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特表2024-538516取得前の撮像検査のプロスペクティブ品質評価
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-23
(54)【発明の名称】取得前の撮像検査のプロスペクティブ品質評価
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20240101AFI20241016BHJP
   A61B 5/055 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
A61B6/00 550Z
A61B6/00 560
A61B5/055 380
A61B5/055 390
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516608
(86)(22)【出願日】2022-09-22
(85)【翻訳文提出日】2024-03-14
(86)【国際出願番号】 EP2022076353
(87)【国際公開番号】W WO2023052229
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】21200178.8
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
2.JAVA
3.PYTHON
4.HDMI
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【弁理士】
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】ゴーセン アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】ヤング スチュワート マシュー
(72)【発明者】
【氏名】クローンケ ヒル スヴェン
(72)【発明者】
【氏名】フォン ベルグ イェンス
(72)【発明者】
【氏名】ハーダー ティム フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ブルック ハイナー マシアス
(72)【発明者】
【氏名】ビストロフ ダニエル
【テーマコード(参考)】
4C093
4C096
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093CA34
4C093CA35
4C093FF20
4C096AA18
4C096AB44
4C096AD14
4C096DC21
(57)【要約】
本発明は、医用イメージングに関する。撮像の反復を低減するために、センサからのデータを活用することによって、画像形成の前に品質メトリックの自動予測を可能にすることが提案される。これは、実際の撮像検査において取得される医用画像データの品質を大幅に改善することができ、それによって、撮り直しの減少、患者に対する治療の遅延の短縮、ワークフローの短縮、及び患者レートの増加につながる。X線検査及びCT検査では、撮り直しが少なくなるほど、患者の放射線量を減らすことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取得前の撮像検査のプロスペクティブ品質評価のためのコンピュータ実現方法であって、
医用撮像モダリティを使用して医用撮像装置によって撮像される患者の身体部分のセンサデータを受信するステップと、
データ駆動モデルを使用して、前記受信されたセンサデータから品質メトリックを生成するステップであって、前記データ駆動モデルは、複数の訓練例を有する訓練データセットに基づいて訓練されたものであり、各訓練例は、撮像セッションにおいて取得された前記身体部分のセンサデータと、前記撮像セッションにおいて前記医用撮像モダリティを使用して取得された画像データから導出された関連する品質メトリックと、を有する、ステップと、
取得前の撮像検査のプロスペクティブ品質評価のために、前記生成された品質メトリックを提供するステップであって、前記品質メトリックは数値ベクトルであり、各数値は、前記医用撮像モダリティを用いて取得される前記画像データにおける解剖学的特徴の位置及び/又は回転の、該解剖学的特徴の所望の位置及び/又は回転からの偏差を表わす、ステップと、
を有する方法。
【請求項2】
前記受信されたセンサデータから品質メトリックの生成する前記ステップが、
前記受信されたセンサデータから前記品質メトリックを直接に生成すること、又は、
ターゲット解剖学的構造の解剖学的構造モデルを前記受信されたセンサデータに対しフィッティングし、前記ターゲット解剖学的構造の前記フィッティングされた解剖学的構造モデルから前記品質メトリックを生成すること、
を含む、請求項1に記載のコンピュータ実現方法。
【請求項3】
前記生成された品質メトリックが所定の基準を満たすかどうかを判定するステップと、
前記生成された品質メトリックが所定の基準を満たすかどうかを示す信号を生成するステップと、
を更に有する、請求項1又は2に記載のコンピュータ実現方法。
【請求項4】
前記信号は、前記患者が画像取得の準備ができているかどうかを知らせるためにデバイスを制御する信号を有する、請求項3に記載のコンピュータ実現方法。
【請求項5】
前記信号は、前記医用撮像装置をトリガして画像取得を開始する信号を有する、請求項3又は4に記載のコンピュータ実現方法。
【請求項6】
画像取得後に前記患者の身体部分の画像データを受信するステップと、
前記受信された画像データに基づいて、他の品質メトリックを決定するステップと、
画像取得前に前記センサデータから生成された前記品質メトリックと、画像取得後に前記画像データから導出された前記他の品質メトリックとの間の差を決定するステップと、
前記差を使用して、前記データ駆動モデルを更に訓練するステップと、
を更に有する、請求項1乃至5のいずれか1つに記載のコンピュータ実現方法。
【請求項7】
前記受信された画像データのユーザ規定される品質メトリックを示すユーザ入力を受信するステップと、
画像取得前の前記センサデータから生成された前記品質メトリックと、前記ユーザ規定される品質メトリックとの間の差を決定するステップと、
前記差を使用して前記データ駆動モデルを更に訓練するステップと、
を更に有する、請求項6に記載のコンピュータ実現方法。
【請求項8】
前記センサデータは、光学センサ、奥行きセンサ、熱センサ、圧力センサ、超音波センサ、及び無線周波数センサのアレイのうちの1又は複数によって取得される、請求項1乃至7のいずれか1つに記載のコンピュータ実現方法。
【請求項9】
前記医用撮像モダリティが、磁気共鳴イメージング、超音波イメージング、X線イメージング、コンピュータトモグラフィイメージング、及びポジトロンエミッショントモグラフィイメージングのうちの1又は複数である、請求項1乃至8のいずれか1つに記載のコンピュータ実現方法。
【請求項10】
