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特表2024-538448対照の取り扱いを向上させたラボラトリシステムまたは装置、およびラボラトリシステムまたは装置における対照の取り扱いを向上させるための方法
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  • 特表-対照の取り扱いを向上させたラボラトリシステムまたは装置、およびラボラトリシステムまたは装置における対照の取り扱いを向上させるための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-21
(54)【発明の名称】対照の取り扱いを向上させたラボラトリシステムまたは装置、およびラボラトリシステムまたは装置における対照の取り扱いを向上させるための方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/00 20060101AFI20241011BHJP
【FI】
G01N35/00 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519999
(86)(22)【出願日】2022-11-16
(85)【翻訳文提出日】2024-04-02
(86)【国際出願番号】 EP2022082077
(87)【国際公開番号】W WO2023088938
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】21209087.2
(32)【優先日】2021-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム ジョセフ コブ
(72)【発明者】
【氏名】アラン フルラン
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ギースラー
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ホーラート
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル クノー
(72)【発明者】
【氏名】レイモン マンデール
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058AA05
2G058GD05
2G058GD06
2G058GE01
2G058GE04
(57)【要約】
ラボラトリシステムまたは装置であって、システムまたは装置の動作を制御するための制御ユニットと、制御ユニットに接続され、各々のアッセイタイプについて、そのアッセイタイプをランするときに使用される対照タイプの指示、および各々の対照タイプについて、対照タイプに関する割り当てルールを含んでいる記憶ユニットとを備える。制御ユニットは、システムまたは装置上で少なくとも1つのアッセイタイプをランするための指示を含む少なくとも1つのアッセイオーダーを受信し、少なくとも1つのアッセイオーダーに含まれる少なくとも1つのアッセイタイプについて、使用される対照タイプおよびこの対照タイプに関する対応する割り当てルールを決定し、決定された割り当てルールに基づいて、決定された対照タイプを含むための指示を含むアッセイランをスケジューリングし、スケジューリングされたアッセイランを実行するようにシステムまたは装置を制御する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラボラトリシステムまたは装置における対照の取り扱いの向上および最適化のための方法であって、前記システムまたは装置は、
- 前記システムまたは装置の動作を制御するための制御ユニットと、
- 前記制御ユニットに接続され、各々のアッセイタイプについて、前記アッセイタイプをランするときに使用される対照タイプの指示、および各々の対照タイプについて、前記対照タイプに関する割り当てルールを含んでいる記憶ユニットと
を備えており、
前記方法は、以下:
- 前記制御ユニットが、前記システムまたは装置上で少なくとも1つのアッセイタイプをランするための指示を含む少なくとも1つのアッセイオーダーを受信するステップと、
- 前記制御ユニットが、前記少なくとも1つのアッセイオーダーに含まれる前記少なくとも1つのアッセイタイプについて、使用される前記対照タイプおよび前記対照タイプに関する対応する割り当てルールを決定するステップと、
- 前記制御ユニットが、決定された前記割り当てルールに基づいて、決定された前記対照タイプを含むための指示を含むアッセイランをスケジューリングするステップと、
