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▶ アンドリッツ・スーテック・アクチエンゲゼルシャフトの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-23
(54)【発明の名称】鋼板のレーザー溶接のための方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/08 20140101AFI20241016BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20241016BHJP
   B23K 26/244 20140101ALI20241016BHJP
   B23K 26/082 20140101ALI20241016BHJP
   B23K 26/38 20140101ALI20241016BHJP
   H01M 8/0202 20160101ALI20241016BHJP
   B65G 17/12 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
B23K26/08 D
B23K26/00 B
B23K26/244
B23K26/082
B23K26/38 A
H01M8/0202
B65G17/12 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024518234
(86)(22)【出願日】2022-07-29
(85)【翻訳文提出日】2024-03-21
(86)【国際出願番号】 EP2022071320
(87)【国際公開番号】W WO2023046341
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】A50761/2021
(32)【優先日】2021-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519178191
【氏名又は名称】アンドリッツ・スーテック・アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー・ハンスペーター
(72)【発明者】
【氏名】クレール・ジャン-フレデリク
【テーマコード(参考)】
3F034
4E168
5H126
【Fターム(参考)】
3F034FA05
3F034FC01
3F034FC05
4E168AA00
4E168AD07
4E168BA06
4E168CB04
4E168GA01
4E168GA02
4E168HA01
4E168JA02
4E168KA12
4E168KA13
5H126AA12
5H126DD05
5H126HH00
5H126HH06
5H126JJ03
(57)【要約】
【解決手段】 特に、車両工業における燃料電池のためのバイポーラプレート、または、熱交換器プレートの工業的な生産において、多数のバイポーラプレートが必要とされる。この技術を大規模に打ち破るための重要なファクターは、その際、製造の高い精度と能率的な生産とである。ここで、1つの装置と1つの方法が示され、この方法が、バイポーラプレートを、循環する輸送装置1内において、垂直の位置において、高い速度でもって溶接すること、および、その際、構造部材の積み込み、固定、溶接、および、積み降ろしの際の高い要求を、高い程度において満たすことを許容する。総じて、高い生産性が達成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピース(14)のレーザー溶接のための、特にバイポーラプレートまたは熱交換器プレートの製造のための、輸送平面(XY)内において循環する輸送装置(1)を有する装置であって、
循環する前記輸送装置が、複数のチェーンリンク(3)を有するチェーンに類似の輸送ベルト(2)から成り、これらチェーンリンク(3)が、それぞれに1つの緊締装置(8)を備えており、前記緊締装置が、ベースプレート(11)と折畳みレバー(13)とを有しており、
前記ワークピース(14)が、溶接工程のための締付け板(10a、10b)を用いて、前記ベースプレート(11)に固定可能であり、
前記装置が、前記ワークピース(14)の溶接のための、少なくとも1つのレーザー光学系(22)を有している上記装置において、
前記輸送平面(XY)が、水平面内において位置し、且つ、
前記溶接工程が溶接平面(XZ)内において行われ、この溶接平面が、有利には空間内においてほぼ垂直に、即ち鉛直線方向に位置する、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
少なくとも1つの前記レーザー光学系(22)は、溶接光学系として、および、マーキング光学系として、もしくは、切断光学系として構成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
少なくとも1つの前記レーザー光学系(22)は、固定された光学系として、または、
少なくともそれぞれに1つのミラーを有する、前記溶接平面(XZ)に対して平行に移動可能な走査光学系として、
構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記折畳みレバー(13)の旋回軸(12)は、前記緊締装置(8)の上側、下側、または、側方に付設されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の装置。
【請求項5】
前記折畳みレバー(13)は、同様に基本的に前記溶接平面(XZ)に対して平行に開放可能であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の装置。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか一つに記載の装置による、ワークピース(14)のレーザー溶接のための方法において、
この方法が、以下のステップ:即ち、
‐ 積み込みゾーン(15)内における:
少なくとも1つの加工されるべきワークピース(14)の、前記緊締装置(8)への積み込み、および、締付け板B(10b)の上での、加工されるべき前記ワークピース(14)の固定、
‐ 溶接装置積み込みゾーン(16)内における:
