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特表2024-538619標的化放射線療法用途におけるリガンドとしての、大員環含有化合物およびその放射性標識錯体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-23
(54)【発明の名称】標的化放射線療法用途におけるリガンドとしての、大員環含有化合物およびその放射性標識錯体
(51)【国際特許分類】
   C07D 413/14 20060101AFI20241016BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241016BHJP
   A61K 41/00 20200101ALI20241016BHJP
   A61K 51/10 20060101ALI20241016BHJP
   A61K 33/244 20190101ALI20241016BHJP
   A61K 33/241 20190101ALI20241016BHJP
   A61K 33/24 20190101ALI20241016BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20241016BHJP
   A61K 33/34 20060101ALI20241016BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20241016BHJP
   C07K 16/18 20060101ALN20241016BHJP
【FI】
C07D413/14
A61P35/00
A61K41/00
A61K51/10 100
A61K33/244
A61K33/241
A61K33/24
A61K47/68
A61K33/34
A61K39/395 L
C07K16/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519537
(86)(22)【出願日】2022-09-29
(85)【翻訳文提出日】2024-05-22
(86)【国際出願番号】 AU2022051165
(87)【国際公開番号】W WO2023049963
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】2021903120
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】304054507
【氏名又は名称】ザ ユニバーシティー オブ メルボルン
(71)【出願人】
【識別番号】521438320
【氏名又は名称】オリビア・ニュートン-ジョン・キャンサー・リサーチ・インスティテュート
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100129458
【弁理士】
【氏名又は名称】梶田 剛
(72)【発明者】
【氏名】モーガン,キャサリン・アン
(72)【発明者】
【氏名】ドネリー,ポール・スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ウィッチマン,クリスティアン・ワーナー
(72)【発明者】
【氏名】スコット,アンドリュー・マーク
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076BB11
4C076BB13
4C076BB16
4C076CC27
4C076DD65
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF67
4C084AA12
4C084MA55
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA06
4C084NA13
4C084ZB261
4C085AA14
4C085AA26
4C085BB36
4C085CC23
4C085EE01
4C085GG02
4C085GG03
4C086AA01
4C086AA02
4C086HA03
4C086HA05
4C086HA06
4C086MA01
4C086MA05
4C086MA55
4C086MA66
4C086NA05
4C086NA06
4C086NA13
4C086ZB26
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA50
4H045BA52
4H045BA71
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA50
(57)【要約】
本発明は、放射線療法において金属錯体として使用される能力を有する式(I)の化合物に関する。
(式中、Aは、CO、およびPOからなる群から選択され、Bは、CO、およびPOからなる群から選択され、R、RおよびRは、各々独立して、HおよびC~C12アルキルからなる群から選択され、各Rは、独立して、H、F、Cl、Br、I、CH、CHCH、CH(CH、OH、OCH、OCHCH、CF、OCF、NO、NH、およびCNからなる群から選択され、各Rは、独立して、H、F、Cl、Br、I、CH、CHCH、CH(CH、OH、OCH、OCHCH、CF、OCF、NO、NH、およびCNからなる群から選択され、Lは、ノルマル鎖中に1から20個の原子を有するリンカーである)、またはその薬学的に許容される塩。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物
【化1】
(式中、
Aは、CO、およびPOからなる群から選択され、
Bは、CO、およびPOからなる群から選択され、
、RおよびRは、各々独立して、HおよびC~C12アルキルからなる群から選択され、
各Rは、独立して、H、F、Cl、Br、I、CH、CHCH、CH(CH、OH、OCH、OCHCH、CF、OCF、NO、NH、およびCNからなる群から選択され、
各Rは、独立して、H、F、Cl、Br、I、CH、CHCH、CH(CH、OH、OCH、OCHCH、CF、OCF、NO、NH、およびCNからなる群から選択され、
Lは、ノルマル鎖中に1から20個の原子を有するリンカーである)、
またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
Aが、COである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Bが、COである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
が、Hである、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
が、Hである、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
各Rが、Hである、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
各Rが、Hである、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
が、C~C12アルキルである、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
が、メチル、エチル、プロピルおよびブチルからなる群から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
Lが、式:
-(CHCHO)-CHCH
のリンカーであり、ここで、nは、0、1、2、3、4、および5からなる群からの整数である、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
nが、3である、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
式(Ia)の化合物:
【化2】
(式中、
Aは、CO、およびPOからなる群から選択され、
Bは、CO、およびPOからなる群から選択され、
、RおよびRは、各々独立して、HおよびC~C12アルキルからなる群から選択され、
各Rは、独立して、H、F、Cl、Br、I、CH、CHCH、CH(CH、OH、OCH、OCHCH、CF、OCF、NO、NH、およびCNからなる群から選択され、
各Rは、独立して、H、F、Cl、Br、I、CH、CHCH、CH(CH、OH、OCH、OCHCH、CF、OCF、NO、NH、およびCNからなる群から選択され、
Lは、ノルマル鎖中に1から20個の原子を有するリンカーであり、
Mは、放射性核種である)、
またはその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
Aが、COである、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
Bが、COである、請求項12または13に記載の化合物。
【請求項15】
が、Hである、請求項12から14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
が、Hである、請求項12から15のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
各Rが、Hである、請求項12から16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
各Rが、Hである、請求項12から17のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
が、C~C12アルキルである、請求項12から18のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
が、メチル、エチル、プロピルおよびブチルからなる群から選択される、請求項12から19のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項21】
Lが、式:
-(CHCHO)-CHCH
のリンカーであり、ここで、nは、0、1、2、3、4、および5からなる群からの整数である、請求項12から20のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項22】
nが、3である、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
請求項12から22のいずれか一項に記載の化合物であって、前記放射性核種が、アクチニウム-225、ルテチウム-177、ジルコニウム-89、テルビウム-149、テルビウム-152、テルビウム-155、テルビウム-161、ラジウム-223、ビスマス-212、インジウム-111、イットリウム-86、イットリウム-89、イットリウム-90、および鉛-212からなる群から選択される、化合物。
【請求項24】
Mが、アクチニウム-225である、請求項12から23のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項25】
式(Ib)の化合物:
【化3】
(式中、
Aは、CO、およびPOからなる群から選択され、
Bは、CO、およびPOからなる群から選択され、
、およびRは、各々独立して、HおよびC~C12アルキルからなる群から選択され、
は、モノクローナル抗体であり、
各Rは、独立して、H、F、Cl、Br、I、CH、CHCH、CH(CH、OH、OCH、OCHCH、CF、OCF、NO、NH、およびCNからなる群から選択され、
各Rは、独立して、H、F、Cl、Br、I、CH、CHCH、CH(CH、OH、OCH、OCHCH、CF、OCF、NO、NH、およびCNからなる群から選択され、
Lは、ノルマル鎖中に1から20個の原子を有するリンカーであり、
Mは、放射性核種である)、
またはその薬学的に許容される塩。
【請求項26】
Aが、COである、請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
Bが、COである、請求項25または26に記載の化合物。
【請求項28】
が、Hである、請求項25から27のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項29】
が、Hである、請求項25から28のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項30】
各Rが、Hである、請求項25から29のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項31】
各Rが、Hである、請求項25から30のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項32】
Lが、式:
-(CHCHO)-CHCH
のリンカーであり、ここで、nは、0、1、2、3、4、および5からなる群からの整数である、請求項25から31のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項33】
nが、3である、請求項32に記載の化合物。
【請求項34】
請求項25から33のいずれか一項に記載の化合物であって、前記放射性核種が、アクチニウム-225、ルテチウム-177、ジルコニウム-89、テルビウム-149、テルビウム-152、テルビウム-155、テルビウム-161、ラジウム-223、ビスマス-212、インジウム-111、イットリウム-86、イットリウム-89、イットリウム-90、および鉛-212からなる群から選択される、化合物。
【請求項35】
Mが、アクチニウム-225である、請求項25から34のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項36】
請求項25から35のいずれか一項に記載の化合物であって、前記モノクローナル抗体が、ペンプリマブ、シンチリマブ、トリパリマブ、オムブルタマブ、チソツマブ、レチファンリマブ、ウブリツキシマブ、アニフロルマブ、ロンカスツキシマブ、バルスチリマブ、ドスタルリマブ、オポルツズマブ、マルジェツキシマブ、ナキシタマブ、ベランタマブ、タファシタマブ、サシツズマブ、イサツキシマブ、トラスツズマブ(ハーセプチン)、ギレンツキシマブ、イファボツズマブ、デパツキシジマブ、エンホルツマブ、ポラツズマブ、エマパルマブ、セミプリマブ、モキセツモマブ、モガムリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブ、アテゾリズマブ、オララツマブ、ダラツムマブ、エロツズマブ、ネシツムマブ、ジヌツキシマブ、ニボルマブ、ブリナツモマブ、ブリナツモマブ、ラムシルマブ、オビヌツズマブ、アド-トラスツズマブ、ペルツズマブ、ブレンツキシマブ、イピリムマブ、オファツムマブ、カツマキソマブ、パニツムマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、イブリツモマブ、アレムツズマブ、ゲムツズマブ、リツキシマブ、エドレコロマブ、ニモツズマブ、プロルゴリマブ、およびセツキシマブからなる群から選択される、化合物。
【請求項37】
請求項25から36のいずれか一項に記載の化合物と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項38】
対象を処置する方法であって、有効量の請求項25から36のいずれか一項に記載の化合物を対象に投与する工程を含む、方法。
【請求項39】
前記対象が、がんを有する、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
式(I)の化合物:
(式中、
【化4】
Aは、CO、およびPOからなる群から選択され、
Bは、CO、およびPOからなる群から選択され、
、RおよびRは、各々独立して、HおよびC~C12アルキルからなる群から選択され、