- 前記制御ユニットが、スケジューリングされた前記アッセイランを実行するように前記システムまたは装置を制御するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記対照タイプは、陽性対照タイプおよび陰性対照タイプから選択される少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記割り当てルールは、時間ルールまたはランルールを含み、
- 前記時間ルールは、ある時間フレーム内で1回、前記対照タイプをランするための指示を少なくとも含み、
- 前記ランルールは、
〇 アッセイランごとに1回、かつ/または
〇 前記システムまたは装置において最初に使用される試薬カートリッジごとに1回、かつ/または
〇 前記システムまたは装置において最初に使用される試薬カートリッジロットごとに1回、前記対照タイプをランするための指示を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記時間ルールは、
- アッセイランごとに1回、かつ/または
- 前記システムまたは装置において最初に使用される試薬カートリッジごとに1回、かつ/または
- 前記システムまたは装置において最初に使用される試薬カートリッジロットごとに1回、前記対照タイプをランするための指示をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記制御ユニットは、
- 前記スケジューリングされたランの推定終了時間を決定し、
- 寿命判断において、前記スケジューリングされたランの前記推定終了時間が、前記時間ルールの前記時間フレームの外側であるかどうかを判定し、
- 前記寿命判断が成功である場合に、前記制御ユニットは、寿命判断が成功であると判定された前記決定された対照タイプを含むための更新後指示を含む前記アッセイランをリスケジューリングする
ようにさらに構成される、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記時間フレームは、最小時間フレーム長および最大時間フレーム長を含む、請求項3、4、または5に記載の方法。
【請求項7】
前記最大時間フレーム長および/または前記最小時間フレーム長は、予め決定される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記制御ユニットは、前記制御ユニットのユーザインターフェースを介して割り当てルールを受信するようにさらに構成される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ラボラトリシステムまたは装置であって、
- 前記システムまたは装置の動作を制御するための制御ユニットと、
- 前記制御ユニットに接続され、各々のアッセイタイプについて、前記アッセイタイプをランするときに使用される対照タイプの指示、および各々の対照タイプについて、前記対照タイプに関する割り当てルールを含んでいる記憶ユニットと
を備えており、
前記制御ユニットは、
- 前記システムまたは装置上で少なくとも1つのアッセイタイプをランするための指示を含む少なくとも1つのアッセイオーダーを受信し、
- 前記少なくとも1つのアッセイオーダーに含まれる前記少なくとも1つのアッセイタイプについて、使用される前記対照タイプおよび前記対照タイプに関する対応する割り当てルールを決定し、
- 決定された前記割り当てルールに基づいて、決定された前記対照タイプを含むための指示を含むアッセイランをスケジューリングし、
- スケジューリングされた前記アッセイランを実行するように前記システムまたは装置を制御する
ように構成される、システムまたは装置。
【請求項10】
前記対照タイプは、陽性対照タイプおよび陰性対照タイプから選択される少なくとも1つを含む、請求項9に記載のシステムまたは装置。
【請求項11】
前記割り当てルールは、時間ルールまたはランルールを含み、
- 前記時間ルールは、ある時間フレーム内で1回、前記対照タイプをランするための指示を少なくとも含み、
- 前記ランルールは、
〇 アッセイランごとに1回、かつ/または
〇 前記システムまたは装置において最初に使用される試薬カートリッジごとに1回、かつ/または
〇 前記システムまたは装置において最初に使用される試薬カートリッジロットごとに1回、前記対照タイプをランするための指示を含む、請求項9または10に記載のシステムまたは装置。
【請求項12】
前記時間ルールは、
- アッセイランごとに1回、かつ/または
- 前記システムまたは装置において最初に使用される試薬カートリッジごとに1回、かつ/または
