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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-23
(54)【発明の名称】白金族金属捕捉材料
(51)【国際特許分類】
   B01J 20/04 20060101AFI20241016BHJP
   B01J 23/44 20060101ALI20241016BHJP
   B01J 20/08 20060101ALI20241016BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20241016BHJP
   F01N 3/10 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
B01J20/04 C
B01J23/44 A ZAB
B01J20/08 C
B01J20/04 A
B01D53/94 245
B01D53/94 280
B01D53/94 222
F01N3/10 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515631
(86)(22)【出願日】2022-09-28
(85)【翻訳文提出日】2024-03-11
(86)【国際出願番号】 US2022077132
(87)【国際公開番号】W WO2023056270
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/122206
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジアン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ、シンイー
(72)【発明者】
【氏名】ラパドゥラ、ジェラード ダイオミード
(72)【発明者】
【氏名】ビアード、ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】タン、ウェイヨン
【テーマコード(参考)】
3G091
4D148
4G066
4G169
【Fターム(参考)】
3G091AB02
3G091AB03
3G091AB05
3G091BA14
3G091BA15
3G091GA06
3G091GB01X
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3G091GB07W
3G091GB10W
3G091GB17X
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4D148BB14
4D148CC32
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4G169EA27
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4G169EB15Y
4G169EB17Y
4G169EC28
4G169EE08
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4G169FB14
4G169FB23
4G169FB30
4G169FC08
4G169ZA14B
4G169ZD06
4G169ZF05B
(57)【要約】
アルカリ土類金属酸化物を含む白金族金属捕捉材料が、本明細書において開示されている。同様に、触媒物品、排気ガス処理システム、及びそれを含む排気ガスを処理する方法も本明細書において開示されている。本開示の一部の実施形態は、一酸化炭素を酸化する及び炭化水素を酸化するための手段と、揮発した白金族金属を捕捉するための手段と、窒素酸化物を選択的に還元するための手段とを備えるガス処理システムに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ土類金属酸化物を含む、白金族金属捕捉材料であって、前記白金族金属捕捉材料の総重量基準で、0.01重量未満%のセリア、金、パラジウム、銀、白金及び銅を含む、白金族金属捕捉材料。
【請求項2】
前記アルカリ土類金属酸化物が、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム及びこれらの組合せから選択される、請求項1に記載の白金族金属捕捉材料。
【請求項3】
アルミナ、ジルコニア、及びそれらの組合せから選択される少なくとも1種の金属酸化物を更に含む、請求項1又は2に記載の白金族金属捕捉材料。
【請求項4】
前記白金族金属捕捉材料が、前記白金族金属捕捉材料の総重量基準で、約30重量%~約90重量%の酸化マグネシウムを有する、請求項2又は3に記載の白金族金属捕捉材料。
【請求項5】
前記白金族金属捕捉材料が、酸化マグネシウムから実質的になる、請求項1又は2に記載の白金族金属捕捉材料。
【請求項6】
前記白金族金属捕捉材料が、アルミニウムマグネシウム酸化物、ジルコニアマグネシウム酸化物、アルミニウムカルシウム酸化物又はジルコニアカルシウム酸化物から実質的になる、請求項1~4のいずれか一項に記載の白金族金属捕捉材料。
【請求項7】
白金族金属を含む触媒組成物の下流に、請求項1~6のいずれか一項に記載の白金族金属捕捉材料を含む触媒物品。
【請求項8】
前記白金族金属捕捉材料が、少なくとも約0.2g/inのウォッシュコート担持量を有する、請求項7に記載の触媒物品。
【請求項9】
前記白金族金属捕捉材料及び前記触媒組成物が、層状配置及び/又はゾーン化配置にある、請求項7又は8に記載の触媒物品。
【請求項10】
エンジンと、請求項7~9のいずれか一項に記載の触媒物品を備える、排気ガス処理システム。
【請求項11】
白金族金属を含む触媒組成物の下流に、請求項1~6のいずれか一項に記載の白金族金属捕捉材料を含む、排気ガス処理システムであって、前記白金族金属捕捉材料及び前記触媒組成物が異なる基材表面に存在する、排気ガス処理システム。
【請求項12】
排気ガスを処理する方法であって、
前記排気ガスに、白金族金属を含む触媒組成物を接触させることと、
続いて、前記排気ガスに、請求項1~6のいずれか一項に記載の白金族金属捕捉材料、請求項7~9のいずれかに記載の触媒物品、及び請求項10又は11に記載の排気ガス処理システムから選択される少なくとも1種の実体を接触させることと
を含む、方法。
【請求項13】
一酸化炭素を酸化するため及び炭化水素を酸化するための手段と、
揮発した白金族金属を捕捉するための手段と、
窒素酸化物を選択的に還元するための手段と、を備える、排気ガス処理システムであって、
一酸化炭素を酸化するため及び炭化水素を酸化するための前記手段が白金族金属を含み、
揮発した白金族金属を捕捉するための前記手段が酸化マグネシウムを含み、
揮発した白金族金属を捕捉するための前記手段が、場合により、ジルコニウムを除く、遷移金属を含まず、
揮発した白金族金属を捕捉するための前記手段が希土類金属を含まず、
揮発した白金族金属を捕捉するための前記手段が、一酸化炭素を酸化するため及び炭化水素を酸化するための前記手段の下流に位置し、
揮発した白金族金属を捕捉するための前記手段が、窒素酸化物を選択的に還元するための前記手段の上流に位置する、
排気ガス処理システム。
【請求項14】
揮発した白金族金属を捕捉するための前記手段が、請求項1~6のいずれか一項に記載の白金族金属捕捉材料を含む、請求項13に記載の排気ガス処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本出願は、2021年9月30日に出願の国際出願第PCT/CN2021/122206号の優先権の利益を主張する。この出願の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
アルカリ土類金属酸化物を含む白金族金属捕捉材料が、本明細書において開示されている。同様に、触媒物品、排気ガス処理システム、及びそれを含む排気ガスを処理する方法も本明細書において開示されている。
【背景技術】
【0003】
白金族金属は、高温にさらされると揮発することがある。例えば、さまざまな触媒的処理システム及び排気ガス処理システムにおける白金族金属は、排気ガスに曝露されると揮発することがある。一部の場合、揮発した白金族金属が問題となるおそれがあり、例えば、下流の触媒を被毒することがある。例として、白金族金属を含む酸化触媒の下流にNO還元成分を有する排気ガスシステムでは、排気ガスは、酸化触媒中の白金族金属の一部を揮発させて、揮発した白金族金属を下流のNO還元成分へと運搬することがあり、ここでNO還元成分が適切に機能する能力を損なうおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、接触処理システム及び排気ガス処理システムのための高温使用事例中に発生する揮発した白金族金属を捕捉することができる白金族金属捕捉材料が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一部の実施形態は、アルカリ土類金属酸化物を含む白金族金属捕捉材料(Ptトラップなど)に関する。
【0006】
一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、アルカリ土類金属酸化物を含み、白金族金属捕捉材料は、場合により、ジルコニウムを除く、遷移金属を含まず、白金族金属捕捉材料は、アルカリ土類金属を含まない。
