(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-23
(54)【発明の名称】フィルタ材料、表示モジュール、および表示モジュールの調製方法
(51)【国際特許分類】
G02B 5/22 20060101AFI20241016BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20241016BHJP
H10K 59/38 20230101ALI20241016BHJP
H10K 59/40 20230101ALI20241016BHJP
H10K 59/35 20230101ALI20241016BHJP
H10K 50/854 20230101ALI20241016BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20241016BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20241016BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20241016BHJP
G09F 9/33 20060101ALI20241016BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20241016BHJP
H01L 33/50 20100101ALI20241016BHJP
H01L 33/54 20100101ALI20241016BHJP
H01L 33/58 20100101ALI20241016BHJP
G02B 5/30 20060101ALN20241016BHJP
【FI】
G02B5/22
G02B5/20
H10K59/38
H10K59/40
H10K59/35
H10K50/854
H10K59/10
G09F9/30 349B
G09F9/30 365
G09F9/00 313
G09F9/33
G09F9/30 349Z
G09F9/00 366A
G09F9/00 338
H01L33/00 L
H01L33/50
H01L33/54
H01L33/58
G02B5/30
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519445
(86)(22)【出願日】2021-09-30
(85)【翻訳文提出日】2024-04-19
(86)【国際出願番号】 CN2021122325
(87)【国際公開番号】W WO2023050365
(87)【国際公開日】2023-04-06
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】リー,ウエイ
(72)【発明者】
【氏名】ルオ,シンタオ
【テーマコード(参考)】
2H148
2H149
3K107
5C094
5F142
5G435
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
本願では、フィルタ材料、表示モジュール、および表示モジュールの調製方法が提供される。フィルタ材料は、ベース材料と、顔料と、散乱粒子とを有し、顔料および散乱粒子は、ベース材料中に分散される。顔料は、青色光帯域の光を吸収するように構成される。散乱粒子は、青色光帯域の光を散乱させるように構成され、フィルタ材料における青色光帯域の光の散乱度合いは、フィルタ材料における赤色光帯域の光および緑色光帯域の光の散乱度合いよりも大きい。フィルタ材料に散乱粒子を添加することにより、散乱粒子は、青色光帯域の光の散乱度合いを高め、フィルタ材料における青色光帯域の光の透過光路を長くすることができる。また、フィルタ材料における赤色光帯域の光および緑色光帯域の光の透過光路は、影響を受けず、赤色光帯域の光および緑色光帯域の光の透過率は、あまり低下しない。従って、赤色光帯域の光および緑色光帯域の光の透過率に影響を及ぼさずに、青色光帯域の光の吸収率を高めることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース材料、顔料、および散乱粒子を有するフィルタ材料であって、
前記顔料および前記散乱粒子は、前記ベース材料中に分散され、
前記顔料は、青色光帯域の光を吸収するように構成され、
前記散乱粒子は、前記青色光帯域の光を散乱させるように構成され、当該フィルタ材料における前記青色光帯域の光の散乱度合いは、当該フィルタ材料における赤色光帯域の光および緑色光帯域の光の散乱度合いよりも大きい、フィルタ材料。
【請求項2】
前記散乱粒子は、二酸化ケイ素、三酸化アルミニウム、酸化チタン、ジルコニア、インジウムスズ酸化物、アンチモンドープ二酸化スズ、有機シロキサン、ポリスチレン、ポリアミド、またはポリメチルメタクリレートを含む、請求項1に記載のフィルタ材料。
【請求項3】
前記散乱粒子の直径は、3μm未満である、請求項1または2に記載のフィルタ材料。
【請求項4】
当該フィルタ材料における前記青色光帯域の光のヘイズは、30%乃至50%の範囲内にあり、
当該フィルタ材料における前記緑色光帯域の光のヘイズは、20%未満であり、
当該フィルタ材料における前記赤色光帯域の光のヘイズは、10%未満である、請求項1に記載のフィルタ材料。
【請求項5】
さらに、前記ベース材料に分散された分散剤を有し、
前記分散剤は、前記ベース材料内の前記散乱粒子の分散の度合いを調節するように構成され、
前記ベース材料における前記散乱粒子のメジアン粒子サイズと実際の粒子サイズとの間の差は、25%未満であり、
ここで、前記メジアン粒子サイズは、前記ベース材料における前記散乱粒子の累積分布百分率が50%となる場合に対応する粒子サイズ値であり、前記実際の粒子サイズは、前記散乱粒子が前記ベース材料に配置される前の全ての前記散乱粒子の平均値である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のフィルタ材料。
【請求項6】
前記顔料の濃度は、10%を超える、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のフィルタ材料。
【請求項7】
前記ベース材料は、液体、接着剤、または固体である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のフィルタ材料。
【請求項8】
基板と、該基板上に配置された複数の発光装置と、前記発光装置の前記基板とは反対の側に配置されたフィルタ層とを有する表示モジュールであって、
前記複数の発光装置は、少なくとも1つの赤色発光装置、少なくとも1つの緑色発光装置、および少なくとも1つの青色発光装置を有し、
前記フィルタ層は、複数の開口を有し、
各開口は、1つの青色発光装置に対応し、前記基板上の前記開口の正投影と前記基板上の対応する前記青色発光装置の正投影との間には、重なり合う領域が存在し、
前記フィルタ層は、ベース材料と、顔料と、散乱粒子とを有し、
前記顔料および前記散乱粒子は、前記ベース材料内に配置され、前記顔料は、青色光帯域の光を吸収するように構成され、
前記散乱粒子は、前記青色光帯域の光を散乱させるように構成され、前記フィルタ層における前記青色光帯域の光の散乱度合いは、前記フィルタ層における赤色光帯域の光および緑色光帯域の光の散乱度合いよりも大きい、表示モジュール。
【請求項9】
前記発光装置は、有機発光ダイオードを有し、
当該表示モジュールは、さらに、前記複数の発光装置を被覆するパッケージ層と、該パッケージ層の前記基板とは反対の側に配置されたタッチ層とを有し、
前記フィルタ層は、前記タッチ層の前記基板とは反対の側に配置される、請求項8に記載の表示モジュール。
【請求項10】
さらに、偏光板、および該偏光板と前記フィルタ層との間に配置された光学接着層を有する、請求項8または9に記載の表示モジュール。
【請求項11】
前記青色発光装置は、青色マイクロ発光ダイオードを有し、
前記赤色発光装置は、青色マイクロ発光ダイオード、および該青色マイクロ発光ダイオードを被覆する第1の色変換層を有し、前記第1の色変換層は、前記青色光帯域の光を前記赤色光帯域の光に変換するように構成され、
前記緑色発光装置は、青色マイクロ発光ダイオード、および該青色マイクロ発光ダイオードを被覆する第2の色変換層を有し、前記第2の色変換層は、前記青色光帯域の光を前記緑色光帯域の光に変換するように構成され、
前記フィルタ層は、前記第1の色変換層および前記第2の色変換層の前記基板とは反対の側に配置される、請求項8に記載の表示モジュール。
