IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エルジー エナジー ソリューション リミテッドの特許一覧

特表2024-538392電極複合膜及びこれを含む電気化学素子
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】電極複合膜及びこれを含む電気化学素子
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/02 20060101AFI20241010BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20241010BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20241010BHJP
   H01M 50/474 20210101ALI20241010BHJP
   H01M 50/489 20210101ALI20241010BHJP
   H01M 50/486 20210101ALI20241010BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALI20241010BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20241010BHJP
【FI】
H01M4/02 Z
H01M4/13
H01M10/0562
H01M50/474
H01M50/489
H01M50/486
H01M10/0585
H01M10/052
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529393
(86)(22)【出願日】2023-06-09
(85)【翻訳文提出日】2024-05-16
(86)【国際出願番号】 KR2023007952
(87)【国際公開番号】W WO2023239203
(87)【国際公開日】2023-12-14
(31)【優先権主張番号】10-2022-0071071
(32)【優先日】2022-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジェ-ギル・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジ-ヨン・キム
(72)【発明者】
【氏名】デ-スン・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】スン-ウ・ファン
【テーマコード(参考)】
5H021
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H021AA06
5H021EE04
5H021HH03
5H029AJ11
5H029AL03
5H029AM12
5H029HJ04
5H050AA14
5H050BA17
5H050CA08
5H050HA04
(57)【要約】
本発明は、電極複合膜及びこれを含む電気化学素子に関し、本発明の電極複合膜は、電極部及び補強材部を含む電極板と、前記電極板の一面上に配置される電解質膜と、前記電極板の他面上に配置される支持体と、前記電極板及び前記支持体の対面部の少なくとも一部に配置された接着部と、を含み、前記電極部は、集電体、及び前記集電体上に配置された活物質層を含み、前記電解質膜は、前記活物質層の少なくとも一部と接触し、前記電極部及び前記補強材部と離隔することなく密着し、前記補強材部は、前記電極部の厚さと同一であるか又はより薄い厚さを有し、前記電極部の側面部の全周又は少なくとも一部の周りを取り囲むように配置され、前記電極部の側面部と離隔することなく面接触していることを構造的特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極部及び補強材部を含む電極板と、
前記電極板の一面上に配置される電解質膜と、
前記電極板の他面上に配置される支持体と、
前記電極板及び前記支持体の対面部の少なくとも一部に配置された接着部と、を含み、
前記電極部は、集電体、及び前記集電体の少なくとも一面上に配置された活物質層を含み、
前記電解質膜は、前記活物質層の少なくとも一部と接触し、前記電極部及び前記補強材部と離隔することなく密着し、
前記補強材部は、前記電極部の厚さと同一であるか又はより薄い厚さを有し、前記電極部の側面部の全周又は少なくとも一部の周りを取り囲むように配置され、前記電極部の側面部と離隔することなく面接触していることを特徴とする、電極複合膜。
【請求項2】
前記電解質膜が前記電極板の一面の全面を覆うように配置されることを特徴とする、請求項1に記載の電極複合膜。
【請求項3】
前記補強材部は、前記電極部の厚さよりも薄い厚さを有し、前記電極部の側面部の全周を取り囲むように配置されたことを特徴とする、請求項1に記載の電極複合膜。
【請求項4】
前記補強材部は、前記電極部の側面部の周りに所定の間隔で離隔して前記電極部の側面部の一部の周りのみを取り囲むように配置され、前記補強材部が配置された周りは、前記電極部の側面部の全周の50%以上であることを特徴とする、請求項1に記載の電極複合膜。
【請求項5】
前記支持体が前記電極板の一面の全面を覆うように配置されることを特徴とする、請求項1に記載の電極複合膜。
【請求項6】
前記接着部は、前記電極板及び前記支持体の対面部の全体面積に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の電極複合膜。
【請求項7】
前記補強材部は、ポリオレフィン系高分子を含むことを特徴とする、請求項1に記載の電極複合膜。
【請求項8】
前記接着部は、フッ素系ポリマー、アクリル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、イミド系ポリマー、又はこれらのうちの2つ以上の混合物を含むことを特徴とする、請求項1に記載の電極複合膜。
