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特表2024-538431難燃性硬質高密度ポリウレタンフォーム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】難燃性硬質高密度ポリウレタンフォーム
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/00 20060101AFI20241010BHJP
   C08G 18/40 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
C08G18/00 L
C08G18/40 018
C08G18/00 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547172
(86)(22)【出願日】2022-10-24
(85)【翻訳文提出日】2024-04-17
(86)【国際出願番号】 US2022047530
(87)【国際公開番号】W WO2023076139
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】63/271,418
(32)【優先日】2021-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515129386
【氏名又は名称】ダウ キミカ メキシカーナ エセ.ア.デ セ.ウベ.
【氏名又は名称原語表記】DOW QUIMICA MEXICANA S.A.DE C.V.
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】カルデナス、アルバロ バイェステロス
(72)【発明者】
【氏名】ムニョス、オマール エルナンデス
(72)【発明者】
【氏名】レン、ダカイ
(72)【発明者】
【氏名】オグニイ、アデボラ オー.
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034BA07
4J034DA01
4J034DB03
4J034DB07
4J034DF01
4J034DG00
4J034HA01
4J034HA07
4J034HC12
4J034HC13
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034KA01
4J034KB02
4J034KB03
4J034KC02
4J034KD02
4J034KD12
4J034KE02
4J034MA21
4J034NA02
4J034NA03
4J034NA08
4J034QA01
4J034QB01
4J034QB19
4J034QC01
4J034RA01
4J034RA10
(57)【要約】
本発明は、塩素非含有液体難燃剤(FR)添加剤を含む、耐火性硬質ポリウレタンフォームを形成するための、全液体二成分フォーム形成組成物を提供する。この組成物は、ポリイソシアネート成分と、別個の成分として、1つ以上の高ヒドロキシル官能性ポリエステルポリオール及び1つ以上の低ヒドロキシル官能性ポリエステルポリオールとのブレンドのポリオール成分と、ノボラックポリエーテルポリオールと、三量化触媒と、液体FR添加剤、好ましくは1つのFR添加剤と、より好ましくはハロゲン非含有FR添加剤と、並びに発泡剤として、水、又は水及び物理的発泡剤とを含む。低ヒドロキシル官能性芳香族ポリエステルポリオールは、低粘度、並びにASTM E84A Class A等級の硬質ポリウレタンフォームを有する、容易に加工可能な、全液体ポリオール成分の提供を可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐火性高密度硬質ポリウレタンフォームを製造するための、二成分全液体フォーム形成組成物であって、
ポリイソシアネート成分であって、
(a)2~5個のイソシアネート基を有する1つ以上の芳香族ポリイソシアネートを含む、ポリイソシアネート成分と、
別個の成分として、
ポリオール成分であって、
(b)(i)前記ポリオール成分の総重量に基づいて、47~86.75重量%の、ブレンドであって、(A)(b)(i)の総重量の、20~80重量部の、1つ以上の高ヒドロキシル官能性芳香族ポリエステルポリオールであって、2.5~4のヒドロキシル官能性を有し、ASTM D4274に従って決定される、200~350mgKOH/gのヒドロキシル価を有する、高ヒドロキシル官能性芳香族ポリエステルポリオールと、(B)(b)(i)の総重量の、20~80重量部の、1つ以上の低ヒドロキシル官能性芳香族ポリエステルポリオールであって、1.8~2.5未満のヒドロキシル官能性を有し、回転スピンドルを備えた粘度計を使用して、25℃で、ASTM D4878に従って決定される、1000~7000cPs未満の粘度を有し、ASTM D4274に従って決定される、180~350mgKOH/gのヒドロキシル価を有する、低ヒドロキシル官能性芳香族ポリエステルポリオールとの、ブレンドであって、(b)(i)(A)の前記1つ以上のヒドロキシル官能芳香族ポリエステルポリオールと、(b)(i)(B)の前記1つ以上の低ヒドロキシル官能芳香族ポリエステルポリオールとの、平均ヒドロキシル官能性の差が、0.2以上のヒドロキシ基である、ブレンドと、
(b)(ii)前記ポリオール成分の総重量に基づいて、8~20重量%の、1つ以上のノボラックポリエーテルポリオールであって、2~6のヒドロキシル官能性を有し、ASTM D4274に従って決定される、150~320のヒドロキシル価を有する、ノボラックポリエーテルポリオールとを含む、ポリオール成分と、
(c)前記ポリオール成分の総重量に基づいて、0.2~2重量%の、1つ以上の三量化触媒と、
(d)前記ポリオール成分の総重量に基づいて、2~6重量%の、非イオン性界面活性剤と、
(e)前記ポリオール成分の総重量に基づいて、0.05~10重量%の、水、液体物理的発泡剤、発泡触媒、又はそれらの2つ以上の混合物であって、前記水が、前記ポリオール成分の総重量に基づいて、2重量%以下を構成するものと、
(f)前記ポリオール成分の総重量に基づいて、3~15重量%未満の、塩素非含有液体難燃剤添加剤、又は液体ホスフェートと反応性臭素含有難燃剤添加剤との混合物を含む、難燃剤(FR)添加剤と、を含み、
前記二成分フォーム形成組成物が、120~240の範囲のイソシアネート指数を有し、全ての重量%が合計で100%になる、二成分全液体フォーム形成組成物。
【請求項2】
前記ポリオール成分において、前記(b)(i)(A)1つ以上のヒドロキシル官能性芳香族ポリエステルポリオールと、前記(b)(i)(B)1つ以上の低ヒドロキシル官能性芳香族ポリエステルポリオールとの、平均ヒドロキシル官能性の差が、0.25以上のヒドロキシル基である、請求項1に記載の耐火性高密度硬質ポリウレタンフォームを製造するための、二成分全液体フォーム形成組成物。
【請求項3】
前記(b)(i)(A)1つ以上の高ヒドロキシル官能性芳香族ポリエステルポリオールが、回転スピンドルを備えた粘度計を使用して、25℃で、ASTM D4878に従って決定される、5000~25000cPsの粘度を有する、請求項1に記載の耐火性高密度硬質ポリウレタンフォームを製造するための、二成分全液体フォーム形成組成物。
【請求項4】
前記(d)非イオン性界面活性剤が、シリコン含有界面活性剤、又は非イオン性界面活性剤である、請求項1に記載の耐火性高密度硬質ポリウレタンフォームを製造するための、二成分全液体フォーム形成組成物。
【請求項5】
前記(e)発泡剤が、水を含む、請求項1に記載の耐火性硬質ポリウレタンフォームを製造するための、二成分全液体フォーム形成組成物。
【請求項6】
前記(f)難燃剤添加剤が、3つのアルキル基を有するトリアルキルホスフェートを含み、少なくとも1つのアルキル基が2~12個の炭素原子を有し、他の2つのアルキル基が独立して1~8個の炭素原子を含有する、請求項1に記載の耐火性硬質ポリウレタンフォームを製造するための、二成分全液体フォーム形成組成物。
【請求項7】
前記(f)難燃剤添加剤が、トリエチルホススフェートを含む、請求項6に記載の耐火性硬質ポリウレタンフォームを製造するための、二成分全液体フォーム形成組成物。
【請求項8】
前記(f)難燃剤添加剤が、トリアルキルホスフェートと反応性臭素含有難燃剤添加剤との混合物である、請求項6に記載の耐火性硬質ポリウレタンフォームを製造するための、二成分全液体フォーム形成組成物。
【請求項9】
前記フォーム形成組成物が、本質的に、(f)1つのハロゲン非含有液体ホスフェート難燃剤添加剤からなる、請求項6に記載の耐火性硬質ポリウレタンフォームを製造するための、二成分全液体フォーム形成組成物。
【請求項10】
硬質ポリウレタンフォームであって、
(a)縮合形態で、2~5個のイソシアネート基を有し、少なくとも1つのイソシアヌレート環を含有する、1つ以上の芳香族ポリイソシアネートと、
(b)(i)(a)前記1つ以上の芳香族ポリイソシアネートの縮合形態の重量を除く、ポリウレタンフォームの総重量に基づいて、縮合形態で、57~86.8重量%の、ブレンドであって、(A)(b)(i)の縮合形態の総重量の、20~80重量部の、1つ以上の高ヒドロキシル官能性芳香族ポリエステルポリオールであって、2.5~4のヒドロキシル官能性を有し、ASTM D4274に従って決定される、200~350mgKOH/gのヒドロキシル価を有する、高ヒドロキシル官能性芳香族ポリエステルポリオールと、(B)(b)(i)の縮合形態の総重量の、20~80重量部の、1つ以上の低ヒドロキシル官能性芳香族ポリエステルポリオールであって、1.8~2.5未満のヒドロキシル官能性を有し、ASTM D4274に従って決定される、180~350mgKOH/gのヒドロキシル価を有する、低ヒドロキシル官能性芳香族ポリエステルポリオールとの、ブレンドであって、(b)(i)(A)前記1つ以上のヒドロキシル官能芳香族ポリエステルポリオールと、(b)(i)(B)前記1つ以上の低ヒドロキシル官能芳香族ポリエステルポリオールとの、平均ヒドロキシル官能性の差が、0.2以上のヒドロキシ基である、ブレンドと、
(b)(ii)(a)前記1つ以上の芳香族ポリイソシアネートの縮合形態の重量を除く、ポリウレタンフォームの総重量に基づいて、縮合形態で、8~20重量%の、1つ以上のノボラックポリエーテルポリオールであって、2~6のヒドロキシル官能性と、ASTM D4274に従って決定される、150~320のヒドロキシル価とを有する、ノボラックポリエーテルポリオールと、
(c)(a)前記1つ以上の芳香族ポリイソシアネートの縮合形態の重量を除く、前記ポリウレタンフォームの総重量に基づいて、0.2~2.0重量%の、前記ポリウレタンフォーム内に分散された、1つ以上の三量化触媒と、
(d)(a)前記1つ以上の芳香族ポリイソシアネートの縮合形態の重量を除く、前記ポリウレタンフォームの総重量に基づいて、2~6重量%の、前記ポリウレタンフォーム内に分散された、非イオン性界面活性剤と、
(f)(a)前記1つ以上の芳香族ポリイソシアネートの縮合形態の重量を除く、前記ポリウレタンフォームの総重量に基づいて、3~15重量%未満の、前記ポリウレタンフォーム内に分散された、(f)塩素非含有液体ホスフェートを含む難燃剤添加剤と、を含み、
