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特表2024-538682イーサネット(登録商標)リングトポロジを有する自動車用通信システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-23
(54)【発明の名称】イーサネット(登録商標)リングトポロジを有する自動車用通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/46 20060101AFI20241016BHJP
   H04L 12/28 20060101ALI20241016BHJP
   H04L 12/44 20060101ALI20241016BHJP
   H04L 12/437 20060101ALI20241016BHJP
   B60R 16/023 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
H04L12/46 100C
H04L12/28 100A
H04L12/44 Z
H04L12/437
B60R16/023 P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520635
(86)(22)【出願日】2022-10-10
(85)【翻訳文提出日】2024-05-31
(86)【国際出願番号】 US2022077836
(87)【国際公開番号】W WO2023064722
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】63/262,378
(32)【優先日】2021-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515301041
【氏名又は名称】アティエヴァ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レンギェル、ガボル
【テーマコード(参考)】
5K031
5K033
【Fターム(参考)】
5K031AA07
5K031DA15
5K031DB01
5K031EB02
5K033AA06
5K033BA06
5K033DA15
5K033DB19
5K033EB02
(57)【要約】
車両通信システムは:イーサネット(登録商標)ゲートウェイ、ここで、イーサネット(登録商標)ゲートウェイの各々は、(i)車両内で他の自動車用機能を実行することに加えて、イーサネット(登録商標)ゲートウェイとして機能するように指定され;(ii)それぞれの自動車用バスプロトコルを用いて通信する電子制御ユニット(ECU)を有するそれぞれのサブシステムについての複数のバスに結合され;(iii)それぞれの自動車用バスプロトコルの受信された通信をイーサネット(登録商標)パケット内にカプセル化するように構成されている;イーサネット(登録商標)ゲートウェイをリングトポロジにおいて接続する自動車用イーサネット(登録商標)ケーブル、イーサネット(登録商標)ゲートウェイの各々は、イーサネット(登録商標)ゲートウェイに隣接する他の2つのイーサネット(登録商標)ゲートウェイに接続される;及び、イーサネット(登録商標)ゲートウェイの各々における通信マトリクス、ここで、ECUの各々は、複数の仮想ローカルエリアネットワーク(VLAN)のうちの少なくとも1つに属するものとして規定され、ここで、VLANタグはイーサネット(登録商標)パケットの各々に含まれる、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イーサネット(登録商標)ゲートウェイ、ここで、前記イーサネット(登録商標)ゲートウェイの各々は、(i)車両内で他の自動車用機能を実行することに加えて、前記イーサネット(登録商標)ゲートウェイとして機能するように指定され;(ii)それぞれの自動車用バスプロトコルを用いて通信する電子制御ユニット(ECU)を有するそれぞれのサブシステムについての複数のバスに結合され;(iii)前記それぞれの自動車用バスプロトコルの受信された通信をイーサネット(登録商標)パケット内にカプセル化するように構成されている;
前記イーサネット(登録商標)ゲートウェイをリングトポロジにおいて接続する自動車用イーサネット(登録商標)ケーブル、前記イーサネット(登録商標)ゲートウェイの各々は、前記イーサネット(登録商標)ゲートウェイに隣接する他の2つのイーサネット(登録商標)ゲートウェイに接続される;及び
前記イーサネット(登録商標)ゲートウェイの各々における通信マトリクス、ここで、前記ECUの各々は、複数の仮想ローカルエリアネットワーク(VLAN)のうちの少なくとも1つに属するものとして規定され、ここで、VLANタグは前記イーサネット(登録商標)パケットの各々に含まれる
を備える、車両通信システム。
【請求項2】
前記ECUの各々は、前記イーサネット(登録商標)ゲートウェイのうちの物理的に最も近接したものに結合されている、請求項1に記載の車両通信システム。
【請求項3】
前記イーサネット(登録商標)ゲートウェイの各々は、中断時に前記リングトポロジの反対方向において前記イーサネット(登録商標)パケットのうちのいずれかを再ルーティングするために構成されている、請求項1に記載の車両通信システム。
【請求項4】
前記VLANの各々は、前記イーサネット(登録商標)ゲートウェイのうちの対応するものの上に専用物理ポートを有する、請求項1に記載の車両通信システム。
【請求項5】
前記ECUのうちの1つは、前記ECUのうちの複数の他のものを含むスタートポロジにおける中央ノードであり、ここで、前記中央ノードは、前記スタートポロジに対応するために、前記イーサネット(登録商標)ゲートウェイのうちの1つへの1本よりも多くの物理ワイヤを有する、請求項1に記載の車両通信システム。
