(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-23
(54)【発明の名称】多層感圧接着剤アセンブリ及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
C09J 7/38 20180101AFI20241016BHJP
C09J 7/26 20180101ALI20241016BHJP
C09J 153/02 20060101ALI20241016BHJP
B32B 5/22 20060101ALI20241016BHJP
B32B 27/20 20060101ALI20241016BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20241016BHJP
C08L 45/00 20060101ALI20241016BHJP
C08L 53/00 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J7/26
C09J153/02
B32B5/22
B32B27/20 Z
B32B27/00 D
C08L45/00
C08L53/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520835
(86)(22)【出願日】2022-10-07
(85)【翻訳文提出日】2024-04-05
(86)【国際出願番号】 IB2022059637
(87)【国際公開番号】W WO2023057987
(87)【国際公開日】2023-04-13
(32)【優先日】2021-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】コニエッツニー,ローマン
(72)【発明者】
【氏名】ビーバー,ピエール アール.
(72)【発明者】
【氏名】カールマン,ルネ
(72)【発明者】
【氏名】アペルドルン,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ベーム,アヒム
(72)【発明者】
【氏名】ケンプ,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ドーランダー,スタイン アー.エム.
【テーマコード(参考)】
4F100
4J002
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4F100AA37A
4F100AK01A
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4F100AK12B
4F100AK25A
4F100AK25B
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4J002BA00Y
4J002BA01Y
4J002BP01W
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4J002FD34Y
4J002GJ01
4J004AA05
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4J040JA09
4J040JB09
4J040KA26
4J040LA01
4J040LA02
(57)【要約】
多層感圧接着剤アセンブリは、ポリマー発泡体層と、第1の感圧接着剤層とを含む。ポリマー発泡体は、複数の活性炭粒子を含む。第1の感圧接着剤層は、第1の感圧接着剤層の重量に基づいて20重量パーセント超の量の、多腕ブロックコポリマーと、少なくとも1種の炭化水素粘着付与剤とを含む。多腕ブロックコポリマーは、式Qn-Yを有し、式中、Qは多腕ブロックコポリマーの腕を表し、各腕は独立して、式G-Rを有し、nは腕の数を表し、少なくとも3であり、Yは多官能性カップリング剤の残基である。各Rは、独立して、重合共役ジエン、重合共役ジエンの水素化誘導体、又はこれらの組合せを含むゴム状ブロックであり、各Gは、重合したモノビニル芳香族モノマーを含むガラス状ブロックである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー発泡体層と、前記ポリマー発泡体層に隣接する第1の感圧接着剤層とを含む多層感圧接着剤アセンブリであって、前記ポリマー発泡体は、その中に分散した複数の活性炭粒子を含み、前記第1の感圧接着剤は、
前記第1の感圧接着剤層の総重量に基づいて20重量パーセント超の量の、式Q
n-Yを有する多腕ブロックコポリマー:
[式中、
Qは多腕ブロックコポリマーの腕を表し、各腕は、独立して式G-Rを有し、
nは腕の数を表し、少なくとも3の整数であり、
Yは多官能性カップリング剤の残基であり、
各Rは、重合共役ジエン、重合共役ジエンの水素化誘導体、又はこれらの組合せを含むゴム状ブロックであり、各Gは、重合したモノビニル芳香族モノマーを含むガラス状ブロックである]と、
少なくとも1種の炭化水素粘着付与剤と
を含む、多層感圧接着剤アセンブリ。
【請求項2】
前記第1の感圧接着剤層が、
前記第1の感圧接着剤層の総重量に基づいて25重量パーセント~60重量パーセントの範囲内の量の、前記多腕ブロックコポリマーと、
前記第1の感圧接着剤層の総重量に基づいて40重量パーセント~60重量パーセントの量の、前記炭化水素粘着付与剤と、
前記第1の感圧接着剤層の総重量に基づいて0重量パーセント~35重量パーセントの量の、式L-(G)
mを有する直鎖状ブロックコポリマー:
[式中、
Lは、重合オレフィン、重合共役ジエン、重合共役ジエンの水素化誘導体、又はこれらの任意の組合せを含むゴム状ブロックであり、
Gは、重合したモノビニル芳香族モノマーを含むガラス状ブロックであり、
mは1又は2である]と
を含む、請求項1に記載の多層感圧接着剤アセンブリ。
【請求項3】
前記式L-(G)
mを有する直鎖状ブロックコポリマーの前記ゴム状ブロックLが、ポリイソブチレン、ポリイソプレン又はポリブタジエンのうちの少なくとも1つを含み、前記式L-(G)
mを有する直鎖状ブロックコポリマーのガラス状ブロックGの少なくとも1つが、重合した、スチレン又はアルキル化スチレンのうちの少なくとも1つを含むモノビニル芳香族モノマーを含む、請求項2に記載の多層感圧接着剤アセンブリ。
【請求項4】
前記第1の感圧接着剤層が、25℃超のガラス転移温度、1000グラム/モル~100,000グラム/モルの重量平均分子量を有し、かつ単独重合した場合に25℃超のガラス転移温度を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位を含む(メタ)アクリレートコポリマーを実質的に含まない、請求項1~3のいずれか一項に記載の多層感圧接着剤アセンブリ。
【請求項5】
前記第1の感圧接着剤層が、少なくとも10,000グラム/モルの重量平均分子量を有するポリマー可塑剤を実質的に含まない、請求項1~4のいずれか一項に記載の多層感圧接着剤アセンブリ。
【請求項6】
前記R中の重合共役ジエンが、ポリイソプレン又はポリブタジエンのうちの少なくとも1つを含み、前記式Q
n-Yを有する多腕ブロックコポリマーの前記ガラス状ブロックのうちの少なくとも1つが、重合した、スチレン又はアルキル化スチレンのうちの少なくとも1つを含むモノビニル芳香族モノマーを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の多層感圧接着剤アセンブリ。
【請求項7】
電子ビーム架橋によって架橋された、請求項1~6のいずれか一項に記載の多層感圧接着剤アセンブリ。
【請求項8】
前記活性炭粒子が、BET窒素吸着試験法によって測定した場合、100m
2/g~2000m
2/gの範囲内の個々の比表面積を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の多層感圧接着剤アセンブリ。
【請求項9】
前記活性炭粒子が、前記ポリマー発泡体の総重量に基づいて、0.1重量パーセント~15重量パーセントの範囲内の量で前記ポリマー発泡体中に存在する、請求項1~8のいずれか一項に記載の多層感圧接着剤アセンブリ。
【請求項10】
前記ポリマー発泡体が、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリアミン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリイソブチレン、ポリスチレン、天然ゴム、ゴム系エラストマー材料、ポリビニル又はポリビニルピロリドンのうちの少なくとも1つを含むポリマー系材料を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の多層感圧接着剤アセンブリ。
【請求項11】
前記ポリマー発泡体が、
前記ポリマー発泡体の重量に基づいて60重量%~100重量%の、1個~32個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位と、
前記ポリマー発泡体の重量に基づいて0重量%~40重量%の、アクリル酸モノマー単位と、
前記ポリマー発泡体の重量に基づいて0重量%~20重量%の、膨張性微小球と
を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の多層感圧接着剤アセンブリ。
【請求項12】
前記少なくとも1種の炭化水素粘着付与剤が、熱重量分析によって測定した場合に、1000ppm未満の揮発性有機化合物(VOC)値、又は熱重量分析によって測定した場合に、1500ppm未満の揮発性フォギング化合物(FOG)値のうちの少なくとも1つを有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の多層感圧接着剤アセンブリ。
【請求項13】
前記ポリマー発泡体層に隣接する、前記第1の感圧接着剤層の反対側の、第2の感圧接着剤層を更に含み、前記第2の感圧接着剤層が独立して、
前記第1の感圧接着剤層の総重量に基づいて20重量パーセント超の量の、式Q
n-Yを有する多腕ブロックコポリマー:
[式中、
Qは多腕ブロックコポリマーの腕を表し、各腕は独立して、式G-Rを有し、
nは腕の数を表し、少なくとも3の整数であり、
Yは多官能性カップリング剤の残基であり、
各Rは、重合共役ジエン、重合共役ジエンの水素化誘導体、又はこれらの組合せを含むゴム状ブロックであり、各Gは、重合したモノビニル芳香族モノマーを含むガラス状ブロックである]と、
少なくとも1種の炭化水素粘着付与剤と
を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の多層感圧接着剤アセンブリ。
【請求項14】
VDA278による500ppm未満の揮発性有機化合物(VOC)レベル、VDA278による1000ppm未満の揮発性フォギング化合物(FOG)レベル、又はVDA270による3以下の臭気レベルのうちの少なくとも1つを有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の多層感圧接着剤アセンブリ。
【請求項15】
前記多腕ブロックコポリマーと前記少なくとも1種の炭化水素粘着付与剤とを調合して、感圧接着剤配合物を形成すること、
前記ポリマー発泡体層と前記感圧接着剤配合物とを溶融共押出しして、前記多層感圧接着剤アセンブリを形成すること、及び
任意選択で、前記多層感圧接着剤アセンブリを電子ビーム照射によって架橋させること
を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の多層感圧接着剤アセンブリを製造するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年10月8日に出願された米国仮特許出願第63/253,595号の優先権を主張するものであり、その開示内容の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
接着剤は、多様なマーキング、保持、保護、封止、及び遮蔽目的のために使用されている。接着テープは一般に、バッキング又は基材と、接着剤とを含む。感圧接着剤は、多くの用途に有用な接着剤の1つのタイプである。感圧テープは、家庭及び職場の実質上至る所に存在する。その最もシンプルな構造において、感圧テープは、接着剤とバッキングとを含み、その全体的構造は使用温度において粘着性があり、適度な圧力を用いるだけで結合を形成して、多様な基材に接着する。こうした方法で、感圧テープは、完全で自己完結型の結合システムを構成する。
【0003】
感圧接着剤(Pressure Sensitive Adhesive、PSA)は当業者には周知であり、Pressure-Sensitive Tape Councilによれば、PSAは以下を含む特性、すなわち、(1)アグレッシブでかつ永久的な粘着力、(2)指圧以下の圧力による接着力、(3)被着物に留まる十分な能力、及び(4)十分な結合力を有することが知られている。PSAとして良好に機能することが見出されている材料としては、所望のバランスの粘着性、剥離接着力、及び剪断保持力をもたらす、必要な粘弾特性を示すように設計及び配合されたポリマーが挙げられる。PSAは、通常、室温(例えば、20℃)で粘着性であることを特徴とする。PSAは、それらが表面に付着又は接着するという理由だけで、組成物を包含しない。これらの要求仕様は一般に、粘着力、接着(剥離強度)、及び結合(剪断保持力)を個別に測定するように設計された試験によって評価される。これはA.V.Pocius in Adhesion and Adhesives Technology:An Introduction,2nd Ed.,Hanser Gardner Publication,Cincinnati,OH,2002に記載されている。これらの測定値は総合的に、PSAの特徴付けに使用されることが多い特性のバランスを構成する。
【0004】
揮発性有機化合物(Volatile Organic Compound、VOC)の低減制御は、特に、例えば、建設市場又は自動車若しくは電子工学産業における各種の内装用途(労働衛生及び労働安全性)にとって、ますます重要となってきている。公知のアクリレート系感圧接着剤は、典型的には顕著な量の低分子量の有機残留物、例えば、重合プロセスから生じる未反応のモノマー、重合開始剤の残留物、原材料由来の不純物、又は製造プロセス中に形成された分解生成物を含有している。VOCとして認められるこれらの低分子量残留物は、接着テープの外に拡散することがある。公知のアクリレート系感圧接着剤にはまた、架橋されていない場合、一般に、結合力の欠如及び過度の流動性傾向の問題もある。この態様により、架橋されていないアクリレート系感圧接着剤の適用性及び加工性が、とりわけ、ホットメルトプロセスによって作製される場合、特に問題となる場合がある。
【0005】
感圧接着剤の製造プロセスにおいて有機溶媒の使用を低減することは、総VOCレベルを低減するための直接的な手段の1つとして、急速に取り上げられるようになった。国際公開第01/44400号(Yang)に記載の、有機不純物に対して特定のスカベンジャーを使用することは、VOCレベルの低減を実現するための別の代替的方法である。しかし、従来技術から公知の、総VOCレベルを低減するための解決方法は、製造プロセスの複雑化及び生産コストの上昇を伴うことが多い。
【0006】
特定の感圧接着剤は、米国特許出願公開第2019/0345367号(Eckhardtら)、同第2018/0362811号(Waidら)、同第2019/0345366号(Eckhardtら)、同第2019/0211233号(Bieberら)、同第2010/0098962号(Hanleyら)、同第2017/0313910号(Bieberら)及び同2014/0057091号(Krawinkelら)、並びに米国特許第9,376,599号(Welkeら)に記載されている。これらの感圧接着剤のうちの特定のものには、VOCが低減していると記載されている。
【発明の概要】
【0007】
一態様によれば、本開示は、ポリマー発泡体層と、このポリマー発泡体層に隣接する第1の感圧接着剤層とを含む多層感圧接着剤アセンブリに関する。ポリマー発泡体は、その中に分散した複数の活性炭粒子を含む。第1の感圧接着剤は、第1の感圧接着剤層の総重量に基づいて20重量パーセント超の量の、多腕ブロックコポリマーと、少なくとも1種の炭化水素粘着付与剤とを含む。多腕ブロックコポリマーは、式Qn-Yを有し、式中、Qは多腕ブロックコポリマーの腕を表し、各腕は独立して、式G-Rを有し、nは腕の数を表し、少なくとも3の整数であり、Yは多官能性カップリング剤の残基である。各Rは、独立して、重合共役ジエン、重合共役ジエンの水素化誘導体、又はこれらの組合せを含むゴム状ブロックであり、各Gは、重合したモノビニル芳香族モノマーを含むガラス状ブロックである。
【0008】
別の態様では、本開示は、多腕ブロックコポリマーと少なくとも1種の炭化水素粘着付与剤とを調合して、感圧接着剤配合物を形成すること、ポリマー発泡体層と第1の感圧接着剤層とを溶融共押出しして、多層感圧接着剤アセンブリを形成すること、及び任意選択で、多層感圧接着剤アセンブリを電子ビーム照射によって架橋させることを含む、上記の多層感圧接着剤アセンブリを製造するための方法を対象とする。
【0009】
更に別の態様によれば、本開示は、産業用途、いくつかの実施形態では内装用途、例えば、建設市場用途、自動車用途、又は電子工学用途のための、上記の多層感圧接着剤アセンブリの使用に関する。
