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特表2024-538529化学化合物のデータベース構築方法、組成予測方法および組成物の組み立て方法、ならびに保湿効果を有する得られるフレグランス
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  • 特表-化学化合物のデータベース構築方法、組成予測方法および組成物の組み立て方法、ならびに保湿効果を有する得られるフレグランス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-23
(54)【発明の名称】化学化合物のデータベース構築方法、組成予測方法および組成物の組み立て方法、ならびに保湿効果を有する得られるフレグランス
(51)【国際特許分類】
   G16C 20/30 20190101AFI20241016BHJP
【FI】
G16C20/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517373
(86)(22)【出願日】2022-10-17
(85)【翻訳文提出日】2024-05-13
(86)【国際出願番号】 EP2022078820
(87)【国際公開番号】W WO2023066860
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】21203197.5
(32)【優先日】2021-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009287
【氏名又は名称】フイルメニツヒ ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Firmenich SA
【住所又は居所原語表記】7,Rue de la Bergere,1242 Satigny,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヴェラ チャカロヴァ
(72)【発明者】
【氏名】ローラ マスミン
(57)【要約】
組成物についての予測的なリアルタイムの皮膚水和性能メトリクスを提供するためのコンピュータ実装された方法(600)は、少なくとも、少なくとも1つの化学化合物デジタル識別子をコンピュータインタフェースにて選択して、組成物を形成するステップ(205)と、少なくとも1つの選択された化学化合物識別子の極性値を表す少なくとも1つの値をデータベースから取得するステップ(610)と、少なくとも1つの化学化合物識別子についてのまたは組成物の少なくとも1つの保湿係数値を少なくとも1つの取得された極性値の関数として予測するステップ(615)と、予測された少なくとも1つの保湿係数値を出力するステップ(620)とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物についての予測的なリアルタイムの皮膚水和性能メトリクスを提供するためのコンピュータ実装された方法(600)において、少なくとも、
- 少なくとも1つの化学化合物デジタル識別子をコンピュータインタフェースにて選択して、組成物を形成するステップ(205)と、
- 少なくとも1つの選択された化学化合物識別子の極性値を表す少なくとも1つの値をデータベースから取得するステップ(610)と、
- 少なくとも1つの化学化合物識別子についてのまたは前記組成物の少なくとも1つの保湿係数値を少なくとも1つの取得された極性値の関数として予測するステップ(615)と、
- 予測された少なくとも1つの保湿係数値を出力するステップ(620)と
を含むことを特徴とする、方法(600)。
【請求項2】
少なくとも、
- 揮発性の化学化合物または液体状態の不揮発性の化合物を皮膚複製表面上に制御して堆積させるステップ(105)と、
- 異なる測定時間において、前記化学化合物を堆積させた後の前記皮膚複製表面からの蒸発した水の量または前記皮膚複製表面上の残りの水の量を測定するステップ(110)と、
- 測定された蒸発した水量または測定された残りの水量に応じて水蒸発速度を計算するステップ(115)と、
- 計算された前記水蒸発速度の関数として保湿係数を計算するステップ(120)と、
- 計算された前記保湿係数、および任意選択的に、計算された前記水蒸発速度をデータベースに保存するステップ(125)と
を含む、化学化合物の物理パラメータデータベース構築ステップ(100)を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
- 保存された保湿係数に関連する化学化合物についての化学化合物極性を演算するステップ(130)と、
- 化学化合物極性の関数としての保湿係数の数式をモデリングするステップ(135)と、
- 保湿係数式のモデリングされたパラメータをデータベースに記録するステップ(140)と
をさらに含む、請求項1記載の方法(600)。
【請求項4】
前記化学化合物極性を、前記化学化合物の分散、極性、および水素結合相互作用に関係する、凝集エネルギー密度の分散、極性、および水素結合成分のうちの少なくとも1つの関数として演算する、請求項3記載の方法(600)。
【請求項5】
選択された化学化合物それぞれについて、前記化学化合物の量を入力するステップ(219)を含み、得るステップ(210)が、少なくとも1つの化学化合物識別子についての平均保湿係数を、前記化学化合物識別子についての保湿係数および入力された量の関数として演算するステップ(225)を含み、出力するステップ(215)が、演算された少なくとも1つの平均保湿係数を出力するように構成されている、請求項3または4記載の方法(600)。
【請求項6】
少なくとも2つの化学化合物識別子が選択され、前記方法が、組成物の平均保湿係数を、演算された少なくとも2つの保湿係数の関数として演算するステップ(230)をさらに含む、請求項5記載の方法(600)。
【請求項7】
少なくとも2つの化学化合物識別子が選択され、前記方法が、組成物の保湿係数を、予測された少なくとも2つの平均保湿係数の関数として演算するステップ(245)をさらに含む、請求項6記載の方法(600)。
【請求項8】
少なくとも2つの化学化合物識別子が選択され、前記方法が、選択された少なくとも2つの化学化合物デジタル識別子の予測された保湿係数に基づいて、少なくとも2つの前記化合物識別子の組成物の保湿係数直線性を演算するステップ(250)をさらに含み、前記出力するステップ(215)が、前記少なくとも2つの化学化合物デジタル識別子の前記組成物の前記保湿係数直線性を表示するように構成されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法(600)。
【請求項9】
保湿係数閾値を定義するステップ(255)であって、少なくとも1つの化学化合物デジタル識別子が、前記化学化合物デジタル識別子について得られる保湿係数と、定義された前記保湿係数閾値との間の差の関数として選択から除去される、定義するステップ(255)をさらに含む、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法(600)。
【請求項10】
少なくとも1つの化学化合物デジタル識別子を、前記化学化合物デジタル識別子について得られる保湿係数と、代替的な化学化合物デジタル識別子候補について得られる保湿係数との間の差の関数として置換するステップ(260)をさらに含む、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法(600)。
【請求項11】
化学化合物組成物の組み立て方法(500)において、
- 請求項1から10までのいずれか1項記載の組成予測方法(600)と、
- 前記予測方法の組成物対象を組み立てるステップ(505)と
を含むことを特徴とする、方法(500)。
【請求項12】
請求項11記載の、組成物の組み立て方法により得られることを特徴とする、組成物。
【請求項13】
少なくとも1種の化学化合物がフレグランス化学化合物である、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法(500,600)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学化合物の物理パラメータデータベース構築方法、予測的なリアルタイムの二次的な化粧品的利益の揮発性の組成物性能メトリクスを提供するための物理組成変遷予測方法、および対応するシステムに関する。本発明は、特に、フレグランスおよびフレーバー、化粧品、表面およびボディケア、衛生、および医薬品の分野に適用される。
【背景技術】
【0002】
