(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】角度情報を用いた超音波ベースの測定の補正
(51)【国際特許分類】
G01S 15/42 20060101AFI20241010BHJP
G01S 15/08 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
G01S15/42
G01S15/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529366
(86)(22)【出願日】2022-11-11
(85)【翻訳文提出日】2024-06-24
(86)【国際出願番号】 EP2022081593
(87)【国際公開番号】W WO2023088798
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】102021213034.8
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】ベッカー,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】シュマン,ミヒャエル
【テーマコード(参考)】
5J083
【Fターム(参考)】
5J083AA02
5J083AC07
5J083AD01
5J083AD04
5J083AD17
5J083AF05
5J083AG20
(57)【要約】
制御デバイス(6)によってセンサ構成(1)の超音波センサの少なくとも1つの超音波ベースの測定を補正するための方法であって、少なくとも1つの超音波センサ(8)によって音波が送信および/または受信され、音波の通過時間測定に基づいて、測定平面(M)に沿った反射位置(P)までの少なくとも1つの距離(l)が決定され、少なくとも1つの超音波センサアレイ(2)のトランスデューサ要素からの測定データを評価することによって、測定平面(M)内および/または測定平面(M)外の少なくとも1つの角度が決定され、超音波センサ(8)と反射位置(P)との間の少なくとも1つの決定された距離(l)の位置特定誤差(Δx)が、決定された角度によって補正される、方法が開示される。さらに、センサ構成(1)、制御デバイス(6)、コンピュータプログラム、および機械可読記憶媒体が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御デバイス(6)によってセンサ構成(1)の超音波センサ(8)の少なくとも1つの超音波ベースの測定を補正するための方法(20)であって、
少なくとも1つの超音波センサ(8)によって音波が送信および/または受信され、前記音波の通過時間測定に基づいて、測定平面(M)に沿った反射位置(P)までの少なくとも1つの距離(l)が決定され、
少なくとも1つの超音波センサアレイ(2)のトランスデューサ要素(10,11)からの測定データを評価することによって、前記測定平面(M)内および/または前記測定平面(M)外の少なくとも1つの角度(α,β)が決定され、
前記測定平面(M)に沿った、前記超音波センサ(8)と前記反射位置(P)との間の前記少なくとも1つの決定された距離(l)の位置特定誤差(Δx)が、前記決定された角度(α,β)によって補正される、
方法(20)。
【請求項2】
少なくとも1つの角度(α,β)として、前記測定平面(M)内の方位角(β)および/または前記測定平面(M)外の仰角(α)が、前記超音波センサアレイ(2)によって決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
音波の通過時間測定に基づいて、少なくとも2つの超音波センサ(8)によって、ならびに/または1つの超音波センサ(8)および少なくとも1つの超音波センサアレイ(2)によって、測定平面(M)に沿って少なくとも2つの距離(l)が決定され、反射位置(P)の位置特定が三辺測量によって行われ、前記三辺測量の前または前記三辺測量の後に、超音波センサ(8)と反射位置(P)との間の前記少なくとも1つの決定された距離(l)の前記位置特定誤差(Δx)が、前記決定された角度(α,β)によって補正される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記測定平面(M)内で決定された少なくとも2つの距離(l)が共通の物体(4,5)での反射によって決定されたものか、複数の異なる物体(4,5)での反射によって決定されたものかについてテスト(24)が行われる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの決定された距離(l)の前記位置特定誤差(Δx)が、地面上の前記測定平面(M)の所定の高さに対して、前記決定された角度によって補正される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの決定された距離(l)の前記位置特定誤差(Δx)が、地面上の前記センサ構成(1)の超音波センサ(8)の最も低い設置位置に対応する高さに対して、前記決定された角度によって補正される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
