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特表2024-538424総細胞蓄積を増強するコンジュゲート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】総細胞蓄積を増強するコンジュゲート
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/64 20170101AFI20241010BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20241010BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241010BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20241010BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20241010BHJP
   A61K 51/08 20060101ALI20241010BHJP
   A61K 51/10 20060101ALI20241010BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20241010BHJP
   A61K 31/4745 20060101ALI20241010BHJP
   A61K 31/537 20060101ALI20241010BHJP
   C07K 16/30 20060101ALN20241010BHJP
   C07K 16/18 20060101ALN20241010BHJP
   C07K 19/00 20060101ALN20241010BHJP
【FI】
A61K47/64
A61K47/68
A61P35/00
A61P35/02
A61K45/00
A61K51/08 100
A61K51/08 200
A61K51/10 200
A61K51/10 100
A61K39/395 C
A61K39/395 D
A61K39/395 E
A61K39/395 L
A61K39/395 M
A61K39/395 N
A61K39/395 T
A61K39/395 Y
A61K31/4745
A61K31/537
C07K16/30 ZNA
C07K16/18
C07K19/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024546347
(86)(22)【出願日】2022-10-17
(85)【翻訳文提出日】2024-06-14
(86)【国際出願番号】 CA2022051527
(87)【国際公開番号】W WO2023065017
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】63/256,726
(32)【優先日】2021-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524148211
【氏名又は名称】ディフェンス セラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボードアン、シモン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC27
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF31
4C076FF68
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA12
4C084AA17
4C084MA05
4C084NA05
4C084NA10
4C084NA12
4C084NA13
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB271
4C084ZB272
4C084ZC781
4C085AA13
4C085AA14
4C085CC22
4C085CC23
4C085EE01
4C085EE05
4C085HH03
4C085KA04
4C085KA29
4C085KA36
4C085KB82
4C085LL18
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB22
4C086MA02
4C086MA05
4C086NA05
4C086NA10
4C086NA12
4C086NA13
4C086ZB26
4C086ZB27
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045BA71
4H045BA72
4H045DA76
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
本明細書は、コール酸(ChAc)またはそのバリアントなどのステロールバリアントに共有結合的に連結した核局在化配列(NLS)によって構成されるエンハンサー部分に共有結合的に連結したコンジュゲート化合物抗体に関する。本明細書に包含されるようなエンハンサー部分は、直接的な膜不安定化によって、またはエンドソーム-リソソーム膜を不安定化するROSおよびセラミドの産生によって間接的に、化合物コンジュゲートのエンドソーム回避を誘導することができる。コンジュゲート化合物は、ペイロードをさらに含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
