(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-23
(54)【発明の名称】エレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法、ギアシフト制御装置、エレクトロクロミックデバイス及び可読記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G02F 1/163 20060101AFI20241016BHJP
【FI】
G02F1/163
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519936
(86)(22)【出願日】2022-09-28
(85)【翻訳文提出日】2024-04-01
(86)【国際出願番号】 CN2022122265
(87)【国際公開番号】W WO2023051639
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】202111161177.6
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202211129611.7
(32)【優先日】2022-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523298889
【氏名又は名称】光▲ゲイ▼智能科技(蘇州)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鐘卓洪
(72)【発明者】
【氏名】熊▲ちん▼璧
(72)【発明者】
【氏名】高浩▲きん▼
(72)【発明者】
【氏名】▲けい▼笑舒
【テーマコード(参考)】
2K101
【Fターム(参考)】
2K101AA22
2K101DA01
2K101EC72
2K101EJ16
2K101EK05
(57)【要約】
エレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法、装置及びエレクトロクロミックデバイスであって、エレクトロクロミックデバイスには、ギア特徴付けパラメータデータが予め記憶されており、ギアシフト制御方法は、ギアシフト前の初期ギアから初期目標ギアへの切り替えの過程において、エレクトロクロミックデバイスのギア特徴付けパラメータ状態を取得し、且つ新たなギアシフト信号が受信されると、新目標ギアを獲得し、現在の充電又は放電操作を中断することと、中断操作時のギア特徴付けパラメータ状態、並びに初期ギア及び新目標ギア又は新目標ギアに対応するギア特徴付けパラメータに応じて、中断操作の後の充電又は放電方向及び対応するギア特徴付けパラメータ調整値を決定することと、充電又は放電方向及びギア特徴付けパラメータ調整値に応じて、エレクトロクロミックデバイスを新目標ギアに切り替えられるように調整することと、を含む。ギアシフト制御方法は、ギアシフト過程において中止できない問題を解決し、ユーザの切り替えの待ち時間等を減少させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ギア特徴付けパラメータデータが予め記憶されたエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法であって、
ギアシフト前の初期ギアから初期目標ギアへの切り替えの過程において、前記エレクトロクロミックデバイスのギア特徴付けパラメータ状態を取得し、且つ新たなギアシフト信号が受信されると、新目標ギアを獲得し、現在の充電又は放電操作を中断することと、
前記中断操作時のギア特徴付けパラメータ状態、並びに前記初期ギア及び前記新目標ギア又は前記新目標ギアに対応するギア特徴付けパラメータに応じて、前記中断操作の後の充電又は放電方向及び対応するギア特徴付けパラメータ調整値を決定することと、
前記充電又は放電方向及び前記ギア特徴付けパラメータ調整値に応じて、前記エレクトロクロミックデバイスを前記新目標ギアに切り替えられるように調整することと、を含む、
エレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法。
【請求項2】
ギアシフト前の初期ギアから初期目標ギアへの切り替えの過程において、毎回受信された新たなギアシフト信号に対して回数の累計を行い、且つギアシフト回数の計数値がプリセット回数閾値よりも大きいか又は等しいことが検出されると、前記計数値が前記プリセット回数閾値に等しい時のギアシフト信号に対応するセカンダリ目標ギアを獲得することと、
前記計数値が前記プリセット回数閾値に等しい時のギアシフト信号が受信された時に対応するギア特徴付けパラメータ状態、並びに前記初期ギア及び前記セカンダリ目標ギア又は前記新目標ギアに対応するギア特徴付けパラメータに応じて、前記中断操作の後の充電又は放電方向及び相応するギア特徴付けパラメータ調整値を決定して、前記エレクトロクロミックデバイスを前記セカンダリ目標ギアに切り替えられるように直接、調整することと、をさらに含む、
請求項1に記載のエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法。
【請求項3】
前記セカンダリ目標ギアへの切り替えの過程において、単位時間内に少なくとも1回の新たなギアシフト信号が再び受信されれば、最後の1回のギアシフト信号に対応するギアを最終目標ギアとすることと、
前記セカンダリ目標ギアへの切替後に、前記セカンダリ目標ギア及び前記最終目標ギアに対応するギア特徴付けパラメータに応じて、前記最後の1回のギアシフト信号に対応する中断操作の後の充電又は放電方向及び相応するギア特徴付けパラメータ調整値を決定し、前記エレクトロクロミックデバイスを前記最終目標ギアに切り替えられるように再度調整することと、をさらに含む、
請求項2に記載のエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法。
【請求項4】
前記ギア特徴付けパラメータデータは、前記エレクトロクロミックデバイスの異なるギアでの電荷容量データを含み、前記取得されたギア特徴付けパラメータ状態は、前記エレクトロクロミックデバイスに対して入力又は放出したリアルタイム電荷容量変化値であり、
前記中断操作時のギア特徴付けパラメータ状態の取得のステップは、
前記中断操作時に記録されたリアルタイム電荷容量変化値を読み取ることを含み、
前記した、前記中断操作時のギア特徴付けパラメータ状態、並びに前記初期ギア及び前記新目標ギアに対応するギア特徴付けパラメータに応じて前記中断操作の後の充電又は放電方向及び対応するギア特徴付けパラメータ調整値を決定するステップは、
前記新目標ギアと前記初期ギアとの間の電荷容量差値を計算することと、
前記電荷容量差値と前記中断操作時に取得されたリアルタイム電荷容量変化値との比較結果に応じて、前記中断操作の後に充電方向であるか放電方向であるかを決定し、前記電荷容量差値と前記リアルタイム電荷容量変化値との間の差の絶対値を対応する方向での電荷容量調整値とすることと、を含む、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法。
【請求項5】
前記ギア特徴付けパラメータデータは、前記エレクトロクロミックデバイスの異なるギアで対応する開回路電圧及び電荷容量データを含み、前記取得されたギア特徴付けパラメータ状態は、前記エレクトロクロミックデバイスの開回路電圧であり、
前記中断操作時のギア特徴付けパラメータ状態の取得のステップは、
第1プリセット時間帯待った後に、前記エレクトロクロミックデバイスの前記第1プリセット時間帯内でのリアルタイム開回路電圧の変化率に応じて、安定後の開回路電圧を予測して前記中断操作時に所在する現在ギアを決定すること、
又は、第2プリセット時間帯待った後に、前記エレクトロクロミックデバイスの現在開回路電圧を読み取って前記中断操作時に所在する現在ギアを決定すること、を含み、前記第1プリセット時間帯が、前記第2プリセット時間帯よりも小さい、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法。
【請求項6】
前記した、前記エレクトロクロミックデバイスの前記第1プリセット時間帯内でのリアルタイム開回路電圧の変化率に応じて安定後の開回路電圧を予測するステップは、
中断操作時の前記エレクトロクロミックデバイスの中断開回路電圧及び前記エレクトロクロミックデバイスの前記第1プリセット時間経過した後のリアルタイム開回路電圧に応じて、前記第1プリセット時間内での対応する開回路電圧変化速度率を計算し、前記開回路電圧変化速度率に応じて開回路電圧の修正係数を決定することと、
前記修正係数を利用して前記リアルタイム開回路電圧に対して修正を行い、開回路電圧修正値を得って安定時の予測開回路電圧を決定することと、を含む、
請求項5に記載のエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法。
【請求項7】
前記修正係数の決定のステップは、
前記開回路電圧変化速度率が0に等しいか又は近づいている場合、前記修正係数が0であり、
前記開回路電圧変化速度率が0に近づいていない場合、前記修正係数が前記開回路電圧変化速度率の絶対値と正の相関を呈すること、を含む、
請求項6に記載のエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法。
【請求項8】
前記した、前記中断操作時のギア特徴付けパラメータ状態、及び前記新目標ギアに対応するギア特徴付けパラメータに応じて前記中断操作の後の充電又は放電方向及び対応するギア特徴付けパラメータ調整値を決定するステップは、
具体的に、中断操作時の前記エレクトロクロミックデバイスの中断開回路電圧、及び前記新目標ギアの目標開回路電圧に応じて、前記エレクトロクロミックデバイスの異なるギアで対応する開回路電圧及び電荷容量データと結び付けて、中断操作の後の充電又は放電方向及び対応する電荷容量調整値を決定することを含む、前記中断開回路電圧に基づいて電荷容量調整値を計算するステップ、
又は、具体的に、前記予測開回路電圧又は前記安定開回路電圧、及び前記新目標ギアの目標開回路電圧に応じて、前記エレクトロクロミックデバイスの異なるギアで対応する開回路電圧及び電荷容量データと結び付けて、中断操作の後の充電又は放電方向及び対応する電荷容量調整値を決定することを含む、前記予測開回路電圧又は第2プリセット時間帯待った後に読み取られた安定開回路電圧に基づいて電荷容量調整値を計算するステップ、を含む、
請求項6に記載のエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法。
【請求項9】
前記中断開回路電圧に基づいて電荷容量調整値を計算するステップにおいて、
前記電荷容量調整値のチャージ又は放出の制御後に、第3プリセット時間帯待った後に、前記新目標ギアのギアシフト信号が再度受信されると、調整後の安定開回路電圧を取得することと、
前記調整後の安定開回路電圧及び前記新目標ギアの目標開回路電圧に応じて、前記エレクトロクロミックデバイスの異なるギアで対応する開回路電圧及び電荷容量データと結び付けて、必要な電荷容量補充値を決定することと、
前記新目標ギアに到達するように、前記電荷容量補充値に応じて前記エレクトロクロミックデバイスに対して再度調整を行うことと、を含む、
請求項8に記載のエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法。
【請求項10】
取得された前記中断開回路電圧と前記新目標ギアの目標開回路電圧との間の差値を計算することと、
前記差値が第1プリセット範囲内に位置すると、前記予測開回路電圧又は前記安定開回路電圧に基づいて電荷容量調整値を計算するステップを実行し、
前記差値が第2プリセット範囲内に位置すると、前記中断開回路電圧に基づいて電荷容量調整値を計算するステップを実行し、前記中断開回路電圧により計算された電荷容量に応じて前記エレクトロクロミックデバイスに対して調整を行ってから前記調整後の安定開回路電圧に基づいて再度調整を行い、前記第2プリセット範囲における数値の絶対値が、前記第1プリセット範囲における数値の絶対値よりも小さいことと、をさらに含む、
請求項9に記載のエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法。
【請求項11】
前記初期ギアから前記初期目標ギアへの切り替えの開始前に、
初期ギアシフト信号の受信が検出されると、前記エレクトロクロミックデバイスの現在の開回路電圧を検出して現在の実際のギアを決定し、前記現在の実際のギアを初期ギアとすることと、
前記初期ギアシフト信号から前記初期目標ギアを獲得し、前記初期目標ギアと前記初期ギアに対応する電荷容量の差を求め、前記初期ギアから前記初期目標ギアへの切り替えのために調整が必要な電荷容量を得ることと、をさらに含む、
請求項1~10のいずれか1項に記載のエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法。
【請求項12】
ギア特徴付けパラメータデータが予め記憶されたエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御装置であって、
ギアシフト前の初期ギアから初期目標ギアへの切り替えの過程において、前記エレクトロクロミックデバイスのギア特徴付けパラメータ状態を取得し、且つ新たなギアシフト信号が受信されると、新目標ギアを獲得し、現在の充電又は放電操作を中断するように構成される取得モジュールと、
前記中断操作時のギア特徴付けパラメータ状態、並びに前記初期ギア及び前記新目標ギア又は前記新目標ギアに対応するギア特徴付けパラメータに応じて、前記中断操作の後の充電又は放電方向及び対応するギア特徴付けパラメータ調整値を決定するように構成される決定モジュールと、
前記充電又は放電方向及び前記ギア特徴付けパラメータ調整値に応じて、前記エレクトロクロミックデバイスを前記新目標ギアに切り替えられるように調整するように構成される調整モジュールと、を備える、
エレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御装置。
【請求項13】
プロセッサ、及びコンピュータプログラムが記憶されたメモリを備え、
前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行して請求項1~11のいずれか1項に記載のエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法を実施するように構成される、
エレクトロクロミックデバイス。
【請求項14】
プロセッサで実行されると、請求項1~11のいずれか1項に記載のエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法を実施するコンピュータプログラムが記憶された、
可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、エレクトロクロミックの技術分野に関し、特にエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法、装置及びエレクトロクロミックデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
この部分では、本開示に関連する背景情報が提供されているが、これらの情報は、必然的に従来技術を構成するものではない。
【0003】
関連技術において、例えば部屋の窓、自動車のウインドシールド等は常に、エレクトロクロミック材料を採用して異なる色状態の間での光学性能の切り替えを実現している。異なる場面の応用に適応するために、該エレクトロクロミックデバイスにはさらに、複数の異なるギアが設けられる場合があり、そのうち、各ギアは、異なる光透過率又は反射率に対応し、このようにすると、ユーザは、ニーズに応じて最も適切な状態に調節して使用することができる。
【0004】
しかしながら、いくつかの、サイズが大きいエレクトロクロミックデバイスには、通常、変色が遅い現象が存在し、ギアの切替時に変色時間が長くなり、且つ切替過程においてデバイスを操作することができない。そのため、実際のギアシフト操作の過程において、何らかの問題が存在する。例えば、ユーザが誤接触すると、該変色の完成を待ってから逆方向に切り替えなければ、それを元のギアに戻すことができず、この過程には大量の時間がかかり、ユーザの体験に影響を与える。また、例えば、ユーザがギアを切り替える時に(例えば1ギアから7ギアへの切り替え)、中間のあるギアに切り替えられると実際の使用効果を満たすことができる可能性があるが(例えば5ギア等)、従来技術におけるエレクトロクロミックデバイスはギア切替過程において中止できないため、先にギア7に完全に切り替えられてから、5ギアに切り替えられて戻る必要があり、その結果、待ち時間が長くなり、ユーザの体験等に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに鑑みて、本願の実施例は、ギアシフト過程において中止できない問題をうまく解決でき、ギア切替のニーズに素早く応答し、ユーザの切り替えの待ち時間を減少させて、ユーザの体験を向上させることが可能なエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法、装置及びエレクトロクロミックデバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1側面において、本願の実施例は、エレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法を提供し、前記エレクトロクロミックデバイスには、ギア特徴付けパラメータデータが予め記憶されており、前記方法は、
ギアシフト前の初期ギアから初期目標ギアへの切り替えの過程において、前記エレクトロクロミックデバイスのギア特徴付けパラメータ状態を取得することができ、且つ新たなギアシフト信号が受信されると、新目標ギアを獲得し、現在の充電又は放電操作を中断することができることと、
前記中断操作時のギア特徴付けパラメータ状態、並びに前記初期ギア及び前記新目標ギア又は前記新目標ギアに対応するギア特徴付けパラメータに応じて、前記中断操作の後の充電又は放電方向及び対応するギア特徴付けパラメータ調整値を決定することができることと、
前記充電又は放電方向及び前記ギア特徴付けパラメータ調整値に応じて、前記エレクトロクロミックデバイスを前記新目標ギアに切り替えられるように調整することができることと、を含んでもよい。
【0007】
いくつかの好ましい実施例において、該エレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法は、
ギアシフト前の初期ギアから初期目標ギアへの切り替えの過程において、毎回受信された新たなギアシフト信号に対して回数の累計を行うことができ、且つギアシフト回数の計数値がプリセット回数閾値よりも大きいか又は等しいことが検出されると、前記計数値が前記プリセット回数閾値に等しい時のギアシフト信号に対応するセカンダリ目標ギアを獲得することができることと、
前記計数値が前記プリセット回数閾値に等しい時のギアシフト信号が受信された時に対応するギア特徴付けパラメータ状態、並びに前記初期ギア及び前記セカンダリ目標ギア又は前記新目標ギアに対応するギア特徴付けパラメータに応じて、前記中断操作の後の充電又は放電方向及び相応するギア特徴付けパラメータ調整値を決定して、前記エレクトロクロミックデバイスを前記セカンダリ目標ギアに切り替えられるように直接、調整することができることと、をさらに含んでもよい。
【0008】
いくつかの好ましい実施例において、該エレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法は、
前記セカンダリ目標ギアへの切り替えの過程において、単位時間内に少なくとも1回の新たなギアシフト信号が再び受信されれば、最後の1回のギアシフト信号に対応するギアを最終目標ギアとすることができることと、
前記セカンダリ目標ギアへの切替後に、前記セカンダリ目標ギア及び前記最終目標ギアに対応するギア特徴付けパラメータに応じて、前記最後の1回のギアシフト信号に対応する中断操作の後の充電又は放電方向及び相応するギア特徴付けパラメータ調整値を決定し、前記エレクトロクロミックデバイスを前記最終目標ギアに切り替えられるように再度調整することができることと、をさらに含んでもよい。
【0009】
いくつかの好ましい実施例において、前記ギア特徴付けパラメータデータは、前記エレクトロクロミックデバイスの異なるギアでの電荷容量データを含んでもよく、前記取得されたギア特徴付けパラメータ状態は、前記エレクトロクロミックデバイスに対して入力又は放出したリアルタイム電荷容量変化値であってもよく、
前記中断操作時のギア特徴付けパラメータ状態の取得は、
前記中断操作時に記録されたリアルタイム電荷容量変化値を読み取ることを含んでもよく、
前記した、前記中断操作時のギア特徴付けパラメータ状態、並びに前記初期ギア及び前記新目標ギアに対応するギア特徴付けパラメータに応じて、前記中断操作の後の充電又は放電方向及び対応するギア特徴付けパラメータ調整値を決定することは、
前記新目標ギアと前記初期ギアとの間の電荷容量差値を計算することと、
前記電荷容量差値と前記中断操作時に取得されたリアルタイム電荷容量変化値との比較結果に応じて、前記中断操作の後に充電方向であるか放電方向であるかを決定し、前記電荷容量差値と前記リアルタイム電荷容量変化値との間の差の絶対値を対応する方向での電荷容量調整値とすることができることと、を含んでもよい。
【0010】
いくつかの好ましい実施例において、前記ギア特徴付けパラメータデータは、前記エレクトロクロミックデバイスの異なるギアで対応する開回路電圧及び電荷容量データを含んでもよく、前記取得されたギア特徴付けパラメータ状態は、前記エレクトロクロミックデバイスの開回路電圧であってもよく、
前記中断操作時のギア特徴付けパラメータ状態の取得は、
第1プリセット時間帯待った後に、前記エレクトロクロミックデバイスの前記第1プリセット時間帯内でのリアルタイム開回路電圧の変化率に応じて、安定後の開回路電圧を予測して前記中断操作時に所在する現在ギアを決定することができること、
又は、第2プリセット時間帯待った後に、前記エレクトロクロミックデバイスの現在開回路電圧を読み取って前記中断操作時に所在する現在ギアを決定することができること、を含んでもよく、前記第1プリセット時間帯が、前記第2プリセット時間帯よりも小さくなってもよい。
【0011】
いくつかの実施例において、前記した、前記エレクトロクロミックデバイスの前記第1プリセット時間帯内でのリアルタイム開回路電圧の変化率に応じて、安定後の開回路電圧を予測することは、
中断操作時の前記エレクトロクロミックデバイスの中断開回路電圧及び前記エレクトロクロミックデバイスの前記第1プリセット時間経過した後のリアルタイム開回路電圧に対応する開回路電圧変化速度率に応じて、開回路電圧の修正係数を決定することができることと、
前記修正係数を利用して前記リアルタイム開回路電圧に対して修正を行い、開回路電圧修正値を安定時の予測開回路電圧として得ることができることと、を含んでもよい。
【0012】
いくつかの好ましい実施例において、前記修正係数の決定は、前記開回路電圧変化速度率が0に等しいか又は近づいている場合、前記修正係数が0であり、前記開回路電圧変化速度率が0に近づいていない場合、即ち0と大きい偏差がある場合、前記修正係数が前記開回路電圧変化速度率の絶対値と正の相関を呈し、即ち傾きの絶対値が大きいほど、前記修正係数が大きいこと、を含んでもよい。
【0013】
いくつかの好ましい実施例において、前記した、前記中断操作時のギア特徴付けパラメータ状態、及び前記新目標ギアに対応するギア特徴付けパラメータに応じて、前記中断操作の後の充電又は放電方向及び対応するギア特徴付けパラメータ調整値を決定することは、
