三量体化プロセス、代替的にはエチレン四量体化プロセス、または代替的にはエチレン三量体化及び四量体化プロセスであり得る。一態様では、触媒系は、有機液体媒体中で形成され得る。一態様では、オリゴマー生成物は、有機反応媒体中で形成され得る(または反応ゾーンは、有機反応媒体を含み得る)。概して、触媒系が形成され得る有機液体媒体、ならびにオレフィン及び触媒系が接触され得る(または代替的にはオリゴマー生成物が形成され得る)有機反応媒体は、同じものであり得、または代替的には異なるものであり得る。触媒系、オリゴマー生成物が形成され得る条件(または代替的には反応ゾーンが作用し得る条件)、有機液体媒体、有機反応媒体、及びオリゴマー生成物の特徴は、本明細書に独立して記載され、かつ本明細書に記載のプロセスをさらに記載するために、任意の組み合わせで、非限定的に利用され得る。
【0094】
一態様では、本明細書に記載のプロセスは、a)二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体及び有機アルミニウム化合物を含む触媒系混合物を形成することと(または代替的には、クロム塩及び二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン、クロム塩、ならびに有機アルミニウム化合物を含む触媒系混合物を形成することと)、b)触媒系混合物をエチレンと接触させることと、c)オリゴマー生成物を形成することと、を含むことができる。一部の態様では、触媒系混合物をエチレンと接触させるステップは、触媒系混合物をエチレン及び水素と接触させるステップであり得る。一部の態様では、触媒系混合物は、有機液体媒体をさらに含むことができる。一部の態様では、触媒系混合物及びエチレン、及び任意選択で水素は、有機反応媒体内で、またはそれと接触され得る。一態様では、プロセスは、a)二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体、有機アルミニウム化合物、及び有機液体媒体を含むか、またはそれらから本質的になる(または代替的には二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン、クロム塩、有機アルミニウム化合物、及び有機液体媒体を含む)触媒系混合物を形成することと、b)触媒系混合物をエチレン及び有機反応媒体と接触させることと、c)オリゴマー生成物を形成することと、を含むことができる。一部の態様では、触媒系混合物をエチレン及び有機液体媒体と接触させるステップは、触媒系混合物をエチレン、有機反応媒体、及び水素と接触させるステップであり得る。一部の態様では、有機液体媒体及び有機反応媒体は、同じものであり得、または代替的には有機液体媒体及び有機反応媒体は、異なるものであり得る。一部の態様では、オリゴマー生成物は、反応ゾーン内で形成され得る。一部の態様では、オリゴマー生成物は、オリゴマー生成物を形成することができる条件下で形成され得る。二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン、クロム塩、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体、有機アルミニウム化合物、有機液体媒体、有機反応媒体、オリゴマー生成物が形成され得る条件(または代替的には反応ゾーンが作用し得る条件)、及びオリゴマー生成物の特徴(とりわけ、独立して記載される触媒系及びプロセス特徴)は、本明細書に独立して記載され、本明細書に開示されるプロセスをさらに記載するために、非限定的に、かつ任意の組み合わせで利用され得る。
【0095】
一態様では、本明細書に記載のプロセスは、a)二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体を含む(または代替的には二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン及びクロム塩を含む)組成物を形成することと、b)エチレン及び有機アルミニウム化合物を含む混合物を形成することと、c)ステップa)の組成物とステップb)の混合物とを接触させることと、d)オリゴマー生成物を形成することと、を含むことができる。一部の態様では、エチレン及び有機アルミニウム化合物を含む混合物は、水素をさらに含み得る。一部の態様では、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体を含む(または代替的には二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン及びクロム塩を含む)組成物は、有機液体媒体をさらに含み得る。一部の態様では、エチレン、有機アルミニウム化合物、及び任意選択で水素を含む混合物は、有機反応媒体をさらに含み得る。一態様では、プロセスは、a)二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体及び有機液体媒体を含むか、またはこれらから本質的になる(または代替的には二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン、クロム塩、及び有機液体媒体を含む)組成物を形成することと、b)エチレン、有機アルミニウム化合物、任意選択で水素、及び有機反応媒体を含む混合物を形成することと、c)ステップa)の組成物とステップb)の混合物とを接触させることと、d)オリゴマー生成物を形成することと、をさらに含むことができる。一部の態様では、有機液体媒体及び有機反応媒体は、同じものであり得、または代替的には有機液体媒体及び有機反応媒体は、異なるものであり得る。一部の態様では、オリゴマー生成物は、反応ゾーン内で形成され得る。一部の態様では、オリゴマー生成物は、オリゴマー生成物を形成することができる条件下で形成され得る。二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン、クロム塩、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体、有機アルミニウム化合物、有機液体媒体、有機反応媒体、オリゴマー生成物が形成され得る条件(または代替的には反応ゾーンが作用し得る条件)、及びオリゴマー生成物の特徴(とりわけ、組成物、混合物、オリゴマー生成物、及びプロセス特徴)は、本明細書に独立して記載され、本明細書に記載のプロセスをさらに記載するために、非限定的に、かつ任意の組み合わせで利用され得る。
【0096】
一態様では、本明細書に記載のプロセスは、a)エチレンと二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体を含む触媒系とを接触させることと(または代替的には二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンとクロム塩とを接触させることと)、b)反応ゾーン内でオリゴマー生成物を形成することと、を含むことができる。一部の態様では、本明細書に記載のプロセスは、a)エチレンと、水素と、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体を含む触媒系とを接触させることと(または代替的には二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンとクロム塩とを接触させることと)、b)反応ゾーン内でオリゴマー生成物を形成することと、を含むことができる。他の態様では、本明細書に記載のプロセスは、a)エチレンと、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体及び有機アルミニウム化合物(または代替的には二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン及びクロム塩及び有機アルミニウム化合物)を含む触媒系とを接触させることと、b)反応ゾーン内でオリゴマー生成物を形成することと、を含むことができる。さらに他の態様では、本明細書に記載のプロセスは、a)エチレンと、水素と、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体及び有機アルミニウム化合物を含む触媒系とを接触させることと(または代替的には二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンと、クロム塩と、有機アルミニウム化合物とを接触させることと)、b)反応ゾーン内でオリゴマー生成物を形成することと、を含むことができる。一態様では、対応するプロセスは、触媒系成分を含む触媒系混合物を形成することをさらに含むことができる。一部の態様では、触媒系混合物は、有機液体媒体であり得る(有機液体媒体中で形成され得る)。対応するプロセスの他の態様では、オリゴマー生成物は、有機反応媒体中で形成され得る(または反応ゾーンは、有機反応媒体を含み得る)。一部の態様では、有機液体媒体及び有機反応媒体は、同じものであり得、または代替的には有機液体媒体及び有機反応媒体は、異なるものであり得る。二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン、クロム塩、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体、有機アルミニウム化合物、有機液体媒体、有機反応媒体、オリゴマー生成物が形成され得る条件(または代替的には反応ゾーンが作用し得る条件)、及びオリゴマー生成物の特徴(とりわけ、組成物、混合物、オリゴマー生成物、及びプロセス特徴)は、本明細書に独立して記載され、本明細書に記載のプロセスをさらに記載するために、非限定的に、かつ任意の組み合わせで利用され得る。
