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特表2024-538376巻かれたテザーを有するエアバッグモジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】巻かれたテザーを有するエアバッグモジュール
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/2338 20110101AFI20241010BHJP
【FI】
B60R21/2338
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527728
(86)(22)【出願日】2022-11-15
(85)【翻訳文提出日】2024-05-23
(86)【国際出願番号】 EP2022081891
(87)【国際公開番号】W WO2023088863
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】102021130053.3
(32)【優先日】2021-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503358097
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(72)【発明者】
【氏名】カールソン,ハンナ
(72)【発明者】
【氏名】クヌットソン,ステファン
【テーマコード(参考)】
3D054
【Fターム(参考)】
3D054AA02
3D054AA03
3D054AA07
3D054CC11
(57)【要約】
【解決手段】 エアバッグモジュールであって、衝撃領域を有するエアバッグクッションと、エアバッグクッションが取り付けられている構造体と、第1の接続によって衝撃領域に取り付けられている第1の端部(31)と、衝撃領域以外の領域で構造体又はエアバッグクッションに取り付けられている第2の端部(32)と、を有するテザー(30)と、を備える、エアバッグモジュール。テザー(30)は、テザー(30)の第1の端部(31)を形成する第1の末端部からテザー(30)の第2の端部(32)を形成する第2の末端部まで延在する平坦なテザー要素から作製されている。相対的に平坦な衝撃領域を得るため、かつ力のピークを回避するために、第1の末端部から延在するテザー要素の少なくとも第1のセクションは、巻かれて、テザー(30)の巻かれたセクション(35)を形成する。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアバッグモジュールであって、
衝撃領域(12)を備えるエアバッグクッション(10)と、
前記エアバッグクッション(10)が取り付けられている構造体と、
第1の接続部(51)によって前記衝撃領域(12)に取り付けられている第1の端部(31)と、前記衝撃領域(12)以外の領域で前記構造体又は前記エアバッグクッションに取り付けられている第2の端部(32)と、を有する、テザー(30)であって、前記テザーの前記第1の端部(31)を形成する第1の末端部(21)から前記テザー(30)の前記第2の端部(32)を形成する第2の末端部(22)まで延在する平坦なテザー要素(20)から作製されている、テザー(30)と、を備え、
前記第1の末端部(21)から延在する前記テザー要素(20)の少なくとも第1のセクション(25)が、巻かれて、前記テザー(30)の巻かれたセクション(35)を形成することを特徴とする、エアバッグモジュール。
【請求項2】
前記第1の接続部(51)が、非線形であることを特徴とする、請求項1に記載のエアバッグモジュール。
【請求項3】
前記第1の接続部(51)が、閉鎖されていることを特徴とする、請求項2に記載のエアバッグモジュール。
【請求項4】
前記テザー要素(20)の前記第1のセクション(25)が、前記第1の末端部(21)に向かって広がることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアバッグモジュール。
【請求項5】
前記テザー要素(20)の前記第1のセクション(25)が、本質的に扇形の形状を有することを特徴とする、請求項4に記載のエアバッグモジュール。
【請求項6】