【請求項12】
前記フィルタ層の厚さは、1μmから10μmの範囲内にある、請求項8乃至11のいずれか一項に記載の表示モジュール。
【請求項13】
前記散乱粒子は、二酸化ケイ素、三酸化アルミニウム、酸化チタン、ジルコニア、インジウムスズ酸化物、アンチモンドープ二酸化スズ、有機シロキサン、ポリスチレン、ポリアミド、またはポリメチルメタクリレートを含む、請求項8乃至12のいずれか一項に記載の表示モジュール。
【請求項14】
前記散乱粒子の直径は、3μm未満である、請求項8乃至13のいずれか一項に記載の表示モジュール。
【請求項15】
前記ベース材料は、固体である、請求項8乃至14のいずれか一項に記載の表示モジュール。
【請求項16】
表示モジュールの調製方法であって、
複数の発光装置が提供された基板を提供するステップであって、前記複数の発光装置は、少なくとも1つの赤色発光装置、少なくとも1つの緑色発光装置、および少なくとも1つの青色発光装置を含む、ステップと、
顔料および散乱粒子と混合されたベース材料を用いて、前記複数の発光装置上にフィルタ層を調製するステップであって、前記顔料は、青色光帯域の光を吸収するように構成され、前記散乱粒子は、前記青色光帯域の光を散乱させるように構成され、前記フィルタ層における前記青色光帯域の光の散乱度合いは、前記フィルタ層における赤色光帯域の光および緑色光帯域の光の散乱度合いよりも大きい、ステップと、
前記フィルタ層から一部の領域を除去し、前記青色発光装置に対応する領域に開口を形成するステップと、
を有する、調製方法。
【請求項17】
顔料および散乱粒子と混合されたベース材料を用いて、前記複数の発光装置上にフィルタ層を調製する前記ステップは、
前記顔料および前記散乱粒子と混合された前記ベース材料を用いて形成されたフィルタ層を提供するステップと、
前記複数の発光装置上に前記フィルタ層を取り付けるステップと、
を有する、請求項16に記載の調製方法。
【請求項18】
顔料および散乱粒子と混合されたベース材料を用いて、前記複数の発光装置上にフィルタ層を調製する前記ステップは、
液体状または接着剤状態のベース材料に、前記顔料および前記散乱粒子を混合するステップと、
前記顔料および前記散乱粒子と混合された前記ベース材料を前記複数の発光装置上にコーティングするステップと、
前記複数の発光装置上にコーティングされた前記ベース材料を硬化させ、前記フィルタ層を得るステップと、
を有する、請求項16に記載の調製方法。
【請求項19】
前記顔料および前記散乱粒子は、
前記ベース材料に前記顔料および前記散乱粒子を配置するステップと、
機械的攪拌方法を用いて、前記顔料および前記散乱粒子を前記ベース材料中に均一に分散させるステップと、
により、前記ベース材料中に均一に混合される、請求項18に記載の調製方法。
【請求項20】
前記顔料および前記散乱粒子は、
前記ベース材料に、前記顔料、前記散乱粒子、および分散剤を配置するステップであって、前記分散剤は、前記ベース材料における前記散乱粒子の分散の度合いを調節するように構成される、ステップ
により、前記ベース材料中に均一に混合される、請求項18に記載の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、ディスプレイ技術の分野に関し、特に、フィルタ材料、表示モジュール、および表示モジュールの調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルタ膜は、光強度を減衰させ、またはスペクトル組成を変化させる膜の層である。フィルタ膜は、主として、色温度を低下または上昇させ、波長を変更し、不要な光を遮断し、光の色を変更したり等する際に使用される。カラーフィルタ膜は、有機発光ダイオード(OLED)表示モジュールのような、表示装置において極めて重要な役割を果たす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術では、表示モジュールにカラーフィルタ膜が配置され、これにより表示モジュールは、カラー表示を実現し得る。いくつかの表示モジュールでは、さらに、黄色フィルタ膜が配置され得る。黄色フィルタ膜は、補償フィルタリングとして使用され、表示モジュールにおける冗長な青色光部分をフィルタ除去するために使用され得る。その結果、表示モジュールは、より広い色域を呈する。しかしながら、従来技術における黄色フィルタ膜は、青色光帯域の分光吸収率を向上させるものの、赤色および緑色の光帯域(450~780nm)の透過率に影響を及ぼすことが避けられない。その結果、表示モジュールは、青色光帯域の吸収率と、赤色および緑色の光帯域の透過率との両方を考慮することができず、これは表示モジュールの全体的な電力消費に悪影響を及ぼす。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願では、赤色および緑色の光帯域の透過率に対する黄色フィルタ材料の影響に対処する、フィルタ材料、表示モジュール、および表示モジュールの調製方法が提供される。
【0005】
第1の態様では、本願の実施形態によりフィルタ材料が提供される。当該フィルタ材料は、ベース材料、顔料、および散乱粒子を有してもよく、
前記顔料および前記散乱粒子は、前記ベース材料中に分散され、
前記顔料は、青色光帯域の光を吸収するように構成され、
前記散乱粒子は、前記青色光帯域の光を散乱させるように構成され、当該フィルタ材料における前記青色光帯域の光の散乱度合いは、当該フィルタ材料における赤色光帯域の光および緑色光帯域の光の散乱度合いよりも大きい。
【0006】
特定の実施形態では、フィルタ材料における各色帯域の光のヘイズが検出され、フィルタ材料における各色帯域の光の散乱度合いが表わされてもよい。ヘイズが大きいことは、光の散乱度合いが高いことを示す。あるいは、各色帯域における光の透過光路が測定され、フィルタ材料における各色帯域の光の散乱度合いが反映されてもよい。光の透過光路が長いことは、光の散乱度合いが高いことを示す。
【0007】
本願の本実施形態では、フィルタ材料に添加された散乱粒子により、該散乱粒子は、フィルタ材料内の青色光帯域の光の散乱度合いを高めることができ、フィルタ材料内の青色光帯域の光の透過光路が増大する。これは、フィルタ材料中の色素の濃度を増加させることと等価であり、青色光帯域の光に対するフィルタ材料の吸収率を増加させることができる。また、散乱粒子は、赤色光帯域の光および緑色光帯域の光に対して散乱効果を有さず、または弱い散乱効果しか有さないため、散乱粒子は、フィルタ材料における赤色光帯域および緑色光帯域の光の透過光路に影響を及ぼさず、すなわち、赤色光帯域の光および緑色光帯域の光の透過率には、あまり顕著な低下が生じない。従って、本願の本実施形態において提供されるフィルタ材料は、赤色光帯域の光および緑色光帯域の光の透過率に影響を及ぼさずに、青色光帯域の光の吸収率を増加させることができる。また、フィルタ材料は、赤色光帯域の光および緑色光帯域の光に対してほとんど影響を及ぼさないため、フィルタ材料の厚さを増加させること、または顔料の濃度を増加させることにより、青色光帯域の光の吸収率は、さらに改善することができる。
【0008】
本願の本実施形態では、前述のベース材料は、液体、接着剤、または固体であってもよい。ベース材料が液体または接着剤である場合、顔料および散乱粒子と混合されたベース材料は、対象物の表面にコーティングされてもよく、硬化後に対象物の表面にフィルタ層が形成される。ベース材料が固体である場合、顔料および散乱粒子が混合されたベース材料は、フィルタ層として使用され、該フィルタ層は、対象物の表面に直接取り付けられてもよい。また、さらに、形成されたフィルタ層に対してパターン化プロセスを実施し、フィルタ層が対象物の表面の特定の領域を覆うようにしてもよい。実際の適用では、ベース材料は、有機樹脂材料であってもよく、またはベース材料は、別の材料であってもよい。これは、本願では限定されない。
【0009】
