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特表2024-538395植物ベースのタンパク質および繊維を含むエマルジョンベース食品
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】植物ベースのタンパク質および繊維を含むエマルジョンベース食品
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/60 20160101AFI20241010BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20241010BHJP
   A23L 29/206 20160101ALI20241010BHJP
   A23J 3/14 20060101ALN20241010BHJP
【FI】
A23L27/60 A
A23L5/00 L
A23L5/00 M
A23L29/206
A23J3/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529421
(86)(22)【出願日】2022-11-17
(85)【翻訳文提出日】2024-07-11
(86)【国際出願番号】 US2022050266
(87)【国際公開番号】W WO2023091581
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】63/280,489
(32)【優先日】2021-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/397,663
(32)【優先日】2022-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518283481
【氏名又は名称】エッチ ジェー ハインツ カンパニー ブランズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100181847
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 かおり
(72)【発明者】
【氏名】ゴンサロ ルイス メロ サンタ
(72)【発明者】
【氏名】メイシリット アギーレ カルデナス
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン ウィーズ
【テーマコード(参考)】
4B035
4B047
【Fターム(参考)】
4B035LC03
4B035LE02
4B035LG01
4B035LG12
4B035LG15
4B035LG19
4B035LG20
4B035LG32
4B035LG48
4B035LK04
4B035LP21
4B047LB09
4B047LE03
4B047LG03
4B047LG10
4B047LG18
4B047LG23
4B047LG26
4B047LG38
4B047LG43
4B047LG62
4B047LP03
(57)【要約】
本明細書では、エマルジョンおよびエマルジョンベースの食品について説明する。また、エマルジョンおよびエマルジョンベースの食品の製造方法をも提供する。エマルジョンおよびエマルジョンベースの食品は、植物ベースのタンパク質および植物ベースの繊維を含有する。特定の1つのアプローチでは、植物ベースの繊維は、亜麻仁繊維を含み、植物ベースのタンパク質は、ソラマメタンパク質を含む。ソラマメタンパク質と亜麻仁繊維との組み合わせによって、エマルジョンおよびエマルジョンベースの食品に望ましいクリーミーな食感およびエマルジョン安定性がもたらされる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中油型エマルジョンの形態における植物ベースのマヨネーズタイプ製品であって、前記エマルジョンは、
水と、
約60重量%~約80重量%の油と、
0.4重量%~約1.5重量%の植物ベースのタンパク質であって、前記植物ベースのタンパク質は、ソラマメタンパク質、ジャガイモタンパク質、エンドウマメタンパク質の1つ以上を含む、0.4重量%~約1.5重量%の植物ベースのタンパク質と、
0.1重量%~約1.5重量%の亜麻仁繊維と、
を含む、水中油型エマルジョンの形態における植物ベースのマヨネーズタイプ製品。
【請求項2】
前記エマルジョンは、摂氏20度で測定したとき約10,000~約60,000cPの粘度を有する、請求項1に記載の植物ベースのマヨネーズタイプ製品。
【請求項3】
約60重量%~約75重量%の油を含む、請求項1または2に記載の植物ベースのマヨネーズタイプ製品。
【請求項4】
約65重量%~約75重量%の油を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の植物ベースのマヨネーズタイプ製品。
【請求項5】
前記エマルジョンは、デンプンを含まない、請求項1から4のいずれか一項に記載の植物ベースのマヨネーズタイプ製品。
【請求項6】
前記エマルジョンは、動物ベースの乳化剤を含まない、請求項1から5のいずれか一項に記載の植物ベースのマヨネーズタイプ製品。
【請求項7】
0.5重量%~約2重量%のデンプンをさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の植物ベースのマヨネーズタイプ製品。
【請求項8】
前記デンプンは、冷水膨潤性デンプンである、請求項7に記載の植物ベースのマヨネーズタイプ製品。
【請求項9】
前記植物ベースのタンパク質は、ソラマメタンパク質である、請求項1から8のいずれか一項に記載の植物ベースのマヨネーズタイプ製品。
【請求項10】
前記植物ベースのマヨネーズタイプ製品は、約1000~約2000Paの貯蔵弾性率(G’値)を有する、請求項1に記載の植物ベースのマヨネーズタイプ製品。
【請求項11】
前記植物ベースのタンパク質は、前記エマルジョンの重量に対して約0.5重量%~約1.0重量%の量で含まれる、請求項1に記載の植物ベースのマヨネーズタイプ製品。
【請求項12】
前記植物ベースのマヨネーズタイプ製品は、約1200~約1800Paの貯蔵弾性率(G’値)を有する、請求項1に記載の植物ベースのマヨネーズタイプ製品。
【請求項13】
水中油型エマルジョンの形態における植物ベースのマヨネーズタイプ製品の調製方法であって、
0.4重量%~1.5重量%の植物ベースのタンパク質、0.1重量%~1.5重量%の亜麻仁繊維、および水を組み合わせて第1の混合物を提供するステップと、
60重量%~80重量%の油を前記第1の混合物に加えて第2の混合物を提供するステップと、
前記第2の混合物を混合して水中油型エマルジョンを生成するステップと、を含み、
前記植物ベースのタンパク質は、ソラマメタンパク質、ジャガイモタンパク質、およびエンドウマメタンパク質の1つ以上を含む、
水中油型エマルジョンの形態における植物ベースのマヨネーズタイプ製品の調製方法。
【請求項14】
前記油を添加する前に、前記第1の混合物に酸味料を添加することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の混合物を低温殺菌することをさらに含む、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記植物ベースのマヨネーズタイプ製品は、摂氏20度で測定したとき約10,000~約60,000cPの粘度を有する、請求項13から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
約60~約75%の油を含む、請求項13から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
約65~約75%の油を含む、請求項13から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記植物ベースのマヨネーズタイプ製品は、約1000~約2000Paの貯蔵弾性率(G’値)を有する、請求項13から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記植物ベースのタンパク質は、前記エマルジョンの重量に対して約0.5重量%~約1.0重量%の量で含まれる、請求項13から19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2022年8月12日に出願された米国仮出願第63/397,663号および2021年11月17日に出願された米国仮出願第63/280,489号の利益を主張し、これらの両方を、参照によってその全体を本明細書に援用する。
【0002】
(技術分野)
この分野は、概してエマルジョンおよびエマルジョンベースの食品に関し、より具体的には、植物ベースのタンパク質および繊維を含有するエマルジョンおよびエマルジョンベースの食品に関する。
【背景技術】
【0003】
従来の調味料の多くは、卵タンパク質が乳化剤として機能する水中油型エマルジョンである。代表的な調味料には、マヨネーズ製品、ディップ、サラダドレッシング、同様に注ぐことが可能であるまたはスプーンですくうことが可能である製品などがある。
【0004】
近年、卵、乳成分、または肉など、特定の動物ベースの成分を含まないヴィーガン食品およびベジタリアン食品に対する消費者の需要が著しく増加している。卵ベースのタンパク質を含まないマヨネーズタイプなどの調味料が、この需要の大きな部分を占めている。これらの製品に対する需要は、ヴィーガン消費者だけでなく、卵アレルギーを持つ消費者、および動物性食品の摂取を減らしたいが必ずしもなくしたいわけではない他の消費者からも寄せられている。
【0005】
従来のマヨネーズ製品は、通常、卵黄、油、水、酢、レモン汁、および調味料を含有する。エマルジョンベースの食品から卵を取り除くと、卵の機能を別の成分で置き換えなければならない。例えば、卵黄は、天然の乳化剤であるレシチンを含有する。したがって、エマルジョンベースの食品から卵を除去するには、乳化剤として機能する成分を包含する必要があり、同時に製品に望ましくない機能またや風味を与えないようにする必要がある。化学乳化剤を配合すると、食品に異臭が付き得、消費者はしばしばそのような化学乳化剤を人工的なものとして、したがって望ましくないものとして認識する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】例示的な実施形態に従ったエマルジョンの調製を概略的に示すフローチャートである。
図2】例示的な実施形態に従って製造されたマヨネーズタイプ製品の光学顕微鏡画像である。
図3】例示的な実施形態に従って製造されたマヨネーズタイプ製品の光学顕微鏡画像である。
図4】例示的な実施形態に従って製造されたマヨネーズタイプ製品の光学顕微鏡画像である。
図5】マヨネーズタイプ製品の光学顕微鏡画像である。
図6】マヨネーズタイプ製品の光学顕微鏡画像である。
図7】マヨネーズタイプ製品の光学顕微鏡画像である。
図8】マヨネーズタイプ製品の光学顕微鏡画像である。
図9】マヨネーズタイプ製品の光学顕微鏡画像である。
図10】マヨネーズタイプ製品の線形粘弾性データのグラフである。
図11】卵ベースのマヨネーズと比較した、さまざまな植物ベースのマヨネーズタイプ製品の粒子サイズの中央値と平均値のチャートである。
