(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-23
(54)【発明の名称】アクセス制御方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G07C 9/21 20200101AFI20241016BHJP
H04W 64/00 20090101ALI20241016BHJP
H04W 12/06 20210101ALI20241016BHJP
H04W 12/72 20210101ALI20241016BHJP
【FI】
G07C9/21
H04W64/00 110
H04W64/00 160
H04W12/06
H04W12/72
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546488
(86)(22)【出願日】2022-07-19
(85)【翻訳文提出日】2023-09-08
(86)【国際出願番号】 ES2022070472
(87)【国際公開番号】W WO2023052659
(87)【国際公開日】2023-04-06
(32)【優先日】2021-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523290126
【氏名又は名称】ラリーガ コンテント プロテクション,エスエル
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】アロイタジャウレグイ ドルタ,イェライ
【テーマコード(参考)】
3E138
5K067
【Fターム(参考)】
3E138AA01
3E138CA07
3E138GA02
3E138JA01
3E138JB14
3E138JB18
3E138JC05
3E138JD01
3E138JD09
5K067AA21
5K067DD17
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
5K067JJ54
(57)【要約】
本発明は観客のための施設へのアクセス制御方法を説明し、観客のモバイルデバイス(1)は検証サーバー(2)と通信するように構成されたアプリケーションをインストールしており、該検証サーバー(2)は施設へのいくつかの自動アクセスゲート(3)と通信するように構成される。本方法は、モバイルデバイス(1)のセンサーによって実行された物理的変数の第1の測定値を含むアクセスコード(EC)を適用することによる計算と、施設に位置するセンサーによって実行された物理的変数の第2の測定値を含む検証コード(VC)のアクセスゲート(3)による計算とを含む。アクセスコード(EC)が検証コード(VC)と一致する場合だけ、アクセスが許可される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設へのアクセス制御方法であって、観客のモバイルデバイス(1)は検証サーバー(2)と通信するように構成されたアプリケーションをインストールしており、前記検証サーバー(2)は前記施設へのいくつかの自動アクセスゲート(3)と通信するように構成され、
-前記モバイルデバイス(1)の前記アプリケーション及び前記検証サーバー(2)のうちの一方が、入場コード(EC)の第1の部を構成するシード(S)を生成し、前記シード(S)を、前記モバイルデバイス(1)の前記アプリケーション及び前記検証サーバー(2)のうちの他方に送信するステップと、
-前記モバイルデバイス(1)が前記モバイルデバイス(1)の識別データ(N,IMSI,IMEI)を前記検証サーバー(2)に送信するステップと、
-前記モバイルデバイス(1)の前記アプリケーションが制限された持続時間の入場コード(EC)を計算するステップであって、前記入場コード(EC)は、前記シード(S)、前記モバイルデバイス(1)の識別データ(N,IMSI,IMEI)、及び前記モバイルデバイス(1)に埋め込まれたセンサーを用いてその瞬間に取得された前記モバイルデバイス(1)の環境の物理的変数(PV
1)の少なくとも1つの第1の測定値を含む、計算するステップと、
-前記モバイルデバイス(1)が、前記入場コード(EC)を、前記施設への前記自動アクセスゲート(3)に伝えるとき、前記自動アクセスゲート(3)は前記入場コード(EC)を含む検証要求を、前記検証サーバー(2)に送信するステップと、
-同時に、前記施設に位置するセンサー(4)が前記物理的変数(PV
2)の第2の測定値の取得を行い、前記第2の測定値を前記検証サーバー(2)に伝えるステップと、
-前記検証サーバー(2)は、前記モバイルデバイス(1)の前記アプリケーションが、タイムフレームに対応する前記入場コード(EC)、検証コード(VC)を計算したのと同じ方法で計算するステップであって、前記タイムフレームでは、前記検証サーバー(2)は、前記シード(S)、前記モバイルデバイス(1)の前記識別データ(N,IMSI,IMEI)、及び前記物理的変数(PV
2)の前記第2の測定値を含む前記検証要求を受信する、計算するステップと、
-前記検証サーバー(2)が前記自動アクセスゲート(3)から受信した前記入場コード(EC)と、前記検証サーバー(2)自体によって計算された前記検証コード(VC)とが一致するかをチェックし、一致する場合、前記検証サーバー(2)はアクセス許可命令を前記自動アクセスゲート(3)に送信する一方、一致しない場合、前記検証サーバー(2)はアクセス拒否命令を前記自動アクセスゲート(3)に送信するステップと、
を含むことを特徴とする、アクセス制御方法。
【請求項2】
前記物理的変数(PV)は、無線デバイスによって発射された識別済みのWi-Fiの信号強度、Bluetoothデバイスによって発射された信号強度、Bluetooth Low Energyデバイスによって発射された信号強度、携帯電話のアンテナのセルID、GPS測位座標、GPS測位象限、GPS測位で使用される可視衛星、大気圧、風速、温度、湿度、空気伝導率、空気中塩分濃度、重力、高度、音の強さ、バイオメトリクス、方位、光度、赤外線スペクトル、空気品質、及び振動のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のアクセス制御方法。
【請求項3】
前記施設に配置されたビーコンから、前記施設への自動アクセスゲート(3)の全ての周囲で検出可能な信号を発射するステップをさらに含む、請求項2に記載のアクセス制御方法。
【請求項4】
前記自動アクセスゲート(3)の周囲に配置された複数のビーコンから、単一の自動アクセスゲート(3)の周囲だけで、または、前記施設の同じエリアに位置するいくつかの自動アクセスゲート(3)の周囲だけで検出可能な信号を発射するステップをさらに含む、請求項2に記載のアクセス制御方法。
【請求項5】
各ビーコンは、他のビーコンによって発射された信号と異なる信号を発射する、請求項4に記載のアクセス制御方法。
【請求項6】
前記モバイルデバイス(1)の前記アプリケーションによって及び前記検証サーバー(2)によって同期して取得された両方のタイムスタンプを含む前記入場コード(EC)及び前記検証コード(VC)を含む、請求項1~5のいずれかに記載のアクセス制御方法。
