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特表2024-538604局所適用のための親水コロイドブレンド組成物
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  • 特表-局所適用のための親水コロイドブレンド組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-23
(54)【発明の名称】局所適用のための親水コロイドブレンド組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/34 20170101AFI20241016BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20241016BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20241016BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20241016BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20241016BHJP
   A61K 31/196 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
A61K47/34
A61K45/00
A61K47/36
A61K47/38
A61K9/06
A61K31/196
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519275
(86)(22)【出願日】2022-09-30
(85)【翻訳文提出日】2024-04-12
(86)【国際出願番号】 EP2022077308
(87)【国際公開番号】W WO2023052599
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】202111044611
(32)【優先日】2021-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(31)【優先権主張番号】21214866.2
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】323008992
【氏名又は名称】ニュートリション・アンド・バイオサイエンシーズ・ユーエスエー・ワン,エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】523289887
【氏名又は名称】ダニスコ・ニュートリション・アンド・バイオサイエンシーズ・インディア・プライベート,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【弁理士】
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】アトゥール・アショック・クマール・ロヘイド
(72)【発明者】
【氏名】ビナイ・ミューリー
(72)【発明者】
【氏名】シリカント・コット
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA06
4C076AA09
4C076AA95
4C076BB31
4C076DD37
4C076DD38
4C076EE23
4C076EE27G
4C076EE30
4C076EE31
4C076EE32
4C076EE36
4C076FF61
4C084AA17
4C206AA01
4C206AA02
4C206FA31
4C206KA01
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA83
4C206NA13
4C206ZA07
4C206ZA08
(57)【要約】
本明細書は、皮膚又は粘膜などの体表面への局所適用のための組成物に関する。したがって、本明細書は、薬学的製剤の調製に好適な薬学的に許容されるブレンドに関する。さらに、本明細書は、ブレンド及び薬学的製剤の両方を調製する方法、並びに薬剤投与のためのそれらの使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)1~30%(w/w)のオルガノポリシロキサン増粘剤;
ii)0.5~8%の親水コロイド;
iii)0.5~5%(w/w)の第1の乳化剤;及び40%以上の水、並びに、任意選択で、1種以上の薬学的に許容される保存剤、30%以下の量の溶媒、及び/又はpH制御剤
を含む、薬学的に許容されるブレンド。
【請求項2】
i)40~80%(w/w)の量の、請求項1に定義される薬学的に許容されるブレンド;
ii)1~3%(w/w)の少なくとも1種の医薬有効成分(API);
iv)0.5~5%(w/w)の第2の乳化剤;並びに、任意選択で、1種以上の薬学的に許容される追加の保存剤、30%以下の量の溶媒、pH制御剤、及び/又は水
を含む、局所使用に好適なゲルなどの、薬学的に許容される製剤。
【請求項3】
前記オルガノポリシロキサン増粘剤は、ヘキサメチルジシロキサン、シクロペンタシロキサン、シクロヘキサキシロキサン、アルキルメチルシリコーンポリグリコール、ジメチコノール、ジフェニルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー、ポリフェニルメチルシロキサン、ビニルフェニルシロキサン-フェニルメチルシロキサンコポリマー、トリフルオロプロピルメチルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー、ジエチルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー、ビニルメチルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー、ビニルメチルシロキサンホモポリマー、ポリフェニル(ジメチルヒドロシロキシ)シロキサン、メチルヒドロシロキサン-フェニルメチルシロキサンコポリマー、メチルヒドロシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー、ポリメチルヒドロシロキサン、ポリエチルヒドロシロキサン、トリエチルシロキサン、メチルヒドロシロキサン-フェニルオクチルメチルシロキサンコポリマー、メチルヒドロシロキサン-フェニルオクチルメチルシロキサンターポリマー、又はこれらの混合物などの線状又は環状ポリジメチルシロキサンからなるリストから選択される、請求項1又は2に記載の薬学的に許容されるブレンド又は薬学的製剤。
【請求項4】
オルガノポリシロキサン増粘剤は、約25℃で、約2,000,000cSt未満、約1,000,000cSt未満、約500,000cSt未満、約450,000cSt未満、約400,000cSt未満、約350,000cSt未満、約300,000cSt未満、約250,000cSt未満、約200,000cSt未満、約100,000cSt未満、約50,000cSt未満、約40,000cSt未満、約30,000cSt未満、約20,000cSt未満、又は約15,000cSt未満の粘度を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の薬学的に許容されるブレンド又は薬学的製剤。
【請求項5】
前記親水コロイドは、カラギーナン、ペクチン、アルギナート、例えばアルギン酸ナトリウム及びアルギン酸プロピレングリコール、キサンタンガム、グアーガム、アラビアガム、ローカストビーンガム、例えばアルギン酸塩、例えばアルギン酸ナトリウム(Protanal(登録商標)CR 8133、Manucol(登録商標)LKX、Protanal(登録商標)CR 8223など)、アルギン酸プロピレングリコール(Kelcoloid K 3B426及びProtanal Ester SDなど)のリストから選択される非セルロース系親水コロイドであり、例えば1%(w/w)~約5%(w/w)、例えば2%(w/w)~約4%(w/w)、例えば2%(w/w)~約3%(w/w)の量で前記薬学的に許容されるブレンド中に存在する、請求項1~4のいずれか1つに記載の薬学的に許容されるブレンド又は薬学的製剤。
【請求項6】
前記親水コロイドは、セルロースガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、エチルセルロース(EC)、メチルセルロース(MC)、及びコロイド状微結晶セルロース(MCC)のリストから選択されるセルロース系親水コロイドである、請求項1~4のいずれか1つに記載の薬学的に許容されるブレンド又は薬学的製剤。