前記硬質ポリウレタンフォームフォームは、少なくとも1つのイソシアヌレート基を含み、ASTM D 1622に従って決定される、160~480kg/m(10~30ポンド/立方フィート)の密度を有し、全ての重量%の合計が100%であり、
更に、前記硬質ポリウレタンフォームは、2.54cm(1インチ)の厚さを有するフォームとして、ASTM E84クラスI(クラスA)の要件を満たし、450以下の煙発生指数(SDI)、及び25以下の火炎伝播指数(FSI)を示す、硬質ポリウレタンフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩素非含有難燃剤(FR)添加剤を含む、高密度ポリウレタンフォームなどの、難燃性硬質ポリウレタンフォームに関する。より詳細には、本発明は、芳香族ポリイソシアネートと、高ヒドロキシル官能性ポリエステルポリオール及び低ヒドロキシル官能性ポリエステルポリオールとノボラックポリエーテルポリオールとのポリエステルポリオールのブレンドと、塩素非含有FR添加剤又は好ましくはハロゲン非含有ホスフェートFR添加剤とを、縮合形態で含む、耐火性で高密度である、160~480kg/m(10~30ポンド/立方フィート)の、硬質ポリウレタンフォームに関し、並びに断熱材において、及び木材及び石材などの建築材料のための軽量合成代替品として有用な、硬質ポリウレタンフォームに関する。
【0002】
序論
増加する難燃性要件によって推進されて、今日の様々な建設市場で使用される、模造木材及び石材物品は、ASTM E-84に従って決定された、25以下の火炎伝播指数(FSI)、及び450以下の煙発生指数(SDI)を有する、クラスA耐火等級などの、厳しい燃焼等級を満たす必要がある。これは、それらの大きな燃料負荷のために、高密度フォーム製品を提供する者に対して、重大な技術的課題を提示する。大きな燃料負荷からの高い煙発生は、歴史的に、硬質ポリウレタンフォームにおける重要な故障メカニズムであった。火災中に発生する煙及び有毒ガスは、人間の健康に有害であることが証明されており、人々が火災中に自分の方向を定めて建物又は構造物の出口を発見することを妨げる可能性がある。従って、建築材料の耐炎挙動を改善することに加えて、火災中に放出される煙の量を低減し、最小限に抑えることが望ましい。
【0003】
難燃性の高密度ポリウレタンフォームを提供する従来の試みは、難燃剤(FR)添加剤、特に、固体FR添加剤の使用を含んでいた。しかしながら、かなりの量の固体粒子又は固体添加剤を含むことは、例えば、ポリオール成分中の他の材料からの固体添加剤の相分離をもたらし、ポリウレタンフォーム形成組成物を加工するために従来使用されている高圧機械において、摩耗及び損耗を引き起こすなど、大きな加工困難性を課す可能性がある。従って、固体材料を含むフォーム形成材料の使用者は、固体材料を含有する組成物を処理することが可能な、特別な装置を購入する必要がある。従って、ハロゲン含有ホスフェートなどの、毒性のある液体ハロゲン含有FR添加剤が、FR添加剤として好まれてきた。このようなハロゲン含有ホスフェートFR添加剤の1つである、トリス(2-クロロ-イソプロピル)ホスフェート(TCPP)は、高密度ポリウレタンフォームにおける火炎伝播及び煙発生を、効果的に低減する。しかしながら、TCPPは非反応性難燃剤であり、フォームマトリックス中のポリマー鎖に組み込まれないか、又は結合されず、従って、環境中に浸出する可能性がある。そのような材料の健康及び環境への潜在的な影響についての懸念を考えると、従って、TCPPのような非反応性塩素含有難燃剤添加剤を添加することなく、クラスA耐火等級の高密度ポリウレタンフォームを提供することが望ましい。
【0004】
更に、高密度ポリウレタンフォーム物品を製造するのに必要な金型充填を達成するために、金型は一般に過充填され、これは、フォーム形成反応混合物の量が、金型空洞を充填するのに必要な最小量を超え、金型空洞を充填するのに必要な最小量よりも少なくとも50%多くなり得ることを意味する。結果として、成形プロセス中の発泡ガスからの膨張は、離型後の物品に膨潤及び/又は亀裂欠陥を引き起こす、高い内部圧力を発生させ得る。従って、高密度ポリウレタンフォームを製造するための、現場注入法を可能にする組成物を提供することが望ましい。
【0005】
Heraldoらの米国特許出願公開第2006/0100295 A1号は、ASTM E84クラスI(クラスA)要件を満たす硬質高密度ポリウレタンフォームを提供する、二液型の全液体ポリウレタンフォーム形成組成物を開示する。ポリオール第二部分は、ポリエステルポリオールと、非反応性ハロゲン含有有機ホスフェートを含む少なくとも2つの液体ハロゲン含有難燃剤とを含む。開示されたフォーム形成組成物は、95~130の範囲のイソシアネート指数を有するが、[0083]の開示は、120を超えるイソシアネート指数を有するフォーム形成組成物が、増加した脆性を有するフォームを提供することが予想されると示す。クラスA要件を満たすものとして開示された全てのフォームは、二成分フォーム形成組成物100重量部当たり、少なくとも7部のTCPPを含有していた。
【0006】
本発明者らは、塩素含有難燃剤添加剤、又は好ましくは任意の非反応性ハロゲン含有難燃剤添加剤を含まず、ASTM E-84に従って測定された、クラスA耐火等級要件を満たすか又は超え、一方で、そのような硬質フォームを製造するための、許容可能な物理的及び機械的特性、並びに容易に加工可能な低粘度の、完全に液体の組成物を維持する、難燃性硬質ポリウレタンフォームを提供するべく努力した。
【発明の概要】
【0007】
本発明によれば、耐火性硬質ポリウレタンフォームを製造するための二成分全液体フォーム形成組成物は、以下の成分を含む:
ポリイソシアネート成分であって、
(a)平均で2~5個のイソシアネート基、又は好ましくは平均で2.5~5個のイソシアネート基を有する、1つ以上の芳香族ポリイソシアネートであって、好ましくはメチレンジ(フェニルイソシアネート)(MDI)、MDI異性体、MDIのオリゴマー、MDIのプレポリマー、又はこれらの2つ以上の混合物、より好ましくはMDIのオリゴマー又はプレポリマーであって、MDIのオリゴマー又はMDIのプレポリマーが、平均で2.5~5個のイソシアネート基を有するものである、芳香族ポリイソシアネートと、
別個の成分として、
ポリオール成分であって、
(b)(i)ポリオール成分の総重量に基づいて、47~86.75重量%、好ましくは67.4~82.5重量%の、ブレンドであって、(A)(b)(i)の総重量の、20~80重量部、好ましくは30~70重量部の、1つ以上の高ヒドロキシル官能性芳香族ポリエステルポリオールであって、2.5~4、好ましくは2.6~3のヒドロキシル官能性を有し、ASTM D4274に従って決定される、200~350mgKOH/gのヒドロキシル価を有する、高ヒドロキシル官能性芳香族ポリエステルポリオールと、(B)(b)(i)の総重量の、20~80重量部、好ましくは30~70重量部の、1つ以上の低ヒドロキシル官能性芳香族ポリエステルポリオールであって、1.8~2.5未満のヒドロキシル官能性を有し、回転スピンドルを備えた粘度計を使用して、25℃で、ASTM D4878に従って決定される、1000~7000cPs未満、好ましくは1000~5000cPsの粘度を有し、180~350mgKOH/gのヒドロキシル価を有する、低ヒドロキシル官能芳香族ポリエステルポリオールとの、ブレンドであって、(b)(i)(A)の1つ以上のヒドロキシル官能性芳香族ポリエステルポリオールと、(b)(i)(B)の1つ以上の低ヒドロキシル官能性芳香族ポリエステルポリオールの、平均ヒドロキシル官能性の差が、0.2以上のヒドロキシ基、好ましくは0.25以上のヒドロキシ基である、ブレンドと、
(b)(ii)ポリオール成分の総重量に基づいて、8~20重量%、又は好ましくは10~18重量%の、1つ以上のノボラックポリエーテルポリオールであって、に従って決定される、2~6、又は例えば、3~6のヒドロキシル官能性と、150~320のヒドロキシル価を有する、ノボラックポリエーテルポリオールとを含む、ポリオール成分と、
(c)ポリオール成分の総重量に基づいて、0.2~2.0重量%、例えば、0.2~0.8重量%の、又は好ましくは0.4~0.6重量%の、1つ以上の三量化触媒、例えば、アミン含有三量化触媒、アルカリ金属塩三量化触媒、又は好ましくはアミン含有三量化触媒とアルカリ金属塩、例えば、カルボン酸カリウム、例えば、酢酸カリウムとの混合物と、
(d)ポリオール成分の総重量に基づいて、2~6重量%、又は好ましくは2~4重量%の、界面活性剤、例えば、非イオン性界面活性剤、又はケイ素含有界面活性剤と、
(e)ポリオール成分の総重量に基づいて、0.05~10重量%、又は0.1~10重量%の、水、又は液体物理的発泡剤、又は発泡剤としての発泡触媒若しくはそれらの2つ以上の混合物であって、水が、ポリオール成分の総重量に基づいて、2重量%以下を構成するもの、例えば、水と液体物理的発泡剤との混合物、好ましくは水と、
(f)ポリオール成分の総重量に基づいて、3~15重量%未満、好ましくは5~10重量%の、塩素非含有液体難燃剤添加剤、例えば、液体ホスフェート、又は液体ホスフェートと反応性臭素含有難燃剤添加剤、例えば、1より大きいヒドロキシル官能性を有する液体臭素含有難燃剤添加剤との混合物、又は好ましくはトリアルキルホスフェート、トリアリールホスフェート、ホスフェートエステル、及びレゾルシノールビス(ジフェニル ホスフェート)、若しくはより好ましくは3つのアルキル基を有するトリアルキルホスフェートであって、少なくとも1つのアルキル基が2~12個の炭素原子を有し、他の2つのアルキル基が独立して1~8個の炭素原子を含有する、トリアルキルホスフェート、若しくはそれらと反応性臭素含有難燃剤添加剤との混合物である、塩素非含有液体難燃剤添加剤と、を含む二成分全液体フォーム形成組成物であって、二成分フォーム形成組成物は、120~240、好ましくは150~200の範囲の、イソシアネート指数を有し、全ての重量%の合計が100%になる。本発明のフォーム形成組成物のポリオール成分は、回転スピンドルを備えた粘度計を使用して、25℃で、ASTM D4878に従って決定される、1000~3,500cPs、又は好ましくは3,000cPs未満、又はより好ましくは2000cPs以下の粘度を有してもよい。より好ましくは、本発明のフォーム形成組成物は、(f)1つ以上のハロゲン非含有液体FR添加剤を含み、金属煙抑制剤を含まない。好ましくは、フォーム形成組成物は、(f)1つのみのハロゲン非含有液体ホスフェート難燃剤添加剤から本質的になる。
【0008】
本発明の二成分組成物のポリオール成分は、更に以下:
(g)1つ以上のゲル化触媒、例えば、芳香族アミン第三級アミン触媒、例えば、ベンジルジメチルアミン、を含んでもよい。(g)ゲル化触媒の総量は、ポリオール成分の総重量に基づいて、0.2~1.0重量%の範囲であってもよい。
【0009】
更に、本発明の二成分フォーム形成組成物のポリオール成分は:
(h)以下から選択される1つ以上の添加剤、(i)反応性希釈剤、例えば、ジオール若しくはトリオール、又は(ii)架橋剤、例えば、三官能性架橋剤、例えば、トリ(イソプロパノール)アミン若しくはトリエタノールアミン、又は(iii)希釈溶媒、例えば、プロピレンカーボネート、(i)及び(ii)の混合物、(ii)及び(iii)の混合物、又は(i)、(ii)及び(iii)の混合物、を含んでもよい。(h)(i)希釈剤の総量は、ポリオール成分の総重量に基づいて、0~10重量%の範囲であってもよい。(h)(ii)架橋剤の総量は、ポリオール成分の総重量に基づいて、0~8重量%の範囲であってもよい。(h)(iii)希釈溶媒の総量は、ポリオール成分の総重量に基づいて、0~10重量%の範囲であってもよい。
【0010】
本発明の別の態様によれば、難燃性硬質ポリウレタンフォームは、本発明の二成分フォーム形成組成物の反応生成物を含み、ASTM D 1622に従って測定される、160~480kg/m、又は好ましくは160~450kg/m、又はより好ましくは200~400kg/mの密度を有する。
【0011】
別の態様では、本発明による硬質ポリウレタンフォームは、以下:
(a)縮合形態で、2~5個のイソシアネート基、又は好ましくは平均で2.5~5個のイソシアネート基を有し、少なくとも1つのイソシアヌレート環を含有する、1つ以上の芳香族ポリイソシアネートであって、好ましくは、少なくとも1つのイソシアヌレート環を含有する、メチレンジ(フェニルイソシアネート)(MDI)、MDI異性体、MDIのオリゴマーのイソシアヌレート、少なくとも1つのイソシアヌレート環を含有するMDIのプレポリマー、若しくはそれらの2つ以上の混合物、又はより好ましくはMDIのオリゴマー若しくはプレポリマーであって、MDIのオリゴマー若しくはMDIのプレポリマーが、平均で2.5~5個のイソシアネート基を有するものである、芳香族ポリイソシアネートと、
(b)(i)(a)1つ以上の芳香族ポリイソシアネートの縮合形態の重量を除く、ポリウレタンフォームの総重量に基づいて、縮合形態で57~86.8重量%、好ましくは67.2~84.8重量%の、ブレンドであって、(A)(b)(i)の縮合形態の総重量の、30~70重量部の、1つ以上の高ヒドロキシル官能性芳香族ポリエステルポリオールであって、2.5~4、好ましくは2.6~3のヒドロキシル官能性を有し、ASTM D4274に従って決定される、200~350mgKOH/gのヒドロキシル価を有する、高ヒドロキシル官能性芳香族ポリエステルポリオールと、(B)(b)(i)の縮合形態の総重量の、30~70重量部の、1つ以上の低ヒドロキシル官能性芳香族ポリエステルポリオールであって、2~2.5未満のヒドロキシル官能性を有し、ASTM D4274に従って決定される、180~350mgKOH/gのヒドロキシル価を有する、低ヒドロキシル官能性芳香族ポリエステルポリオールとの、ブレンドであって、(b)(i)(A)1つ以上のヒドロキシル官能性芳香族ポリエステルポリオールと、(b)(i)(B)1つ以上の低ヒドロキシル官能性芳香族ポリエステルポリオールの、平均ヒドロキシル官能性の差が、0.2以上のヒドロキシ基、好ましくは0.25以上のヒドロキシル基である、ブレンドと、
(b)(ii)(a)1つ以上の芳香族ポリイソシアネートの縮合形態の重量を除く、ポリウレタンフォームの総重量に基づいて、8~20重量%、又は好ましくは10~18重量%の、1つ以上のノボラックポリエーテルポリオールであって、2~6、又は例えば、3~6のヒドロキシル官能性と、ASTM D4274に従って決定される、150~320のヒドロキシル価を有する、ノボラックポリエーテルポリオールと、
(c)(a)1つ以上の芳香族ポリイソシアネートの縮合形態の重量を除く、ポリウレタンフォームの総重量に基づいて、0.2~2.0重量%、例えば、0.2~0.8重量%の、ポリウレタンフォーム内に分散された、1つ以上の三量化触媒、例えば、アミン含有三量化触媒、アルカリ金属塩三量化触媒、又は好ましくはアミン含有三量化触媒とアルカリ金属塩、例えば、カルボン酸カリウム、例えば、酢酸カリウムとの混合物である、三量化触媒と、
(d)(a)1つ以上の芳香族ポリイソシアネートの縮合形態での重量を除く、ポリウレタンフォームの総重量に基づいて、2~6重量%、好ましくは2~4重量%の、ポリウレタンフォーム内に分散された、非イオン性界面活性剤、例えば、ケイ素含有界面活性剤と、
(f)(a)1つ以上の芳香族ポリイソシアネートの縮合形態の重量を除く、ポリウレタンフォームの総重量に基づいて、3~15重量%未満、好ましくは5~10重量%の、ポリウレタンフォーム内に分散された、塩素非含有液体難燃剤添加剤、例えば、液体ホスフェート、又は液体ホスフェートと反応性臭素含有難燃剤添加剤、例えば、少なくとも1つのヒドロキシル基を含有する液体臭素含有難燃剤添加剤との混合物、又はより好ましくは3つのアルキル基を有するトリアルキルホスフェートであって、少なくとも1つのアルキル基が2~12個の炭素原子を有し、他の2つのアルキル基が独立して1~8個の炭素原子を含有する、トリアルキルホスフェートである、塩素非含有液体難燃剤添加剤とを、含んでもよく、
硬質ポリウレタンフォームが、少なくとも1つのイソシアヌレート基を含み、全ての重量%の合計が100%になる、硬質ポリウレタンフォームであって、
更に、本発明の硬質ポリウレタンフォームは、ASTM D 1622に従って決定される、160~480kg/m(10~30ポンド/立方フィート)、又は好ましくは160~450kg/m、又はより好ましくは200~400kg/mの密度を有する。(b)(i)(A)1つ以上の高ヒドロキシル官能性芳香族ポリエステルポリオールは、回転スピンドルを備えた粘度計を使用して、25℃で、ASTM D4878に従って決定される、5000~25000cPs、又は好ましくは6000~20000cPsの粘度を有する。好ましくは、硬質ポリウレタンフォームは、メラミン難燃剤などの固体添加剤を含有せず、又はハロゲン含有難燃剤添加剤を含有せず、又はより好ましくは硬質ポリウレタンフォームは、固体添加剤を含有せず、かつハロゲン含有難燃剤添加剤を含有しない。
【0012】
本発明の硬質ポリウレタンフォームは、2.54cm(1インチ)の厚さを有するフォームとして、ASTM E84クラスI(クラスA)の要件を満たし、450以下、又は好ましくは250以下の、発煙指数(SDI)、及び25以下の、火炎伝播指数(FSI)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明によれば、固体添加剤を含まず、トリクロロポリホスフェート(TCPP)のような塩素化ホスフェートなどの、塩素含有難燃剤(FR)添加剤を含まずに製造された、硬質高密度ポリウレタン(PU)フォームは、2.54cm(1インチ)の厚さを有するボードとして試験した場合に、ASTM E84クラスI(クラスA)に従った、試験の要件を満たし、及び超える、難燃性を提供する。例えば、硬質ポリウレタンフォームは、燃焼時に著しく改善された煙抑制性能を有する。本発明者らは、芳香族ポリイソシアネートと、2.5個以上のヒドロキシル官能基を有する芳香族ポリエステルポリオール、2.5個未満のヒドロキシル官能基を有する芳香族ポリエステルポリオール、及びノボラックポリエーテルポリオールのポリオール成分と、ハロゲン非含有ホスフェート難燃剤と、三量化触媒との組み合わせを含む、フォーム形成組成物が、向上した難燃性を有する硬質ポリウレタンフォームの製造を可能にすることを見出した。フォーム形成組成物は、全て液体であり、フォーム形成において固体を加工するのに必要な、特殊な装置を必要とせずに、最適な加工を可能にする粘度を有する。硬質フォーム及びそれらを製造するためのフォーム形成組成物は、固相添加剤又は反応物を含まず、例えば、金属含有無機充填剤又は膨張黒鉛のような、無機充填剤を含有しなくてもよい。硬質フォーム及びそれらを製造するためのフォーム形成組成物は、固体FR添加剤又は塩素含有FR添加剤非含有か、又は好ましくはハロゲン含有FR添加剤かつ固体FR添加剤非含有である。更に、硬質フォーム及びフォーム形成組成物は、好ましくは液体FR添加剤などの、1つのFR添加剤のみを含む。更に、フォーム及びフォーム形成組成物は、同一難燃特性を示す既知の比較可能な硬質フォームよりも、有意に低い難燃剤含量を有する。更に、フォーム及びそれらを製造するためのフォーム形成組成物は、金属含有煙抑制剤を含まない。更に、本発明の硬質ポリウレタンフォームは、鋳込成形によって製造することができる。フォーム形成組成物のポリオール成分は、低減されたフォーム物品欠陥、及び改善された機械的性能、例えば、120を超えるイソシアネート指数における低減された脆性を有する、フォームの製造を可能にする。本発明の組成物から成形された硬質ポリウレタンフォームは、木材及び石材建築材料の代替品及び断熱材として許容される、物理的-機械的特性を保持する。
【0014】
引用された全ての範囲は包括的でありかつ組み合わせ可能である。例えば、2.5~4、又は好ましくは2.6~3のヒドロキシル官能性の開示された範囲は、2.5~4、又は3~4、又は2.5~2.6、又は好ましくは2.6~3、又は2.5~3の、ヒドロキシル官能性の全てを含む。
【0015】
別段の指示がない限り、温度及び圧力の条件は、周囲温度(21~25℃)、相対湿度50%、及び標準圧力(1atm)である。
【0016】
特に指定のない限り、括弧を含むあらゆる用語は、代替的に、括弧が存在するかのような用語全体、及び括弧を有しない用語、並びに各代替物の組み合わせを指す。従って、例えば、本明細書で使用される場合、「発泡剤(複数可)」という用語は、発泡剤又はその混合物を含むことが意図される。
【0017】
本明細書で使用される場合、「ASTM」という用語は、ASTM International、West Conshohocken、Paの刊行物を指す。
【0018】
本明細書で使用される場合、「構成成分」という用語は、別の構成成分と組み合わせて、反応、重合、発泡体形成、又は硬化を開始する1つ以上の原料を含有する組成物を指す。使用時又は反応時に組み合わせるまで、成分は分離されたままである。
【0019】
本明細書で使用される場合、「DIN」という用語は、ドイツ規格協会(the Deutsches Institut fur Normung,the German Institute for Standardization,Berlin,Germany)の刊行物を指す。
【0020】
本明細書で使用される場合、「縮合形態」という用語は、発泡反応及びポリウレタン形成が完了した後の材料の形態を意味し、縮合又は付加反応の生成物に限定されない。
【0021】
本明細書で使用される場合、「ISO」という用語は、国際標準化機構(International Organization for Standardization、Geneva、CH)の刊行物を指す。
【0022】
本明細書で使用される場合、「発熱」という用語は、いかなる熱も加えることなく、温度上昇又は少なくとも安定した高温(室温を超える)をもたらす、反応によって発生する熱を指す。
【0023】
本明細書で使用される場合、分析物のmgKOH/gで表される「ヒドロキシル価」という用語は、ASTM D4274に従って決定される、分析物材料1グラムのアセト化に取込まれた酢酸を中和するのに必要なKOHの量を指す。
【0024】
本明細書で使用される場合、所与のポリエーテルポリオール又はポリオールの「ヒドロキシル当量」又は「当量」又は「EW」という用語は、下記式によって決定される計算値を指す:
EW=56,100/所与のポリオールのヒドロキシル価