図12】卵ベースのマヨネーズと比較した、さまざまな植物ベースのマヨネーズタイプ製品の粒度分布のグラフである。
図13】卵ベースのマヨネーズと比較した、さまざまな植物ベースのマヨネーズタイプ製品のせん断速度傾斜値のグラフである。
図14】卵ベースのマヨネーズと比較した、さまざまな植物ベースのマヨネーズタイプ製品のせん断応力(Pa)値のチャートである。
図15】デンプンを含む植物ベースのマヨネーズタイプ製品とデンプンを含まない植物ベースのマヨネーズタイプ製品の粒子サイズの中央値と平均値のチャートである。
図16】デンプンを含むマヨネーズタイプ製品とデンプンを含まないマヨネーズタイプ製品の粒度分布のグラフである。
図17】デンプンを含むマヨネーズタイプ製品とデンプンを含まないマヨネーズタイプ製品の線形粘弾性データのグラフである。
図18】低油分の植物ベースのマヨネーズタイプ製品の粒子サイズの中央値と平均値のチャートである。
図19】高油分の植物ベースのマヨネーズタイプ製品の粒子サイズの中央値と平均値のチャートである。
図20】低油分のマヨネーズタイプ製品の粒度分布のグラフである。
図21】高油分のマヨネーズタイプ製品の粒度分布のグラフである。
図22】低油分のマヨネーズタイプ製品の線形粘弾性データのグラフである。
図23】高油分のマヨネーズタイプ製品の線形粘弾性データのグラフである。
図24】植物ベースのマヨネーズタイプ製品の粒子サイズの中央値と平均値のチャートである。
図25】マヨネーズタイプ製品の粒度分布のグラフである。
図26】マヨネーズタイプ製品の線形粘弾性データのグラフである。
図27】植物ベースのマヨネーズタイプ製品の粒子サイズの中央値と平均値のチャートである。
図28】マヨネーズタイプ製品の粒度分布のグラフである。
図29】マヨネーズタイプ製品の線形粘弾性データのグラフである。
図30】植物ベースのマヨネーズタイプ製品の粒子サイズの中央値と平均値のチャートである。
図31】マヨネーズタイプ製品の粒度分布のグラフである。
図32】マヨネーズタイプ製品の線形粘弾性データのグラフである。
図33】植物ベースのマヨネーズタイプ製品の粒子サイズの中央値と平均値のチャートである。
図34】マヨネーズタイプ製品の粒度分布のグラフである。
図35】マヨネーズタイプ製品の線形粘弾性データのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書で使用されている用語および表現は、本明細書で別途異なる特定の意味が定められている場合を除き、上記の技術分野の専門家によってそのような用語および表現に与えられる通常の技術的意味を有する。
【0008】
本明細書では、植物ベースの成分を含有するエマルジョンおよびエマルジョンベースの食品について記載する。植物ベースのタンパク質と植物ベースの繊維とを組み合わせると、動物ベースの成分を含有する同等のエマルジョンベースの食品に対する消費者の期待と一致する特性を備えたエマルジョンベースの食品を提供し得ることが予期せず判明した。例えば、本明細書に記載の植物ベースの成分を含有するマヨネーズタイプまたはドレッシングタイプの食品は、従来の卵ベースのマヨネーズおよびドレッシング製品に対する消費者の期待に一致する、滑らかでクリーミーな食感および乳化安定性を有する。
【0009】
1つのアプローチでは、エマルジョンおよびエマルジョンベースの食品は、植物ベースの製品である。本明細書で使用される「植物ベース」という用語は、乳タンパク質または卵ベースの乳化剤などの動物ベースの成分を含まず、代わりに植物由来の成分を含む製品または成分を指す。
【0010】
特定の1つのアプローチでは、ソラマメ、エンドウマメタンパク質およびジャガイモタンパク質を含む特定の植物ベースのタンパク質のみが、安定した水中油型エマルジョンを作成するのに十分な乳化能力を有することが判明した。一態様では、これらのタンパク質は、比較的高い油含有量(例えば、約50~約80%の油分)を有するエマルジョンベースの食品に使用するのに適している。一態様では、食品は、マヨネーズタイプまたはドレッシングタイプの食品である。
【0011】
また、植物ベースのタンパク質と亜麻仁繊維とを組み合わせると、適度に安定したおよび/または小さな油滴サイズ、ならびに良好なエマルジョン安定性が得られることも判明した。対照的に、植物ベースのタンパク質と亜麻仁繊維とを組み合わせて使用しないと、乳化安定性が低下し、油滴サイズが大きくなり得ることが判明した。
【0012】
さらに、ソラマメタンパク質と亜麻仁繊維との組み合わせは、ヒヨコマメなどの他の植物ベースのタンパク質よりも、それらのタンパク質を亜麻仁繊維と組み合わせて使用した場合でさえも、安定した水中油型エマルジョンを提供することが判明した。
【0013】
本明細書において有用な亜麻仁繊維の一例としては、Hi-Food SpaのHi-Smoothが挙げられる。ソラマメ製品の一例としては、IngredionのVITESSENCE(商標)Pulse 3600(別名VITESSENCE(商標)Prista P 360)(60%の粗タンパク質を含有する)が挙げられる。本エマルジョンおよび本方法にある程度適したその他の植物ベースのタンパク質としては、エンドウマメタンパク質(例えば、IngredionのVITESSENCE(商標)Pulse 1550(55%の粗タンパク質を含有する)またはVITESSENCE(商標)1803(別名VITESSENCE(商標)Prista P 155)(77.8%の粗タンパク質を含有する)、およびジャガイモタンパク質(例えば、AvebeのSolanic 300(粗タンパク質含有率90%の粗タンパク質を含有する))が挙げられる。概して、エンドウマメおよび/またはジャガイモのタンパク質は、本明細書でソラマメタンパク質について記載したのと同じ量で含まれ得、またはエマルジョンベースの食品においてソラマメタンパク質と組み合わせられ得る。少なくともいくつかのアプローチでは、エマルジョンベースの食品に使用するのに適した植物ベースのタンパク質は、エマルジョンベースの食品のpHよりも高い等電点を有するべきである。
【0014】
したがって、少なくともいくつかの実施形態では、本明細書において有用な植物ベースのタンパク質は、ソラマメタンパク質、ジャガイモタンパク質、エンドウマメタンパク質、またはそれらの組み合わせであり、植物ベースの繊維は、亜麻仁繊維である。いくつかのアプローチでは、植物ベースのタンパク質は、分離物、濃縮物、または小麦粉の形をとり得るが、植物ベースのタンパク質の正確な形は、特に制限されないと考えられる。概して、タンパク質分離物は、タンパク質濃縮物よりも高い粗タンパク質含有量を有する。植物ベースのタンパク質成分中の粗タンパク質の量は、タンパク質含有成分の形態(例えば、成分が分離物、濃縮物、または小麦粉のいずれの形態であるか)によって異なり得る。したがって、本明細書の目的において、粗タンパク質の量は、任意のタンパク質含有成分によってもたらされるタンパク質の量である。植物ベースのタンパク質成分またはエマルジョン中の粗タンパク質の量は、公認分析化学者協会(AOAC)公認方法992.15(その全体が参照によって本明細書に援用される)によって測定され得る。本明細書では、「植物ベースのタンパク質」という用語は、乾燥重量で少なくとも50%の粗タンパク質を有するタンパク質成分を指す。
【0015】
概して、所定のエマルジョンベースの製品に必要な植物ベースのタンパク質(特に植物ベースのタンパク質としてのソラマメタンパク質)の量は、製品の油含有量と反比例し得る。例えば、油含有量が多い場合は、少ない植物ベースのタンパク質の含有量を必要とし、油含有量が少ない場合は、安定したエマルジョンを得るために植物ベースのタンパク質の含有量を多く必要とする。いくつかのアプローチでは、油含有量が多い場合に植物ベースのタンパク質を大量に使用すると、エマルジョンが薄く見え、ゲル化を引き起こし得るため、油含有量が多い場合においてはより少ない植物ベースのタンパク質の量が望ましい場合があり得る。
【0016】
1つのアプローチでは、植物ベースのタンパク質(すなわち、ソラマメタンパク質)は、製品が約60~約80パーセントの油を含むとき、エマルジョンベースの食品の総重量に基づいて、約0.2%~約1.5%の範囲内の量で存在し、別の態様では、約0.4%~約1.5%の範囲内の量で存在する。
【0017】
1つのアプローチでは、植物ベースのタンパク質(すなわち、ソラマメタンパク質、ジャガイモ、および/またはエンドウマメタンパク質)は、製品が約40%~約80%の油、別の態様では約50%~約80%の油、別の態様では約60%~約80%の油、および別の態様では約60%~約75%の油を含むとき、エマルジョンベースの食品の総重量に基づいて、約0.2%~約1.5%の範囲内の量で、別の態様では約0.4%~約1.5%の範囲内の量で、別の態様では約0.5%~約1.0%の範囲内の量で存在する。
【0018】
別のアプローチでは、繊維は、概して、エマルジョンベースの食品において2つの主な機能を提供する。まず、繊維は、エマルジョンの安定化に役立つ。次に、繊維は、エマルジョンベースの食品に厚み/粘性を追加する。1つのアプローチでは、植物ベースの繊維(すなわち、亜麻仁繊維)は、製品が約50%~約80%の油、別の態様では約60%~約80%の油、および別の態様では約60%~約75%の油を含むとき、エマルジョンベースの食品の総重量に基づいて、約0.1重量%~約1.5重量%の範囲内の量の繊維、別の態様では約0.5%~約1.25%の範囲内の量、および別の態様では約0.6%~約1.0%の範囲内の量で存在する。
【0019】
中程度の油含有量(例えば、約40~約60パーセントの油)のエマルジョンベースの食品の場合、概して、中程度の量の植物ベースの繊維が必要である。例えば、約1.5~約3.0%の繊維が必要になり得る。
【0020】
本明細書で使用される油は、冷蔵温度で液体である任意の食品グレードの油であり得る。適切な油としては、例えば、菜種油、キャノーラ油、大マメ油、ベニバナ油、ヒマワリ油、落花生油、コーン油、オリーブ油、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0021】
いくつかのアプローチでは、植物ベースの繊維は、亜麻仁繊維に加えて、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガムなどのハイドロコロイドを含み得る。しかし、ハイドロコロイドは亜麻仁繊維の代替品としては適していないことが判明した。例えば、キサンタンガムを包含すると貯蔵弾性率(G’)値が望ましくないほど高くなり得、グアーガムを包含すると油滴が凝集するおそれがあり得ることが判明した。したがって、少なくともいくつかの実施形態では、エマルジョンベースの食品は、具体的には、任意のハイドロコロイドを含まず、または、具体的には、キサンタンおよび/またはグアーガムを含まない。
【0022】
いくつかのアプローチでは、エマルジョンベースの食品は、それ以上の食感付与剤を含み得ない。1つのアプローチでは、エマルジョンは、デンプンを含まない。「デンプンを含まない」とは、エマルジョンベースの食品が、機能的(例えば、増粘)な量より少ないデンプンの量を含むことを意味する。1つのアプローチでは、エマルジョンに含まれるデンプンは、1パーセント未満である。別のアプローチでは、エマルジョンは、0.5パーセント未満のデンプンを含有する。別のアプローチでは、エマルジョンは、0.1パーセント未満のデンプンを含有する。別のアプローチでは、エマルジョンは、デンプンを含有しない。
