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特表2024-538551駆出率が保たれた心不全(HFpEF)の尤度を生成する方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-23
(54)【発明の名称】駆出率が保たれた心不全(HFpEF)の尤度を生成する方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/00 20180101AFI20241016BHJP
   A61B 8/14 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
G16H50/00
A61B8/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518390
(86)(22)【出願日】2022-08-26
(85)【翻訳文提出日】2024-03-28
(86)【国際出願番号】 EP2022073836
(87)【国際公開番号】W WO2023046413
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】63/247,823
(32)【優先日】2021-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】21202598.5
(32)【優先日】2021-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】サデギ セイェダリ
(72)【発明者】
【氏名】ラフター パトリック ガブリエルズ
【テーマコード(参考)】
4C601
5L099
【Fターム(参考)】
4C601DD03
4C601DD15
4C601DD27
4C601JC06
5L099AA03
(57)【要約】
対象者についての駆出率が保たれた心不全HFpEFの視覚化された尤度を提供する方法であって、方法が、(i)対象者の心臓の超音波解析の結果を受信するステップ(120)と、(ii)受信した超音波解析から複数の超音波バイオマーカーを抽出するステップ(130)と、(iii)対象者についての心臓硬度の測定結果を受信するステップ(122)と、(iv)対象者に関する臨床情報を受信するステップ(124)と、(v)訓練された心不全モデルを使用して、複数の超音波バイオマーカー、心臓硬度の測定結果、及び対象者に関する臨床情報を解析し、複数のHFpEFの病因のうちの少なくとも1つの尤度を生成するステップ(140)であって、複数のHFpEFの病因のうちの少なくとも1つの尤度が、対象者が駆出率が保たれた心不全に罹患している尤度を含む、ステップ(140)と、(vi)複数のHFpEFの病因のうちの少なくとも1つの生成した尤度の視覚化を表示するステップ(150)とを有する、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者についての駆出率が保たれた心不全(HFpEF)の視覚化された尤度を提供する方法であって、前記方法が、
今回の超音波検査からの前記対象者の心臓の超音波解析の結果を受信するステップと、
前記超音波解析の受信した前記結果から複数の超音波バイオマーカーを抽出するステップと、
前記今回の超音波検査及び/又は以前の超音波検査からの前記対象者の心臓の心臓硬度の測定結果を受信するステップと、
前記対象者に関する臨床情報を受信するステップと、
訓練された心不全モデルを使用して、抽出した前記複数の超音波バイオマーカー、受信した前記心臓硬度の測定結果、及び前記対象者に関する受信した前記臨床情報を解析し、複数のHFpEFの病因のうちの少なくとも1つの尤度を生成するステップであって、複数のHFpEFの病因のうちの少なくとも1つの生成した前記尤度が、前記対象者が駆出率が保たれた心不全に罹患している尤度を含む、ステップと、
複数のHFpEFの病因のうちの少なくとも1つの生成した前記尤度の視覚化をユーザインタフェースに表示するステップと
を有する、方法。
【請求項2】
前記複数のHFpEFの病因が、心アミロイドーシス、冠動脈疾患、高血圧症、心膜疾患、肥大型心筋症、及び弁膜症を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記対象者の心臓の1つ又は複数の以前のイメージング解析の結果を受信するステップであって、前記イメージング解析が、超音波イメージング又は別のイメージングモダリティである、ステップと、
以前のイメージング解析からの1つ又は複数の超音波バイオマーカーを受信するステップと
をさらに有し、
訓練された心不全モデルを使用して解析する前記ステップが、受信した前記1つ又は複数の以前のイメージング解析及び/或いは以前のイメージング解析からの前記1つ又は複数の超音波バイオマーカーをさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記表示するステップが、(i)前記対象者の氏名、(ii)前記超音波解析に関する1つ又は複数の詳細事項、(iii)複数のHFpEFの病因の各々の尤度、及び(iv)処置推奨を前記ユーザインタフェースに表示するステップをさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
抽出した前記複数の超音波バイオマーカーから1つ又は複数の超音波バイオマーカーが欠落していると判定するステップと、
欠落している前記1つ又は複数の超音波バイオマーカーについての要求を生成するステップと、
前記要求に応答して、欠落している前記1つ又は複数の超音波バイオマーカーのうちの少なくとも1つを受信するステップと
をさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の超音波バイオマーカーが、駆出率、長軸方向グローバルストレイン、血流伝搬速度、拡張早期の僧帽弁流入血流速度、拡張後期の僧帽弁流入血流速度、拡張早期の僧帽弁輪運動速度、拡張後期の僧帽弁輪運動速度、左房ボリューム係数、左室厚、隔壁厚、1つ又は複数の弁の厚さ、右室厚、相対的壁圧、三尖弁逆流速度、及び左室心筋重量係数のうちの1つ又は複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記対象者に関する前記臨床情報が、超音波検査タイプ、前記超音波解析の理由、前記対象者の年齢、前記対象者の性別、前記対象者の肥満指数、心房細動の状態又は診断、及び冠動脈疾患の状態又は診断のうちの1つ又は複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
心臓硬度が、心房キック法、弁閉鎖法、及び/又はせん断波法によって測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
対象者についての駆出率が保たれた心不全(HFpEF)の視覚化された尤度を提供するためのシステムであって、
訓練された心不全モデルと、
(i)今回の超音波検査からの前記対象者の心臓の超音波解析の結果を受信することと、(ii)前記超音波解析の受信した前記結果から複数の超音波バイオマーカーを抽出することと、(iii)前記今回の超音波検査及び/又は以前の超音波検査からの前記対象者の心臓の心臓硬度の測定結果を受信することと、(iv)前記対象者に関する臨床情報を受信することと、(v)前記訓練された心不全モデルを使用して、抽出した前記複数の超音波バイオマーカー、受信した前記心臓硬度の測定結果、及び前記対象者に関する受信した前記臨床情報を解析し、複数のHFpEFの病因のうちの少なくとも1つの尤度を生成することであって、複数のHFpEFの病因のうちの少なくとも1つの生成した前記尤度が、前記対象者が駆出率が保たれた心不全に罹患している尤度を含む、前記少なくとも1つの尤度を生成することと、(vi)複数のHFpEFの病因のうちの少なくとも1つの生成した前記尤度の視覚化を生成することとを行うプロセッサと、
複数のHFpEFの病因のうちの少なくとも1つの生成した前記尤度を提供するユーザインタフェースと
を備える、システム。
【請求項10】
