(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-23
(54)【発明の名称】プロテアーゼ阻害剤
(51)【国際特許分類】
C07K 5/10 20060101AFI20241016BHJP
C07K 5/11 20060101ALI20241016BHJP
C07K 5/08 20060101ALI20241016BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20241016BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20241016BHJP
A61K 38/06 20060101ALI20241016BHJP
A61K 38/07 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
C07K5/10 ZNA
C07K5/11
C07K5/08
A61P31/12
A61P31/14
A61K38/06
A61K38/07
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520520
(86)(22)【出願日】2022-09-30
(85)【翻訳文提出日】2024-05-16
(86)【国際出願番号】 EP2022077408
(87)【国際公開番号】W WO2023052636
(87)【国際公開日】2023-04-06
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2022-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】524123078
【氏名又は名称】プロティニ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】PROTINHI B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ヒロネス デルガド‐ウレーニャ, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ディーテレン, シンディ エリザベス ヨハナ
(72)【発明者】
【氏名】ファン ビューレン, ベルント ニコデムス マリア
(72)【発明者】
【氏名】フェイタース, マルティヌス クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】カビーナ, ロレンツォ
(72)【発明者】
【氏名】リナス ブルネット, モンツェ
(72)【発明者】
【氏名】ヘルムケンス, ピーター ハロルド ハン
【テーマコード(参考)】
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA01
4C084AA02
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA15
4C084BA16
4C084BA24
4C084NA14
4C084ZB33
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA09
4H045BA12
4H045BA13
4H045BA56
4H045EA20
4H045FA10
(57)【要約】
本発明は、その末端の異なる頭部及び尾部修飾を特徴とする、アルキル化オリゴペプチドに基づく新しい種類の化合物に関する。これらの化合物は、ウイルスプロテアーゼ、特にフラビウイルスプロテアーゼの阻害剤として有用であり、したがってウイルス感染症の治療に使用することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(0)の化合物又はその塩:
【化1】
(式中、
mは、2又は3であり;
連結は、-C(O)-であるか、又は存在せず;
尾部は、H又はC1~24アルキルであり;
頭部は、-NH
2、-NH-C1~24アルキル、-C(O)-NH
2、-C(O)-NH-C1~24アルキル、又は5~6員(ヘテロ)アリールであり;
AA
1は、それがドナーカルボン酸を提供するアミド結合を介して隣接するAA
nに接続され、そのアミンを介して連結に接続される、アミノ酸残基であり;
AA
nは、各インスタンスについて独立してアミノ酸残基である)。
【請求項2】
mが3である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
mが2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
尾部が、CH
3-(CH
2)
14-である、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
連結が-C(O)-であり、尾部がC1~24アルキルである、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
連結が-C(O)-である、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
連結が-C(O)-である、請求項4に記載の化合物。
【請求項8】
連結が存在せず、尾部がHである、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
頭部が、-NH
2、-NH-(CH
2)
15-CH
3、-フェニル、-CH
3、又は-C(O)-NH
2である、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
頭部が、-NH
2、-フェニル、-CH
3、又は-C(O)-NH
2である、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
頭部が、-NH
2、-フェニル、-CH
3、又は-C(O)-NH
2である、請求項4~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
頭部が、-NH-C1~24アルキル又は-C(O)-NH-C1~24アルキル、好ましくは-NH-(CH
2)
15-CH
3である、請求項8に記載の化合物。
【請求項13】
AA
1が、リジン、アルギニン、又はアラニンであり、好ましくは、リジン又はアルギニンであり、最も好ましくは、リジンである、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
各AA
nが、アラニン、アルギニン、グルタミン、リジン、フェニルアラニン、ヒスチジン、プロリン、(4-OBn-フェニル)グリシン、トリプトファン、及びホモフェニルアラニンから個別に選択される、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
頭部に隣接しないAA
nの少なくとも1つのインスタンスが、アラニン、グルタミン、又はヒスチジンであり、好ましくは、アラニン又はグルタミン、最も好ましくは、アラニンである、請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
頭部に隣接するAA
nの前記インスタンスが、リジン、フェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、ヒスチジン、トリプトファン、又は(4-OBn-フェニル)グリシン、好ましくは、リジン、フェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、又はヒスチジン、より好ましくは、リジン又はヒスチジン、最も好ましくは、リジンである、請求項1~15のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
頭部に隣接しないAA
nの少なくとも1つのインスタンスがグルタミンであり、好ましくは、mが2である、請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
頭部に隣接するAA
nの前記インスタンスがフェニルアラニンであり、好ましくはmが2であり、好ましくはAA
1がアルギニンである、請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KAAK、ARQK、KAF、RQ-ホモPhe、KAK、RAF、RQF、KAH、KAAH、KPA-(4-OBn-フェニルGly)、KPAK、KAAW、KPH-ホモPhe、KPAF、KPA-ホモPhe、又はKPAWで表されるペプチドを形成する、請求項1~18のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KAAK、(D-K)AAK、K(D-A)AK、KA(D-A)K、KAA(D-K)、ARQK、KAF、RQ-ホモPhe、KAK、RAF、RQF、(D-R)QF、KAH、KAAH、KAA(D-H)、KPA-(4-OBn-フェニルGly)、KPAK、KAAW、KPH-ホモPhe、KPAF、KPA(D-F)、KPA-ホモPhe、KPA-(D-ホモPhe)、KPAW、(D-K)PAW、又はKPA(D-W)で表されるペプチドを形成する、請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項21】
i.尾部がHであり、連結が存在せず;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、ARQKで表されるペプチドを形成し;頭部が-NH-(CH
2)
15-CH
3であるか;
ii.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KAAKで表されるペプチドを形成し;頭部が-フェニルであるか;
iii.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KAFで表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2であるか;
iv.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、RQ-ホモPheで表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2であるか;
v.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KA(D-A)Kで表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2であるか;
vi.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、ARQKで表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2であるか;
vii.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KAKで表されるペプチドを形成し;頭部が-フェニルであるか;
viii.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、RAFで表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2であるか;
ix.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KAA(D-K)で表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2であるか;
x.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、(D-R)QFで表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2であるか;
xi.尾部がHであり、連結が存在せず;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KAKで表されるペプチドを形成し;頭部が-NH-(CH
2)
15-CH
3であるか;
xii.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KAAKで表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2であるか;
xiii.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KAHで表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2であるか;
xiv.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KAAKで表されるペプチドを形成し;頭部が
-C(O)-NH
2であるか;
xv.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、RQFで表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2であるか;
xvi.尾部がHであり、連結が存在せず;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KAAKで表されるペプチドを形成し;頭部が-NH-(CH
2)
15-CH
3であるか;
xvii.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KAKで表されるペプチドを形成し;頭部が-C(O)-NH
2であるか;
xviii.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、(D-K)AAKで表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2であるか;
xix.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KAAHで表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2であるか;
xx,尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KAA(D-K)で表されるペプチドを形成し;頭部が-C(O)-NH-CH
2-フェニルであるか;
xxi.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KPA-(4-OBn-フェニルGly)で表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2であるか;
xxii.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KAKで表されるペプチドを形成し;頭部が-CH
3であるか;
xxiii.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KPAKで表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2であるか;
xxiv.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、K(D-A)AKで表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2であるか;
xxv.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KAA(D-H)で表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2であるか;
xxvi.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KAAWで表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2であるか;
xxvii.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KPH-ホモPheで表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2であるか;
xxviii.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KPAFで表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2であるか;
xxix.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KPA-ホモPheで表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2であるか;
xxx.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KPA(D-ホモPhe)で表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2であるか;
xxxi.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KPA(D-F)で表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2であるか;
xxxii.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、(D-K)PAWで表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2であるか;又は
xxxiii.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KPA(D-W)で表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2である、請求項1~20のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項22】
式(KAAK-4):
【化2】
の化合物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項23】
式(RQF-1):
【化3】
の化合物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項24】
ウイルス感染症又はウイルス感染症に関連する状態を、それを必要とする対象において、治療する、予防する、又は遅延させる方法であって、請求項1~23のいずれか一項に記載の化合物の有効量を前記対象に投与するステップを含む、方法。
【請求項25】
前記ウイルス感染症が、デングウイルス感染症である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記化合物が、一般式(0)又はその塩の化合物であり、尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KAA(D-K)で表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2である、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項27】
一般式(1)の化合物又はその塩:
【化4】
(式中、
尾部は、C
1~24アルキル、-O-C
1~24アルキル、5~20員(ヘテロ)アリール、又は3~20員(ヘテロ)シクロアルキルであり、尾部は、任意選択により、不飽和であり、尾部は、任意選択により、ハロゲン、C
1~3(ハロ)アルキル、又はC
1~3(ハロ)アルコキシルで置換されており;
頭部は、-H、-h1、-O-h1、-C(O)-h1、-C(O)-N(H)h1、-N(h2)h1であるか、又は頭部は、-C1~24アルキル、-(NH)
0-1-5~20員(ヘテロ)アリール、又は-(NH)
0-1~3~20員(ヘテロ)シクロアルキルであり、頭部は、任意選択により不飽和であり、頭部は、任意選択により、ハロゲン、C1~3(ハロ)アルキル、又はC1~3(ハロ)アルコキシルで置換されており;
h1は、-H、-OH、-S(O)
0~2-OH、C1~8(ハロ)アルキル、C1~8(ハロ)アルコキシル、-S(O)
0~2-C1~8(ハロ)アルキル、3~8員(ヘテロ)シクロアルキル、-S(O)
0~2-[3~8員(ヘテロ)シクロアルキル]、-C
1~4アルキル-[3~8員(ヘテロ)シクロアルキル]、5~6員(ヘテロ)アリール、-S(O)
0~2-[5~6員(ヘテロ)アリール]、又はC
1~4アルキル[5~6員(ヘテロ)アリール]であり、h1は、任意選択により、ハロゲン、C1~3(ハロ)アルキル、又はC1~3(ハロ)アルコキシルで置換されており;
h2は、-H、-OH、-S(O)
0~2-OH、C1~8(ハロ)アルキル、C1~8(ハロ)アルコキシル、-S(O)
0~2-C1~8(ハロ)アルキル、3~8員(ヘテロ)シクロアルキル、-S(O)
0~2-[3~8員(ヘテロ)シクロアルキル]、-C
1~4アルキル-[3~8員(ヘテロ)シクロアルキル]、5~6員(ヘテロ)アリール、-S(O)
0~2-[5~6員(ヘテロ)アリール]、又はC
1~4アルキル[5~6員(ヘテロ)アリール]であり、h2は、任意選択により、ハロゲン、C1~3(ハロ)アルキル、又はC1~3(ハロ)アルコキシルで置換されており;
AA
1は、それがドナーカルボン酸を提供するアミド結合を介して隣接するAA
nに接続され、それがドナーアミンを提供する二級アミドのアミド結合を介して尾部に接続される、アミノ酸残基であり;
AA
nは、各インスタンスについて独立してアミノ酸残基であり、頭部に隣接する残基のカルボニル部分は、代わりに頭部と一緒になって、ハロゲン、C1~3(ハロ)アルキル、又はC1~3(ハロ)アルコキシルで任意選択により置換された、-B(OH)
2若しくはそのC1~6アルキルエステル、-P(O)(OH)
2若しくはそのC1~6アルキルエステル、-S(O)
2-ハロゲン、又は5~12員(ヘテロ)アリールアルコキシで置換されていてもよく;
mは、1、2、3、4、又は5である)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その末端の異なる頭部及び尾部修飾を特徴とする、アルキル化オリゴペプチドに基づく新しい種類の化合物に関する。これらの化合物は、ウイルスプロテアーゼ、特にフラビウイルスプロテアーゼの阻害剤として有用であり、したがってウイルス感染症の治療に使用することができる。
【背景技術】
【0002】
フラビウイルス(Flavivirus)はフラビウイルス(Flaviviridae)科の属である。この属には、西ナイルウイルス(WNV)、デングウイルス(DEN)、ダニ媒介性脳炎ウイルス、日本脳炎ウイルス、黄熱ウイルス、及び脳炎を引き起こし得る他のいくつかのウイルスが含まれる。
【0003】
フラビウイルスは、毎年数百万件の感染を引き起こすウイルスである。デングウイルスは、ヒトにおいてデング熱(DF)と呼ばれる自己限定的な疾患を引き起こすが、これは多くの場合、7~10日間で回復する。しかし、デング出血熱(DHF)及びデングショック症候群(DSS)として知られる、より重篤な形態の疾患は、DENの流行地域で一般的であり、相当な罹患率及び死亡率をもたらす。世界保健機関の推計によると、熱帯及び亜熱帯諸国では毎年5,000万~1億症例のDEN感染症が発生している。
【0004】
DENが少なくとも4つの別個の血清型(DEN-1、DEN-2、DEN-3、及びDEN-4)として存在し、最近の多くの流行ではDEN-2が最も蔓延しているという事実が問題をさらに複雑化している。残念ながら、1つの血清型による感染は、他の血清型による感染からの保護を提供しない。さらに、異なる血清型によるその後の感染により、DHF及びDSSなどのより重篤な形態の疾患を発症する可能性が高まり得ることがエビデンスによって示唆されている。
【0005】
毎年、5,000万~1億例のデングウイルス感染があると推定され、デング熱の確認された症例は約150万例、デング出血熱及びショック症候群は約50万例である。報告される症例は、年々増加している。世界人口のおよそ40%が、ウイルスが流行している地域に住んでいることにより、デング熱に感染するリスクにさらされている。
【0006】
DENV感染の症状には、発熱、体の痛み、頭痛、関節痛、発疹、後眼窩痛の突然の発症が含まれる。通常、感染症は軽度又は無症状であるが、出血熱(DHF)などの生命を脅かす重篤な状態に進行し得る。軽度の出血の症状には、点状出血、紫斑、斑状出血、鼻血が含まれる。DENV症例総数の最大2%(大半が15歳未満の小児)は、血小板減少症、皮膚、鼻、歯肉、及び胃腸管に影響し得る出血症状を特徴とする、重度のDHFへの感染の進行を経験する。デングショック症候群(DSS)は、DHFの最も重篤な形態であり、弱い脈拍及び急激な血圧低下を特徴とし、これは血管の漏出によって生じる血液量減少による血管系の崩壊の結果である。併存症(例えば、糖尿病、高血圧、心不全、腎不全、鎌状赤血球貧血)を有する患者、又はリスクのある集団(妊婦、乳児、高齢者など)は、重篤な疾患を発症するリスクがある。重度のデング熱患者は飲むことが困難であるため、ショックの影響から回復することが困難である。したがって、より重度な形態のデング熱を有する患者は、経口薬を摂取できない可能性がある。
【0007】
西ナイルウイルス(WNV)は、1999年に米国で大流行した際に西半球に持ち込まれた。この大流行以来、WNVは北米の大部分に広がり、公衆衛生上の懸念となっている。WNV感染のほとんどは無症状であるが、約20%の症例では軽度のインフルエンザのような症状がみられる。これらの症例の中には、脳炎及び/又は弛緩性麻痺を含む、より重篤な臨床症状に進行する場合もある。
【0008】
1999年、WNVは米国で出現し、全米に、また、カナダ、メキシコ、中南米に広がった。2007年、米国疾病管理センターは、米国での臨床症例3,630例を報告し、西ナイル熱が2,350例、髄膜炎又は脳炎が1,217例、死亡が124例であった。リスクにさらされている他の地域には、アジア、アフリカ、ヨーロッパ、及び中東が含まれる。
【0009】
フラビウイルス(Flavivirus)属の一部のメンバーは昆虫などの媒介物によって伝染し、多くの場合、昆虫は蚊である。
【0010】
フラビウイルスウイルスは、包埋されたプラス鎖RNAウイルスである。フラビウイルス(Flavivirus)属のウイルスゲノムは、単一のポリタンパク質として翻訳され、その後、成熟タンパク質へと切断される。宿主シグナルペプチダーゼ及びウイルスNS3セリンプロテアーゼはいずれも、ポリペプチドをウイルスタンパク質(ビリオン粒子を形成する構造タンパク質と、ウイルスのライフサイクルで機能する非構造タンパク質)にプロセシングすることに関与している。ウイルスNS3プロテアーゼはウイルスの複製に必要であることが示されており、フラビウイルス抗ウイルス薬の開発における阻害の戦略的標的を提供する。
【0011】
デングウイルス又は西ナイルウイルスなどのフラビウイルスに対するワクチン又は抗ウイルス治療薬に対する大きな需要が存在する。現在、患者は、発熱、痛み、脱水症状を軽減するための支持療法を受けている。リバビリンで西ナイル病を治療する試みは成功していない。したがって、特に、デングウイルス又は西ナイルウイルスなどによるフラビウイルス(Flavivirus)感染症を治療するための、改良された抗ウイルス療法が必要とされている。このような感染症の進行を軽減又は阻止する化合物が必要とされている。ウイルス機構と相互作用する化合物が必要とされている。ウイルス感染に関連するTNF-α又はIL-6レベルを低下させる化合物が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、一般式(0)の化合物又はその塩を提供する:
【化1】
(式中、
連結は、存在しないか、又は1、2、3、4、5、若しくは6原子の長さ、好ましくは1又は2原子、より好ましくは1原子の長さの連結部分であり、原子は、炭素、窒素、酸素、及び硫黄から選択され、より好ましくは少なくとも1つの炭素原子、好ましくは最大1つの窒素、酸素、又は硫黄原子であり、連結部分は、任意選択により不飽和であり、連結部分の各原子は、任意選択により、ハロゲン又は酸素原子(-OH部分又は=O部分として)又は硫黄原子(-SH部分又は=S部分として)又は窒素部分(-NH2部分又は=NH部分として)で置換されており、連結は、AA
1のN末端に尾部を接続するか、又は連結とAA
1のN末端アミンが一緒になって、そのような連結部分を表し、連結は、好ましくは、-C(O)-、-C(=S)、-C(=NH)-、-(CH
2)
1~6-、-O-(CH
2)
2~4-C(O)-、-O-(CH
2)
2~4-C(=S)-、-O-(CH
2)
2~4-C(=NH)-、-S-(CH
2)
2~4-C(O)-、-S-(CH
2)
2~4-C(=S)-、-S-(CH
2)
2~4-C(=NH)-、-NH-(CH
2)
2~4-C(O)-、-NH-(CH
2)
2~4-C(=S)-、又は-NH-(CH
2)
2~4-C(=NH)-、より好ましくは、-C(O)-、-C(=S)-、-C(=NH)-、-NH-(CH
2)
2~4-C(O)-、-NH-(CH
2)
2~4-C(=S)-、又は-NH-(CH
2)
2~4-C(=NH)-、さらにより好ましくは、-C(O)-、-C(=S)-、-C(=NH)-、最も好ましくは-、C(O)-であり、
尾部は、H、C1~24アルキル、-O-C1~24アルキル、5~20員(ヘテロ)アリール、又は3~20員(ヘテロ)シクロアルキルであり、尾部は、任意選択により、不飽和であり、尾部は、任意選択により、ハロゲン、C1~3(ハロ)アルキル、又はC1~3(ハロ)アルコキシルで置換されており;
頭部は、-H、-h1、-O-h1、-C(O)-h1、-C(O)-N(H)h1、-N(h2)h1であるか、又は頭部は、-C1~24アルキル、-(NH)
0-1-5~20員(ヘテロ)アリール、又は-(NH)
0-1~3~20員(ヘテロ)シクロアルキルであり、頭部は、任意選択により不飽和であり、頭部は、任意選択により、ハロゲン、C1~3(ハロ)アルキル、又はC1~3(ハロ)アルコキシルで置換されており;
h1は、-H、-OH、-S(O)
0~2-OH、C1~8(ハロ)アルキル、C1~8(ハロ)アルコキシル、-S(O)
0~2-C1~8(ハロ)アルキル、3~8員(ヘテロ)シクロアルキル、-S(O)
0~2-[3~8員(ヘテロ)シクロアルキル]、-C
1~4アルキル-[3~8員(ヘテロ)シクロアルキル]、5~6員(ヘテロ)アリール、-S(O)
0~2-[5~6員(ヘテロ)アリール]、又はC
1~4アルキル[5~6員(ヘテロ)アリール]であり、h1は、任意選択により、ハロゲン、C1~3(ハロ)アルキル、又はC1~3(ハロ)アルコキシルで置換されており;
h2は、-H、-OH、-S(O)
0~2-OH、C1~8(ハロ)アルキル、C1~8(ハロ)アルコキシル、-S(O)
0~2-C1~8(ハロ)アルキル、3~8員(ヘテロ)シクロアルキル、-S(O)
0~2-[3~8員(ヘテロ)シクロアルキル]、-C
1~4アルキル-[3~8員(ヘテロ)シクロアルキル]、5~6員(ヘテロ)アリール、-S(O)
0~2-[5~6員(ヘテロ)アリール]、又はC
1~4アルキル[5~6員(ヘテロ)アリール]であり、h2は、任意選択により、ハロゲン、C1~3(ハロ)アルキル、又はC1~3(ハロ)アルコキシルで置換されており;
AA
1は、それがドナーカルボン酸を提供するアミド結合を介して隣接するAA
nに接続され、そのアミンを介して連結に接続される、アミノ酸残基であり;
AA
nは、各インスタンス(instance)について独立してアミノ酸残基であり、頭部に隣接する残基のカルボニル部分は、代わりに頭部と一緒になって、ハロゲン、C1~3(ハロ)アルキル、又はC1~3(ハロ)アルコキシルで任意選択により置換された、-B(OH)
2若しくはそのC1~6アルキルエステル、-P(O)(OH)
2若しくはそのC1~6アルキルエステル、-S(O)
2-Cl、又は5~12員(ヘテロ)アリールアルコキシで置換されていてもよく;
mは、1、2、3、4、又は5である)。
【0013】
好ましくは、化合物は一般式(1)又はその塩の化合物である:
【化2】
いくつかの実施形態では、mは、1、2、又は3であり、より好ましくは、mは、2又は3である。いくつかの実施形態では、尾部は、メチル若しくはエチル若しくはヘキサニル若しくはヘプタニル若しくはノナニル若しくはウンデカニル若しくはトリデカニル若しくはペンタデカニル若しくはノナデカニルなどのC1~20アルキル、-O-ブチルなどの-O-C1-16アルキル、アダマンタニル若しくはシクロヘキシルなどの3~12員(ヘテロ)シクロアルキル、又はフェニル若しくはビフェニル若しくはビチオフェンなどの5~12員(ヘテロ)アリール又はメトキシインドールなどの置換インドールである。いくつかの実施形態では、頭部は、H若しくは-OH;-C(O)NH-Bn若しくは-C(O)-NH
2などの-C(O)-N(H)h1;フェニルなどの5~10員(ヘテロ)アリール、メチルなどのC1~4アルキル;-NH
2などの-N(H)h1などの-N(h2)h1、-NH(プロピル)若しくは-NH(ヘキシル)若しくは-NH(オクチル)若しくは-NH(ヘキサデシル)などの-NH(C1~6アルキル)、NH-S(O)
2-シクロプロピルなどの-NH-S(O)
2-C1~6(シクロ)アルキル、例えば-NH-CH
2-メトキシフェニル若しくは-NH-CH
2-トリフルオロメチルフェニル若しくは-NH-ベンジルなどの-NH-CH
2-(5~6員アリール);又は-N(CH
3)
2などの-N(C1~6アルキル)
2、又は-N(CH
3)(OCH
3)などの-N(C1~6アルキル)(C1~6アルコキシル)であるか;又は頭部に隣接するAA
nのカルボニル部分が頭部と一緒になって-B(OH)
2で置換されているか、又は一緒になって、5-メチル-4-アザ-オキサゾール-2-イルなどの任意選択により置換された5員ヘテロアリールを形成する。
【0014】
いくつかの実施形態では、アミノ酸残基は、任意選択により置換された-NH-C(sc1)(sc2)-C(O)-、又は任意選択により置換され、任意選択により不飽和であるプロリン又はピペコリン酸で表され、sc1は、各インスタンスについて独立してH又は-C1~3(ハロ)アルキル又は-CH2-(ハロ)フェニルであり、sc2は、各インスタンスについて独立してH、又は任意選択により置換され、任意選択により不飽和であるC2~6(ハロ)アルキル-N(sc1)2、C1~6(ハロ)アルキル、5~10員(ヘテロ)アリール、C1~4(ハロ)アルキル-[5~10員(ヘテロ)アリール]、C2~6(ハロ)アルキル-N(sc1)C(N(sc1)2)(=Nsc1)、C1~6(ハロ)アルキル-C(O)-N(sc1)2、又はC1~4(ハロ)アルキル-[3~10員(ヘテロ)シクロアルキル]であり;好ましくは、アミノ酸残基は、任意選択により置換され、任意選択により不飽和であるアラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、オルニチン、ピロリシン、プロリン、ピペコリン酸、グルタミン、アルギニン、セリン、スレオニン、セレノシステイン、バリン、トリプトファン、若しくはチロシン、又はそれらのホモ類似体(homo-analogue)若しくはノル類似体(nor-analogue)であり;より好ましくは、アミノ酸残基は、任意選択により置換され、任意選択により不飽和であるリジン、オルニチン、アルギニン、ヒスチジン、フェニルアラニン、アラニン、グルタミン、トリプトファン、プロリン、若しくはバリン、又はホモフェニルアラニン、ホモヒスチジン、ピペコリン酸、及びフェニルグリシンなどのそのホモ類似体若しくはノル類似体であり;任意選択による置換は、好ましくは、ハロゲン、C1~3(ハロ)アルキル、C1~3(ハロ)アルコキシ、グアニジニルであるか、又はフェニル若しくはベンジル若しくはイミダゾリル若しくは-O-ピリジニル若しくはメチル-ジヒドロピロリルなどの、任意選択により不飽和であり、任意選択により(ハロ)メチル化された、-(O)0-1-(CH2)0-1-5~6員(ヘテロ)シクロアルキルである。いくつかの実施形態では、AA1は、リジン、アルギニン、フェニルアラニン、ヒスチジン、アラニン、バリン、ロイシン、又はトリプトファンであり、好ましくは、リジン、アルギニン、又はアラニンであり、さらにより好ましくは、リジンである。いくつかの実施形態では、mは2であり、AA1及びAAnの2つのインスタンスは一緒になって、KAK、KAH、KAF、KA-ホモPhe、KAA、KPA、KPK、FAF、HAH、RQK、RQ-ホモPhe、RNF、RAF、又はRQFで表されるトリペプチドを形成する。いくつかの実施形態では、mは3であり、AA1及びAAnの3つのインスタンスは一緒になって、KAAA、KAAF、KAAH、KAAK、KAAW、KAA-ホモHis、KAA-ホモPhe、KAA-フェニルGly、KAA-(4-OBn-フェニルGly)、KPAF、KPAH、KPAK、KAPK、KPAW、KPA-ホモHis、KPA-ホモPhe、KPA-フェニルGly、KPA-(4-OBn-フェニルGly)、AAAK、AAKA、AKAA、AKAK、APAK、A-(4-O-(4-Py)-Pro)-AK、AVAK、AKKK、LKAK、LKKK、VKAK、KPHK、KPH-ホモPhe、K-(ピペコリン酸)-AK、K-(ピペコリン酸)-HK、KP-フェニルグリシン-K、K-(ピペコリン酸)-フェニルグリシン-K、ARQK、ARQF、ARRK、FKKK、RARK、FAAF、又はWAAWで表されるテトラペプチドを形成する。
【0015】
いくつかの実施形態では、尾部は、少なくとも8つの炭素原子を含み、好ましくはペンタデシルであり;且つ/又は頭部は、合計で最大1~10個、好ましくは1~8個、より好ましくは1~7個の炭素原子及びヘテロ原子を含むか、又は頭部に隣接するAAnのカルボニル部分が頭部と一緒になって-B(OH)2で置換されているか、又は一緒になって、5-メチル-4-アザ-オキサゾール-2-イルなどの任意選択によりメチル化された5員ヘテロアリールを形成し;且つ/又は頭部は、-NH2である。いくつかの実施形態では、化合物は、化合物1~196のいずれか1つである。
【0016】
また、薬学的に許容される賦形剤及び上記で定義した化合物を含む組成物も提供され、好ましくは、組成物は医薬組成物である。また、医薬としての使用のための、上記で定義した化合物又は組成物も提供され、ここで、医薬は、好ましくは、ウイルス感染症又はウイルス感染症に関連する症状の治療における使用のためのものである。ウイルスプロテアーゼを阻害する方法であって、ウイルスプロテアーゼを上記で定義された化合物又は組成物と接触させるステップを含む方法も提供される。本方法のいくつかの実施形態では、ウイルスプロテアーゼは、フラビウイルスプロテアーゼであり、好ましくは、デングウイルスプロテアーゼ、西ナイルウイルスプロテアーゼ、又はダニ媒介性脳炎ウイルスプロテアーゼである。ウイルス感染症又はウイルス感染症に関連する状態を、それを必要とする対象において、治療する、予防する、又は遅延させる方法であって、上記で定義される化合物、又は上記で定義される組成物の有効量を対象に投与するステップを含む方法も、提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】治療後のマウスの実験グループの体重。エラーバーは、平均値±SEMである。
【
図2】治療後のマウスの実験グループの脾臓重量。エラーバーは、平均値±SDである。*p<0.05は溶媒対照(G1)と有意に異なる。
【
図3】治療後のマウスの実験グループの血漿中のウイルス量(プラークアッセイ)。エラーバーは、平均値±SEMである。*p<0.05は溶媒対照(G1)と有意に異なる。
【
図4】治療終了時のマウスの実験グループの血漿中のTNFアルファ、IL-6、及びIL-12の血漿濃度。エラーバーは、平均値±SEMである。*p<0.05は溶媒対照(G1)と有意に異なる。
【
図5A】マウスに静脈内(IV)、腹腔内(IP)、及び皮下(SC)投与した後の、マウスにおける化合物113の複数回投与PKプロファイル(1日2回、5日間投与、1グループあたり平均3匹のマウス)。
【
図5B】溶媒又は化合物113(20mg/kg、感染後5時間で開始するb.i.d.IP及びSC)による治療後のマウスの血漿中のウイルス量(プラークアッセイ)。エラーバーは、平均値±SEMである。
【
図5C】血漿に対する組織濃度の比率によって測定した、ラットにおける静脈内注射後の組織分布。
【
図5D】マウスに静脈内(IV)、腹腔内(IP)、及び皮下(SC)投与した後の、マウスにおける化合物43の複数回投与PKプロファイル(1日2回、5日間投与、1グループあたり平均3匹のマウス)。
【発明を実施するための形態】
【0018】
化合物
本発明者らは、驚くべきことに、非対称ペプチド類似体のファミリーがウイルスプロテアーゼの強力且つ特異的な阻害剤であることを見出した。したがって、本発明は、一般式(1)の化合物又はその塩を提供する:
【化3】
(式中、
尾部は、C1~24アルキル、-O-C1~24アルキル、5~20員(ヘテロ)アリール、又は3~20員(ヘテロ)シクロアルキルであり、尾部は、任意選択により、不飽和であり、尾部は、任意選択により、ハロゲン、C1~3(ハロ)アルキル、又はC1~3(ハロ)アルコキシルで置換されており;
頭部は、-H、-h1、-O-h1、-C(O)-h1、-C(O)-N(H)h1、-N(h2)h1であるか、又は頭部は、-C1~24アルキル、-(NH)
0-1-5~20員(ヘテロ)アリール、又は-(NH)
0-1~3~20員(ヘテロ)シクロアルキルであり、頭部は、任意選択により不飽和であり、頭部は、任意選択により、ハロゲン、C1~3(ハロ)アルキル、又はC1~3(ハロ)アルコキシルで置換されており;
h1は、-H、-OH、-S(O)
0~2-OH、C1~8(ハロ)アルキル、C1~8(ハロ)アルコキシル、-S(O)
0~2-C1~8(ハロ)アルキル、3~8員(ヘテロ)シクロアルキル、-S(O)
0~2-[3~8員(ヘテロ)シクロアルキル]、-C
1~4アルキル-[3~8員(ヘテロ)シクロアルキル]、5~6員(ヘテロ)アリール、-S(O)
0~2-[5~6員(ヘテロ)アリール]、又はC
1~4アルキル[5~6員(ヘテロ)アリール]であり、h1は、任意選択により、ハロゲン、C1~3(ハロ)アルキル、又はC1~3(ハロ)アルコキシルで置換されており;
h2は、-H、-OH、-S(O)
0~2-OH、C1~8(ハロ)アルキル、C1~8(ハロ)アルコキシル、-S(O)
0~2-C1~8(ハロ)アルキル、3~8員(ヘテロ)シクロアルキル、-S(O)
0~2-[3~8員(ヘテロ)シクロアルキル]、-C
1~4アルキル-[3~8員(ヘテロ)シクロアルキル]、5~6員(ヘテロ)アリール、-S(O)
0~2-[5~6員(ヘテロ)アリール]、又はC
1~4アルキル[5~6員(ヘテロ)アリール]であり、h2は、任意選択により、ハロゲン、C1~3(ハロ)アルキル、又はC1~3(ハロ)アルコキシルで置換されており;
AA
1は、それがドナーカルボン酸を提供するアミド結合を介して隣接するAA
nに接続され、それがドナーアミンを提供する二級アミドのアミド結合を介して尾部に接続される、アミノ酸残基であり;
AA
nは、各インスタンスについて独立してアミノ酸残基であり、頭部に隣接する残基のカルボニル部分は、代わりに頭部と一緒になって、ハロゲン、C1~3(ハロ)アルキル、又はC1~3(ハロ)アルコキシルで任意選択により置換された、-B(OH)
2若しくはそのC1~6アルキルエステル、-P(O)(OH)
2若しくはそのC1~6アルキルエステル、-S(O)
2-ハロゲン、又は5~12員(ヘテロ)アリールアルコキシで置換されていてもよく;