【0097】
一態様では、本明細書に記載のプロセスは、バッチプロセスまたは連続プロセスであり得る。一部の態様では、本明細書に記載の任意のプロセスの反応ゾーンは、エチレンをオリゴマー化、三量体化、四量体化、または三量体化及び四量体化させてオリゴマー生成物にすることができる任意の反応器を含み得る。一部の態様では、反応ゾーンは、1つ以上の反応器を含み得る。一部の態様では、反応ゾーンは、撹拌タンク反応器、プラグフロー反応器、もしくはこれらの任意の組み合わせ、代替的には撹拌タンク反応器、または代替的にはプラグフロー反応器を含み得る。一態様では、本明細書に記載の任意のプロセスの反応ゾーンは、オートクレーブ反応器、連続撹拌タンク反応器、環状反応器、気相反応器、溶液反応器、管形反応器、再循環反応器、気泡反応器、またはこれらの任意の組み合わせ、代替的にはオートクレーブ反応器、代替的には撹拌タンク反応器、代替的には環状反応器、代替的には気相反応器、代替的には溶液反応器、代替的には管形反応器、代替的には再循環反応器、または代替的には気泡反応器を含み得る。一部の態様では、反応ゾーンは、複数の反応器、または代替的には1つのみの反応器を含み得る。複数の反応器が存在する場合、反応器のそれぞれは、同じものであり得、または代替的には反応器のうち2つ以上は異なるものであり得る。反応ゾーンは、バッチモードまたは連続モードで及び/または直列または並列で動作する本明細書に開示される任意のタイプの単一または複数の反応器を含み得る。
【0098】
本明細書に記載のプロセスは、有機液体媒体及び/または有機反応媒体を使用することができる。概して、有機液体媒体及び/または有機反応媒体は、本明細書の記載のプロセスにおいて、溶媒及び/または希釈剤として作用することができる。一態様では、有機液体媒体及び/または有機反応媒体は、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、またはこれらの組み合わせであり得る。有機液体媒体及び/または有機反応媒体として使用可能な炭化水素及びハロゲン化炭化水素としては、例えば、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、石油蒸留物、ハロゲン化脂肪族炭化水素、ハロゲン化芳香族炭化水素、またはこれらの組み合わせを挙げることができる。有機液体媒体及び/または有機反応媒体として使用可能な脂肪族炭化水素は、C~C20、C~C15、またはC~C10脂肪族炭化水素を含む。有機液体媒体及び/または有機反応媒体として使用可能な脂肪族炭化水素は、特に明記しない限り、環式または非環式であり得、及び/または直鎖または分枝鎖であり得る。利用可能な好適な非環式脂肪族炭化水素有機液体媒体及び/または有機反応媒体の非限定的な例としては、プロパン、イソブタン、n-ブタン、ブタン(n-ブタンまたは直鎖及び分枝鎖C非環式脂肪族炭化水素の混合物)、ペンタン(n-ペンタンまたは直鎖及び分枝鎖C非環式脂肪族炭化水素の混合物)、ヘキサン(n-ヘキサンまたは直鎖及び分枝鎖C非環式脂肪族炭化水素の混合物)、ヘプタン(n-ヘプタンまたは直鎖及び分枝鎖C非環式脂肪族炭化水素の混合物)、オクタン(n-オクタンまたは直鎖及び分枝鎖C非環式脂肪族炭化水素の混合物)、またはこれらの組み合わせが挙げられる。有機液体媒体及び/または有機反応媒体として使用可能な好適な環式脂肪族炭化水素の非限定的な例としては、シクロヘキサン、及びメチルシクロヘキサンが挙げられる。有機液体媒体及び/または有機反応媒体として使用可能な芳香族炭化水素は、C~C10芳香族炭化水素を含む。有機液体媒体及び/または有機反応媒体として利用可能な好適な芳香族炭化水素の非限定的な例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン(オルト-キシレン、メタ-キシレン、パラ-キシレン、またはこれらの混合物を含む)、エチルベンゼン、またはこれらの組み合わせが挙げられる。有機液体媒体及び/または有機反応媒体として使用可能なハロゲン化脂肪族炭化水素は、C~C15、C~C10、またはC~Cハロゲン化脂肪族炭化水素を含む。有機液体媒体及び/または有機反応媒体として使用可能なハロゲン化脂肪族炭化水素は、特に明記しない限り、環式または非環式であり得、及び/または直鎖または分枝鎖であり得る。有機液体媒体及び/または有機反応媒体として利用可能な好適なハロゲン化脂肪族炭化水素の非限定的な例としては、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。有機液体媒体及び/または有機反応媒体として使用可能なハロゲン化芳香族炭化水素は、C~C20、またはC~C10ハロゲン化芳香族炭化水素を含む。有機液体媒体及び/または有機反応媒体として使用可能な好適なハロゲン化芳香族炭化水素の非限定的な例としては、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0099】
有機液体媒体及び/または有機反応媒体の選択は、処理の利便性に基づいて行われる場合がある。例えば、イソブタンは、本明細書に記載のプロセスの生成物(複数可)を使用する(例えば、後続の処理ステップにおけるポリマーの形成のために該生成物を使用する)プロセスで使用される有機液体媒体及び/または有機反応媒体と相溶性があるように選択され得る。一部の態様では、有機液体媒体及び/または有機反応媒体は、オリゴマー生成物中のオリゴマーのうち1つ以上から容易に分離できるように選択され得る。一部の態様では、オリゴマー生成物のオリゴマーは、有機液体媒体及び/または有機反応媒体として利用することができる。例えば、1-ヘキセンがエチレン三量体化プロセスまたはエチレン三量体化及び四量体化プロセスのオリゴマーである場合、1-ヘキセンは、分離の必要性を低減させるために、有機液体媒体及び/または有機反応媒体として選択され得る。1-オクテンがエチレン四量体化プロセスまたはエチレン三量体化及び四量体化プロセスのオリゴマーである場合、1-オクテンは、分離の必要性を低減させるために、有機液体媒体及び/または有機反応媒体として選択され得る。
【0100】
概して、本明細書に記載のプロセスを使用して生成することができるオリゴマー生成物は、1)オリゴマー生成物形成を促進し、2)所望のオリゴマー生成物形成速度を提供し、3)許容可能な触媒系生産性を提供し、4)許容可能なオリゴマー選択性を提供し、及び/または5)許容可能なポリマー形成を提供できる条件で形成することができる(または代替的に反応ゾーンが任意の条件を有する場合がある)。一態様では、オリゴマー生成物が形成され得る条件(あるいは代替的に反応ゾーンがそのような条件を有し得る)としては、触媒系成分比率、クロム濃度、圧力、エチレン分圧、エチレン濃度、水素の存在(及びその分圧及び/または水素対エチレンの質量比)、温度、反応時間、単通過エチレン変換率、及び/または触媒系生産性のうち1つ以上を挙げることができる。触媒系成分比率、クロム濃度、圧力、エチレン分圧、エチレン濃度、水素の存在(及びその分圧及び/または水素対エチレンの質量比)、温度、反応時間、単通過エチレン変換率、及び触媒系生産性は、本明細書に独立して記載され、かつこれらの独立した記載は、オリゴマー生成物が形成され得る条件(複数可)及び/または反応ゾーンが本明細書に記載のプロセスのいずれかのために作用できる条件(複数可)を記載するために、非限定的に、かつ任意の組み合わせで利用され得る。
【0101】
一態様では、オリゴマー生成物は、10:1、50:1、75:1、または100:1の有機アルミニウムのアルミニウム対二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体(または代替的にクロム塩)のクロムの最小モル比(Al対Crモル比)で、代替的または追加的に、5,000:1、3,000:1、2,000:1、1,500:1、または1,000:1の最大Al対Crモル比で形成され得る(または反応ゾーンは、該Al対Crモル比で作用し得る)。一態様では、オリゴマー生成物は、本明細書に開示される任意の最小Al対Crモル比から明細書に開示される任意の最大Al対Crモル比までの範囲のAl対Crモル比で、形成され得る(または反応ゾーンは、該Al対Crモル比で作用し得る)。非限定的な態様では、Al対Crモル比は、10:1~5,000:1、50:1~3,000:1、75:1~2,000:1、100:1~2,000:1、または100:1~1,000:1の範囲である場合がある。他のAl対Crモル比の利用可能な範囲は、本開示を用いて当業者には容易に明らかとなるであろう。
【0102】
一態様では、オリゴマー生成物は、1×10-6Cr当量/リットル、1×10-5Cr当量/リットル、または5×10-4Cr当量/リットルの二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体のクロム(または代替的にクロム塩のクロム)の最低反応ゾーン濃度(すなわち、最低クロム濃度)で、代替的または追加的に、1Cr当量/リットル、0.5Cr当量/リットル、または0.1Cr当量/リットルの二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体のクロム(または代替的にクロム塩のクロム)の最高反応ゾーン濃度(すなわち、最高クロム濃度)で、形成され得る(または反応ゾーンは、該クロム濃度で作用し得る)。一態様では、オリゴマー生成物は、本明細書に開示される任意の最低クロム濃度から本明細書に開示される任意の最大クロム濃度までの範囲の反応ゾーンクロム濃度で形成され得る(または反応ゾーンは、該クロム濃度で作用し得る)。非限定的な態様では、反応ゾーンクロム濃度は、1×10-6Cr当量/リットル~1Cr当量/リットル、1×10-5Cr当量/リットル~0.5Cr当量/リットル、または5×10-4Cr当量/リットル~0.1Cr当量/リットルの範囲であり得る。利用可能な他のクロム濃度範囲は、本開示を用いて当業者には容易に明らかとなるであろう。
