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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-22
(54)【発明の名称】周囲空気適合型エアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/40 20200101AFI20241015BHJP
   A24F 40/57 20200101ALI20241015BHJP
   A24F 40/51 20200101ALI20241015BHJP
   A24F 40/46 20200101ALI20241015BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/57
A24F40/51
A24F40/46
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526669
(86)(22)【出願日】2022-11-03
(85)【翻訳文提出日】2024-05-02
(86)【国際出願番号】 EP2022080642
(87)【国際公開番号】W WO2023078979
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】21206619.5
(32)【優先日】2021-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】バティスタ ルイ ヌーノ ロドリゲス アルヴェス
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB12
4B162AB14
4B162AC08
4B162AC22
4B162AC41
4B162AD06
4B162AD23
(57)【要約】
本発明は、周囲空気がエアロゾル発生装置に入ることを可能にするように構成される空気吸込み口を含むエアロゾル発生装置に関する。装置は、空気吸込み口と流体接続した気流チャネル、および空気吸込み口に隣接した気流チャネル内に配設され、エアロゾル発生装置に入る周囲空気を濾過するように構成されたフィルター要素をさらに備える。装置は、空気吸込み口に隣接した気流チャネルに配設され、エアロゾル発生装置に入る周囲空気を加熱するように構成された発熱体をさらに備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置であって、
周囲空気が前記エアロゾル発生装置に入ることを可能にするように構成される空気吸込み口、
前記空気吸込み口と流体接続した気流チャネル、
前記空気吸込み口に隣接した前記気流チャネルに配設され、前記エアロゾル発生装置に入る前記周囲空気を濾過するように構成されるフィルター要素、および
前記空気吸込み口に隣接した前記気流チャネルに配設され、前記エアロゾル発生装置に入る前記周囲空気を加熱するように構成される発熱体を備える、エアロゾル発生装置。
【請求項2】
前記フィルター要素が、多孔性要素を備え、好ましくは、多孔性要素として構成される、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項3】
前記フィルター要素が、前記エアロゾル発生装置に入る前記周囲空気が前記フィルター要素を通って流れるように、前記気流チャネル内に配設される、請求項1または2のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項4】
前記フィルター要素が、前記エアロゾル発生装置に入る前記周囲空気を拡散および広げることのうちの一方または両方を行うように構成される、請求項1~3のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項5】
前記発熱体が、前記エアロゾル発生装置に入る前記周囲空気を、15℃~35℃、好ましくは20℃~30℃、より好ましくは22℃~28℃、最も好ましくは25℃の温度に加熱するように構成される、請求項1~4のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記発熱体が、前記気流チャネルを少なくとも部分的に囲むように配設される、請求項1~5のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項7】