【0025】
本明細書で使用される場合、「ヒドロキシル官能性」という用語は、所与のポリオール中の、ヒドロキシル基の数を指す。平均ヒドロキシル官能性は、本明細書において、数平均分子量(M)を、そのヒドロキシル当量で除算することによって決定される。本明細書で使用される場合、「数平均分子量」又はMは、周知の方法、例えば、既知の分子量のポリエチレングリコールなどの標準と併せた、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定され得る。本明細書で使用される場合、2つ以上のポリオールのブレンド中の「平均ヒドロキシル官能性」という用語は、ブレンド中のポリオールのヒドロキシル官能性の加重平均を指す。従って、例えば、3のヒドロキシル官能性を有する所与のポリオールと、2のヒドロキシル官能性を有する所与のポリオールとの、50:50(w/w固体)ブレンドにおいて、平均ヒドロキシル官能性は、(3×0.5+2×0.5)、又は(1.5+1)、又は2.5である。
【0026】
特に指定のない限り、本明細書で使用される場合、「イソシアネート指数」、又は簡便には「指数」という用語は、所与のポリウレタン(フォーム)形成反応混合物中における、イソシアネート官能基の当量の数と、ヒドロキシル基の当量の数の比を指し、それに100を掛けた数として表される。例えば、イソシアネートの当量数が活性水素の当量数に等しい反応混合物では、イソシアネート指数は100である。イソシアネート基の数を計算する目的のために、イソシアヌレートは、環当たり3つのイソシアネート基を有すると考えられる。
【0027】
本明細書で使用される場合、「イソシアネート反応性基」と言う用語は、ヒドロキシル基又はアミン基を指す。
【0028】
本明細書で使用される場合、「ポリイソシアネート」という用語は、過剰なイソシアネートと1つ以上のジオールとの反応によって製造された、ジイソシアネート、又はその二量体、三量体、若しくはオリゴマーなどの、2つ以上のイソシアネート官能基を有する物質を含有する、イソシアネート基を指す。
【0029】
本明細書で使用される場合、「固体物質」又は「固体添加剤」という用語は、適度な応力下で知覚できるほど流動せず、それを変形させる傾向のある力に抵抗するための明確な能力を有し、通常の条件下で明確なサイズ及び形状を保持する、固相の物質、結晶質又は非晶質の物質を指す。
【0030】
本明細書で使用される場合、「総固形分」又は「固形分」という用語は、水、アンモニア、並びにその相に関わらず60℃未満及び大気圧で蒸発又は揮発する、揮発性溶媒又は物質以外の、所与の組成物中の全てを指す。フォーム形成組成物が反応してポリウレタンフォームを形成する時、全てのポリオール、ジオール及びポリイソシアネートは、それらが反応前に液相材料を含む場合であっても、固体材料になる。
【0031】
本明細書で使用される場合、「重量%」という語句は、重量パーセントを表す。
【0032】
本発明による硬質ポリウレタンフォームは、ポリイソシアネート成分とポリオール成分との二成分反応混合物の、フォーム形成組成物から製造することができる。フォーム形成組成物の2つの成分の各々は、ヒドロキシル基と、イソシアネート基又はイソシアヌレート環との、従来の付加反応によって反応して、ポリウレタン、又はポリカルバメート、又はポリイソシアヌレートを形成する。ポリウレタンを形成するための反応は、イソシアネート基又はイソシアヌレート環の3分の1に対する、ヒドロキシル基の化学量論比に一致するので、本発明のフォーム形成組成物中の、ポリオール成分中の任意のヒドロキシル基及び任意のアミン基、並びにポリイソシアネート成分中のイソシアネート基の相対比は、本発明の硬質ポリウレタンフォーム中の、縮合形態のヒドロキシル基及びイソシアネート基の相対比と同一である。本発明の目的のために、ポリウレタンフォームの硬質ポリウレタンフォームにおいて、フォーム形成組成物中の全ての他の材料は、(c)1つ以上の三量化触媒、(d)界面活性剤、(f)難燃剤添加剤、(g)ゲル化触媒、例えば、第三級アミン又はアミン触媒などを含み、(h)(1)希釈剤、及び(h)(2)架橋剤は、フォームが製造されるフォーム形成組成物中と同一の相対比率で、硬質ポリウレタンフォーム中に残存するかのように処理される。しかしながら、所与の触媒及び他の非反応性材料の一部又は全部は、フォーム形成中に揮発し得る。
【0033】
本発明のフォーム形成組成物、及び硬質ポリウレタンフォームは、固体添加剤を含有せず、全て液体である。更に、フォーム形成組成物は、希釈剤又は架橋剤を含有しなくてもよい。フォーム形成組成物は、(g)ゲル化触媒などの、担体として作用するために必要とされるもの以外の、添加有機溶媒又は揮発性液体を、ほとんど又は全く含まない。従って、本発明のフォーム形成組成物は、フォーム形成組成物の総重量に基づいて、2重量%以下の、有機溶媒又は揮発性液体を含む。本発明の目的のために、任意の(h)(iii)希釈溶媒、及び任意の(e)液体物理発泡剤は、有機溶媒又は揮発性液体とはみなされない。
【0034】
ポリオール成分及びポリイソシアネート成分は、ニート形態の、ポリオール及びポリイソシアネートを含む。例えば、(b)(i)ヒドロキシル官能性芳香族ポリエステルポリオールは、担体として作用し得、そして、(g)ゲル化触媒は、担体として、ジオール又は増量剤の約半分を含み得る。
【0035】
本発明の硬質ポリウレタンフォームにおいて、過剰の(a)ポリイソシアネート基が、ポリウレタンの形成中に存在する。従って、本発明に従うフォーム形成組成物は、120~240、又は好ましくは150~200の範囲の、イソシアネート指数を有し得る。
【0036】
本発明の二成分フォーム形成組成物のポリイソシアネート成分は、(a)1つ以上の芳香族ポリイソシアネート、例えば、2~5個のイソシアネート基、又は好ましくは平均して2.5~5個のイソシアネート基を有する、芳香族ジイソシアネートを含む。このようなポリイソシアネートは、ジイソシアネート、ビウレット、アロファネート、尿素、二量体、三量体、カルボジイミド、及び/又はウレトノミン、並びに、例えば、過剰のポリイソシアネートと、1つ以上のジオール、(ポリ)エーテルジオール、又は3つ以上のヒドロキシル基を有するポリオール、例えば、グリセロールとから、ゲル化又は凝固をもたらさない条件下で製造される、1つ以上のウレタン基を含有するプレポリマーであり得る。イソシアネート官能性は、2つ以上のポリイソシアネート若しくはポリイソシアネートの混合物、又はポリイソシアネートの分布を含む、ポリイソシアネート組成物中の、全ての分子の加重平均を含む。例えば、ジイソシアネートと、3つのイソシアネート官能基を有するその二量体との、50:50モル/モル混合物は、2.5個のイソシアネート基を有すると考えられる。プレポリマーの場合、イソシアネート基の数は、プレポリマーを製造するために使用される、ジオール又はポリオール中のヒドロキシル基の数と、プレポリマーを製造するために使用される、残余の未反応イソシアネート中のイソシアネート基の数との、加重平均に等しい。
【0037】
(a)1つ以上の芳香族ポリイソシアネートの各々は、150g/mol~750g/molの、数平均分子量を有し得る。芳香族ポリイソシアネートは、モノマー及び/又はポリマーであり得る。例えば、好適な芳香族イソシアネートは、150、200、250、又は300g/molの低い値から、350、400、450、500、又は750g/molの高い値までの、数平均分子量を有し得る。ポリイソシアネートプレポリマーは、各反応物の数平均分子量(M)、及びプレポリマーを調製する際に使用されるそれらの相対質量から、計算されるように、750g/molまでの数平均分子量を有し得る。本明細書で報告される数平均分子量値は、末端基分析、ゲル透過クロマトグラフィー、及び当技術分野で既知である他の方法によって決定される。更に、芳香族ポリイソシアネートは、80~400、例えば、80~150、又は100~145、又は110~140の、イソシアネート当量を有してもよい。
【0038】
フォーム形成組成物に使用するのに好適な、芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の4,4’-、2,4’、及び2,2’-異性体、及びそれらの異性体混合物、トルエンジイソシアネートの2,6異性体、又はトルエンジイソシアネート(TDI)の2,4異性体、及びそれらの異性体混合物、m-及びp-フェニレンジイソシアネート、ジフェニレン-4,4’-ジイソシアネート、4,4’-ジイソシアネート-3,3’-ジメチルジフェニル、3-メチルジフェニル-メタン-4,4’-ジイソシアネート、及びジフェニルエーテルジイソシアネート、及び2,4,6-トリイソシアナトトルエン、及び2,4,4’-トリイソシアナトジフェニルエーテル、トリス-(4-イソシアナトフェニル)メタン、トルエン-2,4,6-トリイルトリイソシアネート、キシレンジイソシアネートなどの、アルキルアリールポリイソシアネート、4,4’-ジメチルジフェニルメタン-2,2’,5’,5’-テトラ(イソシアネート)、粗トルエンジイソシアネート、及び粗メチレンジフェニルジイソシアネートなどの、粗ポリイソシアネート、又はそれらの混合物、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、1-メトキシフェニル-2,4-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニルジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニルジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3-ビス-(イソシアナトメチル)ベンゼン、クメン-2,4-ジイソシアネート、4-メトキシ-1,3-フェニレンジイソシアネート、4-エトキシ-1,3-フェニレンジイソシアネート、2,4’-ジイソシアナトジフェニルエーテル、5,6-ジメチル-1,3-フェニレンジイソシアネート、2,4-ジメチル-1,3-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジイソシアナトジフェニルエーテル、ベンジジンジイソシアネート、4,6-ジメチル-1,3-フェニレンジイソシアネート、9,10-アントラセンジイソシアネート、4,4’-ジイソシアナトジベンジル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン、2,6’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトジフェニル、並びにそれらの任意の2つ以上の混合物が挙げられ得る。
【0039】