- 前記システムまたは装置において最初に使用される試薬カートリッジロットごとに1回、前記対照タイプをランするための指示をさらに含む、請求項11に記載のシステムまたは装置。
【請求項13】
前記制御ユニットは、
- 前記スケジューリングされたランの推定終了時間を決定し、
- 寿命判断において、前記スケジューリングされたランの前記推定終了時間が、前記時間ルールの前記時間フレームの外側であるかどうかを判定し、
- 前記寿命判断が成功である場合に、寿命判断が成功であると判定された前記決定された対照タイプを含むための更新後指示を含む前記アッセイランをリスケジューリングする
ようにさらに構成される、請求項11または12に記載のシステムまたは装置。
【請求項14】
前記時間フレームは、最小時間フレーム長および最大時間フレーム長を含む、請求項11、12、または13に記載のシステムまたは装置。
【請求項15】
前記最大時間フレーム長および/または前記最小時間フレーム長は、予め決定される、請求項14に記載のシステムまたは装置。
【請求項16】
前記制御ユニットは、前記制御ユニットのユーザインターフェースを介して割り当てルールを受信するようにさらに構成される、請求項9~15のいずれか一項に記載のシステムまたは装置。
【請求項17】
コンピュータプログラム製品であって、請求項9~16のいずれか一項に記載の装置に請求項1~8のいずれか一項に記載の方法の前記ステップを実行させるための命令を含む、コンピュータプログラム製品。
【請求項18】
請求項18に記載のコンピュータプログラム製品を格納したコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、対照の取り扱いを向上させたラボラトリシステムまたは装置、ラボラトリシステムまたは装置における対照の取り扱いを向上させるための方法、コンピュータプログラム製品、およびコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
陽性対照および陰性対照が、ラボラトリシステムおよび装置におけるアッセイおよび試薬の完全性および機能を検証するために使用される。陽性対照は、目的の分析対象物を含んでおり、使用されるアッセイまたは試薬が予想されるとおりに機能しているかどうかを確認するために使用される対照である。陽性対照の結果は、目的の分析対象物が検出されたことを意味する陽性結果になると予想される。陰性対照は、目的の分析対象物を含んでおらず、使用されたアッセイまたは試薬あるいはシステムまたは装置が適切に機能するかどうかを確認するために使用される対照である。陰性対照の結果は、陰性になると予想される。陰性対照の陽性結果は、とりわけ、汚染が発生したことを意味すると考えられる。対照は、一般に、システムまたは装置上で試料とは別個にランされる。対照、とくには陽性対照は、きわめて高価であるため、使用される対照の頻度を柔軟に調整することが望まれる。
【発明の概要】
【0003】
したがって、本発明の目的は、対照の取り扱いを向上および最適化させたラボラトリシステムまたは装置を提供すること、ならびにラボラトリシステムまたは装置における対照の取り扱いの向上および最適化のための方法を提供することである。
【0004】
以下で使用されるとき、用語「・・・を有する」、「・・・を備える」、または「・・・を含む」、あるいはこれらの任意の文法的変種は、非排他的なやり方で用いられる。したがって、これらの用語は、これらの用語によって紹介される特徴の他に、この文脈において説明されるエンティティにさらなる特徴が存在しない状況、および1つ以上のさらなる特徴が存在する状況の両方を指し得る。例として、「AはBを有する」、「AはBを備える」、および「AはBを含む」という表現はいずれも、B以外に他の要素がAに存在しない状況(すなわち、AがBのみで排他的に構成される状況)、およびB以外に要素C、要素CおよびD、あるいはまたさらなる要素など、1つ以上のさらなる要素がエンティティAに存在する状況を指し得る。
【0005】
さらに、特徴または要素が1回または複数回存在してよいことを示す「少なくとも1つ」または「1つ以上」という用語あるいは同様の表現は、典型的には、それぞれの特徴または要素を紹介するときに一度だけ使用されることに留意されたい。以下では、ほとんどの場合、それぞれの特徴または要素を指すとき、それぞれの特徴または要素が1回または複数回存在してもよいという事実にもかかわらず、「少なくとも1つ」または「1つ以上」という表現を繰り返さない。
【0006】