前記複数のHFpEFの病因が、心アミロイドーシス、冠動脈疾患、高血圧症、心膜疾患、肥大型心筋症、及び弁膜症を含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記ユーザインタフェースが、(i)前記対象者の氏名、(ii)前記超音波解析に関する1つ又は複数の詳細事項、(iii)複数のHFpEFの病因の各々の尤度、及び(iv)処置推奨を表示することをさらに行う、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記プロセッサが、(i)抽出した前記複数の超音波バイオマーカーから1つ又は複数の超音波バイオマーカーが欠落していると判定することと、(ii)欠落している前記1つ又は複数の超音波バイオマーカーについての要求を生成することと、(iii)前記要求に応答して、欠落している前記1つ又は複数の超音波バイオマーカーのうちの少なくとも1つを受信することとをさらに行う、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記複数の超音波バイオマーカーが、駆出率、長軸方向グローバルストレイン、血流伝搬速度、拡張早期の僧帽弁流入血流速度、拡張後期の僧帽弁流入血流速度、拡張早期の僧帽弁輪運動速度、拡張後期の僧帽弁輪運動速度、左房ボリューム係数、左室厚、隔壁厚、1つ又は複数の弁の厚さ、右室厚、相対的壁圧、三尖弁逆流速度、及び左室心筋重量係数のうちの1つ又は複数を含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
(i)前記対象者に関する前記臨床情報が、超音波検査タイプ、前記超音波解析の理由、前記対象者の年齢、前記対象者の性別、前記対象者の肥満指数、心房細動の状態又は診断、及び冠動脈疾患の状態又は診断のうちの1つ又は複数を含み、且つ/或いは、(ii)心臓硬度が、心房キック法、弁閉鎖法、及び/又はせん断波法によって測定される、請求項9に記載のシステム。
【請求項15】
プロセッサによって実行されると、前記プロセッサが、請求項1に記載の方法を実行することを可能にするコンピュータプログラムコード命令を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、対象者についての駆出率が保たれた心不全の視覚化された尤度を提供する方法及びシステムを対象とする。
【背景技術】
【0002】
心不全は、心臓が正常充満圧を維持しながら十分な心拍出量を提供することができないこととして定義することができ、全世界の少なくとも2600万人に影響を及ぼしており、2030年までに46%増大する見込みである。心不全には、(1)駆出率が低下する心不全(HFrEF)と、(2)駆出率が保たれた心不全(HFpEF)との2つのタイプが存在する。心不全の事例の50%を構成する後者であるHFpEFは、拡張期の左室(LV)の弛緩障害、及び変性したLV機械特性、特に硬度が上昇することによって引き起こされる充満圧の増大を特徴とする。心アミロイドーシス、冠動脈疾患、弁膜症、肥大型心筋症(HCM)、心膜疾患、及び高血圧症などの症状により、HFpEFが発生する可能性がある。
【0003】
心エコー検査は、HFpEFのための主要なイメージングモダリティである。ただし、HFpEFは、鑑別診断に直接使用することはできない。HFpEFの診断には、既往及び身体検査、心エコー検査、並びに必要に応じた心カテーテル検査を含む現行ガイドラインがあるが、これらのガイドラインは複雑であり、ほとんど守られていない。これらのガイドラインを用いたとしても、HFpEFの根本原因を特定することは依然として困難である。
【0004】
一例として、心アミロイドーシスは、HFpEFの最も急激に進行する形態の1つであり、未治療の場合、診断からの生存期間中央値は、軽鎖アミロイドーシス(AL)で6ヶ月未満、トランスサイレチンアミロイドーシス(ATTR)で3~5年である。現在、ATTRアミロイドーシスの確定診断は、Tc-99m-PYP/DPD/HMDPイメージングを使用して行われる。心エコー検査は、通常、心不全を呈する患者に行われる最初の試験である。ただし、CAの典型的な心エコー的特徴は、進行疾患において最も顕著であり、心不全を引き起こすほど重篤であっても早期疾患では見逃されることがある。特に早期疾患では、心エコー検査は、アミロイドと、非アミロイドの浸潤性疾患又は左心室肥大(LVH)などの肥大型心疾患とを厳密に区別するための特異性が欠けている。したがって、現在、超音波は、特に早期段階におけるHFpEFの鑑別診断で役割を担っていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
心臓イメージングコミュニティでは、ケアの効率性及び有効性を改善し、より優れた患者アウトカムを得るために、HFpEFの鑑別診断の標準化が強く求められているということで一致している。現在、様々な機関にわたる上流の患者の臨床的状況を考慮して、様々なHFpEFの病因の尤度を予測するための広く受け入れられたインテリジェントな患者固有の方法は存在しない。したがって、心臓ケアイメージングの分野では、HFpEFの鑑別診断のためのインテリジェントなデータ駆動型意思決定支援ツールを確立することが緊要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、HFpEFの鑑別診断のための方法及びシステムの継続的な必要性が存在する。本明細書における様々な実施形態及び実装形態は、HFpEFの視覚化された尤度を生成し、提示するように構成された方法及びシステムを対象とする。例えば、患者解析システムなどのシステムは、対象者の心臓の超音波解析の結果を受信し、超音波解析の受信した結果から患者についての複数の超音波バイオマーカーを抽出する。本システムはまた、対象者の心臓についての心臓硬度の測定結果、及び対象者に関する臨床情報を受信する。次いで、患者解析システムは、複数のHFpEFの病因のうちの少なくとも1つの尤度を出力するように構成された訓練された心不全モデルを使用して、抽出した複数の超音波バイオマーカー、受信した心臓硬度の測定結果、及び対象者に関する受信した臨床情報を入力として解析する。訓練されたモデルの出力(複数のHFpEFの病因のうちの少なくとも1つの決定した尤度)は、駆出率が保たれた心不全に対象者が罹患している尤度を含む。次いで、本システムは、複数のHFpEFの病因のうちの少なくとも1つの生成した尤度の視覚化をシステムのユーザインタフェースに表示する。
【0007】
一般に、一態様では、対象者についての駆出率が保たれた心不全(HFpEF)の視覚化された尤度を提供する方法が提供される。本方法は、(i)今回の超音波検査からの対象者の心臓の超音波解析の結果を受信するステップと、(ii)超音波解析の受信した結果から複数の超音波バイオマーカーを抽出するステップと、(iii)今回の超音波検査及び/又は以前の超音波検査からの対象者の心臓の心臓硬度の測定結果を受信するステップと、(iv)対象者に関する臨床情報を受信するステップと、(v)訓練された心不全モデルを使用して、抽出した複数の超音波バイオマーカー、受信した心臓硬度の測定結果、及び対象者に関する受信した臨床情報を解析して、複数のHFpEFの病因のうちの少なくとも1つの尤度を生成するステップであって、複数のHFpEFの病因のうちの少なくとも1つの生成した尤度が、対象者が駆出率が保たれた心不全に罹患している尤度を含む、ステップと、(vi)複数のHFpEFの病因のうちの少なくとも1つの生成した尤度の視覚化をユーザインタフェースに表示するステップとを有する。
【0008】
一実施形態によれば、複数のHFpEFの病因は、心アミロイドーシス、冠動脈疾患、高血圧症、心膜疾患、肥大型心筋症、及び弁膜症を含む。
【0009】
一実施形態によれば、本方法は、対象者の心臓の1つ又は複数の以前のイメージング解析の結果を受信するステップであって、イメージング解析が、超音波イメージング又は別のイメージングモダリティである、ステップと、以前のイメージング解析からの1つ又は複数の超音波バイオマーカーを受信するステップとをさらに有し、訓練された心不全モデルを使用して解析するステップが、受信した1つ又は複数の以前のイメージング解析及び/或いは以前のイメージング解析からの1つ又は複数の超音波バイオマーカーをさらに有する。
【0010】
一実施形態によれば、表示するステップが、(i)対象者の氏名、(ii)超音波解析に関する1つ又は複数の詳細事項、(iii)複数のHFpEFの病因の各々の尤度、及び(iv)処置推奨をユーザインタフェースに表示するステップをさらに有する。
【0011】