【請求項7】
前記モバイルデバイス(1)の前記アプリケーションと前記自動アクセスゲート(3)との間の通信は、QR、NFC、Bluetooth、Bluetooth Low Energy、Wi-Fi、IP、及び赤外線のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~6のいずれかに記載のアクセス制御方法。
【請求項8】
検証サーバー(2)及び施設への自動アクセスゲート(3)を含む観客の施設へのアクセス制御システム(1)であって、前記検証サーバー(2)は観客のモバイルデバイス(1)にインストールされたアプリケーションと通信するように構成され、前記検証サーバー(2)は前記自動アクセスゲート(3)と通信するように構成され、
前記アクセス制御システム(1)は、また、前記施設に位置する物理的変数のセンサー(4)も含むことを特徴とし、
前記検証サーバー(2)及び前記自動アクセスゲート(3)は、
-前記モバイルデバイス(1)の前記アプリケーション及び前記検証サーバー(2)のうちの一方が、入場コード(EC)の第1の部を構成するシード(S)を生成し、前記シード(S)を、前記モバイルデバイス(1)の前記アプリケーション及び前記検証サーバー(2)のうちの他方に送信する動作と、
-前記モバイルデバイス(1)が前記モバイルデバイス(1)の識別データ(N,IMSI,IMEI)を前記検証サーバー(2)に送信する動作と、
-前記モバイルデバイス(1)の前記アプリケーションが制限された持続時間の入場コード(EC)を計算する動作であって、前記入場コード(EC)は、前記シード(S)、前記モバイルデバイス(1)の識別データ(N,IMSI,IMEI)、及び前記モバイルデバイス(1)に埋め込まれたセンサーを用いてその瞬間に取得された前記モバイルデバイス(1)の環境の物理的変数(PV1)の少なくとも1つの第1の測定値を含む、計算する動作と、
-前記モバイルデバイス(1)が、前記入場コード(EC)を、前記施設への前記自動アクセスゲート(3)に伝えるとき、前記自動アクセスゲート(3)は前記入場コード(EC)を含む検証要求を、前記検証サーバー(2)に送信する動作と、
-同時に、前記施設に位置するセンサー(4)が前記物理的変数(PV2)の第2の測定値の取得を行い、前記第2の測定値を前記検証サーバー(2)に伝える動作と、
-前記検証サーバー(2)は、前記モバイルデバイス(1)の前記アプリケーションが、タイムフレームに対応する前記入場コード(EC)、検証コード(VC)を計算したのと同じ方法で計算する動作であって、前記タイムフレームでは、前記検証サーバー(2)は、前記シード(S)、前記モバイルデバイス(1)の前記識別データ(N,IMSI,IMEI)、及び前記物理的変数(PV2)の前記第2の測定値を含む前記検証要求を受信する、計算する動作と、
-前記検証サーバー(2)が前記自動アクセスゲート(3)から受信した前記入場コード(EC)と、前記検証サーバー(2)自体によって計算された前記検証コード(VC)とが一致するかをチェックし、一致する場合、前記検証サーバー(2)はアクセス許可命令を前記自動アクセスゲート(3)に送信する一方、一致しない場合、前記検証サーバー(2)はアクセス拒否命令を前記自動アクセスゲート(3)に送信する動作と、
を実行するように構成されることを特徴とする、アクセス制御システム(1)。
【請求項9】
前記施設の任意の地点に位置する単一のセンサー(4)を含む、請求項8に記載のアクセス制御システム(1)。
【請求項10】
いくつかのセンサー(4)を含み、前記センサー(4)のそれぞれは、特定の自動アクセスゲート(3)の周囲に配置される、または前記施設の同じエリアに位置する自動アクセスゲート(3)のセットの周囲に配置される、請求項8に記載のアクセス制御システム(1)。
【請求項11】
前記センサー(4)は、前記自動アクセスゲート(3)から半径10メートル未満の範囲内に配置される、請求項10に記載のアクセス制御システム(1)。
【請求項12】
前記センサー(4)は、前記自動アクセスゲート(3)から半径5メートル未満の範囲内に配置される、請求項11に記載のアクセス制御システム(1)。
【請求項13】
前記センサー(4)は、前記自動アクセスゲート(3)から半径2メートル未満の範囲内に配置される、請求項12に記載のアクセス制御システム(1)。
【請求項14】
前記センサー(4)は前記検証サーバー(2)に接続される、請求項8~13のいずれかに記載のアクセス制御システム(1)。
【請求項15】
前記センサー(4)は前記自動アクセスゲート(3)に接続される、請求項8~13のいずれかに記載のアクセス制御システム(1)。
【請求項16】
前記センサー(4)は前記自動アクセスゲート(3)自体に埋め込まれている、請求項15に記載のアクセス制御システム(1)。
【請求項17】
前記センサー(4)は、Wi-Fi範囲受信機、無線信号受信機、Bluetooth範囲受信機、Bluetooth Low Energy範囲受信機、携帯電話信号受信機、GPS測位センサー、大気圧センサー、風速センサー、温度センサー、湿度センサー、空気伝導率センサー、空気中塩分濃度センサー、重力センサー、高度センサー、音響インテンシティセンサー、バイオメトリックセンサー、方位センサー、光度センサー、赤外線スペクトルセンサー、空気品質センサー、及び振動センサーのうちの少なくとも1つを含む、請求項8~16のいずれかに記載のアクセス制御システム(1)。
【請求項18】
前記施設への自動アクセスゲート(3)の全ての周囲で検出可能な信号を発射する前記施設に配置されたビーコンをさらに含む、請求項8~17のいずれかに記載のアクセス制御システム(1)。
【請求項19】
前記自動アクセスゲート(3)の周囲に各々配置された複数のビーコンをさらに含み、単一の自動アクセスゲート(3)の周囲だけで、または、前記施設の同じエリアに位置するいくつかの自動アクセスゲート(3)の周囲だけで検出可能である信号を発射する、請求項8~17のいずれかに記載のアクセス制御システム(1)。
【請求項20】
各ビーコンは、他のビーコンによって発射された信号と異なる信号を発射する、請求項19に記載のアクセス制御システム(1)。
【請求項21】
前記自動アクセスゲート(3)は、前記モバイルデバイス()の前記アプリケーションとの通信手段、すなわち、少なくとも、QR、NFC、Bluetooth、Bluetooth Low Energy、Wi-Fi、IP、及び赤外線を含む、請求項8~20のいずれかに記載のアクセス制御システム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の第1の目的は、例えば、スポーツイベントもしくは音楽イベントまたは任意のタイプのショーに関連して、施設へのアクセスを安全に制御する方法を設計することである。
【0002】
本発明の第2の目的は、上記の方法を実行するようにシステムを特別に設計することである。
【背景技術】
【0003】
現在、スポーツイベント、コンサート、またはショー等の様々なタイプのイベントが行われる施設へのアクセスを制御する必要性が知られている。