前記医用撮像モダリティは、MR-Linac、MRプロトン療法、及びコーンビームコンピュータトモグラフィの1又は複数を有するハイブリッドモダリティを含む、請求項1乃至9のいずれか1つに記載のコンピュータ実現方法。
【請求項11】
取得前の撮像検査のプロスペクティブ品質評価のための装置であって、品質メトリックを生成する1又は複数の処理ユニットを有し、前記処理ユニットが、1又は複数の処理ユニット上で実行される場合に請求項1乃至10のいずれか1つに記載の方法を実行する命令を有する、装置。
【請求項12】
患者の身体部分の画像データを取得するよう構成される医用撮像装置と、
前記患者の前記身体部位のセンサデータを取得するセンサと、
請求項11に記載の装置であって、前記センサデータを受信し、取得前の撮像検査のプロスペクティブ品質評価のための品質メトリックを提供するよう構成される装置と、
を有するシステム。
【請求項13】
前記医用撮像装置が、前記提供される品質メトリックに従って画像取得を開始するように構成され、及び/又は、前記システムが更に、前記患者が前記品質メトリックに基づいて画像取得の準備ができているかどうかを知らせるよう構成されるデバイスを有する、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
コンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムが少なくとも1つの処理ユニットによって実行される場合、少なくとも1つの処理ユニットに、請求項1乃至10のいずれか1つに記載の方法のステップを実行させる命令を有する、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用イメージングに関し、具体的には、取得前の撮像検査のプロスペクティブな品質評価のためのコンピュータ実現方法、装置、システム、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許出願公開第2019/183439号明細書は、X線撮影システムによるX線撮影取得のために患者の身体領域をポジショニングするための方法を開示している。
【0003】
適切な患者の配置は、診断品質のために重要である。関連する品質基準及び推奨(又は勧告)は、公的基準で策定されている。臨床ルーチンでは、高い作業負荷、訓練の不足、教育の欠如、フィードバックの欠如、及び報酬の欠如など、これらの基準からの逸脱を引き起こす多くの要因が存在する。1又は複数の品質基準に違反する画像は、多くの場合、医療スタッフにとって余分なワークロードをもたらしうる。それらは、誤診につながる可能性があり、従って、患者の健康リスクを引き起こし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
誤診を減らすために、医用画像データを分析して画像が撮影された後の品質を評価するコンピュータ支援手法が開発されてきた。取得された医用画像の品質が、公的基準における品質基準及び勧告事項を満たさない場合、検査を繰り返す必要があり得る。しかし、イメージングを反復することから生じる難しさは、患者に対する治療の遅延、患者レートの低下、及びX線及びCT検査の場合の患者に対する放射線量の増大が含まれる。
【0005】
撮像の反復を減少させる必要があり得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、独立請求項によって規定される。従属請求項は、有利な実施形態を規定する。
【0007】
以下に記載される態様が、コンピュータによって実現される方法、装置、システム、及びコンピュータプログラムにも適用されることに留意されたい。
【0008】
本発明の第1の態様によれば、取得前の撮像検査のプロスペクティブ品質評価のためのコンピュータ実現方法であって、
【0009】
a)医用撮像モダリティを用いて医用撮像装置によって撮像される患者の身体部分のセンサデータを受信するステップと、
【0010】
b)データ駆動モデル(data-driven model)を使用して、受信されたセンサデータから品質メトリックを生成するステップであって、データ駆動モデルは、複数の訓練例を有する訓練データセットに基づいて訓練されたものであり、各訓練例は、撮像セッション中に取得された身体部分のセンサデータと、撮像セッション中に医用撮像モダリティを使用して取得された画像データから導出された関連する品質メトリックとを有する、ステップと、
【0011】
c)取得前の撮像検査のプロスペクティブ(prospective)品質評価のために、前記生成された品質メトリックを提供するステップと、を有する方法が提供される。
【0012】
言い換えれば、(複数の)センサからのデータを活用することによって、画像形成前の品質メトリックの自動予測を可能にするコンピュータ実現方法が提案される。提案される方法は、撮像検査のポジショニング中/準備中に、撮像される患者の身体部分のセンサデータを取得することを含む。センサデータは、光学センサ、熱センサ、奥行きセンサ、無線周波数センサのアレイ、光ファイバ距離センサ、又はそれらの任意の組み合わせなど、任意の適切なセンサによって取得されることができる。患者が患者支持体上に横たわっている場合、センサデータは、患者支持体内に埋め込まれた圧力センサ、患者支持体内に埋め込まれた超音波センサなど、患者支持体内に埋め込まれたセンサによって取得されることもできる。
【0013】
品質メトリックは、訓練されたデータ駆動モデルを使用して、受信されたセンサデータから導出されることができる。データ駆動モデルは、取得される医用画像データの品質メトリックを、実際の撮像検査の前にセンサデータ入力から直接に予測するように訓練されたものである。いくつかの例では、品質メトリックは、受信されたセンサデータから直接導出されることができる。いくつかの例では、ターゲット解剖学的構造の解剖学的構造モデルが、受信されたセンサデータにフィッティングされることができ、品質メトリックが、フィッティングされた解剖学的構造モデルから導出されることができる。
【0014】
品質メトリックは、予測される品質メトリックとも呼ばれうる。データ駆動モデルは、複数の訓練例を有する訓練データセットに対して訓練されている。各訓練例は、撮像セッション中に取得された身体部分のセンサデータと、同じ撮像セッション中に医用撮像モダリティを使用して取得された画像データから導出された関連する品質メトリックとを有する。品質メトリックは、熟練した臨床医によって手動で注釈付けされ、及び/又は自動化された方法で画像データから導出されることができる。一般に、データ駆動モデルは、撮像検査のポジショニング中/準備中に取得されたセンサデータと、実際の撮像検査後に医用スキャナによって取得された画像データから導出された品質メトリックとの間の関連付けを学習するように訓練されている。例示的な訓練プロセスは、図4に示される実施形態に関して説明される。
【0015】
