(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-23
(54)【発明の名称】ポリ(ブチルアクリレート)基盤の透明性及び伸縮性を有する電気変色素子用組成物及び電気変色部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1516 20190101AFI20241016BHJP
【FI】
G02F1/1516
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514130
(86)(22)【出願日】2021-12-08
(85)【翻訳文提出日】2024-04-22
(86)【国際出願番号】 KR2021018513
(87)【国際公開番号】W WO2023063491
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】10-2021-0136309
(32)【優先日】2021-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517279964
【氏名又は名称】コリア・ユニバーシティ・オブ・テクノロジー・アンド・エデュケーション・インダストリー-ユニバーシティ・コーポレーション・ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ベ,ジン ウ
(72)【発明者】
【氏名】オ,スン ジュ
【テーマコード(参考)】
2K101
【Fターム(参考)】
2K101AA22
2K101DA01
2K101DB06
2K101DB23
2K101DC04
2K101DC13
2K101DC42
2K101EC73
2K101ED52
2K101EH61
2K101EJ02
2K101EJ32
2K101EJ33
2K101EK05
(57)【要約】
本発明はポリ(ブチルアクリレート)基盤の透明性及び伸縮性を有する電気変色素子用組成物及び電気変色部材の製造方法に関する。
本発明の実施例による電気変色素子用組成物は、光透過性高分子樹脂と、架橋剤と、開始剤と、イオン性液体と、電気変色物質とを含むが、前記光透過性高分子樹脂はポリ(ブチルアクリレート)である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性高分子樹脂と、
架橋剤と、
開始剤と、
イオン性液体と、
電気変色物質と、を含むが、
前記光透過性高分子樹脂はポリ(ブチルアクリレート)である、電気変色素子用組成物。
【請求項2】
前記架橋剤はポリエチレングリコールジメタクリレートであり、前記架橋剤の含量は前記光透過性高分子樹脂100重量部に対して1乃至2重量部である、請求項1に記載の電気変色素子用組成物。
【請求項3】
前記開始剤は1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンであり、前記開始剤の含量は前記光透過性高分子樹脂100重量部に対して0.5乃至2重量部である、請求項1に記載の電気変色素子用組成物。
【請求項4】
前記イオン性液体は1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドであり、前記イオン性液体の含量は前記光透過性高分子樹脂100重量部に対して150乃至250重量部である、請求項1に記載の電気変色素子用組成物。
【請求項5】
前記高分子樹脂100重量部に対して1乃至8重量部の含量を有するアノードレドックス化合物を更に含む、請求項1に記載の電気変色素子用組成物。
【請求項6】
前記変色物質はMHVであり、前記変色物質の含量は前記光透過性高分子樹脂100重量部に対して8乃至15重量部である、請求項1に記載の電気変色素子用組成物。
【請求項7】
前記変色物質はDHVであり、前記変色物質の含量は前記光透過性高分子樹脂100重量部に対して10乃至20重量部である、請求項1に記載の電気変色素子用組成物。
【請求項8】
前記変色物質はTFMFPhVであり、前記変色物質の含量は前記光透過性高分子樹脂100重量部に対して1乃至10重量部である、請求項1に記載の電気変色素子用組成物。
【請求項9】
第1電極と、
第2電極と、
前記第1電極及び第2電極による電圧によって変色する電気変色素子層と、を含むが、
前記電気変色素子層は請求項1に記載の電気変色素子用組成物を含む、電気変色素子。
【請求項10】