各Rは、独立して、H、F、Cl、Br、I、CH、CHCH、CH(CH、OH、OCH、OCHCH、CF、OCF、NO、NH、およびCNからなる群から選択され、
各Rは、独立して、H、F、Cl、Br、I、CH、CHCH、CH(CH、OH、OCH、OCHCH、CF、OCF、NO、NH、およびCNからなる群から選択され、
Lは、ノルマル鎖中に1から20個の原子を有するリンカーである)、
またはその薬学的に許容される塩を合成するための方法であって、
(a)式(10)の化合物:
【化5】
(Aは、CO、およびPOからなる群から選択され、
Bは、CO、およびPOからなる群から選択され、
およびRは、各々独立して、HおよびC~C12アルキルからなる群から選択され、
各Rは、独立して、H、F、Cl、Br、I、CH、CHCH、CH(CH、OH、OCH、OCHCH、CF、OCF、NO、NH、およびCNからなる群から選択され、
各Rは、独立して、H、F、Cl、Br、I、CH、CHCH、CH(CH、OH、OCH、OCHCH、CF、OCF、NO、NH、およびCNからなる群から選択される)を提供する工程、
(b)式(10)の化合物を、式(11)の化合物:
【化6】
(式中、Rは、HおよびC~C12アルキルからなる群から選択され、
Lは、ノルマル鎖中に1から20個の原子を有するリンカーである)と、
銅(I)触媒の存在下で反応させる工程
を含む、方法。
【請求項41】
Aが、COである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
Bが、COである、請求項40または41に記載の方法。
【請求項43】
が、Hである、請求項40から42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
が、Hである、請求項40から43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
各Rが、Hである、請求項40から44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
各Rが、Hである、請求項40から45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
が、C~C12アルキルである、請求項40から46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
が、メチル、エチル、プロピルおよびブチルからなる群から選択される、請求項40から47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
Lが、式:
-(CHCHO)-CHCH
のリンカーであり、ここで、nは、0、1、2、3、4、および5からなる群からの整数である、請求項40から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
nが、3である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
工程(B)が、銅(I)配位子の存在下で行われる、請求項40から50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
請求項51に記載の方法であって、前記銅(I)配位子が、TBTA、TEOTA、THPTA、BTTES、BTTAA、BTTP、BTTPS、(BimH)、(Bth)、BPS、および4.4’-ジメチル-2,2’-ビピリミジンからなる群から選択される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、標的化放射線療法用途におけるリガンドとして使用され得る大員環含有化合物に関する。本発明はまた、これらの化合物のある特定の金属錯体およびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]過去200年の間、医学研究において著しい進歩が遂げられ、その結果、著しい数の疾患/状態に対する有効な医学的処置が開発されたことから、平均余命が劇的に延びている。残念なことに、ある特定の状態に対する改良された処置の提供における、この成功により、ヒトは今や、典型的には非常にゆっくり発症する状態または「高齢者」の疾患であることから以前は比較的まれであった他の状態を発症し、それに罹患するのに十分に長生きすることとなった。
【0003】
[0003]例えば、がんは、オーストラリアにおける疾病負担の最も大きな要因(16%)であり、世界で2番目に多い死亡原因であると推定され、世界保健機関によれば、2020年に推定1000万人ががんで死亡したが、この数は、開発途上国における潜在的な過少報告に起因して、実際の総数よりも著しく少ない可能性が高い。それにもかかわらず、2020年に、180万人が肺がんで死亡し、935,000人が結腸直腸がんで死亡し、830,000人が肝臓がんで死亡し、769,000人が胃がんで死亡し、685,000人が乳がんで死亡したと推定され、問題の大きさを強調している。したがって、がんの経済的影響は、重大であり、かつ増加している。がんに関連する世界の年間経済コストは、1.2兆米ドルを超過すると推定されるが、正確なコストは定量化することが難しい。この数字は、平均余命が延びるにつれて、またライフスタイル、食事および/または環境因子が経時的に変化するにつれて、増えると予想される。
【0004】
[0004]がんは、身体のいずれかの部分(port)に影響を及ぼし得る疾患の大きな群を表すために使用されるやや一般的な用語である。ほぼすべてのがんに共通する特徴は、正常な境界を越えて成長し、次いで、身体の他の部分に侵入し得る異常細胞の身体による急速な産生である。したがって、がんは、身体の他の部位に侵入し、広がり得る、細胞の無制御な増殖と表され得る。がんの原因は、一般に、環境または遺伝因子にあると考えられる。100を超える異なるタイプのがんが知られており、より多くの新たなタイプが毎年特徴付けられる。
【0005】
[0005]がん細胞は、いくつかの異なる形態で存在し得る。例えば、これらは、がん細胞が一緒にまとまった固形腫瘍として、または白血病のように分散して存在し得る。がん細胞は、際限なく分裂し、最終的に、近くの細胞を押しのけ、身体の他の部分に広がることから、「悪性」と呼ばれることが多い。がん細胞がある器官から別の器官にまたは身体のある部分から別の部分に広がる傾向は、がん細胞を、過成長するが他の器官または身体の他の部分に広がらない良性腫瘍細胞と区別する。悪性がん細胞は、最終的に、血流またはリンパ系を介して転移し、身体の他の部分に広がり、そこで、増殖し、新たな腫瘍を形成し得る。この種の腫瘍進行により、がんは死に至る疾患になる。
【0006】
[0006]がんの診断および処置が大幅に改良されてきたが、それでもなお、毎年多くの人ががんで死亡する。したがって、がん患者を処置するために使用されてきたいくつかの処置が開発され、さらなる改良されたがん処置を開発するための持続的な努力がなされている。
【0007】
[0007]関心が高まっている一領域は、がんの処置における放射線療法の使用である。放射線療法は、高い線量(does)で、放射線ががん細胞を殺滅する、または放射線ががん細胞のDNAを損傷する結果としてその成長を減速させるという観察に基づく。がん細胞は、他の細胞と同様に、DNAが修復できないほど損傷を受けると、分裂を停止し、死滅する。細胞死に続いて、細胞は破壊され、身体から除去される。
【0008】
[0008]放射線療法は、典型的には、2つの主要なタイプ、すなわち、(1)外部ビーム放射線療法および(2)内部放射線療法に分けられ、いずれの場合も、使用される放射線療法のタイプは、患者に特有のいくつかの因子に依存する。
【0009】
[0009]外部ビーム放射線療法は、患者におけるがんに放射線を当てる機械の使用を伴う。このタイプの放射線療法は、身体の特定の部分を処置することを目的とし、その結果、全身ではなくがんがある領域のみが放射線に曝される。このタイプの療法は、体内の深部にある腫瘍の場合に非常に奏功し得るが、体内のがん細胞を標的とすることから、一部の健康な細胞が放射線に曝露されることは必然である。
【0010】
[0010]内部放射線療法は、腫瘍の部位に放射性物質を播種することまたはがんの部位を「標的とする」化学療法剤を使用することのいずれかを含む。これらの標的化手法においては、放射性核種の配位子が、典型的には、処置されるべき特定のがんを標的とする抗体とコンジュゲート化される。例えば、軟部組織転移の処置のために標的化アルファ粒子療法が開発された。これらの療法においては、致死性のアルファ粒子を放射する放射性核種が、キレーターを使用して、腫瘍を標的とするベクターとコンジュゲート化される。この療法は、細胞毒性レベルのアルファ放射線の送達が、がん細胞(cancer calls)に選択的に送達されることを可能にする。
【0011】
[0011]結果として、アルファ粒子を放射する放射性核種に結合するために使用され得、ひいては、がんを標的とする部分を含むようにさらに加工され得るコンジュゲートの開発に対して大きな研究上の関心が寄せられてきた。いくつかの潜在的コンジュゲートが開発された。
【0012】
[0012]現在用いられる最良のコンジュゲートの1種は、HDOTA(1)である。
【0013】
【化1】
【0014】
[0013]このコンジュゲートは、比較的入手しやすいが、イオン性金属イオンが増加するにつれてHDOTAの錯体の熱力学的安定性が低下するという観察に悩まされており、その結果、周期表における最も大きなプラス3(三価)イオンであるAc3+などのすべての金属錯体に理想的に適しているとは限らない。加えて、この配位子の放射性標識反応速度は、一部の放射性核種(例えばAc+)では比較的ゆっくりであり、それにより、短い標識時間が必要とされる場合は高温での標識が必要になる。
【0015】
[0014]結果として、代替的コンジュゲートの開発を対象とするいくつかの研究がなされてきた。開発された1種の代替的コンジュゲートは、N,N’-ビス[(6-カルボキシ-2-ピリジル)メチル]-4,13-ジアザ-18-クラウン-6(2)であり、これは、口語的表現ではHmacropaとして知られている。
【0016】
【化2】
【0017】
[0015]開発された別のコンジュゲートは、Hmacropaの類似体である。すなわち、Hmacropa-NCS(3):
【0018】
【化3】
【0019】
である。
[0016]これらのコンジュゲートは、高温にする必要なく、より良好に放射性標識されることが可能であったが、コンジュゲートの凝集が起こることが観察されたことから、問題がないわけではなかった。
【0020】
[0017]したがって、標的化療法において放射性核種コンジュゲートとして使用できるさらなる化合物の開発に大きな関心が寄せられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
[0018]本出願人らは、潜在的放射性核種コンジュゲートとして使用でき、したがって、標的化療法において利用され得る化合物の開発を目的とする研究を実行した。
【課題を解決するための手段】
【0022】
[0019]これらの研究の結果として、本出願人らは、放射性核種のためのコンジュゲートとしての大きな潜在性を示す化合物を同定した。
[0020]したがって、一実施形態では、本発明は、式(I)の化合物:
【0023】
【化4】
【0024】
[0021](式中、
[0022]Aは、CO、およびPOからなる群から選択され、
[0023]Bは、CO、およびPOからなる群から選択され、
[0024]R、RおよびRは、各々独立して、HおよびC~C12アルキルからなる群から選択され、
[0025]各Rは、独立して、H、F、Cl、Br、I、CH、CHCH、CH(CH、OH、OCH、OCHCH、CF、OCF、NO、NH、およびCNからなる群から選択され、
[0026]各Rは、独立して、H、F、Cl、Br、I、CH、CHCH、CH(CH、OH、OCH、OCHCH、CF、OCF、NO、NH、およびCNからなる群から選択され、
[0027]Lは、ノルマル鎖(normal chain)中に1から20個の原子を有するリンカーである)、
[0028]またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0025】
[0029]本発明の化合物は、放射性核種と金属錯体を形成する能力を有し、ひいては、標的化療法において使用され得ることが見出された。
[0030]またなおさらなる態様では、本発明は、式(Ia)の化合物:
【0026】
【化5】
【0027】
[0031](式中、
[0032]Aは、CO、およびPOからなる群から選択され、
[0033]Bは、CO、およびPOからなる群から選択され、
[0034]R、RおよびRは、各々独立して、HおよびC~C12アルキルからなる群から選択され、
[0035]各Rは、独立して、H、F、Cl、Br、I、CH、CHCH、CH(CH、OH、OCH、OCHCH、CF、OCF、NO、NH、およびCNからなる群から選択され、
[0036]各Rは、独立して、H、F、Cl、Br、I、CH、CHCH、CH(CH、OH、OCH、OCHCH、CF、OCF、NO、NH、およびCNからなる群から選択され、
[0037]Lは、ノルマル鎖中に1から20個の原子を有するリンカーであり、
[0038]Mは、放射性核種である)、
[0039]またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0028】
[0040]本明細書に記載された式(I)または(Ia)の化合物は、抗体と反応して、ターゲティングコンジュゲートを形成する能力を有する。したがって、またなおさらなる態様では、本発明は、式(Ib)の化合物:
【0029】
【化6】
【0030】
[0041](式中、
[0042]Aは、CO、およびPOからなる群から選択され、
[0043]Bは、CO、およびPOからなる群から選択され、
[0044]R、およびRは、各々独立して、HおよびC~C12アルキルからなる群から選択され、
[0045]Rは、モノクローナル抗体であり、
[0046]各Rは、独立して、H、F、Cl、Br、I、CH、CHCH、CH(CH、OH、OCH、OCHCH、CF、OCF、NO、NH、およびCNからなる群から選択され、
[0047]各Rは、独立して、H、F、Cl、Br、I、CH、CHCH、CH(CH、OH、OCH、OCHCH、CF、OCF、NO、NH、およびCNからなる群から選択され、
[0048]Lは、ノルマル鎖中に1から20個の原子を有するリンカーであり、
[0049]Mは、放射性核種である)、
[0050]またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0031】
[0051]またなおさらなる態様では、本発明は、上記の式(I)の化合物を合成するための方法であって、
[0052](a)式(10)の化合物:
【0032】
【化7】
【0033】
[0053](Aは、CO、およびPOからなる群から選択され、
[0054]Bは、CO、およびPOからなる群から選択され、
[0055]R、およびRは、各々独立して、HおよびC~C12アルキルからなる群から選択され、
[0056]各Rは、独立して、H、F、Cl、Br、I、CH、CHCH、CH(CH、OH、OCH、OCHCH、CF、OCF、NO、NH、およびCNからなる群から選択され、
[0057]各Rは、独立して、H、F、Cl、Br、I、CH、CHCH、CH(CH、OH、OCH、OCHCH、CF、OCF、NO、NH、およびCNからなる群から選択される)を用意する工程、
[0058](b)式(10)の化合物を、式(11)の化合物
【0034】
【化8】
【0035】
[0059](式中、Rは、HおよびC~C12アルキルからなる群から選択され、
[0060]Lは、ノルマル鎖中に1から20個の原子を有するリンカーである)と、
