(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】ターミナル構造、その製造方法及びパワーデバイス
(51)【国際特許分類】
H01L 29/06 20060101AFI20241010BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20241010BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20241010BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20241010BHJP
H01L 21/329 20060101ALI20241010BHJP
H01L 29/861 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
H01L29/78 652P
H01L29/78 652T
H01L29/78 652J
H01L29/78 652M
H01L29/78 658E
H01L29/78 658A
H01L29/06 301G
H01L29/06 301V
H01L29/91 B
H01L29/91 D
H01L29/91 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529869
(86)(22)【出願日】2022-10-18
(85)【翻訳文提出日】2024-05-20
(86)【国際出願番号】 CN2022125791
(87)【国際公開番号】W WO2023142540
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】202210085312.1
(32)【優先日】2022-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202220207437.2
(32)【優先日】2022-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523479639
【氏名又は名称】フーベイ ジゥフォンシャン ラボラトリー
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チュン ユェン
(57)【要約】
本出願は、ターミナル構造、製造方法及びパワーデバイスを提供し、第1エピタキシャル層と、第1エピタキシャル層の片側に位置する埋設層と、埋設層を貫通する第1ドーピング領域であって、第1ドーピング領域のドーピングタイプは、埋設層のドーピングタイプと反対である第1ドーピング領域と、埋設層の、第1エピタキシャル層から離れる側に位置する第2エピタキシャル層であって、第2エピタキシャル層内に主接合拡張領域及びフィールドリミティングリングを有する第2エピタキシャル層と、第2エピタキシャル層の、前記埋設層から離れる側に位置する酸化層と、を含み、第2エピタキシャル層及び第1エピタキシャル層のドーピングタイプはいずれも、埋設層のドーピングタイプと反対であり、第1方向において、フィールドリミティングリングは、主接合拡張領域と第1ドーピング領域との間に位置し、第1方向は、第1エピタキシャル層から第2エピタキシャル層に向う方向に垂直である。本発明の技術案によって提供されるターミナル構造、製造方法及びパワーデバイスによれば、ターミナル構造の耐圧能力を向上させ、さらにパワーデバイスの確実性及び安定性を高める。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターミナル構造であって、
第1エピタキシャル層と、
前記第1エピタキシャル層の片側に位置する埋設層と、
前記埋設層を貫通する第1ドーピング領域であって、前記第1ドーピング領域のドーピングタイプは、前記埋設層のドーピングタイプと反対である第1ドーピング領域と、
前記埋設層の、前記第1エピタキシャル層から離れる側に位置する第2エピタキシャル層であって、前記第2エピタキシャル層内に主接合拡張領域及びフィールドリミティングリングを有する第2エピタキシャル層と、
前記第2エピタキシャル層の、前記埋設層から離れる側に位置する酸化層と、
を含み、
前記第2エピタキシャル層及び前記第1エピタキシャル層のドーピングタイプは、前記埋設層のドーピングタイプと反対であり、第1方向において、前記フィールドリミティングリングは、前記主接合拡張領域と前記第1ドーピング領域との間に位置し、前記第1方向は、前記第1エピタキシャル層から前記第2エピタキシャル層に向う方向に垂直である
ことを特徴とするターミナル構造。
【請求項2】
前記酸化層の、前記埋設層から離れる側の表面は、第1凹溝を有し、前記第1凹溝は、前記第2エピタキシャル層内まで延在しており、前記第1ドーピング領域のイオン注入窓として使用される、
ことを特徴とする請求項1に記載のターミナル構造。
【請求項3】
前記第1凹溝の底部に位置する第1保護層であって、前記第1ドーピング領域から間隔を有する第1保護層を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載のターミナル構造。
【請求項4】
前記埋設層を貫通する第2ドーピング領域及び第3ドーピング領域を含み、
前記第2ドーピング領域と前記第3ドーピング領域はいずれも、前記フィールドリミティングリングと前記第1ドーピング領域との間に位置し、前記第2ドーピング領域のドーピングタイプは、前記埋設層のドーピングタイプと反対であり、前記第3ドーピング領域のドーピングタイプは、前記埋設層のドーピングタイプと同じであり、且つ前記第3ドーピング領域のドーピング濃度は、前記埋設層のドーピング濃度よりも大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載のターミナル構造。
【請求項5】
前記酸化層の、前記埋設層から離れる側の表面は、第2凹溝を有し、前記第2凹溝は、前記第2エピタキシャル層内まで延在しており、前記第2ドーピング領域及び前記第3ドーピング領域のイオン注入窓として使用される、
ことを特徴とする請求項4に記載のターミナル構造。
【請求項6】
前記第2凹溝の底部に位置する第2保護層であって、前記第2ドーピング領域から間隔を有する第2保護層を含み、前記第3ドーピング領域は、前記第2保護層と接触している、
ことを特徴とする請求項5に記載のターミナル構造。
【請求項7】
前記第1方向に間隔を空けて配列されている複数の前記第3ドーピング領域を有する、
ことを特徴とする請求項4に記載のターミナル構造。
【請求項8】
隣り合う前記第2凹溝の間隔が等しく、且つ、前記第2凹溝の幅は、前記主接合拡張領域から前記フィールドリミティングリングに向う方向に沿って徐々に小さくなり、又は、