【請求項9】
前記電解質膜は、固体電解質を含むフィルム状の電解質膜であることを特徴とする、請求項1に記載の電極複合膜。
【請求項10】
正極及び負極を含む電極組立体と、前記電極組立体を収納するケースとを含み、
前記正極及び負極のうちの少なくとも一方は、請求項1から9のいずれか一項に記載の電極複合膜であることを特徴とする、電気化学素子。
【請求項11】
前記電気化学素子は、リチウム二次電池であることを特徴とする、請求項10に記載の電気化学素子。
【請求項12】
前記電気化学素子は、全固体電池であることを特徴とする、請求項10に記載の電気化学素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極複合膜及びこれを含む電気化学素子に関する。
【0002】
本出願は、2022年6月10日付け出願の韓国特許出願第2022-0071071号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
化石燃料の使用の急増により、代替エネルギーやクリーンエネルギーの利用への要求が増加しており、その一環として最も活発に研究されている分野が電気化学を用いた発電及び蓄電分野である。
【0004】
携帯型電子機器用の電源装置としては二次電池が広く用いられている。このような二次電池の代表例としてのリチウム二次電池は、モバイル機器のエネルギー源としてだけでなく、最近では大気汚染の主な原因の1つであるガソリン車、ディーゼル車など化石燃料を使用する車両に代わることができる電気自動車、ハイブリッド電気自動車の動力源としての利用が実現しつつあり、グリッド(Grid)化による電力補助電源などの用途にも使用分野が拡大している。
【0005】
リチウム二次電池の構造は比較的単純であり、負極、正極、及び電解質の3大要素が主に研究開発されている構成に該当する。リチウム二次電池は、リチウムイオンが正極から負極に、負極から正極に移動することで駆動され、このとき、電解質が伝導体として機能する。広く用いられているリチウム二次電池では、非プロトン性の有機溶媒にリチウム塩を溶解させた電解質溶液が用いられている。しかし、このような電解質溶液は、電解液の漏れやガスの発生による使用上の問題が内包されており、このような問題を解決するために、全固体電池の開発が求められている。
【0006】
一方、リチウム二次電池の製造工程は、大きく電極工程、組立工程及び化成工程の3段階に分けられる。このとき、全固体電池の製造のための電極工程は、製造された電極と電解質膜を加圧する細かな工程を含み、このとき、電極と電解質膜の縁部が脱離する現象が頻繁に発生している。この場合、後続の組立工程において、電極間で短絡(short)が発生し、製造歩留まりが低下するだけでなく、製造された電極複合膜を用いた電池の性能が不良になるという問題につながる可能性もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、全固体電池に用いるための電解質膜-電極複合体である電極複合膜であって、電極と電解質膜との接着力に優れた電極複合膜を提供することである。
【0008】
特に、電極と電解質膜を加圧する際に縁部の脱離現象が改善した電極複合膜を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の一態様によると、下記の実施形態の電極複合膜が提供される。
【0010】
第1実施形態による電極複合膜は、電極部及び補強材部を含む電極板と、前記電極板の一面上に配置される電解質膜と、前記電極板の他面上に配置される支持体と、前記電極板及び前記支持体の対面部の少なくとも一部に配置された接着部と、を含み、前記電極部は、集電体、及び前記集電体の少なくとも一面上に配置された活物質層を含み、前記電解質膜は、前記活物質層の少なくとも一部と接触し、前記電極部及び前記補強材部と離隔することなく密着し、前記補強材部は、前記電極部の厚さと同一であるか又はより薄い厚さを有し、前記電極部の側面部の全周又は少なくとも一部の周りを取り囲むように配置され、前記電極部の側面部と離隔することなく面接触しているものである。
【0011】
第2実施形態によると、第1実施形態において、前記電解質膜が前記電極板の一面の全面を覆うように配置されるものであり得る。
【0012】
第3実施形態によると、第1実施形態又は第2実施形態において、前記補強材部は、前記電極部の厚さよりも薄い厚さを有し、前記電極部の側面部の全周を取り囲むように配置されたものであり得る。
【0013】
第4実施形態によると、第1実施形態から第3実施形態のいずれかにおいて、前記補強材部は、前記電極部の側面部の周りに所定の間隔で離隔して前記電極部の側面部の一部の周りのみを取り囲むように配置され、前記補強材部が配置された周りは、前記電極部の側面部の全周の50%以上であり得る。
【0014】
第5実施形態によると、第1実施形態から第4実施形態のいずれかにおいて、前記支持体が前記電極板の一面の全面を覆うように配置されるものであり得る。
【0015】
第6実施形態によると、第1実施形態から第5実施形態のいずれかにおいて、前記接着部は、前記電極板及び前記支持体の対面部の全体面積に配置されているものであり得る。
【0016】
第7実施形態によると、第1実施形態から第6実施形態のいずれかにおいて、前記補強材部は、ポリオレフィン系高分子を含むものであり得る。
【0017】
第8実施形態によると、第1実施形態から第7実施形態のいずれかにおいて、前記接着部は、フッ素系ポリマー、アクリル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、イミド系ポリマー、又はこれらのうちの2つ以上の混合物を含むものであり得る。
【0018】
第9実施形態によると、第1実施形態から第8実施形態のいずれかにおいて、前記電解質膜は、固体電解質を含むフィルム状の電解質膜であり得る。