核局在化配列(NLS)に共有結合的に連結した抗体を含むコンジュゲート化合物であって、前記NLSがステロールバリアントに共有結合的に連結されており、前記抗体がコール酸に連結したSV40ラージT抗原NLSに連結されていない、コンジュゲート化合物。
【請求項2】
前記ステロールバリアントが、コール酸(ChAc)またはそのバリアントである、請求項1に記載のコンジュゲート化合物。
【請求項3】
前記NLSが、単節型または双節型NLSである、請求項1または2に記載のコンジュゲート化合物。
【請求項4】
前記単節型NLSが、ChAc-SV40NLSを除く、ステロールバリアントに連結されたSV40NLSである、請求項3に記載のコンジュゲート化合物。
【請求項5】
前記NLSが非古典的なNLSである、請求項1~3のいずれか一項に記載のコンジュゲート化合物。
【請求項6】
前記ステロールバリアントが、前記コンジュゲート化合物のC末端部分またはN末端部分でコンジュゲートされている、請求項1~5のいずれか一項に記載のコンジュゲート化合物。
【請求項7】
前記非古典的なNLSが、疎水性PY-NLSまたは塩基性PY-NLSである、請求項6に記載のコンジュゲート化合物。
【請求項8】
前記抗体が、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体である、請求項1~7のいずれか一項に記載のコンジュゲート化合物。
【請求項9】
前記抗体が、マウス抗体、ヤギ抗体、ヒト抗体またはウサギ抗体である、請求項1~8のいずれか一項に記載のコンジュゲート化合物。
【請求項10】
前記抗体がヒト化抗体である、請求項1~9のいずれか一項に記載のコンジュゲート化合物。
【請求項11】
前記抗体が、単一特異性抗体、二重特異性抗体または多重特異性抗体である、請求項1~10のいずれか一項に記載のコンジュゲート化合物。
【請求項12】
前記抗体が、Fv、F(ab’)およびF(ab’)からなる群から選択されるエピトープ結合断片を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のコンジュゲート化合物。
【請求項13】
前記核局在化配列が、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、または配列番号14に示されるものである、請求項1~3および4~12のいずれか一項に記載のコンジュゲート化合物。
【請求項14】
前記ステロールバリアントが、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、リトコール酸、ウルソデオキシコール酸、グリココール酸、グリコケノデオキシコール酸、またはグリコウルソデオキシコール酸である、請求項1~13のいずれか一項に記載のコンジュゲート化合物。
【請求項15】
前記抗体がトラスツズマブ抗体である、請求項1~14のいずれか一項に記載のコンジュゲート化合物。
【請求項16】
前記抗体が、デルクステカンまたはDM1にコンジュゲートされている、請求項1~15のいずれか一項に記載のコンジュゲート化合物。
【請求項17】
前記抗体に共有結合的に連結したペイロードをさらに含む、請求項1~16のいずれか一項に記載のコンジュゲート化合物。
【請求項18】
前記ペイロードが放射性核種である、請求項17に記載のコンジュゲート化合物。
【請求項19】
前記放射性核種が、47Sc、51Cr、52mMn、55Co、58Co、52Fe、56Ni、57Ni、61Cu、62Cu、64Cu、67Cu、66Ga、68Ga、67Ga、72As、77As、89Zr、90Y、94mTc、99mTc、97Ru、105Rh、109Pd、111Ag、110In、111In、113mIn、114mIn、117mSn、121Sn、127Te、142Pr、143Pr、149Pm、151Pm、149Tb、153Sm、157Gd、161Tb、166Ho、165Dy、169Er、169Yb、175Yb、172Tm、177Lu、186Re、188Re、191Pt、197Hg、198Au、199Au、201Tl、203Pb、211At、212Bi、213Bi、11C、75Br、76Br、77Br、82Br、18F、120I、123I、124I、125I、131I、89Srおよび225Acのうちの少なくとも1種である、請求項18に記載のコンジュゲート化合物。
【請求項20】
前記ペイロードが小分子毒素である、請求項17に記載のコンジュゲート化合物。
【請求項21】
前記小分子毒素が化学療法剤である、請求項20に記載のコンジュゲート化合物。
【請求項22】
前記小分子毒素が、微小管破壊剤、RNAポリメラーゼ阻害剤としてのDNA標的化剤、トポイソメラーゼ阻害剤またはDNAアルキル化剤である、請求項20に記載のコンジュゲート化合物。
【請求項23】
前記小分子毒素が、ビンブラスチン、エムタンシン、モノメチルアウリスタチンEまたはデルクステカンである、請求項20に記載のコンジュゲート化合物。
【請求項24】
