(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-22
(54)【発明の名称】端面カプラ及び光通信装置
(51)【国際特許分類】
G02B 6/122 20060101AFI20241015BHJP
G02B 6/30 20060101ALI20241015BHJP
G02B 6/42 20060101ALI20241015BHJP
【FI】
G02B6/122
G02B6/122 311
G02B6/30
G02B6/42
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526532
(86)(22)【出願日】2021-11-04
(85)【翻訳文提出日】2024-06-11
(86)【国際出願番号】 CN2021128741
(87)【国際公開番号】W WO2023077364
(87)【国際公開日】2023-05-11
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ヤーンボー
【テーマコード(参考)】
2H137
2H147
【Fターム(参考)】
2H137AB01
2H137AB08
2H137AB11
2H137BA01
2H137BA36
2H137BA38
2H137BA45
2H137BA53
2H137BB02
2H137BB12
2H147AB04
2H147AB05
2H147AB24
2H147BB02
2H147BB03
2H147BB04
2H147BB06
2H147BE15
2H147BE17
2H147CA01
2H147CD02
2H147EA13A
2H147GA19
(57)【要約】
本件出願は端面カプラ及び光通信装置を開示しており、光通信の分野に関連している。端面カプラは、ミドル・ウェーブガイドとクラッドとを含む。ミドル・ウェーブガイドの断面は互いに垂直な第1の方向と第2の方向とを有し、第1の方向はミドル・ウェーブガイドの長さ方向と同じである。ミドル・ウェーブガイドはクラッドの中に位置しており、ミドル・ウェーブガイドは第1のレイヤ・ボディと第2のレイヤ・ボディとを含む。第1のレイヤ・ボディは第1の方向において順に接続された第1のパートと第2のパートとを含む。第2の方向における第1のパートのサイズは、第2の方向における第2のパートのサイズより大きくはなく、第1の方向に延びる第2のパートの両側面は平行である。第2のレイヤ・ボディは第1のレイヤ・ボディに積み重なっており、第1のレイヤ・ボディの断面に対する第2のレイヤ・ボディの直交射影は第1のレイヤ・ボディの第2のパートに位置しており、第2のレイヤ・ボディの端部であって第1のパートから遠い方の端部は、第2のパートの端部であって第1のパートから遠い方の端部と面一である。本件出願の実施形態で提供される端面カプラ及び光通信装置は、大きなカップリング損失の問題を解決することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミドル・ウェーブガイドとクラッドとを含む端面カプラであって、
前記ミドル・ウェーブガイドの断面は互いに垂直な第1の方向と第2の方向とを有し、前記第1の方向は前記ミドル・ウェーブガイドの長さ方向と同じであり;
前記ミドル・ウェーブガイドは前記クラッドの中に位置しており、前記ミドル・ウェーブガイドは第1のレイヤ・ボディと第2のレイヤ・ボディとを含み;
前記第1のレイヤ・ボディは前記第1の方向において順に接続された第1のパートと第2のパートとを含み、前記第2の方向における前記第1のパートのサイズは、前記第2の方向における前記第2のパートのサイズより大きくはなく、前記第1の方向に延びる前記第2のパートの2つの側面は平行であり;且つ
前記第2のレイヤ・ボディは前記第1のレイヤ・ボディに積み重なっており、前記第1のレイヤ・ボディの断面に対する前記第2のレイヤ・ボディの直交射影は前記第1のレイヤ・ボディの前記第2のパートに位置しており、前記第2のレイヤ・ボディの端部であって前記第1のパートから遠い方の端部は、前記第2のパートの端部であって前記第1のパートから遠い方の端部と面一である、端面カプラ。
【請求項2】
請求項1に記載の端面カプラにおいて、前記第1のパートの端部であって前記第2のパートから遠い方の端部は第1の端部であり、前記第1のパートの端部であって前記第2のパートに近い方の端部は第2の端部であり;且つ
前記第2の方向における前記第1のパートのサイズは、前記第1のパートの前記第1の端部から前記第1のパートの前記第2の端部へ徐々に増加している、端面カプラ。
【請求項3】
請求項2に記載の端面カプラにおいて、前記第2の方向における前記第2のパートのサイズは、前記第2の方向における前記第1のパートの前記第2の端部のサイズと同じである、端面カプラ。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の端面カプラにおいて、前記第2のレイヤ・ボディは、前記第1の方向において順に接続された第3のパートと第4のパートとを含み;且つ
前記第2の方向における前記第3のパートのサイズは、前記第2の方向における前記第4のパートのサイズより大きくはない、端面カプラ。
【請求項5】
請求項4に記載の端面カプラにおいて、前記第3のパートの端部であって前記第4のパートから遠い方の端部は第1の端部であり、前記第3のパートの端部であって前記第4のパートに近い方の端部は第2の端部であり;且つ
前記第2の方向における前記第3のパートのサイズは、前記第3のパートの前記第1の端部から前記第3のパートの前記第2の端部へ徐々に増加している、端面カプラ。
【請求項6】
請求項5に記載の端面カプラにおいて、前記第2の方向における前記第4のパートのサイズは、前記第2の方向における前記第3のパートの前記第2の端部のサイズと同じである、端面カプラ。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の端面カプラにおいて、前記第2の方向における前記第4のパートのサイズは、前記第2の方向における前記第2のパートのサイズと同じである、端面カプラ。
【請求項8】
請求項5ないし7のうちの何れか一項に記載の端面カプラにおいて、前記第3のパートの前記第1の端部は、前記第1のパートと前記第2のパートの間のジョイント部に位置している、端面カプラ。
【請求項9】
請求項1ないし8のうちの何れか一項に記載の端面カプラにおいて、前記端面カプラはサイド・ウェーブガイドを更に含み;且つ
前記サイド・ウェーブガイドと前記ミドル・ウェーブガイドは互いから隔てられ且つ平行に配置されており、前記サイド・ウェーブガイドの第1の端部は、前記第1のパートの端部であって前記第2のパートから遠い方の端部と面一であり、前記第1の方向における前記サイド・ウェーブガイドのサイズは、前記第1の方向における前記ミドル・ウェーブガイドのサイズより大きくはなく、前記第2の方向における前記サイド・ウェーブガイドのサイズは、前記第1のパートの端部であって前記第2のパートから遠い方の端部の、前記第2の方向におけるサイズより大きくはない、端面カプラ。