【0103】
一態様では、オリゴマー生成物は、5psi(34.5kPa)、50psi(345kPa)、100psi(689kPa)、150psi(1.03MPa)、250psi(1.72MPa)、500psi(3.5MPa)、または600psi(4.1MPa)の最小圧力で、代替的または追加的に、2,500psi(17.2MPa)、2,000psi(13.8MPa)、1,500psi(10.3MPa)、1250psi(8.62MPa)、または1000psi(6.89MPa)の最大圧力で、形成され得る(または反応ゾーンは、該圧力で作用し得る)。一態様では、オリゴマー生成物は、本明細書に開示される任意の最小圧力から本明細書に開示される任意の最大圧力までの範囲の圧力で、形成され得る(または反応ゾーンは、該圧力で作用し得る)。一部の非限定的な態様では、オリゴマー生成物は、5psi(34.5kPa)~2,500psi(17.2MPa)、5psi(34.5kPa)~2,000psi(13.8MPa)、50psi(345kPa)~2,000psi(13.8MPa)、100psi(689kPa)~2,000psi(13.8MPa)、100psi(689kPa)~1,500psi(10.3MPa)、150psi(1.03MPa)~1500psi(10.3MPa)、250psi(1.72MPa)~1250psi(8.62MPa)、500psi(3.5MPa)~1250psi(8.62MPa)、または600psi(4.1MPa)~1000psi(6.89MPa)の圧力で、形成され得る(または反応ゾーンは、該圧力で作用し得る)。利用可能な他の圧力範囲は、本開示を用いて当業者には容易に明らかとなるであろう。
【0104】
一態様では、オリゴマー生成物は、5psi(34.5kPa)、50psi(345kPa)、100psi(689kPa)、150psi(1.03MPa)、250psi(1.72MPa)、または500psi(3.5MPa)の最小エチレン分圧で、代替的または追加的に、2,500psi(17.2MPa)、2,000psi(13.8MPa)、1,500psi(10.3MPa)、1250psi(8.62MPa)、または1000psi(6.89MPa)の最大エチレン分圧で、形成され得る(または反応ゾーンは、該エチレン分圧で作用し得る)。一態様では、オリゴマー生成物は、本明細書に開示される任意の最小エチレン分圧から本明細書に開示される任意の最大エチレン分圧までの範囲のエチレン分圧で、形成され得る(または反応ゾーンは、該エチレン分圧で作用し得る)。一部の非限定的な態様では、オリゴマー生成物は、5psi(34.5kPa)~2,500psi(17.2MPa)、5psi(34.5kPa)~2,000psi(13.8MPa)、50psi(345kPa)~2,000psi(13.8MPa)、100psi(689kPa)~2,000psi(13.8MPa)、100psi(689kPa)~1,500psi(10.3MPa)、150psi(1.03MPa)~1250psi(8.62MPa)、250psi(1.72MPa)~1000psi(6.89MPa),または500psi(3.5MPa)~1000psi(6.89MPa)のエチレン分圧で、形成され得る(または反応ゾーンは、該エチレン分圧で作用し得る)。他のエチレン分圧範囲は、本開示を用いて当業者には容易に明らかとなるであろう。
【0105】
一態様では、オリゴマー生成物は、反応ゾーン内の総質量を基準にして4質量%、10質量%、25質量%、35質量%、または40質量%の最低エチレン濃度で、代替的または追加的に、反応ゾーン内の総質量を基準にして70質量%、65質量%、60質量%、55質量%、50質量%、または48質量%の最高エチレン濃度で、形成され得る(または反応ゾーンは、該エチレン濃度で作用し得る)。一態様では、オリゴマー生成物は、本明細書に開示される任意の最低エチレン濃度から本明細書に開示される任意の最高エチレン濃度までの範囲のエチレン濃度で、形成され得る(または反応ゾーンは、該エチレン濃度で作用し得る)。一部の非限定的な態様では、オリゴマー生成物は、反応ゾーン内の総質量を基準にして4質量%~70質量%、4質量%~65質量%、10質量%~60質量%、25質量%~60質量%、25質量%~55質量%、35質量%~50質量%、または40質量%~48質量%の範囲のエチレン濃度で、形成され得る(または反応ゾーンは、該エチレン濃度で作用し得る)。利用可能な他のエチレン濃度範囲は、本開示を用いて当業者には容易に明らかとなるであろう。
【0106】
一態様では、オリゴマー生成物は、50,000:1、150,000:1、250,000:1、または400,000:1の最小エチレン:クロム質量比で、代替的または追加的に、5,000,000:1、2,500,000:1、1,500,000:1、または1,000,000:1の最大エチレン:クロム質量比で、形成され得る(または反応ゾーンは、該エチレン:クロム質量比で作用し得る)。一態様では、オリゴマー生成物は、本明細書に開示される任意の最小エチレン:クロム質量比から本明細書に開示される任意の最大エチレン:クロム質量比までの範囲のエチレン:クロム質量比で、形成され得る(または反応ゾーンは、該エチレン:クロム質量比で作用し得る)。一部の非限定的な態様では、オリゴマー生成物は、50,000:1~5,000,000:1、150,000:1~2,500,000:1、250,000:1~1,500,000:1、または400,000:1~1,000,000:1の範囲のエチレン:クロム質量比で、形成され得る(または反応ゾーンは、該エチレン:クロム質量比で作用し得る)。利用可能な他のエチレン:クロム質量比範囲は、本開示を用いて当業者には容易に明らかとなるであろう。概して、エチレン:クロム質量比は、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体(または代替的にはクロム塩)のクロムに基づく。
【0107】
水素が利用される一態様では、オリゴマー生成物は、1psi(6.9kPa)、2psi(14kPa)、5psi(34kPa)、10psi(69kPa)、または15psi(103kPa)の最小水素分圧で、代替的または追加的に、200psi(1.4MPa)、150psi(1.03MPa)、100psi(689kPa)、75psi(517kPa)、または50psi(345kPa)の最大水素分圧で、形成され得る(または反応ゾーンは、該水素分圧で作用し得る)。一態様では、オリゴマー生成物は、本明細書に開示される任意の最小水素分圧から本明細書に開示される任意の最大水素圧力までの範囲の水素分圧で、形成され得る(または反応ゾーンは、該水素分圧で作用し得る)。水素が利用される一部の非限定的な態様では、オリゴマー生成物は、1psi(6.9kPa)~200psi(1.4MPa)、2psi(14kPa)~150psi(1.03MPa)、5psi(34kPa)~100psi(689kPa)、10psi(69kPa)~75psi(517kPa)、または15psi(103kPa)~50psi(345kPa)の水素分圧で、形成され得る(または反応ゾーンは、該水素分圧で作用し得る)。利用可能な他の水素分圧範囲は、本開示を用いて当業者には容易に明らかとなるであろう。
【0108】
水素が利用される一態様では、オリゴマー生成物は、(0.05g水素)/(kgエチレン)、(0.1g水素)/(kgエチレン)、(0.25g水素)/(kgエチレン)、(0.4g水素)/(kgエチレン)、または(0.5g水素)/(kgエチレン)の最小水素対エチレン質量比で、代替的または追加的に、(5g水素)/(kgエチレン)、(3g水素)/(kgエチレン)、(2.5g水素)/(kgエチレン)、(2g水素)/(kgエチレン)、または(1.5g水素)/(kgエチレン)の最大水素対エチレン質量比で、形成され得る(または反応ゾーンは、該水素対エチレン質量比で作用し得る)。一態様では、オリゴマー生成物は、本明細書に開示される任意の最小水素対エチレン質量比から本明細書に開示される任意の最大水素対エチレン質量比までの範囲の水素対エチレン質量比で、形成され得る(または反応ゾーンは、該水素対エチレン質量比で作用し得る)。一部の非限定的な態様では、オリゴマー生成物は、(0.05g水素)/(kgエチレン)~(5g水素)/(kgエチレン)、(0.1g水素)/(kgエチレン)~(5g水素)/(kgエチレン)、(0.25g水素)/(kgエチレン)~(4g水素)/(kgエチレン)、(0.4g水素)/(kgエチレン)~(3g水素)/(kgエチレン)、(0.4g水素)/(kgエチレン)~(2.5g水素)/(kgエチレン)、(0.4g水素)/(kgエチレン)~(2g水素)/(kgエチレン)、(0.5g水素)/(kgエチレン)~(2g水素)/(kgエチレン)、または(0.5g水素)/(kgエチレン)~(1.5g水素)/(kgエチレン)の水素対エチレン質量比で、形成され得る(または反応ゾーンは、該水素対エチレンの質量比で作用し得る)。利用可能な他の水素対エチレン質量比範囲は、本開示を用いて当業者には容易に明らかとなるであろう。
【0109】