【0007】
一部の実施形態では、アルカリ土類金属酸化物は、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム及びこれらの組合せから選択される。
【0008】
一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、アルミナ、ジルコニア、及びそれらの組合せから選択される少なくとも1種の金属酸化物を更に含む。
【0009】
一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、白金族金属捕捉材料の総重量基準で約30重量%~約100重量%の酸化マグネシウムを有する。
【0010】
一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、酸化マグネシウムから実質的になる。
【0011】
一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、アルミニウムマグネシウム酸化物、ジルコニアマグネシウム酸化物、アルミニウムカルシウム酸化物、ジルコニアカルシウム酸化物又はこれらの組合せから実質的になる。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、アルミニウムマグネシウム酸化物、ジルコニアマグネシウム酸化物、アルミニウムカルシウム酸化物又はジルコニアカルシウム酸化物から実質的になる。
【0012】
本開示の一部の実施形態は、白金族金属捕捉材料を含む触媒物品に関する。
【0013】
一部の実施形態では、触媒物品は、白金族金属を含む触媒組成物の下流に、本明細書において開示される白金族金属捕捉材料を含む。
【0014】
一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、少なくとも約0.1g/inのウォッシュコート担持量を有する。
【0015】
一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料及び触媒組成物は、層状配置及び/又はゾーン化配置にある。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料及び触媒組成物は、層状配置にある。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料及び触媒組成物は、ゾーン化された配置にある。
【0016】
本開示の一部の実施形態は、白金族金属捕捉材料を含む排気ガス処理システムに関する。
【0017】
一部の実施形態では、排気ガス処理システムは、エンジンと、本明細書において開示される触媒物品とを備える。
【0018】
一部の実施形態では、排気ガス処理システムは、白金族金属を含む触媒組成物の下流に、本明細書において開示される白金族金属捕捉材料を含み、白金族金属捕捉材料及び触媒組成物は、異なる基材上に存在する。
【0019】
本開示の一部の実施形態は、排気ガスを処理する方法であって、排気ガスを、白金族金属を含む触媒組成物と接触させることと、その後、排気ガスを、本明細書において開示される白金族金属捕捉材料、本明細書において開示される触媒物品、及び本明細書において開示される排気ガス処理システムから選択される少なくとも1種の実体と接触させることとを含む方法に関する。
【0020】
本開示の一部の実施形態は、一酸化炭素を酸化するため及び炭化水素を酸化するための手段と、揮発した白金族金属を捕捉するための手段と、窒素酸化物を選択的に還元するための手段とを備えるガス処理システムであって、一酸化炭素を酸化するため及び炭化水素を酸化するための手段が白金族金属を含み、揮発した白金族金属を捕捉するための手段が酸化マグネシウムを含み、揮発した白金族金属を捕捉するための手段が、場合により、ジルコニウムを除く、遷移金属を含まず、揮発した白金族金属を捕捉するための手段は希土類金属を含まず、揮発した白金族金属を捕捉するための手段が、一酸化炭素を酸化するため及び炭化水素を酸化するための手段の下流に位置し、揮発した白金族金属を捕捉するための手段が、窒素酸化物を選択的に還元するための手段の上流に位置する、ガス処理システムに関する。
【0021】
一部の実施形態では、揮発した白金族金属を捕捉するための手段は、本明細書において開示されている白金族金属捕捉材料を含む。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本開示の実施形態の理解を提供するために、添付の図面が参照される。図面は例示的なものであり、本開示を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1】白金族金属の移動を検討するための実験装置を示す図である。
図2】白金移動後の一部の例示的な実施形態のSCRアウトNO変換率を示す図である。
図3】白金移動後の一部の例示的な実施形態のSCRアウトNO発生を示す図である。
図4】白金移動後の燃焼アッセイによる一部の例示的な実施形態のPt濃度(ppm)を示す図である。
図5】50時間の白金移動エージング後の一部の例示的な実施形態のSCRアウトNO変換率を示す図である。
図6】X線光電子分光法(XPS)による一部の例示的な実施形態における白金種の分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
定義:
本明細書において使用される場合、「1つの(a)」又は「1つの(an)」という実体は、その実体のうちの1つ以上を指し、例えば、「化合物(a compound)」は、特に明記しないかぎり、1つ以上の化合物又は少なくとも1つの化合物を指す。したがって、「a」(又は「an」)、「1つ以上」、及び「少なくとも1つ」という用語は、本明細書において互換的に使用される。
【0024】
本明細書において使用される場合、「物質」という用語は、何かが構成される、又は作製され得る元素、構成要素及び/又は物質を指す。
【0025】
本明細書において使用される場合、「約」という用語は、明記した数の±5%の範囲を指す。例えば、「約100」は、例えば、95、100及び105を含む95~105の範囲の数を意味する。特に明記しないかぎり、すべての数字は、「約」によって修飾されると想定される。
【0026】
本明細書において使用される場合、「PGM」と略される「白金族金属」という用語は、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)及びこれらの組合せを指す。
【0027】
本明細書において使用される場合、「貴金属」という用語は、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、レニウム(Re)、水銀(Hg)及びこれらの組合せを指す。
【0028】
本明細書において使用される場合、「希土類金属」という用語は、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジウム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)及びこれらの組合せを指す。
【0029】
本明細書において使用される場合、「DOC」と略される「ディーゼル酸化触媒」という用語は、一酸化炭素及び炭化水素を酸化することができる、白金族金属を含む触媒を指す。
【0030】
本明細書において使用される場合、用語「NO」は、窒素酸化物及びそれらの混合物を指す。例示的な窒素酸化物には、以下に限定されないが、NO、NO、NO及びNが含まれる。
【0031】
本明細書において使用される場合、用語「NO還元成分」は、NOを低減することが可能な組成物及び/又は物品などの成分を指す。例示的なNO還元成分には、以下に限定されないが、選択的触媒還元(SCR)触媒、並びに以下に限定されないが、交互のリーン及びリッチパルスで動作する、Pt、Pd、Rhを使用するリーンNO捕捉(LNT)を含めたLNTが含まれる。
【0032】
本明細書において使用される場合、「選択的接触還元触媒」(略してSCR触媒)という用語は、場合により、NHなどの還元剤の存在下で、NOをN及び水に選択的に還元することが可能な触媒を指す。
【0033】
本明細書において使用される場合、「粒径D90」は、粒子の約90%がより小さい粒径を有する粒径を指す。
【0034】
本明細書において使用される場合、用語「ウォッシュコート」とは、基材に塗布されたコーティングを指す。
【0035】
本明細書において使用される場合、2つの実体が流体連通しており、排気ガスなどの流体が第1の実体から第2の実体に流れる場合に、第2の実体は第1の実体の「下流」に存在し、第1の実体と第2の実体との間に流体連通している1つ以上の更なる実体が存在してもよく、又は存在しなくてもよい。
【0036】
本明細書において使用される場合、第2の実体が第1の実体の下流に存在する場合、第1の実体は第2の実体の「上流」に存在する。
【0037】
白金族金属捕捉材料:
一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、アルカリ土類金属酸化物を含む。
【0038】
