IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ バイトダンス インコーポレイテッドの特許一覧

特表2024-538467ビデオ処理のための方法、装置及び媒体
<>
  • 特表-ビデオ処理のための方法、装置及び媒体 図1
  • 特表-ビデオ処理のための方法、装置及び媒体 図2
  • 特表-ビデオ処理のための方法、装置及び媒体 図3
  • 特表-ビデオ処理のための方法、装置及び媒体 図4
  • 特表-ビデオ処理のための方法、装置及び媒体 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-22
(54)【発明の名称】ビデオ処理のための方法、装置及び媒体
(51)【国際特許分類】
   H04N 19/70 20140101AFI20241015BHJP
   H04N 19/30 20140101ALI20241015BHJP
【FI】
H04N19/70
H04N19/30
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529580
(86)(22)【出願日】2022-11-17
(85)【翻訳文提出日】2024-05-31
(86)【国際出願番号】 US2022080063
(87)【国際公開番号】W WO2023092019
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】63/281,381
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520477474
【氏名又は名称】バイトダンス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BYTEDANCE INC.
【住所又は居所原語表記】12655 West Jefferson Boulevard, Sixth Floor, Suite No. 137 Los Angeles, California 90066 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】ワン,イェ-クイ
【テーマコード(参考)】
5C159
【Fターム(参考)】
5C159LC09
5C159MA04
5C159MA05
5C159MA21
5C159MA31
5C159MC11
5C159ME01
5C159ME11
5C159RC11
5C159RC12
5C159UA02
5C159UA05
5C159UA33
(57)【要約】
本開示の実施形態は、ビデオ処理のための方案を提供する。ビデオ処理方法が提案される。前記方法は、ビデオの一般制約情報(GCI)に基づいて、前記ビデオの現在のビデオブロックと前記ビデオのビットストリームとの間の転換を実行するステップを含み、前記GCIは、1つ又は複数の構文要素を含み、ここで、前記1つ又は複数の構文要素のそれぞれは前記ビットストリームには存在せず、第1の所定値に等しい値を有する。従来の方案と比較して、提案方法はコーディング効率を向上できるという利点がある。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビデオ処理方法であって、
ビデオに対する一般制約情報(GCI)に基づいて、前記ビデオの現在のビデオブロックと前記ビデオのビットストリームとの間の転換を実行するステップを含み、
前記GCIは、
1つ又は複数の出力層セット(OLS)内の全てのピクチャがリカバリポイントピクチャ又はイントラランダムアクセスポイント(IRAP)ピクチャであるかどうかを示す第1の構文要素、
1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、スケーリング及び変換プロセス、及び構文要素abs_remaining及びdec_abs_levelの2値化に対して拡張ダイナミックレンジが使用されるかどうかを示す第2の構文要素、
1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、現在のスライスにおける構文構造residual_ts_codingに使用されるライスパラメータが、シーケンスパラメータセット(SPS)を指す構文構造slice_headerに指示されるかどうかを示す第3の構文要素、
1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、構文要素abs_remaining及びdec_abs_levelの前記2値化に対して代替ライスパラメータ導出が使用されるかどうかを示す第4の構文要素、
1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、以前の変換ユニット(TU)から蓄積された統計を使用して各TUの開示時に、構文要素abs_remaining及びdec_abs_levelの前記2値化のためのライスパラメータ導出が初期化されるかどうかを示す第5の構文要素、又は
1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、構文要素sh_reverse_last_sig_coeff_flagが、前記SPSを指す構文構造slice_headerに存在するかどうかを示す第6の構文要素からの1つ又は複数の構文要素を含むステップを含み、
ここで、前記1つ又は複数の構文要素のそれぞれは、前記ビットストリームには存在せず、第1の所定値に等しい値を有する、方法。
【請求項2】
前記第1の所定値は0である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の構文要素は、構文要素gci_all_rap_pictures_constraint_flagであり、
前記第2の構文要素は、構文要素gci_no_extended_precision_processing_constraint_flagであり、
前記第3の構文要素は、構文要素gci_no_ts_residual_coding_rice_constraint_flagであり、
前記第4の構文要素は、構文要素gci_no_rrc_rice_extension_constraint_flagであり、
前記第5の構文要素は、構文要素gci_no_persistent_rice_adaptation_constraint_flagであり、
前記第6の構文要素は、構文要素gci_no_reverse_last_sig_coeff_constraint_flagである、請求項1から2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記GCIは、第7の構文要素と、第8の構文要素とをさらに含み、前記第7の構文要素は、GCI構文要素が前記GCIに対する構文構造に存在するかどうかを示し、前記第8の構文要素は、構文構造における構文要素gci_alignment_zero_bit以外の追加のGCIビットの数を示し、前記第7の構文要素は第2の所定値に等しい値を有し、前記第8の構文要素は第3の所定値に等しい値を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第7の構文要素は、構文要素gci_present_flagであり、前記第8の構文要素は、構文要素gci_num_additional_bitsであり、前記第2の所定値は1であり、前記第3の所定値は0である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記GCIは、前記第1の構文要素、前記第2の構文要素、前記第3の構文要素、前記第4の構文要素、前記第5の構文要素及び前記第6の構文要素とは異なる第9の構文要素をさらに含み、前記第9の構文要素は前記ビットストリームには存在せず、前記第1の所定値に等しい値を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記転換は、前記現在のビデオブロックを前記ビットストリームに符号化するステップを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記転換は、前記ビットストリームから前記現在のビデオブロックを復号化するステップを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
プロセッサと命令を備えた非一時的メモリとを含むビデオデータを処理する装置であって、
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに請求項1から8のいずれか一項に記載の方法を実行させる、装置。
【請求項10】
プロセッサに請求項1から8のいずれか一項に記載の方法を実行させる命令を記憶する、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項11】
ビデオ処理装置によって実行される方法によって生成されたビデオのビットストリームを記憶する、非一時的なコンピュータ可読記録媒体であって、
前記方法は、ビデオに対する一般制約情報(GCI)に基づいて、前記ビデオの現在のビデオブロックと前記ビデオのビットストリームとの間の転換を実行するステップをふくみ、
前記GCIは、
1つ又は複数の出力層セット(OLS)内の全てのピクチャがリカバリポイントピクチャ又はイントラランダムアクセスポイント(IRAP)ピクチャであるかどうかを示す第1の構文要素、
1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、スケーリング及び変換プロセス、及び構文要素abs_remaining及びdec_abs_levelの2値化に対して拡張ダイナミックレンジが使用されるかどうかを示す第2の構文要素、
1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、現在のスライスにおける構文構造residual_ts_codingに使用されるライスパラメータが、シーケンスパラメータセット(SPS)を指す構文構造slice_headerに指示されるかどうかを示す第3の構文要素、
1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、構文要素abs_remaining及びdec_abs_levelの前記2値化に対して代替ライスパラメータ導出が使用されるかどうかを示す第4の構文要素、
1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、以前の変換ユニット(TU)から蓄積された統計を使用して各TUの開示時に、構文要素abs_remaining及びdec_abs_levelの前記2値化のためのライスパラメータ導出が初期化されるかどうかを示す第5の構文要素、又は
1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、構文要素sh_reverse_last_sig_coeff_flagが、前記SPSを指す構文構造slice_headerに存在するかどうかを示す第6の構文要素からの1つ又は複数の構文要素を含み、
ここで、前記1つ又は複数の構文要素のそれぞれは、前記ビットストリームには存在せず、第1の所定値に等しい値を有する、非一時的なコンピュータ可読記録媒体。
【請求項12】
ビデオのビットストリームを記憶する方法であって、
ビデオに対する一般制約情報(GCI)に基づいて、前記ビデオの現在のビデオブロックと前記ビデオのビットストリームとの間の転換を実行するステップであって、
前記GCIは、
1つ又は複数の出力層セット(OLS)内の全てのピクチャが、リカバリポイントピクチャ又はイントラランダムアクセスポイント(IRAP)ピクチャであるかどうかを示す第1の構文要素、
1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、スケーリング及び変換プロセス、及び構文要素abs_remaining及びdec_abs_levelの2値化に対して拡張ダイナミックレンジが使用されるかどうかを示す第2の構文要素、
1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、現在のスライスにおける構文構造residual_ts_codingに使用されるライスパラメータが、シーケンスパラメータセット(SPS)を指す構文構造slice_headerに指示されるかどうかを示す第3の構文要素、
1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、構文要素abs_remaining及びdec_abs_levelの前記2値化に対して代替ライスパラメータ導出が使用されるかどうかを示す第4の構文要素、
1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、以前の変換ユニット(TU)から蓄積された統計を使用して各TUの開示時に、構文要素abs_remaining及びdec_abs_levelの前記2値化のためのライスパラメータ導出が初期化されるかどうかを示す第5の構文要素、又は
1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、構文要素sh_reverse_last_sig_coeff_flagが、前記SPSを指す構文構造slice_headerに存在するかどうかを示す第6の構文要素からの1つ又は複数の構文要素を含むステップと、
前記ビットストリームを非一時的なコンピュータ可読記録媒体に記憶するステップとを含み、
ここで、前記1つ又は複数の構文要素のそれぞれは、前記ビットストリームには存在せず、第1の所定値に等しい値を有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年11月19日に出願された米国仮出願第63/281,381号に対する優先権の利益を主張する。その先願の開示の全体の内容が本明細書に参照により組み込まれる。
【0002】
本開示の実施形態は、一般に、ビデオコーディング技術に関し、より詳細には、VVC範囲拡張一般制約情報フラグのシグナリングに関する。
【背景技術】
【0003】
ビデオコーディング規格は、主に、よく知られたITU-T規格及びISO/IEC規格の開発を通じて進化してきた。ITU-はH.261及びH.263を作成し、ISO/IECはMPEG-1及びMPEG-4 Visualを作成し、この2つの組織が共同でH.262/MPEG-2 Video及びH.264/MPEG-4 Advanced Video Coding(AVC)及びH.265/HEVC規格を作成した。H.262以来、ビデオコーディング規格は、時間予測プラス変換符号化が利用されるハイブリッドビデオコーディング構造に基づいている。HEVCを超える将来のビデオコーディング技術を探索するために、Joint Video Exploration Team(ジョイント・ビデオ・エクスプロレーション・チーム、JVET)が2015年にVCEG及びMPEGによって共同で設立された。それ以来、多くの新しい方法がJVETによって採用され、Joint Exploration Model(ジョイント・エクスプロレーション・モデル、JEM)という名前のリファレンスソフトウェアに組み込まれている。その後、VVCプロジェクトが正式に開始されたときに、JVETはJVETに名前変更された。VVCは新しいコーディング規格であり、HEVCと比較して50%ビットレート低減を目標としている。