一態様では、オリゴマー生成物は、1:1、50:1、100:1または200:1の二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体(または代替的にはクロム塩)の最小水素:クロムの質量比(最小水素:クロムの質量比)で、代替的または追加的に、100,000:1、50,000:1、10,000:1、または3,000:1の二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体(または代替的にはクロム塩)の最大水素:クロム質量比(最大水素:クロム質量比)で、形成され得る(または反応ゾーンは、該水素:クロムの質量比で作用し得る)。一態様では、オリゴマー生成物は、本明細書に開示される任意の最小水素:クロムの質量比から本明細書に開示される任意の最大水素:クロムの質量比までの範囲の二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体(または代替的にはクロム塩)の水素:クロム質量比(水素:クロム質量比)で、形成され得る(または反応ゾーンは、該水素:クロム質量比で作用し得る)。一部の非限定的な態様では、オリゴマー生成物は、1:1~100,000:1、50:1~50,000:1、100:1~10,000:1、または200:1~3,000:1の範囲の水素:クロム質量比で、形成され得る(または反応ゾーンは、該水素:クロム質量比で作用し得る)。利用可能な他の水素:クロム質量比範囲は、本開示を用いて当業者には容易に明らかとなるであろう。概して、水素:クロム質量比は、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体(または代替的にはクロム塩)のクロムに基づく。
【0110】
一態様では、オリゴマー生成物は、0℃、25℃、40℃、または50℃の最低温度で、代替的または追加的に、200℃、150℃、100℃、または90℃の最高温度で、形成され得る(または反応ゾーンは、該温度で作用し得る)。一態様では、オリゴマー生成物は、本明細書に開示される任意の最低温度から本明細書に開示される任意の最高温度までの範囲の温度で、形成され得る(または反応ゾーンは、該温度で作用し得る)。一部の非限定的な態様では、オリゴマー生成物は、0℃~200℃、25℃~150℃、40℃~100℃、50℃~100℃、または50℃~90℃で、形成され得る(または反応ゾーンは、該温度で作用し得る)。利用可能な他の温度範囲は、本開示を用いて当業者には容易に明らかとなるであろう。
【0111】
反応ゾーン内の反応時間(または滞留時間もしくは平均滞留時間)は、所望の量のオリゴマー生成物を生成できる任意の時間、代替的には所望の触媒系生産性を提供できる任意の反応時間(または滞留時間)、代替的には所望のエチレン変換率を提供できる任意の反応時間(または滞留時間もしくは平均滞留時間)を含むことができる。オリゴマー生成物を形成することに関して、オリゴマー生成物は、所望の量のオレフィン生成物またはポリマー生成物を生成し、所望の触媒系生産性を提供し、及び/または単量体の所望の変換率を提供できる期間(または平均滞留時間)にわたって形成することができる。一部の態様では、反応時間(または滞留時間もしくは平均滞留時間)は、1分~5時間の範囲であり得、代替的には5分~2.5時間の範囲であり得、代替的には10分~2時間の範囲であり得、または代替的には15分~1.5時間の範囲であり得る。一部の態様では(連続プロセスの態様では)、反応時間(または滞留時間もしくは平均滞留時間)は、平均反応時間(または平均滞留時間)として記述され得、かつ1分~5時間の範囲であり得、代替的には5分~2.5時間の範囲であり得、代替的には10分~2時間の範囲であり得、または代替的には15分~1.5時間の範囲であり得る。
【0112】
一態様では、本明細書に記載のプロセスは、少なくとも30%、35%、40%、または45%のエチレン変換率を有することができる。別の態様では、エチレン変換率は、少なくとも30%、35%、40%、または45%の単通過変換率であり得る。
【0113】
一態様では、本明細書に記載のプロセスは、クロム1グラムあたり10,000グラム、50,000グラム、100,000グラム、150,000グラム、200,000グラム、300,000グラム、または400,000グラム(C+C)を上回る触媒系生産性(g(C+C)/gCr)を有することができる。
【0114】
利用される触媒系に応じて、本明細書に記載のプロセスは、エチレンオリゴマー化プロセス、エチレン三量体化プロセス、エチレン四量体化プロセス、またはエチレン三量体化及び四量体化プロセス、代替的にはエチレンオリゴマー化プロセス、代替的にはエチレン三量体化プロセス、代替的にはエチレン四量体化プロセス、または代替的にはエチレン三量体化及び四量体化プロセスであり得る。エチレン三量体化の態様では、オリゴマー生成物は、オリゴマー生成物の重量に基づいて、少なくとも70重量%のヘキセン、少なくとも75重量%のヘキセン、少なくとも80重量%のヘキセン、少なくとも85重量%のヘキセン、または少なくとも90重量%のヘキセンを含み得る。一部のエチレン三量体化の態様では、オリゴマー生成物は、オリゴマー生成物の重量に基づいて、70重量%~99.8重量%のヘキセン、75重量%~99.7重量%のヘキセン、または80重量%~99.6重量%のヘキセンを含み得る。エチレン四量体化の態様では、オリゴマー生成物は、オリゴマー生成物の重量に基づいて、少なくとも70重量%のオクテン、少なくとも75重量%のオクテン、少なくとも80重量%のオクテン、少なくとも85重量%のオクテン、または少なくとも90重量%のオクテンを含み得る。一部のエチレン四量体化の態様では、オリゴマー生成物は、オリゴマー生成物の重量に基づいて、70重量%~99.8重量%のオクテン、75重量%~99.7重量%のオクテン、または80重量%~99.6重量%のオクテンを含み得る。エチレン三量体化及び四量体化の態様では、オリゴマー生成物は、オリゴマー生成物の重量に基づいて、少なくとも70重量%のヘキセン及びオクテン、少なくとも75重量%のヘキセン及びオクテン、少なくとも80重量%のヘキセン及びオクテン、少なくとも85重量%のヘキセン及びオクテン、または少なくとも90重量%のヘキセン及びオクテンを含み得る。一部のエチレン三量体化及び四量体化の態様では、オリゴマー生成物は、オリゴマー生成物の重量に基づいて、70重量%~99.8重量%のヘキセン及びオクテン、75重量%~99.7重量%のヘキセン及びオクテン、または80重量%~99.6重量%のヘキセン及びオクテンを含み得る。
【0115】
エチレンオリゴマー化、エチレン三量体化、またはエチレン三量体化及び四量体化の態様では、エチレン三量体は、エチレン三量体の重量に対して、少なくとも90重量%の1-ヘキセン、代替的には少なくとも92.5重量%の1-ヘキセン、代替的には少なくとも95重量%の1-ヘキセン、代替的には少なくとも97重量%の1-ヘキセン、または代替的には少なくとも98重量%の1-ヘキセンを含み得る。他のエチレンオリゴマー化、エチレン三量体化、またはエチレン三量体化及び四量体化の態様では、エチレン三量体は、エチレン三量体の重量に対して、85重量%~99.9重量%の1-ヘキセン、代替的には87.5重量%~99.9重量%の1-ヘキセン、代替的には90重量%~99.9重量%の1-ヘキセン、代替的には92.5重量%~99.9重量%の1-ヘキセン、代替的には95重量%~99.9重量%の1-ヘキセン、代替的には97重量%~99.9重量%の1-ヘキセン、代替的には98重量%~99.9重量%の1-ヘキセンを含み得る。
【0116】
エチレンオリゴマー化、エチレン四量体化、またはエチレン三量体化及び四量体化の態様では、エチレン四量体は、エチレン四量体の重量に対して、少なくとも85重量%の1-オクテン、代替的には少なくとも90重量%の1-オクテン、代替的には少なくとも92.5重量%の1-オクテン、代替的には少なくとも95重量%の1-オクテン、代替的には少なくとも97重量%の1-オクテン、または代替的には少なくとも98重量%の1-オクテンを含み得る。他のエチレンオリゴマー化、エチレン四量体化、またはエチレン三量体化及び四量体化の態様では、エチレン四量体は、エチレン四量体の重量に対して、85重量%~99.9重量%の1-オクテン、代替的には90重量%~99.9重量%の1-オクテン、代替的には92.5重量%~99.9重量%の1-オクテン、代替的には95重量%~99.9重量%の1-オクテン、代替的には97重量%~99.9重量%の1-オクテン、または代替的には98重量%~99.9重量%の1-オクテンを含み得る。
【0117】
一部の態様では、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体(または代替的には二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン及びクロム塩)を利用する本明細書に記載のプロセスは、C及びCオレフィン生成物の混合物を含むオリゴマー生成物を生成することができ、ここで、Cオレフィン生成物対Cオレフィン生成物の質量比は、少なくとも0.5:1、少なくとも1:1、少なくとも1.5:1、または少なくとも1.75:1であり得る。
【0118】
実施例
方法論