【0010】
本願において、
「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」などの用語は、単数の実体のみを指すことを意図するものではなく、説明のために具体例が使用され得る全般的なクラスを含む。「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」という用語は、「少なくとも1つ」という用語と互換的に使用される。
【0011】
列挙の後に続く、「のうちの少なくとも1つを含む」という語句は、列挙中の項目のうちのいずれか1つ、及び列挙中の2つ以上の項目の任意の組合せを含むことを指す。列挙の後に続く、「のうちの少なくとも1つ」という語句は、列挙中の項目のうちのいずれか1つ、又は列挙中の2つ以上の項目の任意の組合せを指す。
【0012】
「架橋された」及び「架橋性」という用語は、共有結合性の化学結合によってポリマー鎖同士を互いに接合して、ネットワークポリマーを形成することを指す。架橋されたポリマーは、一般に不溶性という特徴があるが、適切な溶媒の存在下では、膨潤性となり得る。「架橋エラストマー」という用語は、部分的に架橋されていることを含む。
【0013】
「(メタ)アクリレート」という用語は、アクリレート及び/又はメタクリレートを指す。
【0014】
「アクリル系」及び「ポリアクリレート」という用語は、アクリル系及びメタクリル系のポリマー、オリゴマー及びモノマーの両方を指す。
【0015】
全ての数値範囲は、別段の記述がない限り、これらの範囲の端点、及び端点同士の間の非整数値を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
第1の態様によれば、本開示は、ポリマー発泡体層と、このポリマー発泡体層に隣接する第1の感圧接着剤層とを含む多層感圧接着剤アセンブリであって、ポリマー発泡体は、その中に分散した複数の活性炭粒子を含み、第1の感圧接着剤は、第1の感圧接着剤層の総重量に基づいて20重量パーセント超の量の、多腕ブロックコポリマーと、少なくとも1種の炭化水素粘着付与剤とを含む、多層感圧接着剤アセンブリに関する。多腕ブロックコポリマーは、式Qn-Yを有し、式中、Qは多腕ブロックコポリマーの腕を表し、各腕は独立して、式G-Rを有し、nは腕の数を表し、少なくとも3の整数であり、Yは多官能性カップリング剤の残基である。各Rは、独立して、重合共役ジエン、重合共役ジエンの水素化誘導体、又はこれらの組合せを含むゴム状ブロックであり、各Gは、重合したモノビニル芳香族モノマーを含むガラス状ブロックである。本開示の文脈において、驚くべきことに、本開示の多層感圧接着剤アセンブリは、全体的なVOCレベルの低減に関して、顕著な堅牢性並びに優れた特性及び性能を提供することが見出された。これらの顕著な特性は、少なくとも部分的には、上記の第1の感圧接着剤層組成物の特定の組合せ、及び感圧接着剤アセンブリ由来の揮発性有機化合物に対して効率的な吸着材として機能する、ポリマー発泡体層中に分散した複数の活性炭粒子の存在に起因すると考えられる。
【0017】
いくつかの有利な態様では、本開示による多層感圧接着剤アセンブリは、非常に低い臭気、又は知覚可能な臭気が実質的に存在しないことを特徴とする。いくつかの態様では、本開示による多層感圧接着剤アセンブリは、全体的なフォギングレベルの低減に関して、優れた特性及び性能を更に提供することを特徴とする。低いフォギング特性は、典型的には、放出されるガス構成成分の凝縮に対する抵抗の改善、及び対応する感圧接着剤アセンブリの熱安定性の改善に言い換えられる。
【0018】
加えて、本明細書に記載の多層感圧接着剤アセンブリは、LSE及びMSE基材を含めた様々なタイプの基材、特に自動車用クリアコート、自動車産業において一般に使用される、例えばTPO、PP、若しくはPP/EPDM等のプラスチック基材、自動車用ワニス又は自動車用塗料に、驚くほど良好な全体バランスの接着特性及び結合特性(特に剥離力及び静的剪断抵抗に関して)をもたらす。
【0019】
本開示のいくつかの有利な態様では、この態様によって、多層感圧接着剤アセンブリが、例えば、ポリマー発泡体層と第1の感圧接着剤層との溶融共押出し、特にホットメルト共押出しによって得られ、得られた本明細書に記載の多層感圧接着剤アセンブリは、例えば70℃以上の高温においてさえ、層間剥離に対して優れた耐性をもたらす。同じ有利な態様によれば、本開示による多層感圧接着剤アセンブリは、有益なことに、優れた表面及び界面特性をもたらし、これは、ポリマー発泡体層を膨張性微小球で発泡させる実施において、特に驚くべきことである。理論に束縛されることを望むものではないが、これらの顕著な特性は、共押出しプロセス工程が実行される時点で溶融状態である、ポリマー発泡体層及び第1の感圧層を形成するために使用される化合物に起因すると考えられる。これは、結果として、第1の感圧層の外表面を滑らかにし、ポリマー発泡体層と第1の感圧層との間の界面(間隙のない界面)を滑らかにする。本開示による多層感圧接着剤アセンブリの優れた表面及び界面特性は、結果として、接着する基材上で良好な濡れをもたらすことができ、したがって接着特性が改善される。
【0020】
そのため、本開示による多層感圧接着剤アセンブリは、(例えば産業)内装用途、より特定すると、建設市場用途、自動車用途、及び電子工学用途に特に好適である。自動車用途の文脈において、本明細書に記載の多層感圧接着剤アセンブリは、例えば、自動車本体側面成形、ウェザーストリップ、又はバックミラーを接着させるための特定の使用を見出し得る。いくつかの態様では、本開示による多層感圧接着剤アセンブリは、有利な低いフォギング特性を備え、このような特性は、例えば電子工学用途に好適である。
【0021】
本開示の文脈において、「低表面エネルギー基材」という表現は、1センチメートル当たり34ダイン未満の表面エネルギーを有する基材を指すことを意味する。このような材料に含まれるものは、ポリプロピレン、ポリエチレン[例えば、高密度ポリエチレン(High Density Polyethylene、HDPE)、低密度ポリエチレン(Low Density Polyethylene、LDPE)、及び直鎖状低密度ポリエチレン(Liner Low Density Polyethylene、LLDPE)]、及びポリプロピレンのブレンド(例えば、PP/EPDM、TPO)である。
【0022】
本開示の文脈において、「中表面エネルギー基材」という表現は、1センチメートル当たり34ダイン~70ダイン、典型的には1センチメートル当たり34ダイン~60ダイン、より典型的には1センチメートル当たり34ダイン~50ダインの範囲内の表面エネルギーを有する基材を指すことを意味する。このような材料の中でも、ポリアミド6(Polyamide 6、PA6)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(Acrylonitrile Butadiene Styrene、ABS)、ポリカーボネート(Polycarbonate、PC)/ABSブレンド、PC、PVC、ポリアミド(PA)、ポリウレタン(Polyurethane、PUR)、熱可塑性エラストマー(Thermoplastic Elastomer、TPE)、ポリオキシメチレン(Polyoxymethylene、POM)、ポリスチレン、ポリ(メチルメタクリレート)(Poly(Methyl Methacrylate)、PMMA)、クリアコート表面、特に、自動車のような乗物用のクリアコート又は産業用途のためのコーティング表面、及び繊維強化プラスチックのような複合材料が挙げられる。表面エネルギーは、典型的には、例えばASTM D7490-08に記載される接触角測定から決定される。
【0023】
典型的な態様では、本明細書で使用するゴム状ブロックは、室温未満のガラス転移温度(Tg)を示す。いくつかの態様では、ゴム状ブロックのTgは約0℃未満、又は更には約-10℃未満である。いくつかの態様では、ゴム状ブロックのTgは約-40℃未満、又は更には約-60℃未満である。
【0024】
典型的な態様では、本明細書で使用するガラス状ブロックは、室温を超えるTgを示す。いくつかの実施形態では、ガラス状ブロックのTgは、少なくとも約40℃、少なくとも約60℃、少なくとも約80℃、又は更には少なくとも約100℃である。
【0025】
「ガラス転移温度」及び「Tg」という用語は、互換的に使用され、材料又は混合物のガラス転移温度を指す。別段の指示がない限り、ガラス転移温度値は、示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry、DSC)によって決定される。
【0026】
本開示の多層感圧接着剤アセンブリは、第1の感圧接着剤層に隣接するポリマー発泡体層を含む。ポリマー発泡体を形成するための、任意の一般に知られるポリマー発泡体及び材料を、本開示の文脈で使用することができる。本明細書で使用するポリマー発泡体を形成するのに好適なポリマー発泡体及び材料は、本開示を踏まえて、当業者によって容易に特定され得る。
【0027】
本開示の文脈において、「ポリマー発泡体」という用語は、ポリマーをベースとする材料を指すことを意味し、この材料は空隙を、典型的には少なくとも5体積%、典型的には10体積%~80体積%、10%~65%、15%~45%、又は20体積%~45体積%の量で含む。空隙は、ガスによって形成された気泡など、公知の方法のいずれかによって得ることができる。あるいは、空隙は、中空充填剤、例えば、中空ポリマー粒子、中空ガラス微小球又は中空セラミック微小球の組込みから生じ得る。別の代替的な態様によれば、空隙は、熱膨張性微小球、例えばペンタン充填膨張性微小球の組込みから生じ得る。本明細書で使用する熱膨張性微小球は、ポリマー溶融物が押出ダイを通過する際に膨張し得る。膨張性微小球を含有するポリマー混合物はまた、これらの膨張温度未満の温度で押し出し、後の工程で、テープを微小球の膨張温度よりも高い温度に曝露することによって膨張させてもよい。あるいは、空隙は、化学的発泡剤の分解から生じ得る。ポリマー発泡体層は、典型的には、0.30g/cm3~1.5g/cm3、0.35g/cm3~1.10g/cm3、又は0.40g/cm3~0.95g/cm3の範囲内の密度を有する。
【0028】
いくつかの態様では、ポリマー発泡体層は室温で粘弾特性を有する。いくつかの他の態様では、発泡体は熱可塑性発泡体を含んでもよい。いくつかの他の態様では、発泡体は熱硬化性発泡体を含んでもよい。有用な発泡体の例は、例えばthe Handbook of Polymer Foams,David Eaves,editor,published by Shawbury,Shrewsbury,Shropshire,UK:Rapra Technology,2004にも記載されている。
【0029】
多層感圧接着剤アセンブリのいくつかの態様によれば、ポリマー発泡体層は、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリアミン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリイソブチレン、ポリスチレン、天然ゴム、ゴム系エラストマー材料、ポリビニル又はポリビニルピロリドンのうちの少なくとも1つを含む、ポリマー系材料を含み、これらの任意の組合せ、コポリマー又は混合物を含むことができる。いくつかの態様では、ポリマー発泡体層は、ポリアクリレート、ポリウレタン、又はこれらの任意の組合せ、コポリマー若しくは混合物のうちの少なくとも1つを含む、ポリマー系材料を含む。いくつかの態様では、ポリマー発泡体層は、ポリアクリレート、又はポリアクリレートの混合物を含む。
【0030】
多層感圧接着剤アセンブリのいくつかの態様では、ポリマー発泡体は、主なモノマー構成成分が、直鎖状又は分枝鎖アルキル(メタ)アクリル酸エステル、例えば、1個~32個、1個~20個、又は1個~15個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖アルキル基を有する、非極性の直鎖状又は分枝鎖アルキル(メタ)アクリル酸エステルを含むポリアクリレートを含む。有用な直鎖状又は分枝鎖アルキル(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、イソ-ペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、イソ-ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソ-オクチル(メタ)アクリレート、2-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2-プロピルヘプチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニルアクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、オクタデシルアクリレート、ノニルアクリレート、ドデシルアクリレート、イソホリル(メタ)アクリレート、及びこれらの任意の組合せ又はブレンドが挙げられる。いくつかの態様では、直鎖状又は分枝鎖アルキル(メタ)アクリル酸エステルは、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソ-オクチル(メタ)アクリレート、2-プロピルヘプチル(メタ)アクリレート、ブチルアクリレート、及びこれらの任意の組合せ又は混合物のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの態様では、直鎖状又は分枝鎖アルキル(メタ)アクリル酸エステルは、2-エチルヘキシルアクリレート又はイソ-オクチルアクリレートのうちの少なくとも1つを含む。
【0031】
多層感圧接着剤アセンブリの態様によれば、ポリマー発泡体層は、コモノマー、例えば、アクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、イタコン酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、N-ビニルピロリドン、イソボルニルアクリレート、シアノエチルアクリレート、N-ビニルカプロラクタム、無水マレイン酸、ヒドロキシアルキルアクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアクリルアミド、ベータ-カルボキシエチルアクリレート;ネオデカン酸、ネオノナン酸、ネオペンタン酸、2-エチルヘキサン酸、又はプロピオン酸のビニルエステル;塩化ビニリデン、スチレン、ビニルトルエン、アルキルビニルエーテル、及びこれらの任意の組合せ又は混合物を更に含む、ポリアクリレートを含む。
【0032】
多層感圧接着剤アセンブリの別の態様によれば、ポリマー発泡体層は、極性コモノマー、例えば極性アクリレートを更に含む、ポリアクリレートを含む。好適なコモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、ヒドロキシアルキルアクリレート、アクリルアミド及び置換アクリルアミド、アクリルアミン及び置換アクリルアミン、並びにこれらの任意の組合せ又は混合物が挙げられる。いくつかの態様では、極性コモノマーはアクリル酸である。
【0033】
本開示によれば、多層感圧接着剤アセンブリに使用するポリマー発泡体は、その中に分散した複数の活性炭粒子を含む。任意の一般に知られる活性炭粒子を、本開示の文脈において使用することができる。本明細書で使用するのに好適な活性炭粒子は、本開示を踏まえて、当業者によって容易に特定され得る。
【0034】
本開示の文脈では、驚くべきことに、ポリマー発泡体層に分散した複数の活性炭粒子の存在が、感圧接着剤アセンブリから放出される揮発性有機化合物の全体的な減少に強く寄与することが見出された。複数の活性炭粒子は、感圧接着剤アセンブリから放出される揮発性有機化合物の効率的な吸着材として機能すると考えられる。これらの揮発性有機化合物は、典型的には、低分子量有機残留物、例えば、ポリマー発泡体の重合プロセスから生じる未反応モノマー、重合開始剤の残留物、原材料由来の不純物、又は感圧接着剤アセンブリの製造中若しくは後処理中に形成された分解生成物である。本明細書で使用する複数の活性炭粒子は、化学吸着及び/又は物理吸着によって揮発性有機化合物を吸着することができる。
【0035】
更に、複数の活性炭粒子は、ポリマー発泡体層の補強材料として機能することが見出されている。その上、活性炭粒子は、ポリマー発泡体層のレオロジー改質剤として使用してもよく、これにより、得られる多層感圧接着剤アセンブリの最終的な所望の特性、特にその機械的特性の微調整が可能になる。活性炭粒子はまた、特に粒子表面が実質的に中性の性質、粒子の相対軟度(及び脆い性質)、並びに粒子と周囲のポリマーとの限定的な相互作用に起因して、ポリマー発泡体層の弾性特性(特にヤング率)に影響をわずかにしか(場合によりまったく)及ぼさないことが見出されている。対照的に、カーボンブラック粒子は、特に、粒子表面が実質的に酸性の性質、カーボンブラック粒子の相対硬度、及び粒子と周囲のポリマーとの強い相互作用に起因して、ポリマー発泡体層の弾性特性を強力に改質する。
【0036】
