(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-22
(54)【発明の名称】香辛料風味増強用組成物および食品
(51)【国際特許分類】
A23L 27/20 20160101AFI20241015BHJP
A23L 27/22 20160101ALI20241015BHJP
A23L 27/00 20160101ALI20241015BHJP
A23L 23/00 20160101ALI20241015BHJP
A23L 35/00 20160101ALI20241015BHJP
A23L 27/23 20160101ALI20241015BHJP
【FI】
A23L27/20 G
A23L27/22
A23L27/00 Z
A23L23/00
A23L35/00
A23L27/23 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522224
(86)(22)【出願日】2022-10-28
(85)【翻訳文提出日】2024-04-12
(86)【国際出願番号】 JP2022040398
(87)【国際公開番号】W WO2023074853
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】202111272640.4
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000000066
【氏名又は名称】味の素株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(72)【発明者】
【氏名】談暁英
(72)【発明者】
【氏名】施銘維
(72)【発明者】
【氏名】史逸敏
(72)【発明者】
【氏名】宋慧
【テーマコード(参考)】
4B036
4B047
【Fターム(参考)】
4B036LC01
4B036LF01
4B036LF19
4B036LH04
4B036LH05
4B036LH10
4B036LH11
4B036LH13
4B036LH14
4B036LH21
4B036LH37
4B036LH39
4B036LK01
4B047LB08
4B047LF02
4B047LG15
4B047LG20
4B047LG35
4B047LG43
4B047LG64
(57)【要約】
本発明は、グルタミン酸ナトリウム(MSG)型アミノ酸、ヌクレオチド型うま味物質、および下記式(I):
(式中、R
1およびR
2の一方が水素原子を表し、かつ他方が炭素数1~4のアルキル基または炭素数1~4のアルコキシ基、ならびにR
3が水素原子または炭素数1~4のアルキル基を表す)で表されるオキサミド化合物またはその塩を含む香辛料風味増強用組成物に関する。組成物は、余分な香辛料物質を添加することなく食品の香辛料風味を増強することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グルタミン酸ナトリウム型アミノ酸、ヌクレオチド型うま味物質、および下記式(I)
【化1】
(式中、R
1およびR
2の一方が水素原子を表し、かつ他方がC1~C4アルキルまたはC1~C4アルコキシを表し、R
3が水素原子またはC1~C4アルキルを表す)で表されるオキサミド化合物またはその塩を含むことを特徴とする香辛料風味増強用組成物。
【請求項2】
グルタミン酸ナトリウム型アミノ酸が、グルタミン酸ナトリウムおよびアスパラギン酸ナトリウムの少なくともひとつである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ヌクレオチド型うま味物質が、イノシン酸二ナトリウムおよびグアニル酸二ナトリウムの少なくともひとつである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
式(I)中、R
1およびR
2の一方が水素原子を表し、かつ他方がメチルまたはメトキシを表し、R3が水素原子またはメチルを表す、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
式(I)で表される化合物が、N1-(2,4-ジメトキシベンジル)-N2-(2-(ピリジン-2-イル)エチル)オキサミド、N1-(2-メトキシ-4-メチルベンジル)-N2-(2-(5-メチルピリジン-2-イル)エチル)オキサミド、N1-(2-メトキシ-4-メチルベンジル)-N2-(2-(ピリジン-2-イル)エチル)オキサミド、およびN1-(2,3-ジメトキシベンジル)-N2-(2-(ピリジン-2-イル)エチル)オキサミドからなる群より選ばれる、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
