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特表2024-538596ニューラルネットワークに基づく同期モータのパラメータ識別のための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-23
(54)【発明の名称】ニューラルネットワークに基づく同期モータのパラメータ識別のための方法
(51)【国際特許分類】
   G06N 3/045 20230101AFI20241016BHJP
   H02P 21/14 20160101ALI20241016BHJP
   H02P 31/00 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
G06N3/045
H02P21/14
H02P31/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519101
(86)(22)【出願日】2021-09-28
(85)【翻訳文提出日】2024-03-27
(86)【国際出願番号】 CN2021121272
(87)【国際公開番号】W WO2023050050
(87)【国際公開日】2023-04-06
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ユー チェン
(72)【発明者】
【氏名】サイユー トン
(72)【発明者】
【氏名】シャオユン ヅァン
【テーマコード(参考)】
5H501
5H505
【Fターム(参考)】
5H501BB08
5H501DD03
5H501DD04
5H501HB08
5H501JJ03
5H501JJ04
5H501JJ17
5H501LL22
5H501LL23
5H501LL32
5H501LL35
5H505BB06
5H505DD03
5H505DD05
5H505DD08
5H505EE41
5H505JJ03
5H505JJ04
5H505JJ17
5H505LL01
5H505LL22
5H505LL24
5H505LL38
5H505LL41
(57)【要約】
ニューラルネットワークに基づく同期モータのパラメータ識別のための方法であって、当該方法は、(S1)第1のニューラルネットワークモデルを確立及び訓練して、訓練された第1のニューラルネットワークモデルを使用して、同期モータの識別されるべきパラメータの中間結果を決定するステップと、(S2)訓練された第1のニューラルネットワークモデルに補償モジュールを追加することによって、第2のニューラルネットワークモデルを形成するステップと、(S3)識別されるべきパラメータの中間結果に基づいて第2のニューラルネットワークモデルを訓練して、訓練された第2のニューラルネットワークモデルを使用して、識別されるべきパラメータの最終結果を決定するステップと、を含む。技術的解決手段は、ニューラルネットワークに基づく同期モータのパラメータ識別のためのデバイス及びコンピュータプログラム製品にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニューラルネットワークに基づく同期モータのパラメータ識別のための方法であって、
S1)第1のニューラルネットワークモデル(60)を確立及び訓練して、訓練された前記第1のニューラルネットワークモデル(60)を使用して、前記同期モータの識別されるべきパラメータの中間結果を決定するステップと、
S2)訓練された前記第1のニューラルネットワークモデル(60)に補償モジュール(70)を追加することによって、第2のニューラルネットワークモデル(80)を形成するステップと、
S3)前記識別されるべきパラメータの前記中間結果に基づいて前記第2のニューラルネットワークモデル(80)を訓練して、訓練された前記第2のニューラルネットワークモデル(80)を使用して、前記識別されるべきパラメータの最終結果を決定するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記中間結果は、
前記識別されるべきパラメータのうちの第1のパラメータの線形近似値と、
前記第1のパラメータの前記線形近似未満の、前記識別されるべきパラメータのうちの第2のパラメータの第1の推定値と、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記最終結果は、
非線形性を補償した後の、前記識別されるべきパラメータのうちの前記第1のパラメータの前記線形近似値と、
前記第1のパラメータの前記線形近似値の前記非線形性を補償した後の、前記識別されるべきパラメータのうちの前記第2のパラメータの第2の推定値と、
を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記同期モータの前記識別されるべきパラメータは、前記同期モータのステータ抵抗、d軸インダクタンス、q軸インダクタンス及び永久磁石磁束を含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ステップS1は、
d-q座標系における前記同期モータの静的電圧状態方程式に基づいて、前記第1のニューラルネットワークモデル(60)の入力-出力関係を確立することを含み、
前記第1のニューラルネットワークモデル(60)の入力は、q軸電流、d軸電流及び同期モータ電気角速度を含み、前記第1のニューラルネットワークモデル(60)の出力は、前記同期モータのq軸電圧及びd軸電圧を含み、前記第1のニューラルネットワークモデル(60)の重みが、前記識別されるべきパラメータによって少なくとも部分的に表される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ステップS1は、
前記同期モータの既知の観察データを取得することであって、前記既知の観察データは、異なる動作点で測定された前記同期モータのd軸電流、q軸電流、d軸電圧、q軸電圧及び電気角速度を含む、ことと、
前記既知の観察データを使用して前記第1のニューラルネットワークモデル(60)を訓練することであって、損失関数が第1の所定の条件を満たすまで、前記第1のニューラルネットワークモデル(60)の前記重みを調整する、ことと、
前記損失関数が前記第1の所定の条件を満たすときに、前記第1のニューラルネットワークモデル(60)の前記重みに基づいて、前記同期モータの識別されるべきパラメータの中間結果を決定することと、
を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のニューラルネットワークモデル(60)の前記重みを調整することは、勾配降下アルゴリズム、特に逆伝播アルゴリズムを使用して、前記第1のニューラルネットワークモデル(60)の前記重みを反復更新することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ステップS2は、
q軸電流及びd軸電流を第3のニューラルネットワークモデルへの入力として用いて、かつ、識別されるべき前記パラメータのうちの前記第1のパラメータの前記非線形特性部分を前記第3のニューラルネットワークモデルの出力として用いて、当該第3のニューラルネットワークモデルを前記補償モジュール(70)として確立することを含む、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ステップS2は、
前記第1のニューラルネットワークモデル(60)の入力層の一部を前記補償モジュール(70)の入力層と共有すること、及び、前記補償モジュール(70)の出力層を前記第1のニューラルネットワークモデル(60)の出力層に接続することにより、前記補償モジュール(70)を前記第1のニューラルネットワークモデル(60)に追加することを含む、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ステップS3は、