【請求項6】
前記通信マトリクスは、前記VLANのうちの少なくとも1つについての前記イーサネット(登録商標)パケットの全てが、そのVLANの一部に結合された前記イーサネット(登録商標)ゲートウェイのうちのいずれかにルーティングされることを規定する、請求項1に記載の車両通信システム。
【請求項7】
前記イーサネット(登録商標)ゲートウェイのうちの少なくとも1つは、前記受信された通信を前記イーサネット(登録商標)パケットからデカプセル化し、前記それぞれの自動車用バスプロトコルのうちの適用可能なものに従い前記通信を転送するように更に構成されている、請求項1に記載の車両通信システム。
【請求項8】
前記ECUのうちの少なくとも1つは、前記イーサネット(登録商標)ゲートウェイのうちの1つへの少なくとも2本の物理ワイヤを有し、ここで、前記2本の物理ワイヤは、前記それぞれの自動車用バスプロトコルのうちの異なるものに従った通信のために使用される、請求項1に記載の車両通信システム。
【請求項9】
前記自動車用イーサネット(登録商標)ケーブルは、ギガビット速度の自動車用イーサネット(登録商標)ケーブルである、請求項1に記載の車両通信システム。
【請求項10】
前記ECUのうちの少なくとも1つは、前記イーサネット(登録商標)ゲートウェイのうちの1つよりも多くに結合されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の車両通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年10月11日に出願された、「イーサネット(登録商標)リングトポロジを有する自動車用通信システム(AUTOMOTIVE COMMUNICATION SYSTEM WITH ETHERNET RING TOPOLOGY)」と題する米国特許出願第63/262,378号に対する優先権を主張するものであり、その開示内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本書は、イーサネット(登録商標)リングトポロジを有する自動車用通信システムに関する。
【背景技術】
【0003】
自動車業界は、車両の従来の機能を向上させるのみならず、新たな特徴をサポートするために、ますます洗練された車両内部システムを開発してきた。これらのシステム間の通信を提供するために、従来のアプローチでは、ますます複雑かつ大量のワイヤハーネスを車両に取り付けている。しかしながら、そのようなハーネスは、重量、コスト及び複雑さの両方を車両に追加する。
【発明の概要】
【0004】
或る態様において、車両通信システムは:イーサネット(登録商標)ゲートウェイ、ここで、上記イーサネット(登録商標)ゲートウェイの各々は、(i)車両内で他の自動車用機能を実行することに加えて、イーサネット(登録商標)ゲートウェイとして機能するように指定され;(ii)それぞれの自動車用バスプロトコルを用いて通信する電子制御ユニット(electronic control unit:ECU)を有するそれぞれのサブシステムについての複数のバスに結合され;(iii)それぞれの自動車用バスプロトコルの受信された通信をイーサネット(登録商標)パケット内にカプセル化するように構成されている;上記イーサネット(登録商標)ゲートウェイをリングトポロジにおいて接続する自動車用イーサネット(登録商標)ケーブル、上記イーサネット(登録商標)ゲートウェイの各々は、上記イーサネット(登録商標)ゲートウェイに隣接する他の2つのイーサネット(登録商標)ゲートウェイに接続される;及び、上記イーサネット(登録商標)ゲートウェイの各々における通信マトリクス、ここで、上記ECUの各々は、複数の仮想ローカルエリアネットワーク(virtual local area network:VLAN)のうちの少なくとも1つに属するものとして規定され、ここで、VLANタグは上記イーサネット(登録商標)パケットの各々に含まれる、を備える。
【0005】
実装形態は、以下の特徴のうちのいずれか又は全てを含み得る。ECUの各々は、イーサネット(登録商標)ゲートウェイのうちの物理的に最も近接したものに結合されている。イーサネット(登録商標)ゲートウェイの各々は、中断時にリングトポロジの反対方向においてイーサネット(登録商標)パケットのうちのいずれかを再ルーティングするために構成されている。VLANの各々は、イーサネット(登録商標)ゲートウェイのうちの対応するものの上に専用物理ポートを有する。ECUのうちの1つは、ECUのうちの複数の他のものを含むスタートポロジにおける中央ノードであり、ここで、当該中央ノードは、スタートポロジに対応するために、イーサネット(登録商標)ゲートウェイのうちの1つへの1本よりも多くの物理ワイヤを有する。通信マトリクスは、VLANのうちの少なくとも1つについてのイーサネット(登録商標)パケットの全てが、そのVLANの一部に結合されたイーサネット(登録商標)ゲートウェイのうちのいずれかにルーティングされることを規定する。イーサネット(登録商標)ゲートウェイのうちの少なくとも1つは、受信された通信をイーサネット(登録商標)パケットからデカプセル化し、それぞれの自動車用バスプロトコルのうちの適用可能なものに従い通信を転送するように更に構成されている。ECUのうちの少なくとも1つは、イーサネット(登録商標)ゲートウェイのうちの1つへの少なくとも2本の物理ワイヤを有し、ここで、当該2本の物理ワイヤは、それぞれの自動車用バスプロトコルのうちの異なるものに従った通信のために使用される。自動車用イーサネット(登録商標)ケーブルは、ギガビット速度の自動車用イーサネット(登録商標)ケーブルである。ECUのうちの少なくとも1つは、イーサネット(登録商標)ゲートウェイのうちの1つよりも多くに結合されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】イーサネット(登録商標)リングベースの自動車用通信システムの例を示す。