いくつかの例では、品質メトリックは単一の値であり得る。いくつかの例では、品質メトリックは、数値ベクトルであり得る。各数値は、医用撮像モダリティを用いて取得された画像データにおける解剖学的特徴の位置及び/又は回転の、該解剖学的特徴の所望の位置及び/又は回転からの偏差(deviation)を表わす。
【0016】
データ駆動モデルは、品質予測モデルと呼ばれることもある。例示的なデータ駆動モデルは、人工ニューラルネットワーク、訓練されたランダムフォレスト、及びモデルベースのセグメント化アプローチを含み得るが、これらに限定されない。
【0017】
次いで、生成された品質メトリックは、取得に先立つ撮像検査のプロスペクティブ品質評価のために提供される。例えば、訓練されたデータ駆動モデルは、検査の準備中/ポジショニング中に、予測される品質尺度をプロスペクティブに表示することによって適用されることができる。例えば、生成された品質メトリックは、基準品質メトリックと比較されることができ、患者が正しくポジショニングされているかどうかを示すために音響信号が生成されることができる。他の例では、生成された品質メトリックは、基準品質メトリックと比較されることができ、医用スキャナは、生成された品質メトリックと基準品質メトリックとの間の差が閾値未満である場合、画像取得を実行するようにトリガされることができる。
【0018】
提案される方法は、取得に先立つ様々な撮像検査のプロスペクティブ品質評価のために提供されることができる。例示的な撮像モダリティは、X線撮像、MR撮像、CT画像、ポジトロンエミッショントモグラフィ(PET)撮像、及び自動ステアリング超音波撮像を含み得るが、これらに限定されない。撮像モダリティの他の例は、MR-Linac装置、MR陽子治療装置、及び/又はコーンビームCT装置などの複合治療/診断装置を含み得る。
【0019】
以下、特に図2に示される実施形態に関して、コンピュータにより実現される方法を説明する。
【0020】
提案される方法は、実際の検査を行う前に、オペレータが予測された品質メトリックを最適化することを可能にすることができる。例えば、センサから観察されている患者を移動させる間、現在のポジショニング品質の瞬間的な予測が表示されることができる。これは、実際の撮像検査において取得される医用画像データの品質を大幅に改善することができ、それによって、リテーク(撮り直し)の減少、患者に対する治療の遅延の低下、ワークフローの時間短縮、及び患者レートの増加につながる。X線検査及びCT検査では、撮り直しが少なくなるほど、患者の放射線量を減少させることができる。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、受信されたセンサデータから品質メトリックを生成することは:受信されたセンサデータから直接的に品質メトリックを生成すること;又は、ターゲット解剖学的構造の解剖学的構造モデルをセンサデータにフィッティングし、ターゲット解剖学的構造のフィッティングされた解剖学的構造モデルから品質メトリックを生成すること、を含む。
【0022】
ターゲット解剖学的構造の解剖学的構造モデルは、関節依存の関節運動(例えば、屈曲)又は解剖学的バリエーションをモデル化する、2次元モデル、3次元モデル、又はより高次元のモデルであり得る。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、コンピュータにより実現される方法は、生成された品質メトリックが所定の基準を満たすかどうかを判定するステップと、生成された品質メトリックが所定の基準を満たすかどうかを示す信号を生成するステップと、を有する。
【0024】
一例では、生成された品質メトリックと基準品質メトリックとの間の偏差が閾値未満であるかどうかが判定されることができる。
【0025】
一例では、生成された品質メトリックが許容範囲内にあるかどうかが判定されることができる。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、信号は、患者が画像取得の準備ができているかどうかをオペレータに知らせるために装置を制御するための信号を含む。
【0027】
一例では、装置は、患者が正しくポジショニングされているかどうかを示す音響信号を生成するように構成されるスピーカである。
【0028】
別の例では、装置は、患者が正しくポジショニングされているかどうかを示す光信号を生成するように構成される照明装置である。
【0029】
他の例では、装置は、患者及び/又はオペレータに、患者が正しくポジショニングされているかどうかを示す力、振動、又は運動を加えるように構成される触覚装置である。
【0030】
本発明の一実施形態によれば、信号は、医用撮像装置をトリガして画像取得を開始するための信号を含む。
【0031】
換言すれば、医用撮像装置は、患者が正しくポジショニングされていることを示す信号に応答して、画像取得を自動的に開始することができる。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、コンピュータにより実現される方法は、画像取得後の患者の身体部分の画像データを受信するステップと、受信された撮像データに基づいて、更なる品質メトリックを決定するステップと、画像取得前のセンサデータから生成された品質メトリックと、画像取得後に前記画像データから導出された前記更なる品質メトリックとの間の差を決定するステップと、前記差を使用してデータ駆動モデルを更に訓練するステップと、を有する。
【0033】
言い換えれば、予測を、実際の画像取得後の最終画像から導出される基準品質メトリックと比較することによって、当該予測をレーティングすることを可能にすることが提案される。これは、連続的な教師あり学習の閉ループを可能にし、それにより、戦略がデータ駆動モデルを継続的に改善することを可能にし得る。更に、閉訓練ループは、データプライバシーを損なうことなく、非常に大量のデータに対して訓練されるモデルの生成を可能にすることができる。これは、以下に、特に図7及び図8に示される実施形態に関して説明される。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、コンピュータにより実現される方法は、受信された画像データのユーザ規定される品質メトリックを示すユーザ入力を受信するステップと、画像取得前にセンサデータから生成された品質メトリックとユーザ規定される品質メトリックとの間の差を決定するステップと、前記差を使用して、前記データ駆動モデルを更に訓練するステップと、を有する。
【0035】
言い換えれば、ユーザ(例えば、放射線技師)は、検査のための品質メトリックベクトルをレビュー/チェックするとともに、フィードバックを提供する、例えば、特定のメトリックを確認/変更することができる。このエキスパートフィードバックを連続的な学習ループに入れることにより、更に信頼性の高い、強教師あり学習戦略が実現される。これは、以下に、特に図7及び図8に示される実施形態に関して説明される。
【0036】
