(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】イヤホン
(51)【国際特許分類】
H04R 17/10 20060101AFI20241010BHJP
【FI】
H04R17/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024530018
(86)(22)【出願日】2022-07-27
(85)【翻訳文提出日】2024-05-21
(86)【国際出願番号】 CN2022108205
(87)【国際公開番号】W WO2024020846
(87)【国際公開日】2024-02-01
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521104171
【氏名又は名称】シェンチェン ショックス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ツイ チャオジエ
(72)【発明者】
【氏名】チュー コアンユアン
【テーマコード(参考)】
5D004
【Fターム(参考)】
5D004AA02
5D004BB01
5D004BB03
5D004CC03
5D004CD07
5D004FF09
(57)【要約】
本明細書の実施例は、振動素子を含む音響出力装置を開示する。前記振動素子は、長手方向に沿って延在するビーム構造を含む。前記ビーム構造は、電気信号に応答して変形することにより、前記振動素子を振動させる圧電層と、前記ビーム構造の第1の位置に接続された質量素子であって、前記振動素子の振動により前記質量素子を前記長手方向に垂直な方向に振動させる、質量素子と、を含み、前記ビーム構造の長手方向に沿って、前記第1の位置から前記ビーム構造の一端までの距離と前記ビーム構造の長さとの比は、0.3~0.95の範囲内にある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に沿って延在するビーム構造を含む振動素子を含み、
前記ビーム構造は、
電気信号に応答して変形することにより、前記振動素子を振動させる圧電層と、前記ビーム構造の第1の位置に接続された質量素子であって、前記振動素子の振動により前記質量素子を前記長手方向に垂直な方向に振動させる、質量素子と、を含み、前記ビーム構造の長手方向に沿って、前記第1の位置から前記ビーム構造の一端までの距離と前記ビーム構造の長さとの比は、0.3~0.95の範囲内にある、音響出力装置。
【請求項2】
50Hz~10000Hzの範囲内に、前記質量素子の振動は、第1の共振ピーク及び第2の共振ピークを有する、ことを特徴とする、請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項3】
前記第1の共振ピークと前記第2の共振ピークとの間の周波数応答の最低点と、前記第1の共振ピーク又は前記第2の共振ピークとの振幅差は、40dBよりも小さい、ことを特徴とする、請求項2に記載の音響出力装置。
【請求項4】
前記ビーム構造は、固定端及び自由端を含む、ことを特徴とする、請求項3に記載の音響出力装置。
【請求項5】
前記自由端に接続された第2の質量素子をさらに含む、ことを特徴とする、請求項4に記載の音響出力装置。
【請求項6】
前記第2の質量素子と前記ビーム構造の質量との比は、0~1.2の範囲内にある、ことを特徴とする、請求項5に記載の音響出力装置。
【請求項7】
前記第1の位置から前記固定端までの距離と前記ビーム構造の長さとの比は、0.7~0.95の範囲内にある、ことを特徴とする、請求項6に記載の音響出力装置。
【請求項8】
前記第2の共振ピークの周波数範囲と前記第1の共振ピークの周波数範囲との比は、17よりも大きい、ことを特徴とする、請求項7に記載の音響出力装置。
【請求項9】
前記質量素子の振動は、第3の共振ピークを有し、前記第2の共振ピークと前記第3の共振ピークとの間の周波数応答の最低点と、前記第2の共振ピーク又は前記第3の共振ピークとの振幅差は、30dBよりも小さい、ことを特徴とする、請求項4に記載の音響出力装置。
【請求項10】
前記第3の共振ピークの周波数範囲と前記第2の共振ピークの周波数範囲との比は、4よりも大きい、ことを特徴とする、請求項9に記載の音響出力装置。
【請求項11】
前記第1の位置から前記固定端までの距離と前記ビーム構造の長さとの比は、0.45~0.6の範囲内にある、ことを特徴とする、請求項10に記載の音響出力装置。
【請求項12】
前記ビーム構造は、2つの固定端を含む、ことを特徴とする、請求項3に記載の音響出力装置。
【請求項13】
前記第1の位置から前記2つの固定端のうちの1つの固定端までの距離と前記ビーム構造の長さとの比は、0.3~0.4の範囲内にある、ことを特徴とする、請求項12に記載の音響出力装置。
【請求項14】
前記第2の共振ピークの周波数範囲と前記第1の共振ピークの周波数範囲との比は、13よりも大きい、ことを特徴とする、請求項13に記載の音響出力装置。
【請求項15】
前記質量素子の振動は、第3の共振ピークを有し、前記第2の共振ピークと前記第3の共振ピークとの間の周波数応答の最低点と、前記第2の共振ピーク又は前記第3の共振ピークとの振幅差は、40dBよりも小さい、ことを特徴とする、請求項12に記載の音響出力装置。
【請求項16】
前記第3の共振ピークの周波数範囲と前記第2の共振ピークの周波数範囲との比は、2よりも大きい、ことを特徴とする、請求項15に記載の音響出力装置。
【請求項17】
前記第1の位置から前記2つの固定端のうちの1つの固定端までの距離と前記ビーム構造の長さとの比は、0.45~0.5の範囲内にある、ことを特徴とする、請求項16に記載の音響出力装置。
【請求項18】
前記ビーム構造の幅方向に沿って、前記第1の位置から前記ビーム構造の一辺までの距離と前記ビーム構造の幅との比は、0.15~0.3の範囲内にある、ことを特徴とする、請求項12に記載の音響出力装置。
【請求項19】
前記ビーム構造は、固定端及び枢支端を含み、前記振動素子の振動過程において、前記枢支端は、前記ビーム構造の長手方向及び振動方向に垂直な軸に沿って回転する、ことを特徴とする、請求項3に記載の音響出力装置。
【請求項20】
前記第1の位置から前記固定端までの距離と前記ビーム構造の長さとの比は、0.5~0.6の範囲内にある、ことを特徴とする、請求項19に記載の音響出力装置。
【請求項21】
前記第2の共振ピークの周波数範囲と前記第1の共振ピークの周波数範囲との比は、6よりも大きい、ことを特徴とする請求項20に記載の音響出力装置。
【請求項22】
前記ビーム構造は、2つの枢支端を含み、前記振動素子の振動過程において、前記2つの枢支端は、それぞれ前記ビーム構造の長手方向及び振動方向に垂直な軸に沿って回転する、ことを特徴とする、請求項3に記載の音響出力装置。
【請求項23】
前記第1の位置から前記2つの枢支端のうちの1つの枢支端までの距離と前記ビーム構造の長さとの比は、0.3~0.4の範囲内にある、ことを特徴とする、請求項11に記載の音響出力装置。
【請求項24】
前記第2の共振ピークの周波数範囲と前記第1の共振ピークの周波数範囲との比は、10よりも大きい、ことを特徴とする、請求項12に記載の音響出力装置。
【請求項25】
前記ビーム構造は、2つの弾性端を含み、前記2つの弾性端は、それぞれ弾性部材により前記音響出力装置の固定支持ベースに弾性的に接続される、ことを特徴とする、請求項3に記載の音響出力装置。
【請求項26】
前記ビーム構造は、両端対称構造であり、前記2つの弾性端に対応する弾性部材は、前記ビーム構造の長手方向又は幅方向に沿って対称に設置される、ことを特徴とする、請求項25に記載の音響出力装置。
【請求項27】
前記第1の共振ピークの周波数範囲は、300Hz~700Hzである、ことを特徴とする、請求項26に記載の音響出力装置。
【請求項28】
前記第1の位置から前記2つの弾性端のうちの1つの弾性端までの距離と前記ビーム構造の長さとの比は、0.1~0.25の範囲内にある、ことを特徴とする、請求項26に記載の音響出力装置。
【請求項29】
第3のビーム構造を含む第3の振動素子をさらに含み、前記ビーム構造と前記第3のビーム構造は、一端が固定端であり、他端が弾性接続部材により接続される、ことを特徴とする、請求項3に記載の音響出力装置。
【請求項30】
前記振動素子の数は、2つ以上であり、前記2つ以上の振動素子のうちの各振動素子のビーム構造は、固定端及び自由端を含む、ことを特徴とする、請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項31】
前記質量素子は、前記2つ以上の振動素子のうちの各振動素子のビーム構造の第1の位置にそれぞれ接続され、各ビーム構造の第1の位置と前記ビーム構造の固定端との間の距離と前記ビーム構造の長さとの比は、0.7~0.95の範囲内にある、ことを特徴とする、請求項30に記載の音響出力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、音響の分野に関し、特に音響出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
圧電材料で駆動される音響出力装置は、圧電材料の逆圧電効果を利用して振動を発生させ、音波を外部に放射する。従来の電磁型音響出力装置に比べて、圧電材料で駆動される音響出力装置は、電気機械変換効率が高く、エネルギー消費量が低く、体積が小さく、集積度が高いなどの利点を有する。
【0003】
しかしながら、従来の電磁型音響出力装置に比べて、圧電材料で駆動される音響出力装置は、音質が悪く、その原因は、目標周波数範囲内の振動モードが多く、滑らかな周波数応答曲線を形成できないことを含む。
【0004】
そこで、目標周波数範囲内に、比較的滑らかな周波数応答曲線を形成できる音響出力装置を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書の実施例は、振動素子を含む音響出力装置を提供する。前記振動素子は、長手方向に沿って延在するビーム構造を含む。前記ビーム構造は、電気信号に応答して変形することにより、前記振動素子を振動させる圧電層と、前記ビーム構造の第1の位置に接続された質量素子であって、前記振動素子の振動により前記質量素子を前記長手方向に垂直な方向に振動させる、質量素子と、を含み、前記ビーム構造の長手方向に沿って、前記第1の位置から前記ビーム構造の一端までの距離と前記ビーム構造の長さとの比は、0.3~0.95の範囲内にある。
【0006】
いくつかの実施例において、50Hz~10000Hzの範囲内に、前記質量素子の振動は、第1の共振ピーク及び第2の共振ピークを有してもよい。
【0007】
いくつかの実施例において、前記第1の共振ピークと前記第2の共振ピークとの間の周波数応答の最低点と、前記第1の共振ピーク又は前記第2の共振ピークとの振幅差は、40dBよりも小さくてもよい。
【0008】
いくつかの実施例において、前記ビーム構造は、固定端及び自由端を含んでもよい。
【0009】
いくつかの実施例において、前記音響出力装置は、前記自由端に接続された第2の質量素子をさらに含んでもよい。
【0010】
いくつかの実施例において、前記第2の質量素子と前記ビーム構造の質量との比は、0~1.2の範囲内にあってもよい。
【0011】
いくつかの実施例において、前記第1の位置から前記固定端までの距離と前記ビーム構造の長さとの比は、0.7~0.95の範囲内にあってもよい。
【0012】
いくつかの実施例において、前記第2の共振ピークの周波数範囲と前記第1の共振ピークの周波数範囲との比は、17よりも大きくてもよい。
【0013】
いくつかの実施例において、前記質量素子の振動は、第3の共振ピークを有してもよく、前記第2の共振ピークと前記第3の共振ピークとの間の周波数応答の最低点と、前記第2の共振ピーク又は前記第3の共振ピークとの振幅差は、30dBよりも小さくてもよい。
【0014】
いくつかの実施例において、前記第3の共振ピークの周波数範囲と前記第2の共振ピークの周波数範囲との比は、4よりも大きくてもよい。
【0015】
いくつかの実施例において、前記第1の位置から前記固定端までの距離と前記ビーム構造の長さとの比は、0.45~0.6の範囲内にあってもよい。
【0016】
いくつかの実施例において、前記ビーム構造は、2つの固定端を含んでもよい。
【0017】
いくつかの実施例において、前記第1の位置から前記2つの固定端のうちの1つの固定端までの距離と前記ビーム構造の長さとの比は、0.3~0.4の範囲内にあってもよい。
【0018】
いくつかの実施例において、前記第2の共振ピークの周波数範囲と前記第1の共振ピークの周波数範囲との比は、13よりも大きくてもよい。
【0019】
いくつかの実施例において、前記質量素子の振動は、第3の共振ピークを有してもよく、前記第2の共振ピークと前記第3の共振ピークとの間の周波数応答の最低点と、前記第2の共振ピーク又は前記第3の共振ピークとの振幅差は、40dBよりも小さくてもよい。
【0020】
いくつかの実施例において、前記第3の共振ピークの周波数範囲と前記第2の共振ピークの周波数範囲との比は、2よりも大きくてもよい。
【0021】
いくつかの実施例において、前記第1の位置から前記2つの固定端のうちの1つの固定端までの距離と前記ビーム構造の長さとの比は、0.45~0.5の範囲内にあってもよい。
【0022】
いくつかの実施例において、前記ビーム構造の幅方向に沿って、前記第1の位置から前記ビーム構造の一辺までの距離と前記ビーム構造の幅との比は、0.15~0.3の範囲内にあってもよい。
