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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-23
(54)【発明の名称】精製方法及びその使用
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/44 20060101AFI20241016BHJP
   B01D 15/10 20060101ALI20241016BHJP
   B01D 15/18 20060101ALI20241016BHJP
   C07K 1/16 20060101ALI20241016BHJP
   C12N 15/10 20060101ALI20241016BHJP
   G01N 30/46 20060101ALI20241016BHJP
   G01N 30/34 20060101ALI20241016BHJP
   G01N 30/26 20060101ALI20241016BHJP
   G01N 30/88 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
G01N30/44
B01D15/10
B01D15/18
C07K1/16
C12N15/10 100Z
G01N30/46 A
G01N30/34 E
G01N30/26 A
G01N30/88 D
G01N30/88 J
G01N30/88 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519324
(86)(22)【出願日】2022-09-14
(85)【翻訳文提出日】2024-05-13
(86)【国際出願番号】 EP2022075490
(87)【国際公開番号】W WO2023052126
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】21199535.2
(32)【優先日】2021-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511163470
【氏名又は名称】クロマコン アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アォマン,ラース
(72)【発明者】
【氏名】ウェルドン,リヒャルト
(72)【発明者】
【氏名】フォッグ,ゼバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ムラー-シュパート,トーマス
【テーマコード(参考)】
4D017
4H045
【Fターム(参考)】
4D017AA09
4D017AA11
4D017BA07
4D017DA03
4D017DB02
4D017EA05
4H045AA10
4H045AA20
4H045BA10
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA60
4H045FA10
4H045FA74
4H045GA21
(57)【要約】
生成物Pと、吸着性の弱い不純物W及び吸着性の強い不純物Sに相当する少なくとも2種の更なる成分とからなるフィード混合物Fから生成物Pを単離する循環的クロマトグラフィー精製方法であって、クロマトグラフィー固定相として2つだけのクロマトグラフィー吸着体セクションを使用し、少なくとも1回の再循環段階とそれに続く1回だけの精製段階を有する少なくとも1回の基礎シーケンスを含み、好ましくは、基礎シーケンスを循環的に繰り返す、前記方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生成物(P)と、吸着性の弱い不純物(W)及び吸着性の強い不純物(S)に相当する少なくとも2種の更なる成分とからなるフィード混合物(F)から前記生成物(P)を単離する循環的クロマトグラフィー精製方法であって、
前記方法は、クロマトグラフィー固定相として2つだけのクロマトグラフィー吸着体セクションを使用し、ここで、第1の吸着体セクション(1)は、第1の吸着体セクション入口と第1の吸着体セクション出口とを有し、第2の吸着体セクション(2)は、第2の吸着体セクション入口と第2の吸着体セクション出口とを有し、
前記方法は、少なくとも1回の再循環段階とその後に続く1回だけの精製段階とを有する少なくとも1回の基礎シーケンスを含み、ここで、好ましくは、基礎シーケンスは少なくとも2回循環的に繰り返され、かつ、
前記再循環段階は、以下の工程:
a.相互接続再循環工程(IC-R)、
この工程では、前記吸着体セクションは相互接続されており、かつ再循環相互接続期間(tIC-R)中に上流吸着体セクション出口は下流吸着体セクション入口に接続され、
ここで、前記上流吸着体セクションに、前記上流吸着体セクション入口を介して溶離液がロードされ、かつ少なくとも生成物(P)と重複している範囲の前記吸着性の弱い不純物(W)と、前記生成物(P)と、少なくとも生成物(P)と重複している範囲の前記吸着性の強い不純物(S)とを含む画分が、前記上流吸着体セクションから前記下流吸着体セクションへと溶離され、かつ、
前記上流吸着体出口から出る流れは前記下流吸着体入口に入る前にインライン希釈される;
b.任意のバッチ再循環工程(B-R)、
ここで、再循環バッチ期間(tB-R)中に前記吸着体セクションが分断され、かつ、
先行する工程aの以前の上流吸着体セクションが清浄化されて、吸着性の強い不純物(S)が除去され、再生され、かつ溶離液が工程aの以前の下流吸着体セクションの入口にロードされて、生成物(P)と重複していない範囲の吸着性の弱い不純物(W)が溶離される;
を含む少なくとも1回の再循環シーケンスからなり、
工程a及び工程bの各再循環シーケンス後に、前記吸着体セクションは順番に切り替えられ、ここで、再循環シーケンスの回数は1回以上であり、かつ、
各再循環段階には1回だけの精製段階が続き、
前記精製段階は、以下の工程:
c.第1の相互接続精製工程(IC1)、
この工程では、前記吸着体セクションは相互接続されており、ここで、第1の相互接続精製期間(tIC1)中に前記上流吸着体セクション出口が前記下流吸着体セクション入口に接続され、
前記上流吸着体に、前記上流吸着体入口を介して溶離液がロードされ、かつ重複している吸着性の弱い不純物(W)及び生成物(P)を含む生成物画分が前記上流吸着体から前記下流吸着体セクションへと溶離され、かつ、
前記上流吸着体セクション出口から出る流れは前記下流吸着体セクション入口に入る前にインライン希釈される;
d.第1のバッチ精製工程(B1)、
ここで、第1のバッチ精製期間(tB1)中に前記吸着体セクションが分断され、かつ生成物(P)が以前の上流吸着体セクションから溶離され、かつ、フィード混合物(F)が以前の下流吸着体セクション入口に供給される;
e.第2の相互接続精製工程(IC2)、
ここで、第2の相互接続精製期間(tIC2)中に前記上流吸着体セクション出口が前記下流吸着体セクション入口に接続され、
前記上流吸着体セクションに、前記上流吸着体セクション入口を介して溶離液がロードされ、かつ重複している生成物(P)及び吸着性の強い不純物(S)を含む生成物画分が、前記上流吸着体から前記下流吸着体へと溶離され、かつ、
前記上流吸着体セクション出口から出る流れは前記下流吸着体セクション入口に入る前にインライン希釈される;
f.第2のバッチ精製工程(B2)、
ここで、第2の精製バッチ期間(tB2)中に前記吸着体が分断され、かつ以前の上流吸着体が清浄化され、再生され、かつ溶離液が以前の下流吸着体入口にロードされる;
を順番に含み、ここで、先行する再循環段階の最後の相互接続再循環工程の前記上流吸着体セクションは前記下流吸着体セクションの機能を担い、かつ先行する再循環段階の最後の相互接続再循環工程の前記下流吸着体セクションは前記上流吸着体セクションの機能を担う、前記方法。
【請求項2】
前記段階の少なくとも1回又は全てにおいて、溶離液グラジエント、好ましくは線形溶離液グラジエントを使用し、ここで、好ましくは、再循環段階の工程(IC-R及び/又はB-R)において、精製段階の工程(IC1、B1、IC2、及び/又はB2)よりも高いグラジエントの傾きを選択する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法の相互接続工程において、前記上流セクション入口に、前記上流吸着体入口を介して、時間的に変化するモディファイヤー濃度の形のグラジエントを有する溶離液をロードし、かつ前記上流吸着体セクション出口から出る流れを、前記下流吸着体セクション入口に入る前に、モディファイヤーを含まない溶離液で、又は前記上流吸着体セクションの入口とは異なるモディファイヤー濃度を有する溶離液でインライン希釈する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
精製された生成物の溶離を伴わない方法のバッチ工程において、以前の上流吸着体を、好ましくは、先行する相互接続再循環工程の終了時よりも高いモディファイヤー濃度を有する溶離液で、若しくは異なるモディファイヤーを含む溶離液で、又は清浄化溶液で清浄化し、再生し、かつ時間的に変化するモディファイヤー濃度の形のグラジエントを有する溶離液を、以前の下流吸着体入口にロードし、及び/又は、
精製された生成物の溶離を伴う方法のバッチ工程において、以前の上流吸着体に、前記上流吸着体入口を介して、時間的に変化するモディファイヤー濃度の形のグラジエントを有する溶離液をロードする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記相互接続再循環工程(IC-R)における前記再循環段階において、前記上流吸着体セクションに、前記上流吸着体セクション入口を介して、時間的に変化するモディファイヤー濃度の形のグラジエントを有する溶離液をロードし、かつ前記上流吸着体出口から出る流れを、前記下流吸着体入口に入る前に、モディファイヤーを含まない溶離液で、又は前記上流吸着体セクションの入口とは異なるモディファイヤー濃度を有する溶離液でインライン希釈し、及び/又は、
任意のバッチ再循環工程(B-R)において、先行する工程aの以前の上流吸着体セクションを、好ましくは、先行する相互接続再循環工程の終了時よりも高いモディファイヤー濃度を有する溶離液で、若しくは異なるモディファイヤーを含む溶離液で、又は清浄化溶液で清浄化し、再生し、かつ時間的に変化するモディファイヤー濃度の形のグラジエントを有する溶離液を、工程aの以前の下流吸着体セクションの入口にロードして、生成物(P)と重複していない範囲の吸着性の弱い不純物(W)を溶離させる、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の相互接続精製工程(IC1)における前記精製段階において、前記上流吸着体セクションに、前記上流吸着体入口を介して、時間的に変化するモディファイヤー濃度の形のグラジエントを有する溶離液をロードし、かつ前記上流吸着体セクション出口から出る流れを、前記下流吸着体セクション入口に入る前に、モディファイヤーを含まない溶離液で、又は前記上流吸着体セクションの入口とは異なるモディファイヤー濃度を有する溶離液でインライン希釈し、及び/又は、