【0019】
本発明の他の態様によると、下記の実施形態の電気化学素子が提供される。
【0020】
第10実施形態によると、正極及び負極を含む電極組立体と、前記電極組立体を収納するケースとを含み、前記正極及び負極のうちの少なくとも一方は、第1実施形態から第9実施形態のいずれかによる電極複合膜であり得る。
【0021】
第11実施形態によると、第10実施形態において、前記電気化学素子は、リチウム二次電池であり得る。
【0022】
第12実施形態によると、第10実施形態又は第11実施形態において、前記電気化学素子は全固体電池であり得る。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一実施形態による電極複合膜は、電極と電解質膜の加圧後に電極のカール(curling)現象を改善し、これによって、電極と電解質膜との接着力を向上させる効果がある。
【0024】
これによって、これを用いて電池の製造時における短絡発生現象を改善し、電池の製造歩留りを改善する効果を示すことができる。
【0025】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施形態を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするものであるため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態による電極複合膜1の各構成の配置図。
図2A】本発明の一実施形態による電極板10の上面図。
図2B】本発明の一実施形態による電極板10の斜視図。
図2C】本発明の一実施形態による電極板10の斜視図。
図3A】本発明の一実施形態による電極板10の上面図。
図3B】本発明の一実施形態による電極板10の斜視図。
図3C】本発明の一実施形態による電極板10の斜視図。
図4A】本発明の一実施形態による電極板10の上面図。
図4B】本発明の一実施形態による電極板10の斜視図。
図4C】本発明の一実施形態による電極板10の斜視図。
図5A】本発明の一実施形態による支持体30及び接着部40の配置図。
図5B】本発明の一実施形態による支持体30及び接着部40の配置図。
図6】本明細書中の実施例1による電極複合膜の外観写真。
図7】本明細書中の比較例1による電極複合膜の外観写真。
図8】本明細書中の比較例3による電極複合膜の外観写真。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明について詳しく説明する。しかし、本発明は、下記内容にのみ限定されるものではなく、必要に応じて各構成要素を多様に変形するか、必要に応じて混用することができる。よって、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物及び代替物を含むものと理解されたい。
【0028】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」というとき、これは特に反対となる記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0029】
本明細書において、用語「A及び/又はB」の記載は「A又はB、或いはこれらの両方]を意味する。
【0030】
下記の発明の詳細な説明で使用される特定の用語は便宜のためのものであり、本発明を限定するためのものではない。また、上、下、側面、中央、外側のような方向を示す単語は、参照がなされた図面における方向を示すか、又はそれぞれ指定された部材の幾何学的中心に向かうか、それから離れる方向を示す。
【0031】
本発明の一態様によると、電極複合膜が提供される。
【0032】
本明細書において、前記電極複合膜は、電解質膜と、前記電解質膜の一面に形成された電極とを含む、電解質膜と電極との複合体を示す。
【0033】
図1には、本発明の一実施形態による電極複合膜の各構成の配置図が示されている。
【0034】
本発明の一態様による電極複合膜1は、電極部101及び補強材部102を含む電極板10と、前記電極板の一面上に配置される電解質膜20と、前記電極板の他面上に配置される支持体30と、前記電極板及び前記支持体の対面部の少なくとも一部に配置された接着部40とを含み、前記電極部は、集電体、及び前記集電体上に配置された活物質層を含み、前記電解質膜は、前記活物質層の少なくとも一部と接触し、前記電極部及び前記補強材部と離隔することなく密着し、前記補強材部は、前記電極部の厚さと同一であるか又はより薄い厚さを有し、前記電極部の側面部の全周又は少なくとも一部の周りを取り囲むように配置され、前記電極部の側面部と離隔することなく面接触している。
【0035】
本明細書において、特に定義しない限り、電極複合膜の各構成要素が積層される方向を上下と指称し、これに対する左右の方向を側面と指称する。
【0036】
本明細書において、便宜上、前記電極板の一面を第1面とし、第1面の背面を第2面とする。このとき、前記電極板の第1面を前記電解質膜との対面と指称し、前記電極板の第2面を前記支持体との対面と指称する。
【0037】
本発明の一実施形態によると、前記電極複合膜1は、電極板10に電極部101の側面部の周りの少なくとも一部の区間を取り囲むように配置された補強材部102を含む。そこで、従来の全固体電池の製造過程において、電極板と電解質膜とを当接するように積層して加圧(press)したとき、電極板と電解質膜との対面部の中央部よりも外側の末端部の接着力が不良であり、これによる電極板のカール(curling)現象を改善する効果を示すことができる。
【0038】
具体的に、前記電極複合膜1は、前記加圧時の圧力による電極板10の変形を最小化するために、電極板10の電解質膜20が対面する面の背面には支持体30が備えられ、電極板10と支持体30との間には互いの付着力を向上させるために接着部40が備えられる。
