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特表2024-538439水耕栽培装置及びそれを含むシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】水耕栽培装置及びそれを含むシステム
(51)【国際特許分類】
   A01G 31/06 20060101AFI20241010BHJP
   A01G 31/00 20180101ALI20241010BHJP
【FI】
A01G31/06
A01G31/00 612
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547809
(86)(22)【出願日】2022-09-30
(85)【翻訳文提出日】2024-06-06
(86)【国際出願番号】 CN2022123174
(87)【国際公開番号】W WO2023066016
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】32021040786.4
(32)【優先日】2021-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】HK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524153226
【氏名又は名称】ファーム ローカリー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】FARM LOCALLY LIMITED
【住所又は居所原語表記】22/F, W Business Centre, 4 Kam Hong Street, North Point, Hong Kong, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン エドウィン ヤト-ワン
【テーマコード(参考)】
2B314
【Fターム(参考)】
2B314MA12
2B314MA21
2B314MA26
2B314MA33
2B314MA38
2B314MA39
2B314MA40
2B314MA42
2B314MA52
2B314NA05
2B314NA33
2B314ND09
2B314ND32
2B314PA06
2B314PA11
2B314PA16
2B314PB36
2B314PB44
2B314PD37
2B314PD52
2B314PD59
(57)【要約】
本発明の実施形態によって、水耕栽培装置及びそれを含むシステムが提供される。栽培装置は、フレーム、複数の機能システム、1つ以上の植物の栽培に関連する状態をモニタリングするように構成された第1の複数のセンサー、及びフレームに取り外し可能に取り付けられた1つ以上のモジュール式収納キャビネットを含む。1つ以上のモジュール式収納装置は、事前に組み立てられ、第1の複数のセンサー及び複数の機能システムのうちの1つ以上と通信するように構成された電子機器を含む。電子機器は、第1の複数のセンサーからデータを収集するように構成されたメインコントローラーを含む。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物生産用の水耕栽培装置であって、
1つ以上の植物を栽培するための内部空間を画定するように構成されたフレームと、
前記1つ以上の植物の栽培を容易にするように構成された複数の機能システムと、
前記1つ以上の植物の栽培に関連する状態をモニタリングするように構成された第1の複数のセンサーと、
前記フレームに取り外し可能に取り付けられた1つ以上のモジュール式収納キャビネットとを含み、
前記1つ以上のモジュール式収納キャビネットは、前記1つ以上のモジュール式収納キャビネット内に事前に組み立てられ、前記第1の複数のセンサー及び前記複数の機能システムのうちの1つ以上と通信するように構成された電子機器を含み、
前記1つ以上のモジュール式収納キャビネットは、事前に組み立てられ、前記複数の機能システムのうちの1つ以上と接続して機能するように構成されたインターフェースを含み、
前記電子機器は、前記第1の複数のセンサーからデータを収集するように構成され、前記複数の機能システムの制御に関連する指示を提供するように構成されたメインコントローラーを含む、水耕栽培装置。
【請求項2】
前記メインコントローラーは、外部電子システムと通信するようにさらに構成され、
前記メインコントローラーは、当該収集されたデータを処理のために前記外部電子システムに送信し、前記外部電子システムによる処理結果に基づいて、前記複数の機能システムの制御に関連する指示を提供する、請求項1に記載の水耕栽培装置。
【請求項3】
前記1つ以上のモジュール式収納キャビネットは、前記1つ以上の植物の栽培に関連するさらなる状態を検出するように構成された第2の複数のセンサーを含む、請求項1に記載の水耕栽培装置。
【請求項4】
前記1つ以上のモジュール式収納キャビネットは、
前記内部空間の環境条件を制御するように構成された環境システムと、
前記1つ以上の植物に流体栄養素を提供するように構成された灌漑システムと、
を含む、請求項1に記載の水耕栽培装置。
【請求項5】
前記環境システムは、
前記内部空間の温度及び湿度を調整するように構成された換気手段と、
温度及び湿度データを収集し、前記温度及び湿度データを前記メインコントローラーに提供するように構成された検知手段と、
を含む、請求項4に記載の水耕栽培装置。
【請求項6】
前記灌漑システムは、
給水源から受け取った水を濾過するための逆浸透濾過システムと、
前記逆浸透濾過システムから受け取った前記水を貯蔵するための逆浸透リザーバーと、
前記逆浸透リザーバーから受け取った前記水を貯蔵するための浄水リザーバーと、
を含む、請求項4に記載の水耕栽培装置。
【請求項7】
前記灌漑システムは、前記浄水リザーバー内に配置された量センサー及び温度センサーを含み、
前記温度センサーは前記浄水リザーバー内の水の温度をモニタリングするように構成され、
前記量センサーは前記浄水リザーバー内の水の量をモニタリングするように構成される、請求項6に記載の水耕栽培装置。
【請求項8】
前記灌漑システムは、前記水耕栽培装置の前記フレームに取り付けられた1つ以上の雨水収集パイプを通して雨水を収集するように構成された雨水収集リザーバーと、海水を植物灌漑用の水に変換する海水淡水化逆浸透システムとのうちの少なくとも1つを含む、請求項6に記載の水耕栽培装置。
【請求項9】
前記灌漑システムは、
栄養素を供給するための栄養素供給タンクと、
栄養素供給タンクに接続され、栄養素溶液を調製するための栄養素溶液リザーバーと、
前記栄養素溶液に関連するパラメータをモニタリングするための複数の検知手段と、
前記栄養素溶液の温度を変更するための温度調整手段と、
前記栄養素溶液を攪拌するための攪拌手段と、
前記栄養素溶液リザーバーと流体連絡し、前記栄養素溶液リザーバー内の前記栄養素溶液のpHレベルを調整するための1つ以上のpH調整タンクとを含む、
請求項4に記載の水耕栽培装置。
【請求項10】
前記栄養素溶液リザーバーから前記1つ以上の植物に前記栄養素溶液を搬送するように構成された栄養素溶液搬送手段と、
未使用の前記栄養素溶液を前記栄養素溶液リザーバーに戻すように構成された栄養素溶液戻し手段とをさらに含む、請求項9に記載の水耕栽培装置。
【請求項11】
前記複数の機能システムは、複数の照明装置を含み、
前記第1の複数のセンサーは、前記複数の照明装置に関連する照明情報を収集するための光センサーを含み、
前記複数の照明装置のうちの少なくとも1つ以上からなる第1の部分は、前記水耕栽培装置の内壁に取り付けられ、
前記複数の照明装置のうちの少なくとも1つ以上からなる第2の部分は、前記水耕栽培装置の天井に取り付けられている、請求項1に記載の水耕栽培装置。
【請求項12】
前記複数の機能システムは、1つ以上のエネルギー収集装置を含み、
前記エネルギー収集装置は、光起電装置、風力タービン、及び水素燃料電池のうちの少なくとも1つを含み、
前記エネルギー収集装置に光起電装置が含まれる場合、前記1つ以上のモジュール式収納キャビネットの前記電子機器には、前記光起電装置から収集された太陽エネルギーの管理を容易にするためのバランスオブシステム及び検知手段が含まれる、請求項1に記載の水耕栽培装置。
【請求項13】
前記複数の機能システムは、視覚情報を収集し、前記視覚情報を前記メインコントローラーに送信するための1つ以上のビデオキャプチャデバイスを含む、請求項1に記載の水耕栽培装置。
【請求項14】