具体的に、中断操作時の前記エレクトロクロミックデバイスの中断開回路電圧、及び前記新目標ギアの目標開回路電圧に応じて、前記エレクトロクロミックデバイスの異なるギアで対応する開回路電圧及び電荷容量データと結び付けて、中断操作の後の充電又は放電方向及び対応する電荷容量調整値を決定することを含んでもよい、前記中断開回路電圧に基づいて電荷容量調整値を計算するステップ、
又は、具体的に、前記予測開回路電圧又は前記安定開回路電圧、及び前記新目標ギアの目標開回路電圧に応じて、前記エレクトロクロミックデバイスの異なるギアで対応する開回路電圧及び電荷容量データと結び付けて、中断操作の後の充電又は放電方向及び対応する電荷容量調整値を決定することを含んでもよい、前記予測開回路電圧又は第2プリセット時間帯待った後に読み取られた安定開回路電圧に基づいて電荷容量調整値を計算するステップ、を含んでもよい。
【0014】
いくつかの好ましい実施例において、前記中断開回路電圧に基づいて電荷容量調整値を計算するステップにおいて、前記方法は、
前記電荷容量調整値のチャージ又は放出の制御後に、第3プリセット時間帯待った後に、前記新目標ギアのギアシフト信号が再度受信されると、調整後の安定開放回路を取得することができることと、
前記調整後の安定開回路電圧及び前記新目標ギアの目標開回路電圧に応じて、前記エレクトロクロミックデバイスの異なるギアで対応する開回路電圧及び電荷容量データと結び付けて、必要な電荷容量補充値を決定することができることと、
前記新目標ギアに到達するように、前記電荷容量補充値に応じて前記エレクトロクロミックデバイスに対して再度調整を行うことができることと、を含んでもよい。
【0015】
いくつかの好ましい実施例において、該エレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法は、
取得された前記中断開回路電圧と前記新目標ギアの目標開回路電圧との間の差値を計算することと、
前記差値が第1プリセット範囲内に位置すると、前記予測開回路電圧又は前記安定開回路電圧に基づいて電荷容量調整値を計算するステップを実行することができ、
前記差値が第2プリセット範囲内に位置すると、前記中断開回路電圧に基づいて電荷容量調整値を計算するステップを実行し、前記中断開回路電圧により計算された電荷容量に応じて前記エレクトロクロミックデバイスに対して調整を行ってから前記調整後の安定開回路電圧に基づいて再度調整を行うことができ、そのうち、前記第2プリセット範囲における数値の絶対値が、前記第1プリセット範囲における数値の絶対値よりも小さくなってもよいことと、をさらに含んでもよい。
【0016】
いくつかの好ましい実施例において、初期ギアから初期目標ギアへの切り替えの開始前に、該エレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法は、
1つの初期ギアシフト信号の受信が検出されると、エレクトロクロミックデバイスの現在の開回路電圧を検出して現在の実際のギアを決定し、該現在の実際のギアを初期ギアとすることと、
初期ギアシフト信号から初期目標ギアを獲得し、該初期目標ギア及び初期ギアに対応する電荷容量の差を求め、初期ギアから初期目標ギアへの切り替えのために調整が必要な電荷容量を得ることと、をさらに含んでもよい。
【0017】
第2側面において、本願の実施例は、エレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御装置を提供し、前記エレクトロクロミックデバイスには、ギア特徴付けパラメータデータが予め記憶されており、前記装置は、
ギアシフト前の初期ギアから初期目標ギアへの切り替えの過程において、前記エレクトロクロミックデバイスのギア特徴付けパラメータ状態を取得し、且つ新たなギアシフト信号が受信されると、新目標ギアを獲得し、現在の充電又は放電操作を中断するように構成可能である取得モジュールと、
前記中断操作時のギア特徴付けパラメータ状態、並びに前記初期ギア及び前記新目標ギア又は前記新目標ギアに対応するギア特徴付けパラメータに応じて、前記中断操作の後の充電又は放電方向及び対応するギア特徴付けパラメータ調整値を決定するように構成可能である決定モジュールと、
前記充電又は放電方向及び前記ギア特徴付けパラメータ調整値に応じて、前記エレクトロクロミックデバイスを前記新目標ギアに切り替えられるように調整するように構成可能である調整モジュールと、を備えてもよい。
【0018】
第3側面において、本願の実施例は、エレクトロクロミックデバイスを提供し、前記エレクトロクロミックデバイスは、プロセッサ及びメモリを備えてもよく、前記メモリには、コンピュータプログラムが記憶されていてもよく、前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行して上述したエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法を実施するように構成可能である。
【0019】
第4側面において、本願の実施例は、プロセッサで実行されると、上述したエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法を実施可能であるコンピュータプログラムが記憶された可読記憶媒体を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本願の実施例は、以下のような有益な効果を有してもよい。
本願のエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法は、ギアシフト前の初期ギアから初期目標ギアへの切り替えの過程において、エレクトロクロミックデバイスのギア特徴付けパラメータ状態を取得し、且つ新たなギアシフト信号が受信されると、新目標ギアを獲得し、現在の充電又は放電操作を中断し、そして、中断時のギア特徴付けパラメータ状態に応じて、新目標ギアに対応するギア特徴付けパラメータと結び付けて、中断の後の調整方向及びギア特徴付けパラメータ調整値を決定することにより、新目標ギアに直接、切り替える。該方法は、ギアシフト過程において中止される問題を解決することができ、ユーザにとって、ユーザの切り替えの待ち時間を減少させ、ユーザのギアシフト中止操作への応答を速め、ユーザの体験を高める。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本願の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下、実施例に使用される必要がある図面について簡単に紹介し、以下の図面には本願のいくつかのの実施例のみが示されており、範囲を限定するものと見なすべきではないことを理解すべきであり、当業者であれば、創造的労働を行わない前提で、さらに、これらの図面から他の関連する図面を得ることができる。
【0022】
【
図1】本願のいくつかの実施例によるエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法の第1フロー図である。
【
図2】本願のいくつかの実施例によるエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法の第2フロー図である。
【
図3】本願の他のいくつかの実施例によるエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法の第1フロー図である。
【
図4】本願の他のいくつかの実施例によるエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法の第2フロー図である。
【
図5】本願の別のいくつかの実施例によるエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法のフロー図である。
【
図6】本願のさらに他のいくつかの実施例によるエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法のフロー図である。
【
図7】本願のその他のいくつかの実施例によるエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御装置の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本願の実施例における図面を参照しながら、本願の実施例における技術態様を明確、完全に説明し、説明される実施例は、本願の一部の実施例に過ぎず、すべての実施例ではないことは明らかである。
【0024】
通常、ここでの図面において説明されて示される本願の実施例のコンポーネントは、様々な異なる配置で布置及び設計されてもよい。そのため、以下、図面に係る本願の実施例に対する詳しい説明は、保護請求している本願の範囲を制限することを意図せず、単に本願の選定実施例を表している。本願の実施例に基づいて、当業者が、創造的労働を行わない前提で取得された全ての他の実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0025】
後文において、本願の様々な実施例で使用可能な用語「含む」、「有する」及びそれらの同族語は、単に特定の特徴、数字、ステップ、操作、素子、コンポーネント又は前述項の組合せを表すことを意図しており、且つまず1つ又はより多くの他の特徴、数字、ステップ、操作、素子、コンポーネント又は前述項の組合せの存在、若しくは1つ又はより多くの特徴、数字、ステップ、操作、素子、コンポーネント又は前述項の組合せの増加の可能性を排除するものであると理解されるべきではない。また、用語「第1」、「第2」、「第3」等は、説明を区別するためのものに過ぎず、相対的な重要性を指示又は暗示するものとして理解できない。
【0026】
別途限定がない限り、ここで使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本願の様々な実施例が属する分野の当業者が通常理解している意味と同じ意味を有する。前記用語(例えば一般的に使用される辞書で限定される用語)は、本願の様々な実施例で明確に限定されない限り、関連する技術分野における文脈での意味と同じ意味を有するものとして解釈され、且つ理想化された意味又はフォーマルすぎる意味を有するものとしては解釈されない。
【0027】
以下、図面を参照しながら、本願のいくつかの実施形態を詳しく説明する。矛盾がない場合、下記の実施例及び実施例における特徴は互いに結び付けられてもよい。
【0028】
大サイズのエレクトロクロミックデバイスは、そのギア切替を完成させる時間が往々にして長く、例えばユーザの誤接触又はユーザの実のギア切替中止のニーズ等が発生した場面に対して、ユーザの待ち時間を減少させるためには、本願に係るエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法は、ギア切替を実行する過程において、先に初期の目標ギアに切り替えられてから最新の目標ギアに切り替えられる必要がなく、ギアを特徴付けるための関連パラメータを、ギアシフト過程において新たなギアシフト信号を受信すると、対応する目標ギア情報と結び付けてギアシフト過程における直接的な切替を実現するようにリアルタイムに取得することにより、ユーザを待たせる時間を大幅に短縮して、ユーザの体験の向上を保証することができる。
【0029】
本願において、エレクトロクロミックデバイスには、デバイスの透過率に対して量子化制御等を行うように、複数のギアが設定可能である。例えば、エレクトロクロミックデバイスの透過率の変化程度に応じて複数のギアの区分を行ってもよく、具体的に、透過率が高いほど、定義されるギアが大きくなり、即ちギアに対応する数値が大きくなり、一方、透過率が小さいほど、ギアが小さくなり、即ちギアに対応する数値が小さくなる。また、例えば、エレクトロクロミックデバイスの状態電圧、例えば開回路電圧(Open Circuit Voltage、OCV)の大きさ等に応じて複数のギアの区分を行ってもよく、例えば、OCVが大きいほど、定義されるギアが大きくなり、逆に、OCVが小さいほど、ギアが小さくなる等である。
【0030】
上述した、透過率、状態電圧等のパラメータに従ってギアの区分の設定が可能であるもの以外、該エレクトロクロミックデバイスの光学性能に関連する他のパラメータ、例えば電荷容量Qの大きさ等を採用して設定も可能であり、ここでは限定しない。相応するパラメータのタイプで設定する時に、異なるギアのギア特徴付けパラメータを含むデータは、後続のギアシフト時の照会使用等のために、該エレクトロクロミックデバイス内に記憶されることが理解できる。なお、エレクトロクロミックデバイスの同一のギアでの各パラメータの間には対応関係が存在してもよく、ゆえに、ユーザは具体的な実際のニーズに応じて異なるギアでの相応するパラメータの間の対応関係を構築して記憶することができ、例えば、ギア又は透過率、開回路電圧OCV及び電荷容量Qの三者の間の関数関係式等を構築することができる。該関数関係式は、エレクトロクロミックデバイスを予め試験することにより得ることができる。また、関数関係式の記憶を採用する利点は、各ギアでの開回路電圧、電荷容量の対応データをリストアップする必要がない点をさらに含む。且つ、エレクトロクロミックデバイスへのキャリブレーションが必要となる場合、全てのデータの調整等は必要とされず、関数関係式のみを修正すればよい。
【0031】
以下、具体的な実施例と結び付けて説明する。
【0032】
次いで、図面を参照して本願のいくつかの実施例を詳しく説明する。
【0033】
図1に示すのは、本願の実施例によるエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法の第1フロー図である。例示的に、該エレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法は、ステップS110~S130を含み、それぞれは中断時のギア特徴付けパラメータ状態の取得、ギア特徴付けパラメータ調整値の決定及び新目標ギアの調整等のいくつかの大きなステップであり、以下、各ステップを詳しく説明する。
【0034】
中断時のギア特徴付けパラメータ状態の取得のステップS110は、即ちギアシフト前の初期ギアから初期目標ギアへの切り替えの過程において、該エレクトロクロミックデバイスのギア特徴付けパラメータ状態を取得し、且つ新たなギアシフト信号が受信されると、新目標ギアを獲得し、現在の充電又は放電操作を中断するものである。
【0035】
本実施例において、該エレクトロクロミックデバイスには、複数のギアの区分に関連するギア特徴付けパラメータデータが予め記憶されている。そのうち、上述したギア特徴付けパラメータ状態は、記憶されたギア特徴付けパラメータに関連している。例えば、記憶されたギア特徴付けパラメータに異なるギアで対応する電荷容量データが含まれていれば、該ギア特徴付けパラメータ状態は、電荷容量に関連するデータ、具体的に例えば該エレクトロクロミックデバイスに対して入力又は放出した電荷電量変化値、又は該エレクトロクロミックデバイスの現在の電荷電量等であってもよい。
【0036】
例示的に、ギアシフト操作を実行する過程において、エレクトロクロミックデバイスの関連するギア特徴付けパラメータの状態をリアルタイムに監視して後続の中止後のギア調整等に使用させることができる。同時に、該初期目標ギアに切り替えられる前に、新たなギアシフト信号が受信されたか否かを検出し、新たなギアシフト信号が受信されれば、該新たなギアシフト信号から切替待ちの新目標ギアを獲得し、同時に、また、現在実行中の充電又は放電操作を中断することができる。
【0037】
そのうち、上述した初期ギアとは、該エレクトロクロミックデバイスのギアシフト操作の実行の開始前の現在の実際のギアである。1つの実施形態において、
図2に示すように、初期ギアから初期目標ギアへの切り替えの開始前に、該エレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法は、以下をさらに含む。
【0038】
ステップS140において、1つの初期ギアシフト信号の受信が検出されると、エレクトロクロミックデバイスの現在の開回路電圧を検出して現在の実際のギアを決定し、該現在の実際のギアを初期ギアとする。
【0039】
ステップS150において、初期ギアシフト信号から初期目標ギアを獲得し、該初期目標ギア及び初期ギアに対応する電荷容量の差を求め、初期ギアから初期目標ギアへの切り替えのために調整が必要な電荷容量を得る。
【0040】
例示的に、該エレクトロクロミックデバイスは、1つの初期のギアシフト信号を受信すると、信号解析により該ギアシフト信号に携帯された目標ギア情報を取得して、初期の目標ギアを得ることができる。さらに、記憶されたエレクトロクロミックデバイスの異なるギアで対応する開回路電圧及び電荷容量データを照会することにより、該初期目標ギア及び初期ギアの各々に対応する電荷容量を獲得することができる。
【0041】
そこで、該初期目標ギア及び初期ギアの電荷容量の差を求めると、現在の実際のギアから初期目標ギアへの切り替えのために調整が必要な電荷容量差値を得ることができる。そのうち、該差値が正であると、充電の必要があることを示し、逆であれば、放電の必要がある。そして、現在の環境条件に応じて、設定された対応する制御モードに従って調整を行い、例えば、定電圧又は定電流の方式等で調整を行ってもよく、ここでは具体的に限定しない。
【0042】
ギア特徴付けパラメータ調整値の決定のステップS120は、即ち中断操作時のギア特徴付けパラメータ状態、並びに初期ギア及び新目標ギア又は新目標ギアに対応するギア特徴付けパラメータに応じて、該中断操作の後の充電又は放電方向及び対応するギア特徴付けパラメータ調整値を決定するものである。
【0043】
なお、本実施例は、中断操作時のギア特徴付けパラメータ状態、初期ギアに対応するギア特徴付けパラメータ及び新目標ギアの特徴付けパラメータに応じて充電又は放電方向及び中断ギア特徴付けパラメータ調整値を決定することを例として、本実施例を詳しく説明する。また、他の実施例において、中断操作時のギア特徴付けパラメータ状態、及び新目標ギアのギア特徴付けパラメータに応じて充電又は放電方向及びギア特徴付けパラメータ調整値を決定してもよい。
【0044】
そのうち、該中断操作時のギア特徴付けパラメータ状態は、主に中断操作時における現在状態を反映するために用いられる。該中断操作時のギア特徴付けパラメータ状態の取得については、様々な方式により実現されてもよく、例えば、ギア特徴付けパラメータ状態が異なる場合、対応する取得方式も異なり、また、或いは、同一種類のギア特徴付けパラメータ状態についても、様々な方式により取得することができる。
【0045】
例えば、ギア特徴付けパラメータ状態は、該エレクトロクロミックデバイスのリアルタイム電荷容量変化値とされる場合、直接、監視して計算するにより得ることができ、一方、ギア特徴付けパラメータ状態は、該エレクトロクロミックデバイスの現在ギアとされる場合、同様に、例えば、現在の開回路電圧、現在エレクトロクロミック状態の透過率、及び現在エレクトロクロミックデバイスの既に獲得した電荷容量等を含んでもよいがこれらに限定されない、対応するギアを特徴付けるための電気的パラメータにより識別することができる。
【0046】
例示的に、獲得されたギア特徴付けパラメータ状態及び対応する目標ギアに対応するギア特徴付けパラメータに応じて、現在状態と目標ギア状態とでの差異を比較することにより、該中断操作の後に充電を実行するか放電を実行するか、及び、具体的にどれぐらい調整する必要があるかを決定することができる。
【0047】
新目標ギアの調整のステップS130は、即ち該充電又は放電方向及び該ギア特徴付けパラメータ調整値に応じて、前記エレクトロクロミックデバイスを該新目標ギアに切り替えられるように調整するものである。
【0048】
例示的に、相応する調整方向の決定が済んだ後に、中断操作時の状態を調整基準とし、決定された充電方向又は放電方向に従って該エレクトロクロミックデバイスの相応するギア特徴付けパラメータに対して該調整値で調整を行う。例えば、1つの実施形態において、該ギア特徴付けパラメータ調整値は、該エレクトロクロミックデバイスの補充又は放出が必要な電荷容量等であってもよい。
【0049】
1つの好ましい態様として、ギア切替を行う過程において、OCVの監視により、電荷容量とOCVとの間のフィッティング関数関係等に応じて、直接、現在のデバイスの電荷容量を得てもよく、さらに、それと切替待ちの目標ギアの容量との差を求めると、補充が必要な容量値及び充放電の方向を得ることができ、この時、変色過程の全体におけるデバイスの電荷容量の変化値へのリアルタイムなモニタリング等は必要ない。
【0050】
本実施例のエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法は、ギアシフト操作を行う過程に中止処理ロジックを追加することにより、対応する目標ギア情報を取得し、充放電を一時停止し、現在状態から新ギアまでの調整が必要な充放電電荷容量を計算することで、直接、充放電調整を行い、このようにすると、従来技術において先に最初の目標ギアに切り替えられてから、新たな目標ギアに切り替えられる必要がある問題を解決でき、ユーザにとって、特に誤接触が発生し又はリアルタイムなギアシフトが必要となる等の場合に関しては、ユーザの待ち時間を減少させ、ユーザのギアシフト中止操作への応答を速め、ユーザの体験を高めることができる。
【0051】
次いで、図面を参照して本願の他のいくつかの実施例を詳しく説明する。
【0052】
図3に示すのは、本願の実施例によるエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法の第2フロー図である。該実施例において、該ギア特徴付けパラメータデータは、主に該エレクトロクロミックデバイスの異なるギアでの電荷容量データ等を含む。
【0053】
例示的に、該エレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法は、以下を含む。
【0054】
ステップS210において、ギアシフト前の初期ギアから初期目標ギアへの切り替えの過程において、エレクトロクロミックデバイスのリアルタイム電荷容量変化値を取得し、且つ新たなギアシフト信号が受信されると、新目標ギアを獲得し、現在の充電又は放電操作を中断する。
【0055】
ステップS220において、中断操作時のリアルタイム電荷容量変化値、並びに初期ギア及び新目標ギアに対応するギア特徴付けパラメータに応じて、中断操作の後の充電又は放電方向及び対応するギア特徴付けパラメータ調整値を決定する。
【0056】
上述ステップS120における中断操作時のギア特徴付けパラメータ状態については、本実施例において、それは、主に該エレクトロクロミックデバイスの中断操作が発生する際のリアルタイム電荷容量変化値である。例示的に、該エレクトロクロミックデバイスに入力され、又は該エレクトロクロミックデバイスから放出された電荷容量の変化状況をリアルタイムに監視することにより、上述したリアルタイム電荷容量変化値を得ることができる。
【0057】
さらに、充電又は放電方向及び対応する電荷容量調整値を決定する時には、例示的に、
図4に示すように、以下が含まれる。
【0058】
サブステップS221において、新目標ギアと初期ギアとの間の電荷容量差値を計算する。
【0059】
サブステップS222において、該電荷容量差値と中断操作時に取得されたリアルタイム電荷容量変化値との比較結果に応じて、中断操作の後に充電方向であるか放電方向であるかを決定し、該電荷容量差値と該リアルタイム電荷容量変化値との間の差の絶対値を対応する方向での電荷容量調整値とする。
【0060】
例えば、初期ギアS0に対応する電荷容量がQS0と記され、新目標ギアS1に対応する電荷容量がQS1と記され、中断操作時に取得されたリアルタイム電荷容量変化値が△Qであれば、両ギアの間の電荷容量差値TQ1は、TQ1=QS1-QS0であり、この時、両ギアの間の電荷容量差値TQ1と中断操作時のリアルタイム電荷容量変化値との差値は、TQ2=TQ1-△Qであり、TQ2が正であると、電荷容量をさらに補充する必要があることを示し、この時、充電方向であると判定し、逆に、電荷容量を放出する必要があることを示し、この時、放電方向であると判定する。相応して、|TQ1-△Q|は即ち対応する方向での電荷容量調整値である。