前記第2凹溝の幅が等しく、且つ隣り合う前記第2凹溝の間隔は、前記主接合拡張領域から前記フィールドリミティングリングに向う方向に沿って、徐々に大きくなる、
ことを特徴とする請求項5に記載のターミナル構造。
【請求項9】
前記第1方向に間隔を空けて配列されている複数の前記フィールドリミティングリングを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のターミナル構造。
【請求項10】
隣り合う前記フィールドリミティングリングの間隔が等しく、且つ前記フィールドリミティングリングの幅は、前記主接合拡張領域から前記フィールドリミティングリングに向う方向に沿って、徐々に小さくなり、又は、
前記フィールドリミティングリングの幅が等しく、且つ隣り合う前記フィールドリミティングリングの間隔は、前記主接合拡張領域から前記フィールドリミティングリングに向う方向に沿って、徐々に大きくなる、
ことを特徴とする請求項9に記載のターミナル構造。
【請求項11】
パワーデバイスであって、
請求項1~10のいずれか1項に記載のターミナル構造と、
前記主接合拡張領域の、前記フィールドリミティングリングから離れる側に位置するデバイスセル領域と、
を含むことを特徴とするパワーデバイス。
【請求項12】
製造方法であって、
エピタキシャルシートを提供するステップであって、前記エピタキシャルシートは、第1エピタキシャル層と、前記第1エピタキシャル層の片側に位置する埋設層と、前記埋設層の、前記第1エピタキシャル層から離れる側に位置する第2エピタキシャル層と、を含み、前記第2エピタキシャル層及び前記第1エピタキシャル層のドーピングタイプはいずれも、前記埋設層のドーピングタイプと反対であるステップと、
前記第2エピタキシャル層の、前記埋設層から離れる側の表面に酸化層を形成するステップと、
前記第2エピタキシャル層内に主接合拡張領域及びフィールドリミティングリングを形成するステップと、
前記埋設層を貫通する第1ドーピング領域を形成するステップであって、前記第1ドーピング領域のドーピングタイプは、前記埋設層のドーピングタイプと反対であり、第1方向において、前記フィールドリミティングリングは、前記主接合拡張領域と前記第1ドーピング領域との間に位置し、前記第1方向は、前記第1エピタキシャル層から前記第2エピタキシャル層に向う方向に垂直であるステップと、
を含むことを特徴とする製造方法。
【請求項13】
前記第1ドーピング領域を形成する方法は、
前記酸化層の、前記埋設層から離れる側の表面に第1凹溝を形成するステップと、
前記第1凹溝に基づいて、イオン注入を行って、前記第1ドーピング領域を形成するステップと、
を含むことを特徴とする請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
前記第1凹溝を形成すると同時に、第2凹溝を形成するステップと、
前記第1ドーピング領域を形成すると同時に、前記第2凹溝に基づいて、イオン注入を行って、前記埋設層を貫通する第2ドーピング領域を形成するステップと、
前記第2ドーピング領域を形成した後、前記第2凹溝に基づいて、イオン注入を行って、前記埋設層を貫通する第3ドーピング領域を形成するステップと、
をさらに含み、
前記第2ドーピング領域及び前記第3ドーピング領域はいずれも、前記フィールドリミティングリングと前記第1ドーピング領域との間に位置する、
ことを特徴とする請求項13に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【相互参照】
【0001】
本出願は2022年1月25日にて中国特許庁に提出され、出願番号が202210085312.1であり、発明名称が「ターミナル構造、製造方法及びパワーデバイス」である中国特許出願に基づく優先権を主張し、その全ての内容は援用により本出願に組み込まれている。
本出願は2022年1月25日にて中国特許庁に提出され、出願番号が202220207437.2であり、発明名称が「ターミナル構造及びパワーデバイス」である中国特許出願に基づく優先権を主張し、その全ての内容は援用により本出願に組み込まれている。
【技術分野】
【0002】
本発明は、半導体の分野に関し、より具体的に、ターミナル構造、製造方法及びパワーデバイスに関している。
【背景技術】
【0003】
炭化ケイ素(SiC)は、最近十数年以来、急速に発展しているワイドバンドギャップ半導体材料として、他の半導体材料に比べると、ワイドバンドギャップ、高熱伝導率、高キャリア飽和移動度、高パワー密度などの利点を備えている。20世紀90年代以来、炭化ケイ素パワーデバイスは、既に、スイッチング安定化電源、高周波加熱、カーエレクトロニクス及びパワーアンプなどの方面で広く応用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、炭化ケイ素パワーデバイス、特に高圧パワーデバイスの設計及び製造過程では、パワーデバイスターミナル構造は、JTEの濃度及び界面電荷に対して敏感であり、破壊電圧が低く、耐圧能力が悪いなどの問題があり、パワーデバイスの確実性及び安定性に影響する。従って、より確実で効率的なパワーデバイスターミナル構造を設計することは、当業者が解決すべき緊急問題の1つとなっている。
【0005】
そこで、本出願は、ターミナル構造の耐圧能力を向上させ、さらにパワーデバイスの確実性及び安定性を高めるターミナル構造、製造方法及びパワーデバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、以下の技術案を提供する。
本出願の第1態様は、ターミナル構造を提供し、当該ターミナル構造は、
第1エピタキシャル層と、
第1エピタキシャル層の片側に位置する埋設層と、
埋設層を貫通する第1ドーピング領域であって、第1ドーピング領域のドーピングタイプは、埋設層のドーピングタイプと反対である第1ドーピング領域と、
埋設層の、第1エピタキシャル層から離れる側に位置する第2エピタキシャル層であって、第2エピタキシャル層内に主接合拡張領域及びフィールドリミティングリングを有する第2エピタキシャル層と、
第2エピタキシャル層の、埋設層から離れる側に位置する酸化層と、
を含み、
第2エピタキシャル層及び第1エピタキシャル層のドーピングタイプはいずれも、埋設層のドーピングタイプと反対であり、第1方向において、フィールドリミティングリングは、主接合拡張領域と第1ドーピング領域との間に位置し、第1方向は、第1エピタキシャル層から第2エピタキシャル層に向う方向に垂直である。
【0007】
好ましくは、酸化層の、埋設層から離れる側の表面は、第1凹溝を有し、第1凹溝は、第2エピタキシャル層内まで延在しており、第1ドーピング領域のイオン注入窓として使用される。
【0008】