前記1つ以上の植物を栽培するためのバケツシステム、タワーシステム、及びスタックトレイシステムのうちの1つ以上をさらに含む、請求項1に記載の水耕栽培装置。
【請求項15】
前記複数の機能システムは、雄植物から花粉を収集し、花粉を移して雌植物を受粉させるのに役立つ受粉装置を含む、請求項1に記載の水耕栽培装置。
【請求項16】
植物生産のための水耕栽培システムであって、
1つ以上の植物を栽培するための少なくとも1つの水耕栽培装置と、
1つ以上のネットワークと、
前記1つ以上のネットワークを介して前記少なくとも1つの水耕栽培装置と通信するクラウドサーバーとを備え、
前記少なくとも1つの水耕栽培装置のそれぞれは、前記水耕栽培装置内に取り外し可能に取り付けられた1つ以上のモジュール式収納キャビネットを含み、
前記クラウドサーバーは、
前記少なくとも1つの水耕栽培装置から受け取ったデータを記憶するためのストレージと、
人工知能アルゴリズムに基づいて前記データを処理して処理結果を得るための人工知能プロセッサとを含み、
前記クラウドサーバーは、前記処理結果に基づいて指示を生成し、前記1つ以上の植物の栽培を制御するために前記指示を前記少なくとも1つの水耕栽培装置に提供するように構成されている、水耕栽培システム。
【請求項17】
前記ストレージは、学習アルゴリズムを通して生成された学習モードを記憶し、
前記人工知能プロセッサは、前記少なくとも1つの水耕栽培装置における前記1つ以上の植物の栽培に関係するデータの分類及び認識のためのニューラルネットワークを学習する学習データ取得ユニットを含む、請求項16に記載の水耕栽培システム。
【請求項18】
前記1つ以上のネットワークを介して前記クラウドサーバーと通信するクライアントデバイスをさらに含み、
前記クライアントデバイスは、前記少なくとも1つの水耕栽培装置の遠隔制御を可能にする水耕栽培アプリケーションを含む、請求項16に記載の水耕栽培システム。
【請求項19】
前記少なくとも1つの水耕栽培装置は2つ以上の水耕栽培装置を含み、
前記水耕栽培装置の各々は固有の識別情報と関連付けられ、
前記クラウドサーバーは前記水耕栽培装置の各々を前記固有の識別情報によって識別する、請求項16に記載の水耕栽培システム。
【請求項20】
前記2つ以上の水耕栽培装置のそれぞれは、同じハードウェア及びソフトウェアを含み、
前記クラウドサーバーは、前記2つ以上の水耕栽培装置における栽培を容易にする定式化されたデータを受け取る、請求項19に記載の水耕栽培システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、香港短期特許出願第32021040786.4号(2021年10月20日に出願)、発明の名称「Hydroponics farming apparatus,and systems including the same」に対する優先権を主張する。なお、この文献はその全体に対して参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、水耕栽培に関する。
【背景技術】
【0003】
世界では生鮮食品に対する需要が高まっている。食糧不足は、人口増加、気候変動、投資不足、業界における人材不足などの種々の理由によって生じ得る。多くの地域は、外部からの食糧供給に大きく依存している。香港を例に取ってみる。統計によれば、食糧供給の95%は他の国または地域から供給されている。食糧供給を増やすために水耕栽培が開発されたが、既存のシステムはまだ不十分である。
【0004】
水耕栽培における技術的ニーズ及び産業応用の進歩を助ける新しい栽培装置、システム、及び方法が望まれている。
【発明の概要】
【0005】
実施形態の一態様によれば、植物生産用の水耕栽培装置が提供される。栽培装置は、1つ以上の植物を栽培するための内部空間を画定するように構成されたフレームと、1つ以上の植物の栽培を容易にするように構成された複数の機能システムと、1つ以上の植物の栽培に関連する状態をモニタリングするように構成された第1の複数のセンサーと、フレームに取り外し可能に取り付けられた1つ以上のモジュール式収納キャビネットとを含む。1つ以上のモジュール式収納キャビネットは、事前に組み立てられ、第1の複数のセンサー及び複数の機能システムのうちの1つ以上と通信するように構成された電子機器を含む。1つ以上のモジュール式収納キャビネットは、事前に組み立てられたインターフェースであって、複数の機能システムのうちの1つ以上と接続して機能するように構成されたインターフェースをさらに含む。電子機器は、第1の複数のセンサーからデータを収集するように構成されたメインコントローラーであって、複数の機能システムの制御に関連する指示を提供するように構成されたメインコントローラーを含む。
【0006】
実施形態の別の態様によれば、植物生産のための水耕栽培システムが提供される。水耕栽培システムは、1つ以上の植物を栽培するための少なくとも1つの水耕栽培装置であって、少なくとも1つの水耕栽培装置のそれぞれは、水耕栽培装置内に取り外し可能に取り付けられた1つ以上のモジュール式収納キャビネットを含む、少なくとも1つの水耕栽培装置と、1つ以上のネットワークと、1つ以上のネットワークを介して少なくとも1つの水耕栽培装置と通信するクラウドサーバーとを含む。クラウドサーバーは、少なくとも1つの水耕栽培装置から受け取ったデータを記憶するためのストレージと、人工知能アルゴリズムに基づいてデータを処理して処理結果を得るための人工知能プロセッサとを含む。クラウドサーバーは、処理結果に基づいて指示を生成し、1つ以上の植物の栽培を制御するために指示を少なくとも1つの水耕栽培装置に提供するように構成されている。
【0007】
他の実施形態例については、本明細書で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態例による水耕栽培装置を例示する図である。
図2】本発明の実施形態例によるモジュール式収納キャビネットを例示する図である。
図3A】本発明の実施形態例による水耕栽培装置を例示する図である。
図3B図3Aに例示した水耕栽培装置の内部配置を例示する図である。
図4】本発明の実施形態例による水耕栽培装置の内部の動作を例示する図である。
図5A】本発明の実施形態例によるバケツシステムにおいて使用すべき植物を例示する図である。
図5B】本発明の実施形態例によるタワーシステムにおいて使用すべき植物を例示する図である。
図5C】本発明の実施形態例によるスタックトレイシステムにおいて使用すべき植物を例示する図である。
図6】本発明の実施形態例による水耕栽培システムを例示する図である。
図7】本発明の別の実施形態例による水耕栽培システムを例示する図である。
図8】本発明の実施形態例による水耕栽培方法を例示するフローチャートである。
図9】本発明の別の実施形態例による水耕栽培方法を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態例は、植物生産を容易にする水耕栽培装置、システム、方法に関する。
【0010】
多くの既存の水耕栽培システム及びデザインは、輸送コンテナの内部で事前に組み立てられている。たとえば、輸送コンテナは通常、サイズが長さ12メートル×幅2.44メートル×高さ2.89メートルであり得る。コンテナにすべての必要な機器及びハードウェアが装備されると、輸送コンテナの内部の利用可能なスペースは限定され、植物を栽培するのに比較的小さくなる。さらに、輸送コンテナは事前に組み立てられているため、カスタマイゼーション用の機能を備えたシステムを提供することは困難である。新しい機能を組み込むことによってシステムを変更することは困難である。輸送コンテナを遠隔地に輸送するための物流のコストも高く、リソースが限られているユーザにとっては物流が障害となる可能性がある。さらに、既存のシステムデザインでは通常、ユーザは単一の製品(必要なスペースが小さいため主にレタス)のみを栽培でき、異なる製品を栽培するためには完全な再デザインが必要である。
【0011】
本発明者が認識しているさらなる欠点としては、広範囲にわたる人間の入力及び農業の知識が必要であることが挙げられる。既存のシステムデザインでは通常、機能が限定されたオンボードソフトウェア管理システムを使用している。その結果、ユーザは1つの個別のコンテナのみを制御することができ得る。さらに、異なるプロバイダによって提供される機器、ハードウェア、及びソフトウェアには、大きな不一致及び非互換性が存在し得る。これは、かなりの程度の人間の介入も必要とする。
【0012】
実施形態例は、既存のシステムデザインに関連するこれらの問題のうちの1つ以上を解決し、水耕栽培装置、システム、及び方法に関する新しいデザインによる技術的解決法を提供する。
