(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-23
(54)【発明の名称】ラマン分光プローブ及びラマン分光装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/65 20060101AFI20241016BHJP
A61B 10/00 20060101ALI20241016BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20241016BHJP
A61B 1/018 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
G01N21/65
A61B10/00 E
A61B1/00 510
A61B1/018 515
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024518188
(86)(22)【出願日】2022-09-07
(85)【翻訳文提出日】2024-03-21
(86)【国際出願番号】 EP2022074806
(87)【国際公開番号】W WO2023057155
(87)【国際公開日】2023-04-13
(32)【優先日】2021-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512008495
【氏名又は名称】クレオ・メディカル・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CREO MEDICAL LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハンコック,クリストファー・ポール
(72)【発明者】
【氏名】ブートン,マーティン
【テーマコード(参考)】
2G043
4C161
【Fターム(参考)】
2G043AA03
2G043BA16
2G043CA05
2G043EA03
2G043FA01
2G043FA05
2G043HA05
2G043JA01
2G043KA01
2G043KA02
2G043KA03
2G043LA03
4C161FF46
4C161GG15
4C161HH54
(57)【要約】
様々な実施形態は、ラマン分光プローブを提供する。プローブは、遠位端及び近位端を有する細長本体を備える。プローブは、遠位方向に近位端と遠位端との間に組織のラマン散乱を誘発するために、また近位方向に遠位端と近位端との間にラマン散乱光を誘導するために、光を誘導するための細長本体内にある光伝送線を含む。プローブは、遠位端に、または遠位端の上に配置された拡大層を含む。拡大層は組織に接触するための露出面を有し、拡大層は、ラマン散乱を誘発するための光が拡大層に衝突するように位置付けられる。拡大層は、露出面において表面増強ラマン散乱(SERS)を誘発するためのものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラマン分光プローブであって、
近位端及び遠位端を有する細長本体と、
遠位方向に前記近位端と前記遠位端との間に組織のラマン散乱を誘発するために、また近位方向に前記遠位端と前記近位端との間にラマン散乱光を誘導するために、光を誘導するための前記細長本体内にある光伝送線と、
前記遠位端に、または前記遠位端の上に配置された拡大層であって、前記組織に接触するための露出面を有する、前記拡大層と、を含み、
前記拡大層は、ラマン散乱を誘発するための前記光が前記拡大層に衝突するように位置付けられ、
前記拡大層は、前記露出面で表面増強ラマン散乱(SERS)を誘発するためのものである、前記ラマン分光プローブ。
【請求項2】
前記光伝送線は遠位端表面を含み、前記拡大層は前記遠位端表面に配置される、請求項1に記載のラマン分光プローブ。
【請求項3】
前記遠位端表面は前記遠位端を閉鎖するためのディスクを含む、請求項2に記載のラマン分光プローブ。
【請求項4】
前記光伝送線は、前記遠位方向に前記近位端と遠位端との間で前記組織においてラマン散乱を誘発するために前記光を誘導するための照明ファイバーを含み、前記遠位端表面は、前記照明ファイバーの遠位端である、請求項2に記載のラマン分光プローブ。
【請求項5】
前記光伝送線からの前記光を前記露出面に接触する組織上に集束させるために、及び/または前記露出面に接触する組織からの前記ラマン散乱光を前記光伝送線に集束させるために、前記遠位端に配置されたレンズ構造をさらに備え、前記拡大層は前記レンズ構造に配置される、請求項1に記載のラマン分光プローブ。
【請求項6】
前記光伝送線は、前記遠位方向に前記近位端と遠位端との間で前記組織においてラマン散乱を誘発するために前記光を誘導するための少なくとも1つの照明ファイバーを含み、前記拡大層は、前記少なくとも1つの照明ファイバーと光通信する状態で位置付けられる、請求項3または5に記載のラマン分光プローブ。
【請求項7】
前記光伝送線は複数の照明ファイバー及び集光ファイバーを含み、前記拡大層は、前記複数の照明ファイバーと光通信する状態で位置付けられ、前記少なくとも1つの集光ファイバーとは光通信しない状態で位置付けられる、請求項6に記載のラマン分光プローブ。
【請求項8】
前記拡大層は導電性材料から作られ、前記露出面は、表面増強ラマン散乱を誘発するためのナノスケール上の表面構造を含む、先行請求項のいずれかに記載のラマン分光プローブ。
【請求項9】
前記拡大層は前記拡大層の上に分布する材料パッチを含む、先行請求項のいずれかに記載のラマン分光プローブ。
【請求項10】
前記材料パッチの寸法、及び前記材料パッチ間の空間の寸法は、同じオーダーの大きさである、請求項9に記載のラマン分光プローブ。
【請求項11】
前記材料パッチは、20nm~150nmの幅及び/または10nm~120nmの高さを有し、随意に、2つの隣接する材料パッチ間の距離は10nm~120nmである、請求項9または10に記載のラマン分光プローブ。
【請求項12】
前記材料パッチは互いに同一であり、随意に、前記材料パッチはドーム形である、請求項9~11のいずれか1項に記載のラマン分光プローブ。
【請求項13】
前記拡大層は、凸部を画定する厚肉部と、凹部を画定する薄肉部とを有する連続材料層であり、前記薄肉部は、ラマン散乱を誘発するための前記光の透過を可能にする厚みを有する、請求項1~8のいずれか1項に記載のラマン分光プローブ。
【請求項14】
前記厚肉部は10nm~120nmの高さを有する、及び/または前記薄肉部の厚さは1nm~40nmを有する、請求項13に記載のラマン分光プローブ。
【請求項15】
前記拡大層は、金属、具体的には、金、銀、及び/またはアルミニウムを含む、先行請求項のいずれかに記載のラマン分光プローブ。
【請求項16】
前記ディスクまたは前記レンズ構造は、光学的に透明な材料、具体的には、溶融シリカ、フッ化マグネシウム、及び/またはサファイアを含む、請求項3または5に記載のラマン分光プローブ。
【請求項17】
ラマン分光装置であって、
先行請求項のいずれかに記載のラマン分光プローブと、
スペクトロメーター、及び単色光を生成するためのラマン光源を含む分析デバイスと、を備え、
前記光伝送線は、前記分析デバイス、具体的には、前記ラマン光源及び/または前記スペクトロメーターと光通信する、前記ラマン分光デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラマン分光プローブに関し、より具体的には、近位端及び遠位端を有する細長本体と、近位端から遠位端まで組織においてラマン散乱を誘発するために、またラマン散乱光を遠位端から近位端まで誘導するために、光を誘導するための細長本体内にある少なくとも1つの光伝送線とを含む、ラマン分光プローブに関する。また、本発明は、ラマン分光プローブ及び分析デバイスを含むラマン分光デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
ラマン分光法を使用して、人間または哺乳動物の異なるタイプの組織を識別できる。加えて、ラマン分光法を使用して、がん組織または他の形態の組織変性を識別できることが実証されている。ラマン分光法のこの機能は、例えば、治療される組織を識別するため等、組織の内視鏡治療にも使用できる。
【0003】
米国特許第8,175,423号及び米国特許第8,702,321号では、ラマン散乱光を収集するための複数の光ファイバーを含む内視鏡ラマンプローブが開示されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は独立請求項によって定義される。従属請求項は、本発明の好ましい実施形態を説明する。
【0005】
ラマン分光プローブは、遠位端及び近位端を有する細長本体と、細長本体内の少なくとも1つの光伝送線と、遠位端に、または遠位端の上に配置され、組織に露出可能である拡大層と、を含む。少なくとも1つの光伝送線は、遠位方向に近位端から遠位端までの間から組織のラマン散乱を誘発するために、また近位方向に遠位端から近位端までの間からラマン散乱光を誘導するために、光を誘導するように構成される。拡大層は、組織に接触するための露出面を有する。拡大層は、ラマン散乱を誘発するための光が拡大層に衝突するように位置付けられる。拡大層は、露出面において表面増強ラマン散乱(SERS)を誘発するためのものである。
【0006】