【0039】
本発明において、前記電極板は、集電体、及び前記集電体上に配置された活物質層を含み、前記電解質膜は、前記活物質層の表面上に配置される。前記電解質膜は、前記電極部と前記補強材部の両方と離隔することなく密着して配置される。
【0040】
本発明の一実施形態において、前記電極複合膜を用いて電池を組み立てる際に、極性が互いに反対となる電極の活物質層間の直接的な接触を防止するために、前記電極板10及び前記電解質膜20の対面部で、前記電極部101の一面の面積が前記電解質膜の一面の面積よりも小さいことが好ましい場合がある。具体的に、前記電解質膜20が電極部の活物質層の表面を全部覆うように配置されることが好ましい。
【0041】
本発明の一実施形態において、上記のように、電極部101の一面の面積が前記電解質膜の一面の面積よりも小さい場合、すなわち前記電解質膜が前記電極部の活物質層の表面を全部覆うことができない場合、前記電極板10及び/又は電解質膜20のカール(curling)を防止するために、前記電解質膜20の一面の面積が前記電極板10の一面の面積を全部覆うように配置されることが好ましい。前記電解質膜の一面の面積が前記電極板の一面の面積を全部覆うために、前記電解質膜の一面の面積と前記電極板の一面の面積は互いに同一であるか、又は前記電解質膜の一面の面積が前記電極板の一面の面積よりも大きく配置され得る。
【0042】
本発明の他の実施形態において、前記電解質膜20の一面の面積は、少なくとも前記電極部101の一面の面積よりも大きく備えられることで、前記電極部の活物質層の表面が前記電解質膜によって完全に覆われることが好ましい。
【0043】
本発明の一実施形態において、上記のように、電極部101の一面だけでなく、前記電極板10の一面が前記電解質膜によって完全に覆われ、前記補強材部102が前記電極部101の側面部の全周を取り囲むように配置され、前記電極部の側面部と離隔することなく面接触しているものであり得る。
【0044】
図2Aには、本発明の一実施形態による電極板10の上面図が示されている。図2Aを参照すると、前記補強材部102が前記電極部101の側面部の全周を取り囲むように配置され、前記電極部の側面部と離隔することなく面接触している場合がある。このとき、前記補強材部102の外周面の形状は、図2のように4つの隅が角をなす形状に限定されるものではなく、電極板10上に接触する電解質膜(図示せず)の形状と同様のものであり得る。
【0045】
本発明において、前記補強材部102は、前記電極部101の厚さと同一であるか又はより薄い厚さを有する。これは、前記補強材部の厚さが電極部の厚さよりも厚い場合の、前記電極板及び電解質膜の加圧時に電極部と電解質膜との接着力が低下するという問題を防止することができる。
【0046】
図2Bを参照すると、前記補強材部が前記電極部の側面部の全周を取り囲むように配置され、前記電極部の側面部と離隔することなく面接触するとき、前記電極部の厚さよりも前記補強材部の厚さがさらに薄く配置され得る。これは、前記電極部の加圧前及び後における厚さの差が大きい場合には好ましい形状であるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0047】
図2Cを参照すると、前記補強材部が前記電極部の側面部の全周を取り囲むように配置され、前記電極部の側面部と離隔することなく面接触するとき、前記電極部の厚さと前記補強材部の厚さが同一な場合がある。これは、逆に前記電極部の加圧前及び後における厚さの差が小さいかほぼなく、電極板10の下面に配置される支持体との接着力の向上に好ましい形状であるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0048】
本発明の一実施形態によると、前記補強材部と集電体が接触しないように前記電極部の厚さよりも前記補強材部の厚さがさらに薄く配置される態様が、電池の電気化学的性能を向上させる点でより好ましい態様であり得る。
【0049】
本発明の一実施形態において、前記補強材部の厚さは、上述したように、前記電極部の厚さよりも薄いか又は同一であり、前記補強材の厚さは、例えば前記電極部の全厚に対して10%から100%、具体的に50%から100%、又は80%から100%であり得る。前記補強材の厚さが上記範囲であると、前記電極板及び電解質膜の加圧後における接着力の点で優れた効果があり得るが、これに限定されるものではない。
【0050】
本発明の一実施形態において、前記補強材部102は、前記電極部101の側面部の一部の周りのみを取り囲むように配置され、前記電極板の側面部と離隔することなく面接触しているものであり得る。
【0051】
図3A及び図4Aには、それぞれ本発明の一実施形態による電極板10の上面図が、図3B図3C図4B及び図4Cには、それぞれ本発明の一実施形態による電極板10の斜視図が示されている。
【0052】
図3Aを参照すると、前記補強材部102は、前記電極部101の4つの隅の側面部のみを取り囲むように配置され得る。また、図4Aを参照すると、前記補強材部102は、前記電極部の側面部の周りに所定の間隔で離隔して前記電極部の側面部の一部の周りのみを取り囲むように配置され得る。
【0053】
このとき、図3B及び図4Bを参照すると、前記補強材部が前記電極部の側面部の一部の周りのみを取り囲むように配置され、前記電極部の側面部と離隔することなく面接触するとき、前記電極部の厚さよりも前記補強材部の厚さがさらに薄く配置され得る。
【0054】
また、図3C及び図4Cを参照すると、前記補強材部が前記電極部の側面部の一部の周りのみを取り囲むように配置され、前記電極部の側面部と離隔することなく面接触するとき、前記電極部の厚さと前記補強材部の厚さが同一であり得る。
【0055】