本願の本実施形態では、ベース材料が液体または接着剤である場合、顔料および散乱粒子は、物理的な方法でベース材料中に均一に混合されてもよい。例えば、機械的撹拌方法が用いられてもよい。また、粘度のような物理的パラメータを調整することにより、顔料および散乱粒子をベース材料中で均一に混合することができ、これにより、ベース材料、顔料、および散乱粒子によって構成される系の比較的良好な安定性が実現される。またこれとは別に、顔料および散乱粒子は、化学的方法でベース材料に均一に混合されてもよい。必要な場合、前述のフィルタ材料は、さらに、ベース材料中に分散された分散剤を含んでもよい。分散剤は、ベース材料における散乱粒子の分散の度合いを調節してもよい。顔料、散乱粒子、および分散剤は、ベース材料に添加される。分散剤は、散乱粒子の表面を包み込んでもよく、これにより、散乱粒子は、相互に凝集しなくなる。また、分散剤は、親水性と親油性の両新媒性(amphipathic)特性を有し、分散剤の一端は散乱粒子に接続され、他端はベース材料に接続され、ベース材料内の散乱粒子の分散の度合いが調節され、これによりベース材料内で顔料および散乱粒子が均一に混合されてもよい。必要な場合、分散剤は有機官能基であり、あるいは分散剤は別の材料であってもよい。これは、本願では限定されない。
【0010】
特定の実施形態では、レーザー回折粒子サイズ分析器(レーザー回折粒子拡散)を用いて、ベース材料中の散乱粒子の分散の度合いが検出されてもよい。ベース材料内の散乱粒子の分散の度合いは、メジアン粒子サイズ(D50)と実際粒子サイズとの関係を用いて間接的に反映され得る。メジアン粒子サイズは、ベース材料内の散乱粒子の累積分布百分率が50%になる場合に対応する粒子サイズ値を表し、ベース材料内の粒子サイズ値よりも大きな粒子サイズを有する散乱粒子が50%を占め、粒子サイズ値よりも小さな粒子サイズを有する散乱粒子も50%を占めることを意味する。実際の粒子サイズは、散乱粒子がベース材料に配置される前の全ての散乱粒子の平均値である。ベース材料中の散乱粒子のメジアン粒子サイズが実際の粒子サイズに近い場合、これは、散乱粒子がベース材料中に比較的均一に分散されていることを表す。ベース材料中の散乱粒子のメジアン粒子サイズが実際の粒子サイズよりも十分に大きい場合、これは、ベース材料中に多くの散乱粒子が相互に凝集していることを表し、ベース材料中の散乱粒子の分散効果は、比較的弱い。本願の本実施形態では、ベース材料中の散乱粒子のメジアン粒子サイズと実際の粒子サイズとの間の差は、25%未満である。これにより、散乱粒子をベース材料中に比較的均一に分散させることができる。
【0011】
特定の実施形態では、顔料の材料は、有機材料または無機材料であってもよく、あるいは顔料は、別の材料であってもよい。これは、本願では限定されない。フィルタ材料が青色光帯域の光に対して比較的高い吸収率を有するようにするため、顔料の濃度は、10%よりも高く設定されてもよい。
【0012】
本願のいくつかの実施形態では、前述の散乱粒子は、透明材料を用いて調製されてもよい。必要な場合、前述の散乱粒子は、二酸化ケイ素、三酸化アルミニウム、酸化チタン、ジルコニア、インジウムスズ酸化物、アンチモンドープ二酸化スズ、有機シロキサン、ポリスチレン、ポリアミド、またはポリメチルメタクリレートを含んでもよい。また、散乱粒子は、散乱効果を有する別の材料であってもよい。これは、本願では限定されない。
【0013】
実際の適用では、本願の本実施形態において提供される前述のフィルタ材料において、散乱粒子の直径は、3μm未満であってもよい。例えば、散乱粒子の直径は、1μm未満であってもよい。この場合、散乱粒子は、(レイリー散乱の一種である)ミー散乱の効果を発揮することができ、その結果、青色光帯域の光の散乱度合いは、赤色光帯域の光および緑色光帯域の光の散乱度合いよりも高くなる。従って、光が同じ厚さのフィルタ材料を通過する場合、散乱粒子は、青色光帯域の光の透過光路を赤色光帯域の光および緑色光帯域の光の透過光路よりも大きくすることができる。換言すれば、本発明の本実施形態では、直径が3μm未満の散乱粒子がベース材料に添加され、フィルタ材料内の顔料による青色光帯域の光の吸収を特に高めることができ、赤色光帯域の光および緑色光帯域の光の吸収を低減することができる。これにより、赤色光帯域の光および緑色光帯域の光の透過率に影響を及ぼさずに、青色光帯域の光の透過率を低減することができる。
【0014】
本願の本実施形態では、散乱粒子の形状は、球形であってもよい。あるいは、当然のことながら、散乱粒子は、別の形状であってもよく、例えば、楕円形または不規則な形状であってもよい。散乱粒子の形状が球ではない場合、散乱粒子の直径は、散乱粒子において互いに最も離れた2つの地点間の距離であることが理解される。
【0015】
想定される実施形態では、当該フィルタ材料における前記青色光帯域の光のヘイズは、30%乃至50%の範囲内にあり、当該フィルタ材料における前記緑色光帯域の光のヘイズは、20%未満であり、当該フィルタ材料における前記赤色光帯域の光のヘイズは、10%未満である。これにより、フィルタ材料は、青色光帯域に対してより高い散乱度合いを有し、赤色光帯域および緑色光帯域に対してより低い散乱度合いを有することができる。
【0016】
第2の態様では、本願の実施形態により、さらに、表示モジュールが提供される。当該表示モジュールは、基板と、該基板上に配置された複数の発光装置と、前記発光装置の前記基板とは反対の側に配置されたフィルタ層とを有する。前記複数の発光装置は、少なくとも1つの赤色発光装置、少なくとも1つの緑色発光装置、および少なくとも1つの青色発光装置を有する。前記フィルタ層は、複数の開口を有する。各開口は、1つの青色発光装置に対応し、前記基板上の前記開口の正投影と前記基板上の対応する前記青色発光装置の正投影との間には、重なり合う領域が存在する。前記フィルタ層は、ベース材料と、顔料と、散乱粒子とを有し、前記顔料および前記散乱粒子は、前記ベース材料内に配置される。必要な場合、フィルタ層におけるベース材料は、固体であってもよく、フィルタ層の構造が比較的安定化される。前記顔料は、青色光帯域の光を吸収するように構成される。前記散乱粒子は、前記青色光帯域の光を散乱させるように構成され、前記フィルタ層における前記青色光帯域の光の散乱度合いは、前記フィルタ層における赤色光帯域の光および緑色光帯域の光の散乱度合いよりも大きい。
【0017】
本願の本実施形態では、フィルタ層は、表示モジュール内に配置される。フィルタ層は、赤色光帯域の光および緑色光帯域の光の透過率に影響を及ぼさずに、青色光帯域の光の吸収率を高めることができる。従って、フィルタ層は、表示モジュール内の青色光帯域の冗長な光をフィルタ除去することができ、表示モジュールは、より広い色域を有し、これにより、表示モジュールの全体的な表示効果が改善され、表示モジュールの電力消費が低減される。また、フィルタ薄膜層には、青色発光装置に対応する位置に開口が設けられ、青色発光装置から出射される青色光は、直接放射することができ、赤色発光装置および緑色発光装置における青色光帯域の冗長な光は、表示モジュールの通常の表示効果に影響を及ぼさずに、フィルタ除去される。
【0018】
必要な場合、本願の本実施形態では、フィルタ層の厚さは、1μmから10μmの範囲内にあってもよく、フィルタ層は、青色光帯域に対して比較的高い吸収率を有することができる。あるいは、当然のことながら、フィルタ層の厚さは、10μmより厚くてもよく、または1μmより小さくてもよく、実際の状況に基づいて設定されてもよい。フィルタ層の厚さは、本願では限定されない。また、さらに、フィルタ層における顔料および散乱粒子の濃度を調整することにより、青色光帯域に対するフィルタ層の吸収率を調整することができる。本願の本実施形態では、フィルタ層の厚さは、1μmから10μmの範囲内にあってもよく、フィルタ層は、青色光帯域に対して比較的高い吸収率を有することができる。
【0019】
本願の一実施態様では、前述の表示モジュールは、有機発光ダイオード表示モジュールであってもよい。有機発光ダイオード表示装置モジュールにおいて、発光装置は、有機発光ダイオードを有してもよい。有機発光ダイオードは、アノード、カソード、および該アノードとカソードの間に配置された発光層を有してもよい。有機発光ダイオード表示モジュールにフィルタ層を配置することにより、有機発光ダイオード表示モジュールにおける青色光帯域の冗長な光をフィルタ除去することができる。また、フィルタ薄膜層には、青色発光装置に対応する位置に開口が提供され、青色発光装置から出射される青色光は、直接放射することができ、赤色発光装置および緑色発光装置における青色光帯域の冗長な光は、フィルタ除去され、これにより有機発光ダイオード表示モジュールの通常の表示に影響を及ぼさずに、画面オフ状態における既存の青かぶり(blue cast)の問題が解消される。
【0020】