前記第1の接続部(51)が楕円形状、特に円形状であるように、前記前記テザー(30)の前記巻かれたセクション(35)が、円錐形状であることを特徴とする、請求項5に記載のエアバッグモジュール。
【請求項7】
前記テザー(30)が、前記第2の端部(32)と前記巻かれたセクション(35)との間に延在する巻かれていないセクション(36)を追加的に備えることを特徴とする、請求項4~6のいずれか一項に記載のエアバッグモジュール。
【請求項8】
前記テザー要素(20)が、前記第2の末端部(22)と前記第1のセクション(25)との間に延在し、前記テザー(30)の前記巻かれていないセクション(35)を形成する、第2のセクション(26)を更に備えることを特徴とする、請求項7に記載のエアバッグモジュール。
【請求項9】
前記第2のセクション(26)が、実質的に一定の幅を有することを特徴とする、請求項8に記載のエアバッグモジュール。
【請求項10】
前記エアバッグクッション(10)が十分に展開し、前記テザー(30)が張力下にあるように、前記テザー(30)がその第2の端部(32)を介して前記構造体又は前記エアバッグクッションに少なくとも間接的に取り付けられたとき、前記テザー(30)の前記巻かれていないセクション(36)が実質的に平坦であることを特徴とする、請求項8又は請求項9に記載のエアバッグモジュール。
【請求項11】
前記テザー要素(20)が、一体型であることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載のエアバッグモジュール。
【請求項12】
前記テザー要素(20)の前記第1のセクションが、第1の切断部から作製され、前記テザー要素の前記第2のセクションが、第2の切断部から作製され、第1及び第2の切断部が、互いに取り付けられて前記テザー要素を形成することを特徴とする、請求項8~10のいずれか一項に記載のエアバッグモジュール。
【請求項13】
前記テザー要素(20)が、前記テザー内に膨張ガス用の通路(38)を形成するための少なくとも1つの穴(28)を備えることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載のエアバッグモジュール。
【請求項14】
前記テザー要素(20)の2つの横方向縁部(25a、25b)が、少なくとも部分的に互いに接続されて、前記テザー(30)の前記巻かれたセクション(35)の閉鎖された生成表面を形成することを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載のエアバッグモジュール。
【請求項15】
前記第2の端部(32)を前記構造体から解放することができるか、又は前記テザー(30)の少なくとも主要部分が前記構造体から解放可能であるように、前記テザーを前記第2の端部(32)の近くで破壊することができるような方式で、前記テザー(30)が、前記構造体に取り付けられていることを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載のエアバッグモジュール。
【請求項16】
追加のテザー(70)が、前記テザー(30)から延在し、前記追加のテザーが、テザー遠位端部(72)を有し、前記構造体又は前記エアバッグクッション(10)に永久的に接続されることを特徴とする、請求項15に記載のエアバッグモジュール。
【請求項17】
追加のテザー(70)が、前記テザー(30)から延在し、前記追加のテザーが、テザー遠位端部(72)を有し、
前記テザー遠位端部(72)を前記構造体から解放することができるか、又は前記追加のテザー(70)の少なくとも主要部分が前記構造体から解放可能であるように、前記追加のテザー(70)を前記テザーの遠位端部(72)の近くで破壊することができるような方式で、前記追加のテザー(70)が、前記構造体に取り付けられており、
前記テザー(30)の前記第2の端部(32)が、好ましくは永久的な方式で、前記構造体又は前記エアバッグクッション(10)に接続されていることを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載のエアバッグモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載のエアバッグモジュールに関する。
【0002】
本発明は、特に、運転席用エアバッグモジュールに関するが、他のタイプのエアバッグモジュール、特に、助手席用エアバッグモジュールなどの他のタイプのフロントエアバッグモジュールにも適用することができる。
