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特表2024-538440積層コアに少なくとも1つの液体チャネルを生成するための方法、及び該液体チャネルを伴う積層コア
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  • 特表-積層コアに少なくとも1つの液体チャネルを生成するための方法、及び該液体チャネルを伴う積層コア 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】積層コアに少なくとも1つの液体チャネルを生成するための方法、及び該液体チャネルを伴う積層コア
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/20 20060101AFI20241010BHJP
   H02K 15/02 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
H02K1/20 Z
H02K15/02 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547823
(86)(22)【出願日】2022-10-21
(85)【翻訳文提出日】2024-06-04
(86)【国際出願番号】 EP2022079443
(87)【国際公開番号】W WO2023067172
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】21204084.4
(32)【優先日】2021-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524152137
【氏名又は名称】フォエスタルピネ シュタール ゲーエムべーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】フルーフ,ロナルド
【テーマコード(参考)】
5H601
5H615
【Fターム(参考)】
5H601AA16
5H601GA22
5H601GC02
5H601GC12
5H601GE02
5H601GE11
5H615AA01
5H615SS05
5H615SS18
5H615SS33
(57)【要約】
積層コア(3)に少なくとも1つの液体チャネル(18)を生成するための方法、及びこの液体チャネルを有する積層コアが開示されている。媒体密閉液体チャネル(18)を生成するために、カラー(20)は、少なくとも2つの開口部(16)のそれぞれに生成され、これらのカラー(20)は、シートメタルもしくはシートメタルストリップ(5)の片及び/またはシートメタル部(2b)に形成され、または、カラー(20)をそれぞれ有する少なくとも2つの開口部(16)は、シートメタルまたはシートメタルストリップ(5)の片に生成され、これらのカラー(20)は、シートメタルまたはシートメタルストリップ(5)の片に形成され、これらのカラー(20)を有するシートメタル部(2b)が互いに上に積み重ねられるとき、これらのカラー(20)は、液体チャネル(18)の長さ(L)にわたって互いに係合するように具現化される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層コア(3)に少なくとも1つの液体チャネル(18)を生成するための方法であって、
シートメタルまたはシートメタルストリップ(5)のピースはホットメルト接着ワニス(8)が塗布され、
複数の開口部(16)は、前記シートメタルまたはシートメタルストリップ(5)のピースに生成され、
次に、複数のシートメタル部(2a,2b)は、前記シートメタルまたはシートメタルストリップ(5)の片から分離され、前記シートメタルまたは前記シートメタルストリップ(5)のそれぞれは、前記複数の開口部(16)のうちの少なくとも1つの開口部(16)を有し、
前記シートメタル部(2a,2b)が互いに上部に積み重ねられることにより、前記開口部(16)は、前記積層コア(3)で延在する少なくとも前記液体チャネル(18)を画定し、
カラー(20)は、少なくとも2つの開口部(16)のそれぞれに生成され、これらのカラー(20)は、前記シートメタルもしくはシートメタルストリップ(5)の片及び/またはシートメタル部(2b)に形成され、または、カラー(20)をそれぞれ有する少なくとも2つの開口部(16)は、前記シートメタルまたはシートメタルストリップ(5)の片に生成され、これらのカラー(20)は、前記シートメタルまたはシートメタルストリップ(5)の片に形成され、