【0061】
電荷容量パラメータをギア調整の根拠として選出する場合、ここでは、新たな目標ギアと初期ギアとの間の容量の差異、及びデバイスの初期ギアから変化した電荷変化量に応じて調整値を計算することが採用されており、このように同じ電荷容量基準で計算することで、計算結果の正確性等を確保できることが理解できる。
【0062】
ステップS230において、該充電方向又は放電方向、及び該電荷容量調整値に応じて、エレクトロクロミックデバイスを該新目標ギアに切り替えられるように調整する。
【0063】
該ステップS230は、上述ステップS130と同じであり、ゆえに、ここでは繰り返し説明しない。
【0064】
本実施例のエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法は、ギアシフトを行う過程において、主に、電荷容量等の関連情報を利用することによりギアシフト過程における中止処理操作を実現する。容量は充放電の過程においてリアルタイムな検出により得られるため、電荷容量パラメータを選出してギア切替の程度を特徴付けて、測定の結果のリアルタイム性がよく、このようにすると、ギア中止を行う時に、ギアシフト時間を節約して、ユーザを待たせる全体時間等を短縮することができる。
【0065】
次いで、図面を参照して本願の別のいくつかの実施例を詳しく説明する。
【0066】
図5に示すのは、本願の実施例によるエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法の3つ目のフロー図である。
【0067】
該実施例において、該ギア特徴付けパラメータデータは、主に該エレクトロクロミックデバイスの異なるギアで対応する開回路電圧及び電荷容量データを含み、例えば、デバイスの開回路電圧と電荷容量との関係を予め試験することで、関数フィッティングにより、ギア/光透過率、開回路電圧、電荷容量の間の関数関係式を得ることができ、そのうち、デバイスに記憶されたデータは、優先的に上述した関数関係式であってもよく、上述関数関係式により算出された具体的なデータからなるマトリックス表等であってもよく、ここでは限定しない。ギア特徴付けパラメータ状態は、該エレクトロクロミックデバイスの開回路電圧OCVであり、エレクトロクロミックデバイスの開回路電圧は、現在時刻でのリアルタイム開回路電圧であってもよいし、中断時刻の中断開回路電圧であってもよい。
【0068】
本実施例は、エレクトロクロミックデバイスの異なるギアで対応する開回路電圧と電荷容量との関数関係に基づくものであり、具体的に、エレクトロクロミックデバイスの電荷容量-光透過度(ギア)-OCVの関係は、関数関係を呈し、光透過度を無数のギアに区分し、各ギアは、1つの光透過率及び対応するOCVに対応し、最終的には、容量とOCVとの関係関数
を利用して自動的調光を実現し、ここでは1つの関数のみが挙げられており、そのうち、関数は、1次線形関数、2次関数、5次関数等であってもよく、具体的な関数の選択は、主に、材料の特性及び関数と実際値との適合度によって決められる。デバイスの使用に伴い、エレクトロクロミックデバイスは老化するようになり、この時、透過率、OCV、容量の関数関係を再確認する必要がある。現在の状態、1回目の調光命令の実行の完成に関わらず、該関数関係を利用するようになる。
【0069】
また、光透過率を11個のギアに区分してもよく、各ギアは、1つのOCVに対応し、OCVに対応する電荷容量は、1つの関係マトリックス表を形成する。
【0070】
好ましい態様において、前記方法は、
初期ギアから初期目標ギアへの切り替えの充電/放電の時間の長さを取得し、初期ギアから初期目標ギアへの切り替えの充電/放電が完成する前に、ギアシフト信号が受信される、中断操作指令確認ステップをさらに含む。
【0071】
該初期ギアから初期目標ギアへの切り替えが中止されたか否かを判断する指令は、初期ギアから初期目標ギアへの切り替えの充電/放電の時間の長さを取得し、チャージされた電量Qを取得し、チャージされたQ値がプリセット値に等しく、且つ第1プリセット時間内にいずれも変化がない場合、この時、初期ギアから初期目標ギアへの切り替えが完成したと考えられるものを含む。例えば、初期ギアから初期目標ギアへの切り替えの現在の充電モードで、t1時間(30秒)ないと、Q電量に充電できず(Qの電量値はソフトウェアにより取得され、充電時間は挙げられた例に過ぎない)、且つQの電量が充電された後に、プリセットされたt2の時間(60秒)後にOCVが安定し、そのため、t1+t2の時間(30+60=90秒)内に新目標ギア信号が受信されると、この際に中止されたと考えられる。また、OCVをリアルタイムに読み取ることができ、プリセット時間内にOCVの変化値がプリセットされた範囲内にあると、OCVが安定し、且つOCVが初期目標ギアでのOCV1の値と一致する(60秒内に、OCVの値はいずれも0.123Vである)と考えられる。また、どれぐらいのQ値がチャージされたかを測定することにより、中止されたか否かを判断してもよい。
【0072】
例示的に、該エレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法は、以下を含む、
【0073】
中断時のギア特徴付けパラメータ状態の取得のステップS310は、即ちギアシフト前の初期ギアから初期目標ギアへの切り替えの過程において、エレクトロクロミックデバイスのリアルタイム開回路電圧を取得し、且つ新たなギアシフト信号が受信されると、新目標ギアを獲得し、現在の充電又は放電操作を中断するものである。
【0074】
ギア特徴付けパラメータ調整値の決定のステップS320は、即ち中断時の前記エレクトロクロミックデバイスの関連開回路電圧、及び新目標ギアに対応する目標開回路電圧に応じて、該エレクトロクロミックデバイスの異なるギアで対応する開回路電圧及び電荷容量データと結び付けて、中断操作の後の充電又は放電方向及び対応する電荷容量調整値を決定するものである。
【0075】
上述した中断操作時のギア特徴付けパラメータ状態については、本実施例において、それは、該エレクトロクロミックデバイスの中断操作時の、開回路電圧に関連する量であってもよく、例えば、該関連開回路電圧とは、中断操作が発生した後に予測で得られたデバイスの安定時の開回路電圧(予測開回路電圧とも呼ばれる)であってもよく、或いはデバイスの安定を待ってから測った開回路電圧(安定開回路電圧とも呼ばれる)であってもよく、また、或いは中断操作が発生する際に記録された開回路電圧(中断開回路電圧とも呼ばれる)等であってもよい。
【0076】
1つの実施形態において、中断時のギア特徴付けパラメータ状態の取得のステップS310は、中断操作時の関連開回路電圧を取得する時に、中断操作が発生する時刻における該エレクトロクロミックデバイスの中断開回路電圧(OCV中断と記される)を記録し、第1プリセット時間帯待った後に、該エレクトロクロミックデバイスの該プリセット時間帯内でのリアルタイム開回路電圧の変化率に応じて、安定後の開回路電圧を予測することにより、安定後の開回路電圧に対応するギア情報、即ち中断操作時に所在する現在ギア情報を決定することができることを含む。この方法により、直接、OCV予測の手段により予測された安定後の開回路電圧を得て、これにより、ユーザがデバイスが安定するのを待つ時間を減少させることができる。なお、本実施例には電荷容量-光透過度(ギア)-OCVの関係が関数関係を呈することが導入されているため、各OCVに1つのギアが対応するように、エレクトロクロミックデバイスの透過率を無数のギアに分けることができ、エレクトロクロミックデバイスのOCVを決定した後に、エレクトロクロミックデバイスの中断される際のギア情報を得ることができる。
【0077】
上述ステップS310は、中断操作が発生する際のリアルタイム開回路電圧に応じて開回路電圧の修正係数を決定し、前記修正係数に応じて安定時の予測開回路電圧を予測することをさらに含み、具体的に、現在実測された開回路電圧に応じてその第1プリセット時間内での変化速度率を算出して開回路電圧の修正係数を計算してもよいし、リアルタイム開回路電圧の現在の値に応じて開回路電圧の修正係数を計算してもよい。
【0078】
具体的に、中断操作が発生する際の中断開回路電圧OCV中断及び第1プリセット時間t1経過した後のリアルタイム開回路電圧(OCVリアルタイムと記される)に応じて、開回路電圧変化速度率(即ち(OCVリアルタイム-OCV中断)/t1)を算出して、開回路電圧の修正係数Kを決定し、そして、該修正係数Kを利用して上述したリアルタイム開回路電圧を修正し、開回路電圧修正値を安定時の予測開回路電圧として得ることができる。K値を導入して修正を行うことで、正確なOCVを算出することができ、さらに正確な電荷容量調整値を得て、目標ギアに対応する光透過状態に正確に調整されることを保証することができる、ことが理解できる。
【0079】
好ましくは、上述した2つの時刻の開回路電圧を採用する以外、デバイスが安定する前により多くのリアルタイム開回路電圧を採取して、計算により開回路電圧の平均変化率を得て、さらに、該平均変化率に応じて一定時間後の安定開回路電圧を推定してもよい。デバイスが完全に安定するのを待たずにリアルタイム開回路電圧を読み取っているため、読み取られたデータには一定の偏差が存在する可能性があり、ゆえに、開回路電圧の修正を行う必要があることが理解できる。
【0080】
1つの実施形態において、上述修正係数Kの決定のステップは、上述開回路電圧変化速度率が0に等しいか又は近づいている場合、修正係数Kが0であり、上述開回路電圧変化速度率が0に近づいていない場合、即ち0と大きい偏差がある場合、該修正係数Kが変化速度率の絶対値と正の相関を呈し、即ち傾きの絶対値が大きいほど、K値が大きくなることを含む。なお、開回路電圧変化速度率が0に等しいか又は近づいている場合、初期ギアから初期目標ギアへの切り替えが既に完成したか又はほぼ完成したと考えられ、傾きを利用してOCVの値の修正を提出することは、中止の制御ロジックに適用されるだけでなく、エレクトロクロミックデバイス全体の制御ロジックにも使用可能であることを示すことができる。例えば、初期ギアから1回目の目標ギアへの切り替えが既に完成していると、この時、安定させてから、OCVの変化率が0に近づき、この時、リアルタイム開回路電圧に対する修正係数Kは0であり、一方、初期ギアから1回目の目標ギアへの切り替えがまだ完成していない場合、この時、OCVは安定しておらず、OCVの変化率に応じて修正値を計算し、修正値を利用してデバイスの安定時の開回路電圧を予測する。そのため、OCVの変化率の採用は、エレクトロクロミックデバイスが中断の新目標ギアに速やかに到達することを可能にする以外、エレクトロクロミックデバイス全体の制御ロジックにも適用され、他の制御ロジックを別途設定する必要がなく、初期ギアから初期目標への切り替えを完成させることができ、さらに、初期ギアから初期目標への切り替えが完成する前に次の中断命令の操作を行うことができる。システム全体の制御ロジックは簡単で、実現されやすく、且つ演算が簡単で、OCV-Q-Tの間の関係と結び付け、そのうえ、リアルタイム開回路電圧の値の変化状況と結び付けて具体的な制御方法を選択するだけで、任意のギアの間の切り替えを完成でき、初期のギア切替が完成されていない時に新たな目標ギアに速やかに到達し、ユーザの体験感等を向上させることもできる。
【0081】
別の実施形態において、中断操作が発生した後、OCVの値は時間に伴って減衰し且つ一定時間後に安定する傾向にあるため、前記方法は、第1プリセット時間内の少なくとも2つの時点に対応するOCV値を取得し、K値の大きさを決定可能なOCVと時間tとの減衰関数を構築することをさらに含む。そのため、予め記憶されたOCVと時間tとの減衰関数において、中断操作時からの任意の時刻tでの修正の開始時に、対応して、該関数で対応するK値を算出することができる。例えば、一般のデバイスは中断の2min(120S)後に安定するため、2分間(データをより正確にさせるために、5min又はより長い時間に設定してもよい)内のOCVと時間tとの減衰関数を構築し、中断後に直ぐに修正することなく、10s待ってから修正するようになり、そのため、OCVと時間tとの減衰関数の10sに対応する箇所の傾きに応じて、K値の大きさを確認することができる。この方法は、中止時のOCV
中断と目標OCV値との隔たりが大きく、安定するために長い時間が必要である場合、先に安定させ、そして、安定する時間に応じて、自動的に修正値を算出してから、実際の隔たりのOCV値を算出することができ、自動的修正し、便利で精確に修正し、目標ギアに精確に到達するという利点を有する。また、異なる温度では、OCVに対応する減衰関数も異なる可能性がある。また、エレクトロクロミックデバイスの面積が異なると、その対応するOCVの減衰関数も異なる可能性がある。本発明は、ある時刻に対応する変化速度率に応じて、これをもってOCVに対する予測を実現するための、OCVを時間とともにフィッティングできる減衰関数
を提出し、これにより、エレクトロクロミックデバイスが、中断過程において、より速く、より精確に目標変化率に到達可能であり、ユーザを待たせる時間が減少され、ユーザの体験感が高められる。
【0082】
一般的には、エレクトロクロミックデバイスの中断時におけるOCV
中断は、通常、中断時刻からのプリセット時間、例えば2秒後に徐々に安定する傾向が始まり(他の実施例において、エレクトロクロミックデバイスの面積及び所在する現在の温度の大きさによっては、その安定する傾向にある時点が異なる)、そのため、OCVの2秒の時間内でのOCV変化値に対して1つの線形フィッティングを行い、そのため、2秒後に再び、現在のリアルタイムOCVを1回測って、2S後のリアルタイムOCV及び2S内OCVの変化率に応じてK値の大きさを決定する。具体的に、300ミリメートル
300ミリメートルのものに対して25℃の条件で充電することを例にとると、中断操作の時には充電方向であり、且つ中断操作時に中断開回路電圧を読み取り、そして、中断操作後の2秒内のリアルタイム開回路電圧を読み取り、関数
にフィッティングし、K値の大きさは、変化率a値の大きさの影響を受け、充電時に、中断時のOCVは形式的に高いものであり、この時、OCVが安定するまで減衰し始まり、そのため、a値は、負の値である。以下の表1を参照し、2秒内のOCVの変化率a値が-0.017よりも大きいか又は等しい場合、K値補償は0.05Vであり、a値が-0.03よりも大きいか又は等しいが-0.017よりも小さい場合、K値補償値は0.09Vであり、a値が-0.03よりも小さい場合、この時の変化速度率が大きいことを示し、K値に対応する補償値は0.13Vである。放電及び他の条件でのOCVと時間Tとの減衰関数が異なり、且つ変化率も同じではないが、大体の原理は上述原理を参照することができるため、ここでは繰り返し説明しない。
【0083】
【0084】
本実施例は、先に2秒待って、修正が必要な修正係数Kを算出してから、修正係数によりOCV値を補償することで、エレクトロクロミックデバイスが、長すぎる安定時間待つ必要がなく、速やかに目標透過率に到達することを可能にして、ユーザの待ち時間を減少ささせ、ユーザの体験感を増強することができる。
【0085】
本実施例において、第1プリセット時間内のOCVの変化率を利用して開回路電圧の修正係数を確認して安定時の開回路電圧を予測し、それをギアシフトロジック全体に応用する場合、具体的な方法は、調光指令が受信されると、現在の実際開回路電圧を取得し、第1プリセット時間内でのリアルタイム開回路電圧を取得し、第1時間内のリアルタイム開回路電圧の変化率を計算することと、リアルタイム開回路電圧の変化率に応じてリアルタイム開回路電圧の修正値を決定することと、リアルタイム開回路電圧の修正値に応じて調光指令に対応する目標開回路電圧を計算することと、を含む。
【0086】
他の実施形態において、OCVの時間に伴う減衰傾向はほぼ同じであり、そのため、現在のリアルタイム開回路電圧OCVリアルタイムの大きさに応じてK値を選出し、つまり、現在のOCVリアルタイムの大きさに応じて開回路電圧の修正パラメータを決定することができ、例えば、OCVリアルタイムの絶対値が第1プリセット値(例えば1V等)以下である場合、この時、K値は0であり、OCVリアルタイムが第2プリセット値(例えば+1V等)よりも大きい場合、この時、K値は負の値であり、OCVリアルタイムが第3プリセット値(例えば-1V等)よりも小さい場合、この時、K値は正の値である。異なる範囲、大きさのOCVリアルタイムで、OCVのずれも同じではなく、そのため、異なるK値を選択して、より正確なOCVを得ることで、必要な目標ギアに対応する調光状態により速く調節することに有利であることが理解できる。また、K値の符号の取り値は、充電又は放電方向に関連しており、新目標ギアが充電方向である場合、K値は負の値であり、充電方向が放電である場合、K値は正の値であり、つまり、新たな目標ギアへのギアシフトが必要になる場合、先に新目標ギアが充電方向であるか放電方向であるかを判断し、充電方向であれば、現在のOCV値からK値の絶対値を差し引き、充電方向であれば、現在のOCV値にK値の絶対値を加える。
【0087】
別のいくつかの実施例において、OCVの時間に伴う減衰傾向はほぼ同じであり、異なるOCVの実測値のK値との対応が同様ではなく、具体的なOCVとK値との関係は、マトリックス表の関係として表してもよく、例えば、表2に示すのは、あるエレクトロクロミックデバイスの充電/放電の状況で実測されたOCVデータであり、これから分かるように、充電/放電過程において、同一の温度で、OCVの値が変化するようになり、異なるOCV範囲で対応するK値が異なる。また、例えば、放電過程において、異なる温度(例えば25℃及び85℃)で、異なるOCV範囲で対応するK値は同じである可能性があり、等しくない可能性もある。
【0088】
【0089】
具体的に、25℃の場合、例えば対応する新目標ギアには充電する必要があり、且つ中断時のOCVが0.8Vであり、この時、対応する修正後のOCV=0.8-0.05=0.795(V)になり、0.795(V)を利用して容量とOCVとの間の関係式と結び付けて現在のギアを得て、また、例えば、対応する新目標ギアには放電する必要があり、測られたOCVが-0.8であり、この時、対応する修正後のOCV=-0.8-0.18=0.98(V)になり、-0.98(V)を利用して容量とOCVとの間の関係式と結び付けて現在のギアを得る。
【0090】
他の実施形態において、中断時のギア特徴付けパラメータ状態の取得のステップS310は、中断時の関連開回路電圧を取得して中断操作時に所在する現在ギアを決定することを含み、上述した第1プリセット時間帯よりも大きい第2プリセット時間帯待って、即ちデバイスが安定するのを待ってから、直接、該エレクトロクロミックデバイスの現在開回路電圧を読み取ることで、中断操作時に所在する現在ギアを決定するようにしてもよい。例えば、該第1プリセット時間帯は、30秒であってもよく、該第2プリセット時間帯は、60秒、100秒等であってもよく、具体的に、実際のニーズに応じて設定してもよく、ここでは限定しない。一般的に、1平方メートルの青色の変色デバイスにおいては、中断操作後、2分間待てば、そのOCVが安定する傾向にある。OCVの安定時間は、デバイスの材料系に関連しており、また、エレクトロクロミックデバイスの面積と正の相関の関係が存在する。
【0091】
エレクトロクロミックデバイスの特性により、持続的定電圧を加える時、透明導電電極における電位分布は均一でなく、電源が入力される両極の付近の電位が高いため、電源の両極の領域が先に変色してしまい、一方、透明導電電極の内部抵抗が大きく、電極から遠い位置の電位が低いため、変色材料が反応するために十分な電圧を有することができず、この時、両極の領域の透過率と中心領域の変色とが一致しないと表され、そのため、より長い待ち時間がないと、中心が徐々に必要な透過率に到達して、エレクトロクロミックデバイス全体の透過率が一致する傾向にはならない。
【0092】
一定時間待つのは、電荷をデバイスに均一に分布させるためであり、このようにして、より正確なOCV値を得て現在ギアを判断することができることが理解できる。そのうち、待つ時間が長いほど、電荷のデバイスにおける分布がより均一になり、そこで、この時、直接、安定した後の開回路電圧を読み取ってより正確な現在ギアを得る。
【0093】
なお、ここで設定された任意の1つのプリセット時間帯は、いずれも該エレクトロクロミックデバイスの、先に初期目標ギアに切り替えられてから新たな目標ギアに切り替えられる待ち時間よりも遥かに小さい。例えば、1つの大サイズのエレクトロクロミックデバイスの、1ギアから5ギアへの変色の切り替えを完成させるのは、通常1分間を超え、それよりも長くなる場合もあり、この時、上述したプリセット時間帯は、10s~20s以内の数値として選出してもよい。上述した第1プリセット時間帯及び第2プリセット時間帯の選出は、デバイスの実際の変色サイズ又は面積等に応じて決定することができることを理解すべきである。エレクトロクロミックデバイスの出荷前に、デバイスの変色面積をエレクトロクロミックデバイス内に予め記憶してもよい、ことを理解すべきである。
【0094】
1つの実施形態において、ステップS320は、前記予測開回路電圧又は安定開回路電圧に基づいて電荷容量調整値を計算するステップを含み、具体的に、該予測開回路電圧又は安定開回路電圧、及び新目標ギアの目標開回路電圧に応じて、該エレクトロクロミックデバイスの異なるギアで対応する開回路電圧及び電荷容量データと結び付けて、中断操作の後の充電又は放電方向及び対応する電荷容量調整値を決定することを含む。例えば、安定後の開回路電圧に応じて中断操作時の実際の現在ギアを決定することができ、さらに該新目標ギア及び現在ギアのギア大きさに応じて、中断操作の後に充電方向であるか放電方向であるかを決定する。例えば、新目標ギアが該現在ギアよりも大きい場合、充電方向であると判定し、逆に、放電方向である。及び、目標開回路電圧と安定後の開回路電圧との差値を計算し、そして、該開回路電圧差値を上述関数関係式に代入し、対応する必要な電荷容量調整値を算出することができる。
【0095】
新目標ギアの調整のステップS330において、該充電方向又は放電方向、及び該電荷容量調整値に応じて、エレクトロクロミックデバイスを該新目標ギアに切り替えられるように調整する。
【0096】
該ステップS330は、上述ステップS130と同じであり、ゆえに、ここでは繰り返し説明しない。
【0097】
また、リアルタイム開回路電圧の取得には、依然として少なくとも上述した第1プリセット時間帯待つ必要があることを考慮し、そこで、本実施は、開回路電圧に基づく他の調整態様、即ち中断操作が発生する際の中断開回路電圧に応じて電荷容量調整値を計算し、つまり、中断開回路電圧で、OCVと電荷量Qとの関数式と結び付けて、理論上の電荷量を計算して得て、先に新目標ギア付近に調整し、安定時間待って、安定したOCVを得てから、安定後のOCV及び目標ギアのOCVを利用して差値のOCVを算出して、補償して二次調整の方式で微調整を行うことをさらに提出し、このように、同様に新目標ギアに到達可能であり、且つこの調整態様は、先に一定量のQまでチャージすることにより、エレクトロクロミックデバイスが新目標ギアの調光状態に向かって先に変色し、先に視覚から新目標ギアの調光状態へと調整することで、ユーザが現在、安定時の最後の僅かな差異を待ってから無段階調光が行われ、ユーザの視覚上の差異変化が減少され、ユーザの目にも、光の変化に徐々に適応する過程を持たせ、ユーザの体験感等を向上させる。
【0098】
上述ステップS320の中断操作時の関連開回路電圧は、中断操作が発生する際に即座に読み取られた中断開回路電圧を指してもよい。他の実施形態において、上述ステップS320は、前記中断開回路電圧に基づいて電荷容量調整値を計算するステップと、前記中断開回路電圧により計算された電荷容量に応じてエレクトロクロミックデバイスに対して調整を行ってから調整後の安定開回路電圧に基づいて再度調整を行うステップとを含み、具体的に、