フレグランス設計は、目標のフレグランスを提供することを意図した組成物を形成するための少なくとも1種のフレグランス成分の選択として定義することができる。フレグランス設計は、香料の分野で最も顕著に知られており、香料設計者によって実施される。
【0003】
フレグランスの評価は、典型的には、フレグランス性能メトリクスおよびフレグランスの快楽度のみに基づく。今日では、例えば、人間の鼻によるフレグランスの検出可能性などの幾つかのメトリクスが使用されている。典型的には、そのようなメトリクスでは、例えば、化粧品的利益などの、フレグランスの二次的利益を説明することができない。
【0004】
前記二次的利益によるフレグランスの性能を評価するためのそのようなメトリクスが欠如しているため、これらの点における正確な性能予測子が得られないことがある。これによって、非効率的ではあるが現在義務となっている試行錯誤的アプローチから、研究室においてかなりの無駄な時間が生じている。
【0005】
しかしながら、そのような問題は、フレグランス設計の分野に限定されてはおらず、揮発性の化学物質が使用され、それらの性能が、単一の利益に限定された基準で評価される、全ての分野に当てはまる。
【0006】
発明の概要
本発明は、これらの欠点の全てまたは一部を改善することを意図している。
【0007】
そのために、第1の態様によれば、本発明は、組成物についての予測的なリアルタイムの皮膚水和性能メトリクスを提供するためのコンピュータ実装された方法であって、少なくとも、
- 少なくとも1つの化学化合物デジタル識別子をコンピュータインタフェースにて選択して、組成物を形成するステップと、
- 少なくとも1つの選択された化学化合物識別子の極性値を表す少なくとも1つの値をデータベースから取得するステップと、
- 少なくとも1つの化学化合物識別子についてのまたは組成物の少なくとも1つの保湿係数値を少なくとも1つの取得された極性値の関数として予測するステップと、
- 予測された少なくとも1つの保湿係数値を出力するステップと
を含む、方法を目指す。
【0008】
このような提供によって、皮膚の保湿に関与する組成物の能力を定量化する新たな技術的組成物性能指標を構成することが可能になる。次いで、そのような指標を下流のコンピュータシステムおよびプログラムにおいて使用して、化合物を定量化すること、および/または皮膚の保湿に関与する組成物の能力を予測することができる。
【0009】
この新たなアプローチでは、組成物性能と化粧品性能とを結び付けることができ、これは、現在知られている他のシステムでは不可能である。
【0010】
特定の実施形態では、本発明の方法対象は、少なくとも、
- 揮発性の化学化合物または液体状態の不揮発性の化合物を皮膚複製表面上に制御して堆積させるステップと、
- 異なる測定時間において、化学化合物を堆積させた後の皮膚複製表面からの蒸発した水の量または皮膚複製表面上の残りの水の量を測定するステップと、
- 測定された蒸発した水量または測定された残りの水量に応じて水蒸発速度を計算するステップと、
- 計算された水蒸発速度の関数として保湿係数を計算するステップと、
- 計算された保湿係数、および任意選択的に、計算された水蒸発速度をデータベースに保存するステップと
を含む、化学化合物の物理パラメータデータベース構築ステップを含む。
【0011】
そのようなデータベースを構築すると、目標の二次的利益の結果に到達するために必要な試験の数を制限することによって、組成物設計および製造プロセスにおける時間を節約することが可能になる。
【0012】
特定の実施形態では、本発明の構築方法対象は、
- 保存された保湿係数に関連する化学化合物についての化学化合物極性を演算するステップと、
- 化学化合物極性の関数としての保湿係数の数式をモデリングするステップと、
- 保湿係数式のモデリングされたパラメータをデータベースに記録するステップと
をさらに含む。
【0013】
この新たなアプローチは、例えば、揮発性の化合物極性を、前記揮発性の化合物についての保湿能力を表す保湿係数に結び付ける。このような提供によって、前記化合物が、関連する化合物極性を表すデータに関連する限り、任意の揮発性の化学化合物の保湿能力を予測することが可能になる。
【0014】
特定の実施形態では、モデリングされた保湿係数は、化学化合物極性の対数関数または指数関数である。
【0015】
そのような実施形態によって、化学化合物極性の関数としての保湿係数の正確な予測が可能になる。
【0016】
特定の実施形態では、化学化合物極性を、前記化学化合物の分散、極性、および水素結合相互作用に関係する、凝集エネルギー密度の分散、極性、および水素結合成分のうちの少なくとも1つの関数として演算する。
【0017】
特定の実施形態では、本発明の方法対象は、選択された化学化合物それぞれについて、前記化学化合物の量を入力するステップを含み、得るステップが、少なくとも1つの化学化合物識別子についての平均保湿係数を、前記化学化合物識別子についての取得された保湿係数および入力された量の関数として演算するステップを含み、出力するステップが、演算された少なくとも1つの平均保湿係数を出力するように構成されている。
【0018】
このような提供によって、複雑な化学化合物相互作用、および全体的な二次的利益の性能に対する1種の化学化合物の影響をモデリングすることが可能になる。
【0019】
特定の実施形態では、少なくとも2つの化学化合物識別子が選択され、この方法が、組成物の保湿係数を、演算された少なくとも2つの平均保湿係数の関数として演算するステップをさらに含む。
【0020】
このような提供によって、複雑な化学化合物相互作用、および全体的な二次的利益の性能に対する影響をモデリングすることが可能になる。
【0021】
特定の実施形態では、少なくとも2つの化学化合物識別子が選択され、この方法が、組成物の保湿係数を、予測された少なくとも2つの平均保湿係数の関数として演算するステップをさらに含む。
【0022】
このような提供によって、複雑な化学化合物相互作用、および全体的な二次的利益の性能に対する1種の化学化合物の影響をモデリングすることが可能になる。
【0023】
特定の実施形態では、少なくとも2つの化学化合物識別子が選択され、この方法が、選択された少なくとも2つの化学化合物デジタル識別子の得られた保湿係数に基づいて、少なくとも2つの前記化合物識別子の組成物の保湿係数直線性を演算するステップをさらに含み、出力するステップが、前記少なくとも2つの化学化合物デジタル識別子の組成物の保湿係数直線性を表示するように構成されている。
【0024】
このような提供によって、特定の組成式の性能および組成物における相対的な変化を決定することが可能になる。そのようなシナリオでは、直線性は、相対的な組成における変化または経時的な変化のいずれかを表し得る。
【0025】
特定の実施形態では、本発明の方法対象は、保湿係数閾値を定義するステップであって、少なくとも1つの化学化合物デジタル識別子が、前記化学化合物デジタル識別子について得られる保湿係数と、定義された保湿係数閾値との間の差の関数として選択から除去される、定義するステップをさらに含む。
【0026】
このような提供によって、揮発性の化学化合物の動的フィルタリングが可能になり、目標の二次的利益性能基準を満たすことができる。
【0027】
特定の実施形態では、本発明の方法対象は、少なくとも1つの化学化合物デジタル識別子を、前記化学化合物デジタル識別子について得られる保湿係数と、代替的な化学化合物デジタル識別子候補について得られる保湿係数との間の差の関数として置換するステップをさらに含む。
【0028】
このような提供によって、動的組成式の創作が可能になり、二次的利益に関してより低い性能の化学化合物が、より高い性能の化学化合物によって置換される。より複雑な実施形態は、多基準分析をさらに使用して、目標の化学化合物についての代替を提供することができる。
【0029】
第2の態様によれば、本発明は、化学化合物の物理パラメータデータベース構築方法であって、少なくとも、
- 化合物極性を測定するステップと、
- 測定された化合物極性の関数として保湿係数を計算するステップと、
- 計算された保湿係数、および任意選択的に、測定された化合物極性をデータベースに保存するステップと
を含む、方法を目指す。
【0030】
このような提供によって、皮膚の保湿に関与する組成物の能力を定量化する新たな技術的組成物性能指標を構成することが可能になる。次いで、そのような指標を下流のコンピュータシステムおよびプログラムにおいて使用して、揮発性の化合物を定量化すること、および/または皮膚の保湿に関与する組成物の能力を予測することができる。
【0031】
第3の態様によれば、本発明は、予測的なリアルタイムの二次的な化粧品的利益の性能メトリクスを提供するための組成予測方法であって、少なくとも、
