(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】薬剤送達装置のためのサブアセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61M 5/32 20060101AFI20241010BHJP
【FI】
A61M5/32 500
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529383
(86)(22)【出願日】2022-11-03
(85)【翻訳文提出日】2024-07-12
(86)【国際出願番号】 EP2022080674
(87)【国際公開番号】W WO2023088686
(87)【国際公開日】2023-05-25
(32)【優先日】2021-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520011887
【氏名又は名称】エスエイチエル・メディカル・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・カールソン
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD13
4C066FF05
4C066HH02
4C066HH12
4C066KK08
4C066KK19
4C066LL26
4C066NN06
(57)【要約】
薬剤送達装置のためのサブアセンブリが、外側キャップ本体と、外側キャップ本体と同心円状にその半径方向内側に配置された管状内側キャップ本体を有する針シールドリムーバと、を含むキャップであって、管状内側キャップ本体は、針シールドを受容するように構成された中央チャネルを画定し、針シールドリムーバは、管状内側キャップ本体の管状内側キャップ本体遠位端から遠位方向に軸方向に延在する把持アームを含む、キャップと、薬剤容器を受容するように構成された保持本体を含む薬剤容器ホルダであって、保持本体は、cクリップ構造が設けられた保持本体近位端を有し、cクリップ構造は保持本体の円周方向に開口端を有し、これによって開口端の間に軸方向スロットが形成され、cクリップ構造は、薬剤容器の肩部を軸方向に支持するように構成された半径方向内向きに延在する出っ張りを有する、薬剤容器ホルダと、を含み、把持アームは、スロットに配置されて針シールドの遠位端面と係合するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側キャップ本体(5a)と、
前記外側キャップ本体(5a)と同心円状にその半径方向内側に配置された管状内側キャップ本体(13b)を有する針シールドリムーバ(13)と、
を含むキャップ(5)であって、
前記管状内側キャップ本体(13b)は、針シールド(8)を受容するように構成された中央チャネル(14)を画定し、
前記針シールドリムーバ(13)は、前記管状内側キャップ本体(13b)の管状内側キャップ本体遠位端(13c)から遠位方向に軸方向に延在する把持アーム(13a)を含む、
キャップ(5)と、
薬剤容器(7)を受容するように構成された保持本体(19a)を含む薬剤容器ホルダ(19)であって、前記保持本体(19a)は、cクリップ構造(19c)が設けられた保持本体近位端(19b)を有し、前記cクリップ構造(19c)は前記保持本体(19a)の円周方向に開口端を有し、これによって前記開口端の間に軸方向スロット(19d)が形成され、
前記cクリップ構造(19c)は、前記薬剤容器(7)の肩部を軸方向に支持するように構成された半径方向内向きに延在する出っ張り(19e)を有する、
薬剤容器ホルダ(19)と、
を含み、
前記把持アーム(13a)は、前記スロット(19d)に配置されて前記針シールド(8)の遠位端面(11a)と係合するように構成されている、
薬剤送達装置(1)のためのサブアセンブリ。
【請求項2】
前記外側キャップ本体(5a)は外側キャップ本体遠位端(5c)を有し、前記管状内側キャップ本体(13b)は、前記外側キャップ本体遠位端(5c)を越えて遠位方向に延在する、請求項1に記載のサブアセンブリ。
【請求項3】