前立腺がん、乳がん、肝臓がん、胃がん、結腸がん、膵臓がん、卵巣がん、肺がん、腎臓がん、脳のがん、精巣がん、膠芽腫、肉腫、骨がん、頭頸部がん、皮膚がん、リンパ腫、白血病、結腸直腸がん、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、またはランゲルハンス細胞組織球症を処置および/または検出するための、請求項1~23のいずれか一項に記載のコンジュゲート化合物。
【請求項25】
前立腺がん、乳がん、肝臓がん、胃がん、結腸がん、膵臓がん、卵巣がん、肺がん、腎臓がん、脳のがん、精巣がん、膠芽腫、肉腫、骨がん、頭頸部がん、皮膚がん、リンパ腫、白血病、結腸直腸がん、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、またはランゲルハンス細胞組織球症を処置および/または検出するための、請求項1~23のいずれか一項に記載のコンジュゲート化合物の使用。
【請求項26】
前立腺がん、乳がん、肝臓がん、胃がん、結腸がん、膵臓がん、卵巣がん、肺がん、腎臓がん、脳のがん、精巣がん、膠芽腫、肉腫、骨がん、頭頸部がん、皮膚がん、リンパ腫、白血病、結腸直腸がん、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、またはランゲルハンス細胞組織球症を処置する医薬の製造における、請求項1~23のいずれか一項に記載のコンジュゲート化合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年10月18日に出願された米国仮出願第63/256,726号の優先権を主張するものであり、その内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本開示は、総細胞内蓄積を増強するコンジュゲート化合物に関する。
【背景技術】
【0003】
ヒトにおける治療またはイメージング用途用の分子を送達するための抗体-コンジュゲート(AC)の設計は、十分に進歩しており、ある特定の悪性腫瘍における臨床的有効性を実証し、標準的な化学療法または放射線で生じる全身毒性を軽減している。
【0004】
ACは、ヒトにおける治療またはイメージング用途のために、がん細胞に対して選択的に薬物のペイロードを送達することに成功している。しかしながら、AC技術は、放射性同位体または細胞傷害性薬物を伴う抗体の形態であるか否かにかかわらず、改善されたより広範ながん管理のために、より効果的で広く適用可能な医薬品に発展することが依然として期待されている。
【0005】
抗体-薬物コンジュゲート(ADC)による細胞内薬物蓄積の普遍的な土台は、その細胞内在化経路に依存している。いったん標的抗原に結合すると、ADCは内在化され、エンドソーム内に捕捉され、リソソームに移送される。リソソームは、一連の消化酵素を含み、小胞膜融合を介してエンドソームによって輸送されたタンパク質を受け取り、活性な薬物の代謝物の放出をもたらす、膜で囲まれたオルガネラである。これらの代謝物の細胞内蓄積は、細胞傷害性の効力と直接相関する。この依存関係は、ADCを現在悩ませるものであり、ADCがそれらの完全な潜在能力を達成することを妨げる。がん細胞は、薬物排出ポンプの発現を増加させ、標的受容体の発現を減少させることによってADCに対して応答する。受容体のリサイクリング経路およびがん細胞によるそれらの増加した使用は、内在化したADCの細胞内蓄積を減少させることにも関与している。本質的に、この分野は、細胞内蓄積のための非効率的なプロセスに長年依存しており、この問題に直接対処する研究はない。したがって、これらの細胞内経路における捕捉を避けることは、輸送された薬物の細胞蓄積を改善し、ADCの活性を最大化するための重要な領域である。
【0006】
細胞膜透過性ペプチドを用いたモノクローナル抗体(mAb)の機能化は、細胞をこれらのタイプのACで処理した場合、細胞内蓄積の顕著な増加をもたらした。しかしながら、ACの細胞蓄積におけるこの進歩は、主に、mAbが、さもなければ抗体が標的化するために利用できないであろう細胞内の特定の分子にアクセスし、標的化することを可能にするためのものであった。細胞表面のがん特異的受容体に対する治療剤としての細胞膜透過性ペプチドを備えたACを利用しようとする少数の報告のうち、すべてが非標的細胞または組織における高い蓄積に悩まされており、したがって標的化送達のためのそれらの適用は限定されている。
【0007】
pH感受性ポリマーを用いて機能化されたACによる最近の進歩は、標的細胞の選択性を維持しながらエンドソームを逃れて細胞質に入る優れた能力を示している。しかしながら、これらのACによる回避の増加が細胞内蓄積の増加に対応するかどうかはまだ判定されていない。
【0008】
最近の別の進歩は、区画局在化アミノ酸を有するペプチドを付着させることによって、ACに多選択的な標的化を達成させることである。特に、SV-40ラージT抗原からの核局在化シグナル(NLS)配列は、合成ペプチドに前もって組み込まれ、タンパク質にコンジュゲートされ、核内へのタンパク質の輸送を指示する能力を実証した。最適化されたNLS配列は25アミノ酸長であるが、mAb 7G3を、核移行に十分なNLS(下線)のセグメントを有する13merのペプチド(CGYGPKKKRKVGG)にコンジュゲートした。この短い配列の利点は、それが細胞に透過せず、mAbが細胞選択性を維持することを可能にすることである。7G3-NLSを使用して、放射性同位体カーゴのインジウム-111(111In)を核内に送達した。111Inによる分子損傷は、エネルギーのあるオージェ電子の放出によるものである。それらはナノメートル-マイクロメートルの距離しか移動しないので、核内に送達されるとより効果的である。残念なことに、細胞傷害性は、標準111In-7G3と比較して圧倒的ではなく、示唆された証拠は、エンドソーム-リソソーム経路および/またはリサイクリング経路における捕捉によって引き起こされる有効でない核局在化によるものであった。