一実施形態によれば、本方法は、抽出した複数の超音波バイオマーカーから1つ又は複数の超音波バイオマーカーが欠落していると判定するステップと、欠落している1つ又は複数の超音波バイオマーカーについての要求を生成するステップと、要求に応答して、欠落している1つ又は複数の超音波バイオマーカーのうちの少なくとも1つを受信するステップとをさらに有する。
【0012】
一実施形態によれば、複数の超音波バイオマーカーが、駆出率、長軸方向グローバルストレイン、血流伝搬速度、拡張早期の僧帽弁流入血流速度、拡張後期の僧帽弁流入血流速度、拡張早期の僧帽弁輪運動速度、拡張後期の僧帽弁輪運動速度、左房ボリューム係数、左室厚、隔壁厚、1つ又は複数の弁の厚さ、右室厚、相対的壁圧、三尖弁逆流速度、及び左室心筋重量係数のうちの1つ又は複数を含む。
【0013】
一実施形態によれば、対象者に関する臨床情報は、超音波検査タイプ、超音波解析の理由、対象者の年齢、対象者の性別、対象者の肥満指数、心房細動の状態又は診断、及び冠動脈疾患の状態又は診断のうちの1つ又は複数を含む。
【0014】
一実施形態によれば、心臓硬度は、心房キック法、弁閉鎖法、及び/又はせん断波法によって測定される。
【0015】
第2の態様によれば、これは、対象者についての駆出率が保たれた心不全(HFpEF)の視覚化された尤度を提供するためのシステムが提供される。本システムは、訓練された心不全モデルと、(i)今回の超音波検査からの対象者の心臓の超音波解析の結果を受信することと、(ii)超音波解析の受信した結果から複数の超音波バイオマーカーを抽出することと、(iii)今回の超音波検査及び/又は以前の超音波検査からの対象者の心臓の心臓硬度の測定結果を受信することと、(iv)対象者に関する臨床情報を受信することと、(v)訓練された心不全モデルを使用して、抽出した複数の超音波バイオマーカー、受信した心臓硬度の測定結果、及び対象者に関する受信した臨床情報を解析して、複数のHFpEFの病因のうちの少なくとも1つの尤度を生成することであって、複数のHFpEFの病因のうちの少なくとも1つの生成した尤度が、対象者が駆出率が保たれた心不全に罹患している尤度を含む、少なくとも1つの尤度を生成することと、(vi)複数のHFpEFの病因のうちの少なくとも1つの生成した尤度の視覚化を生成することとを行うように構成されたプロセッサと、複数のHFpEFの病因のうちの少なくとも1つの生成した尤度を提供するように構成されたユーザインタフェースとを備える。
【0016】
一実施形態によれば、ユーザインタフェースは、(i)対象者の氏名、(ii)超音波解析に関する1つ又は複数の詳細事項、(iii)複数のHFpEFの病因の各々の尤度、及び(iv)処置推奨を表示するようにさらに構成される。
【0017】
一実施形態によれば、プロセッサは、(i)抽出した複数の超音波バイオマーカーから1つ又は複数の超音波バイオマーカーが欠落していると判定することと、(ii)欠落している1つ又は複数の超音波バイオマーカーについての要求を生成することと、(iii)要求に応答して、欠落している1つ又は複数の超音波バイオマーカーのうちの少なくとも1つを受信することとを行うようにさらに構成される。
【0018】
第3の態様によれば、これは、プロセッサによって実行されると、プロセッサが以下のステップを有する方法を実行することを可能にするコンピュータプログラムコード命令を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体が提供され、方法のステップは、(i)今回の超音波検査からの対象者の心臓の超音波解析の結果を受信するステップと、(ii)超音波解析の受信した結果から複数の超音波バイオマーカーを抽出するステップと、(iii)今回の超音波検査及び/又は以前の超音波検査からの対象者の心臓の心臓硬度の測定結果を受信するステップと、(iv)対象者に関する臨床情報を受信するステップと、(v)訓練された心不全モデルを使用して、抽出した複数の超音波バイオマーカー、受信した心臓硬度の測定結果、及び対象者に関する受信した臨床情報を解析して、複数のHFpEFの病因のうちの少なくとも1つの尤度を生成するステップであって、複数のHFpEFの病因のうちの少なくとも1つの生成した尤度が、対象者が駆出率が保たれた心不全に罹患している尤度を含む、ステップと、(vi)複数のHFpEFの病因のうちの少なくとも1つの生成した尤度の視覚化をユーザインタフェースに表示するステップとを有する。
【0019】
以下でより詳細に論じる上記概念及び追加の概念のあらゆる組合せは(そのような概念が相互に矛盾しないという条件で)、本明細書で開示される発明的主題の一部であることが企図されることを理解されたい。特に、本開示の最後に登場する特許請求される主題のあらゆる組合せは、本明細書で開示される発明的主題の一部であることが企図される。参照によって組み込まれる任意の開示にも登場する本明細書で明示的に採用される技術用語は、本明細書で開示される特定の概念と最も一致する意味が与えられるべきであることも理解されたい。
【0020】
様々な実施形態のこれら及び他の態様は、以下で説明する実施形態を参照すれば明らかとなり、解明されるであろう。
【0021】
図面において、同様の参照符号は、一般に、様々な図を通して同じ部分を指す。様々な実施形態を実施する特徴及び手法を示す図は、添付の特許請求の範囲内に入る他の可能な実施形態に対する限定として解釈されるべきではない。また、図面は必ずしも縮尺通りではなく、その代わり、一般に、様々な実施形態の原理を例示することに強調が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】一実施形態による、対象者についてのHFpEFの視覚化された尤度を提供する方法のフローチャートである。
図2】一実施形態による、患者解析システムの概略図である。
図3】一実施形態による、心臓硬度の測定結果の概略図である。
図4】一実施形態による、患者解析システムの訓練された心不全モデルとの間の入力及び出力のフローチャートである。
図5】一実施形態による、患者解析システムの心不全モデルを訓練する方法のフローチャートである。
図6】一実施形態による、HFpEFの視覚化の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示は、対象者についてのHFpEFの視覚化された尤度を生成して、提示するように構成されたシステム及び方法の様々な実施形態について説明する。より一般的には、HFpEFの鑑別診断のためのインテリジェントなデータ駆動型意思決定支援ツールを提供することが有益であると認められ、評価されている。したがって、患者解析システムは、対象者の心臓の超音波解析の結果を受信し、超音波解析の受信した結果から患者についての複数の超音波バイオマーカーを抽出する。本システムはまた、対象者の心臓についての心臓硬度の測定結果、及び対象者に関する臨床情報を受信する。次いで、患者解析システムは、複数のHFpEFの病因のうちの少なくとも1つの尤度を出力するように構成された訓練された心不全モデルを使用して、抽出した複数の超音波バイオマーカー、受信した心臓硬度の測定結果、及び対象者に関する受信した臨床情報を入力として解析する。訓練されたモデルの出力(複数のHFpEFの病因のうちの少なくとも1つの決定した尤度)は、対象者が、駆出率が保たれた心不全に罹患している尤度を含む。次いで、本システムは、複数のHFpEFの病因のうちの少なくとも1つの生成した尤度の視覚化をシステムのユーザインタフェースに表示する。生成した尤度の視覚化は、次いで、対象者についてのヘルスケア処置を実施するために、医療従事者によって利用され得る。
【0024】
一実施形態によれば、本明細書で説明されるか又は別法で想定されるシステム及び方法は、いくつかの非限定的な実施形態において、超音波イメージング若しくは解析のための市販製品の一要素として、Philips(登録商標)IntelliSpace Cardiovascular(ISCV)(Koninklijke Philips NV、the Netherlandsから入手可能)などの心血管解析のための市販製品の一要素として、Philips Patient Flow Capacity Suite(PFCS)などの患者解析若しくはモニタリングのための市販製品の一要素として、又は任意の好適なシステムの一要素として実装(実施)され得る。
【0025】