一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、白金族金属捕捉材料の総重量基準で、約0.01重量%未満の白金族金属を含む。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、白金族金属捕捉材料の総重量基準で、約0.01重量%未満の貴金属を含む。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、白金族金属捕捉材料の総重量基準で、約0.01重量%未満の希土類金属を含む。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、白金族金属捕捉材料の総重量基準で、場合により、ジルコニウムを除く、約0.01重量%未満の、遷移金属を含む。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、白金族金属捕捉材料の総重量基準で、約0.01重量%未満のセリア、金、パラジウム、銀、白金及び銅を含む。
【0039】
一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、白金族金属を含まない。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、貴金属を含まない。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、希土類金属を含まない。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、場合により、ジルコニウムを除く、遷移金属を含まない。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、遷移金属を含まない。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、セリア、金、パラジウム、銀、白金及び銅を含まない。
【0040】
一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、いかなる白金族金属も含まない。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、いかなる貴金属も含まない。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、いかなる希土類金属も含まない。
【0041】
一部の実施形態では、アルカリ土類金属酸化物は、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム及びこれらの組合せから選択される。一部の実施形態では、アルカリ土類金属酸化物は、酸化マグネシウムを含む。一部の実施形態では、アルカリ土類金属酸化物は、酸化バリウムを含む。一部の実施形態では、アルカリ土類金属酸化物は、酸化カルシウムを含む。一部の実施形態では、アルカリ土類金属酸化物は、酸化ストロンチウムを含む。
【0042】
一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、アルミナ、ジルコニア、及びそれらの組合せから選択される少なくとも1種の金属酸化物を更に含む。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、アルミナを更に含む。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、ジルコニアを更に含む。
【0043】
一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、白金族金属捕捉材料の総重量基準で約30重量%~約100重量%の酸化マグネシウムを有する。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、白金族金属捕捉材料の総重量基準で約40重量%~約100重量%の酸化マグネシウムを有する。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、白金族金属捕捉材料の総重量基準で約50重量%~約100重量%の酸化マグネシウムを有する。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、白金族金属捕捉材料の総重量基準で約60重量%~約100重量%の酸化マグネシウムを有する。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、白金族金属捕捉材料の総重量基準で約70重量%~約100重量%の酸化マグネシウムを有する。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、白金族金属捕捉材料の総重量基準で約80重量%~約100重量%の酸化マグネシウムを有する。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、白金族金属捕捉材料の総重量基準で約90重量%~約100重量%の酸化マグネシウムを有する。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、白金族金属捕捉材料の総重量基準で約60重量%~約95重量%の酸化マグネシウムを有する。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、白金族金属捕捉材料の総重量基準で約70重量%~約95重量%の酸化マグネシウムを有する。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、白金族金属捕捉材料の総重量基準で約80重量%~約95重量%の酸化マグネシウムを有する。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、白金族金属捕捉材料の総重量基準で約70重量%~約90重量%の酸化マグネシウムを有する。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、白金族金属捕捉材料の総重量基準で約30重量%の酸化マグネシウムを有する。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、白金族金属捕捉材料の総重量基準で約40重量%の酸化マグネシウムを有する。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、白金族金属捕捉材料の総重量基準で約50重量%の酸化マグネシウムを有する。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、白金族金属捕捉材料の総重量基準で約60重量%の酸化マグネシウムを有する。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、白金族金属捕捉材料の総重量基準で約70重量%の酸化マグネシウムを有する。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、白金族金属捕捉材料の総重量基準で約80重量%の酸化マグネシウムを有する。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、白金族金属捕捉材料の総重量基準で約90重量%の酸化マグネシウムを有する。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、白金族金属捕捉材料の総重量基準で約95重量%の酸化マグネシウムを有する。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、白金族金属捕捉材料の総重量基準で約100重量%の酸化マグネシウムを有する。
【0044】
一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、アルミニウムマグネシウム酸化物、ジルコニアマグネシウム酸化物、アルミニウムカルシウム酸化物、ジルコニアカルシウム酸化物又はこれらの組合せから実質的になる。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、アルミニウムマグネシウム酸化物、ジルコニアマグネシウム酸化物、アルミニウムカルシウム酸化物又はジルコニアカルシウム酸化物から実質的になる。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、アルミニウムマグネシウム酸化物から実質的になる。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、ジルコニアマグネシウム酸化物から実質的になる。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、アルミニウムカルシウム酸化物から実質的になる。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、ジルコニアカルシウム酸化物から実質的になる。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、アルミニウムマグネシウム酸化物及びジルコニアマグネシウム酸化物から実質的になる。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、アルミニウムマグネシウム酸化物及びアルミニウムカルシウム酸化物から実質的になる。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、アルミニウムマグネシウム酸化物及びジルコニアカルシウム酸化物から実質的になる。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、ジルコニアマグネシウム酸化物及びアルミニウムカルシウム酸化物から実質的になる。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、ジルコニアマグネシウム酸化物及びジルコニアカルシウム酸化物から実質的になる。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、アルミニウムカルシウム酸化物及びジルコニアカルシウム酸化物から実質的になる。