【0007】
図2】自動車用バスプロトコルの受信された通信をイーサネット(登録商標)パケット内にカプセル化する例を示す。
【0008】
様々な図面における同様の参照符号は、同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本書では、イーサネット(登録商標)リングトポロジを用い、車両内の改善された通信を提供するためのシステム及び技法の例について説明する。
【0010】
従来、車両内のシステム間の通信を提供するには、全てのコンポーネントが複雑な導体パターンで互いに直接配線されることが必要であった。完全に接続されるには、これは通常、車両の前部及び後部の間でワイヤを数回延長することを伴った。試みられたアプローチは、公開された規格による自動車用イーサネット(登録商標)を伴ったが、それは、異なるドメインがそれのために定義された少数のゲートウェイコンポーネント、及び、それに接続されたサブシステムを使用したに過ぎない可能性がある。上記規格は、いかなる閉じられた構成(例えばリング)も企図していなかった。
【0011】
追加的な改善から恩恵を受ける可能性がある車両技術の1つの分野は、多数のコントローラ及びアクチュエータに対して車内の効率的な配線及び通信をいかにして実現するかという課題を伴う。この問題は、部分的には、通常の車両のアーキテクチャが効率的なワイヤ配置に自由に適しておらず、むしろ比較的制限されているために生じている。一つには、搭乗者コンパートメントは、一般的に、ワイヤがそれらの途中で通過することを可能にせず、そのため、車室は本質的にケーブル延長のために利用可能ではないゾーンである。その結果、通信システムの設計者は、殆ど柔軟性を提供せず、すぐに制約を受ける領域において、車両の周囲にワイヤを引くことを余儀なくされる可能性がある。
【0012】
そのため、現代の自動車の通信ハーネスは、多くの場合、かなりの数の異なるワイヤ及びコネクタを有する。ハーネスは供給にコストがかかり、取り付けのために多大な労力を必要とし、車両に著しい重量を追加し得る。特定のタイプの車両の場合、通信ハーネスは車両内の全てのコンポーネントの中でおよそ3番目に重く、唯一最も高価であり得る。必要となるであろうハーネスのサイズ又は範囲を縮小する努力において、車両の設計者は、場合により、電子制御ユニット(ECU)などの特定のコンポーネントを移動させ、代わりに、それらを、それらがより短い配線を必要とする場所に配置することを選択した。しかし、先に述べた通り、特に、特定のサイズのキャビティを必要とし得るECUなどのコンポーネントの場合、車両内部において利用可能なスペースは限定されている。車両1台当たりのECUの数が増加するにつれて、この課題はより重要になる。通信システムを設計する者は、中断の場合におけるフォールバックソリューションとして冗長経路を提供することを望む可能性があるものの、車両全体に分散されたワイヤの数が既に増加しつつある場合、そのような野心の実現は困難に遭遇し得る。
【0013】
車両内のどこにコンポーネントが配置されているかも重要であり得る。従来、車両は後部においてよりも前部に向かって、より多くの数のそれらのECUを有する傾向にあった。ほんの数例を挙げると、これには、インフォテインメントシステム、モータコントローラ及びバッテリ管理システムを含む。その結果、車両は前部においてより高い処理能力を有することになり;対照的に、車両後部は演算の観点から十分に活用されなくなる。上述したハーネスの課題及び他の技術的制限に起因して、演算が実行されるように自動車用信号を後方に送信し、次に、その結果をそれが必要とされ得る前部に戻すことは、通常、現実的ではなかった。従って、多くの車両が、より強力なECUを後部よりも前部において搭載する傾向にあった。
【0014】
車両通信設計者が直面する別の制限は、特定の目的のために利用可能であり得るポートの数である。ECUなどの通信コンポーネントは、特定の内部バス容量を有し得、自動車用バスプロトコルに従った通信のための少なくとも1つのインタフェースをサポートし得る。そのコンポーネントについて、通信設計者は次に、利用可能な互換性のあるポートを有する車両内のゲートウェイを探索し、そこにワイヤを引く可能性がある。しかしながら、自動車用バスプロトコルのいずれについても、利用可能であるポートの数は限定されており、車両の地域に応じて異なり得る。そのため、ECUの数が増加するにつれて、それらのインタフェースに対する需要も増加する。関連する懸念は、利用可能な帯域幅である:従来の自動車用通信コンポーネントは帯域幅に制限があり、それによって、同じ物理ワイヤのセットに更に多くのECUを追加するというユーティリティを抑制している。
【0015】
本開示は、上記の懸念に対処し、及び/又は他の利点を提供するアプローチについて説明する。イーサネット(登録商標)ゲートウェイは、車両内(例えば、少なくともその四隅領域付近)に分散され、自動車用イーサネット(登録商標)によって物理リングトポロジに互いに接続され得る。
【0016】
