(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-22
(54)【発明の名称】ポリエーテル重合プロセス
(51)【国際特許分類】
C08G 65/28 20060101AFI20241015BHJP
【FI】
C08G65/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522477
(86)(22)【出願日】2022-09-30
(85)【翻訳文提出日】2024-04-15
(86)【国際出願番号】 US2022045377
(87)【国際公開番号】W WO2023075988
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】スティールマン、デイビット ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】ニクビン、ニマ
(72)【発明者】
【氏名】ラグラマン、アルジュン
(72)【発明者】
【氏名】ジーバース、ロビン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ウェストン、ジョン ダブリュ.
【テーマコード(参考)】
4J005
【Fターム(参考)】
4J005AA12
4J005BB01
4J005BB02
4J005BB04
(57)【要約】
アルキレンオキシドは、複金属シアン化物触媒を含む触媒系の存在下で重合される。少なくとも1種の添加剤が存在する。添加剤は、最大24個の炭素原子を有するモノカルボン酸のアルカリ金属、アンモニウム又は四級アンモニウム塩;一塩基性リン酸カリウム、一塩基性リン酸アンモニウム又は四級リン酸アンモニウム、二塩基性リン酸アンモニウム及び四級リン酸アンモニウム又はリン酸である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエーテルを生成するための方法であって、
I.a)ヒドロキシル含有スターター、b)少なくとも1種のアルキレンオキシド、c)少なくとも1種の複金属シアン化物化合物を含む水不溶性重合触媒錯体、並びにd)最大24個の炭素原子を有するモノカルボン酸のアルカリ金属、アンモニウム及び四級アンモニウム塩;一塩基性アルカリ金属ホスフェート、二塩基性リン酸ナトリウム、一塩基性リン酸アンモニウム、一塩基性四級リン酸アンモニウム、酒石酸、リンゴ酸及びコハク酸からなる群から選択される添加剤を含む、反応混合物を形成することと、
II.前記水不溶性重合触媒錯体及び前記添加剤の存在下で、前記アルキレンオキシドを前記ヒドロキシル含有スターター上に重合させて、前記ポリエーテルを生成することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記複金属シアン化物化合物が、以下の式によって表され、
M
1
b[M
2(CN)
r(X
1)
t]
c[M
3(X
2)
6]
d・nM
4
xA
1
y(I)
式中、
M
1及びM
4が各々、Zn
2+、Fe
2+、Co
+2+、Ni
2+、Mo
4+、Mo
6+、Al
+3+、V
4+、V
5+、Sr
2+、W
4+、W
6+、Mn
2+、Sn
2+、Sn
4+、Pb
2+、Cu
2+、La
3+、及びCr
3+から独立して選択される金属イオンを表し、
M
2及びM
3が各々、Fe
3+、Fe
2+、Co
3+、Co
2+、Cr
2+、Cr
3+、Mn
2+、Mn
3+、Ir
3+、Ni
2+、Rh
3+、Ru
2+、V
4+、V
5+、Ni
2+、Pd
2+、及びPt
2+から独立して選択される金属イオンを表し、
X
1が、M
2イオンと配位するシアン化物以外の基を表し、
X
2が、M
3イオンと配位するシアン化物以外の基を表し、
A
1が、ハロゲン化物、ニトレート、スルフェート、カーボネート、シアン化物、オキサレート、チオシアネート、イソシアネート、ペルクロレート、イソチオシアネート、アルカンスルホネート、アリーレンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、又はC
1-4カルボキシレートを表し、
b、c、及びdが各々、静電的に中性の錯体を反映する数値であり、但し、b及びcが各々、ゼロより大きく、
x及びyが、金属塩M
4
xA
1
y中の電荷を均衡させる整数であり、
rが、4~6の整数であり、
tが、0~2の整数であり、
nが、0~20の数である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記反応混合物が、前記水不溶性重合触媒錯体とは別の成分として、e)少なくとも1種のM
5金属又は半金属化合物をさらに含み、前記M
5金属又は半金属が、マグネシウム、又は2010年版IUPAC元素周期表の第3族~第15族のうちのいずれかに含まれる金属若しくは半金属M
5から選択され、前記M
5金属又は半金属が、少なくとも1種のアルコキシド、アリールオキシ、カルボキシレート、アシル、ピロホスフェート、ホスフェート、チオホスフェート、ジチオホスフェート、ホスフェートエステル、チオホスフェートエステル、アミド、オキシド、シロキシド、水素化物、カルバメート、ハロゲン化物又は炭化水素アニオンに結合している、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
成分e)が、前記複金属シアン化物触媒によって提供されるM
2及びM
3金属の合計モル当たり0.0025~50モルのM
5金属を提供する量で存在する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記M
5金属又は半金属が、アルミニウム、ガリウム及びハフニウムからなる群から選択される、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記添加剤が、前記触媒錯体の重量の1~10倍の量で存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記添加剤が、アルカリ金属カルボキシレート、NH
4H
2PO
4、一塩基性アルカリ金属ホスフェート及びNa
2HPO
4からなる群から選択される1つ以上の化合物である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記アルキレンオキシドが、エチレンオキシドである、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記触媒錯体及びスターターが、反応容器に装入され、前記触媒錯体が、活性化され、その後、前記アルキレンオキシドの少なくとも一部が、前記活性化された触媒錯体及びスターターを含有する前記反応容器に、前記アルキレンオキシドのすべてが添加されるまで生成物を除去することなく、重合条件下で添加される、半回分式プロセス、又は前記触媒錯体、スターター及びアルキレンオキシドが、重合条件下で反応容器に連続して供給され、生成物が、前記反応容器から連続的に除去される、連続プロセスである、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記反応混合物が、ステップIIの少なくとも一部の間に、前記反応混合物の総重量に基づいて、4.25~15重量%のヒドロキシル含有量を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルキレンオキシドを重合してポリエーテルを形成するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリ(アルキレンオキシド)は、重合触媒の存在下で1つ以上のアルキレンオキシドを重合することにより、世界的に大量に生成されている。それらは、ポリウレタンを生成するための重要な原料であり、他の用途の中でも界面活性剤及び工業用溶媒として使用される。主要な重合触媒は、アルカリ金属水酸化物又はアルコキシド、及び一般に複金属シアン化物(double metal cyanide、DMC)触媒と呼ばれる特定の金属錯体である。
【0003】
複金属シアン化物触媒は、特定の利点を有する。それらは、プロピレンオキシドの転位を強力に触媒してプロペニルアルコールを形成しない。したがって、DMC触媒を使用して作製されたポリエーテルポリオールは、望ましくない単官能性ポリマーの量が少ない傾向がある。加えて、DMC触媒残留物は、通常、生成物から除去する必要がない。そうすることで、アルカリ金属触媒を使用するときに必要な中和及び触媒除去のステップを回避する。
【0004】
しかしながら、DMC触媒は、特定の不利な点を有する。それらは、「活性化」されて急速重合が始まる前の重合条件下でアルキレンオキシドに曝された後の潜伏期間を呈する。別の重要な問題は、DMC触媒が高濃度のヒドロキシル基の存在下で緩慢に機能することである。このため、DMC触媒は、低分子量の生成物を作製する場合、及び低当量のスターターから始まる半回分式プロセスでは好まれていない。