前記把持アーム(13a)は、前記針シールド(8)の前記遠位端面(11a)を押圧するように構成された近位方向向き半径方向表面(13e)が設けられた半径方向内向き延在構造(13d)を含む、請求項1または2に記載のサブアセンブリ。
【請求項4】
前記半径方向内向き延在構造(13d)は、前記把持アーム(13a)の遠位端面に向かう方向において徐々に減少する半径方向寸法を有する、請求項3に記載のサブアセンブリ。
【請求項5】
前記キャップ(5)はプラスチック製である、請求項1から4のいずれか一項に記載のサブアセンブリ。
【請求項6】
前記中央チャネル(14)は、前記針シールド(8)に堅固に嵌合するような寸法になっている、請求項1から5のいずれか一項に記載のサブアセンブリ。
【請求項7】
前記中央チャネル(14)は、前記針シールド(8)の長さの大部分を収容するような寸法になっている、請求項1から6のいずれか一項に記載のサブアセンブリ。
【請求項8】
前記中央チャネル(14)は、前記針シールド(8)の長さの少なくとも70%または80%を収容するような寸法になっている、請求項1から7のいずれか一項に記載のサブアセンブリ。
【請求項9】
前記管状内側キャップ本体遠位端(13c)は前記保持本体近位端(19b)に隣接して配置されている、請求項1から8のいずれか一項に記載のサブアセンブリ。
【請求項10】
前記針シールドリムーバ(13)は1つのみの把持アーム(13a)を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のサブアセンブリ。
【請求項11】
前記針シールド(8)は、剛性針シールドRNS(11)および/または可撓性針シールドFNS(9)を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載のサブアセンブリ。
【請求項12】
ハウジング(3)を含み、前記ハウジング(3)は、前記薬剤容器ホルダ(19)を受容するように構成され、前記ハウジング(3)は、前記cクリップ構造(19c)と軸方向に位置を合わせて配置された内壁(3c)を有し、前記内壁(3c)は、前記cクリップ構造(19c)の半径方向外向きの屈曲を制限するように構成されている、請求項1から11のいずれか一項に記載のサブアセンブリ。
【請求項13】
前記内壁(3c)は、前記把持アーム(13a)を受容するように構成された軸方向内壁スロット(3d)を含む、請求項12に記載のサブアセンブリ。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載のサブアセンブリを含む薬剤送達装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して薬剤送達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動注射器のような薬剤送達装置は、針が設けられたシリンジを収容することができる。このタイプの薬剤送達装置は、針を保護するとともにシリンジを封止して、針とシリンジに含まれる薬物の両方の無菌性を確保する針シールドを含むことができる。このような薬剤送達装置は、針シールドを覆うキャップを有することができる。キャップは、針シールドの周囲に配置され、キャップが引き抜かれたときに針シールドの周面と係合するように構成された半径方向内向きに延在するタブが設けられたスリーブの形態の針シールドリムーバを含むことができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
したがって本開示の第1の態様によれば、外側キャップ本体と、外側キャップ本体と同心円状にその半径方向内側に配置された管状内側キャップ本体を有する針シールドリムーバと、を含むキャップであって、管状内側キャップ本体は、針シールドを受容するように構成された中央チャネルを画定し、針シールドリムーバは、管状内側キャップ本体の管状内側キャップ本体遠位端から遠位方向に軸方向に延在する把持アームを含む、キャップと、薬剤容器を受容するように構成された保持本体を含む薬剤容器ホルダであって、保持本体は、cクリップ構造が設けられた保持本体近位端を有し、cクリップ構造は保持本体の円周方向に開口端を有し、これによって開口端の間に軸方向スロットが形成され、cクリップ構造は、薬剤容器の肩部を軸方向に支持するように構成された半径方向内向きに延在する出っ張りを有する、薬剤容器ホルダと、を含む、薬剤送達装置のためのサブアセンブリが提供され、把持アームは、スロットに配置されて針シールドの遠位端面と係合するように構成されている。