グルタミン酸ナトリウム型アミノ酸、ヌクレオチド型うま味物質および下記式(I)で表されるオキサミド化合物またはその塩が、5から30:1:0.2×10
-3から6×10
-3の重量比で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
組成物は、混合辛さ、乾燥チリ風味、焼けるような辛さ、痺れ、山椒のフレッシュ風味および山椒のコクのある風味の少なくとも1つを増強するために適する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物を含む調味剤。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物を少なくとも1つ含む食品、または請求項8に記載の調味剤。
【請求項10】
食品の合計重量を100重量%として計算する場合、グルタミン酸ナトリウム型アミノ酸が0.2から0.4重量%、ヌクレオチド型うま味物質が0.01から0.04重量%、および式(I)で表されるオキサミド化合物またはその塩が0.00001から0.00007重量%である、請求項9に記載の食品。
【請求項11】
香辛料風味を増強させるための、少なくともグルタミン酸ナトリウム塩型アミノ酸およびヌクレオチド型うま味物質を含む組成物の使用。
【請求項12】
組成物が請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物である、請求項1に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品調味料の分野に関し、特にうま味物質を利用した香辛料風味増強用組成物に関する。また、本発明は、香辛料風味増強用組成物を含有する調味料および食品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人々の生活水準が絶えず向上するにつれて、食の味や風味に対する人々の要求が高まり、より多様化しているが、その中でも香辛料風味は人間の消化液の分泌や食欲を促進させる機能があるため、人々に広く歓迎されている。中国八大料理の一つである四川料理は、中国料理の市場占有率で徐々に1位になった。2018年の統計によると、北京、上海、広州および深センの四川料理レストランの数は全レストランの約20%を占め、2位の中国料理ランキングと比べるとほぼ倍増した。同時に、青山椒の魚料理、重慶小麺および二色火鍋などはおなじみの料理である。
【0003】
四川料理が食堂で人気の理由は、「フレッシュなうま味、豊潤で、香辛料の効いたぴりっと辛く香る」ことにある。「香辛料」風味は主に、トウガラシ、山椒およびスパイスなどの伝統的な食材や調味料によって調整され、「うま味」の味覚は主に様々な調味剤によって調整され、よく使われるうま味料はグルタミン酸ナトリウム(MSG)である。しかし、MSG中の高含有量のナトリウムならびにMSGの過剰摂取によってカルシウムやマグネシウムの利用が悪くなるため、うま味料としてのMSGの効果を増強させるために天然物質が使用される。イノシン一リン酸(IMP)やグアノシン一リン酸(GMP)のような一般的に使用されるヌクレオチド化合物は、通常、料理の風味、特にMSGのうま味の味覚を増強するために(I+G)として組み合わせて使用される。一方、合成うま味料としては、N-(2,4-ジメトキシベンジル)-N’-[2-(ピリジン-2-イル)エチル]オキサミド(CAS番号:745047-53-4、以下「化合物A」ともいう)などの特定のオキサミド化合物をMSGのうま味の味覚を効率的及び/又は相乗的に増強するうま味料として使用することができる。
【0004】
特許文献1は、うま味料を含有する組成物を開示し、うま味料は、主に料理のうま味の味覚を増強するためのMSGである。
【0005】
特許文献2は、醤油、食酢、塩、MSG、I+G及び数種のスパイス等を配合し、酸味、フレッシュ感及び優れたうま味の味覚と食感を有する調味ソースを開示する。
【0006】
特許文献3は、効率的なうま味化合物であるN-(2,4-ジメトキシベンジル)-N’-[2-(ピリジン-2-イル)エチル]オキサミドを使用するうま味の味覚を生成し、および/またはMSGのうま味の味覚を増強する、効率的なうま味の味覚調味料を開示し、この化合物は、時に舌のひりひり感や痺れを引き起こす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特許文献1:US20170143022A
特許文献2:CN105475948A