三辺測量によって決定された少なくとも1つの反射位置(P)および/または個別測定によって決定された少なくとも1つの反射位置(P)が、少なくとも1つの既存の物体または新たな物体(4,5)に割り当てられる、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記測定平面内の方位角(β)として決定された角度(α,β)が、物体(4,5)への反射位置(P)の前記割当てにおける少なくとも1つの曖昧さを解消するために使用される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
特に、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法(20)を実行するためのセンサ構成(1)であって、制御デバイス(6)と、少なくとも1つの超音波センサ(8)と、少なくとも2つのトランスデューサ要素(10,11)を備えた少なくとも1つの超音波センサアレイ(2)とを備え、前記超音波センサ(8)と、前記超音波センサアレイ(2)の前記トランスデューサ要素(10,11)とが、データ伝送可能に前記制御デバイス(6)に接続され、前記少なくとも1つの超音波センサ(8)と、前記少なくとも1つの超音波センサアレイ(2)とが、特に車両(12)の輪郭上で同一の設置高さおよび/または互いに異なる設置高さを有する、
センサ構成(1)。
【請求項10】
制御デバイス(6)によってセンサ構成(1)の少なくとも1つの超音波ベースの測定の曖昧さを解消するための方法であって、
少なくとも1つの超音波センサ(8)によって、および少なくとも1つの超音波センサアレイ(2)によって音波が送信および/または受信され、前記音波の通過時間測定に基づいて、異なる反射位置(P)までの少なくとも2つの距離(l)が決定され、
前記超音波センサアレイ(2)のトランスデューサ要素(10,11)からの測定データを評価することによって、前記超音波センサアレイ(2)と少なくとも1つの反射位置(P)との間の少なくとも1つの角度(α,β)が決定され、
前記決定された少なくとも1つの角度(α,β)が、反射位置(P)および/または決定された距離(l)を少なくとも1つの物体(4,5)に割り当てるために使用される、
方法。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法(20)および/または請求項10に記載の方法を実行するように設計された制御デバイス(6)。
【請求項12】
コンピュータまたは制御デバイス(6)によって実行されるときに、前記コンピュータまたは前記制御デバイス(6)に、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法(20)および/または請求項10に記載の方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のコンピュータプログラムが記憶されている機械可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの超音波ベースの測定を補正するための方法、センサ構成、制御デバイス、コンピュータプログラム、および機械可読記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の駐車支援機能における超音波センサは、駐車スペースおよび障害物を検出するために使用される。このために、音波が生成され、障害物で反射され、次いで受信される。音波の通過時間により、超音波センサと障害物との間の距離を計算することができる。さらに、障害物の位置特定のために、地面に平行な測定平面内での複数の超音波センサの測定結果から三辺測量を行うことができる。測定平面に沿った超音波センサの位置により、障害物でのすべての反射点も測定平面の高さにあると仮定される。ここで、この仮定からの逸脱は、位置特定誤差をもたらす。
【0003】
しかし、超音波センサの特性により、反射点は楕円または円に沿って位置し、これにより、反射点は測定平面外でも決定される。特に、縁石などの低い反射点、または遮断機などの高い反射点からの距離は、超音波ベースでは十分に厳密には決定することができない。仮定からのこのような逸脱は、誤った物体位置や誤って分類された物体をもたらす可能性がある。
【0004】
欧州特許出願公開第2113436号明細書には、距離測定のために、超音波センサと組み合わせて特殊な高さセンサを使用することが開示されている。英国特許出願公開第2486452号明細書からは、高さ情報を決定するために超音波センサが旋回されるまたは地面に向けて取り付けられる、水に浸かった車両の渡河深さ(wading depth)を特定するための方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2113436号明細書