【0023】
いくつかの実施例において、前記ビーム構造は、固定端及び枢支端を含んでもよく、前記振動素子の振動過程において、前記枢支端は、前記ビーム構造の長手方向及び振動方向に垂直な軸に沿って回転してもよい。
【0024】
いくつかの実施例において、前記第1の位置から前記固定端までの距離と前記ビーム構造の長さとの比は、0.5~0.6の範囲内にあってもよい。
【0025】
いくつかの実施例において、前記第2の共振ピークの周波数範囲と前記第1の共振ピークの周波数範囲との比は、6よりも大きくてもよい。
【0026】
いくつかの実施例において、前記ビーム構造は、2つの枢支端を含んでもよく、前記振動素子の振動過程において、前記2つの枢支端は、それぞれ前記ビーム構造の長手方向及び振動方向に垂直な軸に沿って回転してもよい。
【0027】
いくつかの実施例において、前記第1の位置から前記2つの枢支端のうちの1つの枢支端までの距離と前記ビーム構造の長さとの比は、0.3~0.4の範囲内にあってもよい。
【0028】
いくつかの実施例において、前記第2の共振ピークの周波数範囲と前記第1の共振ピークの周波数範囲との比は、10よりも大きくてもよい。
【0029】
いくつかの実施例において、前記ビーム構造は、2つの弾性端を含んでもよく、前記2つの弾性端は、それぞれ弾性部材により前記音響出力装置の固定支持ベースに弾性的に接続されてもよい。
【0030】
いくつかの実施例において、前記ビーム構造は、両端対称構造であり、前記2つの弾性端に対応する弾性部材は、前記ビーム構造の長手方向又は幅方向に沿って対称に設置されてもよい。
【0031】
いくつかの実施例において、前記第1の共振ピークの周波数範囲は、300Hz~700Hzであってもよい。
【0032】
いくつかの実施例において、前記第1の位置から前記2つの弾性端のうちの1つの弾性端までの距離と前記ビーム構造の長さとの比は、0.1~0.25の範囲内にあってもよい。
【0033】
いくつかの実施例において、前記音響出力装置は、第3のビーム構造を含んでもよい第3の振動素子をさらに含んでもよく、前記ビーム構造と前記第3のビーム構造は、一端が固定端であり、他端が弾性接続部材により接続されてもよい。
【0034】
いくつかの実施例において、前記振動素子の数は、2つ以上であり、前記2つ以上の振動素子のうちの各振動素子のビーム構造は、固定端及び自由端を含んでもよい。
【0035】
いくつかの実施例において、前記質量素子は、前記2つ以上の振動素子のうちの各振動素子のビーム構造の第1の位置にそれぞれ接続され、各ビーム構造の第1の位置と前記ビーム構造の固定端との間の距離と前記ビーム構造の長さとの比は、0.7~0.95の範囲内にあってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な音響出力装置のブロック図である。
【
図2】本明細書のいくつかの実施例に係る例示的なビーム構造の概略図である。
【
図3】本明細書のいくつかの実施例に係るビーム構造における異なる位置点の周波数応答曲線図である。
【
図4】本明細書のいくつかの実施例に係る例示的なビーム構造の概略構成図である。
【
図5】本明細書のいくつかの実施例に係る無負荷状態及び負荷状態でのビーム構造の長手方向における異なる位置点の周波数応答曲線図である。
【
図6】本明細書のいくつかの実施例に係る第2の質量素子とビーム構造との質量の比と、第1の位置から固定端までの距離とビーム構造の長さとの比との関係図である。
【
図7】本明細書のいくつかの実施例に係る例示的なビーム構造の概略構成図である。
【
図8】本明細書のいくつかの実施例に係る枢支端の概略構成図である。
【
図9】本明細書のいくつかの実施例に係る例示的なビーム構造の概略構成図である。
【
図10】本明細書のいくつかの実施例に係る例示的なビーム構造の概略構成図である。
【
図11A】本明細書のいくつかの実施例に係る例示的なビーム構造の概略構成図である。
【
図12】本明細書のいくつかの実施例に係るビーム構造の長手方向における異なる位置点の周波数応答曲線図である。
【
図13】本明細書のいくつかの実施例に係るビーム構造の幅方向における異なる位置点の周波数応答曲線図である。
【
図14A】本明細書のいくつかの実施例に係るビーム構造の概略構成図である。
【
図15】本明細書のいくつかの実施例に係るビーム構造における異なる位置点の周波数応答曲線図である。
【
図16A】本明細書のいくつかの実施例に係るビーム構造の概略構成図である。
【
図17】本明細書のいくつかの実施例に係るビーム構造における異なる位置点の周波数応答曲線図である。
【
図18】本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の部分的な概略図である。
【
図19】本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本願の実施例の技術手段をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に必要な図面を簡単に説明する。明らかに、以下に説明される図面は、本願のいくつかの例又は実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて本願を他の類似するシナリオに応用することができる。言語環境から明らかではないか又は明記しない限り、図面において、同じ符号は同じ構造又は操作を表す。
【0038】
本明細書で使用される「システム」、「装置」、「ユニット」及び/又は「モジュール」が、レベルの異なる様々なアセンブリ、素子、部材、部分又は組立体を区別する方法であることを理解されたい。しかしながら、他の用語が同じ目的を達成することができれば、上記用語の代わりに他の表現を用いることができる。
【0039】
本願及び特許請求の範囲に示すように、文脈が明確に別段の指示をしない限り、「一」、「1つ」、「1種」及び/又は「該」などの用語は、特に単数形を意味するものではなく、複数形を含んでもよい。一般的には、用語「含む」及び「含有」は、明確に特定されたステップ及び要素を含むことを提示するものに過ぎず、これらのステップ及び要素は、排他的な羅列ではなく、方法又は機器は、他のステップ又は要素を含む可能性がある。
【0040】
本明細書の実施例は、音響出力装置を説明し、上記音響出力装置は、長手方向に沿って延在するビーム構造を含む振動素子を含んでもよい。いくつかの実施例において、ビーム構造は、圧電層を含んでもよく、その逆圧電効果により、圧電層は、電気信号に応答して変形することにより、振動素子を振動させてもよい。いくつかの実施例において、音響出力装置は、ビーム構造の第1の位置に接続された質量素子をさらに含んでもよく、振動素子の振動により、質量素子をビーム構造の長手方向に垂直な方向に振動させて、音声を発生させることができる。いくつかの実施例において、質量素子のビーム構造に長手方向に沿って接続された位置が異なり、質量素子を介して出力された振動モードが異なり、それに応じて、音響出力装置の周波数応答曲線が異なるため、音響出力装置の周波数応答曲線を比較的滑らかにするように、ビーム構造において質量素子が接続された適切な第1の位置を決定することができる。本明細書の実施例は、第1の位置を設定する(例えば、第1の位置からビーム構造の一端までの距離とビーム構造の長さとの比を調整する)ことにより、音響出力装置の周波数応答曲線には目標周波数範囲(例えば、50Hz~10000Hz)内に共振ディップがないか又は少ないか、又は共振ピークと共振ディップとの振幅差を減少させ、それにより比較的滑らかな周波数応答曲線を取得し、音響出力装置が良い音質を有することを確保することができる。
【0041】
図1は、本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な音響出力装置のブロック図である。
図1に示すように、音響出力装置100は、振動素子110及び質量素子120を含んでもよい。
【0042】
音響出力装置100は、オーディオ信号(例えば、音声情報を含む電気信号)を音声信号に変換してもよい。いくつかの実施例において、音響出力装置100は、骨伝導音響出力装置、空気伝導音響出力装置又は骨伝導と空気伝導とを組み合わせた音響出力装置であってもよい。いくつかの実施例において、音響出力装置100は、メガネ、スマートブレスレット、イヤホン、補聴器、スマートヘルメット、スマートウォッチ、スマート衣類、スマートバックパック、スマートアクセサリなど又はそれらの任意の組み合わせに応用されてもよい。例えば、音響出力装置100は、機能型の近視用メガネ、老眼鏡、サイクリング用グラス又はサングラスなどに応用されてもよく、イヤホン機能を有するオーディオメガネなどのスマートメガネであってもよい。いくつかの実施例において、音響出力装置100は、ヘルメット、拡張現実(Augmented Reality、AR)機器又は仮想現実(Virtual Reality、VR)機器などのヘッドマウント機器に応用されてもよい。いくつかの実施例において、拡張現実装置又は仮想現実装置は、仮想現実ヘルメット、仮想現実メガネ、拡張現実ヘルメット、拡張現実メガネなど、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。例えば、仮想現実装置及び/又は拡張現実装置は、Google Glass(登録商標)、Oculus Rift(登録商標)、Hololens(登録商標)、Gear VR(登録商標)などを含んでもよい。
【0043】
振動素子110は、オーディオ信号を機械的振動に変換してもよい。いくつかの実施例において、振動素子110は、長手方向に沿って延在するビーム構造111を含んでもよい。いくつかの実施例において、ビーム構造111は、一端が固定された片持ちビーム(例えば、
図2に示す)であってもよい。いくつかの実施例において、ビーム構造111は、一端が固定され、他端が枢支されたビーム(例えば、
図7に示す)であってもよい。いくつかの実施例において、ビーム構造111は、両端が枢支されたビーム(例えば、
図10に示す)であってもよい。いくつかの実施例において、ビーム構造111は、両端が固定されたビーム(例えば、
図11Aに示す)であってもよい。いくつかの実施例において、ビーム構造111は、両端が弾性的に支持されたビーム(
図14Aに示す)であってもよい。いくつかの実施例において、ビーム構造111は、中間が弾性的に支持されたビームであってもよい(例えば、
図16Aに示す)。いくつかの実施例において、振動素子110の数は、2つ以上(
図19に示す)であってもよい。
【0044】
いくつかの実施例において、振動素子110は、シート状、ロッド状構造などであってもよい。いくつかの実施例において、振動素子110の材料は、振動伝達能力を有する材料であってもよい。例えば、振動素子110の材料は、シリコーンゴム、発泡スポンジ、プラスチック、ゴム、金属など、又はこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例において、振動素子110は、高い弾性を有する(すなわち、弾性変形が発生しやすい)部品であってもよい。例えば、振動素子110は、ばね(例えば、空気ばね、機械ばね、電磁ばねなど)、振動伝達シート、ばね板、基板など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0045】
いくつかの実施例において、ビーム構造111は、圧電層1112を含んでもよい。圧電層1112は、電気信号(例えば、オーディオ情報を含む電気信号)に応答して変形することにより、ビーム構造111を振動させてもよい。例えば、逆圧電効果により、圧電層1112は、電気信号に応答して変形できることにより、ビーム構造111(又は振動素子110)を圧電層1112の分極方向に沿って振動させることができる。いくつかの実施例において、ビーム構造111の振動方向は、ビーム構造111の長手方向(すなわち、ビーム構造111の長軸方向)と垂直であってもよい。いくつかの実施例において、圧電層1112は、圧電効果(逆圧電効果)を有する材料で構成されてもよく、例示的な圧電材料は、圧電セラミックス、圧電結晶、圧電ポリマー(例えば、ポリフッ化ビニル)など又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例において、圧電層1112は、任意の形状、例えば、フィルム状、シート状、ブロック状、柱状など又はそれらの任意の組み合わせであってもよい。いくつかの実施例において、圧電層1112は、ビーム構造111の形状に適応するシート形状であってもよい。いくつかの実施例において、圧電層1112は、接着又は堆積などの方式でビーム構造111に直接的に貼り付けられてもよい。いくつかの実施例において、圧電層1112は、係止、スナップフィットなどの方式でビーム構造111に接続されてもよい。いくつかの実施例において、圧電層1112は、物理堆積又は化学堆積の方式でビーム構造111に付着されてもよい。振動素子に関するより多くの説明については、本明細書の他の部分、例えば、
図2、
図5、
図7など及びそれらの関連説明を参照することができる。
【0046】
