(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-23
(54)【発明の名称】電池用電極上にコーティングされたゼオライト
(51)【国際特許分類】
H01M 50/434 20210101AFI20241016BHJP
H01M 50/443 20210101ALI20241016BHJP
H01M 50/489 20210101ALI20241016BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20241016BHJP
H01M 50/491 20210101ALI20241016BHJP
H01M 50/414 20210101ALI20241016BHJP
H01M 50/446 20210101ALI20241016BHJP
H01M 50/426 20210101ALI20241016BHJP
H01M 50/42 20210101ALI20241016BHJP
H01M 50/46 20210101ALI20241016BHJP
【FI】
H01M50/434
H01M50/443 M
H01M50/489
H01M10/052
H01M50/491
H01M50/414
H01M50/446
H01M50/426
H01M50/42
H01M50/46
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520639
(86)(22)【出願日】2022-09-28
(85)【翻訳文提出日】2024-05-30
(86)【国際出願番号】 US2022044984
(87)【国際公開番号】W WO2023059490
(87)【国際公開日】2023-04-13
(32)【優先日】2021-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513089291
【氏名又は名称】パシフィック インダストリアル デベロップメント コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】タン,ビン
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】シェパード,デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】サンカラン,アシュウィン
(72)【発明者】
【氏名】リー,ユンクイ
【テーマコード(参考)】
5H021
5H029
【Fターム(参考)】
5H021EE02
5H021EE03
5H021EE05
5H021EE06
5H021EE10
5H021EE21
5H021HH01
5H021HH02
5H021HH03
5H029AJ03
5H029AK01
5H029AK03
5H029AL02
5H029AL03
5H029AL07
5H029AL08
5H029AL12
5H029AM03
5H029AM05
5H029AM07
5H029DJ04
5H029EJ03
5H029EJ12
5H029HJ01
5H029HJ02
(57)【要約】
電気化学セルで使用するためのセルであって、正極と、負極と、電解質と、正極及び負極の少なくとも一方に直接付着されている、天然ゼオライト又は合成ゼオライトを1つ又は複数含むゼオライト系材料の形態のセパレータとを備える。正極は、非反応性金属イオンが正極から可逆的に引き抜かれ、正極に挿入されるように構成されている。負極は、非反応性金属イオンを可逆的に受け入れ、放出するように構成されている。電解質は、負極と正極との間に位置しており且つ負極及び正極と接触している。これにより、電解質は、正極と負極との間における非反応性金属イオンの可逆的な流れを支持する。セパレータは、セパレータを通る非反応性金属イオンの可逆的な流れに対して透過性を有しつつ、正極を負極から電気的に絶縁するように構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学セルで使用するためのセルであって、
前記電気化学セルは、
正極であって、
非反応性金属イオンが該正極から可逆的に引き抜かれ、該正極に挿入されるように構成されている、
正極と、
負極であって、
前記非反応性金属イオンを可逆的に受け入れ、放出するように構成されている、
負極と、
前記負極と前記正極との間に位置しており且つ前記負極及び前記正極と接触する電解質であって、
前記正極と前記負極との間における前記非反応性金属イオンの可逆的な流れを支持する、
電解質と、
前記正極及び前記負極の少なくとも一方に直接付着されている、天然ゼオライト又は合成ゼオライトを1つ又は複数含むゼオライト系材料の形態のセパレータであって、
該セパレータは、該セパレータを通る前記非反応性金属イオンの可逆的な流れに対して透過性を有しつつ、前記正極を前記負極から電気的に絶縁するように構成されている、
セパレータと
を備えるセル。
【請求項2】
請求項1に記載のセルであって、
前記正極及び負極の少なくとも一方に付着された前記ゼオライト系材料は、1マイクロメートル(μm)~200μmの範囲の厚さを有する、
セル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のセルであって、
前記正極は、カソードとしての活物質と、前記カソードと接触する集電体とを有し、
前記活物質は、LMNO、LiMn
2O
4、LiFePO
4、LiNi
aCo
bMn
cAl
dO
2(a+b+c+d=1)、及びLiFe
0.2Mn
0.8PO
4のうち、1つ以上を含む、
セル。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のセルであって、
前記負極は、アノードとしての活物質と、前記アノードと接触する集電体とを有し、
前記活物質は、黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン、ケイ素、Li
4Ti
5O
12、Nb
2O
5、及び、これらの誘導体のうち、1つ以上を含む、
セル。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか一項に記載のセルあって、
前記負極は、「アノードフリー」電極であり、集電体のみを有する、
セル。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載のセルであって、
前記ゼオライト系材料は、35%以下の水分含有量を有する、
セル。
【請求項7】
請求項6に記載のセルであって、
前記ゼオライト系材料は、7%以下の水分含有量を有する、
セル。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のセルであって、
前記ゼオライト系材料は、55%以下の空孔率を有する、
セル。
【請求項9】
請求項8に記載のセルであって、
前記ゼオライト系材料の前記空孔率は、30%~36%の範囲である、
セル。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のセルであって、
前記ゼオライト系材料は、さらに結合剤を含み、
前記ゼオライトの、前記結合剤に対する比は、99.5%/0.5%~10%/90%の質量比の範囲である、
セル。
【請求項11】
請求項10に記載のセルであって、
前記結合剤は、有機錯体、無機酸化物、又は、無機水酸化物を含む、
セル。
【請求項12】
請求項11に記載のセルであって、
前記有機錯体は、PVDF、cmc、SBR、PTFE、PAA(ポリアクリル酸)、PVA、PEI、又はPAIであり、