【請求項7】
前記セルロース系親水コロイドは、メチルセルロース(MC)、例えばMETHOCEL A(International Flavors & Fragrances,Inc.)、METHOCEL E、K及びF(International Flavors & Fragrances,Inc.)に対応するメトキシル置換度(DS)及びヒドロキシプロポキシル置換度(MS)を有するヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)から選択される、請求項6に記載の薬学的に許容されるブレンド又は薬学的製剤。
【請求項8】
前記セルロース系親水コロイドは、4000~120,000cStの範囲の粘度を有する、請求項6又は7に記載の薬学的に許容されるブレンド又は薬学的製剤。
【請求項9】
前記セルロース系親水コロイドは、0.5%(w/w)~約5%(w/w)、例えば1%(w/w)~約5%(w/w)、例えば2%(w/w)~約4%(w/w)、例えば2%(w/w)~約3%(w/w)の量で前記薬学的に許容されるブレンド中に存在する、請求項6~8のいずれか1つに記載の薬学的に許容されるブレンド又は薬学的製剤。
【請求項10】
薬学的に許容されるブレンドを作製する方法であって、以下の成分:
i)1~30%(w/w)のオルガノポリシロキサン増粘剤;
ii)1~8%の親水コロイド;
iii)0.5~5%(w/w)の乳化剤;及び40%以上の水、並びに、任意選択で、1種以上の薬学的に許容される保存剤、30%以下の量の溶媒、及び/又はpH制御剤
を混合して、薬学的に許容されるブレンドを作製する工程を含む方法。
【請求項11】
i)前記親水コロイドを、室温で、又は任意選択により50~90℃、例えば60~90℃、例えば70~90℃の温度で、例えば少なくとも10分間、例えば20分間又は30分間、前記水中に分散させる工程;
ii)前記オルガノポリシロキサン増粘剤及び前記分散された親水コロイドを、室温で、又は任意選択により40~80℃、例えば50~70℃、例えば50~60℃温度で混合する工程
を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
局所使用に好適なゲルなどの薬学的製剤を作製する方法であって、以下の成分:
i)40~80%(w/w)の量の、請求項10又は11の方法により調製された薬学的に許容されるブレンド;
ii)1~3%(w/w)の少なくとも1種の医薬有効成分(API);
iii)0.5~5%(w/w)の第2の乳化剤;並びに、任意選択で、1種以上の薬学的に許容される追加の保存剤、pH制御剤、及び/又は水
を混合して、局所ゲルなどの薬学的に許容される製剤を作製する工程を含む方法。
【請求項13】
薬学的に許容されるブレンド又は薬学的製剤は、請求項1~9のいずれか1つに定義されるとおりである、請求項10~12のいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
ゲル、軟膏、クリーム、又はローションクリームなどの薬剤投与を調製するための、請求項1~9のいずれか1つに定義される薬学的に許容されるブレンドの使用。
【請求項15】
請求項1~9のいずれか1つに定義されるとおりのゲル、軟膏、クリーム、又はローションなどの薬学的製剤の、局所薬剤投与のための使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、皮膚又は粘膜などの体表面への局所適用のための組成物に関する。
したがって、本明細書は、薬学的製剤の調製に好適な薬学的に許容されるブレンドに関する。さらに、本明細書は、ブレンド及び薬学的製剤の両方を調製する方法、並びに医薬品/薬用化粧品投与のためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚又は粘膜を介する活性剤の送達は便利で、痛みがなく、非侵襲的である。そのような経皮又は局所薬物送達は、典型的には、多くの医薬化合物が低い拡散速度を有するために、低分子量薬物、及び角質層に浸透することができる特定の親油性/親水性バランスを持った薬物に限定される。効果的な経皮薬物送達は、通常、効果的な浸透動態、浸透に必要な時間の長さ、頻繁な投与レジメンの必要性、及び皮膚又は粘膜を通して十分な治療量の活性剤を送達するのに必要な経皮組成物の体積サイズによって制限される。
【0003】
よく知られた経皮薬物の例は、ジクロフェナク(2-(2,6-ジクロラニリノ)フェニル酢酸)、及びその製剤である1%のジクロフェナクナトリウムを含むVoltaren(登録商標)ゲル1%である。Voltaren(登録商標)は、米国では、局所治療に適した、関節の変形性関節症による痛みの緩和に適応されている。米国特許第9468618B2号明細書には、患者に痛みの緩和を提供するために、10%ジクロフェナクナトリウムゲルを1日1回処方する1つの方法を開示している。米国特許第8716340B2号明細書には、ゲル化剤としてカルボマーを用いて製剤化されたジクロフェナクナトリウムゲル製剤が開示されている。米国特許第10117829B2号明細書には、ゲルの形態で、3重量%のジクロフェナク、45重量%のエタノール、20重量%のプロピレングリコール、5重量%のジエチレングリコールモノエチルエーテル、及び3重量%のミリスチルアルコールを含む経皮又は経粘膜製剤が開示されている。
【0004】
多くの市販の局所製剤では、浸透時間の増加、投与頻度の増加、必要な治療作用を達成するための過剰な量、皮膚感触及びレオロジーのような製剤に必要な物理的特性を必要とすることが示されている。これらの面を改善するために、水をベースとした系にオルガノシリコーンを添加するなど、他の成分と非相溶性である特定の成分を組成物に添加することができる。加えて、製剤化のための製造工程には、複数の工程、固体を溶融する/賦形剤を分散させるための高温などの様々な温度条件、ゲル/クリーム製剤を調製するためのpHの調整の必要性が要求される。これにより、製造プロセスは煩雑になり、時間も要する。概して、これは、製剤化のコストの上昇につながる。これは、局所システムの治療性能の向上、皮膚感触及びレオロジーの改善、製造プロセスの単純化、並びに安定な水性オルガノシリコーン製剤の必要性を示している。したがって、局所使用に好適な薬学的製剤で使用され得る、改善された薬学的に許容されるブレンド物が必要であると思われる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】ベンチマーク製剤、及び異なるシリコーン親水コロイドブレンド系ジクロフェナク製剤{シリコーンMethocelブレンド(Si-Me)、シリコーンアルギン酸ナトリウムブレンド(Si-Sod Alg)、シリコーン-カラギーナンブレンド(Si-CGN)、シリコーンキサンタンガムブレンド(Si XG)}の比較拡散評価
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書の実施形態の目的は、局所使用、すなわち、局所薬物送達システムに好適な医薬品及び/又は薬用化粧品製剤において使用することができる、薬学的に許容されるブレンドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書は、広範な態様で、オルガノポリシロキサン増粘剤及び親水コロイドを含むブレンドに関し、このブレンドは、ゲル、軟膏、クリーム、ローションなどの局所使用に好適な製剤を調製するために使用することができる。
【0008】
したがって、第1の態様では、本明細書は、i)1~30%(w/w)のオルガノポリシロキサン増粘剤;ii)0.5~8%の親水コロイド;iii)0.5~5%(w/w)の第1の乳化剤;及び40%以上の水を含み、任意選択で、1種以上の薬学的に許容される保存剤、30%以下の量の溶媒、及び/又はpH制御剤を含む、薬学的に許容されるブレンドに関する。
【0009】
本発明のこの第1の態様では、オルガノポリシロキサン増粘剤及び親水コロイドは、水、並びに、任意選択で、保存剤及び他の溶媒、pH制御剤などの存在下で混合されてブレンドとなるが、このブレンドにはいかなる医薬有効成分も含まれないことを理解されたい。次いで、このブレンドは、ゲル、クリーム、ローションの多くの異なる医薬系において使用され得、ここで、より活性な医薬成分の1つが存在し、皮膚などの適用部位における有効成分の拡散速度が増大した製剤が提供される。
【0010】
「第1の乳化剤」という用語は、APIを含まないブレンドのために使用される乳化剤を単に指すことも理解されたい。「第1の乳化剤」及びAPIを含む製剤において使用される「第2の乳化剤」は、同じ特定の乳化剤化合物であってもよいが、異なる化合物であってもよい。