ラマン分光デバイス(またはラマン分光ユニット)は、上述のラマン分光プローブと、単色光を生成するためのラマン光源(赤外光と紫外光との間のEM(電磁)スペクトルの波長で発振するレーザー等)と、スペクトロメーターとを含む分析デバイスとを備え、少なくとも1つの光伝送線は、分析デバイスに(例えば光通信して)接続され、具体的には単色光源及び/またはスペクトロメーターに(例えば光通信して)接続される。
【0007】
ラマン分光法をスコーピングデバイス(例えば、内視鏡等)とともに使用するとき、十分なラマン散乱光がスコーピングデバイスの遠位端で収集されることを保証する必要がある。これは、スコーピングデバイスの断面積と比較して、少なくとも1つの光伝送線の大きな断面積を提供することによって達成し得る。本発明は、表面増強ラマン散乱の原理を使用することによって、ラマン散乱光の比を追加的または代替的に増強することを提案する。したがって、本発明は、ラマン散乱される光の量を増加させることを示唆し、その結果、ラマン分光法の感度が増加する。
【0008】
ラマン分光法は、分子の振動モードを決定することによって組織を分析するために使用できる分光技術であるが、入射EMエネルギーが遠赤外線、さらにはマイクロ波/ミリ波領域にあるとき、システムの回転モードまたはその他の低周波モードも観察され得る。ラマン分光法は、例えば、がん組織によって示される特定のタイプの組織及び/または特定のタイプの組織変性と関連付けできる分子を識別できる構造的指紋を提供する。
【0009】
ラマン分光法は、ラマン散乱として知られている光子の非弾性散乱に依存している。通常、可視、近赤外、または近紫外の範囲のレーザーからの単色光源を使用する。また、中赤外領域または遠赤外領域のより長い波長の光を使用することも好ましくなり得る。単色光は、組織の分子振動、フォノン、分子回転、または他の励起と相互作用し、その結果、レーザー光子のエネルギーが増加または減少する。エネルギーのシフトにより、システムの振動モード及び/または回転モードに関する情報が与えられる。
【0010】
分析される組織は、少なくとも1つの光伝送線によって伝送される単色光で照明される。照射された組織からの電磁放射線は、少なくとも1つの光伝送線を介して収集され、分析デバイスに送信される。単色光分光器は分析デバイスに提供され得る。レーザーラインに対応する波長の弾性散乱放射線(レイリー散乱)は、ノッチフィルター、エッジパスフィルター、またはバンドパスフィルターのいずれかによってフィルタリングして除去され、収集された光の残りは分析デバイスの検出器上に分散される。
【0011】
少なくとも1つの光伝送線は、光を遠位端から近位端に導くための少なくとも1つの集光ファイバー及び/または光を近位端から遠位端に導くための少なくとも1つの照明ファイバーを含み得る。また、照明ファイバーを使用して、直視及びラマン分光法用に広帯域の白色光または狭帯域の光を送達し得る。この構成では、光スイッチまたは光カプラーを使用して、ラマン用の単色レーザー光または例えば直視用のハロゲン電球からの広帯域光のいずれかを送達し得る。詳細については後述する。
【0012】
少なくとも1つの照明ファイバーは、遠位方向に近位端と遠位端との間の組織においてラマン散乱を誘発するために、光を誘導するように構成できる。少なくとも1つの集光ファイバーは、近位方向に遠位端と近位端との間にラマン散乱光を誘導するように構成できる。遠位方向は、近位端から遠位端に向かう方向である。近位方向は、遠位端から近位端に向かう方向である。随意に、光伝送線は、近位端から遠位端に組織におけるラマン散乱を誘発するために、またラマン散乱光を遠位端から近位端に誘導するために、光を導くように構成される。
【0013】
光伝送線は、通常の2層に代えて、3つの層の光学材料から成る構造を伴う光ファイバーの一種であるダブルクラッドファイバーを含み得る。ダブルクラッドファイバーは、最内層と、内側クラッドと、外側クラッドとを含む。最内層は、2つの層を有する標準的な光ファイバーのコアと同様のコアとして機能できる。最内層は内側クラッドによって囲まれ、内側クラッドは外側クラッドによって囲まれる。3つの層は異なる屈折率伴う材料で作られる。内側クラッドは、外側クラッドよりも高い屈折率を有する。コアは、照明ファイバーに対応し、組織内でラマン散乱を誘発するための光を誘導するために使用できる。内側クラッドは、光を遠位端から近位端に誘導するための集光ファイバーとして使用され得る。内側クラッドは、コアと比較して高い開口数を有し得、ラマン散乱光の良好な集光を提供する。コアの比較的低い開口数は、光を組織の小さなエリア上に向けることを可能にする。
【0014】
ラマン分光プローブは分析デバイスに接続され得る。分析デバイスは、分析される組織を照光するために、1つ以上のレーザー等の単色ラマン光源を含み得る。ラマン光源は、少なくとも1つの光伝送線に(例えば光通信して)接続され、具体的には少なくとも1つの照明ファイバーに(例えば光通信して)接続され得る。
【0015】
分析デバイスは、ラマン光源によって放射された光による照明を受けた組織によって放射されたラマン散乱光を分析するための構成要素を含み得る。例えば、分析デバイスは、1つの光伝送線を介して、好ましくは少なくとも1つの集光ファイバーを介して、分析デバイスへの光フィードバックからのレイリー散乱光をフィルタリングするために、ノッチフィルター、エッジパスフィルター、またはバンドパスフィルター等のフィルターを含み得る。分析デバイスは、ラマン散乱光の強度及び/または波長を決定するためのスペクトロメーターを含み得る。スペクトロメーターは、分析される光を分散するための手段と、CCD検出器等、光を検出するための光検出器とを含み得る。分析される光を分散するための手段は、波長に応じて光を空間的に分離し得、そして回折格子を含み得る。
【0016】
少なくとも1つの集光ファイバーはスペクトロメーターに(例えば光通信して)結合され得、及び/または少なくとも1つの照明ファイバーはラマン光源に(例えば光通信して)結合される。
【0017】
ラマン分光プローブは、スコーピングデバイスとして、またはスコーピングデバイスと併せて使用され得る。例えば、ラマン分光プローブは、カテーテル、または、内視鏡、気管支鏡、膀胱鏡、腎臓鏡、関節鏡、結腸鏡、もしくは腹腔鏡等の他のタイプのスコーピングデバイスに挿入され得る。加えて、ラマン分光プローブは、内視鏡、気管支鏡、膀胱鏡、腎臓鏡、関節鏡、結腸鏡、または腹腔鏡として使用され得る。
【0018】
一般的に言えば、表面増強ラマン分光法または表面増強ラマン散乱(SERS)は、粗い金属表面等の表面に吸着した分子によって、またはプラズモン磁性シリカナノチューブ等のナノ構造によって、ラマン散乱を増強する表面感受性技術である。増強因子は、106~109程度であり得る。言い換えれば、この現象は、表面に吸着した分子からのラマン散乱の顕著な共鳴増強と見なすことができる。
【0019】
本発明を用いて、拡大層は、遠位端に、または遠位端の上に配置され、組織に露出される。拡大層は、ラマン分光プローブの遠位端に取り付けられ得、拡大層が分析される組織と接触するように露出できる。拡大層の露出部分は、露出面と考えることができる。言い換えれば、拡大層の露出面を組織に接触させることができる。このように、組織の分子は拡大層に「吸着」し、SERSが生じる。言い換えれば、拡大層は、分子からのラマン散乱の巨大な共鳴増強をもたらす。したがって、ラマン散乱を大きく増強させることができ、ラマン分光法の感度が増加する。
【0020】
拡大層は、表面増強ラマン散乱を誘発すると考えられる表面プラズモンの発生を可能にする物理的特性を有する。拡大層の材料及び他の特性は、SERSを誘発する表面プラズモンの生成を可能にする。
【0021】
拡大層は、ナノスケール上に表面粗さを有し得、すなわち、表面は、その寸法がナノメータ範囲にあるテクスチャを有する。このナノメートル範囲の粗さは、ラマン散乱光の量を増加させる分子の振動と(共鳴的に)結合する表面プラズモンによって生成された電場にピークを提供すると考えられる。
【0022】
拡大層は、分析される組織と接触できるように配置される。例えば、拡大層は、ラマン分光プローブの外面または露出面に配置される。同時に、ラマン散乱を誘発するための光、例えば照明ファイバーを透過した光が拡大層に衝突するような位置に拡大層が配置される。これは、分析される組織が拡大層と接触することと、ラマン散乱を誘発するための光によって照射されることと、の両方が生じることを意味する。拡大層は、ラマン分光プローブの外面の一部であり得る。
【0023】
例えば、ラマン散乱を誘発するための光は、拡大層を通って伝播し得る。しかしながら、拡大層の他の位置も可能性がある。例えば、ラマン散乱を誘発するための光は、組織を通って伝播し、次に、拡大層に衝突する。
【0024】
拡大層は、ラマン分光プローブに取り外し可能に取り付けできる構成要素に取り付けられ得る。例えば、拡大層は、ラマン分光プローブの遠位端に取り外し可能に取り付けできるディスクまたはレンズ(構造体)上に配置され得る。
【0025】
ラマン分光法プローブの遠位端は、ラマン分光法のために、拡大層が分析される組織と接触するように位置付けられる。例えば、拡大層は、分析される組織に対して押し付けられる。次に、分析される組織は、ラマン散乱誘導するための光を受ける。ラマン散乱光を収集し、分析する。
【0026】
ラマン分光プローブの細長本体は、ヒトもしくは哺乳動物、カテーテル、または他のタイプのスコーピングデバイスの腔に挿入されるラマン分光プローブのその部分の外形寸法を画定し得る。細長本体は、ラマン分光プローブの内視鏡能力を提供し得る。
【0027】