[0061]銅(I)触媒の存在下で反応させる工程
を含む、方法を提供する。
【0036】
[0062]またなおさらなる態様では、本発明は、式(I)、式(Ia)または式(Ib)による化合物と、薬学的に許容される希釈剤、賦形剤または担体とを含む、医薬組成物を提供する。
【0037】
[0063]またなおさらなる態様では、本発明は、対象を処置する方法であって、治療有効量の式(Ib)の化合物を対象に投与する工程を含む、方法を提供する。ある特定の実施形態では、対象は、がんに罹患している。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】[0064]0.4Mクエン酸ナトリウムpH4+10%メタノールを使用した遊離Ac-225のTLC分析(原点は15mm、溶媒先端は80mmにある;遊離Ac-225は、溶媒先端:R=0.8~1.0にある)を示す図である。
図2】[0065]50mMクエン酸pH5を使用した遊離Ac-225のiTLC分析(原点は15mm、溶媒先端は80mmにある;遊離Ac-225は溶媒先端:R=0.8~1.0にある)を示す図である。
図3】[0066]0.4Mクエン酸ナトリウムpH4+10%メタノールを使用した10-3Mのキレーター濃度での粗製の[225Ac]Ac-macropaのTLC分析(原点は10mm、溶媒先端は80mmにある;[225Ac]Ac-macropaは、原点:R=0に留まる;遊離Ac-225は、溶媒先端:R=0.8~1.0にある)を示す図である。
図4】[0067]別段の注記がない限り、周囲温度で2時間インキュベーションした、異なるキレーター濃度での様々なAc-225標識キレーターの放射化学的収率の概要を示す図である。放射化学的収率は、0.4Mクエン酸ナトリウムpH4+10%メタノールを使用した粗反応混合物のTLC分析によって決定した。
図5】[0068]周囲温度でインキュベーションした、経時的な異なるキレーター濃度での[225Ac]Ac-macropa-tzPEGSqOEtの放射化学的収率の概要を示す図である。放射化学的収率は、0.4Mクエン酸ナトリウムpH4+10%メタノールを使用した粗反応混合物のTLC分析によって決定した。
図6】[0069]90℃でインキュベーションした、経時的な異なるキレーター濃度での[225Ac]Ac-DOTA-メチルテトラジンの放射化学的収率の概要を示す図である。放射化学的収率は、0.4Mクエン酸ナトリウムpH4+10%メタノールを使用した粗反応混合物のTLC分析によって決定した。
図7A】[0070]周囲温度で15分間インキュベーションした、10-6Mの抗体濃度での(a)[225Ac]Ac-macropa-tzPEGSq-EGFRVIII IgG1および(b)[225Ac]Ac-macropa-tzPEGSq-EphA3 IgG1のiTLC分析(50mMクエン酸pH5;原点は10mm、溶媒先端は80mmにある;[225Ac]Ac-macropa-tzPEGSq-コンジュゲート化モノクローナル抗体は、原点:R=0に留まる;遊離Ac-225は、溶媒先端:R=0.8~1.0にある)を示す図である。
図7B】周囲温度で15分間インキュベーションした、10-6Mの抗体濃度での(a)[225Ac]Ac-macropa-tzPEGSq-EGFRVIII IgG1および(b)[225Ac]Ac-macropa-tzPEGSq-EphA3 IgG1のiTLC分析(50mMクエン酸pH5;原点は10mm、溶媒先端は80mmにある;[225Ac]Ac-macropa-tzPEGSq-コンジュゲート化モノクローナル抗体は、原点:R=0に留まる;遊離Ac-225は、溶媒先端:R=0.8~1.0にある)を示す図である。
図8】[0071]Hmacropa-tzPEGSq-イムノコンジュゲートのSE-HPLCクロマトグラム(UV280)を示す図である。
図9】[0072][225Ac]Ac-macropa-tzPEGSq-イムノコンジュゲートのSE-HPLCクロマトグラム(UV280および放射線)を示す図である。
図10】[0073]異なるキレーター-抗体比での[225Ac]Ac-macropa-tzPEGSq-および[225Ac]Ac-DOTA-dhPzPEG-コンジュゲート化モノクローナル抗体の血清安定性研究を示す図であって、図10Aは、iTLC(50mM EDTA pH5)を使用して決定した放射化学的純度を示す図であり、図10Bは、異なるキレーター-抗体比での[225Ac]Ac-macropa-tzPEGSq-および[225Ac]Ac-DOTA-dhPzPEG-コンジュゲート化モノクローナル抗体の血清安定性研究を示す図であって、EGFRVIII IgG1およびEphA3 IgG1についてそれぞれU87MG.de2-7およびU251細胞を用いて決定した免疫反応性を示す図である。
図11A】[0074]変動する量の[225Ac]Ac-macropa-tzPEGSq-EphA3 IgG1(0.25~1.0μg/9.25~37.0kBq)またはビヒクルで処置したU251マウス異種移植片(n=5)の(a)腫瘍成長曲線および(b)カプラン・マイヤー生存率曲線を示す図である。
図11B】変動する量の[225Ac]Ac-macropa-tzPEGSq-EphA3 IgG1(0.25~1.0μg/9.25~37.0kBq)またはビヒクルで処置したU251マウス異種移植片(n=5)の(a)腫瘍成長曲線および(b)カプラン・マイヤー生存率曲線を示す図である。
図12A】[0075]変動する量の[225Ac]Ac-macropa-tzPEGSq-EGFRVIII IgG1(0.25~1.0μg/9.25~37.0kBq)またはビヒクルで処置したU87MG.de2-7マウス異種移植片(n=5)の(a)腫瘍成長曲線および(b)カプラン・マイヤー生存率曲線を示す図である。
図12B】変動する量の[225Ac]Ac-macropa-tzPEGSq-EGFRVIII IgG1(0.25~1.0μg/9.25~37.0kBq)またはビヒクルで処置したU87MG.de2-7マウス異種移植片(n=5)の(a)腫瘍成長曲線および(b)カプラン・マイヤー生存率曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
[0076]本明細書では、当業者に周知であるいくつかの用語が使用される。それにもかかわらず、明確性のために、いくつかの用語が定義される。
[0077]下記のいくつかの置換基の定義において、「基は、末端基または架橋基であり得る」と記述される。これは、この用語の使用が、基が分子の他の2つの部分の間のリンカーである状況およびそれが末端部分である状況を包含することを意図していることを表すことを意図したものである。アルキルという用語を例として使用すると、一部の刊行物は、架橋基に「アルキレン」という用語を使用し、したがって、これらの他の刊行物では、「アルキル」という用語(末端基)と「アルキレン」という用語(架橋基)との間には区別がある。本出願では、そのような区別はされず、ほとんどの基は、架橋基または末端基のいずれかであり得る。
【0040】
[0078]基または基の一部としての「アルキル」は、別段の注記がない限り、直鎖状または分枝状の脂肪族炭化水素基、好ましくはC~C12アルキル、より好ましくはC~C10アルキル、最も好ましくはC~Cを指す。好適な直鎖状および分枝状のC~Cアルキル置換基の例は、メチル、エチル、n-プロピル、2-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、ヘキシルなどを含む。基は、末端基または架橋基であり得る。
【0041】
[0079]「ノルマル鎖」という用語は、連結部分の2つの端部をつなぐ直鎖を指す。
[0080]「薬学的に許容される塩」という用語は、上記で特定された化合物の所望の生物学的活性を保持し、薬学的に許容される酸付加塩および塩基付加塩を含む塩を指す。式(I)の化合物の好適な薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸からまたは有機酸から調製され得る。そのような無機酸の例は、塩酸、硫酸、およびリン酸である。適切な有機酸は、脂肪族、脂環式、芳香族、複素環式のカルボン酸およびスルホン酸クラスの有機酸から選択されてもよく、その例は、ギ酸、酢酸、プロパン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸である。同様に、塩基付加塩は、有機または無機塩基を使用して、当技術分野で周知の様式により調製され得る。好適な有機塩基の例は、単純なアミン、例えばメチルアミン、エチルアミン、トリエチルアミンなどを含む。好適な無機塩基の例は、NaOH、KOHなどを含む。薬学的に許容される塩に関する追加の情報は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第19版、Mack Publishing Co.、Easton、PA 1995に見出され得る。固体である薬剤の場合、本発明の化合物、薬剤および塩は、異なる結晶または多形形態で存在してもよく、そのすべてが、本発明および規定された式の範囲内にあることを意図していることが当業者により理解される。
【0042】
[0081]「治療有効量」または「有効量」という用語は、有益なまたは所望の臨床結果をもたらすのに十分な量である。有効量は、1回または複数回の投与で投与され得る。有効量は、典型的には、病状を和らげる、改善する、安定化する、逆転させる、減速させるまたはその進行を遅らせるのに十分である。
【0043】
[0082]上述のとおり、本発明の化合物は、式(I)、(Ia)または(Ib)を有する。特定の有用性を保有する構造的に関連する化合物の任意の群と同様に、式(I)、(Ia)または(Ib)の化合物の可変要素のある特定の実施形態は、その最終用途において特に有用である。
【0044】
[0083]本発明の化合物において、Aは、CO、およびPOからなる群から選択される。一部の実施形態では、Aは、COである。一部の実施形態では、Aは、POである。
【0045】
[0084]本発明の化合物において、Bは、CO、およびPOからなる群から選択される。一部の実施形態では、Bは、COである。一部の実施形態では、Bは、POである。
【0046】
[0085]本発明の化合物において、R、RおよびRは、各々独立して、HおよびC~C12アルキルからなる群から選択される。
[0086]一部の実施形態では、Rは、Hである。一部の実施形態では、Rは、C~C12アルキルである。一部の実施形態では、Rは、メチル、エチル、イソプロピル、プロピル、2-エチル-プロピル、3,3-ジメチル-プロピル、ブチル、イソブチル、3,3-ジメチル-ブチル、2-エチル-ブチル、ペンチル、2-メチル、ペンチル、およびヘキシルからなる群から選択される。
【0047】
[0087]一部の実施形態では、Rは、Hである。一部の実施形態では、Rは、C~C12アルキルである。一部の実施形態では、Rは、メチル、エチル、イソプロピル、プロピル、2-エチル-プロピル、3,3-ジメチル-プロピル、ブチル、イソブチル、3,3-ジメチル-ブチル、2-エチル-ブチル、ペンチル、2-メチル、ペンチル、およびヘキシルからなる群から選択される。
【0048】
[0088]本発明の化合物の一部の実施形態では、Aは、COであり、Bは、COであり、Rは、Hであり、Rは、Hである。これは、それぞれ式(II)、(IIa)および(IIb)の化合物を与える:
【0049】
【化9】
【0050】
[0089](式中、R、R、LおよびRは、上記で定義されたとおりである)。
【0051】
【化10】
【0052】
[0090](式中、R、R、L RおよびMは、上記で定義されたとおりである)。
【0053】
【化11】
【0054】
[0091](式中、R、R、L RおよびMは、上記で定義されたとおりである)。
[0092]本発明の化合物において、各Rは、独立して、H、F、Cl、Br、I、CH、CHCH、CH(CH、OH、OCH、OCHCH、CF、OCF、NO、NH、およびCNからなる群から選択される。一部の実施形態では、各Rは、独立して、H、F、Cl、Br、I、CH、CHCH、OH、OCH、OCHCH、およびCNから選択される。一部の実施形態では、各Rは、独立して、H、CH、CHCH、およびOHから選択される。一部の実施形態では、各Rは、Hである。
【0055】
[0093]本発明の化合物において、各Rは、独立して、H、F、Cl、Br、I、CH、CHCH、CH(CH、OH、OCH、OCHCH、CF、OCF、NO、NH、およびCNからなる群から選択される。一部の実施形態では、各Rは、独立して、H、F、Cl、Br、I、CH、CHCH、OH、OCH、OCHCH、およびCNから選択される。一部の実施形態では、各Rは、独立して、H、CH、CHCH、およびOHから選択される。一部の実施形態では、各Rは、Hである。
【0056】
[0094]本発明の化合物の一部の実施形態では、Aは、COであり、Bは、COであり、Rは、Hであり、Rは、Hであり、各Rは、Hであり、各Rは、Hである。これは、それぞれ式(III)、(IIIa)および(IIIb)の化合物を与える。
【0057】
【化12】
【0058】
[0095](式中、LおよびRは、上記で定義されたとおりである)。
【0059】
【化13】
【0060】
[0096](式中、L RおよびMは、上記で定義されたとおりである)。
【0061】
【化14】
【0062】
[0097](式中、L、RおよびMは、上記で定義されたとおりである)。
[0098]一部の実施形態では、Rは、Hである。一部の実施形態では、Rは、C~C12アルキルである。一部の実施形態では、Rは、メチル、エチル、イソプロピル、プロピル、2-エチル-プロピル、3,3-ジメチル-プロピル、ブチル、イソブチル、3,3-ジメチル-ブチル、2-エチル-ブチル、ペンチル、2-メチル、ペンチル、およびヘキシルからなる群から選択される。一部の実施形態では、Rは、メチルである。一部の実施形態では、Rは、エチルである。
【0063】
[0099]R部分を含有する本発明の化合物において、Rは、抗体である。ある特定の実施形態では、Rは、モノクローナル抗体である。ある特定の実施形態では、Rは、ペンプリマブ、シンチリマブ、トリパリマブ、オムブルタマブ、チソツマブ、レチファンリマブ、ウブリツキシマブ、アニフロルマブ、ロンカスツキシマブ、バルスチリマブ、ドスタルリマブ、オポルツズマブ、マルジェツキシマブ、ナキシタマブ、ベランタマブ、タファシタマブ、サシツズマブ、イサツキシマブ、トラスツズマブ(ハーセプチン)、ギレンツキシマブ、イファボツズマブ、デパツキシズマブ、エンホルツマブ、ポラツズマブ、エマパルマブ、セミプリマブ、モキセツモマブ、モガムリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブ、アテゾリズマブ、オララツマブ、ダラツムマブ、エロツズマブ、ネシツムマブ、ジヌツキシマブ、ニボルマブ、ブリナツモマブ、ブリナツモマブ、ラムシルマブ、オビヌツズマブ、アド-トラスツズマブ、ペルツズマブ、ブレンツキシマブ、イピリムマブ、オファツムマブ、カツマキソマブ、パニツムマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、トシツモマブ-I131、イブリツモマブ、アレムツズマブ、ゲムツズマブ、リツキシマブ、エドレコロマブ、ニモツズマブ、プロルゴリマブ、およびセツキシマブからなる群から選択される。
【0064】
[0100]一実施形態では、抗体は、ハーセプチンである。一実施形態では、抗体は、EphA3 IgG1モノクローナル抗体である。一実施形態では、抗体は、EGFRVIII IgG1モノクローナル抗体である。一実施形態では、抗体は、アイソタイプ対照IgG1である。
【0065】