本発明の一実施形態において、前記補強材部が前記電極部の側面部の一部の周りのみを取り囲むように配置されるとき、前記補強材部が配置された周りは、例えば、前記電極部の側面部の全周の50%以上、具体的に60%以上、70%以上又は80%以上であるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0056】
上述したように、前記電極複合膜1は、前記電極板及び前記電解質膜の接着のための加圧時における圧力による電極板の変形を最小化するために、電極板10の第2面に支持体30が備えられる。
【0057】
本発明の一実施形態において、前記支持体は、前記電極部を全体的に支持するために、前記支持体の一面の面積が前記電極部101の一面の面積よりも広いことが好ましい場合がある。具体的に、前記支持体が前記電極部の集電体の一表面を全部覆うように配置されることが好ましい場合がある。
【0058】
また、前記支持体が前記電極板の第2面の全体を支持するために、前記支持体の面積は、前記電極板の面積と同一であるか又はより大きいことが好ましい場合がある。具体的に、前記支持体が前記電極板の第2面を全部覆うように配置されることが好ましい場合がある。
【0059】
また、前記電極複合膜は、前記支持体と前記電極板との接着力を向上させるために、前記電極板10及び前記支持体30の間に接着部40が備えられる。
【0060】
図5A及び図5Bには、それぞれ本発明の一実施形態による支持体30及び接着部40の配置図が示されている。
【0061】
図5Aを参照すると、前記接着部40は、前記支持体30の表面全体を被覆するように配置され得る。
【0062】
図5Bは、接着部の配置に対するまた他の実施態様に関し、これを参照すると、前記接着部40は、前記支持体30の一部に配置され得る。
【0063】
このとき、前記電極部と前記支持体との間の均一な強度のために、前記接着部は、前記支持体及び前記電極部の対面部の少なくとも一部、望ましくは全体に配置され得る。
【0064】
本発明の一実施形態において、上記のような補強材部に用いられる材料は、電極部における電極活物質及び/又は電解質材料との電気化学的な反応が少ないか又はなく、電池の性能を低下させない材料であれば特に限定することなく用いることができる。
【0065】
本発明の一実施形態において、前記補強材部の素材は、非限定的な例として、ポリオレフィン系高分子を含むものであり得る。
【0066】
前記ポリオレフィン系高分子は、例えば、ポリエチレンと、ポリプロピレンと、ポリブチレンと、ポリペンテンと、ポリヘキセンと、ポリオクテンと、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、4-メチルペンテン、ヘキセン、ヘプセン及びオクテンのうちの2種以上の共重合体と、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0067】
本発明の一実施形態において、前記補強材部の素材は、ポリエチレン、ポリプロピレン又はこれらの混合物を含むことができる。
【0068】
本発明の一実施形態において、前記支持体の素材は、非限定的な例として、ポリオレフィン系高分子、セルロース系不織布又はこれらの混合物を含むものであり得る。
【0069】
前記ポリオレフィン系高分子は、前記補強材部の素材として上述したものを組み込む。本発明の一実施形態において、前記支持体の素材及び補強材部の素材は互いに同一であるか又は異なり、これらに限定されない。
【0070】
前記セルロース系不織布とは、セルロース繊維を含む多孔性のシートを指すものであり、当該技術分野に公知の種類を制限することなく用いることができ、これに特に限定されない。
【0071】
本発明の一実施形態において、前記接着部は、前記支持体及び前記電極板の両方に対して接着性を示す材料であれば特に限定することなく用いることができる。
【0072】
本発明の一実施形態において、前記接着部の材料は、非限定的な例として、フッ素系ポリマー、アクリル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、イミド系ポリマー、又はこれらのうちの2つ以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0073】
前記フッ素系ポリマーは、例えば、ビニリデンフルオリド(vinylidenefluoride)単量体のみを重合したビニリデンフルオリドホモポリマーと、ビニリデンフルオリド単量体とトリフルオロエチレン(trifluoroethylene、TrFE)、テトラフルオロエチレン(tetrafluoroethylene、TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(hexafluoropropylene、HFP)、トリクロロエチレン(trichloroethylene、TrCE)、トリクロロフルオロエチレン(trichlorofluoroethylene、TCFE)、クロロトリフルオロエチレン(chlorotrifuloroethylene、CTFE)、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate、PMMA)及びポリビニルアセテート(polyvinylacetate、PVAc)のうちから選択される1種又は2種以上との共重合体と、又はこれらのうちの2つ以上を含むことができるが、これらに限定されない。
【0074】