【0011】
したがって、別の態様では、本明細書は、局所使用に好適なゲルなどの薬学的に許容される製剤であって、i)40~80%(w/w)の量の本明細書による薬学的に許容されるブレンド、ii)1~3%(w/w)の少なくとも1種の医薬有効成分(API)、iv)0.5~5%(w/w)の第2の乳化剤を含み、任意選択で、1種以上の薬学的に許容される追加の保存剤、30%以下の量の溶媒、pH制御剤、及び/又は水を含む製剤に関する。
【0012】
別の態様では、本明細書は、薬学的に許容されるブレンドを作製する方法に関し、この方法は、以下の成分:i)1~30%(w/w)のオルガノポリシロキサン増粘剤;ii)1~8%の親水コロイド;iii)0.5~5%(w/w)の乳化剤;及び40%以上の水、並びに、任意選択で、1種以上の薬学的に許容される保存剤、30%以下の量の溶媒、及び/又はpH制御剤を混合して薬学的に許容されるブレンドを作製する工程を含む。
【0013】
別の態様では、本明細書は、ゲル又はローションクリームなどの薬剤投与を調製するための、本明細書による薬学的に許容されるブレンドの使用に関する。
【0014】
別の態様では、本明細書は、局所薬剤投与のための、本明細書による薬学的製剤の使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上述のように、本明細書は、局所薬物送達システムに関する。これらのシステムには多くの利点が想定される。
【0016】
-薬物送達効率:フラックスの増加は、送達システムの治療有効性の増強を助ける。本明細書は、有効成分の拡散速度が増大した薬物送達システムを提供する。これは、明らかに、医薬有効成分の拡散量又は拡散速度の増大などによって、より有効な投与効果を有するシステム提供することができる多くの利点を有する。
【0017】
-本明細書は、異なる送達プラットフォームでの適用をさらに提供する:ブレンドは、種々の局所製剤、すなわちローション、ゲル、クリームなどを製剤化する利点を提供する。消費者は、製剤レオロジーの選択を望んでおり、ブレンドは、その柔軟性を提供する。
【0018】
-本明細書中の実施形態は、本明細書中に記載される製剤のプロセス時間、コストを低減し、プロセス効率を増加させ得ると予想される:ブレンド製剤は、ブレンドのすぐに使用できるエマルションを提供する。これにより、他の成分を混合して完成品とするプロセスが1工程となる。これにより、複数の工程操作が回避され、それによってプロセス効率が向上し、コストが低減される。
【0019】
-また、本明細書における実施形態は、最終局所製剤のコストを低減し得ると予想される:シリコーンは良好な皮膚感触を提供するが、シリコーンのみを含む製剤はコストがかかる。したがって、シリコーンを使用する場合、製剤化コストを低減する必要がある。シリコーン製剤のコストを低減する1つの方法は、製剤中に水を組み込むことである。
【0020】
本明細書に記載の薬学的に許容されるブレンド及び製剤は、以下により詳細に記載するように、いくつかの異なる成分を含む:
本明細書で使用される場合、用語「オルガノポリシロキサン増粘剤」又は「ポリシロキサン」又は「シリコーン」は、シロキサンから構成されるポリマーを指す。いくつかの実施形態では、オルガノポリシロキサン増粘剤は、メチルシロキサン又はポリジメチルシロキサンなどの非極性揮発性シロキサンである。いくつかの実施形態によれば、ポリジメチルシロキサンは、線状ポリジメチルシロキサン又は環状ポリジメチルシロキサンである。さらなる実施形態によれば、ポリジメチルシロキサンは、ヘキサメチルジシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン オクタメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。特定の実施形態によれば、ポリジメチルシロキサンは、ヘキサメチルジシロキサンである。
【0021】
いくつかの特定の実施形態では、オルガノポリシロキサン増粘剤は、ヘキサメチルジシロキサン、シクロペンタシロキサン、シクロヘキサキシロキサン、アルキルメチルシリコーンポリグリコール、ジメチコノール、ジフェニルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー、ポリフェニルメチルシロキサン、ビニルフェニルシロキサン-フェニルメチルシロキサンコポリマー、トリフルオロプロピルメチルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー、ジエチルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー、ビニルメチルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー、ビニルメチルシロキサンホモポリマー、ポリフェニル(ジメチルヒドロシロキシ)シロキサン、メチルヒドロシロキサン-フェニルメチルシロキサンコポリマー、メチルヒドロシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー、ポリメチルヒドロシロキサン、ポリエチルヒドロシロキサン、トリエチルシロキサン、メチルヒドロシロキサン-フェニルオクチルメチルシロキサンコポリマー、メチルヒドロシロキサン-フェニルオクチルメチルシロキサンターポリマー、又はこれらの混合物から選択される。いくつかの実施形態では、ポリジメチルシロキサンは、ジメチルヒドロキシシロキシ末端、又はトリメチルシロキシ末端である。
【0022】
親水コロイド
本明細書で使用される場合、用語「親水コロイド」は、水中にコロイド状に分散可能であり、それが使用される物質の粘度を上げ、且つ/又はゲル化を誘導することによって、水のレオロジーを変化させる物質を指し、通常は多糖類である。好適な親水コロイドとしては、メチルセルロースなどのセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸塩などのアルギナート、キャロブガム、グアーガム、キサンタンガム、コンニャクガム、ローカストビーンガム、LAジェランガムなどのジェランガム、及びLMペクチンなどのカードランガムペクチン、及び寒天が挙げられる。いくつかの実施形態では、親水コロイドは、アルギン酸ナトリウムなどのアルギナートである。いくつかの実施形態では、親水コロイドは、カラギーナンのような海藻である。他の好適な親水コロイドは、約100,000~7,000,000Daの範囲の分子量に対応する多種多様な粘度グレードで入手可能な非イオン性ポリ(エチレンオキシド)ポリマーである。POLYOX(商標)が、IFF、Nutrition & Biosciencesから入手可能である。
【0023】
本明細書において説明されているように、本明細書の医薬ブレンド及び医薬組成物は、アルギナートを含有し得る。アルギナートは、任意の好適な形態で提供され得る。例えば、アルギンナートは、典型的には塩の形態で提供される。一態様では、アルギナートは、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム及びこれらの混合物から選択される。一態様では、アルギナートは、アルギン酸ナトリウムであるか、又はアルギン酸ナトリウムを含む。一態様では、アルギナートは、アルギン酸カリウムであるか、又はアルギン酸カリウムを含む。一態様では、アルギナートは、アルギン酸ナトリウム及びアルギン酸カリウムの混合物であるか、又はアルギン酸ナトリウム及びアルギン酸カリウムの混合物を含む。一態様では、アルギナートは、アルギン酸ナトリウムである。一態様では、アルギナートは、アルギン酸カリウムである。一態様では、アルギナートは、アルギン酸ナトリウム及びアルギン酸カリウムの混合物である。
【0024】
いくつかの実施形態では、低分子量アルギナートが使用され、これは、350,000Da未満の重量平均分子量、例えば300,000~2,000Daの範囲の重量平均分子量を有する解重合アルギン酸材料を指す。
【0025】
アルギナートの分子量は特に限定されない。いくつかの実施形態では、250,000~350,000の重量平均分子量が使用される。また、エステル化度は特に限定されないが、いくつかの実施形態では20重量%~95重量%、例えば60重量%~95重量%、例えば75重量%~95重量%であり得る。
【0026】