光透過性高分子樹脂、架橋剤、開始剤、イオン性液体、及び電気変色物質を混合して混合物を製造するステップを含む、電気変色部材の製造方法。
【請求項11】
前記混合物を製造するステップにおいて、
前記架橋剤の含量は前記高分子樹脂100重量部に対して1乃至2重量部であり、
前記開始剤の含量は0.5乃至2重量部であり、
前記イオン性液体の含量は150乃至250重量部である、請求項10に記載の電気変色部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリ(ブチルアクリレート)基盤の透明性及び伸縮性を有する電気変色素子用組成物及び電気変色部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気変色素子は電気変色物質(electrochromic material)を含んでおり、外部から印加される電圧によって色相が変わる素子である。前記電気変色物質には高分子化合物、金属酸化物など多様な物質が適用されており、前記電極に印加される電圧によって色相が可逆的に変化するようになる。
【0003】
最近はこのような変色素子を外部の視線及び太陽光を遮断するスマートウィンドウシステムや地図、文字などの情報を表示する自動車用ガラスに使用されるなど、適用分野が拡大されている。
【0004】
従来の電気変色素子は液体状の電気変色物質を利用するため電解液の漏液が発生するという問題があり、柔軟性を有するディスプレイとして使用されるのに制限がある。最近固体化した水基盤の電解液が開発されたが、水が容易に気化を防止するための保護層を追加に設置するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国登録特許第10-2078481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は光透過性及び伸縮性を有する電気変色素子用組成物及び電気変色部材の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
また、多様な電気変色物質を適用して多様な色相を具現し得る。
【0008】
また、耐湿性及び柔軟性を有することで多様な分野に適用可能である。
【0009】
また、製造方法が簡単で生産効率の増大及び製造コストの減少が可能である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施例による電気変色素子用組成物は、光透過性高分子樹脂と、架橋剤と、開始剤と、イオン性液体と、電気変色物質とを含むが、前記光透過性高分子樹脂はポリ(ブチルアクリレート)である。
【0011】
前記架橋剤はポリエチレングリコールジメタクリレートであり、前記架橋剤の含量は前記光透過性高分子樹脂100重量部に対して1乃至2重量部であり得る。
【0012】
前記開始剤は1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンであり、前記開始剤の含量は前記光透過性高分子樹脂100重量部に対して0.5乃至2重量部であり得る。
【0013】
前記イオン性液体は1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドであり、前記イオン性液体の含量は前記光透過性高分子樹脂100重量部に対して150乃至250重量部であり得る。
【0014】
前記高分子樹脂100重量部に対して1乃至8重量部の含量を有するアノードレドックス化合物を更に含み得る。
【0015】
前記変色物質はMHVであり、前記変色物質の含量は前記光透過性高分子樹脂100重量部に対して8乃至15重量部であり得る。
【0016】
前記変色物質はDHVであり、前記変色物質の含量は前記光透過性高分子樹脂100重量部に対して10乃至20重量部であり得る。
【0017】
前記変色物質はTFMFPhVであり、前記変色物質の含量は前記光透過性高分子樹脂100重量部に対して1乃至10重量部であり得る。
【0018】
本発明の実施例による電気変色素子は、第1電極と、第2電極と、前記第1電極及び第2電極による電圧によって変色する電気変色素子層とを含むが、前記電気変色素子層は上述した電気変色素子用組成物を含む。
【0019】
本発明の実施例による電気変色部材の製造方法は、光透過性高分子樹脂、架橋剤、開始剤、イオン性液体、及び電気変色物質を混合して混合物を製造するステップを含む。
【0020】