分子触媒から生成物の予測が可能となる、正確な密度汎関数理論(DFT)、溶媒和法、及び量子力学ツールの開発がこれまでに登場している。対象の分野の1つは、エチレン三量体化及び/または四量体化触媒系によって生成されるヘキセン及び/またはオクテンの相対量を予測できるようにすることである。計算方法を使用して、特定のエチレン三量体化及び/または四量体化触媒によって生成されるヘキセン及び/またはオクテンの相対量を予測できるようにするために、ヘキセン及び/またはオクテン選択性を実証することができる妥当なメカニズムが必要である。i)Britovsek,G.J.P.and McGuinness,D.S.Chem.Eur.J.2016,22,16891-16896、ii)Britovsek,G.J.P.;McGuinness,D.S.;Tomov,A.K.Catal.Sci.Technol.2016,6,8234-8241、iii)Hossain,M.A.;Kim,H.S.;Houk,K.N.Cheong,M.Bull.Korean Chem.Soc.2014,35,2835-2838、iv)Gong,M.;Liu,Z.;Li,Y.;Ma,Y.;Sun,Q.;Zhang,J.;Liu,B.Organometallics 2016,35,972-981、v)Yang,Y.;Liu,Z.;Cheng,R.;He,X.;Liu,B.Organometallics 2014,33,2599-2607、vi)Qi,Y.;Zhong,L.;Liu,Z.;Qiu,P.;Cheng,R.;He,X.;Vanderbilt,J.;Liu,B.Organometallics 2010, 29,1588-1602、vii)Budzelaar,P.H.M.Can.J.Chem.2009,87,832-837、viii)Bhaduri,S.;Mukhopadhyay,S.;Kulkarni,S.A.J.Organomet.Chem.2009,694,1297-1307、及び ix)van Rensburg,W.J.;Grove,C.;Steynberg,J.P.;Stark,K.B.;Huyser,J.J.;Steynberg,P.J.Organometallics 2004,23,1207-1222、及びexperimental studies of Bartlett,S.A.;Moulin,J.;Tromp,M.;Reid,G.;Dent,A.J.;Cibin,G.;McGuinness,D.S.;Evans,J.ACS Catal.2014,4,4201-4204の計算的及び実験的研究を使用して、かつ理論に限定されることなく、スキーム1をエチレン三量体化及び/または四量体化の妥当な触媒メカニズムとして開発した。
【化9】

スキーム1では、エチレンの存在下でのプレ触媒活性化により、低原子価Crエチレン配位種Aが生成し得る。2つのエチレン単位の酸化的C-C結合カップリングにより、クロマシクロペンタンBが形成し、次に、これがさらに別のエチレンと配位してクロマシクロペンタンエチレン配位種Cが形成し、続いて、転位エチレン挿入により、クロマシクロヘプタン中間体Dとなり得る。中間体Dは、ヘキセン及びオクテンを生成するためのメカニズムが分岐することがある機構的経路における共通の中間体を意味する。ヘキセンは、クロマシクロヘプタン中間体Dから遷移状態TS1を介したβ-水素転移によって生成され得、1-ヘキセン及び還元されたCr種が形成し、次に、この還元されたCr種は、エチレンの存在下で低原子価Crエチレン配位種Aを再形成し得る。オクテンは、クロマシクロヘプタン中間体Dから、i)エチレン配位によって生成され得、エチレン配位種Eが形成し、ii)遷移状態TS2を通したエチレン転位挿入によってクロマシクロノナン種Fが形成し、かつiii)クロマシクロノナン種F内のβ-水素転移によって1-オクテン及び還元されたCr種が形成し得、次に、この還元されたCr種は、エチレンの存在下で低原子価Crエチレン配位種Aを再形成し得る。この2つの遷移状態モデルは、Curtin-Hammett条件としてよく知られている動的平衡を想定しており、この際、TS1及びTS2は、共通のクロマシクロヘプタン中間体Dから生じ、可能な中間体の高速平衡によりTS1及びTS2に至る。このメカニズムを介して、選択性は、遷移状態TS1の競合的なβ-水素転移、及び中間体Dから遷移状態TS2を通した転位エチレン挿入によって得ることができる。
【0119】
理論に制限されることなく、次に、スキーム1のメカニズムを予測方法に適用して、これまで知られていなかったヘテロ原子配位子クロム塩錯体、例えば、本明細書に開示される二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体のヘキセン及び/またはオクテンの相対量の予測を可能にした。この予測方法では、密度汎関数理論の計算を、実験的に評価したN-ホスフィニルアミジンクロム塩錯体に適用して、密度汎関数理論計算と、ヘキセン及び/またはオクテンの実験的に観察された量との相関を得た。次に、相関を使用して、本明細書に開示される二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体によって生成されるヘキセン及び/またはオクテンの量を予測する。
【0120】
理論に制限されることを望まないが、スキーム2及びスキーム3は、それぞれ、構造BPACICr Iまたは構造BPACICr IIを有する二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体を使用して、ヘキセン及びオクテンを生成するための重要な競合及び選択性を決定する反応座標経路を示している。これらのスキームは、対応する一般的な二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体CrCH 1、対応する一般的な二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体CrCH 2、対応する一般的な二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体ヘキセン遷移状態TS C6、及び対応する一般的な二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体オクテン遷移状態TS C8を含む。したがって、構造BPACICr Iまたは構造BPACICr IIを有する一般的な二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体に基づく触媒系の場合、1)対応する一般的な二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロムクロマシクロヘプタン錯体CrCH 1及び対応する一般的な二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体ヘキセン遷移状態TS C6のギブズ自由エネルギーの差と、2)対応する一般的な二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロムクロマシクロヘプタン錯体CrCH 2及び対応する一般的な二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体オクテン遷移状態TS C8のギブズ自由エネルギーの差との間のギブズ自由エネルギー差ΔΔGを、予測相関方法で利用して、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体BPACICr Iまたは構造BPACICr IIによって生成されるヘキセン及び/またはオクテンの相対量を予測することができる。さらに、理論に制限されることなく、対応する一般的な二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロムクロマシクロヘプタン錯体CrCH 1及び一般的なN-ホスフィニルアミジンクロムクロマシクロヘプタン錯体CrCH 2は、互いに炭素-炭素クロマシクロヘプタン回転異性体であり、かつそれらの相互変換のエネルギー障壁が低いことが予想されるため、ギブズ自由エネルギー差ΔΔGの計算を簡略化して、対応する一般的な二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体ヘキセン遷移状態TS C6と対応する一般的な二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体オクテン遷移状態TS C8との間のギブズ自由エネルギー差を算出することができる(スキーム2のΔΔG)。したがって、ギブズ自由エネルギー差ΔΔGは、実験的に試験した二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体によって生成されたヘキセン及び/またはオクテンの実験的に観察された量と相関していた。
【化10】
【0121】
密度汎関数理論の計算