細長本体、及び細長本体内に配置された全ての構成要素は、治療される人間または哺乳類の細長い体腔内を通して導かれるのに十分な可撓性があり得る。例えば、人体のこの細長い体腔は、曲がり及びねじれを含む胃腸管または肺の気管支樹であり得る。言い換えれば、細長本体、及び細長本体内に配置された全ての構成要素は、ラマン分光プローブの遠位端を可能にするために可撓性であり得る。標的部位は体内の腔(または、ゾーンもしくは領域)、または腔の一部(または、ゾーンもしくは領域)であり得、体内の組織は、分析、治療、及び/または画像化されることになる。
【0028】
さらに、細長本体の外面がそのような材料から作られ得ることにより、細長本体を滅菌できる、または細長本体は、外科的処置に必要な洗浄ルーチンを受けることができる。
【0029】
ラマン分光プローブは、細長本体によって(単独で)構成できる細長構造体を有する。細長本体の遠位端は、患者に挿入されるラマン分光プローブの細長構造体の端である。細長本体の近位端は、好ましくは、細長器具が接続できる分析デバイスまたは他のデバイスに接続され、使用中、患者の体外に留まり得る。細長本体は、ラマン分光プローブの遠位端から近位端まで画定し得る。
【0030】
ラマン分光プローブ及び/または細長本体は棒状構造を有し得る。ラマン分光プローブ及び/または細長本体は、(縦方向に対応する)その延在方向と垂直に可撓性があり、延在方向に剛性がある。
【0031】
細長本体は管状構造を有し得、ラマン分光プローブの他の構成要素を外側から、例えば流体等から絶縁または遮蔽(例えば、保護)するためのシースを含み得る。シースは、例えばスコーピングデバイスに挿入されるとき、及び/または周囲の組織との摩擦を減らすための潤滑性ポリマーシースであり得る。
【0032】
細長本体は、さらに、少なくとも光伝送線の曲がりを制限する張力緩和層を含み得る。張力緩和層は、上述のシースによって覆われ得る。張力緩和層は、ポリマーまたは金属ワイヤーで作られた編組、コイル、及び/またはチューブを含み得る。
【0033】
ラマン分光プローブは、ラマン分光プローブの細長本体内に配置された通路である器具内腔を含み得る。好ましくは、器具内腔は、遠位端から近位端まで完全に延在する。細長器具の少なくとも一部は、器具内腔内に配置または設置できる。細長本体、ひいては器具内腔の細長構造により、細長器具の細長い部分を器具内腔内に設置または配置できる。例えば、細長器具の遠位端は、細長本体の遠位端の領域と一致する、またはその領域の近くに配置される。細長器具の近位端は、細長本体の近位端を越えて延在し得る。
【0034】
器具内腔は、器具内腔を遠位端から近位端まで囲む壁または表面によって画定され得る。器具内腔は、流体密封方式で細長本体内の残りの空間から分離され得る。壁は、細長本体内に配置された中空管によって構成され得る。
【0035】
また、器具内腔は、少なくとも1つの照明ファイバー、少なくとも1つの集光ファイバー、及びファイバー間に設置された充填材等、細長本体内に配置された構成要素によって画定される可能性もある。この場合、器具内腔を提供するための別個の壁が存在しない場合がある。
【0036】
少なくとも1つの光伝送線は、シングルモードファイバーまたはマルチモードファイバー等の光ファイバーを含む。少なくとも1つの照明ファイバーは、励起ファイバーと呼ばれ得、光、具体的にはレーザー光を近位端から遠位端まで伝送するように構成される。随意に、少なくとも1つの照明ファイバーは、細長本体の近位端を越えて延在し、レーザー等のラマン光源に接続される。
【0037】
ラマン光源(または励起光源)は、ラマン分光法を使用して分析される分子の励起周波数と一致する波長/周波数を有する単色光を生成するように構成され得る。単色光は単一の波長を有する光であり得る、または波長範囲は狭い。例えば、波長は、100mWの出力で785nm等、可視スペクトル内にある。しかしながら、THZまたはミリ波帯にも属する遠赤外線周波数に至るまでのより長い波長(より低い周波数)も使用し得る。遠赤外線(FIR)は電磁放射線の赤外線スペクトルの領域である。遠赤外線は、多くの場合、15マイクロメートル(μm)~1mm(約20THz~300GHzの範囲に相当)の波長を伴う放射線として定義される。
【0038】
ラマン光源は紫外スペクトル(例えば、244nm、257nm、325nm、364nm)、可視スペクトル(例えば、457nm、473nm、488nm、514nm、532nm、633nm、660nm)、近赤外スペクトル(例えば、785nm、830nm、980nm、1064nm)、または最大で、中赤外(IR)スペクトルもしくは遠赤外スペクトルの波長を有する光を生成する。
【0039】
少なくとも1つの照明ファイバーの遠位端は、少なくとも1つの照明ファイバーの遠位端から光を放射できるように処理され得る。例えば、少なくとも1つの照明ファイバーの遠位端表面は、延在方向の延長線に対して傾斜し得る。傾斜角度は90°以下であり得る。代替的または追加的に、少なくとも1つの照明ファイバーの遠位端表面はレンズ構造に接続され得る。両方のオプションは、少なくとも1つの照明ファイバーから放射された光を標的エリアの一部に導くために提供され得る。
【0040】
少なくとも1つの集光ファイバーは、光、具体的には標的部位からのラマン散乱光を遠位端から近位端まで伝送するように構成される。少なくとも1つの集光ファイバーの遠位端は、光を収集できるように、すなわち、少なくとも1つの集光ファイバーの遠位端に結合できるように処理され得る。例えば、少なくとも1つの集光ファイバーの遠位端表面は、延在方向の延長線に対して傾斜し得る。傾斜角度は90°以下であり得る。代替的または追加的に、少なくとも1つの集光ファイバーの遠位端表面はレンズ構造に接続され得る。両方のオプションは、標的エリアの照射部分からラマン散乱光をできるだけ多く収集し、ラマン散乱光を少なくとも1つの集光ファイバーに結合するために提供され得る。少なくとも1つの集光ファイバーは、分析デバイス、具体的にはスペクトロメーターに接続され得る。
【0041】
随意に、複数の光伝送線、具体的には複数の照明ファイバー及び/または複数の集光ファイバーが提供され得る。少なくとも1つの集光ファイバー及び少なくとも1つの照明ファイバーは互いに固定され得る。例えば、少なくとも1つの照明ファイバーと少なくとも1つの集光ファイバーとの間の空間は、接着剤及び/または他の充填材で充填され得る。
【0042】
少なくとも1つの光伝送線は、器具内腔と細長本体との間に配置され得る。言い換えれば、少なくとも1つの光伝送線は、器具内腔の外面と細長本体の内面との間に配置され得る。例えば、少なくとも1つの光伝送線は、器具内腔を囲む壁及び細長本体によって画定された空間に配置され得る。
【0043】
複数の光伝送線の配置は、複数の光伝送線によって画定された空間が、断面図では器具内腔に並んで配置されないようになり得る。例えば、断面図では、複数の光伝送線と器具内腔との間に充填材が存在し得る。さらに、複数の光伝送線によって画定された空間は、断面図では、器具内腔の形状とは異なる形状を有し得る。異なる言葉で表すと、複数の光伝送線によって画定された空間は、管腔の外周に続かない。例えば、器具内腔、及び複数の光伝送線によって画定された空間は、円形または長方形の断面を有し得、互いに間隔を空けて位置する。
【0044】
随意に、複数の光伝送線の少なくとも一部は、器具内腔と接触している。したがって、残りの光伝送線は、細長本体と複数の光伝送線との間に配置され、器具内腔と接触する。例えば、断面図では、複数の光伝送線は、器具内腔と細長本体との間に配置される1つ以上のセクションに配置され得る。具体的には、1つ以上のセクションは、器具内腔の形状に従う。言い換えれば、断面図では、1つ以上のセクションの外形は、器具内腔の形状にそろえられる(例えば、各セクションは円周セクションであり得、ほぼ円弧状の形状を有し得る)。
【0045】
複数の光伝送線は器具内腔と接触するように配置され得る。例えば、複数の照明ファイバー及び集光ファイバーは、細長本体の断面図では、器具内腔の表面の1つ以上のセクション(例えば、円周セクション)を画定し得る。さらに、複数の光伝送線は、器具内腔と細長本体との間の扇形を完全に充填し得る。例えば、扇形は、器具内腔の外面の一部、細長本体の内面の一部、及び器具内腔の外面の一部の端と、細長本体の内面の一部の端とを接続する線、によって画定される。
【0046】
選択的な実施形態では、ラマン分光プローブは、さらに、複数の光伝送線、具体的には複数の照明ファイバー及び集光ファイバーを備え、細長本体の断面図では、複数の光伝送線は器具内腔の周囲に分布し、好ましくは、複数の光伝送線は、器具内腔の周囲の大部分または全体に分布し、さらに好ましくは、複数の光伝送線はファイバーのリングを形成する。
【0047】
複数の照明ファイバー及び集光ファイバーは、照明ファイバー及び集光ファイバーが互いに接触しないように、器具内腔の周囲に分布し得る。照明ファイバーと集光ファイバーとの間の空間は、器具内腔の画定に寄与し得る接着剤または充填材によって充填され得る。代替として、器具内腔は壁によって画定されることによって、複数の照明ファイバー及び集光ファイバーが壁と接触し得る。これらの場合、上述の複数の集光ファイバー及び照明ファイバーによって器具内腔から分離され、器具内腔を画定するまたはその画定に関与するさらなる照明ファイバー及び/または集光ファイバーが提供され得る。
【0048】
