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特表2024-538594インベストメント鋳造部品の生産用装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-23
(54)【発明の名称】インベストメント鋳造部品の生産用装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B22C 9/04 20060101AFI20241016BHJP
   F27B 14/14 20060101ALI20241016BHJP
   F27D 11/06 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
B22C9/04 A
F27B14/14
F27D11/06 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024519060
(86)(22)【出願日】2022-09-19
(85)【翻訳文提出日】2024-03-27
(86)【国際出願番号】 EP2022075889
(87)【国際公開番号】W WO2023052161
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】102021125159.1
(32)【優先日】2021-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523049030
【氏名又は名称】アーエルデー バキューム テクノロジーズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリック フランツ
(72)【発明者】
【氏名】セルゲイス スピタンス
(72)【発明者】
【氏名】ビョルン セーリング
【テーマコード(参考)】
4K046
4K063
【Fターム(参考)】
4K046AA01
4K063FA34
4K063FA43
(57)【要約】
本発明は、インベストメント鋳造部品を生産するための装置(10)において、溶融チャンバ(12)内に配置された誘導コイルアセンブリ(14、114、214、314)を有する溶融チャンバ(12)であって、誘導コイルアセンブリ(14、114、214、314)が、少なくとも部分的に内部に収容されている電極(18)を溶融させて少なくとも2.5kg/分のメルトフローレートMFRを有するセラミクスを含まない連続メルトジェット(40)を生成するように適応されている溶融チャンバ(12)を含む装置(10)に関する。該装置はさらに、溶融チャンバ(12)の下流側にあり、それに連結されており、かつセラミクスを含まない連続メルトジェット(40)を用いて充填されるように溶融チャンバ内に収容されたまたは収容可能であるインベストメント鋳造鋳型を伴う鋳造チャンバ(20)を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インベストメント鋳造部品を生産するための装置(10)において:
溶融チャンバ(12)内に配置されかつ、少なくとも部分的に内部に収容されている電極(18)を溶融させて少なくとも2.5kg/分のメルトフローレートMFRでセラミクスを含まない連続メルトジェット(40)を生成するように適応されている誘導コイルアセンブリ(14、114、214、314)を含む溶融チャンバ(12)と;
前記溶融チャンバ(12)の下流側にあり、それに連結されており、かつ前記セラミクスを含まない連続メルトジェット(40)を用いて充填されるように溶融チャンバ内に収容されたまたは収容可能であるインベストメント鋳造鋳型を含む鋳造チャンバ(20)と;
を含む装置(10)。
【請求項2】
前記鋳造チャンバ(20)が、前記インベストメント鋳造鋳型を加熱するように適応された鋳型加熱装置(22)を含んでいる、請求項1に記載の装置(10)。
【請求項3】
前記誘導コイルアセンブリ(14、114、214、314)が、
【数1】
なる条件を満たす電力Pで動作させられる、請求項1ないし2の少なくとも1項に記載の装置(10)。
【請求項4】
前記誘導コイルアセンブリ(14、114、214、314)は、過熱温度Tsup
【数2】
なる条件を満たすような形で前記メルトフローレートMFRに応じて前記メルトジェット(40)を過熱するように配設されている、請求項1ないし3の少なくとも1項に記載の装置(10)。
【請求項5】
前記誘導コイルアセンブリ(14、114、214、314)が、10kHz~300kHz、好ましくは50kHz~200kHz、より好ましくは75kHz~125kHzの周波数で、1200V以下、好ましくは1000V以下の電圧で動作させられる、請求項1ないし4の少なくとも1項に記載の装置(10)。
【請求項6】
前記誘導コイル配設(14、114、214、314)が、4つ以下の巻線、好ましくは3つ以下の巻線、より好ましくは2つ以下の巻線を含む少なくとも1つの誘導コイル(30、50)を含む、請求項1ないし5の少なくとも1項に記載の装置(10)。
【請求項7】
前記誘導コイルアセンブリ(14、114、214、314)が、共通電流引込みを伴う2つの平行巻き線を含む少なくとも1つの誘導コイル(30、50)を含む、請求項1ないし6の少なくとも1項に記載の装置(10)。
【請求項8】
前記誘導コイルアセンブリ(14、114、214、314)が第1の誘導コイル(30)および少なくとも1つの第2の誘導コイル(50)を含み、好ましくは、
前記第1の誘導コイル(30)および前記第2の誘導コイル(50)は、両方の誘導コイルが前記電極(18)を溶融させるのに役立つような形で配設されているか;または、
前記第1の誘導コイル(30)が、前記電極(18)を溶融させるのに役立つような形で配設され、前記第2の誘導コイル(50)が、前記第1の誘導コイル(30)の下流側に配設されて、前記メルトジェット(40)を加熱するのに役立つように配設されているか;または、
前記第1の誘導コイル(30)が、前記電極(18)を溶融させるのに役立つような形で配設され、前記第2の誘導コイル(50)が、前記第1の誘導コイル(30)の上流側に配設されかつ溶融させるべき前記電極(18)を予熱するのに役立つような形で配設されている、
請求項1ないし7の少なくとも1項に記載の装置(10)。
【請求項9】
前記誘導コイルアセンブリ(14、114、214、314)が50mm以上の平均コイル直径を有する、請求項1ないし8の少なくとも1項に記載の装置(10)。
【請求項10】
インベストメント鋳造部品を生産する方法において、