前記既知の観察データを使用して前記第2のニューラルネットワークモデル(80)を訓練することであって、訓練された前記第1のニューラルネットワークモデル(60)の前記重み及び前記補償モジュール(70)の前記重みを、前記損失関数が第2の所定の条件を満たすまで調整する、ことと、
前記損失関数が前記第2の所定の条件を満たすときに、前記第1のニューラルネットワークモデル(60)の前記重み及び前記補償モジュール(70)の前記重みに基づいて、前記同期モータの前記識別されるべきパラメータの前記最終結果を決定することと、
を含む、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
訓練された前記第1のニューラルネットワークモデル(60)の前記重みを調整する間、前記識別されるべきパラメータのうちの前記第1のパラメータの前記中間結果は変更されずに保持され、前記識別されるべきパラメータのうちの前記第2のパラメータの前記中間結果は変更される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記損失関数は、以下の式によって表され、
【数1】
式中、Nは、使用される既知の観察データの数であり、Usdは、前記既知の観察データにおける前記同期モータの前記d軸電圧であり、
【数2】
は、前記第1のニューラルネットワークモデル(60)又は前記第2のニューラルネットワークモデル(80)により出力される前記d軸電圧であり、Usqは、前記既知の観察データにおける前記同期モータの前記q軸電圧であり、
【数3】
は、前記第1のニューラルネットワークモデル(60)又は前記第2のニューラルネットワークモデル(80)により出力される前記q軸電圧である、請求項6又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記方法は、
前記最終結果に基づいて前記同期モータの前記動作を制御するために、前記識別されるべきパラメータの前記最終結果を前記同期モータの前記コントローラに送信するステップ、
及び/又は、
前記第2のニューラルネットワークモデル(80)の前記重みを適用するときに、前記同期モータの前記動作パラメータに基づいてリアルタイムで、前記識別されるべきパラメータの前記オンライン最終結果を前記内部ニューラルネットワークが決定することを可能にし、かつ、前記オンライン最終結果に基づいて前記同期モータの前記動作を制御する、訓練された前記第2のニューラルネットワークモデル(80)の前記重みを、前記同期モータの前記コントローラの前記内部ニューラルネットワークに送信するステップ
を更に含む、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
ニューラルネットワークに基づく同期モータパラメータ識別デバイス(1)であって、前記デバイス(1)は、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成されており、前記デバイス(1)は、
第1のニューラルネットワークモデル(60)を確立及び訓練し、訓練された前記第1のニューラルネットワークモデル(60)を使用して、前記同期モータの前記識別されるべきパラメータの中間結果を決定するように構成された第1の識別モジュール(10)と、
訓練された前記第1のニューラルネットワークモデル(60)に補償モジュール(70)を追加することによって、第2のニューラルネットワークモデル(80)を形成するように構成された修正モジュール(20)と、
前記識別されるべきパラメータの前記中間結果に基づいて、前記第2のニューラルネットワークモデル(80)を訓練し、訓練された前記第2のニューラルネットワークモデル(80)を使用して、前記識別されるべきパラメータの前記最終結果を決定するように構成された第2の識別モジュール(30)と、
を備える同期モータパラメータ識別デバイス(1)。
【請求項15】
コンピュータプログラム製品であって、当該コンピュータプログラム製品がコンピュータによって実行されるときに、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の方法を実施するために構成されたコンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニューラルネットワークに基づく同期モータのパラメータ識別のための方法、ニューラルネットワークに基づく同期モータのパラメータ識別のためのデバイス、及び、コンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
同期モータは、低コスト、高効率及び高安定性のため、産業用途において注目が高まっている。しかしながら、同期モータが負荷下において動作するときに、様々なモータパラメータは、磁気飽和、温度ドリフト及びクロスカップリングなどの理由のために非線形特性を示し、従来の線形モデルは、モータの真の動的特性を正確に反映することができない。このような場合、より良好な制御性能を達成するために、同期モータのパラメータ識別が必要である。
【0003】
先行技術においては、モータパラメータは、多くの場合、ルックアップテーブルの形態でモデル化されるが、これは、時間がかかりかつ高価であり、モータ動作点の全範囲を横断することを必要とする。更に、非線形インダクタンス表面に適合するように数学的モデル又は特別な式を使用する方法がある。しかしながら、これらの数学的モデル又は式は、多くの場合、非常に複雑であり、それらの係数はパラメータ化され、曲線プロットアルゴリズムは、対応するデータベースサポートを必要とする。
【0004】
この関連においては、限られた数の動作点で良好なパラメータ適合を達成する代替的なモータパラメータ識別方法のニーズがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、ニューラルネットワークに基づく同期モータのパラメータ識別のための方法、ニューラルネットワークに基づく同期モータのパラメータ識別のためのデバイス、及び、コンピュータプログラム製品を提供することであり、少なくとも先行技術の課題のいくつかを解決する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、ニューラルネットワークに基づく同期モータのパラメータ識別のための方法が提供され、当該方法は、
S1)第1のニューラルネットワークモデルを確立及び訓練して、訓練された第1のニューラルネットワークモデルを使用して、同期モータの識別されるべきパラメータの中間結果を決定するステップと、
S2)訓練された第1のニューラルネットワークモデルに補償モジュールを追加することによって、第2のニューラルネットワークモデルを形成するステップと、
S3)識別されるべきパラメータの中間結果に基づいて第2のニューラルネットワークモデルを訓練して、訓練された第2のニューラルネットワークモデルを使用して、識別されるべきパラメータの最終結果を決定するステップと、
を含む。
【0007】
本発明は、特に、以下の技術的概念、すなわち、ニューラルネットワークを使用してモータのパラメータモデルを確立するための方法に関する。これは、人工ニューラルネットワークの自己学習能力及びファジー論理を利用して、限定された観察データ及び少数の動作点を有する場合、モデルパラメータを最適化及び推定し、したがって、パラメータ識別の効率及び精度を改善する。更に、パラメータ推定のために2段階モデル訓練プロセスが提案され、異なるタスク優先順位の割り当て、及び、未知のパラメータの様々な特性のより良好な適合を可能にする。