mは、1、2、3、4、又は5である)。このような化合物を、以下、本発明による化合物と称する。このような化合物を含む組成物を、本発明による組成物と称する。
【0019】
化合物は一般に、そこに結合した尾部と頭部を有する短いペプチドに似ている。尾部は一般に、長い疎水性及び/又は脂肪性部分であるが、定義によって変化し得る。頭部は通常、「弾頭(warhead)」として機能できる部分であるか、又は二次的な短い尾部であり得る。しかし、頭部が尾部よりも小さくない実施形態もある。本明細書で使用される部分の名称は、それ自体何らかの特性を意味するものではないことに留意されたい。
【0020】
中心ペプチド類似体
AA1で表される部分及びAAnの各インスタンスは一緒になって、ペプチド又はその類似体を形成し、本明細書では一緒に「AAx」と称する。AAxは、配列を表し、一般式(1)で表されるように、左側にN末端、右側にC末端を有するペプチドの伝統的表現を示すと考えることができる。一般式(1)のAA1は、そのN末端に、それを尾部に接続するアミド結合を有する。これは、一級アミンとカルボン酸から形成される二級アミドである。アミノ酸配列を示す一般的な慣例のように、そのアミド結合の窒素原子はAA1に含まれ、アミド結合のカルボニル部分は一般式(1)に示されている。個別の参照として、左から1番目のAAnをAA2、2番目をAA3などと呼ぶことができる。
【0021】
mは、1、2、3、4、又は5であり、したがって、中心ペプチド類似体の長さは2~6であると決定される。好ましい実施形態では、mは、1、2、又は3であり、好ましくは、mは、2又は3である。いくつかの実施形態では、mは、1、2、3、又は4である。いくつかの実施形態では、mは、2、3、4、又は5である。いくつかの実施形態では、mは、2、3、又は4である。いくつかの実施形態では、mは、3、4、又は5である。いくつかの実施形態では、mは、1又は2である。いくつかの実施形態では、mは、3又は4である。いくつかの実施形態では、mは、4又は5である。いくつかの実施形態では、mは、1である。いくつかの実施形態では、mは、2である。いくつかの実施形態では、mは、3である。いくつかの実施形態では、mは、4である。いくつかの実施形態では、mは、5である。
【0022】
AAxは、アミノ酸残基である。この用語は、遺伝暗号の標準20アミノ酸のみを包含するほど狭く解釈されるべきではないが、これらはAA
nに非常に適しており、プロリンを除いてAA
1にも非常に適している。AAxのアミノ酸残基に関連するのは、残基を単独で考えると、少なくともアミンとカルボン酸が、骨格原子とよく称される炭素原子に結合して含まれていることである。AAxは、参照を容易にするために、対応する残基を単独で説明することによって本明細書に記載される(そのため、隣接する残基に結合するアミド結合に含まれるドナーアミンではなく、それらのアミンに言及することができ、当業者はそのような説明を熟知している)。以下の一般式(1-A)は、AA
1がアラニンである一般式1の化合物を例示する。参考のため、このアラニン残基をより正確に示すために枠で囲む。
【化4】
【0023】
骨格は、アミン、カルボン酸、及びそれらを直接結合する原子によって形成されていると考えられる。好ましい実施形態では、アミン及び酸はいずれも、標準アミノ酸のように、同じ炭素原子に結合している。他の実施形態では、アミン及び酸は、ベータアミノ酸のように、エチレン部分のいずれかの末端に結合している。好ましくは、骨格炭素原子は、メチレン、エチレン、プロピレン、又はブチレン部分、より好ましくはメチレン、エチレン、又はプロピレン、さらにより好ましくはメチレン又はプロピレン、最も好ましくはメチレン部分に含まれる。参考のため、以下の一般式(1-B)は、AA
1がベータアラニン(3-アミノプロパン酸)である一般式1の化合物を例示し、したがって、炭素原子がエチレン部分に含まれる骨格を例示する。参考のため、このベータアラニン残基をより正確に示すために枠で囲む。
【化5】
【0024】
本発明による化合物内では、各AAxが同じ量の骨格原子を有することが好ましい。いくつかの実施形態では、各AAxは、3つの骨格原子(そのアミンの1つ、その炭素骨格の1つ、及びそのカルボン酸の1つ)を有する。いくつかの実施形態では、各AAxは、4つの骨格原子(そのアミンの1つ、その炭素骨格の2つ、及びそのカルボン酸の1つ)を有する。
【0025】
いくつかの実施形態では、AA1は3つの骨格原子を有し、1つ以上のAAnは3つ又は4つの骨格原子を有する。いくつかの実施形態では、AA1は4つの骨格原子を有し、1つ以上のAAnは3つ又は4つの骨格原子を有する。いくつかの実施形態では、AA1は3つ又は4つの骨格原子を有し、1つ以上のAAnは3つ又は4つの骨格原子を有する。いくつかの実施形態では、AA1は3つの骨格原子を有し、1つ以上のAAnは3つの骨格原子を有する。いくつかの実施形態では、AA1は4つの骨格原子を有し、1つ以上のAAnは3つの骨格原子を有する。いくつかの実施形態では、AA1は3つ又は4つの骨格原子を有し、1つ以上のAAnは3つの骨格原子を有する。いくつかの実施形態では、AA1は3つの骨格原子を有し、1つ以上のAAnは4つの骨格原子を有する。いくつかの実施形態では、AA1は4つの骨格原子を有し、1つ以上のAAnは4つの骨格原子を有する。いくつかの実施形態では、AA1は3つ又は4つの骨格原子を有し、1つ以上のAAnは4つの骨格原子を有する。いくつかの実施形態では、AA1は3つの骨格原子を有し、各AAnは3つ又は4つの骨格原子を有する。いくつかの実施形態では、AA1は4つの骨格原子を有し、各AAnは3つ又は4つの骨格原子を有する。いくつかの実施形態では、AA1は3つ又は4つの骨格原子を有し、各AAnは3つ又は4つの骨格原子を有する。いくつかの実施形態では、AA1は3つの骨格原子を有し、各AAnは3つの骨格原子を有する。いくつかの実施形態では、AA1は4つの骨格原子を有し、各AAnは3つの骨格原子を有する。いくつかの実施形態では、AA1は3つ又は4つの骨格原子を有し、各AAnは3つの骨格原子を有する。いくつかの実施形態では、AA1は3つの骨格原子を有し、各AAnは4つの骨格原子を有する。いくつかの実施形態では、AA1は4つの骨格原子を有し、各AAnは4つの骨格原子を有する。いくつかの実施形態では、AA1は3つ又は4つの骨格原子を有し、各AAnは4つの骨格原子を有する。
【0026】
グリシン以外の標準アミノ酸については、骨格炭素原子をさらに置換することができる。例えば、骨格メチレン炭素原子がさらにメチル基で置換されると、標準アミノ酸残基アラニンが形成される。さらに、アミノ酸のアミンをさらに置換することもできる。アミンが置換される場合、そのAAxの骨格はさらに置換されないことが好ましい。このようなアミン置換アミノ酸残基は、N-置換グリシンのオリゴマーであるペプトイドから当技術分野で公知である。いくつかの実施形態では、各AAxは、N置換グリシンである。いくつかの実施形態では、いずれのAAxも、N-置換グリシンではない。いくつかの実施形態では、アミンはさらに置換されない。参考のため、以下の一般式(1-P)は、AA1がN-メチル化グリシンである一般式1の化合物を例示し、したがって、ペプトイド型アラニン残基を例示する(ここで、従来のアラニン側鎖は残基の骨格窒素にある)。参考のため、このペプトイド型アラニン残基をより正確に示すために枠で囲む。
【化6】
【0027】
好ましい実施形態では、アミノ酸残基は、任意選択により置換された-NH-C(sc1)(sc2)-C(O)-若しくは-N(sc2)-C(sc1)H-C(O)-若しくは-NH-CH2-C(sc1)(sc2)-C(O)-若しくは-NH-C(sc1)(sc2)-CH2-C(O)-、又は任意選択により置換され、任意選択により不飽和であるプロリン若しくはピペコリン酸;又は-NH-C(sc1)(sc2)-C(O)-、又は任意選択により置換され、任意選択により不飽和であるプロリン若しくはピペコリン酸で表され;式中、
sc1は、各インスタンスについて独立してH又は-C1~3(ハロ)アルキル又は-CH2-(ハロ)フェニルであり;好ましくは、sc2のインスタンスに含まれない各sc1はHであり、より好ましくは、各sc1はHであり;これらの場合、-NH-C(sc1)(sc2)-C(O)-及び-N(sc2)-C(sc1)H-C(O)-及び-NH-CH2-C(sc1)(sc2)-C(O)-及び-NH-C(sc1)(sc2)-CH2-C(O)-は、-NH-CH(sc2)-C(O)-及び-N(sc2)-CH2-C(O)-及び-NH-CH2-CH(sc2)-C(O)-及び-NH-CH(sc2)-CH2-C(O)-であり;好ましくは、-CH2-(ハロ)フェニルは、-CH2-フェニルであり;好ましくは、-C1~3(ハロ)アルキルは、-CH3又は-CH2-CH3であり;好ましくは、sc1は、任意選択により置換されておらず;好ましくは、sc1の各インスタンスは、同じ部分を表し;
sc2は、各インスタンスについて独立してH、又は任意選択により置換され、任意選択により不飽和であるC2~6(ハロ)アルキル-N(sc1)2、C1~6(ハロ)アルキル、5~10員(ヘテロ)アリール、C1~4(ハロ)アルキル-[5~10員(ヘテロ)アリール]、C2~6(ハロ)アルキル-N(sc1)C(N(sc1)2)(=Nsc1)、C1~6(ハロ)アルキル-C(O)-N(sc1)2、又はC1~4(ハロ)アルキル-[3~10員(ヘテロ)シクロアルキル]であり;sc1のインスタンスがsc2のインスタンスに含まれる場合、それは好ましくはHであり;いくつかの実施形態では、sc2は、任意選択により置換されておらず、任意選択により不飽和でなく;いくつかの実施形態では、sc2は、任意選択により置換されており、任意選択により不飽和でなく;いくつかの実施形態では、sc2は、任意選択により置換されておらず、任意選択により不飽和であり;特に好ましい任意選択による置換は、ハロゲン、C1~3(ハロ)アルキル、又はC1~3(ハロ)アルコキシルであり、より好ましくは、ハロゲン、-CH3、及び-O-CH3であり;sc2内の任意選択による置換は、好ましくは、-OH、-SH、-SeH、-S-CH3、-O-CH3、及び-COOH、より好ましくは、-OH、-SH、及び-S-CH3、最も好ましくは、-OHであり;
いくつかの実施形態では、sc2は、任意選択により置換されておらず、いくつかの実施形態では、sc2は、任意選択により不飽和でなく、いくつかの実施形態では、sc2は、任意選択により置換されておらず、任意選択により不飽和でなく;sc2は、好ましくは、H、C2-5(ハロ)アルキル-N(sc1)2、C1~4(ハロ)アルキル、5~9員(ヘテロ)アリール、C1-2(ハロ)アルキル-[5-9員(ヘテロ)アリール]、C2~4(ハロ)アルキル-N(sc1)C(N(sc1)2)(=Nsc1)、C1~4(ハロ)アルキル-C(O)-N(sc1)2、又はC1-2(ハロ)アルキル-[3~9員(ヘテロ)シクロアルキル]であり;
C2~6(ハロ)アルキル-N(sc1)2は、好ましくは、-CH2-CH2-CH2-NH2又は-CH2-CH2-CH2-CH2-NH2であり;5~10員(ヘテロ)アリールは、好ましくはフェニルであり;任意選択により置換されたC1~4(ハロ)アルキル-[5~10員(ヘテロ)アリール]は、好ましくは、-CH2-フェニル、-CH2-CH2-フェニル、-CH2-イミダゾリル、-CH2-CH2-イミダゾリル、-CH2-インドリル、-CH2-CH2-インドリル;-CH2-ヒドロキシフェニル、-CH2-CH2-ヒドロキシフェニルであり;任意選択により置換されたC1~6(ハロ)アルキルは、好ましくは、-CH3、-CH(CH3)2、-CH2-CH(CH3)2、-CH(CH3)-CH2-CH3、-CH2-OH、-CH2-SH、-CH2-SeH、-CH2-CH2-CH2-S-CH3、-CH(CH3)-CH2-OH、-CH2-CH2-COOH、又は-CH2-COOH、より好ましくは、-CH3、-CH(CH3)2、-CH2-CH(CH3)2、-CH(CH3)-CH2-CH3、-CH2-OH、-CH2-SH、-CH2-SeH、-CH2-CH2-CH2-S-CH3、又は-CH2(CH3)-CH2-OHであり;C2~6(ハロ)アルキル-N(sc1)C(N(sc1)2)(=Nsc1)は、好ましくは、-CH2-CH2-CH2-N-C(=NH)-NH2であり;C1~6(ハロ)アルキル-C(O)-N(sc1)2は、好ましくは、-CH2-CH2-C(O)NH2又は-CH2-C(O)NH2であり;
好ましくは、アミノ酸残基は、任意選択により置換され、任意選択により不飽和である、アラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、オルニチン、ピロリシン、プロリン、ピペコリン酸、グルタミン、アルギニン、セリン、スレオニン、セレノシステイン、バリン、トリプトファン、チロシン、ホモフェニルアラニン、ホモヒスチジン、パラ-グアニジニル-フェニルアラニン、メタ-グアニジニル-フェニルアラニン、(2-アミノ-1H-イミダゾール-4-イル)エチル-アラニン、(2-アミノ-1H-イミダゾール-4-イル)メチル-アラニン、(2-アミノ-1H-イミダゾール-4-イル)-アラニン、(ピリジン-3-イル)ホモアラニン、(ピリジン-3-イル)アラニン、(ピリジン-4-イル)アラニン、(1H-イミダゾール-2-イル)アミノメチル-アラニン、(1H-イミダゾール-2-イル)アミノエチル-アラニン、(ピリジン-4-イル)ホモアラニン、フェニルグリシン、(4-O-ベンジル)フェニルグリシン、(4-O-4-ピリジニル)プロリン、ピペコリン酸、又はそれらのホモ類似体若しくはノル類似体であり;より好ましくは、アミノ酸残基は、任意選択により置換され、任意選択により不飽和であるアラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、オルニチン、ピロリシン、プロリン、ピペコリン酸、グルタミン、アルギニン、セリン、スレオニン、セレノシステイン、バリン、トリプトファン、若しくはチロシン、又はそれらのホモ類似体若しくはノル類似体であり;いくつかの実施形態では、これらの残基は任意選択により置換されておらず、任意選択により不飽和でなく;いくつかの実施形態では、これらの残基は任意選択により置換されており、任意選択により不飽和でなく;いくつかの実施形態では、これらの残基は任意選択により置換されておらず、任意選択により不飽和であり;特に好ましい任意選択による置換は、ハロゲン、C1~3(ハロ)アルキル、又はC1~3(ハロ)アルコキシルであり、より好ましくは、ハロゲン、-CH3、及び-O-CH3であり;
より好ましくは、アミノ酸残基は、上記のように、任意選択により置換され、任意選択により不飽和であるリジン、オルニチン、アルギニン、ヒスチジン、フェニルアラニン、アラニン、グルタミン、トリプトファン、プロリン、若しくはバリン、又はホモフェニルアラニン、ホモヒスチジン、ピペコリン酸、及びフェニルグリシンなどのそのホモ類似体若しくはノル類似体であり;
任意選択による置換は、好ましくは、ハロゲン、C1~3(ハロ)アルキル、C1~3(ハロ)アルコキシ、グアニジニル(すなわち-NH-C(=NH)-NH2)であるか、又はフェニル若しくはベンジル若しくはイミダゾリル若しくは-O-ピリジニル若しくはメチル-ジヒドロピロリルなどの、任意選択により不飽和であり、任意選択により(ハロ)メチル化された、-(O)0-1-(CH2)0-1-5~6員(ヘテロ)シクロアルキルである。
【0028】
AAnはさらに、任意選択により置換され、任意選択により不飽和のプロリン又はピペコリン酸であり得、ここで、好ましい任意選択による置換は、4-ヒドロキシなどのヒドロキシル、及び4-O-フェニル又は4-O-ピリジニルなどのアリールオキシである。AA1は、そのようなプロリン又はピペコリン酸ではない。
【0029】
いくつかの実施形態では、アミノ酸残基は、任意選択により置換された-N(sc2)-C(sc1)H-C(O)-若しくは-NH-CH2-C(sc1)(sc2)-C(O)-若しくは-NH-C(sc1)(sc2)-CH2-C(O)-、又は任意選択により置換され、任意選択により不飽和であるプロリン若しくはピペコリン酸で表され;このような残基は、ペプトイド型残基又はベータ型残基である。特徴及び条件は、上記のように適用される。
【0030】
いくつかの実施形態では、アミノ酸残基は、任意選択により置換された-N(sc2)-C(sc1)H-C(O)-、又は任意選択により置換され、任意選択により不飽和であるプロリン若しくはピペコリン酸で表され;このような残基は、ペプトイド型残基である。特徴及び条件は、上記のように適用される。
【0031】
いくつかの実施形態では、アミノ酸残基は、任意選択により置換された-NH-CH2-C(sc1)(sc2)-C(O)-若しくは-NH-C(sc1)(sc2)-CH2-C(O)-、又は任意選択により置換され、任意選択により不飽和であるプロリン若しくはピペコリン酸で表され;このような残基は、ベータ型残基である。特徴及び条件は、上記のように適用される。
【0032】
任意選択により、アミノ酸残基は、任意選択により置換された-N(sc1)-C(sc1)(sc2)-C(O)-若しくは-N(sc2)-C(sc1)2-C(O)-若しくは-N(sc1)-CH2-C(sc1)(sc2)-C(O)-若しくは-N(sc1)-C(sc1)(sc2)-CH2-C(O)-、又は任意選択により置換され、任意選択により不飽和であるプロリン若しくはピペコリン酸で表される。sc1及びsc2の各インスタンスは独立して選択される。
【0033】
AA1は、AA1がドナーカルボン酸を提供するアミド結合を介して隣接するAAnに接続され、一般式(1)において、AA1がドナーアミンを提供するアミド結合を介して尾部に接続される、アミノ酸残基である。AAnの炭素骨格は、好ましくは、メチレン部分に含まれる。AAnは、好ましくは、任意選択により置換され、任意選択により不飽和であるアラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、オルニチン、ピロリシン、プロリン、ピペコリン酸、グルタミン、アルギニン、セリン、スレオニン、セレノシステイン、バリン、トリプトファン、若しくはチロシン、又はそれらのホモ類似体若しくはノル類似体であり;いくつかの実施形態では、これらの残基は任意選択により置換されておらず、任意選択により不飽和でなく;いくつかの実施形態では、これらの残基は任意選択により置換されており、任意選択により不飽和でなく;いくつかの実施形態では、これらの残基は任意選択により置換されておらず、任意選択により不飽和であり;特に好ましい任意選択による置換は、ハロゲン、C1~3(ハロ)アルキル、又はC1~3(ハロ)アルコキシルであり、より好ましくは、ハロゲン、-CH3、及び-O-CH3である。いくつかの実施形態では、AA1は、生理学的条件下で帯電していないか、又は正に帯電している。より好ましくは、AA1は、リジン、アルギニン、フェニルアラニン、ヒスチジン、アラニン、バリン、ロイシン、又はトリプトファンであり、さらにより好ましくは、アラニン、リジン、アルギニン、又はヒスチジンであり、さらにより好ましくは、アラニン、リジン又はアルギニンであり、さらにより好ましくは、アルギニン又はリジンであり、最も好ましくは、リジンである。
【0034】
AA
nは、各インスタンスについて独立してアミノ酸残基であり、頭部に隣接する残基のカルボニル部分は、代わりに頭部と一緒になって、ハロゲン、C1~3(ハロ)アルキル、又はC1~3(ハロ)アルコキシルで任意選択により置換された、-B(OH)
2若しくはそのC1~6アルキルエステル、-P(O)(OH)
2若しくはそのC1~6アルキルエステル、-S(O)
2-ハロゲン、又は5~12員(ヘテロ)アリールアルコキシで置換されていてもよい。頭部に隣接する残基のカルボニル部分が頭部と一緒になって基を置換すると、この基は、頭部、及びその結合を介してそのAA
n残基に接続されていた可能性のあるアミド結合全体を置換する。このような部分は、本明細書では置換頭部と称する。参考のため、以下の一般式(1-H)は、mが1であり、AA
nがアラニンであり、このAA
nについて、カルボニル部分が代わりに頭部とともに置換頭部により置換された、一般式1の化合物を例示する。参考のため、置換頭部を有するこのアラニン残基をより正確に示すために枠で囲む。
【化7】
【0035】
置換頭部は、ハロゲン、C1~3(ハロ)アルキル、又はC1~3(ハロ)アルコキシルで任意選択により置換された、-B(OH)
2若しくはそのC1~6アルキルエステル、-P(O)(OH)
2若しくはそのC1~6アルキルエステル、-S(O)
2-ハロゲン(好ましくは-S(O)
2-Cl)、及び5~12員(ヘテロ)アリールであり得る。ここで、好ましい任意選択による置換基は、-F、-CH
3、-CF
3、及び-OCH
3であり、好ましいアルキルエステルは、C2-3アルキルエステルであり、好ましい5~12員(ヘテロ)アリールは、5~6員(ヘテロ)アリールであり、より好ましくは、5~6員ヘテロアリールであり、最も好ましくは、5員ヘテロアリールである。参考のため、以下の一般式(1-H-B)は、mが1であり、AA
nがアラニンであり、このAA
nについて、カルボニル部分が代わりに頭部とともに置換頭部として-B(OH)
2により置換された、一般式1の化合物を例示する。
【化8】
【0036】
置換頭部の好ましいインスタンスを、参照名とともに以下に示す。これらの中でも、Rh1、Rh2、Rh3、及びRh4がより好ましい。Rh1、Rh2、及びRh3がさらにより好ましい。Rh1及びRh2が最も好ましい。
【化9】
【0037】
上記で説明したように、AAnの個々のインスタンスは、mに応じて、AA2、AA3などと称することができる。AA2は、それがドナーカルボン酸を提供するアミド結合を介して隣接するAA3(存在する場合)に接続され、それが、AA2が例えばプロリンである場合など、第一級アミン又は第二級アミンであり得るドナーアミンを提供するアミド結合を介してAA1に接続される、アミノ酸残基である。AA3が存在しない場合、AA2は、頭部の性質に応じて、アミド結合に含まれ得、又は別の部分を形成し得るそのカルボニル部分を介して、頭部に接続される。例えば、頭部がHである場合、関連するAAnのカルボニル部分はアルデヒド部分を提供する。同じことがAAnの他の各インスタンスにも準用される。
【0038】
AAnの炭素骨格は、好ましくは、メチレン部分に含まれる。AAnは、独立した各インスタンスについて、好ましくは、任意選択により置換され、任意選択により不飽和であるアラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、オルニチン、ピロリシン、プロリン、ピペコリン酸、グルタミン、アルギニン、セリン、スレオニン、セレノシステイン、バリン、トリプトファン、若しくはチロシン、又はそれらのホモ類似体若しくはノル類似体であり;いくつかの実施形態では、これらの残基は任意選択により置換されておらず、任意選択により不飽和でなく;いくつかの実施形態では、これらの残基は任意選択により置換されており、任意選択により不飽和でなく;いくつかの実施形態では、これらの残基は任意選択により置換されておらず、任意選択により不飽和であり;特に好ましい任意選択による置換は、ハロゲン、C1~3(ハロ)アルキル、又はC1~3(ハロ)アルコキシルであり、より好ましくは、ハロゲン、-CH3、及び-O-CH3である。いくつかの実施形態では、AAnの個々のインスタンスは、生理学的条件下で独立して帯電していないか、又は正に帯電している。より好ましくは、個々のインスタンスは独立して、リジン、アルギニン、フェニルアラニン、ヒスチジン、アラニン、バリン、ロイシン、又はトリプトファンであり、さらに好ましくは、リジン、アルギニン、又はヒスチジンであり、さらにより好ましくは、リジンである。
【0039】
好ましい実施形態では、AA2は、リジン、アルギニン、グルタミン、アスパラギン、アラニン、フェニルアラニン、プロリン、ヒスチジン、アラニン、バリン、ロイシン、又はトリプトファンであり、さらにより好ましくは、リジン、アルギニン、グルタミン、アスパラギン、アラニン、プロリン又はヒスチジンであり、さらにより好ましくは、リジン、アルギニン、グルタミン、アラニン、アスパラギン、又はプロリンであり、さらにより好ましくは、プロリン、アルギニン、アラニン、又はグルタミンであり、さらにより好ましくは、アラニン、アルギニン、グルタミンであり、最も好ましくは、アラニン又はグルタミンである。
【0040】
好ましい実施形態では、AA3は、存在する場合、リジン、アルギニン、フェニルアラニン、ヒスチジン、アラニン、バリン、ロイシン、グルタミン、又はトリプトファンであり、さらにより好ましくは、リジン、アルギニン、グルタミン、アラニン、フェニルアラニン、又はヒスチジンであり、さらにより好ましくは、グルタミン、アラニン、又はフェニルアラニンである。
【0041】
好ましい実施形態では、AA4は、存在する場合、リジン、アルギニン、フェニルアラニン、ヒスチジン、アラニン、バリン、ロイシン、又はトリプトファンであり、さらに好ましくは、リジン、アラニン又はフェニルアラニンであり、さらにより好ましくは、リジンである。
【0042】
好ましい実施形態では、AA5は、存在する場合、リジン、アルギニン、フェニルアラニン、ヒスチジン、アラニン、バリン、ロイシン、又はトリプトファンであり、さらに好ましくは、リジン、アルギニン、又はヒスチジンであり、さらにより好ましくは、リジンである。
【0043】
好ましい実施形態では、AA6は、存在する場合、リジン、アルギニン、フェニルアラニン、ヒスチジン、アラニン、バリン、ロイシン、又はトリプトファンであり、さらに好ましくは、リジン、アルギニン、又はヒスチジンであり、さらにより好ましくは、リジンである。
【0044】
頭部に隣接するAAnは、好ましくは、生理学的条件下で非帯電であるか、又は正に帯電しており、より好ましくは、生理学的条件下で正に帯電している。好ましくは、いずれのAAxも生理学的条件下で負に帯電していない。好ましくは、最大4つのAAxが生理学的条件下で正に帯電しており、より好ましくは最大3つのAAxが生理学的条件下で正に帯電しており、最も好ましくは2つのAAxが生理学的条件下で正に帯電している。1つ以上のAAxが生理学的条件下で正に帯電している場合、AA1が生理学的条件下で正に帯電していることが好ましい。2つ以上のAAxが生理学的条件下で正に帯電している場合、AA1及び頭部に隣接するAAnが生理学的条件下で正に帯電していることが好ましい。
【0045】
本明細書に記載のアミノ酸残基は、L若しくはD、又はそれらの混合物であり得る。好ましくは、残基はLであり、より好ましくは、個々の実施形態内の全ての残基はLである。当技術分野で公知の残基の類似体も使用することができ、AAxによって表され得る追加のそのような残基を以下に示す。ここで、残基は、ペプチドに含まれるものとして、又はH-AAx-OHに遊離残基として含まれるものとして示すことができ、又は遊離残基として示すことができる。
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【0046】
好ましい実施形態では、mは2であり、AA1及びAAnの2つのインスタンスは一緒になって、KAK、KAH、KAF、KA-ホモPhe、KAA、KPA、KPK、FAF、HAH、RQK、RQF、RAF、RQ-ホモPhe、HQF、ホモHis-QF、(パラ-グアニジニル-Phe)-QF、(メタ-グアニジニル-Phe)-QF、((2-アミノ-1H-イミダゾール-4-イル)エチル-Ala)-QF、((2-アミノ-1H-イミダゾール-4-イル)メチル-Ala)-QF、((2-アミノ-1H-イミダゾール-4-イル)-Ala)-QF、((ピリジン-3-イル)ホモAla)-QF、((ピリジン-3-イル)Ala)-QF、((ピリジン-4-イル)Ala)-QF、((1H-イミダゾール-2-イル)アミノメチル-Ala)-QF、((1H-イミダゾール-2-イル)アミノエチル-Ala)-QF、((ピリジン-4-イル)ホモAla)-QF、又はRNFで表されるトリペプチドを形成する。いくつかの実施形態では、トリペプチドは、KAK、KAH、KAF、KA-ホモPhe、KAA、KPA、KPK、FAF、HAH、RQK、RNF、又はRQFで表されるトリペプチドで表される。いくつかの実施形態では、トリペプチドは、KAK、KAH、KAF、KA-ホモPhe、KAA、KPA、KPK、FAF、HAH、RQK、RQF、RAF、RQ-ホモPhe、HQF、ホモHis-QF、又はRNFで表される。いくつかの実施形態では、トリペプチドは、KAK、KAH、KAF、KAA、KPA、KPK、FAF、HAH、RQK、RQF、RAF、HQF、RQ-ホモPhe、又はRNFで表される。いくつかの実施形態では、トリペプチドは、KAK、KAH、KAF、KA-ホモPhe、KAA、KPA、又はKPKで表される。いくつかの実施形態では、トリペプチドは、KAK、KAH、KAF、KA-ホモPhe、KAA、FAF、又はHAHで表される。いくつかの実施形態では、トリペプチドは、KAK、KAH、KPK、HAH、又はRQKで表される。いくつかの実施形態では、トリペプチドは、RQK、RQF、RMF、RAF、KAH、又はRQ-ホモPheで表される。いくつかの実施形態では、トリペプチドは、FAF、HAH、RQK、又はRQFで表される。いくつかの実施形態では、トリペプチドは、RQK又はRQFで表される。このような化合物を以下に示し、ここで、-C(O)-頭部が、代わりに-(頭部の置換)である、同じ構造にも言及される。示されている構造がより好ましい。
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
好ましい実施形態では、mは3であり、AA1及びAAnの3つのインスタンスは一緒になって、
KAAA、KAAF、KAAH、KAAK、KAAW、KAA-ホモHis、KAA-ホモPhe、KAA-フェニルGly、KAA-(4-OBn-フェニルGly)、
KPAF、KPAH、KPAK、KAPK、KPAW、KPA-ホモHis、KPA-ホモPhe、KPA-フェニルGly、KPA-(4-OBn-フェニルGly)、
AAAK、AAKA、AKAA、AKAK、APAK、A-(4-O-(4-Py)-Pro)-AK、AVAK、AKKK、LKAK、LKKK、VKAK、
KPHK、KPH-ホモPhe、K-(ピペコリン酸)-AK、K-(ピペコリン酸)-HK、KP-フェニルグリシン-K、K-(ピペコリン酸)-フェニルグリシン-K、
ARQK、ARQF、ARRK、FKKK、RARK、FAAF、又はWAAW
で表されるテトラペプチドを形成する。
【0054】
いくつかの実施形態では、テトラペプチドは、KPAF、KPAH、KPAK、KAPK、KPAW、KPA-ホモHis、KPA-ホモPhe、KPA-フェニルGly、KPA-(4-OBn-フェニルGly)、AAAK、AAKA、AKAA、AKAK、APAK、A-(4-O-(4-Py)-Pro)-AK、AVAK、AKKK、LKAK、LKKK、VKAK、KPHK、KPH-ホモPhe、K-(ピペコリン酸)-AK、K-(ピペコリン酸)-HK、KP-フェニルグリシン-K、K-(ピペコリン酸)-フェニルグリシン-K、ARQK、ARQF、ARRK、FKKK、RARK、FAAF、又はWAAWで表される。いくつかの実施形態では、テトラペプチドは、KAAA、KAAF、KAAH、KAAK、KAAW、KAA-ホモHis、KAA-ホモPhe、KAA-フェニルGly、KAA-(4-OBn-フェニルGly)、AAAK、AAKA、AKAA、AKAK、APAK、A-(4-O-(4-Py)-Pro)-AK、AVAK、AKKK、LKAK、LKKK、VKAK、KPHK、KPH-ホモPhe、K-(ピペコリン酸)-AK、K-(ピペコリン酸)-HK、KP-フェニルグリシン-K、K-(ピペコリン酸)-フェニルグリシン-K、ARQK、ARQF、ARRK、FKKK、RARK、FAAF、又はWAAWで表される。いくつかの実施形態では、テトラペプチドは、KAAA、KAAF、KAAH、KAAK、KAAW、KAA-ホモHis、KAA-ホモPhe、KAA-フェニルGly、KAA-(4-OBn-フェニルGly)、KPAF、KPAH、KPAK、KAPK、KPAW、KPA-ホモHis、KPA-ホモPhe、KPA-フェニルGly、KPA-(4-OBn-フェニルGly)、KPHK、KPH-ホモPhe、K-(ピペコリン酸)-AK、K-(ピペコリン酸)-HK、KP-フェニルグリシン-K、K-(ピペコリン酸)-フェニルグリシン-K、ARQK、ARQF、ARRK、FKKK、RARK、FAAF、又はWAAWで表される。いくつかの実施形態では、テトラペプチドは、KAAA、KAAF、KAAH、KAAK、KAAW、KAA-ホモHis、KAA-ホモPhe、KAA-フェニルGly、KAA-(4-OBn-フェニルGly)、KPAF、KPAH、KPAK、KAPK、KPAW、KPA-ホモHis、KPA-ホモPhe、KPA-フェニルGly、KPA-(4-OBn-フェニルGly)、AAAK、AAKA、AKAA、AKAK、APAK、A-(4-O-(4-Py)-Pro)-AK、AVAK、AKKK、LKAK、LKKK、VKAK、ARQK、ARQF、ARRK、FKKK、RARK、FAAF、又はWAAWで表される。いくつかの実施形態では、テトラペプチドは、KAAA、KAAF、KAAH、KAAK、KAAW、KAA-ホモHis、KAA-ホモPhe、KAA-フェニルGly、KAA-(4-OBn-フェニルGly)、KPAF、KPAH、KPAK、KAPK、KPAW、KPA-ホモHis、KPA-ホモPhe、KPA-フェニルGly、KPA-(4-OBn-フェニルGly)、AAAK、AAKA、AKAA、AKAK、APAK、A-(4-O-(4-Py)-Pro)-AK、AVAK、AKKK、LKAK、LKKK、VKAK、KPHK、KPH-ホモPhe、K-(ピペコリン酸)-AK、K-(ピペコリン酸)-HK、KP-フェニルグリシン-K、又はK-(ピペコリン酸)-フェニルグリシン-Kで表される。
【0055】
いくつかの実施形態では、テトラペプチドは、KAAA、KAAF、KAAH、KAAK、KAAW、KAA-ホモHis、KAA-ホモPhe、KAA-フェニルGly、KAA-(4-OBn-フェニルGly)、KPAF、KPAH、KPAK、KAPK、KPAW、KPA-ホモHis、KPA-ホモPhe、KPA-フェニルGly、KPA-(4-OBn-フェニルGly)、KPHK、KPH-ホモPhe、K-(ピペコリン酸)-AK、K-(ピペコリン酸)-HK、KP-フェニルグリシン-K、又はK-(ピペコリン酸)-フェニルグリシン-Kで表される。いくつかの実施形態では、テトラペプチドは、AAAK、AAKA、AKAA、AKAK、APAK、A-(4-O-(4-Py)-Pro)-AK、AVAK、AKKK、LKAK、LKKK、VKAK、ARQK、ARQF、ARRK、FKKK、RARK、FAAF、又はWAAWで表される。
【0056】
好ましい実施形態では、AA1がKである場合、AA2はA又はPである。好ましい実施形態では、AA1がKであり、AA2がA又はPである場合、AA3はA又はPである。好ましい実施形態では、AA1がKである場合、AA2はPである。好ましい実施形態では、AA1がKである場合、AA2はAである。好ましい実施形態では、AA1がKであり、AA2がAである場合、AA3はAである。好ましい実施形態では、AA1がKであり、AA2がPである場合、AA3はAである。
【0057】
このような化合物を以下に示し、ここで、-C(O)-頭部が、代わりに-(頭部の置換)である、同じ構造にも言及される。示されている構造がより好ましい。
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
尾部
化合物の尾部部分は、上記で定義した中心ペプチド類似体のN末端に見られる。尾部は一般に、一般式(1)に示されるようにカルボニル部分を介して接続されており、したがって、AA1の骨格アミンとアミド結合を形成する。尾部は一般に疎水性であり、長い脂肪性部分であり得るが、定義によって変化し得る。
【0068】
尾部は、C1~24アルキル、-O-C1~24アルキル、5~20員(ヘテロ)アリール、又は3~20員(ヘテロ)シクロアルキルであり、尾部は、任意選択により、不飽和であり、尾部は、任意選択により、ハロゲン、C1~3(ハロ)アルキル、又はC1~3(ハロ)アルコキシルで置換されており;いくつかの実施形態では、尾部は、任意選択により不飽和でなく、任意選択により置換されておらず;いくつかの実施形態では、尾部は、任意選択により不飽和でなく;いくつかの実施形態では、尾部は、任意選択により置換されておらず;好ましい任意選択による置換は、-F、-Cl、-CH3、及び-OCH3、より好ましくは、-CH3及び-OCH3、最も好ましくは、-OCH3である。尾部は、好ましくは少なくとも8個の炭素原子、より好ましくは少なくとも10個、さらにより好ましくは少なくとも13個、最も好ましくは少なくとも15個の炭素原子を含む。非常に好ましい尾部は、ペンタデシル(すなわち-(CH2)14CH3)であり、一般式1のカルボニル部分及びAA1のN末端とパルミチン酸アミドを形成する。
【0069】
尾部において、C1~24アルキルは、好ましくはC1~20アルキル、より好ましくはC2-19アルキル、さらにより好ましくはC6-C15アルキルであり、アルキルは、好ましくは直鎖及び非分岐である。アルキルは、好ましくは少なくとも2個、より好ましくは少なくとも6個、さらにより好ましくは少なくとも9個、より好ましくは少なくとも13個、最も好ましくは少なくとも15個の炭素原子を含む。アルキルは、好ましくは最大21個、より好ましくは最大19個、さらにより好ましくは最大17個、より好ましくは最大15個の炭素原子を含む。別の好ましい実施形態は、尾部がCH3である場合である。
【0070】
尾部において、-O-C1~24アルキルは、好ましくは-O-C1~20アルキル、より好ましくは-O-C2-19アルキル、さらにより好ましくは-O-C2-C8アルキルであり、アルキルは、好ましくは分岐である。-O-アルキルは、好ましくは少なくとも2個、より好ましくは少なくとも3個、さらにより好ましくは少なくとも4個の炭素原子を含む。-O-アルキルは、好ましくは最大20個、より好ましくは最大16個、さらにより好ましくは最大10個、より好ましくは最大4個の炭素原子を含む。非常に好ましい-O-アルキルは、-O-CH3及び-O-C(CH3)3であり、後者が最も好ましい。
【0071】
尾部において、5~20員(ヘテロ)アリールは、好ましくは、5~12員、又は5~10員である。これは、好ましくは、少なくとも1つの5~6員(ヘテロ)アリール環を含み、任意選択により、第2の5~6員(ヘテロ)アリール環をさらに含む。いくつかの実施形態では、(ヘテロ)アリールは、アリールである。いくつかの実施形態では、(ヘテロ)アリールは、ヘテロアリールである。好ましい5~20員(ヘテロ)アリールは、任意選択により置換されたフェニル、任意選択により置換されたチオフェン、及び任意選択により置換されたインドールである。本明細書におけるフェニルの好ましい置換は、第2のフェニルであり、好ましくはビフェニルを形成し、これは好ましくは一般式(1)の化合物に4位で連結している。本明細書におけるチオフェンの好ましい置換は、第2のチオフェンであり、好ましくは2-2’-チオフェンを形成し、これは好ましくは一般式(1)の化合物に5位で連結している。インドールは、好ましくはその2位で一般式(1)の化合物に連結しており、インドールの好ましい置換は-OCH3であり、好ましくは-[4-メトキシ-1H-インドール-2-イル]を形成する。
【0072】
尾部において、3~20員(ヘテロ)シクロアルキルは、好ましくは3~15員、より好ましくは3~10員、さらにより好ましくは5~10員、最も好ましくは5~6員又は10員である。3~20員(ヘテロ)シクロアルキルの好ましい例は、シクロヘキシル及びアダマンタニル、好ましくはアダマンタン-2-イルである。
【0073】
好ましい実施形態では、尾部は、メチル若しくはエチル若しくはヘキサニル若しくはヘプタニル若しくはノナニル若しくはウンデカニル若しくはトリデカニル若しくはペンタデカニル若しくはノナデカニルなどのC1~20アルキル、-O-ブチルなどの-O-C1-16アルキル、アダマンタニル若しくはシクロヘキシルなどの3~12員(ヘテロ)シクロアルキル、又はフェニル若しくはビフェニル若しくはビチオフェンなどの5~12員(ヘテロ)アリール又はメトキシインドールなどの置換インドールである。より好ましくは、尾部は、メチル若しくはエチル若しくはヘキサニル若しくはヘプタニル若しくはノナニル若しくはウンデカニル若しくはトリデカニル若しくはペンタデカニル若しくはノナデカニルなどのC1~20アルキル、アダマンタニル若しくはシクロヘキシルなどの3~12員(ヘテロ)シクロアルキル、又はフェニル若しくはビフェニル若しくはビチオフェンなどの5~12員(ヘテロ)アリール又はメトキシインドールなどの置換インドールである。さらにより好ましくは、尾部は、メチル若しくはエチル若しくはヘキサニル若しくはヘプタニル若しくはノナニル若しくはウンデカニル若しくはトリデカニル若しくはペンタデカニル若しくはノナデカニルなどのC1~20アルキル、又はフェニル若しくはビフェニル若しくはビチオフェンなどの5~12員(ヘテロ)アリール又はメトキシインドールなどの置換インドールである。
【0074】
好ましい実施形態では、尾部は、-CH3、-CH2CH3、-(CH2)5CH3、-(CH2)6CH3、-(CH2)8CH3、-(CH2)10CH3、-(CH2)12CH3、-(CH2)14CH3、-(CH2)19CH3、-シクロヘキサニル、-アダマンタン-2-イル、-フェニル、-ビフェン-4-イル、-[2,2’-ビチオフェン-5-イル]、-[4-メトキシ-1H-インドール-2-イル]、又は-O-C(CH3)3である。他の好ましい実施形態では、尾部は、-CH3、-CH2CH3、-(CH2)5CH3、-(CH2)6CH3、-(CH2)8CH3、-(CH2)10CH3、-(CH2)12CH3、-(CH2)14CH3、-(CH2)19CH3、-シクロヘキサニル、-アダマンタン-2-イル、-フェニル、又は-ビフェン-4-イルである。他の好ましい実施形態では、尾部は、-CH3、-CH2CH3、-(CH2)5CH3、-(CH2)6CH3、-(CH2)8CH3、-(CH2)10CH3、-(CH2)12CH3、-(CH2)14CH3、又は-(CH2)19CH3である。他の好ましい実施形態では、尾部は、-(CH2)8CH3、-(CH2)10CH3、-(CH2)12CH3、-(CH2)14CH3、又は-(CH2)19CH3である。他の好ましい実施形態では、尾部は、-シクロヘキサニル、-アダマンタン-2-イル、-フェニル、-ビフェン-4-イル、-[2,2’-ビチオフェン-5-イル]、-[4-メトキシ-1H-インドール-2-イル]、又は-O-C(CH3)3である。他の好ましい実施形態では、尾部は、-フェニル、-ビフェン-4-イル、-[2,2’-ビチオフェン-5-イル]、又は-[4-メトキシ-1H-インドール-2-イル]である。他の好ましい実施形態では、尾部は、-フェニル、-ビフェン-4-イル、又は-[2,2’-ビチオフェン-5-イル]である。他の好ましい実施形態では、尾部は、-ビフェン-4-イル又は-[2,2’-ビチオフェン-5-イル]である。尾部の代表的な実施形態を以下に示す。
【0075】
【0076】
【0077】
頭部
化合物の頭部部分は、上記で定義した中心ペプチド類似体のC末端に見られる。これは一般に、化合物の効力を向上させるのに役立ち得るか、又は二次的な短い尾部であり得る。しかし、頭部が尾部よりも小さくない実施形態もある。頭部は、頭部に隣接するAAnのカルボニル部分に接続されており、頭部の性質に応じて、アルデヒド(頭部はH)又は遊離カルボン酸(頭部は-OH)から、オクチルエステル(頭部は-O-(CH2)7-CH3)又はケトアミド(頭部は-C(O)-NH2)までにわたる部分を形成することができる。本明細書で前述したように、頭部は、隣接するAAnのカルボニル部分と一緒になって、置換頭部を形成することもできる。いくつかの実施形態では、置換頭部は形成されない。他の実施形態では、置換頭部が形成される。
【0078】
