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特表2024-538655分散型光ファイバセンシング/音響センシングの屋外適用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-23
(54)【発明の名称】分散型光ファイバセンシング/音響センシングの屋外適用
(51)【国際特許分類】
   G01H 9/00 20060101AFI20241016BHJP
   G01D 5/353 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
G01H9/00 E
G01D5/353 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519857
(86)(22)【出願日】2022-10-03
(85)【翻訳文提出日】2024-04-01
(86)【国際出願番号】 US2022045485
(87)【国際公開番号】W WO2023056079
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】63/270,651
(32)【優先日】2021-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/958,415
(32)【優先日】2022-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/311,523
(32)【優先日】2022-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/313,028
(32)【優先日】2022-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504080663
【氏名又は名称】エヌイーシー ラボラトリーズ アメリカ インク
【氏名又は名称原語表記】NEC Laboratories America, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】オズハラー、 サーパー
(72)【発明者】
【氏名】ワン、 ティン
(72)【発明者】
【氏名】ティアン、 ユエ
(72)【発明者】
【氏名】ディン、 ヤンミン
(72)【発明者】
【氏名】ジ、 フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ハン、 シャオボ
(72)【発明者】
【氏名】ホワン、 ミン-ファン
(72)【発明者】
【氏名】リ、 ティンフェン
【テーマコード(参考)】
2F103
2G064
【Fターム(参考)】
2F103CA07
2F103EC09
2F103ED18
2F103ED27
2F103ED37
2G064AB21
2G064BA02
2G064BC12
2G064BC33
2G064CC54
2G064CC62
2G064DD02
2G064DD14
(57)【要約】
本開示の態様は、光ファイバ設備を収容する屋外キャビネットを含み、その中に含まれるキャビネット/光ファイバケーブルが優れた音響センシングを提供するように構成された屋外設備および構造物を有利に感知/監視する分散型光ファイバセンシング(DFOS)システム、方法、および構造について説明する。さらに監視対象となる屋外施設および構造物には、マンホール構造物が含まれる。時間的関係ネットワーク(TRN)を使用した機械学習ベースの分析手法を採用することで、優れたDFOS/DAS監視結果が得られる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバセンサケーブルと、
前記光ファイバセンサケーブルと光通信するDFOSインタロゲータシステムと、
前記DFOSインテロゲータシステムによって受信されたDFOSセンシングデータを分析するように構成されたインテリジェント分析器と、を有する分散型光ファイバセンシング(DFOS)システムであって、
前記光ファイバセンサケーブルの光路内に配置された屋外ファイバキャビネットを有し、前記屋外ファイバキャビネットは、音響振動波を増幅し、音響振動信号が前記インテリジェント分析器によって検出されるように、前記音響振動波を前記光ファイバセンサケーブルに機械的に伝達するように構成されていることを特徴とする分散型光ファイバセンシング(DFOS)システム。
【請求項2】
前記屋外ファイバキャビネットの少なくとも一部は、ファイバマイクロホン/増幅器として構成され、前記光ファイバセンサケーブルから形成されたファイバコイルを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記光ファイバセンサケーブルから形成された前記ファイバコイルは、ファイバマイクロホン/増幅器として構成された前記屋外ファイバキャビネットの部分に機械的に取り付けられている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
ファイバマイクロホン/増幅器として構成された前記屋外ファイバキャビネットの部分は、音響振動波と相互作用する相互作用領域を含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
ファイバマイクロホン/増幅器として構成された前記屋外ファイバキャビネットはドアである、請求項6に記載のシステム。
【請求項6】
前記インテリジェント分析器は、前記ドアが開いているか閉じているかを検出するように構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項7】
前記インテリジェント分析器は、前記ドアの開/閉状態が許可されているかどうかを検出するように構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
ファイバマイクロホン/増幅器として構成された前記屋外ファイバキャビネットの部分が金属から構成されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記光ファイバセンサケーブルは、任意のDFOS信号と同時に電気通信トラフィックを伝送する、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
分散型光ファイバセンシング(DFOS)/分散型音響センシング(DAS)システムであって、
光ファイバセンサケーブルと、
前記光ファイバセンサケーブルと光通信するDFOS/DASインタロゲータシステムと、