【0005】
米国特許第9,040,657号は、DMC触媒、及びマグネシウム、第3族~第15族の金属、又はランタニド系列化合物の存在下で、ポリエーテルモノオール又はポリオールを生成する方法を開示しており、マグネシウム、第3族~第15族の金属又はランタニド系列金属は、少なくとも1つのアルコキシド、アリールオキシ、カルボキシレート、アシル、ピロホスフェート、ホスフェート、チオホスフェート、ジチオホスフェート、ホスフェートエステル、チオホスフェートエステル、アミド、シロキシド、水素化物、カルバメート又は炭化水素アニオンに結合しており、マグネシウム、第3族~第15族又はランタニド系列金属化合物は、ハロゲン化物アニオンを欠いている。この技術は、高濃度のヒドロキシル基に曝された場合の活性化時間の短縮及び触媒性能の改善に非常に効果的である。それにもかかわらず、さらなる改善が望ましく、特に、ストリンジェントな重合条件下及び/又はエチレンオキシドの重合においてより良好に機能する触媒系が有益であろう。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、ポリエーテルを生成するための方法であり、方法は、
I.a)ヒドロキシル含有スターター、b)少なくとも1種のアルキレンオキシド、c)少なくとも1種の複金属シアン化物化合物を含む水不溶性重合触媒錯体、並びにd)最大24個の炭素原子を有するモノカルボン酸のアルカリ金属、アンモニウム及び四級アンモニウム塩;一塩基性アルカリ金属ホスフェート、二塩基性リン酸ナトリウム、一塩基性リン酸アンモニウム、一塩基性四級リン酸アンモニウム、酒石酸、リンゴ酸及びコハク酸からなる群から選択される添加剤を含む、反応混合物を形成することと、
II.水不溶性重合触媒錯体及び添加剤の存在下で、アルキレンオキシドをヒドロキシル含有スターター上に重合させて、ポリエーテルを生成することと、を含む。
【0007】
添加剤の存在は、国際公開第2012/091968号に記載されているような「促進剤」化合物が存在する場合であっても、複金属シアン化物触媒の活性を著しく増加させることが見出されている。添加剤は、高ヒドロキシル濃度及び/又は非常に低い分子量のスターターの条件下で、触媒活性化及び重合速度を高める。非常に重要なことに、添加剤の存在は、エチレンオキシド重合における触媒性能を改善する。本発明によれば、エチレンオキシドは、低分子量のスターター上でさえ、また高ヒドロキシル濃度の条件下でさえ重合されて、制御された分子量及び低い多分散性のポリ(エチレンオキシド)ポリマーを生成することができる。
【0008】
本発明のプロセスにおいて、重合混合物は、a)ヒドロキシル含有スターター、b)少なくとも1種のアルキレンオキシド、c)少なくとも1種の複金属シアン化物化合物を含む水不溶性重合触媒錯体、及びd)本明細書に記載の添加剤を含む。ポリエーテルは、水不溶性重合触媒錯体及び添加剤の存在下で、アルキレンオキシドをヒドロキシル含有スターター上に重合させることによって生成される。
【0009】
スターター化合物の主な機能は、分子量制御を提供し、ポリエーテル生成物が有するであろうヒドロキシル基の数を確立することである。ヒドロキシル含有スターター化合物は、1個以上(好ましくは2個以上)のヒドロキシル基及び12個以上ものヒドロキシル基を含有し得る。例えば、ポリウレタン用途に使用するためのポリオールを生成するためのスターターは、通常、分子当たり2~8個のヒドロキシル基を有する。いくつかの実施形態では、スターター化合物は、2~4個又は2~3個のヒドロキシル基を有するであろう。他の実施形態において、スターター化合物は、4~8個又は4~6個のヒドロキシル基を有するであろう。スターター化合物は、互いに対して1,2位又は1,3位にある少なくとも2つのヒドロキシル基を有し得る(ヒドロキシル基のうちの1つが「1」位として結合している炭素原子をとる)。スターター化合物の混合物を使用することができる。
【0010】
スターター化合物は、モノオール又はポリオール生成物のヒドロキシル当量よりも少ないヒドロキシル当量を有するであろう。それは、ASTM D4274-21に従ってヒドロキシル価を測定し、当量=56,100÷ヒドロキシル価の関係を用いてヒドロキシル価(mg KOH/g)を当量に変換することによって決定されるように、30~500g/当量以上のヒドロキシル当量を有し得る。当量は、最大500、最大250、最大125、及び/又は最大100g/当量であり得る。
【0011】
例示的なスターターとしては、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロース、フェノール、及びビスフェノールA又は1,1,1-トリス(ヒドロキシフェニル)エタンなどのポリフェノールスターター、並びに重合生成物のヒドロキシル当量よりも小さいヒドロキシル当量を有するこれらのうちのいずれかのアルコキシレート(エトキシレート及び/若しくはプロポキシレートなど)が挙げられるが、これらに限定されない。スターター化合物は、水でもあり得る。特にスターターが塩基の存在下で調製される場合(グリセリンの場合によくあるように)、スターターは、少量の酸で中和されるか、少量の酸を含有してもよい。酸が存在する場合、例えば米国特許第6,077,978号に記載されているように、スターターの重量に基づいて約10~100ppmの量で存在し得る。酸は、米国特許出願公開第2005/0209438号に記載されているように、スターターの重量に基づいて100~1000ppmなどのいくぶん多い量で使用されてもよい。酸は、スターターが触媒錯体と組み合わされる前又は後にスターターに添加されてもよい。
【0012】
特定のスターターには、特有の利点があり得る。トリエチレングリコールは、ポリエーテルジオールを生成するための回分式及び半回分式プロセスでの使用に特に良好なスターターであることが見出された。トリプロピレングリコール及びジプロピレングリコールもまた、本発明の触媒錯体と組み合わせて使用するのに特に良好なスターターであることが見出された。
【0013】
アルキレンオキシドは、例えば、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、2,3-プロピレンオキシド、1,2-ブタンオキシド、2-メチル-1,2-ブタンオキシド、2,3-ブタンオキシド、テトラヒドロフラン、エピクロロヒドリン、ヘキサンオキシド、スチレンオキシド、ジビニルベンゼンジオキシド、ビスフェノールAジグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、別の重合可能なオキシラン、又はこれらのうちのいずれか2つ以上の混合物であり得る。いくつかの特定の実施形態では、アルキレンオキシドは、1,2-プロピレンオキシド、又は少なくとも40重量%(好ましくは少なくとも80重量%)の1,2-プロピレンオキシドと最大60重量%(好ましくは最大20重量%)のエチレンオキシドとの混合物である。本発明の重要な利点は、触媒が唯一の又は優勢なアルキレンオキシドとしてのエチレンオキシドの存在下で活性化され得ること、及びエチレンオキシドが低分子量のスターター上にさえ容易に重合され得ることである。したがって、いくつかの実施形態では、アルキレンオキシドは、エチレンオキシド、又は少なくとも60重量%若しくは少なくとも80重量%のエチレンオキシドと、それに対応する最大40重量%若しくは最大20重量%の1,2-プロピレンオキシドとの混合物である。
【0014】
いくつかの実施形態における反応混合物は、反応混合物の総重量に基づいて、1~25重量%のヒドロキシル基を含有する。反応混合物は、重合反応の少なくとも一部について、例えば、4.5~20重量%、4.5~15重量%、4.5~12重量%又は4.5~10重量%のヒドロキシル基を含有してもよい。
【0015】
いくつかの実施形態における反応混合物は、最大10重量%のエチレンオキシドを含有する。反応混合物は、エチレンオキシド含有量(存在する場合)がその最高である重合の時点で、例えば、最大8重量%、最大6重量%、又は最大5重量%のエチレンオキシドを含有してもよい。いくつかの実施形態では、反応混合物は、重合反応の少なくとも一部について、少なくとも2重量%又は少なくとも3重量%のエチレンオキシドを含有する。
【0016】
反応混合物を構成する成分は、任意の順序で組み合わせることができる。
【0017】
重合は、典型的には、高温で実施される。重合混合物の温度は、例えば、80~220℃(例えば、120~190℃)であってもよい。
【0018】
重合反応は、通常、超大気圧で実施され得るが、大気圧又はさらに準大気圧で実施することができる。好ましい圧力は、0~10気圧(0~1013kPa)、特に0~6気圧(0~608kPa)のゲージ圧である。
【0019】