質量素子120は、質量を有する部材であってもよい。いくつかの実施例において、音響出力装置100が質量素子120を介して振動を出力できるように、質量素子120は、振動板、振動膜などを含んでもよい。いくつかの実施例において、質量素子120は、任意の形状、例えば、円柱体、直方体、円錐、円錐台、球体などの規則的な構造体又は不規則的な構造体であってもよい。いくつかの実施例において、質量素子120の材質は、プラスチック、木質、金属などの一定の剛性を有する材質を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、質量素子120の材質は、音響出力装置100のオーディオ帯域の拡大に役立つ負剛性材料、立方剛性材料などの様々なメタマテリアルをさらに含んでもよい。いくつかの実施例において、質量素子120は、ビーム構造111の第1の位置に接続されてもよい。ビーム構造111における第1の位置の振動により、質量素子120を振動素子110と同じ方向(すなわち、ビーム構造111の長手方向に垂直な方向)において振動させる。質量素子120は、ビーム構造111の第1の位置に直接的に接続されてもよく、接続ロッドを介してビーム構造111の第1の位置に接続されてもよい(例えば、質量素子120が振動膜である場合、振動膜の中心は、接続ロッドを介してビーム構造111の第1の位置に接続されてもよい)。説明の便宜上、上記接続ロッドは、質量素子120の一部と見なされてもよい。
【0047】
いくつかの実施例において、質量素子120のビーム構造111に接続された第1の位置を調整することにより、共振ピークの位置を変化させずに又は基本的に変化させずに、音響出力装置100の周波数応答曲線の共振ディップの位置を調整して、音響出力装置100の周波数応答曲線における共振ピークに対応する周波数位置と共振ディップに対応する周波数位置とを近接させるか又は同一にすることにより、共振ピークと共振ディップによる周波数応答曲線における平坦ではない範囲を減少させ、又は共振ピークと共振ディップの周波数位置が同一である場合にピークとディップとの相殺を実現し、周波数帯域の広い平滑曲線を取得して、音響出力装置の音質を向上させることができる。ここでの共振ピークとは、ビーム構造111(又は第1の位置)に対応する周波数応答曲線において、高い振幅を有するピークを指し、上記共振ピークは、ビーム構造がその共振周波数付近に共振することによって発生するものであってもよい。いくつかの実施例において、ビーム構造111は、複数の共振周波数を有してもよく、それに応じて、周波数応答曲線において複数次の共振ピークを有してもよい。共振ディップとは、ビーム構造111(又は第1の位置)に対応する周波数応答曲線において、低い振幅を有するディップを指し、上記共振ディップの形成原因は、ビーム構造111の圧電層が分割振動を発生させることにより、ビーム構造111の放射音圧が第1の位置で逆位相で相殺し、振動を出力しにくくなることを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、圧電層は、複数の周波数付近に分割振動を発生させることができ、それに応じて、周波数応答曲線において複数次の共振ディップを有することができる。質量素子120のビーム構造111に接続された第1の位置を調整することにより、音響出力装置100の周波数応答曲線の共振ピークと共振ディップとの相殺を実現し、周波数帯域の広い平滑曲線を取得して、音響出力装置の音質を向上させることができる。いくつかの実施例において、第1の位置からビーム構造111の一端までの距離とビーム構造111の長さとの比は、0.1~0.99の範囲内にあってもよい。いくつかの実施例において、第1の位置からビーム構造111の一端までの距離とビーム構造111の長さとの比は、0.2~0.95の範囲内にあってもよい。いくつかの実施例において、第1の位置からビーム構造111の一端までの距離とビーム構造111の長さとの比は、0.3~0.95の範囲内にあってもよい。例えば、1次共振ディップと2次共振ピークとが相殺される第1の位置を決定することにより、音響出力装置100の周波数応答曲線が第1の共振ピーク及び第2の共振ピークを有し、第1の共振ピークと第2の共振ピークとの間の周波数範囲の比が17よりも大きく、かつ第1の共振ピークと第2の共振ピークとの間の周波数応答の最低点と、第1の共振ピーク又は第2の共振ピークとの振幅差が40dBよりも小さく、それにより音響出力装置100の周波数応答曲線の低い周波数での周波数帯域の広い平滑曲線を取得してもよい。また例えば、1次共振ディップと3次共振ピークとが相殺される第1の位置を決定することにより、音響出力装置100の周波数応答曲線が第1の共振ピーク、第2の共振ピーク及び第3の共振ピークを有し、第1の共振ピークと第2の共振ピークとの間が滑らかに遷移し、第2の共振ピークと第3の共振ピークとの間が滑らかに遷移し、第2の共振ピークと第3の共振ピークとの間の周波数範囲の比が4よりも大きく、それにより音響出力装置100の周波数応答曲線の高い周波数での周波数帯域の広い平滑曲線を取得してもよい。第1の位置の決定に関するより多くの説明については、
図3、
図7、
図10~
図16B及びそれらの関連説明を参照することができ、ここでは説明を省略する。なお、説明の便宜上、本明細書では、共振ピークと共振ディップの周波数位置が近接するか又は同一である場合に達成された、振幅を向上させるという効果をいずれもピークとディップとの相殺と称する。又は、本明細書に記載のピークとディップとの相殺は、共振ピークと共振ディップの周波数位置が同一である場合に共振ピークと共振ディップとが相殺されることを含んでもよく、共振ピークと共振ディップの周波数位置が近接する場合に共振ピークと共振ディップによる周波数応答曲線における平坦ではない範囲が縮小されること、又は共振ピーク付近の振幅が低下すること及び/又は共振ディップ付近の振幅が上昇することを含んでもよい。
【0048】
いくつかの実施例において、音響出力装置100は、第2の振動素子をさらに含んでもよく、第2の振動素子は、第2のビーム構造を含み、第2のビーム構造は、ビーム構造111に接続されてもよい。いくつかの実施例において、第2のビーム構造の長手方向は、ビーム構造111の長手方向の振動素子110の振動方向に沿った投影と垂直である。音響出力装置100が第2の振動素子をさらに含んでもよいことに関するより多くの説明については、
図18及び/又は
図19及びその関連説明を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0049】
いくつかの実施例において、音響出力装置100は、第3の振動素子をさらに含んでもよく、第3の振動素子は、第3のビーム構造を含んでもよく、ビーム構造111の振動方向に垂直な平面内に、第3のビーム構造は、ビーム構造111にフレキシブルに接続される。いくつかの実施例において、第3のビーム構造は、ビーム構造111の長手方向に沿って延在し、ビーム構造111と第3のビーム構造は、一端が固定端であり、他端が弾性接続部材により接続される。第3の振動素子に関するより多くの説明については、
図19及びその関連説明を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0050】
なお、以上の
図1に関する説明は、単に説明の目的で提供されたものであり、本願の範囲を限定するものではない。当業者であれば、本願の説明に基づいて様々な変更及び修正を行うことができる。例えば、いくつかの実施例において、音響出力装置100は、1つ以上の部材(例えば、信号送受信機、対話モジュール、電池など)をさらに含んでもよい。いくつかの実施例において、音響出力装置100の1つ以上の部材は、類似する機能を実現することができる他の素子により代替されてもよい。これらの変更及び修正は、本明細書の範囲から逸脱しない。
【0051】
図2は、本明細書のいくつかの実施例に係る例示的なビーム構造の概略図である。
図2に示すように、ビーム構造211は、片持ちビームであってもよく、ビーム構造211は、一端が固定端2111であり、長手方向(
図2に示すx方向)において固定端2111から離れた他端が自由端2112である。
【0052】
固定端2111とは、動作状態のビーム構造211における振動加速度又は加速度レベルが振動加速度閾値又は加速度レベル閾値よりも小さく、かつその横断面の回転角が回転角閾値よりも小さい位置を指す。単なる例として、固定端2111は、振動加速度レベルが5dB、3dB、1dB、0.8dB、0.6dB、0.4dB、0.2dB又は0.05dBなどよりも小さくてもよく、かつ横断面の回転角が3°、2°、1°、0.5°、0.2°又は0.05°などよりも小さくてもよい。いくつかの実施例において、固定端2111は、音響出力装置の固定位置又は構造(例えば、ハウジング)に接続される。ここでの固定位置又は構造とは、音響出力装置における振動加速度又は加速度レベルが振動加速度閾値又は加速度レベル閾値よりも小さい位置又は構造を指してもよい。いくつかの実施例において、固定端2111は、固定支持ベース212に固定されてもよく、固定支持ベース212は、音響出力装置の固定位置又は構造に接続される。例えば、音響出力装置は、ハウジング(
図2に示されていない)を含んでもよく、ビーム構造211は、ハウジング内に設置されてもよく、固定支持ベース212は、ハウジングに固定され、ビーム構造211の固定端2111は、ハウジング上の固定支持ベース212に固定的に接続されてもよい。自由端2112とは、ビーム構造211において自由に振動する一端である。いくつかの実施例において、自由端2112は、宙吊り状態又は無拘束状態にあってもよい。
【0053】
いくつかの実施例において、ビーム構造211は、圧電層2113及びベース層2114を含んでもよい。いくつかの実施例において、圧電層2113及びベース層2114は、ビーム構造211の長手方向に沿って延在する。振動素子がその厚さ方向(
図2に示すz方向)に沿った電界の作用を受けると、圧電層2113は、長手方向に沿って変形することにより、ベース層2114(又は振動素子)をビーム構造211の長手方向に垂直な方向に沿って振動させる。いくつかの実施例において、圧電層2113は、圧電材料で製造されてもよい。いくつかの実施例において、ベース層2114の材料は、金属、合金、ガラス繊維及び炭素繊維など、又はそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、圧電層2113及びベース層2114は、ビーム構造211の厚さ方向において重ねて設置されてもよい。いくつかの実施例において、ビーム構造211は、多層圧電層2113及びベース層2114を含んでもよく、多層圧電層2113及びベース層2114は、厚さ方向において重ねて設置される。
【0054】
質量素子は、ビーム構造211の第1の位置に接続されてもよい。いくつかの実施例において、ビーム構造211の第1の位置は、ビーム構造211における長手方向に沿った異なる位置、例えば、
図2に示すa点、b点、c点、d点、e点、f点、g点などであってもよい。いくつかの実施例において、ビーム構造211における異なる第1の位置の振動モードが異なり、第1の位置に接続された質量素子に出力された振動モードもそれに応じて異なり、それにより音響出力装置の周波数応答曲線が異なり、具体的には、
図3及びその関連説明を参照する。
【0055】
図3は、本明細書のいくつかの実施例に係るビーム構造における異なる位置点の周波数応答曲線図である。
図3に示すように、曲線31、曲線32、曲線33、曲線34、曲線35、曲線36及び曲線37は、それぞれ、
図2に示すビーム構造211(すなわち、片持ちビーム)が振動するときのその上のa点、b点、c点、d点、e点、f点及びg点の周波数応答曲線である。いくつかの実施例において、質量素子のビーム構造211の振動に与える影響が小さい又は0であり、上記曲線31~37は、それぞれ、質量素子が上記7つの第1の位置に接続されたときの音響出力装置(例えば、音響出力装置100)の周波数応答曲線を表してもよい。
【0056】
図3から分かるように、50Hz~10000Hzの範囲内に、ビーム構造211における異なる第1の位置の振動は、いずれも複数の共振ピーク(例えば、1次共振ピークA、2次共振ピークB、3次共振ピークCなど)を生成し、異なる第1の位置で生成された共振ピークの位置は、ほぼ同一であり、第1の位置がビーム構造211の固定端2111に徐々に近接するにつれて、対応する周波数応答曲線の共振ディップは、高周波数に徐々に移動する。単なる例として、曲線34、曲線35及び曲線36に比べて分かるように、第1の位置がf点からd点まで固定端2111に徐々に移動するにつれて、f点に対応する1次共振ディップ361、e点に対応する1次共振ディップ351及びd点に対応する1次共振ディップ341は、高周波数に徐々に移動する。さらに、a点~c点に対応する曲線31~33を参照して分かるように、第1の位置がビーム構造211の固定端2111に徐々に近接するにつれて、音響出力装置の周波数応答曲線は、1次共振ピークAと2次共振ピークBとの間及び/又は2次共振ピークBと3次共振ピークCとの間で比較的滑らかであり、具体的には、1次共振ピークAと2次共振ピークBとの間及び/又は2次共振ピークBと3次共振ピークCとの間は、滑らかに遷移し、低い共振ディップが現れず、2つの共振ピークの間の曲線がU字形を呈する。例えば、d点に対応する曲線34は、1次共振ピークAと2次共振ピークBとの間の曲線が滑らかに遷移し、また例えば、c点に対応する曲線33は、1次共振ピークAと2次共振ピークBとの間の曲線が滑らかに遷移し、2次共振ピークBと3次共振ピークCとの間の曲線が滑らかに遷移する。また、曲線31~36を参照すると、第1の位置がビーム構造211の固定端2111に徐々に近接するにつれて、音響出力装置の中低周波数(例えば、