前記無機酸化物又は前記無機水酸化物は、その元素として、アルミニウム、マグネシウム、ジルコニウム、又はセリウムを含む、
セル。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載のセルであって、
前記ゼオライト系材料は、1つ又は複数の二次材料をさらに有しており、
前記ゼオライトの、前記二次材料に対する比は、99.9%/0.1%~50.1%/49.9%の質量比の範囲である、
セル。
【請求項14】
請求項13に記載のセルであって、
前記1つ又は複数の二次材料は、難燃剤材料を含む、
セル。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載のセルであって、
前記ゼオライトは、50ナノメートル(nm)~30マイクロメートル(μm)の範囲の平均粒子径を有する、
セル。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載のセルであって、
前記ゼオライトは、1つ又は複数のイオン交換ゼオライトを含む、
セル。
【請求項17】
請求項16に記載のセルであって、
前記イオン交換ゼオライトは、リチウム交換ゼオライトである、
セル。
【請求項18】
請求項17に記載のセルであって、
前記リチウム交換ゼオライトは、前記リチウム交換ゼオライトの全重量に対して0.1重量%~20重量%の範囲のリチウム質量含有量を有する、
セル。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか一項に記載のセルであって、
前記ゼオライトは、0.1nm~20nmの範囲の平均細孔径を有する、
セル。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか一項に記載のセルであって、
前記ゼオライトは、0.5~500の範囲のアルミニウム-ケイ素比(SAR)を有する、
セル。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか一項に記載のセルであって、
前記電解質中の前記非反応性金属イオンは、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、又は、これらの混合物である、
セル。
【請求項22】
リチウムイオン二次電池であって、
請求項1~21のいずれか一項に記載の1つ又は複数のセルと、
1つ又は複数の筐体であって、
前記1つ又は複数の筐体のうちの1つからの内壁が前記セルの少なくとも1つ以上をカプセル化する、
1つ又は複数の筐体と
を備える、
リチウムイオン二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年10月4日に出願された米国特許仮出願第63/251,745号の、合衆国法典第35巻第119(e)条に基づく出願日の利益を主張する。この米国特許仮出願の内容の全体を参照により本明細書に援用する。
【0002】
本発明は、概して、電気化学セルの製造に使用される構成要素に関する。より具体的には、本開示は、ゼオライト系材料の形態のセパレータについて説明するものであり、このゼオライト系材料は、電池内に存在する電極のうちの1つ又は複数に使用される。
【背景技術】
【0003】
本節の記載は、本開示に関連する背景情報を提供するものにすぎず、先行技術を構成しうるものではない。
【0004】
リチウムイオン電池とリチウムイオン二次電池の主な違いは、リチウムイオン電池は一次電池を含む電池を表し、リチウムイオン二次電池は二次電池を含む電池を表すことである。「一次電池」という語は、容易に又は安全に充電することができない電池セルを指し、「二次電池」という語は、充電可能な電池セルを指す。本明細書で使用される「電池セル」又は「セル」は、電池の基本的な電気化学的装置を指すものであり、電極と、セパレータと、電解質とを含む。対照的に、「電池」とは、セルの集合体、例えば1つ又は複数のセルを指し、この電池は、筐体と、電気的な接続と、場合によっては制御及び保護用の電子機器とを備えるものである。
【0005】
リチウムイオン(例えば、一次電池)電池は充電できないため、現在の使用期限は約3年であり、その後は有用性はなくなる。このような限られた寿命であっても、リチウム電池は、容量の点では、リチウムイオン二次電池よりも多くを提供できる。リチウム電池は、電池のアノードとしてリチウム金属を使用しており、これは、アノードに他の多くの材料を使用できるリチウムイオン電池とは異なっている。
【0006】
リチウムイオン二次電池の1つの重要な利点は、有用性がなくなるまで何度も充電できることである。リチウムイオン二次電池が複数回の充放電サイクルにわたって使用可能であるのは、行われる酸化還元反応の可逆性に起因する。リチウムイオン二次電池は、エネルギー密度が高いので、多くの携帯電子機器(例えば、携帯電話、ノートPC等)、電動工具、電気自動車、及び系統用エネルギー貯蔵のエネルギー源として広く利用されている。
【0007】
図1に示すように、リチウムイオン電池の二次電池等の従来の電気化学セル1は、一般に、活物質(カソード)5及び集電体7を含む正極10と、リチウムイオン35を含む非水系電解質30と、セパレータ25と、活物質(アノード)15及び集電体17を含む負極20とを備える。これらの構成要素は全て、ケース、エンクロージャ、ポーチ、バッグ、円筒状のシェル等に密封されている(一般に電池の「筐体」と呼ばれる)。セパレータ25は、カソード5をアノード15から電気的に絶縁しながら、イオン35がそれらの間を流れることを可能にする。イオンの流れは、セパレータ(すなわち、固体状態の反応機構を介して)によって導通されてもよく、又は、セパレータ25(膜など)の多数の孔に浸透する液体電解質30が存在することによって導通されてもよい。
【0008】
リチウムイオン又はリチウム金属電池では、セパレータは、一般に、ポリマー系の材料で構成されており、例として、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、及び重合体(polymeric)繊維で形成された不織布等が挙げられるが、これは機械的強度と電気化学的安定性が高いからである。しかし、これらの重合体(polymeric)材料には様々な問題も存在する。例えば、ポリマー系のセパレータは非水系電解質によって濡れにくく、イオン輸送のインピーダンスが増加し、高レート特性が低下する。さらに、これらのポリマー系のセパレータは、一般に熱安定性に欠ける。より具体的には、これらの重合体材料は、比較的高温(例えば165℃以下)で収縮し、さらには溶融する傾向がある。重合体材料の有機的性質により、これらのセパレータが、熱暴走事象中に、発火及び燃焼する可能性もある。さらに、ポリオレフィン膜が柔らかいが故に、デンドライト、例えばリチウムデンドライトが成長して浸透してしまい、安全性への懸念が高まる。
【0009】
重合体材料を純粋な無機材料(例えば、セラミック酸化物又はガラス)で置換することにより、高温にさらされたときに発生する可能性がある軟化及び溶融の問題を回避され、これにより、セパレータの熱安定性を改善できる。しかし、このような純粋な無機材料から形成されたセパレータは、機械的安定性が低い傾向がある(例えば、脆くなる等)。さらに、無機材料で柔軟で自立するタイプの薄膜を作製することに関する困難さ故に、これらのセパレータの製造工程はより複雑になり且つより高価になる。
【0010】