- 少なくとも1つの化学化合物識別子を、コンピュータ化されたインタフェースにて選択するステップと、
- 少なくとも1つの化学化合物識別子に関連する保湿係数を得るステップと、
- 得られた少なくとも1つの平均保湿係数を出力するステップと
を含む、方法を目指す。
【0032】
このような提供によって、ユーザが設計組成物の保湿性能についての予測メトリクスを閲覧することができる予測組成物設計コンピュータシステムの設計が可能になる。
【0033】
このような提供によって、
- (香料などの)組成物の創作プロセスの速度を上げること、
- 組成物性能を最適化すること、
- 組成物性能を容易に再配合すること、
- 組成物設計者らに自身の配合物について新たに理解させること、
- 配合物性能を比較すること
がさらに可能になる。
【0034】
特定の実施形態では、得るステップは、
- 前記化学化合物識別子の極性を表す少なくとも1つの値をデータベースから取得するステップと、
- 少なくとも1つの化学化合物識別子についての少なくとも1つの保湿係数を前記化学化合物識別子の極性の関数として予測するステップと
を含み、
出力するステップは、予測された少なくとも1つの保湿係数を出力するように構成されている。
【0035】
このような提供によって、前記化学化合物の結合成分に基づいて、化学化合物についての保湿係数を予測することが可能になる。
【0036】
第4の態様によれば、本発明は、予測的なリアルタイムの二次的な化粧品的利益の性能メトリクスを提供するための組成予測方法において、少なくとも、
- 少なくとも1つの化学化合物デジタル識別子をコンピュータインタフェースにて選択して、組成物を形成するステップと、
- 少なくとも1つの選択された化学化合物識別子の保湿係数を表す少なくとも1つの値をデータベースから取得するステップと、
- 少なくとも1つの化学化合物識別子についてのまたは組成物の少なくとも1つの極性値を少なくとも1つの取得された保湿係数の関数として予測するステップと、
- 予測された少なくとも1つの極性値を出力するステップと
を含むことを特徴とする、方法を目指す。
【0037】
そのような性質によって、保湿係数を極性に結び付ける数式を逆に適用することが可能になる。
【0038】
第5の態様によれば、本発明は、化学化合物組成物の組み立て方法であって、
- 本発明の組成予測方法対象と、
- 予測方法の予測される対象を組み立てるステップと
を含む、方法を目指す。
【0039】
第6の態様によれば、本発明は、本発明の組み立て方法対象により得られる、組成物を目指す。
【0040】
特定の実施形態では、少なくとも1種の化学化合物がフレグランス化学化合物である。
【0041】
第7の態様によれば、本発明は、揮発性液体化学化合物の物理パラメータデータベース構築システムであって、少なくとも、
- 揮発性の化学化合物または液体状態の不揮発性の化合物を皮膚複製表面上に制御して堆積させる手段と、
- 異なる測定時間において、化学化合物を堆積させた後の皮膚複製表面からの蒸発した水の量または皮膚複製表面上の残りの水の量を測定する手段と、
- 測定された蒸発した水量または測定された残りの水量に応じて水蒸発速度を計算する手段と、
- 計算された水蒸発速度の関数として保湿係数を計算する手段と、
- 計算された保湿係数、および任意選択的に、計算された水蒸発速度をデータベースに保存する手段と
を含む、システムを目指す。
【0042】
このシステムの利点は、対応する方法の利点と同様である。
【0043】
第8の態様によれば、本発明は、予測的なリアルタイムの二次的な化粧品的利益の性能メトリクスを提供するための組成変遷予測システムであって、少なくとも、
- 少なくとも1つの化学化合物識別子を、コンピュータ化されたインタフェースにて選択する手段と、
- 少なくとも1つの化学化合物識別子に関連する保湿係数を得る手段と、
- 得られた少なくとも1つの平均保湿係数を出力する手段と
を含む、システムを目指す。
【0044】
このシステムの利点は、対応する方法の利点と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
本発明の他の利点、目的、および特定の特徴は、本明細書に添付されている図面に関連して、本発明の対象である少なくとも1つの特定の方法またはシステムの以下の非網羅的な記載から明らかになるであろう。
図1】本発明のデータベース構築方法対象の第1の特定の一連のステップを概略的にフローチャートの形式で表す。
図2】本発明の予測方法対象の特定の一連のステップを概略的にフローチャートの形式で表す。
図3】本発明のデータベース構築方法対象を実装することができるシステムの特定の実施形態を概略的に表す。
図4】本発明の予測方法対象を実装することができるシステムの特定の実施形態を概略的に表す。
図5】化学化合物の保湿係数を前記化学化合物の極性と関係付ける数式の結果を概略的に示す。
図6】本発明の組み立て方法対象の特定の一連のステップを概略的にフローチャートの形式で表す。
図7】本発明の予測方法対象の特定の一連のステップを概略的にフローチャートの形式で表す。
図8】本発明のデータベース構築方法対象の第2の特定の一連のステップを概略的にフローチャートの形式で表す。
【0046】
発明の詳細な説明
一実施形態の各特徴をその他の実施形態のその他の特徴と有利な手法で組み合わせることができるため、この記載は、網羅的なものではない。
【0047】
この時点で、図は縮尺通りではないことに留意すべきである。
【0048】
以下の記載は、揮発性の化学化合物パラメータの発見および使用の特定の使用事例について提示されている。しかしながら、以下の記載は、不揮発性の化学化合物のパラメータの発見および使用の使用事例に適していると理解され得る。
【0049】
本明細書で使用される場合、「揮発性の化学化合物」という用語は、環境温度において空気中で蒸発する任意の化合物を指す。そのような化合物は、医薬化合物またはフレグランス化学化合物を指し得る。非限定的に、以下に開示されている実施形態は、フレグランス化学化合物を目指す。同じ実施形態を、対象の医薬化合物またはその他の揮発性の化学化合物に適合させることができる。
【0050】
本明細書で使用される場合、「フレグランス化学化合物」という用語は、賦香成分、フレーバー成分、香料担体、フレーバー担体、香料アジュバント、フレーバーアジュバント、香料調節剤、フレーバー調節剤を指す。好ましくは、そのようなフレグランスまたはフレグランス化学化合物は、揮発性である。そのような成分は、天然成分であり得る。
【0051】
ここで、「賦香成分」は、快楽効果を付与するために賦香調製物または組成物に使用される化合物を意味する。言い換えるなら、賦香成分であると考えられるそのような成分は、単に香りを有するものとしてではなく、組成物の匂いを有利にまたは心地良いように付与または改変することができるものとして当業者に認識されるはずである。
【0052】
ここで、賦香成分の性質および種類は、より詳細な記載を保証するものではなく、いずれの場合も網羅的なものではなく、当業者であれば、自身の一般的な知識に基づいて、かつ意図される使用または用途および望ましい官能効果に応じて、これらを選択することができるであろう。一般に、これらの賦香共成分は、アルコール類、ラクトン類、アルデヒド類、ケトン類、エステル類、エーテル類、アセテート類、ニトリル類、テルペノイド類、窒素含有または硫黄含有複素環式化合物および精油のような多様な化学分類に属し、前記賦香共成分は、天然由来のものまたは合成由来のものであり得る。前記賦香成分は、いずれの場合も、参考文献、例えばS. Arctanderによる書籍であるPerfume and Flavor Chemicals, 1969, Montclair, New Jersey, USAもしくはそのより新しい版、または同様の種類の他の著作物、ならびに香料の分野における豊富な特許文献に列挙されている。また、前記賦香成分は、プロ香料またはプロフレグランスとしても知られている様々な種類の賦香成分を制御された手法で放出すると知られている化合物でもあり得ると理解される。
【0053】
ここで、「香料担体」は、香料の観点から実質的に中性である、すなわち、賦香成分の官能特性を著しくは変化させない材料を意味する。前記担体は、液体または固体であり得る。
【0054】