【0004】
VVC規格及び関連するコード化ビデオビットストリーム用のVersatile Supplemental Enhancement Information(多用途拡張情報、VSEI)規格は、テレビ放送、ビデオ会議、又は記憶媒体からの再生などの従来の用途と、アダプティブビットレートストリーミング、ビデオ領域抽出、多重コード化ビデオビットストリームからのコンテンツの合成と結合、マルチビュービデオ、スケーラブルなレイヤードコーディング、及びビューポートアダプティブ360度イマーシブメディアなどのより新しく高度な用途の両方を含む、最大限広範囲のアプリケーションで使用されるように設計されている。VVC規格の最新の修正草案には、範囲拡張プロファイルの仕様やその他の側面が含まれている。
【発明の概要】
【0005】
本開示の実施形態は、ビデオ処理のための方案を提供する。
【0006】
第1の態様では、ビデオ処理方法が提案される。前記方法は、ビデオの一般制約情報(GCI)に基づいて、前記ビデオの現在のビデオブロックと前記ビデオのビットストリームとの間の転換を実行するステップであって、前記GCIは、1つ又は複数の出力層セット(OLS)内の全てのピクチャがリカバリポイントピクチャ又はイントラランダムアクセスポイント(IRAP)ピクチャであるかどうかを示す第1の構文要素、1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、スケーリング及び変換プロセス、及び構文要素abs_remaining及びdec_abs_levelの2値化に対して拡張ダイナミックレンジが使用されるかどうかを示す第2の構文要素、1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、現在のスライスにおける構文構造residual_ts_codingに使用されるライスパラメータがシーケンスパラメータセット(SPS)を指す構文構造slice_headerに指示されるかどうかを示す第3の構文要素、1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、構文要素abs_remaining及びdec_abs_levelの前記2値化に対して代替ライスパラメータ導出が使用されるかどうかを示す第4の構文要素、1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、以前の変換ユニット(TU)から蓄積された統計を使用して各TUの開示時に構文要素abs_remaining及びdec_abs_levelの前記2値化のためのライスパラメータ導出が初期化されるかどうかを示す第5の構文要素、又は1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、構文要素sh_reverse_last_sig_coeff_flagが前記SPSを指す構文構造slice_headerに存在するかどうかを示す第6の構文要素からの1つ又は複数の構文要素を含むステップを含み、ここで、前記1つ又は複数の構文要素のそれぞれは前記ビットストリームには存在せず、第1の所定値に等しい値を有する。
【0007】
本開示の第1の態様による方法に基づいて、6つのGCI構文要素のそれぞれの値は、ビットストリーム内に存在しない場合、所定値(例:0)に等しいと推論される。このようなGCI構文要素の値が推論されない従来の方案と比較して、提案方法は、これらのGCI構要素がビットストリームに存在しない場合でもその値を取得できるため、ビデオ処理の均一なプロセスを確保し、コーディング効率を向上できるという利点がある。
【0008】
第2の態様では、ビデオデータを処理する装置が提案される。前記ビデオデータを処理する装置は、プロセッサと、命令を備えた非一時的メモリとを含む。前記命令は前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに本開示の第1の態様による方法を実行させる。
【0009】
第3の態様では、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体が提案される。前記非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、プロセッサに本開示の第1の態様による方法を実行させる命令を記憶する。
【0010】
第4の態様では、別の非一時的なコンピュータ可読記録媒体が提案される。前記非一時的なコンピュータ可読記録媒体は、ビデオ処理装置によって実行される方法によって生成されたビデオのビットストリームを記憶する。前記方法は、ビデオの一般制約情報(GCI)に基づいて、前記ビデオの現在のビデオブロックと前記ビデオのビットストリームとの間の転換を実行するステップであって、前記GCIは、1つ又は複数の出力層セット(OLS)内の全てのピクチャがリカバリポイントピクチャ又はイントラランダムアクセスポイント(IRAP)ピクチャであるかどうかを示す第1の構文要素、1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、スケーリング及び変換プロセス、及び構文要素abs_remaining及びdec_abs_levelの2値化に対して拡張ダイナミックレンジが使用されるかどうかを示す第2の構文要素、1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、現在のスライスにおける構文構造residual_ts_codingに使用されるライスパラメータがシーケンスパラメータセット(SPS)を指す構文構造slice_headerに指示されるかどうかを示す第3の構文要素、1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、構文要素abs_remaining及びdec_abs_levelの前記2値化に対して代替ライスパラメータ導出が使用されるかどうかを示す第4の構文要素、1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、以前の変換ユニット(TU)から蓄積された統計を使用して各TUの開示時に構文要素abs_remaining及びdec_abs_levelの前記2値化のためのライスパラメータ導出が初期化されるかどうかを示す第5の構文要素、又は1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、構文要素sh_reverse_last_sig_coeff_flagが前記SPSを指す構文構造slice_headerに存在するかどうかを示す第6の構文要素からの1つ又は複数の構文要素を含むステップを含み、ここで、前記1つ又は複数の構文要素のそれぞれは前記ビットストリームには存在せず、第1の所定値に等しい値を有する。
【0011】
第5の態様では、ビデオのビットストリームを記憶する方法が提案される。前記方法は、ビデオの一般制約情報(GCI)に基づいて、前記ビデオの現在のビデオブロックと前記ビデオのビットストリームとの間の転換を実行するステップであって、前記GCIは、1つ又は複数の出力層セット(OLS)内の全てのピクチャがリカバリポイントピクチャ又はイントラランダムアクセスポイント(IRAP)ピクチャであるかどうかを示す第1の構文要素、1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、スケーリング及び変換プロセス、及び構文要素abs_remaining及びdec_abs_levelの2値化に対して拡張ダイナミックレンジが使用されるかどうかを示す第2の構文要素、1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、現在のスライスにおける構文構造residual_ts_codingに使用されるライスパラメータがシーケンスパラメータセット(SPS)を指す構文構造slice_headerに指示されるかどうかを示す第3の構文要素、1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、構文要素abs_remaining及びdec_abs_levelの前記2値化に対して代替ライスパラメータ導出が使用されるかどうかを示す第4の構文要素、1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、以前の変換ユニット(TU)から蓄積された統計を使用して各TUの開示時に構文要素abs_remaining及びdec_abs_levelの前記2値化のためのライスパラメータ導出が初期化されるかどうかを示す第5の構文要素、又は1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、構文要素sh_reverse_last_sig_coeff_flagが前記SPSを指す構文構造slice_headerに存在するかどうかを示す第6の構文要素からの1つ又は複数の構文要素を含むステップと、前記ビットストリームを非一時的なコンピュータ可読記録媒体に記憶するステップとを含み、ここで、前記1つ又は複数の構文要素のそれぞれは前記ビットストリームには存在せず、第1の所定値に等しい値を有する。
【0012】
この発明の内容は、以下の詳細な説明でさらに記述される概念の選択を簡略化した形で紹介するために提供される。この発明の内容は、請求された主題の主な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図したものではなく、また、請求された主題の範囲を制限するために使用されることを意図したものでもない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
添付の図面を参照した以下の詳細な説明を通じて、本開示の例示的な実施形態の上記及び他の目的、特徴、及び利点がより明らかになるであろう。本開示の例示的な実施形態では、同じ参照番号は通常、同じ構成要素を指す。
【0014】
図1】本開示のいくつかの実施形態による例示的なビデオコーディングシステムを示すブロック図を示す。
【0015】
図2】本開示のいくつかの実施形態による第1の例示的なビデオエンコーダを示すブロック図を示す。
【0016】
図3】本開示のいくつかの実施形態による例示的なビデオデコーダを示すブロック図を示す。
【0017】
図4】本開示のいくつかの実施形態によるビデオ処理方法のフローチャートを示す。
【0018】
図5】本開示の様々な実施形態を具現できるコンピューティングデバイスのブロック図を示す。
【0019】
図面の全体にわたって、同じ又は類似の参照番号は通常、同じ又は類似の要素を指す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、いくつかの実施形態を参照して、本開示の原理を説明する。これらの実施形態は、説明のみを目的として記載されており、当業者が本開示を理解し具現するのを助けるものであり、本開示の範囲に関していかなる限定も示唆するものではないことを理解すべきである。本明細書に記載の開示は、以下に記載する方法以外にも様々な方法で具現されることができる。
【0021】
以下の説明及び特許請求の範囲において、別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0022】
本開示における「一つの実施形態」、「一実施形態」、「例示的な実施形態」などへの言及は、記載される実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を含み得ることを示すが、必ずしも全ての実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を含むとは限らない。また、そのような語句は必ずしも同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、又は特性が例示的な実施形態に関連して説明される場合、明示的に記載されているかどうかにかかわらず、他の実施形態に関連してそのような特徴、構造、又は特性に影響を与えることは当業者の知識の範囲内であることが指摘される。
【0023】
「第1」及び「第2」などの用語は、本明細書では様々な要素を説明するために使用され得るが、これらの要素はこれらの用語によって限定されるべきではないことを理解すべきである。これらの用語は、ある要素を別の要素と区別するためにのみ使用される。例えば、例示的な実施形態の範囲から逸脱することなく、第1の要素が第2の要素と呼ばれ得、同様に、第2の要素が第1の要素と呼ばれ得る。本明細書で使用される「及び/又は」という用語には、列挙された用語の1つ又は複数のあらゆる組み合わせが含まれる。
【0024】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、例示的な実施形態を限定することを意図したものではない。本明細書で使用されるように、単数形「a(一つの)」、「an(一つの)」、及び「the(その)」は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数形も含むものとする。「含む」、「備える」、「有する」、「持つ」、「含有する」及び/又は「包含する」という用語は、本明細書で使用される場合、記載された特徴、要素、及び/又は構成要素などの存在を特定するが、1つ又は複数の他の特徴、要素、構成要素及び/又はそれらの組み合わせの存在又は追加を排除するものではないことがさらに理解されるであろう。
【0025】
例示的な環境
図1は、本開示の技術を利用し得る例示的なビデオコーディングシステム100を示すブロック図である。図示されるように、ビデオコーディングシステム100は、ソースデバイス110と、宛先デバイス120とを含み得る。ソースデバイス110は、ビデオ符号化デバイスとも呼ばれ得、宛先デバイス120は、ビデオ復号化デバイスとも呼ばれ得る。動作中、ソースデバイス110は、符号化されたビデオデータを生成するように構成することができ、宛先デバイス120は、ソースデバイス110によって生成された符号化されたビデオデータを復号化するように構成することができる。ソースデバイス110は、ビデオソース112と、ビデオエンコーダ114と、入力/出力(I/O)インターフェース116とを含み得る。
【0026】