【背景技術】
【0003】
先行技術において、衝撃領域を有するエアバッグクッションと、このエアバッグクッションが取り付けられる構造体(特にハウジング)と、エアバッグクッションの内部のテザーと、を備える、エアバッグモジュールが既知である。このテザーは、第1の接続部(通常は継ぎ目)によってエアバッグクッションの衝撃領域に取り付けられる第1の端部と、エアバッグクッションの展開深さを制御することができるように解放可能/取り外し可能な方式で構造体に取り付けられる第2の端部と、を有する。最も単純な場合では、テザーは、単一の平坦なストラップの形態である。
【0004】
一般的な国際公開第2018/84479(A1)号から、テザーが「分割」され、第1の端部が複数の端部セクションを有し、それらの各々が衝撃領域に接続されるようなエアバッグモジュールが既知である。同様の概念が、出願公開2009-154655A1号に記載されている。この構造により、テザーの引っ張り力が衝撃領域のより広い領域にわたって分散される。
【発明の概要】
【0005】
この先行技術から出発して、本発明の目的は、エアバッグクッションの衝撃領域に取り付けられるテザーを備える一般的なエアバッグモジュールを改善することである。
【0006】
この課題は、請求項1の特徴を有するエアバッグモジュールによって解決される。
【0007】
テザーを複数の端部セクションに分割すると改善が得られることが判明したが、特に、相対的に平坦な衝撃領域を得ること、及び力のピークの回避という観点からは、更なる改善の要望が依然として存在する。
【0008】
一般的に既知であるように、テザーは、テザーの第1の端部を形成する第1の末端部からテザーの第2の端部を形成する第2の末端部まで延在する平坦なテザー要素から作製されている。テザーと衝撃領域との間で均一な力伝達を達成するために、第1の末端部から延在するテザー要素の少なくとも第1のセクションは、巻かれて、テザーの巻かれたセクションを形成する。
【0009】
この手段により、力の伝達が、点状でも線形でもなく、二次元となるように、第1の接続部は、通常、非線形又は曲線である。これは、テザーが作製されるテザー要素が、平坦な材料片であるが、所望の均等な力の分布及び相対的に平坦な衝撃領域をもたらす。
【0010】
本発明の効果は、第1の接続部が閉鎖されている場合に最も強くなる。この場合、第1の接続部は、通常楕円、特に円である。実際、そのような状況では、接続部は、それ自体で閉鎖されている、すなわち、少なくとも1つの閉鎖領域を画定する。
【0011】
材料、重量、及び梱包スペースを節約するために、テザー要素の第1のセクションが本質的に扇形の形状を有するように、テザー要素の第1のセクションは、特に、第1の末端部に向かって広がることが好ましい。この場合、テザーの第1のセクションは、円錐形状であり、言及されるように、第1の接続部は楕円形状、例えば円形状である。この形状により、理想的な力の分散がもたらされる。
【0012】
説明されるように、テザーの第2の端部は、通常、構造体、例えば、ハウジング、又はエアバッグクッションの別の領域に接続される。ほとんどの場合、この接続部が多くのスペースを消費することは不利であるため、テザーが第2の端部から巻かれたセクションまで延在する巻かれていないセクションを追加的に備えることが通常好ましい。これは、追加的に、テザーの折り畳み、及び、例えば、エアバッグクッションの穴への誘導が容易になる。
【0013】
テザーのこの巻かれていないセクションは、テザー要素の第2の末端部と第1のセクションとの間に延在するテザー要素の第2のセクションから作製される。この第2のセクションは、実質的に一定の幅を有することが好ましい。
【0014】
アセンブリ(縫製)ステップを最小化するため、テザー要素は、一体型にすることができるが、無駄な部分の面積を最小化するためにまた、テザー要素の第1のセクションが第1の切断部から作製され、テザー要素の第2のセクションが第2の切断部から作製され、第1及び第2の切断部は互いに取り付けられてテザー要素を形成することもまた、好ましくあり得る。
【0015】
エアバッグクッション内の不均一なガス分布を防止するために、テザー要素(特にその第1のセクション)は、テザー内に膨張ガスの通路を形成する少なくとも1つの穴を備えることが好ましい。
