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特表2024-538363ファサードパネル留め付けシステム及びファサードパネルを支持体に留め付ける方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】ファサードパネル留め付けシステム及びファサードパネルを支持体に留め付ける方法
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/08 20060101AFI20241010BHJP
   E04G 21/14 20060101ALI20241010BHJP
   E04F 13/14 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
E04F13/08 101F
E04G21/14
E04F13/14 102E
E04F13/14 103F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527057
(86)(22)【出願日】2022-11-15
(85)【翻訳文提出日】2024-05-08
(86)【国際出願番号】 EP2022081865
(87)【国際公開番号】W WO2023094201
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】21210968.0
(32)【優先日】2021-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591010170
【氏名又は名称】ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Hilti Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Feldkircherstrasse 100, 9494 Schaan, Liechtenstein
(74)【代理人】
【識別番号】100123342
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 承平
(72)【発明者】
【氏名】ラン プラシュケス
(72)【発明者】
【氏名】セバスティアン リンセンボルツ
【テーマコード(参考)】
2E110
2E174
【Fターム(参考)】
2E110AA42
2E110AA57
2E110AB04
2E110AB22
2E110BA12
2E110BC06
2E110CA07
2E110CA08
2E110CA09
2E110CC03
2E110CC04
2E110CC14
2E110DA12
2E110DC02
2E110DC12
2E110GA33W
2E110GB23W
2E110GB26W
2E174BA01
2E174DA14
(57)【要約】
ファサードが、ファサードパネル58と、留め付けシステムと、支持体51とを備える。留め付けシステムは、支持体に面する当接面77、87を有する上脚部67、76、86と、当接面から脚部を通って厚さ方向に延びる貫通孔88とを有する吊手57、75、85と、支持体に留め付けられ、突出部分13が突出方向において支持体51から突出する状態で、シャフト11を有する固定要素10とを備える。突出部分13が貫通孔88を通って延びることにより、上脚部67、76、86が突出方向に沿って支持体51に対して移動することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファサードパネルを支持体に留め付けるための留め付けシステムであって、
前記ファサードパネルに取付けられるように構成され、上脚部を有する吊手であって、前記上脚部が、前記支持体に面する、又は前記支持体に当接するように構成された当接面を有し、前記当接面から前記上脚部を通って厚さ方向に延びる貫通孔が設けられ、前記貫通孔が、前記厚さ方向に直交する孔径及び前記厚さ方向に沿った孔長を有する、吊手と、
シャフトを有し、前記支持体に留め付けられるように構成された固定要素であって、前記シャフトが、前記固定要素が前記支持体に留め付けられたときに前記支持体から突出方向に突出するように構成され、前記孔径より小さい前記突出方向に直交する突出部分径及び前記孔長より大きい前記突出方向に沿った突出部分長を有する、突出部分を備える、固定要素と
を備え、
前記突出部分が、前記当接面が前記支持体に面し、又は当接し、前記固定要素が前記支持体に留め付けられるとき、前記貫通孔を通って延びるように構成される、留め付けシステム。
【請求項2】