溶融チャンバ(12)内に電極(18)を提供するステップと;
前記電極(18)を前記溶融チャンバ(12)内に配置された誘導コイルアセンブリ(14、114、214、314)内に、少なくとも区分的に挿入するステップと;
前記誘導コイルアセンブリ(14、114、214、314)を用いて前記電極(18)を溶融させることによって、少なくとも2.5kg/分のメルトフローレートでセラミクスを含まない連続メルトジェット(40)を生成するステップと;
前記溶融チャンバ(12)の下流側にあり、この溶融チャンバに連結されている鋳造チャンバ(20)内にインベストメント鋳造鋳型を提供するステップと;
前記メルトジェット(40)を前記インベストメント鋳造鋳型に連続的に充填するステップと;
を含む方法。
【請求項11】
前記誘導コイルアセンブリ(14、114、214、314)が、
【数3】
なる条件を満たす電力Pで動作させられる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記誘導コイルアセンブリ(14、114、214、314)を用いて、過熱温度Tsupが、
【数4】
なる条件を満たすような形で前記メルトフローレートMFRに応じて前記メルトジェット(40)が過熱される、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記メルトジェット(40)が、前記誘導コイルアセンブリ(14、114、214、314)を用いて少なくとも10℃、好ましくは少なくとも20℃、さらに好ましくは少なくとも40℃、より好ましくは少なくとも60℃、さらに一層好ましくは少なくとも80℃だけ過熱される、請求項10ないし12の少なくとも1項に記載の方法。
【請求項14】
前記誘導コイルアセンブリ(14、114、214、314)が、10kHz~300kHz、好ましくは50kHz~200kHz、より好ましくは75kHz~125kHzの周波数で、1200V以下、好ましくは1000V以下の電圧で動作させられる、請求項10ないし13の少なくとも1項に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも前記溶融チャンバ(12)が、少なくとも30mbar、好ましくは少なくとも1bar、より好ましくは少なくとも5bar、さらに好ましくは10bar未満の絶対圧で加圧され、こうして前記メルトジェット(40)がこの絶対圧下で生成されるようになっている、請求項10ないし14の少なくとも1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミクスを含まない連続メルトジェットを使用することによりインベストメント鋳造部品を生産するための装置および方法に関する。換言すると、本発明は、成形部品のインベストメント鋳造のための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
比較的高い表面品質および寸法精度を有する金属合金製の鋳造部品を生産するために、インベストメント鋳造プラントおよびそれを用いて実施されるインベストメント鋳造プロセスが使用される。詳細には、航空宇宙産業、発電産業、自動車産業、医療技術、化学産業、および/または電気産業用の部品を生産するために、インベストメント鋳造プラントおよびプロセスを使用することができる。インベストメント鋳造プロセスを用いて製造される部品は、最小限の後処理しか必要としない。さらに、複雑な構造を伴う部品を生産するために、インベストメント鋳造プロセスを使用することができる。
【0003】
公知のインベストメント鋳造プラントにおいては、溶融すべき材料をるつぼ内で溶融させ、その後、準備されたメルト鋳型内に注ぎ込む。しかしながら、公知のインベストメント鋳造プラントにおいては、生産された鋳造部品の品質に負の影響を及ぼす望ましくない不純物が、溶融材料中に発生する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、先行技術の欠点を克服する装置および方法を提供することにある。
【0005】
詳細には、本発明の目的は、改善された品質を有するインベストメント鋳造部品の生産を可能にする装置および方法を提供することにある。改善された品質とは、ここでは、例えば部品のより高い材料品質および/またはより高い表面品質を意味することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、独立クレームの主題によって達成される。該装置および該方法のさらなる展開および実施形態が従属クレームおよび以下の明細書の主題である。
【0007】
本発明の一態様は、インベストメント鋳造部品、詳細には複雑な鋳造部品を生産するための装置またはプラントに関する。該装置は、内部に配置された誘導コイルアセンブリを含む溶融チャンバを含む。誘導コイルアセンブリは、少なくとも部分的に内部に収容されている電極を溶融させて少なくとも2.5kg/分のメルトフローレート(MFR)でセラミクスを含まない連続メルトジェットを生成するように適応されている。該装置はさらに、溶融チャンバの下流側にあり、それに連結されており、かつ溶融チャンバ内に収容されたまたは収容可能であってセラミクスを含まない連続メルトジェットを用いて充填されるように適応されたインベストメント鋳造鋳型を含む鋳造チャンバを含む。
【0008】
セラミクスを含まない連続メルトジェットの生成および使用により、プロセス中のメルトの汚染を防止することができ、このことは、鋳型充填プロセスを改善することおよび生産された鋳造部品の冶金学的特性を改善することの両方に役立つ。
【0009】
連続メルトジェットを生成し使用することにより、比較的乱流の少ない鋳型充填プロセスを実現することができる。これにより、鋳型壁から離脱した粒子に起因するメルト材料中ひいてはインベストメント鋳造におけるセラミクス不純物の発生が削減される。さらに、鋳型の連続的かつ均一な充填によって、考えられる汚染粒子を鋳造プロセス中に上方に運ぶことが可能となり、そこでは汚染粒子が鋳造部品の品質に影響を及ぼす確率が低下する。。
【0010】
誘導コイルアセンブリは、少なくとも4kg/分、好ましくは少なくとも5kg/分、より好ましくは少なくとも6kg/分、さらに好ましくは少なくとも8kg/分のメルトフローレートMFRでセラミクスを含まない連続メルトジェットを生成するような形で、内部に少なくとも部分的に収容された電極を溶融させるように設計可能である。
【0011】