純粋な無機材料をポリマー系のセパレータの表面に直接適用することにより、製造工程を簡素化できる。これらの純粋な無機材料には、α-Al2O3又はZrO2又はTiO2又はSiO2の、固体セラミック酸化物粒子が挙げられ、電極に限定的な電気絶縁を与えると同時に、存在する粒子間空間をイオンが通過して拡散することを可能にする。しかしながら、これらの固体セラミック酸化物粒子は、セルの性能を向上させることができる機能性粒子として機能するための表面積及び機能性が限られている。
【0011】
ゼオライト粒子及びリチウムイオン交換ゼオライト粒子は、水分、溶解した遷移金属イオン及び不純物を電解液から除去してセルの性能を向上させるために使用することができる。しかしながら、これらの表面積が大きい粒子を電極の表面に適用することは問題がある。なぜなら、これらのゼオライト材料の多くが乾燥後でも多量の水分を保持する傾向があるからである。ゼオライト粒子中の高い含水量は、セルの電解液に放出される可能性があり、水分が第1の充電工程で不可逆的にH2に還元されるため、セルの性能を損なうものとなる。この還元は電子を不可逆的に消費するため、その結果、第1のクーロン効率が低下し、セルのエネルギー密度が低下する。
【発明の概要】
【0012】
本開示は、一般的に、従来技術の課題と非効率性に対処し且つそれを克服する電気化学セルで使用するためのセルに関する。概して、電気化学セルは、正極と、負極と、負極と正極との間に位置しており且つ負極及び正極と接触している電解質と、正極及び負極の少なくとも一方に直接付着されている、天然ゼオライト又は合成ゼオライトを1つ又は複数含むゼオライト系材料の形態のセパレータとを備える。正極は、非反応性金属イオンが正極から可逆的に引き抜かれ、正極に挿入されるように構成されている。負極は、非反応性金属イオンを可逆的に受け入れ、放出するように構成されている。電解質は、これにより、電解質は、正極と負極との間における非反応性金属イオンの可逆的な流れを支持する。セパレータは、セパレータを通る非反応性金属イオンの可逆的な流れに対して透過性を有しつつ、正極を負極から電気的に絶縁するように構成されている。
【0013】
本開示の一態様によれば、正極及び負極の少なくとも一方に付着されたゼオライト系材料は、1マイクロメートル(μm)~200μmの範囲の厚さを有する。望ましい場合においては、ゼオライト系材料は、さらに結合剤を含み、ゼオライトの、結合剤に対する比は99.5%/0.5%~10%/90%の質量比の範囲である。この結合剤は、有機錯体、無機酸化物、又は、無機水酸化物を含んでもよい。この有機錯体は、PVDF、cmc、SBR、PTFE、PAA(ポリアクリル酸)、PVA、PEI、又はPAIであってもよく、無機酸化物又は無機水酸化物は、その元素として、アルミニウム、マグネシウム、ジルコニウム、又はセリウムを含んでもよい。ゼオライトは、0.5~500の範囲のアルミニウム-ケイ素比(SAR)を有してもよい。
【0014】
正極は、カソードとしての活物質と、カソードと接触する集電体とを有し、活物質は、LMNO、LiMn2O4、LiFePO4、LiNiaCobMncAldO2(a+b+c+d=1)、及びLiFe0.2Mn0.8PO4のうち、1つ以上を含む。負極は、アノードとしての活物質と、アノードと接触する集電体とを有し、活物質は、黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン、ケイ素、Li4Ti5O12、Nb2O5、及び、これらの誘導体のうち、1つ以上を含む。負極は、「アノードフリー」電極であり、集電体のみを有する。ゼオライト系材料は、35%以下の水分含有量を有し、或いは、7%以下の水分含有量を有する。ゼオライト系材料は、55%以下の空孔率を有し、或いは、30%~36%の空孔率を有する。電解質中の非反応性金属イオンは、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、又は、これらの混合物である。
【0015】
本開示の別の態様においては、ゼオライト系材料は、1つ又は複数の二次材料をさらに有する。ゼオライトの、二次材料に対する比は、99.9%/0.1%~50.1%/49.9%の質量比の範囲である。望ましい場合においては、1つ又は複数の二次材料は、難燃剤材料を含む。
【0016】
ゼオライトは、50ナノメートル(nm)~30マイクロメートル(μm)の範囲の平均粒子径、又は、0.1nm~20nmの範囲の平均細孔径、又は、その両方を有してもよい。望ましい場合においては、ゼオライトは、1つ又は複数のイオン交換ゼオライトを含んでもよい。イオン交換ゼオライトは、リチウム交換ゼオライトであってもよい。言い換えれば、リチウム交換ゼオライトは、リチウム交換ゼオライトの全重量に対して0.1重量%~20重量%の範囲のリチウム質量含有量を有してもよい。
【0017】
本開示の別の態様においては、リチウムイオン二次電池を提供する。このリチウムイオン二次電池は、前述の且つさらにここで定義されたセルを1つ又は複数と、1つ又は複数の筐体とを備える。1つ又は複数の筐体のうちの1つからの内壁がセルの少なくとも1つ以上をカプセル化する。
【0018】
適用可能なさらなる分野は、ここで与えられる説明から明らかになるであろう。なお、説明及び具体的な例は、説明のみを目的としており、本開示の範囲を制限することを意図したものではない。
【0019】
以下においては、本開示が十分に理解されるように、添付の図面を参照して、例示した本開示の様々な形態を説明する。各図面の構成要素は、必ずしも縮尺通りに描かれているわけではなく、むしろ本発明の原理を例示することに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、従来の電気化学セルの模式図である。
【
図2】
図2は、乾燥前後のゼオライトの水分含有量(%)を温度の関数として比較するために、熱重量分析(TGA)を使用してプロットしたグラフである。
【
図3A】
図3Aは、本開示の教示に従って形成された電気化学セルの模式図であり、ここでは、負極に直接付着されたゼオライト系材料がセパレータとして機能している。
【
図3B】
図3Bは、
図3Aの電気化学セルの模式図であり、本開示の教示に従って形成されたリチウムイオン二次電池として示されている。
【
図3C】
図3Cは、本開示の教示に従って形成された別のリチウムイオン二次電池の模式図であり、ここでは、正極に直接付着されたゼオライト系材料がセパレータとして機能している。
【
図3D】
図3Dは、本開示の教示に従って形成された別のリチウムイオン二次電池の模式図であり、ここでは、負極と正極の両方に直接付着されたゼオライト系材料がセパレータとして機能している。
【
図4】
図4は、本開示の教示に従って形成されたリチウムイオン二次電池の模式図であり、ここでは、
図3Bの4つの二次電池を並列に積層して、より大きな複数セル電池を形成している。
【
図5】
図5は、別のリチウムイオン二次電池の模式図であり、ここでは、
図3A、3B、3C、3Dの二次電池を含む4つの二次電池を直列に積層して、より大きな混合セル電池を形成している。
【
図6】
図6は、PEセパレータ又はゼオライトコーティング電極のいずれかを有するLiMn
2O
4/Li
4Ti
5O
12フルセルの充放電曲線の比較グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書に記載する図面は、図解の目的のみのものであり、本開示の範囲を限定することが意図されるものでは決してない。説明及び図面全体を通して、対応する参照符号は、類似の又は対応する部分及び特徴を示すことを理解されたい。
【0022】