【0008】
任意選択的に、中間結果は、
識別されるべきパラメータのうちの第1のパラメータの線形近似値と、
第1のパラメータの線形近似未満の、第2のパラメータの第1の推定値と、
を含む。
【0009】
任意選択的に、最終結果は、
非線形性を補償した後の、識別されるべきパラメータのうちの第1のパラメータの線形近似値と、
第1のパラメータの線形近似値の非線形性を補償した後の、識別されるべきパラメータのうちの第2のパラメータの第2の推定値と、
を含む。
【0010】
本発明は、第1のニューラルネットワークモデル及び第2のニューラルネットワークモデルのパラメータ識別プロセスを利用することによって、モータの未知のパラメータの線形特性及び非線形特性のデカップリング分析が実現され、識別原理が簡略化されるという技術的利点を達成する。
【0011】
任意選択的に、異なる訓練データが、第1のニューラルネットワークモデル及び第2のニューラルネットワークモデルの訓練に使用される。
【0012】
未知のパラメータの線形特性は、磁気不飽和下の観察データに基づいて適合させられ、磁気飽和下の観察データは、非線形補償に使用され、それゆえにネットワーク収束プロセスを加速するという利点が特に達成される。
【0013】
任意選択的に、同期モータの識別されるべきパラメータは、同期モータのステータ抵抗、d軸インダクタンス、q軸インダクタンス及び永久磁石磁束を含む。
【0014】
ルックアップテーブルを使用するパラメータ識別方法とは異なり、提案されたスキームは、複数のモータパラメータの同期識別を達成することができ、したがって、いくつかの固定パラメータを事前検出するための追加のセンサの必要性を排除し、時間と費用を節約するという、技術的利点が特に達成される。
【0015】
任意選択的に、ステップS1は、d-q座標系における同期モータの静的電圧状態方程式に基づいて、第1のニューラルネットワークモデルの入力-出力関係を確立することを含み、同期モータのq軸電流、d軸電流及び電気角速度が、第1のニューラルネットワークモデルへの入力として使用され、q軸電圧及びd軸電圧が、第1のニューラルネットワークモデルの出力として使用され、第1のニューラルネットワークモデルの重みを、識別されるべきパラメータを通して、少なくとも部分的に表す。
【0016】
教師あり学習を通して、人工ニューラルネットワークは、良好な入力-出力マッピング関係を有し、新しい入力に対して合理的な出力を生成し、学習プロセス中にそれらの性能を継続的に最適化し、非常に限られたサンプルで既存のデータパターンを効果的に利用し、それによってパラメータ識別プロセスを加速することができるという技術的利点が特に達成される。
【0017】
任意選択的に、ステップS1は、
同期モータの既知の観察データを取得することであって、既知の観察データは、異なる動作点で測定された同期モータのd軸電流、q軸電流、d軸電圧、q軸電圧及び電気角速度を含む、ことと、
既知の観察データを使用して第1のニューラルネットワークモデルを訓練することであって、損失関数が第1の所定の条件を満たすまで、第1のニューラルネットワークモデルの重みを調整する、ことと、
損失関数が第1の所定の条件を満たすときに、第1のニューラルネットワークモデルの重みに基づいて、同期モータの識別されるべきパラメータの中間結果を決定することと、
を含む。
【0018】
この期間中、システムの未知のパラメータは内部重みに反映され、それによって制御された物体の未知のパラメータの直接的な識別が回避されるという技術的利点が特に達成される。
【0019】
任意選択的に、第1のニューラルネットワークモデルの重みを調整することは、勾配降下アルゴリズム、特に逆伝播アルゴリズムを使用して、第1のニューラルネットワークモデルの重みを反復更新することを含む。
【0020】
上述のアルゴリズムを介して、「合理的」ソリューションルールは、既知の入力-出力関係に基づいて自動的に抽出され、したがって、内部重みを自動的に決定し、複雑な内部機構でマッピング問題を解決し、ネットワークが良好な一般化及びフォールトトレランス能力を有することを可能にするという技術的利点が特に達成される。
【0021】
任意選択的に、ステップS2は、q軸電流及びd軸電流を第3のニューラルネットワークモデルへの入力として使用し、かつ、識別されるべきパラメータの非線形特性部分を第3のニューラルネットワークモデルの出力として使用して、第3のニューラルネットワークモデルを補償モジュールとして確立することを含む。
【0022】
補償モジュールを導入することによって、パラメータ線形性を仮定して含まれる非線形因子を合理的に補償することが可能であり、また、パラメータの非線形特性のための専用の数学的モデルを作成することも可能であり、このために最終的なパラメータ識別結果をより信頼できるものとするという技術的利点が特に達成される。
【0023】
任意選択的に、ステップS2は、第1のニューラルネットワークモデルの入力層の一部を補償モジュールの入力層と共有すること、及び、補償モジュールの出力層を第1のニューラルネットワークモデルの出力層に接続することにより、補償モジュールを第1のニューラルネットワークモデルに追加することを含む。
【0024】
共有入力及び出力を通して補償モジュールを第1のニューラルネットワークモデルに埋め込むことによって、補償モジュールは、第2のニューラルネットワークモデルの全体的な訓練プロセス中に受動的に訓練される、という技術的利点が特に達成される。結果として、パラメータの未知の非線形特性は、ソリューションのモデルの内部パラメータに変換される。直接的な訓練に利用可能なデータがない場合、補償モジュールの入力-出力マッピング関係は、ネットワークの全体的な逆伝播能力を通して間接的に確立される。
【0025】
任意選択的に、ステップS3は、
既知の観察データを使用して第2のニューラルネットワークモデルを訓練することであって、訓練された第1のニューラルネットワークモデルの重み及び補償モジュールの重みを、損失関数が第2の所定の条件を満たすまで調整する、ことと、
損失関数が第2の所定の条件を満たすときに、訓練された第2のニューラルネットワークモデルの重み及び補償モジュールの重みに基づいて、同期モータの識別されるべきパラメータの最終結果を決定することと、
を含む。
【0026】
第2のニューラルネットワークモデルの訓練は、第1の段階での訓練の結果に基づいており、これは、識別されるべきパラメータの中間結果に基づいて改良を可能にし、時間効率を改善し、収束プロセスを加速させるという技術的利点が特に達成される。
【0027】
任意選択的に、訓練された第1のニューラルネットワークモデルの重みを調整する間、識別されるべきパラメータのうちの第1のパラメータの中間結果は変更されずに保持され、識別されるべきパラメータのうちの第2のパラメータの中間結果は変更される。
【0028】
第1の段階のパラメータ推定は、特定のパラメータの線形近似未満で完了するため、補償段階中に非線形特性部分と良好に区別するために、一定とみなされ続け、更なる訓練プロセスに参加しないものとすることができる、という技術的利点が特に達成される。しかしながら、この線形近似は十分に正確ではないため、特定の固定パラメータの中間結果が、特定のパラメータの非線形寄与を不正確に含む可能性がある。これらの固定パラメータに属さない部分を補償するために、干渉を除去するように、これらの固定パラメータを第2の段階で調整する必要がある。
【0029】
任意選択的に、損失関数は、以下の式によって表される。
【数1】
【0030】
式中、Nは、使用される既知の観察データの数であり、Usdは、既知の観察データにおける同期モータのd軸電圧であり、
【数2】
は、第1のニューラルネットワークモデル又は第2のニューラルネットワークモデルにより出力されるd軸電圧であり、Usqは、既知の観察データにおける同期モータのq軸電圧であり、