誘導コイルアセンブリは、多くとも15kg/分、好ましくは多くとも12kg/分、より好ましくは多くとも10kg/分のメルトフローレートMFRでセラミクスを含まない連続メルトジェットを生成するような形で、内部に少なくとも部分的に収容された電極を溶融させるように設計可能である。
【0012】
詳細には、誘導コイルアセンブリは、2.5kg/分~10kg/分のメルトフローレートMFRでセラミクスを含まない連続メルトジェットを生成するような形で、内部に少なくとも部分的に収容された電極を溶融させるように設計可能である。
【0013】
発明人らによって決定される少なくとも2.5kg/分、詳細には2.5kg/分~10kg/分の範囲内のメルトフローレートMFRは、インベストメント鋳造の利用分野に好適なメルトフローレートを表わし、それは、メルトジェットの充分な過熱の保証、適切な鋳型充填時間の達成そして実際に許容可能なエネルギ消費量の間の最適なバランスを表わしている。
【0014】
詳細には、本発明の発明人らは、少なくとも2.5kg/分のメルトフローレートMFRでメルトジェットの充分な過熱を実現できることを認識した。メルトフローレートMFRと過熱の間のこのような意外な関係は、実践から公知である先行技術に基づいては予期されなかったものである。むしろ、メルトフローレートが増大する結果としてコイル配設内部の溶融材料の滞留時間が比較的短いことに起因して、極めて低い過熱しか達成し得ないであろうということが予期されていたはずである。しかしながら、鋳型内に導入される前のメルトの凝固および凝集を防止する目的でインベストメント鋳造の利用分野のためには、メルトを充分高温に過熱することが求められる。同時に、インベストメント鋳造においては、求められる品質および等級のインベストメント鋳造部品を生産するために、適正な鋳型充填時間内での完全な充填が保証されなければならない。
【0015】
該装置を用いて生成される連続メルトジェットの少なくとも2.5kg/分、詳細には2.5kg/分~10kg/分のメルトフローレートに起因して、インベストメント鋳造鋳型の適正な時間内での完全な充填を達成することができる。換言すると、発明人らが提供する最低メルトフローレートは、鋳型充填時間を最適なレベルまで短縮することができる。従来の連続溶融プロセスから知られているものなどの比較的低いメルトフローレートにおいては、適切な鋳型充填ひいては充分な品質のインベストメント鋳造部品の生産を保証することができないと思われる。詳細には、適切な鋳型充填時間は、航空宇宙産業(例えばタービンブレード)、発電産業(例えばタービンブレード)、自動車産業(例えばターボ過給機ホイール)、医療技術、化学および/または電気産業などにおける共通のインベストメント鋳造部品のための鋳型充填時間を意味してよい。したがって、発明人らが企図する最低メルトフローレートは、高品質のこのようなインベストメント鋳造部品の生産に極めて好適であり得るが、これに限定されるわけではない。
【0016】
インベストメント鋳造鋳型は、ロスト鋳型である。インベストメント鋳造鋳型の材料は例えば、セラミクスまたは黒鉛であってよい。
【0017】
詳細には、溶融可能な電極は、溶融チャンバ内で垂直方向に懸吊され、誘導コイルアセンブリを用いて下端部において制御された運動により真空下または不活性ガス雰囲気下で連続的に溶融される回転電極であってよい。制御された運動には、均一な溶融のための回転運動に加えて、鋳造チャンバに向かって電極を連続的に送り込むことが含まれていてよい。誘導コイルアセンブリは、電極の下端部に向かってテーパのかかった先細形状を含んでいてよい。誘導コイルアセンブリおよび電極は、互いに同軸的に配設されている。
【0018】
一実施形態において、鋳造チャンバは、鋳造中または生産プロセス中にインベストメント鋳造鋳型を加熱するように構成された鋳型加熱装置を含んでいてよい。これにより、インベストメント鋳造鋳型内に導入されたメルトジェットの早尚で望まれない冷却ひいては凝固を防止することができる。このことは、インベストメント鋳造鋳型の完全な充填と、生産されたインベストメント鋳造部品のさらに高度な品質を保証することに貢献し得る。
【0019】
装置は、溶融チャンバから離れる方向にインベストメント鋳造鋳型を抜き出すことのできる鋳型抜出し装置を含んでいてよい。鋳型抜出し装置は、鋳造チャンバの内部にまたは鋳造チャンバにまたは鋳造チャンバの下方に位置設定されてよい。例えば鋳型抜出し装置は、ロード/アンロードチャンバ内に組付けられてよい。鋳型抜出し装置を用いて、鋳造部品の制御された凝固を達成することができる。こうして、メルトジェットが送り込まれる鋳型の上位部分から凝固収縮に起因して自由になった鋳型の部域までの液体金属の送り込みまたは再充填を可能にすることができる。その上、鋳型抜出し装置および制御された凝固を用いて、一方向性凝固した鋳物を生産することができる。
【0020】
装置は、インベストメント鋳造鋳型をロード/アンロードするためのロード/アンロードチャンバを含んでいてよい。ロード/アンロードチャンバは、鋳造チャンバの下流側に位置設定されている。
【0021】
誘導コイルアセンブリは、以下の条件を満たす電力Pで動作させられてよい:
【数1】
【0022】
誘導コイルアセンブリは、以下の条件を満たす電力Pで動作させられてよい:
【数2】
【0023】
誘導コイルアセンブリは、以下の条件を満たす電力Pで動作させることができる:
【数3】
【0024】
電力Pは、上述の条件にしたがって溶融される電極の直径の一関数として設定可能である。
【0025】
誘導コイルアセンブリは、詳細には150mmの直径を有する電極を溶融させるために、以下の条件を満たす電力Pで動作させることができる:
【数4】
【0026】
誘導コイルアセンブリは、詳細には150mmの直径を有する電極を溶融させるために、以下の条件を満たす電力Pで動作させることができる:
【数5】
【0027】
誘導コイルアセンブリは、400kw以下、詳細には350kw以下、好ましくは300kw以下の電力Pで動作させられてよい。
【0028】
誘導コイルアセンブリまたは誘導コイルに供給されるかまたはコイルを動作させることのできる上述の電力Pは、適切な鋳型充填時間と最適な過熱とのバランスを保証しながら、装置の電力消費量および電圧を最適化するのに貢献することができる。
【0029】
誘導コイルアセンブリは、過熱温度Tsupが以下の条件を満たすような形でメルトフローレートMFRに応じてメルトジェットを過熱するようにセットされてよい:
【数6】
【0030】
誘導コイルアセンブリは、過熱温度Tsupが以下の条件を満たすような形でメルトフローレートMFRに応じてメルトジェットを過熱するようにセットされてよい:
【数7】