想定される実施形態では、前述の表示モジュールは、さらに、複数の発光装置を被覆するパッケージ層と、該パッケージ層の前記基板とは反対の側に配置されたタッチ層とを有し、前記フィルタ層は、前記タッチ層の前記基板とは反対の側に配置される。パッケージ層は、水分および酸素を遮断して、発光装置が水分および酸素により腐食されることを抑制できる。タッチ層を表示モジュールの内部に配置することにより、表示モジュールにタッチ機能を持たせることができる。タッチ層の基板とは反対の側にフィルタ層を配置することにより、フィルタ層が発光装置のパッケージ効果に影響を及ぼすことを抑制することができ、フィルタ層がタッチ効果に影響することを抑制できる。
【0021】
また、前述の有機発光ダイオード表示モジュールは、さらに、偏光板、および該偏光板と前記フィルタ層との間に配置された光学接着層を有してもよい。偏光板を配置することにより、有機発光ダイオード表示モジュールの反射率が低減され、有機発光ダイオード表示モジュールの表示コントラストを向上させることができる。
【0022】
本願の別の実施形態では、前述の表示モジュールは、マイクロ発光ダイオード表示モジュールであってもよい。マイクロ発光ダイオード表示モジュールにおいて、色変換方法を用いてカラー表示が実現されてもよい。特定の実施形態では、青色発光装置は、青色マイクロ発光ダイオードを含んでもよい。赤色発光装置は、青色マイクロ発光ダイオードと、該青色マイクロ発光ダイオードを被覆する第1の色変換層とを有し、該第1の色変換層は、青色光帯域の光を赤色光帯域の光に変換するように構成される。緑色発光装置は、青色マイクロ発光ダイオードと、該青色マイクロ発光ダイオードを被覆する第2の色変換層とを有し、該第2の色変換層は、青色光帯域の光を緑色光帯域の光に変換するように構成される。フィルタ層は、第1の色変換層および第2の色変換層の基板とは反対の側に配置される。
【0023】
本願の本実施形態では、フィルタ層は、マイクロ発光ダイオード表示モジュール内に配置される。また、フィルタ層は、第1の色変換層および第2の色変換層の基板とは反対の側に配置される。フィルタ薄膜層には、青色発光装置に対応する位置に開口が提供される。この場合、青色発光装置から出射される青色光は、直接放出することができ、赤色発光装置および緑色発光装置における青色光帯域の冗長な光がフィルタ除去される。従って、フィルタ層は、赤色発光装置および緑色発光装置の位置で漏出した青色光を吸収することができ、これにより、赤色発光装置および緑色発光装置の出射光の純度が高められ、ディスプレイの色域が改善される。このようにして、マイクロ発光ダイオード表示モジュールの通常の表示に影響を及ぼさずに、画面オフ状態における既存の青かぶりの問題、および通常の表示プロセスにおける既存の色かぶりの問題を解決することができる。
【0024】
第3の態様では、本願の実施形態により、さらに、表示モジュールの調製方法が提供される。当該調製方法は、
複数の発光装置が提供された基板を提供するステップであって、前記複数の発光装置は、少なくとも1つの赤色発光装置、少なくとも1つの緑色発光装置、および少なくとも1つの青色発光装置を含む、ステップと、
顔料および散乱粒子と混合されたベース材料を用いて、前記複数の発光装置上にフィルタ層を調製するステップであって、前記顔料は、青色光帯域の光を吸収するように構成され、前記散乱粒子は、前記青色光帯域の光を散乱させるように構成され、前記フィルタ層における前記青色光帯域の光の散乱度合いは、前記フィルタ層における赤色光帯域の光および緑色光帯域の光の散乱度合いよりも大きい、ステップと、
前記フィルタ層から一部の領域を除去し、前記青色発光装置に対応する領域に開口を形成するステップと、
を有してもよい。
【0025】
本発明の本実施形態では、フィルタ層は、発光装置上に形成される。フィルタ層は、赤色光帯域の光および緑色光帯域の光の透過率に影響を及ぼさずに、青色光帯域の光の吸収率を高めることができる。従って、フィルタ層は、表示モジュール内の青色光帯域内の冗長な光をフィルタ除去することができ、その結果、表示モジュールは、より広い色域を有し、これにより、表示モジュールの全体的な表示効果が改善され、表示モジュールの電力消費が低減される。また、フィルタ層内の青色発光装置に対応する領域に開口が形成され、青色発光装置から出射される青色光は、直接放出されることができ、赤色発光装置および緑色発光装置における青色光帯域の冗長な光は、表示モジュールの通常の表示効果に影響を及ぼさずに、フィルタ除去される。
【0026】
本願のいくつかの実施形態では、フィルタ材料、ならびに顔料および散乱粒子と混合されたベース材料を用いて、前記複数の発光装置上にフィルタ層を調製する前記ステップは、
前記顔料および前記散乱粒子と混合された前記ベース材料を用いて形成されたフィルタ層を提供するステップと、
前記複数の発光装置上に前記フィルタ層を取り付けるステップと、
を有してもよい。
【0027】
フィルタ材料のベース材料が固体である場合、顔料および散乱粒子と混合されたベース材料は、フィルタ層として使用されてもよく、フィルタ層は、発光装置上に直接取り付けられてもよい。調製プロセスは単純である。
【0028】
本発明の他の実施形態では、顔料および散乱粒子と混合されたベース材料を用いて、前記複数の発光装置上にフィルタ層を調製する前記ステップは、
液体状または接着剤状態のベース材料に、前記顔料および前記散乱粒子を混合するステップと、
前記顔料および前記散乱粒子と混合された前記ベース材料を前記複数の発光装置上にコーティングするステップと、
前記複数の発光装置上にコーティングされた前記ベース材料を硬化させ、前記フィルタ層を得るステップと、
を有してもよい。
【0029】
前記フィルタ層は、コーティングプロセスおよび硬化プロセスを用いることにより、前記発光装置上に形成される。当該調製プロセスは、表示モジュールにおける別のフィルム層の調製プロセスとより容易に適合し、これにより製造コストが低減される。
【0030】
想定される実施形態において、顔料および散乱粒子は、以下の方法で、ベース材料に均一に混合されてもよい:
方法1:物理的方法を用いて、ベース材料中で顔料および散乱粒子が均一に混合されてもよい。ベース材料に、顔料および散乱粒子が配置されてもよく、機械的撹拌方法を用いて、顔料および散乱粒子がベース材料中に均一に分散される。
方法2:化学的方法を用いて、顔料および散乱粒子がベース材料中で均一に混合されてもよい。ベース材料に、顔料、散乱粒子、および分散剤が配置され、該分散剤は、ベース材料における散乱粒子の分散の度合いを調整するように構成される。
【0031】
前述の調製方法の任意の想定される構成によりもたらされ得る技術的効果の記載については、第1の態様または第2の態様の任意の想定される構成によりもたらされ得る技術的効果の記載が参照される。詳細については、再度説明されない。
【0032】
本願の前述の想定される実施例におけるデータ、例えば、散乱粒子のメジアン粒子サイズおよび実際の粒子サイズ、顔料の濃度、散乱粒子の直径、各色帯域のヘイズ、ならびにフィルタ層の厚さのようなデータの測定の間、工学的測定誤差範囲内の値は、全て本願に定められる範囲内に属すると解される必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1a】従来技術における黄色フィルタ材料の可視光スペクトルの概略図である。
【
図1b】
図1aの破線ボックスQ1の局所的に拡大された概略図である。
【
図1c】
図1aの破線ボックスQ2の局所的に拡大された概略図である。
【
図2】本願の実施形態によるフィルタ材料の構造の概略図である。
【
図3】光の散乱特性に及ぼす異なる直径を有する粒子の影響の概略図である。
【
図4】散乱粒子の直径が0.1μmの場合のヘイズと波長との関係の概略図である。
【
図5】散乱粒子を有しないフィルタ材料のフィルタ効果と散乱粒子を有するフィルタ材料のフィルタ効果との比較の概略図である。
【
図6】本願の実施形態による表示モジュールの構造の概略図である。
【
図7】本願の実施形態による表示モジュールの別の構造の概略図である。
【
図8】本願の実施形態による表示モジュールの調製方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本願の目的、技術的解決策、および利点をより明確にするため、添付図面を参照して本願についてより詳しく説明する。
【0035】