【0004】
つい最近まで、そのような施設へのアクセスは、実物のチケット、すなわち、紙支持体等に印刷され、また入場コード、例えばバーコードまたはQRコード(登録商標)が提供されたチケットによって制御されていた。このように、施設への入口において、いくつかの光学リーダーは入場コードを読み取り、正当に発行された入場コードを記憶するサーバーとの通信を介して、入場が有効になり、イベントへのアクセスを許可する。しかしながら、このタイプの制御システムは、有効なチケットのコピー、例えばコピー機によるコピーまたは自宅のプリンターによるコピーを示すことによって、人々がチケットなしでイベントにアクセスできる欠点がある。さらに、そのシステムは、誰でも実物のチケットを携行できるため、イベントにアクセスする人の識別情報を制御することが不可能である。
【0005】
その後、チケットには電子サポートが取り入れられ始めた。この場合、観客はウェブページを経由してチケットを購入し、チケットがダウンロードされ、チケットは、前述の場合と同様に、QRコード(登録商標)等を有する。したがって、彼/彼女がイベントにアクセスしようとするとき、観客は携帯電話の画面によってチケットを示し、その結果、コードは、施設への入口に位置するリーダーによって読み取られ、アクセスが許可または拒否される。このアクセス制御システムは本質的に前述のシステムと同等であるが、それは、チケットの購入で実物のチケット売り場が必要ないという利点をもたらす。しかしながら、前述の場合のように、チケットのコピーを作ることで、イベントに不正にアクセスするには十分であり得る。
【0006】
また、セキュリティを改善する目的のために、彼/彼女の携帯電話にインストールされた特定のアプリケーションによって観客がチケットを買うシステムも知られている。購入が行われるとき、アプリケーションは、電話番号等、購入が行われる携帯電話に直接関連するいくつかのデータを含むコードを生成する。同時に、入口の回転バーと通信するアクセス制御システムサーバーは、同様に、コードを生成する。観客がイベントにアクセスするとき、回転バーは、両方のコードをチェックし、アクセスを許可または拒否する。この構成は、コードが生成された電話に一意に関連するコードを生成する利点をもたらす。しかしながら、それは、依然として、スクリーンインプレッションを取得し、それを他の観客に送信することによって不正行為を受けやすくなる。
【0007】
このタイプの不正行為を防止するために、アプリケーションが入場コードの連続バージョンを計算する方法が知られており、そのバージョンのそれぞれは既定期間がある。これは、この分野で既知の方法によって、例えばタイムスタンプをコードに追加することによって行うことができる。したがって、例えば、アプリケーションは、20秒ごとに入場コードの新しいバージョンを計算し得る。サーバー側からの入場コードの計算を適切に同期させることによって、観客が入口の回転バーを示す、アプリケーションによって計算されたコードは、特定の瞬間にサーバーによって計算されたコードと同じになり、ひいては入場が有効になる。しかしながら、これにより、観客が入場コードをコピーし、他者に送信することが難しくなるが、観客が、入場コードを、別のゲートに同時に位置する人に、同じ施設から十分速く送信する場合、この不正行為が成功し得ることは不可能でない。
【0008】
上記を考慮して、現在、この技術分野で、操作するのがより安全でより難解なアクセス制御システムの必要性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、タイムスタンプの追加により生成される瞬間に依存することに加えて、また、生成される場所に依存する入場コードを使用するアクセス制御方法及びシステムにより前述の問題を解決する。これをするために、コードが生成される場所、例えば、観客がその瞬間にいる施設へのアクセスゲートのそばの場所に存在するいくつかの物理的変数に直接依存する記号または文字のセットは入場コードに追加される。このように、施設にアクセスするときに観客が示す入場コードが同時に及び同じ場所でチケット購入及び管理アプリケーションによって正当に計算されることを確実にすることが可能になり、施設から離れたいくつかのリモート場所から有効なコードのコピー、印刷、または送信による不正行為の可能性を完全に回避する。
【0010】
本発明の説明の全体にわたって使用されるいくつかの用語は下記に説明される。
【0011】
イベント:特定の施設へのアクセスを制御することが必要である任意のタイプのスポーツ、音楽、または芸術のイベント。
【0012】
施設:イベントが行われる物理的場所、アクセスが制御されている場所であり、例えば、スタジアム、劇場、コンサートホール等が挙げられる。
【0013】
モバイルデバイス:スポーツ、音楽、または芸術のイベントのチケットを購入するために、特定のアプリケーションをインストールできる任意のタイプのデバイス。モバイルデバイスは、携帯電話だけでなく、タブレット、スマートウオッチ、及びいずれかの他の既知の同様のデバイスも含む。これらのタイプのいずれかのモバイルデバイスは様々な物理的変数を検出することが可能である複数の埋め込みセンサーを有する。
【0014】
サーバー:通信能力、処理能力、及びデータ記憶容量を伴う電子デバイス。それは単一の物理デバイスであり得る、または、それは、相互に通信するいくつかの別々の物理デバイスに分けることができる。例えば、それは、データベースを構成する第2の物理デバイスに加えて、処理タスクを実行する第1の物理デバイスから成り得る。また、本発明に関係しない法的または商業的な理由で、サーバーはいくつかの別々の物理デバイスに分けることが可能であり、物理デバイスのそれぞれは、本明細書に定義されたタスクの特定の部分を実行する。
【0015】
自動アクセスゲート:観客の通過を物理的に防止する障害物を開くまたは閉じることによって、イベントが行われる施設へのアクセスを自動的に許可または拒否するように構成された任意のタイプのゲート、回転バー、バリア等。自動アクセスゲートは、モバイルデバイスとの通信手段、例えばQRコード(登録商標)リーダー、及びサーバーとの通信手段を有する。特に、自動アクセスゲートは、観客のチケットのQRコード(登録商標)を読み取り、該コードをサーバーに送信し、サーバーによるアクセスを許可または拒否する命令の受信に基づいて、施設へのアクセスを許可または拒否するように構成される。
【0016】
アプリケーション:特定の一連の動作をうまく実行するために、モバイルデバイスをインストール及び/または起動できる任意のタイプのプログラムまたはコードのセット。これに関連して、それは、購入プロセスに関わる他のエンティティとウェブソフトウェアを介して通信する、スポーツ、音楽、または芸術のイベントのチケットを購入及び管理するためのアプリケーションである。アプリケーションは時間制限のある入場コード生成アルゴリズムを含む。
【0017】
コード:イベントが行われる施設へのアクセスを制御するために使用されるテキストまたは視覚的な任意のセットの記号または文字。例えば、英数字コード、バーコード、QRコード(登録商標)、またはいずれかの他のコードが使用され得る。