【0031】
誘導コイルアセンブリは、過熱温度Tsupが以下の条件を満たすような形でメルトフローレートMFRに応じてメルトジェットを過熱するようにセット可能である:
【数8】
【0032】
過熱温度Tsupは、上述の条件にしたがって溶融されるべき電極の直径の一関数として設定可能である。
【0033】
誘導コイルアセンブリは、詳細には150mmの直径を有する電極を溶融させるために、過熱温度Tsupが以下の条件を満たすような形でメルトフローレートMFRに応じてメルトジェットを過熱するようにセット可能である。
【数9】
【0034】
誘導コイルアセンブリは、少なくとも10℃だけ、好ましくは20℃だけ、好ましくは少なくとも40℃だけ、より好ましくは少なくとも60℃だけ、さらに一層好ましくは少なくとも80℃だけメルトジェットを過熱するようにセット可能である。100℃超の過熱も同様に達成可能である。
【0035】
誘導コイルアセンブリは、詳細には150mmの直径を有する電極を溶融させるために、過熱温度Tsupが以下の条件を満たすような形でメルトフローレートMFRに応じてメルトジェットを過熱するようにセット可能である。
【数10】
【0036】
ここでは、過熱は、時間および体積的に平均化されたメルトジェットの過熱であってよい。
【0037】
誘導コイルアセンブリは、250℃以下、好ましくは200℃以下だけ、より好ましくは150℃以下だけメルトジェットを過熱するようにセットされてよい。過熱は、(電極との関係において)材料に応じて調整可能である。
【0038】
メルトジェットの前記過熱は、装置のエネルギ消費量と電圧の間、適切な鋳型充填時間と最適な過熱の間のバランスの最適化を保証することができる。詳細には、メルトフローレートの関数としての規定の過熱は、インベストメント鋳造部品の品質をさらに改善することのできる方策を提供することができる。
【0039】
誘導コイルアセンブリは、1200V以下、好ましくは1000V以下の電圧で動作させられてよい。電圧は少なくとも100V、好ましくは少なくとも200V、より好ましくは少なくとも450Vであってよい。1000Vというこの電圧上限によって、プラントを低電圧範囲内で動作させることが可能となる。同様に、例えばこのような電圧においては、誘導コイルの巻線間のあらゆる絶縁を一切不要とすることが可能である。
【0040】
しかしながら、変形実施形態においては、誘導コイルアセンブリに通電するためにより高い電圧も同様に可能である。詳細には、プラントが高い圧力下で動作させられる場合、例えば1500V以上といったより高い電圧を提供してもよい。
【0041】
誘導コイルアセンブリは、10kHz~300kHz、好ましくは50kHz~200kHz、さらに好ましくは75kHz~125kHzの周波数で動作させられてよい。詳細には、周波数は100kHzであってよい。
【0042】
少なくとも溶融チャンバは、メルトジェットが絶対圧下で生成されるように、絶対圧で加圧されてよい。絶対圧は、少なくとも30mbar、好ましくは少なくとも1bar、さらに好ましくは少なくとも5barであってよい。絶対圧は10バール未満であってよい。絶対圧は30mbar~10bar、好ましくは1bar~10barであってよい。詳細には、このような実施形態においては、誘導コイルアセンブリは、1000V以上、好ましくは1200V以上、さらに好ましくは1500V以上の電圧で動作させられてよい。誘導コイルアセンブリは、4つ以下の直列巻線、好ましくは3つ以下の直列巻線、さらに好ましくは2つまたはそれより少ない(すなわち1つの巻線しか有していない)直列巻線を有する少なくとも1つの誘導コイルを含んでいてよい。
【0043】
4つの巻線を有する誘導コイルは同様に、4巻線誘導コイルと呼ぶこともできる。ここでは、それは、4つの直列に相互接続された巻線を伴う誘導コイルを言い表わしている。3つの巻線を伴う誘導コイルを3巻線誘導コイルと呼ぶこともできる。それはここでは、3つの直列に相互接続された巻線を伴う誘導コイルを言い表わしている。2つの巻線を伴う誘導コイルを、2巻線誘導コイルと呼ぶこともできる。それはここでは、2つの直列にリンクされた巻線を伴う誘導コイルを言い表わしている。1つの巻線を伴う誘導コイルは、単一巻線誘導コイルと呼んでもよい。
【0044】
誘導コイルアセンブリは、共通の電流引込みを伴う少なくとも2つの並列巻線を有する少なくとも1つの誘導コイルを含んでいてよい。好ましくは、誘導コイルアセンブリは、共通の電流引込みを伴う正確に2つの並列巻線を有する誘導コイルを含んでいてよい。この場合、誘導コイルアセンブリは、2つの並列巻線を有する単一巻線誘導コイルを含む。
【0045】
したがって、誘導コイルの上述の実施形態は、組合わされてよい。例えば、誘導コイルアセンブリは、n×m巻線誘導コイルを含んでいてよく、ここでmは誘導コイルの直列巻線の数を表わし、nは並列m巻線配設の数を表わす。一実施形態において、誘導コイルアセンブリは、2×2巻線誘導コイル、すなわち合計4つの巻線を伴いそのうち2つの直列に相互接続された巻線が2つの他の直列に相互接続された巻線と並列に接続されそれと共通の電流引込みを有している誘導コイルを、含んでいてよい。詳細には、このような配設において、最初および最後の、すなわち最上位および最下位または外側の巻線は、相互接続されており、第2および第3のすなわち2つの中間または内側の巻線は直列に相互接続されている。2つの外側巻線は2つの内側巻線と並列に相互接続されている。一実施形態において、誘導コイルアセンブリは、2×1巻線誘導コイル、すなわち合計2つの並列巻線を有する誘導コイルを含んでいてよい。一実施形態において、誘導コイルアセンブリは、1×2巻線誘導コイル、換言すると2巻線誘導コイル、すなわち合計2つの直列巻線を伴う誘導コイルを含んでいてよい。
【0046】
上述のタイプの誘導コイルアセンブリは、メルトジェットの充分な過熱を保証すること、適正な鋳型充填時間および実際に受容可能なエネルギ消費量の間の所望される最適なバランスを達成するのに貢献することができる。したがって、上述のタイプの誘導コイルアセンブリ、詳細には2×2巻線誘導コイルは、例えば1000Vといった上限の電圧を超えるのを回避しながら、同時に、大きな電極直径(例えば150mm以上)を伴う電極の電極チップ内への均一な電力入力を保証することに貢献することができる。
【0047】
(同じ寸法でかつより多くの巻線数のコイルに比べて)より少ない数の巻線を伴う誘導コイルを使用することによって、より低い電圧で動作させられた場合により大きな過熱を生成することが可能となる。ここで、詳細には、例えば2巻線(1×2巻線)誘導コイルまたは2×2巻線誘導コイルが提供されてよい。
