(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-23
(54)【発明の名称】糖を除去した後の反応媒体の中和を伴う低色アルキルポリグリコシドの調製方法
(51)【国際特許分類】
C08G 65/46 20060101AFI20241016BHJP
C07H 15/04 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
C08G65/46
C07H15/04 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519244
(86)(22)【出願日】2022-10-12
(85)【翻訳文提出日】2024-03-28
(86)【国際出願番号】 EP2022078401
(87)【国際公開番号】W WO2023062078
(87)【国際公開日】2023-04-20
(32)【優先日】2021-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】398057293
【氏名又は名称】ソシエテ・デクスプロワタシオン・デ・プロデュイ・プール・レ・アンデュストリー・シミック・セピック
【氏名又は名称原語表記】SOCIETE D’EXPLOITATION DE PRODUITS POUR LES INDUSTRIES CHIMIQUES SEPPIC
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】イロウス,エステル
(72)【発明者】
【氏名】デシラ,ステファン
【テーマコード(参考)】
4C057
4J005
【Fターム(参考)】
4C057AA18
4C057AA19
4C057BB02
4C057DD01
4C057JJ03
4J005AA21
4J005BA00
4J005BB01
4J005BB02
4J005BC00
(57)【要約】
【解決手段】 1.5VCS以下の色を有するアルキルポリグリコシドの調製方法であって:a)少なくとも1つの式(I)のアルコールと、少なくとも1つの式(III):H-O-(G)-Hの還元糖との間の、少なくとも1つの酸触媒(CA)の存在下で、100℃の最低温度及び120℃の最高温度での反応にあるグリコシル化ステップa)と、b)ステップa)で反応していない式(III):H-O-(G)-Hの還元糖を反応媒体から除去するステップb)と、c)塩基剤(Ab)を含む水溶液を用いて、ステップb)からの反応媒体を中和するステップc)と、d)1.5VCS以下の色を有する少なくとも1つの組成物(C)を回収するステップd)とを連続して含む調製方法が開示される。
【化1】
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1.5VCS以下の色を有する組成物(C)であって、その重量の100%に対して:
(i)40重量%以上及び95重量%以下の量の、式(I):
R-OH (I)(式中、Rは、少なくとも1つのヒドロキシル官能基を含むことができ、12~22個の炭素原子を含むことができる直鎖又は分岐、飽和又は不飽和の炭化水素基を表す)のアルコール、又は式(I)のアルコールの混合物と;
(ii)5重量%以上及び60重量%以下の量の、式(II):
R-O-(G)x-H (II)(式中、残基Gは還元糖の残基を表し、Rは式(I)において定義される基を表し、前記残基Gの平均重合度を示すxは、1.05を超え2.5以下の十進数を表す)によって表される組成物(C1)、又は式(II)の組成物(C1)の混合物とを含み;
前記化合物及び組成物(I)及び(II)の重量比率の合計は100重量%となることが理解される、組成物(C)の調製方法であって、
前記方法が:
a)グリコシル化のステップa)であって、少なくとも1つの式(I)のアルコールと、少なくとも1つの式(III):H-O-(G)-H (III)の還元糖との間の、少なくとも1つの酸触媒(CA)の存在下で、100℃以上及び120℃以下の温度での反応からなり、前記少なくとも1つの酸触媒(CA)が、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸、次亜リン酸、メタンスルホン酸、パラ-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、及び酸性イオン交換樹脂からなる群の要素から選択されるステップa)と、
b)ステップa)で反応していない式(III)の前記還元糖を反応媒体から除去するステップb)と、
c)塩基剤(Ab)を含む水溶液を用いてステップb)からの前記反応媒体を中和するステップc)であって、前記塩基剤(Ab)が:
・式(IVa):
XnCO
3 (IVa)
(式中、Xはナトリウム原子若しくはカリウム原子を表し、nは2に等しい整数である、又はXはカルシウム原子若しくはマグネシウム原子を表し、nは1に等しい整数である)の炭酸塩、又は
・式(IVb):
Y(HCO
3)m (IVb)
(式中、Yはナトリウム原子若しくはカリウム原子を表し、mは1に等しい整数である、又はYはカルシウム原子若しくはマグネシウム原子を表し、mは2に等しい整数である)の炭酸水素塩、
からなる群の要素から選択され、
水中の前記反応媒体の5重量%分散物が5.5~7.5の間のpH値を有する反応媒体が得られるように、前記中和が行われるステップc)と、
d)1.5VCS以下の色を有する少なくとも1つの組成物(C)を回収するステップd)と、
を連続して含む調製方法。
【請求項2】
前記組成物(C1)が、式(II1)、(II2)、(II3)、(II4)、及び(II5):
R-O-(G)1-H (II1)、
R-O-(G)2-H (II2)、
R-O-(G)3-H (II3)、
R-O-(G)4-H (II4)、
R-O-(G)5-H (II5)、