本発明の一実施形態によれば、品質メトリックは、数値ベクトルであり、各数値は、医用撮像モダリティを使用して取得された画像データにおける解剖学的特徴の位置及び/又は回転の、該解剖学的特徴の所望の位置及び/又は回転からの偏差を表わす。
【0037】
異なる数値は、異なる品質態様を反映することができる。例えば、図8に示されるように、X線画像品質は、視野(FOV)コンプライアンス、回転、及び屈曲などの異なる品質側面を有する品質ベクトルに関して決定されることができる。これは、以下に、特に図8に示される実施形態に関して説明される。
【0038】
本発明の一実施形態によれば、センサデータは、光学センサ、奥行きセンサ、熱センサ、圧力センサ、超音波センサ、及び無線周波数センサのアレイのうちの1又は複数によって取得される。
【0039】
本発明の一実施形態によれば、医用撮像モダリティは、磁気共鳴イメージング、超音波イメージング、X線イメージング、コンピュータトモグラフィイメージング、及びポジトロンエミッショントモグラフィイメージングのうちの1又は複数を含む。
【0040】
本発明の一実施形態によれば、医用撮像モダリティは、MR-Linac、MRプロトン療法、及びコーンビームコンピュータトモグラフィのうちの1又は複数を含むハイブリッドモダリティを含む。
【0041】
本発明の第2の態様によれば、取得前の撮像検査のプロスペクティブ品質評価のための装置が提供され、装置は、品質メトリックを生成する1又は複数の処理ユニットを有し、処理ユニットは、1又は複数の処理ユニット上で実行される場合に第1の態様及び任意の関連する例による方法ステップを実行する命令を有する。
【0042】
これは、以下で、特に図1に示される実施形態に関して説明される。
【0043】
本発明の第3の態様によれば、患者の身体部分の画像データを取得するように構成される医用撮像装置;患者の身体部分のセンサデータを取得するように構成されるセンサと、前記センサデータを受信し、取得前の撮像検査のプロスペクティブ品質評価のための品質メトリックを提供するように構成される、第2の態様及び任意の関連する例による装置と、を有するシステムが提供される。
【0044】
これは、以下で、特に図3及び図5に示される実施形態に関して説明される。
【0045】
本発明の一実施形態によれば、医用撮像装置は、提供された品質メトリックに従って画像取得を開始するように構成される。代替的又は追加的に、システムは、患者が品質メトリックに基づいて画像取得の準備ができているかどうかを知らせるように構成されるデバイスを更に備える。
【0046】
一例では、装置は、患者が正しくポジショニングされているかどうかを示す音響信号を生成するように構成されるスピーカである。
【0047】
別の例では、装置は、患者が正しくポジショニングされているかどうかを示す光信号を生成するように構成される照明装置である。
【0048】
他の例では、装置は、力、振動、又は運動を患者及び/又はオペレータに与えて、患者が正しくポジショニングされているかどうかを知らせるように構成される触覚装置である。
【0049】
本発明の他の態様によれば、プログラムが少なくとも1つの処理ユニットによって実行される場合、少なくとも1つの処理ユニットに、第1の態様及び任意の関連する例による方法のステップを実行させる命令を有するプログラム製品が提供される。
【0050】
前述の概念と、以下でより詳細に説明する追加の概念とのすべての組み合わせ(そのような概念が相互に矛盾しないことを条件とする)は、本明細書に開示される発明の主題の一部として企図されることを理解されたい。特に、本開示の最後に記載される特許請求の範囲に記載された主題のすべての組み合わせは、本明細書に開示される本発明の主題の一部であると考えられる。
【0051】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に記載される実施形態から明らかになり、これを参照して説明される。
【0052】
図面において、同様の参照符号は、概して、それぞれ異なる図を通して同じ部分を指す。また、図面は必ずしも縮尺通りではなく、本発明の原理を例示することに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】例示的な装置のブロック図。
図2】例示的なコンピュータ実現方法のフローチャート。
図3】システムの一例を概略的に示す図。
図4】データ駆動モデルを訓練するための訓練データを生成する方法のフローチャート。
図5】システムの他の例を示す図。
図6】足首の例示的な横方向画像を示す図。
図7】弱教師あり連続的な学習を実現するための例示的な方法を示す図。
図8】例示的なデータを用いた品質メトリック予測のための連続学習フレームワークの例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0054】
図1は、取得前の撮像検査のプロスペクティブ品質評価のための例示的な装置10のブロック図を示す。装置10は、入力ユニット12と、1又は複数の処理ユニット14と、出力ユニット16とを有することができる。
【0055】
一般に、装置10は、情報を通信及び操作するための様々な物理コンポーネント及び/又は論理コンポーネントを有することができ、それらは、所与のセットの設計パラメータ又は性能制約に対して所望されるように、ハードウェアコンポーネント(例えば、コンピューティングデバイス、プロセッサ、論理デバイス)、様々なハードウェアコンポーネントによって実行される実行可能なコンピュータプログラム命令(たとえば、ファームウェア、ソフトウェア)、又はそれらの任意の組み合わせとして実現されることができる。図1は、限定された数のコンポーネントを例として示すことができるが、所与の実現形態のために、より多くの又はより少ない数のコンポーネントが使用されることができることが理解されることができる。
【0056】
例えば、装置10は、サーバ、ワークステーション、撮像装置、又はモバイルデバイスなどのデバイス又は装置として、又はその中で具現化されることができる。装置10は、適切なソフトウェアを実行する1又は複数のマイクロプロセッサ又はコンピュータプロセッサを有することができる。装置10の処理ユニット14は、これらのプロセッサのうちの1又は複数によって具現化されることができる。ソフトウェアは、対応するメモリ、例えば、RAMなどの揮発性メモリ、又はフラッシュなどの不揮発性メモリにダウンロード及び/又は記憶されることができる。ソフトウェアは、本明細書で説明する機能を実行するように1又は複数のプロセッサを構成する命令を有することができる。
【0057】