前記混合物を製造するステップにおいて、前記架橋剤の含量は前記高分子樹脂100重量部に対して1乃至2重量部であり、前記開始剤の含量は0.5乃至2重量部であり、前記イオン性液体の含量は150乃至250重量部であり得る。
【発明の効果】
【0021】
本発明の実施例による電気変色素子用組成物及び電気変色部材の製造方法によると、光透過性及び伸縮性を有し得る。
【0022】
また、多様な電気変色物質を適用して多様な色相を具現し得る。
【0023】
また、耐湿性及び柔軟性を有することで多様な分野に適用可能である。
【0024】
また、製造方法が簡単で生産効率の増大及び製造コストの減少が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】イオンゲル1乃至6に対する蒸発試験の結果である。
【
図2】イオンゲル1乃至6に対する引張強度-歪み測定の結果である。
【
図3】インピーダンス実験結果を示すナイキスト線図である。
【
図4】サイクリックボルタンメトリーによる測定結果を示す図である。
【
図5】サイクリックボルタンメトリーによる測定結果を示す図である。
【
図6】サイクリックボルタンメトリーによる測定結果を示す図である。
【
図16】光学密度対電荷密度の分析結果を示す図である。
【
図17】光学密度対電荷密度の分析結果を示す図である。
【
図18】光学密度対電荷密度の分析結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付した図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を以下のように説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されてもよく、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限らない。また、本発明の実施形態は、該当技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。よって、図面の要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張され得て、図面上の同じ符号で表示される要素は同じ要素である。また、類似した機能及び作用をする部分に対しては図面全体にわたって同じ符号を使用する。加えて、明細書全体において、ある構成要素を「含む」ということは、特に反対する記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素を更に含み得ることを意味する。
【0027】
電気変色素子用組成物
本発明の実施例による電気変色素子用組成物は、光透過性高分子樹脂と、架橋剤と、開始剤と、イオン性液体と、電気変色物質とを含むが、前記光透過性高分子樹脂はポリ(ブチルアクリレート)である。
【0028】
ポリ(ブチルアクリレート)(PBA)を主な重合体として使用することで光透過性、可撓性、及び伸縮性を有し得る。特に、本発明の実施例で使用される架橋剤、開始剤、及びイオン性液体と共に使用することでこのような特性を更に向上させ得る。前記ポリ(ブチルアクリレート)の分子式は(C7H12O2)n(nは自然数)であり、化学式は下記化学式1のようである。前記ポリ(ブチルアクリレート)の分子量は特に限らないが、20,000乃至100,000であり得る。
【0029】
【0030】
架橋剤は前記光透過性高分子の鎖の間に架橋を形成することで硬度、弾性など機械的特性を向上させ、化学的安定性を与える機能を行う。前記架橋剤は前記光透過性高分子と結合して伸縮性及び柔軟性を与えるために、好ましくはポリエチレングリコールジメタクリレート(PEGDA)であり得る。前記ポリエチレングリコールジメタクリレートの分子式はC3H5C(O)(OCH2CH2)nOC(O)C3H5(nは自然数)であり、化学式は下記化学式2であり得る。
【0031】
【0032】
前記架橋剤の含量は前記光透過性高分子樹脂100重量部に対して1乃至2重量部、好ましくは、1乃至1.4重量部であり得る。架橋剤の含量が高すぎれば光透過性が減少するという問題があり、架橋剤の含量が低すぎれば製造された変色素子部材の機械的物性が減少するという問題がある。
【0033】