好ましくは、(a)芳香族ポリイソシアネートは、メチレンジ(フェニルイソシアネート)(MDI)、MDI異性体、MDIのオリゴマー、MDIのプレポリマー、又はそれらの2つ以上の混合物を含む。好ましいMDIイソシアネートとしては、例えば、MDIとポリマーMDI(例えば、MDIの二量体若しくは三量体)とのブレンド、又はポリイソシアネート官能性ウレタンプレポリマー(例えば、過剰のMDIとジオールとの反応生成物)、1つ以上の種々のMDI異性体(例えば、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、若しくはジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート)、水素化MDI(例えば、水素化ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、又は水素化ジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート)、メトキシフェニル-2,4-ジイソシアネート、4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニルジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニルジイソシアネート、又は3,3’-ジメチルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネートが挙げられる。ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート、及びそれらの混合物は、本明細書において、総称的に「MDI」と呼ばれる。本明細書で使用される場合、ポリマーMDIは、モノメリックジイソシアネート(すなわち、二環分子)とは異なり、三環以上の環含有生成物を含有する、ポリメチレンポリ(フェニルイソシアネート)を指す。
【0040】
本発明のフォーム形成組成物の、ポリオール成分は、25℃で、ASTM D4878に従って決定される、3500cPs未満、又は好ましくは3000cPs未満、又はより好ましくは2000cPs未満の、低粘度を有する。そのような低粘度は、ポリオールの少なくとも一部が、より高いヒドロキシル価、従って、より低い分子量を有する、ポリオール組成物に由来する。(b)(i)(B)低ヒドロキシル官能性芳香族ポリエステルポリオールは、より少ない分岐を有し、従って、より低い粘度にも寄与する。更に、メラミンFR添加剤などの固体添加剤がないことは、より低い粘度に寄与する。
【0041】
本発明の二成分フォーム形成組成物の、ポリオール成分は、(b)(i)(A)2.5~4、又は好ましくは2.6~3の、ヒドロキシル官能性を有し、ASTM D4274に従って決定される、200~350mgKOH/gのヒドロキシル価を有する、1つ以上の高ヒドロキシル官能性芳香族ポリエステルポリオールを含む。本発明の二成分フォーム形成組成物の、ポリオール成分は、(b)(i)(B)1.8~2.5未満の、ヒドロキシル官能性を有し、ASTM D4274に従って決定される、180~350mgKOH/gのヒドロキシル価を有する、1つ以上の低ヒドロキシル官能性芳香族ポリエステルポリオールも含む。(b)(i)(A)高ヒドロキシル官能性芳香族ポリエステルポリオール、及び(b)(i)(B)低ヒドロキシル官能性芳香族ポリエステルポリオールは、20~80:80~20(w/w)ブレンドなどの、ブレンドを含む。(b)(i)(A)1つ以上のヒドロキシル官能性芳香族ポリエステルポリオールと、(b)(i)(B)低ヒドロキシル官能性芳香族ポリエステルポリオールとの、平均ヒドロキシル官能性の差は、0.2以上のヒドロキシル基、又は好ましくは0.25以上のヒドロキシル基、又は更により好ましくは0.3以上のヒドロキシル基である。
【0042】
(b)(i)本発明のヒドロキシル官能性芳香族ポリエステルポリオールは、芳香族ポリエステルを形成し、それをポリエーテルポリオールと反応させることによって、従来の方法で形成することができる。芳香族ポリエステルは、例えば、ジオール又は多価アルコール(ポリオール)を、芳香族ポリカルボン酸又は芳香族無水物と、任意選択的に酸性又は塩基性触媒の存在下で反応させて、エステルを形成し、続いて、得られたエステルを、過剰のポリエーテルポリオールと反応させるか、又はそれにアルキレンオキシド又はポリエーテルポリオールを付加させることによって、形成することができる。例えば、好適なポリエステルポリオールとしては、ポリエーテルポリオールと、例えば、二価アルコール及び/又は三価アルコールなどの多価アルコールと、二塩基性及び/又は三塩基性カルボン酸若しくは無水物などの多塩基性芳香族又はそれらの混合物のいずれかとから製造される、芳香族ポリエステルとの、反応生成物が挙げられる。好適なポリカルボン酸又は無水物は、脂肪族、脂環式、芳香族、及び/又は複素環式であり得る。好適な例示的な芳香族ポリカルボン酸、無水物、及び低級アルコールのポリカルボン酸エステルとしては、限定されないが、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、ジメチルテレフタレート及びテレフタル酸-ビス-グリコールエステル、又はエンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物が挙げられる。例示的な好適な多価アルコールとしては、限定されないが、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、チオジエタノール、N-メチルジエタノールアミン、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、1,1,7-ヘプタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジブチレングリコール、(1,4-ビス-ヒドロキシ-メチルシクロヘキサン及び他の異性体)、2-メチル-1,3-プロパン-ジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール-(1,2,6)、ブタントリオール-(1,2,4)、トリメチロールエタン、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール、及びポリブチレングリコールが挙げられる。芳香族ポリエステルはまた、ある割合のカルボキシル末端基を含有する。更なる例では、(b)(i)ヒドロキシル官能性芳香族ポリエステルポリオールを製造するのに好適な芳香族ポリエステルは、テレフタル酸の多塩基酸から、並びにジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、及び/又はグリセロール、及びそれらの任意のブレンドを含む脂肪族多価アルコールから、形成された反応生成物であり得る。好適な(b)(i)ヒドロキシル官能性芳香族ポリエステルポリオールを製造するのに有用な好適なポリエーテルポリオールは、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド又はエピクロロヒドリンのような、1つ以上のオキシラン又は環状エーテル、例えば、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの混合物を、アルカリ水酸化物(例えば、KOH)又はBFの存在下で単独で重合することによって形成されるポリエーテルから、あるいはこれらのオキシランを、混合物として又は逐次的に、反応性水素原子を有する活性水素含有物質、例えば、アルコール又はアミン、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール-(1,3)又は-(1,2)、グリセロール、トリメチロールプロパン、4,4’-ジヒドロキシ-ジフェニルプロパン、アニリン、エタノールアミン、o-トルエンジアミンエチレンジアミン、グリコシド、及びサッカリド含有ポリエーテル、例えば、スクロース含有ポリエーテルポリオール、又は主要量の第一級OH基(ポリエーテル中に存在するOH基の100%まで)を含有するポリエーテルに、化学的に付加することによって調製することができる。
【0043】
好適な芳香族ポリエステルポリオールは、芳香族ポリエステルポリオールの総重量に基づいて、8、10、12、又は14重量%の低い値から、18、20、30、又は40重量%の高い値までの、芳香族含有量を有し得る。芳香族ポリエステルポリオールは、300、350、400、又は425の低い数平均分子量から、525、550、600、又は800の高い数平均分子量を有し得る。
【0044】
(b)(i)ヒドロキシル官能性芳香族ポリエステルポリオール、のヒドロキシル官能性は、GPCなどによってその数平均分子量を決定し、Mnをヒドロキシル当量(EW)で除算することによって決定することができる。
【0045】
(b)(ii)本発明の1つ以上のノボラックポリエーテルポリオールは、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂開始剤のアルコキシル化生成物であってもよく、これは、氷酢酸などの酸触媒、続いて濃塩酸の存在下での、フェノールとホルムアルデヒドとの反応によって形成される。例えば、少量の酸触媒(複数可)を、p-トルエンスルホン酸などの混和性フェノールに添加し、次いで、ホルムアルデヒドを添加することができる。ホルムアルデヒドは、2つのフェノール間で反応してメチレン架橋を形成し、フェノールのオルト位及びパラ位と、プロトン化ホルムアルデヒド、例えば、ビスフェノールFとの間の、求電子芳香族置換によって二量体を生成する。別の例は、アセトンと2つのフェノールとの縮合生成物である、ビスフェノールAである。二量体の濃度が増加するにつれて、三量体、四量体、及びより高次のオリゴマーも形成され得る。しかしながら、ホルムアルデヒド対フェノールのモル比が1よりも幾分小さく制御されるので、重合は完了しない。従って、ノボラックを次にアルコキシル化して、分子量を所望のレベル、望ましくは、300~2000、又は500~1500に構築することができる。
【0046】
ノボラック開始剤を調製するために使用され得る適切なフェノールとしては、例えば、o-、m-、又はp-クレゾール、エチルフェノール、ノニルフェノール、p-フェニルフェノール、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェノール)プロパン、β-ナフトール、β-ヒドロキシアントラセン、p-クロロフェノール、o-ブロモフェノール、2,6-ジクロロ-フェノール、p-ニトロフェノール、4-ニトロ-6-フェニルフェノール、2-ニトロ-4-メチルフェノール、3,5-ジメチルフェノール、p-イソプロピルフェノール、2-ブロモ-4-シクロヘキシルフェノール、4-t-ブチルフェノール、2-メチル-4-ブロモフェノール、2-(2-ヒドロキシプロピル)フェノール、2-(4-ヒドロキシフェノール)エタノール、2-カルベトキシフェノール、4-クロロ-メチルフェノール、及びそれらの混合物が挙げられる。ノボラックポリエーテルポリオールを調製するために使用されるフェノールは、非置換であってもよい。
【0047】