シクロヘキサンに対するSMD陰溶媒モデル(Marenich,A.V.;Cramer,C.J.;Truhlar,D.G.,J.Phys.Chem.B.2009,113,6378-6396で実装されたような)と組み合わせた密度汎関数理論の計算(特に、制約なしUM06L/Def2-TZVP//UM06/6-31G(d,p)(LANL2DZ)理論)を使用して、カチオン性二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体ヘキセン遷移状態TS C6(以後、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体ヘキセン遷移状態TS C6)及びカチオン性二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体オクテン遷移状態TS C8(以後、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体ヘキセン遷移状態TS C8)のギブズ自由エネルギーを、それぞれの二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体に対して計算した。次に、それぞれの二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体に対する、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体ヘキセン遷移状態TS C6と二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体オクテン遷移状態TS C8との間のギブズ自由エネルギー差ΔΔGを計算した。カチオン性二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体遷移状態TS C6(及び本明細書で使用されるその他の遷移状態エネルギー)及びカチオン性二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体オクテン遷移状態TS C8(及び本明細書で使用されるその他の遷移状態エネルギー)のギブズ自由エネルギーの計算は、平衡を保つアニオンの影響を考慮せずに行った。
【0122】
Gaussian 09(Frisch,M.J.et al.Gaussian 09(商標),Revision B.01,Gaussian,Inc.:Wallingford,CT,USA,2009)を使用して、密度汎関数理論の計算を行った。
【0123】
それぞれの二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体に対する、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体ヘキセン遷移状態TS C6(正確な配位子に応じて3~40の空間的構造)及び二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体オクテン遷移状態TS C8(正確な配位子に応じて3~40の空間的構造)の各自由度及び各スピン状態を考慮した幾何学的配置を、クロムに対しては擬ポテンシャルLANL2DZ基底関数セット(Gaussian 09(商標),Revision B.01に実装された)を使用し、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩遷移状態の他の全ての原子に対してはlocal Minnesota 06密度汎関数理論6-31G(d,p)基底関数セット(すなわち、UM06/6-31G(d,p)基底関数セット)の制約なし近似を使用して、計算した。遷移状態構造を、反応座標に対応した単一の負の振動周波数を確実にするために、力定数の完全セットで計算した。加えて、基底状態構造の振動周波数を、二次エネルギー微分(すなわち、力定数)に対応するように計算し、局所最小エネルギー構造を確認するために分析した。さらに、零点エネルギー(ΔEZPE(微小))、振動、回転、及び並進エネルギー(それぞれ、ΔU振動(微小)、ΔU回転(微小)、ΔU並進(微小))、ならびに振動、回転、及び並進エントロピー(それぞれ、ΔS振動(微小)、ΔS回転(微小)、ΔS並進(微小))を、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体ヘキセン遷移状態TS C6及び二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体オクテン遷移状態TS C8のギブズ自由エネルギーの計算で使用するために取得した。
【0124】
エネルギーが最も低い二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体ヘキセン遷移状態TS C6空間的構造及びエネルギーが最も低い二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体オクテン遷移状態TS C8空間的構造の溶媒和幾何学的配置、それと共に、エネルギーが最も低い二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体ヘキセン遷移状態TS C6空間的構造及びエネルギーが最も低い二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体オクテン遷移状態TS C8空間的構造にエネルギーが比較的近い任意の空間的構造を、シクロヘキサンに対してパラメータ化され、かつGaussian 09に実装された連続体モデル(SMD)を使用して計算した。遷移状態構造を、反応座標に対応した単一の負の振動周波数を確実にするために、力定数の完全セットで計算した。加えて、基底状態構造の振動周波数を、二次エネルギー微分(すなわち、力定数)に対応するように計算し、局所最小エネルギー構造を確認するために分析した。
【0125】
次に、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体ヘキセン遷移状態TS C6及び二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体オクテン遷移状態TS C8の、電子運動エネルギー及び位置エネルギー、ならびに核反発作用エネルギー(E(大))を含む総自己無どう着場電子エネルギー、ならびに、標準状態溶媒和自由エネルギー変化(ΔG溶媒和(大))を、local Minnesota 06密度汎関数理論Def2-TZVP基底関数セットUM06L/Def2-TZVP(2016年1月1日にhttps://bse.pnl.gov/bse/portalからダウンロード)の制約なし近似を使用して計算し、正確なスピン状態エネルギー及び弱い分散力の正確な計算を得た。
【0126】
次に、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体ヘキセン遷移状態TS C6及び二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体オクテン遷移状態TS C8のギブズ自由エネルギーを、方程式E(大)+ΔEZPE(微小)+ΔU振動(微小)+ΔU回転(微小)+ΔU並進(微小)+nRT-TΔS振動(微小)-TΔS回転(微小)-TΔS並進(微小)+ΔG溶媒和(大)を使用して計算した。式中、Rは、理想気体定数であり、Tは温度(これらの計算には、298Kを使用した)である。次に、それぞれの二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体に対する、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体ヘキセン遷移状態TS C6と二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体オクテン遷移状態TS C8との間のギブズ自由エネルギー差ΔΔGを、二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体ヘキセン遷移状態TS C6のギブズ自由エネルギーマイナス二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体オクテン遷移状態TS C8のギブズ自由エネルギーとして計算した。
【0127】
表1は、示したN-ホスフィニルアミジン配位子を有するクロム錯体を使用した実験データが決定されている(エチレンオリゴマー化実施例を参照)5つのN-ホスフィニルアミジンクロム塩錯体(NPA1-NPA5)に対する、N-ホスフィニルアミジンクロム塩錯体ヘキセン遷移状態TS C6とN-ホスフィニルアミジンクロム塩錯体オクテン遷移状態TS C8との間の計算したΔΔG値を示している。表1は、さらに、構造BPACI 1、BPACI 2、またはBPACI 3を有する配位子を使用した二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体のΔΔGの予測値及び生成物分布を示している。
【0128】
エチレンオリゴマー化の実施例
1Lのステンレス鋼オートクレーブ反応器を、使用前に、110℃で少なくとも8時間、真空下で乾燥させた。次に、反応器を50℃まで冷却させた。ドライボックス内で、20mLのガラスバイアルにN-ホスフィニルアミジンクロム錯体(0.009~0.010mmol)、エチルベンゼン(2.00g)、MMAO-3A(400~800当量)、Al(ヘプタン中7重量%Al溶液)、及び内部標準(n-ノナン、1.00g)を充填した。次に、本溶液を、シクロヘキサン(400mL)を含有する0.5Lのガラス充填器に添加した。混ぜ合わせた溶液を、ドライボックスから取り出し、静的真空下で1Lのステンレス鋼オートクレーブ反応器に充填した。次に、反応温度を下回る5℃まで反応器を加熱し、水素を充填した。次に、エチレンを、必要に応じて反応器に充填し、所望の動作圧力を維持した。30分後、1Lのステンレス鋼オートクレーブ反応器を水冷して、エチレンオリゴマー化反応を停止させた。反応器温度が35℃に達した時点で、未反応のエチレン及び水素ガスを大気中に排出した。次に、1Lのステンレス鋼オートクレーブ反応器の内容物の液体サンプルを、室温で収集して、ガスクロマトグラフィーによって分析した。反応液を濾過し、反応器壁及び冷却コイルを洗浄することによって、反応器固形物を収集した。N-ホスフィニルアミジン配位子1~5のクロム塩錯体のそれぞれに対する、オリゴマー生成物で観察された三量体(1-ヘキセン)及び四量体(1-オクテン)の質量%(生成した総三量体及び四量体のパーセンテージ)を、表1に報告する。