ビデオソース112は、ビデオキャプチャデバイスなどのソースを含み得る。ビデオキャプチャデバイスの例には、ビデオコンテンツプロバイダからビデオデータを受信するインターフェース、ビデオデータを生成するコンピュータグラフィックスシステム、及び/又はそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0027】
ビデオデータは、1つ又は複数のピクチャを含み得る。ビデオエンコーダ114は、ビデオソース112からのビデオデータを符号化してビットストリームを生成する。ビットストリームには、ビデオデータのコード化表現を形成する一連のビットが含まれ得る。ビットストリームには、コード化ピクチャ及び関連データが含まれ得る。コード化ピクチャは、ピクチャのコード化表現である。関連データには、シーケンスパラメータセット、ピクチャパラメータセット、及び他の構文構造が含まれ得る。I/Oインターフェース116は、変調器/復調器及び/又は送信機を含み得る。符号化されたビデオデータは、I/Oインターフェース116を介してネットワーク130Aを通して宛先デバイス120に直接送信され得る。符号化されたビデオデータは、宛先デバイス120によるアクセスのために記憶媒体/サーバ130Bに記憶されても良い。
【0028】
宛先デバイス120は、I/Oインターフェース126と、ビデオデコーダ124と、表示デバイス122とを含み得る。I/Oインターフェース126は、受信機及び/又はモデムを含み得る。I/Oインターフェース126は、ソースデバイス110又は記憶媒体/サーバ130Bから符号化されたビデオデータを取得し得る。ビデオデコーダ124は、符号化されたビデオデータを復号化し得る。表示デバイス122は、復号化されたビデオデータをユーザに表示し得る。表示デバイス122は、宛先デバイス120と一体化されて得、或いは外部表示デバイスとインターフェースするように構成された宛先デバイス120の外部にあり得る。
【0029】
ビデオエンコーダ114及びビデオデコーダ124は、High Efficiency Video Coding(高効率ビデオコーディング、HEVC)規格、Versatile Video Coding(多用途ビデオコーディング、VVC)規格及び他の現在の及び/又はさらなる規格などのビデオ圧縮規格に従って動作し得る。
【0030】
図2は、本開示のいくつかの実施形態による、図1に示されるシステム100内のビデオエンコーダ114の一例であり得るビデオエンコーダ200の一例を示すブロック図である。
【0031】
ビデオエンコーダ200は、本開示の技術のいずれか又は全てを具現するように構成され得る。図2の例では、ビデオエンコーダ200は複数の機能コンポーネントを含む。本開示で説明される技術は、ビデオエンコーダ200の様々なコンポーネント間で共有され得る。いくつかの例では、プロセッサは、本開示で説明された技術のいずれか又は全てを実行するように構成され得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、ビデオエンコーダ200は、分割ユニット201と、モード選択ユニット203、動き推定ユニット204、動き補償ユニット205及びイントラ予測ユニット206を含み得る予測ユニット202と、残差生成ユニット207と、変換ユニット208と、量子化ユニット209と、逆量子化ユニット210と、逆変換ユニット211と、再構成ユニット212と、バッファ213と、エントロピー符号化ユニット214とを含み得る。
【0033】
他の例では、ビデオエンコーダ200は、より多くの、より少ない、又は異なる機能コンポーネントを含み得る。一例では、予測ユニット202は、イントラブロックコピー(IBC)ユニットを含み得る。IBCユニットは、少なくとも1つの参照ピクチャが現在のビデオブロックが位置するピクチャであるIBCモードで予測を実行し得る。
【0034】
さらに、動き推定ユニット204及び動き補償ユニット205などのいくつかの構成要素は統合され得るが、図2の例では説明の目的で別々に表されている。
【0035】
分割ユニット201は、ピクチャを1つ又は複数のビデオブロックに分割し得る。ビデオエンコーダ200及びビデオデコーダ300は、多様なビデオブロックサイズをサポートし得る。
【0036】
モード選択ユニット203は、例えば、エラー結果に基づいて、イントラ又はインターのコーディングモードのうちの1つを選択し、その結果から得られるイントラコード化又はインターコード化されたブロックを、残差ブロックデータを生成するように残差生成ユニット207に提供し、符号化されたブロックを再構成して参照ピクチャとして使用するように再構成ユニット212に提供し得る。いくつかの例では、モード選択ユニット203は、予測がインター予測信号及びイントラ予測信号に基づくイントラ及びインター予測の組み合わせ(CIIP)モードを選択し得る。モード選択ユニット203は、インター予測の場合、ブロックの動きベクトルの解像度(例:サブピクセル又は整数ピクセル精度)を選択し得る。
【0037】
現在のビデオブロックに対してインター予測を実行するために、動き推定ユニット204は、バッファ213からの1つ又は複数の参照フレームを現在のビデオブロックと比較することで現在のビデオブロックの動き情報を生成し得る。動き補償ユニット205は、現在のビデオブロックに関連するピクチャ以外のバッファ213からのピクチャの動き情報及び復号化サンプルに基づいて、現在のビデオブロックの予測ビデオブロックを決定し得る。
【0038】
動き推定ユニット204及び動き補償ユニット205は、例えば、現在のビデオブロックがIスライス、Pスライス、又はBスライスのいずれにあるかに応じて、現在のビデオブロックに対して異なる演算を実行し得る。本明細書で使用されるように、「Iスライス」は、マクロブロックから構成されるピクチャの一部を指し得、その全てが同じピクチャ内のマクロブロックに基づいている。さらに、本明細書で使用されるように、いくつかの態様では、「Pスライス」及び「Bスライス」は、同じピクチャ内のマクロブロックに依存しないマクロブロックから構成されるピクチャの部分を指し得る。
【0039】
いくつかの例では、動き推定ユニット204は、現在のビデオブロックに対して単方向予測を実行し得、動き推定ユニット204は、現在のビデオブロックの参照ビデオブロックに対するリスト0又はリスト1の参照ピクチャを探し得る。次に、動き推定ユニット204は、参照ビデオブロックを含むリスト0又はリスト1内の参照ピクチャを示す参照インデックスと、現在のビデオブロックと参照ビデオブロックとの間の空間変位を示す動きベクトルとを生成し得る。動き推定ユニット204は、参照インデックス、予測方向指示子、及び動きベクトルを現在のビデオブロックの動き情報として出力し得る。動き補償ユニット205は、現在のビデオブロックの動き情報によって示される参照ビデオブロックに基づいて、現在のビデオブロックの予測ビデオブロックを生成し得る。
【0040】
代替的に、他の例では、動き推定ユニット204は、現在のビデオブロックに対して双方向予測を実行し得る。動き推定ユニット204は、現在のビデオブロックの参照ビデオブロックに対するリスト0内の参照ピクチャを探してもよいし、現在のビデオブロックの別の参照ビデオブロックに対するリスト1内の参照ピクチャを探してもよい。次に、動き推定ユニット204は、参照ビデオブロックを含むリスト0及びリスト1内の参照ピクチャを示す参照インデックスと、参照ビデオブロックと現在のビデオブロックとの間の空間変位を示す動きベクトルとを生成し得る。動き推定ユニット204は、現在のビデオブロックの参照インデックス及び動きベクトルを現在のビデオブロックの動き情報として出力し得る。動き補償ユニット205は、現在のビデオブロックの動き情報によって示される参照ビデオブロックに基づいて、現在のビデオブロックの予測ビデオブロックを生成し得る。
【0041】
いくつかの例では、動き推定ユニット204は、デコーダの復号化処理のためのフルセットの動き情報を出力し得る。代替的に、いくつかの実施形態では、動き推定ユニット204は、別のビデオブロックの動き情報を参照して現在のビデオブロックの動き情報をシグナリングし得る。例えば、動き推定ユニット204は、現在のビデオブロックの動き情報が隣接するビデオブロックの動き情報と十分に類似していると決定し得る。
【0042】
一例では、動き推定ユニット204は、現在のビデオブロックに関連付けられた構文構造において、現在のビデオブロックが別のビデオブロックと同じ動き情報を有することをビデオデコーダ300に示す値を示し得る。
【0043】
別の例では、動き推定ユニット204は、現在のビデオブロックに関連付けられた構文構造において、別のビデオブロック及び動きベクトル差分(MVD)を識別し得る。動きベクトル差分は、現在のビデオブロックの動きベクトルと、指示されたビデオブロックの動きベクトルとの間の差分を示す。ビデオデコーダ300は、指示されたビデオブロックの動きベクトル及び動きベクトル差分を使用して現在のビデオブロックの動きベクトルを決定し得る。
【0044】
上で論じたように、ビデオエンコーダ200は、動きベクトルを予測的にシグナリングし得る。ビデオエンコーダ200によって実施され得る予測シグナリング技術の2つの例には、アドバンスト動きベクトル予測(AMVP)とマージモードシグナリングとが含まれる。
【0045】
イントラ予測ユニット206は、現在のビデオブロックに対してイントラ予測を実行し得る。イントラ予測ユニット206が現在のビデオブロックに対してイントラ予測を実行するとき、イントラ予測ユニット206は、同じピクチャ内の他のビデオブロックの復号化されたサンプルに基づいて、現在のビデオブロックに対する予測データを生成し得る。現在のビデオブロックに対する予測データには、予測されたビデオブロック及び様々な構文要素が含まれ得る。
【0046】
残差生成ユニット207は、現在のビデオブロックから現在のビデオブロックの予測ビデオブロックを減算する(例:マイナス記号によって示される)ことで、現在のビデオブロックに対する残差データを生成し得る。現在のビデオブロックの残差データは、現在のビデオブロック内のサンプルの異なるサンプル成分に対応する残差ビデオブロックを含み得る。
【0047】
他の例では、例えばスキップモードにおいて、現在のビデオブロックに対する残差データが存在しなくてもよいし、残差生成ユニット207は減算演算を実行しなくてもよい。
【0048】
変換処理ユニット208は、現在のビデオブロックに関連付けられた残差ビデオブロックに1つ又は複数の変換を適用することで、現在のビデオブロックに対する1つ又は複数の変換係数ビデオブロックを生成し得る。
【0049】
変換処理ユニット208が現在のビデオブロックに関連付けられた変換係数ビデオブロックを生成した後、量子化ユニット209は、現在のビデオブロックに関連付けられた1つ又は複数の量子化パラメータ(QP)値に基づいて、現在のビデオブロックに関連付けられた変換係数ビデオブロックを量子化し得る。
【0050】
逆量子化ユニット210及び逆変換ユニット211は、それぞれ、変換係数ビデオブロックに逆量子化及び逆変換を適用して、変換係数ビデオブロックから残差ビデオブロックを再構成し得る。再構成ユニット212は、再構成された残差ビデオブロックを、予測ユニット202によって生成された1つ又は複数の予測ビデオブロックからの対応するサンプルに追加して、バッファ213に記憶するために現在のビデオブロックに関連付けられた再構成ビデオブロックを生成し得る。
【0051】
再構成ユニット212がビデオブロックを再構成した後、ループフィルタリング動作が実行されて、ビデオブロック内のビデオブロッキングアーティファクトを低減し得る。
【0052】
エントロピー符号化ユニット214は、ビデオエンコーダ200の他の機能コンポーネントからデータを受信し得る。エントロピー符号化ユニット214がデータを受信すると、エントロピー符号化ユニット214は、1つ又は複数のエントロピー符号化動作を実行して、エントロピー符号化データを生成し、エントロピー符号化データを含むビットストリームを出力し得る。
【0053】
図3は、本開示のいくつかの実施形態による、図1に示されるシステム100内のビデオデコーダ124の一例であり得るビデオデコーダ300の一例を示すブロック図である。
【0054】
ビデオデコーダ300は、本開示の技術のいずれか又は全てを実行するように構成され得る。図3の例では、ビデオデコーダ300は複数の機能コンポーネントを含む。本開示で説明される技術は、ビデオデコーダ300の様々なコンポーネント間で共有され得る。いくつかの例では、プロセッサは、本開示で説明された技術のいずれか又は全てを実行するように構成され得る。
【0055】
図3の例では、ビデオデコーダ300は、エントロピー復号化ユニット301と、動き補償ユニット302と、イントラ予測ユニット303と、逆量子化ユニット304と、逆変換ユニット305と、再構成ユニット306と、バッファ307とを含む。ビデオデコーダ300は、いくつかの例では、ビデオエンコーダ200に関して説明した符号化パスと一般に逆の復号化パスを実行し得る。
【0056】
エントロピー復号化ユニット301は、符号化されたビットストリームを検索し得る。符号化されたビットストリームは、エントロピーコード化されたビデオデータ(例:ビデオデータの符号化されたブロック)を含み得る。エントロピー復号化ユニット301は、エントロピーコード化されたビデオデータを復号化し得、エントロピー復号化されたビデオデータから、動き補償ユニット302は、動きベクトル、動きベクトル精度、参照ピクチャリストインデックス及び他の動き情報を含む動き情報を決定し得る。動き補償ユニット302は、例えば、AMVP及びマージモードを実行することでそのような情報を決定し得る。AMVPが使用され、隣接するPB及び参照ピクチャからのデータに基づいた最もあり得るいくつかの候補の導出を含む。動き情報には、通常、水平及び垂直動きベクトル変位値、1つ又は2つの参照ピクチャインデックス、及びBスライス内の予測領域の場合は、どの参照ピクチャリストが各インデックスに関連付けられているかの識別が含まれる。本明細書で使用されるように、いくつかの態様では、「マージモード」は、空間的又は時間的に隣接するブロックから動き情報を導出することを指し得る。
【0057】
動き補償ユニット302は、おそらく補間フィルタに基づいて補間を実行しながら、動き補償されたブロックを生成し得る。サブピクセル精度で使用される補間フィルタの識別子が構文要素に含まれ得る。
【0058】
動き補償ユニット302は、ビデオブロックの符号化中にビデオエンコーダ200によって使用される補間フィルタを使用して、参照ブロックのサブ整数ピクセルに対する補間値を計算し得る。動き補償ユニット302は、受信した構文情報に従ってビデオエンコーダ200によって使用される補間フィルタを決定し、その補間フィルタを使用して予測ブロックを生成し得る。
【0059】