前記エアロゾル発生装置が、温度センサーおよびコントローラをさらに備え、前記温度センサーが、前記発熱体の上流で前記エアロゾル発生装置に入る前記周囲空気の温度を測定するように構成され、前記コントローラが、前記温度センサーの出力に基づいて、前記発熱体を制御するように構成される、請求項1~6のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項8】
前記コントローラが、前記温度センサーが、前記周囲空気の温度が20℃未満、好ましくは15℃未満、より好ましくは10℃未満、最も好ましくは5℃未満であることを検出した場合に、前記発熱体を動作させるように構成される、請求項1~7のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項9】
前記発熱体が、前記フィルター要素上にオーバーモールドされる、請求項1~8のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項10】
前記発熱体が、前記フィルター要素上に印刷される、請求項1~8のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項11】
前記発熱体が、前記フィルター要素を加熱し、それによって前記エアロゾル発生装置に入る前記周囲空気を加熱するように構成される、請求項1~10のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項12】
前記発熱体が、前記気流チャネルに配設される、請求項1~11のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項13】
前記発熱体が、流体透過性である、請求項1~12のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項14】
前記フィルター要素が、セラミック材料で作製される、請求項1~13のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項15】
前記フィルター要素が、30%~80%、好ましくは40%~70%、最も好ましくは50%~60%の空隙率を有する、請求項1~14のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエアロゾル発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
吸入可能なベイパーを生成するためのエアロゾル発生装置を提供することが知られている。こうした装置は、エアロゾル形成基体を燃焼することなく、エアロゾル形成基体の一つ以上の構成要素が揮発する温度へとエアロゾル形成基体を加熱してもよい。エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品の一部として提供され得る。発熱体は、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置の加熱チャンバの中へと挿入されると、エアロゾル形成基体を加熱するために、加熱チャンバの中に、またはその周りに配設され得る。発生したエアロゾルは、エアロゾル発生装置の中に引き込まれる周囲空気の温度および質によって影響を受け得る。
【0003】
より均一なエアロゾルを発生することができるエアロゾル発生装置を有することが望ましい。装置の中に引き込まれる周囲空気の温度にあまり依存しないエアロゾル発生装置を有することが望ましい。装置の中に引き込まれる周囲空気の質にあまり依存しないエアロゾル発生装置を有することが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
本発明の一実施形態によると、周囲空気がエアロゾル発生装置に入ることを可能にするように構成された空気吸込み口を含み得るエアロゾル発生装置が提供される。装置は、空気吸込み口と流体接続した気流チャネル、および空気吸込み口に隣接した気流チャネル内に配設され、エアロゾル発生装置に入る周囲空気を濾過するように構成されたフィルター要素をさらに備え得る。装置は、空気吸込み口に隣接した気流チャネルに配設され、エアロゾル発生装置に入る周囲空気を加熱するように構成された発熱体をさらに備え得る。