【表2-1】

【表2-2】
【0129】
ΔΔG及びC/C質量比の相関
-ホスフィニルアミジン配位子NPA1~NPA5の実験的に評価したクロム塩錯体の計算したΔΔGにより、C~C質量比の自然対数ln(質量C/質量C)(または代替的にはln(C/C))と良好な線形相関が得られることが分かった。これは、エチレンをオリゴマー化するための触媒系で5つのN-ホスフィニルアミジン配位子のクロム塩錯体を利用した際に観察された(本明細書で提供するエチレンオリゴマー化の実施例を参照されたい)。図1は、表1の5つのN-ホスフィニルアミジン配位子のクロム塩錯体の計算したΔΔG対ln(C/C)のグラフを提供している。このデータの最小二乗適合線は、相関係数Rが0.9744で、ΔΔGとヘキセン及びオクテンの実験的に観察された質量との間の良好な相関を示している。ΔΔG対ln(C/C)傾向線を使用して、構造BPACI 1~BPACI 3を有する二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン配位子のクロム塩錯体のln(C/C)を計算する。次に、図1に提示した線形相関を利用して、ln(C/C)、及び表1に提示した、対応するCの質量%及びCの質量%を決定した。
【0130】
-ホスフィニルアミジン配位子の合成
-ホスフィニルアミジン配位子(NPA1~NPA5)の合成及び本開示の二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン配位子(例えば、BPACI 1、BPACI 2、及びBPACI 3)の潜在的な合成は、米国特許出願第15/166,991号及び米国特許出願第15/171,170号(それらの全体が参照により本明細書に援用される)で提供されているような一般的な合成手順を使用して実施することができる。
【0131】
追加の開示
したがって、保護範囲は、上記の説明によって限定されないが、以下の添付の特許請求の範囲のみにより限定され、その範囲は特許請求の範囲の主題の全ての等価物を含む。それぞれ及び全ての請求項は、本開示の一態様として明細書に組み込まれる。したがって、特許請求の範囲は、さらなる説明であり、かつ本開示の詳細な説明への追加である。本明細書に引用される全ての特許、特許出願、及び刊行物の開示は、参照により本明細書に援用される。
【0132】
条項1.触媒系であって、i)(a)構造BPACICr Iまたは構造BPACICr IIを有する二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体、
【化11】

または(b)クロム塩及び構造BPACI Iまたは構造BPACI IIを有する二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンであって、
【化12】

式中、R23、R24、R25、及びR26は、独立して、水素またはC~C30オルガニル基であり、L及びLは、独立して、C~C30ヒドロカルビレン基であり、R及びRは、独立して、C~C30オルガニル基であり、かつR及びRは、任意選択で、組み合わされて、リン原子を含む環または環系を形成するL45が形成され、式中、L45は、C~C30オルガニレン基であり、CrXは、クロム塩であり、式中、Xは、モノアニオンであり、pは、2~6の整数である、前記二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体または前記クロム塩及び前記二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンと、ii)有機アルミニウム化合物と、を含む、前記触媒系。
【0133】
条項2.前記有機アルミニウム化合物は、アルミノキサンを含む、条項1に記載の触媒系。
【0134】
条項3.前記アルミノキサンは、メチルアルミノキサン、修飾メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、n-プロピルアルミノキサン、イソ-プロピルアルミノキサン、n-ブチルアルミノキサン、sec-ブチルアルミノキサン、イソ-ブチルアルミノキサン、t-ブチルアルミノキサン、1-ペンチルアルミノキサン、2-ペンチルアルミノキサン、3-ペンチルアルミノキサン、イソ-ペンチルアルミノキサン、ネオペンチルアルミノキサン、またはこれらの混合物を含む、条項2に記載の触媒系。
【0135】
条項4.前記触媒系は、前記有機アルミニウム化合物のアルミニウム対前記クロム塩のクロムまたは前記2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体のクロムのモル比が10:1~5,000:1の範囲である、条項1~3のいずれか1項に記載の触媒系。
【0136】
条項5.プロセスであって、a)i)エチレンと、ii)(a)(i)構造BPACICr Iまたは構造BPACICr IIを有する二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体、
【化13】

または(ii)クロム塩及び構造BPACI Iまたは構造BPACI IIを有する二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンであって、
【化14】

式中、R23、R24、R25、及びR26は、独立して、水素またはC~C30オルガニル基であり、L及びLは、独立して、C~C30ヒドロカルビレン基であり、R及びRは、独立して、C~C30オルガニル基であり、かつR及びRは、任意選択で、組み合わされて、リン原子を含む環または環系を形成するL45が形成され、式中、L45は、C~C30オルガニレン基であり、CrXは、クロム塩であり、式中、Xは、モノアニオンであり、pは、2~6の整数である、前記2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体または前記クロム塩及び前記二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミン、ならびに(b)有機アルミニウム化合物、ならびに(iii)任意選択で有機反応媒体、を含む触媒系と、を接触させることと、b)反応ゾーン内でオリゴマー生成物を形成することと、を含む、前記プロセス。
【0137】
条項6.前記反応ゾーンは、本明細書に開示される任意の温度(例えば、とりわけ、少なくとも0℃、25℃、40℃、または50℃、0℃~200℃、25℃~150℃、40℃~100℃、50℃~100℃、または50℃~90℃の範囲)を有する、条項5に記載のプロセス。
【0138】
条項7.前記反応ゾーンは、本明細書に開示される任意のエチレン分圧(例えば、とりわけ、少なくとも5psi(34.5kPa)、50psi(345kPa)、250psi(1.72MPa)、または500psi(3.5MPa)、5psi(34.5kPa)~2,500psi(17.2MPa)、5psi(34.5kPa)~2,000psi(13.8MPa)、100psi(689kPa)~2,000psi(13.8MPa)、500psi(3.5MPa)~1500psi(10.3MPa)、150psi(1.03MPa)~1250psi(8.62MPa)、または250psi(1.72MPa)~1000psi(6.89MPa)の範囲)を有する、条項5または6のいずれか1項に記載のプロセス。
【0139】
条項8.前記反応ゾーンは、本明細書に開示される任意のエチレン:クロム質量比(例えば、とりわけ、50,000:1、150,000:1、250,000:1、または400,000:1、50,000:1~5,000,000:1、150,000:1~2,500,000:1、250,000:1~1,500,000:1、または400,000:1~1,000,000:1の範囲)を有する、条項5~7のいずれか1項に記載のプロセス。
【0140】
条項9.前記有機アルミニウム化合物は、アルミノキサンを含むか、またはそれからから本質的になる、条項8に記載のプロセス。
【0141】
条項10.前記アルミノキサンは、メチルアルミノキサン、修飾メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、n-プロピルアルミノキサン、イソ-プロピルアルミノキサン、n-ブチルアルミノキサン、sec-ブチルアルミノキサン、イソ-ブチルアルミノキサン、t-ブチルアルミノキサン、1-ペンチルアルミノキサン、2-ペンチルアルミノキサン、3-ペンチルアルミノキサン、イソ-ペンチルアルミノキサン、ネオペンチルアルミノキサン、またはこれらの混合物を含むか、またはそれからから本質的になる、条項9に記載のプロセス。
【0142】
条項11.前記反応ゾーンは、本明細書に開示される任意の前記有機アルミニウム化合物のアルミニウム対前記2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体のクロムのモル比(例えば、とりわけ、少なくとも10:1、50:1、75:1、または100:1、10:1~5,000:1、50:1~3,000:1、50:1~3,000:1、75:1~2,000:1、100:1~2,000:1、100:1~1,000:1の範囲)を有する、条項5~10のいずれか1項に記載のプロセス。
【0143】