頭部は、-H、-h1、-O-h1、-C(O)-h1、-C(O)-N(H)h1、-N(h2)h1であるか、又は頭部は、-C1~24アルキル、-(NH)0-1-5~20員(ヘテロ)アリール、又は-(NH)0-1~3~20員(ヘテロ)シクロアルキルであり、頭部は、任意選択により不飽和であり、頭部は、任意選択により、ハロゲン、C1~3(ハロ)アルキル、又はC1~3(ハロ)アルコキシルで置換されており;いくつかの実施形態では、頭部は、任意選択により不飽和でなく、いくつかの実施形態では、頭部は、任意選択により置換されておらず、いくつかの実施形態では、頭部は、任意選択により不飽和でなく、任意選択により置換されておらず;頭部の好ましい任意選択による置換は、ハロゲン、C1-2(ハロ)アルキル、又はC1-2(ハロ)アルコキシルであり、より好ましくは、ハロゲン、-CF3、-CH3、又は-OCH3であり、ここで、ハロゲンは、好ましくはFである。
【0079】
頭部が-Hである場合、中央ペプチドのC末端はアルデヒドを形成する。頭部が-OHである場合はカルボン酸を形成し、-O-h1である場合はエステルを形成する。頭部が-NH2である場合は末端アミドを形成し、頭部が-NH-h1である場合はさらにh1で置換されたアミド部分を形成する。頭部が-C(O)-h1である場合、それは1,2-ジケト部分を形成し、これがさらにh1で置換され、頭部が-C(O)-N(H)h1である場合、ケトアミドを形成し、これがさらにh1で置換される。
【0080】
好ましい実施形態では、頭部は、-h1、-O-h1、-C(O)-h1、-C(O)-N(H)h1、-N(h2)h1、-C1-14アルキル、-5~6員(ヘテロ)アリール、-3~8員シクロアルキル、-(NH)-5~6員(ヘテロ)アリール、又は-NH-3~8員シクロアルキルである。より好ましくは、頭部は、-h1、-OH、-OCH3、-C(O)-N(H)h1、-N(H)h1、-CH3、又は-5~6員アリールである。最も好ましくは、頭部は-N(h2)h1であり、その中でも-N(H)h1及び-N(CH3)h1が好ましく、-N(H)h1が最も好ましい。
【0081】
h1及びh2は、頭部に含めることができる。h1は、-H、-OH、-S(O)0~2-OH、C1~8(ハロ)アルキル、C1~8(ハロ)アルコキシル、-S(O)0~2-C1~8(ハロ)アルキル、3~8員(ヘテロ)シクロアルキル、-S(O)0~2-[3~8員(ヘテロ)シクロアルキル]、-C1~4アルキル-[3~8員(ヘテロ)シクロアルキル]、5~6員(ヘテロ)アリール、-S(O)0~2-[5~6員(ヘテロ)アリール]、又はC1~4アルキル[5~6員(ヘテロ)アリール]であり、h1は、任意選択により、ハロゲン、C1~3(ハロ)アルキル、又はC1~3(ハロ)アルコキシルで置換されている。h2は、-H、-OH、-S(O)0~2-OH、C1~8(ハロ)アルキル、C1~8(ハロ)アルコキシル、-S(O)0~2-C1~8(ハロ)アルキル、3~8員(ヘテロ)シクロアルキル、-S(O)0~2-[3~8員(ヘテロ)シクロアルキル]、-C1~4アルキル-[3~8員(ヘテロ)シクロアルキル]、5~6員(ヘテロ)アリール、-S(O)0~2-[5~6員(ヘテロ)アリール]、又はC1~4アルキル[5~6員(ヘテロ)アリール]であり、h2は、任意選択により、ハロゲン、C1~3(ハロ)アルキル、又はC1~3(ハロ)アルコキシルで置換されている。h1とh2の両方が存在する場合、h1及びh2のうち少なくとも1つは-H又は-CH3であることが好ましく、より好ましくは-Hである。好ましい実施形態では、それはh2であり、その場合、-H又は-CH3、より好ましくは-Hである。
【0082】
h1は、好ましくは、-H、-OH、C1~8(ハロ)アルキル、C1~8(ハロ)アルコキシル、-S(O)0~2-C1~8(ハロ)アルキル、-S(O)0~2-[3~8員(ヘテロ)シクロアルキル]、-C1~4アルキル-[3~8員(ヘテロ)シクロアルキル]、5~6員(ヘテロ)アリール、又はC1~4アルキル[5~6員(ヘテロ)アリール]であり、h1は、任意選択により、ハロゲン、C1~3(ハロ)アルキル、又はC1~3(ハロ)アルコキシルで置換されている。h1は、より好ましくは、-H、C1~8(ハロ)アルキル、-S(O)0~2-[3~8員(ヘテロ)シクロアルキル]、5~6員(ヘテロ)アリール、又はC1-2アルキル[5~6員(ヘテロ)アリール]であり、h1は、任意選択により、ハロゲン、C1~3(ハロ)アルキル、又はC1~3(ハロ)アルコキシルで置換されている。
【0083】
h1内では、C1~8(ハロ)アルキルは、好ましくはC1~8アルキル、より好ましくはC1~6アルキルであり;C1~8(ハロ)アルコキシルは、好ましくはC1~8アルコキシル、より好ましくは-O-CH3であり;-S(O)0~2-C1~8(ハロ)アルキルは、好ましくは-S(O)2-C1~8アルキルであり;3~8員(ヘテロ)シクロアルキルは、好ましくは3~6員シクロアルキルであり;-S(O)0~2-[3~8員(ヘテロ)シクロアルキル]は、好ましくは-S(O)2-[3~6員シクロアルキル]であり;-C1~4アルキル-[3~8員(ヘテロ)シクロアルキル]は、好ましくは-CH2-[3-6員シクロアルキル]であり;5~6員(ヘテロ)アリールは、好ましくはフェニル又は5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イルであり;-S(O)0~2-[5~6員(ヘテロ)アリール]は、好ましくは-S(O)2-[5~6員アリール]であり;C1~4アルキル[5~6員(ヘテロ)アリール]は、好ましくは-CH2-[5~6員(ヘテロ)アリール]である。
【0084】
h1は、好ましくは、-H、-CH3、-フェニル、-CH2-フェニル、-OCH3、-SO2-シクロプロピル、-CH2-メトキシフェニル、-CH2-トリフルオロメチルフェニル、-N-(CH2)15CH3、-N-(CH2)7、-N-(CH2)5CH3、又は-N-(CH2)2CH3である。より好ましくは、-H、-CH3、-CH2-フェニルであり、さらにより好ましくは、-H又は-CH3である。
【0085】
頭部がh1である場合、h1は、好ましくは-H、-CH3、又は-フェニルである。頭部が-O-h1である場合、h1は、好ましくは-H又は-CH3である。頭部が-C(O)-h1である場合、h1は、好ましくは-CH3である。頭部が-C(O)-N(H)h1である場合、h1は、好ましくは-H又は-CH2-フェニルである。頭部が-N(h2)h1である場合、h2は、好ましくは-H又は-CH3、最も好ましくは-Hであり、h1は、好ましくは-H、-CH3、-OCH3、-SO2-シクロプロピル、-CH2-メトキシフェニル、-CH2-トリフルオロメチルフェニル、-CH2-フェニル、-N-(CH2)15CH3、-N-(CH2)7、-N-(CH2)5CH3、又は-N-(CH2)2CH3である。
【0086】
好ましい実施形態では、頭部は、H若しくは-OH;-C(O)NH-Bn若しくは-C(O)-NH2などの-C(O)-N(H)h1;フェニルなどの5~10員(ヘテロ)アリール、メチル(-CH3)などのC1~4アルキル、-NH2などの-N(H)h1などの-N(h2)h1、-NH(プロピル)若しくは-NH(ヘキシル)などの-NH(C1~6アルキル)、NH-S(O)2-シクロプロピルなどの-NH-S(O)2-C1~6(シクロ)アルキル、例えば-NH-CH2-メトキシフェニル若しくは-NH-CH2-トリフルオロメチルフェニル若しくは-NH-ベンジルなどの-NH-CH2-(5~6員アリール);又は-N(CH3)2などの-N(C1~6アルキル)2、又は-N(CH3)(OCH3)などの-N(C1~6アルキル)(C1~6アルコキシル)であるか;又は頭部に隣接するAAnのカルボニル部分が頭部と一緒になって-B(OH)2で置換されているか、又は一緒になって、5-メチル-4-アザ-オキサゾール-2-イルなどの任意選択により置換された5員ヘテロアリールを形成する。他の実施形態では、-N(H)h1は、-NH(プロピル)若しくは-NH(ヘキシル)若しくは-NH(オクチル)若しくは-NH(ヘキサデシル)などの-NH(C1~24アルキル)である。
【0087】
他の好ましい実施形態では、頭部は、合計で最大1~10個、好ましくは1~8個、より好ましくは1~7個の炭素原子及びヘテロ原子を含むか、又は頭部に隣接するAAnのカルボニル部分が頭部と一緒になって-B(OH)2で置換されているか、又は一緒になって、5-メチル-4-アザ-オキサゾール-2-イルなどの任意選択によりメチル化された5員ヘテロアリールを形成する。より好ましくは、頭部は、合計で最大1~7個の炭素原子及びヘテロ原子を含むか、又は頭部に隣接するAAnのカルボニル部分が頭部と一緒になって-B(OH)2で置換されているか、又は一緒になって、5-メチル-4-アザ-オキサゾール-2-イルなどの任意選択によりメチル化された5員ヘテロアリールを形成する。非常に好ましくは、頭部は、-NH2、フェニル、若しくは-N-SO2-シクロプロピルであるか;又は、置換頭部-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)又は-B(OH)2を形成する。最も好ましくは、頭部は、-NH2、フェニルであるか、又は置換頭部-B(OH)2を形成する。
【0088】
頭部の好ましい実施形態は、-H、-CH3、-フェニル、-OH、-OCH3、-C(O)-NH2、-C(O)-NH-CH2-フェニル、-NH2、-N(CH3)2、-N(-OCH3)(CH3)、-N-SO2-シクロプロピル、-NH-CH2-(メトキシフェン-3-イル)、-NH-CH2-(トリフルオロメチルフェン-4-イル)、-NH-CH2-フェニル、-N-(CH2)15CH3、-N-(CH2)7CH3、-N-(CH2)5CH3、-N-(CH2)2CH3置換頭部-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)、及び置換頭部-B(OH)2である。いくつかの実施形態では、頭部は、-C(O)-NH2、-C(O)-NH-CH2-フェニル、-NH2、-N(CH3)2、-N(-OCH3)(CH3)、-N-SO2-シクロプロピル、-NH-CH2-(メトキシフェン-3-イル)、-NH-CH2-(トリフルオロメチルフェン-4-イル)、-NH-CH2-フェニル、-N-(CH2)15CH3、-N-(CH2)7CH3、-N-(CH2)5CH3、-N-(CH2)2CH3置換頭部-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)、及び置換頭部-B(OH)2である。いくつかの実施形態では、頭部は、-H、-CH3、-フェニル、-OH、-OCH3、-C(O)-NH2、-C(O)-NH-CH2-フェニル、-NH2、-N(CH3)2、-N(-OCH3)(CH3)、-N-SO2-シクロプロピル、-NH-CH2-(メトキシフェン-3-イル)、-NH-CH2-(トリフルオロメチルフェン-4-イル)、-NH-CH2-フェニル、-N-(CH2)15CH3、-N-(CH2)7CH3、-N-(CH2)5CH3、又は-N-(CH2)2CH3である。いくつかの実施形態では、頭部は、-NH2、-N(CH3)2、-N(-OCH3)(CH3)、-N-SO2-シクロプロピル、-NH-CH2-(メトキシフェン-3-イル)、-NH-CH2-(トリフルオロメチルフェン-4-イル)、-NH-CH2-フェニル、-N-(CH2)15CH3、-N-(CH2)7CH3、-N-(CH2)5CH3、又は-N-(CH2)2CH3である。いくつかの実施形態では、頭部は、-H、-CH3、-フェニル、-OH、-OCH3、-C(O)-NH2、-C(O)-NH-CH2-フェニル、-NH2、-N(CH3)2、-N(-OCH3)(CH3)、-N-SO2-シクロプロピル、-NH-CH2-(メトキシフェン-3-イル)、-NH-CH2-(トリフルオロメチルフェン-4-イル)、-NH-CH2-フェニル、-N-(CH2)7CH3、-N-(CH2)5CH3、-N-(CH2)2CH3置換頭部-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)、及び置換頭部-B(OH)2である。いくつかの実施形態では、頭部は、-C(O)-NH2、-C(O)-NH-CH2-フェニル、-NH2、-N(CH3)2、-N(-OCH3)(CH3)、-N-SO2-シクロプロピル、-NH-CH2-(メトキシフェン-3-イル)、-NH-CH2-(トリフルオロメチルフェン-4-イル)、-NH-CH2-フェニル、-N-(CH2)7CH3、-N-(CH2)5CH3、-N-(CH2)2CH3置換頭部-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)、及び置換頭部-B(OH)2である。いくつかの実施形態では、頭部は、-H、-CH3、-フェニル、-OH、-OCH3、-C(O)-NH2、-C(O)-NH-CH2-フェニル、-NH2、-N(CH3)2、-N(-OCH3)(CH3)、-N-SO2-シクロプロピル、-NH-CH2-(メトキシフェン-3-イル)、-NH-CH2-(トリフルオロメチルフェン-4-イル)、-NH-CH2-フェニル、-N-(CH2)7CH3、-N-(CH2)5CH3、又は-N-(CH2)2CH3である。いくつかの実施形態では、頭部は、-NH2、-N(CH3)2、-N(-OCH3)(CH3)、-N-SO2-シクロプロピル、-NH-CH2-(メトキシフェン-3-イル)、-NH-CH2-(トリフルオロメチルフェン-4-イル)、-NH-CH2-フェニル、-N-(CH2)7CH3、-N-(CH2)5CH3、又は-N-(CH2)2CH3である。いくつかの実施形態では、頭部は、-NH2又は-N-SO2-シクロプロピルである。いくつかの実施形態では、頭部は、-C(O)-NH2、-C(O)-NH-CH2-フェニル、-NH2、-N-SO2-シクロプロピル、-N-(CH2)7CH3、-N-(CH2)5CH3、-N-(CH2)2CH3、置換頭部-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)、又は置換頭部-B(OH)2である。いくつかの実施形態では、頭部は、-NH2又は-N-SO2-シクロプロピルである。いくつかの実施形態では、頭部は、-C(O)-NH2、-C(O)-NH-CH2-フェニル、-NH2、-N-SO2-シクロプロピル、-N-(CH2)7CH3、-N-(CH2)5CH3、又は-N-(CH2)2CH3である。代表的な頭部の例を以下に示す。
【0089】
【0090】
さらなる定義
本発明による化合物の好ましい実施形態では、尾部は、少なくとも8つの炭素原子を含み、好ましくはペンタデシルであり;且つ/又は頭部は、合計で最大1~10個、好ましくは1~8個、より好ましくは1~7個の炭素原子及びヘテロ原子を含むか、又は頭部に隣接するAAnのカルボニル部分が頭部と一緒になって-B(OH)2で置換されているか、又は一緒になって、5-メチル-4-アザ-オキサゾール-2-イルなどの任意選択によりメチル化された5員ヘテロアリールを形成する。尾部がペンタデシルである場合、それはパルミチン酸アミドの形成に寄与することができ、良好な結果が得られることが判明した。他の魅力的なアミドはC14及びC18であり、尾部は、それぞれトリデシル又はヘプタデシルである。
【0091】
いくつかの実施形態では、尾部は、少なくとも8つの炭素原子を含み、好ましくはペンタデシルである。いくつかの実施形態では、尾部は、少なくとも10個の炭素原子を含む。いくつかの実施形態では、尾部は、少なくとも11個、12個、又は好ましくは13個の炭素原子を含む。いくつかの実施形態では、頭部は、合計で最大1~10個、好ましくは1~8個、より好ましくは1~7個の炭素原子及びヘテロ原子を含むか、又は頭部に隣接するAAnのカルボニル部分が頭部と一緒になって-B(OH)2で置換されているか、又は一緒になって、5-メチル-4-アザ-オキサゾール-2-イルなどの任意選択によりメチル化された5員ヘテロアリールを形成する。いくつかの実施形態では、頭部は、合計で最大1~10個、好ましくは1~8個、より好ましくは1~7個の炭素原子及びヘテロ原子を含むか、いくつかの実施形態では、頭部に隣接するAAnのカルボニル部分が頭部と一緒になって-B(OH)2で置換されているか、又は一緒になって、5-メチル-4-アザ-オキサゾール-2-イルなどの任意選択によりメチル化された5員ヘテロアリールを形成する。
【0092】
いくつかの好ましい実施形態では、尾部は-(CH2)14CH3であり、頭部は-NH2、フェニル、又は置換頭部-B(OH)2であり、mは2であり、AA1及びAAnの2つのインスタンスは一緒になって、KAK、KAH、KAF、KA-ホモPhe、KAA、KPA、KPK、FAF、HAH、RQK、RQF、RAF、RQ-ホモPhe、HQF、ホモHis-QF、(パラ-グアニジニル-Phe)-QF、(メタ-グアニジニル-Phe)-QF、((2-アミノ-1H-イミダゾール-4-イル)エチル-Ala)-QF、((2-アミノ-1H-イミダゾール-4-イル)メチル-Ala)-QF、((2-アミノ-1H-イミダゾール-4-イル)-Ala)-QF、((ピリジン-3-イル)ホモAla)-QF、((ピリジン-3-イル)Ala)-QF、((ピリジン-4-イル)Ala)-QF、((1H-イミダゾール-2-イル)アミノメチル-Ala)-QF、((1H-イミダゾール-2-イル)アミノエチル-Ala)-QF、((ピリジン-4-イル)ホモAla)-QF、又はRNFで表されるトリペプチドを形成するか、又はmは3であり、AA1及びAAnの3つのインスタンスは一緒になって、KAAA、KAAF、KAAH、KAAK、KAAW、KAA-ホモHis、KAA-ホモPhe、KAA-フェニルGly、KAA-(4-OBn-フェニルGly)、KPAF、KPAH、KPAK、KAPK、KPAW、KPA-ホモHis、KPA-ホモPhe、KPA-フェニルGly、KPA-(4-OBn-フェニルGly)、AAAK、AAKA、AKAA、AKAK、APAK、A-(4-O-(4-Py)-Pro)-AK、AVAK、AKKK、LKAK、LKKK、VKAK、KPHK、KPH-ホモPhe、K-(ピペコリン酸)-AK、K-(ピペコリン酸)-HK、KP-フェニルグリシン-K、K-(ピペコリン酸)-フェニルグリシン-K、ARQK、ARQF、ARRK、FKKK、RARK、FAAF、又はWAAWで表されるテトラペプチドを形成する。
【0093】
いくつかの実施形態では、本発明による化合物は、化合物1~196である。好ましい実施形態では、化合物は、1~17、19、24、25、32、39~44、48~54、72、82、83、90~93、97、98、110~123、125~130、132、133~139、143、146~151、156、158~190、192、193、196であり、より好ましくは、1、2、4、7、9~17、19、24、25、32、39~41、43、44、48~51、53、54、72、82、83、90、92、97、98、110~123、125、128、129、132、133、134、136、137、139、146~150、156、158~161、167、168、170~177、180~183、186、187、189、190、192、193、196であり、より好ましくは、9、11、32、38、43、44、69、70、71、72、73、75、77、79、81、82、83、86、87、88、89、92、94、98、113、114、115、116、117、118、122、123、129、136、137、156、158、162、167、168、170、171、174、175、176、190、192、196である。好ましい実施形態では、化合物は、5、6、8、9、10、11、13、16、17、19、24、25、32、39、41、43、44、48、90、92、113、114、115、116、117、118、122、123、125、129、132、136、137、156、167、168、170、171、174、175、176、180、181、182、183、186、189、190、193、196であり、より好ましくは、9、10、43、44、50、51、53、54、113、114、118、136、170、189、196である。好ましい実施形態では、化合物は、5、6、8、9、10、11、39、43、44、48、49、50、51、53、54、92、113、114、115、116、117、118、122、123、125、129、136、137、167、168、170、171、175、176、189、196であり、より好ましくは、44、49、50、51、53、54、113、114、118、136、137、170、189、196である。好ましい実施形態では、化合物は、19、24、25、32、39、41、43、48、49、50、51、53、72、82、83、97、98、110、113、114、121、125、129、132、133、136、137、146、148、149、156、158、159、167、172、173である。
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】
【0098】
【0099】
【0100】
【0101】
【0102】
【0103】
【0104】
【0105】
【0106】
【0107】
【0108】
【0109】
【0110】
【0111】
【0112】
【0113】
【0114】
【0115】
【0116】
【0117】
【0118】
【0119】
【0120】
【0121】
【0122】
【0123】
【0124】
【0125】
【0126】
【0127】
【0128】
【0129】
【0130】
【0131】
【0132】
ウイルスプロテアーゼ
本発明の化合物は、プロテアーゼ阻害剤として適しており、有利には、ウイルスプロテアーゼ、特に、フラビウイルスプロテアーゼの阻害剤として適している。フラビウイルス(Flavivirus)はフラビウイルス(Flaviviridae)科の属である。この属には、西ナイルウイルス、デングウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、日本脳炎ウイルス、黄熱ウイルス、及び脳炎を引き起こし得る他のいくつかのウイルスが含まれる。
【0133】
デングウイルス及びその様々な株及び分離株は、フラビウイルス(Flavivirus)属のメンバーである。フラビウイルス(Flavivirus)属は、フラビウイルス(Flaviviridae)科の属であり、黄熱ウイルス群、ダニ媒介性脳炎ウイルス群、リオ・ブラボー(Rio Bravo)群、日本脳炎群、チュレニー(Tyuleniy)群、Ntaya群、ウガンダS群、デング群、及びモドック(Modoc)群を含む。フラビウイルス(Flavivirus)属のメンバーは、発熱、関節痛、発疹、出血熱、及び/又は脳炎などの多種多様な病態を生じ得る。感染の結果は、ウイルスと、年齢、性別、遺伝的感受性、及び/又は同じ病原体若しくは関連病原体への事前曝露などの、宿主固有の要因の両方によって影響される。フラビウイルス(Flavivirus)属のメンバーに関連する様々な疾患の中には、黄熱病;デング熱;;並びに西ナイル、日本、及びセントルイス脳炎がある。
【0134】
フラビウイルスNS3タンパク質のN末端領域におけるトリプシン様セリンプロテアーゼドメインの存在は、もともと細胞プロテアーゼとウイルスにコードされたプロテアーゼの配列比較によって予測されていた。フラビウイルス(Flavivirus)属のNS2B-NS3エンドペプチダーゼは、現在少なくとも68の公知のメンバーを含み、現在では一般的にフラビビリン(EC3.4.21.91)と呼ばれている。デングウイルスの69kDa NS3タンパク質は、N末端の167アミノ酸残基内にセリンプロテアーゼドメインがあり、C末端部分にヌクレオシドトリホスファターゼ(NTPase)及びRNAヘリカーゼの活性を有する多機能タンパク質である。残基His51、Asp75、及びSer135からなる触媒三残基は、部位指向性変異誘発実験によって同定され、触媒セリンをアラニンで置換すると、酵素的に不活性なNS3タンパク質が得られた。NS3プロテアーゼはウイルスの成熟に必須の成分であり、プロテアーゼ活性を消失させるNS3配列の変異を有する感染性cDNAクローンからは、生存可能なウイルスが回収されることはなかった。NS3のヘリカーゼ部分とウイルスRNA依存性RNAポリメラーゼNS5との相互作用は、ウイルスレプリカーゼ複合体のER膜への会合を促進し得る。
【0135】
DENV NS3は、セリンプロテアーゼであり、RNAヘリカーゼ及びRTPase/NTPaseでもある。プロテアーゼドメインは、タンパク質の残基1~180によって形成される2つのβバレルに配置された6つのβストランドで構成されている。触媒三残基(His-51、Asp-75、Ser-135)は、これら2つのβバレルの間に存在し、その活性はNS2B補因子の存在に依存する。この補因子は、NS3プロテアーゼドメインを包み込み、活性部位の一部になる。残りのNS3残基(180~618)は、DENVヘリカーゼの3つのサブドメインを形成する。4つのαヘリックスに囲まれた6本鎖の平行なβシートは、サブドメインI及びIIを構成し、サブドメインIIIは、3つのより短いαヘリックス及び2つの逆平行β鎖に囲まれた、4つのαヘリックスで構成されている。
【0136】
小さな活性化タンパク質又は補因子の存在は、フラビウイルスNS3プロテアーゼの天然ポリタンパク質基質での最適な活性の必要条件である。デングウイルスNS3プロテアーゼは、セリンプロテアーゼのモデル基質でNS2B非依存的活性を示すが、二塩基ペプチドの酵素切断は、NS2B-NS3共複合体によって著しく促進され、NS2B活性化配列の存在は、インビトロでのポリタンパク質基質の切断に重要である。デングウイルスNS3プロテアーゼの補因子要件の最初の特徴付けにより、プロテアーゼの活性化に必要な最小領域がNS2Bの40残基の親水性セグメントに位置することが明らかになった。
【0137】
本発明における対象の典型的な酵素は、デングプロテアーゼ又は西ナイルプロテアーゼなどのフラビウイルス(flaviviridae)科(特にフラビウイルス(flavivirus)属)のウイルス由来のセリンプロテアーゼである。例えば、4つの異なるデングウイルス血清型に由来するデングプロテアーゼは全て周知であり、当技術分野において特徴付けられている。例えば、Chambers et al.,Proc.Nat.Acad.Sci.USA 87:8898-902,1990;Chambers et al.,J.Virol.67:6797-807,1993、Ryan et al.J.Gen.Virology 79:947-959,1998;Murthy et al.,J Biol Chem 274:5573-5580,1999;Murthy et al.,J Mol Biol 301:759-767,2000;Brinkworth et al.,J Gen Virol 80,1167-1177,1999(Den2)、及びLeung et al.,J Biol Chem 276:45762-71,2001(Den2)を参照されたい。ウイルスにコードされたデングプロテアーゼは、ポリタンパク質のNS3(NS3pro)のアミノ末端の180アミノ酸を構成する。これは、シス及びトランスの両方で切断して、ウイルス複製及び感染性デングウイルス粒子の成熟に不可欠なウイルスタンパク質を生成する役割を果たす。そのプロテアーゼ活性に加えて、NS3のカルボキシル末端領域は、ヌクレオシドトリホスファターゼ及びヘリカーゼ活性の両方をコードする(例えば、Li et al.,J.Virol.73:3108-3116,1999を参照)。同様に、他のフラビウイルス(例えば、西ナイルウイルス及び黄熱病ウイルス)及びそれらのプロテアーゼも、当技術分野において十分に特徴付けられている。例えば、Anderson et al.,Ann N Y Acad.Sci.951:328-31,2001;Nall et al.,J Biol Chem.79:48535-42,2004;J Biol Chem.280:2896-903,2005;Hillyer et al.,Histochem Cell Biol.117:431~40,2002;Chambers et al.,J Gen Virol.86:1403-13,2005;Scaramozzino et al.,Biochem Biophys Res Commun.294:16-22,2002;及びBessaud et al.,Virus Res.120:79-90,2006を参照されたい。フラビウイルス(Flavivirus)属のウイルスゲノムは、単一のポリタンパク質として翻訳され、その後、成熟タンパク質へと切断される。
【0138】
本発明の化合物は、好ましくはウイルスプロテアーゼ、好ましくはフラビウイルスプロテアーゼ、より好ましくはフラビウイルスNS3プロテアーゼなどのNS3プロテアーゼ、最も好ましくはデングNS2B-NS3プロテアーゼなどのフラビビリンNS2B-NS3エンドペプチダーゼの、阻害剤である。この文書全体を通じて、阻害される好ましいプロテアーゼは、ウイルスプロテアーゼ、好ましくはフラビウイルスプロテアーゼ、より好ましくはフラビウイルスNS3プロテアーゼなどのNS3プロテアーゼ、最も好ましくはデングNS2B-NS3プロテアーゼなどのフラビビリンNS2B-NS3エンドペプチダーゼである。
【0139】
本発明の化合物は、特異的であるためにさらに有用であり得る。好ましくは、化合物は、特異的プロテアーゼ阻害剤である。好ましくは、化合物は、宿主プロテアーゼ又は治療対象のプロテアーゼなどの他のプロテアーゼを阻害しないか、又は強く阻害しない。より好ましくは、化合物は、トリプシンなどの他のセリンプロテアーゼを阻害しないか、又は強く阻害しない。本明細書で使用される場合、プロテアーゼを強く阻害しない化合物は、好ましくは、200、300、400、500μM以上のKiで阻害するか、又は検出可能なほど阻害しない。
【0140】
実施形態では、本発明による化合物は、同じ実験条件下で、トリプシン、好ましくはヒトトリプシンを阻害するよりも、少なくとも10%多く標的プロテアーゼを阻害する。より好ましくは、これは、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、150%、200%、250%、300%、350%、400%、450%、又は500%以上であるか、又はそれを超える。他の実施形態では、本発明による化合物は、同じ実験条件下で、ウイルスプロテアーゼの阻害と比較して、トリプシン、好ましくはヒトトリプシンを最大90%阻害する。より好ましくは、最大80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、又はそれ未満である。阻害を決定するための方法は、当技術分野で公知であり、実施例で例示されている。
【0141】
本発明の治療用化合物及び組成物は、任意選択により、当技術分野で周知の方法に従って、有効性、組織代謝を確認し、投与量を推定するために、1つ以上の適切なインビトロ及び/又はインビボの疾患動物モデルで試験される。特に、投与量は、最初に、製剤の活性、安定性、又は他の適切な尺度によって決定することができる。
【0142】
方法及び化合物の使用
本発明の化合物はウイルスプロテアーゼの優れた阻害剤であるため、関連する方法に使用することができる。本発明は、ウイルスプロテアーゼを阻害する方法を提供し、この方法は、ウイルスプロテアーゼを本発明による化合物又は本発明による組成物と接触させるステップを含む。この方法は、好ましくは、ウイルス感染症若しくはウイルス感染症に関連する状態に関連する、疾患若しくは状態を治療するためのものであり、本発明による化合物又は組成物の有効量を対象に投与することを含む。好ましくは、ウイルスプロテアーゼは、フラビウイルスプロテアーゼ、より好ましくは、デング熱ウイルスプロテアーゼ、西ナイルウイルスプロテアーゼ、又はダニ媒介性脳炎ウイルスプロテアーゼである。いくつかの実施形態では、ウイルスプロテアーゼは、西ナイルウイルスプロテアーゼである。いくつかの実施形態では、ウイルスプロテアーゼは、ダニ媒介性脳炎ウイルスプロテアーゼである。最も好ましくは、ウイルスプロテアーゼは、デングウイルスプロテアーゼである。いくつかの実施形態では、ウイルスプロテアーゼは、デング熱ウイルスプロテアーゼ又はダニ媒介性脳炎ウイルスプロテアーゼである。いくつかの実施形態では、ウイルスプロテアーゼは、デング熱ウイルスプロテアーゼ又は西ナイルウイルスプロテアーゼである。いくつかの実施形態では、ウイルスプロテアーゼは、西ナイルウイルスプロテアーゼ又はダニ媒介性脳炎ウイルスプロテアーゼである。
【0143】
一実施形態では、本発明による化合物、又は本発明による組成物のいずれかの使用が提供される。前記使用は、好ましくは、ウイルス感染症若しくはウイルス感染症に関連する状態に関連する、疾患若しくは状態を治療するためのものであり、本発明による化合物又は組成物の有効量を対象に投与することを含む。さらなる特徴及び定義は、好ましくは、特に治療される疾患又は状態に関して、本明細書の他の箇所で定義されるとおりである。本明細書に記載の方法及び使用は、インビトロ、インビボ、又はエクスビボであり得る。
【0144】
化合物の医療用途
別の態様では、本発明は、医薬としての使用のための本発明による化合物又は組成物を提供する。医薬は、好ましくは、ウイルス感染症又はウイルス感染症に関連する症状の治療における使用のためのものである。医薬は、ウイルス感染症又はウイルス感染症に関連する状態を、それを必要とする対象において、治療する、予防する、又は遅延させる方法であって、本発明による化合物又は組成物の有効量を対象に投与するステップを含む方法における使用に非常に好適である。
【0145】
好ましいウイルス感染症は、フラビウイルス感染症である。フラビウイルス(Flavivirus)はフラビウイルス(Flaviviridae)科の属である。この属には、西ナイルウイルス、デングウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、日本脳炎ウイルス、黄熱ウイルス、及び脳炎を引き起こし得る他のいくつかのウイルスが含まれる。特定の態様では、フラビウイルス感染症は、デングウイルス感染症又は西ナイルウイルス感染症であり得る。治療又は予防できるさらなるフラビウイルスには、日本脳炎、マレーバレー脳炎、セントルイス脳炎、クンジン(Kunjin)、ロシオ(Rocio)脳炎、及びイルヘウス(Ilheus)ウイルスなどの、他の蚊媒介性フラビウイルス;中央ヨーロッパ脳炎、シベリア脳炎、ロシア春夏脳炎、キャサヌール森林病、オムスク出血熱、跳躍病、ポワッサン、ネギシ、アブセタロフ、ハンサロバ(Hansalova)、アポイ、及びHyprハイパーウイルスなどの、ダニ媒介性フラビウイルスが含まれる。
【0146】
本発明の化合物は、フラビウイルスNS3プロテアーゼを阻害することができ、したがって、これらのウイルスによって引き起こされる疾患の治療又は予防における用途を有し得る。例えば、これらは、異なるデングウイルス血清型に関連する西ナイル脳炎、黄熱病、日本脳炎、デング熱、デング出血熱、デングショック症候群の治療に有用である。いくつかの実施形態では、治療は、血清型DENV-1、血清型DENV-2、血清型DENV-3、又は血清型DENV-4のものである。いくつかの実施形態では、治療は、血清型DENV-1のものである。好ましい実施形態では、治療は、血清型DENV-2のものである。いくつかの実施形態では、治療は、血清型DENV-3のものである。いくつかの実施形態では、治療は、血清型DENV-4のものである。好ましい実施形態では、治療は、デングウイルスによる感染又は西ナイルウイルスによる感染、より好ましくは、DENV-2又は西ナイルウイルスによる感染の治療である。
【0147】
本発明のフラビウイルスプロテアーゼ阻害剤又はプロドラッグは、これらの感染症を治療するために、単独で、又は任意の公知の抗ウイルス薬と組み合わせて使用することができる。
【0148】
本明細書に記載の方法は、フラビウイルス感染症などのウイルス感染症の予防的及び治療的処置の両方に有用である。予防的使用の場合、本明細書に記載される1つ以上の化合物の治療有効量が、曝露前(例えば、フラビウイルス感染の可能性がある場所への旅行前又は移動中)、フラビウイルス感染への潜在的曝露の期間中、又はフラビウイルス感染への一定期間の潜在的曝露の後に、対象に投与される。予防的投与は、潜在的曝露の前の数日から数週間、潜在的曝露の期間中、及び潜在的曝露後の一定期間、例えば、数日から数週間にわたって行うことができる。治療的処置には、本発明による1つ以上の化合物又は組成物の治療有効量を対象に投与することが含まれる。
【0149】
「治療する」又は「治療」又は「治療すること」という用語は、疾患、病理学的状態、又は障害を治癒、改善、安定化、又は予防することを意図した患者の医学的管理を指す。特定の態様では、治療はウイルス量を減少させ、症状を改善し、疾患の進行を遅らせるなどする。この用語には、疾患、病理学的状態、又は障害の改善に特に向けられた治療を含む積極的治療が含まれ、原因治療、すなわち、関連する疾患、病理学的状態、又は障害の原因の除去に向けられた治療も含まれる。さらに、この用語には、関連する疾患、病理学的状態、又は障害の改善に向けられた別の特定の療法を補足するために採用される治療を含む、支持療法も含まれる。
【0150】
本明細書で使用される場合、「治療」、「治療する」、又は「治療すること」という用語は、フラビウイルス感染などのウイルス感染の1つ以上の症状を軽減又は遅延させる方法を指す。したがって、開示された方法において、治療は、疾患又は状態の1つ以上の症状の重症度又は進行の、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%の減少を指し得る。例えば、疾患を治療する方法は、対象におけるフラビウイルス(Flavivirus)感染の1つ以上の症状又は徴候が対照と比較して10%減少している場合、治療であるとみなされる。本明細書で使用される場合、対照は、未治療の状態を指す。したがって、減少は、天然又は対照レベルと比較して、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、又は10%~100%の間の任意のパーセント減少であり得る。治療は、必ずしも疾患、状態、又は疾患若しくは状態の症状の、治癒又は完全な除去を指すわけではないことが理解される。症状の例としては、発熱及び疲労が挙げられる。
【0151】
本明細書において、疾患又は障害を「予防する」、「予防すること」、及び「予防」という用語は、例えば、組成物又は治療剤を投与する行為を指し、それは、対象が疾患又は障害の1つ以上の症状を示し始める前又はほぼ同時に行われ、疾患又は障害の1つ以上の症状の発症又は重症度を抑制又は遅らせる。例えば、フラビウイルス感染の発症、発生率、重症度、又は再発が軽減又は遅延される場合、方法は予防であるとみなされる。フラビウイルス感染症の発症、発生率、重症度、又は再発の減少又は遅延は、天然又は対照レベルと比較して、10%、20%>、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、又は10%~100%の間の任意のパーセント減少であり得る。
【0152】
本明細書で使用される場合、「治療」、「治療する」、又は「治療すること」という用語は、フラビウイルス感染の1つ以上の症状を軽減又は遅延させる方法を指す。したがって、開示された方法において、治療は、疾患又は状態の1つ以上の症状の重症度又は進行の、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%の減少を指し得る。例えば、疾患を治療する方法は、対象におけるフラビウイルス(Flavivirus)感染の1つ以上の症状又は徴候が対照と比較して10%減少している場合、治療であるとみなされる。本明細書で使用される場合、対照は、未治療の状態を指す。したがって、減少は、天然又は対照レベルと比較して、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、又は10%~100%の間の任意のパーセント減少であり得る。治療は、必ずしも疾患、状態、又は疾患若しくは状態の症状の、治癒又は完全な除去を指すわけではないことが理解される。
【0153】
組成物、製剤、及び投与
さらなる態様において、本発明は、薬学的に許容される賦形剤及び本発明による化合物を含む組成物を提供し、好ましくは、組成物は医薬組成物である。このような組成物を、本明細書では本発明による組成物と称する。本発明による好ましい組成物は医薬組成物であり、本明細書の他の箇所で定義されているように、治療における使用のためのものである。好ましい実施形態では、本発明による組成物は、経口、舌下、非経口、血管内、静脈内、皮下、吸入、又は経皮投与用;好ましくは、経口投与用に製剤化される。投与方法のさらなる特徴及び定義を以下に提供する。
【0154】
経口薬物投与は、多くの薬物で一般的に使用される経路である。本発明の化合物はペプチド模倣物として見ることができ、静脈内注射及び筋肉内注射がそれぞれ臨床的に一般的に使用される投与経路である。驚くべきことに、皮下送達(もう一つの広く受け入れられている投与方法)は、本発明の化合物のバイオアベイラビリティー及び薬物動態学的挙動を改善することが見出された。前臨床データ(実施例18を参照)は、化合物113及び43などの化合物の皮下投与が大きな有効性を有し、皮下投与した場合に化合物が改善された薬物動態挙動を示すことを示している。これにより、経口摂取などの他の摂取経路と比較して、例えばデングウイルス感染の症例における、予防的使用及び治療的使用が可能になる。
【0155】
効率の向上により、皮下薬物送達は、デングウイルスに関連する3つの主要な標的集団について、さらなる利点を達成することができる。それは、(1)デング熱の早期治療のための治療的使用;この第1のグループは、最近ウイルスに感染し、蓄積されたウイルス量及び関連疾患の症状を迅速に抑制するために、できる限り早く効果的な治療を、早い作用発現で優先的に開始する必要がある患者であり、それにより、重篤な疾患への進行、及び交差感染による他の人へのウイルスの進行のリスクが軽減される。他の2つのグループは、感染のリスクがあるため予防的使用へのアクセスを必要とする健康な対象で構成される:(2)デング熱に罹患するリスクのある対象への予防的使用、(3)デング熱が流行している地域を訪問する対象への予防的使用。
【0156】
デング熱の流行を制御するには(発生管理など)、全ての対象集団が治療にアクセスできることが重要である。好ましい実施形態では、使用のための化合物又は使用のための組成物は、デング熱の早期治療のための治療的使用のため、デング熱に罹患する危険性がある対象に対する予防的使用のため、又はデング熱が流行している地域を訪問する対象に対する予防的使用のためのものである。いくつかの実施形態では、使用のための化合物又は使用のための組成物は、デング熱の早期治療のための治療的使用のためのものである。いくつかの実施形態では、使用のための化合物又は使用のための組成物は、好ましくはデング熱に罹患するリスクのある対象、又はデング熱が流行している地域を訪問する対象に対する予防的使用のためのものである。いくつかの実施形態では、使用のための化合物又は使用のための組成物は、デング熱に罹患するリスクのある対象に対する予防的使用のためのものである。いくつかの実施形態では、使用のための化合物又は使用のための組成物は、デング熱が流行している地域を訪問する対象に対する予防的使用のためのものである。
【0157】
皮下投与には、効率的な全身送達及び患者/旅行者のコンプライアンス及び利便性について、デングウイルスに関連した特有の利点があることが判明した。前臨床薬物動態データ(実施例18を参照)は、化合物のゆっくりとした消失を示し、これは、治療及び予防の設定において、単回皮下投与が1週間又は2週間の治療に十分であり得ることを示した。前臨床データに基づいて、本発明による化合物による1週間又は2週間の治療的及び/又は予防的処置には、単回皮下投与で十分であり得る。重度のデング熱を有する患者は経口薬を摂取できない可能性があるため、これはデング熱患者のコンプライアンスと利便性に関連した利点を有する。このアプローチは、毎日(2回)経口予防薬を服用する代わりに、(ワクチン接種と同様に)(隔)週に1回の注射のみを必要とする、リスク地域を訪れる旅行者などの、感染リスクが高まっている地域への訪問者にとっても利点をもたらす。