[0101]本発明の化合物において、Lは、ノルマル鎖中に1から20個の原子を有するリンカーである。一部の実施形態では、Lは、ノルマル鎖中に2から19個の原子を有するリンカーである。一部の実施形態では、Lは、ノルマル鎖中に3から18個の原子を有するリンカーである。一部の実施形態では、Lは、ノルマル鎖中に4から17個の原子を有するリンカーである。一部の実施形態では、Lは、ノルマル鎖中に5から16個の原子を有するリンカーである。一部の実施形態では、Lは、ノルマル鎖中に6から15個の原子を有するリンカーである。一部の実施形態では、Lは、ノルマル鎖中に7から14個の原子を有するリンカーである。一部の実施形態では、Lは、ノルマル鎖中に8から13個の原子を有するリンカーである。一部の実施形態では、Lは、ノルマル鎖中に9から12個の原子を有するリンカーである。
【0066】
[0102]一部の実施形態では、Lは、ノルマル鎖中に1個の原子を有するリンカーである。一部の実施形態では、Lは、ノルマル鎖中に2個の原子を有するリンカーである。一部の実施形態では、Lは、ノルマル鎖中に3個の原子を有するリンカーである。一部の実施形態では、Lは、ノルマル鎖中に4個の原子を有するリンカーである。一部の実施形態では、Lは、ノルマル鎖中に5個の原子を有するリンカーである。一部の実施形態では、Lは、ノルマル鎖中に6個の原子を有するリンカーである。一部の実施形態では、Lは、ノルマル鎖中に7個の原子を有するリンカーである。一部の実施形態では、Lは、ノルマル鎖中に8個の原子を有するリンカーである。一部の実施形態では、Lは、ノルマル鎖中に9個の原子を有するリンカーである。一部の実施形態では、Lは、ノルマル鎖中に10個の原子を有するリンカーである。一部の実施形態では、Lは、ノルマル鎖中に11個の原子を有するリンカーである。一部の実施形態では、Lは、ノルマル鎖中に12個の原子を有するリンカーである。一部の実施形態では、Lは、ノルマル鎖中に13個の原子を有するリンカーである。一部の実施形態では、Lは、ノルマル鎖中に14個の原子を有するリンカーである。一部の実施形態では、Lは、ノルマル鎖中に15個の原子を有するリンカーである。一部の実施形態では、Lは、ノルマル鎖中に16個の原子を有するリンカーである。一部の実施形態では、Lは、ノルマル鎖中に17個の原子を有するリンカーである。一部の実施形態では、Lは、ノルマル鎖中に18個の原子を有するリンカーである。一部の実施形態では、Lは、ノルマル鎖中に19個の原子を有するリンカーである。一部の実施形態では、Lは、ノルマル鎖中に20個の原子を有するリンカーである。
【0067】
[0103]一部の実施形態では、Lは、式:
-(CH
を有するリンカーであり、ここで、mは、1、2、3、4、5、6、7、8、9 10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、および20からなる群から選択される整数である。
【0068】
[0104]一部の実施形態では、Lは、-(CH-、-(CH-、-(CH-、-(CH10-、-(CH11-、-(CH12-、-(CH13-、-(CH14-、および-(CH15-からなる群から選択される。
【0069】
[0105]一部の実施形態では、Lは、式:
-(CHCHO)-CHCH
[0106]のリンカーであり、ここで、nは、0、1、2、3、4、および5からなる群からの整数である。
【0070】
[0107]一部の実施形態では、Lは、-(CHCHO)-CHCH-、-(CHCHO)-CHCH-、-(CHCHO)-CHCH-、-(CHCHO)-CHCH-および-(CHCHO)-CHCH-からなる群から選択される。
【0071】
[0108]一部の実施形態では、Lは、-(CHCHO)-CHCH2-である。一部の実施形態では、Lは、-(CHCHO)-CHCH2-である。一部の実施形態では、Lは、-(CHCHO)-CHCH2-である。一部の実施形態では、Lは、-(CHCHO)-CHCH2-である。一部の実施形態では、Lは、-(CHCHO)-CHCH-である。
【0072】
[0109]特に好ましい実施形態では、Lは、-(CHCHO)-CHCH2-である。
[0110]本発明の大員環は、原理上、いくつかの金属に結合し得る。適用上、化合物は、放射線療法において使用され、したがって、Mは、放射性核種であることが好ましい。ある特定の実施形態では、Mは、アクチニウム-225、ルテチウム-177、ジルコニウム-89、テルビウム-149、テルビウム-152、テルビウム-155、テルビウム-161、ラジウム-223、ビスマス-212、インジウム-111、イットリウム-86、イットリウム-89、イットリウム-90、および鉛-212からなる群から選択される。
【0073】
[0111]一部の実施形態では、Mは、アクチニウム-225である。一部の実施形態では、Mは、ルテチウム-177である。一部の実施形態では、Mは、ジルコニウム-89である。一部の実施形態では、Mは、テルビウム-149である。一部の実施形態では、Mは、テルビウム-152である。一部の実施形態では、Mは、テルビウム-155である。一部の実施形態では、Mは、テルビウム-161である。一部の実施形態では、Mは、ラジウム-223である。一部の実施形態では、Mは、ビスマス-212である。一部の実施形態では、Mは、インジウム-111である。一部の実施形態では、Mは、イットリウム-86である。一部の実施形態では、Mは、イットリウム-89である。一部の実施形態では、Mは、イットリウム-90である。一部の実施形態では、Mは、鉛-212である。
【0074】
[0112]特に好ましい実施形態では、Mは、アクチニウム-225である。
[0113]放射性核種Mを含有する本発明の化合物は、典型的には、金属を適切な式のコンジュゲートとともにインキュベーションすることにより形成される。インキュベーションは、任意の温度で行われ得るが、放射性核種の本発明の化合物との結合は、非常に急速であり、その結果、結合が室温で行われ得、それでもなお極めて急速であることが見出される。一旦結合すると、こうして形成された錯体は、非常に安定であることが見出される。
【0075】
[0114]原理上、金属は、抗体を含有する化合物とも錯体化され得るが、典型的には、抗体の添加前に放射性核種を化合物と錯体化することがより効率的であることが見出される。理論に拘泥することを望むものではないが、これは、抗体上の部位が金属に結合するために大員環と競合し得ることから、より効率的な錯体化を確実にすると思われる。したがって、抗体の添加前に錯体を放射性核種と反応させることが普通である。
【0076】
[0115]抗体を含有する化合物は、典型的には、式(I)、(Ia)、(II)、(IIa)、(III)および(IIIa)の化合物を抗体上のペンダントアミン基と反応させて、抗体を含有する化合物を形成することにより形成される。当業者により認識されるとおり、多くの抗体は、本発明の化合物上のスクアラミド部分との反応性に利用可能な複数のアミン残基を含有する。したがって、一部の実施形態では、各抗体は、2種以上の本発明の化合物とコンジュゲート化される。一部の実施形態では、各抗体は、2種の本発明の化合物とコンジュゲート化される。一部の実施形態では、各抗体は、3種の本発明の化合物とコンジュゲート化される。一部の実施形態では、各抗体は、4種の本発明の化合物とコンジュゲート化される。一部の実施形態では、各抗体は、5種の本発明の化合物とコンジュゲート化される。反応化学量論および一般反応条件の制御は、最終抗体コンジュゲートの形成を制御するために使用され得る。
【0077】
[0116]放射性核種(M)およびターゲティング抗体(R)を含有する本発明の化合物は、がんの標的化放射線療法において使用される能力を有する。化合物上に抗体が存在する結果として、化合物は、がん細胞を標的とする(すなわち、それに選択的に結合する)。化合物ががん細胞に選択的に結合する結果として、放射性核種により生成される放射線は、がん細胞に近接して放出され、それにより、身体のその他の細胞ではなくがん細胞により大きな損傷を引き起こす。これは、放射性核種がアルファ粒子を放射する場合に特に有効であることが見出される。
【0078】
[0117]したがって、本発明の化合物は、がんの処置において有用な治療特性を有すると予想される。がんの例は、前立腺がん、乳がん、膵臓がん、結腸がん、非小細胞肺がん、肝細胞癌、肝内胆管癌、腎細胞癌、子宮内膜癌、食道癌、食道/食道胃接合部癌、骨肉腫、ウィルムス腫瘍、中皮腫、扁平上皮癌、多形性膠芽腫、黒色腫および卵巣癌を含む。
【0079】
[0118]本発明の化合物のヒトへの投与は、非経口投与のための認められた方式、例えば皮下、筋肉内、静脈内および皮内経路のいずれかによることができる。注射は、ボーラスまたは持続もしくは間欠注入によるものであり得る。活性化合物は、典型的には、薬学的に許容される担体または希釈剤中に、治療有効用量を患者に送達するのに十分な量で含まれる。
【0080】
[0119]本発明の化合物は、化合物を所望の標的細胞への結合に利用可能にする任意の形態または方式で投与され得る。製剤の調製の技術分野の当業者は、選択された化合物の特定の性質、処置されるべき状態、処置されるべき状態の病期および他の関連する事情に応じて、投与の適当な形態および方式を容易に選択することができる。さらなる情報については、Remingtons Pharmaceutical Sciences、第19版、Mack Publishing Co.(1995)を参照されたい。
【0081】
[0120]本発明の化合物は、単独で、または薬学的に許容される担体、希釈剤もしくは賦形剤と組み合わせた医薬組成物の形態で投与され得る。本発明の化合物は、それ自体有効であるが、典型的には、その薬学的に許容される塩の形態で製剤化および投与され、その理由は、これらの形態は、典型的には、より安定であり、より結晶化されやすく、溶解性が増加しているからである。
【0082】
[0121]しかしながら、化合物は、典型的には、所望の投与方式に応じて製剤化される医薬組成物の形態で使用される。したがって、一部の実施形態では、本発明は、本発明の化合物と、薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤とを含む、医薬組成物を提供する。組成物は、当技術分野で周知の様式で調製される。
【0083】
[0122]非経口注射のための本発明の医薬組成物は、薬学的に許容される滅菌水性または非水性溶液、分散液、懸濁液または乳濁液、および使用の直前に滅菌注射用溶液または分散液に再構成するための滅菌粉末を含む。好適な水性および非水性担体、希釈剤、溶媒またはビヒクルの例は、水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、およびそれらの好適な混合物、植物油(例えばオリーブ油)、ならびに注射用有機エステル、例えばオレイン酸エチルを含む。適当な流動性は、例えば、コーティング材料、例えばレシチンの使用により、分散液の場合は必要とされる粒子サイズの維持により、および界面活性剤の使用により維持され得る。
【0084】
[0123]これらの組成物はまた、アジュバント、例えば保存剤、湿潤剤、乳化剤、および分散剤を含有し得る。微生物の作用の防止は、様々な抗菌および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などを含むことにより確実にされ得る。等張剤、例えば糖、塩化ナトリウムなどを含むことも望ましい場合がある。注射用医薬品形態の長期的吸収は、吸収を遅らせる作用物質、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを含むことによりもたらされ得る。
【0085】
[0124]注射用製剤は、例えば、細菌保持フィルターを通した濾過により、または使用の直前に滅菌水もしくは他の滅菌注射用媒体に溶解もしくは分散され得る滅菌固体組成物の形態の滅菌剤を組み込むことにより滅菌され得る。
【0086】
[0125]投与される化合物の量は、好ましくは、状態を処置および軽減または緩和する。治療有効量は、担当診断医により、従来の技術を使用して、および類似の事情の下で得られた結果を観察することにより容易に決定され得る。治療有効量を決定する際には、動物の種、そのサイズ、年齢および全般的な健康状態、関与する具体的な状態、状態の重症度、処置に対する患者の応答、投与される特定の化合物、投与方式、投与される調製物のバイオアベイラビリティ、選択された投薬計画、他の薬物療法の使用ならびに他の関連する事情を含むがこれらに限定されない、いくつかの因子が考慮されるべきである。
【0087】
[0126]好ましい投薬量は、1日当たり体重1キログラム当たり約0.01から300mgの範囲である。より好ましい投薬量は、1日当たり体重1キログラム当たり0.1から100mg、より好ましくは1日当たり体重1キログラム当たり0.2から80mg、なおより好ましくは1日当たり体重1キログラム当たり0.2から50mgの範囲内である。好適な用量は、1日当たり複数の部分用量で投与され得る。
本発明の化合物の合成
[0127]本発明の化合物は、公知の有機合成技術を使用して調製されてもよく、容易に利用可能である出発材料を使用して、当技術分野で利用可能な技術を用いて、下記の反応経路および合成スキームを含む多数の可能な合成経路のいずれかに従って合成され得る。実施形態の化合物の調製は、以下の実施例に詳細に記載されるが、当業者は、記載された化学反応を、様々な実施形態の他の薬剤を調製するために容易に適合させることができることを把握する。
【0088】
[0128]本発明の化合物を調製するための反応は、有機合成の技術分野の当業者により容易に選択され得る好適な溶媒中で行われ得る。好適な溶媒は、反応が行われる温度、例えば、溶媒の凍結温度から溶媒の沸騰温度までの範囲であり得る温度で、出発材料(反応物)、中間体、または生成物と実質的に非反応性であり得る。所与の反応は、1種の溶媒または2種以上の溶媒の混合物中で行われ得る。反応工程に応じて、特定の反応工程に好適な溶媒が当業者により選択され得る。
【0089】
[0129]本発明の化合物の調製は、様々な化学基の保護および脱保護を伴い得る。保護および脱保護の必要性、ならびに適切な保護基の選択は、当業者により容易に決定され得る。保護基の化学は、例えば、T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis、第3版、Wiley & Sons,Inc.、New York(1999)に見出され得、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0090】
[0130]反応は、当技術分野で公知の任意の好適な方法に従ってモニタリングされ得る。例えば、生成物の形成は、分光学的手段、例えば核磁気共鳴分光法(例えば、Hもしくは13C)、赤外分光法、分光光度法(例えば、紫外可視)、もしくは質量分析により、またはクロマトグラフィー、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)もしくは薄層クロマトグラフィーによりモニタリングされ得る。
【0091】
[0131]本明細書で使用される「周囲温度」、「室温」、および「r.t.」という表現は、当技術分野で理解され、一般に、反応が行われる部屋の温度付近である温度、例えば、反応温度を指し、例えば、約20℃から約30℃の温度を指す。
【0092】
[0132]またなおさらなる態様では、本発明は、式(I)の化合物:
【0093】
【化15】
【0094】
[0133](式中、
[0134]Aは、CO、およびPOからなる群から選択され、
[0135]Bは、CO、およびPOからなる群から選択され、
[0136]R、RおよびRは、各々独立して、HおよびC~C12アルキルからなる群から選択され、
[0137]各Rは、独立して、H、F、Cl、Br、I、CH、CHCH、CH(CH、OH、OCH、OCHCH、CF、OCF、NO、NH、およびCNからなる群から選択され、