【0004】
針シールドはしたがって、キャップが取り外されるとき、薬剤送達装置に含まれる針シールドによって取り外すことができる。把持アームは、周面を把持する代わりに針シールドの遠位端面と係合するので、針シールドリムーバが作製される材料は、スリーブおよびタブが通常は鋼製である先行技術のように耐久性がある必要はない。したがって、設計のより高い柔軟性およびコストが下がる可能性を得ることができる。
【0005】
本開示において、「遠位方向」という用語が使用されるとき、これは、薬剤送達装置の使用中、用量送達部位から離れる方向を指す。「遠位部分/端」という用語が使用されるとき、これは、薬剤送達装置の使用中、用量送達部位から最も遠くに配置されている、送達装置の部分/端、またはその部材の部分/端を指す。対応して、「近位方向」という用語が使用されるとき、これは、薬剤送達装置の使用中、用量送達部位に向かう方向を指す。
【0006】
「近位部分/端」という用語が使用されるとき、これは、薬剤送達装置の使用中、用量送達部位に最も近く配置されている、送達装置の部分/端、またはその部材の部分/端を指す。
【0007】
さらに、「長手方向の」、「長手方向に」、「軸方向に」または「軸方向の」という用語は、通常は装置またはその構成要素に沿って装置および/または構成要素の最長伸長の方向に、近位端から遠位端まで延在する方向を指す。
【0008】
同様に、「横方向」、「横方向の」および「横方向に」という用語は、長手方向に対して略垂直な方向を指す。
【0009】
さらに、「円周」、「円周方向の」、または「円周方向に」という用語は、軸、通常は装置および/または構成要素の最長伸長の方向に延在する中心軸に対する円周または円周方向を指す。
【0010】
同様に、「半径方向の」または「半径方向に」は、軸に対して半径方向に延在する方向を指し、「回転」、「回転の」および「回転式に」は、軸に対する回転を指す。
【0011】
一実施形態によれば外側キャップ本体は外側キャップ本体遠位端を有し、管状内側キャップ本体は外側キャップ本体遠位端を越えて遠位方向に延在する。
【0012】
一実施形態によれば把持アームは、針シールドの遠位端面を押圧するように構成された近位方向向き半径方向表面が設けられた半径方向内向き延在構造を含む。
【0013】
一実施形態によれば半径方向内向き延在構造は、把持アームの遠位端面に向かう方向において徐々に減少する半径方向寸法を有する。
【0014】
一実施形態によればキャップはプラスチック製である。
【0015】
把持アームはプラスチック製とすることができる。把持アームはプラスチックを含み得るか、またはプラスチックからなり得る。
【0016】
針シールドリムーバはプラスチック製とすることができる。針シールドリムーバはプラスチックを含み得るか、またはプラスチックからなり得る。
【0017】
一実施形態によれば中央チャネルは、針シールドに堅固に嵌合するような寸法になっている。
【0018】
一実施形態によれば中央チャネルは、針シールドの長さの大部分を収容するような寸法になっている。
【0019】
一実施形態によれば中央チャネルは、針シールドの長さの少なくとも70%または80%を収容するような寸法になっている。
【0020】
一実施形態によれば管状内側キャップ本体遠位端は保持本体近位端に隣接して配置されている。
【0021】
一実施形態によれば針シールドリムーバは1つのみの把持アームを含む。
【0022】
一実施形態によれば針シールドは、剛性針シールドRNSおよび/または可撓性針シールドFNSを含む。
【0023】
一実施形態はハウジングを含み、ハウジングは、薬剤容器ホルダを受容するように構成され、ハウジングは、cクリップ構造と軸方向に位置を合わせて配置された内壁を有し、内壁は、cクリップ構造の半径方向外向きの屈曲を制限するように構成されている。
【0024】