図3における50Hz~500Hz)の振幅が徐々に低下し、それにより音響出力装置の中低周波数における感度を低下させる。これにより、適切な第1の位置を選択することができ、それにより人間の耳の可聴域(例えば、50Hz~10000Hz)における音響出力装置の共振ピークの間の周波数応答曲線が滑らかに遷移し、音響出力装置の中低周波数における感度を過度に低下させない。いくつかの実施例において、c点付近の範囲内の位置を第1の位置とすることにより、音響出力装置の音質を向上させるとともに、音響出力装置が中低周波数においても高い感度を有することを確保することができる。いくつかの実施例において、c点付近から固定端2111までの距離とビーム構造211の長さとの比は、0.45~0.55の範囲内にあってもよい。
【0057】
さらに、g点に対応する曲線37を参照すると、曲線37は、500Hz~10000Hzの範囲内に滑らかに遷移し、具体的には、1次共振ピークAと3次共振ピークCとの間は、小さい共振ピーク及び/又は共振ディップを有するか又は共振ピーク及び/又は共振ディップを有さず、1次共振ピークAと3次共振ピークCとの間の周波数応答の最低点(例えば、
図3に示すP点)と、第1の共振ピーク又は第2の共振ピークとの振幅差は、40dBよりも小さい。これは、曲線37の対応する1次共振ディップと2次共振ピークとが相殺されることにより、曲線37が2次共振ピークBの対応する周波数付近に共振ピーク及び/又は共振ディップを有さないためである。これにより、適切な第1の位置(例えば、g点)を選択することができ、それにより音響出力装置の1次共振ディップと2次共振ピークとが相殺され、人間の耳部の可聴域(例えば、50Hz~10000Hz)内に第1の共振ピーク(すなわち、1次共振ピークA)及び第2の共振ピーク(すなわち、3次共振ピークC)を有し、上記第2の共振ピークと第1の共振ピークの周波数の比は、17よりも大きく、曲線37における平滑曲線に対応する周波数範囲を増大させて、音響出力装置の音質をさらに向上させる。いくつかの実施例において、g点から固定端2111までの距離とビーム構造211の長さとの比は、0.75~0.95の範囲内にあってもよい。いくつかの実施例において、g点から固定端2111までの距離とビーム構造211の長さとの比は、0.78~0.85の範囲内にあってもよい。いくつかの実施例において、g点から固定端2111までの距離とビーム構造211の長さとの比は、0.81であってもよい。
【0058】
図3及びその説明を参照すると、適切な第1の位置を選択することができ、それにより音響出力装置の周波数応答曲線は、特定の周波数範囲(例えば、500Hz~10000Hz)内にピークとディップとが相殺されて、特定の周波数範囲の周波数応答が悪い共振ディップを除去し、音響出力装置の周波数応答曲線における平滑曲線の対応する周波数範囲を増大させて、音響出力装置の音質を向上させる。いくつかの実施例において、該第1の位置での音響出力装置の周波数応答曲線のピークとディップとの相殺を実現するように、計算によって第1の位置(又は第1の位置とビーム構造の長さとの比)を決定することができる。いくつかの実施例において、ビーム構造における各位置点の変位は、以下のように表すことができる。
【0059】
u(x,t)=Y(x)*φ (t) (1)
【0060】
式中、Y(x)は、モード関数であり、φ(t)は時間に関する調和関数であり、xは、ビーム構造における位置点からビーム構造の一端(例えば、ビーム構造211の固定端2111)までの距離を表し、u(x,t)は、運動微分方程式を満たし、
【0061】
【0062】
式中、Eは、ビーム構造の弾性率であり、Iは、ビーム構造の横断面の慣性モーメントであり、ρは、ビーム構造の材料密度であり、Aは、ビーム構造の横断面積であり、Fは、ビーム構造の受けた外力である。外力をF=0とし、変数を分離してビーム構造の固有モード関数Y(x)が求められ、
【0063】
Y(x)=C1sinβx+C2cosβx+C3shβx+C4chβx
φ(t)=C5sinwt+C6coswt) (3)
【0064】
式中、C
1~C
6は、定数であり、
【数2】
であり、wは、角周波数である。
【0065】
上記式(3)に基づいて、異なるビーム構造の異なる境界条件を代入することができる。これにより、異なるビーム構造に対応する固有モード関数を決定する。例えば、
図2に示すビーム構造211は、その固定端部の変位がゼロであり、回転角(変位の1次導関数に比例する)がゼロであるとともに、自由端の曲げモーメントとせん断力(それぞれ変位の2次導関数、3次導関数に比例)がゼロであり、その境界条件が、Y(0)=Y’(0)=Y’’(l)=Y’’’(l)=0であってもよく、上記境界条件を式(3)に代入してビーム構造211(すなわち、片持ちビーム)の固有モード関数を以下のように取得することができ、
【0066】
【0067】
式中、iは、固有モードに対応する次数であり、βiは、ch(βil)・cos(βil)+1=0を満たし、β1l=1.875,β2l=4.694,β3l=7.855,…が得られる。
【0068】
図3及びその説明を参照すると、異なる第1の位置を選択するとき、音響出力装置の共振ピークの位置は、相対的に固定され、第1の位置がビーム構造の固定端に徐々に近接するにつれて、共振ディップは、高周波数に徐々に移動し、共振ピークと同一であるか又は近接する周波数位置に移動するとき、該共振ピークと相殺することができる。これにより、ビーム構造の固有モード関数の該共振ピークでの振動節点は、ビーム構造の周波数応答曲線のピークとディップとの相殺を実現できる第1の位置となる。ビーム構造211について、式(4)におけるY
i(x)=0とすると、その解は、i(i=1,2,3,…)次共振ピークにピークとディップとが相殺される第1の位置である。
【0069】
単なる例として、式(4)を参照すると、Y2(x)=0として求められた解xは、ビーム構造211の1次共振ディップと2次共振ピークとが相殺される第1の位置からビーム構造211の固定端2111までの距離であり、該第1の位置からビーム構造211の固定端2111までの距離とビーム構造211の長さとの比は、約0.774である。同様に、ビーム構造211の1次共振ディップと3次共振ピークとが相殺されるとき、第1の位置からビーム構造211の固定端2111までの距離とビーム構造211の長さとの比が約0.501であることを求めることができ、ビーム構造211の2次共振ディップと3次共振ピークとが相殺されるとき、第1の位置からビーム構造211の固定端2111までの距離とビーム構造211の長さとの比が約0.868であることが求められる。
【0070】
いくつかの実施例において、音響出力装置が特定の周波数範囲内(例えば、500Hz~10000Hz)にピークとディップとの相殺を実現するように、1次共振ディップと2次共振ピークとが相殺できる第1の位置を音響出力装置の振動出力位置として選択してもよい。それに応じて、音響出力装置は、人間の耳部の可聴域(例えば、50Hz~10000Hz)に、第1の共振ピーク(例えば、1次共振ピークA)及び第2の共振ピーク(例えば、3次共振ピークC)を有し、上記第1の共振ピークと第2の共振ピークとの間は、比較的滑らかな曲線を有することにより、音響出力装置の該特定の周波数範囲における音質を向上させる。上記理論解に基づくとともに、実際の応用の誤差を考慮して、いくつかの実施例において、ビーム構造211の1次共振ディップと2次共振ピークとが相殺され、音響出力装置の第1の共振ピークと第2の共振ピークとの間が周波数帯域の広い平滑曲線を有するようにするために、第1の位置から固定端2111までの距離とビーム構造211の長さとの比は、0.75~0.95の範囲内にあってもよい。いくつかの実施例において、第1の位置から固定端2111までの距離とビーム構造211の長さとの比は、0.75~0.9の範囲内にあってもよい。いくつかの実施例において、第1の位置から固定端2111までの距離とビーム構造211の長さとの比は、0.75~0.86の範囲内にあってもよい。いくつかの実施例において、第1の位置から固定端2111までの距離とビーム構造211の長さとの比は、0.77~0.84の範囲内にあってもよい。
【0071】
いくつかの実施例において、音響出力装置が特定の周波数範囲内(例えば、2000Hz~20000Hz)にピークとディップとの相殺を実現するように、1次共振ディップと3次共振ピークとが相殺できる第1の位置を音響出力装置の振動出力位置として選択することができる。それに応じて、音響出力装置は、人間の耳部の可聴域(例えば、50Hz~15000Hz)に、第1の共振ピーク(例えば、1次共振ピークA)、第2の共振ピーク(例えば、2次共振ピークB)及び第3の共振ピーク(例えば、4次共振ピークD)を有する。第2の共振ピークと第3の共振ピークとの間の周波数応答の最低点と、第2の共振ピーク又は第3の共振ピークとの振幅差は、30dBよりも小さく、かつ第3の共振ピークと第2の共振ピークの周波数との比は、4よりも大きく、第2の共振ピークと第3の共振ピークとの間は、周波数帯域の広い平滑曲線を有し、それにより音響出力装置の特定の周波数範囲内(2000Hz~15000Hz)の音質を向上させる。また、1次共振ディップが高周波数に移動し、第1の共振ピークと第2の共振ピークとの間は、滑らかに遷移するため、音響出力装置の低周波数範囲内(例えば、500Hz~2000Hz)の音質をさらに向上させることができる。いくつかの実施例において、ビーム構造211の1次共振ディップと3次共振ピークとを相殺して、音響出力装置の音質を向上させるために、第1の位置から固定端2111までの距離とビーム構造211の長さとの比は、0.45~0.6の範囲内にあってもよい。いくつかの実施例において、第1の位置から固定端2111までの距離とビーム構造211の長さとの比は、0.47~0.55の範囲内にあってもよい。いくつかの実施例において、第1の位置から固定端2111までの距離とビーム構造211の長さとの比は、0.49~0.51の範囲内にあってもよい。
【0072】
なお、上記実施例に記載の第1の位置及びその範囲は、例示的な説明のためのものに過ぎず、本明細書の保護範囲を限定することを意図するものではない。いくつかの実施例において、異なる第1の位置を選択して、異なる次数の共振ピークと共振ディップとを相殺し(例えば、1次共振ディップと3次共振ピークとを相殺し、2次共振ディップと3次共振ピークとを相殺するなど)、それにより音響出力装置は、異なるシーンのニーズに適応するように、異なる周波数において周波数帯域の広い平滑曲線を有する。
【0073】
図4は、本明細書のいくつかの実施例に係る例示的なビーム構造の概略構成図である。
図4に示すビーム構造411は、
図2に示すビーム構造211とほぼ同一であり、その主な相違点は、
図4に示すビーム構造411が第2の質量素子430をさらに含むことである。
図4に示すように、ビーム構造411は、固定端4111及び自由端4112を含み、第2の質量素子430は、自由端4112に接続される。いくつかの実施例において、第2の質量素子430は、質量素子と類似してもよい。いくつかの実施例において、第2の質量素子430は、ビーム構造411の組み立てなどの過程に導入された付加質量であってもよい。いくつかの実施例において、第2の質量素子430の質量が大きすぎてビーム構造411の振動モードに影響を与えることを防止するために、第2の質量素子430の質量とビーム構造の質量との比は、0~1.2の範囲内にあってもよい。
【0074】
ビーム構造411に第2の質量素子430が接続されている場合、その第1の位置の振動モードは、ビーム構造211が第2の質量素子430に接続されていない場合の同一の第1の位置の振動モードと異なり、詳細は、
図5を参照する。
【0075】
図5は、本明細書のいくつかの実施例に係る、無負荷状態及び負荷状態でのビーム構造の長手方向における異なる位置点の周波数応答曲線図である。無負荷状態は、ビーム構造(又は片持ちビーム)において付加質量がない(例えば、第2の質量素子430がないビーム構造211)ことであり、負荷状態とは、ビーム構造411に第2の質量素子430が接続されていることを指し、単なる例として、
図5に記載の周波数応答曲線に対応する第2の質量素子430は、0.28gである。
図5に示すように、曲線511、曲線512及び曲線513は、それぞれ、無負荷状態でのビーム構造における自由端から1/3の位置(すなわち、第1の位置から自由端までの距離がビーム構造の長さの1/3である)、1/2の位置及び2/3の位置での周波数応答曲線であり、曲線521、曲線522及び曲線523は、それぞれ、負荷状態でのビーム構造における自由端から1/3の位置、1/2の位置及び2/3の位置の周波数応答曲線である。無負荷状態でのビーム構造の振動の曲線511、曲線512及び曲線513は、負荷状態でのビーム構造の振動の曲線521、曲線522及び曲線523の形状とほぼ同一であり、無負荷状態に比べて、負荷状態でのビーム構造の共振ピークは、低周波数に移動する。これにより、第2の質量素子は、ピークとディップとの相殺が存在する第1の位置から固定端までの距離とビーム構造の長さとの比に影響を与える。具体的には、
図6を参照する。
【0076】
図6は、本明細書のいくつかの実施例に係る、第2の質量素子とビーム構造の質量の比と、第1の位置から固定端までの距離とビーム構造(又は片持ちビーム)の長さの比との関係図である。ここでいう第1の位置は、ピークとディップ(例えば、1次共振ディップと2次共振ピーク)とが相殺される第1の位置である。