【0009】
最近、Leyton JVおよびBeaudoin S(WO2017/156630)は、SV40ラージT抗原NLS(配列番号1)のN末端システインのアミンへのChAc分子の化学反応による付加が、エンドソーム-リソソーム捕捉からの脱出ならびにその核局在化および蓄積を誘導することによって、ペプチドが新しい細胞内および核エンハンサー送達機能を獲得することを可能にすることを示した。しかしながら、ChAc-SV40ラージT抗原を抗体に付加すると、抗体の溶解度、安定性、生体内分布および薬物動態の変更が誘導されることも観察された。そこで実証されている唯一の組合せは、SV40ラージT抗原(配列番号1に示される)コール酸の組合せである。異なる胆汁酸がそれぞれ異なる活性を有することは周知である。この差次的活性を示す最良の例は、炎症促進因子として分類される胆汁酸の一部であり、その一方で、他の胆汁酸が抗炎症活性を有することが知られている。
【0010】
したがって、エンドソーム-リソソーム経路および/またはリサイクリング経路の捕捉を回避するのに効果的なAC細胞内エンハンサー送達剤を提供することが依然として必要である。
【発明の概要】
【0011】
本明細書によれば、核局在化配列(NLS)に共有結合的に連結した抗体を含むコンジュゲート化合物が提供され、前記NLSは、ステロールバリアントに共有結合的に連結されており、前記抗体は、コール酸(ChAc)に連結したSV40ラージT抗原NLSに連結されていない。一実施形態では。ステロールバリアントは、コール酸(ChAc)またはそのバリアントである。
【0012】
別の実施形態では、NLSは、ChAc以外のステロールバリアントと組み合わされたSV40ラージT抗原NLSである。
【0013】
一実施形態では、ステロールバリアントは、本明細書で提供されるように、コンジュゲート化合物のC末端またはN末端部分に配置され得る。
【0014】
別の実施形態では、NLSは、SV40 NLS以外のNLSである。
【0015】
さらなる実施形態では、NLSは、単節型(monopartite)または双節型(bipartite)NLSである。
【0016】
別の実施形態では、NLSは非古典的なNLSである。
【0017】
一実施形態では、非古典的なNLSは、疎水性PY-NLSまたは塩基性PY-NLSである。
【0018】
一実施形態では、抗体は、モノクローナルまたはポリクローナル抗体である。
【0019】
一実施形態では、抗体は、単一特異性、二重特異性または多重特異性抗体である。
【0020】
さらなる実施形態では、抗体は、マウス抗体、ヤギ抗体、ヒト抗体またはウサギ抗体である。
【0021】
一実施形態では、抗体はヒト化抗体である。
【0022】
別の実施形態では、抗体は、Fv、F(ab’)およびF(ab’)からなる群から選択されるエピトープ結合断片を含む。
【0023】
さらなる実施形態では、核局在化配列は、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、または配列番号14に示されるものである。
【0024】
別の実施形態では、コール酸バリアントは、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、リトコール酸、ウルソデオキシコール酸、グリココール酸、グリコケノデオキシコール酸、またはグリコウルソデオキシコール酸である。
【0025】
別の実施形態では、抗体はトラスツズマブ抗体である。一実施形態では、前記抗体は、デルクステカン(トポイソメラーゼ阻害剤)またはDM1(微小管阻害剤)薬物にコンジュゲートされている。
【0026】
さらなる実施形態では、コンジュゲート化合物は、抗体に共有結合的に連結したペイロードをさらに含む。
【0027】
別の実施形態では、ペイロードはイメージング分子である。
【0028】
一実施形態では、ペイロードは、蛍光分子、IRMイメージング剤または放射性核種である。
【0029】
一実施形態では、蛍光分子は、4,4-ジフルオロ-8-(4-カルボキシフェニル)-1,3,5,7-テトラメチル-4-ボラ-3a,4a-ジアザ-s-インダセン(BODIPY)である。
【0030】
別の実施形態では、放射性核種は、イメージングおよび/または治療用放射性核種である。
【0031】
一実施形態では、放射性核種は、47Sc、51Cr、52mMn、55Co、58Co、52Fe、56Ni、57Ni、61Cu、62Cu、64Cu、67Cu、66Ga、68Ga、67Ga、72As、77As、89Zr、90Y、94mTc、99mTc、97Ru、105Rh、109Pd、111Ag、110In、111In、113mIn、114mIn、117mSn、121Sn、127Te、142Pr、143Pr、149Pm、151Pm、149Tb、153Sm、157Gd、161Tb、166Ho、165Dy、169Er、169Yb、175Yb、172Tm、177Lu、186Re、188Re、191Pt、197Hg、198Au、199Au、201Tl、203Pb、211At、212Bi、213Bi、11C、75Br、76Br、77Br、82Br、18F、120I、123I、124I、125I、131I、89Srおよび225Acのうちの少なくとも1種である。