【請求項10】
請求項9に記載の端面カプラにおいて、前記サイド・ウェーブガイドの第2の端部は、前記第1のパートと前記第2のパートの間のジョイント部と面一である、端面カプラ。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の端面カプラにおいて、前記第2の方向における前記サイド・ウェーブガイドのサイズは、前記第1のパートの端部であって前記第2のパートから遠い方の端部の、前記第2の方向におけるサイズと同じである、端面カプラ。
【請求項12】
請求項9ないし11のうちの何れか一項に記載の端面カプラにおいて、少なくとも2つのサイド・ウェーブガイドを含み、
前記少なくとも2つのサイド・ウェーブガイドのうちの或るパートは前記ミドル・ウェーブガイドの一方の側に位置し、前記少なくとも2つのサイド・ウェーブガイドのうちの別のパートは前記ミドル・ウェーブガイドの別の側に位置している、端面カプラ。
【請求項13】
請求項9ないし12のうちの何れか一項に記載の端面カプラにおいて、前記ミドル・ウェーブガイドと前記サイド・ウェーブガイドは同一平面に位置している、端面カプラ。
【請求項14】
端面カプラと、光ファイバーと、光電子チップとを含む光通信装置であって、
前記端面カプラは、請求項1ないし13のうちの何れか一項に記載の端面カプラであり、前記端面カプラは、前記光ファイバーと前記光電子チップとの間に位置し、前記端面カプラは、前記光ファイバーと前記光電子チップに別々に接続されている、光通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本件出願は、光通信分野に関連し、特に、端面カプラ及び光通信装置に関連する。
【背景技術】
【0002】
[0002] シリコン・フォトニクス技術に基づく光通信装置は、主に、光電子チップと光ファイバーを含み、光電子チップと光ファイバーの間で光信号を伝搬させることを必要とする。光電子チップのシリコン・ウェーブガイドのモード・フィールド径(mode field diameter,MFD)は、光ファイバーのモード・フィールド径と大幅に相違するので、光電子チップのシリコン・ウェーブガイドのスポット・サイズは、光ファイバーのスポット・サイズと大幅に相違する。シリコン・ウェーブガイドと光ファイバーを直接的に結合して光信号を伝搬させると、カップリング損失が非常に大きくなる。
【発明の概要】
【0003】
[0003] 本件出願の実施形態は、端面カプラ及び光通信装置を提供して、関連技術における大きなカップリング損失の問題を克服する。
【0004】
[0004] 第1の態様によれば、端面カプラが提供される。端面カプラは、ミドル・ウェーブガイドとクラッドとを含む。ミドル・ウェーブガイドはクラッドの中に位置している。ミドル・ウェーブガイドの平断面は互いに垂直な第1の方向と第2の方向とを有し、第1の方向はミドル・ウェーブガイドの長さ方向と同じであり、第2の方向は第1の方向に垂直である。ミドル・ウェーブガイドは第1のレイヤ・ボディと第2のレイヤ・ボディとを含み、第1のレイヤ・ボディは第1のパートと第2のパートとを含み、第1のパートと第2のパートは、第1の方向において順に接続されている。第2の方向における第1のパートのサイズは、第2の方向における第2のパートのサイズより大きくはない。第2のパートは第1の方向において2つの側面を有し、2つの側面は互いに平行である。第2のレイヤ・ボディは第1のレイヤ・ボディに積み重なっており、第1のレイヤ・ボディの断面に対する第2のレイヤ・ボディの直交射影は第1のレイヤ・ボディの第2のパートに位置しており、即ち、第2のレイヤ・ボディは、第2のパートに積み重なっており、第2のパートの外縁を超えていない。第2のレイヤ・ボディの端部であって第1のパートから遠い方の端部は、第2のパートの端部であって第1のパートから遠い方の端部と面一又は同一平面にある(flush with)。
【0005】
[0005] 本件出願のこの実施形態で提供される端面カプラは、少なくとも次のような効果を有する。
【0006】
[0006] 端面カプラは、シリコン・ウェーブガイドと光ファイバーとの間に配置され、その結果、第1のパートの端部であって第2のパートから遠い方の端部が、光ファイバーの端部に結合される。また、第2のパートの端部であって第1のパートから遠い方の端部は、第2のレイヤ・ボディの端部であって第1のパートから遠い方の端部と面一になっているので、第2のパートの端部であって第1のパートから遠い方の端部と、第2のレイヤ・ボディの端部であって第1のパートから遠い方の端部とは、シリコン・ウェーブガイドに別々に結合されることが可能である。光ファイバーから出力された光信号は、第1のパートの端部であって第2のパートから遠い方の端部を介して、端面カプラにつながる。第1のパートの端部であって第2のパートから遠い方の端部のサイズは小さいので、スポット・サイズは大きくなり、デバイスの端面は、光ファイバーとの大きな大きなオーバーラップ積分(overlap integral)を有することができる。光信号の伝搬に伴って、光信号は第1のパートから第2のパートに入る。第2のパートのサイズは第1のパートのサイズよりも大きいので、スポット・サイズはそれに応じて減少する。光信号が更に伝搬すると、光信号は、第2のパートと第2のレイヤ・ボディとが共に積み重なった部分に入る。この部分では、第2のレイヤ・ボディのサイズが大きくなるので、スポット・サイズはそれに応じて更に小さくなる。このように、光信号がシリコン・ウェーブガイドにつながる場合に、スポット・サイズはシリコン・ウェーブガイドのスポット・サイズに既に一致しており、そのため、光信号が光ファイバーとシリコン・ウェーブガイドとの間につながる際に生じる損失を低減する。
【0007】
[0007] 換言すれば、本件出願のこの実施形態で提供される端面カプラは、光ファイバーとシリコン・ウェーブガイドとの間に配置され、その結果、光ファイバーとシリコン・ウェーブガイドとの間で、光信号の低損失伝送を実現することができるようになる。
【0008】
[0008] 本件出願の実装において、第1のパートは第1の方向において2つの端部を有し、第1のパートの第1の端部は第2のパートから遠い方の端部であり、第1のパートの第2の端部は第2のパートに近い方の端部である。第2の方向における第1のパートのサイズは、第1のパートの第1の端部から第1のパートの第2の端部へ徐々に増加している。具体的には、光信号が第1のパートの第1の端部から入射すると、第1のパートの第2の端部へ光信号が伝搬する過程の中で、スポット・サイズは、光信号が第2のパートまで伝播するまでに徐々に増加してゆく。この設計では、隣接する界面の間でモード・フィールド径の差分は小さく、光信号の反射を効果的に低減することができ、それにより干渉を低減することができる。これに対応して、光信号が第1のパートの第2の端部から入射すると、第1のパートの第1の端部へ光信号が伝搬する過程の中で、スポット・サイズは、光信号が第1のパートの第1の端部から出力されるまで、徐々に減少してゆく。このようにして、伝搬過程における光信号の反射も低減される。また、第1のレイヤ・ボディを製造する難易度を更に低減することができ、製造歩留まりを効果的に向上させることができる。