動き補償ユニット302は、構文情報の少なくとも一部を使用して、符号化されたビデオシーケンスのフレーム及び/又はスライスを符号化するために使用されるブロックのサイズ、符号化されたビデオシーケンスのピクチャの各マクロブロックがどのように分割されるかを説明するパーティション情報、各パーティションがどのように符号化されるかを示すモード、各インターエンコードされたブロックの1つ又は複数の参照フレーム(及び参照フレームリスト)、及び符号化されたビデオシーケンスを復号化するその他の情報を決定し得る。本明細書で使用されるように、いくつかの態様では、「スライス」は、エントロピーコーディング、信号予測、及び残差信号再構成に関して、同じピクチャの他のスライスから独立して復号化できるデータ構造を指し得る。スライスは、ピクチャ全体又はピクチャの領域のいずれかになり得る。
【0060】
イントラ予測ユニット303は、例えばビットストリームで受信されたイントラ予測モードを使用して、空間的に隣接するブロックから予測ブロックを形成し得る。逆量子化ユニット304は、ビットストリームで提供され、エントロピー復号化ユニット301によって復号化された量子化ビデオブロック係数を逆量子化、即ち量子化解除する。逆変換ユニット305は、逆変換を適用する。
【0061】
再構成ユニット306は、例えば、残差ブロックと、動き補償ユニット302又はイントラ予測ユニット303によって生成された対応する予測ブロックとを加算することで、復号化されたブロックを取得し得る。必要に応じて、デブロッキングフィルタが適用されて、ブロックノイズアーティファクトを除去するよう、復号化されたブロックをフィルタリングしてもよい。次に、復号化されたビデオブロックはバッファ307に記憶され、バッファ307は、後続の動き補償/イントラ予測のための参照ブロックを提供し、また、表示デバイス上にプレゼンテーションするための復号化されたビデオも生成する。
【0062】
本開示のいくつかの例示的な実施形態について以下に詳細に説明することにする。本明細書では理解を容易にするためにセクション見出しが使用されているが、セクションで開示される実施形態をそのセクションのみに限定するものではないことを理解すべきである。さらに、特定の実施形態が多用途ビデオコーディング又は他の特定のビデオコーデックを参照して説明されるが、開示された技術は他のビデオコーディング技術にも適用可能である。さらに、いくつかの実施形態はビデオコーディングステップを詳細に説明するが、コーディングを元に戻す対応する復号化ステップはデコーダによって実施されることが理解されるであろう。さらに、ビデオ処理という用語には、ビデオコーディング又は圧縮、ビデオ復号化又は解凍、及びビデオピクセルを1つの圧縮フォーマットから別の圧縮フォーマット又は異なる圧縮ビットレートで表現するビデオトランスコーディングが包含される。
1. 概要
本開示は、画像/ビデオコーディング技術に関する。具体的には、多用途ビデオコーディング(VVC)範囲拡張、一般制約情報(GCI)フラグのシグナリングに関する。このアイデアは、例えばVVC規格などのビデオコーデックによってコード化されたビデオビットストリームに対して、個別に又は様々な組み合わせで適用され得る。
2. 背景
2.1. ビデオコーディング規格
ビデオコーディング規格は、主によく知られたITU-T及びISO/IEC規格の開発を通じて進化してきた。ITU-TがH.261及びH.263を作成し、ISO/IECがMPEG-1及びMPEG-4 Visualを作成し、この2つの組織が共同でH.262/MPEG-2 Video及びH.264/MPEG-4 Advanced Video Coding(AVC)及びH.265/HEVC規格を作成した。H.262以来、ビデオコーディング規格は、時間予測プラス変換コーディングが利用されるハイブリッドビデオコーディング構造に基づいている。HEVCを超える将来のビデオコーディング技術を探索するために、Joint Video Exploration Team(ジョイント・ビデオ・エクスプロレーション・チーム、JVET)が2015年にVCEGとMPEGによって共同で設立された。それ以来、多くの新しい方法がJVETによって採用され、Joint Exploration Model(ジョイント・エクスプロレーション・モデル、JEM)という名前のリファレンスソフトウェアに組み込まれた。その後、Versatile Video coding(VVC)プロジェクトが正式に開始されたときに、JVETはJoint Video Experts Team(JVET)に名前変更された。VVCは、HEVCと比較して50%ビットレート低減を目標とする新しいコーディング規格であり、2020年7月1日に終了した第19回会議でJVETによって最終完了された。
Versatile Video Coding(VVC)規格(ITU-T H.266 |ISO/IEC 23090-3)及び関連するコード化ビデオビットストリーム用のVersatile Supplemental Enhancement Information(多用途拡張情報、VSEI)規格(ITU-T H.274|ISO/IEC 23002-7)は、テレビ放送、ビデオ会議、又は記憶媒体からの再生などの従来の用途と、アダプティブビットレートストリーミング、ビデオ領域の抽出、多重コード化ビデオビットストリームからのコンテンツの合成と結合、マルチビュービデオ、スケーラブルなレイヤードコーディング、及びビューポートアダプティブ360度イマーシブメディアなどのより新しく高度な用途の両方を含む、最大限広範囲のアプリケーションで使用されるように設計されている。
Essential Video Coding(EVC)規格(ISO/IEC 23094-1)は、MPEGによって最近開発された別のビデオコーディング規格である。
VVC規格の最新の修正草案は、範囲拡張の仕様及びその他のいくつかの側面が含まれる。
2.2. VVCにおけるプロファイル、階層、レベル(PTL)及びサブプロファイル
VVC v1では、表1に記載されるように、6つのプロファイルが定義されている。これらのプロファイルはそれぞれ、幅広いアプリケーションに対処するために定義されており、相互に論理的な「ネスティング」関係がある。
表1で、「4:2:0」という用語は、ルーマプレーンの半分の幅と半分の高さを持つクロマカラープレーンを備えるビデオを指すが、これは、消費者向けアプリケーションでカメラでキャプチャされたコンテンツを符号化するために使用される最も一般的なフォーマットである。「4:4:4」とは、グラフィックス、ディスプレイモニター及びコンピューターデスクトップレンダリングに一般的に使用される、ルーマプレーンと同じ幅と同じ高さを持つクロマカラープレーンを使用することを指す。「4:2:2」は、輝度の半分の幅を持ち、高さは同じクロマを持つあまり一般的ではないフォーマットであり、例えば、インターレースでキャプチャされたビデオのスタジオでよく使用されている。モノクロビデオには、ルーマプレーンと呼ばれる単一のカラープレーンしかない(実際には輝度信号を表していない場合があるが、例えば、モノクロピクチャは3Dビデオアプリケーションの深度マップ又は復号化されたビデオを背景にオーバーレイする透明度マップを表す場合がある)。
ビットストリームの第1のピクチャは通常イントラコード化されたピクチャであるため、静止画プロファイルに準拠するデコーダは、典型的なビデオプロファイルビットストリームの第1のピクチャを復号化できるものとすることに注意すべきである。このようなデコーダは、ビデオビットストリームからスナップショットとして抽出された他のIRAPピクチャも復号化できる。ビデオと静止画プロファイルの間にこのサブセット関係があることで、異なるアプリケーションで使用するためにエンコーダとデコーダモジュールを共有する能力が提供する(ほとんどの新しいビデオカメラが静止画撮影にも使用できるようになるまでの収束傾向があり、その逆もまた同様)。
【表1】
PTL情報は、VPS(この場合、PTL構造は1つ又は複数のOLSに適用される)又はSPS(この場合、PTL構造はそのSPSを指すレイヤー)に含めることができる構文構造を使用してシグナリングされる。これには、ビットストリームが準拠するPTLと、時間サブレイヤー表現の追加のPTLが含まれ、これらのそれぞれは、ビットストリームの自己完結型のサブセットである。
表1に示すようにVVC仕様で定義されているプロファイルに加えて、VVCでは、エンコーダがビットストリームのサブプロファイルへの準拠をシグナリングすることも可能にする。サブプロファイルは、既存の指定されたプロファイルにさらなる制限を課す、プロファイルと同様の相互運用性サブセットインジケーターである。このようなサブプロファイルは、VVC仕様の外で定義され、同じサブプロファイルコード値に対して複数の意味が定義されることを避けるために、Rec.ITU-T T.35で指定されているように登録された識別子コードを使用して示される。外部組織は、特定のアプリケーションのニーズを満たすのに十分であると考えられる独自のサブプロファイルを定義し得る。PTL構造内のサブプロファイルインジケーター構文要素により、ビットストリームがそのような外部で定義された制限に準拠することをビットストリーム内でシグナリングすることが可能になる。
2.3. VVC一般制約情報(GCI)
VVCでは、プロファイル、階層、レベル(PTL)情報に加えて、PTL構文構造は、オプションで一般制約情報(GCI)構文構造も含み得るが、これには、ビットストリームの特定の制約プロパティを示す制約フラグと非フラグ構文要素のリストが含まれる。存在する場合、0より大きいGCI構文要素値は、ビットストリームが特定の方式で制約されることを示し、通常は特定のコーディングツールがビットストリームで使用されないことを示す一方、値0は、関連する制約が適用され得ないことをシグナリングし、関連するコーディングツールがビットストリームで使用されることを許可(ただし、必須ではない)する(その使用が指示されたプロファイルでサポートされる場合)。
GCIには、以下を含むいくつかのタイプの制約構文要素が含まれる。
- イントラコーディングのみが使用されること、全てのレイヤーが独立してコード化されること、又はビットストリームに1つのAUのみが含まれることを示すなど、一般的なビットストリーム制限に対するフラグ、
- コード化されたピクチャのビット深度及びクロマフォーマットを制約するフィールド、
- 特定のNALユニットタイプがビットストリーム内に存在することが許可されないことを示すフラグ、
- ビットストリーム内でピクチャをスライス、タイル、及びサブピクチャに分割する方式を制約するフラグ、
- CTUのサイズ、並びにパーティショニングツリーのサイズ及びタイプを制限するフラグ、
- 特定のイントラコーディングツールの使用を制約するフラグ、
- 特定のインターコーディングツールの使用を制約するフラグ、
- 変換、量子化、及び残差コーディングツールを制約するフラグ、そして
- ループ内フィルタの側面を制約するフラグ。
GCI構文構造の目的は、ビットストリームの復号化に必要な機能に関する構成情報の簡単な発見を可能にすることと、PTLで指定されたものを超える制限を課す相互運用性ポイントを、以前のビデオコーディング規格で許可されているよりも細かい粒度でシグナリングすることを許可することである。サブプロファイルと同様に、GCI構文構造の使用は、VVCプロファイルの全ての機能をサポートするわけではないが、特定のアプリケーションのニーズに対処するデコーダ具現に対する相互運用性を定義することを可能にする。デコーダ具現では、復号化プロセスの構成方法を決定し、ビットストリームがデコーダによって復号化可能かどうかを識別するために、GCI構文要素を検査してビットストリームが特定の機能の使用を回避するかどうかを確認し得る。VVCプロファイルの全ての機能をサポートするデコーダ具現は、このようなデコーダが指示されたPTLに準拠する任意のビットストリームを復号化できるため、GCI構文要素値を無視できる。
セマンティクスがVVC仕様の外部で定義されるサブプロファイルインジケーターとは異なり、GCI構文要素のセマンティクスはVVC仕様内で定義される。サブプロファイルは、サブプロファイルがGCI構文要素の値に制約を課して、GCIと組み合わせて使用されることもできる。サブプロファイルインジケーターと一緒に、又はその代わりにGCIを使用することで、サブプロファイルインジケーターの意味がデコーダによって認識されない可能性を回避できる(サブプロファイルインジケーターの意味を公開する必要がないためである)。
GCI構文構造の構文は次のとおりである。
【表2】
GCI構文構造の構文では、最初の構文要素は、全てのGCI構文要素の存在、並びに将来のGCI構文要素のために予備されているビットをゲートするgci_present_flagである。
簡単にするために、gci_present_flag、gci_num_reserved_bits、gci_reserved_zero_bit[i]、及びgci_alignment_zero_bitを除く、GCI構文構造における全ての構文要素をGCI構文要素と呼ぶ。
いくつかのGCI構文構造のセマンティクスは次のとおりである。
gci_present_flagが1に等しい場合は、GCI構文要素がgeneral_constraints_info()構文構造内に存在することを指定する。gci_present_flagが0に等しい場合は、GCIフィールドがgeneral_constraints_info()構文構造に存在しないことを指定する。この句で指定されたGCI構文要素のセマンティクスは、gci_present_flagが1に等しい場合に適用される。gci_present_flagが0に等しい場合、general_constraint_info()構文構造は何の制約も課しない。
gci_intra_only_constraint_flagが1に等しい場合は、OlsInScopeにおける全てのスライスに対するsh_slice_typeが2に等しいことを指定する。gci_intra_only_constraint_flagが0に等しい場合、そのような制約は課されない。
...
2.4. VVC範囲拡張における一般制約情報(GCI)フラグ
VVC範囲拡張の開発中に、次の6つの新しいGCIフラグが追加された。
1) gci_all_rap_pictures_constraint_flag
2) gci_no_extended_precision_processing_constraint_flag
3) gci_no_ts_residual_coding_rice_constraint_flag
4) gci_no_rrc_rice_extension_constraint_flag
5) gci_no_persistent_rice_adaptation_constraint_flag
6) gci_no_reverse_last_sig_coeff_constraint_flag
(外1)
【表3】
簡単にするために、gci_present_flag、gci_num_additional_bits、gci_reserved_zero_bit[i]、及びgci_alignment_zero_bitを除く、更新されたGCI構文構造における全ての構文要素をGCI構文要素と呼ぶ。
GCI構文構造のセマンティクスへの変更は次のとおりである。
...
