(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】低血糖状態の治療のための迷走神経調節
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20241010BHJP
A61N 1/372 20060101ALI20241010BHJP
A61N 1/05 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
A61N1/36
A61N1/372
A61N1/05
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024530481
(86)(22)【出願日】2022-11-23
(85)【翻訳文提出日】2024-07-17
(86)【国際出願番号】 US2022080410
(87)【国際公開番号】W WO2023097261
(87)【国際公開日】2023-06-01
(32)【優先日】2021-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524148934
【氏名又は名称】リシェイプ ライフサイエンシーズ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100225598
【氏名又は名称】桐島 拓也
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン ジェイ.ワータジャ
(72)【発明者】
【氏名】ラジェシュ ケー.ニハラニ
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053CC10
4C053JJ04
4C053JJ21
4C053JJ40
4C053KK03
(57)【要約】
低血糖の治療又は制御のための神経調節システム及び方法が提供される。一例では、対象における低血糖を治療する方法は、神経調節システムを使用して対象の第1の神経又は器官に第1の電気信号を印加することであって、第1の電気信号が、対象の第1の神経又は器官上の神経刺激又は神経ブロックを開始する、印加することと、任意選択的に、対象の第2の神経又は器官に第2の電気信号を印加することであって、第2の電気信号が、対象の第2の神経又は器官上の神経刺激又は神経ブロックを開始する、印加することと、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における低血糖を治療するためのシステムであって、
第1の神経又は器官上に配置されるように、かつ電気信号を第1の神経又は器官に送達するように適合された第1の電極と、
任意選択的に、第2の神経又は器官上に配置されるように、かつ電気信号を第2の神経又は器官に送達するように適合された第2の電極と、
前記第1及び/又は第2の電極に動作可能に接続された埋め込み可能なパルス生成器であって、前記埋め込み可能なパルス生成器が、電力モジュール及びプログラム可能な療法送達モジュールを備え、前記プログラム可能な療法送達モジュールが、第1の療法プログラム及び任意選択的に第2の療法プログラムを含む少なくとも1つの療法プログラムを送達するように構成されており、前記第1の療法プログラムが、前記第1の電極を介して前記第1の神経又は器官に適用された第1の電気信号治療を含み、前記第2の療法プログラムが、前記第2の電極を介して前記第2の神経又は器官に適用された第2の電気信号治療を含み、前記第1及び/又は第2の電気信号が、それぞれ前記第1及び/又は第2の神経又は器官上の活動を開始するように各々構成されており、前記活動が、神経刺激又は神経ブロックである、パルス生成器と、
通信システム、並びにプログラム可能なストレージ及び通信モジュールを備える、外部構成要素であって、プログラム可能なストレージ及び通信モジュールが、前記少なくとも1つの療法プログラムを記憶し、前記少なくとも1つの療法プログラムを前記埋め込み可能なパルス生成器に通信するように構成されている、外部構成要素と、を備える、システム。
【請求項2】
前記第1及び/又は第2の電気信号が、前記第1及び/又は第2の標的神経又は器官上の活動をそれぞれ上方制御又は下方制御するように各々独立して構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1及び第2の電気信号が、同時に、又は同期して、又は断続的に、又は実質的に同じ時間中に、又は実質的に異なる時間中に、又は調整された様式で印加される、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1及び/又は第2の電気信号治療が、それぞれ、前記第1の標的神経若しくは器官及び/又は前記第2の標的神経若しくは器官に連続的に各々適用される、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記対象の血漿グルコースを連続的に監視するように構成されたグルコースセンサを更に備え、前記グルコースセンサが、前記埋め込み可能なパルス生成器及び前記外部構成要素に動作可能に接続されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記グルコースセンサが、所定の閾値レベルからの血漿グルコースの増加又は減少を検出するように構成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記埋め込み可能なパルス生成器が、前記対象の前記血漿グルコースが第1の所定の閾値以下であるときに、前記第1及び/又は第2の電気的治療を送達するようにトリガされ、前記埋め込み可能なパルス生成器が、前記対象の前記血漿グルコースが第2の所定の閾値以上であるときに、前記第1及び/又は第2の電気的治療を送達することを停止する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1の神経又は器官及び前記第2の神経又は器官が、迷走神経、前迷走神経、後迷走神経、後神経の裂孔、迷走神経の肝枝、迷走神経の腹腔枝、内臓神経、腎神経、腎動脈、交感神経、圧受容器、舌咽神経、十二指腸、空腸、回腸、小腸、結腸、胃、食道、肝臓、脾臓、膵臓、及びそれらの組み合わせからなる群から各々独立して選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
対象における低血糖を治療する方法であって、
請求項1に記載のシステムを使用して、前記対象の第1の神経又は器官に第1の電気信号を印加することであって、前記第1の電気信号が、神経刺激又は神経ブロックを開始する、印加することと、
任意選択的に、請求項1に記載のシステムを使用して、前記対象の第2の神経又は器官に第2の電気信号を印加することであって、前記第2の電気信号が、神経刺激又は神経ブロックを開始する、印加することと、を含む、方法。
【請求項10】
前記第1及び第2の電気信号が、同時に、又は同期して、又は断続的に、又は実質的に同じ時間中に、又は実質的に異なる時間中に、又は調整された様式で印加される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1及び/又は第2の電気信号が、約10分で前記対象の血漿グルコースを少なくとも約5mg/dL増加させるように構成されている、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1及び/又は第2の電気信号治療が、約20分で前記血漿グルコースレベルを少なくとも約10mg/dL増加させるように構成されている、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1及び/又は第2の電気信号治療が、約30分で前記血漿グルコースレベルを少なくとも約20mg/dL増加させるように構成されている、請求項9~12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1及び/又は第2の電気信号が、オンタイムの間、各々連続的に印加され、前記信号が前記神経又は器官に印加されないオフタイムが後続する、請求項9~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記オンタイムが、血漿グルコースレベルが、約50mg/dL以下、約60mg/dL以下、約70mg/dL以下、約80mg/dL以下であるとき、1日に複数回適用される、請求項9~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記オフタイムが、血漿グルコースレベルが、約80mg/dL以上、約90mg/dL以上、約100mg/dL以上、約110mg/dL以上であるとき、1日に複数回適用される、請求項9~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の電気信号が、約0.01Hz~約200Hzの周波数を有する、請求項9~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の電気信号が、約200Hz~約10kHzの周波数を有する、請求項9~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記第2の電気信号が、約0.01Hz~約200Hzの周波数を有する、請求項9~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記第2の電気信号が、約200Hz~約10kHzの周波数を有する、請求項9~19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、PCT国際出願として2022年11月23日に出願され、2021年11月23日に出願された米国仮特許出願第63/282,397号の利益及び優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