そのようなアプローチは、含まれることが予想される既存のECUシステムを慎重に視野に入れて取り組まれており、これは、そのようなシステムが通常、異なる種類のアーキテクチャ向けに設計されたものであるためである。例えば、あらゆるサードパーティシステム(例えば、ECU又はECUの特定のセット)がその構成部分に分割され得るほど、それが十分に動的であり、途中でイーサネット(登録商標)通信が導入されたことをシステムが認識すると単純に仮定することはできない。むしろ、イーサネット(登録商標)構成は、大部分において、ECU間にイーサネット(登録商標)通信が存在することにECUが全く気付かない方法で挿入される。イーサネット(登録商標)構成は、スター型(star-like)トポロジを有するように設計されたECUのそれらの既存のシステムに対して透過的でなければならない。例えば、スタートポロジのあらゆるレッグの端部に物理ECUが存在するかのようにワイヤを接続し得る。そのようなアプローチは、中央ノードがそのために意図されていない可能性のあるトポロジに取り付けられているにもかかわらず、それが正常な様式で作用することを可能にし得る。メッセージのカプセル化及びデカプセル化は、そのような動作を促進し得る。
【0017】
本主題は、車両の周辺で機能を自由に移動させる柔軟性を提供し得る。これにより、1つのECU上で機能を集中化させ、次に、スター型トポロジにおいて構成コンポーネントに向けて物理ワイヤを引き出す必要がないという利点が提供され得る。むしろ、リングトポロジを用いることで、分散ロジックが著しくより容易になり、より好ましい演算負荷分散が得られ得る。例えば、シグナリングが必要とされる遠隔地に様々な物理ワイヤを引く代わりに、通信が伴う自動車用バスプロトコルのうちどれでも、物理的に最も近いイーサネット(登録商標)ゲートウェイにECUが接続され得る。次に、仮想ローカルエリアネットワーク(virtual local area network:VLAN)の使用により、これらのサブシステムのセグメント間で、物理的な接続性の代わりに仮想的な接続性を提供することができる。
【0018】
幾つかの実装形態において、車両の前部に位置付けられるイーサネット(登録商標)ゲートウェイにおいて、後部における場合と本質的に同じ種類のECUが使用され得る。例えば、これは、従来のアーキテクチャによれば恐らく前部に存在していたであろう後部のイーサネット(登録商標)ゲートウェイ上のロジックの使用を可能にし得る。これにより、複数の自動車用機能についての演算負荷のより良い分散が可能になり得る。
【0019】
実装形態は、既存のシステムに対する1つ又は複数の利点を提供し得る。そのような利点は、以下を含み得るがこれらに限定されない。車両内でのより論理的に分散された演算能力が提供され得る。例えば、これはECUに関するリソース利用率の向上又は最適化に役立ち得る。より軽くより複雑でない車両用のワイヤハーネスが提供され得る。物理的なECU配置における柔軟性が高まり得る。物理的に最も近接したイーサネット(登録商標)ゲートウェイの使用により、接続性及び帯域幅の可用性が向上し得る。通信の冗長性は、双方向シグナリングをサポートするリングトポロジに固有のものであり得る。
【0020】
本明細書で説明される例は、車両に言及する。車両は、搭乗者又は積荷、又はその両方を輸送する機械である。車両は、少なくとも1つのタイプの燃料、又は他のエネルギー源(例えば電気)を用いる1つ又は複数のモータを有し得る。車両の例は、車、トラック及びバスを含むが、これらに限定されない。車輪の数は車両のタイプの間で異なってよく、車輪のうちの1つ又は複数(例えば全て)は、車両の推進のために使用され得る。車両は1人又は複数人の人を収容する搭乗者コンパートメントを含み得る。電気車両は、ほんの数例を挙げると、もっぱら電気によって駆動され得る、又は、電気に加えて1つ又は複数の他のエネルギー源を使用し得る。
【0021】
図1は、イーサネット(登録商標)リングベースの自動車用通信システム100の例を示す。自動車用通信システム100は、本明細書の他の箇所において説明される1つ又は複数の他の例と共に使用され得る。自動車用通信システム100は、1つ又は複数のタイプの車両において実装され得、ここでは車両102の上から重ね合わせて概略的に示される。車両102は、前部104及び後部106、及び4つの車輪108A~108Dを有する。前部104及び後部106の間に、車両102は、1人又は複数人の人を収容するための搭乗者コンパートメントを有し得る。
【0022】
自動車用通信システム100は、イーサネット(登録商標)ゲートウェイ110A~110Dを含み、その各々が1つ又は複数のプロセッサに基づき動作する。イーサネット(登録商標)ゲートウェイ110Cは、イーサネット(登録商標)ゲートウェイ110A~110Dのコンポーネントを例示するために、ここでは拡大図において示される。イーサネット(登録商標)ゲートウェイ110Cは、ゲートウェイ機能コンポーネント112を含む。幾つかの実装形態において、ゲートウェイ機能コンポーネント112は、ソフトウェア及びハードウェアの組み合わせを含む。ゲートウェイ機能コンポーネント112は、イーサネット(登録商標)ゲートウェイ110Cをイーサネット(登録商標)ネットワーク内のゲートウェイとして機能するように指定し、かつ、イーサネット(登録商標)ゲートウェイ110Cをイーサネット(登録商標)ネットワーク内のゲートウェイになるように構成し得る。例えば、イーサネット(登録商標)ゲートウェイ110Cは、非イーサネット(登録商標)メッセージのイーサネット(登録商標)パケットへのカプセル化及びデカプセル化を実行し;VLANタグを読み取り;メッセージをそれらでラベル付けし;通信マトリクス114に従いイーサネット(登録商標)パケットをルーティングする。パケット及びフレームという用語は、本明細書では同義的に使用される。
【0023】
通信マトリクス114は、自動車用通信システム100内のシグナリング経路を定義する構成記録として機能し得る。例えば、自動車用通信システム100は、ECU及び他のコンポーネントに関して定義された多数の異なる信号を有し得;通信マトリクス114は、そのようなメッセージに関し、通信システム100内のそれらの発信元又は最終宛先に関わらず、ルーティング及び配信仕様を定義し得る。そのため、通信マトリクス114は、イーサネット(登録商標)ゲートウェイ110A~110Dについての全てのルーティング情報を含む単一システム定義として機能し得る。