【0013】
実施形態例には、ユーザにとっての物流及び設置を簡素化するために民主的でモジュール式のデザインコンセプトを備えた水耕栽培装置が含まれる。1つ以上の実施形態によれば、水耕栽培装置のフレーム構造は、既存の輸送コンテナの標準サイズとは異なる(たとえば、それよりも大きい)カスタマイズされたサイズで製造することができる。フレーム構造は、目的地に到着した後に簡単な組み立てが必要となるモジュラーデザインを採用している。ユーザは、物流コストを抑えて水耕栽培装置をある場所から別の場所に移すことができるため好都合である。すなわち、水耕栽培装置は持ち運び可能な装置である。
【0014】
1つ以上の実施形態によれば、水耕栽培装置は柔軟性及び互換性の向上をもたらす。既存のデザインの完全に組み立てられたシステムとは対照的に、本明細書で提供するデザインコンセプトでは、ユーザが自分で組み立てられる組み立て式の水耕栽培システムをユーザに提供する民主的デザインプロセスを使用する。モジュラーデザインにより、ユーザに、種々の技術機器が取り付けられた1つ以上の事前に組み立てられた収納キャビネットが提供される。ユーザは、栽培装置の内部の1つ以上の専用場所(収納キャビネットの数によって決まる)に収納キャビネット(複数可)を設置または取り付け、水耕栽培システムを動作させるために共に必要な要素(電気的接続または機械的接続など)を接続することだけが必要である。
【0015】
収納キャビネットは、種々の電子機器及びインターフェースが事前に組み立てられた事前組み立てモジュールとして形成されているため、ユーザは、少ない専門知識で水耕栽培装置または水耕栽培農地を容易に組み立てることができる。たとえば、ユーザは、電子機器を組み立てるための広範囲な知識は必要としない。この結果、労力が削減され、ならびにエラーの可能性が減る。他方で、キャビネット内に事前に組み立てられているため、すべての電子機器及びコンポーネントを分解する必要がなく、分解がより簡単になる。この結果、労力を大幅に削減することができる。
【0016】
さらに、1つ以上の実施形態によるシステムデザインにより、柔軟性及び互換性の向上がもたらされる。収納キャビネットは、実際のニーズに応じてカスタマイズすることができる。たとえば、収納キャビネット内の電子機器は、種々のニーズに合わせて容易にプログラムまたは変更することができる。ハードウェアまたは要素を組み込まんで、システムの残りの部分を大幅に変更することなく新しいアプリケーションまたは追加のアプリケーションを追加できるため、好都合である。
【0017】
本明細書で説明する水耕栽培デザインによって、ユーザは広範囲の植物または作物を栽培することができ得る。フレーム構造のサイズを大きくして、より広い栽培領域を確立し、より多くの植物を生産できるようになるため、作物の生産が向上する。また農業における専門知識の必要性が減り、経験がほとんどないかまたはまったくないユーザが望ましい場所で栽培を始めることができる。
【0018】
実施形態例には、1つ以上の水耕栽培農地を含む水耕栽培システムが含まれる。各水耕栽培農地は、望ましい場所に配置することができ、人工知能(AI)システムによって遠隔制御することができる。これは、ビッグデータ及びクラウドコンピューティング技術を利用して栽培プロセスの技術的な部分を管理することにより、完全に自動化され得る。各水耕栽培農地には、植物の成長に必要な要素(光、空気、水、栄養など)を提供する際に必要なすべての機器を制御するための指示を出すためにAIシステムが使用すべきデータを収集するための複数のセンサーが装備されている。
【0019】
1つ以上の実施形態によれば、水耕栽培システムは、一貫した品質管理を向上させるために使用し得る定式化されたデータを提供及び収集し、それによって、人員及び設備での投資を少なくして、異なる場所に位置する複数の水耕栽培農地の制御を可能にする。さらに、その結果、あらゆる農地が統一されたデータを収集及び提供できるようになり、その結果、場所に関係なく他の農地で使用できる正確な農業データがユーザに提供され、人間の入力による差異が減る。
【0020】
定式化されたデータ収集方法は、同じ機器及びハードウェアをすべてのユーザに提供して一貫したデータを得ることによって実行できる。これらの方法は、農地が位置する場所ならびに成長させている植物の種類とは関係なく一貫したデータを提供することによって、AIシステムに必要な深層学習を促進する。技術的な側面が簡略化されたため、ユーザは栽培を始めるのに事前の経験または知識はもはや必要ではない。データ収集方法により、AIシステムは植物に必要な栽培要件を改善及び制御することができる。収集データは、クラウドサーバー内に記憶し、データトレーニング及び学習モードの開発に使用し得る。収集データ及び栽培管理により、システムは農業産業に対する革新を促進し、利益食糧供給の持続可能性に寄与する。
【0021】
図1に、本発明の実施形態例による水耕栽培装置100を例示する。水耕栽培装置100は、1つ以上の植物または作物を生産するための農地または栽培領域を確立する。
【0022】
水耕栽培装置100は、植物を栽培するための内部空間を画定するように構成されたフレームを有する。例示したように、水耕栽培装置100は、複数の機能システム120、第1の複数のセンサー140、及び1つ以上のモジュール式収納キャビネット160を含む。
【0023】
機能システム120は、1つ以上の機能を実行することによって1つ以上の植物の栽培を容易にする。一例として、機能システム120は、光合成を行うなど、植物を育てるのに必要な光を提供する複数の照明装置を含んでいてもよい。照明装置には、1つ以上の白熱光源(白熱電球など)、発光光源(発光ダイオード(LED)など)などが含まれていてもよい。
【0024】
照明装置は適切な場所に配置してもよい。たとえば、一実施形態では、複数の照明装置のうち少なくとも一つ以上からなる第1の部分が、水耕栽培装置100の内壁に取り付けられ、複数の照明装置のうち少なくとも一つ以上からなる第2の部分が、水耕栽培装置100の天井に取り付けられる。代替的な配置が可能である。内壁または天井はフレームの一部であってもよい。
【0025】
一例として、機能システム120は、自然からエネルギーを収集するための1つ以上のエネルギー収集装置を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、エネルギー収集装置は、1つ以上の光起電装置を含んでいてもよい。光起電装置は、水耕栽培装置100の屋根上に配置されるかまたは屋根の一部を構成するソーラーパネルであってもよい。屋根は、フレームの一部であるなど、フレームによって画定してもよい。ソーラーパネルは、シリコンなどの無機材料、またはポリマーなどの有機材料から形成してもよい。光起電装置は、太陽エネルギーを利用して、水耕栽培装置100のエネルギー貯蔵装置(バッテリなど)または電力電子機器を充電する。
【0026】
いくつかの他の実施形態では、エネルギー収集装置は、風力エネルギーを収集する風力タービンを含んでいてもよい。風力タービンは適切な場所に配置してもよい。一例として、4つの風力タービンが農地の隅にそれぞれ配列され、水耕栽培装置100のフレームに取り付けられていてもよい。
【0027】
いくつかの他の実施形態では、エネルギー収集装置は、エネルギー貯蔵用の水素燃料電池を含む。一例として、太陽エネルギーまたは風力エネルギーを使用して水を電気分解し、酸素と水素を分離することができる。酸素は放出され、水素は水素燃料電池内に貯蔵される。次いで、水素ガスは、必要に応じて水素燃料電池から電気に変換されて戻る。その結果、これは、エネルギー貯蔵装置としてのバッテリの使用に置き換わることができる。自然からある特定の種類のエネルギーを収集できる限り、他の種類のエネルギー収集装置も可能である。
【0028】
一例として、機能システム120は、ビデオカメラなどの1つ以上のビデオキャプチャデバイスを含んでいてもよい。植物の生育環境または植物自体の視覚情報(ビデオ、画像など)をビデオカメラによって捕捉し、その後、処理し、ベースにして、栽培プロセスの制御を容易にすることができる。
【0029】
任意選択でまたは追加的に、機能システム120は、雄植物から花粉を収集すること、及び雌植物を受粉させるために花粉を移すのを機械的に容易にすることを助ける受粉装置を含む。これは、ある特定の植物を、ある特定の地理的領域においてまたはある特定の季節に栽培するのに好ましい。いくつかの実施形態では、たとえば、受粉装置は、植物を受粉させるために花に花粉を届けることができる石鹸の泡を生成することができる。受粉装置は、農地内に適切に設置することができ、現場のコントローラーによってまたはクラウドサーバーによって遠隔制御することができる。