【特許文献2】英国特許出願公開第2486452号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の基礎となる課題は、誤った分類によるまたは曖昧さによる誤った物体形成を回避し、超音波ベースの距離測定を改良する方法およびセンサ構成を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、独立形式請求項のそれぞれの主題によって解決される。本発明の有利な実施形態は、それぞれ引用形式請求項の主題である。
本発明の一態様によれば、センサ構成の超音波センサの少なくとも1つの超音波ベースの測定を補正するための方法が提供される。この方法は、好ましくは制御デバイスによって実行することができる。
【0008】
1つのステップで、少なくとも1つの超音波センサによって音波が送信および/または受信される。音波の通過時間測定に基づいて、測定平面に沿った反射位置までの少なくとも1つの距離が決定される。そのようにして決定された反射位置は、音波の反射を引き起こしたすべての障害物または物体が測定平面に沿って配置されているという仮定の下で作成される。
【0009】
放射特性により、反射位置は、曲線に沿って測定平面の上または下に位置されることがあり、測定平面に沿った実際の距離はより小さく構成される。実際の反射位置と測定平面へのその投影との間のこの距離のずれは、以下では位置特定誤差と定義される。
【0010】
この知識を用いて、少なくとも1つの超音波センサアレイのトランスデューサ要素からの測定データを評価することによって、測定平面内および/または測定平面外の少なくとも1つの角度が決定される。その後、超音波センサと反射位置との間の少なくとも1つの決定された距離の位置特定誤差が、決定された角度によって補正される。
【0011】
特に、位置特定誤差はピタゴラスの定理または三角関数によって補正することができ、測定平面に沿った距離は、反射位置の投影の形で決定することができる。
この方法により、超音波ベースの物体の位置特定を改良し、誤った物体形成およびその結果生じる誤った分類を回避することができる。
【0012】
さらに、角度情報、または反射位置に対する決定された角度の使用により、車両への超音波センサの設置についてより高い融通性を達成することができる。これは、超音波ベースの測定での高さの相違の補償により、超音波センサの設置位置に関する高さオフセットの制限がなくなるからである。
【0013】
本発明のさらなる態様によれば、上記の方法を実行するように設計された制御デバイスが提供される。制御デバイスは、例えば、車両側の制御デバイス、車両外部の制御デバイス、または例えばクラウドシステムなど車両外部のサーバユニットでよい。
【0014】
制御デバイスは、好ましくは、少なくとも1つの超音波センサと、少なくとも1つの超音波センサアレイの少なくとも2つのトランスデューサ要素とにデータ伝送可能に接続することができる。特に、制御デバイスにより、音波を送信および/または受信するためのトランスデューサ要素の個別制御を行うことができる。
【0015】
さらに、本発明の一態様によれば、コンピュータまたは制御デバイスによって実行されるときに、コンピュータまたは制御デバイスに、本発明による方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラムが提供される。本発明のさらなる態様によれば、本発明によるコンピュータプログラムが記憶されている機械可読記憶媒体が提供される。
【0016】
ここで、車両は、BASt標準に従って、運転支援、部分自動化、高度自動化、および/または完全自動化もしくは無人運転で動作可能であり得る。
本方法は、センサ構成のすべてのセンサが高さ測定機能を備えることに限定されない。例えば、2つのセンサのみを超音波センサアレイとして構成し、それらを「一要素トランスデューサ」またはバルク超音波センサの間に位置決めすることもできる。好ましくは、少なくとも1つの測定対象物体が、センサ構成の少なくとも1つのセンサによって、特定の時間範囲にわたって「見られる」または記録される。このとき、履歴角度情報も補正に使用することができる。センサ構成の性能は、さらなる超音波センサおよび/または超音波センサアレイの追加によって改良することができる。
【0017】
例示的実施形態では、少なくとも1つの角度として、測定平面内の方位角および/または測定平面外の仰角が、超音波センサアレイによって決定される。この手段により、決定された角度情報を3次元で構成することができ、曖昧さを回避するための測定平面に沿った角度制約と、位置特定誤差を補正するための高さ方向に沿った角度成分とを同時に得ることができる。
【0018】
さらなる実施形態によれば、音波の通過時間測定に基づいて、少なくとも2つの超音波センサによって、ならびに/または1つの超音波センサおよび少なくとも1つの超音波センサアレイによって、測定平面に沿って少なくとも2つの距離が決定される。
【0019】
反射位置の位置特定が三辺測量によって行われ、三辺測量の前または三辺測量の後に、超音波センサと反射位置との間の少なくとも1つの決定された距離の位置特定誤差が、決定された角度によって補正される。これにより、生の距離またはエコー長の範囲内で事前に位置特定誤差の補正を実施することができる。代替として、三辺測量の後に、1つまたは複数の位置特定誤差を後から補正することもできる。