さらに、以下で使用されるとき、「好ましくは」、「より好ましくは」、「とくには」、「さらにとくには」、「具体的には」、または「より具体的には」という用語、あるいは同様の用語は、代替の可能性を制限することなく、任意の特徴に関して使用される。したがって、これらの用語によって紹介される特徴は、任意の特徴であり、請求項の範囲をいかなるやり方でも限定することを意図していない。本発明は、当業者であれば理解できるとおり、代替の特徴を使用することによって実行されてもよい。同様に、「本発明の実施形態において」または同様の表現によって紹介される特徴は、任意の特徴であることが意図され、本発明の代替の実施形態に関するいかなる制限も伴わず、本発明の範囲に関するいかなる限定も伴わず、そのようなやり方で紹介される特徴を本発明の他の任意の特徴または任意ではない特徴と組み合わせる可能性に関するいかなる制限も伴わない。
【0007】
ラボラトリシステムまたは装置における対照の取り扱いの向上および最適化のための方法において、システムまたは装置は、システムまたは装置の動作を制御するための制御ユニットと、制御ユニットに接続された記憶ユニットとを備える。制御ユニットは、この特定の目的のための専用の制御ユニットであってもよいが、好ましくは、システムまたは装置の他の機能を制御するための制御ユニットに統合される。制御ユニットは、システムまたはデバイス内に位置してもよいし、サーバまたはクラウドベースの制御ユニットとして実装されてもよい。
【0008】
記憶ユニットは、各々のアッセイタイプについて、前記アッセイタイプをランするときに使用される対照タイプの指示、および各々の対照タイプについて、対照タイプに関する割り当てルールを含む。
【0009】
したがって、システムまたは装置において実行可能な各々のアッセイタイプについて、陽性対照および陰性対照など、特定のアッセイタイプに使用される対照タイプ、ならびに特定の対照タイプのための割り当てルールが関連付けられる。割り当てルールは、いつどの決定パラメータの下で、関連の対照タイプがシステムまたは装置のランにおいてスケジューリングされなければならないかに関する指示を含む。
【0010】
第1のステップにおいて、制御ユニットは、システムまたは装置上で少なくとも1つのアッセイタイプをランするための指示を含む少なくとも1つのアッセイオーダーを受信する。アッセイオーダーを、制御ユニットに接続された、LISなどの外部のシステムまたは装置から受信してもよいが、制御ユニット自体によって生成することも可能である。当然ながら、システムまたは装置は、すべての必要な材料、試薬、対照、および試料の利用可能性をチェックするなど、アッセイオーダーを確実に実現することができるようにするための追加のタスクを実行するように構成される。簡単にするために、本説明においては、システムまたは装置が受信したアッセイオーダーを実現することができると仮定する。アッセイオーダーは、1つ以上のアッセイタイプをランするための指示を含むことができる。システムまたは装置のスループットを高めるために、ランにおいて最大量の試験を処理することが有利である。現代のラボラトリシステムまたは装置においては、処理がマルチウェルプレート上で行われるため、対照の取り扱いの最適化は、試験ごとのコストを削減するだけでなく、マルチウェルプレート上のスペースを解放して、ランにおいてさらに多くの試験を実行することも可能にする。
【0011】
次いで、制御ユニットは、少なくとも1つのアッセイオーダーに含まれる少なくとも1つのアッセイタイプについて、使用される対照タイプおよび前記対照タイプに関する対応する割り当てルールを決定する。換言すると、制御ユニットは、アッセイタイプに関連付けられた対照タイプに基づいて、どの対照(複数でもよい)がランに含まれなければならないかを決定し、アッセイタイプに関連付けられた割り当てルールに基づいて、対照タイプ(複数でもよい)がランに含まれなければならないかどうか、およびいつ含まれなければならないかを決定する。
【0012】
次いで、制御ユニットは、アッセイランをスケジューリングし、アッセイランは、決定された割り当てルールに基づいて、決定された対照タイプを含むための指示を含む。制御ユニットは、アッセイタイプに関連付けられた対照タイプに基づいて、どの対照(複数でもよい)がランに含まれなければならないかを決定し、アッセイタイプに関連付けられた割り当てルールに基づいて、対照タイプ(複数でもよい)がランに含まれなければならないかどうか、およびいつ含まれなければならないかを決定したのちに、アッセイランに必要であると決定された前記対照タイプを含むための指示を含むアッセイランをスケジューリングする。
【0013】
最後に、制御ユニットは、先行のステップにおいてスケジューリングされた対照タイプを含むスケジューリングされたアッセイランを実行するようにシステムまたは装置を制御する。
【0014】