【0023】
しかし、他のアプローチでは、特に製品がより少ない量の油を含むとき、エマルジョンベースの食品は、デンプンまたは他の食感付与剤を含み得る。例えば、65%未満の油含有量を有するマヨネーズタイプ製品の場合、さらなる粘度のために少量のデンプン、例えば約0.5%~約2%のデンプン、別の態様では約0.75%~約1.5%のデンプン、さらに別の態様では約1.0%~約1.5%のデンプンを含むことが望ましい場合があり得る。ただし、デンプンを添加した場合でも、植物ベースのタンパク質と植物ベースの繊維とは、本明細書に記載の量で含まれるべきである。
【0024】
エマルジョンベースの食品にデンプンまたは他の粘度を高める成分が含まれる場合、少ない油含有量を有するにもかかわらず、より少なくない量の植物ベースの繊維が含まれ得る。例えば、少なくともいくつかの実施形態では、特に油分が約40%~約65%の範囲では、デンプンを包含することで貯蔵弾性率(G’)値およびエマルジョン安定性を向上させ得る。したがって、約50%~約65%の油を含むエマルジョンベースの食品の場合、エマルジョンベースの食品は、約0.5%~約3%のデンプン、別の態様では約0.5~約2.5%のデンプン、別の態様では約0.5~約2%のデンプンをさらに含み得る。エマルジョンベースの食品は、また、エマルジョンベースの食品の総重量に基づいて、約0.1%~約1.5%、別の態様では約0.2%~約1.5%、別の態様では約0.4%~約1.5%、別の態様では約0.5%~約1.0%の範囲内の量の植物ベースのタンパク質(すなわち、ソラマメタンパク質、ジャガイモ、および/またはエンドウマメタンパク質)と、エマルジョンベースの食品の総重量に基づいて、約0.1重量%~約1.5重量%の繊維、別の態様では約0.5%~約2%、別の態様では約0.5%~約1.5%、別の態様では約0.5%~約1.25%、および別の態様では約0.6%~約1.0%の範囲内の量の植物ベースの繊維(すなわち、亜麻仁繊維)と、を含む。
【0025】
適切なデンプンには、変性デンプン、天然デンプン、およびプレゼラチン化デンプンが含まれ得る。例えば、デンプンは、Starch NOVATION(登録商標)4300(Ingredion)またはMERIGEL(登録商標)341(Tate&Lyle)などの冷水膨潤性(CWS)デンプンであり得る。
【0026】
エマルジョンベースの食品には、さらに水が含まれており、その含有量は、概して約15%~約45%、別の態様では約15%~約40%、別の態様では約15%~約35%、別の態様では約15%~約30%である。
【0027】
特定の1つのアプローチでは、水中油型エマルジョンの形態の植物ベースのマヨネーズタイプ製品であり、エマルジョンは、水、約60重量%~約80重量%の油と、0.4重量%~約1.5重量%の植物ベースのタンパク質であって、植物ベースのタンパク質は、ソラマメタンパク質、ジャガイモタンパク質、およびエンドウマメタンパク質の1つ以上を含む、植物ベースのタンパク質と、および0.1重量%~約1.5重量%の亜麻仁繊維とを含む。
【0028】
いくつかのアプローチでは、エマルジョンベースの食品は、約1000Pa~約2000Pa、別の態様では約1200Pa~約1800Pa、別の態様では約1300Pa~約1600Pa、および別の態様では約1500Pa~約1600Paの貯蔵弾性率(G’)値を有する。本明細書において、記載された範囲の貯蔵弾性率を有するエマルジョンベースの食品は、マヨネーズタイプまたはドレッシングタイプの食品に特に適していることが判明した。Kinexusレオメーターは、サンプルの振幅スイープ、降伏応力、せん断速度傾斜を測定するために使用され得る。振幅スイープ試験では、サンプルの線形粘弾性領域(LVER)を測定し、その堅牢性を分析する。せん断速度傾斜試験は、せん断速度の対数増加による粘度の影響を測定する。降伏応力は、粘度のピークが観察される応力を測定することによって測定される。粘度のピークの前に、材料は、弾性変形を起こしており、サンプルの伸びおよび粘度のピークは、弾性構造が崩壊し(降伏し)、材料が流れ始めるポイントを表す。Kinexusレオメーターは、コーンプレートジオメトリ(CP4/40 SC0095 SS)を使用してサンプルの振幅スイープを測定するために使用される。測定は25℃で実行される。貯蔵弾性率は、1Hzの設定周波数で0.1%~100%のせん断ひずみの範囲にわたって測定される。G’(弾性率)は構造的完全性の尺度であるため、G’の低下は、材料構造の破壊、つまり非線形性の始まりを示す。
【0029】
いくつかの例では、エマルジョンベースの食品は、食品のpHを約2.5~約4.0、別の態様では約2.8~約4.0、別の態様では約2.9~約3.5、および別の態様では約2.9~約3.1にするのに有効な量の酸味料をさらに含む。任意の適切な酸味料または酸味料の組み合わせが使用され得る。一例では、酸味料は、クエン酸、リンゴ酸、酢酸(酢の形態など)、リン酸、ソルビン酸、および乳酸のうちの1つ以上を含む。食用酸味料(すなわち、食品グレードの酸味料)または食用酸味料の混合物を包含すると、pHを下げることに加えて、微生物の安定性に寄与し、エマルジョンに望ましい風味を与え得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、エマルジョンベースの食品は、追加の成分をさらに含み得る。追加成分の例としては、甘味料、塩、抗菌剤、香味料(例えば、マスタード、ハーブ、スパイス)、および着色料の1つ以上が挙げられる。所望に応じて、スクロース、デキストロース、フルクトース、グルコース、マンノース、ガラクトース、マルトース、コーンシロップ、合成甘味料などの、甘味料が使用され得る。
【0031】
本明細書に記載のエマルジョンベース食品は、例えば、マヨネーズタイプ製品、ドレッシング、ソース等の形態であり得る。また、エマルジョンベース食品は、ベーカリー製品およびデザート製品の成分としても添加され得る。
【0032】
少なくともいくつかのアプローチでは、これらのエマルジョンベースの食品は、20℃で保存したとき、製品の保存期間中、例えば少なくとも約1か月、別の態様では少なくとも約2か月、別の態様では少なくとも約3か月、および別の態様では少なくとも約6か月、安定したままである、水中油型エマルジョンの形態であることを特徴とする。
【0033】
図1は、本明細書に記載の1つの実施形態に従ったプロセスを示すフローチャートを提供する。本明細書に記載の条件下でエマルジョンを調製すると、クリーム状の食感およびエマルジョンの安定性が改善された組成物が提供されることが判明した。この態様では、このプロセスは、水、植物ベースのタンパク質(例えば、ソラマメタンパク質)、および植物ベースの繊維(例えば、亜麻仁繊維)を混合して混合物を形成することを含む。混合物は、次いで、混合物を低温殺菌するのに効果的な温度および時間で処理される。酸味料は、低温殺菌処理の前または後に加え得る。低温殺菌された混合物は、その後冷却される。次に油が加えられ、その後、低温殺菌された混合物と油との組み合わせが乳化処理される。その他の必要に応じた成分(例えば、塩、砂糖など)は、プロセスのどの段階でも追加され得る。
【0034】
1つのアプローチでは、水中油型エマルジョンの形態で植物ベースのマヨネーズタイプ製品を調製する方法を提供する。この方法は、0.4重量%~1.5重量%の植物ベースのタンパク質、0.1重量%~1.5重量%の亜麻仁繊維、および水を組み合わせて、第1の混合物を提供するステップと、第1の混合物に60重量%~80重量%の油を加えて第2の混合物を提供するステップと、第2の混合物を混合して水中油型エマルジョンを生成するステップとを含み、植物ベースのタンパク質は、ソラマメタンパク質、ジャガイモタンパク質、およびエンドウマメタンパク質のうちの1つ以上を含む。
【0035】
概して、使用される乳化プロセスは、望ましい平均粒子サイズ(D4.3)または中央粒子サイズ(D50)を提供するのに効果的である。Eyetech粒子サイズ測定器を使用して、D3.2およびD4.3値を測定し得る。D3.2は、表面加重平均径であり、D4.3は、体積平均径である。平均および中央粒子サイズを、Horiba LA-960粒子サイズ測定装を使用して測定した。グラフには、X軸にミクロン単位の直径、Y軸にq%(所定のヒストグラムチャネルにおける割合)がプロットされる。平均粒子サイズは、体積平均直径であるが、一方、中央値サイズは、群の半分がこの点より上方にあり、残りの半分がこの点より下方にある値である。粒子サイズは、製品に含まれる油およびその他の固形物(亜麻仁など)を含む。粒子サイズの分布は、製品に含まれるその他の成分に応じて、単峰性または二峰性になり得る。
【0036】
いくつかのアプローチでは、平均粒子サイズは、約100ミクロン未満であり、別の態様では約75ミクロン未満であり、別の態様では約50ミクロン未満であり、別の態様では約45ミクロン未満である。他のアプローチでは、平均粒子サイズは、約1ミクロン~約100ミクロンであり、別の態様では約1ミクロン~約75ミクロンであり、別の態様では約1ミクロン~約50ミクロンであり、別の態様では約1ミクロン~約45ミクロンである。
【0037】
いくつかのアプローチでは、平均粒子サイズは、約50ミクロン未満であり、別の態様では約40ミクロン未満であり、別の態様では約30ミクロン未満であり、別の態様では約25ミクロン未満である。他のアプローチでは、平均粒子サイズは約1ミクロン~約50ミクロンの間であり、別の態様では約1ミクロン~約40ミクロンの間であり、別の態様では約1ミクロン~約30ミクロンの間であり、別の態様では約1ミクロン~約25ミクロンの間である。
【0038】
例えば、FrymaKoruma MaxxDなどのバッチ式またはインライン式の高せん断ミキサーまたはホモジナイザーを使用し得る。従来のマヨネーズ製品は通常、コロイドミルを使用して均質化される。コロイドミルによる均質化は、低から中程度のせん断力を提供される。別の態様では、例えば、高圧均質化は、平均油滴サイズをさらに小さくするように、使用され得る。
【0039】
エマルジョンベースの食品は、概して、従来のマヨネーズまたはドレッシング製品と同様に、不透明な外観および柔らかく滑らかな食感を持たせ得る脂肪滴サイズ分布を有する。脂肪滴のサイズ分布は、光学顕微鏡で観察し得るか、またはBrukerの時間領域核磁気共鳴液滴サイズ分析装置(Bruker TD-NMR液滴サイズ分析装置)を使用して測定し得る。NMRフィールドの減衰曲線(強度対時間)を使用して、脂肪滴のサイズ分布を導き出し得る。
【0040】
光学顕微鏡で評価するとき、概して、油滴が、エマルジョンの不安定性を指し示す凝集を示さないことが望ましい。油滴は概して小さいサイズであることが好ましいが、製品の保管中に油滴のサイズが時間の経過とともに概して一定に保たれる(ただし、凝集しない)ことの方が重要であることが判明した。
【0041】