以下の記載は、本質的に例示にすぎないものであり、いかなる方法においても本開示やその応用又は用途を限定することを意図するものではない。例えば、本明細書に記載された教示に従って調製され且つ使用されるゼオライト系材料は、二次リチウムイオン電池内の1つ又は複数の電極に適用されるセパレータ又はこれらの電極と直接接触するセパレータとして、本開示全体において、説明されるものであり、その目的は、各構造要素及びそれらの用途をより完全に例示するためである。そのようなゼオライト系材料を、電極の表面に直接接触させた状態で又は電極の表面上に置いた状態で、組み込んで使用することは、他の電気化学セルや全固体電池や一次電池における少なくとも電極とセパレータの組み合わせとして、限定されることなく、他の用途に利用可能であり、且つ、本開示の範囲内であると考えられる。
【0023】
本開示の目的上、「約」及び「実質的に」という語は、本明細書においては、測定可能な値及び範囲に関して使用されるものであり、これは、当業者には既知の予想される変動(例えば、測定の限界及び変動性)に起因する。
【0024】
本開示の目的上、ある要素の「少なくとも1つ」及び「1つ又は複数」という場合は、これらの語は入れ替えて使用することができ、同じ意味を有する場合がある。単数の要素又は複数の要素を包含することを指すこれらの語は、要素の末尾に接尾語「(複数形)」で表すこともできる。例えば、「少なくとも1つの金属」、「1つ又は複数の金属」、及び「金属(複数形)」は、入れ替えて使用することができ、同じ意味を有することが意図される。
【0025】
本開示は、概して、ゼオライト系材料を提供するものであり、このゼオライト系材料は、例えばリチウムイオン二次電池等の電気化学セルにおけるセパレータ層として機能する1つ又は複数の電極の表面に、直接付着されるか又はコーティングされる。このゼオライト系材料を使用することで、セパレータの熱安定性を改善したり又は向上させたりする利点が得られる。また、ゼオライト系材料は、電解質をその場で精製したり且つ他の機能を組み込んだりするための、大きな細孔表面積及び体積とをもたらすものである。前述の他の機能は、触媒や難燃剤を封入するか又は付着する支持体となることが挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
従来のセラミック酸化物(例えば、α-Al2O3、ZrO2、TiO2、又はSiO2)と比較して、本開示のゼオライト系材料は、ゼオライトの、細孔径、Si/Al比、及び含有する化学組成に基づいて、さらなる様々な機能を実施することができる。ゼオライト系材料は、他の活性材料の支持体として使用可能であり、これは、調整可能な細孔構造と、ゼオライトによる細孔機能(可逆的イオン交換サイトを含む)とがあるからである。例えば、リチウム交換ゼオライトは、電池に存在する溶解した遷移金属イオンを捕捉する機能も提供しており、それによって電池の寿命を延ばす。ゼオライトは、従来のセラミック酸化物と比較して非常に大きな表面積を有するため、有機電解質から非常に多量の水分及び不純物を吸収することができ、これは電池のサイクル寿命を延ばすのに必要である。
【0027】
本開示のゼオライト系材料におけるゼオライトは、TO4四面体単位の繰り返しからなる結晶質又は準結晶質のアルミノケイ酸塩であり、Tは最も一般的な例ではケイ素(Si)又はアルミニウム(Al)である。これらの繰り返し単位は、互いに連結して、結晶構造内に分子次元の空洞やチャネルを含む結晶フレームワーク又は結晶構造を形成する。したがって、これらのアルミノケイ酸塩ゼオライトは、フレームワーク構造に組み込まれる原子として、少なくとも、酸素(O)と、アルミニウム(Al)と、ケイ素(Si)とを有する。ゼオライトは、酸素原子の共有を介して相互接続されたシリカ(SiO2)とアルミナ(Al2O3)の結晶フレームワークを示すので、結晶フレームワーク内に存在するSiO2とAl2O3の比率(SAR)によって特徴付けることができる。
【0028】
ゼオライトは、当該技術分野で公知のフレームワークトポグラフィーのあらゆるものを示し得るものであり、シャバザイト(フレームワーク表記=「CHA」)、キアヴェンナイト(CHI)、フォージャサイト(FAU)、リンデタイプA(LTA)、及びローモンタイト(LAU)が挙げられるが、これらに限定されない。フレームワーク表記は、ゼオライトのフレームワーク構造を定義する国際ゼオライト学会(IZA)によって指定されたコードを表す。したがって、例えば、シャバザイトとは、ゼオライトの主要な結晶相が「CHA」であるゼオライトを意味する。
【0029】
ゼオライトの結晶相又はフレームワーク構造は、X線回折(XRD)データによって特徴付けることができる。しかし、XRD測定は、様々な要因によって影響を受ける可能性があり、このような要因には、ゼオライトの成長方向、構成元素の比率、吸着物質や欠陥等の有無、XRDスペクトルにおける各ピークの、強度比の偏差又は位置の偏差が挙げられる。したがって、国際ゼオライト学会によって提供される定義に記載されているように、各ゼオライトのフレームワーク構造の各パラメータについて測定された数値においては、10%以下の偏差、或いは5%以下の偏差、或いは1%以下の偏差は、予想される公差内である。
【0030】
本開示の一態様においては、ゼオライトは、天然ゼオライト、合成ゼオライト、又はそれらの混合物が含まれてもよい。或いは、ゼオライトは合成ゼオライトである。なぜなら、このようなゼオライトは、アルミニウム-ケイ素比(SAR)、結晶のサイズ、及び結晶のモフォロジーに関して、より大きな均一性を示しており、不純物(例えば、アルカリ土類金属)がより少なく且つより低濃度であるためである。ゼオライトは、約0.5~500の範囲のケイ素(Si)-アルミニウム(Al)比(SAR)を有する1種以上のゼオライトであるように選択されてもよく、或いは、ケイ素(Si)-アルミニウム(Al)比(SAR)は、約1~約250の範囲、又は、約1~約100の範囲、又は、約2~50の範囲でもよい。
【0031】
本開示のゼオライト系材料におけるゼオライトは、板状、立方体状、球状、又はそれらを組み合わせた、モフォロジーを有する又は示す複数の粒子を含んでもよい。或いは、モフォロジーは、天然では、主に球状である。これらの粒子は、約50ナノメートル(nm)~約30マイクロメートル(μm)の範囲の平均粒子径(D50)を示してもよい。或いは、平均粒子径は、約100ナノメートル(nm)~約25マイクロメートル(μm)の範囲か、或いは、500ナノメートル(nm)~約20マイクロメートル(μm)の範囲か、或いは、1マイクロメートル(μm)~約5マイクロメートル(μm)の範囲でもよい。走査型電子顕微鏡(SEM)又は当該技術分野で公知の他の光学的及びデジタル画像処理方法を使用して、無機添加剤の形状又はモフォロジー又はその両方を決定することができる。平均粒子径及び粒子径分布は、任意の従来の技術を使用して測定してもよく、幾つか例を挙げると、ふるい分け、顕微鏡検査、コールターカウンティング、動的光散乱、又は粒子画像解析等がある。或いは、平均粒子径及びそれに対応する粒子径分布を決定するのに、レーザー粒子分析装置が使用される。
【0032】
また、ゼオライト系材料におけるゼオライトは、約1m2/g~約7500m2/gの範囲の表面積を示してもよい。或いは、表面積は、約3m2/g~約5000m2/gの範囲か、或いは、約5m2/g~約2500m2/gの範囲か、或いは、約10m2/g~約1000m2/gの範囲か、或いは、約25m2/g~約750m2/gの範囲でもよい。ゼオライト系材料におけるゼオライトの平均細孔径は0.1nm~20nmの範囲である。或いは、平均細孔径は、約0.5nm~約15nmの間であり、約0.05cc/g~約3.0cc/g、或いは0.1cc/g~約2.0cc/gの範囲の細孔体積を有する。ゼオライト系材料におけるゼオライトの表面積及び細孔体積の測定は、任意の公知の技術を使用して行ってもよく、顕微鏡検査、小角X線散乱、水銀圧入法、及びBrunauer-Emmett-Teller(BET)分析が挙げられるが、これらには限定されない。或いは、表面積及び細孔体積は、Brunauer-Emmett-Teller(BET)分析を使用して決定される。