図1を参照すると、一実施形態において、本図は、患者解析システムを使用して患者のHFpEFの尤度を解析又は決定する方法100のフローチャートである。図に関して説明した方法は、例示としてのみ提供され、本開示の範囲を限定するものではないことを理解されたい。患者解析システムは、本明細書で説明されるか又は別法で想定されるシステムのいずれかとすることができる。患者解析システムは、単一のシステム又は複数の異なるシステムとすることができる。
【0026】
本方法のステップ110において、患者解析システム200が提供される。例えば、図2に示す患者解析システム200の一実施形態を参照すると、システムは、1つ又は複数のシステムバス212を介して相互接続されたプロセッサ220、メモリ230、ユーザインタフェース240、通信インタフェース250、及びストレージ260のうちの1つ又は複数を備える。図2は、いくつかの点において、抽象化を構成しており、システム200のコンポーネントの実際の編成は、図示されるものと異なり、より複雑となる場合もあることが理解されよう。また、患者解析システム200は、本明細書で説明されるか又は別法で想定されるシステムのいずれかとすることができる。患者解析システム200の他の要素及びコンポーネントは、本明細書の他の場所で開示及び/又は想定される。
【0027】
本方法のステップ120において、患者解析システムは、対象者の心臓の超音波解析の結果を受信する。対象者の心臓の超音波解析は、本方法の下流ステップにおいて利用され得る、対象者に関する超音波データを提供するのに十分な任意の解析とすることができる。対象者の心臓の超音波解析は、本方法の下流ステップにおいて利用される超音波データを提供可能な任意の超音波方法論又はデバイスを使用して取得され得る。一実施形態によれば、対象者の心臓の超音波解析は、超音波デバイスによって取得された複数の画像を含み、且つ/又は複数の画像についてのレポートの要約を含む。
【0028】
一実施形態によれば、患者解析システム200は、必要とされる超音波画像又は解析を獲得可能な超音波デバイスを備える。別の実施形態によれば、患者解析システム200は、必要とされる超音波画像又は解析を獲得可能なローカル又はリモートの超音波デバイスと有線又は無線通信する。別の実施形態によれば、患者解析システム200は、超音波画像又は解析を保存するローカル又はリモートのデータベースと有線又は無線通信する。患者解析システム200は、これらのソースのうちの1つ又は複数から必要とされる超音波画像又は解析を取得することができる。
【0029】
一実施形態によれば、対象者の心臓の超音波解析は、対象者の通常診察の解析の一環として、又は患者が抱えている可能性のある若しくは既知の医学的問題に応答して超音波イメージングの専門家によって取得される。超音波解析は、本明細書で説明されるか又は別法で想定される方法及びシステムによる即時又は近々の解析のために実行又は取得されてもよいし、本明細書で説明されるか又は別法で想定される方法及びシステムによる将来の解析ために実行又は取得されてもよい。
【0030】
一実施形態によれば、対象者の心臓の超音波解析は、2D画像若しくは記録、3D画像若しくは記録、及び/又はこれらの両方を含む。
【0031】
本方法のステップ130において、患者解析システムは、超音波解析の受信した結果から複数の超音波バイオマーカーを抽出する。複数の超音波バイオマーカーは、超音波解析から抽出した任意のメトリック、測定結果、パラメータ、又は他のデータとすることができる。一実施形態によれば、複数の超音波バイオマーカーは、超音波解析の受信した結果から抽出したか又は超音波解析中に別法で取得した定量的パラメータである。超音波バイオマーカーは、超音波イメージングからのデータ抽出のための多種多様な方法のいずれかを使用して抽出され得る。一実施形態によれば、超音波デバイス又は患者解析システムに関連付けられたソフトウェア又はアルゴリズムによって、複数の超音波バイオマーカーのうちの1つ又は複数が自動的に取得又は抽出される。例えば、超音波ワークステーションソリューションを用いて複数の超音波バイオマーカーのうちの1つ又は複数が取得され得る。別の実施形態によれば、超音波解析中に複数の超音波バイオマーカーのうちの1つ又は複数が手動で取得又は抽出される。
【0032】
一実施形態によれば、複数の超音波バイオマーカーは、駆出率、長軸方向グローバルストレイン、血流伝搬速度、拡張早期の僧帽弁流入血流速度、拡張後期の僧帽弁流入血流速度、拡張早期の僧帽弁輪運動速度、拡張後期の僧帽弁輪運動速度、左房ボリューム係数、左室厚、隔壁厚、1つ又は複数の弁の厚さ、右室厚、相対的壁圧、三尖弁逆流速度、及び左室心筋重量係数のうちの1つ又は複数を含む。ただし、他の多くの超音波バイオマーカーも可能である。
【0033】
患者解析システムによって受信又は抽出された複数の超音波バイオマーカーは、データ処理の前又は後にすぐに利用されてもよいし、本方法のさらなるステップで使用するためにローカル又はリモートのストレージに保存されてもよい。
【0034】
一実施形態によれば、複数の超音波バイオマーカーから1つ又は複数の超音波バイオマーカーが欠落していることがある。したがって、本方法の任意選択のステップ132において、システムは、受信又は抽出した複数の超音波バイオマーカーから1つ又は複数の超音波バイオマーカーが欠落していると判定する。一実施形態によれば、システムは、本方法による下流解析のために必要とされる必要最低限の超音波バイオマーカーのリストを含むことができ、抽出又は受信した超音波バイオマーカーのセットを解析して、本方法による下流解析のために必要とされる必要最低限の超音波バイオマーカーの各々がセット内に存在しているかどうかを判定することができる。したがって、システムは、必要とされるすべての超音波バイオマーカーが存在していると判定する場合もあるし、受信又は抽出した超音波バイオマーカーのセットから1つ又は複数の必要とされる超音波バイオマーカーが欠落していると判定する場合もある。
【0035】
本方法の任意選択のステップ134において、システムは、受信又は抽出した超音波バイオマーカーのセットから1つ又は複数の必要とされる超音波バイオマーカーが欠落しているとの判定に応答して、欠落している1つ又は複数の超音波バイオマーカーについての要求を生成する。要求は、欠落している1つ又は複数の必要とされる超音波バイオマーカーの識別情報、欠落している1つ又は複数の必要とされる超音波バイオマーカーを取得するための命令、及び/或いは任意の他の情報を含み得る。要求は、別のシステムか、又はユーザインタフェースなどを通して医療専門家に提供され得る。要求は、ローカル又はリモートで通信され得る。
【0036】
本方法の任意選択のステップ136において、システムは、要求を通信したことに応答して欠落している1つ又は複数の超音波バイオマーカーのうちの少なくとも1つを受信する。例えば、医療専門家は、要求を受信した後、超音波イメージングの追加の解析を実行すること、又は追加の超音波イメージングを実行して欠落している情報を取得することなどによって、欠落している1つ又は複数の超音波バイオマーカーを取得する。別の実施形態によれば、要求は、超音波デバイス又は解析システムなどの別のシステムに通信され、このシステムは、欠落している1つ又は複数の超音波バイオマーカーを自動的に抽出するか又は別法で識別することができ、取得したデータを患者解析システムに自動的に返すことができる。
【0037】
本方法のステップ122において、患者解析システムは、対象者の心臓についての心臓硬度の測定結果を受信又は取得する。対象者の心臓についての心臓硬度の測定結果は、そのような測定結果を取得するための複数の異なる方法のうちの1つ又は複数を使用して取得され得る。
【0038】
一実施形態によれば、拡張後期の心房キック(AK)に続く左心室(LV)充満は、心筋硬度に関連した速度で伝搬するLV心筋伸展を発生させる。心筋硬度における変化は、心疾患、特にHFpEFに関連することが示されているため、心臓硬度の測定ツールは、HFpEFの鑑別診断を補足する。ただし、心臓硬度の測定は、既存の院内ワークフローの一環ではないため、心臓硬度を入力として使用することにより、追加の値と、HFpEFの病因の尤度の推定における精度及び再現性の向上とがもたらされる。
【0039】
一実施形態によれば、対象者の心臓の心臓硬度の測定結果は、高フレームのイメージングモードと組織イメージングを処理することが可能なアルゴリズムとの組合せが心臓組織の弾性を自動的に算出する、心臓硬度の非侵襲的推定のための半自動の方法論を使用して取得することができる。図3を参照すると、一実施形態において、本図は、平均心臓硬度(波速度値)、すべての有効速度測定値、及び変動性を示す箱ひげ図を含む、提案した心臓硬度の特徴の出力を示す説明図である。