開始剤は光透過性高分子及び架橋剤の重合反応を引き起こす機能を行う。前記開始剤は1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(PI)であり得る。前記1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンの分子式はHOC6H10COC6H5であり、化学式は下記化学式3で表され得る。
【0034】
【0035】
前記開始剤の含量は前記光透過性高分子樹脂100重量部に対して0.5乃至2重量部、好ましくは、0.8乃至1.2重量部であり得る。前記開始剤の含量が多すぎれば柔軟性及び伸縮性が減少するという問題があり、前記開始剤の含量が少なすぎれば強度が減少するという問題が発生し得る。
【0036】
イオン性液体(ionic liquid)は一般に100℃で非揮発性形態状態に維持されながら電気変色部材のイオン及び電子の移動を向上させる。前記イオン性液体は1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(BMIM TFSI)であり得る。前記1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドの分子式はC10H15F6N3O4S2であり、化学式は下記化学式4のようである。
【0037】
【0038】
前記イオン性液体の含量は前記光透過性高分子樹脂100重量部に対して150乃至250重量部、好ましくは、180乃至220重量部であり得る。前記イオン性液体の含量が低すぎればイオンゲルのイオン伝導度が減少するという問題が発生し得て、含量が高すぎれば光透過率が減少し得る。
【0039】
一実施例において、電気変色素子用組成物はアノードレドックス化合物を更に含み得る。前記アノードレドックス化合物はフェロセン及びジメチルフェロセンのうちいずれか一つであり得るが、好ましくはジメチルフェロセンであり得る。前記ジメチルフェロセンは下記化学式5で表され得る。
【0040】
【0041】
前記アノードレドックス化合物の含量は前記高分子樹脂100重量部に対して1乃至8重量部であり得る。
【0042】
電気変色物質は外部から印加される電圧によって吸収する波長が変化し、色相が変わる物質である。本発明の実施例において、前記電気変色物質は具現しようとする色相によって多様なものと使用し得る。
【0043】
赤色またはマゼンタ(magenta)系の色相を具現するために、前記電気変色物質は1-へプチル-[4,4’-ビピリジン](ヘキサフルオロホスフェート)(MHV[PF6])であり得る。前記1-へプチル-[4,4’-ビピリジン](ヘキサフルオロホスフェート)は化学式6で表され得る。
【0044】
【0045】
この場合、前記変色物質の含量は前記光透過性高分子樹脂100重量部に対して8乃至15重量部、より好ましくは13乃至15重量部であり得る。この範囲を逸脱すれば色相がよく具現されないか、寿命が減少するという問題が発生し得る。
【0046】
青色またはシアン(Cyan)系の色相を具現するために、前記電気変色物質は1,1’-ジへプチル-[4,4’-ビピリジン]ビス(ヘキサフルオロホスフェート)(DHV[PF6]2)であり得る。前記1,1’-ジへプチル-[4,4’-ビピリジン]ビス(ヘキサフルオロホスフェート)は化学式7で表され得る。
【0047】
【0048】
この場合、前記変色物質の含量は前記光透過性高分子樹脂100重量部に対して10乃至20重量部、より好ましくは16乃至18重量部であり得る。この範囲を逸脱すれば色相がよく具現されないか、寿命が減少するという問題が発生し得る。
【0049】
緑色系の色相を具現するために、前記電気変色物質は3-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル-[4,4’-ビピリジン]ヘキサフルオロホスフェート(TFMFPhV[PF6]2)であり得る。前記3-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル-[4,4’-ビピリジン]ヘキサフルオロホスフェートは化学式8で表され得る。
【0050】
【0051】
この場合、前記変色物質の含量は前記光透過性高分子樹脂100重量部に対して1乃至10重量部、より好ましくは6乃至8重量部であり得る。この範囲を逸脱すれば色相がよく具現されないか、寿命が減少するという問題が発生し得る。
【0052】
電気変色素子
本発明の実施例による電気変色素子は、第1電極と、第2電極と、前記第1電極及び第2電極による電圧によって変色する電気変色素子層とを含むが、前記電気変色素子層は上述した電気変色素子用組成物によって製造される電気変色部材を含む。