【0009】
[0009] 本件出願の実装において、第2の方向における第2のパートのサイズは、第2の方向における第1のパートの第2の端部のサイズと同じである。第2の方向における第1のパートのサイズが、第1のパートの第1の端部から第1のパートの第2の端部へ徐々に大きくなった後、第1のパートは、第2のパートに滑らかに移行して接続されることが可能であり、これにより、第1のパートと第2のパートのサイズが急激に変化することを回避することが可能になる。この設計では、隣接する界面の間のモード・フィールド径の差を小さくすることができ、光信号の反射を効果的に低減することができるので、干渉を低減することができる。また、第1のレイヤ・ボディを製造する難易度を更に低減することができ、それにより、製造歩留まりを効果的に向上させることができる。
【0010】
[0010] 本件出願の実装において、第2のレイヤ・ボディは第3のパートと第4のパートとを含み、第3のパートと第4のパートは第1の方向において順に接続されている。第2の方向における第3のパートのサイズは、第2の方向における第4のパートのサイズより大きくはない。第2のレイヤ・ボディは第2のパートに積層され、その結果、そのパートのモード・フィールド径を大きくすることができ、それにより、対応するスポット・サイズを小さくすることができる。光信号は第1の方向に伝搬し、第3のパートと第4のパートも第1の方向に順次接続されている。従って、第2の方向における第4のパートのサイズは、第2の方向における第3のパートのサイズよりも大きく設計され、その結果、第2のレイヤ・ボディと第1のレイヤ・ボディとが積層される部分のモード・フィールド径は徐々に増加することが可能になり、即ちスポット・サイズは徐々に増加する。このようにして、隣接する界面の間のモード・フィールド径の差は小さく、光信号の反射を効果的に低減することができ、それにより干渉を低減することができる。また、第1のレイヤ・ボディ及び第2のレイヤ・ボディを製造する難易度を更に低減することができ、それにより、製造歩留まりを効果的に向上させることができる。
【0011】
[0011] 本件出願の実装において、第3のパートは第1の方向において2つの端部を含み、第3のパートの第1の端部は第4のパートから遠い方の端部であり、第3のパートの第2の端部は第4のパートに近い方の端部である。第2の方向における第3のパートのサイズは、第3のパートの第1の端部から第3のパートの第2の端部へ徐々に増加している。具体的には、光信号が第3のパートの第1の端部から入射すると、第3のパートの第2の端部へ光信号が伝搬する過程の中で、スポット・サイズは、光信号が第4のパートまで伝搬するまで徐々に大きくなる。この設計では、隣接する界面の間でモード・フィールド径の差は小さく、光信号の反射を効果的に低減することができ、それにより干渉を低減することができる。また、第2のレイヤ・ボディを製造する難易度を更に低減することができ、それにより、製造歩留まりを効果的に向上させることができる。
【0012】
[0012]本件出願の実装において、第2の方向における第4のパートのサイズは、第2の方向における第3のパートの第2の端部のサイズと同じである。第2の方向における第3のパートのサイズが、第3のパートの第1の端部から第3のパートの第2の端部へ徐々に大きくなった後、第3のパートは、第4のパートに滑らかに移行して接続されることが可能であり、これにより、第3のパートと第4のパートのサイズが急激に変化することを回避することが可能になる。この設計では、隣接する界面の間のモード・フィールド径の差を小さくすることができ、光信号の反射を効果的に低減することができるので、干渉を低減することができる。また、第2のレイヤ・ボディを製造する難易度を更に低減することができ、それにより、製造歩留まりを効果的に向上させることができる。
【0013】
[0013]本件出願の実装において、第2の方向における第4のパートのサイズは、第2の方向における第2のパートのサイズと同じである。第1の方向に延びる第2のパートの2つの側面は平行であり、第1のレイヤ・ボディの平断面に対する第2のレイヤ・ボディの正投影は、第1のレイヤ・ボディの第2のパート内に位置するので、第1の方向に延びる第4のパートの2つの側面も平行であり、第1の方向に延びる第2のパートの2つの側面とそれぞれ面一になっている。この設計では、第2のパート及び第4のパートのモード・フィールド径を簡便に制御することができ、第1のレイヤ・ボディ及び第2のレイヤ・ボディの製造の難易度を低減することができ、これにより、製造歩留まりを効果的に向上させることができる。
【0014】
[0014] 本件出願の実装において、第3のパートの第1の端部は、第1のパートと第2のパートの間のジョイント部に位置している。第2の方向における第1のパートのサイズは、第1のパートの第1の端部から第1のパートの第2の端部へ徐々に大きくなり、第2の方向において、第2のパートのサイズは変化しない。従って、第3のパートの第1の端部は、第1のパートと第2のパートとの間のジョイント部の場所に設計され、その結果、ミドル・ウェーブガイドのモード・フィールド径の変化をより良好に制御することができ、ミドル・ウェーブガイドの製造の困難性を低減し、製造歩留まりを効果的に向上させることができる。
【0015】
[0015] 本件出願の実装において、端面カプラはサイド・ウェーブガイドを更に含み、サイド・ウェーブガイドとミドル・ウェーブガイドは互いから隔てられ且つ平行に配置されている。サイド・ウェーブガイドの第1の端部は、第1のパートの端部であって第2のパートから遠い方の端部と面一であり、第1の方向におけるサイド・ウェーブガイドのサイズは、第1の方向におけるミドル・ウェーブガイドのサイズより大きくはなく、即ち、サイド・ウェーブガイドの第2の端部は、第1の方向においてミドル・ウェーブガイドを超えない。第2の方向におけるサイド・ウェーブガイドのサイズは、第1のパートの端部であって第2のパートから遠い方の端部の、第2の方向におけるサイズと同じであり、即ち、第2の方向におけるサイド・ウェーブガイドのサイズは不変のままである。光ファイバーのサイズは大きいので、サイド・ウェーブガイドは中央の光ファイバーの側方にあるように設計され、その結果、光ファイバーと端面カプラとの間の結合効率を向上させ、偏波感度(polarization sensitivity)を低減することができる。また、光信号の伝搬に伴って、ミドル・ウェーブガイドのサイズは大きくなり、サイド・ウェーブガイドのサイズは不変のままであるので、サイド・ウェーブガイドにおける光信号は、断熱結合(adiabatic coupling)により、中央ウェーブ・ガイドに結合することが可能である。