重合は、好ましくは、真空下、又は不活性雰囲気下、例えば、窒素、ヘリウム、若しくはアルゴン雰囲気下などで実施される。
【0020】
妥当な重合速度を提供するために十分な水不溶性重合触媒錯体が使用され得るが、一般に、妥当な重合速度と一致する可能な限り少ない触媒錯体を使用することが望ましく、これは両方とも、触媒のコストを削減し、触媒レベルが十分に低い場合、生成物から触媒残留物を除去する必要性を排除することができるためである。より少ない量の触媒を使用すると、生成物の残留金属含有量も減少する。触媒錯体の量は、生成物の重量に基づいて1~5000ppmであり得る。触媒錯体の量は、生成物の重量に基づいて、少なくとも2ppm、少なくとも5ppm、少なくとも10ppm、少なくとも25ppm、又は最大500ppm、又は最大200ppm、又は最大100ppmであり得る。触媒錯体がヘキサシアノコバルト酸化合物を含有する場合、触媒錯体の量は、生成物の百万重量部当たり0.25~20、0.5~10、0.5~1又は0.5~2.5重量部のコバルトを提供するように選択され得る。
【0021】
重合反応は、遭遇する圧力及び温度に好適な任意の種類の反応槽において実施することができる。連続又は半回分式プロセスでは、アルキレンオキシド、追加のスターター化合物及び好ましくは水不溶性重合触媒錯体、促進剤(使用する場合)及び添加剤を、重合が進行するにつれて導入する。したがって、容器は、反応中にそれらの成分を導入することができる1つ以上の注入口を有するべきである。連続プロセスでは、反応容器は、部分的に重合した反応混合物の一部を引き出すことができる少なくとも1つの注出口を含むべきである。半回分式運転では、反応中にアルキレンオキシド(及び任意で追加のスターター及び触媒錯体)が添加されるが、通常、重合が完了するまで生成物は除去されない。スターター物質を注入するための複数のポイントを有する管型反応器、ループ型反応器、及び連続撹拌槽型反応器(continuous stirred tank reactor、CTSR)はすべて、連続式又は半回分式運転に好適な種類の容器である。反応器は、必要な範囲内に反応混合物の温度を維持できるように、熱を供給する、又は取り除く手段を備えるべきである。好適な手段には、熱流体用の様々な種類のジャケット、様々な種類の内部又は外部ヒーターなどが挙げられる。連続的に引き出される生成物に対して実施される煮詰めステップは、反応器内で好都合に行われ、それにより重大な逆混合が生じるのを防止する。パイプ又は管状反応器におけるプラグフロー操作は、そのような煮詰めステップを実施する好ましい様式である。
【0022】
前述のプロセスのうちのいずれかで得られた生成物は、全重量に基づいて、最大0.5重量%の未反応アルキレンオキシド、少量のスターター化合物及びその低分子量アルコキシレート、並びに少量の他の有機不純物及び水を含有し得る。揮発性不純物は、得られたポリエーテルからフラッシュするか、又は取り去るべきである。生成物は、典型的には触媒残留物を含有し、促進剤(使用される場合)及び添加剤の残留物を含有し得る。生成物中にこれらの残留物を残すことは典型的であるが、必要に応じてこれらを除去してもよい。水分及び揮発物は、ポリオールをストリッピングすることによって除去することができる。
【0023】
重合反応は、生成物の数平均分子量と、スターター化合物の数平均分子量との比として定義される、「構成比」によって特徴付けられ得る。この構成比は、160まで高くてもよいが、より一般的には2.5~約65の範囲、さらにより一般的には2.5~約50の範囲、2.5~35、2.5~11、又は7~11の範囲である。
【0024】
本発明は、以下のうちの1つ以上を特徴とする重合プロセスにおいて特に有用である:i)最大125、特に最大100又は最大75g/当量の当量を有するスターターの使用、ii)重合プロセスの少なくとも一部の間に、反応混合物の総重量に基づいて、4.25~20重量%、特に4.25~15重量%、4.25~12重量%又は4.25~10重量%のヒドロキシル含有量、iii)生成物の重量に基づいて、多くとも5ppmのコバルト、特に0.5~2ppmのコバルトを提供するのに十分な触媒錯体の濃度、iv)アルキレンオキシドは、エチレンオキシド、又は少なくとも60重量%若しくは少なくとも80重量%のエチレンオキシド(残りは好ましくは1,2-プロピレンオキシドである)を含有するアルキレンオキシドの混合物であり、(v)エチレンオキシド含有量(存在する場合)がその最高である重合の時点で、2~10重量%、2~8重量%、2~6重量%、又は2~5重量%のエチレンオキシド濃度。これらの各々は、従来の亜鉛ヘキサシアノメタレート触媒の性能が低い厳しい状態を表している。
【0025】
いくつかの実施形態では、重合ステップは、重合されるアルキレンオキシド1モル当たり0.01モル以下のカーボネート前駆体の存在下で実施される。「カーボネート」前駆体は、アルキレンオキシドと重合される場合、カーボネート(-O-C(O)-O-)結合を生じる化合物である。カーボネート前駆体の例には、二酸化炭素、直鎖カーボネート、環状カーボネート、ホスゲンなどが挙げられる。
【0026】
水不溶性重合触媒錯体は、少なくとも1種の複金属シアン化物化合物を含む。この種の重合触媒錯体、及び複金属シアン化物化合物は一般に周知であり、例えば、数ある中でも米国特許第3,278,457号、同第3,278,458号、同第3,278,459号、同第3,404,109号、同第3,427,256号、同第3,427,334号、同第3,427,335号、及び同第5,470,813号に記載されているものが挙げられる。いくつかの実施形態では、複金属シアン化物化合物は、以下の式によって表され、
M1b[M2(CN)r(X1)t]c[M3(X2)6]d・nM4xA1y (I)
式中、
M1及びM4が各々、Zn2+、Fe2+、Co+2+、Ni2+、Mo4+、Mo6+、Al3+、V4+、V5+、Sr2+、W4+、W6+、Mn2+、Sn2+、Sn4+、Pb2+、Cu2+、La3+、及びCr3+から独立して選択される金属イオンを表し、
M2及びM3が各々、Fe3+、Fe2+、Co3+、Co2+、Cr2+、Cr3+、Mn2+、Mn3+、Ir3+、Ni2+、Rh3+、Ru2+、V4+、V5+、Ni2+、Pd2+、及びPt2+から独立して選択される金属イオンを表し、
X1が、M2イオンと配位するシアン化物以外の基を表し、
X2が、M3イオンと配位するシアン化物以外の基を表し、
A1が、塩化物、臭化物、ヨウ化物などのハロゲン化物;ニトレート;スルフェート;カーボネート;シアン化物;オキサレート;チオシアネート;イソシアネート;ペルクロレート;イソチオシアネート;メタンスルホネートなどのアルカンスルホネート;p-トルエンスルホネートなどのアリーレンスルホネート;及びトリフルオロメタンスルホネート(トリフレート)を表し、
b、c及びdが各々、M1b[M2(CN)r(X1)t]c[M3(X2)6]d基が静電的に中性を示すような数であるが、但し、b及びcが各々、ゼロより大きく、
x及びyが、金属塩M4xA1yが静電的に中性であるような整数であり、
rが、4~6の整数であり、
tが、0~2の整数であり、
nが、0~20の数である。
【0027】
M1及びM4(存在する場合)は各々、最も好ましくは亜鉛である。M2及びM3(存在する場合)は各々、最も好ましくは鉄及びコバルトであり、特にコバルトである。rは最も好ましくは6であり、tは最も好ましくは0である。dは、最も好ましくは0~1である。M1金属とM4金属とを組み合わせたものと、M2とM3金属とを組み合わせたものとのモル比は、好ましくは0.8:1~20:1である。
【0028】
いくつかの実施形態では、pは、少なくとも0.001、少なくとも0.0025であり得、最大10、最大5、最大1.5、最大0.25、又は最大0.125であり得る。いくつかの実施形態では、qは、少なくとも0.002、少なくとも0.01、少なくとも0.025、又は少なくとも0.05であり得、最大10、最大2、最大1.25、又は最大0.5であり得る。p及びqの値が小さいと、触媒錯体の性能の改善につながらない。より多い量では、触媒の性能を改善しないばかりか、実際に性能を低下させる傾向がある。
【0029】
いくつかの実施形態では、比p:qは、少なくとも0.025又は少なくとも0.05、及び最大1.5、最大1又は最大0.5であり得る。
【0030】
p、qの値及び比p:qは、X線蛍光(X-ray fluorescence、XRF)法を使用して便利に決定される。
【0031】
上記の式の触媒錯体は、シアノメタレート化合物及び出発M1化合物を含む出発物質を含有する溶液が調製され、特定の出発物質が反応し、触媒錯体が出発溶液から沈殿する沈殿プロセスにおいて作製され得る。一般に、例えば、米国特許第3,278,457号、同第3,278,458号、同第3,278,459号、同第3,404,109号、同第3,427,256号、同第3,427,334号、同第3,427,335号、及び同第5,470,813号に記載されているようなDMC触媒を生成するための方法。