(外2)
gci_num_additional_bitsは、gci_alignment_zero_bit構文要素(存在する場合)以外の一般制約情報構文構造における追加のGCIビットの数を指定する。gci_num_additional_bitsの値は、この文書のこのバージョンに準拠するビットストリームでは0又は1に等しいものとする。gci_num_additional_bitsに対する1より大きい値は、ITU-T | ISO/IECによって将来の使用のために予備されている。この文書のこのバージョンでは、gci_num_additional_bitsの値が0又は1である必要があるが、この文書のこのバージョンに準拠するデコーダは、1より大きいgci_num_additional_bitsの値が構文に現れることを許可するものとし、gci_num_additional_bitsが1より大きい場合、全てのgci_reserved_zero_bit[i]構文要素の値を無視するものとする。
gci_all_rap_pictures_constraint_flagが1に等しい場合は、OlsInScopeにおける全てのピクチャが、ph_recovery_poc_cntが0に等しいGDRピクチャ又はIRAPピクチャであることを指定する。gci_all_rap_pictures_constraint_flagが0に等しい場合、そのような制約は課されない。
gci_no_extended_precision_processing_constraint_flagが1に等しい場合は、OlsInScopeにおける全てのピクチャに対するsps_extended_precision_flagが0に等しいものとすることを指定する。gci_no_extended_precision_processing_constraint_flagが0に等しい場合、そのような制約は課されない。
gci_no_ts_residual_coding_rice_constraint_flagが1に等しい場合は、OlsInScopeにおける全てのピクチャに対するsps_ts_residual_coding_rice_present_in_sh_flagが0に等しいものとすることを指定する。gci_no_ts_residual_coding_rice_constraint_flagが0に等しい場合、そのような制約は課されない。
gci_no_rrc_rice_extension_constraint_flagが1に等しい場合は、OlsInScopeにおける全てのピクチャに対するsps_rrc_rice_extension_flagが0に等しいものとすることを指定する。gci_no_rrc_rice_extension_constraint_flagが0に等しい場合、そのような制約は課されない。
gci_no_persistent_rice_adaptation_constraint_flagが1に等しい場合は、OlsInScopeにおける全てのピクチャに対するsps_persistent_rice_adaptation_enabled_flagが0に等しいものとすることを指定する。gci_no_persistent_rice_adaptation_constraint_flagが0に等しい場合、そのような制約は課されない。
gci_no_reverse_last_sig_coeff_constraint_flagが1に等しい場合は、OlsInScopeにおける全てのピクチャに対するsps_reverse_last_sig_coeff_enabled_flagが0に等しいものとすることを指定する。gci_no_reverse_last_sig_coeff_constraint_flagが0に等しい場合、そのような制約は課されない。
...
3. 問題点
gci_present_flagが0に等しい場合、新しい範囲拡張GCIフラグを含むGCI構文要素は存在しない。その場合、general_constraint_info()構文構造は何の制約も課しない。ただし、gci_present_flagが1に等しい場合、VVCエディション1で指定された全てのGCI構文要素は確実に存在するが、新しい範囲拡張GCIフラグは、gci_num_additional_bits(VVCエディション1では、gci_num_reserved_bitsである)が0より大きいかどうかに応じて、存在する場合又は存在しない場合がある。
gci_present_flagが1に等しく、gci_num_additional_bitsが0に等しい場合に問題が発生するが、この場合、新しい範囲拡張GCIフラグは存在しないが、その値は推論されないため、1に等しいフラグによって指定された制約が適用されるかどうかは不明である。
4. 詳細なソリューション
上記問題を解決するために、以下に要約するような方法が開示される。ソリューションは、一般的な概念を説明するための例として考慮されるべきであり、狭く解釈されるべきではない。さらに、これらのソリューションは個別に適用されることも、任意の方式で組み合わせて適用されることも可能である。
1) 一例では、gci_present_flagが1に等しく、gci_num_additional_bitsが0に等しい場合、6つの新しいVVC範囲拡張GCIフラグ(以下にリスト)のそれぞれの値が0に等しいと推論される。
a. gci_all_rap_pictures_constraint_flag
b. gci_no_extended_precision_processing_constraint_flag
c. gci_no_ts_residual_coding_rice_constraint_flag
d. gci_no_rrc_rice_extension_constraint_flag
e. gci_no_persistent_rice_adaptation_constraint_flag
f. gci_no_reverse_last_sig_coeff_constraint_flag
2) 代替的に、別の例では、6つの新しいVVC範囲拡張GCIフラグのそれぞれの値は、存在しない場合は常に0に等しいと推論される。
3) 代替的に、さらに別の例では、VVCエディション1及び6つの新しいVVC範囲拡張GCIフラグで指定されたものを含む全てのGCI構文要素のそれぞれの値は、存在しない場合は常に0に等しいと推論される。
5. 実施形態
(外3)
5.1. 実施形態1
この実施形態は、セクション4の項目1に対応する。
GCI構文構造のセマンティクスは次のとおりである。
gci_present_flag、gci_num_additional_bits、gci_reserved_zero_bit[i]、及びgci_alignment_zero_bitを除く、GCI構文構造における全ての構文要素は、GCI構文要素と呼ばれる。
(外4)
この句で指定されるgci_intra_only_constraint_flagからgci_no_virtual_boundaries_constraint_flagまでのGCI構文要素のセマンティクスは、gci_present_flagが1に等しい場合に適用される。gci_present_flagが0に等しい場合、general_constraint_info()構文構造は何の制約も課しない。
gci_intra_only_constraint_flagが1に等しい場合は、OlsInScopeにおける全てのスライスに対するsh_slice_typeが2に等しいものとすることを指定する。gci_intra_only_constraint_flagが0に等しい場合、そのような制約は課されない。
...
gci_sixteen_minus_max_bitdepth_constraint_idcが0より大きい場合は、OlsInScopeにおける全てのピクチャに対するsps_bitdepth_minus8に8を加えた値が0から16-gci_sixteen_minus_max_bitdepth_constraint_idcの範囲内にあるものとすることを指定する。gci_sixteen_minus_max_bitdepth_constraint_idcが0に等しい場合、そのような制約は課されない。gci_sixteen_minus_max_bitdepth_constraint_idcの値は、0から8の範囲内にあるものとする。
gci_three_minus_max_chroma_format_constraint_idcが0より大きい場合は、OlsInScopeにおける全てのピクチャに対するsps_chroma_format_idcが0から3-gci_three_minus_max_chroma_format_constraint_idcの範囲内にあるものとすることを指定する。gci_three_minus_max_chroma_format_constraint_idcが0に等しい場合、そのような制約は課されない。
...
gci_num_additional_bitsは、gci_alignment_zero_bit構文要素(存在する場合)以外の一般制約情報構文構造における追加のGCIビットの数を指定する。gci_num_additional_bitsの値は、この文書のこのバージョンに準拠するビットストリームでは0又は1に等しいものとする。gci_num_additional_bitsに対する1より大きい値は、ITU-T | ISO/IECによって将来の使用のために予備されている。この文書のこのバージョンでは、gci_num_additional_bitsの値が0又は1である必要があるが、この文書のこのバージョンに準拠するデコーダは、1より大きいgci_num_additional_bitsの値が構文に現れることを許可するものとし、gci_num_additional_bitsが1より大きい場合、全てのgci_reserved_zero_bit[i]構文要素の値を無視するものとする。
gci_all_rap_pictures_constraint_flagが1に等しい場合は、OlsInScopeにおける全てのピクチャが、ph_recovery_poc_cntが0に等しいGDRピクチャ又はIRAPピクチャであることを指定する。gci_all_rap_pictures_constraint_flagが0に等しい場合、そのような制約は課されない。gci_present_flagが1に等しく、gci_num_additional_bitsが0に等しい場合、gci_all_rap_pictures_constraint_flagの値は0に等しいと推論される。
gci_no_extended_precision_processing_constraint_flagが1に等しい場合は、OlsInScopeにおける全てのピクチャに対するsps_extended_precision_flagが0に等しいものとすることを指定する。gci_no_extended_precision_processing_constraint_flagが0に等しい場合、そのような制約は課されない。gci_present_flagが1に等しく、gci_num_additional_bitsが0に等しい場合、gci_no_extended_precision_processing_constraint_flagの値は0に等しいと推論される。
gci_no_ts_residual_coding_rice_constraint_flagが1に等しい場合は、OlsInScopeにおける全てのピクチャに対するsps_ts_residual_coding_rice_present_in_sh_flagが0に等しいものとすることを指定する。gci_no_ts_residual_coding_rice_constraint_flagが0に等しい場合、そのような制約は課されない。gci_present_flagが1に等しく、gci_num_additional_bitsが0に等しい場合、gci_no_ts_residual_coding_rice_constraint_flagの値は0に等しいと推論される。
gci_no_rrc_rice_extension_constraint_flagが1に等しい場合は、OlsInScopeにおける全てのピクチャに対するsps_rrc_rice_extension_flagが0に等しいものとすることを指定する。gci_no_rrc_rice_extension_constraint_flagが0に等しい場合、そのような制約は課されない。gci_present_flagが1に等しく、gci_num_additional_bitsが0に等しい場合、gci_no_rrc_rice_extension_constraint_flagの値は0に等しいと推論される。
gci_no_persistent_rice_adaptation_constraint_flagが1に等しい場合は、OlsInScopeにおける全てのピクチャに対するsps_persistent_rice_adaptation_enabled_flagが0に等しいものとすることを指定する。gci_no_persistent_rice_adaptation_constraint_flagが0に等しい場合、そのような制約は課されない。gci_present_flagが1に等しく、gci_num_additional_bitsが0に等しい場合、gci_no_persistent_rice_adaptation_constraint_flagの値は0に等しいと推論される。
gci_no_reverse_last_sig_coeff_constraint_flagが1に等しい場合は、OlsInScopeにおける全てのピクチャに対するsps_reverse_last_sig_coeff_enabled_flagが0に等しいものとすることを指定する。gci_no_reverse_last_sig_coeff_constraint_flagが0に等しい場合、そのような制約は課されない。gci_present_flagが1に等しく、gci_num_additional_bitsが0に等しい場合、gci_no_reverse_last_sig_coeff_constraint_flagの値は0に等しいと推論される。
...
5.2. 実施形態2
この実施形態は、セクション4の項目2に対応する。
GCI構文構造のセマンティクスは次のとおりである。
gci_present_flag、gci_num_additional_bits、gci_reserved_zero_bit[i]、及びgci_alignment_zero_bitを除く、GCI構文構造における全ての構文要素は、GCI構文要素と呼ばれる。
(外5)
この句で指定されるgci_intra_only_constraint_flagからgci_no_virtual_boundaries_constraint_flagまでのGCI構文要素のセマンティクスは、gci_present_flagが1に等しい場合に適用される。gci_present_flagが0に等しい場合、general_constraint_info()構文構造は何の制約も課しない。
gci_intra_only_constraint_flagが1に等しい場合は、OlsInScopeにおける全てのスライスに対するsh_slice_typeが2に等しいものとすることを指定する。gci_intra_only_constraint_flagが0に等しい場合、そのような制約は課されない。
...
gci_sixteen_minus_max_bitdepth_constraint_idcが0より大きい場合は、OlsInScopeにおける全てのピクチャに対するsps_bitdepth_minus8に8を加えた値が0から16-gci_sixteen_minus_max_bitdepth_constraint_idcの範囲内にあるものとすることを指定する。gci_sixteen_minus_max_bitdepth_constraint_idcが0に等しい場合、そのような制約は課されない。gci_sixteen_minus_max_bitdepth_constraint_idcの値は、0から8の範囲内にあるものとする。
gci_three_minus_max_chroma_format_constraint_idcが0より大きい場合は、OlsInScopeにおける全てのピクチャに対するsps_chroma_format_idcが0から3-gci_three_minus_max_chroma_format_constraint_idcの範囲内にあるものとすることを指定する。gci_three_minus_max_chroma_format_constraint_idcが0に等しい場合、そのような制約は課されない。
...