条項12.前記反応ゾーンは、本明細書に開示される任意の前記2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体のクロム濃度(例えば、とりわけ、少なくとも1×10-6Cr当量/リットル、1×10-5Cr当量/リットル、または5×10-4Cr当量/リットル、1×10-6Cr当量/リットル~1Cr当量/リットル、1×10-5Cr当量/リットル~5×10-1Cr当量/リットル、5×10-4Cr当量/リットル~1×10-1Cr当量/リットルの範囲)を有する、条項5~11のいずれか1項に記載のプロセス。
【0144】
条項13.前記反応ゾーンは、前記反応ゾーン内の総質量を基準にした本明細書に開示される任意のエチレン濃度(例えば、とりわけ、少なくとも4質量%、10質量%、25質量%、35質量%、または40質量%、4質量%~70質量%、4質量%~60質量%、10質量%~60質量%、25質量%~55質量%、35質量%~50質量%、または40質量%~48質量%の範囲)を有する、条項5~12のいずれか1項に記載のプロセス。
【0145】
条項14.前記プロセスは、水素を、前記エチレン、前記触媒系と接触させることをさらに含み、前記任意の有機反応媒体及び前記反応ゾーンは、本明細書に開示される任意の水素分圧(例えば、とりわけ、少なくとも1psi(6.9kPa)、2psi(14kPa)、5psi(34kPa)、10psi(69kPa)、または15psi(103kPa)、1psi(6.9kPa)~200psi(1.4MPa)、5psi(34kPa)~150psi(1.03MPa)、10psi(69kPa)~100psi(689kPa)、または15psi(100kPa)~75psig(517kPa)の範囲)を有する、条項5~13のいずれか1項に記載のプロセス。
【0146】
条項15.前記プロセスは、水素を、前記エチレン、前記触媒系と接触させることをさらに含み、前記任意の有機反応媒体及び前記反応ゾーンは、本明細書に開示される任意の水素対エチレン質量比(例えば、とりわけ、少なくとも(0.05g水素)/(kgエチレン)、(0.1g水素)/(kgエチレン)、(0.25g水素)/(kgエチレン)、(0.4g水素)/(kgエチレン)、または(0.5g水素)/(kgエチレン)、(0.05g水素)/(kgエチレン)~(5g水素)/(kgエチレン)、(0.25g水素)/(kgエチレン)~(5g水素)/(kgエチレン)、(0.25g水素)/(kgエチレン)~(4g水素)/(kgエチレン)、(0.4g水素)/(kgエチレン)~(3g水素)/(kgエチレン)、(0.4g水素)/(kgエチレン)~(2.5g水素)/(kgエチレン)、(0.4g水素)/(kgエチレン)~(2g水素)/(kgエチレン)、または(0.5g水素)/(kgエチレン)~(2g水素)/(kgエチレン)の範囲)を有する、条項5~13のいずれか1項に記載のプロセス。
【0147】
条項16.前記プロセスは、水素を、前記エチレン、前記触媒系と接触させることをさらに含み、前記任意の有機反応媒体及び前記反応ゾーンは、本明細書に開示される任意の水素:クロム質量比(例えば、とりわけ、少なくとも1:1、50:1、100:1、または200:1、1:1~100,000:1、50:1~50,000:1、100:1~10,000:1、または200:1~3,000:1の範囲)を有する、条項14または15に記載のプロセス。
【0148】
条項17.前記液体オリゴマー生成物は、本明細書に開示される任意の量のヘキセン、オクテン、またはこれらの任意の組み合わせを含む、条項5~16のいずれか1項に記載のプロセス。
【0149】
条項18.前記エチレン三量体は、本明細書に開示される任意の1-ヘキセン含有量(例えば、とりわけ、少なくとも90重量%、92.5重量%、95重量%、97重量%、または98重量%1-ヘキセン、85重量%~99.9重量%、87.5重量%~99.9重量%、90重量%~99.9重量%、92.5重量%~99.9重量%、95重量%~99.9重量%、97重量%~99.9重量%、または98重量%~99.9重量%1-ヘキセン)を有する、条項5~17のいずれか1項に記載のプロセス。
【0150】
条項19.エチレン四量体は、本明細書に開示される任意の1-オクテン含有量(例えば、とりわけ、90重量%、92.5重量%、少なくとも95重量%、少なくとも97重量%1-オクテン、または98重量%1-オクテン、90重量%~99.9重量%、92.5重量%~99.9重量%、95重量%~99.9重量%、97重量%~99.9重量%、または98重量%~99.9重量%1-オクテン)を有する、条項5~18のいずれか1項に記載のプロセス。
【0151】
条項20.前記オリゴマー生成物は、本明細書に開示される任意のC/C比(例えば、とりわけ、少なくとも0.1:1、0.2:1、0.3:1、0.4:1、0.5:1、0.7:1もしくは1:1、または代替的に0.1:1~10:1、0.2:1~7.5:1、0.3:1~5:1、0.3:1~4:1、0.4:1~3:1、0.5:1~3:1、0.7:1~3:1、または1:1~3:1)を有する、条項5~20のいずれか1項に記載のプロセス。
【0152】
条項21.Lは、メチレン基、エタ-1,2-イレン基、またはプロパ-1,3-イレン基である、条項1~4のいずれか1項に記載の触媒系、または条項5~20のいずれか1項に記載のプロセス。
【0153】
条項22.Lは、メチレン基、またはエタ-1,2-イレン基である、条項1~4もしくは21のいずれか1項に記載の触媒系、または条項5~21のいずれか1項に記載のプロセス。
【0154】
条項23.R23、R24、R25、及びR26は、独立して、水素または本明細書に記載の不活性官能基からなる任意のC~C30オルガニル基である、条項1~4もしくは21~22のいずれか1項に記載の触媒系、または条項5~22のいずれか1項に記載のプロセス。
【0155】
条項24.R23、R24、R25、及びR26は、独立して、水素または本明細書に記載の任意のC~C30ヒドロカルビル基である、条項1~4もしくは21~22のいずれか1項に記載の触媒系、または条項5~22のいずれか1項に記載のプロセス。
【0156】
条項25.R及びRは、独立して、C~C15アルキル基、C~C20シクロアルキル基、C~C20置換シクロアルキル基、C~C20アリール基、またはC~C20置換アリール基である、条項1~4もしくは21~24のいずれか1項に記載の触媒系、または条項5~24のいずれか1項に記載のプロセス。
【0157】
条項26.R及びRは、独立して、C~Cアルキル基、C~C10シクロアルキル基、フェニル基、またはC~C10アリール基である、条項1~4もしくは21~24のいずれか1項に記載の触媒系、または条項5~24のいずれか1項に記載のプロセス。
【0158】
条項27.R及びRは、組み合わされて、リン原子を含む環または環系を形成するL45が形成され、L45は、C~C20ヒドロカルビレン基である、条項1~4もしくは21~24のいずれか1項に記載の触媒系、または条項5~24のいずれか1項に記載のプロセス。
【0159】
条項28.各Xは、独立して、ハロゲン化物、カルボキシレート、またはβ-ジケトネートである、条項1~4もしくは21~27のいずれか1項に記載の触媒系、または条項5~27のいずれか1項に記載のプロセス。
【0160】
条項29.前記クロム塩は、カルボン酸クロム(III)、クロム(III)β-ジケトネート、またはハロゲン化クロム(III)である、条項1~4もしくは21~27のいずれか1項に記載の触媒系、または条項5~27のいずれか1項に記載のプロセス。
【0161】
条項30.前記クロム塩は、塩化クロム(III)、またはクロム(III)アセチルアセトネートである、条項1~4もしくは21~27のいずれか1項に記載の触媒系、または条項5~27のいずれか1項に記載のプロセス。
【0162】
条項31.前記二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンは、構造BPACI 1、BPACI 2、またはBPACI 3を有し、
【化15】

かつ、前記二環式2-[(ホスフィニル)アミニル]環状イミンクロム塩錯体は、構造BPACICr 1、BPACICr 2、またはBPACICr 3を有する、
【化16】

条項1~4もしくは28~30のいずれか1項に記載の触媒系、または条項5~21もしくは28~30のいずれか1項に記載のプロセス。
【0163】
本明細書で言及される全ての公開公報及び特許は、本開示への参照によりその全体が本明細書に援用される。本明細書で言及される公開公報及び特許は、例えば、その公開公報に記載されている構築物及び方法論を説明し、かつ開示する目的で利用され得、本明細書中に記載される主題と組み合わせて使用され得る。文全体を通して論じられた出版物は、本出願の出願日より前の開示のためのみに提供される。本明細書のいかなるものも、実験結果を含むがそれに限定されない先行調査の結果により、発明者がかかる開示に先行する権利を有しないことを認めるものと解釈されてはならない。
【0164】
したがって、本開示は、記載された目的及び利点、ならびにそれらに内在するものを達成するためによく適応されている。以上で詳細な説明を終了する。本開示の主題が、本明細書の教示の利益を有する当業者には明らかな、異なるが同等の方法で修正及び実施可能であるため、上記開示された特定の実施形態は、例示に過ぎない。さらに、添付の特許請求の範囲に記述される以外の、本明細書に示される構成または設計の詳細への制限を意図しない。したがって、上記に開示された特定の実施形態が変更または修正され得ることは明らかであり、そのような全ての変形は、本開示の主題の範囲及び精神内で考慮される。したがって、本明細書で求められる保護は、添付の特許請求の範囲内に記載されるようなものである。
図1
【国際調査報告】