【0020】
さらなる例示的実施形態によれば、測定平面内で決定された少なくとも2つの距離が共通の物体での反射によって決定されたものか、複数の異なる物体での反射によって決定されたものかについてテストが行われる。この手段によって、複数の距離またはエコー長を1つまたは複数の物体に割り当てる、または互いに「ペアリング」することができる。これにより、三辺測量に関連するエコー長を選択することもできる。
【0021】
さらなる実施形態によれば、少なくとも1つの決定された距離の位置特定誤差が、地面上の測定平面の所定の高さに対して、決定された角度によって補正される。これにより位置特定誤差の補正が可能であり、補正によって、超音波センサと反射位置との間の距離が測定平面に投影されて、車両またはセンサ構成までの正確な距離が得られる。
【0022】
さらなる例示的実施形態によれば、少なくとも1つの決定された距離の位置特定誤差が、地面上のセンサ構成の超音波センサの最も低い設置位置に対応する高さに対して、決定された角度によって補正される。この手段により、異なる高さに配置された超音波センサの測定を最も低い超音波センサに合わせ、決定された角度を使用して距離のずれに関して補償することができる。
【0023】
さらなる実施形態によれば、三辺測量によって決定された少なくとも1つの反射位置および/または個別測定によって決定された少なくとも1つの反射位置が、少なくとも1つの既存の物体または新たな物体に割り当てられる。これにより、既存の物体を新たな反射位置によって拡張する、または決定された反射位置を用いて新たな物体を記録することができる。
【0024】
さらなる例示的実施形態によれば、測定平面内の方位角として決定された角度が、物体への反射位置の割当てにおける少なくとも1つの曖昧さを解消するために使用される。好ましくは角度範囲として構成することができる決定された方位角により、取り得る角度範囲の制限が提供される。そのような制限は、角度範囲外の反射位置のさらなる考慮をなくし、超音波ベースの物体検出における曖昧さを回避することができる。
【0025】
本発明のさらなる態様によれば、特に本発明による方法を実行するためのセンサ構成が提供される。センサ構成は、制御デバイスと、少なくとも1つの超音波センサと、少なくとも1つの超音波センサアレイとを備える。
【0026】
少なくとも1つの超音波センサと、少なくとも1つの超音波センサアレイとが、輪郭、特に車両輪郭上で同一の設置高さおよび/または互いに異なる設置高さを有する。
センサ構成の超音波センサアレイは、垂直方向および/または横方向で互いに離間された少なくとも2つのトランスデューサ要素を備え、トランスデューサ要素および少なくとも1つの超音波センサは、トランスデューサ要素に電気的に接続された制御デバイスによって制御するおよび/または読み取ることができる。
【0027】
それぞれのトランスデューサ要素は、超音波センサアレイの部分センサとして構成され、制御デバイスによって互いに独立して制御および評価することができる。特に、生成されたトランスデューサ要素の音波は互いに干渉し合うことがあり、それにより、放出された音のエコーの主軸は、傾けられる、または表面法線に対して偏向される。
【0028】
特に、例えば垂直にオフセットされた要素列間でのトランスデューサ要素の位相シフト式の制御により、垂直な音放射の主軸が、センサ膜の主軸に対して傾けられることがある。
【0029】
好ましくは、膜振動および/またはシリンダ振動によって励起されて音波を生成および受信するトランスデューサ要素は共通平面上に配置され、この共通平面に基づいて表面法線が定義される。
【0030】
少なくとも1つの超音波センサアレイは、好ましくはMEMS技術で製造され、例えばいわゆる圧電マイクロマシン超音波トランスデューサ(PMUTセンサ)として構成されることがある。トランスデューサ要素は、音パルスまたは音波を生成および/または受信するために、膜、振動可能なピストン、または複合の膜-ピストン構成として構成することができる。
【0031】
制御デバイスは、それぞれのトランスデューサ要素の電気信号間の位相オフセットの決定に対応して、超音波センサアレイの表面法線に対する角度を決定することができる。この手段により、超音波センサアレイは、地面に対して異なる高さの反射位置に動的に適応することができる。決定された位相オフセットは、反射位置からの音波がトランスデューサ要素によって受信される角度に直接依存する。
【0032】
本発明のさらなる態様によれば、センサ構成の少なくとも1つの超音波ベースの測定の曖昧さを解消するための方法が提供される。この方法も同様に制御デバイスによって実行することができる。
【0033】
1つのステップで、少なくとも1つの超音波センサによって、および少なくとも1つの超音波センサアレイによって音波が送信および/または受信される。音波の通過時間測定に基づいて、異なる反射位置までの少なくとも2つの距離が決定される。
【0034】