【0032】
溶媒は、水及び液体脂肪族アルコールのうちの少なくとも一方を含む。溶媒は、出発シアノメタレート化合物及びM1金属化合物がその中で溶解できるものである。
【0033】
溶媒は、例えば、水、n-プロパノール、イソ-プロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、t-ブタノール、例えば、最大12個の炭素原子を有する他のアルキレンモノアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、又は1個以上のヒドロキシル基、及びポリスチレン標準に対してゲル透過クロマトグラフィーによって測定して、例えば最大8000g/モルの数平均分子量を有する他のポリエーテルであり得る。これらのうち、3~6個の炭素原子を有する脂肪族モノアルコール、特にt-ブタノールが好ましい。特に好ましいのは、25:75~90:10の体積比で、水と、混合物中に存在する相対比率で水に溶解する液体脂肪族アルコール(特に3~6個の炭素原子を有する脂肪族モノアルコール、最も好ましくはt-ブタノール)との混合物である。
【0034】
M1金属化合物は、好ましくは水溶性である。典型的には、M1金属及び1つ以上のアニオンの塩である。そのような塩は、式M1xA1yを有してもよく、式中、x、A1及びyは、前述のとおりである。例示的な実施形態では、アニオンA1は、アルコキシド、アリールオキシ、カルボキシレート、アシル、ピロホスフェート、ホスフェート、チオホスフェート、ジチオホスフェート、ホスフェートエステル、チオホスフェートエステル、アミド、酸化物、シロキシド、水素化物、カルバメート又は炭化水素アニオンのうちのいずれでもない。
【0035】
M1金属は、Zn2+、Fe2+、Co+2+、Ni2+、Mo4+、Mo6+、Al+3+、V4+、V5+、Sr2+、W4+、W6+、Mn2+、Sn2+、Sn4+、Pb2+、Cu2+、La3+及びCr3+のうちの1つ以上である。Zn2+は、好ましいM1金属である。ZnCl2は、好ましいM1金属化合物である。
【0036】
シアノメタレート化合物は、M2(CN)r(X1)tアニオンを含み、式中、r、X1、及びtは、前述のとおりである。rは、好ましくは6であり、tは、好ましくはゼロである。M2金属は、Fe3+、Fe2+、Co3+、Co2+、Cr2+、Cr3+、Mn2+、Mn3+、Ir3+、Ni2+、Rh3+、Ru2+、V4+、V5+、Ni2+、Pd2+、及びPt2+のうちの1つ以上である。M2金属は、好ましくはFe3+又はCo3+であり、Co3+が特に好ましい。シアノメタレート化合物は、好ましくはアルカリ金属又はアンモニウム塩であるが、対応するシアノメタリック酸を使用することができる。ヘキサシアノコバルト酸カリウムは、特に好ましいシアノメタレート化合物である。
【0037】
シアノメタレート化合物及びM1金属化合物は、反応して、水不溶性のM1金属シアノメタレートを含む触媒錯体を形成する。この反応は、室温(23℃)付近の温度又はわずかに高い温度で自然に進行する。したがって、特別な反応条件は必要ない。温度は、例えば、0~60℃であってもよい。好ましい温度は、20~50℃又は25~45℃である。沈殿が起こるまで撹拌を続けることが好ましく、これは一般に溶液の外観の変化によって示される。溶媒が蒸発しない限り、反応圧力は特に重要ではない。10~10,000kPaの絶対圧力が好適であり、50~250kPaの絶対圧力が完全に好適である。反応時間は、30分~24時間以上であり得る。
【0038】
沈殿した複金属シアン化物を錯化剤で処理することが好ましく、錯化剤は触媒錯体中に組み込まれる。これは、沈殿した複金属シアン化物を錯化剤又は錯化剤の水溶液で1回以上洗浄することによって便利に行われる。錯化剤成分は、出発溶液に関して前述したようなアルコール、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、グリシジルエーテル、グリコシド、多価アルコールカルボキシレート、ポリアルキレングリコールソルビタンエステル、胆汁酸若しくは塩、カルボン酸エステル若しくはそのアミド、シクロデキストリン、有機ホスフェート、ホスファイト、ホスホネート、ホスホニト、ホスフィネート、ホスフィニト、イオン性表面活性化合物若しくは界面活性化合物、及び/又はα,β-不飽和カルボン酸エステルのうちの少なくとも1個を含み得る。例示的な実施形態では、有機錯化剤は、n-プロパノール、イソ-プロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、t-ブタノール、最大12個の炭素原子を有する他のアルキレンモノアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、又は1個以上のヒドロキシル基、及びポリスチレン標準に対してゲル透過クロマトグラフィーによって測定して、例えば最大8000g/モルの数平均分子量を有する他のポリエーテルのうちの1つ以上である。
【0039】
そのように作製された触媒錯体は、出発溶液又は任意の洗浄液から便利に回収され、乾燥され、必要に応じて挽砕又は粉砕されて、触媒錯体を、例えば、100μm以下の体積平均粒径を有する粉末に縮小する。乾燥は、加熱及び/又は真空の適用によって実施することができる。
【0040】
いくつかの実施形態における添加剤は、最大24個の炭素原子を有するモノカルボン酸のアルカリ金属、アンモニウム若しくは四級アンモニウム塩であるか、又はそれらを含む。モノカルボン酸は、1~18個の炭素原子、1~12個の炭素原子、1~8個の炭素原子又は1~2個の炭素原子を有し得る。モノカルボン酸は脂肪族であってもよく、直鎖であってもよい。他の実施形態では、モノカルボン酸は芳香族(安息香酸など)であってもよい。アルカリ金属は、リチウム、ナトリウム、カリウム及び/又はセシウムであり得る。「アンモニウム」とは、NH4+イオンを意味する。四級アンモニウムイオンは、NR4+の形態をとり、式中、各Rは、独立して、H又はヒドロカルビルであるが、但し、少なくとも1つのRはヒドロカルビルである。具体例としては、ギ酸リチウム、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、ギ酸セシウム又はギ酸アンモニウム;酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム又は酢酸アンモニウム;安息香酸リチウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸セシウム又は安息香酸アンモニウム、及び直鎖状若しくは分岐状脂肪族C4~C18モノカルボン酸のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩又はアンモニウム塩が挙げられる。
【0041】
添加剤は、一塩基性アルカリ金属ホスフェート、一塩基性リン酸アンモニウム及び一塩基性四級リン酸アンモニウムのうちの1つ以上であってもよく、又はそれらを含んでもよい。これらの例としては、リン酸二水素リチウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素セシウム及びリン酸二水素アンモニウムが挙げられる。
【0042】
添加剤は、二塩基性リン酸ナトリウム(Na2HPO4)であってもよく、又はそれを含んでもよい。
【0043】
添加剤は、酒石酸、リンゴ酸又はコハク酸のうちの1つ以上であってもよく、又はそれらを含んでもよい。
【0044】
添加剤の重量は、いくつかの実施形態では、触媒錯体の重量の1~25倍である。添加剤の重量は、例えば、触媒錯体の重量の少なくとも2倍又は少なくとも3倍であってもよい。添加剤の重量は、触媒錯体の重量の最大15倍、最大10倍、最大7.5倍又は最大5倍であってもよい。
【0045】
別の言い方をすれば、添加剤は、生成物の重量に基づいて、約50~50,000重量百万分率(parts per million、ppm)の量で重合混合物中に存在するのが好都合である。好ましい下限量は、少なくとも100ppm、少なくとも250ppm、少なくとも500ppm又は少なくとも1000ppmである。好ましい上限量は、最大10,000ppm、最大5,000ppm、最大2500ppm又は最大1500ppmである。
【0046】
促進剤は、任意で反応混合物中に存在する。本発明の目的のための促進剤は、水不溶性重合触媒錯体とは分離された成分であり、これは、本発明の目的のために、触媒錯体の複金属シアン化物成分を形成する沈殿ステップ中に、促進剤もM5金属又は半金属含有前駆体も存在しないことを意味する。促進剤は、任意の順序で他の成分と組み合わせることができ、特に、重合混合物の他の成分と組み合わせる前に触媒錯体と組み合わせることができる。
【0047】