カーボンブラック粒子と比較した場合、活性炭粒子は、比較的多量に使用されると、まさしく黒色のポリマー発泡体層を形成させるが、これは、ポリマー発泡体層及び得られる多層感圧接着剤アセンブリの特性(特にその機械的特性)に悪影響を及ぼすことがない。対照的に、カーボンブラック粒子は、比較的多量に使用されると、ポリマー発泡体層及び得られる多層感圧接着剤アセンブリの特性に悪影響を及ぼす。更に、活性炭粒子を使用することで、VOCレベル特性が低減した多層感圧接着剤アセンブリを得ることを試みる中で、真空脱気操作を適用する必要性が低減する、又は不要になる。
【0037】
活性炭は、非常に多孔質となるように(すなわち、単位体積当たり多数の細孔を有する)、したがって大きな表面積を有するように処理された炭素である。活性炭は、多様な材料から生成することができるが、大部分の市販されている活性炭は、泥炭、石炭、褐炭、木材及びヤシ殻から作製される。炭素は、供給源に基づいて、異なる孔径、灰分、表面規則性、及び/又は不純物プロファイルを有し得る。ヤシ殻をベースとする炭素は主として微孔質の孔径を有し、一方で、木材をベースとする活性炭は主としてメソ孔質又はマクロ孔質の孔径を有する。ヤシ殻及び木材をベースとする炭素は、典型的には、約3重量%未満の灰分を有するが、石炭をベースとする炭素は、典型的には、4重量%~10重量%の、又は更に高い灰分を有する。
【0038】
市販されている活性炭粒子としては、商標名「NUCHAR RGC」としてMead Westvaco Corp.(Richmond,VA)から入手可能な木材をベースとする活性炭、商標名「AQUAGUARD」としてMead Westvaco Corp.から入手可能な木材をベースとする炭素、商標名「KURARAY PGW」としてクラレケミカル株式会社(岡山、日本)から入手可能なヤシ殻をベースとする活性炭、並びに商標名「CARBSORB」及び「FILTRASORB」としてCalgon Carbon Corp.(Pittsburgh,PA)から入手可能な石炭をベースとする炭素が挙げられる。
【0039】
いくつかの態様では、活性炭粒子は、ポリマー発泡体層全体にわたって分散する。いくつかの態様では、活性炭粒子は、ポリマー発泡体層の断面全体に実質的に均一に分散し、活性炭粒子が、ポリマー発泡体層の断面全体にわたってほぼ同じ濃度(例えば、10%以内)で存在することを意味する。
【0040】
いくつかの態様では、本明細書で使用する活性炭粒子は多孔質であり、例えば、試験法ISO9277:2010に記載されているBET(ブルナウアー・エメット・テラー)窒素吸着試験法によって測定した場合、100m2/g~2000m2/g、200m2/g~1500m2/g、500m2/g~1400m2/g、600m2/g~1200m2/g、又は700m2/g~1000m2/gに含まれる個別の比表面積を有する。
【0041】
いくつかの態様では、活性炭粒子は主に微孔質であり、典型的には、2ナノメートル以下の細孔幅を有する。いくつかの態様では、活性炭粒子の細孔の少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%は、2ナノメートル以下の細孔幅を有する。
【0042】
本開示の多層感圧接着剤アセンブリのいくつかの態様では、ポリマー発泡体中の活性炭粒子の量は、ポリマー発泡体の重量に基づいて少なくとも0.1重量パーセント(重量%)、少なくとも0.5重量%、少なくとも1重量%、少なくとも3重量%、少なくとも5重量%、又は少なくとも10重量%である。いくつかの態様では、ポリマー発泡体中の活性炭粒子の量は、ポリマー発泡体の重量に基づいて25重量%以下、20重量%以下、又は15%以下である。いくつかの態様では、ポリマー発泡体中の活性炭粒子の量は、ポリマー発泡体の重量に基づいて0.1重量%~25重量%、1重量%~20重量%、1重量%~15重量%、又は2重量%~10重量%の範囲内である。
【0043】
いくつかの態様では、本開示のポリマー発泡体は、任意選択の成分として、充填材料を更に含んでもよい。このような充填剤は、例えばポリマー発泡体の機械的安定性を上昇させるために有利に使用されることもあり、その剪断抵抗及び剥離力抵抗を上昇させることもある。
【0044】
当業者に一般に知られる任意の充填材料を、本開示の文脈において使用してもよい。本明細書で使用することができる充填材料の典型的な例としては、膨張パーライト、微小球、膨張性微小球、セラミック球、ゼオライト、粘土充填剤、ガラスビーズ、中空無機ビーズ、シリカ系充填剤、疎水性シリカ系充填剤、親水性シリカ系充填剤、ヒュームドシリカ、繊維(例えば、ガラス繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、シリカ繊維、セラミック繊維)、導電性及び/又は熱伝導粒子、ナノ粒子(例えば、シリカナノ粒子)、並びにこれらの任意の組合せが挙げられる。
【0045】
いくつかの態様では、ポリマー発泡体は、微小球、膨張性微小球、ペンタン充填膨張性微小球、ガス状空隙、ガラスビーズ、ガラス微小球、ガラスバブルズ、及びこれらの任意の組合せ又は混合物からなる群から選択される材料を含む。
【0046】
存在する場合、本明細書で使用する充填材料は、任意の好適な量で、ポリマー発泡体中で使用してもよい。いくつかの態様では、充填材料は、ポリマー発泡体の最大30重量部、最大25重量部、又は最大20重量部の量で存在する。いくつかの態様では、この量は、典型的には、ポリマー発泡体の少なくとも1重量部、又は少なくとも3重量部である。いくつかの態様では、充填材料は、ポリマー発泡体の1部~20部、3重量部~15重量部、又は5重量部~13重量部の範囲内の量で存在する。いくつかの態様では、充填材料は、ポリマー発泡体の1部~20部、2重量部~15重量部、又は2重量部~10重量部の範囲内で存在する。
【0047】
本開示で使用するポリマー発泡体は、任意選択の成分として、架橋添加剤(架橋剤(crosslinking agent及びcrosslinker)とも呼ばれる)を更に含んでもよい。架橋剤を使用して、ポリマー材料の結合力及び引張強度を上昇させることができる。本明細書で使用する好適な架橋添加剤は、本開示を踏まえて、当業者によって容易に特定され得る。架橋法の例としては、熱、水分、光感受性、化学線又は電離放射線架橋が挙げられる。
【0048】
熱架橋剤は、任意選択で、好適な促進剤及び遅延剤と組み合わせて使用してもよい。本明細書で使用するのに好適な熱架橋剤としては、イソシアネート、特に、ブロッキング剤を含まない三量体化イソシアネート及び/又は立体障害イソシアネート、並びにエポキシド化合物、例えばエポキシドアミン架橋剤系が挙げられる。有利な架橋剤系及び方法は、例えば、2010年3月18日に公開されたDE202009013255(U1)号、米国特許第5,877,261号(Harderら)、同第7,910,163号(Zollnerら)、同第7,935,383号(Zollnerら)、同第8,449,962号(Prenzelら)、同第8,802,777号(Zollnerら)、同第10,457,791号(Czerwonatisら)、同第9,505,959号(Grittnerら)及び同第9,896,605号(Zollnerら)、並びに米国特許出願公開第2011/0274843号(Grittnerら)の記載に記されている。本明細書で使用する好適な促進剤及び遅延剤系は、例えば、米国特許第9,200,129号(Czerwonatisら)に記載されている。本明細書で使用する好適な熱架橋剤としては、エポキシシクロヘキシル誘導体、特にエポキシシクロヘキシルカルボキシレート誘導体、例えば、Cytec Industries Inc.から商標名UVACURE1500で市販されている、(3,4-エポキシシクロヘキサン)メチル3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレートが挙げられる。特定の態様によれば、本明細書で使用するポリマー発泡体は、エポキシド基と架橋可能な(コ)ポリマー又はコポリマーを含み得る。それに対応して、使用されるモノマー又はコモノマーの少なくとも一部は、有利には、エポキシド基と架橋可能な官能性モノマーであり得る。酸基(とりわけ、カルボン酸基、スルホン酸基、若しくはホスホン酸基)、及び/又はヒドロキシル基、及び/又は酸無水物基、及び/又はエポキシド基、及び/又はアミン基を有するモノマー、特にカルボン酸基を含有するモノマーが好適に使用され得る。好適な官能性モノマーは、例えば、米国特許第9,688,886号(Ringら)に記載されている。
【0049】
本開示の別の態様によれば、架橋は、紫外線、又はガンマ線若しくは電子ビームなどの電離放射線によって開始される(電離放射線の場合、別個の架橋剤の使用は任意選択による)。
【0050】
本明細書で使用する架橋添加剤の例としては、複数の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、例えば、ジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリレート、及びこれらの組合せが挙げられる。いくつかの態様では、多官能性(メタ)アクリレート化合物は、以下の式を有する:
H2C=C(R1)-(CO)-O-R2-[O-(CO)-(R1)C=CH2]n
[式中、R1は水素又はメチルであり、nは1、2、3又は4であり、R2は、アルキレン、アリーレン、ヘテロアルキレン、又はこれらの任意の組合せである]。いくつかの態様では、本明細書で使用する架橋添加剤は、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、及びこれらの任意の組合せ又は混合物からなる群から選択される多官能性(メタ)アクリレート化合物である。
【0051】
本明細書で使用する架橋添加剤の更なる例としては、置換トリアジン、例えば、米国特許第4,329,384号(Vesleyら)及び第4,330,590号(Vesley)に記載されている、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシフェニル)-s-トリアジン及び2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(3,4-ジメトキシフェニル)-s-トリアジンが挙げられる。別のクラスの有用な架橋添加剤は、オルト芳香族ヒドロキシル基を含まない共重合性モノエチレン性不飽和芳香族ケトンコモノマー、例えば米国特許第4,737,559号(Kellenら)に開示されているものである。具体的な例としては、パラ-アクリルオキシベンゾフェノン、パラ-アクリルオキシエトキシベンゾフェノン、パラ-N-(メチルアクリルオキシエチル)-カルバモイルエトキシベンゾフェノン、パラ-アクリルオキシアセトフェノン、オルト-アクリルアミドアセトフェノン及びアクリル化アントラキノンが挙げられる。更に別の好適な架橋添加剤は、1,5-ビス(4-ベンゾイルベンゾキシ)ペンタンである。水素引き抜き型カルボニル、例えば、米国特許第4,181,752号(Martensら)に開示されている、アントラキノン、ベンゾフェノン及びこれらの誘導体も好適である。
【0052】
架橋添加剤は、存在する場合、例えば、ポリマー発泡体の重量に基づいて最大40重量%の量で使用され得る。いくつかの態様では、架橋添加剤は、ポリマー発泡体の重量に基づいて最大20重量%、最大15重量%、最大10重量%、又は最大5重量%の量で使用してもよい。架橋添加剤の量は、例えば、ポリマー発泡体の重量に基づいて0.1重量%~10重量%、0.5重量%~8重量%、1重量%~6重量%、又は2重量%~5重量%の範囲内であり得る。ポリマー発泡体はまた、上記の架橋添加剤のいずれも含まなくてもよい。
【0053】
多層感圧接着剤アセンブリのいくつかの態様では、ポリマー発泡体は
a)ポリマー発泡体の重量に基づいて60重量%~100重量%、70重量%~95重量%、80重量%~95重量%、又は85重量%~95重量%のフリーラジカル重合性モノマー単位、特に1種以上の(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、
b)ポリマー発泡体の重量に基づいて0重量%~40重量%、5重量%~30重量%、5重量%~20重量%、又は5重量%~15重量%の、エチレン性不飽和基を有するコモノマー単位、特に1種以上のアクリル酸モノマーと、
c)ポリマー発泡体の重量に基づいて0重量%~20重量%、1重量%~15重量%、2重量%~13重量%、又は2重量%~10重量%の中空充填剤粒子、特に、膨張性微小球、ペンタン充填膨張性微小球、ガラスビーズ、ガラス微小球、ガラスバブルズ及びこれらの組合せからなる群から選択される中空充填剤粒子と
を含む。
【0054】
本開示による多層感圧接着剤アセンブリのいくつかの態様によれば、ポリマー発泡体は、
a)ポリマー発泡体の重量に基づいて60重量%~100重量%、70重量%~95重量%、80重量%~95重量%、又は85重量%~95重量%の、1個~32個、1個~20個、又は1個~15個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝鎖アルキル基を有する、1種以上の(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位と、
b)ポリマー発泡体の重量に基づいて0重量%~40重量%、5重量%~30重量%、5重量%~20重量%、又は5重量%~15重量%の1種以上のアクリル酸モノマー単位と、
c)ポリマー発泡体の重量に基づいて0重量%~20重量%、1重量%~15重量%、2重量%~13重量%、又は2重量%~10重量%の膨張性微小球、例えばペンタン充填膨張性微小球と
を含む。
【0055】
本明細書で使用するポリマー発泡体及び関連のポリマー系材料は、当業者に一般に知られる任意の従来のフリーラジカル重合法によって調製することができる。有用な方法としては、溶液、放射線、バルク、分散、エマルション、無溶媒及び懸濁プロセスが挙げられる。
【0056】
放射線重合では、モノマー混合物は、光重合開始剤(すなわち、光開始剤)の存在下で、例えば紫外(Ultraviolet、UV)光線を照射され得る。好適な光開始剤としては、IGM Resins(Waalwijk,The Netherlands)から商品名OMNIRADで入手可能なものが挙げられ、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(OMNIRAD 184)、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(OMNIRAD 651)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(OMNIRAD 819)、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン(OMNIRAD 2959)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタノン(OMNIRAD 369)、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン(OMNIRAD 907)及び2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン(OMNIRAD 1173)、IGM Resinsから商品名ESACURE KIP 150で入手されるオリゴ[2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン]、並びにIGM Resinsから商品名ESACURE ONE及びESACURE KIP 160(2-ヒドロキシ-1-[4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)フェノキシ]フェニル]-2-メチルプロパノン)で入手される二官能性アルファ-ヒドロキシケトンが挙げられる。二官能性アルファ-ヒドロキシケトンとは、光開始剤が2つのアルファ-ヒドロキシケトン基を含むことを意味する。多官能性アルファ-ヒドロキシケトンとは、光開始剤が2つ以上のアルファ-ヒドロキシケトン基を含むことを意味する。追加の好適な光開始剤としては、ベンジルジメチルケタール、2-メチル-2-ヒドロキシプロピオフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アニソインメチルエーテル、芳香族塩化スルホニル、光活性オキシム、及びこれらの組合せが挙げられる。使用する場合、光開始剤は典型的には、総モノマー100重量部当たり、約0.01部~約5.0部、0.1部~1部、又は0.1部~0.5部の量で存在する。
【0057】
いくつかの態様では、本明細書で使用するポリマー発泡体及び関連のポリマー系材料は、無溶媒プロセスによって調製される。無溶媒重合法、例えば、米国特許第4,619,979号及び同第4,843,134号(Kotnourら)に記載されている連続フリーラジカル重合法、並びに米国特許第7,879,441号(Gehlsenら)に記載されている発泡PSAを製造するための方法も、ポリマー発泡体及び関連のポリマー系材料を調製するために利用することができる。
【0058】
本開示の多層感圧接着剤アセンブリ中の第1の感圧接着剤は、式Qn-Y
を有する多腕ブロックコポリマー