序論
重度の低血糖(第三者の支援が必要)の年間発生率は、患者1人当たり年間1.0~1.7エピソードである。低血糖は、意識喪失、脳卒中、昏睡又は死亡を引き起こす可能性がある。繰り返される低血糖エピソードは、心血管疾患に関連している。インスリン療法誘発性低血糖(典型的には70mg/Dlを下回る低血漿グルコース(PG))は、糖尿病患者にとって問題である。繰り返される低血糖エピソードは、心血管疾患に関連しており、重度の低血糖(PGが約54mg/Dlを下回り、第三者の支援を必要とする)は、意識喪失、脳卒中、昏睡及び死亡を引き起こす可能性がある。
【0003】
糖尿病性低血糖症の治療のために年間約235,000回の救急診療があり、医療システムにかかる費用は、年間約1億2千万ドルである。重度の夜間低血糖症は、40歳未満の糖尿病患者の全死亡の推定6%に寄与すると疑われ、高レベルの不安を引き起こす可能性がある。最近の報告では、1型糖尿病患者の死亡の10%が低血糖によって引き起こされたことが示されている。糖尿病患者の低血糖は、主にスルホニル尿素及びより一般的にはインスリン治療などの糖尿病薬に起因する。インスリン療法誘発性低血糖症は、1型糖尿病患者及び2型糖尿病患者の両方に発生する。
【0004】
2型糖尿病(T2DM)に罹患している人口の割合が増加するにつれて、低血糖は、この糖尿病セグメントにおいて問題となっている。2型糖尿病のインスリン療法は、主に疾患の後期段階(HbA1c約9%以上)に処方される。T2DM集団のこのセグメントは大規模であり、世界中で合計8,000万人の患者を抱えて成長している。Hendersonらは、インスリン依存性T2DM対象の73%が毎年低血糖エピソードを経験し、15%が重篤なエピソードを有することを報告した(Henderson,2003)。
【0005】
低血糖の治療は、典型的には、デキストロース若しくはグルカゴンの注射、及び/又は速効性炭水化物の摂取を伴う。しかしながら、これらの治療は、夜間の低血糖には理想的ではなく、及び/又は重度の低血糖エピソードには禁忌である。グルコースセンサ技術と併用したインスリンポンプ療法は、低血糖のリスクを減少させるが、依然として重要な問題である(Guzman,2020;Al Hayek,2018)。インスリン依存性糖尿病患者の1%未満が、外部デバイスの継続的使用によって必要とされる維持及び耐性の問題を伴うインスリンポンプを使用している(Schade,2006;Walsh,2015;Bonfanti,2016)。
【0006】
1型糖尿病患者では、インスリン療法が生涯にわたって必要である。世界中で約3,000万人の1型糖尿病患者がインスリンを必要としている(Garg,Rewers,&Akturk,2018)。1型糖尿病を有する平均的な個人は、週に約2エピソードの症状性低血糖を経験する。重度の低血糖症は、年間罹患率が30~40%であり、患者1人当たり年間罹患率が1.0~1.7エピソードである(McCrimmon&Sherwin)。
【0007】
2型糖尿病(T2DM)に罹患している人口の増加に伴い、低血糖は、この糖尿病セグメントにおいて問題となっている。2型のインスリン療法は、主に疾患の後期段階(HbA1c約9%以上)に処方される。2型糖尿病集団のこのセグメントは大規模であり、世界中で合計8,000万人の患者を抱えて成長している(Garg et al.,2018)。Hendersonらによる研究は、インスリン依存性T2DM対象の73%が毎年低血糖エピソードを経験し、15%が重篤なエピソードを有することを報告した(Henderson,Allen,Deary,&Frier,2003)。
【0008】
治療は、典型的には、速効性炭水化物の摂取、グルカゴンの注射、又はグルカゴンパウダーの鼻吸入を伴う。しかしながら、これらの治療は、特に重度の低血糖エピソードには理想的ではなく、新しい療法選択肢が必要である。したがって、低血糖の治療のための新しいシステム及び方法が必要である。
【0009】
低血糖状態の治療のための迷走神経調節
いくつかの態様では、本開示は、低血糖迷走神経刺激(HVNS)のためのシステム及び方法を提供する。特定の実施形態では、本HVNSシステムは、連続的グルコースモニター(CGM)、腹腔枝に後迷走神経(PVN)頭蓋に取り付け可能な刺激電極/リード、療法的カスタマイズのための設定を変更するためのプログラマを有する閉ループ内の埋め込み可能なパルス生成器(IPG)を備える。
【0010】
いくつかの態様では、本開示はまた、低侵襲電極埋め込み方法を提供する。特定の実施形態では、本方法は、後迷走神経及び腹腔枝の視覚化を強化した最適な電極配置のための侵襲性の低い腹腔鏡技術を使用して、治療される対象に電極を埋め込むことを含む。これは、PVN上に正しい電極配置のために腹腔鏡下で腹腔枝を確実に位置させることによって達成することができる。
【0011】
いくつかの態様では、本開示は、HVNSのための様々な動作パラメータを提供する。特定の実施形態では、選択された動作パラメータを使用した本方法の実装形態は、対象における治療後約30分以内に、50mg/dLの制御されたクランプグルコースレベルから、血漿グルコースを少なくとも約20mg/dL増加させるのに有効である。
【0012】
いくつかの態様では、本開示は、迷走神経及び終末器官に対する刺激の安全性を提供する。本開示の例に提示される動物研究から、刺激又は肉眼的剖検の結果として、有害な行動又は器官損傷はほとんど又は全く観察されない。
【0013】
いくつかの態様では、対象における低血糖を治療するためのシステムは、(1)対象の後迷走神経(PVN)又はPVNの腹腔迷走神経枝上に配置され、対象の後迷走神経(PVN)又はPVNの腹腔迷走神経枝に電気信号を送達するように適合された少なくとも1つの電極と、(2)少なくとも1つの電極に動作可能に接続された埋め込み可能なパルス生成器であって、埋め込み可能なパルス生成器は、電力モジュール及びプログラム可能な療法送達モジュールを備え、プログラム可能な療法送達モジュールは、少なくとも1つの療法プログラムを送達するように構成されており、少なくとも1つの療法プログラムは、少なくとも1つの電極を介してPVNに印加される少なくとも1つの電気信号治療を含む、埋め込み可能なパルス生成器と、(3)通信システム、並びにプログラム可能なストレージ及び通信モジュールを備える、外部構成要素であって、プログラム可能なストレージ及び通信モジュールが、少なくとも1つの療法プログラムを記憶し、少なくとも1つの療法プログラムを埋め込み可能なパルス生成器に通信するように構成されている、外部構成要素と、(4)埋め込み可能なパルス生成器及び外部構成要素に動作可能に接続されたグルコースセンサであって、グルコースセンサが、対象の血漿グルコースを係属的に監視することと、所定の閾値レベルからの血漿グルコースの増加又は減少を検出することとを行うように構成された、グルコースセンサと、を備えており、埋め込み可能なパルス生成器が、対象の血漿グルコースが第1の所定の閾値以下であるときに、少なくとも1つの電気信号治療を送達するようにトリガされ、埋め込み可能なパルス生成器が、対象の血漿グルコースが第2の所定の閾値以上であるときに、少なくとも1つの電気信号治療を送達するのを停止し、少なくとも1つの電気信号治療が、約1Hz~約200Hzの周波数、約0.1msのステップでの約0.1ミリ秒(ms)~約10ミリ秒のパルス幅、及び約0.1mAのステップでの約0.1mA~約12mAのパルス振幅を有する電気信号パターンを含み、電気信号治療が、対象のPVNに対する神経刺激を開始するように構成されている。
【0014】
いくつかの実施形態では、対象における低血糖の治療方法は、本システムを使用して、対象の後迷走神経(PVN)又は対象のPVNの腹腔迷走神経枝に、少なくとも1つの電気信号治療を適用することを含む。
【0015】