【0045】
一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、酸化マグネシウムから実質的になる。
【0046】
一部の実施形態では、以下は、白金族金属捕捉材料の基本的かつ新規な特性に実質的に影響を及ぼさない非限定的な例示的成分:結合剤(例えば、約0.1重量%~約10重量%の塩基性アルミナ結合剤、約0.1重量%~約10重量%のシリカ結合剤、約0.1重量%~約10重量%のジルコニア及びそれらの組合せ)、及びそれらの組合せである。一部の実施形態では、結合剤は、約0.1重量%~約10重量%のコロイド状セリア結合剤を含む。一部の実施形態では、結合剤は、約0.1重量%~約10重量%のコロイド状セリア結合剤を含まない。一部の実施形態では、コロイド状セリア結合剤は、混合酸化物形態の活性セリア捕捉材料とは異なり、区別される。一部の実施形態では、コロイド状セリア結合剤は、バルク高表面積形態の活性セリア捕捉材料とは異なり、区別される。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、酸化マグネシウムからなる。
【0047】
触媒物品:
一部の実施形態では、触媒物品は、白金族金属を含む触媒組成物の下流に、本明細書において開示される白金族金属捕捉材料を含む。一部の実施形態では、触媒物品は、NO還元成分の上流に本明細書において開示される白金族金属捕捉材料を含む。
【0048】
一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、少なくとも約0.1g/inのウォッシュコート担持量を有する。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、約0.1g/in~約2g/inの範囲のウォッシュコート担持量を有する。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、約0.1g/in~約1g/inの範囲のウォッシュコート担持量を有する。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料は、約1g/in~約2g/inの範囲のウォッシュコート担持量を有する。
【0049】
一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料及び触媒組成物は、層状配置にある。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料及び触媒組成物は、ゾーン化された配置にある。
【0050】
一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料及びNO還元成分は、層状配置にある。一部の実施形態では、白金族金属捕捉材料及びNO還元成分は、ゾーン化された配置にある。一部の実施形態では、NO還元成分は、銅及び/又は鉄でイオン交換されたゼオライトを含む。一部の実施形態では、NO還元成分は、銅及び鉄でイオン交換されたゼオライトを含む。一部の実施形態では、NO還元成分は、銅又は鉄でイオン交換されたゼオライトを含む。一部の実施形態では、NO還元成分は、銅でイオン交換されたゼオライトを含む。一部の実施形態では、NO還元成分は、鉄でイオン交換されたゼオライトを含む。
【0051】
基材:
一部の実施形態では、1種以上の触媒組成物及び/又は白金族金属捕捉材料は、1つ以上の基材上に配置されて、例えば、触媒物品を形成する。一部の実施形態では、1つ以上の基材は、3次元であり、長さ、直径及び体積を有する。一部の実施形態では、1つ以上の基材は円筒形である。一部の実施形態では、1つ以上の基材は円筒形ではない。一部の実施形態では、1つ以上の基材は、入口端部から出口端部までの軸方向長さを有する。
【0052】
一部の実施形態では、1つ以上の基材はセラミック製基材である。一部の実施形態では、セラミック製基材は、任意の好適な耐火性材料、例えば、コーディエライト、コーディエライト-α-アルミナ、チタン酸アルミニウム、チタン酸ケイ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ジルコンムライト、スポジュメン、アルミナ-シリカ-マグネシア、ケイ酸ジルコン、シリマナイト、ケイ酸マグネシウム、ジルコン、ペタルライト、α-アルミナ、アルミノシリケートなどから作製される。
【0053】
一部の実施形態では、基材は、1つ以上の金属又は金属合金を含む。一部の実施形態では、金属基材は、チャネル壁に開口部又は「パンチアウト」を有するものなどの任意の金属基材を含んでもよい。一部の実施形態では、金属基材は、ペレット、圧縮金属繊維、波形シート又はモノリシック発泡体などのさまざまな形状で使用されてもよい。一部の実施形態では、金属基材は、耐熱性卑金属合金、とりわけ鉄が実質的な成分又は主要成分であるものを含む。このような合金は、ニッケル、クロム及びアルミニウムのうちの1つ以上を含有してもよく、これらの金属の合計は、各場合において、基材の重量に対して、合金の少なくとも約15重量%(重量パーセント)、例えば、約10重量%~約25重量%のクロム、約1重量%~約8重量%のアルミニウム、及び約0重量%~約20重量%のニッケルを含んでもよい。一部の実施形態では、金属基材は、直線チャネルを有するもの;ガス流を分断し、チャネル間のガス流の連通を開放するための、軸方向チャネルに沿って突出するブレードを有するもの;及びモノリス全体にわたる半径方向のガス輸送を可能にする、チャネル間のガス輸送を強化するためのブレードやはりまた孔を有するものを含む。
【0054】
一部の実施形態では、通路がここを通る流体流に対して開放されているよう、基材の入口面又は出口面から、そこを通って延在する微細な平行ガス流路を有するタイプのモノリス基材(「フロースルー基材」)などの任意の好適な基材が採用されてもよい。一部の実施形態では、基材は、基材の長手方向軸に沿って延在する複数の微細な実質的に平行なガス流路を有し、例えば、各流路は基材本体の一方の端部において遮断されており、交互の流路は対向する端部の面において遮断されている(「ウォールフロー型フィルタ」)。
【0055】
一部の実施形態では、基材は、ウォールフロー型フィルタ又はフロースルー基材の形態のハニカム基材を含む。一部の実施形態では、基材はウォールフロー型フィルタである。一部の実施形態では、基材はフロースルー基材である。
【0056】
一部の実施形態では、基材は、フロースルー基材(例えば、フロースルーハニカムモノリス基材を含むモノリス基材)である。一部の実施形態では、フロースルー基材は、流路が流体流に対して開放されるように、基材の入口端部から出口端部まで延在する微細な平行ガス流路を有する。一部の実施形態では、入口から出口への経路となる流路は、経路を通って流れるガスがコーティングされた材料と接触するようにコーティングが表面又は内部に配置された壁を有する。一部の実施形態では、フロースルー基材の流路は、薄壁チャネルであり、このチャネルは、台形、矩形、正方形、正弦波形、六角形、楕円形、円形などの任意の好適な断面形状及びサイズであり得る。フロースルー基材は、上記のとおり、セラミック又は金属であり得る。
【0057】
一部の実施形態では、フロースルー基材は、約50in~約1200inの体積、1平行インチあたり、約60セル密度~約500cpsi、又は最大で約900cpsiまで、例えば、約200~約400cpsiのセル密度(入口の開口部)、及び約50ミクロン~約200ミクロン又は約400ミクロンの壁の厚さを有する。
【0058】
一部の実施形態では、基材は、基材の長手方向軸に沿って延在する複数の微細経路を有するウォールフロー型フィルタである。一部の実施形態では、各通路は、基材本体の一方の端部において遮断されており、交互の通路は、対向する端部の面において遮断される。一部の実施形態では、モノリスウォールフロー型フィルタ基材は、断面1平方インチあたり最大約900個以上の流路(又は「セル」)を含んでもよいが、より少ない流路が使用されてもよい。例えば、基材は、1平方インチあたり、約7~約600、例えば約100~約400セル(「cpsi」)を有してもよい。一部の実施形態では、セルは、矩形、正方形、円形、楕円形、三角形、六角形又は他の多角形状の断面を有する。一部の実施形態では、ウォールフロー型フィルタ基材は、上述のようにセラミック又は金属である。