中断操作時の該エレクトロクロミックデバイスの中断開回路電圧、及び新目標ギアの目標開回路電圧に応じて、該エレクトロクロミックデバイスの異なるギアで対応する開回路電圧及び電荷容量データと結び付けて、中断操作の後の充電又は放電方向及び対応する電荷容量調整値を決定することを含む。例えば、中断が発生する時刻に読み取られた中断開回路電圧がOCV中断と記され、目標開回路電圧がOCV目標と記されると、そこで、電荷容量調整値は、ΔOCV=OCV目標-OCV中断であり、即ち調整が必要な電荷容量はΔOCVである。該エレクトロクロミックデバイスの異なるギアで対応する開回路電圧及び電荷容量データと結び付けると、ΔOCVに対応するチャージが必要なΔQを決定することができる。
【0099】
直ぐに読み取られた中断開回路電圧は正確なものではないため、前記中断開回路電圧により計算された前記電荷容量に応じてエレクトロクロミックデバイスに対して初回調整を行った後に、さらに、再度調整が必要である。そこで、上述電荷容量調整値ΔQのチャージ又は放出の制御後に、再度調整は、第3プリセット時間帯待った後に、新目標ギアシフト信号が再度受信されると、現在の調整後の安定開放回路を取得することと、該調整後の安定開回路電圧及び新目標ギアの目標開回路電圧に応じて、エレクトロクロミックデバイスの異なるギアで対応する開回路電圧及び電荷容量データと結び付けて、必要な電荷容量補充値を決定することと、該新目標ギアに到達するように、前記電荷容量補充値に応じてエレクトロクロミックデバイスに対して再度調整を行うことと、を含む。
【0100】
例示的に、中断開回路電圧に基づいて計算された電荷容量調整値ΔQに応じて、デバイスに対する充電/放電調整を制御し、例えば第2プリセット時間帯t2の後に、その開回路電圧が安定する傾向にあり、現在の安定開放回路がOCV安定と記されると、同じ新目標ギアシフト指令を1回再送信することにより、この時、デバイスは、該安定開放回路OCV安定とOCV目標との間の差値に応じて、現在存在する開回路電圧差値OCV目標-OCV安定=ΔOCV補充を算出することができ、ゆえに、ΔOCV補充を上述した関数関係式に代入すると、必要な電荷容量補充値ΔQ補充を計算して得て、電荷容量の補充を新目標ギアに到達するように制御することができる。
【0101】
好ましくは、電荷容量の補充時に、適切なモードに従って電荷容量の補充を行うように、該電荷容量補充値ΔQ補充の大きさを判断して(又は現在のデバイス又は環境の温度等と結び付けて)、相応する充電/放電モードを決定することができる。そこで、1つの実施形態において、前記電荷容量補充値に応じてエレクトロクロミックデバイスに対して再度調整を行うことの前に、前記電荷容量補充値の大きさに応じて、対応する充電又は放電モードを決定することがさらに含まれる。例えば、該充電又は放電モードは、以下の何種類かの状況を含んでもよい。
【0102】
(1)電荷容量補充値ΔQ補充が第1プリセット値よりも大きい場合、プリセット大電流方式に従って、電荷容量補充値ΔQ補充のチャージ又は放出を制御し、即ち新目標ギアに必要な電荷容量との隔たりが大きいことを示しており、ゆえに、大電流の方式を採用して直接、ΔQ補充をチャージすることで、目標ギアに速やかに到達し、ユーザの視覚誤差を減少させることができる。
【0103】
(2)電荷容量補充値ΔQ補充が第1プリセット値と第2プリセット値との間に位置すると、電荷容量補充値ΔQ補充をN等分に均一に分け、調整を完成させるまで、毎回、同じ電荷容量ΔQ補充/Nをチャージ又は放出し、そのうち、N≧1であり、且つ第1プリセット値が前記第2プリセット値よりも小さく、毎回、同じ量でチャージすると、ユーザに、漸次で緩慢に変化する視覚効果を与え、視覚的なインパクト等を減少させることが理解できる。
【0104】
(3)電荷容量補充値ΔQ
補充が第2プリセット値よりも小さい場合、プリセット小電流方式又は電流を逐次減少させる方式に従って、電荷容量補充値ΔQ
補充のチャージ又は放出を制御し、即ちこの時のギアと新目標ギアとの間の電荷容量差値が小さいことを示しており、ゆえに、電流Iの大きさを制限することで過大電流による過充電又は過放電を回避し、例えば、
の方式に従って補充を行い、過大電流による過充電又は過放電を回避してもよく、そのため、Iが十分に小さいほど、充/放電時間が長くなり、徐々に調光する効果を果たし、ユーザに与えられた視覚感の違いが小さくなる。
【0105】
上述状況(1)におけるプリセット大電流方式は、状況(3)におけるプリセット小電流方式と比較したものであり、即ち状況(1)において、電荷容量を補充する電流値が状況(3)における電流値よりも大きく、そのうち、これら2つの電流の取り値の大きさは、具体的に実際のニーズに応じて設定されてもよく、ここでは限定しないことが理解できる。OCVの補充値の大きさに応じてQ値のチャージ方法を選択することで、必要となる場合、速やかに新目標ギアに到達可能であり、且つ最大限にユーザの視覚誤差を減少させ、ユーザの体験感を増強することもできる。
【0106】
また、上述2つの調整態様、即ち、先に予測開回路電圧、又はデバイスの第2プリセット時間待った後に読み取られた開回路電圧である安定開回路電圧を得て該予測開回路電圧又は安定開回路電圧に応じて電荷容量調整値を計算して1回の調整を行う態様、及び、中断操作が発生する際の中断開回路電圧に基づいて先に電荷容量調整値を計算して初回調整後に再度調整を行う態様に対して、1つの好ましい態様として、本実施例は、調整前に、具体的な状況に応じてそれらのうちの1つを選出して調整効率等を高めることができる。勿論、好ましくは、それらのうちの1つの方式を採用して調整した後に、また、もう1つの方式と結び付けて後続の調整を行ってもよい。
【0107】
1つの実施形態において、該エレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法は、以下の実行選択ステップをさらに含み、中断操作が発生する際に取得された中断開回路電圧OCV中断と新目標ギアの目標開回路電圧OCV目標との間の差値を計算し、前記差値(即ちΔOCV=OCV目標-OCV中断)が第1プリセット範囲内に位置すると、前記予測開回路電圧に基づいて電荷容量調整値を計算するステップを実行し、つまりOCVリアルタイムに対する修正ステップを実行し、この時のOCV中断は目標OCVから遠いため、この時、第2プリセット時間を待つものを選択すれば、安定する時間が長くなり、ユーザを待たせる時間が長くなり、ユーザの体験感に影響を与えてしまう。
【0108】
前記差値が第2プリセット範囲内に位置すると、前記中断開回路電圧に基づいて電荷容量調整値を計算するステップを実行し、前記中断開回路電圧により計算された電荷容量に応じてエレクトロクロミックデバイスに対して調整を行い、そのうち、該第2プリセット範囲における数値の絶対値が、第1プリセット範囲における数値の絶対値よりも小さい。中断開回路電圧OCV中断の大きさに応じて異なる調整方式を選択使用することにより、より速く所望の調光効果等を達成可能である。
【0109】
例えば、初期目標ギアが、対応するOCVが0.13Vである11ギアで、中断操作が発生する際、現在監視された中断開回路電圧が0.11V(安定値ではなく、時間に伴って安定する傾向にある値)で、新目標ギアが、対応するOCVが0.12Vである10ギアである場合、この時の中断開回路電圧OCV中断が0.12Vに非常に近い(0.01V前後を超えない)ことが分かり、ゆえに、新目標ギア(10ギア)に到達するように、先に現在の中断開回路電圧に基づいて直接、調整を行い、その後、調整後のOCV偏差に基づいて二次微調整を行う操作を優先的に選択することができる。つまり、初期ギアから初期目標ギアへの切り替えの過程がそろそろ完成する場合、この時、OCVの実際値は、実際に新たな目標値に非常に近く、修正する必要がなく、直接、現在のものに応じて計算又は補充すればよく、中止して新目標ギアに切り替える切替速度が速められる。
【0110】
また、例えば、新目標ギアが、対応するOCVが0.7Vの5ギア、又は対応するOCVが0.2Vの15ギアである場合、この時の中断開回路電圧OCV中断と0.2V(又は0.7V)との隔たりが遠いことが分かり、ゆえに、新目標ギア(5ギア又は15ギア)に到達するように、上述した、予測して得られた又は一定時間待った後に得られた安定開回路電圧に基づいて電荷容量調整値を計算する操作を優先的に選択することができる。
【0111】
また、予測された安定開回路電圧が充電又は放電後も未だ目標値に正確に到達していないため、この時、透過率がプリセット値に到達したか否かを検出することができ、到達していなければ、この時に新目標ギア命令を送信し、安定後の開回路電圧を取得し、補充が必要な電荷量を確認し、補充すべき電荷量のチャージを制御する。そのため、予測された安定後の開回路電圧に基づいて電荷容量調整値を計算するステップの実行が完了した後に、現在透過率が目標透過率に等しいか否かを判断し、等しくなければ、目標ギア命令を再送信し、安定後の開回路電圧を取得し、補充が必要な電荷量を確認し、補充すべき電荷量のチャージを制御する。
【0112】
本実施例のエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法は、ギアシフトを行う過程において、一緒に開回路電圧及び電荷容量と結び付けることによりギアシフト過程における中止処理操作を実現する。開回路電圧を採用して現在ギアを獲得する場合、一定時間遅らせて判断し、現在のOCV値に対して、K値により修正するか、直接、安定するのを待つか、若しくは先に初歩的に調整してから電荷量を補充するかの選択を判断し、多方面から考慮し、最適な方式を選択することにより、より速くより正確な安定開回路電圧を得て、さらに、より正確なギア調整情報等を得ることができる。
【0113】
他のいくつかの実施例において、選択ステップの実行前に、OCV中断の値の絶対値がプリセット値よりも大きいか否かを判断し、且つ充電方向がプリセットされた充電方向に符合するか否かを判断し又はOCV中断とOCV目標との間の差値がプリセット値よりも小さいか否かを判断し、はいであれば、第2プリセット時間待ってから、デバイスが安定した後の安定開回路電圧に基づいて電荷容量調整値を計算するステップを実行する。上述表2を参照し、充電過程において、OCVの値が0.7~0.9(V)にある場合、25℃であるか85℃であるかに関わらず、その修正値は小さいため、考慮しなくてもよい。この時、OCVは、減衰が大きくないため、安定値に到達しやすいと考えられ、この時、直接、安定するのを待つと、より速く所望の効果を達成可能であり、ユーザの体験感を向上させる。
【0114】
本実施例は、ギア特徴付けパラメータ状態としてエレクトロクロミックデバイスの開回路電圧を利用することで、エレクトロクロミックデバイスを新目標ギアに到達するようにより精確で速やかに調整し、ユーザの待ち時間を減少させ、ユーザの体験を高めることができる。室温での25℃を例にとると、本実施例に係るフローは、初期目標ギア命令が受信されると、OCV-Q-Tの関数関係に応じて、エレクトロクロミックデバイスに対する充放電を制御し、初期ギアから初期目標ギアへの切り替えが完成する前に、新目標ギアへの切り替えの命令が受信されると、この時のエレクトロクロミックデバイスの中断開回路電圧を取得し、OCV中断の絶対値がプリセット値よりも大きいか否かを判断し、プリセット値よりも大きく且つ充電方向であれば、第2プリセット時間待ち、待つことにより開回路電圧を安定させ、プリセット値よりも大きくなければ、中断開回路電圧OCV中断と新目標ギアの目標開回路電圧OCV目標との間の差値が第1プリセット範囲内にあるか否かを判断し、第1プリセット範囲内にあれば、OCVの修正値を計算し、修正値に応じて安定後の開回路電圧を予測し、差値が第2プリセット範囲内にあれば、中断開回路電圧を利用して先に充電した後に充電の補充を行う、というものである。本実施例は、中断時のデバイスのOCV値を利用して、複数の方向から考慮し、各パラメータの計算を総合し、最適なギア特徴付けパラメータ調整値を得て、より速く、より精確に新たな目標ギアに調整でき、ユーザの待ち時間を減少させ、ユーザの体験感を向上させることもできる。
【0115】
次いで、図面を参照して本願のさらに他のいくつかの実施例を詳しく説明する。
【0116】
図6に示すのは、本願の実施例によるエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法のフロー図である。
【0117】
上述実施例のいずれかの実施例に記載の方法に基づいて、本実施例は、過度の調節が存在し、さらに、デバイスの寿命に損傷を与える状況等の発生を回避するように、ギアシフト回数を制限することの追加をさらに含む。
【0118】
例示的に、
図6に示すように、該エレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法は、以下をさらに含む。
【0119】
ステップS410において、ギアシフト前の初期ギアから初期目標ギアへの切り替えの過程において、毎回受信された新たなギアシフト信号に対して回数の累計を行い、且つギアシフト回数の計数値がプリセット回数閾値よりも大きいか又は等しいことが検出されると、計数値がプリセット回数閾値に等しい時のギアシフト信号に対応するセカンダリ目標ギアを獲得する。
【0120】
例示的に、1つのギアシフト計数値を設定することで、ギアシフト操作を行う過程において、検出された各新たなギアシフト信号に対して累加の計数を行うことができる。そこで、1の増加のたびに、該計数値がプリセットされた回数閾値に到達したか否かを判断し、到達すれば、計数値がプリセット回数閾値に等しい時の該回のギアシフト信号から、対応するセカンダリ目標ギアを獲得する。通常、該セカンダリ目標ギアと前の初期目標ギアとは、2つの異なる到達しようとするギアを表す。
【0121】
ステップS420において、計数値が該プリセット回数閾値に等しい時のギアシフト信号が受信された時に対応するギア特徴付けパラメータ状態、並びに初期ギア及びセカンダリ目標ギア又は新目標ギアに対応するギア特徴付けパラメータに応じて、中断の後の充電又は放電方向及び相応するギア特徴付けパラメータ調整値を決定して、エレクトロクロミックデバイスを該セカンダリ目標ギアに切り替えられるように直接、調整する。
【0122】
該セカンダリ目標ギアに直接、調整するステップについては、上述実施例における相応するステップを参照することができ、ここでは繰り返し説明しない。
【0123】
本実施例において、新たな目標ギアに到達する前に、他の切替待ちの目標ギアを決定した場合、さらに、エレクトロクロミックデバイスを切り替えの途中から直接、該セカンダリ目標ギアに調整されるように制御可能であることが理解できる。デバイスの中止回数を制限することにより、ユーザのリアルタイムにデバイスを調節するニーズを満たすと同時に、変色の緩慢による過度の調節を減少させる。
【0124】
また、実際のギアシフト過程において、ユーザが過多に操作するため、短時間内にギアシフト操作の複数回のトリガが発生する可能性があることを考慮し、デバイスに対する損傷を減少させ、ユーザの操作指令の無視を回避するために、本実施例はさらに、短時間内の複数のギアシフト信号に対して処理を行って、いくつかの特定の場面におけるニーズを満たす。
【0125】
好ましくは、該エレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法は、以下をさらに含む。
【0126】
ステップS430において、セカンダリ目標ギアへの切り替えの過程において、単位時間内に少なくとも1回の新たなギアシフト信号が再び受信されれば、最後の1回のギアシフト信号に対応するギアを最終目標ギアとする。例えば、該単位時間は、1s、2s又は3s等であってもよく、具体的な取り値は、実際のニーズに応じて設定されてもよい。
【0127】
ステップS440において、該セカンダリ目標ギアへの切替後に、該セカンダリ目標ギア及び最終目標ギアに対応するギア特徴付けパラメータに応じて、最後の1回のギアシフト信号に対応する中断操作の後の充電又は放電方向及び相応するギア特徴付けパラメータ調整値を決定して、エレクトロクロミックデバイスを最終目標ギアに切り替えられるように再度調整する。
【0128】
例えば、該セカンダリ目標ギアが3回目のギアシフト操作時のギアである場合、3回目のギアシフト操作がまだ完成していない時に、また、より多くのギア信号、例えば4回目又は5回目のギアシフト信号が再検出されると、この時、デバイスは、各ギアシフト信号を記録するが、ギアシフト中止操作を行わず、引き続き3回目の中止の充放電の補充を完成させ、3回目のギアシフトが完成すると、記録した最後の1回のギアシフト中止信号の目標ギアへの変色を実行する。
【0129】
実際のギアシフト過程において、ユーザのギアの調節と、デバイスの目標ギアへの到達との間には、遅れ時間差が存在し、そのため、ユーザは、目標ギアにまだ到達していない時に目標ギアの実際効果を誤判断して、ギアシフト中止調節を行ってしまう可能性が高く、この時、過度の調節の状況が存在し、逆にユーザの使用に影響を与えることが理解できる。例えば、ユーザは、ギア1から5ギアへの調節の操作を完成させるために一瞬だけが必要であるが、デバイスは、5ギアへの変色を完成させるために1minが必要であり、間に時間差が存在する。30sの時に、デバイスは、3~4ギアの間に変色したが、ユーザは、現在のデバイスの変色効果に応じて5ギアの変色効果を誤判断し(実際に、5ギアでもユーザのニーズを十分に満たすことができる)、中止調節を行い(例えばギア7に調節する)、この時、過度の調節が存在し、ユーザの使用に影響を与える可能性が高い。
【0130】
そのため、ユーザが各ギアの変色状況がよく分からない場合、ギア中止の状況が複数回発生する可能性があり、正確で速やかに最も適切なギアに調節できないと同時に、デバイスの寿命に損傷等を与える。本実施例のエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法は、ギアシフト時の中止回数を制限することにより、速やかに最も適切なギアに調節可能であり、同時にデバイスへの損傷等を最大限に減少させることもできる。
【0131】
次いで、図面を参照して本願のその他のいくつかの実施例を詳しく説明する。
【0132】
図7に示すのは、本実施例によるエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御装置の構造模式図である。
【0133】
本実施例において、該エレクトロクロミックデバイスには、ギア特徴付けパラメータデータが予め記憶されており、例示的に、該エレクトロクロミックデバイスのギアシフトの制御装置100は、
ギアシフト前の初期ギアから初期目標ギアへの切り替えの過程において、前記エレクトロクロミックデバイスのギア特徴付けパラメータ状態を取得し、且つ新たなギアシフト信号が受信されると、新目標ギアを獲得し、現在の充電又は放電操作を中断するように構成される取得モジュール110と、
中断操作時のギア特徴付けパラメータ状態、並びに前記初期ギア及び前記新目標ギア又は前記新目標ギアに対応するギア特徴付けパラメータに応じて、中断操作の後の充電又は放電方向及び対応するギア特徴付けパラメータ調整値を決定するように構成される決定モジュール120と、
前記充電又は放電方向及び前記ギア特徴付けパラメータ調整値に応じて、前記エレクトロクロミックデバイスを前記新目標ギアに切り替えられるように調整するように構成される調整モジュール130と、を備える。
【0134】
本実施例の装置は、前文で説明されたエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法の実施例に対応し、上記実施例におけるオプションは、同様に本実施例に適用されることが理解でき、ゆえに、ここでは繰り返し説明しない。
【0135】
本願は、エレクトロクロミックデバイスをさらに提供し、該エレクトロクロミックデバイスは、例えば、調光窓、自動車のウインドシールド等のエレクトロクロミック材料が備えられて集積された機器であってもよい。例示的に、該エレクトロクロミックデバイスは、プロセッサ及びメモリを備え、そのうち、メモリには、コンピュータプログラムが記憶されており、プロセッサは、前記コンピュータプログラムを運行させることにより、エレクトロクロミックデバイスに上記したエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法又は上述エレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御装置における各モジュールの機能を実行させる。
【0136】
本願は、上述のエレクトロクロミックデバイスで使用される前記コンピュータプログラムを格納するように構成されるコンピュータ可読記憶媒体をさらに提供する。
【0137】
本願に係るいくつかの実施例において、開示された装置及び方法は他の方式により実現されてもよいことを理解すべきである。以上で説明された装置実施例は、模式的なものに過ぎず、例えば、図面におけるフロー図及び構造図には、本願の複数の実施例による装置、方法及びコンピュータプログラムプロダクトの実現可能な体系アーキテクチャ、機能及び操作が示されている。この点で、フロー図又はブロック図における各ブロックは、1つのモジュール、プログラムセグメント、又はコードの一部を表すことができ、該モジュール、プログラムセグメント、又はコードの一部は、所定のロジック機能を実現するための1つ又は複数の実行可能指令を含む。代替としてのいくつかの実現方式において、ブロックに表記された機能は、図面に表記された順序と異なる順序で発生してもよい。例えば、2つの連続するブロックは、実際には基本的に並行して実行でき、それらは、逆の順序で実行されてもよい場合があり、これは関わる機能によって決められることに注意すべきである。構造図又はフロー図における各ブロック、及び構造図又はフロー図におけるブロックの組み合わせは、所定の機能又は操作を実行する専用のハードウェアに基づくシステムで実現してもよく、又は、専用のハードウェアとコンピュータ指令との組み合わせで実現してもよいことにも注意すべきである。
【0138】
また、本願の各実施例における各機能モジュール又はユニットは、一緒に集積して1つの独立した部分を形成してもよいし、各モジュールが単独で存在してもよいし、2つ又はより多くのモジュールが集積して1つの独立した部分を形成してもよい。
【0139】
前記機能は、ソフトウェア機能モジュールの形式で実現されて独立した製品として販売又は使用されれば、1つのコンピュータ読取り可能な記憶媒体に記憶されてもよい。このような理解に基づいて、本願の技術態様の本質的な部分又は従来技術に寄与する部分、或いは該技術態様の一部は、ソフトウェアプロダクトの形式で具現することができ、該コンピュータソフトウェアプロダクトは、記憶媒体に記憶され、コンピュータ機器(スマートフォン、パーソナルコンピュータ、サーバ、又はネットワーク機器等であってもよい)に本願の各実施例に記載の方法の全部又は一部のステップを実行させるためのいくつかの指令を含む。前述した記憶媒体は、USBメモリ、リムーバブルハードディスク、リードオンリーメモリ(ROM、Read-Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM、Random Access Memory)、磁気ディスク又は光ディスク等の様々な、プログラムコードを記憶可能な媒体を含む。
【0140】
以上の記載は、単なる本願の具体的な実施形態に過ぎないが、本願の保護範囲はこれに限定されず、当業者が本願に開示された技術範囲内で容易に想到可能な変化又は置換は、いずれも本願の保護範囲内に含まれるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0141】
以上のことから、本願は、エレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法、装置及びエレクトロクロミックデバイスを提供する。このようなエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法、装置及びエレクトロクロミックデバイスは、より精確で速やかにエレクトロクロミックデバイスを新目標ギアに到達するように調整し、ギアシフト過程において中止される問題を解決することができ、ユーザにとって、ユーザの切り替えの待ち時間を減少させ、ユーザのギアシフト中止操作への応答を速め、ユーザの体験を高める。