装置10は、プロセッサを採用して実現されても、採用せずに実現されてもよく、また、いくつかの機能を実行するための専用ハードウェアと、他の機能を実行するためのプロセッサ(例えば、1又は複数のプログラム可能なマイクロプロセッサ及び関連する回路)との組み合わせとして実現されてもよいことに留意されたい。例えば、入力ユニット12、処理ユニット14、及び出力ユニット16のような装置10の機能ユニットは、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)として、プログラマブルロジックの形でデバイス又は装置において実現されることができる。入力部12及び出力部16は、装置の各インタフェースにより実現されることができる。概して、装置の各機能ユニットは、回路の形で実現されることができる。
【0058】
装置10はまた、分散形式で実現されてもよい。例えば、装置10のいくつか又はすべてのユニットは、分散アーキテクチャにおける別個のモジュールとして構成され、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)ネットワーク、ロングタームエボリューション(LTE)ネットワーク、インターネット、LAN(ローカルエリアネットワーク)、ワイヤレスLAN(ローカルエリアネットワーク)、WAN(ワイドエリアネットワーク)などの適切な通信ネットワーク内で接続されることができる。
【0059】
入力ユニット12は、装置10が有線接続を介して、又は無線接続を介してセンサからセンサデータを受信することを可能にするためのハードウェア及び/又はソフトウェアを含み得る。
【0060】
処理ユニット14は、図2に示される実施形態に関して詳細に説明される、本明細書で説明される方法を実施するための命令を実行することができる。
【0061】
出力ユニット16は、生成された品質メトリックを提供するために、装置が他のデバイス(例えば、ディスプレイ、記憶デバイスなど)及び/又はネットワーク(LTE、LAN、ワイヤレスLANなど)と通信することを可能にするハードウェア及び/又はソフトウェアを有することができる。
【0062】
図2は、取得に先立つ撮像検査のプロスペクティブ品質評価のためのコンピュータ実現方法200のフローチャートである。方法200は、図3を参照して以下に説明される。しかしながら、方法200は図3の例に限定されない。
【0063】
コンピュータ実現方法200は、例えば、プログラマブルロジックアレイ(PLA)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、複合プログラマブルロジックデバイス(CPLD)などの構成可能ロジック、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)、相補型メタルオキサイド半導体(CMOS)もしくはトランジスタトランジスタロジック(TTL)技術などの回路技術を使用する固定機能ハードウェアロジック、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取専用メモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、ファームウェア、フラッシュメモリなどの非一時的機械可読又はコンピュータ可読記憶媒体、又はそれらの任意の組み合わせに記憶された論理命令のセット中のデバイス、モジュール、又は関連するコンポーネントとして実現されることができる。例えば、方法200に示される動作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、JAVA、SMALLTALK、C++、Pythonなどのオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語を含む、1又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで書かれることができる。例えば、コンピュータ実現方法200は、図1に示される装置10として実現されることができる。
【0064】
図3は、本開示の実施形態によるシステム100を概略的に示す。システム100は、装置10と、医用撮像装置20と、医用撮像装置の中央システム軸に沿って可動な患者支持体22と、センサ30と、コンソール40とを有する。医用撮像装置20は、患者の身体部位の画像データを取得する。センサ30は、患者の身体部位のセンサデータを取得するように構成される。装置10は、センサデータを受信し、取得に先立つ撮像検査のプロスペクティブ品質評価のために品質メトリックを提供するように構成される。
【0065】
医用撮像装置20の全体的な動作は、オペレータによってコンソール40から制御されることができる。コンソール40は、スクリーン又はモニタ42に結合されることができ、取得された画像又は撮像装置の設定は、スクリーン又はモニタ42上で閲覧又はレビューされることができる。医療ラボ技術などのオペレータは、コンソール40を介して画像取得を制御することができる。図3の例では、装置10は、無線及び/又は有線ベースのインタフェースを介してセンサ30と通信するように構成される別個のデバイスである。しかしながら、代替例(図示せず)では、装置10は、ソフトウェアルーチンとして動作するコンソール40に常駐することができる。
【0066】
図2に戻り、ブロック210、すなわちステップa)から始まって、図1に示される装置10のような装置は、撮像検査のポジショニング中/準備中に身体部分を監視するセンサから、患者の身体部分のセンサデータを受信する。患者の身体部分は、医用撮像モダリティを使用して医用撮像装置によって撮像される予定である。装置は、有線接続を介して又はワイヤレス接続を介して、センサからセンサデータを受信することができる。装置は、センサデータにアクセスするためのセンサデータインターフェースを有することができ、センサデータインターフェースは、ローカルエリアネットワークへのネットワークインタフェース、HDMIのようなビデオインターフェースなどの様々な形態をとることができる。
【0067】
図3の例では、センサ30は奥行きカメラである。センサ30はまた、例えば、熱センサ、例えば患者支持体22に埋め込まれる超音波センサ、無線周波数センサのアレイ、患者支持体22に埋め込まれる圧力センサ、光ファイバ距離センサ、又はそれらの任意の組み合わせであってもよい。図3は単一のセンサのみを示しているが、2以上のセンサを有するセンサ装置が提供されてもよいことが理解されよう。いくつかの例では、センサ30は、医用撮像装置20から隔てられたところに、例えば部屋の天井に配置されることができ、その結果、センサは、撮像のために患者が配置される領域の少なくとも一部を含む視野を有する。いくつかの例では、圧力センサなどのセンサは、患者支持体22に埋め込まれてもよい。
【0068】
図3の例では、患者の身体部分は、MR撮像装置によって撮像される。医用撮像装置20の他の例としては、X線撮像装置、CT画像装置、PET撮像装置、自動ステアリング超音波撮像装置などが挙げられるが、これらに限定されない。また、医用撮像装置20は、MR-Linac装置、MR陽子治療装置、コーンビームCT装置などの複合治療/診断装置であってもよい。
【0069】