別の例では、対象における低血糖を治療するためのシステムは、(1)第1の神経又は器官上に配置されるように、かつ電気信号を第1の神経又は器官に送達するように適合された第1の電極と、(2)任意選択的に、第2の神経又は器官上に配置されるように、かつ電気信号を第2の神経又は器官に送達するように適合された第2の電極と、(3)第1及び/又は第2の電極に動作可能に接続された埋め込み可能なパルス生成器であって、埋め込み可能なパルス生成器が、電力モジュール及びプログラム可能な療法送達モジュールを備え、プログラム可能な療法送達モジュールが、第1の療法プログラム及び任意選択的に第2の療法プログラムを含む少なくとも1つの療法プログラムを送達するように構成されており、第1の療法プログラムが、第1の電極を介して第1の神経又は器官に適用された第1の電気信号治療を含み、第2の療法プログラムが、第2の電極を介して第2の神経又は器官に適用された第2の電気信号治療を含み、第1及び/又は第2の電気信号が、それぞれ第1及び/又は第2の神経又は器官上の活動を開始するように各々構成されており、活動が、神経刺激又は神経ブロックである、埋め込み可能なパルス生成器と、(4)通信システム、並びにプログラム可能なストレージ及び通信モジュールを備える、外部構成要素であって、プログラム可能なストレージ及び通信モジュールが、少なくとも1つの療法プログラムを記憶し、少なくとも1つの療法プログラムを埋め込み可能なパルス生成器に通信するように構成されている、外部構成要素と、を備える。
【0016】
いくつかの実施形態では、対象における低血糖を治療する方法であって、(1)本明細書で説明するようなシステムを使用して、対象の第1の神経又は器官に第1の電気信号を印加することであって、第1の電気信号が、神経刺激又は神経ブロックを開始する、印加することと、(2)任意選択的に、システムを使用して、対象の第2の神経又は器官に第2の電気信号を印加することであって、第2の電気信号が、神経刺激又は神経ブロックを開始する、印加することと、を含む、方法。
【0017】
いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の電気信号が、第1及び/又は第2の標的神経又は器官上の活動をそれぞれ上方制御又は下方制御するように各々独立して構成されている。いくつかの実施形態では、第1及び第2の電気信号が、同時に、又は同期して、又は断続的に、又は実質的に同じ時間中に、又は実質的に異なる時間中に、又は調整された様式で印加される。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の電気信号治療が、それぞれ、第1の標的神経若しくは器官及び/又は第2の標的神経若しくは器官に連続的に各々適用される。ある特定の実施形態では、第1の電気信号は、上方制御又は刺激信号である。
【0018】
いくつかの実施形態では、上記方法が、対象の血漿グルコースを連続的に監視するように構成されたグルコースセンサを更に備えており、グルコースセンサが、埋め込み可能なパルス生成器及び外部構成要素に動作可能に接続されている。いくつかの実施形態では、グルコースセンサが、所定の閾値レベルからの血漿グルコースの増加又は減少を検出するように構成されている。いくつかの実施形態では、埋め込み可能なパルス生成器が、対象の血漿グルコースが第1の所定の閾値以下であるときに、第1及び/又は第2の電気的治療を送達するようにトリガされ、埋め込み可能なパルス生成器が、対象の血漿グルコースが第2の所定の閾値以上であるときに、第1及び/又は第2の電気的治療を送達することを停止する。
【0019】
いくつかの実施形態では、第1の神経又は器官及び第2の神経又は器官が、迷走神経、前迷走神経、後迷走神経、後神経の裂孔、迷走神経の肝枝、迷走神経の腹腔枝、内臓神経、腎神経、腎動脈、交感神経、圧受容器、舌咽神経、十二指腸、空腸、回腸、小腸、結腸、胃、食道、肝臓、脾臓、膵臓、及びそれらの組み合わせからなる群から各々独立して選択される。特定の実施形態では、第1の神経又は器官は、後迷走神経の腹腔枝である。
【0020】
いくつかの実施形態では、上記方法が、1型又は2型糖尿病を有する対象の血漿グルコースを連続的に監視するように構成されたグルコースセンサを更に備えており、グルコースセンサが、埋め込み可能なパルス生成器及び外部構成要素に動作可能に接続されている。少なくともこれらの例示的な実施形態では、グルコースセンサが、所定の閾値レベルからの血漿グルコースの増加又は減少を検出するように構成されている。関連した実施形態では、埋め込み可能なパルス生成器が、対象の血漿グルコースが第1の所定の閾値以下であるときに、第1及び/又は第2の電気的治療を送達するようにトリガされ、埋め込み可能なパルス生成器が、対象の血漿グルコースが第2の所定の閾値以上であるときに、第1及び/又は第2の電気的治療を送達することを停止する。
【0021】
上述した実施形態と同様に、1型又は2型糖尿病を有する対象が治療可能であり、第1の神経又は器官及び第2の神経又は器官が、迷走神経、前迷走神経、後迷走神経、後神経の裂孔、迷走神経の肝枝、迷走神経の腹腔枝、内臓神経、腎神経、腎動脈、交感神経、圧受容器、舌咽神経、十二指腸、空腸、回腸、小腸、結腸、胃、食道、肝臓、脾臓、膵臓、及びそれらの組み合わせからなる群から各々独立して選択される。特定の実施形態では、第1の神経又は器官は、後迷走神経の腹腔枝である。
【0022】
いくつかの実施形態では、第1の神経又は器官及び第2の神経又は器官は、異なる。いくつかの実施形態では、第1の電気信号が、肝神経の分岐点を中心とする迷走神経又は前迷走神経の肝枝に印加される。いくつかの実施形態では、第1の電気信号が、腹腔神経、肝臓、膵臓、若しくは両方の分岐点を中心とする迷走神経又は前迷走神経の腹腔枝に印加される。
【0023】
いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の電気信号が、オンタイム及びオフタイムを各々有し、オフタイムが、第1及び/又は第2の神経又は器官の活動の少なくとも部分的な回復を可能にするように選択される。いくつかの実施形態では、オンタイムが、約50mg/dL以下、約60mg/dL以下、約70mg/dL以下、約80mg/dL以下の血漿グルコースレベルの検出時に開始するように構成されている。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の電気信号治療が、約10分で血漿グルコースレベルを少なくとも約5mg/dL増加させるように構成されている。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の電気信号治療が、約20分で血漿グルコースレベルを少なくとも約10mg/dL増加させるように構成されている。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の電気信号治療が、約30分で血漿グルコースレベルを少なくとも約20mg/dL増加させるように構成されている。
【0024】
いくつかの実施形態では、第1の電気信号は、約0.01Hz~約200Hz、約0.1Hz~約100Hz、又は約1Hz~約20Hzの周波数を有する。他の実施形態では、第1の電気信号は、約200Hz~約10kHzの周波数を有する。
【0025】
いくつかの実施形態では、第2の電気信号は、約0.01Hz~約200Hz、約0.1Hz~約100Hz、又は約1Hz~約20Hzの周波数を有する。他の実施形態では、第2の電気信号は、約200Hz~約10kHzの周波数を有する。
【0026】
いくつかの実施形態では、第1の電気信号が、約0.01Hz~約200Hzの周波数を有し、第2の電気信号が、約200Hz~約10kHzの周波数を有する。
【0027】
いくつかの実施形態では、第1の電気信号及び/又は第2の電気信号が、信号パターンを各々独立して含み、各信号パターンが、約10マイクロ秒~約10,000マイクロ秒のパルス幅を有するパルスを含む。
【0028】
他の関連した実施形態では、第1及び/又は第2の電気信号のパルスが、単相パルス、又は二相パルス、又はそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の電気信号が、約30秒~約30分のオンタイムを各々独立して有する。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の電気信号が、約0.01mAmps~約20mAmpsの範囲の電流振幅を各々独立して有する。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の電気信号が、第1及び/又は第2の電気信号の印加の開始時又はその近くで、パルスの突然の開始、又は電流/電圧振幅の上昇、又は周波数の上昇、又はパルス幅の上昇、又はそれらの組み合わせを各々独立して含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の電気信号治療が、1日に複数回及び複数日にわたって断続的に適用されるように構成されており、第1及び/又は第2の電気信号が、第1の神経又は器官上の活動を上方制御するように選択された周波数を各々有し、かつオンタイム及びオフタイムを有し、オフタイムが、第1の神経又は器官の活動の少なくとも部分的な回復を可能にするように選択される。