【0048】
誘導コイルアセンブリは、第1の誘導コイルそして少なくとも1つの第2の誘導コイルを含んでいてよい。2つの誘導コイルは、互いに別個のものであり、各々が独自の電流引込みを有する。第1の誘導コイル、少なくとも第2の誘導コイルまたは第1および少なくとも第2の誘導コイルは、上述の特徴を伴って形成されてよい。第1の誘導コイルは、電力P1、周波数f1および電圧U1(好ましくはU1≦1000V)の供給を受けるかまたはそれで動作させられてよい。少なくとも第2の誘導コイルは、電力P2、周波数f2および電圧U2(好ましくはU2≦1000V)の供給を受けるかまたはそれで動作させられ得る。
【0049】
一実施形態において、第1の誘導コイルおよび少なくとも第2の誘導コイルは、両方の誘導コイルが共に電極を溶融させるために役立つような形で配設され得る。この目的で、2つの誘導コイルは、並んで配設されかつ仮想円筒または仮想円錐に沿って整列されてよい。換言すると、横断面図では、両方の誘導コイルの隣接する巻線横断面が共通軸に沿って整列していてよい。共通軸は、電極の溶融された端部部分の傾斜表面に対し実質的に平行に配設されていてよい。両方の誘導コイルが共に、円錐形状を有していてよい。2つの誘導コイルは、軟磁性ヨーク内に埋込まれ、こうして望ましくないコイルの相互作用を防止していてよい。このような実施形態を用いると、生成されるメルトフローレートを増大させることができる。すなわちP1+P2は、メルトフローレートMFRの増大を導く。
【0050】
一実施形態において、第1の誘導コイルは、電極を溶融させるのに役立つように配設されてよく、一方少なくとも第2の誘導コイルは、第1の誘導コイルの下流側に配設されていてよく、かつメルトジェットを加熱するのに役立つように配設され得る。この目的で、第1の誘導コイルの巻線は、電極の溶融される端部部分の傾斜した表面に対し実質的に平行に配設され得る。第1の誘導コイルは、円錐形状を有していてよい。下流側の少なくとも第2の誘導コイルは、第1の誘導コイルにより生成されたメルトジェットと同軸であってよく、円筒形状を有していてよい。少なくとも第2の誘導コイルは軟磁性ヨーク内に埋込まれていてよい。このような実施形態を用いると、生成されたメルトジェットの過熱をさらに強化することができる、すなわちP2は過熱を増強させるのに役立つ。
【0051】
一実施形態において、第1の誘導コイルは、電極を溶融させるのに役立つように配設されてよく、一方、第2の誘導コイルは、第1の誘導コイルの上流側に位置設定され、溶融させるべき電極を予熱するのに役立つように配設されてよい。この目的で、第1の誘導コイルの巻線は、電極の溶融される端部部分の傾斜した表面に対して実質的に平行に配設されてよい。第1の誘導コイルは円錐形状を有していてよい。上流側の少なくとも第2の誘導コイルは、電極と同軸であってよく、円筒形状を有していてよい。少なくとも第2の誘導コイルは、軟磁性ヨーク内に埋込まれていてよい。このような実施形態を用いると、生成されたメルトジェットの過熱をさらに強化することができる、すなわちP2は過熱を強化するのに役立つ。さらに、上流側の第2の誘導コイルは、同様に、メルトジェットの生成に少なくともわずかに貢献し得、こうしてP1+P2はメルトフローレートMFRの増大に貢献することになる。
【0052】
一実施形態において、誘導コイルアセンブリは、50mm以上、好ましくは150mm以上の平均コイル直径を有していてよい。詳細には、誘導コイルアセンブリは、50mm以上、好ましくは150mm以上の直径を有する電極を少なくとも部分的に収容することができるように構成されてよい。150mm以上の直径を伴う電極の使用は、システムに起因して電極の長さが制限され得ることから、インベストメント鋳造鋳型を充填するための充分な材料を提供するのに貢献し得る。
【0053】
本発明の別の態様は、上述のタイプの装置およびその中に少なくとも部分的に収容される電極を含む、インベストメント鋳造部品の生産するためのシステムに関する。
【0054】
電極は、鋳造電極であってよい。代替的には、電極は、複数の粒子または区分を含む圧密電極であってよい。粒子または区分は、漠然とした形状のものであり得、すなわち、異なるかつほぼ任意の形状を有することができる。このような電極は、比較的安価で製造可能である。電極は金属合金で構成されるかまたは金属合金を含んでいてよい。電極はチタンまたはチタン合金、例えばTi64を含むかまたはこれで構成されていてよい。電極は、ニッケル-クロム合金、例えばIN718を含むかまたはこれで構成されていてよい。電極は同様に、他の金属または金属合金を含むかまたはこれらで構成されていてもよいということを理解すべきである。
【0055】
本発明の別の態様は、インベストメント鋳造部品を生産する方法、すなわちインベストメント鋳造方法に関する。該方法は、
溶融チャンバ内に電極を提供するステップと;
電極を溶融チャンバ内に配置された誘導コイルアセンブリ内に、少なくとも区分的に挿入するステップと;
誘導コイルアセンブリを用いて電極を溶融させることによって、少なくとも2.5kg/分のメルトフローレートでセラミクスを含まない連続メルトジェットを生成するステップと;
溶融チャンバの下流側にあり、この溶融チャンバに連結されている鋳造チャンバ内にインベストメント鋳造鋳型を提供するステップと;
メルトジェットをインベストメント鋳造鋳型に連続的に充填するステップと;
を含む。
【0056】
インベストメント鋳造鋳型は、生産プロセス中、鋳造チャンバの鋳型加熱装置を用いて加熱されてよい。
【0057】
インベストメント鋳造鋳型は、鋳型抜出し装置を用いて溶融チャンバから離れる方向で、連続充填中に抜出されてよい。
【0058】
該方法において、誘導コイルアセンブリは、以下の条件を満たす電力Pで動作可能である:
【数11】
【0059】
該方法において、誘導コイルアセンブリは、以下の条件を満たす電力Pで動作可能である:
【数12】
【0060】
該方法において、誘導コイルアセンブリは、以下の条件を満たす電力Pで動作可能である:
【数13】
【0061】
電力Pは、上述の条件にしたがって溶融されるべき電極の直径に応じて設定可能である。
【0062】
該方法において、誘導コイルアセンブリは、詳細には直径150mmの電極を使用する場合、以下の条件を満たす電力Pで動作可能である:
【数14】
【0063】
該方法において、誘導コイルアセンブリは、過熱温度Tsupが以下の条件を満たすような形で、メルトフローレートMFRに応じてメルトジェットを過熱するために使用可能である:
【数15】