前記DFOSインタロゲータシステムによって受信されたDFOSセンシングデータにおいて時間的関係イベント検出を提供するように構成された時間的関係ニューラルネットワーク(TRN)を含むAIインテリジェント分析器と、を含むシステム。
【請求項11】
前記光ファイバセンサケーブルの少なくとも一部が存在する1つまたは複数のマンホールをさらに備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記TRNは、所望の空間的解像度および時間的解像度を有する訓練パッチを取得するように訓練される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記TRNの訓練は、信号を平滑化し、強度に基づいて候補となる高振動パッチを選択するためのフィルタを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
TRNモデルがラベルとパッチのペアを用いて訓練される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
TRNモデルは、パッチ内に開イベントまたは閉イベントが存在するかどうかを決定し、AIエンジンは、入力データの連続ストリームを入力として受け取り、リアルタイムで推論を実行し、タイムスタンプ、イベント種類、および信頼スコアを出力として提供する、請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2021年10月2日に出願された米国仮特許出願第63/270,651号、2022年2月18日に出願された米国仮特許出願第63/311,523号、2022年2月23日に出願された米国仮特許出願第63/313,028号および2022年10月2日に出願された米国特許出願第17/958,415号の利益を主張し、それぞれの全内容を参照により本明細書に詳細に記載されているかのように組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、優れたセンシングを提供する時間的関係ネットワーク方法論を有利に含み得る分散型光ファイバセンシング(DFOS)システム、方法、および構造、ならびにその屋外適用に関する。
【背景技術】
【0003】
最近では、DFOSシステムおよび方法が、道路、橋、および建物の優れた音響および/または振動の監視を提供するために使用されている。このようなシステムの信頼性、ロバスト性、および感度は、一般に、既存の従来のシステムおよび方法とは比較にならないことが知られている。このような特性を考慮すると、新しい分析システムおよび方法と組み合わせた、通信設備を含む屋外設備へのDFOSの様々な適用は、当該技術分野にとって歓迎すべきことである。
【発明の概要】
【0004】
電気通信設備の監視を含む屋外適用に特に有利なDFOSシステム、方法、および構造を対象とする本開示の態様に従って、当技術分野の進歩がもたらされる。
【0005】
第1の態様から見ると、本開示は、光ファイバ設備を収容する屋外キャビネットを監視するためのDFOSシステム、方法、及び構造について説明しており、その中に含まれるキャビネット/光ファイバケーブルは、優れた音響センシングを提供するように構成されている。
【0006】
第2の態様から見ると、本開示は、マンホール構造を監視するためのDFOSシステム、方法、および構造について説明する。
【0007】
最後に、さらに別の態様から見ると、本開示は、時間的関係ネットワークを使用する機械学習ベースの分析方法を使用するDFOSシステム、方法、および構造について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示のより完全な理解は、添付図面を参照することによって実現され得る。
【0009】
図1(A)】本開示の態様によるDFOSシステムを示す概略図である。
【0010】
図1(B)】本開示の態様による、帯域外信号生成を伴う符号化定振幅DFOSシステムを示す概略図である。
【0011】
図2】本開示の態様による、ドアの開閉状態および他の内部および外部の環境状態を有利に検出することができる光センシングファイバを含む屋外光ファイバキャビネットを示す概略図である。
【0012】
図3】本開示の態様による、光センシングファイバを含む屋外光ファイバキャビネットのDFOS/DASセンシングの動作を示す概略フロー図である。
【0013】
図4】本開示の態様による、本発明のDFOS/DAS/ファイバキャビネット構成から得られる例示的な特徴を示す概略図である。
【0014】
図5】本開示の態様による、DFOSを使用してマンホール侵入を検出するための例示的な手順を示す概略フロー図である。
【0015】
図6】本開示の態様による、DFOSを使用したマンホール侵入の検出/マンホール監視のための例示的な配置を示す概略図である。
【0016】
図7】本開示の態様による、蓋(lid)/カバーに関連するものを含むマンホールに関連する例示的な行動、すなわち、AIモデルを訓練するために使用される、シミュレートされた蓋を開ける、蓋を閉じる、蓋を叩く、ケースを叩く、およびケーブルを引っ張る行動を示す。
【0017】
図8】本開示の態様による、例示的な侵入イベント(例えば、蓋をたたく)および重要な侵入(例えば、ケーブルの揺れ)が、概略的なウォーターフォールプロットおよびバイナリマスクで示されている。
【0018】
図9】本開示の態様による、監視される各マンホールの例示的な侵入検出を示す概略フロー図である。
【0019】
図10】本開示の態様による、中央のマンホール領域と左右の2つの隣接する領域を含み、ファイバに沿ったマンホールの位置が、例えば、緯度から経度までのケーブルマッピングソリューションを使用して、現地調査によって事前に知られている分析窓と、マンホール内の対応する弛みファイバとを示す概略図である。
【0020】
図11】本開示の態様による、各モジュールの入出力依存関係を矢印で示す例示的なデータ処理パイプラインを示す概略ブロック図である。
【0021】
図12】本開示の態様による、DFOSシステム(DFOS/DAS/DVS)による例示的で全体的なマンホール侵入検出プロセスを示す概略ブロック図である。
【0022】
図13】本開示の態様による、DFOSシステム(DFOS/DAS/DVS)による例示的で全体的なマンホール侵入検出プロセスを示す概略フロー図である。
【0023】
図14】本開示の態様による、例示的な生成ウォーターフォール画像を示す概略図である。
【0024】
図15】本開示の態様による、マンホール開閉イベント検出システムの構成を示す模式図である。
【0025】
図16】本開示の態様による、訓練および推論段階を含む全体的な処理手順のフローチャートを示す。