複数の照明ファイバー及び集光ファイバーは、器具内腔の周囲の1つ以上のセクションに配置され得る、または器具内腔の周囲を完全に囲むことができる。説明されるように、複数の照明ファイバー及び集光ファイバーは互いに接触するように密集し得る、または、例えば充填材によって互いに離間できる。
【0049】
互いに接触しない配置により、個々のファイバー間の光のクロスカップリングが減り得る。しかしながら、個々のファイバー間の光のクロスカップリングを減らす、または排除するために、複数の光伝送線を光学的に不透明な材料によって覆われ得る可能性がある。この場合、複数の照明ファイバー及び集光ファイバーは互いに接触し得、具体的には光伝送線の光学的に不透明なカバー材料は互いに接触する。
【0050】
断面図では、複数の照明ファイバー及び集光ファイバーと交差する線は、器具内腔の周囲で、完全に、またはその少なくとも1つのセクションにわたって、のいずれかで延在し得る。複数の照明ファイバー及び集光ファイバーと交差する線は、断面図では器具内腔と交差しない場合がある。
【0051】
細長本体及び/または器具内腔は、断面図では円形、長方形、楕円形、または楕円体の形状を有し得る。器具内腔に接触して配置される複数の照明ファイバー及び集光ファイバーは、円形、長方形、楕円形、または楕円体の器具内腔の形状に従い得、その結果、複数の照明ファイバー及び集光ファイバーの少なくとも一部は、細長本体の断面図における円形、長方形、楕円形、または楕円体に配置される。したがって、複数の照明ファイバー及び集光ファイバーの少なくとも一部は、細長本体の断面図では器具内腔の形状に平行に配置される。
【0052】
リング状の複数の照明ファイバー及び集光ファイバーの配置は、複数の集光ファイバー及び照明ファイバーが器具内腔の円周に沿って互いに接触するように構成され得る。断面図における器具内腔の形状に応じて、集光ファイバー及び照明ファイバーのリングは、器具内腔の形状と同一の断面図における形状を有し得る。好ましくは、器具内腔は断面で円形の形状を有し、集光ファイバー及び/または照明ファイバーのリングは断面図で円形であり得る。
【0053】
器具内腔の周囲に複数の照明ファイバー及び集光ファイバーを提供することは、有利な方法で細長本体の断面積を減らすのに役立つ。すなわち、複数の照明ファイバー及び集光ファイバーは、細長本体の外周に近接して配置され、複数のファイバーが半径方向の外側に配置されるため、多数の集光ファイバー及び照明ファイバーを配置するのに十分な空間を提供する。器具内腔は、半径方向の内側に配置される。このように、細長本体及び器具内腔の半径の所与の直径について、器具内腔、ならびに複数の集光ファイバー及び照明ファイバーが並べて配置される方法と比較して、空間が有利に割り当てられる。
【0054】
拡大層によって誘発されたラマン散乱光の割合の増加について、収集する必要があるラマン散乱光が少ないので、光伝送線、好ましくは集光ファイバーの数及び/または断面を低減することを可能にする。これにより、ラマン分光プローブの直径を減少させること、及び/またはラマン分光測定の感度を減少させて器具内腔を含むことが可能になる。
【0055】
選択的な実施形態では、細長本体の断面図では、複数の照明ファイバーは第1のファイバーのリングに配置され、複数の集光ファイバーは第1のファイバーのリングと同軸に配置された第2のファイバーのリングに配置される。
【0056】
集光ファイバーの第2のリングは照明ファイバーの第1のリングを囲み得る。すなわち、複数の集光ファイバーは、複数の照明ファイバーの半径方向の外側に配置される。このように、照明ファイバーの数と比較して、より多くの集光ファイバーを提供し得る。前述したように、集光ファイバーの数が増加する場合、より多くのラマン散乱光を収集できる。したがって、この配置では、集光ファイバー及び照明ファイバーの密集した配置が提供され、その結果、多数の照明ファイバー及び集光ファイバーが得られる。さらに、照明ファイバー及び集光ファイバーは、細長本体内に容易に配置され得る。例えば、照明ファイバーのリングが提供され、その後、集光ファイバーのリングが提供される。
【0057】
複数の照明ファイバー及び集光ファイバーは互いに接触し得る。照明ファイバーの第1のリングは、細長本体内に配置された中間壁または別の構造構成要素によって、集光ファイバーの第2のリングから分離され得る。しかしながら、照明ファイバーの第1のリングが集光ファイバーの第2のリングと接触し得る可能性もある。
【0058】
器具内腔は、照明ファイバーの第1のリング内に配置され得る。細長本体の断面図では、器具内腔、照明ファイバーの第1のリング、集光ファイバーの第2のリング、及び/または細長本体は、同軸に配置され得る。
【0059】
選択的な実施形態では、細長本体の縦軸は、器具内腔の縦軸と同軸である。随意に、細長本体の縦軸は、器具内腔の縦軸と一致する。
【0060】
細長本体の断面図では、細長本体の中心は、器具内腔の中心と同軸に配置される。加えて、細長本体の中心または器具内腔の中心は、ファイバーの1つまたは複数のリングと同軸に配置され得る。
【0061】
縦軸は、細長本体または器具内腔の中心に沿って延在し得る。中心は質量中心及び/または幾何学的中心に対応し得る。例えば、器具内腔及び/または細長本体が断面図では円形である場合、中心は円の中心であり得る。
【0062】
選択的な実施形態では、器具内腔は、細長器具を摺動可能に受けるように構成される。すなわち、細長器具は、ラマン分光プローブから分離可能であり、取り外し可能である。別の実施形態では、ラマン分光プローブは細長器具を含み、細長器具が器具内腔に固定して配置されるため、細長器具はプローブから分離できない、または取り外しできない。
【0063】
細長器具は、器具内腔に挿入されるように及び/または引き抜かれるように構成された内視鏡器具であり得る。例えば、異なる細長器具が器具内腔に挿入され得る。具体的には、細長器具を細長本体の遠位端から押し出すことが可能であり、例えば、ラマン分光プローブが標的部位にナビゲートされている限り、細長器具が器具内腔内に留まりながら、標的部位で細長器具を使用することが可能である。
【0064】
この場合、器具内腔は、壁及び/または中空管によって画定され得る。壁及び/または中空管は、ラマン分光プローブをシールする流体密封シールとして構成され得る。器具内腔の内径が細長器具の外径よりもわずかに大きくなり得ることにより、細長器具は器具内腔内で移動できる。
【0065】
別の実施形態では、細長器具は、器具内腔に固定される。この場合、細長器具は、細長本体と一体の構成要素である。したがって、ラマン分光プローブは、ラマン分光測定値を取得し、細長器具の機能を利用するために使用され得る。したがって、ラマン分光プローブは追加の機能または能力を有する。
【0066】
別の実施形態では、ラマン分光プローブは、器具内腔を含まない。例えば、ラマン分光プローブは、複数の光伝送線、すなわち、上述のように配置できる少なくとも1つの照明ファイバー及び少なくとも1つの集光ファイバーだけを含む。少なくとも1つの照明ファイバー及び/または少なくとも1つの集光ファイバーは、器具内腔の代わりに配置され得る。ラマン分光プローブの照明ファイバー及び集光ファイバーは、上述のように細長本体によって囲まれた密集束に配置され得る。
【0067】
手術器具は、針、メス、または標的部位における組織を治療するために必要な他の手術器具であり得る。手術器具は器具内腔に挿入できるような外形寸法を有する。手術器具は内視鏡器具であり得る。
【0068】
選択的な実施形態では、細長器具は、外科用器具、組織を改変するための内視鏡器具、及び/または細長カメラである。
【0069】
内視鏡器具は、電磁放射線、具体的には高周波放射線及び/またはマイクロ波放射線の放射によって、組織を切除、凝固、切断、及び/または刺激するための電気手術器具であり得る。細長カメラは、内視鏡器具によって放射された放射線によって処置される、またはラマン分光法を使用して分析される組織を画像化するために使用され得る。
【0070】
「電気外科」という用語は、手術中に使用され、マイクロ波及び/または無線周波数電磁(EM)エネルギーを利用する器具、装置、またはツールに関連して使用される。
【0071】
細長器具が器具内腔内に摺動可能に挿入され得ることにより、分析される組織を画像化/治療するために、遠位端から押し出す、または引き出すことができる。したがって、組織を切除/切断するためのデバイスをラマン分光法用の分析デバイスと同時に挿入することが可能である。これにより、様々な機能を同時に挿入できるため、挿入プロセスが簡素化される。
【0072】
内視鏡カメラまたは細長カメラは、画像キャプチャリングデバイスを含み得る。画像キャプチャリングデバイスは、画像キャプチャリングデバイス内に配置された光センサー上に投影される光学画像に基づいて一連の電気信号を作成するように構成される。光学センサーは、細長カメラの遠位端またはそれに近接して配置され得る。ワイヤーは、電気信号を伝送するために、細長カメラ内で画像キャプチャリングデバイス(具体的には光学センサー)から細長カメラの近位端まで延在し得る。細長カメラの近位端は表示デバイスに接続される。表示デバイスは、画像キャプチャリングデバイスによって生成された一連の電気信号を処理するプロセッサを含み得る。具体的には、プロセッサは、表示デバイスのディスプレイによって表示できる光学画像を生成し得る。
【0073】
選択的な実施形態では、少なくとも1つの光伝送線は遠位端表面を含み、拡大層は遠位端表面に配置される。
【0074】