一実施形態によれば内壁は、把持アームを受容するように構成された軸方向内壁スロットを含む。
【0025】
本開示の第2の態様によれば、前記請求項のいずれかに記載のサブアセンブリを含む薬剤送達装置が提供される。
【0026】
一般に、請求項に使用されるすべての用語は、本明細書で明示的に他の方法で定義されていない限り、当該技術分野におけるその通常の意味にしたがって解釈されるべきである。「部材、装置、構成要素、手段など」へのすべての言及は、明示的に他の方法で述べられていない限り、部材、装置、構成要素、手段などの少なくとも1つの例を指すものとして公然と解釈されるべきである。
【0027】
添付の図面を参照して、例として、本発明の概念の具体的な実施形態を次に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本開示によるサブアセンブリの一例を含む薬剤送達装置の一例の斜視図である。
【
図5】キャップが取り付けられてハウジングが取り外されている薬剤送達装置の近位部分の斜視図である。
【
図6】キャップが付いている薬剤送達装置の長手方向断面である。
【
図7】キャップが取り外された後の薬剤送達装置の長手方向断面である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
例示的な実施形態が示されている添付の図面を参照して、次に本発明の概念を以降でより十分に説明する。しかしながら、本発明の概念は多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書に記載の実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的で完全になり、本発明の概念の範囲を当業者に十分に伝えるように、例として提供される。説明全体を通じて、同様の番号は同様の部材を指す。
【0030】
本開示は薬剤送達装置のためのサブアセンブリに関するものである。薬剤送達装置はたとえば自動注射器または手動注射器であり得る。
【0031】
サブアセンブリは、把持アームが設けられた針シールドリムーバを含むキャップと、間に軸方向スロットが形成されている開口端を有するcクリップ構造を有する薬剤容器ホルダと、を含む。
【0032】
薬剤容器ホルダは、シリンジのような薬剤容器を保持または収容するように構成されている。薬剤容器には、針および針の周囲に配置された針シールドが設けられている。
【0033】
把持アームは、軸方向スロット内へ延在し、これによって針シールドの遠位端面を押圧するように構成されている。
【0034】
本明細書に記載のサブアセンブリを含むことができる薬剤送達装置は、薬剤容器に含まれる薬物の分注を実行するように構成されているパワーパックアセンブリを有することができる。
【0035】
パワーパックアセンブリはたとえばバネ懸架式プランジャロッドまたはガス駆動式プランジャロッドを含むことができる。例示の目的のため、次に開示されるサブアセンブリを含む薬剤送達装置の例はバネ懸架式プランジャロッドを含む。
【0036】
ここで
図1に移ると薬剤送達装置1の一例が示されている。薬剤送達装置1は自動注射器である。
【0037】
薬剤送達装置1はハウジング3を含む。ハウジング3は近位端3aおよび遠位端3bを有する。ハウジング3は中空であり、略管状とすることができる。ハウジング3は近位端開口を含むことができる。
【0038】
薬剤送達装置1はキャップ5を含む。キャップ5は、ハウジング3の近位端3aに、および/またはハウジング3の近位端開口から突出する送達部材カバー(
図1には示されていない)に取り付けることができる。
【0039】
【0040】
薬剤送達装置1は、シリンジのような薬剤容器7を収容するように構成されている。薬剤容器ホルダ7は、送達部材、たとえば、針を含む。送達部材には針シールド8が取り付けられている。針シールド8は可撓性針シールド(FNS)9および/または剛性針シールド(RNS)11を含むことができる。FNS9とRNS11の両方を含む針シールド8が針に取り付けられている一例において、RNS11はFNS9の周囲に配置することができる。
【0041】
キャップ5は、針シールド8と係合するように構成された針シールドリムーバ13を含む。