適切な(b)(ii)ノボラックポリエーテルポリオールは、例えば、フェノール及びホルムアルデヒドの縮合付加物を、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及びブチレンオキシドを含む、1つ以上のアルキレンオキシドと反応させることによって、生成され得る。ノボラック開始ポリオールと呼ばれることもある、このようなポリオールは、当業者に公知であり、例えば、Partanskyの米国特許第2,838,473号、Chernの第2,938,884号、Forsterの第3,470,118号、Davisの第3,686,101号、及びAustinの第4,046,721号に開示されているような方法によって、得ることができる。ノボラック縮合物出発物質は、フェノール(例えば、クレゾール)をホルムアルデヒドと反応させることによって調製されてもよく、ホルムアルデヒド対フェノールのモル比は1未満であり、酸触媒の存在下で、1分子当たり2.1~12個、例えば、2.2~6個、又は2.5~4.5個のフェノール単位を含有する多核縮合生成物を形成する。次いで、ノボラック樹脂を、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、又はイソブチレンオキシドなどの、アルキレンオキシドと反応させて、複数のヒドロキシル基を含有する、オキシアルキル化生成物を形成する。(b)(ii)ノボラックポリエーテルポリオールは、1分子当たり平均2~6個のヒドロキシル官能基、及び150~320mgKOH/g、又は150~300mgKOH/gの平均ヒドロキシル価を有し得る。
【0048】
フォーム形成組成物中の、(b)(i)(A)1つ以上の高ヒドロキシル官能性芳香族ポリエステルポリオールと、(b)(i)(B)1つ以上の低ヒドロキシル官能性芳香族ポリエステルポリオールとの、ブレンドの総量は、他のポリオール材料の全ての量を合計した後の、ポリオール成分の残余を占める。従って、ヒドロキシル官能性芳香族ポリエステルポリオールのブレンドは、担体と考えることができる。同様に、硬質ポリウレタンフォーム中の、(b)(i)(A)1つ以上の高ヒドロキシル官能性芳香族ポリエステルポリオールと、(b)(i)(B)1つ以上の低ヒドロキシル官能性芳香族ポリエステルポリオールとの、ブレンドの縮合形態での総量は、他のポリオール成分材料及びポリイソシアネート成分の全ての量を合計した後の、ポリウレタンの残余を占める。
【0049】
(b)(ii)ノボラックポリエーテルポリオールは、ポリオール成分における、より高い粘度に寄与し得る。従って、フォーム形成組成物のポリオール成分中の、(b)(ii)1つ以上のノボラックポリエーテルポリオールの量は、ポリオール成分の全重量に基づいて、20重量%以下、好ましくは18重量%以下の範囲である。同様に、硬質ポリウレタンフォームにおいて、縮合形態で存在する、(b)(ii)1つ以上のノボラックポリエーテルポリオールの総量は、フォーム形成組成物中でそれらが含むのと、同一の相対量を含む。従って、縮合形態の、(b)(ii)1つ以上のノボラックポリエーテルポリオールの量は、縮合形態で、(a)1つ以上の芳香族ポリイソシアネートの縮合形態の重量を除く、ポリウレタンフォームの総重量に基づいて、20重量%以下、好ましくは18重量%以下の範囲である。
【0050】
本発明のフォーム形成組成物のポリオール成分は、更に、(c)1つ以上の三量化触媒を含む。
【0051】
本発明のフォーム形成組成物における使用に好適な(c)1つ以上の三量化触媒としては、グリシン塩、第三級アミン三量化触媒、アルカリ金属アルコキシド及びアルカリ金属カルボキシレートなどのアルカリ金属塩、並びにそれらの混合物を含む、当業者に公知の任意のものが挙げられ得る。三量化触媒の例としては、例えば、第四級アンモニウム塩、2,4,6-(N,N-ジメチルアミノメチル)フェノール、ヘキサヒドロトリアジン、カルボン酸のカリウム塩、例えば、オクタン酸カリウム、酢酸カリウム、及びそれらの混合物が挙げられる。市販の三量化触媒の代表例としては、例えば、DABCO(登録商標)TMR、DABCO(登録商標)TMR-2、DABCO(登録商標)TMR-3、DABCO(登録商標)TMR-4、DABCO(登録商標)TMR-18、DABCO(登録商標)K15、又は、例えば、DABCO(登録商標)K2097触媒(Evonik industries,Essen,DEから入手可能)のいずれかが挙げられ得る。
【0052】
本発明のフォーム形成組成物中の、(c)1つ以上の三量化触媒の好適な総量は、ポリオール成分の総重量に基づいて、0.2~2重量%、又は0.2~0.8重量%の範囲であり得る。同様に、硬質ポリウレタンフォームにおいて、縮合形態で存在する、(c)1つ以上の三量化触媒の総量は、揮発性物質が除去された後のフォーム形成組成物においてそれらが含むのと、同一の相対量を含んでもよい。(c)1つ以上の三量化触媒は、揮発性であってもよく、フォーム形成時に除去されてもよい。従って、(c)1つ以上の三量化触媒の量は、(a)1つ以上の芳香族ポリイソシアネートの縮合形態での重量を除く、ポリウレタンフォームの総重量に基づいて、0~2重量%、又は0.2~0.8重量%の範囲であってもよい。
【0053】
本発明の硬質ポリウレタンフォームは、(d)界面活性剤又は乳化剤、例えば、非イオン性界面活性剤など、及び(g)ゲル化触媒、例えば、第三級アミンなど、を含む。硬質ポリウレタンフォームは、(h)(i)反応性希釈剤、(h)(ii)架橋剤、(h)(iii)希釈溶媒、保存料、着色剤、又は抗酸化剤を、更に含んでもよい。フォームにおいて、任意の(h)(i)希釈剤、及び(h)(ii)架橋剤は、縮合形態である。同様に、ポリウレタンフォーム形成組成物のポリオール成分は、(d)界面活性剤又は乳化剤、例えば、非イオン性界面活性剤など、及び(g)ゲル化触媒、例えば、第三級アミンなどを含む。ポリオール成分は、任意選択的に、例えば、(h)(i)希釈剤、(h)(ii)架橋剤、(h)(iii)希釈溶媒、保存料、着色剤、又は抗酸化剤を含む、助剤を含んでもよい。
【0054】
(d)好適な界面活性剤の例としては、市販のポリシロキサン/ポリエーテルコポリマーを含む、1つ以上のシリコン界面活性剤、非イオン性界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレン-ポリオキシブチレンブロックコポリマーなどの、非イオン性ポリエーテル界面活性剤、及び長鎖アルコール又は芳香族基含有界面活性剤が挙げられる。いくつかの代表的な材料は、一般に、Baileyの米国特許第2,834,748号、Baileyの第2,917,480号、及びHaluskaの第2,846,458号に開示されているような、ポリシロキサンポリオキシルアルキレンブロックコポリマーである。また、Bhattacharjeeの米国特許第5,600,019号に開示されているような、有機界面活性剤も含まれる。他の界面活性剤は、長鎖アルコールのポリエチレングリコールエーテル、長鎖アリル酸硫酸エステルの三級アミン又はアルカノールアミン塩、アルキルスルホン酸エステル、アルキルアリールスルホン酸、及びそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0055】
(d)1つ以上の界面活性剤は、(a)1つ以上の芳香族ポリイソシアネートの、縮合形態での重量を除く、ポリウレタンフォームの総重量に基づいて、例えば、0.5~8重量%以上、又は2~6重量%などの、従来の量で使用することができる。使用される任意の界面活性剤は、フォーム形成組成物の、ポリオール成分の一部を構成する。従って、フォーム形成組成物は、例えば、ポリオール成分の総重量に基づいて、0.5~8重量%以上、又は2~6重量%の、(d)1つ以上の界面活性剤を含んでもよい。
【0056】
本発明の硬質ポリウレタンフォームは、完全に水発泡されてもよい。従って、フォーム形成組成物は、発泡剤として(e)水を含むことができる。しかしながら、フォームは、1つ以上の追加の(e)発泡剤、又は水以外の発泡触媒を含んでもよい。従って、ポリオール成分は、水と、炭化水素、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロオレフィン、又はヒドロフルオロオレフィンなどの物理的発泡剤とを含んでもよい。発泡触媒は、尿素(発泡)反応に有利に働く傾向がある。
【0057】
フォーム形成組成物における使用に好適な(e)好適な発泡剤としては、当該技術分野において既知の、任意の発泡触媒若しくは物理的発泡剤、又は水が挙げられ得る。発泡触媒は、1つ以上の(g)ゲル化触媒と組み合わせて使用されてもよい。本明細書で使用される場合、発泡剤は、尿素(発泡)反応に有利に働く触媒として作用し得る。好適な(e)発泡剤としては、例えば、水、揮発性有機材料、溶解した不活性ガス、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。発泡剤の例としては、ブタン、イソブタン、2,3-ジメチルブタン、n-及びi-ペンタン異性体、ヘキサン異性体、ヘプタン異性体、及びシクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタンを含むシクロアルカンなどの炭化水素、フッ化炭化水素類、例えば、HCFC-142b(1-クロロ-1,1-ジフルオロエタン)、HCFC-141b(1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン)、HCFC-22(クロロジフルオロメタン)、HFC-245fa(1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン)、HFC-365mfc(1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン)、HFC 227ea(1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン)、HFC-134a(1,1,1,2-テトラフルオロエタン)、HFC-125(1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン)、HFC-143(1,1,2-トリフルオロエタン)、HFC 143A(1,1,1-トリフルオロエタン)、HFC-152(1,1-ジフルオロエタン)、HFC-227ea(1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン)、HFC-236ca(1,1,2,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン)、HFC 236fa(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロエタン)、HFC 245ca(1,1,2,2,3-ペンタフルオロペンタン)、HFC 356mff(1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタン)、HFC 365mfc(1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン)、ヒドロフルオロオレフィン、例えば、シス-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、又はそれらの混合物などであってもよい、物理的発泡剤が挙げられる。好適な化学発泡剤としては、例えば、ギ酸及び水が挙げられ得る。発泡剤はまた、酢酸エチル、メタノール、エタノール、ハロゲン置換アルカン、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチリデン、塩化ビニリデン、モノフルオロトリクロロメタン、クロロジフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ブタン、ヘキサン、ヘプタン、ジエチルエーテルなどの他の揮発性有機物質、並びに窒素、空気、及び二酸化炭素のようなガスを含んでもよい。発泡触媒、例えば、発泡反応を有利にする傾向があり得る触媒の例は、限定されないが、短鎖三級アミン、又は酸素を含有する三級アミンを含む。アミンベースの触媒は、立体障害でない場合がある。例えば、発泡触媒は、とりわけ、ビス-(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、ペンタメチルジエチレン-トリアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジメチルアミノプロピルアミン、ジメチルエタノールアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、及びそれらの組み合わせを含む。市販の発泡触媒の例は、Evonikから入手可能な、POLYCAT(登録商標)5である。