遠位端表面は、ラマン及び/またはラマン散乱光を誘発するための光に対して透明であり得る。ラマン散乱を誘発するための光は、遠位端表面を通って誘導され得る。遠位端表面は、少なくとも1つの照明ファイバー及び/または少なくとも1つの集光ファイバーを覆い得る。遠位端表面は、細長本体の遠位端表面であり得る。言い換えれば、遠位端表面は、遠位端で細長本体を閉じ得る、またはシールし得る。
【0075】
遠位端表面は、細長本体の遠位端に位置付けられ得る。遠位端表面は細長本体の外面であり得る。遠位端表面は組織に露出される表面であり得、すなわち、分析される組織と接触できる。拡大層は、完全な遠位端表面またはその一部だけを覆い得る。遠位端表面及びシースは、患者の腔に挿入できる細長本体の外面を完全に画定し得る。レンズ構造は、少なくとも1つの光伝送線の遠位端表面と遠位端との間に配置され得る。
【0076】
遠位端表面は、拡大層が配置される基板であり得る。例えば、拡大層は遠位端表面に堆積する。遠位端表面は細長本体に永久的に固定され得る、または、遠位端表面は細長本体に解放可能に固定され得る。例えば、拡大層を破壊しないために、細長本体の洗浄中に遠位端表面を取り外す。
【0077】
選択的な実施形態では、遠位端表面は、遠位端を閉鎖するためのディスクを含む。
【0078】
ディスクは、光学的に透明な材料から作られ得る。ディスクは、その断面図では、細長本体の形状に対応する外形を有する。例えば、ディスクは円形を有する。ディスクは、ラマン分光プローブの遠位端を提供し得る。拡大層はディスク上に堆積または配置され得る。
【0079】
選択的な実施形態では、遠位端表面は、少なくとも1つの照明ファイバーの遠位端である。したがって、拡大層は、少なくとも1つの照明ファイバーの遠位端に直接取り付けられる。好ましくは、全ての照明ファイバーには、拡大層が提供される。本実施形態では、ラマン分光プローブはディスクを含まない場合があるが、複数の照明ファイバー及び/または複数の集光ファイバーの遠位端は、ラマン分光プローブの遠位端表面を画定する。
【0080】
選択的な実施形態では、ラマン分光プローブは、さらに、光を組織に集束させるために及び/または組織からの光を少なくとも1つの光伝送線に集束させるために、遠位端に配置されたレンズ構造を含み、拡大層はレンズ構造に配置される。
【0081】
レンズ構造は、光伝送線からの光を露出部分に接触する組織上に集束させるためのものであり得る、及び/または露出部分に接触する組織からのラマン散乱光を光伝送線に集束させるためのものであり得る。
【0082】
レンズ構造は、光を誘導し、集束させ、及び/または方向転換するための1つ以上のレンズまたは他の光学構成要素を含み得る。レンズ構造は、ラマン分光プローブの遠位端表面を形成し得、ディスクの代わりに配置され得る。ディスクは、それを通る光の伝播方向に影響を与えないレンズ構造と考えられ得る。
【0083】
レンズ構造を使用して、照明ファイバーによって誘導される光を、分析される組織上に集束させ得る、及び/または組織によってラマン散乱される光を、集光ファイバーに集束/収集させ得る。レンズ構造は、さらに、光学フィルターを含み得る。
【0084】
拡大層は、レンズ構造の外面上に配置され得る。レンズ構造は、拡大層が堆積される基板であり得る。拡大層は、レンズ構造の完全な外面またはその一部だけを覆い得る。
【0085】
選択的な実施形態では、拡大層は、少なくとも1つの照明ファイバーと一列に、または光通信する状態で位置付けられる。さらに随意に、拡大層は、拡大層が少なくとも1つの照明ファイバーだけと一列に、または光通信する状態で位置付けられる。
【0086】
言い換えれば、拡大層は、少なくとも1つの照明ファイバー、好ましくは全ての照明ファイバーの断面積に対応するディスクまたはレンズ構造のエリアを覆う。これは、ラマン散乱を誘発するための光が拡大層を誘導することを意味する。この配置により、分析される組織が拡大層と接触することと、ラマン散乱を誘発するための光によって照射されることと、の両方がもたらされる。
【0087】
選択的な実施形態では、拡大層は、少なくとも1つの照明ファイバー(だけ)と一列に、または光通信する状態で位置付けられる。これは、組織からラマン散乱して戻る光が拡大層を通って伝播しないように、拡大層が集光ファイバーを覆わないことを意味する。これにより、拡大層との相互作用によるラマン散乱光の減衰が回避される。拡大層は、少なくとも1つの集光ファイバーと重なるエリアを除いて、完全な遠位端表面(例えば、ディスクまたはレンズ構造)を覆い得る。
【0088】
光学構造またはディスクは光学的に透明な構成要素であり得、その構成要素により、照明ファイバーからの光が標的エリアに到達できる、及び/またはラマン散乱光が集光ファイバーに結合できる。少なくとも1つの照明ファイバー及び/または少なくとも1つの集光ファイバーは、ファイバーがディスクまたはレンズ構造に対して移動できないように、ディスクまたはレンズ構造に固定され得る。ディスクまたはレンズ構造は、さらに、細長本体の遠位端をシールするように構成され得る。レンズ構造はドーム形であり得る。
【0089】
選択的な実施形態では、ディスクまたはレンズ構造は、器具内腔と位置合わせされる開口を含む。これにより、細長器具を細長本体の遠位端から出ることが可能になる。
【0090】
ある実施形態では、拡大層、随意に拡大層の露出表面は、金属等の導電性材料から作られ、表面増強ラマン散乱を誘発するためのナノスケール上の表面構造を含む。
【0091】
導電性ナノ構造化表面によるラマン信号の増強は、2つの主要な効果、いわゆる電磁機構及び化学反応機構の組み合わせ作用によって生じると考えられる。電磁増強は、検査中の分子に対する導電性または金属クラスターにおける表面プラズモン振動の共鳴励起の結果として、ナノ構造表面の近傍で増幅された近光場の作用によって発生する。プラズモンの共鳴励起のパラメーター及び近光場の増強のスケールは、ナノ構造の形態、導電性材料(金属)の導電性を特徴付けるパラメーター、及び誘電体環境の特性に依存する。化学反応機構は、導電性表面と直接接触する吸着物分子のためのSERSに寄与し得る。この機構は、導電性表面における伝導帯状態との分子電子軌道の結合に起因し、化学増強効果と呼ばれる。化学的増強は普遍的ではない。これは、分子の性質及び金属表面に対するその化学的親和性に依存する。
【0092】
拡大層の表面構造(粗さ)は、ラマン分光プローブを使用して分析される典型的な組織に対して、電磁機構及び/または化学反応機構の効果が高くなるように選ばれ得る。
【0093】
「ナノスケール上の表面構造」という用語は、拡大層の表面粗さを説明するために使用されるパラメーターが1nm~500nm、好ましくは5nm~150nmの範囲にあることを意味する。拡大層は、正確な表面が変動する平均または平均線を有し得る。平均または平均線の周囲の表面の変動は、ナノメートル範囲にある。
【0094】
拡大層は、周期的表面構造を有し得る。代替として、拡大層の表面構造は、統計的にランダムである。
【0095】
選択的な実施形態では、拡大層は、拡大層の上に分散される材料パッチを含む。
【0096】
材料パッチ(またはアイランド)は、拡大層の材料の少なくとも5~10個の原子を含む材料の蓄積である。材料パッチは、随意に、他の材料パッチから完全に分離または離間される。したがって、互いに接触している材料は、単一材料パッチと見なすことができる。互いに接触している材料は、単一材料パッチを形成する。
【0097】
材料パッチは、基板に付着した1つ以上のナノ粒子(それらが互いに接触している場合)と考えられ得る。複数のナノ粒子は拡大層を形成する。材料パッチは、規定された形状及び構造を有し得、他の材料パッチに対して意図的に位置付けられる。しかしながら、材料パッチは、拡大層上に統計的に(均一に)分布され得る。これは、2つの隣接する材料パッチ間の距離が統計的に(均等に)分布していることを意味する。言い換えれば、拡大層の上の材料パッチの分布は、ほぼ均一であり、材料パッチは、拡大層の特定のエリアに配置されない。材料パッチの密度は、拡大層全体にわたってほぼ均一である。
【0098】
材料パッチは、互いに同一の形状を有し得る。しかしながら、材料パッチが互いに異なる可能性もある。例えば、材料パッチの製造は、材料パッチの生成された形状を正確に制御するのではなく、材料の投与量を堆積することを含む。材料パッチは一般的な形状の変形であり得、その変形は、製造プロセスのアーチファクトであり得る。したがって、平均的な形状は、材料パッチによる可能性がある。要するに、材料パッチの形状及び/または位置は、統計を使用して、例えば、その平均値及び変動(分散)を提供することによってだけ決定され得る。材料パッチの位置及び/または形状のこれらの統計的分布は、拡大層の表面粗さを提供する。
【0099】
選択的な実施形態では、材料パッチの寸法及び材料パッチ間の寸法は同じオーダーの大きさである。
【0100】
材料パッチの寸法は、幅、長さ、及び/または高さを指す。材料パッチの間の寸法は、2つの隣接する材料パッチの間の距離を指し、拡大層内に材料パッチがどれくらいの高密度に詰め込まれるかを特徴付けるために使用できる。これらの2つのタイプの寸法は、統計的に(均等に)分散され得る。
【0101】
材料パッチ間の寸法及び材料パッチの寸法は、ナノメトリー範囲にあり得る。例えば、材料パッチの寸法の平均値は、材料パッチ間の寸法の平均値よりも大きくなり得る。これは、拡大層が穴よりも多くの材料を含むことを示す。この選択的な実施形態では、拡大層は、ラマン散乱の増加をもたらし得る一方、ラマン散乱を誘発するための光に対する透過性が低い。しかしながら、材料パッチの寸法の平均値は、材料パッチ間の寸法の平均値よりも小さい可能性もある。これは、拡大層が材料よりも多くの穴を含むことを示す。この選択的な実施形態では、拡大層は、上述の状況と比較して、ラマン散乱の増加が少なくなることをもたらし得る。しかしながら、より粗く分布した材料パッチにより、拡大層は、それを通る光のより多くの伝播を可能にする。