旋回軸(12)を中心としての、約90°だけの、ほぼ水平の位置から、ほぼ垂直の位置への、前記折畳みレバー(13)の回転、および、前記ベースプレート(11)と締付け板A(10a)とにおける、加工されるべき前記ワークピース(14)と前記締付け板B(10b)との固定、
‐ 溶接装置積み込みゾーン(16)内における:
約90°だけの、前記垂直の位置から、ほぼ水平の位置への、前記緊締装置(8)の前記折畳みレバー(13)の戻し回転、
‐ 溶接/切断ゾーン(17)内における:
前記締付け板A(10a)と前記締付け板B(10b)との間で固定されている、前記ワークピース(14)の溶接、
‐ 溶接装置積み降ろしゾーン(18)内における:
前記旋回軸(12)を中心としの、約90°だけの、前記ほぼ水平の位置から、ほぼ垂直の位置への、前記折畳みレバー(13)の回転、および、加工された前記ワークピース(19)と前記締付け板B(10b)との受け取り、
‐ 前記溶接装置積み降ろしゾーン(18)内における:
ほぼ垂直の位置から、約90°だけの、ほぼ水平の位置への、
加工された前記ワークピース(19)を有する前記折畳みレバー(13)と、前記締付け板B(10b)との戻し回転、
‐ 積み降ろしゾーン(15)内における:
前記締付け板B(10b)からの、加工された前記ワークピース(19)の取出し、
のステップを備えることを特徴とする方法。
【請求項7】
循環する前記輸送装置(1)は、前記輸送平面(XY)内において、即ちほぼ水平の整向方向において、長円形状の軌道を描き、
この軌道が、直線的な2つの移動領域(5a、5b)と、回転的な2つの移動領域(6a、6b)とに区分されていることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記輸送平面(XY)内において循環する前記輸送装置(1)は、前記溶接/切断ゾーン(17)及び/また前記積み込み/積み降ろしゾーン(15)内において、直線的に移動し、且つ、
前記溶接装置積み降ろしゾーン(18)と前記溶接装置積み込みゾーン(16)内において、回転的に移動することを特徴とする請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
加工されるべき前記ワークピース(14)は、循環する前記輸送装置(1)の上の前記緊締装置(8)内において、前記輸送平面(XY)に対して垂直に固定されており、且つ、
前記溶接/切断ゾーン(17)内において溶接されることを特徴とする請求項6から8のいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
レーザー光線(23)は、少なくとも1つのレーザー光学系(22)によって、全作業領域(20)の覆いを達成するように構成されていることを特徴とする請求項6から9のいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
前記積み込み/積み降ろしゾーン(15)内における、加工されるべき前記ワークピース(14)の積み込み、および、積み降ろしは、
直接的に前記締付け板A(10a)に対して行われることを特徴とする請求項6から10のいずれか一つに記載の方法。
【請求項12】
燃料電池のためのバイポーラプレート、または、熱的なエネルギーの伝達のための熱交換器プレートの製造のための、請求項6から11のいずれか一つに記載の方法の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平坦な鋼板、特に、商用車両構造内における燃料電池のためのバイポーラプレート、または、熱交換器プレートの、レーザー溶接のための装置に関する。本発明は、同様に鋼板の溶接のための方法、および、同様にバイポーラプレートまたは熱交換器プレートの製造のための方法の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車工業において、トレンドは、有限な石油備蓄の結果として、および、気候変動の結果として、益々、COの低減、および、代替的な駆動装置の方向に向けての状態にある。
乗用車およびトラックのために、益々、蓄積媒体としてのバッテリーを有する電気モータが使用される。将来において、しかしながら、同様に燃料電池のような他の技術も、特にトラック領域のために構築されるであろう。
バイポーラプレート(BPP)は、燃料電池の主構成要素であり、且つ、これに伴って、決定的に、燃料電池システムの製造コストと効率とを規定する。安定性、少ない薄板厚さ、および、多様な被膜可能性のような、製造可能性と材料特性とに関しての、種々の利点に基づいて、バイポーラプレートの金属的な構成は、研究および開発の中心点へと移動し、且つ、現在、燃料電池の将来の大規模使用のための有利に扱われるバリエーションとして見なされている。
燃料電池システムは、典型的に300~400枚のバイポーラプレート(BPP)を有する自動車に関する使用のために、セルの間でそれぞれに1つのBPPを有する、多数の個別セルから成っている。個別システム毎の多数のBPPに基づいて、自体で控え目なシナリオにおいて、将来、必要な個数が、迅速的に極めて高い次元を占めるであろうことが前提とされる。
この挑戦は、同様にBPPの下請け企業のための非常に大きなチャンスとして見なされる。このための前提条件は、しかしながら、経済的な且つ性能の良い生産技術である。
特に、1つのBPPへの両方のバイポーラプレート半分体の溶接は、多数の溶接継ぎ目と、これと関連する長い溶接時間と、および、薄い材料に基づいての同時に極めて困難なプロセス条件におけるこれら溶接継ぎ目とに対する高い要求に基づいて、中心的な課題であり、且つ、今現在、未だに、コストにおいて効率の良い製造のための決定的な障害である。
【0003】
BPPそれ自体は、従来技術から公知である。これらBPPは、通常は、2つのバイポーラプレート半分体から成り、これらバイポーラプレート半分体が組み合わされる。これらバイポーラプレート半分体は、通常は、型押しされたフィルム、もしくは、変形された金属薄板として形成されている。
これらバイポーラプレート半分体は積み重なっており、且つ、通常は、縁部領域および接触位置において、レーザーを用いて密閉溶接される。その際、レーザーは、数メートルの溶接継ぎ目を生成し、且つ、場合によっては付加的な溶接点を生成する。
選択的に、同様に抵抗溶接による方法も公知である。この目的のために、溶接装置が使用され、これら溶接装置内において、密閉輪郭および全溶接点が具現され得るために、バイポーラプレート半分体は、しばしば、何度も緊締替えされる必要がある。