【0018】
タイムスタンプ:概して、アクセスコードが生成される日付及び/または時間を示す文字列から成る時間レコード、時間スタンピング、またはタイムスタンプとしても知られているタイムフレーム。それは、時間の関数として変化するコードを発生させるために使用される。すなわち、制限された持続時間のコード列を生成するために使用される。
【0019】
アクセス制御方法
本発明の第1の態様では、観客の施設へのアクセスを制御するための方法を説明する。本方法を実行するために、観客のモバイルデバイスは検証サーバーと通信するように構成されたアプリケーションをインストールしており、次に、検証サーバーは施設へのいくつかの自動アクセスゲートと通信するように構成されている。本方法は、基本的に、以下のステップを含む。
【0020】
1.シードの発生及び送信
モバイルデバイスのアプリケーション及び検証サーバーのうちの一方は、入場コードの第1の部を構成するシードを生成し、該シードを、モバイルデバイスのアプリケーション及び検証サーバーのうちの他方に送信する。
【0021】
すなわち、この第1のステップでは、観客は、最初に、チケット購入及び管理アプリケーションを彼/彼女のモバイルデバイスにインストールし、その後、チケットを購入するプロセスを実行する。購入が確認されると、モバイルデバイスまたは検証サーバーは入場コードの第1の部を構成するシードを生成する。例えば、入場コードの第1の部は、直接シード自体であり得る、または他には、既知の既定のアルゴリズムまたは方法を用いてシードから取得されたいくつかのデータであり得る。生成されたシードは、モバイルデバイスと検証サーバーとの間の他のエンティティに送信され、すなわちシードを生成しなかった2つのエンティティに送信される。したがって、このステップの終わりに、シードは両方のエンティティによって知られることになる。
【0022】
2.モバイルデバイスの識別データの送信
モバイルデバイスはモバイルデバイス自体の識別データを検証サーバーに送信する。モバイルデバイスが携帯電話であるとき、このデータは、例えば、電話番号(N)、国際移動電話加入者識別番号(IMSI)、及び/または国際携帯電話機器識別情報(IMEI)のうちの1つ以上であり得る。
【0023】
このステップは、上記に説明したステップ後に必要ないが、同時にまたはさらに事前に行うことができる。例えば、モバイルデバイスからのデータは、モバイルデバイス上にチケット管理及び購入アプリケーションのインストール動作中に、ひいては、チケット購入プロセス中に後で発生するであろうシード自体の生成前に、サーバーに送信できる。代替として、シードがモバイルデバイスのアプリケーション自体によって生成されるイベントでは、チケット購入が確認されると、モバイルデバイスデータは、シードの送信と同時に、サーバーに送信できる。
【0024】
いずれの場合、これらの方法の最初の2つのステップの最終結果として、チケット管理及び購入アプリケーションがインストールされるモバイルデバイスのシード及び識別データは、検証サーバー、及び携帯電話にインストールされたアプリケーションの両方に知られることになる。
【0025】
3.モバイルデバイスの周囲の物理的変数の第1の測定値を使用する入場コードの計算
モバイルデバイスのアプリケーションは、制限された持続時間の入場コードを計算し、入場コードは、シード、モバイルデバイスの識別データ、及び該モバイルデバイスに埋め込まれたセンサーを用いてその瞬間に取得されたモバイルデバイスの環境の物理的変数の少なくとも1つの第1の測定値を含む。入場コードは、物理的変数の単一の測定値だけを含むことが要求されないが、異なる物理的変数のいくつかの測定値を含み得ることに留意されたい。
【0026】
原則として、モバイルデバイスの周囲の物理的変数は、スマートフォン等の最新のモバイルデバイス等に通常に埋め込まれているセンサーの1つを用いて物理的変数を取得できる限り、いずれかの変数であり得る。これは、識別済みのWi-Fi等の数等の「物理的変数」という用語によって正確に理解されるものの範囲を越える検出可能なパラメーターを含む。したがって、本発明の特に好ましい実施形態では、モバイルデバイスの周囲の物理的変数は以下の中から選ばれる。無線デバイスによって発射された識別済みのWi-Fiの信号強度、Bluetoothデバイスによって発射された信号強度、Bluetooth Low Energyデバイスによって発射された信号強度、携帯電話のアンテナのセルID、GPS測位座標、GPS測位象限、GPS測位で使用される可視衛星、大気圧、風速、温度、湿度、空気伝導率、空気中塩分濃度、重力、高度、音の強さ、バイオメトリクス、方位、光度、赤外線スペクトル、空気品質、及び振動が挙げられる。
【0027】
要するに、観客がイベントが行われる施設にアクセスしようとするとき、本発明の方法のこの第3のステップは行われる。その瞬間、観客は、彼/彼女が自動アクセスゲートに接続された、または埋め込まれた光学リーダーに示す入場コード、例えばQRコード(登録商標)を取得するために、アプリケーションを開く。自動アクセスゲートに示される該入場コードは、その瞬間にアプリケーションによって自動的に生成され、そして、シード(またはシードから取得されたデータ)、モバイルデバイスの識別データ、及び少なくとも、モバイルデバイス自体のセンサーによって取得されたモバイルデバイスの周囲の既定の物理的変数の第1の測定値を含む。該入場コードを生成するために使用されるアルゴリズムは、携帯電話のアプリケーション自体に埋め込まれ、または、いずれの場合、サーバーから携帯電話に事前に伝送されている。
【0028】
入場コードは、さらに、既知及び既定のタイムフレームで定期的に取得されたタイムスタンプを含む。例えば、入場コードに含まれるタイムスタンプを10秒毎または20秒毎に変化させることができるため、システムが検証に必要な全てのステップを行うのに十分な時間を提供する。本発明の正確な動作を確実にするために、入場コードの期間を調整できる。本明細書で上記に説明されるように、タイムスタンプを追加することによる時間制限のある入場コードの使用はこの分野で既に知られており、その理由で、その入場コードの使用は詳細に説明しない。
【0029】
4.アクセスゲートでの入場コードの提示
モバイルデバイスは、入場コードを、自動アクセスゲートに伝えるとき、自動アクセスゲートは、該入場コードを含む検証要求を、検証サーバーに送信する。したがって、入場コードを受信すると、自動アクセスゲートは、そのような入場コードを検証するために、下記に説明されるプロセスの開始をトリガーする。
【0030】
具体的に説明される本明細書にある例では、QRコード(登録商標)を読み取る形式で光通信が述べられているが、モバイルデバイスと自動アクセスゲートとの間の通信は、原則として、当技術分野で既知の任意の方式で実行され得ることに留意されたい。例えば、QR、NFC、Bluetooth、Bluetooth Low Energy、Wi-Fi、IP、及び赤外線のうちの1つを使用し得る。
【0031】
