IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ タケダ ワクチン,インコーポレイテッドの特許一覧

特表2024-538677ノロウイルス反応性抗体を決定する方法
<>
  • 特表-ノロウイルス反応性抗体を決定する方法 図1
  • 特表-ノロウイルス反応性抗体を決定する方法 図2
  • 特表-ノロウイルス反応性抗体を決定する方法 図3A
  • 特表-ノロウイルス反応性抗体を決定する方法 図3B
  • 特表-ノロウイルス反応性抗体を決定する方法 図4
  • 特表-ノロウイルス反応性抗体を決定する方法 図5
  • 特表-ノロウイルス反応性抗体を決定する方法 図6
  • 特表-ノロウイルス反応性抗体を決定する方法 図7
  • 特表-ノロウイルス反応性抗体を決定する方法 図8
  • 特表-ノロウイルス反応性抗体を決定する方法 図9
  • 特表-ノロウイルス反応性抗体を決定する方法 図10
  • 特表-ノロウイルス反応性抗体を決定する方法 図11
  • 特表-ノロウイルス反応性抗体を決定する方法 図12
  • 特表-ノロウイルス反応性抗体を決定する方法 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-23
(54)【発明の名称】ノロウイルス反応性抗体を決定する方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/53 20060101AFI20241016BHJP
   G01N 33/545 20060101ALI20241016BHJP
   G01N 33/543 20060101ALI20241016BHJP
   G01N 33/569 20060101ALI20241016BHJP
   C12N 7/04 20060101ALN20241016BHJP
   C07K 14/08 20060101ALN20241016BHJP
   C07K 16/10 20060101ALN20241016BHJP
【FI】
G01N33/53 N ZNA
G01N33/545 A
G01N33/543 575
G01N33/569 L
C12N7/04
C07K14/08
C07K16/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520590
(86)(22)【出願日】2022-10-04
(85)【翻訳文提出日】2024-05-31
(86)【国際出願番号】 US2022077540
(87)【国際公開番号】W WO2023060086
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】63/252,053
(32)【優先日】2021-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】507028479
【氏名又は名称】タケダ ワクチン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ブリンクマン,アマンダ
(72)【発明者】
【氏名】クルカルニ,アプルヴァ
【テーマコード(参考)】
4B065
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA95X
4B065CA24
4B065CA46
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA70
4H045CA01
4H045CA40
4H045DA50
4H045DA76
4H045EA50
(57)【要約】
本開示は、対象からの試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量を決定する方法に向けられる。対象は、ノロウイルスワクチンでワクチン接種されるか、またはノロウイルスに感染していてもよい。本開示は、ノロウイルス感染を診断するため、および、例えばノロウイルスワクチンでのワクチン接種後の、対象においてノロウイルス感染からの保護を決定するためのin vitroの方法にさらに関する。本開示は、試料中のノロウイルス反応性抗体を決定するためのキットにさらに向けられる。本開示は、ノロウイルスウイルス様粒子に連結されたマイクロスフェアを含むマイクロスフェア複合体にさらに向けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノロウイルスウイルス様粒子(VLP)に連結されたマイクロスフェアを含むマイクロスフェア複合体。
【請求項2】
前記ノロウイルスVLPが、メジャーなウイルスカプシドタンパク質VP1および任意選択によりマイナーなウイルスカプシドタンパク質VP2を含む、請求項1に記載のマイクロスフェア複合体。
【請求項3】
前記メジャーなウイルスカプシドタンパク質VP1が、配列番号1または配列番号2または配列番号3または配列番号4または配列番号5または配列番号6または配列番号7または配列番号8または配列番号9または配列番号10または配列番号11または配列番号12または配列番号13または配列番号14または配列番号15または配列番号16または配列番号17または配列番号18または配列番号19または配列番号20または配列番号21または配列番号22に対して、少なくとも80%または少なくとも85%または少なくとも90%または少なくとも95%または100%同一である、請求項2に記載のマイクロスフェア複合体。
【請求項4】
前記マイクロスフェアが、検出可能な標識を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のマイクロスフェア複合体。
【請求項5】
前記検出可能な標識が少なくとも1つの蛍光色素である、請求項4に記載のマイクロスフェア複合体。
【請求項6】
前記マイクロスフェアが、光源で照射したときに、前記少なくとも1つの蛍光色素の放出シグナルにより同定され得る、請求項5に記載のマイクロスフェア複合体。
【請求項7】
所定量の少なくとも1つの請求項1~6のいずれか1項に記載のマイクロスフェア複合体および任意選択により所定量の検出抗体を含むキット。
【請求項8】
- 所定量の少なくとも1つの請求項1~6のいずれか1項に記載のマイクロスフェア複合体、および
- 所定量の、前記少なくとも1つのマイクロスフェア複合体の前記ノロウイルスVLPに結合する少なくとも1つのレポーター抗体
を含むキット。
【請求項9】
前記少なくとも1つのレポーター抗体が、前記少なくとも1つのレポーター抗体の重鎖定常領域により、検出可能な標識に取り付けられている、請求項8に記載のキット。
【請求項10】
前記少なくとも1つのレポーター抗体が、前記少なくとも1つのレポーター抗体の前記重鎖定常領域により、前記検出可能な標識に間接的に取り付けられており、前記レポーター抗体が、検出可能な標識に直接的に取り付けられた二次レポーター抗体と反応する、請求項9に記載のキット。
【請求項11】
前記検出可能な標識が蛍光標識であり、好ましくは前記蛍光標識が、キサンテン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリン、シアニン、クマリン、およびこれらの任意の誘導体からなる群から選択される、請求項9または10に記載のキット。
【請求項12】
前記少なくとも1つのレポーター抗体が、0.5μg/mL未満、または0.4μg/mL未満または0.3μg/mL未満または0.2μg/mL未満または0.15μg/mL未満または0.1μg/mL未満または0.09μg/mL未満または0.08μg/mL未満または0.07μg/mL未満または0.05μg/mL未満または0.03μg/mL未満または0.02μg/mL未満または0.01μg/mL未満の、前記少なくとも1つのマイクロスフェア複合体の前記ノロウイルスVLPに対するEC50値を提供する、請求項8~11のいずれか1項に記載のキット。
【請求項13】
前記少なくとも1つのレポーター抗体が、
配列番号27により表される重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列、および
配列番号28により表される軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列
を含む、請求項8~12のいずれか1項に記載のキット。
【請求項14】
前記少なくとも1つのレポーター抗体が、
配列番号29により表される重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列、および
配列番号30により表される軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列
を含む、請求項8~12のいずれか1項に記載のキット。
【請求項15】
所定量の2つの請求項1~6のいずれか1項に記載のマイクロスフェア複合体および所定量の2つのレポーター抗体を含み、
第1のマイクロスフェア複合体が、第1のノロウイルスVLPに連結された第1のマイクロスフェアを含み、第2のマイクロスフェア複合体が、第2のノロウイルスVLPに連結された第2のマイクロスフェアを含み、
前記第1のマイクロスフェアが第1の検出可能な標識を含み、前記第2のマイクロスフェアが第2の検出可能な標識を含み、前記第1の検出可能な標識の放出シグナルが前記第2の検出可能な標識の放出シグナルとは異なり、
第1のレポーター抗体が、前記第1のノロウイルスVLPに結合し、前記第2のノロウイルスウイルス様粒子に結合せず、
第2のレポーター抗体が、前記第2のノロウイルスVLPに結合し、前記第1のノロウイルスVLPに結合しない、請求項8~12のいずれか1項に記載のキット。
【請求項16】
前記第1または前記第2のレポーター抗体が、
配列番号27により表される重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列、および
配列番号28により表される軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列;
または
配列番号29により表される重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列、および
配列番号30により表される軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列
を含む、請求項15に記載のキット。
【請求項17】
前記第1のノロウイルスVLPがGI.1 VLPであり、前記第2のノロウイルスウイルス様粒子がGII.4/コンセンサスVLPである、請求項15に記載のキット。
【請求項18】
前記第2のレポーター抗体が、
配列番号29により表される重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列、および
配列番号30により表される軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列
を含み;
任意選択により、前記第1のレポーター抗体が、
配列番号27により表される重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列、および
配列番号28により表される軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列
を含む、請求項17に記載のキット。
【請求項19】
所定量の1つの請求項1~6のいずれか1項に記載のマイクロスフェア複合体および所定量の1つの、前記マイクロスフェア複合体の前記ノロウイルスVLPに結合するレポーター抗体を含む、請求項8~14のいずれか1項に記載のキット。
【請求項20】
対象からの試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量の指標となる検出抗体からのシグナルを検出する方法であって、
工程1:所定量の請求項1~6のいずれか1項に記載のマイクロスフェア複合体を前記試料と接触させて、前記マイクロスフェア複合体中の前記マイクロスフェアに連結された前記ノロウイルスウイルス様粒子(VLP)に、前記試料中の前記ノロウイルス反応性抗体を結合させる工程、
工程2:所定量の検出抗体を、工程1における前記ノロウイルスVLPに結合した前記ノロウイルス反応性抗体と接触させて、前記ノロウイルス反応性抗体の重鎖定常領域に、前記検出抗体を結合させる工程であって、前記検出抗体が、前記検出抗体の可変領域を用いて前記ノロウイルス反応性抗体に結合し、前記検出抗体が、検出可能な標識に取り付けられている、工程、および
工程3:工程2における前記ノロウイルス反応性抗体に結合した前記検出抗体からのシグナルを検出する工程
を含む、方法。
【請求項21】
以下のさらなる工程:
工程4:工程3の前記シグナルから前記ノロウイルス反応性抗体に結合した前記検出抗体の存在および/または量を決定する工程、ならびに
工程5:工程4において決定された前記検出抗体の存在および/または量から前記試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量を決定する工程
を含む、対象からの試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量を決定するための、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
対象からの試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量の指標となる検出抗体からのシグナルを検出する方法であって、
工程1:所定量の少なくとも2つの請求項1~6のいずれか1項に記載のマイクロスフェア複合体を、前記試料と接触させて、前記第1および/または前記第2のノロウイルスVLPに、前記試料中の前記ノロウイルス反応性抗体を結合させる工程であって、
第1のマイクロスフェア複合体が、第1のノロウイルスVLPに連結された第1のマイクロスフェアを含み、第2のマイクロスフェア複合体が、第2のノロウイルスVLPに連結された第2のマイクロスフェアを含み、
前記第1のマイクロスフェアが第1の検出可能な標識を含み、前記第2のマイクロスフェアが第2の検出可能な標識を含み、前記第1の検出可能な標識の放出シグナルが前記第2の検出可能な標識の放出シグナルとは異なる、工程、
工程2:所定量の検出抗体を、工程1における前記第1および/または前記第2のノロウイルスVLPに結合した前記ノロウイルス反応性抗体と接触させて、前記ノロウイルス反応性抗体の重鎖定常領域に、前記検出抗体を結合させる工程であって、前記検出抗体が、前記検出抗体の可変領域を用いて前記ノロウイルス反応性抗体に結合し、前記検出抗体が、第3の検出可能な標識に取り付けられている、工程、
工程3:第1の光源で照射したときに、少なくとも1つのマイクロスフェアの前記検出可能な標識の放出シグナルを検出し、前記放出シグナルを、前記第1の検出可能な標識の放出シグナルと比較し、さらに、前記第2の検出可能な標識の放出シグナルと比較し、それにより、前記少なくとも1つのマイクロスフェアおよび前記少なくとも1つのマイクロスフェアが連結された前記ノロウイルスVLPを同定し、
同時に、第2の光源で照射したときに、工程2における前記少なくとも1つのマイクロスフェアの前記ノロウイルスVLPに結合した前記ノロウイルス反応性抗体に結合した前記検出抗体からのシグナルを検出する工程、
工程4:同じノロウイルスVLPに連結された少なくとも30個のマイクロスフェアが同定されるまで工程3を繰り返す工程、ならびに
工程5:同じノロウイルスVLPに連結されたすべての同定されたマイクロスフェアについての工程3における前記検出抗体からの前記検出されたシグナルを要約する工程であって、前記要約されたシグナルが、前記試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量の指標となる、工程
を含む、方法。
【請求項23】
以下のさらなる工程:
工程6:工程5の前記要約されたシグナルから前記ノロウイルス反応性抗体に結合した前記検出抗体の存在および/または量を決定する工程、ならびに
工程7:工程6において決定された前記検出抗体の存在および/または量から前記試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量を決定する工程
を含む、対象からの試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量を決定するための、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
工程1において、所定量の少なくとも5個または少なくとも10個または少なくとも15個または少なくとも20個のマイクロスフェア複合体が前記試料と接触させられる、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
工程1において、所定量の、GI.1 VLPに連結された第1のマイクロスフェアを含む第1のマイクロスフェア複合体、所定量の、GI.2 VLPに連結された第2のマイクロスフェアを含む第2のマイクロスフェア複合体、所定量の、GI.3 VLPに連結された第3のマイクロスフェアを含む第3のマイクロスフェア複合体、所定量の、GI.4 VLPに連結された第4のマイクロスフェアを含む第4のマイクロスフェア複合体、所定量の、GI.5 VLPに連結された第5のマイクロスフェアを含む第5のマイクロスフェア複合体、所定量の、GI.6 VLPに連結された第6のマイクロスフェアを含む第6のマイクロスフェア複合体、所定量の、GI.7 VLPに連結された第7のマイクロスフェアを含む第7のマイクロスフェア複合体、所定量の、GII.1 VLPに連結された第8のマイクロスフェアを含む第8のマイクロスフェア複合体、所定量の、GII.2 VLPに連結された第9のマイクロスフェアを含む第9のマイクロスフェア複合体、所定量の、GII.3 VLPに連結された第10のマイクロスフェアを含む第10のマイクロスフェア複合体、所定量の、GII.4/コンセンサスVLPに連結された第11のマイクロスフェアを含む第11のマイクロスフェア複合体、所定量の、GII.4/Sydney VLPに連結された第12のマイクロスフェアを含む第12のマイクロスフェア複合体、所定量の、GII.4/New Orleans VLPに連結された第13のマイクロスフェアを含む第13のマイクロスフェア複合体、所定量の、GII.4/Yerseke VLPに連結された第14のマイクロスフェアを含む第14のマイクロスフェア複合体、所定量の、GII.4/Den Haag VLPに連結された第15のマイクロスフェアを含む第15のマイクロスフェア複合体、所定量の、GII.6 VLPに連結された第16のマイクロスフェアを含む第16のマイクロスフェア複合体、所定量の、GII.7 VLPに連結された第17のマイクロスフェアを含む第17のマイクロスフェア複合体、所定量の、GII.12 VLPに連結された第18のマイクロスフェアを含む第18のマイクロスフェア複合体、所定量の、GII.17/1978 VLPに連結された第19のマイクロスフェアを含む第19のマイクロスフェア複合体、および所定量の、GII.17/2015 VLPに連結された第20のマイクロスフェアを含む第20のマイクロスフェア複合体が前記試料と接触させられる、請求項22~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記検出抗体が、前記検出抗体の重鎖定常領域により、前記検出可能な標識に直接的に取り付けられている、請求項20~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記検出抗体が取り付けられた前記検出可能な標識が蛍光標識であり、好ましくは、前記蛍光標識が、キサンテン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリン、シアニン、クマリン、およびこれらの任意の誘導体からなる群から選択される、請求項20~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
対象からの試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量の指標となるレポーター抗体からのシグナルを検出する方法であって、
工程1:所定量のマイクロスフェア複合体および所定量のレポーター抗体を含む、請求項19に記載のキットを用意する工程、
工程2:前記所定量の前記マイクロスフェア複合体および前記所定量の前記レポーター抗体を前記試料と接触させて、前記レポーター抗体と競合しながら、前記マイクロスフェア複合体中の前記マイクロスフェアに連結された前記ノロウイルスVLPに、前記試料中の前記ノロウイルス反応性抗体を結合させる工程、ならびに
工程3:工程2における前記ノロウイルスVLPに結合した前記レポーター抗体からのシグナルを検出する工程
を含む、方法。
【請求項29】
工程1:所定量のマイクロスフェア複合体および所定量のレポーター抗体を含む、請求項19に記載のキットを用意する工程、
工程2.1:工程1の前記所定量の前記マイクロスフェア複合体を前記試料と接触させて、前記マイクロスフェア複合体中の前記マイクロスフェアに連結された前記ノロウイルスVLPに、前記試料中のノロウイルス反応性抗体を結合させる工程、
工程2.2:前記所定量の前記レポーター抗体を工程2.1の前記マイクロスフェア複合体および前記試料と接触させて、前記マイクロスフェア複合体中の前記マイクロスフェアに連結された前記ノロウイルスVLPに、前記レポーター抗体を結合させる工程、ならびに
工程3:工程2.2における前記ノロウイルスVLPに結合した前記レポーター抗体からのシグナルを検出する工程
を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
工程1:所定量のマイクロスフェア複合体および所定量のレポーター抗体を含む、請求項19に記載のキットを用意する工程、
工程2.1:工程1の前記所定量の前記マイクロスフェア複合体を前記試料と接触させて、前記マイクロスフェア複合体中の前記マイクロスフェアに連結された前記ノロウイルスVLPに、前記試料中のノロウイルス反応性抗体を結合させる工程、
工程2.2:前記所定量の前記レポーター抗体を工程2.1の前記マイクロスフェア複合体および前記試料と接触させて、前記マイクロスフェア複合体中の前記マイクロスフェアに連結された前記ノロウイルスVLPに、前記レポーター抗体を結合させる工程、
工程2.3:工程2.2の前記所定量のレポーター抗体、前記所定量のマイクロスフェア複合体、および前記試料を所定量の二次レポーター抗体と接触させて、前記レポーター抗体の定常領域に、前記二次レポーター抗体を結合させる工程、ならびに
工程3:工程2.3における前記レポーター抗体に結合した前記二次レポーター抗体からのシグナルを検出する工程であって、前記レポーター抗体が工程2.2において前記ノロウイルスVLPに結合している、工程
を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
以下のさらなる工程:
工程4:工程3の前記シグナルから前記レポーター抗体の存在および/または量を決定する工程、ならびに
工程5:工程4において決定された前記レポーター抗体の存在および/または量から前記試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量を決定する工程
を含む、対象からの試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量を決定するための、請求項28~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
対象からの試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量の指標となるレポーター抗体からのシグナルを検出する方法であって、
工程1:所定量の少なくとも2つのマイクロスフェア複合体および所定量の少なくとも2つのレポーター抗体を含む、請求項8~18のいずれか1項に記載のキットを用意する工程であって、
第1のマイクロスフェア複合体が、第1のノロウイルスVLPに連結された第1のマイクロスフェアを含み、第2のマイクロスフェア複合体が、第2のノロウイルスVLPに連結された第2のマイクロスフェアを含み、
前記第1のマイクロスフェアが第1の検出可能な標識を含み、前記第2のマイクロスフェアが第2の検出可能な標識を含み、前記第1の検出可能な標識の放出シグナルが前記第2の検出可能な標識の放出シグナルとは異なり、
第1のレポーター抗体が、前記第1のノロウイルスVLPに結合し、前記第2のノロウイルスウイルス様粒子に結合せず、
第2のレポーター抗体が、前記第2のノロウイルスVLPに結合し、前記第1のノロウイルスVLPに結合しない、工程;
工程2:前記所定量の前記少なくとも2つのマイクロスフェア複合体を前記試料と接触させて、前記少なくとも2つのレポーター抗体と競合しながら、前記第1および/または前記第2のノロウイルスVLPに、前記試料中の前記ノロウイルス反応性抗体を結合させる工程;
工程3:第1の光源で照射したときに、少なくとも1つのマイクロスフェアの前記検出可能な標識の放出シグナルを検出し、前記放出シグナルを、前記第1の検出可能な標識の放出シグナルと比較し、さらに、前記第2の検出可能な標識の放出シグナルと比較し、それにより、前記少なくとも1つのマイクロスフェアおよび前記少なくとも1つのマイクロスフェアが連結された前記ノロウイルスVLPを同定し、
同時に、第2の光源で照射したときに、工程2における前記少なくとも1つのマイクロスフェアの前記ノロウイルスVLPに結合した前記レポーター抗体からのシグナルを検出する工程;
工程4:同じノロウイルスVLPに連結された少なくとも30個のマイクロスフェアが同定されるまで工程3を繰り返す工程;ならびに
工程5:同じノロウイルスVLPに連結されたすべての同定されたマイクロスフェアについての工程3における前記レポーター抗体からの前記検出されたシグナルを要約する工程であって、前記要約されたシグナルが、前記試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量の指標となる、工程
を含む、方法。
【請求項33】
工程1:所定量の少なくとも2つのマイクロスフェア複合体および所定量の少なくとも2つのレポーター抗体を含む、請求項8~18のいずれか1項に記載のキットを用意する工程であって、
第1のマイクロスフェア複合体が、第1のノロウイルスVLPに連結された第1のマイクロスフェアを含み、第2のマイクロスフェア複合体が、第2のノロウイルスVLPに連結された第2のマイクロスフェアを含み、
前記第1のマイクロスフェアが第1の検出可能な標識を含み、前記第2のマイクロスフェアが第2の検出可能な標識を含み、前記第1の検出可能な標識の放出シグナルが前記第2の検出可能な標識の放出シグナルとは異なり、
第1のレポーター抗体が、前記第1のノロウイルスVLPに結合し、前記第2のノロウイルスウイルス様粒子に結合せず、
第2のレポーター抗体が、前記第2のノロウイルスVLPに結合し、前記第1のノロウイルスVLPに結合しない、工程;
工程2.1:前記所定量の前記少なくとも2つのマイクロスフェア複合体を前記試料と接触させて、前記第1および/または前記第2のノロウイルスVLPに、前記試料中の前記ノロウイルス反応性抗体を結合させる工程;
工程2.2:前記所定量の前記少なくとも2つのレポーター抗体を工程2.1の前記少なくとも2つのマイクロスフェア複合体および前記試料と接触させて、前記マイクロスフェアに連結された前記ノロウイルスVLPに、前記少なくとも2つのレポーター抗体を結合させる工程;
工程3:第1の光源で照射したときに、少なくとも1つのマイクロスフェアの前記検出可能な標識の放出シグナルを検出し、前記放出シグナルを、前記第1の検出可能な標識の放出シグナルと比較し、さらに、前記第2の検出可能な標識の放出シグナルと比較し、それにより、前記少なくとも1つのマイクロスフェアおよび前記少なくとも1つのマイクロスフェアが連結された前記ノロウイルスVLPを同定し、
同時に、第2の光源で照射したときに、工程2.2における前記少なくとも1つのマイクロスフェアの前記ノロウイルスVLPに結合した前記レポーター抗体からのシグナルを検出する工程;
工程4:同じノロウイルスVLPに連結された少なくとも30個のマイクロスフェアが同定されるまで工程3を繰り返す工程;ならびに
工程5:同じノロウイルスVLPに連結されたすべての同定されたマイクロスフェアについての工程3における前記レポーター抗体からの前記検出されたシグナルを要約する工程であって、前記要約されたシグナルが、前記試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量の指標となる、工程
を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
以下の工程:
工程1:所定量の少なくとも2つのマイクロスフェア複合体および所定量の少なくとも2つのレポーター抗体を含む、請求項8~18のいずれか1項に記載のキットを用意する工程であって、
第1のマイクロスフェア複合体が、第1のノロウイルスVLPに連結された第1のマイクロスフェアを含み、第2のマイクロスフェア複合体が、第2のノロウイルスVLPに連結された第2のマイクロスフェアを含み、
前記第1のマイクロスフェアが第1の検出可能な標識を含み、前記第2のマイクロスフェアが第2の検出可能な標識を含み、前記第1の検出可能な標識の放出シグナルが前記第2の検出可能な標識の放出シグナルとは異なり、
第1のレポーター抗体が、前記第1のノロウイルスVLPに結合し、前記第2のノロウイルスウイルス様粒子に結合せず、
第2のレポーター抗体が、前記第2のノロウイルスVLPに結合し、前記第1のノロウイルスVLPに結合しない、工程;
工程2.1:前記所定量の前記少なくとも2つのマイクロスフェア複合体を前記試料と接触させて、前記第1および/または前記第2のノロウイルスVLPに、前記試料中の前記ノロウイルス反応性抗体を結合させる工程;
工程2.2:前記所定量の前記少なくとも2つのレポーター抗体を工程2.1の前記少なくとも2つのマイクロスフェア複合体および前記試料と接触させて、前記マイクロスフェアに連結された前記ノロウイルスVLPに、前記少なくとも2つのレポーター抗体を結合させる工程;
工程2.3:工程2.2の前記所定量の前記少なくとも2つのレポーター抗体、前記所定量の前記少なくとも2つのマイクロスフェア複合体および前記試料を所定量の二次レポーター抗体と接触させて、前記少なくとも2つのレポーター抗体の定常領域に、前記二次レポーター抗体を結合させる工程;
工程3:第1の光源で照射したときに、少なくとも1つのマイクロスフェアの前記検出可能な標識の放出シグナルを検出し、前記放出シグナルを、前記第1の検出可能な標識の放出シグナルと比較し、さらに、前記第2の検出可能な標識の放出シグナルと比較し、それにより、前記少なくとも1つのマイクロスフェアおよび前記少なくとも1つのマイクロスフェアが連結された前記ノロウイルスVLPを同定し、
同時に、第2の光源で照射したときに、工程2.3における前記少なくとも1つのマイクロスフェアの前記ノロウイルスVLPに結合した前記レポーター抗体に結合した前記二次レポーター抗体からのシグナルを検出する工程;
工程4:同じノロウイルスVLPに連結された少なくとも30個のマイクロスフェアが同定されるまで工程3を繰り返す工程;ならびに
工程5:同じノロウイルスVLPに連結されたすべての同定されたマイクロスフェアについての工程3における前記二次レポーター抗体からの前記検出されたシグナルを要約する工程であって、前記要約されたシグナルが、前記試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量の指標となる、工程
を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
以下のさらなる工程:
工程6:工程5の前記要約されたシグナルから前記レポーター抗体の存在および/または量を決定する工程、ならびに
工程7:工程6において決定された前記レポーター抗体の存在および/または量から前記試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量を決定する工程
を含む、請求項32~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
工程1における前記キットが、所定量の2つのマイクロスフェア複合体および所定量の2つのレポーター抗体を提供する、請求項32~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記第1のマイクロスフェア複合体が、GI.1 VLPに連結された第1のマイクロスフェアを含み、前記第2のマイクロスフェア複合体が、GII.4/コンセンサスVLPに連結された第2のマイクロスフェアを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
対象においてノロウイルス感染を診断する方法であって、以下の工程:
工程1:前記対象の身体の外側に前記対象からの試料を用意する工程、
工程2:請求項20~37のいずれか1項に記載の試料中のノロウイルス反応性抗体の量を決定する工程、および
工程3:ノロウイルス反応性抗体の前記量を、ノロウイルスに感染した対象におけるノロウイルス反応性抗体の確立された量と比較することにより、感染を決定する工程
を含む、方法。
【請求項39】
ノロウイルス感染からの対象の保護を決定する方法であって、以下の工程:
工程1:前記対象の身体の外側に前記対象からの試料を用意する工程、
工程2:請求項20~37のいずれか1項に記載の試料中のノロウイルス反応性抗体の量を決定する工程、および
工程3:工程2におけるノロウイルス反応性抗体の前記量をノロウイルス反応性抗体の保護的な量と比較することにより保護を決定する工程
を含む、方法。
【請求項40】
前記対象がヒトである、請求項20~39のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2021年10月4日に出願された米国仮出願第63/252,053号に対する優先権を主張し、該仮出願の内容は参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
[0002] 本開示は、ノロウイルス反応性抗体を決定する方法に関する。本開示は、ノロウイルス感染を診断するためおよびノロウイルス感染からの保護を決定するためのin vitroの方法にさらに関する。
【0003】
電子的な配列表への参照
[0003] 本明細書と共に電子的に提出される電子的な配列表(LIGO_031_00WO_SeqList_ST26.xml;サイズ:45,085バイト;および作成日:2022年10月3日)の内容は参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
[0004] ノロウイルスは、世界中で下痢疾患の5分の1と関連付けられる非常に流行している病原体であり、各年に200,000人より多くの死を引き起こしている。ノロウイルスはすべての年齢群の人々に感染し、感染は通常は急性であり自己限定的であるが、疾患は、小児、高齢者、およびすべての年齢群の免疫不全の人々において生命を脅かすものとなり得る。個体の健康に影響する他に、ノロウイルス感染および疾患により引き起こされる世界中での経済的コストは、1年当たり約600億ドルと概算されている(Haynesら、Viruses 2019、11、392、doi:10.3390/v11050392)。
【0005】
[0005] ノロウイルスは、非セグメント化ゲノムを含有するカリシウイルス(Caliciviridae)科の一本鎖ポジティブセンスRNAウイルスである。ほとんどのノロウイルスのゲノムは、第4のオープンリーディングフレーム(ORF)を含有するマウスノロウイルスを除いて、3つのORF(ORF1、ORF2、およびORF3)をコードする。ORF1は非構造タンパク質をコードするが、後者2つは、メジャーなウイルスカプシドタンパク質VP1およびマイナーなウイルスカプシドタンパク質VP2の産生を特定する。VP1はシェル(S)を有し、シェルはウイルスRNAおよび突出(protruding;P)ドメインを取り囲む。高度に可変的なP2サブドメインからなるPドメインは、柔軟なヒンジ領域によりSドメインに連結されている。P2サブドメインは、主要な中和エピトープを宿し、組織血液型抗原(HBGA)と相互作用する(Hutsonら、J Virol 2003、77:405~415頁)。
【0006】
[0006] ノロウイルスは、遺伝学的におよび抗原的に多様であり、系統発生的に7つの異なる遺伝子型群(GI~GVII)および少なくとも41の異なる遺伝子型に現在分類されている。GI、GII、およびGIVのウイルスはヒトに感染し、GIおよびGIIからのウイルスはほぼすべてのヒト感染の原因となる。1990年代半ば以降、遺伝子型群II遺伝子型4(GII.4)からのウイルスは、2~3年毎の新たな変異型の出現と共に、大流行の大部分を引き起こしている。さらに、GII.4関連疾患は、他の遺伝子型により引き起こされるものよりも重度であることが報告されている。2012年に、GII.4/Sydney変異型が出現し、それ以降、流布している変異型の間で優勢であり続けている(Vinje、J Clin Microbiol 2015、53:373~381頁)。新たなGII.4変異型の経時的な出現は世界的な流行病の増加数と相関しており、これは、古い変異型が周期的に置き換えられるA型インフルエンザウイルスと同様にGII.4変異型は進化し得るという事実をサポートする。
【0007】
[0007] in vitroでヒトノロウイルスを培養するための多数の試みが為されてきたが、それらのいずれも、ウイルス増殖の堅牢であり再現性のあるシステムの確立を結果としてもたらしていない。したがって、2つの一般的なワクチンプラットフォーム、すなわち弱毒化または殺傷ウイルスワクチンは、ノロウイルスワクチンを開発するために利用可能となっていない。しかしながら、ノロウイルスウイルス様粒子(VLP)の発見は、ノロウイルス感染、疾患およびワクチン製造を研究するための新たな扉を開いた。真核発現システム中で高いレベルで発現される場合、ノロウイルスのVP1タンパク質は、ネイティブなノロウイルスビリオンを構造的に模倣するVLPに自己集合する。VLPは、感染性遺伝材料を欠きながら、ウイルスカプシドタンパク質の真正確認(authentic confirmation)を保存している。透過電子顕微鏡法により観察した場合、VLPは、ヒト糞便試料から単離された感染性ビリオンから形態学的に区別不可能である。結果的に、VLPは、細胞受容体とのウイルスの機能的な相互作用を模倣し、それにより、感染を再現するかまたは引き起こす能力を欠きながら適切な宿主免疫応答を誘発する能力を有する。したがって、ほとんどのワクチン候補は、VLPの異なるバリエーションに基づく。ノロウイルスの高い多様性に起因して、ノロウイルスワクチン開発における大きな目標は、複数の遺伝子型を広く中和する能力を有する交差反応性抗体応答を誘導する製剤を調製することである。チンパンジーでの交差負荷(Cross-challenging)研究は、GII.4 VLPでのワクチン接種をされた動物は、GI.1ノロウイルスで負荷された場合に感染から保護されないことを実証した(Bokら、Proc Natl Acad Sci USA 2011、108(1):325~30頁)。これを考慮して、Takeda Vaccinesは、主要なヒト遺伝子型群の各々を表すVLPを含むノロウイルスに対する二価VLPベースワクチンを開発している。遺伝子型群I(GI)VLPは、最初に同定されたノロウイルスであるNorwalkウイルスに基づき、遺伝子型1(GI.1)である。第2のVLPは、Houston(2002)、Yerseke(2006)およびDen Haag(2006)GII.4変異型からの配列を組み合わせることにより作製された「コンセンサス」GII.4 VLPである(Parraら、Vaccine 2012、30、3580~3586頁;Treanorら、J.Infect.Dis.2014、210、1763~1771頁)。GII.4コンセンサスVLPは、30年の期間にかけて流布している異なるGII.4変異型のVLPのパネルに対して高いAb力価を誘導した(Parraら、Vaccines 2012、30(24):3580~3586頁)。
【0008】
[0008] 有望なワクチン製剤が開発されているが、ワクチン接種での抗体応答または自然感染後の抗体応答の測定は依然として課題のままである。いくつかのアッセイセットアップ、例えば中和および遮断アッセイが開発されているが、これらのアッセイは、時間を消費し、複雑であり、高価であり、ノロウイルスのある特定のタイプに依然として限定されている。
【0009】
[0009] 一般に、ウイルスが細胞に感染することを止める抗体を測定する中和アッセイは、ワクチンの有効性を評価するために最も一般的に使用される。ヒト腸管エンテロイド(HIE)の応用によりヒトノロウイルスの培養を可能にするオルガノイドベース感染システムが、ごく最近になって利用可能となった(Ettayebiら、Science 2016、353、1387~1393頁;Jonesら、Science 2014、346、755~759頁)。これらのシステムは、中和ヒトモノクローナル抗体(mAb)を特徴付けるために価値のあるものとなっているが(Alvadroら、Gastroenterology 2018、155(6):1898~1907頁)、依然として高度に可変的で高価であり、ルーチンの試料試験のために必要とされる再現性および信頼性を有する中和アッセイを確立するために未だ好適でない。さらに、これらの感染システムは、取扱いが容易でなく、調べられる各々のノロウイルス株のために適合される必要がある。さらに、中和アッセイは、試験は生ウイルスおよびオルガノイドを使用するので、病院は言うまでもなく、ほとんどの実験室にとって利用可能でない可能性があるインフラストラクチャーを要求する。
【0010】
[0010] ノロウイルスは、細胞表面炭水化物、例えば重要な接着因子として同定されているHBGAと相互作用することが示されている(Singhら、J.Virol.2015、89、2024~2040頁)。生ウイルスのための代用物としてノロウイルスVLPを使用する遮断アッセイが、ウイルス中和アッセイのための代用として開発されている。これらのアッセイは、細胞表面炭水化物へのノロウイルスVLPの結合を遮断する血清抗体の能力を測定する。ヒトにおけるノロウイルス免疫の相関はわずかにしか理解されていないが、遮断抗体は、ワクチン接種されたヒト対象が感染量のウイルスRNAで負荷されたヒト感染および負荷モデルにおいて保護の相関が見出されている(Atmarら、Clinical and Vaccine Immunology 2015、22(8):923~929頁;Ramaniら、PLOS Pathogens 2016、12(4):e1005334)。遮断アッセイにおいてVLP結合のために選択される基質は、いくつかのヒトHBGAを含有することからブタ胃ムチン(PGM)である。しかしながら、遮断アッセイは高価であり、十分な再現性を依然として欠いている。さらに、大きな制限は、すべてのノロウイルスVLPがPGMに結合できるわけではないことであり、これはいくつかのノロウイルス株を診断から除外する(Lindesmithら、J.Virol.2012、86、873~883頁)。
【0011】
[0011] 上記を考慮して、任意のノロウイルス株に応用可能であるノロウイルス反応性抗体を決定する信頼できる、迅速で安価な方法に対する緊急の必要性が存在する。
【0012】
[0012] 多数の参考文献が本明細書の全体を通じて参照される。本明細書において参照される参考文献の各々は、参照により全体が本明細書に個々に組み込まれる。矛盾がある場合、本明細書の開示が優先される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