前記アクリル系ポリマーは、例えば、アクリル系単量体のみを重合したアクリル系単独重合体を含むことができ、アクリル系単量体と他の単量体との共重合体を含むこともできる。例えば、前記アクリル系高分子は、ポリメチルメタクリレート(poly(methylmethacrylate))、ポリエチルヘキシルアクリレート(poly(ethylexyl acrylate))、ポリブチルアクリレート(poly(butylacrylate))、ポリアクリロニトリル(poly(acrylonitrile))、エチルヘキシルアクリレート(ethylhexyl acrylate)とメチルメタクリレート(methyl methacrylate)との共重合体、ブチルアクリレートとメチルメタクリレートとの共重合体、エチルアクリレート-アクリル酸-N,N-ジメチルアクリルアミド共重合体、エチルアクリレート-アクリル酸-2-(ジメチルアミノ)エチルアクリレート共重合体、エチルアクリレート-アクリル酸-N,N-ジエチルアクリルアミド共重合体、エチルアクリレート-アクリル酸-2-(ジエチルアミノ)エチルアクリレート共重合体、はこれらのうちの2つ以上を含むことができるが、これらに限定されない。
【0075】
前記ウレタン系ポリマーは、例えば、ウレタン単量体のみを重合したポリウレタンと、ウレタン単量体とアクリル系単量体との共重合体、又はこれらのうちの2つ以上を含むことができるが、これらに限定されない。前記ウレタン単量体とアクリル系単量体との共重合体は、例えば、中間構造がポリエステルポリオール(polyester polyol)、ポリエーテルポリオール(polyether polyol)、ポリカーボネートポリオール(polycarbonate polyol)、ポリカプロラクトンポリオール(polycarprolactone polyol)、開環テトラヒドロフランプロピレンオキサイド共重合体(tetrahydrofurane-propyleneoxide ring opening copolymer)、ポリブタジエンジオール(polybutadiene diol)、ポリジメチルシロキサンジオール(polydimethylsiloxane diol)、エチレングリコール(ethylene glycol)、プロピレングリコール(propylene glycol)、1,4-ブタンジオール(1,4-butanediol)、1,5-ペンタンジオール(1,5-pentanediol)、1,6-ヘキサンジオール(1,6-hexanediol)、ネオペンチルグリコール(neopentyl glycol)、1,4-シクロヘキサンジメタンール(1,4-cyclohexane dimethanol)、ビスフェノールA(bisphenol A)、水素化ビスフェノールA(hydrogenated bisphenol A)、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-toluene diisocyanate)、1,3-キシレンジイソシアネート(1,3-xylene diisocyanate)、1,4-キシレンジイソシアネート(1,4-xylene diisocyanate)、1,5-ナフタレンジイソシアネート(1,5-napthalene diisocyanate)、1,6-ヘキサンジイソシアネート(1,6-hexan diisocyanate)、イソホロンジイソシアネート(isophorone diisocyanate)、ビスフェノールAプロピレンオキサイド変性ジアクリレートなどから合成されるものを用いることができる。
【0076】
前記エポキシ系ポリマーは、例えば、エポキシ単量体のみを重合したポリエポキシと、エポキシ単量体とアクリル系単量体との共重合体、又はこれらのうちの2つ以上を含むことができるが、これらに限定されない。前記エポキシ単量体とアクリル系単量体との共重合体は、例えば、中間構造が2-ブロモヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールSなどのビスフェノール類、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテルなどの骨格から構成されたものと、アルキル基、アリール基、メチロール基、アリル基、環状脂肪族基、ハロゲン(テトラブロモビスフェノールAなど)、ニトロ基などからなる(メタ)アクリレートオリゴマー群より選択されるものを用いることができる。
【0077】
前記イミド系ポリマーは、例えば、ポリイミドなどを含むことができる。
【0078】
本発明の一実施形態において、前記接着部は、例えばこれに限定されるものではないが、前記支持体の一面に上述したポリマーを含む接着部形成用スラリーがコーティング及び乾燥して形成されるものであり得る。前記スラリーのコーティング及び乾燥は公知の手段によって行うことができ、これに限定されない。
【0079】
本発明の一実施形態において、前記電解質膜は、全固体電池に用いることができるものであれば特に限定されない。
【0080】
本発明の一実施形態において、前記電解質膜は、固体電解質を含むフィルム状の電解質膜であり得る。一方、必要に応じて接着性高分子であるバインダー材料をさらに含むことができる。
【0081】
前記固体電解質は、特に具体的な成分に限定されるものではなく、高分子系固体電解質、無機物系固体電解質又はこれらの混合構成であり得る。前記無機物系固体電解質は、例えば結晶性固体電解質、非結晶性固体電解質、ガラスセラミック固体電解質、又はこれらのうちの2つ以上の混合物であり得る。また、前記無機物系固体電解質は、例えば硫化物系固体電解質、酸化物系固体電解質、又はこれらの混合物を含むものであり得る。
【0082】
本発明の一実施形態において、前記高分子系固体電解質は、例えば、ポリエチレン誘導体、ポリエチレンオキサイド誘導体、ポリプロピレンオキサイド誘導体、リン酸エステルポリマー、ポリアジテーションリジン(poly agitation lysine)、ポリエステルスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、さらにイオン性解離基を含む重合体、又はこれらのうちの2つ以上の混合物などを用いることができる。
【0083】