【数3】
は、第1のニューラルネットワークモデル又は第2のニューラルネットワークモデルにより出力されるq軸電圧である。
【0031】
モデル出力と実際の出力との間の誤差を効果的に考慮及び利用することができ、モデルが実値に近づく方向に向かって連続的に自己学習することを可能にし、訓練プロセスに対して信頼できる評価基準及び終了条件を提供する、という技術的利点が特に達成される。
【0032】
任意選択的に、方法は、
最終結果に基づいて同期モータの動作を制御するために、識別されるべきパラメータの最終結果を同期モータのコントローラに送信するステップ、
及び/又は、
第2のニューラルネットワークモデルの重みを適用するときに、同期モータの動作パラメータに基づいてリアルタイムで、識別されるべきパラメータのオンライン最終結果を内部ニューラルネットワークが決定することを可能にし、かつ、オンライン最終結果に基づいて同期モータの動作をコントローラが制御する、訓練された第2のニューラルネットワークモデルの重みを、同期モータのコントローラの内部ニューラルネットワークに送信するステップ
を更に含む。
【0033】
モータパラメータを同期モータのコントローラに直接送信することによって、パラメータ生成プロセスはオフラインに保持され、コントローラの計算オーバヘッド及びハードウェア要件が低いことを確保し、コスト効果の高い制御スキームを全体的に達成するという技術的利点が特に達成される。内部ニューラルネットワークをコントローラに統合し、訓練された重み値を当該内部ニューラルネットワークに提供することによって、コントローラは、より信頼性の高いモータ制御を可能にする、異なる動作条件に従ってパラメータ識別結果をリアルタイムで更新することができる。
【0034】
本発明の第2の態様によれば、ニューラルネットワークに基づく同期モータのパラメータ識別のためのデバイスが提供される。デバイスは、本発明の第1の態様による方法を実施するために使用され、
第1のニューラルネットワークモデルを確立及び訓練し、訓練された第1のニューラルネットワークモデルを使用して、同期モータの識別されるべきパラメータの中間結果を決定するように構成された第1の識別モジュールと、
訓練された第1のニューラルネットワークモデルに補償モジュールを追加することによって、第2のニューラルネットワークモデルを形成するように構成された修正モジュールと、
識別されるべきパラメータの中間結果に基づいて、第2のニューラルネットワークモデルを訓練し、訓練された第2のニューラルネットワークモデルを使用して、識別されるべきパラメータの最終結果を決定するように構成された第2の識別モジュールと、
を備える。
【0035】
本発明の第3の態様によると、コンピュータプログラム製品が提供され、コンピュータプログラム製品は、コンピュータによって実行されたときに、本発明の第1の態様による方法を実施するために構成されたコンピュータプログラムを備える。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本発明は、その原理、特徴及び利点のより良好な理解を提供するために、添付図面を参照してより詳細に説明される。図面は、以下を含む。
図1】本発明の例示的な実施例による同期モータのニューラルネットワークに基づくパラメータ識別方法のフローチャートを示している。
図2図1に示す方法ステップのフローチャートを示している。
図3図1に示す2つの方法ステップのフローチャートを示している。
図4】本発明の例示的な実施例による同期モータのニューラルネットワークに基づくパラメータ識別のためのデバイスの概略図を示している。
図5】ルックアップテーブル方法を使用してパラメータ識別のために横断する必要がある動作点の概略図を示している。
図6】同期モータのd軸磁束の非線形特性の概念概略図を示している。
図7】本発明に係る方法において使用される第1のニューラルネットワークモデルの例示的な概略図を示している。
図8】本発明に係る方法において使用される補償モジュールの例示的な概略図を示している。
図9】本発明に係る方法において使用される第2のニューラルネットワークモデルの例示的な概略図を示している。
図10a】電流とともに変化する本発明に係る方法によって決定される同期モータのd軸インダクタンス及びq軸インダクタンスの部分非線形特性部分の概略図を示している。
図10b】電流とともに変化する本発明に係る方法によって決定される同期モータのd軸インダクタンス及びq軸インダクタンスの部分非線形特性部分の概略図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の技術的課題、技術的解決手段及び有益な技術的効果のより明確な理解を提供するために、以下の説明は、添付図面及び複数の例示的な実施例と併せて更に詳細に提示される。当然のことながら、本明細書に記載の特定の実施形態は、本発明を説明する目的においてのみ提供され、本発明の保護の範囲を限定するものではない。
【0038】
図1は、本発明の例示的な実施例による同期モータのニューラルネットワークに基づくパラメータ識別方法のフローチャートを示している。
【0039】
ステップS1においては、第1のニューラルネットワークモデルが確立され、訓練されて、同期モータの識別されるべきパラメータの中間結果を決定する。
【0040】
同期モータは、本発明の関連において、同期リラクタンスモータ、永久磁石同期モータ、誘導モータ、及び、パラメータ非線形性を有する他のタイプの同期モータを含み得る。
【0041】
本発明の関連においては、同期モータの識別されるべきパラメータは、例えば、ステータ抵抗R、d軸インダクタンスL、q軸インダクタンスL、及び/又は、永久磁石磁束リンケージφを含み得る。これらのパラメータのうち、ステータ抵抗Rと永久磁石磁束リンケージφとは、同期モータの固有のパラメータであるとみなされ得るものであり、したがって、外部温度の制御によって変化しない。しかしながら、回避困難な鉄コア飽和現象及び材料因子により、同期モータのd軸インダクタンスLとq軸インダクタンスLとは、電流の変化とともに変化する。それらを定数として処理することは、必然的にモータの制御精度及び安定性に影響を与えることになる。
【0042】
本発明の関連においては、識別されるべきパラメータの中間結果は、例えば、識別されるべき第1のパラメータ(例えば、d軸インダクタンスLとq軸インダクタンスLと)の線形近似値を含む。更に、これらの中間結果はまた、第1のパラメータの線形近似を考慮して、識別されるべきパラメータのうちの第2のパラメータ(例えば、ステータ抵抗Rと永久磁石磁束リンケージφと)の第1の推定値を含む。
【0043】
このステップにおいては、第1のニューラルネットワークモデルの入力-出力関係は、例えば、d-q座標系における同期モータの静的電圧状態方程式に基づいて確立される。永久磁石同期モータの実施例を考慮すると、使用される静的電圧状態方程式は、以下の通りである。
【数4】
【0044】
式中、Usdは、同期モータのd軸電圧であり、Rは、同期モータのステータ抵抗であり、ωは、同期モータの電気角速度であり、Lは、同期モータのq軸インダクタンスであり、isqは、同期モータのq軸電流であり、|φ|は、同期モータの永久磁石磁束リンケージの振幅であり、θは、同期モータのゼロ角度であり、Usqは、q軸電圧であり、isdは、同期モータのd軸電流であり、Lは、d軸インダクタンスである。
【0045】
第1のニューラルネットワークモデルを確立するために、例えば、同期モータのq軸電流及びd軸電流並びに角速度は、第1のニューラルネットワークモデルの入力として使用され、q軸電圧及びd軸電圧は、第1のニューラルネットワークモデルの出力として使用され、識別されるべきパラメータとして、R、L、L及びφを使用する第1のニューラルネットワークモデルの修正可能な重みを特徴付ける。