【0033】
ゼオライト系材料は、ゼオライト系材料の全重量に対して約0.01重量%~約2.0重量%のナトリウム(Na)濃度を有してもよい。或いは、Na濃度は、約0.1重量%~約1.0重量%の範囲であってもよい。ゼオライト系材料は、1つ又は複数のイオン交換ゼオライトを含んでもよい。これらのイオン交換ゼオライトは、リチウムイオン交換ゼオライトを含んでもよいが、これには限定されない。リチウムイオン濃度は、ゼオライト系材料に存在するゼオライト、例えばリチウムイオン交換ゼオライトの全重量に対して、約0.05重量%~約25重量%、或いは約0.1重量%~約20重量%、或いは約0.2重量%~約15重量%である。望ましい場合、ゼオライト系材料におけるゼオライトは、さらに、Li、Na、Al、Mn、Sm、Y、Cr、Eu、Er、Ga、Zr、及びTiから選択される1つ又は複数のドーピング元素を含んでもよい。
【0034】
図2を参照すると、ゼオライト系材料は、37に示す乾燥前又は乾燥なしで、最初は約23重量%の水分含有量を有していてもよい。水分含有量は、真空中80℃で少なくとも数時間(例えば、2~7時間)、39に示す乾燥の後においては、約7.5重量%まで減少し得る。或いは、乾燥時間は7時間以上である。
図2に示す乾燥ゼオライト系材料39の乾燥時間は7時間である。この水分含有量は、従来の電池にとって非常に高いと考えられるが、これは、セルの構成要素(カソード、アノード、セパレータ)からの一般的な水分含有量が数百ppmのスケールであるためである。しかしながら、
図2に示す高い水分含有量で、ゼオライトコーティング電極を有するLiMn
2O
4/Li
4Ti
5O
12フルセルは、市販のPEセパレータを有する対応するセルと同様の1サイクル目のクーロン効率(93%)を示す。ゼオライトコーティングの厚さは、ゼオライトが90重量%及び結合剤が10重量%で、約30~40μmである。したがって、電極上のセパレータとしてゼオライトコーティングを有するフルセルは、ゼオライト中に多量の水分が含まれているにもかかわらず、本開示に従って、従来のフルセルと同様に性能を発揮するように製造することができる。
【0035】
ゼオライト系材料は、乾燥せずに23重量%を超える水分含有量を有していてもよい。しかし、一般に、水分含有量が低いほど好ましい。ゼオライト系材料は、35重量%以下の水分含有量を有していてもよい。或いは、水分含有量は23重量%以下であり、或いは、水分含有量は11重量%以下であり、或いは、水分含有量は7重量%以下である。
【0036】
比較的薄い厚さの独立したゼオライト膜は、無機膜の脆性のため、製造が非常に困難である。比較的、既存の電極にゼオライト層を付着させるか又はコーティングする方がより実用的である。製造では、カソード又はアノードは、二層コーティング又は多層コーティングプロセスを含むロールtoロールコーティングプロセスを用いて、電極の一部として形成され得る。言い換えれば、電極は、カソード又はアノードとして機能できる活物質の少なくとも1層のコーティングを付すことによって形成される。同様の二層コーティング又は多層コーティングプロセスを用いて、既存の電極(例えば、カソード又はアノード)層にゼオライト系材料をコーティングすることができる。
【0037】
ゼオライト系材料は、電極層の表面に又は電極層の上に、直接付着されてもよい。しかし、付着されたゼオライト層がセパレータとして機能することを保証することは、より困難である。それは、電池の製造工程中だけでなく、電池の使用期間中も、セパレータがカソードとアノードを電気的に絶縁する必要があるためである。市販されている多孔質PP/PEセパレータのほとんどは、一般に空孔率が37%~55%の範囲であるが、これらと比較して、カレンダリングを使用しない場合、ゼオライト系材料又はコーティングの空孔率は大きくなる傾向がある。例えば、典型的なゼオライト系材料又はコーティングの空孔率は、7重量%の結合剤及び93重量%のゼオライトを含むコーティング直後のゼオライト膜で、約73%と高くなる可能性がある。空孔率のレベルが高いことより、典型的なゼオライト系材料又はコーティングは、サイクル中にカソードからアノードを電気的に十分に絶縁できない可能性がある。しかし、本開示のゼオライト系材料の空孔率は、得られるコーティング又は層が、市販のPP/PEセパレータと少なくとも同等の空孔率である約37%~55%、或いは、55%以下を示すように制御できる。望ましい場合、本開示のゼオライト系材料の空孔率は、さらに低くすることができ、例えば約30%~36%の範囲内にすることができる。ゼオライト系材料の空孔率は、コーティング処方を調整することによって制御できる。例えば、2峰性又は3峰性の粒子径分布を有する粒子をコーティング処方に使用できる。より大きな粒子間の内部空間は、コーティングの空孔率を減少させるために、より小さな粒子で充填してもよい。空孔率は、ポリマー結合剤/ゼオライトの質量比を増加させることによって減少させてもよい。ポリマー含有量の増加に伴い、コーティングの空孔率が減少する。これは、ポリマー分子がゼオライト粒子間を脱する空の内部空間を満たすためである。極端な場合には、純粋なポリマー膜のコーティングは、ほとんど空孔率を有さない可能性がある。
【0038】
ゼオライト系材料又はコーティングは、比較的硬い基材(電極等)に付着されるため、空孔率の調整は、ゼオライト系コーティングを機械的に圧縮して空孔率を減少させることによって実現できる。このプロセスは、電池業界ではカレンダリングと呼ばれる。ゼオライト系コーティング用のこのカレンダリング工程は、カレンダリングされていない電極コーティング層に対して又は部分的にカレンダリングされた電極コーティング層に対して又は又は完全にカレンダリングされた電極コーティング層に対して、室温から約140℃の温度で、施してもよい。コーティング空孔率の評価は、コーティングの面積当たりの質量負荷とその厚さを測定することによって行うことができる。ゼオライト系材料の真の密度を使用して、0%空孔率でのコーティング厚さを、面積当たりの質量負荷/密度の公知の式で計算できる。次に、コーティング空孔率は、(0%空孔率での1-コーティング厚さ/測定厚さ)*100%の式を使用して計算される。
【0039】
市販のPP/PEセパレータと比較して、本開示のゼオライト系材料又はコーティングの屈曲度は小さいと予想される。これは、リチウムデンドライトが遭遇する抵抗がより小さいので、リチウムデンドライトが形成されやすく且つゼオライト層を貫通しやすいことを意味する。したがって、ゼオライト系材料のコーティング厚さは、同様の空孔率を有するPP/PEセパレータよりも厚くする必要がある。一般に、1マイクロメートル(μm)~200μmの厚さのゼオライト系材料が使用される。或いは、ゼオライト系材料の厚さは、30%~55%の空孔率で20μm~80μmの範囲である。或いは、ゼオライト系材料又はコーティングの厚さは40μm~60μmの範囲である。
【0040】
一例では、電池に予め堆積されたアノードがない場合(すなわち、アノードフリー)又はリチウム金属アノードがない場合、ゼオライト系材料又はコーティングの厚さ範囲は20~100μmであり、空孔率は30~55%である。或いは、サイクル中にリチウムデンドライトを遮断するために必要な余剰の機械的強度を考慮して、厚さは40μm~100μmの範囲であり、空孔率は30~55%である。別の例では、黒鉛、Li4Ti5O12、Nb2O5、又はシリコンのアノードを有する電池の場合、ゼオライト系材料の厚さは1~100μm、或いは約10~80μmであり、空孔率は30~55%の範囲である。