で表される化合物のそれぞれのモル比率a1、a2、a3、a4、及びa5が:
・合計:a1+a2+a3+a4+a5が1に等しい、
・合計a1+2a2+3a3+4a4+5a5がxに等しい、
となるような混合物からなることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記組成物(C)が、2重量%以下、好ましくは1重量%以下の量の式(III):
H-O-(G)-H (III)
の還元糖を含み;
前記化合物及び組成物(I)、(II)、及び(III)の重量比率の合計が100重量%に等しいことが理解されることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記水溶液中に存在する前記塩基剤(Ab)が、Xがナトリウム原子を表し、nが2に等しい式(IVa)の炭酸ナトリウムであることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ステップc)において、前記塩基剤(Ab)の前記水溶液が、10重量%~25重量%の間の前記塩基剤(Ab)を含むことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ステップc)が、水中の5重量%分散物が3.5~5.5の間のpH値を有する反応媒体が得られるように、水酸化ナトリウム(NaOH)又は水酸化カリウム(KOH)の溶液を用いて中和が行われる第1段階、次に、水中の5重量%分散物が5.5~7.5の間のpH値を有する反応媒体が得られるように、塩基剤(Ab)の水溶液を用いて中和が行われる第2段階の2段階で行われることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ステップa)のグリコシル化のために選択される式(III)の前記還元糖が、グルコース、キシロース、アラビノース、及びラムノースからなる群の要素から選択されることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
式(III)の前記還元糖を除去するステップb)が、濾過、遠心分離、又はデカンテーションによって行われることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ステップa)が、以下の連続するサブステップの:
i)機械的撹拌機及び真空装置が取り付けられた反応器(Re)中に式(I)のアルコールを導入するサブステップと;
ii)機械的撹拌下で式(I)の前記アルコールを80℃~90℃の間の温度に加熱するサブステップと;
iii)式(III)の前記還元糖を前記反応器(Re)に投入するサブステップと;
iv)少なくとも1つの触媒(CA)を前記反応器(Re)中に導入するステップと;
v)反応中に、真空下で、前記反応器(Re)中に存在する前記反応媒体を100℃~110℃の間の温度に加熱するサブステップと、
vi)サブステップv)からの前記媒体を70℃~80℃の間の温度に冷却するサブステップと、
を含むことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
式(I)及び/又は式(II)において、基Rが、以下の基の:ラウリル(若しくはn-ドデシル)、ミリスチル(若しくはn-テトラデシル)、n-ペンタデシル、セチル(若しくはn-ヘキサデシル)、n-ヘプタデシル、ステアリル(若しくはn-オクタデシル)、パルミトレイル(若しくは9-ヘキサデセニル)、オレイル(若しくは9-オクタデセニル)、リノレイル(9,12-オクタデカジエニル)、リノレニル(若しくは6,9,12-オクタデカトリエニル)、ノナデシル、アラキジル(若しくはn-エイコシル)、ベヘニル(若しくはn-ドコシル)、エルシル(13-ドコセニル)、又は12-ヒドロキシステアリルから選択されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
式(I)及び/又は式(II)において、基Rが以下の基の:2-ヘキシルオクチル、2-ヘキシルデシル、2-ヘキシルドデシル、2-オクチルデシル、2-オクチルドデシル、2-デシルテトラデシル、イソステアリル(若しくは16-メチルヘプタデシル)、又はイソミリスチル(若しくは13-メチルトリデシル)から選択されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
サブステップii)からiv)の間、前記反応器(Re)は窒素下で不活性化されることを特徴とする請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
サブステップii)~iii)の間に、好ましくは50ミリバール以下の圧力における真空ステップを含むことを特徴とする請求項9~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
サブステップvi)が大気圧で行われることを特徴とする請求項9~13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭酸塩中和剤を伴う低色アルキルポリグリコシド(1.5VCS未満の色)の調製方法に関する。
【0002】
アルキルポリグリコシド、すなわちAPGは、おそらくは、現在市場において利用可能なバイオベースの界面活性剤の最良の例である。それらの分子構造は、還元糖(D-グルコース、D-キシロース、又はD-ラムノースは、工業規模で市場で主として利用可能な還元糖である)から誘導される親水性頭部と、種々の長さの親油性炭化水素鎖とが同時に存在することを特徴とする(式I:APGの単純化された構造を参照)。
【化1】
【背景技術】
【0003】
