(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】オブジェクトベースのデータサイエンス・プラットフォーム
(51)【国際特許分類】
G06N 20/00 20190101AFI20241010BHJP
【FI】
G06N20/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024528471
(86)(22)【出願日】2022-11-18
(85)【翻訳文提出日】2024-06-14
(86)【国際出願番号】 US2022050470
(87)【国際公開番号】W WO2023091710
(87)【国際公開日】2023-05-25
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524179341
【氏名又は名称】ライブライン テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【氏名又は名称】前田 治子
(74)【代理人】
【識別番号】100227673
【氏名又は名称】福田 光起
(74)【代理人】
【識別番号】100231038
【氏名又は名称】正村 智彦
(72)【発明者】
【氏名】カウチ クリストファー エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ヘ ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ヘルナンデス ジョセフ
(57)【要約】
複数のデータパッケージオブジェクトは、それぞれ、パラメータの時系列値を示す信号データを含み、信号データをメモリより小さいサイズの複数のバッチに整理し、インデックスに従って複数のバッチを識別し、リクエストに応答して、ランダムにシャッフルされた又は任意の順序のインデックスを識別する出力を提供し、時系列パラメータ入力から時系列パラメータ出力を予測する機械学習モデルを学習させるために、複数のバッチのうちの1つのバッチの信号データの特徴を使用できるように、前記1つのバッチをメモリにロードし、前記1つのバッチと他のバッチが同時にメモリのすべてを完全に占有するのを防ぐために、前記1つのバッチをメモリから削除する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリと、
複数のデータパッケージオブジェクトを構築し利用するようにプログラムされたプロセッサとを備え、
前記各データパッケージオブジェクトは、
複数のパラメータの時系列値を示す信号データを含み、
前記信号データを前記メモリより小さいサイズの複数のバッチに整理し、
インデックスに従って前記バッチを識別し、
リクエストに応答して、ランダムにシャッフルされた又は任意の順序のインデックスを識別する出力を提供し、前記複数のバッチのうちの1つのバッチの前記信号データの特徴を使用して時系列パラメータ入力から時系列パラメータ出力を予測する機械学習モデルを学習させるために、前記1つのバッチを前記メモリにロードし、前記1つのバッチと他のバッチとが同時に前記メモリのすべてを完全に占有しないように、前記1つのバッチを前記メモリから削除する、コンピュータシステム。
【請求項2】
前記信号データは、製造装置のパラメータの時系列値を記述する、請求項1に記載のコンピュータシステム。
【請求項3】
前記機械学習モデルがsequence to sequenceモデルである、請求項1に記載のコンピュータシステム。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記データパッケージオブジェクトからの前記インデックスを識別する出力に基づいて、前記メモリに順次ロードされ前記メモリから削除される前記バッチが異なる前記データパッケージオブジェクトからのものであるように前記リクエストを生成する実験パッケージオブジェクトを構築し利用するようにさらにプログラムされている、請求項1に記載のコンピュータシステム。
【請求項5】
前記各データパッケージオブジェクトは、管理限界を記述するメタデータをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータシステム。
【請求項6】
前記各データパッケージオブジェクトは、前記リクエストに応答して、前記機械学習モデルが前記管理限界に従って学習するように、前記メタデータをさらに前記メモリにロードする、請求項5に記載のコンピュータシステム。
【請求項7】
前記プロセッサは、モデル学習の複数のエポックに亘って、全ての前記データパッケージオブジェクトからの全ての前記バッチがランダムな順序で前記メモリにロードされ、前記メモリから除去されるような前記リクエストを生成する実験パッケージオブジェクトを構築し利用するようにさらにプログラムされている、請求項1に記載のコンピュータシステム。