前記第1のバッチ精製工程(B1)において、以前の上流吸着体セクションにその入口を介して、時間的に変化するモディファイヤー濃度の形のグラジエントを有する溶離液をロードすることによって、前記セクションから生成物(P)を溶離させ、及び/又は、
前記第2の相互接続精製工程(IC2)において、前記上流吸着体セクション入口に、前記上流吸着体入口を介して、時間的に変化するモディファイヤー濃度の形のグラジエントを有する溶離液をロードし、かつ前記上流吸着体セクション出口から出る流れを、前記下流吸着体セクション入口に入る前に、モディファイヤーを含まない溶離液で、又は前記上流吸着体セクションの入口とは異なるモディファイヤー濃度を有する溶離液でインライン希釈し、及び/又は、
前記第2のバッチ精製工程(B2)において、以前の上流吸着体を、好ましくは、先行する相互接続再循環工程の終了時よりも高いモディファイヤー濃度を有する溶離液で、若しくは異なるモディファイヤーを含む溶離液で、又は清浄化溶液で清浄化し、再生し、かつ時間的に変化するモディファイヤー濃度の形のグラジエントを有する溶離液を、以前の下流吸着体入口にロードする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記モディファイヤーは、前記溶離液の基礎溶媒又はその混合物とは異なる有機溶媒若しくは無機溶媒又はそれらの混合物、そのような有機溶媒若しくは無機溶媒(又はそれらの混合物)中の電解質からなる群から選択され、好ましくは溶解塩若しくはpH、又はそれらの組合せから選択され、
ここで、好ましくは、前記基礎溶媒は、水、又は水と少なくとも1種の有機溶媒との混合物、又は水と、その一方若しくは両方が水と比較して少ない割合の1種以上の塩及び/又は有機溶媒との混合物であり、
更に好ましくは、前記モディファイヤーは、有機溶媒、又は水と少なくとも1種の有機溶媒との混合物であって、前記基礎溶媒中よりも前記少なくとも1種の有機溶媒の濃度が高い混合物、水、又は水と少なくとも1種の有機溶媒との混合物であって、前記基礎溶媒とは異なる塩濃度若しくはH濃度を有する混合物である、請求項2~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記段階の少なくとも1回又は全てにおいて、好ましくは線形の溶離液グラジエントを、時間的に変化するモディファイヤー濃度増加の形のグラジエントで使用する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の再循環段階の前記第1の相互接続再循環工程を実施する前に、始動段階を実施し、この工程では、
第1のバッチ始動期間(tB-SU-F)中に前記吸着体(1、2)を分断し、かつ、
フィード混合物(F)を、前記第1の再循環段階の第1の相互接続再循環工程の上流吸着体セクションとなる前記吸着体セクション(1)の入口に供給し、
一方で、前記第1の再循環段階の第1の相互接続再循環工程の下流吸着体セクションとなる前記吸着体セクション(2)は、平衡化されるか、又は既に平衡化されて非活動状態にあり、かつ、
好ましくは引き続き、第2のバッチ始動期間(tB-SU-W)中に、前記吸着体(1、2)を分断し、吸着性の弱い不純物(W)を、先行する第1のバッチ始動工程においてフィード混合物(F)が供給された前記吸着体セクション(1)から溶離させ、一方で、他の吸着体(2)は、平衡化されるか、又は既に平衡化されて非活動状態にある、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のバッチ始動期間(tB-SU-F)の後で、かつ前記第2のバッチ始動期間(tB-SU-W)の前に、溶離液を、前記第1の再循環段階の第1の相互接続再循環工程の上流吸着体セクションとなる前記吸着体セクションの入口に供給し、かつ前記溶離液は、モディファイヤーを含まないか、又は前記第1のバッチ始動期間中に若しくは前記第1の相互接続再循環工程の第2のバッチ始動期間の不存在下で適用される開始モディファイヤー濃度に本質的に対応するモディファイヤー濃度を有し、及び/又は、
前記第2のバッチ始動期間中に、フィード混合物(F)が供給された前記吸着体セクション(1)の入口に、時間的に変化するモディファイヤー濃度の形のグラジエントを有する溶離液をロードする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1回の基礎シーケンス、好ましくは2回以上の基礎シーケンスの終了後に、停止段階を実施し、ここで、前記停止段階は、以下の工程:
a’.相互接続停止再循環工程(IC’-R)、
この工程では、先行する最後の第2の相互接続精製工程(IC2)の前記上流吸着体セクションが下流の位置をとり、かつ他の吸着体セクションが上流の位置をとり、前記吸着体セクションは相互接続されており、かつ停止再循環相互接続期間(tIC’-R-SD)中に前記上流吸着体セクション出口が前記下流吸着体セクション入口に接続され、
ここで、前記上流吸着体セクションに、前記上流吸着体セクション入口を介して溶離液がロードされ、かつ少なくとも生成物(P)と重複している範囲の前記吸着性の弱い不純物(W)と、前記生成物(P)と、少なくとも生成物(P)と重複している範囲の前記吸着性の強い不純物(S)とを含む画分が、前記上流吸着体セクションから前記下流吸着体セクションへと溶離され、かつ、
前記上流吸着体出口から出る流れは前記下流吸着体入口に入る前にインライン希釈される;
b’.任意のバッチ停止再循環工程(B’-R)、
この工程では、前記吸着体セクションは分断されており、ここで、停止再循環バッチ期間(tB’-R)中に前記吸着体セクションが分断され、かつ、
先行する工程a’の以前の上流吸着体セクションが清浄化され、再生され、かつ溶離液が工程aの以前の下流吸着体セクションの入口にロードされて、生成物(P)と重複していない範囲内の吸着性の弱い不純物(W)が溶離される;
を順番に含み、その後に以下の工程:
c’.第1の相互接続停止精製工程(IC1-SD)、
この工程では、前記吸着体セクションは相互接続されており、ここで、第1の相互接続停止精製期間(tIC1’)中に前記上流吸着体セクション出口が前記下流吸着体セクション入口に接続され、
前記上流吸着体に、前記上流吸着体入口を介して溶離液がロードされ、かつ重複している吸着性の弱い不純物(W)及び生成物(P)を含む生成物画分が、前記上流吸着体から前記下流吸着体セクションへと溶離され、かつ、
前記上流吸着体セクション出口から出る流れは前記下流吸着体セクション入口に入る前にインライン希釈される;
d’.第1のバッチ停止精製工程(B1-SD)、
ここで、第1のバッチ精製期間(tB1’)中に前記吸着体セクションが分断され、かつ生成物(P)が以前の上流吸着体セクションから溶離され、かつ以前の下流吸着体セクションはアイドリング状態であるか、又は溶離液が以前の下流吸着体セクション入口に供給されるかのいずれかである;
e’.第2の相互接続停止精製工程(IC2-SD)、
ここで、第2の相互接続停止精製期間(tIC2’)中に前記上流吸着体セクション出口が前記下流吸着体セクション入口に接続され、
前記上流吸着体セクションに、前記上流吸着体セクション入口を介して溶離液がロードされ、かつ重複している生成物(P)及び吸着性の強い不純物(S)を含む生成物画分が、前記上流吸着体から前記下流吸着体へと溶離され、かつ、
前記上流吸着体セクション出口から出る流れは前記下流吸着体セクション入口に入る前にインライン希釈される;
f’.第2のバッチ停止精製工程(B2-SD)、
ここで、第2の精製バッチ期間(tB2’)中に前記吸着体が分断され、かつ以前の上流吸着体が清浄化され、再生され、かつ溶離液が以前の下流吸着体入口にロードされる;
続いて、
g’.第1の最終停止バッチ工程(B-SD-P)、
ここで、第1の最終停止バッチ期間(tB-SD-P)中に前記第1の吸着体と前記第2の吸着体とが分断され、かつ生成物(P)が以前の下流吸着体から溶離され、かつ他の吸着体はアイドリング状態であるか、又は再生される;
h’.任意であるが好ましくは、第2の最終停止バッチ工程(B-SD-S)、
ここで、第2の最終停止バッチ期間(tB-SD-S)中に前記第1の吸着体と前記第2の吸着体とが分断され、かつ吸着性の強い不純物(S)が以前の下流吸着体から溶離され、かつ他の吸着体はアイドリング状態であるか、又は再生される;
が順番に続き、ここで、前記相互接続停止再循環工程の前記上流吸着体セクションは前記下流吸着体セクションの機能を担い、かつ前記相互接続停止再循環工程の下流吸着体セクションは前記上流吸着体セクションの機能を担う、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記相互接続停止再循環工程(IC’-R)において、先行する最後の第2の相互接続精製工程(IC2)の前記上流吸着体セクションに、前記上流吸着体セクション入口を介して、一定の組成の溶離液又は時間的に変化するモディファイヤー濃度の形のグラジエントを有する溶離液をロードし、ここで、前記上流吸着体出口から出る流れを、前記下流吸着体入口に入る前に、モディファイヤーを含まない溶離液で、又は前記上流吸着体セクションの入口とは異なるモディファイヤー濃度を有する溶離液でインライン希釈し、及び/又は、
前記バッチ停止再循環工程(B’-R)において、先行する工程aの以前の上流吸着体セクションを清浄化し、再生し、かつ時間的に変化するモディファイヤー濃度の形のグラジエントを有する溶離液を工程a’の以前の下流吸着体セクションの入口にロードして、生成物(P)と重複していない範囲内の吸着性の弱い不純物(W)を溶離させ、及び/又は、
前記第1の相互接続停止精製工程(IC1-SD)において、前記上流吸着体に、前記上流吸着体入口を介して、時間的に変化するモディファイヤー濃度の形のグラジエントを有する溶離液をロードし、かつ前記上流吸着体セクション出口から出る流れを、前記下流吸着体セクション入口に入る前に、モディファイヤーを含まない溶離液で、又は前記上流吸着体セクションの入口とは異なるモディファイヤー濃度を有する溶離液でインライン希釈し、及び/又は、
前記第1のバッチ停止精製工程(B1-SD)において、前記上流吸着体入口を介して、時間的に変化するモディファイヤー濃度の形のグラジエントを有する溶離液をロードすることによって、以前の上流吸着体セクションから生成物(P)を溶離させ、かつ以前の下流吸着体セクションはアイドリング状態であるか、又は溶離液、好ましくは前記基礎溶媒の形の溶離液が以前の下流吸着体セクション入口に供給されるかのいずれかであり、及び/又は、
前記第2の相互接続停止精製工程(IC2-SD)において、前記上流吸着体セクションに、前記上流吸着体セクション入口を介して、一定の組成の溶離液又は時間的に変化するモディファイヤー濃度の形のグラジエントを有する溶離液をロードし、かつ前記上流吸着体セクション出口から出る流れを、前記下流吸着体セクション入口に入る前に、モディファイヤーを含まない溶離液で、又は前記上流吸着体セクションの入口とは異なるモディファイヤー濃度を有する溶離液でインライン希釈し、及び/又は、