【0026】
図17】本開示の態様によるTRN装備ファイバセンシングイベント分類モデルの全体的なアーキテクチャを示す。
【0027】
図18】本開示の態様による、2フレーム時間的関係モジュールの詳細を示す概略図であり、fは前の畳み込み層ブロックからの特徴を表す。
【0028】
図19】本開示の態様による、本発明のマンホール検出の特徴を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下は、単に本開示の原理を例示するものである。したがって、当業者は本明細書に明示的に記載または図示されていないが、本開示の原理を具現化し、その精神および範囲内に含まれる様々な構成を考案することができることが理解されよう。
【0030】
さらに、本明細書に記載されているすべての実施例および条件付き用語は、本開示の原理および技術を促進するために発明者によって寄与された概念を読者が理解するのを助けるための教育目的のためだけのものであることを意図しており、そのような具体的に列挙された実施例および条件に限定されないと解釈されるべきである。
【0031】
さらに、本開示の原理、態様、および実施形態を記載する本明細書のすべての記述、ならびにその具体例は、その構造的および機能的等価物の両方を包含することを意図している。さらに、そのような等価物は、現在知られている等価物と、将来開発される等価物、すなわち、構造に関係なく同じ機能を実行する開発された要素との両方を含むことが意図されている。
【0032】
したがって、たとえば、本明細書の任意のブロック図が、本開示の原理を実施する例示的な回路の概念図を表すことは、当業者には理解されるであろう。
【0033】
本明細書で特に明記しない限り、図面を構成する図は、縮尺通りに描かれていない。
【0034】
追加の背景として、分散型光ファイバセンシング(DFOS)は、インタロゲータに順番に接続された光ファイバケーブルに沿って任意の場所で環境条件(温度、振動、音響励起振動、伸縮レベルなど)を検出するために重要で広く使用されている技術であることに注目することから始める。知られているように、現代のインタロゲータは、ファイバへの入力信号を生成し、反射/散乱され、その後受信された信号を検出/分析するシステムである。信号が分析され、ファイバに沿って遭遇する環境条件を示す出力が生成される。このように受信された信号は、ラマン後方散乱、レイリー後方散乱、ブリリオン後方散乱などのファイバ内の反射に起因する可能性がある。DFOSは、複数のモードの速度差を利用した順方向の信号を使用することもできる。一般性を失うことなく、以下の説明では反射信号を想定しているが、同じアプローチを転送信号にも同様に適用できる。
【0035】
図1(A)は、一般化された従来技術のDFOSシステムの概略図である。理解されるように、現代のDFOSシステムは、光パルス(または任意の符号化信号)を周期的に生成し、それらを光ファイバに注入するインタロゲータを含む。注入された光パルス信号は、光ファイバに沿って伝送される。
【0036】
ファイバに沿った位置では、信号のごく一部が反射され、インタロゲータに戻される。反射信号は、例えば、機械的振動を示す電力レベルの変化など、インタロゲータが検出するために使用する情報を伝送する。詳細には示されていないが、インタロゲータは、図1(B)に示すような当技術分野で知られているコヒーレント受信機構成を採用することができる符号化DFOSシステムを含むことができる。
【0037】
反射信号は電気領域に変換され、インタロゲータ内で処理される。パルス注入時間と信号が検出された時間に基づいて、インテロゲータは信号がファイバ上のどの位置から来ているかを判断し、ファイバ上の各位置の行動を感知することができる。
【0038】
当業者であれば、質問信号に信号符号化を実装することにより、より多くの光パワーをファイバに送信することができ、これにより、レイリー散乱ベースのシステム(例えば、分散音響センシング、すなわちDAS)及びブリルアン散乱ベースのシステム(例えば、ブリルアン光時間領域反射率測定法、すなわちBOTDR)の信号対雑音比(SNR)を有利に改善できることが理解し、認識するであろう。
【0039】
現在多くの現代的な実装で実装されているように、専用ファイバは光ファイバケーブルのDFOSシステムに割り当てられており、異なるファイバで伝送される既存の光通信信号とは物理的に分離されている。しかし、爆発的に増大する帯域幅需要を考慮すると、DFOS運用のみを目的として光ファイバを経済的に運用および維持することは非常に困難になってきている。その結果、より大きなマルチファイバケーブルの一部である共通のファイバ上に通信システムと検知システムを統合することへの関心が高まっている。
【0040】
動作上、DFOSシステムは、コーディング実装を備えたレイリー散乱ベースのシステム(例えば、分散音響センシング、すなわちDAS)およびブリルアン散乱ベースのシステム(例えば、ブリルアン光時間領域反射率測定法、すなわちBOTDR)であると仮定する。このような符号化設計では、これらのシステムは、動作電力が低いため、ファイバ通信システムと統合される可能性が高く、光増幅器の応答時間の影響も大きくなる。
【0041】
ブロック図に例示的に示される構成では、符号化された質問シーケンスがデジタル的に生成され、デジタルアナログ変換(DAC)および光変調器を介してセンシングレーザに変調されると仮定する。変調された質問シーケンスは、質問のためにファイバに送られる前に、最適な動作電力まで増幅されてもよい。
【0042】
有利なことに、DFOS動作は、同じファイバ内のWDMを介して通信チャネルと統合することもできる。センシングファイバ内では、質問シーケンスと返されたセンシング信号は、離散(EDFA/SOA)または分散型(ラマン)方式のいずれかを介して光学的に増幅される。戻ってきたセンシング信号は、増幅と光バンドパスフィルタリングの後、コヒーレント受信機に送られる。コヒーレント受信機は、信号の両偏波の光フィールドを検出し、アナログデジタル変換(ADC)サンプリングとデジタルシグナルプロセッサ(DSP)処理のために4つのベースバンドレーンにダウンコンバートする。当業者であれば容易に理解し、認識するように、復号化動作がDSPで行われてファイバの問い合わせられたレイリー応答またはブリルアン応答を生成し、その後、応答の変化が識別され、センサの読み出しのために解釈される。
【0043】
図を引き続き参照すると、符号化された質問シーケンスはデジタル的に生成されるため、帯域外信号もデジタル的に生成され、その後、波形がDACによって生成される前に符号シーケンスと統合される。デジタル的に一緒に生成される場合、帯域外信号は符号シーケンスの期間外でのみ生成されるため、一緒に加算されると、統合された波形の振幅は一定になる。