【請求項8】
前記プロセッサは、モデルリング用の特徴を生成するために、前記信号データに対して予め定義され設定可能な一連のデータ処理操作を実行するパイプラインオブジェクトを構築し利用するようにさらにプログラムされている、請求項1に記載のコンピュータシステム。
【請求項9】
前記プロセッサは、さらに、前記機械学習モデルと、機械学習後に前記機械学習モデルを再構築するために必要な全てのパラメータの分類法とを含むモデルパッケージオブジェクトを構築し利用するようにプログラムされている、請求項1に記載のコンピュータシステム。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記データパッケージオブジェクト、実験パッケージオブジェクト、パイプラインオブジェクト、またはモデルパッケージオブジェクトを、再使用のために前記メモリに格納およびロードできるシリアライズされたファイルオブジェクトとして保存するようにさらにプログラムされている、請求項1に記載のコンピュータシステム。
【請求項11】
ハードウェアレジストリと、
複数のデータパッケージオブジェクトを構築し利用するようにプログラムされたマイクロコントローラとを備え、
前記各データパッケージオブジェクトは、
複数のパラメータの時系列値を示す信号データを含み、
前記信号データを前記ハードウェアレジストリより小さいサイズの複数のバッチに整理し、
インデックスに従って前記バッチを識別し、
リクエストに応答して、ランダムにシャッフルされた又は任意の順序のインデックスを識別する出力を提供し、前記複数のバッチのうちの1つのバッチの前記信号データの特徴を使用して時系列パラメータ入力から時系列パラメータ出力を予測する機械学習モデルを学習させるために、前記1つのバッチを前記ハードウェアレジストリにロードし、前記1つのバッチと他のバッチが同時に前記ハードウェアレジストリのすべてを完全に占有しないように、前記1つのバッチを前記ハードウェアレジストリから削除する、組込みシステム。
【請求項12】
前記信号データは、製造装置のパラメータの時系列値を記述する、請求項11に記載の組込みシステム。
【請求項13】
前記機械学習モデルがsequence to sequenceモデルである、請求項11に記載の組込みシステム。
【請求項14】
前記マイクロコントローラは、前記データパッケージオブジェクトからの前記インデックスを識別する出力に基づいて、前記ハードウェアレジストリに順次ロードされ前記ハードウェアレジストリから削除される前記バッチが異なる前記データパッケージオブジェクトからのものであるように前記リクエストを生成する実験パッケージオブジェクトを構築し利用するようにさらにプログラムされている、請求項11に記載の組込みシステム。
【請求項15】
前記各データパッケージオブジェクトは、管理限界を記述するメタデータをさらに含む、請求項11に記載の組み込みシステム。
【請求項16】
前記各データパッケージオブジェクトは、前記リクエストに応答して、前記機械学習モデルが前記管理限界に従って学習するように、前記メタデータをさらに前記ハードウェアレジストリにロードする、請求項15に記載の組込みシステム。
【請求項17】
前記マイクロコントローラは、モデル学習の複数のエポックに亘って、全ての前記データパッケージオブジェクトからの全ての前記バッチがランダムな順序で前記ハードウェアレジストリにロードされ、前記ハードウェアレジストリから削除されるような前記リクエストを生成する実験パッケージオブジェクトを構築し、利用するようにさらにプログラムされている、請求項11に記載の組込みシステム。
【請求項18】
前記マイクロコントローラは、モデルリング用の特徴を生成するために、前記信号データに対して予め定義され設定可能な一連のデータ処理操作を実行するパイプラインオブジェクトを構築し利用するようにさらにプログラムされている、請求項11に記載の組込みシステム。
【請求項19】
前記マイクロコントローラは、さらに、前記機械学習モデルと、機械学習後に前記機械学習モデルを再構築するために必要な全てのパラメータの分類法とを含むモデルパッケージオブジェクトを構築し利用するようにプログラムされている、請求項11に記載の組み込みシステム。
【請求項20】
前記マイクロコントローラは、前記データパッケージオブジェクト、実験パッケージオブジェクト、パイプラインオブジェクト、またはモデルパッケージオブジェクトを、再使用のために前記ハードウェアレジストリに格納およびロード可能なシリアライズされたファイルオブジェクトとして保存するようにさらにプログラムされている、請求項11に記載の組み込みシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願との相互参照)