【0046】
ステップS2においては、第2のニューラルネットワークモデルは、訓練された第1のニューラルネットワークモデルに補償モジュールを追加することによって形成される。識別されるべきパラメータの非線形性を説明するために、例えば、第3のニューラルネットワークモデルが、q軸電流及びd軸電流を入力として使用し、かつ、識別されるべきd軸インダクタンス及びq軸インダクタンスの非線形特性部分を出力として使用して、補償モジュールとして確立される。
【0047】
ステップS3においては、第2のニューラルネットワークモデルは、識別されるべきパラメータから導出された中間結果に基づいて訓練される。識別されるべきパラメータの最終結果は、訓練された第2のニューラルネットワークモデルを使用して決定される。本発明の関連において、「最終結果」という用語は、識別されるべきパラメータの実際の値又は実際の機能的関係を特徴付けることができる結果を指す。例えば、識別されるべきパラメータの最終結果は、非線形性について補償された後の第1のパラメータ(例えば、d軸インダクタンス及びq軸インダクタンス)の線形近似値を含み得る。更に、最終結果は、第1のパラメータの線形近似値の非線形性を補償した後、識別されるべきパラメータのうちの第2パラメータの第2の推定値(例えば、ステータ抵抗Rと永久磁石磁束リンケージφfと)には、以前に決定された第1の推定値と比較して、第1のパラメータの非線形特性部分の寄与が実質的に含まれなくなり又はほんのわずかしか含まないことも、含む。この部分を除外することによって、パラメータの第2の推定値は、それらの真の値により密接に近づく。このステップにおいては、例えば、第2のニューラルネットワークモデルを使用して、識別されるべき、既に決定されたパラメータの中間結果を更新することによって、各未知のパラメータの識別方程式は、更新された結果に基づいて決定され得る。
【0048】
図2は、図1に示す方法の方法ステップのフローチャートを示している。この実施例においては、図1の方法ステップS1は、例としてステップS11~S18を含む。
【0049】
ステップS11においては、観察データが得られる。永久磁石同期モータを実施例として考えると、永久磁石同期モータの安定した動作が最初に制御される。次に、基準電流、負荷トルク、モータ速度、及び、その他の条件を変更することによって、異なる動作点のNセットを可能な限り広い動作範囲で横断し、モータのd軸電圧Usd、q軸電圧Usq、d軸電流isd、q軸電流isq及び電気角速度ωを、これらの動作点において記録する。ここで、Nの値は、通常、15から30までの範囲内において、時間消費及び所望のモデル精度に従って自由に調整することができる。
【0050】
ステップS12においては、データのセット内のd軸電流isd、q軸電流isq及び電気角速度ωは、観察データから抽出され、順伝播を介して第1のニューラルネットワークモデルに入力される。
【0051】
ステップS13においては、第1のニューラルネットワークモデルの出力は、ニューロンの各層間の重みの初期推定値に基づいて計算される。ここで、第1のニューラルネットワークモデルの重みの少なくともいくつかの初期推定値は、モータの非線形特性を無視する条件下で、識別されるべきモータのパラメータR、L、L及びφの値を記述する。重みのこれらの初期推定値は、経験に基づいて工学専門家によって導出されるものとしてもよく、又は、無作為に外部入力される任意の数学的及び物理的に意義のある値であるものとしてもよい。
【0052】
ステップS14においては、出力誤差が計算される。例えば、ステップS12において、第1のニューラルネットワークモデルによって出力されたd軸電圧
【数5】
と、観察データから抽出されたd軸電圧Usdとの間の偏差が計算され、第1のニューラルネットワークモデルによって出力されたq軸電圧
【数6】
と、観察データから抽出されたq軸電圧Usqとの間の偏差も計算される。
【0053】
ステップS15においては、接続重みは、取得された誤差に基づいて逆伝播アルゴリズムを使用して調整される。ここで、誤差更新値は、逆伝播を通して第1の層に到達するように層ごとに伝播され、全ての重みは、逆伝播プロセスの終了時に共に更新される。必要なモデルの精度及び時間消費に応じて、逆伝播アルゴリズムで使用される学習速度を自由に調整することができる。
【0054】
ステップS16においては、モデルを訓練するために使用される観察データが使い果たされたかどうかをチェックする。例えば、横断された観察データの数がN以上であるかどうかをチェックする。
【0055】
使い果たされていない場合、プロセスは、ステップS16からステップS12に戻り、次の訓練サンプルの抽出を継続する。
【0056】
使い果たされた場合、ステップS17においては、全損失関数は、全ての訓練サンプル(すなわち、全ての観察データ)について計算され、損失関数の出力結果が第1の所定の条件を満たすかどうかが決定される。例えば、損失関数の出力結果が第1の限界値よりも小さいかどうかをチェックする。
【0057】
損失関数の出力結果が第1の限界値よりも大きい場合、モデルの性能がまだ標準を満たさず、訓練を継続する必要があることを示す。したがって、ステップS17からステップS12に戻り、新しい反復ループを開始する。
【0058】
損失関数の出力結果が第1の限界値よりも小さい場合、モデルが予想される結果において満足のいく性能を既に達成したことを示す。この場合、ステップS18においては、第1のニューラルネットワークモデルの現在の重みが出力され、これに基づいて、同期モータで決定されるパラメータの線形近似部分が決定される。同期モータの非線形因子は、この段階では考慮されないため、ここで決定されたパラメータが一定の形態で表されることは注目に値する。非線形因子(d軸及びq軸インダクタンスなど)によって影響されるべき第1のパラメータについて、この段階で得られた結果は、全ての観察データにわたるこれらのパラメータの平均値として見ることができるため、絶対的に正確ではない。それらは、その後の非線形補償プロセスを通じて修正される必要がある。一定であるべき第2のパラメータ(ステータ抵抗及び永久磁石磁束リンケージなど)については、この段階で決定された結果はまた、第1のパラメータからの非線形寄与の一部を含む。
【0059】
図3は、図1の2つの方法ステップのフローチャートを示している。この実施形態においては、図1の方法ステップS3は、ステップS31~S38によって例示的に表される。
【0060】
ステップS2においては、第3のニューラルネットワークモデルの形態の補償モジュールが、訓練された第1のニューラルネットワークモデルに追加され、第2のニューラルネットワークモデルを形成する。
【0061】
ステップS31においては、d軸電流(isd)、q軸電流(isq)及び電気角速度(ω)からなるデータのセットが、取得された観察データから抽出され、順伝播を介して第2のニューラルネットワークモデルに入力される。例えば、d軸電流(isd)、q軸電流(isq)及び電気角速度(ω)は、訓練された第1のニューラルネットワークモデルに入力され、d軸電流(isd)及びq軸電流(isq)はまた、補償モジュールにも入力される。
【0062】
ステップS32においては、第2のニューラルネットワークモデルの出力が計算される。例えば、対応する電圧
【数7】
は、各層のニューロン間の重み関係に基づいて計算される。
【0063】
ステップS33においては、第2のニューラルネットワークモデルの出力電圧と観察データの電圧との間の誤差が計算される。
【0064】