M5金属又は半金属化合物は、マグネシウム、又は2010年版IUPAC元素周期表の第3族~第15族のうちのいずれかに含まれる金属若しくは半金属M5と、アルコキシド、アリールオキシ、カルボキシレート、アシル、ピロホスフェート、ホスフェート、チオホスフェート、ジチオホスフェート、ホスフェートエステル、チオホスフェートエステル、アミド、オキシド、シロキシド、水素化物、カルバメート、ハロゲン化物又は炭化水素アニオンからなる群から選択される1つ以上のアニオンとの化合物である。
【0048】
金属は、例えば、スカンジウム、イットリウム、ランタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、チタン、シリコン、パラジウム、白金、銅、銀、金、亜鉛、カドミウム、水銀、アルミニウム、ガリウム、インジウム、テルル、スズ、鉛、ビスマス、及び58(セリウム)~71(ルチウム)までの原子番号を包括的に有するものを含むランタニド系列金属であり得る。
【0049】
好ましいM5金属及び半金属は、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ(nobium)、シリコン、チタン、タングステン、コバルト、スカンジウム、バナジウム、モリブデン、ニッケル、亜鉛及びスズを含む。より好ましくは、ハフニウム、アルミニウム、マンガン、ガリウム、及びインジウムである。
【0050】
「アルコキシド」イオンとは、-O-Rの形態を有する種を意味し、Rは、アルキル基又は置換アルキル基であり、ヒドロキシル基水素を除去した後に、HO-Rの形態を有するアルコール化合物の共役塩基である。これらのアルコールは、13~25以上の範囲のpKa値を有し得る。いくつかの実施形態では、アルコキシドイオンは、1~20個(例えば、1~6個及び/又は2~6個)の炭素原子を含有し得る。アルキル基又は置換アルキル基は、直鎖状、分岐状、及び/又は環状であり得る。好適な置換基の例としては、例えば追加のヒドロキシル基(アルコキシドの形態であり得る)、エーテル基、カルボニル基、エステル基、ウレタン基、カーボネート基、シリル基、芳香族基(例えばフェニル及びアルキル置換フェニル)、並びにハロゲンが挙げられる。そのようなアルコキシドイオンの例には、メトキシド、エトキシド、イソプロポキシド、n-プロポキシド、n-ブトキシド、sec-ブトキシド、t-ブトキシド、ベンジルオキシなどが挙げられる。R基は、1個以上のヒドロキシル基を含有してもよく、かつ/又は1個以上のエーテル結合を含有してもよい。アルコキシドイオンは、以下に説明されるスターター化合物のような、重合中に存在するスターター化合物の(1個以上のヒドロキシル基水素を除去した後の)残基に対応し得る。アルコキシドイオンは、ポリエーテルモノオール又はポリエーテルポリオールから1個以上のヒドロキシル基水素を除去することによって形成される、アルコキシドであり得、いくつかの実施形態では、そのようなアルコキシドは、1個以上のヒドロキシル基水素原子を除去した後、アルコキシル化反応から得られるポリエーテルモノオール若しくはポリエーテルポリオール生成物を除去した後、又はスターター化合物及びアルコキシル化反応の生成物の分子量の中間の分子量を有するポリエーテルを除去した後の残留物に対応する。
【0051】
「アリールオキシ」アニオンとは、形態-O-Arを有する種を意味し、Arは、芳香族基又は置換芳香族基であり、ヒドロキシル基水素を除去した後の、形態HO-Arを有するフェノール化合物に対応する。これらのフェノール化合物は、例えば、9~約12のpKaを有し得る。そのようなアリールオキシアニオンの例としては、フェノキシド及び環置換フェノキシドが挙げられ、環置換基としては、例えば、アルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、及びアルコキシルのうちの1つ以上が挙げられる。環置換基は、存在する場合、フェノール基に対してオルト位、パラ位及び/又はメタ位のうちの1つ以上に存在し得る。フェノキシドアニオンは、ビスフェノールA、ビスフェノールF及び他の様々なビスフェノール、1,1,1-トリス(ヒドロキシフェニル)エタン、並びに1-ナフトールなどの縮合環芳香族などのポリフェノール化合物の共役塩基も含む。
【0052】
「カルボキシレート」アニオンとは、1~24個(例えば、2~18個及び/又は2~12個)の炭素原子を含有するカルボキシレートを意味する。カルボキシレートは、脂肪族又は芳香族であり得る。脂肪族カルボン酸は、置換基を含有し得る。そのような例としては、ヒドロキシル基(アルコキシドの形態であり得る)、エーテル基、カルボニル基、エステル基、ウレタン基、カーボネート基、シリル基、フェニル及びアルキル置換フェニルなどの芳香族基、並びにハロゲンが挙げられる。脂肪族カルボキシレートアニオンの例としては、ホルメート、アセテート、プロピオネート、ブチレート、2-エチルヘキサノエート、n-オクタノエート、デカノエート、ラウレート及び他のアルカノエート、並びにハロゲン置換アルカノエート、例えば2,2,2-トリフルオロアセテート、2-フルオロアセテート、2,2-ジフルオロアセテート、2-クロロアセテート、2,2,2-トリクロロアセテートが挙げられる。芳香族カルボキシレートの例としては、ベンゾエート、アルキル置換ベンゾエート、ハロ置換ベンゾエート、4-シアノベンゾエート、4-トリフルオロメチルベンゾエート、サリチレート、3,5-ジ-t-ブチルサリチレート、及びサブサリチレートが挙げられる。いくつかの実施形態では、そのようなカルボキシレートイオンは、1~6(例えば、3~5)のpKaを有するカルボン酸の共役塩基であり得る。
【0053】
「アシル」アニオンとは、例えば、アルデヒド、ケトン、アセチルアセトネート、カーボネート、エステル、又はエノールの形態を有する同様の化合物を含むカルボニル基を含有する化合物の共役塩基を意味する。これらの例は、アセトアセトネート及びブチルアセトアセトネートなどのβ-ジケト化合物である。
【0054】
「ホスフェート」アニオンとは、式-O-P(O)(OR1)2を有するホスフェートアニオンを意味し、式中、R1は、アルキル、置換アルキル、フェニル、又は置換フェニルである。「チオホスフェート」アニオンとは、酸素のうちの1個以上が硫黄で置換されている対応する構造を有するチオホスフェートアニオンを意味する。ホスフェート及びチオホスフェートは、ホスフェートエステル及びチオホスフェートエステルなどのエステルアニオンであってもよい。
【0055】
「ピロホスフェート」アニオンとは、P2O74-アニオンを意味する。
【0056】
「アミド」アニオンとは、窒素原子が負電荷を帯びているイオンを意味する。アミドイオンは、一般に、-N(R2)2の形態をとり、式中、R2基は、独立して水素、アルキル、アリール、トリアルキルシリル、又はトリアリールシリルである。アルキル基は、直鎖状、分岐状又は環状であってよい。これらの基のうちのいずれも、エーテル又はヒドロキシルなどの置換基を含有し得る。2つのR2基はともに環構造を形成してもよく、その環構造は不飽和であってもよく、かつ/又は環内に(アミド窒素に加えて)1個以上のヘテロ原子を含有してもよい。
【0057】
「酸化物」アニオンとは、原子状酸素のアニオン、すなわち、O2-を意味する。
【0058】
「シロキシド」アニオンとは、式(R3)3SiO-を有するシラノエートを意味し、R3基は、独立して水素又はアルキル基である。
【0059】
「水素化物」アニオンとは、水素のアニオン、すなわち、H-を意味する。
【0060】
「カルバメート」アニオンとは、アニオン-OOCNH2を意味する。
【0061】
「炭化水素」アニオンとは、負電荷が炭素原子に存在する脂肪族、脂環式、及び/又は芳香族アニオンを含む、ヒドロカルビルアニオンを意味する。ヒドロカルビルアニオンは、典型的には30を超えるpKa値を有する炭化水素の共役塩基である。ヒドロカルビルアニオンはまた、不活性置換基を含んでもよい。芳香族ヒドロカルビルアニオンのうち、フェニル基及び置換フェニル基が使用され得る。脂肪族ヒドロカルビルアニオンは、例えば、1~12個(例えば、2~8個)の炭素原子を含有し得るアルキル基であり得る。例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、シクロペンタジエニル、及びt-ブチルアニオンはすべて有用である。
【0062】
「ハロゲン化物」アニオンとは、F-、Cl-、Br-、及びI-を意味する。
【0063】