本願の添付図面において、同じ参照符号は、同一のまたは類似の構造を表し、従って、その繰り返しの説明は、省略されることに留意する必要がある。本願における配置および方向の表現は、一例としての添付図面を使用することにより説明される。しかしながら、必要に応じて変更が行われてもよく、その変更は、全て本願の保護範囲内に属する。本願の添付図面は、単に相対的な位置関係を示すために使用され、正確の縮尺を表すものではない。
【0036】
図1aは、従来技術における黄色フィルタ材料の可視光スペクトルの概略図である。
図1bは、
図1aの破線ボックスQ1の局所的に拡大された概略図である。
図1cは、
図1aの破線ボックスQ2の局所的に拡大された概略図である。図面において、曲線L1は、厚さがh1である黄色フィルタ材料の可視光スペクトルであり、曲線L2は、厚さがh2である黄色フィルタ材料の可視光スペクトルであり、ここで、h1はh2よりも小さい。
図1a乃至
図1cに示すように、黄色フィルタ材料は、350 nmから480 nmの青色光帯域において比較的低い透過率を有する。換言すれば、黄色フィルタ材料は、青色光帯域に対して比較的高い吸収率を有する。しかし、黄色フィルタ材料の厚さが増加すると、例えば、黄色フィルタ材料の厚さが図のh1からh2に増加すると、曲線は、L1からL2に変化する。この場合、青色光帯域に対する黄色フィルタ材料の透過率は、低減されるが、赤色および緑色の光帯域に対する黄色フィルタ材料の透過率も低減されることが分かる。従って、黄色フィルタ材料は、赤色および緑色の光帯域(450nmから780nm)の透過率に影響を及ぼす一方、青色光帯域の透過率を低下させる。黄色フィルタ材料の厚さが大きいほど、赤色および緑色の光帯域の透過率に対する黄色フィルタ材料の影響が大きいことが示されている。
【0037】
これに鑑み、赤色および緑色の光帯域の透過率に対する黄色フィルタ材料の影響に対処するため、本願の実施形態では、フィルタ材料、表示モジュール、および表示モジュールの調製方法が提供される。以下、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0038】
本願の実施形態において提供されるフィルタ材料は、表示モジュールに適用されてもよい。例えば、フィルタ材料は、有機発光ダイオード表示モジュールまたはマイクロ発光ダイオード(マイクロLED)表示モジュールに適用されてもよく、あるいはフィルタ材料は、別のタイプの表示モジュールに適用されてもよい。本願において、これは限定されない。フィルタ材料は、表示モジュールにおける青色光帯域の冗長な光をフィルタ除去し、表示モジュールの青色光漏れによって引き起こされる表示色域の低下および画面の色かぶり(color cast)のような問題を解決することができる。本願の一実施形態における表示モジュールは、携帯電話、タブレットコンピュータ、ノートブックコンピュータ、またはスマートウォッチのような表示装置に適用され得る。これにより、表示装置は、比較的良好な表示効果および比較的良好なユーザ体験を有することができる。
【0039】
本願の一実施形態では、フィルタ材料が提供される。
図2は、本願の実施形態によるフィルタ材料の構造の概略図である。
図2に示すように、本願のこの実施形態におけるフィルタ材料は、ベース材料101、顔料102、および散乱粒子103を有してもよく、顔料102および散乱粒子103は、ベース材料101に分散される。図において、矢印Y1は、青色光帯域の光を表し、顔料102は、青色光帯域の光Y1を吸収するように構成されてもよい。図において、矢印Y1は、実線から破線に変化しており、これは、青色光帯域の光Y1が顔料102を透過した後に吸収されることを示している。散乱粒子103は、青色光帯域の光Y1を散乱させるように構成され、フィルタ材料における青色光帯域の光Y1の散乱度合いは、フィルタ材料における赤色光帯域の光および緑色光帯域の光の散乱度よりも大きい。換言すれば、散乱粒子103は、フィルタ材料における赤色光帯域および緑色光帯域の透過光路に影響を及ぼさない。
【0040】
特定の実施形態では、フィルタ材料における各色帯域における光のヘイズが検出され、フィルタ材料における各色帯域の光の散乱度合いを表してもよい。ヘイズが大きくなるほど、光の散乱度合いが高くなることを示す。あるいは、各色帯域において光の透過光路が測定され、フィルタ材料における各色帯域の光の散乱度合いが反映されてもよい。光の透過光路が長いほど、光の散乱度合いが高いことを示す。
【0041】
本発明の本実施形態では、フィルタ材料に散乱粒子103を添加することにより、散乱粒子103は、フィルタ材料における青色光帯域の光Y1の散乱度合いを高め、フィルタ材料における青色光帯域の光Y1の透過光路を増大させることができる。これは、フィルタ材料中の顔料102の濃度を増加させることと等価であり、青色光帯域の光Y1に対するフィルタ材料の吸収率を増加させることができる。また、散乱粒子103は、赤色光帯域の光および緑色光帯域の光に対して散乱効果を有さず、または弱い散乱効果を有するため、散乱粒子103は、フィルタ材料における赤色光帯域および緑色光帯域の光の透過光路に影響を及ぼさず、すなわち、赤色光帯域および緑色光帯域の光の透過率にあまり大きな減少をもたらさない。従って、本願の本実施形態で提供されるフィルタ材料は、赤色光帯域の光および緑色光帯域の光の透過率に影響を及ぼさずに、青色光帯域の光Y1の吸収率を増加させることができる。また、フィルタ材料は、赤色光帯域の光および緑色光帯域の光にほとんど影響を及ぼさないため、フィルタ材料の厚さを増加させることにより、または顔料102の濃度を高めることにより、青色光帯域の光Y1の吸収率は、さらに改善され得る。
【0042】
再度
図2を参照すると、本願のこの実施形態では、前述のベース材料101は、液体、接着剤、または固体であってもよい。ベース材料101が液体または接着剤である場合、顔料102および散乱粒子103と混合されたベース材料101は、対象物の表面にコーティングされ、硬化後、対象物の表面にフィルタ層が形成されてもよい。ベース材料101が固体の場合、顔料102および散乱粒子103が混合されたベース材料101は、フィルタ層として使用され、該フィルタ層は、対象物の表面に直接取り付けられてもよい。また、形成されたフィルタ層にパターニングプロセスをさらに実施して、フィルタ層が対象物の表面の特定の領域を被覆するようにしてもよい。実際の適用では、ベース材料101は、有機樹脂材料であってもよく、またはベース材料101は、別の材料であってもよい。これは、本願において限定されない。
【0043】
本願のこの実施形態では、ベース材料101が液体または接着剤である場合、顔料102および散乱粒子103は、物理的な方法で、ベース材料101内で均一に混合されてもよい。例えば、機械的撹拌方式が使用されてもよい。また、粘度のような物理的パラメータを調整することにより、顔料102および散乱粒子103は、ベース材料101内で均一に混合することができ、これにより、ベース材料101、顔料102、および散乱粒子103により構成される系の比較的良好な安定性が実現される。また、これとは別に、顔料102および散乱粒子103は、化学的な方法で、ベース材料101において均一に混合されてもよい。必要な場合、前述のフィルタ材料は、さらに、ベース材料101に分散された分散剤(
図2には図示せず)を含んでもよい。分散剤は、ベース材料101内での散乱粒子103の分散の程度を調節することができる。ベース材料101には、顔料102、散乱粒子103、および分散剤が添加される。分散剤は、散乱粒子103の表面を包み込んでもよく、散乱粒子103が相互に凝集しなくなる。また、分散剤は、親水性と親油性の両新媒性(amphipathic)の性質を有し、分散剤の一端は、散乱粒子103に接続され、他端は、ベース材料101に接続され、ベース材料101内の散乱粒子103の分散の程度が調節され、これによりベース材料101内での顔料102と散乱粒子103の均一な混合が可能となる。必要な場合、分散剤は、有機官能基であってもよく、または分散剤は、別の材料であってもよい。これは、本願では限定されない。
【0044】