全ての密閉輪郭および点を溶接可能とするために、その際、溶接されるべきバイポーラプレートは、緊締装置から解離され、且つ、溶接されるべきBPPの全ての領域が溶接レーザーのためにアクセス可能であるために、再び装入される必要がある。
特に、周囲に延在する密閉輪郭は、問題を与える。そのような周囲に延在する密閉輪郭が、レーザーによって、1つの溶接工程内において製造される場合、従って、バイポーラプレート半分体を周囲に延在する密閉輪郭の内側において固定する付加的な緊締要素を、密閉輪郭の内側において配置することが困難であることは判明した。
緊締替え(Umspannen)の際に、位置決めが、もはや一致せず、且つ、溶接点が、誤った位置において配置されることの危険が存在する。付加的に、バイポーラプレートの全ての製造プロセスは、半製品のバイポーラプレートの緊締替えによって、強度に遅延される可能性がある。
【0004】
特許文献1は、バイポーラプレートの製造のための装置および方法を記載しており、この方法において、構造部材の歪みが比較的に少しである。溶接エネルギーの導入は、上方および下方から、BPPに対して行われる。このことが行われる空間内における姿勢(Lage)は、説明されていない。
【0005】
特許文献2内において、締付けレバーを有する緊締装置が示されている。図およびテキストから、BPPの整向状態が水平であり、即ち、表面が基礎面の上で水平に位置していることが推定され得る。
【0006】
グレーベナー機械技術(GRAEBENER Maschinentechnik)は、ホームページで、BPPのための完全な製造ラインで示している。非特許文献1(URL: https://www.graebener.com/en/cutting-and-welding)のもとで、同様に2つの溶接設備が、より精確に示されている。BPPは、停止状態において、水平に位置して溶接される。
【0007】
SITEC社(非特許文献2(URL: HTTPS://WWW.SITEC-TECHNOLOGY.DE/))は、自動化可能なレーザー溶接設備を製造しており、その際、溶接が、同様にここでも、停止状態において、および、水平面内において行われる。
【0008】
特許文献3は、溶接された金属薄板部材-特に自動車工業のためのテイラードブランク材-の工業的な生産において、サイクル時間を増大すること、および、これに伴って、生産コストを減少することのための方法を記載している。
この方法は、片持ち式の光学系と、溶接の間じゅうの、ワークピースの水平の整向方向とを有する、輸送システムを基礎としており、および、高温の溶接継ぎ目の如何なる手間暇がかかる冷却も必要ではなく、且つ、輸送ベルトの上での、大きな力でもってのワークピースの片側での固持のための如何なる手段も必要ではない。
これに伴って、機械のサイクル時間に対する、基板間隔の不利な影響は、強力に低減され得る。総じて、この方法でもって、溶接-副次的時間は、低減され得る。垂直の移動面を有するそのような公知のシステムにおいて、機械下側面からアクセスが行われることを除き、逆戻りする道程は、操作のために使用されない。
【0009】
先に言及されたこれら解決策における欠点は、構造部材のプロセス信頼性を有する緊締のためと、設備からの溶接煙と溶接飛沫の導出のためとの高い技術的な手間暇と、高い投資コストを有する大きな機械寸法と、並びに、総じて少ない、全設備の生産性とである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】独国特許発明第102016200387号明細書
【特許文献2】国際公開第2018149959号
【特許文献3】欧州特許第3038789号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】グレーベナー機械技術(GRAEBENER Maschinentechnik)URL: https://www.graebener.com/en/cutting-and-welding
【非特許文献2】SITEC社 URL: HTTPS://WWW.SITEC-TECHNOLOGY.DE/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明の根底をなす課題は、前述された欠点を有していない装置を開示することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この課題は、本発明に従い、請求項1内において提示された特徴を有する装置によって解決される。有利な実施形態の変形例は、従属請求項内において提示されている。
【発明の効果】
【0014】
ここで記載されている装置は、輸送装置に基づいており、この輸送装置が、加工されるべきワークピースを、水平面内において循環して輸送し、このことによって、必要とされる設備部材の数が、強度に制限され得る。
【0015】
循環する輸送装置が、水平面内において移動するので、アクセスは、両側から可能にされる。このことは、ここで、一方の側で、鋼板(ワークピース)が溶接され、且つ、他方の側で、これら鋼板が積み込み、および、積み降ろしされることを意味する。それぞれに、これらの間で、鋼板は締付け板によって固定され、もしくは、この固定が再び解離される。
【0016】
これに伴って、以下の利点:即ち、
・ より少ない数の溶接装置による、投資コストの低下、
・ 機械寸法(フットプリント、構造部材サイズ、等)の減少による、投資コストの低下、
・ 要するに、より少ない生産コストを誘起する、投資コストの低下、
が生成される。
【0017】
本発明の更に別の利点は、溶接プロセスが、垂直面内において、即ち垂線方向において、および、輸送方向に対してほぼ垂直に行われることにある。これに伴って、溶接飛沫は、加工されるべきワークピースの上に残存せず、このことによって、ワークピースおよび装置のより少ない汚染が結果として生じる。
【0018】
提案された構成において、ワークピースは、ただ一度だけ挟み込まれ、且つ、引き続いて加工され、従って、ワークピースの加工の間じゅうの、精確な調整の周知の問題を有する複数回の挟み込みが省略され、且つ、総じて、積み込み、加工、および、積み降ろしの際の高い精確性が達成される。
【0019】
本発明の目的は、同時の部材コスト低減において、時間単位毎の製造される部材の数を、著しく増大させることである。
【0020】