図6に示す曲線は、横座標m/m
0が第2の質量素子の質量mとビーム構造の質量m
0との比を表し、縦座標x/lが第1の位置から固定端までの距離xとビーム構造の長さlとの比を表す。
図6から分かるように、第2の質量素子とビーム構造の質量との比が大きくなるにつれて、第1の位置から固定端までの距離とビーム構造の長さとの比は、徐々に大きくなる。これにより、第2の質量素子の質量とビーム構造の質量との比に基づいて、第1の位置を決定することができ、それにより音響出力装置の周波数応答曲線が人の耳の可聴域内にピークとディップとの相殺を実現する。例えば、第2の質量素子の質量とビーム構造の質量との比は、0~1.2の範囲内にあってもよく、第1の位置から固定端までの距離とビーム構造(又は片持ちビーム)の長さとの比は、0.75~0.95の範囲内にあってもよい。また例えば、第2の質量素子の質量とビーム構造の質量との比は、0~0.5の範囲内にあってもよく、第1の位置から固定端までの距離とビーム構造(又は片持ちビーム)の長さとの比は、0.75~0.92の範囲内にあってもよい。さらに例えば、第2の質量素子の質量とビーム構造の質量との比は、0.2~1の範囲内にあってもよく、第1の位置から固定端までの距離とビーム構造(又は片持ちビーム)の長さとの比は、0.8~0.95の範囲内にあってもよい。
【0077】
図7は、本明細書のいくつかの実施例に係る例示的なビーム構造の概略構成図である。
図7に示すビーム構造711は、
図2に示すビーム構造211とほぼ同一であり、その主な相違点は、
図7に示すビーム構造711が枢支端7112を含むことである。
図7に示すように、ビーム構造711は、固定端7111及び枢支端7112を含み、固定端7111と枢支端7112は、それぞれ、ビーム構造711の長手方向(例えば、
図7に示すx方向)に沿って互いに離れた両端であり、固定端7111は、固定端2111と類似する。
【0078】
枢支端7112は、回転可能な一端である。いくつかの実施例において、枢支端7112は、ビーム構造711の長手方向及び振動方向(例えば、
図7に示すz方向)に垂直な軸(例えば、
図7に示すy方向に平行な軸)を有し、枢支端7112は、該軸の周りに回転することができる。
図8は、本明細書のいくつかの実施例に係る枢支端の概略構成図である。いくつかの実施例において、
図8に示すように、枢支端7112は、その長さ(すなわち、y方向)方向の両側に沿って枢支ピン713に相対的に固定的に接続されてもよく、枢支ピン713が位置する軸(
図8に示すy方向)は、ビーム構造711の長手方向(
図8に示すx方向)及び振動方向(
図8に示すz方向)と垂直である。ビーム構造711(又は音響出力装置)は、枢支座714をさらに含み、枢支座714は、音響出力装置(例えば、ハウジング)に固定され、枢支孔7141を含んでもよい。枢支ピン713は、枢支孔7141内に設置され、枢支孔7141内で自転することができる。ビーム構造711がその振動方向に沿って振動するとき、枢支端7112は、枢支ピン713が位置する軸に沿って枢支座714に対して回転することができる。いくつかの実施例において、枢支ピン713は、枢支端7112に物理的に接続されてもよい。いくつかの実施例において、枢支ピン713は、枢支端7112と一体構造であってもよい。
【0079】
いくつかの実施例において、本明細書に記載の片持ちビーム(例えば、ビーム構造211、ビーム構造411など)と同様に、
図7に示すようなビーム構造711について、その上の第1の位置を決定することができ、それにより音響出力装置の周波数応答曲線のピークとディップとが相殺されて、音響出力装置の周波数応答曲線の人間の耳の可聴域における平滑曲線の範囲を増加させ、音響出力装置の音質を向上させる。いくつかの実施例において、固定端7111及び枢支端7112を含むビーム構造711の固有モード関数Y
i(x)は、ビーム構造211の固有モード関数(すなわち、式(4))と類似してもよく、ビーム構造711の固有モード関数について、β
iは、ch(β
il)*sin(β
il)-cos(β
il)*sh(β
il)=0を満たし、これにより各次に対応するβ
il値が得られ、それを式(4)に代入した後、式(4)におけるYi(x)=0とする解は、i(i=1,2,3,…)次共振ピークにピークとディップとが相殺される第1の位置からビーム構造711の固定端7111までの距離である。
【0080】
単なる例として、式(4)を参照すると、Y2(x)=0として求められた解xは、ビーム構造711の1次共振ディップと2次共振ピークとが相殺される第1の位置からビーム構造711の固定端7111までの距離であり、該第1の位置からビーム構造711の固定端7111までの距離とビーム構造711の長さとの比は、約0.56である。同様に、ビーム構造711の1次共振ディップと3次共振ピークとが相殺されるとき、第1の位置からビーム構造711の固定端7111までの距離とビーム構造711の長さとの比が約0.39と0.69であることが求められる。
【0081】
いくつかの実施例において、1次共振ディップと2次共振ピークとが相殺できる第1の位置をビーム構造711における振動出力位置として選択することにより、音響出力装置は、人間の耳部の可聴域(例えば、50Hz~10000Hz)に、第1の共振ピーク(例えば、
図3に示す1次共振ピークA)及び第2の共振ピーク(例えば、
図3に示す3次共振ピークC)を有し、上記第1の共振ピークと第2の共振ピークとの間は、比較的滑らかな曲線を有することにより、音響出力装置の該特定の周波数範囲における音質を向上させる。上記理論解に基づくとともに、実際の応用の誤差を考慮して、いくつかの実施例において、ビーム構造711の1次共振ディップと2次共振ピークとが相殺され、第2の共振ピークの周波数範囲と第1の共振ピークの周波数範囲との比が6よりも大きく、音響出力装置の第1の共振ピークと第2の共振ピークとの間が平滑曲線を有するようにするために、第1の位置から固定端7111までの距離とビーム構造711の長さとの比は、0.5~0.6の範囲内にあってもよい。いくつかの実施例において、第1の位置から固定端7111までの距離とビーム構造711の長さとの比は、0.52~0.59の範囲内にあってもよい。いくつかの実施例において、第1の位置から固定端7111までの距離とビーム構造711の長さとの比は、0.54~0.58の範囲内にあってもよい。
【0082】
いくつかの実施例において、音響出力装置がピークとディップとの相殺を実現するように、1次共振ディップと3次共振ピークとが相殺できる第1の位置をビーム構造711における振動出力位置として選択してもよい。それに応じて、音響出力装置は、人間の耳部の可聴域(例えば、50Hz~15000Hz)に、第1の共振ピーク(例えば、
図3に示す1次共振ピークA)、第2の共振ピーク(例えば、
図3に示す2次共振ピークB)及び第3の共振ピーク(例えば、
図3に示す4次共振ピークD)を有する。この場合、1次共振ディップが高周波数に移動し、第1の共振ピークと第2の共振ピークとの間が滑らかに遷移し、第2の共振ピークと第3の共振ピークとの間が滑らかに遷移し、平滑曲線の周波数範囲がより広くなるため、音響出力装置の音質が向上する。いくつかの実施例において、ビーム構造711の1次共振ディップと3次共振ピークとを相殺して、音響出力装置の音質を向上させるために、第1の位置から固定端7111までの距離とビーム構造711の長さとの比は、0.35~0.45の範囲内にあってもよい。いくつかの実施例において、第1の位置から固定端7111までの距離とビーム構造711の長さとの比は、0.36~0.43の範囲内にあってもよい。いくつかの実施例において、第1の位置から固定端7111までの距離とビーム構造711の長さとの比は、0.37~0.41の範囲内にあってもよい。いくつかの実施例において、ビーム構造711の1次共振ディップと3次共振ピークとを相殺して、音響出力装置の音質を向上させるために、第1の位置から固定端7111までの距離とビーム構造711の長さとの比は、0.65~0.75の範囲内にあってもよい。いくつかの実施例において、第1の位置から固定端7111までの距離とビーム構造711の長さとの比は、0.67~0.72の範囲内にあってもよい。いくつかの実施例において、第1の位置から固定端7111までの距離とビーム構造711の長さとの比は、0.68~0.7の範囲内にあってもよい。
【0083】
図9は、本明細書のいくつかの実施例に係る例示的なビーム構造の概略構成図である。
図9に示すビーム構造911は、
図7に示すビーム構造711とほぼ同一であり、その主な相違点は、
図9に示すビーム構造911が弾性端9112を含むことである。
図9に示すように、ビーム構造911は、固定端9111及び弾性端9112を含み、固定端9111と弾性端9112は、それぞれ、ビーム構造911において互いに離れた両端である。固定端9111は、固定端7111と類似する。弾性端9112は、ビーム構造911における、音響出力装置の他のアセンブリ(例えば、ハウジング)に弾性的に接続された一端である。いくつかの実施例において、境界条件を代入して求められたビーム構造911の固有モード関数は、ビーム構造211の固有モード関数(すなわち、式(4))と類似してもよく、ビーム構造911の固有モード関数について、β
iは、
【0084】
【数4】
を満たし、kは、弾性端9112の弾性的な接続に対応する弾性係数を表す。満たされた該条件に基づいて各次β
iの値が得られ、それを式(4)に代入し、また、式(4)におけるY
i(x)=0とする解は、i(i=1,2,3,…)次共振ピークにピークとディップとが相殺される第1の位置からビーム構造911の固定端9111までの距離である。選択的又は付加的に、ビーム構造211(すなわち、自由ビーム)は、弾性端9112に対応する弾性係数kが0である場合のビーム構造911と等価であってもよく、ビーム構造711は、弾性端9112に対応する弾性係数kが∞である場合のビーム構造911と等価であってもよい。
【0085】
図10は、本明細書のいくつかの実施例に係る例示的なビーム構造の概略構成図である。
図10に示すビーム構造1011は、
図7に示すビーム構造711とほぼ同一であり、その主な相違点は、
図10に示すビーム構造1011が2つの枢支端10111及び10112を含むことである。
図10に示すように、2つの枢支端10111と10112は、それぞれ、ビーム構造1011において互いに離れた両端であり、枢支端10111及び10112は、枢支端7112と類似してもよい。
【0086】
いくつかの実施例において、
図10に示すビーム構造1011について、その上の第1の位置を決定することができ、それにより音響出力装置の周波数応答曲線のピークとディップとが相殺されて、音響出力装置の周波数応答曲線の人間の耳の可聴域における平滑曲線の範囲を増大させ、音響出力装置の音質を向上させる。いくつかの実施例において、境界条件を代入して求められたビーム構造1011の固有モード関数は、以下のように表すことができ、
【0087】
Yi(x)=sin(βix) (5)
【0088】
式中、βiは、sin(βil)=0を満たし、各次βilの値が得られ、それを式(5)に代入して、式(5)におけるYi(x)=0とする解は、i(i=1,2,3,…)次共振ピークにピークとディップとが相殺される第1の位置である。
【0089】
単なる例として、式(5)を参照すると、いくつかの実施例において、ビーム構造1011は、両端(すなわち枢支端10111及び10112)対称構造であってもよく、実際に圧電によって駆動される場合、偶数次の共振モードが消え、奇数次の共振ピークのみが残る。ビーム構造1011の1次共振ディップと3次共振ピークとが相殺される場合、第1の位置からビーム構造1011の枢支端10111までの距離とビーム構造1011の長さとの比が約0.33又は0.67であることが求められる。
【0090】
いくつかの実施例において、音響出力装置がピークとディップとの相殺を実現するように、1次共振ディップと3次共振ピークとが相殺できる第1の位置をビーム構造1011における振動出力位置として選択してもよい。それに応じて、音響出力装置は、人間の耳部の可聴域(例えば、50Hz~15000Hz)に、第1の共振ピーク、第2の共振ピーク及び第3の共振ピークを有する。この場合、1次共振ディップが高周波数に移動し、第1の共振ピークと第2の共振ピークとの間が滑らかに遷移し、第2の共振ピークと第3の共振ピークとの間が滑らかに遷移し、平滑曲線の周波数範囲がより広くなるため、音響出力装置の音質が向上する。単なる例として、第2の共振ピークの周波数範囲と第1の共振ピークの周波数範囲との比は、10よりも大きくてもよい。いくつかの実施例において、第1の共振ピークと第2の共振ピークとの間が平滑曲線になり、平滑曲線の周波数範囲がより広くなり、すなわち、ビーム構造1011の1次共振ディップと3次共振ピークとが相殺されるようにするために、第1の位置から2つの枢支端のうちの1つの枢支端までの距離とビーム構造1011の長さとの比は、0.3~0.4の範囲内にあってもよい。いくつかの実施例において、第1の位置から2つの枢支端のうちの1つの枢支端10111までの距離とビーム構造1011の長さとの比は、0.3~0.37の範囲内にあってもよい。いくつかの実施例において、第1の位置から2つの枢支端のうちの1つの枢支端10111までの距離とビーム構造1011の長さとの比は、0.31~0.35の範囲内にあってもよい。
【0091】