gci_num_additional_bitsは、gci_alignment_zero_bit構文要素(存在する場合)以外の一般制約情報構文構造における追加のGCIビットの数を指定する。gci_num_additional_bitsの値は、この文書のこのバージョンに準拠するビットストリームでは0又は1に等しいものとする。gci_num_additional_bitsに対する1より大きい値は、ITU-T | ISO/IECによって将来の使用のために予備されている。この文書のこのバージョンでは、gci_num_additional_bitsの値が0又は1である必要があるが、この文書のこのバージョンに準拠するデコーダは、1より大きいgci_num_additional_bitsの値が構文に現れることを許可するものとし、gci_num_additional_bitsが1より大きい場合、全てのgci_reserved_zero_bit[i]構文要素の値を無視するものとする。
gci_all_rap_pictures_constraint_flagが1に等しい場合は、OlsInScopeにおける全てのピクチャが、ph_recovery_poc_cntが0に等しいGDRピクチャ又はIRAPピクチャであることを指定する。gci_all_rap_pictures_constraint_flagが0に等しい場合、そのような制約は課されない。存在しない場合、gci_all_rap_pictures_constraint_flagの値は0に等しいと推論される。
gci_no_extended_precision_processing_constraint_flagが1に等しい場合は、OlsInScopeにおける全てのピクチャに対するsps_extended_precision_flagが0に等しいものとすることを指定する。gci_no_extended_precision_processing_constraint_flagが0に等しい場合、そのような制約は課されない。存在しない場合、gci_no_extended_precision_processing_constraint_flagの値は0に等しいと推論される。
gci_no_ts_residual_coding_rice_constraint_flagが1に等しい場合は、OlsInScopeにおける全てのピクチャに対するsps_ts_residual_coding_rice_present_in_sh_flagが0に等しいものとすることを指定する。gci_no_ts_residual_coding_rice_constraint_flagが0に等しい場合、そのような制約は課されない。存在しない場合、gci_no_ts_residual_coding_rice_constraint_flagの値は0に等しいと推論される。
gci_no_rrc_rice_extension_constraint_flagが1に等しい場合は、OlsInScopeにおける全てのピクチャに対するsps_rrc_rice_extension_flagが0に等しいものとすることを指定する。gci_no_rrc_rice_extension_constraint_flagが0に等しい場合、そのような制約は課されない。存在しない場合、gci_no_rrc_rice_extension_constraint_flagの値は0に等しいと推論される。
gci_no_persistent_rice_adaptation_constraint_flagが1に等しい場合は、OlsInScopeにおける全てのピクチャに対するsps_persistent_rice_adaptation_enabled_flagが0に等しいものとすることを指定する。gci_no_persistent_rice_adaptation_constraint_flagが0に等しい場合、そのような制約は課されない。存在しない場合、gci_no_persistent_rice_adaptation_constraint_flagの値は0に等しいと推論される。
gci_no_reverse_last_sig_coeff_constraint_flagが1に等しい場合は、OlsInScopeにおける全てのピクチャに対するsps_reverse_last_sig_coeff_enabled_flagが0に等しいものとすることを指定する。gci_no_reverse_last_sig_coeff_constraint_flagが0に等しい場合、そのような制約は課されない。存在しない場合、gci_no_reverse_last_sig_coeff_constraint_flagの値は0に等しいと推論される。
...
5.3. 実施形態3
この実施形態は、セクション4の項目3に対応する。
GCI構文構造のセマンティクスは次のとおりである。
gci_present_flag、gci_num_additional_bits、gci_reserved_zero_bit[i]、及びgci_alignment_zero_bitを除く、GCI構文構造における全ての構文要素は、GCI構文要素と呼ばれる。
GCI構文要素のいずれかが存在しない場合、そのGCI構文要素の値は0に等しいと推論される。
(外6)
この句で指定されたGCI構文要素のセマンティクスは、gci_present_flagが1に等しい場合に適用される。gci_present_flagが0に等しい場合、general_constraint_info()構文構造は何の制約も課しない。
gci_intra_only_constraint_flagが1に等しい場合は、OlsInScopeにおける全てのスライスに対するsh_slice_typeが2に等しいものとすることを指定する。gci_intra_only_constraint_flagが0に等しい場合、そのような制約は課されない。
...
gci_sixteen_minus_max_bitdepth_constraint_idcが0より大きい場合は、OlsInScopeにおける全てのピクチャに対するsps_bitdepth_minus8に8を加えた値が0から16-gci_sixteen_minus_max_bitdepth_constraint_idcの範囲内にあるものとすることを指定する。gci_sixteen_minus_max_bitdepth_constraint_idcが0に等しい場合、そのような制約は課されない。gci_sixteen_minus_max_bitdepth_constraint_idcの値は、0から8の範囲内にあるものとする。
gci_three_minus_max_chroma_format_constraint_idcが0より大きい場合、OlsInScopeにおける全てのピクチャに対するsps_chroma_format_idcが0から3-gci_three_minus_max_chroma_format_constraint_idcの範囲内にあるものとすることを指定する。gci_three_minus_max_chroma_format_constraint_idcが0に等しい場合、そのような制約は課されない。
...
gci_num_additional_bitsは、gci_alignment_zero_bit構文要素(存在する場合)以外の一般制約情報構文構造における追加のGCIビットの数を指定する。gci_num_additional_bitsの値は、この文書のこのバージョンに準拠するビットストリームでは0又は1に等しいものとする。gci_num_additional_bitsに対する1より大きい値は、ITU-T | ISO/IECによって将来の使用のために予備されている。この文書のこのバージョンでは、gci_num_additional_bitsの値が0又は1である必要があるが、この文書のこのバージョンに準拠するデコーダは、1より大きいgci_num_additional_bitsの値が構文に現れることを許可するものとし、gci_num_additional_bitsが1より大きい場合、全てのgci_reserved_zero_bit[i]構文要素の値を無視するものとする。
gci_all_rap_pictures_constraint_flagが1に等しい場合は、OlsInScopeにおける全てのピクチャが、ph_recovery_poc_cntが0に等しいGDRピクチャ又はIRAPピクチャであることを指定する。gci_all_rap_pictures_constraint_flagが0に等しい場合、そのような制約は課されない。
gci_no_extended_precision_processing_constraint_flagが1に等しい場合は、OlsInScopeにおける全てのピクチャに対するsps_extended_precision_flagが0に等しいものとすることを指定する。gci_no_extended_precision_processing_constraint_flagが0に等しい場合、そのような制約は課されない。
gci_no_ts_residual_coding_rice_constraint_flagが1に等しい場合は、OlsInScopeにおける全てのピクチャに対するsps_ts_residual_coding_rice_present_in_sh_flagが0に等しいものとすることを指定する。gci_no_ts_residual_coding_rice_constraint_flagが0に等しい場合、そのような制約は課されない。
gci_no_rrc_rice_extension_constraint_flagが1に等しい場合は、OlsInScopeにおける全てのピクチャに対するsps_rrc_rice_extension_flagが0に等しいものとすることを指定する。gci_no_rrc_rice_extension_constraint_flagが0に等しい場合、そのような制約は課されない。
gci_no_persistent_rice_adaptation_constraint_flagが1に等しい場合は、OlsInScopeにおける全てのピクチャに対するsps_persistent_rice_adaptation_enabled_flagが0に等しいものとすることを指定する。gci_no_persistent_rice_adaptation_constraint_flagが0に等しい場合、そのような制約は課されない。
gci_no_reverse_last_sig_coeff_constraint_flagが1に等しい場合は、OlsInScopeにおける全てのピクチャに対するsps_reverse_last_sig_coeff_enabled_flagが0に等しいものとすることを指定する。gci_no_reverse_last_sig_coeff_constraint_flagが0に等しい場合、そのような制約は課されない。
...
【0063】
本開示の実施形態は、VVC範囲拡張一般制約情報フラグのシグナリングに関する。
【0064】
図4は、本開示のいくつかの実施形態によるビデオ処理のための方法400のフローチャートを示す。図4に示すように、402では、ビデオの現在のビデオブロックとビデオのビットストリームとの間の転換が、ビデオの一般制約情報(GCI)に基づいて実行される。本明細書で使用されるように、用語「ブロック」は、コーディングツリーブロック(CTB)、コーディングツリーユニット(CTU)、コーディングブロック(CB)、コーディングユニット(CU)、予測ユニット(PU)、変換ユニット(TU)、予測ブロック(PB)、変換ブロック(TB)、多数のサンプル/ピクセルなどを含むビデオ処理ユニットを表し得る。ブロックは長方形又は非長方形であり得る。いくつかの実施形態では、転換は、現在のビデオブロックをビットストリームに符号化するステップを含み得る。さらに、又は代替的に、転換は、ビットストリームから現在のビデオブロックを復号化するステップを含み得る。
【0065】
GCIは、ビットストリームの特定の制約特性を示す。GCIは、次の構文要素からの1つ又は複数の構文要素を含む:(1)1つ又は複数の出力層セット(OLS)内の全てのピクチャがリカバリポイントピクチャ又はイントラランダムアクセスポイント(IRAP)ピクチャであるかどうかを示す第1の構文要素、(2)1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、スケーリング及び変換プロセス、及び構文要素abs_remaining及びdec_abs_levelの2値化に対して拡張ダイナミックレンジが使用されるかどうかを示す第2の構文要素、(3)1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、現在のスライスにおける構文構造residual_ts_codingに使用されるライスパラメータがシーケンスパラメータセット(SPS)を指す構文構造slice_headerに指示されるかどうかを示す第3の構文要素、(4)1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、構文要素abs_remaining及びdec_abs_levelの前記2値化に対して代替ライスパラメータ導出が使用されるかどうかを示す第4の構文要素、(5)1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、以前の変換ユニット(TU)から蓄積された統計を使用して各TUの開示時に構文要素abs_remaining及びdec_abs_levelの前記2値化のためのライスパラメータ導出が初期化されるかどうかを示す第5の構文要素、又は(6)1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、構文要素sh_reverse_last_sig_coeff_flagが前記SPSを指す構文構造slice_headerに存在するかどうかを示す第6の構文要素。上述の1つ又は複数の構文要素のそれぞれは、ビットストリームには存在せず、第1の所定値に等しい値を有する。一例では、第1の所定値は0に等しくてもよい。第1の所定値は1などの他の適切な値でもよいことを理解すべきである。本開示の範囲はこの点に限定されない。
【0066】
いくつかの実施形態では、第1の構文要素は、構文要素gci_all_rap_pictures_constraint_flagであり得、第2の構文要素は、構文要素gci_no_extended_precision_processing_constraint_flagであり得、第3の構文要素は、構文要素gci_no_ts_residual_coding_rice_constraint_flagであり得、第4の構文要素は構文要素gci_no_rrc_rice_extension_constraint_flagであり得、第5の構文要素は、構文要素gci_no_persistent_rice_adaptation_constraint_flagであり得、第6の構文要素は、構文要素gci_no_reverse_last_sig_coeff_constraint_flagであり得る。一例として、構文要素gci_all_rap_pictures_constraint_flagがビットストリームに存在しない場合、その値は0であると推論され得る。
【0067】
上記を踏まえて、6つのGCI構文要素のそれぞれの値は、ビットストリーム内に存在しない場合、所定値(例:0)に等しいと推論される。これらのGCI構文要素の値が推論されない従来の方案と比較して、提案方法は、これらのGCI構文要素がビットストリームに存在しない場合でもその値を取得できるため、ビデオ処理の均一なプロセスを確保し、コーディング効率を向上できるという利点がある。
【0068】
いくつかの実施形態では、GCIは、第7の構文要素と、第8の構文要素とをさらに含み得る。第7の構文要素は、GCI構文要素がGCIに対する構文構造に存在するかどうかを示し得る。第7の構文要素は、第2の所定値に等しい値を有し得る。第8の構文要素は、構文構造における構文要素gci_alignment_zero_bit以外の追加のGCIビットの数を示し得る。第8の構文要素は、第3の所定値に等しい値を有し得る。一例では、第7の構文要素は、構文要素gci_present_flagであり得、第8の構文要素は、構文要素gci_num_additional_bitsであり得る。さらに、第2の所定値は1であり得、第3の所定値は0であり得る。第2及び第3の所定値は他の適切な値であり得ることを理解すべきである。本開示の範囲はこの点に限定されない。
【0069】