【0044】
当業者であれば理解し、認識するように、DFOS/DASシステムは、可聴周波数範囲の音響振動を検出し、記録し、聴取することが示されている。ただし、感度を制限する要因の1つは、センサとして使用される光ファイバケーブルの物理的なレイアウトである。
【0045】
屋外適用の場合、通信グレードの太いファイバケーブルは、可聴範囲の低振幅の振動に対して物理的にあまり反応しない。したがって、音響信号の品質は、ファイバの種類、レイアウト、および音響圧力波がファイバケーブルにどのように結合されるかによって大きく依存する。
【0046】
音響信号の品質を改善するために、従来技術では、ジャケットがないか、非常に薄いジャケットを備えた、巻き付けられたファイバケーブルが利用されてきた。しかし、このような構成は、非常に壊れやすく、比較的かさばり、遭遇する可能性のある屋外の環境条件に対して十分な耐性がない。
【0047】
当技術分野におけるこの欠点を克服するために、屋外ファイバキャビネット(光クロスコネクト(OCC)キャビネットなど)を、DASシステムを有利に強化する光ファイバマイクロホンに変換するシステム、方法、および構造を開示する。
【0048】
当業者であれば理解し、認識するように、統合ファイバマイクロホンを有するこのような屋外ファイバキャビネットは、交通騒音、建設騒音、雨、風、技術者の会話、キャビネットへの侵入、キャビネット内にある電子機器または機械装置の動作など、外部(キャビネットの外)または内部(キャビネットの内部)の音響イベントを監視するために使用することができる。その結果、本発明の構造および方法は、許可されたまたは許可されていない開閉イベント、タイミング、および修理など、屋外ファイバキャビネットの状態を監視することができる。
【0049】
屋外ファイバキャビネット(サンプル画像を以下に示す)は、通常、大きな金属製のドアを有する。この大きなドア表面は、音波との相互作用領域が大きく、これらの振動を吸収する。本発明では、約10メートルの長さのファイバパッチがこの大面積のキャビネットドアに取り付けられているが、可能であれば、追加のファイバをサイドパネルにも取り付けることができる。
【0050】
本開示の態様による、ドアの開閉状態および他の内部および外部の環境状態を有利に検出することができる光センシングファイバを含む屋外光ファイバキャビネットを示す概略図である。
【0051】
この図に示されているように、そこに示されているのはDASセンシングシステムであり、屋外ファイバキャビネットはスプール状にキャビネットドアに取り付けられた専用ファイバを含む。図にさらに示すように、フィールド構成は、単一のファイバ経路上に複数のキャビネットを含むことができ、複数のキャビネットの個々の1つが同じ光センシングファイバに沿って直列に接続されている。
【0052】
この図には特に示されていないが、DFOS/DASシステムは、インタロゲータ信号を処理し、本開示の態様によれば、ファイバキャビネットが、その不均一な周波数応答のために音響フィルタとして機能するので、信号品質の向上を示す応答信号を返すことになる。周波数応答が不均一であるため、音響フィルタに影響を及ぼします。光ファイバキャビネットでそのように構成する場合、光ファイバケーブルの取り付けは、キャビネットのドアが開くのを妨げないように行う必要がある。
【0053】
当業者であれば理解し、認識するように、本発明のキャビネット/光ファイバケーブル構造は、キャビネットドアの大きな表面積の機械的特性を利用し、それを使用してファイバケーブルへの音響振動の音響結合を改善し、信号品質を向上させる。言い換えれば、キャビネットの大きな表面を機械的増幅器/カプラーとして使用して、ファイバケーブルで受信信号を増加させる。有利なことに、このような増幅は純粋に機械的であり、外部電源を必要としない。最後に、本開示の後半で詳細に示して説明するように、追加の信号処理と分析構造と技術を使用し、キャビネット構造の周波数応答を音響校正および他の方法によって補正して、受信信号品質をさらに改善することができる。
【0054】
図3は、本開示の態様による、光センシングファイバを含む屋外光ファイバキャビネットのDFOS/DASセンシングの動作を示す概略フロー図である。
【0055】
この図から分かるように、ファイバキャビネット(センサ機能に加えて電気通信に使用できる光ファイバケーブルを含む構造体)は、ファイバキャビネットの内側に円形のコイル状配置で取り付けられた光ファイバセンサケーブルを含む。このようなセンサファイバは、調査/質問/分析/監視されるファイバ経路に光学的および/または機械的に接続される。
【0056】
音響イベントがキャビネットに十分に近接して発生すると、機械的振動がファイバキャビネット内で生成され、キャビネット表面(ドア)の比較的大きな面積によって増幅され、そこに含まれるセンサファイバに結合される。
【0057】
このような機械的外乱は、DFOS/DASシステムの動作によって検出され、事前に有利に決定することができるキャビネット応答関数に従って分析/補正される。
【0058】
分析された信号は、関心のあるイベントのレポートおよび/または通知を生成するために使用される。
【0059】
現時点では、マンホール侵入検出(および継続的な状態監視)のための認識された「良い」解決策が存在しない。そのため、設備の運営者は、マンホールの現場に定期的に技術者を派遣する必要がある。しかし、このような取り組みは、非効率であり、時間もかかる。
【0060】
したがって、マンホールを含む他の屋外通信設備の状態を監視するために有利に使用できるDFOSシステム、方法、および構造の開示を続ける。そこで、DFOS/DAS分散型音響センシング、および/またはDFOS/分散型振動センサ(DVS)を含む分散型光ファイバセンシング(DFOS)システムによって収集された時空間データのパターンを調べることによって、マンホール/ハンドホールの侵入活動を検出する方法について説明する。特に有利なのは、本発明の開示されたシステムおよび方法は、自動化されたリアルタイムのマンホール/ハンドホール侵入検出を提供することができる。この方法により、DFOSベースのマンホール/ハンドホール侵入検出ソリューションを実装できる。
【0061】
これから図示して説明するように、本発明のDFOSシステムおよび方法は、ファイバセンシング信号とともに通信トラフィックを同時に伝送することができる光ファイバケーブル経路全体に沿ったマンホール/ハンドホールを自動でリアルタイムに監視のための統合ソリューションとなるような人工知能(AI)技術を採用する。
【0062】