図11Aは、本明細書のいくつかの実施例に係る例示的なビーム構造の概略構成図である。
図11Aに示すビーム構造1111は、
図2に示すビーム構造211とほぼ同一であり、その主な相違点は、
図11Aに示すビーム構造1111が固定端11111及び固定端11112を含むことである。
図11Aに示すように、2つの固定端は、それぞれ、ビーム構造1111において長手方向(例えば、
図11Aに示すx方向)に沿って互いに離れた両端であり、固定端は、固定端2111と類似してもよい。
【0092】
いくつかの実施例において、
図11Aに示すビーム構造1111について、その上の第1の位置を決定することができ、それにより音響出力装置の周波数応答曲線のピークとディップとが相殺されて、音響出力装置の周波数応答曲線の人間の耳の可聴域における平滑曲線の範囲を増大させ、音響出力装置の音質を向上させる。いくつかの実施例において、境界条件を代入して求められたビーム構造1111の固有モード関数は、以下のように表すことができ、
【0093】
【0094】
式中、βiは、cos(βil)*ch(βil)=1を満たし、各次βilの値がβ1l=4.73,β2l=7.85,β3l=10.99,…であることが得られる。これを式(6)に代入し、式(6)におけるYi(x)=0とすると、各次のピークとディップとが相殺される第1の位置から固定端11111までの距離とビーム構造1111の長さとの比が得られる。単なる例として、対称境界条件下で実際に圧電によって駆動される場合、偶数次の共振モードが消え、奇数次の共振ピークのみが残り、式(6)を参照すると、ビーム構造1111における1次共振ディップと3次共振ピークとが相殺される第1の位置からそのうちの1つの固定端までの距離とビーム構造1111の長さとの比が約0.36又は0.64であることが求められる。
【0095】
いくつかの実施例において、固定端11111及び固定端11112を含むビーム構造1111は、両端対称構造であってもよく、すなわち、ビーム構造1111は、軸Lに沿って対称であり、Lは、中点Oを通り、かつビーム構造1111の幅方向yと平行である。いくつかの実施例において、ビーム構造1111における圧電層の電極は、軸Lに沿って対称であってもよい。これにより、ビーム構造1111が振動するとき、軸Lの両側のビーム構造1111が受ける応力は、対称に分布し、中点Oの回転角は、0となる。ここでいう点の回転角とは、ビーム構造が振動(又は変形)した後、ビーム構造における該点が位置する横断面がその中立軸(例えば、
図11Aに示すx軸又はz軸)の周りに回転する角変位を指してもよい。
図11Bは、
図11Aに示すビーム構造1111の振動モードの概略図である。
図11Bに示すように、
図11B中の(a)、(b)及び(c)は、それぞれビーム構造1111の1次、3次及び5次振動モード曲線を示す。上記1次、3次及び5次振動モード曲線は、それぞれ式(6)に示す1次、3次及び5次振動モード関数Y
1、Y
3及びY
5に対応し、横軸は、ビーム構造1111の各点を表し、縦軸は、ビーム構造1111の固有モード関数Y
i(x)を表し、振動モード曲線と横軸との交点(すなわち、Y
i(x)=0)は、ビーム構造1111の振動節点である。なお、中点Oの両側の受けた応力が対称に分布するため、中点Oの回転角は、0であるべきであり、それに応じて、ビーム構造1111が圧電によって駆動される場合、偶数次の共振モードが消え、奇数次の共振モードのみが残る。したがって、
図11Bに示すように、ビーム構造1111の実際の振動は、偶数次の振動モードを含まず(例えば、ビーム構造1111の周波数応答曲線は、2次ピーク、2次ディップ、4次ピーク、4次ディップなどを含まない)、
図11Bにおける(a)、(b)及び(c)をさらに参照すると、モード関数Y
i(x)は、中点Oにおいて横軸と交わらず、これにより、ビーム構造1111の中点Oは、ビーム構造1111の振動節点とすることができず、ピークとディップとの相殺点とすることもできない。
【0096】
図12は、本明細書のいくつかの実施例に係るビーム構造の長手方向における異なる位置点の周波数応答曲線図である。
図12に示すように、曲線121、曲線122、曲線123、曲線124及び曲線125は、それぞれ、
図11Aに示すビーム構造1111における位置点からそのうちの1つの固定端までの距離とビーム構造1111の長さとの比が0.31、0.36(すなわち、1次共振ディップと3次共振ピークとが相殺される理論的な第1の位置)、0.41、0.45及び0.5である5つの位置点の周波数応答曲線であり、質量素子が上記5つの位置点に接続される場合の音響出力装置の周波数応答曲線をそれぞれ表すことができる。
【0097】
図12から分かるように、50Hz~20000Hzの範囲内に、上記5つの位置点に対応する周波数応答曲線は、複数の共振ピーク(例えば、共振ピークE、共振ピークF、共振ピークGなど)を有し、かつ振動出力点(第1の位置)が中点から固定端に移動する場合、周波数応答曲線は、各共振ピークの周波数位置が基本的に変化せず、共振ディップが高周波数から低周波数に徐々に移動するように表現される。共振ピークEに対応する周波数f
Eと、共振ピークFに対応する周波数f
Fと、共振ピークGに対応する周波数f
Gとの比は、約f
E:f
F:f
G=1:5.36:13.06である。ビーム構造1111における各次数の共振周波数は、以下のように表すことができ、
【0098】
【0099】
式(7)によれば、ビーム構造1111の1次共振ピークに対応する周波数f1と、3次共振ピークに対応する周波数f3と、5次共振ピークに対応する周波数f5との比は、f1:f3:f5=(β1l)2:(β3l)2:(β5l)2であってもよく、さらに式(6)を参照して各次βilの値を求めると、f1:f3:f5=1:5.40:13.35が得られる。f1:f3:f5とfE:fF:fGとを比較して分かるように、共振ピークE、共振ピークF及び共振ピークGは、それぞれ1次共振ピーク、3次共振ピーク及び5次共振ピークであってもよく、ビーム構造1111の振動は、偶数次振動モードを含まない。
【0100】
さらに、曲線122に示すように、共振ディップが3次共振ピークFに対応する周波数付近に移動する場合、3次共振ピークFと、ピークとディップとの相殺を発生させ、1次共振ピークEから5次共振ピークGまで(1000Hz~13000Hzの範囲内)の周波数帯域の広い平滑曲線を形成することができる。これにより、いくつかの実施例において、第1の位置を調整して、ビーム構造1111の1次共振ディップと3次共振ピークとを相殺してもよく、この場合、音響出力装置の周波数応答曲線は、第1の共振ピーク(すなわち、1次共振ピークE)及び第2の共振ピーク(すなわち、5次共振ピークG)を有してもよく、第2の共振ピークと第1の共振ピークとの周波数範囲の比は、13(例えば、f
1:f
5=1:13.35)よりも大きく、第1の共振ピークと第2の共振ピークとの間は、周波数帯域の広い平滑曲線を有し、それにより音響出力装置の音質を向上させる。上記式(6)及び
図12を参照すると、いくつかの実施例において、第1の位置から2つの固定端のうちの1つの固定端までの距離とビーム構造1111の長さとの比は、0.3~0.4の範囲内にあってもよい。いくつかの実施例において、第1の位置から2つの固定端のうちの1つの固定端までの距離とビーム構造1111の長さとの比は、0.32~0.4の範囲内にあってもよい。いくつかの実施例において、第1の位置から2つの固定端のうちの1つの固定端までの距離とビーム構造1111の長さとの比は、0.34~0.38の範囲内にあってもよい。
【0101】
また、曲線123、曲線124及び曲線125を参照して分かるように、ビーム構造1111の中点付近の振動出力点の周波数応答曲線は、大きい共振ディップ(例えば、
図12に示す共振ディップH)を有し、その原因は、ビーム構造1111が幅方向(例えば、
図11Aに示すy方向)において、周波数応答曲線の共振ディップの振幅に影響を与えるカールモードが発生することである。さらに曲線125に示すように、第1の位置をビーム構造1111の長手方向の中点付近に調整することができ、この場合、カールモードによる影響を考慮しないと、音響出力装置の周波数応答曲線は、第1の共振ピーク(すなわち、1次共振ピークE)、第2の共振ピーク(すなわち、3次共振ピークF)及び第3の共振ピーク(すなわち、5次共振ピークG)を有し、1次共振ピークEと3次共振ピークFとの間、及び3次共振ピークFと5次共振ピークGとの間は、滑らかに遷移し、それにより音響出力装置の音質を向上させることができる。単なる例として、
図12に示すように、第2の共振ピークと第3の共振ピークとの間の周波数応答の最低点と、第2の共振ピーク又は第3の共振ピークとの振幅差は、40dBよりも小さく、第3の共振ピークと第2の共振ピークの周波数範囲との比は、2よりも大きく、第2の共振ピークと第3の共振ピークとの間は、滑らかに遷移する。いくつかの実施例において、第1の位置から2つの固定端のうちの1つの固定端までの距離とビーム構造1111の長さとの比は、0.45~0.5の範囲内にあってもよい。
【0102】
図13は、本明細書のいくつかの実施例に係るビーム構造の幅方向における異なる位置点の周波数応答曲線図である。
図13に示すように、曲線131、曲線132、曲線133、曲線134、曲線135及び曲線136は、それぞれ、
図11Aに示すビーム構造1111における位置点から側辺11113までの距離とビーム構造1111の幅との比が0.5、0.4、0.3、0.22、0.1及び0である6つの位置点の周波数応答曲線であり、側辺11113は、ビーム構造1111の幅方向に垂直な両側辺のうちの1つの側辺であり、上記6つの位置点は、いずれも長手方向における中点である。上記6つの曲線において、曲線134は、他の曲線よりも滑らかであり、1次共振ピークEと3次共振ピークFとの間、及び3次共振ピークFと5次共振ピークGとの間は、滑らかに遷移する。
【0103】
ビーム構造1111における幅方向のカールモードは、両端がいずれも自由端であるビーム構造の1次モードに近似することができ、その1次固有モード関数は、以下のように表すことができ、
【0104】
【0105】
式中、x’は、ビーム構造1111における点から側辺11113までの距離を表し、Lは、ビーム構造の幅を表す。Y(x’)=0とすると、カールモードの振動節点位置(x’)/L=0.22が得られる。
図13から分かるように、該振動節点において、幅方向におけるカールモードは、除去することができる。
【0106】
以上のことから、幅方向におけるカールモードを除去し、振幅が大きい共振ディップをある程度向上させるために、いくつかの実施例において、ビーム構造の幅方向に沿って、第1の位置からビーム構造1111の一辺までの距離とビーム構造1111の幅との比は、0.1~0.4の範囲内にあってもよい。いくつかの実施例において、ビーム構造の幅方向に沿って、第1の位置からビーム構造1111の一辺までの距離とビーム構造1111の幅との比は、0.15~0.3の範囲内にあってもよい。いくつかの実施例において、ビーム構造の幅方向に沿って、第1の位置からビーム構造1111の一辺までの距離とビーム構造1111の幅との比は、0.18~0.36の範囲内にあってもよい。
【0107】
図14Aは、本明細書のいくつかの実施例に係るビーム構造の概略構成図である。
図14Aに示すビーム構造1411は、
図11Aに示すビーム構造1111とほぼ同一であり、その主な相違点は、
図14Aに示すビーム構造1411が弾性端14111及び弾性端14112を含むことである。
図14Aに示すように、弾性端14111及び弾性端14112は、それぞれ、ビーム構造1411において互いに離れた両端である。いくつかの実施例において、2つの弾性端は、弾性部材1412を介して音響出力装置の他のアセンブリ(例えば、ビーム構造の固定支持ベース、ハウジングなど)に接続されてもよい。
【0108】
弾性部材1412は、弾性を有する部材であってもよい。いくつかの実施例において、弾性部材1412は、弾性構造であってもよく、例示的な弾性構造は、連続曲げ構造、螺旋構造、板ばね構造、機械ばね、空気ばね、電磁ばねなど、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例において、弾性部材1412は、弾性材料で製造されてもよく、例示的な弾性材料は、発泡スポンジ、ゴム、ラテックス、シリコーンゴム、スポンジなど又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例において、ビーム構造1411は、両端対称構造であってもよい。弾性端14111及び弾性端14112に対応する弾性部材1412は、ビーム構造の長手方向及び/又は幅方向に沿って対称に設置されてもよい。
【0109】
いくつかの実施例において、構造の安定性を保証するために、弾性端14111は、少なくとも2つの弾性部材1412を介して音響出力装置の他のアセンブリに接続される。いくつかの実施例において、少なくとも2つの弾性部材1412は、ビーム構造1411に沿って対称に分布してもよい。
【0110】
図14Bは、
図14Aに示すビーム構造1411の振動モードの概略図である。
図14Bに示すように、(a)~(e)は、それぞれビーム構造1411の異なる振動モードにおける振動モード曲線を示す。(a)は、ビーム構造1411の初期振動モードを示し、該初期振動モードにおいて、圧電による駆動を受け始めたビーム構造1411は、まず中央部で振動し、両側の弾性部材1412を振動させる。周波数の増加につれて、(b)に示すように、弾性部材1412及びビーム構造1411により形成された弾性質量は、共振することにより、第1の共振ピークを発生させることができる。いくつかの実施例において、上記第1の共振ピークに対応する共振周波数は、300Hz~700Hzであってもよい。単なる例として、