【0058】
本発明のフォーム形成組成物中の、(e)水の好適な総量は、ポリオール成分の総重量に基づいて、0.1~2.0重量%の範囲、好ましくは0.3~1.2重量%の範囲である。(e)水以外の1つ以上の発泡剤の好適な量は、ポリオール成分の総重量に基づいて、0~10重量%、例えば、0.05~5重量%、好ましくは0.05~3重量%の範囲であり得る。(e)発泡剤は、ポリオール成分の総重量に基づいて、例えば、0.1~5重量%、好ましくは0.1~2重量%の発泡剤を有する、反応混合物を提供するのに十分な量で、ポリオール成分中に存在してもよい。
【0059】
(f)ハロゲン非含有液体難燃剤添加剤として好適なものとしては、例えば、ホスフェート、ポリホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、ビホスフィネート(biphosphinate)、及びこれらの組み合わせが挙げられ得る。ホスフェートの例としては、トリアルキルホスフェート、トリアリールホスフェート、ホスフェートエステル、及びレゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)が挙げられ得る。本明細書で使用される場合、「トリアルキルホスフェート」という用語は、3つのアルキル基、及び2~12個の炭素原子を有する少なくとも1つのアルキル基を有する、任意のホスフェートを指す。直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、環状アルキル基、アルコキシエチル、ヒドロキシルアルキル、ヒドロキシルアルコキシアルキル基、及び直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基を含む、トリアルキルホスフェートの他の2つのアルキル基は、独立して、第一のアルキル基と同一又は異なっていてもよく、1~8個の炭素原子を含有する。トリアルキルホスフェートの他の2つのアルキル基の例としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ブトキシエチル、イソペンチル、ネオペンチル、イソヘキシル、イソヘプチル、シクロヘキシル、プロピレン、2-メチルプロピレン、ネオペンチレン、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、又はヒドロキシブチルが挙げられる。トリアルキルホスフェートの3つのアルキル基は、同一であってもよい。2つ以上のトリアルキルホスフェートのブレンドもまた、使用され得る。ホスホネートの例としては、例えば、ジエチル(ヒドロキシメチル)ホスホネート、ジメチルメチルホスホネート、及びジエチルエチルホスホネートが挙げられ得る。ホスフィネートの例としては、例えば、アルミニウムメチルエチルホスフィネート、アルミニウムジエチルホスフィネート、亜鉛メチルエチルホスフィネート、及び亜鉛ジエチルホスフィネートなどの、有機ホスフィネートの金属塩が挙げられ得る。金属含有添加剤は、あまり好ましくない。好ましくは、ハロゲン非含有難燃剤添加剤は、トリアルキルホスフェート、例えば、トリエチルホスフェート(TEP)などの、有機ホスフェートである。
【0060】
本発明の硬質ポリウレタンフォームは、(f)(a)1つ以上の芳香族ポリイソシアネートの縮合形態の重量を除く、ポリウレタンフォームの総重量に基づいて、2~15重量%未満、又は好ましくは5~10重量%の、ポリウレタンフォーム内に分散された、液体ホスフェート難燃剤添加剤、例えば、トリアルキルホスフェート、又は液体ホスフェートと反応性臭素含有液体とのブレンドなどの、塩素非含有液体難燃剤添加剤を含む。従って、本発明の硬質ポリウレタンフォームは、例えば、少なくとも1のヒドロキシル官能性を有する、追加の反応性液体臭素含有難燃剤添加剤を含んでもよい。硬質ポリウレタンフォームの臭素含有量は、好ましくは、(a)1つ以上の芳香族ポリイソシアネートの縮合形態での重量を除く、ポリウレタンフォームの総重量に基づいて、1.8重量%未満、又は好ましくは0重量%であり得る。
【0061】
好ましくは、硬質ポリウレタンフォームは、例えば、ホスフェート、又はトリアルキルホスフェートなどの、1つのハロゲン非含有液体難燃剤(FR)添加剤から本質的になる。
【0062】
フォーム中の同一のFR添加剤は、一般に、フォーム形成組成物の、ポリオール成分の一部を構成する。従って、フォーム形成組成物は、(f)ポリオール成分の全重量に基づいて、3~15重量%未満、好ましくは5~10重量%の、塩素非含有液体難燃剤添加剤、例えば、液体ホスフェート難燃剤添加剤、例えば、トリアルキルホスフェート、又は液体ホスフェートと臭素含有液体とのブレンドを含有する、(f)臭素を含む。ポリオール成分は、少なくとも1のヒドロキシ官能性を有する、追加の反応性液体臭素含有難燃剤添加剤を含んでもよい。硬質ポリウレタンフォームの臭素含有量は、ポリオール成分の総重量に基づいて、好ましくは1.8重量%未満、又は好ましくは0重量%であってもよい。
【0063】
本発明のフォーム形成組成物のポリオール成分は、(g)1つ以上のゲル化触媒を更に含む。本明細書で使用される場合、ゲル化触媒は、ウレタン(ゲル)反応に有利である。
【0064】
好適な(g)ゲル化触媒の例としては、第三級アミン、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、N-ココ-モルホリン、モルホリン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、3-メトキシ-N-ジメチルプロピルアミン、ジメチルエタノールアミン、N,N-ジメチル-N’,N’-ジメチルイソプロピルプロピレンジアミン、N,N-ジエチル-3-ジエチルアミノ-プロピルアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジメチルピペラジン、1-メチル-4-ジメチルアミノエチル-ピペラジン、1,4-ジアゾビシクロ[2,2,2]オクタン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N-ジモルホリンジエチルエーテル、4,4’-(オキシジ-2,1-エタンジイル)ビス、ペンタメチレンジアミン、及びこれらの混合物が挙げられ得る。好ましくは、(g)1つ以上のゲル化触媒は、例えば、ベンジルジメチルアミンなどの、芳香族アミン第三級アミン触媒を含む。市販のゲル化触媒の例としては、Evonik製のPOLYCAT(登録商標)8、及びDABCO(登録商標)T-12触媒が挙げられる。
【0065】
(g)ゲル化触媒は、(a)1つ以上の芳香族ポリイソシアネートの縮合形態の重量を除く、ポリウレタンフォームの総重量に基づいて、例えば、0.1~3重量%、又は0.1~1重量%、又は0.2~1.0重量%などの、従来の量で使用されてもよい。使用される任意の触媒は、フォーム形成組成物のポリオール成分の一部を構成する。従って、フォーム形成組成物は、例えば、ポリオール成分の総重量に基づいて、合計で0.1~3重量%、又は0.1~1重量%、又は0.2~1重量%の、(g)ゲル化触媒を含んでもよい。
【0066】
本発明の硬質ポリウレタンフォームは、縮合形態で、(h)(i)反応性希釈剤、例えば、ビス(3-クロロ-4-アミノフェニル)メタン、又は2,4-ジアミノ-3,5-ジエチルトルエンなどを含んでもよい。そのような希釈剤は、それらを含有するフォーム形成組成物の粘度を低下させ、次いで、反応して硬質ポリウレタンフォームになることができる。他の好適な希釈剤は、それらを含有するフォーム形成組成物の粘度を低下させる働きをする、プロピレンカーボネートなどの、非反応性相溶性液体であってもよい。(h)(i)反応性希釈剤は、(a)1つ以上の芳香族ポリイソシアネートの縮合形態での重量を除く、ポリウレタンフォームの総重量に基づいて、例えば、0~8重量%などの、従来の量で使用することができる。使用される任意の反応性希釈剤、又は希釈剤溶媒は、フォーム形成組成物のポリオール成分の一部を構成する。従って、フォーム形成組成物は、ポリオール成分の総重量に基づいて、例えば、0~8重量%の、1つ以上の(h)(i)反応性希釈剤を含んでもよい。(h)(iii)希釈溶媒の総量は、ポリオール成分の総重量に基づいて、0~10重量%の範囲であってもよい。
【0067】
本発明の硬質ポリウレタンフォームは、縮合形態で、(h)(ii)三官能性架橋剤などの架橋剤、例えば、トリ(イソプロパノール)アミン、又はトリエタノールアミンを含んでもよい。好適な架橋剤の例としては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジ-又はトリ-(イソプロパノール)アミン、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、及びソルビトールが挙げられ得る。(h)(ii)架橋剤の総量は、(a)1つ以上の芳香族ポリイソシアネートの縮合形態での重量を除く、ポリウレタンフォームの総重量に基づいて、0~10重量%、例えば、8重量%まで、例えば、0.1重量%以上、又は0.5重量%以上、及び同時に3重量%以下の範囲であってもよい。使用される任意の架橋剤は、フォーム形成組成物のポリオール成分の一部を構成する。従って、フォーム形成組成物は、ポリオール成分の総重量に基づいて、例えば、0~8重量%、例えば、0.1重量%以上、又は0.5重量%以上、及び同時に3重量%以下の、1つ以上の(h)(2)架橋剤を含んでもよい。
【0068】
本発明の硬質ポリウレタンフォームは、2.54cm(1インチ)の厚さを有するフォームとしての、ASTM E84クラスI(クラスA)の要件を満たし、及び超え、450以下、又は好ましくは250以下の、煙発生指数(SDI)、及び25以下の火炎伝播指数(FSI)を示す。
【0069】
本発明の別の態様によれば、難燃性硬質ポリウレタンフォームの製造方法は、二成分フォーム形成組成物から硬質フォームを形成するための、任意の方法を含む。本方法は、例えば、
二成分フォーム形成組成物のポリイソシアネート成分を、高圧発泡機中で、そのポリオール成分と混合することと、
更に、得られたフォーム形成組成物を密閉金型に注入することとを、含んでもよい。
【0070】