本出願は、2022年11月17日に出願された出願番号18/056,391の優先権を主張する。本出願は、2021年11月19日に出願された仮出願第63/281,433号の利益を主張する、2022年11月17日に出願された第18/056,391号の優先権を主張する。第63/281,433号(2021年11月19日出願)の利益を主張するものであり、両者は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、人工知能の学習とそれに伴うメモリ管理に関する。
【背景技術】
【0003】
機械が示す「知能」は、様々な現象を記述するデータ値の流れから予測を行うエージェントの形をとることができる。例えば、知能モデルは、様々なデータから将来の株価や製造業の生産量を予測しようとすることができる。このようなモデルは、多くの場合、大量のデータで学習される。
【発明の概要】
【0004】
コンピュータシステムは、メモリとプロセッサを含む。プロセッサは、複数のデータパッケージオブジェクトを構築し利用するようにプログラムされている。各データパッケージオブジェクトは、パラメータの時系列値を記述する信号データを含み、信号データをメモリより小さいサイズの複数のバッチに整理し、インデックスに従って複数のバッチを識別する。各データパッケージオブジェクトはさらに、リクエストに応答して、ランダムにシャッフルされた又は任意の順序のインデックスを識別する出力を提供し、複数のバッチのうちの1つのバッチの信号データの特徴を使用して時系列パラメータ入力から時系列パラメータ出力を予測する機械学習モデルを学習させるために、前記1つのバッチをメモリにロードし、その1つのバッチと他のバッチとが同時にメモリのすべてを完全に占有しないように、ロードした1つのバッチをメモリから削除する。
【0005】
組込みシステムは、ハードウェアレジストリとマイクロコントローラを含む。マイクロコントローラは、複数のデータパッケージオブジェクトを構築し利用するようにプログラムされている。各データパッケージオブジェクトは、パラメータの時系列値を記述する信号データを含み、信号データをハードウェアレジストリより小さいサイズの複数のバッチに整理し、インデックスに従って複数のバッチを識別する。各データパッケージオブジェクトは、さらに、リクエストに応答して、ランダムにシャッフルされた又は任意の順序のインデックスを識別する出力を提供し、複数のバッチのうちの1つバッチの信号データの特徴を使用して時系列パラメータ入力から時系列パラメータ出力を予測する機械学習モデルを学習させるために、前記1つのバッチをハードウェアレジストリにロードし、その1つのバッチと他のバッチとが同時にハードウェアレジストリのすべてを完全に占有しないように、ロードした1つのバッチをハードウェアレジストリから削除する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】オブジェクトベースのデータサイエンス・プラットフォームの様々なオブジェクト間の関係を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書では、実施形態について説明する。しかしながら、開示された実施形態は単なる例示であり、他の実施形態は様々な代替形態を取り得ることを理解されたい。図は必ずしも縮尺通りではない。一部の特徴は、特定の構成要素の詳細を示すために誇張または最小化され得る。したがって、本明細書に開示された特定の構造的および機能的な詳細は、限定的なものとして解釈されるものではなく、単に当業者に教示するための代表的な基礎として解釈されるものである。
【0008】
任意の1つの実施例を参照して図示または説明した様々な特徴を、1つまたは複数の他の実施例に図示または説明した特徴と組み合わせて、明示的に図示または説明されていない実施形態を作り出すことができる。図示された特徴の組み合わせは、典型的な用途のための代表的な実施形態を提供する。しかしながら、本開示の教示と一致する特徴の様々な組み合わせおよび改変が、特定の用途または実装のために所望され得る。
【0009】
機械学習モデル(シーケンス・トゥ・シーケンシー・モデルなど)などの人工知能のトレーニングは、しばしばオーダーメイドで行われる。例えば、データサイエンティストは、機械学習モデルの学習に使用するデータをロードし、前処理するためのカスタムコードを作成する。しかし、異なるモデルや異なるデータを導入すると、追加のカスタムコードが必要になることがある。さらに、人工知能の学習に使用するデータ量が、使用可能なメモリを超えることもある。ここでは、人工知能を訓練する際のカスタムコードや大量のメモリの必要性を減らすために、再利用可能なオブジェクトを持つプラットフォームを紹介する。