【0005】
本発明の一実施形態によると、周囲空気がエアロゾル発生装置に入ることを可能にするように構成された空気吸込み口を含むエアロゾル発生装置が提供される。装置は、空気吸込み口と流体接続した気流チャネル、および空気吸込み口に隣接した気流チャネル内に配設され、エアロゾル発生装置に入る周囲空気を濾過するように構成されたフィルター要素をさらに備える。装置は、空気吸込み口に隣接した気流チャネルに配設され、エアロゾル発生装置に入る周囲空気を加熱するように構成された発熱体をさらに備える。
【0006】
エアロゾル発生装置に入る周囲空気を濾過することにより、より均一なエアロゾル発生がもたらされ得る。フィルター要素を提供することにより、エアロゾル発生装置内のより均一な気流がもたらされ得る。エアロゾル発生装置に入る周囲空気を濾過することにより、周囲空気の質にあまり依存しない装置がもたらされ得る。エアロゾル発生装置に入る周囲空気を加熱することにより、装置に引き込まれる周囲空気の温度にあまり依存しないエアロゾル発生装置がもたらされ得る。エアロゾル発生装置に入る周囲空気を加熱することにより、より均一なエアロゾル発生がもたらされ得る。
【0007】
空気吸込み口は、周囲空気が装置の中に引き引き込まれることを可能にするように構成され得る。エアロゾル発生装置のハウジングの壁は、少なくとも一つの空気吸込み口が提供され得る。空気吸込み口は、半開放入口であり得る。半開放入口は、装置の中へなどの一方向での空気または流体の流れを許容するが、反対方向での空気または流体の流れを少なくとも制限する、好ましくは禁止する入口であってもよい。半開放入口は、空気がエアロゾル発生装置に入ることを可能にすることが好ましい。空気または液体は、半開放入口を通してエアロゾル発生装置から出るのを防止されてもよい。半開放入口は、例えば、半透過性の膜であってもよく、空気については一方向でのみ透過性であるが、反対方向では気密かつ液密である。半開放入口はまた、例えば、一方向弁であり得る。半開放入口は、例えば、エアロゾル発生装置の最小限の押圧、または弁もしくは膜を通過する空気の堆積といった特定の条件が満たされる場合にのみ、空気が入口を通過するのを可能にすることが好ましい。
【0008】
気流チャネルは、装置の空気吸込み口を空気出口と流体連通させ得る。空気出口は、マウスピースとして、またはその部品として構成され得る。空気出口は、ユーザーが発生したエアロゾルを吸入することを可能にし得る。気流チャネルは中央気流チャネルであり得る。空気吸込み口は、装置の近位端面に提供され得る。代替的に、空気吸込み口は横方向の空気吸込み口であり得る。この場合、気流チャネルは、横方向の空気吸込み口を気流チャネルの中央部分と流体接続し得る。気流チャネルは、円形、楕円形、または長円形断面を有し得る。
【0009】
フィルター要素は、フィルターを含み得る。フィルター要素は、フィルターであり得る。フィルター要素は、気流チャネルを通って流れる空気がフィルター要素を通過しなければならないように、気流チャネル内に配設され得る。フィルター要素は、エアロゾル発生装置に入る周囲空気がフィルター要素を通って流れるように、気流チャネル内に配設され得る。フィルター要素は、気流チャネルの少なくとも一部分を完全に占有し得る。フィルター要素は、気流チャネルの少なくとも上流部分を完全に占有し得る。
【0010】
空気はフィルター要素によって拡散され得る。フィルター要素によって拡散された空気は、同じ体積の空気が同じ圧力で、同じ体積空間内に良好に分散して流れることを確実にし得る。これは、その後のエアロゾル化のための空気の分散を改善し、均質なエアロゾル化に強く寄与し、吸煙中に一貫した送達を生み出し、また吸煙間の性能の再現性(吸煙間の変動が少ない)にもプラスに寄与し得る。
【0011】
フィルター要素は、空気吸込み口に当接して配設され得る。フィルター要素は、空気吸込み口と直接接触して配設され得る。フィルター要素は、空気吸込み口と直接隣接して配設され得る。フィルター要素は、気流チャネルの最上流位置に配設され得る。
【0012】
フィルター要素は、円筒形状を有し得る。フィルター要素は、円形、楕円形、または長円形断面を有し得る。フィルター要素は、気流チャネルと同じ断面形状を有し得る。フィルター要素は、気流チャネルの内径に対応する外径を有し得る。フィルター要素は、好ましくは、角柱状の平行六面体として構成され得る。