アルギナートは一般に、天然産物から誘導されるか、又は合成され得る。とりわけ、褐色海藻に由来するアルギナートは、(1-4)結合β-D-マンヌロン酸(M)及びα-L-グルロン酸(G)残基からなる直鎖状非分岐バイオポリマーである。アルギナートは、ランダムコポリマーではなく、類似の配列の残基及び交互の配列の残基、例えば、MMMM、GGGG、及びGMGMのブロックからなる。抽出された形態では、アルギナートは、水を迅速に吸収する。アルギナートの物理的特性は、M及びGブロックの相対的比率に依存し得る。中性pHでのゲル形成は、G-ブロックと相互作用するために、カルシウムイオンを提供するためのカルシウム源を必要とする。これらのG-ブロックの割合が大きいほど、ゲル強度は大きくなる。
【0027】
「アルギナート」は通常、アルギン酸の塩に使用される用語であるが、アルギン酸の誘導体及びアルギン酸自体の全てを指すこともでき、アルギナートは、アルギン酸のカルシウム塩、マグネシウム塩及びナトリウム塩として、褐藻類(褐藻綱(Phaeophyceae)種)の細胞壁に存在する。乾燥し粉末化されたアルギン酸ナトリウム又はアルギン酸カリウムは、この褐藻類の抽出プロセスから得ることができる。次いで、海藻残渣を濾過により除去し、次いで、残りのアルギン酸塩を水溶液から回収することができる。
【0028】
最初の抽出液からアルギン酸ナトリウムを回収する別の方法は、カルシウム塩を添加することである。これにより、アルギン酸カルシウムは繊維状組織を形成する。これは、水に溶解せず、分離することができる。分離したアルギン酸カルシウムを水に懸濁し、酸を添加してアルギン酸に変換する。この繊維状アルギン酸は容易に分離され、これをアルコールと共にプラネタリー型ミキサーに入れ、アルギン酸が全てアルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム又はアルギン酸カルシウムに変換されるまで、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム又は炭酸カルシウムをペーストに徐々に添加する。アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム又はアルギン酸カルシウムのペーストは、時には、ペレットに押し出され、ペレットは、次いで、乾燥され、粉砕される。
【0029】
最適な分子量及び粘度は、本発明を実施するために使用される特定のポリマーに応じて変わり得る。任意の特定のポリマーについて、最適な分子量及び粘度は、当業者に利用可能な標準的な方法によって測定され、選択され得る。
【0030】
例えば、本発明の実施における使用に適したアルギン酸塩では、この親水コロイドは、典型的には、Brookfield RVを備えたBrookfield型RV(例えば、RVT、RVF、RVTDV)を使用し、当該粘度範囲に適したスピンドルを使用して、20℃、1重量%で測定した場合に50~1,000mPa・sの範囲の粘度を示すような分子量を有する。粘度決定のための適切なスピンドルは、当業者であれば、装置モデル及び粘度範囲に基づいて容易に決定することができる。いくつかの実施形態では、そのようなアルギナートは、そのように測定された場合に200~800mPa・sの粘度を示し、例えばそのように測定された場合に400~600mPa・sの粘度を示す。スピンドル#2は、上記の装置を用いて、所望の粘度範囲の粘度測定に使用することができる。いくつかの実施形態では、高G型アルギン酸ナトリウムが使用される。高G型アルギン酸ナトリウムとは、本明細書の実施において使用されるアルギン酸塩が平均で少なくとも50パーセントの隣接するG単位を有することを意味する。いくつかの実施形態では、このアルギナートは、少なくとも平均52%の隣接するG単位を有し、他の実施形態ではこのようなアルギネートは、少なくとも平均55%以上の隣接するG単位を有し、このように隣接するG単位の含有量が多いほど、製品の質感が改善され得る。
【0031】
市販のアルギナートの例としては、Protanal、Manucol及びManugelのブランド名によるIFF(旧DuPon)、例えば、Manugel DMB、Manugel GHB、Manugel GMB、Protanal(登録商標)LFR5/60、Protanal(登録商標)CR8133、Manucol(登録商標)LKX、Protanal(登録商標)CR8223、Aquateric(登録商標)N100、Pronova(登録商標)UP LVG、Pronova(登録商標)UP MVG、PROTANAL 6650、MANUCOL DMF、Manucol DM、PROTANAL SF 120 RB、Protanal(登録商標)ME6240が挙げられる。他の例示的な市販のアルギナートとしては、GRINDSTED(登録商標)アルギナートFD/PH120、GRINDSTED(登録商標)アルギナートFD/PH125、GRINDSTED(登録商標)アルギナートFD/PH127、GRINDSTED(登録商標)アルギナートFD/PH150、GRINDSTED(登録商標)アルギナートFD/PH155、GRINDSTED(登録商標)アルギナートFD/PH157、GRINDSTED(登録商標)アルギナートFD/PH170、GRINDSTED(登録商標)アルギナートFD/PH175、GRINDSTED(登録商標)アルギナートFD/PH222、GRINDSTED(登録商標)アルギナート FD/PH275、GRINDSTED(登録商標)アルギナートPH460、及びGRINDSTED(登録商標)アルギナートPH490が挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
また、本明細書において、アルギナートは、1種を単独で用いてもよく、2種を組み合わせて用いてもよい。
【0033】
本明細書による薬学的に許容されるブレンド又は薬学的製剤において使用され得る別の好適な親水コロイドはペクチンである。
【0034】
「ペクチン」という用語は、植物材料からペクチンを抽出することによって得られるペクチン物質の水溶性形態として理解されるべきである。ペクチンは、ラムノ-ガラクツロナン骨格(反復二糖α-(1-4)-D-ガラクツロン酸-α-(1-2)-L-ラムノースのポリマー)で中断されている直鎖状ガラクツロナン鎖のブロック(α-(1-4)-結合-D-ガラクツロン酸のポリマー)を含む構造を有し、これは、L-ラムノースのO-3位又はO-4位に連結されたポリマー状アラビノガラクタングリコシドの側鎖を有することが多い。ガラクツロナン配列は、それらのO-2位又はO-3位にグリコシド結合されたD-キシロース及びD-アピオースを有することができ、これはまたエステル結合されたアセチル基で置換することもできる。α-(1-4)-結合D-ガラクツロン酸残基の長鎖は一般に「平滑領域」と呼ばれ、一方、高度に分岐したラムノガラクツロナン領域は一般に「毛状領域」と呼ばれる。
【0035】
ペクチンは一般的且つ重要な多糖類であり、食品及び医薬の両方に適用され、多くの商業的供給源が存在する。市販のペクチン生成物のほとんどの供給源は、プロトペクチンが乾燥物質の10~40重量%を占める柑橘果皮及びリンゴポマースである。
【0036】
ペクチンはほぼ全ての高等植物に存在する。柑橘果皮(柑橘類の果汁生産の副産物)、リンゴのポマース(リンゴ果汁生産の副産物)、ビート(テンサイ糖産業の副産物)など、食品産業のいくつかの副産物はペクチン抽出のために使用され、ポテト繊維、ヒマワリ頭部(油生産の副産物)及びタマネギにもわずかであるが広がっている(May 1990,Carbohydr.Polymers,12:79-99)。ポマース又は果皮から高メチル化(HM)ペクチンを抽出する典型的な方法は、pH1~3、50~90℃の高温希薄鉱酸中で3~12時間抽出を継続することである(Rolin,2002,Pectins and their Manipulation;Seymour GB),Knox JP,Blackwell Publishing Ltd,222-239)。乾燥した柑橘果皮は20~30%のペクチン(乾燥物質に基づく)を含有し、乾燥したリンゴポマース中のペクチンは、少量(10~15%)存在する(Christensen,1986,Pectins.Food Hydrocolloids,3,205-230)。ペクチンは、アルコール(通常、イソプロパノールであるが、メタノール又はエタノールも使用される)の添加によって沈殿する。最後に、ゼラチン状物質を加圧し、洗浄し、乾燥させ、粉砕する(Carbohydr.Polymers,12:79-99,May 1990)。プロセス条件に応じて、55~80%のDMを有するペクチンが得られた(Rolin,2002,Pectins and their Manipulation;Seymour G.B.,Knox J.P.,Blackwell Publishing Ltd,222-239).