【0041】
ゼオライト系材料又はコーティングは、正極のカソードにのみ付される。或いは、ゼオライトコーティングは、負極のアノードにのみ付される。或いは、ゼオライトコーティングは、正極と負極のカソードとアノードの両方に付される。ゼオライト系材料の機能は、カソード電極をアノード電極から電気的に絶縁することであるので、カソードとアノードのそれぞれの活性層の間にコーティングされている限り、この目的を効果的に果たすことができる。しかし、カソードとアノードは異なる電極厚さと異なる結合剤組成を有するので、ゼオライトコーティングを電極の一方又は両方にコーティングすることが望ましい。例えば、高エネルギーEVセルでは、アノードとカソードの面積当たりの容量負荷が非常に高い(例えば、4.4mAh/cm2超)。このように面積当たりの容量負荷が高いと、カソード電極は非常に厚くなる可能性がある(例えば、170μm超)。このような厚い電極は、さらにコーティングを付さないと、亀裂を生じやすくなる。さらに、このような厚い電極にゼオライト系材料又はコーティングを付した場合は、コーティングに亀裂が生じたり、電極全体又は一部がはがれたりする可能性がある。
【0042】
別の例では、正極のカソードの適用にNMPが溶媒として使用される。ゼオライト系材料を形成するために使用されるスラリーがNMPを溶媒として含む場合、湿ったゼオライトコーティングは既存のカソード活性層を部分的に溶解し、正極を損傷する。この場合、カソードにゼオライト系材料を直接コーティングするには、NMPを含まないスラリー組成を選択する必要がある。ただし、NMPを溶媒として含むゼオライト系材料を形成するためのスラリーは、そのようなゼオライト系材料をアノードに付すために使用することができる。これは、黒鉛電極が一般に水性スラリーを使用して調製されるからである。黒鉛アノードに組み込まれたcmc及びSRR結合剤は、NMPには溶解しない。
【0043】
正極10及び負極20の活物質は、リチウムイオン二次電池にこの機能を施せることが知られている材料のいずれであってもよい。正極10に使用される活物質は、リチウム遷移金属酸化物又は遷移金属リン酸塩を含んでもよいが、これらに限定されない。正極10に使用できる活物質のいくつかの例としては、LiCoO2、LiMn2O4、LiFePO4、NCM、NCA、NCMA、LiNiaCobMncAldO2(a+b+c+d=1)、LiFe0.2Mn0.8PO4、及びLiVPO又はLMNOが挙げられるが、これらに限定されない。負極15に使用される活物質には、ケイ素及びリチウム金属、又は、その誘導体又はこれらの組み合わせに加えて、黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン、Nb2O5、Li4Ti5O12が含まれてもよいが、これらに限定されない。或いは、負極に使用される活物質は、比容量が1桁高い、ケイ素又はリチウム金属である。或いは、アノード活物質はリチウムであるか、又は電池が製造時においてはアノード活物質がない。
【0044】
正極10と負極20の両方の集電体7、17は、当該技術分野においてリチウム電池の電極に用いられることが知られている任意の金属で作製されていてもよく、例えば、カソードにアルミニウム、アノードに銅が挙げられる。正極10のカソード5及び負極20のアノード15は、一般に、2つの異なる活物質で構成されている。
【0045】
望ましい場合、ゼオライト系材料又はコーティングは、ゼオライト粒子を一緒に結合し、電極への接着を支援する結合剤をさらに含んでもよい。結合剤は、有機錯体、無機酸化物、又は無機水酸化物を含む、リチウムイオン電池に一般に使用される既知の従来の結合剤いずれかから選択してもよい。適切な有機錯体のいくつかの例としては、PVDF、cmc、SBR、PTFE、PAA(ポリアクリル酸)、PVA、PEI、及びPAIが挙げられるが、これらに限定されない。ゼオライトと結合剤の質量比は、99.5%/0.5%~50%/50%の範囲であるべきである。或いは、90%/10%~60%/40%の範囲である。ゼオライト系材料又はコーティングは、結合剤の含有量が高いほど、一般により柔軟である。結合剤は、Al、Zr、Mg、Ti、及びCeから選択される(ただしこれらには限定されない)1つ又は複数の元素を含む無機酸化物又は水酸化物であってもよい。結合剤含有量の高いゼオライト系材料は、サイクル中にリチウムデンドライトの生成が生じやすいアノードに使用することが好ましい。
【0046】
電解質30は、アノード15とカソード5との間の酸化/還元プロセスをサポートするため、且つ、非反応性金属イオンがアノード15とカソード5との間を流れるための媒体を提供するために、使用される。電解質30は、有機溶媒中の非反応性金属塩の溶液であってもよく、これにより、非反応性金属塩が溶解して非反応性金属イオンを形成する。電解質中にイオンを形成する非反応性金属は、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、又は、それらの混合物であってもよい。或いは、非反応性金属塩はリチウム塩である。リチウム塩のいくつかの具体例としては、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)、リチウムビス(オキサラト)ホウ酸塩(LiBOB)、及びリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSi)が挙げられるが、これらに限定されない。これらのリチウム塩は、有機溶媒と溶液を形成してもよく、いくつか例を挙げると、炭酸エチレン(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、炭酸ジエチル(DEC)、炭酸ジメチル(DMC)、炭酸プロピレン(PC)、炭酸ビニレン(VC)、及び炭酸フルオロエチレン(FEC)等がある。電解質の具体的な例としては、炭酸エチレンと炭酸ジエチルの混合物中の1モルのLiPF6溶液(EC/DEC=50/50体積%)である。
【0047】
ここで
図3Aを参照すると、本開示の一態様によれば、電気化学セル1Aが示されている。この電気化学セル1Aは、正極10と、負極20と、電解質30と、ゼオライト系材料の形態であるセパレータ40とを備え、このゼオライト系材料は、負極20に直接付着された天然又は合成ゼオライトを1つ又は複数含む。正極10は、非反応性金属イオンがそこから可逆的に引き抜かれ、そこに挿入されるように構成されている一方、負極20は、非反応性金属イオンを可逆的に受け入れ、放出するように構成されている。各電極10、20はそれぞれ、通常は、集電体7又は17と、カソード5又はアノード15として機能する活物質とを有する。
図3Aに示すように、ゼオライト系材料製のセパレータ40は、アノード15に直接付着される。しかし、負極20は、集電体17のみを有するような「アノードフリー」電極であってもよく、これにより、本開示の範囲を超えることなく、ゼオライト系材料製のセパレータ40を集電体17に直接付着させるできることが理解されるべきである。
【0048】
図3Aを参照したまま、電解質30は、正極10と負極20との間に位置し且つそれらと接触しており、これにより、電解質30は、負極20と正極10との間における非反応性金属イオン35の可逆的な流れを支持する。セパレータ40は、セパレータ40を通る非反応性金属イオン35の可逆的な流れに対して透過性を有しつつも、正極10を負極20から電気的に絶縁するように構成されている。