【0016】
[0016] 本件出願の実装において、サイド・ウェーブガイドの第2の端部は、第1のパートと第2のパートの間のジョイント部と同一平面にある。この設計では、サイド・ウェーブガイド内を伝搬する光信号が第2のパートに完全に結ばれる可能性があることを保証することができる。
【0017】
[0017] 本件出願の実装において、第2の方向におけるサイド・ウェーブガイドのサイズは、第1のパートの端部であって第2のパートから遠い方の端部の、第2の方向におけるサイズと同じである。この設計では、サイド・ウェーブガイドと光ファイバーとの間のカップリングの損失が、ミドル・ウェーブガイドと光ファイバーとの間のカップリングの損失と同じである、ということを保証することができる。また、端面カプラの製造の難易度が低減され、製造歩留まりを効果的に向上させることができる。
【0018】
[0018] 本件出願の実装において、端面カプラは、少なくとも2つのサイド・ウェーブガイドを含む。少なくとも2つのサイド・ウェーブガイドのうちの或るパートはミドル・ウェーブガイドの一方の側に位置し、少なくとも2つのサイド・ウェーブガイドのうちの別のパートはミドル・ウェーブガイドの別の側に位置している。換言すれば、サイド・ウェーブガイドは、ミドル・ウェーブガイドの両側にそれぞれ配置されており、その結果、端面カプラは光ファイバーとより良好に結合され、それにより、光ファイバーと端面カプラとのカップリング効率を向上させ、偏波感度を低減させる。
【0019】
[0019] 本件出願の実装において、ミドル・ウェーブガイドとサイド・ウェーブガイドは同一平面に位置している。この設計において、ミドル・ウェーブガイドと側面ウェーブ・ガイドとを簡便に製造することができ、端面カプラの製造効率を向上させることができる。
【0020】
[0020] 第2の態様によれば、光通信装置が提供される。光通信装置は、端面カプラと、光ファイバーと、光電子チップとを含む。端面カプラは第1の態様による端面カプラであり、端面カプラは光ファイバーと光電子チップとの間に位置し、端面カプラは光ファイバーと光電子チップとに個別に結合される。
【0021】
[0021] 本件出願のこの実施形態で提供される光通信装置は、少なくとも次のような効果を有する。
【0022】
[0022] 端面カプラは、シリコン・ウェーブガイドと光ファイバーとの間に配置されるように構成され、その結果、第1のパートの端部であって第2のパートから遠い方の端部が、光ファイバーの端部に結合される。また、第2のパートの端部であって第1のパートから遠い方の端部は、第2のレイヤ・ボディの端部であって第1のパートから遠い方の端部と面一になっているので、第2のパートの端部であって第1のパートから遠い方の端部と、第2のレイヤ・ボディの端部であって第1のパートから遠い方の端部とは、シリコン・ウェーブガイドに別々に結合されることが可能である。光ファイバーから出力された光信号は、第1のパートの端部であって第2のパートから遠い方の端部を介して、端面カプラにつながる。第1のパートの端部であって第2のパートから遠い方の端部のサイズは小さいので、スポット・サイズは大きくなり、デバイスの端面は、光ファイバーとの大きな大きなオーバーラップ積分を有することが可能になる。光信号の伝搬に伴って、光信号は第1のパートから第2のパートに入る。第2のパートのサイズは第1のパートのサイズよりも大きいので、スポット・サイズはそれに応じて減少する。光信号が更に伝搬すると、光信号は、第2のパートと第2のレイヤ・ボディとが共に積み重なった部分に入る。この部分では、第2のレイヤ・ボディのサイズが大きくなるので、スポット・サイズはそれに応じて更に小さくなる。このように、光信号がシリコン・ウェーブガイドにつながる場合に、スポット・サイズはシリコン・ウェーブガイドのスポット・サイズに既に一致しており、そのため、光信号が光ファイバーとシリコン・ウェーブガイドとの間につながる際に生じる損失を低減する。
【0023】
[0023] 換言すれば、本件出願のこの実施形態で提供される光通信装置において、端面カプラは、光ファイバーとシリコン・ウェーブガイドとの間に配置され、その結果、端面カプラを使用することにより、光ファイバーとシリコン・ウェーブガイドとの間で、光信号の低損失伝送を実現することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】[0024]
図1は、本件出願の実施形態による端面カプラの構造図である。
【
図2】[0025]
図2は、本件出願の実施形態によるミドル・ウェーブガイドの平面視図である。
【
図3】[0026]
図3は、本件出願の実施形態によるミドル・ウェーブガイドの平面視図である。
【
図4】[0027]
図4は、本件出願の実施形態による端面カプラの構成図である。
【
図5】[0028]
図5は、本件出願の実施形態によるミドル・ウェーブガイド及びサイド・ウェーブガイドの平面視図である。
【
図6】[0029]
図6は、本件出願の実施形態による端面カプラのサイズを示す図である。
【
図7】[0030]
図7は、本件出願の実施形態による端面カプラのサイズを示す図である。
【
図8】[0031]
図8は、本件出願の実施形態による光通信装置の構成図である。 [0032] 参照番号: 1.ミドル・ウェーブガイド; 11.第1のレイヤ・ボディ; 111.第1のパート; 111a.第1の側面; 111b.第2の側面; 112.第2のパート; 12.第2のレイヤ・ボディ; 121.第3のパート; 121a.第3の側面; 121b.第4の側面; 122.第4のパート; 2.クラッド; 3.サイド・ウェーブガイド a.第1の方向; b.第2の方向; 1000.端面カプラ; 2000.光ファイバー; 3000.光電子チップ; 3100.シリコン・ウェーブガイド
【発明を実施するための形態】
【0025】
[0033] 本件出願の目的、技術的解決策、及び利点をより明確にするために、以下、添付図面を参照して本件出願の実装を更に詳細に説明する。
【0026】
[0034] 関連技術において、シリコン・フォトニクス技術に基づく幾つかの光通信装置、例えば、シリコン・フォトニクスに基づく光モジュール、シリコン・フォトニクスに基づく車載用光エンジンなどが存在する。この種の光通信装置は、主に、光信号を出力するように構成された光ファイバー及び光電子チップを含む。光電子チップのシリコン・ウェーブガイドのモード・フィールド径(mode field diameter,MFD)は、光ファイバーのモード・フィールド径と大きく相違するので、光電子チップのシリコン・ウェーブガイドのスポット・サイズは、光ファイバーのスポット・サイズと大きく相違する。シリコン・ウェーブガイドと光ファイバーとが直接的に結合されるならば、カップリング損失は非常に大きくなる。
【0027】