ここで提示された発明は、即ち、総じて、能率的な、且つ、品質的に高価値の製造を可能にする。本発明を、以下で、実施例に基づいて、図との関連のもとで、更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】概略的な図示における、輸送装置の平面図である。
図2a】緊締装置の第1の透視図である。
図2b】緊締装置の第2の透視図である。
図2c】緊締装置の第3の透視図である。
図2d】緊締装置の第4の透視図である。
図3】概略的な図示における、本発明による設備の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、平面図において、循環する輸送装置1を示しており、この輸送装置の駆動装置7が、輸送ベルト2を、時計方向において、輸送平面XY内において移動し、且つ、その際、並進的な移動領域5a、5bと、回転的な移動領域6a、6bとを通過する。輸送平面XYは、その際、基本的に水平面である。
輸送ベルト2は、多数のチェーンリンク3から成り、これらチェーンリンクが緊締装置8を備えている。それぞれのチェーンリンク3に、ベースプレート11と、旋回可能な折畳みレバー13とが装着されている。ベースプレート11と折畳みレバー13との間に、溶接加工されるべきワークピース14が収容され得る。ワークピース、即ち鋼板の、循環する輸送ベルト2への積み込み24は、並進的な領域5a内において、積み込み/積み降ろしゾーン15内で展開され且つ水平に位置する折畳みレバー13の際に、行われる。
回転的な移動領域6aにおける溶接装置積み込みゾーン16内において、緊締装置8内におけるワークピース14は、折畳みレバー13の戻し傾倒(上方への傾倒)によって、垂直の位置へと移動され、且つ、締付け手段(締付け板B 10b、および、A 10a)を用いて、ベースプレート11の上で固定される。
次のステップにおいて、折畳みレバー13は、再び、水平の位置へと移動される。このことは、後続のステップにおいて、溶接レーザー22のレーザー光線23が、ワークピース14に照射可能であるために必要である。
並進的な領域5bにおいて、ワークピース14の加工は、溶接/切断ゾーン17内において、レーザー光学系22のレーザー光線23を用いて行われる。ここで、ワークピース14の両方の鋼板は、互いに溶接される。レーザー光線23によって、裁断またはマーク付けが行われることも、同様に考慮可能である。
溶接装置積み降ろしゾーン18内において、第1のステップにおいて、折畳みレバー13は、垂直の位置に傾倒され、且つ、第2のステップにおいて、加工されたワークピース19を有する緊締装置8が、垂直の位置から水平の位置へと傾倒される。
積み込み/積み降ろしゾーン15内において、加工されたワークピース19は、積み降ろし25によって、循環する輸送ベルト2から除去される。洗浄ステーション26は、緊締装置8の洗浄のために利用される。
【0023】
図2aは、加工されるべきワークピース14無しの、積み込み以前の状態における緊締装置8の、第1の透視図を示している。
チェーンリンク3と強固に結合されたベースプレート11の上に、締付け板A 10aが装着されており、有利には固着して組み付けられている。場合によっては複数の部分締付け板9を有する、締付け板B 10bは、その際、解離可能に、折畳みレバー13の上で固定されている。
折畳みレバー13の上での、締付け板B 10bの固定および解離は、磁力によって、または同様に機械的に行われる。折畳みレバー13は、XY平面内における水平の位置において位置し、且つ、ここで、旋回軸12を中心として回転可能に、緊締装置8と結合されている。
【0024】
図2bは、「積み込み」の状態における緊締装置8の、第2の透視図を示しており、その際、加工されるべきワークピース14が、締付け板B 10bに対して相対的に位置決めされ、且つ、固定されている。ワークピース14は、従って、締付け板B 10bの上に載置されている。
折畳みレバー13は、XY平面内における水平の位置において位置している。
【0025】
図2cは、「溶接」の状態における緊締装置8の、第3の透視図を示している。加工されるべきワークピース14は、両方の締付け板A 10aと締付け板B 10bとの間で固定されている。
折畳みレバー13の上で、締付け板B 10bは、もはや存在していない。折畳みレバー13は、XY平面内における水平の位置において位置している。ワークピース14、即ち、溶接されるべき両方の鋼板は、両方の締付け板A 10aと、締付け板B 10bとの間で挟んで締め付けられている。この締め付けは、有利には、磁力によって行われ得る。
締付け板A 10aと締付け板B 10bとは、これら締付け板A 10aと締付け板B 10bとが、溶接されるべき鋼板を、これら溶接されるべき鋼板の全面にわたって十分に互いに押圧するように構成されており、その際、レーザー光線23がワークピース14に対して照射する領域が、締付け板B 10b内において切り欠かれている。
【0026】
図2dは、「閉鎖された」状態における緊締装置8の、第4の透視図を示している。
折畳みレバー13は、XY平面からXZ平面へと傾倒され、ここで、ベースプレート11の上で載置し、且つ、垂直の位置にある。この状態は、締付け板A 10aの上へのワークピース14の載置の際に、および、同様に、この締付け板A 10aからのこのワークピース14の取り外しの際に生じる。
【0027】
図3は、循環する輸送装置1の溶接/切断ゾーン17を側面図において示しており、循環する前記輸送装置のチェーンリンク3が、連続的に、XY平面内において、輸送方向TRに移動する。緊締装置8は、「溶接」の状態にある。
加工されるべきワークピース14は、締付け板A 10aと締付け板B 10bとを用いて、緊締装置8内において、挟んで締め付けられる。溶接平面XZ内において、レーザー光学系は、全作業領域20を覆う。
折畳みレバー13は、「下方への傾倒」ダウン、もしくは、「上方への傾倒」アップのステータスにある。溶接の間じゅう、折畳みレバー13は、下方に傾倒されている。
【0028】
ワークピース14のレーザー溶接のための本発明に従う方法は、その際、以下のように経過する:
【0029】
積み込みゾーン15内において、緊締装置8の下方に傾倒された折畳みレバー13は、少なくとも1つの加工されるべきワークピース14を積み込み、且つ、このワークピース14を、締付け板B 10bの上に、例えば磁力によって固定する。締付け板B 10bは、その際、折畳みレバー13の上に載置している。