本明細書における目的のために、粘度を、エマルジョンベースの食品が20℃の温度にあるときに、ブルックフィールド粘度計RV(スピンドル6)を用いて12rpmで30秒間測定し得る。粘度測定は、乳化ステップの24時間後に行われる。一態様では、エマルジョンまたはエマルジョンベースの食品は、約10,000cP~約85,000cPの範囲の粘度を有し、別の態様では約15,000cP~約85,000cPの範囲の粘度を有し、別の態様では約15,000~約60,000の範囲の粘度を有し、別の態様では約30,0000cP~約60,000cPの範囲の粘度を有し、別の態様では約35,000cP~約55,000cPの範囲の粘度を有する。粘度はまた、エマルジョンまたはエマルジョンベースの食品が20℃の温度にあるときに、Brookfield粘度計HA(スピンドル6)を使用して12rpmで30秒間測定され得る。スピンドル6を使用する2つの粘度測定技術は、同じ設定を使用したときに同様の結果が得られると予想されるが、主な違いは、HA粘度計の方がより広い粘度範囲に対応できることである。粘度はまた、エマルジョンまたはエマルジョンベースの食品が20℃の温度にあるときに、Brookfield粘度計HA(スピンドル5)を使用して30rpmで30秒間測定され得る。使用される特定の粘度測定技術は、エマルジョンまたはエマルジョンベースの食品の粘度によって異なり得る。これは、機器によって、低粘度製品または高粘度製品の粘度を測定する能力が異なるためである。例えば、スピンドルが大きいほど、概して高粘度の製品を測定する際のカバー範囲を広くすることが可能になる。
【0042】
一態様では、エマルジョンまたはエマルジョンベースの食品は、エマルジョンまたはエマルジョンベースの食品が20℃の温度にあるときに、Brookfield粘度計HAまたはRV(スピンドル6)を用いて12rpmで30秒間の測定によって、約10,000cP~約85,000cP、別の態様では約15,000cP~約85,000cP、別の態様では約15,000~約60,000、別の態様では約30,000cP~約60,000cP、別の態様では約35,000cP~約55,000cPの範囲の粘度を有する。
【0043】
別のアプローチでは、エマルジョンまたはエマルジョンベースの食品は、エマルジョンまたはエマルジョンベースの食品が20℃の温度にあるときに、Brookfield粘度計HA(スピンドル5)を用いて30rpmで30秒間の測定によって、約10,000cP~約85,000cP、別の態様では約15,000cP~約85,000cP、別の態様では約15,000~約60,000、別の態様では約30,000cP~約60,000cP、別の態様では約35,000cP~約55,000cPの範囲の粘度を有する。
【0044】
いくつかのアプローチでは、植物ベースのタンパク質は、エマルジョンベースの食品における唯一の乳化剤であり得る。別の態様では、エマルジョンベースの食品は、卵黄、卵ベースのレシチン、または全卵を含む、任意の形態における卵などの、動物ベースの乳化剤を含まない。「動物ベースの乳化剤を含まない」という用語は、エマルジョンが機能的(例えば、乳化)量未満の動物ベースの乳化剤を含むことを意味する。1つのアプローチでは、エマルジョンベースの食品は、0.5パーセント未満の動物ベースの乳化剤を含有する。別のアプローチでは、エマルジョンは、0.1パーセント未満の動物ベースの乳化剤を含有する。別のアプローチでは、動物ベースの乳化剤は含まれない。エマルジョンは、DATEMなどの従来の乳化剤または植物ベースのレシチン源をもまた、含み得ない。
【0045】
別の態様では、エマルジョンベースの食品は、植物ベースのタンパク質以外のタンパク質を含み得ない。一態様では、エマルジョンは、任意の乳タンパク質および肉タンパク質を含まない。
【0046】
上記の方法の後、必要に応じて、エマルジョンを予混合物または中間体として使用して、さまざまな脂肪含有量のエマルジョンベースの食品を提供し得る。エマルジョンは、ベーカリー製品およびデザート製品を含む、他の種類の食品に添加され得る。
【0047】
必要に応じた成分は、従来の混合技術および装置によって添加され得る。使用される圧力、せん断速度、および/または混合時間は、使用される特定の装置に応じて大きく異なり得る。
【0048】
本明細書に記載のエマルジョンおよびエマルジョンベースの食品は、バッチ、半連続、または連続プロセスで調製し得る。
【0049】
本明細書に記載されるエマルジョンおよびエマルジョンベースの食品のこれらの利点およびその他の利点は、本明細書を検討することによって、当業者には明らかとなるであろう。
【実施例
【0050】
(実施例1)
エマルジョンの安定性を評価するために、亜麻仁繊維とヒヨコマメタンパク質またはソラマメタンパク質を有するマヨネーズタイプの配合物を試験した。マヨネーズタイプ製品を、表1の配合物に従って調製した。
【0051】
マヨネーズタイプ製品の水相は、Silverson LM-Aベンチトップ高せん断ミキサーを使用して調製される。植物ベースのタンパク質、砂糖、および塩を含む乾燥成分を、約2500~3000rpmで水と混合する。目に見える大きな塊がなくなったら、ミキサーを回したまま植物ベースの繊維(およびマスタードなどの任意の香味料)を加える。酸性化成分もまた、この段階で添加し得る。この混合物を、ジャケット付き加熱容器(OMVE MPV220)中において低温殺菌する。水相混合物を、26℃未満になるまで冷却する。必要に応じて、酸性化成分もこの段階で添加し得る。水相および油を、高せん断乳化機(FrymaKoruma MaxxD Lab)において3000rpmで30~40秒の再循環時間を与えて乳化する。油を、0.15~0.18kg/sの速度で添加する。配合物がデンプンまたは他の増粘剤を含有する場合は、増粘剤を油の総量の1/3と混合し、乳化プロセスの最初に添加し、その後に残りの油を添加する。このプロセスは、残りの例でも使用される。
【0052】
【表1】
【0053】
サンプルを20℃で保管し、約1週間後に分析した。
【0054】
サンプルを顕微鏡下での小球サイズおよび粒度分布を分析するために試験した。エマルジョン安定性試験を、サンプルを300rpmで2時間の振盪前後において分析することによって実施した。
【0055】
(視覚的観察)
サンプルを振盪前後において外観と油との分離を目視で観察した。目に見える油の分離は、マヨネーズタイプ製品として使用するには適さない不安定なエマルジョンであることを示す。
【0056】
配合A(ソラマメ+亜麻)および配合B(ソラマメ+亜麻+EDTA)については、油の分離は観察されなかった。振盪後、両方のサンプルにおいて若干の油の分離が観察された。油の分離が最小限であったため、これらの配合は許容できるとみなされた。
【0057】
配合C(ソラマメ+高亜麻)については、振盪前または振盪後に油の分離は観察されなかった。配合Cは許容できるとみなされた。
【0058】
配合D(ヒヨコマメ+亜麻)については、油の分離は観察されなかったが、振盪後に油の分離があった。配合Dは、許容できないとみなされた。
【0059】
(顕微鏡検査)
光学顕微鏡(倍率:40倍)を使用して、振盪前後のサンプルを観察し、油滴の凝集および小球サイズを調べた。振盪前または振盪後のどちらかの油滴の凝集は許容できないとみなされる。概して、大きな油滴は望ましくないが、振盪後も油滴のサイズがほとんど変わらない場合は許容され得る。
【0060】
光学顕微鏡画像を図2~5に示す。配合Aを図2に、配合Bを図3に、配合Cを図4に、配合Dを図5に示す。下記の観察結果が得られた。
配合A(ソラマメ+亜麻):油の小球は、振盪前後で許容できる大きさであった。
配合B(ソラマメ+亜麻+EDTA):油の小球は、振盪前後で許容できる大きさであった。
配合C(ソラマメ+高亜麻):油の小球は、振盪前後で許容できる大きさであった。
配合D(ヒヨコマメ+亜麻):振盪前後に凝集が観察された(許容できないとみなされた)。
【0061】
粒子サイズ:粒子サイズ測定装置を使用して、粒子の表面積および体積の直径を計算した。Eyetech粒子サイズ測定装置を使用して、D3.2値およびD4.3値を測定した。D3.2は、表面加重平均径で、D4.3は、体積平均径である。平均および中央粒子サイズを、Horiba LA-960粒子サイズ測定装置を使用して測定した。グラフは、X軸に直径(ミクロン単位)がプロットされ、Y軸は、q%(所定のヒストグラムチャネルの%)である。
【0062】
配合AからDまでの各々の粒子サイズの結果を下記の表2に示す。配合ごとに3つのサンプルを評価し、その平均値を表に示す。
【0063】
【表2】
【0064】
すべてのサンプルにおいて、粒子サイズは振盪前後で同様であることがわかった。全体的に、ソラマメタンパク質を有する配合Cが最も優れたパフォーマンスを発揮すると判断されたが、ソラマメタンパク質を含む配合AおよびBも許容できるとみなされた。ヒヨコマメタンパク質を有する配合Dは、主に油の分離と脂肪小球の凝集によって、許容できないとみなされた。したがって、完成製品に70%の油含有量で望ましい安定性を与えるには、亜麻仁繊維とソラマメタンパク質との組み合わせが重要であることがわかった。マヨネーズタイプの食品においては、ヒヨコマメタンパク質はソラマメタンパク質の代用としては効果的ではないとみなされた。
【0065】
(実施例2)
さまざまなマヨネーズタイプの配合物の乳化安定性およびレオロジーを評価するために、表3の配合物に従ってマヨネーズタイプ製品を調製した。マヨネーズタイプ製品を、実施例1に記載の方法で調製した。
【0066】
【表3】
【0067】
サンプルを、20℃で保存してから約1週間後に分析した。その後、サンプルを300rpmで2時間の振盪前後に、実施例1で説明したように評価した。
【0068】
(視覚的観察)
サンプルを振盪した後、外観と油の分離を目視で観察した。
【0069】
柑橘類繊維で作られたサンプル(配合E、G、およびH)は、塊状の外観を呈し、亜麻仁繊維で作られたサンプルよりも不透明であった。したがって、少なくとも製品の外観の観点からは、柑橘類繊維の包含は望ましくないことがわかった。
【0070】
配合E(ソラマメ+柑橘類繊維)とF(ソラマメ、繊維なし)については、振盪前は、両方の配合でわずかな相分離が見られた。振盪後、両方のサンプルで瓶の側面に沿って油の分離が観察され、エマルジョンの安定性が許容できないことが示された。
【0071】
振盪前は、配合G(高ソラマメ+柑橘類繊維)とH(ソラマメ+柑橘類繊維、低油分)では油の分離は見られなかった。振盪後、両方の配合で瓶の側面に沿って油の分離が見られた。したがって、配合GおよびHのエマルジョン安定性も許容できなかった。
【0072】
(顕微鏡検査)
光学顕微鏡(倍率:40倍)を使用して、振盪前後のサンプルを観察し、油滴の凝集と小球サイズを調べた。
【0073】
配合Eは、図6に示され、配合Fは、図7に示され、配合Gは、図8に示され、配合Hは、図9に示される。次の観察が行われた。
配合E(ソラマメ+柑橘類繊維):振盪前後で凝集が観察された(許容できないとみなされた)。
配合F(高ソラマメ、繊維なし):振盪前後に凝集が観察された(許容できないとみなされた)。
配合G(高ソラマメ+柑橘類繊維):振盪前に大きな油の小球が観察された(許容できないとみなされた)。振盪後に凝集が観察された(許容できないとみなされた)。
配合H(ソラマメ+柑橘類繊維、低油分):振盪前後で凝集が観察された(許容できないとみなされた)。
【0074】
振盪前に配合E、F、およびHは凝集を示し、配合Gは、振盪前であっても大きな油の小球を示したため、すべてのサンプルは許容できないとみなされた。振盪後、すべてのサンプルは凝集を示した。