図2に戻り、ブロック220、すなわちステップb)において、装置は、データ駆動モデルを使用して、受信されたセンサデータから品質メトリックを生成する。データ駆動モデルは、実際の撮像検査の前にセンサ(例えば、奥行きカメラ)によって取得された(非イオン化)センサデータから、医用撮像装置によって取得される予定の画像データの品質メトリックを予測するように訓練されている。例えば、データ駆動モデルは、人工ニューラルネットワーク、訓練されたランダムフォレスト、モデルベースのセグメント化アプローチなどでありうる。
【0070】
装置は、受信されたセンサデータから、品質メトリックを直接的に生成することもできる。代替的に、装置は、ターゲット解剖学的構造の解剖学的構造モデルを、受信されたセンサデータに対しフィッティングし、ターゲット解剖学的構造のフィッティングされた解剖学的構造モデルから品質メトリックを生成することができる。ターゲット解剖学的構造の解剖学的構造モデルは、例えば、2次元モデル、3次元モデル、又は4次元モデルでありうる。
【0071】
品質メトリックは、数値ベクトルである。各数値は、医用撮像モダリティを用いて取得された画像データにおける解剖学的特徴の位置及び/又は回転の、該解剖学的特徴の所望の位置及び/又は回転からの偏差を表わす。いくつかの例では、数値は、非常に小さな偏差を表わす0、小さな偏差を表わす0.5、大きな偏差を表わす1などの順序値を有することができる。順序値は、偏差を1又は複数の所定の閾値と比較することによって決定されることができる。いくつかの例では、数値は、連続する値を有することができ、例えば、[mm]で表されるシフト、度で表される回転、パーセントで表されるFOV開きなどの或るターゲット座標系における偏差を示す連続する値を有することができる。異なる数値は、異なる品質態様を反映することができる。例えば、図8に示されるように、X線画像品質は、視野(FOV)コンプライアンス、回転、及び屈曲などの異なる品質特徴を有する品質ベクトルに関して決定されることができる。品質メトリックは、上述の数値の加重和などの単一の値であってもよい。
【0072】
データ駆動モデルは、複数の訓練例を有する訓練データセットに基づいて訓練されたものである。各訓練例は、撮像セッションにおいて取得された身体部分のセンサデータと、前記撮像セッションにおいて医用撮像モダリティを使用して取得された画像データから導出された関連する品質メトリックと、を有する。例示的な訓練プロセスは、以下で、特に図4に示される実施形態に関して説明される。
【0073】
図2に戻って、ブロック230、すなわちステップc)において、装置は、取得に先立つ撮像検査のプロスペクティブ品質評価のために、生成された品質メトリックを提供する。
【0074】
訓練されたデータ駆動モデルは、予測された品質メトリックを提供するために、撮像検査のポジショニング中/準備中に推論されることができる。これにより、オペレータ(例えば、放射線技師)は、実際の検査を行う前に予測される品質メトリックを最適化することができる。例えば、センサから観察されている患者を移動させる間、現在のポジショニング品質の瞬間的な予測が、標示されることができる。
【0075】
図3に示す例では、装置10は、生成された品質メトリックをコンソール40に提供する。スクリーン42上で、生成された品質メトリックが閲覧又はレビューされることができる。オペレータは、生成された品質メトリックが基準を満たす場合、コンソール40に結合されたジョイスティック又はペダル又は他の適切な入力手段を作動させることによって、コンソール40を介して画像取得を制御することができる。
【0076】
任意には、装置10は、生成された品質メトリックが所定の基準を満たすかどうかを判定し、生成された品質メトリックが所定の基準を満たすかどうかを示す信号を生成することができる。
【0077】
いくつかの例では、生成された信号は、患者が画像取得の準備ができているかどうかを知らせる装置を制御するための信号を有することができる。一例では、装置は、患者が正しくポジショニングされており、撮像される身体部分が検査の間ずっと動かないように保たれるべきであることを患者に知らせる音響信号を生成するように構成されるスピーカでありうる。別の例では、装置は、患者及び/又はオペレータに患者が正しくポジショニングされていることを知らせる光信号(例えば、緑色光)を生成する照明装置でありうる。
【0078】
いくつかの例では、生成される信号は、画像取得を開始するために医用撮像装置をトリガするための信号を有することができる。これらの例では、オペレータは、画像取得を手動で制御する必要がない。むしろ、医用撮像装置20は、患者が画像取得のために正しくポジショニングされていることを示す信号によって、自動画像取得を実行するようにトリガされることができる。更に、撮像検査の間、撮像されるべき身体部分を動かない状態に保つように患者に知らせる警告信号が生成されることもできる。
【0079】
従って、本明細書で説明されるコンピュータ実現方法、装置、及びシステムは、実際の撮像検査で取得される医用画像データの品質を改善することができ、それによって、撮り直しの減少、患者への治療の遅延の減少、ワークフローの短縮、及び患者レートの増加につながる。X線検査及びCT検査では、撮り直しが少ないほど、患者の放射線量を減らすことができる。
【0080】
図4は、データ駆動モデルを訓練するための訓練データを生成する方法300のフローチャートである。方法300は、図5及び図6を参照して以下に説明される。しかしながら、方法300は、図5及び図6の例に限定されない。
【0081】
図5は、システム100の他の例を示す。図5の例では、システム100は、X線源20a及びX線検出器20bを有するX線撮像装置である医用撮像装置20を有する。X線検出器20bは、図5に示される足首などの撮像される患者の身体部分を収容するように、X線源20aから間隔をおいて配置される。
【0082】
一般に、画像取得の間、コリメートされたX線ビーム(矢印で示される)は、X線源20aから発し、関心領域(ROI)において患者を通過し、その中の物質との相互作用による減衰を経験し、次いで、減衰されたビームは、X線検出器20bの表面に当たる。ROIを構成する有機材料の密度が、減衰のレベルを決定する。高密度物質(例えば骨)は、密度の低い物質(例えば組織)よりも高い減衰を引き起こす。次いで、X線についての登録されたデジタル値がデジタル値のアレイに統合されることにより、所与の取得時間及び投影方向についてのX線投影画像が形成される。
【0083】
X線撮影装置20の全体的な動作は、コンソール40からオペレータによって制御されることができる。コンソール40は、スクリーン又はモニタ42に結合されることができ、取得されたX線画像又はイメージャ設定が、スクリーン又はモニタ42上で閲覧又はレビューされることができる。医療ラボ技術のようなオペレータは、コンソール40を介して、例えば、ジョイスティック又はペダル又はコンソール40に結合された他の適切な入力手段を作動させることによって、個々のX線曝射をリリースすることによって実行される画像取得を制御することができる。
【0084】