[0013] ノロウイルス反応性抗体の存在および/または量を決定する方法を提供することが本開示の目的である。
【0014】
[0014] ノロウイルス反応性抗体の存在および/または量を決定する方法であって、良好な再現性、高い正確性および高い精度を提供する方法を提供することが本開示のさらなる目的である。
【0015】
[0015] ノロウイルス反応性抗体の存在および/または量を決定する方法であって、良好な感度を提供する方法を提供することが本開示のさらなる目的である。
【0016】
[0016] ノロウイルス反応性抗体の存在および/または量を決定する方法であって、高いコスト有効性および短いターンアラウンド時間に起因して、ハイスループット応用のための可能性を提供する方法を提供することが本開示のさらなる目的である。
【0017】
[0017] ノロウイルス反応性抗体の存在および/または量を決定する方法であって、1つまたは複数のノロウイルスに対するワクチン接種後の免疫応答の質をモニターするための可能性を提供する方法を提供することが本開示のさらなる目的である。
【0018】
[0018] ノロウイルス反応性抗体の存在および/または量を決定する方法であって、特定のノロウイルス株に限定されない方法を提供することが本開示のさらなる目的である。
【0019】
[0019] ノロウイルス反応性抗体の存在および/または量を決定する方法であって、異なるアイソタイプ、例えばIgA、IgM、およびIgGからのノロウイルス反応性抗体の間で区別するための可能性を提供する方法を提供することが本開示のさらなる目的である。
【0020】
[0020] ノロウイルス反応性抗体の存在および/または量を決定する方法であって、1つの単一の実験において複数の異なるノロウイルス、例えば遺伝子型群Iおよび遺伝子型群IIのノロウイルスに対して反応性の抗体の存在および/または量を決定するための可能性を提供する方法を提供することが本開示のさらなる目的である。
【0021】
[0021] ノロウイルス反応性抗体の存在および/または量を決定する方法であって、ノロウイルス中和および/またはノロウイルス遮断抗体を決定するための可能性を提供する方法を提供することが本開示のさらなる目的である。
【0022】
[0022] ノロウイルス感染を診断するin vitroの方法を提供することが本開示のさらなる目的である。
【0023】
[0023] ノロウイルス感染からの保護を決定するin vitroの方法を提供することが本開示のさらなる目的である。
【0024】
[0024] ノロウイルスVLPが固定化され得る結合パートナーを提供することが本開示のさらなる目的である。
【0025】
[0025] ノロウイルス反応性抗体を決定するためのキットを提供することが本開示のさらなる目的である。
【課題を解決するための手段】
【0026】
[0026] 本開示は、したがって、ノロウイルスVLPに連結されたマイクロスフェアを含むマイクロスフェア複合体に向けられる。
【0027】
[0027] 本開示は、したがって、所定量の少なくとも1つの上述したマイクロスフェア複合体および任意選択により所定量の検出抗体を含むキットにさらに向けられる。追加的に、本開示は、したがって、所定量の少なくとも1つの上述したマイクロスフェア複合体および任意選択により所定量の、少なくとも1つのマイクロスフェア複合体のノロウイルスVLPに結合する少なくとも1つのレポーター抗体を含むキットにさらに向けられる。
【0028】
[0028] 本開示は、したがって、対象からの試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量を決定する方法であって、
工程1:所定量の上述したマイクロスフェア複合体を試料と接触させて、マイクロスフェア複合体中のマイクロスフェアに連結されたノロウイルスウイルス様粒子(VLP)に、試料中のノロウイルス反応性抗体を結合させる工程、
工程2:所定量の検出抗体を、工程1におけるノロウイルスVLPに結合したノロウイルス反応性抗体と接触させて、ノロウイルス反応性抗体の重鎖定常領域に、検出抗体を結合させる工程であって、検出抗体が、検出抗体の可変領域を用いてノロウイルス反応性抗体に結合し、検出抗体が、検出可能な標識に取り付けられている、工程、および
工程3:工程2におけるノロウイルス反応性抗体に結合した検出抗体からのシグナルを検出する工程
を含み、方法が、任意選択により、以下のさらなる工程:
工程4:工程3のシグナルからノロウイルス反応性抗体に結合した検出抗体の存在および/または量を決定する工程、ならびに
工程5:工程4において決定された検出抗体の存在および/または量から試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量を決定する工程
を含む、方法にさらに向けられる。
【0029】
[0029] 本開示は、そのため、対象からの試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量を決定する方法であって、
工程1:所定量の少なくとも2つの上述したマイクロスフェア複合体を、試料と接触させて、第1および/または第2のノロウイルスVLPに、試料中のノロウイルス反応性抗体を結合させる工程であって、
第1のマイクロスフェア複合体が、第1のノロウイルスVLPに連結された第1のマイクロスフェアを含み、第2のマイクロスフェア複合体が、第2のノロウイルスVLPに連結された第2のマイクロスフェアを含み、
第1のマイクロスフェアが第1の検出可能な標識を含み、第2のマイクロスフェアが第2の検出可能な標識を含み、第1の検出可能な標識の放出シグナルが第2の検出可能な標識の放出シグナルとは異なる、工程、
工程2:所定量の検出抗体を、工程1における第1および/または第2のノロウイルスVLPに結合したノロウイルス反応性抗体と接触させて、ノロウイルス反応性抗体の重鎖定常領域に、検出抗体を結合させる工程であって、検出抗体が、検出抗体の可変領域を用いてノロウイルス反応性抗体に結合し、検出抗体が、第3の検出可能な標識に取り付けられている、工程、
工程3:第1の光源で照射したときに、少なくとも1つのマイクロスフェアの検出可能な標識の放出シグナルを検出し、放出シグナルを、第1の検出可能な標識の放出シグナルと比較し、さらに、第2の検出可能な標識の放出シグナルと比較し、それにより、少なくとも1つのマイクロスフェアおよび少なくとも1つのマイクロスフェアが連結されたノロウイルスVLPを同定し、
同時に、第2の光源で照射したときに、工程2における少なくとも1つのマイクロスフェアのノロウイルスVLPに結合したノロウイルス反応性抗体に結合した検出抗体からのシグナルを検出する工程、
工程4:同じノロウイルスVLPに連結された少なくとも30個のマイクロスフェアが同定されるまで工程3を繰り返す工程、ならびに
工程5:同じノロウイルスVLPに連結されたすべての同定されたマイクロスフェアについての工程3における検出抗体からの検出されたシグナルを要約する工程であって、要約されたシグナルが、試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量の指標となる、工程
を含み、方法が、任意選択により、以下のさらなる工程:
工程6:工程5の要約されたシグナルからノロウイルス反応性抗体に結合した検出抗体の存在および/または量を決定する工程、ならびに
工程7:工程6において決定された検出抗体の存在および/または量から試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量を決定する工程
を含む、方法にさらに向けられる。
【0030】
[0030] 本開示は、したがって、対象からの試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量を決定する方法であって、
工程1:所定量の上述したマイクロスフェア複合体および所定量の上述したレポーター抗体を含む、キットを用意する工程であって、レポーター抗体がマイクロスフェア複合体のノロウイルスVLPに結合するものである、工程、
工程2:所定量のマイクロスフェア複合体および所定量のレポーター抗体を試料と接触させて、レポーター抗体と競合しながら、マイクロスフェア複合体中のマイクロスフェアに連結されたノロウイルスVLPに、試料中のノロウイルス反応性抗体を結合させる工程、ならびに
工程3:工程2におけるノロウイルスVLPに結合したレポーター抗体からのシグナルを検出する工程
を含み、方法が、任意選択により、以下のさらなる工程:
工程4:工程3のシグナルからレポーター抗体の存在および/または量を決定する工程、ならびに
工程5:工程4において決定されたレポーター抗体の存在および/または量から試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量を決定する工程
を含む、方法にさらに向けられる。
【0031】
[0031] 本開示は、したがって、対象からの試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量を決定する方法であって、
工程1:所定量の少なくとも2つの上述したマイクロスフェア複合体と、所定量の少なくとも2つの上述したレポーター抗体とを含むキットを用意する工程であって、
第1のマイクロスフェア複合体が、第1のノロウイルスVLPに連結された第1のマイクロスフェアを含み、第2のマイクロスフェア複合体が、第2のノロウイルスVLPに連結された第2のマイクロスフェアを含み、
第1のマイクロスフェアが第1の検出可能な標識を含み、第2のマイクロスフェアが第2の検出可能な標識を含み、第1の検出可能な標識の放出シグナルが第2の検出可能な標識の放出シグナルとは異なり、
第1のレポーター抗体が、第1のノロウイルスVLPに結合し、第2のノロウイルスウイルス様粒子に結合せず、
第2のレポーター抗体が、第2のノロウイルスVLPに結合し、第1のノロウイルスVLPに結合しない、工程;
工程2:所定量の少なくとも2つのマイクロスフェア複合体を試料と接触させて、少なくとも2つのレポーター抗体と競合しながら、第1および/または第2のノロウイルスVLPに、試料中のノロウイルス反応性抗体を結合させる工程;
工程3:第1の光源で照射したときに、少なくとも1つのマイクロスフェアの検出可能な標識の放出シグナルを検出し、放出シグナルを、第1の検出可能な標識の放出シグナルと比較し、さらに、第2の検出可能な標識の放出シグナルと比較し、それにより、少なくとも1つのマイクロスフェアおよび少なくとも1つのマイクロスフェアが連結されたノロウイルスVLPを同定し、
同時に、第2の光源で照射したときに、工程2における少なくとも1つのマイクロスフェアのノロウイルスVLPに結合したレポーター抗体からのシグナルを検出する工程;
工程4:同じノロウイルスVLPに連結された少なくとも30個のマイクロスフェアが同定されるまで工程3を繰り返す工程;ならびに
工程5:同じノロウイルスVLPに連結されたすべての同定されたマイクロスフェアについての工程3におけるレポーター抗体からの検出されたシグナルを要約する工程であって、要約されたシグナルが、試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量の指標となる工程
を含み、方法が、任意選択により、以下のさらなる工程:
工程6:工程5の要約されたシグナルからレポーター抗体の存在および/または量を決定する工程、ならびに
工程7:工程6において決定されたレポーター抗体の存在および/または量から試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量を決定する工程
を含む方法にさらに向けられる。
【0032】
略語および定義
略語
[0032] 「PE」はフィコエリトリンを表す。「VLP」はウイルス様粒子を指す。「VLPs」はウイルス様粒子を指す。「MFI」はメジアン蛍光強度を指す。「Ab」および「Abs」は抗体(antibody)および抗体(antibodies)を表す。「Ig」は免疫グロブリンを表す。「mAb」はモノクローナル抗体を表す。「CDR」は相補性決定領域を表す。「ELISA」は酵素連結免疫吸着アッセイを指す。「PGM」はブタ胃ムチンを指す。「GI」、「GII」、「GIV」は、それぞれ遺伝子型群I、II、およびIVを指す。「VP1」はメジャーなウイルスカプシドタンパク質を表す。「VP2」はマイナーなウイルスカプシドタンパク質を表す。
【0033】
定義
[0033] 本開示および請求項において使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が他に明確に規定しなければ、単数形および複数形の両方をカバーすると解釈される。
【0034】
[0034] 用語「および/または」は、語句、例えば本明細書における「Aおよび/またはB」において使用される場合、「AおよびB」、「A」、ならびに「B」を含むことが意図される。
【0035】
[0035] オープンな用語、例えば「含む」(include)、「含む」(including)、「含有する」(contain)、および「含有する」(containing)などは「含む」(comprising)を意味する。これらのオープンエンドの移行句は、追加の、記載されていない要素または方法工程を除外しない、要素または方法工程などのオープンエンドのリストを導入するために使用される。
【0036】
[0036] 他に指し示されなければ、本明細書および請求項において使用される成分、特性、例えば分子量、および反応条件などの量を表すすべての数は、すべての場合において用語「約」により修飾されているとして理解されるべきである。本明細書において使用される場合、用語「約」および「おおよそ」は数の10~15%以内を意味する。一部の実施形態において、「約」は数の5~10%以内を意味する。
【0037】
抗体および関連する用語
[0037] 本明細書において使用される場合、用語「抗体(Ab)」(複数:「抗体(Abs)」)は、ジスルフィド結合により相互接続された2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖である4つのポリペプチド鎖から一般に構成される免疫グロブリン(Ig)分子(全長Ab)を指し、抗原に特異的に結合して複合体を形成する、任意の天然に存在する、酵素的に得られ得る、合成の、または遺伝子操作されたポリペプチドまたは糖タンパク質を含む。Abは、標準的な組換えDNA技術を使用して得られ得る。全長Abにおいて、各々の重鎖は重鎖可変領域(VH)および重鎖定常領域(CH)から構成される。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2およびCH3から構成される。各々の軽鎖は軽鎖可変領域(VL)および軽鎖定常領域(CL)から構成される。軽鎖定常領域は1つのドメインから構成される。VHおよびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と称される、より保存された領域を差し挟まれた、相補性決定領域(CDR)と称される、超可変性の領域にさらに分けられ得る。各々のVHおよびVLは、アミノ末端からカルボキシ末端へと以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、およびFR4で並べられた、3つのCDRおよび4つのFRから構成される。本開示のある特定の実施形態において、AbのFRは、ヒト生殖系列配列と同一であってもよいか、または天然にもしくは人工的に改変されていてもよい。用語AbまたはAbsはまた、その任意の機能性断片、突然変異体、変異型、または誘導体を指すことができる。そのような機能性断片、突然変異体、変異型、または誘導体の抗体フォーマットは当技術分野において公知である。Ab断片、例えばFabまたはF(ab’)2断片は、従来技術、例えば全長Abのそれぞれパパインまたはペプシン消化を使用して、全長Abから調製され得る。機能性断片は特に、(i)VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる一価断片である、Fab断片;(ii)ヒンジ領域においてジスルフィドブリッジにより連結された2つのFab断片を含む二価断片である、F(ab’)2断片;(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFd断片;(iv)抗体の単一のアームのVLおよびVHドメインからなるFv断片、(v)単一の可変ドメインを含む、dAb断片(Wardら、(1989)Nature 341:544~546頁、Winterら、PCT国際公開第90/05144 A1号パンフレット);ならびに(vi)単離されたCDRである。さらには、Fv断片の2つのドメイン、VLおよびVHは、別々の遺伝子によりコードされるが、それらは、組換え法を使用して、VLおよびVH領域が対合して一価分子(単鎖Fv(scFv)として公知)を形成する単一のタンパク質鎖としてそれらが作られることを可能にする合成リンカーにより接続され得る(例えば、Birdら(1988)Science 242:423~426頁;およびHustonら(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879~5883頁を参照)。一部の実施形態において、scFv分子は融合タンパク質中に組み込まれてもよい。単鎖抗体の他の形態、例えばダイアボディもまた包含される。ダイアボディは二価の二特異性抗体であり、VHおよびVLドメインは、単一のポリペプチド鎖上で発現されるが、同じ鎖上の2つのドメインの間の対合を可能とするためには短すぎるリンカーを使用しており、それにより、これらのドメインは別の鎖の相補的なドメインと対合することを強制され、2つの抗原結合性部位を作出する(例えば、Holliger,Pら(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444~6448頁;Poljak,R.J.ら(1994)Structure 2:1121~1123頁を参照)。そのような機能性断片は当技術分野において公知である(KontermannおよびDubel編、Antibody Engineering(2001)Springer-Verlag.New York 790頁(ISBN 3-540-41354-5))。Abは、Abがいずれの抗原に結合できるのかを表すために用語「抗抗原Ab」により記載されることがある。例えば、「抗ノロウイルスAb」は、ノロウイルス抗原に結合するAbを指す。AbまたはAbsは、一特異性、二特異性、または多特異性であってもよい。多特異性Abは、1つの抗原の異なるエピトープに特異的に結合してもよいか、または2つもしくはより多くの関連しない抗原に特異的に結合してもよい。例えば、Tuttら、1991、J.Immunol.147:60~69頁;Kuferら、2004、Trends Biotechnol.22:238~244頁を参照。本開示の多特異性抗原結合性分子のいずれかを含むAb、またはその変異型は、当業者に公知のように、標準的な分子生物学技術(例えば、組換えDNAおよびタンパク質発現技術)、例えば細胞内発現システムを使用して構築されてもよい。Abは、2つまたはより多くの抗原結合性部位を含む多価Abであってもよい。1つもしくは複数のCDR残基の置換または1つもしくは複数のCDRの省略もまた可能である。Abは、1または2つのCDRが結合のためにほとんど効果を有さずに省かれ得ることが科学文献において記載されている。公開された結晶構造に基づく、Abとそれらの抗原との間の接触領域の分析は、CDR残基の約5分の1から3分の1のみが抗原と実際に接触することを明らかにした。さらに、多くのAbは、抗原と接触しているアミノ酸がない1または2つのCDRを有する(Padlanら FASEB J.1995、9:133~139頁、Vajdosら、J Mol Biol 2002、320:415~428頁)。抗原と接触していないCDR残基は、分子モデリングによりかつ/または経験的に、Chothia CDRの外側にあるKabat CDRの領域から、先行する研究に基づいて同定され得る(例えば重鎖のCDR2中の残基H60~H65は多くの場合に要求されない)。CDRまたはその残基が省略される場合、それは、通常は、別のヒトAb配列中の対応する位置を占有するアミノ酸またはそのような配列のコンセンサスで置換される。CDR内の置換のための位置および置換するためのアミノ酸はまた、経験的に選択され得る。経験的な置換は保存的または非保存的置換であることができる。用語AbまたはAbsは、ある特定の起源種を起源とするAbまたはAbsを指すことができ、これは、例えば、ウサギ、マウス、ヒト、サル、またはラットを起源とするもの(ウサギAb、マウスAb、ヒトAb、サルAb、またはラットAb)を含む。例えば、ウサギ起源は、ウサギ生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変および定常領域を有するAbを含むことが意図され得る。Abは、対応する生殖系列配列と比較して1つまたは複数のアミノ酸置換、挿入、および/または欠失を含んでもよい。Abはまた、例えばCDR中に、起源種生殖系列免疫グロブリン配列によってはコードされないアミノ酸残基(例えばin vitroまたはin vivoでのランダムまたは部位特異的突然変異誘発により導入された突然変異)を含んでもよい。本明細書において使用される場合、ある特定の起源種(例えばウサギ)を起源とするAbまたはAbsはまた、別の哺乳動物種(例えばマウス)の生殖系列に由来するCDRまたは他の配列が起源種(例えばウサギ)フレームワーク領域(FR)配列にグラフトされているAbまたはAbsを指すことができる。AbはキメラAbであってもよい。キメラAbは、異なる種の生殖系列に由来する配列を包含してもよく、さらなるアミノ酸置換または挿入を含むこともできる。Abは、最小の非ヒト(例えば、マウス)配列を含有するヒト免疫グロブリンであるヒト化Abであってもよい。典型的には、ヒト化抗体において、ヒトCDRからの残基は、非ヒト種(例えば、マウス、ラット、ウサギ、およびハムスターなど)のCDRからの残基により置き換えられている(Jonesら、Nature 1986頁;321:522~525頁;Riechmannら、Nature 1988、332:323~327頁;Verhoeyenら、Science 1988、239:1534~153頁)。ヒト化抗体を生成するために使用される方法の非限定的な例は、米国特許第5,225,539号明細書;Roguskaら、Proc.Natl.Acad.Sci.1994、USA 91:969~973頁;およびRoguskaら、Protein Eng.1996;9:895~904頁において記載されている。Abは、任意のクラスまたはアイソタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)ならびにサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)のAbであることができる。一部の実施形態において、抗体はIgGアイソタイプの抗体である。一部の実施形態において、AbはIgMアイソタイプのAbである。一部の実施形態において、AbはIgAアイソタイプのAbである。異なるクラスの免疫グロブリンは、異なる周知のサブユニット構造および3次元構成を有する。Abは、1つより多くのクラスまたはサブクラスからの配列を含んでもよい。用語AbまたはAbsは、中和もしくは非中和Abまたは中和もしくは非中和Absを指すことができる。用語AbまたはAbsはモノクローナルAbまたはモノクローナルAbsを指すことができる。用語AbまたはAbsはレポーターAbまたはレポーターAbsを指すことができる。用語AbまたはAbsは検出Abまたは検出Absを指すことができる。
【0038】
[0038] 本明細書において使用される場合、用語「相補性決定領域(CDR)」は、Ab可変配列内のCDRを指す。重鎖(VH)および軽鎖(VL)の可変領域の各々において3つのCDRがあり、これらは、可変領域の各々について、CDR1、CDR2およびCDR3(または特にVH-CDR1、VH-CDR2、VH-CDR3、VL-CDR1、VL-CDR2、およびVL-CDR3)と呼称される。用語CDRは、抗原に結合する能力を有する単一の可変領域中に存在する3つのCDRの群を指すことができる。これらのCDRの正確な境界は、異なるシステムに従って異なって定義され得る。Kabat(Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health、Bethesda、Md.(1987)および(1991))により記載されるシステムは、抗体の任意の可変領域に応用可能な明瞭な残基システムを指すが、3つのCDRを定義する精密な残基境界も提供する。これらのCDRは、Kabat CDRとして参照されることがある。VH領域について、超可変領域は、VH-CDR1についてアミノ酸31~35位、VH-CDR2についてアミノ酸50~65位、およびVH-CDR3についてアミノ酸95~102位の範囲に及ぶ。VL領域について、超可変領域は、VL-CDR1についてアミノ酸24~34位、VL-CDR2についてアミノ酸50~56位、およびVL-CDR3についてアミノ酸89~97位の範囲に及ぶ。Chothiaおよび共同研究者ら(Chothia & Lesk、J.Mol.Biol.196:901~917頁(1987)およびChothiaら、Nature 342:877~883頁(1989))は、Kabat CDR内のある特定のサブポーションは、アミノ酸配列のレベルにおいて大きい多様性を有するにもかかわらず、ほぼ同一のペプチド骨格配座を取ることを見出した。これらのサブポーションは、L1、L2およびL3またはH1、H2およびH3と呼称され、「L」および「H」はそれぞれ軽鎖および重鎖領域を呼称する。これらの領域は、Chothia CDRとして参照されることがあり、これらはKabat CDRとオーバーラップする境界を有する。Kabat CDRとオーバーラップするCDRを定義する他の境界は、Padlan(FASEB J.9:133~139頁(1995))およびMacCallum(J Mol Biol 262(5):732~45頁(1996))により記載されている。さらに他のCDR境界定義は上記のシステムのものに厳密に従わないことがあるが、それにもかかわらずKabat CDRとオーバーラップし、但しそれらは、特有の残基もしくは残基の群またはCDR全体さえもが抗原結合に重大に影響しないという予測または実験的発見に照らして短縮または延長され得る。本明細書において使用される方法は、これらのシステムのいずれかに従って定義されるCDRを利用してもよい。一部の実施形態において、CDRは、KabatまたはChothiaの方法に従って定義される。
【0039】
[0039] 本明細書において使用される場合、用語「フレームワーク」、「フレームワーク領域(FR)」または「フレームワーク配列」は、可変領域からCDRを除いた残りの配列を指す。CDR配列の正確な定義は異なるシステムにより決定され得るので、フレームワーク配列の意味は、対応的に異なる解釈に供される。6つのCDR(VL-CDR1、VL-CDR2、およびVL-CDR3ならびにVH-CDR1、VH-CDR2、およびVH-CDR3)はまた、軽鎖(L)および重鎖(H)上のフレームワーク領域を各々の鎖上の4つのサブ領域(FR1、FR2、FR3およびFR4)に分割し、CDR1はFR1とFR2との間、CDR2はFR2とFR3との間、CDR3はFR3とFR4との間に位置付けられる。FR1、FR2、FR3、またはFR4として特有のサブ領域を特定することなく、フレームワーク領域は、他の者らにより言及されるように、単一の、天然に存在する免疫グロブリン鎖の可変領域内の組み合わせられたFRsを表す。本明細書において使用される場合、FRは4つのサブ領域のうちの1つを表し、FRsは、フレームワーク領域を構成する4つのサブ領域のうちの2つまたはより多くを表す。
【0040】
[0040] 本明細書において使用される場合、Abの用語「定常領域」は重鎖定常領域(CH)および/または軽鎖定常領域(CL)を指す。
【0041】
[0041] 本明細書において使用される場合、Abの用語「可変領域」は重鎖可変領域(VH)および/または軽鎖可変領域(VL)を指す。
【0042】
[0042] 本明細書において使用される場合、用語「~に結合する」、「~に結合性の」、または「~に結合する能力を有する」は、~に結合するまたは結合性のまたは結合する能力を有するAbの文脈において、ある特定の抗原に結合することができるAbを指す。抗原はそれ自体が抗体であることができる。ある特定の抗原に結合する能力は、ELISA、またはバイオレイヤー干渉法(BLI)を含む当技術分野において周知の方法により調べられ得る。一部の実施形態において、抗原に結合するまたは結合性のまたは結合する能力を有するAbは、好適な方法において抗原への結合について試験された場合にバックグラウンドシグナルよりも少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも35%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%高いシグナルを提供する。実施形態において、Abは、Ab可変領域を用いて抗原に結合することができる。
【0043】
[0043] 本明細書において使用される場合、用語「~に結合しない」は、ある特定の抗原に結合しないAbの文脈において、ある特定の抗原に結合することができないAbを指す。Abがある特定の抗原「に結合しない」ことは、ELISA、またはバイオレイヤー干渉法(BLI)を含む当技術分野において周知の方法において決定され得る。一部の実施形態において、ある特定の抗原に結合しないAbは、好適な方法において抗原への結合について試験された場合にバックグラウンドシグナルを下回るかまたはバックグラウンドシグナルをわずかにのみ上回るシグナルを提供する。
【0044】
[0044] 本明細書において使用される場合、用語「結合させる」は、Abの文脈において、Abが、マイクロスフェアに連結されたノロウイルスVLPまたは別のAb、例えばレポーターAbのような抗原と、Abが抗原に結合することを可能にするある特定の時間にわたりインキュベートされる状況を指す。Abが抗原に結合しない場合、結合は起こらない。
【0045】
[0045] 本明細書において使用される場合、用語「~に結合した」は、~に結合したAbの文脈において、抗原に結合したAbを指す。Abは、抗体可変領域を用いて抗原に結合している。その文脈における抗原はノロウイルスVLPまたは別の抗体であってもよい。例えば、検出Abは、検出Ab可変領域を用いてレポーターAbに結合している。
【0046】
[0046] 本明細書において使用される場合、「ノロウイルス反応性抗体」は、ノロウイルス抗原に結合する能力を有するAbである。ノロウイルス反応性抗体はまた、ノロウイルス中和および/またはノロウイルス遮断Abであってもよい。ノロウイルス反応性抗体は、1つのノロウイルスにのみ結合するAbまたは異なるノロウイルスに結合する能力を有するAb、すなわち交差反応性Abであってもよい。例えば、ノロウイルス反応性抗体は、遺伝子型群Iのノロウイルスからのノロウイルス抗原および遺伝子型群IIのノロウイルスからのノロウイルス抗原に結合する能力を有してもよい。
【0047】
[0047] 「ノロウイルス中和Ab」は、本明細書において使用される場合、ノロウイルス中和アッセイにおいて検出下限および/またはバックグラウンドを上回るシグナルを提供するAbを指すことが意図される。一部の実施形態において、シグナルは、ノロウイルス中和アッセイにおいて検出下限および/またはバックグラウンドを少なくとも10%または少なくとも20%または少なくとも30%または少なくとも50%または少なくとも60%または少なくとも80%または少なくとも90%上回る。ノロウイルス中和Abは、単独でもしくは適切な製剤化において他の抗ウイルス剤との予防もしくは治療剤としての組合せで、または活性ワクチン接種との関連で、または診断ツールとして使用されてもよい。用語「ノロウイルス中和Ab」は、宿主において感染を開始および/または永続化させるノロウイルスの能力を予防するか、阻害するか、低減させるか、妨害するか、またはそれに干渉するAbを指すことができる。ノロウイルス中和Abが結合するエピトープは、「中和エピトープ」として参照されることがある。ノロウイルス中和Abはまた、ノロウイルス遮断Abであってもよい。
【0048】
[0048] 「ノロウイルス中和アッセイ」は、本明細書において使用される場合、ノロウイルス中和Abを測定する任意のアッセイを指す。例えば、1つのノロウイルス中和アッセイはヒト腸管エンテロイド(HIE)を使用する。このアッセイは、試料との生ノロウイルスのインキュベーションおよび生ノロウイルスによるオルガノイドの感染のモニタリングにより試料内の中和Abを検出する。この方法は、例えば、Ettayebiら、Science 2016、353、1387~1393頁;Jonesら、Science 2014、346、755~759頁において記載されている。
【0049】
[0049] 「ノロウイルス遮断Ab」は、本明細書において使用される場合、ノロウイルス遮断アッセイにおいて検出下限および/またはバックグラウンドを上回るシグナルを提供するAbを指すことが意図される。一部の実施形態において、シグナルは、ノロウイルス遮断アッセイにおいて検出下限および/またはバックグラウンドを少なくとも10%または少なくとも20%または少なくとも30%または少なくとも50%または少なくとも60%または少なくとも80%または少なくとも90%上回る。ノロウイルス遮断Abは、細胞表面炭水化物、例えばHBGAへのノロウイルスVLPおよび/またはノロウイルスの結合を遮断する。ノロウイルス遮断Abはまた、ノロウイルス中和Abであってもよい。
【0050】
[0050] 「ノロウイルス遮断アッセイ」は、本明細書において使用される場合、細胞表面炭水化物、例えばHBGAを使用するアッセイを指す。アッセイは、試料とのノロウイルスVLPのインキュベーションおよび細胞表面炭水化物への前記ノロウイルスVLPの結合のモニタリングにより試料内のノロウイルス遮断Abを検出する。細胞表面炭水化物を含有する一般的に使用される基質はPGMである(「PGM遮断アッセイ」)。方法は、例えば、Haynesら、Viruses 2019、11、392、doi:10.3390/v11050392)において記載されている。
【0051】
[0051] 本明細書において使用される場合、用語「抗体力価」は、試料内のAbのある特定の量を指す。試料は、血漿、尿、血液、または血清試料であってもよい。抗体力価は、肯定的な試験結果を依然として与えるかまたは試験において半数最大シグナルを与える(段階希釈系列における)最も高い希釈として表され得る。抗体力価はまた、試料中のAbの存在の指標となる値が、対照の結果としてもたらされるある特定の値、例えば対照を用いて与えられる最大値の50%で補間される、補間力価の形態において表されてもよい。結果的に、用語「遮断抗体力価」または「遮断力価」は、試料内のノロウイルス遮断Abのある特定の量を指す。Ab力価は、酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)、ノロウイルス遮断アッセイ(「遮断力価」を結果としてもたらす)、またはノロウイルス中和アッセイ(「中和力価」を結果としてもたらす)を含む当技術分野において公知の様々な方法により決定され得る。
【0052】
[0052] 本明細書において使用される場合、用語「酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)」は、ELISAセットアップに依存してAbまたは抗原の測定のためのイムノアッセイを指す。すべてのELISAセットアップの鍵となる特色は、Abまたは抗原が固定化されるプレートの応用である。例えば、試料内のAbを決定するために、Abが結合する対応する抗原はプレート上に固定化される。別のセットアップにおいて、Abは、試料内の抗原を検出するためにプレート上に固定化される。ELISAのシグナルは、例えば、分光光度的方法により検出され得る、シグナルを生じさせる、酵素反応により生成される。応用される酵素の一般的な例はホースラディッシュペルオキシダーゼである。一般的なELISAセットアップは、直接ELISA、サンドイッチELISA、競合ELISA、および逆ELISAを含む。
【0053】
[0053] 本明細書において使用される場合、用語「モノクローナルAb」(「mAb」)は、同じ抗原決定因子(エピトープ)に結合する実質的に均質なAbの集団から得られるAbを指す。「実質的に均質な」は、個々のAbが、微量で存在し得る天然に存在する可能性がある突然変異を除いて同一であることを意味する。これは、様々な、異なる抗原決定因子(エピトープ)に対して方向付けられた異なる抗体を典型的には含むポリクローナル抗体とは対照的である。モノクローナルAbは、当技術分野において公知の方法によるハイブリドーマ技術(KohlerおよびMilstein、Nature 1975、256:495~497頁)、ファージ選択、組換え発現、およびトランスジェニック動物により生成されてもよい。
【0054】
[0054] 本明細書において使用される場合、用語「ポリクローナルAb」は、免疫化された動物の試料、例えばマウスまたはウサギ血清から得られるAbを指す。ポリクローナルAbの混合物の特徴は、Abがすべて同じエピトープに結合するわけではないことである。
【0055】
[0055] 本明細書において使用される場合、用語「検出Ab」は、本開示の方法において応用されるAbの他に、本開示のキットの部分であるAbを指す。一部の実施形態において、検出Abは、検出抗体の可変領域を用いて試料内のノロウイルス反応性抗体に結合する能力を有する。検出Abは、抗原についてのその特異性とは独立して、検出可能な標識に取り付けられる。一部の実施形態において、検出Abは、検出抗体の重鎖定常領域を介して検出可能な標識に取り付けられる。一部の実施形態において、検出可能な標識は、蛍光標識、例えばPEである。
【0056】
[0056] 本明細書において使用される場合、用語「レポーターAb」は、本出願の方法において応用されるAbの他に、本開示のキットの部分であるAbを指す。レポーターAbは、レポーター抗体の可変領域を用いて1つまたは複数のノロウイルスVLPに結合する能力を有する。レポーターAbは、1つまたは複数のノロウイルスVLPへの結合について、例えば試料内に存在する、他のAbと競合する能力を有する。一部の実施形態において、レポーターAbは、検出可能な標識に直接的に取り付けられる。一部の実施形態において、レポーターAbは、検出抗体の重鎖定常領域を介して検出可能な標識に直接的に取り付けられる。これらの実施形態において、レポーターAbは、レポーターAbそれ自体が検出可能な標識により検出され得るので、二次レポーターAbの追加の使用なしに本開示の方法において応用される。他の実施形態において、レポーターAbは、検出可能な標識に間接的に取り付けられる。これらの他の実施形態において、レポーターAbは、二次レポーターAbと共に本開示の方法において応用される。レポーターAbは交差反応性抗体であってもよい。一部の実施形態において、レポーターAbは、mAbおよび/またはノロウイルス中和Abおよび/またはノロウイルス遮断Abである。レポーター抗体は、1つまたは複数のノロウイルスVLPに対するある特定のEC50値、例えば、2μg/mLもしくはそれ未満、1μg/mLもしくはそれ未満、0.5μg/mLもしくはそれ未満、0.1μg/mLもしくはそれ未満、0.05μg/mLもしくはそれ未満、または0.01μg/mLもしくはそれ未満のEC50値を示す。
【0057】
[0057] 本明細書において使用される場合、用語「二次レポーターAb」は、レポーター抗体に結合する能力を有する抗体を指す。一部の実施形態において、二次レポーターAbは、二次レポーターAbの可変領域を用いてレポーター抗体の重鎖定常領域に結合する。本開示の意味において、二次レポーターAbは、検出可能な標識に直接的に取り付けられる。一部の実施形態において、検出可能な標識は、二次レポーター抗体の重鎖定常領域に取り付けられる。
【0058】
[0058] 本明細書において使用される場合、「交差反応性抗体」は、1つより多くの抗原に結合する能力を有するAbを指す。例えば、Abは、GII.4ノロウイルスまたはノロウイルスVLPに結合し、GII.1ノロウイルスまたはノロウイルスVLPにも結合する場合に、「交差反応性抗体」として参照され得る。例えば、1つまたは複数のノロウイルス抗原に対して交差反応性の抗体は、2μg/mLもしくはそれ未満、1μg/mLもしくはそれ未満、0.5μg/mLもしくはそれ未満、0.1μg/mLもしくはそれ未満、0.05μg/mLもしくはそれ未満、または0.01μg/mLもしくはそれ未満の1つまたは複数のノロウイルス抗原に対するEC50値を示す。
【0059】
[0059] 本明細書において使用される場合、用語「EC50値」は、マイクロスフェアが連結されたノロウイルスVLPに対する飽和における最大結合の50%を達成するために要求されるAb、例えばレポーターAbの濃度を指す。EC50値は、ノロウイルスVLPに対するAbの親和性についての尺度である。EC50値がより低くなればなるほど親和性はより高くなる。
【0060】
[0060] 用語「競合性」または「~と競合する」は、本明細書において使用される場合、抗原(すなわちノロウイルスVLP)上の結合性部位について第1のAbが第2のAbと競合する状況を指す。該用語は、Abが抗原に随伴的にまたは順々に応用される状況を含む。2つのAbのうちの1つはレポーターAbであってもよく、2つのAbのうちの他方は試料内に存在してもよい。特に、第1の方向性において、第1のAbは、ノロウイルスVLPに結合することを可能とされ、続いてノロウイルスVLPへの第2のAbの結合が評価される。第2の方向性において、第2のAbは、ノロウイルスVLPに結合することを可能とされ、続いてノロウイルスVLPへの第1のAbの結合が評価される。第3の方向性において、第1および第2のAbは、ノロウイルスVLPに結合することを随伴的に可能とされる。Abは、飽和条件下で結合させてもよい。当業者により理解されるように、第2のAbと結合について競合する第1のAbは、第2のAbと同じエピトープに必ずしも結合しなくてもよく、オーバーラップまたは隣接するエピトープに結合することにより第2のAbの結合を立体的に遮断してもよい。2つのAbは、各々が抗原への他方の結合を競合的に阻害(遮断)する場合に、同じまたはオーバーラップするエピトープに結合する。代替的に、2つのAbは、1つのAbの結合を低減させるかまたは排除する抗原中の本質的にすべてのアミノ酸突然変異が他方の結合を低減させるかまたは排除する場合に、同じエピトープを有する。2つのAbは、1つの抗体の結合を低減させるかまたは排除する一部のアミノ酸突然変異が他方の結合を低減させるかまたは排除する場合に、オーバーラップするエピトープを有する。別のAbによる抗原の結合を阻害(遮断)する1つのAbの能力は、抗原についての2つのAbの親和性の比の尺度である。1つのAbが抗原への別のAbの結合を強く阻害(遮断)する場合、抗原についての1つのAbの親和性は抗原についての他のAbの親和性よりも高い。例えば、0.05μg/mLのノロウイルスVLPに対するEC50値(これはノロウイルスVLPについてのレポーターAbの親和性についての尺度である)を示すレポーターAbは、Abが同じまたはオーバーラップするエピトープに結合する場合に、1μg/mLのノロウイルスVLPに対するEC50値を示す別の抗ノロウイルスAbの結合を強く阻害(遮断)する。
【0061】
検出システムおよび標識
[0061] 用語「検出可能な標識」は、本明細書において使用される場合、化学、物理または酵素反応において検出可能な化合物またはシグナルを直接的にまたは間接的に生成する1つまたは複数の適切な化学物質または酵素を含む任意の化合物または部分を指す。標識化は、当技術分野において周知の方法により達成され得る(例えば、Lottspeich,F.、およびZorbas H.、Springer Spektrum 2012、Bioanalytikを参照)。