超音波センサアレイのトランスデューサ要素からの測定データを評価することによって、超音波センサアレイと少なくとも1つの反射位置との間の少なくとも1つの角度が決定される。
【0035】
その後、決定された少なくとも1つの角度が、反射位置および/または決定された距離を少なくとも1つの物体に割り当てるために使用される。特に、これにより、超音波センサの取り得る検出範囲を制約することができ、物体の決定における曖昧さの存在を回避することができる。
【0036】
以下、非常に簡略化された概略図に基づいて、本発明の好ましい例示的実施形態をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】一実施形態によるセンサ構成の超音波センサアレイの斜視図である。
【
図2】位置特定誤差を示すための、車両側に取り付けられたセンサ構成の側面図である。
【
図3】位置特定誤差を示すための、車両側に取り付けられたセンサ構成の側面図である。
【
図4】一実施形態による方法を図解するためのフローチャートである。
【
図5】図解のための、および曖昧さの解消についての、センサ構成の概略平面図である。
【
図6】図解のための、および曖昧さの解消についての、センサ構成の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、一実施形態によるセンサ構成1の超音波センサアレイ2の斜視図を示す。センサ構成1は、
図4でより詳細に述べる方法20を実行するために使用される。
特に、センサ構成1を
図2および
図3で詳細に述べる。センサ構成1は、制御デバイス6と、少なくとも1つの超音波センサ8と、少なくとも1つの超音波センサアレイ2とを備える。ここでは、例として2つのトランスデューサ要素10,11を含む超音波センサアレイ2の機能原理について説明する。
【0039】
センサ構成1の超音波センサアレイ2は、垂直方向zおよび/または横方向yで互いに離間された少なくとも2つのトランスデューサ要素10,11を備え、トランスデューサ要素10,11および少なくとも1つの超音波センサ8は、トランスデューサ要素10,11に電気的に接続された制御デバイス6によって制御するおよび/または読み取ることができる。
【0040】
図1は、高さ測定機能を備えた超音波センサアレイ2の基本原理を説明する。ここで、入射角αでの反射される音波の通過時間測定について述べる。
物体4での後方散乱または反射は依然として同位相であり、後方散乱は同様の方向に均一に生じる。反射された音波が2つのトランスデューサ要素10,11に当たると、低い物体4と対応するトランスデューサ要素10,11との相対位置に応じて位相差φが生じ得る。これは、オフセットされて配置されたトランスデューサ要素10,11までそれぞれの音波が戻る経路l1、l2が異なることにより生じる。
【0041】
しかし、測定平面Mに沿った超音波センサアレイ2と物体4との間の距離dは同じままであり、投影に対応する。図示される例示的実施形態では、低い物体4は縁石に対応し、センサ構成1または超音波センサアレイ2よりも低い位置にある。
【0042】
測定平面Mは、例えば、走行方向xおよび横方向yによって定義されるx-y平面に平行に配置される。
制御デバイス6は、受信された音波からトランスデューサ要素10,11によって生成される電気信号の位相差または位相オフセットφを決定することができる。位相オフセットφは、高さ方向zに沿って広がる角度または仰角αに比例する。
【0043】
トランスデューサ要素10,11は、高さ方向zに沿ってλ/2の距離で互いに離間されている。
図2および
図3には、車両側に取り付けられたセンサ構成1の側面図が示されており、位置特定誤差Δxを示す。特に、
図2には、低い物体4または障害物による位置特定誤差Δxが示されており、
図3には、高い物体5または高い障害物による位置特定誤差Δxが示されている。
【0044】
少なくとも1つの超音波センサ8と少なくとも1つの超音波センサアレイ2とは、車両12の輪郭上で同一の設置高さおよび/または互いに異なる設置高さを有する。
測定平面Mからの物体4,5の位置のずれにより、物体4,5への直線距離lの投影は、位置特定誤差Δxを有する。ここで、物体4,5と超音波センサ8との間の直線距離lは、位置特定誤差Δxと、測定平面Mに沿った超音波センサ8と物体4,5との間の投影距離dとの和に対応する。それにより、物体4,5は、実際よりも遠くにあるものとしてセンサによって記録される。
【0045】
特に車両12の始動またはリセット後、対応する距離は補正されていない形で存在し、ここで、投影距離dが直線距離lに対応すると仮定される。
しかし、仰角αが与えられる場合、測定されたエコー長lは、ピタゴラスの定理を用いて、前に定義された測定平面Mに補正することができる。
【0046】
選択的に、まず三辺測量を行い、その後、この測定平面Mへのエコー長lの投影に対する補正を行うこともできる。
図4は、一実施形態による方法20を図解するためのフローチャートを示す。方法20は、センサ構成1の超音波センサ8の少なくとも1つの超音波ベースの測定を補正するために使用される。
【0047】