【0049】
ここで
図3Bを参照すると、本開示の他の態様によれば、
図3Bの電気化学セル1Bは、リチウムイオン二次電池で使用するための二次電池1Bとして示されている。この特定の用途では、アノード15とカソード5との間を可逆的に流れるイオン35Aはリチウムイオン(Li
+)である。
【0050】
図3Bと同様に、
図3Cと
図3Dはいずれも、リチウムイオン二次電池で使用するための二次電池1C、1Dとして電気化学セルを示している。本開示の一態様によれば、ゼオライト系材料から形成されたセパレータ40は、
図3Cに示すように、正極10に又は前記電極の一部、すなわちカソード5に、直接付着されてもよい。同様に、ゼオライト系材料製のセパレータ40は、
図3Dに示すように、負極20(例えば、アノード15)と正極10(例えば、カソード5)の両方に付されていてもよい。
【0051】
本開示のさらに別の態様によれば、1つ又は複数の二次電池を組み合わせて、リチウムイオン二次電池等の電気化学セルを形成してもよい。そのような電池の一例を
図4に示す。この電池では、4つの二次電池1Bを積層させるか又は組み合わせてより大きな単一の二次電池を形成し、筐体55にカプセル化してリチウムイオン二次電池50Aとしている。リチウムイオン二次電池50Aは、物理保護及び環境保護の両方を実現するために、
図3Bの二次電池1Bを囲うか又はカプセル化する内壁を有する筐体60を備える。
図4に示す電池50Aには
図3Bの4つの二次電池1Bが組み込まれているが、そのような電池50Aには他の数の二次電池1Bが含まれてもよいことを当業者は理解するであろう。さらに、電池50A内の
図3Bの二次電池1Bは、
図3Cの二次電池1C又は
図3Dの二次電池1Dに置き換えてもよい。
【0052】
図5では、別の電池50Bの例を示しており、この電池50Bでは、4つの二次電池を直列に積層させるか又は配置して、それぞれの電池が個別に収容された、容量がより大きい電池50Bを形成する。この電池50Bでは、4つの二次電池は、
図3B~3Dに示す電池1B、1C、1Dを1つ又は複数備えてもよい。或いは、二次電池は、従来の電池1を1つ又は複数備えてもよい。或いは、二次電池は、本開示の教示に従って形成された電池1B、1C、1Dが混ざったものを備えてもよい。
図5に示すように、電池50Bは、一例として、従来の電池1と、本開示の教示に従って形成された3つの異なる電池1B、1C、1Dとを備えるがこれらには限定されないことが示されている。
【0053】
図4及び
図5がリチウムイオン二次電池50A、50Bに二次電池1B~1Dを組み込む方法を示しているが、同じ原理を利用して、1つ又は複数の電気化学セル1Aを他の用途で使用するために筐体55に囲む又はケーシングすることができることも、当業者は理解するであろう。これらの電気化学セル1Aでは、ゼオライト系材料製のセパレータ40は、1つ又は複数の電極10、20に直接付されてもよく、これには、カソード5の表面、アノード15の表面、又は、これらの組み合わせの表面に付されるコーティングの形態等がある。
【0054】
筐体55は、当該技術分野においてそのような用途に使用されることが公知の任意の材料で構築されてもよく、且つ、特定の用途に必要とされる又は望ましいとされる任意の形状にすることができる。例えば、リチウムイオン電池は、一般に、円筒形、角形、又はソフトパウチの3つの異なる主要な形態又は形状で収容される。円筒形電池の筐体55は、アルミニウム、鋼等で作製できる。角形電池は、一般に、円筒形ではなく長方形の筐体55を有する。ソフトパウチ筐体55は、様々な形状及びサイズで作製できる。これらのソフト筐体は、内側、外側、又はその両方をプラスチックでコーティングされたアルミニウム箔ポーチで構成されていてもよい。ソフト筐体55は、重合体(polymeric)型のケースであってもよい。筐体55に使用される高分子組成物は、リチウムイオン二次電池に従来使用されている任意の公知の重合体(polymeric)材料であってもよい。多数の中の1つの具体例として、内側にポリオレフィン層及び外側にポリアミド層を有するラミネートパウチを使用することが挙げられる。ソフト筐体55は、電池50A、50B内の二次電池を力学的に保護するように設計する必要がある。
【0055】
内部表面積が大きいことにより、ゼオライトは二次材料の支持体としても使用できる。ゼオライトと二次材料の比率は、99.9%/0.1%~50.1%/49.9%の質量比の範囲である。二次材料は、触媒又は難燃剤又はその両方を含んでもよいが、これらには限定されない。
【0056】
本開示の一態様によれば、難燃剤を細孔内に装填することができ、これにより、ゼオライト系材料が難燃剤として機能する。この例では、難燃剤は、リチウムイオン電池の有機炭酸塩である有機電解液に溶解しないようにする必要がある。難燃剤材料は、無機材料、重合体材料、有機-無機ハイブリッド材料、有機材料からなる群から選択できる。従来の難燃剤材料としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、リン酸塩、臭素酸塩があるが、これらを必要に応じて利用することができる。結晶水を多く含む材料の様々なものが選択できる。これは、高温で放出される水が電池の温度を下げ、難燃剤として作用するからである。
【0057】
本開示の別の態様によれば、ゼオライトは触媒で含浸されるか又は官能基化されてもよい。この触媒は、高温において、不飽和炭酸塩(炭酸エチレン、炭酸プロピレン、又は炭酸トリメチレン等)の重合反応を触媒するように構成されていてもよい。触媒は、CeO2及びスズ酸ナトリウム三水和物であるがこれらに限定されない。
【0058】
本開示で提示する具体例は、本発明の様々な実施形態を例示するためもののであり、本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。本明細書に記載された実施形態は、明確で簡潔な明細書を書くことができるように説明してきたが、実施形態を様々に組み合わせたり分けたりしても、本発明から逸脱しないことを意図しており、理解されるであろう。例えば、本明細書に記載されている全ての好ましい特徴は、本明細書に記載されている本発明の全ての態様に適用可能であることが理解されるであろう。
【0059】
(実施例1)
ゼオライトコーティングLiMn2O4/ゼオライトコーティングLi4Ti5O12フルセル及びLiMn2O4/PE/Li4Ti5O12参照セルの調製
【0060】
LiMn2O4、Li4Ti5O12、C65、PVDF(Gelon、中国)、及びCNT(C-nano、中国)を含む市販の電極材料は、商業的に入手可能である。カソード電極は、92重量%のLiMn2O4、2重量%のC65、2重量%のCNT、及び4重量%のポリフッ化ビニリデン(PVDF)で作製した。カソードの面積当たりの容量負荷は約0.8mAh/cm2であった。アノード電極は、92重量%のLi4Ti5O12、3重量%のC65、及び5重量%のPVDFで作製し、面積当たりの容量負荷は約0.8mAh/cm2であった。参照セルについては、16μmの厚さを有する市販のセラミック酸化物コーティングポリエチレン(PE)製セパレータを使用した。ゼオライトコーティングセルについては、プレス後の厚さが約15~20μmのゼオライト系材料の層を、カソードとアノードの両方の電極に付着させた。フルセルは、ゼオライトコーティングカソードとゼオライトコーティングアノードを、市販のセパレータなしで積層することによって作製した。電解質は、1.0M LiPF6を炭酸エチレンと炭酸ジエチル(EC/DEC比1/3)、1重量%の炭酸フルオロエチレン(FEC)、1重量%の炭酸ビニレン(VC)(Gelon、中国)に含有していた。