【0024】
イーサネット(登録商標)ゲートウェイ110Cは、1つ又は複数の自動車用機能コンポーネント116を含む。自動車用機能コンポーネント116は、ソフトウェア及びハードウェアの組み合わせを含み得、イーサネット(登録商標)ゲートウェイ110Cがイーサネット(登録商標)内のゲートウェイとしてのその役割に加えて、少なくとも1つの能力において機能することを意味する。そのような追加的機能は、ここでは自動車用であると称され、車両内のECUによって果たされる多くの異なる役割のうちのいずれかを含み得る。1つ又は複数のECUによって制御され得るコンポーネント又はシステムの例は、エンジン又は他のモータ(例えば、電気モータのインバータ);電気車両のバッテリパック又はバッテリモジュール;熱システム;先進運転支援システム(advanced driver-assistance system:ADAS)又はそのセンサ;又は(例えば、ナビゲーション用の)車両インフォテインメントシステムを含むが、これらに限定されない。例えば、イーサネット(登録商標)ゲートウェイ110A~110Dのうちのいずれかが、(例えば、パワートレインドメインの制御を担う)車両制御ユニットとして指定され得る。別の例として、イーサネット(登録商標)ゲートウェイ110A~110Dのうちの別のものが、(例えば、セキュリティ、アクセス機能、快適特徴性、及び照明の制御を担う)車体コントローラとして指定され得る。
【0025】
イーサネット(登録商標)ゲートウェイ110A~110Dに加えて、自動車用通信システム100は、イーサネット(登録商標)ゲートウェイとして指定されていない他のECUを含む。自動車用通信システム100は、特定の自動車用バスプロトコルを用いて通信し得るECU118A~118Fを含む。自動車用通信システム100の他のECUは、加えて、又は代わりに、少なくとも1つの他の自動車用バスプロトコルを用いて通信し得る。自動車用バスプロトコルの例は、ローカルインターコネクトネットワーク(Local Interconnect Network:LIN)、コントローラエリアネットワーク(Controller Area Network:CAN)及びCANフレキシブルデータレート(CAN Flexible Data-Rate:CAN-FD)を含むが、これらに限定されない。例えば、ECU118A~118Fは、少なくとも第1の自動車用バスプロトコル(例えば、LINプロトコル)を用いて通信するように構成され得る。ECU118A~118Fは、これらのECUのうちの1つ又は複数に関連する信号が、それらのうちの幾つか又は全てにアドレス指定され得るよう、ルーティングの目的で自動車用通信システム100内のVLANとみなされ得る。ここで、ECU118Aは物理ワイヤによってイーサネット(登録商標)ゲートウェイ110Dに結合され;ECU118Bは物理ワイヤによってイーサネット(登録商標)ゲートウェイ110Aに結合され;ECU118C~118Dは物理ワイヤによってイーサネット(登録商標)ゲートウェイ110Bに結合され;ECU118E~118Fは物理ワイヤによってイーサネット(登録商標)ゲートウェイ110Cに結合される。
【0026】
自動車用通信システム100は、少なくとも第2の自動車用バスプロトコル(例えば、CANプロトコル)を用いて通信するように構成されたECU120A~120Eを含む。ここで、ECU120Aは、物理ワイヤによってイーサネット(登録商標)ゲートウェイ110Aに結合されており、ECU120B~120C及び120D~120Eは、それぞれの物理ワイヤによってイーサネット(登録商標)ゲートウェイ110Cに結合されている。
【0027】
幾つかの実装形態において、ECU118Bは、第1及び第2の自動車用バスプロトコル(例えば、LIN及びCAN)の両方のために構成され得る。そのため、ECU118Bは、第1の自動車用バスプロトコルに従い通信のために使用されるワイヤとは別個の別の物理ワイヤによってもイーサネット(登録商標)ゲートウェイ110Aに結合され得る。ワイヤは、イーサネット(登録商標)ゲートウェイ110Aの別個の物理インタフェースに接続し得る。
【0028】
自動車用通信システム100は、少なくとも第3の自動車用バスプロトコル(例えば、CAN-FDプロトコル)を用いて通信するように構成されたECU122A~122Eを含む。ここで、ECU122Aは、2本の物理ワイヤによってイーサネット(登録商標)ゲートウェイ110Aに結合されており、それぞれの物理ワイヤによってECU122B~122Cに結合されている。ECU122Dは、物理ワイヤによってイーサネット(登録商標)ゲートウェイ110Bに結合されており、ECU122Eは、物理ワイヤによってイーサネット(登録商標)ゲートウェイ110Cに結合されている。
【0029】
そのため、イーサネット(登録商標)ゲートウェイ110A~110Dの各々は、複数の異なるバスを共に接続し、通信マトリクス114内の信号定義に基づき、或るバスから別のバスへ、又はイーサネット(登録商標)ゲートウェイ110A~110Dのうちの別のものへ、トラフィックをルーティングすることができる。
【0030】
イーサネット(登録商標)ゲートウェイ110A~110Dのうちの1つから別のイーサネット(登録商標)ゲートウェイへの通信は、イーサネット(登録商標)ケーブル経由で行われる。幾つかの実装形態において、自動車用イーサネット(登録商標)規格に準拠したケーブルが使用され得る。ケーブルの速度定格は、複数の異なる選択肢のうちのいずれかであり得る。例えば、毎秒約複数メガビットのオーダーの速度が使用され得る。別の例として、毎秒約1又は複数ギガビットのオーダーの速度が使用され得る。幾つかの実装形態において、ケーブルは物理ワイヤのツイストペアであり得る。例えば、シールド又は非シールドケーブルが使用され得る。