[0035] 上記の技術的課題を解決するために、本件出願の実施形態は、端面カプラを提供する。
図1は、端面カプラの構成図である。
図1における破線は、2つの隣接するパートの間の仮想的な分割線を表しており、2つの異なるパーツを区別して、添付図面の理解を促すために使用されるに過ぎない。これらの破線は実在する物ではない。また、このことは他の添付図面についても同様である。
【0028】
[0036]
図1を参照されたい。この実施形態では、端面カプラは、ミドル・ウェーブガイド1とクラッド(又はクラッディング)2とを含む。
【0029】
[0037] ミドル・ウェーブガイド1の平断面は、互いに直交する第1の方向aと第2の方向bとを有し、第1の方向aはミドル・ウェーブガイド1の長さ方向と同じであり、ミドル・ウェーブガイド1はクラッド2内に位置する。ミドル・ウェーブガイド1は、第1レイヤ・ボディ11と第2レイヤ・ボディ12とを含む。第1のレイヤ・ボディ11は、第1の方向aに沿って順に接続された第1のパート111と第2のパート112とを含む。第1のパート111の第2の方向bにおけるサイズは、第2の方向bにおける第2のパート112のサイズよりも大きくない。第1の方向aに延びる第2のパート112の2つの側面は平行である。
【0030】
[0038] 第2のレイヤ・ボディ12は第1レイヤ・ボディ11の上に積層され、第1のレイヤ・ボディ11の平断面に対する第2レイヤ・ボディ12の正投影は、第1のレイヤ・ボディ11の第2のパート112に位置しており、第2のレイヤ・ボディ12の端部であって第1のパート111から離れた端部は、第2のパート112の端部であって第1のパート111から離れた端部と同一平面にある。
【0031】
[0039] 端面カプラは光通信装置内に構成されるものであり、その場合において、端面カプラは、シリコン・ウェーブガイドと光ファイバーとの間に配置される。第1のパート111の端部であって、第2のパート112から離れた端部は、光ファイバーの端部に結合される。第2のパート112の端部であって第1のパート111から離れた端部は、第2のレイヤ・ボディ12の端部であって第1のパート111から離れた端部と同一平面にあるので、第2のパート112の端部であって第1のパート111から離れた端部と、第2のレイヤ・ボディ12の端部であって第1のパート111から離れた端部とは、シリコン・ウェーブガイドに別々に結合される。このように、端面カプラは、シリコン・ウェーブガイドと光ファイバーとの間に構成されている。
【0032】
[0040] 例えば、光信号は、光ファイバーからシリコン・ウェーブガイドの方へ伝搬される。光ファイバーにより出力された光信号は、第1のパート111の端部であって第2のパート112から離れた端部を介して、端面カプラに結合される。第1のパート111の端部であって第2のパート112から離れた端部のサイズは小さいので、スポット・サイズは大きくなり、デバイスの端面は、光ファイバーとの大きなオーバーラップ積分を有することが可能である。光信号の伝搬に伴って、光信号は、第1のパート111から第2のパート112へ入射する。第2のパート112のサイズは第1のパート111のサイズよりも大きいので、スポット・サイズはそれに応じて減少する。光信号が更に伝搬すると、光信号は、第2のパート112と第2のレイヤ・ボディ12とが積層されている部分に入る。この部分では、第2レイヤ・ボディ12のサイズは大きくなるので、それに伴ってスポット・サイズは更に減少する。このように、光信号がシリコン・ウェーブガイドにつなげられる場合に、スポット・サイズは既にシリコン・ウェーブガイドのスポット・サイズに一致しており、それにより、光信号が光ファイバーとシリコン・ウェーブガイドとの間に結合される際に生じる損失を低減することができる。
【0033】
[0041] 例えば、光信号はシリコン・ウェーブガイドから光ファイバーへ伝搬される。シリコン・ウェーブガイドにより出力された光信号は、第2のパート112の端部であって第1のパート111から離れた端部と、第2のレイヤ・ボディ12の端部であって第1のパートから離れた端部とを介して端面カプラに結合される。ここでは、第2のパート112と第2のレイヤ・ボディ12とが共に積層されているので、サイズは大きく、スポット・サイズは小さく、光ファイバーとシリコン・ウェーブガイドとの間で低損失な結合を実現することができる。光信号の伝搬に伴って、光信号は第1のパート111に入る。第2のレイヤ・ボディ12は第1のパート111上には積層されておらず、第1のパート111のサイズは第2のパート112のサイズよりも小さいので、サイズは相応に小さくなり、スポット・サイズは相応に大きくなる。このように、光信号が光ファイバーに結合される場合に、スポット・サイズは既に光ファイバーのスポット・サイズに一致しているので、シリコン・ウェーブガイドと光ファイバーとの間で光信号が結合される場合に生じる損失を低減することができる。
【0034】
[0042] 換言すれば、本件出願のこの実施形態で提供される端面カプラは、光ファイバーとシリコン・ウェーブガイドとの間に配置され、その結果、光ファイバーとシリコン・ウェーブガイドとの間で光信号の低損失な伝送を実現することができる。
【0035】
[0043] 第2の方向bにおけるミドル・ウェーブガイド1のサイズは第1の方向aにおいて変化するので、本件出願のこの実施形態で提供される端面カプラは、光ファイバーとシリコン・ウェーブガイドとの間に光信号が結合される場合に生じる損失を低減することができる、ということを上記から知ることができる。以下、ミドル・ウェーブガイド1の第1のレイヤ・ボディ11と第2のレイヤ・ボディ12とを個々に説明する。
【0036】
[0044]
図2はミドル・ウェーブガイド1の上面図であり、上面図の視野角は
図1の平面視の視野角である。
図2を参照すると、この実施形態では、第1のパート111の端部であって第2のパート112から離れた端部が第1の端部であり、第1のパート111の端部であって第2のパート112に近い端部が第2の端部である。第2の方向bにおける第1のパート111のサイズは、第1のパート111の第1の端部から第1のパート111の第2の端部に向かって徐々に増大する。
【0037】
[0045] 上記の実装において、第1のパート111は、近似的に細長い帯状の形状であり、第1の方向aに延びている。光信号の伝搬過程、例えば、光信号が光ファイバーからシリコン・ウェーブガイドへ伝搬する場合において、仮に、光信号が第1のパート111の第1の端部から第1のパート111に入ったとすると、伝搬過程において、光信号が第2のパート112にまで伝搬するまで、スポット・サイズは徐々に増加する。この設計では、第1のパート111において、隣接する界面のモード・フィールド径の差が小さく、光信号の反射を効果的に低減することができ、それにより、干渉を低減することができる。これに対応して、光信号が第1のパート111の第2の端部から入射すると、光信号が第1のパート111の第1の端部の方へ伝搬する過程において、第1のパート111の第1の端部から光信号が出力されるまで、スポット・サイズは徐々に小さくなってゆく。これにより、伝搬過程における光信号の反射も削減される。また、第1のレイヤ・ボディ11の製造の難易度をより低減することができ、それにより製造歩留まりを効果的に向上させることができる。