【0142】
〔関連出願の相互参照〕
本願は、2021年9月30日に中国専利局に出願された、出願番号が202111161177.6で、名称が「エレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法、装置及びエレクトロクロミックデバイス」である中国特許出願、及び2022年9月16日に中国専利局に出願された、出願番号が202211129611.7で、名称が「エレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法、装置及びエレクトロクロミックデバイス」である中国特許出願の優先権を主張し、それらの全ての内容は引用により本願に組み込まれている。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、エレクトロクロミックの技術分野に関し、特にエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法、装置及びエレクトロクロミックデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
この部分では、本開示に関連する背景情報が提供されているが、これらの情報は、必然的に従来技術を構成するものではない。
【0003】
関連技術において、例えば部屋の窓、自動車のウインドシールド等は常に、エレクトロクロミック材料を採用して異なる色状態の間での光学性能の切り替えを実現している。異なる場面の応用に適応するために、該エレクトロクロミックデバイスにはさらに、複数の異なるギアが設けられる場合があり、そのうち、各ギアは、異なる光透過率又は反射率に対応し、このようにすると、ユーザは、ニーズに応じて最も適切な状態に調節して使用することができる。
【0004】
しかしながら、いくつかの、サイズが大きいエレクトロクロミックデバイスには、通常、変色が遅い現象が存在し、ギアの切替時に変色時間が長くなり、且つ切替過程においてデバイスを操作することができない。そのため、実際のギアシフト操作の過程において、何らかの問題が存在する。例えば、ユーザが誤接触すると、該変色の完成を待ってから逆方向に切り替えなければ、それを元のギアに戻すことができず、この過程には大量の時間がかかり、ユーザの体験に影響を与える。また、例えば、ユーザがギアを切り替える時に(例えば1ギアから7ギアへの切り替え)、中間のあるギアに切り替えられると実際の使用効果を満たすことができる可能性があるが(例えば5ギア等)、従来技術におけるエレクトロクロミックデバイスはギア切替過程において中止できないため、先にギア7に完全に切り替えられてから、5ギアに切り替えられて戻る必要があり、その結果、待ち時間が長くなり、ユーザの体験等に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに鑑みて、本願の実施例は、ギアシフト過程において中止できない問題をうまく解決でき、ギア切替のニーズに素早く応答し、ユーザの切り替えの待ち時間を減少させて、ユーザの体験を向上させることが可能なエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法、装置及びエレクトロクロミックデバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1側面において、本願の実施例は、エレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法を提供し、前記方法は、
ギアシフト前の初期ギアから初期目標ギアへの切り替えの過程において、前記エレクトロクロミックデバイスのギア特徴付けパラメータ状態を取得することができ、且つ新たなギアシフト信号が受信されると、新目標ギアを獲得し、現在の充電又は放電操作を中断することができることと、
前記中断操作時のギア特徴付けパラメータ状態、前記初期ギアに対応するギア特徴付けパラメータ及び前記新目標ギアに対応するギア特徴付けパラメータ、または前記中断操作時のギア特徴づけパラメータ状態及び前記新目標ギアに対応するギア特徴付けパラメータに応じて、前記中断操作の後の充電又は放電方向及び対応するギア特徴付けパラメータ調整値を決定することと、
前記充電又は放電方向及び前記ギア特徴付けパラメータ調整値に応じて、前記エレクトロクロミックデバイスを前記新目標ギアに切り替えられるように調整することができることと、を含んでもよい。
【0007】
いくつかの好ましい実施例において、該エレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法は、
ギアシフト前の初期ギアから初期目標ギアへの切り替えの過程において、毎回受信された新たなギアシフト信号に対して回数の累計を行うことができ、且つギアシフト回数の計数値がプリセット回数閾値よりも大きいか又は等しいことが検出されると、前記計数値が前記プリセット回数閾値に等しい時のギアシフト信号に対応するセカンダリ目標ギアを獲得することができることと、
受信された前記計数値が前記プリセット回数閾値に等しい時のギアシフト信号に対応するギア特徴付けパラメータ状態、並びに前記初期ギアに対応するギア特徴付けパラメータ及び前記セカンダリ目標ギアに対応するギア特徴付けパラメータ、又は受信された前記計数値が前記プリセット回数閾値に等しい時のギアシフト信号に対応するギア特徴付けパラメータ状態及び前記セカンダリ目標ギアに対応するギア特徴付けパラメータに応じて、前記中断操作の後の充電又は放電方向及び相応するギア特徴付けパラメータ調整値を決定して、前記エレクトロクロミックデバイスを前記セカンダリ目標ギアに切り替えられるように直接、調整することと、をさらに含んでもよい。
【0008】
いくつかの好ましい実施例において、該エレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法は、
前記セカンダリ目標ギアへの切り替えの過程において、単位時間内に少なくとも1回の新たなギアシフト信号が再び受信されれば、最後の1回のギアシフト信号に対応するギアを最終目標ギアとすることができることと、
前記セカンダリ目標ギアへの切替後に、前記セカンダリ目標ギア及び前記最終目標ギアに対応するギア特徴付けパラメータに応じて、前記最後の1回のギアシフト信号に対応する中断操作の後の充電又は放電方向及び相応するギア特徴付けパラメータ調整値を決定し、前記エレクトロクロミックデバイスを前記最終目標ギアに切り替えられるように再度調整することができることと、をさらに含んでもよい。
【0009】
いくつかの好ましい実施例において、前記取得されたギア特徴付けパラメータ状態は、前記エレクトロクロミックデバイスに対して入力又は放出したリアルタイム電荷容量変化値であってもよく、
前記中断操作時のギア特徴付けパラメータ状態の取得は、
前記中断操作時に記録されたリアルタイム電荷容量変化値を読み取ることを含んでもよく、
前記した、前記中断操作時のギア特徴付けパラメータ状態、前記初期ギアに対応するギア特徴付けパラメータ及び前記新目標ギアに対応するギア特徴付けパラメータに応じて、前記中断操作の後の充電又は放電方向及び対応するギア特徴付けパラメータ調整値を決定することは、
前記新目標ギアと前記初期ギアとの間の電荷容量差値を計算することと、
前記電荷容量差値と前記中断操作時に取得されたリアルタイム電荷容量変化値との比較結果に応じて、前記中断操作の後に充電方向であるか放電方向であるかを決定し、前記電荷容量差値と前記リアルタイム電荷容量変化値との間の差値の絶対値を対応する方向での電荷容量調整値とすることができることと、を含んでもよい。
【0010】
いくつかの好ましい実施例において、前記エレクトロクロミックデバイスには、ギア特徴付けパラメータデータが予め記憶されており、前記ギア特徴付けパラメータデータは、前記エレクトロクロミックデバイスの異なるギアで対応する開回路電圧及び電荷容量データを含んでもよく、前記取得されたギア特徴付けパラメータ状態は、前記エレクトロクロミックデバイスの開回路電圧であってもよく、
前記中断操作時のギア特徴付けパラメータ状態の取得は、
第1プリセット時間帯待った後に、前記エレクトロクロミックデバイスの前記第1プリセット時間帯内でのリアルタイム開回路電圧の変化率に応じて、安定後の開回路電圧を予測して前記中断操作時に前記エレクトロクロミックデバイスが所在する現在ギアを決定することができること、
又は、第2プリセット時間帯待った後に、前記エレクトロクロミックデバイスの現在開回路電圧を読み取って前記中断操作時に前記エレクトロクロミックデバイスが所在する現在ギアを決定することができること、を含んでもよく、前記第1プリセット時間帯が、前記第2プリセット時間帯よりも小さくなってもよい。
【0011】
いくつかの実施例において、前記した、前記エレクトロクロミックデバイスの前記第1プリセット時間帯内でのリアルタイム開回路電圧の変化率に応じて、安定後の開回路電圧を予測することは、
中断操作時の前記エレクトロクロミックデバイスの中断開回路電圧及び前記エレクトロクロミックデバイスの前記第1プリセット時間経過した後のリアルタイム開回路電圧に対応する開回路電圧変化速度率に応じて、開回路電圧の修正係数を決定することができることと、
前記修正係数を利用して前記リアルタイム開回路電圧に対して修正を行い、開回路電圧修正値を安定時の予測開回路電圧として得ることができることと、を含んでもよい。
【0012】
いくつかの好ましい実施例において、前記修正係数の決定は、前記開回路電圧変化速度率が0に等しいか又は近づいている場合、前記修正係数が0であり、前記開回路電圧変化速度率が0に近づいていない場合、即ち0と大きい偏差がある場合、前記修正係数が前記開回路電圧変化速度率の絶対値と正の相関を呈し、即ち傾きの絶対値が大きいほど、前記修正係数が大きいこと、を含んでもよい。
【0013】
いくつかの好ましい実施例において、前記した、前記中断操作時のギア特徴付けパラメータ状態及び前記新目標ギアに対応するギア特徴付けパラメータに応じて、前記中断操作の後の充電又は放電方向及び対応するギア特徴付けパラメータ調整値を決定することは、
具体的に、中断操作時の前記エレクトロクロミックデバイスの中断開回路電圧、及び前記新目標ギアの目標開回路電圧に応じて、前記エレクトロクロミックデバイスの異なるギアで対応する開回路電圧及び電荷容量データと結び付けて、中断操作の後の充電又は放電方向及び対応する電荷容量調整値を決定することを含んでもよい、前記中断開回路電圧に基づいて電荷容量調整値を計算するステップ、
又は、具体的に、前記予測開回路電圧又は前記安定開回路電圧、及び前記新目標ギアの目標開回路電圧に応じて、前記エレクトロクロミックデバイスの異なるギアで対応する開回路電圧及び電荷容量データと結び付けて、中断操作の後の充電又は放電方向及び対応する電荷容量調整値を決定することを含んでもよい、前記予測開回路電圧又は第2プリセット時間帯待った後に読み取られた安定開回路電圧に基づいて電荷容量調整値を計算するステップ、を含んでもよい。
【0014】
いくつかの好ましい実施例において、前記した、前記中断開回路電圧に基づいて電荷容量調整値を計算することは、
前記電荷容量調整値のチャージ又は放出の制御後に、第3プリセット時間帯待った後に、前記新目標ギアのギアシフト信号が再度受信されると、調整後の安定開回路電圧を取得することができることと、
前記調整後の安定開回路電圧及び前記新目標ギアの目標開回路電圧に応じて、前記エレクトロクロミックデバイスの異なるギアで対応する開回路電圧及び電荷容量データと結び付けて、必要な電荷容量補充値を決定することができることと、
前記新目標ギアに到達するように、前記電荷容量補充値に応じて前記エレクトロクロミックデバイスに対して再度調整を行うことができることと、をさらに含む。
【0015】
いくつかの好ましい実施例において、該エレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法は、
取得された前記中断開回路電圧と前記新目標ギアの目標開回路電圧との間の差値を計算することと、
前記差値が第1プリセット範囲内に位置すると、前記予測開回路電圧又は前記安定開回路電圧に基づいて電荷容量調整値を計算するステップを実行することができ、
前記差値が第2プリセット範囲内に位置すると、前記中断開回路電圧に基づいて電荷容量調整値を計算するステップを実行し、前記中断開回路電圧により計算された電荷容量に応じて前記エレクトロクロミックデバイスに対して調整を行ってから前記調整後の安定開回路電圧に基づいて再度調整を行うことができ、そのうち、前記第2プリセット範囲における数値の絶対値が、前記第1プリセット範囲における数値の絶対値よりも小さくなってもよいことと、をさらに含んでもよい。
【0016】
いくつかの好ましい実施例において、初期ギアから初期目標ギアへの切り替えの開始前に、該エレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法は、
1つの初期ギアシフト信号の受信が検出されると、エレクトロクロミックデバイスの現在の開回路電圧を検出して現在の実際のギアを決定し、該現在の実際のギアを初期ギアとすることと、
初期ギアシフト信号から初期目標ギアを獲得し、該初期目標ギア及び初期ギアに対応する電荷容量の差を求め、初期ギアから初期目標ギアへの切り替えのために調整が必要な電荷容量を得ることと、をさらに含んでもよい。
【0017】
第2側面において、本願の実施例は、エレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御装置を提供し、前記エレクトロクロミックデバイスには、ギア特徴付けパラメータデータが予め記憶されており、前記装置は、
ギアシフト前の初期ギアから初期目標ギアへの切り替えの過程において、前記エレクトロクロミックデバイスのギア特徴付けパラメータ状態を取得し、且つ新たなギアシフト信号が受信されると、新目標ギアを獲得し、現在の充電又は放電操作を中断するように構成可能である取得モジュールと、
前記中断操作時のギア特徴付けパラメータ状態、並びに前記初期ギア及び前記新目標ギア又は前記新目標ギアに対応するギア特徴付けパラメータに応じて、前記中断操作の後の充電又は放電方向及び対応するギア特徴付けパラメータ調整値を決定するように構成可能である決定モジュールと、
前記充電又は放電方向及び前記ギア特徴付けパラメータ調整値に応じて、前記エレクトロクロミックデバイスを前記新目標ギアに切り替えられるように調整するように構成可能である調整モジュールと、を備えてもよい。
【0018】
第3側面において、本願の実施例は、エレクトロクロミックデバイスを提供し、前記エレクトロクロミックデバイスは、プロセッサ及びメモリを備えてもよく、前記メモリには、コンピュータプログラムが記憶されていてもよく、前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行して上述したエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法を実施するように構成可能である。
【0019】
第4側面において、本願の実施例は、プロセッサで実行されると、上述したエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法を実施可能であるコンピュータプログラムが記憶された可読記憶媒体を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本願の実施例は、以下のような有益な効果を有してもよい。
本願のエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法は、ギアシフト前の初期ギアから初期目標ギアへの切り替えの過程において、エレクトロクロミックデバイスのギア特徴付けパラメータ状態を取得し、且つ新たなギアシフト信号が受信されると、新目標ギアを獲得し、現在の充電又は放電操作を中断し、そして、中断時のギア特徴付けパラメータ状態に応じて、新目標ギアに対応するギア特徴付けパラメータと結び付けて、中断の後の調整方向及びギア特徴付けパラメータ調整値を決定することにより、新目標ギアに直接、切り替える。該方法は、ギアシフト過程において中止される問題を解決することができ、ユーザにとって、ユーザの切り替えの待ち時間を減少させ、ユーザのギアシフト中止操作への応答を速め、ユーザの体験を高める。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本願の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下、実施例に使用される必要がある図面について簡単に紹介し、以下の図面には本願のいくつかのの実施例のみが示されており、範囲を限定するものと見なすべきではないことを理解すべきであり、当業者であれば、創造的労働を行わない前提で、さらに、これらの図面から他の関連する図面を得ることができる。
【0022】
【
図1】本願のいくつかの実施例によるエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法の第1フロー図である。
【
図2】本願のいくつかの実施例によるエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法の第2フロー図である。
【
図3】本願の他のいくつかの実施例によるエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法の第1フロー図である。
【
図4】本願の他のいくつかの実施例によるエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法の第2フロー図である。
【
図5】本願の別のいくつかの実施例によるエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法のフロー図である。
【
図6】本願のさらに他のいくつかの実施例によるエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法のフロー図である。
【
図7】本願のその他のいくつかの実施例によるエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御装置の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本願の実施例における図面を参照しながら、本願の実施例における技術態様を明確、完全に説明し、説明される実施例は、本願の一部の実施例に過ぎず、すべての実施例ではないことは明らかである。
【0024】
通常、ここでの図面において説明されて示される本願の実施例のコンポーネントは、様々な異なる配置で布置及び設計されてもよい。そのため、以下、図面に係る本願の実施例に対する詳しい説明は、保護請求している本願の範囲を制限することを意図せず、単に本願の選定実施例を表している。本願の実施例に基づいて、当業者が、創造的労働を行わない前提で取得された全ての他の実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0025】
後文において、本願の様々な実施例で使用可能な用語「含む」、「有する」及びそれらの同族語は、単に特定の特徴、数字、ステップ、操作、素子、コンポーネント又は前述項の組合せを表すことを意図しており、且つまず1つ又はより多くの他の特徴、数字、ステップ、操作、素子、コンポーネント又は前述項の組合せの存在、若しくは1つ又はより多くの特徴、数字、ステップ、操作、素子、コンポーネント又は前述項の組合せの増加の可能性を排除するものであると理解されるべきではない。また、用語「第1」、「第2」、「第3」等は、説明を区別するためのものに過ぎず、相対的な重要性を指示又は暗示するものとして理解できない。
【0026】
別途限定がない限り、ここで使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本願の様々な実施例が属する分野の当業者が通常理解している意味と同じ意味を有する。前記用語(例えば一般的に使用される辞書で限定される用語)は、本願の様々な実施例で明確に限定されない限り、関連する技術分野における文脈での意味と同じ意味を有するものとして解釈され、且つ理想化された意味又はフォーマルすぎる意味を有するものとしては解釈されない。
【0027】
以下、図面を参照しながら、本願のいくつかの実施形態を詳しく説明する。矛盾がない場合、下記の実施例及び実施例における特徴は互いに結び付けられてもよい。
【0028】
大サイズのエレクトロクロミックデバイスは、そのギア切替を完成させる時間が往々にして長く、例えばユーザの誤接触又はユーザの実のギア切替中止のニーズ等が発生した場面に対して、ユーザの待ち時間を減少させるためには、本願に係るエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法は、ギア切替を実行する過程において、先に初期の目標ギアに切り替えられてから最新の目標ギアに切り替えられる必要がなく、ギアを特徴付けるための関連パラメータを、ギアシフト過程において新たなギアシフト信号を受信すると、対応する目標ギア情報と結び付けてギアシフト過程における直接的な切替を実現するようにリアルタイムに取得することにより、ユーザを待たせる時間を大幅に短縮して、ユーザの体験の向上を保証することができる。
【0029】
本願において、エレクトロクロミックデバイスには、デバイスの透過率に対して量子化制御等を行うように、複数のギアが設定可能である。例えば、エレクトロクロミックデバイスの透過率の変化程度に応じて複数のギアの区分を行ってもよく、具体的に、透過率が高いほど、定義されるギアが大きくなり、即ちギアに対応する数値が大きくなり、一方、透過率が小さいほど、ギアが小さくなり、即ちギアに対応する数値が小さくなる。また、例えば、エレクトロクロミックデバイスの状態電圧、例えば開回路電圧(Open Circuit Voltage、OCV)の大きさ等に応じて複数のギアの区分を行ってもよく、例えば、OCVが大きいほど、定義されるギアが大きくなり、逆に、OCVが小さいほど、ギアが小さくなる等である。
【0030】
上述した、透過率、状態電圧等のパラメータに従ってギアの区分の設定が可能であるもの以外、該エレクトロクロミックデバイスの光学性能に関連する他のパラメータ、例えば電荷容量Qの大きさ等を採用して設定も可能であり、ここでは限定しない。相応するパラメータのタイプで設定する時に、異なるギアのギア特徴付けパラメータを含むデータは、後続のギアシフト時の照会使用等のために、該エレクトロクロミックデバイス内に記憶されることが理解できる。なお、エレクトロクロミックデバイスの同一のギアでの各パラメータの間には対応関係が存在してもよく、ゆえに、ユーザは具体的な実際のニーズに応じて異なるギアでの相応するパラメータの間の対応関係を構築して記憶することができ、例えば、ギア又は透過率、開回路電圧OCV及び電荷容量Qの三者の間の関数関係式等を構築することができる。該関数関係式は、エレクトロクロミックデバイスを予め試験することにより得ることができる。また、関数関係式の記憶を採用する利点は、各ギアでの開回路電圧、電荷容量の対応データをリストアップする必要がない点をさらに含む。且つ、エレクトロクロミックデバイスへのキャリブレーションが必要となる場合、全てのデータの調整等は必要とされず、関数関係式のみを修正すればよい。
【0031】
以下、具体的な実施例と結び付けて説明する。
【0032】
次いで、図面を参照して本願のいくつかの実施例を詳しく説明する。
【0033】
図1に示すのは、本願の実施例によるエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法の第1フロー図である。例示的に、該エレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法は、ステップS110~S130を含み、それぞれは中断時のギア特徴付けパラメータ状態の取得、ギア特徴付けパラメータ調整値の決定及び新目標ギアの調整等のいくつかの大きなステップであり、以下、各ステップを詳しく説明する。