【0053】
前記第1電極及び第2電極は電気装置で一般に使用されるものであって、特に限らない。但し、光透過性、柔軟性、伸縮性を有するためにITO glassまたはITO-PENなどからなるものであり得る。
【0054】
前記電気変色素子層は上述した電気変色素子用組成物を含むものであって、前記電気変色素子用組成物を以下に説明する製造方法によって適当なサイズ及び厚さで製造したものであり得る。
【0055】
電気変色部材の製造方法
本発明の実施例による電気変色部材の製造方法は、光透過性高分子樹脂、架橋剤、開始剤、イオン性液体、及び電気変色物質を混合して混合物を製造するステップを含む。
【0056】
前記混合物を製造するステップで混合される光透過性高分子樹脂、架橋剤、開始剤、電気変色物質、及びイオン性液体は上述した通りである。
【0057】
前記混合物を製造するステップにおいて、前記架橋剤の含量は前記高分子樹脂100重量部に対して1乃至2重量部であり、前記開始剤の含量は0.5乃至2重量部であり、前記イオン性液体の含量は150乃至250重量部であり得る。
【0058】
一実施例において、前記混合物を製造するステップの後、前記混合物を硬化するステップを含み得る。本ステップはUVを照射して行われ得るが、100乃至400nmの波長を2乃至30分間照射して行われ得る。
【0059】
製造例:PBA混合イオンゲルの製造
イオンゲル1
高分子樹脂としてPBA 0.5g、架橋剤としてPEGDA 0.006g、開始剤としてPI 0.005gを投入し混合した。365nmの波長でUV硬化器で10分間光硬化させる。
【0060】
イオンゲル2
イオンゲル1でBMIM TFSIを0.25g更に投入したことを除いてはイオンゲル1と同様に行った。
【0061】
イオンゲル3
イオンゲル1でBMIM TFSIを0.5g更に投入したことを除いてはイオンゲル1と同様に行った。
【0062】
イオンゲル4
イオンゲル1でBMIM TFSIを0.75g更に投入したことを除いてはイオンゲル1と同様に行った。
【0063】
イオンゲル5
イオンゲル1でBMIM TFSIを1.0g更に投入したことを除いてはイオンゲル1と同様に行った。
【0064】
イオンゲル6
イオンゲル1でBMIM TFSIを1.25g更に投入したことを除いてはイオンゲル1と同様に行った。
【0065】
実験例:蒸発試験
イオンゲル1乃至6を一定サイズで切り、それを常温で30日間、20乃至27℃及び19乃至40%RHの条件を維持しながら該当試料の重量を測定した。
図1は本実験結果を示す図である。
図1を参照すると、イオンゲルにイオン性液体の含量が増加しても重量には変化がないことが分かる。
【0066】
実験例:引張強度-歪みの測定
イオンゲル1乃至6を対象に、万能試験機(UTM、Tinius Olsen、H5KT)を利用して測定しており、ASTM D638 type Vに従って行った。
図2は本実験結果を示す図である。
図2を参照すると、イオン性液体の含量が増加することで引張強度が減少することが分かる。イオンゲル5の場合は最も適合した柔軟性及び伸縮性を有し、イオンゲル6は引張強度が低すぎて容易に裂けるため電気変色素子として適用することが難しい。よって、イオンゲル5によって光透過性高分子100重量部に対して200重量部水準のイオン性液体を加えることが最も適合だと判断される。
【0067】
実験例:イオン伝導度の測定
実施例及び比較例で製造した電気変色部材を白金電極の間に配置し、インピーダンス分光器を利用してインピーダンススペクトルを測定した。
図4は、本実験結果を示すナイキスト線図である。
【0068】
製造例:電気変色部材の製造
実施例1
高分子樹脂としてPBA 0.5g、架橋剤としてPEGDA 0.006g、開始剤としてPI0.005g、イオン性液体としてBMIM TFSI 1g、電気変色物質としてMHV[PF6] 0.04g、アノードレドックス化合物としてジメチルフェロセン0.022gを混合した。次に、365nmの波長でUV硬化器で10分間光硬化した。
【0069】
実施例2
実施例1でMHV[PF6] 0.05g、ジメチルフェロセン0.029gを投入したことを除いては実施例1と同様に行った。
【0070】
実施例3
実施例1でMHV[PF6] 0.06g、ジメチルフェロセン0.036gを投入したことを除いては実施例1と同様に行った。
【0071】
実施例4