【0075】
(粒子サイズ)
配合E~Hの各々の粒子サイズの結果を下記の表4に示す。各配合について3つのサンプルを評価し、その平均値を表に示す。
【0076】
【表4】
【0077】
すべてのサンプルは、振盪前後で比較的大きな粒子サイズを示した。配合E、G、およびHは、同じバッチ内で大きな標準偏差を示したが、これは柑橘類繊維の含有量によるものであり得る。
【0078】
(レオロジー)これらのサンプルは、さらに貯蔵弾性率について評価された。せん断速度傾斜試験では、せん断速度の対数増加による粘度の影響を測定する。Kinexusレオメーターを使用して、コーンプレートジオメトリ(CP4/40 SC0095 SS)を使用したサンプルの振幅スイープを測定した。測定は、25℃で行われる。貯蔵弾性率は、1Hzの設定周波数で0.1%~100%のせん断ひずみの範囲にわたって測定される。振幅スイープ試験の主な目的は、サンプルの線形粘弾性領域(LVER)を測定し、その堅牢性を分析することである。G’(弾性係数)は、構造の完全性の尺度であるため、G’の任意の低下は材料構造の破壊、つまり非線形性の始まりを示す。G’(Pa)値は、下記の表9に示される。
【0079】
レオロジーの結果は、図10および下記の表5に示される。
【0080】
【表5】
【0081】
配合EおよびHは、最高の貯蔵弾性率(構造的完全性)を示したが、配合Fは、最低の貯蔵弾性率を示した。配合EおよびFは、最長の線形粘弾性領域(LVER)を示したが、配合Hは、最小のLVER(せん断ひずみが大きいと粘弾性が急激に低下する)を示した。しかし、貯蔵弾性率の値は全体的に低く、サンプルが構造を保持していないことを示す。マヨネーズタイプ製品に望ましい貯蔵弾性率の値は、通常、少なくとも1000Paであり、通常、約1000Pa~約2000Paの範囲である。全体的に、すべてのサンプルが許容できないことが判明し、柑橘類繊維は、さまざまな油分およびタンパク質レベルで亜麻仁繊維の代替品として許容できず、繊維を含まないサンプルは乳化安定性に欠けていることが示された。
【0082】
(実施例3)
エマルジョン安定性を評価するために、ソラマメタンパク質、亜麻仁繊維、およびデンプンを組み合わせたマヨネーズタイプ製品を調製し、評価した。マヨネーズ製品を、表6の配合物に従って調製した。マヨネーズタイプ製品は、実施例1に記載の方法を使用して調製した。
【0083】
【表6】
【0084】
サンプルを、20℃で保管してから約1週間後に分析した。完成製品のエマルジョン安定性を評価し、製品の保存期間中適切に安定していることがわかった。製品を4℃、20℃、30℃で最大9か月間保管した。製品は、4℃および20℃で保管したとき、9か月間、許容できる官能結果(風味、色、匂い)およびエマルジョン安定性(外観)を示した。30℃で保管した製品は、4か月目に初めて官能結果があまり好ましくなくなった。
【0085】
(実施例4)
追加の例示的なマヨネーズ配合物を、下記の表7の3つの配合物に従って調製した。マヨネーズタイプ製品は、実施例1に記載の方法を使用して調製した。
【0086】
【表7】
【0087】
配合Jは、粘度を高める量のデンプンを含む。配合Jの製品を、乳化安定性についても評価し、製品の保存期間中、適切に安定していることがわかった。製品を、4℃、20℃、30℃で最大9か月間保管した。製品は、4℃および20℃で保管したとき、9か月間、許容できる官能結果(風味、色、匂い)および乳化安定性(外観)を示した。30℃で保管した製品は、4か月目に官能結果があまり好ましくなくなり始めた。
【0088】
配合Jの粘度も12か月間にわたって測定された。粘度は、Brookfield粘度計、装置HA、スピンドル6、速度12rpm、4℃、20℃、30℃で30秒間測定された。2回の測定が行われ、その平均が下記の表8に示される。
【0089】
【表8】
【0090】
配合KおよびLについては同様の試験は完了しなかったが、保管中の乳化安定性は同様であると予想される。
【0091】
(実施例5)
さらに、さまざまな増粘剤および乳化剤の使用が完成製品の粒子サイズおよびレオロジー特性に与える影響を評価するために、マヨネーズタイプ製品を調製した。これらの製品は、植物ベースのタンパク質ではなく卵ベースの乳化剤を含むマヨネーズ製品とも比較した。製品は、下記の表9の配合物に従って調製した。マヨネーズタイプ製品は、実施例1に記載の方法を使用して調製した。
【0092】
【表9】
【0093】
サンプルを20℃で保存してから約1週間後に分析した。サンプルを実施例1および2で説明したように評価した。
【0094】
顕微鏡観察:光学顕微鏡(倍率:40倍)を使用して、振盪前後のサンプルを観察し、油滴の凝集および小球サイズを調べた。
配合M(ソラマメ、亜麻、デンプン):大きな油の小球が観察された。
配合N(亜麻なし):油滴の凝集が観察された(許容できないとみなされた)。
配合O(柑橘類繊維):大きな油の小球が観察された。
【0095】
(粒子サイズ)
測定を、Horiba LA-960粒子サイズ測定装置を使用して実行した。グラフは、X軸に直径(ミクロン単位)、Y軸にq%(所定のヒストグラムチャネルの%)でプロットされる。平均サイズは、体積平均直径を表し、D(4.3)とも呼ばれる。中央サイズは、群の半分がこの点より上方にあり、残りの半分がこの点より下方にある値である(つまり、D50)。
【0096】
粒子サイズの結果(平均値および中央値)を図11に示す。卵ベースのマヨネーズ製品(配合P)は、植物ベースの配合M(亜麻、繊維、デンプン)およびO(柑橘類繊維)と比較して、より小さい粒子サイズを示した。亜麻を含まないサンプル(配合N)は、凝集(エマルジョンの不安定性)によって、より粒子サイズが大きくなった。配合MおよびOは、粒子サイズにおいては同様であったが、柑橘類の繊維が製品に望ましくない塊状の食感を与えた。
【0097】
図12に粒度分布データを示す。卵ベースのマヨネーズ製品(配合P)は、単峰性分布および最小の粒子サイズを示したが、植物ベースの配合M(亜麻、繊維、デンプン)およびO(柑橘類繊維)は、二峰性分布を示した。亜麻を含まないサンプル(配合N)は、凝集によってより大きい粒子サイズを示した。サンプルが単峰性分布を示したかまたは二峰性分布を示したかのいずれも、必ずしも製品の安定性を反映するものではなく、むしろ製品に含まれる他の成分を反映する。
【0098】
(レオロジー)
レオロジーを実施例2に記載のとおり分析した。G’(Pa)値を下記の表10に示す。
【0099】
【表10】
【0100】
配合Mサンプル(ソラマメ、亜麻、デンプン)および配合O(柑橘類繊維)は、同様の線形粘弾性領域および貯蔵弾性率を示し、配合P(卵ベースのマヨネーズ)よりも大幅に高い値を示した。配合Nサンプル(亜麻なし)は、凝集によって最も低い貯蔵弾性率を示した。
【0101】
振幅スイープ試験の結果を図13に示す。せん断速度傾斜プロファイル全体にわたって最も高い粘度を示したのは配合O(柑橘類繊維)で、次に配合M(ソラマメ、亜麻、デンプン)が続いた。配合P(卵ベースのマヨネーズ)および配合N(亜麻なし)は、同様のせん断速度傾斜プロファイルを示した。せん断速度が速い場合、配合Nは、凝集によって粘度の急速な低下を示した。
【0102】
降伏応力は、粘度ピークが観察される応力を決定することによって測定される。粘度ピークの前に、材料は、サンプルが伸びる弾性変形を起こしており、粘度におけるピークは、弾性構造が崩壊し(降伏し)、材料が流れ始めるポイントを表す。
【0103】
降伏応力のデータは図14に示される。配合O(柑橘類繊維)は、最も高い降伏応力を示し、配合M(ソラマメ、亜麻、デンプン)がそれに続いた。比較すると、配合P(卵ベースのマヨネーズ)および配合N(亜麻なし)は、より低い降伏応力を示した。
【0104】
全体的に、配合MおよびOは、適切な貯蔵弾性率値を示したが、配合Oにおける柑橘類繊維が製品に望ましくない塊の多い食感をもたらした。
【0105】
(実施例6)
マヨネーズタイプ製品を、油含有量60%における完成製品の乳化安定性に対するデンプンの影響を評価するために、デンプンありとデンプンなしで調製した。製品を、下記の表11の配合物に従って調製した。マヨネーズタイプ製品を、実施例1で説明した方法を使用して調製した。
【0106】
【表11】
【0107】
サンプルを20℃で保存してから約1週間後に分析した。サンプルの評価には、上記の実施例1および2で説明した分析技術を使用した。
【0108】
(視覚的観察)
振盪前の配合Rの目視検査では、油の分離は観察されなかった。振盪後、目に見える油の分離が観察された。振盪前または振盪後の配合Qでは油の分離は見られなかった。
【0109】
(顕微鏡検査)
光学顕微鏡(倍率:40倍)を使用して、振盪前後のサンプルの油滴の凝集および小球サイズを観察した。凝集および大きな小球サイズは、マヨネーズタイプ製品として使用するには適さない不安定なエマルジョンを示す。
【0110】
振盪前後に顕微鏡で観察すると、配合R(デンプンなし)は、許容できないほど大きな小球サイズを示した。配合Qは、振盪前後で変化がなく、大きな小球サイズを示した。
【0111】
(粒子サイズ)
Horiba LA-960粒子サイズ測定装置を使用して、X軸にミクロン単位の直径、Y軸にq%のグラフをプロットし、これは、所定のヒストグラムチャネルにおける%である。平均サイズは、体積平均直径を表し、D(4,3)とも呼ばれる。中央サイズは、群の半分がこの点より上方に位置する値であり、D50とも呼ばれる。
【0112】
粒子サイズの結果を、下記の表12に示す。3回の測定が行われ、その平均が下記の表に示される。
【0113】
【表12】
【0114】
粒子サイズの結果(平均値および中央値)をも図15に示す。配合R(デンプンなし)は、配合Q(デンプンあり)よりも大きな粒子サイズを示した。
【0115】
粒度分布データを図16に示す。配合Q(デンプン)および配合R(デンプンなし)は両方とも二峰性の粒度分布を示した。デンプンなしのサンプル(配合R)は、より大きな粒度を示した。
【0116】
(レオロジー)
レオロジーデータを、図17および下記の表13に示す。配合Q(デンプン)は、配合R(デンプンなし)と比較して、より高い貯蔵弾性率とより長い粘弾性領域を示した。
【0117】
粘度は、Brookfield粘度計HA(スピンドル5)を使用して、20℃において30rpmで30秒間測定した。各配合について2回の測定が行われ、その平均を表13に示す。
【0118】
【表13】
【0119】
全体的に、配合R(デンプンなし)のデータを配合Q(デンプンあり)と比較すると、60%の油分を有する製品について、デンプンを加えない場合は、振盪後に目に見える油の分離、粒子サイズの増加し、貯蔵弾性率の低下が起こることがわかった。したがって、配合R(デンプンなし)は60%の油分では許容できないことがわかった。
【0120】
(実施例7)
【0121】
異なる量の油と異なる植物ベースのタンパク質の使用が完成製品の乳化安定性に及ぼす影響を評価するために、追加のマヨネーズタイプ製品を調製した。低油含有量製品(15%の油分)を下記表14の配合物に従って調製し、高油含有量製品(80%の油分)を下記表15の配合物に従って調製した。マヨネーズタイプ製品を実施例1に記載の方法を使用して調製した。
【0122】
【表14】