【0030】
いくつかの実施形態では、プログラム可能なストレージ及び通信モジュールが、2つ以上の療法プログラムを記憶及び通信するように構成されており、各療法プログラムが、互いに異なり、通信のために選択されるように構成されている。
【0031】
いくつかの実施形態では、システムが、グルコースセンサに動作可能に接続された送信機を更に備え、送信機が、グルコースセンサによって生成されたデータを外部通信デバイスに通信するように構成されている。
【0032】
いくつかの実施形態では、通信システムが、アンテナ、blue tooth技術、無線周波数、Wi-Fi、光、音、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、通信システムが、少なくとも1つの療法プログラムのパラメータを外部通信デバイスに通信するように構成されている。
【0033】
いくつかの実施形態では、対象における低血糖を治療するためのシステムを作製する方法は、(1)第1の電極を埋め込み可能なパルス生成器に接続し、第1の電極を第1の神経又は器官に配置することと、(2)任意選択的に、第2の電極を埋め込み可能なパルス生成器に接続し、第2の電極を第2の神経又は器官に配置することと、(3)埋め込み可能なパルス生成器のプログラム可能な療法送達モジュールを、第1の電気信号治療及び任意選択的に第2の電気信号治療を含む少なくとも1つの療法プログラムを送達するように構成することであって、第1の電気信号治療が、第1の電極を介して第1の神経又は器官に適用されるように構成されており、第2の電気信号治療が、第2の電極を介して第2の神経又は器官に適用されるように構成されており、第1及び/又は第2の電気信号が、神経刺激又は神経ブロックを各々開始する、構成することと、(4)少なくとも1つの療法プログラムを記憶し、少なくとも1つの療法プログラムを埋め込み可能なパルス生成器に通信するように、外部構成要素のプログラム可能なストレージ及び通信モジュールを構成することと、を含む。
【0034】
選択された用語の定義及び解釈
「約」という用語は、別様で特定の値を与えられ得る等価物の程度を拡大又は制限することを意図していない。本開示の文脈における「約」という用語は、「約」という用語の直後に記載される値の10%(±10%)以内の値であって、この範囲内の任意の数値を含み、この範囲の上限(すなわち、+10%)に等しい値及びこの範囲の下限(すなわち、-10%)に等しい値を意味する。例えば、値「100」は、90と110とを含む、90~110の間の任意の数値を包含する(常に100%の上限を有する「100%」を除く)。
【0035】
いくつかの例では、1つ以上の構成要素は、本明細書では、「するように構成される」、「するように構成可能である」、「するように動作可能(operable/operative)」、「するように適合/適応可能である」、「することが可能である」、「に適合/適合する」などと言及され得る。当業者は、文脈が別段の要求をしない限り、そのような用語(例えば、「に構成される」)が、概して、アクティブ状態の構成要素及び/又は非アクティブ状態の構成要素及び/又はスタンバイ状態の構成要素を包含することができることを認識するであろう。
【0036】
本明細書で使用される「サイクル」は、電気信号の反復パターンの1つの反復を意味する。
【0037】
「刺激サイクル」は、特に、低周波刺激信号を指す。
【0038】
本明細書で使用される「同時に」は、概して、複数の電気信号が印加される状況において、少なくとも1つの期間において、複数の電気信号が同期して、又はほぼ同じときに印加されることを意味する。
【0039】
本明細書で使用される「デューティサイクル」は、1サイクルで神経に送達される時間電荷の割合を意味する。実施形態では、デューティサイクルは、パルス幅を減少させることによって、及び/又はパルス間に不活性位相を追加することによって、又はその両方によって修正することができる。
【0040】
本明細書で使用される場合の「周波数」は、ヘルツで測定される期間の逆数を意味する。
【0041】
本明細書で使用される場合、「高デューティサイクル」は、約76%以上のデューティサイクルを有する電気信号のパターンを指す。
【0042】
本明細書で使用される場合、「低デューティサイクル」は、約75%以下のデューティサイクルを有する信号のパターンを指す。
【0043】
本明細書で使用される場合、「高周波」は、概して、約200Hz以上の周波数を指す。本明細書で使用される場合、「高周波信号」は、概して、約200Hz以上の周波数を有するHFAC又はHFAVを指す。高周波信号は、特に、神経活動を下方調節又はブロックするために使用される。
【0044】
本明細書で使用される場合、「低周波」は、概して、約200Hz以下の周波数を指す。
【0045】
本明細書で使用される場合、「低周波信号」又は「低周波刺激信号」は、概して、199Hz以下の周波数を有する刺激信号を指す。刺激信号は、特に、神経活動を上方制御又は刺激するために使用される。
【0046】
本明細書で使用される場合、「HFAC」は、高周波交流を指す。
【0047】
本明細書で使用される場合、「HFAV」は、高周波交流電圧を指す。
【0048】
本明細書で使用される場合、「Hz」は、ヘルツを指す。
【0049】
本明細書で使用される場合、「オフタイム」は、電荷が神経に送達されていない期間を指す。実施形態では、オフタイムは、数秒及び/又は数分のオーダーである。
【0050】
「オンタイム」は、複数のマイクロ秒サイクル及び/若しくはミリ秒サイクル並びに/又は刺激サイクル及び/若しくは刺激活性位相が神経に適用される期間を指す。実施形態では、オンタイムは、数秒及び/又は数分のオーダーである。
【0051】
「期間」は、1つの充電位相及び1つの再充電位相の時間の長さを指し、1つ以上のパルス遅延を含み得る。「刺激期間」は、特に、低周波刺激信号における1つの充電位相及び1つの再充電位相の時間の長さを指す。刺激期間はまた、1つ以上のパルス遅延を含み得る。
【0052】
「パルス振幅」は、ベースラインに対するパルスのアンペア又は電圧の高さである。
【0053】
本明細書で使用される場合、「パルス遅延」は、任意の不要な電気信号が神経に送達されるのを回避することを意図して、神経との平行な電気経路を横断するインピーダンスが0オーム又はそれに近い期間の態様を指す。
【0054】
本明細書で使用される場合、「パルス幅」は、パルスの時間の長さを指す。
【0055】
本明細書で使用される場合、「ランプダウン」は、電気信号の印加の終了時の期間、又は信号のパルス振幅が減少する患者の神経への電気信号の異なるパターンの間の期間を指す。
【0056】
本明細書で使用される場合、「ランプアップ」は、印加される電気信号の開始時に、又は電気信号の異なるパターンの間で、療法のために所望される振幅に達するまで、パルス振幅を増加させることを指す。ランピングの開始振幅は、ブロックの電流/電圧閾値を下回り得る。
【0057】
本明細書で使用される場合、「療法サイクル」は、1つ以上のオンタイム及びオフタイムを含む別個の期間を指す。療法サイクル内のオンタイム及びオフタイムのパターンは、療法スケジュールを通して、反復的、非固定的、又は無作為であり得る。
【0058】
本明細書で使用される場合、「療法パラメータ」には、周波数、パルス幅、パルス振幅、オンタイム、オフタイム、及び電気信号のパターンが含まれるが、これらに限定されない。
【0059】
本明細書で使用される場合、「療法スケジュール」は、療法サイクルが開始される時刻、療法サイクルの数、療法サイクルのタイミング、及び週の少なくとも1日の療法サイクルの送達持続時間を指す。
【0060】
本明細書で使用される「神経」は、概して、神経枝、神経線維、幹、分岐点を含むがこれに限定されない、神経又はその任意の部分を包含する。
【0061】
「前迷走神経(AVN)」又は「前迷走神経幹」は、食道の前面に線維を分布させ、主に左迷走神経からの線維からなる。「後迷走神経(PVN)」又は「後迷走神経幹」は、主に食道の後面に分布する右迷走神経からの線維からなる。前迷走神経及び後迷走神経は、2つの異なる別個の神経である。
【0062】
本明細書で使用される「肝枝」は、横隔膜の下の前迷走神経の神経枝を指す。肝枝は、前迷走神経頭蓋から肝枝までの任意の区域を包含する。特に、肝枝は、膵臓から脳への求心性情報と、脳から膵臓への遠心性情報とを運ぶ。
【0063】
本明細書で使用される「腹腔枝」は、概して、横隔膜の下の後部迷走神経の神経枝を指す。腹腔枝は、後迷走神経頭蓋から腹腔枝までの任意の区域を包含する。特に、腹腔枝は、膵臓から脳への求心性情報と、脳から膵臓への遠心性情報とを運ぶ。
【0064】
本明細書で使用される「腹腔線維」は、膵臓と脳との間の迷走神経の長さ内を移動する求心性又は遠心性軸索を指す。求心性軸索は、膵臓から迷走神経の腹腔枝を通って移動し、次いで、そこで横隔膜の高さより下方の後迷走神経に移動する。求心性軸索は、次に胸腔に入り、主に右頸部に入る。求心性軸索は、次いで、脳幹に入り、シナプス接続を形成する。遠心性線維は、副交感神経系の一部である。遠心性線維の前神経節細胞体は、脳幹にあり、迷走神経の長さ(求心性線維と同様)を膵臓に近接してその神経節後ニューロンに移動する。