好ましい実施形態において、アッセイタイプに関連付けられる対照タイプは、陽性対照タイプおよび陰性対照タイプから選択される少なくとも1つである。さらに好ましい実施形態においては、陽性対照タイプおよび陰性対照タイプの両方がアッセイタイプに関連付けられる。当然ながら、すでに処理されており、プロセスの後の段階でマルチウェルプレートに追加される対照タイプなど、他の対照タイプが含まれてもよい。
【0015】
とくには、好ましい実施形態によれば、割り当てルールは、時間ルールまたはランルールを含む。これにより、時間ルールは、ある時間フレーム内で1回、対照タイプをランするための指示を少なくとも含む。時間フレームは、アッセイタイプに関連付けられた対照タイプの使用の間に経過してよい最大時間量を定める。換言すると、時間ルールは、特定のアッセイタイプに関して関連の対照タイプをどれくらい頻繁にランしなければならないかを定める。
【0016】
これにより、ランルールは、アッセイランごとに1回、かつ/あるいはシステムまたは装置において最初に使用される試薬カートリッジごとに1回、かつ/あるいはシステムまたは装置において最初に使用される試薬カートリッジロットごとに1回、対照タイプをランするための指示を含む。システムまたは装置は、すでに述べたように、そこに装填された試薬カートリッジの知識を有する。この実施形態によれば、制御ユニットは、アッセイタイプに関連付けられたランルールに従って、特定のアッセイタイプのための試薬カートリッジおよび/または試薬カートリッジロット(試薬カートリッジのIDによって判断することができる)がシステムまたは機器においてすでに使用されているかどうかを判定する。アッセイランごとのランルールの場合、アッセイタイプに関連付けられた対照タイプが、そのアッセイタイプが実行されるアッセイランごとに含まれる。
【0017】
好ましい実施形態において、時間ルールは、アッセイランごとに1回、かつ/あるいはシステムまたは装置において最初に使用される試薬カートリッジごとに1回、かつ/あるいはシステムまたは装置において最初に使用される試薬カートリッジロットごとに1回、対照タイプをランするための指示をさらに含む。したがって、上記のランルールが時間ルールに統合され、アッセイタイプに関連付けられた異なる対照タイプの使用のための複数の依存関係を設定することが可能になる。
【0018】
好ましくは、システムまたは装置において最初に使用される試薬カートリッジロットごとに1回、対照タイプをランするための指示を含むランルールが、本方法によって常に適用され、取り消すことはできない。とくに好ましい実施形態において、システムまたは装置において最初に使用される試薬カートリッジごとに1回、対照タイプをランするための指示を含むランルール、およびシステムまたは装置において最初に使用される試薬カートリッジロットごとに1回、対照タイプをランするための指示を含むランルールの両方が、常に適用される。
【0019】
好ましい実施形態において、制御ユニットは、スケジューリングされたランの推定終了時間を決定するようにさらに構成される。このタスクは、制御ユニットに接続された記憶装置に用意され、装置の実際の実行に基づいて更新されてよいアッセイランのさまざまなプロセスステップの推定時間を用いて、制御ユニットによって容易に実行することができる。
【0020】
次いで、制御ユニットは、寿命判断において、スケジューリングされたランの推定終了時間が、時間ルールの時間フレームの外側であるかどうかを判定する。したがって、寿命判定は、スケジューリングされたランの推定終了時間が、時間ルールの時間フレームの外側であるかどうかを判定するステップである。
【0021】
上述のように、時間ルールの時間フレームは、アッセイタイプに関連付けられた対照タイプの使用の間に経過してよい最大時間量を定める。
【0022】
前記寿命判断が成功である場合、すなわち推定終了時間が時間ルールの時間フレームの終わりよりも後である場合、制御ユニットは、寿命判断が成功であると判定された決定された対照タイプを含むための更新後指示を含むアッセイランをリスケジューリングする。したがって、アッセイランが終了するときに、アッセイタイプに関連付けられた対照タイプが依然として有効であることが保証される。
【0023】
好ましい実施形態において、時間フレームは、最小時間フレーム長および最大時間フレーム長を含む。したがって、時間フレームは、最小時間フレーム長および最大時間フレーム長の範囲内にのみ定めることができる。
【0024】
最大時間フレームは、異なる対照タイプを取り扱うときにいくつかの規制または法的側面を考慮しなければならない場合にとくに好都合である。例示的には、与えられた割り当てルールにもかかわらず、時間フレームが例えば72時間でなければならないと求められる可能性がある。そのような場合、好ましくは最大時間フレームが予め決定され、すなわち時間長が例えば72時間に設定され、ユーザによる変更(より長く設定する)は不可能である。