【0013】
本明細書で使用される場合、「上流」、「下流」、「近位」、「遠位」という用語は、エアロゾル発生装置の使用中にユーザーがエアロゾル発生装置を吸う方向に対する、エアロゾル発生装置の構成要素または構成要素の部分の相対的な位置を記述するために使用される。
【0014】
フィルター要素は、多孔性要素を含み得る。多孔性要素は、多孔性要素として構成され得る。フィルター要素は、流体透過性であり得る。
【0015】
フィルター要素は、炭化ケイ素、ケイ素系化合物、コーディエライト、シリカ、およびジルコニウム系セラミック化合物から選択される化合物から作製され得る。フィルター要素は、シリカ系焼結多孔質セラミック材料、多孔質玄武岩石材料および/または焼結粒子から作成されることが特に好まれ得る。例えば、シリカスピニング溶液から製造される多孔質シリカセラミックなど、所望の範囲の空隙率を得るために焼結され得、シリカ粒子はエレクトロスピニングによって導入され、その後焼結が施され、最終的な所望の幾何学的形状およびサイズを得て、所望の空隙率も得られる。焼結プロセスは、1000℃~1200℃の温度で行われる。
【0016】
こうした材料の空隙率は、30%~80%、好ましくは40%~70%、最も好ましくは50%~60%である。材料の空隙率は、導入されたシリカ粒子の含有量を変化させ、その粒度を変化させることによって調整され得、これにより所望の空隙率を良好に制御することができる。空隙率は、定義された体積の材料の空孔体積(Vp)およびその総体積(Vt)を指す。したがって、空隙率(Pt)は、Vp/Vtの比によって与えられる。空隙率をパーセントとして表すには、その小数に100を掛けるだけでよい。
【0017】
フィルター要素は、35%~80%、好ましくは45%~65%、最も好ましくは50%~60%の空隙率を有し得る。
【0018】
フィルター材料の空孔サイズは、5μm~40μm、好ましくは5μm~30μmであり得る。
【0019】
フィルター要素は、電気的に非導電性材料で作製され得る。フィルター要素は、電気絶縁体であり得る。
【0020】
フィルター要素は、エアロゾル発生装置に入る周囲空気を拡散および広げることのうちの一方または両方を行うように構成され得る。したがって、より均一なエアロゾルが装置によって生成され得る。
【0021】
空気吸込み口は、0.05mm~2mm、好ましくは0.5mm~1.2mmの内径を有し得る。
【0022】
空気吸込み口の内径およびフィルター要素の特性、特に空隙率の両方は、装置の引き出し抵抗を規定し得る。したがって、空気吸込み口の内径およびフィルター要素の特性は、所望の引き出し抵抗を決定するように選択され得る。
【0023】
気流チャネルは、0.05mm~2mm、好ましくは0.5mm~1.2mmの内径を有し得る。フィルター要素は、0.05mm~2mm、好ましくは0.5mm~1.2mmの外径を有し得る。
【0024】
発熱体は、エアロゾル発生装置に入る周囲空気を、15℃~35℃、好ましくは20℃~30℃、より好ましくは22℃~28℃、最も好ましくは25℃の温度に加熱するように構成され得る。
【0025】
発熱体は、気流チャネルを少なくとも部分的に囲むように配設され得る。発熱体は、気流チャネルの上流部分を少なくとも部分的に囲むように配設され得る。
【0026】
代替的に、特に好ましくは、発熱体は、フィルター要素上にオーバーモールドされる、フィルター要素上に印刷される、フィルター要素内に含浸される、のうちの一つ以上であり得る。例示的に、発熱体はフィルター要素上に印刷され、またはフィルター要素内に含浸され、その後オーバーモールドされ得る。このように、フィルター要素を通って流れる周囲空気は、同時に発熱体によって加熱され得る。この場合、発熱体をオーバーモールドしたフィルター要素は、適度な空隙率を有する多孔質媒体を生成するための化合物をスラリー成形し、発熱体と一緒にオーバーモールドすることによって得られる。化合物は、本明細書に記載の任意のフィルター要素材料、特にセラミック材料であり得る。
【0027】