特許文献3:CN101426381A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、香辛料物質はヒトの体には刺激性である。香辛料物質はヒトの消化液の分泌および食欲を促進させることができ、一方、香辛料物質の過剰摂取は、ヒトの胃に焼けるような感覚をもたらし、胃食道逆流または便秘を引き起こす。従って、当技術分野では、余分な香辛料物質を添加することなく、「香辛料」の味覚を食客にもたらすか、または料理の香辛料風味を増強することができる、香辛料風味増強用組成物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、当該分野の現状に鑑み、本発明が解決しようとする技術課題は、余分な香辛料物質を添加することなく、料理の香辛料風味を増強することである。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明者は、意外にも、うま味物質、具体的にはグルタミン酸ナトリウム(MSG)型うま味料とヌクレオチド型うま味物質、またさらに好ましくはうま味増強効果を有する特定のオキサミド型化合物を組み合わせることにより、余分な香辛料物質を添加することなく料理の香辛料風味を増強できることを見出し、上記知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、グルタミン酸ナトリウム(MSG)型アミノ酸と、ヌクレオチド型うま味物質と、下記式(I)で表されるオキサミド化合物又はその塩を含む香辛料風味増強用組成物を提供する:
【0012】
【0013】
式中、R1およびR2の一方が水素原子を表し、かつ他方が炭素数1~4のアルキル基または炭素数1~4のアルコキシ基、およびR3が水素原子または炭素数1~4のアルキル基を表す。
【0014】
好ましくは、グルタミン酸ナトリウム(MSG)型アミノ酸が、グルタミン酸ナトリウムおよびアスパラギン酸ナトリウムの少なくともひとつ、特にグルタミン酸ナトリウムである。
【0015】
好ましくは、ヌクレオチド型うま味物質は、イノシンリン酸二ナトリウムおよびグアノシンリン酸二ナトリウムの少なくともひとつであり、特に好ましくは、イノシン一リン酸二ナトリウム(IMP)とグアノシン一リン酸二ナトリウム(GMP)の組み合わせ(以下「I+G」と称する)である。
【0016】
好ましくは、式(I)中、R1およびR2の一方は水素原子を表し、他方はメチル基またはメトキシ基を表し、およびR3は水素原子またはメチル基を表す。
【0017】
好ましくは、式(I)で表される化合物は、N1-(2,4-ジメトキシベンジル)-N2-(2-(ピリジン-2-イル)エチル)オキサミド、N1-(2-メトキシ-4-メチルベンジル)-N2-(2-(5-メチルピリジン-2-イル)エチル)オキサミド、N1-(2-メトキシ-4-メチルベンジル)-N2-(2-(ピリジン-2-イル)エチル)オキサミド、およびN1-(2,3-ジメトキシベンジル)-N2-(2-(ピリジン-2-イル)エチル)オキサミドからなる群より選ばれる。
【0018】
好ましくは、グルタミン酸ナトリウム型アミノ酸、ヌクレオチド型うま味物質、および式(I)で表されるオキサミド化合物またはその塩の重量比は、5から30:1:0.2×10-3から6×10-3、より好ましくは10から20:1:0.6×10-3から4×10-3である。
【0019】
好ましくは、食品の合計重量を100重量%として計算する場合、グルタミン酸ナトリウム型アミノ酸は0.2から0.4重量%、ヌクレオチド型うま味物質(好ましくはI+G)は0.01から0.04重量%、および式(I)で表されるオキサミド化合物、またはその塩は0.00001から0.00007重量%である。
【0020】
本発明は、さらに上記香辛料風味増強用組成物を含む調味剤および調味剤が添加された食品を提供する。
【0021】
さらに、食品は好ましくは重慶麺であり、食品の合計重量を100重量%として計算すると、MSG量は0.2~0.4%、I+G量は0.01~0.035%、および式(I)の化合物量は0.00001~0.00006%(0.1~0.6ppm)である。
【0022】
さらに、食品は好ましくは青山椒の魚であり、食品の合計重量を100重量%として計算すると、MSG量は、0.2~0.35%、I+G量は0.015~0.04%、および式(I)の化合物量は0.00001~0.00007%(0.1~0.7ppm)である。
【0023】
さらに、食品は好ましくは赤スープ火鍋であり、食品の合計重量を100重量%として計算すると、MSG量は0.2~0.35%、I+G量は0.01~0.035%、および式(I)の化合物量は0.00001~0.00004%(0.1から0.4ppm)である。
【発明の効果】
【0024】
発明の有利な効果
本発明によれば、余分な香辛料物質を添加することなく、食品の香辛料風味を増強することができる香辛料風味増強用組成物、並びにそれを含有する調味剤及び食品が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0025】
実施形態の説明