代替的に、又はそれに加えて、GCIは、第1の構文要素、第2の構文要素、第3の構文要素、第4の構文要素、第5の構文要素及び第6の構文要素とは異なる第9の構文要素をさらに含み得る。第9の構文要素は、ビットストリームには存在せず、第1の所定値に等しい値を有し得る。例えば、第9の構文要素は、構文要素gci_intra_only_constraint_flag、構文要素gci_no_virtual_boundaries_constraint_flagなど、VVCエディション1で指定されたGCI構文要素の1つであり得る。構文要素gci_intra_only_constraint_flagがビットストリームに存在しない場合、その値は0であると推論され得る。上記の解説及び/又は例は、単に説明を目的として記載されていることを理解すべきである。本開示の範囲はこの点に限定されない。
【0070】
本発明の実施形態によれば、非一時的なコンピュータ可読記録媒体が提案される。ビデオのビットストリームは、前記非一時的なコンピュータ可読記録媒体に記憶される。前記ビットストリームは、ビデオ処理装置によって実行される方法によって生成され得る。前記方法によれば、ビデオの現在のビデオブロックとビデオのビットストリームとの間の転換が、ビデオの一般制約情報(GCI)に基づいて実行される。前記GCIは、1つ又は複数の出力層セット(OLS)内の全てのピクチャがリカバリポイントピクチャ又はイントラランダムアクセスポイント(IRAP)ピクチャであるかどうかを示す第1の構文要素、1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、スケーリング及び変換プロセス、及び構文要素abs_remaining及びdec_abs_levelの2値化に対して拡張ダイナミックレンジが使用されるかどうかを示す第2の構文要素、1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、現在のスライスにおける構文構造residual_ts_codingに使用されるライスパラメータがシーケンスパラメータセット(SPS)を指す構文構造slice_headerに指示されるかどうかを示す第3の構文要素、1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、構文要素abs_remaining及びdec_abs_levelの前記2値化に対して代替ライスパラメータ導出が使用されるかどうかを示す第4の構文要素、1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、以前の変換ユニット(TU)から蓄積された統計を使用して各TUの開示時に構文要素abs_remaining及びdec_abs_levelの前記2値化のためのライスパラメータ導出が初期化されるかどうかを示す第5の構文要素、又は1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、構文要素sh_reverse_last_sig_coeff_flagが前記SPSを指す構文構造slice_headerに存在するかどうかを示す第6の構文要素からの1つ又は複数の構文要素を含む。前記1つ又は複数の構文要素のそれぞれは前記ビットストリームには存在せず、第1の所定値に等しい値を有する。
【0071】
本発明の実施形態によれば、ビデオのビットストリームを記憶する方法が提案される。前記方法では、ビデオの現在のビデオブロックとビデオのビットストリームとの間の転換が、ビデオの一般制約情報(GCI)に基づいて実行され、前記ビットストリームは、非一時的なコンピュータ可読記録媒体に記憶される。前記GCIは、1つ又は複数の出力層セット(OLS)内の全てのピクチャがリカバリポイントピクチャ又はイントラランダムアクセスポイント(IRAP)ピクチャであるかどうかを示す第1の構文要素、1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、スケーリング及び変換プロセス、及び構文要素abs_remaining及びdec_abs_levelの2値化に対して拡張ダイナミックレンジが使用されるかどうかを示す第2の構文要素、1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、現在のスライスにおける構文構造residual_ts_codingに使用されるライスパラメータがシーケンスパラメータセット(SPS)を指す構文構造slice_headerに指示されるかどうかを示す第3の構文要素、1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、構文要素abs_remaining及びdec_abs_levelの前記2値化に対して代替ライスパラメータ導出が使用されるかどうかを示す第4の構文要素、1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、以前の変換ユニット(TU)から蓄積された統計を使用して各TUの開示時に構文要素abs_remaining及びdec_abs_levelの前記2値化のためのライスパラメータ導出が初期化されるかどうかを示す第5の構文要素、又は1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、構文要素sh_reverse_last_sig_coeff_flagが前記SPSを指す構文構造slice_headerに存在するかどうかを示す第6の構文要素からの1つ又は複数の構文要素を含む。前記1つ又は複数の構文要素のそれぞれは前記ビットストリームには存在せず、第1の所定値に等しい値を有する。
【0072】
本開示の具現は、以下の条項を考慮して説明することができ、その特徴は任意の合理的な方式で組み合わされ得る。
【0073】
条項1.ビデオ処理方法であって、ビデオの一般制約情報(GCI)に基づいて、前記ビデオの現在のビデオブロックと前記ビデオのビットストリームとの間の転換を実行するステップであって、前記GCIは、1つ又は複数の出力層セット(OLS)内の全てのピクチャがリカバリポイントピクチャ又はイントラランダムアクセスポイント(IRAP)ピクチャであるかどうかを示す第1の構文要素、1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、スケーリング及び変換プロセス、及び構文要素abs_remaining及びdec_abs_levelの2値化に対して拡張ダイナミックレンジが使用されるかどうかを示す第2の構文要素、1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、現在のスライスにおける構文構造residual_ts_codingに使用されるライスパラメータがシーケンスパラメータセット(SPS)を指す構文構造slice_headerに指示されるかどうかを示す第3の構文要素、1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、構文要素abs_remaining及びdec_abs_levelの前記2値化に対して代替ライスパラメータ導出が使用されるかどうかを示す第4の構文要素、1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、以前の変換ユニット(TU)から蓄積された統計を使用して各TUの開示時に構文要素abs_remaining及びdec_abs_levelの前記2値化のためのライスパラメータ導出が初期化されるかどうかを示す第5の構文要素、又は1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、構文要素sh_reverse_last_sig_coeff_flagが前記SPSを指す構文構造slice_headerに存在するかどうかを示す第6の構文要素からの1つ又は複数の構文要素を含むステップを含み、ここで、前記1つ又は複数の構文要素のそれぞれは前記ビットストリームには存在せず、第1の所定値に等しい値を有する方法。
【0074】
条項2.前記第1の所定値は0である、条項1に記載の方法。
【0075】
条項3.前記第1の構文要素は、構文要素gci_all_rap_pictures_constraint_flagであり、前記第2の構文要素は、構文要素gci_no_extended_precision_processing_constraint_flagであり、前記第3の構文要素は、構文要素gci_no_ts_residual_coding_rice_constraint_flagであり、前記第4の構文要素は、構文要素gci_no_rrc_rice_extension_constraint_flagであり、前記第5の構文要素は、構文要素gci_no_persistent_rice_adaptation_constraint_flagであり、前記第6の構文要素は、構文要素gci_no_reverse_last_sig_coeff_constraint_flagである、条項1から2のいずれか一項に記載の方法。
【0076】
条項4.前記GCIは、第7の構文要素と、第8の構文要素とをさらに含み、前記第7の構文要素は、GCI構文要素が前記GCIに対する構文構造に存在するかどうかを示し、前記第8の構文要素は、構文構造における構文要素gci_alignment_zero_bit以外の追加のGCIビットの数を示し、前記第7の構文要素は第2の所定値に等しい値を有し、前記第8の構文要素は第3の所定値に等しい値を有する、条項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【0077】
条項5.前記第7の構文要素は、構文要素gci_present_flagであり、前記第8の構文要素は、構文要素gci_num_additional_bitsであり、前記第2の所定値は1であり、前記第3の所定値は0である、条項4に記載の方法。
【0078】
条項6.前記GCIは、前記第1の構文要素、前記第2の構文要素、前記第3の構文要素、前記第4の構文要素、前記第5の構文要素及び前記第6の構文要素とは異なる第9の構文要素をさらに含み、前記第9の構文要素は前記ビットストリームには存在せず、前記第1の所定値に等しい値を有する、条項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【0079】
条項7.前記転換は、前記現在のビデオブロックを前記ビットストリームに符号化するステップを含む、条項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【0080】
条項8.前記転換は、前記ビットストリームから前記現在のビデオブロックを復号化するステップを含む、条項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【0081】
条項9.プロセッサと命令を備えた非一時的メモリとを含むビデオデータを処理する装置であって、前記命令は前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに条項1から8のいずれか一項に記載の方法を実行させる装置。
【0082】
条項10.プロセッサに条項1から8のいずれか一項に記載の方法を実行させる命令を記憶する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【0083】
条項11.ビデオ処理装置によって実行される方法によって生成されたビデオのビットストリームを記憶する非一時的なコンピュータ可読記録媒体であって、前記方法は、ビデオに対する一般制約情報(GCI)に基づいて、前記ビデオの現在のビデオブロックと前記ビデオのビットストリームとの間の転換を実行するステップであって、前記GCIは、1つ又は複数の出力層セット(OLS)内の全てのピクチャがリカバリポイントピクチャ又はイントラランダムアクセスポイント(IRAP)ピクチャであるかどうかを示す第1の構文要素、1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、スケーリング及び変換プロセス、及び構文要素abs_remaining及びdec_abs_levelの2値化に対して拡張ダイナミックレンジが使用されるかどうかを示す第2の構文要素、1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、現在のスライスにおける構文構造residual_ts_codingに使用されるライスパラメータがシーケンスパラメータセット(SPS)を指す構文構造slice_headerに指示されるかどうかを示す第3の構文要素、1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、構文要素abs_remaining及びdec_abs_levelの前記2値化に対して代替ライスパラメータ導出が使用されるかどうかを示す第4の構文要素、1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、以前の変換ユニット(TU)から蓄積された統計を使用して各TUの開示時に構文要素abs_remaining及びdec_abs_levelの前記2値化のためのライスパラメータ導出が初期化されるかどうかを示す第5の構文要素、又は1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、構文要素sh_reverse_last_sig_coeff_flagが前記SPSを指す構文構造slice_headerに存在するかどうかを示す第6の構文要素からの1つ又は複数の構文要素を含むステップを含み、ここで、前記1つ又は複数の構文要素のそれぞれは前記ビットストリームには存在せず、第1の所定値に等しい値を有する、非一時的なコンピュータ可読記録媒体。
【0084】
条項12.ビデオのビットストリームを記憶する方法であって、ビデオに対する一般制約情報(GCI)に基づいて、前記ビデオの現在のビデオブロックと前記ビデオのビットストリームとの間の転換を実行するステップであって、前記GCIは、1つ又は複数の出力層セット(OLS)内の全てのピクチャがリカバリポイントピクチャ又はイントラランダムアクセスポイント(IRAP)ピクチャであるかどうかを示す第1の構文要素、1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、スケーリング及び変換プロセス、及び構文要素abs_remaining及びdec_abs_levelの2値化に対して拡張ダイナミックレンジが使用されるかどうかを示す第2の構文要素、1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、現在のスライスにおける構文構造residual_ts_codingに使用されるライスパラメータがシーケンスパラメータセット(SPS)を指す構文構造slice_headerに指示されるかどうかを示す第3の構文要素、1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、構文要素abs_remaining及びdec_abs_levelの前記2値化に対して代替ライスパラメータ導出が使用されるかどうかを示す第4の構文要素、1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、以前の変換ユニット(TU)から蓄積された統計を使用して各TUの開示時に構文要素abs_remaining及びdec_abs_levelの前記2値化のためのライスパラメータ導出が初期化されるかどうかを示す第5の構文要素、又は1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、構文要素sh_reverse_last_sig_coeff_flagが前記SPSを指す構文構造slice_headerに存在するかどうかを示す第6の構文要素からの1つ又は複数の構文要素を含むステップと、前記ビットストリームを非一時的なコンピュータ可読記録媒体に記憶するステップとを含み、ここで、前記1つ又は複数の構文要素のそれぞれは前記ビットストリームには存在せず、第1の所定値に等しい値を有する方法。
【0085】
例示的なデバイス
【0086】
図5は、本開示の様々な実施形態を具現できるコンピューティングデバイス500のブロック図を示す。コンピューティングデバイス500は、ソースデバイス110(或いは、ビデオエンコーダ114又は200)又は宛先デバイス120(或いはビデオデコーダ124又は300)として具現されるか、又はそれに含まれ得る。
【0087】
図5に示されるコンピューティングデバイス500は、単に解説を目的としたものであり、本開示の実施形態の機能及び範囲をいかなる形でも制限することを示唆するものではないことが理解されるだろう。
【0088】
図5に示すように、コンピューティングデバイス500は、汎用コンピューティングデバイス500を含む。コンピューティングデバイス500は、少なくとも1つ又は複数のプロセッサ又は処理ユニット510と、メモリ520と、記憶ユニット530と、1つ又は複数の通信ユニット540と、1つ又は複数の入力デバイス550と、1つ又は複数の出力デバイス560とを含み得る。