さらに示すように、本発明のDFOSシステムおよび方法は、有利なことに、DFOSシステムを使用して、ファイバ経路に沿ったすべてのマンホールの周囲のフィールド振動信号を年中無休で収集し、AIエンジンが、マンホール/ハンドホールの侵入活動(カバーを開ける、ケーブルに触れ/振る、壁を叩くなど)の痕跡を自動的に識別し、リアルタイムで応答するために採用され、AIエンジンからのリスク評価と活動分類を提供し、高リスクのイベントが検出された場合、オプションでユーザーの確認を待ちながら、グラフィカルユーザーインターフェイス(GUE)上にアラームポップアップを提供し、地理/グラフィック情報システム(GIS)上で高リスクイベントを正確に特定し、オペレーターに警告メッセージを提供し、時間とマンホール/ハンドホールID情報を含むイベントのアーカイブ記録をログに記録する。
【0063】
本開示の態様によるシステムおよび方法に関連する主要な技術的課題は、侵入イベントによって引き起こされる振動を、通常の環境条件、すなわち交通によって引き起こされる振動から区別するメカニズムを提供することである。
【0064】
知られているように、光ケーブルは、道路/高速道路、パイプライン、鉄道線路などに沿って敷設されることが多い。車道/高速道路の場合、このようなマンホール/ハンドホールは、通常、道路の中央または隣接する歩道に設置される。その結果、車両が高速道路を使用している間、マンホール/ハンドホールのカバーが振動し、不自然なイベントによって生成される他のDFOSデータと同様のDFOSパターンデータを生成する可能性がある。交通振動データトレースを抽出すると、さらに計算オーバーヘッドが発生する。したがって、本発明のシステムおよび方法は、多段階アプローチを採用する。すなわち、検出は各マンホール領域内の侵入パターンを調べることによって実行され、確認は隣接する(つまり、左右の)隣接領域から計算された信号対雑音比(SNR)メトリックに基づく。したがって、本発明のシステムおよび方法は、高い侵入検出率と低い誤警報率を保証すると同時に、DFOSデータから交通トレースを明示的に抽出する必要性を回避する。
【0065】
図5は、本開示の態様による、DFOSを使用してマンホール侵入を検出するための例示的な手順を示す概略フロー図である。このフロー図に示されているように、DFOSシステムは、監視のために配備されたファイバケーブルに接続されている。DFOSシステムが動作し、周囲騒音、道路交通、現場の振動などを含む現場からの振動信号が受信される。受信信号は、本開示の態様に従って構成されたマンホール/ハンドホール/侵入検出AIエンジンを使用して自動的に分析される。AIエンジンは、侵入行動の痕跡を検出し、高リスクと判断されたイベントを検出すると、調査/是正措置のためにイベントの場所、時間、脅威レベルの情報がGUIに表示される。
【0066】
図6は、本開示の態様による、DFOSを使用したマンホール侵入の検出/マンホール監視のための例示的な配置を示す概略図である。
【0067】
この図に示されているように、この配置には、既存の配備されたファイバネットワーク上に重ねられたセンシング層が含まれる。つまり、現役の電気通信ネットワークは、ライブ電気通信トラフィックを伝送することに加えて、DFOSセンサ信号を同時に提供することもできる。
【0068】
例示的な配置では、インタロゲータと検出/AI分析/報告システムを含むことができるDFOSシステムは、光ファイバケーブル経路全体を遠隔監視するための制御局/中央局に都合よく配置される。DFOSシステムは、光ファイバに接続されており、センシング機能が長期間にわたってリアルタイムで提供される。前述したように、センシングに使用される光ファイバは、DFOS信号以外の電気通信や光信号を伝送しない「ダーク」ファイバ、またはサービスプロバイダーのトラフィックを含むことができるライブ電気通信トラフィックを伝送する動作可能な(「ライト」)光ファイバのいずれかであってもよい。
【0069】
AIモデルを訓練およびテストするために、図7に示すように、特定の侵入行動を現場でシミュレートした。図7は、蓋/カバーに関連するものを含むマンホールに関連する行動、すなわち、シミュレートされた蓋を開ける、蓋を閉じる、蓋を叩く、ケースを叩く、およびケーブルを引っ張る行動を示す。
【0070】
図7に示した行動から、異なる侵入行動により、センシングデータに異なる振動パターンが生成されることがわかる。検知された侵入行動のうち、ケーブルに触れたり、ケーブルを揺すったりする行為は、ケーブルと直接相互作用するため、高リスクの侵入イベントとみなされる。これらの行動は、特にそれが無許可のものであったり、オペレーターにとって未知のものであったりする場合は、検出され次第、直ちに措置を講じる必要がある。
【0071】
当業者には理解され、認識されるように、DFOSシステムの高ダイナミックレンジを利用して、マンホール侵入イベントを検出し、重要な侵入イベントと侵入イベントに分類することができる。例えば、図8に概略的に示すように、本開示の態様による、例示的な侵入イベント(例えば、蓋をたたく)および重要な侵入(例えば、ケーブルの揺れ)が、概略的なウォーターフォールプロットおよびバイナリマスクで示されている。重要な侵入イベントには、より高いレベルの注意が必要である。検出されたイベントの時間的および空間的な位置は、バイナリマスクによって示される。侵入検出アルゴリズムのフローチャートが図4に示されており、2つの主要なアルゴリズムモジュール(検出、及び誤警報制御)と3つの可能性のある結果(重要な侵入、侵入、通常)がある。理解され、認識されるように、検出された重要な侵入イベントは、一般に、侵入イベントよりも強度が高くなる。
【0072】
図9は、本開示の態様による、監視される各マンホールの例示的な侵入検出を示す概略フロー図である。動作上、センシングデータは数秒ごとに分析される。図10は、本開示の態様による、中央のマンホール領域と左右の2つの隣接する領域を含む分析窓を示す概略図である。ファイバに沿ったマンホールの位置は、例えば、緯度から経度までのケーブルマッピングソリューションを使用して、現地調査によって事前に知られている。図10には、マンホール内の対応する弛みファイバがさらに示されている。左右の領域は、振動の原因を理解するためのコンテキストとして機能する。マンホールの振動が交通によって引き起こされる場合、マンホール領域とコンテキスト領域の両方に振動パターンが含まれる。しかし、実際にマンホール侵入が発生した場合、振動パターンは主にマンホール領域に限定される。この観察に基づいて、SNRベースのメトリックである、SNR=マンホール領域の合計強度/コンテキスト領域の合計強度、を使用する。
【0073】
実際には、このメトリックは、交通が原因の誤警報を効果的に除去する。