【0040】
一実施形態によれば、心臓硬度(波速度)の測定は、他の方法に基づき得る。例えば、一部のHFpEF患者は、心房細動の症状を抱えており、これらの患者ではAKが失われているため、AKベースの特徴を使用した心臓硬度の測定は、最適ではない場合がある。HFpEF患者のこれらの群では、心臓硬度は、僧帽弁閉鎖(拡張後期時)及び大動脈弁閉鎖(拡張早期)後の自然せん断波速度の測定や、超音波プローブ自体によって生じるプッシュパルスを使用した外部せん断波速度の測定などの他の方法に基づいて測定され得る。その後、硬度測定の結果は、HFpEFの病因の尤度推定のための方法の下流ステップによって利用され得る。
【0041】
患者解析システムによって受信又は抽出された心臓硬度の測定結果は、データ処理の前又は後に、すぐに利用されてもよいし、本方法のさらなるステップで使用するためにローカル又はリモートのストレージに保存されてもよい。
【0042】
本方法のステップ124において、患者解析システムは、対象者に関する臨床情報を受信する。対象者に関する臨床情報は、複数のHFpEFの病因のうちの少なくとも1つの尤度を出力するように構成された訓練された心不全モデルへの入力を含む、本方法の任意の下流ステップに関連性があるか又はそのようなステップで有用な任意の情報とすることができる。一実施形態によれば、対象者に関する臨床情報は、多くのタイプの臨床情報の中でもとりわけ、超音波検査タイプ、超音波解析の理由、対象者の年齢、対象者の性別、対象者の肥満指数、心房細動の状態又は診断、冠動脈疾患の状態又は診断、医学的処置、及び医学的診断のうちの1つ又は複数を含む。例えば、年齢は、E(拡張早期の僧帽弁流入血流速度)、A(拡張後期の僧帽弁流入血流速度)、及びE/Aを含む、拡張期パラメータの解釈に影響を及ぼす。また、A及びE/Aの評価は、AF患者において困難であり、Eは、CADの既往のある患者において困難である。そのため、これらの臨床情報データは、HFpEFの診断に影響を及ぼす重要因子となり得る。したがって、受信した情報は、本明細書で説明されるか又は別法で想定されるように患者解析に関連性のある任意の情報とすることができる。
【0043】
患者解析システムは、様々な異なるソースから患者臨床情報を受信することができる。一実施形態によれば、患者解析システムは、患者臨床情報がそこから取得又は受信される電子カルテデータベースと通信する。一実施形態によれば、患者解析システムは、任意選択でシステム200と直接及び/又は間接的に通信する電子カルテデータベース又はシステム270を備える。別の実施形態によれば、患者解析システムは、患者から直接情報を取得する機器又は医療従事者からその情報を取得又は受信する。
【0044】
患者解析システムによって受信された患者臨床情報は、限定されないが、本明細書で説明されるか又は別法で想定される方法を含む、データ取扱い及び処理/準備のための方法に従ってシステムによって処理される。患者解析システムによって受信された患者臨床情報は、処理の前又は後にすぐに利用されてもよいし、本方法のさらなるステップで使用するためにローカル又はリモートのストレージに保存されてもよい。
【0045】
本方法の任意選択のステップ126において、患者解析システムは、対象者の心臓の1つ又は複数の以前のイメージング解析の結果を受信する。一実施形態によれば、イメージング解析は、超音波イメージング又は別のイメージングモダリティである。一実施形態によれば、超音波及びMRにおける異なる長軸方向ストレイン値など、特に超音波から取得したパラメータとMRIから取得したパラメータとの間に不一致がある場合、以前の心臓MR画像又はCT画像は、最終的な診断的決定に影響を及ぼす。
【0046】
本方法の任意選択のステップ128において、患者解析システムは、対象者について取得した以前のイメージング解析からの対象者の1つ又は複数の超音波バイオマーカーを受信する。一実施形態によれば、以前の解析からの超音波バイオマーカーは、トレンドデータに関して追加の診断的値を提供する。例えば、アミロイドーシスの疑いについてのバイオマーカーが以前の検査から今回の検査にかけて上昇している場合、これは、アミロイドーシスについての危険信号となり得る。多くの他の例が可能である。
【0047】
対象者の心臓の1つ又は複数の以前のイメージング解析の受信した結果、及び/或いは対象者について取得した以前のイメージング解析からの対象者の受信した1つ又は複数の超音波バイオマーカーは、処理の前又は後に、すぐに利用されてもよいし、本方法のさらなるステップで使用するためにローカル又はリモートのストレージに保存されてもよい。
【0048】
本方法のステップ140において、患者解析システムの訓練された心不全モデルは、受信した入力を解析して、複数のHFpEFの病因のうちの少なくとも1つの尤度を生成する。複数のHFpEFの病因のうちの少なくとも1つの生成した尤度は、対象者が駆出率が保たれた心不全に罹患している尤度を含む。一実施形態によれば、複数のHFpEFの病因は、心アミロイドーシス、冠動脈疾患、高血圧症、心膜疾患、肥大型心筋症、及び弁膜症を含むが、より少ない又はより多くのHFpEFの病因も可能である。
【0049】
一実施形態によれば、患者解析システムの訓練された心不全モデルへの入力は、抽出した複数の超音波バイオマーカー、受信した心臓硬度の測定結果、及び対象者に関する受信した臨床情報を含む。別の実施形態によれば、患者解析システムの訓練された心不全モデルへの入力は、対象者の心臓の1つ又は複数の以前のイメージング解析の受信した結果、及び/或いは対象者について取得した以前のイメージング解析からの対象者の受信した1つ又は複数の超音波バイオマーカーをさらに含む。訓練された心不全モデルへの他の入力も可能である。
【0050】
図4を参照すると、一実施形態において、本図は、患者解析システムの訓練された心不全モデルとの間の入力及び出力を示す説明図400である。一実施形態によれば、患者解析システムの訓練された心不全モデルへの入力は、受信した心臓硬度の測定結果、抽出した複数の超音波バイオマーカー、対象者に関する受信した臨床情報、対象者について取得した以前のイメージング解析からの対象者の受信した1つ又は複数の超音波バイオマーカー、及び/或いは対象者の心臓の1つ又は複数の以前のイメージング解析の受信した結果のうちの1つ又は複数を含む。一実施形態によれば、患者解析システムの訓練された心不全モデルからの出力は、心アミロイドーシス、冠動脈疾患、高血圧症、弁膜症、心膜疾患、及び肥大型心筋症などの1つ又は複数のHFpEFの病因についての尤度を含むが、より少ない又はより多くのHFpEFの病因も可能である。
【0051】
一実施形態によれば、患者解析システムの訓練された心不全モデルは、本明細書で説明されるか又は別法で想定されるように多種多様な様々な分類器及び/又は機械学習アルゴリズムを使用して複数のHFpEFのうちの少なくとも1つの尤度を生成することができる。一実施形態によれば、患者解析システムの訓練された心不全モデルは、多種多様な方法及びアプローチに従って訓練され得る。一例として、モデルは、ニューラルネットワークアプローチを含む。
【0052】
図5を参照すると、一実施形態において、本図は、患者解析システムの心不全モデルを訓練する方法500のフローチャートである。本方法のステップ510において、システムは、過去の患者データなど、複数の患者に関する訓練データを含む訓練データセットを受信する。訓練データは、心臓硬度の測定結果、超音波バイオマーカー、患者に関する臨床情報、患者について取得した以前のイメージング解析からの患者の受信した1つ又は複数の超音波バイオマーカー、及び/或いは患者の心臓の1つ又は複数の以前のイメージング解析の受信した結果のうちの1つ又は複数などの入力を含み得る。訓練データはまた、複数の患者の各々に対するHFpEFの診断又はHFpEFなしの診断を含み得る。訓練データは、1つ又は複数のデータベースに保存され、且つ/又はそのようなデータベースから受信される。データベースは、ローカル及び/又はリモートのデータベースである。例えば、患者再入院リスク解析システムは、訓練データのデータベースを含む。
【0053】