【0089】
いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス500は、コンピューティング能力を有する任意のユーザ端末又はサーバ端末として具現され得る。前記サーバ端末は、サービスプロバイダが提供するサーバや大規模コンピューティングデバイスなどであり得る。前記ユーザ端末は、例えば、携帯電話、ステーション、ユニット、デバイス、マルチメディアコンピュータ、マルチメディアタブレット、インターネットノード、コミュニケータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ、ネットブックコンピュータ、タブレットコンピュータ、パーソナルコミュニケーションシステム(PCS)デバイス、パーソナルナビゲーションデバイス、携帯情報端末(PDA)、オーディオ/ビデオプレーヤー、デジタルカメラ/ビデオカメラ、測位デバイス、テレビ受信機、ラジオ放送受信機、電子ブックデバイス、ゲームデバイス、又はそれらの任意の組み合わせ(これらのデバイスのアクセサリ及び周辺機器、又はそれらの任意の組み合わせを含む)を含む、任意のタイプの移動端末、固定端末、又は携帯端末であり得る。コンピューティングデバイス500は、ユーザに対する任意のタイプのインターフェース(「ウェアラブル」回路など)をサポートできることが考えられる。
【0090】
処理ユニット510は、物理又は仮想プロセッサであり得、メモリ520に記憶されたプログラムに基づいて様々なプロセスを具現することができる。マルチプロセッサシステムでは、コンピューティングデバイス500の並列処理能力を向上させるために、複数の処理ユニットがコンピュータ実行可能命令を並列に実行する。処理ユニット510は、中央処理ユニット(CPU)、マイクロプロセッサ、コントローラ又はマイクロコントローラと呼ばれても良い。
【0091】
コンピューティングデバイス500は、通常、様々なコンピュータ記憶媒体を含む。このような媒体は、揮発性及び不揮発性媒体、又は取り外し可能及び取り外し不可能な媒体を含むがこれらに限定されない、コンピューティングデバイス500によってアクセス可能な任意の媒体であり得る。メモリ520は、揮発性メモリ(例えば、レジスタ、キャッシュ、ランダムアクセスメモリ(RAM))、不揮発性メモリ(例えば、読み取り専用メモリ(ROM)、電気的に消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ)、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。記憶ユニット530は、任意の取り外し可能又は取り外し不可能な媒体であり得、情報及び/又はデータを記憶するために使用でき、コンピューティングデバイス500でアクセスできる、メモリ、フラッシュメモリドライブ、磁気ディスク又は別の他の媒体などの機械可読媒体を含み得る。
【0092】
コンピューティングデバイス500は、追加の取り外し可能/取り外し不可能、揮発性/不揮発性メモリ媒体をさらに含み得る。なお、図5には示していないが、着脱可能な不揮発性磁気ディスクの読み書きを行う磁気ディスクドライブや、着脱可能な不揮発性光ディスクの読み書きを行う光ディスクドライブを提供することが可能である。このような場合、各ドライブは、1つ又は複数のデータ媒体インターフェースを介してバス(図示せず)に接続され得る。
【0093】
通信ユニット540は、通信媒体を介してさらなるコンピューティングデバイスと通信する。さらに、コンピューティングデバイス500内のコンポーネントの機能は、通信接続を介して通信できる単一のコンピューティングクラスタ又は複数のコンピューティングマシンによって具現され得る。したがって、コンピューティングデバイス500は、1つ又は複数の他のサーバ、ネットワーク化されたパーソナルコンピュータ(PC)、又はさらなる一般的なネットワークノードとの論理接続を使用して、ネットワーク化された環境で動作することができる。
【0094】
入力デバイス550は、マウス、キーボード、トラッキングボール、音声入力デバイスなどの様々な入力デバイスのうちの1つ又は複数であり得る。出力デバイス560は、ディスプレイ、ラウドスピーカ、プリンタなどの様々な出力デバイスのうちの1つ又は複数であり得る。通信ユニット540によって、コンピューティングデバイス500は、記憶デバイス及び表示デバイスなどの1つ又は複数の外部デバイス(図示せず)とさらに通信することができ、1つ又は複数のデバイスにより、ユーザがコンピューティングデバイス500と対話可能にするか、又は、必要に応じて、任意のデバイス(ネットワークカード、モデムなど)により、コンピューティングデバイス500が1つ又は複数の他のコンピューティングデバイスと通信可能にする。このような通信は、入力/出力(I/O)インターフェース(図示せず)を介して実行され得る。
【0095】
いくつかの実施形態では、単一のデバイスに統合される代わりに、コンピューティングデバイス500のいくつかの又は全てのコンポーネントがクラウドコンピューティングアーキテクチャに配置され得る。クラウドコンピューティングアーキテクチャでは、コンポーネントは遠隔的に提供され、連携して本開示で説明される機能を実施し得る。いくつかの実施形態では、クラウドコンピューティングは、コンピューティング、ソフトウェア、データアクセス及びストレージサービスを提供し、これらのサービスを提供するシステム又はハードウェアの物理的な位置又は構成をエンドユーザが認識する必要はない。様々な実施形態において、クラウドコンピューティングは、適切なプロトコルを使用して広域ネットワーク(インターネットなど)を介してサービスを提供する。例えば、クラウドコンピューティングプロバイダーは、Webブラウザ又はその他のコンピューティングコンポーネントを通じてアクセスできる広域ネットワーク経由でアプリケーションを提供する。クラウドコンピューティングアーキテクチャのソフトウェア又はコンポーネント及び対応するデータは、遠隔地にあるサーバに保存され得る。クラウドコンピューティング環境におけるコンピューティングリソースは、リモートデータセンターの場所に併合又は分散され得る。クラウドコンピューティングインフラストラクチャは、ユーザにとって単一のアクセスポイントとして動作するが、共有データセンターを通じてサービスを提供し得る。したがって、クラウドコンピューティングアーキテクチャを使用して、本明細書で説明されるコンポーネント及び機能を遠隔地にあるサービスプロバイダから提供し得る。代替的に、それらは従来のサーバから提供されるか、又はクライアントデバイスに直接又はその他の方法でインストールされ得る。
【0096】
コンピューティングデバイス500は、本開示の実施形態においてビデオ符号化/復号化化を具現するために使用され得る。メモリ520は、1つ又は複数のプログラム命令を有する1つ又は複数のビデオ符号化モジュール525を含み得る。これらのモジュールは、本明細書で説明される様々な実施形態の機能を実行するように、処理ユニット510によってアクセス可能かつ実行可能である。
【0097】
ビデオ符号化を実行する例示的な実施形態では、入力デバイス550は、符号化されるビデオデータを入力570として受信し得る。ビデオデータは、例えば、ビデオコーディングモジュール525によって処理されて、符号化されたビットストリームを生成し得る。符号化されたビットストリームは、出力デバイス560を介して出力580として提供され得る。
【0098】
ビデオ復号化を実行する例示的な実施形態では、入力デバイス550は、符号化されたビットストリームを入力570として受信し得る。符号化されたビットストリームは、例えば、ビデオコーディングモジュール525によって処理されて、復号化されたビデオデータを生成し得る。復号化されたビデオデータは、出力デバイス560を介して出力580として提供され得る。
【0099】
本開示は、その好ましい実施形態を参照して特に図示及び説明されたが、添付の特許請求の範囲によって定義される本出願の精神及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細における様々な変更を行うことができることが当業者には理解されるであろう。このような変形は、本出願の範囲に含まれるものとする。したがって、本出願の実施形態に関する前述の説明は限定することを意図したものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-05-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビデオ処理方法であって、
ビデオに対する一般制約情報(GCI)に基づいて、前記ビデオの現在のビデオブロックと前記ビデオのビットストリームとの間の転換を実行するステップであって
前記GCIは、
1つ又は複数の出力層セット(OLS)内の全てのピクチャがリカバリポイントピクチャ又はイントラランダムアクセスポイント(IRAP)ピクチャであるかどうかを示す第1の構文要素、
1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、スケーリング及び変換プロセス、及び構文要素abs_remaining及びdec_abs_levelの2値化に対して拡張ダイナミックレンジが使用されるかどうかを示す第2の構文要素、
1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、現在のスライスにおける構文構造residual_ts_codingに使用されるライスパラメータが、シーケンスパラメータセット(SPS)を指す構文構造slice_headerに指示されるかどうかを示す第3の構文要素、
1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、構文要素abs_remaining及びdec_abs_levelの前記2値化に対して代替ライスパラメータ導出が使用されるかどうかを示す第4の構文要素、
1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、以前の変換ユニット(TU)から蓄積された統計を使用して各TUの開示時に、構文要素abs_remaining及びdec_abs_levelの前記2値化のためのライスパラメータ導出が初期化されるかどうかを示す第5の構文要素、又は
1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、構文要素sh_reverse_last_sig_coeff_flagが、前記SPSを指す構文構造slice_headerに存在するかどうかを示す第6の構文要素からの1つ又は複数の構文要素によって示される情報を含むステップを含み、
記1つ又は複数の構文要素のうちの少なくとも1つの構文要素が前記ビットストリームに存在しない場合前記少なくとも1つの構文要素のそれぞれの値は、第1の所定値に等し、方法。
【請求項2】
前記第1の所定値は0である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の構文要素は、構文要素gci_all_rap_pictures_constraint_flagであり、
前記第2の構文要素は、構文要素gci_no_extended_precision_processing_constraint_flagであり、
前記第3の構文要素は、構文要素gci_no_ts_residual_coding_rice_constraint_flagであり、
前記第4の構文要素は、構文要素gci_no_rrc_rice_extension_constraint_flagであり、
前記第5の構文要素は、構文要素gci_no_persistent_rice_adaptation_constraint_flagであり、
前記第6の構文要素は、構文要素gci_no_reverse_last_sig_coeff_constraint_flagである、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記GCIは、第7の構文要素及び第8の構文要素によって示される情報をさらに含み、前記第7の構文要素は、GCI構文要素が前記GCIに対する構文構造に存在するかどうかを示し、前記第8の構文要素は、構文構造における構文要素gci_alignment_zero_bit以外の追加のGCIビットの数を示し、前記第7の構文要素第2の所定値に等しい値を有し、前記第8の構文要素第3の所定値に等しい値を有する場合前記1つ又は複数の構文要素のそれぞれの値は、前記第1の所定値に等しい、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記第7の構文要素は、構文要素gci_present_flagであり、前記第8の構文要素は、構文要素gci_num_additional_bitsであり、前記第2の所定値は1であり、前記第3の所定値は0である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記GCIは、前記第1の構文要素、前記第2の構文要素、前記第3の構文要素、前記第4の構文要素、前記第5の構文要素及び前記第6の構文要素とは異なる第9の構文要素によって示される情報をさらに含み、前記第9の構文要素前記ビットストリームに存在しない場合前記第9の構文要素の値は、前記第1の所定値に等し、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記転換は、前記現在のビデオブロックを前記ビットストリームに符号化するステップを含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記転換は、前記ビットストリームから前記現在のビデオブロックを復号化するステップを含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
プロセッサと命令を備えた非一時的メモリとを含むビデオデータを処理する装置であって、
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに請求項1から8のいずれか一項に記載の方法を実行させる、装置。
【請求項10】
プロセッサに請求項1から8のいずれか一項に記載の方法を実行させる命令を記憶する、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項11】
ビデオのビットストリームを記憶する方法であって、
ビデオに対する一般制約情報(GCI)に基づいて、前記ビデオの現在のビデオブロックと前記ビデオのビットストリームとの間の転換を実行するステップであって、
前記GCIは、
1つ又は複数の出力層セット(OLS)内の全てのピクチャが、リカバリポイントピクチャ又はイントラランダムアクセスポイント(IRAP)ピクチャであるかどうかを示す第1の構文要素、
1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、スケーリング及び変換プロセス、及び構文要素abs_remaining及びdec_abs_levelの2値化に対して拡張ダイナミックレンジが使用されるかどうかを示す第2の構文要素、
1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、現在のスライスにおける構文構造residual_ts_codingに使用されるライスパラメータが、シーケンスパラメータセット(SPS)を指す構文構造slice_headerに指示されるかどうかを示す第3の構文要素、
1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、構文要素abs_remaining及びdec_abs_levelの前記2値化に対して代替ライスパラメータ導出が使用されるかどうかを示す第4の構文要素、
1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、以前の変換ユニット(TU)から蓄積された統計を使用して各TUの開示時に、構文要素abs_remaining及びdec_abs_levelの前記2値化のためのライスパラメータ導出が初期化されるかどうかを示す第5の構文要素、又は
1つ又は複数のOLS内の全てのピクチャに対して、構文要素sh_reverse_last_sig_coeff_flagが、前記SPSを指す構文構造slice_headerに存在するかどうかを示す第6の構文要素からの1つ又は複数の構文要素によって示される情報を含むステップと、
前記ビットストリームを非一時的なコンピュータ可読記録媒体に記憶するステップとを含み、
記1つ又は複数の構文要素のうちの少なくとも1つの構文要素が前記ビットストリームに存在しない場合前記少なくとも1つの構文要素のそれぞれの値は、第1の所定値に等し、方法。
【国際調査報告】