【0059】
一部の実施形態では、ウォールフロー型フィルタ物品基材は、例えば約50cm、約100in、約200in、約300in、約400in、約500in、約600in、約700in、約800in、約900in又は約1000in~約1500in、約2000in、約2500in、約3000in、約3500in、約4000in、約4500in又は約5000inの体積を有する。一部の実施形態では、ウォールフロー型フィルタ基材は、約50ミクロン~約2000ミクロン、例えば約50ミクロン~約450ミクロン又は約150ミクロン~約400ミクロンの壁厚を有する。
【0060】
一部の実施形態では、ウォールフロー型フィルタの壁は多孔質であり、機能性コーティングを配置する前に、少なくとも約10ミクロンの平均細孔径を有する少なくとも約40%又は少なくとも約50%の壁多孔率を有する。例えば、一部の実施形態では、ウォールフロー型フィルタ物品基材は、≧40%、≧50%、≧60%、≧65%又は≧70%の多孔率を有する。一部の実施形態では、ウォールフロー型フィルタ物品基材は、触媒コーティングの配置前に、約50%、約60%、約65%、又は約70%~約75%の壁多孔率、及び約10ミクロン、又は約20ミクロン~約30ミクロン、又は約40ミクロンの平均細孔径を有する。用語「壁多孔率」及び「基材多孔率」は、同じものを意味し、本明細書において互換的に使用される。多孔度とは、空隙体積(又は細孔体積)を基材材料の総体積によって除算した比のことである。細孔径及び細孔径分布は、例えば、Hgポロシメトリー測定によって求めることができる。
【0061】
一部の実施形態では、組成物は、水と混合されて、基材をコーティングするためのスラリーを形成する。一部の実施形態では、スラリーは、無機結合剤、会合性増粘剤又は界面活性剤(例えば、1種以上の陰イオン性、陽イオン性、非イオン性又は両性界面活性剤)を更に含む。添加の順序は変えることができる;一部の実施形態では、すべての成分が単に一緒にされてスラリーが形成され、一部の実施形態では、特定の成分が一緒にされて、次いで残りの成分がそれと合わされる。一部の実施形態では、スラリーのpHは、例えば、約3~約5の酸性pHに調整することができる。
【0062】
一部の実施形態では、スラリーはミル粉砕される。一部の実施形態では、ミル粉砕は、ボールミル、連続ミル又は他の同様の装置で達成され、スラリーの固体含有量は、例えば、約20重量%~約60重量%、約30重量%~約40重量%であってもよい。一部の実施形態では、ミル粉砕後スラリーは、約10ミクロン~約50ミクロン(例えば、約10ミクロン~約20ミクロン)のD90粒径によって特徴付けられる。
【0063】
ウォッシュコート:
一部の実施形態では、スラリーは、当分野において公知のウォッシュコート技法を使用して基材表面にコーティングされる。ウォッシュコートは、例えば、Heck、Ronald and Robert Farrauto、Catalytic Air Pollution Control、New York:Wiley-Interscience、2002、18~19頁に記載されているように、モノリス基材又は下にあるウォッシュコート層の表面上に配置された材料の組成的に異なる層である。一部の実施形態では、基材は、1つ以上のウォッシュコート層を含有し、各ウォッシュコート層は異なる組成を有することができる。
【0064】
一部の実施形態では、基材は、スラリー中に1回以上浸漬されるか、又はそうでない場合、スラリーによりコーティングされている。一部の実施形態では、コーティングされている基材は、高温(例えば、約100℃~約150℃)において、静止空気中、又は空気流若しくは空気ジェット下で、約2分間~約3時間、乾燥され、次いで、例えば、約400℃~約600℃で、約10分間~約3時間、加熱することによって焼成される。一部の実施形態では、乾燥及び焼成後、最終ウォッシュコートコーティング層は、本質的に溶媒を含まない。
【0065】
一部の実施形態では、焼成後、ウォッシュコート担持量は、基材のコーティングされた重量とコーティングされていない重量との差を計算することによって求めることができる。当業者に明白なように、ウォッシュコート担持量は、スラリーレオロジー又は固体含有量を変更することによって修正することができる。一部の実施形態では、コーティング/乾燥/焼成プロセスは、コーティングを所望の担持量レベル又は厚さまで構築するために必要に応じて繰り返される。
【0066】
一部の実施形態では、組成物は、単一層として、又は多層で塗布される。一部の実施形態では、担持量レベルを構築するための同じ材料の反復ウォッシュコーティングから生じる層が、単一層である。一部の実施形態では、組成物を、ゾーンコーティングされることができ、これは、単一の基材を、ガス流出物流路に沿った異なる領域において異なる触媒組成物によりコーティングされ得ることを意味する。
【0067】
排気ガス処理システム:
一部の実施形態では、排気ガス処理システムは、エンジンと、本明細書において開示される白金族金属捕捉材料とを含む。一部の実施形態では、排気ガス処理システムは、エンジンと、本明細書において開示される触媒物品とを含む。
【0068】
一部の実施形態では、排気ガス処理システムは、白金族金属を含む触媒組成物の下流に本明細書において開示される白金族金属捕捉材料を含み、白金族金属捕捉材料及び触媒組成物は異なる基材表面に存在する。一部の実施形態では、排気ガス処理システムは、白金族金属を含む触媒組成物の下流に、本明細書において開示される白金族金属捕捉材料を含み、白金族金属捕捉材料及び触媒組成物は、同じ基材表面に存在する。
【0069】
一部の実施形態では、排気ガス処理システムは、銅及び/又は鉄でイオン交換されたゼオライトを含む触媒組成物の上流に本明細書において開示される白金族金属捕捉材料を含み、白金族金属捕捉材料及び触媒組成物は異なる基材表面に存在する。一部の実施形態では、排気ガス処理システムは、銅及び/又は鉄でイオン交換されたゼオライトを含む触媒組成物の上流に本明細書において開示される白金族金属捕捉材料を含み、白金族金属捕捉材料及び触媒組成物は、同じ基材表面に存在する。
【0070】
一部の実施形態では、排気ガス処理システムは、一酸化炭素を酸化するため及び炭化水素を酸化するための手段と、揮発した白金族金属を捕捉するための手段と、窒素酸化物を選択的に還元するための手段とを備えており、一酸化炭素を酸化するため及び炭化水素を酸化するための手段が白金族金属を含み、揮発した白金族金属を捕捉するための手段が酸化マグネシウムを含み、揮発した白金族金属を捕捉するための手段が、場合により、ジルコニウムを除く、遷移金属を含まず、揮発した白金族金属を捕捉するための手段は希土類金属を含まず、揮発した白金族金属を捕捉するための手段が、一酸化炭素を酸化するため及び炭化水素を酸化するための手段の下流に位置し、揮発した白金族金属を捕捉するための手段が、窒素酸化物を選択的に還元するための手段の上流に位置する。
【0071】
一部の実施形態では、揮発した白金族金属を捕捉するための手段は、本明細書において開示されている白金族金属捕捉材料を含む。
【0072】
一部の実施形態では、一酸化炭素を酸化するため及び炭化水素を酸化するための手段は、ディーゼル酸化触媒である。一部の実施形態では、窒素酸化物を選択的に還元するための手段は、銅及び/又は鉄でイオン交換されたゼオライトを含む。一部の実施形態では、窒素酸化物を選択的に還元するための手段は、選択的接触還元触媒である。
【0073】
排気ガスを処理する方法:
一部の実施形態では、排気ガスを処理する方法は、排気ガスを、白金族金属を含む触媒組成物と接触させることと、その後、排気ガスを、本明細書において開示される白金族金属捕捉材料、本明細書において開示される触媒物品、及び本明細書において開示される排気ガス処理システムから選択される少なくとも1種の実体と接触させることとを含む。
【0074】
ディーゼル酸化触媒:
ディーゼル酸化触媒は、一酸化炭素を酸化するため及び炭化水素を酸化するための例示的な手段を提供する。非限定的な例示的ディーゼル酸化触媒は、1種以上の白金族金属を含む。非限定的な例示的なディーゼル酸化触媒は、2010年1月14日出願の国際出願第PCT/US2010/021048号;2010年4月7日に出願の国際出願第PCT/US2010/030226号;2013年8月28日に出願の国際出願第PCT/US2013/057011号;2014年12月15日出願の国際出願第PCT/US2014/070356号、及び2018年2月13日出願の国際出願第PCT/EP2018/053568号に開示されており、これらの各々の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0075】
NO還元成分:
選択的接触還元触媒などのNO還元成分は、窒素酸化物を選択的に還元するための例示的な手段を提供する。非限定的な例示的選択的接触還元触媒は、銅及び/又は鉄でイオン交換されたゼオライトを含む。非限定的な例示的なNO還元成分は、2011年4月8日出願の国際出願第PCT/IB2011/051526号;2013年10月17日出願の国際出願第PCT/US2013/065498号;2019年7月24日出願の国際出願第PCT/EP2019/069878;2019年10月24日の国際出願第PCT/EP2019/079081号、及び2016年2月26日出願の国際出願第PCT/US2016/019842に開示されており、これらの各々の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0076】