液体担体としては、非限定的な例として、乳化系、すなわち、溶媒および界面活性剤系、または香料において一般に使用される溶媒を挙げることができる。香料において一般に使用される溶媒の性質および種類の詳細な記載は、網羅できるものではない。しかしながら、非限定的な例としては、最も一般的に使用されている、ブチレンまたはプロピレングリコール、グリセロール、ジプロピレングリコールおよびそのモノエーテル、1,2,3-プロパントリイルトリアセテート、ジメチルグルタレート、ジメチルアジペート、1,3-ジアセチルオキシプロパン-2-イルアセテート、フタル酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール、2-(2-エトキシエトキシ)-1-エタノール、クエン酸トリエチルまたはそれらの混合物などの溶媒が挙げられ得る。香料担体および香料ベースの両方を含む組成物について、先に明記したもの以外の適切な香料担体はまた、エタノール、水/エタノール混合物、グリセロール、リモネンまたは他のテルペン、イソパラフィン、例えばIsopar(登録商標)(製造元:Exxon Chemical)という商標で知られているもの、またはグリコールエーテルおよびグリコールエーテルエステル、例えばDowanol(登録商標)(製造元:Dow Chemical Company)という商標で知られているもの、または水添ヒマシ油、例えばCremophor(登録商標)RH 40(製造元:BASF)という商標で知られているもの、エステルおよび皮膚軟化剤、例えばCetiol(登録商標)、植物油、精油であり得る。
【0055】
固体担体は、賦香組成物または賦香組成物の幾つかの要素が化学的または物理的に結合可能な材料を指すことを意味する。一般に、そのような固体担体は、組成物を安定化するために、または組成物もしくは幾つかの成分の蒸発速度を制御するために用いられる。固体担体の使用は、当技術分野で現在使用されており、当業者は、望ましい効果を得る方法を知っている。しかしながら、固体担体の非限定的な例としては、吸収性ガムもしくはポリマーまたは無機材料、例えば、多孔性ポリマー、シクロデキストリン、木材ベースの材料、有機もしくは無機ゲル、粘土、石膏タルク、またはゼオライトを挙げることができる。
【0056】
固体担体の他の非限定的な例としては、カプセル化材料を挙げることができる。そのような材料の例は、壁形成および可塑化材料、例えば、単糖類、二糖類もしくは三糖類、天然もしくは加工デンプン、親水コロイド、セルロース誘導体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、タンパク質、またはペクチン、あるいはH. Scherz, Hydrokolloide: Stabilisatoren, Dickungs- und Geliermittel in Lebensmitteln, Band 2 der Schriftenreihe Lebensmittelchemie, Lebensmittelqualitaet, Behr’s Verlag GmbH & Co., Hamburg, 1996のような参考文献に引用されている材料を含み得る。カプセル化は、当業者に周知の方法であり、例えば、噴霧乾燥、凝集もしくはさらに押出などの技術を使用することによって実施され得るか、またはコアセルベーションおよび複合的なコアセルベーション技術を含むコーティングカプセル化からなる。
【0057】
固体担体の非限定的な例としては、特に、任意選択的にポリマー安定剤またはカチオン性コポリマーの存在下で、重合、界面重合、コアセルベーション、またはこれら全て(前記技術は全て、従来技術に記載されている)によって誘発される相分離プロセスのような技術を使用する、アミノプラスト、ポリアミド、ポリエステル、ポリ尿素もしくはポリウレタンタイプの樹脂、またはそれらの混合物(前記樹脂は全て、当業者に周知である)を有するコア-シェルカプセルを挙げることができる。
【0058】
樹脂は、アルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド、2,2-ジメトキシエタナール、グリオキサール、グリオキシル酸またはグリコールアルデヒドおよびそれらの混合物)と、アミン、例えば、尿素、ベンゾグアナミン、グリコールウリル、メラミン、メチロールメラミン、メチル化メチロールメラミン、グアナゾールなど、ならびにそれらの混合物との重縮合によって生成され得る。あるいは、予め成形された樹脂であるアルキロール化ポリアミン、例えば、Urac(登録商標)(製造元:Cytec Technology Corp.)、Cymel(登録商標)(製造元:Cytec Technology Corp.)、Urecoll(登録商標)またはLuracoll(登録商標)(製造元:BASF)という商標で市販されているものを使用することができる。
【0059】
他の樹脂は、グリセロールのようなポリオールと、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリマー、イソホロンジイソシアネートもしくはキシリレンジイソシアネートのトリマー、またはヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット、またはキシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパン(Takenate(登録商標)という商品名で知られている、製造元:Mitsui Chemicals)とのトリマーのようなポリイソシアネートとの重縮合によって生成されるものであり、なかでも、キシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとのトリマーおよびヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットが好ましい。
【0060】
アミノ樹脂、すなわち、メラミンベースの樹脂とアルデヒドとの重縮合による香料のカプセル化に関連する影響力のある文献のうちの幾つかは、K. Dietrich等によって公開されているものであるActa Polymerica, 1989,第40巻,243,325および683頁、ならびに1990,第41巻,91頁などの論文を含む。そのような論文には、従来技術の方法に従ったそのようなコア-シェルマイクロカプセルの調製に影響を与える様々なパラメータがすでに記載されており、これらの方法は、特許文献においてさらに詳述および例示されてもいる。Wiggins Teape Group Limitedの米国特許第4,396,670号明細書は、後者のものの関連する初期的な例である。それ以降、他の多くの著者がこの分野の文献を充実させてきたため、ここで全ての公開された開発を包含することは不可能であり得るが、カプセル化技術の一般的な知識は、重要である。そのようなマイクロカプセルの適切な使用を開示する関連性のあるより最近の刊行物は、例えば、K. BruyninckxおよびM. Dusselierの論文であるACS Sustainable Chemistry & Engineering, 2019,第7巻,8041-8054頁、H.Y.Lee et al. Journal of Microencapsulation, 2002,第19巻,559-569頁、国際特許公開である国際公開第01/41915号、あるいはS. Bone et al.の論文であるChimia, 2011,第65巻,177-181頁によって提示されている。
【0061】
ここで、「香料アジュバント」は、更なる付加的な利益、例えば、色、特定の耐光性、化学的安定性などを付与することができる成分を意味する。賦香組成物において一般に使用されるアジュバントの性質および種類の詳細な記載は、網羅できるものではなく、前記成分は、当業者に周知であることに言及する必要がある。特定の非限定的な例としては、以下のものを挙げることができる:粘度剤(例えば、界面活性剤、増粘剤、ゲル化および/またはレオロジー調整剤)、安定剤(例えば、保存剤、酸化防止剤、熱/光および/もしくは緩衝剤またはキレート化剤、例えばBHT)、着色剤(例えば、染料および/または顔料)、保存剤(例えば、抗菌剤、または抗微生物剤、または抗真菌剤、または抗刺激剤)、研磨剤、皮膚冷却剤、定着剤、防虫剤、軟膏、ビタミン、ならびにそれらの混合物。
【0062】