【0037】
低メチル化(LM)ペクチンは、高メチル化(HM)ペクチンの脱エステル化により、主に抽出プロセス中の酸性度、温度及び時間を制御することによって得ることができる。他のタイプのペクチンを製造するためには、エステルを、抽出前又は抽出中に、濃縮液体として、又はアルコール性スラリー中で、酸若しくは塩基によって加水分解し、次いで、分離し、乾燥し得る。塩基が使用される場合、反応はポリマーのβ脱離分解を回避するために、低温で且つ水溶液中で行われなければならない(Kravtchenko et al.,1992,Carbohydrate Polymers,19,115-124)。LMペクチン(例えば、ジャガイモペクチン)はまた、ヘキサメタホスフェートなどの水性キレート剤で抽出することができる(Voragen et al,1995,Food polysaccharides and their applications;Stephen A.M.,New York:Marcel Dekker Inc,287-339)。LMペクチンを製造するためのペクチンメチルエステラーゼ(PME)の使用は、化学抽出の代替として使用することができる(Christensen,1986,Pectins.Food Hydrocolloids,3,205-230)。異なる反応の条件及び時間は異なり、異なるDE(DEがゼロの場合も)を有するペクチンをもたらす。
【0038】
市販のLMペクチンはほぼ全てHMペクチンに由来するが、成熟ヒマワリ頭部などのLMペクチンの天然供給源が存在する(Thakur et al.,1997,Critical Reviews in Food Science and Nutrition,37(l):47-73)。ペクチンを製造する1つの方法は、国際特許出願の国際公開第2013/109721号パンフレットに記載されており、この方法では、柑橘果皮を処理して均質な柑橘果皮を得、この均質な柑橘果皮を有機溶媒で洗浄し、続いて、脱溶媒及び乾燥工程を行って、繊維含有ペクチン生成物又はペクチンを回収する。いくつかの実施形態では、粉末化又は粉砕工程は、乾燥工程後に実施される。
【0039】
或いは、好適なペクチン生成物は、米国特許第7,833,558号明細書に記載されている方法に従って得られ、この特許には、(i)少なくとも1種の塩を含む水溶液中で植物材料を膨潤させることによってインサイチュ反応系を提供する工程、(ii)工程(i)からの膨潤した植物材料中に存在するペクチンを、脱エステル化処理に供する工程、及び(iii)脱エステル化された繊維含有ペクチン生成物を分離する工程を含む、植物材料から繊維含有ペクチン生成物を提供する方法が記載されている。いくつかの実施形態では、植物材料は、レモン、オレンジ、マンダリン、ライム及びグレープフルーツなどの柑橘類果実からの果皮又は果肉を含む天然ペクチン含有植物材料である。
【0040】
例示的な市販のペクチンとしては、リンゴペクチン(SIGMA-ALDRICH、製品番号93854)、柑橘果皮ペクチン(SIGMA-ALDRICH、製品番号P9135)、60%のエステル化度を有する柑橘ペクチン(SIGMA-ALDRICH、製品番号P9436)、及び90%のエステル化度を有する柑橘ペクチン(SIGMA-ALDRICH、製品番号P9561)、GRINDSTEDペクチンRS 400、AndreペクチンAP 101、GENUPECTIN B Rapid Set、UNIPECTIN RS 150、Classic AF 101、GRINDSTEDペクチンAMD 780、AndreペクチンAP 140、GENUPECTIN JMJ、UNIPECTIN AYD 20、Classic CM 201/203、GRINDSTEDペクチンLC 810、AndreペクチンAP 310、GENUPECTIN LM 18CG、及びUNIPECTIN OF 400、Classic AF 701が挙げられるがこれらに限定されない。
【0041】
本明細書による薬学的に許容されるブレンド又は薬学的製剤において使用され得る別の好適な親水コロイドは、寒天である。寒天は、テングサ科(Gelidiaceae)種及びオゴノリ科(Gracilariaceae)種の紅藻綱(Rhodophyceae)から抽出される。寒天は主にアガロースを含有するがアガロペクチンもまた含有し、前者はゲル化に寄与し、後者はゲルを弱める。寒天は、3-結合β-D-ガラクトピラノシル単位及び4-結合3,6-アンヒドロ-a-L-ガラクトピラノシル単位の二糖反復構造に基づく直鎖状多糖ポリマーからなる(Araki, 1966;Norziah et al.,2006)。
【0042】
寒天は、約90~100℃で可溶化することができ、溶液中でポリマーはランダムコイルの形態をとる。冷却すると、液体寒天溶液は二重らせんの形成によってゲルを形成する。これらの二重らせんは結合し、二重らせんの束を形成する。接合領域において、束は相互作用し、さらに三次元の網目構造を形成する。この網目構造は、その隙間に水分子を固定する大きな能力を有する(Norziah et al.,2006)。寒天は脆いゲルを形成する。寒天は、密なゲル網目構造のために、高いゲル化及び融解温度、並びに高いシネレシスを有する。寒天は、2.5~10の最適pH範囲を有する。
【0043】
本明細書による薬学的に許容されるブレンド又は薬学的製剤において使用され得る他の好適な親水コロイドは、セルロース系親水コロイド、例えば、メチルセルロース、セルロースガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、エチルセルロース(EC)、及びコロイド状微結晶セルロース(MCC)である。特定のメチルセルロースの1つはMETHOCEL(商標)であり、これは天然セルロース(セルロース構造多糖はデンプンと同じ骨格を有するが、デンプンのグルコース単位はα1-4結合によって連結されている)から作製された水溶性ガムのファミリーであり、天然に見られる最も豊富な再生可能炭水化物である。それらは、カロリー値のない不活性で高純度の粉末であり、実質的に無色、無臭、及び無味である。METHOCEL(商標)の重要な特性:可逆的な熱ゲル化;水溶性;増粘;乳化/カプセル化;フィルム形成;結合(熱及び冷);空気連行及び泡安定性;凍結融解安定性;可溶性繊維の提供。METHOCEL(商標)の主要な特徴的技術:押出及び剥離特性の改善;良好な乳化及び分離の抑制、収率の改善。
【0044】
市販のメチルセルロース製品の例としては、METHOCEL(商標)グレードの製品(IFF)、例えばMETHOCEL(商標)SG A7C、METHOCEL(商標)SG A16M、METHOCEL(商標)MX、Benecel MX、METHOCEL(商標)Bind 250、METHOCEL(商標)Bind 092、METHOCEL(商標)Bind 112及びMetolose MCE 100TS、高粘度METHOCEL(商標)Premium F4M、K4M、K15M、K100M、A4M、E4M及びE10Mが挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
別の特定のセルロース親水コロイドは、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)などのカルボキシメチルセルロース(CMC)である。好適なカルボキシメチルセルロースナトリウム製品としては、TEXTURECEL(商標)PRM 700 PA、TEXTURECEL(商標)1,000 PA、TEXTURECEL(商標)4,000 PA 07、及びTEXTURECEL(商標)10,000 PA、TEXTURECEL(商標)1,000 PA 07、TEXTURECEL(商標)2,000 PA 07、TEXTURECEL(商標)PRM 2,400 PA 07、TEXTURECEL(商標)20,000 PA 07などのTEXTURECEL(商標)ブランドのもの、又はAQUALON(登録商標)CMC 7H3SXF、Aqualon(商標)12M31P、Aqualon(商標)12M31XPなどのAQUALON(登録商標)若しくはBlanose(登録商標)ブランド(Ashland)のものが挙げられる。好適な粘度グレードとしては、10,000を超えるグレード、例えば20,000までのグレードが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書により薬学的に許容されるブレンド又は薬学的製剤に使用され得る別の好適な親水コロイドはカラギーナンである。
【0046】
当業者には理解されるように、紅色植物門(Rhodophyta)の海藻から得られる成分は、カラギーナンを含有する。カラギーナンは、赤い食用の海藻から抽出される直鎖状硫酸化多糖のファミリーを指す。カラギーナンは、硫酸化及び非硫酸化の両方の、反復ガラクトース単位及び3,6無水ガラクトース(3,6-AG)から構成される高分子量多糖である。単位は、α-1,3及びβ-1,4グリコシド結合を交互にすることによって連結される。カラギーナンは、増粘剤又は安定化剤として、食品及び他の産業に広く使用されている。カラギーナンには3つの主要な商業的クラスがある:
【0047】
これらの3種類は、硫酸化の程度が異なる。カッパカラギーナンは二糖につき1つの硫酸基を有し、イオタカラギーナンは2つ、ラムダカラギーナンは3つを有する。食品に使用される場合、カラギーナンは、「加工ユーケマ藻類」として存在する場合、EU添加物E番号E407又はE407aを有する。カッパカラギーナンは、カリウムイオンの存在下で、強く硬いゲルを形成し、乳タンパク質と反応する。それは主にネッタイキリンサイ(Kappaphycus alvarezii)から供給される。