【0158】
皮下投与は、直接注射、自動注射器、又はパッチを介して行うことができる。好ましくは、直接注射又はパッチを介し、より好ましくは直接注射を介する。
【0159】
DENVのベクター媒介性伝染は、吸血する雌のヤブカ(Aedes)が唾液をウイルスと一緒に哺乳動物宿主の皮膚に注入することで開始する。最初に感染に遭遇する細胞は、皮膚常在マクロファージ、樹状細胞及びケラチノサイトである(Martina,Koraka,and Osterhaus.2009.Clinical Microbiology Reviews 22(4))。これらの感染細胞はリンパ節に移動し、そこでマクロファージ及び単球がウイルスにさらされ、感染する。DENV感染は、所属リンパ節及び遠隔リンパ節を離れるウイルスの存在により、ウイルス血症(原発性ウイルス血症;血液中のウイルス)に進行する。DENVの感染は、脾臓、腎臓、肺、及び肝臓で観察されるが、脾臓及び肝臓が主要な標的器官である。具体的には、これらの器官のマクロファージは、ウイルス複製の主要な部位である(Martina et al.,2009)。二次ウイルス血症は、ウイルスが器官を離れるときに発生し、これは臨床症状(発熱など)が発症する24~48時間前(感染後4~7日)という早い時期に検出され、最長10~12日間続き得る。血液中の高濃度のウイルスは、重篤な疾患(出血及びショック)を発症するリスクに関連している。血液中の低から中程度のウイルス濃度は、軽度の疾患と関連している(Martina et al.,2009)。
【0160】
皮下投与後、分子は毛細血管又はリンパ系を介して全身循環に到達する。データは、化合物を皮下注射により投与した場合、他の投与経路よりも、DENVに対する有効性が大幅に増加することを示した。化合物は、血漿と比較した場合、デングウイルスの主な標的部位(肝臓及び脾臓)で3倍を超えて高い濃度に達した。したがって、好ましい実施形態では、使用のための化合物又は使用のための組成物は、プロテアーゼ阻害剤を対象の標的器官に標的化する方法における使用のためのものであり、この方法は、プロテアーゼ阻害剤の注射による投与、好ましくは皮下投与を含む。注射による投与は、静脈内、筋肉内、又は皮下であり得る。好ましい標的器官は、肝臓、腎臓、肺、及び脾臓であり、より好ましくは、肝臓、腎臓、及び脾臓、さらにより好ましくは、肝臓及び脾臓、最も好ましくは、肝臓である。いくつかの実施形態では、標的器官は、肝臓及び腎臓である。いくつかの実施形態では、標的器官は脾臓である。好ましくは、プロテアーゼ阻害剤は、化合物113又は化合物43などの本発明による化合物である。好ましくは、プロテアーゼ阻害剤は、DENVプロテアーゼ阻害剤である。
【0161】
本発明はまた、本発明による化合物と、ウイルス感染に関連する疾患又は状態を治療又は改善することで知られているさらなる手段との組み合わせを提供する。このような組み合わせの好ましい実施形態では、本発明による化合物と抗ウイルス剤の組み合わせが提供される。抗ウイルス剤は広く知られている。別の好ましい組み合わせでは、本発明による化合物は、抗炎症剤と組み合わせられる。いくつかの好ましい組み合わせにおいて、化合物は、例えば、理学療法、有酸素運動、呼吸機能療法、又は整形外科的介入を含む、臨床管理と組み合わせられ得る。
【0162】
抗ウイルス剤は当技術分野で公知であり、当業者は、この開示に照らして適切な抗ウイルス剤を選択することができる。適切な抗ウイルス剤の例は、アバカビル、アシクロビル、アデホビル、アマンタジン、アンプリゲン、アンプレナビル、ウミフェノビル、アタザナビル、アトリプラ、バロキサビルマルボキシル、ビクタルビ、ボセプレビル、ブレビルタイド、シドホビル、コビシスタット、コンビビル、ダクラタスビル、ダルナビル、デラビルジン、デシコビ、ジダノシン、ドコサノール、ドルテグラビル、ドラビリン、エドクスジン、エファビレンツ、エルビテグラビル、エムトリシタビン、エンフビルチド、エンテカビル、エトラビリン、ファムシクロビル、フォミビルセン、ホスアンプレナビル、ホスカルネット、ガンシクロビル、イバシタビン、イバリズマブ、イドクスウリジン、イミキモド、イムノビル、インジナビル、ラミブジン、レテルモビル、ロピナビル、ロビリド、マラビロック、メチサゾン、モロキシジン、ネルフィナビル、ネビラピン、ネクサビル、ニタゾキサニド、ノルビル、オセルタミビル、ペンシクロビル、ペラミビル、ペンシクロビル、ペラミビル、プレコナリル、ポドフィロトキシン、ラルテグラビル、レムデシビル、リバビリン、リルピビリン、リルピビリン、リマンタジン、リトナビル、スキナビル、シメプレビル、ソホスブビル、スタブジン、タリバビリン、テラプレビル、テルビブジン、テノホビルアラフェナミド、テノホビルジソプロキシル、チプラナビル、トリフルリジン、トリジビル、トロマンタジン、トルバダ、ウミフェノビル、バラシクロビル、バルガンシクロビル、ビクリビロック、ビダラビン、ザルシタビン、ザナミビル、ジドブジンである。
【0163】
抗炎症剤は当技術分野で公知であり、当業者は、この開示に照らして適切な抗炎症剤を選択することができる。適切な抗ウイルス剤の例は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)及びコルチコステロイドである。NSAIDの例は、ピラゾロン(アミノフェナゾン、アンピロン、アザプロパゾン、クロフェゾン、ジフェナミゾール、ファムプロファゾン、フェプラゾン、ケブゾン、メタミゾール、モフェブタゾン、モラゾネン、イフェナゾン、オキシフェンブタゾン、フェナゾン、フェニルブタゾン、プロピフェナゾン、スルフィンピラゾン及びスキシブゾンなど)、サリチラート(アセチルサリチル酸、アロキシプリン、ベノリレート、カルバサラ酸カルシウム、ジフルニサル、ジピロセチル、エテンザミド、グアセチサール、サリチル酸マグネシウム、サリチル酸メチル、サルサラート、サリシン、サリチルアミド、サリチル酸、及びサリチル酸ナトリウムなど)、酢酸誘導体(アセクロフェナク、アセメタシン、アルクロフェナク、アンフェナク、ベンダザック、ブロムフェナク、ブマジゾン、ブフェキサマク、ジクロフェナク、ジフェンピラミド、エトドラク、フェルビナク、フェンクロジン酸、フェンチアザク、インドメタシン、インドメタシンファルネシル、イソキセパック、ケトロラク、ロナゾラク、オキサメタシン、プロドル酸、プログルメタシン、スリンダク、チオピナク、トルメチン、及びゾメピラクなど)、オキシカム(アンピロキシカム、ドロキシカム、イソキシカム、ロルノキシカム、メロキシカム、ピロキシカム、及びテノキシカムなど)、プロピオン酸誘導体(アルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、カルプロフェン、デキシブプロフェン、デクスケトプロフェン、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルノキサプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、イブプロキサム、インドプロフェン、ケトプロフェン、ロキソプロフェン、ミロプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピケトプロフェン、ピルプロフェン、スプロフェン、タレンフルビル、テポキサリン、チアプロフェン酸、ベダプロフェン、ザルトプロフェン、及びナプロキシノドなど)、N-アリールアントラニル酸(アザプロパゾン、クロニキシン、エトフェナメート、フロクタフェニン、フルフェナム酸、フルニキシン、グラフェニン、メクロフェナム酸、メフェナム酸、モルニフルマート、ニフルム酸、トルフェナム酸、及びフルチアジンなどのフェナメート)、コキシブ(アプリコキシブ、セレコキシブ、シミコキシブ、デラコキシブ、エトリコキシブ、フィロコキシブ、ルミラコキシブ、マバコキシブ、パレコキシブ、ロベナコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブなど)、アミノプロピオニトリル、ベンジダミンコンドロイチン硫酸塩、ジアセレイン、フルプロクアゾン、グルコサミン、グリコサミノグリカン、ハイパーフォリン、ナブメトン、ニメスリド、オキサセプロール、プロクアゾン、スーパーオキシドジスムターゼ/オルゴテイン、及びテニダップである。コルチコステロイドの例は、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン酢酸エステル、コルチゾン酢酸エステル、チクソコルトールピバル酸エステル、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、アムシノニド、ブデソニド、デソニド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、ハルシノニド、トリアムシノロンアセトニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、デキサメタゾン、フルオコルトロン、ハロメタゾン、モメタゾン、アルクロメタゾンジプロピオン酸エステル、ベタメタゾンジプロピオン酸エステル、ベタメタゾン吉草酸エステル、クロベタゾールプロピオン酸エステル、クロベタゾン酪酸エステル、フルプレドニデン酢酸エステル、モメタゾンフランカルボン酸エステル、シクレソニド、酢酸コルチゾン、ドロコルチゾンアセポン酸エステル、ヒドロコルチゾン酢酸エステル、酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン酪酸エステル、吉草酸ヒドロコルチゾン、プレドニカルベート、及びチクソコルトールピバル酸エステルである。
【0164】
上述の化合物を含む組成物は、医薬品若しくは化粧品として、又は医療用食品及び栄養補助食品を含むヒト若しくは動物用の食品などの様々な他の媒体で調製することができる。「医療用食品」は、特有の栄養要件が存在する疾患若しくは症状の特定の食事管理を意図した製品である。例として、医療用食品には、栄養管を通して供給されるビタミン及びミネラル製剤が含まれ得る(腸内投与と称される)。「栄養補助食品」とは、ヒトの食事を補うことを目的とした製品を意味するものとし、典型的には、丸薬、カプセル、錠剤などの製剤の形態で提供される。一例として、栄養補助食品は、次の成分:ビタミン、ミネラル、ハーブ、植物;アミノ酸、総食事摂取量を増やすことによって食事を補うことを目的とした食物、及び濃縮物、代謝産物、成分、抽出物、又は上記のいずれかの組み合わせのうちの1つ以上を含み得る。栄養補助食品は、食品バー、飲料、粉末、シリアル、調理済み食品、食品添加物、キャンディーなどの食品;又は健康を増進するため、若しくはウイルス感染症若しくはウイルス感染症に関連する症状の治療の進行を予防又は停止させるために設計された、その他の機能性食品に組み込んでもよい。
【0165】
対象化合物及び組成物は、食品を含む、摂取できる他の生理学的に許容される材料と配合することができる。さらに、又は代わりに、本明細書に記載の組成物は、食品の(別個の)投与と組み合わせて経口投与してもよい。
【0166】
本発明による組成物又は化合物は、単独で、又は他の医薬品又は化粧品と組み合わせて投与してもよく、その生理学的に許容される担体と組み合わせることができる。特に、本明細書に記載の化合物は、薬学的又は生理学的に許容される賦形剤、担体、及び溶媒などの、添加剤を用いて製剤化することにより、医薬組成物又は化粧品組成物として製剤化することができる。適切な薬学的又は生理学的に許容される賦形剤、担体及び溶媒には、例えば、リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、単糖類、二糖類、デンプン、ゼラチン、セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストロース、ヒドロキシプロピル-P-シクロデキストリン、ポリビニルピロリジノン、低融点ワックス、イオン交換樹脂など、及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせなどの、処理剤及び薬物送達修飾剤及び増強剤が含まれる。他の適切な薬学的に許容される賦形剤は、“Remington’s Pharmaceutical Sciences,” Mack Pub.Co.,New Jersey(1991)、並びに“Remington:The Science and Practice of Pharmacy,” Lippincott Williams & Wilkins,Philadelphia,第20版(2003)、第21版(2005)及び第22版(2012)に記載されている。
【0167】
本発明による使用のための組成物は、当技術分野で周知のプロセス;例えば、リポソーム製剤、コアセルベート、水中油型エマルジョン、ナノ粒子/微粒子粉末、又はその他の形状を生じ得る、従来の混合、溶解、造粒、糖衣錠製造、湿式粉砕、乳化、カプセル化、封入、捕捉又は凍結乾燥プロセスによって製造することができる。したがって、本発明に従う使用のための組成物は、活性化合物を薬学的に使用できる調製物へと加工するのを容易にする賦形剤及び助剤を含む、1つ以上の生理学的に許容される担体を使用して、従来の方法で製剤化され得る。適切な製剤は、選択された投与経路による。
【0168】
注射の場合、本発明による使用のための化合物及び組成物は、水溶液、好ましくは、ハンクス液、リンゲル液、又は生理食塩水緩衝液などの、生理学的に適合する緩衝液中で製剤化され得る。経粘膜投与の場合、浸透する障壁に適した浸透剤が製剤に使用される。このような浸透剤は、当技術分野で一般に知られている。
【0169】
経口及び非経口投与は、使用のための化合物及び組成物が、当技術分野で周知の薬学的に許容される担体と組み合わせることによって、又はそれらを食品添加物として使用することによって製剤化される場合に使用され得る。このような戦略により、本発明による使用のための化合物及び組成物を、治療対象による経口摂取のために、錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液などとして製剤化することが可能になる。経口使用のための製剤又は薬理学的製剤は、固体賦形剤を使用して作製してもよく、任意選択により、得られた混合物を粉砕し、必要に応じて適切な助剤を加えた後、顆粒の混合物を加工して、錠剤又は糖衣錠コアを得てもよい。適切な賦形剤は、特に、ラクトース、スクロース、マンニトール、又はソルビトールを含む糖類などの充填剤;トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び/又はポリビニルピロリドン(PVP)などのセルロース調製物である。所望の場合、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、若しくはアルギン酸、又はアルギン酸ナトリウムなどのその塩などの、崩壊剤を添加してもよい。さらに、当技術分野で公知の取り込み促進剤を用いて共製剤を作製してもよい。
【0170】
糖衣錠のコアには適切なコーティングが施される。この目的のために、濃縮糖溶液を使用してもよく、これは、任意選択により、アラビアゴム、タルク、PVP、カーボポールゲル、ポリエチレングリコール、及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液、並びに適切な有機溶媒又は溶媒混合物を含み得る。ポリメタクリレートを使用して、胃を通過できるようにpH応答性の放出プロファイルを提供できる。識別のため、又は活性化合物の用量の異なる組み合わせを特徴づけるために、染料又は顔料を錠剤又は糖衣錠のコーティングに加えてもよい。
【0171】
経口投与できる化合物及び組成物には、ゼラチンで作られたプッシュフィットカプセル、並びにゼラチンとグリセロール又はソルビトールなどの可塑剤とで作られた密封軟カプセルが含まれる。プッシュフィットカプセルは、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、及び/又はタルク若しくはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、及び任意選択により安定剤と混合した、活性成分を含有し得る。ソフトカプセルでは、活性化合物は、脂肪油、流動パラフィン、又は液体ポリエチレングリコールなどの適切な液体に溶解又は懸濁され得る。さらに、安定剤を添加してもよい。経口投与のための全ての製剤は、そのような投与に適した投与量であるべきである。
【0172】
口腔投与の場合、本発明による使用のための化合物及び組成物は、従来の方法で製剤化された錠剤又はトローチ剤の形態で投与され得る。
【0173】
本発明による使用のための化合物及び組成物は、注射、例えば、ボーラス注射又は持続注入による非経口投与用に製剤化され得る。この方法で、特定の器官、組織、腫瘍部位、炎症部位などを標的とすることも可能である。感染症用の製剤は、保存剤が添加された単位剤形、例えばアンプル又は複数回用量の容器で提供されてもよい。組成物は、油性又は水性溶媒中の懸濁液、溶液又はエマルジョンなどの形態をとってもよく、懸濁剤、安定化剤及び/又は分散剤などの製剤化剤を含有し得る。
【0174】
非経口投与用の組成物には、水溶性形態の組成物の水溶液が含まれる。さらに、懸濁液は、適切な油性注射懸濁液として調製され得る。適切な親油性溶媒又は溶媒には、ゴマ油などの脂肪油、又はオレイン酸エチル又はトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、又はリポソームが含まれる。水性注射懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、又はデキストランなどの、懸濁液の粘度を高める物質を含有し得る。任意選択により、懸濁液は、組成物の溶解度を高めて高濃度溶液を調製できるようにする適切な安定剤又は薬剤も含有し得る。
【0175】
或いは、組成物の1つ以上の成分は、使用前に適切な溶媒、例えば発熱物質を含まない滅菌水で構成するための粉末形態であってもよい。
【0176】
本発明による使用のための組成物はまた、例えば、カカオバター又は他のグリセリドなどの従来の坐剤基剤を含有する、坐剤又は停留浣腸などの直腸用組成物に製剤化してもよい。
【0177】
先に記載した製剤に加えて、本発明による使用のための化合物及び組成物は、デポ製剤として製剤化してもよい。このような長期作用型製剤は、移植(例えば、皮下又は筋肉内)又は筋肉内注射によって投与され得る。したがって、例えば、それらは、適切なポリマー材料若しくは疎水性材料(例えば、許容される油中のエマルジョンとして)とともに、若しくは体内で自然分解してもしなくてもよい固体若しくは半固体インプラント、若しくはイオン交換樹脂の一部として製剤化されてもよく、又は組成物の1つ以上の成分を難溶性誘導体、例えば難溶性塩として製剤化することができる。適切なポリマー材料の例は当業者に公知であり、PLGA、及びポリカプロン酸などのポリラクトンが含まれる。
【0178】
本発明による使用のための組成物はまた、適切な固相若しくはゲル相の担体又は賦形剤を含んでもよい。このような担体又は賦形剤の例には、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、及びポリエチレングリコールなどのポリマーが含まれる。
【0179】
本発明による使用のための組成物はまた、経皮パッチ中に含まれていてもよい。本発明による使用のための好ましい経皮パッチは、単層薬物含有粘着パッチ、又は多層薬物含有粘着パッチ、又はリザーバーパッチ、又はマトリックスパッチ、又は蒸気パッチから選択される。
【0180】
本発明による使用のための組成物には、活性成分をそれらの意図された目的を達成するのに有効な量で含有する化合物及び組成物が含まれる。より具体的には、治療有効量は、疾患の原因若しくは症状を予防、安定化、緩和、回復、若しくは改善するか、又は治療を受ける対象の生存、移動性若しくは自立性を延長するのに有効な化合物の量を意味する。治療有効量の決定は、特に本明細書に提供される詳細な開示に照らすと、当業者の能力の範囲内である。本発明で使用される任意の化合物及び組成物について、治療上有効な量又は用量は、例えば本明細書に例示されるように、細胞培養アッセイから最初に推定することができる。投与量は、使用される剤形及び利用される投与経路に応じて、この範囲内で変動し得る。正確な製剤、投与経路及び投与量は、患者の状態を考慮して個々の医師によって選択され得る。(Fingl,et al.,1975,“The Pharmacological Basis of Therapeutics”Ch.1 p.1参照)。投与される化合物及び組成物の量は、当然のことながら、治療される対象、対象の体重、疾患の重症度、投与方法及び処方する医師の判断に依存するであろう。
【0181】
本発明による使用のための組成物は、本発明による使用のための化合物と本明細書で定義される1つ以上の他の成分とが、同じ容器内に、溶液、懸濁液、又は粉末の形態で存在するように供給され得る。本発明による使用のための組成物はまた、例えば投与前に互いに混合するために、又は個別若しくは逐次投与のために、互いに別々に提供される全ての成分とともに提供されてもよい。様々な包装オプションが可能であり、とりわけ、投与の経路及び投与機構に応じて、当業者に公知である。上記の投与方法に照らして、本発明は、経口、舌下、血管内、静脈内、皮下、経皮、又は任意選択により吸入によって;好ましくは経口で;より好ましくは皮下で投与されることを特徴とする、本発明による使用のための化合物、又は本発明による使用のための組成物を提供する。
【0182】
化合物又は組成物の「有効量」は、対象に投与した場合、疾患の1つ以上の症状を軽減若しくは除去するか、又は疾患の1つ以上の症状の進行を遅らせるか、又は疾患の1つ以上の症状の重症度を軽減するか、又は疾患の発現を抑制するか、又は疾患の有害な症状の発現を抑制するのに十分な量である。有効量は、1回以上の投与で与えることができる。
【0183】
単一の剤形を生成するために担体物質と組み合わせられ得る「有効量」は、活性成分が投与される宿主及び特定の投与様式に応じて変化するであろう。選択される単位用量は、通常、血液中の化合物の所望の最終濃度を提供するように調製され、投与される。
【0184】
有効量(すなわち、有効な一日総投与量)は、好ましくは成人について、本明細書では、約0.01~2000mg、又は約0.01~1000mg、又は約0.01~500mg、又は約5~1000mg、又は約20~800mg、又は約30~800mg、又は約30~700mg、又は約20~700mg、又は約20~600mg、又は約30~600mg、又は約30~500mg、約30~450mg、又は約30~400mg、又は約30~350mg、又は約30~300mg、又は約50~600mg、又は約50~500mg、又は約50~450mg、又は約50~400mg、又は約50~300mg、又は約50~250mg、又は約100~250mg、又は約150~250mgの1日総投与量として定義される。最も好ましい実施形態では、有効量は約200mgである。好ましい実施形態では、本発明は、0.1~1500mg/日、好ましくは0.1~1000mg/日、より好ましくは0.1~400mg/日、さらに好ましくは0.25~150mg/日、例えば約100mg/日の範囲の量で対象に投与されることを特徴とする、本発明による使用のための化合物、又は本発明による使用のための組成物を提供する。
【0185】
或いは、化合物の有効量は、好ましくは成人について、好ましくは体重1kgあたりで投与される。したがって、好ましくは成人について、1日総投与量は、約0.05~約40mg/kg、約0.1~約20mg/kg、約0.2mg/kg~約15mg/kg、又は約0.3mg/kg~約15mg/kg、又は約0.4mg/kg~約15mg/kg、又は約0.5mg/kg~約14mg/kg、又は約0.3mg/kg~約14mg/kg、又は約0.3mg/kg~約13mg/kg、又は約0.5mg/kg~約13mg/kg、又は約0.5mg/kg~約11mg/kgである。
【0186】
小児に対する1日総投与量は、好ましくは最大200mgである。より好ましくは、1日総投与量は、約0.1~200mg、約1~200mg、約5~200mg、約20~200mg、約40~200mg、又は約50~200mgである。好ましくは、小児に対する1日総投与量は、約0.1~150mg、約1~150mg、約5~150mg、約10~150mg、約40~150mg、又は約50~150mgである。より好ましくは、1日総投与量は、約5~100mg、約10~100mg、約20~100mg、約30~100mg、約40~100mg、又は約50~100mgである。さらにより好ましくは、1日総投与量は、約5~75mg、約10~75mg、約20~75mg、約30~75mg、約40~75mg、又は約50~75mgである。
【0187】
使用できる投与量の別の例は、約0.1μg/kg~約300mg/kgの投与量範囲内、又は約1.0μg/kg~約40mg/kg体重以内、又は約1.0μg/kg~約20mg/kg体重以内、又は約1.0μg/kg~約10mg/kg体重以内、又は約10.0μg/kg~約10mg/kg体重以内、又は約100μg/kg~約10mg/kg体重以内、又は約1.0mg/kg~約10mg/kg体重以内、又は約10mg/kg~約100mg/kg体重以内、又は約50mg/kg~約150mg/kg体重以内、又は約100mg/kg~約200mg/kg体重以内、又は約150mg/kg~約250mg/kg体重以内、又は約200mg/kg~約300mg/kg体重以内、又は約250mg/kg~約300mg/kg体重以内の、本発明による使用のための化合物の有効量である。使用できる他の投与量は、約0.01mg/kg体重、約0.1mg/kg体重、約1mg/kg体重、約10mg/kg体重、約20mg/kg体重、約30mg/kg体重、約40mg/kg体重、約50mg/kg体重、約75mg/kg体重、約100mg/kg体重、約125mg/kg体重、約150mg/kg体重、約175mg/kg体重、約200mg/kg体重、約225mg/kg体重、約250mg/kg体重、約275mg/kg体重、又は約300mg/kg体重である。
【0188】
NS2B-NS3プロテアーゼ阻害剤は、単回投与又は複数回投与で投与できる。適切な場合、連続投与も適用され得る。連続灌流による治療用組成物の用量は、灌流が起こる期間にわたって調整された、単回又は複数回の注射によって与えられる用量と同等であり得る。投与されるNS2B-NS3プロテアーゼ阻害剤の量は、治療される対象、対象の体重、投与方法、及び医師の判断に依存し得る。治療計画も同様に異なり得、多くの場合、損傷又は症状の種類及び位置、疾患の進行、並びに患者の健康状態及び年齢に依存する。
【0189】
いくつかの実施形態では、NS2B-NS3プロテアーゼ阻害剤は、全身的に又は局所注射によって患者に投与され得る。全身投与は、静脈内送達又は腹腔内送達によって行うことができる。NS2B-NS3プロテアーゼ阻害剤は、血中約2~20mg/mlの循環レベルに達するように投与することができ、又は約100~300mgの用量を患者に送達することができる。
【0190】
本発明による使用のための化合物又は組成物は、1日1回の用量で投与してもよく、又は1日総用量を1日2、3又は4回の分割投与量で投与してもよい。
【0191】
本発明の好ましい実施形態では、「対象」、「個体」、又は「患者」は、個々の生物、好ましくは脊椎動物、より好ましくは哺乳動物、さらにより好ましくは霊長類、最も好ましくはヒトであると理解される。対象は、好ましくは、本明細書に記載の疾患若しくは状態と診断された対象、又は本明細書に記載の疾患又は状態に罹患している疑いのある対象、又は本明細書に記載の疾患若しくは状態が蔓延している地域に居住しているか、若しくは居住していた対象であり、より好ましくは、対象は診断されている。
【0192】
本発明の化合物は、シトクロムp450を阻害しないことが見出された。したがって、本発明は、シトクロムp450を阻害することが知られている併用薬(comedication)を有する対象を治療するのに適している。当業者は、どの薬剤がシトクロムp450を阻害するかを知っており、対象はその事実を知っている可能性があり、治療する医師に知らせることができる。
【0193】
本発明のさらに好ましい実施形態では、ヒトは、成人、例えば18歳以上の人である。さらに、本明細書において、成人の平均体重は62kgであることが理解されるが、平均体重は国によって異なることが知られている。したがって、本発明の別の実施形態では、成人の平均体重は、約50~90kgの間である。本明細書において定義される有効用量は、平均体重を有する対象に限定されないことが理解される。好ましくは、対象は、18.0~40.0kg/m2のBMI(肥満指数)を有し、より好ましくは18.0~30.0kg/m2のBMIを有する。
【0194】
或いは、治療対象は、小児、例えば17歳以下の人である。さらに、治療対象は、誕生から思春期の間、又は思春期から成人までの間の人であり得る。本明細書では、思春期は女性では10~11歳、男性では11~12歳で始まると理解される。さらに、治療対象は、新生児(生後28日まで)、乳児(0~1歳)、幼児(1~3歳)、未就学児(3~5歳)、学齢期の小児(5~12歳)又は青年(13~18歳)であり得る。
【0195】
治療中に有効範囲を維持するために、化合物又は組成物は、1日1回、又は2、3、4、若しくは5日に1回投与され得る。しかし、好ましくは、化合物は少なくとも1日1回投与され得る。したがって、好ましい実施形態では、本発明は、対象者に対して、1日4回、3回、2回、又は1回以下、好ましくは1日1回投与されることを特徴とする、本発明による使用のための化合物、又は本発明による使用のための組成物に関する。1日総投与量は、1日1回の用量として投与され得る。或いは、化合物は少なくとも1日2回投与される。したがって、本明細書に定義される化合物は、1日1回、2回、3回、4回又は5回投与され得る。したがって、1日総投与量をいくつかの用量(単位)に分割して、本明細書で定義される1日総投与量が投与され得る。好ましい実施形態では、化合物は1日2回投与される。さらに、「1日2回」、「bid」、及び「bis in die」という用語は、本明細書において互換的に使用できることが理解される。
【0196】
好ましい実施形態では、化合物又は組成物は、毎週1回、より好ましくは8、9、10、11、12、13、又は14日ごとに1回、最も好ましくは14日ごとに1回投与される。他の実施形態では、化合物又は組成物は、15、16、17、18、19、20、又は21日ごとに1回、例えば21日ごとに1回投与される。
【0197】
好ましい実施形態では、1日総投与量は、1日あたり数回に分割される。これらの個別の用量は異なり得る。例えば、各1日総投与量について、1回目の用量は2回目の用量よりも多量の化合物を含むか、又はその逆であり得る。しかし、好ましくは、化合物は、同様の用量又は等しい用量で投与される。したがって、最も好ましい実施形態では、化合物は、2回の類似の用量又は等しい用量で、1日2回投与される。
【0198】
本発明のさらに好ましい実施形態では、本明細書で上記に定義した化合物の1日総投与量を、少なくとも2回の別々の用量に分けて投与する。少なくとも2回の別々の用量の投与間の間隔は、少なくとも約0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12時間であり、好ましくは、少なくとも2回の別々の用量間の間隔は、少なくとも約4、5、6、7、8、9、10、11又は12時間であり、より好ましくは、少なくとも2回の別々の用量間の間隔は、少なくとも約8、9、10、11又は12時間である。
【0199】
また、本明細書では、本明細書に記載の疾患又は症状を治療するのに適しており、治療するためのキットも提供される。キットは、本明細書に記載の化合物又は組成物のいずれかを含み得る。キットは、本明細書の他の箇所に記載されているプロテアーゼ阻害剤又は抗ウイルス剤などの、1つ以上の追加の薬剤をさらに含むことができる。キットはさらに、キットの使用説明書(例えば、対象において本明細書の他の箇所に記載される疾患又は状態を治療するための説明書)、容器、投与手段、又は鎮痛手段を含むことができる。
【0200】
一般的定義
構造式又は化学名がキラル中心を有すると当業者に理解されているが、キラリティーが示されていない場合、各キラル中心について、ラセミ混合物(鏡像異性体過剰を有する)、純粋なR鏡像異性体、及び純粋なS鏡像異性体のいずれかの3つ全てを個別に参照する。多くの場合部分と称される分子の断片が表される場合、点線又は波線はどの結合がその断片を分子全体に連結しているかを示し;或いは、アスタリスク(*)は、表された部分が分子の残りの部分と連結している箇所を示す。このアスタリスクは原子を意味するものではなく、点線又は波線が交差する結合も、どの原子が結合の非部分側にあるかについての情報を伝えるものではない。これら全ては当技術分野で公知であり、通常行われている。
【0201】
本発明で提供される化合物及び使用のための化合物は、任意選択により置換することができる。適切な任意選択による置換は、ハロゲンによる-Hの置換である。好ましいハロゲンは、F、Cl、Br、及びIである。さらに適切な任意選択による置換は、1つ以上の-Hの、-NH2、-OH、=O、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルケン、ハロアルケン、アルキン、ハロアルキン、及びシクロアルキルによる置換である。アルキル基は、一般式CnH2n+1を持ち、直鎖又は分岐鎖であり得る。非置換アルキル基はまた、環状部分を含んでもよく、したがって、付随する一般式CnH2n-1を有し得る。任意選択により、アルキル基は、本明細書でさらに特定される1つ以上の置換基によって置換される。アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、2-プロピル、t-ブチル、1-ヘキシル、1-ドデシルなどが含まれる。本出願全体を通じて、原子の原子価は常に満たされるべきであり、必要に応じてHを付加又は除去できる。
【0202】
別段の記載がない限り、-Hは、C1-C12アルキル基、C2-C12アルケニル基、C2-C12アルキニル基、C3-C12シクロアルキル基、C5-C12シクロアルケニル基、C8-C12シクロアルキニル基、C1-C12アルコキシ基、C2-C12アルケニルオキシ基、C2-C12アルキニルオキシ基、C3-C12シクロアルキルオキシ基、ハロゲン、アミノ基、オキソ基、シリル基からなる群から独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択により置換されていてもよく、ここで、シリル基は式(R2)3Si-で表すことができ、R2は、C1-C12アルキル基、C2-C12アルケニル基、C2-C12アルキニル基、C3-C12シクロアルキル基、C1-C12アルコキシ基、C2-C12アルケニルオキシ基、C2-C12アルキニルオキシ基及びC3-C12シクロアルキルオキシ基からなる群から独立して選択され、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基及びシクロアルキルオキシ基は、任意選択により置換されており、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基及びシクロアルコキシ基は、任意選択により、O、N及びSからなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子によって中断される。好ましくは、これらの任意選択による置換は、20個以下の原子、より好ましくは15個以下の原子を含む。
【0203】
本発明に関連して物質のパラメーターが論じられるときは常に、別段の指定がない限り、パラメーターは生理学的条件下で決定、測定、又は明示されるものと想定される。生理学的条件は当業者に公知であり、水性溶媒系、大気圧、6~8のpH値、室温~約37℃(約20℃~約40℃)の範囲の温度、及び適切な濃度の緩衝塩又は他の成分を含む。電荷は多くの場合、平衡に関連していることが理解されている。電荷を帯びている又は担持していると言われる部分は、そのような電荷を担持していない又は帯びていない状態よりも、そのような電荷を担持している又は帯びている状態で見られることが多い部分である。したがって、当業者には理解されるように、本開示で帯電していると示されている原子は、特定の条件下で帯電していない可能性があり、中性部分は特定の条件下で帯電している可能性がある。
【0204】
本発明の文脈において、評価されるパラメーターの減少又は増加又は抑制は、そのパラメーターに対応する値の少なくとも5%の変化を意味し得る。より好ましくは、値の減少又は増加は、少なくとも10%の変化を意味し、さらにより好ましくは、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも90%、又は100%の変化を意味する。後者の場合、パラメーターに関連する検出可能な値がなくなっている可能性がある。このような用語は、完全な消失を含み得るが、必ずしも含むわけではない。
【0205】
この文書に記載される化合物又は組成物の医薬としての使用は、医薬の製造における前記化合物又は組成物の使用として解釈することもできる。同様に、化合物又は組成物が医薬として使用されるときは常に、それは医薬の製造、又は方法においても使用され得る。
【0206】
本明細書及びその特許請求の範囲において、「含む」という動詞及びその活用は、その単語に続く項目が含まれることを意味する非限定的な意味で使用されるが、特に言及されていない項目は除外されない。さらに、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」による要素への言及は、文脈上、要素が1つだけ存在することを明確に要求しない限り、要素が2つ以上存在する可能性を排除するものではない。したがって、不定冠詞「a」又は「an」は、通常、「少なくとも1つ」を意味する。「約」又は「およそ」という語は、数値(例えば、約10)に関連して使用される場合、好ましくは、その値が、所与の値(10)の10%前後、又は1%前後であり得ることを意味する。
【0207】
本明細書で引用される全ての特許及び文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0208】
本発明の文脈において、細胞又はサンプルは、対象から得られたサンプルからの細胞又はサンプルであり得る。このような得られたサンプルは、対象から以前に得られたサンプルであってもよい。このようなサンプルは、ヒト対象から得ることができる。このようなサンプルは、非ヒト対象から得ることができる。
【0209】
塩は、好ましくは薬学的に許容される塩である。塩は、好ましくは、カチオン性対イオンが存在する塩基付加塩である。適切な塩の例は、アンモニア塩などの非金属塩、並びにナトリウム塩及びカリウム塩などの金属塩である。当業者は、適切な塩形態を選択することができ、それらの製造手段は周知である(例えば、“Occurrence of pharmaceutically acceptable anions and cations in the Cambridge Structural Database”Haynes et al.,DOI:10.1002/jps.20441を参照)。塩は、酸付加塩であってもよい。酸付加塩は当技術分野で公知であり、例としてはHCl塩及び酢酸塩が挙げられる。本発明の任意の塩の一部を形成する特定のアニオン又はカチオンは、塩が全体として薬理学的に許容される限り、重要ではないことが認識されるべきである。薬学的に許容される塩及びそれらの調製方法及び使用のさらなる例は、Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection and Use(2002)に示されている。これらの塩は、化合物の単離及び精製中にインサイツで、又は遊離塩基形態の精製化合物を適切な有機若しくは無機酸と別々に反応させ、そのように形成された塩を単離することによって、調製することができる。代表的な塩としては、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、ホウ酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩、メシル酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩、メタンスルホン酸塩、及びラウリルスルホン酸塩などが挙げられる。これらは、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ金属及びアルカリ土類金属に基づくカチオン、並びに非毒性のアンモニウム、第四級アンモニウム、並びにアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミンなどを含むが、これらに限定されないアミンカチオンを含み得る。(S.M.Barge et al.,J.Pharm.Sci.(1977)66,1を参照)。
【0210】
「薬学的に許容される」又は「薬理学的に許容される」という表現は、ヒトに投与した場合にアレルギー又は同様の有害反応を生じない分子実体及び組成物を指す。活性成分としてタンパク質を含有する水性組成物の調製は、当技術分野においてよく理解されている。典型的には、このような組成物は、溶液又は懸濁液のいずれかとして、注射剤として調製され;注射前の液体中の溶液又は懸濁液に適した固体形態も調製することができる。
【0211】
本明細書では、読者を補助するために変数内で太字が使用され得るが、これは、それ以上の定義を意味するものではない。本明細書で使用される場合、対象は、哺乳動物及び非哺乳動物の両方を意味する。哺乳動物には、例えば、ヒト;ヒト以外の霊長類、例えば類人猿及びサル;ウシ;ウマ;ヒツジ;ラット;マウス;ブタ;及びヤギが含まれる。非哺乳動物には、例えば、魚類及び鳥類が含まれる。本明細書に記載の方法又は組成物の任意の実施形態は、本明細書に記載の他の方法又は組成物に関して実施できることが企図される。以下の実施例は、本明細書に記載される方法及び組成物の特定の態様をさらに説明することを意図しており、特許請求の範囲を限定することを意図したものではない。
【0212】
以下は、番号を付した本発明の実施形態である。
【0213】
1.一般式(0)の化合物又はその塩:
【化15】
(式中、
連結は、存在しないか、又は1、2、3、4、5、若しくは6原子の長さの連結部分であり、原子は、炭素、窒素、酸素、及び硫黄から選択され、連結部分は、任意選択により不飽和であり、連結部分の各原子は、任意選択により、ハロゲン又は酸素原子(-OH部分又は=O部分として)又は硫黄原子(-SH部分又は=S部分として)又は窒素部分(-NH2部分又は=NH部分として)で置換されており、連結は、AA
1のN末端に尾部を接続するか、又は連結とAA
1のN末端アミンが一緒になって、そのような連結部分を表し、
尾部は、H、C1~24アルキル、-O-C1~24アルキル、5~20員(ヘテロ)アリール、又は3~20員(ヘテロ)シクロアルキルであり、尾部は、任意選択により、不飽和であり、尾部は、任意選択により、ハロゲン、C1~3(ハロ)アルキル、又はC1~3(ハロ)アルコキシルで置換されており;
頭部は、-H、-h1、-O-h1、-C(O)-h1、-C(O)-N(H)h1、-N(h2)h1であるか、又は頭部は、-C1~24アルキル、-(NH)
0-1-5~20員(ヘテロ)アリール、又は-(NH)
0-1~3~20員(ヘテロ)シクロアルキルであり、頭部は、任意選択により不飽和であり、頭部は、任意選択により、ハロゲン、C1~3(ハロ)アルキル、又はC1~3(ハロ)アルコキシルで置換されており;
h1は、-H、-OH、-S(O)
0~2-OH、C1~8(ハロ)アルキル、C1~8(ハロ)アルコキシル、-S(O)
0~2-C1~8(ハロ)アルキル、3~8員(ヘテロ)シクロアルキル、-S(O)
0~2-[3~8員(ヘテロ)シクロアルキル]、-C
1~4アルキル-[3~8員(ヘテロ)シクロアルキル]、5~6員(ヘテロ)アリール、-S(O)