[0138]各Rは、独立して、H、F、Cl、Br、I、CH、CHCH、CH(CHOH、OCH、OCHCH、CF、OCF、NO、NH、およびCNからなる群から選択され、
[0139]Lは、ノルマル鎖中に1から20個の原子を有するリンカーである)、
[0140]またはその薬学的に許容される塩を合成するための方法であって、
[0141]
[0142](a)式(II)の化合物:
【0095】
【化16】
【0096】
[0143](式中、Aは、CO、およびPOからなる群から選択され、
[0144]Bは、CO、およびPOからなる群から選択され、
[0145]R、およびRは、各々独立して、HおよびC~C12アルキルからなる群から選択され、
[0146]各Rは、独立して、H、F、Cl、Br、I、CH、CHCH、CH(CH、OH、OCH、OCHCH、CF、OCF、NO、NH、およびCNからなる群から選択され、
[0147]各Rは、独立して、H、F、Cl、Br、I、CH、CHCH、CH(CH、OH、OCH、OCHCH、CF、OCF、NO、NH、およびCNからなる群から選択される)を用意する工程、
[0148](b)式(II)の化合物を、式(III)の化合物:
【0097】
【化17】
【0098】
[0149](式中、Rは、HおよびC~C12アルキルからなる群から選択され、
[0150]Lは、ノルマル鎖中に1から20個の原子を有するリンカーである)と、
[0151]銅(I)触媒の存在下で反応させる工程
を含む、方法を提供する。
【0099】
[0152]反応は、任意の好適な溶媒中で行われ得る。好適な溶媒の例は、極性有機溶媒およびそれらの組合せを含む。使用され得る極性溶媒の例は、ジメチルホルムアミド(DMF)、アルコール(例えばメタノール、エタノール、プロパノールおよびt-ブタノール)、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフランおよびアセトニトリルを含む。一部の実施形態では、溶媒は、上記で論じられた極性有機溶媒と、水との組合せである。一部の実施形態では、極性有機溶媒対水の比は、10:1から1:1である。一実施形態では、極性有機溶媒対水の比は、8:1から1:1である。一実施形態では、極性有機溶媒対水の比は、6:1から1:1である。一実施形態では、極性有機溶媒対水の比は、5:1から3:1である。一実施形態では、極性有機溶媒対水の比は、約4:1である。好ましい一実施形態では、溶媒は、4:1の体積比のDMF:水である。
【0100】
[0153]反応は、広範囲の温度にわたって行われ得る。一部の実施形態では、反応は、5℃から50℃の温度で行われる。一実施形態では、反応は、10℃から30℃の温度で行われる。一実施形態では、反応は、15℃から25℃の温度で行われる。一実施形態では、反応は、20℃から25℃の温度で行われる。
【0101】
[0154]反応は、典型的には、出発材料の完全な反応を達成するのに十分な期間行われる。一部の実施形態では、反応は、1から24時間実行される。一部の実施形態では、反応は、4から20時間実行される。一部の実施形態では、反応は、8から16時間実行される。一部の実施形態では、反応は、10から14時間実行される。
【0102】
[0155]上述のとおり、反応は、銅(I)触媒の存在下で行われる。好適な銅触媒の例は、銅(I)塩(ヨウ化物、臭化物、塩化物、酢酸塩)、銅(I)錯体:例えば[Cu(CHCN)]PFおよび[Cu(CHCN)]BFまたはトリフレート対イオン、硫酸銅(II)五水和物および酢酸銅(II)を含む。一実施形態では、銅触媒は、硫酸銅の還元によりin situで発生させる。
【0103】
[0156]ある特定の実施形態では、反応は、銅(I)を溶液中で安定化するのに役立つ銅(I)配位子の存在下で行われ、この場合、銅(I)配位子は、TBTA、TEOTA、THPTA、BTTES、BTTAA、BTTP、BTTPS、(BimH)、(Bth)、BPS、および4,4’-ジメチル;-2,2’-ビピリミジンからなる群から選択される。
【0104】
[0157]反応の完了に続いて、反応媒体を当技術分野で公知の様式で後処理し、得られた反応生成物を精製して、所望の最終生成物を得る。
[0158]本発明がこれから実施例によって例示されるが、実施例は、それらへの限定であると解釈されるべきではない。本明細書に記載された方法および合成プロトコルまたはその適切な変形もしくは修正を使用して、下記のもの以外の追加の化合物が調製され得る。
【実施例
【0105】
実験
材料および試薬
[0159]すべての溶媒および試薬は、標準的な商業的供給業者から購入し、受け取ったまま使用した。
機器
[0160]H、13C、COSY、HSQC、HMBCはすべて、Varian FT NMR500のFT-NMR400分光計(Varian、California、米国)を使用して記録した。すべてのH NMRスペクトルは、400MHzまたは500MHzで取得し、13Cスペクトルは、101MHzまたは126MHzで取得した。報告されたピークはすべて、25℃で100万分の1のオーダーで溶媒ピークを基準とした。
【0106】
[0161]ESI-QTOF MSは、Exactive Plus Orbitrap Infusion質量分析計(Exactiveシリーズ、2.8 Build 268801、ThermoFisher Scientific)において収集した。分析は、Xcalibur 4.0.27.10(ThermoFisher Scientific)を使用して実施した。
【0107】
[0162]タンパク質サンプルは、Agilent 1200 LCシステム(Agilent、Palo Alto、CA)に連結されたAgilent 6220 ESI-TOF LC/MS質量分析計において分析した。すべてのデータは、デュアルスプレーエレクトロスプレーイオン化(ESI)源によって取得し、基準質量補正した。取得は、Agilent Mass Hunter AcquisitionソフトウェアバージョンB.02.01(B2116.30)を使用して実施した。イオン化モード:エレクトロスプレーイオン化;乾燥ガス流量:7L/分;ネブライザー:241317Pa(35psi);乾燥ガス温度:325℃;キャピラリー電圧(Vcap):4000V;フラグメンター:300V;スキマー:65V;OCT RFV:250V;取得スキャン範囲:300~3200m/z 内部基準イオン:陽イオンモード=m/z=121.050873および922.009798。タンパク質の脱塩およびクロマトグラフィー分離は、廃棄につながれる、5%(v/v)アセトニトリルを使用する、Agilent Poroshell C18 2.1×75mm、5μmカラムを使用して実施した(0~5分)。サンプルの脱塩後、0.25mL/分で8分にわたる(5%(v/v)から100%(v/v))アセトニトリル/0.1%ギ酸を用いた後続の勾配溶離のために流れを再びESI源につないだ。分析は、Mass HunterバージョンB.06.00を最大エントロピータンパク質デコンボリューションアルゴリズムを使用するBioConfirmソフトウェアとともに使用し;質量ステップ1Da;ベースライン係数3.00;不確定に設定したピーク幅を使用して実施した。
【0108】
[0163]非放射性分析用HPLCは、Alltech Hypersil BDS-C18(4.6×150nm、5μm、カラムA)またはPhenomonex Luna C18(2)カラム(4.6mm×150mm、5μm、カラムB)およびPhenomenex SecurityGuard(商標)C18ガードカートリッジ(4mm×30mm)を装着したAgilent 1200シリーズHPLCシステムにおいて、1mL/分の流速;システムA:バッファーA=HO中0.1%TFAおよびバッファーB=アセトニトリル中0.1%TFAの勾配溶離(25分にわたりA中0から100%B)ならびにλ220、254、280nmおよび350nmでのUV検出で実施した。
【0109】
[0164]精製工程には、複数のクロマトグラフィーシステムを使用した。8mL/分の流速でのセミ分取RP-HPLC(Lunar C18カラム、100Å 21.2×250mm、5μmにおけるAgilent 1200シリーズHPLCシステム)。システムB:バッファーA=HO中0.1%TFAおよびバッファーB=アセトニトリル中0.1%TFAの勾配溶離(30分でA中0から40%B、35分でA中40~100%B、40分で100%B)ならびに214および254nmでの検出。システムC:以下の勾配(40分でA中0から100%B、44分で100%B、45分でA中100から0%B)を用いたシステムB。
【0110】
[0165]放射能は、cal#108に設定したCapintec CRC-55tPETドーズキャリブレーターまたは320~500keVのエネルギーウィンドウ(Bi-213)に設定したPerkinElmer Wizard 2-2470自動ガンマカウンターのいずれかを使用して測定した。
【0111】
[0166]タンパク質濃度は、Thermo Scientific NanoDrop Lite分光光度計を使用して決定し、測定前のそれぞれのビヒクルバッファーについてのブランク読み取り値を差し引いた。
【0112】
[0167]薄層クロマトグラフィー(TLC)は、裏面がアルミニウムのシリカゲル60 F254ストリップ(Merck、Darmstadt、ドイツ)および移動相としての0.4Mクエン酸ナトリウムpH4+10%メタノールを使用して実施した。展開したTLCストリップを、永続平衡状態(展開後最低8時間)でElysia-Raytest Gina Star TLCリーダーを使用して測定した。対照(すなわち、キレーターなし)のクロマトグラムを図1に示す。これは、予想されたとおり、アクチニウムを含有する溶液は、HmacropaまたはHmacropa-tzPEGSqOEtが存在しない場合、溶媒先端(R=1)とともに移動することを示す。
【0113】
[0168]インスタントTLC(iTLC)は、ガラスマイクロファイバーiTLC-SGクロマトグラフィーペーパーストリップ(Agilent、CA、米国)および移動相としての50mM EDTA pH5または50mMクエン酸pH5のいずれかを使用して実施した。展開したiTLCストリップを、永続平衡状態(展開後最低8時間)でElysia-Raytest Gina Star TLCリーダーを使用して測定した。対照(すなわち、キレーターなし)のクロマトグラムを図2に示す。これは、予想されたとおり、アクチニウムを含有する溶液は、Hmacropa-tzPEGSq-コンジュゲート化モノクローナル抗体が存在しない場合、溶媒先端(R=1)とともに移動することを示す。
【0114】
[0169]サイズ排除HPLC(SE-HPLC)は、フラクションコレクターおよびダイオードアレイ検出器を備えた1200シリーズAgilentシステムにおいて、Phenomenex BioSep-SEC-S3000 5μm 300×7.8mmカラムならびに50mMリン酸バッファーpH7.2、0.2M NaCl、5%イソプロパノール、および0.02%NaNからなる移動相を使用して、1mL/分の流速で実施した。
【0115】
[0170]免疫反応率(immunoreactive fraction)は、ラジオイムノコンジュゲート(20ng)を関連する細胞株(5x10個の細胞)中で周囲温度で45分間インキュベーションし、続いて、細胞懸濁液をスピニングし(2分間2000rcf)、得られた細胞ペレットを培地(1mL)で洗浄することにより決定した。洗浄をさらに2回繰り返し、最終細胞ペレット中の放射能を、永続平衡状態(洗浄後最低8時間)で自動ガンマカウンターを使用して測定した。免疫反応性または免疫反応率(IRF)を、ラジオイムノコンジュゲート(20ng、500μL、3連の平均)を用いて標準物質と比較した細胞ペレット中の放射能の比率として計算した。非特異的結合(NSB)は、上記の手順に従ってラジオイムノコンジュゲート(20ng)をそれぞれの非コンジュゲート化モノクローナル抗体(60μg)とともにインキュベーションすることにより決定した。
【0116】
[0171]トリウム-229から生成されたAc-225は、Oak Ridge National Laboratory(米国)から硝酸塩として購入した。[225Ac]Ac-硝酸塩(およそ25~30MBq)を、30%Suprapur HCl(Sigma)をUltrapur水(Sigma)で希釈することにより調製した塩酸(100μL、0.2M)中で再構成した。同様の放射能濃度を有する再構成済み[225Ac]Ac-硝酸塩の保存溶液を、0.15M酢酸ナトリウムpH5.5(Ac-225の崩壊に応じて1:9~1:1)中で希釈することにより調製した。
【0117】
[0172]精製マウス-ヒトIgG1キメラモノクローナル抗体EGFRVIII IgG1、EphA3 IgG1、およびキメラIgG1アイソタイプ対照、およびヒト化IgG1アイソタイプ対照抗体は、Olivia Newton-John Cancer Research Instituteにより提供された。
【0118】
[0173]U251膠芽腫細胞株は、American Type Culture Collection(ATCC)から入手し、10%ウシ胎仔血清(FCS)を含有するRPMI培地中で培養した。U87MG.de2-7膠芽腫細胞株は、Ludwig Institute for Cancer Researchにより提供され、以前に記載されている(Nishikawa R、Ji XD、Harmon RC、C S Lazar CS、Gill GN、Cavenee WK、Huang HJ.A mutant epidermal growth factor receptor common in human glioma confers enhanced tumorigenicity.Proc Natl Acad Sci USA 1994;91:7727~31)。細胞を、10%FCSおよび0.4mg/mLジェネティシンを含有するDMEM培地中で培養した。SK-RC-52腎細胞癌細胞株は、Catholic University of Nijmegen(オランダ)により提供され、10%FCS、2mM GlutaMAX(Gibco)、ならびに100単位/mLのペニシリンおよび100μg/mLのストレプトマイシンを含むRPMI培地中で培養した。すべての培養物は、37℃で5%COでインキュベーションした。
[0174]材料の大半は、容易に利用可能な供給元から試薬グレードとして商業的に購入した。
【0119】
実施例1
ジメチルピリジン-2,6-ジカルボキシレート(100)
【0120】
【化18】
【0121】
[0175]100を、文献の手順(Tetrahedron 2015、71(33)、5321~5336)を適合させたものに従って調製した。メタノール(30mL)中のピリジン-2,6-ジカルボン酸(4.23g、25.3mmol)および硫酸(1mL)を還流状態で6時間加熱した。固体を無色結晶性固体として濾過した。減圧下で溶媒を除去することにより第2の収量を得、ジクロロメタン(100mL)に溶解し、飽和NaHCO溶液(2×50mL)および水(50mL)で洗浄した。合わせた有機層をMgSOで乾燥し、溶媒を減圧下で除去して、無色固体を得た(3.94g、80%)。ESI-MS{M+H}:196.0599 (C10NOの計算値:196.0605。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.30 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 8.01 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 4.01 (s, 6H).13C NMR (101 MHz, CDCl3)δ165.0, 148.2, 138.4, 128.0, 53.2. Rt= 9.70分 (方法A, カラムB).