これらのカラー(20)を有するシートメタル部(2b)が互いに上に積み重ねられるとき、これらのカラー(20)は、前記液体チャネル(18)の長さ(L)にわたって互いに係合するように具現化されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記カラー(20)はそれぞれ円錐セクション(20a)を有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記円錐セクション(20a)では、前記カラー(20)は円錐台の断面として具現化される、及び/または前記円錐セクション(20a)は、前記シートメタルまたはシートメタルストリップ(5)の片の厚さ(d)の0.2~2倍の範囲の第1の幅(b1)を有することを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記カラー(20)は、それぞれ、シート平面(E)からずれて且つシート平面(E)と平行に延在する平坦セクション(20b)を有することを特徴とする、請求項1~3のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記シート平面(E)からずれて且つ前記シート平面(E)と平行に延在する前記平坦セクション(20b)は前記円錐セクション(20a)に隣接する、及び/または前記シート平面(E)からずれて且つ前記シート平面(E)と平行に延在する前記平坦セクション(20b)は、前記シートメタルまたはシートメタルストリップ(5)の片の厚さ(d)の0.2~1.5倍の範囲の第2の幅(b2)を有することを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記積層コア(3)の前記第1のシートメタル部(2a)から離れて、この第1のシートメタル部(2a)の後に積み重ねられる前記シートメタル部(2b)の全ては、前記液体チャネル(18)用の前記開口部(16)にカラー(20)を有することを特徴とする、請求項1~5の1項に記載の方法。
【請求項7】
前記液体チャネル(18)は前記積層コア(3)の軸方向に延在することを特徴とする、請求項1~6のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記カラー(20)は、前記シートメタルまたはシートメタルストリップ(5)の片の中に及び/または前記シートメタル部(2b)の中に押されることを特徴とする、請求項1~7のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記カラー(20)は、前記シートメタルまたはシートメタルストリップ(5)の片の厚さ(d)の0.5倍以上~2倍未満の範囲のカラー高さ(h)で生成されることを特徴とする、請求項1~8のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記開口部(16)は、前記シートメタルまたはシートメタルストリップ(5)の片の中にスタンピングされることを特徴とする、請求項1~9のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記シートメタルまたはシートメタルストリップ(5)の片は、熱硬化性ホットメルト接着剤ワニス(8)が塗布されることを特徴とする、請求項1~10のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記ホットメルト接着剤ワニス(8)を間に有する前記シートメタル部(2a,2b)は、互いに上に積み重ねられると及び/または互いに上に積み重ねられた後に互いに接着されることを特徴とする、請求項1~11のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記シートメタル部(2a,2b)が積み重ねられるとき、前記ホットメルト接着剤ワニス(8)は活性化することを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記シートメタル部(2a,2b)が順送りスタンピングツールのスタックブレーキで積み重ねられることを特徴とする、請求項1~13のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記シートメタル部(2b)の開口部(16)にある前記カラー(20)は、前記液体チャネル(18)の長さにわたって順に互いに係合することを特徴とする、請求項1~14のうちいずれか一項に記載の方法によって生成された積層コア。
【請求項16】
前記カラー(20)はそれぞれ円錐セクション(20a)を有する、及び/または前記カラー(20)は、それぞれ、シート平面(E)からずれて且つシート平面(E)と平行に延在する平坦セクション(20b)を有することを特徴とする、請求項15に記載の積層コア。
【請求項17】