【0010】
プロジェクトオブジェクト、実験パッケージオブジェクト、データパッケージオブジェクト、パイプラインオブジェクト、モデルパッケージオブジェクトなど、いくつかのタイプのオブジェクトが考えられる。対応するクラスからインスタンス化されると、以下に説明するそれぞれの機能を継承する。これらは全て区別できシリアライズ可能であり、ファイルとして保存したり、バージョンとして管理することができる。そして、これらのオブジェクトは、例えばプロセッサやマイクロコントローラによって実行されると、協調してモデルの学習を促進する。
【0011】
一例として、ソフトウェア物理パッケージ(physics)に対する、複数の機能を持つステートベースのインターフェース(seq2seq)が考えられる。これらの関数は、プロジェクトと呼ばれるものを設定して実行するための高レベルのプロジェクトアプリケーションプログラミングインターフェース(API)を構成する。プロジェクトAPIの使用は、可能であればオブジェクトAPIよりも一般的に好ましい。
プロジェクトAPIの例
# Import state-based interface; Project API is now available
From physics import seq2seq as pjt
# Extract data from a source
pjt.extract_data(source=‘manufacturing plant’, run_id=140, search=‘files’)
【0012】
概念的には、ステートベースのインターフェースは、
図1に示すように、主要なオブジェクトクラス間の関係を維持する。プロジェクト・レベルの関数をいくつか示す。このように、ステートベース・インターフェースは、様々なオブジェクトAPIを呼び出す便利な関数の集まりと理解することができる。このアプローチにより、プロジェクトオブジェクトを、保存、再利用、有用な方法での再組み合わせが可能な、別個の「パッケージ」として扱うことができる。例えば、ある実験で学習したモデルは、データパッケージオブジェクトを入れ替え、実験の検証メソッドを再度呼び出すだけで、新しいデータに対して検証することができる。同様に、ある製品を生産する装置からのデータでうまく機能するフィーチャーエンジニアリングパイプラインを保存し、同じ製品を生産する他の装置からのデータに適用することができる。
【0013】
以下、
図1を参照しながら、さまざまなオブジェクトを簡単に紹介する。プロジェクトオブジェクト10は、他の様々なオブジェクト12~34のステートフルレジストリを管理することができ、高レベルのプロジェクトAPIを定義する。データローダオブジェクト12は、クラウド、データベース、または他のファイルソースからデータを取得し、データをデータパッケージオブジェクト14、16、18、20に取り込み、プロジェクトオブジェクト10に登録する。クリーナーオブジェクト22は、データパッケージオブジェクト14、16、18、20の前処理を行い(例えば、データの完全性を検査し、問題のある部分を修正または除外しようとする)、データから信号を選択し、特徴を作成するための機械学習機能を提供する。データパッケージオブジェクト14、16、18、20は、データおよび対応するメタデータ、可視化ツール、リサンプリングユーティリティなどのためのカスタムコンテナを提供する。パイプラインオブジェクト24、26は、データパッケージオブジェクト14、16、18、20内のデータを変換し、新しい特徴を作成する。処理ステップは、パイプライン操作オブジェクトを追加することで定義される。モデルパッケージ28,30は、トレーニング用のモデルアーキテクチャを定義し、モデルの2値化とエクスポートのためのユーティリティを持つ。実験パッケージオブジェクト32、34は、データパッケージオブジェクト、パイプラインオブジェクト、モデルパッケージオブジェクトなどの必要なオブジェクトが割り当てられた後に、トレーニング可能なセットアップを定義します。データパッケージオブジェクト14、16のような所定の実験パッケージオブジェクトに割り当てられたオブジェクトは、様々な実験パッケージオブジェクトにまたがって再利用することができる。また、プロジェクトオブジェクト全体と同様に、他の実験パッケージオブジェクトで再利用するために保存することもできる。先に簡単に述べたように、プロセッサおよびメモリ36(または代わりに、マイクロコントローラおよび組み込みシステムのハードウェアレジストリ)は、オブジェクト10~34を実行し、対応するデータおよびメタデータをそこに保存するようにプログラムすることができる。