特定の実施形態では、レーザー回折粒子サイズ解析器(レーザー回折粒子拡散)を用いて、ベース材料内の散乱粒子の分散度合いが検出されてもよい。ベース材料内の散乱粒子の分散の度合いは、メジアン粒子サイズ(D50)と実際の粒子サイズとの関係を用いて間接的に反映することができる。メジアン粒子サイズは、ベース材料内の散乱粒子の累積分布百分率が50%になる場合に対応する粒子サイズ値を表し、ベース材料において該粒子サイズ値よりも大きい粒径を有する散乱粒子が50%を占め、前記粒子サイズ値よりも小さい粒径を有する散乱粒子が50%を占めることを表す。実際の粒子サイズは、散乱粒子がベース材料に配置される前の全ての散乱粒子の平均値である。ベース材料における散乱粒子のメジアン粒子サイズが実際の粒子サイズに近い場合、これは、散乱粒子がベース材料内で比較的均一に分散されていることを表す。ベース材料中の散乱粒子のメジアン粒子サイズが実際の粒子サイズよりもはるかに大きい場合、これは、多くの散乱粒子がベース材料内でまとまって凝集していることを表し、ベース材料中の散乱粒子の分散効果は、比較的低い。本願の本実施形態では、ベース材料中の散乱粒子のメジアン粒子サイズと実際の粒子サイズとの間の差は、25%未満である。これにより、散乱粒子は、ベース材料中に比較的均一に分散することができる。
【0045】
特定の実施形態では、顔料102の材料は、有機材料もしくは無機材料であってもよく、または顔料102は、別の材料であってもよい。これは、本願では限定されない。フィルタ材料が青色光帯域の光に対して比較的高い吸収率を有するようにするため、顔料102の濃度は、10%よりも高く設定されてもよい。
【0046】
本願のある実施形態では、前述の散乱粒子は、透明材料を用いることにより調製されてもよい。必要な場合、前述の散乱粒子は、二酸化ケイ素、三酸化アルミニウム、酸化チタン、ジルコニア、インジウムスズ酸化物、アンチモンドープ二酸化スズ、有機シロキサン、ポリスチレン、ポリアミド、またはポリメチルメタクリレート(PMMA)を含んでもよい。散乱粒子は、散乱効果を有する他の材料であってもよい。これは、本願では限定されない。
【0047】
実際の適用では、本願の本実施形態において提供される前述のフィルタ材料において、散乱粒子の直径は、3μm未満であってもよい。例えば、散乱粒子の直径は、1μm未満であってもよい。このように、散乱粒子は、ミー散乱(Mie scattering)の効果を得ることができ、ここでミー散乱は、レイリー散乱の一種であり、青色光帯域の光の散乱度は、赤色光帯域の光および緑色光帯域の光の散乱度よりも高くなる。従って、散乱粒子は、光が同じ厚さのフィルタ材料を通過する際に、青色光帯域の光の透過光路を、赤色光帯域の光および緑色光帯域の光の透過光路よりも大きくすることができる。換言すれば、本発明のこの実施形態では、直径が3μm未満の散乱粒子がベース材料に添加され、フィルタ材料における顔料による青色光帯域の光の吸収を特に増大させることができ、赤色光帯域の光および緑色光帯域の光の吸収を低減することができる。これにより、赤色光帯域の光および緑色光帯域の光の透過率に影響を及ぼさずに、青色光帯域の光の透過率を低減することができる。
【0048】
本願の本実施形態では、散乱粒子の形状は、球形であってもよい。当然のことながら、散乱粒子は、代替的に、別の形状、例えば、楕円体または不規則な形状であってもよい。散乱粒子の直径が球でない場合、散乱粒子の直径は、散乱粒子内で互いに対して最も離れた2地点間の距離であると理解されてもよい。
【0049】
図3は、異なる直径を有する粒子が光の散乱特性に及ぼす影響の概略図である。
図3に示すように、
図3の(1)は、粒子の直径が1μm未満の場合の異なる波長を有する光のヘイズを示し、
図3の(2)は、粒子の直径が1μmから3μmの場合の異なる波長の光のヘイズを示し、
図3の(3)は、粒子の直径が3μmから4μmの場合の異なる波長の光のヘイズを示し、
図3の(4)は、粒子の直径が5μmから7μmの場合の異なる波長の光のヘイズを示す。ヘイズは、光の散乱の程度を反映し得る。ヘイズが大きいほど、光の散乱度合いが高いことを示す。
図3の(1)乃至(4)から、粒子の直径が変化すると、異なる波長を有する光に対する粒子の散乱効果も変化することが明確に理解される。
図3の(1)から分かるように、粒子の直径が1μmよりも小さい場合、粒子においてレイリー散乱が発生し、青色光帯域のヘイズは明らかに赤色光帯域のヘイズおよび緑色光帯域のヘイズよりも明らかに大きくなる。換言すれば、青色光帯域の散乱度合いは、赤色光帯域および緑色光帯域の散乱度合いよりも明らかに高くなる。
図3の(2)乃至(4)から、粒子の直径が1μmより大きい場合、青色光帯域のヘイズは、赤色光帯域のヘイズおよび緑色光帯域のヘイズに近くなることが分かる。換言すれば、青色光帯域に対する粒子の散乱度合いは、赤色光帯域および緑色光帯域に対する粒子の散乱度合いに近くなる。従って、本願のこの実施形態では、直径が1μm未満の散乱粒子がベース材料に添加されると、特に、フィルタ材料内の顔料による青色光帯域の光の吸収が高められ、赤色光帯域の光および緑色光帯域の光の吸収が低減され得ることがさらに理解できる。これにより、赤色光帯域の光および緑色光帯域の光の透過率に影響を及ぼさずに、青色光帯域の光の透過率を低減することができる。
【0050】
図4は、散乱粒子の直径が約0.1μmの場合のヘイズと波長との関係を示す概略図である。
図4に示すように、散乱粒子の直径が約0.1μmである場合、青色光帯域のヘイズは、約40%に達するが、赤色光帯域および緑色光帯域のヘイズの各々は、約10%に過ぎない。これから、さらに、散乱粒子の直径が1μm未満である場合、青色光帯域の散乱度度合いは、赤色光帯域および緑色光帯域の散乱度合いよりも顕著に高められることが理解され、本願のこの実施形態は、比較的高い実現可能性を有することが理解される。
【0051】
特定の実施形態では、本願の本実施形態において提供されるフィルタ材料において、フィルタ材料における青色光帯域の光のヘイズは、30%から50%の範囲内にあってもよく、フィルタ材料における緑色光帯域の光のヘイズは、20%未満であってもよく、フィルタ材料における赤色光帯域の光のヘイズは、10%未満であってもよい。これにより、フィルタ材料は、青色光帯域に対してより高い散乱度合いを示し、赤色光帯域および緑色光帯域に対してより低い散乱度合いを示すことが可能になる。
【0052】
図5は、散乱粒子のないフィルタ材料のフィルタ効果と、散乱粒子が提供されたフィルタ材料のフィルタ効果とを比較した概略図である。
図5の(1)では、散乱粒子のないフィルタ材料が提供される。
図5の(1)では、フィルタ材料のベース材料101に顔料102が分散される。
図5の(2)では、フィルタ材料に散乱粒子が提供される。
図5(2)では、フィルタ材料のベース材料101中に顔料102および散乱粒子103が分散される。例えば、フィルタ材料における青色光帯域の光Y1のヘイズは、40%であり、フィルタ材料における緑色光帯域の光Y2のヘイズは、10%であり、フィルタ材料における赤色光帯域の光Y3のヘイズは、5%である。特定の実施形態では、青色光帯域の光Y1の透過率を低減できる顔料102と、屈折率が1.5未満であり、直径が0.1μm未満である透明な散乱粒子103とが、屈折率が約1.5であるベース材料101に添加され、混合することによりベース材料101、顔料102、および散乱粒子103の混合系が形成され、あるいは顔料102もしくは散乱粒子103を有するフィルタ層が形成される。散乱粒子103の濃度は、青色光帯域のヘイズが40%、緑色光帯域のヘイズが10%、赤色光帯域のヘイズが5%となるように調節される。
図5(1)のフィルタ材は、
図5(2)のフィルタ材と同様の構成を有するが、
図5(1)のフィルタ材には散乱粒子が設けられていない。
【0053】
図5(1)に示すように、フィルタ材料を通過した青色光帯域の光Y1の透過率は、約2%であり、フィルタ材料を通過した緑色光帯域の光Y2の透過率は、約96%であり、フィルタ材料を通過した赤色光帯域の光Y3の透過率は、約96%である。
図5(2)に示すように、フィルタ材料を通過した青色光帯域の光Y1の透過率は、約1.2%であり、フィルタ材料を通過した緑色光帯域の光Y2の透過率は、約95.8%であり、フィルタ材料を通過した赤色光帯域の光Y3の透過率は、約95.8%である。
図5の(1)と(2)を比較すると、フィルタ層に散乱粒子103を加えることにより、青色光帯域の透過率を大幅に低減できることがわかる。例えば、図において、青色光帯域の透過率は、2%から1.2%に低減される。しかしながら、赤色光帯域および緑色光帯域の各々透過率は、僅かに減少するだけで、96%が95.8%に減少するだけである。このことから、さらに、本願の本実施形態におけるフィルタ層において、散乱粒子103をベース材料101に添加することにより、赤色光帯域の光および緑色光帯域の光の透過率に影響を及ぼさずに、青色光帯域の光の透過率を低減できることが理解される。
【0054】