好ましくは、当該ターミナル構造は、第1凹溝の底部に位置する第1保護層を含み、第1保護層は、第1ドーピング領域から間隔を有する。
【0009】
好ましくは、当該ターミナル構造は、埋設層を貫通する第2ドーピング領域及び第3ドーピング領域を含み、第2ドーピング領域と第3ドーピング領域はいずれも、フィールドリミティングリングと第1ドーピング領域との間に位置し、第2ドーピング領域のドーピングタイプは、埋設層のドーピングタイプと反対であり、第3ドーピング領域のドーピングタイプは、埋設層のドーピングタイプと同じであり、且つ第3ドーピング領域のドーピング濃度は、埋設層のドーピング濃度よりも大きい。
【0010】
好ましくは、酸化層の、埋設層から離れる側の表面は、第2凹溝を有し、第2凹溝は、第2エピタキシャル層内まで延在しており、第2ドーピング領域及び第3ドーピング領域のイオン注入窓として使用される。
【0011】
好ましくは、第2凹溝の底部に位置する第2保護層を含み、第2ドーピング領域は、第2保護層から間隔を有し、第3ドーピング領域は第2保護層に接触している。
【0012】
好ましくは、第1方向に間隔を空けて配列されている複数の第3ドーピング領域を有する。
【0013】
好ましくは、隣り合う第2凹溝の間隔が等しく、且つ第2凹溝の幅は、主接合拡張領域からフィールドリミティングリングに向う方向に沿って、徐々に小さくなり、又は、
第2凹溝の幅が等しく、且つ隣り合う第2凹溝の間隔は、主接合拡張領域からフィールドリミティングリングに向う方向に沿って、徐々に大きくなる。
【0014】
好ましくは、第1方向に間隔を空けて配列されている複数のフィールドリミティングリングを有する。
【0015】
好ましくは、隣り合うフィールドリミティングリングの間隔が等しく、且つフィールドリミティングリングの幅は、主接合拡張領域からフィールドリミティングリングに向う方向に沿って、徐々に小さくなり、又は、
フィールドリミティングリングの幅が等しく、且つ隣り合うフィールドリミティングリングの間隔は、主接合拡張領域からフィールドリミティングリングに向う方向に沿って、徐々に大きくなる。
【0016】
本出願の第2態様は、パワーデバイスを提供し、当該パワーデバイスは、
上記の第1態様のいずれかの段落に記載のターミナル構造と、
主接合拡張領域の、フィールドリミティングリングから離れる側に位置するデバイスセル領域と、を含む。
【0017】
本出願の第3態様は、製造方法を提供し、当該製造方法は、
エピタキシャルシートを提供するステップであって、当該エピタキシャルシートは、第1エピタキシャル層と、第1エピタキシャル層の片側に位置する埋設層と、埋設層の、第1エピタキシャル層から離れる側に位置する第2エピタキシャル層と、を含み、第2エピタキシャル層及び第1エピタキシャル層のドーピングタイプはいずれも、埋設層のドーピングタイプと反対であるステップと、
第2エピタキシャル層の、埋設層から離れる側の表面に酸化層を形成するステップと、
第2エピタキシャル層内に主接合拡張領域及びフィールドリミティングリングを形成するステップと、
埋設層を貫通する第1ドーピング領域を形成するステップであって、第1ドーピング領域のドーピングタイプは、埋設層のドーピングタイプと反対し、第1方向において、フィールドリミティングリングは、主接合拡張領域と第1ドーピング領域との間に位置し、第1方向は、第1エピタキシャル層から第2エピタキシャル層に向う方向に垂直であるステップと、を含む。
【0018】
好ましくは、第1ドーピング領域を形成する方法は、
酸化層の、埋設層から離れる側の表面に第1凹溝を形成するステップと、
第1凹溝に基づいて、イオン注入を行って、第1ドーピング領域を形成するステップと、
を含む。
【0019】
好ましくは、
第1凹溝を形成すると同時に、第2凹溝を形成するステップと、
第1ドーピング領域を形成すると同時に、第2凹溝に基づいて、イオン注入を行って、埋設層を貫通する第2ドーピング領域を形成するステップと、
第2ドーピング領域を形成した後、第2凹溝に基づいて、イオン注入を行って、埋設層を貫通する第3ドーピング領域を形成するステップと、
をさらに含み、
第2ドーピング領域と第3ドーピング領域はいずれも、フィールドリミティングリングと第1ドーピング領域との間に位置する。
【発明の効果】
【0020】
上記の記載から分かるように、本出願の技術案によって提供されるターミナル構造、製造方法及びパワーデバイスによれば、埋設層によって、主接合拡張領域の高電界を、ターミナル全体の中間領域、即ちフィールドリミティングリング領域、又はフィールドリミティングリング領域及び第3ドーピング領域に緩和的に分散させるので、複数の領域は、アバランシェ破壊のエネルギーを共同で分担し、ターミナル構造のアバランシェ耐量及び耐圧能力を向上させ、さらにパワーデバイスの確実性及び安定性を高める。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本出願の実施例又は従来技術における技術案をより明らかに説明するために、以下、実施例又は従来技術の説明において使用する必要がある図面を簡単に紹介するが、以下の説明における図面は、本出願の実施例に過ぎず、当業者にとって、進歩性に値する労働をしないことを前提として、提供された図面に基づいて他の図面を得ることもできることは明らかである。
本明細書の図面に示された構造、比例、寸法などは、本出願の実施可能な限定条件を限定していなく、当業者の理解及び閲覧のために明細書の開示内容に合わせるために使用されるので、技術上の実質意味を持たず、本出願が実現できる効果、及び達成できる目的に影響していない限り、如何なる構造上の修飾、比例関係の変更又は寸法の調整は依然的に本出願に開示された技術内容がカバーできる範囲内に該当すべきである。
【
図1】本出願の実施例が提供する伝統的な接合ターミナル拡張構造の断面模式図である。
【
図2】本出願の実施例が提供する伝統的なフィールドリミティングリングターミナル構造の断面模式図である。
【
図3】本出願の実施例によるターミナル構造の断面模式図である。
【
図4】本出願の実施例による別のターミナル構造の断面模式図である。
【
図5】本出願の実施によるパワーデバイスの平面視構造図である。
【
図6】本出願の実施例による製造方法の断面フローチャートである。
【
図7】本出願の実施例による製造方法の断面フローチャートである。
【
図8】本出願の実施例による製造方法の断面フローチャートである。
【
図9】本出願の実施例による製造方法の断面フローチャートである。
【
図10】本出願の実施例による製造方法の断面フローチャートである。
【
図11】本出願の実施例による製造方法の断面フローチャートである。
【
図12】本出願の実施例による別の製造方法の断面フローチャートである。
【
図13】本出願の実施例による別の製造方法の断面フローチャートである。
【
図14】本出願の実施例による別の製造方法の断面フローチャートである。