【0062】
[0062] 本明細書において使用される場合、用語「抗体は検出可能な標識に取り付けられる」は、検出可能な標識に接続されるAbを指す。接続は共有結合性の接続であることができ、これは、例えば、抗体と検出可能な標識との間で結合したアミドの形成において起こる。接続のタイプは、Ab上および検出可能な標識上で利用可能な官能基に依存する。一部の実施形態において、抗体は、抗体の重鎖定常領域を用いて検出可能な標識に取り付けられる。
【0063】
[0063] 本明細書において使用される場合、用語「検出システム」は、検出またはレポーター抗体の存在および/または量の指標となる値を決定するために好適である任意のシステムを指す。検出システムはまた、マイクロスフェアの存在および/または量の指標となる値を決定することができてもよい。マイクロスフェアは、検出可能な標識により個々に同定されてもよい。検出システムは1つまたは複数の光源を含む。
【0064】
[0064] 本明細書において使用される場合、用語「光源」は、照射し、それにより例えば蛍光色素としての検出可能な標識を励起するために好適である任意の光源を指す。一部の実施形態において、光源はレーザーであってもよい。一部の実施形態において、光源は発光ダイオード(LED)であってもよい。
【0065】
マイクロスフェアおよびイムノアッセイ
[0065] 本明細書において使用される場合、用語「マイクロスフェア」(microsphere)または「マイクロスフェア」(microspheres)は、抗原(すなわちVLP)のような分子が、本開示の方法における使用のために取り付けられ得る小さい粒子を指す。用語マイクロスフェア、マイクロ粒子、ビーズ、またはマイクロビーズは、交換可能に使用されて同等の意味を有することができる。マイクロスフェアは、検出可能な標識により同定されてもよい。
【0066】
[0066] 本明細書において使用される場合、用語「マイクロスフェア複合体」は、マイクロスフェアと抗原との複合体を指す。抗原は、マイクロスフェアに共有結合的に取り付けられてもよい。抗原は、VLP、例えばノロウイルスVLPであってもよい。抗原は、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド(EDC)およびN-ヒドロキシスルホスクシンイミド(スルホ-NHS)を使用してカルボジイミドカップリングによりマイクロスフェアに取り付けられてもよい。
【0067】
[0067] 本明細書において使用される場合、用語「イムノアッセイ」は、Abまたは抗原の使用を通じて分子の存在および/または量を検出、決定、同定、特徴付け、定量化、または他に測定するアッセイを指す。イムノアッセイにより検出される分子は、生物学的試料(例えば血清または血漿)中に存在することができる。イムノアッセイにより検出される分子は、それ自体がAbまたは抗原であってもよい。イムノアッセイは、例えば、技術、例えばELISA、免疫沈降アッセイ、またはマイクロスフェアイムノアッセイを使用する、直接または競合結合アッセイを含んでもよい。
【0068】
[0068] 本明細書において使用される場合、用語「マイクロスフェアイムノアッセイ」は、Abが結合することができる抗原に連結されたマイクロスフェアの使用を伴うAbの存在および/または量を検出、決定、同定、特徴付け、定量化、または他に測定するアッセイを指す。マイクロスフェアイムノアッセイにより検出されるAbは、生物学的試料(例えば血清または血漿)中に存在することができる。
【0069】
[0069] 「競合的アッセイセットアップ」とも短縮される用語「競合的マイクロスフェアイムノアッセイ」は、Abが結合することができる抗原に連結されたマイクロスフェアおよびレポーターAbを使用することによりAbの存在および/または量を検出、決定、同定、特徴付け、定量化、または他に測定するマイクロスフェアイムノアッセイを指す。競合的マイクロスフェアイムノアッセイにおいて、例えば、試料内に存在してもよい、Ab、およびレポーターAbは、抗原への結合について競合する。抗原に結合したレポーターAbの存在および/または量は、そのため、応用されたレポーターAbと競合する能力を有するAbの存在および/または量の指標となる。そのため、競合的マイクロスフェアイムノアッセイは、「特異的な」Abまたは抗体力価を決定するために使用可能であり、その文脈における「特異的な」は、試料中の検出されたAbが、抗原結合についてレポーター抗体と競合する能力を有することを意味する。それにより、「特異的な」免疫応答または免疫状態が決定されてもよく、その文脈における「特異的な」は、免疫応答または免疫状態が、抗原結合について応用されたレポーターAbと競合する能力を有する決定された「特異的な」Abにより特徴付けられることを意味する。
【0070】
[0070] 「非競合的アッセイセットアップ」とも短縮される用語「非競合的マイクロスフェアイムノアッセイ」は、Abが結合することができる抗原に連結されたマイクロスフェアおよびAbの重鎖定常領域に結合する検出Abを使用することによりAbの存在および/または量を検出、決定、同定、特徴付け、定量化、または他に測定するマイクロスフェアイムノアッセイを指す。それにより、例えば、試料内に存在してもよい、Abは、抗原にAbを結合させるためにマイクロスフェアとインキュベートされる。その後、検出Abは、Abの存在および/または量を検出、決定、同定、特徴付け、定量化、または他に測定するために加えられる。そのため、非競合的マイクロスフェアイムノアッセイは、マイクロスフェアが連結された抗原に結合する能力を有するAbの本質的にすべてまたは大部分を検出するので、「総」抗体力価または抗体量を決定するために使用され得る。それにより、「完全な」免疫応答が決定されてもよく、その文脈における「完全な」は、決定された免疫応答が、決定された「総」抗体力価または抗体量により特徴付けられることを意味する。
【0071】
ウイルス様粒子およびノロウイルス
[0071] 本明細書において使用される場合、用語「抗原」は、Abにより結合され得る任意の物質を指す。抗原は対象において免疫応答を誘導してもよい。抗原は1つまたは複数のエピトープを有してもよい。抗原は、タンパク質、ポリペプチド、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、またはその組合せであってもよい。本明細書において使用される場合、抗原は、ノロウイルスVLPまたはノロウイルスVLPの部分を指すことができる。
【0072】
[0072] 本明細書において使用される場合、用語「エピトープ」または「抗原決定因子」は、パラトープとして公知のAb分子の可変領域中の特定の抗原結合性部位と相互作用する抗原の部分を指す。単一の抗原は1つより多くのエピトープを有してもよい。そのため、異なるAbは、抗原上の異なる区画に結合してもよく、異なる生物学的効果を有してもよい。例えば、用語「エピトープ」はまた、Bおよび/またはT細胞が応答する抗原上の部位を指す。エピトープは、構造的または機能的として定義されてもよい。機能的エピトープは、一般に、構造的エピトープのサブセットであり、相互作用の親和性に直接的に寄与する残基を有する。抗体が結合するエピトープは、抗原内に位置する2つまたはより多く(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはより多く)のアミノ酸の単一の連続する配列からなってもよく、すなわち、例えばNV Eタンパク質のドメイン中の、リニアエピトープであってもよい。エピトープはまた、コンホメーショナルであってもよく、すなわち、複数の連続しないアミノ酸、すなわち、非線状アミノ酸配列から構成されてもよい。コンホメーショナルエピトープは、典型的には少なくとも3個のアミノ酸、より一般的には、少なくとも5個のアミノ酸、例えば、7~10個のアミノ酸を独特の空間コンホメーションにおいて含む。一部の実施形態において、エピトープは、分子の化学的に活性の表面グルーピングである決定因子、例えばアミノ酸、糖側鎖、ホスホリル基、またはスルホニル基を含んでもよく、一部の実施形態において、特定の電荷的特徴を有してもよい。連続するアミノ酸から形成されるエピトープは、変性溶媒への曝露で典型的には保持される一方、三次的なフォールディングにより形成されるエピトープは、変性溶媒での処理で典型的には喪失される。当業者に公知の様々な技術を使用して、抗体がポリペプチドまたはタンパク質内の1つまたは複数のアミノ酸と相互作用するかどうかを決定することができる。例示的な技術は、例えば、部位特異的突然変異誘発(例えば、アラニンスキャニング突然変異分析)を含む。他の方法は、ルーチンの交差遮断アッセイ(例えばAntibodies、HarlowおよびLane、Cold Spring Harbor Press、Cold Spring Harbor、NYに記載されているもの)、ペプチドブロット分析(Reineke(2004)Methods Mol.Biol.248:443~63頁)、ペプチド切断分析結晶学的研究およびNMR分析を含む。追加的に、方法、例えばエピトープ切除、エピトープ抽出および抗原の化学修飾が用いられ得る(Tomer(2000)Prot.Sci.9:487~496頁)。抗体が相互作用するポリペプチド内のアミノ酸を同定するために使用され得る別の方法は、質量分析により検出される水素/重水素交換である。一般的に、水素/重水素交換方法は、関心対象のタンパク質を重水素標識すること、続いて抗体を重水素標識されたタンパク質に結合させることを伴う。次に、タンパク質/抗体複合体は水に移され、抗体複合体により保護されるアミノ酸内の交換可能なプロトンは、境界面の部分ではないアミノ酸内の交換可能なプロトンよりも遅い速度で重水素-水素逆交換を起こす。結果として、タンパク質/抗体境界面の部分を形成するアミノ酸は、重水素を保持して、境界面中に含まれないアミノ酸と比較して相対的により高い質量を呈し得る。抗体の解離後に、標的タンパク質はプロテアーゼ切断および質量分析に供され、それにより、抗体が相互作用する特定のアミノ酸に対応する重水素標識された残基が明らかにされる。例えば、Ehring(1999)Analytical Biochemistry 267:252~259頁;EngenおよびSmith(2001)Anal.Chem.73:256A~265Aを参照。抗原構造ベース抗体プロファイリング(Antigen Structure-based Antibody Profiling;ASAP)としても公知の改変補助プロファイリング(Modification-Assisted Profiling;MAP)を使用して、同じ抗原に結合するAbを、異なるエピトープに結合するAbの群に選別してもよい。MAPは、化学的にまたは酵素的に修飾された抗原表面に対する各々の抗体の結合プロファイルの類似性に従って同じ抗原に対して方向付けられた多数のAbをカテゴライズする方法である(米国特許出願公開第2004/0101920号明細書を参照)。各々のカテゴリーは、別のカテゴリーにより表されるエピトープとは明確に異なるか、またはそれと部分的にオーバーラップする独特のエピトープを反映し得る。この技術は、遺伝学的に同一の抗体の迅速なフィルタリングを可能とし、その結果、特徴付けは、遺伝学的に別個の抗体に集中され得る。ハイブリドーマスクリーニングに応用される場合、MAPは、所望される特徴を有するmAbを産生する希少なハイブリドーマクローンの同定を促し得る。Abはまた、バイオレイヤー干渉法(BLI)を使用してそれらのエピトープに従ってカテゴライズされてもよい。
【0073】
[0073] 本明細書において使用される場合、用語「ウイルス様粒子(VLP)」(virus like particle)または「ウイルス様粒子(VLPs)」(virus like particles)は、ウイルスに密接に似ているが、ウイルス遺伝材料を含有しないので非感染性である分子を指す。VLPは、次にVLPに自己集合することができるウイルス構造タンパク質の発現を通じて組換えにより調製され得る。好適な発現システムは、哺乳動物または昆虫発現システムのような真核発現システムを含む。
【0074】
[0074] 本明細書において使用される場合、用語「ノロウイルスVLP」は、1つまたは複数のノロウイルスの構造タンパク質(VP1、VP2)のうちの少なくとも1つを含むVLPを指す。構造タンパク質は、対応するノロウイルスの構造タンパク質を表すアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、または少なくとも85%、または少なくとも90%、または少なくとも95%または100%同一であってもよい。本出願および特許請求の範囲の全体を通じて、特定のノロウイルスVLPは、表1において呼称されるように参照される。例えば、GI.1 VLPは、GenBank:AAB50466.2および配列番号1に示されているVP1配列を有するHu/GI.1/Norwalk/1968/USノロウイルスに由来するノロウイルスVLPを指し、ノロウイルスVLPのVP1タンパク質は、配列番号1に対して、少なくとも80%、または少なくとも85%、または少なくとも90%、または少なくとも95%または100%同一であってもよい。その文脈における「由来する」は、対応するノロウイルスのVP1配列または該VP1配列に対して、少なくとも80%、もしくは少なくとも85%、もしくは少なくとも90%、もしくは少なくとも95%もしくは100%同一であってもよい配列が、自己集合でVLPを生成するために好適な発現システムにおいて発現されることを意味する。
【0075】
[0075] 本明細書において使用される場合、用語「ノロウイルス」(norovirus)または「ノロウイルス」(noroviruses)は、カリシウイルス(Caliciviridae)科に属するノロウイルスの種のメンバーを指す。ノロウイルスはヒトにおいて急性胃腸炎を引き起こすことができる。ノロウイルスは現在、系統発生的に7つの異なる遺伝子型群(GI~GVII)および40より多くの異なる遺伝子型に分類されている。GI、GII、およびGIVのウイルスはヒトに感染し、GIおよびGIIからのウイルスはほぼすべてのヒト感染を占める。1990年代半ば以降、遺伝子型群II遺伝子型4(GII.4)からのウイルスは大流行の大部分を引き起こしている。遺伝子型群II遺伝子型4(GII.4)からのノロウイルスは変異型にさらに分類されている。ノロウイルス株の非限定的な例は、Norwalkウイルス(NV、GenBank M87661)、Southamptonウイルス(SHV、GenBank L07418)、Desert Shieldウイルス(DSV、U04469)、Hesseウイルス(HSV)、Chibaウイルス(CHV、GenBank AB042808)、Hawaiiウイルス(HV、GenBank U07611)、Snow Mountainウイルス(SMV、GenBank U70059)、Torontoウイルス(TV、Leiteら、Arch.Virol.141:865~875頁)、Bristolウイルス(BV)、Jenaウイルス(JV、AJ01099)、Marylandウイルス(MV、AY032605)、Setoウイルス(SV、GenBankAB031013)、Camberwell(CV、AF145896)、Lordsdaleウイルス(LV、GenBank X86557)、Grimsbyウイルス(GrV、AJ004864)、Mexicoウイルス(MXV、GenBank U22498)、Boxer(AF538679)、C59(AF435807)、VA115(AY038598)、BUDS(AY660568)、Houstonウイルス(HoV)、Minerva株(EF 1269631)、Laurens株(EF 1269661)、MOH(AF397156)、Parris Island(PiV、AY652979)、VA387(AY038600)、VA207(AY038599)、およびOperation Iraqi Freedom(OIF、AY675554)を含む。さらなる例は、Hu/GI.1/Norwalk/1968/US(GenBank M87661)、Hu/GI.2/Jingzhou/2013401/CHN(GenBank KF306212)、Hu/GI.3/JKPG_883/SWE/2007(GenBank FJ711164.1)、Hu/GI.4/1643/2008/US(GenBank GQ413970)、Hu/GI.5/Siklos-HUN5407/2013/HUN(Gen Bank KJ402295)、Hu/GI.6/TCH-099/USA/2003(GenBank KC998959)、Hu/GI.7/Providence191/2010/USA(GenBank JN899243)、Hu/GII.3/NIHIC8.1/2011/USA(GenBank KC597140)、Hu/GII.4/Houston/TCH186/2002/US(GenBank JX459908)、Hu/GII.4/DenHaag89/2006/NL(GenBank EF126965.1)、Hu/GII.4/Yerseke38/2006/NL(GenBank EF126963.1)、Hu/GII.4/Sydney/NSW0514/2012/AU(GenBank JX459908)、Hu/GII.4/031693/USA/2003(GenBank JQ965810.1)、Hu/GII.6/Ehime120246/2012/JP(GenBank AB818400)、Hu/GII.12株E5152(GenBank、Hu/GII.17/C142/GF/1978(GenBank JN699043)、Hu/GII.17/JP/2014/Nagano7-1(GenBank LC043139)、およびHu/GII.17/HKG/2015/CUHK-NS-513(GenBank KP698931.1)を含む。ノロウイルスのさらなる例は、国際公開第2020/017542号パンフレット、表1または下記のセクション「マイクロスフェア複合体」において列記される。本開示の全体を通じて、用語「ノロウイルス」は、任意の遺伝子型群または遺伝子型または変異型の任意のノロウイルス株を指すために使用され得る。用語「ノロウイルス」はまた、例えば、2つまたはより多くのノロウイルス、例えばGII.4変異型からのノロウイルスコンセンサス配列を指すことができる。ノロウイルスコンセンサス配列の構築は、例えば、国際公開第2010/0175242号パンフレットおよびParraら、Vaccine 2012、30(24):350~3586頁に示されている。本開示の意味において、「ノロウイルス株」は、任意の遺伝子型群または遺伝子型または変異型の任意のノロウイルスを指すために使用され得る。
【0076】
[0076] 本明細書において使用される場合、用語「遺伝子型群」は、系統発生クラスタリングによるノロウイルスの分類を指す。現在、ノロウイルスは7つの遺伝子型群(GI~GVII)に分類されている。参照のために、例えばKronemanら、Arch Virol 2013、158:2059~2068頁;Preetiら、Journal of General Virology 2019、100:1393~1406頁を参照。
【0077】
[0077] 本明細書において使用される場合、用語「遺伝子型」は、系統発生クラスタリングによるノロウイルス遺伝子型群のさらなる分割を指す。遺伝子型群は40より多くの遺伝子型に分割された。例えば、遺伝子型群IIおよび遺伝子型4のノロウイルスはGII.4として呼称される。参照のために、例えばKronemanら、Arch Virol 2013、158:2059~2068頁;Preetiら、Journal of General Virology 2019、100:1393~1406頁を参照。
【0078】
[0078] 本明細書において使用される場合、用語「変異型」は、系統発生クラスタリングによるノロウイルス遺伝子型のさらなる分割を指す。変異型へのGII.4株のサブタイプ分類は系統発生クラスタリングに基づく。参照のために、例えばKronemanら、Arch Virol 2013、158:2059~2068頁;Preetiら、Journal of General Virology 2019、100:1393~1406頁を参照。
【0079】
[0079] 本明細書において使用される場合、「コンセンサス配列」は、2つまたはより多くのウイルスのウイルスアミノ酸配列をアライメントおよび比較することにより決定される。コンセンサス配列はまた、2つまたはより多くのウイルスのヌクレオチド配列をアライメントおよび比較することにより決定されてもよい。コンセンサス配列は、2つまたはより多くの、3つまたはより多くの、4つまたはより多くの、5つまたはより多くの、6つまたはより多くの、7つまたはより多くの、8つまたはより多くの、9つまたはより多くの流布しているウイルスの株のヌクレオチドまたはアミノ酸配列から決定されてもよい。配列アライメントは、ある特定の配列位置において1つまたは複数の可変的なアミノ酸またはヌクレオチドを結果としてもたらすことがある。コンセンサス配列において、可変的な位置における2つまたはより多くのアミノ酸またはヌクレオチドのうちの1つが選択される。一部の実施形態において、選択されるアミノ酸またはヌクレオチドは、最近流布している株、または疾患とより一般的に関連付けられるかもしくは評価されている株の間でより一般的に存在する株のアミノ酸またはヌクレオチドである。
【0080】
[0080] 本明細書において使用される場合、用語「構造タンパク質」は、成熟したウイルスの構造的な構成要素であるウイルスタンパク質を指す。ノロウイルスの文脈において、構造タンパク質はVP1およびVP2タンパク質を含む。用語「構造タンパク質」は、そのため、VP1およびVP2の両方、または両方のうちの1つのみを指すことができる。
【0081】
試料および対象
[0081] 本明細書において使用される場合、用語「試料」は、対象に由来する任意の試料を指す。本開示の意味において、試料は、対象の身体の外側に存在し、すなわち本開示の方法の間に対象から得られない。結果的に、診断方法はin vitroの診断方法であり、保護を決定する方法は、保護を決定するin vitroの方法である。試料は、血液、尿、唾液、脳脊髄液、およびリンパ液であってもよい。一部の実施形態において、試料は血清または血漿試料である。本開示において、用語「血漿」(plasma)は血漿(blood plasma)を指す。試料はノロウイルス反応性Abを含有してもよい。試料は、本開示の方法における使用に先立って前処理されてもよい。前処理の方法は、精製、濾過、蒸留、濃縮、干渉性化合物の不活性化、および試薬の追加を伴うことができる。一部の実施形態において、試料は熱不活性化される。
【0082】
[0082] 本明細書において使用される場合、用語「対象」(subject)または「対象」(subjects)は任意の個体を含むことができる。対象は哺乳動物であってもよい。哺乳動物は、マウス、霊長動物、非ヒト霊長動物、ヒト、ウサギ、ネコ、ラット、ウマ、ヒツジであってもよいが、それに限定されない。対象は、妊娠した哺乳動物、特に妊婦であってもよい。対象は、2か月齢までの新生児、または2か月齢~5歳の小児であってもよい。対象は、予防または療法が所望される患者であってもよい。対象は、ノロウイルスナイーブまたはノロウイルス曝露済みであってもよい。対象は、ノロウイルス流行地域またはノロウイルス非流行地域からの対象であってもよい。対象は、ノロウイルス流行地域を旅行しているノロウイルス非流行地域からの対象であってもよい。対象は、ノロウイルスワクチンを接種していてもよい。対象は、免疫抑制された人または70歳を上回る人であってもよい。
【0083】
[0083] 用語「ノロウイルスナイーブ」または「ノロウイルス陰性」は、本明細書において使用される場合、ノロウイルス抗体力価、例えば遮断および/または中和力価を測定する試験において決定された場合に検出限界を上回るノロウイルスに対して方向付けられたAbを有しない対象を指す。ノロウイルスナイーブ対象は、ノロウイルスに曝露されていなくてもよく、したがってノロウイルスに対して方向付けられたAbを有しない。ノロウイルスナイーブ対象はまた、ノロウイルスにかつて曝露されており、ノロウイルスに対して方向付けられたAbをかつて有していたが、ノロウイルスに対して方向付けられたAbが経時的に消失した対象であってもよい。
【0084】
[0084] 本明細書において使用される場合、用語「ノロウイルス曝露済み」または「ノロウイルス陽性」は、ノロウイルス抗体力価、例えば遮断および/または中和力価を測定する試験において決定された場合に検出限界を上回るノロウイルスに対して方向付けられたAbを有する対象を指す。ノロウイルスに対して方向付けられたAbは、対象の免疫応答によるノロウイルスに対して方向付けられたAbの生成をトリガーするノロウイルス感染またはノロウイルスワクチンでのワクチン接種の結果であることができる。
【0085】
[0085] 本明細書において使用される場合、「免疫応答」は、ノロウイルス曝露に対する対象の免疫応答を指す。特に、免疫応答は、ノロウイルスに対するAbの形成を含む。免疫応答という用語はまた、ノロウイルスに対する中和および/または遮断Abの形成を含んでもよい。それはまた、細胞媒介性応答の刺激または構造タンパク質、例えばVP1タンパク質に対するAbの形成を含んでもよい。それはまた細胞媒介性応答の刺激を含んでもよい。
【0086】
[0086] 本明細書において使用される場合、「流行地域」は、疾患または感染性因子が常に存在し、かつ/またはこの地域内の集団において通常よく見られる地域を指す。本明細書において使用される場合、「非流行地域」は、疾患が存在しないか、または通常は流行していない地域を指す。よって、「ノロウイルス流行地域」は、ノロウイルスによる感染がベースラインレベルで常に維持される地理的区画を指す。「ノロウイルス非流行地域」は、ノロウイルスによる感染がベースラインレベルで常に維持されない地理的区画である。よって、「ノロウイルス流行地域から」または「ノロウイルス非流行地域から」の対象は、上記に定義されている地理的区画で暮らしている対象を指す。ある特定のノロウイルス株が、1つの区画において流布しており、他の区画において存在しないことがあり得る。そのため、地域は、1つのノロウイルス株について非流行性であるが他のノロウイルス株について流行性であり得る。
【0087】
[0087] 本明細書において使用される場合、「ワクチン接種された」は、疾患の1つまたは複数の症状を発症することから対象を予防する目的と共に、ワクチンを投与された対象を指す。
【0088】
[0088] 本明細書において使用される場合、用語「ワクチン」は、対象において免疫応答を導入する能力を有する少なくとも1つの抗原を提供する予防材料を指す。「ノロウイルスワクチン」は少なくとも1つのノロウイルス抗原を提供する。一部の実施形態において、ノロウイルス抗原はノロウイルスVLPである。ノロウイルスワクチンは、例えば、Parraら(Vaccine 2012、30(24):3580~3586頁、doi:10.1016/j.vaccine.2012.03.050)および国際公開第2010/017542号パンフレットにおいて記載されている。
【0089】
感染および診断
[0089] 用語「ノロウイルス感染」は、本明細書において使用される場合、通常は糞口経路により拡大される、ノロウイルスへの接触の結果としてもたらされる疾患または状態を指す。感染は、夾雑された食品もしくは水または人と人との間の接触を通じて起こり得る。それはまた、夾雑された表面との接触を通じて、または感染者の嘔吐物から空気を通じて起こり得る。リスク因子は、不衛生な食品準備および密な空間の共有を含む。ノロウイルスは胃腸炎を引き起こす。感染は、非血性下痢、嘔吐、および胃痛により特徴付けられる。発熱または頭痛もまた起こり得る。ノロウイルス感染はまた、ノロウイルス特異的な症状を伴わないことがあり、そのような場合、感染は無症候性または不顕性であり得る。ノロウイルス感染は急性または回復期であってもよい。
【0090】
[0090] 本明細書において使用される場合、用語「急性ノロウイルス感染」は、疾患の急速な開始、相対的に短い症状の期間、および数日以内の解消により特徴付けられるノロウイルス感染を指す。急速なノロウイルス感染は、感染性ビリオンの早期の産生および宿主免疫系による感染の排除を通常は伴う。急性ノロウイルス感染において、体液中のAb力価は、回復期ウイルス感染と比較して高い。
【0091】
[0091] 本明細書において使用される場合、用語「回復期ノロウイルス感染」は、宿主免疫系により排除されたノロウイルス感染を指す。回復期ノロウイルス感染の特徴は、感染を引き起こしたノロウイルスに対するAbをコードするメモリーB細胞の存在である。回復期ノロウイルス感染において、体液中のAb力価は、急性ノロウイルス感染と比較して低い。
【0092】
[0092] 本明細書において使用される場合、用語「診断する」は、患者が所与の疾患または状態、すなわちノロウイルス感染を患っているかまたは以前に患っていたかどうかの可能性を確認または決定するために使用され得る方法の応用を指す。本開示の意味において、診断方法は、in vitroの診断方法である。
【0093】
[0093] 本明細書において使用される場合、用語「ノロウイルス反応性抗体の確立された量」は、ノロウイルス感染の指標となるノロウイルス反応性抗体のある特定の量を指す。ノロウイルス感染後に、ノロウイルス反応性抗体が対象において産生され、これらのノロウイルス反応性抗体の量は、そのため、対象がノロウイルスに感染したことを決定することを可能にする。
【0094】
保護
[0094] 本明細書において使用される場合、用語「ノロウイルス感染からの保護」は、対象内のノロウイルス反応性Abの量が、ノロウイルス反応性Abの保護的な量に等しいかまたはそれよりも高い状態を指す。本明細書において使用される場合、用語「保護的な量」は、ノロウイルスとの接触により引き起こされる疾患の非存在と関連付けられるノロウイルス反応性Abの量を指す。「保護的な量」は、対象のタイプに依存して異なってもよく、例えば、保護的な量は、ヒトとサルとで異なってもよく、さらには子供と成体とで異なってもよい。保護的な量のAbは、ワクチンを投与することにより誘導されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0095】
図1】[0095]8つの異なる条件(表2を参照)を使用したマイクロスフェアへのGII.4/Sydney VLPの連結有効性の評価。VLP連結マイクロスフェアをポリクローナル抗GII.4/Sydneyノロウイルス抗体とインキュベートし、ポリクローナル抗体に対して方向付けられた好適な検出抗体を使用して結合を検出した。メジアン蛍光強度(MFI)をポリクローナル抗体希釈(log(希釈係数))の依存度において提示している。
図2】[0096]20プレックス非競合的アッセイセットアップを使用した20の異なるノロウイルスVLPに対する対象#1からのIgMおよびIgA力価の評価。メジアン蛍光強度(MFI)を血清試料希釈(log(希釈係数))の依存度において提示している。
図3】[0097]20プレックス非競合的アッセイセットアップを使用した20の異なるノロウイルスVLPに対する対象#1からのIgG力価(図3A)および対象#2からのIgM力価(図3B)の評価。メジアン蛍光強度(MFI)を血清試料希釈(log(希釈係数))の依存度において提示している。
図4】[0098]20プレックス非競合的アッセイセットアップを使用した20の異なるノロウイルスVLPに対する対象#2からのIgAおよびIgG力価の評価。メジアン蛍光強度(MFI)を血清試料希釈(log(希釈係数))の依存度において提示している。
図5】[0099]マウスmAbを使用したエピトープビニング実験は4つの異なるクラスター(I~IV)を結果としてもたらした。10個のmAbをさらなる特徴付けのために選択した(丸で囲っている)。
図6】[0100]選択された10個のマウスmAbおよび2つのヒトmAb(1227、1431)を使用したエピトープビニング実験。より少数の抗体が図6においてエピトープビニングのために使用されたので、一部のmAbは、図5と比較した場合にわずかに異なるグルーピングを示した。
図7】[0101]マイクロスフェアイムノアッセイセットアップにおけるGII.4/Sydney VLPへのmAbの結合。マイクロスフェアに連結されたGII.4/Sydney VLPとの上昇mAb濃度のインキュベーション。メジアン蛍光強度(MFI)を対数変換されたmAb濃度の関数として提示している。
図8】[0102]異なるヒト血清試料の分析のためのmAb 11F03を使用したシングルプレックス競合的マイクロスフェアイムノアッセイ。マイクロスフェアに連結されたGII.4/Sydney VLPとのヒト血清の段階希釈液のインキュベーション。メジアン蛍光強度(MFI)を対数変換された血清希釈の関数として提示している。
図9】[0103]ヒト血清試料BRH1434797(図9、上のパネル)、BRH1434799(図9、下のパネル)、BRH1434790(図10、上のパネル)、BRH1434805(図10、下のパネル)、およびBRH1434806(図11)を評価するための抗GI.1 Norwalkおよび抗GII.4コンセンサスmAbを使用したシングルプレックスおよびデュプレックス競合的マイクロスフェアイムノアッセイ。ヒト血清試料の段階希釈液をマイクロスフェアに連結されたGI.1 Norwalkおよび/またはGII.4コンセンサスVLPとインキュベートした。メジアン蛍光強度(MFI)を対数変換された血清希釈の関数として提示している。NW:NW+CNは、GI.1 NorwalkおよびGII.4コンセンサスVLP連結マイクロスフェアならびに抗GI.1 Norwalk(17-1-1)および抗GII.4コンセンサス(4-1-3)mAbの混合物を含有するデュプレックスセットアップ内に存在するGI.1 Norwalk VLP連結マイクロスフェアの分析を指す。CN:NW+CNは、GI.1 NorwalkおよびGII.4コンセンサスVLP連結マイクロスフェアならびに抗GI.1 Norwalk(17-1-1)および抗GII.4コンセンサス(4-1-3)mAbの混合物を含有するデュプレックスセットアップ内に存在するGII.4コンセンサスVLP連結マイクロスフェアの分析を指す。NW:CN、NW:NW、CN:NW、CN:CNは、GI.1 Norwalk VLP連結マイクロスフェアおよび抗GII.4コンセンサス(4-1-3)mAb、GI.1 Norwalk VLP連結マイクロスフェアおよび抗GI.1 Norwalk(17-1-1)mAb、GII.4コンセンサスVLP連結マイクロスフェアおよび抗GI.1 Norwalk(17-1-1)mAb、ならびにGII.4コンセンサスVLP連結マイクロスフェアおよび抗GII.4コンセンサス(4-1-3)mAbをそれぞれ用いたシングルプレックスセットアップを指す。
図10】ヒト血清試料BRH1434797(図9、上のパネル)、BRH1434799(図9、下のパネル)、BRH1434790(図10、上のパネル)、BRH1434805(図10、下のパネル)、およびBRH1434806(図11)を評価するための抗GI.1 Norwalkおよび抗GII.4コンセンサスmAbを使用したシングルプレックスおよびデュプレックス競合的マイクロスフェアイムノアッセイ。ヒト血清試料の段階希釈液をマイクロスフェアに連結されたGI.1 Norwalkおよび/またはGII.4コンセンサスVLPとインキュベートした。メジアン蛍光強度(MFI)を対数変換された血清希釈の関数として提示している。NW:NW+CNは、GI.1 NorwalkおよびGII.4コンセンサスVLP連結マイクロスフェアならびに抗GI.1 Norwalk(17-1-1)および抗GII.4コンセンサス(4-1-3)mAbの混合物を含有するデュプレックスセットアップ内に存在するGI.1 Norwalk VLP連結マイクロスフェアの分析を指す。CN:NW+CNは、GI.1 NorwalkおよびGII.4コンセンサスVLP連結マイクロスフェアならびに抗GI.1 Norwalk(17-1-1)および抗GII.4コンセンサス(4-1-3)mAbの混合物を含有するデュプレックスセットアップ内に存在するGII.4コンセンサスVLP連結マイクロスフェアの分析を指す。NW:CN、NW:NW、CN:NW、CN:CNは、GI.1 Norwalk VLP連結マイクロスフェアおよび抗GII.4コンセンサス(4-1-3)mAb、GI.1 Norwalk VLP連結マイクロスフェアおよび抗GI.1 Norwalk(17-1-1)mAb、GII.4コンセンサスVLP連結マイクロスフェアおよび抗GI.1 Norwalk(17-1-1)mAb、ならびにGII.4コンセンサスVLP連結マイクロスフェアおよび抗GII.4コンセンサス(4-1-3)mAbをそれぞれ用いたシングルプレックスセットアップを指す。
図11】ヒト血清試料BRH1434797(図9、上のパネル)、BRH1434799(図9、下のパネル)、BRH1434790(図10、上のパネル)、BRH1434805(図10、下のパネル)、およびBRH1434806(図11)を評価するための抗GI.1 Norwalkおよび抗GII.4コンセンサスmAbを使用したシングルプレックスおよびデュプレックス競合的マイクロスフェアイムノアッセイ。ヒト血清試料の段階希釈液をマイクロスフェアに連結されたGI.1 Norwalkおよび/またはGII.4コンセンサスVLPとインキュベートした。メジアン蛍光強度(MFI)を対数変換された血清希釈の関数として提示している。NW:NW+CNは、GI.1 NorwalkおよびGII.4コンセンサスVLP連結マイクロスフェアならびに抗GI.1 Norwalk(17-1-1)および抗GII.4コンセンサス(4-1-3)mAbの混合物を含有するデュプレックスセットアップ内に存在するGI.1 Norwalk VLP連結マイクロスフェアの分析を指す。CN:NW+CNは、GI.1 NorwalkおよびGII.4コンセンサスVLP連結マイクロスフェアならびに抗GI.1 Norwalk(17-1-1)および抗GII.4コンセンサス(4-1-3)mAbの混合物を含有するデュプレックスセットアップ内に存在するGII.4コンセンサスVLP連結マイクロスフェアの分析を指す。NW:CN、NW:NW、CN:NW、CN:CNは、GI.1 Norwalk VLP連結マイクロスフェアおよび抗GII.4コンセンサス(4-1-3)mAb、GI.1 Norwalk VLP連結マイクロスフェアおよび抗GI.1 Norwalk(17-1-1)mAb、GII.4コンセンサスVLP連結マイクロスフェアおよび抗GI.1 Norwalk(17-1-1)mAb、ならびにGII.4コンセンサスVLP連結マイクロスフェアおよび抗GII.4コンセンサス(4-1-3)mAbをそれぞれ用いたシングルプレックスセットアップを指す。
図12】[0104]ヒト血清試料を評価するための抗GI.1 Norwalkおよび抗GII.4コンセンサスmAbを使用したデュプレックス競合的マイクロスフェアイムノアッセイ。マイクロスフェアに連結されたGI.1 NorwalkおよびGII.4コンセンサスVLPとのヒト血清の段階希釈液のインキュベーション。メジアン蛍光強度(MFI)を対数変換された血清希釈の関数として提示している。曲線は、GII.4コンセンサスVLP連結マイクロスフェアの分析の結果としてもたらされたMFI値を示す。追加的に、血清なしでmAbのみを含む対照も含めた(「モノクローナルのみ」)。
図13】[0105]ヒト血清試料を評価するための抗GI.1 Norwalkおよび抗GII.4コンセンサスmAbを使用したデュプレックス競合的マイクロスフェアイムノアッセイ。マイクロスフェアに連結されたGI.1 NorwalkおよびGII.4コンセンサスVLPとのヒト血清の段階希釈液のインキュベーション。メジアン蛍光強度(MFI)を対数変換された血清希釈の関数として提示している。曲線は、GI.1 Norwalk VLP連結マイクロスフェアの分析の結果としてもたらされたMFI値を示す。追加的に、血清なしでmAbのみを含む対照も含めた(「モノクローナルのみ」)。
【発明を実施するための形態】
【0096】
詳細な説明
[0106] 以下のセクションにおいて、様々な実施形態を詳述するために様々な例示的な組成物および方法が記載される。様々な実施形態の実施は、本明細書において概説される特定の詳細のすべてを用いることまたは一部を用いることさえも要求しないことは当業者に自明であり、むしろ、濃度、時間および他の特定の詳細は、ルーチンの実験を通じて修飾され得る。これらのセクションにおいて記載される特定の実施形態は、当業者に自明なように組み合わせられ得る。
【0097】
マイクロスフェア複合体
[0107] 本出願の方法およびキットにおける使用のためのマイクロスフェア複合体は、ノロウイルスVLPに連結されたマイクロスフェアを含む。このセクション内の仕様および実施形態は、以下のセクションの仕様および実施形態のいずれとも組み合わせられ得る。
【0098】
マイクロスフェア
[0108] 本開示のために有用なマイクロスフェアは約0.01~約100μmのサイズの直径の範囲内である。一部の実施形態において、マイクロスフェアは約1~約10μmのサイズの範囲内である。一部の実施形態において、マイクロスフェアは約5~約7μmのサイズの範囲内である。一部の実施形態において、マイクロスフェアは約6.5μmの直径を有する。マイクロスフェアのサイズは、実際的に任意のフローサイトメトリー装置においていわゆる前方または小角散乱光により決定され得る。
【0099】
[0109] マイクロスフェアは、VLPのような分子が取り付けられ得る任意の材料から構築されてもよい。例えば、マイクロスフェアの構築のための許容される材料は、ポリスチレン、ポリアクリル酸、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリアクロレイン、ポリブタジエン、ポリジメチルシロキサン、ポリイソプレン、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリビニルピリジン、ポリ塩化ビニルベンジル、ポリビニルトルエン、ポリ塩化ビニリデン、ポリジビニルベンゼン、ポリメチルメタクリレート、またはその組合せを含むがそれに限定されない。本開示の一部の実施形態において、マイクロスフェアはポリスチレンから構築される。
【0100】
[0110] マイクロスフェアは、分子の取付けのための表面親和性基を含んでもよい。前記親和性基は、Ni2+(Hisタグ付加された分子の固定化のため)、プロテインA、プロテインG、プロテインL、抗ヒトIgG Ab、抗ウサギIgG Ab、抗マウスIgG Ab、抗ヤギIgG Ab、抗FLAG Ab、ストレプトアビジン、アビジン、およびグルタチオンであってもよいが、それに限定されない。
【0101】
[0111] マイクロスフェアは、分子、例えば本開示のノロウイルスVLPの取付けのために有用な表面上の官能基を含んでもよい。前記官能基は、カルボキシレート、エステル、アルコール、カルバミド、アルデヒド、アミン、酸化硫黄、酸化窒素、マレイミド、またはハロゲン化物であってもよいが、それに限定されない。一部の実施形態において、マイクロスフェアは、表面上にカルボキシレートを含む。ノロウイルスVLPのような分子は、本明細書に記載される化学的な技術を使用してマイクロスフェアに共有結合的に連結され得る。一部の実施形態において、ノロウイルスVLPのような分子は、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)およびN-ヒドロキシスルホスクシンイミド(スルホ-NHS)を使用するカルボジイミドカップリングによりマイクロスフェアに連結され得る。それにより、EDCは、マイクロスフェアの表面上のカルボキシレートと不安定なo-アシルイソ尿素エステルに反応する。不安定なo-アシルイソ尿素エステルはスルホ-NHSと容易に反応して、準安定なアミン反応性NHS-エステルを形成する。NHS-エステルは最後に、抗原により提供されるアミン基と反応し、それにより安定なアミド結合を形成する。
【0102】