【0032】
別の実施形態では、ペイロードは小分子毒素である。
【0033】
一実施形態では、小分子毒素は化学療法剤である。
【0034】
別の実施形態では、小分子毒素は、微小管破壊剤、RNAポリメラーゼ阻害剤としてのDNA標的化剤またはトポイソメラーゼ阻害剤である。
【0035】
さらなる実施形態では、小分子毒素は、ビンブラスチン、エムタンシン、モノメチルアウリスタチンE、またはデルクステカンである。
【0036】
追加の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲート化合物は、前立腺がん、乳がん、肝臓がん、胃がん、結腸がん、膵臓がん、卵巣がん、肺がん、腎臓がん、脳のがん、精巣がん、膠芽腫、肉腫、骨がん、頭頸部がん、皮膚がん、リンパ腫、白血病、結腸直腸がん、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、またはランゲルハンス細胞組織球症を検出するためのものである。
【0037】
一実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲート化合物は、前立腺がん、乳がん、肝臓がん、胃がん、結腸がん、膵臓がん、卵巣がん、肺がん、腎臓がん、脳のがん、精巣がん、膠芽腫、肉腫、骨がん、頭頸部がん、皮膚がん、リンパ腫、白血病、結腸直腸がん、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、またはランゲルハンス細胞組織球症を処置するためのものである。
【0038】
前立腺がん、乳がん、肝臓がん、胃がん、結腸がん、膵臓がん、卵巣がん、肺がん、腎臓がん、脳のがん、精巣がん、膠芽腫、肉腫、骨がん、頭頸部がん、皮膚がん、リンパ腫、白血病、結腸直腸がん、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、またはランゲルハンス細胞組織球症を処置するための、本明細書に記載されているようなコンジュゲート化合物の使用も、本明細書で提供される。
【0039】
前立腺がん、乳がん、肝臓がん、胃がん、結腸がん、膵臓がん、卵巣がん、肺がん、腎臓がん、脳のがん、精巣がん、膠芽腫、肉腫、骨がん、頭頸部がん、皮膚がん、リンパ腫、白血病、結腸直腸がん、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、またはランゲルハンス細胞組織球症を処置する医薬の製造における、本明細書に記載されているようなコンジュゲート化合物の使用が、本明細書でさらに提供される。
【0040】
前立腺がん、乳がん、肝臓がん、胃がん、結腸がん、膵臓がん、卵巣がん、肺がん、腎臓がん、脳のがん、精巣がん、膠芽腫、肉腫、骨がん、頭頸部がん、皮膚がん、リンパ腫、白血病、結腸直腸がん、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、またはランゲルハンス細胞組織球症を検出するための、本明細書に記載されているようなコンジュゲート化合物の使用が、本明細書に追加で提供される。
【0041】
本明細書に記載されているようなコンジュゲート化合物を対象に投与することを含む、前記対象における前立腺がん、乳がん、肝臓がん、胃がん、結腸がん、膵臓がん、卵巣がん、肺がん、腎臓がん、脳のがん、精巣がん、膠芽腫、肉腫、骨がん、頭頸部がん、皮膚がん、リンパ腫、白血病、結腸直腸がん、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、またはランゲルハンス細胞組織球症を処置および/または検出する方法も、本明細書で提供される。
【0042】
一実施形態では、対象は、ヒトまたは動物である。
【0043】
本明細書で定義されるコンジュゲート化合物およびペイロードを含む組成物も提供される。
【0044】
一実施形態では、組成物はキャリアをさらに含む。
【0045】
ここで、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】抗体(リガンド)が、ステロール誘導体に化学的に連結した核局在化シグナル(NLS)によって構成されるエンハンサーに対する中心構成成分であり、ペイロードがそれに共有結合的に連結されている、本明細書に包含されるコンジュゲート化合物の概略図を示す。
【0047】
図2】Accum-TDM1バリアントの細胞傷害性アッセイのグラフを示す。
【0048】
図3】Accum-T-デルクステカンバリアントの細胞傷害性アッセイのグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
エンドソーム回避および細胞取込みの増強を関係付けるための、迅速に内在化する受容体に特異的な化合物コンジュゲートの新規設計が提供される。より具体的には、コール酸(ChAc)またはそのバリアントなどのステロールバリアントに共有結合的に連結した核局在化配列(NLS)によって構成されるエンハンサー部分に共有結合的に連結した抗体を含む、コンジュゲート化合物が提供される。本明細書に包含されるようなエンハンサー部分は、直接的な膜不安定化によって、またはエンドソーム-リソソーム膜を不安定化するROSおよびセラミドの産生によって間接的に、化合物コンジュゲートのエンドソーム回避を誘導することができる。