本発明者は鋭意検討を重ねた結果、意外にも従来うま味料として使用されていたグルタミン酸ナトリウム(MSG)型アミノ酸、ヌクレオチド型うま味料及び式(I)で表されるオキサミド化合物の組み合わせを食品に添加すると、余分な香辛料物質を添加することなく、食品の香辛料風味を増強できることを見出した。
【0026】
特に、MSG、I+Gおよび下記一般式(I):
【0027】
【0028】
(式中、R1およびR2の一方が水素原子を表し、他方が炭素数1~4のアルキル基または炭素数1~4のアルコキシ基を表し、R3が水素原子または炭素数1~4のアルキル基を表す)で表されるオキサミド化合物またはその塩を含む本発明の香辛料風味増強用組成物。
【0029】
グルタミン酸ナトリウム(MSG)型アミノ酸
グルタミン酸ナトリウム(MSG)型アミノ酸は、主にグルタミン酸およびアスパラギン酸およびそれらの塩などのうま味物質として知られている。テアニンは茶中の特殊な種類の遊離アミノ酸で、構造はグルタミン酸に似ており、グルタミン酸ナトリウムに似たフレッシュで爽やかな味を有する。既存の研究は、MSG型アミノ酸はT1R1/T1R3うま味受容体と相互作用し、味覚系のカスケード信号伝達を活性化し、脳にうま味の味覚を知覚させることができることを発見している。
【0030】
本発明においては、MSG型アミノ酸は、好ましくはグルタミン酸ナトリウム(MSG、味の素として一般に知られている)およびアスパラギン酸ナトリウムであり、特にグルタミン酸ナトリウムである。グルタミン酸ナトリウムの味覚閾値は、0.012%(120ppm)であり、アスパラギン酸ナトリウムの味覚閾値は0.01%(100ppm)である。
【0031】
本発明に好適に用いられるMSG型アミノ酸は、水和結晶であっても、乾燥等により得られる無水結晶であってもよい。また、MSG型アミノ酸を高濃度に含有する食品材料を用いることもできる。
【0032】
本発明において、食品に添加するMSG型アミノ酸の濃度は、無水結晶換算で通常0.2~0.4重量%が好ましい。濃度が不十分であると、うま味風味が強くなく、香辛料風味を増強する効果が目立たなくなる。また、濃度が高すぎると味が悪くなり、摂取しすぎると体内の代謝バランスが崩れ、他の栄養素の吸収を阻害する。また、ナトリウムイオンの摂りすぎは血圧の上昇を招くことになる。
【0033】
ヌクレオチド型うま味料
30種を超えるヌクレオチドおよびそれらの誘導体は、うま味特性を有することが知られている。代表的な例はイノシン 5-一りん酸(IMP)、グアノシン 5-一りん酸(GMP)および5-アデニル酸(AMP)である。
【0034】
本発明では、イノシン一リン酸(monphosphate)二ナトリウム(IMP)およびグアノシン一リン酸二ナトリウム(GMP)の少なくともひとつを用いることが好ましく、IMPおよびGMPを一緒に(以下「I+G」と称する)用いることが特に好ましい。イノシン一リン酸二ナトリウム(monphosphate)(IMP)の味覚閾値は0.025%(250ppm)であり、グアノシン一リン酸(monphosphate)二ナトリウム(GMP)の味覚閾値は0.012%(120ppm)である。
【0035】
I+Gは、イノシン一リン酸二ナトリウム(IMP)とグアノシン一リン酸二ナトリウム(GMP)を1:1の比率で混合して調製される新世代のうま味料で、うま味の味覚の程度はグルタミン酸ナトリウムの200倍を超える。中でもIMPは鶏肉のようなうま味の味覚があり、うま味の味覚の程度はMSGの40倍を超える。GMPはフレッシュなマッシュルームのようなうま味の味覚があり、うま味の程度はグルタミン酸ナトリウムの160倍を超える。イノシン一リン酸とグルタミン酸ナトリウムの間には強い正の相関関係がある。イノシン一リン酸とグルタミン酸ナトリウムを1:5から1:20の比率で混合すると、グルタミン酸ナトリウムの風味を6倍に高めることができる。ヌクレオチド風味化合物は、単独で、またはMSG型アミノ酸などの他の風味剤と組み合わせて、食品の風味を改善し、食品の自然なおいしさと甘味を増強し、生臭さ、焦げた味、苦味および酸味を消すことができる。
【0036】
本発明では、I+Gの含有量は、通常好ましくは0.01~0.04%である。
【0037】
式(I)で表されるオキサミド化合物
従来技術文献、例えば前記特許文献3は、式(I)で表されるオキサミド化合物またはその塩は、hT1R1/hT1R3「うま味」受容体のアゴニストであり、うま味料またはうま味の味覚増強剤として使用することができることを開示している。
【0038】
下記式(I):
【0039】
【0040】
(式中、R1およびR2の一方が水素原子を表し、他方が炭素数1~4のアルキル基または炭素数1~4のアルコキシ基を表し、かつR3が水素原子または炭素数1~4のアルキル基を表す)で表されるオキサミド化合物またはその塩を含む本発明の香辛料風味増強用組成物。
【0041】
