(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-22
(54)【発明の名称】カーボネートの製造方法
(51)【国際特許分類】
C07C 68/08 20060101AFI20241015BHJP
C07C 68/06 20200101ALI20241015BHJP
【FI】
C07C68/08
C07C68/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529684
(86)(22)【出願日】2022-11-23
(85)【翻訳文提出日】2024-05-17
(86)【国際出願番号】 KR2022018580
(87)【国際公開番号】W WO2023096332
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】10-2021-0167000
(32)【優先日】2021-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511123485
【氏名又は名称】ロッテ ケミカル コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、ワン ギュ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジン ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ペク、ミ ファ
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ジョン ミョン
(72)【発明者】
【氏名】ハン、ウ ネ
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AC48
4H006AD11
4H006BA69
4H006BA83
4H006BD84
(57)【要約】
本発明は、カーボネートの製造方法に関する。本発明の方法によれば、カーボネートの製造工程、具体的には精製工程にて発生するカラムの目詰まりを抑制することができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒の存在下でジメチルカーボネートおよびエタノールを含む原料混合物にエステル交換反応を誘導して、エチルメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートを含む生成物を製造する、第1段階と、
前記生成物を蒸留塔で蒸留し、蒸留塔の塔頂ストリームと蒸留塔の塔底ストリームを得る、第2段階と、
前記蒸留塔の塔底ストリームを濾過する、第3段階を含み、
前記蒸留塔の塔底ストリームは、平均粒径(D50)1μm超である触媒を含む、
カーボネートの製造方法。
【請求項2】
前記第2段階において、前記生成物の滞留時間は20分~120分の範囲内のものである、
請求項1に記載のカーボネートの製造方法。
【請求項3】
前記第2段階にて得られた前記蒸留塔の塔頂ストリームと前記第3段階にて濾過した前記蒸留塔の塔底ストリームを合わせて精製する、第4段階をさらに含むものである、
請求項1に記載のカーボネートの製造方法。
【請求項4】
前記触媒は、ナトリウムメトキシド、ナトリウムヒドロキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムヒドロキシド、カリウムエトキシド、またはこれらの組み合わせを含むものである、
請求項1に記載のカーボネートの製造方法。
【請求項5】
前記第1段階は、連続撹拌槽型反応器にて進められるものである、
請求項1に記載のカーボネートの製造方法。
【請求項6】
前記第2段階において、蒸留は80℃~100℃の範囲内の温度で進められるものである、
請求項2に記載のカーボネートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボネートの製造方法に関する。具体的には、本発明は、カーボネート生成反応にて用いられた触媒を効率的に除去する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリ電解液の有機溶媒としては、主にエチルメチルカーボネート(以下、「EMC」という)とジエチルカーボネート(以下、「DEC」という)が用いられる。EMCとDECは、ジメチルカーボネート(以下、「DMC」という)とエタノール(以下、「EtOH」という)のトランスエステル化反応(エステル交換反応)により製造される。該反応は、可逆反応でもある。また、触媒の存在下で当該反応を行うことができる。この触媒としては、主にナトリウムメトキシド(以下、「SME」という)が用いられる。以下の反応式1は当該反応式である(ここで、MeOHは、メタノールである)。:
【化1】
【0003】