【0016】
均等な力の分布を更に改善するために、テザー要素の2つの横方向縁部が少なくとも部分的に互いに接続されて、テザーの巻かれたセクションの閉鎖された生成表面を形成することが好ましい場合がある。
【0017】
本発明は、いわゆるデュアルデプスエアバッグモジュールに特に有用であり、これは、テザーを第2の端部が構造体から解放することができるか、又はテザーの少なくとも主要部分が構造体又はエアバッグクッションの他の領域から解放可能であるように、テザーを第2の端部の近くで破壊することができるような方式で構造体に取り付けられていることを意味するが、本発明のテザーの他の用途も考えられることに言及する必要がある。例えば、テザーの第2の端部は、構造体又はエアバッグクッションに永久的な方式で接続することができる。
【0018】
特に好ましい実施形態では、テザー遠位端部を有する追加のテザーは、テザーから延在し、追加のテザーのテザー遠位端部及びテザーの第2の端部のうちの少なくとも1つは、エアバッグクッションの衝撃領域が両方の展開深さで繋ぎ合わされたままになるように、構造体に解放可能/破壊可能に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
次に、図面を参照して好ましい実施形態を用いて本発明を説明する。図は、以下を示す。
図1図1は、本発明によるエアバッグクッション及びテザーが作製される全ての切断部。
図2図2は、前駆体アセンブリが形成されるように、縫製された図1の切断部(概略断面図)。
図3図3は、エアバッグクッション及びテザーがハウジングに接続される状態になるようにエアバッグクッションを裏返した後の図2に示されているもの。
図4図4は、図2及び図3に示されるテザーの斜視図。
図5図5は、エアバッグが第1の展開深さまで展開された状態にある、図3による表現の完成したエアバッグモジュール。
図6図6は、テザーの主要部分がハウジングから解放され、エアバッグクッションが第2の展開深さまで展開されるようにテザーを通してその第2の端部近くで切断した後の図5に示されているもの。
図7図7は、図1のテザー要素及びテザーアセンブリ前駆体が形成されるように追加のテザーが縫製されているテザー要素。
図8図8は、図5による表現における図7のテザーアセンブリ前駆体から作製されるテザーアセンブリを使用する本発明の第2の実施形態。
図9図9は、図6による第2の状態にある図8に示される第2の実施形態。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、エアバッグクッション並びにテザー要素の全ての切断部を示しており、この実施形態では、一体型の切断部の形態である。全ての切断部は、従来のエアバッグ材料、特に織られたプラスチック材料から作製することができる。
【0021】
当然のことながら、当技術分野で既知であるように、補強層などの追加の切断部が提供され得ることに留意されたい。しかし、そのような追加の要素は、本発明を理解するために必要ではないため、図示されていない。
【0022】
エアバッグクッションは、3つの切断部、すなわち、衝撃領域を形成するフロントパネル12、サイドパネル14、及びバックパネル16からなる。示された実施形態では、フロントパネル12及びバックパネル16は、両方とも円形状であり、同じ直径を有する。これら2つのパネル間の違いは、バックパネル16が複数の穴、すなわち中央穴16c、中央穴16cの周りの取り付け穴16a、及びテザー用の穴16bを備えることである。
【0023】
この実施形態のテザー要素20は、2つのセクション、すなわち、扇形の形状を有する第1のセクション25と、実質的に長方形の形状を有し、テザー要素の第2の末端部22から第1のセクション25まで延在する第2のセクション26と、を有する。第1のセクション25は、円のセクションの形態であるテザー要素20の第1の末端部21(円の弧の形状を有する)に向かって広がっている。第2のセクション26から始まり、第1のセクション25の横方向縁部25a及び25bは、テザー要素20の第1の末端部21まで延在する。穴28は、第1のセクション25に提供されている。他の実施形態では、第1の末端部21は、円の弧の形状ではなく、例えば、第1のセクションが楕円のセクションの形状を有するように非円形の楕円の弧の形状など、異なる曲線形状を有する可能性がある。
【0024】