【0031】
自動車用通信システム100は、イーサネット(登録商標)ケーブルを用い、リングトポロジにおいてイーサネット(登録商標)ゲートウェイ110A~110Dを接続する。幾つかの実装形態において、イーサネット(登録商標)ゲートウェイ110Aはイーサネット(登録商標)ゲートウェイ110D及び110Bに接続され;イーサネット(登録商標)ゲートウェイ110Bはイーサネット(登録商標)ゲートウェイ110A及び110Cに接続され;イーサネット(登録商標)ゲートウェイ110Cはイーサネット(登録商標)ゲートウェイ110B及び110Dに接続され;イーサネット(登録商標)ゲートウェイ110Dはイーサネット(登録商標)ゲートウェイ110C及び110Aに接続される。そのため、イーサネット(登録商標)ゲートウェイ110A~110Dの各々は、イーサネット(登録商標)ゲートウェイに隣接する他の2つのイーサネット(登録商標)ゲートウェイ110A~110Dに接続され得る。ここで、自動車用イーサネット(登録商標)ケーブル124Aは、イーサネット(登録商標)ゲートウェイ110A及び110Bを互いに接続し;自動車用イーサネット(登録商標)ケーブル124Bはイーサネット(登録商標)ゲートウェイ110B及び110Cを互いに接続し;自動車用イーサネット(登録商標)ケーブル124Cはイーサネット(登録商標)ゲートウェイ110C及び110Dを互いに接続し;かつ、自動車用イーサネット(登録商標)ケーブル124Dはイーサネット(登録商標)ゲートウェイ110D及び110Aを互いに接続する。
【0032】
リングトポロジは、自動車用通信システム100がパケットをリング周辺のいずれかの方向又は両方向にルーティングすることを可能にする。そのようなルーティング経路は、イーサネット(登録商標)ゲートウェイ110A~110Dのうちの任意の2つの間の物理的最短距離であり得るが、必ずしもそうではない。通信マトリクス114は、自動車用バスプロトコルのいずれかのメッセージについて、自動車用通信システム100を通る多くの異なる経路を定義し得る。
【0033】
以下はECU118A~118Fを伴う例であり、これはLINベースのサブシステムと称され得る。自動車用通信システム100のリングトポロジを伴わない場合、ECU118A~118Fの全ては、それらが車両102内のどこに存在するかに応じて、左右のそれぞれの物理ワイヤによって接続される必要がある。代わりに、ECU118Aは、イーサネット(登録商標)ゲートウェイ110A~110Dのうちの物理的に最も近接したものであるイーサネット(登録商標)ゲートウェイ110Dに接続される。同様に、ECU118Bはその物理的に最も近接したゲートウェイであるイーサネット(登録商標)ゲートウェイ110Aに接続され;ECU118C~118Dはイーサネット(登録商標)ゲートウェイ110Cに接続され:ECU118E~118Fはイーサネット(登録商標)ゲートウェイ110Cに接続される。すなわち、ECU118A~118Fは、LINベースのドメインの4つの半切断セグメントに分散される。イーサネット(登録商標)ゲートウェイ110A~110Dは、LINドメインから任意の物理ワイヤ上に入来する任意の通信が1つ又は複数のVLANにマッピングされるように(例えば、通信マトリクス114によって)構成され得る。そのようなマッピングは、自動車用イーサネット(登録商標)ケーブル124A~124Dのうちの1本又は複数本を通るルーティングの基礎となり得る。
【0034】
例えば、ECU118Aは、標準のLINトランシーバを使用して、イーサネット(登録商標)ゲートウェイ110Dに到達するLINメッセージを生成し得る。イーサネット(登録商標)ゲートウェイ110Dは、LINメッセージをイーサネット(登録商標)パケット内にカプセル化し、当該パケットをVLANタグでラベル付けして、当該タグ付きパケットをイーサネット(登録商標)ゲートウェイ110Aに向けて転送し得る。イーサネット(登録商標)ゲートウェイ110Aは、次に、受信されたイーサネット(登録商標)パケットを変更してよく、又は変更しなくてよいが、通信を1人又は複数人の受信者に転送する。例えば、イーサネット(登録商標)ゲートウェイ110Aは、通信マトリクス114に従い、パケットをイーサネット(登録商標)ゲートウェイ110Bに転送する。イーサネット(登録商標)ゲートウェイ110Bは、(LINメッセージへのデカプセル化を含む)ECU118C~118Dの物理ワイヤへのトラフィックを終了し得る、及び/又は、ECU118E~118Fへのデカプセル化及び転送のためにパケットをイーサネット(登録商標)ゲートウェイ110Cに転送し得る。例えば、ECU118AからのLINメッセージは、同じVLAN内の全ての他のECU、ここではECU118B~118Fに配信され得る。別の例として、ECU118AからのLINメッセージは、ECU118B~118Fのうちの1つ又は複数にのみ配信され得る。別の例として、ECU118AからのLINメッセージは、別のVLANに配信され得る。これらのアプローチの組み合わせが使用され得る。
【0035】