【0038】
[0046] この実施形態では、第1のパート111は、互いの反対側にある第1の側面111aと第2の側面111bとを有し、第1の側面111aと第2の側面111bは、ほぼ第1の方向aに沿って延びており、第2の方向bに配置されている。
【0039】
[0047] この実施形態の実装において、第1の側面111aと第2の側面111bは双方とも平面であり(
図2参照)、第1の側面111aと第2の側面111bとの間に夾角(included angle)がある。
【0040】
[0048] 第1の側面111aと第2の側面111bの両方が平面である場合、例えば、第1のパート111の断面が台形である場合、その台形の上底は第1のパート111の第1の端部に位置し、台形の下底は第1のパート111の第2の端部に位置し、台形の2つの脚辺はそれぞれ第1の側面111aと第2の側面111bに位置する。代替的に、第1のパート111の断面は三角形であり、三角形の角は第1のパート111の第1の端部に位置し、角に対する対辺は第1のパート111の第2の端部に位置し、三角形の他の2つの辺はそれぞれ第1の側面111aと第2の側面111bに位置する。この実施形態では、第1のパート111の断面は等脚台形である。
【0041】
[0049] この実施形態の実装において、第1の側面111aと第2の側面111bの双方は曲面であり(
図3参照)、第1の側面111aと第2の側面111bは、第1のパート111の第1の端部から第2の端部に向かって滑らかに遷移し、そのため、第2の方向bにおける第1のパート111のサイズは、第1のパート111の第1の端部から第1のパート111の第2の端部に向かって徐々に増大する。
【0042】
[0050] なお、他の実施形態において、第1の側面111aと第2の側面111bは代替的に他の形状であってもよいが、ただし、第2の方向bにおける第1のパート111のサイズは、第1のパート111の第1の端部から第1のパート111の第2の端部に向かって徐々に増大していることを条件とする。
【0043】
[0051] 引き続き
図2を参照されたい。この実施形態では、第2の方向bにおける第2のパート112のサイズは、第2の方向bにおける第1のパート111の第2の端部のサイズと同じである。
【0044】
[0052] 前述の実装において、第2の方向bにおける第1のパート111のサイズが、第1のパート111の第1の端部から第1のパート111の第2の端部に向かって徐々に増大した後に、第1のパート111は第2のパート112に円滑に推移して接続されることが可能であり、これにより、第1のパート111と第2のパート112のサイズの急激な変化を回避することができる。この設計では、隣接する界面の間でのモード・フィールド径の差を小さくすることができ、光信号の反射を効果的に低減することができ、これにより干渉を低減することができる。また、第1のレイヤ・ボディ11の製造の難易度をより低減することができ、これにより製造歩留まりを効果的に改善することができる。
【0045】
[0053] 第1のレイヤ・ボディ11の第1のパート111は上記で述べられている。以下、第1のレイヤ・ボディ11の第2のパート112を説明し、第2のパート112と第1のパート111との間の関係を説明する。
【0046】
[0054] 引き続き
図2を参照されたい。この実施形態では、第2のレイヤ・ボディ12は、第1の方向aに沿って順に接続された第3のパート121と第4のパート122とを含み、第2の方向bにおける第3のパート121のサイズは、第2の方向bにおける第4のパート122のサイズより大きくはない。
【0047】
[0055] 第2のレイヤ・ボディ12は第2のパート112の上に積層されており、その結果、そのパートのモード・フィールド径を増大させることができ、それにより対応するスポット・サイズを小さくすることができる。光信号は第1の方向aに伝搬し、第3のパート121と第4のパート122も第1の方向aに順次接続されている。従って、第2の方向bにおける第4のパート122のサイズは、第2の方向bにおける第3のパート121のサイズより大きく設計されており、その結果、第2のレイヤ・ボディ12と第1のレイヤ・ボディ11とが積層されている部分のモード・フィールド径は徐々に増大することが可能になり、即ち、スポット・サイズは徐々に増大する。これにより、隣接する界面の間のモード・フィールド径の差は小さく、また、光信号の反射は効果的に低減されることが可能であり、それにより干渉を低減することができる。また、第1のレイヤ・ボディ11と第2のレイヤ・ボディ12の製造の難易度を更に低減することができ、それにより製造歩留まりを効果的に改善することができる。
【0048】
[0056] この実施形態では、第3のパート121の端部であって第4のパート122から離れた端部は第1の端部であり、第3のパート121の端部であって第4のパート122に近い端部は第2の端部である。第2の方向bにおける第3のパート121のサイズは、第3のパート121の第1の端部から第3のパート121の第2の端部に向かって徐々に増大している。
【0049】
[0057] 前述の実装において、第3のパート121は、概ね細長いストリップ形状であり、第1の方向aに延在している。光信号の伝搬過程、例えば、光信号が光ファイバーからシリコン・ウェーブガイドへ伝搬する場合において、光信号が第3のパート121の第1の端部から入射すると、第3のパート121の第2の端部の方へ光信号が伝搬する過程において、光信号が第4のパート122まで伝搬するまでにスポット・サイズは徐々に増大する。この設計では、隣接する界面の間のモード・フィールド径の差は小さく、光信号の反射を効果的に低減することができ、それにより干渉を低減することができる。また、第2のレイヤ・ボディ12を製造する難易度を更に低減することができ、それにより製造歩留まりを効果的に向上させることができる。
【0050】
[0058] この実施形態では、第3のパート121は、互いの反対側にある第3の側面121aと第4の側面121bとを有し、第3の側面121aと第4の側面121bは、概ね第1の方向aに延びており、第2の方向bに配置されている。
【0051】
[0059] この実施形態の実装において、第3の側面121aと第4の側面121bの双方は平面であり(
図2参照)、第3の側面121aと第4の側面121bとの間に夾角がある。
【0052】