[0112] 抗原により提供されるもの以外のアミン含有化合物、グリセロール、尿素、イミダゾール、アジド、および一部の界面活性剤はカルボジイミドカップリングに干渉し得るので、それらは、好適な緩衝剤交換方法を用いて抗原調製物から除去されるべきである。例えば、カルボジイミドカップリングのための好適な緩衝剤は、50mMの2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)緩衝剤またはリン酸緩衝食塩水(PBS)である。連結のためのpH値は約5~約9であってもよい。マイクロスフェアへの抗原の連結は、約2時間のインキュベーションにより実行されてもよい。
【0103】
[0113] マイクロスフェアは磁性であってもよい。一部の実施形態において、マイクロスフェアは超常磁性であってもよい。磁性マイクロスフェアは、例えばマイクロスフェアを洗浄するために、磁気プレート分離器(magnetic plate separator)により容易に捕捉され得る。磁気プレート分離器は、磁性捕捉により96ウェルプレートのウェル内の溶液から96ウェルプレート内のマイクロスフェアを分離するために使用可能であり、96ウェルプレートを保持するための構成を指す。磁気プレート分離器は、ユーザーが、磁性捕捉により96ウェルプレートの底にマイクロスフェアを固定しながら、迅速にウェル内の上清をデカンテーションし、ウェルを洗浄することを可能にする。磁気プレート分離器の応用は、マイクロスフェアが洗浄手順の間に喪失されるリスクを低減させる。
【0104】
[0114] マイクロスフェアは、マイクロスフェアが検出システムの助けと共に同定され得るようにする検出可能な標識を含んでもよい。マイクロスフェアの同定は同様に、マイクロスフェアに連結されたノロウイルスVLPの同定を可能とする。
【0105】
[0115] 好適な検出システムを用いるそのような標識の検出に関して、セクション「検出システム」もまた参照される。
【0106】
[0116] 一部の実施形態において、検出可能な標識は少なくとも1つの蛍光色素である。少なくとも1つの蛍光色素は、スクアライン、フタロシアニン、ナフタロシアニン、およびこれらの任意の誘導体からなる群から選択されてもよい。例えば、蛍光色素の誘導体は、任意の位置においてメチル基をさらに含む色素であってもよい。
【0107】
[0117] 一部の実施形態において、マイクロスフェアは1つの蛍光色素を含む。マイクロスフェアは、好適な光源で照射したときに、1つの蛍光色素の放出シグナルにより同定され得る。
【0108】
[0118] 他の実施形態において、マイクロスフェアは、同じ蛍光色素を含む他のマイクロスフェアとは異なる濃度において1つの蛍光色素を含む。そのような実施形態において、マイクロスフェアは、好適な光源で照射したときに、1つの蛍光色素の放出シグナルの強度により他のマイクロスフェアから同定および区別され得る。
【0109】
[0119] 一部の実施形態において、マイクロスフェアは2つまたはより多くの蛍光色素を含む。マイクロスフェアは、好適な光源で照射したときに、2つまたはより多くの蛍光色素の放出シグナルにより同定され得る。
【0110】
[0120] 一部の実施形態において、マイクロスフェアは、同じ蛍光色素を含む他のマイクロスフェアとは異なる濃度(異なる比)において2つまたはより多くの蛍光色素を含む。そのような実施形態において、マイクロスフェアは、好適な光源で照射したときに、2つまたはより多くの蛍光色素の放出シグナルの強度により他のマイクロスフェアから同定および区別され得る。
【0111】
[0121] マイクロスフェアが2つまたはより多くの蛍光色素を含む一部の実施形態において、2つまたはより多くの蛍光色素の放出シグナルは、単一の蛍光色素の放出シグナルのオーバーレイの結果としてもたらされる。放出シグナルの強度は、したがって、2つまたはより多くの蛍光色素の比およびしたがって対応するマイクロスフェアの指標となる。
【0112】
[0122] 1つの実施形態において、1つのマイクロスフェアは、675nmで最大の放出シグナルを有する2つの蛍光色素を含んでもよく、別のマイクロスフェアは、700nmで最大の放出シグナルを有する2つの異なる蛍光色素を含んでもよい。
【0113】
[0123] 少なくとも1つの蛍光色素は、マイクロスフェアの表面上に共有結合的に取り付けられ得るか、またはマイクロスフェア製造(すなわちポリスチレン重合)の間に内部に組み込まれ得るか、またはマイクロスフェアは、少なくとも1つの蛍光色素を含む好適な溶液中にマイクロスフェアを置くことにより製造後に色素付加され得る。少なくとも1つの蛍光色素を含む好適な溶液は例えば有機溶液である。
【0114】
[0124] 少なくとも1つの蛍光色素は、好適な検出システムを使用して例えばレーザーまたは発光ダイオード(LED)としての任意の好適な光源で励起され得る。
【0115】
[0125] 一部の実施形態において、異なる濃度の蛍光色素を含む異なるマイクロスフェアは同じ光源により励起され得る(例えば、異なるマイクロスフェア中の特定の濃度の1つまたは複数の蛍光色素は同じ波長により励起可能である)。一部の実施形態において、異なるマイクロスフェアは、約600~約650nmの範囲内の波長で励起可能である。一部の実施形態において、異なるマイクロスフェアは、約615nm~約640nmの波長で励起可能である。一部の実施形態において、異なるマイクロスフェアは、約620~約635nmの波長で励起可能である。一部の実施形態において、異なるマイクロスフェアは、約635nmの波長で励起可能である。そのようなセットアップの利点は、マイクロスフェア混合物内に存在するすべてのマイクロスフェアを区別するためにただ1つの光源が必要とされ、それにより、複数のノロウイルスVLPが1つの単一の実験において応用され得るセットアップをさらに単純化するということである。
【0116】
[0126] 異なるマイクロスフェアが、好適な検出システムを使用して異なるサイズである場合に、マイクロスフェアはまた、それらのサイズにより同定されてもよい。マイクロスフェアのサイズは0.01~100μmの直径の範囲内である。一部の実施形態において、マイクロスフェアのサイズは約1~約10μmの直径の範囲内である。例えば、1つのマイクロスフェアは約6μmの直径であってもよく、別のマイクロスフェアは約6.5μmの直径であってもよい。
【0117】
[0127] 異なるマイクロスフェアが、好適な検出システムを使用して異なる形状である場合に、マイクロスフェアはまた、マイクロスフェアの特定の形状により同定されてもよい。
【0118】
[0128] 1つの単一の実験において異なるノロウイルスVLPに対して反応性の抗体の同時の検出を可能とするために、異なるサイズまたは異なる検出可能な標識または異なる形状を有するマイクロスフェアは、異なるノロウイルスVLPに連結され、混合される。同じノロウイルスVLPに連結されたマイクロスフェアは、同じサイズまたは同じ検出可能な標識または同じ形状を有する。マイクロスフェアは混合されるが、各々のマイクロスフェアは、マイクロスフェアの特定のサイズまたは検出可能な標識または形状により同定され得る。それにより、マイクロスフェアが連結されたノロウイルスVLPは同時に同定され得る。
【0119】
[0129] マイクロスフェアは、Luminex Corporation(Austin、Texas)により製造されるMagPlex(登録商標)マイクロスフェア、MicroPlex(登録商標)マイクロスフェア、LumAvidin(登録商標)マイクロスフェア、MagPlex(登録商標)-Avidinマイクロスフェア、およびSeroMAP(登録商標)マイクロスフェアからなるリストからのマイクロスフェアであってもよい。使用され得るマイクロスフェアのタイプは、応用される検出システムに依存する(セクション「検出システム」もまた参照される)。
【0120】
[0130] 一部の実施形態において、マイクロスフェアはMagPlex(登録商標)マイクロスフェアであり、これは、Luminex Corporation(Austin、Texas)により製造される表面カルボキシル基および約6.5μmの直径を有する超常磁性ポリスチレンマイクロスフェアである。MagPlex(登録商標)マイクロスフェアは、特定の濃度の2つまたはより多くの蛍光色素を含み、これは、各々のマイクロスフェアが、例えばLuminex Corporation(Austin、Texas)により製造されるMAGPIX(登録商標)機器などの検出システムにより同定されることを可能とする。異なるMagPlex(登録商標)マイクロスフェアカタログ番号(Luminex Corporation、Austin、Texas)のマイクロスフェアは、異なる濃度の2つまたはより多くの蛍光色素を含む。MagPlex(登録商標)マイクロスフェアは、同じ励起波長により励起可能であり、したがってただ1つの光源がマイクロスフェア同定のために要求される。一部の実施形態において、励起波長は約600~約650nmである。一部の実施形態において、励起波長は約615~約640nmである。一部の実施形態において、励起波長は約620~約635nmである。例えば、一部の実施形態において、励起波長は約635nmである。
【0121】
ノロウイルスVLP
[0131] マイクロスフェアが連結されたノロウイルスVLPは、任意の遺伝子型群、遺伝子型、または変異型の任意のノロウイルスに由来してもよい。好適なノロウイルス株の非限定的な例は、Norwalkウイルス(NV、GenBank M87661)、Southamptonウイルス(SHV、GenBank L07418)、Desert Shieldウイルス(DSV、U04469)、Hesseウイルス(HSV)、Chibaウイルス(CHV、GenBank AB042808)、Hawaiiウイルス(HV、GenBank U07611)、Snow Mountainウイルス(SMV、GenBank U70059)、Torontoウイルス(TV、Leiteら、Arch.Virol.141:865~875頁)、Bristolウイルス(BV)、Jenaウイルス(JV、AJ01099)、Marylandウイルス(MV、AY032605)、Setoウイルス(SV、GenBankAB031013)、Camberwell(CV、AF145896)、Lordsdaleウイルス(LV、GenBank X86557)、Grimsbyウイルス(GrV、AJ004864)、Mexicoウイルス(MXV、GenBank U22498)、Boxer(AF538679)、C59(AF435807)、VA115(AY038598)、BUDS(AY660568)、Houstonウイルス(HoV)、Minerva株(EF 1269631)、Laurens株(EF 1269661)、MOH(AF397156)、Parris Island(PiV、AY652979)、VA387(AY038600)、VA207(AY038599)、およびOperation Iraqi Freedom(OIF、AY675554)を含む。さらなる例は、Hu/GI.1/Norwalk/1968/US(GenBank M87661)、Hu/GI.2/Jingzhou/2013401/CHN(GenBank KF306212)、Hu/GI.3/JKPG_883/SWE/2007(GenBank FJ711164.1)、Hu/GI.4/1643/2008/US(GenBank GQ413970)、Hu/GI.5/Siklos-HUN5407/2013/HUN(Gen Bank KJ402295)、Hu/GI.6/TCH-099/USA/2003(GenBank KC998959)、Hu/GI.7/Providence191/2010/USA(GenBank JN899243)、Hu/GII.3/NIHIC8.1/2011/USA(GenBank KC597140)、Hu/GII.4/Houston/TCH186/2002/US(GenBank JX459908)、Hu/GII.4/DenHaag89/2006/NL(GenBank EF126965.1)、Hu/GII.4/Yerseke38/2006/NL(GenBank EF126963.1)、Hu/GII.4/Sydney/NSW0514/2012/AU(GenBank JX459908)、Hu/GII.4/031693/USA/2003(GenBank JQ965810.1)、Hu/GII.6/Ehime120246/2012/JP(GenBank AB818400)、Hu/GII.12株E5152(GenBank、Hu/GII.17/C142/GF/1978(GenBank JN699043)、Hu/GII.17/JP/2014/Nagano7-1(GenBank LC043139)、およびHu/GII.17/HKG/2015/CUHK-NS-513(GenBank KP698931.1)を含む。ノロウイルスのさらなる例は、ノロウイルス遺伝子型群1 Hu/NoV/West Chester/2001/USA株、GenBankアクセッション番号AY502016;ノロウイルス遺伝子型群2 Hu/NoV/Braddock Heights/1999/USA株、GenBankアクセッション番号AY502015;ノロウイルス遺伝子型群2 Hu/NoV/Fayette/1999/USA株、GenBankアクセッション番号AY502014;ノロウイルス遺伝子型群2 Hu/NoV/Fairfield/1999/USA株、GenBankアクセッション番号AY502013;ノロウイルス遺伝子型群2 Hu/NoV/Sandusky/1999/USA株、GenBankアクセッション番号AY502012;ノロウイルス遺伝子型群2 Hu/NoV/Canton/1999/USA株、GenBankアクセッション番号AY502011;ノロウイルス遺伝子型群2 Hu/NoV/Tiffin/1999/USA株、GenBankアクセッション番号AY502010;ノロウイルス遺伝子型群2 Hu/NoV/CS-El/2002/USA株、GenBankアクセッション番号AY50200;ノロウイルス遺伝子型群1 Hu/NoV/Wisconsin/2001/USA株、GenBankアクセッション番号AY502008;ノロウイルス遺伝子型群1 Hu/NoV/CS-841/2001/USA株、GenBankアクセッション番号AY502007;ノロウイルス遺伝子型群2 Hu/NoV/Hiram/2000/USA株、GenBankアクセッション番号AY502006;ノロウイルス遺伝子型群2 Hu/NoV/Tontogany/1999/USA株、GenBankアクセッション番号AY502005;Norwalkウイルス、全ゲノム、GenBankアクセッション番号NC.sub.-001959;ノロウイルスHu/GI/Otofuke/1979/JPゲノムRNA、全ゲノム、GenBankアクセッション番号AB 187514;ノロウイルスHu/Hokkaido/133/2003/JP、GenBankアクセッション番号AB212306;ノロウイルスSydney 2212、GenBankアクセッション番号AY588132;NorwalkウイルスSN2000JA株、GenBankアクセッション番号AB190457;Lordsdaleウイルス全ゲノム、GenBankアクセッション番号X86557;Norwalk様ウイルスゲノムRNA、Gifu’96、GenBankアクセッション番号AB045603;NorwalkウイルスVietnam 026株、全ゲノム、GenBankアクセッション番号AF504671;ノロウイルスHu/GII.4/2004/N/L、GenBankアクセッション番号AY883096;ノロウイルスHu/GII/Hokushin/03/JP、GenBankアクセッション番号AB195227;ノロウイルスHu/GII/Kamo/03/JP、GenBankアクセッション番号AB 195228;ノロウイルスHu/GII/Sinsiro/97/JP、GenBankアクセッション番号AB 195226;ノロウイルスHu/GII/Ina/02/JP、GenBankアクセッション番号AB195225;ノロウイルスHu/NLV/GII/Neustrelitz260/2000/DE、GenBankアクセッション番号AY772730;ノロウイルスHu/NLV/Dresdenl 74/pUS-NorII/l 997/GE、GenBankアクセッション番号AY741811;ノロウイルスHu/NLV/Oxford/B2S16/2002/UK、GenBankアクセッション番号AY587989;ノロウイルスHu/NLV/Oxford/B4S7/2002/UK、GenBankアクセッション番号AY587987;ノロウイルスHu/NLV/Witney/B7S2/2003/UK、GenBankアクセッション番号AY588030;ノロウイルスHu/NLV/Banbury/B9S23/2003/UK、GenBankアクセッション番号AY588029;ノロウイルスHu/NLV/ChippingNorton/2003/UK、GenBankアクセッション番号AY588028;ノロウイルスHu/NLV/Didcot/B9S2/2003/UK、GenBankアクセッション番号AY588027;ノロウイルスHu/NLV/Oxford/B8S5/2002/UK、GenBankアクセッション番号AY588026;ノロウイルスHu/NLV/Oxford/B6S4/2003/UK、GenBankアクセッション番号AY588025;ノロウイルスHu/NLV/Oxford/B6S5/2003/UK、GenBankアクセッション番号AY588024;ノロウイルスHu/NLV/Oxford/B5S23/2003/UK、GenBankアクセッション番号AY588023;ノロウイルスHu/NLV/Oxford/B6S2/2003/UK、GenBankアクセッション番号AY588022;ノロウイルスHu/NLV/Oxford/B6S6/2003/UK、GenBankアクセッション番号AY588021;Norwalk様ウイルスBo/ThirsklO/00/UK分離株、GenBankアクセッション番号AY126468;Norwalk様ウイルスBo/Penrith55/00/UK分離株、GenBankアクセッション番号AY126476;Norwalk様ウイルスBo/Aberystwyth24/00/UK分離株、GenBankアクセッション番号AY 126475;Norwalk様ウイルスBo/Dumfries/94/UK分離株、GenBankアクセッション番号AY126474;ノロウイルスNLV/IF2036/2003/Iraq、GenBankアクセッション番号AY675555;ノロウイルスNLV/IF1998/2003/Iraq、GenBankアクセッション番号AY675554;ノロウイルスNLV/BUDS/2002/USA、GenBankアクセッション番号AY660568;ノロウイルスNLV/Paris Island/2003/USA、GenBankアクセッション番号AY652979;Snow Mountainウイルス、全ゲノム、GenBankアクセッション番号AY134748;Norwalk様ウイルスNLV/Fort Lauderdale/560/1998/US、GenBankアクセッション番号AF414426;Hu/ノロウイルス/hiroshima/1999/JP(9912-02F)、GenBankアクセッション番号AB044366;Norwalk様ウイルス1 IMSU-MW株、GenBankアクセッション番号AY274820;Norwalk様ウイルスB-ISVD株、GenBankアクセッション番号AY274819;ノロウイルス遺伝子型群2 Hu/NoV/Farmington Hills/2002/USA株、GenBankアクセッション番号AY502023;ノロウイルス遺伝子型群2 Hu/NoV/CS-G4/2002/USA株、GenBankアクセッション番号AY502022;ノロウイルス遺伝子型群2 Hu/NoV/CS-G2/2002/USA株、GenBankアクセッション番号AY502021;ノロウイルス遺伝子型群2 Hu/NoV/CS-G12002/USA株、GenBankアクセッション番号AY502020;ノロウイルス遺伝子型群2 Hu/NoV/Anchorage/2002/USA株、GenBankアクセッション番号AY502019;ノロウイルス遺伝子型群2 Hu/NoV/CS-Dl/2002/CAN株、GenBankアクセッション番号AY502018;ノロウイルス遺伝子型群2 Hu/NoV/Germanton/2002/USA株、GenBankアクセッション番号AY502017;ヒトカリシウイルスNLV/GII/Langenl061/2002/DE、全ゲノム、GenBankアクセッション番号AY485642;


マウスノロウイルス1ポリプロテイン、GenBankアクセッション番号AY228235;Norwalkウイルス、GenBankアクセッション番号AB067536;ヒトカリシウイルスNLV/Mex7076/1999、GenBankアクセッション番号AF542090;ヒトカリシウイルスNLV/Oberhausen 455/01/DE、GenBankアクセッション番号AF539440;ヒトカリシウイルスNLV/Herzberg 385/01/DE、GenBankアクセッション番号AF539439;ヒトカリシウイルスNLV/Boxer/2001/US、GenBankアクセッション番号AF538679;Norwalk様ウイルスゲノムRNA、全ゲノム、GenBankアクセッション番号AB081723;Norwalk様ウイルスゲノムRNA、全ゲノム、分離株:Saitama U201、GenBankアクセッション番号AB039782;Norwalk様ウイルスゲノムRNA、全ゲノム、分離株:Saitama Ul 8、GenBankアクセッション番号AB039781;Norwalk様ウイルスゲノムRNA、全ゲノム、分離株:Saitama U25、GenBankアクセッション番号AB039780;Norwalkウイルス株:U25GII、GenBankアクセッション番号AB067543;Norwalkウイルス株:U201 GII、GenBankアクセッション番号AB067542;Norwalk様ウイルス416/97003156/1996/LA株、GenBankアクセッション番号AF080559;Norwalk様ウイルス408/97003012/1996/FL株、GenBankアクセッション番号AF080558;Norwalk様ウイルスNLV/Burwash Landing/331/1995/US、GenBankアクセッション番号AF414425;Norwalk様ウイルスNLV/Miami Beach/326/1995/US、GenBankアクセッション番号AF414424;Norwalk様ウイルスNLV/White River/290/1994/US、GenBankアクセッション番号AF414423;Norwalk様ウイルスNLV/New Orleans/306/1994/US、GenBankアクセッション番号AF414422;Norwalk様ウイルスNLV/Port Canaveral/301/1994/US、GenBankアクセッション番号AF414421;Norwalk様ウイルスNLV/Honolulu/314/1994/US、GenBankアクセッション番号AF414420;Norwalk様ウイルスNLV/Richmond/283/1994/US、GenBankアクセッション番号AF414419;Norwalk様ウイルスNLV/Westover/302/1994/US、GenBankアクセッション番号AF414418;Norwalk様ウイルスNLV/UK3- 17/12700/1992/GB、GenBankアクセッション番号AF414417;Norwalk様ウイルスNLV/Miami/81/1986/US、GenBankアクセッション番号AF414416;Snow Mountain株、GenBankアクセッション番号U70059;Desert ShieldウイルスDSV395、GenBankアクセッション番号U04469;Norwalkウイルス、全ゲノム、GenBankアクセッション番号AF093797;Hawaiiカリシウイルス、GenBankアクセッション番号U07611;Southamptonウイルス、GenBankアクセッション番号L07418;Norwalkウイルス(SRSV-KY-89/89/J)、GenBankアクセッション番号L23828;Norwalkウイルス(SRSV-SMA/76/US)、GenBankアクセッション番号L23831;Camberwellウイルス、GenBankアクセッション番号U46500;ヒトカリシウイルスMelksham株、GenBankアクセッション番号X81879;ヒトカリシウイルスMX株、GenBankアクセッション番号U22498;ミニレオウイルスTV24、GenBankアクセッション番号U02030;およびNorwalk様ウイルスNLV/Gwynedd/273/1994/US、GenBankアクセッション番号AF414409であり;(本出願の出願日までにエントリーされた)これらのすべての配列は参照により本明細書に組み込まれる。追加のノロウイルス配列は、以下の特許刊行物:国際公開第2005/030806号パンフレット、国際公開第2000/79280号パンフレット、日本特許出願公開第2002020399号明細書、米国特許出願公開第2003129588号明細書、米国特許第6,572,862号明細書、国際公開第1994/05700号パンフレット、および国際公開第05/032457号パンフレットにおいて開示されており、これらのすべては参照により全体が本明細書に組み込まれる。配列比較ならびにノロウイルスの遺伝的多様性および系統発生分析の議論のために、Greenら(2000)J.Infect.Dis.、Vol.181(Suppl.2):S322~330頁;Wangら(1994)J.Virol、Vol.68:5982~5990頁;Chenら(2004)J.Virol、Vol.78:6469~6479頁;Chakravartyら(2005)J.Virol、Vol.79:554~568頁;Hansmanら(2006)J.Gen.Virol、Vol.87:909~919頁;Bullら(2006)J.Clin.Micro.、Vol.44(2):327~333頁;Siebengaら(2007)J.Virol、Vol.81(18):9932~9941頁、およびFankhauserら(1998)J.Infect.Dis.、Vol.178:1571~1578頁も参照。本開示はまた、出願の時点において特徴付けもしくは発見されていないか、または出願の時点の後に出現し得るノロウイルスに向けられる。
【0122】
[0132] ノロウイルスVLPはさらに、2つまたはより多くのノロウイルス、例えばGII.4変異型からのノロウイルスコンセンサス配列に由来してもよい。そのようなノロウイルスコンセンサス配列に由来するノロウイルスVLPは、2つまたはより多くのノロウイルスの抗原特性を有する。コンセンサス配列は任意のノロウイルスから決定されてもよい。コンセンサス配列は、ノロウイルスの構造タンパク質をコードする配列、特にノロウイルスのVP1タンパク質をコードする配列に由来してもよい(下記の実施例1も参照)。1つの実施形態において、コンセンサス配列は、例えば国際公開第2010/0175242号パンフレットおよびParraら、Vaccine 2012、30(24):350~3586頁に記載されるようにGII.4ノロウイルス:Hu/GII.4/Houston/TCH186/2002/US、Hu/GII.4/Den Haag89/2006/NL、およびHu/GII.4/Yerseke38/2006/NLのVP1配列から構築される。結果としてもたらされるノロウイルスVLPは、本出願においてGII.4/コンセンサスVLPと呼称される(表1も参照)。別の実施形態において、コンセンサス配列は、GIノロウイルス:Norwalkウイルス(アクセッション番号:M87661)、Southampton(アクセッション番号:Q04542)、およびChibaウイルス(アクセッション番号:BAB18267)の配列から構築される。
【0123】
[0133] ノロウイルスVLPは、それが由来するノロウイルスの構造タンパク質(VP1、VP2)の少なくとも1つを含む。1つの実施形態において、ノロウイルスVLPはメジャーな構造タンパク質(VP1)およびマイナーな構造タンパク質(VP2)を含有する。より特定の実施形態において、ノロウイルスVLPはメジャーな構造タンパク質(VP1)を含有する。1つの特定の実施形態によれば、ノロウイルスVLPは、ノロウイルスVLPが由来するノロウイルスからのメジャーな構造タンパク質(VP1)配列に対して、少なくとも80%、または少なくとも85%、または少なくとも90%、または少なくとも95%または100%同一のVP1配列を含む。
【0124】
[0134] 本開示のノロウイルスVLPは、それが由来するノロウイルスの1つもしくは複数の全長構造タンパク質またはその切断されたバージョンのいずれかを含むことができる。切断されたバージョンは、構造タンパク質のある特定のドメインであってもよい。
【0125】
[0135] 1つの実施形態によれば、本開示のノロウイルスVLPは、1つのノロウイルスの1つまたは複数の構造タンパク質を含む。別の実施形態によれば、本開示のノロウイルスVLPは、少なくとも2つの異なるノロウイルスの1つまたは複数の構造タンパク質を含む。例えば、ノロウイルスVLPは、1つのノロウイルス株からのVP1タンパク質および別のノロウイルス株からのVP1タンパク質を含んでもよい。
【0126】
[0136] ノロウイルスVLPは、少なくとも1つのカプシドタンパク質またはその切断されたバージョンをコードするノロウイルス核酸配列を使用して発現システムにおいて組換え製造される。所望される粒子形成性ポリペプチドのためのコーディング配列が一旦単離または合成されたら、それらは、発現のために任意の好適なベクターまたはレプリコンにクローニングされ得る。多数のクローニングベクターが当業者に公知であり、適切なクローニングベクターの選択は当業者の技術的範囲内である。ベクターは次に、適切な宿主細胞を形質転換するために使用される。好適な組換え発現システムは、細菌(例えばE.coli、Bacillus subtilis、およびStreptococcus)、バキュロウイルス/昆虫、ワクシニア、セムリキ森林ウイルス(SFV)、アルファウイルス(例えば、シンドビス、ベネズエラウマ脳炎(VEE))、哺乳動物(例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、Vero細胞、HEK-293細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、マウス骨髄腫(SB20)、およびサル腎臓細胞(COS))、酵母(例えばS.cerevisiae、S.pombe、Pichia pastoriおよび他のPichia発現システム)、植物、ならびにXenopus発現システムの他に、当技術分野において公知のその他のものを含むが、それに限定されない。
【0127】
[0137] 一部の実施形態において、ノロウイルスVLPは、実質的に純粋な状態において使用される。選択される発現システムおよび宿主に依存して、VLPは、粒子形成性ポリペプチドが発現され、VLPが形成され得る条件下で発現ベクターにより形質転換された宿主細胞を増殖させることにより製造される。適切な増殖条件の選択は、当技術分野の技術的範囲内である。
【0128】
[0138] 本開示の1つの実施形態によれば、ノロウイルスVLPは真核発現システムにおいて組換え製造される。
【0129】
[0139] 特有の実施形態において、ノロウイルスVLPは哺乳動物発現システムにおいて製造される。哺乳動物細胞培養においてVLPを製造するための手順は当技術分野において周知である。例えば、構造タンパク質をコードする哺乳動物コドン最適化ヌクレオチド配列を有する組換えアデノウイルスクローンが、哺乳動物細胞、例えばVero細胞に感染させるために使用される。VLPは、細胞培養物から単離され得る。
【0130】
[0140] 他の特有の実施形態において、ノロウイルスVLPは昆虫発現システムにおいて製造される。好適な昆虫細胞は、Sf9、High Five、TniPro、Aedes aegypti、Autographa californica、Bombyx mori、Drosophila melanogaster、Spodoptera frugiperda、およびTrichoplusia niを含む。昆虫細胞培養においてVLPを製造するための手順は当技術分野において周知である(例えば、参照により全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,942,865号明細書を参照)。簡潔に述べれば、カプシド配列を有する組換えバキュロウイルスが合成cDNAから構築される。組換えバキュロウイルスは次に、昆虫細胞培養物(例えばSf9、High FiveおよびTniPro細胞)に感染させるために使用され、VLPは細胞培養物から単離され得る。
【0131】
[0141] VLPが細胞内に形成される場合、細胞は次に、細胞を溶解するがVLPを実質的にインタクトに保つ化学的、物理的または機械的手段を使用して、破砕される。そのような方法は当業者に公知であり、例えば、Protein Purification Applications:A Practical Approach、(E.L.V.HarrisおよびS.Angal編、1990)において記載されている。
【0132】
[0142] 粒子は次に、その完全性を保存する方法、例えば、密度勾配遠心分離、例えば、スクロース勾配、PEG沈殿、およびペレット化など(例えば、Kirnbauerら J.Virol.(1993)67:6929~6936頁を参照)の他に、例えば、イオン交換およびゲル濾過クロマトグラフィーを含む、標準的な精製技術を使用して単離される(または実質的に精製される)。
【0133】
[0143] 本開示に応用可能な分子生物学技術、例えばクローニング、および突然変異などを記載する一般的なテキストは、BergerおよびKimmel、Guide to Molecular Cloning Techniques、Methods in Enzymology volume 152 Academic Press,Inc.、San Diego、Calif.(Berger);Sambrookら、Molecular Cloning--A Laboratory Manual(3rd Ed.)、Vol.1~3、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、N.Y.、2000(「Sambrook」)ならびにCurrent Protocols in Molecular Biology、F.M.Ausubelら編、Current Protocols、Greene Publishing Associates,Inc.とJohn Wiley & Sons,Inc.とのジョイントベンチャー(「Ausubel」)を含む。これらのテキストは、突然変異誘発、ベクターの使用、プロモーター、ならびに、例えば、ノロウイルスのカプシドタンパク質のクローニングおよび発現に関する、多くの他の関連するトピックを記載する。
【0134】
[0144] 本出願および特許請求の範囲の全体を通じて、特定のノロウイルスVLPは、表1において呼称されるように参照される。例えば、GI.1 VLPは、Hu/GI.1/Norwalk/1968/USノロウイルスに由来するノロウイルスVLP、すなわちGenBank:AAB50466.2および配列番号1において提供される配列に対して、少なくとも80%、または少なくとも85%、または少なくとも90%、または少なくとも95%または100%同一の配列を有するメジャーなカプシドタンパク質VP1を含むものを指す。
【0135】
レポーター抗体、二次レポーター抗体、および検出抗体
[0145] このセクション内の仕様および実施形態は、先行および後続するセクションの仕様および実施形態のいずれとも組み合わせられ得る。
【0136】
[0146] 本開示の方法およびキットにおける使用のためのレポーター、二次レポーター、および検出Abは、組換えAb、モノクローナルAb、またはポリクローナルAbであってもよい。
【0137】
[0147] 本開示のある特定の実施形態によれば、レポーター、二次レポーター、および検出抗体は、ジスルフィド結合により相互接続された2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖である4つのポリペプチド鎖を含む、全長免疫グロブリン(Ig)分子である。
【0138】
[0148] レポーター、二次レポーター、および検出Abは任意の起源に由来してもよい。本開示のある特定の実施形態によれば、レポーター、二次レポーター、および検出Abは、非ヒト起源、例えばヒツジ、マウス、ウサギ、ヤギ、またはロバに由来する。ある特定の実施形態において、レポーターAbはヒト起源に由来してもよい。この文脈における「~に由来する」は、Abが、対応する起源において製造されたことを意味する。例えば、ヒツジに由来するAbは、ヒツジにおいて製造されたAbを指す。
【0139】
検出Ab
[0149] 検出Abは、非競合的マイクロスフェアイムノアッセイセットアップを使用する本開示の方法において応用され、該方法において、1つまたは複数の異なるマイクロスフェアが連結された1つまたは複数のノロウイルスVLPは試料と接触させられる(下記のサブセクション「非競合的マイクロスフェアイムノアッセイセットアップ」もまた参照される)。
【0140】
[0150] 本開示によれば、検出Abは、試料中のノロウイルス反応性抗体に結合する能力を有する。特有の実施形態において、検出Abは、検出Abの可変領域を用いて試料中のノロウイルス反応性抗体の重鎖定常領域に結合する能力を有する。
【0141】
[0151] ある特定の実施形態において、検出Abは、アイソタイプAからの抗体(IgA)に結合し、他のアイソタイプからの抗体に結合しない。1つの実施形態において、レポーターAbは、アイソタイプGからの抗体(IgG)に結合し、他のアイソタイプからの抗体に結合しない。1つの実施形態において、レポーターAbは、アイソタイプMからの抗体(IgM)に結合し、他のアイソタイプからの抗体に結合しない。1つの実施形態において、レポーターAbは、アイソタイプA、G、およびMからの抗体(IgA、IgG、およびIgM)に結合する。
【0142】
[0152] 本開示の実施形態において、検出Abは、検出可能な標識に(直接的に)取り付けられる。一部の実施形態において、検出Abは、検出Abの重鎖定常領域により、検出可能な標識に取り付けられる。
【0143】
[0153] 検出Abが取り付けられる検出可能な標識に関して、サブセクション「検出可能な標識」もまた参照される。
【0144】
レポーターAb
[0154] レポーターAbは、競合的マイクロスフェアイムノアッセイセットアップを使用する本開示の方法において応用され、該方法において、1つまたは複数の異なるマイクロスフェアが連結された1つまたは複数のノロウイルスVLPは試料と接触させられる(下記のサブセクション「競合的マイクロスフェアイムノアッセイセットアップ」もまた参照される)。
【0145】
[0155] これらの実施形態において、レポーターAbは、1つまたは複数のノロウイルスVLPに結合する能力を有する。特有の実施形態において、レポーターAbは、レポーター抗体の可変領域を用いて1つまたは複数のノロウイルスVLPに結合する。それにより、レポーターAbは、1つまたは複数のノロウイルスVLPへの結合について試料中のノロウイルス反応性Abと競合する能力を有する。
【0146】
[0156] 1つの実施形態において、レポーターAbはモノクローナル抗体である。1つの実施形態において、レポーターAbは非ヒト起源に由来する。1つの実施形態において、レポーターAbはノロウイルス中和抗体である。1つの実施形態において、レポーターAbはノロウイルス遮断抗体である。1つの実施形態において、レポーターAbはノロウイルス遮断抗体およびノロウイルス中和抗体である。
【0147】
[0157] 2つまたはより多くのノロウイルスVLPが試料と接触させられる一部の実施形態(マルチプレックスの方法)において、レポーター抗体は、2つまたはより多くのノロウイルスVLPのうちの1つにのみ結合し、他のノロウイルスVLPに結合しない。2つまたはより多くのノロウイルスVLPが試料と接触させられるある特定の他の実施形態(マルチプレックスの方法)において、レポーター抗体は、2つまたはより多くのノロウイルスVLPのうちの1つより多くに結合し、すなわちレポーターAbは交差反応性レポーターAbである。例えば、mAb 5A04は、GII.4/Sydney VLPにのみ結合し、0.004μg/mLのGII.4/Sydney VLPに対するEC50値を提供する。対照的に、mAb 8A08は、それぞれ0.009または0.008μg/mLのGII.4/Den HaagおよびGII.4/New Orleansに対するEC50値を提供し、したがって交差反応性レポーターAbである(表10を参照)。
【0148】
[0158] 一部の実施形態において、レポーターAbは、配列番号27により表される重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列、および配列番号28により表される軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列を含む。対応するDNA配列および全長配列について、下記の実施例における添付文書セクションもまた参照される。
【0149】
[0159] 一部の実施形態において、レポーターAbは、配列番号29により表される重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列、および配列番号30により表される軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列を含む。対応するDNA配列および全長配列について、下記の実施例における添付文書セクションもまた参照される。
【0150】
[0160] 試料と接触させられる異なるノロウイルスVLPに対して反応性の交差反応性レポーター抗体の応用により、異なるノロウイルスVLPに対しても交差反応性の試料内の抗体は、1つのレポーターAbの応用により決定され得る。
【0151】
[0161] 1つの実施形態において、レポーターAbは、0.5μg/mL未満、または0.4μg/mL未満または0.3μg/mL未満または0.2μg/mL未満または0.15μg/mL未満または0.1μg/mL未満または0.09μg/mL未満または0.08μg/mL未満または0.07μg/mL未満または0.05μg/mL未満または0.03μg/mL未満または0.02μg/mL未満または0.01μg/mL未満の本開示の方法において応用される1つまたは複数のノロウイルスVLPに対するEC50値を提供する。
【0152】
[0162] 一部の実施形態において、レポーターAbは、検出可能な標識に取り付けられる。一部の実施形態において、レポーター抗体は、レポーターAbの重鎖定常領域により、検出可能な標識に取り付けられる。
【0153】
[0163] ある特定の実施形態において、レポーターAbは、検出可能な標識に直接的に(すなわちそれ自体が)取り付けられる。一部の実施形態において、レポーターAbは、レポーターAbの重鎖定常領域により、検出可能な標識に直接的に取り付けられる。レポーターAbが、検出可能な標識にそれ自体が取り付けられる実施形態において、二次レポーターAbは必要でない。
【0154】
[0164] ある特定の実施形態において、レポーターAbは、検出可能な標識に直接的に取り付けられないが、間接的に取り付けられる。これらの実施形態において、二次レポーターAbは、レポーターAbの検出を可能にするために応用される。一部の実施形態において、レポーターAbは、少なくとも1つのレポーター抗体の重鎖定常領域により、検出可能な標識に間接的に取り付けられ、レポーター抗体は、検出可能な標識に直接的に取り付けられた二次レポーター抗体と反応する。
【0155】