前記第2のバッチ停止精製工程(B2-SD)において、以前の上流吸着体を清浄化し、再生し、かつ溶離液を以前の下流吸着体入口にロードし、及び/又は、
前記第1の最終停止バッチ工程(B-SD-P)において、生成物(P)を、時間的に変化するモディファイヤー濃度の形のグラジエントを有する溶離液で、以前の下流吸着体から溶離させ、かつ他の吸着体はアイドリング状態であるか、又は再生され、及び/又は、
前記第1の最終の第2の最終停止バッチ工程(B-SD-S)において、吸着性の強い不純物(S)を、以前の下流吸着体から溶離させ、かつ他の吸着体はアイドリング状態であるか、又は再生される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記再循環段階及び/又は前記精製段階において、様々な傾き及び/又は流量を有する線形グラジエントを使用する、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記方法の殆ど又は全ての相互接続工程において、前記上流セクション入口に、前記上流吸着体入口を介して、時間的に変化するモディファイヤー濃度の形のグラジエントを有する溶離液をロードし、かつ前記上流吸着体セクション出口から出る流れを、前記下流吸着体セクション入口に入る前に、モディファイヤーを含まない溶離液で、又は前記上流吸着体セクションの入口とは異なるモディファイヤー濃度を有する溶離液でインライン希釈し、かつ、
精製された生成物の溶離を伴わない方法のバッチ工程においては、以前の上流吸着体を溶離液で清浄化し、再生し、該当する場合は、時間的に変化するモディファイヤー濃度の形のグラジエントを有する溶離液を、以前の下流吸着体入口にロードするか、又は、
精製された生成物の溶離を伴う方法のバッチ工程においては、以前の上流吸着体に、前記上流吸着体入口を介して、時間的に変化するモディファイヤー濃度の形のグラジエントを有する溶離液をロードし、かつ、
前記モディファイヤーは、前記溶離液の基礎溶媒又はその混合物とは異なる溶媒又はその混合物、そのような溶媒又はその混合物中の電解質からなる群から選択され、好ましくは溶解塩若しくはpH、又はそれらの組合せから選択され、ここで、好ましくは、前記基礎溶媒は、水、又は水と少なくとも1種の有機溶媒との混合物、又は水と、水と比較して少ない割合の1種以上の塩及び/又は有機溶媒との混合物であり、更に好ましくは、前記モディファイヤーは、有機溶媒、又は水と少なくとも1種の有機溶媒との混合物であって、前記基礎溶媒よりも前記少なくとも1種の有機溶媒の濃度が高い混合物、水、又は前記基礎溶媒とは異なる塩濃度若しくはH濃度を有する水の混合物であり、かつ、
前記モディファイヤー濃度を、前記プロセス中に、以下の工程:
次の最終停止バッチ工程(B-SD-P)の場合を除く再循環(IC-R、IC’-R、IC1、IC1-SD)の工程、及び、
該当する場合は、生成物の溶離(B1、B1-SD、B-SD-P)の工程、及び該当する場合は更なる再循環(IC2、IC2-SD)の工程(ここで、前記再循環(IC2、IC2-SD)中に、前記モディファイヤー濃度は変動し得るか、又は前記再循環(IC2、IC2-SD)の場合だけ一定に保たれ得る)、
にわたって、生成物(P)と重複していない範囲の前記吸着性の弱い不純物(W)の溶離(B-SU-W、B-R、B’-R、B2、B2-SD)の開始時の最低濃度から、
最高濃度まで高め、好ましくは線形的に高めた後に、前記吸着性の強い不純物(S)の溶離(B-R、B’-R、B2、B2-SD、B-SD-S)が始まる、請求項2~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
天然起源又は合成起源の、好ましくはDNA分子及びRNA分子を含む核酸分子、抗体を含むタンパク質、ペプチド、炭水化物、脂質、並びにそれらの組合せ及び修飾物、並びに断片からなる群から選択される生体分子の精製のための、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペプチド及びオリゴヌクレオチド等の化学合成を起源とする高純度の治療薬を製造する循環的クロマトグラフィー方法(cyclic chromatographic method)に関する。
【背景技術】
【0002】
治療用ペプチド、オリゴヌクレオチド、及びタンパク質等の活性物質の精製プロセスは、典型的には一連のクロマトグラフィー工程を含む。
【0003】
ペプチド及びオリゴヌクレオチドの製造の多くの場合に、標的化合物は化学合成によって得られる。このプロセスにおいて、標的化合物以外に生成物関連の不純物が生じ、これらを下流プロセスにおいて除去する必要がある。
【0004】
クロマトグラフィーは、その高い選択性のため、生成物関連の不純物を除去するのに不可欠な単位操作である。クロマトグラフィーの目的は、高い生成物収率及びスループットを維持しながら、純度仕様を満たす生成物プールを生成することである。
【0005】
この目的を達成するには、線形グラジエントクロマトグラフィーが頻繁に使用される。線形グラジエントクロマトグラフィーにおいては、クロマトグラフィー吸着体における固定相への生成物の結合後に、吸着体を通してポンプ圧送される移動相の組成を時間の経過とともに一定の傾きで徐々に変化させる。
【0006】
これにより、早期に溶離する(吸着性の弱い)不純物、生成物、及び遅く溶離する(吸着性の強い)不純物の順次の脱着が引き起こされる。クロマトグラムにおいて、この順序で溶離する化合物は一連のピークとして現れる。より穏やかな線形グラジエントを実行することにより、分離される化合物の分離能を向上させることができるが、これには処理時間の増加及びスループットの低下が伴う。同様に、カラムにロードされる出発物質(フィード)の質量を低下させることによって化合物の分離能を高めることができるが、これによってもスループットが低下する。
【0007】
分取クロマトグラフィーにおいては、スループットが非常に重要であるため、グラジエントの持続時間が制限され、こうして分取クロマトグラムにおける不純物ピークと生成物ピークとの重複が引き起こされる。最も高い生成物純度は、典型的には生成物ピークの中心で得られ、クロマトグラムのこの部分が溶離中に吸着体出口でプールとして収集される。不純物ピークと生成物ピークとが重複している生成物を含む副画分(side fractions)を含めると、生成物プール純度の低下が引き起こされる。純度制約の違反を避けるには、典型的には、副画分中の生成物の一部を生成物プールから除外する必要がある。生成物プールに含まれない生成物の画分が、吸着体にロードされる出発物質に含まれる生成物の大部分を構成することさえある。生成物の損失を避けるのに、不純な副画分に含まれる生成物を回収することに高い関心が持たれている。副画分は再クロマトグラフィーに供されることが多い。すなわち、副画分をロード物質として使用して、同じ又は同様のクロマトグラフィー単位操作を実施する。この操作を通じて、生成物の画分を純粋に回収することができるが、このロード物質は通常のフィード物質よりも不純物含有量が高いため、分離はより困難である。再クロマトグラフィーには、規制上の制限、副画分の貯蔵及び取り扱い、副画分の安定性及び品質管理を含む一連の操作上の不利点もある。
【0008】
クロマトグラフィーにおける不純な副画分の再循環を自動化するのに幾つかのプロセスが提案されている。これらのプロセスは、単一吸着体再循環プロセスと、多重吸着体再循環プロセスとに分類され得る。
【0009】
単一吸着体の設備には、クロマトグラフィープロファイルの同じカラムを通る再循環が含まれる。定常状態再循環(SSR)プロセスにおいては、循環クロマトグラフィープロファイルの先頭部分及び末尾部分から画分が収集され、プロファイルの内部に新しい試料が注入される。
【0010】
多重吸着体再循環プロセスでは、不純な副画分を1つの吸着体からもう1つの吸着体へと内部再循環させることと、向流原理、すなわち固定相及び移動相の相対的に反対向きの動きを使用することとを組み合わせることが可能となり、それにより生成物及び不純物の分離能が向上する。自動再循環によって、副画分の生成及び収集、副画分の外部貯蔵、取り扱い、及び分析が回避され、純粋な生成物のみが高収率でプロセスから回収される。
【0011】
内部再循環と向流原理とを組み合わせた多重吸着体プロセスは、擬似移動床(SMB)プロセスとして知られている。初期のSMBプロセスは2種の化合物の分離(二成分系分離)に限定されており、線形グラジエント条件下では操作することができなかったことから、これらの適用はクロマトグラムにおけるセンターカットを必要としない分離に限定されていた。
【0012】
SMBの概念を更に発展させて、「MCSGP」プロセス(マルチカラム向流溶媒グラジエント精製(Multicolumn Countercurrent Solvent Gradient Purification))(特許文献1を参照)として知られる線形溶媒グラジエント性能を備えたセンターカット(三成分系)分離の非常に効率的なプロセスがもたらされた。このプロセスは業界で十分に確立されている。「定常状態再循環を伴うグラジエント(gradient with steady state recycle)」(GSSR)プロセス等の多数の吸着体及び内部再循環を使用する他のクロマトグラフィー多重吸着体技術が提案されている。
【0013】
MCSGPは2つ~8つのカラム構成について記載されているが、より多くのカラムを使用する設備に対して機器の複雑性がより低く、操作上の柔軟性がより高いため、実際は、主として2つの吸着体の構成が使用される。
【0014】
MCSGPプロセスは、単一カラムのバッチクロマトグラフィーのクロマトグラムに基づいて設計される。一般に、MCSGPを用いて、バッチクロマトグラムからの最高純度の画分に対応する純度の生成物を得ることが可能である。場合によっては、重複している不純物が生成物ピークのはるか下方に延びる可能性があることから、MCSGPによって得られる可能な最大の純度が制限される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1877769号
【発明の概要】
【0016】
本発明は、通常のMCSGPプロセスよりも高い生成物純度に達することができる、更に改善されたMCSGP様プロセスを提供することを目的とする。
【0017】
驚くべきことに、MCSGPプロセスと同様のプロセスに追加の再循環段階を導入することと、ローディングスキームの変更とを組み合わせることによって、同等の収率でより高い純度だけでなく、より高い純度でより高い又は同等の生産性(スループット)も達成し得ることが判明した。
【0018】