【0030】
機能システム120は、他の要素、たとえば、流体を搬送するパイプライン、モジュール式収納キャビネット160、センサー140、または植物ユニット(植木鉢など)と接続して機能する接続部などを含んでいてもよい。機能システム120は、機械要素または電気要素を含んでいてもよい。
【0031】
センサー140は、植物の栽培に関連する状態をモニタリングする種々のセンサーを含んでいてもよい。センサー140としては、たとえば、1つ以上の温度センサー、湿度センサー、光センサー、ガスセンサーなどを挙げてもよい。たとえば、光センサーは、照明装置に関連する照明情報を収集するために設けてもよい。照明情報には、限定することなく、光の強度、分布、発光時間などが含まれていてもよく、照明情報をベースにして照明装置をモニタリングまたは調整することができ、それによって植物の栽培に望ましい照明条件を達成することができる。
【0032】
モジュール式収納キャビネット160は、水耕栽培装置100のフレームに取り外し可能に取り付けてもよい。モジュール式収納キャビネット160の数は、1つ、2つ、またはそれ以上であってもよい。モジュール式収納キャビネット160は、事前に組み立てられた電子機器162であって、センサー140及び機能システム120のうちの1つ以上と通信するように構成された電子機器162を含んでいる。モジュール式収納キャビネット162は、事前に組み立てられたインターフェース166(電気的インターフェースまたは機械的インターフェースなど)であって、センサー140及び機能システム120のうちの1つ以上と接続して機能することができるインターフェース166を含む。電子機器162は、データ収集のためにセンサー140と通信するメインコントローラー164を含む。メインコントローラー164は、収集データを処理し、機能システム120の制御に関連する指示を提供することができる。
【0033】
一実施形態では、メインコントローラー164は、外部電子システム、たとえばサーバー、パーソナルコンピューター、スマートフォン、ラップトップなどと、1つ以上のネットワーク、たとえば有線または無線ネットワークを介して通信する。メインコントローラー164は、収集データを処理のために外部電子システムに送ってもよく、外部電子システムによる処理結果に基づいて栽培の制御に関連する指示を提供してもよい。代替的にまたは任意選択で、メインコントローラー164は、データを独自に処理してもよく、次いで外部電子システムに送信して、処理結果をユーザの確認用に外部電子システム上に視覚的に表示できるようにしてもよい。代替的にまたは任意選択で、ユーザは、外部電子システムを介してメインコントローラー164に指示を提供して、水耕栽培装置100内の植物の栽培を制御してもよい。収集データは、一定期間、電子機器162内に保存してもよい。
【0034】
図2に、本発明の実施形態例によるモジュール式収納キャビネット260を例示する。モジュール式収納キャビネット260、たとえば、図1を参照して、モジュール式収納キャビネット160の特定の実装であってもよい。
【0035】
例示したように、モジュール式収納キャビネット260は、センサー261、環境システム263、メインコントローラー264、及び灌漑システム265を含む。メインコントローラー264は、たとえば、図1を参照してメインコントローラー164の特定の実装であってもよい。メインコントローラー264は、センサー261、及び水耕栽培装置内だがモジュール式収納キャビネット260の外側に配置されたセンサーと電気的に通信する。メインコントローラー264はさらに、1つ以上の遠隔電子デバイス(たとえば、サーバー、ラップトップ、スマートフォン、iPad(登録商標)など)とデータを交換してもよい。
【0036】
センサー261は、植物の栽培に関連するさらなる状態を検出する。たとえば、センサー261を使用して、モジュール式収納キャビネット260の内部環境をモニタリングしてもよい。センサー261は、環境システム263または灌漑システム265、または両方の動作状態に関係するデータを収集し、次いで収集データをメインコントローラー264に提供してもよい。
【0037】
環境システム263は、モジュール式収納キャビネット260が水耕栽培装置内に配置されている場合に、水耕栽培装置の環境条件を制御する。例示したように、環境システム263は換気手段2632を含む。換気手段2632は、1つ以上のファンまたは送風機を含んでいてもよい。ファンは、農地の内部の温度及び湿度を管理するために、水耕栽培装置のフレームに取り付けられた1つ以上の空気ダクトパイプと接続して機能してもよい。センサー261は、環境システム263の温度及び湿度などのパラメータをモニタリングするための気温センサー、湿度センサーなどを含んでいてもよい。
【0038】
例示したように、灌漑システム265は、逆浸透濾過システム2651、逆浸透リザーバー2652、及び浄水リザーバー2653を含む。逆浸透濾過システム2651は、外部の水タンクまたは雨水源などの給水源から受け取った水を濾過する。逆浸透リザーバー2652は、逆浸透濾過システム2651から受け取った水を貯蔵する。浄水リザーバー2653は、逆浸透リザーバー2652から受け取った水を貯蔵する。
【0039】
いくつかの実施形態では、センサー261は、量センサー及び温度センサーをさらに含む。温度センサーは浄水リザーバー2653内に配置され、水温をモニタリングする。量センサーは、浄水リザーバー2653内の水の量をモニタリングする。
【0040】
例示したように、灌漑システム265は、栄養素を供給するための栄養素供給タンク2656と、栄養素供給タンク2656に接続され、栄養素溶液を調製するための栄養素溶液リザーバー2657とを含む。センサー261は、灌漑システム265内に配置された検知手段であって、栄養素溶液に関連するパラメータをモニタリングする検知手段を含んでいてもよい。温度調整手段2658(冷却コンデンサー、ヒーターなど)が、栄養素溶液の温度を調整するために設けられている。攪拌モーターを含む攪拌手段2659が、栄養素溶液を混合または攪拌するために設けられている。栄養素溶液リザーバー2657は、栄養素溶液搬送手段(水耕栽培装置のフレームに取り付けられた1つ以上の栄養素溶液供給パイプなど)と接続して機能して、栄養素溶液を栽培中の植物に搬送できるようになっていてもよい。さらに、栄養素溶液リザーバー2657は、栄養素溶液戻し手段(フレームに取り付けられた1つ以上の栄養素溶液戻りパイプ、または流体が流れることができる底部床など)と接続して機能して、未使用の栄養素溶液を栄養素溶液リザーバー2657に戻してさらに使用できるようになっていてもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、灌漑システム265は、1つ以上の水素イオン指数(pH)調整タンクを含む。一例として、灌漑システム265は、栄養素溶液リザーバー2657と流体連絡するpHアップタンク及びpHダウンタンクを含む。一例として、pHアップタンクは、水酸化カリウム(KOH)及び炭酸カリウム(KCO)を含んでいてもよい。pHダウンタンクは、食品グレードのHPOなどのリン酸(HPO)を含んでいてもよい。栄養素溶液のpHレベルが低い場合、pHアップタンク内の内容物を栄養素溶液リザーバー2657内に移して、pHレベルを上げることができる。栄養素溶液のpHレベルが高い場合、pHダウンタンク内の内容物を栄養素溶液リザーバー2657内に移して、pHレベルを下げることができる。このようにして、栄養素溶液のpHレベルを、望ましいレベルに保つことができる。
【0042】
例示したように、任意選択で、灌漑システム265は、雨水を収集するための雨水収集リザーバー2655をさらに含むことができる。雨水収集リザーバー2655は、雨水収集手段(水耕栽培装置のフレームに取り付けられた雨水収集パイプなど)と接続して機能して、水耕栽培装置上に降った雨水を収集して使用できるようになっていてもよい。これにより、特に雨の多い領域では著しい量の水供給を節約することができる。
【0043】
図3A~3Bに、本発明の実施形態例による水耕栽培装置300を例示する。たとえば、水耕栽培装置300は、図1を参照して水耕栽培装置100の特定の実装であってもよい。
【0044】
水耕栽培装置300は持ち運び可能であり、物流コストを削減しながら第1の物理的場所から第2の物理的場所に移すことができる。
【0045】