すなわち、自動車用通信システム100は、仮想アドレス及び物理アドレスの両方、及び/又は仮想インタフェース及び物理インタフェースの両方を利用し得る。自動車用通信システム100の動作は、イーサネット(登録商標)ゲートウェイ110A~110Dの構成においてアドレスがどのようにマッピングされるかに基づいている。例えば、ECU118A~118Fには、イーサネット(登録商標)ゲートウェイ110Dに通じる物理インタフェースが存在する。そのインタフェースは特定の番号を有し、専用LINトランシーバと称され得る。そのトランシーバに関連付けられたソフトウェアは、そのセクションの通信プロトコルをハンドリングするために構成されている。次に、ロジックを適用して、そのLINトラフィックをカプセル化し、タグ付けし、次に、1つ又は複数のVLAN周辺に転送し得る。各VLANに関連付けられた物理配線又はポートが存在しないという点において、VLANは論理的なアドレス指定とみなされ得る;むしろ、VLANは、イーサネット(登録商標)フレーム内のタグである。そのようなタグは、システムの残りの部分について、そのフレームがどのVLANに属するかを識別する。そのため、ハードウェアプリセット配線は使用されない。
【0036】
ECU122Aは、他のノード、ここではECU122B~122Eをも含むスタートポロジ(場合により、スター型トポロジと称される)の中央ノードとみなされ得る。例えば、ECU122Aはサスペンションコントローラに対応し得、ECU122B~122Eはそれぞれ車輪108A~108D向けのアクティブサスペンションユニットであり得る。本開示に基づかない従来の配線が使用された場合、それぞれの物理ワイヤがECU122AからECU122B~122Eの各々に延長し、それらのワイヤはそのドメインのみの専用となる。中央ノードは、それらの他のノードに関連付けられた物理インタフェース(例えば、コネクタ用のレセプタクル)を有する。そのため、ECU122Aの動作は、それらのインタフェースのそれぞれの物理ワイヤにてECU122B~122Eと首尾よく通信に従事することに基づき得る。
【0037】
ここで、ECU122Aは、ECU122B~122Cに接続された物理ワイヤを有する。しかしながら、ECU122Aからの他の物理ワイヤは、イーサネット(登録商標)ゲートウェイ110A及び110Dに接続される。イーサネット(登録商標)ゲートウェイ110Aは、イーサネット(登録商標)ゲートウェイ110Bに接続する自動車用イーサネット(登録商標)ケーブル124Aを有し、これはECU122Dへの物理ワイヤを有する。同様に、イーサネット(登録商標)ゲートウェイ110Dは、イーサネット(登録商標)ゲートウェイ110Cに接続する自動車用イーサネット(登録商標)ケーブル124Cを有し、これはECU122Eへの物理ワイヤを有する。そのため、ECU122A~122Eの元のスタートポロジは、ECU122Aが1本よりも多くの物理ワイヤをイーサネット(登録商標)ゲートウェイ110A~110Dのうちのいずれか1つに結合するのを可能にすることにより、及び/又は、ECU122Aがそれぞれの物理ワイヤをイーサネット(登録商標)ゲートウェイ110A~110Dのうちの2つ又はそれより多くに結合するのを可能にすることにより、対応され得る。
【0038】
ECU126はイーサネット(登録商標)ゲートウェイ110Dに接続され、ECU128はイーサネット(登録商標)ゲートウェイ110Bに接続される。ECU126及び128は、先の例において言及されたECUのうちの1つ又は複数とは別の通信プロトコルに従い信号を送ることができる。幾つかの実装形態において、ECU126及び128は、互いに同じプロトコル又は異なるプロトコルを使用し得る。例えば、ECU126及び/又は128は、イーサネット(登録商標)パケット経由で通信し得る。
【0039】
図2は、自動車用バスプロトコルの受信された通信をイーサネット(登録商標)パケット内にカプセル化する例を示す。この例において、自動車用通信システム100は、示されている通り、イーサネット(登録商標)ゲートウェイ110A~110D及び複数のECUを含む。幾つかの実装形態において、イーサネット(登録商標)ゲートウェイ110A~110Dの各々は、対応するイーサネット(登録商標)スイッチ200を含み得る。例えば、イーサネット(登録商標)スイッチ200は、ゲートウェイ機能コンポーネント112(図1)に対応する。イーサネット(登録商標)ゲートウェイ110A~110Dの各々は、対応するプロセッサ202を含み得る。
【0040】
カプセル化及びデカプセル化は、複数の異なる自動車用バスプロトコルのいずれかに従いメッセージに適用され得る。ここでは、CANフレーム204及びLINフレーム206が例として使用される。CANフレーム204は、左から右に、フレーム開始(start of frame:SOF)フィールド;識別子(identifier:ID)フィールド;リモート送信要求(remote transmission request:RTR)フィールド;識別子拡張ビット(identifier extension bit:IDE)フィールド;予約ビット(reserved bit:R)フィールド;データ長コード(data length code:DLC)フィールド;データ(DATA)フィールド;巡回冗長検査(cyclic redundancy check:CRC)フィールド;確認応答(acknowledgement:ACK)フィールド、フレーム終了(end-of-frame:EOF)フィールド;及びフレーム間間隔(inter-frame spacing:IFS)フィールドを含み得る。CAN通信の内容を含むDATAフィールドは、CANフレーム204の処理において維持される必要がある一方で、他のフィールドのうちの1つ又は複数は、カプセル化中に省略され得るか又は他の情報に組み合わされ得る。
【0041】