【0074】
図11は、本開示の態様による、各モジュールの入出力依存関係を矢印で示す例示的なデータ処理パイプラインを示す概略ブロック図である。
【0075】
本発明のシステムおよび方法を評価する際に、1つの経路から39個のハンドホールのリアルタイム監視を実施したことに留意する。個々のハンドホールでの侵入イベントは正常に検出された。マンホール/ハンドホールカバー上で行われる交通は、マンホールカバーにも振動を引き起こし、SNR比が低い機能では、これらのイベントは依然として正常として分類されることに留意する。個々のハンドホールの近くにアクティブなフィールド構造物があったという事実にもかかわらず、ハンドホールはマンホールから安全な範囲内にあるため、ハンドホールの状態も正常として分類される。本発明のDFOSシステムおよび処理手順は、従来技術の方法では区別できなかったこのようなイベントを区別するのに十分な高い空間分解能を提供する。
【0076】
有利なことに、本発明のシステムおよび方法は、ケーブル経路情報および検出された異常信号をリスク評価とともに有利に含むことができるユーザーフレンドリーな表示インターフェースを採用し、それによってオペレータおよび電気通信事業者に視覚化を提供することができるる。動作上、このようなGUIは、フィールド振動信号を視覚化するためにDFOSシステムから受信されたリアルタイムのウォーターフォールトレース、マンホール/ハンドホールの位置を含む経路マップ、およびマンホール/ハンドホールのステータスを有利に含むことができる。リスク評価に基づいて、さまざまなレベルのリスクが、通常状態、侵入状態、および重要な侵入状態をそれぞれ示す緑、黄色、オレンジなどの色で表示される。
【0077】
異なる状態のイベントを含む複数の侵入イベントが存在する場合、GUIプレゼンテーションはさらに有利である。監視対象のマンホールの状態は、通常、侵入、重要な侵入にそれぞれ対応する緑、黄色、またはオレンジの段階的な色を使用して表示されるため、マンホールに対して複数のレベルの侵入が検出された場合、表示される色が最も高い侵入レベルである可能性がある。例えば、検出された一連の侵入イベントに、最初に蓋を叩いて開く、次にケーブルを振る、最後に蓋を閉めるなどが含まれる場合。オレンジ色のライトが黄色のライトを上書きして、これまでで最も高いリスクを示す。その後、蓋を閉じるイベントまたは通常のイベントでは、ユーザーがチェックボタンをクリックしない限り、色が緑色(通常)に戻ることはない。一方、検出時に、チェックポイントボタンの設計により、検出されたイベントが承認されているか、ユーザーに知られているかを確認することもできる。
【0078】
図12は、本開示の態様による、DFOSシステム(DFOS/DAS/DVS)による例示的な全体的なマンホール侵入検出プロセスを示す概略ブロック図である。
【0079】
ここでは、マンホール内部に予め配備された光ファイバを使用して、マンホールカバーの開閉イベント検出のための分散型音響センシング(DAS)と機械学習に基づくソリューションについてより詳しく説明する。さらに、本発明の深層学習アルゴリズムによって可能になった自動化レベルを採用することで、従来技術の監視方法と比較して、マンホールの開閉イベントをより正確に検出でき、マンホールの状態を年中無休で継続的に監視することができる。さらなる利点として、本発明の方法は、単一のファイバを使用して数百のマンホールを同時に監視できる。DFOS方法で知られているように、本発明の方法は、センサデータが光後方散乱現象を介してインテロゲータに直接送り返されるため、ファイバセンサ経路に沿って電力を必要としない。
【0080】
有利なことに、追加の追跡装置/センサを設置することなく、本発明のシステムおよび方法は、DASを介して既存の光ファイバに沿った振動信号を検出できる。DAS信号が前処理されて、機械学習アルゴリズムによってリアルタイムで分析される1つ以上のウォーターフォール画像が生成される。深層学習モジュールは、変換と時間的関係によって特徴付けられる固有のデータ構造を調査することによって、ウォーターフォール画像に表示されるイベントを分類する。これは、分散型ファイバセンシングデータ用にカスタマイズされた時間的関係ネットワーク(TRN)モジュールによって実現され、ニューラルネットワークのウォーターフォールサンプルの複数の時間スケールでの時間的関係推論が可能になる。本発明のシステムおよび方法は、従来のCNNベースの方法などのベースラインに比べて大幅な改善をもたらす。
【0081】
マンホール関連のイベント検出に加えて、本発明のTRN構成は、動作/イベントに時間的関係が存在し、機械の移動方向予測などのデータの外観特性が欠如している他のファイバセンシング適用にも使用することができる。
【0082】
これから図示して説明するように、本発明のモデルは、限られた量のラベル付きデータで一度訓練されると、従来のシステムおよび方法と比較して、開閉イベントの分類において高い精度を達成することができる。有利なことに、本開示の態様による本発明のシステムおよび方法は、パターンマッチング/認識の代わりに、時間的関係推論に基づいて開閉イベントを予測する。当業者には認識されるように、2つのイベントのパターンは非常に似ている可能性があり、そのため、従来の畳み込みニューラルネットワーク(CNN)でそれらを区別することは困難である。そこで、ウォーターフォール画像をy軸の時系列データとみなし、イベントの発生順序に基づいてパターン内の関係を調べる。
【0083】
これを達成するために、ウォーターフォールセンシングデータの異なる時間フレーム間の時間的関係推論を可能にする時間的関係ネットワーク(TRN)モジュールを採用する。
【0084】
動作上、通常の2次元画像の代わりに各ウォーターフォール画像を時系列データとして捉え、データ内の時間情報を明示的に使用する、すなわち、ウォーターフォール画像をID「ビデオ」とみなす。画像のy軸は時間なので、当然、(多変量)時系列データの形式になる。これにより、ビデオ分析技術などのいくつかの技術を採用することができる。これには、複数の時点の組み合わせからサンプリングされたデータをモデル入力として使用することが含まれる。したがって、行の多くの組み合わせを重複することなく生成できるため、データ不足の問題が軽減され、モデル訓練処理にメリットがある。同時に、さまざまなDASセンサのセンシングレートの変動や、イベントの時間経過のさまざまな期間に対応できる。
【0085】
使用できる別の技術には、異なるフレームの特徴間の時間的関係を探索することを含む。この例では、複数の行の特徴(タイムスタンプ)間の関係を分析する。複数の順序付けされた行間の時間的関係をキャプチャするTRNモジュールを採用する。このモジュールは、ウォーターフォール画像に基づく他のイベント検出問題にも適用でき、精度を向上させることができる。