同様の技術的概念に基づき、本願の一実施形態では、さらに、表示モジュールが提供される。表示モジュールは、有機発光ダイオード表示モジュールもしくはマイクロ発光ダイオード表示モジュールであってもよく、または表示モジュールは、別の種類の表示モジュールであってもよい。これは、本願では限定されない。本願の本実施形態における表示モジュールは、携帯電話、タブレットコンピュータ、ノートブックコンピュータ、またはスマートウォッチのような表示装置に適用されてもよい。
【0055】
図6は、本願の実施形態による表示モジュールの構造の概略図である。
図7は、本願の実施形態による表示モジュールの別の構造の概略図である。
図6および
図7に示されるように、本願のこの実施形態における表示モジュールは、基板20と、該基板20上に配置された複数の発光装置と、該発光装置の基板20とは反対の側に配置されたフィルタ層10と、を有してもよい。表示モジュールに含まれる複数の発光装置は、少なくとも1つの赤色発光装置21R、少なくとも1つの緑色発光装置21G、および少なくとも1つの青色発光装置21Bを有してもよい。フィルタ層10は、複数の開口Uを有する。各開口Uは、1つの青色発光装置21Bに対応し、基板20上の開口Uの正投影と、基板上の対応する青色発光装置21Bの正投影との間には、重なり合う領域が存在する。
【0056】
本願のこの実施形態では、前述のベース材料は固体であってもよく、この場合、フィルタ層の構造が比較的安定化される。特定の実施形態では、フィルタ層は、前述のフィルタ材料を用いることにより調製されてもよい。前述のフィルタ材料におけるベース材料が液体または接着剤である場合、顔料および散乱粒子と混合されたベース材料が発光装置上にコーティングされ、硬化後に発光装置上にフィルタ層が形成されてもよい。前述のフィルタ材料におけるベース材料が固体である場合、顔料および散乱粒子が混合されたベース材料がフィルタ層として使用されてもよく、フィルタ層は、前記発光装置に直接取り付けられてもよい。
【0057】
図2を参照すると、フィルタ層は、ベース材料101、顔料102、および散乱粒子103を有してもよく、顔料102および散乱粒子103は、ベース材料101内に配置され、顔料102は、青色光帯域の光Y1を吸収するように構成され、散乱粒子103は、青色光帯域の光Y1を散乱させるように構成され、フィルタ層における青色光帯域の光Y1の散乱度合いは、フィルタ層における赤色光帯域の光および緑色光帯域の光の散乱度合いよりも大きい。特定の実施形態では、前述の散乱粒子は、二酸化ケイ素、三酸化アルミニウム、酸化チタン、ジルコニア、酸化インジウムスズ、アンチモンドープ二酸化スズ、有機シロキサン、ポリスチレン、ポリアミド、またはポリメチルメタクリレートを有してもよい。前記散乱粒子の直径は、3μm未満であってもよい。例えば、散乱粒子の直径は、1μm未満であってもよい。フィルタ層の実施例については、前述のフィルタ材料の実施例が参照される。本願では、再度詳細について説明しない。
【0058】
本願のこの実施形態では、フィルタ層は、表示モジュール内に配置される。フィルタ層は、赤色光帯域の光および緑色光帯域の光の透過率に影響を及ぼさずに、青色光帯域の光の吸収率を高めることができる。従って、フィルタ層は、表示モジュールにおいて青色光帯域の冗長な光をフィルタ除去することができ、表示モジュールは、より広い色域を呈し、これにより、表示モジュールの全体的な表示効果が改善され、表示モジュールの電力消費が低減される。また、フィルタ膜層には、青色発光装置に対応する位置に開口が設けられ、青色発光装置から出射される青色光は、直接放射することができ、赤色発光装置および緑色発光装置における青色光帯域の冗長な光は、表示モジュールの通常の表示効果に影響を及ぼすことなく、フィルタ除去される。
【0059】
必要な場合、本願のこの実施形態では、フィルタ層の厚さは、1μmから10μmの範囲内に属してもよく、フィルタ層は、青色光帯域に対して比較的高い吸収率を有し得る。当然のことながら、フィルタ層の厚さは、代わりに10μmより大きくてもよく、または1μmより小さくてもよく、実際の状況に基づいて設定されてもよい。フィルタ層の厚さは、本願では限定されない。また、フィルタ層における顔料および散乱粒子の濃度をさらに調整することにより、フィルタ層の青色光帯域に対する吸収率がさらに調整されてもよい。
【0060】
本願の一実施形態において、前述の表示モジュールは、有機発光ダイオード表示モジュールであってもよい。前記有機発光表示装置モジュールにおいて、発光装置は、有機発光装置を含むことができる。有機発光装置は、アノード、カソード、およびアノードとカソードとの間に配置された発光層を有してもよい。
【0061】
図6に示すように、有機発光ダイオード表示モジュールにおいて、青色発光装置21Bは、比較的発光効率が低く、比較例寿命が短い。従って、対応する構造が有機発光ダイオード表示モジュールに配置され、青色光の透過率が高められ、有機発光ダイオード表示モジュールの全体的な表示効果が改善される。しかしながら、この構造では、反射された周囲光における青色光の透過率の上昇も生じ、その結果、オフスクリーンの間、有機発光ダイオード表示モジュールの全体的な効果において、青かぶりが生じる。本発明のこの実施形態では、有機発光ダイオード表示モジュールにおいてフィルタ層10を配置することにより、有機発光ダイオード表示モジュールにおける青色光帯域内の冗長光をフィルタ除去することができる。また、フィルタ膜層10には、青色発光装置21Bに対応する位置に開口Uが設けられ、青色発光装置21Bから出射された青色光は、直接放射することができ、赤色発光装置21Rおよび緑色発光装置21Gにおける青色光帯域の余分な光がフィルタ除去され、これにより、有機発光ダイオード表示モジュールの正常な表示に影響を及ぼさずに、画面オフ状態における既存の青かぶりの問題が解決される。
【0062】
再度
図6を参照する。前述の有機発光ダイオード表示モジュールは、さらに、複数の発光装置を被覆するパッケージ層22と、パッケージ層22の基板20とは反対の側に配置されたタッチ層23と、を有してもよい。フィルタ層10は、タッチ層23の基板20とは反対の側に配置されてもよい。パッケージ層22は、水分および酸素を遮断し、発光装置が水分および酸素によって腐食されることを抑制できる。タッチ層23を表示モジュールの内側に配置することにより、表示モジュールにタッチ機能を持たせることができる。タッチ層23の基板20とは反対の側にフィルタ層10を配置することにより、フィルタ層10が発光装置のパッケージ効果に影響を及ぼすことが抑制され、フィルタ層10のタッチ効果を防止することができる。
【0063】
また、前述の有機発光ダイオード表示モジュールは、さらに、偏光板24と、該偏光板24とフィルタ層10との間に配置された光学接着層25と、有してもよい。偏光板24を設置することにより、有機発光ダイオード表示モジュールの反射率を低下させることができ、有機発光ダイオード表示モジュールの表示コントラストを向上させることができる。
【0064】
本願の別の実装形態では、前述の表示モジュールは、マイクロ発光ダイオード表示モジュールであってもよい。マイクロ発光ダイオード表示モジュールにおいて、色変換方法を用いることにより、カラー表示が実現されてもよい。
図7に示すように、青色発光装置21Bは、青色マイクロ発光ダイオード211を有してもよい。赤色発光装置21Rは、青色マイクロ発光ダイオード211と、該青色マイクロ発光ダイオード211を被覆する第1の色変換層212と、を有してもよく、第1の色変換層212は、青色光帯域の光を赤色光帯域の光に変換するように構成され、赤色光帯域の光は、赤色発光装置21Rから出射される。緑色発光装置21Gは、青色マイクロ発光ダイオード211と、該青色マイクロ発光ダイオード211を被覆する第2の色変換層213とを有してもよく、第2の色変換層213は、青色光帯域の光を緑色光帯域の光に変換するように構成され、緑色光帯域の光は、緑色発光装置21Gから出射される。必要な場合、前述の第1の色変換層212および第2の色変換層213の各々は、蛍光体または量子ドットのような材料であってもよい。
【0065】
しかしながら、周囲光には青色-紫色の光帯域成分が存在するため、マイクロ発光ダイオード表示モジュールが画面オフ状態にあるとき、青色-紫色の光帯域成分は、依然として、各青色マイクロ発光ダイオード内のフォトルミネセント材料を励起させる。その結果、マイクロ発光ダイオード表示モジュールのスクリーンオフ反射率が増加し、表示モジュールの表示コントラストが低下する。また、赤色発光装置および緑色発光装置において、青色マイクロ発光ダイオードから出射された青色励起光が色変換層を通過した後、一部の青色励起光が依然として放射される。その結果、赤色発光装置および緑色発光装置から出射される光に青色光が混合され、表示モジュールの表示の色かぶりが発生し、表示色域が比較的小さくなる。