それらの工業規模の製造方法は、比較的単純であり、原材料として:i)小麦、トウモロコシ、若しくはジャガイモのデンプンの完全加水分解から、又は木材ヘミセルロースの加水分解からそれぞれ得られる結晶性のグルコース、キシロース、又はラムノースと、ii)石油化学工業(植物トリグリセリドのエステル交換で得られるメチルエステルの水素化)からの脂肪アルコールとを使用する。次に、Fischerグリコシル化反応は、例えばグルコースとアルコールとの間の反応(II)などで共有化学結合を形成することによって、これら2つの原材料を互いに結合させることにある。
【化2】
【0004】
このグリコシル化反応を行うために、無機又は有機由来の酸触媒が必要であり、過剰のアルコールが意図的に導入され、そのため反応物及び溶媒として機能する。反応終了時に、APGは、反応していない過剰のアルコール中に分散又は可溶化する。
【0005】
APGは、炭化水素アルキル鎖Rの性質によって、及び1を超えるが2.5以下であるそれらの平均重合度DPによって区別される。
【0006】
グリコシル化反応段階の終了時、触媒を失活させ、反応を停止させるために、中和ステップが行われる。
【0007】
アルコールのアルキル鎖の長さ、及び関連する使用によるが、上記アルコールは除去されるか、維持されるかのいずれかである。
【0008】
中和ステップは、炭化水素アルキル鎖の長さによって異なる。後者が12未満の炭素原子数を有する場合、中和は水酸化ナトリウム水溶液によって行われる。グリコシル化の終了時に存在する過剰の脂肪アルコールは、高真空蒸留若しくは分子蒸留によって、又は一般に流下膜薄膜蒸発器若しくはショートパス薄膜蒸発器を用いる蒸発によって除去され、収集されたAPG濃縮物は最後に水中に溶解させる。こうして得られる市販製品は、したがって、40%~~80%の間の重量濃度のAPG水溶液の形態である。
【0009】
炭化水素アルキル鎖Rが12以上の炭素原子数を有する場合、中和は、一般に、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの単独によって、又は欧州特許第0 077 167号明細書の番号で公開された欧州特許、欧州特許出願公開第0 338 151 A1号明細書の番号で公開された欧州特許出願、欧州特許第0 388 857 B1号明細書におけるような還元剤、例えば水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)又は次亜リン酸ナトリウム(NaH2PO2)などとの組み合わせによって行われる。APGと過剰の脂肪アルコールとの混合物は、中和後に単離され、そのままで固体である。APGと脂肪アルコールとの重量比率は、原材料に関して最初に採用されたモル化学量論と、それらの反応性とに直接依存する。しかしながら、5重量%~30重量%のAPGと、70重量%~95%の脂肪アルコールとの比率が一般に確認される。例えば、対応する生成物は、炭化水素アルキル鎖Rの性質により、フレーク若しくはビーズの形態の固体、又は液体の形態となる。
【0010】
しかしながら、5.5~7.5の間の中和媒体の水中の5重量%の分散物のpH値を実現するための、12以上の炭素原子数を有する炭化水素アルキル鎖Rを有する乳化性APGの従来技術からの塩基(例えばNaOH、KOH)による中和ステップによって、生成物の顕著な着色が生じる。
【0011】
本発明の目的のため、「水中の5重量%分散物のpHの測定」は、NF EN 1262の但し書きに準拠したAPGをベースとする組成物の分散物のpHを測定するための分析方法を意味し、上記測定は、複合pH電極(水性媒体)とpHメーターとを用いた電位差測定によって行われる。
【0012】
この着色は、APG含有組成物が導入される最終製品の官能特性を損なうことがある。このため、12以上の炭素原子数を有する炭化水素鎖Rを有するAPGを含む組成物の着色を最小限にするための解決策が提供される。12以上の炭素原子数を有する炭化水素アルキル鎖Rを有するAPGをベースとするこのような低色(<1.5VCS)組成物を得るために、従来技術で公知の2つのレバーが従来使用されている。
【0013】
本発明の目的のため、「低色組成物」は、DIN-ISO 4630によって規定されるガードナー色数(Gardner color scale)が1.5VCS以下である組成物を意味する。ガードナー色数は、あらゆる媒体上の光透過測定を行うLICO 200/Dr LANGE(又は同等の)測色計を用いて測定される。このような測色計は、DIN 5033によって規定される標準光源Cに相当するハロゲンランプを用い、2°標準観察者を用いて操作される。測定中、参照放射線ビームによって、ランプ及び温度の差による記録値のばらつきが補償される。
【0014】
第1のレバーは、使用される塩基を還元剤と組み合わせることにある。これらの還元剤の中では、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)又は次亜リン酸ナトリウム(NaH2PO2)を挙げることができる。この解決策は、全く問題がないわけではない。特に、処理された組成物の着色の最小化においては非常に有効であるが、NaBH4は、取り扱い及び使用に危険が伴う還元剤である(腐食的生成物、水素の放出)。NaH2PO2自体は、高濃度で導入される場合でも、あまり有効ではない。
【0015】
12以上の炭素原子数を有する炭化水素鎖Rを有するAPGをベースとする組成物の色を最小限にするために一般に使用され従来技術に記載される第2のレバーでは、最終ステップ中に過酸化水素(H2O2)を用いた脱色が行われる。有効ではあるが、しかしながら、H2O2を加えることによって媒体の酸化力を維持しながら、水中の5重量%分散物のpH値を7.0~7.5の間に調整する必要があるので、このステップは時間がかかる。実施が困難なこのステップは、数時間続く場合があり、したがって製造時間が大幅に増加し、生産性が低下しうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、解決すべき技術的課題は、12以上の炭素原子数を有する炭化水素アルキル鎖Rを有するAPGをベースとする組成物の中和に対する代案を見出すことである。この代案は、脱色ステップを全く用いずに1.5VCS以下の色を保証しながら、有効で実施が容易となる必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の解決策の1つは、1.5VCS以下の色を有する組成物(C)であって、その重量の100%に対して:
(i)40重量%以上及び95重量%以下、好ましくは50重量%以上及び95重量%以下、さらにより優先的には70重量%以上及び90重量%以下の量の、式(I):
R-OH (I)(式中、Rは、少なくとも1つのヒドロキシル官能基を含むことができ、12~22個の炭素原子を含むことができる直鎖又は分岐、飽和又は不飽和の炭化水素基を表す)のアルコール、又は式(I)のアルコールの混合物と;
(ii)5重量%以上及び60重量%以下、好ましくは5重量%以上及び50重量%以下、さらにより優先的には10重量%以上及び30重量%以下の量の、式(II):
R-O-(G)x-H (II)(式中、残基Gは還元糖の残基を表し、Rは式(I)において定義される基を表し、残基Gの平均重合度を示すxは、1.05を超え2.5以下の十進数を表す)によって表される組成物(C1)、又は式(II)の組成物(C1)の混合物とを含み;
化合物及び組成物(I)及び(II)の重量比率の合計は100重量%となることが理解される、組成物(C)の調製方法であって、
上記方法が:
a)グリコシル化のステップa)であって、少なくとも1つの式(I)のアルコールと、少なくとも1つの式(III):H-O-(G)-H (III)の還元糖との間の、少なくとも1つの酸触媒(CA)の存在下で、100℃以上及び120℃以下、好ましくは100℃以上及び115℃以下、さらにより優先的には100℃以上及び110℃以下の温度での反応からなり、
少なくとも1つの酸触媒(CA)が、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸、次亜リン酸、メタンスルホン酸、パラ-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、及び酸性イオン交換樹脂からなる群の要素から選択されるステップa)と、
b)ステップa)で反応していない式(III)の還元糖を反応媒体から除去するステップb)と、
c)塩基剤(Ab)であって:
・式(IVa):
XnCO3 (IVa)
(式中、Xはナトリウム原子若しくはカリウム原子を表し、nは2に等しい整数である、又はXはカルシウム原子若しくはマグネシウム原子を表し、nは1に等しい整数である)の炭酸塩、又は
・式(IVb):
Y(HCO3)m (IVb)
(式中、Yはナトリウム原子若しくはカリウム原子を表し、mは1に等しい整数である、又はYはカルシウム原子若しくはマグネシウム原子を表し、mは2に等しい整数である)の炭酸水素塩、
からなる群の要素から選択される塩基剤(Ab)を含む水溶液を用いて、ステップb)からの反応媒体を中和するステップc)であって、
水中の上記反応媒体の5重量%分散物が5.5~7.5の間のpH値を有する反応媒体が得られるように、上記中和が行われるステップc)と、
d)1.5VCS以下の色を有する少なくとも1つの組成物(C)を回収するステップd)と、
を連続して含む調製方法である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の主題である方法により調製される組成物(C)を特徴づける色数は、DIN-ISO 463規格によって規定されるガードナー色数である。ガードナー色数は、あらゆる媒体上の光透過測定を行うLICO 200/Dr LANGE(又は同等の)測色計を用いて測定される。このような測色計は、DIN 5033によって規定される標準光源Cに相当するハロゲンランプを用い、2°標準観察者を用いて操作される。測定中、参照放射線ビームによって、ランプ及び温度の差による記録値のばらつきが補償される。
【0019】
本発明の主題である方法により調製される組成物(C)を特徴づけるガードナー色数を表す単位はVCSである。
【0020】
場合によるが、本発明による方法は、以下の特性の1つ以上を有することができる:
- 上記組成物(C1)は、式(II1)、(II2)、(II3)、(II4)、及び(II5):
R-O-(G)1-H (II1)、
R-O-(G)2-H (II2)、
R-O-(G)3-H (II3)、
R-O-(G)4-H (II4)、
R-O-(G)5-H (II5)、
で表される化合物のそれぞれのモル比率a1、a2、a3、a4、及びa5が:
・合計:a1+a2+a3+a4+a5が1に等しい、
・合計a1+2a2+3a3+4a4+5a5がxに等しい、
となるような混合物からなる;
- 組成物(C)は、2重量%以下、好ましくは1重量%以下の量の式(III):
H-O-(G)-H (III)
の還元糖を含み;
化合物及び組成物(I)、(II)、及び(III)の重量比率の合計は100重量%に等しいことが理解される;
- 水溶液中に存在する塩基剤(Ab)は、Xがナトリウム原子を表し、nが2に等しい式(IVa)の炭酸ナトリウムである;
- ステップc)において、塩基剤(Ab)の水溶液は、10重量%~25重量%の間の上記塩基剤(Ab)を含む;
- ステップc)は、水中の5重量%分散物が3.5~5.5の間のpH値を有する反応媒体が得られるように、水酸化ナトリウム(NaOH)又は水酸化カリウム(KOH)の溶液を用いて中和が行われる第1段階、次に、水中の5重量%分散物が5.5~7.5の間のpH値を有する反応媒体が得られるように、塩基剤(Ab)の水溶液を用いて中和が行われる第2段階の2段階で行われる;
- ステップa)のグリコシル化のために選択される式(III)の還元糖が、グルコース、キシロース、アラビノース、及びラムノースからなる群の要素から選択される;