代替的に、フィルター要素は、上流セグメントおよび下流セグメントを含み得る。発熱体は、下流セグメントにおいて上流セグメントの間に位置づけられ得る。下流セグメントにおける上流セグメントの両方は、多孔性であり得る。多孔性上流部分は、下流部分と比較して空隙率の点で異なり得る。下流部分は、上流部分より高い空隙率を有し得る。下流部分の空隙率は、25%~80%、好ましくは55%~75%、最も好ましくは65%~75%であり得る。これにより、上流部分の全体的な体積面積の気流が供給されやすくなり、気流の流体力学的な改善がもたらされ得、下流部分の高い空隙率によって速度が低下する。下流部分は、それを通って流れる空気に対してより多くの抵抗を与え得る。これによって熱伝達が最適化され得る。これによってさらにRTD制御の改善が可能となる。
【0028】
発熱体は、フィルター要素を加熱し、それによってエアロゾル発生装置に入り、フィルター要素を通って流れる周囲空気を加熱するように構成され得る。
【0029】
発熱体は、気流チャネル内に配設され得る。発熱体は、気流チャネルを通って流れる空気が発熱体を通過しなければならないように、気流チャネル内に配設され得る。発熱体は流体透過性であり得る。
【0030】
発熱体は、エアロゾル発生装置に入る周囲空気が発熱体を通って流れるように、気流チャネル内に配設され得る。発熱体は、気流チャネルの少なくとも一部分に完全に広がり得る。発熱体は、気流チャネルの少なくとも上流部分に完全に広がり得る。
【0031】
発熱体は、空気吸込み口に当接して配設され得る。発熱体は、気流チャネルの最上流位置に配設され得る。発熱体は平面形状を有し得る。発熱体は、円形または楕円形または長円形断面を有し得る。発熱体は、気流チャネルと同じ断面形状を有し得る。発熱体は、気流チャネルの内径に対応する外径を有し得る。
【0032】
発熱体は、メッシュヒーターを備え得る、またはメッシュヒーターとして構成され得る。
【0033】
発熱体は、抵抗ヒーターであり得る。発熱体は、0.7W~2.8W、好ましくは0.9W~1.7Wの出力電力を有し得る。発熱体は、優れた高温耐酸化性、ならびに良好な熱伝導率を有しながら十分な導電率および抵抗率特性を有する、工業ステンレス鋼303および304合金などの適切なステンレス鋼合金で作製され得る。ステンレス鋼合金は、25℃で約6.9×10-7(Ω・m)の抵抗率を有し得る。ステンレス鋼合金は、25℃で約1.45×106の導電率を有し得る。
【0034】
本開示のいずれかの態様では、発熱体は電気抵抗性材料を含み得る。適切な電気抵抗性材料としては、限定されるものではないが、ドーピングされたセラミックなどの半導体、「導電性」のセラミック(例えば、二ケイ化モリブデンなど)、炭素、黒鉛、金属、金属合金、およびセラミック材料と金属材料とで作製された複合材料が含まれる。こうした複合材料は、ドーピングされたセラミック、またはドーピングされていないセラミックを含んでもよい。適切なドーピングされたセラミックの例としては、ドーピングされた炭化ケイ素が含まれる。適切な金属の例としては、チタン、ジルコニウム、タンタル、白金、金、および銀が含まれる。適切な金属合金の例としては、ステンレス鋼、ニッケル含有、コバルト含有、クロム含有、アルミニウム含有、チタン含有、ジルコニウム含有、ハフニウム含有、ニオブ含有、モリブデン含有、タンタル含有、タングステン含有、スズ含有、ガリウム含有、マンガン含有、金含有、および鉄含有合金、並びにニッケル、鉄、コバルト、ステンレス鋼系の超合金、Timetal(登録商標)、並びに鉄-マンガン-アルミニウム系合金が含まれる。複合材料において、電気抵抗性材料は、必要とされるエネルギー伝達の動態学および外部の物理化学的特性に応じて、任意選択的に、断熱材料中に包埋、封入、若しくは被覆されてもよく、またはその逆であってもよい。
【0035】
発熱体は、熱線またはフィラメント、例えばNi-Cr(ニッケル-クロム)、白金、タングステンもしくは合金ワイヤーまたは加熱プレートなど、から作成され得る。
【0036】
発熱体が気流チャネルを少なくとも部分的に囲むように配設される場合、発熱体は、ポリイミドなどの誘電体基体上の一つ以上の可撓性の加熱箔の形態を取り得る。可撓性の加熱箔は、気流チャネルの周囲に適合するように成形され得る。代替的に、発熱体は、金属のグリッド、可撓性プリント基板、成形回路部品(MID)、セラミックヒーター、可撓性炭素繊維ヒーターの形態を取ってもよく、または適切な形状の基体上にプラズマ蒸着などの被覆技法を使用して形成されてもよい。
【0037】