[式中、Qは多腕ブロックコポリマーの腕を表し、各腕は独立して、式G-Rを有し、nは腕の数を表し、少なくとも3の整数であり、Yは多官能性カップリング剤の残基であり、各Rは、独立して、重合共役ジエン、重合共役ジエンの水素化誘導体、又はこれらの組合せを含むゴム状ブロックであり、各Gは、独立して、重合したモノビニル芳香族モノマーを含むガラス状ブロックである]を含む。
【0059】
いくつかの態様では、nは、3~10、又は3~5の範囲内である。いくつかの態様では、nは少なくとも4であり、いくつかの態様では、nは少なくとも6である。いくつかの態様では、共役ジエンは4個~12個の炭素原子を有する。共役ジエンの例としては、ブタジエン、イソプレン、エチルブタジエン、フェニルブタジエン、ピペリレン、ペンタジエン、ヘキサジエン、エチルヘキサジエン及びジメチルブタジエンが挙げられる。重合共役ジエンは、個別に使用してもよく、互いとのコポリマーとして使用してもよい。いくつかの態様では、少なくとも1つの腕のゴム状ブロックRは、イソプレン、ブタジエン、エチレンブタジエンコポリマー、ポリイソプレン又はポリブタジエンの水素化誘導体、及びこれらの任意の組合せ又は混合物からなる群から選択される重合共役ジエンを含む。いくつかの態様では、各腕のゴム状ブロックRは、イソプレン、ブタジエン、エチレンブタジエンコポリマー、ポリイソプレン又はポリブタジエンの水素化誘導体、及びこれらの組合せ又は混合物からなる群から選択される重合共役ジエンを含む。いくつかの態様では、式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーのゴム状ブロックRの少なくとも1つは、イソプレン、ブタジエン、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される重合共役ジエンを含む。いくつかの態様では、式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーのゴム状ブロックRの各々は、イソプレン、ブタジエン、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される重合共役ジエンを含む。いくつかの態様では、式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーのゴム状ブロックRの少なくとも1つ又はゴム状ブロックRのそれぞれは、ポリイソプレンを含むが、ポリブタジエンを含まない。
【0060】
本明細書における式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマー中で使用するのに好適なガラス状ブロックGは、重合したモノビニル芳香族モノマーを含む。いくつかの態様では、モノビニル芳香族モノマーは8個~18個の炭素原子を有する。好適なモノビニル芳香族モノマーの例としては、スチレン、ビニルピリジン、置換スチレン(例えば、ビニルトルエン、アルファ-メチルスチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、t-ブチルスチレン、ジ-n-ブチルスチレン、イソプロピルスチレン及び他のアルキル化スチレン)、スチレン類似体、並びにスチレン同族体が挙げられる。いくつかの態様では、少なくとも1つの腕のガラス状ブロックGは、スチレン、アルキル化スチレン、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択されるモノビニル芳香族モノマーを含む。有利な態様によれば、各腕のガラス状ブロックGは、スチレン、スチレン相容性ブレンド、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択されるモノビニル芳香族モノマーを含む。
【0061】
本開示による多層感圧接着剤アセンブリのいくつかの態様について、式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーのうちの少なくとも1つの腕は、スチレン-イソプレン-スチレン、スチレン-ブタジエン-スチレン、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン、及びこれらの組合せからなる群から選択される。いくつかの態様について、式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーの各腕は、スチレン-イソプレン-スチレン、スチレン-ブタジエン-スチレン、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される。いくつかの態様について、式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーの各腕は、スチレン-イソプレン-スチレン、スチレン-ブタジエン-スチレン、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される。いくつかの態様について、式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーの少なくとも1つの腕又は各腕は、スチレン-イソプレン-スチレンポリマーである。
【0062】
いくつかの態様について、本明細書で使用する式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーは、(多腕)星形ブロックコポリマーである。いくつかの態様について、式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーは、多モードブロックコポリマーである。本明細書で使用するとき、「多モード」という用語は、コポリマーが、少なくとも2つの異なる分子量を有する末端ブロックを含むことを意味する。このようなブロックコポリマーはまた、少なくとも1つの「高」分子量末端ブロックと、少なくとも1つの「低」分子量末端ブロックとを有するものとして特徴付けることもでき、ここで高及び低という用語は、互いに対して使用される。いくつかの特定の態様では、低分子量末端ブロックの数平均分子量(Mn)Lに対する、高分子量末端ブロックの数平均分子量(Mn)Hの比は、少なくとも約1.25である。
【0063】
いくつかの態様では、(Mn)Hは、約5000~約50000の範囲内である。いくつかの態様では、(Mn)Hは少なくとも約8000であり、いくつかの態様では、少なくとも約10000である。いくつかの態様では、(Mn)Hは約35000以下である。いくつかの態様では、(Mn)Lは、約1000~約10000の範囲内である。いくつかの態様では、(Mn)Lは少なくとも約2000であり、いくつかの態様では、少なくとも約4000である。いくつかの態様では、(Mn)Lは約9000未満であり、いくつかの態様では、約8000未満である。
【0064】
いくつかの態様によれば、式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーは非対称なブロックコポリマーである。いくつかの態様では、多腕ブロックコポリマーは、多モードで非対称なブロックコポリマーである。
【0065】
一般に、本明細書で使用する多官能性カップリング剤Yは、任意のポリアルケニルカップリング剤、又はリビングポリマーのカルバニオンと反応して架橋ポリマーを形成することができる官能基を有することが知られている他の材料であってよい。ポリアルケニルカップリング剤は、脂肪族、芳香族又は複素環式であってもよい。脂肪族ポリアルケニルカップリング剤の例としては、ポリビニル及びポリアルキルアセチレン、ジアセチレン、ホスフェート、ホスファイト、並びにジメタクリレート(例えば、エチレンジメタクリレート)が挙げられる。芳香族ポリアルケニルカップリング剤の例としては、ポリビニルベンゼン、ポリビニルトルエン、ポリビニルキシレン、ポリビニルアントラセン、ポリビニルナフタレン及びジビニルデュレンが挙げられる。ポリビニル基の例としては、ジビニル、トリビニル及びテトラビニル基が挙げられる。いくつかの態様では、ジビニルベンゼン(Divinylbenzene、DVB)を使用してもよく、o-ジビニルベンゼン、m-ジビニルベンゼン、p-ジビニルベンゼン、及びこれらの混合物を含んでもよい。複素環式ポリアルケニルカップリング剤の例としては、ジビニルピリジン及びジビニルチオフェンが挙げられる。多官能性カップリング剤の他の例としては、ハロゲン化ケイ素、ポリエポキシド、ポリイソシアネート、ポリケトン、ポリ無水物及びジカルボン酸エステルが挙げられる。
【0066】
上記の式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーは、第1の感圧接着剤層の総重量に基づいて20重量%超の量で存在する。いくつかの態様では、式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーの量は、例えば、第1の感圧接着剤層の総重量に基づいて21重量%~65重量%、25重量%~60重量%、21重量%~40重量%、25重量%~35重量%の範囲内であり得る。
【0067】
いくつかの態様では、本明細書に開示するアセンブリ及び方法における第1の感圧接着剤層は、式L-(G)mの直鎖状ブロックコポリマー[式中、Lはゴム状ブロックを表し、Gはガラス状ブロックを表し、ガラス状ブロックの数mは1又は2である]を含む。好適なゴム状ブロックLは、重合オレフィン、重合共役ジエン、重合共役ジエンの水素化誘導体、又はこれらの任意の組合せを含む。
【0068】
いくつかの態様では、mは1であり、式L-(G)mの直鎖状ブロックコポリマーは、1つのゴム状ブロックMと1つのガラス状ブロックGを含む、ジブロックコポリマーである。いくつかの態様では、mは2であり、直鎖状ブロックコポリマーは、2つのガラス状末端ブロックと1つのゴム状中間ブロックとを含み、すなわち、式L-(G)mの直鎖状ブロックコポリマーは、トリブロックコポリマーである。いくつかの態様では、式L-(G)mの直鎖状ブロックコポリマーは、トリブロックコポリマーとジブロックコポリマーとの両方を含む。
【0069】
いくつかの態様では、ゴム状ブロックLは、重合共役ジエン、重合共役ジエンの水素化誘導体、又はこれらの任意の組合せを含む。いくつかの態様では、共役ジエンは4個~12個の炭素原子を有する。好適な共役ジエンの例としては、ブタジエン、イソプレン、エチルブタジエン、フェニルブタジエン、ピペリレン、ペンタジエン、ヘキサジエン、エチルヘキサジエン及びジメチルブタジエンが挙げられる。重合共役ジエンは、個別に使用してもよく、互いとのコポリマーとして使用してもよい。いくつかの態様では、式L-(G)mの直鎖状ブロックコポリマーのゴム状ブロックLは、イソプレン、ブタジエン、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される重合共役ジエンを含む。いくつかの態様では、式L-(G)mの直鎖状ブロックコポリマーのゴム状ブロックLは、ポリイソプレンを含むが、ポリブタジエンを含まない。いくつかの態様では、ゴム状ブロックLは、イソブチレンなどの重合オレフィンを含む。
【0070】
いくつかの態様では、少なくとも1つのガラス状ブロックGは、重合したモノビニル芳香族モノマーを含む。いくつかの態様では、トリブロックコポリマーの両方のガラス状ブロックは、重合したモノビニル芳香族モノマーを含む。いくつかの態様では、式L-(G)mの直鎖状ブロックコポリマーは、2つのガラス状ブロックを含む。いくつかの態様では、モノビニル芳香族モノマーは8個~18個の炭素原子を有する。好適なモノビニル芳香族モノマーの例としては、スチレン、ビニルピリジン、置換スチレン(例えば、ビニルトルエン、アルファ-メチルスチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、t-ブチルスチレン、ジ-n-ブチルスチレン、イソプロピルスチレン及び他のアルキル化スチレン)、スチレン類似体、並びにスチレン同族体が挙げられる。いくつかの態様では、モノビニル芳香族モノマーは、スチレン、アルキル化スチレン及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0071】
いくつかの態様では、式L-(G)mの直鎖状ブロックコポリマーは、ジブロックコポリマーを含む。いくつかの態様では、ジブロックコポリマーは、スチレン-イソプレン及びスチレン-ブタジエンからなる群から選択される。いくつかの態様では、式L-(G)mの直鎖状ブロックコポリマーは、トリブロックコポリマーを含む。いくつかの態様では、トリブロックコポリマーは、スチレン-イソプレン-スチレン、スチレン-ブタジエン-スチレン、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン、スチレン-イソブチレン-スチレン、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される。ジブロック及びトリブロックコポリマーは、例えば、商標名VECTORで、Dexco Polymer LP(Houston,Texas)から入手可能なもの;及び商標名KRATONで、Kraton Polymers U.S.LLC(Houston,Texas)から入手可能なものが、市販されている。製造及び/又は購入されたとき、トリブロックコポリマーは、いくらかの画分のジブロックコポリマーも含有し得る。
【0072】
いくつかの態様では、第1の感圧接着剤層中の式L-(G)mを有する直鎖状ブロックコポリマーの量は、第1の感圧接着剤層の総重量に基づいて0重量%~35重量%、5重量%~35重量%、10重量%~35重量%、又は15重量%~30重量%の範囲内である。いくつかの態様では、直鎖状ブロックコポリマー中の、mが1であるジブロックコポリマーの量は、直鎖状ブロックコポリマーの重量に基づいて0重量%~25重量%、0重量%~20重量%、2重量%~20重量%、又は5重量%~20重量%の範囲内である。
【0073】
いくつかの態様では、式L-(G)mを有する直鎖状ブロックコポリマーが第1の感圧接着剤層中に存在する場合、式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーと式L-(G)mを有する直鎖状ブロックコポリマーとの重量比は、1:1~5:1、1:1~4:1、1:1~3:1、又は1:1~2:1の範囲内である。式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーと直鎖状ブロックコポリマーL-(G)mと比がこのように高いと、重要な基材に対する多層感圧接着剤アセンブリの有利な接着性能、特に多層感圧接着剤アセンブリの高温剪断接着性能を提供することができる。ジブロックコポリマーL-(G)mが存在すると、第1の感圧接着剤の(コ)ポリマー前駆体、及び得られる多層感圧接着剤アセンブリに、様々な有益な効果が提供され得る。特に、上記のようなジブロックコポリマーの添加は、この化合物の粘度低下効果(レオロジー改質剤)に起因して、第1の感圧接着剤の(コ)ポリマー前駆体の加工性に有利に影響を及ぼすことができる。更に、驚くべきことに、上記のジブロックコポリマーは、第1の感圧接着剤中に存在する場合、本開示による多層感圧接着剤アセンブリの他の層には不要に移動しない一方で、第1の感圧接着剤の(コ)ポリマー前駆体に可塑化効果を依然としてもたらすことが見出された。
【0074】
本開示によれば、第1の感圧接着剤層は、少なくとも1種の炭化水素粘着付与剤を更に含む。従来の感圧接着剤組成物中に典型的に含まれる炭化水素粘着付与剤を、本開示の文脈において使用してもよい。有用な炭化水素粘着付与剤は、典型的には、コポリマー材料と混和性であり、米国特許出願公開第2019/0345367号(Eckhardtら)に記載されている試験法によって熱重量分析によって測定した場合に、1000ppm未満のVOC値、米国特許出願公開第2019/0345367号(Eckhardtら)に記載されている試験法によって熱重量分析によって測定した場合に、1500ppm未満の揮発性フォギング化合物(FOG)値、及び/又は米国特許出願公開第2019/0345367号(Eckhardtら)に記載されている減量分析によって測定した場合に、1重量%未満のガス放出値を有するように選択される。本明細書で使用する好適な炭化水素粘着付与剤は、本開示を踏まえて、当業者によって容易に特定され得る。
【0075】
固体又は液体のいずれかの炭化水素粘着付与剤が加えられ得る。固体粘着付与剤は、一般に、1モル当たり10,000グラム以下の数平均分子量(Mn)、及び約70℃よりも高い軟化点を有する。液体粘着付与剤は、約0℃~約20℃の軟化点を有する粘性材料である。いくつかの態様では、炭化水素粘着付与剤は固体粘着付与剤である。
【0076】
好適な炭化水素粘着付与剤としては、テルペン樹脂、例えば、ポリテルペン(例えば、アルファピネン系樹脂、ベータピネン系樹脂及びリモネン系樹脂)、並びに芳香族変性ポリテルペン樹脂(例えば、フェノール変性ポリテルペン樹脂);クマロン-インデン樹脂;並びに石油系炭化水素樹脂、例えば、C5系炭化水素樹脂、C9系炭化水素樹脂、C5/C9系炭化水素樹脂及びジシクロペンタジエン系樹脂が挙げられる。これらの炭化水素粘着付与剤はいずれも、部分的又は完全に水素化して、色、熱安定性及び/又はプロセス適合性を改善させることができる。所望により、様々な炭化水素粘着付与剤の組合せを使用することができる。
【0077】