【
図15】本出願の実施例による別の製造方法の断面フローチャートである。
【
図16】本出願の実施例による別の製造方法の断面フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本出願の実施例の図面を結合して、本出願における実施例を明らか且つ完全に説明するが、説明された実施例は、本出願の全ての実施例ではなく、本出願の一部の実施例に過ぎないことは明らかである。本出願における実施例に基づいて、当業者が進歩性に値する労働をしないことを前提として、取得した他の全ての実施例はいずれも本出願の保護範囲に属している。
【0023】
現在、炭化ケイ素などのパワーデバイス、特に高圧パワーデバイスの設計及び製造過程では、接合端における電界を低減して、デバイスの実際の耐圧能力を向上させるために、デバイスは、例えばフィールドプレート(FP)、フィールドリミティングリング(FLR)、接合ターミナル拡張(JTE)などの良好なターミナル構造を持つ必要がある。従来の炭化ケイ素などのパワーデバイス構造に幅広く応用されるものは主にフィールドリミティングリング(FLR)及び接合ターミナル拡張構造(JTE)である。
【0024】
図1に示すように、
図1は、本出願の実施例が提供する伝統的な接合ターミナル拡張構造の断面模式図である。当該接合ターミナル拡張構造は、
基板104と、基板104の片側に位置するエピタキシャル層18と、エピタキシャル層18の、基板104から離れる側に位置する酸化層7と、エピタキシャル層18内に位置する主接合拡張領域2と、同様にエピタキシャル層18内であって主接合拡張領域2の片側に位置する接合ターミナル拡張領域19と、を含む。
【0025】
当該ターミナル構造では、接合ターミナル拡張領域19は、優性値濃度が存在し、デバイスターミナルの破壊耐圧は、接合ターミナル拡張領域19の優性値濃度に敏感であるので、窓を小さく設計し、当該ターミナル構造は、表面電荷に非常に敏感であり、界面の不安定さ及び酸化層7の電荷により、デバイスの表面電界分布に影響を与えやすく、さらに、デバイスの破壊電圧及び確実性に影響する恐れがあり、また、当該ターミナル構造の製造プロセスは、複雑であり、大量生産には向かない。
【0026】
また、
図2に示すように、
図2は、本出願の実施例が提供する伝統的なフィールドリミティングリング構造の断面模式図である。当該フィールドリミティングリング構造は、
基板104と、基板104の片側に位置するエピタキシャル層18と、エピタキシャル層18の、基板104から離れる側に位置する酸化層7と、エピタキシャル層18内に位置する主接合拡張領域2と、同様にエピタキシャル層18内であって主接合拡張領域2の片側に位置するフィールドリミティングリング3と、を含む。
【0027】
当該ターミナル構造では、炭化ケイ素などのデバイスの表面電界が高いので、耐圧を向上させるために、デバイスを設計する時、表面のピーク電界を低減して、より多くの数のフィールドリミティングリング3を設計する必要がある。設計上、リングの数、リングの幅、リングの間隔などの多くの要因はいずれも表面電界分布に影響を与え、且つ複数のフィールドリミティングリング3のターミナルは、大きなチップの面積を占有するため、電流の向上に寄与せず、また、当該ターミナル構造は、同様に表面電荷に非常に敏感であり、界面の不安定さ及び酸化層7の電荷により、デバイスの表面電界の分布に影響を与えやすく、さらに、デバイスの破壊電圧及び確実性に影響する恐れがある。
【0028】
本出願の技術案は、上記の問題点に基づき、ターミナル構造の耐圧能力を向上させ、さらにパワーデバイスの確実性及び安定性を高めるターミナル構造、製造方法及びパワーデバイスを提供する。
【0029】
本出願の上記目的、特徴及び利点をより明白かつ容易に理解するために、以下、図面及び具体的な実施形態を結合して本出願をさらに詳しく説明する。
【0030】
図3を参照し、
図3は、本出願の実施例によるターミナル構造の断面模式図である。当該ターミナル構造は、
第1エピタキシャル層101と、第1エピタキシャル層101の片側に位置する埋設層102と、埋設層102を貫通する第1ドーピング領域4であって、第1ドーピング領域4のドーピングタイプが埋設層102のドーピングタイプと反対である第1ドーピング領域4と、埋設層102の、第1エピタキシャル層101から離れる側に位置する第2エピタキシャル層103であって、第2エピタキシャル層103内に主接合拡張領域2及びフィールドリミティングリング3を有する第2エピタキシャル層103と、第2エピタキシャル層103の、埋設層102から離れる側に位置する酸化層7と、を含む。
【0031】
第2エピタキシャル層103及び第1エピタキシャル層101のドーピングタイプはいずれも埋設層102のドーピングタイプと反対であり、第1方向において、フィールドリミティングリング3は、主接合拡張領域2と第1ドーピング領域4との間に位置し、第1方向は、第1エピタキシャル層101から第2エピタキシャル層103に向う方向に垂直である。
【0032】
また、主接合拡張領域2及びフィールドリミティングリング3のドーピングタイプは同じであり、いずれも第2エピタキシャル層103のドーピングタイプと反対であり、即ち、主接合拡張領域2及びフィールドリミティングリング3のドーピングタイプはいずれも埋設層102のドーピングタイプと同じであり、また、主接合拡張領域2及びフィールドリミティングリング3はいずれも高ドーピングであり、一般的に、主接合拡張領域2及びフィールドリミティングリング3のドーピング濃度は、埋設層102のドーピング濃度よりも大きい。例えば、第1エピタキシャル層101及び第2エピタキシャル層103がN型ドーピングである場合、埋設層102はP型ドーピングであり、第1ドーピング領域4はN型ドーピングであり、第1ドーピング領域4のN型ドーピング濃度は、埋設層102のP型ドーピング濃度よりも大きく、主接合拡張領域2及びフィールドリミティングリング3はいずれもP型高ドーピングである。当該主接合拡張領域は、電界がパワーデバイスにおけるデバイスセル領域からターミナル構造へ円滑に遷移する役割を果たす。
【0033】
ここで、本出願において、ドーピングタイプが同じであることは、両者又は複数の対象のドーピングタイプがいずれもN型ドーピング又はP型ドーピングであり、そのドーピング濃度が同じであるか又は異なっていることを意味し、それに対応して、ドーピングタイプが異なっていることは、両者又は複数の対象のドーピングタイプのうちの少なくとも1つの対象がN型ドーピングであり、且つ少なくとも1つの対象がP型ドーピングであり、対応するドーピング濃度が同じであってもよいし、異なってもよいことを意味する。
【0034】
本出願において、第1エピタキシャル層101、埋設層102及び第2エピタキシャル層103はSi、SiC、Ga2O3のうちの1つ又は複数である。