【0064】
該方法において、誘導コイルアセンブリは、過熱温度Tsupが以下の条件を満たすような形で、メルトフローレートMFRに応じてメルトジェットを過熱するために使用可能である:
【数16】
【0065】
該方法において、誘導コイルアセンブリは、過熱温度Tsupが以下の条件を満たすような形で、メルトフローレートMFRに応じてメルトジェットを過熱するために使用可能である:
【数17】
【0066】
過熱温度Tsupは、上述の条件にしたがって溶融されるべき電極の直径に応じて設定可能である。
【0067】
該方法において、誘導コイルアセンブリは、過熱温度Tsupが以下の条件を満たすような形で、詳細には直径150mmの電極を溶融させるために、メルトフローレートMFRに応じてメルトジェットを過熱するために使用可能である:
【数18】
【0068】
メルトジェットは、少なくとも10℃だけ、好ましくは20℃だけ、好ましくは少なくとも40℃だけ、より好ましくは少なくとも60℃だけ、さらに一層好ましくは少なくとも80℃だけ誘導コイルアセンブリによって過熱され得る。
【0069】
誘導コイルアセンブリは、1200V以下、好ましくは1000V以下の電圧で動作させられてよい。誘導コイルアセンブリは、10kHz~300kHz、好ましくは50kHz~200kHz、より好ましくは75kHz~125kHzの周波数で動作可能である。
【0070】
少なくとも溶融チャンバは、メルトジェットが絶対圧下で生成されるように、絶対圧で加圧されて得る。絶対圧は、少なくとも30mbar、好ましくは少なくとも1bar、より好ましくは少なくとも5barであり得る。絶対圧は10バール未満であってよい。絶対圧は30mbar~10bar、好ましくは1bar~10barであってよい。
【0071】
さらなる態様は、誘導コイルアセンブリの構造設計に関する。この態様は、装置全体の説明された実施形態とは独立していてよく、別個の主題を形成してよい。誘導コイルアセンブリは、4つ以下の直列巻線を含む、好ましくは3つ以下の直列巻線を含む、より好ましくは2つまたはそれより少ない(すなわち1つの巻線しか有していない)直列巻線を含む少なくとも1つの誘導コイルを含んでいてよい。4つの巻線を有する誘導コイルは同様に、4巻線誘導コイルと呼ぶこともできる。ここでは、それは、4つの直列に相互接続された巻線を伴う誘導コイルを言い表わしている。3つの巻線を伴う誘導コイルを3巻線誘導コイルとして表示することもできる。ここでは、それは3つの直列に相互接続された巻線を伴う誘導コイルを言い表わしている。2つの巻線を伴う誘導コイルを、2巻線誘導コイルとして表示することもできる。ここでは、それは2つの直列にリンクされた巻線を伴う誘導コイルを言い表わしている。1つの巻線を伴う誘導コイルは単一巻線誘導コイルと呼んでもよい。
【0072】
誘導コイルアセンブリは、共通の電流引込みを伴う少なくとも2つの並列巻線を含む少なくとも1つの誘導コイルを含んでいてよい。好ましくは、誘導コイルアセンブリは、共通の電流引込みを伴う正確に2つの並列巻線を有する誘導コイルを含んでいてよい。この場合、誘導コイルアセンブリは、2つの並列巻線を有する単一巻線誘導コイルを含む。
【0073】
したがって、誘導コイルの上述の実施形態は、組合わされてよい。したがって、誘導コイルアセンブリは、n×m巻線誘導コイルを含んでいてよく、ここでmは誘導コイルの直列巻線の数を表わし、nは並列m巻線配設の数を表わす。一実施形態において、誘導コイルアセンブリは、2×2巻線誘導コイル、すなわち合計4つの巻線を伴いそのうち2つの直列に相互接続された巻線が2つの他の直列に相互接続された巻線と並列に接続されそれと共通の電流引込みを有している誘導コイル、を含んでいてよい。詳細には、このような配設において、最初および最後の、すなわち最上位および最下位または外側の巻線は、相互接続されており、第2および第3のすなわち2つの中間または内側の巻線は直列に相互接続されている。2つの外側巻線は2つの内側巻線と並列に相互接続されている。一実施形態において、誘導コイルアセンブリは、2×1巻線誘導コイル、すなわち合計2つの並列巻線を含む誘導コイルを含んでいてよい。一実施形態において、誘導コイルアセンブリは、1×2巻線誘導コイル、換言すると2巻線誘導コイル、すなわち合計2つの直列巻線を伴う誘導コイルを含んでいてよい。
【0074】
(同じ寸法でかつより多くの巻線数のコイルに比べて)より少ない数の巻線を伴う誘導コイルを使用することによって、より低い電圧で動作させられた場合により大きな過熱を生成することが可能となる。ここで、詳細には、例えば2巻線(1×2巻線)誘導コイルまたは2×2巻線誘導コイルが提供されてよい。
【0075】
以上では、いくつかの特徴、利点、機能、動作様式、実施形態およびさらなる展開は装置に関してのみ説明されているが、これらは相応して該方法にも同様にあてはまり、その逆もまた同様である。
【0076】
本発明の例示的実施形態について以下で、添付の概略図を参照しながらより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0077】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る装置の概略的断面図である。
図2A図2Aは、図1の装置のための本発明に係る誘導コイルの一実施形態の概略的表現である。
図2B図2Bは、動作中の図2Aの誘導コイルの概略的断面図である。
図3図3は、動作中の本発明に係る誘導コイルアセンブリの第1の実施形態の概略的表現である。
図4図4は、動作中の本発明に係る誘導コイルアセンブリの第2の実施形態の概略的表現である。
図5図5は、動作中の本発明に係る誘導コイルアセンブリの第3の実施形態の概略的表現である。
図6図6は、異なる電極材料についての本発明に係る装置における過熱温度とメルトフローレートの関係を示す図表である。
図7図7は、異なる電極材料についての本発明に係る装置における電圧とメルトフローレートの関係を示す図表である。
図8図8は、異なる電極材料についての本発明に係る装置における電力とメルトフローレートの関係を示す図表である。
図9図9は、異なる誘導コイル設計での本発明に係る装置における過熱温度とメルトフローレートの関係を示す図表である。
図10図10は、異なる誘導コイル設計での本発明に係る装置における電圧とメルトフローレートの関係を示す図表である。
図11図11は、異なる誘導コイル設計での本発明に係る装置における電力とメルトフローレートの関係を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0078】