[0165] 二次レポーター抗体に関して、下記のサブセクション「二次レポーターAb」が参照される。レポーターAbが取り付けられる検出可能な標識に関して、サブセクション「検出可能な標識」もまた参照される。
【0156】
二次レポーターAb
[0166] レポーター抗体が、検出可能な標識に間接的に取り付けられる実施形態において、レポーター抗体は二次レポーターAbとのインキュベーションにより検出され、二次レポーターAbはレポーターAbに結合する。一部の実施形態において、二次レポーターAbは、二次レポーターAbの可変領域を用いてレポーターAbの重鎖定常領域に結合する。
【0157】
[0167] 本開示の意味において、二次レポーターAbは、例えば、二次レポーターAbの重鎖定常領域を介して、検出可能な標識に(直接的に)取り付けられる。
【0158】
[0168] レポーターAbが取り付けられる検出可能な標識に関して、サブセクション「検出可能な標識」もまた参照される。
【0159】
検出可能な標識
[0169] 本開示の1つの実施形態によれば、検出、レポーター、および二次レポーター抗体が取り付けられる検出可能な標識は、化学、物理または酵素反応において検出可能な化合物またはシグナルを直接的にまたは間接的に生成する1つまたは複数の適切な化学物質または酵素を含む化合物または部分である。標識化は、当技術分野において周知の方法により達成され得る(例えば、Lottspeich,F.、およびZorbas H.、Springer Spektrum 2012、Bioanalytikを参照)。本開示による検出可能な標識は、好適な検出システムを用いて検出され得る。
【0160】
[0170] 本開示の1つの実施形態によれば、検出可能な標識は、蛍光標識、磁性標識、酵素標識、有色標識、色素産生性標識、発光標識、放射性標識、ハプテン、ビオチン、金属錯体、金属、および金コロイドからなる群から選択される。すべてのこれらの標識のタイプは当技術分野においてよく確立されている。
【0161】
[0171] 本開示の1つの実施形態によれば、検出可能な標識は、照射もしくは励起において蛍光もしくはリン光の放出または放射性標識を使用する場合にX線の放出を提供するようなものから選択される。
【0162】
[0172] 本開示の1つの実施形態によれば、検出可能な標識は酵素標識であり、酵素標識は、アルカリホスファターゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)、β-ガラクトシダーゼ、およびβ-ラクタマーゼを含むがそれに限定されない。酵素標識は、色素産生性反応生成物の形成を触媒する。
【0163】
[0173] 特定の実施形態において、検出可能な標識は蛍光標識である。多数の蛍光標識が当技術分野においてよく確立されており、異なる供給業者から商業的に入手可能である(例えば、The Handbook - A Guide to Fluorescent Probes and Labeling Technologies、10th ed.(2006)、Molecular Probes、Invitrogen Corporation、Carlsbad、CA、USAを参照)。蛍光標識の例は、キサンテン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリン(PE)、シアニン、クマリン、およびこれらの任意の誘導体を含むがそれに限定されない。本開示の一部の実施形態によれば、蛍光標識はPEである。
【0164】
[0174] 検出および/またはレポーターAbが取り付けられる検出可能な標識が蛍光標識である実施形態において、蛍光標識は、検出システム内に存在する任意の好適な光源で照射/励起され得る。光源はレーザーまたはLEDであってもよい。蛍光標識がPEである場合、光源の励起波長は、約505~約535nmの範囲内、例えば約511nmである。
【0165】
[0175] 好適な検出システムを用いるそのような検出可能な標識の検出に関して、セクション「検出システム」もまた参照される。
【0166】
検出システム
[0176] 本開示によれば、検出システムは、レポーター抗体または二次レポーター抗体または検出抗体の存在および/または量の指標となる値を決定するために好適な任意のシステムを指す。
【0167】
[0177] 本開示によれば、検出システムはまた、マイクロスフェアの存在および/または量の指標となる値を決定することができてもよい。
【0168】
[0178] 好適な検出システムの選択は、いくつかのパラメーター、例えば検出のために使用される検出可能な標識のタイプ、または行われる分析の種類に依存する。様々な光学的および非光学的検出システムは当技術分野においてよく確立されている。方法と共に使用され得る検出システムの一般的な記載は、例えば、Lottspeich,F.、およびZorbas H.、Springer Spektrum 2012、Bioanalytikにおいて見出され得る。
【0169】
[0179] 本開示の1つの実施形態によれば、検出システムは光学的検出システムである。一部の実施形態において、方法の実行は、パラメーター、例えば蛍光、光学吸光度、および共鳴伝達などの測定に基づいてもよい、検出システムを伴う。
【0170】
[0180] 本開示の1つの実施形態によれば、検出システムは蛍光を測定する。そのようなシステムは、特徴的な吸収および放出挙動を結果としてもたらす特有の波長の光により励起された場合にそれら自体の光を放出する特有の分子の能力を測定する。特に、蛍光シグナルの定量的検出は、蛍光顕微鏡法の改変された方法の手段により行われる(総説のために、例えば、Lichtman,J.W.、およびConchello,J.A.(2005)Nature Methods 2、910~919頁;Zimmermann,T.(2005)Adv.Biochem.Eng.Biotechnol.95、245~265頁を参照)。それにより、それぞれ光吸収および光放出の結果としてもたらされるシグナルは、1つまたは複数のフィルターおよび/またはダイクロイト(dichroites)により分離され、好適な検出器においてイメージングされる。データ分析は、デジタル画像処理の手段により行われる。画像処理は、当技術分野において周知のいくつかのソフトウェアパッケージ(例えばMathematica Digital Image Processing、EIKONA、またはImage-PRO)を用いて達成されてもよい。そのような目的のための別の好適なソフトウェアはIconoclustソフトウェア(Clondiag Chip Technologies GmbH、Jena、Germany)である。好適な検出システムは、蛍光シグナルを測定するための「古典的な」方法、例えば落射蛍光または暗視野蛍光顕微鏡法に基づいてもよい(例えば、Lakowicz,J.R.(1999)Principles of Fluorescence Spectroscopy、第2版、Plenum Publishing Corp.、NYにおいて総説されている)。使用され得る別の光学的検出システムは共焦点蛍光顕微鏡法であり、これにおいて、対象物は点光源によりレンズの焦点面において照明される。重要なことに、点光源、対象物および点光検出器は、光学的に共役された面上に位置する。そのような共焦点システムの例は、例えば、Diaspro,A.(2002)Confocal and 2-photon-microscopy:Foundations,Applications and Advances、Wiley-Liss、Hobroken、NJにおいて詳細に記載されている。蛍光光学システムは、通常は、自動焦点を有しない蛍光顕微鏡、例えば固定された焦点を有する蛍光顕微鏡である。使用され得るさらなる蛍光検出方法は、特に、全反射照明蛍光顕微鏡法(例えば、Axelrod,D.(1999)Surface fluorescence microscopy with evanescent illumination、Lacey,A.(編)Light Microscopy in Biology、Oxford University Press、New York、399~423頁を参照)、蛍光寿命イメージング顕微鏡法(例えば、Dowling,K.ら(1999)J.Mod.Optics 46、199~209頁を参照)、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET;例えば、Periasamy,A.(2001)J.Biomed.Optics 6、287~291頁を参照)、生物発光共鳴エネルギー移動(BRET;例えば、Wilson,T.およびHastings,J.W.(1998)Annu.Rev.Cell Dev.Biol.14、197~230頁を参照)、ならびに蛍光相関分光法(例えば、Hess,S.T.ら(2002)Biochemistry 41、697~705頁を参照)である。一部の実施形態において、検出は、それぞれ蛍光または生物発光消光剤ペアの形成に基づくFRETまたはBRETを使用して行われる。FRETの使用はまた、例えば、Liu,B.ら(2005)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 102、589~593頁;およびSzollosi,J.ら(2002)J.Biotechnol.82、251~266頁において記載されている。BRETの使用は、例えば、Prinz,A.ら(2006)Chembiochem.7、1007~1012頁;およびXu,Y.ら(1999)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96、151~156頁において詳述されている。
【0171】
[0181] 1つの実施形態において、検出システムは、約400~約700nmの範囲内の励起波長を有する第1の光源、例えばアルゴンレーザーまたは発光ダイオード(LED)、および約300~約700nmの範囲内の励起波長を有する第2の光源、例えばアルゴンレーザーまたはLED、および、例えばフォトダイオード、例えば光電子増倍管または電荷結合デバイス(CCD)センサーと組み合わせたアバランシェフォトダイオード(APD)としての、好適な検出構成要素を含む。第1の光源は、マイクロスフェアの検出可能な標識の同定のために使用されてもよく、検出可能な標識は、特定の濃度の1つまたは複数の蛍光色素であってもよい。第2の光源は、レポーターまたは二次レポーターまたは検出抗体の検出可能な標識の励起のために使用されてもよい。
【0172】
[0182] 一部の実施形態において、第1の光源、例えばアルゴンレーザーまたはLEDは、約600~約650nmの範囲内の励起波長を有し、第2の光源、例えばアルゴンレーザーまたはLEDは、約500~約600nmの範囲内の励起波長を有する。一部の実施形態において、第1の光源、例えばアルゴンレーザーまたはLEDは、約615~約640nmの範囲内の励起波長を有し、第2の光源、例えばアルゴンレーザーまたはLEDは、約505~約540nmの範囲内の励起波長を有する。一部の実施形態において、第1の光源、例えばアルゴンレーザーまたはLEDは、約620~約635nmの範囲内の励起波長を有し、第2の光源、例えばアルゴンレーザーまたはLEDは、約510~約535nmの範囲内の励起波長を有する。例えば、検出システムは、約635nmの励起波長を有する第1の光源、例えばアルゴンレーザーまたはLED、および約525nmの励起波長を有する第2の光源、例えばアルゴンレーザーまたはLEDを含む。
【0173】
[0183] 検出システムはまた、マイクロスフェアの個々のサイズまたは形状を別のマイクロスフェアの個々のサイズまたは形状から区別し、それによりマイクロスフェアの個々の同定を可能とする能力を有してもよい。
【0174】
[0184] 検出システムは、MAGPIX(登録商標)、Luminex 200(登録商標)、およびFLEXMAP 3D(登録商標)(Luminex Corp.Austin、Tex.)からなる群のものであってもよい。一部の実施形態において、検出システムはMAGPIX(登録商標)(Luminex Corp.Austin、Tex.)である。
【0175】
[0185] 検出システムは、xPONENT(登録商標)ソフトウェア(Luminex Corp.Austin、Tex.)を含む、特定のソフトウェアにより作動されてもよい。
【0176】
[0186] 検出システムは、レポーターまたは二次レポーターまたは検出Abの検出可能な標識からのシグナルと、マイクロスフェアの検出可能な標識からのシグナルとの両方を検出する能力を有してもよい。
【0177】
[0187] 検出システムは、例えばフローサイトメトリーベース検出システム(例えばLuminex 200(登録商標)およびFLEXMAP 3D(登録商標))により、マイクロスフェアの検出可能な標識からのシグナルを検出することおよびレポーターまたは二次レポーターまたは検出抗体の検出可能な標識からのシグナルを検出することにより、次々にマイクロスフェアを分析し、それによりマイクロスフェアを同定する能力を有してもよい。フローサイトメトリーベース検出システムLuminex 200(登録商標)およびFLEXMAP 3D(登録商標)は2つのレーザーを含み、各々のレーザーは、マイクロスフェアの検出可能な標識の照射のためおよびレポーターまたは二次レポーターまたは検出Abの検出可能な標識の照射のためのものである。フローサイトメトリーベース検出システムは、磁石を用いてマイクロスフェアを捕捉していないので、Luminex 200(登録商標)およびFLEXMAP 3D(登録商標)システムは、磁性マイクロスフェア、例えばMagPlex(登録商標)マイクロスフェアおよび非磁性マイクロスフェア、例えばMicroplex(登録商標)マイクロスフェアの両方と適合性である。Luminex 200(登録商標)およびFLEXMAP 3D(登録商標)システムは、光電子増倍管(PMT)と組み合わせたアバランシェフォトダイオード(APD)によりマイクロスフェアおよびレポーターまたは二次レポーターまたは検出Abからのシグナルを検出する。
【0178】
[0188] 代替的に、検出システムは、複数のマイクロスフェアを一度に分析する能力を有してもよい。したがって、磁性マイクロスフェアの単層は磁石により捕捉され、マイクロスフェアは、2つのLEDを用いて励起され、1つのLEDはマイクロスフェアの検出可能な標識の励起のためであり、他のLEDはレポーターまたは検出Abの検出可能な標識の励起のためである。マイクロスフェアおよびレポーターまたは検出AbからのシグナルはCCDイメージャーにより記録され、CCDイメージャーは、各々のマイクロスフェアおよびマイクロスフェアが連結された対応する抗原の同定を可能とする。LEDベース検出システムの例はMAGPIX(登録商標)機器である。MAGPIX(登録商標)機器での分析は磁石でのマイクロスフェアの捕捉を伴うので、MAGPIX(登録商標)機器は、磁性マイクロスフェア、例えばMagPlex(登録商標)マイクロスフェアとのみ適合性である。
【0179】
試料および対象
[0189] 以下のセクションは、本開示の方法において言及される試料および対象を特定することが意図される。このセクション内の仕様および実施形態は、先行および後続するセクションの仕様および実施形態のいずれとも組み合わせられ得る。
【0180】
試料
[0190] 本開示によれば、試料は、対象に由来する任意の試料であってもよい。一部の実施形態において、試料は、血液、尿、唾液、脳脊髄液、およびリンパ液からなる群から選択される。特有の実施形態において、試料は血清または血漿試料である。
【0181】
[0191] ある特定の実施形態において、試料は、本出願の方法において応用されるノロウイルスVLPに結合する能力を有するノロウイルス反応性Abを含む。
【0182】
[0192] ある特定の実施形態において、試料は、本開示の方法における使用に先立って前処理されてもよい。前処理の方法は、精製、濾過、蒸留、濃縮、干渉性化合物の不活性化、および試薬の追加を伴うことができる。
【0183】
[0193] 特有の実施形態において、試料は、例えば、約55~約65℃で約30~90分間、熱不活性化される。一般に、熱不活性化は、分析されるべき試料のタイプに従って変更され得る。
【0184】
[0194] より特有の実施形態において、試料は、熱不活性化された血清または血漿試料である。
【0185】
対象
[0195] 本開示の1つの実施形態において、対象は哺乳動物である。特定の実施形態において、哺乳動物は、マウス、霊長動物、非ヒト霊長動物、ヒト、ウサギ、ネコ、ラット、ウマ、ヒツジからなる群から選択される。
【0186】
[0196] ある特定の実施形態において、対象は、妊娠した哺乳動物であり、特有の実施形態において、妊婦である。
【0187】
[0197] 他の実施形態において、対象は、2か月齢までの新生児または小児であり、小児は2か月齢~5歳である。対象はまた、70歳またはより高齢であってもよい。
【0188】
[0198] 一部の実施形態において、対象は、予防または療法が所望される患者である。
【0189】
[0199] 一部の実施形態において、対象は、ノロウイルスナイーブ、またはノロウイルス曝露済みである。
【0190】
[0200] 一部の実施形態において、対象は、ノロウイルス流行地域またはノロウイルス非流行地域からの対象である。一部の実施形態において、対象は、ノロウイルス流行地域を旅行しているノロウイルス非流行地域からの対象である。
【0191】
[0201] 一部の実施形態において、対象は、ノロウイルスワクチンでワクチン接種されている。
【0192】
ノロウイルス反応性抗体を決定する方法
[0202] 本開示は、非競合的および競合的マイクロスフェアイムノアッセイセットアップを使用してノロウイルス反応性抗体を決定する様々な方法にさらに向けられる。マイクロスフェア複合体、検出システム、レポーター、二次レポーターおよび検出抗体の他に、対象および試料に関して、上記のそれぞれのチャプターが参照される。追加的に、ある特定の特定の実施形態はこのセクションにおいても概説されるが、限定的であるとして解釈されるべきではない。このセクションからの任意の実施形態は、先行または後続するセクションからの実施形態のいずれとも組み合わせられ得る。
【0193】
非競合的マイクロスフェアイムノアッセイセットアップ
[0203] 非競合的マイクロスフェアイムノアッセイセットアップにおいて、レポーター抗体は応用されない。試料中のノロウイルス反応性抗体を検出するために検出Abが使用される。非競合的マイクロスフェアイムノアッセイセットアップは、1つのノロウイルスVLPに対するノロウイルス反応性抗体の決定を可能にするため(シングルプレックスアッセイセットアップ)または1つの単一の実験において2つもしくはより多くのノロウイルスVLPに対して反応性の抗体の随伴的な決定を可能にするため(マルチプレックスアッセイセットアップ)に改変され得る。
【0194】
ノロウイルス反応性抗体の存在および/または量を決定する方法(シングルプレックスアッセイセットアップ)
[0204] 対象からの試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量を決定する方法は、
工程1:所定量の上述したマイクロスフェア複合体を試料と接触させて、マイクロスフェア複合体中のマイクロスフェアに連結されたノロウイルスウイルス様粒子(VLP)に、試料中のノロウイルス反応性抗体を結合させる工程、
工程2:所定量の検出抗体を、工程1におけるノロウイルスVLPに結合したノロウイルス反応性抗体と接触させて、ノロウイルス反応性抗体の重鎖定常領域に、検出抗体を結合させる工程であって、検出抗体が、検出抗体の可変領域を用いてノロウイルス反応性抗体に結合し、検出抗体が、検出可能な標識に取り付けられている工程、および
工程3:工程2におけるノロウイルス反応性抗体に結合した検出抗体からのシグナルを検出する工程
を含み、方法は、任意選択により、以下のさらなる工程:
工程4:工程3のシグナルからノロウイルス反応性抗体に結合した検出抗体の存在および/または量を決定する工程、ならびに
工程5:工程4において決定された検出抗体の存在および/または量から試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量を決定する工程
を含む。
【0195】
[0205] 一部の実施形態において、工程3における検出抗体からのシグナルは、検出抗体が取り付けられた検出可能な標識の結果としてもたらされる。
【0196】
[0206] 一部の実施形態において、工程1における接触は約1~約24時間実行される。一部の実施形態において、工程1における接触は約90分間実行される。一部の実施形態において、工程1における接触は、約18~約24時間、例えば、一部の実施形態において、約21時間、実行される。
【0197】
[0207] 一部の実施形態において、工程1における接触は約2~約30℃の温度で実行される。一部の実施形態において、工程1における接触は約22℃の温度で実行される。他の特定の実施形態において、工程1における接触は約2~約8℃の温度で実行される。
【0198】
[0208] 一部の実施形態において、工程2における接触は、約30~約90分間、例えば、一部の実施形態において、約60分間、実行される。
【0199】
異なるノロウイルスに対して反応性の抗体の存在および/または量の随伴的な決定方法(マルチプレックスアッセイセットアップ)
[0209] 対象からの試料中の異なるノロウイルスに対して反応性の抗体の存在および/または量の随伴的な決定方法は、
工程1:所定量の少なくとも2つの上述したマイクロスフェア複合体を、試料と接触させて、第1および/または第2のノロウイルスVLPに、試料中のノロウイルス反応性抗体を結合させる工程であって、
第1のマイクロスフェア複合体が、第1のノロウイルスVLPに連結された第1のマイクロスフェアを含み、第2のマイクロスフェア複合体が、第2のノロウイルスVLPに連結された第2のマイクロスフェアを含み、
第1のマイクロスフェアが第1の検出可能な標識を含み、第2のマイクロスフェアが第2の検出可能な標識を含み、第1の検出可能な標識の放出シグナルが第2の検出可能な標識の放出シグナルとは異なる、工程、
工程2:所定量の検出抗体を、工程1における第1および/または第2のノロウイルスVLPに結合したノロウイルス反応性抗体と接触させて、ノロウイルス反応性抗体の重鎖定常領域に、検出抗体を結合させる工程であって、検出抗体が、検出抗体の可変領域を用いてノロウイルス反応性抗体に結合し、検出抗体が、第3の検出可能な標識に取り付けられている工程、
工程3:第1の光源で照射したときに、少なくとも1つのマイクロスフェアの検出可能な標識の放出シグナルを検出し、放出シグナルを、第1の検出可能な標識の放出シグナルと比較し、さらに、第2の検出可能な標識の放出シグナルと比較し、それにより、少なくとも1つのマイクロスフェアおよび少なくとも1つのマイクロスフェアが連結されたノロウイルスVLPを同定し、
同時に、第2の光源で照射したときに、工程2における少なくとも1つのマイクロスフェアのノロウイルスVLPに結合したノロウイルス反応性抗体に結合した検出抗体からのシグナルを検出する工程、
工程4:同じノロウイルスVLPに連結された少なくとも30個のマイクロスフェアが同定されるまで工程3を繰り返す工程、ならびに
工程5:同じノロウイルスVLPに連結されたすべての同定されたマイクロスフェアについての工程3における検出抗体からの検出されたシグナルを要約する工程であって、要約されたシグナルが、試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量の指標となる工程
を含み、方法は、任意選択により、以下のさらなる工程:
工程6:工程5の要約されたシグナルからノロウイルス反応性抗体に結合した検出抗体の存在および/または量を決定する工程、ならびに
工程7:工程6において決定された検出抗体の存在および/または量から試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量を決定する工程
を含む。
【0200】
[0210] 一部の実施形態において、工程1において、所定量の少なくとも5個または少なくとも10個または少なくとも15個または少なくとも20個のマイクロスフェア複合体が試料と接触させられる。好適なマイクロスフェア複合体は、例えば、表1に記載されているノロウイルスVLPに連結されたマイクロスフェアを含む。
【0201】
[0211] 特有の実施形態において、工程1において、所定量の、GI.1 VLPに連結された第1のマイクロスフェアを含む第1のマイクロスフェア複合体、所定量の、GI.2 VLPに連結された第2のマイクロスフェアを含む第2のマイクロスフェア複合体、所定量の、GI.3 VLPに連結された第3のマイクロスフェアを含む第3のマイクロスフェア複合体、所定量の、GI.4 VLPに連結された第4のマイクロスフェアを含む第4のマイクロスフェア複合体、所定量の、GI.5 VLPに連結された第5のマイクロスフェアを含む第5のマイクロスフェア複合体、所定量の、GI.6 VLPに連結された第6のマイクロスフェアを含む第6のマイクロスフェア複合体、所定量の、GI.7 VLPに連結された第7のマイクロスフェアを含む第7のマイクロスフェア複合体、所定量の、GII.1 VLPに連結された第8のマイクロスフェアを含む第8のマイクロスフェア複合体、所定量の、GII.2 VLPに連結された第9のマイクロスフェアを含む第9のマイクロスフェア複合体、所定量の、GII.3 VLPに連結された第10のマイクロスフェアを含む第10のマイクロスフェア複合体、所定量の、GII.4/コンセンサスVLPに連結された第11のマイクロスフェアを含む第11のマイクロスフェア複合体、所定量の、GII.4/Sydney VLPに連結された第12のマイクロスフェアを含む第12のマイクロスフェア複合体、所定量の、GII.4/New Orleans VLPに連結された第13のマイクロスフェアを含む第13のマイクロスフェア複合体、所定量の、GII.4/Yerseke VLPに連結された第14のマイクロスフェアを含む第14のマイクロスフェア複合体、所定量の、GII.4/Den Haag VLPに連結された第15のマイクロスフェアを含む第15のマイクロスフェア複合体、所定量の、GII.6 VLPに連結された第16のマイクロスフェアを含む第16のマイクロスフェア複合体、所定量の、GII.7 VLPに連結された第17のマイクロスフェアを含む第17のマイクロスフェア複合体、所定量の、GII.12 VLPに連結された第18のマイクロスフェアを含む第18のマイクロスフェア複合体、所定量の、GII.17/1978 VLPに連結された第19のマイクロスフェアを含む第19のマイクロスフェア複合体、および所定量の、GII.17/2015 VLPに連結された第20のマイクロスフェアを含む第20のマイクロスフェア複合体が試料と接触させられる。
【0202】
[0212] 一部の実施形態において、工程3における検出抗体からのシグナルは、検出抗体が取り付けられた検出可能な標識の結果としてもたらされる。
【0203】
[0213] 一部の実施形態において、工程1における接触は約1~約24時間実行される。一部の実施形態において、工程1における接触は約90分間実行される。他の特定の実施形態において、工程1における接触は、約18~約24時間、例えば、一部の実施形態において、約21時間、実行される。
【0204】
[0214] 一部の実施形態において、工程1における接触は約2~約30℃の温度で実行される。一部の実施形態において、工程1における接触は約22℃の温度で実行される。他の特定の実施形態において、工程1における接触は約2~約8℃の温度で実行される。
【0205】
[0215] 一部の実施形態において、工程2における接触は、約30~約90分間、例えば、一部の実施形態において、約60分間、実行される。
【0206】
[0216] 一部の実施形態において、同じノロウイルスVLPに連結された少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、または少なくとも50個のマイクロスフェアが同定されるまで工程4は繰り返される。
【0207】
[0217] 一部の実施形態において、上述した非競合的マイクロスフェアイムノアッセイセットアップ(シングルプレックスおよびマルチプレックスセットアップ)においてノロウイルス反応性抗体を決定する方法は、B細胞またはハイブリドーマ上清試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量を決定するために応用され得る(下記の実施例5も参照)。これらの実施形態において、ノロウイルス反応性抗体はモノクローナル抗体であってもよい。それにより、上清試料は、ある特定のノロウイルス反応性抗体の存在についてスクリーニングされ得る。特に実施上の利点となるのは、マルチプレックスセットアップにおけるハイブリドーマまたはB細胞上清のスクリーニングであり、その理由は、上清が、1つの単一のアッセイにおいて、特異性が異なる抗体について評価され得るからである。
【0208】
競合的マイクロスフェアイムノアッセイセットアップ
[0218] 競合的マイクロスフェアイムノアッセイセットアップにおいて、1つまたは複数のレポーター抗体が応用される。競合的マイクロスフェアイムノアッセイセットアップは、1つのノロウイルスVLPに対するノロウイルス反応性抗体の決定を可能にするため(シングルプレックスアッセイセットアップ)または1つの単一の実験において2つもしくはより多くのノロウイルスVLPに対して反応性の抗体の随伴的な決定を可能にするため(マルチプレックスアッセイセットアップ)に改変され得る。
【0209】
ノロウイルス反応性抗体の存在および/または量を決定する方法(シングルプレックスアッセイセットアップ)
[0219] 対象からの試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量を決定する方法は、
工程1:所定量の上述したマイクロスフェア複合体および所定量の上述したレポーター抗体を含む、キットを用意する工程であって、レポーター抗体がマイクロスフェア複合体のノロウイルスVLPに結合するものである、工程、
工程2:所定量のマイクロスフェア複合体および所定量のレポーター抗体を試料と接触させて、レポーター抗体と競合しながら、マイクロスフェア複合体中のマイクロスフェアに連結されたノロウイルスVLPに、試料中のノロウイルス反応性抗体を結合させる工程、ならびに
工程3:工程2におけるノロウイルスVLPに結合したレポーター抗体からのシグナルを検出する工程
を含み、方法は、任意選択により、以下のさらなる工程:
工程4:工程3のシグナルからレポーター抗体の存在および/または量を決定する工程、ならびに
工程5:工程4において決定されたレポーター抗体の存在および/または量から試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量を決定する工程
を含む。
【0210】
[0220] 一部の実施形態において、工程2において、所定量のマイクロスフェア複合体および所定量のレポーター抗体は試料と随伴的に接触させられる。
【0211】
[0221] 一部の実施形態において、ノロウイルス反応性抗体を決定する方法は、
工程1:所定量の上述したマイクロスフェア複合体および所定量の上述したレポーター抗体を含む、キットを用意する工程であって、レポーター抗体がマイクロスフェア複合体のノロウイルスVLPに結合するものである、工程、
工程2.1:工程1の所定量のマイクロスフェア複合体を試料と接触させて、マイクロスフェア複合体中のマイクロスフェアに連結されたノロウイルスVLPに、試料中のノロウイルス反応性抗体を結合させる工程、
工程2.2:所定量のレポーター抗体を工程2.1のマイクロスフェア複合体および試料と接触させて、マイクロスフェア複合体中のマイクロスフェアに連結されたノロウイルスVLPに、レポーター抗体を結合させる工程、ならびに
工程3:工程2.2におけるノロウイルスVLPに結合したレポーター抗体からのシグナルを検出する工程
を含み、方法は、任意選択により、以下のさらなる工程:
工程4:工程3のシグナルからレポーター抗体の存在および/または量を決定する工程、ならびに
工程5:工程4において決定されたレポーター抗体の存在および/または量から試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量を決定する工程
を含む。
【0212】
[0222] 一部の実施形態において、ノロウイルス反応性抗体を決定する方法は、
工程1:所定量の上述したマイクロスフェア複合体および所定量の上述したレポーター抗体を含む、キットを用意する工程であって、レポーター抗体がマイクロスフェア複合体のノロウイルスVLPに結合するものである、工程、
工程2.1:工程1の所定量のマイクロスフェア複合体を試料と接触させて、マイクロスフェア複合体中のマイクロスフェアに連結されたノロウイルスVLPに、試料中のノロウイルス反応性抗体を結合させる工程、
工程2.2:所定量のレポーター抗体を工程2.1のマイクロスフェア複合体および試料と接触させて、マイクロスフェア複合体中のマイクロスフェアに連結されたノロウイルスVLPに、レポーター抗体を結合させる工程、
工程2.3:工程2.2の所定量のレポーター抗体、所定量のマイクロスフェア複合体、および試料を所定量の二次レポーター抗体と接触させて、レポーター抗体の定常領域に、二次レポーター抗体を結合させる工程、ならびに
工程3:工程2.3におけるレポーター抗体に結合した二次レポーター抗体からのシグナルを検出する工程であって、レポーター抗体が工程2.2においてノロウイルスVLPに結合している工程
を含み、方法は、任意選択により、以下のさらなる工程:
工程4:工程3のシグナルからレポーター抗体の存在および/または量を決定する工程、ならびに
工程5:工程4において決定されたレポーター抗体の存在および/または量から試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量を決定する工程
を含む。
【0213】
[0223] 一部の実施形態において、ノロウイルスVLPはGII.4/Sydney VLPである。
【0214】
[0224] 一部の実施形態において、工程3におけるシグナルは、レポーター抗体が取り付けられた検出可能な標識の結果としてもたらされる。
【0215】
[0225] 一部の実施形態において、工程2.1における接触は、約5~約23時間、例えば、一部の実施形態において、約8~約21時間、より好ましくは約16時間、実行される。一部の実施形態において、工程2.1における接触は、約2~約30℃の温度で、好ましくは約4℃の温度で、実行される。
【0216】
[0226] 一部の実施形態において、工程2.2における接触は、約10~約90分間、好ましくは約60分間、実行される。一部の実施形態において、工程2.2における接触は約22℃で実行される。
【0217】
[0227] 一部の実施形態において、工程2.3における接触は、約10~約90分間、好ましくは約60分間、実行される。一部の実施形態において、工程2.3における接触は約22℃で実行される。
【0218】
異なるノロウイルスに対して反応性の抗体の存在および/または量の随伴的な決定方法(マルチプレックスアッセイセットアップ)
[0228] 対象からの試料中の異なるノロウイルスに対して反応性の抗体の存在および/または量の随伴的な決定方法は、
工程1:所定量の少なくとも2つの上述したマイクロスフェア複合体と、所定量の少なくとも2つの上述したレポーター抗体とを含むキットを用意する工程であって、
第1のマイクロスフェア複合体が、第1のノロウイルスVLPに連結された第1のマイクロスフェアを含み、第2のマイクロスフェア複合体が、第2のノロウイルスVLPに連結された第2のマイクロスフェアを含み、
第1のマイクロスフェアが第1の検出可能な標識を含み、第2のマイクロスフェアが第2の検出可能な標識を含み、第1の検出可能な標識の放出シグナルが第2の検出可能な標識の放出シグナルとは異なり、
第1のレポーター抗体が、第1のノロウイルスVLPに結合し、第2のノロウイルスウイルス様粒子に結合せず、
第2のレポーター抗体が、第2のノロウイルスVLPに結合し、第1のノロウイルスVLPに結合しない、工程;
工程2:所定量の少なくとも2つのマイクロスフェア複合体を試料と接触させて、少なくとも2つのレポーター抗体と競合しながら、第1および/または第2のノロウイルスVLPに、試料中のノロウイルス反応性抗体を結合させる工程;
工程3:第1の光源で照射したときに、少なくとも1つのマイクロスフェアの検出可能な標識の放出シグナルを検出し、放出シグナルを、第1の検出可能な標識の放出シグナルと比較し、さらに、第2の検出可能な標識の放出シグナルと比較し、それにより、少なくとも1つのマイクロスフェアおよび少なくとも1つのマイクロスフェアが連結されたノロウイルスVLPを同定し、
同時に、第2の光源で照射したときに、工程2における少なくとも1つのマイクロスフェアのノロウイルスVLPに結合したレポーター抗体からのシグナルを検出する工程;
工程4:同じノロウイルスVLPに連結された少なくとも30個のマイクロスフェアが同定されるまで工程3を繰り返す工程;ならびに
工程5:同じノロウイルスVLPに連結されたすべての同定されたマイクロスフェアについての工程3におけるレポーター抗体からの検出されたシグナルを要約する工程であって、要約されたシグナルが、試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量の指標となる工程
を含み、方法は、任意選択により、以下のさらなる工程:
工程6:工程5の要約されたシグナルからレポーター抗体の存在および/または量を決定する工程、ならびに
工程7:工程6において決定されたレポーター抗体の存在および/または量から試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量を決定する工程
を含む。
【0219】
[0229] 一部の実施形態において、工程2において、所定量の少なくとも2つのマイクロスフェア複合体および所定量の少なくとも2つのレポーター抗体は試料と随伴的に接触させられる。
【0220】
[0230] 一部の実施形態において、方法は、
工程1:所定量の少なくとも2つの上述したマイクロスフェア複合体と、所定量の少なくとも2つの上述したレポーター抗体とを含むキットを用意する工程であって、
第1のマイクロスフェア複合体が、第1のノロウイルスVLPに連結された第1のマイクロスフェアを含み、第2のマイクロスフェア複合体が、第2のノロウイルスVLPに連結された第2のマイクロスフェアを含み、
第1のマイクロスフェアが第1の検出可能な標識を含み、第2のマイクロスフェアが第2の検出可能な標識を含み、第1の検出可能な標識の放出シグナルが第2の検出可能な標識の放出シグナルとは異なり、
第1のレポーター抗体が、第1のノロウイルスVLPに結合し、第2のノロウイルスウイルス様粒子に結合せず、
第2のレポーター抗体が、第2のノロウイルスVLPに結合し、第1のノロウイルスVLPに結合しない、工程;
工程2.1:所定量の少なくとも2つのマイクロスフェア複合体を試料と接触させて、第1および/または第2のノロウイルスVLPに、試料中のノロウイルス反応性抗体を結合させる工程;
工程2.2:所定量の少なくとも2つのレポーター抗体を工程2.1の少なくとも2つのマイクロスフェア複合体および試料と接触させて、マイクロスフェアに連結されたノロウイルスVLPに、少なくとも2つのレポーター抗体を結合させる工程;
工程3:第1の光源で照射したときに、少なくとも1つのマイクロスフェアの検出可能な標識の放出シグナルを検出し、放出シグナルを、第1の検出可能な標識の放出シグナルと比較し、さらに、第2の検出可能な標識の放出シグナルと比較し、それにより、少なくとも1つのマイクロスフェアおよび少なくとも1つのマイクロスフェアが連結されたノロウイルスVLPを同定し、
同時に、第2の光源で照射したときに、工程2.2における少なくとも1つのマイクロスフェアのノロウイルスVLPに結合したレポーター抗体からのシグナルを検出する工程;
工程4:同じノロウイルスVLPに連結された少なくとも30個のマイクロスフェアが同定されるまで工程3を繰り返す工程;ならびに
工程5:同じノロウイルスVLPに連結されたすべての同定されたマイクロスフェアについての工程3におけるレポーター抗体からの検出されたシグナルを要約する工程であって、要約されたシグナルが、試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量の指標となる工程
を含み、方法は、任意選択により、以下のさらなる工程:
工程6:工程5の要約されたシグナルからレポーター抗体の存在および/または量を決定する工程、ならびに
工程7:工程6において決定されたレポーター抗体の存在および/または量から試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量を決定する工程
を含む。
【0221】
[0231] 一部の実施形態において、方法は、
工程1:所定量の少なくとも2つの上述したマイクロスフェア複合体と、所定量の少なくとも2つの上述したレポーター抗体を含むキットを用意する工程であって、
第1のマイクロスフェア複合体が、第1のノロウイルスVLPに連結された第1のマイクロスフェアを含み、第2のマイクロスフェア複合体が、第2のノロウイルスVLPに連結された第2のマイクロスフェアを含み、
第1のマイクロスフェアが第1の検出可能な標識を含み、第2のマイクロスフェアが第2の検出可能な標識を含み、第1の検出可能な標識の放出シグナルが第2の検出可能な標識の放出シグナルとは異なり、
第1のレポーター抗体が、第1のノロウイルスVLPに結合し、第2のノロウイルスウイルス様粒子に結合せず、
第2のレポーター抗体が、第2のノロウイルスVLPに結合し、第1のノロウイルスVLPに結合しない、工程;
工程2.1:所定量の少なくとも2つのマイクロスフェア複合体を試料と接触させて、第1および/または第2のノロウイルスVLPに、試料中のノロウイルス反応性抗体を結合させる工程;
工程2.2:所定量の少なくとも2つのレポーター抗体を工程2.1の少なくとも2つのマイクロスフェア複合体および試料と接触させて、マイクロスフェアに連結されたノロウイルスVLPに、少なくとも2つのレポーター抗体を結合させる工程;
工程2.3:工程2.2の所定量の少なくとも2つのレポーター抗体、所定量の少なくとも2つのマイクロスフェア複合体および試料を所定量の二次レポーター抗体と接触させて、少なくとも2つのレポーター抗体の定常領域に、二次レポーター抗体を結合させる工程;
工程3:第1の光源で照射したときに、少なくとも1つのマイクロスフェアの検出可能な標識の放出シグナルを検出し、放出シグナルを、第1の検出可能な標識の放出シグナルと比較し、さらに、第2の検出可能な標識の放出シグナルと比較し、それにより、少なくとも1つのマイクロスフェアおよび少なくとも1つのマイクロスフェアが連結されたノロウイルスVLPを同定し、
同時に、第2の光源で照射したときに、工程2.3における少なくとも1つのマイクロスフェアのノロウイルスVLPに結合したレポーター抗体に結合した二次レポーター抗体からのシグナルを検出する工程;
工程4:同じノロウイルスVLPに連結された少なくとも30個のマイクロスフェアが同定されるまで工程3を繰り返す工程;ならびに
工程5:同じノロウイルスVLPに連結されたすべての同定されたマイクロスフェアについての工程3における二次レポーター抗体からの検出されたシグナルを要約する工程であって、要約されたシグナルが、試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量の指標となる工程
を含み、方法は、任意選択により、以下のさらなる工程:
工程6:工程5の要約されたシグナルからレポーター抗体の存在および/または量を決定する工程、ならびに
工程7:工程6において決定されたレポーター抗体の存在および/または量から試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量を決定する工程
を含む。
【0222】