【0035】
ここで、本出願において、ドーピング濃度は、限定されず、低ドーピング濃度と高ドーピング濃度との間にある通常のドーピング濃度であるとデフォルトする。例えば、N型ドーピングは、N型低ドーピングとN型高ドーピングとの間にある。ドーピング濃度に関する以下の説明も同様に使用されるため、本出願では繰り返さない。
【0036】
当該ターミナル構造では、埋設層102の存在により、埋設層102に沿った漏電通路が形成され、デバイスの確実性に影響を与えるため、第1ドーピング領域4は、ターミナル構造内の電界を遮断して、漏電して他の部品に影響することを防止するために使用される。また、第1ドーピング領域4は、いろんな原因でデバイスの表面に形成された反転層を終止させ、表面汚れが破壊電圧に与える影響を低減することができ、さらに、デバイスの確実性を向上させる。また、当該ターミナル構造は、埋設層102によって主接合拡張領域2の高電界を、フィールドリミティングリング3に緩和的に分布し、即ち、フィールドリミティングリング3は分圧作用を発揮し、さらに、ターミナル構造の耐圧能力を向上させ、デバイスの確実性及び安定性を高める。
【0037】
好ましくは、酸化層7の、埋設層102から離れる側の表面は、第1凹溝11を有し、第1凹溝11は、第2エピタキシャル層103内まで延在しており、第1ドーピング領域4のイオン注入窓として使用される。なお、第1凹溝11の深さについてニーズに応じて設定することができ、その底部は第2エピタキシャル層103内まで延在してもよいし、酸化層7内に位置してもよいし、さらに、酸化層7と第2エピタキシャル層103との界面箇所に位置してもよく、いずれも本出願の保護範囲内に該当する。相応的に、実際のプロセスにおいて、第1凹溝11の形成について、プロセス手順を増やす必要がなく、従来のプロセスで設計を変更すればよい。また、第1ドーピング領域4を形成する際に、第1凹溝11を形成する必要がなく、パターン化されたフォトレジストに基づいてイオン注入窓とすることができる。
【0038】
好ましくは、当該ターミナル構造は、第1凹溝11の底部に位置する第1保護層13を含み、第1保護層13は、第1ドーピング領域4から間隔を有する。また、第1凹溝11に基づいてイオン注入を行って、その底部の下方に第1保護層13を形成することができる。第1保護層13のドーピングタイプは第1ドーピング領域4のドーピングタイプと反対であり、フィールドリミティングリング3及び主接合拡張領域2のドーピングタイプと同じであり、且つドーピング濃度は、フィールドリミティングリング3及び主接合拡張領域2のドーピング濃度よりも低い。例えば、フィールドリミティングリング3及び主接合拡張領域2がいずれもP型高ドーピングである場合、第1保護層13はP型ドーピング、又はP型低ドーピングであり、一般的に、第1保護層13はP型低ドーピングである。第1保護層13は、酸化層7における電荷の、ターミナル構造への影響を低減させるとともに、表面破壊の可能性を低減して、デバイスの確実性及び安定性を高める。
【0039】
また、
図4に示すように、
図4は本出願の実施例による別のターミナル構造の断面模式図である。
図3に示すターミナル構造に基づいて、当該ターミナル構造は、
埋設層102を貫通する第2ドーピング領域5及び第3ドーピング領域6をさらに含み、第2ドーピング領域5及び第3ドーピング領域6はいずれもフィールドリミティングリング3と第1ドーピング領域4との間に位置し、第2ドーピング領域5のドーピングタイプは、埋設層102のドーピングタイプと反対であり、第3ドーピング領域6のドーピングタイプは、埋設層102のドーピングタイプと同じであり、且つ第3ドーピング領域6のドーピング濃度は、埋設層102のドーピング濃度よりも大きい。また、一般的に、第2ドーピング領域5のドーピング濃度は、埋設層102のドーピング濃度よりも大きい。例えば、埋設層102がP型ドーピングである場合、第2ドーピング領域5はN型高ドーピングであり、第3ドーピング領域6はP型高ドーピングである。
【0040】
当該ターミナル構造は、埋設層102によって主接合拡張領域2の高電界を、ターミナル全体の中間領域、即ちフィールドリミティングリング3及び第3ドーピング領域6に緩和的に分布することで、複数の領域は、デバイスのアバランシェ破壊のエネルギーを共同で分担して、ターミナル構造のアバランシェ耐量、デバイスの破壊電圧及びターミナル構造の耐圧能力を向上させ、さらにパワーデバイスの確実性及び安定性を高める。
【0041】
好ましくは、酸化層7の、埋設層102から離れる側の表面は、第2凹溝12を有し、第2凹溝12は、第2エピタキシャル層103内まで延在しており、第2ドーピング領域5及び第3ドーピング領域6のイオン注入窓として使用される。上記の第1凹溝11と同様に、第2凹溝12の深さについて、ニーズに応じて設定することができ、その底部は第2エピタキシャル層103内まで延在してもよいし、酸化層7内に位置してもよいし、さらに、酸化層7と第2エピタキシャル層103との界面箇所に位置してもよく。いずれも本出願の保護範囲内に該当する。同様に、実際のプロセスにおいて、第2凹溝12の形成について、プロセス手順を増やす必要がなく、従来のプロセスで設計を変更すればよい。一般的に、第1凹溝11を形成すると同時に、第2凹溝12を形成する。また、第2ドーピング領域5又は第3ドーピング領域6を形成する時、第2凹溝12を形成する必要がなく、パターン化されたフォトレジストに基づいてイオン注入窓とすることができる。
【0042】
また、第2凹溝12の幅が第1凹溝11の幅よりも小さいので、ターミナル構造の面積を小さくすることができる。第1凹溝11の幅は、よりよい電界遮断効果を保証するために大きく、一般的に、第1凹溝11の幅は5μmよりも大きい。
【0043】
なお、実際のプロセスにおいて、主接合拡張領域2は理想的な状態に達することができず、エッチングのエッジには湾曲領域が存在し、デバイスの破壊電圧に影響を与え、第1凹溝11及び第2凹溝12によって第2エピタキシャル層103内のイオン濃度を小さくして、主接合拡張領域2の湾曲領域の電界強度を弱めて、破壊電圧を高め、また、第1凹溝11及び第2凹溝12はさらにターミナル構造の面積使用率を効果的に向上させ、分圧領域の面積を小さくして、ターミナル構造のチップ面積を減少し、同じ面積を有するシリコンウェハーから製造されるデバイスが多くなり、チップコストを低減させることができる。しかし、実際のプロセスにおいて、プロセス又は設計ニーズに応じて、第1凹溝11及び第2凹溝12を形成しなくてもよい。
【0044】
また、第1凹溝11又は第2凹溝12の形状は矩形、台形又はU字状であってもよい。
【0045】