【0025】
最小時間フレームは、時間フレームがアッセイランの一般的な時間長よりも短い値に設定されることを回避するためにとくに好都合であるが、そうでなければ、これは場合によっては前述の寿命判定と矛盾すると考えられる。
【0026】
好ましくは、最小時間フレームは好ましくは予め決定され、すなわち時間長が例えば4時間に設定され、ユーザによる変更(より短く設定する)は不可能である。
【0027】
制御ユニットは、好ましい実施形態において、制御ユニットのユーザインターフェースを介して割り当てルールを受信するようにさらに構成される。好ましくは、割り当てルールは、アッセイタイプに関連付けられた各々の対照タイプについて独立に、GUIなどのユーザインターフェースを介してユーザによって選択されてもよい。しかしながら、割り当てルールがアッセイタイプに関連付けられたすべての対照タイプについて同じであってよいように制御ユニットを構成することも可能である。あるいは、いくつかのアッセイタイプは、割り当てルールの変更が可能でなくてもよい。さらに、制御ユニットは、ユーザのユーザ資格情報が割り当てルールの変更に関して有効であるかどうかを判定し得る。
【0028】
本発明による方法の上記の説明は、本発明によるシステムまたは装置、コンピュータ実装方法、ならびにコンピュータ記憶媒体に相応に当てはまる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明による方法について可能な実施態様を示している。
図2】本発明の割り当てルールを選択するための可能なGUIを示している。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図面の詳細な説明
ここで、本発明を、図面に関連して、好ましい実施形態によって説明する。
【0031】
図1に、割り当てルールの決定について可能な実施態様が示されている。第1のステップ100において、割り当てルールが時間ルールを含むべきか、あるいはランルールを含むべきかを選択することができる。時間ルール(TIME)が特定のアッセイタイプについての割り当てルールになると決定された場合、次のステップ110が実行される。ランルール(RUN)が特定のアッセイタイプについての割り当てルールになると決定された場合、次のステップ120が実行される。
【0032】
ステップ110および120は、時間ルールまたはランルールが、システムまたは装置において最初に使用されるすべての試薬カートリッジについて対照タイプをランする指示も含むべきか、あるいはシステムまたは装置において最初に使用されるすべての試薬カートリッジロットについて一度だけ対照タイプをランする指示も含むべきかの決定を含むため、基本的に同じである。時間ルールを使用すべきであり、時間ルールがシステムまたは装置において最初に使用されるすべての試薬カートリッジロット(新規ロット)について対照タイプをランする指示も含むべき場合、割り当てルール構成130が生成され、特定のアッセイタイプのための割り当てルールとして記憶ユニットに記憶される。同様に、時間ルールを使用すべきであり、時間ルールがシステムまたは装置において最初に使用されるすべての試薬カートリッジ(新規カートリッジ)について対照タイプをランする指示も含むべき場合、割り当てルール構成140が生成され、特定のアッセイタイプのための割り当てルールとして記憶ユニットに記憶される。
【0033】
同様に、ランルールを使用すべきであり、ランルールがシステムまたは装置において最初に使用されるすべての試薬カートリッジ(新規カートリッジ)について対照タイプをランする指示も含むべき場合、割り当てルール構成150が生成され、特定のアッセイタイプのための割り当てルールとして記憶ユニットに記憶される。
【0034】
同様に、ランルールを使用すべきであり、ランルールがシステムまたは装置において最初に使用されるすべての試薬カートリッジロット(新規ロット)について対照タイプをランする指示も含むべき場合、割り当てルール構成160が生成され、特定のアッセイタイプのための割り当てルールとして記憶ユニットに記憶される。
【0035】
したがって、制御ユニットは、アッセイオーダーを受け取ったときに、アッセイオーダーのアッセイタイプに関連付けられた必要な割り当てルールを記憶ユニットから取り出すことができる。
【0036】