- 式(III)の還元糖を除去するステップb)が、濾過、遠心分離、又はデカンテーションによって行われる;
- ステップa)が、以下の連続するサブステップの:
i)機械的撹拌機及び真空装置が取り付けられた反応器(Re)中に式(I)のアルコールを導入するサブステップと;
ii)機械的撹拌下で式(I)のアルコールを80℃~90℃の間の温度に加熱するサブステップと;
iii)式(III)の還元糖を反応器(Re)に投入するサブステップと;
iv)少なくとも1つの触媒(CA)を反応器(Re)中に導入するステップと;
v)反応中に、真空下で、反応器(Re)中に存在する反応媒体を100℃~110℃の間の温度に加熱するサブステップと、
vi)サブステップv)からの媒体を70℃~80℃の間の温度に冷却するサブステップと、
を含む;
- 式(I)及び/又は式(II)において、基Rが以下の基の:ラウリル(若しくはn-ドデシル)、ミリスチル(若しくはn-テトラデシル)、n-ペンタデシル、セチル(若しくはn-ヘキサデシル)、n-ヘプタデシル、ステアリル(若しくはn-オクタデシル)、パルミトレイル(若しくは9-ヘキサデセニル)、オレイル(若しくは9-オクタデセニル)、リノレイル(9,12-オクタデカジエニル)、リノレニル(若しくは6,9,12-オクタデカトリエニル)、ノナデシル、アラキジル(若しくはn-エイコシル)、ベヘニル(若しくはn-ドコシル)、エルシル(13-ドコセニル)、又は12-ヒドロキシステアリルから選択される;
- 基Rが以下の基の:2-ヘキシルオクチル、2-ヘキシルデシル、2-ヘキシルドデシル、2-オクチルデシル、2-オクチルドデシル、2-デシルテトラデシル、イソステアリル(若しくは16-メチルヘプタデシル)又はイソミリスチル(若しくは13-メチルトリデシル)から選択される;
- サブステップii)からiv)の間、反応器(Re)は窒素下で不活性化される;
- 上記方法は、サブステップii)~iii)の間に、好ましくは50ミリバール以下の圧力における真空ステップを含む;
- サブステップvi)は大気圧で行われる。
【0021】
式(IVa)の炭酸塩又は式(IVb)の炭酸水素塩の使用は、組成物(C)の色の増加に寄与しない(そのため還元剤の存在は不用である)が、所望のpHまで組成物(C)の5重量%分散物を中和する(5.5~7.5の間の値)。塩基剤(Ab)を使用することで、過酸化物剤などの使用を伴う脱色ステップを回避できるが、その理由は、これによって1.5VCS以下の色を実現できるからである。
【0022】
式(II)の定義及び式(III)の定義における「還元糖」という用語は、参考刊行物:“Biochemistry”,Daniel Voet/Judith G.Voet,page 250,John Wiley & Sons,1990において定義されるように、アノマー炭素とアセタール基の酸素との間に形成されるグリコシド結合をそれらの構造の中に有しない糖類誘導体を意味する。
【0023】
式(II)中に存在するオリゴマー構造(G)xは、光学異性、幾何異性、又は位置異性のいずれかに関連するあらゆる異性体であってよく、これは異性体の混合物を表すこともできる。
【0024】
前述の定義の式(II)において、基Rは、糖類残基のアノマー炭素を介してGに結合して、アセタール官能基を形成する。
【0025】
本発明の特定の一態様によると、式(II)及び式(III)の化合物の定義において、Gは、グルコース、デキストロース、スクロース、フルクトース、イドース、グロース、ガラクトース、マルトース、イソマルトース、マルトトリオース、ラクトース、セロビオース、マンノース、リボース、キシロース、アラビノース、リキソース、アロース、アルトロース、ラムノース、デキストラン、又はタロースから選択される還元糖の残基を表す。
【0026】
本発明の特定の一態様によると、式(II)の化合物の定義において、Gは、グルコース、キシロース、アラビノース、又はラムノースの残基から選択される還元糖の残基を表し、xは1.05以上及び2.5以下の十進数を表す。
【0027】
本発明のさらなる特定の一態様によると、式(II)の化合物の定義において、Gは、グルコース、キシロース、アラビノース、又はラムノースの残基から選択される還元糖の残基を表し、xは1.05以上及び2.0以下、さらに特に1.25以上及び2.0以下の十進数を表す。
【0028】
本発明の別の特定の一態様によると、式(III)の還元糖は、グルコース、デキストロース、スクロース、フルクトース、イドース、グロース、ガラクトース、マルトース、イソマルトース、マルトトリオース、ラクトース、セロビオース、マンノース、リボース、キシロース、アラビノース、リキソース、アロース、アルトロース、ラムノース、デキストラン、又はタロースからなる群の要素から選択される。
【0029】
本発明のさらに特定の一態様によると、式(III)の還元糖は、グルコース、キシロース、アラビノース、又はラムノースから選択される。
【0030】
本発明による方法は、塩基剤(Ab)を含む水溶液で生成物の中和を行う前に、濾過/遠心分離ステップを行うことにある。
【0031】
特定の一態様によると、上記方法の主題の1つは、組成物(C)であって、1.5VCS以下の色を有し、その重量の100%に対して:
- 45重量%~55重量%の式(I)のアルコールの混合物(M1)であって、上記混合物(M1)の重量の100%に対して、Rがn-ヘキサデシル基を表す式(I)のアルコール50重量%、及びRがn-オクタデシル基を表す式(I)のアルコール50重量%を含む混合物(M1)と、
- Gが、α,β-D-グルコピラノースのヘミアセタールヒドロキシル基の除去によって得られるグルコシル基又はα,β-D-グルコピラノシル基を表し、xが1.05以上及び2.0以下の十進数を表し、Rが、n-ヘキサデシル基及びn-オクタデシル基を表す式(II)によって表される、45重量%~54重量%の少なくとも1つの組成物(C1)と、