【0065】
本明細書で使用される「肝線維」は、肝臓と脳との間の迷走神経の長さ内を移動する求心性又は遠心性軸索を指す。求心性軸索は、肝臓から迷走神経の肝枝を通って移動し、次いで、そこで横隔膜の高さより下方の前迷走神経に移動する。求心性軸索は、次に胸腔に入り、主に左頸部に入る。求心性軸索は、次いで、脳幹に入り、シナプス接続を形成する。遠心性線維は、副交感神経系の一部である。遠心性線維の前神経節細胞体は、脳幹にあり、迷走神経の長さ(求心性線維と同様)を肝臓に近接してその神経節後ニューロンに移動する。
【0066】
範囲が提供される場合、その範囲は、両方の終点番号と、その間の全ての実数と、を含む。例えば、200Hz~25kHzの範囲は、例えば、201~25kHz、202~25kHz、並びに24,999Hz~200Hz、24,998Hz~200Hz、及び201Hz~24,999Hz、202Hz~24,998Hzを含む。
【0067】
ここで、同一の要素が全体を通して同一に付番号されている様々な図面を参照して、本開示の実施形態の内容をここで説明する。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【
図1】2型糖尿病性Zuckerラットにおける迷走神経の腹腔枝の刺激による経時的な血中グルコースの変化のグラフ図である。
【
図2】埋め込み可能なグルコースセンサが、迷走神経刺激を開始するために、パルス生成器と通信するシステムの概略図を示す。
【
図3】埋め込み可能なグルコースセンサが、まず、皮膚の外側に取り付けられた外部デバイスと通信し、次いで、迷走神経刺激を開始するために、パルス生成器と通信する、システムの概略図を示す。
【
図4】関心対象の分岐点を示す迷走神経の解剖学的構造、及び分岐点までの頭蓋が意味するもの。
【
図5】腹腔内の腹腔分岐点まで迷走神経頭蓋に位置決めされた小さいIPGの例。
【
図6】頸部腔内の腹腔分岐点までの迷走神経頭蓋に位置決めされた小さいIPGの例。
【
図7】腹腔内の腹腔分岐点まで迷走神経頭蓋に位置決めされた小さいIPGの例。
【発明を実施するための形態】
【0069】
ここで
図1を参照し、T2DM Zuckerラットモデルを使用してデータを取得し、迷走神経腹腔枝の刺激単独(1Hz 1mA、4msパルス幅)、又は腹腔の分岐点より上の後部迷走神経幹は、15分間で42mg/dLの血漿グルコースの有意な増加を引き起こすことを実証した。いくつかの実施形態では、この刺激は、膵臓のアルファ細胞からグルカゴンを放出して、血中グルコースを調節することを意図している。特定の理論に拘束されることを望まないが、血漿グルコースの増加を開始する連続的又は断続的な信号の能力が企図される。少なくともこれらの例示的な実施形態では、本システムは、標的神経にのみ刺激を提供するパラメータを含み得る。関連する実施形態では、刺激及びブロックは、対象における血中グルコースレベルの上昇及び低下の一貫した治療を可能にするために、組み合わせて使用され得る。
【0070】
図2~
図3を参照すると、HVNSシステムは、パルス生成器、迷走神経に配置されているリード、及び(血漿グルコースレベルを監視するための)埋め込み可能なグルコースセンサを含む。センササンプリングレートは、約1秒~10分である。
図2は、埋め込み可能なグルコースセンサが、迷走神経刺激を開始するために、パルス生成器と通信するシステムの概略図を示す。埋め込み可能なセンサは、低血漿グルコースレベルを検出し、パルス生成器をオンにするための信号を送信する。
図3は、埋め込み可能なグルコースセンサが、まず、皮膚の外側に取り付けられた外部デバイスと通信し、次いで、迷走神経刺激を開始するために、パルス生成器と通信する、システムの概略図を示す。
【0071】
パルス生成器とグルコースセンサとの間の通信は、blue tooth技術、無線周波数、Wi-Fi、光又は音を介して行うことができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、グルコースセンサは、皮膚の層の下にあり、無線通信に給電するために、バッテリを用いて皮膚の外側のデバイスに通信する。グルコースセンサと体外のデバイスとの間の通信は、blue tooth技術、無線周波数、Wi-Fi、光又は音を介して行うことができるが、これらに限定されない。次いで、皮膚の外側のデバイスは、blue tooth技術、無線周波数、Wi-Fi、光又は音を通して、パルス生成器と通信するが、これらに限定されない。埋め込み可能なグルコースセンサ、又は埋め込み可能なグルコースセンサと通信する外部デバイスは、スマートデバイス(アプリを実行している電話機など)と通信して、血漿グルコースレベルを表示し、血漿グルコースが安全でない低レベルに達したときにアラームを送信することもできる。スマートデバイスへの通信は、blue tooth技術、無線周波数、Wi-Fi、光又は音を介して行うことができるが、これらに限定されない。刺激パラメータは、0.01Hz~200Hzの周波数範囲、0.1mA~12mA又は0.1~12ボルトの電流又は電圧振幅範囲、0.1ミリ秒~10ミリ秒のパルス幅範囲を含む。刺激は、ミリ秒、秒から分までの範囲のバースト間隔で連続的又はバーストすることができる。
【0072】
刺激部位は、迷走神経の任意の区域を含む。これには、横隔膜下前迷走神経幹又は後迷走神経幹、並びに後迷走神経幹に由来する腹腔枝、前迷走神経幹に由来する副腹腔枝、又は前迷走神経幹に由来する肝枝などの横隔膜下迷走神経幹の枝が含まれる。刺激部位には、前胸迷走神経若しくは後胸迷走神経、又は左右の頸部迷走神経も含まれる。迷走神経刺激部位の任意の組み合わせが、含まれる。
【0073】
他の実施形態では、HVNSシステムは、グルコース送信機と直接通信するblue-tooth能力を組み込んだ一次細胞RNRと完全に閉じたループである。低デューティサイクルのオンデマンド刺激は、充電を必要とせずに、小さい一次細胞デバイスの使用を容易にし得る。CGM送信機は、スマートデバイスと通信し得、医師が、制御された2型糖尿病試験中に療法パラメータを最適化することを可能にする。
【0074】
少なくとも1つの例示的な実施形態では、低血糖を治療するシステムは、パルス生成器、迷走神経に配置されているリード、及び埋め込み可能なグルコースセンサを含む。センササンプリングレートは、約1秒~10分である。埋め込み可能なセンサは、低血中グルコースレベルを検出し、パルス生成器をオンにするための信号を送信する(
図2を参照)。パルス生成器とグルコースセンサとの間の通信は、Bluetooth(登録商標)技術、無線周波数、Wi-Fi、光又は音を介して行うことができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、グルコースセンサは、皮膚の層の下にあり、無線通信に給電するために、バッテリを用いて皮膚の外側のデバイスに通信する(
図3)。グルコースセンサと体外のデバイスとの間の通信は、blue tooth技術、無線周波数、Wi-Fi、光又は音を介して行うことができるが、これらに限定されない。次いで、皮膚の外側のデバイスは、Bluetooth(登録商標)技術、無線周波数、Wi-Fi、光又は音を通して、パルス生成器と通信するが、これらに限定されない。埋め込み可能なグルコースセンサ、又は埋め込み可能なグルコースセンサと通信する外部デバイスは、スマートデバイスと通信して、血中グルコースレベルを表示し、刺激が開始しようとした場合にアラームを送信することもできる。スマートデバイスへの通信は、blue tooth技術、無線周波数、Wi-Fi、光又は音を介して行うことができるが、これらに限定されない。刺激パラメータは、0.01Hz~200Hzの周波数範囲:0.1mA~12mA又は0.1~12ボルトの電流又は電圧振幅範囲、0.1ミリ秒~10ミリ秒のパルス幅範囲を含む。刺激は、ミリ秒、秒から分までの範囲のバースト間隔で連続的又はバーストすることができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、刺激パラメータ(周波数、電流/電圧振幅、パルス幅、若しくはバーストパターン)のうちの1つ以上、又は任意の組み合わせが、異なるグルコースレベルで変化し得る。例としては、血中グルコースがより軽度の低血糖状態(65mg/dLなど)に陥った場合に、より低い頻度を有することが挙げられる。ここでの刺激周波数は、低周波数、0.1~2Hzなどであり得るが、これらに限定されない。しかしながら、グルコースがより重度レベル(50mg/dLなど)に陥った場合、デバイスの出力は、限定されないが、2Hz以上(例えば、3~60Hz)などのより高い周波数となるであろう。異なるグルコースレベル間で変化する出力パラメータの組み合わせの例は、センサが軽度の低血糖事象(限定されるものではないが、65mg/dLなど)を検出するとき、0.1~2Hzなどの低周波数信号、及び0.1~2mA(又はボルト単位でこの範囲)などの低電流振幅を印加することである。しかしながら、センサがより重度の低血糖エピソード(限定されるものではないが、50mg/dLなど)を検出する場合、周波数は、限定されるものではないが、3~60Hzなどのより高い周波数となり、限定されるものではないが、2mA超及び12mA未満(又はボルト単位でこの範囲)などの、より高い電流振幅出力の組み合わせと組み合わされる。異なる刺激パラメータの任意の組み合わせが、グルコースセンサのレベルからの読み取りに応じて使用され得る。