提案された追加の再循環段階により、クロマトグラフィープロファイルが1つのクロマトグラフィー吸着体からもう1つのクロマトグラフィー吸着体に移送され、それによりインライン希釈が適用されるため、このクロマトグラフィープロファイルは下流吸着体において再吸着される。典型的には、このインライン希釈は、モディファイヤーを含まない溶離液又はモディファイヤー含有量が低い溶離液を2つのカラム間で本質的に絶えず添加して、下流液体の溶離強度を低下させ、下流カラムにおける溶離を減速させるように行われる。逆相クロマトグラフィーの場合の典型的なモディファイヤーは有機溶媒であるのに対し、イオン交換では、典型的なモディファイヤーは塩(イオン強度の調整)又は酸/塩基(pHの調整)である。インライン希釈は、上流カラムから溶離する化合物の完全な吸着が予想されるレベルに設定されており、再循環段階中に下流カラムでの更なる分離を促進することを意図するものではない。したがって、上流からの溶離によって得られるクロマトグラフィープロファイルにおける化合物の部分的分離は、インライン希釈によって無効となることが予想される。言い換えれば、インライン希釈により、分離の喪失が予想されることから、フィード注入後と同じ状況が生じる。
【0019】
したがって、当業者であれば、通常の又は「過剰な」インライン希釈を伴う再循環工程の導入は生成物純度の向上につながらないであろうと予想するはずである。
【0020】
さらに、当業者であれば、再循環工程に余分な時間がかかり、この時間中には追加のフィードが導入されず、生成物が生成されないため、再循環工程の導入によりプロセス全体の生産性(スループット)が低下すると予想するはずである。
【0021】
驚くべきことに、再循環段階の導入によって起こる時間損失は、ロードの増加によって過補償され得ることが判明した。それに加えて、再循環により大幅に高い純度を達成することができる。
【0022】
本方法では、クロマトグラフィー固定相として2つのクロマトグラフィー吸着体セクションが使用される。1つの吸着体セクションは1つの単一カラムからなっていてもよいが、幾つかのカラムからなっていてもよく、その場合、1つのセクションのカラムは常に相互接続されており、決してプロセス中に分断されることはない。
【0023】
第1の吸着体セクションは、第1の吸着体セクション入口と第1の吸着体セクション出口とを有し、第2の吸着体セクションは、第2の吸着体セクション入口と第2の吸着体セクション出口とを有する。
【0024】
本方法は、任意であるが好ましい始動段階と、1回又は数回の再循環シーケンス(n≧1)を伴う再循環段階と、再循環段階の後に1回だけ実施される精製段階とを含む。再循環段階及び精製段階は、いわゆる基礎シーケンスを形成し、この基礎シーケンスが少なくとも1回(m≧1)繰り返される。所望の回数の基礎シーケンスの後に、任意であるが好ましい停止段階が続く。
【0025】
この基本原理を図1において概略的に示す。
【0026】
図2は、再循環段階における様々なサイクル回数n=1、2、3、4について本方法を示している。全ての例は始動段階で始まり、停止段階で終わっている。始動段階において、通常は事前に平衡化された第1の吸着体1にフィード混合物Fがロードされる。フィード混合物は、所望の生成物Pだけでなく、不純物、すなわち、より吸着性の弱い不純物W及びより吸着性の強い不純物Sも含む。引き続き、吸着性の弱い不純物W、すなわち生成物Pよりも固定相に弱く吸着する不純物を、フィード流の(例示される好ましい)継続を伴って又は伴わずに、この吸着体から溶離させる。その後、プロセスは再循環段階に入る。
【0027】
n=1の場合、再循環段階自体は1回のサイクル、すなわち1回の相互接続(IC-R)工程と1回の分断(B-R)工程とからなる。相互接続工程において、好ましくはグラジエントを伴って溶媒を供給しながら、第1の吸着体1の出口を第2の吸着体2の入口に接続する(更に以下を、特に図5を参照)。吸着体の間でインライン希釈を実施する。基礎溶媒を用いて、したがってグラジエントを伴わずにインライン希釈を行う。
【0028】
次いで、次の分断工程B-Rにおいて、吸着体を分断し、吸着性の強い不純物S、すなわち生成物よりも固定相に強く吸着する不純物を第1の吸着体1から溶離させ、この吸着体を再平衡化し、一方で、吸着性の弱い不純物Wを第2の吸着体2から溶離させる。再循環段階におけるこの後者の分断工程B-Rは任意である。
【0029】
n=2の場合、再循環段階は、n=1の再循環段階に加えて、もう1回のサイクル、すなわち更に1回の相互接続工程と更に1回の(任意の)分断工程とからなる。更なる相互接続工程において、前者の第2の吸着体2の出口を前者の第1の吸着体1の入口に接続する。次いで、次の更なる分断工程において、吸着体を分断し、吸着性の強い不純物Sを第2の吸着体2から溶離させ、この吸着体を再平衡化し、一方で、吸着性の弱い不純物Wを第1の吸着体1から溶離させる。この後者の更なる分断工程はまたしても任意である。
【0030】
n=3の場合、再循環段階は、n=2の再循環段階に加えて、なおも更に1回の相互接続工程となおも更に1回の(任意の)分断工程とからなる。相互接続工程において、第1の吸着体1の出口を第2の吸着体2の入口に接続する。次いで、次の分断工程において、吸着体を分断し、吸着性の強い不純物Sを第1の吸着体1から溶離させ、この吸着体を再平衡化し、一方で、吸着性の弱い不純物Wを第2の吸着体2から溶離させる。この後者の分断工程はまたしても任意である。
【0031】
n=4の場合、再循環段階は、n=3の再循環段階に加えて、更にもう1回の相互接続工程と更にもう1回の分断工程とからなる。相互接続工程において、第2の吸着体2の出口を第1の吸着体1の入口に接続する。次いで、次の分断工程において、吸着体を分断し、吸着性の強い不純物Sを第2の吸着体2から溶離させ、この吸着体を再平衡化し、一方で、吸着性の弱い不純物Wを第1の吸着体1から溶離させる。この後者の分断工程は任意である。
【0032】
概して、あらゆるサイクル回数(n>1)の場合、再循環段階は、n-1回の工程及び再循環段階に加えて、更に1回の相互接続段階と更に1回の(任意の)分断段階とからなる。
【0033】
概して、偶数n=2、4、6、…の再循環段階の場合、再循環段階の最後の相互接続工程において、第2の吸着体2の出口を第1の吸着体1の入口に接続する。次いで、実施されるのであれば、次の分断工程において、吸着体を分断し、吸着性の強い不純物Sを第2の吸着体2から溶離させ、この吸着体を再平衡化し、一方で、吸着性の弱い不純物Wを第1の吸着体1から溶離させる。この後者の分断工程は任意である。
【0034】
概して、奇数n=1、3、5、…の再循環段階の場合、再循環段階の最後の相互接続工程において、第1の吸着体1の出口を第2の吸着体2の入口に接続する。次いで、次の分断工程において、吸着体を分断し、吸着性の強い不純物Sを第1の吸着体1から溶離させ、この吸着体を再平衡化し、一方で、吸着性の弱い不純物Wを第2の吸着体2から溶離させる。この後者の分断工程は任意である。
【0035】
再循環段階の後には精製段階が続く。各精製段階は、第1の相互接続工程IC1と、第1のバッチ(分断)工程B1と、第2の相互接続工程IC2と、第2のバッチ(分断)工程B2とを含む。
【0036】
n=1及びn=3並びにあらゆる奇数の自然数nの場合、精製段階の相互接続工程IC1において、第2の吸着体2の出口を第1の吸着体1の入口に接続する。すなわち、第2の吸着体2は第1の吸着体1の上流にあり、2つの吸着体の間でインライン希釈を実施する。後続のバッチ工程B1において、吸着体を分断し、精製された生成物Pを第2の吸着体2から溶離させ、収集し、一方で、新しいフィード混合物Fを第1の吸着体1にロードする。次の相互接続工程IC2において、吸着体を接続し、第2の吸着体2は第1の吸着体1の上流にあり、2つの吸着体の間でインライン希釈を実施する。
【0037】
次の分断工程B2において、吸着体を分断し、吸着性の強い不純物Sを第2の吸着体2から溶離させ、この吸着体を再平衡化し、一方で、吸着性の弱い不純物Wを第1の吸着体1から溶離させる。
【0038】
n=2及びn=4並びにあらゆる偶数の自然数nの場合、精製段階の相互接続工程IC1において、第1の吸着体1の出口を第2の吸着体2の入口に接続する。すなわち、第1の吸着体1は第2の吸着体2の上流にあり、2つの吸着体の間でインライン希釈を実施する。後続のバッチ工程B1において、吸着体を分断し、精製された生成物Pを第1の吸着体1から溶離させ、収集し、一方で、新しいフィード混合物Fを第2の吸着体2にロードする。次の相互接続工程IC2において、吸着体を接続し、第1の吸着体1は第2の吸着体2の上流にあり、2つの吸着体の間でインライン希釈を実施する。
【0039】
次の分断工程において、吸着体を分断し、吸着性の強い不純物Sを第1の吸着体1から溶離させ、この吸着体を再平衡化し、一方で、吸着性の弱い不純物Wを第2の吸着体2から溶離させる。
【0040】
あらゆる回数nの再循環段階の場合、所望の回数mの基礎シーケンスの後、最後の精製段階に、図3に説明される停止段階が続く。
【0041】
図3は、様々な回数n=1、2、3、4、…の再循環段階の場合の停止段階を示している。所望の回数の基礎シーケンスの最後の精製段階の後には停止段階が続き、その停止段階自体は、停止段階I及び停止段階IIの2つの段階からなる。
【0042】
第1の段階である停止段階Iは、プロセスの先行する再循環段階の最後のIC-R工程及び(任意の)B-R工程と同じ工程からなる。
【0043】
第2の停止段階である停止段階IIは、プロセスの先行する精製段階と同じ工程に若干の変更を加えたものからなるが、生成物Pを溶離させる追加工程及び不純物Sを溶離させる追加工程によって拡張されており、ただし、これは、新しいフィード混合物Fを更にロードせずに操作される。
【0044】
n=1及びn=3並びにあらゆる奇数の自然数nの場合、停止段階Iは相互接続工程からなり、ここで、第1の吸着体1の出口を第2の吸着体2の入口に接続する。吸着体の間でインライン希釈を実施する。次の分断工程において、吸着体を分断し、吸着性の強い不純物Sを第1の吸着体1から溶離させ、この吸着体を再平衡化し、一方で、吸着性の弱い不純物Wを第2の吸着体2から溶離させる。この後者の分断工程は任意である。
【0045】
n=1及びn=3並びにあらゆる奇数の自然数nの場合、停止段階IIは相互接続工程IC1からなり、この工程では、第2の吸着体2の出口を第1の吸着体1の入口に接続する。すなわち、第2の吸着体2は第1の吸着体1の上流にあり、2つの吸着体の間でインライン希釈を実施する。後続のバッチ工程B1において、吸着体を分断し、精製された生成物Pを第2の吸着体2から溶離させ、収集する。この工程では、新しいフィード混合物Fを第1の吸着体1にロードしない。次の相互接続工程IC2において、吸着体を接続し、第2の吸着体2は第1の吸着体1の上流にあり、2つの吸着体の間でインライン希釈を実施する。引き続き、精製された生成物Pを第1の吸着体1から溶離させ、収集し、吸着性の強い不純物Sを第1の吸着体1から溶離させる。
【0046】
n=2及びn=4並びにあらゆる偶数の自然数nの場合、停止段階Iは、nが奇数である場合の停止段階Iと同じ工程からなるが、吸着体1と吸着体2とが入れ替わり、そしてn=2及びn=4並びにあらゆる偶数の自然数nの場合、停止段階IIは、nが奇数である場合の停止段階IIと同じ工程からなるが、吸着体1と吸着体2とが入れ替わる。