有用なガリウム化合物の例としては、トリメチルガリウム、トリエチルガリウム、トリブチルガリウム、トリベンジルガリウムなどのトリアルキルガリウム化合物;酸化ガリウム;ガリウムトリメトキシド、ガリウムトリエトキシド、ガリウムトリイソプロポキシド、ガリウムトリ-t-ブトキシド、ガリウムトリ-sec-ブトキシドなどのガリウムアルコキシド;ガリウムフェノキシド、及びフェノキシド基のうちの1つ以上が、アルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどのうちの1つ以上と環置換されているガリウムフェノキシドなどのガリウムアリールオキシド;ギ酸ガリウム、酢酸ガリウム、プロピオン酸ガリウム、2-エチルヘキサン酸ガリウム、安息香酸ガリウム、安息香酸基のうちの1つ以上が、アルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどのうちの1つ以上と環置換されている安息香酸ガリウム、サリチル酸ガリウム、3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸ガリウムなどのカルボン酸ガリウム;ガリウムトリス(ジメチルアミド)、ガリウムトリス(ジエチルアミド)、ガリウムトリス(ジフェニルアミド)、ガリウムトリス(ジ(トリメチルシリル)アミド)などのガリウムアミド;ガリウムアセチルアセトネート;ガリウムt-ブチルアセチルアセトネート;並びにジエチルガリウムエトキシド、ジメチルガリウムエトキシド、ジエチルガリウムイソプロポキシド、及びジメチルガリウムイソプロポキシドなどのアルキルガリウムアルコキシドが挙げられる。
【0064】
有用なハフニウム化合物の例としては、例えば、例えば、テトラエチルハフニウム、テトラブチルハフニウム、テトラベンジルハフニウムなどのハフニウムアルキル;酸化ハフニウム;ハフニウムテトラメトキシド、ハフニウムテトラエトキシド、ハフニウムテトライソプロポキシド、ハフニウムテトラ-t-ブトキシド、ハフニウムテトラ-sec-ブトキシドなどのハフニウムアルコキシド;ハフニウムフェノキシド、及びフェノキシド基のうちの1つ以上が、アルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどのうちの1つ以上と環置換されているハフニウムフェノキシドなどのハフニウムアリールオキシド;ギ酸ハフニウム、酢酸ハフニウム、プロピオン酸ハフニウム、2-エチルヘキサン酸ハフニウム、安息香酸ハフニウム、安息香酸基のうちの1つ以上が、アルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどのうちの1つ以上と環置換されている安息香酸ハフニウム、サリチル酸ハフニウム、3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸ハフニウムなどのカルボン酸ハフニウム;ハフニウムテトラ(ジメチルアミド)、ハフニウムテトラ(ジエチルアミド)、ハフニウムテトラ(ジフェニルアミド)、ハフニウムテトラ((ビストリメチルシリル)アミド)などのハフニウムアミド;ハフニウムアセチルアセトネート及びハフニウムt-ブチルアセチルアセトネートが挙げられる。
【0065】
有用なインジウム化合物の例としては、トリメチルインジウムのようなトリアルキルインジウム化合物;酸化インジウム;インジウムメトキシド、インジウムエトキシド、インジウムイソプロポキシド、インジウムt-ブトキシド、インジウムsec-ブトキシドなどのインジウムアルコキシド;インジウムフェノキシド、及びフェノキシド基のうちの1つ以上が、アルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどのうちの1つ以上と環置換されているインジウムフェノキシドなどのインジウムアリールオキシド;ギ酸インジウム、酢酸インジウム、プロピオン酸インジウム、2-エチルヘキサン酸インジウム、安息香酸インジウム、安息香酸基のうちの1つ以上が、アルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどのうちの1つ以上と環置換されている安息香酸インジウム、サリチル酸インジウム、3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸インジウムなどのカルボン酸インジウム;インジウムアセチルアセトネート;並びにインジウムt-ブチルアセチルアセトネートが挙げられる。
【0066】
有用なアルミニウム化合物の例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリベンジルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム化合物;アルミニウムトリメトキシド、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリ-t-ブトキシド、アルミニウムトリ-sec-ブトキシドなどのアルミニウムアルコキシド、アルミニウムフェノキシド、及びフェノキシド基のうちの1つ以上が、アルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどのうちの1つ以上と環置換されているアルミニウムフェノキシドなどのアルミニウムアリールオキシド;酸化アルミニウム;ギ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、プロピオン酸アルミニウム、2-エチルヘキサン酸アルミニウム、安息香酸アルミニウム、安息香酸基のうちの1つ以上が、アルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどのうちの1つ以上と環置換されている安息香酸アルミニウム、サリチル酸アルミニウム、3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸アルミニウムなどのカルボン酸アルミニウム;アルミニウムトリス(ジメチルアミド)、アルミニウムトリス(ジエチルアミド)、アルミニウムトリス(ジフェニルアミド)、アルミニウムトリス(ジ(トリメチルシリル)アミド)などのアルミニウムアミド、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムt-ブチルアセチルアセトネート、並びにジエチルアルミニウムエトキシド、ジメチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムイソプロポキシド、ジメチルアルミニウムイソプロポキシド、メチルアルミノキサン、テトラエチルジアルミノキサンなどの酸化アルキルアルミニウム、及びアルコキシドが挙げられる。
【0067】
有用なマグネシウム化合物の例としては、ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ブチルエチルマグネシウム、ジベンジルマグネシウムなどのアルキルマグネシウム;マグネシウムメトキシド、マグネシウムエトキシド、マグネシウムイソプロポキシド、マグネシウムt-ブトキシド、マグネシウムsec-ブトキシドなどのマグネシウムアルコキシド;マグネシウムフェノキシド、及びフェノキシド基のうちの1つ以上が、アルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどのうちの1つ以上と環置換されているマグネシウムフェノキシドなどのマグネシウムアリールオキシド;ギ酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、プロピオン酸マグネシウム、2-エチルヘキサン酸マグネシウム、安息香酸マグネシウム、安息香酸基のうちの1つ以上が、アルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどのうちの1つ以上と環置換されている安息香酸マグネシウム、サリチル酸マグネシウム、3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸マグネシウムなどのカルボン酸マグネシウム;マグネシウムジメチルアミド、マグネシウムジエチルアミド、マグネシウムジフェニルアミド、マグネシウムビス(トリメチルシリル)アミドなどのマグネシウムアミド;酸化マグネシウム、マグネシウムアセチルアセトネート及びマグネシウムt-ブチルアセチルアセトネートが挙げられる。
【0068】
有用なマンガン化合物の例としては、Mn(II)及び/又はMn(III)及び/又はMn(IV)化合物が挙げられ、リン酸マンガン;ピロホスフェート、酸化マンガン;マンガンメトキシド、マンガンエトキシド、マンガンイソプロポキシド、マンガンt-ブトキシド、マンガンsec-ブトキシドなどのマンガンアルコキシド;マンガンフェノキシド、及びフェノキシド基のうちの1つ以上が、アルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどのうちの1つ以上と環置換されているマンガンフェノキシドなどのマンガンアリールオキシド;ギ酸マンガン、酢酸マンガン、プロピオン酸マンガン、2-エチルヘキサン酸マンガン、安息香酸マンガン、安息香酸基のうちの1つ以上が、アルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどのうちの1つ以上と環置換されている安息香酸マンガン、サリチル酸マンガン、3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸マンガンなどのカルボン酸マンガン;マンガンアセチルアセトネート;並びにマンガンt-ブチルアセチルアセトネートが挙げられる。