炭化水素樹脂である粘着付与剤は、様々な石油系原材料から調製することができる。これらの原材料は、脂肪族炭化水素(いくらかの他のモノマーが共存する、主としてC5モノマー、例えば、trans-1,3-ペンタジエン、cis-1,3-ペンタジエン、2-メチル-2-ブテン、ジシクロペンタジエン、シクロペンタジエン及びシクロペンテンの混合物)、芳香族炭化水素(いくらかの他のモノマーが共存する、主としてC9モノマー、例えば、ビニルトルエン、ジシクロペンタジエン、インデン、メチルスチレン、スチレン及びメチルインデンの混合物)、又はこれらの混合物であってもよい。C5モノマーに由来する炭化水素粘着付与剤は、C5系炭化水素樹脂と呼ばれ、一方で、C9モノマーに由来するものは、C9系炭化水素樹脂と呼ばれる。いくつかの粘着付与剤は、C5モノマーとC9モノマーとの混合物由来であるか、又はC5系炭化水素粘着付与剤とC9系炭化水素粘着付与剤とのブレンドである。これらの粘着付与剤は、C5/C9系炭化水素粘着付与剤と呼ぶことができる。
【0078】
C5系炭化水素粘着付与剤は、Eastman Chemical Companyから商標名PICCOTAC及びEASTOTACで、Cray Valleyから商標名WINGTACKで、Neville Chemical Companyから商標名NEVTAC LXで、及びKolon Industries,Inc.から商標名HIKOREZで市販されている。C5系炭化水素粘着付与剤は、Eastman Chemicalから商標名EASTOTACKで、様々な水素化度のものが市販されている。
【0079】
C9系炭化水素粘着付与剤は、Eastman Chemical Companyから商標名PICCO、KRISTLEX、PLASTOLYN、及びPICCOTAC、及びENDEXで、Cray Valleyから商標名NORSOLENEで、Ruetgers N.V.から商標名NOVAREZで、並びにKolon Industries,Inc.から商標名HIKOTACで市販されている。これらの樹脂は、部分的又は完全に水素化することができる。水素化の前には、C9系炭化水素樹脂は、プロトン核磁気共鳴によって測定すると、芳香族が約40パーセントであることが多い。水素化C9系炭化水素樹脂は、例えば、Eastman Chemicalから商標名REGALITE及びREGALREZで市販されており、これらは50~100パーセント(例えば、50パーセント、70パーセント、90パーセント及び100パーセント)水素化されている。部分的に水素化された樹脂は、典型的にはいくつかの芳香環を有する。
【0080】
様々なC5/C9系炭化水素粘着付与剤は、Arakawaから商標名ARKONで、Zeonから商標名QUINTONEで、Exxon Mobil Chemicalから商標名ESCOREZで、並びにNewport Industriesから商標名NURES及びH-REZ(Newport Industries)で市販されている。本開示の文脈において、本明細書で使用する好適な炭化水素粘着付与剤は、Exxon Mobil Chemicalから商標名ESCOREZで市販されているC5/C9系炭化水素粘着付与剤の中から有利に選択することができる。
【0081】
本開示の多層感圧接着剤アセンブリのいくつかの態様では、炭化水素粘着付与剤は、脂肪族炭化水素樹脂、脂環式炭化水素樹脂、芳香族変性脂肪族及び脂環式樹脂、芳香族樹脂、水素化炭化水素樹脂、テルペン及び変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジンエステル、並びにこれらの任意の組合せ又は混合物からなる群から選択される。
【0082】
本開示のいくつかの態様では、粘着付与樹脂は、C5系炭化水素樹脂、C9系炭化水素樹脂、C5/C9系炭化水素樹脂、及びこれらの任意の組合せ又は混合物からなる群から選択される。いくつかの態様では、粘着付与樹脂は、水素化テルペン樹脂、水素化ロジン樹脂、水素化C5系炭化水素樹脂、水素化C9系炭化水素樹脂、水素化C5/C9系炭化水素樹脂、及びこれらの任意の組合せ又は混合物からなる群から選択される。
【0083】
いくつかの態様では、炭化水素粘着付与剤は、ゴム状ブロックR、及び任意選択でゴム状ブロックLのうちの少なくとも一部と相容性がある。いくつかの態様では、炭化水素粘着付与剤は、少なくとも、式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーの各ゴム状ブロックRと、及び任意選択で、式L-(G)mを有する直鎖状ブロックコポリマーのゴム状ブロックLと相容性がある。
【0084】
本明細書で使用するとき、粘着付与剤は、あるブロックと混和性である場合、そのブロックと「相容性がある」。一般に、粘着付与剤とブロックとの混和性は、そのブロックのTgに対する粘着付与剤の効果を測定することによって決定できる。粘着付与剤がブロックと混和性である場合、粘着付与剤はそのブロックのTgを変化させる(例えば、上昇させる)。粘着付与剤は、少なくともあるブロックと混和性がある場合、そのブロックと「相容性がある」が、他のブロックとも混和性である場合がある。例えば、少なくともゴム状ブロックと相容性がある粘着付与剤は、ゴム状ブロックと混和性があるが、ガラス状ブロックとも混和性があることもある。
【0085】
少なくともゴム状ブロックR、及び任意選択でゴム状ブロックLと相容性がある炭化水素粘着付与剤の例は、ポリマーテルペン、ヘテロ官能性テルペン、クマロン-インデン樹脂、ロジン酸、ロジン酸エステル、不均化ロジン酸エステル、水素化C5脂肪族樹脂、C9水素化芳香族樹脂、C5/C9脂肪族/芳香族樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、C5/C9及びジシクロペンタジエン前駆体から生じる水素化炭化水素樹脂、水素化スチレンモノマー樹脂、並びにこれらの任意のブレンドからなる群から有利に選択される。
【0086】
本開示の文脈において、少なくともゴム状ブロックと相溶性がある炭化水素粘着付与剤を加えると、接着性能(特に剥離性能)に有利な影響を及ぼすことが見出されている。
【0087】
いくつかの態様では、第1の感圧接着剤層に使用する炭化水素粘着付与剤は、少なくとも60℃、少なくとも65℃、又は更には少なくとも70℃のTgを有する。いくつかの態様では、炭化水素粘着付与剤は、少なくとも約115℃、又は少なくとも約120℃の軟化点を有する。
【0088】
いくつかの態様では、第1の感圧接着剤層に使用するのに好適な炭化水素粘着付与剤は、米国特許出願公開第2019/0345367号(Eckhardtら)に記載されている試験法によって熱重量分析によって測定した場合に、1000ppm未満、800ppm未満、600ppm未満、400ppm未満、又は200ppm未満のVOC値を有するものから選択される。いくつかの態様では、第1の感圧接着剤層に使用する炭化水素粘着付与剤は、米国特許出願公開第2019/0345367号(Eckhardtら)に記載されている試験法によって熱重量分析によって測定した場合に、1500ppm未満、1000ppm未満、800ppm未満、600ppm未満、又は500ppm未満のFOG値を有する。いくつかの態様では、第1の感圧接着剤層に使用する炭化水素粘着付与剤は、米国特許出願公開第2019/0345367号(Eckhardtら)に記載されているオーブンガス放出試験法による減量分析によって測定した場合に、1重量%未満、0.8重量%未満、0.6重量%未満、0.5重量%未満、0.4重量%未満、0.3重量%未満、0.2重量%未満、又は0.1重量%未満のガス放出値を有する。
【0089】
いくつかの態様では、本明細書で使用する炭化水素粘着付与剤は、有利には、クマロン-インデン樹脂、ロジン酸、ロジン酸のエステル、不均化ロジン酸エステル、C9芳香族、スチレン、アルファ-メチルスチレン、純粋モノマー樹脂、及びC9/C5芳香族変性脂肪族炭化水素、及びこれらのブレンドからなる群から選択される。
【0090】
本開示で使用する第1の感圧接着剤層のいくつかの態様では、全てのブロックコポリマーの総重量と全ての炭化水素粘着付与剤の総重量との比は、2.4:1~1:2.4、2:1~1:2、1.5:1~1:1.5、1.2:1~1:1.2、1.15:1~1:1.15、又は1.1:1~1:1.1の範囲内である。第1の感圧接着剤層のいくつかの態様では、炭化水素粘着付与剤は、第1の感圧接着剤層の総重量に基づいて最大60重量%の量で使用され得る。いくつかの態様では、炭化水素粘着付与剤は、第1の感圧接着剤層の総重量に基づいて最大55重量%又は最大50重量%の量で使用することができる。炭化水素粘着付与剤の量は、第1の感圧接着剤層の総重量に基づいて、例えば、35重量%~60重量%、40重量%~60重量%、又は40重量%~55重量%の範囲内であり得る。
【0091】
いくつかの態様では、本明細書で使用する第1の感圧接着剤層は、25℃、30℃、40℃、50℃、60℃、又は70℃超のTg、及び従来のゲル浸透クロマトグラフィーGPCによって決定して1000ダルトン~100,000ダルトンの重量平均分子量(Mw)を有し、かつ単独重合した場合に、25℃、30℃、40℃、50℃、60℃、又は70℃超のTgを有する1つ以上の(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位を含む(メタ)アクリレートコポリマーを実質的に含まない。第1の感圧接着剤層中に、このような(メタ)アクリレートコポリマーを実質的に含まない場合、多層感圧接着剤アセンブリは、有利には、VDA270 C3によって測定して、より低い臭気を有し得る。
【0092】
本開示の文脈において、本明細書で使用する(メタ)アクリレートコポリマーのTgを決定するために、様々なモノマーの特定の組合せのためのインターポリマーの有用な予測因子Tgは、Fox式:1/Tg=ΣWi/Tgiの適用によって計算することができる。この式中、Tgは混合物のガラス転移温度であり、Wiは混合物中の構成成分iの重量分率であり、Tgiは構成成分iのガラス転移温度であり、全てのガラス転移温度の単位はケルビン(K)である。25℃超のTgを有する(メタ)アクリレートコポリマー中のいくつかの(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位は、イソボルニル(メタ)アクリレート、tert-ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、sec-ブチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、3,3,5トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、N-オクチル(メタ)アクリルアミド、及びこれらの任意の組合せ又は混合物である。25℃超のTgを有する(メタ)アクリレートコポリマーは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、s-ブチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、3,3,5トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、N-オクチルアクリルアミド、プロピル(メタ)アクリレートを含んでもよい。25℃超のTgを有する(メタ)アクリレートコポリマーはまた、アクリル酸、メタクリル酸、2-カルボキシエチルアクリレート、イタコン酸、ヒドロキシアルキルアクリレート、アクリルアミド及び置換アクリルアミド(例えば、N,N’ジメチルアクリルアミド、N,N’ジエチルアクリルアミド)、アクリルアミン及び置換アクリルアミン、ブチルカルバモイルエチルアクリレート、並びにこれらの任意の組合せ又は混合物のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0093】
上記の25℃超のTg及び1000ダルトン~100,000ダルトンの重量平均分子量(Mw)を有する(メタ)アクリレートコポリマーを「実質的に含まない」とは、第1の感圧接着剤層の総重量に基づいて3重量%、2重量%、1重量%、又は0.5重量%未満を指し、0重量%を含む。いくつかの態様では、第1の感圧接着剤層は、一般に、ランダム又はブロックコポリマーを含めて、実質的に(メタ)アクリレートコポリマーを含まない。
【0094】
いくつかの態様では、本明細書で使用する第1の感圧接着剤層は、10,000g/mol~100,000g/molの重量平均分子量Mwを有するポリマー可塑剤を実質的に含まない。このようなポリマー可塑剤は、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、非晶質ポリオレフィン及びこれらのコポリマー、シリコーン、ポリアクリレート、オリゴマーポリウレタン、エチレンプロピレンコポリマー、並びにこれらの任意の組合せ又は混合物であり得る。上記の10,000g/mol~100,000g/molの重量平均分子量Mwを有するポリマー可塑剤を「実質的に含まない」とは、第1の感圧接着剤層の総重量に基づいて2重量%、1重量%、0.5重量%、又は0.1重量%未満を指し、0重量%を含む。
【0095】
いくつかの態様では、本開示に有用な第1の感圧接着剤層は、任意選択の成分として、充填材料を更に含んでもよい。第1の感圧接着剤層中に使用する充填材料は、ポリマー発泡体に使用する上記のもののいずれかであってもよい。しかし、いくつかの態様では、第1の感圧接着剤層は、微小球、膨張性微小球(例えばペンタン充填膨張性微小球)、ガス状空隙、ガラスビーズ、ガラス微小球、ガラスバブルズ、及びこれらの任意の組合せ又は混合物からなる群から選択される充填材料のいずれも含まない。
【0096】
本開示による多層感圧接着剤アセンブリのいくつかの態様では、第1の感圧接着剤層は、
第1の感圧接着剤層の総重量に基づいて25重量パーセント~60重量パーセントの範囲内の量の、多腕ブロックコポリマーと、
第1の感圧接着剤層の総重量に基づいて40重量パーセント~60重量パーセントの量の、粘着付与剤と、
第1の感圧接着剤層の総重量に基づいて0重量パーセント~35重量パーセントの量の、式L-(G)mを有する直鎖状ブロックコポリマーと
を含む。
【0097】
いくつかの態様では、本開示による多層感圧接着剤アセンブリは、ポリマー発泡体層と第1の感圧接着剤層との溶融共押出し、特にホットメルト共押出しによって得られる。ポリマー発泡体層と第1の感圧接着剤層との溶融共押出し、特にホットメルト共押出しは、70℃、更にはそれよりも高温においてさえ、顕著な堅牢性、及び層間剥離に対して優れた耐性を提供することができる。更に、ポリマー発泡体層と第1の感圧接着剤層との溶融共押出し、特にホットメルト共押出しによって得られる多層感圧接着剤アセンブリは、本開示による多層感圧接着剤アセンブリの層を通る化合物(特に加工助剤又は可塑剤)の不要な移動を経ることが少ないが、その理由は主に、溶融共押出しプロセスが実行される際に、加工助剤の使用自体が不要なためである。
【0098】
本開示の多層感圧接着剤アセンブリは、ポリマー発泡体層と、このポリマー発泡体層に隣接する、上記の第1の感圧接着剤層とを含む。本開示による多層感圧接着剤アセンブリは、その最終的な用途及び所望の特性に応じて、かつそれが上記の第1の感圧接着剤層とポリマー発泡体層とを含むことを条件として、任意の好適な種類の設計又は構成を有し得る。
【0099】
いくつかの態様では、本開示の多層感圧接着剤アセンブリは、より多くの重畳した層、例えば、第1の感圧接着剤層と、ポリマー発泡体層と、隣接層、例えば、更なる感圧接着剤層及び/又はバッキング層とを含む多層構造体の形態をとってもよい。このような接着剤多層構造体又はテープは、2つの物体を互いに接着するための二層接着テープとして有利に使用され得る。その文脈において、本明細書で使用する好適なポリマー発泡体層又はバッキング層は、少なくとも一部の感圧接着剤特性を発揮してもしなくてもよい。
【0100】
いくつかの態様では、本開示による多層感圧接着剤アセンブリは、第1の主面及び第2の主面を有するポリマー発泡体と、ポリマー発泡体層の第1の主面に結合した上記の第1の感圧接着剤層とを含む。
【0101】
多層感圧接着剤アセンブリのいくつかの態様では、本明細書で使用する第1の感圧接着剤層は、1500μm未満、1000μm未満、800μm未満、600μm未満、400μm未満、200μm未満、150μm未満、又は100μm未満の厚さを有する。いくつかの態様では、本明細書で使用する第1の感圧接着剤層は、20μm~1500μm、20μm~1000μm、20μm~500μm、30μm~400μm、30μm~250μm、40μm~200μm、又は50μm~150μmの範囲内の厚さを有する。いくつかの態様では、本明細書で使用するポリマー発泡体層は、100μm~6000μm、200μm~4000μm、400μm~3000μm、500μm~2000μm、又は800μm~1500μmの範囲内の厚さを有する。本記述を踏まえて当業者には明白であるように、ポリマー発泡体層の厚さは、意図する用途に依存する。
【0102】
感圧接着剤アセンブリ中の様々な感圧接着剤層、及び他の任意選択の層の厚さは、所望の実施及び関連特性に応じて変化し得る。例として、厚さは、25μm~6000μm、40μm~3000μm、50μm~3000μm、50μm~2000μm、又は50μm~1500μmの範囲内で、各層に対して独立して選択することができる。
【0103】