【0102】
また、拡大層の製造中に、材料パッチの位置及び/または材料パッチの形状を正確に制御することも可能である。これにより、材料パッチは、大体、格子状構造に位置付けられる及び/または略同一形状を有する拡大層を提供することを可能にする。材料パッチの配置は周期的構造として説明され得、その構造の周期性が単位セルを使用して定義され得る。単位セルは、材料パッチの周期的構造を提供することが可能である長方形、正方形、または他の形状であり得る。
【0103】
選択的な実施形態では、材料パッチは、20nm~150nmの幅及び/または10nm~120nmの高さを有し、随意に、2つの隣接する材料パッチ間の距離は10nm~120nmである。
【0104】
幅は、材料パッチの外周上の任意の2つの点の間の最長距離であり得、距離は、拡大層の延長線に平行に延在する。例えば、材料パッチが円形断面を有する場合、幅は、材料パッチの直径に対応し得る。2つの隣接する材料パッチの間に2つの主な距離が存在し得るが、両方とも上記の範囲にある。例えば、材料パッチの周期構造の単位セルが矩形である場合、隣接する2つの材料パッチ間の距離を表すために2つの距離がある。
【0105】
上記の値は、平均値を指し得、材料パッチの周期性を記述するための値であり得る。
【0106】
選択的な実施形態では、材料パッチは互いに同一であり、随意に、材料パッチはドーム形であり、好ましくは球形ドームの形状を有する。
【0107】
また、材料パッチの他の形状、例えば角錐等の可能性もある。さらに、同一の材料パッチは、周期的な順序で位置付けられ得る。随意に、ドーム形状の材料パッチは、約80nmの直径、約40nmの高さ、及び/または約40nmの隣接する材料パッチまでの距離を有する。単位セルは正方形であり得る。
【0108】
選択的な実施形態では、拡大層は、凸部を画定する厚肉部と、凹部を画定する薄肉部とを有する連続材料層であり、薄肉部は、ラマン散乱を誘発するための光の透過を可能する厚みを有する。
【0109】
上述の材料パッチは、連続拡大層の凸部/厚肉部に対応すると考えられ得ることによって、凹部/薄肉部はゼロの厚さを有する。したがって、材料パッチ上の上述の刻印は、凸部/厚部及び凹部/薄部に等しく適用される。例えば、凹部は、平行線に沿って延在する。凹部は、格子構造を形成し得る。2つの凹部は互いに垂直であり得る。例えば、凹部は凸部を完全に取り囲む。しかしながら、凸部及び凹部は互いに平行に延在する可能性もある。
【0110】
凸部及び/または凹部は、拡大層を通って伝搬する光の波長よりも著しく小さい幅を有する。これにより、特に、拡大層が周期構造を含む場合、凹/凸構造に起こる回折現象を低減することを可能にする。
【0111】
凸部/厚肉部及び/または凹部/薄肉部は、一定の厚さを有さず、変化する厚さを有し得る。凸部の厚さを変えることにより、拡大層の表面粗さを増加させることができる。凹部/薄肉部の厚さが特定の点/エリアにおいて非常に小さくなり得るため、光は凹部のこれらの部分を通って伝播できる。例えば、凹部/薄肉部は、光がそれを通って伝播することを可能にする厚さを有する中央部を有する。この中央部は、凸部の最高点/エリアの間の中間に位置付けられ得る。
【0112】
選択的な実施形態では、凸部もしくは厚肉部は10nm~120nmの高さを有する、及び/または、凹部もしくは薄肉部は1nm~40nmの厚さを有する。
【0113】
凸部/厚肉部の高さは、代わりに、凸部/厚肉部の厚さと見なされ得る。凸部の高さは、凸部の最大厚さに対応し得る。凹部/薄肉部の厚さは、凹部/薄肉部の最小または最大厚さに対応し得る。高さ及び/または厚さは、凸部及び凹部の周期的配置の全ての値の平均値であり得る。高さ及び/または厚さは、拡大層が配置される基板から始まり、基板から最も遠い凹部/薄肉部及び/または凸部/厚肉部の点で終了する範囲で測定され得る。
【0114】
随意に、凸部/厚肉部は、約80nmの高さを有し、高さ方向における(凸部の)ピークから(凹部/薄肉部の)トラフまでの距離は約60nmである(約20nmの凹部/薄肉部の厚さをもたらす)、及び/または拡大層の延長方向における(凸部の)ピークから(凹部の)トラフまでの距離は約60nmである。
【0115】
選択的な実施形態では、拡大層は、金属、随意に金、銀、銅、及び/またはアルミニウムを含む。上述の材料は、材料パッチ、凸部、及び/または凹部に使用され得る。上述の材料は、SERSに起因する組織におけるラマン散乱の大きな増強をもたらすと考えられる。
【0116】
選択的な実施形態では、ディスクまたはレンズ構造は、溶融シリカ、フッ化マグネシウム、ガラス(非晶質シリカ)、及び/またはサファイア等の光学的に透明な材料を含む。
【0117】
本明細書では、「マイクロ波」は、400MHz~100GHzの周波数範囲を示すのに広く使用され得るが、好ましくは1GHz~60GHzの範囲を示す。マイクロ波EMエネルギーの好ましいスポット周波数は、915MHz、2.45GHz、3.3GHz、5.8GHz、10GHz、14.5GHz、及び24GHzを含む。5.8GHzが好ましくなり得る。
【0118】
「接続された」及び「結合された」という用語は、本明細書では広い意味で使用され、一方の要素が別の要素に接続/結合されると言われるとき、介在要素が存在しないように、2つの要素が一緒に直接接続/結合され得ることがあることと、また、1つ以上の介在要素が存在するように、2つの要素が一緒に間接的に接続/結合され得ることと、を理解するべきである。しかしながら、2つの要素が一緒に「直接接続される」または「直接結合される」と言われるとき、それらの間に介在要素が存在しないことを理解されたい。
【0119】
「外径」(または「最大外径」)という用語は、断面図では、細長本体の(または、外径が指す任意の他の構成要素)の外周上の任意の2点の間の最大距離に一致する。
【0120】
添付の図面と併せて、本発明の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【
図1】ラマン分光プローブを含むラマン分光装置の概略斜視図である。
【
図2】
図1によるラマン分光プローブの断面図を示す。
【
図3】
図1によるラマン分光プローブの遠位端の平面図を示す。
【
図4】ラマン分光プローブを含むラマン分光装置の第2の実施形態の概略斜視図である。
【
図5】
図4によるラマン分光プローブの断面図を示す。
【
図6】
図4によるラマン分光プローブの遠位端の平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0122】
図1は、ラマン分光プローブ12及び/または分析デバイス14を含むラマン分光デバイス10を示す。ラマン分光プローブ12は、遠位端18から近位端20まで延在する細長本体16を含む。ラマン分光プローブ12、具体的には細長本体16は、細長構造を有し、身体の体腔に挿入されるように構成される。ラマン分光プローブ12は内視鏡デバイスであり得、遠位端18を体腔内を通して標的部位または標的エリアまでナビゲートするために、曲げることができる、または屈曲できる。標的部位は、分析、監視、及び/または治療する意図がある体腔(例えば肺)の内部の領域であり得る。具体的には、ラマン分光法を使用して、標的部位の組織を分析できる。
【0123】
細長本体16は、ラマン分光プローブ12を遠位端18から近位端20まで覆う。具体的には、細長本体16は、ラマン分光プローブ12の内側をその周囲から、例えば流体等から絶縁する。
図3によく見えるように、細長本体16は、外部シース22及び張力緩和層24を含む。外部シース22は、ラマン分光プローブ12を体腔またはカテーテル等のスコーピングデバイスに挿入するときの摩擦を減らすために、潤滑性ポリマーから作られ得る。張力緩和層24は、ポリマーまたは金属ワイヤーで作られた編組、コイル、及び/またはチューブを含み得、これらはそれぞれまたは組み合わせて、ラマン分光プローブ12の屈曲角が制限され、その結果、細長本体16(後述)の内部に配置された構成要素は、屈曲または曲がるとき破損しない。
【0124】
ラマン分光プローブ12は、さらに、少なくとも1つの照明ファイバー28及び/または少なくとも1つの集光ファイバー30を含み得る光伝送線26を含む。図に示される実施形態では、複数の照明ファイバー28及び集光ファイバー30が提供される。
図2及び
図3に見えるように、複数の集光ファイバー30は単一のファイバーのリングを形成する一方、照明ファイバー28は集光ファイバー30のリング内に位置付けられる。照明ファイバー28及び集光ファイバー30は、互いに接触し得、細長本体16、具体的には、張力緩和層24と接触する。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。照明ファイバー28及び/または集光ファイバー30は、互いにまたは細長本体16と接触しない場合があるが、離間して配置される。
【0125】
照明ファイバー28と集光ファイバー30との間の空間は、充填材及び/またはエポキシ等の接着剤で充填され得る。接着剤を使用して、複数の照明ファイバー28及び集光ファイバー30を互いに固定し得る。
【0126】