発熱体は、温度と比抵抗との間に明確な関係を有する金属を使用して形成され得る。金属は、セラミック材料、最も好ましくは、フィルター要素など、適切な絶縁材料上にトラックとして形成され得る。金属は、ガラスなどの別の絶縁材料に挟まれ得る。
【0038】
発熱体は動作中に、発熱体の加熱およびその温度のモニタリングの両方に使用され得る。発熱体は、抵抗が材料の温度を示す材料から作製され得る。
【0039】
エアロゾル発生装置は、温度センサーおよびコントローラをさらに備え得る。温度センサーは、発熱体の上流でエアロゾル発生装置に入る周囲空気の温度を測定するように構成され得る。コントローラは、温度センサーの出力に基づいて、発熱体を制御するように構成され得る。
【0040】
温度センサーは、空気吸込み口に隣接し得る。温度センサーは、コントローラと通信して、コントローラがフィルター要素を通って流れる周囲空気を所定の温度に加熱することを可能にし得る。温度センサーは熱電対であり得、または代替的に、発熱体が周囲空気の温度に関連する情報を提供するために使用され得る。発熱体の温度に依存する抵抗の属性は公知であり、発熱体の温度を決定するために使用され得る。発熱体の温度は、加熱動作が開始される前の周囲空気の温度を示し得る。しかしながら、温度センサーは熱電対として構成されることが好ましい。
【0041】
コントローラは、温度センサーが、周囲空気の温度が20℃未満、好ましくは15℃未満、より好ましくは10℃未満、最も好ましくは5℃未満であることを検出した場合に、発熱体を動作させるように構成され得る。
【0042】
コントローラは、発熱体への電力供給を調節するように構成され得る。電力はエアロゾル発生装置の起動に続いて発熱体に連続的に供給されてもよく、または断続的(例えば毎回の吸煙ごと)に供給され得る。電力は、電流パルスの形態で発熱体に供給され得る。コントローラは発熱体の電気抵抗をモニターするように、かつ好ましくは発熱体の電気抵抗に応じて、発熱体への電力の供給を制御するように構成され得る。
【0043】
エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生装置の主本体内に電源(典型的には電池)を備え得る。一実施形態では、電源はリチウムイオン電池である。別の方法として、電源はニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、またはリチウム系電池(例えば、リチウムコバルト電池、リン酸鉄リチウム電池、チタン酸リチウム、もしくはリチウムポリマー電池)であってもよい。代替として、電源は、コンデンサなどの別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は再充電を必要とする場合があり、また一回以上の使用体験のために十分なエネルギーの貯蔵を可能にする容量を有してもよい。例えば、電源は約六分間、または六分の倍数の時間にわたってエアロゾルを連続的に発生するのに十分な容量を有してもよい。別の実施例において、電源は所定の吸煙回数、または発熱体の不連続的な起動を提供するのに十分な容量を有し得る。
【0044】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル発生装置」は、エアロゾル形成基体と相互作用してエアロゾルを発生する装置に関する。エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品の一部、例えば、喫煙物品の一部であってもよい。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体と相互作用してユーザーの口を通してユーザーの肺の中へと直接的に吸入可能なエアロゾルを発生する喫煙装置であってもよい。エアロゾル発生装置は、ホルダーであってもよい。装置は、電気加熱式の喫煙装置であってもよい。エアロゾル発生装置は、ハウジングと、電気回路と、電源と、加熱チャンバと、発熱体と、を備え得る。
【0045】
エアロゾル発生装置は、マウスピースを備え得る。マウスピースは、互いに離間して平行に配置された第一および第二の平面状サセプタを備え得る。マウスピースは、消耗品を取り出すために、第一および第二のサセプタを少なくとも部分的にマウスピースの中に引込位置へと引き込むように構成される伸縮要素を備え得る。
【0046】