本発明の一実施形態において、前記固体電解質は、例えば硫黄成分が含まれた硫化物系固体電解質を含むことができる。前記硫化物系固体電解質は、特に限定されず、電池分野で用いられる公知のすべての硫化物系素材を用いることができる。前記硫化物系素材は、市販中のものを購入して用いるか、非晶質の硫化物系素材を結晶化工程を経て製造したものを用いることができる。例えば、前記硫化物系固体電解質は、結晶系硫化物系固体電解質、非晶質系硫化物系固体電解質、又はこれらのうちの2つ以上の混合物を用いることができる。使用可能な複合化合物の例としては、硫黄-ハロゲン化合物、硫黄-ゲルマニウム化合物、硫黄-シリコン化合物などがあり、具体的には、SiS、GeS、Bなどの硫化物を含むことができる。また、前記固体電解質は、これにLiPO、ハロゲン、ハロゲン化合物又はこれらのうちの2つ以上の混合物が添加されたものを含むことができる。前記硫化物系固体電解質としては、望ましくは、10-4S/cm以上のリチウムイオン伝導度を実現できるものことを用いることができる。
【0084】
代表的には、LiPSCl(LPSCl)、Thio-LISICON(Li3.25Ge0.250.75)、LiS-P-LiCl、LiS-SiS、LiI-LiS-SiS、LiI-LiS-P、LiI-LiS-P、LiI-LiPO-P、LiS-P、LiPS、Li11、LiI-LiS-B、LiPO-LiS-SiS、LiPO-LiS-SiS、Li10GeP12、Li9.54Si1.741.4411.710.3、Li11、又はこれらのうちの2つ以上を含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0085】
本発明のまた他の実施形態において、前記固体電解質は、例えば、LiN、LISICON(Li(3+x)Ge(1-x)、0<x<1)、LIPON(LiPO4-x)、Thio-LISICON(Li3.25Ge0.250.75)、LiO-Al-TiO-P(LATP)、又はこれらのうちの2つ以上を含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0086】
前記バインダー材料は、前記固体電解質を結着するためのものであり、その非限定的な例として、ビニリデンフルオリドホモポリマー(vinylidenefluoride homopolymer、PVDF)、ポリ(ビニリデンフルオリド-ヘキサフルオロプロピレン)(poly(vinylidene fluoride-co-hexafluoropropylene)、PVDF-HFP)、ポリ(ビニリデンフルオリド-クロロトリフルオロエチレン)(poly(vinylidene fluoride-co-chlorotrifluoroethylene)、PVDF-CTFE)、ポリ(ビニリデンフルオリド-テトラフルオロエチレン)(poly(vinylidene fluoride-co-tetrafluoroethylene)、PVDF-TFE)、ポリ(ビニリデンフルオリド-トリクロロエチレン)(poly(vinylidene fluoride-co-trichloroethylene)PVDF-TCE)、アクリル系高分子、スチレン-ブタジエン共重合体、ポリ(アクリル酸)(poly(acrylic acid))、ポリ(メチルメタクリレート)(poly(methylmethacrylate))、ポリ(ブチルアクリレート)(poly(butylacrylate))、ポリ(アクリロニトリル)(poly(acrylonitrile))、ポリ(ビニルピロリドン)(poly(vinylpyrrolidone))、ポリ(ビニルアルコール)(poly(vinylalcohol))、ポリ(ビニルアセテート)(poly(vinylacetate))、エチレンビニルアセテート共重合体(poly(ethylene-co-vinyl acetate))、ポリ(エチレンオキサイド)(poly(ethylene oxide))、ポリ(アリレート)(poly(arylate))、セルロースアセテート(cellulose acetate)、セルロースアセテートブチレート(cellulose acetate butyrate)、セルロースアセテートプロピオネート(cellulose acetate propionate)、シアノエチルプルラン(cyanoethylpullulan)、シアノエチルポリビニルアルコール(cyanoethylpolyvinylalcohol)、シアノエチルセルロース(cyanoethylcellulose)、シアノエチルスクロース(cyanoethylsucrose)、プルラン(pullulan)、カルボキシルメチルセルロース(carboxyl methyl cellulose)、又はこれらのうちの2つ以上を含むものであるが、これらに限定されるものではない。
【0087】
本発明において、前記電極部は、集電体と、前記集電体の少なくとも一面上に配置された活物質層とを含む。前記活物質層は、例えば、電極活物質、及び前記電極活物質を結着するバインダーを含むことができ、必要に応じて導電材をさらに含むことができる。
【0088】
前記集電体は、前記電極部内の活物質で電気化学反応が起こるように電子を外部から伝達するか、又は活物質から電子を受けて外部に流す通路の役割をするものであり、前記電極複合膜が用いられる電気化学素子の種類に応じて、当該技術分野で知られている通常のものの中から適切に選択することができ、これに限定されない。
【0089】
前記活物質は、電池の電極反応に関与する物質であり、電極の種類に応じて正極活物質又は負極活物質であり得る。前記正極活物質又は負極活物質は、前記電極複合膜が用いられる電気化学素子の種類に応じて、当該技術分野で知られている通常のものの中から適切に選択することができ、これに限定されない。
【0090】
前記活物質層に含まれるバインダーは、前記活物質を結着するためのものであり、前記電極複合膜が用いられる電気化学素子の種類に応じて、当該技術分野で知られている通常のものの中から適切に選択することができ、これに限定されない。
【0091】