好ましくは、第2凹溝12の底部に位置する第2保護層14を含み、第2ドーピング領域5は第2保護層14から間隔を有し、第3ドーピング領域6は第2保護層14に接触している。上記の第1保護層13と同様に、第2保護層14のドーピングタイプは第2ドーピング領域5のドーピングタイプと反対であり、第3ドーピング領域6のドーピングタイプと同じであり、且つ、ドーピング濃度は、第3ドーピング領域6のドーピング濃度よりも低い。例えば、第2ドーピング領域5がN型ドーピングである場合、第3ドーピング領域6はP型ドーピングであり、第2保護層14はP型低ドーピングである。第2保護層14は第2凹溝12と第3ドーピング領域6との間に位置して、第3ドーピング領域6に接触し、酸化層7における電荷の、第3ドーピング領域6への影響を減少して、表面破壊の効果を低減するとともに、第3ドーピング領域6の分圧効果及びデバイスの破壊電圧を向上させ、デバイスの確実性及び安定性を高める。
【0046】
好ましくは、当該ターミナル構造は、第1方向で間隔を空けて配列されている複数の第3ドーピング領域6を備え、複数の第3ドーピング領域6によって分圧をよりよくして、各第3ドーピング領域6が分担するデバイスのアバランシェ破壊のエネルギーを低減して、デバイスの破壊電圧及び耐圧性を高める。
【0047】
好ましくは、第1形態において、隣り合う第2凹溝12の間隔が等しく、且つ第2凹溝12の幅は、主接合拡張領域2からフィールドリミティングリング3に向う方向に沿って、徐々に小さくなり、又は、
第2形態において、第2凹溝12の幅が等しく、且つ隣り合う第2凹溝12の間隔は、主接合拡張領域2からフィールドリミティングリング3に向う方向に沿って、徐々に大きくなる。
【0048】
なお、本出願において、1つの第2凹溝12、対応する1つの第2ドーピング領域5及び1つの第3ドーピング領域6は1つのトレンチリングを構成する。即ち、第1態様において、隣り合うトレンチリングの間隔が等しく、且つトレンチリングの幅は、主接合拡張領域2からフィールドリミティングリング3に向う方向に沿って徐々に小さくなり、第2態様において、トレンチリングの幅が等しく、且つ隣り合うトレンチリングの間隔は主接合拡張領域2からフィールドリミティングリング3に向う方向に沿って徐々に大きくなっている。
【0049】
上記2つの態様はいずれもターミナル構造における電界分布を最適化して、ターミナル構造の、電荷ドーズに対する感度を低減して、パワーデバイスの確実性及び安定性を高めることができる。ここで、実際のプロセスにおいて、実際ニーズに応じて適切な形態を選択すればよい。また、トレンチリングの幅、相互の間の間隔について、デバイスの異なる仕様に応じて柔軟に設置することができ、本出願はこれを限定していない。
【0050】
好ましくは、本出願におけるターミナル構造は、第1方向に間隔を空けて配列されている複数のフィールドリミティングリング3を備え、複数のフィールドリミティングリング3によって分圧をよりよくして、各々フィールドリミティングリング3が分担するデバイスのアバランシェ破壊のエネルギーを低減して、さらにデバイスの破壊電圧及び耐圧性を高める。
【0051】
好ましくは、第1形態において、隣り合うフィールドリミティングリング3の間隔が等しく、且つフィールドリミティングリング3の幅は主接合拡張領域2からフィールドリミティングリング3に向う方向に沿って徐々に小さくなり、又は、
第2形態において、フィールドリミティングリング3の幅が等しく、且つ隣り合うフィールドリミティングリング3の間隔は主接合拡張領域2からフィールドリミティングリング3に向う方向に沿って徐々に大きくなる。
【0052】
上記2つの態様はいずれもターミナル構造における電界分布を最適化して、電荷ドーズに対するターミナル構造の感度を低減して、パワーデバイスの確実性及び安定性を高めることができる。なお、実際のプロセスにおいて、実際のニーズに応じて適切な形態を選択すればよい。また、フィールドリミティングリング3の幅、相互の間の間隔について、デバイスの異なる仕様に応じて柔軟に設置することができ、本出願は、これを限定していない。
【0053】
なお、本出願において、図面の制約上、図面は、フィールドリミティングリング3又はトレンチリングの幅の変更を示していなく、同様に、フィールドリミティングリング3の間の間隔又はトレンチリングの間の間隔の変更も示していないが、本出願には上記の変更が含まれていないことを意味していない。
【0054】
上記ターミナル構造に基づいて、本出願の実施例は、パワーデバイスをさらに提供し、以下に説明するパワーデバイスについて、上述したターミナル構造と互いに対応して参照すればよい。
図5を参照し、
図5は、本出願の実施例によるパワーデバイスの平面視構造図である。当該パワーデバイスは、
上述したいずれか1つのターミナル構造と、主接合拡張領域2の、フィールドリミティングリング3から離れる側に位置するデバイスセル領域9と、を含む。
【0055】
図5に示すように、パワーデバイス全体の中心はデバイスセル領域9であり、デバイスセル領域9を取り囲む領域は、主接合拡張領域2であり、主接合拡張領域2を取り囲む領域はフィールドリミティングリング領域20であり、当該フィールドリミティングリング領域20は上記フィールドリミティングリング3を含み、フィールドリミティングリング領域20を取り囲む領域は、トレンチリング領域21であり、当該トレンチリング領域21は、上記第2凹溝12、第2ドーピング領域5及び第3ドーピング領域6を含み、トレンチリング領域21を取り囲む領域は電界遮蔽領域22であり、当該電界遮蔽領域22は上記第1凹溝11及び第1ドーピング領域4を含む。また、隣り合うパワーデバイスの間には、シリコンウェハーを分割して単一のパワーデバイスを形成するためのスクライブライン10が存在する。
【0056】
なお、上記パワーデバイスはPIN、SBD、MOSFET、IGBT又はGTOを含むが、これらに限定されていない。また、パワーデバイスの製造用ウェハー材料はシリコン、炭化ケイ素、ヒ化ガリウム、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、酸化ガリウム又はダイヤモンドを含むが、これらに限定されていない。
【0057】
本出願によって提供されるパワーデバイスは、高破壊電圧を有するため、よい耐圧能力を備えるとともに、よい確実性及び安定性を備える。
【0058】
上記実施例に基づいて、本出願は製造方法をさらに提供し、以下に説明する製造方法について、上述したターミナル構造及びパワーデバイスと互いに対応して参照すればよい。
図6~
図11を参照し、
図6~
図11は本出願の実施例によって提供される製造方法の断面フローチャートである。当該製造方法は以下のステップを含む。
ステップS101:
図6に示すように、エピタキシャルシート1を提供し、当該エピタキシャルシート1は第1エピタキシャル層101と、第1エピタキシャル層101の片側に位置する埋設層102と、埋設層102の、第1エピタキシャル層101から離れる側に位置する第2エピタキシャル層103と、を含み、第2エピタキシャル層103及び第1エピタキシャル層101のドーピングタイプはいずれも埋設層102のドーピングタイプと反対である。例えば、埋設層102がP型ドーピングである場合、第1エピタキシャル層101及び第2エピタキシャル層103はいずれもN型ドーピングである。
【0059】
また、当該エピタキシャルシート1は、第1エピタキシャル層101の、埋設層102から離れる側に位置しており、支持して薄膜の特性を改良するための基板104をさらに含む。好ましくは、当該基板104のドーピングタイプは第1エピタキシャル層101のドーピングタイプと同じである。なお、当該エピタキシャル層はカスタム・調達によって直接的に取得されてもよいし、蒸着プロセスに基づいて製造されて取得されてもよい。
【0060】
ステップS102:第2エピタキシャル層103の、埋設層102から離れる側の表面に酸化層7を形成する。当該酸化層7は保護及び水蒸気隔離の作用を発揮し、特にイオンを注入する際、当該酸化層7はイオン衝撃を受けて、膜層を損失から保護して、イオン注入に伴う膜層の損傷を減少して、さらに除去する。
【0061】
なお、当該酸化層7の代わりとして、フォトレジストを保護層とすることで、イオン注入に伴う膜層の損傷を減少してもよい。しかし、SiCパワーデバイスのターミナル構造(即ち、第2エピタキシャル層103がSiCである)を製造する時、Alイオンを注入して主接合拡張領域2及びフィールドリミティングリング3を形成し、Alの相対原子量が大きくて、フォトレジストはイオン衝撃を阻止できないため、Alイオン注入を行う時、膜層構造8をイオン注入の掩蔽層とし、当該膜層構造8は、単層が厚い酸化媒体層であってもよいし、多層構造であってもよい。一般的に、酸化層媒体層の厚さは100nm~10μmである。
【0062】
図7に示すように、当該膜層構造8は、第2エピタキシャル層103の、埋設層102から離れる側の表面に位置する第1酸化層81、第1酸化層81の、第2エピタキシャル層103から離れる側の表面に位置する多結晶シリコン層82、及び多結晶シリコン層82の、第1酸化層81から離れる側の表面に位置する第2酸化層83という3層を含む。第1酸化層の厚さは50~500nmであり、多結晶シリコン層の厚さは100~2000nmであり、第2酸化層は50~500nmである。一般的に、第1酸化層の厚さは第2酸化層の厚さよりも小さい。
【0063】
ステップS103:第2エピタキシャル層103内に主接合拡張領域2及びフィールドリミティングリング3を形成する。主接合拡張領域2及びフィールドリミティングリング3を形成する方法は、以下のとおりである。
ステップS103.1:フォトリソグラフィプロセスに基づいて酸化層7をエッチングしてイオン注入窓を形成する。パターン化されたMask17に基づいて、酸化層7に対してフォトリソグラフィ、現像などのプロセスを行って、イオン注入窓を備える酸化層7を取得する。主接合拡張領域2に対応するイオン注入窓と、フィールドリミティングリング3に対応するイオン注入窓とを併せて形成してもよい。
ステップS103.2:イオン注入窓に基づいてイオン注入を行って、主接合拡張領域2及びフィールドリミティングリング3を形成する。
【0064】
なお、注入されたイオンがAlイオンである場合、上記膜層構造8に基づいてイオン注入を行って、
図8に示すように、フォトリソグラフィして現像した後、まず、CF4、CHF3などの、酸化層及び多結晶シリコン層82に対してよい選択率を有するガスを用いて第2酸化層83をエッチングし、そして、HBrなどの、多結晶シリコン層82に対してよい選択率を有するガスを用いて多結晶シリコン層82をエッチングし、エッチング中には、ある程度のオーバエッチングが伴うため、この場合、第1酸化層81の厚さが薄く、その後、薄い第1酸化層81をイオン注入の掩蔽層として使用し、イオン注入を行って主接合拡張領域2及びフィールドリミティングリング3を形成することで、イオン注入の分布がよりよくなり、トレンチ効果を効果的に回避することができる。また、イオン注入が完了した後、ウェットエッチングプロセスで当該膜層構造8を除去する。
【0065】
なお、本出願において、図面は、厚さが薄い第1酸化層81を示していないが、実際に、当該第1酸化層81は当該ターミナル構造に存在している。
【0066】
ステップS104:
図9~
図10を参照し、埋設層102を貫通する第1ドーピング領域4を形成し、第1ドーピング領域4のドーピングタイプは、埋設層102のドーピングタイプと反対であり、第1方向において、フィールドリミティングリング3は、主接合拡張領域2と第1ドーピング領域4との間に位置し、第1方向は、第1エピタキシャル層101から第2エピタキシャル層103に向う方向に垂直である。
【0067】
以上に基づいて、第1ドーピング領域4を形成する方法は以下のステップを含む。
ステップS104.1:
図9に示すように、酸化層7の、埋設層102から離れる側の表面に第1凹溝11を形成する。フォトリソグラフィプロセスに基づいて、第1凹溝11を形成する。当該第1凹溝11は第2エピタキシャル層103内まで延在しており、第1ドーピング領域4のイオン注入窓として使用される。
ステップS104.2:
図10に示すように、第1凹溝11に基づいて、イオン注入を行って、第1ドーピング領域4を形成する。第1ドーピング領域4は、ドーピングタイプが埋設層102のドーピングタイプと反対であり、ドーピング濃度は、埋設層102のドーピング濃度よりも大きく、さらに、埋設層102を遮断する役割を果たす。
【0068】
また、
図10を参照し、当該製造方法はさらに、第1凹溝11に基づいて、イオン注入を行って、第1保護層13を形成してもよい。当該第1保護層13は第1凹溝11の底部に位置し、第1保護層13と第1ドーピング領域4とは間隔を有する。当該第1保護層13のドーピングタイプは埋設層102のドーピングタイプと同じであり、界面電荷の、デバイスへの影響を低減する。
【0069】
ステップS105:
図11に示すように、第1凹溝11内に高誘電率の媒体を充填して、平らかな膜層を形成する。CVDプロセスに基づいて媒体を蒸着させて第1凹溝11に充填する。当該媒体はSiO
2、SiN
x、Al
2O
3、AlN、HfO
2、MgO、Sc
2O
3、Ga
2O
3、AlHFO
x、HFSiON材料のうちの1つ又はいずれかいくつかの組み合わせである。
【0070】
ステップS106:基板104の、第1エピタキシャル層101から離れる側の表面に陰極16を形成し、主接合拡張領域2の、埋設層102から離れる側に陽極15を形成し、陽極15は主接合拡張領域2に接触して、
図3に示すターミナル構造を形成する。また、一般的に、陽極15は金属材質である。
【0071】