ステップS34においては、訓練された第1のニューラルネットワークモデルの重みは、逆伝播アルゴリズムを使用して、この誤差に基づいて調整される。第1のニューラルネットワークモデルの重みは、モータパラメータR、L、L及びφを依然として部分的に記述する。しかしながら、L、Lについての中間結果Ld0、Lq0は、線形特性部分を既に表しているため、それらは、更なる訓練にもはや関与しない。しかしながら、R及びφの値は、誤って、L、Lからの非線形寄与の一部を含むため、それらは補償される必要がある。したがって、訓練された第1のニューラルネットワークモデルの重みを調整するときに、R及びφのみが変更される。
【0065】
ステップS35においては、第3のニューラルネットワークモデル(補償モジュール)のネットワーク重みが調整される。ここで、例えば、第2のニューラルネットワークモデルの全体的な出力誤差は、第3のニューラルネットワークモデルの出力値に間接的に影響を与え、それによって、第3のニューラルネットワークモデルの内部重みを間接的に変更するために使用される。
【0066】
ステップS36においては、モデルを訓練するために使用される観察データが使い果たされたかどうかをチェックする。
【0067】
使い果たされていない場合、ステップS36からステップS31に戻り、次の訓練サンプルの抽出を継続する。
【0068】
使い果たされた場合、ステップS37においては、総損失関数は、全ての訓練サンプル(すなわち、全ての観察データ)に対して計算され、損失関数の出力結果が第2の所定の条件を満たすかどうか、すなわち、第2の限界値よりも小さいかどうかが決定される。
【0069】
損失関数の出力結果が第2の限界値よりも大きい場合、ステップS37からステップS31に戻り、新しい反復ループを開始する。
【0070】
損失関数の出力結果が第2の限界値よりも小さい場合、モデルが予想される結果において満足のいく性能を達成したことを示す。この場合、ステップS38においては、第2のニューラルネットワークモデルの現在の重みが出力され、これに基づいて、同期モータの識別されるべきパラメータのR及びφの最終値が決定される。更に、第3のニューラルネットワークモデルの出力の支援により、適合させられたL及びLの非線形特性部分ΔLd0及びΔLq0が得られる。これらを第1のニューラルネットワークモデルを使用して決定された線形特性部分Ld0及びLq0と組み合わせることによって、L、Lと電流との間の機能的関係を最終的に決定することができる。
【0071】
図4は、本発明の例示的な実施例による同期モータのニューラルネットワークに基づくパラメータ識別のためのデバイスの概略図を示している。
【0072】
図4に示すように、デバイス1は、第1の識別モジュール10と、修正モジュール20と、第2の識別モジュール30とを備える。第1の識別モジュール10と第2の識別モジュール30とは両方とも、同期モータの未知のパラメータを識別するために使用されるが、異なるタスクファーカスを有する。例えば、第1の識別モジュール10は、識別されるべきパラメータの線形特性部分又は線形近似未満のパラメータ値を決定するために主に使用され、一方、第2の識別モジュール20は、非線形因子又は非線形補償後の結果を考慮して結果を決定するために主に使用される。
【0073】
具体的には、第1の識別モジュール10は、例えば、第1のニューラルネットワークモデルを確立及び訓練し、訓練されたモデルを利用して、同期モータの識別されるべきパラメータの中間結果を決定するために使用される。
【0074】
修正モジュール20は、例えば、訓練された第1のニューラルネットワークモデルに補償モジュールを追加することによって、第2のニューラルネットワークモデルを形成するために使用される。
【0075】
第2の識別モジュール20は、例えば、識別されるべきパラメータの中間結果に基づいて第2のニューラルネットワークモデルを訓練し、訓練された第2のニューラルネットワークモデルを利用して、識別されるべきパラメータの最終結果を決定するために使用される。
【0076】
図5は、ルックアップテーブル方法を使用してパラメータ識別のために横断する必要がある動作点の概略図を示している。
【0077】
同期モータの特定のパラメータ(例えば、d軸インダクタンス及びq軸インダクタンス)の非線形特性を包括的に反映するために、同期モータの動作範囲全体を可能な限り包括的に動作点で網羅する必要がある。したがって、図5から、多数の動作点を収集及び試験する必要があることが分かる。更に、磁気飽和現象は低電流でより重要であるため、低電流でサンプリング速度を集中的に増加させることが特に必要であり、これはパラメータ識別の時間消費を大幅に増加させる。更に、サンプリングされたデータ自体の精度も、測定ソフトウェア/ハードウェアの精度によって制限される。
【0078】
図6は、同期モータのd軸磁束の非線形特性の概念概略図を示している。
【0079】
理想的な状況においては、d軸磁束は、対応する電流とともに直線的に変化し、平面を形成するべきである。しかしながら、図6に示すように、d軸磁束は、不規則な表面として視覚的に表される飽和に起因して、d軸及びq軸電流との非線形関係を呈する。この非線形性は、電流の変化とともにd軸インダクタンスを更に変化させる。定数として扱うことは、必然的にモータの制御精度及び安定性に影響を与える。
【0080】
図7は、本発明に係る方法において使用される第1のニューラルネットワークモデルの例示的な概略図を示している。
【0081】
第1のニューラルネットワークモデル60は、二層ニューロン構造を備え、各層に完全に接続される。入力及び出力の関係は、同期モータによってd-q座標系の以下の静的電圧状態方程式を使用して確立される。
【数8】
【0082】
式中、Usdは、同期モータのd軸電圧であり、Rは、同期モータのステータ抵抗であり、ωは、同期モータの電気角速度であり、Lは、同期モータのq軸インダクタンスであり、isqは、同期モータのq軸電流であり、|φ|は、同期モータの永久磁石磁束リンケージの振幅であり、θは、同期モータのゼロ角度であり、Usqは、q軸電圧であり、isdは、同期モータのd軸電流であり、Lは、同期モータのd軸インダクタンスである。
【0083】
第1のニューラルネットワークモデル60を使用して、同期モータの識別されるべきパラメータの線形特性部分を決定するために、同期モータのq軸電流isq、d軸電流isd及び電気角速度ωは、第1のニューラルネットワークモデル60への入力として使用され、一方、q軸電圧Usq及びd軸電圧Usdは、第1のニューラルネットワークモデル60の出力として使用される。静的電圧状態方程式によって定義されるマッピング関係に基づいて、第1の入力ノードと2つの出力ノードとの間の重みが、R及びωであり、第2の入力ノードと2つの出力ノードとの間の重みが、ω及びRであり、第3の入力ノードと2つの出力ノードとの間の重みが、|φ|sinθ及び|φ|cosθである。モータのゼロ角度が正しく較正されている場合、θは0である。ここで、R、L、L及びφは、第1のニューラルネットワークモデル60の調整可能な重みであり、それらの値は、逆伝播プロセスにおいて反復更新され得る。
【0084】
各所与の入力について、第1のニューラルネットワークモデル60は、q軸電圧及びd軸電圧の推定値を出力する。損失関数は、測定された電圧と推定値との間の差に基づいて構築され得る。
【数9】
【0085】
式中、Nは、使用される既知の観察データの数であり、Usdは、既知の観察データの同期モータのd軸電圧であり、
【数10】
は、第1のニューラルネットワークモデル60の出力d軸電圧であり、Usqは、既知の観察データにおける同期モータのq軸電圧であり、
【数11】
は、第1のニューラルネットワークモデル60の出力q軸電圧である。
【0086】
ネットワークの重みは、損失関数Jの値が第1の所定の条件を満たすまで、逆伝播アルゴリズムを使用して少なくとも部分的に修正される。この点において、識別されるべきパラメータR、L、L及びφの中間結果は、第1のニューラルネットワークモデル60の内部重みに基づいて決定され得る。