【0122】
実施例2
メチル6-(ヒドロキシメチル)ピコリネート(101)
【0123】
【化19】
【0124】
[0176]メチル6-(ヒドロキシメチル)ピコリネートを、適合させた文献のプロトコルを使用して合成した。Inorg.Chem.2008、47(17)、7840~51。0℃のメタノール(200mL)中のジメチル2,6-ピリジン-2,6-ジカルボキシレート(6.0g、30.6mmol)に、水素化ホウ素ナトリウム(2.32g、62mmol)を1時間にわたり添加した。反応混合物を室温で5時間撹拌した。溶液を0℃の飽和NHCl(100mL)を使用してクエンチし、メタノールを減圧下で除去した。水層をジクロロメタン(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。無色固体をカラムクロマトグラフィー(DCM中0~2%MeOH)により精製して、化合物101を得た(3.37g、57%)。ESI-MS{M+H}:168.0652 (C10NOの計算値:168.0655。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.01 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 7.83 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.53 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 4.85 (s, 2H), 3.97 (d, J = 0.7 Hz, 3H). 13C NMR (125.7 MHz, CDCl3): δ 165.0, 148.2, 138.4, 128.0, 53.2. Rt= 6.67分 (方法A, カラムA).
【0125】
実施例3
メチル-6-クロロメチル-ピリジン-2-カルボキシレート(102)
【0126】
【化20】
【0127】
[0177]メチル-6-クロロメチル-ピリジン-2-カルボキシレートを、適合させた文献のプロトコルを使用して合成した。塩化チオニル(6mL)を、N雰囲気下0℃で、メチル-6-ヒドロキシメチル-2-ピリジンカルボキシレート(2.5g、15mmol)にゆっくり添加し、1時間撹拌した。1時間後、塩化チオニルを真空中で除去した。残渣をトルエン(50mL)に溶解し、飽和NaHCO(50mL)で洗浄した。有機画分をMgSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去して、油状物を得、これが沈殿して、オフホワイト色固体を生じた(2.42g、90%)。ESI-MS{M+H}:186.0319 (CClNOの計算値:186.0244。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.09 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 7.91 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 7.74 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 4.79 (s, 2H), 4.02 (s, 3H). 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 165.3, 157.2, 147.5, 138.1, 126.2, 124.5, 53.1, 46.3. Rt= 7.65分 (方法A, カラムA).
【0128】
実施例4
ジエチル-4-ヒドロキシピリジン-2,6-カルボキシレート(103)
【0129】
【化21】
【0130】
[0178]ジエチル-4-ヒドロキシピリジン-2,6-カルボキシレートを、適合させた文献のプロトコルを使用して合成した。ケリダム酸(4.0g、21.8mmol)をエタノール(150mL)に溶解し、硫酸(6滴)を添加し、16時間還流した。エタノールを減圧下で除去し、さらに精製することなく次の反応において使用した(3.98g、76%)。ESI-MS{M+H}:240.0866 (C1114NOの計算値:240.0867。124℃。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 9.40 (br, 1H), 7.45 (s, 2H), 4.45 (q, 4H), 1.41(t, 6H). Rt= 7.85分 (方法A, カラムA).
【0131】
実施例5
ジエチル4-(プロパ-2-イン-1-イルオキシ)ピリジン-6-ジカルボキシレート(104)
【0132】
【化22】
【0133】
[0179]ジエチル4-(プロパ-2-イン-1-イルオキシ)ピリジン-2,6-ジカルボキシレートを、適合させた文献のプロトコルを使用して合成した。DMF(30ml)中のケリダム酸ジエチル(4)(3.15g、13.2mmol)およびKCO(3.6g、26.4mmol)の懸濁液に、臭化プロパルギル溶液(トルエン中80重量%-4.69mL、52.3mmol)を添加した。溶解性を助けるために混合物を80℃で3時間加熱し、次いで、室温で終夜撹拌した。次いで、混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(DCM中0~2%MeOH)により精製して、化合物104を淡黄色または褐色のいずれかの固体として得た(2.47g、68%)。ESI-MS{M+H}:278.1021 (C1416NOの計算値:278.1023 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.80 (s, 2H), 5.11 (s, 2H), 4.38 (q, J = 7.1 Hz, 4H), 3.75 (s, 1H), 1.34 (t, J = 7.1 Hz, 6H). 13C NMR (101 MHz, DMSO-d6) δ 165.5, 164.4, 150.1, 114.9, 80.3, 78.1, 62.1, 57.0, 39.7, 14.5. Rt= 8.75分 (方法A, カラムA).
【0134】
実施例6
2-ヒドロキシメチル4-(プロパ-2-イン-1-イルオキシ)ピリジン-6-エチルカルボキシレート(105)
【0135】
【化23】
【0136】
[0180]2-ヒドロキシメチル4-(プロパ-2-イン-1-イルオキシ)ピリジン-6-エチルカルボキシレートを、適合させた文献のプロトコルを使用して合成した。0℃のエタノール(100mL)中のジエチル4-(プロパ-2-イン-1-イルオキシ)ピリジン-2,6-ジカルボキシレート(1.81g、6.49mmol)に、水素化ホウ素ナトリウム(0.319g、8.44mmol)を0.5時間にわたり添加した。反応混合物を室温で3時間撹拌し、出発材料が残存しなくなるまでMSによってモニタリングした。溶液を0℃の飽和NHCl(50mL)を使用してクエンチし、エタノールを減圧下で除去した。水層を酢酸エチル(3×70mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去して、オフホワイト色の化合物6をさらに精製することなく得た(1.2g、75%)。ESI-MS{M+H}:236.0919 (C1214NOの計算値:236.0918。1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ 7.62 (s, 1H), 7.09 (s, 1H), 4.81 (s, 4H), 4.45 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 2.60 (t, J = 2.3 Hz, 1H), 1.42 (t, J = 7.1 Hz, 3H). 13C NMR (126 MHz, クロロホルム-d) δ 165.2, 164.7, 162.1, 148.8, 111.4, 109.7, 76.7, 64.5, 62.1, 56.0, 14.3. Rt= 11.32分 (方法A, カラムA).
【0137】
実施例7
2-クロロメチル4-(プロパ-2-イン-1-イルオキシ)ピリジン-6-エチルカルボキシレート(106)
【0138】
【化24】
【0139】
[0181]塩化チオニル(6mL)を、N雰囲気下0℃で、2-ヒドロキシメチル4-(プロパ-2-イン-1-イルオキシ)ピリジン-6-エチルカルボキシレート(0.4g、1.7mmol)にゆっくり添加し、3時間撹拌した。3時間後、塩化チオニルを真空中で除去して、淡黄色残渣を得、これを酢酸エチル(20mL)に溶解し、飽和NaHCO(30mL)および水(30mL)で洗浄した。有機画分をMgSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去して、淡黄色粉末を得た(0.33g、77%)。ESI-MS{M+H}:254.0578 (C1214NOの計算値:254.0578。1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ 7.62 (s, 1H), 7.09 (s, 1H), 4.81 (s, 4H), 4.45 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 2.60 (t, J = 2.3 Hz, 1H), 1.42 (t, J = 7.1 Hz, 3H). 13C NMR (126 MHz, クロロホルム-d) δ 165.2, 164.7, 162.1, 148.8, 111.4, 109.7, 76.7, 64.5, 62.1, 56.0, 14.3. Rt = 14.942分 (方法A, カラムB).
【0140】
実施例8
メチル6-((1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-7-イル)メチル)ピコリネート(107)
【0141】
【化25】
【0142】
[0182]メチル6-((1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-7-イル)メチル)ピコリネートを、適合させた文献のプロトコルを使用して合成した。75℃の乾燥ACN(350mL)中の1,7,10,16-テトラオキサ-4,13-ジアザシクロオクタデカン(0.77g、3.02mmol)およびDIPEA(0.34g、3.93mmol)の溶液に、乾燥ACN(80mL)中の102(0.37g、2.03mmol)の溶液を窒素雰囲気下で4時間にわたり滴下添加し、還流状態で40時間加熱した。溶液を減圧下60℃で濃縮して、淡黄色油状物とした。次いで、粗製の油状物をセミ分取HPLC(方法C)によって精製し、適切な画分を合わせ、凍結乾燥して、淡色油状物を得た(626mg、76%)。ESI-MS{M+2H}:206.6257 (C20332+の計算値:206.6257。1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ 9.57 (s, 1H), 8.07 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 7.91 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.85 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 4.97 (s, 2H), 3.97 (s, 3H), 3.89 (s, 4H), 3.82 (s, 4H), 3.75 (s, 3H), 3.61 (s, 9H), 3.33 (s, 4H). 13C NMR (126 MHz, cdcl3) δ 165.0, 161.6-160.7 (TFA, q), 152.0, 146.9, 138.5, 128.5, 124.6, 119.6-112.6 (TFA, q), 70.1, 69.4, 65.8, 65.5, 54.5, 52.9, 52.5, 48.6. Rt= 7.26分 (方法A, カラムA).
【0143】
実施例9
エチル4-(プロパ-2-イン-1-イルオキシ)-6-((16-((6-(メトキシカルボニル)ピリジン-2-イル)メチル)-1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-7-イル)メチル)ピコリネート(108)
【0144】
【化26】
【0145】
[0183]炭酸セシウム(0.65g、2.0mmol)を、窒素雰囲気下、無水DMF(10mL)中のメチル6-((1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-7-イル)メチル)ピコリネート(0.149g、0.4mmol)の溶液に添加し、室温で30分間撹拌した。撹拌した反応混合物に、無水DMF(2mL)中の2-クロロメチル4-(プロパ-2-イン-1-イルオキシ)ピリジン-6-エチルカルボキシレート(0.138g、0.54mmol)の溶液を窒素下で添加し、反応物を50℃で40時間加熱した。得られた溶液を濾過し、減圧下で乾固させて、橙色油状物を得、これをセミ分取HPLCによって精製し、適切な画分を合わせ、凍結乾燥して、黄色油状物を得た。ESI-MS{M+2H}:315.1627 (C32462+の計算値:315.1627。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.11 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 7.94 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.80 (d, J = 6.7 Hz, 1H), 7.69 (s, 1H), 7.44 (s, 1H), 4.84 (s, 2H), 4.75 (s, 2H), 4.69 (s, 2H), 4.47 - 4.39 (m, 2H), 3.98 (d, J = 2.7 Hz, 3H), 3.95 (s, 8H), 3.65 (d, J = 3.0 Hz, 16H), 2.61 (s, 1H), 1.40 (t, J = 8.3 Hz, 3H). Rt= 10.23分 (方法A, カラムA).