例示したように、水耕栽培装置300は、断熱壁及び天井を備えたフレーム構造またはフレーム310を含む。組み立てられたフレーム310は、他の構成も可能であるにもかかわらず、直方体構成を有するものとして例示している。フレーム310は、金属などの適切な材料で形成してもよい。フレームは、実践上の要求に応じてサイズ設定することができる。フレーム310は、植物栽培用の内部空間312を画定する。一例として、フレームの寸法は12メートル(L)×3メートル(W)×3メートル(H)である。内部の床は、耐水性のポリ塩化ビニル(PVC)タイルによって層状になっていてもよい。
【0046】
水耕栽培装置300の入口314は、人が出入りするのに適切な場所に配置され、セキュリティ制御システムが備え付けられたエアシャワーが装備されている。図3A及び3Bに、入口314のすぐ近くに配置された3つのモジュール式収納キャビネット360a、360b、及び360cを例示する。収納キャビネット360a、360b、及び360cは、電子機器、インターフェースなどの技術機器を含む。3つの収納キャビネットは説明のみを目的としている。いくつかの実施形態では、より少ないキャビネット(1つまたは2つなど)またはより多くのキャビネット(4つ、5つ、またはそれ以上)が存在していてもよい。
【0047】
本実施形態では、電子機器、たとえば、オンサイトメインコントローラーまたはコントローラー回路、データストレージまたはメモリ、及びネットワークインターフェースは、収納キャビネット360aの内部に保管される。水耕栽培装置の内部の種々のセンサーからの収集データは、データストレージ内に一時的に記憶してもよい。メインコントローラーは、収集データを処理し、処理結果を現場外のメインサーバーコントローラー及びビッグデータストレージに、クラウドコンピューティング技術を使用して送ってもよい。そして、データをAIシステムが使用して、水耕栽培装置の動作を制御するために現場のコントローラーに送り返される指示を提供してもよい。
【0048】
環境システムが収納キャビネット360b内に設けられている。環境システムは、暖房、換気、及び空調(HVAC)システムを含む。複数の気温センサー及び湿度センサーが設けられている。たとえば、一部のセンサーは内部空間312内に配置され、一方で、一部のセンサーはフレーム310の外部に配置される。これらのセンサーは、温度、湿度などの環境データを収集し、収集データをメインコントローラーに提供する。メインコントローラーは、これらのデータに基づいて、HVACシステムの動作を制御する。たとえば、HVACシステムは、循環ファン、吸気ファン、または排気ファンを含んでいてもよい。コントローラーは、農地の内部の温度及び湿度を管理するために、これらのファンのうちの1つ以上をターンオンまたはターンオフするように指示を出してもよい。さらに、図3Bに例示するように、2本の空気ダクトパイプ370が天井に取り付けられ、収納キャビネット360bに接続されている。2本の空気ダクトパイプ370は、対向する側に取り付けられているとして例示している。各空気パイプは、均等な分配が得られるように2列の植物の間で分割され、前方から後方まで縦方向に水平に延びている。いくつかの実施形態では、HVACシステムは、農地内だが収納キャビネットの外側に配置される。いくつかの他の実施形態では、HVACシステムの少なくとも一部が、収納キャビネットのうちの1つ以上に配置される。
【0049】
灌漑システムが収納キャビネット360c内に設けられている。灌漑システムは、逆浸透濾過システム、逆浸透リザーバー、及び浄水リザーバー、たとえば、図2を参照して、逆浸透濾過システム2651、逆浸透リザーバー2652、及び浄水リザーバー2653を含む。真水供給源が、ソレノイドバルブ及びポンプによって制御される農地に接続されている。そして、真水は逆浸透濾過システムを通して濾過されて、逆浸透リザーバー内に貯蔵され、次いで、ソレノイド値が開くとポンプによって浄水リザーバーに移される。温度センサーが、温度を記録するために浄水リザーバーの内部に取り付けられている。浄水リザーバーは、農地を運営するのに十分な浄水があることを確実にするために、浄水の量をモニタリングする量センサーを含む。ソレノイドバルブが開くと、浄水は、ポンプによって栄養素溶液リザーバー(図2を参照して栄養素溶液リザーバー2657など)に移され、水耕栽培システム内で使用する前に浄水と栄養素の適切な混合レベルを確実にする。一例として、任意選択で及び追加的に、灌漑システムは、雨水収集リザーバー、たとえば、図2を参照して雨水収集リザーバー2655を含むことができる。雨水収集パイプ358が、雨水を収集できるように屋根の片側に設置される。
【0050】
任意選択で及び追加的に、灌漑システムは、使用できない海水を、逆浸透の技術を使用することによって農地内の植物の灌漑に適した水に変換できる海水淡水化逆浸透システムを含むことができる。これは、真水は限られているが豊富な海水が利用できる地理的場所での栽培にとって好都合である。一例として、海水はポンプ手段によって海から取得する。選別手段によってゴミ、砂、及び砂利を選別した後、海水は凝固、凝集、及び濾過を含む一連の処理を経て、微細固体及び浮遊物質が除去される。次いで、海水は、高圧で水分子のみが通過できる半透膜に押しつけられ、同時に、海水中に存在する大部分の塩は遮られ、濃縮された塩水が形成されて海に戻される。海水は、塩分除去を強化するために多段階の逆浸透を受ける。精製水は、農地内での植物生産のためのプロセス水として使用できる。
【0051】
海水淡水化逆浸透システムは、海水源及び植物受容装置(ポット、トレイなど)と流体連絡する通信チャネル(パイプなど)を備えたモジュール式収納キャビネットのうちの1つ内に設置することができる。代替的に、海水淡水化逆浸透システムは、水耕栽培装置の一部としてだがモジュール式収納キャビネットの外側に設置できるスタンドアローンシステムとして提供することができる。これにより柔軟性が得られる。たとえば、海水淡水化逆浸透システム真水が限られているかまたは不足しているある特定の領域でのみ栽培するために提供することができる。
【0052】
灌漑システムはさらに、栄養素溶液リザーバー及び栄養素供給タンク、たとえば、図2を参照して栄養素溶液リザーバー2657及び栄養素供給タンク2656を含む。栄養素溶液量センサーが、栄養素溶液リザーバー内に現在ある栄養素溶液の量を測定するために設けられている。栄養素溶液が所定の量を下回っているか、または品質が所定の要件を満たさない場合、浄水リザーバーからの濾過水を、ソレノイドバルブ及びポンプによって制御される栄養素溶液リザーバーに移す。望ましい温度が維持されていることを確実にするために温度センサーが設けられている。水耕栽培システム内で使用する前に栄養素溶液を望ましい温度まで冷却または加熱するために、冷却コンデンサーまたは加熱コイルが設けられている。溶存酸素(DO)センサーが、栄養素溶液中の酸素レベルを測定するために設けられている。酸素ポンプは、栄養素溶液中の酸素レベルを上げるためにターンオンしてもよいし、または酸素レベルに達したらターンオフしてもよい。電気伝導度(EC)センサー及びpHセンサーを、栄養素溶液中の栄養素レベルを測定するために設けてもよい。いくつかの実施形態では、EC及びpHレベルを取得したら、AIシステムが、1つ以上のソレノイドバルブによって制御される3つの栄養素供給タンクから栄養素溶液内に追加する必要がある栄養素の望ましい量を決定する。各栄養素供給タンクは、十分な栄養素が利用可能であること、または栄養素がある特定の量を下回ったら栄養素を補充する必要があることを確認するための量センサーを備えている。攪拌モーターをターンオンした状態で、望ましいまたは正確な量の真水と栄養素を栄養素溶液内に加え、溶液を完全に混合することができる。望ましいレベルのEC及びpHに達したら、栄養素溶液を水耕栽培システム内に供給することができる。さらに、pHアップタンク及びpHダウンタンクが栄養素溶液リザーバーと流体連絡して設けられており、その中の栄養素溶液のpHレベルを必要に応じて調整することができる。水耕栽培システム内で使用した残りの栄養素溶液は、EC及びpHレベルが最適または所定のレベルに達することができなくなるまで、回収して再使用することができる。廃棄栄養素溶液は、回収用の外部の廃水リザーバーに、ポンプによって移してもよい。栄養素溶液供給パイプ354が天井に取り付けられており、一方の側(たとえば左側)に取り付けられた1本のメインパイプが縦方向に水平に延び、収納キャビネット360cに接続されている。メインパイプは7本のサブパイプに分割されて、一方の側から他方の側(たとえば右側)まで延び、均等な分配が得られるように14のロールの植物間で分配されている。