- 1重量%未満のグルコースと、
を含む組成物(C)の調製である。
【0032】
特定の一態様によると、上記方法の主題の1つは、組成物(C)であって、1.5VCS以下の色を有し、その重量の100%に対して:
- 45重量%~55重量%の式(I)のアルコールの混合物(M’1)であって、上記混合物(M’1)の重量の100%に対して、Rがn-ヘキサデシル基を表す式(I)のアルコール70重量%、及びRがn-オクタデシル基を表す式(I)のアルコール30重量%を含む混合物(M’1)と、
- Gが、α,β-D-グルコピラノースのヘミアセタールヒドロキシル基の除去によって得られるグルコシル基又はα,β-D-グルコピラノシル基を表し、xが1.05以上及び2.0以下の十進数を表し、Rが、n-ヘキサデシル基及びn-オクタデシル基を表す式(II)によって表される、45重量%~54重量%の少なくとも1つの組成物(C1)と、
- 1重量%未満のグルコースと、
を含む組成物(C)の調製である。
【0033】
特定の一態様によると、上記方法の主題の1つは、組成物(C)であって、1.5VCS以下の色を有し、その重量の100%に対して:
- 75重量%~90重量%の式(I)のアルコールの混合物(M’’1)であって、上記混合物(M’’1)の重量の100%に対して、Rがn-ヘキサデシル基を表す式(I)のアルコール50重量%、及びRがn-オクタデシル基を表す式(I)のアルコール50重量%を含む混合物(M’’1)と、
- Gが、α,β-D-グルコピラノースのヘミアセタールヒドロキシル基の除去によって得られるグルコシル基又はα,β-D-グルコピラノシル基を表し、xが1.05以上及び2.0以下の十進数を表し、Rが、n-ヘキサデシル基及びn-オクタデシル基を表す式(II)によって表される、10重量%~24重量%の少なくとも1つの組成物(C1)と、
- 1重量%未満のグルコースと、
を含む組成物(C)の調製である。
【0034】
特定の一態様によると、上記方法の主題の1つは、組成物(C)であって、1.5VCS以下の色を有し、その重量の100%に対して:
- 75重量%~90重量%の式(I)のアルコールの混合物(M’’’1)であって、上記混合物(M’’’1)の重量の100%に対して、Rがn-ヘキサデシル基を表す式(I)のアルコール70重量%、及びRがn-オクタデシル基を表す式(I)のアルコール30重量%を含む混合物(M’’’1)と、
- Gが、α,β-D-グルコピラノースのヘミアセタールヒドロキシル基の除去によって得られるグルコシル基又はα,β-D-グルコピラノシル基を表し、xが1.05以上及び2.0以下の十進数を表し、Rが、n-ヘキサデシル基及びn-オクタデシル基を表す式(II)によって表される、10重量%~24重量%の少なくとも1つの組成物(C1)と、
- 1重量%未満のグルコースと、
を含む組成物(C)の調製である。
【0035】
特定の一態様によると、上記方法の主題の1つは、組成物(C)であって、1.5VCS以下の色を有し、その重量の100%に対して:
- 75重量%~90重量%の、Rがn-テトラデシル基を表す式(I)のアルコールと、
- Gが、α,β-D-グルコピラノースのヘミアセタールヒドロキシル基の除去によって得られるグルコシル基又はα,β-D-グルコピラノシル基を表し、xが1.05以上及び2.0以下の十進数を表し、Rがn-テトラデシル基を表す式(II)によって表される、10重量%~24重量%の少なくとも1つの組成物(C1)と、
- 1重量%未満のグルコースと、
を含む組成物(C)の調製である。
【0036】
特定の一態様によると、上記方法の主題の1つは、組成物(C)であって、1.5VCS以下の色を有し、その重量の100%に対して:
- 75重量%~90重量%の、Rが、n-ドデシル基、n-テトラデシル基、n-ヘキサデシル基、及びn-オクタデシル基を表す式(I)のアルコールの混合物と、
- Gが、α,β-D-グルコピラノースのヘミアセタールヒドロキシル基の除去によって得られるグルコシル基又はα,β-D-グルコピラノシル基を表し、xが1.05以上及び2.0以下の十進数を表し、Rが、n-ドデシル基、n-テトラデシル基、n-ヘキサデシル基、及びn-オクタデシル基を表す式(II)によって表される、10重量%~24重量%の少なくとも1つの組成物(C1)と、
- 1重量%未満のグルコースと、
を含む組成物(C)の調製である。
【0037】
特定の一態様によると、上記方法の主題の1つは、組成物(C)であって、1.5VCS以下の色を有し、その重量の100%に対して:
- 75重量%~90重量%の、Rがn-エイコシル基及びn-ドコシル基を表す式(I)のアルコールの混合物と、
- Gが、α,β-D-グルコピラノースのヘミアセタールヒドロキシル基の除去によって得られるグルコシル基又はα,β-D-グルコピラノシル基を表し、xが1.05以上及び2.0以下の十進数を表し、Rが、n-エイコシル基及びn-ドコシル基を表す式(II)によって表される、10重量%~24重量%の少なくとも1つの組成物(C1)と、
- 1重量%未満のグルコースと、
を含む組成物(C)の調製である。
【0038】
特定の一態様によると、上記方法の主題の1つは、組成物(C)であって、1.5VCS以下の色を有し、その重量の100%に対して:
- 75重量%~90重量%の、Rが、n-ドデシル基、n-テトラデシル基、n-ヘキサデシル基、n-エイコシル基、及びn-ドコシル基を表す式(I)のアルコールの混合物と、
- Gが、α,β-D-グルコピラノースのヘミアセタールヒドロキシル基の除去によって得られるグルコシル基又はα,β-D-グルコピラノシル基を表し、xが1.05以上及び2.0以下の十進数を表し、Rが、n-ドデシル基、n-テトラデシル基、n-ヘキサデシル基、n-エイコシル基、及びn-ドコシル基を表す式(II)によって表される、10重量%~24重量%の少なくとも1つの組成物(C1)と、