溶接装置積み込みゾーン16内において、ここで、折畳みレバー13は、旋回軸12を中心として、約90°だけ、ほぼ水平の位置から、ほぼ垂直の位置へと旋回され、且つ、加工されるべきワークピース14と締付け板B 10bとが、ベースプレート11と、このベースプレート11に固定されている締付け板A 10aとにおいて固定される。
【0030】
その後、締付け板B 10bとワークピース14とを有していない折畳みレバー13は、約90°だけ、再び垂直の位置から水平の位置へと旋回される。
【0031】
溶接/切断ゾーン17内において、次いで、締付け板A 10aと締付け板B 10bとの間で挟んで締め付けられているワークピース14は、溶接レーザーを用いて溶接される。
その後、溶接装置積み降ろしゾーン18内において、折畳みレバー13は、再び、旋回軸12を中心として、約90°だけ、ほぼ水平の位置から、ほぼ垂直の位置へと旋回され、且つ、次いで、加工されたワークピース19と締付け板B 10bとを受け取る。
折畳みレバー13は、次いで、加工されたワークピース19と締付け板B 10bとを、ほぼ垂直の位置から、90°だけ、ほぼ水平の位置へと戻し旋回させる。ワークピース14、および、同様に締付け板B 10bの移送と固定とは、磁力によって行われ得る。
【0032】
積み降ろしゾーン15内において、その場合に、加工されたワークピース19は、締付け板B 10bから取り出され、且つ、更に後続のステップに供給される。締付け板B 10bは、常に装置内において残留する。
【符号の説明】
【0033】
1 輸送装置
2 輸送ベルト
3 チェーンリンク
5a 並進的な移動領域
5b 並進的な移動領域
6a 回転的な移動領域
6b 回転的な移動領域
7 駆動装置
8 緊締装置
9 部分締付け板
10a 締付け板A
10b 締付け板B
11 ベースプレート
12 旋回軸
13 折畳みレバー
14 加工されるべきワークピース
15 積み込み/積み降ろしゾーン
16 溶接装置積み込みゾーン
17 溶接/切断ゾーン
18 溶接装置積み降ろしゾーン
19 加工されたワークピース
20 作業領域
22 レーザー光学系
23 レーザー光線
24 積み込み
25 積み降ろし
26 洗浄ステーション
TR 輸送方向
XY 輸送平面
XZ 溶接平面
図1
図2a-2d】
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-10-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平坦な鋼板、特に、商用車両構造内における燃料電池のためのバイポーラプレート、または、熱交換器プレートの、レーザー溶接のための方法に関する。本発明は、同様にバイポーラプレートまたは熱交換器プレートの製造のための方法の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車工業において、トレンドは、有限な石油備蓄の結果として、および、気候変動の結果として、益々、COの低減、および、代替的な駆動装置の方向に向けての状態にある。
乗用車およびトラックのために、益々、蓄積媒体としてのバッテリーを有する電気モータが使用される。将来において、しかしながら、同様に燃料電池のような他の技術も、特にトラック領域のために構築されるであろう。
バイポーラプレート(BPP)は、燃料電池の主構成要素であり、且つ、これに伴って、決定的に、燃料電池システムの製造コストと効率とを規定する。安定性、少ない薄板厚さ、および、多様な被膜可能性のような、製造可能性と材料特性とに関しての、種々の利点に基づいて、バイポーラプレートの金属的な構成は、研究および開発の中心点へと移動し、且つ、現在、燃料電池の将来の大規模使用のための有利に扱われるバリエーションとして見なされている。
燃料電池システムは、典型的に300~400枚のバイポーラプレート(BPP)を有する自動車に関する使用のために、セルの間でそれぞれに1つのBPPを有する、多数の個別セルから成っている。個別システム毎の多数のBPPに基づいて、自体で控え目なシナリオにおいて、将来、必要な個数が、迅速的に極めて高い次元を占めるであろうことが前提とされる。
この挑戦は、同様にBPPの下請け企業のための非常に大きなチャンスとして見なされる。このための前提条件は、しかしながら、経済的な且つ性能の良い生産技術である。
特に、1つのBPPへの両方のバイポーラプレート半分体の溶接は、多数の溶接継ぎ目と、これと関連する長い溶接時間と、および、薄い材料に基づいての同時に極めて困難なプロセス条件におけるこれら溶接継ぎ目とに対する高い要求に基づいて、中心的な課題であり、且つ、今現在、未だに、コストにおいて効率の良い製造のための決定的な障害である。
【0003】
BPPそれ自体は、従来技術から公知である。これらBPPは、通常は、2つのバイポーラプレート半分体から成り、これらバイポーラプレート半分体が組み合わされる。これらバイポーラプレート半分体は、通常は、型押しされたフィルム、もしくは、変形された金属薄板として形成されている。
これらバイポーラプレート半分体は積み重なっており、且つ、通常は、縁部領域および接触位置において、レーザーを用いて密閉溶接される。その際、レーザーは、数メートルの溶接継ぎ目を生成し、且つ、場合によっては付加的な溶接点を生成する。
選択的に、同様に抵抗溶接による方法も公知である。この目的のために、溶接装置が使用され、これら溶接装置内において、密閉輪郭および全溶接点が具現され得るために、バイポーラプレート半分体は、しばしば、何度も緊締替えされる必要がある。
全ての密閉輪郭および点を溶接可能とするために、その際、溶接されるべきバイポーラプレートは、緊締装置から解離され、且つ、溶接されるべきBPPの全ての領域が溶接レーザーのためにアクセス可能であるために、再び装入される必要がある。
特に、周囲に延在する密閉輪郭は、問題を与える。そのような周囲に延在する密閉輪郭が、レーザーによって、1つの溶接工程内において製造される場合、従って、バイポーラプレート半分体を周囲に延在する密閉輪郭の内側において固定する付加的な緊締要素を、密閉輪郭の内側において配置することが困難であることは判明した。
緊締替え(Umspannen)の際に、位置決めが、もはや一致せず、且つ、溶接点が、誤った位置において配置されることの危険が存在する。付加的に、バイポーラプレートの全ての製造プロセスは、半製品のバイポーラプレートの緊締替えによって、強度に遅延される可能性がある。