【0050】
したがって、ChAc-SV40ラージT抗原NLS(配列番号1)を除く、ステロールバリアントに共有結合的に連結した核局在化配列(NLS)に共有結合的に連結した抗体を含む、コンジュゲート化合物が提供される。
【0051】
各胆汁酸は薬物製剤に対して異なる影響を及ぼし得、バイオアベイラビリティおよび特定の組織への送達の増加をもたらさない可能性があることが知られている。さらに、SV40ラージT抗原配列は、他の組合せが所望の細胞内および核送達活性を獲得するだろうか明らかではないので、他のいずれのNLS配列についても予測可能ではない。
【0052】
一実施形態では、コンジュゲート化合物は、抗体に共有結合的に連結したペイロードをさらに含む。
【0053】
一実施形態では、ステロールバリアントは、本明細書で提供されるように、コンジュゲート化合物のC末端またはN末端部分に配置され得る。
【0054】
このように、本明細書に記載されるようなコンジュゲート化合物、ペイロード、およびキャリアを含む組成物が提供される。
【0055】
例えば、エンドソーム-リソソーム系内での捕捉から脱出し、続いて核に移行するコンジュゲート化合物が提供される。
【0056】
コンジュゲート化合物の例としては、限定されないが、抗体、オリゴヌクレオチド、アンチセンス、薬物、またはsiRNA分子が挙げられ、哺乳動物膜を透過することができない、細胞内標的を有するいかなる小分子および生物学的なものも排除されない。
【0057】
一実施形態では、抗体は、モノクローナルまたはポリクローナル抗体である。
【0058】
一実施形態では、抗体は、単一特異性、二重特異性または多重特異性抗体である。
【0059】
別の実施形態では、抗体は、マウス抗体、ヤギ抗体、ヒト抗体またはウサギ抗体、またはヒト化抗体である。
【0060】
また、本明細書に包含されるように、抗体は、例えばFv、F(ab’)、および/またはF(ab’)などのエピトープ結合断片を含み得る。
【0061】
一実施形態では、ステロールバリアントの付着を包含する。ステロールバリアントに関する「バリアント」という用語は周知である。胆汁酸コアは、ステロール分子に基づく。コール酸は、肝臓細胞で合成される一次胆汁酸であり、それは、さらに処理されて二次胆汁酸またはコール酸のバリアント、例えばデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸またはリトコール酸などを生成する。本明細書に包含されるようなコール酸バリアントは、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、リトコール酸、ウルソデオキシコール酸、グリココール酸、グリコケノデオキシコール酸、および/またはグリコウルソデオキシコール酸であり得る。
【0062】
抗体の効率的なエンドソーム回避および核局在化を可能にする、NLSおよびChAC(ChAcNLS)のコンジュゲーションである。胆汁酸は、エンドソームのインナーリーフレットに豊富に存在するスフィンゴミエリンを切断する酵素、酸性スフィンゴミエリナーゼの引き金となる。セラミドの量の増加は、タンパク質が通過するのに十分なチャネルまたは脂質フリップフロップを形成することによって膜を不安定化し、したがって、ChAcのNLSへの連結は、抗体コンジュゲートの効力を増加させることによって、本出願で実証されるように、mAbが効率的に核に局在化することを可能にし、封入された中でさらに探索した。したがって、核に局在化するコンジュゲート化合物の効率は、NLSの配列だけでなく、エンドソーム/リソソーム捕捉からの回避を誘導するためのChAcなどの胆汁酸へのコンジュゲーションにも依存する。
【0063】
このように、核局在化配列(NLS)に共有結合的に連結した抗体を含むコンジュゲート化合物が開示され、前記NLSはコール酸(ChAc)またはそのバリアントに共有結合的に連結しており、前記NLSは、ChAc-SV40NLSを除く、古典的な核局在化配列(単節-双節型)、疎水性PY-NLSまたは塩基性PY-NLS、核小体局在化シグナルである。
【0064】
本明細書に包含されるように、コンジュゲートされるNLSは、古典的な核局在化配列であり得る。あるいは、疎水性PY-NLSおよび塩基性PY-NLSも包含される。一実施形態では、NLSは、PQBP1 NLS(配列番号2)、hnRNPA1(配列番号3)、GWG-SV40 NLS(配列番号4)、NLS2 RPS1(配列番号5)、NLS1 RPS17(配列番号6)、NLS3 RPS17(配列番号7)、ヌクレオプラスミンNLS(配列番号8)、cMyc NLS(配列番号9)、TUS NLS(配列番号10)、hnRNP D NLS(配列番号11)、hnRNP M NLS(配列番号12)、HuR NLS(配列番号13)、および/またはNLS2-RG RPS17(配列番号14)である。
【0065】
さらに包含されるように、NLSは、ChAc以外のステロールバリアント、例えば、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、リトコール酸、ウルソデオキシコール酸、グリココール酸、グリコケノデオキシコール酸、またはグリコウルソデオキシコール酸などにコンジュゲートしたSV40NLSであり得る。