R1またはR2が炭素数1~4のアルキル基を表す場合、それは直鎖または分岐鎖、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチルなどであってもよく、メチルが好ましい。
【0042】
R1またはR2が炭素数1~4のアルコキシ基を表す場合、それは直鎖または分岐鎖、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシなどであってもよく、メトキシが好ましい。
【0043】
R3が炭素数1~4のアルキル基を表す場合、それは、直鎖または分岐鎖、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチルなどであり、メチルが好ましい。
【0044】
一般式(I)で表される化合物の中でも、R1およびR2の一方が水素原子を表し、他方がメチル基またはメトキシ基(好ましくはメトキシ基)を表し、かつR3が水素原子またはメチル基(好ましくは水素原子)を表すのが好ましい。
【0045】
一般式(I)で表される化合物は、好ましくは、N1-(2,4-ジメトキシベンジル)-N2-(2-(ピリジン-2-イル)エチル)オキサミド、
【0046】
【0047】
N1-(2-メトキシ-4-メチルベンジル)-N2-(2-(5-メチルピリジン-2-イル)エチル)オキサミド、
【0048】
【0049】
N1-(2-メトキシ-4-メチルベンジル)-N2-(2-(ピリジン-2-イル)エチル)オキサミド、および
【0050】
【0051】
N1-(2,3-ジメトキシベンジル)-N2-(2-(ピリジン-2-イル)エチル)オキサミドである。
【0052】
【0053】
N1-(2,4-ジメトキシベンジル)-N2-(2-(ピリジン-2-イル)エチル)オキサミド(CAS No.:745047-53-4)が特に好ましい。
【0054】
一般式(I)で表されるオキサミド化合物が塩の形態の場合、その例としては、塩酸、フッ化水素酸、トリフルオロ酢酸、硫酸およびリン酸などの無機酸との塩、酢酸、コハク酸、クエン酸、乳酸、マレイン酸、フマル酸、パルミチン酸、コール酸、パモ酸、D-グルタミン酸、D-カンファー酸、グルタル酸、フタル酸、酒石酸、ドデシル酸、ステアリン酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ソルビン酸、ピクリン酸、安息香酸および桂皮酸などの有機酸との塩が挙げられる。
【0055】
一般式(I)で表されるオキサミド化合物およびそれらの塩は周知物質であり、周知の方法(例えばWO2005/041684などに記載された方法)により製造することができる。
【0056】
本発明の食品では、式(I)で表される化合物およびその塩の配合量は、好ましくは0.1から0.7ppmである。
【0057】
本発明では、各種トウガラシの香辛料の効いたツーンとする感じや風味の特徴に応じて、辛さは、以下のタイプに細分化される:混合辛さ、乾燥チリ風味、焼けるような辛さ、ぴりっとする辛さ、フレッシュな辛さ。なお、本明細書において、用語「香辛料風味」とは、辛さや痺れだけでなく、香辛料風味も含むものとする。
【0058】
本明細書では、「混合辛さ」とは、香辛料が効き香りのある風味を意味する。先中味はトウガラシと各種スパイスが混ざった味で、後中味は香辛料が効いている。
【0059】
本明細書では、「乾燥トウガラシの風味」とは、中間に感じる味は香辛料が効き、あつみがあり、乾燥トウガラシに似た香りのある風味があることを意味する。
【0060】
本明細書では、「焼けるような辛さ」とは、最初に感じる味(先味)が強く焼けるような風味、あるいはゴマの風味に似た、乾燥トウガラシを炒めることによってもたらされる焼けるような風味(ドライな苦味)を持ち、中間に感じる味と後味が香辛料が効いていることを意味する。
【0061】
本明細書では、「ぴりっとする辛さ」とは、最初に感じる味が香辛料の効いた味、そして香辛料物質が口に入ったときに強い香辛料の効いた感触を感じることを意味する。口中や鼻腔に刺激感があり、香辛料の味覚は長続きしない。
【0062】
本明細書では、「フレッシュな辛さ」とは、最初に感じる味と中間の味が、フレッシュなトウガラシのような香辛料の効いた味と香りであり、後味が強い香辛料が効いていることを意味する。
【0063】
また、山椒は四川料理でチリと一緒に使われる一般的なスパイスでもある。本発明の香辛料風味増強用組成物に山椒を適量添加することにより、山椒独特の痺れや香りをさらに食品に付与することができる。
【0064】
本発明では、山椒がもたらす風味は、以下のカテゴリーに細分化される:痺れ、山椒のフレッシュな風味および山椒のコクのある風味。
【0065】
本明細書において、「痺れ」とは、口や舌の痺れ感、舌の滑らかでない感じ(わずかな針刺し感)をいう。
【0066】
本明細書では、「山椒のフレッシュな風味」とは、初めに感じる風味が適度でまろやか(青草の香りを伴う)であり、中間に感じる味が口の中に清涼感があり、後味に強い苦味(および痺れ感)があることを意味する。香りは通常、青山椒がもたらす。