【0004】
特許文献1は、バイポーラプレートの製造のための装置および方法を記載しており、この方法において、構造部材の歪みが比較的に少しである。溶接エネルギーの導入は、上方および下方から、BPPに対して行われる。このことが行われる空間内における姿勢(Lage)は、説明されていない。
【0005】
特許文献2内において、締付けレバーを有する緊締装置が示されている。図およびテキストから、BPPの整向状態が水平であり、即ち、表面が基礎面の上で水平に位置していることが推定され得る。
【0006】
グレーベナー機械技術(GRAEBENER Maschinentechnik)は、ホームページで、BPPのための完全な製造ラインで示している。非特許文献1(URL: https://www.graebener.com/en/cutting-and-welding)のもとで、同様に2つの溶接設備が、より精確に示されている。BPPは、停止状態において、水平に位置して溶接される。
【0007】
SITEC社(非特許文献2(URL: HTTPS://WWW.SITEC-TECHNOLOGY.DE/))は、自動化可能なレーザー溶接設備を製造しており、その際、溶接が、同様にここでも、停止状態において、および、水平面内において行われる。
【0008】
特許文献3は、溶接された金属薄板部材-特に自動車工業のためのテイラードブランク材-の工業的な生産において、サイクル時間を増大すること、および、これに伴って、生産コストを減少することのための方法を記載している。
この方法は、片持ち式の光学系と、溶接の間じゅうの、ワークピースの水平の整向方向とを有する、輸送システムを基礎としており、および、高温の溶接継ぎ目の如何なる手間暇がかかる冷却も必要ではなく、且つ、輸送ベルトの上での、大きな力でもってのワークピースの片側での固持のための如何なる手段も必要ではない。
これに伴って、機械のサイクル時間に対する、基板間隔の不利な影響は、強力に低減され得る。総じて、この方法でもって、溶接-副次的時間は、低減され得る。垂直の移動面を有するそのような公知のシステムにおいて、機械下側面からアクセスが行われることを除き、逆戻りする道程は、操作のために使用されない。
特許文献4は、1つの溶接装置を記載しており、この溶接装置において、板金が、垂直の平面内において、互いに溶接され、従って、この溶接装置のための所要スペースが、可能な限り小さい。
【0009】
先に言及されたこれら解決策における欠点は、構造部材のプロセス信頼性を有する緊締のためと、設備からの溶接煙と溶接飛沫の導出のためとの高い技術的な手間暇と、高い投資コストを有する大きな機械寸法と、並びに、総じて少ない、全設備の生産性とである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】独国特許発明第102016200387号明細書
【特許文献2】国際公開第2018149959号
【特許文献3】欧州特許第3038789号明細書
【特許文献4】米国特許第6,639,176 B1明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】グレーベナー機械技術(GRAEBENER Maschinentechnik)URL: https://www.graebener.com/en/cutting-and-welding
【非特許文献2】SITEC社 URL: HTTPS://WWW.SITEC-TECHNOLOGY.DE/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明の根底をなす課題は、前述された欠点を有していない方法を開示することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この課題は、本発明に従い、請求項1内において提示された特徴を有する方法によって解決される。有利な実施形態の変形例は、従属請求項内において提示されている。
【発明の効果】
【0014】
ここで前記方法に関して記載されている装置は、輸送装置に基づいており、この輸送装置が、加工されるべきワークピースを、水平面内において循環して輸送し、このことによって、必要とされる設備部材の数が、強度に制限され得る。
【0015】
循環する輸送装置が、水平面内において移動するので、アクセスは、両側から可能にされる。このことは、ここで、一方の側で、鋼板(ワークピース)が溶接され、且つ、他方の側で、これら鋼板が積み込み、および、積み降ろしされることを意味する。それぞれに、これらの間で、鋼板は締付け板によって固定され、もしくは、この固定が再び解離される。
【0016】
これに伴って、以下の利点:即ち、
・ より少ない数の溶接装置による、投資コストの低下、
・ 機械寸法(フットプリント、構造部材サイズ、等)の減少による、投資コストの低下、
・ 要するに、より少ない生産コストを誘起する、投資コストの低下、
が生成される。
【0017】
本発明の更に別の利点は、溶接プロセスが、垂直面内において、即ち垂線方向において、および、輸送方向に対してほぼ垂直に行われることにある。これに伴って、溶接飛沫は、加工されるべきワークピースの上に残存せず、このことによって、ワークピースおよび装置のより少ない汚染が結果として生じる。
【0018】
提案された構成において、ワークピースは、ただ一度だけ挟み込まれ、且つ、引き続いて加工され、従って、ワークピースの加工の間じゅうの、精確な調整の周知の問題を有する複数回の挟み込みが省略され、且つ、総じて、積み込み、加工、および、積み降ろしの際の高い精確性が達成される。
【0019】
本発明の目的は、同時の部材コスト低減において、時間単位毎の製造される部材の数を、著しく増大させることである。
【0020】
ここで提示された発明は、即ち、総じて、能率的な、且つ、品質的に高価値の製造を可能にする。本発明を、以下で、実施例に基づいて、図との関連のもとで、更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】概略的な図示における、輸送装置の平面図である。
図2a】緊締装置の第1の透視図である。
図2b】緊締装置の第2の透視図である。
図2c】緊締装置の第3の透視図である。
図2d】緊締装置の第4の透視図である。