[0232] 一部の実施形態において、工程1におけるキットは、所定量の2つのマイクロスフェア複合体および所定量の2つのレポーター抗体を提供する。一部の実施形態において、第1のマイクロスフェア複合体は、GI.1 VLPに連結された第1のマイクロスフェアを含み、第2のマイクロスフェア複合体は、GII.4/コンセンサスVLPに連結された第2のマイクロスフェアを含む。GI.1 VLPおよびGII.4/コンセンサスVLPについて、表1もまた参照される。
【0223】
[0233] 一部の実施形態において、工程3におけるシグナルは、レポーター抗体が取り付けられた検出可能な標識の結果としてもたらされる。
【0224】
[0234] 一部の実施形態において、工程2.1における接触は、約5~約23時間、好ましくは約8~約21時間、より好ましくは約16時間、実行される。一部の実施形態において、工程2.1における接触は、約2~約30℃の温度で、好ましくは約4℃の温度で、実行される。
【0225】
[0235] 一部の実施形態において、工程2.2における接触は、約10~約90分間、好ましくは約60分間、実行される。一部の実施形態において、工程2.2における接触は約22℃で実行される。
【0226】
[0236] 一部の実施形態において、工程2.3における接触は、約10~約90分間、好ましくは約60分間、実行される。一部の実施形態において、工程2.3における接触は約22℃で実行される。
【0227】
[0237] 一部の実施形態において、同じノロウイルスVLPに連結された少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、または少なくとも50個のマイクロスフェアが同定されるまで工程4は繰り返される。
【0228】
対象においてノロウイルス感染を診断する方法
[0238] 本開示は、対象においてノロウイルス感染を診断する方法にさらに向けられる。本開示の意味において、診断方法はin vitroの方法である。マイクロスフェア複合体、検出システム、レポーター、二次レポーターおよび検出抗体、対象および試料の他に、ノロウイルス反応性抗体を決定する方法に関して、上記のそれぞれのチャプターが参照される。追加的に、ある特定の特定の実施形態はこのセクションにおいても概説されるが、限定的であるとして解釈されるべきではない。このセクションからの任意の実施形態は、先行または後続するセクションからの実施形態のいずれとも組み合わせられ得る。
【0229】
[0239] 対象においてノロウイルス感染を診断するin vitroの方法は、
工程1:対象の身体の外側に対象からの試料を用意する工程、
工程2:上述したノロウイルス反応性抗体を決定する方法に従って試料中のノロウイルス反応性抗体の量を決定する工程、および
工程3:ノロウイルス反応性抗体の量を、ノロウイルスに感染した対象におけるノロウイルス反応性抗体の確立された量と比較することにより、感染を決定する工程
を含む。
【0230】
[0240] 一部の実施形態において、対象は哺乳動物であり、好ましくは、哺乳動物は、マウス、霊長動物、非ヒト霊長動物、ヒト、ウサギ、ネコ、ラット、ウマ、およびヒツジからなる群から選択される。一部の実施形態において、対象はヒトである。
【0231】
[0241] ある特定の実施形態において、試料は、血液試料、特に血漿または血清試料である。
【0232】
[0242] ある特定の実施形態において、ノロウイルス反応性Abはノロウイルス中和Abおよび/またはノロウイルス遮断Abである。
【0233】
[0243] ある特定の実施形態において、ノロウイルス感染は回復期である。ある特定の実施形態において、ノロウイルス感染は急性である。
【0234】
[0244] 他の実施形態において、対象は、少なくとも2つの異なるノロウイルスにより感染されている。ノロウイルス感染は急性または回復期のいずれかであることができる。本出願のノロウイルス感染を診断するin vitroの方法は、少なくとも2つの異なるノロウイルス感染を診断する能力を有する。結果的に、本出願のノロウイルス感染を診断するin vitroの方法は、対象が1つまたは複数のノロウイルスに感染されたかどうかおよび対象がいずれのノロウイルスにより感染されたかを決定する能力を有する。
【0235】
対象においてノロウイルス感染からの保護を決定する方法
[0245] 本開示は、対象においてノロウイルス感染からの保護を決定する方法にさらに向けられる。本開示の意味において、保護を決定する方法はin vitroの方法である。マイクロスフェア複合体、検出システム、レポーター、二次レポーターおよび検出抗体、対象および試料の他に、ノロウイルス反応性抗体を決定する方法に関して、上記のそれぞれのチャプターが参照される。追加的に、ある特定の特定の実施形態はこのセクションにおいても概説されるが、限定的であるとして解釈されるべきではない。このセクションからの任意の実施形態は、先行または後続するセクションからの実施形態のいずれとも組み合わせられ得る。
【0236】
[0246] 対象においてノロウイルス感染からの保護を決定するin vitroの方法は、
工程1:対象の身体の外側に対象からの試料を用意する工程、
工程2:上述したノロウイルス反応性抗体を決定する方法に従って試料中のノロウイルス反応性抗体の量を決定する工程、および
工程3:工程2におけるノロウイルス反応性抗体の量をノロウイルス反応性抗体の保護的な量と比較することにより保護を決定する工程
を含む。
【0237】
[0247] 一部の実施形態において、対象は哺乳動物であり、好ましくは、哺乳動物は、マウス、霊長動物、非ヒト霊長動物、ヒト、ウサギ、ネコ、ラット、ウマ、およびヒツジからなる群から選択される。一部の実施形態において、対象はヒトである。
【0238】
[0248] 他の実施形態において、対象はノロウイルスワクチンでワクチン接種される。一部の実施形態において、対象は、ノロウイルスワクチンでワクチン接種されたヒトである。
【0239】
[0249] ある特定の実施形態において、試料は、血液試料、特に血漿または血清試料である。
【0240】
[0250] ある特定の実施形態において、ノロウイルス反応性Abはノロウイルス中和Abおよび/またはノロウイルス遮断Abである。
【0241】
[0251] ノロウイルス感染からの保護が競合的マイクロスフェアイムノアッセイセットアップを用いて決定される実施形態において、レポーターまたは少なくとも1つのレポーターAbはノロウイルス中和および/またはノロウイルス遮断Abであることが好ましい。
【0242】
[0252] 本出願のノロウイルス感染からの保護を決定するin vitroの方法は、1つまたは複数の異なるノロウイルス感染に対する保護を決定する能力を有する。
【0243】
ノロウイルス感染を予防する方法
[0253] 本開示は、ヒト対象においてノロウイルス感染を予防する方法であって、
工程1:ヒト対象からの試料を得る工程、
工程2:セクション「ノロウイルス反応性抗体を決定する方法」の下で上述したようにヒト対象からの試料中のノロウイルス反応性抗体の量を決定する工程、
工程3:工程2において決定されたノロウイルス反応性抗体の量を、ヒト対象におけるノロウイルス感染からの保護の抗体相関物と比較することにより、ヒト対象が保護を付与する量のノロウイルス反応性抗体を有するかどうかを決定する工程、および
工程4:ヒト対象が、ヒト対象におけるノロウイルス感染からの保護の抗体相関物よりも低い量のノロウイルス反応性抗体を有する場合に、ヒト対象にノロウイルスワクチンを投与する工程
を含む方法にさらに向けられる。
【0244】
[0254] その文脈における「保護を付与する」は、ヒト対象中に存在するノロウイルス反応性抗体の量が、ノロウイルス感染からヒト対象を予防するために十分であることを意味する。
【0245】
[0255] その文脈における「保護の抗体相関物」は、ノロウイルス感染からの保護を付与することが決定されたノロウイルス反応性抗体のある特定の量を意味する。保護の抗体相関物は、例えば、好適な動物モデルから、または、例えば、ノロウイルスワクチンでワクチン接種された後の、ノロウイルス感染からのヒト対象の保護をモニターすることにより決定され得る。
【0246】
[0256] 一部の実施形態において、ノロウイルス感染は症候性感染である。
【0247】
ノロウイルス感染の存在をアッセイする方法
[0257] 本開示は、対象におけるノロウイルス感染の存在をアッセイする方法であって、
工程1:対象からの試料を得る工程、
工程2:セクション「ノロウイルス反応性抗体を決定する方法」の下で上述したように試料中のノロウイルス反応性抗体の量を決定する工程、および
工程3:ノロウイルス反応性抗体の前記量を、ノロウイルスに感染した対象におけるノロウイルス反応性抗体の確立された量と比較することにより、ノロウイルス感染の存在を決定する工程
を含む方法にさらに向けられる。
【0248】
試料中のノロウイルス反応性抗体を決定するためのキット
[0258] 本開示は、キットにさらに向けられる。マイクロスフェア複合体、検出システム、レポーター、二次レポーターおよび検出抗体の他に、試料に関して、上記のそれぞれのチャプターが参照される。追加的に、ある特定の特定の実施形態はこのセクションにおいても概説されるが、限定的であるとして解釈されるべきではない。このセクションからの任意の実施形態は、先行するセクションからの実施形態のいずれとも組み合わせられ得る。
【0249】
[0259] 1つの実施形態において、キットは、所定量の少なくとも1つの上述したマイクロスフェア複合体および任意選択により所定量の上述した検出抗体を含む。
【0250】
[0260] 他の実施形態において、キットは、所定量の少なくとも1つの上述したマイクロスフェア複合体および所定量の少なくとも1つの上述したレポーター抗体を含み、レポーター抗体は少なくとも1つのマイクロスフェア複合体のノロウイルスVLPに結合する。一部の実施形態において、キットは、所定量の上述した二次レポーター抗体を追加的に含み、二次レポーター抗体はレポーター抗体に結合する。
【0251】
[0261] キットは、キットの構成要素の混合物のための好適な容器をさらに含有してもよい。キットは、指示書を有するマニュアルをさらに含有してもよい。
【実施例
【0252】
[0262] 以下の実施例は、請求項において記載されている開示のある特定の態様および実施形態を実証するために含まれる。しかしながら、以下の記載は実例的なものに過ぎず、いかなるようにも本開示の制限として解釈されるべきでないことが当業者により理解されるべきである。
【0253】
実施例1:ノロウイルスウイルス様粒子(VLP)の製造
[0263] Haynesら(Viruses 2019、11、392、doi:10.3390/v11050392)、Parraら(Vaccine 2012、30(24):3580~3586頁、doi:10.1016/j.vaccine.2012.03.050)および国際公開第2010/017542号パンフレットに記載されるように、メジャーなウイルスカプシドタンパク質、VP1からなるVLPを製造した。対応する株およびGenBankアクセッション番号を含む、本明細書において使用されるノロウイルスVLPの概要を表1に与える。
【0254】
[0264] GII.4/Den Haag、GII.4/Yerseke、GII.4/New Orleans、GII.4/Sydneyの他に、GII.7 VLPの製造のために、GenBankから得られたVP1アミノ酸配列(表1)を使用して、各々の特有のVP1タンパク質のための哺乳動物コドン最適化ヌクレオチド遺伝子配列を合成した(ATUM、Newark、USAにおいて合成)。制限部位を合成遺伝子の末端上に操作して、組換えアデノウイルスクローンを製造するために使用したAgilentからのAdEasy Adenoviral Vector System Cloning kitへのクローニングを促した。組換えアデノウイルスを使用して、300の多重感染度でVero細胞に感染させ、培養物を4日後に採取した。上清を細胞から除去し、付着細胞をリン酸緩衝食塩水(PBS)および0.1% Tween溶液で5分間、室温で振盪と共に処理して細胞を溶解させた。溶解液を遠心分離(400×g)により清澄化し、0.45μmシリンジフィルターを通じて濾過し、次に超遠心分離機(100,000×g)において40%のスクロースクッション中にスピンした。VLPの純度をSDS-PAGEにより評価し、濃度をBCAアッセイにより決定した。VLPを40%のスクロース/PBS緩衝剤中-80℃で凍結させた。代替的に、哺乳動物細胞中で発現されたVLPはまた、以下に記載されるようにバキュロウイルス細胞中で発現され得る。
【0255】
[0265] 表1に列記される残りのVLPの製造のために、バキュロウイルス発現システムを使用した。以下のヒトノロウイルスGII.4メジャーなカプシドタンパク質配列をアライメントし、各々の位置における「コンセンサス」アミノ酸残基を決定することによりGII.4コンセンサスノロウイルスVLPアミノ酸配列を設計した:Houston/TCH186/2002/US(GenBank ABY27560.1)、Den Haag89/2006/NL(GenBank ABL74395.1)、およびYerseke38/2006/NL(GenBank ABL74391.1)。異なる残基が各々の配列中に見出されたアミノ酸位置において、Yerseke38配列中に見出されたアミノ酸残基を選択し、その理由は、3つの株の間でのコンセンサスを達成するためにより少ない置換が必要とされたからである。Spodoptera frugiperda Sf9細胞のためのコドン最適化を有する対応するVP1配列をコードする合成DNA断片をGeneArt(Regensburg、Germany)により合成し、VLPの発現のために組換えバキュロウイルス中に操作した。Sf9細胞に低い多重感染度(MOI)で感染させ、上清を感染の約5日後に採取した。製造後に、複数の直交クロマトグラフィー処理を使用してVLPを精製した。
【0256】
【表1】
【0257】
実施例2:マイクロスフェアへのノロウイルスVLPの連結
[0266] 連結のために使用されたマイクロスフェアはMagPlex(登録商標)マイクロスフェア(Luminex Corporation、Austin、Texas)であった。MagPlex(登録商標)マイクロスフェアは、表面カルボキシル基を有する超常磁性ポリスチレンマイクロスフェアである。マイクロスフェアを4~4.1mLの体積において1mL当たり1.2~1.3×10個のマイクロスフェア(マイクロスフェア/mL)の平均濃度で送達した。MagPlex(登録商標)マイクロスフェアは、いくつかの独特のリージョン(region)において利用可能であり、すなわちマイクロスフェアは、他の独特のリージョンのマイクロスフェアからマイクロスフェアを区別するために定義された放出シグナル(検出可能な標識)を有する1つまたは複数の蛍光色素を含む。表面カルボキシル基を伴う連結機構はマイクロスフェアの検出可能な標識から独立しているので、異なる独特のリージョンのMagPlex(登録商標)マイクロスフェアは、実験セットアップにおけるバリエーションに従って交換されてもよい。
【0258】
[0267] 特定の放出シグナル(異なる独特のリージョン/検出可能な標識)を有する1つまたは複数の蛍光色素を含む異なるマイクロスフェアを、実施例1の下で記載されるような異なるノロウイルスVLPの連結のために応用して、1つの試料内で分析された場合に連結されたVLPに従ってマイクロスフェアを区別する可能性(マルチプレックス能力)を得た。例えば、GI.1 VLPをリージョン14のMagPlex(登録商標)マイクロスフェア(カタログ番号MC10014-04、製造物ロットB65330)に連結し、GII.4/Sydney VLPをリージョン25のMagPlex(登録商標)マイクロスフェア(カタログ番号MC10025-04;製造物ロットB67632)に連結し、GII.4/コンセンサスVLPをリージョン47のMagPlex(登録商標)マイクロスフェア(カタログ番号MC10047-04、製造物ロットB69911)に連結した。
【0259】
マイクロスフェアへのノロウイルス抗原の連結のための一般的手順
[0268] MagPlex(登録商標)マイクロスフェア懸濁液(1.2~1.3×10マイクロスフェア/mL、Luminex Corporation、Austin、Texas)の未連結ストックをボルテックス(30秒)により再懸濁し、各々のストックの最大5×10個のマイクロスフェアを1.5mL微量遠心チューブに移し、1.5mLチューブ磁性分離器(Life Technologies、カタログ番号44578578)に入れた。懸濁液からのマイクロスフェアの分離は30~60秒間行った。チューブを依然として磁性分離器中に配置しながらマイクロスフェアペレットを破砕することなく上清を慎重に除去した。その後、チューブを磁性分離器から除去し、約20秒間のボルテックスおよび音波処理によりマイクロスフェアを蒸留HO(dHO)100μLに再懸濁した。チューブを再び磁性分離器に入れ、懸濁液からのマイクロスフェアの分離を30~60秒間行った。チューブを依然として磁性分離器中に配置しながらマイクロスフェアペレットを破砕することなく上清を除去した。マイクロスフェアを活性化緩衝剤(0.1Mリン酸ナトリウム(一塩基性)、pH 6.5)80μlに再懸濁し、20秒間のボルテックスおよび音波処理により混合した。次に、50mg/mL N-ヒドロキシスルホスクシンイミド(スルホ-NHS;40μLのdHO中2mgのスルホ-NHS;Thermo Fisher Scientific、カタログ番号A39269、ロット番号TJ272218)10μLを各々のマイクロスフェアチューブに加え、穏やかな混合をボルテックス(5秒)により実行した。さらに、50mg/mL 1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC;20μLのdHO中1mgのEDC;Thermo Fisher Scientific、カタログ番号A35391、ロット番号UD277513)10μLを各々のマイクロスフェアチューブに加え、穏やかな混合をボルテックス(5秒)により実行した。試料を回転下、室温で20分間インキュベートした。チューブを磁性分離器に入れ、懸濁液からのマイクロスフェアの分離を30~60秒間行った。チューブを依然として磁性分離器中に配置しながらマイクロスフェアペレットを破砕することなく上清を除去した。チューブを磁性分離器から除去した。マイクロスフェアを1×リン酸緩衝食塩水、PBS(無菌)300μLで2回洗浄し、約20秒間ボルテックスおよび音波処理した。
【0260】
[0269] (1×PBS中に希釈された)VLP 500μLを、活性化されたマイクロスフェアを含有するそれぞれの1.5mLチューブに移して、500μLの総体積中10個のマイクロスフェア当たりVLP 1.2μgの比を得た。連結のために、試料を回転下、室温で2時間インキュベートした。チューブを磁性分離器に入れ、懸濁液からのマイクロスフェアの分離を30~60秒間行った。チューブを依然として磁性分離器中に配置しながらマイクロスフェアペレットを破砕することなく上清を除去した。チューブを磁性分離器から除去し、マイクロスフェアをpH 7.4のPBS中の0.05%(v/v)Tween-20 500μLに約20秒間再懸濁した。チューブを磁性分離器に入れ、懸濁液からのマイクロスフェアの分離を30~60秒間行った。チューブを依然として磁性分離器中に配置しながらマイクロスフェアペレットを破砕することなく上清を除去した。チューブを磁性分離器から除去し、マイクロスフェアを20mMヒスチジン緩衝剤2.0mLに再懸濁した。
【0261】
[0270] 連結反応後に回収されたマイクロスフェアの数を、自動化細胞カウンター(Countess II、Thermo Fisher Scientific、カタログ番号AMQAX1000)を使用し、細胞カウンターにより提供される決定された「死細胞」濃度をマイクロスフェアに相関させることにより決定した。連結されたマイクロスフェアを暗所中2~8℃で貯蔵した。
【0262】
連結条件の最適化
[0271] 連結効率の他に、連結手順後の抗原の完全性は、様々な要因、例えば使用された緩衝剤および抗原量に依存する。連結手順の最適化は、抗原の3次元構造が妨げられないことを確実にするために重要である。緩衝剤条件は、使用される抗原のタイプに依存して変動し得る。
【0263】
[0272] したがって、異なる連結緩衝剤、NHSおよびEDCの量の他に、VLPの量を用いて、上述した一般的手順を実行した。1×PBS中での連結に加えて、pH 5、6、および7の50mM 2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)中でも連結を実行した。さらに、各々10μLのNHSおよびEDCの体積に加えて、25μLの体積もまた試験した。さらに、5×10個のマイクロスフェア当たりのVLPの量を変更した(3、10、30μgのVLP)。これらの改変以外は、連結を上記のように実行した。好適なポリクローナル抗体および対応する検出抗体を使用して実施例3の下で記載されるように非競合的アッセイセットアップにより連結有効性を評価した。GII.4/Sydneyの連結についての最適化を例示的に示す(表2および図1)。
【0264】
【表2】
【0265】
[0273] GII.4/Sydney VLPの連結は、条件5~8についてのみ効率的であり、例えば緩衝剤pHに依存して連結有効性における有意差を指し示した。
【0266】
[0274] 下記の実施例において使用されたマイクロスフェアへのノロウイルスVLPの連結について、上述した一般的手順(VLP 1.2μgならびに各々10μLのEDCおよびスルホ-NHSを含む1×PBS中)を主に実行し、その理由は、この手順はすべてのVLPのために効率的な連結を結果としてもたらしたからである。
【0267】
実施例3:非競合的マイクロスフェアイムノアッセイセットアップにおける抗体力価の決定
[0275] ヒト試料中の総抗ノロウイルス抗体量を決定するために、非競合的マルチプレックスマイクロスフェアイムノアッセイセットアップを開発した。簡潔に述べれば、ヒト血清試料を異なるマイクロスフェアの混合物とインキュベートし(「マルチプレックス」セットアップ)、ここで、各々のマイクロスフェアを異なるノロウイルスVLPに連結して、対応するノロウイルスVLPに、試料中のノロウイルス反応性Abを結合させた。その後、フィコエリトリン(PE)に連結された対応する検出抗体を使用して総IgG、IgA、およびIgM量を決定した。その文脈における「総」(Total)は、非競合的マイクロスフェアイムノアッセイが、対応するノロウイルスVLPに結合する能力を有する試料中のAbの本質的にすべてまたは大部分を検出することを意味する。
【0268】
[0276] このアッセイセットアップは、単一もしくは複数のノロウイルス感染後またはノロウイルスに対するワクチン接種後の完全な急性および回復期免疫応答の評価および特徴付けを可能とする。その文脈における「完全な」は、決定された免疫応答が、決定された「総」抗体力価または抗体量により特徴付けられることを意味する。免疫状態を決定することにより、自然感染およびワクチン接種は区別されてもよい。追加的に、経時的な免疫応答の進行および免疫状態の変化が分析され得る。アッセイは、保護された個体からの抗体力価と比較することにより抗体力価が保護的であるか否かを決定するためにさらに好適であり得る。さらに、アッセイは、ある特定のノロウイルスタイプによる感染後またはワクチン接種後の経時的な交差反応性抗体応答をモニターすることを可能にする。追加的に、アッセイは、第2のまたはさらなるノロウイルス感染後の抗体パターンの変化の評価を可能とする。アッセイはアイソタイプ特異的応答(IgM、IgA、IgG)の間の区別ができるので、いずれのアイソタイプが、感染もしくはワクチン接種後の免疫状態についての最良の指標であり得るのかを分析すること、またはノロウイルス感染もしくはワクチン接種後にアイソタイプの一時的な出現があるかどうかを決定すること(例えばIgMは一般に第1の指標である)も可能である。さらに、アッセイは、乳児への母体抗体の受動的な移行の特徴付けのために好適である。
【0269】
一般的方法
[0277] ヒト試験試料(例えばヒト血清試料)および対照血清試料(Bioreclamation、カタログ番号HUMANSRM1800041)を試験に先立って56±1℃の水浴中で30±1分間、熱不活性化した。熱不活性化後に、試料をボルテックスし、氷上に置いた後にアッセイ緩衝剤、すなわち1%ウシ血清アルブミン(BSA)を含むリン酸緩衝食塩水(PBS)中に希釈した。アッセイ緩衝剤の調製のために、BSAを10%ストック(Thermo Fisher、カタログ番号37525)からPBS(Gibco、カタログ番号10010-023)中に希釈した。試料を段階希釈して、100、400、1600、6400、25600、102400、409600、および1638400倍の希釈液を得た。希釈当たり各々100μLを96ウェルプレート(ポリスチレン硬質黒色平底マイクロプレート、Corning、カタログ番号3915)中の2連のウェルにプレーティングした。次に、対応するノロウイルスVLP連結マイクロスフェアを希釈し、ボルテックスにより混合して、アッセイ緩衝剤中の各々のノロウイルスVLPについて10~30マイクロスフェア/μLの最終濃度を得た。応用される異なるマイクロスフェアタイプの数(例えばデュプレックス、トリプレックス、またはクアドルプレックスセットアップ)に依存して、各々のマイクロスフェアタイプの濃度を調整する。例えば、デュプレックスセットアップにおいて、マイクロスフェアタイプ当たりのより高いマイクロスフェア濃度が使用され得る一方、20プレックスセットアップにおいて、マイクロスフェアタイプ当たりの濃度はより低く、その理由は、マイクロスフェアの総量はある特定の最大を上回るべきでないからである。その後、50μL/ウェルのマイクロスフェア混合物をプレートに加えて150μLの総体積を得た。プレートをホイルプレートシール(Thermo Fisher、カタログ番号AB0558)でシールし、2~8℃で21±3時間インキュベートした。代替的に、プレートは、600rpmのプレートシェーカー上、室温で90±5分間インキュベートされ得る。
【0270】
[0278] 次の工程において、検出抗体を検出のために加えた。好適な検出抗体は、ヒトIgG、IgM、およびIgAと反応するフィコエリトリン(PE)にコンジュゲートされたヤギ抗ヒト汎Ig抗体(Southern Biotech、カタログ番号2010-09、ロット番号C2117-SG98)、ならびにPEにコンジュゲートされたヤギ抗ヒトIgG、IgA、およびIgM抗体(Southern Biotech、それぞれカタログ番号2040-09、2050-09、2020-09)であった。すべての抗体は、0.1%アジ化ナトリウムおよび安定化剤を含有するPBS中0.5mg/mLのストック濃度で送達した。検出抗体をアッセイ緩衝剤中に1:25(ヤギ抗ヒト汎Ig抗体)または1:50(ヤギ抗ヒトIgG、IgA、およびIgM抗体)で希釈した。インキュベーション後に、磁石を有するプレートウォッシャー(磁気プレート分離器、BioTek、EL-406 / 405-TS)を使用して洗浄緩衝剤(0.05% Tween-20を含むPBS)でプレートを洗浄した。ウェル当たり50μLの希釈された検出抗体を加え、プレートを再びホイルプレートシールを使用してシールした。プレートを、600rpmに設定されたプレートシェーカー上、室温で60±5分インキュベートした。インキュベーション後に、上述した洗浄緩衝剤を使用してプレートを再び洗浄した。最後に、95μL/ウェルのシース液(Luminex Corp.、カタログ番号40-50000)または100μL/ウェルのアッセイ緩衝剤を加え、プレートを再びホイルプレートシールでシールし、分析まで600rpmで振盪した。シース液はより高プレックスのセットアップのために好ましく、その理由は、それはマイクロスフェアの凝集の低減を助けるからである。代替的に、シース液を含むプレートを翌日の分析のために2~8℃で終夜貯蔵してもよい。プレートを2~8℃で貯蔵した場合、分析に先立って少なくとも30分間、室温で600rpmでプレートを振盪した。
【0271】
[0279] 異なるマイクロスフェアの各々についてのマイクロスフェアカウントを50および試料体積をウェル当たり50μLに設定して、xPONENT 4.2 softwareと共にFlexMap 3D Luminex Plate Reader(Luminex Corp、FM3D)を使用してプレートを分析した。さらに、機器の取得設定を30秒のタイムアウトとし、ゲーティングを7500~15000に設定し、報告される取得を増強PMT(high)に設定した。記録されたメジアン蛍光強度(MFI)データを重複物から平均し、Prism(バージョン7.02、GraphPad)を使用してさらに分析した。各々のノロウイルスVLPについてx軸上の対応するlog10変換された血清希釈に対してy軸上に平均されたMFI値をプロットした。4パラメーター曲線フィット分析を行った。得られた50%有効濃度(EC50)を曲線から補間し、試料力価として報告した。
【0272】
20プレックスアッセイセットアップ
[0280] ヒト血清試料を20プレックスアッセイセットアップにおいて分析した。20プレックスアッセイセットアップにおいて使用したノロウイルスVLPは、GI.1、GI.2、GI.3、GI.4、GI.5、GI.6、GI.7、GII.1、GII.2、GII.3、GII.4/コンセンサス、GII.4/Den Haag、GII.4/Yerseke、GII.4/New Orleans、GII.4/Sydney、GII.6、GII.7、GII.12、GII.17/1978、およびGII.17/2015であった(表1を参照)。実施例1および2の下で記載されるようにVLPを調製し、マイクロスフェアに連結させた。20プレックスアッセイセットアップは、一般的方法について上述したように実行した。20プレックスアッセイセットアップのために、10マイクロスフェア/μLの、異なるノロウイルスVLPに連結された各々のマイクロスフェアを応用し、VLPおよび血清希釈液を2~8℃で21±3時間インキュベートし、95μL/ウェルのシース液(Luminex Corp.、カタログ番号40-50000)を分析前に加えた。上述したようにヤギ抗ヒトIgG、IgA、およびIgM抗体を使用してIgG、IgA、およびIgMを分析した。アッセイの定量下限(LLOQ)は、IgG、IgAおよびIgMについて59、61および11であると決定された。
【0273】
[0281] 対象#1および#2の血清試料ではプラトーに達しなかったので(図2~4)、良好な4パラメーターフィットを可能とするために、曲線の最上部をIgGおよびIgMについて300,000MFIならびにIgAについて200,000MFIにそれぞれ制限した。EC50値を対象#1の試料について表3に例示的に提示する。ノロウイルスに対する対象#1および#2の正確な曝露パターンは、試験に先立って知られていなかった。
【0274】
【表3】
【0275】
[0282] 要約すると、20プレックスアッセイセットアップは、20の異なるノロウイルスVLPに対するアイソタイプG、M、およびAについての抗体力価の信頼できる測定を可能にした。対象#1および#2の両方からの試料についてのVLPの大部分について、IgG力価が最も高く、続いてIgAおよびIgM力価であった。20プレックスアッセイセットアップは、各々のアイソタイプについて17%を下回る変動係数(CV)を有する良好なアッセイ間およびアッセイ内精度ならびに各々のアイソタイプについて2~5%の範囲内のCVを有する良好な再現性を示した。
【0276】
[0283] 20プレックスアッセイが経時的な免疫状態における変化を追跡するために好適であるかどうかをさらに評価するために、および母体抗体の他に、乳児におけるノロウイルス感染パターンを評価するために、生後2、3、および12か月で採取した乳児からの血清試料を分析した。
【0277】
[0284] 対象#Aは、最初の12か月の間にノロウイルス感染を有しない小児について予想されたパターンを有した(表4)。2か月時のIgG力価は、これらの力価は経時的に減衰するので母体抗体を構成する(3および12か月を参照)。追加的に、IgAもしくはIgM力価は検出されなかったか、または非常に低いものに過ぎないIgAもしくはIgM力価が検出されたが、これはそれらは母親から伝達されないからである。すべてのVLPについて、力価は12か月までに減衰し、ノロウイルスへの感染または曝露の指標となるであろう明確な増加をいずれも示さなかった。
【0278】
【表4】
【0279】
[0285] 対象#Bもまた、調べたすべてのノロウイルスタイプに対して反応性の母体抗体(IgG)を2か月時に示した(表5)。対象#Aと同様に、2436の力価まで増加したGI.7に対するIgG抗体を除いて、IgGレベルは12か月の経過にかけて低下した。IgGの増加はGI.7 VLPに限定されるので、そのようなパターンは、GI.7ノロウイルスによる感染を示唆するであろう。
【0280】
【表5】
【0281】
[0286] さらに、出生コホートからの小児血清試料を20プレックスアッセイセットアップで評価した。コホート中の小児を急性胃腸炎について追跡し、症候性疾患が見出された場合にノロウイルス感染について試験した。試験は、特有の小児がいずれのノロウイルス遺伝子型に感染したのかを明らかにしたので、20プレックスアッセイの結果は、確認された感染と比較され得る。
【0282】
[0287] 対象#Cは、9か月時にGII.12感染と診断され、感染の4か月前および9か月後に収集された試料を試験した(表6)。IgGおよびIgAの両方は、感染後のGII.12 VLPに対する明確な増強を示し、アッセイは、特有のノロウイルス遺伝子型による感染を特異的に同定する能力を有することを裏付けた。IgG力価について試験した場合に5か月時に母体抗体の証拠があるが、これらはほとんどのVLPについて18か月までに減少した。GII.12についてのIgG力価は、感染に起因して18か月時に非常に高い(7624)。
【0283】
【表6】
【0284】
[0288] 対象#Dは、約6.5か月齢においてGII.4 Sydney感染と診断され、感染の1.5か月前および5.5か月後に収集された試料を試験した(表7)。GII.4 Sydneyに対するIgG力価は12か月時に著しく増加した。追加的に、予想されたように、他のGII.4に対する力価もまた交差反応性に起因して増加した。さらに、GII.12に対する非常に高いIgG力価もまた12か月時に検出された。これは、小児は2回の採取日の間にノロウイルスGII.12にも感染したことを示唆する。GII.12の感染は同定されなかったが、小児が症候性疾患を有する場合のみ感染は評価された。結果は、小児は実際にGII.12に感染したが、その感染は無症候性であったことを指し示す。追加的に、GII.12およびGII.4 Sydneyに対して検出された力価よりも全体的に低かったが、IgG力価の増加がいくつかの他のGII VLP(例えば、GII.17など)について検出された。それらのノロウイルスへの追加の曝露の可能性もあるが、これらの増加したIgG力価は交差反応性抗体からの結果であると考えられる。複数のVLPに対する交差反応性の増強は、複数の異なるノロウイルスタイプへの曝露により促進されると考えられる。そのため、成人は一般に小児よりもノロウイルス疾患に対してはるかに低い感受性であり、これは成人は、増加した数の異なるノロウイルスに曝露されており、交差反応性抗体の数も増加させているからである。
【0285】
【表7】
【0286】
[0289] 結果は、20プレックスアッセイセットアップは疾患を引き起こしたノロウイルス感染を同定できることを裏付けるが、無症候性感染が検出され得ることも指し示す。症候性および無症候性感染に対する小児における抗体応答の他に、交差反応性応答の進化に関する情報は、疾患からの保護を指し示し得るパターンを同定するため、および追加的にワクチン接種に対する応答を評価するために価値がある。
【0287】
実施例4:競合的マイクロスフェアイムノアッセイセットアップにおける抗体力価の決定
[0290] ヒト試料中の特定のノロウイルス反応性抗体の量を決定するために、競合的シングルまたはマルチプレックスマイクロスフェアイムノアッセイセットアップを開発した。簡潔に述べれば、ヒト血清試料を、異なるノロウイルスVLPに連結された1つまたは複数の異なるマイクロスフェアとインキュベートして、対応する1つまたは複数のノロウイルスVLPに、試料中のノロウイルス反応性Abを結合させた。その後、VLP結合について試料中の特定のノロウイルス反応性抗体と競合させるために1つまたは複数の異なる抗ノロウイルスレポーター抗体を加えた。次に、レポーター抗体に対して方向付けられたフィコエリトリン(PE)に連結された二次レポーター抗体を加えて、VLPに結合したレポーター抗体の量を検出した。それにより、VLP結合についてレポーター抗体と競合する試料中の特定のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量が決定され得る。代替的に、PEでのレポーター抗体の直接的な標識化もまた可能であり、それにより、二次レポーター抗体を応用する必要性が回避される。その文脈における「特定の」は、試料中の検出されたノロウイルス反応性抗体がVLP結合についてレポーター抗体と競合する能力を有することを意味する。
【0288】
[0291] このアッセイセットアップは、単一もしくは複数のノロウイルス感染後またはノロウイルスに対するワクチン接種後の特定の急性および回復期免疫応答の評価および特徴付けを可能とする。特定の免疫状態を決定することにより、自然感染およびワクチン接種が区別され得る。追加的に、経時的な特定の免疫応答の進行および特定の免疫状態の変化が分析され得る。保護された個体からの特定の抗体の力価と比較することにより特定の抗体の力価が保護的であるか否かを決定するためにアッセイはさらに適する。さらに、アッセイは、交差反応性レポーター抗体の応用によりある特定のノロウイルスタイプによる感染またはワクチン接種後に経時的に交差反応性抗体応答をモニターすることを可能にする。追加的に、アッセイは、第2のまたはさらなるノロウイルス感染後の特定の抗体のパターンにおける変化を評価することを可能にする。ノロウイルス中和および/またはノロウイルス遮断レポーター抗体が応用される場合、試料中のノロウイルス中和および/またはノロウイルス遮断抗体もまた検出可能であり、その理由は、ノロウイルス中和および/またはノロウイルス遮断レポーター抗体と競合する抗体は中和性および/または遮断性でもある可能性が最も高いからである。
【0289】
実施例4.1:マウスにおける抗GII.4/SydneyレポーターmAbの製造およびその特徴付け
[0292] 第1の工程において、GII.4/Sydneyノロウイルスに対して方向付けられたレポーター抗体(表1を参照)を製造した。
【0290】
免疫化およびハイブリドーマ製造
[0293] したがって、アジュバントとして水中油エマルション(Sigma Adjuvant System、Sigma Aldrich、カタログ番号S6322-1VL)および媒体としてヒスチジン緩衝剤を使用して4匹の雌CD2F1マウスをGII.4/Sydney VLP(5μg/用量)で免疫化した。このアジュバントは、マウスにおける使用のために設計され、免疫系に対する強力な刺激を提供する細菌およびマイコバクテリウム細胞壁構成要素に由来する。各々のアジュバントバイアルは、2%の油(スクアレン)-Tween-80-水中にSalmonella minnesotaからのモノホスホリルリピドA(解毒されたエンドトキシン)0.5mgおよび合成トレハロースジコリノミコラート0.5mgを含有する。0、3、7、10、14、18、21、および28日目に、足蹠と同じリンパ節に排出する非体重負荷構造である、足首のすぐ上の外側足根領域である踵関節に免疫原を注入した(Kamala、J.Immunol.Methods 2007、328(1-2):204~214頁)。
【0291】
[0294] 28日目に、脾臓および膝窩リンパ節を採取し、B細胞を組織摩砕および洗浄により単離した。エレクトロポレーションを使用してB細胞をP3U1骨髄腫細胞と融合させた。融合した細胞の選択のためにHAT(ヒポキサンチン-アミノプテリン-チミジン)培地中で細胞を継代した。1036個のコロニーを選択し、各々のコロニーをさらに継代した。
【0292】
ELISAを使用した一次抗原結合スクリーニング
[0295] GII.4/Sydney VLP被覆プレートを使用して酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)においてハイブリドーマ上清をスクリーニングした。非希釈の上清をプレートに加え、室温で1時間インキュベートした。インキュベーション後に、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)に連結されたヤギ抗マウスAbおよび基質としての2,2’-アジノ-ビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸(ABTS)を使用してmAb結合を検出した。明確な陽性シグナルであると考えられる0.4より高いOD値を結果としてもたらした55個のハイブリドーマクローン上清を繁殖のために選択した。陽性対照として、終末期マウス出血からの血清を含めた。第2のスクリーニングにおいて、プレートに被覆されたGII.4/Sydneyおよび追加的にGII.4/コンセンサスVLPを使用して、上記のようにELISAにおいて55個のハイブリドーマ細胞の上清を試験した。GII.4/SydneyおよびGII.4/コンセンサスVLPへの結合を示した40個のハイブリドーマクローンをさらなる特徴付けのために選択した。
【0293】
PGM遮断アッセイにおけるmAbの一次評価
[0296] 選択されたハイブリドーマ上清を、以前(Haynesら、Viruses 2019、11、392、doi:10.3390/v11050392)に記載されたようにブタ胃ムチン(PGM)遮断アッセイにおいてさらにスクリーニングした。簡潔に述べれば、Maxisorpプレート(Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA、USA)をPBS(Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA、USA)中のPGMの5μg/mL溶液(Sigma-Aldrich、Natick、MA、USA)100μLで4℃で終夜、または37℃で1時間被覆した。被覆後に、プレートを300μL/ウェルのPBSおよび0.05% Tween 20(PBST)で3回洗浄し、次に200μL/ウェルのStartingBlock(PBS)Blocking Buffer(Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA、USA)を用いて室温で1時間遮断した。プレートを使用の前にPBSTで3回洗浄した。非希釈のハイブリドーマ上清をそれぞれGII.4/Sydney、GII.4/コンセンサス、GII.4/Yerseke、GII.17/2015、およびGI.1 VLP(表1を参照)と混合し、22℃で終夜インキュベートした。混合物を、VLP単独対照を含むPGM被覆プレートに移し、インキュベーションを22℃または37℃で1時間実行した。PBSTでの3回の洗浄後に、対応するVLPに特異的な検出抗体を加え、プレートを室温で1時間インキュベートし、次にPBSTで3回洗浄した。ヤギ抗ウサギIgG-HRP(Southern Biotech、Birmingham、AL、USA;#4030-05)二次抗体を次に加え、インキュベーションを室温で1時間実行した。3回の洗浄後に、酵素基質(ABTS、KPL)を加え、室温で12分間反応させた。ABTS Peroxidase Stop Solution(KPL)を次に加え、SoftMax Pro Software(Molecular Devices、Downingtown、PA、USA)を使用してMolecular Devicesプレートリーダーにおいて450nmの波長でプレートを読み取って各々のウェルの光学密度(OD)を得た。VLP遮断のパーセンテージをVLP単独対照からのOD値を参照して算出した(表8)。mAbのいずれもGI.I/Norwalk VLPの結合を遮断せず、これらのAbは遺伝子型群にわたり交差反応性でないことを示唆した。GII.4/Sydney VLPに対する強い結合が観察された。さらに、すべてのmAbはGII.4/コンセンサスVLPの結合を遮断した。