実施例1でMHV[PF6]の代わりにDHV[PF6]2 0.06g、ジメチルフェロセン0.022gを投入したことを除いては実施例1と同様に行った。
【0072】
実施例5
実施例4でDHV[PF6]2 0.07g、ジメチルフェロセン0.027gを投入したことを除いては実施例4と同様に行った。
【0073】
実施例6
実施例4でDHV[PF6]2 0.086g、ジメチルフェロセン0.0319gを投入したことを除いては実施例4と同様に行った。
【0074】
実施例7
実施例1でMHV[PF6]の代わりにTFMFPhV[PF6]2 0.00965g、ジメチルフェロセン0.005352gを投入したことを除いては実施例1と同様に行った。
【0075】
実施例8
実施例7でTFMFPhV[PF6]2 0.0193g、、ジメチルフェロセン0.0107gを投入したことを除いては実施例7と同様に行った。
【0076】
実施例9
実施例7TFMFPhV[PF6]2 0.0399g、ジメチルフェロセン0.022gを投入したことを除いては実施例7と同様に行った。
【0077】
製造例:電気変色素子の製造
先に製造した電気変色部材を横10mm、縦20mmに切断してITO glassの上に配置し、前記電気変色部材の縁に厚さ100μmのスペーサを配置した後、異なるITO glassで上部を覆った。このように製造された電気変色素子は、電気変色部材の実施例1乃至9に対応してそれぞれ実施例10乃至18と定義した。
【0078】
実験例:サイクリックボルタンメトリー(cyclic voltammetary)の測定
電位器(biologics、SP240)を利用して20mVs
-1の条件で実施例10乃至18に対するサイクリックボルタンメトリーによる電流/電位曲線を得た。
図4は実施例10乃至12、
図6は実施例13乃至15、
図6は実施例16乃至18の実験結果を示す図である。
図4乃至
図6を参照すると、電気変色物質の含量が高いほど電流の変化が明確であることが分かる。
【0079】
実験例:光吸収率の測定
実施例12、15、及び18に対して紫外・可視光分光器(UV-Vis Spectrometer、Perkin elmer、Lambda 465)を利用し、400乃至800nmの範囲で測定した。
図7乃至
図9はそれぞれ実施例12、15、及び18の実験結果を示す図である。
図7乃至
図9を参照すると、実施例12は552nm、実施例15は605nm、実施例18は649nmの波長に対する吸収率が最も高く、印加される電圧によって光吸収率が調節されることが分かる。
【0080】
実験例:脱色及び着色実験
実施例10乃至18に電圧を印加してそれぞれの色相が具現される様子を観察した。
図10乃至
図12はそれぞれ実施例10乃至12、実施例13乃至15、実施例16乃至18の実験結果を撮影した写真である。
図10乃至
図12を参照すると、それぞれの電気変色物質によって色相が具現されることが分かり、実施例12、15、及び18でより明確な色相が具現されることが分かる。
【0081】
実験例:光透過率実験
実施例10乃至18に対し、それぞれ525、605、649nmの波長の光が透過する程度を測定した。この際、電圧を印加及び遮断して着色及び脱色させる間の光透過率の変化を観察した。
図13乃至
図15はそれぞれ実施例10乃至12、実施例13乃至15、実施例16乃至18の実験結果を撮影した写真である。
図13乃至
図15を参照すると、電気変色物質の含量が高いほど光透過率の変化程度が大きく、特に実施例12、15、及び18の光透過率の変化程度が非常に優れることが分かる。
【0082】
実験例:光学密度対電荷密度の分析
606nm及び-1.0Vの条件で実施例10乃至18に対して光学密度対電荷密度の関係を分析し、着色効率(η)を求めた。
図16乃至
図18はそれぞれ実施例10乃至12、実施例13乃至15、実施例16乃至18の実験結果を撮影した写真である。
図16乃至17を参照すると、電気変色物質の含量が高いほど着色効率(η)が大きいことが分かる。
【0083】
本発明は上述した実施形態及び添付した図面によって限定されず、添付した特許請求の範囲によって限定しようとする。よって、特許請求の範囲に記載の本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で当技術分野の通常の知識を有する者によって多様な形態の置換、変形、及び変更が可能であり、それも本発明の範囲に属するといえる。
【国際調査報告】