図3】概略的な図示における、本発明による設備の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、平面図において、循環する輸送装置1を示しており、この輸送装置の駆動装置7が、輸送ベルト2を、時計方向において、輸送平面XY内において移動し、且つ、その際、並進的な移動領域5a、5bと、回転的な移動領域6a、6bとを通過する。輸送平面XYは、その際、基本的に水平面である。
輸送ベルト2は、多数のチェーンリンク3から成り、これらチェーンリンクが緊締装置8を備えている。それぞれのチェーンリンク3に、ベースプレート11と、旋回可能な折畳みレバー13とが装着されている。ベースプレート11と折畳みレバー13との間に、溶接加工されるべきワークピース14が収容され得る。ワークピース、即ち鋼板の、循環する輸送ベルト2への積み込み24は、並進的な領域5a内において、積み込み/積み降ろしゾーン15内で展開され且つ水平に位置する折畳みレバー13の際に、行われる。
回転的な移動領域6aにおける溶接装置積み込みゾーン16内において、緊締装置8内におけるワークピース14は、折畳みレバー13の戻し傾倒(上方への傾倒)によって、垂直の位置へと移動され、且つ、締付け手段(締付け板B 10b、および、A 10a)を用いて、ベースプレート11の上で固定される。
次のステップにおいて、折畳みレバー13は、再び、水平の位置へと移動される。このことは、後続のステップにおいて、溶接レーザー22のレーザー光線23が、ワークピース14に照射可能であるために必要である。
並進的な領域5bにおいて、ワークピース14の加工は、溶接/切断ゾーン17内において、レーザー光学系22のレーザー光線23を用いて行われる。ここで、ワークピース14の両方の鋼板は、互いに溶接される。レーザー光線23によって、裁断またはマーク付けが行われることも、同様に考慮可能である。
溶接装置積み降ろしゾーン18内において、第1のステップにおいて、折畳みレバー13は、垂直の位置に傾倒され、且つ、第2のステップにおいて、加工されたワークピース19を有する緊締装置8が、垂直の位置から水平の位置へと傾倒される。
積み込み/積み降ろしゾーン15内において、加工されたワークピース19は、積み降ろし25によって、循環する輸送ベルト2から除去される。洗浄ステーション26は、緊締装置8の洗浄のために利用される。
【0023】
図2aは、加工されるべきワークピース14無しの、積み込み以前の状態における緊締装置8の、第1の透視図を示している。
チェーンリンク3と強固に結合されたベースプレート11の上に、締付け板A 10aが装着されており、有利には固着して組み付けられている。場合によっては複数の部分締付け板9を有する、締付け板B 10bは、その際、解離可能に、折畳みレバー13の上で固定されている。
折畳みレバー13の上での、締付け板B 10bの固定および解離は、磁力によって、または同様に機械的に行われる。折畳みレバー13は、XY平面内における水平の位置において位置し、且つ、ここで、旋回軸12を中心として回転可能に、緊締装置8と結合されている。
【0024】
図2bは、「積み込み」の状態における緊締装置8の、第2の透視図を示しており、その際、加工されるべきワークピース14が、締付け板B 10bに対して相対的に位置決めされ、且つ、固定されている。ワークピース14は、従って、締付け板B 10bの上に載置されている。
折畳みレバー13は、XY平面内における水平の位置において位置している。
【0025】
図2cは、「溶接」の状態における緊締装置8の、第3の透視図を示している。加工されるべきワークピース14は、両方の締付け板A 10aと締付け板B 10bとの間で固定されている。
折畳みレバー13の上で、締付け板B 10bは、もはや存在していない。折畳みレバー13は、XY平面内における水平の位置において位置している。ワークピース14、即ち、溶接されるべき両方の鋼板は、両方の締付け板A 10aと、締付け板B 10bとの間で挟んで締め付けられている。この締め付けは、有利には、磁力によって行われ得る。
締付け板A 10aと締付け板B 10bとは、これら締付け板A 10aと締付け板B 10bとが、溶接されるべき鋼板を、これら溶接されるべき鋼板の全面にわたって十分に互いに押圧するように構成されており、その際、レーザー光線23がワークピース14に対して照射する領域が、締付け板B 10b内において切り欠かれている。
【0026】
図2dは、「閉鎖された」状態における緊締装置8の、第4の透視図を示している。
折畳みレバー13は、XY平面からXZ平面へと傾倒され、ここで、ベースプレート11の上で載置し、且つ、垂直の位置にある。この状態は、締付け板A 10aの上へのワークピース14の載置の際に、および、同様に、この締付け板A 10aからのこのワークピース14の取り外しの際に生じる。
【0027】
図3は、循環する輸送装置1の溶接/切断ゾーン17を側面図において示しており、循環する前記輸送装置のチェーンリンク3が、連続的に、XY平面内において、輸送方向TRに移動する。緊締装置8は、「溶接」の状態にある。
加工されるべきワークピース14は、締付け板A 10aと締付け板B 10bとを用いて、緊締装置8内において、挟んで締め付けられる。溶接平面XZ内において、レーザー光学系は、全作業領域20を覆う。
折畳みレバー13は、「下方への傾倒」ダウン、もしくは、「上方への傾倒」アップのステータスにある。溶接の間じゅう、折畳みレバー13は、下方に傾倒されている。
【0028】
ワークピース14のレーザー溶接のための本発明に従う方法は、その際、以下のように経過する:
【0029】
積み込みゾーン15内において、緊締装置8の下方に傾倒された折畳みレバー13は、少なくとも1つの加工されるべきワークピース14を積み込み、且つ、このワークピース14を、締付け板B 10bの上に、例えば磁力によって固定する。締付け板B 10bは、その際、折畳みレバー13の上に載置している。
溶接装置積み込みゾーン16内において、ここで、折畳みレバー13は、旋回軸12を中心として、約90°だけ、ほぼ水平の位置から、ほぼ垂直の位置へと旋回され、且つ、加工されるべきワークピース14と締付け板B 10bとが、ベースプレート11と、このベースプレート11に固定されている締付け板A 10aとにおいて固定される。
【0030】
その後、締付け板B 10bとワークピース14とを有していない折畳みレバー13は、約90°だけ、再び垂直の位置から水平の位置へと旋回される。
【0031】
溶接/切断ゾーン17内において、次いで、締付け板A 10aと締付け板B 10bとの間で挟んで締め付けられているワークピース14は、溶接レーザーを用いて溶接される。