【0047】
図4は、あらゆる回数nの場合の始動段階における2つの吸着体のタスクを示している。始動段階において、事前に平衡化された第1の吸着体1にフィード混合物Fをロードする(工程B-SU-F)。引き続き、この吸着体から吸着性の弱い不純物Wを溶離させる(工程B-SU-W)。工程B-SU-Wにおいて第1の吸着体1内で操作される線形グラジエントセグメント、流量、及び切り替え時間は、好ましくは、単一カラムクロマトグラム用に選択されるものに対応する。
【0048】
一般に、図4の下部で示されるように、操作パラメーター、すなわち、本方法の流量、グラジエント濃度、供給量、及び切り替え時間を単一吸着体クロマトグラムから導き出すことができる。したがって、本方法を、単一吸着体クロマトグラムに基づいて設計し、初期設定することができ、ここで、例えば、検出器のフィードバックに基づく操作中の更により正確な制御が可能である。
【0049】
図5は、n=1の場合の本方法の再循環段階を示している。
【0050】
再循環段階自体は、相互接続(IC-R)工程及び分断(B-R)工程の1回のシーケンスから少なくとも構成される。第1の相互接続工程(IC-R)において、第1の吸着体1の出口を第2の吸着体2の入口に接続する。吸着された化合物W、化合物P、化合物Sを、溶媒グラジエントを使用して第1の吸着体1から第2の吸着体2へと溶離させ、ここで、吸着体の間でモディファイヤーを含まない基礎溶媒又はモディファイヤー含有量が低い溶媒を用いてインライン希釈を実施するため、W、P、Sは第2の吸着体2に強く吸着され、好ましくは、弱くさえ吸着していない不純物Wは下流吸着体2から出て行く。次いで、次の第1の分断工程(B-R)において、吸着体を分断し、残留する不純物Sを、高い、好ましくは一定のモディファイヤー濃度を使用して第1の吸着体1から溶離させた後に、吸着体1を再平衡化し、一方で、吸着性の弱い不純物Wを、低い出発モディファイヤー濃度を有するグラジエントを使用して第2の吸着体2から溶離させる(プロセスに応じたモディファイヤー濃度を示す各工程の下にある下部の破線を参照)。この後者の分断工程B-Rは任意であり、その重要性はフィード混合物F中の生成物Pの純度及び純度仕様に依存する。より低い純度は、W及びSのより高い含有量に対応するため、W及びSを除去するのに、再循環段階に分断工程(B-R)を含めることが検討されることとなる。またしても、図5の下部で示されるように、操作パラメーター、すなわち、本方法の流量、グラジエント濃度、供給量、及び切り替え時間を単一吸着体クロマトグラムから導き出すことができ、ここで、例えば、検出器のフィードバックに基づく操作中の更により正確な制御が可能である。
【0051】
n=1の場合、停止段階Iは再循環段階と同一である。各再循環段階の後には精製段階が続く(図2図6)。
【0052】
図6は、n=1、3、5…の場合の本方法の精製段階を示している。
【0053】
各精製段階は、第1の相互接続工程IC1と、第1のバッチ(分断)工程B1と、第2の相互接続工程IC2と、第2のバッチ(分断)工程B2とを含む。
【0054】
相互接続工程IC1において、第2の吸着体2の出口を第1の吸着体1の入口に接続する。すなわち、第2の吸着体2は第1の吸着体1の上流にある。相互接続工程IC1において、W及びPを含む部分的に純粋な副画分(クロマトグラム(図6の下部の概略的クロマトグラムを参照)における重複している領域(「ゾーン5」))を、第2の吸着体2から第1の吸着体1へと溶離させる。IC1の操作中、W及びPを含む流れを第1の吸着体1に入る前にインライン希釈するため、W及びPは、第1の吸着体1に入ったときに完全に吸着される。後続のバッチ工程B1において、吸着体を分断し、精製された生成物Pを第2の吸着体2から溶離させ、収集し、一方で、新しいフィード混合物Fを第1の吸着体1にロードする。次の相互接続工程IC2において、吸着体を接続し、第2の吸着体2は、第1の吸着体1の上流にあり、P及びSを含む部分的に純粋な副画分(クロマトグラム(図6の下部を参照)における重複している領域(「ゾーン7」))を、第2の吸着体2から第1の吸着体1へと溶離させる。P及びSを含む流れを第1の吸着体1に入る前にインライン希釈するため、化合物P及び化合物Sは、第1の吸着体1に入ったときに完全に吸着される。またしても、図6の下部で示されるように、操作パラメーター、すなわち、本方法の流量、グラジエント濃度、供給量、及び切り替え時間を単一吸着体クロマトグラムから導き出すことができ、ここで、例えば、検出器のフィードバックに基づく操作中の更により正確な制御が可能である。
【0055】
図7:プロセス操作の終了時の生成物Pの損失を回避するのに、精製段階の後には停止段階が続き、その停止段階自体は停止段階I及び停止段階IIの2つの段階からなる。
【0056】
n=1、3、5…の場合、停止段階Iは、図5に示されるn=1の場合の再循環段階と機能的に同一である。停止段階Iは、プロセスの再循環段階の最後のシーケンスと同じ条件を使用する工程IC’-R及び工程B’-Rを含む。
【0057】
図7は、n=1、3、5、…の場合の本方法の停止段階IIを示している。
【0058】
停止段階IIは、方法の前の精製段階と本質的に同じ工程を含むがフィードを伴わず(図6を参照)(IC1-SDはIC1に対応し、B1-SDはB1に対応するがフィードを伴わず、IC2-SDはIC2に対応し、B2-SDはB2に対応する)、ただし、以前に下流の位置にあった第1の吸着体から生成物Pを溶離させる追加工程(B-SD-P)と、不純物Sを溶離させ、同じ吸着体を清浄化し再生する追加工程(B-SD-S)とによって拡張されている。B-SD-P及びB1-SDにおけるPの収集についての条件は、好ましくは、流量及び濃度グラジエントの点で同一である。同様に、B-SD-S及びB2-SDにおけるSの除去についての条件は、好ましくは、流量及び濃度グラジエントの点で同一である。
【0059】
先行する再循環段階が相互接続工程IC-R及び分断工程B-Rの偶数回のシーケンス(n=2、4、6…)を含む場合、工程IC1-SD、工程B1-SD、工程IC2-SD、及び工程B2-SDにおける吸着体の位置が入れ替わる。すなわち、相互接続工程IC1-SDにおいて、第1の吸着体1の出口を第2の吸着体2の入口に接続するため、第1の吸着体1は第2の吸着体2の上流にある。同様に、段階B1-SD、段階IC2-SD、及び段階B2-SDにおける吸着体の位置が入れ替わる。
【0060】
本プロセスにおいて、グラジエントの傾きを変えることによって化合物の分離を強化し及び/又は溶離速度を変更するのに、グラジエント、特に線形グラジエントを任意の工程で使用することができ、好ましくは使用することになる。
【0061】
再循環段階の工程(IC-R及び/又はB-R)において精製段階の工程(IC1、B1、IC2、及び/又はB2)の場合よりも高いグラジエントの傾きを選択することにより、再循環段階がより早く完了するため、全体のプロセス生産性が向上することになる。
【0062】
より一般的に言えば、本発明は、生成物Pと、吸着性の弱い不純物W及び吸着性の強い不純物Sに相当する少なくとも2種の更なる成分とからなるフィード混合物Fから生成物Pを単離する循環的クロマトグラフィー精製方法に関する。
【0063】
提案された方法では、クロマトグラフィー固定相として2つだけのクロマトグラフィー吸着体セクションが使用される。第1の吸着体セクションは、第1の吸着体セクション入口と第1の吸着体セクション出口とを有し、第2の吸着体セクションは、第2の吸着体セクション入口と第2の吸着体セクション出口とを有する。
【0064】
提案された方法は、少なくとも1回の再循環段階とその後に続く1回だけの精製段階とを有する少なくとも1回の基礎シーケンスを含み、ここで、好ましくは、基礎シーケンスを少なくとも2回循環的に繰り返す。
【0065】
本発明によれば、上記再循環段階は、以下の工程:
a.相互接続再循環工程IC-R、
この工程では、吸着体セクションは相互接続されており、かつ再循環相互接続期間tIC-R中に上流吸着体セクション出口が下流吸着体セクション入口に接続され、ここで、
上流吸着体セクションには、上流吸着体セクション入口を介して溶離液がロードされ、かつ少なくとも生成物Pと重複している範囲の吸着性の弱い不純物Wと、生成物Pと、少なくとも生成物Pと重複している範囲の吸着性の強い不純物Sとを含む画分が上流吸着体セクションから下流吸着体セクションへと溶離され、かつ、
上流吸着体出口から出る流れが下流吸着体入口に入る前にインライン希釈される;
b.任意のバッチ再循環工程B-R、
ここで、再循環バッチ期間tB-R中に上記吸着体セクションが分断され、かつ、
先行する工程aの以前の上流吸着体セクションが清浄化されて、吸着性の強い不純物Sが除去され、再生され、かつ溶離液が工程aの以前の下流吸着体セクションの入口にロードされて、生成物Pと重複していない範囲の吸着性の弱い不純物Wが溶離される;
を含む、少なくとも1回の再循環シーケンス、好ましくは1回だけのシーケンス、又は少なくとも2回、若しくは少なくとも3回、若しくは少なくとも4回の再循環シーケンスからなり、
工程a及び工程bの各再循環シーケンス後に、吸着体セクションが順番に切り替えられ、その際、再循環シーケンスの回数は1回以上である。
【0066】
本発明によれば、再循環段階には1回だけの精製段階が続く。この精製段階は、以下の工程:
c.第1の相互接続精製工程IC1、
この工程では、吸着体セクションは相互接続されており、ここで、第1の相互接続精製期間tIC1中に上流吸着体セクション出口が下流吸着体セクション入口に接続され、
上流吸着体に、上流吸着体入口を介して溶離液がロードされ、かつ重複している吸着性の弱い不純物W及び生成物Pを含む生成物画分が上流吸着体から下流吸着体セクションへと溶離され、かつ、
上流吸着体セクション出口から出る流れは下流吸着体セクション入口に入る前にインライン希釈される;
d.第1のバッチ精製工程B1、
ここで、第1のバッチ精製期間tB1中に上記吸着体セクションが分断され、かつ生成物Pが以前の上流吸着体セクションから溶離され、かつフィード混合物Fが以前の下流吸着体セクション入口に供給される;
e.第2の相互接続精製工程IC2、
ここで、第2の相互接続精製期間tIC2中に上流吸着体セクション出口が下流吸着体セクション入口に接続され、
上流吸着体セクションに、上流吸着体セクション入口を介して溶離液がロードされ、かつ重複している生成物P及び吸着性の強い不純物Sを含む生成物画分が、上流吸着体から下流吸着体へと溶離され、かつ、
上流吸着体セクション出口から出る流れは下流吸着体セクション入口に入る前にインライン希釈される;
f.第2のバッチ精製工程B2、
ここで、第2の精製バッチ期間tB2中に上記吸着体が分断され、かつ以前の上流吸着体が清浄化され、再生され、かつ溶離液が以前の下流吸着体入口にロードされる;
を順番に含み、ここで、先行する再循環段階の最後の相互接続再循環工程の上流吸着体セクションは下流吸着体セクションの機能を担い、かつ先行する再循環段階の最後の相互接続再循環工程の下流吸着体セクションは上流吸着体セクションの機能を担う。