アセンブリステップにおいて、テザー要素20は、テザー要素20の第1の末端部21がテザー30の円形状の第1の端部31を形成するように、第1のセクション25を長手方向(X方向)の周りに巻いて、テザー30の円錐形状に巻かれたセクション35を形成することによって、テザー30に形成される(特に図4を参照)。この第1の端部31は、第1の接続部51によってフロントパネル12に接続され(通常は縫製され)、当然のことながら、これも円を形成する。第1の端部31及び第1の接続部51が円ではなく、非円形の楕円である、非対称の実施形態が考えられる。第1の接続を閉鎖することは厳密には必須ではないが、いずれの場合も閉鎖することが好ましい。テザー要素20の第2のセクション26は、巻かれていない状態のままであり、テザー30の巻かれていないセクション36を形成する。
【0025】
このアセンブリステップの後、サイドパネル14は接続部(継ぎ目)40によってフロントパネル12に取り付けられ、バックパネル16は接続部(継ぎ目)42によってサイドパネル14に取り付けられる。これらのアセンブリステップの結果を図2に概略的に示す。
【0026】
ここで、フロントパネル12、サイドパネル14、及びバックパネル16からなるエアバッグクッション10を裏返しにし、テザー30の巻かれていないセクション36をバックパネル16のテザー用の穴16bを通して押し込む(図3)。
【0027】
すでに言及された図4はテザー30を再び示すが、ここでは概略斜視図である。巻かれたセクション35の円錐形状を、その第1の端部31の円形状とともに見ることができる。示された実施形態では、横方向縁部25a及び25bは互いに接続されていないが、これも可能である。当然のことながら、それらは、重なり合い得るが、互いに接続されていない。示された実施形態では、これら2つの横方向縁部25aと25bとの間に、わずかな隙間が存在する。テザー要素20の穴28は、ここでは円錐の生成表面に位置し、膨張ガス用の通路38を形成する。
【0028】
図5は、エアバッグモジュールを形成するために構造要素、すなわちハウジング60に取り付けられるエアバッグクッション10及びテザー30からなるアセンブリを示す。図5に示される状態では、エアバッグモジュールのガス生成器62がトリガされた後にエアバッグクッションが展開する。テザー30の第2の端部32は、テザー30が張力下にあり、したがって、エアバッグクッション10の展開深さ(X方向)を制限するように、ハウジング60の取り付けユニット64に取り付けられていることを見ることができる。この取り付けユニット64は、永久取り付け特徴66と、テザー30の主要部分が解放可能にハウジング60接続されるように、テザー30の第2の端部32近くのテザー30の巻かれていないセクション36を介して切断するように設計されたカッター68とを備える。当然のことながら、例えば、国際公開第2014/029473(A1)号に記載されているような、他のタイプのテザーの解放可能な取り付けを使用することもできる。別の代替例では、テザー30の第2の端部32を、作動可能な機構によってアンカーポイントから解放又はスライドさせることができる。
【0029】
テザーが切断されずにハウジングに接続されている限り、エアバッグ展開時にテザーは張力下にある、したがって、展開深さを第1の展開深さに制限する。カッター68をトリガさせた後(又は他の方法でテザー又はその主要部分をハウジングから切り離した後)、テザーはその張力を失い、第2の展開深さに達する(図6)。巻かれていないセクション36は単層状であるため、容易に切断して、ハウジングの穴及びエアバッグクッションの穴16bに通すことができる。
【0030】
テザーが張力下にある限り、その円形の第2の端部全体が、衝撃領域(フロントパネル12)に力を伝達する。これは、所望の均等な力の分布、及び相対的に平坦な衝撃表面12aをもたらす。
【0031】
図7は、本発明の第2の実施形態のテザーアセンブリ前駆体を示す。このテザーアセンブリ前駆体は、上述のテザー要素20と、例えばロープ又はストラップ(ほとんどの場合、ロープが好ましい)の形態であり得る追加のテザー70とからなる。テザー側端部71は、テザー・テザー接続74(例えば継ぎ目)によってテザー要素20に取り付けられ(例えば、縫製され)、追加のテザーは、そこから遠位端部72まで延在する。テザー・テザー接続部74は、好ましくは、第1のセクション25の近くの第2のセクション26に位置する。