【0146】
実施例10
4-(プロパ-2-イン-1-イルオキシ)-6-((16-((6-カルボキシピリジン-2-イル)メチル)-1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-7-イル)メチル)ピコリン酸(109)
【0147】
【化27】
【0148】
[0184]4-(プロパ-2-イン-1-イルオキシ)-6-((16-((6-カルボキシピリジン-2-イル)メチル)-1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-7-イル)メチル)ピコリン酸を、適合させた文献のプロトコルを使用して合成した。DCM(450μL)中の108(18.5mg、0.03mmol)の溶液に、メタノール(50μL、3M)中のNaOHの超音波処理懸濁液を、NaOHの最終濃度が0.3Mとなり、最終DCM:MeOH比が9:1となるように添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌し、次いで、溶媒を減圧下で除去し、さらに精製することなく次の工程において使用した。ESI-MS{M+2H}:294.1393 (C29402+の計算値:294.1393。Rt=8.53分(方法A、カラムA)。
【0149】
実施例11
-PEG-スクアレート(110)
【0150】
【化28】
【0151】
[0185]新たに調製したスクアリン酸ジエチル(0.23g、1.32mmol)をエタノール(4mL)に溶解した後、1-アミノ-11-アジド-3,6,9-トリオキサウンデカン(0.28g、1.29mmol)およびDIPEA(1当量)を窒素下で添加した。混合物を室温で8時間撹拌し、次いで、無色溶液を減圧下で乾固させ、セミ分取HPLC(方法C)によって精製した。画分を合わせ、凍結乾燥して、無色油状物を得た(209mg、49%)。ESI-MS{M+H}:343.1613 (C1423の計算値:343.1612 1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ 4.75 (d, J = 6.7 Hz, 2H,), 3.66 (d, J = 8.9 Hz, 14H), 3.42 - 3.36 (m, 2H,), 1.45 (t, J = 7.1 Hz, 3H). 13-C NMR (126 MHz; cdcl3): δ 188.8, 183.3, 177.4, 177.2, 172.7, 70.7, 70.3, 70.0, 69.73, 69.61, 50.7, 44.4, 44.1, 15.8. RT= 7.23分 (方法A, カラムA).
【0152】
実施例12
-PEG-スクアレートと4-(プロパ-2-イン-1-イルオキシ)-6-((16-((6-カルボキシピリジン-2-イル)メチル)-1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-7-イル)メチル)ピコリン酸(111)との間のCuAAC
【0153】
【化29】
【0154】
[0186]CuSO(0.22mg、0.0014mmol、8%mmol)およびアスコルビン酸ナトリウム(0.64mg、0.0032mmol、18%mmol)を合わせ、2分間振盪して、銅(I)種への完全な還元を確実にした。次いで、TBTA(2.8mg、0.0057mmol、DMF中32%mmol)を安定化配位子としてN-PEG-スクアレート(6.42mg、0.018mmol)とともに添加し、10分間反応させた。109(11mg、0.018mmol)を添加し、反応混合物を窒素気流で15分間パージして、反応混合物中の酸素含有量を低減した。反応をHPLC(280nm)によってモニタリングし、さらなる2%mmol CuSOおよび18%mmolアスコルビン酸ナトリウムを12時間後に添加して、反応が完了まで進んだことを確実にした。黄色溶液を減圧下で乾固させ、真空中で乾燥した。得られた沈殿物をセミ分取HPLCによって精製し、画分を合わせ、凍結乾燥して、オフホワイト色粉末を得た(5mg、40%)。ESI-MS{M+2H}:465.2161 (C4362152+の計算値:465.2162。1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ 8.11 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 7.94 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.80 (d, J = 6.7 Hz, 1H), 7.69 (s, 1H), 7.44 (s, 1H), 4.84 (d, J = 2.8 Hz, 2H), 4.75 (s, 2H), 4.69 (s, 2H), 4.47 - 4.39 (m, 2H), 3.98 (d, J = 2.7 Hz, 3H), 3.95 (s, 8H), 3.72 - 3.58 (m, 16H), 2.61 (s, 1H), 1.40 (t, J = 8.3 Hz, 3H). Rt= 10.04分 (方法A, カラムA).
【0155】
実施例13
タンパク質のコンジュゲート化-ハーセプチン
[0187]凍結乾燥したハーセプチン(トラスツズマブ-500mg)を、ホウ酸バッファー(0.2M、pH9.0)中で、10mg/mLの最終濃度に再構成した。Macropa-PEG-SqOEt(化合物111、DMSO中5mg/mL保存溶液6μL、10当量)を添加し、過剰の試薬の除去の前に、反応物を暗所において室温で6時間インキュベーションした後、スピン濾過(50KDaのMWカットオフ)によってバッファー交換した(HEPES、0.1M、pH7.4)。
【0156】
実施例14
EGFRVIII IgG1およびEphA3 IgG1抗体のコンジュゲート化
[0188]PBS中のEGFRVIII IgG1(9.4mg/mL)およびEphA3 IgG1抗体(3.1.mg/mL;3mg、2.×10-5mmol)をホウ酸バッファー(0.2M、pH9.0)にバッファー交換し、2つの等量のアリコートに分けて、5mg/mLの最終濃度とした(EGFRVIII IgG1については300μL、EphA3 IgG1については320μLの総体積。反応混合物に、Hmacropa-tzPEGSq OEt(111、DMSO中10mg/mL保存溶液-最終DMSO濃度4%未満)を添加し、4℃で終夜振盪し、次いで、室温でさらに一晩振盪した。過剰の試薬を除去し、スピン濾過(50KDaのMWカットオフ)によってバッファー交換した(酢酸ナトリウム、0.1M、pH5.5)。
【0157】
【表1】
【0158】
実施例15
Ac-225標識濃度研究
[0189]Ac-225保存溶液(およそ74kBq、2.3μL)をHmacropa、DOTA(2,2’,2’’,2’’’-(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトライル)四酢酸)、DTPA(ジエチレントリアミンペンタアセテート)、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)およびバッファー対照の溶液に添加して、キレーター濃度が10-3M~10-10Mの間である100μLの総体積の混合物を得た。反応混合物を、別段の注記がない限り、周囲温度で2時間インキュベーションし、TLC分析(0.4Mクエン酸ナトリウムpH4+10%MeOH、生成物R=0)のためのサンプルを反応の終了時に採取した。[225Ac]Ac-macropaの例示的クロマトグラムを図3に示す。これは、アクチニウムが、macropaに錯体化されていることによって、ベースライン(すなわち、「原点」)に保持されたことを示す。放射化学的収率を図4に提示する。
【0159】
[0190][225Ac]Ac-macropaの放射化学的収率は、周囲温度で、調査されたその他のキレーターと比較して顕著に高い。Hmacropaは、10-6Mのキレーター濃度まで定量的に放射性標識され得る。他のキレーター、例えばDOTA、DTPA、およびEDTAは、より低いキレーター濃度で[225Ac]Acの錯体化を示さず、対照(キレーターなし)と同様である。DOTAの放射性標識は、90℃に加熱した場合に定量的放射性標識収率を示すが、より低いキレーター濃度でHmacropaと比較してわずかに劣る。これらの知見は、公開された観察結果と合致している:N.A.Thiele、V.Brown、J.M.Kelly、A.Amor-Coarasa、U.Jermilova、S.N.MacMillan、A.Nikolopoulou、S.Ponnala、C.F.Ramogida、A.K.H.Robertson、C.Rodriguez-Rodriguez、P.Schaffer、C.Williams、J.W.Babich、V.Radchenko、J.J.Wilson、Angew.Chem.Int.Ed.2017、56、14712。
【0160】
実施例16
化合物111とAc-225との錯体化速度の比較研究
[0191]Ac-225保存溶液(およそ74kBq、2.3μL)をHmacropa-tzPEGSqOEtまたはDOTA-メチルテトラジンの溶液に添加して、キレーター濃度がそれぞれ10-5M、10-6M、10-7Mおよび10-4M、10-5M、10-6Mである100μLの総体積の混合物を得た。Hmacropa-tzPEGSqOEtおよびDOTA-メチルテトラジンの反応混合物を、それぞれ周囲温度および90℃でインキュベーションし、TLC分析(0.4Mクエン酸ナトリウムpH4+10%MeOH、生成物R=0)のためのサンプルを5、15、30、および60分の時点で採取した。放射化学的収率を図5および図6に提示する。
【0161】
[0192]Hmacropa-tzPEGSqOEtの放射性標識は、すべての濃度で15分間のインキュベーションの後に定量的収率で進行した。10-7Mのキレーター濃度では、放射化学的収率は、5分間のインキュベーションで下降し始めた。したがって、10-7および10-6Mのキレーター濃度ならびに周囲温度で15分間のインキュベーションを、Hmacropa-tzPEGSq-コンジュゲート化モノクローナル抗体を用いた放射性標識研究のために選択した。
【0162】
[0193]DOTA-メチルテトラジンの放射性標識は、10-4Mのキレーター濃度ではすべてのインキュベーション時間で定量的収率で進行した。10-5Mのキレーター濃度では、放射化学的収率は、15分間のインキュベーションで88.5%であり、10-6Mでは、最大放射化学的収率が60分間のインキュベーションで65.3%という結果になった。したがって、10-5および10-4Mのキレーター濃度を、TCOPEG-コンジュゲート化モノクローナル抗体(ここで、TCOPEG-=「トランスシクロオクテンポリエチレングリコール」の略語である)を用いた放射性標識研究のために選択した。
【0163】
実施例17
225Ac]Ac-macropa-tzPEGSq-EGFRVIII IgG1および[225Ac]Ac-macropa-tzPEGSq-EphA3 IgG1の合成
[0194]Ac-225保存溶液(555kBq、30μL)をHmacropa-tzPEGSq-コンジュゲート化モノクローナル抗体の溶液に添加して、コンジュゲート濃度が10-7Mおよび10-6Mである100μLの総体積の混合物を得た。反応混合物を周囲温度で15分間インキュベーションし、放射化学的純度(RP;iTLC:50mMクエン酸pH5、生成物R=0)および免疫反応性(IR)の決定のためにサンプルを採取した。Ac-225の開始放射能をコンジュゲートの量で除し、放射化学的純度を乗じることにより、比放射能(SA)を計算した。結果を表1にまとめる。数値表示(2×、5×)は、各コンジュゲートの平均キレーター-抗体比を指す。[225Ac]Ac-macropa-tzPEGSq-EGFRVIII IgG1および[225Ac]Ac-macropa-tzPEGSq-EphA3 IgG1のクロマトグラムを、それぞれ図7Aおよび図7Bに示す。これは、アクチニウムが、macropa-tzPEGSq-EGFRVIII IgG1またはmacropa-tzPEGSq-EphA3 IgG1に錯体化されていることによって、ベースライン(すなわち、「原点」)に保持されたことを示す。
【0164】
[0195]Ac-225によるHmacropa-tzPEGSq-コンジュゲート化モノクローナル抗体の放射性標識は、10-6Mの抗体濃度で放射化学的収率>99.5%で進行した。この抗体濃度で、比放射能は、理論上の最大値である37MBq/mgに近かった。1抗体当たり平均2つのキレーターを有するラジオイムノコンジュゲートでは、1抗体当たり平均5つのキレーターを有するラジオイムノコンジュゲートと比較して免疫反応性がより高いという結果になった。したがって、前者をさらなる研究のために選択した。
【0165】
[0196]
【0166】
【表2】
【0167】
実施例18
様々なHmacropa-tzPEGSq-コンジュゲート化モノクローナル抗体のサイズ排除HPLC
[0197]Hmacropa-tzPEGSq-コンジュゲート化モノクローナル抗体(20μg)を、サイズ排除HPLC(SE-HPLC)を使用して分析した。保持時間を表2にまとめる。SE-HPLCクロマトグラム(UV280nm)を図8に示す。
【0168】
[0198]SE-HPLCは、すべてのイムノコンジュゲートについて優れた抗体完全性を示し、凝集は無視できるレベルであった。
[0199]
【0169】
【表3】
【0170】
実施例19
様々なAc225標識モノクローナル抗体のサイズ排除HPLC
[0200][225Ac]Ac-macropa-tzPEGSq-コンジュゲート化モノクローナル抗体(37kBq、約1μg)を、SE-HPLCを使用して分析した。HPLC画分を30秒ごとに(0.5mL)エッペンドルフ管に連続して収集した。管中の放射能を、永続平衡状態(収集後最低8時間)で自動ガンマカウンターを使用して決定した。UV280nmおよび放射線の保持時間を表3にまとめる。SE-HPLCクロマトグラム(UV280nmおよびRAD)を図9に示す。
【0171】
[0201]SE-HPLCは、すべてのラジオイムノコンジュゲートについて優れた抗体完全性を示し、凝集は無視できるレベルであった。SE-HPLCにより遊離Ac-225は検出されず、これは、iTLC分析と一致している。