【0076】
刺激パラメータ(周波数、電流/電圧振幅、パルス幅、又はバーストパターン)はまた、低血糖からの回復の過程で変化する可能性がある。グルコースが重度のレベル(50mg/dLなど)に陥ったときのより高い周波数出力(例えば、3~60Hz)など。次いで、周波数は、グルコースが安全なレベルに回復されるときの低血糖及び信号停止からの回復の過程で徐々に減少するであろう。回復中の刺激周波数の変化は、これに限定されないが、線形、指数関数、又は対数関数などの時間に対する周波数の変化に基づく関数であり得る。例えば、患者が重度の低血糖状態(50mg/dLなど)に達した場合、周波数は高く(3~60Hz)になり得、次いで、グルコースが安全なレベル(70mg/dLを上回る)になるまで、時間の経過とともに線形(又は非線形)の様式で減少し得る。周波数の変化はまた、回復中のグルコースレベル又はグルコースレベルの変化率に依存し得る。例えば、周波数は、2mg/dLのグルコースの増加ごとに2Hz減少し得る。信号出力の変化は、低血糖からの回復中の信号パラメータの任意の組み合わせであり得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、エピソード刺激期間中に周期的なオンタイム及びオフタイムがあり得る。オンタイムは、1秒~5分、オフタイムは、1秒~5分であり得る。
【0078】
ここで、刺激部位が、迷走神経の任意の区域を含むことを示す
図4を参照する。これらの部位には、後迷走神経幹から生じる腹腔枝、前迷走神経幹から生じる副腹腔枝、又は前迷走神経幹から生じる肝枝が含まれる。刺激部位はまた、迷走神経頭蓋から腹腔神経又は副腹腔神経の分岐点までの任意の区域を含み得る。また、迷走神経上に複数の刺激部位が存在し得る。
【0079】
低血糖治療のための刺激はまれであり得る(例:2回刺激エピソード/週、1回の刺激エピソード/1週間、1回の刺激エピソード/2週間、1回の刺激エピソード/月、2回の刺激エピソード/年、又は1回の刺激エピソード/年)、短い刺激エピソード持続時間(例:1分、5分、及び30分)で、低周波数(例:1Hz、5Hz及び10Hz)で、0.1ms~10msのパルス幅、並びに電流又は電圧振幅範囲:0.1mA~12mA又は0.1~12ボルトである。これは、1週間、1ヶ月、又は1年のオーダーで消費されるエネルギーであれば、ほとんど消費せず、小さいバッテリ及び小さい埋め込み可能なパルス生成器(IPG又は微小神経調節器)を可能にする。
【0080】
ここで、
図5~
図6を参照すると、小さいIPG(505、605)は、リードを必要とせず、かつ必要な埋め込み処置がより複雑でなく、神経上に直接位置決めされ得る。刺激パルスを神経に送達し、IPG上に直接位置決めされる導電電極(610)(
図6)。埋め込まれたパルス生成器(505、605)は、迷走神経の腹腔枝、副腹腔枝、又は迷走神経頭蓋の任意の区域に、腹腔又は副腹腔神経の分岐点まで配置することができる。これは、迷走神経の右及び/又は左の頸部側面を含み得る。いくつかの実施形態では、神経上に位置決めされたIPGは、神経上のIPG(505、605)の動きを低減させることを意図して、食道などの隣接する解剖学的特徴に固定されるであろう。
【0081】
ここで
図7を参照すると、微小神経調節器/IPG(705)は、皮膚の層の下のマイクロ皮下無線充電器(715)にワイヤ(720)で接続される。無線周波数信号、光、又は音などの体外からの信号は、デバイスを定期的に充電するために使用される。電極(複数可)(710)を介して神経上に位置決めされたIPG(705)は、非充電可能一次細胞デバイス又は充電可能デバイスであり得る。充電方法は、皮膚の層の上に位置決めされたコイルを用いた無線周波数(RF)信号の送達、及びマイクロ皮下無線充電器にエネルギーを送信することであり得る。
【0082】
低血糖は糖尿病患者だけに観察されるのではなく、腎不全、ある特定の腫瘍、肝疾患、甲状腺機能低下症、先天性代謝異常、重度の感染症、反応性低血糖、及びアルコール使用を含む多数の薬物などの他の疾患から発症する。提案されたデバイスは、これらの病状を有する患者における低血糖の治療に役立ち得る。
【0083】
参考文献
Garg,S.K.,Rewers,A.H.,& Akturk,H.K.2018.Ever-Increasing Insulin-Requiring Patients Globally.Diabetes Technol Ther,20(S2): S21-S24.
Henderson,J.N.,Allen,K.V.,Deary,I.J.,&Frier,B.M.2003.Hypoglycaemia in insulin-treated Type 2 diabetes: frequency, symptoms and impaired awareness.Diabet Med,20(12): 1016-1021.
McCrimmon,R.J.,&Sherwin,R.S.Hypoglycemia in type 1 diabetes.Diabetes,59(10): 2333-2339.
【0084】
上記の明細書、実施例、及びデータは、本発明の組成物の製造及び使用の完全な説明を提供する。本発明の多くの実施形態は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく行うことができるため、本発明は、以下に添付される特許請求の範囲に属する。
【0085】
以下の付番された条項は、本開示の更なる例示的な態様及び特徴を定義する。
1.対象における低血糖を治療するためのシステムであって、
第1の神経又は器官上に配置されるように、かつ電気信号を第1の神経又は器官に送達するように適合された第1の電極と、
任意選択的に、第2の神経又は器官上に配置されるように、かつ電気信号を第2の神経又は器官に送達するように適合された第2の電極と、
第1及び/又は第2の電極に動作可能に接続された埋め込み可能なパルス生成器であって、埋め込み可能なパルス生成器が、電力モジュール及びプログラム可能な療法送達モジュールを備え、プログラム可能な療法送達モジュールが、第1の療法プログラム及び任意選択的に第2の療法プログラムを含む少なくとも1つの療法プログラムを送達するように構成されており、第1の療法プログラムが、第1の電極を介して第1の神経又は器官に適用された第1の電気信号治療を含み、第2の療法プログラムが、第2の電極を介して第2の神経又は器官に適用された第2の電気信号治療を含み、第1及び/又は第2の電気信号が、それぞれ第1及び/又は第2の神経又は器官上の活動を開始するように各々構成されており、活動が、神経刺激又は神経ブロックである、パルス生成器と、
通信システム、並びにプログラム可能なストレージ及び通信モジュールを備える、外部構成要素であって、プログラム可能なストレージ及び通信モジュールが、少なくとも1つの療法プログラムを記憶し、少なくとも1つの療法プログラムを埋め込み可能なパルス生成器に通信するように構成されている、外部構成要素と、を備える、システム。
2.第1及び/又は第2の電気信号が、第1及び/又は第2の標的神経又は器官上の活動をそれぞれ上方制御又は下方制御するように各々独立して構成されている、条項1に記載のシステム。
3.第1及び第2の電気信号が、同時に、又は同期して、又は断続的に、又は実質的に同じ時間中に、又は実質的に異なる時間中に、又は調整された様式で印加される、条項1又は2に記載のシステム。
4.第1及び/又は第2の電気信号治療が、それぞれ、第1の標的神経若しくは器官及び/又は第2の標的神経若しくは器官に連続的に各々適用される、条項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
5.対象の血漿グルコースを連続的に監視するように構成されたグルコースセンサを更に備え、グルコースセンサが、埋め込み可能なパルス生成器及び外部構成要素に動作可能に接続されている、条項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
6.グルコースセンサが、所定の閾値レベルからの血漿グルコースの増加又は減少を検出するように構成されている、条項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