図1は、インベストメント鋳造部品を生産するための装置またはプラント10を示す。該装置10は、溶融チャンバ12内に組付けられた誘導コイルアセンブリ14を含む溶融チャンバ12を含む。溶融チャンバ12には真空が適用される。代替的には、溶融チャンバ12は、不活性ガス雰囲気で加圧されてもよい。
【0079】
溶融チャンバ12の上方、すなわちその上流側には、電極装填装置16が配置されている。これは、誘導コイルアセンブリ14の方向でその長手方向軸に沿って移動可能でかつ電極装填装置16を用いてその長手方向軸を中心にして回転可能である電極18を含む。この実施形態において、電極18は、チタン合金製の電極である。他の金属または金属合金の電極も同様に提供されてよいということが理解される。電極18は、より具体的には下端部分で、プラントの動作中に誘導コイルアセンブリ14内に、少なくとも区分的に挿入される。
【0080】
誘導コイルアセンブリ14は、電極18を溶融させて、セラミクスを含まない連続メルトジェット(図1には示されていないものの、例えば図2Bを参照のこと)を生産するように適応される。電極装填装置16を用いて電極18を送り込むと同時に電極18を回転させることによって、電極18の均一な溶融および実質的に中断無しの連続メルトジェットの生成を保証することができる。
【0081】
誘導コイルアセンブリ14は、電極18を溶融させかつ少なくとも2.5kg/min、詳細には2.5kg/min~10kg/minのメルトフローレートMFRで連続メルトジェットを生成するように操作または制御される。
【0082】
装置10はさらに、溶融チャンバ12の下流側に配置され、すなわちこの溶融チャンバの下方に配設されかつ耐圧的に溶融チャンバ12に連結されている鋳造チャンバ20を含む。鋳造チャンバ20は、動作中にメルトジェットが充填されるインベストメント鋳造鋳型(ここでは図示せず)を収容するように適応されている。
【0083】
インベストメント鋳造鋳型は、生産すべきインベストメント鋳物に応じて任意の形状を有していてよい。詳細には、インベストメント鋳造鋳型はセラミクス鋳型であってよい。
【0084】
鋳造チャンバ20は、鋳型加熱装置22を含む。鋳型加熱装置22は、溶融プロセスまたは溶融シーケンスの開始に先立ち鋳造チャンバ20内に提供されるインベストメント鋳造鋳型を加熱するために使用される。さらに、鋳型加熱装置22は、溶融および充填中にインベストメント鋳造鋳型をさらに加熱するためにも使用可能である。これにより、インベストメント鋳造部品の品質に負の影響を及ぼすと思われる過度に早尚なかつインベストメント鋳造鋳型の壁との接触時点でのメルトの凝固を防止することができる。
【0085】
鋳造チャンバ20の下方に、装置10のロード/アンロードチャンバ24が形成されており、これは鋳造チャンバ20に連結されている。ロード/アンロードチャンバ24は、インベストメント鋳造鋳型を挿入し鋳造されたインベストメント鋳造部品を取り出すために使用される。
【0086】
鋳型抜出し装置26がロード/アンロードチャンバ24内に形成され、これを用いてインベストメント鋳造鋳型を溶融チャンバ12から離れる方向に抜出すことができる。
【0087】
図1は同様に、装置10に形成されたメンテナンスプラットフォーム28および器具10に形成された操作用プラットフォーム29も示している。
【0088】
図2Aおよび2Bは、図1の誘導コイルアセンブリ14の誘導コイル30の一実施形態を示す。図2Aの斜視図を見れば分かるように、この実施形態中の誘導コイル30は2×2巻線誘導コイルとして形成される。すなわち、誘導コイル30は2つの並列2巻線の巻線配設を含む。巻線32~38は、共通の電流引込み(図示せず)を有する。誘導コイル30を通る電流の流れ、またはより厳密には並列接続に起因するその等分割は、図2A中でライン40および42によって示されている。その上、電流の均一な分布は、図2B中で、巻線32~38の横断面の異なるパターンによって標示されている。図2Aおよび2Bから分かるように、巻線32および38は直列に接続されかつ巻線34および36と並列に接続されており、これらの巻線(すなわち巻線34および36)は直列に接続されている。
【0089】
図2Aおよび2Bに示されている2×2巻線のコイル構成を使用することにより、溶融されるべき電極18に対する均一な電力入力を達成することができる。本発明の他の実施形態では、他のコイル構成が提供されてよいということが理解される。詳細には、並列巻線の無い2巻線、3巻線または4巻線構成が提供されてよい。代替的には、巻線の並列接続を伴うまたは伴わない単一巻線のコイル構成が提供されてよい(それでも、2つ以上の並列単一巻線の巻線配設を伴う誘導コイルは、本明細書中、単一巻線コイルと呼ばれてよい)。
【0090】
コイル構成に加えて、図2Bは、誘導コイル30内に区分的に挿入されかつ誘導コイル30を用いて下端部で溶融されて連続メルトジェット40を生成する電極18も示している。
【0091】
図3~5には、異なる誘導コイルアセンブリ114、214および314が示されている。これらの誘導コイルアセンブリ114、214、314の各々は、示された実施形態において、誘導コイル30に加えて、図3~5中で概略的にしか標示されていないさらなる誘導コイル50を含む。これらは各々、単一または多重巻線構成であり、同じまたは異なる数の巻線を有することができる。2つの誘導コイル30、50は、示されている誘導コイルアセンブリ114、214、314内で互いに別個に形成され制御される。これらは各々独自の電源を有する。示されている実施形態において、誘導コイル30は、電力P1、周波数f1および電圧U1(ここでは例えば、U1≦1000V、P1≦500kw、f1≦350kHz)で動作させられる。第2の誘導コイル50は、電力P2、周波数f2および電圧U2(ここでは、例えばU2≦1000V、P2≦500kw、f2≦350kHz)で動作させられる。
【0092】
図3で示された実施形態においては、両方の誘導コイル30、50が、共に電極18を溶融させるのに役立つような形で配設されている。誘導コイル30、50は並んで配設される。示された横断面図では、両方の誘導コイルの隣接する巻線横断面は、電極18の溶融された端部部分の傾斜した表面に対し実質的に平行に配設されている。両方の誘導コイル30、50共、図3において円錐形状を有する。2つの誘導コイル30、50はここでは、軟磁性ヨーク52内に埋込まれており、これにより望ましくないコイルの相互作用が防止される。このような実施形態を用いると、2つの誘導コイル30、50の電力P1およびP2を増大させることによって、生成されるメルトフローレートMFRを増大させることができる。