【0034】
中断時のギア特徴付けパラメータ状態の取得のステップS110は、即ちギアシフト前の初期ギアから初期目標ギアへの切り替えの過程において、該エレクトロクロミックデバイスのギア特徴付けパラメータ状態を取得し、且つ新たなギアシフト信号が受信されると、新目標ギアを獲得し、現在の充電又は放電操作を中断するものである。
【0035】
本実施例において、該エレクトロクロミックデバイスには、複数のギアの区分に関連するギア特徴付けパラメータデータが予め記憶されている。そのうち、上述したギア特徴付けパラメータ状態は、記憶されたギア特徴付けパラメータに関連している。例えば、記憶されたギア特徴付けパラメータに異なるギアで対応する電荷容量データが含まれていれば、該ギア特徴付けパラメータ状態は、電荷容量に関連するデータ、具体的に例えば該エレクトロクロミックデバイスに対して入力又は放出した電荷電量変化値、又は該エレクトロクロミックデバイスの現在の電荷電量等であってもよい。
【0036】
例示的に、ギアシフト操作を実行する過程において、エレクトロクロミックデバイスの関連するギア特徴付けパラメータの状態をリアルタイムに監視して後続の中止後のギア調整等に使用させることができる。同時に、該初期目標ギアに切り替えられる前に、新たなギアシフト信号が受信されたか否かを検出し、新たなギアシフト信号が受信されれば、該新たなギアシフト信号から切替待ちの新目標ギアを獲得し、同時に、また、現在実行中の充電又は放電操作を中断することができる。
【0037】
そのうち、上述した初期ギアとは、該エレクトロクロミックデバイスのギアシフト操作の実行の開始前の現在の実際のギアである。1つの実施形態において、
図2に示すように、初期ギアから初期目標ギアへの切り替えの開始前に、該エレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法は、以下をさらに含む。
【0038】
ステップS140において、1つの初期ギアシフト信号の受信が検出されると、エレクトロクロミックデバイスの現在の開回路電圧を検出して現在の実際のギアを決定し、該現在の実際のギアを初期ギアとする。
【0039】
ステップS150において、初期ギアシフト信号から初期目標ギアを獲得し、該初期目標ギア及び初期ギアに対応する電荷容量の差を求め、初期ギアから初期目標ギアへの切り替えのために調整が必要な電荷容量を得る。
【0040】
例示的に、該エレクトロクロミックデバイスは、1つの初期のギアシフト信号を受信すると、信号解析により該ギアシフト信号に携帯された目標ギア情報を取得して、初期の目標ギアを得ることができる。さらに、記憶されたエレクトロクロミックデバイスの異なるギアで対応する開回路電圧及び電荷容量データを照会することにより、該初期目標ギア及び初期ギアの各々に対応する電荷容量を獲得することができる。
【0041】
そこで、該初期目標ギア及び初期ギアの電荷容量の差を求めると、現在の実際のギアから初期目標ギアへの切り替えのために調整が必要な電荷容量差値を得ることができる。そのうち、該差値が正であると、充電の必要があることを示し、逆であれば、放電の必要がある。そして、現在の環境条件に応じて、設定された対応する制御モードに従って調整を行い、例えば、定電圧又は定電流の方式等で調整を行ってもよく、ここでは具体的に限定しない。
【0042】
ギア特徴付けパラメータ調整値の決定のステップS120は、即ち中断操作時のギア特徴付けパラメータ状態、初期ギアに対応するギア特徴付けパラメータ及び新目標ギアに対応するギア特徴付けパラメータ、又は前記中断操作時のギア特徴付けパラメータ状態及び新目標ギアに対応するギア特徴付けパラメータに応じて、該中断操作の後の充電又は放電方向及び対応するギア特徴付けパラメータ調整値を決定するものである。
【0043】
なお、本実施例は、中断操作時のギア特徴付けパラメータ状態、初期ギアに対応するギア特徴付けパラメータ及び新目標ギアの特徴付けパラメータに応じて充電又は放電方向及び中断ギア特徴付けパラメータ調整値を決定することを例として、本実施例を詳しく説明する。また、他の実施例において、中断操作時のギア特徴付けパラメータ状態、及び新目標ギアのギア特徴付けパラメータに応じて充電又は放電方向及びギア特徴付けパラメータ調整値を決定してもよい。
【0044】
そのうち、該中断操作時のギア特徴付けパラメータ状態は、主に中断操作時における現在状態を反映するために用いられる。該中断操作時のギア特徴付けパラメータ状態の取得については、様々な方式により実現されてもよく、例えば、ギア特徴付けパラメータ状態が異なる場合、対応する取得方式も異なり、また、或いは、同一種類のギア特徴付けパラメータ状態についても、様々な方式により取得することができる。
【0045】
例えば、ギア特徴付けパラメータ状態は、該エレクトロクロミックデバイスのリアルタイム電荷容量変化値とされる場合、直接、監視して計算するにより得ることができ、一方、ギア特徴付けパラメータ状態は、該エレクトロクロミックデバイスの現在ギアとされる場合、同様に、例えば、現在の開回路電圧、現在エレクトロクロミック状態の透過率、及び現在エレクトロクロミックデバイスの既に獲得した電荷容量等を含んでもよいがこれらに限定されない、対応するギアを特徴付けるための電気的パラメータにより識別することができる。
【0046】
例示的に、獲得されたギア特徴付けパラメータ状態及び対応する目標ギアに対応するギア特徴付けパラメータに応じて、現在状態と目標ギア状態とでの差異を比較することにより、該中断操作の後に充電を実行するか放電を実行するか、及び、具体的にどれぐらい調整する必要があるかを決定することができる。
【0047】
新目標ギアの調整のステップS130は、即ち該充電又は放電方向及び該ギア特徴付けパラメータ調整値に応じて、前記エレクトロクロミックデバイスを該新目標ギアに切り替えられるように調整するものである。
【0048】
例示的に、相応する調整方向の決定が済んだ後に、中断操作時の状態を調整基準とし、決定された充電方向又は放電方向に従って該エレクトロクロミックデバイスの相応するギア特徴付けパラメータに対して該調整値で調整を行う。例えば、1つの実施形態において、該ギア特徴付けパラメータ調整値は、該エレクトロクロミックデバイスの補充又は放出が必要な電荷容量等であってもよい。
【0049】
1つの好ましい態様として、ギア切替を行う過程において、OCVの監視により、電荷容量とOCVとの間のフィッティング関数関係等に応じて、直接、現在のデバイスの電荷容量を得てもよく、さらに、それと切替待ちの目標ギアの容量との差を求めると、補充が必要な容量値及び充放電の方向を得ることができ、この時、変色過程の全体におけるデバイスの電荷容量の変化値へのリアルタイムなモニタリング等は必要ない。
【0050】
本実施例のエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法は、ギアシフト操作を行う過程に中止処理ロジックを追加することにより、対応する目標ギア情報を取得し、充放電を一時停止し、現在状態から新ギアまでの調整が必要な充放電電荷容量を計算することで、直接、充放電調整を行い、このようにすると、従来技術において先に最初の目標ギアに切り替えられてから、新たな目標ギアに切り替えられる必要がある問題を解決でき、ユーザにとって、特に誤接触が発生し又はリアルタイムなギアシフトが必要となる等の場合に関しては、ユーザの待ち時間を減少させ、ユーザのギアシフト中止操作への応答を速め、ユーザの体験を高めることができる。
【0051】
次いで、図面を参照して本願の他のいくつかの実施例を詳しく説明する。
【0052】
図3に示すのは、本願の実施例によるエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法の第2フロー図である。該実施例において、該ギア特徴付けパラメータデータは、主に該エレクトロクロミックデバイスの異なるギアでの電荷容量データ等を含む。
【0053】
例示的に、該エレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法は、以下を含む。
【0054】
ステップS210において、ギアシフト前の初期ギアから初期目標ギアへの切り替えの過程において、エレクトロクロミックデバイスのリアルタイム電荷容量変化値を取得し、且つ新たなギアシフト信号が受信されると、新目標ギアを獲得し、現在の充電又は放電操作を中断する。
【0055】
ステップS220において、中断操作時のリアルタイム電荷容量変化値、並びに初期ギア及び新目標ギアに対応するギア特徴付けパラメータに応じて、中断操作の後の充電又は放電方向及び対応するギア特徴付けパラメータ調整値を決定する。
【0056】
上述ステップS120における中断操作時のギア特徴付けパラメータ状態については、本実施例において、それは、主に該エレクトロクロミックデバイスの中断操作が発生する際のリアルタイム電荷容量変化値である。例示的に、該エレクトロクロミックデバイスに入力され、又は該エレクトロクロミックデバイスから放出された電荷容量の変化状況をリアルタイムに監視することにより、上述したリアルタイム電荷容量変化値を得ることができる。
【0057】
さらに、充電又は放電方向及び対応する電荷容量調整値を決定する時には、例示的に、
図4に示すように、以下が含まれる。
【0058】
サブステップS221において、新目標ギアと初期ギアとの間の電荷容量差値を計算する。
【0059】
サブステップS222において、該電荷容量差値と中断操作時に取得されたリアルタイム電荷容量変化値との比較結果に応じて、中断操作の後に充電方向であるか放電方向であるかを決定し、該電荷容量差値と該リアルタイム電荷容量変化値との間の差値の絶対値を対応する方向での電荷容量調整値とする。
【0060】
例えば、初期ギアS0に対応する電荷容量がQS0と記され、新目標ギアS1に対応する電荷容量がQS1と記され、中断操作時に取得されたリアルタイム電荷容量変化値が△Qであれば、両ギアの間の電荷容量差値TQ1は、TQ1=QS1-QS0であり、この時、両ギアの間の電荷容量差値TQ1と中断操作時のリアルタイム電荷容量変化値との差値は、TQ2=TQ1-△Qであり、TQ2が正であると、電荷容量をさらに補充する必要があることを示し、この時、充電方向であると判定し、逆に、電荷容量を放出する必要があることを示し、この時、放電方向であると判定する。相応して、|TQ1-△Q|は即ち対応する方向での電荷容量調整値である。
【0061】
電荷容量パラメータをギア調整の根拠として選出する場合、ここでは、新たな目標ギアと初期ギアとの間の容量の差異、及びデバイスの初期ギアから変化した電荷変化量に応じて調整値を計算することが採用されており、このように同じ電荷容量基準で計算することで、計算結果の正確性等を確保できることが理解できる。
【0062】
ステップS230において、該充電方向又は放電方向、及び該電荷容量調整値に応じて、エレクトロクロミックデバイスを該新目標ギアに切り替えられるように調整する。
【0063】
該ステップS230は、上述ステップS130と同じであり、ゆえに、ここでは繰り返し説明しない。
【0064】
本実施例のエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法は、ギアシフトを行う過程において、主に、電荷容量等の関連情報を利用することによりギアシフト過程における中止処理操作を実現する。容量は充放電の過程においてリアルタイムな検出により得られるため、電荷容量パラメータを選出してギア切替の程度を特徴付けて、測定の結果のリアルタイム性がよく、このようにすると、ギア中止を行う時に、ギアシフト時間を節約して、ユーザを待たせる全体時間等を短縮することができる。
【0065】
次いで、図面を参照して本願の別のいくつかの実施例を詳しく説明する。
【0066】
図5に示すのは、本願の実施例によるエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法の3つ目のフロー図である。
【0067】
該実施例において、該ギア特徴付けパラメータデータは、主に該エレクトロクロミックデバイスの異なるギアで対応する開回路電圧及び電荷容量データを含み、例えば、デバイスの開回路電圧と電荷容量との関係を予め試験することで、関数フィッティングにより、ギア/光透過率、開回路電圧、電荷容量の間の関数関係式を得ることができ、そのうち、デバイスに記憶されたデータは、優先的に上述した関数関係式であってもよく、上述関数関係式により算出された具体的なデータからなるマトリックス表等であってもよく、ここでは限定しない。ギア特徴付けパラメータ状態は、該エレクトロクロミックデバイスの開回路電圧OCVであり、エレクトロクロミックデバイスの開回路電圧は、現在時刻でのリアルタイム開回路電圧であってもよいし、中断時刻の中断開回路電圧であってもよい。
【0068】
本実施例は、エレクトロクロミックデバイスの異なるギアで対応する開回路電圧と電荷容量との関数関係に基づくものであり、具体的に、エレクトロクロミックデバイスの電荷容量-光透過度(ギア)-OCVの関係は、関数関係を呈し、光透過度を無数のギアに区分し、各ギアは、1つの光透過率及び対応するOCVに対応し、最終的には、容量とOCVとの関係関数
を利用して自動的調光を実現し、ここでは1つの関数のみが挙げられており、そのうち、関数は、1次線形関数、2次関数、5次関数等であってもよく、具体的な関数の選択は、主に、材料の特性及び関数と実際値との適合度によって決められる。デバイスの使用に伴い、エレクトロクロミックデバイスは老化するようになり、この時、透過率、OCV、容量の関数関係を再確認する必要がある。現在の状態、1回目の調光命令の実行の完成に関わらず、該関数関係を利用するようになる。
【0069】
また、光透過率を11個のギアに区分してもよく、各ギアは、1つのOCVに対応し、OCVに対応する電荷容量は、1つの関係マトリックス表を形成する。
【0070】
好ましい態様において、前記方法は、
初期ギアから初期目標ギアへの切り替えの充電/放電の時間の長さを取得し、初期ギアから初期目標ギアへの切り替えの充電/放電が完成する前に、ギアシフト信号が受信される、中断操作指令確認ステップをさらに含む。
【0071】
該初期ギアから初期目標ギアへの切り替えが中止されたか否かを判断する指令は、初期ギアから初期目標ギアへの切り替えの充電/放電の時間の長さを取得し、チャージされた電量Qを取得し、チャージされたQ値がプリセット値に等しく、且つ第1プリセット時間内にいずれも変化がない場合、この時、初期ギアから初期目標ギアへの切り替えが完成したと考えられるものを含む。例えば、初期ギアから初期目標ギアへの切り替えの現在の充電モードで、t1時間(30秒)ないと、Q電量に充電できず(Qの電量値はソフトウェアにより取得され、充電時間は挙げられた例に過ぎない)、且つQの電量が充電された後に、プリセットされたt2の時間(60秒)後にOCVが安定し、そのため、t1+t2の時間(30+60=90秒)内に新目標ギア信号が受信されると、この際に中止されたと考えられる。また、OCVをリアルタイムに読み取ることができ、プリセット時間内にOCVの変化値がプリセットされた範囲内にあると、OCVが安定し、且つOCVが初期目標ギアでのOCV1の値と一致する(60秒内に、OCVの値はいずれも0.123Vである)と考えられる。また、どれぐらいのQ値がチャージされたかを測定することにより、中止されたか否かを判断してもよい。
【0072】
例示的に、該エレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法は、以下を含む、
【0073】
中断時のギア特徴付けパラメータ状態の取得のステップS310は、即ちギアシフト前の初期ギアから初期目標ギアへの切り替えの過程において、エレクトロクロミックデバイスのリアルタイム開回路電圧を取得し、且つ新たなギアシフト信号が受信されると、新目標ギアを獲得し、現在の充電又は放電操作を中断するものである。
【0074】
ギア特徴付けパラメータ調整値の決定のステップS320は、即ち中断時の前記エレクトロクロミックデバイスの関連開回路電圧、及び新目標ギアに対応する目標開回路電圧に応じて、該エレクトロクロミックデバイスの異なるギアで対応する開回路電圧及び電荷容量データと結び付けて、中断操作の後の充電又は放電方向及び対応する電荷容量調整値を決定するものである。
【0075】
上述した中断操作時のギア特徴付けパラメータ状態については、本実施例において、それは、該エレクトロクロミックデバイスの中断操作時の、開回路電圧に関連する量であってもよく、例えば、該関連開回路電圧とは、中断操作が発生した後に予測で得られたデバイスの安定時の開回路電圧(予測開回路電圧とも呼ばれる)であってもよく、或いはデバイスの安定を待ってから測った開回路電圧(安定開回路電圧とも呼ばれる)であってもよく、また、或いは中断操作が発生する際に記録された開回路電圧(中断開回路電圧とも呼ばれる)等であってもよい。
【0076】
1つの実施形態において、中断時のギア特徴付けパラメータ状態の取得のステップS310は、中断操作時の関連開回路電圧を取得する時に、中断操作が発生する時刻における該エレクトロクロミックデバイスの中断開回路電圧(OCV中断と記される)を記録し、第1プリセット時間帯待った後に、該エレクトロクロミックデバイスの該プリセット時間帯内でのリアルタイム開回路電圧の変化率に応じて、安定後の開回路電圧を予測することにより、安定後の開回路電圧に対応するギア情報、即ち中断操作時に前記エレクトロクロミックデバイスが所在する現在ギア情報を決定することができることを含む。この方法により、直接、OCV予測の手段により予測された安定後の開回路電圧を得て、これにより、ユーザがデバイスが安定するのを待つ時間を減少させることができる。なお、本実施例には電荷容量-光透過度(ギア)-OCVの関係が関数関係を呈することが導入されているため、各OCVに1つのギアが対応するように、エレクトロクロミックデバイスの透過率を無数のギアに分けることができ、エレクトロクロミックデバイスのOCVを決定した後に、エレクトロクロミックデバイスの中断される際のギア情報を得ることができる。
【0077】
上述ステップS310は、中断操作が発生する際のリアルタイム開回路電圧に応じて開回路電圧の修正係数を決定し、前記修正係数に応じて安定時の予測開回路電圧を予測することをさらに含み、具体的に、現在実測された開回路電圧に応じてその第1プリセット時間内での変化速度率を算出して開回路電圧の修正係数を計算してもよいし、リアルタイム開回路電圧の現在の値に応じて開回路電圧の修正係数を計算してもよい。
【0078】
具体的に、中断操作が発生する際の中断開回路電圧OCV中断及び第1プリセット時間t1経過した後のリアルタイム開回路電圧(OCVリアルタイムと記される)に応じて、開回路電圧変化速度率(即ち(OCVリアルタイム-OCV中断)/t1)を算出して、開回路電圧の修正係数Kを決定し、そして、該修正係数Kを利用して上述したリアルタイム開回路電圧を修正し、開回路電圧修正値を安定時の予測開回路電圧として得ることができる。K値を導入して修正を行うことで、正確なOCVを算出することができ、さらに正確な電荷容量調整値を得て、目標ギアに対応する光透過状態に正確に調整されることを保証することができる、ことが理解できる。
【0079】
好ましくは、上述した2つの時刻の開回路電圧を採用する以外、デバイスが安定する前により多くのリアルタイム開回路電圧を採取して、計算により開回路電圧の平均変化率を得て、さらに、該平均変化率に応じて一定時間後の安定開回路電圧を推定してもよい。デバイスが完全に安定するのを待たずにリアルタイム開回路電圧を読み取っているため、読み取られたデータには一定の偏差が存在する可能性があり、ゆえに、開回路電圧の修正を行う必要があることが理解できる。
【0080】
1つの実施形態において、上述修正係数Kの決定のステップは、上述開回路電圧変化速度率が0に等しいか又は近づいている場合、修正係数Kが0であり、上述開回路電圧変化速度率が0に近づいていない場合、即ち0と大きい偏差がある場合、該修正係数Kが変化速度率の絶対値と正の相関を呈し、即ち傾きの絶対値が大きいほど、K値が大きくなることを含む。なお、開回路電圧変化速度率が0に等しいか又は近づいている場合、初期ギアから初期目標ギアへの切り替えが既に完成したか又はほぼ完成したと考えられ、傾きを利用してOCVの値の修正を提出することは、中止の制御ロジックに適用されるだけでなく、エレクトロクロミックデバイス全体の制御ロジックにも使用可能であることを示すことができる。例えば、初期ギアから1回目の目標ギアへの切り替えが既に完成していると、この時、安定させてから、OCVの変化率が0に近づき、この時、リアルタイム開回路電圧に対する修正係数Kは0であり、一方、初期ギアから1回目の目標ギアへの切り替えがまだ完成していない場合、この時、OCVは安定しておらず、OCVの変化率に応じて修正値を計算し、修正値を利用してデバイスの安定時の開回路電圧を予測する。そのため、OCVの変化率の採用は、エレクトロクロミックデバイスが中断の新目標ギアに速やかに到達することを可能にする以外、エレクトロクロミックデバイス全体の制御ロジックにも適用され、他の制御ロジックを別途設定する必要がなく、初期ギアから初期目標ギアへの切り替えを完成させることができ、さらに、初期ギアから初期目標ギアへの切り替えが完成する前に次の中断命令の操作を行うことができる。システム全体の制御ロジックは簡単で、実現されやすく、且つ演算が簡単で、OCV-Q-Tの間の関係と結び付け、そのうえ、リアルタイム開回路電圧の値の変化状況と結び付けて具体的な制御方法を選択するだけで、任意のギアの間の切り替えを完成でき、初期のギア切替が完成されていない時に新たな目標ギアに速やかに到達し、ユーザの体験感等を向上させることもできる。
【0081】
別の実施形態において、中断操作が発生した後、OCVの値は時間に伴って減衰し且つ一定時間後に安定する傾向にあるため、前記方法は、第1プリセット時間内の少なくとも2つの時点に対応するOCV値を取得し、K値の大きさを決定可能なOCVと時間tとの減衰関数を構築することをさらに含む。そのため、予め記憶されたOCVと時間tとの減衰関数において、中断操作時からの任意の時刻tでの修正の開始時に、対応して、該関数で対応するK値を算出することができる。例えば、一般のデバイスは中断の2min(120S)後に安定するため、2分間(データをより正確にさせるために、5min又はより長い時間に設定してもよい)内のOCVと時間tとの減衰関数を構築し、中断後に直ぐに修正することなく、10s待ってから修正するようになり、そのため、OCVと時間tとの減衰関数の10sに対応する箇所の傾きに応じて、K値の大きさを確認することができる。この方法は、中止時のOCV
中断と目標OCV値との隔たりが大きく、安定するために長い時間が必要である場合、先に安定させ、そして、安定する時間に応じて、自動的に修正値を算出してから、実際の隔たりのOCV値を算出することができ、自動的修正し、便利で精確に修正し、目標ギアに精確に到達するという利点を有する。また、異なる温度では、OCVに対応する減衰関数も異なる可能性がある。また、エレクトロクロミックデバイスの面積が異なると、その対応するOCVの減衰関数も異なる可能性がある。本発明は、ある時刻に対応する変化速度率に応じて、これをもってOCVに対する予測を実現するための、OCVを時間とともにフィッティングできる減衰関数
を提出し、これにより、エレクトロクロミックデバイスが、中断過程において、より速く、より精確に目標変化率に到達可能であり、ユーザを待たせる時間が減少され、ユーザの体験感が高められる。
【0082】
一般的には、エレクトロクロミックデバイスの中断時におけるOCV