ステップ22で、少なくとも1つの超音波センサ8によって音波が送信および/または受信される。音波の通過時間測定に基づいて、測定平面に沿った反射位置までの少なくとも1つの距離lが決定される。
【0048】
放射特性により、反射位置Pは、曲線に沿って測定平面Mの上または下に位置されることがあり(
図2および
図3を参照)、測定平面Mに沿った実際の距離または投影距離dはより小さく構成される。ここで並行して、超音波センサアレイ2の測定データを評価することによって、高さ情報または仰角αが決定される。
【0049】
さらなるステップ24で、異なるセンサ2,8のエコー長lをペアリングすることができるかどうかのテストが行われる。
交点の生成や他のエコー属性の合致などの基準に加えて、ここでは、仰角αおよび存在する場合には方位角βも、さらなる属性としてテストに含めることができる。
【0050】
超音波センサ8と反射位置R(
図1を参照)との間の少なくとも1つの決定された距離lの位置特定誤差Δxは、決定された角度α,βによって補正される。
ここで、エコーをペアリングすることができるとき、決定された距離またはエコー距離lの補正26が、所定のシステム高さまたは測定平面Mの高さに関連して行われる。例えば、測定平面Mは、車両12でのセンサ構成1の超音波センサ8の最も低い設置位置に対応する高さを有することができる。
【0051】
代替または追加として、ペアリングされていないエコー距離lの補正28が、異なる仰角αで個別に行われる。
さらなるステップ30で、反射位置Pの位置特定が、三辺測量を用いて行われる。
【0052】
その後、三辺測量によって決定された少なくとも1つの反射位置Pおよび/または個別測定によって決定された少なくとも1つの反射位置Pが、少なくとも1つの既存のまたは新たな物体に割り当てられる32。このために、既に作成されている物体のデータベースを照会することができる。
【0053】
図5および
図6には、図解のために、および曖昧さの解消について、センサ構成1の概略平面図が示されている。ここでは、超音波センサアレイ2のみが送信と受信を行い、超音波センサ8は受信のみを行う場合に関して、複数の物体4.1,4.2を含むシーンでのエコー距離l12,l22,l28,l18が概略的に示されている。
【0054】
この構成により、示されている進行経路またはエコー距離l12,l22,l28,l18が得られ、超音波センサアレイ2は、まず物体4.1からのエコーl12を受信し、次いで物体4.2からのエコーl22を受信する。受信用の超音波センサ8では、全く逆のことが生じる。超音波センサ8は、まず第2の物体4.2によって反射されたエコーl28を受信し、次いで第1の物体4.1によって反射されたエコーl18を受信する。
【0055】
波長に比べてセンサ距離が大きいので、複数の物体4.1,4.2が存在する場合には曖昧さが生じる。位置決定のために、センサ2,8からのエコー距離l12,l22,l28,l18を三辺測量しなければならない。ここで、図から、次の2つの可能性があることがわかる。すなわち、
l12とl28のペア、およびl22とl18のペア、または
l11とl28のペア、およびl12とl18のペア
である。
【0056】
例えば車両12またはセンサ構成1の始動またはリセット時など事前知識がない場合、2つの可能性のどちらが正しいペアリングであるかを判断することができない。このために、
図6では、超音波センサアレイ2によって方位角βを決定するオプションが使用される。
【0057】
1つまたは複数のセンサ2と、決定される方位角βとの追加によって、物体位置推定を行うことができる。三辺測量された物体位置Pが推定範囲14内にある場合、エコーペアリングが正しいと仮定することができる。
【0058】
三辺測量により各場合に位置決定の改良が達成されるので、方位角アパーチャまたは推定範囲14がより大きく選択されるときにも、本願で提案される方法が役立つ。
ここで、エコー距離に加えて方位角βを特定することによって、物体位置に関する許容角度範囲14を決定することができる。2つのセンサ2,8のうちの少なくとも1つが方位角βを特定するための測定データを提供することができるとき、曖昧さを解消することができる。代替または追加として、センサ構成1の両方のセンサまたはすべてのセンサが超音波センサアレイ2として構成され、したがって方位角βに関する情報を提供してもよい。
【0059】
方位角βのテストを行うために、この方位角βを、既に方法ステップ24、すなわちペアの形成において、前述した他の属性テストに加えてもよい。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御デバイス(6)によってセンサ構成(1)の超音波センサ(8)の少なくとも1つの超音波ベースの測定を補正するための方法(20)であって、
少なくとも1つの超音波センサ(8)によって音波が送信および/または受信され、前記音波の通過時間測定に基づいて、測定平面(M)に沿った反射位置(P)までの少なくとも1つの距離(l)が決定され、