いくつかの態様では、多層感圧接着剤アセンブリは、スキン/コアタイプの多層感圧接着剤アセンブリであり、ポリマー発泡体層が、多層感圧接着剤アセンブリのコア層であり、第1の感圧接着剤層が、多層感圧接着剤アセンブリのスキン層である。第1の感圧接着剤層は、ポリマー発泡体/コア層と比較して、より薄い厚さを有してもよい。例えば、感圧接着剤層の厚さは、20μm~250μm、又は40μm~200μmの範囲内であってもよく、一方で、ポリマー発泡体層の厚さは、100μm~6000μm、400μm~3000μm、又は800μm~2000μmの範囲内であってもよい。理論に束縛されることを望むものではないが、高い剥離接着力は、第1の感圧接着剤層と比べて相対的に厚いポリマー発泡体層の安定化効果によるものであり得ると考えられる。
【0104】
いくつかの態様では、多層感圧接着剤アセンブリは、ポリマー発泡体層の第2主面に結合した第2の感圧接着剤スキン層を更に含む。このような多層感圧接着剤アセンブリは、2つの感圧接着剤層の間にポリマー発泡体層が挟持された三層設計を示す。これは、スキン/コア/スキン多層アセンブリと考えてもよい。多層感圧接着剤アセンブリのいくつかの態様では、第1の感圧接着剤層と第2の感圧接着剤層とは同一の接着剤であり、上記の感圧接着剤組成物を含む。いくつかの態様では、第1の感圧接着剤層及び第2の感圧接着剤層は、各々独立して、態様のいずれかにおける上記の感圧接着剤組成物を含む。
【0105】
ポリマー発泡体層を含む多層感圧接着剤アセンブリは、単層感圧接着剤と比較すると、接着(瞬間接着)を感圧接着剤層(通常、スキン層とも呼ばれる)の配合によって調整することができ、一方で、アセンブリ全体の他の特性/要件、例えば、適用の問題、変形の問題、及びエネルギー分散が、ポリマー発泡体層(通常、コア層とも呼ばれる)の適切な配合によって対処され得るという点で有利であり得る。
【0106】
本開示による多層感圧接着剤アセンブリのいくつかの態様では、感圧接着剤層とポリマー発泡体(すなわちコア)層との間に、プライマー層を介在させてもよい。本開示の文脈において、当業者に一般に知られる任意のプライマー組成物を使用してもよい。適切なプライマー組成物を見出すことは、本開示を踏まえて、十分に当業者の能力の範疇である。本明細書で使用する有用なプライマーは、例えば、米国特許第5,677,376号(Groves)及び同第5,605,964号(Groves)に記載されている。
【0107】
いくつかの態様では、上記の多層感圧接着剤アセンブリは、VDA,Association of the German Automobile Industryの試験法VDA278(Thermal Desorption Analysis of Organic Emissions for the Characterization of Non-Metallic Materials for Automobiles)による昇温脱離分析によって測定した場合に、1500ppm未満、1200ppm未満、1000ppm未満、800ppm未満、600ppm未満、500ppm未満、又は更には400ppm未満のVOC値を有する。
【0108】
いくつかの態様では、多層感圧接着剤アセンブリは、試験法VDA278による昇温脱離分析によって測定した場合に、4000ppm未満、3000ppm未満、2500ppm未満、2000ppm未満、1500ppm未満、1000ppm未満、800ppm未満、又は更には600ppm未満のFOG値を有する。
【0109】
いくつかの態様では、多層感圧接着剤アセンブリは、実験の項に記載する静的剪断試験法によって70℃(ステンレス鋼上500g)で測定した場合に、300分超、500分超、1000分超、2000分超、4000分超、5000分超、6000分超、8000分超、又は10000分超の静的剪断強度値を有する。
【0110】
いくつかの態様では、多層感圧接着剤アセンブリは、実験の項に記載する静的剪断試験法によって90℃(ステンレス鋼上500g)で測定した場合に、300分超、500分超、1000分超、2000分超、4000分超、5000分超、6000分超、8000分超、又は10000分超の静的剪断強度値を有する。
【0111】
いくつかの態様では、多層感圧接着剤アセンブリは、実験の項に記載する剥離試験法によって、ステンレス鋼上で23℃で測定した場合に、10mm当たり30N超、35N超、40N超、45N超、又は50N超の剥離強度値を有する。
【0112】
いくつかの態様では、多層感圧接着剤アセンブリは、実験の項に記載する剥離試験法によって、ポリプロピレン上で23℃で測定した場合に、10mm当たり30N超、35N超、40N超、又は45N超の剥離強度値を有する。
【0113】
いくつかの態様では、多層感圧接着剤アセンブリは、VDA270 C3による4以下又は3以下の臭気レベルを有する。
【0114】
溶融共押出し、特にホットメルト共押出しは、当業者に周知の技法である。ホットメルト共押出しプロセスの例は、例えば、米国特許出願公開第2003/0082362(A1)号(Khandpurら)、同第2004/0082700(A1)号(Khandpurら)に記載されている。ホットメルト共押出しは、典型的には、ホットメルト組成物を、一般的には、通常の室温を著しく上回る加工温度では、基材又はキャリア上に薄層で押出しコーティングすることができるが、室温では有用な感圧接着特性を保持することができる、融解粘度プロファイルを有するポリマー又はブレンドされたポリマー材料を形成することを含む。
【0115】
本開示の多層感圧接着剤アセンブリは、ポリマー発泡体層と、第1の感圧接着剤層と、任意選択で第2の感圧接着剤層とのホットメルト共押出しによって製造してもよい。有用なプロセスは、各層の様々な成分(例えば、ブロックコポリマー及び炭化水素粘着付与剤)を、ホットメルト化合物に調合することを含み得る。調合は、ロールミル処理又は押出機(例えば、単軸スクリュー、二軸スクリュー、遊星、リング、ディスクスクリュー、往復式単軸スクリュー、及びピンバレル単軸スクリュー押出機)で実行することができる。混練機又はミキサー等の市販の装置を使用して、感圧接着剤及びポリマー発泡体組成物のバッチを調合してもよい。調合後、様々な調製された組成物を共押出ダイに通して、所望の多層アセンブリに共押出しする。多層押出物の加工は、カレンダー又は別のタイプのコーティング装置を通じて継続される。少なくとも感圧接着剤組成物の粘着挙動のため、組成物はライナー上にコーティングし、ロールは押し出された接着剤に付着しない材料でコーティングする。
【0116】
いくつかの態様では、本開示による多層感圧接着剤アセンブリは、例えば、Eビーム照射などの化学線で架橋される。いくつかの態様では、多層感圧接着剤アセンブリは、Eビーム照射で架橋され、Eビームの照射線量は50kGy~150kGyの範囲内である。いくつかの態様では、Eビーム照射は、多層感圧接着剤アセンブリ中で対称の照射プロファイルを達成するように、両側から実行される。上記の多層感圧接着剤アセンブリを、特に化学線で、例えばEビーム照射で架橋する工程は、室温及び高温(例えば70℃)の両方において優れた静的剪断性能を特徴とする多層感圧接着剤アセンブリを提供することができる。
【0117】
Eビーム照射ベースの架橋を実行している間、好適なEビームの加速電圧を選択することと併せて好適なEビーム照射線量を見出すことは、十分に当業者の実践の範疇である。好適な加速電圧は、典型的には、対応する多層感圧接着剤アセンブリのコーティング重量に対して選択され、適合される。Eビーム加速電圧は、典型的には、25g/m2~1200g/m2の範囲内のコーティング重量を有する感圧接着剤層の場合、140kV~300kVの範囲内である。両側から照射されると、感圧接着剤層は、最大1800g/m2のコーティング重量を有し得る。
【0118】
化学線架橋工程は、閉鎖面(closed face、CF)又は開放面(open face、OF)条件下で適用され得る。「閉鎖面」照射法によれば、ホットメルト共押出し多層感圧接着剤アセンブリの一面又は両面はライナーで覆われ、照射線量はライナーを通して適用される。「開放面」照射法によれば、ホットメルト共押出し多層感圧接着剤アセンブリの一面又は両面は露出しており(すなわち、ライナーで覆われていない)、照射線量は露出した接着剤表面に直接適用される。
【0119】
典型的には、ホットメルト共押出し多層感圧接着剤アセンブリを、基材上に堆積させ、次いで、化学線で、例えばEビーム照射で架橋される。
【0120】
本開示の別の態様では、上記の多層感圧接着剤アセンブリを製造するための方法であって、ポリマー発泡体層と、第1の感圧接着剤層と、任意選択で第2の感圧接着剤層とを溶融共押出しする工程、特にホットメルト共押出しする工程を含む、方法を提供する。
【0121】
いくつかの態様では、本開示は、上記の多層感圧接着剤アセンブリを製造するための方法を対象とする。この方法は、多腕ブロックコポリマーと少なくとも1種の炭化水素粘着付与剤とを調合して、感圧接着剤配合物を形成すること、ポリマー発泡体層と感圧接着剤配合物とを溶融共押出しして、多層感圧接着剤アセンブリを形成すること、及び任意選択で、多層感圧接着剤アセンブリを電子ビーム照射によって架橋させることを含む。
【0122】
多層感圧接着剤アセンブリを製造するための方法のいくつかの態様によれば、ポリマー発泡体層のホットメルトは、膨張性微小球、膨張した微小球、ガラスバブルズ、これらの任意の組合せ又は混合物からなる群から選択される充填材料を含む。この態様によれば、多層感圧接着剤アセンブリを製造する方法は、任意選択で、膨張性微小球を膨張させる又は更に膨張させる工程を含んでもよい。
【0123】
いくつかの態様では、多層感圧接着剤アセンブリを製造する方法は、多軸スクリュー押出し加工、遊星押出し加工、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される押出し加工を含む。いくつかの態様によれば、多層感圧接着剤アセンブリを製造するための方法は、二軸スクリューホットメルト押出し加工を含む。
【0124】
多層感圧接着剤アセンブリを製造するための方法のいくつかの態様によれば、炭化水素粘着付与剤は、調合媒体中に供給されるまでに、最小限の熱ストレスに曝露される。本開示の文脈において、炭化水素粘着付与剤に適用される高温の熱ストレスが長時間に及ぶと、これらの成分の熱及び/又は酸化分解を加速し、VOCの発生を引き起こすことがあることが実際に見出された。
【0125】
したがって、多層感圧接着剤アセンブリを製造するための方法のいくつかの態様では、炭化水素粘着付与剤は、ドラムアンローダーを供給装置として用いて、調合媒体に加えられる。いくつかの態様では、炭化水素粘着付与剤は、単軸スクリュー供給押出機を用いて調合媒体に供給される。いくつかの態様では、炭化水素粘着付与剤は、排出スクリューを有する混練装置を用いて調合媒体に供給される。いくつかの態様では、炭化水素粘着付与剤は、体積測定式フィーダー又は重量測定式フィーダーによって、固体状態で調合媒体に加えられる。
【0126】
いくつかの態様では、多層感圧接着剤アセンブリを製造するための方法は、ホットメルト化合物のうちの少なくとも1つの真空脱気操作、例えば多段真空脱気操作を適用することを含む。真空は、典型的には、押出しプロセス中の調合された接着剤溶融物に対して適用され得る。真空は、発泡剤を加える前に、スキン調合溶融物及び/又はコア調合溶融物に対して適用することができる。
【0127】
いくつかの態様によれば、多層感圧接着剤アセンブリを製造するための方法は、VOC同伴添加剤を、ホットメルト化合物のうちの少なくとも1つの中に組み込むことを含み、この同伴添加剤は、有利には、水、二酸化炭素、窒素ガス、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0128】
多層感圧接着剤アセンブリを製造するための方法のいくつかの態様によれば、化学共留剤が、調合された接着剤溶融物に加えられ、後に押出しプロセスにおいて除去される。本明細書で使用する好適な共留剤は、熱の作用下で揮発性化学物質を放出する液体、気体又は化合物である。有利には、共留剤は、更なる揮発物又は最後に残った微量の揮発物を同伴することができる。好適な共留剤は、スキンPSA溶融物に、及び/又はコア溶融物に加え、後に押出しプロセスにおいて除去することができる。共留剤がコア化合物に加えられる場合、共留剤は、望ましくは発泡剤を加える前に除去される。本明細書で使用する1つの特に好適な共留添加剤は、欧州特許第2808371(A1)号(Buettnerら)に記載されている。
【0129】
多層感圧接着剤アセンブリの製造の文脈において、多層感圧接着剤アセンブリの様々な層は、単一のプロセス工程の一部として調製することができる。
【0130】
本開示の多層感圧接着剤アセンブリは、接着剤をコーティングした物品を製造するために、多様な基材上にコーティング/適用することができる。基材は、可撓性であっても非可撓性であってもよく、ポリマー材料、紙、ガラス若しくはセラミック材料、金属、又はこれらの組合せから形成することができる。好適なポリマー基材としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレート)、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリメチル(メタ)アクリレート(PMMA)、ポリウレタンアクリレート、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、エチルセルロース、不織材(例えば、紙、布、不織スクリム)、及び金属箔から調製されるもの等のポリマーフィルムが挙げられる。発泡体バッキングを使用してもよい。他の基材の例としては、ステンレス鋼などの金属、金属又は金属酸化物をコーティングしたポリマー材料、及び金属又は金属酸化物をコーティングしたガラスが挙げられる。
【0131】
本開示の多層感圧接着剤アセンブリは、ラベル、テープ、標識、カバー、マーキングの印、ディスプレイの構成成分及びタッチパネル等の任意の従来公知の物品に使用され得る。高精細表面を有する可撓性バッキング材料もまた、検討される。多層感圧接着剤アセンブリを適用することができる基材は、特定の用途に応じて選択される。例えば、多層感圧接着剤アセンブリは、シート製品(例えば、装飾的グラフィック及び反射性製品)、ラベルストック、並びにテープバッキングに適用されてもよい。加えて、多層感圧接着剤アセンブリは、金属パネル(例えば、自動車パネル)又はガラス窓等の他の基材上に直接適用して、更に別の基材又は物体をパネル又は窓に取り付けることができるようにしてもよい。したがって、本開示の多層感圧接着剤アセンブリは、自動車製造業(例えば、外装トリム部品又はウェザーストリップの取り付け用)、建設業、ソーラーパネル建設業、及び電子工学産業(例えば、モバイルハンドヘルド式デバイスにおけるディスプレイの固定用)において、特定の使用を見出し得る。
【0132】
以上のように、本開示による多層感圧接着剤アセンブリは、(産業)内装用途、より特定すると、建設市場用途、自動車用途、及び電子工学用途に特に好適である。自動車用途の文脈において、本明細書に記載の多層感圧接着剤アセンブリは、例えば、自動車本体側面成形物、ウェザーストリップ及びバックミラーを接着するための特定の使用を見出し得る。本開示による多層感圧接着剤アセンブリは、電着下塗り又は顔料下塗りを含む自動車塗料系によって塗装された基材/パネルへの接着に、特にクリアコート表面、特に自動車両用のクリアコートへの接着に、特に好適である。本開示による多層感圧接着剤アセンブリは、ポリプロピレン、ポリエチレン、又はこれらのコポリマー等の低エネルギー表面への接着に特に好適である。
【0133】
したがって、本開示は、産業用途のため、例えば、内装(産業)用途、建設市場用途、自動車用途、及び/又は電子工学用途のための、上記の多層感圧接着剤アセンブリの使用を更に対象とする。
【0134】
別の態様では、本開示は、自動車用途、特に自動車産業用の本体上のテープ式シール、ドア上のテープ式シール、外装及び内装部品取り付け及びウェザーストリップテープ用途のための、上記の多層感圧接着剤アセンブリの使用を更に対象とする。いくつかの態様では、多層感圧接着剤アセンブリは、JAMA:Jaso M902試験法による閾値未満の値を有する。
【0135】
いくつかの態様では、本開示による多層感圧接着剤アセンブリは、低表面エネルギー(Low Surface Energy、LSE)基材に対する強力な接着結合を形成するのに特に有用であり得る。しかし、これらの多層感圧接着剤アセンブリの使用は、低表面エネルギー基材に限定されない。多層感圧接着剤アセンブリは、いくつかの態様では、驚くべきことに、中表面エネルギー(Medium Surface Energy、MSE)基材に良好に結合し得る。このような材料に含まれるものは、PA6、ABS、PC/ABSブレンド、PC、PVC、PA、PUR、TPE、POM、ポリスチレン、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、クリアコート表面、特に、自動車のような車両のクリアコート又は産業用途のためのコーティング表面、及び繊維強化プラスチックのような複合材料である。
【0136】
したがって、本開示は、いくつかの態様では、低表面エネルギー基材及び/又は中表面エネルギー基材に結合させるための、上記の多層感圧接着剤アセンブリの使用を更に対象とする。
【0137】