前記シート平面(E)からずれて且つ前記シート平面(E)と平行に延在する前記平坦セクション(20b)は、前記円錐セクション(20a)に隣接することを特徴とする、請求項16に記載の積層コア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層コア、より具体的には、電気機械用の少なくとも1つの液体チャネルを生成するための方法、及び本方法によって生成された積層コアに関し、本方法では、複数の開口部はシートメタルまたはシートメタルストリップの片に生成され、その後、複数のシートメタル部は、該シートメタルまたはシートメタルストリップの片から分離され、そのシートメタル部はそれぞれ該開口部の少なくとも1つの開口部を有し、シートメタル部が互いに上部に積み重ねられることにより、開口部は、積層コアで延在する少なくとも液体チャネルを画定する。
【背景技術】
【0002】
チャネルが積層コアのシートメタル部の開口部によって画定されている、電気機械、すなわち発電機のステーターの積層コアを冷却するために、ステーターの積層コアに軸方向の液体チャネルを提供することが知られている(欧州特許出願公開第2109206号明細書、独国実用新案第29707181号明細書)。
【0003】
例えば、積層積み重ねプロセスを使用することによって、これを達成するために、これらのシートメタル部は、液体チャネル用の開口部が事前にパンチで開けられているシートメタルまたはシートメタルストリップの片から打ち抜かれる。シートメタル部が互いに上部に積み重ねられた後、そのシートメタル部が積層され、積層コアが形成されることによって、軸方向の液体チャネルが積層コアに生成される。独国実用新案第29707181号明細書に開示されるように、また、積層は接着によって行うことができる。
【0004】
液体チャネルを通る冷却剤流、及び例えば積層の欠陥による液体チャネルの漏れの問題は、電気的に絶縁された冷却剤を使用することによって対処される。
【0005】
これは電気短絡を防止するが、漏れた冷却剤は電気機械の回転抵抗を不利に増加させる。これにより、さらに、その効率性が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2109206号明細書
【特許文献2】独国実用新案第29707181号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、再現可能な方法で積層コアに液密液体チャネルを生成するように、冒頭に説明されるタイプの方法を修正することである。また、本方法は、実施することが容易であり、時間に関して効率的である積層コアの経済的生産を可能にするはずである。
【0008】
本発明は、請求項1の特徴を用いて記述された目的を実現する。
【0009】
本発明の別の目的は、液体に対する密閉に関して、液体チャネルを伴う積層コアを改善し、ひいては、漏れを防止することである。
【0010】
本発明は、請求項15の特徴を用いて記述された目的を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
カラーが少なくとも2つの開口部のそれぞれに生成される場合、これらのカラーは、シートメタルもしくはシートメタルストリップの片及び/もしくはシートメタル部に形成される、または、カラーをそれぞれ有する少なくとも2つの開口部がシートメタルもしくはシートメタルストリップの片に生成される場合、これらのカラーは、シートメタルもしくはシートメタルストリップの片に形成される。これにより、液体チャネルを媒体密閉部として具現化する可能性をもたらし得、これらのカラーを有するシートメタル部が互いに上に積み重ねられるとき、これらのカラーは、液体チャネルの長さにわたって互いに係合するように具現化される。
【0012】
特に、互いに係合するカラーは、重なるように液体チャネルのエッジを画定でき、これにより、再現可能な方法で液体チャネルをシールできる。
【0013】
これは、結果として、液体チャネルの領域内に積み重ねられたシートメタル部の間に十分なシールを提供するために、シートメタルまたはシートメタルストリップのピースにホットメルト接着ワニスが塗布される場合でも当てはまる。より具体的には、このホットメルト接着剤ワニスは熱硬化性があり、より具体的には、バックラックの形態で具現化され、これにより、シートメタル部を積層コアに積層するための方法を特に再現可能にする。
【0014】
さらに、カラーを生成するための方法は、同じタイプの方法のステップで実施でき、本方法を用いて、開口部は、シートメタルもしくはシートメタルストリップの片、またはシートメタル部で生成され、その結果、本方法は、実施するのが容易になり、時間に関して効率的になり、そして経済的になる可能性がある。これは、このように生成された積層コアが電気モーターまたは発電機等の電気機械用に用いられる場合に有利になる可能性がある。
【0015】
したがって、先行技術と対照的に、本発明に従った方法は、有意に速い処理速度の特徴をもたらす可能性がある。
【0016】