前記シャフトが、前記突出方向において前記突出部分に続き、又は接続し、前記突出部分径より小さいネック径及び前記孔長より大きいネック長を有する、ネック部分を備え、
前記貫通孔が、その全長に沿って、前記突出部分径より小さく、前記ネック径より大きい断面幅を有する開口部を通って、前記上脚部の側面に開放される、請求項1に記載の留め付けシステム。
【請求項3】
前記固定要素が、前記突出方向において前記ネック部分に続き、又は接続し、前記突出方向に直交して、前記孔径より大きいヘッド径を有する、ヘッドを備える、請求項2に記載の留め付けシステム。
【請求項4】
前記ヘッドが、前記突出方向に面する端面を有し、ドライバのためのレセプタクルを設けられる、請求項3に記載の留め付けシステム。
【請求項5】
前記シャフトが、前記突出方向とは反対の方向において前記突出部分に続き、又は接続し、前記支持体を貫通し、又は穿孔し、前記固定要素を前記支持体に留め付けるように構成された留め付け部分を備え、前記シャフトが、前記固定要素が前記支持体に留め付けられるときに前記支持体に当接するように構成された肩部、又は段差を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の留め付けシステム。
【請求項6】
前記留め付け部分が、ねじ山、又はセルフタッピングねじ山を備える、請求項5に記載の留め付けシステム。
【請求項7】
前記肩部がテーパ状の面取部を備える、請求項5又は6に記載の留め付けシステム。
【請求項8】
前記固定要素が、前記突出方向とは反対の方向において前記突出部分に続き、又は接続し、前記支持体を貫通するように構成されたドリル先端を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の留め付けシステム。
【請求項9】
前記吊手、又は前記上脚部が、前記当接面が前記支持体に面する、又は当接するときに、前記突出方向における前記当接面と前記支持体との間の距離を調整するように構成された調整要素を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の留め付けシステム。
【請求項10】
前記留め付けシステムが、前記吊手を前記ファサードパネルに取付けるように構成されたパネル締結具であって、前記上脚部が、前記吊手が前記ファサードパネルに留め付けられたとき、前記厚さ方向と直交する方向において前記ファサードパネルから突出する、パネル締結具を更に備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の留め付けシステム。
【請求項11】
前記吊手が、前記吊手が前記ファサードパネルに取付けられたときに、前記厚さ方向と直交する方向において前記ファサードパネルから突出し、前記ファサードパネルが前記支持体に取付けられたときに前記支持体の下部に当接するように構成された、下脚部を更に備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の留め付けシステム。
【請求項12】
ファサードパネルと、請求項1~11のいずれか一項に記載の留め付けシステムと、支持体とを備えるファサードであって、前記ファサードパネルが前記留め付けシステムによって前記支持体に取り付けられる、ファサード。
【請求項13】
前記支持体が、建物の壁に取付けられたレールを備え、前記吊手が前記レールに係合し、これにより、前記ファサードパネルを前記壁に取り付ける、又は固定する、請求項12に記載のファサード。
【請求項14】
ファサードパネルを支持体に留め付ける方法であって、前記方法が、
上脚部を有する吊手を提供することであって、前記上脚部が、当接面を有し、厚さ方向において前記脚部を通って前記当接面から延びる貫通孔を備え、
前記上脚部が前記ファサードパネルから突出するように、前記ファサードパネルの裏側に前記吊手を取付けること、
前記当接面が前記支持体に面する、又は前記支持体に当接するように、前記支持体上に前記吊手を配置すること、
突出部分を備えたシャフトを有する固定要素を提供すること、
前記貫通孔を通して前記固定要素を挿入すること、そして
前記突出部分が前記突出方向において前記支持体から突出し、それによって前記上脚部が前記突出方向に沿って前記支持体に対して移動することができるように、前記固定要素を前記支持体に留め付けすること
を含む方法。
【請求項15】
前記吊手、又は前記上脚部に、前記当接面が支持体に面する、又は当接するときに、前記突出方向における前記当接面と前記支持体との間の距離を調整するように構成された調整要素を設けること、
前記固定要素が前記支持体に留め付けられる前に、前記支持体に沿って前記ファサードパネルの水平位置を調整すること、そして
前記固定要素が前記支持体に留め付けされた後に、前記支持体に沿って前記ファサードパネルの垂直位置を調整すること