【0294】
【表8-1】
【0295】
【表8-2】
【0296】
抗体精製
[0297] ハイブリドーマ上清からの抗体精製のために、リン酸緩衝食塩水(PBS;Gibco 14190-144)中のProtein A Sepharose(GE 17127903)の50%スラリーを調製した。アイソタイプIgG2a、2b、および3の場合にスラリー600μLを引き続いてハイブリドーマ上清50mLに加えた。代替的に、IgG1の場合に、Protein A MAPSII binding buffer(BioRad 153-6161)25mLと混合されたスラリー300μLをハイブリドーマ上清25mLに加えた。試料を終夜4℃でインキュベートし、翌日に1800rpmで5分間遠心分離した。上清を除去し、Unifilter(24Well 10mL GE 7700-9904 15057065)およびMAPSII binding buffer(IgG1)またはPBS(他のアイソタイプ)のいずれかを使用してビーズを洗浄した。溶出は、0.1Mグリシン、0.3M NaCl、pH 3.0で実行した。最後に、Amicon Ultra 15 MWCO 30kDa濃縮装置を使用して緩衝剤をPBSに交換した。280nmでの吸光度を測定することにより抗体濃度を決定した。
【0297】
エピトープビニング
[0298] 標準的な手順に従ってOctet systemを使用してバイオレイヤー干渉法(BLI)を用いて40個のmAbのうちの35個のエピトープビニングを行った。BLIのために、精製された抗体を応用した(精製についての上記のセクションを参照)。BLI技術は、特定の抗原上の別個のエピトープの結合を指し示すビンにAbを特徴付けおよび選別することを可能とする。簡潔に述べれば、第1のmAb(20μg/mLのストック濃度)を抗マウスIgG Fc Capture(AMC)バイオセンサー上に固定化した。マウスポリクローナルIgG対照(50μg/mLのストック濃度)を使用して遮断を行った。GII.4/Sydney VLP(1μg/mLのストック濃度)を第2のmAb(40μg/mLのストック濃度)と1:16(w/w)のVLP対mAbの比でインキュベートした。その後、この混合物をバイオセンサーに加え、応答を測定した。追加的に、第2のmAbとのインキュベーションなしでVLPのみを使用した対照を含めた。第2のmAbとプレインキュベートされたVLPとのインキュベーションによる結合応答をVLPのみとのインキュベーションによる結合応答で割ることにより各々のmAbについての結合値を算出した。分析は4つのビンへのmAbのクラスタリングを明らかにし(図5)、10個のmAb(02A04、04H04、05A04、05A05、05B08、06F05、08A08、08B04、11F03、08C09)をさらなる評価のために選択した。
【0298】
PGM遮断アッセイにおける選択されたmAbの評価
[0299] エピトープビニングから選択された10個の精製されたmAbを、ノロウイルスVLPのより大きいパネルを使用してPGM遮断アッセイ(Haynesら、Viruses 2019、11、392、doi:10.3390/v11050392)において再びスクリーニングした。追加的に、2つのヒトmAb(配列情報について、添付文書セクションが参照される;2つのmAbに関して、Lindesmithら、Immunity 2019、50:1530~1541頁が参照される(A1227およびA1431))を含めた。追加的に、10個の選択されたmAbおよびヒトmAbを使用して上述したようにエピトープビニングを行った(図6)。
【0299】
[0300] mAbを段階希釈し、GII.6、GII.17/2015、GII.4/Sydney、GII.4/Yerseke、GII.4/コンセンサス、GII.4/Den Haag、GII.4/Houston、およびGII.4/New Orleans VLPの各々と22℃で終夜インキュベートしたことを除いて、PGM遮断アッセイを上記のように行った。翌日、VLPとインキュベートされた対応する希釈液をPGM被覆プレートに移した。ODデータを曲線フィットし、プレートについての最大ODの1/2で補間された上清希釈として遮断力価を算出した。遮断力価は、PGMへのVLP結合における50%の低減を生成する上清希釈を表す。プレートについての最大ODは、VLPのみの対照から算出した。遮断力価(表9)は、クローン06F05、11F03、および05A04はGII.4/Sydney VLPの結合を強く遮断することを示す。クローン06F05は、GII.4/コンセンサスVLPに対する類似した遮断力価を追加的に示した。GII.4/コンセンサスVLPを認識する能力によりヒトモノクローナル抗体を選択したことから予想され得るように、GII.4/コンセンサスVLPについてのヒトmAb 1431についても高い遮断力価が観察された。
【0300】
【表9】
【0301】
マイクロスフェアイムノアッセイセットアップにおける選択されたmAbの評価
[0301] エピトープビニング実験から選択された10個のmAb(02A04、04H04、05A04、05A05、05B08、06F05、08A08、08B04、11F03、08C09)ならびに2個のヒトmAb 1431および1227を、異なるノロウイルスVLPを使用するマルチプレックスマイクロスフェアイムノアッセイセットアップにおいて異なるノロウイルスVLPへの結合についてさらに評価した。
【0302】
[0302] 実施例2の下で記載されるようにVLP連結マイクロスフェアを調製した。連結されたマイクロスフェアのストックをアッセイ緩衝剤(1倍PBS中の1%(w/v)BSA、pH 7.4)中30マイクロスフェア/μLの最終濃度に希釈することにより作業用マイクロスフェア混合物を調製した。作業用混合物をさらなる使用まで室温で保った。モノクローナル抗体をアッセイ緩衝剤中37.5μg/mLに希釈した。ウェル当たり125μLの希釈されたモノクローナル抗体を黒色平底96ウェルプレート(Corning Inc.)の第1の列に加え、ウェル当たり100μLのアッセイ緩衝剤を残りのウェルに加えた。25μLを列1から列2へなどと移すことによりモノクローナル抗体をプレートの間で段階希釈した。50μL/ウェルのマイクロスフェア作業用混合物をプレートのすべてのウェルに加えた。プレートをホイルシーリングシートで覆い、600rpmのプレートシェーカー上、室温で60分(±5分)間インキュベートした。インキュベーション後に、アッセイプレートを磁気プレートウォッシャー(BioTek Instruments,Product Id.400072)中PBS-T(PBS中の0.05%(v/v)Tween-20、pH 7.4)で2回洗浄した。プレートを96-well plate magnet(Life Technologies、Product Id.32513)中に置き、プレートを覆いながら30秒間インキュベートした。インキュベーション工程後に、上清を除去した。検出のために、R-PE AffiniPure F(ab’)断片ヤギ抗マウスIgG検出Ab(重鎖および軽鎖;Jackson ImmunoResearch、カタログ番号115-116-146、ロット番号143867、0.5mg/mL)をアッセイ緩衝剤中に1:100で希釈し、5秒間ボルテックスすることにより5μg/mLの最終作用濃度を達成した。希釈された検出Ab 100μLを各々のウェルに加えた。プレートをホイルシーリングシートで覆い、600rpmのプレートシェーカー上、室温で1時間(±2分)インキュベーションを実行した。アッセイプレートを磁気プレートウォッシャー中PBS-Tで2回洗浄した。洗浄工程後に、プレートを96-well plate magnet中に置き、プレートを覆いながら30秒間インキュベートした。インキュベーション工程後に、上清を除去した。マイクロスフェアをウェル当たり100μLのアッセイ緩衝剤に再懸濁した。この時点において、ホイルシーリングシートでシールされたプレートの4℃で終夜の貯蔵が可能である。試料リードアウトに先立って、4℃で終夜貯蔵された場合に、プレートを20分間(±5分)室温に再平衡化させる。マイクロスフェアの完全な再懸濁を可能とするためにプレートを600rpmのオービタルシェーカー上に少なくとも5分間置いた。最後に、プレートをマルチプレックス用MAGPIX(登録商標)プレートリーダー(Luminex Corporation、Austin、Texas)中に置いた。使用したプログラムはxPONENT(登録商標)(Build 4.2.1705.0)であり、試料体積:50μL/ウェル;プレートプロトコール:96ウェルプレートフォーマット;およびマイクロスフェアプロトコール:Map、BP 50 regions、Type MagPlexでセットアップする。マイクロスフェアカウントを50に設定し、すなわち機器はマイクロスフェアタイプ当たり少なくとも50個のマイクロスフェア(例えばGII.4/コンセンサスに連結された少なくとも50個のマイクロスフェア)を分析した。
【0303】
[0303] GraphPad Prism 8 version 8.1.0(GraphPad Software,Inc)を使用してデータを分析およびプロットした。mAbの結合曲線をGII.4/Sydney VLPについて例示的に示す(図7)。用量応答曲線によるシグモイドフィッティング(Sigmoidal、4PL、X=Log(濃度))をメジアン蛍光強度(MFI)の対数変換および補間分析により実行した。非線形回帰のために使用された等式は「log(アゴニスト)vs.応答-可変勾配」であった。すべての調べたノロウイルスVLP連結マイクロスフェアと組み合わせて各々のmAbについてEC50(mAbの50%が抗原連結マイクロスフェアに結合する有効濃度)値を算出した(表10)。
【0304】
【表10】
【0305】
[0304] GI.1 VLP、GI.2 VLP、GI.3 VLP、GI.4 VLP、GI.5 VLP、GI.6 VLP、およびGI.7 VLPに対してそれぞれ0.003、0.002、0.002、0.002、0.001、0.002、および0.021μg/mLのEC50値を提供したヒトmAb 1227の例外と共に、遺伝子型群I(GI.1、GI.2、GI.3、GI.4、GI.5、GI.6、およびGI.7)の任意のノロウイルスVLPへのmAbの結合が不十分であるかまたは存在しないことに起因してシグモイドフィッティングは可能でなかった。すべてのmAbはGII.4/Sydney/2012 VLPに対する強い結合を示した。
【0306】
実施例4.2:抗GII.4/SydneyレポーターmAbを使用したシングルプレックス競合的マイクロスフェアイムノアッセイセットアップにおけるヒト血清試料の評価
[0305] エピトープビニングから選択された10個のmAb(02A04、04H04、05A04、05A05、05B08、06F05、08A08、08B04、11F03、08C09)(実施例4.1を参照)を、GII.4/Sydney VLP連結マイクロスフェアを使用したシングルプレックス競合的マイクロスフェアイムノアッセイセットアップにおいて異なる商用のヒト血清(Bioreclamation IVT カタログ# HUMANSRM1800041、Westbury、NY)の評価のためにさらに使用した。その文脈におけるシングルプレックスは、ウェル当たり1つのVLPおよび1つのレポーターmAbが応用されることを意味する。血清ドナーは、ノロウイルスに曝露されていてもよい、ワクチン接種を受けていないドナーであった。
【0307】
[0306] 遮断力価(表11)を決定するためにGII.4/Sydney VLPおよび血清の段階希釈液を使用して、実施例4.1「PGM遮断アッセイにおける選択されたmAbの評価」の下で記載されるようにPGM遮断アッセイを用いて血清試料を予備特徴付けした。遮断活性に基づいて、番号797を陰性対照として割り当てた。
【0308】
[0307] 実施例1および2の下で記載されるようにGII.4/Sydney VLP連結マイクロスフェアを調製した。連結されたマイクロスフェアのストックをアッセイ緩衝剤(1倍PBS中の1%(w/v)BSA、pH 7.4)中30マイクロスフェア/μLの最終濃度に希釈することによりマイクロスフェア作業用混合物を調製した。作業用混合物をさらなる使用まで氷上で保った。ウェル当たり30μLの非希釈ストック血清を黒色平底96ウェルアッセイプレート(Corning Inc.)の列1に加えた。ウェル当たり120μLのアッセイ緩衝剤を列1中のすべてのウェルに、およびウェル当たり100μLを残りのプレートに加えた。50μLを行Aから取り行Bに加えるなどにより血清をプレートの下へ1:3で希釈した。最後の50μLは廃棄した。平均蛍光強度(MFI)の上限およびVLPへのmAbの最大結合を測定するためにアッセイ緩衝剤100μLをプレートの最後の列にピペットで加えることにより、血清を含まないモノクローナルのみの対照を含めた。次に、マイクロスフェア作業用混合物50μLをプレートのすべてのウェルに加えた。プレートをホイルシーリングシートで覆い、4℃で終夜インキュベートした。血清試料とのインキュベーション後に、マイクロスフェアを磁気プレートウォッシャー中PBS-Tで2回洗浄した。
【0309】
[0308] mAbをアッセイ緩衝剤中で0.05μg/mLに希釈した。ウェル当たり100μLの希釈されたmAbをすべてのウェルに加えた。追加の混合は行わなかった。プレートをホイルシーリングシートで覆い、600rpmのプレートシェーカー上、室温で1時間±5分間インキュベートした。インキュベーション後に、アッセイプレートを磁気プレートウォッシャー中PBS-Tで2回洗浄した。プレートを96-well plate magnet中に置き、プレートを覆いながら30秒間インキュベートした。インキュベーション工程後に、上清を除去した。マウスmAbの検出のために、R-PE AffiniPure F(ab’)断片ヤギ抗マウスIgG(重鎖および軽鎖;Jackson ImmunoResearch、カタログ番号115-116-146、ロット番号143867、0.5mg/mL)検出Abを応用した。検出Abをアッセイ緩衝剤中に1:100で希釈し、5秒間ボルテックスすることにより5μg/mLの最終作用濃度を達成した。希釈された検出Ab 100μLを各々のウェルに加えた。プレートをホイルシーリングシートで覆い、600rpmのプレートシェーカー上、室温で1時間(±5分)インキュベーションを実行した。アッセイプレートを磁気プレートウォッシャー中PBS-Tで2回洗浄した。洗浄工程後に、プレートを96-well plate magnet中に置き、プレートを覆いながら30秒間インキュベートした。インキュベーション工程後に、上清を除去した。マイクロスフェアをウェル当たり100μLのアッセイ緩衝剤に再懸濁した。この時点において、ホイルシーリングシートでシールされたプレートの4℃で終夜の貯蔵が可能であった。試料リードアウトの前に、4℃で終夜貯蔵された場合に、プレートを20分間(±5分)室温に再平衡化させた。マイクロスフェアの完全な再懸濁を可能とするためにプレートを600rpmのオービタルシェーカー上に少なくとも5分間置いた。プレートをマルチプレックス用MAGPIX(登録商標)プレートリーダー(Luminex Corporation、Austin、Texas)中に置いた。50μL/ウェルに設定された試料体積;プレートプロトコール:96ウェルプレートフォーマット;およびマイクロスフェアプロトコール:Map、BP 50 regions、Type MagPlexと共にxPONENT(登録商標)(Build 4.2.1705.0)プログラムを使用した。マイクロスフェアカウントを50に設定し、すなわち機器はマイクロスフェアタイプ当たり少なくとも50個のマイクロスフェアを分析した。
【0310】
[0309] GraphPad Prism 8 version 8.1.0(GraphPad Software,Inc.)を使用してデータを分析およびプロットした。最初に、モノクローナルのみの対照のすべての値の平均を算出した。すべての血清についてのMFI値の非線形回帰フィット[Sigmoidal、4PL、X=Log(血漿希釈)]を行い、データをモノクローナルのみの対照の値の50%で補間した。これらの値を表11において補間力価として報告した。競合曲線をmAb 11F03について例示的に示す(図8)。補間力価は、マイクロスフェアに連結されたノロウイルスVLPへのmAbの結合を遮断する各々の血清の能力の指標となる。抗ノロウイルスAbが試料内に存在しないので、血清希釈から独立した高い程度のmAb結合を指し示す陰性対照血清番号797について補間は可能ではなかった。対照的に、アッセイセットアップを検証して、ノロウイルス特異的Abが試料中に存在することが予想されたので、ノロウイルスに予め曝露されたドナーからのヒト血清試料についてより高い力価が予想された。いくつかの試料は、mAbのすべてまたはほとんどに対して遮断を示し(例えば番号799、798、および802)、複数のタイプの選択的なかつ/または交差反応性の抗体が試料内に存在することを指し示した。
【0311】
【表11】
【0312】
[0310] PGM遮断アッセイにおいて決定された遮断力価は、競合的マイクロスフェアイムノアッセイにおいて決定された補間力価と良好に相関し(表11)、競合的マイクロスフェアイムノアッセイはPGM遮断アッセイと類似したデータアウトカムを提供することを指し示した。PGM遮断アッセイとは対照的に、競合的マイクロスフェアイムノアッセイセットアップは、例えば、特定のVLPに限定されず、複数のVLPの並列のスクリーニングを可能にし、それにより試料分析を促進および加速させる。
【0313】
実施例4.3:抗GI.1および抗GII.4/コンセンサスレポーターmAbを使用したシングルプレックス競合的マイクロスフェアイムノアッセイセットアップにおけるヒト血清試料の評価
[0311] 次の工程において、シングルプレックス競合的マイクロスフェアイムノアッセイ(実施例4.2)およびそれぞれ17-1-1または4-1-3と呼称される抗GI.1または抗GII.4/コンセンサスmAbを使用してGI.1およびGII.4/コンセンサスVLPへのAbの結合について実施例4.2からのヒト血清試料を評価した。標準的な方法を使用して抗GI.1および抗GII.4/コンセンサスレポーターmAbを製造および試験した(実施例4.1も参照)。その文脈における「シングルプレックス」は、ウェル当たり1つのVLPおよび1つのmAbが応用されることを意味する。補間力価を表12に示す。2つの血清は抗GI.1 Abの高い力価を含有すること(番号805および806)ならびに4つの血清は抗GII.4コンセンサスAbの高い力価を含有すること(番号790、799、798、および802)がそれぞれ実証された。
【0314】
【表12】
【0315】
実施例4.4:抗GI.1および抗GII.4コンセンサスレポーターmAbを使用したデュプレックス競合的マイクロスフェアイムノアッセイセットアップにおけるヒト血清試料の評価
[0312] 次の工程において、ヒト血清試料番号797(陰性対照、NC)、805、806、790、および799をデュプレックス競合的マイクロスフェアイムノアッセイにおいてさらに評価した。その文脈におけるデュプレックスは、マイクロスフェアに連結されたGI.1 NorwalkおよびGII.4/コンセンサスVLPならびに抗GI.1 Norwalk(17-1-1)および抗GII.4コンセンサス(4-1-3)mAbの混合物が1つのウェルにおいて応用されたことを意味する。それにより、試料内の抗GI.1 Norwalkおよび抗GII.4コンセンサスAbは1つのウェルにおいて同時に決定され得る。
【0316】
[0313] 遮断力価を決定するためにGI.1およびGII.4/コンセンサスVLPならびに血清の段階希釈液を使用して、実施例4.1「PGM遮断アッセイにおける選択されたmAbの評価」の下で記載されるようにPGM遮断アッセイを用いて、選択された血清を最初に分析した(表13)。血清試料番号805および番号806はGI.1 Norwalk VLPに対するより高い遮断力価を示した一方、GII.4コンセンサスVLPについて遮断力価はより低かった。さらに、血清試料番号790および799はGII.4コンセンサスVLPに対する高い程度の遮断を示した一方、GI.1 Norwalk VLPについて遮断力価を決定することはできなかった。
【0317】
【表13】
【0318】
[0314] マイクロスフェアに連結されたGI.1およびGII.4/コンセンサスVLPならびに抗GI.1 Norwalk(17-1-1)および抗GII.4コンセンサス(4-1-3)mAbの混合物をウェル毎に応用したという事実を除いて、実施例4.2においてシングルプレックスアッセイについて記載したようにデュプレックス競合的マイクロスフェアイムノアッセイを実行した。これは、ウェル当たり25μLの各々のVLP作業用混合物(各々60マイクロスフェア/μLのGI.1およびGII.4/コンセンサスVLP)を加えて、シングルプレックスアッセイにおいて応用されたものと同じウェル当たりの総VLP濃度としたことを意味する。さらに、ウェル当たり50μLの各々の希釈されたmAb(各々0.1μg/mLの抗GI.1 Norwalkおよび抗GII.4コンセンサスAb)を応用して、シングルプレックスアッセイにおいて応用されたものと同じウェル当たりのmAb濃度とした。追加的に、GI.1またはGII.4コンセンサス/VLPで被覆されたマイクロスフェアおよび抗GI.1 Norwalk(17-1-1)mAbまたは抗GII.4コンセンサス(4-1-3)mAbのいずれかのみを含有するシングルプレックスアッセイセットアップを比較のために含めた。評価された血清試料についての結合曲線を図9~11に示し、補間力価を表14に示す。
【0319】
【表14】
【0320】
[0315] シングルプレックスおよびデュプレックスデータは、異なるノロウイルスVLPを使用するマルチプレックス化を同等に可能にした。さらに、表14において提示されるシングルプレックスデータは表12におけるシングルプレックスデータにフィットし、低いアッセイ間変動を強調した。
【0321】
[0316] デュプレックスアッセイセットアップの評価をさらに拡張するために、他のヒト血清試料の別のパネル(Bioreclamation IVT カタログ#S10020004168、Westbury、NY)を抗GI.1 Norwalkおよび抗GII.4コンセンサスAbについて評価した(図12および図13)。デュプレックスアッセイは、抗GI.1 Norwalkおよび抗GII.4コンセンサスAbを含有しないかまたは少量でのみ含有する試料(すなわち「欠けている値」、例えば試料HMN345081)、より高い量で両方の抗体タイプを含有する試料(例えば試料HMN345090)、ならびに2つのノロウイルスのうちの1つに対して方向付けられたAbを主に含有する試料(例えば試料HMN345095およびHMN345099)との間で識別することができることを結果は示した(表15)。
【0322】
【表15】
【0323】
実施例5:非競合的マイクロスフェアイムノアッセイセットアップにおけるB細胞上清中の抗体力価の決定
[0317] 実施例3による非競合的マイクロスフェアイムノアッセイセットアップを使用して、B細胞上清もまた、ノロウイルス反応性抗体の存在について、特に、特定のモノクローナルAbの存在について分析され得る。
【0324】
[0318] 本質的に実施例3の下で記載されるように非競合的マイクロスフェアイムノアッセイを実行した。簡潔に述べれば、B細胞上清をアッセイ緩衝剤中に希釈し、希釈液100μLをアッセイプレート中のマイクロスフェア混合物50μLと混合した。B細胞上清およびマイクロスフェアを、600rpmで振盪して室温で90分間インキュベートした。プレートウォッシャーを使用してプレートを洗浄した。ウェル当たり50μLの抗ウサギIgG-PE検出抗体を加え、プレートを室温で60分間インキュベートした。インキュベーション後に、プレートを洗浄し、プレートの測定に先立ってウェル当たり95μLのシース液を加えた。
【0325】
[0319] 表16に列記されるノロウイルスVLPに連結されたマイクロスフェアを使用したマルチプレックス非競合的アッセイセットアップにおいてノロウイルス反応性抗体についてB細胞上清をスクリーニングした。GII.2 OH VLPで免疫化されたウサギからB細胞を誘導した。例えば、B細胞上清#1は、GII.2 OHに対する特に高いMFI値およびすべての他のVLPに対するより低い値を明らかにした。B細胞上清#2は、対照的に、ほとんどのVLPについて高いMFI値を示す。他の上清は、異なる特異性を有する抗体を指し示すVLPについてのMFI値の異なるパターンを示す。
【0326】
【表16】
【0327】
添付文書:mAb 1227および1431 DNAならびに対応するアミノ酸配列
#1227 IgH発現挿入物(配列番号23=mAb 1227の可変重鎖のDNA配列)
GCCACCatgtacaggatgcaactcctgtcttgcattgcactaagtcttgcacttgtcacaaacagtCAAGTACAATTGGTGCAAAGTGGAGGTGGAATGGTACAACCCGGTGGTTCACTGAGCCTCTCTTGCGCCGCATCTGGATTTACGCTCTCCAACTACGCCATGACATGGGTACGCCAGGCGCCGGGGAAAGGTCTCGAATGGGTCTCCTCAATAGGTGGCTCCGGTGGAACTACCTACTATGCCGATAGCGTTAAGGGACGCTTCACTATCAGCCGAGATTCCTCTATGAACACCCTGTATTTGCAAATGTCAAACCTCCGAGCGGGCGACACCGCAGTTTACTATTGTGCTAAGGATAAAACGCGCACTCTCCGCCTTGGCTATAGTGGTATGGACGTGTGGGGACAGGGAACTACAGTTACAGTTAGTTCAgcctccaccaagggcccatcggtcttccccctggcaccctcctccaagagcacctctgggggcacagcggccctgggctgcctggtcaaggactacttccccgaaccggtgacggtgtcgtggaactcaggcgccctgaccagcggcgtgcacaccttcccggctgtcctacagtcctcaggactctactccctcagcagcgtggtgaccgtgccctccagcagcttgggcacccagacctacatctgcaacgtgaatcacaagcccagcaacaccaaggtggacaagaaagttgagcccaaatcttgtgacaaaactcacacatgcccaccgtgcccagcacctgaactcctggggggaccgtcagtcttcctcttccccccaaaacccaaggacaccctcatgatctcccggacccctgaggtcacatgcgtggtggtggacgtgagccacgaagaccctgaggtcaagttcaactggtacgtggacggcgtggaggtgcataatgccaagacaaagccgcgggaggagcagtacaacagcacgtaccgggtggtcagcgtcctcaccgtcctgcaccaggactggctgaatggcaaggagtacaagtgcaaggtctccaacaaagccctcccagcccccatcgagaaaaccatctccaaagccaaagggcagccccgagaaccacaggtgtacaccctgcccccatcccgggatgagctgaccaagaaccaggtcagcctgacctgcctggtcaaaggcttctatcccagcgacatcgccgtggagtgggagagcaatgggcagccggagaacaactacaagaccacgcctcccgtgctggactccgacggctccttcttcctctacagcaagctcaccgtggacaagagcaggtggcagcaggggaacgtcttctcatgctccgtgatgcatgaggctctgcacaaccactacacgcagaagagcctctccctgtctccgggtaaaTGA
コザック配列- IL-2シグナル配列- VH-定常領域 ヒトIgG1 - 終止TGA

#1227 IgK発現挿入物(配列番号24=mAb 1227の可変軽鎖のDNA配列)
GCCACCatgtacaggatgcaactcctgtcttgcattgcactaagtcttgcacttgtcacaaacagtGATATACGCCTGACGCAAAGCCCGTCATCCCTTTCCGCTTCAGTGGGCGATAGAGTAACGATAACCTGTAGGGCAAGCCAATCCATAAGCTCTTACCTTAACTGGTATCAGCAGAAACCGGGCAAGGCTCCCGACCTCCTTATATACGGGGCATCCTCACTTCAGTCCGGCGTCCCTTCAAGATTTAGTGGGTCAGGGTCCGGCACGGACTTTACATTGACGATATCCTCATTGCAGCCTGAGGATTTCGGCAACTACTATTGTCAGCAGTCATTCTCAACGCCGAGAACATTTGGACAAGGTACGAAAGTTGAGCTGAaacgaactgtggctgcaccatctgtcttcatcttcccgccatctgatgagcagttgaaatctggaactgcctctgttgtgtgcctgctgaataacttctatcccagagaggccaaagtacagtggaaggtggataacgccctccaatcgggtaactcccaggagagtgtcacagagcaggacagcaaggacagcacctacagcctcagcagcaccctgacgctgagcaaagcagactacgagaaacacaaagtctacgcctgcgaagtcacccatcagggcctgagctcgcccgtcacaaagagcttcaacaggggagagtgtTGA
コザック配列- IL-2シグナル配列- VL-定常領域 ヒトIgK - 終止TGA

#1431 IgH発現挿入物(配列番号25=mAb 1431の可変重鎖のDNA配列)
GCCACCatgtacaggatgcaactcctgtcttgcattgcactaagtcttgcacttgtcacaaacagtCAAGTGCAACTGGTCCAGTCTGGTGGGGGCCTTGTCCAGCCAGGTGGGTCACTTAGACTTTCCTGCGCTGCCAGCGGTTTTGCATTCAGTAATCACGGTATGCACTGGGTACGCCAAGCGCCCGGCAAAGGCCTGGAGTGGCTCTCCTATATATCTGGTTCAACAGGCGCGATTCATTACGCTAACTCAGTAAAAGGGAGGTTTACAATCTCAAGAGACAACGCAAGGAATTCCCTGGATTTGCAGATGAATAGCCTGGGGGACGAGGACACCGCAGTTTACTACTGTGCCCGCGACGGACCGCGCCCCGACGGTACGGGCTACGCCGGCCCTTCTAACGACTATTGGGGTCAGGGTACTCTGGTCTCCGTGAGTAGCgcctccaccaagggcccatcggtcttccccctggcaccctcctccaagagcacctctgggggcacagcggccctgggctgcctggtcaaggactacttccccgaaccggtgacggtgtcgtggaactcaggcgccctgaccagcggcgtgcacaccttcccggctgtcctacagtcctcaggactctactccctcagcagcgtggtgaccgtgccctccagcagcttgggcacccagacctacatctgcaacgtgaatcacaagcccagcaacaccaaggtggacaagaaagttgagcccaaatcttgtgacaaaactcacacatgcccaccgtgcccagcacctgaactcctggggggaccgtcagtcttcctcttccccccaaaacccaaggacaccctcatgatctcccggacccctgaggtcacatgcgtggtggtggacgtgagccacgaagaccctgaggtcaagttcaactggtacgtggacggcgtggaggtgcataatgccaagacaaagccgcgggaggagcagtacaacagcacgtaccgggtggtcagcgtcctcaccgtcctgcaccaggactggctgaatggcaaggagtacaagtgcaaggtctccaacaaagccctcccagcccccatcgagaaaaccatctccaaagccaaagggcagccccgagaaccacaggtgtacaccctgcccccatcccgggatgagctgaccaagaaccaggtcagcctgacctgcctggtcaaaggcttctatcccagcgacatcgccgtggagtgggagagcaatgggcagccggagaacaactacaagaccacgcctcccgtgctggactccgacggctccttcttcctctacagcaagctcaccgtggacaagagcaggtggcagcaggggaacgtcttctcatgctccgtgatgcatgaggctctgcacaaccactacacgcagaagagcctctccctgtctccgggtaaaTGA
コザック配列- IL-2シグナル配列- VH-定常領域 ヒトIgG1 - 終止TGA

#1431 IgK発現挿入物(配列番号26=mAb 1431の可変軽鎖のDNA配列)
GCCACCatgtacaggatgcaactcctgtcttgcattgcactaagtcttgcacttgtcacaaacagtGAAATCGTCCTGACCCAATCACCAGCATCCCTGTCTCTTAGTCCAGGCGAAAGAGCGACCCTGTCTTGTAAGGCTTCTAGGAGTATTTCCATTTACCTCGCGTGGTATCAACAGAAGCCGGGCCAAGCTCCGAGGCTTTTGATTTATGATGCCTCCTACCGCGCAATCGGAATACCGGCAAGGTTTAGTGGAAGTGGTTCCGGTACTGATTTCACTTTGACCATATCTAACCTTGAGCCTGAAGATTTTGCGGTGTACTACTGTCAGCATCGGAGTTCCTGGCCAGCTTTGACCTTCGGAGGGGGGACGAAGGTCGAAATTaaacgaactgtggctgcaccatctgtcttcatcttcccgccatctgatgagcagttgaaatctggaactgcctctgttgtgtgcctgctgaataacttctatcccagagaggccaaagtacagtggaaggtggataacgccctccaatcgggtaactcccaggagagtgtcacagagcaggacagcaaggacagcacctacagcctcagcagcaccctgacgctgagcaaagcagactacgagaaacacaaagtctacgcctgcgaagtcacccatcagggcctgagctcgcccgtcacaaagagcttcaacaggggagagtgtTGA
コザック配列- IL-2シグナル配列- VL-定常領域 ヒトIgK - 終止TGA

#1227 IgG1(配列番号27=mAb 1227の可変重鎖のアミノ酸配列)
ATMYRMQLLSCIALSLALVTNSQVQLVQSGGGMVQPGGSLSLSCAASGFTLSNYAMTWVRQAPGKGLEWVSSIGGSGGTTYYADSVKGRFTISRDSSMNTLYLQMSNLRAGDTAVYYCAKDKTRTLRLGYSGMDVWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
コザック - IL2シグナルペプチド - VH- 定常領域

#1227 IgK(配列番号28=mAb 1227の可変軽鎖のアミノ酸配列)
ATMYRMQLLSCIALSLALVTNSDIRLTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPDLLIYGASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFGNYYCQQSFSTPRTFGQGTKVELKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
コザック - IL2シグナルペプチド - VK- 定常領域

#1431 IgG1(配列番号29=mAb 1431の可変重鎖のアミノ酸配列)
ATMYRMQLLSCIALSLALVTNSQVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFAFSNHGMHWVRQAPGKGLEWLSYISGSTGAIHYANSVKGRFTISRDNARNSLDLQMNSLGDEDTAVYYCARDGPRPDGTGYAGPSNDYWGQGTLVSVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
コザック - IL2シグナルペプチド - VH- 定常領域

#1431 IgK(配列番号30=mAb 1431の可変軽鎖のアミノ酸配列)
ATMYRMQLLSCIALSLALVTNSEIVLTQSPASLSLSPGERATLSCKASRSISIYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASYRAIGIPARFSGSGSGTDFTLTISNLEPEDFAVYYCQHRSSWPALTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
コザック - IL2シグナルペプチド - VK- 定常領域
【0328】
結論
[0320] 要約すると、複数のノロウイルスVLPを用いた非競合的および競合的マイクロスフェアイムノアッセイのセットアップに成功した。多数の異なるヒト血清試料内のAbレベルを評価した場合の堅牢な性能が実証された。
【0329】
[0321] 非競合的マイクロスフェアイムノアッセイは、IgG、IgA、およびIgMレベルの決定を含む、対象の免疫状態の迅速な特徴付けを可能にした。例えばPGMアッセイにおいて決定されるようなノロウイルス遮断特性および/またはヒト腸管エンテロイド(HIE)中和アッセイ(Atmarら、2019、Comparison of Microneutralization and Histo-Blood Group Antigen-Blocking assays for functional norovirus antibody detection、J.of Infect.Dis.)において決定されるようなノロウイルス中和特性を示す競合的セットアップにおけるmAbの応用により、血清試料中のノロウイルス遮断および/またはノロウイルス中和活性を有する抗体は、信頼できる、相対的に高いスループットの、費用効果の高い(低い試料体積)、迅速な仕方で調べられ得る。マイクロスフェアイムノアッセイはmAbおよび/またはVLPのみを使用するので、それらは細胞ベースアッセイの複雑性およびスループット限度を克服する。
【0330】
[0322] 本出願において開発されたアッセイセットアップは、ワクチン接種後のヒト患者からの試料を含む、試料の迅速な分析のための扉を開く。このアッセイは、PGMアッセイにおいて使用され得ない任意のノロウイルスVLPまで応用範囲を拡張するので、PGM遮断アッセイの制限を克服する。追加的に、それは、この時点において、ほとんどのノロウイルス株について応用可能でない、細胞ベース中和アッセイの代替物を提供する。さらに、PGMアッセイおよび細胞ベース中和アッセイの両方は高価であり、臨床的なスループットのために好適でない。対照的に、マルチプレックス化の潜在能力を有する開発されたノロウイルスマイクロスフェアイムノアッセイは、信頼できる、迅速で費用効果の高い仕方において、任意の種類のノロウイルスに対する任意の種類の起源(例えばヒトまたはマウス)からの任意の種類の試料(例えば血清、血漿、尿)内の抗体を決定することができる。したがって、ハイスループットの潜在能力を有する本出願において開発されたアッセイセットアップは、例えばワクチン接種または感染後の、臨床試料の試験のための魅力的な方法である。
【0331】
本開示の番号付けされた実施形態
[0323] I.マイクロスフェア複合体
ノロウイルスウイルス様粒子(VLP)に連結されたマイクロスフェアを含むマイクロスフェア複合体。
1.前記ノロウイルスVLPが、メジャーなウイルスカプシドタンパク質VP1および任意選択によりマイナーなウイルスカプシドタンパク質VP2を含む、項目1のマイクロスフェア複合体。
2.前記メジャーなウイルスカプシドタンパク質VP1が、配列番号1または配列番号2または配列番号3または配列番号4または配列番号5または配列番号6または配列番号7または配列番号8または配列番号9または配列番号10または配列番号11または配列番号12または配列番号13または配列番号14または配列番号15または配列番号16または配列番号17または配列番号18または配列番号19または配列番号20または配列番号21または配列番号22に対して、少なくとも80%または少なくとも85%または少なくとも90%または少なくとも95%または100%同一である、項目2のマイクロスフェア複合体。
3.前記ノロウイルスVLPが、GI.1 VLP、GI.2 VLP、GI.3 VLP、GI.4 VLP、GI.5 VLP、GI.6 VLP、GI.7 VLP、GII.1 VLP、GII.2 VLP、GII.3 VLP、GII.4/コンセンサスVLP、GII.4/Sydney VLP、GII.4/Yerseke VLP、GII.4/New Orleans VLP、GII.4/Den Haag VLP、GII.4/Houston VLP、GII.6 VLP、GII.7 VLP、GII.12 VLP、GII.17/1978 VLP、GII.17/2014 VLP、およびGII.17/2015 VLPからなる群から選択される、項目1または2のマイクロスフェア複合体。
4.前記マイクロスフェアがポリスチレンマイクロスフェアである、項目1~4のいずれか1つのマイクロスフェア複合体。
5.前記マイクロスフェアが磁性である、項目1~5のいずれか1つのマイクロスフェア複合体。
6.前記マイクロスフェアが、約0.01~約100μmの範囲内、好ましくは約1~10μmの範囲内の直径を有する、項目1~6のいずれか1つのマイクロスフェア複合体。
7.前記マイクロスフェアが、マイクロスフェア表面にカルボキシレート基を含有する、項目1~7のいずれか1つのマイクロスフェア複合体。
8.前記ノロウイルスVLPへの前記マイクロスフェアの連結が、前記マイクロスフェアのカルボキシレート基と前記ノロウイルスVLPのアミン基との間のアミド結合の形成により起こる、項目8のマイクロスフェア複合体。
9.前記マイクロスフェアが、検出可能な標識を含む、項目1~9のいずれか1つのマイクロスフェア複合体。
10.前記検出可能な標識が少なくとも1つの蛍光色素である、項目10のマイクロスフェア複合体。
11.前記少なくとも1つの蛍光色素が、スクアライン、フタロシアニン、ナフタロシアニン、およびこれらの任意の誘導体からなる群から選択される、項目11のマイクロスフェア複合体。
12.前記マイクロスフェアが、光源で照射したときに、前記少なくとも1つの蛍光色素の放出シグナルにより同定され得る、項目11または12のマイクロスフェア複合体。
【0332】
[0324] II.キット
所定量の少なくとも1つの項目1~13のいずれか1つのマイクロスフェア複合体および任意選択により所定量の検出抗体を含むキット。
13.