液体チャネルの媒体密閉は、さらに、カラーがそれぞれ円錐セクションを有する場合に改善できる。より具体的には、円錐セクションは、このカラーを有するシートメタルもしくはシートメタルストリップの片、またはシートメタル部のシート平面に隣接する。
【0017】
好ましくは、円錐セクションは、液体チャネルのさらに良好なシールを生成することを可能するために、シートメタルまたはシートメタルストリップの片の厚さの0.2~2倍の範囲の第1の幅を有する。
【0018】
さらに、シートメタルまたはシートメタルストリップの片の厚さの0.2倍よりも大きい第1の幅は、主に、関連のシートメタル部の重なりに起因して、密閉を向上させることができる。さらに一層、この利点は、第1の幅を増加させることによってさらに良くなる。しかし、シートメタルまたはシートメタルストリップの片の厚さの2倍よりも大きく重なることで、この領域での磁気特性に悪影響をもたらす可能性がある。さらに、また、本方法の再現性の悪影響をもたらし得る亀裂等の材料欠陥のリスクがある。
【0019】
好ましくは、カラーは、その円錐セクションの円錐台の断面として具現化され、これは、さらに、これらのカラーを生成するための方法を簡素化できる。
【0020】
好ましくは、カラーは、それぞれ、結果として、シート厚に関係なくカラーの間の重なりを確立することを可能にするために、シート平面からずれて且つシート平面と平行に延在する平坦セクションを有する。好ましくは、平坦セクションは円錐セクションに隣接する。好ましくは、平坦セクションは開口部を画定する。
【0021】
例えば、平坦セクションは、シートメタルまたはシートメタルストリップの片の厚さの0.2~1.5倍の範囲の第2の幅を有する。第2の幅がシートメタルまたはシートメタルストリップの片の厚さの0.2倍よりも大きい場合、これは、さらに、本方法の再現性を改善できる。特に、平坦セクションは、例えば、カラーの領域のシートメタル部の間の重複エリア上のシート厚の寸法許容差に対する悪影響を減らすことができる。対照的に、シートメタルまたはシートメタルストリップの片の厚さの1.5倍よりも大きい第2の幅は、積層コアの幾何学形状、または、冷却システムに対する可能な接続も複雑化させる可能性がある。
【0022】
積層コアの第1のシートメタル部から離れて、この第1のシートメタル部の後に積み重ねられるシートメタル部の全てが液体チャネル用の開口部にカラーを有する場合、液体チャネルは、積層コアの全長にわたって、容易に実施できる方法で生成できる。
【0023】
好ましくは、カラーの正確に継手の相互係合を確実にするために、ひいては、媒体密閉液体チャネルを再現可能に実現するために、液体チャネルは積層コアの軸方向に延在する。好ましくは、液体チャネルは、積層コアに対する中心から外れて延在し、好ましくは、この積層コアを完全に貫通する。
【0024】
シートメタルまたはシートメタルストリップの片に及び/またはシートメタル部の中にあるカラーがプレスによって生成される場合、積層コアを生成するための方法を簡略化できる。これにより、同一に具現化されたカラーを経済的に且つ再現可能な寸法で生成することが可能になる。例えば、エンボス加工手順を用いて、このプレスを行うことができる。
【0025】
カラーは、シートメタルまたはシートメタルストリップの片の厚さの0.5倍以上~2倍未満、より具体的には1倍の範囲のカラー高さで生成される場合、再現可能な方法で、特に媒体密閉性が高い液体チャネルを製造できる。好ましくは、カラーは、シートメタルまたはシートメタルストリップの片の厚さの0.5倍以上~1倍未満の範囲のカラー高さで生成される。
【0026】
シートメタルまたはシートメタルストリップの片に開口部をパンチで穴を空ける場合、本方法の実施をさらに簡略化できる。
【0027】
ホットメルト接着剤ワニスを間に有するシートメタル部が互いに上に積み重ねられると及び/または互いに上に積み重ねられた後に、互いに接着される場合、本方法をさらに簡略化できる。これは、ホットメルト接着剤ワニスに熱硬化性がある場合、より具体的には、バックラックである場合、さらに特に当てはまる。
【0028】
好ましくは、シートメタル部が積み重ねられるとき、ホットメルト接着剤ワニスが活性化する。これにより、さらに、液体チャネルを伴う積層コアの生産の処理速度を速くできる。例えば、熱硬化性のホットメルト接着剤ワニスを用いて、ホットメルト接着剤ワニスがその硬化温度まで加熱されるとき、この活性化は行われる。
【0029】
この上述の利点は、シートメタル部が順送りスタンピングツールのスタックブレーキで積み重ねられる場合にさらにもっと改善できる。
【0030】
積層コアのシートメタル部の開口部にあるカラーは、液体チャネルの長さにわたって順に互いに係合する場合、これにより、漏れに対して特に媒体密閉性が高い積層コアの液体チャネルを生じさせることができる。
【0031】
カラーがそれぞれ円錐セクションを有する場合、及び/またはカラーがそれぞれシート平面からずれて且つシート平面と平行に延在する平坦セクションを有する場合、漏れ止め液体チャネルに特に利点をもたらすことが判明し得る。