【0093】
図4に示されている実施形態において、第1の誘導コイル30は、電極18を溶融させるのに役立つような形で配設されている。第2の誘導コイル50は、第1の誘導コイルの下流側に配設され、かつすでに溶融したメルトジェット40を加熱するのに役立つような形で配設され得る。第1の誘導コイル30の巻線は、電極18の溶融された端部部分の傾斜した表面に対し実質的に平行に配設される。第1の誘導コイル30は、円錐形状を有する。下流側の第2の誘導コイル50は、円筒形状を有し、メルトジェット40を区分的に取囲む。第2の誘導コイル50は軟磁性ヨーク52内に埋込まれている。このような実施形態を用いると、第2の誘導コイル50の電力P2を増大させることによって、生成されたメルトジェットの過熱をさらに強化することができる。
【0094】
図5に示されている実施形態において、第1の誘導コイル30は、電極18を溶融させるのに役立つような形で配設されている。第2の誘導コイル50は、第1の誘導コイル30の上流側に位置設定され、溶融すべき電極18を予熱するのに役立つような形で配設されている。この目的で、第1の誘導コイル30の巻線は、電極18の溶融した端部部分の傾斜した表面に対して実質的に平行に配設される。ここでもまた、第1の誘導コイル30は円錐形状を有する。上流側の第2の誘導コイル50は、円筒形状を有し、電極18を、より厳密には、まだ溶融されていない電極18の一部分を区分的に取囲む。第2の誘導コイル50は、軟磁性ヨーク52内に埋込まれている。このような実施形態を用いると、第2の誘導コイル50の電力P2を増大させることによって、生成されたメルトジェットの過熱をさらに強化することができる。さらに、上流側の第2の誘導コイル50は、同様に、メルトジェットの生成に少なくともわずかに貢献し得、こうしてP1およびP2の増大がメルトフローレートMFRの増大に貢献し得る。
【0095】
図6は、2巻線誘導コイルを含む本発明に係る装置10内のメルトジェットの過熱温度Tsup[℃]とメルトフローレートMFR[kg/min]の間の決定された関係を例示する図表を示す。ラインA1は、Ti64製の電極18についてのこの関係を示している。ラインA2は、IN718製の電極18についての関係を示している。ここで分かるように、少なくとも2.5kg/minのメルトフローレートで充分な過熱を達成することができる。
【0096】
図7は、2巻線誘導コイルを含む本発明に係る装置10内の、誘導コイルが動作させられる電圧U[V]とメルトフローレートMFR[kg/min]の間の決定された関係を例示する図表を示す。ラインB1は、Ti64製の電極18についてのこの関係を示す。ラインB2は、IN718製の電極18についての関係を示す。
【0097】
図8は、2巻線誘導コイルを含む本発明に係る装置10内の、誘導コイルが動作させられる電力P[kW]とメルトフローレートMFR[kg/min]の間の決定された関係を例示する図表を示す。ラインC1は、Ti64製の電極18についてのこの関係を示す。ラインC2は、IN718製の電極18についての関係を示す。
【0098】
図9は、異なる誘導コイル設計を含む本発明に係る装置10内のメルトジェットの過熱温度Tsup[℃]とメルトフローレートMFR[kg/min]の間の決定された関係を例示する図表を示す。より具体的には、ここでは、異なる巻線数を伴う誘導コイル設計についてのこの関係が示されている。ラインD1は、メルトジェットを生成するための(並列に接続された巻線の無い)2巻線誘導コイルについての関係を示す。ラインD2は、メルトジェットを生成するための(並列に接続された巻線の無い)3巻線誘導コイルについての関係を示す。ラインD3は、メルトジェットを生成するための(並列に接続された巻線の無い)4巻線誘導コイルについての関係を示す。ここで分かるように、誘導コイル内でより少ない数の巻線を使用することによって、同じメルトフローレートMFRで、より大きい過熱温度Tsupを達成することができる。
【0099】
図10は、異なる誘導コイル設計を伴う本発明に係る装置10内の、誘導コイルが動作させられる電圧U[V]とメルトフローレートMFR[kg/min]の間の決定された関係を例示する図表を示す。より厳密には、ここでは、異なる巻線数を伴う誘導コイル設計についてのこの関係が示されている。ラインE1は、メルトジェットを生成するための(並列に接続された巻線の無い)2巻線誘導コイルについての関係を示す。ラインE2は、メルトジェットを生成するための(並列に接続された巻線の無い)3巻線誘導コイルについての関係を示す。ラインE3は、メルトジェットを生成するための(並列に接続された巻線の無い)4巻線誘導コイルについての関係を示す。ここで分かるように、誘導コイル内の巻線がより少ない場合、同じメルトフローレートMFRで、より低い電圧Uが必要である。
【0100】
図11は、異なる誘導コイル設計を伴う本発明に係る装置10内の、誘導コイルが動作させられる電力P[kW]とメルトフローレートMFR[kg/min]の間の決定された関係を例示する図表を示す。より厳密には、ここでは、異なる巻線数を伴う誘導コイル設計についてのこの関係が示されている。ラインF1は、メルトジェットを生成するための(並列に接続された巻線の無い)2巻線誘導コイルについての関係を示す。ラインF2は、メルトジェットを生成するための(並列に接続された巻線の無い)3巻線誘導コイルについての関係を示す。ラインF3は、溶融ビームを生成するための(並列に接続された巻線の無い)4巻線誘導コイルについての関係を示す。ここで分かるように、誘導コイルの異なる巻線数は、所与のメルトフローレートMFRを生成するために印加される必要のある電力Pに対し有意な効果を全く有していない。
【0101】
図9~11中の図表は、150mmの電極直径を伴うIN718製の使用された電極を基準とするものである。
【0102】
図6~11のために設定された誘導コイルの周波数は100kHzである。
【符号の説明】
【0103】
10 装置
12 溶融チャンバ
14、114、214、314 誘導コイルアセンブリ
16 電極装填装置
18 電極
20 鋳造チャンバ
22 鋳型加熱装置
24 ロード/アンロードチャンバ
26 鋳型抜出し装置
28 メンテナンスプラットフォーム
29 操作用プラットフォーム
30 誘導コイル
32、34、36、38 巻線
40、42 メルトジェット
50 第2の誘導コイル
52 軟磁性ヨーク
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】