【0086】
ウォーターフォール画像の生(raw)ピクセルを特徴として使用する代わりに、畳み込みニューラルネットワークをエンコーダとして適用して、ウォーターフォールデータの各行内の特徴を抽出する。各時点のセンシングデータをID画像とみなして、2次元畳み込み層ではなくIDを使用してエンコーダを構築する。マンホールが異なれば、内部の弛みファイバの量により、異なる幅の振動パターンが生成される場合がある。したがって、同じ長さの入力を取得するために、各行にゼロを埋め込む。画像変換を行うことなく、基礎となるイベント構造が維持される。
【0087】
図13は、本開示の態様による、DFOSシステム(DFOS/DAS/DVS)による例示的で全体的なマンホール侵入検出プロセスを示す概略フロー図である。
【0088】
図14は、本開示の態様による、例示的な生成ウォーターフォール画像を示す概略図である。
【0089】
開閉イベントは連続動作であるため、図14に示すようにウォーターフォール画像の行にエンコードされている、異なるタイムスタンプ間の基本的な相関関係を調査するのは当然であることに留意されたい。時間窓がNである、すなわち、画像にN行あると仮定する。イベントが行jから行iまで進行するにつれて、対応する振動パターンも同じ順序で変化する。例えば、イベントが「開」の場合、マンホールを持ち上げることに対応するいくつかの振動パターンがあり、その後、カバーが地面に接触することを表すパターンが続く可能性がある。行動内の固有の関係は、「閉」イベント(マンホールのカバーを置く前に位置を合わせる)にも存在する。ウォーターフォール画像における観測間の時間的関係をモデル化するために、TRNモジュールを採用する。ペアごとの時間的関係は
【数1】
と定義できる。
【0090】
ここで、入力は、I={f1,f2,…,fn}として選択されたn個の順序付けされた行を有するウォーターフォール画像Iであり、fiは画像のi番目の行を表す。関数hφとgθは、異なる順序の行の特徴を融合する。それぞれパラメータφとθを持つ多層パーセプトロン(MLP)を使用する。この定義は、3行リレーション関数
【数2】
などの上位の行関係にもさらに拡張できる。
【0091】
イベントが完了し、単一スケールの関係で捕捉することができない場合は、次の関数を使用して、さまざまなスケールで関係を蓄積できる。
【数3】
【0092】
ここで、Tdは、d個の順序付けされた行間の時間的関係を捕捉する。すべての関係関数は、ベースCNNを使用してエンドツーエンドで訓練可能である。
【0093】
図15は、マンホール開閉イベント検出システムの構成と、マンホールカバーの開閉または通常背景(normal background)のサンプルウォーターフォールデータを示す概略図である。分散型音響センサ(DAS)は、既存の配備されたファイバネットワークに接続され、それに沿って振動を監視する。これは制御室/中央局に設置されており、時間的関係イベント検出アルゴリズムに基づいたAIエンジンを備える。このシステムは、関連するイベントをリアルタイムで継続的に感知し、分析することができる。
【0094】
ウォーターフォールデータでは、カバーの形状、重量、および地表面の種類などの違いにより、異なるマンホールからの振動パターンの形状と強度が大きく異なることが分かる。一方、開閉イベントは似ているように見えるが、異なるオペレーターの行動により、イベントの時間経過は異なる。クラス内不均一性(intra-class heterogeneity)とクラス間類似性(intra-class similarity)は、機械学習の主な技術的課題の特徴である。従来のCNNベースのモデルは、背景からマンホール侵入イベントを効果的に検出できるが、開閉を区別することはできなかった。実際には、マンホール開イベントを正確に検出することが、マンホールカバーの盗難防止にとって重要な機能である。
【0095】
図16は、本開示の態様による、訓練および推論段階を含む全体的な処理手順のフローチャートを示す。
訓練段階では、最初のステップは、特定の空間的および時間的な解像度を持つ訓練パッチを取得することである。そのために、フィルタを適用して信号を平滑化し、強度に基づいて候補となる高振動パッチを選択する。次に、選択したパッチを、位置とピクセル空間においてランダムな摂動で変換する。従来の教師あり訓練手順に従って、TRNモデルはラベルとパッチのペアを使用して訓練される。
【0096】
推論段階では、入力されたウォーターフォール画像は、スライディング窓によってオーバーラップを有する局所パッチに変換される。次に、パッチは訓練されたTRNモデルによって分類され、パッチ内に開閉イベントが存在するかどうかが判断される。AIエンジンは、入力データの連続ストリームを取得し、GPU上でリアルタイムで推論を実行し、タイムスタンプ、イベントタイプ、および信頼スコアを出力として提供する。
【0097】
図17は、本開示の態様によるTRN装備ファイバセンシングイベント分類モデルの全体的なアーキテクチャを示す。ウォーターフォールパッチの入力ごとに、イベント信号がy軸で発生するときにランダムに行をサンプリングする。行数は、モデルのハイパーパラメータである。分類モデルは、1次元畳み込み層とTRNモジュールで構成される。畳み込み層は、x軸に沿って各行の特徴を抽出するために使用される。これらの特徴は、x軸に沿った強度に対応する特徴を符号化することができる。次のTRNモジュールは、行の特徴をまとめて順番に変換および考慮することができる。TRNモジュールから生成された特徴は、イベントの進行状況を時間次元で記述することができる。TRNモジュールの出力は、入力が各カテゴリである確率であり、最終的な予測は、最も高い値を持つものである。モデル全体は、確率的勾配降下法(SGD)オプティマイザによる規則的な相互エントロピー損失で訓練される。
【0098】
図18は、2フレーム時間的関係モジュールの詳細を示す概略図である。fは、本開示の態様による、前の畳み込み層ブロックからの特徴を表す。gθには、2つの全結合層から構成される MLPブロックを採用する。第1層は、非線形性のためのReLU活性化関数に従った512個のユニットを有する。第2層のユニット数は、クラス番号と一致する。hφについては、単に恒等関数を使用する。画像内に存在するより複雑なイベントの場合は、式(3)を使用して次のブロックを加算することによって実装されるマルチスケールと組み合わせて、より優れた表現能力を得るためにhφをMLPブロックに置き換えることができる。
【0099】