図2が、アッセイタイプに関連付けられた対照タイプのための割り当てルールを決定するためのGUIについて可能な実施態様を示している。この場合、システムまたは装置は、システムまたは機器において利用可能な5つの異なるアッセイタイプを有する。ユーザに提供される画像の左側において、アッセイタイプが選択され、その結果として、右側に選択パネルが現れる。陽性対照タイプおよび陰性対照タイプが、選択されたアッセイタイプ1に関連する。したがって、ユーザは、割り当てルールが時間ルール(時間ごと)を含むべきか、あるいはランルール(ランごと)を含むべきかを、正しいボックスにチェックを入れることによって、すべての対照タイプについて独立して選択することができる。ユーザが「時間ごと」というボックスを選択した場合、次に、時間枠(「時間長ごと」、陽性対照の場合は6時間、陰性対照の場合は4時間)を選択することが可能である。図2から分かるように、時間フレームは、4時間と72時間(最小時間フレーム長と最大時間フレーム長)との間の値のみを受け入れることができる。さらに、ユーザは、対照タイプに関して、割り当てルールがシステムまたは装置において最初に使用されるすべての試薬カートリッジについて対照タイプをランする指示も含むべき(「新規カセットごと」)であるかどうかを、選択することができる。図2において、これは両方の対照タイプに当てはまる。
【0037】
図2の左側において、各々のアッセイタイプの下方に、各々のアッセイタイプについての実際の割り当てルールの簡単な説明が表示されていることも、見て取ることができる。+対照は、陽性対照タイプを表し、-対照は、陰性対照タイプを表す。
【0038】
一例として、アッセイタイプ2に関連付けられた割り当てルールは、陽性対照タイプおよび陰性対照タイプの両方に関して、ランルール(「プレートごと」)を含む。アッセイタイプ3、a、および5の場合、割り当てルールは、陽性対照タイプ(時間ルールのみを含み、カートリッジルールを含まない)と陰性対照(ランルールを含み、カートリッジルールを含まない)とで異なっている。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-05-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラボラトリシステムまたは装置における対照の取り扱いの向上および最適化のための方法であって、前記システムまたは装置は、
- 前記システムまたは装置の動作を制御するための制御ユニットと、
- 前記制御ユニットに接続され、各々のアッセイタイプについて、前記アッセイタイプをランするときに使用される対照タイプの指示、および各々の対照タイプについて、前記対照タイプに関する割り当てルールを含んでいる記憶ユニットと
を備えており、
前記方法は、以下:
- 前記制御ユニットが、前記システムまたは装置上で少なくとも1つのアッセイタイプをランするための指示を含む少なくとも1つのアッセイオーダーを受信するステップと、
- 前記制御ユニットが、前記少なくとも1つのアッセイオーダーに含まれる前記少なくとも1つのアッセイタイプについて、使用される前記対照タイプおよび前記対照タイプに関する対応する割り当てルールを決定するステップと、
- 前記制御ユニットが、決定された前記割り当てルールに基づいて、決定された前記対照タイプを含むための指示を含むアッセイランをスケジューリングするステップと、
- 前記制御ユニットが、スケジューリングされた前記アッセイランを実行するように前記システムまたは装置を制御するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記対照タイプは、陽性対照タイプおよび陰性対照タイプから選択される少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記割り当てルールは、時間ルールまたはランルールを含み、
- 前記時間ルールは、ある時間フレーム内で1回、前記対照タイプをランするための指示を少なくとも含み、
- 前記ランルールは、
〇 アッセイランごとに1回、かつ/または
〇 前記システムまたは装置において最初に使用される試薬カートリッジごとに1回、かつ/または
〇 前記システムまたは装置において最初に使用される試薬カートリッジロットごとに1回、前記対照タイプをランするための指示を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記時間ルールは、
- アッセイランごとに1回、かつ/または
- 前記システムまたは装置において最初に使用される試薬カートリッジごとに1回、かつ/または
- 前記システムまたは装置において最初に使用される試薬カートリッジロットごとに1回、前記対照タイプをランするための指示をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記制御ユニットは、
- 前記スケジューリングされたランの推定終了時間を決定し、