一実施形態によれば、患者解析システムは、受信した訓練データを処理するように構成されたデータプリプロセッサ又は同様のコンポーネント若しくはアルゴリズムを含む。例えば、データプリプロセッサは、訓練データを解析して、ノイズ、バイアス、エラー、及び他の潜在的な問題を除去する。データプリプロセッサはまた、入力データを解析して、低品質データを除去する。データ前処理又はデータポイントの識別及び/若しくは抽出の多くの他の形態も可能である。
【0054】
本方法のステップ520において、システムは、機械学習アルゴリズムを訓練し、このアルゴリズムは、説明されるか又は別法で想定されるように入力情報を解析する際に利用されるアルゴリズムとなる。機械学習アルゴリズムは、機械学習アルゴリズムを訓練するための知られた方法に従って、訓練データセットを使用して訓練される。一実施形態によれば、アルゴリズムは、複数のHFpEFの病因のうちの少なくとも1つの尤度を生成するように、処理された訓練データセットを使用して訓練される。複数のHFpEFの病因のうちの少なくとも1つの生成した尤度は、対象者が駆出率が保たれた心不全に罹患している尤度を含む。一実施形態によれば、アルゴリズムはまた、決定した1つ又は複数の尤度に基づいて1つ又は複数の介入推奨を生成するように、処理された訓練データセットを使用して訓練される。
【0055】
本方法のステップ530において、患者解析システムの訓練された心不全モデルは、将来の使用のために保存される。一実施形態によれば、モデルは、ローカル又はリモートのストレージに保存される。
【0056】
一実施形態によれば、所与の上流の患者の臨床状況ごとに心臓専門医の専門家チームによって解析された、レトロスペクティブ又はプロスペクティブ研究においてHFpEF患者から取得した侵襲/最小侵襲フォローアップ診断試験(生検、PET、又はCMR)の確定結果から、様々なHFpEFの病因の予想尤度についてのグランドトゥルースを収集することができる。結合データ(超音波イメージング及び心臓硬度の測定結果から取得した今回の検査におけるイベント、他の画像モダリティの以前の測定結果、並びに電子カルテから取得した過去の臨床パラメータ)は、次いで、提案したAIモデルを使用した学習又は表示のために保存及び処理される。この教師あり学習アプローチは、鑑別的HFpEF尤度推定のための特定の機関に依存しないツールとなり得る。自己学習アルゴリズムなどのAIベースの学習ネットワークの精度は、それに対してより多くのデータを追加することによって経時的に強化される。
【0057】
図1の方法100を参照すると、本方法のステップ150において、複数のHFpEFの病因のうちの少なくとも1つの生成した尤度の視覚化が、患者解析システムのユーザインタフェースを介して医療専門家又は他のユーザに表示される。一実施形態によれば、複数のHFpEFの病因は、心アミロイドーシス、冠動脈疾患、高血圧症、心膜疾患、肥大型心筋症、及び弁膜症を含む。一実施形態によれば、表示は、多くのタイプの情報の中でもとりわけ、対象者の氏名、超音波解析に関する1つ又は複数の詳細事項、複数のHFpEFの病因の各々の尤度、及び/或いは処置推奨をさらに含む。
【0058】
一実施形態によれば、情報は、有線及び/又は無線通信によって、ユーザインタフェース及び/又は別のデバイスに通信される。例えば、システムは、携帯電話、コンピュータ、ラップトップ、ウェアラブルデバイス、並びに/又はレポートの表示及び/若しくは他の通信を可能にするように構成された任意の他のデバイスに情報を通信する。ユーザインタフェースは、情報の伝達及び/又は受信を可能にする任意のデバイス又はシステムとすることができ、ユーザコマンドを受信するためのディスプレイ、マウス、及び/又はキーボードを含む。
【0059】
図6を参照すると、一実施形態において、本図は、心アミロイドーシス、冠動脈疾患、高血圧症、心膜疾患、肥大型心筋症、及び弁膜症を含む、複数のHFpEFの病因の生成した尤度の可能性のある視覚化の概略図である。例えば、心アミロイドーシスのHFpEFの病因の尤度は、80%であり、これは、懸念、警報の所定の閾値又は他の閾値を上回り得る。80%の尤度は、「心アミロイドーシスの疑いあり」という備考の提供や「フォローアップのPET検査が推奨されます」という推奨を生じさせる。表示はまた、患者の氏名、検査日、及び今回の超音波検査に関する詳細事項などの情報を含む。
【0060】
患者解析システムの一実施形態によれば、システムは、本明細書で説明されるか又は別法で想定される方法を容易にするためのユーザインタフェースを備え得る。したがって、ユーザインタフェースは、超音波スキャナのタッチパネル、又はPhilips Intellispace Cardiovascular(ISCV)プラットフォームなどのワークスペース上に現れる、ユーザがアプリケーションを起動するための「鑑別的HFpEF診断のための意思決定支援ツール」ボタン又はアクティベータを含み得る。
【0061】
患者解析システムの一実施形態によれば、システムは、ユーザに、(スキャナで今回の収集をするために)自動心臓硬度測定ツールを始動させるか又は(結果が既に利用可能な場合には)以前の硬度測定の結果をロードするように求める。
【0062】
患者解析システムの一実施形態によれば、患者解析システムのAI予測モデルは、硬度、他の超音波バイオマーカー、他のモダリティからの以前の測定結果、及び/又は上流の患者臨床状況を含む入力を使用して自動的に実施される。超音波バイオマーカーの一部が欠落している場合、ユーザは、自動化された測定ツールを使用することも含めて、それらを提供/測定するように求められる。
【0063】
患者解析システムの一実施形態によれば、システムは、様々なHFpEFの病因の尤度を示すユーザインタフェースダッシュボードを含む。ユーザに次のステップを推奨するために、ユーザインタフェースに何らかの備考や推奨が現れる場合もある。
【0064】
HFpEFの病因の尤度に加えて、心臓診断領域に関連した他の利用可能なインハウスの超音波ベースの特徴(LA指数ツール、再構成されたPVループ、石灰化スコア等)が、HFpEFの鑑別診断の追加の臨床的意思決定支援のためにダッシュボードに提供され得る。
【0065】
図1に示す方法100の任意選択のステップ160において、生成した尤度の視覚化は、対象者のヘルスケア処置を実施するために医療従事者によって利用され得る。例えば、医師又は他の意思決定者は、患者ケアの意思決定を行うために1つ又は複数のHFpEFの病因の表示された生成した尤度を利用する。例えば、ヘルスケア推奨は、1つ又は複数のHFpEFの病因の決定した尤度に基づく、1つ又は複数のHFpEFの病因に対処するように構成された特定の処置を開始、継続、又は停止させる推奨を含む。実施事項は、処方箋、指示、追加の試験、及び/又は他の実施事項を含み得る。多くの他の実施事項も可能である。
【0066】
図2を参照すると、本図は、患者解析システム200の概略図である。システム200は、本明細書で説明されるか又は別法で想定されるシステムのいずれかであり、本明細書で説明されるか又は別法で想定されるコンポーネントのいずれかを含む。図2は、いくつかの点において、抽象化を構成しており、システム200のコンポーネントの実際の編成は、図示されているものと異なり、より複雑となる場合もあることが理解されよう。
【0067】
一実施形態によれば、システム200は、例えば、本方法の1つ又は複数のステップを実行するために、メモリ230若しくはストレージ260に保存された命令を実行するか又は別法でデータを処理することが可能なプロセッサ220を備える。プロセッサ220は、1つ又は複数のモジュールで形成されてもよい。プロセッサ220は、限定されないが、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、複数のマイクロコントローラ、回路構成、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、単一のプロセッサ、又は複数のプロセッサを含む、任意の好適な形態を取る。
【0068】
メモリ230は、不揮発性メモリ及び/又はRAMを含む、任意の好適な形態を取る。メモリ230は、例えば、L1、L2、若しくはL3キャッシュ又はシステムメモリなどの様々なメモリを含む。そのため、メモリ230は、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、フラッシュメモリ、リードオンリーメモリ(ROM)、又は他の同様のメモリデバイスを含む。メモリは、とりわけ、オペレーティングシステムを保存することができる。RAMは、データの一時的な保存のためにプロセッサによって使用される。一実施形態によれば、オペレーティングシステムは、プロセッサによって実行されると、システム200の1つ又は複数のコンポーネントの動作を制御するコードを含む。プロセッサが、本明細書で説明される機能のうちの1つ又は複数をハードウェアで実施する場合、他の実施形態においてそのような機能に対応するものとして説明されるソフトウェアが省略されることは明らかであろう。