要求に応じて、足首の様々な画像が生成されることができる。標準の画像シリーズは、前後(AP)画像、モーティス画像、及び横方向画像を含み得る。踵骨病変が疑われる場合、軸方向において追加の画像が生成されることができる。図5の例では、X線撮影装置20によって足首のAP画像が取得される。
【0085】
装置10は、図1に関して説明したような装置でありうる。図5の例では、装置10は、無線及び/又は有線ベースのインタフェースを介してセンサ30と通信するように構成される別個のデバイスである。しかしながら、代替例(図示せず)では、装置10は、コンソール40に常駐することができ、ソフトウェアルーチンとして動作する。
【0086】
センサ30は、X線管ヘッド20aの近くに配置され又はそれに取り付けられる奥行きカメラであってもよい。奥行きカメラは、観察されたシーンに関する光学的な奥行き情報を提供することができる。奥行きカメラがX線管ヘッド20aの近くに配置され、X線検出器20bの方に向けられ、較正される場合、その幾何学的配置は知られている。そのようなセンサは、放射線技師が患者の位置を評価することを支援するために、取得の前に使用されることができる。
【0087】
図4に戻り、ブロック310から始まって、患者の身体部分の画像データが受信される。例えば、身体部分の画像データは、データベースから取り出されることができる。データベース内の画像データは、1又は複数の部門又は現場におけるルーチン検査及び/又はスタディ検査から取得されることができる。データベースは、1又は複数の患者からの1又は複数の身体部分の画像データを有することができる。
【0088】
画像データは、例えば、X線撮影装置、MR撮影装置、CT撮影装置、PET撮像装置により取得されることができる。画像データはまた、MR-Linac装置、MR陽子治療装置、コーンビームCT装置などの複合治療/診断装置によって取得されてもよい。例えば、画像データは、図5に示されるX線撮像装置20によって生成されることができる、足首の様々な画像を含むことができる。足首の例示的な横方向画像を図6に示す。
【0089】
ブロック320において、患者の身体部分のセンサデータが受信される。受信されたセンサデータ及び受信された画像データは、同じ撮像検査において事前に取得されることができる。センサデータは、光学センサ、奥行きセンサ、熱センサ、圧力センサ、超音波センサ、無線周波数センサのアレイ、又はそれらの任意の組み合わせなど、任意の適切なセンサによって取得されることができる。例えば、図5に示すように、センサ30は、足首の奥行き画像をキャプチャするための奥行きカメラでありうる。
【0090】
ブロック330において、画像データから1又は複数の特徴が抽出される。画像データから抽出された1又は複数の特徴は、ランドマーク、臓器境界、関心領域、医用撮像装置によって取得された画像データ内の画像ラベル、又はそれらの任意の組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。図6に示される脛骨、腓骨、距骨、及び踵骨の骨輪郭C1~C4のような1又は複数の特徴を計算するために、完全に自動化されたプロシージャが使用可能である。1つの選択肢は、医用画像内の1又は複数の特徴の近似中心及び境界ボックスを見つける画像検出アルゴリズムなどの画像処理アルゴリズムを使用することである。各抽出された特徴の位置及び/又は向きは、特徴の偏差を決定するために、それぞれの特徴の所望の位置及び/又は向きと比較される。例えば、骨格X線画像品質は、視野(FOV)コンプライアンス、内外方向の回転、頭尾方向の回転、関節屈曲などに基づいて評価されることができる。
【0091】
ブロック340において、品質メトリックが生成される。品質メトリックは、数値ベクトルでありうる。各数値は、医用撮像モダリティを用いて取得された画像データにおける解剖学的特徴の位置及び/又は回転の、該解剖学的特徴の所望の位置及び/又は回転からの偏差を表わす。例えば、X線画像品質は、FOV、回転、及び屈曲などの異なる品質側面を有する品質ベクトルに関して決定されることができる。
【0092】
ブロック350において、医用撮像装置によって取得された画像データから導出された品質メトリックと、センサによって取得されたセンサデータとが、訓練データとして提供される。代替として、ターゲット解剖学的構造の解剖学的構造モデルが、センサデータに対しフィッティングされることができる。医用撮像装置によって取得された画像データから導出された品質メトリックと、フィッティングされた解剖学的構造モデルとは、訓練データとして提供される
【0093】
ブロック360において、データ駆動モデルは、訓練データについて訓練される。
【0094】
注釈付き訓練データは、1又は複数の臨床部位でのルーチン検査から生成されることができる。注釈付き訓練データを取得するこの連続的で教師なしのプロセスは、大規模なグラウンドトゥルースデータベースの生成の基礎を提供し、それによって、手動又は半自動化プロセスによって取得される限られた数の訓練セットの欠点を克服する。新しい予見されない特性を有するデータが生じた場合、又は訓練されたシステムの所望の結果を適合させる必要がある場合、連続的に拡張する訓練セットデータベースは、経時的に生じる変化について機械学習モデルを維持することを可能にすることができる。
【0095】
任意には、データ駆動モデルは、推論フェーズにおいて、すなわち、予測を行うために訓練された機械学習アルゴリズムを使用するプロセスにおいて、連続的に訓練されることができる。図7は、弱教師ありお連続的な学習を実施するための例示的な方法400を示す。
【0096】
この例では、破線の矢印で示されるプロシージャに従って画像取得の前に取得されたセンサデータから品質メトリックが生成される。品質メトリックは、予測される品質メトリックと呼ばれることもある。具体的には、ブロック420において、取得されたセンサデータは、図2のブロック210に関して説明された実施形態と同様の方法で受信される。ブロック470において、図2のブロック220に関して説明された実施形態と同様の方法で、訓練されたデータ駆動モデルを使用して、受信されたセンサデータから品質メトリックが生成される。ブロック480において、生成された品質メトリック(すなわち、予測される品質メトリック)が、モデルを訓練するために提供される。
【0097】
更なる品質メトリックが、実線の矢印で示されるプロシージャに従って実際の撮像検査後に医用撮像装置によって取得された画像データから生成される。更なる品質メトリックは、実際の品質メトリックと呼ばれることもある。特に、ブロック410において、取得された画像データは、図4のブロック310に関して説明された実施形態と同様の方法で受信される。ブロック430において、画像データから1又は複数の特徴が抽出される。各抽出された特徴の位置及び/又は向きは、図4のブロック330に関して説明された実施形態と同様に、特徴の偏差を決定するために、それぞれの特徴の所望の位置及び/又は向きと比較される。ブロック440において、数値ベクトルであり得る品質メトリックが生成される。各数値は、医用撮像モダリティを用いて取得された画像データにおける解剖学的特徴の位置及び/又は回転の、該解剖学的特徴の所望の位置及び/又は回転からの偏差を表わす。これは、図4のブロック340に関して説明した実施形態と同様の方法で行うことができる。