【0014】
プロジェクトAPIに加えて、さまざまなオブジェクトを、それぞれのオブジェクトAPIを利用して直接公開することができる。但し、これは本番環境では一般的に有用ではないかもしれない。しかし、データパッケージオブジェクトで生データを可視化したり、パイプラインオブジェクトに含まれる信号処理オペレーションでスピードベンチマークテストを実行したりするような、特定のタスクのためにオブジェクトAPIを使用するのは便利かもしれない。
オブジェクトAPIの例
from physics import seq2seq as pjt
# Extract data using Project API
pjt.extract_data(source=‘manufacturing plant’, run_id=140, search=‘files’)
# Expose the DataPackage just created and visualize raw data with Object API
dpk = pjt.get_datapackage()
dpk.plot_data()
# Create a feature transformation Pipeline using Project API
pjt.create_pipeline()
# Expose the Pipeline just created and add an operation with Object API
p = pjt.get_pipeline()
p.add_operation(
transformation_obj=‘StandardScaler’,
)
# Onboard (bring into memory) DataPackage contents
dpk.onboard()
# Fit Pipeline operations to data, and benchmark execution speed
p.fit_to_dataframe(df = dpk.source.data)
p.benchmark(df=dpk.source.data)
【0015】
より一般的には、データパッケージオブジェクトは、生の信号データ(例えば、動作中の製造装置の温度センサやモータの電流などのパラメータの時系列値)と、対応するメタデータ(例えば、製造装置の動作温度範囲や電力制限などの管理制限を記述するデータ)を含むことができる。データパッケージオブジェクトは、それが含むデータに関連するいくつかの管理機能を持つこともできる。これらの機能には、データのサイズを把握すること、データからバッチ(サブセットなど)を構築してインデックスを付けること(各バッチは通常、利用可能なメモリのサイズより小さいサイズを持つ)、バッチインデックスのシャッフル、リクエストされたバッチのメモリへのロード、メモリからのバッチの削除などが含まれる。
【0016】
パイプラインオブジェクトは、データから注目すべき特徴を生成するための、定義済みで設定可能な一連のデータ処理操作(周波数解析、統計解析など)を含まれており、任意の多数のデータパッケージオブジェクトにわたって実行させることができる。これらの操作は、例えば、各操作が対象とする信号を定義することができ、再度呼び出して使用することができる単一のオブジェクトとして保存することができる。その結果、ある種のソース(工場など)からのデータを準備するための一連の手順を保存しておき、そのソースからのデータを使用して対応するモデルの学習を更新するたびに、対応するパイプラインオブジェクトをロードすることで、データを準備するための同じ一連の手順を呼び出すことができる。パイプラインオブジェクトによって定義される一連の操作の例としては、温度データに対する移動平均の生成、すべてがゼロ平均になるようにデータをスケーリングすること、ウェーブレットを作成するために圧力信号に対して周波数分析を実行することなどが挙げられる。
【0017】
モデルパッケージは、機械学習モデル(sequence to sequenceモデルなど)と、学習後に機械学習モデルを再構成するために必要なすべてのパラメータの分類法(シーケンスの長さ、ニューラルネットワーク層の数、入力と出力の数、ニューラルネットワーク要素の学習済み重みなど)とを含むことができ、それらをシリアライズ、保存、再ロードする機能を持つ。一度ロードされると、モデルはメモリに再構成され、使用またはトレーニングすることができる。
【0018】
実験パッケージオブジェクトは、様々なサブパッケージを一緒に使用するための機能的なツールを提供することができます。シリアル化可能で、異なる実行時間で再構築するために必要なすべてのデータを含み、学習、検証、シミュレーションを実行し、モデルのパフォーマンスをプロットすることができる。これはモデル学習のオーケストレーターである。