5.物理的変数の第2の測定値の取得
前述のステップが実行されると同時に、すなわち、モバイルデバイスが入場コードを自動アクセスゲートに伝えるとき、施設に位置するセンサーは、物理的変数の第2の測定値の取得を実行し、第2の測定値を検証サーバーに伝える。物理的変数のこの第2の測定値を獲得する目的は、下記に詳細に説明される方式で、自動アクセスゲートに対する観客によって示された入場コードの後続の有効性検証を可能にする。特に、いくつかの検討事項の中でも、両方の測定値が一致するときだけ、アクセスを許可する。
【0032】
本発明の好ましい実施形態によると、物理的変数の第2の測定値を獲得するために、自動アクセスゲートの数に関係なく、アクセスが求められる施設全体に共通して、単一のセンサーが使用され得る。
【0033】
例えば、温度または大気圧等の物理的変数を検討する場合、その変数の値はサッカースタジアムへのアクセスゲートが位置する施設の全ての地点で一定であることを想定できる。すなわち、特定の自動アクセスゲートの周囲の観客のモバイルデバイスによって取得された第1の温度の値または圧力の測定値は、施設のいずれかの他の地点に位置するセンサーによって取得された第2の温度の値または圧力の測定値と一致する。したがって、この場合、単一のセンサーは、施設への自動アクセスゲートの全てにわたって示される入場コードの有効性をチェックするのに十分であろう。
【0034】
代替として、各々の自動アクセスゲートの周囲にあるいくつかのセンサー、または施設の同じエリアに位置する自動アクセスゲートの特定のセットの周囲にあるいくつかのセンサーを使用し得る。これに関連して、ゲートの周囲は、数メートル、好ましくは10メートル未満、より好ましくは5メートル未満、さらにより好ましくは2メートル未満のアクセスゲートからの最大距離を対象に含み得る。これは、特定の制限範囲の物理的変数の場合、観客が入場コードをゲートに示すときに自動アクセスゲートに対応するセンサーによって取得された第2の測定値は、数秒前にアプリケーションを開くとき、該自動アクセスゲートのそばに位置する観客のモバイルデバイスによって取得された第1の測定値と一致することを確実にする。当然、測定値の物理的変数及び精度(例えば、測定値の有効数字)の両方が、測定値が数メートルよりも長い地点から離れていない地点から取得されるとき、これらの測定値の両方が一致することを確実にするような方法で選択されることが理解される。さらに、制限された持続時間の連続入場コードのアプリケーションによる計算により、ゲートに示されるコードが、事前に長く生成されていないこと、ひいては、コードが生成されたとき、観客がゲートの近くにいたことが確実になる。
【0035】
例えば、利用可能であるWi-Fi信号の数もしくはその信号の強度、携帯電話アンテナのセルID、またはGPS測位に関連するパラメーターは変数として検討される場合、その値は施設の全ての地点で一定でなく、ひいては、いくつかの自動アクセスゲートと他の地点との間でばらつきがある可能性がある。この場合、特定のセンサーは、各ゲートまたはゲートのセットに対して配置され得、その結果、検証プロセス中、該入場コードが示された自動アクセスゲートに特に対応するセンサーによって獲得された第2の測定値を考慮して、各入場コードの有効性をチェックする。
【0036】
他方では、原則として、1つのセンサーまたは複数のセンサーは、獲得された測定値が直接的または間接的に検証サーバーに伝えることができる限り、説明されるエンティティもしくは他のエンティティ、または中間要素のいずれかに接続され得る。したがって、本発明の特に好ましい実施形態によると、センサーは検証サーバーに接続され得る。代替として、センサーは、自動アクセスゲートに接続され得る、または埋め込まれ得る。その場合、自動アクセスゲートは、物理的変数の第2の測定値を検証サーバーに送信するであろう。いずれの場合、基本的概念は、直接的に(センサーが検証サーバーに直接接続される場合)、または間接的に(センサーが自動アクセスゲートに接続される場合)、のどちらか一方で、物理的変数の該第2の測定値を検証サーバーに送信することである。
【0037】
要するに、物理的変数のこの第2の測定値は、本質的に、観客が入場コードを自動アクセスゲートに示し、該自動アクセスゲートに物理的に近くにいるときと同時に取得される(「近い」は、通常、施設の最大寸法を超えない距離であり、施設はスタジアム、シアター等であるかに関わらないことを理解されたい)。これらの条件で、施設全体の単一のセンサー、または各ゲートの専用センサーかどうかに関わらず、施設に存在するセンサーによって取得された第2の測定値は、両方の測定値が、同じ施設(単一のセンサーの場合)で取得されている場合、またはより具体的には同じ自動アクセスゲートの周囲(各ゲートの専用センサーの場合)で取得されている場合、ユーザのモバイルデバイスによって取得された第1の測定値だけと一致する。
【0038】
6.検証コードの計算
検証サーバーは、モバイルデバイスのアプリケーションが、タイムフレームに対応する入場コード、検証コードを計算したのと同じ方法で計算し、そのタイムフレームでは、検証サーバーは検証要求を受信する。この検証コードは、シード、モバイルデバイスの識別データ、及び物理的変数の第2の測定値を含む。
【0039】
これに関連して、検証コードの計算に関連する「モバイルデバイスのアプリケーションが入場コードを計算したのと同じ方法で」という語句は、検証サーバーが入場コードを計算するためにモバイルデバイスによって使用されたのと同じアルゴリズムを使用して、検証コードの計算を実行することを意味する。したがって、このアルゴリズムは、開始から、モバイルデバイスにインストールされるアプリケーション、及び検証サーバーの両方において含まれる。例えば、アルゴリズムは、観客のモバイルデバイスにインストールされるチケット購入及び管理アプリケーション自体のデータの一部であり得る。したがって、サーバーが同じ初期データから開始する場合、計算結果は、アプリケーションによって生成された入場コードと同一の検証コードを有する必要がある。
【0040】
入場コードの有効性タイムフレームに関して、使用されるモバイルデバイス及びサーバーの両方を同期することにより、検証サーバーによって生成された検証コードは、アプリケーションが入場コードに含まれた同じタイムスタンプを含むようになる。すなわち、入場コード及び検証コードは、好ましくは、モバイルデバイスのアプリケーションによって及び検証サーバーによって同期して取得された両方のタイムスタンプを含む。繰り返すが、この同期が実行される方法は当技術分野で既知であるため、本明細書に詳細に説明しない。
【0041】
すなわち、アプリケーションと同じアルゴリズムを使用して、検証サーバーは、アプリケーションによって使用された同じデータから始まる検証コードを計算する。その理由として、検証サーバーは、本方法の第1のステップから、シード及びモバイルデバイスの識別データの両方を有するためである。したがって、開始データの唯一の違いは、この場合、携帯電話によって取得された第1の測定値の代わりに、センサーによって取得された第2の測定値である物理的変数の測定値であることである。両方の測定値は、アクセスコードが生成された時点で、モバイルデバイスがセンサーのかなり近くにあり、ひいては、アクセスが望まれる施設の周囲にある場合だけ一致する。