図15に示すビーム構造1411の周波数応答曲線は、500Hz付近に第1の共振ピークIを有する。さらに、周波数の増加につれて、(c)に示す振動モード曲線の中央部が沈み、その中点と横軸が交点を生じる。それに応じて、ビーム構造1411の中点に振動節点が発生し、中点に対応する周波数応答曲線は、共振ディップ(例えば、
図15に示す共振ディップJ)を有することができる。周波数のさらなる増加につれて、ビーム構造1411は、その固有共振周波数で共振することにより、第2の共振ピークを発生させることができる。(d)は、ビーム構造1411の共振モードを示し、該共振モードにおいて、ビーム構造1411は、共振周波数付近に共振することができる。いくつかの実施例において、上記共振周波数は、3300Hz~4300Hzであってもよい。単なる例として、
図15に示すビーム構造1411の周波数応答曲線は、3800Hz付近に第2の共振ピークKを有する。該共振モードにおいて、振動モード曲線の中央部は、沈み続け、端部に近接する位置でそれぞれ横軸と2つの交点を生じる。それに応じて、ビーム構造1411は、これらの2つの交点に振動節点が発生し、対応する周波数応答曲線は、共振ディップを有することができる。周波数のさらなる増加につれて、ビーム構造1411は、その別の固有共振周波数で共振することにより、第3の共振ピークを発生させることができる。(e)は、ビーム構造1411の別の固有共振周波数での共振モードを示し、該共振モードにおいて、ビーム構造1411は、他の1つの共振周波数付近に共振することができる。いくつかの実施例において、上記共振周波数は、12kHz~18kHzであってもよい。単なる例として、
図15に示すビーム構造1411の周波数応答曲線は、15000Hz付近に第3の共振ピークLを有する。(e)に示す共振モードにおいて、振動モード曲線の中央部及び2つの端部が沈み、横軸と4つの交点を生じる。それに応じて、ビーム構造1411は、これら4つの交点に振動節点が発生し、対応する周波数応答曲線は、共振ディップを有することができる。
図14Bから分かるように、(a)~(e)に示す振動モードにおいて、ビーム構造1411における、弾性端に近接する位置(例えば、破線L1とL2との間の位置、破線L3とL4との間の位置)には、常に節点が存在しなくてもよい。それに応じて、(a)~(e)に示す振動モードにおいて、上記弾性端に近接する位置に対応する周波数応答曲線は、常に共振ディップを有しなくてもよく、各共振ピークの間(例えば、第1の共振ピークIと第2の共振ピークKとの間、第2の共振ピークKと第3の共振ピークLとの間)の曲線は、滑らかに遷移してもよい。これにより、弾性端に近接する該位置を第1の位置として選択することにより、音響出力装置の共振ピークの間の曲線を滑らかに遷移させ、さらに音響出力装置の音質を向上させることができる。いくつかの実施例において、音響出力装置の共振ピークの間の曲線を滑らかに遷移させるために、上記第1の位置からそのうちの1つの弾性端までの距離とビーム構造1411の長さとの比は、0.1~0.25の範囲内にあってもよい。いくつかの実施例において、上記第1の位置からそのうちの1つの弾性端までの距離とビーム構造1411の長さとの比は、0.15~0.2の範囲内にあってもよい。
【0111】
図15は、本明細書のいくつかの実施例に係るビーム構造における異なる位置点の周波数応答曲線図である。
図15に示すように、曲線151は、ビーム構造1411における弾性端(例えば、弾性端14111又は14112)での周波数応答曲線であり、曲線152は、ビーム構造1411における中点での周波数応答曲線であり、曲線153は、ビーム構造1411における第1の位置での周波数応答曲線であり、上記第1の位置からそのうちの1つの弾性端(例えば、弾性端14111)までの距離とビーム構造1411の長さとの比は、0.2である。曲線151~153から分かるように、出力位置が弾性端又は第1の位置である場合、音響出力装置の周波数応答曲線は、500Hz~15000Hzの周波数範囲内に共振ディップがなく又は小さく、かつ各共振ピークの間(例えば、第1の共振ピークIと第2の共振ピークKとの間、第2の共振ピークKと第3の共振ピークLとの間)は、滑らかに遷移し、周波数応答がより良い。また、曲線151及び曲線153を参照して分かるように、低周波数(例えば、500Hzよりも小さい)の範囲内に、弾性端に比べて、第1の位置の振動は、高い振幅を有することができる。したがって、第1の位置での低周波数感度は、弾性端での低周波数感度よりも高くなる。これにより、ビーム構造1411における質量素子に接続された第1の位置は、弾性端に近接することができ、上記第1の位置からそのうちの1つの弾性端までの距離とビーム構造1411の長さとの比は、0.15~0.2の範囲内にあり、それにより比較的滑らかな周波数応答曲線を取得するとともに、音響出力装置の低周波数感度を保証する。
【0112】
いくつかの実施例において、弾性部材1412及びビーム構造1411からなる弾性質量の振動は、低い周波数範囲内に共振ピークを発生させ、それにより音響出力装置の低周波数範囲内の感度を向上させることができる。例えば、
図15に示すように、曲線151及び曲線152は、低い周波数範囲内(例えば、300Hz~700Hz)に第1の共振ピークIを有する。弾性部材1412及びビーム構造1411の振動に低い周波数範囲内に共振ピークを発生させて、音響出力装置の低周波数範囲内における感度を向上させるために、いくつかの実施例において、弾性端(例えば、弾性端14111及び弾性端14112)に対応する弾性部材1412の全体の等価弾性係数は、3500~4000N/mの範囲内にあってもよい。いくつかの実施例において、弾性端に対応する弾性部材1412の全体の等価弾性係数は、3700~3900N/mの範囲内にあってもよい。
【0113】
図16Aは、本明細書のいくつかの実施例に係るビーム構造の概略構成図である。
図16Aに示すビーム構造1611は、
図14Aに示すビーム構造1411とほぼ同一であり、その主な相違点は、
図16Aに示すビーム構造1611の両端が自由端(例えば、自由端16111及び自由端16112)であり、その中央部に設置された弾性部材1612を介して音響出力装置の固定位置又は構造(例えば、固定支持ベース)に接続されることである。弾性部材1612に関する具体的な説明は、
図14Aにおける弾性部材1412に関する説明を参照することができる。
図16Aに示すように、弾性部材1612は、一端がビーム構造の中央部に接続され、他端が音響出力装置の固定位置又は構造に接続される。なお、ビーム構造1611の中央部とは、その軸線の中点に近接する一定の領域範囲を指してもよい。
【0114】
いくつかの実施例において、ビーム構造1611の構造の安定性を維持するために、ビーム構造1611には、その軸線に垂直な両側にいずれも弾性部材1612が設置される。いくつかの実施例において、ビーム構造1611の両側の弾性部材1612の連結線は、ビーム構造1611の軸線と垂直であってもよい。いくつかの実施例において、ビーム構造1611の両側の弾性部材1612は、ビーム構造1611の軸線に垂直な中心線(例えば、
図16Aに示す中心線M)に沿って対称に設置されてもよい。いくつかの実施例において、ビーム構造1611の両側の弾性部材1612は、ビーム構造1611の軸線に垂直な中心線(例えば、
図16Aに示す中心線M)から同一の距離だけ離れてもよい。
【0115】
図16Bは、
図16Aに示すビーム構造1611の振動モードの概略図である。
図16Bに示すように、(a)~(e)は、それぞれビーム構造1611の異なる振動モードにおける振動モード曲線を示す。(a)は、ビーム構造1611の初期振動モードを示し、該初期振動モードにおいて、圧電による駆動を受け始めたビーム構造1611は、まず両端で振動し、振動モード曲線の両端が沈む。周波数の増加につれて、(b)に示すように、弾性部材1612及びビーム構造1611により形成された弾性質量は、共振することにより、第1の共振ピークを発生させることができる。いくつかの実施例において、上記第1の共振ピークに対応する共振周波数は、400Hz~1000Hzであってもよい。単なる例として、
図17に示すビーム構造1611の周波数応答曲線は、600Hz付近に第1の共振ピークNを有する。さらに、周波数の増加につれて、(c)に示す振動モード曲線の両端が上に持ち上がり、その自由端が横軸と交点を生じる。それに応じて、ビーム構造1611の自由端に振動節点が発生し、自由端に対応する周波数応答曲線は、共振ディップ(例えば、
図17に示す共振ディップQ)を有することができる。周波数のさらなる増加につれて、ビーム構造1611は、その固有共振周波数で共振することにより、第2の共振ピークを発生させることができる。(d)は、ビーム構造1611の共振モードを示し、該共振モードにおいて、ビーム構造1611は、共振周波数付近に共振することができる。いくつかの実施例において、上記共振周波数は、3300Hz~4300Hzであってもよい。単なる例として、
図17に示すビーム構造1611の周波数応答曲線は、3650Hz付近に第2の共振ピークRを有する。該共振モードにおいて、振動モード曲線の両端は、持ち上がり続け、自由端に近接する位置でそれぞれ横軸と2つの交点を生じる。それに応じて、ビーム構造1611は、これらの2つの交点に振動節点が発生し、対応する周波数応答曲線は、共振ディップを有することができる。周波数のさらなる増加につれて、ビーム構造1611は、その別の固有共振周波数で共振することにより、第3の共振ピークを発生させることができる。(e)は、ビーム構造1611の別の固有共振周波数での共振モードを示し、該共振モードにおいて、ビーム構造1611は、別の共振周波数付近に共振することができる。いくつかの実施例において、上記共振周波数は、12kHz~18kHzであってもよい。単なる例として、
図17に示すビーム構造1611の周波数応答曲線は、15000Hz付近に第3の共振ピークSを有する。(e)に示す共振モードにおいて、振動モード曲線の中央部及び2つの自由端が沈み、横軸と4つの交点を生じる。それに応じて、ビーム構造1611は、これら4つの交点に振動節点が発生し、対応する周波数応答曲線は、共振ディップを有することができる。
図16Bから分かるように、(a)~(e)に示す振動モードにおいて、ビーム構造1611における、中点に近接する位置(例えば、破線L5とL6との間の位置)には、常に節点が存在しなくてもよい。それに応じて、(a)~(e)に示す振動モードにおいて、上記弾性端に近接する位置に対応する周波数応答曲線は、常に共振ディップを有しなくてもよく、各共振ピークの間(例えば、第1の共振ピークNと第2の共振ピークRとの間、第2の共振ピークRと第3の共振ピークSとの間)の曲線は、滑らかに遷移してもよい。これにより、中点に近接する該位置を第1の位置として選択することにより、音響出力装置の共振ピークの間の曲線を滑らかに遷移させ、さらに音響出力装置の音質を向上させることができる。いくつかの実施例において、音響出力装置の共振ピークの間の曲線を滑らかに遷移させるために、上記第1の位置からそのうちの1つの弾性端までの距離とビーム構造1611の長さとの比は、0.3~0.7の範囲内にあってもよい。いくつかの実施例において、上記第1の位置からそのうちの1つの弾性端までの距離とビーム構造1611の長さとの比は、0.4~0.6の範囲内にあってもよい。
【0116】
図17は、本明細書のいくつかの実施例に係る、ビーム構造における異なる位置点の周波数応答曲線図である。
図17に示すように、曲線171は、ビーム構造1611における自由端(例えば、自由端16111又は16112)での周波数応答曲線であり、曲線172は、ビーム構造1611における第1の位置での周波数応答曲線であり、上記第1の位置からそのうちの1つの自由端(例えば、自由端16111)までの距離とビーム構造1611の長さとの比は、0.45である。曲線171及び172から分かるように、出力位置が第1の位置である場合、音響出力装置の周波数応答曲線は、500Hz~15000Hzの周波数範囲内に共振ディップがなく又は小さく、かつ各共振ピークの間(例えば、第1の共振ピークNと第2の共振ピークRとの間、第2の共振ピークRと第3の共振ピークSとの間)は、滑らかに遷移し、周波数応答がより良い。これにより、ビーム構造1611における質量素子に接続された第1の位置は、ビーム構造1611の中点に近接することができ、上記第1の位置からそのうちの1つの弾性端までの距離とビーム構造1611の長さとの比は、0.4~0.6の範囲内にあり、それにより比較的滑らかな周波数応答曲線を取得し、音響出力装置の音質を向上させる。
【0117】
図18は、本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の部分的な概略図である。
図18に示すように、音響出力装置は、ビーム構造1811及び第2のビーム構造1821を含む。いくつかの実施例において、ビーム構造1811は、第2のビーム構造1821と同一又は同様であってもよい。ビーム構造1811及び第2のビーム構造1821は、
図2に示すビーム構造211と類似してもよく、ビーム構造1811及び第2のビーム構造1821に関するより多くの説明は、