図12~
図16を参照し、
図12~
図16は、本出願の実施例による別の製造方法の断面フローチャートである。本出願は別の製造方法をさらに提供し、上記の製造方法に基づいて、当該製造方法はさらに、上記ステップS104の後のステップS107を含み、
当該ステップS107は、次のとおりであり、
埋設層102を貫通する第2ドーピング領域5及び第3ドーピング領域6を形成し、第2ドーピング領域5及び第3ドーピング領域6はいずれもフィールドリミティングリング3と第1ドーピング領域4との間に位置し、第2ドーピング領域5のドーピングタイプは、埋設層102のドーピングタイプと反対であり、第3ドーピング領域6のドーピングタイプは、埋設層102のドーピングタイプと同じであり、第3ドーピング領域6のドーピング濃度は埋設層102のドーピング濃度よりも大きい。
【0072】
また、第2ドーピング領域5及び第3ドーピング領域6を形成する方法は以下のステップを含む。
ステップS107.1:
図13に示すように、酸化層7の、埋設層102から離れる側の表面に第2凹溝12を形成する。同様に、フォトリソグラフィプロセスに基づいて第2凹溝12を形成し、当該第2凹溝12は第2エピタキシャル層103内まで延在しており、第2ドーピング領域5及び第3ドーピング領域6のイオン注入窓として使用される。なお、第1凹溝11及び第2凹溝12の深さは同じであってもよく、これに基づいて、第1凹溝11を形成すると同時に、第2凹溝12を形成してもよい。
ステップS107.2:
図14に示すように、第2凹溝12に基づいて、イオン注入を行って、埋設層102を貫通する第2ドーピング領域5を形成する。第2ドーピング領域5は、ドーピングタイプが埋設層102のドーピングタイプと反対であり、ドーピング濃度は埋設層102のドーピング濃度よりも大きい。
【0073】
また、
図14を参照し、第2凹溝12に基づいてイオン注入を行って、第2保護層14を形成し、当該第2保護層14は第2凹溝12の底部に位置し、第2保護層14は、第2ドーピング領域5から間隔を有する。当該第2保護層14のドーピングタイプは埋設層102のドーピングタイプと同じであり、界面電荷のデバイスへの影響を低減するために使用される。
【0074】
なお、第2ドーピング領域5のドーピングタイプは第1ドーピング領域4のドーピングタイプと同じであり、いずれも埋設層102のドーピング濃度よりも大きいため、第1ドーピング領域4を形成すると同時に、第2凹溝12に基づいて、イオン注入を行って、埋設層102を貫通する第2ドーピング領域5を形成する。相応的に、第1保護層13を形成すると同時に、第2保護層14を形成する。
【0075】
ステップS107.3:第2ドーピング領域5を形成した後、第2凹溝12に基づいて、イオン注入を行って、埋設層102を貫通する第3ドーピング領域6を形成し、第2ドーピング領域5及び第3ドーピング領域6はいずれもフィールドリミティングリング3と第1ドーピング領域4との間に位置する。
【0076】
図15に示すように、破線の左側にある第2凹溝12は第1窓であり、破線の右側にある第2凹溝12は第2窓であり、第2窓に基づいてイオン注入を行って、第3ドーピング領域6を形成し、第3ドーピング領域6は上記の第2保護層14に接触している。
【0077】
また、本製造方法では、第2ドーピング領域5及び第3ドーピング領域6を形成した後、同様に、ステップS105を行って、(
図16に示すように)第1凹溝11に充填すると同時に、第2凹溝12に充填し、そして、ステップS106を行って、
図4のターミナル構造を形成する。
【0078】
以上のように、本出願の技術案によって提供されるターミナル構造、製造方法及びパワーデバイスによれば、第3ドーピング領域6の注入深さはフィールドリミティングリング3の深さよりも大きく、デバイスセル領域9に対してドーピング分布上の縦方向段差効果を形成して、デバイスの耐圧能力を向上させ、ターミナル構造に必要なチップ面積を現象させる。同時に、本出願のターミナル構造はJTEの濃度及び表面電荷に敏感ではない。また、本出願において、埋設層102によって主接合拡張領域2の高電界を、ターミナル全体の中間領域、即ち、フィールドリミティングリング3領域、又はフィールドリミティングリング3領域及び第3ドーピング領域6に緩和的に分布することにより、複数の領域はアバランシェ破壊のエネルギーを共同で分担し、ターミナル構造のアバランシェ耐量及び耐圧能力を向上させ、さらにパワーデバイスの確実性及び安定性を高める。
【0079】
本明細書における各実施例に対して漸進的、又は並列的、或いは漸進と並列とを結合した方式で記載され、各実施例はいずれも他の実施例との相違点を主に説明し、各実施例の間の同一部分又は類似の部分について、互いに参照すればよい。実施例が開示した装置について、実施例が開示した方法に対応するため、その記載は簡単であり、関連するところについて、方法部分の説明を参照すればよい。
【0080】
なお、本出願の説明において、「上」、「下」、「頂」、「底」、「内」、「外」などの用語が示す方位又は位置関係は、図面に示されるものに基づく方位又は位置関係であり、言及された装置又はコンポーネントが特定の方位を備え、特定の方位で構造されて操作されなければならないことを指示又は暗示するものではなく、ただ、本出願を便利に記載して記載を簡略化するためのものであるので、本出願を限定するものではない。あるコンポーネントが別のコンポーネントに「接続」されているとみなされると、別のコンポーネントに直接接続されている場合もあれば、それらの間に設けられるコンポーネントが同時に存在する場合もある。
【0081】
また、本明細書において、第1及び第2のような関係用語は、必ずしもこれらのエンティティ又は操作同士の間にはこのような実際の関係又は順序が存在することを要求又は暗示することなく、1つのエンティティ又は操作を他のエンティティ又は操作と区別するためにのみ使用される。また、用語「含む」「包含」又はその他の任意の変形は、非排他的包含を含むことを意図しており、それにより、一連の要素を含む品物又は機器はそれらの要素だけでなく、さらに明確に列挙されていない他の要素を含み、或いは、さらにこのような品物又は設備の固有の要素を含む。これ以上限定しない限り、「1つ○○を含む」という文によって限定された要素は、当該要素を含む品物又は設備にはさらに他の同じ要素があることを除外するものではない。
【0082】
開示された実施例に対する上記説明によって、当業者は本出願を実現又は使用できる。これらの実施例に対する様々な補正は当業者にとって自明であり、本明細書に定義された一般的原理は、本出願の精神又は範囲を逸脱することなく、他の実施例で実現されることができる。従って、本出願は、本明細書におけるこれらの実施例に限定されず、本明細書が開示した原理及び新規特点と一致する、最も幅広い範囲に合う。
【国際調査報告】