【0042】
針シールドリムーバ13は軸方向に延在する把持アーム13aを含む。把持アーム13aは遠位方向に延在する。把持アーム13aは、針シールド8の遠位端面を押圧するか、またはこれと係合するように構成されている。遠位端面はRNS11の遠位端面11aおよび/またはFNS9の遠位端面9aであり得る。
【0043】
キャップ5が取り外されると、これは針シールド8、たとえば、RNS11とFNS9を一緒に引き連れる。好ましい一例において、キャップは、針シールドリムーバの内側に配置された保持セクションを含む。保持セクションは、針シールドを保持するように構成され、針シールドがキャップの近位端から脱落しないようになっている。あるいは、キャップは閉じた近位端を含む。キャップが保持セクションを含む一例において、保持セクションは好ましくは針シールドリムーバの近位端に配置される。たとえば、保持セクションは、針シールドリムーバの内面から延在する環状の出っ張りである。あるいは、保持セクションは、針シールドリムーバの内面に配置された1つ以上の軸方向に延在するリブである。
【0044】
薬剤送達装置は前述の送達部材カバー17を含む。送達部材カバー17はハウジング3に摺動可能に配置され、ハウジング3の近位端開口6から延在する。
【0045】
送達部材カバー17は、伸長位置から、ハウジング3が伸長位置におけるより送達部材カバー17の大部分を受容する後退位置まで、ハウジング3に対して軸方向に移動するように構成されている。
【0046】
送達部材カバー17は伸長位置に向かって付勢されている。この薬剤送達装置1は、送達部材カバー17を伸長位置に向かって付勢するように構成された第1の弾性部材15を含む。第1の弾性部材15はたとえばコイルバネとすることができる。
【0047】
第1の弾性部材15はたとえば、送達部材カバー17の半径方向表面とハウジング3の内側に設けられた半径方向表面との間で送達部材カバー17の内側に延在するように配置することができる。
【0048】
送達部材カバー17は、近位管状部分17aと、ハウジング3の遠位端3bに向かって遠位方向に延在する脚17bと、を有する。
【0049】
薬剤送達装置1は薬剤容器ホルダ19を含む。薬剤容器ホルダ19はハウジング3に配置され、シリンジ7のような薬剤容器を保持するように構成されている。
【0050】
ハウジング3はたとえば、薬剤容器ホルダ19が近位方向に、すなわち、ハウジング3の近位端3aに向かって移動することを防止する半径方向内向きに延在する出っ張りを含むことができる。
【0051】
薬剤送達装置1はプランジャロッド21を含む。プランジャロッド21は、薬剤容器、すなわち、この例においてシリンジ7内へ延在するように構成されている。
【0052】
プランジャロッド21は、ハウジング3の内側で近位方向に移動するように構成されている。プランジャロッド21は、初期軸方向位置から、初期軸方向位置よりハウジング3の近位端3aに近い最終位置まで移動するように構成されている。
【0053】
プランジャロッド21は半径方向凹部21aを含む。あるいは、プランジャロッドは、プランジャロッドの壁の外面から半径方向に延在する出っ張りを含むことができる。
【0054】
図2における例のように、プランジャロッド21は中空とすることができる。あるいは、プランジャロッドは管状部分およびロッド部分を含むことができる。
【0055】
例示された薬剤送達装置1はロッド27および第2の弾性部材23を含む。ロッド27は、プランジャロッド21に配置されるように構成され、第2の弾性部材23、たとえばバネは、ロッド27の周囲に配置することができる。あるいは、第2の弾性部材23はプランジャロッドの周囲に部分的に配置されてもよく、その場合、薬剤送達装置にはロッド27がない。
【0056】
一例において、薬剤送達装置は、ガスキャニスタと、第2の弾性部材の代わりにプランジャロッドを初期軸方向位置から駆動するためにガスキャニスタに接続されたバルブと、を含む。
【0057】
薬剤送達装置1はU字形ブラケット25を含むことができる。U字形ブラケット25は、U字形のその底部がハウジング3の遠位端3bの方を向くように配置されている。第2の弾性部材23は、U字形ブラケット25をハウジング3の遠位端3bに向かって付勢するように構成されている。