SMEは、カーボネート系化合物に対する溶解度が低い。すなわち、SMEは反応物であるDMCおよび生成物であるEMCとDECに対する溶解度が低い。そのため、それを別途に抽出しなければ、SMEは工程不良の原因として作用する。よって、前記反応の生成物ストリームを精製する前に、前記ストリームが含むSMEを効率的に除去する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、カーボネートの製造工程、具体的にはカーボネートの精製工程にて発生するカラムの目詰まり(column plugging、固体成分により管などが詰まる現象)を抑制することができる方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のカーボネートの製造方法は、触媒の存在下でジメチルカーボネートおよびエタノールを含む原料混合物にエステル交換反応を誘導して、エチルメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートを含む生成物を製造する、第1段階と、前記生成物を蒸留塔にて蒸留し、蒸留塔の塔頂ストリームと蒸留塔の塔底ストリームを得る、第2段階と、前記蒸留塔の塔底ストリームを濾過する、第3段階を含み、前記蒸留塔の塔底ストリームは、平均粒径(D50)1μm超である触媒を含むものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の方法によれば、カーボネート系の製造工程、具体的には前記カーボネートの精製工程にて発生するカラムの目詰まりを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】実施例の方法にて抽出した触媒の粒度分布である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付された図面を参照して本発明をより詳しく説明する。
【0009】
前記の反応式1による反応を行うと、反応生成物溶液は生成物であるEMC、DECおよびMeOHと未反応反応物であるDMCおよびEtOHを含む。また、前記生成物溶液は、前記反応に用いられた触媒もまた含む。さらに、当該反応の触媒として適用するSMEは、上述したように反応生成物ストリームの主成分であるカーボネートに対する溶解度が低い。そのため、触媒を除去することなく前記反応生成物を精製工程に投入すると、触媒が精製工程の不良の原因として作用する。
【0010】
本発明は、フィルターなどの濾過装置を用いて前記反応生成物から触媒を除去しようとするものであり、さらにはこの触媒を汎用フィルターでも容易に除去できるようにするものである。
【0011】
本発明の方法は、少なくとも3段階で進められる。また、
図1は、本発明の方法を進める工程のフローチャートである。
【0012】
本発明の方法は、触媒の存在下でジメチルカーボネートおよびエタノールを含む原料混合物にエステル交換反応を誘導して、エチルメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートを含む生成物を製造する。本過程は前記
図1のように進められる。具体的には、DMCとEtOHは、触媒の存在下でエステル交換反応(transesterification)を通じてEMC、DECおよびMeOHを生成する。
【0013】
一具現例では、前記原料中の反応物の混合割合で反応物であるDMCの転化率、生成物であるEMCおよびDECの選択性などを制御することができる。すなわち、原料組成を調節して特定の目的生成物の選択性もまた増加させることができる。ここで、選択性は、目的生成物量の全生成物量に対する割合を意味することができる。具体的には、EMCの選択性は、EMCとDECの総和に対するEMCの割合を意味する。また、DECの選択性は、EMCとDECの総和に対するDECの割合を意味する。
【0014】
一方、EMCとDECの市場予測資料では、今後EMCの需要がDECに対して約5倍以上高いと言われている。これを考慮すると、同じ原料を用いたとき、高い選択性のEMCを製造することが有利である。一具現例では、前記原料混合物は、DMCとEtOHを0.5~8.0の範囲内のモル比(EtOH/DMC)で含むことができる。
【0015】
上述したように、前記反応式1に記載された式による反応は、エステル交換反応である。本明細書において、反応を誘導するということは、原料の温度および圧力などの条件を適宜調節して、原料中に含まれた成分が反応するように誘導することを意味する。本発明では、前記反応を誘導するための条件を適切に調節することができる。例えば、本発明では反応温度を適切に制御したり、投入した触媒の含有量を適切に制御したりして迅速に反応を誘導してみることができる。ただし、これは最終反応生成物の組成には大きく影響を与えない。最終反応生成物の組成には、原料中の反応物の組成が大きな影響を及ぼし得る。
【0016】
一具現例では、本発明は、前記第1段階を特定の反応器で進めることができる。例えば、本発明は、前記第1段階を連続撹拌槽型反応器(CSTR)で進めることができる。CSTRを用いると原料組成を調節し易い。原料組成を調節し易いため、生成物の組成もまた目的とする水準まで容易に制御することができる。上述したように、反応物の組成、触媒の投入量および反応温度の中から、触媒投入量と反応温度は生成物の組成に大きく影響を及ぼさないからである。
【0017】
また、本発明は、前記第1段階を触媒の存在下で進められる。一具現例では、前記触媒は酸性触媒または塩基性触媒であってもよく、塩基性触媒であるのがより適している。具体的には、前記塩基性触媒は、ナトリウムメトキシド、ナトリウムヒドロキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムヒドロキシド、カリウムエトキシド、またはこれらの組み合わせを含むことができる。より具体的には、前記塩基性触媒はナトリウムメトキシドであってもよい。SME触媒は、DMCとEtOHのエステル交換反応を促進することに適している。
【0018】