【0067】
上記指摘のように、好ましくは、少なくとも1回又は全ての段階において溶離液グラジエントが使用される。
【0068】
好ましくは、方法の相互接続工程において、上流セクション入口に、上流吸着体入口を介して、時間的に変化するモディファイヤー濃度の形のグラジエントを有する溶離液をロードし、かつ上流吸着体セクション出口から出る流れを、下流吸着体セクション入口に入る前に、モディファイヤーを含まない溶離液で、又は上流吸着体セクションの入口とは異なるモディファイヤー濃度、好ましくは上流吸着体セクションの入口より低いモディファイヤー濃度を有する溶離液でインライン希釈する。
【0069】
より好ましくは、精製された生成物の溶離を伴わない方法のバッチ工程において、以前の上流吸着体を、例えば、先行する相互接続再循環工程の終了時よりも高いモディファイヤー濃度を有する溶離液で、若しくは異なるモディファイヤーを含む溶離液で、又は清浄化溶液で清浄化し、再生し、かつ時間的に変化するモディファイヤー濃度の形のグラジエントを有する溶離液を、以前の下流吸着体入口にロードする。
【0070】
精製された生成物の溶離を伴う方法のバッチ工程において、好ましくは、以前の上流吸着体に、上流吸着体入口を介して、時間的に変化するモディファイヤー濃度の形のグラジエントを有する溶離液をロードする。
【0071】
上記相互接続再循環工程IC-Rにおける上記再循環段階において、好ましい実施形態によれば、上流吸着体セクションに、上流吸着体セクション入口を介して、時間的に変化するモディファイヤー濃度の形のグラジエントを有する溶離液をロードし、かつ上流吸着体出口から出る流れを、下流吸着体入口に入る前に、モディファイヤーを含まない溶離液で、又は上流吸着体セクションの入口とは異なるモディファイヤー濃度を有する溶離液でインライン希釈する。
【0072】
更に別の好ましい実施形態によれば、任意のバッチ再循環工程B-Rにおいて、先行する工程aの以前の上流吸着体セクションを、例えば、先行する相互接続再循環工程の終了時よりも高いモディファイヤー濃度を有する溶離液で、若しくは異なるモディファイヤーを含む溶離液で、又は清浄化溶液で清浄化し、再生し、かつ時間的に変化するモディファイヤー濃度の形のグラジエントを有する溶離液を、工程aの以前の下流吸着体セクションの入口にロードして、生成物Pと重複していない範囲の吸着性の弱い不純物Wを溶離させる。
【0073】
更に別の好ましい実施形態は、上記第1の相互接続精製工程IC1における上記精製段階において、上流吸着体セクションに、上流吸着体入口を介して、時間的に変化するモディファイヤー濃度の形のグラジエントを有する溶離液をロードし、かつ上流吸着体セクション出口から出る流れを、下流吸着体セクション入口に入る前に、モディファイヤーを含まない溶離液で、又は上流吸着体セクションの入口とは異なるモディファイヤー濃度を有する溶離液でインライン希釈することを特徴とする。
【0074】
さらに、上記第1のバッチ精製工程B1において、以前の上流吸着体セクションにその入口を介して、時間的に変化するモディファイヤー濃度の形のグラジエントを有する溶離液をロードすることによって、上記セクションから生成物Pを溶離することが好ましい。
【0075】
上記第2の相互接続精製工程IC2において、好ましくは、上記上流吸着体セクション入口に、上流吸着体入口を介して、時間的に変化するモディファイヤー濃度の形のグラジエントを有する溶離液をロードし、かつ上流吸着体セクション出口から出る流れを、下流吸着体セクション入口に入る前に、モディファイヤーを含まない溶離液(基礎溶媒のみ)で、又は上流吸着体セクションの入口とは異なるモディファイヤー濃度を有する溶離液でインライン希釈する。
【0076】
また、上記第2のバッチ精製工程B2において、以前の上流吸着体を、先行する相互接続再循環工程の終了時よりも高いモディファイヤー濃度を有する溶離液で、若しくは異なるモディファイヤーを含む溶離液で、又は清浄化溶液で清浄化し、再生し、かつ時間的に変化するモディファイヤー濃度の形のグラジエントを有する溶離液を、以前の下流吸着体入口にロードすることが好ましい。
【0077】
モディファイヤーは、好ましくは、溶離液の基礎溶媒(又はその混合物)とは異なる有機溶媒若しくは無機溶媒(又はそれらの混合物)、そのような有機溶媒若しくは無機溶媒(又はそれらの混合物)中の電解質からなる群から選択され、好ましくは溶解塩若しくはpH、又はそれらの組合せから選択される。
【0078】
好ましくは、上記基礎溶媒は、有機溶媒若しくは無機溶媒(又はそれらの混合物)、特に水、又は任意に緩衝塩、酸、若しくは塩基、若しくはそれらの組合せを含む水と少なくとも1種の有機溶媒との混合物である。例えば、基礎溶媒は、水(99.9%)とトリフルオロ酢酸(TFA、0.1%)との混合物であり得て、モディファイヤーは、9.9%の水と、0.1%のTFAと、90.0%のアセトニトリルとの混合物であり得る。代替的には、モディファイヤーは、100%のアセトニトリルであり得る。別の例において、基礎溶媒は、25mMのリン酸緩衝水溶液(pH7.0)であり得て、モディファイヤーは、25mMのリン酸緩衝液、500mMのNaCl(pH7.0)であり得る。
【0079】
基礎溶媒は、特に、例えば生化学的プロセスから得られる生体分子が分離対象の場合、通常、水、又は水と、水と比較して少ない割合の1種以上の塩及び/又は有機溶媒との(例えば、アセトニトリル及びトリフルオロ酢酸を加えた)混合物であり、この基礎溶媒を以下で溶媒Aと呼ぶことにする。グラジエントを確立するのに、これを基礎溶媒とは異なる更なる溶媒又は溶媒混合物と混合する(混合物)。この更なる溶媒は、例えば、基礎溶媒と同じ溶媒の混合物であるが、異なる割合を有する混合物(例えば、上記の例では、水により高い割合のアセトニトリルを加えたもの)であり得る。特に生体分子の場合、典型的には、この更なる溶媒はまたしても水を基礎とするが、更に高められた有機溶媒の割合を有する。グラジエントを確立するのに、典型的には、基礎溶媒とは異なるかなり低い濃度の成分(例えば、基礎溶媒が例えば水である場合には、有機溶媒(複数の場合もある)、塩若しくはpH、又はそれらの組合せ)を含むモディファイヤー混合物が、グラジエントの開始時に溶離液として提供され、グラジエントポンプによって更なる溶媒と漸増的に混合され、対応する制御されたグラジエントがもたらされる。フィード混合物は、様々な溶媒中で提供される場合もあれば、若しくは基礎溶媒中で提供される場合もあり、又はフィード混合物は、適切な濃度の基礎溶媒との混合物中の元の溶液(典型的には水溶液)の混合物として提供される場合もある。
【0080】
上記段階の少なくとも1回又は全てにおいて、好ましくは線形の溶離液グラジエントを、時間的に変化するモディファイヤー濃度増加の形のグラジエントで使用する。
【0081】
上で述べた通り、好ましくは、第1の再循環段階の第1の相互接続再循環工程を実施する前に、始動段階を実施し、この工程では、
第1のバッチ始動期間tB-SU-F中に上記吸着体を分断し、かつ、
フィード混合物Fを、第1の再循環段階の第1の相互接続再循環工程の上流吸着体セクションとなる吸着体セクションの入口に供給し、
一方で、第1の再循環段階の第1の相互接続再循環工程の下流吸着体セクションとなる吸着体セクションは、平衡化されるか、又は既に平衡化されて非活動状態にあり、かつ、
好ましくは引き続き、第2のバッチ始動期間tB-SU-W中に、上記吸着体を分断し、吸着性の弱い不純物Wを、先行する第1のバッチ始動工程においてフィード混合物Fが供給された吸着体セクションから溶離させ、一方で、他の吸着体は、平衡化されるか、又は既に平衡化されて非活動状態にある。
【0082】
上記第1のバッチ始動期間tB-SU-Fの後で、かつ上記第2のバッチ始動期間tB-SU-Wの前に、溶離液を、第1の再循環段階の第1の相互接続再循環工程の上流吸着体セクションとなる吸着体セクションの入口に供給することができ、かつ上記溶離液は、モディファイヤーを含まない(基礎溶媒のみ)か、又は上記第1のバッチ始動期間中に若しくは第1の相互接続再循環工程の第2のバッチ始動工程の不存在下で適用される開始モディファイヤー濃度に本質的に対応するモディファイヤー濃度を有し得る。
【0083】
さらに、上記第2のバッチ始動期間中に、フィード混合物Fが供給された吸着体セクションの入口に、時間的に変化するモディファイヤー濃度の形のグラジエントを有する溶離液をロードすることができる。
【0084】
少なくとも1回の基礎シーケンス、好ましくは2回以上の基礎シーケンスの終了後に、停止段階を実施することができ、ここで、停止段階は、以下の工程:
a’.相互接続停止再循環工程IC’-R、
この工程では、先行する最後の第2の相互接続精製工程IC2の上流吸着体セクションが下流の位置をとり、かつ他の吸着体セクションが上流の位置をとり、吸着体セクションは相互接続されており、かつ停止再循環相互接続期間tIC’-R-SD中に上流吸着体セクション出口が下流吸着体セクション入口に接続され、
ここで、上流吸着体セクションに、上流吸着体セクション入口を介して溶離液がロードされ、かつ少なくとも生成物Pと重複している範囲の吸着性の弱い不純物Wと、生成物Pと、少なくとも生成物Pと重複している範囲の吸着性の強い不純物Sとを含む画分が、上流吸着体セクションから下流吸着体セクションへと溶離され、かつ、
上流吸着体出口から出る流れは下流吸着体入口に入る前にインライン希釈される;
b’.任意のバッチ停止再循環工程B’-R、
この工程では、吸着体セクションは分断されており、ここで、停止再循環バッチ期間tB’-R中に上記吸着体セクションが分断され、かつ、
先行する工程a’の以前の上流吸着体セクションが清浄化され、再生され、かつ溶離液が工程aの以前の下流吸着体セクションの入口にロードされて、生成物Pと重複していない範囲内の吸着性の弱い不純物Wが溶離される;
を順番に含む。
【0085】
好ましくは、その後に以下の工程:
c’.第1の相互接続停止精製工程IC1-SD、
この工程では、吸着体セクションは相互接続されており、ここで、第1の相互接続停止精製期間tIC1’中に上流吸着体セクション出口が下流吸着体セクション入口に接続され、
上流吸着体に、上流吸着体入口を介して溶離液がロードされ、かつ重複している吸着性の弱い不純物W及び生成物Pを含む生成物画分が、上流吸着体から下流吸着体セクションへと溶離され、かつ、
上流吸着体セクション出口から出る流れは下流吸着体セクション入口に入る前にインライン希釈される;
d’.第1のバッチ停止精製工程B1-SD、
ここで、第1のバッチ精製期間tB1’中に上記吸着体セクションが分断され、かつ生成物Pが以前の上流吸着体セクションから溶離され、かつ以前の下流吸着体セクションはアイドリング状態であるか、又は溶離液が以前の下流吸着体セクション入口に供給されるかのいずれかである;
e’.第2の相互接続停止精製工程IC2-SD、
ここで、第2の相互接続停止精製期間tIC2’中に上流吸着体セクション出口が下流吸着体セクション入口に接続され、