【0032】
次のアセンブリステップは、以下の例外を除いて、第1の実施形態に関連して説明したとおりである:テザー30の第2の端部32は、第2の接続部52によってエアバッグクッション10に取り付けられる(通常は縫製される)。この第2の接続部52は、通常、少なくとも1つの強化層(図示せず)が提供される中央穴16cに近く、クッション10の膨張中にほとんど動かない領域にあることが好ましい。追加のテザー70のテザー遠位端部72は、取り付けユニットに接続される。
【0033】
この幾何学的形状は、カッター68がトリガされず、エアバッグクッション10が展開されるとき、追加のテザー70は張力下にあるが、エアバッグクッション10が第1の展開深さまで展開するように、テザー・テザー接続部74と第2の接続部52との間に延在するテザー30のセクションは張力下にないように選択される(図8)。
【0034】
カッター68を作動させた後、追加のテザー70は、その張力を失い、エアバッグクッションは、第2の展開深さまで展開する。第1の実施形態とは対照的に、その第2の端部32がエアバッグクッション10のバックパネル16に接続されたままであり、基本的に平坦な衝撃表面12aが両方の展開深さにおいて提供されるため、この第2の展開深さは、テザー30によって制限される(図9)。
【0035】
第1の実施形態と同様に、追加のテザー70のハウジング(構造体)への破壊可能又は取り外し可能な接続は、他の種類の解放可能な取り付け手段を介して、得られ得、例えば、追加のテザー70のテザー遠位端部72は、作動可能な機構によってアンカーポイントから解放又はスライドされ得る。更に、追加のテザー及びテザーの巻かれていないセクションの役割を変更することは(一般的には好ましくないとしても)一般に可能であろう。最後に、エアバッグクッションの3つの展開深さに達することができるように、追加のテザー及び巻かれていないセクションの両方を解放可能な方式で構造体に取り付けることが一般に可能であろう。
【符号の説明】
【0036】
10 エアバッグクッション
12 衝撃領域/フロントパネル
12a 衝撃表面
14 サイドパネル
16 バックパネル
16a 取り付け穴
16b テザー用の穴
20 テザー要素
21 第1の末端部
22 第2の末端部
25 テザー要素の第1のセクション(扇形の形状を有する)を広げる
25a 第1のセクションの第1の横方向縁部
25b 第1のセクションの第2の横方向縁部
26 第2のセクション
28 穴
30 テザー
31 第1の端部
32 第2の端部
35 テザーの円錐形状の巻かれたセクション
36 巻かれていないセクション
38 通路
40 フロントパネルとサイドパネルとの間の接続部
42 バックパネルとサイドパネルとの間の接続部
51 第1の接続部
52 第2の接続部
60 ハウジング
62 ガス生成器
64 取り付けユニット
66 永久取り付け特徴
68 カッター
70 追加のテザーセクション(ロープ)
71 追加のテザーのテザー側端部
72 追加のテザーのテザー遠位端部
74 追加のテザーをテザーに接続する接続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-06-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアバッグモジュールであって、
衝撃領域(12)を備えるエアバッグクッション(10)と、
前記エアバッグクッション(10)が取り付けられている構造体と、
第1の接続部(51)によって前記衝撃領域(12)に取り付けられている第1の端部(31)と、前記衝撃領域(12)以外の領域で前記構造体又は前記エアバッグクッションに取り付けられている第2の端部(32)と、を有する、テザー(30)であって、前記テザーの前記第1の端部(31)を形成する第1の末端部(21)から前記テザー(30)の前記第2の端部(32)を形成する第2の末端部(22)まで延在する平坦なテザー要素(20)から作製されている、テザー(30)と、を備え、
前記第1の末端部(21)から延在する前記テザー要素(20)の少なくとも第1のセクション(25)が、巻かれて、前記テザー(30)の巻かれたセクション(35)を形成することを特徴とする、エアバッグモジュール。
【請求項2】