【0067】
本明細書では、「山椒のコクのある風味」とは、最初と中間の感じが豊かな風味(花、木及び肉の風味に似る)であり、わずかに苦く(そして痺れ感)、後味が比較的弱いことを意味する。強い香りは通常、赤山椒がもたらす。
【0068】
本発明では、MSG、I+Gおよび式(I)の化合物の重量比は、5から30:1:0.2×10-3から6×10-3である。成分の重量比が上記範囲内の場合には、成分が添加された食品の香辛料風味を増強することが可能である。
【0069】
必要に応じて他の香辛料剤(カプサイシンなど)および/または風味増強剤(加水分解動物性タンパク質など)を添加することができ、本発明の目的を逸脱しない限り、さらに他の添加剤を添加することもできる。添加物の例としては、中国食品添加物使用標準(GB 2760-2014)に記載されているような、保存料、着色料、抗酸化剤、甘味料、安定化剤、酵素、乳化剤、増粘剤、酸味調整剤、香料エッセンスなどが挙げられる。
【0070】
本発明の香辛料風味増強用組成物は、いかなる形態でもありえる。例えば、固体(粉末および顆粒など)、液体(スラリーなど)、ゲルおよびペーストなどが挙げられる。
【0071】
本発明には、本発明の香辛料風味増強用組成物を含む風味剤および食品も含まれる。
【0072】
本発明の香辛料風味増強用組成物を添加しない食品と比較して、本発明の香辛料風味増強用組成物を添加したトウガラシ食品、舌がひりひりする食品及び香辛料の効いた食品は、トウガラシ味、舌がひりひりする味及び香辛料風味の食感および匂いが改善されている。
【実施例】
【0073】
本発明の実施形態は、本発明の特徴および利点が明らかになり、本発明がよりよく理解されるように、実施例として以下にさらに説明される。しかしながら、以下に説明する実施例は、本発明の実施形態を単に例示するものであり、本発明の範囲を不当に限定することを意図するものではない。
【0074】
以下の実施例では、成分の使用量または含有量のパーセンテージは、すべて重量で計算した。
MSG:味の素株式会社製商標名「Red Bowel(R)」(グルタミン酸ナトリウム含有量99.0%以上)。
イノシン一リン酸(IMP)およびグアノシン一リン酸(GMP):味の素株式会社製の「AJITIDE(R)」(I+G)(イノシン一リン酸二ナトリウム50%とグアノシン一リン酸二ナトリウム50%の混合物)、時に「IG」と略する。
N1-(2,4-ジメトキシベンジル)-N2-(2-(ピリジン-2-イル)エチル)オキサミド(化合物A):WO2005/041684に記載の方法により調製した。
【0075】
生鮮食材はDingdong e-shopから購入し、スパイス、香料および調味料などの他の材料はJingdong e-shopから購入した。
【0076】
実施例1:重慶麺の調製および風味評価
チリオイルを下表1に示す処方に従って調製した。
【0077】
【0078】
チリオイルは以下の手順で調製した:
1.二荊条トウガラシ(Er Jing Tiao pepper)を細かく切り、小米辣(millet pepper)とベルトウガラシと一緒に中華鍋に入れ、強火で熱した後、弱火に変え、材料を1分間炒め乾燥させた。乾燥した二荊条トウガラシ(Er Jing Tiao pepper)、小米辣(millet pepper)とベルトウガラシを細かく砕き、ボウルに得られたチリパウダーを入れ、青山椒、赤山椒、山椒の実のパウダーおよび山椒オイルをボウルに加えた。
2.コーンオイルを170℃に熱した後、弱火に変え、葱、ショウガ、スターアニス、山奈(Shan nai)、ローリエおよびカルダモンをコーンオイルに加え、中火または弱火で油温150℃~160℃前後で揚げた。2分後、コーンオイルから材料をすくい上げ、油を残した。
3.油をボウルに注いだ。
4.13のスパイスをボウルの中の油に十分混ぜた。
5.ボウルを一晩放置し、不溶物を濾過し、チリオイルを得た。
【0079】
さらに骨スープ調味料を下表2に示す処方に従い調製した。
【0080】
【0081】
基本のスープベース(NC)は、チリオイル、骨スープ調味料および水を5.5%:1.58%:92.92%(合計100%)の比で混合して得た。
【0082】
基本のスープベースを基礎に徐々にチリオイル量を増やし、スープベースPC0~PC5を得た。香辛料風味の強さを評価するためにチリオイルの比に対応したスコア基準を各スープベースPC0~PC5に対して設定した。香辛料風味の強さは、ベースの香辛料風味からより強い香辛料風味まで1~5段階に分け、表3に示すように、基本のスープベースの香辛料風味の強さに対するスコアを1とした。
【0083】
【0084】