【0032】
好ましくは且つより具体的には、シート平面からずれて且つシート平面と平行に延在する平坦セクションは、各々のカラーの円錐セクションに隣接する。
【0033】
本発明の主題は、例として一実施形態を用いて、図にさらに詳細に示される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】液体チャネルを伴う積層コアを生成するためのデバイスの概略図を示す。
図2】積層コアの液体チャネルの拡大部分図を示す。
図3図2の積層コアのシートメタル部のカラーの拡大図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、本発明に従った方法を実施するためのデバイス1の例示的な実施形態を概略的に表す。打ち抜きしたシートメタル部2a,2bを積層コア3に積み重ねるために、このデバイス1を使用する。したがって、本方法は、積層積み重ねプロセスを構成する。例えば、電気機械で、このように生成された積層コア3を使用できる。
【0036】
この目的のために、シートメタルストリップ5、言い換えると、電気ストリップ(または、シートメタルの片の場合、電気シート)から成り、接着層8、すなわち、2つの平坦面6,7の1つの平坦面6にバックラック等の熱硬化性のホットメルト接着層で完全に覆われ、そして、シートメタルストリップ5は、コイル4から巻きほどかれている。これらの接着層8は図2に示される。
【0037】
通常、鉄シリコン合金から成るこの電気ストリップ/電気シートは、例えば、非結晶配向シート、または結晶配向シートの形態で製造されている。その等方性磁気特性により、非結晶配向電気シートは、主に、電気モーター等の回転機械に使用されている。
【0038】
概して、そのように熱的に活性可能であり、ひいては、熱硬化ホットメルト接着剤ワニス層8,9またはホットメルト接着層は、また、「バックラック(backlack)」という用語によって知られていることに留意されたい。例えば、ホットメルト接着剤ワニスは、エポキシ樹脂ベースであり得る。好ましくは、ホットメルト接着剤ワニスは、硬化剤、例えば、ジシアンジアミドベース硬化剤を伴うビスフェノールベースエポキシ樹脂系である。より具体的には、上述のホットメルト接着剤ワニスは、硬化剤としてジシアンジアミドを伴う、ビスフェノール-A-エピクロルヒドリン樹脂系であり得る。この2段階の硬化エポキシ樹脂系は、シートメタルストリップ5のB状態である。したがって、部分的に架橋したホットメルト接着剤ワニスは反応する。熱が供給されるとき、B状態のホットメルト接着剤ワニスは、さらに反応が進み、ひいては、十分に架橋したC状態にすることができる。また、これは、ベーキングと呼ばれる。通常、この部分的に架橋したホットメルト接着剤ワニス層8,9は、数マイクロメートルの厚さを有する。シートメタルストリップ5は、0.3mm(ミリメートル)のストリップ厚さdを有する。
【0039】
複数のシートメタル部2a,2bは分離され、すなわち、スタンピングツール11、例示的な実施形態では順送りスタンピングツールを用いて、接着剤でコーティングされたシートメタルストリップ5から打ち抜かれている。概して、そのような打ち抜きは、切り抜き、切断、分離、トリミング、ポップアウトによる破砕等であり得ることに留意されたい。
【0040】
また図1からも推測できるように、スタンピングツール11は、複数のストローク12で切断を実行する。これを達成するために、スタンピングツール11の上側ツール11aにおけるブレード13a,13bは、スタンピングツール11の下部ツール11bの各々のダイス14a,14bと協調し、ひいては、スタンピングツール10における2つのスタンピングステージ15a,15bを構成する。
【0041】
上側ツール11aの第1のブレード13aを用いて、開口部16は、シートメタルストリップ5で生成され、すなわち、そこから打ち抜かれる。これは、図1の打ち抜き残留部17から明らかである。第2のブレード13bを用いて、シートメタル部2aまたは2bは、シートメタルストリップ5から分離されている。
【0042】
積層コア3では、この開口部16が、積層コア3を軸方向に通過する、より具体的には、積層コア3を完全に貫通する液体チャネル18を画定するため、開口部16は、分離されているシートメタル部2a,2bのそれぞれに、シートメタルストリップ5に提供され、これは、図2により明確に見える。
【0043】
次に、スタンピングステージ15bを用いて、シートメタル部2a,2bは打ち抜かれ、上側ツール11aのプレスによって、スタックデバイス19の中に押し込まれ、その中に積み重ねられる。この目的のために、スタックデバイス19は、下部ツール11bでガイドを有する。また、示されないカウンターサポート10は、ガイドにも提供される。