その後、溶接装置積み降ろしゾーン18内において、折畳みレバー13は、再び、旋回軸12を中心として、約90°だけ、ほぼ水平の位置から、ほぼ垂直の位置へと旋回され、且つ、次いで、加工されたワークピース19と締付け板B 10bとを受け取る。
折畳みレバー13は、次いで、加工されたワークピース19と締付け板B 10bとを、ほぼ垂直の位置から、90°だけ、ほぼ水平の位置へと戻し旋回させる。ワークピース14、および、同様に締付け板B 10bの移送と固定とは、磁力によって行われ得る。
【0032】
積み降ろしゾーン15内において、その場合に、加工されたワークピース19は、締付け板B 10bから取り出され、且つ、更に後続のステップに供給される。締付け板B 10bは、常に装置内において残留する。
【符号の説明】
【0033】
1 輸送装置
2 輸送ベルト
3 チェーンリンク
5a 並進的な移動領域
5b 並進的な移動領域
6a 回転的な移動領域
6b 回転的な移動領域
7 駆動装置
8 緊締装置
9 部分締付け板
10a 締付け板A
10b 締付け板B
11 ベースプレート
12 旋回軸
13 折畳みレバー
14 加工されるべきワークピース
15 積み込み/積み降ろしゾーン
16 溶接装置積み込みゾーン
17 溶接/切断ゾーン
18 溶接装置積み降ろしゾーン
19 加工されたワークピース
20 作業領域
22 レーザー光学系
23 レーザー光線
24 積み込み
25 積み降ろし
26 洗浄ステーション
TR 輸送方向
XY 輸送平面
XZ 溶接平面
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピース(14)のレーザー溶接のための、輸送平面(XY)内において循環する輸送装置(1)を有する装置による方法であって、
循環する前記輸送装置が、複数のチェーンリンク(3)を有するチェーンに類似の輸送ベルト(2)から成り、これらチェーンリンク(3)が、それぞれに1つの緊締装置(8)を備えており、前記緊締装置が、ベースプレート(11)と折畳みレバー(13)とを有しており、
前記ワークピース(14)が、溶接工程のための締付け板(10a、10b)を用いて、前記ベースプレート(11)に固定可能であり、
前記装置が、前記ワークピース(14)の溶接のための、少なくとも1つのレーザー光学系(22)を有しており、
前記輸送平面(XY)が、水平面内において位置し、且つ、
前記溶接工程が溶接平面(XZ)内において行われ、この溶接平面が、有利には空間内においてほぼ垂直に、即ち鉛直線方向に位置する、
前記方法において、この方法が、以下のステップ:即ち、
‐ 積み込みゾーン(15)内における:
少なくとも1つの加工されるべきワークピース(14)の、前記緊締装置(8)への積み込み、および、締付け板B(10b)の上での、加工されるべき前記ワークピース(14)の固定、
‐ 溶接装置積み込みゾーン(16)内における:
旋回軸(12)を中心としての、約90°だけの、ほぼ水平の位置から、ほぼ垂直の位置への、前記折畳みレバー(13)の回転、および、前記ベースプレート(11)と締付け板A(10a)とにおける、加工されるべき前記ワークピース(14)と前記締付け板B(10b)との固定、
‐ 溶接装置積み込みゾーン(16)内における:
約90°だけの、前記垂直の位置から、ほぼ水平の位置への、前記緊締装置(8)の前記折畳みレバー(13)の戻し回転、
‐ 溶接/切断ゾーン(17)内における:
前記締付け板A(10a)と前記締付け板B(10b)との間で固定されている、前記ワークピース(14)の溶接、
‐ 溶接装置積み降ろしゾーン(18)内における:
前記旋回軸(12)を中心としの、約90°だけの、前記ほぼ水平の位置から、ほぼ垂直の位置への、前記折畳みレバー(13)の回転、および、加工された前記ワークピース(19)と前記締付け板B(10b)との受け取り、
‐ 前記溶接装置積み降ろしゾーン(18)内における:
ほぼ垂直の位置から、約90°だけの、ほぼ水平の位置への、
加工された前記ワークピース(19)を有する前記折畳みレバー(13)と、前記締付け板B(10b)との戻し回転、
‐ 積み降ろしゾーン(15)内における:
前記締付け板B(10b)からの、加工された前記ワークピース(19)の取出し、
のステップを備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
循環する前記輸送装置(1)は、前記輸送平面(XY)内において、即ちほぼ水平の整向方向において、長円形状の軌道を描き、
この軌道が、直線的な2つの移動領域(5a、5b)と、回転的な2つの移動領域(6a、6b)とに区分されていることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記輸送平面(XY)内において循環する前記輸送装置(1)は、前記溶接/切断ゾーン(17)及び/また前記積み込み/積み降ろしゾーン(15)内において、直線的に移動し、且つ、
前記溶接装置積み降ろしゾーン(18)と前記溶接装置積み込みゾーン(16)内において、回転的に移動することを特徴とする請求項またはに記載の方法。
【請求項4】
加工されるべき前記ワークピース(14)は、循環する前記輸送装置(1)の上の前記緊締装置(8)内において、前記輸送平面(XY)に対して垂直に固定されており、且つ、
前記溶接/切断ゾーン(17)内において溶接されることを特徴とする請求項からのいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
レーザー光線(23)は、少なくとも1つのレーザー光学系(22)によって、全作業領域(20)の覆いを達成するように構成されていることを特徴とする請求項からのいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
前記積み込み/積み降ろしゾーン(15)内における、加工されるべき前記ワークピース(14)の積み込み、および、積み降ろしは、
直接的に前記締付け板A(10a)に対して行われることを特徴とする請求項からのいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
燃料電池のためのバイポーラプレート、または、熱的なエネルギーの伝達のための熱交換器プレートの製造のための、請求項からのいずれか一つに記載の方法の使用。
【国際調査報告】