非限定的な例示的な実施形態:
非限定的に、本開示の一部の実施形態は、以下を含む。
1.アルカリ土類金属酸化物を含む白金族金属捕捉材料。
2.白金族金属捕捉材料が、白金族金属捕捉材料の総重量基準で、約0.01重量%未満の白金族金属を含む、実施形態1による白金族金属捕捉材料。
3.白金族金属捕捉材料が、白金族金属捕捉材料の総重量基準で、約0.01重量%未満の貴金属を含む、実施形態1又は2による白金族金属捕捉材料。
4.白金族金属捕捉材料が、白金族金属捕捉材料の総重量基準で、約0.01重量%未満の希土類金属を含む、実施形態1~3のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料。
5.白金族金属捕捉材料が、白金族金属捕捉材料の総重量基準で、場合により、ジルコニウムを除く、約0.01重量%未満の遷移金属を含む、実施形態1~4のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料。
6.白金族金属捕捉材料が、白金族金属捕捉材料の総重量基準で、約0.01重量%未満のセリア、金、パラジウム、銀、白金及び銅を含む、実施形態1~5のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料。
7.白金族金属捕捉材料が、白金族金属を含まない、実施形態1~6のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料。
8.白金族金属捕捉材料が、いかなる白金族金属も含まない、実施形態1~7のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料。
9.白金族金属捕捉材料が、貴金属を含まない、実施形態1~8のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料。
10.白金族金属捕捉材料が、いかなる貴金属も含まない、請求項1~9のいずれか1つによる白金族捕捉材料。
11.白金族金属捕捉材料が、希土類金属を含まない、実施形態1~10のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料。
12.白金族金属捕捉材料が、いかなる希土類金属も含まない、実施形態1~11のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料。
13.白金族金属捕捉材料が、場合により、ジルコニウムを除く、遷移金属を含まない、実施形態1~12のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料。
14.白金族捕捉材料が、場合により、ジルコニウムを除く、いかなる遷移金属も含まない、実施形態1~13のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料。
15.白金族金属捕捉材料が、遷移金属を含まない、実施形態1~14のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料。
16.白金族捕捉材料が、いかなる遷移金属も含まない、実施形態1~15のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料。
17.白金族金属捕捉材料が、セリア、金、パラジウム、銀、白金及び銅を含まない、実施形態1~16のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料。
18.白金族金属捕捉材料が、セリアを含まない、実施形態1~17のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料。
19.白金族金属捕捉材料が、金を含まない、実施形態1~17のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料。
20.白金族金属捕捉材料が、パラジウムを含まない、実施形態1~17のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料。
21.白金族金属捕捉材料が、銀を含まない、実施形態1~17のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料。
22.白金族金属捕捉材料が、白金を含まない、実施形態1~17のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料。
23.白金族金属捕捉材料が、銅を含まない、実施形態1~17のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料。
24.アルカリ土類金属酸化物が、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム及びこれらの組合せから選択される、実施形態1~23のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料。
25.アルカリ土類金属酸化物が、酸化マグネシウムを含む、実施形態1~24のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料。
26.アルカリ土類金属酸化物が、酸化バリウムを含む、実施形態1~24のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料。
27.アルカリ土類金属酸化物が、酸化カルシウムを含む、実施形態1~24のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料。
28.アルカリ土類金属酸化物が、酸化ストロンチウムを含む、実施形態1~24のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料。
29.アルミナ、ジルコニア、及びそれらの組合せから選択される少なくとも1種の金属酸化物を更に含む、実施形態1~28のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料。
30.アルミナを更に含む、実施形態1~29のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料。
31.ジルコニアを更に含む、実施形態1~29のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料。
32.白金族金属捕捉材料が、白金族金属捕捉材料の総重量基準で約30重量%~約100重量%の酸化マグネシウムを有する、実施形態1~31のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料。
33.白金族金属捕捉材料が、白金族金属捕捉材料の総重量基準で約50重量%~約100重量%の酸化マグネシウムを有する、実施形態1~31のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料。
34.白金族金属捕捉材料が、白金族金属捕捉材料の総重量基準で約60重量%~約100重量%の酸化マグネシウムを有する、実施形態1~31のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料。
35.白金族金属捕捉材料が、白金族金属捕捉材料の総重量基準で約70重量%~約100重量%の酸化マグネシウムを有する、実施形態1~31のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料。
36.白金族金属捕捉材料が、白金族金属捕捉材料の総重量基準で約80重量%~約100重量%の酸化マグネシウムを有する、実施形態1~31のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料。
37.白金族金属捕捉材料が、白金族金属捕捉材料の総重量基準で約90重量%~約100重量%の酸化マグネシウムを有する、実施形態1~31のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料。
38.白金族金属捕捉材料が、白金族金属捕捉材料の総重量基準で約60重量%~約95重量%の酸化マグネシウムを有する、実施形態1~31のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料。
39.白金族金属捕捉材料が、白金族金属捕捉材料の総重量基準で約70重量%~約95重量%の酸化マグネシウムを有する、実施形態1~31のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料。
40.白金族金属捕捉材料が、白金族金属捕捉材料の総重量基準で約80重量%~約95重量%の酸化マグネシウムを有する、実施形態1~1315のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料。