【0048】
カッパカラギーナンは、典型的には、ミューカラギーナンからアルカリ脱離によって生成され、また単離されたネッタイキリンサイ(Kappaphycus alvarezii)からも生成される。これら2つの材料の構造及びアルカリ変換を以下に示す。
【化1】
【0049】
カラギーナンの様々な形態の含有量は、当業者によって容易に決定することができる。本明細書の実施例は、この決定方法の詳細を提供する。一態様では、ミューカラギーナンなどのカラギーナンタイプの含有量は、決定プロセス1(H-NMRによるカラギーナンタイプの決定)に従って決定される。
【0050】
一態様では、本明細書による薬学的に許容されるブレンド又は薬学的製剤は、薬学的に許容されるブレンド又は薬学的製剤の総重量に基いて、少なくとも0.5重量%、例えば1、2、3、4又は5重量%の量のミューカラギーナンを含有する。
【0051】
一態様では、本明細書による薬学的に許容されるブレンド又は薬学的製剤は、薬学的に許容されるブレンド又は薬学的製剤の総重量に基いて、8重量%以下、例えば7、6、5又は4重量%以下の量のミューカラギーナンを含有する
【0052】
本明細書による薬学的に許容されるブレンド又は薬学的製剤に好適なカラギーナン製品としては、様々な市販のカラギーナン、例えばAvicel PH101、Gelcarin(登録商標)カラギーナン及びViscarin(登録商標)カラギーナングレード、例えばGelcarin(登録商標)GP-379NF、Viscarin(登録商標)101、Viscarin(登録商標)GP-328NF、Viscarin(登録商標)GP-209NF、Viscarin(登録商標)GP109 Gelcarin(登録商標)GP911、Gelcarin(登録商標)GP-812(IFF Nutrition & Biosciences)が挙げられる。
【0053】
本明細書による薬学的に許容されるブレンド又は薬学的製剤において使用され得る別の好適な親水コロイドはペクチンである。
【0054】
キサンタンガムは、グルコース、マンノース、及びグルクロン酸から構成される長鎖多糖である。多糖鎖の骨格は、1位及び4位を介して連結された2つのベータD-グルコース単位からなる。側鎖は、2つのマンノースと1つのグルクロン酸からなり、したがって、鎖は、5つの糖単位の反復モジュールからなる。側鎖は、3位で骨格の1つおきのグルコースに連結されている。末端マンノース単位の約半分は、その4位及び6位にケタールとして連結されたピルビン酸基を有する。他のマンノース単位は、6位にアセチル基を有する。これらの鎖のうちの2つは、整列して二重らせんを形成することができ、水の増粘剤としてのその高い効率を説明する剛性がかなり高いロッド構成を与える。キサンタンの分子量は、その調製方法に応じて、約100万~5000万で変化する。好適なキサンタンガム源は、医薬及び化粧品分野の当業者にはよく知られており、Jungbunzlauer又はMonsanto-Kelco Co.、又はRhodia,Inc.Courbevoie、France、Cranbury、NJ USAによって提供されるキサンタンガム、例えば、Jungbunzlauer XG、KELTROL(登録商標)、GFS(登録商標)、KELGUM(登録商標)、DRICOID(登録商標)、KELZAN(登録商標)、KELZANAR、RHODIGEL(登録商標) RHODIGUM(登録商標)、RHODICARE(登録商標)及びRHODOPOL(登録商標)の製品範囲が挙げられる。
【0055】
医薬有効成分(API)
本明細書の製剤において使用される特定の医薬有効成分(API)は必須ではないことを理解されたい。特定の治療方法のために、特定のAPIも必須であることは言うまでもない。しかしながら、本明細書の製剤は、原則として、抗炎症剤、微生物剤、抗感染剤、抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤、抗増殖剤、抗血管新生剤、抗酸化剤、抗高血圧剤、神経保護剤、細胞受容体アゴニスト、細胞受容体アンタゴニスト、免疫調節剤、免疫抑制剤、眼圧低下剤、a2アドレナリン受容体アゴニスト、βアドレナリン受容体アンタゴニスト、炭酸脱水酵素阻害剤、コリンエステラーゼ阻害剤、縮瞳剤 プロスタグランジン、プロスタグランジン受容体アゴニスト、肥満細胞脱顆粒阻害剤、トロンボキサンA2模倣剤、プロテインキナーゼ阻害剤、プロスタグランジンF誘導体、プロスタグランジンF 2a受容体アンタゴニスト、レチノイド、グルココルチコステロイド、UVフィルター、シクロオキシゲナーゼ-2阻害剤、ムスカリン剤、ステロイド、及びこれらの任意の組み合わせを含む多くの種々のAPIに有用であり得ると想定される。
【0056】
いくつかの実施形態では、APIは親油性である。一例として、ジクロフェナクが本開示において使用され、1つの特定の実施形態では、医薬有効成分(API)はジクロフェナクである。
【0057】
その他の賦形剤
pH制御剤の例としては、水溶性の酸、例えばカルボン酸、又は塩酸、硫酸、リン酸などの鉱酸、酢酸及び乳酸などのモノカルボン酸、コハク酸、アジピン酸及びクエン酸などのポリカルボン酸が挙げられる。薬学的使用のためのpH制御剤及びpH調整剤は、当業者によく知られている。
【0058】
乳化剤
薬学的使用のための乳化剤は当業者によく知られており、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム、硫酸化ヒマシ油、モノステアリン酸グリセロール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、例えばtween80、ソルビタン脂肪酸エステル、例えばSpan60、ポリソルベート60(ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリソルベート40、Tween40、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート)、及び他のソルビタンエステル乳化剤、例えばポリソルベート40からなる群から選択される1種以上の化合物が含まれ得る。
【0059】
他の好適な乳化剤としては、ポリオキシエチレンヒマシ硬化油、セトステアリルアルコール、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸グリセリル、モノラウリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、中鎖トリグリセリド、スクロース脂肪酸エステル、レシチン又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
薬学的に許容される保存剤
また、薬学的製剤における保存剤の使用は、当業者によく知られている。いくつかの保存剤が好適であり、特定の保存剤は一般に、本明細書の文脈においては必須ではないと思われる。したがって、保存剤には、芳香族アルコール、例えばベンジルアルコール、安息香酸ナトリウム、安息香酸、ソルビン酸、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、ブロノポール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、チオメロサール、プロピオン酸ナトリウム、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クレゾール、イミダゾリジニル尿素、ジアゾリジニル尿素、フェノール、フェニル水銀塩、ソルビン酸カリウム、プロピレングリコール、イソプロピルアルコール、又はこれらの混合物からなるリストから選択される1種以上の化合物が含まれ得る。
【0061】
溶媒
本明細書で使用される場合、溶媒は、使用される特定のAPIを溶解することができる任意の好適な有機溶媒を指す。好適な溶媒は、グリコール、アルコール及び脂肪酸アルコール及びエステル及び2-ピロリドン、例えば、アセトン、アセトニトリル、ベンジルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルジグリコール、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、モノメチルアセトアミド、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、液体ポリオキシエチレングリコール、プロピレングリコール、2-ピロリドン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール、ジエチルフタレート脂肪酸エステル、及びこれらの溶媒のうちの少なくとも2つの混合物からなる群から選択され得る。いくつかの特定の実施形態では、使用される溶媒がプロピレングリコール及び/又はイソプロピルアルコールである。
【0062】
本発明の番号付き実施形態:
1.
i)1~30%(w/w)のオルガノポリシロキサン増粘剤;
ii)0.5~8%の親水コロイド;
iii)0.5~5%(w/w)の第1の乳化剤;及び40%以上の水、並びに、任意選択で、1種以上の薬学的に許容される保存剤、30%以下の量の溶媒、及び/又はpH制御剤
を含む、薬学的に許容されるブレンド。
2.