【0069】
有用なスカンジウム化合物の例としては、スカンジウムメトキシド、スカンジウムエトキシド、スカンジウムイソプロポキシド、スカンジウムt-ブトキシド、スカンジウムsec-ブトキシドなどのスカンジウムアルコキシド;酸化スカンジウム;スカンジウムフェノキシド、及びフェノキシド基のうちの1つ以上が、アルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどのうちの1つ以上と環置換されているスカンジウムフェノキシドなどのスカンジウムアリールオキシド;ギ酸スカンジウム、酢酸スカンジウム、プロピオン酸スカンジウム、2-エチルヘキサン酸スカンジウム、安息香酸スカンジウム、安息香酸基のうちの1つ以上が、アルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどのうちの1つ以上と環置換されている安息香酸スカンジウムなどのカルボン酸スカンジウム;サリチル酸スカンジウム;スカンジウムアセチルアセトネート及びスカンジウムt-ブチルアセチルアセトネートが挙げられる。
【0070】
有用なモリブデン化合物の例としては、リン酸モリブデンなどのMo(IV)及び/又はMo(VI)化合物;ピロリン酸モリブデン、酸化モリブデン;モリブデンメトキシド、モリブデンエトキシド、モリブデンイソプロポキシド、モリブデンt-ブトキシド、モリブデンsec-ブトキシドなどのモリブデンアルコキシド;モリブデンフェノキシド、及びフェノキシド基のうちの1つ以上が、アルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどのうちの1つ以上と環置換されているモリブデンフェノキシドなどのモリブデンアリールオキシド;ギ酸モリブデン、酢酸モリブデン、プロピオン酸モリブデン、2-エチルヘキサン酸モリブデン、安息香酸モリブデン、安息香酸基のうちの1つ以上が、アルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどのうちの1つ以上と環置換されている安息香酸モリブデン、サリチル酸モリブデン、3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸モリブデンなどのカルボン酸モリブデン;モリブデンアセチルアセトネートが挙げられる。
【0071】
有用なコバルト化合物の例としては、リン酸コバルトなどのCo(II)及び/又はCo(III)化合物;ピロリン酸コバルト、酸化コバルト;コバルトメトキシド、コバルトエトキシド、コバルトイソプロポキシド、コバルトt-ブトキシド、コバルトsec-ブトキシドなどのコバルトアルコキシド;コバルトフェノキシド、及びフェノキシド基のうちの1つ以上が、アルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどのうちの1つ以上と環置換されているコバルトフェノキシドなどのコバルトアリールオキシド;ギ酸コバルト、酢酸コバルト、プロピオン酸コバルト、2-エチルヘキサン酸コバルト、安息香酸コバルト、安息香酸基のうちの1つ以上が、アルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどのうちの1つ以上と環置換されている安息香酸コバルト、サリチル酸コバルト、3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸コバルトなどのカルボン酸コバルト;コバルトアセチルアセトネート;並びに各場合においてCo(II)及び/又はCo(III)化合物である、コバルトt-ブチルアセチルアセトネートが挙げられる。
【0072】
有用なタングステン化合物の例としては、リン酸タングステン;ピロリン酸タングステン、酸化タングステン;タングステンメトキシド、タングステンエトキシド、タングステンイソプロポキシド、タングステンt-ブトキシド、タングステンsec-ブトキシドなどのタングステンアルコキシド;タングステンフェノキシド、及びフェノキシド基のうちの1つ以上が、アルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどのうちの1つ以上と環置換されているタングステンフェノキシドなどのタングステンアリールオキシド;ギ酸タングステン、酢酸タングステン、プロピオン酸タングステン、2-エチルヘキサン酸タングステン、安息香酸タングステン、安息香酸基のうちの1つ以上が、アルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどのうちの1つ以上と環置換されている安息香酸タングステン、サリチル酸タングステン、3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸タングステンなどのカルボン酸タングステン;タングステンアセチルアセトネート;並びにタングステンt-ブチルアセチルアセトネートが挙げられる。
【0073】
有用な鉄化合物の例としては、リン酸鉄などの鉄(II)及び/又は鉄(III)化合物;ピロリン酸鉄、酸化鉄;鉄メトキシド、鉄エトキシド、鉄イソプロポキシド、鉄t-ブトキシド、鉄sec-ブトキシドなどの鉄アルコキシド;鉄フェノキシド、及びフェノキシド基のうちの1つ以上が、アルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどのうちの1つ以上と環置換されている鉄フェノキシドなどの鉄アリールオキシド;ギ酸鉄、酢酸鉄、プロピオン酸鉄、2-エチルヘキサン酸鉄、安息香酸鉄、安息香酸基のうちの1つ以上が、アルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどのうちの1つ以上と環置換されている安息香酸鉄、サリチル酸鉄、3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸鉄などのカルボン酸鉄;鉄アセチルアセトネート;並びに各場合においてFe(II)及び/又はFe(III)化合物である、鉄t-ブチルアセチルアセトネートが挙げられる。
【0074】
有用なバナジウム化合物の例としては、バナジウムメトキシド、バナジウムエトキシド、バナジウムイソプロポキシド、バナジウムt-ブトキシド、バナジウムsec-ブトキシドなどのバナジウムアルコキシド;酸化バナジウム;バナジウムオキソトリス(メトキシド)、バナジウムオキソトリス(エトキシド)、バナジウムオキソトリス(イソプロポキシド)、バナジウムオキソトリス(t-ブトキシド)、バナジウムオキソトリス(sec-ブトキシド)などのバナジウムオキソトリス(アルコキシド);バナジウムフェノキシド、及びフェノキシド基のうちの1つ以上が、アルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどのうちの1つ以上と環置換されているバナジウムフェノキシドなどのバナジウムアリールオキシド;ギ酸バナジウム、酢酸バナジウム、プロピオン酸バナジウム、2-エチルヘキサン酸バナジウム、安息香酸バナジウム、安息香酸基のうちの1つ以上が、アルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどのうちの1つ以上と環置換されている安息香酸バナジウム、サリチル酸バナジウム、3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸バナジウムなどのカルボン酸バナジウム;バナジウムトリス(アセチルアセトネート)及びバナジウムトリス(t-ブチルアセチルアセトネート);バナジウムオキソビス(アセチルアセトネート)が挙げられる。
【0075】
有用なスズ化合物の例としては、リン酸第一スズ;ピロリン酸第一スズ、酸化第一スズ;酸化第二スズ;第一スズメトキシド、第一スズエトキシド、第一スズイソプロポキシド、第一スズt-ブトキシド、第一スズsec-ブトキシドなどの第一スズアルコキシド;第一スズフェノキシド、及びフェノキシド基のうちの1つ以上が、アルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどのうちの1つ以上と環置換されている第一スズフェノキシドなどの第一スズアリールオキシド;ギ酸第一スズ、酢酸第一スズ、プロピオン酸第一スズ、2-エチルヘキサン酸第一スズ、安息香酸第一スズ、安息香酸基のうちの1つ以上が、アルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどのうちの1つ以上と環置換されている安息香酸第一スズ、サリチル酸第一スズ、3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸第一スズなどのカルボン酸第一スズ;第一スズアセチルアセトネート;並びに第一スズt-ブチルアセチルアセトネートが挙げられる。