【0042】
最終的に、計算された検証コードは、チケットを自動アクセスゲートに示すモバイルデバイスが、アクセスコードが生成された時点でゲートのそばにある場合だけ、入場コードと同一になる。
【0043】
7.入場コードと検証コードとの比較
検証サーバーは、自動アクセスゲートから受信した入場コードと、検証サーバー自体によって計算された検証コードとが一致するかをチェックする。一致する場合、検証サーバーは、アクセス許可命令を自動アクセスゲートに送信する。一致しない場合、検証サーバーは、アクセス拒否命令を自動アクセスゲートに送信する。検証サーバーから受信した命令によって、自動アクセスゲートは開く、または閉じたままである。
【0044】
本方法は、特定のイベントが行われる施設にアクセスを試みている観客が対応するゲートに物理的に存在することを確実にし、任意のタイプの不正行為を防止する。
【0045】
本発明の特に好ましい実施形態では、本方法は、さらに、施設に配置されたビーコンから、施設への自動アクセスゲートの全ての周囲で検出可能な信号を発射するステップを含む。例えば、信号は、全てのアクセスゲートで信号を検出できるように十分な電力がある施設の適切な地点から発射されたWi-Fi、無線、Bluetooth、またはBluetooth Low Energyの信号であり得る。この信号は、本発明の方法で使用される物理的変数を構成するであろう。これにより、観客のモバイルデバイスによって獲得された第1の測定値及び施設のセンサーによって獲得された第2の測定値が、観客がそのような特定の専用信号の範囲内にいるときだけ、すなわち、彼/彼女がアクセスする意向がある施設に彼/彼女が物理的に存在するときだけ一致することを確実にできる。
【0046】
前述の実施形態の代替の好ましい実施形態では、本方法は、さらに、自動アクセスゲートの周囲に各々配置された複数のビーコンから、1つの自動アクセスゲートの周囲だけで、または、施設の同じエリアに位置するいくつかの自動アクセスゲートの周囲だけで、検出可能な信号を発射するステップを含む。すなわち、この場合、ビーコンは、物理的変数(Wi-Fi、無線、Bluetooth、またはBluetooth Low Energy、または他の信号)を生成し、物理的変数の範囲は、それが特定の自動アクセスゲートの周囲だけで、または施設の全てのゲートの中の特定のゲートのサブセットの周囲だけで、検出可能になるように計算される。ビーコンの範囲、数、及び位置を適切に設計することによって、各アクセスゲートで受信した信号の数が異なるであろう。これにより、観客が位置するアクセスゲートを固有に識別することを可能にするであろう。
【0047】
さらにより好ましくは、各ビーコンは、他のビーコンによって発射された信号と異なる信号を発射し得る。言い換えれば、各ビーコンによって発射された信号は固有であり知られ得、単一のアクセスゲート、または自動アクセスゲートのサブセットだけに到達するように、信号の範囲を計算し得る。したがって、観客のモバイルデバイスのセンサーが特定の信号をキャプチャする場合、これは、必然的に、該携帯電話がその信号を発射するビーコンに対応する自動アクセスゲートのそばにあることになる。
【0048】
要するに、ビーコンによって発射された信号の数、位置、及びタイプに関して異なる構成が存在する。基本的概念は、各ゲートで受信した信号の数及び/または識別はゲートごとに特有及び固有であり、その結果、入場コードを有効にするために、特定の自動アクセスゲートの周囲にあるユーザのモバイルデバイスによって生成されていることが必要である。
【0049】
この構成は、複雑度及びインストール時間の増加を犠牲にしても、アクセス制御の不正行為の可能性がさらに減るため、特に利点をもたらす。
【0050】
アクセス制御システム
本発明の第2の態様では、施設への観客のアクセスを制御するためのシステムを対象としている。本システムは、検証サーバー、及び施設への自動アクセスゲートを含む。検証サーバーは観客のモバイルデバイスにインストールされたアプリケーションと通信するように構成され、検証サーバーは自動アクセスゲートと通信するように構成される。
【0051】
これまで、従来型の制御システムの基本的要素を説明してきた。しかしながら、本発明のシステムは、施設に位置する物理的変数のセンサーも備える点で異なる。本明細書で後に詳細に説明されるように、このセンサーは、直接的または間接的に、検証サーバーに接続される。
【0052】
したがって、検証サーバー及び自動アクセスゲートは、以下の動作を実行するように構成される。
【0053】
1.モバイルデバイスのアプリケーション及び検証サーバーのうちの一方は、入場コードの第1の部を構成するシードを生成し、該シードを、モバイルデバイスのアプリケーション及び検証サーバーのうちの他方に送信する。
【0054】
2.モバイルデバイスはモバイルデバイス自体の識別データを検証サーバーに送信する。
【0055】
3.モバイルデバイスのアプリケーションは、制限された持続時間の入場コードを計算し、入場コードは、シード、モバイルデバイスの識別データ、及び該モバイルデバイスに埋め込まれたセンサーを用いてその瞬間に取得されたモバイルデバイスの環境の物理的変数の少なくとも1つの第1の測定値を含む。
【0056】
4.モバイルデバイスは、入場コードを、施設への自動アクセスゲートに伝えるとき、自動アクセスゲートは、該入場コードを含む検証要求を、検証サーバーに送信する。
【0057】
5.同時に、施設に位置するセンサーが物理的変数の第2の測定値の取得を行い、第2の測定値を検証サーバーに伝える。
【0058】
6.検証サーバーは、モバイルデバイスのアプリケーションが、タイムフレームに対応する入場コード、検証コードを計算したのと同じ方法で計算し、そのタイムフレームでは、検証サーバーは、シード、モバイルデバイスの識別データ、及び物理的変数の第2の測定値を含む検証要求を受信する。
【0059】
7.検証サーバーが自動アクセスゲートから受信した入場コードと、検証サーバー自体によって計算された検証コードとが一致するかをチェックし、一致する場合、検証サーバーはアクセス許可命令を自動アクセスゲートに送信する一方、一致しない場合、検証サーバーはアクセス拒否命令を自動アクセスゲートに送信する。
【0060】
好ましい実施形態によると、本発明のシステムは、自動アクセスゲートの数に関係なく、アクセスが求められる施設の任意の地点に位置する単一のセンサーを備え得る。
【0061】
実際には、上記に説明したように、温度または大気圧等の物理的変数を検討する場合、その変数の値はサッカースタジアムへのアクセスゲートが位置する施設の全ての地点で一定であることを想定できる。すなわち、特定の自動アクセスゲートの周囲の観客のモバイルデバイスによって取得された第1の温度の値または圧力の測定値は、施設の別の地点に位置するセンサーによって取得された第2の温度の値または圧力の測定値と一致するが、必ずしも該自動アクセスゲートの周囲の値と一致するとは限らない。したがって、この場合、単一のセンサーは、施設への自動アクセスゲートの全てにわたって示される入場コードの有効性をチェックするのに十分であろう。