【0058】
薬剤送達装置1は回転子29および後部キャップ構造31を含む。
【0059】
後部キャップ構造31は、プランジャロッド21と係合してプランジャロッド21をその初期軸方向位置に維持するように構成されている。後部キャップ構造31は、半径方向可撓性アーム31bが設けられた管状近位部分31aを有する。各可撓性アーム31bは、薬剤送達装置1を作動または起動させて薬剤送達を実行する前にプランジャロッド21のそれぞれの半径方向凹部21aと係合するように構成されている。
【0060】
回転子29は管状近位部分31aの半径方向外側およびその周囲に配置されている。回転子29は、薬剤送達装置1の作動前に保持される第1の回転位置から、第2の回転位置まで、管状近位部分31aに対して回転するように構成されている。
【0061】
回転子29は、回転子29が第1の回転位置にあるとき、可撓性アーム31bを押圧し、可撓性アーム31bが半径方向凹部21aのそれぞれの1つから外れることを防止する内面を有する。
【0062】
回転子29は、回転子29が第1の回転位置にあるとき、可撓性アーム31bから円周方向にずれて配置されている内側凹部または窓が設けられた内面を有する。
【0063】
回転子29は、送達部材カバー17が伸長位置から後退位置に向かって移動するときに送達部材カバー17と協働するように構成されている。回転子29は、送達部材カバー17の線形移動を回転に変換するように構成されている。回転子29は、送達部材カバー17の脚17bの半径方向内向き延在ピンと協働するように構成されたガイド構造29aを有し、送達部材カバー17が後退位置に向かって移動すると、ピンがガイド構造29aのカム面に抗して移動するようになっている。これにより、回転子29が第1回転位置から第2の回転位置まで回転する。送達部材カバー17が後退位置に達すると、回転子29の内面の内側凹部または窓が後部キャップ構造31の可撓性アーム31bと位置を合わせる。可撓性アーム31bはこれによって半径方向外向きに屈曲してプランジャロッド21の半径方向凹部21aから外れることができ、プランジャロッド21はしたがって解放されて初期軸方向位置から最終位置に向かって軸方向に移動する。
【0064】
プランジャロッド21が解放されてその最終位置に達すると、先に後部キャップ構造31と係合していたU字形ブラケット25が解放され、たとえば、後部キャップ構造31の内側の半径方向表面と衝突する。これによりカチッという音が聞こえ、薬剤送達動作が完了したことを示す。
【0065】
薬剤容器ホルダ19、キャップ5、およびいくつかの例において、ハウジング3が、薬剤送達装置1の前述のサブアセンブリを形成またはその一部を形成する。
【0066】
図3はキャップ5の一例の斜視図である。キャップ5は外側キャップ本体5aを有する。外側キャップ本体5aは外側キャップ本体近位端5bおよび外側キャップ本体遠位端5cを有する。
【0067】
針シールドリムーバ13は管状内側キャップ本体13bを有する。把持アーム13aは管状内側キャップ本体13bの管状内側キャップ本体遠位端13cから遠位方向に軸方向に延在する。
【0068】
管状内側キャップ本体13bは外側キャップ本体5aと同心に配置されている。管状内側キャップ本体13bは外側キャップ本体5aの半径方向内側に配置されている。
【0069】
管状内側キャップ本体13bは外側キャップ本体遠位端5cを越えて軸方向に延在する。把持アーム13aもしたがって外側キャップ本体遠位端5cを越えて延在する。
【0070】
管状内側キャップ本体13bと外側キャップ本体5aとの間に半径方向空間5dが形成されている。管状内側キャップ本体13bと外側キャップ本体5aとの間の半径方向距離は、送達部材カバー17の近位管状部分17aの少なくとも一部が半径方向空間5dに受容され得るような寸法になっている。
【0071】
管状内側キャップ本体13bは、針シールド8、たとえば、RNS11および/またはFNS9を受容するように構成された中央チャネル14を画定する。
【0072】