一具現例では、前記触媒の適用量もまた調節することができる。ただし、本発明の反応では、触媒適用量を増加させてもその反応速度にのみ影響を及ぼすだけで、最終生成物の組成には大きな影響を及ぼさない。
【0019】
反応生成物から目的生成物を精製する過程を経て、目的生成物を得ることができる。このとき、別途の処理なしに前記反応生成物を、例えば、精製カラム等の装置に投入すると、精製工程が円滑に進められない場合がある。前記反応生成物が含む触媒のせいである。反応生成物を精製する前に触媒は除去されなければならない。
【0020】
通常固体形態で存在する触媒を除去する方式としては、触媒よりも小さな気孔を有するため、液体は通過させて、触媒はろ過する濾過方式を適用することができる。
【0021】
カーボネート系化合物(DMC、EMC、DECなど)は、本発明にて適用する触媒(SMEなど)を良好に溶解させることができない。しかし、アルコールは前記触媒を良好に溶解させる。前記の反応式から確認できるように、前記反応生成物は、アルコール(MeOHと未反応物であるEtOH)を含むこともできる。したがって、前記反応器から流出された生成物は、アルコールにより前記触媒を溶解させた状態で含むことができる。この場合、フィルター等の濾過方式で触媒を除去することは容易ではない。
【0022】
より小さな気孔の大きさを有することによりろ過性能に優れたフィルターなどを導入すれば、非常に小さな大きさを有する触媒もろ過することができる。しかし、気孔の大きさが小さければ、工程で流れる流体の流れが円滑でないため、運転圧力が増加し、運転圧力の増加に伴って工程コストも増加することになる。また、フィルターはほとんどが消耗品であるため、相対的に高価なフィルターを定期的に交換することも難しい。
【0023】
したがって、並みの性能のフィルターでも触媒を濾過し易くさせる必要がある。また、これは生成物ストリームに存在する触媒の大きさを増加させれば良い。本発明では、前記反応生成物を濾過させる前に追加の工程をさらに進める。具体的には、本発明の方法は、第2段階において、前記生成物を蒸留塔で蒸留し、蒸留塔の塔頂ストリームと蒸留塔の塔底ストリームを得る。具体的には、本発明の方法は、前記第2段階において、前記生成物を蒸留塔に供給し、前記生成物を蒸留し、蒸留塔の塔頂ストリームと蒸留塔の塔底ストリームを得る。
【0024】
蒸留の結果、前記蒸留塔が流出する塔頂ストリームは、相対的に沸点の低い成分を主に含み、前記蒸留塔が流出する塔底ストリームは、相対的に沸点の高い成分を主に含む。蒸留工程は、気-気混合物、液-液混合物または気-液混合物の分離に該当するため、触媒は蒸留塔の塔底に堆積するはずである。すなわち、蒸留塔の塔底ストリームが触媒を含む。ここで、反応生成物中に存在する触媒粒子が適当な大きさで凝集(aggregation)することができる。
【0025】
濾過に用いるフィルターの気孔の平均の大きさは、通常1μm内外である。したがって、前記第2段階は、前記蒸留塔の塔底ストリーム中における触媒の平均粒径が1μm超になるように進められる。ここで平均粒径はD50粒径を意味することができる。蒸留を経ない反応生成物に存在する触媒が形成した粒子の大きさはこれよりも小さいため、フィルターでは濾過されにくい。また、蒸留を通じてこのように形成された粒子の大きさが小さくても同じである。すなわち、前記蒸留塔の塔底ストリームは、平均粒径(D50)1μm超である触媒を含む。
【0026】
凝集する触媒の大きさを設定する方法は色々とあり得る。本発明では、そのうちの1つとして、蒸留対象物質である反応生成物ストリームが前記蒸留塔で滞留する時間を調節することができる。すなわち、蒸留対象である前記反応生成物ストリームが蒸留塔に滞留する時間が長いほど凝集する触媒の粒子の大きさが大きくなり得る。
【0027】
一具現例では、前記第2段階において、前記生成物の滞留時間は20分~120分の範囲内であってもよい。前記範囲内で所望の流出液中の触媒の平均粒径を達成することができる。滞留時間が長すぎると、その分だけ蒸留塔の大きさが増加し、工程コストの負担が大きくなるため、適切な滞留時間を確保することが重要である。
【0028】
本明細書において、蒸留塔での滞留時間は、蒸留塔に供給した反応生成物の温度が80℃に達した時点から前記蒸留塔の塔底ストリームが流出される時点までの時間を意味することができる。
一具現例では、前記第2段階において、蒸留を80℃~100℃の範囲内の温度で進めることができる。前記温度範囲で前記蒸留塔の塔底ストリームに含まれるアルコールの含有量を最小限に抑えることができる。
【0029】
蒸留が完了した反応生成物を精製する前に触媒を濾過しなければ精製工程の不良を防止することができない。したがって、本発明の方法は、前記第3段階において、前記蒸留塔の塔底ストリームを濾過する。濾過は公知のフィルターを用いて進めることができる。このようなフィルターとしては、物理的フィルターを適用することができる。物理的フィルターとしては、Metal Filter、Metal Sintering Filter、Metal Powder Filter、Paper Filter、PTFE Filter、およびMetal Strainerなどが挙げられる。本発明は、フィルターの種類を限定するものではない。
【0030】