を更に含む、請求項14に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファサード(建築物外観)パネルを支持体に留め付けるための留め付けシステム、ファサード、及びファサードパネルを支持体に留め付ける方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のファサードパネルからなるファサードを壁に設置するためには、壁にレールシステムを取付け、ファサードパネルにいくつかの吊手を取付けし、レールシステムのレールに吊手をそれぞれ留め付けることが知られている。審美的理由から、吊手は、後の完成したファサードで吊手が見えなくなるように、各ファサードパネルの裏側に取付けられる。吊手がレールに留め付けられた後、ファサードパネルの水平位置及び垂直位置が固定される。例えば交換又は修理のために、支持体から特定のファサードパネルを取り外す場合、通常、特定のパネルの上方にあるすべてのパネルを取り外すことになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、ファサードパネルを支持体に容易に留め付けることができる留め付けシステム、留め付け方法、及び/又はファサードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様によれば、ファサードパネルを支持体に留め付けるための留め付けシステムは、ファサードパネルに取付けられるように構成された吊手と、支持体に留め付けられるように構成された固定要素とを備える。吊手は上脚部を有し、上脚部は、支持体に面するか、又は支持体に当接するように構成された当接面を有し、当接面から脚部を通って厚さ方向に延びる貫通孔が設けられ、貫通孔は、厚さ方向に直交する孔径及び厚さ方向に沿った孔長を有する。固定要素はシャフトを有し、そのシャフトは、固定要素が支持体に留め付けられたときに支持体から突出方向に突出するように構成され、孔径より小さい突出方向に直交する突出部分径及び孔長より大きい突出方向に沿った突出部分長を有する突出部分を備えた、シャフトを有する。突出部分は、当接面が支持体に面するか、又は当接し、固定要素が支持体に留め付けられるとき、貫通孔を通って延びるように構成される。これにより、上脚部は、固定要素が支持体に留め付けられた後、突出方向に沿って移動することができる。
【0005】
一態様によれば、シャフトは、突出方向において突出部分に続き、突出部分径より小さいネック径及び孔長より大きいネック長を有するネック部分を備える。更に、貫通孔は、その全長に沿って、突出部分径より小さく、ネック径より大きい断面幅を有する開口部を通って、上脚部の側面に開放される。これにより、上脚部は、開口部がネック部分と整列されたときに、吊手が支持体から解放されるまで、側面に移動することができる。一態様によれば、ネック部分は突出部分に接続する。
【0006】
好ましい態様によれば、固定要素は、突出方向においてネック部分に続き、突出方向に直交して、孔径より大きいヘッド径を有する、ヘッドを備える。これにより、突出方向に沿った上脚部の移動が制限されるため、例えば気象条件に起因して、ファサードパネルが意図せず外れるリスクが軽減される。一態様によれば、ヘッドは、突出方向に面する端面を有し、ドライバのためのレセプタクルが設けられる。一態様によれば、ヘッドはネック部分に接続する。
【0007】
別の態様によれば、シャフトは、突出方向とは反対の方向において突出部分に続き、支持体を貫通し、固定要素を支持体に留め付けるように構成された留め付け部分を備え、シャフトは、固定要素が支持体に留め付けられるときに支持体に当接するように構成された肩部、すなわち段差を備える。一態様によれば、留め付け部分は突出部分に接続する。別の態様によれば、留め付け部分は、支持体を穿孔するように構成される。別の態様によれば、留め付け部分は、ねじ山、好ましくはセルフタッピングねじ山を備える。別の態様によれば、肩部はテーパ状の面取部を備える。
【0008】
別の態様によれば、固定要素は、突出方向とは反対の方向において突出部分に続き、支持体を貫通するように構成されたドリル先端を備える。一態様によれば、ドリル先端は突出部分又は留め付け部分に接続する。
【0009】
別の態様によれば、吊手は、当接面が支持体に面する、又は当接するときに、突出方向における当接面と支持体との間の距離を調整するように構成された調整要素を備える。一態様によれば、上脚部は調整要素を備える。
【0010】
別の態様によれば、留め付けシステムは、吊手をファサードパネルに取付けるように構成されたパネル締結具であって、上脚部は、吊手がファサードパネルに取付けられたとき、厚さ方向と直交する方向においてファサードパネルから突出する、パネル締結具を更に備える。