41.白金族金属捕捉材料が、白金族金属捕捉材料の総重量基準で約70重量%~約90重量%の酸化マグネシウムを有する、実施形態1~31のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料。
42.白金族金属捕捉材料が、酸化マグネシウムから実質的になる、実施形態1~31のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料。
43.白金族金属捕捉材料が、酸化マグネシウムからなる、実施形態1~31のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料。
44.白金族金属捕捉材料が、アルミニウムマグネシウム酸化物、ジルコニアマグネシウム酸化物、アルミニウムカルシウム酸化物又はジルコニアカルシウム酸化物から実質的になる、実施形態1~31のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料。
45.白金族金属捕捉材料が、アルミニウムマグネシウム酸化物から実質的になる、実施形態1~31のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料。
46.白金族金属捕捉材料が、ジルコニアマグネシウム酸化物から実質的になる、実施形態1~31のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料。
47.白金族金属捕捉材料が、アルミニウムカルシウム酸化物から実質的になる、実施形態1~31のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料。
48.白金族金属捕捉材料が、ジルコニアカルシウム酸化物から実質的になる、実施形態1~31のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料。
49.白金族金属を含む触媒組成物の下流に、実施形態1~48のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料を含む触媒物品。
50.白金族金属捕捉材料が、少なくとも約0.1g/inのウォッシュコート担持量を有する、実施形態49による触媒物品。
51.白金族金属捕捉材料が、約0.1g/in~約2g/inの範囲のウォッシュコート担持量を有する、実施形態49による触媒物品。
52.白金族金属捕捉材料が、約0.1g/in~約1g/inの範囲のウォッシュコート担持量を有する、実施形態49による触媒物品。
53.白金族金属捕捉材料が、約1g/in~約2g/inの範囲のウォッシュコート担持量を有する、実施形態49による触媒物品。
54.白金族金属捕捉材料及び触媒組成物が、層状配置にある、実施形態43~53のいずれか1つによる触媒物品。
55.白金族金属捕捉材料及び触媒組成物が、ゾーン化された配置にある、実施形態43~53のいずれか1つによる触媒物品。
56.NO還元成分の上流に、実施形態1~48のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料を含む、触媒物品。
57.白金族金属捕捉材料が、少なくとも約0.1g/inのウォッシュコート担持量を有する、実施形態56による触媒物品。
58.白金族金属捕捉材料が、約0.1g/in~約2g/inの範囲のウォッシュコート担持量を有する、実施形態56による触媒物品。
59.白金族金属捕捉材料が、約0.1g/in~約1g/inの範囲のウォッシュコート担持量を有する、実施形態56による触媒物品。
60.白金族金属捕捉材料が、約1g/in~約2g/inの範囲のウォッシュコート担持量を有する、実施形態56による触媒物品。
61.白金族金属捕捉材料及びNO還元成分が層状配置にある、実施形態56~60のいずれか1つによる触媒物品。
62.白金族金属捕捉材料及びNO還元成分が、ゾーン化された配置にある、実施形態56~60のいずれか1つによる触媒物品。
63.NO還元成分が、銅及び/又は鉄でイオン交換されたゼオライトを含む、実施形態56~62のいずれか1つによる触媒物品。
64.NO還元成分が、銅でイオン交換されたゼオライトを含む、実施形態56~62のいずれか1つによる触媒物品。
65.NO還元成分は、鉄でイオン交換されたゼオライトを含む、実施形態56~62のいずれか1つによる触媒物品。
66.エンジンと、実施形態1~48のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料を備える、排気ガス処理システム。
67.エンジンと、実施形態49~63のいずれか1つによる触媒物品を備える、排気ガス処理システム。
68.白金族金属を含む触媒組成物の下流に実施形態1~48のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料を含む、排気ガス処理システムであって、白金族金属捕捉材料及び触媒組成物が異なる基材表面に存在する、排気ガス処理システム。
69.白金族金属を含む触媒組成物の下流に実施形態1~48のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料を含む、排気ガス処理システムであって、白金族金属捕捉材料及び触媒組成物が同じ基材表面に存在する、排気ガス処理システム。
70.排気ガスを処理する方法であって、排気ガスに、白金族金属を含む触媒組成物を接触させること、続いて、排気ガスに、実施形態1~48のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料、実施形態49~66のいずれかによる触媒物品、及び実施形態67~69のいずれか1つによる排気ガス処理システムから選択される少なくとも1種の実体を接触させることを含む、方法。
71.一酸化炭素を酸化するため及び炭化水素を酸化するための手段と、揮発した白金族金属を捕捉するための手段と、窒素酸化物を選択的に還元するための手段とを備える、排気ガス処理システムであって、一酸化炭素を酸化するため及び炭化水素を酸化するための手段が白金族金属を含み、揮発した白金族金属を捕捉するための手段が酸化マグネシウムを含み、揮発した白金族金属を捕捉するための手段が、場合により、ジルコニウムを除く、遷移金属を含まず、揮発した白金族金属を捕捉するための手段は希土類金属を含まず、揮発した白金族金属を捕捉するための手段が、一酸化炭素を酸化するため及び炭化水素を酸化するための手段の下流に位置し、揮発した白金族金属を捕捉するための手段が、窒素酸化物を選択的に還元するための手段の上流に位置する、排気ガス処理システム。
72.揮発した白金族金属を捕捉するための手段が、実施形態1~48のいずれか1つによる白金族金属捕捉材料を含む、実施形態71による排気ガス処理システム。
73.一酸化炭素を酸化するため及び炭化水素を酸化するための手段が、ディーゼル酸化触媒である、実施形態71又は72による排気ガス処理システム。
74.窒素酸化物を選択的に還元するための手段が、銅及び/又は鉄でイオン交換されたゼオライトを含む、実施形態71~73のいずれか1つによる排気ガス処理システム。
75.窒素酸化物を選択的に還元するための手段が、選択的接触還元触媒である、実施形態71~74のいずれか1つによる排気ガス処理システム。
【実施例
【0077】
以下の実施例は、例示的であることが意図されており、本開示の範囲を限定することを決して意味するものではない。
【0078】
対照実施例(白金族金属捕捉材料ではない)
実施例1(Al捕捉材料):
ガンマ-Al材料及び4%HOAcを脱イオン(DI)水に添加して、固体含有量約45%のスラリー懸濁液を形成した。最終粒径D90が12~15マイクロメートルに達するまで、スラリーをミル粉砕した。追加のHOAcを加えて、pHを4~4.5に調整した。次に、スラリーを38%の固体含有量で400/4ハニカム基材表面にコーティングした。乾燥後、触媒を空気中、500℃で1時間、焼成した。Alウォッシュコート担持量は1.2g/inであった。
【0079】
実施例2(Pd/Al捕捉材料):
実施例1からのモノリス試料を、追加のPd/Alトップコートでコーティングした。実施例1からのガンマ-Al材料を、希釈Pd(NO溶液に含浸させた。PdフリットをDI水に添加して、固体含有量約40%のスラリー懸濁液を形成した。最終粒径D90が12~15マイクロメートルに達するまでスラリーをミル粉砕し、これに、5重量%の分散アルミナ結合剤を添加した。次いで、スラリーを実施例1の表面に固体含有量36%でコーティングした。乾燥後、触媒を空気中、500℃で1時間、焼成した。Pd担持量は、2g/ftであり、Al担持量は、0.25g/inであった。
【0080】
実施例3(MgO捕捉材料):
Mg(OH)粉末をDI水に添加してスラリーを形成し、ここに最大10重量%のポリアクリル酸アンモニウム分散剤を添加した。D90が、<10~12マイクロメートルになるまで、スラリーを高剪断下で混合した。約5重量%の塩基性アルミナ結合剤をスラリーに添加し、生じたpHは約9.5であった。次に、スラリーを30%の固体含有量で400/4ハニカム基材表面にコーティングした。乾燥後、触媒を空気中、550℃で1時間、焼成した。MgO担持量は、1.8g/inであった。
【0081】
実施例4(70%MgO-Al捕捉材料):