【0066】
非細胞膜透過性であり、SV-40ラージT抗原由来の古典的なNLSのセグメント(下線)を有する13merペプチド(CGYGPKKKRKVGG;配列番号1)は、抗CD123(IL-3Rα)抗体(7G3)およびそのキメラバージョン(CSL360)に以前にコンジュゲートされている(Leytonら、2011、J Nucl Med、52:1465~1473)。コンジュゲートされたインジウム-111(111In)を輸送する、NLS-7G3およびNLS-CSL360を使用して、核に送る能力を評価した。NLS配列の存在にもかかわらず、核に送達された放射能の割合は非常に低く、放射能の大部分は細胞表面または細胞質に残った(Zerashkianら、2014、Nucl Med Biol、41:377~383)。このように、111In-NLSCSL360は、エンドソーム内に捕捉されたままであった。
【0067】
その内容全体が本明細書に組み込まれるWO2017/156630には、SV40ラージT抗原由来の核局在化配列(NLS)のセグメントを含むペプチドCGYGPKKKRKVGG(配列番号1)にカップリングされた、コール酸のカップリングが開示されている。
【0068】
本明細書で提供されるように、WO2017/156630に記載の方法に従って合成された、表1に列挙したようなコンジュゲート(「Accum」)ペプチドバリアント。単一のチューブにおいて、各Accumペプチドバリアントのコンジュゲーションのために、少なくとも2mgのTDM1をプールした。例えば、10種のAccumペプチドバリアントのコンジュゲーション反応物を同時に調製する場合、20mgのTDM1を単一のチューブに分注した。10倍過剰のSM(PEG)4クロスリンカーを添加し、室温で1時間インキュベートした。最初の1時間のステップ反応の後、少なくとも2mgのTDM-PEG4-マレイミドを、第2のステップ反応、Accumペプチドバリアントの付加のために異なるチューブに分注した。10倍過剰の選択されたAccumペプチドバリアントを、室温で1時間または4℃でのO/Nで各チューブ反応物に添加した。未反応のクロスリンカーおよびAccumペプチドバリアントを、G25 Sephadexおよび100kDaカットオフフィルタによって除去した。Accum-TDM1バリアント低DAR構築物を0.22umフィルタに通して、すべての潜在的な凝集物または汚染物質を除去した。
【表1-1】

【表1-2】
【0069】
上記のAccum構築物の合成後、細胞傷害性アッセイを実施した。0日目に、ウェルあたり5000個のJIMT-1細胞を、96ウェルプレートにプレーティングした。1日目に、細胞を、TDM1または各Accum-TDM1バリアントを用いて、0~100ug/mlの濃度で処理した。細胞を、37Cで72時間インキュベートした。細胞生存率を求めるために、製造業者のプロトコルに従ってPrestoblueアッセイを使用した。
【表2】

【表3】

【表4】
【0070】
図2および表2に見られるように、各Accumバリアント構築物は、TDM1の細胞傷害性を増加させる。0.1ug/mlおよび1ug/mlのTDM1の濃度では、それぞれ5%および34%のみの細胞死が観察されたが、Accum-TDM1構築物を用いると、細胞傷害性は、0.1ug/mlで11~34%増加し、36%~88%の細胞死を増加させる(表2)。図2では、Accum-TDM1構築物と同じ有効性で細胞死を誘導するためには、より高い濃度のTDM1が必要であることが明らかに観察されている。要約すると、各Accumバリアント低DAR構築物(抗体あたり1~3個のAccum部分)は、TDM1の細胞傷害性を2~10倍増加させる。
【表5】
【0071】
図3および表3に見られるように、各Accumバリアント構築物は、T-デルクステカンの細胞傷害性を増加させる。0.001ug/mlおよびug/mlの0.1T-デルクステカンの濃度では、それぞれ87%および54%のみの細胞死が観察されたが、Accum-T-デルクステカン構築物を用いると、それぞれ細胞傷害性は、63~84%増加し、43~51%の細胞死を増加させる(表3)。図3では、Accum-T-デルクステカン構築物と同じ有効性で細胞死を誘導するためには、より高い濃度のT-デルクステカンが必要であることが明らかに観察されている。要約すると、各Accumバリアント低DAR構築物(抗体あたり1~3個のAccum部分)は、T-デルクステカンの細胞傷害性を2~10倍増加させる。
【0072】
したがって、本明細書に記載されるようなコンジュゲートされた、抗体、例えば、乳がん系におけるトラスツザマブ(Trastuzamab)など、限定されないが、または小分子が提供される。
【0073】