【0123】
*「Potato 300」(Solanic(登録商標)300)と「Potato 200」(Solanic(登録商標)200)は、異なる等電点を有するAvebeのジャガイモタンパク質製品である。Potato 300は、その高い等電点のため、低pH製品での使用に適し得るが、一方、Potato 200は、より高いpH製品における使用に適し得る。
【0124】
【表15】
【0125】
サンプルを、20℃で保管してから約1週間後に分析した。これらの低油分および高油分配合物のサンプルを評価するために、上記の実施例1および2で説明したものと同じ分析手法を使用した。
【0126】
(視覚的観察)
振盪前後の配合X、配合、および配合Zの目視検査の結果を下記にまとめる。
配合S(ソラマメ、低油分):分離エマルジョン。
配合T(ヒヨコマメ、低油分):分離エマルジョン。
配合U(エンドウマメ、低油分):分離エマルジョン。
配合V(potato 300、低油分):分離エマルジョン。
配合W(potato 200、低油分):分離エマルジョン。
配合X(ソラマメ、高油分):振盪前後で油の分離は観察されなかった。
配合Y(ヒヨコマメ、高油分):振盪前は油の分離は観察されなかった。振盪後、目に見える油の分離が観察された。
配合Z(エンドウマメ、高油分):振盪前後で油の分離は観察されなかった。
配合AA(potato 300、高油分):分離エマルジョン。
配合BB(potato 200、高油分):分離エマルジョン。
【0127】
(顕微鏡検査)
振盪前と振盪後の顕微鏡による配合X(ソラマメ、高油分)、配合Y(ヒヨコマメ、高油分)、および配合Z(エンドウマメ、高油分)の検査結果を下記にまとめる。
配合X(ソラマメ、高油分):振盪前後で大きな小球サイズが観察されたが、小球サイズは同じままであった。
配合Y(ヒヨコマメ、高油分):振盪前後に凝集が観察された(許容できないとみなされた)。
配合Z(エンドウマメ、高油分):振盪前後で大きな小球サイズが観察されたが、小球サイズは同じままであった。
【0128】
配合XおよびZは振盪前後で大きい小球サイズを有したが、凝集は観察されず、油の小球は振盪前後で同様のサイズであった。したがって、配合X(ソラマメ)とZ(エンドウマメ)は、配合Y(ヒヨコマメ)よりも優れた性能を示した。
【0129】
(粒子サイズ)
配合X(ソラマメ、高油分)、配合Y(ヒヨコマメ、高油分)、および配合Z(エンドウマメ、高油分)の粒子サイズ(平均)の結果を表16に示す。サンプルを3回評価し、平均値を下記に示す。
【0130】
【表16】
【0131】
低油配合物の粒子サイズの結果(平均値と中央値)を図18に示す。すべての低油サンプルは分離エマルジョンを有し、配合T(ヒヨコマメ、低油分)は最も高い粒子サイズを示した。
【0132】
表12の高油分配合物の粒子サイズの結果(平均値と中央値)を図19に示す。配合X(ソラマメ、高油分)は、最も大きい粒子サイズを有し、配合Z(エンドウマメ、高油分)がそれに続いたが、これらのサンプルは振盪試験中に油分離が起こらなかった。したがって、油滴サイズが大きいにもかかわらず、サンプルは許容可能であった。
【0133】
配合BB(potato 200、高油分)は、分離エマルジョンであった。
【0134】
低油分配合物の粒度分布データを図20に示す。すべての低油分配合物は分離エマルジョンを示した。さらに、すべての低油分配合物は二峰性の粒度分布を示した。
【0135】
高油分配合物の粒度分布データを図21に示す。配合BB(potato 200、高油分)は、分離エマルジョンを示した。すべての高油分サンプルは二峰性の粒度分布を示した。
【0136】
表11の低油配合物のレオロジーデータを、図22に示す。すべての低油サンプルは、例えば60%の油で調製された配合Q(デンプン)のサンプルよりも、大幅に低い貯蔵弾性率を示した。さらに、すべての低油サンプルは分離エマルジョンであった。
【0137】
(レオロジー)
高油分配合物のレオロジーデータは、図23および下記の表17に示される。配合物BB(potato 200、高油分)は、他の高油分配合よりも著しく低い貯蔵弾性率を有した。配合BB(potato 200、高油分)は、分離エマルジョンをも有した。配合X(ソラマメ、高油分)は、高油分配合物の中で最も高い貯蔵弾性率を示した。配合Y(ヒヨコマメ、高油分)は、最も長い粘弾性領域(LVER)を示したが、比較的低い貯蔵弾性率を有した。一方で、配合AA(potato 300、高油分)と配合Z(エンドウマメ、高油分)は、最も低いLVERを示したが、高い貯蔵弾性率を有した。
【0138】
粘度は、Brookfield粘度計HA(スピンドル 5)を使用して、20℃において30rpmで30秒間測定した。各配合について2回の測定を行い、その平均を表17に示す。
【0139】
【表17】
【0140】
全体的に、低油配合物のデータに基づくと、油含有量が低いとすべてのサンプルで油および/または相分離が発生し、貯蔵弾性率がより低くなった。すべての低油サンプルは分離エマルジョンであったため、許容できないことが判明した。
【0141】
高油分配合物では、potato 200タンパク質(配合BB)は分離エマルジョンを生じた。凝集が見られた配合Y(ヒヨコマメ、高油分)とZ(エンドウマメ、高油分)も許容できないことが判明した。配合AA(potato 300、高油分)と配合Z(エンドウマメ、高油分)は、粘弾性が低く、粒子サイズが小さいことが示された。配合X(ソラマメ、高油分)は、貯蔵弾性率が最も高く、粒子サイズが大きいことが示された。
【0142】
(実施例8)
【0143】
異なる植物ベースのタンパク質の使用が完成製品の乳化安定性に与える影響を評価するために、マヨネーズタイプ製品をも調製した。製品を、下記の表18の配合物に従って調製した。表18の各配合物には油が70%含まれており、デンプンは含まれていない。マヨネーズタイプ製品を、実施例1に記載の方法を使用して調製した。
【0144】
【表18】
【0145】
表18の配合物を評価するため、上記の実施例1および2で説明したものと同じ分析技術が使用された。
【0146】
(視覚的観察)
表18の配合物の振盪前後の目視検査の結果を下記にまとめる。
配合CC(potato 300):振盪前後に油の分離は観察されなかった。
配合DD(potato 200):振盪前後に油の分離は観察されなかった。
配合EE(ヒヨコマメ):振盪前後に油の分離は観察されなかった。
配合FF(ソラマメ):振盪前後に油の分離は観察されなかった。
配合GG(エンドウマメ):振盪前後に油の分離は観察されなかった。
【0147】
(顕微鏡検査)
表18の配合物を振盪前後に顕微鏡で検査した結果を下記にまとめた。
配合CC(potato 300):振盪前後で凝集が観察された(許容できないとみなされた)。
配合DD(potato 200):振盪前後で凝集が観察された(許容できないとみなされた)。
配合EE(ヒヨコマメ):振盪前後で凝集が観察された(許容できないとみなされた)。
配合FF(ソラマメ):振盪前後で大きな小球サイズが観察されたが、小球サイズは同じままであった(許容できる)。
配合GG(エンドウマメ):振盪前後で大きな小球サイズが観察されたが、小球サイズは同じままであった(許容できる)。
【0148】
(粒子サイズ)
配合CC(potato 300)、配合DD(potato 200)、配合EE(ヒヨコマメ)、配合FF(ソラマメ)、および配合GG(エンドウマメ)の粒子サイズの結果を下記の表19に示す。
【0149】
【表19】
【0150】
表18の配合物の粒子サイズの結果(平均値と中央値)を図24に示し、粒子サイズ分布データを図25に示す。配合FF(ソラマメ)と配合EE(ヒヨコマメ)は同様の粒子サイズを示した。ジャガイモタンパク質、配合CC(potato 300)、配合DD(potato 200)で調製したサンプルは、最大の粒子サイズを示した。エンドウマメタンパク質(配合GG)で調製したサンプルは、最も小さい平均および中央粒子サイズを有した。
【0151】
(レオロジー)
表18の配合物のレオロジーデータは、図26および下記の表20に示される。配合DD(potato 200)は最高の貯蔵弾性率を示し、配合FF(ソラマメ)がそれに続いた。配合CC(potato 300)は、最も長い線形粘弾性領域(LVER)を示した。
【0152】
粘度は、Brookfield粘度計HA(スピンドル5)を使用して、20℃において30rpmで30秒間測定した。各配合について2回の測定が行われ、その平均が表20に示される。
【0153】
【表20】
【0154】
全体的に、さまざまな植物ベースのタンパク質のエマルジョン性能データは、ソラマメタンパク質とエンドウマメタンパク質が最も優れた性能を発揮するタンパク質であることを示した。これらのサンプルは、振盪前後で良好な貯蔵弾性率の値および、許容できる油滴サイズを有した。配合DD(potato 200)と配合EE(ヒヨコマメ)のサンプルでは凝集が観察されたため、これらのサンプルは許容できないとみなされる。
【0155】
(実施例9)
また、マヨネーズタイプ製品を調製し、ガムの使用および亜麻仁繊維の使用が完成製品の乳化安定性に与える影響を評価した。キサンタンガムおよびグアーガムを使用して調製したエマルジョンを、実施例6の表11の配合Q(亜麻仁繊維)のエマルジョンと比較した。ガムを含む製品を、下記の表21の配合物に従って調製した。マヨネーズタイプ製品を、実施例1に記載の方法を使用して調製した。
【0156】
【表21】
【0157】
サンプルを20℃で保存してから約1週間後に分析した。表21の配合物を評価するために、上記の実施例1および2で説明したものと同じ分析技術を使用した。
【0158】
(視覚的観察)
振盪前後の配合HH(キサンタンガム)および配合II(グアーガム)の目視検査の結果を下記にまとめる。
配合HH(キサンタンガム):振盪前後で油の分離は観察されなかった。
配合II(グアーガム):振盪前、油の分離は観察されなかった。振盪後、わずかな油の分離が観察された。
【0159】
(顕微鏡検査)
振盪前後の配合HHおよび配合IIの顕微鏡検査の結果を下記にまとめる。
配合HH(キサンタンガム):振盪前後で大きな小球サイズが観察されたが、小球サイズは振盪前後で同じままであった。
配合II(グアーガム):振盪前後で凝集が観察された(許容できないとみなされた)。
【0160】
(粒子サイズ)
表21の配合物の粒子サイズの結果(平均値および中央値)を、下記の表22に示す。粒子サイズの結果は図27にも示されており、表11の配合Q(亜麻仁繊維)のデータは、参照点として提供される。配合Q(亜麻仁繊維)と比較すると、配合HH(キサンタンガム)の粒子サイズは著しく大きく、配合II(グアーガム)がそれに続いた。測定を3回実施し、平均値を下記に示す。
【0161】
【表22】
【0162】
表21の配合物および実施例6の配合Q(亜麻仁繊維)の粒度分布データを図28に示す。配合HH(キサンタンガム)は、多峰性の粒度分布を示した。配合II(グアーガム)および配合Q(亜麻仁繊維)は、二峰性の粒子サイズ分布を示した。配合Q(亜麻仁繊維)は、最も小さい粒子サイズを有した。
【0163】
(レオロジー)