i)40~80%(w/w)の量の、実施形態1に定義される薬学的に許容されるブレンド;
ii)1~3%(w/w)の少なくとも1種の医薬有効成分(API);
iv)0.5~5%(w/w)の第2の乳化剤;並びに、任意選択で、1種以上の薬学的に許容される追加の保存剤、30%以下の量の溶媒、pH制御剤、及び/又は水
を含む、局所使用に好適なゲルなどの、薬学的に許容される製剤。
3.前記オルガノポリシロキサン増粘剤は、ヘキサメチルジシロキサン、シクロペンタシロキサン、シクロヘキサキシロキサン、アルキルメチルシリコーンポリグリコール、ジメチコノール、ジフェニルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー、ポリフェニルメチルシロキサン、ビニルフェニルシロキサン-フェニルメチルシロキサンコポリマー、トリフルオロプロピルメチルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー、ジエチルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー、ビニルメチルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー、ビニルメチルシロキサンホモポリマー、ポリフェニル(ジメチルヒドロシロキシ)シロキサン、メチルヒドロシロキサン-フェニルメチルシロキサンコポリマー、メチルヒドロシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー、ポリメチルヒドロシロキサン、ポリエチルヒドロシロキサン、トリエチルシロキサン、メチルヒドロシロキサン-フェニルオクチルメチルシロキサンコポリマー、メチルヒドロシロキサン-フェニルオクチルメチルシロキサンターポリマー、又はこれらの混合物などの線状又は環状ポリジメチルシロキサンからなるリストから選択される、実施形態1又は2に記載の薬学的に許容されるブレンド又は薬学的製剤。
4.オルガノポリシロキサン増粘剤は、約25℃で、8~30.000cStの粘度、例えば約10,000cSt超、約12,000cSt超、約15,000cSt超、約20,000cSt超、約30,000cSt超、約40,000cSt超、約60,000cSt超、約80,000cSt超、約100,000cSt超、約125,000cSt超、又は約150,000cSt超の粘度を有する、実施形態1~3に記載の薬学的に許容されるブレンド又は薬学的製剤。
5.オルガノポリシロキサン増粘剤は、約25℃で、約2,000,000cSt未満、約1,000,000cSt未満、約500,000cSt未満、約450,000cSt未満、約400,000cSt未満、約350,000cSt未満、約300,000cSt未満、約250,000cSt未満、約200,000cSt未満、約100,000cSt未満、約50,000cSt未満、約40,000cSt未満、約30,000cSt未満、約20,000cSt未満、又は約15,000cSt未満の粘度を有する、実施形態1~4のいずれか1つに記載の薬学的に許容されるブレンド又は薬学的製剤。
6.前記親水コロイドは、カラギーナン、ペクチン、アルギナート、例えばアルギン酸ナトリウム及びアルギン酸プロピレングリコール、キサンタンガム、グアーガム、アラビアガム、ローカストビーンガムのリストから選択される非セルロース系親水コロイドである、実施形態1~5のいずれか1つに記載の薬学的に許容されるブレンド又は薬学的製剤。
7.前記親水コロイドは、アルギン酸塩、例えばアルギン酸ナトリウム(Protanal(登録商標)CR 8133、Manucol(登録商標)LKX、Protanal(登録商標)CR 8223など)、アルギン酸プロピレングリコール(Kelcoloid K 3B426及びProtanal Ester SDなど)である、実施形態1~6のいずれか1つに記載の薬学的に許容されるブレンド又は薬学的製剤。
8.アルギナートなどの非セルロース系親水コロイドは、1%(w/w)~約5%(w/w)、例えば2%(w/w)~約4%(w/w)、例えば2%(w/w)~約3%(w/w)の量で前記薬学的に許容されるブレンド中に存在する、実施形態7に記載の薬学的に許容されるブレンド又は薬学的製剤。
9.前記アルギナートは、Brookfield RVを備えたBrookfield型RVを使用し、当該粘度範囲に適したスピンドルを使用して、20℃、1.25重量%で測定した場合に、50~2,000mPa・sの範囲、例えば100~1500mPa・sの範囲、例えば100~1000mPa・sの範囲、例えば100~900mPa・sの範囲、例えば200~900mPa・sの範囲、例えば300~900mPa・sの範囲、例えば400~900mPa・sの範囲、例えば500~900mPa・sの範囲、例えば600~900mPa・sの範囲の粘度を有する、実施形態7又は8に記載の薬学的に許容されるブレンド又は薬学的製剤。
10.前記親水コロイドは、セルロースガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、エチルセルロース(EC)、メチルセルロース(MC)、及びコロイド状微結晶セルロース(MCC)のリストから選択されるセルロース系親水コロイドである、実施例1~5のいずれか1つに記載の薬学的に許容されるブレンド又は薬学的製剤。
11.前記セルロース系親水コロイドは、メチルセルロース(MC)、例えばMETHOCEL A(International Flavors & Fragrances,Inc.)、METHOCEL E、K及びF(International Flavors & Fragrances,Inc.)に対応するメトキシル置換度(DS)及びヒドロキシプロポキシル置換度(MS)を有するヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)から選択される、実施形態10に記載の薬学的に許容されるブレンド又は薬学的製剤。
12.前記セルロース系親水コロイドは、4000~120,000cStの範囲の粘度を有する、実施形態10又は11に記載の薬学的に許容されるブレンド又は薬学的製剤。
13.セルロース系親水コロイドは、0.5%(w/w)~約5%(w/w)、例えば1%(w/w)~約5%(w/w)、例えば2%(w/w)~約4%(w/w)、例えば2%(w/w)~約3%(w/w)の量で前記薬学的に許容されるブレンド中に存在する、実施形態10~12のいずれか1つに記載の薬学的に許容されるブレンド又は薬学的製剤。
14.前記第1及び/又は第2の乳化剤は、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム、硫酸ヒマシ油、グリセロールモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、例えばtween80、ソルビタン脂肪酸エステル、例えばSpan60、ポリソルベート60、及び他のソルビタンエステル乳化剤からなる群から選択される1種以上の化合物を含む、実施形態1~13のいずれか1つに記載の薬学的に許容されるブレンド又は薬学的製剤。
15.前記保存剤は、ベンジルアルコール、安息香酸ナトリウム、安息香酸、ソルビン酸、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、ブロノポール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、チオメロサール、プロピオン酸ナトリウム、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クレゾール、イミダゾリジニル尿素、ジアゾリジニル尿素、フェノール、フェニル水銀塩、ソルビン酸カリウム、プロピレングリコール、イソプロピルアルコール、又はこれらの混合物からなるリストから選択される1種以上の化合物を含む、1~14のいずれか1つの実施形態に記載の薬学的に許容されるブレンド又は薬学的製剤。
16.前記溶媒は、グリコール、アルコール及び脂肪酸アルコール及びエステル及び2-ピロリドン、例えば、アセトン、アセトニトリル、ベンジルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルジグリコール、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、モノメチルアセトアミド、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、液体ポリオキシエチレングリコール、プロピレングリコール、2-ピロリドン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール、ジエチルフタレート脂肪酸エステル、及びこれらの溶媒のうちの少なくとも2つの混合物からなる群から選択される、実施形態1~15のいずれか1つに記載の薬学的に許容されるブレンド又は薬学的製剤。