【0066】
本発明のこの実施形態では、
図7に示すように、フィルタ層10は、マイクロ発光ダイオード表示モジュール内に配置される。また、フィルタ層10は、第1の色変換層212および第2の色変換層213の基板20とは反対の側に配置される。フィルタ膜層10には、青色発光装置21Bと対応する位置に開口Uが設けられる。これにより、青色発光装置21Bから出射された青色光は、直接放射され、赤色発光装置21Rおよび緑色発光装置21Gにおける青色光帯域の冗長な光をフィルタ除去できる。従って、フィルタ層10は、赤色発光装置21Rおよび緑色発光装置21Gの位置で漏洩した青色光を吸収することができ、これにより、赤色発光装置21Rおよび緑色発光装置21Gから出射される光の純度が高められ、ディスプレイの色域が改善される。このようにして、マイクロ発光ダイオード表示モジュールの正常な表示に影響を及ぼさずに、画面オフ状態における既存の青かぶりの問題、および通常の表示プロセスに存在する色かぶりの問題を解決することができる。
【0067】
また、
図7に示すように、前述のマイクロ発光ダイオード表示モジュールは、さらに、フィルタ層10の基板20とは反対の側に配置されたタッチ層23と、タッチ層23の基板とは反対の側に配置されたカバー26とを有してもよい。タッチ層23を設けることにより、マイクロ発光ダイオード表示モジュールにタッチ機能を持たせることができる。カバー26を配置することにより、マイクロ発光ダイオード表示モジュールの内部構造を保護することができる。準備プロセスにおいて、タッチ層23は、カバー26の表面に形成されてもよい。その後、カバー26のタッチ層23を有する側の表面を基板20と対面させることにより、フィルタ層10の基板20とは反対の側にカバー26が取り付けられる。従って、
図7では、タッチ層23は、フィルタ層10の基板20とは反対の側に配置される。
【0068】
同じ技術的概念に基づき、本願の実施形態では、さらに、表示モジュールの調製方法が提供される。
図8は、本願の実施形態による表示モジュールの調製方法のフローチャートである。
図8に示すように、表示モジュールの調製方法は、以下のステップを有してもよい:
S301:複数の発光装置が提供された基板を提供する。複数の発光装置は、少なくとも1つの赤色発光装置、少なくとも1つの緑色発光装置、および少なくとも1つの青色発光装置を有する。
【0069】
S302:顔料および散乱粒子と混合されたベース材料を用いることにより、複数の発光装置上にフィルタ層を調製する。必要な場合、フィルタ層は、発光装置の表面に直接調製されてもよく、またはフィルタ層は、発光装置上の別の薄膜層の表面に調製されてもよい。顔料は、青色光帯域の光を吸収するように構成される。散乱粒子は、青色光帯域の光を散乱させるように構成され、フィルタ層における青色光帯域の光の散乱度合いは、フィルタ層における赤色光帯域の光および緑色光帯域の光の散乱度合いよりも大きい。
【0070】
S303:フィルタ層から一部の領域を除去し、青色発光装置に対応する領域に開口を形成する。
【0071】
本発明の本実施形態では、フィルタ層は、発光装置上に形成される。フィルタ層は、赤色光帯域の光および緑色光帯域の光の透過率に影響を及ぼさずに、青色光帯域の光の吸収率を高めることができる。従って、フィルタ層は、表示モジュール内の青色光帯域内の冗長な光をフィルタ除去することができ、表示モジュールは、より広い色域を呈し、これにより、表示モジュールの全体的な表示効果が改善され、表示モジュールの電力消費が低減される。また、フィルタ層は、青色発光装置に対応する位置に開口が提供されるようにパターン化され、青色発光装置から出射される青色光は、直接放射することができ、赤色発光装置および緑色発光装置における青色光帯域の余分な光は、表示モジュールの通常の表示効果に影響を及ぼさずに、フィルタ除去される。
【0072】
本願のある実施形態では、ステップS302は、
顔料および散乱粒子が混合されたベース材料を用いて形成されたフィルタ層を提供するステップと、
複数の発光装置上にフィルタ層を取り付けるステップと、
を有してもよい。
【0073】
ベース材料が固体である場合、顔料および粒子が混合されたベース材料は、フィルタ層として使用されてもよく、フィルタ層は、発光装置に直接取り付けられてもよい。調製プロセスは、シンプルである。
【0074】
本願の他のある実施形態では、ステップS302は、
液体状または接着剤状のベース材料に顔料および散乱粒子を混合するステップと、
顔料および散乱粒子が混合されたベース材料を複数の発光装置上にコーティングするステップと、
複数の発光装置上にコーティングされたベース材料を硬化させ、フィルタ層を得るステップと、
を有する。
【0075】
必要な場合、複数の発光装置上にコーティングされたベース材料は、光硬化方式または熱硬化方式で硬化されてもよい。フィルタ層は、コーティングプロセスおよび硬化プロセスを用いて、発光装置上に形成される。本調製プロセスは、表示モジュール内の別の薄膜層の調製プロセスとより容易に適合され、これにより、製造コストが低減される。
【0076】
特定の実施形態では、顔料および散乱粒子は、以下の方法でベース材料中に均一に混合されてもよい。
【0077】
方法1:物理的方法を用いて、顔料および散乱粒子がベース材料中で均一に混合されてもよい。顔料および散乱粒子は、ベース材料に配置されてもよく、機械的撹拌方法を用いて、顔料および散乱粒子がベース材料内で均一に分散されてもよい。また、機械的攪拌プロセスにおいて、粘度のような物理的パラメータが調節され、ベース材料内での顔料および散乱粒子の均一な混合が助長されてもよい。
【0078】
方法2:化学的方法を用いて、ベース材料中で顔料および散乱粒子が均一に混合されてもよい。ベース材料において、顔料、散乱粒子、および分散剤が配置され、分散剤は、ベース材料における散乱粒子の分散の度合いを調整するように構成される。散乱粒子が相互に凝集することがないよう、分散剤は、散乱粒子の表面を包み込んでもよい。また、分散剤は、親水性と親油性の両新媒性を有し、分散剤の一端は、散乱粒子に接続され、他端は、ベース材料に接続され、ベース材料内の散乱粒子の分散の度合いが調節され、これにより、ベース材料内での顔料および散乱粒子が均一に混合されてもよい。必要な場合、分散剤は、有機官能基であってもよく、または分散剤は、別の材料であってもよい。これは、本願では限定されない。
【0079】
前述の調製方法の任意の想定される設計によってもたらされ得る技術的効果の説明については、第1の態様または第2の態様の任意の想定される設計によってもたらされ得る技術的効果の記載が参照される。詳細については、再度説明されない。
【0080】
本願の前述の想定される実施例におけるデータ、例えば、散乱粒子のメジアン粒子サイズおよび実際の粒子サイズ、顔料の濃度、散乱粒子の直径、各色帯域のヘイズ、ならびにフィルタ層の厚さのようなデータの測定の間、工学的測定誤差範囲内の値は全て、本願において定められる範囲内に属すると解されることが理解され得る。
【0081】
本願のいくつかの実施形態について説明したが、いったん基本的な発明概念を理解した当業者には、これらの実施形態に対する変更および修正が可能である。従って、以下の特許請求の範囲は、好ましい実施形態、ならびに本願の範囲内に属する全ての変更および修正を包含すると解されることが意図される。
【0082】
当業者は、明らかに、本願の実施形態の範囲から逸脱することなく、本願の実施形態に対して、各種修正および変形を行うことができる。本願は、これらの修正および変形が本願の特許請求の範囲およびそれらの等価な技術の範囲に属する場合、これらの修正および変形を包含することを意図する。
【符号の説明】
【0083】
10 フィルタ層
101 ベース材料
102 顔料
103 散乱粒子
20 基板
21R 赤色発光素子
21G 緑色発光素子
21B 青色発光素子
211 青色マイクロ発光ダイオード
212 第1の色変換層
213 第2の色変換層
22 パッケージ層
23 タッチ層
24 偏光層
25 光学接着層
26 カバー
Y1 青色光帯域の光
Y2 緑色光帯域の光
Y3 赤色光帯域の光
U 開口。
【国際調査報告】