中断は、通常、中断時刻からのプリセット時間、例えば2秒後に徐々に安定する傾向が始まり(他の実施例において、エレクトロクロミックデバイスの面積及び所在する現在の温度の大きさによっては、その安定する傾向にある時点が異なる)、そのため、OCVの2秒の時間内でのOCV変化値に対して1つの線形フィッティングを行い、そのため、2秒後に再び、現在のリアルタイムOCVを1回測って、2S後のリアルタイムOCV及び2S内OCVの変化率に応じてK値の大きさを決定する。具体的に、300ミリメートル
300ミリメートルのものに対して25℃の条件で充電することを例にとると、中断操作の時には充電方向であり、且つ中断操作時に中断開回路電圧を読み取り、そして、中断操作後の2秒内のリアルタイム開回路電圧を読み取り、関数
にフィッティングし、K値の大きさは、変化率a値の大きさの影響を受け、充電時に、中断時のOCVは形式的に高いものであり、この時、OCVが安定するまで減衰し始まり、そのため、a値は、負の値である。以下の表1を参照し、2秒内のOCVの変化率a値が-0.017よりも大きいか又は等しい場合、K値補償は0.05Vであり、a値が-0.03よりも大きいか又は等しいが-0.017よりも小さい場合、K値補償値は0.09Vであり、a値が-0.03よりも小さい場合、この時の変化速度率が大きいことを示し、K値に対応する補償値は0.13Vである。放電及び他の条件でのOCVと時間
tとの減衰関数が異なり、且つ変化率も同じではないが、大体の原理は上述原理を参照することができるため、ここでは繰り返し説明しない。
【0083】
【0084】
本実施例は、先に2秒待って、修正が必要な修正係数Kを算出してから、修正係数によりOCV値を補償することで、エレクトロクロミックデバイスが、長すぎる安定時間待つ必要がなく、速やかに目標透過率に到達することを可能にして、ユーザの待ち時間を減少ささせ、ユーザの体験感を増強することができる。
【0085】
本実施例において、第1プリセット時間内のOCVの変化率を利用して開回路電圧の修正係数を確認して安定時の開回路電圧を予測し、それをギアシフトロジック全体に応用する場合、具体的な方法は、調光指令が受信されると、現在の実際開回路電圧を取得し、第1プリセット時間内でのリアルタイム開回路電圧を取得し、第1時間内のリアルタイム開回路電圧の変化率を計算することと、リアルタイム開回路電圧の変化率に応じてリアルタイム開回路電圧の修正値を決定することと、リアルタイム開回路電圧の修正値に応じて調光指令に対応する目標開回路電圧を計算することと、を含む。
【0086】
他の実施形態において、OCVの時間に伴う減衰傾向はほぼ同じであり、そのため、現在のリアルタイム開回路電圧OCVリアルタイムの大きさに応じてK値を選出し、つまり、現在のOCVリアルタイムの大きさに応じて開回路電圧の修正パラメータを決定することができ、例えば、OCVリアルタイムの絶対値が第1プリセット値(例えば1V等)以下である場合、この時、K値は0であり、OCVリアルタイムが第2プリセット値(例えば+1V等)よりも大きい場合、この時、K値は負の値であり、OCVリアルタイムが第3プリセット値(例えば-1V等)よりも小さい場合、この時、K値は正の値である。異なる範囲、大きさのOCVリアルタイムで、OCVのずれも同じではなく、そのため、異なるK値を選択して、より正確なOCVを得ることで、必要な目標ギアに対応する調光状態により速く調節することに有利であることが理解できる。また、K値の符号の取り値は、充電又は放電方向に関連しており、新目標ギアが充電方向である場合、K値は負の値であり、充電方向が放電である場合、K値は正の値であり、つまり、新たな目標ギアへのギアシフトが必要になる場合、先に新目標ギアが充電方向であるか放電方向であるかを判断し、充電方向であれば、現在のOCV値からK値の絶対値を差し引き、充電方向であれば、現在のOCV値にK値の絶対値を加える。
【0087】
別のいくつかの実施例において、OCVの時間に伴う減衰傾向はほぼ同じであり、異なるOCVの実測値のK値との対応が同様ではなく、具体的なOCVとK値との関係は、マトリックス表の関係として表してもよく、例えば、表2に示すのは、あるエレクトロクロミックデバイスの充電/放電の状況で実測されたOCVデータであり、これから分かるように、充電/放電過程において、同一の温度で、OCVの値が変化するようになり、異なるOCV範囲で対応するK値が異なる。また、例えば、放電過程において、異なる温度(例えば25℃及び85℃)で、異なるOCV範囲で対応するK値は同じである可能性があり、等しくない可能性もある。
【0088】
【0089】
具体的に、25℃の場合、例えば対応する新目標ギアには充電する必要があり、且つ中断時のOCVが0.8Vであり、この時、対応する修正後のOCV=0.8-0.05=0.75(V)になり、0.75(V)を利用して容量とOCVとの間の関係式と結び付けて現在のギアを得て、また、例えば、対応する新目標ギアには放電する必要があり、測られたOCVが-0.8であり、この時、修正後のOCV=-0.8-0.18=0.98(V)になり、-0.98(V)を利用して容量とOCVとの間の関係式と結び付けて現在のギアを得る。
【0090】
他の実施形態において、中断時のギア特徴付けパラメータ状態の取得のステップS310は、中断時の関連開回路電圧を取得して中断操作時に前記エレクトロクロミックデバイスが所在する現在ギアを決定することを含み、上述した第1プリセット時間帯よりも大きい第2プリセット時間帯待って、即ちデバイスが安定するのを待ってから、直接、該エレクトロクロミックデバイスの現在開回路電圧を読み取ることで、中断操作時に前記エレクトロクロミックデバイスが所在する現在ギアを決定するようにしてもよい。例えば、該第1プリセット時間帯は、30秒であってもよく、該第2プリセット時間帯は、60秒、100秒等であってもよく、具体的に、実際のニーズに応じて設定してもよく、ここでは限定しない。一般的に、1平方メートルの青色の変色デバイスにおいては、中断操作後、2分間待てば、そのOCVが安定する傾向にある。OCVの安定時間は、デバイスの材料系に関連しており、また、エレクトロクロミックデバイスの面積と正の相関の関係が存在する。
【0091】
エレクトロクロミックデバイスの特性により、持続的定電圧を加える時、透明導電電極における電位分布は均一でなく、電源が入力される両極の付近の電位が高いため、電源の両極の領域が先に変色してしまい、一方、透明導電電極の内部抵抗が大きく、電極から遠い位置の電位が低いため、変色材料が反応するために十分な電圧を有することができず、この時、両極の領域の透過率と中心領域の変色とが一致しないと表され、そのため、より長い待ち時間がないと、中心が徐々に必要な透過率に到達して、エレクトロクロミックデバイス全体の透過率が一致する傾向にはならない。
【0092】
一定時間待つのは、電荷をデバイスに均一に分布させるためであり、このようにして、より正確なOCV値を得て現在ギアを判断することができることが理解できる。そのうち、待つ時間が長いほど、電荷のデバイスにおける分布がより均一になり、そこで、この時、直接、安定した後の開回路電圧を読み取ってより正確な現在ギアを得る。
【0093】
なお、ここで設定された任意の1つのプリセット時間帯は、いずれも該エレクトロクロミックデバイスの、先に初期目標ギアに切り替えられてから新たな目標ギアに切り替えられる待ち時間よりも遥かに小さい。例えば、1つの大サイズのエレクトロクロミックデバイスの、1ギアから5ギアへの変色の切り替えを完成させるのは、通常1分間を超え、それよりも長くなる場合もあり、この時、上述したプリセット時間帯は、10s~20s以内の数値として選出してもよい。上述した第1プリセット時間帯及び第2プリセット時間帯の選出は、デバイスの実際の変色サイズ又は面積等に応じて決定することができることを理解すべきである。エレクトロクロミックデバイスの出荷前に、デバイスの変色面積をエレクトロクロミックデバイス内に予め記憶してもよい、ことを理解すべきである。
【0094】
1つの実施形態において、ステップS320は、前記予測開回路電圧又は安定開回路電圧に基づいて電荷容量調整値を計算するステップを含み、具体的に、該予測開回路電圧又は安定開回路電圧、及び新目標ギアの目標開回路電圧に応じて、該エレクトロクロミックデバイスの異なるギアで対応する開回路電圧及び電荷容量データと結び付けて、中断操作の後の充電又は放電方向及び対応する電荷容量調整値を決定することを含む。例えば、安定後の開回路電圧に応じて中断操作時の実際の現在ギアを決定することができ、さらに該新目標ギア及び現在ギアのギア大きさに応じて、中断操作の後に充電方向であるか放電方向であるかを決定する。例えば、新目標ギアが該現在ギアよりも大きい場合、充電方向であると判定し、逆に、放電方向である。及び、目標開回路電圧と安定後の開回路電圧との差値を計算し、そして、該開回路電圧差値を上述関数関係式に代入し、対応する必要な電荷容量調整値を算出することができる。
【0095】
新目標ギアの調整のステップS330において、該充電方向又は放電方向、及び該電荷容量調整値に応じて、エレクトロクロミックデバイスを該新目標ギアに切り替えられるように調整する。
【0096】
該ステップS330は、上述ステップS130と同じであり、ゆえに、ここでは繰り返し説明しない。
【0097】
また、リアルタイム開回路電圧の取得には、依然として少なくとも上述した第1プリセット時間帯待つ必要があることを考慮し、そこで、本実施は、開回路電圧に基づく他の調整態様、即ち中断操作が発生する際の中断開回路電圧に応じて電荷容量調整値を計算し、つまり、中断開回路電圧で、OCVと電荷量Qとの関数式と結び付けて、理論上の電荷量を計算して得て、先に新目標ギア付近に調整し、安定時間待って、安定したOCVを得てから、安定後のOCV及び目標ギアのOCVを利用して差値のOCVを算出して、補償して二次調整の方式で微調整を行うことをさらに提出し、このように、同様に新目標ギアに到達可能であり、且つこの調整態様は、先に一定量のQまでチャージすることにより、エレクトロクロミックデバイスが新目標ギアの調光状態に向かって先に変色し、先に視覚から新目標ギアの調光状態へと調整することで、ユーザが現在、安定時の最後の僅かな差異を待ってから無段階調光が行われ、ユーザの視覚上の差異変化が減少され、ユーザの目にも、光の変化に徐々に適応する過程を持たせ、ユーザの体験感等を向上させる。
【0098】
上述ステップS320の中断操作時の関連開回路電圧は、中断操作が発生する際に即座に読み取られた中断開回路電圧を指してもよい。他の実施形態において、上述ステップS320は、前記中断開回路電圧に基づいて電荷容量調整値を計算するステップと、前記中断開回路電圧により計算された電荷容量に応じてエレクトロクロミックデバイスに対して調整を行ってから調整後の安定開回路電圧に基づいて再度調整を行うステップとを含み、具体的に、
中断操作時の該エレクトロクロミックデバイスの中断開回路電圧、及び新目標ギアの目標開回路電圧に応じて、該エレクトロクロミックデバイスの異なるギアで対応する開回路電圧及び電荷容量データと結び付けて、中断操作の後の充電又は放電方向及び対応する電荷容量調整値を決定することを含む。例えば、中断が発生する時刻に読み取られた中断開回路電圧がOCV中断と記され、目標開回路電圧がOCV目標と記されると、そこで、電荷容量調整値は、ΔOCV=OCV目標-OCV中断であり、即ち調整が必要な電荷容量はΔOCVである。該エレクトロクロミックデバイスの異なるギアで対応する開回路電圧及び電荷容量データと結び付けると、ΔOCVに対応するチャージが必要なΔQを決定することができる。
【0099】
直ぐに読み取られた中断開回路電圧は正確なものではないため、前記中断開回路電圧により計算された前記電荷容量に応じてエレクトロクロミックデバイスに対して初回調整を行った後に、さらに、再度調整が必要である。そこで、上述電荷容量調整値ΔQのチャージ又は放出の制御後に、再度調整は、第3プリセット時間帯待った後に、新目標ギアシフト信号が再度受信されると、現在の調整後の安定開回路電圧を取得することと、該調整後の安定開回路電圧及び新目標ギアの目標開回路電圧に応じて、エレクトロクロミックデバイスの異なるギアで対応する開回路電圧及び電荷容量データと結び付けて、必要な電荷容量補充値を決定することと、該新目標ギアに到達するように、前記電荷容量補充値に応じてエレクトロクロミックデバイスに対して再度調整を行うことと、を含む。
【0100】
例示的に、中断開回路電圧に基づいて計算された電荷容量調整値ΔQに応じて、デバイスに対する充電/放電調整を制御し、例えば第2プリセット時間帯t2の後に、その開回路電圧が安定する傾向にあり、現在の安定開回路電圧がOCV安定と記されると、同じ新目標ギアのギアシフト指令を1回再送信することにより、この時、デバイスは、該安定開回路電圧OCV安定とOCV目標との間の差値に応じて、現在存在する開回路電圧差値OCV目標-OCV安定=ΔOCV補充を算出することができ、ゆえに、ΔOCV補充を上述した関数関係式に代入すると、必要な電荷容量補充値ΔQ補充を計算して得て、電荷容量の補充を新目標ギアに到達するように制御することができる。
【0101】
好ましくは、電荷容量の補充時に、適切なモードに従って電荷容量の補充を行うように、該電荷容量補充値ΔQ補充の大きさを判断して(又は現在のデバイス又は環境の温度等と結び付けて)、相応する充電/放電モードを決定することができる。そこで、1つの実施形態において、前記電荷容量補充値に応じてエレクトロクロミックデバイスに対して再度調整を行うことの前に、前記電荷容量補充値の大きさに応じて、対応する充電又は放電モードを決定することがさらに含まれる。例えば、該充電又は放電モードは、以下の何種類かの状況を含んでもよい。
【0102】
(1)電荷容量補充値ΔQ補充が第1プリセット値よりも大きい場合、プリセット大電流方式に従って、電荷容量補充値ΔQ補充のチャージ又は放出を制御し、即ち新目標ギアに必要な電荷容量との隔たりが大きいことを示しており、ゆえに、大電流の方式を採用して直接、ΔQ補充をチャージすることで、目標ギアに速やかに到達し、ユーザの視覚誤差を減少させることができる。
【0103】
(2)電荷容量補充値ΔQ補充が第1プリセット値と第2プリセット値との間に位置すると、電荷容量補充値ΔQ補充をN等分に均一に分け、調整を完成させるまで、毎回、同じ電荷容量ΔQ補充/Nをチャージ又は放出し、そのうち、N≧1であり、且つ第1プリセット値が前記第2プリセット値よりも小さく、毎回、同じ量でチャージすると、ユーザに、漸次で緩慢に変化する視覚効果を与え、視覚的なインパクト等を減少させることが理解できる。
【0104】
(3)電荷容量補充値ΔQ
補充が第2プリセット値よりも小さい場合、プリセット小電流方式又は電流を逐次減少させる方式に従って、電荷容量補充値ΔQ
補充のチャージ又は放出を制御し、即ちこの時のギアと新目標ギアとの間の電荷容量差値が小さいことを示しており、ゆえに、電流Iの大きさを制限することで過大電流による過充電又は過放電を回避し、例えば、
の方式に従って補充を行い、過大電流による過充電又は過放電を回避してもよく、そのため、Iが十分に小さいほど、充/放電時間が長くなり、徐々に調光する効果を果たし、ユーザに与えられた視覚感の違いが小さくなる。
【0105】
上述状況(1)におけるプリセット大電流方式は、状況(3)におけるプリセット小電流方式と比較したものであり、即ち状況(1)において、電荷容量を補充する電流値が状況(3)における電流値よりも大きく、そのうち、これら2つの電流の取り値の大きさは、具体的に実際のニーズに応じて設定されてもよく、ここでは限定しないことが理解できる。OCVの補充値の大きさに応じてQ値のチャージ方法を選択することで、必要となる場合、速やかに新目標ギアに到達可能であり、且つ最大限にユーザの視覚誤差を減少させ、ユーザの体験感を増強することもできる。
【0106】
また、上述2つの調整態様、即ち、先に予測開回路電圧、又はデバイスの第2プリセット時間待った後に読み取られた開回路電圧である安定開回路電圧を得て該予測開回路電圧又は安定開回路電圧に応じて電荷容量調整値を計算して1回の調整を行う態様、及び、中断操作が発生する際の中断開回路電圧に基づいて先に電荷容量調整値を計算して初回調整後に再度調整を行う態様に対して、1つの好ましい態様として、本実施例は、調整前に、具体的な状況に応じてそれらのうちの1つを選出して調整効率等を高めることができる。勿論、好ましくは、それらのうちの1つの方式を採用して調整した後に、また、もう1つの方式と結び付けて後続の調整を行ってもよい。
【0107】
1つの実施形態において、該エレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法は、以下の実行選択ステップをさらに含み、中断操作が発生する際に取得された中断開回路電圧OCV中断と新目標ギアの目標開回路電圧OCV目標との間の差値を計算し、前記差値(即ちΔOCV=OCV目標-OCV中断)が第1プリセット範囲内に位置すると、前記予測開回路電圧に基づいて電荷容量調整値を計算するステップを実行し、つまりOCVリアルタイムに対する修正ステップを実行し、この時のOCV中断は目標OCVから遠いため、この時、第2プリセット時間を待つものを選択すれば、安定する時間が長くなり、ユーザを待たせる時間が長くなり、ユーザの体験感に影響を与えてしまう。
【0108】
前記差値が第2プリセット範囲内に位置すると、前記中断開回路電圧に基づいて電荷容量調整値を計算するステップを実行し、前記中断開回路電圧により計算された電荷容量に応じてエレクトロクロミックデバイスに対して調整を行い、そのうち、該第2プリセット範囲における数値の絶対値が、第1プリセット範囲における数値の絶対値よりも小さい。中断開回路電圧OCV中断の大きさに応じて異なる調整方式を選択使用することにより、より速く所望の調光効果等を達成可能である。
【0109】
例えば、初期目標ギアが、対応するOCVが0.13Vである11ギアで、中断操作が発生する際、現在監視された中断開回路電圧が0.11V(安定値ではなく、時間に伴って安定する傾向にある値)で、新目標ギアが、対応するOCVが0.12Vである10ギアである場合、この時の中断開回路電圧OCV中断が0.12Vに非常に近い(OCV
中断
と0.12Vとの差値が0.01V前後を超えない)ことが分かり、ゆえに、新目標ギア(10ギア)に到達するように、先に現在の中断開回路電圧に基づいて直接、調整を行い、その後、調整後のOCV偏差に基づいて二次微調整を行う操作を優先的に選択することができる。つまり、初期ギアから初期目標ギアへの切り替えの過程がそろそろ完成する場合、この時、OCVの実際値は、実際に新たな目標値に非常に近く、修正する必要がなく、直接、現在のものに応じて計算又は補充すればよく、中止して新目標ギアに切り替える切替速度が速められる。
【0110】
また、例えば、新目標ギアが、対応するOCVが0.7Vの5ギア、又は対応するOCVが0.2Vの15ギアである場合、この時の中断開回路電圧OCV中断と0.2V(又は0.7V)との隔たりが遠いことが分かり、ゆえに、新目標ギア(5ギア又は15ギア)に到達するように、上述した、予測して得られた又は一定時間待った後に得られた安定開回路電圧に基づいて電荷容量調整値を計算する操作を優先的に選択することができる。
【0111】
また、予測された安定開回路電圧が充電又は放電後も未だ目標値に正確に到達していないため、この時、透過率がプリセット値に到達したか否かを検出することができ、到達していなければ、この時に新目標ギア命令を送信し、安定後の開回路電圧を取得し、補充が必要な電荷量を確認し、補充すべき電荷量のチャージを制御する。そのため、予測された安定後の開回路電圧に基づいて電荷容量調整値を計算するステップの実行が完了した後に、現在透過率が目標透過率に等しいか否かを判断し、等しくなければ、目標ギア命令を再送信し、安定後の開回路電圧を取得し、補充が必要な電荷量を確認し、補充すべき電荷量のチャージを制御する。
【0112】
本実施例のエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法は、ギアシフトを行う過程において、一緒に開回路電圧及び電荷容量と結び付けることによりギアシフト過程における中止処理操作を実現する。開回路電圧を採用して現在ギアを獲得する場合、一定時間遅らせて判断し、現在のOCV値に対して、K値により修正するか、直接、安定するのを待つか、若しくは先に初歩的に調整してから電荷量を補充するかの選択を判断し、多方面から考慮し、最適な方式を選択することにより、より速くより正確な安定開回路電圧を得て、さらに、より正確なギア調整情報等を得ることができる。
【0113】
他のいくつかの実施例において、選択ステップの実行前に、OCV中断の値の絶対値がプリセット値よりも大きいか否かを判断し、且つ充電方向がプリセットされた充電方向に符合するか否かを判断し又はOCV中断とOCV目標との間の差値がプリセット値よりも小さいか否かを判断し、はいであれば、第2プリセット時間待ってから、デバイスが安定した後の安定開回路電圧に基づいて電荷容量調整値を計算するステップを実行する。上述表2を参照し、充電過程において、OCVの値が0.7~0.9(V)にある場合、25℃であるか85℃であるかに関わらず、その修正値は小さいため、考慮しなくてもよい。この時、OCVは、減衰が大きくないため、安定値に到達しやすいと考えられ、この時、直接、安定するのを待つと、より速く所望の効果を達成可能であり、ユーザの体験感を向上させる。
【0114】
本実施例は、ギア特徴付けパラメータ状態としてエレクトロクロミックデバイスの開回路電圧を利用することで、エレクトロクロミックデバイスを新目標ギアに到達するようにより精確で速やかに調整し、ユーザの待ち時間を減少させ、ユーザの体験を高めることができる。室温での25℃を例にとると、本実施例に係るフローは、初期目標ギア命令が受信されると、OCV-Q-Tの関数関係に応じて、エレクトロクロミックデバイスに対する充放電を制御し、初期ギアから初期目標ギアへの切り替えが完成する前に、新目標ギアへの切り替えの命令が受信されると、この時のエレクトロクロミックデバイスの中断開回路電圧を取得し、OCV中断の絶対値がプリセット値よりも大きいか否かを判断し、プリセット値よりも大きく且つ充電方向であれば、第2プリセット時間待ち、待つことにより開回路電圧を安定させ、プリセット値よりも大きくなければ、中断開回路電圧OCV中断と新目標ギアの目標開回路電圧OCV目標との間の差値が第1プリセット範囲内にあるか否かを判断し、第1プリセット範囲内にあれば、OCVの修正値を計算し、修正値に応じて安定後の開回路電圧を予測し、差値が第2プリセット範囲内にあれば、中断開回路電圧を利用して先に充電した後に充電の補充を行う、というものである。本実施例は、中断時のデバイスのOCV値を利用して、複数の方向から考慮し、各パラメータの計算を総合し、最適なギア特徴付けパラメータ調整値を得て、より速く、より精確に新たな目標ギアに調整でき、ユーザの待ち時間を減少させ、ユーザの体験感を向上させることもできる。
【0115】
次いで、図面を参照して本願のさらに他のいくつかの実施例を詳しく説明する。
【0116】
図6に示すのは、本願の実施例によるエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法のフロー図である。
【0117】
上述実施例のいずれかの実施例に記載の方法に基づいて、本実施例は、過度の調節が存在し、さらに、デバイスの寿命に損傷を与える状況等の発生を回避するように、ギアシフト回数を制限することの追加をさらに含む。
【0118】
例示的に、
図6に示すように、該エレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法は、以下をさらに含む。
【0119】
ステップS410において、ギアシフト前の初期ギアから初期目標ギアへの切り替えの過程において、毎回受信された新たなギアシフト信号に対して回数の累計を行い、且つギアシフト回数の計数値がプリセット回数閾値よりも大きいか又は等しいことが検出されると、計数値がプリセット回数閾値に等しい時のギアシフト信号に対応するセカンダリ目標ギアを獲得する。
【0120】