【0069】
ユーザインタフェース240は、ユーザとの通信を可能にするための1つ又は複数のデバイスを含む。ユーザインタフェースは、情報の伝達及び/又は受信を可能にする任意のデバイス又はシステムとすることができ、ユーザコマンドを受信するためのディスプレイ、マウス、及び/又はキーボードを含む。いくつかの実施形態では、ユーザインタフェース240は、通信インタフェース250を介してリモート端末に提示されるコマンドラインインタフェース又はグラフィカルユーザインタフェースを含む。ユーザインタフェースは、システムの1つ又は複数の他のコンポーネントとともに配置されてもよいし、システムから離れた場所に配置され、有線及び/又は無線通信ネットワークを介して通信してもよい。
【0070】
通信インタフェース250は、他のハードウェアデバイスとの通信を可能にするための1つ又は複数のデバイスを含む。例えば、通信インタフェース250は、イーサネットプロトコルに従って通信するように構成されたネットワークインタフェースカード(NIC)を含む。また、通信インタフェース250は、TCP/IPプロトコルに従って通信するためのTCP/IPスタックを実装する。通信インタフェース250のための様々な代替又は追加のハードウェア又は構成が明らかであろう。
【0071】
ストレージ260は、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、又は同様の記憶媒体などの1つ又は複数の機械可読記憶媒体を含む。様々な実施形態において、ストレージ260は、プロセッサ220による実行のための命令又はプロセッサ220が動作するデータを保存する。例えば、ストレージ260は、システム200の各種動作を制御するためのオペレーティングシステム261を保存する。
【0072】
ストレージ260に保存されるものとして説明される様々な情報が、メモリ230に追加又は代替として保存されることは明らかであろう。この点に関して、メモリ230はまた、記憶デバイスを構成するものとして見なされ、ストレージ260は、メモリと見なされる。様々な他の配置構成も明らかであろう。さらに、メモリ230及びストレージ260は、ともに非一時的機械可読媒体として見なされる。本明細書で使用する場合、非一時的という用語は、一時的信号を除外するが、揮発性及び不揮発性メモリの両方を含む、あらゆる形態のストレージを含むことが理解されよう。
【0073】
システム200は、説明した各コンポーネントを1つずつ含むものとして示されているが、様々な実施形態において、各種コンポーネントが複製されてもよい。例えば、プロセッサ220は、本明細書で説明される方法を独立に実行するように構成されるか、又は本明細書で説明した機能を達成するために複数のプロセッサが協働するように、本明細書で説明される方法のステップ若しくはサブルーチンを実行するように構成された複数のマイクロプロセッサを含んでもよい。さらに、システム200の1つ又は複数のコンポーネントがクラウドコンピューティングシステムにおいて実装される場合、各種ハードウェアコンポーネントが、別個の物理的システムに属してもよい。例えば、プロセッサ220は、第1のサーバにおける第1のプロセッサと、第2のサーバにおける第2のプロセッサとを含む。多くの他の変形及び構成が可能である。
【0074】
一実施形態によれば、電子カルテシステム270は、臨床情報を含む、患者に関する情報がそこから取得又は受信される電子カルテデータベースである。電子カルテデータベースは、ローカル又はリモートのデータベースであり、患者解析システム200と直接及び/又は間接的に通信する。したがって、一実施形態によれば、患者解析システムは、電子カルテデータベース又はシステム270を備える。
【0075】
一実施形態によれば、システムは、必要とされる超音波画像又は解析を獲得することが可能な1つ又は複数の超音波デバイス280を備える。別の実施形態によれば、患者解析システム200は、必要とされる超音波画像又は解析を獲得することが可能なローカル又はリモートの超音波デバイス280と有線又は無線通信する。別の実施形態によれば、患者解析システム200は、超音波画像又は解析を保存するローカル又はリモートのデータベース280と有線又は無線通信する。患者解析システム200は、これらのソースのうちの1つ又は複数から必要とされる超音波画像又は解析を取得することができる。
【0076】
一実施形態によれば、システム200のストレージ260は、本明細書で説明されるか又は別法で想定される方法の1つ又は複数の機能又はステップを実行するための11つ又は複数のアルゴリズム、モジュール、及び/又は命令を保存する。例えば、システムは、命令又はデータの中でもとりわけ、超音波バイオマーカー抽出命令262,訓練された心不全モデル263、及び/又は報告命令264を含む。
【0077】
一実施形態によれば、超音波バイオマーカー抽出命令262は、システムに、超音波解析の受信した結果から複数の超音波バイオマーカーを抽出するように指示する。複数の超音波バイオマーカーは、限定されないが、駆出率、長軸方向グローバルストレイン、血流伝搬速度、拡張早期の僧帽弁流入血流速度、拡張後期の僧帽弁流入血流速度、拡張早期の僧帽弁輪運動速度、拡張後期の僧帽弁輪運動速度、左房ボリューム係数、左室厚、隔壁厚、1つ又は複数の弁の厚さ、右室厚、相対的壁圧、三尖弁逆流速度、及び左室心筋重量係数のうちの1つ又は複数を含む、超音波解析から抽出した任意のメトリック、測定結果、パラメータ、又は他のデータとすることができる。超音波バイオマーカーは、超音波イメージングからのデータ抽出のための多種多様な方法のいずれかを使用して抽出され得る。一実施形態によれば、超音波デバイス又は患者解析システムに関連付けられたソフトウェア又はアルゴリズムによって、複数の超音波バイオマーカーのうちの1つ又は複数が自動的に取得又は抽出される。例えば、超音波ワークステーションソリューションを用いて複数の超音波バイオマーカーのうちの1つ又は複数が取得され得る。別の実施形態によれば、超音波解析中に複数の超音波バイオマーカーのうちの1つ又は複数が手動で取得又は抽出される。
【0078】
一実施形態によれば、訓練された心不全モデル263は、複数のHFpEFの病因のうちの少なくとも1つの尤度を生成するように構成される。複数のHFpEFの病因のうちの少なくとも1つの生成した尤度は、対象者が駆出率が保たれた心不全に罹患している尤度を含む。一実施形態によれば、複数のHFpEFの病因は、心アミロイドーシス、冠動脈疾患、高血圧症、心膜疾患、肥大型心筋症、及び弁膜症を含むが、より少ない又はより多くのHFpEFの病因も可能である。一実施形態によれば、患者解析システムの訓練された心不全モデルへの入力は、抽出した複数の超音波バイオマーカー、受信した心臓硬度の測定結果、及び対象者に関する受信した臨床情報を含む。別の実施形態によれば、患者解析システムの訓練された心不全モデルへの入力は、対象者の心臓の1つ又は複数の以前のイメージング解析の受信した結果、及び/或いは対象者について取得した以前のイメージング解析からの対象者の受信した1つ又は複数の超音波バイオマーカーをさらに含む。訓練された心不全モデルへの他の入力も可能である。訓練された心不全モデル263は、本明細書で説明されるか又は別法で想定されるように訓練データセットを使用して訓練される。
【0079】
一実施形態によれば、報告命令264は、システムに、複数のHFpEFの病因のうちの少なくとも1つの生成した尤度の生成した視覚化を含む情報を生成し、ユーザインタフェースを介してその情報をユーザに提供するように指示する。一実施形態によれば、表示は、多くのタイプの情報の中でもとりわけ、対象者の氏名、超音波解析に関する1つ又は複数の詳細事項、複数のHFpEFの病因の各々の尤度、及び/或いは処置推奨をさらに含む。情報のいずれかが、有線及び/又は無線通信によって、システムの又は別のデバイスのユーザインタフェースを介して通信される。例えば、システムは、携帯電話、コンピュータ、ラップトップ、ウェアラブルデバイス、並びに/又はレポートの表示及び/若しくは他の通信を可能にするように構成された任意の他のデバイスに情報を通信する。ユーザインタフェースは、情報の伝達及び/又は受信を可能にする任意のデバイス又はシステムとすることができ、ユーザコマンドを受信するためのディスプレイ、マウス、及び/又はキーボードを含む。