【0011】
別の態様によれば、吊手は、吊手がファサードパネルに取付けられたときに、厚さ方向と直交する方向においてファサードパネルから突出し、ファサードパネルが支持体に留め付けられたときに支持体の下部に当接するように構成された下脚部を更に備える。
【0012】
別の態様によれば、留め付けシステムは、ファサードパネルと支持体とを備えるファサードに設けられ、ファサードパネルは留め付けシステムによって支持体に取り付けられる。好ましい態様によれば、支持体は、建物の壁に取付けられたレールを備え、吊手がレールに係合し、これにより、ファサードパネルが壁に取り付けられる。一態様によれば、吊手はファサードパネルを壁に固定する。
【0013】
本発明の更なる態様によれば、ファサードパネルを支持体に留め付ける方法が提供される。その方法は、上脚部を有する吊手を提供することであって、上脚部が、当接面を有し、厚さ方向において脚部を通って当接面から延びる貫通孔を備え、上脚部がファサードパネルから突出するように、ファサードパネルの裏側に吊手を取付けることと、当接面が支持体に面する、又は支持体に当接するように、支持体上で吊手を配置することとを含む。本方法は、シャフトを有する固定要素を提供することであって、そのシャフトは突出部分を備える、ことを更に含む。本方法は、貫通孔を通して固定要素を挿入することと、突出部分が突出方向において支持体から突出し、それによって上脚部が突出方向に沿って支持体に対して移動することができるように、固定要素を支持体に留め付けることとを更に含む。
【0014】
一態様によれば、本方法は、当接面が支持体に面する、又は当接しているときに、突出方向における当接面と支持体との間の距離を調整するように構成された調整要素を吊手に設けることと、固定要素が支持体に留め付けられる前に、支持体に沿ってファサードパネルの水平位置を調整することと、固定要素が支持体に留め付けられた後に、支持体に沿ってファサードパネルの垂直位置を調整することとを更に含む。好ましい態様によれば、上脚部は調整要素を設けられる。
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施例により詳細に説明する。記載されている実施例は、単なる可能な構成であるが、これらの構成では、個々の特徴が互いに独立に実現されることもあれば、省略されることもある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】ドリル及びファサードパネルの斜視図である。
図2図1のファサードパネルの断面図である。
図3図1のファサードパネルを、図1のファサードパネルに1セットの吊手を取り付けた状態で示す斜視図である。
図4図3のファサードパネルの断面図である。
図5】半完成状態のファサードの側面図である。
図6】半完成状態のファサードの斜視図である。
図7】吊手の斜視図である。
図8】吊手の上面図である。
図9図8の吊手の斜視図である。
図10図8の吊手の斜視図である。
図11】固定要素の斜視図である。
図12】留め付けシステム及び支持体の斜視図である。
図13図12の留め付けシステム及び支持体の斜視図である。
図14図12の留め付けシステム及び支持体の側面図である。
図15】留め付けシステム及び支持体の斜視図である。
図16図15の留め付けシステム及び支持体の斜視図である。
図17図15の留め付けシステム及び支持体の斜視図である。
図18図15の留め付けシステム及び支持体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1図6は、一般に、前側59と裏側60とを有するファサード(建築物外観)パネル58を(図5図6に示す)壁61に取り付けて、ファサード62を構築する方法を示している。ファサードパネル58は、わずか8mmの厚さを有し、高圧積層体、ファイバセメント、類似の材料、又はこれらの組み合わせで作られ得る。
【0018】
初期の工程(図1図2)において、ファサードパネル58は、ボール盤64などとドリル65とを使用して裏側60に穿孔することにより、止まり穴63が設けられる。各止まり穴63の深さは、ドリル65にある止め具としての肩部(stop shoulder)66などの深さ方向の止め具(depth stop)によって決まる。
【0019】