【0087】
図8は、本発明に係る方法において使用される補償モジュールの例示的な概略図を示している。
【0088】
第3のニューラルネットワークモデルの形態の補償モジュール70は、例示的には、入力層、出力層、及び、少なくとも1つの隠れ層を備える。所望の精度及び観察データの量に応じて、隠された層の数及び含有されるニューロンの数を調整することができる。q軸インダクタンスL及びd軸インダクタンスLの非線形特性を適合させるために、LとLとはそれぞれ、以下のように表される2つの部分から構成されると仮定される。
【数12】
【0089】
式中、L及びLはそれぞれ、q軸インダクタンス及びd軸インダクタンスであり、Ld0及びLq0は、q軸インダクタンス及びd軸インダクタンスの線形特性部分を表し、ΔLd0及びΔLq0は、q軸インダクタンス及びd軸インダクタンスの非線形特性部分を表す。例えば、ΔLd0及びΔLq0は、第1のニューラルネットワークモデルを使用して中間結果の形態で決定されている。したがって、目的は、非線形補償モジュール70を使用してΔLd0及びΔLq0を決定することである。同期モータの磁気回路飽和は、この理解に基づいて、d軸及びq軸の電流isd及びisqに非常に関連しているため、isd、isqと、ΔLd0、ΔLq0との間の直接的関係は、補償モジュール内に確立される。言い換えれば、q軸電流isq及びd軸電流isdは、第3のニューラルネットワークモデルへの入力として使用され、識別されるべきパラメータの非線形特性部分ΔLd0及びΔLq0は、第3のニューラルネットワークモデルの出力として使用される。
【0090】
図9は、本発明に係る方法において使用される第2のニューラルネットワークモデルの例示的な概略図を示している。
【0091】
ここで、図8に示す補償モジュール70は、補償モジュール70が、入力層の一部分を第1のニューラルネットワークモデル60と共有する、すなわち、「d、q軸電流isd、isq」を共有するように、図7に示す第1のニューラルネットワークモデル60に追加される。補償モジュール70の出力層は、第1のニューラルネットワークモデル60の出力層に完全に接続され、したがって、全体的な第2のニューラルネットワークモデル80を形成する。
【0092】
全体的に、第2のニューラルネットワークモデル80の入力は、依然として、q軸の電流isq、d軸の電流isd、及び、同期モータの電気角速度ωである。第2のニューラルネットワークモデル80の出力は、依然として、q軸電圧Usq及びd軸電圧Usdである。しかしながら、非線形因子の考慮により、第2のニューラルネットワークモデル80の入力-出力関係は、以下の静的電圧状態方程式に基づいて確立される。
【数13】
【0093】
式中、Usdは、同期モータのd軸電圧であり、Rは、同期モータのステータ抵抗であり、ωは、同期モータの電気角速度であり、Lq0は、同期モータのq軸インダクタンスの線形特性部分であり、ΔLq0は、同期モータのq軸インダクタンスの非線形特性部分であり、isqは、同期モータのq軸電流であり、|φ|は、同期モータの永久磁石磁束リンケージの振幅であり、θは、同期モータのゼロ角度であり、Usqは、q軸電圧であり、isdは、d軸電流であり、Ld0は、d軸インダクタンスの線形特性部分であり、ΔLd0は、d軸インダクタンスの非線形特性部分である。
【0094】
第2のニューラルネットワークモデル80の訓練中、第1のニューラルネットワークモデル60に関して、調整は、第1のニューラルネットワークモデル60の訓練の終了時に取得された重み値から開始して行われる。非線形特性部分を通した補償を容易にするために、d軸及びq軸のインダクタンスの線形特性部分Ld0及びLq0が固定され、その結果、これらの2つの特性化によって表される重みは、第2の反復訓練に関与しないと仮定される。したがって、調整プロセスにおいては、R及びφの値のみが変更される。
【0095】
補償モジュール70(すなわち、第3のニューラルネットワークモデル)に関して、このネットワークの内部重みの所定の値は、ΔLd0及びΔLq0の出力を変更するように変更される。
【0096】
重みを更新するこの反復プロセスは、以下の損失関数が収束するまで継続する。
【数14】
【0097】
式中、Nは、使用される既知の観察データの数であり、Usdは、既知の観察データにおける同期モータのd軸電圧であり、
【数15】
は、第2のニューラルネットワークモデルからの出力d軸電圧であり、Usqは、既知の観察データにおける同期モータのq軸電圧であり、
【数16】
は、第2のニューラルネットワークモデルからの出力q軸電圧である。
【0098】
第2のニューラルネットワークモデル80の訓練が完了すると、識別されるべきパラメータR及びφの最終結果は、対応する第1のニューラルネットワークモデル60の内部重みに基づいて決定され得る。更に、訓練の完了時に、補償モジュール70の支援により、線形特性部分Ld0及びLq0と組み合わせた、適合させられたL及びLの非線形特性部分ΔLd0及びΔLq0を使用して、L及びLと、d軸及びq軸電流との間の機能的関係を決定することができる。
【0099】
図10a及び図10bは、電流とともに変化する本発明に係る方法によって決定される同期モータのd軸インダクタンス及びq軸インダクタンスの非線形特性部分の概略図を示している。
【0100】
図10a及び図10bから、補償モジュールの支援により、d軸及びq軸インダクタンスの非線形特性部分ΔLd0及びΔLq0は、d軸及びq軸の電流isd及びisqの変動に対して適合させられ、表面プロットを形成することができることが観察され得る。使用されるニューラルネットワーク技術に基づいて、限定的な観察データ点に基づいて、表面の未知の部分に知的な推論及び判断を適用することができ、欠損データの自動補間及び再構成を可能にして、ΔLd0、ΔLq0と電流との間の完全な機能的関係を回復することができる。適合結果から、d軸及びq軸のインダクタンスの非線形特性部分は、定数ではなく、同期モータの磁気飽和などの現象によって引き起こされる磁束非線形性の影響によって変化することが分かる。非線形特性は、特に電流値isd及びisqが小さい場合に、より顕著である。
【0101】
本発明の特定の実施形態を本明細書に詳細に説明してきたが、それらは説明のみを目的として提供されており、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な置換、変更及び修正を考案することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10a
図10b
【手続補正書】
【提出日】2024-03-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニューラルネットワークに基づく同期モータのパラメータ識別のための方法であって、
S1)第1のニューラルネットワークモデル(60)を確立及び訓練して、訓練された前記第1のニューラルネットワークモデル(60)を使用して、前記同期モータの識別されるべきパラメータの中間結果を決定するステップと、
S2)訓練された前記第1のニューラルネットワークモデル(60)に補償モジュール(70)を追加することによって、第2のニューラルネットワークモデル(80)を形成するステップと、
S3)前記識別されるべきパラメータの前記中間結果に基づいて前記第2のニューラルネットワークモデル(80)を訓練して、訓練された前記第2のニューラルネットワークモデル(80)を使用して、前記識別されるべきパラメータの最終結果を決定するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記中間結果は、