また、本明細書に包含されるように、限定されないが、本明細に包含されるペイロードは、本明細書に記載の化合物にコンジュゲートされる放射性核種であり、それは、47Sc、51Cr、52mMn、55Co、58Co、52Fe、56Ni、57Ni、61Cu、62Cu、64Cu、67Cu、66Ga、68Ga、67Ga、72As、77As、89Zr、90Y、94mTc、99mTc、97Ru、105Rh、109Pd、111Ag、110In、111In、113mIn、114mIn、117mSn、121Sn、127Te、142Pr、143Pr、149Pm、151Pm、149Tb、153Sm、157Gd、161Tb、166Ho、165Dy、169Er、169Yb、175Yb、172Tm、177Lu、186Re、188Re、191Pt、197Hg、198Au、199Au、201Tl、203Pb、211At、212Bi、213Bi、11C、75Br、76Br、77Br、82Br、18F、120I、123I、124I、125I、131I、89Srおよび225Acから選択される。さらに、本明細書に記載されているようなコンジュゲートされた化学治療薬、例えばDM1(メルタンシン)およびデルクステカンも包含されるが、これらに限定されない。
【0074】
したがって、一実施形態では、エンドソーム捕捉から脱出するためにこの複合体を機能化し、核に送り、細胞内蓄積を増強するためのリザーバーとして核を利用する、図1に示されるような抗体にコンジュゲートされた新規なコール酸(ChAc)-NLS融合ペプチド(ChAcNLS)が提供される。ChAcNLSをmAbにコンジュゲートし、複合体を銅-64(64Cu)で放射性標識し、インビボで注射すると、腫瘍に送達される放射能の量は、例えば、エンドソーム捕捉から脱出することができないバージョンよりも優れている。抗体の細胞内蓄積を増強するように変化したコンジュゲート化合物の能力が明確に立証されているだけでなく、本明細書で提供されるコンジュゲート化合物は、抗体の親和性および選択性に影響を及ぼさない。
【0075】
一般に、ChAcNLSのmAbへの付着は制御され得る。
【0076】
64Cuなどのペイロードにさらに連結したコンジュゲート化合物が、64Cuの細胞取込みを増強する能力も記載されている。このように、ChAcNLSは、抗体のインビボでの薬物動態を乱さないはずである。本明細書で提供されるコンジュゲート化合物は、腫瘍において本明細書に示されるような放射性保持の増加が観察されるため、がん細胞のより効果的な放射線毒性またはより高感度の検出をもたらし得る。
【0077】
このように、迅速に内在化する受容体を標的化することによって、他の分子または抗体を広く適合させる方法が提供される。様々ながんに関与する多くのインターロイキン受容体は、リガンド結合時に迅速なエンドサイトーシスを受ける。本明細書に記載されているようなコンジュゲートの使用は、例えば標的化された細胞における実際の化学療法分子の蓄積を増加させることができる。
【0078】
一実施形態では、本明細書に記載されているような抗体-薬物コンジュゲート(ADC)は、3つの構成成分-モノクローナル抗体(mAb)、クロスリンカー、および細胞毒素(例えば、小分子化学療法薬)から構成される。例えば、細胞毒素は、クロスリンカーを介してmAbにコンジュゲートされる。
【0079】
本明細書に記載されているような抗体-薬物コンジュゲート(ADC)は、例えば、限定されないが、微小管破壊剤(例えば、ビンブラスチン、モノメチルアウリスタチンEまたはMMAE、DM1)および/またはDNA標的化剤(デルクステカン、トポイソメラーゼ阻害剤)などの小分子毒素などのペイロードを含むことが本明細書に包含される。
【0080】
例えば、付着した化学療法分子(例えば、4,4-ジフルオロ-8-(4-カルボキシフェニル)-1,3,5,7-テトラメチル-4-ボラ-3a,4a-ジアザ-s-インダセン(略してBODIPY))(これは、がんにおける光線力学療法の適用において使用される細胞傷害性分子である)と一緒に、ChAcNLSとコンジュゲートした抗体は、ChAcNLSが腫瘍標的化を妨害しないので、抗体および化学療法分子の細胞質蓄積の増加をもたらし、より速い血液クリアランスおよび同時により良好な腫瘍取込みを提供する。
【0081】
本明細書に記載されているようなコンジュゲートが、抗体の送達を増強する手段を提供するだけでなく、ChAcNLSは、抗体だけでなく、付着した分子ペイロードの送達も増強することができる。ChAcNLSは、増加した量の分子ペイロードを核に送達することができる。
【0082】
本明細書に記載されているようなコンジュゲート抗体だけでなく、ホジキンリンパ腫(ホジキン病)および非ホジキンリンパ腫、ならびに精巣のがんを処置するために他の化学療法剤と組み合わせて使用されるビンブラスチンなどのさらなる薬物と抗体をコンジュゲートする可能性も、本明細書にさらに包含される。また、ランゲルハンス細胞組織球症を処置するためにも使用される。
【0083】
したがって、本明細書に記載のコンジュゲート化合物は、前立腺がん、乳がん、肝臓がん、胃がん、結腸がん、膵臓がん、卵巣がん、肺がん、腎臓がん、脳のがん、精巣がん、膠芽腫、肉腫、骨がん、頭頸部がん、皮膚がん、リンパ腫、白血病または結腸直腸がんを検出または処置するために使用され得る。
【0084】
本開示は、その特定の実施形態に関連して説明されてきたが、さらなる修正が可能であり、本出願は、本発明が属する技術分野内で既知のまたは慣習的な実践に含まれるような、本明細書でこれまでに記載の本質的な特徴に適用され得るような、および添付の特許請求の範囲内の以下のような、本開示からのそのような発展を含む任意の変形、使用、または適合を網羅することを意図していることが理解されよう。
図1
図2
図3
【配列表】
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【国際調査報告】