[0060] 第3の側面121aと第4の側面121bの両方が平面である場合、例えば、第3のパート121の断面が台形である場合、その台形の上底は第3のパート121の第1の端部に位置し、台形の下底は第3のパート121の第2の端部に位置し、台形の2つの脚辺はそれぞれ第3の側面121aと第4の側面121bに位置する。代替的に、第3のパート121の断面は三角形であり、三角形の角は第3のパート121の第1の端部に位置し、角に対する対辺は第3のパート121の第2の端部に位置し、三角形の他の2つの辺はそれぞれ第3の側面121aと第4の側面121bに位置する。この実施形態では、第3のパート121の断面は直角三角形であり、直角三角形の直角は、第3のパート121の第2の端部に位置する。
【0053】
[0061] 引き続き
図2を参照されたい。この実施形態では、第2の方向bにおける第4のパート122のサイズは、第2の方向bにおける第2のパート112のサイズと同じである。
【0054】
[0062] 第1の方向aに延びる第2のパート112の2つの側面は平行であり、第1のレイヤ・ボディ11の断面に対する第2のレイヤ・ボディ12の直交射影は、第1のレイヤ・ボディ11の第2のパート112に位置するので、第1の方向aに延びる第4のパート122の2つの側面もまた平行であり、第1の方向aに延びる第2のパート112の2つの側面とそれぞれ面一になっている。この設計では、第2のパート112と第4のパート122のモード・フィールド径を好都合に制御することができ、第1のレイヤ・ボディ11と第2のレイヤ・ボディ12を製造する際の困難性が軽減され、それにより製造歩留まりを効果的に改善する。
【0055】
[0063] この実施形態では、第3のパート121の第1の端部は、第1のパート111と第2のパート112との間の接合部に位置する。
【0056】
[0064] 前述の実装では、第2の方向bにおける第1のパート111のサイズは、第1のパート111の第1の端部から第1のパート111の第2の端部に向かって徐々に増大し、第2の方向bにおける第2のパート112のサイズは不変のままである。従って、第3のパート121の第1の端部は、第1のパート111と第2のパート112との間の接合部にあるように設計され、その結果、ミドル・ウェーブガイド1のモード・フィールド径の変化をより良好に制御できるようになる。具体的には、光信号の伝搬過程の中で、第1のパート111の位相において、スポット・サイズは徐々に変化する。光信号が第2のパート112に入った後、第2のレイヤ・ボディ12を考慮しないならば、スポット・サイズは変化しないことになる。そこで、第3のパート121の第1の端部が、第1のパート111と第2のパート112との間の接合部にあるように設計され、その結果、光信号が第2のパート112まで伝搬される場合、第3のパート121は第2のパート112の上に積み重ねられており且つ第3のパート121のサイズは徐々に変化しているので、第2のパート112と第3のパート121の全体のサイズが増大し、スポット・サイズが徐々に変化し続ける、ということと等価になる。
【0057】
[0065] 光ファイバーのサイズは大きいので、ミドル・ウェーブガイド1のみが配置されるならば、カップリング効率は低いかもしれない。問題を解決するため、
図4は端面カプラの構造図である。なお、
図4では、クラッド2の内部構造がよく見えるように、クラッド2は省略されている。
図4を参照すると、この実施形態では、端面カプラはサイド・ウェーブガイド3を更に含んでいる。サイド・ウェーブガイド3とミドル・ウェーブガイド1とは、互いに間隔を隔てて平行に配置されている。サイド・ウェーブガイド3の第1の端部は、第1のパート111の端部であって第2のパート112から離れた端部と同一平面にある。第1の方向aにおけるサイド・ウェーブガイド3のサイズは、第1の方向aにおけるミドル・ウェーブガイド1のサイズより大きくはなく、第2の方向bにおけるサイド・ウェーブガイド3のサイズは、第1のパート111の端部であって第2のパート112から離れた端部の、第2の方向bにおけるサイズより大きくはない。
【0058】
[0066] 光信号の伝搬に伴い、ミドル・ウェーブガイド1のサイズは増大し、サイド・ウェーブガイド3のサイズは不変のままであるので、MMI(Multimode Interference、マルチモード干渉カプラ)のようなデバイスを必要とせずに、サイド・ウェーブガイド3の光信号は、断熱カップリングにより中央のウェーブ・ガイドに結合されることが可能である。
【0059】
[0067]
図5は、ミドル・ウェーブガイド1とサイド・ウェーブガイド3の上面図であり、上面図の視野角は
図4の平面視の視野角である。
図5を参照すると、この実施形態では、サイド・ウェーブガイド3の第2の端部は、第1のパート111と第2のパート112との間の接合部と同一平面にある。
【0060】
[0068] この設計では、サイド・ウェーブガイド3内で伝搬される光信号は、第2のパート112に完全に結合できることを保証できる。
【0061】
[0069] この実施形態では、第2の方向bにおけるサイド・ウェーブガイド3のサイズは、第1のパート111の端部であって第2のパート112から離れた端部の、第2の方向bにおけるサイズと同じである。
【0062】
[0070] 前述の実装では、サイド・ウェーブガイド3と光ファイバーとの間のカップリング損失が、ミドル・ウェーブガイド1と光ファイバーとの間のカップリング損失と同じである、ということを保証することができる。また、端面カプラを製造する際の困難性が軽減され、それにより製造歩留まりを効果的に改善することができる。
【0063】
[0071] 引き続き
図5を参照されたい。この実施形態では、端面カプラは、少なくとも2つのサイド・ウェーブガイド3を含む。少なくとも2つのサイド・ウェーブガイド3の一部分は、ミドル・ウェーブガイド1の一方の側に位置し、少なくとも2つのサイド・ウェーブガイド3の別の部分は、ミドル・ウェーブガイド1の他方の側に位置する。
【0064】
[0072] 換言すれば、サイド・ウェーブガイド3は、ミドル・ウェーブガイド1の両側にそれぞれ配置されており、その結果、端面カプラは光ファイバーとより良好に結合され、それにより、光ファイバーと端面カプラとの間のカップリングの効率を改善し、偏波感度を低減させることができる。
【0065】
[0073] 例えば、端面カプラは、2つのサイド・ウェーブガイド3を含み、2つのうち一方のサイド・ウェーブガイドは、ミドル・ウェーブガイド1の一方の側に配置され、2つのうちの他方のサイド・ウェーブガイド3は、ミドル・ウェーブガイド1の他方の側に配置される。
【0066】
[0074] この実施形態において、本件出願の実装では、ミドル・ウェーブガイド1とサイド・ウェーブガイド3とは同一平面に位置する。この設計では、ミドル・ウェーブガイド1とサイド・ウェーブガイド3は好都合に製造することができ、それにより端面カプラの製造効率を向上させることができる。
【0067】
[0075]
図6及び
図7は端面カプラのサイズを示す図であり、
図6は端面カプラの平面視の視野角によるものであり、
図7は端面カプラの正面図の視野角によるものである。
図6及び