【0098】
任意には、ブロック460において、オペレータ(例えば、放射線技師)は、検査のための品質メトリックベクトルをレビュー及びチェックし、フィードバックを提供し、例えば、特定のメトリックを確認/変更し、このエキスパートフィードバックを連続的な学習ループに入れることができ、かかるループは、更に信頼性の高い、強教師あり学習戦略を実施する。例えば、装置10は、受信された画像データのユーザ規定される品質メトリックを示すユーザ入力を受信し、画像取得前にセンサデータから生成された品質メトリックと前記ユーザ規定される品質メトリックとの間の差を決定し、その差を使用してデータ駆動型モデルを更に訓練することができる。
【0099】
画像取得前にセンサデータから導出された予測品質メトリックと、実際の画像取得後に取得された画像データから導出された実際の品質メトリックとの間の差は、連続的な弱教師あり学習を実施するための損失関数として使用されることができる。
【0100】
例えば、閾値を設定することにより、連続的な学習ループは、手動の注釈を必要とせずに、部門固有の品質質の要件(例えば、視野の幅)に適応されることができる。
【0101】
図8は、例示的なデータを用いた品質メトリック予測のための連続学習フレームワークの例を示す。この例では、実際の品質メトリックは、図7のブロック410、430、440、及び460に関して説明したプロシージャに従って医用撮像装置(例えば、図5に示すX線撮像装置)によって取得された画像データから導出される。予測される品質メトリックは、図7のブロック420、470、及び480に関して説明したプロシージャに従って、画像取得の前に取得されたセンサデータから導出される。この例では、X線画像品質は、異なる品質側面(視野、回転、屈曲など)を有する品質ベクトルに関して予測される。RGB/奥行きカメラは、連続的に更新されたデータ駆動モデルを使用して品質メトリックを予測するためのセンサデータを提供することができる。
【0102】
また、明確に反対の指示がない限り、請求項に記載の複数のステップ又は処理を含む方法において、方法のステップ又は処理の順序は、方法のステップ又は処理が記載されている順序に必ずしも限定されないことが理解されるべきである。
【0103】
本発明の別の例示的な実施形態において、適切なシステム上で、前述の実施形態のうちの1つによる方法の方法ステップを実行するように適応されることを特徴とするコンピュータプログラム又はコンピュータプログラム要素が提供される。
【0104】
従って、コンピュータプログラム要素は、本発明の実施形態の一部でありうるコンピュータユニットに記憶されることができる。この計算ユニットは、上述の方法のステップを実行する又はその実行を誘導するように構成されてもよい。更に、計算ユニットは、上記装置の各コンポーネントを動作させるように適応されることができる。計算ユニットは、自動的に作動するよう構成され、及び/又はユーザのオーダを実行するよう構成されることができる。コンピュータプログラムは、データプロセッサの作業メモリにロードされることができる。従って、データプロセッサは、本発明の方法を実行するように装備されることができる。
【0105】
本発明のこの例示的な実施形態は、最初から本発明を使用するコンピュータプログラムと、最新の手段によって現存するプログラムを本発明を使用するプログラムに変えるコンピュータプログラムとの両方を包含する。
【0106】
更に、コンピュータプログラムは、上述のプロシージャの例示的な実施形態のプロシージャを実行するために必要なすべてのステップを提供することができる。
【0107】
本発明の更なる例示的な実施形態によれば、CD-ROMなどのコンピュータ可読媒体が提示され、コンピュータ可読媒体はその上に記憶されたコンピュータプログラム要素を有し、そのコンピュータプログラム要素は、前述のセクションによって説明される。
【0108】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に、又は他のハードウェアの一部として供給される光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体上に記憶及び/又は配布されることができるが、インターネット又は他の有線もしくは無線通信システムを介してなど、他の形態で配布されてもよい。
【0109】
しかしながら、コンピュータプログラムは、ワールドワイドウェブのようなネットワークを通じて提示されることもでき、そのようなネットワークからデータプロセッサの作業メモリにダウンロードされることもできる。本発明の更なる例示的な実施形態によれば、コンピュータプログラム要素をダウンロードのために利用可能にするための媒体が提供され、このコンピュータプログラム要素は、本発明の前述の実施形態のうちの1つによる方法を実行するように構成される。
【0110】
本発明の実施形態は、それぞれ異なる主題を参照して説明されることに留意されたい。特に、いくつかの実施形態は、方法タイプの請求項を参照して説明され、他の実施形態は、機構タイプの請求項を参照して説明される。しかしながら、当業者は上記及び下記の説明から、特に示さない限り、1つのタイプの主題に属する特徴の任意の組み合わせに加えて、異なる主題に関する特徴間の任意の組み合わせも、本出願で開示されることを理解するであろう。しかしながら、すべての特徴を組み合わせて、特徴の単純な合計よりも高い相乗効果を提供することができる。
【0111】
本発明は、図面及び前述の説明において詳しく図示され説明されてきたが、そのような図示及び説明は、例示的又は説明的であり、限定的ではないと考えられるべきである。本発明は、開示された実施形態に限定されない。開示された実施形態に対する他の変形は、図面、開示及び従属請求項の検討から、請求項に記載の発明を実施する際に当業者によって理解され達成されることができる。
【0112】
請求項において、単語「有する、含む(comprising)」は、他の構成要素又はステップを排除せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数性を排除しない。単一のプロセッサ又は他のユニットは、特許請求の範囲に記載されるいくつかの項目の機能を果たすことができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項において言及されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。請求項におけるいかなる参照符号も、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】