- 1重量%未満のグルコースと、
を含む組成物(C)の調製である。
【0039】
特定の一態様によると、上記方法の主題の1つは、組成物(C)であって、1.5VCS以下の色を有し、その重量の100%に対して:
- 70重量%~90重量%の、Rが、n-ドデシル基、n-テトラデシル基、n-ヘキサデシル基、n-エイコシル基、及びn-ドコシル基を表す式(I)のアルコールの混合物と、
- Gが、α,β-D-キシロピラノースのヘミアセタールヒドロキシル基の除去によって得られるキシロシル基又はα,β-D-キシロピラノシル基を表し、xが1.05以上及び2.0以下の十進数を表し、Rが2-オクチルドデシル基を表す式(II)によって表される、10重量%~29重量%の組成物(C1)と、
- 1重量%未満のキシロースと、
を含む組成物(C)の調製である。
【0040】
特定の一態様によると、水溶液中に存在する塩基剤(Ab)は、Xがカリウム原子を表し、nが2に等しい式(IVa)の炭酸カリウムである。
【0041】
特定の一態様によると、水溶液中に存在する塩基剤(Ab)は、Yがナトリウム原子を表し、mが1に等しい式(IVb)の炭酸水素ナトリウムである。
【0042】
特定の一態様によると、酸触媒(CA)は、硫酸、リン酸、次亜リン酸、メタンスルホン酸、及びp-トルエンスルホン酸からなる群の要素から選択される。
【実施例】
【0043】
A.使用した中和用塩基剤(Ab)が本発明による炭酸塩又は水酸化ナトリウム(比較用中和剤)である場合の、脂肪アルコールとアルキルポリグルコシドとの組成物の色に対する塩基剤(Ab)の影響の比較。
反応媒体の濾過のサブステップの後で、pH範囲の関数として、炭酸塩と水酸化ナトリウムとの間の比較を行った。
【0044】
以下の表1は、結晶性グルコースと、カットの形態又は純粋形態のC-16/18-セテアリルカット、1-テトラデカノール(C14アルコール)、1-ドデカノール(C12アルコール)の種々の脂肪アルコールとの間のグリコシル化反応によって得られる反応媒体を濾過したものを含む中和結果をまとめている。調査した種々のパラメーターは、予備中和剤の性質(濾過後及び中和媒体の水中の5重量%分散物の3.5~5.5の間のpH値、媒体(Na2CO3及び/又はNaOH)の水中の5重量%分散物の5.5~7.5の間のpH値である。
【0045】
1.本発明による実施例
実施例1.1 16/18アルコールのカット及び本発明による中和剤としてのNa2CO3
ステップ1:グリコシル化反応:
機械的撹拌機及び真空蒸留装置を取り付けた反応器に529.3gのセテアリルアルコール(C-16/18)を投入する。このアルコールを85℃で溶融させ、撹拌し、窒素をスパージする。この媒体を50ミリバール未満の圧力の真空下に置く。69.5gの粉末形態の無水グルコースを加える。媒体を窒素下で不活性化させる。エーテル化(グリコシル化)反応を開始するために、次亜リン酸(H3PO2)の50%水溶液0.5g、次に硫酸(H2SO4)の98%水溶液0.6gを加え、温度を上昇させ、105℃で維持する。反応を5時間45分続ける。
【0046】
ステップ2:反応媒体の濾過及び中和:
上記媒体を大気圧で80℃まで冷却し、次に、残留する糖を除去するために、プレートを取り付けたベル型フィルター(3~6μm)に通して濾過する。こうして得られた167gの生成物を85℃の反応器中に再導入し、次に、(組成物1)と呼ぶ組成物を得るために、撹拌しながら1.7gのNa2CO3の10%水溶液を加えることによって中和させる。
【0047】
分析:
- (組成物1)の水中の5重量%分散物のpH値は6.4であり、
- (組成物1)の色の測定値は0.9VCSである。
【0048】
実施例1.2 16/18アルコールのカット、及び予備中和剤としてのNaOH、及び本発明による中和剤としてのNa2CO3
ステップ1:グリコシル化反応:
機械的撹拌機及び真空蒸留装置を取り付けた反応器に529.3gのセテアリルアルコール(C-16/18)を投入する。このアルコールを85℃で溶融させ、撹拌し、窒素をスパージする。この媒体を50ミリバール未満の圧力の真空下に置く。69.5gの粉末形態の無水グルコースを加える。媒体を窒素下で不活性化させる。エーテル化(グリコシル化)反応を開始するために、H3PO2の50%水溶液0.5g、次にH2SO4の98%水溶液0.6gを加え、温度を上昇させ、105℃で維持する。反応を5時間45分続ける。
【0049】
ステップ2:反応媒体の濾過及び中和:
上記媒体を大気圧で80℃まで冷却し、次に、残留する糖を除去するために、バッグフィルター(100μm)に通して濾過する。こうして得られた264.4gの生成物を75℃の反応器中に再導入し、次に、反応器中に存在する媒体の水中の5重量%分散物の4.1のpH値と1.6VCSの色とを実現するために、撹拌しながらNaOHの25%水溶液0.56gを導入することによって予備中和を行う。
【0050】
次に、(組成物2)と呼ぶ組成物を得るために、依然として撹拌しながら、75℃において、Na2CO3の10%水溶液0.9gを導入することによって上記生成物を中和させる。
【0051】
分析:
- (組成物2)の水中の5重量%分散物のpH値は6.4であり、
- (組成物2)の色の測定値は1.0VCSである。
【0052】
実施例1.3 1-テトラデカノール(ミリスチルアルコール)、及び予備中和剤としてのNaOH、及び本発明による中和剤としてのNa2CO3
ステップ1:グリコシル化反応:
機械的撹拌機及び真空蒸留装置を取り付けた反応器に355.8gのミリスチルアルコール(1-テトラデカノール)を投入する。このミリスチルアルコールを85℃で溶融させ、撹拌し、窒素をスパージする。この媒体を25ミリバールの真空下に置く。49.7gの粉末形態の無水グルコースを加える。媒体を窒素下で不活性化させる。エーテル化(グリコシル化)反応を開始するために、H3PO2の50%水溶液0.38g、次にH2SO4の98%水溶液0.61gを加え、温度を上昇させ、105℃で維持する。反応を5時間続ける。