MSG、I+G及び化合物Aを混合して本発明による香辛料風味増強用組成物を調製し、表4に示すような含有量となるように基本のスープベースNCに添加した後、香辛料風味の強さを味覚の専門家5名からなるパネルにより評価した。専門家5名のスコアの平均値を最終スコアとした。また、上記3成分を含まない基本のスープベースNCを香辛料風味の強さ1.0の対照とした。次に、香辛料風味の強さを、混合辛さ、乾燥チリ風味、焼けるような辛さ、痺れ、山椒の香りおよび山椒の強い香りの6つの側面から評価し、感覚から感じる弱い感じから強い感じまで1~5段階に分けて評価した。
【0085】
【0086】
表4からわかるように、MSGとI+G(サンプル1)または化合物A(サンプル2)をスープベースに添加しただけでは、スープベースの香辛料風味増強効果は限定的(スコアが2.5を超えない)である。しかし、MSG、I+G、化合物Aを基本のスープベースに添加したサンプル3では、香辛料風味の増強効果が明らかであり(すべての面で3.2超え)、スープベースの香辛料風味の強さを増強するMSG、I+Gおよび化合物Aの間で相乗効果がある可能性が示唆された。
【0087】
表4に示すサンプルでは、MSGの量が通常食品に使用される0.2~0.4%の範囲である場合、およびI+Gの量が食品中に0.01%(10ppm)以上である場合に香辛料風味の増強効果が発現し、その量は前記物質のうま味風味の味覚増強の閾値に近いかやや高い。これらの結果は、本発明による香辛料風味増強用組成物を添加して香辛料の味覚を増強する場合、物質の過剰使用やそれによってもたらされる潜在的な問題を心配する必要がないことを示している。
【0088】
表4からもわかるように、化合物Aの量が0.00001%(0.1ppm)(サンプル4)に達する場合、香辛料風味の強さが明らかに向上する。
【0089】
MSGおよびI+Gについては、好ましい量は、それぞれ0.2~0.4%および0.01~0.035%である。この範囲を超える場合、香辛料風味の増強効果が低下する傾向がある。
【0090】
実施例2:青山椒の魚の調製と風味評価
雷魚(snakehead fish)スープの調製
表5に従って材料を準備した。
【0091】
【0092】
魚のスープは以下の手順で調製された:
1.雷魚(snakefish)から頭部と尾部を切り、よく洗った;
2.コーンオイルを中華鍋に入れ、中華鍋を熱した後、強火で魚の頭部と尾部を煮出した;
3.葱とショウガを香りが出るまで炒め、魚の頭部と尾部、料理用ワインを加えて炒め、その後水を加えて約10分間、かき混ぜながら沸騰するまで煮込んだ、
4.調理が終わり、魚の頭部と尾部を取り除き、ろ過して雷魚(snakehead fish)スープを得た。
【0093】
青山椒の魚スープベースの調製
青山椒の魚スープベースNC’を以下の手順で調製した:
1.材料を下表6に従って準備し、コーンオイルを中華鍋に入れ、油の温度が200℃になるまで弱火にかけた;
2.ショウガ(スライス)と葱(小口切り)を中華鍋に入れ、40s間炒めた;
3.泡(Bubble)ショウガ、野生の山椒、青山椒、小赤辛トウガラシ(small red hot pepper)(斜め切り)、料理用ワインを中華鍋に入れ、45s間炒めた;
4.先に準備した雷魚(snakehead fish)のスープと水を中華鍋に入れ、強火で2分45秒熱した;
5.白胡椒パウダー、塩および砂糖を中華鍋に入れ、強火で50s間熱した;
6.コーンオイルをソースパンに入れ、150℃に熱した後、火を弱火にした;
7.青山椒、山椒オイルおよびゴマオイルをソースパンに入れ、1分間炒めた;
8.小赤辛トウガラシ(small red hot pepper)(斜め切り)をソースパンに入れ、1分間炒めた;
9.緑辛トウガラシ(green hot pepper)(斜め切り)をソースパンに入れ、1分間炒め、トウガラシサイドを得た;
10.トウガラシサイドを手順5で得られた雷魚(snakehead fish)スープに加え、固形物を濾過し、青山椒の魚スープベースを得た。
【0094】
【0095】
調理された雷魚(snakehead fish)の切り身の調製
材料は表7に従って準備した。
【0096】
【0097】
雷魚(snakehead fish)の切り身料理を以下の手順で調製した:
1.冷凍雷魚(snakehead)の切り身を解凍し、十分に洗浄した後、塩、砂糖、白コショウパウダー、料理用ワイン、卵白、デンプンを加え、雷魚(snakehead)の切り身と混ぜ合わせ、2時間マリネした;
2.マリネした雷魚(snakehead)の切り身を油の温度200℃の油で揚げた後、火を中火にした。
【0098】
<青山椒の魚スープの調製>
揚げたマリネした雷魚(snakehead)の切り身を青山椒の魚スープベースに入れ、青山椒の魚スープを得た。
【0099】
青山椒の魚の風味評価