0~2-[5~6員(ヘテロ)アリール]、又はC
1~4アルキル[5~6員(ヘテロ)アリール]であり、h1は、任意選択により、ハロゲン、C1~3(ハロ)アルキル、又はC1~3(ハロ)アルコキシルで置換されており;
h2は、-H、-OH、-S(O)
0~2-OH、C1~8(ハロ)アルキル、C1~8(ハロ)アルコキシル、-S(O)
0~2-C1~8(ハロ)アルキル、3~8員(ヘテロ)シクロアルキル、-S(O)
0~2-[3~8員(ヘテロ)シクロアルキル]、-C1~4アルキル-[3~8員(ヘテロ)シクロアルキル]、5~6員(ヘテロ)アリール、-S(O)
0~2-[5~6員(ヘテロ)アリール]、又はC1~4アルキル[5~6員(ヘテロ)アリール]であり、h2は、任意選択により、ハロゲン、C1~3(ハロ)アルキル、又はC1~3(ハロ)アルコキシルで置換されており;
AA
1は、それがドナーカルボン酸を提供するアミド結合を介して隣接するAA
nに接続され、そのアミンを介して連結に接続される、アミノ酸残基であり;
AA
nは、各インスタンスについて独立してアミノ酸残基であり、頭部に隣接する残基のカルボニル部分は、代わりに頭部と一緒になって、ハロゲン、C1~3(ハロ)アルキル、又はC1~3(ハロ)アルコキシルで任意選択により置換された、-B(OH)
2若しくはそのC1~6アルキルエステル、-P(O)(OH)
2若しくはそのC1~6アルキルエステル、-S(O)
2-Cl、又は5~12員(ヘテロ)アリールアルコキシで置換されていてもよく;
mは、1、2、3、4、又は5である)。
【0214】
2.連結が1又は2原子の長さを有する、実施形態1に記載の化合物。
【0215】
3.連結が1原子の長さを有する、実施形態1又は2に記載の化合物。
【0216】
4.連結が少なくとも1つの炭素原子を有する、実施形態1~3のいずれか1つに記載の化合物。
【0217】
5.連結が最大で1つの窒素、酸素、又は硫黄原子を有する、実施形態1~4のいずれか1つに記載の化合物。
【0218】
6.連結が、-C(O)-、-C(=S)、-C(=NH)-、-(CH2)1~6-、-O-(CH2)2~4-C(O)-、-O-(CH2)2~4-C(=S)-、-O-(CH2)2~4-C(=NH)-、-S-(CH2)2~4-C(O)-、-S-(CH2)2~4-C(=S)-、-S-(CH2)2~4-C(=NH)-、-NH-(CH2)2~4-C(O)-、-NH-(CH2)2~4-C(=S)-、又は-NH-(CH2)2~4-C(=NH)-である、実施形態1~5のいずれか1つに記載の化合物。
【0219】
7.連結が、-C(O)-、-C(=S)、-C(=NH)-、-NH-(CH2)2~4-C(O)-、-NH-(CH2)2~4-C(=S)-、又は-NH-(CH2)2~4-C(=NH)-である、実施形態1~6のいずれか1つに記載の化合物。
【0220】
8.連結が、-C(O)-、-C(=S)-、又は-C(=NH)-である、実施形態1~7のいずれか1つに記載の化合物。
【0221】
9.連結が、-C(O)-である、実施形態1~8のいずれか1つに記載の化合物。
【0222】
10.化合物が、一般式(1):
【化16】
の化合物である、実施形態1~9のいずれか1つに記載の化合物又はその塩。
【0223】
11.mが、1、2、又は3である、実施形態1~10のいずれか1つに記載の化合物。
【0224】
12.mが、2又は3である、実施形態1~11のいずれか1つに記載の化合物。
【0225】
13.mが2である、実施形態1~12のいずれか1つに記載の化合物。
【0226】
14.mが3である、実施形態1~12のいずれか1つに記載の化合物。
【0227】
15.尾部が、
メチル若しくはエチル若しくはヘキサニル若しくはヘプタニル若しくはノナニル若しくはウンデカニル若しくはトリデカニル若しくはペンタデカニル若しくはノナデカニルなどのC1~20アルキル、
-O-ブチルなどの-O-C1-16アルキル、
アダマンタニル若しくはシクロヘキシルなどの3~12員(ヘテロ)シクロアルキル、又は
フェニル若しくはビフェニル若しくはビチオフェンなどの5~12員(ヘテロ)アリール又はメトキシインドールなどの置換インドール
である、実施形態1~14のいずれか1つに記載の化合物。
【0228】
16.頭部が、
H若しくは-OH;
-C(O)NH-Bn若しくは-C(O)-NH2などの-C(O)-N(H)h1;
フェニルなどの5~10員(ヘテロ)アリール、
メチルなどのC1~4アルキル
-NH2などの-N(H)h1などの-N(h2)h1、-NH(プロピル)若しくは-NH(ヘキシル)若しくは-NH(オクチル)若しくは-NH(ヘキサデシル)などの-NH(C1~6アルキル)、NH-S(O)2-シクロプロピルなどの-NH-S(O)2-C1~6(シクロ)アルキル、例えば-NH-CH2-メトキシフェニル若しくは-NH-CH2-トリフルオロメチルフェニル若しくは-NH-ベンジルなどの-NH-CH2-(5~6員アリール);又は-N(CH3)2などの-N(C1~6アルキル)2、又は-N(CH3)(OCH3)などの-N(C1~6アルキル)(C1~6アルコキシル)であるか;
又は頭部に隣接するAAnのカルボニル部分が頭部と一緒になって-B(OH)2で置換されているか、又は一緒になって、5-メチル-4-アザ-オキサゾール-2-イルなどの任意選択により置換された5員ヘテロアリールを形成する、実施形態1~15のいずれか1つに記載の化合物。
【0229】
17.アミノ酸残基が、任意選択により置換された-NH-C(sc1)(sc2)-C(O)-、又は任意選択により置換され、任意選択により不飽和であるプロリン又はピペコリン酸で表され、
sc1は、各インスタンスについて独立してH又は-C1~3(ハロ)アルキル又は-CH2-(ハロ)フェニルであり、
sc2は、各インスタンスについて独立してH、又は任意選択により置換され、任意選択により不飽和であるC2~6(ハロ)アルキル-N(sc1)2、C1~6(ハロ)アルキル、5~10員(ヘテロ)アリール、C1~4(ハロ)アルキル-[5~10員(ヘテロ)アリール]、C2~6(ハロ)アルキル-N(sc1)C(N(sc1)2)(=Nsc1)、C1~6(ハロ)アルキル-C(O)-N(sc1)2、又はC1~4(ハロ)アルキル-[3~10員(ヘテロ)シクロアルキル]であり
任意選択による置換は、好ましくは、ハロゲン、C1~3(ハロ)アルキル、C1~3(ハロ)アルコキシ、グアニジニルであるか、又はフェニル若しくはベンジル若しくはイミダゾリル若しくは-O-ピリジニル若しくはメチル-ジヒドロピロリルなどの、任意選択により不飽和であり、任意選択により(ハロ)メチル化された、-(O)0-1-(CH2)0-1-5~6員(ヘテロ)シクロアルキルである、実施形態1~16のいずれか1つに記載の化合物。
【0230】
18.アミノ酸残基が、任意選択により置換され、任意選択により不飽和であるアラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、オルニチン、ピロリシン、プロリン、ピペコリン酸、グルタミン、アルギニン、セリン、スレオニン、セレノシステイン、バリン、トリプトファン、若しくはチロシン、又はそれらのホモ類似体若しくはノル類似体である、実施形態1~17のいずれか1つに記載の化合物。
【0231】
19.アミノ酸残基が、任意選択により置換され、任意選択により不飽和であるリジン、オルニチン、アルギニン、ヒスチジン、フェニルアラニン、アラニン、グルタミン、トリプトファン、プロリン、若しくはバリン、又はホモフェニルアラニン、ホモヒスチジン、ピペコリン酸、及びフェニルグリシンなどのそのホモ類似体若しくはノル類似体である、実施形態1~18のいずれか1つに記載の化合物。
【0232】
20.AA1が、リジン、アルギニン、フェニルアラニン、ヒスチジン、アラニン、バリン、ロイシン、又はトリプトファンである、実施形態1~19のいずれか1つに記載の化合物。
【0233】
20.AA1が、リジン、アルギニン、又はアラニンである、実施形態1~19のいずれか1つに記載の化合物。
【0234】
21.AA1がリジンである、実施形態1~20のいずれか1つに記載の化合物。
【0235】
22.AA1がアルギニンである、実施形態1~20のいずれか1つに記載の化合物。
【0236】
23.AA1がアラニンである、実施形態1~20のいずれか1つに記載の化合物。
【0237】
24.mが2であり、AA1及びAAnの2つのインスタンスが一緒になって、KAK、KAH、KAF、KA-ホモPhe、KAA、KPA、KPK、FAF、HAH、RQK、RQ-ホモPhe、RNF、RAF、又はRQFで表されるトリペプチドを形成する、実施形態1~23のいずれか1つに記載の化合物。
【0238】
25.mが3であり、AA1及びAAnの3つのインスタンスが一緒になって、
KAAA、KAAF、KAAH、KAAK、KAAW、KAA-ホモHis、KAA-ホモPhe、KAA-フェニルGly、KAA-(4-OBn-フェニルGly)、
KPAF、KPAH、KPAK、KAPK、KPAW、KPA-ホモHis、KPA-ホモPhe、KPA-フェニルGly、KPA-(4-OBn-フェニルGly)、
AAAK、AAKA、AKAA、AKAK、APAK、A-(4-O-(4-Py)-Pro)-AK、AVAK、AKKK、LKAK、LKKK、VKAK、
KPHK、KPH-ホモPhe、K-(ピペコリン酸)-AK、K-(ピペコリン酸)-HK、KP-フェニルグリシン-K、K-(ピペコリン酸)-フェニルグリシン-K、
ARQK、ARQF、ARRK、FKKK、RARK、FAAF、又はWAAW
で表されるテトラペプチドを形成する、実施形態1~23のいずれか1つに記載の化合物。
【0239】
26.尾部が、少なくとも8つの炭素原子を含む、実施形態1~25のいずれか1つに記載の化合物。
【0240】
27.尾部が、ペンタデシルである、実施形態1~26のいずれか1つに記載の化合物。
【0241】
28.頭部が、合計で最大1~10個の炭素原子及びヘテロ原子を含むか、又は頭部に隣接するAAnのカルボニル部分が頭部と一緒になって-B(OH)2で置換されているか、又は一緒になって、5-メチル-4-アザ-オキサゾール-2-イルなどの任意選択によりメチル化された5員ヘテロアリールを形成する、実施形態1~27のいずれか1つに記載の化合物。
【0242】
29.頭部が、合計で最大1~10個の炭素原子及びヘテロ原子を含む、実施形態1~28のいずれか1つに記載の化合物。
【0243】
30.頭部が、合計で最大1~8個の炭素原子及びヘテロ原子を含む、実施形態1~29のいずれか1つに記載の化合物。
【0244】
31.頭部が、合計で最大1~7個の炭素原子及びヘテロ原子を含む、実施形態1~30のいずれか1つに記載の化合物。
【0245】
32.頭部が、-NH2である、実施形態1~27のいずれか1つに記載の化合物。
【0246】
33.化合物1~196のいずれか1つである、実施形態1~32のいずれか1つに記載の化合物。
【0247】
34.薬学的に許容される賦形剤と、実施形態1~33のいずれか1つに定義された化合物とを含む、組成物。
【0248】
35.組成物が医薬組成物である、実施形態34に記載の組成物。
【0249】
36.医薬としての使用のための、実施形態1~33のいずれか1つに記載の化合物。
【0250】
37.医薬としての使用のための、実施形態34~35のいずれか1つに記載の組成物。
【0251】
38.医薬が、ウイルス感染症又はウイルス感染症に関連する症状の治療における使用のためのものである、実施形態36又は37に記載の使用のための組成物又は化合物。
【0252】
39.ウイルスプロテアーゼを阻害する方法であって、ウイルスプロテアーゼを実施形態1~33のいずれか1つに定義された化合物と接触させるステップを含む、方法。
【0253】
40.ウイルスプロテアーゼを阻害する方法であって、ウイルスプロテアーゼを実施形態34又は35に定義された組成物と接触させるステップを含む、方法。
【0254】
41.ウイルスプロテアーゼがフラビウイルスプロテアーゼである、実施形態39又は40に記載の方法。
【0255】
42.ウイルスプロテアーゼが、デングウイルスプロテアーゼ、西ナイルウイルスプロテアーゼ、又はダニ媒介性脳炎ウイルスプロテアーゼである、実施形態39又は40に記載の方法。
【0256】
43.ウイルスプロテアーゼがデングウイルスプロテアーゼである、実施形態39又は40に記載の方法。
【0257】
44.ウイルスプロテアーゼが西ナイルウイルスプロテアーゼである、実施形態39又は40に記載の方法。
【0258】
45.ウイルスプロテアーゼがダニ媒介性脳炎ウイルスプロテアーゼである、実施形態39又は40に記載の方法。
【0259】
46.ウイルス感染症又はウイルス感染症に関連する状態を、それを必要とする対象において、治療する、予防する、又は遅延させる方法であって、実施形態1~33のいずれか1つに定義される化合物、又は実施形態34若しくは35に定義される組成物の有効量を対象に投与するステップを含む、方法。
【0260】
47.尾部が、少なくとも8つの炭素原子を含み、好ましくはペンタデシルであり;
頭部が、合計で最大1~10個、好ましくは1~8個、より好ましくは1~7個の炭素原子及びヘテロ原子を含むか、又は頭部に隣接するAAnのカルボニル部分が頭部と一緒になって-B(OH)2で置換されているか、又は一緒になって、5-メチル-4-アザ-オキサゾール-2-イルなどの任意選択によりメチル化された5員ヘテロアリールを形成し;
頭部が、-NH2である、実施形態1~33のいずれか1つに記載の化合物。
【実施例】
【0261】
略語
AA アミノ酸
Ac アセチル
AcOH 酢酸
Ala アラニン
AM アミノメチル
BB ビルディングブロック
Bn ベンジル
Boc tert-ブチルオキシカルボニル
Bs ブロシル
calcd 計算値
Cbz カルボキシベンジルカルボニル
CDI カルボニルジイミダゾール
CTC-Cl 3-クロロトリチルクロリド
Cyp シクロプロピル
DBU 1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン
DCM ジクロロメタン
DEAD アゾジカルボン酸ジエチル
DIC ジイソプロピルカルボジイミド
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン
DMAP 4-(N,N-ジメチル)アミノピリジン
DMF ジメチルホルムアミド
DMP デス・マーチン・ペルヨージナン
ESI エレクトロスプレーイオン化
Fmoc フルオレニルメトキシカルボニル
HATU ヘキサフルオロリン酸アザベンゾトリアゾール・テトラメチル・ウロニウム
hHis ホモヒスチジン
HMDS ビス(トリメチルシリル)アミド
HOBt ヒドロキシベンゾトリアゾール
Hpg ヒドロキシフェニルグリシン
HRMS 高分解能質量分析
Hyp ヒドロキシプロリン
IPA イソプロパン-2-オール
KHMDS カリウムビス(トリメチルシリル)アミド
LDA リチウムジイソプロピルアミド
LPPS 液相ペプチド合成
LRMS 低分解能質量分析
MBHA 4-メチルベンズヒドリルアミン
Mmt 4-メチルトリチル
MS 質量分析
Oxd オキサジアゾール
Oxyma エチルシアノ(ヒドロキシイミノ)アセテート
PDA ポリダイオードアレイ
Ph フェニル
PHTI フタルイミド
Pin (1S,2S,3R,5S)-2,6,6-トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタン-2,3-ジオール
Pip. ピペリジン
PPh3 トリフェニルホスフィン
Pro プロリン
quant. 定量的
rac ラセミ体
Rf 遅延係数
RP-HPLC 逆相HPLC
RT 室温
SFC 超臨界流体クロマトグラフィー
SOC 有機合成化学
SPPS 固相ペプチド合成
Su スクシンイミジル
TEA トリエチルアミン
TFA トリフルオロ酢酸
TFE トリフルオロエタノール
THF テトラヒドロフラン
TIC トータルイオンクロマトグラム
TIPS トリイソプロピルシラン
TLC 薄層クロマトグラフィー
TMS テトラメチルシラン
TsCl 塩化トシル
V 体積
wt 重量
【0262】
合成アプローチ
【化17】
【化18】
前のページのスキームは、合成手順に従って化合物クラスをカバーする化合物の例を示す。これには、合成の容易さによって分類された本発明の化合物が記載される。化合物は、1のグループ、2、3、4のグループ、5、6、7、8のグループ、9、10、11のグループ、及び12のグループにグループ化することができる。同じグループ内の異なる例では、同じ合成戦略であるが、異なるビルディングブロックを要した。それに応じて、同様の化合物を合成できる。ビルディングブロック及び中間体は、市販されているか、又は十分に確立された化学に従って得られる。全ての化合物は、全体的な脱保護及び分取HPLCによる精製後に得られた。
【0263】
スキーム1(次ページ)に示すように、実施例1のペプチド一級アミドは、RinkアミドMBHA樹脂及び市販のFmoc-AAを使用して、SPPSによって調製された(1~3)。
【0264】
実施例2、3、及び4による化合物は、CTC-Cl樹脂(Barlos樹脂)を使用して、SPPSによって側鎖が保護された状態で合成された、同じペプチド前駆体中間体1の後期誘導体化によって得られた(4)。
【0265】
実施例5~8による化合物は、アミドカップリングを介して側鎖保護ペプチド中間体2を適切なビルディングブロック1~4と連結させることによって得られた。中間体2は、CTC-Cl樹脂(Barlos樹脂)を使用して、SPPSで側鎖が保護された状態で合成された(4)。ビルディングブロック1及び2は、適切に保護されたLys前駆体から、他のアミノ酸(スキーム9のケトン(5、6)、スキーム11のヒドロキシアミド(7))について報告されている文献の手順を適用して調製されるか、又は医薬品の合成で一般的に見られる(スキーム10のオキサジアゾール(6-10))。ビルディングブロック4は、公知の文献手順(スキーム12)を適用したMattesonホモログ化(11)によって得られた(12、13)。実施例7(スキーム11)及び8(スキーム12)による化合物を得るために、全体的な脱保護の前に、適切な官能基相互変換を実施して、それぞれヒドロキシアミドをアルファケトアミドに酸化し(14)、臭化物をアミノ基に変換した(12)。
【0266】
スキーム1.実施例1~8のような化合物の合成アプローチ。
【化19】
実施例化合物9~11は、Rinkアミド樹脂を使用するSPPSによって得ることができるが、その合成にはビルディングブロック5~7としてのFmoc-AAのアドホック調製が必要であり、その合成はスキーム13~15に詳述されている。BB5は、スキーム13に詳述されているように、Behnam及び共同研究者ら(15、16)によって記載された手順を適用して調製された。BB6は、スキーム14に詳述されているように、Bloemhoff及び共同研究者らの手順(17)を適用して調製された。BB7は、スキーム15に詳述されているように、Elliot及び共同研究者ら(18)によって記載された手順を適用して調製された。
【0267】
スキーム2.実施例9~11の合成アプローチ。
【化20】
実施例12(スキーム16)による化合物は、予め構築された中間体3(i3)及び中間体4(i4)を連結するLPPS(19)を介して合成された。i4は、BB8及びBB9からLPPSによって調製された。Boc保護されたAA BB8は、市販のアミノ及びカルボキシル保護された市販のHyp(BB8a)(21)からミツノブ置換(20)によって得られた。BB9は、市販のAAからLPPSによって調製された。
【0268】
スキーム3.実施例12~13の逆合成アプローチ。
【化21】
一般的実験
全てのペプチドは、C18 Gemini-NX カラム、150×21.20mm、粒子サイズ10μm(Phenomenex,Utrecht,The Netherlands)、プレカラムガード並びに215及び254nmでのUV検出を備えたShimadzu LC-20A Prominenceシステム(Shimadzu,‘s Hertogenbosch,The Netherlands)を使用して、RP-HPLC(別段の記載がない限り)によって精製された。RP-HPLC溶出は、MeCN/milliQ H
2O溶液中の0.1%TFAを使用して実施した(別段の記載がない限り、H2O中10%MeCNの定組成で5分間、H
2O中10%から100%MeCNのグラジエントで20分間、溶媒流量10.0mL/分)。化学物質は、別段の記載がない限り、Fluorochem、VWR、Fischer Scientific、又はSigma-Aldrichから購入し、受け取ったまま使用した。乾燥DCM及びTHFは、ベンダーから高純度で入手し、MBraun Solvent Purification System(MBSPS)で精製した後、超高純度として使用した。別段の記載がない限り、反応は、磁気的に撹拌し、乾燥窒素又はアルゴンの不活性雰囲気下で実施した。標準的なシリンジ技術が、乾燥溶媒及び空気又は湿気に敏感な試薬の移し替えに適用された。反応は、分析用LCMS又はTLCのいずれかによって追跡した。R
f値は、示された溶媒混合物を用いてシリカゲル被覆プレート(Merck 60 F254)上で薄層クロマトグラフィー(TLC)を使用して得られる。検出は、UV光を使用して、及び/又はKMnO
4(7.5g/L)、K
2CO
3(50g/L)、及び10%NaOH(6.25mL/L)のH
2O溶液、又は(NH
4)
6Mo
7O
24・4H
2O(25g/L)及び(NH
4)
4Ce(SO
4)
4・2H
2O(10g/L)の10%H
2SO
4溶液のいずれかに浸した後、約150℃で炭化させることによって実施した。或いは、SiO
2に吸着させたI
2中にプレートを30秒間埋めてヨウ素染色を実施した。LCMSスペクトログラムは、MeOH/milliQ H
2O溶液中の0.1%ギ酸で溶出する(H
2O中5%MeOHの定組成で5分間、H
2O中5から95%MeOHのグラジエントで20分間、溶媒流量1.0mL/分)Gemini C18 110Aカラム、50mm×2mm、粒子サイズ3μm(Phenomenex,Utrecht,The Netherlands)を備えた、Shimadzu分析HPLC[LC-20AD(ポンプ)及びSPD-M30A(フォトダイオードアレイ検出器)]に接続されたThermo Finnigan LCQ-Fleetイオントラップ質量分析計(ESI-IT-MS)で記録された。NMRスペクトルは、別段の記載がない限り、Bruker Avance 400(400MHz)又はBruker Avance III(500MHz)分光計を使用して、MeOH(d4)、CDCl
3、又はD
2O溶液中で記録した。化学シフトは、残留非重水素化溶媒又はCDCl
3の内部標準としてのTMSに関してppmで示される。カップリング定数は、Hz単位のJ値として報告される。多重度を説明するために次の略語が使用される:s=シングルレット、d=ダブレット、t=トリプレット、q=カルテット、dd=ダブレットのダブレット、dp=クインテットのダブレット、ddd=ダブレットのダブレットのダブレット、dtd=ダブレットのトリプレットのダブレット、td=ダブレットのトリプレット、m=多重項。フラッシュカラムクロマトグラフィーは、ACROSシリカゲル(0.035~0.070mm、細孔直径約6nm)を使用して実行された。高分解能質量スペクトル(HRMS)は、JEOL AccuToF CS JMS-T100CS(ESI-HRMS)で記録された。通常のMS(ESI-MS)測定は、Thermo Finnigan LCQ-Q Advantage Maxで記録された。
【0269】
SPPSの一般的情報
Fmocの脱保護。樹脂をDCM(10mL/樹脂1グラム、1分)及びDMF(2×10mL/樹脂1グラム、1分)で膨潤させ、DMF中の20%pip(10mL/樹脂1グラム)で処理し、20分間振盪し続けた。懸濁液を濾過し、樹脂をDMF(2×10mL/樹脂1グラム、1分)で洗浄し、DMF中の20%pipの第2の部分(10mL/樹脂1グラム)で処理し、10分間振盪し続けた。次いで、懸濁液を濾過し、樹脂をDMF(3×10mL/樹脂1グラム、1分)、DCM(3×10mL/樹脂1グラム、1分)及びMeOH(3×10mL/樹脂1グラム、1分)で洗浄した。脱保護効率は、カイザー又はクロラニルテスト(Pro脱保護の場合)によって測定された。
【0270】
最初のアミノ酸の充填(RinkアミドMBHA/AM樹脂)。樹脂をDCM(1分)及びDMF(2×1分)で膨潤させた。Fmoc-アミノ酸(3当量)及びHOBt(3当量)をDMF(10mL/樹脂1グラム)に溶解し、得られた溶液を樹脂に加えた。次に、DIPCDI(3当量)を加え、反応器を16時間振盪させ続けた。次いで、懸濁液を濾過し、樹脂をDMF(3×1分)、DCM(3×1分)で洗浄した後、無水酢酸/ピリジンのキャッピング溶液(3:2、10mL/樹脂1グラム)で20分間処理した。次いで、懸濁液を濾過し、樹脂をDMF(3×1分)、DCM(3×1分)及びMeOH(3×1分)で洗浄した。カップリング効率は、カイザーテストによって測定された。
【0271】
最初のアミノ酸の充填(CTC-Cl Barlos樹脂)。Fmocアミノ酸(3当量)を乾燥DCM(10mL/樹脂1グラム)及びコリジン(3当量)に溶解し、得られた溶液を樹脂に加えた。反応器を一晩振盪させ続け、懸濁液を濾過した後、MeOH中5%DIPEAのキャッピング溶液(10mL/樹脂1グラム)で15分間処理した。次いで、懸濁液を濾過し、樹脂をDMF(3×1分)、DCM(3×1分)及びMeOH(3×1分)で洗浄した。
【0272】
ペプチドカップリング。樹脂をDCM(1分)及びDMF(2×1分)で膨潤させた。Fmoc-アミノ酸(3当量)及びHOBt(3当量)をDMF(10mL/樹脂1グラム)に溶解し、得られた溶液を樹脂に加えた。次に、DIPCDI(3当量)を加え、3時間振盪し続けた。次いで、懸濁液を濾過し、樹脂をDMF(3×1分)、DCM(3×1分)及びMeOH(3×1分)で洗浄した。カップリング効率は、カイザー又はクロラニルテスト(Proでのカップリングの場合)によって測定された。
【0273】
パルミチン酸とのカップリング。樹脂をDCM(1分)及びDMF(2×1分)で膨潤させた。パルミチン酸(3当量)及びHATU(2.9当量)をDCM/DMF(1:1、10mL/樹脂1グラム)に溶解し、得られた溶液を樹脂に加えた。次に、DIPEA(3当量)を加え、反応器を3時間振盪させ続けた。次いで、懸濁液を濾過し、樹脂をDMF(3×1分)、DCM(3×1分)及びMeOH(3×1分)で洗浄した。カップリング効率は、カイザー又はクロラニルテスト(Proでのカップリングの場合)によって測定された。
【0274】
ペプチド切断(RinkアミドMBHA/AM樹脂)。ペプチジル樹脂をDCMで洗浄し(3×1分)、窒素下で乾燥させた。樹脂を切断溶液(95%TFA、2.5%TIPS、2.5%H2O、5mL)で処理し、(別段の記載がない限り)2時間振盪させ続けた。混合物を濾過し、樹脂をDCMで洗浄し(3×1分)、濾液を収集し、合わせ、揮発性物質を真空中で除去した。粗残留物を乾燥Et2O中で粉砕し、遠心分離後、沈殿物をデカンテーションによって収集した。残留溶媒を高真空下で除去した。
【0275】
精製。粗物質を最小量のMeOHに溶解し(別段の記載がない限り)、0.20μmシリンジフィルターで濾過し、分取RP-HPLC(H2O中20%MeCNの定組成で5分間、H2O中20%から80%MeCNのグラジエントで15分間、溶媒流量10.0mL/分、30℃)を使用して精製した。生成物を含有する全ての画分を合わせ、真空中で5mLに濃縮した後、(別段の記載がない限り)凍結乾燥して、純物質を得た。
【0276】
ペプチド切断(CTC-Cl Barlos樹脂)。ペプチジル樹脂をDCMで洗浄し(3×1分)、窒素下で乾燥させた後、AcOH/TFE/DCM(1:1:8、10mL/樹脂1グラム)の切断溶液に懸濁し、1時間振盪させ、次いで、樹脂をDCM(3×1分)で洗浄し、全ての濾液を収集した。切断プロセスを合計3回繰り返し、次いで濾液を合わせ、真空中で10mLまで減らしてから凍結乾燥した。得られた白色粉末を乾燥Et2Oに懸濁し、遠心分離後、沈殿物をデカンテーションによって収集した。残留溶媒を高真空下で除去した。
【0277】
実施例1
スキーム4.実施例化合物1を生成する合成スキーム。
【化22】
N-((S)-6-アミノ-1-(((S)-1-(((S)-1-(((R)-1,6-ジアミノ-1-オキソヘキサン-2-イル)アミノ))-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソヘキサン-2-イル)パルミタミドビス-TFA[パルミトイル-Lys-Ala-Ala-D-Lys-NH
2ビス-TFA塩(実施例1)]を、700mgのRinkアミド樹脂(0.26mmol)を使用して、SPPSの一般的手順に従って調製した。粗ペプチドを分取HPLCによって精製し、生成物を含有する全ての画分を合わせ、真空中で5mLに濃縮した後、凍結乾燥して、実施例1のペプチド(140mg)を白色粉末として得た。
HRMS(ESI-MS m/z):C
34H
67N
7O
5[M+H]
+の質量計算値654.5276;実測値654.5268。
【0278】
実施例1の合成に従って作製された化合物:11、12、13、14、15、16、17、33、35、37、40、43、44、47、49、50、51、52、53、54、57、58、63、64、70、72、73、75、77、80、82、84、86、88、90、91、92、93、95、97、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、131、132、133、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、167、168、169、170、171、190、191、192、193、194、195、196
【0279】
実施例2
スキーム5.実施例化合物2を生成する合成スキーム。
【化23】
N
6-(tert-ブトキシカルボニル)-N
2-N
6-(tert-ブトキシカルボニル)-N
2-パルミトイル-L-リシル-L-アラニル-L-アラニル-L-リジン[パルミトイル-Lys(Boc)-Ala-Ala-Lys(Boc)-OH(中間体1)]を、2.5gのCTC-Cl樹脂(3.3mmol)を使用してSPPSの一般的手順に従って調製して、中間体1(1.7g、60%)を白色粉末として回収した。粗ペプチドをそのまま次の合成ステップで使用した。
LCMS(ESI-MS m/z):C
44H
83N
6O
10[M+H]
+の質量計算値855.62;実測値854.96
【0280】
パルミトイル-L-リシル-L-アラニル-L-アラニル-L-リジンビス-TFA[パルミトイル-Lys-Ala-Ala-Lys-OHビス-TFA塩(実施例2)]。中間体1(110mg、0.12mmol、1.0当量)のDCM(2.0mL)溶液に、TFA(2.0mL)を加え、得られた混合物を室温で2時間撹拌し続けた。反応混合物を真空中で濃縮し、粗残留物をH2Oに溶解し、0.20μmシリンジフィルターで濾過し、分取RP-HPLCを使用して精製した。生成物を含有する全ての画分を合わせ、真空中で5mLに濃縮した後、凍結乾燥して、実施例2(73mg、66%)を白色粉末として回収した。
LCMS(ESI-MS m/z):C36H72N7O5[M+H]+の質量計算値655.51、実測値655.28。
実施例2の合成に従って作製された化合物:45、46、134、188、189。
【0281】
実施例3
スキーム6.実施例化合物3を生成する合成スキーム。
【化24】
tert-ブチル((10S,13S,16S,19S)-19-(メトキシ(メチル)カルバモイル)-2,2,13,16-テトラメチル-4,11,14,17-テトラオキソ-10-パルミタミド-3-オキサ-5,12,15,18-テトラアザトリコサン-23-イル)カルバメート[パルミトイル-Lys(Boc)-Ala-Ala-Lys(Boc)-N(OMe)Me(中間体1a)]。中間体1(300mg、0.35mmol、1.0当量)のDMF溶液(5.0mL)に、NH(OMe)Me塩酸塩(41mg、0.42mmol、1.2当量)を0℃で加え、続いてHATU(150mg、0.38mmol、1.1当量)及びDIPEA(180μL、1.0mmol、3.0当量)を加えた。得られた混合物を室温で16時間かけて温め続けた後、50mLの氷及び10%クエン酸水溶液に注いでクエンチした。そのようにして形成された固体を濾過し、水(2×20mL)で洗浄し、真空中で乾燥させた。粗残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO
2、MeOH/DCM、1:19から1:20)で精製した。生成物を含有する画分を合わせ、真空中で濃縮し、残留物をジオキサンに溶解し、凍結乾燥して中間体1a(290mg、93%)を白色粉末として回収した。
LCMS(ESI-MS m/z):C
46H
88N
7O
10[M+H]
+の質量計算値898.66;実測値898.12。
【0282】
N-((5S,8S,11S,14S)-18-アミノ-5-(4-アミノブチル)-3,8,11-トリメチル-4,7,10,13-テトラオキソ-2-オキサ-3,6,9,12-テトラアザオクタデカン-14-イル)パルミタミドビス-TFA[パルミトイル-Lys-Ala-Ala-Lys-N(OMe)Meビス-TFA塩(実施例3)]。中間体1a(107mg、0.12mmol、1.0当量)のDCM(2.0mL)溶液に、TFA(2.0mL)を加え、得られた混合物を室温で2時間撹拌し続けた。反応混合物を真空中で濃縮し、粗残留物をH2Oに溶解し、0.20μmシリンジフィルターで濾過し、分取RP-HPLC(H2O中20%MeCNの定組成で5分間、H2O中20%から100%MeCNのグラジエントで15分間)を使用して精製した。生成物を含有する全ての画分を合わせ、真空中で5mLに濃縮した後、凍結乾燥して、実施例3(83mg、75%)を白色粉末として回収した。
LCMS(ESI-MS m/z):C36H72N7O5[M+H]+の質量計算値698.55、実測値698.48。
実施例3の合成に従って作製された化合物:18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、34、36、38、69、71、74、76、78、79、81、83、85、87、89、94、96、98、126、177、184、185、187、
【0283】
実施例4
スキーム7.実施例化合物4を生成する合成スキーム。
【化25】
tert-ブチル((10S,13S,16S,19S)-10-ホルミル-2,2,13,16-テトラメチル-4,12,15,18-テトラオキソ-19-パルミタミド-3-オキサ-5,11,14,17-テトラアザトリコサン-23-イル)カルバメート[パルミトイル-Lys(Boc)-Ala-Ala-Lys(Boc)-H(中間体1b)]。中間体1a(206mg、0.23mmol、1.0当量)のTHF溶液(10mL)に、LiAlH
4(36.0mg、0.95mmol、4.1当量)を0℃で加え、得られた混合物を0.5時間撹拌し続けた。次に、飽和NH
4Cl水溶液(20mL)を加えて反応混合物をクエンチし、EtOAc(40mL)で希釈した。相分離後、有機層をDCM(3.0mL)、IPA(3.0mL)及びMeOH(3.0mL)で希釈し、飽和酒石酸カリウム水溶液(3×20mL)、ブライン(2×10mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させて、真空中で濃縮して粗残留物を回収し、これをフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO
2、MeOH/CHCl
3、1:49から1:9)で精製した。生成物を含有する画分を合わせ、真空中で濃縮した。残留物をジオキサンに溶解し、凍結乾燥して、中間体1b(50mg、26%)を白色粉末として回収した。
LCMS(ESI-MS m/z):C
36H
72N
7O
5[M+H]
+の質量計算値839.62、実測値839.16。
【0284】
N-((S)-6-アミノ-1-(((S)-1-(((S)-1-(((S)-6-アミノ-1-オキソヘキサン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソヘキサン-2-イル)パルミタミドビスTFA[パルミトイル-Lys-Ala-Ala-Lys-HビスTFA塩(実施例4)]。中間体1b(110mg、0.12mmol、1.0当量)のDCM(2.0mL)溶液に、TFA(2.0mL)を加え、得られた混合物を室温で2時間撹拌し続けた。反応混合物を真空中で濃縮し、粗残留物をH2Oに溶解し、0.20μmシリンジフィルターで濾過し、分取RP-HPLCを使用して精製した。生成物を含有する全ての画分を合わせ、真空中で5mLに濃縮した後、凍結乾燥して、実施例4(41mg、33%)を白色粉末として回収した。
LCMS(ESI-MS m/z):C34H65N6O4[M-H2O+H]+の質量計算値621.51;実測値621.48。
実施例4の合成に従って作製された化合物:180、181、186。
【0285】
中間体2a及び2b
スキーム8.中間化合物2a及び2bを生成する合成スキーム。
【化26】
N6-(tert-ブトキシカルボニル)-N2-パルミトイル-L-リシル-L-アラニル-L-アラニン[パルミトイル-Lys(Boc)-Ala-Ala-OH(中間体2a)]を、0.50gのCTC-Cl樹脂(0.85mmol)を使用してSPPSの一般的手順に従って調製して、中間体2a(340mg、63%)を白色粉末として回収した。粗ペプチドをそのまま次の合成ステップで使用した。
MS(ESI-MS m/z):C
33H
63N
4O
7[M+H]
+の質量計算値627.5;実測値627.1。
【0286】
N6-((ベンジルオキシ)カルボニル)-N2-パルミトイル-L-リシル-L-アラニル-L-アラニン[パルミトイル-Lys(Cbz)-Ala-Ala-OH(中間体2b)]を、0.50gのCTC-Cl樹脂(0.85mmol)を使用してSPPSの一般的手順に従って調製して、中間体2b(320mg、60%)を白色粉末として回収した。粗ペプチドをそのまま次の合成ステップで使用した。
LCMS(ESI-MS m/z):C36H61N4O7[M+H]+の質量計算値661.45;実測値661.00。
【0287】
実施例5
スキーム9.実施例化合物5を生成する合成スキーム。
【化27】
ベンジルtert-ブチル(6-(メトキシ(メチル)アミノ)-6-オキソヘキサン-1,5-ジイル)(S)-ジカルバメート[Boc-Lys(Cbz)-N(OMe)Me(BB1a)]。Boc-Lys(Cbz)-OH(2.0g、5.3mmol、1.0当量)のDMF溶液(20.0mL)に、NH(OMe)Me塩酸塩(760mg、7.9mmol、1.5当量)を0℃で加え、続いてHATU(3.0g、7.9mmol、1.1当量)及びDIPEA(4.7mL、16mmol、3.0当量)を加えた。得られた混合物を10分間撹拌し続けた後、H
2O(50mL)で希釈することによってクエンチした。水層をEtOAc(3×100mL)で抽出し、合わせた有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO
2、EtOAc/石油エーテル、1:4)で精製して、ワインレブアミドBB1a(1.4g、64%)を淡黄色の油状物として回収した。
R
f=0.7(SiO
2、EtOAc)
LCMS(ESI-MS m/z):C
21H
34N
3O
6[M+H]
+の質量計算値424.24;実測値424.42。
【0288】
ベンジルtert-ブチル(6-オキソ-6-フェニルヘキサン-1,5-ジイル)(S)-ジカルバメート[Boc-Lys(Cbz)-Ph(BB1b)]。BB1a(1.5g、3.3mmol、1.0当量)のTHF(15mL)溶液に、THF中の1M PhMgBr(10.6mL、10.6mmol、3.0当量)を0℃で5分間かけて滴下した。得られた混合物を室温に温め、2時間撹拌した後、飽和NH4Cl水溶液(30mL)で希釈することによってクエンチした。水層をEtOAc(3×100mL)で抽出し、合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、EtOAc/石油エーテル、1:5)で精製して、BB1b(0.35g、22%)を淡黄色の油状物として回収した。
Rf=0.5(SiO2、EtOAc/石油エーテル、1:1)
LCMS(ESI-MS m/z):C25H33N2O5[M+H]+の質量計算値441.24;実測値441.49。
【0289】
ベンジル(S)-(5-アミノ-6-オキソ-6-フェニルヘキシル)カルバメートTFA[H-Lys(Cbz)-PhTFA塩(BB1)]。TFA/DCM溶液(1:5、7.0mL)に、BB1a(0.35g、0.79mmol、1.0当量)を0℃で加えた。得られた混合物を室温に温め、1時間撹拌した後、真空中で濃縮して、アミン塩酸塩BB1(0.25g、定量的)を粗物質として回収し、それをそのまま次の合成ステップで使用した。
LCMS(ESI-MS m/z):C20H25N2O3[M+H]+の質量計算値341.19 実測値341.37。
【0290】
tert-ブチル((9S,12S,15S,18S)-9-ベンゾイル-12,15-ジメチル-3,11,14,17-テトラオキソ-18-パルミタミド-1-フェニル-2-オキサ-4,10,13,16-テトラアザドコサン-22-イル)カルバメート[パルミトイル-Lys(Boc)-Ala-Ala-Lys(Cbz)-Ph(中間体2c)]。中間体2a(300mg、0.47mmol、1.0当量)のDMF(20mL)溶液に、CDIを0℃で加え、続いてイミダゾール(48mg、0.71mmol、1.5当量)を加えた。得られた混合物を室温に温め、10分間撹拌した後、BB1(97mg、0.28mmol、0.6当量)を加えた。得られた混合物を16時間撹拌した後、H2O(50mL)で希釈することによってクエンチした。水層をEtOAc(3×100mL)で抽出し、合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮して、中間体2c(0.4g、定量的)を粗物質として回収し、それをそのまま次の合成ステップで使用した。
(ESI-MS m/z):C53H85N6O9[M+H]+の質量計算値949.64、実測値949.65。
【0291】
N-((S)-6-アミノ-1-(((S)-1-(((S)-1-(((S)-6-アミノ-1-オキソ-1-フェニルヘキサン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソヘキサン-2-イル)パルミタミドビスTFA[パルミトイル-Lys-Ala-Ala-Lys-PhビスTFA塩(実施例5)]。TFA/TIPS/H2O(95:2.5:2.5、8.0mL)溶液に、中間体2c(0.40g、0.42mmol、1.0当量)を0℃で加えた。反応混合物を50℃に加熱し、2時間撹拌した後、真空中で濃縮し、粗残留物をRP-HPLCで精製した。生成物を含有する全ての画分を合わせ、真空中で5mLに濃縮した後、凍結乾燥して、実施例5(31mg、8%)を白色粉末として回収した。
MS(ESI-MS m/z):C40H71N6O5[M+H]+の質量計算値715.5 実測値715.5。
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ 8.27(d,J=8.0Hz,1H),7.98-7.91(m,5H),7.68-7.64(m,7H),7.53(t,J=8.0Hz,2H),5.30-5.21(m,1H),4.29-4.19(m,3H),2.74(t,J=7.6Hz,4H),2.51(t,J=2.0Hz,4H),2.10(t,J=7.6Hz,2H),1.83-1.70(m,1H),1.65-1.39(m,9H),1.41-1.14(m,34H),0.85(t,J=6.4Hz,3H).