上流吸着体セクションに、上流吸着体セクション入口を介して溶離液がロードされ、かつ重複している生成物P及び吸着性の強い不純物Sを含む生成物画分が、上流吸着体から下流吸着体へと溶離され、かつ、
上流吸着体セクション出口から出る流れは下流吸着体セクション入口に入る前にインライン希釈される;
f’.第2のバッチ停止精製工程B2-SD、
ここで、第2の精製バッチ期間tB2’中に上記吸着体が分断され、かつ以前の上流吸着体が清浄化され、再生され、かつ溶離液が以前の下流吸着体入口にロードされる;
が順番に続き、ここで、相互接続停止再循環工程の上流吸着体セクションは下流吸着体セクションの機能を担い、かつ相互接続停止再循環工程の下流吸着体セクションは上流吸着体セクションの機能を担う。
【0086】
典型的には、
g’.第1の最終停止バッチ工程B-SD-P、
ここで、第1の最終停止バッチ期間tB-SD-P中に上記第1の吸着体と上記第2の吸着体とが分断され、かつ生成物Pが以前の下流吸着体から溶離され、かつ他の吸着体はアイドリング状態であるか、又は再生される;
h’.任意の第2の最終停止バッチ工程B-SD-S、
ここで、第2の最終停止バッチ期間tB-SD-S中に上記第1の吸着体と上記第2の吸着体とが分断され、かつ吸着性の強い不純物Sが以前の下流吸着体から溶離され、かつ他の吸着体はアイドリング状態であるか、又は再生される;
が続く。
【0087】
上記相互接続停止再循環工程IC’-Rにおいて、先行する最後の第2の相互接続精製工程IC2の上流吸着体セクションに、上流吸着体セクション入口を介して、一定の組成の溶離液又は時間的に変化するモディファイヤー濃度の形のグラジエントを有する溶離液をロードすることができ、ここで、上流吸着体出口から出る流れを、下流吸着体入口に入る前に、モディファイヤーを含まない溶離液で、又は上流吸着体セクションの入口とは異なるモディファイヤー濃度を有する溶離液でインライン希釈する。
【0088】
上記バッチ停止再循環工程B’-Rにおいて、先行する工程aの以前の上流吸着体セクションを、先行する相互接続再循環工程の終了時よりも高いモディファイヤー濃度を有する溶離液で、若しくは異なるモディファイヤーを含む溶離液で、又は清浄化溶液で清浄化し、再生することができ、ここで、時間的に変化するモディファイヤー濃度の形のグラジエントを有する溶離液を、工程a’の以前の下流吸着体セクションの入口にロードして、生成物Pと重複していない範囲内の吸着性の弱い不純物Wを溶離させる。
【0089】
上記第1の相互接続停止精製工程IC1-SDにおいて、上流吸着体に、上流吸着体入口を介して、時間的に変化するモディファイヤー濃度の形のグラジエントを有する溶離液をロードすることができ、上流吸着体セクション出口から出る流れを、下流吸着体セクション入口に入る前に、モディファイヤーを含まない溶離液で、又は上流吸着体セクションの入口とは異なるモディファイヤー濃度を有する溶離液でインライン希釈する。
【0090】
上記第1のバッチ停止精製工程B1-SDにおいて、上流吸着体入口を介して、時間的に変化するモディファイヤー濃度の形のグラジエントを有する溶離液をロードすることによって、以前の上流吸着体セクションから生成物Pを溶離させることができ、以前の下流吸着体セクションはアイドリング状態であるか、又は溶離液、好ましくは基礎溶媒が以前の下流吸着体セクション入口に供給されるかのいずれかである。
【0091】
上記第2の相互接続停止精製工程IC2-SDにおいて、上流吸着体セクションに、上流吸着体セクション入口を介して、一定の組成の溶離液又は時間的に変化するモディファイヤー濃度の形のグラジエントを有する溶離液をロードすることができ、上流吸着体セクション出口から出る流れを、下流吸着体セクション入口に入る前に、モディファイヤーを含まない溶離液で、又は上流吸着体セクションの入口とは異なるモディファイヤー濃度を有する溶離液でインライン希釈する。
【0092】
さらに、上記第2のバッチ停止精製工程B2-SDにおいて、以前の上流吸着体を、先行する相互接続再循環工程の終了時よりも高いモディファイヤー濃度を有する溶離液で清浄化し、再生することができ、ここで、溶離液は以前の下流吸着体入口にロードされる。
【0093】
最後に、上記第1の最終停止バッチ工程B-SD-Pにおいて、生成物Pを、時間的に変化するモディファイヤー濃度の形のグラジエントを有する溶離液で、以前の下流吸着体から溶離させることができ、ここで、他の吸着体はアイドリング状態であるか、又は再生され、及び/又は、
上記第1の最終の第2の最終停止バッチ工程B-SD-Sにおいて、吸着性の強い不純物Sを、先行する相互接続再循環工程の終了時よりも高いモディファイヤー濃度を有する溶離液で、以前の下流吸着体から溶離させることができ、ここで、他の吸着体はアイドリング状態であるか、又は再生される。
【0094】
様々な傾き及び/又は流量を有する線形グラジエントが、好ましくは、再循環段階及び/又は精製段階において使用され、ここで、好ましくは、再循環段階において、精製段階より高い傾き及び/又はより高い流量が使用される。
【0095】
更に別の好ましい実施形態によれば、方法の大部分の(特に、工程IC2及び工程IC2-SDを除く全ての)又は全ての相互接続工程において、上流セクション入口に、上流吸着体入口を介して、時間的に変化するモディファイヤー濃度の形のグラジエントを有する溶離液をロードし、上流吸着体セクション出口から出る流れを、下流吸着体セクション入口に入る前に、モディファイヤーを含まない溶離液で、又は上流吸着体セクションの入口とは異なるモディファイヤー濃度を有する溶離液でインライン希釈し、かつ、
精製された生成物の溶離を伴わない方法のバッチ工程においては、以前の上流吸着体を、先行する相互接続再循環工程の終了時よりも高いモディファイヤー濃度を有する溶離液で清浄化し、再生し、該当する場合は、時間的に変化するモディファイヤー濃度の形のグラジエントを有する溶離液を、以前の下流吸着体入口にロードするか、又は、
精製された生成物の溶離を伴う方法のバッチ工程においては、以前の上流吸着体に、上流吸着体入口を介して、時間的に変化するモディファイヤー濃度の形のグラジエントを有する溶離液をロードし、かつ、
モディファイヤーは、溶離液の基礎溶媒若しくはその混合物とは異なる溶媒若しくはその混合物、そのような溶媒若しくはその混合物中の電解質からなる群から選択され、好ましくは溶解塩若しくはpH、又はそれらの組合せから選択され、ここで、好ましくは、上記基礎溶媒は、水、又は水と少なくとも1種の有機溶媒との混合物、又は水と、水と比較して少ない割合の1種以上の塩及び/又は有機溶媒との混合物であり、更に好ましくは、上記モディファイヤーは、有機溶媒、又は水と少なくとも1種の有機溶媒との混合物であって、基礎溶媒中よりも上記少なくとも1種の有機溶媒の濃度が高い混合物、水、又は基礎溶媒中とは異なる塩濃度及び/又はH濃度を有する水の混合物であり、かつ、
上記モディファイヤー濃度を、プロセス中に、以下の工程、
次の最終停止バッチ工程(B-SD-P)の場合を除く再循環(IC-R、IC’-R、IC1、IC1-SD)の工程、及び、
該当する場合は、生成物の溶離(B1、B1-SD、B-SD-P)の工程、及び該当する場合は更なる再循環(IC2、IC2-SD)の工程(ここで、上記再循環(IC2、IC2-SD)中に、モディファイヤー濃度は変動し得るか、又は再循環工程の場合だけ一定に保たれ得る)、
にわたって、生成物Pと重複していない範囲の吸着性の弱い不純物Wの溶離(B-SU-W、B-R、B’-R、B2、B2-SD)の開始時の最低濃度から、
最高濃度まで高め、好ましくは線形的に高めた後に、吸着性の強い不純物Sの溶離(B-R、B’-R、B2、B2-SD、B-SD-S)が始まる。
【0096】
本プロセスにおいて、異なる寸法を有する若しくは異なる固定相を用いる吸着体、又は異なる寸法と異なる固定相との両方を用いる吸着体を使用することが可能である。生成物Pの溶離は常に同じ吸着体から行われ、同様に新しいフィード物質のロードも行われる。例えば、IC-R及びB-Rの単一シーケンス(n=1)のみを含む再循環段階の場合、主要な精製タスクを吸着体2によって実施する(W/Pの再循環、生成物Pの溶離、P/Sの再循環)。したがって、このタスクのために吸着体2において小粒子のクロマトグラフィー樹脂を使用して分離能を最大化することが可能であるのに対し、大粒子の樹脂を使用して、吸着体1において再循環流を受容することが可能である。工程IC1及び工程IC2におけるW/P及びP/Sのインライン希釈により、吸着体1に入る溶離液の流れが吸着体2から出る流れよりも多いため、吸着体1は、流動下で小粒子の樹脂よりも低い背圧を有するより大きな粒子から恩恵を受ける可能性がある。
【0097】
さらに、本発明は、天然起源又は合成起源の、好ましくはDNA分子及びRNA分子を含む核酸分子、抗体を含むタンパク質、ペプチド、炭水化物、脂質、並びにそれらの組合せ及び修飾物、並びに断片からなる群から選択される生体分子の精製のための上記で詳述された使用に関する。
【0098】
本発明の更なる実施形態は、従属形式請求項に規定されている。
【0099】
本発明の好ましい実施形態は、図面を参照して以下で述べられ、図面は、本発明の好ましい本実施形態を説明するためのものであり、本発明を限定するためのものではない。
【図面の簡単な説明】
【0100】
図1図1は、始動段階と、再循環段階と、精製段階と、停止段階とを含む本プロセスの一般的なスキームを示す図である。
図2図2は、より詳細には、再循環段階におけるn=1回~4回のシーケンスの場合の吸着体の接続と、吸着体に入る流れ及び吸着体から出る流れとを含む本プロセス(始動段階、再循環段階、精製段階)の論理を示す図である。W、P、S、又はFを含まないフィード/溶離物の流れには特に印を付けていない。
図3図3は、より詳細には、再循環段階におけるn=1回~4回のシーケンスの場合の吸着体の接続と、吸着体に入る流れ及び吸着体から出る流れとを含む本プロセス(停止段階)の論理を示す図である。W、P、S、又はFを含まないフィード/溶離物の流れには特に印を付けていない。
図4図4は、単一カラムクロマトグラム(下部に示される)に関する始動段階における2つの吸着体のタスクを示す図であり、線形グラジエント操作の場合にプロセスにおいて使用される線形グラジエントセグメント(太い破線)を概略的に示している。細い垂直の破線はセクションの境界を概略的に示しており、図4図7において、ゾーンとして指定され、細い垂直の破線によって区切られた垂直のセクションは、それぞれのゾーンにあるカラムの様々な機能を示しており、右手側の下部には、生成物Pと、生成物Pの左側の生成物Pよりも早く溶離するより吸着性の弱い不純物Wと、生成物Pの右側の生成物Pよりも遅く溶離するより吸着性の強い不純物Sとを含むクロマトグラムが示されており、またゾーン2の下部で破線として示される場合、ゾーン2におけるカラムの入口でのそのゾーンにおいて適用可能なフィード濃度が示されている。クロマトグラムのゾーン(図4図6及び図7におけるゾーン4~ゾーン8、並びに図5におけるゾーン4~ゾーン6)において、下部の破線は、より吸着性の弱い不純物W及び生成物Pの溶離中に各ゾーンにあるカラムの入口で適用されるグラジエントについて使用されるモディファイヤーの濃度(図4図6及び図7におけるゾーン4~ゾーン7、並びに図5におけるゾーン4及びゾーン5)と、Pと重複していないSの溶離の段階において適用される高いレベルであるが、通常一定のモディファイヤー濃度(図4図6及び図7におけるゾーン8、並びに図5におけるゾーン6)とを示している。