【0044】
熱硬化性のホットメルト接着剤ワニス8を活性化して、ベーキングを用いて、シートメタル部2の間で接着接合または一体型接合を生成するために、スタックデバイス19は活発に加熱される。これにより、シートメタル部2a,2bを積層コア3に積層する。
【0045】
漏れに対して媒体密閉性がある液体チャネル18を生成するために、シートメタル部2bのシートメタルストリップ5で既に生成されている開口部16のそれぞれに、各々のカラー20は、形成ステージ21のパンチ22a及びダイス22bを用いて、エンボス加工によって生成される。積層コア3の各々の第1のシートメタル部2aは、そのようなカラー20を有さない。カラー20を有するシートメタル部2aが互いに上に積み重ねられるとき、シートメタル部2bのカラー20は、液体チャネル18の長さLにわたって互いに係合するように具現化される。これにより、シートメタル部2bの特に密閉性が高い接続が生じ、ひいては、液体の漏れに対抗する液体チャネル18を確実にする。
【0046】
しかしながら、カラー20は、また、シートメタルストリップ5の開口部16と同時に生成できるが、これは、詳細に示されない。また、カラー20がシートメタルストリップ5の中に形成されないが、関連のシートメタル部2bの中に形成されることが考えられ、これは、同様に、詳細に図示されない。
【0047】
図3で明らかなように、カラー20は、それぞれ、円錐セクション20aを有し、円錐セクション20aは、開口部16で終端する平坦セクション20bに隣接する。
【0048】
円錐セクション20aは0.10mm(ミリメートル)の第1の幅b1を有し、これにより、漏れに対して特に十分に液体チャネルをシールする。隣接する平坦セクション20bは、0.075mm(ミリメートル)の第2の幅b2を有し、これにより、製造することが可能な限り容易になる。
【0049】
図3に見えるように、平坦セクション20bは、シートメタルまたはシートメタルストリップの片、またはこのカラー20を有する関連のシートメタル部2a,2bのシート平面Eからずれて且つシート平面Eと平行である。さらに、平坦セクション20bは開口部16を画定する。これは、積層コア3を通って、媒体密閉性が高い液体チャネル18を再現可能に提供する。
【0050】
同様に、図3で明らかなように、円錐セクション20bは円錐台の断面として具現化される。
【0051】
さらに、カラーの高さKは0.2mm(ミリメートル)であり、その高さは、厚さdよりも小さく、シートメタルストリップ5、またはストリップから切断されるシートメタル部2bの厚さdの半分よりも大きくなる。これにより、シートメタル部2aの間で頑丈な媒体密閉接続のために特に安定したカラー20が生成される。
【0052】
好ましくは、シートメタルまたはシートメタルストリップの片の厚さdは、0.1mm(ミリメートル)~0.35mmであり、好ましくは0.2mm~0.3mmである。
【0053】
概して、「insbesondere」というドイツ語の語句は、英語で「more particularly(より具体的には)」と翻訳できることに留意されたい。「more particularly(より具体的には)」で始まる特徴は選択的な特徴と考えられ、これは、省略でき、ひいては、例えば、請求項を制限するわけではない。英語で「preferably(好ましくは)」と翻訳される「vorzugsweise」というドイツ語の語句についても同様である。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-09-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0045】
漏れに対して媒体密閉性がある液体チャネル18を生成するために、シートメタル部2bのシートメタルストリップ5で既に生成されている開口部16のそれぞれに、各々のカラー20は、形成ステージ21のパンチ22a及びダイス22bを用いて、エンボス加工によって生成される。積層コア3の各々の第1のシートメタル部2aは、そのようなカラー20を有さない。カラー20を有するシートメタル部2bが互いに上に積み重ねられるとき、シートメタル部2bのカラー20は、液体チャネル18の長さLにわたって互いに係合するように具現化される。これにより、シートメタル部2bの特に密閉性が高い接続が生じ、ひいては、液体の漏れに対抗する液体チャネル18を確実にする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0051】
さらに、カラーの高さ は0.2mm(ミリメートル)であり、その高さは、厚さdよりも小さく、シートメタルストリップ5、またはストリップから切断されるシートメタル部2bの厚さdの半分よりも大きくなる。これにより、シートメタル部2bの間で頑丈な媒体密閉接続のために特に安定したカラー20が生成される。
【国際調査報告】