70%MgO-30%Alからなる複合材料をDI水に添加してスラリーを形成し、ここに最大10重量%のポリアクリル酸アンモニウム分散剤を添加した。D90が<10~12マイクロメートルに達するまで、スラリーをミル粉砕した。約5重量%の塩基性アルミナ結合剤をスラリーに添加し、生じたpHは約9.2であった。次に、スラリーを23%の固体含有量で400/4ハニカム基材表面にコーティングした。乾燥後、触媒を空気中、550℃で1時間、焼成した。MgO-Al担持量は、1.1g/inであった。
【0082】
実施例5:Pt移動検討:
さまざまなPt捕捉材料の効率を評価するために、Pt移動エージングシステムを確立した。図1に示されるように、市販のフルサイズのDOC(10.5×10.5×4インチ)試料から穿孔した1×1×4インチのDOCコア試料を、第1の位置に配置し、Pt移動源として機能させた。DOCは、1/2のPt/Pd比の45g/ft PGM担持量を有する前方ゾーン(40%長さ)、及び5/1のPt/Pd比の15g/ftPGM担持量を有する後方ゾーン(60%長さ)からなる。下流SCR触媒(1×1×1.5インチ)もまた、市販のフルサイズFe/CHA触媒から採取した。Ptトラップコア(1×1×1.5インチ)を、間にいかなる隙間もなくDOC出口に配置した。Pt移動エージングは、DOC入口のT650℃において15時間、10%水蒸気空気中で行った。DOC上の空間速度は、35,000/時であった。SCR入口における温度は、約540~560℃であった。図1は、Pt移動検討のための実験設定を図示する。
【0083】
実施例6:SCR触媒の試験手順:
各Pt移動エージング試験の後、SCRコアを、350℃、400℃及び450℃において、定常状態プロトコルを用いて評価した。フィード組成物は、平衡状態にあるN中、500ppmのNH、500ppmのNO、7%HO、10%Oからなる。空間速度は80,000/時であった。
【0084】
X線光電子分光法(XPS):
単色化Al Kα源(1486eV)を使用して、コアレベル電子を励起した。試料を導電性炭素の両面テープに貼り付ける。帯電状態を、Arフラッドガンを用いて相殺する。結合エネルギーは、284.8eVにおける外来炭素を用いて較正する。元素の定量は、サーベイスペクトルを使用して取得し、スペシエーションは、高分解能ファインスキャン領域から得る。対応する元素に関する各化学種の正確な定量が得られるよう、スペシエーションを元素定量化の分割に使用する。ガウス-ローレンツ関数を使用してピークを当てはめ、その面積を抽出し、装置特異的相対感度因子(RSF)によって補正し、半定量的表面組成を計算する。
【0085】
1%Pt/Al試料、1%Pt/ZrO試料及び1%Pt/MgO試料において、XPSによって検出されたPt種の分布を求めた。これらの試料は以下のとおり調製した。
【0086】
XPS試料1(1%Pt/Al)は、アルミナ担体にPtアンミン錯体溶液を初期湿潤含浸させ、続いて110℃で4時間、乾燥させ、空気中、500℃で1時間、焼成することによって調製した。
【0087】
XPS試料2(1%Pt/ZrO)は、ジルコニア担体にPtアンミン錯体溶液を初期湿潤含浸させ、続いて110℃で4時間、乾燥させ、空気中、500℃で1時間、焼成することによって調製した。
【0088】
XPS試料3(1%Pt/MgO)は、MgO担体にPtアンミン錯体溶液を初期湿潤含浸させ、続いて110℃で4時間、乾燥させ、空気中、500℃で1時間、焼成することによって調製した。
【0089】
図2は、さまざまな白金族金属捕捉材料を含むPt移動エージング後のSCR触媒のNO変換活性を比較する。対照実施例は、実施例1~4のいずれも存在させることなくエージングしたSCR触媒である。実施例1~4はすべて、前方DOCからのPt揮発から下流SCR触媒を保護する優れた効率があることを実証しており、すなわち、350~450℃では失活はほとんど観察されなかった。
【0090】
図3は、さまざまな白金族金属捕捉材料を含むPt移動エージング後のSCR触媒によるNO発生を比較する。対照実施例は、実施例1~4のいずれも存在させることなくエージングしたSCR触媒であり、高レベルのNO発生を示す。実施例1~4は、かなり一層低いNOレベルを示し、新しいSCR触媒のレベルと同様であるか、又はそれよりわずかに低いかのどちらかである。
【0091】
SCR試験を完了した後、白金族金属捕捉材料と下流SCRコアのどちらも粉砕し、燃焼アッセイによってPt濃度を測定した。図4は、エージング済みコア表面のPt濃度を比較する。実施例3及び4の方が、実施例1及び2よりも有意に多い量のPtを捕捉しており、実施例3及び4の下流のSCRコア表面には非常に少ないPtしか見出されなかった。したがって、実施例3及び4は、実施例1及び2よりも揮発性Pt種の保持に効率的であると考えられ、これは、MgO表面に対するPtの強い親和性に起因し得る。実際、実施例3に50時間の長期エージングを施した場合、下流SCR触媒表面に見出されるPtの量は、燃焼アッセイ検出限界(0.1ppm)に留まった一方、実施例3では8.65ppmのPtが見出された。実施例1に50時間の長期エージングに施した場合、3.61ppmのPtしか見出されなかった一方、2.78ppmのPtがSCR表面に見出され、これは、PGM捕捉材料としてPd及びAlとの組合せ物を有する実施例1は、PGM捕捉トラップ材料としてMgOしか有していない実施例3ほど有効に揮発したPtを保持しないことを示唆する。
【0092】
図5は、50時間のPt移動エージング後のSCR触媒のNO変換活性を比較する。揮発したPtを捕捉するために実施例1をDOCの後に使用した場合、≧350℃での重度のSCR失活が観察された一方、実施例3を使用した場合、SCR活性は変化しないままであった。
【0093】
図6は、800℃/12時間の水熱(HT)エージング後のいくつかの例示的な白金族金属捕捉材料表面のXPSによる検出されたPt種の分布を示す。典型的なアルミナ又はシリカ担体表面では、酸化白金は、>600℃において白金金属に完全に分解し、昇温時には、激しい粒子焼結が結果として起きる。したがって、白金は、Al表面のPt(0)酸化状態でしか存在しないことが分かった。対照的に、白金は、ZrO2表面では、Pt(0)及びPt(2+)酸化状態の両方で見出され、白金は、MgO表面では、Pt(0)及びPt(4+)酸化状態の両方で見出された。Pt(2+)及びPt(4+)の存在は、白金と担体との間の強い金属支持体相互作用の指標であり、このような相互作用は、酸化白金が揮発物になり、白金金属へと分解することから安定化させることができる。
【0094】
理論によって拘束されることを望むものではないが、Ptと白金族金属捕捉材料との間の相互作用の強度は、捕捉されたPt種の酸化状態の増加と共に増加すると考えられる。例えば、MgOは、Alよりも強い相互作用強度を有すると考えられるZrOよりも強い相互作用強度を有すると考えられ、したがって、白金捕捉率は、MgO>ZrO>Alの順に増大する。理論によって拘束されることを望むものではないが、一部の白金族金属捕捉材料が一層高い酸化状態の白金族金属に結合する能力は、MgOなどの本明細書において開示される白金族金属捕捉材料の性能が驚くほど高いことに対する例示的な理由であると考えられる。
【0095】
群のうちの少なくとも1つのメンバーの間に「又は」又は「及び/又は」を含む特許請求の範囲又は説明は、群のメンバーの1つ、1つ超又はすべてが、別段の記載があるか文脈からそうでないことが明白である場合を除き、所与の生成物若しくはプロセスに存在するか、使用されるか、又は関連する場合に満足されるとみなされる。本開示は、群のちょうど1つのメンバーが、所与の生成物若しくはプロセスに存在する、使用される又は他には関連する実施形態を含む。本開示は、群のメンバーのうちの1つ超又はすべてが、所与の生成物若しくはプロセスに存在するか、使用されるか又は他には関連する実施形態を含む。
【0096】
更に、本開示は、列挙された特許請求の範囲のうちの少なくとも1つからの少なくとも1つの限定、要素、条項及び記述用語が別の請求項に導かれる、すべての変形、組合せ及び置換を包含する。例えば、別の請求項に従属するいずれの請求項も、同じ基本請求項に従属する任意の他の請求項に見出される少なくとも1つの限定を含むように修正され得る。要素が、例えば、マーカッシュ群形式などでリストとして提示される場合、要素の各下位群もやはり開示され、任意の要素(複数可)をこの群から除くことができる。一般に、本開示又は本開示の態様が特定の要素及び/又は特徴を含むとして言及される場合、本開示の実施形態又は本開示の態様は、このような要素及び/若しくは特徴からなるか、又は本質的になることを理解すべきである。簡潔にするために、そのような実施形態は、本明細書において、この言葉で具体的に説明されていない。範囲が与えられる場合、端点が含まれる。更に、特に示さないかぎり、又は文脈及び当業者の理解から明白ではないかぎり、範囲として表される値は、文脈が明確に別段の指示をしないかぎり、本開示の異なる実施形態では、明記した範囲内の任意の特定の値又は部分範囲を想定することができる。
【0097】
当業者であれば、型とおりの実験のみを使用して、本明細書に記載されている本開示の特定の実施形態に対する多くの等価物を理解するか、又は確認することができよう。このような等価物は、以下の特許請求の範囲によって包含されことが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】