【0062】
代替として、いくつかのセンサーを使用し得、センサーのそれぞれは、対応する自動アクセスゲートの周囲に配置される、または施設の同じエリアに位置する自動アクセスゲートのセットの周囲に配置される。これに関連して、ゲートの周囲について、該ゲートの周りの距離を指す。ゲート内では、彼/彼女が施設にアクセスしようとするとき、コードをゲートに示すために、観客が予想可能にモバイルデバイスアプリケーションを開く。例えば、ゲートの周囲は、数メートル、好ましくは10メートル未満、より好ましくは5メートル未満、さらにより好ましくは2メートル未満のアクセスゲートからの最大距離を対象に含み得る。
【0063】
上記に説明したように、これは、特定の制限範囲の物理的変数の場合、観客が入場コードをゲートに示すときに自動アクセスゲートに対応するセンサーによって取得された第2の測定値は、数秒前にアプリケーションを開くとき、自動アクセスゲートのそばに位置する観客のモバイルデバイスによって取得された第1の測定値と一致することを確実にする。繰り返すが、測定値の物理的変数及び精度(例えば、測定値の有効数字)の両方が、測定値が数メートルよりも長い地点から離れていない地点から取得されるとき、これらの測定値の両方が一致することを確実にするような方法で選択されることが理解される。
【0064】
本発明の特に好ましい実施形態によると、センサーは検証サーバーに接続され得る。代替として、センサーは、自動アクセスゲートに接続され得る、またはさらにより好ましくは自動アクセスゲートに埋め込まれ得る。その場合、自動アクセスゲートは、物理的変数の第2の測定値を検証サーバーに送信するであろう。いずれの場合、基本的概念は、直接的に(センサーが検証サーバーに直接接続される場合)、または間接的に(センサーが自動アクセスゲートに接続される場合)、のどちらか一方で、物理的変数の該第2の測定値を検証サーバーに送信することから成る。
【0065】
本発明のシステムの別の好ましい実施形態によると、センサーは、Wi-Fi範囲受信機、無線信号受信機、Bluetooth範囲受信機、Bluetooth Low Energy範囲受信機、携帯電話信号受信機、GPS測位センサー、大気圧センサー、風速センサー、温度センサー、湿度センサー、空気伝導率センサー、空気中塩分濃度センサー、重力センサー、高度センサー、音響インテンシティセンサー、バイオメトリックセンサー、方位センサー、光度センサー、赤外線スペクトルセンサー、空気品質センサー、及び振動センサーのうちの少なくとも1つを含む。
【0066】
本発明の特に好ましい別の実施形態では、本方法は、さらに、施設に配置されたビーコンから、施設への自動アクセスゲートの全ての周囲で検出可能な信号を発射するステップを含む。例えば、信号は、全てのアクセスゲートで信号を検出できるように十分な電力がある施設の適切な地点から発射されたWi-Fi、無線、Bluetooth、またはBluetooth Low Energyの信号であり得る。この信号は、システムで使用される物理的変数を構成するであろう。これにより、観客のモバイルデバイスによって獲得された第1の測定値及び施設のセンサーによって獲得された第2の測定値が、観客がそのような特定の専用信号の範囲内にいるときだけ、すなわち、彼/彼女がアクセスする意向がある施設に彼/彼女が物理的に存在するときだけ一致することを確実にすることを可能にするであろう。
【0067】
前述の実施形態の代替の好ましい実施形態では、本方法は、さらに、自動アクセスゲートの周囲に各々配置された複数のビーコンから、1つの自動アクセスゲートの周囲だけで、または、施設の同じエリアに位置するいくつかの自動アクセスゲートの周囲だけで、検出可能な信号を発射するステップを含む。すなわち、この場合、ビーコンは、物理的変数(Wi-Fi、無線、Bluetooth、またはBluetooth Low Energy、または他の信号)を生成し、物理的変数の範囲は、それが特定の自動アクセスゲートの周囲だけで、または施設の全てのゲートの中の特定のゲートのサブセットの周囲だけで、検出可能になるように計算される。この場合、ビーコンの範囲、数、及び位置の適正な設計は、各アクセスゲートで受信した信号の数が異なるであろうため、観客が位置するアクセスゲートの固有の識別を可能にするであろう。
【0068】
さらにより好ましくは、各ビーコンは、他のビーコンによって発射された信号と異なる信号を発射し得る。言い換えれば、各ビーコンによって発射された信号は固有であり知られるであろう。そして、単一のアクセスゲート、または自動アクセスゲートのサブセットだけに到達するように、信号の範囲を計算するであろう。したがって、観客のモバイルデバイスのセンサーが特定の信号をキャプチャする場合、これは、必然的に、該携帯電話がその信号を発射するビーコンに対応する自動アクセスゲートのそばにあることになる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【
図1】本発明による、アクセス制御システムを構成する要素の概略図を示す。
【
図2】本発明による、自動アクセスゲートの概略図を示す。
【
図3A】本発明による、アクセス制御方法のいくつかのステップを概略的に示す。
【
図3B】本発明による、アクセス制御方法のいくつかのステップを概略的に示す。
【
図3C】本発明による、アクセス制御方法のいくつかのステップを概略的に示す。
【
図3D】本発明による、アクセス制御方法のいくつかのステップを概略的に示す。
【
図3E】本発明による、アクセス制御方法のいくつかのステップを概略的に示す。
【
図4】本発明のアクセス制御方法の概略スケジュールを示す。
【発明を実施するための形態】
【0070】
添付図を参照して、本発明の特定の例を下記に説明する。
【0071】
図1は、サッカーの試合へのアクセスを制御するために、サッカースタジアムに導入されたアクセス制御システムを概略的に示す。このスタジアムは8個のゲートを有し、それらのゲートのそれぞれに、自動アクセスゲート(3)が設置される。さらに、屋外に位置するスタジアムのある地点に、センサー(4)が設置され、この例では温湿度センサーが設置される。
【0072】
図2に見ることができるように、この例では、自動アクセスゲート(3)のそれぞれは回転部に固定された3つのバーを有する回転バーであり、これにより、既定角度で回転部を動作させると、1人の通過を可能にするようにバーを移動させる。また、この回転バー(3)は、QRコード(登録商標)を読み取るための光学リーダー(31)を有する。したがって、それは、多くのスタジアムへの入場を制御するために現在使用されているタイプの完全に従来型の回転バー(3)である。
【0073】