【0053】
ステップ2:反応媒体の中和:
上記媒体を大気圧で80℃まで冷却し、次に、残留する糖を除去するために、K1フィルター(4μm)に通して濾過する。こうして得られた164gの生成物を80℃の反応器中に再導入し、次に、反応器中に存在する媒体の水中の5重量%分散物の6.0のpH値を実現するために、撹拌しながらNaOHの25%水溶液0.46gを導入することによって予備中和を行う。
【0054】
最後に、(組成物3)と呼ぶ組成物を得るために、反応器中80℃において、撹拌しながら、Na2CO3の10%溶液0.29gを導入することによって上記生成物を中和させる。
【0055】
分析:
- (組成物3)の水中の5重量%分散物のpH値は6.6であり、
- (組成物3)の色の測定値は1.1VCSである。
【0056】
実施例1.4 1-テトラデカノール(ミリスチルアルコール)及び本発明による中和剤としてのNa2CO3
ステップ1:グリコシル化反応:
機械的撹拌機及び真空蒸留装置を取り付けた反応器に355.8gのミリスチルアルコール(1-テトラデカノール)を投入する。このアルコールを85℃で溶融させ、撹拌し、窒素をスパージする。この媒体を25ミリバールの真空下に置く。49.7gの粉末形態の無水グルコースを加える。媒体を窒素下で不活性化させる。エーテル化(グリコシル化)反応を開始するために、H3PO2の50%水溶液0.38g、次にH2SO4の98%水溶液0.61gを加え、温度を上昇させ、105℃で維持する。反応を5時間続ける。
【0057】
ステップ2:反応媒体の中和:
上記媒体を大気圧で80℃まで冷却し、次に、残留する糖を除去するために、K1フィルター(4μm)に通して濾過する。次に、160.5gの生成物を70℃の反応器中に再導入し、次に、(組成物4)と呼ぶ組成物を得るために、撹拌しながらNa2CO3の10%水溶液1.77gを加えることによって中和させる。
【0058】
分析:
- (組成物4)の水中の5重量%分散物のpH値は7.4であり、
- (組成物4)の色の測定値は1.0VCSである。
【0059】
実施例1.5 1-ドデカノール(ラウリルアルコール)及び本発明による中和剤としてのNa2CO3
ステップ1:グリコシル化反応:
機械的撹拌機及び真空蒸留装置を取り付けた反応器に190.6gのラウリルアルコール(1-ドデカノール)を投入する。このアルコールを85℃で溶融させ、撹拌し、窒素をスパージする。この媒体を30ミリバールの圧力の真空下に置く。26.6gの粉末形態の無水グルコースを加える。媒体を窒素下で不活性化させる。エーテル化(グリコシル化)反応を開始するために、H3PO2の50%水溶液0.2g、次にH2SO4の98%水溶液0.3gを加え、温度を上昇させ、105℃で維持する。反応を5時間続ける。
【0060】
ステップ2:反応媒体の中和:
上記媒体を大気圧で70℃まで冷却し、次に、残留する糖を除去するために、K1フィルター(4μm)に通して濾過する。次に、生成物(160g)を75℃の反応器中に再導入し、次に、(組成物5)と呼ぶ組成物を得るために、撹拌しながらNa2CO3の10%水溶液1.77gを導入することによって中和させる。
【0061】
分析:
- (組成物5)の水中の5重量%分散物のpH値は6.9であり、
- (組成物5)の色の測定値は1.0VCSである。
【0062】
2.比較例
実施例2.1:比較例(16/18アルコールのカット、及び予備中和剤としてのNaOH、及び中和剤としてのNaOH)。
ステップ1:グリコシル化反応:
機械的撹拌機及び真空蒸留装置を取り付けた反応器に529.3gのセテアリルアルコール(C-16/18)を投入する。このアルコールを85℃で溶融させ、撹拌し、窒素をスパージする。この媒体を50ミリバール未満の圧力の真空下に置く。69.5gの粉末形態の無水グルコースを加える。媒体を窒素下で不活性化させる。エーテル化(グリコシル化)反応を開始するために、H3PO2の50%水溶液0.5g、次にH2SO4の98%水溶液0.6gを加え、温度を上昇させ、105℃で維持する。反応を5時間45分続ける。
【0063】
ステップ2:反応媒体の中和:
上記媒体を大気圧で80℃まで冷却し、次に、残留する糖を除去するために、プレートを取り付けたベル型フィルター(3~6μm)に通して濾過する。次に、500gの生成物を85℃の反応器中に再導入し、次に、(組成物1’)と呼ぶ組成物を得るために、撹拌しながらNaOHの40%水溶液0.81gを加えることによって中和させる。
【0064】
分析:
- (組成物1’)の水中の5重量%分散物のpH値は6.5であり、
- (組成物1’)の色の測定値は2.8VCSである。
【0065】
【0066】
これらの試験によって以下のことが示される:
- 炭酸ナトリウム単独で、5.5~7.5の間の水中の5%分散物のpHまで中和することで、所望のレベルの着色((組成物1)の場合で1.5VCS以下)を実現することができ、一方、水酸化ナトリウム単独で、5.5~7.5の間の水中の5%分散物のpHまで中和することで、1.5VCSを超える着色が生じ、この場合最大で約2.8VCS(組成物1’)となる。
- 予備中和ステップがNaOH又はNa2CO3の溶液を用いて行われ、中和ステップがNa2CO3の水溶液を用いて行われる場合、得られる生成物の着色は非常に低くなる(1.5VCS以下)。
【0067】
したがって、本発明による方法を行うことによって得られる組成物にNa2CO3の溶液を用いることで、残留する糖を濾過した後の上記組成物の水中の5%分散物の場合に5.5~7.5の間のpH範囲に中和することができ、1.5VCSを超える値まで組成物の色を増加させることはないことが示された。
【国際調査報告】