【0053】
栄養素溶液戻りパイプ356が、床下に取り付けられており(視認性のために床は取り除かれている)、1本のメインパイプが左側に取り付けられて、縦方向に水平に延び、収納キャビネット360cに接続されている。右側から左側に延びる7本のサブパイプは、縦方向に水平に延びるメインパイプに接続され、栄養素溶液リザーバーを収容するストレージ360cに接続されている。栄養素溶液がもはや最適でないかまたは所定の値を下回ったら、栄養素溶液リザーバーは廃棄栄養素溶液を外部の廃水リザーバーに移してもよい。
【0054】
いくつかの他の実施形態では、栄養素溶液戻りパイプ356は使用ない。むしろ、廃棄栄養素溶液を回収するための他の適切な方法を採用することができる。たとえば、廃棄栄養素溶液を回収するために床を使用することができる。床に傾斜を形成して、廃棄物が重力の下で回収用の所定のタンクまたは領域に向かって流れるようにすることができる。床の上方に橋を設けて、ユーザが歩行できるようにすることができる。代替的に、追加の床(上部床と言う)が、廃棄物を流す床(底部床と言う)の上に配置されていてもよい。追加の床は、流体が下方に通過して底部床上に落下できるように形成することができる。
【0055】
複数の照明装置が農地内に配置されている。例示したように、LEDライト390が、太陽と同じスペクトルを有する光を農地の内部に提供し、内部の表面領域を覆っている。4列のLEDライト390が、地面から天井まで水平に、前方から後方まで縦方向に取り付けられている。さらに2列が、天井から吊り下げられて背中合わせに取り付けられている。光センサーが、適切な場所に配置され、光関連のデータを現場のコントローラーに提供して、LEDライトをいつターンオンまたはターンオフするかを制御する照明スケジュールを管理する。
【0056】
エネルギー収集装置が、エネルギーを収集するために設けられている。例示した本実施形態では、屋根の表面領域を部分的または完全に覆うソーラーパネル352が屋根上に設置されている。ソーラーパネル352は、バランスオブシステム(BOS)を含む収納キャビネット360aに接続されている。BOSには、コンバイナーボックス、スタンドアローンシステム用の充電コントローラー及び蓄電池またはバッテリーパック、インバータ、取付け構造、配線、スイッチギア及びヒューズ、サージアレスター、地絡保護装置などが含まれていてもよい。充電コントローラーは、ソーラーパネル352から収集された電力を管理し、電力を交流(AC)から直流(DC)に変換する。グリッド電力入力センサーが、バッテリーパックがすでに最大容量に達しているときにグリッド電力に供給される電力量のデータを収集するために設けられている。グリッド電力出力センサーが、バッテリーパックが空のときに農地に対して使用される電力量のデータを収集するために設けられている。バッテリーパック入力センサーが、ソーラーパネルから収集された電力量のデータを収集するために設けられている。バッテリーパック出力センサーが、農地に対して使用される電力量のデータを収集するために設けられている。バッテリーパック量センサーが、バッテリーパック内に貯蔵された電力量をモニタリングするために設けられている。任意選択の発電機出力センサーが、発電機から使用される電力量のデータを収集するために設けられている。センサー及びBOSは、農地の電力供給を制御する現場のコントローラーと通信する。いくつかの他の実施形態では、エネルギー収集装置は、風力エネルギーを収集するための風力タービンであってもよい。他のタイプのエネルギー収集装置が可能であってもよい。
【0057】
ビデオキャプチャデバイスが、視覚情報を取り込むために設けられている。例示したように、カメラ380(たとえば、高解像度カメラ、4Kカメラ、または他の種類のカメラ、たとえば、他の解像度を備えたカメラ)が、地面から天井まで水平に、前方から後方まで縦方向に取り付けられている。1つの列が右側の壁上に取り付けられ、1つの列が左側の壁上に取り付けられている。カメラ380は内部の表面領域をカバーし、現場のコントローラーによってデータを収集し、収集データをAIシステムに送って、栽培中の植物の状態及び健康状態を分析する。カメラ380はさらに、農地に対するセキュリティを提供してもよい。カメラ380はさらに、ユーザが農地の内部の環境を視覚的に確認できるように、ユーザにビデオストリーミングを提供してもよい。
【0058】
二酸化炭素(CO)レベルセンサーが、農地の内部のCO含有量を測定するために設けられている。収集データにより、メインコントローラーまたはAIシステムは、正しいCOレベルに達するまで、COタンクのソレノイド値を制御して開閉することができる。CO供給タンクセンサーが、ある特定のレベルを下回ったときに補充に利用できるCOがあることを確実にするために設けられている。CO供給手段372が、2本のパイプによって天井に取り付けられており、1本は左側、1本は右側である。各パイプは、均等な分配が得られるように2列の植物の間で分割され、縦方向に水平に延び、CO供給タンクを収容する収納キャビネット360cに接続されている。一例として、通常、空気中のCOレベルは400ppmである。平均して、農地内のCOは、1200~1500ppm以内に保持することができる。CO供給タンクセンサーは、圧力計を備えたタンクに配置される。メインコントローラーまたはAIシステムは、CO供給タンクセンサーから読み取り値を取得することができ、ソレノイドバルブを制御して、現在の量のCOを供給タンクから放出する。
【0059】
図4に、本発明の実施形態例による水耕栽培装置の内部の動作を例示する。
【0060】
例示したように、栄養素溶液が、硝化されpH制御された水リザーバー430から植物410に供給される。水リザーバー430は、浄水リザーバー420、COタンク450、3つの栄養素供給タンク461、462、及び463、ならびに廃水リザーバー440と流体連絡している。一例として、供給タンク461には、硝酸カリウム(KNO)、硝酸カルシウム(Ca(NO)、及びエチレンジアミン四酢酸鉄(FeEDTA)が含まれる。供給タンク462には、硫酸マグネシウム(MgSO)、リン酸一カリウム(KHPO)、硫酸亜鉛(ZnSO)、硫酸マンガン(MnSO)、硫酸銅(II)(CuSO)、ホウ酸(HBO)、及びモリブデン酸ナトリウム(NaMoO)が含まれる。供給タンク463には、KNO、Ca(NO、及びFeEDTAが含まれる。
【0061】
浄水リザーバー420内の水の量は、水位センサー426によってモニタリングされ、利用可能な十分な浄水があることが確実にされている。水位が閾値を下回ると、水が水供給源から浄水リザーバー420内に補充される。浄水リザーバー420内の水は、水ポンプ422を介して水リザーバー430内にポンピングすることができる。
【0062】
COセンサーが、農地の内部のCOレベルを収集し、COタンク450をソレノイドバルブ452によって制御して、望ましい量のCOを放出し、COレベルを維持することができる。栄養素溶液リザーバー量センサー434は、どのくらいの量の栄養素溶液が水リザーバー430内に残っているかに関するデータを収集する。電気伝導度(EC)センサー431及びpHセンサー432は、ECレベル及びpHレベルをモニタリングして、栄養素供給タンク461、462、及び463のソレノイドバルブ、ならびに空気ポンプ436を制御する。必要に応じて、望ましい量の栄養素供給及び酸素をリザーバー430内に追加することができる。pHアップタンク437及びpHダウンタンク438が設けられており、リザーバー430内の栄養素溶液のpHレベルを調整するためにリザーバー430と流体連絡している。たとえば、pHレベルが閾値よりも低い場合、pHアップタンク437から適切な量の溶液をリザーバー430内に注入して、pHレベルを上げることができる。pHレベルが閾値よりも高い場合、pHダウンタンク438から適切な量の溶液をリザーバー430内に注入して、pHレベルを下げることができる。使用済みの栄養素溶液がもはや再利用に最適でなくなったら、ドレインソレノイドバルブ442によって廃水リザーバー440に移すことができる。いくつかの実施形態では、酸化還元電位(ORP)センサー及び傾斜角センサーが設けられている。ORPセンサーは、リザーバー430内の栄養素溶液のORPレベルを測定する。傾斜角センサーを、農地内の適切な場所(モジュール式収納キャビネットのうちの1つ内など)に配置して、水耕栽培装置の傾斜角を測定することができる。
【0063】