ここで、「香料調節剤」は、その観察者またはユーザが、前記調節剤を組み込んだ組成物の匂い、特に、蒸発速度および強度を、調節剤なしでの同じ知覚と比較して、経時的に知覚することができるように影響を及ぼす能力を有する薬剤であると理解される。香料調節剤は、定着剤としても知られている。特に、調節剤によって、それらのフレグランスが知覚される時間を延長することが可能になる。適切な調節剤の非限定的な例は、メチルグルコシドポリオール;エチルグルコシドポリオール;プロピルグルコシドポリオール;イソセチルアルコール;PPG-3ミリスチルエーテル;ネオペンチルグリコールジエチルヘキサノエート;ラウリン酸スクロース;ジラウリン酸スクロース、ミリスチン酸スクロース、パルミチン酸スクロース、ステアリン酸スクロース、ジステアリン酸スクロース、トリステアリン酸スクロース、ヒアルロン酸二糖ナトリウム塩、ヒアルロン酸ナトリウム、プロピレングリコールプロピルエーテル;ジセチルエーテル;ポリグリセリン-4エーテル;イソセテス-5;イソセテス-7、イソセテス-10;イソセテス-12;イソセテス-15;イソセテス-20;イソセテス-25;イソセテス-30;ラウロアンホジプロピオン酸二ナトリウム;ヘキサエチレングリコールモノドデシルエーテル;およびそれらの混合物;ジイソノナン酸ネオペンチルグリコール;エチルヘキサン酸セテアリル;パンテノールエチルエーテル、DL-パンテノール、N-ヘキサデシルn-ノナノエート、ノクタデシルn-ノナノエート、プロフレグランス、シクロデキストリン、カプセル化、およびそれらの組み合わせを含み得る。
【0063】
ここで、「フレーバー付け成分」は、快楽効果を付与するためにフレーバー付け調製物または組成物に使用される化合物を意味する。言い換えるなら、フレーバー付け成分であると考えられるそのような成分は、単に味を有するものとしてではなく、組成物の味を有利にまたは心地良いように付与または改変することができるものとして当業者に認識されるはずである。組成物中に存在するフレーバー付け成分の性質および種類は、ここではより詳細な記載を保証するものではなく、当業者であれば、自身の一般的な知識に基づいて、かつ意図される使用または用途および望ましい官能効果に応じて、これらを選択することができるであろう。一般に、これらのフレーバー付け成分は、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、エステル類、エーテル類、アセテート類、ニトリル類、テルペノイド類、窒素含有または硫黄含有複素環式化合物および精油のような多様な化学分類に属し、前記フレーバー付け成分は、天然由来のものまたは合成由来のものであり得る。これらの成分のうちの多くは、いずれの場合も、参考文献、例えばS. Arctanderによる書籍であるPerfume and Flavor Chemicals, 1969, Montclair, New Jersey, USAもしくはそのより新しい版、または同様の種類の他の著作物、ならびにフレーバーの分野における豊富な特許文献に列挙されている。また、前記共成分は、プロフレーバーとも呼ばれる様々な種類のフレーバー付け化合物を制御された手法で放出すると知られている化合物でもあり得ると理解される。
【0064】
「フレーバー担体」という用語は、フレーバー付け成分の官能特性を著しく変化させない限り、フレーバーの観点から実質的に中性である材料を指す。担体は、液体または固体であり得る。
【0065】
適切な液体担体は、例えば、乳化系、すなわち、溶媒および界面活性剤系、またはフレーバーにおいて一般に使用される溶媒を含む。フレーバーにおいて一般に使用される溶媒の性質および種類の詳細な記載は、網羅できるものではない。フレーバーにおいて使用される適切な溶媒は、例えば、プロピレングリコール、トリアセチン、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド(neobee(登録商標))、クエン酸トリエチル、ベンジルアルコール、エタノール、イソプロパノール、柑橘類テルペン、植物油、例えば、亜麻仁油、ヒマワリ油、またはココナッツ油、グリセロールを含む。
【0066】
適切な固体担体は、例えば、吸収性ガムもしくはポリマー、またはさらにはカプセル化材料を含む。そのような材料の例は、壁形成および可塑化材料、例えば、単糖類、二糖類もしくは多糖類、天然もしくは加工デンプン、親水コロイド、セルロース誘導体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、キサンタンガム、アラビアガム、アカシアガム、あるいはH. Scherz, Hydrokolloid : Stabilisatoren, Dickungs- und Geliermittel in Lebensmitteln, Band 2 der Schriftenreihe Lebensmittelchemie, Lebensmittelqualitaet, Behr’s VerlagGmbH & Co., Hamburg, 1996のような参考文献に引用されている材料を含み得る。カプセル化は、当業者に周知の方法であり、例えば、噴霧乾燥、凝集、押出、コーティング、めっき、コアセルベーションなどの技術を使用して実施され得る。
【0067】
ここで、「フレーバーアジュバント」は、更なる付加的な利益、例えば、色(例えば、カラメル)、化学的安定性などを付与することができる成分を意味する。フレーバー付け組成物において一般に使用されるアジュバントの性質および種類の詳細な記載は、網羅できるものではない。それにもかかわらず、そのようなアジュバントは、当業者に周知であり、当業者であれば、自身の一般的な知識に基づいて、かつ意図される使用または用途に応じて、これらを選択することができるであろう。特定の非限定的な例としては、以下のものを挙げることができる:粘度剤(例えば、乳化剤、増粘剤、ゲル化および/またはレオロジー調整剤、例えば、ペクチンまたはアガーガム)、安定剤(例えば、酸化防止剤、熱/光および/または緩衝剤、例えば、クエン酸)、着色剤(例えば、色を付与する天然物、または合成物、または天然抽出物)、保存剤(例えば、抗菌剤、または抗微生物剤、または抗真菌剤、例えば、安息香酸)、ビタミン、ならびにそれらの混合物。
【0068】
ここで、「フレーバー調節剤」は、甘味を増強して、苦味を遮断すること、うま味を増強すること、酸味もしくは甘草の味を低減すること、塩味を増強すること、清涼感を増強すること、または前述のものの任意の組み合わせが可能な成分を意味する。フレーバー調節剤は、三叉神経感覚剤(trigeminal sensates)とも呼ばれる。
【0069】
本明細書で使用される場合、「配合物」という用語は、少なくとも1種の揮発性分子の液体、固体、または気体の集合物を指す。
【0070】
本明細書で使用される場合、「フレグランス」という用語は、少なくとも1種のフレグランス化学化合物による匂い受容体の活性化、増強、および抑制の合計から生じる嗅覚的知覚を指す。
【0071】
本明細書で使用される場合、「演算システム」という用語は、単一型または分散型にかかわらず、デジタルインタフェースなどのあらゆる種類のインタフェースによって数値入力を受け取って、あらゆる種類のインタフェースに対して数値出力を提供することができる任意の電子演算デバイスを指す。典型的には、演算システムは、データストレージへのアクセスを有するソフトウェアを実行するコンピュータ、またはデータおよび/もしくは計算がサーバ側で実施される一方でクライアント側がインタフェースとして機能するクライアント-サーバアーキテクチャのいずれかを指す。
【0072】
本明細書で使用される場合、「デジタル識別子」という用語は、フレグランス化学化合物などの物理的対象を表す、コンピュータデータベースで使用されるものなどの任意のコンピュータ化された識別子を指す。
【0073】
本発明の文脈において、「皮膚複製表面」は、人間の皮膚自体を含む、人間の皮膚と同様の物理化学的特性を提示する任意の表面を指す。そのような人工的な表面の単純な実施形態は、人間の皮膚の厚さ、化学反応性、または粘弾性などの限られた数の物理化学的特性を模倣することに焦点を当てている場合がある。他の実施形態は、人間の皮膚の表皮、真皮層、および/または角質層などの人間の皮膚の特定の要素に焦点を当てている場合がある。
【0074】
そのような表面は、ガラス表面のように単純である場合または多層モデルのように複雑である場合がある。そのような表面が人間の皮膚の実際の特性を複製することに近づくほど、データベース構築の品質がより良好になり、下流の予測の品質がより良好になる。
【0075】
本発明の文脈において、「保湿係数」は、製品の堆積前の皮膚のTEWL(経表皮水損失)と比較した、保湿化合物での皮膚処理後のTEWLの相対変化として定義される。
【0076】
図1は、本発明の主題である方法の特定の一連のステップを示す。この揮発性の化学化合物の物理パラメータデータベース構築方法100は、少なくとも、
- 皮膚複製表面上にフレグランス化学化合物を制御して堆積させるステップ105と、
- 異なる測定時間において、フレグランス化学化合物を堆積させた後の皮膚複製表面からの蒸発した水の量または皮膚複製表面上の残りの水の量を測定するステップ110と、
- 測定された蒸発した水量または測定された残りの水量に応じて水蒸発速度を計算するステップ115と、
- 計算された水蒸発速度の関数として保湿係数を計算するステップ120と、