- 寿命判断において、前記スケジューリングされたランの前記推定終了時間が、前記時間ルールの前記時間フレームの外側であるかどうかを判定し、
- 前記寿命判断が成功である場合に、前記制御ユニットは、寿命判断が成功であると判定された前記決定された対照タイプを含むための更新後指示を含む前記アッセイランをリスケジューリングする
ようにさらに構成される、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記時間フレームは、最小時間フレーム長および最大時間フレーム長を含む、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記最大時間フレーム長および/または前記最小時間フレーム長は、予め決定される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記制御ユニットは、前記制御ユニットのユーザインターフェースを介して割り当てルールを受信するようにさらに構成される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項9】
ラボラトリシステムまたは装置であって、
- 前記システムまたは装置の動作を制御するための制御ユニットと、
- 前記制御ユニットに接続され、各々のアッセイタイプについて、前記アッセイタイプをランするときに使用される対照タイプの指示、および各々の対照タイプについて、前記対照タイプに関する割り当てルールを含んでいる記憶ユニットと
を備えており、
前記制御ユニットは、
- 前記システムまたは装置上で少なくとも1つのアッセイタイプをランするための指示を含む少なくとも1つのアッセイオーダーを受信し、
- 前記少なくとも1つのアッセイオーダーに含まれる前記少なくとも1つのアッセイタイプについて、使用される前記対照タイプおよび前記対照タイプに関する対応する割り当てルールを決定し、
- 決定された前記割り当てルールに基づいて、決定された前記対照タイプを含むための指示を含むアッセイランをスケジューリングし、
- スケジューリングされた前記アッセイランを実行するように前記システムまたは装置を制御する
ように構成される、システムまたは装置。
【請求項10】
前記対照タイプは、陽性対照タイプおよび陰性対照タイプから選択される少なくとも1つを含む、請求項9に記載のシステムまたは装置。
【請求項11】
前記割り当てルールは、時間ルールまたはランルールを含み、
- 前記時間ルールは、ある時間フレーム内で1回、前記対照タイプをランするための指示を少なくとも含み、
- 前記ランルールは、
〇 アッセイランごとに1回、かつ/または
〇 前記システムまたは装置において最初に使用される試薬カートリッジごとに1回、かつ/または
〇 前記システムまたは装置において最初に使用される試薬カートリッジロットごとに1回、前記対照タイプをランするための指示を含む、請求項9または10に記載のシステムまたは装置。
【請求項12】
前記時間ルールは、
- アッセイランごとに1回、かつ/または
- 前記システムまたは装置において最初に使用される試薬カートリッジごとに1回、かつ/または
- 前記システムまたは装置において最初に使用される試薬カートリッジロットごとに1回、前記対照タイプをランするための指示をさらに含む、請求項11に記載のシステムまたは装置。
【請求項13】
前記制御ユニットは、
- 前記スケジューリングされたランの推定終了時間を決定し、
- 寿命判断において、前記スケジューリングされたランの前記推定終了時間が、前記時間ルールの前記時間フレームの外側であるかどうかを判定し、
- 前記寿命判断が成功である場合に、寿命判断が成功であると判定された前記決定された対照タイプを含むための更新後指示を含む前記アッセイランをリスケジューリングする
ようにさらに構成される、請求項11に記載のシステムまたは装置。
【請求項14】
前記時間フレームは、最小時間フレーム長および最大時間フレーム長を含む、請求項11に記載のシステムまたは装置。
【請求項15】
前記最大時間フレーム長および/または前記最小時間フレーム長は、予め決定される、請求項14に記載のシステムまたは装置。
【請求項16】
前記制御ユニットは、前記制御ユニットのユーザインターフェースを介して割り当てルールを受信するようにさらに構成される、請求項9又は10に記載のシステムまたは装置。
【請求項17】
コンピュータプログラム製品であって、請求項9又は10に記載の装置に請求項1又は2に記載の方法の前記ステップを実行させるための命令を含む、コンピュータプログラム製品。
【請求項18】
請求項17に記載のコンピュータプログラム製品を格納したコンピュータ可読記憶媒体。
【国際調査報告】