前記導電材は、前記電極部に化学的変化を引き起こすことなく導電性を有するものであれば、当該技術分野で知られている通常のものの中から適切に選択することができ、これに限定されない。
【0092】
本発明の他の態様によると、電気化学素子が提供される。
【0093】
本発明の他の態様による電気化学素子は、正極及び負極を含む電極組立体と、前記電極組立体を収納するケースとを含み、前記正極及び負極のうちの少なくとも一方は、上述した電極複合膜を含むことを構成的特徴とする。
【0094】
前記ケースは、電池ケースとして通常用いられるものを採用することができ、電池の用途に応じる外形に特に限定されない。例えば、前記ケースは、缶を用いた円筒型、角型、パウチ(pouch)型又はコイン(coin)型などであり得る。
【0095】
本発明の一実施形態において、前記電気化学素子は、リチウム二次電池であり得る。具体的に、上記のような電極複合膜が完成すると、通常の方法によりケースに収納し、電解液を注入して封止することでリチウム二次電池を製造することができる。
【0096】
本発明の一実施形態において、前記電気化学素子は全固体電池であり得る。前記全固体電池において、前記電極複合膜以外の構成は、当該技術分野で知られている通常のものの中から適切に選択することができ、特に限定されるものではない。
【0097】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、下記の実施例は本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲がこれらのみに限定されるものではない。
【0098】
[電極複合膜の製造]
実施例1
まず、支持体として3cm×3cmサイズに切断したセルロース不織布素材のフィルム(厚さ100mm)を準備した後、支持体の一表面にN-メチル-2-ピロリドン(NMP:N-methyl-2-pyrrolidone)溶媒にPVDFバインダーを溶解した接着部形成用スラリーを塗布及び乾燥することによって、厚さ5μmの接着部を形成した。
【0099】
電極板は以下のように準備した。2cm×2cmサイズのアルミニウム箔(12μm)上に、活物質としてニッケルコバルトマンガン酸化物系のLiNi0.8Co0.1Mn0.1、導電材としてカーボンブラック、バインダーとしてPVDF、及び固体電解質としてアジロダイト系のLiPSClを78:1:1:20の重量比で含む電極部(総厚100μm)を準備した。その後、厚さ50μmの3cm×3cmサイズに切断したポリプロピレンフィルムに電極サイズ(2cm×2cm)の孔を開け、電極部の側面部の周りを取り囲むように補強材部を配置した。このとき、図2Bを参考して、前記補強材部と電極部の上端とが一致するように補強材部を置いた。これにより製造された電極板は、支持体と同じ大きさ(3cm×3cm)に製造された。
【0100】
電解質膜としては、アニソール(Anisole)溶媒に硫化物系固体電解質とバインダーを95:5の割合で溶解したスラリーを離型フィルムにコーティングした後に乾燥して準備した。
【0101】
前記電極板内の集電体が接着部と面接触するように前記接着部上に電極板及び電解質膜を順に積層した後、積層された結果物を等方圧(isostatic pressing)方式で500MPaの圧力条件で加圧し、[支持体/接着部/電極板(補強材-電極部)/電解質膜]構成の電極複合膜を準備した。
【0102】
比較例1
電極板としては、補強材部を用いることなく電極部のみを用い、支持体及び接着部を用いることなく電極部及び電解質膜を積層した後、実施例1と同様の条件で加圧して[電極部/電解質膜]構成の電極複合膜を準備した。
【0103】
比較例2
電極板としては、補強材部を用いることなく電極部のみを用い、接着部を用いることなく支持体、電極部及び電解質膜を積層した後、実施例1と同様の条件で加圧して[支持体/電極部/電解質膜]構成の電極複合膜を準備した。
【0104】
比較例3
支持体及び接着部を備えていないことを除いては、実施例1と同様の方法によって[電極板(補強材-電極部)/電解質膜]構成の電極複合膜を準備した。
【0105】
比較例4
接着部を備えていないことを除いては、実施例1と同様の方法によって[支持体/電極板(補強材-電極部)/電解質膜]構成の電極複合膜を準備した。
【0106】
[電解質膜との接着力の評価]
上記で製造した実施例1、及び比較例1から比較例4の電解質膜と電極板との脱離の程度を目視で観察して接着力を評価した。
【0107】
図6には、実施例1の電極複合膜の外観写真が示されており、図7には、比較例1の電極複合膜の外観写真が示されており、図8には、比較例3の電極複合膜の外観写真が示されている。
【0108】
図6で確認されるように、実施例1によると、電解質膜と電極板とが全体面積で脱離することなく接着していることが確認された。一方、図7によると、比較例1の場合、電解質膜が、電極部のみ備えられた電極板から完全に脱離していることが確認された。また、図8によると、比較例3の場合、電極板に補強材が備えられても、支持体の構成がないと、依然として電極板の外縁の部分から電解質膜が脱離することが確認された。
【0109】
比較例2及び比較例4の場合は外観写真を示していないが、支持体に電極板が接着されていないため、加圧後にも依然として電極板の外縁でカール(curling)現象が現れ、これによって電解質膜が脱離することが確認された。
【0110】
以上、本発明の実施形態及び図面を参照して説明したが、本発明が属する分野における通常の知識を有する者であれば、上記内容に基づいて本発明の範囲内で様々な応用及び変形を行うことが可能であろう。
【符号の説明】
【0111】
1:電極複合膜
10:電極板
101:電極部
102:補強材部
20:電解質膜
30:支持体
40:接着部
図1
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図6
図7
図8
【国際調査報告】