前記第1の接続部(51)が、非線形であることを特徴とする、請求項1に記載のエアバッグモジュール。
【請求項3】
前記第1の接続部(51)が、閉鎖されていることを特徴とする、請求項2に記載のエアバッグモジュール。
【請求項4】
前記テザー要素(20)の前記第1のセクション(25)が、前記第1の末端部(21)に向かって広がることを特徴とする、請求項1に記載のエアバッグモジュール。
【請求項5】
前記テザー要素(20)の前記第1のセクション(25)が、本質的に扇形の形状を有することを特徴とする、請求項4に記載のエアバッグモジュール。
【請求項6】
前記第1の接続部(51)が楕円形状、特に円形状であるように、前記前記テザー(30)の前記巻かれたセクション(35)が、円錐形状であることを特徴とする、請求項5に記載のエアバッグモジュール。
【請求項7】
前記テザー(30)が、前記第2の端部(32)と前記巻かれたセクション(35)との間に延在する巻かれていないセクション(36)を追加的に備えることを特徴とする、請求項4に記載のエアバッグモジュール。
【請求項8】
前記テザー要素(20)が、前記第2の末端部(22)と前記第1のセクション(25)との間に延在し、前記テザー(30)の前記巻かれていないセクション(35)を形成する、第2のセクション(26)を更に備えることを特徴とする、請求項7に記載のエアバッグモジュール。
【請求項9】
前記第2のセクション(26)が、実質的に一定の幅を有することを特徴とする、請求項8に記載のエアバッグモジュール。
【請求項10】
前記エアバッグクッション(10)が十分に展開し、前記テザー(30)が張力下にあるように、前記テザー(30)がその第2の端部(32)を介して前記構造体又は前記エアバッグクッションに少なくとも間接的に取り付けられたとき、前記テザー(30)の前記巻かれていないセクション(36)が実質的に平坦であることを特徴とする、請求項8に記載のエアバッグモジュール。
【請求項11】
前記テザー要素(20)が、一体型であることを特徴とする、請求項1に記載のエアバッグモジュール。
【請求項12】
前記テザー要素(20)の前記第1のセクションが、第1の切断部から作製され、前記テザー要素の前記第2のセクションが、第2の切断部から作製され、第1及び第2の切断部が、互いに取り付けられて前記テザー要素を形成することを特徴とする、請求項8に記載のエアバッグモジュール。
【請求項13】
前記テザー要素(20)が、前記テザー内に膨張ガス用の通路(38)を形成するための少なくとも1つの穴(28)を備えることを特徴とする、請求項1に記載のエアバッグモジュール。
【請求項14】
前記テザー要素(20)の2つの横方向縁部(25a、25b)が、少なくとも部分的に互いに接続されて、前記テザー(30)の前記巻かれたセクション(35)の閉鎖された生成表面を形成することを特徴とする、請求項1に記載のエアバッグモジュール。
【請求項15】
前記第2の端部(32)を前記構造体から解放することができるか、又は前記テザー(30)の少なくとも主要部分が前記構造体から解放可能であるように、前記テザーを前記第2の端部(32)の近くで破壊することができるような方式で、前記テザー(30)が、前記構造体に取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載のエアバッグモジュール。
【請求項16】
追加のテザー(70)が、前記テザー(30)から延在し、前記追加のテザーが、テザー遠位端部(72)を有し、前記構造体又は前記エアバッグクッション(10)に永久的に接続されることを特徴とする、請求項15に記載のエアバッグモジュール。
【請求項17】
追加のテザー(70)が、前記テザー(30)から延在し、前記追加のテザーが、テザー遠位端部(72)を有し、
前記テザー遠位端部(72)を前記構造体から解放することができるか、又は前記追加のテザー(70)の少なくとも主要部分が前記構造体から解放可能であるように、前記追加のテザー(70)を前記テザーの遠位端部(72)の近くで破壊することができるような方式で、前記追加のテザー(70)が、前記構造体に取り付けられており、
前記テザー(30)の前記第2の端部(32)が、好ましくは永久的な方式で、前記構造体又は前記エアバッグクッション(10)に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載のエアバッグモジュール。
【国際調査報告】