図2に見えるように、複数の照明ファイバー28及び集光ファイバー30は、細長本体16の近位端20を越えて延在し得、分析デバイス14に接続できる。照明ファイバー28及び集光ファイバー30の遠位端は、細長本体16の遠位端18と一致し得る。遠位端18をシールするために、ディスク32は遠位端18に提供され得る。ディスク32は、照明ファイバー28及び/または集光ファイバー30の遠位端と接触し得る。ディスク32は、溶融シリカ、フッ化マグネシウム、及び/またはサファイア等の光学的に透明な材料から作られる。照明ファイバー28及び/または集光ファイバー30内を伝搬する光は、ディスク32を通過する。ディスクは、少なくとも1つの光伝送線26及び/または細長本体16の遠位端表面であり得る。
【0127】
ディスク32は、照明ファイバー28からの光が通過できる窓及び/または標的部位から来る光が集光ファイバー30に結合できる窓であり得る。照明ファイバー28及び/または集光ファイバー30は、ディスク32に接触し得る、及び/またはディスク32に対して離間できる。照明ファイバー28及び/または集光ファイバー30は、ディスク32に対して固定して位置付けられ得る。
【0128】
ディスク32は、その外面上に拡大層34を含み得る。したがって、拡大層34は、露出される、または標的部位において組織と接触させることができる露出面を含む。ディスク32は、拡大層34のための基板と考えられ得る。拡大層34は、照明ファイバー28によって画定されるエリアにだけ配置され得る(
図3の破線エリア参照)。拡大層34は、集光ファイバー30の遠位端を覆わない場合がある。したがって、拡大層34は、集光ファイバー30のリング内に配置され得、集光ファイバー30の遠位端によって画定されるエリアと重らない。照明ファイバー28の遠位端から出る光は、拡大層34を通過する。拡大層34の詳細については、
図7~
図9とともに後述する。
【0129】
複数の照明ファイバー28及び集光ファイバー30は、ラマン分光測定のためのプローブを形成する。一般に知られているように、ラマン分光法は、例えばスペクトロメーターを使用して非弾性後方散乱光(またはラマン散乱光)を分析しながら、単色光でサンプルを照光することを含む。ラマン散乱光は、サンプルを照射する単色光と比較して異なる波長を有する。
【0130】
この場合、分析デバイス14は、照明ファイバー28が結合されるラマン光源36(1つ以上のレーザー等)を含む。したがって、単色光は、照明ファイバー28を介して標的部位に向けられる。ラマン散乱光(標的部位中の組織によって非弾性的に後方散乱された光)は、集光ファイバー30に結合され、分析デバイス14内に配置されたスペクトロメーター38に送られる。スペクトロメーター38を使用して、ラマン散乱光を分析する。ラマン散乱光の強度及び/または波長は、標的部位の組織内に存在する分子を示す。スペクトロメーター38を使用して識別された分子の分析は、標的部位におけるがん組織または他の変性組織の存在を示し得る。また、ラマン分光測定を使用して、標的部位に存在する異なるタイプの組織を識別することも可能である。この分析ステップは、手動で、または分析デバイス14に含まれ得る各々のソフトウェアと組み合わせてプロセッサによって行われ得る。
【0131】
図に示されない実施形態では、拡大層34は、照明ファイバー28の遠位端に直接取り付けられ得る。
【0132】
図4~
図6は、以下の違いを除いて、
図1~
図3に示された実施形態と同じ特徴及び特性を有するラマン分光プローブ10の別の実施形態に言及する。
【0133】
ラマン分光プローブ12は、さらに、遠位端18から近位端20まで延在し、細長本体16内に配置される器具内腔40を含む。器具内腔40は、細長器具42が摺動可能にまたは固定して配置できる通路と考えられ得る。言い換えれば、細長器具42は、器具内腔40に挿入できる、または器具内腔40から引き抜くことができる。器具内腔40の内径は、細長器具42の外径よりもわずかに大きい。
【0134】
器具内腔40は、遠位端18から近位端20まで延在し、例えば中空管44と細長器具42との間の空間に進入する流体からラマン分光プローブ12をシールする壁として機能する中空管44によって境界が定められ得る。中空管44は、ポリマーまたは他のタイプのプラスチック材料から、例えば、シース22と同じ材料から作られ得る。中空管44を作り得る潤滑性ポリマーは、細長器具42と中空管44との間の摩擦の低減に寄与できる。
【0135】
図6によく見えるように、器具内腔40、ひいては中空管44は細長本体16と同軸に配置される。随意に、器具内腔40及び/または中空チューブ44は、細長本体16内の中央に配置される。しかしながら、本発明は本実施形態に限定されるものではない。器具内腔40は細長本体16の内側に配置される一方、少なくとも1つの照明ファイバー28及び少なくとも1つの集光ファイバー30は、器具内腔40の外側に、具体的には器具内腔40と細長本体16との間に配置される。
【0136】
ラマン分光プローブ12のこの実施形態では、ディスク32の代わりに、レンズ構造46が提供される。レンズ構造46は、照明ファイバー28及び/または集光ファイバー30に結合され得る。レンズ構造46は、照明ファイバー28からの光が通過できる窓及び/または標的部位から来る光が集光ファイバー30に結合できる窓であり得る。照明ファイバー28及び/または集光ファイバー30は、レンズ構造46に接触し得る、及び/またはレンズ構造46に対して離間できる。照明ファイバー28及び/または集光ファイバー30は、レンズ構造46に対して固定して位置付けられ得る。
【0137】
レンズ構造46は、1つ以上のレンズ及び/または1つ以上の光学フィルターを含み得る。1つ以上のレンズは、照明ファイバー28から来る光を標的部位上に集束させるように構成され得る。また、1つ以上のレンズが標的部位から来る光を集光ファイバー30の遠位端面上に集束させるように構成され得ることにより、光が集光ファイバー30内に結合され得る。1つ以上の光学フィルターは、集光ファイバー30の遠位端面の前に位置付けられ得、照明ファイバー28によって放射された光と同一の波長を有する光、すなわちレイリー光または弾性散乱光を除去するように構成され得る。
【0138】
拡大層34は、拡大層34を組織と接触させることができるように、レンズ構造46の外面上に配置され得る。レンズ構造46、または拡大層34が配置されるレンズ構造46の部分は、溶融シリカ、フッ化マグネシウム、ガラス、及び/またはサファイア等の光学的に透明な材料から作ることができる。照明ファイバー28及び/または集光ファイバー30内を伝搬する光は、レンズ構造46を通過する。
【0139】
レンズ構造46が器具内腔40と位置合わせされる開口48を含み得ることにより、細長器具42が器具内腔40から押し出され、レンズ構造46の開口48を通り抜けることができる。
【0140】
複数の照明ファイバー28は第1のファイバーのリングに配置される一方、複数の集光ファイバー30は第2のファイバーのリングに配置される。各リングでは、複数の集光ファイバー30及び照明ファイバー28が密に詰め込まれ、互いに接触し得る。集光ファイバー30の第1のリングは、照明ファイバー28の第2のリングと同軸に配置され、随意に、器具内腔40及び/または細長本体16と同軸に配置される。
図6に示されるように、集光ファイバー30の第2のリングは、中間壁64によって照明ファイバー28の第1のリングによって分離される。しかしながら、中間壁64は必須ではなく、省略できる。中間壁64は中空管で構成され得、プラスチック材料で作ることができる。中間壁64は、器具内腔40、中空管44、及び/または細長本体16と同軸に配置され得る。
【0141】
集光ファイバー30の第2のリングは照明ファイバー28の第1のリングを囲む。したがって、集光ファイバー30によって覆われた断面積は、照明ファイバー28によって覆われた断面積よりも大きい。これは、標的部位からのラマン散乱光と同程度の光の収集に寄与し得る。例えば、この配置により、結果的に、集光ファイバー30の数が照明ファイバー28の数よりも大きくなる。代替的または追加的に、集光ファイバー30の直径は、照明ファイバー28の直径よりも大きくなり得る。
【0142】
拡大層34は、照明ファイバー28の第1のリングのエリアだけを覆い得る一方、集光ファイバー30の第2のリングは拡大層34で覆われない。
【0143】
図4~
図6に示される実施形態の細長器具42は、標的部位における組織の切断、切除、刺激、及び/または凝固に使用され得る高周波放射線及び/またはマイクロ波放射線等の電磁放射線を放射するための電気手術治療デバイス50である。
【0144】
治療デバイス50の近位端は、無線周波数範囲及び/またはマイクロ波範囲の周波数を有する電磁エネルギーを生成することが可能である発電機52に接続され得る。
【0145】
治療デバイス50は、可撓性伝送線54(同軸ケーブル等)と、伝送線54の遠位端に接続される放射素子56とを含み得る。伝送線54は、マイクロ波エネルギーを搬送するのに適した従来の可撓性の50Ω同軸ケーブルであり得る。伝送線54は誘電材料によって分離される中心導体及び外部導体を含み得る。伝送線54は、電磁エネルギー、具体的にはマイクロ波エネルギーを受信するために、近位端で発電機に、例えば発電機52に接続可能である。
【0146】