前記識別されるべきパラメータのうちの第1のパラメータの線形近似値と、
前記第1のパラメータの前記線形近似未満の、前記識別されるべきパラメータのうちの第2のパラメータの第1の推定値と、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記最終結果は、
非線形性を補償した後の、前記識別されるべきパラメータのうちの前記第1のパラメータの前記線形近似値と、
前記第1のパラメータの前記線形近似値の前記非線形性を補償した後の、前記識別されるべきパラメータのうちの前記第2のパラメータの第2の推定値と、
を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記同期モータの前記識別されるべきパラメータは、前記同期モータのステータ抵抗、d軸インダクタンス、q軸インダクタンス及び永久磁石磁束を含む、請求項に記載の方法。
【請求項5】
ステップS1は、
d-q座標系における前記同期モータの静的電圧状態方程式に基づいて、前記第1のニューラルネットワークモデル(60)の入力-出力関係を確立することを含み、
前記第1のニューラルネットワークモデル(60)の入力は、前記同期モータのq軸電流、d軸電流及び気角速度を含み、前記第1のニューラルネットワークモデル(60)の出力は、前記同期モータのq軸電圧及びd軸電圧を含み、前記第1のニューラルネットワークモデル(60)の重みが、前記識別されるべきパラメータによって少なくとも部分的に表される、請求項に記載の方法。
【請求項6】
ステップS1は、
前記同期モータの既知の観察データを取得することであって、前記既知の観察データは、異なる動作点で測定された前記同期モータのd軸電流、q軸電流、d軸電圧、q軸電圧及び電気角速度を含む、ことと、
前記既知の観察データを使用して前記第1のニューラルネットワークモデル(60)を訓練することであって、損失関数が第1の所定の条件を満たすまで、前記第1のニューラルネットワークモデル(60)の前記重みを調整する、ことと、
前記損失関数が前記第1の所定の条件を満たすときに、前記第1のニューラルネットワークモデル(60)の前記重みに基づいて、前記同期モータの識別されるべきパラメータの中間結果を決定することと、
を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のニューラルネットワークモデル(60)の前記重みを調整することは、勾配降下アルゴリズム、特に逆伝播アルゴリズムを使用して、前記第1のニューラルネットワークモデル(60)の前記重みを反復更新することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ステップS2は、
q軸電流及びd軸電流を第3のニューラルネットワークモデルへの入力として用いて、かつ、識別されるべき前記パラメータのうちの前記第1のパラメータの前記非線形特性部分を前記第3のニューラルネットワークモデルの出力として用いて、当該第3のニューラルネットワークモデルを前記補償モジュール(70)として確立することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
ステップS2は、
前記第1のニューラルネットワークモデル(60)の入力層の一部を前記補償モジュール(70)の入力層と共有すること、及び、前記補償モジュール(70)の出力層を前記第1のニューラルネットワークモデル(60)の出力層に接続することにより、前記補償モジュール(70)を前記第1のニューラルネットワークモデル(60)に追加することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
ステップS3は、
前記既知の観察データを使用して前記第2のニューラルネットワークモデル(80)を訓練することであって、訓練された前記第1のニューラルネットワークモデル(60)の前記重み及び前記補償モジュール(70)の前記重みを、前記損失関数が第2の所定の条件を満たすまで調整する、ことと、
前記損失関数が前記第2の所定の条件を満たすときに、前記第1のニューラルネットワークモデル(60)の前記重み及び前記補償モジュール(70)の前記重みに基づいて、前記同期モータの前記識別されるべきパラメータの前記最終結果を決定することと、
を含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
訓練された前記第1のニューラルネットワークモデル(60)の前記重みを調整する間、前記識別されるべきパラメータのうちの前記第1のパラメータの前記中間結果は変更されずに保持され、前記識別されるべきパラメータのうちの前記第2のパラメータの前記中間結果は変更される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記損失関数は、以下の式によって表され、
【数1】
式中、Nは、使用される既知の観察データの数であり、Usdは、前記既知の観察データにおける前記同期モータの前記d軸電圧であり、
【数2】
は、前記第1のニューラルネットワークモデル(60)又は前記第2のニューラルネットワークモデル(80)により出力される前記d軸電圧であり、Usqは、前記既知の観察データにおける前記同期モータの前記q軸電圧であり、
【数3】
は、前記第1のニューラルネットワークモデル(60)又は前記第2のニューラルネットワークモデル(80)により出力される前記q軸電圧である、請求項6又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記方法は、
前記最終結果に基づいて前記同期モータの前記動作を制御するために、前記識別されるべきパラメータの前記最終結果を前記同期モータの前記コントローラに送信するステップ、
及び/又は、
前記第2のニューラルネットワークモデル(80)の前記重みを適用するときに、前記同期モータの前記動作パラメータに基づいてリアルタイムで、前記識別されるべきパラメータオンライン最終結果内部ニューラルネットワークが決定することを可能にし、かつ、前記オンライン最終結果に基づいて前記同期モータの前記動作を制御する、訓練された前記第2のニューラルネットワークモデル(80)の前記重みを、前記同期モータの前記コントローラの前記内部ニューラルネットワークに送信するステップ
を更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項14】
ニューラルネットワークに基づく同期モータパラメータ識別デバイス(1)であって、前記デバイス(1)は、請求項に記載の方法を実施するように構成されており、前記デバイス(1)は、
第1のニューラルネットワークモデル(60)を確立及び訓練し、訓練された前記第1のニューラルネットワークモデル(60)を使用して、前記同期モータ識別されるべきパラメータの中間結果を決定するように構成された第1の識別モジュール(10)と、
訓練された前記第1のニューラルネットワークモデル(60)に補償モジュール(70)を追加することによって、第2のニューラルネットワークモデル(80)を形成するように構成された修正モジュール(20)と、
前記識別されるべきパラメータの前記中間結果に基づいて、前記第2のニューラルネットワークモデル(80)を訓練し、訓練された前記第2のニューラルネットワークモデル(80)を使用して、前記識別されるべきパラメータ最終結果を決定するように構成された第2の識別モジュール(30)と、
を備える同期モータパラメータ識別デバイス(1)。
【請求項15】
コンピュータプログラムあって、当該コンピュータプログラムコンピュータによって実行されるときに、請求項に記載の方法を前記コンピュータに実施させるために構成されたコンピュータプログラム
【国際調査報告】