中央チャネル14は、針シールド8を堅固に、または締まり嵌めで受容するような寸法にすることができる。針シールド8の外面は、中央チャネル14を形成する内面と直接接触してもよい。針シールド8の外面は、針シールド8の全周の周囲で中央チャネル14を形成する内面と直接接触してもよい。
【0073】
中央チャネル14は、針シールド8の軸方向長さの大部分、たとえば針シールド8の軸方向長さの少なくとも70%または80%を収容するような寸法にすることができる。
【0074】
本例によればキャップ5は単一の把持アーム13aを含む。
【0075】
把持アーム13aは半径方向内向き延在構造13dを含む。半径方向内向き延在構造13dは、把持アーム13aの遠位端面に向かう方向に徐々に減少する半径方向寸法を有することができる。半径方向内向き延在構造13dはたとえば、外側キャップ本体近位端5bに向かう方向に半径方向寸法が増大する楔形または坂路形状を有することができる。
【0076】
半径方向内向き延在構造13dは、キャップ5が取り外されると、針シールド8の遠位端面、たとえば、RNS11の遠位端面11aおよび/またはFNS9の遠位端面9aを押圧するように構成された近位方向向き半径方向表面13eを有する。
【0077】
図4は薬剤容器ホルダ19の斜視図を示す。薬剤容器ホルダ19は保持本体19aを含む。保持本体19aは、薬剤容器7を受容または収容するように構成されている。
【0078】
保持本体19aは保持本体近位端19bを有する。保持本体近位端19bはcクリップ構造19cを有する。cクリップ構造19cは保持本体19aの円周方向において半径方向に可撓性の開口端を有する。開口端の間には軸方向スロット19dが形成されている。軸方向スロット19dは、キャップ5が送達部材カバー17に取り付けられているときに把持アーム13aを受容するような寸法になっている。
【0079】
cクリップ構造19cは半径方向内向きに延在する出っ張り19eを有する。出っ張り19eは、薬剤容器7の肩部を支持するように構成されている。肩部は、薬剤容器のその半径方向寸法が減少する領域における近位部分であり得る。
【0080】
図5は、キャップ5が取り外される前のハウジング3が取り外された薬剤送達装置1を示す。キャップ5は送達部材カバー17に取り付けられ、針シールド8の一部を受容する。把持アーム13aは保持本体19aの軸方向スロット19dに配置されている。把持アーム13aは、キャップ5が送達部材カバー17から取り外されると針シールド8を把持するように配置されている。
【0081】
図6は、キャップ5が取り外される前の、ハウジング3を含む薬剤送達装置1を長手方向断面で示す。
【0082】
薬剤容器7はハウジング3に配置されている。肩部7aは薬剤容器ホルダ19の出っ張り19eを押圧する。
【0083】
管状内側キャップ本体遠位端13cは薬剤容器ホルダ19の保持本体近位端19bに隣接して配置されている。別の一例において、管状内側キャップ本体遠位端13cはほぼ保持本体近位端19bまで軸方向に延在する。管状内側キャップ本体遠位端13cと保持本体近位端19bとの間の軸方向距離は管状内側キャップ本体遠位端13cからの把持アーム13aの軸方向広さ未満である。
【0084】
ハウジング3は、cクリップ構造19cと軸方向に位置を合わせて配置された内壁3cを有する。内壁3cはしたがってcクリップ構造19cと同レベルで軸方向に配置されている。内壁3cはcクリップ構造19cの半径方向外側に配置されている。内壁3cは、cクリップ構造19cの半径方向外向きの屈曲を制限するように構成されている。これによって、半径方向内向きに延在する出っ張り19eは、薬剤容器7がハウジング3に対して近位方向に移動することを防止することができる。さらに、薬剤送達装置の組み立てプロセス中、内壁3cはcクリップ構造19cの外面に半径方向に非常近く配置されるため、cクリップ構造19cは半径方向外向きに屈曲することが制限される。
【0085】
内壁3cは、把持アーム13aを受容するように構成された軸方向内壁スロット3dを有する。把持アーム13aは、キャップ5が送達部材カバー17の周囲に取り付けられているとき、軸方向スロット19dに、そして軸方向内壁スロット3dに、同時に配置されている。把持アーム13aの半径方向外側部分が軸方向内壁スロット3d内へ延在し、把持アーム13aの半径方向内側部分が保持本体19aの軸方向スロット19d内へ延在する。