【0061】
ここで
図6を参照すると、電気化学試験として、両方のセルを室温で充放電を行った。このとき、電圧範囲は1.5V~2.7V、充放電レートはC/10、2.7Vで上限電流をC/20に制限(テーパリング)した。
図6に示すように、ゼオライトコーティング電極を含むフルセルの1サイクル目の充放電曲線は、従来のPEセパレータを有するフルセルと同様の性能を示した。
【0062】
本明細書では、実施形態を、明確で簡潔な明細書を書くことができるように説明してきたが、実施形態を様々に組み合わせたり分けたりしても、本発明から逸脱しないことを意図しており、理解されるであろう。例えば、本明細書に記載されている全ての好ましい特徴は、本明細書に記載されている本発明の全ての態様に適用可能であることが理解されるであろう。
【0063】
当業者は、本開示を鑑みて、本開示の趣旨又は範囲から逸脱又は超過することなく、本明細書に開示される具体的な実施形態において多くの変更を加えることができ、それでもなお同様又は類似の結果を得ることができることを理解するであろう。当業者は、本明細書に報告されているあらゆる特性が、複数の異なる方法で得られる、通常測定される特性を表すことを、さらに理解するであろう。本明細書に記載された方法は、そのような方法の1つを表しており、他の方法を使用しても本開示の範囲を超えることはない。
【0064】
本発明の様々な形態の上記説明は、例示及び説明のために記載されている。上記説明は、網羅的であること、又は本発明を開示されている正確な形態に限定すること、を意図するものではない。上記の教示に照らして、多数の変更又は変形が可能である。本発明の原理及びその実際の応用例を最もよく説明するために、議論された形態が選択され説明されている。これにより、当業者が、企図された特定の用途に適した様々な形態で、様々な修正を加えて本発明を最もよく利用することが可能になる。そのような変更及び変形の全ては、それらが適正に、合法的に、且つ公平に権利を有する範囲に従って解釈される場合に、添付の特許請求の範囲によって決定される本発明の範囲に含まれる。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学セルで使用するためのセルであって、
前記電気化学セルは、
正極であって、
非反応性金属イオンが該正極から可逆的に引き抜かれ、該正極に挿入されるように構成されている、
正極と、
負極であって、
前記非反応性金属イオンを可逆的に受け入れ、放出するように構成されている、
負極と、
前記負極と前記正極との間に位置しており且つ前記負極及び前記正極と接触する電解質であって、
前記正極と前記負極との間における前記非反応性金属イオンの可逆的な流れを支持する、
電解質と、
前記正極及び前記負極の少なくとも一方に直接付着されている、天然ゼオライト又は合成ゼオライトを1つ又は複数含むゼオライト系材料の形態のセパレータであって、
該セパレータは、該セパレータを通る前記非反応性金属イオンの可逆的な流れに対して透過性を有しつつ、前記正極を前記負極から電気的に絶縁するように構成されている、
セパレータと
を備えるセル。
【請求項2】
請求項1に記載のセルであって、
前記正極及び負極の少なくとも一方に付着された前記ゼオライト系材料は、1マイクロメートル(μm)~200μmの範囲の厚さを有する、
セル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のセルであって、
前記正極は、カソードとしての活物質と、前記カソードと接触する集電体とを有し、
前記活物質は、LMNO、LiMn
2O
4、LiFePO
4、LiNi
aCo
bMn
cAl
dO
2(a+b+c+d=1)、及びLiFe
0.2Mn
0.8PO
4のうち、1つ以上を含む、
セル。
【請求項4】
請求項
1又は2に記載のセルであって、
前記負極は、アノードとしての活物質と、前記アノードと接触する集電体とを有し、
前記活物質は、黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン、ケイ素、Li
4Ti
5O
12、Nb
2O
5、及び、これらの誘導体のうち、1つ以上を含む、
セル。
【請求項5】
請求項
1又は2に記載のセルあって、
前記負極は、「アノードフリー」電極であり、集電体のみを有する、
セル。
【請求項6】
請求項
1又は2に記載のセルであって、
前記ゼオライト系材料は、35%以下の水分含有量を有する、
セル。
【請求項7】
請求項6に記載のセルであって、
前記ゼオライト系材料は、7%以下の水分含有量を有する、
セル。
【請求項8】
請求項
1又は2に記載のセルであって、
前記ゼオライト系材料は、55%以下の空孔率を有する、
セル。
【請求項9】
請求項8に記載のセルであって、
前記ゼオライト系材料の前記空孔率は、30%~36%の範囲である、
セル。
【請求項10】
請求項
1又は2に記載のセルであって、
前記ゼオライト系材料は、さらに結合剤を含み、
前記ゼオライトの、前記結合剤に対する比は、99.5%/0.5%~10%/90%の質量比の範囲である、
セル。
【請求項11】
請求項10に記載のセルであって、
前記結合剤は、有機錯体、無機酸化物、又は、無機水酸化物を含む、
セル。
【請求項12】
請求項11に記載のセルであって、
前記有機錯体は、PVDF、cmc、SBR、PTFE、PAA(ポリアクリル酸)、PVA、PEI、又はPAIであり、
前記無機酸化物又は前記無機水酸化物は、その元素として、アルミニウム、マグネシウム、ジルコニウム、又はセリウムを含む、
セル。
【請求項13】
請求項
1又は2に記載のセルであって、
前記ゼオライト系材料は、1つ又は複数の二次材料をさらに有しており、
前記ゼオライトの、前記二次材料に対する比は、99.9%/0.1%~50.1%/49.9%の質量比の範囲である、
セル。
【請求項14】
請求項13に記載のセルであって、
前記1つ又は複数の二次材料は、難燃剤材料を含む、
セル。
【請求項15】
請求項
1又は2に記載のセルであって、
前記ゼオライトは、50ナノメートル(nm)~30マイクロメートル(μm)の範囲の平均粒子径を有する、
セル。
【請求項16】
請求項
1又は2に記載のセルであって、
前記ゼオライトは、1つ又は複数のイオン交換ゼオライトを含む、
セル。
【請求項17】
請求項16に記載のセルであって、
前記イオン交換ゼオライトは、リチウム交換ゼオライトである、
セル。
【請求項18】
請求項17に記載のセルであって、
前記リチウム交換ゼオライトは、前記リチウム交換ゼオライトの全重量に対して0.1重量%~20重量%の範囲のリチウム質量含有量を有する、
セル。
【請求項19】
請求項
1又は2に記載のセルであって、
前記ゼオライトは、0.1nm~20nmの範囲の平均細孔径を有する、
セル。
【請求項20】
請求項
1又は2に記載のセルであって、
前記ゼオライトは、0.5~500の範囲のアルミニウム-ケイ素比(SAR)を有する、
セル。
【請求項21】
請求項
1又は2に記載のセルであって、
前記電解質中の前記非反応性金属イオンは、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、又は、これらの混合物である、
セル。
【請求項22】
リチウムイオン二次電池であって、
請求項
1又は2に記載の1つ又は複数のセルと、
1つ又は複数の筐体であって、
前記1つ又は複数の筐体のうちの1つからの内壁が前記セルの少なくとも1つ以上をカプセル化する、
1つ又は複数の筐体と
を備える、
リチウムイオン二次電池。
【国際調査報告】