少なくとも1つの超音波センサアレイ(2)のトランスデューサ要素(10,11)からの測定データを評価することによって、前記測定平面(M)内および/または前記測定平面(M)外の少なくとも1つの角度(α,β)が決定され、
前記測定平面(M)に沿った、前記超音波センサ(8)と前記反射位置(P)との間の前記少なくとも1つの決定された距離(l)の位置特定誤差(Δx)が、前記決定された角度(α,β)によって補正される、
方法(20)。
【請求項2】
少なくとも1つの角度(α,β)として、前記測定平面(M)内の方位角(β)および/または前記測定平面(M)外の仰角(α)が、前記超音波センサアレイ(2)によって決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
音波の通過時間測定に基づいて、少なくとも2つの超音波センサ(8)によって、ならびに/または1つの超音波センサ(8)および少なくとも1つの超音波センサアレイ(2)によって、測定平面(M)に沿って少なくとも2つの距離(l)が決定され、反射位置(P)の位置特定が三辺測量によって行われ、前記三辺測量の前または前記三辺測量の後に、超音波センサ(8)と反射位置(P)との間の前記少なくとも1つの決定された距離(l)の前記位置特定誤差(Δx)が、前記決定された角度(α,β)によって補正される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記測定平面(M)内で決定された少なくとも2つの距離(l)が共通の物体(4,5)での反射によって決定されたものか、複数の異なる物体(4,5)での反射によって決定されたものかについてテスト(24)が行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの決定された距離(l)の前記位置特定誤差(Δx)が、地面上の前記測定平面(M)の所定の高さに対して、前記決定された角度によって補正される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの決定された距離(l)の前記位置特定誤差(Δx)が、地面上の前記センサ構成(1)の超音波センサ(8)の最も低い設置位置に対応する高さに対して、前記決定された角度によって補正される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
三辺測量によって決定された少なくとも1つの反射位置(P)および/または個別測定によって決定された少なくとも1つの反射位置(P)が、少なくとも1つの既存の物体または新たな物体(4,5)に割り当てられる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記測定平面内の方位角(β)として決定された角度(α,β)が、物体(4,5)への反射位置(P)の前記割当てにおける少なくとも1つの曖昧さを解消するために使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
特に、請求項1に記載の方法(20)を実行するためのセンサ構成(1)であって、制御デバイス(6)と、少なくとも1つの超音波センサ(8)と、少なくとも2つのトランスデューサ要素(10,11)を備えた少なくとも1つの超音波センサアレイ(2)とを備え、前記超音波センサ(8)と、前記超音波センサアレイ(2)の前記トランスデューサ要素(10,11)とが、データ伝送可能に前記制御デバイス(6)に接続され、前記少なくとも1つの超音波センサ(8)と、前記少なくとも1つの超音波センサアレイ(2)とが、特に車両(12)の輪郭上で同一の設置高さおよび/または互いに異なる設置高さを有する、
センサ構成(1)。
【請求項10】
制御デバイス(6)によってセンサ構成(1)の少なくとも1つの超音波ベースの測定の曖昧さを解消するための方法であって、
少なくとも1つの超音波センサ(8)によって、および少なくとも1つの超音波センサアレイ(2)によって音波が送信および/または受信され、前記音波の通過時間測定に基づいて、異なる反射位置(P)までの少なくとも2つの距離(l)が決定され、
前記超音波センサアレイ(2)のトランスデューサ要素(10,11)からの測定データを評価することによって、前記超音波センサアレイ(2)と少なくとも1つの反射位置(P)との間の少なくとも1つの角度(α,β)が決定され、
前記決定された少なくとも1つの角度(α,β)が、反射位置(P)および/または決定された距離(l)を少なくとも1つの物体(4,5)に割り当てるために使用される、
方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法(20)および/または請求項10に記載の方法を実行するように設計された制御デバイス(6)。
【請求項12】
コンピュータまたは制御デバイス(6)によって実行されるときに、前記コンピュータまたは前記制御デバイス(6)に、請求項1に記載の方法(20)および/または請求項10に記載の方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のコンピュータプログラムが記憶されている機械可読記憶媒体。
【国際調査報告】