工場、作業場、又は現場で行われ得る後続の工程(図3図4)において、フック73を備える上脚部67と、下脚部68と、1つ以上の貫通孔69とをそれぞれ有する1セットの吊手57が、電動スクリューガン71などと、好ましくはトルク制御された取り付けビット72とを使用して、貫通孔69のそれぞれを通して止まり穴63のうちの1つにパネル締結具41を挿入することによって、ファサードパネル58の裏側60に締結される。上脚部67及び下脚部68は、吊手57がファサードパネル58に締結されたとき、上脚部67又は下脚部68の厚さ方向、すなわち裏側60と直交する方向にファサードパネル58から突出する。1つのファサードパネル58に、2つ以上の異なる種類の吊手57が使用されてもよい。第1の種類がファサードパネル58の重量の一部を支えるように構成されてもよく、別の種類がファサードパネル58の位置を調整するように構成されてもよい。
【0020】
更なる後続の工程(図5図6)において、ファサードパネル58は、以下に更に説明するように、予め壁61に取付られたレールである支持体70に吊手57を係合させることにより、壁61に留め付けられる。ファサード62が完成すると、ファサードパネル58の前側59は外側から見える一方、その裏側60、吊手57、及び締結具41は見えない。
【0021】
図7では、ファサードパネルに取付けられ、ファサードパネル、例えば図1図6に示すファサードパネル58の重量の一部を支えるように構成された吊手75が示されている。吊手75は、支持体に面して当接するように構成された当接面77を有する上脚部76と、支持体の下部に当接するように構成された下脚部82と、上脚部76及び下脚部82を相互に接続するベース部分83とを備える。上脚部76は、支持体の上部の後方に係合するように構成されたフック74を備える。ベース部分83は、パネル締結具、例えば図4に示すパネル締結具41のための孔84が設けられる。
【0022】
図8図10では、ファサードパネルに取付けられ、ファサードパネル、例えば図1図6に示すファサードパネル58の重量の一部を支え、ファサードパネルの位置を調整するように構成された吊手85が示されている。吊手85は、支持体に面して当接するように構成された当接面87を有する上脚部86と、支持体の下部に当接するように構成された下脚部92と、上脚部87及び下脚部92を相互に接続するベース部分96とを備える。上脚部86は、支持体の上部の後方に係合するように構成されたフック98を備える。ベース部分96は、パネル締結具、例えば図4に示すパネル締結具41のための2つ以上の孔97が設けられる。
【0023】
上脚部86は、当接面87から上脚部86を通って厚さ方向90(すなわち、上脚部86と交差する方向)に延びる貫通孔88が設けられる。貫通孔88は、厚さ方向90に直交する孔径D及び厚さ方向に沿った孔長Lを有する。貫通孔88は、その全長Lに沿って、開口部91を通して、上脚部86の側面89に開放される。開口部91は、断面幅wを有する。
【0024】
更に、吊手85は、調整ねじであって、当接面87が支持体に面する又は当接するときに、当接面87と支持体との間の距離を調整するように構成された調整要素93を備える。このために、上脚部86はねじ孔が設けられ、調整要素93はねじ孔に入るねじ山付きシャフト94を備える。調整要素93の当接面87から突出する部分が、当接面87と支持体との間の距離を規定する。吊手85、ひいてはファサードパネルの垂直位置を調整するために、調整要素93は時計回り又は反時計回りに回転される。このために、調整要素93は、トルクス(登録商標)、フィリップス、ヘックス、SL、アレン、スクエアなどのドライバを受けるためのレセプタクル99を有する調整ヘッド95を備える。
【0025】
図11には、固定ねじである固定要素10が示されている。固定要素10は、シャフト11と、ヘッド21と、ドリル先端31とを有する。シャフト11は、留め付け部分12と、突出部分13と、ネック部分14とを備える。ドリル先端31は、留め付け部分12に接続し、留め付け部分12が支持体、例えば図5図6に示す支持体70を貫通し、穿孔することを可能にする。留め付け部分12は、固定要素10を支持体に留め付けるセルフタッピングねじ山15を備える。
【0026】
突出部分13は、突出方向20において留め付け部分12に接続し、固定要素10が支持体に留め付けられると突出方向20に支持体から突出する。突出部分13は、突出方向20に直交する突出部分径D及び突出方向20に沿った突出部分長Lを有する。シャフト11は、固定要素10が支持体に留め付けられたときに支持体に当接する段差として形成された肩部16を備える。肩部16は、肩部16が支持体に当接する際、突出方向20が支持体の表面に垂直に向くように固定要素10を整列させるテーパ状の面取部17を備える。
【0027】
ネック部分14は、突出方向20において突出部分13に接続し、突出方向20に直交するネック径d及び突出方向20に沿ったネック長Lを有する。ヘッド21は、突出方向20においてネック部分14に接続し、突出方向20に直交するヘッド径dを有する。ヘッド21は、突出方向20に面し、ドライバ、例えばトルクス(登録商標)ドライバのためのレセプタクル23を設けられた端面22を有して、ユーザが、例えば電動スクリュードライバを使用することによって、固定要素10を回転駆動し、固定要素10を支持体に留め付けることを可能にする。