機器、手段、たとえばバルブ、ポンプの制御は、メインコントローラーによって行うことができる。代替的に、複数のセンサーによって収集されたデータは、メインコントローラーに提供され、次いでAIシステム(たとえば、AI対応クラウドサーバー、AI対応ポータブル電子デバイスなど)に送られて、さらなる処理に備える。指示は、処理結果に基づいて生成され、関連する機器、手段などを制御するためのメインコントローラーに送り返される。
【0064】
図5A~5Cに、バケツシステム、タワーシステム、及びスタックトレイシステムにおいてそれぞれ使用すべき植物を例示する。
【0065】
1つ以上の実施形態によれば、農地は、種々の栽培方法及び異なる種類の植物に適している。たとえば、農地には48の植え付けスポットがあり、4列×14ロールのレイアウトで農地の内部に分散されている場合がある。各植物には、定式化されたデータ収集に使用される識別番号が与えられる。AIシステムは、識別番号によって特定の農地及び特定の植物を識別し得る。AIシステムは、データを収集して、複数の農地における栽培プロセスを遠隔制御し得る。
【0066】
図5Aに、バケツシステムに適したブッシュ状の植物または垂直植物500aを例示する。一例として、栄養素溶液供給パイプに48の点滴ノズルが接続され、栄養素溶液は各バケツ内の植物の根に直接供給される。各バケツには、1つの植物用開口部が設けられている。その結果、各農地では48の植物の栽培が可能である。バケツの上部には、ネットポットを取り付けるための1つの開口部が付いた蓋がある。ネットポットには、植物の根が土台として使用する成長培地が備えられている。バケツは、残りの栄養素溶液を回収し、ポンプに接続され床下に取り付けられた栄養素溶液戻りパイプ内に排出される。代替的に、残りの栄養素溶液は、傾斜した底部床上に直接回収され、望ましい回収場所に向かって流れる。残りの栄養素溶液は、栄養素溶液リザーバー内に移してもよい。各バケツには、データ収集用の特定の識別番号を割り当ててもよい。
【0067】
図5Bに、タワーシステムに適した葉植物500bを例示する。一例として、栄養素溶液供給パイプに48の点滴ノズルが接続され、栄養素溶液はタワーの内部を下方に流れて植物の根に到達する。各タワーは28の植物用開口部を含み、農地あたり全部で1、344の植物用開口部がある。各開口部には、植物の根が土台として使用する成長培地とともにネットポットが設けられている。バケツの上部には、タワーがバケツに収まることができる1つの開口部が付いた蓋がある。バケツを使用して残りの栄養素溶液を回収し、ポンプに接続され床下に取り付けられた栄養素溶液戻りパイプ内に排出される。残りの栄養素溶液は、栄養素溶液リザーバー内に移してもよい。各タワーの植物用開口部には、データ収集用の特定の識別番号が割り当てられる。
【0068】
図5Cに、スタックトレイシステムに適したマクログリーン/スプラウト/シュート植物500cを例示する。より明瞭に説明することを目的として、スタックトレイシステムの一部も例示する。一例として、栄養素溶液供給パイプに48の点滴ノズルが接続され、栄養素溶液は下方に流れてトレイを栄養素溶液で満たし、植物の根に到達する。各スタックトレイは、5段のトレイを含み、4つのバケツの領域をカバーする。農地あたり全部で14のスタックトレイがある。トレイは飼料法によって使用することもできるし、ネットポットによって個別に扱うこともできる。4つの点滴ノズルが上部のトレイに栄養素溶液を供給し、最下部のトレイに到達するまで下方のトレイに流れ落ち続ける。残りの栄養素溶液は、ポンプに接続され床下に取り付けられた栄養素溶液戻りパイプ内に排出される。残りの栄養素溶液は、栄養素溶液リザーバー内に移して戻してもよい。各スタックトレイには、データ収集用の特定の識別番号が割り当てられる。
【0069】
図6に、本発明の実施形態例による水耕栽培システムを例示する。
【0070】
例示したように、水耕栽培システムは、水耕栽培装置600と、1つ以上のネットワーク610を介して水耕栽培装置600と通信するクラウドサーバー620とを含む。クラウドサーバー620は、ストレージまたはメモリ622と、AI処理ユニットまたはAIプロセッサ624とを含む。
【0071】
水耕栽培装置600は、1つ以上の植物を栽培するための農地を確立し、複数のセンサーを介して栽培の状態に関連する種々のパラメータまたはデータを収集する。データは、ネットワーク610を介してクラウドサーバー620に提供される。データはストレージ622内に記憶し、AIプロセッサ624によって処理して定式化されたデータを得てもよい。
【0072】
クラウドサーバー620はAI処理を実行する。AI処理は、農地内での植物の栽培に関係する動作を含んでいてもよい。たとえば、クラウドサーバー620は、水耕栽培装置600から受け取った、植物の成長状態または制御に関係する検知データに対してAI処理を実行することによって、種々の処理動作及び制御信号生成を実行してもよい。さらに、たとえば、クラウドサーバー620は、水耕栽培装置600内に含まれる電子機器(メインコントローラーなど)との相互作用を通して取得したデータに対してAI処理を実行することによって、自律制御を行ってもよい。
【0073】
一例として、クラウドサーバー620は、ニューラルネットワークを学習することができるコンピューティングデバイスである。AIプロセッサ624は、ストレージ622内に記憶されたプログラムを使用してニューラルネットワークを学習することができる。AIプロセッサ624は、水耕栽培に関係するデータを認識するためにニューラルネットワークを学習してもよい。水耕栽培に関係するデータを認識するためのニューラルネットワークは、コンピューティングデバイス上で人間の脳構造をシミュレートするようにデザインしてもよく、また重みを有して人間のニューラルネットワークのニューロンをシミュレートする複数のネットワークノードを含んでいてもよい。複数のネットワークノードは、各接続関係に応じてデータを送受信することで、ニューロンがシナプスを通して信号を送受信するニューロンのシナプス活動をシミュレートすることができる。ニューラルネットワークは、ニューラルネットワークモデルから開発された深層学習モデルなどの学習モードを含んでいてもよい。深層学習モデルでは、たとえば、複数のネットワークノードが、異なる層内に配置され、畳み込み接続関係に従ってデータを送受信することができる。ニューラルネットワークは、たとえば、種々の深層学習技術、たとえば、深層ニューラルネットワーク(DNN)、畳み込み深層ニューラルネットワーク(CNN)、再帰型ニューラルネットワーク(RNN)、制限付きボルツマンマシン(RBM)、深層信頼ネットワーク(DBN)、及び深層Qネットワークを含み、コンピュータービジョン、音声認識、自然言語処理、及び音声/信号処理などの分野に適用することができる。
【0074】
ストレージ622は、クラウドサーバー620の動作のための種々のプログラム及びデータを記憶してもよい。ストレージ622はAIプロセッサ624によってアクセスされ、AIプロセッサ624によるデータの読み出し/記録/修正/削除/更新などを実行することができる。さらに、ストレージ622は、本発明の1つ以上の実施形態によるデータ分類/認識のための学習アルゴリズムを通して生成されたニューラルネットワークモデル(たとえば、学習モデル6222)を記憶することができる。
【0075】
AIプロセッサ624は、ハードウェアモジュール、ソフトウェアモジュール、またはそれらの組み合わせとして実装されるデータ学習ユニット6242を含んでいてもよい。データ学習ユニット6242は、データ分類/認識のためのニューラルネットワークを学習する。データ学習ユニット6242は、データ分類/認識を決定するために、どのような学習データを使用するのか、また学習データを使用してどのようにデータを分類及び認識するのかについての参照を学習してもよい。データ学習ユニット6242は、学習に使用すべき学習データを取得し、取得した学習データを深層学習モデルに適用することによって、深層学習モデルを学習してもよい。
【0076】
データ学習ユニット6242は、学習データ取得ユニット6244及びモデル学習ユニット6246を含んでいてもよい。学習データ取得ユニット6244は、データを分類及び認識するためのニューラルネットワークモデルに必要な学習データを取得することができる。たとえば、学習データ取得ユニット6244は、ニューラルネットワークモデルに入力すべき植物栽培データ及び/またはサンプルデータを、学習データとして取得することができる。モデル学習ユニット6246は、取得した学習データを使用して、所定のデータをどのように分類するかについての判定基準をニューラルネットワークモデルが有するように、学習を行うことができる。モデル学習ユニット6246は、教師あり学習、教師なし学習、強化学習を通して、または誤差逆伝搬もしくは最急降下法を含む学習アルゴリズムを使用して、ニューラルネットワークモデルをトレーニングしてもよい。ニューラルネットワークモデルを学習したら、モデル学習ユニット6246は、学習したニューラルネットワークモデルをストレージ622に記憶することができる。