放射素子56は、近位同軸伝送線58と、近位同軸伝送線58の遠位端に形成された遠位針先端60とを含む。近位同軸伝送線58は、伝送線54の遠位端に電気的に接続され、電磁エネルギーを同軸ケーブル54から受信し、その電磁エネルギーを遠位針先端60に搬送する。遠位針先端60は、受信した電磁エネルギーを標的部位の生体組織に送達するように構成される。本発明の例では、遠位針先端60は、マイクロ波エネルギーを標的の生体組織に送達して、その標的組織を切除するための半波長変成器等の変成器として構成される。言い換えれば、遠位針先端60の電気的長さは、マイクロ波エネルギーの半波長(例えば5.8GHz)に対応する。マイクロ波エネルギーが遠位針遠位端60に送達されると、それは、マイクロ波エネルギーをその長さに沿って周囲の生体組織に放射し得る。
【0147】
近位同軸伝送線58の内部導体が、同軸ケーブル54の中心導体に電気的に接続される。放射素子56は、伝送線54と放射素子56との間の接合部上に搭載されたカラー62を介して伝送線54に固定される。カラー62は導体材料(例えば真ちゅう)で作られ、伝送線54の外部導体を、近位同軸伝送線58の外部導体に電気的に接続する。外部導体は、可撓性があり、組織(例えば、十二指腸壁)を貫通するのに十分な縦方向の剛性をもたらすニチノールの管で形成される。例示の目的で、外部導体は
図6から省略される。また、例示の目的で、
図6では近位同軸伝送線58の長さが省略されている。伝送線54及び放射素子56の例示的な詳細はWO2020/221749から取得され得る。
【0148】
伝送線54は、器具内腔40内に固定して配置され得る。例えば、伝送線54は接着剤によって中空管44に接着される。しかしながら、中空管44は、
図4~
図6に示される実施形態では省略され得る。その理由として、伝送線54が細長本体16の内部に配置されるため、器具内腔40のシールは必要ないためである。例えば、伝送線54の外部シースは中空管44に交換され得る。複数の照明ファイバー28及び集光ファイバー30は、伝送線54に固定され得る。
【0149】
細長器具42は内視鏡カメラ(図に示されない)であり得る。内視鏡カメラまたは細長カメラは、画像キャプチャリングデバイスを含み得る。画像キャプチャリングデバイスは、画像キャプチャリングデバイス内に配置された光センサー上に投影される光学画像に基づいて一連の電気信号を作成するように構成される。光学センサーは、細長カメラの遠位端またはそれに近接して配置され得る。ワイヤーは、電気信号を伝送するために、細長カメラ内で画像キャプチャリングデバイス(具体的には光学センサー)から細長カメラの近位端まで延在し得る。細長カメラの近位端は表示デバイスに接続される。表示デバイスは、画像キャプチャリングデバイスによって生成された一連の電気信号を処理するプロセッサを含み得る。具体的には、プロセッサは、表示デバイスのディスプレイによって表示できる光学画像を生成し得る。
【0150】
図7~
図9は、ディスク32及び/またはレンズ構造46に適用できる拡大層34の2つの実施形態を示す。
【0151】
図7及び
図8に見えるように、拡大層34は互いに離間される材料パッチ66を含む。材料パッチ66は、拡大層34内のアイランドと見なすことができる。材料パッチ66は周期的に配置される。材料パッチ66の周期的配置の単位セルは正方形である(
図8参照)。2つの隣接する材料パッチ66間の距離は、10nm~120nmである。各方向における2つの隣接する材料パッチ66の間の間隔は、
図7及び
図8に示される実施形態では40ナノメートルである。
【0152】
材料パッチ66は、ドーム形状を有し、10nm~120nm、随意に40nmの高さと、20nm~150nm、随意に80nmの幅(直径)とを有する。高さは、ディスク32またはレンズ構造46に対応する基板から材料パッチ66の最高点まで測定できる。材料パッチ66は、金属、随意に、金、銅、銀、及び/またはアルミニウムから作ることができる。
【0153】
光は、材料パッチ66間の自由空間を通過することによって、拡大層34を通って進むことができる。表面プラズモンは、表面増強ラマン散乱を提供するために材料パッチ66内で励起され得る。
【0154】
材料パッチ66は、
図7及び
図8に示されるように周期的に配置される必要はない。加えて、材料パッチ66の形状及び/または寸法が互いに異なる可能性がある。これは、材料パッチ66の位置決め及び形状の両方が、拡大層34全体にわたってランダムに分布され得ることを意味する。2つの材料パッチ66の間の距離、及び材料パッチ66の寸法は、その平均値及び変動(分散)を使用することによって説明され得る。
【0155】
図9に説明される拡大層34の実施形態は、凸部68(拡大層34の厚肉部に対応する)及び凹部70(拡大層34の薄肉部に対応する)を有する連続層である。凸部68及び凹部70は、2次元に延在する周期的格子を形成し得る。しかしながら、凸部68及び凹部70の一次元格子も可能である。最後に、凸部68及び凹部70はランダムに配置され得る。凸部68は、材料パッチ66に一致すると考えられ得る一方、凹部70は、材料パッチ66間の自由空間(凹部70がゼロの厚さを有する)に一致すると考えられ得る。
【0156】
凹部70の厚さは、基板から測定され得、照明ファイバー28を出る光が凹部70を通過できるような範囲にあり得る。凹部70は、1nm~40nm、随意に20nmの厚さを有し得る。
【0157】
凸部68のピークと凹部70のトラフとの間の間隔は、10nm~120nm、随意に60nmであり得る。凸部68のピークと凹部70のトラフとの間の高さは、10nm~120nm、随意に60nmであり得る。凸部68のピークは、基板の表面の後ろから、10nm~120nm、随意に80nmであり得る。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラマン分光プローブであって、
近位端及び遠位端を有する細長本体と、
遠位方向に前記近位端と前記遠位端との間に組織のラマン散乱を誘発するために、また近位方向に前記遠位端と前記近位端との間にラマン散乱光を誘導するために、光を誘導するための前記細長本体内にある光伝送線と、
前記遠位端に、または前記遠位端の上に配置された拡大層であって、前記組織に接触するための露出面を有する、前記拡大層と、を含み、
前記拡大層は、ラマン散乱を誘発するための前記光が前記拡大層に衝突するように位置付けられ、
前記拡大層は、前記露出面で表面増強ラマン散乱(SERS)を誘発するためのものであ
り、
前記光伝送線は、光を前記近位端から前記遠位端に導くための少なくとも1つの照明ファイバー及び光を前記遠位端から前記近位端に導くための少なくとも1つの集光ファイバーを含み、
前記拡大層は、前記少なくとも1つの照明ファイバーと光通信する状態で位置付けられ、前記少なくとも1つの集光ファイバーとは光通信しない状態で位置付けられる、前記ラマン分光プローブ。
【請求項2】
前記光伝送線は遠位端表面を含み、前記拡大層は前記遠位端表面に配置される、請求項1に記載のラマン分光プローブ。
【請求項3】
前記遠位端表面は前記遠位端を閉鎖するためのディスクを含む、請求項2に記載のラマン分光プローブ。
【請求項4】
前記遠位端表面は前記照明ファイバーの遠位端である、請求項2に記載のラマン分光プローブ。
【請求項5】
前記光伝送線からの前記光を前記露出面に接触する組織上に集束させるために、及び/または前記露出面に接触する組織からの前記ラマン散乱光を前記光伝送線に集束させるために、前記遠位端に配置されたレンズ構造をさらに備え、前記拡大層は前記レンズ構造に配置される、請求項1に記載のラマン分光プローブ。
【請求項6】
前記拡大層は導電性材料から作られ、前記露出面は、表面増強ラマン散乱を誘発するためのナノスケール上の表面構造を含む、先行請求項のいずれかに記載のラマン分光プローブ。
【請求項7】
前記拡大層は前記拡大層の上に分布する材料パッチを含む、先行請求項のいずれかに記載のラマン分光プローブ。
【請求項8】
前記材料パッチの寸法、及び前記材料パッチ間の空間の寸法は、同じオーダーの大きさである、請求項
7に記載のラマン分光プローブ。
【請求項9】
前記材料パッチは、20nm~150nmの幅及び/または10nm~120nmの高さを有し、随意に、2つの隣接する材料パッチ間の距離は10nm~120nmである、請求項
7または
8に記載のラマン分光プローブ。
【請求項10】
前記材料パッチは互いに同一であり、随意に、前記材料パッチはドーム形である、請求項
7~
9のいずれか1項に記載のラマン分光プローブ。
【請求項11】
前記拡大層は、凸部を画定する厚肉部と、凹部を画定する薄肉部とを有する連続材料層であり、前記薄肉部は、ラマン散乱を誘発するための前記光の透過を可能にする厚みを有する、請求項1~
6のいずれか1項に記載のラマン分光プローブ。
【請求項12】
前記厚肉部は10nm~120nmの高さを有する、及び/または前記薄肉部の厚さは1nm~40nmを有する、請求項
11に記載のラマン分光プローブ。
【請求項13】
前記拡大層は、金属、具体的には、金、銀、及び/またはアルミニウムを含む、先行請求項のいずれかに記載のラマン分光プローブ。
【請求項14】
前記ディスクまたは前記レンズ構造は、光学的に透明な材料、具体的には、溶融シリカ、フッ化マグネシウム、及び/またはサファイアを含む、請求項3または5に記載のラマン分光プローブ。
【請求項15】
ラマン分光装置であって、
先行請求項のいずれかに記載のラマン分光プローブと、
スペクトロメーター、及び単色光を生成するためのラマン光源を含む分析デバイスと、を備え、
前記光伝送線は、前記分析デバイス、具体的には、前記ラマン光源及び/または前記スペクトロメーターと光通信する、前記ラマン分光デバイス。
【国際調査報告】