【0019】
データパッケージオブジェクトに関連するメモリ管理機能により、たとえすべてのデータソースが同時にメモリに収まらない場合でも、プラットフォームは特定のモデルに対して任意の数のデータパッケージオブジェクトを使用することができる。上述したように、データパッケージオブジェクトは、データのサイズや、データからいくつのバッチ(サブセットなど)を構築できるかなど、データの重要な特徴に関する知識を持っており、そのようなバッチにインデックスを付けることができる。対応する実験パッケージは、データがまだメモリ上になくても、そのデータパッケージを参照し、データパッケージに対してランダムにシャッフルし、利用可能なバッチのインデックスを報告するリクエストを生成することができる。すべてのデータパッケージにおいて、実験パッケージはバッチをランダムに選択することができる。選択されたバッチを格納するデータパッケージは、バッチのデータと対応するメタデータをメモリにロードし、実験パッケージが、例えば、メタデータによって定義された管理限界に従った製造装置への時系列パラメータ入力から製造装置の時系列パラメータ出力を予測するモデルのトレーニングに使用する。このように、実験パッケージは、モデル学習の複数のエポックに亘って、データパッケージのすべてのバッチをランダムに繰返すことができ、機械学習モデルを効率的に学習させるのに有利である。
【0020】
本明細書で開示されるアルゴリズム、方法、またはプロセスは、コンピュータ、コントローラ、または処理装置に配信可能であり、またはコンピュータ、コントローラ、または処理装置によって実行可能であり、任意の専用電子制御ユニットまたはプログラマブル電子制御ユニットを含むことができる。同様に、アルゴリズム、方法、またはプロセスは、コンピュータまたはコントローラによって実行可能なデータおよび命令として、読み取り専用メモリデバイスのような書き込み不可能な記憶媒体に永久的に記憶された情報、およびコンパクトディスク、ランダムアクセスメモリデバイス、または他の磁気および光学媒体のような書き込み可能な記憶媒体に変更可能に記憶された情報を含むがこれらに限定されない多くの形態で記憶することができる。アルゴリズム、方法、またはプロセスは、ソフトウェア実行可能オブジェクトに実装することもできる。あるいは、アルゴリズム、方法、またはプロセスは、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、ステートマシン、または他のハードウェアコンポーネントもしくはデバイスなどの適切なハードウェアコンポーネント、またはファームウェア、ハードウェア、およびソフトウェアコンポーネントの組み合わせを使用して、全体的または部分的に具現化することができる。
【0021】
例示的な実施形態を上述したが、これらの実施形態が特許請求の範囲に包含される全ての可能な形態を説明することを意図するものではない。本明細書で使用される言葉は、限定ではなく説明の言葉であり、本開示の精神および範囲から逸脱することなく様々な変更がなされ得ることが理解される。例えば、プロセッサ及び複数のプロセッサという語は互換的に使用され得、マイクロコントローラ及び複数のマイクロコントローラという語は互換的に使用され得る。
【0022】
前述したように、様々な実施形態の特徴を組み合わせて、明示的に記載または図示されていない本発明のさらなる実施形態を形成することができる。様々な実施形態は、1つまたは複数の所望の特性に関して、他の実施形態または先行技術の実施形態よりも利点を提供するか、または好ましいものとして説明され得るが、当業者は、1つまたは複数の特徴または特性が、特定の用途および実施形態に依存する所望の全体的なシステム属性を達成するために妥協され得ることを認識する。これらの属性には、コスト、強度、耐久性、ライフサイクルコスト、市場性、外観、パッケージング、サイズ、保守性、重量、製造可能性、組立容易性などが含まれるが、これらに限定されない。このように、1つまたは複数の特性に関して、他の実施形態または従来技術の実施形態よりも望ましくないと記載された実施形態は、本開示の範囲外ではなく、特定の用途にとって望ましい場合がある。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
(関連出願との相互参照)
本出願は、2022年11月17日に提出された出願番号18/056,391に優先権を主張し、2021年11月19日に提出された仮出願番号63/281,433の利益を主張する。これらの出願は両方とも、その全内容がここに引用として組み込まれる。
【国際調査報告】