【0076】
有用な亜鉛化合物の例としては、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジブチル亜鉛、ジベンジル亜鉛などの亜鉛アルキル;酸化亜鉛、エチル亜鉛イソプロポキシドなどのアルキル亜鉛アルコキシド;亜鉛メトキシド、亜鉛エトキシド、亜鉛イソプロポキシド、亜鉛t-ブトキシド、亜鉛sec-ブトキシドなどの亜鉛アルコキシド;亜鉛フェノキシド、及びフェノキシド基のうちの1つ以上が、アルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどのうちの1つ以上と環置換されている亜鉛フェノキシドなどの亜鉛アリールオキシド;ギ酸亜鉛、酢酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、2-エチルヘキサン酸亜鉛、安息香酸亜鉛、安息香酸基のうちの1つ以上が、アルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどのうちの1つ以上と環置換されている安息香酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸亜鉛などのカルボン酸亜鉛;亜鉛ジメチルアミド、亜鉛ジエチルアミド、亜鉛ジフェニルアミド、亜鉛(ビストリメチルシリル)アミドなどの亜鉛アミド;亜鉛アセチルアセトネート及び亜鉛t-ブチルアセチルアセトネートが挙げられる。
【0077】
有用なチタン化合物の例としては、二酸化チタン、及び構造Ti(OR)4を有するチタンアルコキシドであって、式中、Rが、アルキル又はフェニル(置換され得る)である、チタンアルコキシド、例えば、チタンテトラエトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラ-t-ブトキシド、チタンテトラ-sec-ブトキシド、チタンテトラフェノキシド、フェノキシド基のうちの1つ以上が、アルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどのうちの1つ以上で独立して環置換されているチタンテトラフェノキシドが挙げられる。
【0078】
有用なケイ素化合物の例としては、シリカ、及び構造Si(OR)4を有するケイ素アルコキシドであって、式中、Rが、アルキル又はフェニル(置換され得る)である、ケイ素アルコキシド、例えば、ケイ素テトラエトキシド、ケイ素テトライソプロポキシド、ケイ素テトラ-t-ブトキシド、ケイ素テトラ-sec-ブトキシド、ケイ素テトラフェノキシド、フェノキシド基のうちの1つ以上が、アルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどのうちの1つ以上で独立して環置換されているケイ素テトラフェノキシドが挙げられる。
【0079】
促進剤は、好ましくは、複金属シアン化物触媒によって提供されるM2+M3金属1モル当たり少なくとも0.001又は少なくとも0.0025モルのM5金属又は半金属を提供する量で存在する。促進剤は、複金属シアン化物触媒によって提供されるM2+M3金属1モル当たり最大50、最大10、最大5、最大1.5、最大0.25又は最大0.125モルのM5金属又は半金属を提供する量で存在してもよい。
【0080】
例えば、国際公開第2020/131508号に記載されているように、2種以上の異なるM5金属又は半金属の化合物の促進剤混合物が存在してもよい。そのような混合物において、M5金属又は半金属のうちの少なくとも1つが、ガリウム、インジウム、ハフニウム又はチタン(特にガリウム又はハフニウム)であり、少なくとも1つの他のM5金属又は半金属が、アルミニウム、ケイ素又はチタン(特にアルミニウム)であることが好ましい。
【0081】
ある特定の実施形態では、促進剤は、一般に促進剤がM5金属又は半金属酸化物である場合のように、離散粒子の形態で存在する。そのような粒子は、ガス収着法を使用して測定して、少なくとも1m2/gの表面積を有し得る。そのような促進剤粒子の表面積は、少なくとも10m2/g、又は少なくとも100m2/gであり得、例えば、最大300m3/g以上であり得る。それらの体積平均粒子サイズは、100μm以下、25μm以下、1μm以下又は500nm以下であり得る。そのような物理的混合物は、例えば、複金属シアン化物触媒(又は複金属シアン化物を含有する触媒錯体)の固体粒子を形成し、それらを促進剤粒子と組み合わせることによって作製することができる。これは、複金属シアン化物が沈殿した後、触媒錯体調製プロセスの任意の段階で行うことができる。例えば、最終乾燥の前に、沈殿した複金属シアン化物を水及び/又はリガンドで1回以上洗浄するのが一般的である。促進剤粒子は、任意のそのような洗浄ステップ中にヘキサシアノコバルト酸亜鉛と組み合わせることができる。
【0082】
本発明に従って作製されるポリエーテルは、モノアルコール、例えば、界面活性剤、及び工業用溶媒又は潤滑剤用途に有用なものなど、及びポリオール、例えば、成形フォーム、スラブストックフォーム、高弾性フォーム、粘弾性フォーム、硬質フォーム、接着剤、シーラント、コーティング、エラストマー、複合体などのポリウレタンなどのポリマーを生成するための有用な原料などを含み得る。
【0083】
以下の実施例は、例示的な実施形態を説明するために提供されるものであり、その範囲を限定することを意図するものではない。すべての部及びパーセンテージは、別途指示がない限り重量による。
【0084】
実施例1~12及び比較試料A~F
エチレンオキシド重合は、48ウェルSymyx Technologies Parallel Pressure Reactor(Parallel Pressure Reactor、PPR)を使用して実施される。ウェルの各々には、およそ5mLの内部作動液体容量を有する個別に計量されたガラスインサートが装備されている。98.5%の625重量平均分子量のポリ(エチレンオキシド)トリオールと1.5%のグリセロールとの3mLの混合物を、表1に示されるように、265重量百万分率(ppm、生成物の予測質量に基づく)のヘキサシアノコバルト酸亜鉛触媒錯体(CovestroからのArcol(登録商標)3 Catalyst)、265ppmの酸化アルミニウム(Sasol North AmericaからのCatalox(登録商標)BA)及び1335ppmの添加剤とともに各ウェルに添加する。ウェルを160℃で70psig(483kPa)の乾燥窒素で加圧する。0.3mLのエチレンオキシドを各ウェルに注入し、各ウェルの内圧を140~160psig(966~1103kPa)に上昇させる。内圧は、エチレンオキシド重合反応の進行の指標として経時的にモニタリングされる。圧力が90psig(621kPa)まで、次いで80psig(552kPa)まで低下するのに必要な時間を記録する。より短い時間は、より大きな触媒活性を示す。結果は、表1に示されるとおりである。
【0085】
【0086】
比較試料Aは、ベースラインの場合を表す。触媒錯体自体は、これらの非常にストリンジェントな条件下(高濃度のヒドロキシル基+エチレンオキシドの選択)で重合を開始することができない。実施例1~12は、活性重合が、アルカリ金属カルボキシレート(実施例1~6及び12)、一塩基性リン酸カリウム、リン酸二水素アンモニウム又はリン酸二水素リチウム(実施例7~9)、酒石酸(実施例11)又は二塩基性リン酸ナトリウム(実施例12)が追加として反応混合物中に存在する場合に起こることを示す。反応器圧力が90psig(621kPa)に低下するまでの時間は、各場合において9倍以上短縮される。
【0087】
比較試料B~Fは、様々な他の添加剤のより不良な効果を示す。トリフレート塩(化合物B)は、いくらかの利点を提供するが、本発明の添加剤よりも効果がはるかに低い。二塩基性リン酸カリウム、カーボネート塩及びアルカリ土類カルボキシレート塩(化合物C、D、E及びF)は、ほとんど利益をもたらさない。
【0088】
実施例13~23及び比較試料G~K
エチレンオキシド重合は、酸化アルミニウムを等濃度のアルミニウムトリ(sec-ブトキシド)で置き換えて、先の一連の実施例と同じ方法で実施される。添加剤及び結果は、表2に示されるとおりである。
【0089】
【0090】
アルカリ金属カルボキシレート(実施例13~18及び21)、一塩基性ホスフェート(実施例19及び20)、酒石酸及び水素リン酸二ナトリウム(実施例22、23)はすべて、重合速度を劇的に増加させる。トリフレート塩、K2HPO4、カーボネート塩及びLiH2PO4は、有益な効果があるとしてもわずかである。
【国際調査報告】