ここで、(例えば、CANベースのECUを有するVLANから)CANフレーム204を受信するイーサネット(登録商標)ゲートウェイ110A~110Dのうちのいずれかは、CANフレーム204をイーサネット(登録商標)フレーム208内にカプセル化し得る。イーサネット(登録商標)フレーム208は、左から右に、プリアンブルフィールド;宛先フィールド;ソースフィールド;タグプロトコル識別子(tag protocol identifier:TPID)フィールド;タグ制御情報(tag control information:TCI)フィールド;タイプフィールド;ペイロードフィールド;及びCRCフィールドを含み得る。CANフレーム204の幾つか又は全てがペイロードフィールド内にカプセル化され得る。ここで、CANフレーム204のID、RTR、IDE、DLC、及びDATAフィールドは、イーサネット(登録商標)フレーム208のペイロードフィールドに含まれるように示されている。CANメッセージングに関連するVLANを識別するタグがTCIフィールドに含まれ得る。
【0042】
CANフレーム204をカプセル化するイーサネット(登録商標)ゲートウェイ110A~110Dのうちの1つは、次に、イーサネット(登録商標)フレーム208をイーサネット(登録商標)ゲートウェイ110A~110Dのうちの別のものに転送し得る。その受信者は、次に、イーサネット(登録商標)フレーム208を別の受信者に同様に転送し得る、及び/又は、イーサネット(登録商標)フレーム208をデカプセル化して、CANフレーム204のID、RTR、IDE、DLC及びDATAフィールドに対応する情報を少なくとも含むCANフレーム204のバージョンを復元し得る。
【0043】
ここで、LINフレーム206に目を向けると、それは、左から右に、ブレイクフィールド;同期(Sync)フィールド;IDフィールド;データフィールド;及びCRCフィールドを含み得る。LIN通信の内容を含むデータフィールドは、LINフレーム206の処理において維持される必要がある一方で、他のフィールドのうちの1つ又は複数は、カプセル化中に省略され得るか又は他の情報に組み合わされ得る。
【0044】
ここで、(例えば、LINベースのECUを有するVLANから)LINフレーム206を受信するイーサネット(登録商標)ゲートウェイ110A~110Dのうちのいずれかは、LINフレーム206をイーサネット(登録商標)フレーム210内にカプセル化し得る。イーサネット(登録商標)フレーム210は、左から右に、プリアンブルフィールド;宛先フィールド;ソースフィールド;TPIDフィールド;TCIフィールド;タイプフィールド;ペイロードフィールド;及びCRCフィールドを含み得る。LINフレーム206の一部又は全部がペイロードフィールド内にカプセル化され得る。ここで、LINフレーム206のID及びデータフィールドは、イーサネット(登録商標)フレーム210のペイロードフィールドに含まれるように示されている。LINメッセージングに関連するVLANを識別するタグがTCIフィールドに含まれ得る。
【0045】
LINフレーム206をカプセル化するイーサネット(登録商標)ゲートウェイ110A~110Dのうちの1つは、次に、イーサネット(登録商標)フレーム210をイーサネット(登録商標)ゲートウェイ110A~110Dのうちの別のものに転送し得る。その受信者は、次に、イーサネット(登録商標)フレーム210を別の受信者に同様に転送し得る、及び/又は、イーサネット(登録商標)フレーム210をデカプセル化して、LINフレーム206のID及びDATAフィールドに対応する情報を少なくとも含むLINフレーム206のバージョンを復元し得る。
【0046】
本明細書の全体を通じて使用される「実質的に」及び「約」という用語は、処理時のばらつきに起因するものなどの小さい変動を説明及び報告するために使用される。例えば、それらは、±5%未満又はそれに等しい、例えば±2%未満又はそれに等しい、例えば±1%未満又はそれに等しい、例えば±0.5%未満又はそれに等しい、例えば±0.2%未満又はそれに等しい、例えば±0.1%未満又はそれに等しい、例えば±0.05%未満又はそれに等しいことを指し得る。また、本明細書において使用される場合、「a」又は「an」などの不定冠詞は「少なくとも1つ」を意味する。
【0047】
上述の概念、及び、以下でより詳細に論述される追加的な概念の全ての組み合わせが(そのような概念が相互に矛盾しない限り)、本明細書で開示される本発明の主題の一部であるものとして企図されていることを理解されたい。特に、本開示の最後に現れる特許請求される主題の全ての組み合わせが、本明細書で開示される本発明の主題の一部であるものとして企図されている。
【0048】
複数の実装形態について説明してきた。それにもかかわらず、本明細書の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正が加えられ得ることが理解されるであろう。
【0049】
加えて、図に示されているロジックフローは、望ましい結果を実現するために、示されている特定の順序、又は連続した順序を必要としない。加えて、他のプロセスが提供され得、又は、説明されたフローからプロセスが排除され得、かつ、他のコンポーネントが、説明されたシステムに追加され得る、又は、説明されたシステムから削除され得る。従って、他の実装形態は、以下の特許請求の範囲に記載の範囲内に属する。
【0050】
説明された実装形態の特定の特徴が本明細書で説明された通りに示されてきたが、今や多くの修正、代用、変更、及び均等物が当業者に想起されるであろう。従って、添付の特許請求の範囲は、実装形態の範囲内に属する全てのそのような修正及び変更を包含することを意図していることが理解されるべきである。それらは限定ではなく例としてのみ提示されており、形態及び詳細に様々な変更が加えられ得ることを理解されたい。相互に排他的な組み合わせを除き、本明細書で説明された装置及び/又は方法の任意の部分が任意の組み合わせで組み合わされ得る。本明細書で説明された実装形態は、説明された異なる実装形態の機能、コンポーネント、及び/又は特徴の様々な組み合わせ及び/又は副次的組み合わせを含み得る。
図1
図2
【国際調査報告】