例示的に、1つのギアシフト計数値を設定することで、ギアシフト操作を行う過程において、検出された各新たなギアシフト信号に対して累加の計数を行うことができる。そこで、1の増加のたびに、該計数値がプリセットされた回数閾値に到達したか否かを判断し、到達すれば、計数値がプリセット回数閾値に等しい時の該回のギアシフト信号から、対応するセカンダリ目標ギアを獲得する。通常、該セカンダリ目標ギアと前の初期目標ギアとは、2つの異なる到達しようとするギアを表す。
【0121】
ステップS420において、受信された計数値が該プリセット回数閾値に等しい時のギアシフト信号に対応するギア特徴付けパラメータ状態、初期ギアに対応するギア特徴付けパラメータ及びセカンダリ目標ギアに対応するギア特徴付けパラメータ、又は受信された計数値が該プリセット回数閾値に等しい時のギアシフト信号に対応するギア特徴付けパラメータ状態及びセカンダリ目標ギアに対応するギア特徴付けパラメータに応じて、中断の後の充電又は放電方向及び相応するギア特徴付けパラメータ調整値を決定して、エレクトロクロミックデバイスを該セカンダリ目標ギアに切り替えられるように直接、調整する。
【0122】
該セカンダリ目標ギアに直接、調整するステップについては、上述実施例における相応するステップを参照することができ、ここでは繰り返し説明しない。
【0123】
本実施例において、新たな目標ギアに到達する前に、他の切替待ちの目標ギアを決定した場合、さらに、エレクトロクロミックデバイスを切り替えの途中から直接、該セカンダリ目標ギアに調整されるように制御可能であることが理解できる。デバイスの中止回数を制限することにより、ユーザのリアルタイムにデバイスを調節するニーズを満たすと同時に、変色の緩慢による過度の調節を減少させる。
【0124】
また、実際のギアシフト過程において、ユーザが過多に操作するため、短時間内にギアシフト操作の複数回のトリガが発生する可能性があることを考慮し、デバイスに対する損傷を減少させ、ユーザの操作指令の無視を回避するために、本実施例はさらに、短時間内の複数のギアシフト信号に対して処理を行って、いくつかの特定の場面におけるニーズを満たす。
【0125】
好ましくは、該エレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法は、以下をさらに含む。
【0126】
ステップS430において、セカンダリ目標ギアへの切り替えの過程において、単位時間内に少なくとも1回の新たなギアシフト信号が再び受信されれば、最後の1回のギアシフト信号に対応するギアを最終目標ギアとする。例えば、該単位時間は、1s、2s又は3s等であってもよく、具体的な取り値は、実際のニーズに応じて設定されてもよい。
【0127】
ステップS440において、該セカンダリ目標ギアへの切替後に、該セカンダリ目標ギア及び最終目標ギアに対応するギア特徴付けパラメータに応じて、最後の1回のギアシフト信号に対応する中断操作の後の充電又は放電方向及び相応するギア特徴付けパラメータ調整値を決定して、エレクトロクロミックデバイスを最終目標ギアに切り替えられるように再度調整する。
【0128】
例えば、該セカンダリ目標ギアが3回目のギアシフト操作時のギアである場合、3回目のギアシフト操作がまだ完成していない時に、また、より多くのギア信号、例えば4回目又は5回目のギアシフト信号が再検出されると、この時、デバイスは、各ギアシフト信号を記録するが、ギアシフト中止操作を行わず、引き続き3回目の中止の充放電の補充を完成させ、3回目のギアシフトが完成すると、記録した最後の1回のギアシフト中止信号の目標ギアへの変色を実行する。
【0129】
実際のギアシフト過程において、ユーザのギアの調節と、デバイスの目標ギアへの到達との間には、遅れ時間差が存在し、そのため、ユーザは、目標ギアにまだ到達していない時に目標ギアの実際効果を誤判断して、ギアシフト中止調節を行ってしまう可能性が高く、この時、過度の調節の状況が存在し、逆にユーザの使用に影響を与えることが理解できる。例えば、ユーザは、ギア1から5ギアへの調節の操作を完成させるために一瞬だけが必要であるが、デバイスは、5ギアへの変色を完成させるために1minが必要であり、間に時間差が存在する。30sの時に、デバイスは、3~4ギアの間に変色したが、ユーザは、現在のデバイスの変色効果に応じて5ギアの変色効果を誤判断し(実際に、5ギアでもユーザのニーズを十分に満たすことができる)、中止調節を行い(例えばギア7に調節する)、この時、過度の調節が存在し、ユーザの使用に影響を与える可能性が高い。
【0130】
そのため、ユーザが各ギアの変色状況がよく分からない場合、ギア中止の状況が複数回発生する可能性があり、正確で速やかに最も適切なギアに調節できないと同時に、デバイスの寿命に損傷等を与える。本実施例のエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法は、ギアシフト時の中止回数を制限することにより、速やかに最も適切なギアに調節可能であり、同時にデバイスへの損傷等を最大限に減少させることもできる。
【0131】
次いで、図面を参照して本願のその他のいくつかの実施例を詳しく説明する。
【0132】
図7に示すのは、本実施例によるエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御装置の構造模式図である。
【0133】
本実施例において、該エレクトロクロミックデバイスには、ギア特徴付けパラメータデータが予め記憶されており、例示的に、該エレクトロクロミックデバイスのギアシフトの制御装置100は、
ギアシフト前の初期ギアから初期目標ギアへの切り替えの過程において、前記エレクトロクロミックデバイスのギア特徴付けパラメータ状態を取得し、且つ新たなギアシフト信号が受信されると、新目標ギアを獲得し、現在の充電又は放電操作を中断するように構成される取得モジュール110と、
中断操作時のギア特徴付けパラメータ状態、並びに前記初期ギア及び前記新目標ギア又は前記新目標ギアに対応するギア特徴付けパラメータに応じて、中断操作の後の充電又は放電方向及び対応するギア特徴付けパラメータ調整値を決定するように構成される決定モジュール120と、
前記充電又は放電方向及び前記ギア特徴付けパラメータ調整値に応じて、前記エレクトロクロミックデバイスを前記新目標ギアに切り替えられるように調整するように構成される調整モジュール130と、を備える。
【0134】
本実施例の装置は、前文で説明されたエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法の実施例に対応し、上記実施例におけるオプションは、同様に本実施例に適用されることが理解でき、ゆえに、ここでは繰り返し説明しない。
【0135】
本願は、エレクトロクロミックデバイスをさらに提供し、該エレクトロクロミックデバイスは、例えば、調光窓、自動車のウインドシールド等のエレクトロクロミック材料が備えられて集積された機器であってもよい。例示的に、該エレクトロクロミックデバイスは、プロセッサ及びメモリを備え、そのうち、メモリには、コンピュータプログラムが記憶されており、プロセッサは、前記コンピュータプログラムを運行させることにより、エレクトロクロミックデバイスに上記したエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法又は上述エレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御装置における各モジュールの機能を実行させる。
【0136】
本願は、上述のエレクトロクロミックデバイスで使用される前記コンピュータプログラムを格納するように構成されるコンピュータ可読記憶媒体をさらに提供する。
【0137】
本願に係るいくつかの実施例において、開示された装置及び方法は他の方式により実現されてもよいことを理解すべきである。以上で説明された装置実施例は、模式的なものに過ぎず、例えば、図面におけるフロー図及び構造図には、本願の複数の実施例による装置、方法及びコンピュータプログラムプロダクトの実現可能な体系アーキテクチャ、機能及び操作が示されている。この点で、フロー図又はブロック図における各ブロックは、1つのモジュール、プログラムセグメント、又はコードの一部を表すことができ、該モジュール、プログラムセグメント、又はコードの一部は、所定のロジック機能を実現するための1つ又は複数の実行可能指令を含む。代替としてのいくつかの実現方式において、ブロックに表記された機能は、図面に表記された順序と異なる順序で発生してもよい。例えば、2つの連続するブロックは、実際には基本的に並行して実行でき、それらは、逆の順序で実行されてもよい場合があり、これは関わる機能によって決められることに注意すべきである。構造図又はフロー図における各ブロック、及び構造図又はフロー図におけるブロックの組み合わせは、所定の機能又は操作を実行する専用のハードウェアに基づくシステムで実現してもよく、又は、専用のハードウェアとコンピュータ指令との組み合わせで実現してもよいことにも注意すべきである。
【0138】
また、本願の各実施例における各機能モジュール又はユニットは、一緒に集積して1つの独立した部分を形成してもよいし、各モジュールが単独で存在してもよいし、2つ又はより多くのモジュールが集積して1つの独立した部分を形成してもよい。
【0139】
前記機能は、ソフトウェア機能モジュールの形式で実現されて独立した製品として販売又は使用されれば、1つのコンピュータ読取り可能な記憶媒体に記憶されてもよい。このような理解に基づいて、本願の技術態様の本質的な部分又は従来技術に寄与する部分、或いは該技術態様の一部は、ソフトウェアプロダクトの形式で具現することができ、該コンピュータソフトウェアプロダクトは、記憶媒体に記憶され、コンピュータ機器(スマートフォン、パーソナルコンピュータ、サーバ、又はネットワーク機器等であってもよい)に本願の各実施例に記載の方法の全部又は一部のステップを実行させるためのいくつかの指令を含む。前述した記憶媒体は、USBメモリ、リムーバブルハードディスク、リードオンリーメモリ(ROM、Read-Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM、Random Access Memory)、磁気ディスク又は光ディスク等の様々な、プログラムコードを記憶可能な媒体を含む。
【0140】
以上の記載は、単なる本願の具体的な実施形態に過ぎないが、本願の保護範囲はこれに限定されず、当業者が本願に開示された技術範囲内で容易に想到可能な変化又は置換は、いずれも本願の保護範囲内に含まれるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0141】
以上のことから、本願は、エレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法、装置及びエレクトロクロミックデバイスを提供する。このようなエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法、装置及びエレクトロクロミックデバイスは、より精確で速やかにエレクトロクロミックデバイスを新目標ギアに到達するように調整し、ギアシフト過程において中止される問題を解決することができ、ユーザにとって、ユーザの切り替えの待ち時間を減少させ、ユーザのギアシフト中止操作への応答を速め、ユーザの体験を高める。
【0142】
〔関連出願の相互参照〕
本願は、2021年9月30日に中国専利局に出願された、出願番号が202111161177.6で、名称が「エレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法、装置及びエレクトロクロミックデバイス」である中国特許出願、及び2022年9月16日に中国専利局に出願された、出願番号が202211129611.7で、名称が「エレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法、装置及びエレクトロクロミックデバイス」である中国特許出願の優先権を主張し、それらの全ての内容は引用により本願に組み込まれている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法であって、
ギアシフト前の初期ギアから初期目標ギアへの切り替えの過程において、前記エレクトロクロミックデバイスのギア特徴付けパラメータ状態を取得し、且つ新たなギアシフト信号が受信されると、新目標ギアを獲得し、現在の充電又は放電操作を中断することと、
前記中断操作時のギア特徴付けパラメータ状態
、前記初期ギア
に対応するギア特徴付けパラメータ及び前記新目標ギア
に対応するギア特徴付けパラメータ、又は
前記中断操作時のギア特徴付けパラメータ状態及び前記新目標ギアに対応するギア特徴付けパラメータに応じて、前記中断操作の後の充電又は放電方向及び対応するギア特徴付けパラメータ調整値を決定することと、
前記充電又は放電方向及び前記ギア特徴付けパラメータ調整値に応じて、前記エレクトロクロミックデバイスを前記新目標ギアに切り替えられるように調整することと、を含む、
エレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法。
【請求項2】
ギアシフト前の初期ギアから初期目標ギアへの切り替えの過程において、毎回受信された新たなギアシフト信号に対して回数の累計を行い、且つギアシフト回数の計数値がプリセット回数閾値よりも大きいか又は等しいことが検出されると、前記計数値が前記プリセット回数閾値に等しい時のギアシフト信号に対応するセカンダリ目標ギアを獲得することと、
受信された前記計数値が前記プリセット回数閾値に等しい時のギアシフト信
号に対応するギア特徴付けパラメータ状態、並びに前記初期ギア
に対応するギア特徴付けパラメータ及び前記セカンダリ目標ギア
に対応するギア特徴付けパラメータ、又は
受信された前記計数値が前記プリセット回数閾値に等しい時のギアシフト信号に対応するギア特徴付けパラメータ状態及び前記
セカンダリ目標ギアに対応するギア特徴付けパラメータに応じて、前記中断操作の後の充電又は放電方向及び相応するギア特徴付けパラメータ調整値を決定して、前記エレクトロクロミックデバイスを前記セカンダリ目標ギアに切り替えられるように直接、調整することと、をさらに含む、
請求項1に記載のエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法。
【請求項3】
前記セカンダリ目標ギアへの切り替えの過程において、単位時間内に少なくとも1回の新たなギアシフト信号が再び受信されれば、最後の1回のギアシフト信号に対応するギアを最終目標ギアとすることと、
前記セカンダリ目標ギアへの
切り替え後に、前記セカンダリ目標ギア及び前記最終目標ギアに対応するギア特徴付けパラメータに応じて、前記最後の1回のギアシフト信号に対応する中断操作の後の充電又は放電方向及び相応するギア特徴付けパラメータ調整値を決定し、前記エレクトロクロミックデバイスを前記最終目標ギアに切り替えられるように再度調整することと、をさらに含む、
請求項2に記載のエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法。
【請求項4】
前記取得されたギア特徴付けパラメータ状態は、前記エレクトロクロミックデバイスに対して入力又は放出したリアルタイム電荷容量変化値であり、
前記中断操作時のギア特徴付けパラメータ状態の取得のステップは、
前記中断操作時に記録されたリアルタイム電荷容量変化値を読み取ることを含み、
前記した、前記中断操作時のギア特徴付けパラメータ状態
、前記初期ギア
に対応するギア特徴付けパラメータ及び前記新目標ギアに対応するギア特徴付けパラメータに応じて前記中断操作の後の充電又は放電方向及び対応するギア特徴付けパラメータ調整値を決定するステップは、
前記新目標ギアと前記初期ギアとの間の電荷容量差値を計算することと、
前記電荷容量差値と前記中断操作時に取得されたリアルタイム電荷容量変化値との比較結果に応じて、前記中断操作の後に充電方向であるか放電方向であるかを決定し、前記電荷容量差値と前記リアルタイム電荷容量変化値との間の差
値の絶対値を対応する方向での電荷容量調整値とすることと、を含む、
請求項
1に記載のエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法。
【請求項5】
前記エレクトロクロミックデバイスには、ギア特徴付けパラメータが予め記憶されており、前記ギア特徴付けパラメータデータは、前記エレクトロクロミックデバイスの異なるギアで対応する開回路電圧及び電荷容量データを含み、前記取得されたギア特徴付けパラメータ状態は、前記エレクトロクロミックデバイスの開回路電圧であり、
前記中断操作時のギア特徴付けパラメータ状態の取得のステップは、
第1プリセット時間帯待った後に、前記エレクトロクロミックデバイスの前記第1プリセット時間帯内でのリアルタイム開回路電圧の変化率に応じて、安定後の開回路電圧を予測して前記中断操作時に
前記エレクトロクロミックデバイスが所在する現在ギアを決定すること、
又は、第2プリセット時間帯待った後に、前記エレクトロクロミックデバイスの現在開回路電圧を読み取って前記中断操作時に
前記エレクトロクロミックデバイスが所在する現在ギアを決定すること、を含み、前記第1プリセット時間帯が、前記第2プリセット時間帯よりも小さい、
請求項
1に記載のエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法。
【請求項6】
前記した、前記エレクトロクロミックデバイスの前記第1プリセット時間帯内でのリアルタイム開回路電圧の変化率に応じて安定後の開回路電圧を予測するステップは、
中断操作時の前記エレクトロクロミックデバイスの中断開回路電圧及び前記エレクトロクロミックデバイスの前記第1プリセット時間経過した後のリアルタイム開回路電圧に応じて、前記第1プリセット時間内での対応する開回路電圧変化速度率を計算し、前記開回路電圧変化速度率に応じて開回路電圧の修正係数を決定することと、
前記修正係数を利用して前記リアルタイム開回路電圧に対して修正を行い、開回路電圧修正値を得って安定時の予測開回路電圧を決定することと、を含む、
請求項5に記載のエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法。
【請求項7】
前記修正係数の決定のステップは、
前記開回路電圧変化速度率が0に等しいか又は近づいている場合、前記修正係数が0であり、
前記開回路電圧変化速度率が0に近づいていない場合、前記修正係数が前記開回路電圧変化速度率の絶対値と正の相関を呈すること、を含む、
請求項6に記載のエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法。
【請求項8】
前記した、前記中断操作時のギア特徴付けパラメータ状
態及び前記新目標ギアに対応するギア特徴付けパラメータに応じて前記中断操作の後の充電又は放電方向及び対応するギア特徴付けパラメータ調整値を決定するステップは、
中断操作時の前記エレクトロクロミックデバイスの中断開回路電圧、及び前記新目標ギアの目標開回路電圧に応じて、前記エレクトロクロミックデバイスの異なるギアで対応する開回路電圧及び電荷容量データと結び付けて、中断操作の後の充電又は放電方向及び対応する電荷容量調整値を決定することを含む、前記中断開回路電圧に基づいて電荷容量調整値を計算するステップ、
又は
、前記予測開回路電圧又は前記安定開回路電圧、及び前記新目標ギアの目標開回路電圧に応じて、前記エレクトロクロミックデバイスの異なるギアで対応する開回路電圧及び電荷容量データと結び付けて、中断操作の後の充電又は放電方向及び対応する電荷容量調整値を決定することを含む、前記予測開回路電圧又は第2プリセット時間帯待った後に読み取られた安定開回路電圧に基づいて電荷容量調整値を計算するステップ、を含む、
請求項6に記載のエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法。
【請求項9】
前記した、前記中断開回路電圧に基づいて電荷容量調整値を計算する
ことは、
前記電荷容量調整値のチャージ又は放出の制御後に、第3プリセット時間帯待った後に、前記新目標ギアのギアシフト信号が再度受信されると、調整後の安定開回路電圧を取得することと、
前記調整後の安定開回路電圧及び前記新目標ギアの目標開回路電圧に応じて、前記エレクトロクロミックデバイスの異なるギアで対応する開回路電圧及び電荷容量データと結び付けて、必要な電荷容量補充値を決定することと、
前記新目標ギアに到達するように、前記電荷容量補充値に応じて前記エレクトロクロミックデバイスに対して再度調整を行うことと、を
さらに含む、
請求項8に記載のエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法。
【請求項10】
取得された前記中断開回路電圧と前記新目標ギアの目標開回路電圧との間の差値を計算することと、
前記差値が第1プリセット範囲内に位置すると、前記予測開回路電圧又は前記安定開回路電圧に基づいて電荷容量調整値を計算するステップを実行し、
前記差値が第2プリセット範囲内に位置すると、前記中断開回路電圧に基づいて電荷容量調整値を計算するステップを実行し、前記中断開回路電圧により計算された電荷容量に応じて前記エレクトロクロミックデバイスに対して調整を行ってから前記調整後の安定開回路電圧に基づいて再度調整を行い、前記第2プリセット範囲における数値の絶対値が、前記第1プリセット範囲における数値の絶対値よりも小さいことと、をさらに含む、
請求項9に記載のエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法。
【請求項11】
前記初期ギアから前記初期目標ギアへの切り替えの開始前に、
初期ギアシフト信号の受信が検出されると、前記エレクトロクロミックデバイスの現在の開回路電圧を検出して現在の実際のギアを決定し、前記現在の実際のギアを初期ギアとすることと、
前記初期ギアシフト信号から前記初期目標ギアを獲得し、前記初期目標ギアと前記初期ギアに対応する電荷容量の差を求め、前記初期ギアから前記初期目標ギアへの切り替えのために調整が必要な電荷容量を得ることと、をさらに含む、
請求項
1に記載のエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法。
【請求項12】
ギア特徴付けパラメータデータが予め記憶されたエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御装置であって、
ギアシフト前の初期ギアから初期目標ギアへの切り替えの過程において、前記エレクトロクロミックデバイスのギア特徴付けパラメータ状態を取得し、且つ新たなギアシフト信号が受信されると、新目標ギアを獲得し、現在の充電又は放電操作を中断するように構成される取得モジュールと、
前記中断操作時のギア特徴付けパラメータ状態、並びに前記初期ギア及び前記新目標ギア又は前記新目標ギアに対応するギア特徴付けパラメータに応じて、前記中断操作の後の充電又は放電方向及び対応するギア特徴付けパラメータ調整値を決定するように構成される決定モジュールと、
前記充電又は放電方向及び前記ギア特徴付けパラメータ調整値に応じて、前記エレクトロクロミックデバイスを前記新目標ギアに切り替えられるように調整するように構成される調整モジュールと、を備える、
エレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御装置。
【請求項13】
プロセッサ、及びコンピュータプログラムが記憶されたメモリを備え、
前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行して請求項1~
請求項11のいずれか1項に記載のエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法を実施するように構成される、
エレクトロクロミックデバイス。
【請求項14】
プロセッサで実行されると、請求項1~
請求項11のいずれか1項に記載のエレクトロクロミックデバイスのギアシフト制御方法を実施するコンピュータプログラムが記憶された、
可読記憶媒体。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】