【0172】
[0202]
【0173】
【表4】
【0174】
実施例20
225Ac]Ac-macropa-tzPEGSq-EGFRVIII IgG1とLa3+およびEDTAとの競合研究
[0203][225Ac]Ac-macropa-tzPEGSq-EGFRVIII IgG1(37kBq、1μg、5μL)を、種々のゲンチジン酸塩(0/25mg/mL)、La3+(抗体に対して5/50/500×モル過剰)、およびEDTA(抗体に対して50×モル過剰)を含有するPBS中の混合物に添加して、20μLの総体積を有する溶液を得た。混合物を周囲温度でインキュベーションし、iTLC(50mMクエン酸pH5、生成物R=0)分析のためのサンプルを1、24、48、および168時間の時点で採取した。放射化学的純度を表4に提示する。
【0175】
[0204][225Ac]Ac-macropa-tzPEGSq-EGFRVIII IgG1は、ゲンチジン酸ナトリウムを含むおよび含まないPBS中で、50倍モル過剰までのLa3+と競合して、優れた安定性を示した。500倍モル過剰のLa3+および50倍モル過剰のEDTAでは、放射化学的純度は、24~48時間の間で95%未満に下降した。
【0176】
[0205]
【0177】
【表5】
【0178】
実施例21
血清安定性分析および[225Ac]Ac-DOTA-dhPzPEG-コンジュゲート化モノクローナル抗体との比較
[0206]TCOPEG-コンジュゲート化モノクローナル抗体を、O.Keinanen、K.Fung、J.Pourat、V.Jallinoja、D.Vivier、N.K.Pillarsetty、A.J.Airaksinen、J.S.Lewis、B.M.Zeglis、M.Sarparanta、EJNMMI Res 2017、7、95およびZ.Zhou、N.Devoogdt、M.R.Zalutsky、G.Vaidyanathan、Bioconjug Chem.2018、29、4090~4103による公開された手順と同様に調製した。簡潔に言えば、炭酸水素ナトリウム(0.1M、pH8.5)中のモノクローナル抗体をTCO-PEG-NHS(4×/10×/40×モル当量)とともに37℃で1時間インキュベーションし、続いて、酢酸ナトリウム(50mM、pH5.6)、ソルビトール(5w/v%)、およびTween 20(0.02w/v%)からなる製剤化バッファーを使用して、遠心濾過(50kDaのMWCO)によって精製した。TCOPEG-EGFRVIII IgG1(150μg)およびTCOPEG-EphA3 IgG1(150μg)を酢酸ナトリウム(0.15M、pH5.5)中で[225Ac]Ac-DOTA-メチルテトラジン(555kBq)とともに周囲温度で15分間インキュベーションし、続いて、スピン濾過(10kDaのMWCO)によって精製することにより、[225Ac]Ac-DOTA-dhPzPEG-EGFRVIII IgG1および[225Ac]Ac-DOTA-dhPzPEG-EphA3 IgG1(ここで、-dhPzPEG-=「メチルジヒドロピリダジンポリエチレングリコール」の略語である)を合成した。[225Ac]Ac-macropa-tzPEGSq-および[225Ac]Ac-DOTA-dhPzPEG-コンジュゲート化モノクローナル抗体を、健康なドナーのヒト血清(100μL)中で37℃でインキュベーションした。サンプルをEOS時ならびに2、7、および14日間のインキュベーション後に採取した。サンプルをiTLC(50mM EDTA pH5、生成物R=0)により分析し、免疫反応率を、EGFRVIII IgG1およびEphA3 IgG1ラジオイムノコンジュゲートについてそれぞれU87MG.de2-7およびU251細胞を用いて決定した。結果を放射化学的純度については図10A、免疫反応性については図10Bに提示する。数値表示(2×、5×、1×、2×、9×)は、各コンジュゲートの平均キレーター-抗体比を指す。
【0179】
[0207]ヒト血清中の[225Ac]Ac-macropa-tzPEGSq-EGFRVIII IgG1および[225Ac]Ac-macropa-tzPEGSq-EphA3 IgG1の放射化学的純度は、実験の終了時(14日)に>95%であった。[225Ac]Ac-DOTA-dhPzPEG-コンジュゲート化モノクローナル抗体は、集合的に、調査された時間枠にわたりより劣る安定性を示した。平均キレーター-抗体比が9である[225Ac]Ac-DOTA-dhPzPEG-コンジュゲートがより劣る性質を示したことを除いて、他のラジオイムノコンジュゲート間で免疫反応性に基づいて区別はできなかった。平均キレーター-抗体比が2である[225Ac]Ac-macropa-tzPEGSq-コンジュゲートを、実施例23および実施例24に記載されるin vivo研究に使用した。
【0180】
実施例22
血清安定性分析
[0208]平均キレーター-抗体比が2である[225Ac]Ac-macropa-tzPEGSq-コンジュゲート化モノクローナル抗体を、健康なドナーのヒト血清(100μL)中で37℃でインキュベーションした。サンプルをEOS時ならびに2、7、および14日間のインキュベーション後に採取した。サンプルをiTLC(50mM EDTA pH5、生成物R=0)により分析し、免疫反応率を、U87MG.de2-7(EGFRVIII IgG1)、U251(EphA3 IgG1)、またはSK-RC-52(キメラアイソタイプ対照IgG1)細胞を用いて決定した。結果を表5に提示する。
【0181】
[0209]放射化学的収率および比放射能は、3種すべてのラジオイムノコンジュゲートについて非常に一貫して高く、放射化学的純度は、調査された時間枠にわたり優れていた(14日後に>99%)。免疫反応率は、すべてのラジオイムノコンジュゲートについて各時点で徐々に下降した。非特異的結合は、すべての場合において低かった。
【0182】
[0210]
【0183】
【表6】
【0184】
実施例23
U251異種移植片を有するマウスにおける[225Ac]Ac-macropa-tzPEGSq-EphA3 IgG1の用量漸増研究
[0211]雌の4~6週齢のBALB/c nu/nuマウス(Animal Research Centre、Western Australia、Perth、オーストラリア)にPBS中のU251細胞(5.5×10^6個の細胞)を接種して、左脇腹に皮下腫瘍を作製した。接種後11または14日の時点で、およそ100mmの腫瘍異種移植片を有するマウス(n=5)に、[225Ac]Ac-macropa-tzPEGSq-EphA3 IgG1(0.25~1.0μg/9.25~37.0kBq)またはビヒクルPBSを静脈内注射した。mm単位の腫瘍体積(TV)を少なくとも週2回(biweekly)測定し、以下の式:TV=(L×W)/2を使用して計算した。データは、平均腫瘍体積±SDとして表した。所与の時点で対応のないt検定を使用して統計解析を実施した。マウスを倫理的エンドポイント(TV>1000mmまたは体重減少>10%)で人道的に安楽死させた。腫瘍成長曲線の結果および生存率データを、それぞれ図11Aおよび図11Bに提示する。この研究プロジェクトは、Austin Healthの動物倫理委員会により承認された。
【0185】
[0212][225Ac]Ac-macropa-tzPEGSq-EphA3 IgG1の単回投薬に続いて、処置から数日以内に腫瘍成長阻害について顕著な用量応答効果が観察された。ビヒクル対照群が腫瘍体積の倫理的エンドポイントに達した接種後34日目の時点で、すべての処置群が対照と有意差があった(P≦0.0002)。抗腫瘍効能の持続期間もまた、用量依存的であった。放射性毒性の影響は、体重減少によって実証された。18.5kBqまでの用量では、放射性毒性は観察されなかった。最高用量である37kBqでは、急性体重減少の形態の放射性毒性が処置後数日以内にコホートの60%において観察された。27.8kBqでは、放射性毒性が処置後14日までにコホートの20%において明白であった。18.5kBq/0.5μgの[225Ac]Ac-macropa-tzPEGSq-EphA3 IgG1の用量が最大耐用量として決定された。
【0186】
実施例24
U87MG.de2-7異種移植片を有するマウスにおける[225Ac]Ac-macropa-tzPEGSq-EGFRVIII IgG1の用量漸増研究
[0213]雌の4~6週齢のBALB/c nu/nuマウス(Animal Research Centre、Western Australia、Perth、オーストラリア)にU87MG.de2-7細胞(2.2×10^6個の細胞)を接種して、左脇腹に皮下腫瘍を作製した。接種後7または11日の時点で、およそ100mmの腫瘍異種移植片を有するマウス(n=5/群)に、[225Ac]Ac-macropa-tzPEGSq-EGFRVIII IgG1(0.25~1.0μg/9.25~37.0kBq)またはビヒクルPBSを静脈内注射した。mm単位の腫瘍体積(TV)を週2回測定し、以下の式:TV=(L×W)/2を使用して計算した。データは、平均腫瘍体積±SDとして表した。マウスを倫理的エンドポイント(TV>1000mmまたは体重減少>10%)で人道的に安楽死させた。腫瘍成長曲線の結果および生存率データを、それぞれ図12Aおよび図12Bに提示する。この研究プロジェクトは、Austin Healthの動物倫理委員会により承認された。
【0187】
[0214]急速に成長するU87MG.de2-7膠芽腫異種移植片では、抗腫瘍効能の用量応答は観察されず、最高用量である37kBqのみがコホートの40%における研究の持続期間にわたる腫瘍成長の長期的遅延を実証し、単回投薬処置から2週間以内にコホートの60%において放射性毒性が再度観察された。18.5kBq/0.5μgの[225Ac]Ac-macropa-tzPEGSq-EGFRVIII IgG1の用量が最大耐用量として決定された。
【0188】
[0215]本明細書の全体を通して、文脈上別段の必要がない限り、「含む(comprise)」という語、または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」などの変化形は、記述された要素もしくは整数または要素もしくは整数の群を含むことを示唆するが、他のあらゆる要素もしくは整数または要素もしくは整数の群を排除することを示唆しないと理解される。
【0189】
[0216]値の範囲が表される場合、この範囲は、範囲の上限および下限、ならびにこれらの限界の間にあるすべての数値または部分範囲を、各数値および部分範囲が明示的に列挙された場合と同様に包含することが明確に理解されることに留意すべきである。「約X%からY%」という記述は、別段の表示がない限り、「約X%から約Y%」と同じ意味を有する。
【0190】
[0217]本明細書で使用される「約」という用語は、およそまたは近くを意味し、本明細書に明記された数値または範囲の文脈では、列挙または特許請求された数値または範囲から+/-10%以下、+/-5%以下、+/-1%以下、または+/-0.1%以下の変動を包含することを意図している。
【0191】
[0218]本明細書で使用される場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」という単数形は、文脈上既に別段の指示がない限り、複数の態様を含むことにも留意すべきである。
【0192】
[0219]本明細書で使用される見出しは、単に読み手が参照しやすくするために含まれ、本開示または特許請求の範囲の全体を通して見出される主題を限定するために使用されるべきではない。見出しは、特許請求の範囲または請求項の限定を解釈する際に使用されるべきではない。
【0193】
[0220]本明細書で提供される説明は、共通する性質および特徴を共有し得る複数の実施形態に関連する。一実施形態の1つまたは複数の特徴は、その他の実施形態の1つまたは複数の特徴と組合せ可能であり得ることが理解されるべきである。加えて、実施形態の単一の特徴または特徴の組合せは、追加の実施形態を構成し得る。
【0194】
[0221]本明細書に記載されたすべての方法は、本明細書に別段の表示がない限りまたは文脈上明確に矛盾しない限り、任意の好適な順序で実施され得る。本明細書で提供されるあらゆる例、または例示的文言(例えば、「などの」)の使用は、実施形態の例をより十分に明らかにすることを意図したものにすぎず、別段の特許請求がない限り、特許請求された発明の範囲に限定を課すものではない。本明細書におけるいかなる文言も、いずれかの特許請求されていない要素を不可欠であると表示するものと解釈されるべきではない。
【0195】
[0222]本発明が明確性および理解のために幾分詳細に記載されてきたが、本明細書に開示された発明概念の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された実施形態および方法に対する様々な修正および変更が行われ得ることが当業者には明らかである。
【0196】
[0223]当業者は、本明細書に記載された発明について、具体的に記載されたもの以外の変形および修正が可能であることを認識する。本発明は、すべてのそのような変形および修正を含むことが理解されるべきである。本発明はまた、個々にまたは集合的に、本明細書で言及された、または表示された工程、特徴、組成物および化合物のすべて、ならびに工程または特徴のいずれか2つ以上のあらゆる組合せを含む。
【0197】
[0224]将来の特許出願が、オーストラリアまたは外国において、本出願に基づいて、例えば、本出願の優先権を主張することにより、分割状態を主張することにより、および/または継続状態を主張することにより出願され得る。以下の仮請求項は、単に例として提供され、そのようないかなる将来の出願において特許請求され得るものの範囲をも限定することを意図したものではないことが理解されるべきである。さらに、特許請求の範囲は、本開示に内在する本発明の理解を限定する(または他の理解を排除する)とみなされるべきではない。本発明をさらに定義するように、後日、特徴が仮請求項に追加され、またはそれから除外され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
【国際調査報告】