【0086】
組み立て中、キャップ5が取り付けられるとき、薬剤容器7はすでに薬剤送達装置1に配置されていてもよい。したがって、キャップ5が送達部材カバー17および針シールド8の上に配置されるとき、把持アーム13aは軸方向スロット19dおよび軸方向内壁スロット3d内へ摺動することができる。近位方向向き半径方向表面13eが針シールド8の遠位端面に対して遠位方向に配置される位置を把持アーム13aが得るまで、キャップ5はハウジング3に抗する方向に押される。あるいは、組み立て中、キャップはすでに送達部材カバーの上に配置され、ハウジングの近位端に取り付けられていてもよい。この例において、薬剤容器ホルダはまず、たとえば組み立て工具またはハウジングとの係合によって遠位位置で保持されることになる。針シールドを備えた薬剤容器が次いでハウジングの遠位端および薬剤容器ホルダの遠位端から薬剤容器ホルダ内へ挿入されることになる。薬剤容器の薬剤容器ホルダ内への挿入中、針シールドが薬剤容器ホルダの近位端を通過するとき、針シールドはcクリップを半径方向外向きに屈曲させる。次いで、針シールドが薬剤容器ホルダの近位端を通過すると、cクリップは半径方向内向きに屈曲する。薬剤容器ホルダおよび薬剤容器は次いで、cクリップが半径方向外向きに屈曲することをハウジングの内壁が制限する近位位置まで、キャップに向かってハウジングに対して近位方向に一緒に移動する。薬剤容器とともに薬剤容器ホルダがさらに近位方向に移動する結果、針シールドがキャップの針シールドリムーバ内へ移動する。したがって、針シールドが針シールドリムーバ内へ入るとき、把持アームは軸方向スロット内へと位置することができる。
【0087】
したがって、組み立て後、キャップ5を取り外す前、半径方向内向き延在構造13dの近位方向向き半径方向表面13eは、針シールド8の遠位端面、この例においてFNS9とFNS11の両方の遠位端面9a、11aに対して遠位方向に配置されている。キャップ5が送達部材カバー17から引き抜かれると、近位方向向き半径方向表面13eは、針シールド8の、すなわち、この例においてFNS9とFNS11の両方の遠位端面と係合するか、またはこれを押圧するように、半径方向内向きに延在する。
【0088】
図7は、キャップ5が送達部材カバー17から引き抜かれたときを示す。把持アーム13aは、この例においてFNS9とFNS11の両方を含む針シールド8の遠位端面と係合する。したがって、針シールドはキャップ5とともに取り外される。送達部材7b、針が、したがって送達部材カバー17の内側に露出する。
【0089】
薬剤送達装置1が注射部位に押し付けられると、送達部材カバー17が後退位置に向かって移動し、薬剤送達を開始する。
【0090】
本発明の概念を主にいくつかの例を参照して上で説明してきた。しかしながら、当業者によって容易に理解されるように、添付の請求項によって定義されるような本発明の概念の範囲内で、上に開示されたもの以外の実施形態も同等に可能である。
【符号の説明】
【0091】
1 薬剤送達装置
3 ハウジング
3a 近位端
3b 遠位端
3c 内壁
3d 軸方向内壁スロット
5 キャップ
5a 外側キャップ本体
5b 外側キャップ本体近位端
5c 外側キャップ本体遠位端
5d 半径方向空間
6 近位端開口
7 薬剤容器
7a 肩部
7b 送達部材
8 針シールド
9 可撓性針シールド
9a 遠位端面
11 剛性針シールド
11a 遠位端面
13 針シールドリムーバ
13a 把持アーム
13b 管状内側キャップ本体
13c 管状内側キャップ本体遠位端
13d 半径方向内向き延在構造
13e 近位方向向き半径方向表面
14 中央チャネル
15 第1の弾性部材
17 送達部材カバー
17a 近位管状部分
17b 脚
19 薬剤容器ホルダ
19a 保持本体
19b 保持本体近位端
19c cクリップ構造
19d 軸方向スロット
19e 出っ張り
21 プランジャロッド
21a 半径方向凹部
23 第2の弾性部材
25 U字形ブラケット
27 ロッド
29 回転子
29a ガイド構造
31 後部キャップ構造
31a 管状近位部分
31b 可撓性アーム
【国際調査報告】