7.埋め込み可能なパルス生成器が、対象の血漿グルコースが第1の所定の閾値以下であるときに、第1及び/又は第2の電気的治療を送達するようにトリガされ、埋め込み可能なパルス生成器が、対象の血漿グルコースが第2の所定の閾値以上であるときに、第1及び/又は第2の電気的治療を送達することを停止する、条項6に記載のシステム。
8.第1の神経又は器官及び第2の神経又は器官が、迷走神経、前迷走神経、後迷走神経、後神経の裂孔、迷走神経の肝枝、迷走神経の腹腔枝、内臓神経、腎神経、腎動脈、交感神経、圧受容器、舌咽神経、十二指腸、空腸、回腸、小腸、結腸、胃、食道、肝臓、脾臓、膵臓、及びそれらの組み合わせからなる群から各々独立して選択される、条項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
9.第1及び/又は第2の電気信号が、オンタイム及びオフタイムを各々有し、オフタイムが、第1及び/又は第2の神経又は器官の活動の少なくとも部分的な回復を可能にするように選択される、条項1~8のいずれか一項に記載のシステム。
10.オンタイムが、約50mg/dL以下、約60mg/dL以下、約70mg/dL以下、約80mg/dL以下の血漿グルコースレベルの検出時に開始するように構成されている、条項9に記載のシステム。
11.第1及び/又は第2の電気信号治療が、約10分で血漿グルコースレベルを少なくとも約5mg/dL増加させるように構成されている、条項1~10のいずれか一項に記載のシステム。
12.第1及び/又は第2の電気信号治療が、約20分で血漿グルコースレベルを少なくとも約10mg/dL増加させるように構成されている、条項1~11のいずれか一項に記載のシステム。
13.第1及び/又は第2の電気信号治療が、約30分で血漿グルコースレベルを少なくとも約20mg/dL増加させるように構成されている、条項1~12のいずれか一項に記載のシステム。
14.第1の電気信号が、約0.01Hz~約200Hzの周波数を有する、条項1~13のいずれか一項に記載のシステム。
15.第1の電気信号が、約200Hz~約10kHzの周波数を有する、条項1~13のいずれか一項に記載のシステム。
16.第2の電気信号が、約0.01Hz~約200Hzの周波数を有する、条項1~15のいずれか一項に記載のシステム。
17.第2の電気信号が、約200Hz~約10kHzの周波数を有する、条項1~15のいずれか一項に記載のシステム。
18.第1の電気信号が、約0.01Hz~約200Hzの周波数を有し、第2の電気信号が、約200Hz~約10kHzの周波数を有する、条項1~13のいずれか一項に記載のシステム。
19.第1の電気信号及び/又は第2の電気信号が、信号パターンを各々独立して含み、各信号パターンが、約0.1マイクロ秒~約10,000マイクロ秒のパルス幅を有するパルスを含む、条項1~18のいずれか一項に記載のシステム。
20.第1及び/又は第2の電気信号のパルスが、単相パルス、又は二相パルス、又はそれらの組み合わせである、条項1~19のいずれか一項に記載のシステム。
21.第1及び/又は第2の電気信号が、約30秒~約30分のオンタイムを各々独立して有する、条項1~20のいずれか一項に記載のシステム。
22.第1及び/又は第2の電気信号が、約0.01mAmps~約20mAmpsの範囲の電流振幅を各々独立して有する、条項1~21のいずれか一項に記載のシステム。
23.第1及び/又は第2の電気信号が、第1及び/又は第2の電気信号の印加の開始時又はその近くで、パルスの突然の開始、又は電流/電圧振幅の上昇、又は周波数の上昇、又はパルス幅の上昇、又はそれらの組み合わせを各々独立して含む、条項1~22のいずれか一項に記載のシステム。
24.第1及び/又は第2の電気信号治療が、1日に複数回及び複数日にわたって断続的に適用されるように構成されており、第1及び/又は第2の電気信号が、第1の神経又は器官上の活動を上方制御するように選択された周波数を各々有し、かつオンタイム及びオフタイムを有し、オフタイムが、第1の神経又は器官の活動の少なくとも部分的な回復を可能にするように選択される、条項1~23のいずれか一項に記載のシステム。
25.プログラム可能なストレージ及び通信モジュールが、2つ以上の療法プログラムを記憶及び通信するように構成されており、各療法プログラムが、互いに異なり、通信のために選択されるように構成されている、条項1~24のいずれか一項に記載のシステム。
26.グルコースセンサに動作可能に接続された送信機を更に備え、送信機が、グルコースセンサによって生成されたデータを外部通信デバイスに通信するように構成されている、条項1~25のいずれか一項に記載のシステム。
27.通信システムが、アンテナ、blue tooth技術、無線周波数、Wi-Fi、光、音、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、通信システムが、少なくとも1つの療法プログラムのパラメータを外部通信デバイスに通信するように構成されている、条項1~26のいずれか一項に記載のシステム。
28.対象における低血糖を治療する方法であって、
条項1に記載のシステムを使用して、対象の第1の神経又は器官に第1の電気信号を印加することであって、第1の電気信号が、神経刺激又は神経ブロックを開始する、印加することと、
任意選択的に、条項1に記載のシステムを使用して、対象の第2の神経又は器官に第2の電気信号を印加することであって、第2の電気信号が、神経刺激又は神経ブロックを開始する、印加することと、を含む、方法。
29.第1及び第2の電気信号が、同時に、又は同期して、又は断続的に、又は実質的に同じ時間中に、又は実質的に異なる時間中に、又は調整された様式で印加される、条項28に記載の方法。
30.第1及び/又は第2の電気信号が、約10分で対象の血漿グルコースを少なくとも約5mg/dL増加させるように構成されている、条項28又は29に記載の方法。
31.第1及び/又は第2の電気信号治療が、約20分で血漿グルコースレベルを少なくとも約10mg/dL増加させるように構成されている、条項28~30のいずれか一項に記載の方法。
32.第1及び/又は第2の電気信号治療が、約30分で血漿グルコースレベルを少なくとも約20mg/dL増加させるように構成されている、条項28~31のいずれか一項に記載のシステム。
33.第1及び/又は第2の電気信号が、オンタイムの間、各々連続的に印加され、信号が神経又は器官に印加されないオフタイムが後続する、条項28~32のいずれか一項に記載の方法。
34.オンタイムが、血漿グルコースレベルが、約50mg/dL以下、約60mg/dL以下、約70mg/dL以下、約80mg/dL以下であるとき、1日に複数回適用される、条項28~33のいずれか一項に記載の方法。
35.オフタイムが、血漿グルコースレベルが、約80mg/dL以上、約90mg/dL以上、約100mg/dL以上、約110mg/dL以上であるとき、1日に複数回適用される、条項28~34のいずれか一項に記載の方法。
36.第1の電気信号が、約0.01Hz~約200Hzの周波数を有する、条項28~35のいずれか一項に記載の方法。
37.第1の電気信号が、約200Hz~約10kHzの周波数を有する、条項28~35のいずれか一項に記載の方法。
38.第2の電気信号が、約0.01Hz~約200Hzの周波数を有する、条項28~37のいずれか一項に記載の方法。
39.第2の電気信号が、約200Hz~約10kHzの周波数を有する、条項28~37のいずれか一項に記載の方法。
40.第1の電気信号が、約0.01Hz~約200Hzの周波数を有し、第2の電気信号が、約200Hz~約10kHzの周波数を有する、条項28~35のいずれか一項に記載の方法。
41.第1の神経又は器官及び第2の神経又は器官が、迷走神経、前迷走神経、後迷走神経、後神経の裂孔、迷走神経の肝枝、迷走神経の腹腔枝、内臓神経、腎神経、腎動脈、交感神経、圧受容器、舌咽神経、十二指腸、空腸、回腸、小腸、結腸、胃、食道、肝臓、脾臓、膵臓、及びそれらの組み合わせからなる群から独立して選択される、条項28~40のいずれか一項に記載の方法。
42.第1の神経又は器官及び第2の神経又は器官が、異なる、条項28~41のいずれか一項に記載の方法。
43.第1の電気信号が、肝神経の分岐点を中心とする迷走神経又は前迷走神経の肝枝に印加される、条項28~42のいずれか一項に記載の方法。
44.第1の電気信号が、腹腔神経の分岐点を中心とする迷走神経又は前迷走神経の腹腔枝に印加される、条項28~42のいずれか一項に記載の方法。
45.第1の電気信号が、肝臓、膵臓、又はその両方に印加される、条項28~42のいずれか一項に記載の方法。
46.第2の電気信号が、内臓神経、又は迷走神経の腹腔枝、又は膵臓に印加される、条項28~45のいずれか一項に記載の方法。
47.第2の電気信号が、方法に関与しない、条項28~45のいずれか一項に記載の方法。
48.グルコース制御を改善する薬剤を投与することを更に含む、条項28~47のいずれか一項に記載の方法。
49.薬剤が、インスリンの量を減少させる、及び/又はインスリンに対する細胞の感受性を減少させる、条項48に記載の方法。
50.対象における低血糖を治療するためのシステムを作製する方法であって、