基本のスープベースとなるスープベースNC’を基準として、香辛料の効いた成分の量を徐々に増やし、スープベースPC0’~PC3’を得た。香辛料風味の強さは、ベースの香辛料風味からより強い香辛料風味まで1~5段階に分け、表8に示すように、スープベースNCの香辛料風味の強さに対するスコアを1とした。
【0100】
【0101】
雷魚(snakehead fish)の切り身50gを100gの青山椒の魚スープに添加し、対照として使用する基本のスープベースを形成した後、異なる量のMSG、I+Gおよび化合物Aを基本のスープベースに添加し、80℃のウォーターバスで10分間加熱した。その後、香辛料風味の強さの強度を味覚専門家5名からなるパネルにより評価した。香辛料風味の強さの強度は4段階で評価し、専門家5名のスコアの平均値を最終スコアとした。その結果を下表9に示す。
【0102】
【0103】
表9からわかるように、MSGとI+G(サンプル1)または化合物A(サンプル2)をスープベースに添加しただけでは、スープベースの香辛料風味増強効果は限定的であった(スコアは2.8を超えない)。しかし、MSG、I+G、化合物Aを基本のスープベースに添加したため、サンプル3では香辛料風味の増強効果が明らかになり(スコアは0.3~0.9増加)、スープベースの香辛料風味の強さを増強させるMSG、I+Gおよび化合物Aの間の相乗効果の可能性が示唆された。
【0104】
特に、化合物Aの量が0.00001%(0.1ppm)に達すると、香辛料風味の強さが明らかに向上する。化合物Aの量が0.00005%(0.5ppm)になると、香辛料風味の強さを最も増強させる効果が得られる。
【0105】
MSGおよびI+Gについては、好ましい量は、それぞれ0.2~0.35%および0.015~0.04%である。この範囲を超えると香辛料風味の増強効果が低下する傾向がある。
【0106】
実施例3.赤スープ火鍋の調製と風味評価
下表10に従って、赤スープ火鍋用の赤スープの材料を準備した。
【0107】
【0108】
上表に記載のシバ(Ciba)トウガラシを以下の手順で調製した:
【0109】
二荊条トウガラシ(Er Jing Tiao pepper)100gを水400gで10分間熱し、その後さらに水160gを加えて6分間熱した。二荊条トウガラシ(Er Jing Tiao pepper)を水から取り出し、粉砕してシバ(Ciba)トウガラシを得た。
【0110】
赤油は以下の手順で調製した:
1.牛脂とコーン油を中華鍋で150℃に熱し、火を弱火にした(油の温度は150℃前後に保つ);
2.刻みニンニク、発酵味噌および濃厚豆板醤を中華鍋に入れ、よく混ぜた;
3.シバ(ciba)トウガラシ、砕いた小米辣(millet pepper)、13のスパイス、フェンネル、赤山椒、山椒パウダー、青山椒を中華鍋に入れ、よく混ぜた;
4.さらにシナモン、乾燥ソウカ(Tsaoko)、二荊条トウガラシ(Er Jing Tiao pepper)、氷砂糖および塩を中華鍋に入れ、よく混ぜた;
5.濃口醤油を中華鍋に入れ、よく混ぜた;
6.油の温度を110℃前後に保ちながら、すべての材料を15分間混ぜた後、ボウルに移した;
7.ボウルから固形物をすくい上げ、赤油を残した。
【0111】
赤油、水および塩を18:81.74:0.26の重量比で混ぜて、赤スープ火鍋のスープベースを得た。
【0112】
赤スープ火鍋の風味評価
下表11に示す材料を入れた赤スープ火鍋に、豆腐スティックを入れた。そして、豆腐スティックについて、味覚の専門家5名からなるパネルにより、6項目、すなわち混合辛さ、香辛料感、乾燥チリ風味、痺れ、山椒の香りおよび山椒の強い香りについて評価し、さらに、前記6項目の強さを、最初に感じる味(先味)、中間に感じる味および後味の点から評価した。うま味増強効果の評価スコアは:△やや強い、○適当に強い、◎強い、である。香辛料増強効果の評価スコアは:[ブランク]変化なし、△やや強い、○強い、◎非常に強い、である。評価結果を下表12に示す。
【0113】
【0114】
【0115】
表12から分かるように、本発明によるMSG、I+G及び化合物Aを含む香辛料風味増強用組成物を有する本発明実施例Pは、赤スープ火鍋の香辛料風味を増強し、特に、ぴりっとした辛さ及び山椒の強い香りを増強し、さらに、混合辛さ及び乾燥チリ風味を増強した。
【0116】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明した。本発明の概念に従って、創造的な作業をすることなく、多くの修正および変更を行うことができることを理解すべきである。したがって、本発明および従来技術の概念に基づいて、当業者が論理的分析、推論、または限られた時間の実験を通じて得ることができるすべての技術的解決策は、添付の特許請求の範囲によって定義される範囲内に含まれるべきである。
【0117】
本出願は、中国において出願された特許出願第202111272640.4号に基づくものであり、その内容は本出願に全て組み込まれる。
【国際調査報告】