多層感圧接着剤アセンブリはまた、多層感圧接着剤アセンブリが永久バッキング上に配置されている、片面コーティング又は両面コーティングテープとして提供することもできる。バッキングは、プラスチック(例えば、二軸配向ポリプロピレンを含むポリプロピレン、ビニル、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリウレタン、ポリウレタンアクリレート等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等))、不織材(例えば、紙、布、不織スクリム)、金属箔及び発泡体(例えば、ポリアクリル系、ポリエチレン、ポリウレタン、ネオプレン)から作製することができる。ポリマー発泡体は、3M Co.、Voltek、Sekisui、及び他の様々な供給元から市販されている。
【0138】
項目1は、ポリマー発泡体層と、このポリマー発泡体層に隣接する第1の感圧接着剤層とを含む多層感圧接着剤アセンブリであって、ポリマー発泡体は、その中に分散した複数の活性炭粒子を含み、第1の感圧接着剤は、
第1の感圧接着剤層の総重量に基づいて20重量パーセント超の量の、式Qn-Y
を有する多腕ブロックコポリマー:
[式中、
Qは多腕ブロックコポリマーの腕を表し、各腕は独立して、式G-Rを有し、
nは腕の数を表し、少なくとも3の整数であり、
Yは多官能性カップリング剤の残基であり、
各Rは、重合共役ジエン、重合共役ジエンの水素化誘導体、又はこれらの組合せを含むゴム状ブロックであり、各Gは、重合したモノビニル芳香族モノマーを含むガラス状ブロックである]と、
少なくとも1種の炭化水素粘着付与剤と
を含む、多層感圧接着剤アセンブリである。
【0139】
項目2は、活性炭粒子が、BET窒素吸着試験法によって測定した場合、100m2/g~2000m2/g、200m2/g~1500m2/g、500m2/g~1400m2/g、600m2/g~1200m2/g、又は700m2/g~1000m2/gの範囲内の個々の比表面積を有する、項目1に記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0140】
項目3は、活性炭粒子の細孔の少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%が、2ナノメートル以下の細孔幅を有する、項目1又は2に記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0141】
項目4は、ポリマー発泡体中の活性炭粒子の量が、ポリマー発泡体の重量に基づいて少なくとも0.1重量%、少なくとも1重量%、少なくとも3重量%、少なくとも5重量%、又は更には少なくとも10重量%である、項目1~3のいずれか1つに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0142】
項目5は、ポリマー発泡体中の活性炭粒子の量が、ポリマー発泡体の重量に基づいて25重量%以下、20重量%以下、又は15%以下である、項目1~4のいずれか1つに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0143】
項目6は、活性炭粒子が、ポリマー発泡体の総重量に基づいて、0.1重量パーセント~15重量パーセントの範囲内の量でポリマー発泡体中に存在する、項目1~5のいずれか1つに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0144】
項目7は、ポリマー発泡体が、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリアミン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリイソブチレン、ポリスチレン、天然ゴム、ゴム系エラストマー材料、ポリビニル又はポリビニルピロリドンのうちの少なくとも1つを含むポリマー系材料を含む、項目1~6のいずれか1つに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0145】
項目8は、ポリマー発泡体が、主なモノマー構成成分が、1個~32個、1個~20個、又は1個~15個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝鎖アルキル(メタ)アクリル酸エステルを含むポリアクリレートからなる群から選択されるポリマー系材料を含む、項目1~7のいずれか1つに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0146】
項目9は、ポリマー系材料が、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、ヒドロキシアルキルアクリレート、アクリルアミド及び置換アクリルアミド、アクリルアミン及び置換アクリルアミン、並びにこれらの任意の組合せ又は混合物からなる群から選択されるコモノマーを更に含む、項目8に記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0147】
項目10は、ポリマー発泡体が、
a)ポリマー発泡体の重量に基づいて60重量%~100重量%、70重量%~95重量%、80重量%~95重量%、又は85重量%~95重量%の、1個~32個、1個~20個、又は1個~15個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖アルキル基を有する、少なくとも1種の(メタ)アクリル酸エステルのモノマー単位と、
b)ポリマー発泡体の重量に基づいて0重量%~40重量%、5重量%~30重量%、5重量%~20重量%、又は5重量%~15重量%の、アクリル酸モノマー単位と、
c)ポリマー発泡体の重量に基づいて0重量%~20重量%、1重量%~15重量%、2重量%~13重量%、又は2重量%~10重量%の、膨張性微小球、例えばペンタン充填膨張性微小球と
を含む、項目8又は9に記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0148】
項目11は、ポリマー発泡体が、
a)ポリアクリレートの重量に基づいて60重量%~100重量%、70重量%~95重量%、80重量%~95重量%、又は85重量%~95重量%の、1個~32個、1個~20個、又は1個~15個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖アルキル基を有する、少なくとも1種の(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、
b)ポリアクリレートの重量に基づいて0重量%~40重量%、5重量%~30重量%、5重量%~20重量%、又は5重量%~15重量%の、アクリル酸モノマーと、
c)総モノマー100重量部当たり、0.01部~約5.0部、0.1部~1.0部、又は0.1部~0.5部の、多官能性アルファ-ヒドロキシケトン光開始剤と
を含む組成物を照射することによって調製されるポリアクリル系物質を含む、項目1~10のいずれか1つに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0149】
項目12は、式Qn-Yの多腕ブロックコポリマーが、星形ブロックコポリマーである、項目1~11のいずれか1つに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0150】
項目13は、重合共役ジエンが、ポリイソプレン若しくはポリブタジエンのうちの少なくとも1つを含むか、又はRがポリイソブチレンを更に含む、項目1~12のいずれか1つに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0151】
項目14は、式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーのゴム状ブロックRのうちの少なくとも1つについて、
重合共役ジエンが、イソプレン若しくはブタジエンのうちの少なくとも1つを含むか、又は式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーのゴム状ブロックRの各々について、重合共役ジエンが、イソプレン若しくはブタジエンのうちの少なくとも1つを含む、項目1~13のいずれか1つに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0152】
項目15は、式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーのガラス状ブロックのうちの少なくとも1つが、重合した、スチレン若しくはアルキル化スチレンのうちの少なくとも1つを含むモノビニル芳香族モノマーであるか、又は式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーのガラス状ブロックの各々が、重合した、スチレン若しくはアルキル化スチレンのうちの少なくとも1つを含むモノビニル芳香族モノマーである、項目1~14のいずれか1つに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0153】
項目16は、式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーのうちの少なくとも1つの腕、又は式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーのうちの少なくとも各腕が、スチレン-イソプレン-スチレン、スチレン-ブタジエン-スチレン、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン、及びこれらの組合せからなる群から選択される、項目1~15のいずれか1つに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0154】
項目17は、式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーの腕の数nが、3~5の整数である、項目1~16のいずれか1つに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0155】
項目18は、第1の感圧接着剤層が、
第1の感圧接着剤層の総重量に基づいて25重量パーセント~60重量パーセントの範囲内の量の、多腕ブロックコポリマーと、
第1の感圧接着剤層の総重量に基づいて40重量パーセント~60重量パーセントの量の、粘着付与剤と、
第1の感圧接着剤層の総重量に基づいて0重量パーセント~35重量パーセントの量の、式L-(G)m
を有する直鎖状ブロックコポリマー:
[式中、
Lは、重合オレフィン、重合共役ジエン、重合共役ジエンの水素化誘導体、又はこれらの任意の組合せを含むゴム状ブロックであり、
Gは、重合したモノビニル芳香族モノマーを含むガラス状ブロックであり、mは1又は2である]と
を含む、項目1~17のいずれか1つに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0156】
項目19は、式L-(G)mを有する直鎖状ブロックコポリマーのゴム状ブロックLが、ポリイソブチレン、ポリイソプレン又はポリブタジエンのうちの少なくとも1つを含む、項目18に記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0157】
項目20は、式L-(G)mを有する直鎖状ブロックコポリマーのガラス状ブロックGのうちの少なくとも1つが、重合した、スチレン又はアルキル化スチレンのうちの少なくとも1つを含むモノビニル芳香族モノマーを含む、項目18又は19に記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0158】
項目21は、式L-(G)mを有する直鎖状ブロックコポリマーが、スチレン-イソプレン-スチレン、スチレン-ブタジエン-スチレン、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン、スチレンーイソブチレン-スチレン、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される、項目18~20のいずれか1つに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0159】
項目22は、第1の感圧接着剤中の多腕ブロックコポリマーと直鎖状ブロックコポリマーとの重量比が、1:1~5:1の範囲内である、項目18~21のいずれか1つに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0160】
項目23は、炭化水素粘着付与剤が、少なくとも60℃、又は少なくとも65℃のTgを有し、炭化水素粘着付与剤が、少なくともゴム状ブロックRと、及び任意選択でゴム状ブロックLと相容性がある、項目1~22のいずれか1つに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0161】
項目24は、炭化水素粘着付与剤が、クマロン-インデン樹脂、ロジン酸、ロジン酸のエステル、不均化ロジン酸エステル、C9芳香族、スチレン、アルファ-メチルスチレン、純粋モノマー樹脂、及びC9/C5芳香族変性脂肪族炭化水素、並びにこれらのブレンドからなる群から選択される、項目1~23のいずれか1つに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0162】
項目25は、炭化水素粘着付与剤が、熱重量分析によって測定した場合に、800ppm未満、600ppm未満、400ppm未満、又は200ppm未満の揮発性有機化合物(VOC)値を有する、項目1~24のいずれか1つに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0163】
項目26は、炭化水素粘着付与剤が、熱重量分析によって測定した場合に、1500ppm未満、1000ppm未満、800ppm未満、600ppm未満、又は500ppm未満の揮発性フォギング化合物(FOG)値を有する、項目1~25のいずれか1つに記載の多層接着剤アセンブリである。
【0164】
項目27は、炭化水素粘着付与剤が、米国特許出願公開第2019/0345367号に記載されているオーブンガス放出試験法による減量分析によって測定した場合に、1重量%未満、0.8重量%未満、0.6重量%未満、0.5重量%未満、0.4重量%未満、0.3重量%未満、0.2重量%未満、又は0.1重量%未満のガス放出値を有する、項目1~26のいずれか1つに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0165】
項目28は、第1の感圧接着剤中の全てのブロックコポリマーの総重量と全ての炭化水素粘着付与剤の総重量との比が、2.4:1~1:2.4、2:1~1:2、1.5:1~1:1.5、1.2:1~1:1.2、1.15:1~1:1.15、又は1.1:1~1:1.1の範囲内である、項目1~27のいずれか1つに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0166】
項目29は、第1の感圧接着剤層が、25℃超のTg、1000グラム/モル~100,000グラム/モルの重量平均分子量(Mw)を有し、かつ単独重合した場合に25℃超のTgを有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位を含む(メタ)アクリレートコポリマーを実質的に含まない、項目1~28のいずれか1つに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0167】
項目30は、第1の感圧接着剤層が、(メタ)アクリレートコポリマーを実質的に含まない、項目1~29のいずれか1つに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0168】
項目31は、第1の感圧接着剤層が、少なくとも10,000グラム/モルの重量平均分子量Mwを有するポリマー可塑剤を実質的に含まない、項目1~30のいずれか1つに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0169】
項目32は、ポリマー発泡体層と第1の感圧接着剤層との溶融共押出し、特にホットメルト共押出しによって得られる、項目1~31のいずれか1つに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0170】
項目33は、化学線で、又はEビームの照射で架橋される、項目1~32のいずれか1つに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0171】
項目34は、ポリマー発泡体層が、第1の主面及び第2の主面を有し、第1の感圧接着剤層が、ポリマー発泡体層の第1の主面と結合しており、多層感圧接着剤アセンブリが、ポリマー発泡体層の第2の主面に結合した第2の感圧接着剤層を更に含む、項目1~33のいずれか1つに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0172】