表21の配合物および配合Qのレオロジーデータは、図29および下記の表22に示される。配合HH(キサンタンガム)は、最も大きい貯蔵弾性率を示したが、その値は許容できないほど高かった。両方のガムサンプル、配合HH(キサンタンガム)および配合II(グアーガム)、および亜麻仁繊維を含むサンプル(配合Q)は、同様の粘弾性領域を示した。
【0164】
粘度は、Brookfield粘度計HA(スピンドル5)を使用して、20℃において30rpmで30秒間測定した。各配合について2回の測定が行われ、その平均が表23に示される。
【0165】
【表23】
【0166】
全体的に、ガムを含む両方の配合は許容できなかった。配合II(グアー)は凝集が見られた。配合HH(キサンタンガム)は貯蔵弾性率が高すぎた。
【0167】
(実施例10)
【0168】
マヨネーズタイプ製品を、低油含有量(15%の油分)の配合物に亜麻仁繊維およびデンプンを増量した場合の効果を評価するために調製した。実験の結果、デンプンおよび亜麻仁繊維を包含しても、低油含有量でのエマルジョンの安定化には効果がないことが示された。
【0169】
この例の配合物は、ソラマメタンパク質を使用して調製した。完成製品のエマルジョン安定性を評価した。亜麻仁繊維およびデンプンを増やして調製したエマルジョンを、実施例7の表14の配合S(ソラマメ、低油分)のエマルジョンと比較した。亜麻仁繊維およびデンプンを増量した製品を、下記の表24の配合物に従って調製した。マヨネーズタイプ製品は、実施例1に記載の方法を使用して調製した。
【0170】
【表24】
【0171】
サンプルを20℃で保存してから約1週間後に分析した。表24の配合物を評価するため、上記の実施例1および実施例2で説明したものと同じ分析技術を使用した。
【0172】
(視覚的観察)
振盪前後の配合JJ(低油分、高亜麻仁)および配合KK(低油分、高デンプン)の目視検査の結果を下記にまとめる。
配合JJ(低油分、高亜麻仁):振盪前、油の分離が観察された。振盪後、油と相の分離が観察された。
配合KK(低油分、高デンプン):振盪前、油の分離は観察されなかった。振盪後、油の分離が観察された。
【0173】
(顕微鏡検査)
振盪前後の配合JJ(低油分、高亜麻仁)および配合KK(低油分、高デンプン)の顕微鏡検査の結果を下記にまとめる。配合JJ(低油分、高亜麻仁):振盪前には、許容できないとみなされる大きな小球サイズが観察された。振盪後には凝集が観察され、サンプルは依然として許容できないとみなされた。配合KK(低油分、高デンプン):振盪前には、許容できないとみなされる大きな小球サイズが観察された。振盪後には凝集が観察され、サンプルは依然として許容できないとみなされた。
【0174】
(粒子サイズ)
表24の配合物および配合S(ソラマメ、低油分)の粒子サイズの結果(平均値および中央値)を図30に示す。配合S(ソラマメ、低油分)は、最も大きい粒子サイズ値および、分離エマルジョンを示した。配合JJ(低油分、高亜麻仁)は、相分離を有する最も小さい粒子サイズを示した。
【0175】
配合JJ(低油分、高亜麻仁)および配合KK(低油分、高デンプン)の粒子サイズ(平均)の結果を以下の表25に示す。サンプルを3回分析し、平均値を表に示す。
【0176】
【表25】
【0177】
表24の配合物および配合S(ソラマメ、低油分)の粒度分布データを図31に示す。配合S(ソラマメ、低油分)は分離エマルジョンを示したが、一方、配合JJ(低油分、高亜麻仁)は相分離を示した。配合S(ソラマメ、低油分)および配合KK(低油分、高デンプン)は二峰性の粒度分布を示した。配合JJ(低油分、高亜麻仁)は均一な粒度分布を示した。
【0178】
(レオロジー)
表23の配合物および表11の配合S(ソラマメ、低油分)のレオロジーデータは、図32および下記の表26に示される。配合S(ソラマメ、低油分)と配合JJ(低油分、高亜麻仁)は両方とも、配合KK(低油分、高デンプン)よりも貯蔵弾性率が著しく低いことを示した。
【0179】
粘度は、Brookfield粘度計HA(スピンドル 5)を使用して、20℃において30rpmで30秒間測定した。各配合について2回の測定を行い、その平均を表26に示す。
【0180】
【表26】
【0181】
全体的に、低油含有量(15%の油分)のソラマメタンパク質を含む配合JJの亜麻仁繊維を増やすと、合体とともに相分離と低い貯蔵弾性率を示した。ソラマメタンパク質および低油分(15%の油分)を含む配合KKのデンプンを増やしても、振盪後に凝集とともに目に見える油の分離が見られた。したがって、低油分サンプルはすべて許容できず、デンプンと亜麻仁の含有量を増やしてもサンプルに必要な安定性を提供できなかった。
【0182】
(実施例12)
【0183】
マヨネーズタイプ製品を、高油含有量(80%の油分)の配合物におけるソラマメタンパク質の異なる量の使用を評価するために調製した。完成製品のエマルジョン安定性を評価した。高油分中のソラマメタンパク質の量を様々に変えて調製したエマルジョンを、実施例7の表15の配合X(ソラマメ、高油分)のエマルジョンと比較した。ソラマメタンパク質の含有量を変えた製品を、下記の表27の配合物に従って調製した。マヨネーズタイプ製品を、実施例1に記載の方法を使用して調製した。
【0184】
【表27】
【0185】
サンプルを20℃で保存してから約1週間後に分析した。表27の配合物を評価するために、上記の実施例1および2で説明したのと同じ分析技術を使用した。
【0186】
(視覚分析)
表27の配合物を使用して作成された高油分サンプルはすべて、分離エマルジョンを示した。
【0187】
(粒子サイズ)
表27の配合物および表12の配合X(ソラマメ、高油分)の粒子サイズの結果(平均値と中央値)を図33に示す。配合X(ソラマメ、高油分)は、最大の粒子サイズ値を示した。
【0188】
表26の配合物および配合X(ソラマメ、高油分)の粒度分布データを図34に示す。配合LL(高油分、ソラマメ0.2%)、配合MM(高油分、ソラマメ0.4%)、および配合NN(高油分、ソラマメ0.8%)の各々は、分離エマルジョンを示した。
【0189】
(レオロジー)
表27の配合物および配合X(ソラマメ、高油分)のレオロジーデータを、図35および下記の表28に示す。配合LL(高油分、ソラマメ0.2%)と配合MM(高油分、ソラマメ0.4%)は、著しく低い貯蔵弾性率を示し、分離エマルジョンを示したが、配合NN(高油分、ソラマメ0.8%)は、分離エマルジョンを有するより高い貯蔵弾性率を示した。比較すると、ソラマメタンパク質を0.6重量%含む配合X(ソラマメ、高油分)は、最も高い貯蔵弾性率を示したが、これは許容できないほど高い値であった。
【0190】
粘度は、Brookfield粘度計HA(スピンドル5)を使用して、20℃において30rpmで30秒間測定した。各配合について2回の測定が行われ、その平均を表28に示す。
【0191】
【表28】
【0192】
全体的に、80%油分の配合LL、MM、NNでは分離エマルジョンを示し、許容できないと判断された。配合LL(高油分、ソラマメ0.2%)および配合MM(高油分、ソラマメ0.4%)は、貯蔵弾性率が著しく低く、分離エマルジョンを示したのに対し、配合NN(高油分、ソラマメ0.8%)は、貯蔵弾性率がより高く、分裂エマルジョンを示した。
【0193】
本開示をさらに説明するために、本明細書ではいくつかの態様を示す。これらの態様は説明目的のために提供されており、本開示の範囲を制限するものとして解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0194】
(態様)
第1の態様において、本開示は、水、約15~約80%の油、植物ベースのタンパク質、および植物ベースの繊維を含むエマルジョンに関し、エマルジョンは約30ミクロン未満の平均油滴サイズを有する。
【0195】
第2の態様において、本開示は、第1の態様のエマルジョンに関し、植物ベースのタンパク質はソラマメタンパク質であり、植物ベースの繊維は亜麻仁繊維である。
【0196】
第3の態様において、本開示は、第2の態様のエマルジョンに関し、エマルジョンの重量に対して、ソラマメタンパク質は0.4~約1.5%の量で含まれ、亜麻仁繊維は0.1~約1.5%の量で含まれ、油は約60~80%の量で含まれる。
【0197】
第4の態様において、本開示は、エマルジョンの重量に対して、ソラマメタンパク質は0.1~約0.4%の量で含まれ、亜麻仁繊維は3.0~約4.0%の量で含まれ、油は約15~40%の量で含まれる、第2の態様のエマルジョンに関する。
【0198】
第5の態様において、本開示は、エマルジョンは、摂氏20度においてBrookfield粘度計RV、スピンドル6を使用して12rpmで30秒間測定した場合に、約30,000~約60,000cPの粘度を有する第1~第4の態様のいずれか1つのエマルジョンに関する。
【0199】
第6の態様において、本開示は、約60~約75パーセントの油を含む、第1~第3および第5の態様のいずれか1つのエマルジョンに関する。
【0200】
第7の態様において、本開示は、約65~約75パーセントの油を含む、第1~第3、第5、および第6の態様のいずれか1つのエマルジョンに関する。
【0201】
第8の態様において、本開示は、約15~約40パーセントの油を含む、第1、第2、第4、および第5の態様のいずれか1つのエマルジョンに関する。
【0202】
第9の態様において、本開示は、約40~約60パーセントの油を含む、第1、第2、および第5の態様のいずれか1つのエマルジョンに関する。
【0203】
第10の態様において、本開示は、エマルジョンはデンプンを含まない、第1~第9の態様のいずれか1つのエマルジョンに関する。
【0204】
第11の態様において、本開示は、エマルジョンは、動物ベースの乳化剤を含まない、第1~第10の態様のいずれか1つに記載のエマルジョンに関する。
【0205】
第12の態様において、本開示は、エマルジョンは、動物ベースのタンパク質を含まない、第1~第11の態様のいずれか1つのエマルジョンに関する。
【0206】
第13の態様において、本開示は、エマルジョンを調製する方法に関し、この方法は、植物ベースのタンパク質、植物ベースの繊維、および水を組み合わせて第1の混合物を提供するステップと、第1の混合物に油を加えて第2の混合物を提供するステップと、第2の混合物を混合して、約30ミクロン未満の平均油滴サイズを有するエマルジョンを生成するステップとを含む。
【0207】
第14の態様において、本開示は、油を添加する前に第1の混合物に酸味料を添加することをさらに含む、第13の態様の方法に関する。
【0208】
第15の態様において、本開示は、第1の混合物を低温殺菌することをさらに含む、第13または第14の態様の方法に関する。
【0209】
第16の態様において、本開示は、低温殺菌された第1の混合物を、油を添加する前に冷却することをさらに含む、第13~第15の態様のいずれか1つの方法に関する。
【0210】
第17の態様において、本開示は、植物ベースのタンパク質は、ソラマメタンパク質であり、植物ベースの繊維は亜麻仁繊維である、第13~第16の態様のいずれか1つの方法に関する。
【0211】
第18の態様において、本開示は、エマルジョンの重量に対して、ソラマメタンパク質は、0.4~約1.5%の量で含まれ、亜麻仁繊維は、0.1~約1.5%の量で含まれ、油は、約60~80%の量で含まれる、第17の態様の方法に関する。
【0212】