図2を参照することができる。
【0118】
図18に示すように、ビーム構造1811と第2のビーム構造1821は、一端が固定端であり、他端が接続部材1830を介して互いに接続される。いくつかの実施例において、接続部材1830は、弾性接続部材であってもよい。いくつかの実施例において、弾性接続部材は、弾性構造であってもよい。
【0119】
図19は、本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の概略図である。
図19に示すように、音響出力装置は、2つ以上の振動素子を含んでもよく、各振動素子は、いずれもビーム構造1911を含み、ビーム構造1911は、固定端19111及び自由端19112を含む。複数のビーム構造1911は、質量素子1920の周側に間隔をあけて分布することができ、質量素子1920は、複数のビーム構造1911の第1の位置19113にそれぞれ接続される。いくつかの実施例において、質量素子1920は、音響出力装置が質量素子1920を介して振動を出力できるように、振動板、振動膜などを含んでもよい。ビーム構造1911は、
図2に示すビーム構造211と類似し、ビーム構造1911に関するより多くの説明は、
図2を参照することができる。
【0120】
いくつかの実施例において、複数のビーム構造1911は、質量素子1920の中点に沿って質量素子1920の周側に対称に分布してもよい。いくつかの実施例において、複数のビーム構造1911は、質量素子1920の周側に平均に間隔をあけて分布してもよい。いくつかの実施例において、質量素子1920に接続された複数のビーム構造1911における第1の位置とビーム構造1911の固定端19111との間の距離とビーム構造の長さとの比は、等しくてもよい。いくつかの実施例において、本明細書の他の実施例(例えば、
図3など)の説明に基づいて第1の位置19113を決定することにより、質量素子1920(又は音響出力装置)の周波数応答曲線のピークとディップとの相殺を実現し、周波数帯域の広い平滑曲線を取得し、音響出力装置の音質をさらに向上させることができる。いくつかの実施例において、質量素子1920の周波数応答曲線の1次共振ディップと2次共振ピークとの相殺を実現し、音響出力装置の第1の共振ピークと第2の共振ピークとの間が周波数帯域の広い平滑曲線を有し、さらに音響出力装置の音質を向上させるようにするために、質量素子1920に接続された各ビーム構造1911における第1の位置とビーム構造1911の固定端19111との間の距離とビーム構造の長さとの比は、0.75~0.95の範囲内にあってもよい。いくつかの実施例において、質量素子1920に接続された各ビーム構造1911における第1の位置とビーム構造1911の固定端19111との間の距離とビーム構造の長さとの比は、0.8~0.85の範囲内にあってもよい。いくつかの実施例において、質量素子1920の周波数応答曲線の1次共振ディップと3次共振ピークとの相殺を実現し、音響出力装置の第2の共振ピークと第3の共振ピークとの間が周波数帯域の広い平滑曲線を有し、音響出力装置の音質をさらに向上させるようにするために、質量素子1920に接続された各ビーム構造1911における第1の位置とビーム構造1911の固定端19111との間の距離とビーム構造の長さとの比は、0.45~0.6の範囲内にあってもよい。いくつかの実施例において、質量素子1920に接続された各ビーム構造1911における第1の位置とビーム構造1911の固定端19111との間の距離とビーム構造の長さとの比は、0.5~0.55の範囲内にあってもよい。
【0121】
なお、
図2~
図19に示す振動素子又はビーム構造は、例示的な説明に過ぎず、それを限定するものではない。実施例によって達成可能な有益な効果が異なるが、異なる実施例では、達成可能な有益な効果は、以上のいずれかの1つ又は複数の組み合わせであってもよく、他の任意の達成可能な有益な効果であってもよい。
【0122】
以上、基本概念を説明してきたが、当業者にとっては、上記詳細な開示は、単なる例として提示されているものに過ぎず、本願を限定するものではないことは明らかである。本明細書において明確に記載されていないが、当業者は、本願に対して様々な変更、改良及び修正を行うことができる。これらの変更、改良及び修正は、本願によって示唆されることが意図されているため、依然として本願の例示的な実施例の精神及び範囲内にある。
【0123】
さらに、本願の実施例を説明するために、本願において特定の用語が使用されている。例えば、「1つの実施例」、「一実施例」、及び/又は「いくつかの実施例」は、本願の少なくとも1つの実施例に関連した特定の特徴、構造又は特性を意味する。したがって、本明細書の様々な部分における「一実施例」又は「1つの実施例」又は「1つの代替的な実施例」の2つ以上の言及は、必ずしもすべてが同一の実施例を指すとは限らないことを強調し、理解されたい。また、本願の1つ以上の実施例における特定の特徴、構造又は特性は、適切に組み合わせられてもよい。
【0124】
また、特許請求の範囲に明確に記載されていない限り、本願に記載の処理要素又はシーケンスの列挙した順序、英数字の使用、又は他の名称の使用は、本願の手順及び方法の順序に限定されない。上記開示において、発明の様々な有用な実施例であると現在考えられるものを様々な例を通して説明しているが、そのような詳細は、単に説明のためであり、添付の特許請求の範囲は、開示される実施例に限定されないが、逆に、本願の実施例の趣旨及び範囲内にある全ての修正及び同等の組み合わせをカバーするように意図されることを理解されたい。例えば、上述したシステムアセンブリは、ハードウェアデバイスにより実装されてもよいが、ソフトウェアのみのソリューション、例えば、既存のサーバ又はモバイルデバイスに説明されたシステムをインストールすることにより実装されてもよい。
【0125】
同様に、本願の実施例の前述の説明では、本願を簡略化して、1つ以上の発明の実施例への理解を助ける目的で、様々な特徴が1つの実施例、図面又はその説明にまとめられることがある。しかしながら、このような開示方法は、特許請求される主題が各請求項で列挙されるよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものと解釈されるべきではない。実際に、実施例の特徴は、上記開示された単一の実施例の全ての特徴より少ない場合がある。
【0126】
いくつかの実施例で成分及び属性の数を記述する数字が使用されており、このような実施例を記述するための数字は、いくつかの例において修飾語「約」、「ほぼ」又は「実質的」によって修飾されるものとして理解されよう。特に明記しない限り、「約」、「ほぼ」又は「実質的」は、数字が±20%の変動が許容されることを示す。それに応じて、いくつかの実施例において、明細書及び特許請求の範囲において使用されている数値パラメータは、いずれも特定の実施例に必要な特性に応じて変化し得る近似値である。いくつかの実施例において、数値パラメータについては、規定された有効桁数を考慮すると共に、通常の丸め手法を適用するべきである。本願のいくつかの実施例において、その範囲を決定するための数値範囲及びパラメータは近似値であるが、具体的な実施例において、このような数値は、可能な限り正確に設定される。
【0127】
本願において参照される全ての特許、特許出願、公開特許公報、及び、論文、書籍、仕様書、刊行物、文書などの他の資料は、本願の内容と一致しないか又は矛盾する出願経過文書、及び(現在又は後に本願に関連する)本願の請求項の最も広い範囲に関して限定的な影響を有し得る文書を除いて、その全体が参照により本願に組み込まれる。なお、本願の添付資料における記述、定義、及び/又は用語の使用が本願に記載の内容と一致しないか又は矛盾する場合、本願における記述、定義、及び/又は用語の使用を優先するものとする。
【0128】
最後に、本願における実施例は、単に本願の実施例の原理を説明するためのものであることが理解されよう。他の変形例も本願の範囲内にある可能性がある。したがって、限定するものではなく、例示として、本願の実施例の代替構成は、本願の教示と一致するように見なされてもよい。それに応じて、本願の実施例は、本願において明確に紹介して説明された実施例に限定されない。
【符号の説明】
【0129】
100 音響出力装置
110 振動素子
120 質量素子
1112 圧電層
211 ビーム構造
212 固定支持ベース
2111 固定端
2112 自由端
2113 圧電層
2114 ベース層
411 ビーム構造
430 第2の質量素子
4111 固定端
4112 自由端
711 ビーム構造
7111 固定端
7112 枢支端
713 枢支ピン
7141 枢支孔
911 ビーム構造
9111 固定端
9112 弾性端
【手続補正書】
【提出日】2024-05-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に沿って延在するビーム構造を含む振動素子を含み、
前記ビーム構造は、
電気信号に応答して変形することにより、前記振動素子を振動させる圧電層と、前記ビーム構造の第1の位置に接続された質量素子であって、前記振動素子の振動により前記質量素子を前記長手方向に垂直な方向に振動させる、質量素子と、を含み、前記ビーム構造の長手方向に沿って、前記第1の位置から前記ビーム構造の一端までの距離と前記ビーム構造の長さとの比は、0.3~0.95の範囲内にある、音響出力装置。
【請求項2】
50Hz~10000Hzの範囲内に、前記質量素子の振動は、第1の共振ピーク及び第2の共振ピークを
有し、前記第1の共振ピークと前記第2の共振ピークとの間の周波数応答の最低点と、前記第1の共振ピーク又は前記第2の共振ピークとの振幅差は、40dBよりも小さい、ことを特徴とする、請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項3】
前記ビーム構造は、固定端及び自由端を
含み、前記音響出力装置は、前記自由端に接続された第2の質量素子をさらに含む、ことを特徴とする、請求項
2に記載の音響出力装置。
【請求項4】
前記第2の質量素子と前記ビーム構造の質量との比は、0~1.2の範囲内にある、ことを特徴とする、請求項
3に記載の音響出力装置。
【請求項5】
前記第1の位置から前記固定端までの距離と前記ビーム構造の長さとの比は、0.7~0.95の範囲内にある、ことを特徴とする、請求項
4に記載の音響出力装置。
【請求項6】
前記質量素子の振動は、第3の共振ピークを有し、前記第2の共振ピークと前記第3の共振ピークとの間の周波数応答の最低点と、前記第2の共振ピーク又は前記第3の共振ピークとの振幅差は、30dBよりも小さい、ことを特徴とする、請求項
3に記載の音響出力装置。
【請求項7】
前記第3の共振ピークの周波数範囲と前記第2の共振ピークの周波数範囲との比は、4よりも大きい、ことを特徴とする、請求項
6に記載の音響出力装置。
【請求項8】
前記第1の位置から前記固定端までの距離と前記ビーム構造の長さとの比は、0.45~0.6の範囲内にある、ことを特徴とする、請求項
7に記載の音響出力装置。
【請求項9】
前記ビーム構造は、2つの固定端を含
み、前記第1の位置から前記2つの固定端のうちの1つの固定端までの距離と前記ビーム構造の長さとの比は、0.3~0.4の範囲内にある、ことを特徴とする、請求項
2に記載の音響出力装置。
【請求項10】
前記第2の共振ピークの周波数範囲と前記第1の共振ピークの周波数範囲との比は、13よりも大きい、ことを特徴とする、請求項
9に記載の音響出力装置。
【請求項11】
前記ビーム構造は、2つの固定端を含み、前記質量素子の振動は、第3の共振ピークを有し、前記第2の共振ピークと前記第3の共振ピークとの間の周波数応答の最低点と、前記第2の共振ピーク又は前記第3の共振ピークとの振幅差は、40dBよりも
小さく、前記第3の共振ピークの周波数範囲と前記第2の共振ピークの周波数範囲との比は、2よりも大きい、ことを特徴とする、請求項
2に記載の音響出力装置。
【請求項12】
前記第1の位置から前記2つの固定端のうちの1つの固定端までの距離と前記ビーム構造の長さとの比は、0.45~0.5の範囲内にある、ことを特徴とする、請求項
11に記載の音響出力装置。
【請求項13】
前記ビーム構造
は、2つの固定端を含み、前記ビーム構造の幅方向に沿って、前記第1の位置から前記ビーム構造の一辺までの距離と前記ビーム構造の幅との比は、0.15~0.3の範囲内にある、ことを特徴とする、請求項
2に記載の音響出力装置。
【請求項14】
前記ビーム構造は、2つの弾性端を含み、前記2つの弾性端は、それぞれ弾性部材により前記音響出力装置の固定支持ベースに弾性的に接続
され、前記ビーム構造は、両端対称構造であり、前記2つの弾性端に対応する弾性部材は、前記ビーム構造の長手方向又は幅方向に沿って対称に設置され、前記第1の位置から前記2つの弾性端のうちの1つの弾性端までの距離と前記ビーム構造の長さとの比は、0.1~0.25の範囲内にある、ことを特徴とする、請求項
2に記載の音響出力装置。
【請求項15】
前記振動素子の数は、2つ以上であり、前記2つ以上の振動素子のうちの各振動素子のビーム構造は、固定端及び自由端を含
み、前記質量素子は、前記2つ以上の振動素子のうちの各振動素子のビーム構造の第1の位置にそれぞれ接続され、各ビーム構造の第1の位置と前記ビーム構造の固定端との間の距離と前記ビーム構造の長さとの比は、0.7~0.95の範囲内にある、ことを特徴とする、請求項
1に記載の音響出力装置。
【国際調査報告】