項目35は、第1の感圧接着剤層と第2の感圧接着剤層とが、同一の感圧接着剤組成物を有する、項目34に記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0173】
項目36は、第1の感圧接着剤層及び第2の感圧接着剤層が、各々独立して、項目1~32のいずれか1つに記載の感圧接着剤組成物を含む、項目34に記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0174】
項目37は、ポリマー発泡体層が、微小球、膨張性微小球、例えばペンタン充填膨張性微小球、膨張した微小球、ガス状空隙、ガラスビーズ、ガラス微小球、ガラスバブルズ、及びこれらの任意の組合せ又は混合物からなる群から選択される、少なくとも1種の充填材料を更に含む、項目1~36のいずれか1つに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0175】
項目38は、少なくとも1種の充填材料が、膨張性微小球、ガラスバブルズ、及びこれらの任意の組合せ又は混合物からなる群から選択される、項目37に記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0176】
項目39は、試験法VDA278による昇温脱離分析によって測定した場合に、1500ppm未満、1200ppm未満、1000ppm未満、800ppm未満、600ppm未満、500ppm未満、又は400ppm未満の揮発性有機化合物(VOC)値を有する、項目1~38のいずれか1つに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0177】
項目40は、試験法VDA278による昇温脱離分析によって測定した場合に、4000ppm未満、3000ppm未満、2500ppm未満、2000ppm未満、1500ppm未満、1000ppm未満、800ppm未満、又は600ppm未満の揮発性フォギング化合物(FOG)値を有する、項目1~39のいずれか1つに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0178】
項目41は、実験の項に記載する静的剪断試験法によって70℃(ポリプロピレン上500g)で測定した場合に、300分超、500分超、1000分超、2000分超、4000分超、5000分超、6000分超、8000分超、又は10000分超の静的剪断強度値を有する、項目1~40のいずれか1つに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0179】
項目42は、実験の項に記載する静的剪断試験法によって90℃(ステンレス鋼上500g)で測定した場合に、300分超、500分超、1000分超、2000分超、4000分超、5000分超、6000分超、8000分超、又は10000分超の静的剪断強度値を有する、項目1~41のいずれか1つに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0180】
項目43は、実験の項に記載する剥離試験法によって、ステンレス鋼上で23℃で測定した場合に、10mm当たり30N超、35N超、又は40N超の剥離強度値を有する、項目1~42のいずれか1つに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0181】
項目44は、実験の項に記載する剥離試験法によって、ポリプロピレン上で23℃で測定した場合に、10mm当たり20N超、25N超、又は30N超の剥離強度値を有する、項目1~43のいずれか1つに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0182】
項目45は、VDA270による3以下の臭気レベルを有する、項目1~44のいずれか1つに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0183】
項目46は、ポリマー発泡体層と、第1の感圧接着剤層と、任意選択で第2の感圧接着剤層とを溶融共押出しすること、特にホットメルト共押出しすることを含む、項目1~45のいずれか1つに記載の多層感圧接着剤アセンブリを製造するための方法である。
【0184】
項目47は、
多腕ブロックコポリマーと少なくとも1種の炭化水素粘着付与剤とを調合して、感圧接着剤配合物を形成すること、及び
ポリマー発泡体層と感圧接着剤配合物とを溶融共押出しして、多層感圧接着剤アセンブリを形成すること
を含む、項目1~45のいずれか1つに記載の多層感圧接着剤アセンブリを製造するための方法である。
【0185】
項目48は、感圧接着剤配合物又はポリマー発泡体層のうちの少なくとも1つを真空脱気することを更に含む、項目46又は47に記載の方法である。
【0186】
項目49は、揮発性有機化合物(VOC)同伴添加剤を、感圧接着剤配合物又はポリマー発泡体層のうちの少なくとも1つの中に組み込むことを更に含み、VOC同伴添加剤が、水、二酸化炭素、窒素ガス、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される、項目46~48のいずれか1つに記載の方法である。
【0187】
項目50は、ホットメルト共押出し多層感圧接着剤アセンブリを、化学線で、又はEビーム照射で架橋させることを更に含む、項目46~49のいずれか1つに記載の方法である。
【0188】
項目51は、産業用途、内装用途、建設市場用途、自動車用途、又は電子工学用途のための、項目1~45のいずれか1つに記載の多層感圧接着剤アセンブリの使用である。
【0189】
項目52は、自動車用途、特に本体上のテープ式シール、ドア上のテープ式シール、外装及び内装部品取り付け、並びにウェザーストリップテープ用途のうちの少なくとも1つのための、項目51に記載の使用である。
【0190】
項目53は、低表面エネルギー基材及び/又は中表面エネルギー基材への結合のための、項目1~45のいずれか1つに記載の多層感圧接着剤アセンブリの使用である。
【0191】
以下の実施例により本開示を更に説明する。これらの実施例は、単に説明する目的のためのものに過ぎず、添付の特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0192】
別段の記載がない限り、実施例及び本明細書の他の箇所における全ての部、百分率、比などは、重量基準である。この項では、以下の省略形が使用される:mg=ミリグラム、g=グラム、kg=キログラム、センチメートル=cm、mm=ミリメートル、nm=ナノメートル、mL=ミリリットル、℃=摂氏度、N=ニュートン、h=時間、rpm=回転毎分、kV=キロボルト、MR=メガラド、min=分、SS=ステンレス鋼、PP=ポリプロピレン及びPS=ポリスチレン。
【表1】
【0193】
試験法
密度計算
3層発泡体テープ構造体の密度を、コーティング重量(kg/m2)をテープの厚さ(m)で除算することによって決定した。コーティング重量は、サークルカッターを使用して試料層から切り取った100cm2の試料を秤量することによって測定した。次いで、コーティング重量をkg/m2に換算する。発泡体テープの厚さは、ミツトヨ(日本)製の厚さゲージを使用して測定した。
【0194】
300mm/分での90°剥離試験(FINAT試験法No.2、第8版、2009による)
本開示による多層感圧接着剤アセンブリの、幅10mm及び長さ120mm超のストリップを、試料材料から縦方向に切り出す。
【0195】
試験試料を調製するために、まず、一方の接着面からライナーを除去し、以下の寸法:22×1.6cm、厚さ0.13mmを有する試験クーポン(ステンレス鋼、ポリプロピレン又はポリスチレン)上に置く。ステンレス鋼はRocholl GmbH(Eschelbronn,Germany)から入手可能であり、ポリプロピレンはAquarius Plastics Ltd.(Guildford,Surrey,Great Britain)から入手可能であり、ポリスチレンはRocholl GmbH(Eschelbronn,Germany)から入手可能である。次いで、各PSAアセンブリストリップの接着剤がコーティングされた側を、ライナーを取り除いた後、その接着剤側を下にして、清浄な試験パネル上に、軽い指圧を使用して配置した。次に、標準FINAT試験ローラー(重量6.8kg)を用いて、試験試料を1秒当たりおよそ10mmの速度で2回ローラー処理して、接着剤の塊と表面との間に密接を得た。PSAアセンブリストリップを試験パネルに適用した後、試験に先立って、周囲室温(23℃+/-2℃、相対湿度50%+/-5%)で72時間、試験試料を放置した。
【0196】
剥離試験のために、第1の工程において、Zwick引張試験機(Model Z020、Zwick/Roell GmbH(Ulm,Germany)から市販)の下方可動掴み具に、試験試料を締め付け固定した。多層感圧接着剤フィルムストリップを90°の角度で折り返し、その自由端を、90°測定に一般に利用される構成において、引張試験機の上方掴み具内に把持した。引張試験機を、毎分300mmの掴み具分離速度に設定した。試験結果を、10mm当たりのニュートン(N/10mm)で表した。引用した剥離値は、2回の90°剥離測定値の平均であった。破壊モードは、別段の記載がない限り、一般に発泡体の分裂であった。
【0197】
500g、70℃、90℃及び105℃における静的剪断試験(FINAT試験法No.8、第8版、2009)
試験は、70℃、90℃又は105℃で行った。ステンレス鋼はRocholl GmbHから入手可能であり、ポリプロピレンはAquarius Plastics Ltd.から入手可能であり、ポリスチレンはRocholl GmbHから入手可能である。試験片を12.7mm×25.4mmの寸法に切断した。次いで試験片の一面からライナーを除去し、接着剤を、以下の寸法:25.4×50×厚さ1mmを有し、重り用の10mmの孔を含むアルミニウムプレート上に接着した。その後、第2のライナーを試験片から除去し、試験片を有する小型パネルを、以下の寸法:50mm×50mm×短辺2mmを有する各試験パネル上に適用した。
【0198】
次に、標準FINAT試験ローラー(重量6.8kg)を用いて、試験試料を1秒当たりおよそ5mmの速度で2回ローラー処理して、接着剤の塊と表面との間に密接を得た。感圧接着剤アセンブリストリップを試験パネルに適用した後、試験に先立って、周囲室温(23℃+/-2℃、相対湿度50%+/-5%)で24時間、試験試料を放置した。次いで、自動時間記録計を備える70℃又は90℃の縦型剪断スタンド(+2°の配置)に各試料を入れた。オーブン中での10分の放置時間の後、アルミニウムプレートの孔の中に500gの重りを掛けた。破壊までの時間を測定して、分単位で記録した。1つの試験片につき、2つの試料を測定した。
【0199】
VDA試験法278による有機排出物の昇温脱離分析
VDA法278は、自動車の内装の製造に使用される非金属のトリム部分からの有機排出物の決定のために使用される試験法である(VDAは、the German Association of Automobilistsの「Verband der Automobilindustrie」の略である)。この方法は、排出された有機化合物を2つのグループに分類する。
VOC値 n-C25までの揮発性及び半揮発性化合物の合計、並びに
FOG値 n-C14からn-C32までの半揮発性及び重質化合物の合計。
VOC値及びFOG値の測定のために、30mg+/-5mgの接着剤試料を空のガラス試料管に直接、秤量した。試料から揮発性及び半揮発性有機化合物をガス流に抽出し、次いで、二次トラップに再度集めた後、分析用GCに注入した。VDA 278試験には、自動昇温脱離装置(GERSTEL GmbH&Co.KG(Mulheim an der Ruhr,Germany)製のGerstel TDU 2)を使用した。
【0200】
試験法は、以下の2つの抽出段階を含む。
VOC分析:90℃で30分間、試料を脱離させて、n-C25までのVOCを抽出することを含む。この後、試料1g当たりのμgトルエン当量として各化合物の半定量分析を行った。
FOG分析:120℃で60分間、試料を脱離させて、n-C14~n-C32の範囲内の半揮発性化合物を抽出することを含む。この後、試料1g当たりのμgヘキサデカン当量として各化合物の半定量分析を行った。
【0201】
表記のVOC値及びFOG値は、1試料当たり2回の測定値の平均であった。
【0202】
VDA試験法270 C3による臭気試験
臭気試験は、VDA試験法270 C3に由来する方法に基づいて、以下の手順に従って実施する。
【0203】
例示的な多層構造体の200cm
2の試料を1000mLのガラス瓶に入れ、これを80℃のオーブンに入れた。2時間後、瓶をオーブンから取り出し、60℃の温度に冷却し、次いで、表2のVDA270で使用される格付け(下記参照)によって、少なくとも3人の試験員が格付けした。
【表2】
【0204】
アクリル系ポリマーの調製
以下のコア配合物に使用されるアクリルポリマーは、0.048部のIOTGを使用し、IRGACURE 651光開始剤の代わりに0.4部のESACURE ONE光開始剤を使用したという変更を行った予備重合組成物1を使用して、米国特許出願公開第2019/0345367号(Eckhardtら)にポリアクリレートポリマーP1及びP2について記載されているように調製した。
【0205】
スキン接着剤の調製
表3(下記参照)に記載の組成物を有する感圧スキン接着剤配合物を、15個の加熱ゾーン(Z1~Z15)及び60のL/D(長さ/直径)比を有する、26mmの共回転二軸スクリュー押出機(ZSK26、Coperion GmbH(Stuttgart,Germany))中で調合した。
【表3】
【0206】
ブロックコポリマーブレンド及び粘着付与剤を、固体供給-ロスインウェイト式スクリューフィーダー(単軸スクリューフィーダーDDW-MD3-DSR28N-10Q、Brabender Technologie GmbH&Co.KG(Duisburg,Germany))によってZ1に供給した。Z10に真空を適用した。二軸スクリュー押出機のスクリュー速度は300rpmであり、処理量は10kg/h前後であった。温度プロファイル及び押出条件を表4(下記参照)に記載する。
【表4】
【0207】
コア配合物
表5(下記参照)に記載の発泡体コア配合物を、23個のヒートゾーン(Z1~Z23)及び64のL/D(長さ/直径)比を有する、30mm共回転二軸スクリュー押出機(ZE30Ax64D UTXi、Krauss Maffei Berstorff GmbH(Hannover,Germany))中で調合した。
【表5】
【0208】
コア押出機の温度プロファイル及び押出条件を表6(下記参照)に記載する。二軸スクリュー押出機のスクリュー速度は260rpmであり、処理量は25kg/hであった。アクリル系ポリマーを、アクリレートフィーダーを使用してゾーンZ2において、二軸スクリュー押出機に供給した。活性炭を、(二軸スクリューフィーダーDDW-M-DDSR20、Brabender Technologie GmbH&Co.KG(Duisburg,Germany))からロスインウェイト式スクリューフィーダーを使用して、ゾーンZ1に加えた。膨張性微小球FN100MDを、ロスインウェイト式二軸スクリューフィーダー(二軸スクリューフィーダーDDW-M-DDSR20、Brabender Technologie GmbH&Co.KG)を用いてゾーンZ12に加えた。押出機とダイとの間では、接着剤溶融物を、押出機とダイとの間の接合をなす加熱したホース(140℃)に通して、ギアポンプ(GPA36/36-03 12Z CW,Nordson PPS GmbH(Munster,Germany))(140℃)によって計量供給した。コーティングダイの温度を、160℃に設定した。膨張性微小球は、押出しプロセスの最後の3層ダイを通過した後にのみ膨張することができ、3層発泡テープをもたらす。
【表6】
【0209】
実施例1~6(Ex1~Ex6)及び説明例A~H(IllExA~IllExH)
押出し3層発泡体構造物を、赤色シリコーン処理ポリエチレンライナー上にコーティングし、260kV及び8.5MR強度のEビーム照射によって硬化させた。実施例を上記の試験法に供し、結果を以下の表7及び8に示す。
【0210】
比較例として、Tesa SE(Norderstedt,Germany)から入手した接着剤も評価した。Tesa「7065」接着剤は、2540ppmのVDA278 VOC、7870ppmのVDA278 FOG、及び5.2のVDA270C3臭気格付けを有すると測定された。Tesa「92111」接着剤についての結果は、比較例1(CE1)として以下の表7に示す。
【0211】
表8の結果は、スキン2~4及び6~8についての良好な剥離及び静的剪断接着性能を示す。これらのスキンのいずれも、コア2~6のいずれかと組み合わせることができ、表7の実施例1~7に示されるように、望ましいVOC、FOG及び臭気値を有することが期待される。
【表7】
【表8】
【0212】
上の記載は、当業者が特許発明を実施することを可能にするために与えられており、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではなく、本発明の範囲は特許請求の範囲及びその全ての等価物によって定義される。
【国際調査報告】