エアロゾル発生装置は、加熱区画を含み得る。加熱区画はインダクタを備え得る。加熱区画は、マウスピースに取り外し可能に接続可能なように構成され得る。加熱区画は、加熱チャンバとインダクタを備え得る。インダクタは、加熱チャンバの外側に位置し得る。インダクタは、加熱チャンバから熱的に遮蔽され得る。例えば、加熱区画は、長方形断面を有する加熱チャンバを備え得る。加熱チャンバは、加熱チャンバの上方に位置する第一の平面状誘導コイルと加熱チャンバの下方に位置する第二の平面状誘導コイルとの間に挟まれ得る。加熱チャンバと第一および第二のコイルとの間に断熱材料の層がそれぞれ提供され得る。加熱区画は、第一の接続要素を介して、マウスピースに取り外し可能に接続可能なように構成され得る。第一の接続要素は、フォームロック接続要素、フォースロック接続要素、およびスナップ嵌合接続要素のうちの一つ以上を含み得る。加熱区画は、エアロゾル形成基体を含む平面状の消耗品を受容するための空洞を含み得る。空洞は、消耗品のエアロゾル形成基体を加熱するための加熱チャンバとして構成され得る。加熱区画は、第一および第二のサセプタのうちの一方または両方の温度を測定するように構成された少なくとも一つの温度センサーを備え得る。コントローラは、加熱区画の少なくとも一つの温度センサーの出力に基づいて、電源からインダクタへの電気エネルギーの供給を制御するように構成され得る。
【0047】
エアロゾル発生装置は本体を備え得る。本体は電源を備え得る。本体は、加熱区画に取り外し可能に接続可能であり得る。本体は、第二の接続要素を介して、加熱区画に取り外し可能に接続可能であり得る。第二の接続要素は、フォームロック接続要素、フォースロック接続要素、およびスナップ嵌合接続要素のうちの一つ以上を含み得る。インダクタは、少なくとも一つの誘導コイルを備え得る。インダクタは、第一の誘導コイルおよび第二の誘導コイルを備え得る。第一および第二の誘導コイルのうちの一方または両方は平面状であり得る。本体は、電源からインダクタへの交流電流の供給を制御するように構成されたコントローラおよびDC/ACコンバータを備え得る。
【0048】
エアロゾル発生基体はエアロゾル形成体を含み得る。エアロゾル発生基体は、均質化したたばこ材料、エアロゾル形成体、水を含むことが好ましい。均質化したたばこ材料を提供することは、エアロゾル発生と、エアロゾル発生物品の加熱中に発生したエアロゾルのニコチン含有量および風味プロファイルとを改善する場合がある。具体的には、均質化したたばこを作製するプロセスは、たばこ葉を粉砕することを伴い、これは加熱時のニコチンおよび風味の放出をより効果的に可能にする。
【0049】
代替的に、エアロゾル形成基体は液体エアロゾル形成基体であり得、エアロゾル発生装置の液体貯蔵部分に収容され得る。
【0050】
引き出し抵抗は、通風抵抗、引き抜き抵抗、吸煙抵抗、または吸煙性(puffability)としても周知であり、これは、22℃および760Torr(101kPa)にて、試験下の物体の全長を通して、17.5mL/秒の速度で空気を強制するために必要とされる圧力である。これはISO6565:2002に従って測定され、一般に、mmH2Oの単位で表現される。空気吸込み口、および特にフィルター要素は有利には、気流チャネルを通して10~65mmH20のRTDを共に提供する。
【0051】
一つの実施形態に関して説明される特徴は、本発明の他の実施形態にも等しく適用されてもよい。
【0052】
例証としてのみであるが、以下の添付図面を参照しながら本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1図1は、本発明による例示的なエアロゾル発生装置を示す。
図2図2は、エアロゾル発生装置の本体を示す。
図3図3は、エアロゾル発生装置の発熱体を示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
図1は、例示的エアロゾル発生装置10を示す。エアロゾル発生装置10は、エアロゾル発生装置10の本体14に取り付けられるように構成されたマウスピース12を備える。代替的に、マウスピース12は、エアロゾル発生装置10中に一体化され得る。さらなる代替として、エアロゾル発生装置10のさらなる要素が、マウスピース12とエアロゾル発生装置10の本体14の間に取り付け可能であり得る。
【0055】