【0080】
したがって、本明細書の開示の文脈内では、実施形態の態様は、コンピュータ可読プログラムコードが具体化された1つ又は複数の非一時的コンピュータ可読媒体において具体化されたコンピュータプログラム製品の形態を取る。したがって、一実施形態によれば、プロセッサによって実行されると、プロセッサが、以下のステップを有する方法を実行することを可能にするコンピュータプログラムコード命令を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体が提供され、方法のステップは、(i)今回の超音波検査からの対象者の心臓の超音波解析の結果を受信するステップと、(ii)超音波解析の受信した結果から複数の超音波バイオマーカーを抽出するステップと、(iii)今回の超音波検査及び/又は以前の超音波検査からの対象者の心臓の心臓硬度の測定結果を受信するステップと、(iv)対象者に関する臨床情報を受信するステップと、(v)訓練された心不全モデルを使用して、抽出した複数の超音波バイオマーカー、受信した心臓硬度の測定結果、及び対象者に関する受信した臨床情報を解析して、複数のHFpEFの病因のうちの少なくとも1つの尤度を生成するステップであって、複数のHFpEFの病因のうちの少なくとも1つの生成した尤度が、対象者が駆出率が保たれた心不全に罹患している尤度を含む、ステップと、(vi)複数のHFpEFの病因のうちの少なくとも1つの生成した尤度の視覚化をユーザインタフェースに表示するステップとを有する。プログラムコードは、完全にユーザのコンピュータ上で、スタンドアロンのソフトウェアパッケージとして部分的にユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、且つ部分的にリモートコンピュータ上で、又は完全にリモートコンピュータ若しくはサーバ上で実行される。
【0081】
一実施形態によれば、患者解析システムは、システムを訓練するために使用される入力データにおける数千又は数百万にも上る多くのデータポイントを処理するとともに、受信した複数の可動性特徴を処理及び解析するように構成される。例えば、特徴識別及び抽出、並びにその後の訓練などの自動化されたプロセスを使用して機能的で熟達した、訓練されたシステムを生成するには、入力データからの数百万のデータポイントや生成した特徴を処理することが必要である。そのため、これらの数百万のデータポイントから新規な訓練されたシステムを生成するために数百万又は数十億の計算が必要となり得る。その結果、訓練されたシステムは、機械学習アルゴリズムの入力データ及びパラメータに基づく新規且つ特徴的なものとなるため、患者解析システムの機能を向上させる。したがって、機能的で熟達した、訓練されたシステムを生成することは、人間の脳が一生涯又は複数の生涯をかけても達成不可能な大量の計算及び解析を伴うプロセスを含む。改善された患者解析を提供することにより、この新規な患者解析システムは、従来技術のシステムと比較して患者診断及びケアに多大な肯定的影響を与える。
【0082】
本明細書で定義及び使用される、すべての定義は、辞書の定義、参照によって組み込まれる文献内の定義、及び/又は定義された用語の通常の意味よりも優先されることを理解されたい。
【0083】
明細書部分及び特許請求の範囲において、本明細書で使用する場合、「1つの」などの不定冠詞は、特に明記しない限り、「少なくとも1つ」を意味することを理解されたい。
【0084】
明細書部分及び特許請求の範囲において、本明細書で使用する場合、「及び/又は」という語句は、そのように結合された要素の「いずれか又は両方」、すなわち、ある場合には結合して存在し、他の場合には分離して存在する要素を意味するものとして理解されるべきである。「及び/又は」を用いて挙げられる複数の要素も、同じように、すなわち、そのように結合された要素のうちの「1つ又は複数」として解釈されるべきである。「及び/又は」節によって具体的に特定された要素以外に、具体的に特定されたそのような要素に関係しているか関係していないかに関わらず、他の要素が任意選択で存在してもよい。
【0085】
明細書部分及び特許請求の範囲において、本明細書で使用する場合、「又は」は、上で定義した「及び/又は」と同じ意味を持つものとして理解されるべきである。例えば、リスト内の項目を分ける場合、「又は」又は「及び/又は」は、包括的である、すなわち、いくつかの要素又は要素のリストのうちの少なくとも1つを含むだけでなく、それらの2つ以上を含み、任意選択でリストにない追加の項目も含むものとして解釈されるべきである。「のうちの1つのみ」若しくは「のうちの厳密に1つ」などの明確にそうでないことを示す用語、又は特許請求の範囲において「から成る」が使用される場合のみ、いくつかの要素又は要素のリストのうちの厳密に1つの要素の包含を指す。一般に、本明細書で使用される「又は」という用語は、「いずれか」、「のうちの1つ」、「のうちの1つのみ」又は「のうちの厳密に1つ」などの排他性の用語が先行するときにのみ、排他的な代替(すなわち、「一方又は他方であるが、両方でない」)を示すものとして解釈されるべきである。
【0086】
明細書部分及び特許請求の範囲において、本明細書で使用する場合、1つ又は複数の要素のリストへの言及における「少なくとも1つ」という語句は、要素のリストにおける要素のうちの任意の1つ又は複数から選択されるが、要素のリスト内で具体的に挙げられたそれぞれの要素の少なくとも1つを必ずしも含むわけではなく、要素のリストにおける要素の任意の組合せを除外するものではないことを意味するものとして理解されるべきである。この定義はまた、「少なくとも1つ」という語句が指す要素のリスト内で具体的に特定された要素以外の要素が、具体的に特定されたそのような要素に関係しているか関係していないかに関わらず、任意選択で存在することを可能にする。
【0087】
また、特に明記しない限り、2つ以上のステップ又は動作を含む、本明細書で特許請求される任意の方法において、方法のステップ又は動作の順序は、方法のステップ又は動作が記載されている順序に必ずしも限定されないことが理解されるべきである。
【0088】
特許請求の範囲、並びに上記明細書部分において、「備える」、「含む」、「担持する」、「有する」、「含有する」、「関与する」、「保持する」、「で構成されている」等のすべての移行句は、オープンエンドである、すなわち、含むが限定されないことを意味するものとして理解されるべきである。「から成る」及び「から本質的に成る」という移行句のみが、それぞれ、クローズド又はセミクローズドの移行句であるべきである。
【0089】
いくつかの発明的実施形態について説明及び例示してきたが、当業者であれば、機能を実行し、且つ/又は結果及び/又は本明細書で説明する利点のうちの1つ若しくは複数を得るための様々な他の手段及び/又は構造を容易に思い付き、そのような変形例及び/又は修正例の各々は、本明細書で説明する発明的実施形態の範囲内であるものと見なされる。より一般的には、当業者であれば、本明細書で説明するすべてのパラメータ、寸法、材料、及び構成が、例示的なものであることを意味し、実際のパラメータ、寸法、材料、及び/又は構成が、発明的教示が使用される1つ又は複数の特定の用途に依存するということを容易に理解するであろう。当業者であれば、本明細書で説明する特定の発明的実施形態に対する多くの等価物を認識するか、又は日常的な実験以外のことを行わずに確認できるであろう。したがって、上記実施形態は、例示のみのために提示され、添付の請求項及びそれに相当するものの範囲内において、発明的実施形態は、具体的に説明され、特許請求される以外のやり方で実践されてもよい。本開示の発明的実施形態は、本明細書で説明した各々の個々の特徴、システム、物品、材料、キット及び/又は方法を対象としている。また、2つ以上のそのような特徴、システム、物品、材料、キット及び/又は方法の任意の組合せは、そのような特徴、システム、物品、材料、キット及び/又は方法が相互に矛盾しない場合、本開示の発明的範囲内に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】