第19の態様において、本開示は、エマルジョンの重量に対して、ソラマメタンパク質は、0.1~約0.4%の量で含まれ、亜麻仁繊維は、3.0~約4.0%の量で含まれ、油は、約15~40%の量で含まれる、第17の態様の方法に関する。
【0213】
第20の態様において、本開示は、エマルジョンは、摂氏20度においてBrookfield粘度計RV、スピンドル6を使用して12rpmで30秒間測定した場合に、約30,000~約60,000cPの粘度を有する、第13~第20の態様のいずれか1つの方法に関する。
【0214】
第21の態様において、本開示は、約60~約75パーセントの油を含む、第13~第18または第20の態様のいずれか1つの方法に関する。
【0215】
第22の態様において、本開示は、約65~約75パーセントの油を含む、第13~第18、第20、または第21の態様のいずれか1つの方法に関する。
【0216】
第23の態様において、本開示は、約15~約40パーセントの油を含む、第13~第17、第19、または第20の態様のいずれか1つの方法に関する。
【0217】
第24の態様において、本開示は、約40~約60パーセントの油を含む、第13~第17、または第20の態様のいずれか1つの方法に関する。
【0218】
第25の態様において、本開示は、エマルジョンは、デンプンを含まない、第13~第24の態様のいずれか1つの方法に関する。
【0219】
第26の態様において、本開示は、エマルジョンは、動物ベースの乳化剤を含まない、第13~第25の態様のいずれか1つの方法に関する。
【0220】
第27の態様において、本開示は、エマルジョンは、動物ベースのタンパク質を含まない、第13~第26の態様のいずれか1つの方法に関する。
【0221】
第28の態様において、本開示は、第1~第12の態様のいずれか1つのエマルジョンと少なくとも1つの追加成分とを含むエマルジョンベースの食品に関する。
【0222】
第29の態様において、本開示は、食品は、ドレッシングおよびマヨネーズタイプ製品の1つ以上の形態である、第28の態様のエマルジョンベースの食品に関する。
【0223】
第30の態様において、本開示は、第28または第29の態様のエマルジョンベースの食品に関し、少なくとも1つの追加成分は、塩、ハーブ、スパイス、甘味料、および着色料のうちの1つ以上を含む。
【0224】
第31の態様において、本開示は、第13~第27の態様のいずれか1つの方法に従って製造されたエマルジョンベースの食品および少なくとも1つの追加成分に関する。
【0225】
第32の態様において、本開示は、エマルジョンベースの食品はデンプンを含まない、第31の態様によるエマルジョンベースの食品に関する。
【0226】
第33の態様において、本開示は、エマルジョンベースの食品は動物ベースの乳化剤を含まない、第31または第32の態様によるエマルジョンベースの食品に関する。
【0227】
第34の態様において、本開示は、エマルジョンベースの食品は、動物ベースのタンパク質を含まない、第31~第33の態様のいずれか1つに記載のエマルジョンベースの食品に関する。
【0228】
第35の態様において、本開示は、0.5%~約2%のデンプンをさらに含む、第1~第12の態様のいずれか1つに記載のエマルジョンに関する。
【0229】
第36の態様において、本開示は、デンプンは、冷水膨潤性デンプンである、第1~第12および第35の態様のいずれか1つに記載のエマルジョンに関する。
【0230】
第37の態様において、本開示は、エマルジョンは、水、約15~約80%の油、植物ベースのタンパク質、および植物ベースの繊維を含み、エマルジョンは約30ミクロン未満の平均油滴サイズを有する、水中油型エマルジョンの形態の植物ベースのマヨネーズタイプ製品に関するものである。
【0231】
第38の態様において、本開示は、植物ベースのタンパク質はソラマメタンパク質であり、植物ベースの繊維は、亜麻仁繊維である、第37の態様の植物ベースのマヨネーズタイプ製品に関する。
【0232】
第39の態様において、本開示は、エマルジョンの重量に対して、ソラマメタンパク質は、0.4~約1.5%の量で含まれ、亜麻仁繊維は、0.1~約1.5%の量で含まれ、油は、約60~80%の量で含まれる、第38の態様の植物ベースのマヨネーズタイプ製品に関する。
【0233】
第40の態様において、本開示は、エマルジョンの重量に対して、ソラマメタンパク質は0.1~約0.4%の量で含まれ、亜麻仁繊維は3.0~約4.0%の量で含まれ、油は約15~40%の量で含まれる、第38の態様の植物ベースのマヨネーズタイプ製品に関する。
【0234】
第41の態様において、本開示は、エマルジョンは、摂氏20度においてBrookfield粘度計RV、スピンドル6を使用して12rpmで30秒間測定した場合に、約30,000~約60,000cPの粘度を有する、第38~第40の態様のいずれか1つの植物ベースのマヨネーズタイプ製品に関する。
【0235】
第42の態様において、本開示は、約60~約75パーセントの油を含む、第37~第39または第41の態様のいずれか1つの植物ベースのマヨネーズタイプ製品に関する。
【0236】
第43の態様において、本開示は、約65~約75パーセントの油を含む、第37~第39、第41、または第42の態様のいずれか1つの植物ベースのマヨネーズタイプ製品に関する。
【0237】
第44の態様において、本開示は、約15~約40パーセントの油を含む、第37、第38、または第41の態様のいずれか1つの植物ベースのマヨネーズタイプ製品に関する。
【0238】
第45の態様において、本開示は、約40~約60パーセントの油を含む、第37、第38、または第41の態様のいずれか1つの植物ベースのマヨネーズタイプ製品に関する。
【0239】
第46の態様において、本開示は、エマルジョンは、デンプンを含まない、第37~第45の態様のいずれか1つの植物ベースのマヨネーズタイプ製品に関する。
【0240】
第47の態様において、本開示は、エマルジョンは動物ベースの乳化剤を含まない、第37~第46の態様のいずれか1つに記載の植物ベースのマヨネーズタイプ製品に関する。
【0241】
第48の態様において、本開示は、エマルジョンは動物ベースのタンパク質を含まない、第37~第47の態様のいずれか1つの植物ベースのマヨネーズタイプ製品に関する。
【0242】
第49の態様において、本開示は、さらに0.5%~約2%のデンプンを含む、第37~第48の態様のいずれか1つの植物ベースのマヨネーズタイプ製品に関する。
【0243】
第50の態様において、本開示は、デンプンは冷水膨潤性デンプンである、第37~第49の態様のいずれか1つの植物ベースのマヨネーズタイプ製品に関する。
【0244】
第51の態様において、本開示は、植物ベースのマヨネーズタイプ製品を調製する方法に関し、この方法は、植物ベースのタンパク質、植物ベースの繊維、および水を組み合わせて第1の混合物を提供するステップと、第1の混合物に油を加えて第2の混合物を提供するステップと、第2の混合物を混合して、約30ミクロン未満の平均油滴サイズを有する植物ベースのマヨネーズタイプ製品を製造するステップと、を含む。
【0245】
第52の態様において、本開示は、第51の態様の植物ベースのマヨネーズタイプ製品を調製するための方法であって、油を添加する前に第1の混合物に酸味料を添加することをさらに含む方法に関する。
【0246】
第53の態様において、本開示は、第51または第52の態様の植物ベースのマヨネーズタイプ製品を調製するための方法であって、第1の混合物を低温殺菌することをさらに含む方法に関する。
【0247】
第54の態様において、本開示は、油を添加する前に低温殺菌された第1の混合物を冷却することをさらに含む、第51~第53の態様のいずれか1つの植物ベースのマヨネーズタイプ製品を調製するための方法に関する。
【0248】
第55の態様において、本開示は、植物ベースのタンパク質はソラマメタンパク質であり、植物ベースの繊維は亜麻仁繊維である、第51~第54の態様のいずれか1つの植物ベースのマヨネーズタイプ製品の調製方法に関する。
【0249】
第56の態様において、本開示は、エマルジョンの重量に対して、ソラマメタンパク質は0.4~約1.5%の量で含まれ、亜麻仁繊維は0.1~約1.5%の量で含まれ、油は約60~80%の量で含まれる、第55の態様の植物ベースのマヨネーズタイプ製品の調製方法に関する。
【0250】
第57の態様において、本開示は、エマルジョンの重量に対して、ソラマメタンパク質は0.1~約0.4%の量で含まれ、亜麻仁繊維は3.0~約4.0%の量で含まれ、油は約15~40%の量で含まれる、第55の態様の植物ベースのマヨネーズタイプ製品の調製方法に関する。
【0251】
第58の態様において、本開示は、植物ベースのマヨネーズタイプ製品は、摂氏20度においてBrookfield粘度計RV、スピンドル6を使用して12rpmで30秒間測定した場合に、約30,000~約60,000cPの粘度を有する、第51~第57の態様のいずれか1つの植物ベースのマヨネーズタイプ製品を調製する方法に関する。
【0252】
第59の態様において、本開示は、約60~約75パーセントの油を含む、第51~第56または第58の態様のいずれか1つの植物ベースのマヨネーズタイプ製品を調製する方法に関する。
【0253】
第60の態様において、本開示は、約65~約75パーセントの油を含む、第51~第56、第58、または第59の態様のいずれか1つの植物ベースのマヨネーズタイプ製品を調製する方法に関する。
【0254】
第61の態様において、本開示は、約15~約40パーセントの油を含む、第51~第55または第58の態様のいずれか1つの植物ベースのマヨネーズタイプ製品を調製する方法に関する。
【0255】
第62の態様において、本開示は、約40~約60パーセントの油を含む、第51~第55または第58の態様のいずれか1つの植物ベースのマヨネーズタイプ製品を調製する方法に関する。
【0256】
第63の態様において、本開示は、エマルジョンは、デンプンを含まない、第51~第62の態様のいずれか1つの植物ベースのマヨネーズタイプ製品を調製する方法に関する。
【0257】
第64の態様において、本開示は、エマルジョンは動物ベースの乳化剤を含まない、第51~第63の態様のいずれか1つの植物ベースのマヨネーズタイプ製品を調製するための方法に関する。
【0258】
第65の態様において、本開示は、エマルジョンは、動物ベースのタンパク質を含まない、第51~第64の態様のいずれか1つの植物ベースのマヨネーズタイプ製品を調製する方法に関する。
【0259】
第66の態様において、本開示は、0.5%~約2%のデンプンをさらに含む、第51~第62、第64、または第66の態様のいずれか1つの植物ベースのマヨネーズタイプ製品を調製する方法に関する。
【0260】
第67の態様において、本開示は、デンプンは冷水膨潤性デンプンである、第66の態様の植物ベースのマヨネーズタイプ製品の調製方法に関する。
【0261】
本明細書に開示されたエマルジョンベースの食品および方法は、特定の実施形態、実施例、および用途によって説明されているが、特許請求の範囲に記載された開示の範囲から逸脱することなく、当業者によって多数の修正および変更が可能である。特に指定がない限り、すべての割合および比率は重量による。
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【国際調査報告】