検証サーバー(2)は、回転バー(3)と通信し、温湿度センサー(4)に接続され、そしてリモート場所に位置する。本明細書で上記に説明したように、検証サーバー(2)は単一の物理要素でない場合がある得るが、技術的または商業的な理由により、いくつかの部分に分けられ得る。例えば、検証サーバー(2)は、第2のエンティティに属する第2のサブサーバーと通信する第1のエンティティに属する第1のサブサーバーで構成できる。そのようなサブサーバーのそれぞれは、特定用途のためにデータベースまたは他の要素等、それに接続された他の追加要素を有し得る。検証サーバー(2)を構成する異なる要素の間の接続、同様に、検証サーバー(2)と回転バー(3)との間の接続は、当技術分野で既知の有線または無線の任意の通信手段を使用して実行される。いずれの場合、説明される要素のセットは、本明細書に説明される動作を実行するために調整された方式で動作し、簡潔にする理由で、それらの要素は単に「検証サーバー(2)」と呼ばれる。
【0074】
また、
図1はモバイルデバイス(1)を示し、この場合、携帯電話である。携帯電話(1)は、チケットを購入及び管理するための特定のアプリケーションをインストールしている。このアプリケーションは、既存のアプリケーションストアで通常にダウンロードできる。下記にさらに詳細に説明されるように、アプリケーションは、携帯電話(1)に、本明細書に説明される異なる動作を実行させるように構成される。特に、アプリケーションは、スタジアムへの入場コード(EC)を生成するために、携帯電話(1)によって後で使用されるアルゴリズムを含む。さらに、アプリケーションをインストールするこのプロセス中に、携帯電話(1)は、電話番号自体(N)、IMSI、IMEI、またはそれらの任意の組み合わせ等、該携帯電話の識別データを検証サーバー(2)に送信する。また、モバイルデバイス(1)は、必然的に、少なくとも1つの温度センサー及び1つの湿度センサーを有する。
【0075】
次に、
図3及び
図4を参照して、本発明のアクセス制御方法を説明する。まず、
図3Aに示されるように、観客は、携帯電話(1)にインストールされたアプリケーションによってチケットを購入する。これをするために、観客は、最初に、アプリケーションの購入エリアにアクセスする認証プロセスを実行し、その後、座席を選択し、対応する支払いをする。
【0076】
次に、
図3Bに概略的に示されるように、検証サーバー(2)は、既定のアルゴリズムを使用して、検証サーバー(2)が携帯電話(1)に送信するシード(S)を生成する。したがって、この瞬間では、携帯電話(1)及び検証サーバー(2)の両方は、シード(S)、及び該携帯電話(1)の識別データ(N、IMSI、及び/またはIMEI)の両方を記憶している。
【0077】
続いて、例えば、数日間、数週間、またはさらに数カ月後に、観客は、試合観戦に参加するために、スタジアムに出向く。彼/彼女が待ち行列に近づいているとき、彼/彼女が、アプリケーションを開き、入場コード(EC)をアクセス回転バー(3)のリーダー(31)に示す。
図1に示されるように、観客ひいては携帯電話(1)も同様に、必然的に、彼/彼女がスタジアムに入場しようとするゲートへの特定のアクセスのために回転バー(3)の近くに存在する。その時点で、
図3Cに概略的に示されるように、携帯電話(1)のアプリケーションは前述のアルゴリズムを使用して、シード(S)、携帯電話(1)の識別データ(N,IMSI,及び/またはIMEI)、及び携帯電話(1)に埋め込められたセンサーのうちの1つを使用して、その瞬間に実行される前述の物理的変数の第1の測定値(PV
1)に基づいて、入場コード(EC)の計算を行う。したがって、入場コード(EC)を生成するために使用される物理的変数は、その特定の時間及びその特定の場所の点における温度及び湿度である。例えば、入場コード(EC)について、以下のようなものを見ることができる。
【0078】
【0079】
このプロセスは、観客の目から見れば、すぐである。入場コード(EC)はスクリーン上に現れ、観客は、入場コード(EC)を、アクセス回転バー(3)の光学リーダー(31)に示す。
図3Dに示されるように、入場コード(EC)が読み取られると、回転バー(3)は該入場コード(EC)を検証サーバー(2)に送信する。
【0080】
入場コード(EC)の生成と、アクセス回転バー(3)によって読み取られる瞬間との間の経過時間は、ほんの数秒である。観客がアプリケーションを開き、コードを早めに生成するイベントでは、タイムスタンプを追加することによって連続的に時間制限のある入場コード(EC)を計算するプロセスは、回転バー(3)に最終的に表示されるコードが、各コードの数秒よりも早く生成されなく、ひいては、物理的変数の第1の測定値(PV1)が回転バー(3)の近くで作られたものであることを確実にする。
【0081】
同時に、観客が入場コードをアクセス回転バー(3)のリーダー(31)に示すとき、センサー(4)は、同じ物理的変数の第2の測定値(PV
2)、すなわち、その瞬間に温度及び湿度の取得を実行する命令を受信する。前述の段落で説明される理由で、不正行為がない、携帯電話(1)のアプリケーションが物理的変数の第1の測定値(PV
1)を取得してからの経過時間がほんの数秒であるため、その瞬間に観客がいた場所と、センサー(4)との間の距離は、その理由で温度及び湿度で著しい変化がないくらい十分に小さないことが想定される。したがって、スタジアムのどこかの場所に位置するセンサー(4)によって実行された第2の温湿度の測定値(PV
2)は、回転バー(3)のそばに携帯電話(1)のアプリケーションによって実行された第1の測定値(PV
1)と同じ結果を提供する。
図3Dに見られるように、温湿度センサー(4)が検証サーバー(2)に接続されているため、温湿度データはすぐに該検証サーバー(2)に到達する。
【0082】
したがって、本方法におけるこの地点において、検証サーバー(2)は、シード(S)、観客の携帯電話(1)の識別データ(N、IMSI、及び/またはIMEI)、及びセンサー(4)によって取得された温湿度の測定値の値を記憶している。また、検証サーバー(2)は、入場コード(EC)を計算するためのアルゴリズムを把握する。
図3Eに概略的に示されるように、このアルゴリズム、シード(S)、携帯電話(1)のデータ(N,IMSI,及び/またはIMEI)、及び第2の温湿度の測定値(PV
2)を使用して、検証サーバー(2)は検証コード(VC)を計算する。この検証コード(VC)は、第2の温湿度測定値(PV
2)が第1の温湿度測定値(PV
1)と同じである場合だけ、すなわち、入場コード(EC)がアプリケーションによって生成されたとき、観客がスタジアムのかなり近くにいる、例えば回転バー(3)のそばにいる場合及びその場合だけ、入場コード(EC)と一致する。
【0083】
次に、検証サーバー(2)は、入場コード(EC)を検証コード(VC)と比較する。それらのコードが同じである場合、検証サーバー(2)は、回転バー(3)を開く命令を送信し、観客がアクセスすることを許可する。それらのコードが同じでない場合、検証サーバー(2)は、回転バー(3)に、観客の通路を閉じたままにする命令を送信する。
【0084】
図4は、前述の段落で説明した方法が実行されるとき、システムの異なる要素間で発生する異なる通信を示すスケジュール概略である。
【国際調査報告】