密閉成形又は加圧成形を用いる成形は、より高密度のフォームの形成を容易にする。
【0071】
本発明の硬質ポリウレタンフォームは、装飾、建築又は造園用途、例えば、断熱、模造木材又は石、あるいは防火性能を有する高密度製品が必要とされる任意の用途に使用することができる。
【実施例
【0072】
以下の実施例により、本発明を例示する。特に指定のない限り、全ての温度は周囲温度又は室温(21~25℃)であり、全ての圧力は1気圧であり、相対湿度(RH)は50%である。本発明の広い範囲を示している数値範囲及びパラメータは近似値であるが、具体的な実施例で示しされている数値は、可能な限り正確に報告されている。いかなる数値も、それぞれの試験測定値に見出される標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含む。
【0073】
以下の実施例で使用され、他に定義されていない材料を、以下の表1A、1B、及び1Cに記載する。実施例で使用される略語には、以下のものが含まれる。CE:比較例DEOA:ジエタノールアミン;EO:エチレンオキシド;FR:難燃剤添加剤;HEW:ヒドロキシル当量;MDI:メチレンジ(フェニルイソシアネート);NCO:イソシアネート;OH:ヒドロキシル;OHn:ヒドロキシル価;PO:プロピレンオキシド;TEP:トリエチルホスフェート。
【0074】
以下の実施例では、以下の材料を使用した。
【0075】
低ヒドロキシル官能性芳香族ポリエステルポリオール1:テレフタル酸、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、及びグリセリンからの、ポリエステルポリオール;官能性=2.0;OH価:220(Dow)。粘度:25℃で2000cp;OH当量:255;
低ヒドロキシル官能性芳香族ポリエステルポリオール2;テレフタル酸、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、及びグリセリンからの、ポリエステルポリオール;官能性=2.4;OH価:315(Dow)。粘度:25℃で5000cp;OH当量:178;
高ヒドロキシル官能性芳香族ポリエステルポリオール:テレフタル酸、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、及びグリセリンからの、ポリエステルポリオール;官能性=2.7;OH価:270(Dow)。粘度:25℃で14000cp;OH当量:204;
ノボラックポリエーテルポリオール:195mgKOH/gのヒドロキシル価及び3.3の平均官能性を有する、芳香族樹脂開始オキシプロピレン-オキシエチレンポリオール;
希釈剤1:プロピレンカーボネート、JEFFSOL PC溶媒粘度低下剤(Huntsman Chemicals,Inc.,Salt Lake City,UT);
希釈剤2:ポリ(プロピレングリコール)、約400の分子量を有する;
臭素含有FR添加剤1:RB44SG、反応性臭素含有難燃剤混合物(St.Louis Group,Indianapolis,IN)、53重量%の臭素を有し、ヒドロキシル価が160~185mgKOH/gの範囲である
臭素含有FR添加剤2:SAYTEX RB-79反応性臭素含有テトラブロモフタル酸無水物ジエステル/エーテルジオール(Albemarle Corporation,Cary,NC)、45重量%の臭素を有する;
臭素及び塩素含有FR添加剤3:IXOL B251、臭素含有脂肪族ポリエーテルトリオール(Solvay Chemicals,Brussels,BE);OH価=330、31.5重量%の臭素を有する;
塩素化FR添加剤:TCPP、トリス-(クロロイソプロピル)ホスフェート難燃剤(ICL-Americas,St Louis,MO);
液体FR添加剤:TEP、トリエチルホスフェート難燃剤(Eastman Chemical,Company,Kingsport,TN);
F1発泡剤1:HFC-245fa、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン発泡剤(Honeywell、Morris Plains、NJ);
Fl発泡剤2:SOLSTICE LBA、トランス-l-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン発泡剤(Honeywell,Morris Plains,NJ);
触媒1:POLYCAT 8、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン含有触媒(Evonik);
触媒2:DABCO 1028、1,4-ブチレングリコール中のトリエチレンジアミンの非酸性ブロック遅延作用触媒溶液(Evonik);
触媒3:ベンジルジメチルアミン(BDMA)、芳香族触媒(Evonik);
三量化触媒1:TMR-2、ジプロピレングリコール担体中のギ酸2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム(Evonik);
三量化触媒2:DABCO(登録商標)TMR-3、第四級アミン三量化触媒(Evonik);
三量化触媒3:DABCO(登録商標)TMR-18、ヒドロキシル担体中の第四級アミン三量化触媒生成物(Evonik);
三量化触媒4:DABCO K2097、ジエチレングリコール担体中の酢酸カリウムの触媒溶液(Evonik);
シリコン含有界面活性剤:VORASURF(登録商標)DC 193、硬質ポリウレタンフォーム用途のための汎用シロキサン界面活性剤(Dow);
ポリマーMDI:PAPI(登録商標)27、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)を含有するポリメチレンポリフェニルイソシアネート、31.4重量%のNCO、2.7個のNCO基を有する(Dow)。
【0076】
フォームボードを形成するための成形:以下の表1に示されるような示された量のポリオール成分を秤量し、45リットル(12ガロン)のプラスチックバケツに添加し、続いて、エアミキサー又は電気ミキサーで30分間(均質になるまで)十分に混合した。次いで、得られた多価アルコール成分を、OMSからのSerie 2(ECOMASTER 2 60/30モデル,Impianti OMS SpA、Verano Brianza、IT)などの高圧フォーム形成機の、多価アルコールタンクに充填した。示されたポリイソシアネートを、同一の高圧機のイソタンクに充填した。二成分フォーム配合物の示された成分を、高圧インピンジメント混合によって共に混合し、直ちに金型空洞に導入し、そこで配合物を反応させて膨張させた。機械内のイソシアネート流とポリオール流の両方のポンプ圧力は、135~180バールであり、ポリオール流とイソシアネート流の両方の温度は、20~40℃に設定し、粘度を下げるために、必要に応じて温度を上げた。金型空洞は、100cm(長さ)×53cm(幅)×2.54cm(厚さ又は高さ)の寸法を有する、平板金型を備える。この金型の、「厚さ又は高さ」方向は、フォーム調製中の、フォーム上昇方向に対応する。平板金型を、オーブンで45~50℃に予熱した。フォーム形成混合物を金型に注入し、金型内で20分間硬化させた後、金型からフォームを取り出した。全てのフォームを、物理的特性試験を行う前に、少なくとも24時間、実験室のベンチ上に置いた。得られた成形板(ボード)の密度は、200kg/mであった。
【0077】
試験方法:以下の試験方法を、実施例で使用した:
ASTM E84:ASTM E84-18b「Standard Method of Test for Surface Burning Characteristics of Building Materials」(公開日2019年)クラスA。試験では、上記の成形方法に従って金型内で同一の配合物を使用して製造された、2つのフォームボードを、幅方向で貼り合わせ、試験のために、200cm(長さ)×53cm(幅)×2.54cmの寸法を有する、長尺板を製造した。試験において、値が小さいほど、燃焼性能が良好である。FSI-火炎伝播指数:25以下;SDI-煙発生指数SDI:450以下、好ましくは250以下。試験中にボードの完全性を維持し、ボードの垂れ下がりに対処するために、金網などの機械的支持体をボードの下に配置してもよい。これが行われると、テストはそのように修正されたとみなされる。
【0078】
密度(フォームボードの):ASTM D 1622に従って決定される。
【0079】
(配合物又はポリオール成分の)25℃での粘度:粘度は、60rpmの速度を使用する回転スピンドルを備えた粘度計モデルBrookfield DV-I Primeを使用して、ASTM D4878に従って決定して、動粘度を測定した。
【0080】
【表1】

-比較例を示す。
【0081】
【表2】

-比較例を示す。
【0082】
上記表2に示されるように、実施例1、2、及び4のように、高ヒドロキシル官能性芳香族ポリエステルポリオールの少なくとも一部の代わりに、低ヒドロキシル官能性ポリエステルポリオールを含むことは、比較例1及び2と比較して、ポリオール成分の粘度を劇的に低下させた。比較例3におけるポリオール成分の粘度は、発泡剤2の使用によって低下した。実施例1、2、3、及び4のフォーム形成組成物において、比較例2の非反応性ハロゲン含有ホスフェートFR添加剤を、ハロゲン非含有ホスフェート(TEP)で置き換え、臭素含有FR添加剤含量を減少させると、より低い総ハロゲン含量が可能になり、所望の火炎伝播指数(FSI)を維持しながら、減少した煙発生指数(SDI)を示す、高密度硬質ポリウレタンフォームを提供する、ハロゲン非含有組成物さえ可能になった。更に、実施例3に示されるように、希釈剤が存在する比較例4及び5と比較して、低ヒドロキシル官能性芳香族ポリエステルポリオールが存在しないと、劣ったSDIが得られた。更に、比較例3、4、及び5におけるフッ素含有発泡剤の使用は、煙発生の増加、及びより高いSDI、例えば、300以上のSDIをもたらした。一方、希釈剤を使用して粘度を3,500cPs未満に低下させ、塩素化非反応性FR添加剤をTEPで置き換えると、比較例4及び5において、煙発生の著しい増加がもたらされた。対照的に、実施例3の本発明のフォーム形成組成物は、配合を容易にするために希釈剤を含みながら、塩素非含有FR添加剤を含有する組成物における、煙発生の有意な低減を可能にした。なお更に、比較例6は、粘度を3,500cPs未満に低下させるために、低ヒドロキシル官能性ポリエステルポリオールを使用するが、組成物からのフォームは、フォーム形成組成物の総重量に基づいて、1.8重量%より高い臭素含量を有する、高臭素含有FR添加剤含量からの、劣ったSDIを示した。対照的に、実施例1及び2の本発明のフォーム形成組成物は、フォーム形成組成物の総重量に基づいて、1.8重量%未満の臭素含量で、SDIの有意な低減を可能にした。従って、実施例1、2、3、及び4の全液体フォーム形成組成物は、ハロゲン含有FR添加剤を実施例2のようなハロゲン非含有FR添加剤(TEP)で置き換えることを可能にし、臭素含量を低減又は排除し、粘度を低下させながら(<3,500cp)、FR添加剤から塩素を排除した。同時に、本発明の組成物は、必要とされる火炎伝播(FSI)性能を維持しながら、著しく低減された煙発生(SDI)を提供した。
【国際調査報告】