実施例5の合成に従って作製された化合物:42、128、136、137、174、175
【0292】
実施例6
スキーム10.実施例化合物6を生成する合成スキーム。
【化28】
ベンジルtert-ブチル(6-(2-アセチルヒドラジニル)-6-オキソヘキサン-1,5-ジイル)(S)-ジカルバメート[Cbz-Lys(Boc)-NH-NH-Ac(BB2a)]。CBz-Lys(Boc)-OH(500mg、1.3mmol、1.0当量)のDMF溶液(13mL)に、アセチルヒドラジド(130mg、1.7mmol、1.3当量)を加え、続いてHATU(550mg、1.4mmol、1.1当量)及びDIPEA(690μL、1.7mmol、1.3当量)を加えた。得られた混合物を16時間撹拌し続けた後、H
2O(200mL)で希釈することによってクエンチした。水層をEtOAc(2×100mL)で抽出し、合わせた有機層をブライン(2×100mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO
2、MeOH/DCM、0:100から1:9)で精製して、BB2a(500mg、86%)を透明な結晶として回収した。
R
f=0.35(SiO
2、MeOH/DCM、1:9)
HRMS(ESI-MS m/z):C
21H
32N
4NaO
6[M+Na]
+の質量計算値459.22195、実測値459.22252。
【0293】
ベンジルtert-ブチル(1-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ペンタン-1,5-ジイル)(S)-ジカルバメート[Cbz-Lys(Boc)-Oxd-Me(BB2b)]。BB2a(850mg、1.9mmol、1.0当量)のDCM溶液(18mL)に、TsCl(742mg、3.9mmol、2.0当量)を添加し、続いてDIPEA(1.6mL、12mmol、6.3当量)及びDIPEA(690μL、1.7mmol、1.3当量)を加えた。得られた混合物を5時間撹拌し続けた後、それを飽和NH4Cl水溶液(20mL)で希釈することによってクエンチした。層分離後、水層をDCM(2×40mL)で抽出し、合わせた有機層をブライン(2×40mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、MeOH/DCM、0:100から1:9)で精製して、BB2b(590mg、72%)を黄色の油状物として回収した。
Rf=0.57(SiO2、MeOH/DCM、1:9)
HRMS(ESI-MS m/z):C21H30N4NaO5[M+Na]+の質量計算値441.21139、実測値441.21214。
【0294】
tert-ブチル(S)-(5-アミノ-5-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ペンチル)カルバメート[H-Lys(Boc)-Oxd-Me(BB2)]。化合物BB2b(580mg、1.4mmol、1.0当量)のMeOH(18mL)溶液に、炭素上10%Pd(150mg、0.14mmol、0.1当量)を加え、続いてバルーンを用いて水素ガスを加えた。得られた混合物を2時間撹拌した後、水素をパージし、Arでバックフィルした後、Celite(登録商標)で濾過し、MeOH(20mL)で洗浄した。濾液を真空中で濃縮して、アミンBB2(390mg、98%)を黄色の油状物として回収した。
Rf=0.32(SiO2、MeOH/DCM、1:9)。
HRMS(ESI-MS m/z):C12H24N4NaO3[M+Na]+の質量計算値307.17461、実測値307.17739。
【0295】
tert-ブチル((10S,13S,16S,19S)-2,2,13,16-テトラメチル-10-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)-4,12,15,18-テトラオキソ-19-パルミタミド-3-オキサ-5,11,14,17-テトラアザトリコサン-23-イル)カルバメート[パルミトイル-Lys(Boc)-Ala-Ala-Lys(Boc)-Oxd-Me(中間体2d))]。アミンBB2(140mg、0.50mmol、1.0当量)のDMF(5.0mL)溶液に、酸中間体2a(350mg、0.55mmol、1.1当量)を0℃で加え、続いてHATU(210mg、0.55mmol、1.1当量)及びDIPEA(0.33mL、1.9mmol、3.5当量)を加えた。得られた混合物を2時間撹拌し続けた後、0℃で、H2O(150mL)で希釈することによってクエンチした。そのように形成された沈殿物を濾過し、H2O(15mL)で洗浄し、MeOH(30mL)に溶解して回収した。メタノール溶液を真空中で濃縮し、粗残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、MeOH/DCM、0:100から1:9)で精製して、ペプチド中間体2d(110mg、24%)を白色非晶質固体として回収した。
Rf=0.36(SiO2、MeOH/DCM、1:9)。
HRMS(ESI-MS m/z):C46H84N8O9[M+H]+の質量計算値893.64395、実測値893.84690。
【0296】
N-((S)-6-アミノ-1-(((S)-1-(((S)-1-(((S)-5-アミノ-1-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ペンチル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソヘキサン-2-イル)パルミタミドビス-TFA[パルミトイル-Lys-Ala-Ala-Lys-Oxd-Meビス-TFA塩(実施例6)]。中間体2d(108mg、0.12mmol、1.0当量)のDCM(2.0mL)溶液に、TFA(2.0mL)を加え、得られた混合物を室温で2時間撹拌し続けた。反応混合物を真空中で濃縮し、粗残留物をH2Oに溶解し、0.20μmシリンジフィルターで濾過し、分取RP-HPLCを使用して精製した。生成物を含有する全ての画分を合わせ、真空中で5mLに濃縮した後、凍結乾燥して、実施例6(13mg、12%)を白色粉末として回収した。
HRMS(ESI-MS m/z):C36H68N8O5[M+H]+の質量計算値693.53909;実測値693.53875。
実施例6の合成に従って作製された化合物:1、2、3、4。
【0297】
実施例7
スキーム11.実施例化合物7を生成する合成スキーム。
【化29】
ベンジルtert-ブチル(6-オキソヘキサン-1,5-ジイル)(S)-ジカルバメート[Cbz-Lys(Boc)-H(BB3a)]。BB1a(2.2g、5.2mmol、1.0当量)の乾燥THF溶液(50mL)に、LiAlH
4(390mg、10.4mmol、2.0当量)を0℃で加え、得られた混合物を2時間撹拌し続けた。次に、1M KHSO
4水溶液(20mL)を加えて反応混合物をクエンチした後、THFを真空中で濃縮した。水性残留物を1M HCl水溶液(20mL)及びEt
2O(50mL)で希釈した。相分離後、水層をEt
2O(3×50mL)でさらに抽出し、合わせた有機層を1M HCl水溶液(3×20mL)、飽和NaHCO
3水溶液(3×20mL)、ブライン(3×20mL)で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、真空中で濃縮して、粗アルデヒドBB3a(1.7g、89%)を黄色の油状物として得た。粗物質をそのまま次の合成ステップで使用した。スペクトル及び分析データは、Lindgren及び共同研究者らによって以前に公開されたものと一致している(24)
【0298】
ベンジルtert-ブチル((5S)-6-シアノ-6-ヒドロキシヘキサン-1,5-ジイル)ジカルバメート(BB3b)。アルデヒドBB3a(240mg、0.66mmol、1.0当量)のDCM溶液(5mL)に、アセトンシアノヒドリン(0.30mL、3.3mmol、5.0当量)を加え、続いてTEA(0.91mL、6.6mmol、10当量)を加え、得られた混合物を室温で16時間撹拌し続けた。次に、反応混合物を真空中で濃縮し、残留物をEtOAc(20mL)に溶解し、有機層をH2O(3×10mL)、飽和NaHCO3水溶液(10mL)、ブライン(10mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、MeOH/DCM、0:100から1:9)で精製して、シアノヒドリンBB3b(250mg、96%)を黄色の油状物として回収した。
Rf=0.51(SiO2、MeOH/DCM、1:9)。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 7.36(s,5H),5.43(s,1H),5.13(s,2H),4.58(bs,1H),4.57(d,J=16.3Hz,1H),3.92(s,1H),3.82(s,1H),3.12(m,2H),1.50(m,15H).
【0299】
ベンジルtert-ブチル((5S)-7-アミノ-6-ヒドロキシ-7-オキソヘプタン-1,5-ジイル)ジカルバメート(BB3c)。シアノヒドリンBB3b(1.8g、4.6mmol、1.0当量)のMeOH溶液(30mL)に、LiOH(130mg、5.5mmol、1.2当量)を0℃で加え、続いてH2O2(10mL、115mmol、25当量)を加え、得られた混合物を4時間撹拌した。次に、反応混合物を5%Na2S2O3水溶液(30mL)で希釈することによってクエンチし、水層をDCM(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥させ、真空中で濃縮し、粗残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、MeOH/DCM、0:100から1:9)で精製して、ヒドロキシアミドBB3c(710mg、44%)を白色固体として回収した。
Rf=0.47(SiO2、MeOH/DCM、1:9)。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 7.33-7.13(m,5H),6.75(s,1H),5.56(s,1H),5.04(s,1H),4.96(d,J=7.6Hz,0H),4.24(s,0.5H),4.14(s,0.5H),3.78(s,1H),2.68(m,2H),2.18-1,85(m,2H),1.45(s,5H),1.43(s,4H).
【0300】
tert-ブチル((5S)-5,7-ジアミノ-6-ヒドロキシ-7-オキソヘプチル)カルバメート(BB3)。Cbz-保護ヒドロキシアミドBB3c(920mg、2.2mmol、1.0当量)のMeOH(22mL)溶液に、10%Pd/C(230mg、0.22mmol、0.1当量)を加え、H2雰囲気(1.0atm)で1時間かけて混合物を撹拌し続けた。次に、反応混合物をCelite(登録商標)で濾過し、パッドをMeOH(20mL)で洗浄し、合わせた濾液を真空中で濃縮し、残留物をジオキサン(10mL)に溶解した後、凍結乾燥して、遊離アミンBB3(610mg、99%)を白色固体として回収した。粗物質をそのまま次の合成ステップで使用した。
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ 7.20-7.13(2 br s,2H),6.75(t,1H),5.37(bs,1H),3.71(d,J=4.1Hz,1H),3.65(d,J=3.2Hz,1H),2.89(m,2H),2.79(m,1H),1.84-1.69(2 bs,2H),1.37(s,13H),1.27-1.09(m,2H).
【0301】
tert-ブチル((10S,13S,16S,19S)-19-(2-アミノ-1-ヒドロキシ-2-オキソエチル)-2,2,13,16-テトラメチル-4,11,14,17-テトラオキソ-10-パルミタミド-3-オキサ-5,12,15,18-テトラアザトリコサン-23-イル)カルバメート[パルミトイル-Lys(Boc)-Ala-Ala-Lys(Boc)-CH-OH-C=O-NH2(中間体2e)]。アミンBB3(100mg、0.36mmol、1.0当量)のDMF(5.0mL)溶液に、酸中間体2a(250mg、0.40mmol、1.1当量)を0℃で加え、続いてHATU(140mg、0.40mmol、1.1当量)及びDIPEA(0.22mL、1.3mmol、3.5当量)を加えた。得られた混合物を4時間撹拌し続けた後、0℃で、H2O(50mL)で希釈することによってクエンチした。そのように形成された沈殿物を濾過し、H2O(15mL)で洗浄し、MeOH(30mL)に溶解して回収した。メタノール溶液を真空中で濃縮し、粗残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、MeOH/DCM、0:100から1:9)で精製して、ペプチド中間体2e(83mg、26%)を白色非晶質固体として回収した。
Rf=0.41(SiO2、MeOH/DCM、1:9)
HRMS(ESI-MS m/z):C45H85N7NaO10[M+Na]+の質量計算値906.62556;実測値906.62468。
【0302】
tert-ブチル((10S,13S,16S,19S)-19-(2-アミノ-2-オキソアセチル)-2,2,13,16-テトラメチル-4,11,14,17-テトラオキソ-10-パルミタミド-3-オキサ-5,12,15,18-テトラアザトリコサン-23-イル)カルバメート[パルミトイル-Lys(Boc)-Ala-Ala-Lys(Boc)-C=O-NH2(中間体3a)]。中間体2e(83mg、0.094mmol、1.0当量)のDCM(8mL)溶液に、DMP(130mg、0.28mmol、3.0当量)を加え、得られた混合物を12時間撹拌し続けた。次に、飽和NaHCO3水溶液(6mL)及び10%Na2S2O3水溶液(6mL)で希釈することによって反応混合物をクエンチし、得られた混合物を0.33時間撹拌した後、DCM(20mL)で希釈し、さらに0.33時間撹拌した。層分離後、有機層を収集し、H2O(2×40mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、真空中で濃縮して、中間体3a(82mg、99%)を白色固体として回収した。粗物質をそのまま次の合成ステップで使用した。
HRMS(ESI-MS m/z):C45H83N7NaO10[M+Na]+の質量計算値904.60991;実測値904.61264。
【0303】
N-((S)-6-アミノ-1-(((S)-1-(((S)-1-(((S)-1,7-ジアミノ-1,2-ジオキソヘプタン-3-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソヘキサン-2-イル)パルミタミドビス-TFA[パルミトイル-Lys-Ala-Ala-Lys-C=O-NH2ビス-TFA塩(実施例7)]。中間体2d(83mg、0.094mmol、1.0当量)のDCM(2.0mL)溶液に、TFA(2.0mL)を加え、得られた混合物を室温で2時間撹拌し続けた。反応混合物を真空中で濃縮し、粗残留物をH2Oに溶解し、0.20μmシリンジフィルターで濾過し、分取RP-HPLCを使用して精製した。生成物を含有する全ての画分を合わせ、真空中で5mLに濃縮した後、凍結乾燥して、実施例7(29mg、34%)を白色粉末として回収した。
HRMS(ESI-MS m/z):C35H66N7O5[M-H2O+H]+の質量計算値664.51199;実測値664.51246。
実施例7の合成に従って作製された化合物:5、6、9、10、176。
【0304】
実施例8
スキーム12.実施例化合物8を生成する合成スキーム。
【化30】
(3aS,4S,6S,7aR)-2-(4-ブロモブチル)-3a,5,5-トリメチルヘキサヒドロ-4,6-メタノベンゾ[d][1,3,2]ジオキサボロール(BB4a)。カテコールボラン(2.3mL、21mmol、1.2当量)を4-ブロモブト-1-エン(2.2mL、22mmol、1.3当量)に加え、得られた混合物を100℃で3時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物を0℃で(1S,2S,3R,5S)-2,6,6-トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタン-2,3-ジオール(3.0g、18mmol、1.0当量)の乾燥THF(20mL)溶液に滴下し、得られた混合物を室温に温め、16時間撹拌した。次に、反応混合物を真空中で濃縮し、粗残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO
2、ヘプタン/EtOAc、99:1から9:1)で精製して、ボロン酸エステルBB4(4.5g、81%)を透明な油状物として回収した。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ:4.26(dd,J=8.7,2.0Hz,1H),3.41(t,J=6.9Hz,2H),2.34(ddt,J=14.5,8.7,2.4Hz,1H),2.22(dtd,J=10.8,6.1,2.2Hz,1H),2.08-2.00(m,1H),1.95-1.79(m,4H),1.63-1.51(m,3H),1.38(s,3H),1.29(s,3H),1.09(d,J=10.9Hz,1H),0.84(s,5H).
【0305】
(3aS,4S,6S,7aR)-2-((S)-5-ブロモ-1-クロロペンチル)-3a,5,5-トリメチルヘキサヒドロ-4,6-メタノベンゾ[d][1,3,2]ジオキサボロール(BB4b)。ボロン酸エステルBB4(2.7g、8.7mmol、1.0当量)のTHF/シクロヘキサン(2:1、30mL)溶液に、DCM(0.73mL、11mmol、1.3当量)を-20℃で加えた。次に、LDAの1M THF溶液(11mL、11mmol、1.3当量)を0.5時間かけて滴下し、続いてZnCl2の冷(-20℃)1MTHF溶液(14mL、14mmol、1.6当量)を滴下した。反応混合物を室温に温め、16時間撹拌した後、真空中で濃縮した。粗残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、ヘプタン/EtOAc、9:1から20:3)で精製して、クロロホモログ化生成物BB4b(3.2g、58%)を透明な油状物として回収した。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ:4.37(dd,J=8.8,2.0Hz,1H),3.51~3.38(m,3H),2.42-2.31(m,1H),2.30~2.19(m,1H),2.10(d,J=5.0Hz,1H),1.97-1.79(m,5H),1.55(d,J=0.7Hz,3H),1.42(s,3H),1.29(d,J=3.8Hz,3H),1.17(d,J=11.0Hz,1H),0.85(s,3H).
【0306】
(R)-5-ブロモ-1-((3aS,4S,6S,7aR)-3a,5,5-トリメチルヘキサヒドロ-4,6-メタノベンゾ[d][1,3,2]ジオキサボロール-2-イル)ペンタン-1-アミン塩酸塩(BB4)。クロロホモログ化生成物BB4b(1.9g、5.3mmol、1.0当量)の乾燥THF(13mL)溶液に、KHMDSの0.5Mトルエン溶液(13mL、6.4mmol、1.2当量)を-40℃で加え、得られた混合物を一晩撹拌した。次に、反応混合物を真空中で濃縮し、粗残留物をヘプタン(15mL)に懸濁した後、CELITE(登録商標)パッドを通して濾過し、ヘプタン(15mL)で洗浄した。濾液を合わせて真空中で濃縮し、残留物をヘプタン(15mL)に再溶解した後、HClの4M 1,4-ジオキサン溶液(3.0mL、12mmol、2.1当量)を-20℃で滴下して希釈した。得られた混合物を-20℃で16時間保存した後、真空中で濃縮し、粗残留物をヘプタン(15mL)中で粉砕した。固体をデカンテーションにより分離し、冷ヘプタン(15mL)で洗浄し、真空中で乾燥させて、アミン塩酸塩BB4(750mg、37%)を白色固体として回収した。
1H NMR(400MHz,cdcl3)δ 8.28(s,3H),4.46-4.35(m,1H),3.42(td,J=6.9,1.8Hz,2H),2.96(d,J=5.8Hz,1H),2.40~2.18(m,2H),2.10~2.03(m,1H),1.95-1.80(m,5H),1.80-1.56(m,3H),1.43(s,3H),1.29(s,3H),1.16(d,J=11.1Hz,1H),0.83(s,3H).
【0307】
ベンジル((S)-6-(((S)-1-(((S)-1-(((R)-5-ブロモ-1-((3aS,4S,6S,7aR)-3a,5,5-トリメチルヘキサヒドロ-4,6-メタノベンゾ[d][1,3,2]ジオキサボロール-2-イル)ペンチル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-6-オキソ-5-パルミトアミドヘキシル)カルバメート[パルミトイル-Lys(Cbz)-Ala-Ala-5-ブロモ-1-BO2Pin-ペンチルアミド(中間体2f)]。アミンBB4(170mg、0.44mmol、1.0当量)のDMF(8mL)溶液に、酸中間体2b(290mg、0.44mmol、1.0当量)を0℃で加え、続いてHATU(180mg、0.48mmol、1.1当量)及びDIPEA(0.17mL、0.96mmol、2.2当量)を加えた。得られた混合物を2時間撹拌し続けた後、0℃で、H2O(80mL)で希釈することによってクエンチした。そのように形成された沈殿物を濾過し、H2O(15mL)で洗浄し、MeOH(30mL)に溶解して回収した。メタノール溶液を真空中で濃縮し、粗残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、CHCl3/MeCN、7:3から1:4)で精製して、ペプチド中間体2f(152mg、35%)を白色非晶質固体として回収した。
Rf=0.3(SiO2、CHCl3/MeCN、1:4)
LCMS(ESI-MS m/z):C51H86BBrN5O8[M+H]+の質量計算値986.57;実測値986.88。
【0308】
ベンジル((S)-6-(((S)-1-(((S)-1-(((R)-5-アジド-1-((3aS,4S,6S,7aR)-3a,5,5-トリメチルヘキサヒドロ-4,6-メタノベンゾ[d][1,3,2]ジオキサボロール-2-イル)ペンチル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-6-オキソ-5-パルミトアミドヘキシル)カルバメート[パルミトイル-Lys(Cbz)-Ala-Ala-5-アジド-1-BO2Pin-ペンチルアミド(中間体3b)]。中間体2f(150mg、0.15mmol、1.0当量)のDMF(1.5mL)溶液に、NaN3(9.7mg、0.15mmol、1.0当量)を加え、得られた混合物を100℃に加熱し、1時間撹拌した。反応混合物を0℃で、H2O(20mL)で希釈することによってクエンチし、そのように形成された沈殿を濾過し、H2O(10mL)で洗浄し、MeOH(15mL)に溶解して回収した。メタノール溶液を真空中で濃縮して、アジド中間体3b(130mg、91%)を白色非晶質固体として回収した。粗物質をそのまま次の合成ステップで使用した。
LCMS(ESI-MS m/z):C51H86BN8O8[M+H]+の質量計算値949.67;実測値949.32。
【0309】
N-((S)-6-アミノ-1-(((S)-1-(((S)-1-(((R)-5-アミノ-1-((3aS,4S,6S,7aR)-3a,5,5-トリメチルヘキサヒドロ-4,6-メタノベンゾ[d][1,3,2]ジオキサボロール-2-イル)ペンチル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソヘキサン-2-イル)パルミタミド[パルミトイル-Lys-Ala-Ala-5-アミン-1-BO2Pin-ペンチルアミド(中間体4a)]。中間体3b(130mg、0.13mmol、1.0当量)のMeOH(10mL)溶液に、10重量%のPd/C(29mg、0.027mmol、0.2当量)を加え、続いてH2(バルーン)を加えた。得られた混合物を1.5時間撹拌した後、4N HClの1,4-ジオキサン溶液(0.067mL、0.27mmol、2.0当量)を加え、得られた混合物を0.5時間撹拌した。次に、反応混合物をCELITE(登録商標)パッドを通して濾過し、MeOH(15mL)で洗浄した。濾液を合わせ、真空中で濃縮して、中間体4a(111mg、95%)を白色非晶質固体として回収した。粗物質をそのまま次の合成ステップで使用した。
LCMS(ESI-MS m/z):C43H82BN6O6[M+H]+の質量計算値789.64;実測値789.40。
【0310】
((5R,8S,11S,14S)-1-アミノ-14-(4-アミノブチル)-8,11-ジメチル-7,10,13,16-テトラオキソ-6,9,12,15-テトラアザヘントリアコンタン-5-イル)ボロン酸ビス-TFA[パルミトイル-Lys-Ala-Ala-5-アミン-1-B(OH)2-ペンチルアミド(実施例8)]。中間体4a(100mg、0.12mmol、1.0当量)のヘプタン/MeOH(1:1、10mL)混合物に、とイソブチルボロン酸(71mg、0.70mmol、6.0当量)を加え、続いて1M HCl水溶液(0.46mL、0.46mmol、6.0当量)を加えた。得られた混合物を16時間撹拌した後、ヘプタン(5mL)及びMeOH(5mL)で希釈した。層分離後、ヘプタン層をさらにMeOH(5mL)で抽出し、メタノール層を合わせ、ヘプタン(2×10mL)で洗浄し、真空中で濃縮した。粗残留物をH2Oに溶解し、0.20μmシリンジフィルターで濾過し、分取RP-HPLC(H2O中30%MeCNの定組成で5分間、H2O中30%から100%MeCNのグラジエントで30分間)を使用して精製した。生成物を含有する全ての画分を合わせ、真空中で5mLに濃縮した後、凍結乾燥して、実施例8(16mg、15%)を白色粉末として回収した。
HRMS(ESI-MS m/z):C33H67BN6NaO6[M+Na]+の質量計算値677.51074;実測値677.51419。
実施例8の合成に従って作製された化合物:39、41、48、60、61、182、183。
【0311】
実施例9
スキーム13.実施例化合物9を生成する合成スキーム。
【化31】
(R)-2-アミノ-2-(4-(ベンジルオキシ)フェニル)酢酸(BB5a)。CuSO
4(1.8g、36mmol、3.0当量)のH
2O(20mL)溶液に、1N NaOH水溶液(24mL、24mmol、2.0当量)及びH-(4-ヒドロキシ)Phg-OH(2.0g、12mmol、1.0当量)のH
2O(20mL)溶液を50℃で添加した。得られた混合物をその温度で0.5時間撹拌した後、0℃に冷却し、さらに0.25時間撹拌した。そのようにして形成された沈殿物を濾過し、H
2O(20mL)で洗浄し、乾燥させた。次に、固体をMeOH(40mL)に取り、得られた懸濁液を1N NaOH水溶液(12mL、12mmol、1.0当量)で希釈し、続いてBnBr(2.2g、12mmol、1.1当量)を加えた。得られた混合物を室温で16時間撹拌し、そのように形成された沈殿物を濾過し、H
2O(100mL)で洗浄し、1N HCl水溶液(250mL)中で粉砕した。沈殿物を濾過し、H
2O(100mL)、Et
2O(100mL)で洗浄し、真空中で乾燥させて、AA BB5a(700mg、23%)をオフホワイトの固体として回収した。
LCMS(ESI-MS m/z):C15H16NO3[M+H]
+の質量計算値258.11;実測値258.34。
【0312】
(R)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-2-(4-(ベンジルオキシ)フェニル)酢酸[Fmoc-(OBn)-Hpg-OH(BB5)]。BB5a(0.70g、2.7mmol、1.0当量)のH2O(14mL)溶液に、NaHCO3(0.46g、5.4mmol、2.0当量)を加え、続いてFmoc-OSu(1.0g、2.9mmol、1.1当量)のアセトン(14mL)溶液を加えた。得られた混合物を室温で16時間撹拌した後、飽和KHSO4水溶液を加えてクエンチし、水層をEtOAc(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(100mL)で洗浄し、NA2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、DCM/MeOH、19:1から9:1)で精製して、Fmoc-(OBn)-Hpg-OH BB5(500mg、39%)をオフホワイトの固体として回収した。
Rf=0.5(SiO2、MeOH/DCM、1:9)
LCMS(ESI-MS m/z):C30H26NO5[M+H]+の質量計算値480.18;実測値480.36。
【0313】
N-((S)-6-アミノ-1-(((S)-1-(((S)-1-(((S)-2-アミノ-1-(4-(ベンジルオキシ)フェニル)-2-オキソエチル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソヘキサン-2-イル)パルミタミドTFA[パルミトイル-Lys-Ala-Ala-(OBn)Hpg-NH2TFA塩(実施例9)]を、1.5gのRinkアミドAM樹脂(0.90mmol)を使用して、SPPSの一般的手順に従って調製した。粗ペプチドを分取RP-HPLCによって精製し、生成物を含有する全ての画分を合わせ、真空中で5mLに濃縮した後、凍結乾燥して、実施例9のペプチド(19mg)を白色粉末として得た。
HRMS(ESI-MS m/z):C43H69N6O6[M+H]+の質量計算値765.5273;実測値765.5255。
実施例9の合成に従って作製された化合物:129、130、138、139。
【0314】
実施例10
スキーム14.実施例化合物10を生成する合成スキーム。
【化32】
4-(2-クロロエチル)-1H-イミダゾール(BB6b)。HClの4M 1,4-ジオキサン溶液(75mL)に、2-(1H-イミダゾール-4-イル)エタン-1-オール(BB6a)(15g、130mmol、1.0当量)を加え、得られた混合物を室温で0.5撹拌した。次に、反応混合物を真空中で濃縮し、残留物をトルエン(2×50mL)と共蒸発させた後、CCl
4(75mL)に溶解し、0℃まで冷却した。次いで、SOCl
2(75mL)を加え、得られた混合物を室温で16時間撹拌した後、90℃に温め、その温度で0.5時間撹拌した。室温に冷却後、反応混合物をベンゼン(150mL)で希釈し、そのように形成された沈殿物をEt
2O(100mL)で洗浄して粗塩化物BB6b(15g、67%)を回収し、それをそのまま次の合成ステップで使用した。
LCMS(ESI-MS m/z):C
5H
8ClN
2[M+H]
+の質量計算値131.04;実測値131.05。
【0315】
2-アセトアミド-4-(1H-イミダゾール-4-イル)ブタン酸[Ac-hHis-OH(BB6c)]。塩化物BB6b(20g、150mmol、1.0当量)のEtOH(200mL)溶液に、Na(8.8g、380mmol、2.5当量)のEtOH(175mL)溶液を0℃で10分かけて滴下した。得られた混合物に、アセトアミドマロン酸ジエチル(50g、230mmol、1.5当量)のEtOH(25mL)溶液を10分間かけて滴下した後、反応混合物を85℃に加熱し、5時間撹拌した。室温に冷却した後、1N HCl水溶液(200mL)を加えて反応混合物をクエンチし、真空中で濃縮した。粗残留物を石油エーテル(300mL)で洗浄して、粗Ac-hHis-OH BB6c(30g、定量的)を褐色のゴム状物として回収し、それをそのまま次の合成ステップで使用した。
LCMS(ESI-MS m/z):C9H13N3O3[M+H]+の質量計算値212.10;実測値212.25。
【0316】
2-アミノ-4-(1H-イミダゾール-4-イル)ブタン酸[H-hHis-OH(BB6d)]。6N HCl水溶液(300mL)に、Ac-hHis-OH BB6c(30g、120mmol、1.0当量)を加え、得られた混合物を110℃に加熱し、5時間撹拌した。次に、2M NaOH水溶液(1.0L)を加えて反応混合物をクエンチし、真空中で濃縮し、粗残留物を分取RP-HPLCで精製して、H-hHis-OH BB6d(5.5g、27%)をオフホワイトの固体として回収した。
LCMS(ESI-MS m/z):C7H12N3O2[M+H]+の質量計算値170.09;実測値170.12。
【0317】
2-(1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)-4-(1H-イミダゾール-5-イル)ブタン酸[PHTI-hHis-OH(未単離)]。H-hHis-OH BB6d(4.5g、27mmol、1.0当量)のH2O(55mL)溶液に、Na2CO3(2.8g、27mmol、1.0当量)を加え、続いてN-カルボエトキシフタルイミド(5.8g、27g、1.0当量)を加えた。得られた混合物を室温で3時間撹拌した後、1N HCl水溶液(75mL)を加えてクエンチし、真空中で濃縮した。粗残留物をMeOH(100mL)に懸濁し、濾過し、濾液を真空中で濃縮して、粗PTHI-hHis-OH(8.1g、定量的)を褐色固体として回収し、これをそのまま次の合成ステップで使用した。
LCMS(ESI-MS m/z):C15H14N3O4[M+H]+の質量計算値300.10;実測値300.21。
【0318】
2-(1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)-4-(1-(ジフェニル(p-トリル)メチル)-1H-イミダゾール-5-イル)ブタン酸[PHTI-hHis(Mmt)-OH(BB6e)]。粗PHTI-hHis-OH(8.1g、27mmol、1.0当量)のDMF/DCM(1:2、90mL)溶液に、TEA(15mL、110mmol、4.0当量)を0℃で加え、続いてMmt-Cl(15g、53mmol、2.0当量)を加えた。得られた混合物を室温に温め、16時間撹拌した後、飽和KHSO4水溶液(200mL)を加えてクエンチした。水層をEtOAc(3×200mL)で抽出し、合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮し、粗残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、MeOH/DCM、1:19から1:9)で精製して、PHTI-hHis(Mmt)-OH BB6e(2.4g、16%)をオフホワイトの固体として回収した。
LCMS(ESI-MS m/z):C35H30N3O4[M+H]+の質量計算値556.22;実測値556.49。
【0319】
2-アミノ-4-(1-(ジフェニル(p-トリル)メチル)-1H-イミダゾール-5-イル)ブタン酸[H-hHis(Mmt)-OH(BB6f)]。PTHI-hHis(Mmt)-OH BB6e(2.0g、3.6mmol、1.0当量)のEtOH(40mL)溶液に、ヒドラジン水和物(0.34mL、7.2mmol、2.0当量)を加え、得られた混合物を室温で3時間撹拌した。次に、そのように形成された固体を濾過し、濾液を真空中で濃縮して、粗H-hHis(Mmt)-OH BB6f(2.0g、定量的)をオフホワイトの固体として回収し、これをそのまま次の合成ステップで使用した。
LCMS(ESI-MS m/z):C27H28N3O2[M+H]+の質量計算値426.22;実測値426.46
【0320】
2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-4-(1-(ジフェニル(p-トリル)メチル)-1H-イミダゾール-5-イル)ブタン酸[Fmoc-(+/-)hHis(Mmt)-OH(rac-BB6)]。H-hHis(Mmt)-OH BB6f(2.0g、4.7mmol、1.0当量)のH2O(20mL)溶液に、NaHCO3(0.78g、9.3mmol、2.0当量)を加えた後、反応混合物を0℃に冷却し、Fmoc-OSu(2.3g、7.0mmol、1.5当量)のアセトン(20mL)溶液を滴下した。得られた混合物を室温に温め、16時間撹拌した後、飽和KHSO4水溶液を加えてクエンチした。水層をEtOAc(3×200mL)で抽出し、合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、MeOH/DCM+1%AcOH、1:9から3:15まで)で精製して、Fmoc-(+/-)hHis(Mmt)-OH rac-BB6(1.5g、57%)を淡黄色のゴム状物として回収した。
LCMS(ESI-MS m/z):C42H38N3O4[M+H]+の質量計算値648.29;実測値648.47
【0321】
(S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-4-(1-(ジフェニル(p-トリル)メチル)-1H-イミダゾール-5-イル)ブタン酸[Fmoc-(S)-hHis(Mmt)-OH(L-BB6)]。Fmoc-(+/-)hHis(Mmt)-OH(rac-BB6)をキラルSFCで精製して、2セットの画分を回収した。最初に溶出した一連の画分は、負の旋光度値[α]25
D=-31.16を示し、したがって、構造はD-エナンチオマーであると指定された。2番目に溶出した画分を真空中で濃縮することにより、Fmoc脱保護L-BB6を回収することができ、これをrac-BB6の合成と同様に再度Fmoc保護に供して、Fmoc-(+)hHis(Mmt)-OH L-BB6(400mg、27%)を白色粉末として回収した。
LCMS(ESI-MS m/z):C42H38N3O4[M+H]+の質量計算値648.29;実測値648.47
【0322】
N-((S)-6-アミノ-1-(((S)-1-(((S)-1-(((S)-1-アミノ-4-(1H-イミダゾール-4-イル)-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソヘキサン-2-イル)パルミタミドビス-TFA[パルミトイル-Lys-Ala-Ala-hHis-NH2ビス-TFA塩(実施例10)]を、0.4gのRinkアミドAM樹脂(0.90mmol)を使用して、SPPSの一般的手順に従って調製した。粗ペプチドを分取RP-HPLCによって精製し、生成物を含有する全ての画分を合わせ、真空中で5mLに濃縮した後、凍結乾燥して、実施例10のペプチド(8.2mg、6%)を白色粉末として得た。
HRMS(ESI-MS m/z):C35H65N8O5[M+H]+の質量計算値677.5072;実測値677.5044。
実施例10の合成に従って作製された化合物:59、165、166、172、173。
【0323】
実施例11
スキーム15.実施例化合物11を生成する合成スキーム。
【化33】
(S)-2-アミノ-3-(3-ニトロフェニル)プロパン酸メチル塩酸塩(BB7b)。H-(m-NO
2)Phe-OH BB7a(4.0g、19mmol、1.0当量)のMeOH(80mL)溶液に、SOCl
2(2.3mL、32mmol、1.7当量)を0℃で加えた。得られた混合物を室温に温め、次いで50℃に加熱し、6時間撹拌した後、真空中で濃縮した。粗残留物をEt
2O(100mL)中で粉砕し、塩酸塩BB7b(4.0g、94%)をオフホワイトの固体として回収した。
LCMS(ESI-MS m/z):C
10H
13N
2O
4[M+H]
+の質量計算値225.09;実測値225.06。
【0324】
(S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-(3-ニトロフェニル)プロパン酸メチル[Fmoc-(m-NO2)-Phe-OMe(BB7c)]。塩酸塩BB7b(5.0g、22mmol、1.0当量)のH2O(50mL)溶液に、Na2CO3(4.7g、44mmol、2.0当量)を加え、続いてFmoc-OSu(11g、33mmol、1.5当量)のMeCN(50mL)溶液を加えた。得られた混合物を室温で16時間撹拌した後、H2O(50mL)で希釈し、EtOAc(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(100mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、EtOAc/石油エーテル、1:4)で精製して、Fmoc-(m-NO2)-Phe-OMe BB7c(3.2g、33%)をオフホワイトの固体として回収した。
Rf=0.6(SiO2、EtOAc/石油エーテル、3:2)。
LCMS(ESI-MS m/z):C25H23N2O6[M+H]+の質量計算値447.16;実測値447.18。
【0325】
(S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-(3-アミノフェニル)プロパン酸メチル[Fmoc-(m-NH2)-Phe-OMe(BB7d)]。Fmoc-(m-NO2)-Phe-OMe BB7c(3.2g、7.2mmol、1.0当量)のMeOH/EtOH(1:1、64mL)溶液に、10重量%のPd/C(0.32g、10重量%)を加え、続いてH2(バルーン)を加えた。得られた混合物を室温で4時間撹拌した後、CELITE(登録商標)パッドで濾過し、MeOH(20mL)で洗浄した。濾液を収集し、真空中で濃縮して、アミンBB7d(2.9g、97%)を褐色の油状物として回収した。
LCMS(ESI-MS m/z):C25H25N2O4[M+H]+の質量計算値417.18;実測値417.14。
【0326】