図2は、エアロゾル発生装置10の本体14をより詳細に示す。電池の形態での電力供給源16およびコントローラ18が、本体14のハウジング20内に配設される。
【0056】
本体14の下流または遠位端に、データおよび充電ポート22が提供される。本体14の上流または近位端に、マウスピース12と本体14の取り付けのために突出壁24が設けられる。しかしながら、示されるように、マウスピース12またはエアロゾル発生装置10の異なる要素が、本体14と一体化され得る。突出壁24は、マウスピース12または異なるモジュール式要素との接続を可能にするための機械的接続要素および磁気的接続要素のうちの一方または両方を備え得る。
【0057】
図2は、本体14のハウジング20に配設された空気吸込み口26をさらに示す。空気吸込み口26は、横方向の空気吸込み口26として構成される。空気吸込み口26は、本体14の上流端に隣接して配設される。空気吸込み口26は、周囲空気がエアロゾル発生装置10中に、特にエアロゾル発生装置10の気流チャネル38中に引き込まれることを可能にするように構成される。
【0058】
代替的に、空気吸込み口26は、エアロゾル発生装置10内の他のどこにでも位置付けられ得る。例示的に、空気吸込み口26は、エアロゾル発生装置10の上流端に配設され得る。代替的に、空気吸込み口26は、マウスピース12に配設され得る。さらなる代替として、図2に示す通り、少なくとも二つの空気吸込み口26の代わりに単一の空気吸込み口が設けられ得る。
【0059】
空気吸込み口26に隣接して、フィルター要素28が配設される。フィルター要素28は、長方形の断面を有する。フィルター要素28は、セラミック材料で作製される。フィルター要素28は、多孔性である。フィルター要素28は、流体透過性である。フィルター要素28は、周囲空気がフィルター要素28を通して引き込まれることを可能にする。周囲空気は、フィルター要素28によって濾過される。次に、周囲空気は、ユーザーによって空気が吸入され得るように、マウスピース12に向かって、特にマウスピース12内の空気出口に向かって引き込まれる。図1および図2に示す実施形態では、マウスピース12は吸入可能なエアロゾルを発生するように構成される。代替的に、エアロゾル発生は本体14内で促進されることができ、その場合、エアロゾル発生はフィルター要素28の下流で行われる。
【0060】
図2はさらに、温度センサー30を示す。温度センサー30は、好ましくは、熱電対として構成される。温度センサー30は、温度センサー30がエアロゾル発生装置10の中に引き込まれる周囲空気の温度を検出できるように、空気吸込み口に隣接して配設される。温度センサー30は、適切な配線によってコントローラ18と電気的に接続される。温度センサー30は、周囲空気の温度を検出し、対応する信号をコントローラ18に出力するように構成される。コントローラ18は、温度センサー30の出力を受信するように構成される。コントローラ18は、電源16から、図3を参照して以下でより詳細に説明する発熱体32への電気エネルギーの供給を制御するように構成される。コントローラ18は、温度センサー30の出力に基づいて、電気エネルギーの供給を制御するように構成される。周囲空気が過度に冷たい場合、周囲空気の温度は、コントローラ18が発熱体32を操作することによって上昇する。
【0061】
図3は、発熱体32をより詳細に示す。発熱体32は、基体上の加熱トラックとして提供される。基体はフィルター要素28である。図3に示す実施形態では、発熱体32はフィルター要素28上にオーバーモールドされる。発熱体32は、多孔性材料34でオーバーモールドされる。これにより、周囲空気がフィルター要素28を通して、さらに発熱体32を通して引き込まれ得るように、多孔性かつ流体透過性の発熱体32が形成される。したがって、周囲空気はフィルター要素28によって濾過され、同時に、エアロゾル発生の改善のために温度が制御された高品質の周囲空気が提供されるように、加熱される。
【0062】
図3は、発熱体32をコントローラ18および電源16のうちの一方または両方と接触させるための電気接点36をさらに示す。電気接点36は、電気エネルギーが電源16から発熱体32に供給され、発熱体32を加熱することができるように構成される。
図3の発熱体32は、図2のフィルター要素28上にオーバーモールドされるか、または図2の発熱体32上に印刷される。
図1
図2
図3
【国際調査報告】