第1の電極を埋め込み可能なパルス生成器に接続し、第1の電極を第1の神経又は器官に配置することと、
任意選択的に、第2の電極を埋め込み可能なパルス生成器に接続し、第2の電極を第2の神経又は器官に配置することと、
埋め込み可能なパルス生成器のプログラム可能な療法送達モジュールを、第1の電気信号治療及び任意選択的に第2の電気信号治療を含む少なくとも1つの療法プログラムを送達するように構成することであって、第1の電気信号治療が、第1の電極を介して第1の神経又は器官に適用されるように構成されており、第2の電気信号治療が、第2の電極を介して第2の神経又は器官に適用されるように構成されており、第1及び/又は第2の電気信号が、神経刺激又は神経ブロックを各々開始する、構成することと、
少なくとも1つの療法プログラムを記憶し、少なくとも1つの療法プログラムを埋め込み可能なパルス生成器に通信するように、外部構成要素のプログラム可能なストレージ及び通信モジュールを構成することと、を含む、方法。
51.第1及び/又は第2の電気信号が、それぞれ、第1及び/又は第2の標的神経又は器官上の活動を開始するように選択された周波数を各々有し、活動が、神経活動の上方制御又は下方制御である、条項50に記載の方法。
52.グルコースセンサを埋め込み可能なパルス生成器に接続することと、グルコースセンサを使用して対象の血漿グルコースレベルを監視又は検出することと、を更に含む、条項50又は51に記載の方法。
53.外部構成要素の通信システムを、少なくとも1つの療法プログラムのパラメータを外部通信デバイスに通信するように構成することを更に含む、条項50~52のいずれか一項に記載の方法。
54.送信機をグルコースセンサに接続して、グルコースセンサによって生成されたデータを外部通信デバイスに通信することを更に含む、条項50~53のいずれか一項に記載の方法。
55.第1及び/又は第2の電極が、腹腔鏡的アプローチを介して神経又は器官上に配置される、条項50~54のいずれか一項に記載の方法。
56.対象における低血糖を治療するためのシステムであって、
対象の神経又は器官上に配置され、電気信号を対象の神経又は器官に送達するように適合された少なくとも1つの電極と、
少なくとも1つの電極に動作可能に接続された埋め込み可能なパルス生成器であって、埋め込み可能なパルス生成器が、電力モジュール及びプログラム可能な療法送達モジュールを備え、プログラム可能な療法送達モジュールが、少なくとも1つの療法プログラムを送達するように構成されており、少なくとも1つの療法プログラムが、少なくとも1つの電極を介して神経又は器官に適用される少なくとも1つの電気信号治療を含む、パルス生成器と、
通信システム、並びにプログラム可能なストレージ及び通信モジュールを備える、外部構成要素であって、プログラム可能なストレージ及び通信モジュールが、少なくとも1つの療法プログラムを記憶し、少なくとも1つの療法プログラムを埋め込み可能なパルス生成器に通信するように構成されている、外部構成要素と、
埋め込み可能なパルス生成器及び外部構成要素に動作可能及び通信可能に接続されたグルコースセンサであって、グルコースセンサが、対象の血漿グルコースを継続的に監視することと、所定の閾値レベルからの血漿グルコースの増加又は減少を検出することとを行うように構成された、グルコースセンサと、を備え、
埋め込み可能なパルス生成器が、対象の血漿グルコースが第1の所定の閾値以下であるときに、少なくとも1つの電気信号治療を送達するようにトリガされ、埋め込み可能なパルス生成器が、対象の血漿グルコースが第2の所定の閾値以上であるときに、少なくとも1つの電気信号治療を送達するのを停止し、
少なくとも1つの電気信号治療が、対象の神経又は器官に対する神経刺激を開始するように構成されている、システム。
57.神経又は器官が、迷走神経、前迷走神経、後迷走神経、後神経の裂孔、迷走神経の肝枝、迷走神経の腹腔枝、内臓神経、腎神経、腎動脈、交感神経、圧受容器、舌咽神経、十二指腸、空腸、回腸、小腸、結腸、胃、食道、肝臓、脾臓、膵臓、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、条項56に記載のシステム。
58.神経が、対象の後迷走神経(PVN)、又はPVNの腹腔迷走神経枝である、条項56又は57に記載のシステム。
59.電気信号が、オンタイム及びオフタイムを有し、オフタイムが、神経又は器官の活動の少なくとも部分的な回復を可能にするように選択される、条項56~58のいずれか一項に記載のシステム。
60.オンタイムが、対象における約50mg/dL以下、約60mg/dL以下、約70mg/dL以下、約80mg/dL以下の血漿グルコースレベルの検出時に開始するように構成されている、条項59に記載のシステム。
61.オンタイムが、約30秒~約30分である、条項59又は60に記載のシステム。
62.少なくとも1つの電気信号治療が、約1Hz~約200Hz、又は約1Hz~約50Hz、又は約1Hz~約20Hz、又は約1Hz~約10Hz、又は約1Hz~約5Hz、又は約1Hz~約2Hzの周波数を有する電気信号パターンを含む、条項56~61のいずれか一項に記載のシステム。
63.電気信号パターンが、約0.1マイクロ秒のステップで、約0.1マイクロ秒~約10マイクロ秒のパルス幅を有する、条項56~62のいずれか一項に記載のシステム。
64.電気信号パターンが、約0.1mAのステップで、約0.1mA~約12mAのパルス振幅を有する、条項56~63のいずれか一項に記載のシステム。
65.少なくとも1つの電気信号のパルスが、単相パルス、又は二相パルス、又はそれらの組み合わせである、条項56~64のいずれか一項に記載のシステム。
66.少なくとも1つの電気信号が、電気信号の印加の開始時又はその近くで、パルスの突然の開始、又は電流/電圧振幅の上昇、又は周波数の上昇、又はパルス幅の上昇、又はそれらの組み合わせを更に含む、条項56~65のいずれか一項に記載のシステム。
67.少なくとも1つの電気信号治療が、1日に複数回及び複数日にわたって断続的に適用されるように構成されている、条項56~66のいずれか一項に記載のシステム。
68.少なくとも1つの電気信号治療が、対象の血漿グルコースを、約10分で少なくとも約5mg/dL、又は約20分で少なくとも約10mg/dL、約30分で少なくとも約20mg/dL、又は約45分で少なくとも約30mg/dL、又は約60分で少なくとも約40mg/dL増加させるように構成されている、条項56~67のいずれか一項に記載のシステム。
69.少なくとも1つの電気信号治療が、対象のグルカゴン分泌の増加を引き起こすように構成されている、条項56~68のいずれか一項に記載のシステム。
70.少なくとも1つの電気信号治療の適用が、対象のインスリン分泌の減少を引き起こすように構成されている、条項56~69のいずれか一項に記載のシステム。
71.グルコースセンサに動作可能に接続された送信機を更に備え、送信機が、グルコースセンサによって生成されたデータを外部通信デバイスに通信するように構成されている、条項56~70のいずれか一項に記載のシステム。
72.通信システムが、アンテナ、blue tooth技術、無線周波数、Wi-Fi、光、音、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、通信システムが、少なくとも1つの療法プログラムのパラメータを外部通信デバイスに通信するように構成されている、条項56~71のいずれか一項に記載のシステム。
73.高血圧の治療を必要とする対象において低血糖を治療する方法であって、
条項56~72のいずれか一項に記載のシステムを使用して、少なくとも1つの電気信号治療を、対象の後迷走神経(PVN)又は対象のPVNの腹腔迷走神経枝に適用することを含む、方法。
74.そのに印加される電気信号パターンが、約1Hz~約20Hzの周波数、約0.1マイクロ秒のステップでの約0.1マイクロ秒~約10マイクロ秒のパルス幅、及び約0.1mAのステップでの約0.1mA~約12mAのパルス振幅を有する、条項73に記載の方法。
75.少なくとも1つの電気信号治療の適用が、対象の血漿グルコースを、約60分で、少なくとも約5mg/dL、少なくとも約10mg/dL、少なくとも約20mg/dL、少なくとも約30mg/dL、少なくとも約40mg/dL、少なくとも約50mg/dL、少なくとも約60mg/dL、少なくとも約70mg/dL、少なくとも約80mg/dL、少なくとも約90mg/dL、又は少なくとも約100mg/dL増加させる、条項73又は74に記載の方法。
76.少なくとも1つの電気信号治療の適用が、対象におけるグルカゴン分泌の増加を引き起こす、条項73~75のいずれか一項に記載の方法。
77.少なくとも1つの電気信号治療の適用が、対象におけるインスリン分泌の減少を引き起こす、条項73~76のいずれか一項に記載の方法。
78.腹腔鏡アプローチを介して、神経又は器官上に少なくとも1つの電極を配置することを更に含む、条項73~77のいずれか一項に記載の方法。
【国際調査報告】