(S,Z)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-(3-(2,3-ビス(tert-ブトキシカルボニル)グアニジノ)フェニル)プロパン酸メチル[Fmoc-[m-(ビス-Boc)グアニジル]-Phe-OMe(BB7e)]。アミンBB7d(3.0g、7.2mmol、1.0当量)のDMF(60mL)溶液に、DIPEA(3.8mL、22mmol、3.0当量)を0℃で加え、続いてSM-1(4.0g、13mmol、2.0当量)及びDMAP(87mg、0.72mmol、0.1当量)を加えた。得られた混合物を室温に温め、16時間撹拌した後、H2O(45mL)を加えてクエンチした。水層をEtOAc(3×60mL)で抽出し、合わせた有機層をブライン(60mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、EtOAc/石油エーテル、1:9から1:5)で精製して、ビス-boc-グアニジルBB7e(1.6g、34%)を淡黄色液体として回収した。
LCMS(ESI-MS m/z):C36H43N4O8[M+H]+の質量計算値659.31;実測値659.26。
【0327】
(S,Z)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-(3-(2,3-ビス(tert-ブトキシカルボニル)グアニジノ)フェニル)プロパン酸[Fmoc-[m-(ビス-Boc)グアニジル]-Phe-OH(BB7)]。NaOH(97mg、2.4mmol、1.0当量)のH2O(7.5mL)溶液に、0.8M CaCl2水溶液(1.6mL)を0℃で加え、続いてメチルエステルBB7e(1.6g、1.4mL、1.0当量)のIPA(16mL)溶液を加えた。得られた混合物を室温に温め、1時間撹拌した後、飽和KHSO4水溶液(pH4まで)を加えてクエンチした。水層をMeOH/DCM(1:9、3×50mL)で抽出し、合わせた有機層をブライン(50mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、EtOAc/石油エーテル、7:3から4:1)で精製して、Fmoc-AA-OH BB7(1.6g、34%)を淡黄色液体として回収した。
Rf=0.3(SiO2、DCM/MeOH、9:1)。
LCMS(ESI-MS m/z):C35H41N4O8[M+H]+の質量計算値645.29;実測値645.22。
【0328】
(S)-N1-((S)-1-アミノ-1-オキソ-3-フェニルプロパン-2-イル)-2-((S)-3-(3-グアニジノフェニル)-2-パルミタミドプロパンアミド)ペンタンジアミドビス-TFA[パルミトイル-(m-グアニジル)Phe-Gln-Phe-NH2ビス-TFA塩(実施例11)]を、DIC及びOxymaを使用して実施したBB7のアミドカップリング以外は、1.0gのRinkアミドAM樹脂(0.90mmol)を使用してSPPSの一般的手順に従って調製した。粗ペプチドを分取RP-HPLCによって精製し、生成物を含有する全ての画分を合わせ、真空中で5mLに濃縮した後、凍結乾燥して、実施例11のペプチド(33mg、12%)を白色粉末として得た。
HRMS(ESI-MS m/z):C40H63N8O5[M+H]+の質量計算値735.4916;実測値735.4905。
実施例11の合成に従って作製された化合物:67、68。
【0329】
実施例12
スキーム16.実施例化合物12を生成する合成スキーム。
【化34】
1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4R)-4-(ピリジン-4-イルオキシ)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート[Boc-trans-(O-ピリジニル)Hyp-OMe(BB8b)]。BB8a(1.0g、4.1mmol、1.0当量)のトルエン(38mL)溶液に、4-ヒドロキシピリジン(580mg、6.1当量、1.5当量)を0℃で加え、続いてDEADの40%トルエン溶液を加た(2.4mL、6.1mmol、1.5当量)。得られた混合物を室温に温め、24時間撹拌した後、真空中で濃縮し、粗残留物をシリカプラグでの濾過により精製した。プラグをEt
2O(100mL)で洗浄して不純物を除去した後、プラグをDCM/MeOH(9:1、200mL)で洗浄することによって生成物を取り出した。DCM/MeOH画分を真空中で濃縮し、光延反応の生成物BB8b(910mg、70%)を白色非晶質固体として回収した。
R
f=0.60(SiO
2、DCM/MeOH、9:1)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ 8.47-8.39(m,2H),6.75-6.67(m,2H),4.96(m,1H),4.57*(t,J=5.6Hz,0.4H),4.45(dd,J=8.9,2.8Hz,0.6H),3.81~3.63(m,5H),2.61-2.46(m,2H),1.48*(s,4H),1.44(s,5H)(*=マイナー回転異性体)。
【0330】
(2S,4R)-1-(tert-ブトキシカルボニル)-4-(ピリジン-4-イルオキシ)ピロリジン-2-カルボン酸[Boc-trans-(O-ピリジニル)Hyp-OH(BB8)]。メチルエステルBB8b(900mg、2.8mmol、1.0当量)のTHF(15mL)溶液に、1.0M LiOH水溶液(15mL、15mmol、5.3当量)を0℃で加えた。得られた混合物を2時間撹拌した後、1M HCl水溶液を加えて(pH=1になるまで)クエンチし、真空中で半分の体積まで濃縮した。水層をIPA/CHCl3(1:3、3×30mL)で抽出し、合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、DCM/MeOH/AcOH、46:4:0から45:4:1)で精製して、カルボン酸BB8(0.15g、17%)を白色固体として回収した。
Rf=0.43(SiO2、DCM/MeOH/AcOH、45:4:1)。
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ 8.35-8.30(m,2H),6.93-6.87(m,2H),5.06-4.98(m,1H),4.15-4.02(m,1H),3.68-3.54(m,1H),3.50-3.41(m,1H),2.36-2.12(m,2H),1.30*(s,4H),1.28(s,5H)(*=マイナー回転異性体)。
【0331】
tert-ブチル((S)-1-(((S)-1-アミノ-6-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)-1-オキソヘキサン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)カルバメート[Boc-Ala-Lys(Cbz)NH2(BB9c)]。アミン塩酸塩H-Lys(Cbz)-NH2 BB9b(730mg、2.3mmol、1.0当量)のDCM(25mL)溶液に、カルボン酸Boc-Ala-OH BB9a(480mg、2.5mmol、1.1当量)を0℃で加え、続いてHATU(950mg、2.5mmol、1.1当量)及びDIPEA(1.4mL、8.0mmol、3.5当量)を加えた。得られた混合物を2時間撹拌し続けた後、0℃で、15重量%クエン酸水溶液(30mL)で希釈することによってクエンチした。層分離後、水層をDCM(3×30mL)でさらに抽出し、合わせた有機層を飽和NaHCO3水溶液(30mL)、H2O(30mL)及びブライン(30mL)で洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮して、粗ジペプチドBB9c(1.1g、97)をオフホワイトの固体として回収し、それをそのまま次の合成ステップで使用した。
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ 7.59(d,J=8.2Hz,1H),7.36-7.20(m,5H),7.29(d,J=2.3Hz,1H),(m,1H),7.00-6.93(m,2H),4.95(s,2H),4.11(m,1H),3.89(m,1H),2.91(q,J=6.6Hz,2H),1.65-1.53(m,1H),1.51-1.38(m,1H),1.32(s,11H),1.25-1.15(m,2H),1.12(d,J=6.5Hz,3H).
【0332】
ベンジル((S)-6-アミノ-5-((S)-2-アミノプロパンアミド)-6-オキソヘキシル)カルバメートHCl[H-Ala-Lys(Cbz)NH2 HCl塩(BB9)]。ジペプチドBB9c(1.0g、2.2mmol、1.0当量)の1,4-ジオキサン(8mL)溶液に、HClの4N 1,4-ジオキサン溶液(16mL、2V)を0℃で加え、得られた混合物を1時間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮し、粗残留物をEt2O(3×30mL)中で粉砕した後、そのように形成された固体をDCM(50mL)に溶解した。DCM溶液を真空中で濃縮して、アミン塩酸塩BB9(880mg、90%)を透明な結晶として回収した。
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ 8.53(d,J=8.1Hz,1H),8.32-8.21(m,3H),7.50-7.40(m,1H),7.30-7.29(m,1H),7.37-7.19(m,5H),7.02~6.96(m,1H),4.95(s,1H),4.18-4.10(m,1H),3.89-3.78(m,1H),2.97-2.87(m,2H),1.74-1.45(m,2H),1.31(d,J=6.9Hz,3H),1.39-1.16(m,4H).
【0333】
tert-ブチル(2S,4R)-2-(((S)-1-(((S)-1-アミノ-6-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)-1-オキソヘキサン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)カルバモイル)-4-(ピリジン-4-イルオキシ)ピロリジン-1-カルボキシレート[Boc-trans-(O-ピリジニル)Hyp-Ala-Lys(Cbz)NH2(中間体4b)]。アミン塩酸塩BB9(190mg、0.49mmol、1.0当量)のDMF(7.0mL)溶液に、カルボン酸BB9(150mg、0.49mmol、1.0当量)を0℃で加え、続いてHATU(200mg、0.53mmol、1.1当量)及びDIPEA(0.34mL、1.9mmol、4.0当量)を加えた。得られた混合物を3時間撹拌し続けた後、0℃で、H2O(80mL)で希釈することによってクエンチした。水層をIPA/CHCl3(1:3、3×100mL)で抽出し、合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、DCM/MeOH、1:0から9:1)で精製して、トリペプチド中間体4b(0.30g、95%)を白色粉末として回収した。
【0334】
ベンジル((S)-6-アミノ-6-オキソ-5-((S)-2-((2S,4R)-4-(ピリジン-4-イルオキシ)ピロリジン-2-カルボキサミド)プロパンアミド)ヘキシル)カルバメートHCl[H-trans-(O-ピリジニル)Hyp-Ala-Lys(Cbz)-NH2HCl塩(中間体4)]。ジペプチドBB9c(0.3g、0.42mmol、1.0当量)の1,4-ジオキサン(2.5mL)溶液に、HClの4N 1,4-ジオキサン溶液(5mL)を0℃で加え、得られた混合物を1時間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮し、粗残留物をEt2O(3×30mL)中で粉砕した後、そのように形成された固体をDCM(50mL)に溶解した。DCM溶液を真空中で濃縮して、アミン塩酸塩中間体4(280mg、95%)を白色粉末として回収した。
【0335】
パルミトイル-L-アラニン酸メチル[パルミトイル-Ala-OMe(中間体3a)]。アミン塩酸塩H-Ala-OMe BB9d(550mg、3.9mmol、1.0当量)のDCM(35mL)溶液に、パルミチン酸(1.0g、3.9mmol、1.0当量)を0℃で加え、続いてHATU(1.6g、4.3mmol、1.1当量)及びDIPEA(2.1mL、12mmol、3.0当量)を加えた。得られた混合物を2時間撹拌し続けた後、0℃で、15重量%クエン酸水溶液(30mL)で希釈することによってクエンチした。層分離後、水層をDCM(3×30mL)でさらに抽出し、合わせた有機層を飽和NaHCO3水溶液(30mL)、H2O(30mL)及びブライン(30mL)で洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮して、粗ジペプチドBB9c(1.1g、97%)をオフホワイトの固体として回収し、それをそのまま次の合成ステップで使用した。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 6.07(d,J=7.4Hz,1H),4.61(p,J=7.2Hz,1H),3.75(s,3H),2.25-2.16(m,2H),1.69-1.57(m,2H),1.40(d,J=7.1Hz,3H),1.25(m,24H),0.88(t,J=7.2,3H).
【0336】
パルミトイル-L-アラニン[パルミトイル-Ala-OH(中間体3)]。メチルエステルBB8b(840mg、2.5mmol、1.0当量)のTHF(15mL)溶液に、1.0M LiOH水溶液(13mL、13mmol、5.2当量)を0℃で加えた。得られた混合物を2時間撹拌した後、1M HCl水溶液を加えて(pH=1になるまで)クエンチし、真空中で半分の体積まで濃縮した。水層をCHCl3(3×20mL)で抽出し、合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮して、粗カルボン酸BB8(0.72g、90%)を白色非晶質固体として回収し、それをそのまま次の合成ステップで使用した。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 6.25(d,J=7.1Hz,1H),4.58(p,J=7.1Hz,1H),2.27-2.18(m,2H),1.69-1.56(m,2H),1.45(d,J=7.1Hz,3H),1.33-1.23(m,24H),0.88(d,J=6.6Hz,3H).
【0337】
ベンジル((S)-6-アミノ-6-オキソ-5-((S)-2-((2S,4R)-1-(パルミトイル-L-アラニル)-4-(ピリジン-4-イルオキシ)ピロリジン-2-カルボキサミド)プロパンアミド)ヘキシル)カルバメート[パルミトイル-Ala-trans-(O-ピリジニル)Hyp-Ala-Lys(Cbz)NH2(中間体4c)]。アミン塩酸塩BB9(300mg、0.52mmol、1.0当量)のDMF(6.0mL)溶液に、カルボン酸BB8(290mg、0.88mmol、1.7当量)を0℃で加え、続いてHATU(300mg、0.78mmol、1.5当量)及びDIPEA(0.32mL、0.78mmol、3.5当量)を加えた。得られた混合物を24時間撹拌し続けた後、0℃で、H2O(60mL)で希釈することによってクエンチした。そのように形成された沈殿物を濾過し、H2O(30mL)で洗浄し、MeOH(30mL)に溶解して回収した。メタノール溶液を真空中で濃縮して、粗ペプチド中間体4c(350mg、79%)をオフホワイトの固体として回収し、それをそのまま次の合成ステップで使用した。
【0338】
(2S,4R)-N-((S)-1-(((S)-1,6-ジアミノ-1-オキソヘキサン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)-1-(パルミトイル-L-アラニル)-4-(ピリジン-4-イルオキシ)ピロリジン-2-カルボキサミドTFA[パルミトイル-Ala-trans-(O-ピリジニル)Hyp-Ala-Lys-NH2TFA塩(実施例12)]。
中間体4c(350mg、0.41mmol、1.0当量)のMeOH(5.0mL)溶液に、10重量%のPd/C(44mg、0.041mmol、0.1当量)を加え、続いてH2(バルーン)を加えた。得られた混合物を16時間撹拌した後、4N HClの1,4-ジオキサン溶液(0.067mL、0.27mmol、2.0当量)を加え、得られた混合物を0.5時間撹拌した。次に、反応混合物をCELITE(登録商標)パッドを通して濾過し、MeOH(15mL)で洗浄した。濾液を合わせ、真空中で濃縮し、粗残留物をMeOH(10mL)に溶解し、0.20μmシリンジフィルターで濾過し、分取RP-HPLC(H2O中30%MeCNの定組成で5分間、H2O中35%から45%MeCNのグラジエントで20分間、45%の定組成で7分間、溶媒流量10.0mL/分、30℃、Rt=25分)を使用して精製した。生成物を含有する全ての画分を合わせ、真空中で5mLに濃縮した後、凍結乾燥して、実施例12(12mg、3.5%)を白色粉末として回収した。
LCMS(ESI-MS m/z):C38H66N7O6[M+H]+の質量計算値716.51;実測値716.60。
実施例12の合成に従って作製された化合物:7、8。
【0339】
実施例13
スキーム13.1.実施例13の逆合成アプローチ。
【化35】
スルホンアミド部分がC末端に導入され、実施例13などの化合物を生成するリポペプチドは、実施例5~8と類似して、すなわち、側鎖が保護された中間体2b(その合成は本明細書で先に論じた)の、BB14などのリジン誘導体とのCDI媒介性カップリングを介して得られた。BB14は、市販のBoc-(D)Lys(Cbz)-OHとシクロプロピルスルホンアミドのHATUカップリング後に合成された。
以下の手順に従って作製された化合物:127、135、178、179
【0340】
実施例13.実験手順。
スキーム13.17.実施例13及びそのビルディングブロックBB14を生成する合成スキーム。
【化36】
ベンジルtert-ブチル(6-(シクロプロパンスルホンアミド)-6-オキソヘキサン-1,5-ジイル)(R)-ジカルバメート(BB14a)。Boc-(D)Lys(Cbz)-OH(1.0g、2.6mmol、1.0当量)のDMF(20mL)溶液に、HATU(1.3g、3.2mmol、1.2当量)を0℃で加え、続いてDIPEA(1.1mL、6.4mmol、2.5当量)を加えた。得られた混合物を10分間撹拌し続けた後、シクロプロピルスルホンアミド(0.39g、3.2mmol、1.2当量)を加えた。得られた混合物を25℃に温め、16時間撹拌し続けた後、水(50mL)を加えてクエンチし、EtOAc(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、真空中で濃縮して、BB14a(0.9g、73%)を粗物質として回収し、それをそのまま次の合成ステップで使用した。
R
f=0.6(SiO
2、EtOAc)。
LCMS(ESI-MS m/z):C
22H
34N
3O
7S[M+H]
+の質量計算値484.21;実測値484.45。
【0341】
ベンジル(R)-(5-アミノ-6-(シクロプロパンスルホンアミド)-6-オキソヘキシル)カルバメートTFA(BB14)。TFA/DMF(8mL、1:4)溶液に、BB14a(0.90g、1.9mmol、1.0当量)を0℃で加えた。得られた混合物を25℃に温め、16時間撹拌し続けた後、真空中で濃縮した。粗残留物をEt2O(50mL)中で粉砕し、固体をデカントして、BB14(0.8g、定量的)をオフホワイトの固体として回収し、それをそのまま次の合成ステップで使用した。
【0342】
tert-ブチル((9R,12S,15S,18S)-9-((シクロプロピルスルホニル)カルバモイル)-12,15-ジメチル-3,11,14,17-テトラオキソ-18-パルミタミド-1-フェニル-2-オキサ-4,10,13,16-テトラアザドコサン-22-イル)カルバメート(中間体9)。中間体2b(0.40g、0.63mmol、1.0当量)のDMF(8mL)溶液に、CDI(0.15g、0.95mmol、1.5当量)を加え、続いてイミダゾール(65mg、0.95mmol、1.5当量)を加えた。得られた混合物を10分間撹拌し続けた後、BB14(0.15g、0.38mmol、0.6当量)を加えた。得られた混合物を16時間撹拌し続けた後、水(50mL)を加えてクエンチし、EtOAc(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮して、中間体9(0.5g、73%)を粗物質として回収し、それをそのまま次の合成ステップで使用した。
LCMS(ESI-MS m/z):C50H86N7O11S[M+H]+の質量計算値992.61;実測値992.78
【0343】
N-((S)-6-アミノ-1-(((S)-1-(((S)-1-(((R)-6-アミノ-1-(シクロプロパンスルホンアミド)-1-オキソヘキサン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソヘキサン-2-イル)パルミタミド(実施例13)。TFA/TIPS(95:5、10mL)溶液に、中間体9(0.50g、0.50mmol、1.0当量)を0℃で加えた。反応混合物を50℃に加熱し、2時間撹拌した後、真空中で濃縮し、粗残留物をRP-HPLCで精製した。生成物を含有する全ての画分を合わせ、真空中で5mLに濃縮した後、凍結乾燥して、実施例13(28mg、6%)を白色粉末として回収した。
LCMS(ESI-MS m/z):C37H72N7O7S[M+H]+の質量計算値758.5;実測値758.4
【0344】
実施例14
スキーム188.実施例14abcの逆合成スキーム及びそのビルディングブロック、BB12abc。
【化37】
実施例14a、b及びcは、C末端から3番目の位置にある非天然アミノ酸を特徴とする、パルミトイル化トリペプチドアミドである。後者のアミノ酸はAlaに類似しているが、メチル側鎖は、直接(n=0、実施例14aのように)、又は1つ(n=1、実施例14b)又は2つ(n=2、実施例14c)のメチレン基で間隔を置いて、(イミダゾール環のC-4を介して)2-アミノイミダゾール部分で官能化されている。実施例14a、b及びcは、Fmocアミノ酸を使用し、Rink AM樹脂を用いた標準SPPSに関する前と類似の条件を使用して、標準SPPSによって合成した。非天然N-Fmocは、BB12abcのようにアミノ酸を保護し、それぞれFmoc-Asp-OtBu、Fmoc-Glu-OtBu及びFmoc-hGlu-OBnからアドホック合成(実験で詳述)によって合成された。SPPSで使用するために、BB12abcは、2-アミノイミダゾール側鎖の2つの塩基性窒素がそれぞれBocとTrtで保護された。Fmoc-Asp-OtBu及びFmoc-Glu-OtBuは市販されているが、実験セクションで詳述するように、Fmoc-hGlu-OBnは、Arndt-Eistertホモログ化及び保護基の相互変換を介してFmoc-Glu-OBnから合成された。Fmoc-Asp-tBu、Fmoc-Glu-OtBu、及びFmoc-hGlu-OBnのカルボキシレート側鎖は、同じ一連の変換によって2-アミノイミダゾールに変換できるため、実験セクションでは一例としてBB14bの合成、及び市販されていないFmoc-hGlu-OBnの合成のみを報告する。
【0345】
実施例14.1 実験手順-Fmoc-hGlu-OBnの合成
スキーム19.Fmoc-hGlu-OBnを生成する合成スキーム。
【化38】
(S)-5-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-6-(ベンジルオキシ)-2,6-ジオキソヘキサン-1-ジアゾニウム(中間体7)。Fmoc-Glu-OBn(30g、65mmol、1.0当量)のTHF(300mL)溶液に、TEA(27mL、200mmol、3.0当量)を0℃で加え、続いてイソブチルクロロホルメート(17mL、130mmol、2.0当量)を加えた。得られた混合物を0℃で30分間撹拌し、そのように形成された固体を濾過し、THF(50mL)で洗浄した。濾液を丸底フラスコ中で合わせ、新たに調製したジアゾメタン(過剰)のエーテル(150mL)溶液を加えた。反応混合物を0℃で1時間撹拌した後、25℃に温め、さらに2時間撹拌した。AcOH(2.0mL)を加えて反応混合物をクエンチし、水(500mL)で希釈し、EtOAc(3×500mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和NaHCO
3水溶液(500mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO
2、EtOAc、/石油エーテル、0:1から1:4)で精製して、中間体7(12g、38%)を薄緑色固体として回収した。
R
f=0.3(SiO
2、EtOAc/石油エーテル、2:3)。
LCMS(ESI-MS m/z):C
28H
27N
3O
5[M+H]
+の質量計算値485.19;実測値484.31。
【0346】
(S)-5-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-6-(ベンジルオキシ)-6-オキソヘキサン酸(Fmoc-hGlu-OBn)。中間体7(12g、25mmol、1.0当量)のジオキサン/水(1.2L、5:1)溶液に、PhCO2Ag(0.56g、2.4mmol、0.10当量)を加えた。得られた混合物を25℃で30分間超音波処理した後、1N HCl水溶液(1.0mL)を加えて反応をクエンチし、EtOAc(3×500mL)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。合わせた有機層を飽和NaHCO3水溶液(500mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、EtOAc、/石油エーテル、0:1から3:2)で精製して、Fmoc-hGlu-OBn(10g、87%)を白色固体として回収した。
Rf=0.4(SiO2、EtOAc)。
LCMS(ESI-MS m/z):C28H28NO6[M+H]+の質量計算値474.19;実測値474.35。
【0347】
実施例14.2 実験手順-BB12b及び実施例14bの合成
スキーム20 実施例14b及びそのビルディングブロックBB12bを生成する合成スキーム。
【化39】
(S)-5-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-6-(tert-ブトキシ)-2,6-ジオキソヘキサン-1-ジアゾニウム(中間体6a)。Fmoc-Glu-tBu(50g、120mmol、1.0当量)のTHF(500mL)溶液に、TEA(37mL、290mmol、2.5当量)を-10℃で加え、続いてクロロギ酸イソブチル(30mL、230mmol、2.0当量)を加えた。得られた混合物を0℃で15分間撹拌し、そのように形成された固体を濾過し、THF(50mL)で洗浄した。濾液を丸底フラスコ中で合わせ、新たに調製したジアゾメタン(過剰)のエーテル(200mL)溶液を加えた。反応混合物を25℃で2時間撹拌した後、AcOH(2.0mL)を加えてクエンチし、水(500mL)で希釈した。得られた混合物をEtOAc(3×500mL)で抽出し、合わせた有機層を飽和NaHCO
3水溶液(500mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO
2、EtOAc、/石油エーテル、0:1から1:4)で精製して、中間体6a(26g、51%)を黄色液体として回収した。
R
f=0.6(SiO
2、EtOAc/石油エーテル、2:3)。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6),δ:7.86(d,J=6.8Hz,2H),7.72(d,J=7.6Hz,2H),7.78(d,J=8.0Hz,1H),7.42(t,J=7.6Hz,2H),7.33(t,J=7.6Hz,2H),6.07(bs,1H),4.32-4.19(m,3H),3.90-3.85(m,1H),2.47-2.32(m,2H),2.00-1.89(m,1H),1.83-1.73(m,1H),1.39(s,9H).
【0348】
tert-ブチル(S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-6-ブロモ-5-オキソヘキサノエート(中間体6b)。中間体6a(20g、44mmol、1.0当量)のTHF(200mL)溶液に、AcOH中の33%HBr(12mL、49mmol、1.1当量)を0℃で加えた。得られた混合物を0℃で30分間撹拌した後、水(50mL)で希釈し、EtOAc(3×350mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(500mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、EtOAc、/石油エーテル、0:1から5:17)で精製して、中間体6b(12g、55%)を淡黄色液体として回収した。
Rf=0.6(SiO2、EtOAc/石油エーテル、2:3)。
1H NMR(400MHz,DMSO-d6),δ:7.90(d,J=7.6Hz,2H),7.83-7.62(m,3H),7.42(t,J=7.2Hz),7.37-7.28(m,2H),4.48-4.14(m,2H),3.92-3.84(m,1H),2.73-2.62(m,1H),2.09(s,1H),1.99-1.67(m,3H),1.58-1.47(m,1H),1.39(s,9H).
【0349】
tert-ブチル(S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-4-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-1H-イミダゾール-5-イル)ブタノエート(中間体6c)。
中間体6b(10g、20mmol、1.0当量)のDMF(100mL)溶液に、Boc-グアニジン(9.5g、60mmol、3.0当量)を加え、続いて粉末モレキュラーシーブ(10g)を加えた。得られた混合物を25℃で16時間撹拌した後、水(100mL)を加えてクエンチし、EtOAc(3×200mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、EtOAc/石油エーテル、1:9から7:3)で精製して、中間体6c(6.0g、53%)をオフホワイトの固体として回収した。
Rf=0.5(SiO2、EtOAc)。
LCMS(ESI-MS m/z):C31H39N4O6[M+H]+の質量計算値563.3;実測値563.3。
【0350】
(S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-4-(2-アミノ-1H-イミダゾール-5-イル)ブタン酸(中間体6d)。TFA/DCM(100mL、2:3)溶液に、中間体6c(5.0g、8.9mmol、1.0当量)を0℃で加えた。得られた混合物を25℃に温め、1時間撹拌した後、真空中で濃縮した。粗残留物をトルエン(5mL)と共蒸発させて、中間体6d(4.6g、定量的)を粗物質として回収し、それをそのまま次の合成ステップで使用した。
Rf=0.3(SiO2、MeOH/DCM、1:9)。
LCMS(ESI-MS m/z):C22H23N4O4[M+H]+の質量計算値407.2;実測値407.4。
【0351】
(S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-4-(2-アミノ-1-トリチル-1H-イミダゾール-5-イル)ブタン酸(中間体6e)。中間体6d(4.5g、11mmol、1.0当量)のDCM/DMF(45mL、1:1)溶液に、TEA(3.8mL、28mmol、2.5当量)を0℃で加え、続いてTrt-Cl(4.6g、16.1mmol、1.5当量)を加えた。得られた混合物を25℃に温め、3時間撹拌した後、真空中で濃縮した。残留物を水(45mL)で希釈し、EtOAc(3×100mL)で抽出し、合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、MeOH/DCM、1:99から1:9)で精製して、中間体6e(2.2g、38%)を白色固体として回収した。
Rf=0.5(SiO2、MeOH/DCM、1:9)。
LCMS(ESI-MS m/z):C41H37N4O4[M+H]+の質量計算値649.28;実測値649.27。
【0352】
(S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-4-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-1-トリチル-1H-イミダゾール-5-イル)ブタン酸(BB12b)。中間体6d(2.0g、3.1mmol、2.0当量)のTHF/水(20mL、1:1)溶液に、NaHCO3(0.51g、6.2mmol、2.0当量)を加え、続いてBoc2O(1.4mL、62mmol、20当量)を加えた。得られた混合物を50℃に温め、3時間撹拌した後、水(50mL)を加えてクエンチし、DCM(2×50mL)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、MeOH/DCM、1:99から1:9)で精製して、BB12b(500mg、47%)をオフホワイトの固体として回収した。
Rf=0.7(SiO2、MeOH/DCM、1:9)。
LCMS(ESI-MS m/z):C46H45N4O6[M+H]+の質量計算値749.3;実測値749.1。
BB12bの合成に従って作製された化合物:
・BB12a、Fmoc-Asp-tBuから出発(実施例14aの合成に使用)。
・BB12c、Fmoc-hGlu-Bnから出発(実施例14cの合成に使用)。
【0353】
(S)-N1-((S)-1-アミノ-1-オキソ-3-フェニルプロパン-2-イル)-2-((S)-4-(2-アミノ-1H-イミダゾール-4-イル)-2-パルミタミドブタンアミド)ペンタンジアミドTFA塩(実施例14b)を、0.7gのRinkアミドAM樹脂を使用してSPPSの一般的手順に従って調製した。粗ペプチドを分取RP-HPLCによって精製し、生成物を含有する全ての画分を合わせ、真空中で5mLに濃縮した後、凍結乾燥して、実施例14bのペプチド(33mg、15%)を白色粉末として得た。
HRMS(ESI-MS m/z):C37H61N8O5[M+H]+の質量計算値697.4759;実測値697.4726。
実施例14b(55)の合成に従って作製された化合物:
・実施例14a(62)。
・実施例14c(56)。
【0354】
実施例15.合成アプローチ
スキーム21.実施例15abの逆合成スキーム及びそのビルディングブロック、BB13a及びBB14。
【化40】
実施例15a及びbは、C末端から3番目の位置にある非天然アミノ酸を特徴とする、パルミトイル化トリペプチドアミドである。後者のアミノ酸はAlaに類似しているが、メチル側鎖は、1つ(n=1、実施例15a)又は2つ(n=2、実施例15b)のメチレン基で間隔を置いて、(イミダゾール環の2-アミノ置換基を介して)2-アミノイミダゾール部分で官能化されている。実施例15a及びbは、Fmocアミノ酸を使用し、Rink AM樹脂を用いた標準SPPSに関する前と類似の条件を使用して、標準SPPSによって合成した。非天然N-Fmoc保護アミノ酸は、BB13abとして、それぞれ市販の(S)-(N-Cbz)2-アミノGBL又はBoc-Glu-OtBuからアドホック合成(実験で詳述)を介して合成され、BB14がアドホック合成された。SPPSで使用するために、BB13abは、Fmocで保護されたアルファ窒素の他に、イミダゾール環Trtの塩基性窒素が保護された。数回の保護基相互変換の後、(S)-(N-Cbz)2-アミノGBLの側鎖とBoc-Glu-OtBuは、還元的アミノ化によってBB14と反応する前にアルデヒドに変換された。BB14は、市販の1H-イミダゾール-2-アミン硫酸塩から、1つの保護基相互変換及びTrt保護を得た。
【0355】
実施例15.1 実験手順-BB14の合成
スキーム22.BB14を生成する合成スキーム。
【化41】
1H-イミダゾール-2-アミン(BB14a)。1H-イミダゾール-2-アミン硫酸塩(10g、38mmol、1.0当量)の水溶液(100mL)にNa
2CO
3(12g、110mmol、3.0当量)を加えた。得られた混合物を25℃で1時間撹拌した後、真空中で濃縮した。得られた混合物を25℃で1時間撹拌しながら残留物をEtOH(200mL)に溶解した後、Celite(登録商標)で濾過した。濾液を真空中で濃縮して、BB14a(5.0g、定量的)を粗物質として回収し、それをそのまま次の合成ステップで使用した。
【0356】
(E)-N’-(1H-イミダゾール-2-イル)-N,N-ジメチルホルムイミダミド(BB14b)。粗BB14a(5.0g、38mmol、1.0当量)のDMFDMA/EtOAc(100mL、1:1)溶液を25℃で16時間撹拌した後、真空注で濃縮して、BB14b(10g、定量的)を粗物質として回収し、それをそのまま次の合成ステップで使用した。
LCMS(ESI-MS m/z):C6H11N4[M+H]+の質量計算値139.10;実測値138.97。
【0357】
(E)-N,N-ジメチル-N’-(1-トリチル-1H-イミダゾール-2-イル)ホルムイミダミド(BB14c)。粗BB14b(10g、38mmol、1.0当量)のDCM(100mL)溶液に、TEA(15mL、110mmol、2.9当量)を0℃で加え、続いてTrt-Cl(10g、36mmol、0.9当量)を加えた。得られた混合物を25℃に温め、16時間撹拌した後、水(100mL)を加えてクエンチし、EtOAc(3×200mL)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、MeOH/DCM、1:99から1:9)で精製して、BB14c(7.0g、49%)を白色固体として回収した。
Rf=0.6(SiO2、EtOAc)。
LCMS(ESI-MS m/z):C25H25N4[M+H]+の質量計算値381.21;実測値381.31。
【0358】
1-トリチル-1H-イミダゾール-2-アミン(BB14)。BB14c(7.0g、18mmol、1.0当量)のEtOH(70mL)溶液に、AcOH(5.1mL、92mmol、5.0当量)を0℃で加え、続いてヒドラジン水和物(4.5mL、92mmol、5.0当量)を加えた。得られた混合物を50℃に温め、5時間撹拌した後、真空中で濃縮した。残留物をDCM(100mL)及び1N NaOH水溶液(50mL)で希釈し、得られた混合物を25℃で30分間撹拌した。層分離後、有機層をNa2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮して、BB14(5.5g、93%)を白色固体として回収した。
Rf=0.3(SiO2、EtOAc)。
LCMS(ESI-MS m/z):C22H20N3[M+H]+の質量計算値326.17;実測値326.26。
【0359】
実施例15.実験手順-BB13a及び実施例15a
スキーム23.実施例14b及びそのビルディングブロックBB12bを生成する合成スキーム
【化42】
ベンジル((ベンジルオキシ)カルボニル)-L-ホモセリネート(中間体7a)。(S)-(N-Cbz)2-アミノGBL(30g、120mmol、1.0当量)のEtOH(360mL)溶液に、NaOH(4.7g、120mmol、1.0当量)の水溶液(50mL)を0℃で加えた。得られた混合物を25℃に温め、16時間撹拌した後、真空中で濃縮し、残留物をEtOH(3×100mL)中で粉砕した。そのように形成された固体を濾過し、DMF(300mL)に溶解した後、BnBr(14mL、120mmol、1.0当量)を0℃で加えた。得られた混合物を25℃に温め、16時間撹拌した後、水(500mL)を加えてクエンチし、EtOAc(3×750mL)で抽出した。合わせた有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO
2、酢酸エチル/石油エーテル、0:1から3:7)で精製して、中間体7a(30g、定量的)を白色固体として回収した。
R
f=0.4(SiO
2、EtOAc/石油エーテル、3:2)。
LCMS(ESI-MS m/z):C
19H
22NNaO
5[M+H]
+の質量計算値366.13;実測値366.30。
【0360】
ベンジル(S)-2-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)-4-オキソブタノエート(中間体7b)。中間体7a(10g、29mmol、1.0当量)のDCM(200mL)溶液に、DMP(18g、43mmol、1.5当量)を0℃で加えた。得られた混合物を25℃に温め、4時間撹拌した後、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液(100mL)を加えてクエンチし、さらに15分間撹拌した。得られた混合物をDCM(3×250mL)で抽出し、合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、EtOAc/石油エーテル、0:1から1:3)で精製して、中間体7b(7.1g、71%)を白色固体として回収した。
Rf=0.6(SiO2、EtOAc/石油エーテル、3:2)。
1H NMR(400MHz,CDCl3),δ:9.62(s,1H),7.38-7.28(m,10H),5.69(d,J=7.6Hz,1H),5.20-5.08(m,4H),4.73-4.65(m,1H),3.19-3.04(m,2H).