一具現例では、第3段階において、濾過したストリームを精製することができる。また、蒸留塔から流出した塔頂ストリームも高沸点成分を少量含むことができる。したがって、本発明の方法は、第4段階をさらに含むことができ、前記第4段階において、前記第2段階にて得られた前記蒸留塔の塔頂ストリーム、および前記第3段階にて濾過した前記蒸留塔の塔底ストリームを精製することができる。その結果、目的生成物を高純度で得ることができる。精製方式も特に制限されず、公知の蒸留塔等を用いて精製工程を進めることができる。
【0031】
本発明の方法は、前記の内容の外にも、本発明にて述べる反応の生成物を得るための公知の方法を全部さらに含むことができる。
【実施例】
【0032】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明する。ただし、以下の実施例は、本発明の範囲を限定するものではない。
【0033】
[定量分析]
反応生成物の定量分析は、生成物1gを取り、0.1gのm-キシレンと混合した試料についてガスクロマトグラフィー(GC)を用いて行った。GC機器としては、Young In Chromass社のYL6500GC製品を用いており、ここでGCカラムは、DB-1 30m*0.32mmであり、GC検出器はFIDであった。
【0034】
[粒度分析]
蒸留装置の塔底流出物中の触媒の粒度分析は、Malvern社のNanoZS装置を用いて行った。流出物試料1mLを採取し、前処理工程なしに前記装置のCellに入れて分析した。
【0035】
[ろ過物のNa含有量]
蒸留装置の塔底流出物を濾過した後の濾液物中のNa含有量は、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-AES)を用いて測定した。Perkinelmer社のOptima 8300モデルを用いた。流出物サンプル10gと70%の硝酸10mlおよび水10mlを混合し、250℃で2時間加熱後、分析を行った。
【0036】
[実施例1]
以下の手順で反応に用いた触媒を濾過した。
(1)DMC90.08g(1mol)およびEtOH46.07g(1mol)を混合して原料を製造した。
(2)前記原料を500mLの反応器に供給し、500rpmで攪拌しながら反応器の温度を50℃まで昇温した。この過程でSME触媒をDMC重量に対して0.1重量%となるように投入した。
(3)1時間経過後、反応器内のサンプルを取得し、これに対して定量分析を行った。このとき、生成物中のDMCの転化率は54モル%、EMCの選択性は82モル%、そしてDECの選択性は18モル%であった。
(4)前記反応器の流出物を蒸留装置に供給し、前記流出物の蒸留を進めた。蒸留装置に供給した流出物の温度は50℃であった。当該流出物を100℃まで5℃/分の昇温速度で加熱した。
(5)流出物の温度が80℃に達した時点から20分経過した後、前記蒸留装置の塔底ストリームを取得し、塔底ストリーム中の触媒の粒度分析を行った。触媒の平均粒径(D50)測定の結果は、1.61μmであった。
(6)前記蒸留装置の塔底ストリームを1μm平均気孔の大きさを有するPTFE材質のシリンジフィルターで濾過し、濾液物のNa含有量を分析した。残留Na含有量は16.12ppmであった。これにより計算したNa除去効率(%)は94.3%であった。Na除去効率は、下記式1に従って計算した:
[式1]
Na除去効率(%)=100*((Na投入量(g)-残留Na含有量(g))/(Na投入量(g)))
【0037】
[実施例2]
(5)過程で流出物の温度が100℃に達した時点から20分経過後に粒度分析を行ったことを除いては、実施例1と同様の方式で触媒を濾過した。総滞留時間は24分であった。触媒の平均粒径(D50)測定の結果は1.67μm、残留Na含有量は15.07ppm、Na除去効率は94.6%であった。
【0038】
[実施例3]
(5)過程で流出物の温度が100℃に達した時点から30分経過後に粒度分析を行ったことを除いては、実施例1と同様の方式で触媒を濾過した。総滞留時間は34分であった。触媒の平均粒径(D50)測定の結果は1.71μm、残留Na含有量は13.06ppm、Na除去効率は95.4%であった。
【0039】
[実施例4]
(5)過程で流出物の温度が100℃に達した時点から90分経過後に粒度分析を行ったことを除いては、実施例1と同様の方式で触媒を濾過した。総滞留時間は94分であった。触媒の平均粒径(D50)測定の結果は3.03μm、残留Na含有量は4.8ppm、Na除去効率は98.3%であった。
【0040】
図2は、実施例1(80℃到達後、20min維持、滞留時間20分)、実施例2(100℃到達後、20min維持、滞留時間24分)、実施例3(100℃到達後、30min維持、滞留時間34分)および実施例4(100℃到達後、90min維持、滞留時間94分)の粒度分析の結果である。
【0041】
[比較例]
蒸留工程を経ずに、反応器の流出物をすぐにフィルターで濾過したことを除いては、実施例1と同様の方式で触媒を濾過した。表1は比較例の粒度分析の結果である。ここで比較例の方式で濾過した触媒の平均の大きさは約0.75μmであった。
【0042】
【0043】
前記の内容をまとめると、次のような内容を知ることができる。
(1)反応流出物を蒸留する過程で触媒粒子を析出することができる。
(2)蒸留時間(滞留時間)を調節すれば、析出した触媒粒子の大きさも制御することができる。具体的には、蒸留時間が適切に増加すると、析出した触媒粒子の大きさも増加する。
(3)同じ気孔の大きさを有するフィルターで濾過したとき、蒸留時間が長いとフィルターを通過した流体中のNa含有量が少ない。
【国際調査報告】