【0077】
クラウドサーバー620はクラウドコンピューティングの能力を有する。いくつかの実施形態では、クラウドサーバー620はビッグデータに対して動作を実行する。これは好ましい。なぜなら、一般に、植物栽培に関係する膨大な量のデータがあり、通常の計算能力を有するコンピューターによって処理することは困難だからである。
【0078】
図7に、本発明の別の実施形態例による水耕栽培システムを例示する。
【0079】
例示したように、水耕栽培システムは、水耕栽培装置700-1、700-2…、700-N(Nは自然数)を含む。クラウドサーバー720は、1つ以上のネットワーク710を介してこれらの水耕栽培装置のそれぞれと通信する。クラウドサーバー720は、ストレージまたはメモリ722、AI処理ユニットまたはAIプロセッサ724を含む。
【0080】
水耕栽培装置700-1、700-2…、700-Nのそれぞれは、水耕栽培装置100、300、または600の特定の実装であってもよく、クラウドサーバー720はクラウドサーバー620の特定の実装であってもよい。クラウドサーバー720は、それぞれの個々の水耕栽培装置と通信して、データを受け取り、AIアルゴリズムに基づいてデータを処理する。
【0081】
水耕栽培装置の数が増えると、処理すべきデータ量が著しく増える。この結果、大きな課題が課される。クラウドサーバー710は、ビッグデータ及びクラウドコンピューティング技術を採用することによって、複数の場所における栽培に関係する膨大な量のデータに対処する能力を有することができる。
【0082】
いくつかの実施形態では、クラウドサーバー720は、機械学習アルゴリズムを開発するためのデータトレーニングに、1つ以上の特定の水耕栽培装置を使用することができる。いくつかの実施形態では、クラウドサーバー720は、十分に発達した学習モードを有し、植物栽培用の定式化されたデータを生成する。その結果、定式化されたデータを使用して一貫した品質管理を高めることができるため、ユーザ(農家など)は、人員及び設備での投資を少なくして、異なる場所に位置する複数の農地を制御する能力を有する。
【0083】
例示したように、いくつかの実施形態では、水耕栽培システムはクライアントデバイス730を含む。クライアントデバイス730は、限定することなく、タブレット、ラップトップ、スマートフォン、iPadなどであってもよい。
【0084】
例示したように、クライアントデバイス730は、メモリ732、プロセッサ734、ディスプレイ736、及び水耕栽培アプリケーション738を含む。クライアントデバイス730は、水耕栽培装置700-1、700-2…、700-Nのうちの1つ以上からデータを受け取り、受信データメモリ732内に記憶し、受信データをプロセッサ734及び水耕栽培アプリケーション738により処理して、結果をディスプレイ736上に確認用に表示してもよい。
【0085】
いくつかの実施形態では、クライアントデバイス730は、クラウドサーバー720からデータまたは処理結果を取得し、取得した結果をディスプレイ736上に確認用に表示してもよい。いくつかの実施形態では、クライアントデバイス730は、クラウドサーバー720からデータまたは処理結果を取得し、受信データのさらなる処理を行ってもよい。
【0086】
いくつかの実施形態では、クライアントデバイス730は、ユーザの入力を受け取るキーボード、タッチスクリーンなどのユーザインターフェースを含む。いくつかの実施形態では、クライアントデバイス730は、独自にまたはユーザの入力に応答して指示を生成し、生成した指示を水耕栽培装置700-1、700-2…、700-Nのうちの1つ以上に送って、栽培条件を制御してもよい。
【0087】
いくつかの実施形態では、クライアントデバイス730は、ローカル人工知能学習モードを実施する人工知能対応デバイスである。クライアントデバイスは、クラウドサーバーからデータを取得し、取得したデータに基づいてローカル人工知能学習モードのトレーニングを実施する。
【0088】
図8は、本発明の実施形態例による水耕栽培方法を例示するフローチャートである。本方法は、たとえば、図7を参照して説明した水耕栽培システムなどのシステムによって実行して、植物生産の向上を得ることができる。
【0089】
ブロック802において、1つ以上の水耕栽培装置を用意する。水耕栽培装置は、たとえば、1つ以上の図を参照して前述した水耕栽培装置であってもよい。水耕栽培装置を使用して、1つ以上の植物を生産するための農地を確立する。水耕栽培装置は持ち運び可能であり、適切な場所に移すことができる。
【0090】
ブロック804において、水耕栽培装置内での1つ以上の植物の栽培の条件に関係するデータを収集する。これは、温度センサー、湿度センサー、光センサーなどの複数のセンサーによって行ってもよい。
【0091】
ブロック806において、収集データはクラウドサーバーに送られ、そこでデータはAIアルゴリズムに基づいて処理される。クラウドサーバーは、ビッグデータ及びクラウドコンピューティングの能力を備えたAI対応クラウドサーバーである。クラウドサーバーは、定式化されたデータを生成し、開発された学習モードに基づいて、複数の水耕栽培農地に指示を出して一貫した品質管理を実現し、その一方で人間の介入を減らすことができる。
【0092】
図9は、本発明の別の実施形態例による水耕栽培方法を例示するフローチャートである。本方法は、たとえば、前述したようなクラウドサーバー620、720などのクラウドサーバーによって実行することができる。
【0093】
ブロック902は、複数の農地から、1つ以上の植物の栽培に関係する定式化されたデータを受け取ることを示す。複数の農地のそれぞれは、それぞれの水耕栽培装置によって確立される。水耕栽培装置のそれぞれは、同じ機器(ハードウェア及びソフトウェア)を有する。したがって、水耕栽培装置に固有の収集データは同じである可能性がある。変動は主に、温度、湿度、太陽光の強度などの物理的場所に固有の環境条件に起因する。このように、受け取ったデータは、水耕栽培装置自体の影響を受けない定式化されたデータである。この定式化されたデータ収集方法により、一貫した品質管理が高まるため、ユーザは、人員及び機器での投資を少なくして、異なる場所に位置する複数の農地を制御する能力を有する。
【0094】
ブロック904は、定式化されたデータをAIアルゴリズムに基づいて処理することを示す。データは、AIアルゴリズムを備えたAIプロセッサによって処理してもよい。AIアルゴリズムによって、複数の場所での栽培に対して農地とのインテリジェントなやり取りが可能になる。
【0095】
ブロック906は、農地内のハードウェアを制御するための指示を提供することを示す。処理結果に基づいて、AIシステムは、農地内のハードウェアを制御するための指示を生成する。たとえば、農地内のCOレベルが閾値よりも低いと判定された場合、AIシステムは、ソレノイドバルブが自動的に開いてCO供給タンクからCOを放出できるように指示を生成し、それによって農地内のCOレベルを増加させる。
【0096】
本明細書で使用する場合、用語「農地」または「栽培領域」は、水耕栽培装置によって主に確立された、1つ以上の植物を栽培するための領域を指す。たとえば、水耕栽培装置のフレームによって画定された内部空間が、農地の大部分を構成してもよい。ただし、農地は内部空間に限定されると理解すべきではない。
【0097】
本明細書で使用する場合、用語「定式化されたデータ」は、複数の農地のそれぞれから収集されたデータを指し、各農地は、それぞれの水耕栽培装置によって確立され、すべての水耕栽培装置は同じ機器(すなわちハードウェア及びソフトウェア)を有する。すなわち、水耕栽培装置自体に固有のデータは同じである可能性がある。変動は実質的に、農地の物理的場所に固有の環境条件に起因する。
【0098】
別に定義がない限り、本明細書で使用する技術用語及び科学用語は、実施形態例が属する技術分野における当業者が一般的に理解する明白な意味を有する。実施形態は非限定的な例において例示している。前述で開示した実施形態に基づいて、当業者によって考えられる種々の変更は実施形態例の範囲に含まれる。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】