図5図5は、単一カラムクロマトグラム(下部に示される)に関する再循環段階における2つの吸着体のタスクを示す図であり、線形グラジエント操作の場合にプロセスにおいて使用される線形グラジエントセグメントを概略的に示している。
図6図6は、単一カラムクロマトグラム(下部に示される)に関する精製段階における2つの吸着体のタスクを示す図であり、線形グラジエント操作の場合にプロセスにおいて使用される線形グラジエントセグメントを概略的に示している。
図7図7は、単一カラムクロマトグラム(下部に示される)に関する停止段階IIにおける2つの吸着体のタスクを示す図であり、線形グラジエント操作の場合にプロセスにおいて使用される線形グラジエントセグメントを概略的に示している。
図8-1】図8のa)は、本プロセス及び単一カラム参照実行の停止段階のUVプロファイルの重ね合わせを示す図であり、b)は、本プロセス及び単一カラム参照実行の停止段階のオフラインHPLC分析によって決定された生成物濃度値の重ね合わせを示す図である。
図8-2】図8のc)は、本プロセス及び単一カラム参照実行の停止段階のオフラインHPLC分析によって決定された生成物純度値の重ね合わせを示す図であり、d)は、本プロセス及び単一カラム参照実行の停止段階のオフラインHPLC分析によって決定された不純物含有量値の重ね合わせを示す図である。吸着性の強い不純物Sの主ピークは、d)において矢印で示されている。
図9図9は、本プロセス及び単一カラム参照実行の純度/収率曲線の重ね合わせを示す図である。
図10図10のa)は、段階IC1、段階B1、段階IC2、及び段階B2を通して上流カラムのカラム出口で記録された通常のMCSGPプロセスの内部クロマトグラムを示す図であり、b)は、工程IC1、工程B1、工程IC2、及び工程B2を通して上流カラムのカラム出口で記録されたn=1の場合の本プロセスの精製段階の内部クロマトグラムを示す図であり、c)は、工程IC1、工程B1、工程IC2、及び工程B2を通して上流カラムのカラム出口で記録されたn=2の場合の本プロセスの精製段階の内部クロマトグラムを示す図であり、長方形の領域は生成物収集間隔を示し、「W」で示された矢印は吸着性の弱い不純物の位置を指し、「S」で示された矢印は吸着性の強い不純物の位置を指す。
図11図11のa)は、10cmの床高さでのバッチ参照プロセスのクロマトグラムを示す図であり、b)は、20cmの床高さでのバッチ参照プロセスのクロマトグラムを示す図である。長方形の領域は生成物収集間隔を示し、「W」で示された矢印は吸着性の弱い不純物の位置を指し、「S」で示された矢印は吸着性の強い不純物の位置を指す。
図12図12は、1.再循環段階においてn=1回のシーケンスを有する本プロセス、2.再循環段階においてn=2回のシーケンスを有する本プロセス、MCSGPプロセス、10cmの床高さでの単一カラムバッチ参照プロセス、及び20cmの床高さでの単一カラムバッチ参照プロセスについての生成物プール純度対生産性を示す図である。バッチプロセスについては、図は、様々なサイズの生成物プールに対応する点の純度/生産性曲線も示している。
【発明を実施するための形態】
【0101】
実施例1:アンジオテンシンIIの精製
化学合成からの2.1g/LのアンジオテンシンIIを含むフィード溶液を溶媒A(水中の5%のアセトニトリル(ACN)+0.1%のトリフルオロ酢酸(TFA))中で調製した。クロマトグラフィーの実行には、溶媒A及び溶媒B(水中の50%のACN+0.1%のTFA)を使用した。フィード純度は、%W=4.76、%P=91.67、%S=3.57であった(いずれの場合も、分析用HPLCに基づく面積%)。
【0102】
2.5mLのカラム体積の2つのカラム(0.46cmの内径×15cmの床高さ)を使用して、本プロセスを実行した。参照用に、単一カラム実行を同じ材料を使用して実施した。
【0103】
本プロセスを、表1に示されるパラメーターを使用してContichrom CUBEシステム(ChromaCon)において実行した。
【0104】
再循環段階の効果を調査するのに、再循環段階の直後に停止段階を実行し、生成物のピークを非循環的非連続プロセスにおいて分別した。分別停止(fractionated shutdown)と単一カラム参照実行の分別との比較により、カラム出口で記録されたUV検出器シグナル(図8のa)で見られ、かつ分析用HPLCを使用したオフライン分析(図8のb)により確認されるように、本プロセスでは生成物ピークがより幅広であったことが分かる。さらに、分析用HPLCによって決定した場合の達成された純度は、本プロセスにおいてかなりより広い範囲の画分にわたってより高かった(図8のc)。オフラインHPLC分析により、本プロセスにおいて吸着性の強い不純物Sが大幅に遅滞し、生成物プールにおいてより多くの画分を含めることが可能になることが確認された(図8のd)。
【0105】
バッチ参照プロセス及び本プロセスの純度-収率曲線をプロットすると(図9)、16g/Lの同じ初期ロードで、本プロセスでは所与の純度の場合により高い収率が得られることが分かる。収率-純度曲線の個々の点は、画分をグループ化することによって得られた様々なサイズのプールを表す。
【0106】
【表1】
【0107】
実施例2:オリゴヌクレオチド精製の数値シミュレーション
本プロセスを、陰イオン交換クロマトグラフィーによるオリゴヌクレオチドの精製についてシミュレートした。シミュレーション用のフィード混合物は、20マーのdsDNAオリゴヌクレオチドと、不純物Wと、不純物Sとからなっていた:P=2.865g/L(87.2%純度)、W1=0.13g/L、W2=0.23g/L、S1=0.08g/L、S2=0.13g/L。グラジエントは、図10及び図11においてGで示されている。
【0108】
YMC SmartSep Q30が充填された0.5cmの内径及び10cmの床高さの2つのカラムを使用した。シミュレーション用に、バイラングミュア吸着等温式に基づく機構モデルを使用し、様々なグラジエントの傾き及びロードを用いて一連の単一カラムグラジエント実験を使用して較正した。
【0109】
図10のaは、段階IC1、段階B1、段階IC2、及び段階B2を通じて上流カラムのカラム出口で記録された特許文献1による通常のMCSGPプロセスの内部クロマトグラムを示している。
【0110】
同様に、図10のb及び図10のcは、それぞれの段階IC1、段階B1、段階IC2、及び段階B2を通じて上流カラムのカラム出口で記録された、n=1(図10のb)及びn=2(図10のc)の場合の、すなわち、それぞれ1回又は2回の再循環段階の場合の精製段階の内部クロマトグラムを示している。図10のa~cにおける長方形の影付き領域は、生成物収集間隔を示している。生成物収集ウィンドウ内では、n=0(通常のMCSGPプロセス、図10のa)から、n=1(再循環段階の1回の繰り返し、図10のb)を経由して、n=2(再循環段階の2回の繰り返し、図10のc)までの範囲にわたって再循環段階の繰り返しが増加するにつれて、生成物溶離ウィンドウにおいて収集される生成物ははるかに純粋になることが分かる。これは、図10のa~cにおいて矢印により示されている不純物「W」及び不純物「S」のより良好な除去の結果である。
【0111】
調べるシミュレートされたシステムの操作パラメーターを表に示す。
【0112】
【表2】
【表3】
【表4】
【0113】
比較のために、図11のa及びbは、それぞれ10cm及び20cmの床高さでのバッチ参照プロセスのクロマトグラムを示している。図10のa~cと同様に、長方形の領域は生成物収集間隔を示し、「W」で示された矢印は、関連する重複している吸着性の弱い不純物の位置を指し、「S」で示された矢印は、関連する重複している吸着性の強い不純物の位置を指す。より多くの再循環段階が使用されるほど、生成物プールには、はるかに低い量の不純物W及び不純物Sが含まれることが分かる。
【0114】
これらの結果を生成物プール純度対生産性の点で比較し、図12に示す。双カラムプロセスに加えて、単一カラム参照プロセスをシミュレートした。単一カラム参照プロセスでは、シミュレートされたクロマトグラムから、様々な生成物含有量及び不純物含有量を有するプールに対応する、したがって様々な生産性及び純度に対応する様々なサイズの生成物プールを抽出した。
【0115】
本プロセスでは、同等の生産性で参照バッチプロセス(97.0%未満の純度)よりもはるかに高い純度(n=1及びn=2の両方について97.5%超の純度)を得ることができることが分かる。特許文献1による「通常の」MCSGPプロセスと比較して、本プロセスではより高い純度(96.0%未満の純度のMCSGP純度)が達成されるが、生産性は若干より低い。さらに、図12では、再循環段階のシーケンスの回数nを増やすことによって、生成物純度を更に高めることができることが確認されるが(n=1の場合に純度=97.8%であるのに対し、n=2の場合は純度=98.4%である)、これには生産性が犠牲となる(n=1の場合に生産性=3.4g/L/hであるのに対し、n=2の場合は生産性=2.3g/L/hである)。
【符号の説明】
【0116】
IC1 精製段階の第1の相互接続工程
IC2 精製段階の第2の相互接続工程
IC-R 再循環段階又は停止段階Iの相互接続工程
IC1-SD 停止段階IIの第1の相互接続工程
IC2-SD 停止段階IIの第2の相互接続工程
B1 精製段階の第1の分断工程(バッチ工程)
B2 精製段階の第2の分断工程(バッチ工程)
B-R 再循環段階又は停止段階Iの分断工程(バッチ工程)
B1-SD 停止段階IIの第1の分断工程(バッチ工程)
B2-SD 停止段階IIの第2の分断工程(バッチ工程)
B-SU-F 始動段階の分断工程(供給工程)
B-SU-W 始動段階の分断工程(W溶離工程)
B-SD-P 停止段階の分断工程(生成物溶離工程)
B-SD-S 停止段階の分断工程(S溶離工程)
IC1 段階IC1の持続時間
IC2 段階IC2の持続時間
IC-R 段階IC-Rの持続時間
B1 工程B1の持続時間
B2 工程B2の持続時間
B-R 工程B-Rの 持続時間
B-SU-F 工程B-SU-Fの持続時間
B-SU-W 工程B-SU-Wの持続時間
B-SD-P 工程B-SD-Pの持続時間
B-SD-S 工程B-SD-Sの持続時間
P 生成物
F W、P及びSを含むフィード混合物
W 吸着性の弱い不純物
S 吸着性の強い不純物

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8-1】
図8-2】
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】