- 所定量の少なくとも1つの項目1~13のいずれか1つのマイクロスフェア複合体、および
- 所定量の、前記少なくとも1つのマイクロスフェア複合体の前記ノロウイルスVLPに結合する少なくとも1つのレポーター抗体
を含むキット。
14.前記少なくとも1つのレポーター抗体がノロウイルス中和抗体である、項目15に記載のキット。
15.前記少なくとも1つのレポーター抗体がノロウイルス遮断抗体である、項目15または16に記載のキット。
16.前記少なくとも1つのレポーター抗体がモノクローナル抗体である、項目15~17のいずれか1つに記載のキット。
17.前記少なくとも1つのレポーター抗体が非ヒト起源に由来する、項目15~18のいずれか1つに記載のキット。
18.前記少なくとも1つのレポーター抗体が、前記少なくとも1つのレポーター抗体の重鎖定常領域により、検出可能な標識に取り付けられている、項目15~19のいずれか1つに記載のキット。
19.前記少なくとも1つのレポーター抗体が、前記少なくとも1つのレポーター抗体の前記重鎖定常領域により、前記検出可能な標識に間接的に取り付けられており、前記レポーター抗体が、検出可能な標識に直接的に取り付けられた二次レポーター抗体と反応する、項目20のキット。
20.前記二次レポーター抗体が、前記二次レポーター抗体の重鎖定常領域により、前記検出可能な標識に直接的に取り付けられている、項目21のキット。
21.前記少なくとも1つのレポーター抗体が、前記少なくとも1つのレポーター抗体の前記重鎖定常領域により、前記検出可能な標識に直接的に取り付けられている、項目20のキット。
22.前記検出可能な標識が蛍光標識である、項目20~23のいずれかのキット。
23.前記蛍光標識が、キサンテン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリン、シアニン、クマリン、およびこれらの任意の誘導体からなる群から選択される、項目24のキット。
24.前記検出可能な標識がフィコエリトリンである、項目25のキット。
25.前記少なくとも1つのレポーター抗体が、0.5μg/mL未満、または0.4μg/mL未満または0.3μg/mL未満または0.2μg/mL未満または0.15μg/mL未満または0.1μg/mL未満または0.09μg/mL未満または0.08μg/mL未満または0.07μg/mL未満または0.05μg/mL未満または0.03μg/mL未満または0.02μg/mL未満または0.01μg/mL未満の、前記少なくとも1つのマイクロスフェア複合体の前記ノロウイルスVLPに対するEC50値を提供する、項目15~26のいずれか1つに記載のキット。
26.前記少なくとも1つのレポーター抗体が、
配列番号27により表される重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列、および
配列番号28により表される軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列
を含む、項目15~27のいずれか1つに記載のキット。
27.前記少なくとも1つのレポーター抗体が、
配列番号29により表される重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列、および
配列番号30により表される軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列
を含む、項目15~27のいずれか1つに記載のキット。
28.所定量の2つの項目1~13のいずれか1つに記載のマイクロスフェア複合体および所定量の2つのレポーター抗体を含み、
第1のマイクロスフェア複合体が、第1のノロウイルスVLPに連結された第1のマイクロスフェアを含み、第2のマイクロスフェア複合体が、第2のノロウイルスVLPに連結された第2のマイクロスフェアを含み、
前記第1のマイクロスフェアが第1の検出可能な標識を含み、前記第2のマイクロスフェアが第2の検出可能な標識を含み、前記第1の検出可能な標識の放出シグナルが前記第2の検出可能な標識の放出シグナルとは異なり、
第1のレポーター抗体が、前記第1のノロウイルスVLPに結合し、前記第2のノロウイルスウイルス様粒子に結合せず、
第2のレポーター抗体が、前記第2のノロウイルスVLPに結合し、前記第1のノロウイルスVLPに結合しない、項目15~27のいずれか1つに記載のキット。
29.前記第1または前記第2のレポーター抗体が、
配列番号27により表される重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列、および
配列番号28により表される軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列;
または
配列番号29により表される重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列、および
配列番号30により表される軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列
を含む、項目30に記載のキット。
30.前記第1のノロウイルスVLPがGI.1 VLPであり、前記第2のノロウイルスウイルス様粒子がGII.4/コンセンサスVLPである、項目30に記載のキット。
31.前記第2のレポーター抗体が、
配列番号29により表される重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列、および
配列番号30により表される軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列
を含み;
任意選択により、前記第1のレポーター抗体が、
配列番号27により表される重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列、および
配列番号28により表される軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列
を含む、項目32に記載のキット。
32.所定量の1つの項目1~13のいずれか1つに記載のマイクロスフェア複合体、および所定量の1つの、前記マイクロスフェア複合体の前記ノロウイルスVLPに結合するレポーター抗体を含む、項目15~29のいずれか1つに記載のキット。
【0333】
[0325] III.総Igレベルを検出する方法(非競合的アッセイセットアップ)
III.1 シングルプレックスアッセイセットアップ
33.対象からの試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量の指標となる検出抗体からのシグナルを検出する方法であって、
工程1:所定量の項目1~13のいずれか1つに記載のマイクロスフェア複合体を前記試料と接触させて、前記マイクロスフェア複合体中の前記マイクロスフェアに連結された前記ノロウイルスウイルス様粒子(VLP)に、前記試料中の前記ノロウイルス反応性抗体を結合させる工程、
工程2:所定量の検出抗体を、工程1における前記ノロウイルスVLPに結合した前記ノロウイルス反応性抗体と接触させて、前記ノロウイルス反応性抗体の重鎖定常領域に、前記検出抗体を結合させる工程であって、前記検出抗体が、前記検出抗体の可変領域を用いて前記ノロウイルス反応性抗体に結合し、前記検出抗体が、検出可能な標識に取り付けられている、工程、および
工程3:工程2における前記ノロウイルス反応性抗体に結合した前記検出抗体からのシグナルを検出する工程
を含む、方法。
34.以下のさらなる工程:
工程4:工程3の前記シグナルから前記ノロウイルス反応性抗体に結合した前記検出抗体の存在および/または量を決定する工程、ならびに
工程5:工程4において決定された前記検出抗体の存在および/または量から前記試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量を決定する工程
を含む、対象からの試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量を決定する項目35に記載の方法。
III.2 マルチプレックスアッセイセットアップ
35.対象からの試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量の指標となる検出抗体からのシグナルを検出する方法であって、
工程1:所定量の少なくとも2つの項目1~13のいずれか1つに記載のマイクロスフェア複合体を、前記試料と接触させて、前記第1および/または前記第2のノロウイルスVLPに、前記試料中の前記ノロウイルス反応性抗体を結合させる工程であって、
第1のマイクロスフェア複合体が、第1のノロウイルスVLPに連結された第1のマイクロスフェアを含み、第2のマイクロスフェア複合体が、第2のノロウイルスVLPに連結された第2のマイクロスフェアを含み、
前記第1のマイクロスフェアが第1の検出可能な標識を含み、前記第2のマイクロスフェアが第2の検出可能な標識を含み、前記第1の検出可能な標識の放出シグナルが前記第2の検出可能な標識の放出シグナルとは異なる、工程、
工程2:所定量の検出抗体を、工程1における前記第1および/または前記第2のノロウイルスVLPに結合した前記ノロウイルス反応性抗体と接触させて、前記ノロウイルス反応性抗体の重鎖定常領域に、前記検出抗体を結合させる工程であって、前記検出抗体が、前記検出抗体の可変領域を用いて前記ノロウイルス反応性抗体に結合し、前記検出抗体が、第3の検出可能な標識に取り付けられている、工程、
工程3:第1の光源で照射したときに、少なくとも1つのマイクロスフェアの前記検出可能な標識の放出シグナルを検出し、前記放出シグナルを、前記第1の検出可能な標識の放出シグナルと比較し、さらに、前記第2の検出可能な標識の放出シグナルと比較し、それにより、前記少なくとも1つのマイクロスフェアおよび前記少なくとも1つのマイクロスフェアが連結された前記ノロウイルスVLPを同定し、
同時に、第2の光源で照射したときに、工程2における前記少なくとも1つのマイクロスフェアの前記ノロウイルスVLPに結合した前記ノロウイルス反応性抗体に結合した前記検出抗体からのシグナルを検出する工程、
工程4:同じノロウイルスVLPに連結された少なくとも30個のマイクロスフェアが同定されるまで工程3を繰り返す工程、ならびに
工程5:同じノロウイルスVLPに連結されたすべての同定されたマイクロスフェアについての工程3における前記検出抗体からの前記検出されたシグナルを要約する工程であって、前記要約されたシグナルが、前記試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量の指標となる、工程
を含む、方法。
36.以下のさらなる工程:
工程6:工程5の前記要約されたシグナルから前記ノロウイルス反応性抗体に結合した前記検出抗体の存在および/または量を決定する工程、ならびに
工程7:工程6において決定された前記検出抗体の存在および/または量から前記試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量を決定する工程
を含む、対象からの試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量を決定する項目37に記載の方法。
37.工程1において、所定量の少なくとも5個または少なくとも10個または少なくとも15個または少なくとも20個のマイクロスフェア複合体が前記試料と接触させられる、項目37または38の方法。
38.工程1において、所定量の、GI.1 VLPに連結された第1のマイクロスフェアを含む第1のマイクロスフェア複合体、所定量の、GI.2 VLPに連結された第2のマイクロスフェアを含む第2のマイクロスフェア複合体、所定量の、GI.3 VLPに連結された第3のマイクロスフェアを含む第3のマイクロスフェア複合体、所定量の、GI.4 VLPに連結された第4のマイクロスフェアを含む第4のマイクロスフェア複合体、所定量の、GI.5 VLPに連結された第5のマイクロスフェアを含む第5のマイクロスフェア複合体、所定量の、GI.6 VLPに連結された第6のマイクロスフェアを含む第6のマイクロスフェア複合体、所定量の、GI.7 VLPに連結された第7のマイクロスフェアを含む第7のマイクロスフェア複合体、所定量の、GII.1 VLPに連結された第8のマイクロスフェアを含む第8のマイクロスフェア複合体、所定量の、GII.2 VLPに連結された第9のマイクロスフェアを含む第9のマイクロスフェア複合体、所定量の、GII.3 VLPに連結された第10のマイクロスフェアを含む第10のマイクロスフェア複合体、所定量の、GII.4/コンセンサスVLPに連結された第11のマイクロスフェアを含む第11のマイクロスフェア複合体、所定量の、GII.4/Sydney VLPに連結された第12のマイクロスフェアを含む第12のマイクロスフェア複合体、所定量の、GII.4/New Orleans VLPに連結された第13のマイクロスフェアを含む第13のマイクロスフェア複合体、所定量の、GII.4/Yerseke VLPに連結された第14のマイクロスフェアを含む第14のマイクロスフェア複合体、所定量の、GII.4/Den Haag VLPに連結された第15のマイクロスフェアを含む第15のマイクロスフェア複合体、所定量の、GII.6 VLPに連結された第16のマイクロスフェアを含む第16のマイクロスフェア複合体、所定量の、GII.7 VLPに連結された第17のマイクロスフェアを含む第17のマイクロスフェア複合体、所定量の、GII.12 VLPに連結された第18のマイクロスフェアを含む第18のマイクロスフェア複合体、所定量の、GII.17/1978 VLPに連結された第19のマイクロスフェアを含む第19のマイクロスフェア複合体、および所定量の、GII.17/2015 VLPに連結された第20のマイクロスフェアを含む第20のマイクロスフェア複合体が前記試料と接触させられる、項目37~39のいずれか1つの方法。
39.前記検出抗体が、前記検出抗体の重鎖定常領域により、前記検出可能な標識に直接的に取り付けられている、項目35~40のいずれか1つに記載の方法。
40.前記検出抗体が取り付けられた前記検出可能な標識が蛍光標識である、項目35~41のいずれか1つに記載の方法。
41.前記蛍光標識が、キサンテン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリン、シアニン、クマリン、およびこれらの任意の誘導体からなる群から選択される、項目42の方法。
42.前記蛍光標識がフィコエリトリンである、項目43の方法。
43.工程3における前記検出抗体からの前記シグナルが、前記検出抗体が取り付けられた前記検出可能な標識の結果としてもたらされる、項目35~44のいずれか1つに記載の方法。
44.工程1における接触が約1~約24時間実行される、項目35~45のいずれか1つに記載の方法。
45.工程1における接触が約90分間実行される、項目46に記載の方法。
46.工程1における接触が、約18~約24時間、好ましくは約21時間、実行される、項目46に記載の方法。
47.工程1における接触が約2~約30℃の温度で実行される、項目35~48のいずれか1つに記載の方法。
48.工程1における接触が約22℃の温度で実行される、項目49に記載の方法。
49.工程1における接触が約2~約8℃の温度で実行される、項目49に記載の方法。
50.工程2における接触が、約30~約90分間、好ましくは約60分間、実行される、項目35~51のいずれか1つに記載の方法。
51.前記検出抗体が非ヒト起源に由来する、項目35~52のいずれか1つに記載の方法。
52.前記検出抗体が、アイソタイプAからの抗体(IgA)に結合し、他のアイソタイプからの抗体に結合しない、項目35~53のいずれか1つに記載の方法。
53.前記検出抗体が、アイソタイプGからの抗体(IgG)に結合し、他のアイソタイプからの抗体に結合しない、項目35~53のいずれか1つに記載の方法。
54.前記検出抗体が、アイソタイプMからの抗体(IgM)に結合し、他のアイソタイプからの抗体に結合しない、項目35~53のいずれか1つに記載の方法。
55.前記検出抗体が、アイソタイプA、G、およびMからの抗体(IgA、IgG、およびIgM)に結合する、項目35~53のいずれか1つに記載の方法。
【0334】
[0326] IV.特異的Igレベルを決定する方法(競合的アッセイセットアップ)
IV.1 シングルプレックスアッセイセットアップ
56.対象からの試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量の指標となるレポーター抗体からのシグナルを検出する方法であって、
工程1:所定量のマイクロスフェア複合体および所定量のレポーター抗体を含む、項目34に記載のキットを用意する工程、
工程2:前記所定量の前記マイクロスフェア複合体および前記所定量の前記レポーター抗体を前記試料と接触させて、前記レポーター抗体と競合しながら、前記マイクロスフェア複合体中の前記マイクロスフェアに連結された前記ノロウイルスVLPに、前記試料中の前記ノロウイルス反応性抗体を結合させる工程、ならびに
工程3:工程2における前記ノロウイルスVLPに結合した前記レポーター抗体からのシグナルを検出する工程
を含む、方法。
57.工程2において、前記所定量の前記マイクロスフェア複合体および前記所定量の前記レポーター抗体が前記試料と随伴的に接触させられる、項目58に記載の方法。
58.工程1:所定量のマイクロスフェア複合体および所定量のレポーター抗体を含む、項目34に記載のキットを用意する工程、
工程2.1:工程1の前記所定量の前記マイクロスフェア複合体を前記試料と接触させて、前記マイクロスフェア複合体中の前記マイクロスフェアに連結された前記ノロウイルスVLPに、前記試料中のノロウイルス反応性抗体を結合させる工程、
工程2.2:前記所定量の前記レポーター抗体を工程2.1の前記マイクロスフェア複合体および前記試料と接触させて、前記マイクロスフェア複合体中の前記マイクロスフェアに連結された前記ノロウイルスVLPに、前記レポーター抗体を結合させる工程、ならびに
工程3:工程2.2における前記ノロウイルスVLPに結合した前記レポーター抗体からのシグナルを検出する工程
を含む、項目58に記載の方法。
59.工程1:所定量のマイクロスフェア複合体および所定量のレポーター抗体を含む、項目34に記載のキットを用意する工程、
工程2.1:工程1の前記所定量の前記マイクロスフェア複合体を前記試料と接触させて、前記マイクロスフェア複合体中の前記マイクロスフェアに連結された前記ノロウイルスVLPに、前記試料中のノロウイルス反応性抗体を結合させる工程、
工程2.2:前記所定量の前記レポーター抗体を工程2.1の前記マイクロスフェア複合体および前記試料と接触させて、前記マイクロスフェア複合体中の前記マイクロスフェアに連結された前記ノロウイルスVLPに、前記レポーター抗体を結合させる工程、
工程2.3:工程2.2の前記所定量の前記レポーター抗体、前記所定量の前記マイクロスフェア複合体、および前記試料を所定量の二次レポーター抗体と接触させて、前記レポーター抗体の定常領域に、前記二次レポーター抗体を結合させる工程、ならびに
工程3:工程2.3における前記レポーター抗体に結合した前記二次レポーター抗体からのシグナルを検出する工程であって、前記レポーター抗体が工程2.2において前記ノロウイルスVLPに結合している、工程
を含む、項目58に記載の方法。
60.以下のさらなる工程:
工程4:工程3の前記シグナルから前記レポーター抗体の存在および/または量を決定する工程、ならびに
工程5:工程4において決定された前記レポーター抗体の存在および/または量から前記試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量を決定する工程
を含む、対象からの試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量を決定する項目58~61のいずれか1つに記載の方法。
61.前記ノロウイルスVLPがGII.4/Sydney VLPである、項目58~62のいずれか1つに記載の方法。
IV.2マルチプレックスアッセイセットアップ
62.対象からの試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量の指標となるレポーター抗体からのシグナルを検出する方法であって、
工程1:所定量の少なくとも2つのマイクロスフェア複合体および所定量の少なくとも2つのレポーター抗体を含む、項目15~33のいずれか1つに記載のキットを用意する工程であって、
第1のマイクロスフェア複合体が、第1のノロウイルスVLPに連結された第1のマイクロスフェアを含み、第2のマイクロスフェア複合体が、第2のノロウイルスVLPに連結された第2のマイクロスフェアを含み、
前記第1のマイクロスフェアが第1の検出可能な標識を含み、前記第2のマイクロスフェアが第2の検出可能な標識を含み、前記第1の検出可能な標識の放出シグナルが前記第2の検出可能な標識の放出シグナルとは異なり、
第1のレポーター抗体が、前記第1のノロウイルスVLPに結合し、前記第2のノロウイルスウイルス様粒子に結合せず、
第2のレポーター抗体が、前記第2のノロウイルスVLPに結合し、前記第1のノロウイルスVLPに結合しない、工程;
工程2:前記所定量の前記少なくとも2つのマイクロスフェア複合体を前記試料と接触させて、前記少なくとも2つのレポーター抗体と競合しながら、前記第1および/または前記第2のノロウイルスVLPに、前記試料中の前記ノロウイルス反応性抗体を結合させる工程;
工程3:第1の光源で照射したときに、少なくとも1つのマイクロスフェアの前記検出可能な標識の放出シグナルを検出し、前記放出シグナルを、前記第1の検出可能な標識の放出シグナルと比較し、さらに、前記第2の検出可能な標識の放出シグナルと比較し、それにより、前記少なくとも1つのマイクロスフェアおよび前記少なくとも1つのマイクロスフェアが連結された前記ノロウイルスVLPを同定し、
同時に、第2の光源で照射したときに、工程2における前記少なくとも1つのマイクロスフェアの前記ノロウイルスVLPに結合した前記レポーター抗体からのシグナルを検出する工程;
工程4:同じノロウイルスVLPに連結された少なくとも30個のマイクロスフェアが同定されるまで工程3を繰り返す工程;ならびに
工程5:同じノロウイルスVLPに連結されたすべての同定されたマイクロスフェアについての工程3における前記レポーター抗体からの前記検出されたシグナルを要約する工程であって、前記要約されたシグナルが、前記試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量の指標となる、工程
を含む、方法。
63.工程2において、前記所定量の前記少なくとも2つのマイクロスフェア複合体および前記所定量の前記少なくとも2つのレポーター抗体が前記試料と随伴的に接触させられる、項目64に記載の方法。
64.工程1:所定量の少なくとも2つのマイクロスフェア複合体および所定量の少なくとも2つのレポーター抗体を含む、項目15~33のいずれか1つに記載のキットを用意する工程であって、
第1のマイクロスフェア複合体が、第1のノロウイルスVLPに連結された第1のマイクロスフェアを含み、第2のマイクロスフェア複合体が、第2のノロウイルスVLPに連結された第2のマイクロスフェアを含み、
前記第1のマイクロスフェアが第1の検出可能な標識を含み、前記第2のマイクロスフェアが第2の検出可能な標識を含み、前記第1の検出可能な標識の放出シグナルが前記第2の検出可能な標識の放出シグナルとは異なり、
第1のレポーター抗体が、前記第1のノロウイルスVLPに結合し、前記第2のノロウイルスウイルス様粒子に結合せず、
第2のレポーター抗体が、前記第2のノロウイルスVLPに結合し、前記第1のノロウイルスVLPに結合しない、工程;
工程2.1:前記所定量の前記少なくとも2つのマイクロスフェア複合体を前記試料と接触させて、前記第1および/または前記第2のノロウイルスVLPに、前記試料中の前記ノロウイルス反応性抗体を結合させる工程;
工程2.2:前記所定量の前記少なくとも2つのレポーター抗体を工程2.1の前記少なくとも2つのマイクロスフェア複合体および前記試料と接触させて、前記マイクロスフェアに連結された前記ノロウイルスVLPに、前記少なくとも2つのレポーター抗体を結合させる工程;
工程3:第1の光源で照射したときに、少なくとも1つのマイクロスフェアの前記検出可能な標識の放出シグナルを検出し、前記放出シグナルを、前記第1の検出可能な標識の放出シグナルと比較し、さらに、前記第2の検出可能な標識の放出シグナルと比較し、それにより、前記少なくとも1つのマイクロスフェアおよび前記少なくとも1つのマイクロスフェアが連結された前記ノロウイルスVLPを同定し、
同時に、第2の光源で照射したときに、工程2.2における前記少なくとも1つのマイクロスフェアの前記ノロウイルスVLPに結合した前記レポーター抗体からのシグナルを検出する工程;
工程4:同じノロウイルスVLPに連結された少なくとも30個のマイクロスフェアが同定されるまで工程3を繰り返す工程;ならびに
工程5:同じノロウイルスVLPに連結されたすべての同定されたマイクロスフェアについての工程3における前記レポーター抗体からの前記検出されたシグナルを要約する工程であって、前記要約されたシグナルが、前記試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量の指標となる、工程
を含む、項目64の方法。
65.工程1:所定量の少なくとも2つのマイクロスフェア複合体および所定量の少なくとも2つのレポーター抗体を含む、項目15~33のいずれか1つに記載のキットを用意する工程であって、
第1のマイクロスフェア複合体が、第1のノロウイルスVLPに連結された第1のマイクロスフェアを含み、第2のマイクロスフェア複合体が、第2のノロウイルスVLPに連結された第2のマイクロスフェアを含み、
前記第1のマイクロスフェアが第1の検出可能な標識を含み、前記第2のマイクロスフェアが第2の検出可能な標識を含み、前記第1の検出可能な標識の放出シグナルが前記第2の検出可能な標識の放出シグナルとは異なり、
第1のレポーター抗体が、前記第1のノロウイルスVLPに結合し、前記第2のノロウイルスウイルス様粒子に結合せず、
第2のレポーター抗体が、前記第2のノロウイルスVLPに結合し、前記第1のノロウイルスVLPに結合しない、工程;
工程2.1:前記所定量の前記少なくとも2つのマイクロスフェア複合体を前記試料と接触させて、前記第1および/または前記第2のノロウイルスVLPに、前記試料中の前記ノロウイルス反応性抗体を結合させる工程;
工程2.2:前記所定量の前記少なくとも2つのレポーター抗体を工程2.1の前記少なくとも2つのマイクロスフェア複合体および前記試料と接触させて、前記マイクロスフェアに連結された前記ノロウイルスVLPに、前記少なくとも2つのレポーター抗体を結合させる工程;
工程2.3:工程2.2の前記所定量の前記少なくとも2つのレポーター抗体、前記所定量の前記少なくとも2つのマイクロスフェア複合体および前記試料を所定量の二次レポーター抗体と接触させて、前記少なくとも2つのレポーター抗体の定常領域に、前記二次レポーター抗体を結合させる工程;
工程3:第1の光源で照射したときに、少なくとも1つのマイクロスフェアの前記検出可能な標識の放出シグナルを検出し、前記放出シグナルを、前記第1の検出可能な標識の放出シグナルと比較し、さらに、前記第2の検出可能な標識の放出シグナルと比較し、それにより、前記少なくとも1つのマイクロスフェアおよび前記少なくとも1つのマイクロスフェアが連結された前記ノロウイルスVLPを同定し、
同時に、第2の光源で照射したときに、工程2.3における前記少なくとも1つのマイクロスフェアの前記ノロウイルスVLPに結合した前記レポーター抗体に結合した前記二次レポーター抗体からのシグナルを検出する工程;
工程4:同じノロウイルスVLPに連結された少なくとも30個のマイクロスフェアが同定されるまで工程3を繰り返す工程;ならびに
工程5:同じノロウイルスVLPに連結されたすべての同定されたマイクロスフェアについての工程3における前記二次レポーター抗体からの前記検出されたシグナルを要約する工程であって、前記要約されたシグナルが、前記試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量の指標となる、工程
を含む、項目64の方法。
66.以下のさらなる工程:
工程6:工程5の前記要約されたシグナルから前記レポーター抗体の存在および/または量を決定する工程、ならびに
工程7:工程6において決定された前記レポーター抗体の存在および/または量から前記試料中のノロウイルス反応性抗体の存在および/または量を決定する工程
を含む、項目64~67に記載の方法。
67.工程1における前記キットが、所定量の2つのマイクロスフェア複合体および所定量の2つのレポーター抗体を提供する、項目64~68のいずれか1つに記載の方法。
68.前記第1のマイクロスフェア複合体が、GI.1 VLPに連結された第1のマイクロスフェアを含み、前記第2のマイクロスフェア複合体が、GII.4/コンセンサスVLPに連結された第2のマイクロスフェアを含む、項目69の方法。
69.工程3における前記シグナルが、前記レポーター抗体が取り付けられた前記検出可能な標識の結果としてもたらされる、項目58~70のいずれか1つに記載の方法。
70.工程2.1における接触が約5~約23時間実行される、項目60~63および66~71のいずれか1つに記載の方法。
71.工程2.1における接触が、約8~約21時間、好ましくは約16時間、実行される、項目72に記載の方法。
72.工程2.1における接触が約2~約30℃の温度で実行される、項目72または73に記載の方法。
73.工程2.1における接触が約4℃の温度で実行される、項目74に記載の方法。
74.工程2.2における接触が、約10~約90分間、好ましくは約60分間、実行される、項目60~63および66~75のいずれか1つに記載の方法。
75.工程2.2における接触が約22℃で実行される、項目76に記載の方法。
76.工程2.3における接触が、約10~約90分間、好ましくは約60分間、実行される、項目61~63および67~77のいずれか1つに記載の方法。
77.工程2.3における接触が約22℃で実行される、項目78に記載の方法。
【0335】
[0327] V.診断方法
対象においてノロウイルス感染を診断する方法であって、
工程1:前記対象の身体の外側に前記対象からの試料を用意する工程、
工程2:項目35~79のいずれか1つに記載の試料中のノロウイルス反応性抗体の量を決定する工程、および
工程3:ノロウイルス反応性抗体の前記量を、ノロウイルスに感染した対象におけるノロウイルス反応性抗体の確立された量と比較することにより、感染を決定する工程
を含む、方法。
78.前記対象が、少なくとも2つの異なるノロウイルスにより感染されている、項目80に記載の方法。
79.前記ノロウイルス感染が急性または回復期である、項目80または81に記載の方法。
【0336】
[0328] VI.保護を決定する方法
ノロウイルス感染からの対象の保護を決定する方法であって、
工程1:前記対象の身体の外側に前記対象からの試料を用意する工程、
工程2:項目35~79のいずれか1つに記載の試料中のノロウイルス反応性抗体の量を決定する工程、および
工程3:工程2におけるノロウイルス反応性抗体の前記量をノロウイルス反応性抗体の保護的な量と比較することにより保護を決定する工程
を含む、方法。
80.前記対象がノロウイルスワクチンでワクチン接種される、項目83に記載の方法。
81.前記ノロウイルス反応性抗体がノロウイルス中和抗体である、項目83または84の方法。
【0337】
[0329] VII.対象および試料の仕様
前記試料が、血液、尿、唾液、脳脊髄液、およびリンパ液からなる群から選択される、項目35~85のいずれか1つに記載の方法。
82.前記試料が血清または血漿試料である、項目86に記載の方法。
83.前記試料が熱不活性化される、項目86または87に記載の方法。
84.前記対象が哺乳動物であり、好ましくは、前記哺乳動物が、マウス、霊長動物、非ヒト霊長動物、ヒト、ウサギ、ネコ、ラット、ウマ、およびヒツジからなる群から選択される、項目35~88のいずれか1つに記載の方法。
85.前記対象がヒトである、項目89に記載の方法。
86.前記対象が2か月齢までの新生児または小児であり、小児が2か月齢~5歳である、項目90に記載の方法。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【配列表】
2024538677000001.xml
【国際調査報告】