- 計算された保湿係数、および任意選択的に、計算された水蒸発速度をデータベースに保存するステップ125と
を含む。
【0077】
制御して堆積させるステップ105は、例えば、所定の表面の上方に広がるように設定された所定の量の化学化合物を皮膚複製表面上に移動させることによって実施される。蒸発は、周囲環境と接触する化合物のサイズ表面に部分的に起因するため、そのように事前決定することによって、結果の比較が可能になる。より多くのパラメータを設定および事前決定するほど、水蒸発速度の測定がより正確になる。
【0078】
化学化合物の量の移動は、好ましくは少量の液体を移動させるための任意の既知の手段、例えばピペットを使用して実施され得る。そのような移動は、手動または自動で実施され得る。
【0079】
考慮される化学化合物は、液体の形態、または液体に希釈された固体の形態であり得る。好ましくは、そのような化学化合物は、純粋である。「純粋」は、この文脈において、「前記化学化合物を圧倒的に含有する」ことを意味すると意図される。
【0080】
単一化合物の分析に適合させるのではなく、方法100をフレグランス組成物または混合物に使用して、組成物または混合物の二次的利益性能指標のデータベースを創作することができる。
【0081】
この制御して堆積させるステップ105は、好ましくは、蒸発量の測定全体を通じて、制御された温度および湿度で実施される。
【0082】
皮膚における水蒸発速度または水含有量(インビトロまたはインビボ)は、好ましくは、閉鎖した熱力学的システムを模倣するために、制御された温度、空気流および速度、湿度の擬似平衡状態で測定される。
【0083】
測定するステップ110は、例えば、フランツセルを使用し実施され、それによって、皮膚複製表面は、前記セル内に配置され、膜として機能し、分析すべき化学化合物サンプルは、前記表面上に配置される。測定は、典型的には、膜の上方に、フランツセルの上部で実施することができ、これは、膜の下方に位置するサンプリングポートを介して測定が行われるフランツセルの通常の使用とは異なる。
【0084】
他の変形形態では、その他の種類の測定デバイスが使用され得る。
【0085】
この測定するステップ110の最中に、皮膚または皮膚モデル内(インビボまたはインビトロ)から外部大気への水損失、または皮膚もしくは皮膚モデルに残っている水含有量が測定される。他の実施形態では、両方が測定される。そのような測定は、好ましくは、時間の関数として実施される。
【0086】
そのような測定を、水蒸発量または水含有量測定デバイス(水分蒸散計または水分計)によって実施して、経表皮水分損失(「TEWL」)または水含有量(水和)を表す値を生成することができる。
【0087】
そのような測定は、
- 温度、
- 人間皮膚模倣物への露出の表面、
- 堆積した化合物の量、
- 空気流体積、
- 湿度、および
- 固形石鹸またはエマルションの形態のローションなどの補助消費者製品配合物の組成または物理的状態
によって影響を受け得る。
【0088】
水蒸発速度を計算するステップ115は、コンピュータソフトウェアを演算デバイスにて実行することによって実施され得る。そのような演算デバイスは、例えば、水蒸発量測定デバイスと単一型であり得る。他の実施形態では、そのような演算デバイスは、水蒸発量測定デバイスに関連するコンピュータまたはサーバであり得る。計算される水蒸発速度は、前記水蒸発速度が、測定された蒸発した水の量を蒸発の持続時間を表す値で割ることによって得られるようなものであり得る。システムの特徴に応じて、そのような持続時間は、30分、1時間、または他のそのような間隔であり得る。特定の実施形態では、幾つかの水蒸発速度は、化学化合物の堆積からの異なる持続時間にわたって、化学化合物について演算される。
【0089】
他の実施形態では、計算された水蒸発速度は、前記水蒸発速度が、残りの水の量を堆積した水の初期量から減算し、得られた測定された蒸発した水の量を蒸発の持続時間を表す値で割ることによって得られるようなものであり得る。
【0090】
そのような水蒸発速度は、水蒸発速度を生成するために処理される量(絶対または相対)で測定され得る。例えば、水蒸発速度の値は、皮膚模倣表面の場合、元々の堆積した水量の5%を30分間にわたって蒸発によって損失する化学化合物の堆積後に与えられ得る。水蒸発速度(g/mh)は、時間の関数としての相対湿度の増加から計算され得る。周囲の温度および湿度は、保留中の測定の環境オフセットを考慮する外部の部屋センサを使用して記録され得る。
【0091】
方法100は、水蒸発参照量を測定するステップ、水蒸発参照速度を計算するステップをさらに含み得る。これらのステップはどちらも、先に開示されている測定するステップ110および計算するステップ115と同様に、またはそれらの最中に実施され得る。これらのステップでは、水によって、フレグランス化学化合物が置換され、蒸発速度の比較のための参照値の定義が可能になる。
【0092】
保湿係数を計算するステップ120は、例えば、コンピュータソフトウェアを演算デバイスにて実行することによって実施され得る。この保湿係数を計算するステップ120の最中に、以下の式:
MF=(A-B)/A×100
[式中、
- MFは、保湿係数を表し、
- Aは、調査されるフレグランス化学化合物(または混合物)の堆積前の参照物(皮膚または皮膚複製表面)からの水の蒸発速度を表し、
- Bは、調べられるフレグランス化学化合物(またはフレグランス混合物)の堆積後の皮膚または皮膚複製表面からの水の蒸発速度を表す]
が実装され得る。
【0093】
保湿係数がゼロである場合、化学化合物の挙動は、参照物と同等であり、原料が保湿しないことを意味する。保湿係数が100である場合、最大限の保湿が得られる。化学化合物は、その保湿係数が1以上である場合に、保湿すると考慮される。
【0094】
一般に、「保湿係数」は、人間の皮膚上に水を保持する化学化合物の能力を表す任意のメトリクスを指す。化学化合物についてそのような性能を比較するために、先の式の多くの変形形態が選択され得る。
【0095】
保存するステップ125は、例えば、水蒸発速度の演算を実施するように構成された演算手段によってアクセス可能なコンピュータ化されたデータベースによって実施される。そのようなデータベースは、例えば、サーバに保存され得る。
【0096】
保存するステップ125の最中に、前記揮発性の化合物に関連する保湿係数または前記揮発性の化合物の極性エネルギー密度などの、人間の皮膚を保湿する揮発性の化合物の能力を表す任意の値が保存され得る。
【0097】
特定の実施形態では、本発明の方法100対象は、
- 保存された保湿係数に関連するフレグランス化学化合物についての化学化合物極性を演算するステップ130と、
- 化学化合物極性の関数としての保湿係数の数式をモデリングするステップ135と、
- 保湿係数式のモデリングされたパラメータをデータベースに記録するステップ140と
を含む。
【0098】
そのような化合物極性は、以下の式に示されるように、極性エネルギー密度として理解されるべきである。
【0099】
演算するステップ130は、例えば、コンピュータプログラムを演算デバイスにて実行することによって実施される。この演算するステップ130の最中に、以下の数式:
【数1】
[式中、
【数2】
は、化学化合物の極性エネルギー密度を指し、
【数3】
は、メガパスカルで表される化学化合物の極性エネルギー密度を指し、
【数4】
は、メガパスカルで表される、化学化合物の凝集エネルギー密度の極性結合成分を指し、 δは、極性ハンセンパラメータとして知られており、
【数5】
は、メガパスカルで表される、化学化合物の凝集エネルギー密度の水素結合成分を指し、 δは、水素結合ハンセンパラメータとして知られている]
が演算され得る。
【0100】
特定の実施形態では、フレグランス化学化合物極性を、前記フレグランス化学化合物の分散、極性、および水素結合相互作用に関係する、凝集エネルギー密度の分散、極性、および水素結合成分のうちの少なくとも1つの関数として演算する。
【0101】
他の実施形態では、化学化合物の極性エネルギー密度は、極性エネルギー密度を化学化合物デジタル識別子に関連付けるデータベースから前記値を取得することによって得られる。
【0102】
モデリングするステップ135は、例えば、コンピュータプログラムを演算デバイスにて実行することによって実施される。そのようなモデリングは、数式と、演算された保湿係数および計算された極性エネルギー密度との間のあてはめを実施することを意図している。そのような数式は、例えば、極性エネルギーまたは凝集エネルギー密度の関数としての保湿係数に一致するようにパラメータが設定される対数曲線または指数方程式であり得る。
【0103】
そのような対数曲線は、図5に見ることができ、これは、以下のもの:
- 増加する演算された保湿係数を表すy軸、
- 増加する極性エネルギー密度を表すx軸、
- 分布をあてはめる対数曲線:
を示す。
【0104】
次いで、前記曲線または数式のパラメータは、記録するステップ140の最中にデータベースに記録される。
【0105】
特定の実施形態では、モデリングされた保湿係数は、化学化合物極性の対数関数または指数関数である。
【0106】
他の実施形態では、モデリングするステップ135の最中に、保湿係数と化学化合物の凝集エネルギー密度の水素結合成分との間の相関が実施され得る。
【0107】
他の実施形態では、モデリングするステップ135の最中に、保湿係数と化学化合物の凝集エネルギー密度の極性結合成分との間の相関が実施され得る。
【0108】
他の実施形態では、モデリングするステップ135の最中に、保湿係数と化学化合物の凝集エネルギー密度の極性結合成分および凝集エネルギー密度の水素結合成分の合計との間の相関が実施され得る。
【0109】
他の実施形態では、モデリングするステップ135の最中に、保湿係数と化学化合物の凝集エネルギー密度との間の相関が実施され得る。
【0110】
この記録するステップ140は、例えば、保存するステップ125と同様の手法で実施される。
【0111】
本発明の別の実施形態では、図面には表されていないが、本発明の方法対象は、
- 少なくとも1つのフレグランス化学化合物識別子に関連する保湿係数を表す値をデータベースから取得するステップと、
- 少なくとも1つのフレグランス化学化合物識別子に関連する極性エネルギー密度を表す値をデータベースから取得するステップと、
- 化学化合物極性の関数としての保湿係数の数式をモデリングするステップと、
- 少なくとも1つの数式パラメータをデータベースに保存するステップと
を含む。
【0112】
図8は、本発明の方法800対象の特定の一連のステップを概略的に示す。この揮発性の化学化合物の物理パラメータデータベース構築方法800は、少なくとも、
- 化合物極性を測定または計算するステップ805と、
- 測定または計算された化合物極性の関数として保湿係数を計算するステップ810と、
- 計算された保湿係数、および任意選択的に、測定または計算された化合物極性をデータベースに保存するステップ815と
を含む。
【0113】
測定するステップ805は、演算するステップ130と同様の手法で実施され得る。
【0114】
保湿係数を計算するステップ810は、モデリングするステップ135と同様の手法で実施され得る。
【0115】
保存するステップ815は、保存するステップ125と同様の手法で実施され得る。
【0116】
図2は、本発明の方法600対象の特定の実施形態を概略的に表す。組成物についての予測的なリアルタイムの皮膚水和性能メトリクスを提供するためのこのコンピュータ実装された方法600は、少なくとも、
- 少なくとも1つのフレグランス化学化合物識別子を、コンピュータ化されたインタフェースにて選択するステップ605と、
- 少なくとも1つのフレグランス化学化合物識別子に関連する保湿係数を予測するステップ615と、
- 得られた少なくとも1つの平均保湿係数を出力するステップ620と
を含む。
【0117】
選択するステップ605は、任意の入力する手段によって実施され得る。入力する手段は、例えば、ユーザ入力を収集するような手法で演算システムと相互作用するように適合されたキーボード、マウス、および/またはタッチスクリーンである。変形形態では、電子的に送られた入力コマンドを受け取るように構成された演算システムのネットワークポートなどの入力する手段は、本質的に論理的なものである。そのような入力手段は、ユーザに示されるGUI(グラフィックユーザインタフェース)またはAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)に関連し得る。他の変形形態では、入力する手段は、意図される使用事例に関する明記されている物理パラメータを測定するように構成されたセンサであり得る。
【0118】
幾つかの実施形態では、ユーザは、少なくとも1つのフレグランス化学化合物デジタル識別子をGUIに選択することができる。より完成された実施形態では、ユーザは、少なくとも1つのフレグランス化学化合物デジタル識別子を選択することによって、フレグランス配合物を創作することができる。前記配合物は、例えば、製造すべきファイン香料を表す。
【0119】
保湿係数を予測するステップ615は、演算がこのステップにおいて必要かどうかに応じて、様々な手法で実施され得る。
【0120】
第1の実施形態では、予測するステップ615は、本発明の方法対象に従って構成されたデータベースから、少なくとも1つのフレグランス化学化合物識別子に関連する保湿係数を取得するステップ220を含む。次いで、そのような保湿係数は、コンピュータインタフェースにて出力され得る。
【0121】
取得するそのようなステップ220は、例えば、コンピュータソフトウェアを演算デバイスにて実行することによって実施され得る。この取得するステップ220の最中に、フレグランス化学化合物デジタル識別子を、保湿係数を表す値に関連付けるデータベースにアクセスし、少なくとも1つの選択されたフレグランス化学化合物デジタル識別子をデータベース内の検索キーとして使用して、少なくとも1つの対応する保湿係数を取得する。
【0122】
第2の実施形態では、予測するステップ615は、
- 前記フレグランス化学化合物識別子の極性を表す少なくとも1つの値をデータベースから取得するステップ235と、
- 少なくとも1つのフレグランス化学化合物識別子についての少なくとも1つの保湿係数を、前記フレグランス化学化合物識別子の極性を表す少なくとも1つの値の関数として予測するステップ240と
を含み、
出力するステップ215は、予測された少なくとも1つの保湿係数を出力するように構成されている。
【0123】
取得するそのようなステップ235は、例えば、コンピュータソフトウェアを演算デバイスにて実行することによって実施され得る。この取得するステップ235の最中に、フレグランス化学化合物デジタル識別子を、極性を表す値に関連付けるデータベースにアクセスし、少なくとも1つの選択されたフレグランス化学化合物デジタル識別子をデータベース内の検索キーとして使用して、少なくとも1つの対応する極性を取得する。
【0124】
変形形態では、取得するステップ235の最中に、分散、極性、および水素結合相互作用に関係する、凝集エネルギー密度の分散、極性、および水素結合成分を表す値が取得される。そのような実施形態では、化学化合物の極性または凝集エネルギー密度は、極性または凝集エネルギー密度を計算する下流のステップの最中に計算される。そのような極性または凝集エネルギー密度の計算は、先に開示されている演算するステップ130と同様であり得る。
【0125】
予測するステップ240は、例えば、コンピュータソフトウェアを演算デバイスにて実行することによって実施され得る。この予測するステップ240の最中に、取得または演算された極性値を、極性と保湿係数との間の関係をモデル化する数式において使用して、決定される化学化合物について、予測または推定された保湿係数値を得る。
【0126】
次いで、この保湿係数は、出力するステップ215の最中に出力され得る。
【0127】
出力するステップ215は、選択するステップ205と逆ではあるが同様の手法で実施され得る。この出力するステップ215の最中に、コンピュータスクリーンまたはネットワークポートなどの演算デバイスの出力手段が使用され得る。APIなどのデジタル出力手段も使用され得る。
【0128】
例えば、出力するステップ215は、フレグランス配合物を形成する選択された化学化合物デジタル識別子それぞれが、表示されている保湿係数に関連する、GUIを使用し得る。保湿係数は、例えば、英数字ラベルとして、または保湿係数の値に応じて変化するアイコンとして示され得る。
【0129】
そのようなGUIは、予測または演算された保湿係数に基づいて設計された配合を変更する能力などの高度な能力をユーザに提供することができる。
【0130】
そのような1つの高度な実施形態では、方法200は、
- 選択された化学化合物それぞれについて、前記化学化合物の量を入力するステップ219、および/または
- 少なくとも1つのフレグランス化学化合物識別子についての平均保湿係数を、前記フレグランス化学化合物識別子についての取得または予測された保湿係数および入力された量の関数として演算するステップ225
を含み、
出力するステップ215は、演算された少なくとも1つの平均保湿係数を出力するように構成されている。
【0131】