【0361】
ベンジル(S)-2-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)-4-((1-トリチル-1H-イミダゾール-2-イル)アミノ)ブタノエート(中間体7c)。中間体7b(2.0g、5.9mmol、1.0当量)のトルエン(40mL)溶液に、BB14(1.9g、5.9mmol、1.0当量)を加えた。得られた混合物を120℃に加熱し、5時間撹拌した後、0℃に冷却し、NaCNBH3(1.1g、18mmol、3.0当量)を加えた。得られた混合物を25℃に温め、48時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液(50mL)を加えてクエンチし、EtOAc(3×200mL)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、MeOH/DCM、1:99から3:97)で精製して、中間体7c(1.2g、31%)を淡黄色のゴム状物として回収した。
Rf=0.4(SiO2、MeOH/DCM、1:19)。
LCMS(ESI-MS m/z):C41H39N4O4[M+H]+の質量計算値651.30;実測値651.20。
【0362】
(S)-2-アミノ-4-((1-トリチル-1H-イミダゾール-2-イル)アミノ)ブタン酸(中間体7d)。中間体7c(1.0g、1.5mmol、1.0当量)のMeOH(20mL)溶液に、10%Pd(OH)2(0.40g、40%wt)を加え、得られた混合物をH2(バルーン)雰囲気下で16時間撹拌した後、Celite(登録商標)で濾過した。濾液を真空中で濃縮して、中間体7d(0.6g、91%)をオフホワイトの固体として回収した。
LCMS(ESI-MS m/z):C26H27N4O2[M+H]+の質量計算値427.21;実測値427.50。
【0363】
(S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-4-((1-トリチル-1H-イミダゾール-2-イル)アミノ)ブタン酸(BB13a)。中間体7d(0.60g、1.4mmol、1.0当量)の水/アセトン(9mL、3:1)溶液に、NaHCO3(0.23g、2.8mmol、2.0当量)を0℃で加え、続いてFmoc-OSu(0.47g、1.4mmol、1.0当量)を加えた。得られた混合物を25℃に温め、4時間撹拌した後、10%クエン酸水溶液(50mL)を加えてクエンチし、EtOAc(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、MeOH/DCM、1:99から1:24)で精製して、BB13a(0.45g、50%)を白色固体として回収した。
Rf=0.3(SiO2、MeOH/DCM、1:19)。
LCMS(ESI-MS m/z):C41H37N4O4[M+H]+の質量計算値649.28;実測値649.20。
【0364】
(S)-2-((S)-4-((1H-イミダゾール-2-イル)アミノ)-2-パルミタミドブタンアミド)-N1-((S)-1-アミノ-1-オキソ-3-フェニルプロパン-2-イル)ペンタンジアミドTFA塩(実施例15a)を、0.7gのRinkアミドAM樹脂を使用してSPPSの一般的手順に従って調製した。粗ペプチドを分取RP-HPLCによって精製し、生成物を含有する全ての画分を合わせ、真空中で5mLに濃縮した後、凍結乾燥して、実施例15aのペプチド(16mg、6.5%)を白色粉末として得た。
HRMS(ESI-MS m/z):C37H61N8O5[M+H]+の質量計算値697.4759;実測値697.4742。
実施例15に従って作製された化合物は、65及び66である。
【0365】
実施例15.実験手順-BB13b及び実施例15b
スキーム24.実施例15b及びそのビルディングブロックBB13bを生成する合成スキーム
【化43】
1-(tert-ブチル)5-メチル(tert-ブトキシカルボニル)-L-グルタメート(中間体8a)。Boc-Glu-OtBu(25g、82mmol、1.0当量)のDCM(500mL)溶液に、TEA(23mL、160mmol、2.0当量)を0℃で加え、続いてDMAP(1.0g、8.2mmol、0.1当量)及びClCOOMe(9.4mL、120mmol、1.5当量)を加えた。得られた混合物を25℃に温め、3時間撹拌した後、水(200mL)を加えてクエンチし、DCM(3×500mL)で抽出した。合わせた有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、真空中で濃縮して、中間体8a(25g、定量的)を粗物質として回収し、それをそのまま次の合成ステップで使用した。
R
f=0.5(SiO
2、EtOAc/石油エーテル、1:4)。
LCMS(ESI-MS m/z):C
15H
28NO
6[M+H]
+の質量計算値318.19;実測値318.23。
【0366】
1-(tert-ブチル)5-メチルN,N-ビス(tert-ブトキシカルボニル)-L-グルタメート(中間体8b)。中間体8a(25g、79mmol、1.0当量)のTHF(500mL)溶液に、DMAP(4.8g、39mmol、1.0当量)を0℃で加え、続いてBoc2O(34mL、160mmol、2.0mmol)を加えた。得られた混合物を25℃に温め、36時間撹拌した後、水(300mL)を加えてクエンチし、DCM(3×500mL)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、EtOAc/石油エーテル、0:1から1:9)で精製して、中間体8b(19g、60%)を白色固体として回収した。
Rf=0.6(SiO2、EtOAc/石油エーテル、1:4)。
LCMS(ESI-MS m/z):C20H35NO8[M+H]+の質量計算値418.24;実測値418.34。
【0367】
tert-ブチル(S)-2-(ビス(tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-5-オキソペンタノエート(中間体8c)。中間体8b(5.0g、12mmol、1.0当量)のジエチルエーテル(100mL)溶液に、ヘキサン中のDIBAL-Hの1M溶液(18mL、18mmol、1.5当量)を-78℃で5分間かけて滴下した。得られた混合物を、10%酒石酸ナトリウムカリウム水溶液(25mL)を加えてクエンチし、さらに30分間撹拌した後、EtOAc(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、EtOAc/石油エーテル、0:1から1:4)で精製して、中間体8c(4.0g、86%)を白色固体として回収した。
Rf=0.4(SiO2、EtOAc/石油エーテル、1:4)。
1H NMR(400MHz,CDCl3),δ:9.80-9.72(m,1H),4.80-4.72(m,1H),2.63-2.38(m,4H),1.58-1.38(m,27H).
【0368】
tert-ブチル(S)-2-(ビス(tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-5-((1-トリチル-1H-イミダゾール-2-イル)アミノ)ペンタノエート(中間体8d)。中間体8c(2.5g、6.4mmol、1.0当量)のトルエン(50mL)溶液に、BB14(2.1g、6.4mmol、1.0当量)を加えた。得られた混合物を120℃に加熱し、5時間撹拌した後、0℃に冷却し、NaCNBH3(0.73g、20mmol、3.0当量)を加えた。得られた混合物を25℃に温め、48時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液(50mL)を加えてクエンチし、EtOAc(3×200mL)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、EtOAc/石油エーテル、1:4から7:3)で精製して、中間体8d(0.9g、20%)を白色固体として回収した。
Rf=0.4(SiO2、MeOH/DCM、1:19)。
LCMS(ESI-MS m/z):C41H53N4O6[M+H]+の質量計算値697.40;実測値697.56。
【0369】
(S)-2-アミノ-5-((1-トリチル-1H-イミダゾール-2-イル)アミノ)ペンタン酸(中間体8e)。TFA/DCM(18mL、1:1)溶液に、中間体8d(0.9g、1.3mmol、1.0当量)を0℃で加えた。得られた混合物を25℃に温め、4時間撹拌した後、真空中で濃縮した。粗残留物をジエチルエーテル(50mL)中で粉砕して、粗中間体8e(0.5g、定量的)を淡褐色固体として回収し、それをそのまま次の合成ステップで使用した。
LCMS(ESI-MS m/z):C27H29N4O2[M+H]+の質量計算値441.23;実測値441.35。
【0370】
(S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-5-((1-トリチル-1H-イミダゾール-2-イル)アミノ)ペンタン酸(BB13b)。中間体8e(0.50g、1.1mmol、1.0当量)の水/アセトン(7.5mL、2:1)溶液に、NaHCO3(0.19g、2.3mmol、2.0当量)を0℃で加え、続いてFmoc-OSu(0.38g、1.1mmol、1.0当量)を加えた。得られた混合物を25℃に温め、4時間撹拌した後、10%クエン酸水溶液(50mL)を加えてクエンチし、EtOAc(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2、MeOH/DCM、1:99から3:47)で精製して、BB13b(0.9g、20%)をオフホワイトの固体として回収した。
Rf=0.3(SiO2、MeOH/DCM、1:19)。
LCMS(ESI-MS m/z):C42H39N4O4[M+H]+の質量計算値663.30;実測値663.47。
【0371】
(S)-2-((S)-5-((1H-イミダゾール-2-イル)アミノ)-2-パルミタミドペンタンアミド)-N1-((S)-1-アミノ-1-オキソ-3-フェニルプロパン-2-イル)ペンタンジアミドTFA(実施例15b)を、0.7gのRinkアミドAM樹脂を使用してSPPSの一般的手順に従って調製した。粗ペプチドを分取RP-HPLCによって精製し、生成物を含有する全ての画分を合わせ、真空中で5mLに濃縮した後、凍結乾燥して、実施例15bのペプチド(75mg、30%)を白色粉末として得た。
HRMS(ESI-MS m/z):C38H62N8O5[M+H]+の質量計算値711.4916;実測値711.4890。
【0372】
参考文献
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【0373】
実施例16-インビトロプロテアーゼアッセイ
16.1 材料及び方法
化合物の単回用量スクリーニング及び/又はIC50決定は、前述のようにDENVプロテアーゼの蛍光分析アッセイによって実施した(Nitsche and Klein,Fluorimetric and HPLC-Based Dengue Virus Protease Assays Using a FRET Substrate.In Antiviral Methods and Protocols,Gong,E.Y.,Ed.Humana Press:Totowa,New Jersey,2013;pp221-236-Nitsche et al.,J.Med.Chem.2013,56(21),8389-8403)。FRET基質は、Steuer et al.によって記載された内部クエンチされたアントラニルアミド/ニトロチロシン基質であった(DOI:10.1177/1087057109344115)(Km=105μM)。プロテアーゼの触媒活性により、切断された基質の蛍光が増加し、これは、BMG Labtech Fluostar OPTIMA Microtiter蛍光プレートリーダー(励起波長320nm、モニタリング発光波長405nm)を使用してモニタリングできる。DMSO中の10mMストック溶液から開始して希釈を行い、最終濃度を3回測定した。阻害剤は、アッセイバッファー(50mM Tris-HCl pH9.0、エチレングリコール(10%v/v)、及び0.0016% Brij58)中でDENVプロテアーゼ(100nM)とともに15分間プレインキュベートされた。FRET基質(最終濃度50μM)の添加によって酵素反応を開始して、ウェルあたり100μLの最終アッセイ体積を得た。酵素活性を15分間モニタリングし、各濃度の相対蛍光単位/秒(RFU/s)の勾配として決定した。3回の平均をCDDVaultで対応する濃度に対してプロットして、IC50値を決定した。同様の手順を使用して、WNV(Kuhl et al.,J.Med.Chem.2020,63(15):8179-8197)及びZIKAプロテアーゼ(Nitsche et al.,ACS Med.Chem.Lett.2019 Feb 14;10(2):168-174)に対する阻害能を決定した。活性候補の選択性スクリーニングについては、ヒトセリンプロテアーゼトリプシンを使用した同様の生化学的アッセイ(Weigel et al.,J.Med.Chem.2015,58(19),7719-7733)及び/又はトロンビン(Nitsche et al.,J.Med.Chem.2013,56(21),8389-8403)が使用された。
【0374】
16.2 デング熱の抑制
以下の化合物は、50μMで少なくとも25%のDENV阻害を示した:1~17、19、21、23、25、29、32、36~45、48~68、72、78、82、83、89~93、97、98、110~123、125~130、132~139、146~152、156、158~168、170~190、192、193、196
以下の化合物は、1μMで少なくとも20%のDENV阻害を示した:39、41、48~51、114、125、129、132、136、137、148、167、172、173
以下の化合物のDENVに対するIC50は10μM以下であった:1、2、4、7、9~17、24、25、32、39~41、43、44、48~51、53、54、72、82、83、90、92、97、98、110~119、121~123、125、128、129、132、133、134、136、137、139、146~150、156、158~161、167、168、170~177、180~183、186、187、189、190、192、193、196
以下の化合物のDENVに対するEC50は20μM以下であった:9、11、32、38、43、44、69、70、71、72、73、75、77、79、81、82、83、86、87、88、89、92、94、98、113、114、115、116、117、118、122、123、129、136、137、156、158、162、167、168、170、171、174、175、176、190、192、196。
【0375】
16.3 西ナイルウイルスの抑制
以下の化合物は、50μMで少なくとも25%のWNV阻害を示した:5、6、8~11、13、16、17、43、44、48、90、92、115、116、117、118、122、123、125、129、132、136、137、167、168、170、171、174、175、176、180~186、190、191、192、193、196
以下の化合物は、1μMで少なくとも10%のWNNV阻害を示した:132、137、186
以下の化合物のWNNVに対するIC50は40μM以下であった:5、6、8、9、10、11、13、16、17、39、41、43、44、48、90、92、113、114、115、116、117、118、122、123、125、129、132、136、137、156、167、168、170、171、174、175、176、180、181、182、183、186、189、190、193、196。
【0376】
以下の化合物のWNNVに対するEC50は25μM以下であった:9、10、43、44、50、51、53、54、113、114、118、136、170、189、196。
【0377】
16.4 ジカウイルスの抑制
以下の化合物は、50μMで少なくとも65%のZIKV阻害を示した:5、6、8、9、10、11、39、43、44、48、49、50、51、53、54、92、113、114、115、116、117、118、122、123、125、129、136、137、167、168、170、171、175、176、189、196。
【0378】
以下の化合物は、1μMで少なくとも10%のZIKV阻害を示した:9、11、39、43、44、48、49、50、51、54、92、113、114、115、116、117、118、123、125、129、136、137、167、168、189。
【0379】
以下の化合物のZIKVに対するIC50は25μM以下であった:5、6、8、9、10、11、39、43、44、48、49、50、51、53、54、92、113、114、115、116、117、118、122、123、125、129、136、137、167、168、170、171、175、176、189、196。
【0380】
以下の化合物のZIKVに対するEC50は10μM以下であった:44、49、50、51、53、54、113、114、118、136、137、170、189、196。
【0381】
16.5 化合物の選択性
このデータは、宿主プロテアーゼに関して活性が低いときの化合物の選択性を示す。
【0382】
以下の化合物は、25μMで20%未満のヒトトロンビンの阻害を示した:5、6、8、9、10、11、13、16、17、43、44、90、92、115、116、117、118、122、123、125、129、132、136、137、167、168、170、171、174、175、176、180、181、186、189、190、196。
【0383】
以下の化合物は、5μMで5%未満のヒトトロンビンの阻害を示した:5、6、8、9、10、11、13、16、17、43、44、90、92、115、116、117、118、122、123、125、129、132、136、137、167、168、170、171、174、175、176、180、181、186、189、190、196。
【0384】
以下の化合物は、25μMで20%未満のヒトトリプシンの阻害を示した:5、6、8、11、13、16、17、43、44、90、92、114、115、116、117、118、122、123、125、129、132、136、137、168、170、171、174、175、181、189、190、196。
【0385】
以下の化合物は、5μMで10%未満のヒトトリプシンの阻害を示した:5、6、8、10、11、13、16、17、43、44、90、92、114、115、116、117、118、122、123、125、129、136、137、168、170、171、174、175、189、190、196。
【0386】
実施例17-インビボアッセイ
17.1 材料及び方法
この試験の目的は、AG129マウスにおけるデングウイルス2(DENV2、ATCC(登録商標)VR-1584(商標))感染に対する化合物の有効性を判定することであった。
【0387】
17.1.1 動物福祉及び飼育
表3.1.1に従って化合物を試験するために、1グループあたり9匹の、生後6~8週齢のAG129マウスの6つのグループを使用した。動物の室内環境は、温度及び相対湿度につき1日2回モニタリングした。温度範囲は22℃±3℃、湿度範囲は30~70%であった。動物には12時間の光及び12時間の闇が与えられた。飼料及び飲料水は自由に与えた。化合物43及び113を試験した。
【0388】
【0389】
17.1.2 ウイルスの生成
C6/36(ATCC(CRL-1660)細胞株は、5%ウシ胎児血清を加えたRPMI1640培地(Gibco/HiMedia)中で、28℃で培養された。デングウイルス2型(ATCC(登録商標)VR-1584(商標))ニューギニアC(NGC、DENV2)をBHK-21細胞培養で継代し、アッセイに十分なストックを作製した。ウイルス力価は、BHK-21細胞を用いてTCID50法により測定した。
【0390】
17.1.3 感染の導入
処置の24時間後(0日目)、動物に0.2mlのウイルス懸濁液(約5×107/動物)を腹腔内(IP)注射した。
【0391】
17.1.4 製剤
試験化合物の溶媒は、5%DMSO+95%(20%)ヒドロキシプロピルシクロデキストリンであった。生理食塩水(0.9%)をリバビリンの溶媒として使用した。製剤は、毎日、投与の直前に調製した。
【0392】
17.1.5 治療、サンプル採取及び臨床観察
動物への化合物及び溶媒の投与は、感染の24時間前(-1日目)に開始した。以下の表3.1.5に示す実験デザインに従って、動物を毎日(-1日目から4日目まで)治療した。動物の一般的な臨床徴候、罹患率及び死亡率をモニタリングした。体重は毎日測定した。
【0393】
【0394】
17.1.6 採血
-1、0、1、2、3、4~5日目に血液を採取した。
【0395】
17.1.7 プラークアッセイ
BHK-21細胞を、24ウェルプレート(NUNC,NY,USA)でおよそ80%コンフルエントになるまで培養した。血漿サンプルをRPMI 1640(GIBCO)で10倍段階希釈した。BHK-21単層を100μlの各ウイルス希釈液で感染させた。15分間隔で揺動させながら37℃、5%CO2雰囲気で1時間インキュベートした後、培地をデカントし、2%FCSを補充したRPMI中の1%(w/v)カルボキシメチルセルロース1mlを各ウェルに加えた。5%CO2中、37℃で4日間インキュベートした後、細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定し、37%ホルムアルデヒドに溶解した200mlの1%クリスタルバイオレットで30分間染色した。水で十分にすすいだ後、プレートを乾燥させ、プラークを視覚的に採点した。
【0396】
17.1.8 感染マーカー
血漿サンプル中のサイトカインレベル(TNFアルファ、IL-6及びIL-12)は、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)を使用して測定された。マウスTNFアルファELISAキット(Abcam:ab208348)、マウスIL-6 ELISAキット(Abcam:ab100712)、及びマウスIL-12 p40+IL-12 p70 ELISAキット(Abcam:ab100699)を使用して、それぞれTNFアルファ、IL-6及びIL-12を推定した。アッセイは製造業者の指示に従って実施され、TECAN-NanoQuantPlate(商標)システムで分析された。
【0397】
17.1.9 終了
動物は、イソフルランによる感染と、その後のCO2の過剰摂取後5日目に屠殺され。脾臓を切除し、測定し、秤量した。
【0398】
17.1.10 データ分析
平均±SD Log10PFU/ml、相対平均±SD脾臓重量、平均±SDバイオマーカー濃度を各グループで推定した。グループ平均と対照の間の有意差は、95%信頼水準でGraphPad Prism 5を使用して、一元配置分散分析とそれに続くダネットの多重比較検定によって分析された。<0.05のp値は有意であるとみなされた。
【0399】
17.2 結果
20及び10mg/kgの化合物43又は113で治療された動物は、明らかに正常であった。治療終了時の平均体には差があったが(表3.2.1及び
図1)、統計的に有意ではなかった。43(10mg/kg及び20mg/kg)及び113(10及び20mg/kg)は、溶媒対照と比較した場合、脾臓重量の有意な減少(感染の低下を示す)を示した(表3.2.2及び
図2)。リバビリンでは有意な減少は観察されなかった。
【0400】
【0401】
【0402】
17.2.3 血漿中のウイルス減少(プラークアッセイ)
化合物43(1日2回、20mg/kg及び10mg/kgの用量で腹腔内投与)は、3日目及び4日目に溶媒対照と比較した場合、プラークアッセイで測定される、血漿における有意な用量依存性抗ウイルス効果を示した(p<0.05)(表3.2.3及び
図3)。化合物113は、3日目(1日2回、用量20mg/kg及び10mg/kgで腹腔内投与)及び4日目(1日2回、用量20mg/kgで腹腔内投与)に、血漿中で有意な用量依存性抗ウイルス効果を示した(表3.2.3及び
図3)。リバビリン(100mg/kg)は、両日とも溶媒対照と比較した場合、有意な抗ウイルス活性を示さなかった。
【0403】
【0404】
17.2.4 バイオマーカー
化合物43(20mg/kg)及び113(20mg/kg)は、溶媒対照と比較した場合、TNF-αレベルの有意な減少を示した(p<0.05)。溶媒対照と比較した場合、リバビリンでは有意な減少は観察されなかった(p>0.05)(表3.2.4及び
図4)。
【0405】
化合物113(20mg/kg)は、溶媒対照と比較した場合、IL-6レベルの有意な減少を示した(p<0.05)。化合物43(20mg/kg、10mg/kg)、化合物113(10mg/kg)、及びリバビリンでは、溶媒対照と比較して有意な減少は観察されなかった(p>0.05)(表3.2.4及び
図4)。
【0406】
化合物43(10mg/kg、20mg/kg)、化合物113(20mg/kg)、及びリバビリンは、溶媒対照と比較した場合、IL-12レベルの有意な低下を示した(p<0.05)(表3.2.4及び
図4)。
【0407】
【0408】
実施例18-皮下投与を使用したインビボアッセイ
18.1 序論
これらの試験は主に実施例17と同様に実施したが、本発明の化合物の投与に違いが見出された。実施例17では、公知の抗ウイルス薬リバビリンを用いた比較対照を皮下投与により投与したが、腹腔内投与した本発明の化合物は、この比較対照より優れていた。この実施例では、本発明の化合物は皮下投与を使用して投与され、化合物113は本発明による化合物の例として使用された。
【0409】
18.2 結果
皮下投与では、血漿中の化合物113がゆっくりと排出され、他の投与経路よりもマウスのデングウイルス感染に対する有効性が向上したことが示された。
【0410】
18.2.1 化合物は良好な薬物動態を示す
実施例17に記載したように、化合物113などの本発明の化合物は、生化学的及び細胞感染アッセイにおいて最小限の細胞毒性でDENVプロテアーゼを強力且つ特異的に阻害する。化合物113のインビボ薬物動態実験は、静脈内、腹腔内、皮下の3つの経路で、動物間の変動性及び用量比例性が限定された信頼性の高い薬物動態プロファイルを示した(
図5A)。同様のデータが化合物43でも得られた(
図5D)
【0411】
ペプチド模倣物などの薬物の経口バイオアベイラビリティーの低さは、胃腸管における不安定性、初回通過消失、又は生体膜の透過性の低さが原因であり得る。最初の2つは、本発明の化合物には適用されない:物理的及び化学的安定性は、適切な数の代謝酵素(パンクレアチン/ペプシン)を含有する模擬腸液中で保存されることが判明した一方で、Caco-2細胞における透過性は低いことが判明した。全身投与経路を介した排出速度も、肝細胞及び肝ミクロソームの両方においてインビトロで観察される制限された肝クリアランスと一致して、遅いことが判明した。さらに、インビトロADMET実験では、CYP阻害/誘導傾向は示されず、薬物間相互作用のリスクが低いか存在しないことが示された。
【0412】
18.2.2 皮下投与により対数減少が増加する
実施例17に記載の実験はまた、感染後48時間までの治療期間で、マウスにおける優れた有効性(感染後3日目で92%超のウイルス量減少)を確認した。皮下投与により、ウイルス量の減少がさらに1対数単位を超えて改善されることが判明した(感染後3日目及び4日目のウイルス量の減少はそれぞれ98%超及び99%超;
図5B)。皮下経路を介した場合、経時的に測定された血漿レベルは、腹腔内投与を介した場合よりも高かった(
図5A及び
図5D)。
【0413】
化合物113及び43も、治療期間を通じたマウス血漿中の化合物のプラークアッセイによって証明されるように、良好な治療効果を示した。結果は以下の表に示され、ここで、化合物は20mg/kgで使用された(感染後5時間)。皮下投与後は抗ウイルス活性が大幅に向上し、効果がより長く持続する。
【0414】
【0415】
18.2.3 化合物は良好な器官標的化を示す
投与後、分子は毛細血管又はリンパ系を介して全身循環に到達する。ラットにおける生体内分布は、化合物113がデングウイルスの主な標的部位(肝臓及び脾臓、
図5C)に到達できることを示した。これらのデータは、皮下投与が標的器官への送達を強化することができ、ウイルス量がさらに減少することを示している。
【0416】
18.3 結論
デング熱に関しては、現在、旅行者向けのワクチン又は抗ウイルス薬は市場に出回っていない。流行国を訪問する旅行者にとって、他の感染性疾患(A型肝炎又は黄熱病など)について、単回又は繰り返しの注射による予防接種を受けるのが現在一般的である。マラリアの場合、旅行者は感染を防ぐために毎日経口薬を使用する。どちらの治療法も一般的に広く受け入れられている。ワクチン接種は主に(筋肉内)注射によって行われ、この集団では保護を得るために一般によく受け入れられている。
【0417】
現在、デング熱の予防薬は市販されていない。本発明は、そのような予防ワクチン又は旅行者ワクチンを提供することができる。皮下投与には、効率的な全身送達及び患者/旅行者のコンプライアンス及び容易さについて、デングウイルスに関連した特有の利点があることが判明した。前臨床薬物動態データは、化合物のゆっくりとした消失を示し、これは、治療及び予防の設定において、単回皮下投与が1週間又は2週間の治療に十分であり得ることを示した。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2024-05-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(0)の化合物又はその塩:
【化1】
(式中、
mは、2又は3であり;
連結は、-C(O)-であるか、又は存在せず;
尾部は、H又はC1~24アルキルであり;
頭部は、-NH
2、-NH-C1~24アルキル、-C(O)-NH
2、-C(O)-NH-C1~24アルキル、又は5~6員(ヘテロ)アリールであり;
AA
1は、それがドナーカルボン酸を提供するアミド結合を介して隣接するAA
nに接続され、そのアミンを介して連結に接続される、アミノ酸残基であり;
AA
nは、各インスタンスについて独立してアミノ酸残基である)。
【請求項2】
mが3である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
mが2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
尾部が、CH
3-(CH
2)
14-である、請求項
1に記載の化合物。
【請求項5】
連結が-C(O)-であり、尾部がC1~24アルキルである、請求項
1に記載の化合物。
【請求項6】
連結が-C(O)-である、請求項
1に記載の化合物。
【請求項7】
連結が-C(O)-である、請求項4に記載の化合物。
【請求項8】
連結が存在せず、尾部がHである、請求項
1に記載の化合物。
【請求項9】
頭部が、-NH
2、-NH-(CH
2)
15-CH
3、-フェニル、-CH
3、又は-C(O)-NH
2である、請求項
1に記載の化合物。
【請求項10】
頭部が、-NH
2、-フェニル、-CH
3、又は-C(O)-NH
2である、請求項
1に記載の化合物。
【請求項11】
頭部が、-NH
2、-フェニル、-CH
3、又は-C(O)-NH
2である、請求項
4に記載の化合物。
【請求項12】
頭部が、-NH-C1~24アルキル又は-C(O)-NH-C1~24アルキル、好ましくは-NH-(CH
2)
15-CH
3である、請求項8に記載の化合物。
【請求項13】
AA
1が、リジン、アルギニン、又はアラニンであり、好ましくは、リジン又はアルギニンであり、最も好ましくは、リジンである、請求項
1に記載の化合物。
【請求項14】
各AA
nが、アラニン、アルギニン、グルタミン、リジン、フェニルアラニン、ヒスチジン、プロリン、(4-OBn-フェニル)グリシン、トリプトファン、及びホモフェニルアラニンから個別に選択される、請求項
1に記載の化合物。
【請求項15】
頭部に隣接しないAA
nの少なくとも1つのインスタンスが、アラニン、グルタミン、又はヒスチジンであり、好ましくは、アラニン又はグルタミン、最も好ましくは、アラニンである、請求項
1に記載の化合物。
【請求項16】
頭部に隣接するAA
nの前記インスタンスが、リジン、フェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、ヒスチジン、トリプトファン、又は(4-OBn-フェニル)グリシン、好ましくは、リジン、フェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、又はヒスチジン、より好ましくは、リジン又はヒスチジン、最も好ましくは、リジンである、請求項
1に記載の化合物。
【請求項17】
頭部に隣接しないAA
nの少なくとも1つのインスタンスがグルタミンであり、好ましくは、mが2である、請求項
1に記載の化合物。
【請求項18】
頭部に隣接するAA
nの前記インスタンスがフェニルアラニンであり、好ましくはmが2であり、好ましくはAA
1がアルギニンである、請求項
1に記載の化合物。
【請求項19】
AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KAAK、ARQK、KAF、RQ-ホモPhe、KAK、RAF、RQF、KAH、KAAH、KPA-(4-OBn-フェニルGly)、KPAK、KAAW、KPH-ホモPhe、KPAF、KPA-ホモPhe、又はKPAWで表されるペプチドを形成する、請求項
1に記載の化合物。
【請求項20】
AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KAAK、(D-K)AAK、K(D-A)AK、KA(D-A)K、KAA(D-K)、ARQK、KAF、RQ-ホモPhe、KAK、RAF、RQF、(D-R)QF、KAH、KAAH、KAA(D-H)、KPA-(4-OBn-フェニルGly)、KPAK、KAAW、KPH-ホモPhe、KPAF、KPA(D-F)、KPA-ホモPhe、KPA-(D-ホモPhe)、KPAW、(D-K)PAW、又はKPA(D-W)で表されるペプチドを形成する、請求項
1に記載の化合物。
【請求項21】
i.尾部がHであり、連結が存在せず;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、ARQKで表されるペプチドを形成し;頭部が-NH-(CH
2)
15-CH
3であるか;
ii.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KAAKで表されるペプチドを形成し;頭部が-フェニルであるか;
iii.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KAFで表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2であるか;
iv.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、RQ-ホモPheで表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2であるか;
v.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KA(D-A)Kで表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2であるか;
vi.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、ARQKで表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2であるか;
vii.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KAKで表されるペプチドを形成し;頭部が-フェニルであるか;
viii.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、RAFで表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2であるか;
ix.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KAA(D-K)で表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2であるか;
x.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、(D-R)QFで表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2であるか;
xi.尾部がHであり、連結が存在せず;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KAKで表されるペプチドを形成し;頭部が-NH-(CH
2)
15-CH
3であるか;
xii.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KAAKで表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2であるか;
xiii.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KAHで表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2であるか;
xiv.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KAAKで表されるペプチドを形成し;頭部が
-C(O)-NH
2であるか;
xv.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、RQFで表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2であるか;
xvi.尾部がHであり、連結が存在せず;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KAAKで表されるペプチドを形成し;頭部が-NH-(CH
2)
15-CH
3であるか;
xvii.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KAKで表されるペプチドを形成し;頭部が-C(O)-NH
2であるか;
xviii.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、(D-K)AAKで表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2であるか;
xix.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KAAHで表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2であるか;
xx,尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KAA(D-K)で表されるペプチドを形成し;頭部が-C(O)-NH-CH
2-フェニルであるか;
xxi.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KPA-(4-OBn-フェニルGly)で表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2であるか;
xxii.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KAKで表されるペプチドを形成し;頭部が-CH
3であるか;
xxiii.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KPAKで表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2であるか;
xxiv.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、K(D-A)AKで表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2であるか;
xxv.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KAA(D-H)で表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2であるか;
xxvi.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KAAWで表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2であるか;
xxvii.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KPH-ホモPheで表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2であるか;
xxviii.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KPAFで表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2であるか;
xxix.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KPA-ホモPheで表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2であるか;
xxx.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KPA(D-ホモPhe)で表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2であるか;
xxxi.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KPA(D-F)で表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2であるか;
xxxii.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、(D-K)PAWで表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2であるか;又は
xxxiii.尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KPA(D-W)で表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2である、請求項
1に記載の化合物。
【請求項22】
式(KAAK-4):
【化2】
の化合物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項23】
式(RQF-1):
【化3】
の化合物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項24】
ウイルス感染症又はウイルス感染症に関連する状態を
、治療する、予防する、又は遅延させる
ことにおける使用のための医薬組成物であって、請求項1~23のいずれか一項に記載の化合物の有効量を
含む、医薬組成物。
【請求項25】
前記ウイルス感染症が、デングウイルス感染症である、請求項24に記載の
医薬組成物。
【請求項26】
前記化合物が、一般式(0)又はその塩の化合物であり、尾部がCH
3-(CH
2)
14-であり、連結が-C(O)-であり;AA
1とAA
nの各インスタンスが一緒になって、KAA(D-K)で表されるペプチドを形成し;頭部が-NH
2である、請求項2
4に記載の
医薬組成物。
【請求項27】
一般式(1)の化合物又はその塩:
【化4】
(式中、
尾部は、C
1~24アルキル、-O-C
1~24アルキル、5~20員(ヘテロ)アリール、又は3~20員(ヘテロ)シクロアルキルであり、尾部は、任意選択により、不飽和であり、尾部は、任意選択により、ハロゲン、C
1~3(ハロ)アルキル、又はC
1~3(ハロ)アルコキシルで置換されており;
頭部は、-H、-h1、-O-h1、-C(O)-h1、-C(O)-N(H)h1、-N(h2)h1であるか、又は頭部は、-C1~24アルキル、-(NH)
0-1-5~20員(ヘテロ)アリール、又は-(NH)
0-1~3~20員(ヘテロ)シクロアルキルであり、頭部は、任意選択により不飽和であり、頭部は、任意選択により、ハロゲン、C1~3(ハロ)アルキル、又はC1~3(ハロ)アルコキシルで置換されており;
h1は、-H、-OH、-S(O)
0~2-OH、C1~8(ハロ)アルキル、C1~8(ハロ)アルコキシル、-S(O)
0~2-C1~8(ハロ)アルキル、3~8員(ヘテロ)シクロアルキル、-S(O)
0~2-[3~8員(ヘテロ)シクロアルキル]、-C
1~4アルキル-[3~8員(ヘテロ)シクロアルキル]、5~6員(ヘテロ)アリール、-S(O)
0~2-[5~6員(ヘテロ)アリール]、又はC
1~4アルキル[5~6員(ヘテロ)アリール]であり、h1は、任意選択により、ハロゲン、C1~3(ハロ)アルキル、又はC1~3(ハロ)アルコキシルで置換されており;
h2は、-H、-OH、-S(O)
0~2-OH、C1~8(ハロ)アルキル、C1~8(ハロ)アルコキシル、-S(O)
0~2-C1~8(ハロ)アルキル、3~8員(ヘテロ)シクロアルキル、-S(O)
0~2-[3~8員(ヘテロ)シクロアルキル]、-C
1~4アルキル-[3~8員(ヘテロ)シクロアルキル]、5~6員(ヘテロ)アリール、-S(O)
0~2-[5~6員(ヘテロ)アリール]、又はC
1~4アルキル[5~6員(ヘテロ)アリール]であり、h2は、任意選択により、ハロゲン、C1~3(ハロ)アルキル、又はC1~3(ハロ)アルコキシルで置換されており;
AA
1は、それがドナーカルボン酸を提供するアミド結合を介して隣接するAA
nに接続され、それがドナーアミンを提供する二級アミドのアミド結合を介して尾部に接続される、アミノ酸残基であり;
AA
nは、各インスタンスについて独立してアミノ酸残基であり、頭部に隣接する残基のカルボニル部分は、代わりに頭部と一緒になって、ハロゲン、C1~3(ハロ)アルキル、又はC1~3(ハロ)アルコキシルで任意選択により置換された、-B(OH)
2若しくはそのC1~6アルキルエステル、-P(O)(OH)
2若しくはそのC1~6アルキルエステル、-S(O)
2-ハロゲン、又は5~12員(ヘテロ)アリールアルコキシで置換されていてもよく;
mは、1、2、3、4、又は5である)。
【国際調査報告】