【0028】
図12図14は、図8図10に示す吊手85と、2つの締結要素52と、図11に示す固定要素10とを備える留め付けシステム50を使用することによって、ファサードパネル(見やすくするために図示せず)を壁54に取り付ける方法を示している。
【0029】
初期の工程(図12)において、例えば図1図4に示すように、吊手85が締結要素52によってファサードパネルに取付けられた後、またレールとして形成された支持体51が支持体取付け具53などによって壁54に取付けられた後、吊手85は支持体51上に配置される。上脚部86の当接面は支持体51に当接し、フック98は支持体51の後方に係合する。次いで、吊手85及びファサードパネルの水平位置が、支持体51に沿って吊手85を水平にスライドさせることによって所望のように調整される。
【0030】
後続の工程(図13図14)において、固定要素10は、貫通孔88を通して挿入され、固定要素10のドリル先端及び留め付け部分によって支持体51に留め付けられる。これにより、固定要素10の突出部分は、支持体51から貫通孔88を通って垂直な突出方向に突出する。突出部分径Dは孔径Dより小さく、突出部分長Lは孔長Lより大きく、これにより、上脚部86及び吊手85は支持体51に対して垂直方向に移動することができる。一方、突出部分径Dは開口部幅wより大きく、これにより、吊手85及びファサードパネルの水平位置を支持体51に対して固定する。
【0031】
次いで、垂直方向における上脚部86と支持体51との間の距離を調整するために、調整要素93を支持体51に対して移動することによって、例えば調整要素の調整ヘッドを回転駆動することによって、吊手85及びファサードパネルの垂直位置が所望のように調整される。このような垂直調整の際、上脚部86の貫通孔は固定要素の突出部分上でスライドする。固定要素10を支持体51に留め付ける前に吊手85の垂直位置が調整されてもよいが、吊手85の水平位置を固定してからその垂直位置を調整することが望ましい。
【0032】
図15図18は、留め付けシステム50を使用してファサードパネル(見やすくするために図示せず)を壁54から取り外す方法を示している。本方法は、吊手85を支持体51に固定した後、留め付けシステム50の固定位置から開始する(図15)。
【0033】
第1の工程(図16)において、ファサードパネル及び吊手85は、上脚部86の貫通孔88が固定要素10のネック部分14と同じ高さになるように、垂直方向に沿って持ち上げられる。上述のように、突出部分径Dは孔径Dより小さく、これにより、このような垂直移動が可能になる。
【0034】
後続の工程(図17)において、ファサードパネル及び吊手85は、固定要素10のネック部分14が開口部91を通過するように、横方向に沿って水平に移動される。ネック径dは開口部幅wより小さく、ネック長Lは孔長Lより大きく、これにより、この水平移動が可能になる。突出部分径Dは開口部幅wより大きく、これにより、上脚部86がネック部分14の高さまで持ち上げられない限り、ファサードパネル及び吊手85の水平位置が固定されることに留意されたい。ヘッド径dは孔径dより大きく、これにより、ヘッドは上脚部86の上昇移動のための止め具として機能する。そのため、例えば風によるファサードパネルが意図せず外れる可能性は低い。
【0035】
更なる後続の工程(図18)において、ファサードパネル及び吊手85は、ファサードパネルが自由になるように、壁54から離れるように移動される。このようにして、上方にあるいかなる他のパネルをも取り外す必要なしに、ファサードパネルを、例えば修理又は交換のために壁から外すことができる。また、パネルが壁から外された際に調整要素を調整することによって、ファサードパネルの垂直位置を再調整することができる。ファサードパネルを壁に再び組み付ける場合には、逆の動きを逆の順番で行う。
【0036】
本発明を好ましい実施例を参照して説明してきたが、本発明の技術的範囲から逸脱することなく、その要素に様々な変更を加えることができ、均等な要素に代えることができることは当業者には理解されよう。開示された実施例のすべての要素及び特徴は、互いに矛盾しない限り、他のすべての実施例において個々に、又は任意の組み合わせで存在し得る。加えて、本発明の技術的範囲から逸脱することなく、特定の状況又は材料を本発明の教示に適合させるために、多くの修正をなすことができる。

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【国際調査報告】