マルチスケール時間的ネットワークを訓練する場合、効率を高めるためにカスケードサンプリング方法を採用する。(1)y軸に沿ってN個のセグメントからN個の行を均一にサンプリングする。(2)各d<Nについて、d個のフレームのk個のランダムサンプルを選択して、d個のフレーム関係を計算する。これにより、N個のフレームのみを使用してkN個の時間的関係が可能になる。Nはエポックごとに異なるため、モデルは、N個の均一セグメントからの行の組み合わせによってイベントを認識する傾向にある。これにより、画像全体を使用する場合と比較して、訓練手順が大幅に高速化される。
【0100】
当業者には理解され、認識されるように、本発明の開示は、予め配備された光ケーブルを用いてマンホールの開閉イベントをリアルタイムで検出するソリューションを提供する。本発明のAI深層学習ベースのアルゴリズムを活用したファイバセンシング技術の使用により、追加のセンサを設置することなく完全なソリューションを提供する。ただし、生成された2つのイベントのウォーターフォール画像では外観が類似しているため、従来の畳み込みニューラルネットワークを使用してこのタスクを行うのは困難である。その代わりに、外的要因に左右されない、イベントが継続するにつれて、時間的次元に沿った固有の特性を利用する。これは、1次元畳み込み層の後に時間的関係を使用することによって実現される。入力が1次元(2次元画像の代わりに行)であるため、畳み込み層ブロックの設計は1次元である。エンドツーエンドの訓練可能なモデルは、選択された代表的な行を入力とし、確率が最も高いカテゴリを選択して予測を出力する。ファイバセンシングデータで時間的関係推論を可能にすることで、DASファイバセンシングに基づくマンホールカバーの開閉などのきめの細かなイベント認識が初めて支援する。
【0101】
図19は、本開示の態様による、本発明のマンホール検出の特徴を示す概略ブロック図である。
【0102】
この時点で、いくつかの特定の例を使用して本開示を提示したが、当業者であれば、本発明の教示がそれに限定されないことを認識するであろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。
図1(A)】
図1(B)】
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2024-04-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバセンサケーブルと、
前記光ファイバセンサケーブルと光通信するDFOSインタロゲータシステムと、
前記DFOSインテロゲータシステムによって受信されたDFOSセンシングデータを分析するように構成されたインテリジェント分析器と、を有する分散型光ファイバセンシング(DFOS)システムであって、
前記光ファイバセンサケーブルの光路内に配置された屋外ファイバキャビネットを有し、前記屋外ファイバキャビネットは、音響振動波を増幅し、音響振動信号が前記インテリジェント分析器によって検出されるように、前記音響振動波を前記光ファイバセンサケーブルに機械的に伝達するように構成されていることを特徴とする分散型光ファイバセンシング(DFOS)システム。
【請求項2】
前記屋外ファイバキャビネットの少なくとも一部は、ファイバマイクロホン/増幅器として構成され、前記光ファイバセンサケーブルから形成されたファイバコイルを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記光ファイバセンサケーブルから形成された前記ファイバコイルは、ファイバマイクロホン/増幅器として構成された前記屋外ファイバキャビネットの部分に機械的に取り付けられている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
ファイバマイクロホン/増幅器として構成された前記屋外ファイバキャビネットの部分は、音響振動波と相互作用する相互作用領域を含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
ファイバマイクロホン/増幅器として構成された前記屋外ファイバキャビネットはドアである、請求項に記載のシステム。
【請求項6】
前記インテリジェント分析器は、前記ドアが開いているか閉じているかを検出するように構成されている、請求項に記載のシステム。
【請求項7】
前記インテリジェント分析器は、前記ドアの開/閉状態が許可されているかどうかを検出するように構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
ファイバマイクロホン/増幅器として構成された前記屋外ファイバキャビネットの部分が金属から構成されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記光ファイバセンサケーブルは、任意のDFOS信号と同時に電気通信トラフィックを伝送する、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
分散型光ファイバセンシング(DFOS)/分散型音響センシング(DAS)システムであって、
光ファイバセンサケーブルと、
前記光ファイバセンサケーブルと光通信するDFOS/DASインタロゲータシステムと、
前記DFOSインタロゲータシステムによって受信されたDFOSセンシングデータにおいて時間的関係イベント検出を提供するように構成された時間的関係ニューラルネットワーク(TRN)を含むAIインテリジェント分析器と、を含むシステム。
【請求項11】
前記光ファイバセンサケーブルの少なくとも一部が存在する1つまたは複数のマンホールをさらに備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記TRNは、所望の空間的解像度および時間的解像度を有する訓練パッチを取得するように訓練される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記TRNの訓練は、信号を平滑化し、強度に基づいて候補となる高振動パッチを選択するためのフィルタを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
TRNモデルがラベルとパッチのペアを用いて訓練される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
TRNモデルは、パッチ内に開イベントまたは閉イベントが存在するかどうかを決定し、AIエンジンは、入力データの連続ストリームを入力として受け取り、リアルタイムで推論を実行し、タイムスタンプ、イベント種類、および信頼スコアを出力として提供する、請求項14に記載のシステム。
【国際調査報告】