図7におけるパーツの寸法比率は単に例として使用されているに過ぎず、パーツの寸法比率に関する限定として使用されてはいない。端面カプラのパーツのサイズは以下のようにすることができる。
【0068】
[0076]
図6及び
図7を参照すると、この実施形態では、
クラッド2の厚さは4 μmであり、
ミドル・ウェーブガイド1の中心線と隣接するサイド・ウェーブガイド3の中心線との間の距離は1.075 μmであり、
第1のパート111の第1の端部の端面サイズは150 nm×150 nmであり、
対応するサイド・ウェーブガイド3の端面サイズも150 nm×150 nmであり、
第1の方向aにおける第1のパート111の長さは100 μmであり、
第2の方向bにおける第1のパート111の第2の端部のサイズは380 nmであり、
第2のレイヤ・ボディ12の厚さは70 nmであり、
第1の方向における第3のパート121の長さは10 μmであり、また、
第2の方向bにおける第3のパート121の第2の端部のサイズは380 nmである。
【0069】
[0077] 端面カプラの各パーツの前述のサイズは全て例として使用されていることに留意すべきである。他の実施形態において、端面カプラのパーツのサイズは、実際の要求に基づいて調整することが可能である。これは本件出願において限定されない。
【0070】
[0078] 端面カプラについてシミュレーションが実行され、以下の結果が得られている。
【0071】
[0079] 3μmの直径を有するガウシアン光スポット(光ファイバーにより生成されるもの)のモード・フィールドと端面カプラのTE(Transverse Electric,横電波)モード・フィールドとのオーバーラップ積分は89.9%である。端面カプラと光ファイバーの端面との間の屈折率差、及びスポット変換構造を考慮すると、光ファイバーからシリコン・ウェーブガイドへのカップリングの総合的な効率は83.9%である。
【0072】
[0080] 3μmの直径を有するガウシアン光スポット(光ファイバーにより生成されるもの)のモード・フィールドと端面カプラのTM(Transverse Magnetic,横磁気波)モード・フィールドとのオーバーラップ積分は92.8%である。端面カプラと光ファイバーの端面との間の屈折率差、及びスポット変換構造を考慮すると、光ファイバーからシリコン・ウェーブガイドへのカップリングの総合的な効率は86.3%である。
【0073】
[0081]
図8は、本件出願の実施形態による光通信装置の構成図である。
図8を参照されたい。光通信装置は、端面カプラ1000と、光ファイバー2000と、光電子チップ3000とを含む。端面カプラ1000は、上述した端面カプラであり、端面カプラ1000は光ファイバー2000と光電子チップ3000との間に配置され、端面カプラ1000は光ファイバー2000と光電子チップ3000に個別に結合される。
【0074】
[0082] 端面カプラ1000は、光電子チップ3000と光ファイバー2000との間に設定される。第1のパート111の端部であって第2のパート112から遠い方の端部は、光ファイバー2000の端部に結合される。第2のパート112の端部であって第1のパート111から遠い方の端部は、第2のレイヤ・ボディ12の端部であって第1のパート111から遠い方の端部と同一平面にあるので、第2のパート112の端部であって第1のパート111から遠い方の端部と、第2のレイヤ・ボディ12の端部であって第1のパート111から遠い方の端部とは、光電子チップ3000のシリコン・ウェーブガイド3100に別々に結合される。このように、端面カプラ1000は、光電子チップ3000と光ファイバー2000との間に設定され、その結果、端面カプラ1000は、光電子チップ3000と光ファイバー2000とに個別に結合される。
【0075】
[0083] 例えば、光信号は、光ファイバー2000からシリコン・ウェーブガイド3100の方へ伝搬される。光ファイバー2000から出力された光信号は、第1のパート111の端部であって第2のパート112から遠い方の端部を介して、端面カプラ1000の中につなげられる。第1のパート111の端部であって第2のパート112から遠い方の端部のサイズは小さいので、スポット・サイズは大きく、デバイスの端面は、光ファイバーとの大きなオーバーラップ積分を有することが可能である。光信号の伝搬に伴って、光信号は、第1のパート111から第2のパート112に入る。第2のパート112のサイズは第1のパート111のサイズよりも大きいので、スポット・サイズはそれに応じて減少する。光信号が更に伝搬すると、第2のパート112と第2のレイヤ・ボディ12とが共に積層されている部分に光信号が入る。この部分では、第2のレイヤ・ボディ12のサイズが増大するので、それに応じてスポット・サイズは更に小さくなる。このように、光信号がシリコン・ウェーブガイド3100に結合される際に、スポット・サイズは既にシリコン・ウェーブガイド3100のスポット・サイズに一致しており、それにより、光ファイバー2000とシリコン・ウェーブガイド3100との間で光信号がつなげられる場合に生じる損失を低減することができる。
【0076】
[0084] 例えば、光信号はシリコン・ウェーブガイド3100から光ファイバー2000へ伝搬される。シリコン・ウェーブガイド3100により出力された光信号は、第2のパート112の端部であって第1のパート111から遠い方の端部と、第2のレイヤ・ボディ12の端部であって第1のパートから遠い方の端部とを介して端面カプラ1000につなげられる。ここでは、第2のパート112と第2のレイヤ・ボディ12とが共に積層されているので、サイズは大きく、スポット・サイズは小さく、光ファイバーとシリコン・ウェーブガイド3100との間で低損失な結合を実現することができる。光信号の伝搬に伴って、光信号は第1のパート111に入る。第2のレイヤ・ボディ12は第1のパート111上には積層されておらず、第1のパート111のサイズは第2のパート112のサイズよりも小さいので、サイズは相応に小さくなり、スポット・サイズは相応に大きくなる。このように、光信号が光ファイバー2000に結合される場合に、スポット・サイズは既に光ファイバー2000のスポット・サイズに一致しているので、シリコン・ウェーブガイド3100と光ファイバー2000との間に光信号がつなげられる場合に生じる損失を低減することができる。
【0077】
[0085] 換言すれば、本件出願のこの実施形態で提供される光通信装置では、光ファイバー2000と光電子チップ3000との間に端面カプラ1000が配置され、その結果、端面カプラ1000を使用することにより、光ファイバー2000とシリコン・ウェーブガイド3100との間で、光信号の低損失伝送を実現することができる。
【0078】
[0086] 前述の説明は、本件出願の例示的な実施形態であるに過ぎず、本件出願を限定するようには意図されていない。本件出願の精神及び原則から逸脱することなく行われる如何なる修正、均等な置換又は改良も、本件出願の保護範囲に含まれるものとする。
【国際調査報告】