入力するステップ219は、構造的には、選択するステップ205と同様の手段で実施され得る。設定される量は、フレグランス配合物内で相対的な割合である場合または絶対量である場合がある。一例では、ユーザは、キーボードを使用して、演算デバイスに結び付けられたコンピュータスクリーン上に表示される専用のGUI内で配合物における化学化合物の相対的な割合を入力することができる。
【0132】
演算するステップ225は、例えば、コンピュータソフトウェアを演算デバイスにて実行することによって実施され得る。この演算するステップ225の最中に、保湿係数は、前記化学化合物それぞれの量における相対的な割合によって数学的に重み付けされ得る。これによって、フレグランス配合物について、その配合物の構成化学化合物の全体的な保湿能力に対する影響を視覚化することができる。
【0133】
特定の実施形態では、少なくとも2つのフレグランス化学化合物識別子が選択され、この方法は、組成物の保湿係数を、演算された少なくとも2つの平均保湿係数の関数として演算するステップ230をさらに含む。
【0134】
演算するステップ230は、例えば、コンピュータソフトウェアを演算デバイスにて実行することによって実施され得る。この演算するステップ230の最中に、組成物の保湿係数を形成するために、構成化学化合物の保湿係数の平均または加重平均が計算され得る。
【0135】
特定の実施形態では、少なくとも2つのフレグランス化学化合物識別子が選択され、この方法は、総予測保湿係数を、演算された少なくとも2つの平均保湿係数の関数として演算するステップ245をさらに含む。
【0136】
そのようなステップ245は、演算するステップ230と同様に実施され得る。
【0137】
特定の実施形態では、少なくとも2つの化学化合物識別子が選択され、この方法は、少なくとも2つの選択された化学化合物デジタル識別子の得られた保湿係数に基づいて、前記少なくとも2つの化合物識別子の組成物の保湿係数直線性を演算するステップ250をさらに含み、出力するステップ215は、前記少なくとも2つの化学化合物デジタル識別子の組成物の保湿係数直線性を表示するように構成されている。
【0138】
特定の実施形態では、フレグランス化学化合物の混合物または組成物の保湿係数は、以下の手法:
- 組成物の極性エネルギー密度を決定すること
【数6】
[式中、「xi」は、組成物中の化学化合物の量に対応し、「i」は、組成物中の化学化合物の数である]
- 組成物の保湿係数を決定すること
【数7】
[式中、関数「f」は、極性エネルギー密度を保湿係数に結び付けるモデリングされた数式に対応する]
で計算され得る。
【0139】
そのような実施形態は、先に開示されているように、極性エネルギー密度の下位成分に基づく計算に適合させることもできる。
【0140】
演算するステップ250は、例えば、コンピュータソフトウェアを演算デバイスにて実行することによって実施され得る。この演算するステップ250の最中に、フレグランス配合物を構成する各化学化合物の各保湿係数について、平均または標準偏差などの統計的指標が演算され得る。標準偏差がより低いことは、例えば、保湿効果に関して、化学化合物の一貫性がより高いことを意味する。
【0141】
特定の実施形態では、本発明の方法200対象は、保湿係数閾値を定義するステップ255であって、少なくとも1つの化学化合物デジタル識別子が、前記化学化合物デジタル識別子について得られる保湿係数と、定義された保湿係数閾値との間の差の関数として選択から除去される、ステップ255をさらに含む。
【0142】
定義するステップ255は、構造的には、選択するステップ205と同様の手段で実施され得る。閾値は、例えば、創作されるフレグランスについての適用範囲を定義する保湿係数を表す数値として定義される。
【0143】
少なくとも1つの化学化合物デジタル識別子を除去するステップは、フレグランスの意図される化粧品用途に応じて、少なくとも1つの前記化学化合物デジタル識別子が閾値未満または超の保湿係数を提示する場合に誘発され得る。
【0144】
除去するステップは、例えば、コンピュータソフトウェアを、前述のチェックを実行する演算デバイスにて実行することによって実施され得る。
【0145】
特定の実施形態では、本発明の方法200対象は、少なくとも1つの化学化合物デジタル識別子を、前記化学化合物デジタル識別子について得られる保湿係数と、代替的な化学化合物デジタル識別子候補について得られる保湿係数との間の差の関数として置換するステップ260をさらに含む。
【0146】
置換するステップ260は、例えば、コンピュータソフトウェアを演算デバイスにて実行することによって実施され得る。この置換するステップ260の最中に、置換についての化学化合物候補が、手動または自動のいずれかで選択される。別の化学化合物がデータベース内で検索され、選択されるが、ただし、この化学化合物は、より高いまたはより低い保湿係数に関連するものとする(意図される使用事例に応じる)。そのような置換は、システムのユーザに提案され得るか、または置換についての化学化合物候補を自動的に置換し得る。
【0147】
多基準アプローチを取ることができ、化学化合物を置換する候補は、保湿係数、および例えばフレグランスの色調などの他の係数に基づいて選択される。
【0148】
図5は、本発明の方法500対象の特定の実施形態を概略的に表す。このフレグランス組成物の組み立て方法は、
図2に関して開示されているようなフレグランス物理組成予測方法600、および
- 予測フレグランス組成物を組み立てるステップ505
を含む。
【0149】
組み立てるステップ505は、化学化合物の選択された組成物に関する当業者に知られている任意のフレグランス製造プロセスによって実施され得る。
【0150】
理解されるように、本発明はまた、図5に関して開示されているようなフレグランス組成物の組み立て方法によって得られるフレグランス組成物を目指す。
【0151】
図7は、本発明の方法600対象の特定の実施形態を概略的に示す。組成物についての予測的なリアルタイムの皮膚水和性能メトリクスを提供するためのコンピュータ実装された方法600は、少なくとも、
- 少なくとも1つのフレグランス化学化合物デジタル識別子をコンピュータインタフェースにて選択して、組成物を形成するステップ205と、
- 少なくとも1つの選択された化学化合物識別子の極性値を表す少なくとも1つの値をデータベースから取得するステップ610と、
- 少なくとも1つの化学化合物識別子についてのまたは組成物の少なくとも1つの保湿係数値を少なくとも1つの取得された極性値の関数として予測するステップ615と、
- 予測された少なくとも1つの保湿係数値を出力するステップ620と
を含む。
【0152】
選択するステップ205は、図2に関して記載されている選択するステップ205と同様の手法で実施され得る。
【0153】
取得するステップ610は、図2に関して記載されている選択するステップ220と同様の手法で実施され得る。
【0154】
予測するステップ615は、図2に関して記載されている予測するステップ240と同様の手法で実施され得る。
【0155】
出力するステップ620は、図2に関して記載されている出力するステップ215と同様の手法で実施され得る。
【0156】
図3は、本発明のシステム300対象の特定の実施形態を概略的に示す。この揮発性液体化学化合物の物理パラメータデータベース構築システム300は、少なくとも、
- 皮膚複製表面上にフレグランス化学化合物を制御して堆積させる手段305と、
- 異なる測定時間において、フレグランス化学化合物を堆積させた後の皮膚複製表面からの蒸発した水の量または皮膚複製表面上の残りの水の量を測定する手段310と、
- 測定された蒸発した水量または測定された残りの水量に応じて水蒸発速度を計算する手段315と、
- 計算された水蒸発速度の関数として保湿係数を計算する手段320と、
- 計算された保湿係数、および任意選択的に、計算された水蒸発速度をデータベース330に保存する手段325と
を含む。
【0157】
そのような手段の実施形態の例は、対応する方法に関して開示されている。
【0158】
図4は、本発明のシステム400対象の特定の実施形態を概略的に示す。予測的なリアルタイムの二次的な化粧品的利益のフレグランス性能メトリクスを提供するためのこのフレグランス物理組成予測システム400は、少なくとも、
- 少なくとも1つのフレグランス化学化合物識別子を、コンピュータ化されたインタフェースにて選択する手段405と、
- 少なくとも1つのフレグランス化学化合物識別子に関連する保湿係数を得る手段410と、
- 得られた少なくとも1つの平均保湿係数を出力する手段415と
を含む。
【0159】
そのような手段の実施形態の例は、対応する方法に関して開示されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】