17.本明細書に記載のセルロース膜を使用する拡散アッセイで測定したとき、240分後に500ug/cm2/分を超える局所ゲル中の医薬有効成分(API)の拡散速度を有する、実施形態1~16のいずれか1つに記載の薬学的に許容されるブレンド又は薬学的製剤。
18.少なくとも1種のAPIは、8-メトキシソラレン、アシクロビル、アフリベルセプト、アミノ酸/尿素、アミノレブリン酸、乳酸アンモニウム、アントラリン、アンチピリン/ベンゾカイン、アンチピリン/ベンゾカイン/ポリコサノール、アンチピリン/ベンゾカイン/酢酸亜鉛、アルニカ・モンタナ(Arnica montana)、ペルーバルサム/ヒマシ油/トリプシン、ベンザルコニウム塩酸塩、ベンゾカイン、ベンゾイルペルオキシド、ベタメタゾン、ベタメタゾン/クロトリマゾール、ボスウェリア属(Boswellia)、ブロメライン、ブロムフェナク、カルシポトリオール、キンセンカ(Calendula officinalis)、カンファー/メントール、カプサイシン、カルバミドペルオキシド、クロルヘキシジン、クロロキシレノール/ヒドロコルチゾン/プラムオキシン、シクロピロクス、シプロフロキサシン、シプロフロキサシン/デキサメタゾン、シプロフロキサシン/ヒドロコルチゾン、イヌサフラン(Colchicinum autumnale)、コラゲナーゼ、結合型エストロゲン、クロタミトン、シクロペントラート、シクロスポリン、システアミン、ダピプラゾール、デキサメタゾン、デキサメタゾン/トブラマイシン、ジフェンヒドラミン、ジフェンヒドラミン/ヒドロコルチゾン、ドクサート、ドキセピン、エリスロマイシン、エストラジオール、月見草オイル、フルオシノロン、フルオシノロン/ヒドロコルチゾン/トレチノイン、フルオシノロン/ネオマイシン、フルオレセイン、フルオロメトロン、フルオロウラシル、フルチカゾン、ガンシクロビル、ゲンタマイシン/プレドニソロン、ジンジャー、ホマトロピン、ヒドロコルチゾン/プラムオキシン、ヒドロキノン、イブプロフェン、イミキモド、インドシアニングリーン、イベルメクチン、ケトコナゾール、ケトロラク/フェニレフリン、ラタノプロスト、レダム・パルスツレ(Ledum palustre)(マーシュティー)、レボフロキサシン、リドカイン、リドカイン塩酸塩、酢酸m-クレシル、メクロレタミン、メピラミン、サリチル酸メチル、メトロニダゾール、ミコナゾール、ミノサイクリン、ミノキシジル、モメタゾン、モノベンゾン、モキシフィオキサシン、ナファゾリン、ネオマイシン/ポリミキシンB/ヒドロコルチゾン、ナイスタチン、ナイスタチン/トリアムシノロン、オクリプラスミン、オクロキサシン、オキシメタゾリン、パパイン/尿素、ペガプタニブ、ペンシクロビル、ペルメトリン、フェニレフリン、ポドフィロックス、ポドフィルム脂、ポリミキシンB、プラモキシン、プレドニゾロン、プレドニゾロン/スルファセタミドナトリウム、プリロカイン、プロパラカイン、ケルセチン、ラニビズマブ、ルース・トキシコデンドロン(Rhus toxicodendron)(ツタウルシ)、ルチン、サリチル酸、スルファセタミドナトリウム、シムフィツム・オフィシナレ(Symphytum officinale)(ヒメハリソウ)、タバボロール、タザロテン、ティーツリーオイル、テトラカイン、テトラヒドロゾリン、チモロール、トルナフタート、トラボプロスト、トレチノイン、トリアムシノロン、トリクロサン、トリメチルソラレン、トロラミン、サリチラート、トロピカミド、トリパンブルー、ウコン、ウンデシレン酸、尿素、ビタミンA、ビタミンD及びビタミンEからなる群から選択される、実施形態1~17のいずれか1つに記載の薬学的に許容されるブレンド又は薬学的製剤。
19.45%以上、例えば50%以上、例えば55%以上、例えば60%以上、例えば65%以上、例えば70%以上、例えば70~85%の範囲の量で存在する水を含む、実施形態1~18のいずれか1つに記載の薬学的に許容されるブレンド又は薬学的製剤。
20.薬学的に許容されるブレンドを作製する方法であって、以下の成分:
i)1~30%(w/w)のオルガノポリシロキサン増粘剤;
ii)1~8%の親水コロイド;
iii)0.5~5%(w/w)の乳化剤;及び40%以上の水、並びに、任意選択で、1種以上の薬学的に許容される保存剤、30%以下の量の溶媒、及び/又はpH制御剤
を混合して、薬学的に許容されるブレンドを作製する工程を含む方法。
21.
i)親水コロイドを、室温で、又は任意選択により50~90℃、例えば60~90℃、例えば70~90℃の温度で、例えば少なくとも10分間、例えば20分間又は30分間、水中に分散させる工程;
ii)オルガノポリシロキサン増粘剤及び分散された親水コロイドを、室温で、又は任意選択により40~80℃、例えば50~70℃、例えば50~60℃温度で混合する工程
を含む、実施形態20に記載の方法。
22.局所使用に好適なゲルなどの薬学的製剤を作製する方法であって、以下の成分:
i)40~80%(w/w)の量の、実施形態20又は21の方法により調製された薬学的に許容されるブレンド;
ii)1~3%(w/w)の少なくとも1種の医薬有効成分(API);
iii)0.5~5%(w/w)の第2の乳化剤;並びに、任意選択で、1種以上の薬学的に許容される追加の保存剤、pH制御剤、及び/又は水
を混合して、局所ゲルなどの薬学的に許容される製剤を作製する工程を含む方法。
23.薬学的に許容されるブレンド又は薬学的製剤は、実施形態1~19のいずれか1つに定義されるとおりである、実施形態16~18のいずれか1つに記載の方法。
24.ゲル、軟膏、クリーム、又はローションクリームなどの薬剤投与を調製するための、実施形態1~19のいずれか1つに定義される薬学的に許容されるブレンドの使用。
25.実施形態1~19のいずれか1つに定義されるとおりのゲル、軟膏、クリーム、又はローションなどの薬学的製剤の、局所薬剤投与のための使用。
【実施例
【0063】
実験の部
実施例1
製剤の製造に使用する装置
1.ヒーター
2.オーバーヘッドスターラー
3.計量天びん
ブレンド調製:
親水コロイド及びシリコーンブレンド
組成(バッチサイズ100gm):
【0064】
【表1】
【0065】
プロセス:
I)有機/油相の調製:
1.シリコーン液DC9120を容器に入れ、この容器にTween80を加え、15分間混合する。
II)水相の調製:
1.ヒプロメロースの場合:精製水を70~80℃に加熱する。Methocel K100M premiumを熱湯に加え、よく分散させる。
カラギーナンの場合:精製水を70~80℃に加熱する。カラギーナンを熱水に加えて溶解し、混合物を30分間撹拌する。
アルギン酸ナトリウム及びキサンタンガムの場合:精製水に添加し溶解する。
III)エマルション及びゲルの調製:
2.攪拌しながら、工程1に熱い/そのままの分散液を加えて、均一なゲルを形成する。
3.混合物をさらに45分間撹拌する
4.ベンジルアルコールを調製物に添加する。
5.混合物をさらに15分間撹拌する。
【0066】
ジクロフェナクゲルの調製
組成(バッチサイズ100gm):
【0067】
【表2】
【0068】
プロセス:
I)調製:
1.ジクロフェナクナトリウムをプロピレングリコールに添加し溶解する。
2.工程1にイソプロピルアルコールとTween80を加え、10分間撹拌する。
3.工程2に親水コロイド/シリコーンブレンドを添加し、必要量の精製水を添加し、30分間混合する
4.ベンジルアルコールを調製物に添加する。混合物をさらに15分間撹拌する。
5.pH調整剤を用いてpHを調整する
【0069】
拡散試験
試験前に、硝酸セルロース膜をpH7.4のリン酸緩衝液に30分間浸漬した。
【0070】
膜をドナー区画とレセプター区画との間に取り付けた。
【0071】
リン酸緩衝液(pH7.4)をレセプター区画(12ml)に加え、400rpmで撹拌しながら32±0.5℃に維持した
【0072】
本発明のゲル製剤を硝酸セルロース膜に塗布し、区画を一緒にクランプした。
【0073】
一定の時間間隔でアリコート(0.5mL)を採取し、採取した容量に各時点で等量の緩衝液を補充した。試料をHPLCを用いて分析した。
【0074】
本発明の製剤と市販のベンチマーク(インドで入手可能)との比較拡散試験は、流動性の増強を示した。(図1参照)。
図1
【国際調査報告】