(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-23
(54)【発明の名称】チェーンソー、チェーンソーの制御方法、及びそのような方法を実行するコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
B27B 17/10 20060101AFI20241016BHJP
B23D 57/02 20060101ALI20241016BHJP
F16D 43/14 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
B27B17/10
B23D57/02
F16D43/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520849
(86)(22)【出願日】2022-09-02
(85)【翻訳文提出日】2024-05-31
(86)【国際出願番号】 SE2022050786
(87)【国際公開番号】W WO2023059236
(87)【国際公開日】2023-04-13
(32)【優先日】2021-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511268591
【氏名又は名称】ハスクバーナ・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ラルセン、マルティン
(72)【発明者】
【氏名】エルムヴァル、イェンス
(72)【発明者】
【氏名】ランデン、ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】ハンソン、アンデシュ
【テーマコード(参考)】
3C040
3J068
【Fターム(参考)】
3C040AA10
3C040AA17
3C040DD15
3C040DD28
3J068AA01
3J068AA05
3J068BA14
3J068BB08
3J068CA02
3J068CB03
3J068DD20
(57)【要約】
ハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソーは、電気モータ(22)と、電気モータ(22)に結合されたトランスミッション配置構成(28)とを含み、ここで、電気モータ(22)は、トランスミッション配置構成(28)を介してソーチェーンを駆動するように構成される。トランスミッション配置構成(28)は、電気モータ(22)から回転動力を受けるように構成された駆動要素(36)と、ソーチェーン(16)へ回転動力を伝えるように構成された従動部材(38)とを含むスリップクラッチ(34)を含み、スリップクラッチ(34)は、駆動要素(36)と従動部材(38)との間の係合においてスリップを可能にすることによって、電気モータ(22)をソーチェーンから少なくとも部分的に係合解除するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気モータ(22)と、
前記電気モータ(22)に結合されたトランスミッション配置構成(28;128;228;328;428)であって、前記電気モータ(22)は、前記トランスミッション配置構成(28;128;228;328;428)を介してソーチェーン(16)を駆動するように構成される、トランスミッション配置構成(28;128;228;328;428)と、
を含む、ハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)において、
前記トランスミッション配置構成(28;128;228;328;428)は、前記電気モータ(22)から回転動力を受けるように構成された駆動要素(36;236;336;436)と、前記ソーチェーン(16)へ回転動力を伝えるように構成された従動部材(38;238;338;438)とを含むスリップクラッチ(34;234;334;434)を含み、前記スリップクラッチ(34;234;334;434)は、前記駆動要素(36;236;336;436)と前記従動部材(38;238;338;438)との間の係合におけるスリップを可能にすることによって、前記ソーチェーン(16)から前記電気モータ(22)を少なくとも部分的に係合解除するように構成されることを特徴とする、ハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項2】
前記トランスミッション配置構成(28;128;228)は、前記電気モータ(22)と、前記ソーチェーン(16)とかみ合うソーチェーンスプロケットとの変速比を1:1にするように構成される、請求項1に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項3】
前記スリップクラッチは、スリップしている間に、2Nm~4.5Nmのスリップトルクを伝達するように構成される、請求項1又は2に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項4】
前記スリップクラッチ(34;234;334;434)は、前記スリップクラッチ(34;234;334;434)が前記ソーチェーン(16)を駆動するように構成される係合状態と、前記駆動要素(36;236;336;436)が前記ソーチェーン(16)を駆動せずに自由に回転できる係合解除状態との間で可動である、請求項1~3のいずれか1項に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項5】
前記スリップクラッチ(34;234;334;434)は、回転速度(ω
C1)の変化に応じて、前記係合状態と前記係合解除状態との間で移行するように構成される、請求項4に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項6】
前記スリップクラッチ(34;234;334;434)は、前記駆動要素(36;236;336;436)の回転速度(ω
C1)の変化に応じて、前記駆動要素(36;236;336;436)が前記従動部材(38;238;338;438)に対してスリップし得るスリップ可能状態と、前記スリップクラッチ(34;234;334;434)がスリップせずに前記ソーチェーン(16)を駆動するように構成されるロックアップ状態との間で移行するように構成される、請求項1~5のいずれか1項に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項7】
前記スリップクラッチ(34;234;334;434)は、予め決定されたクラッチ係合速度(ω
E)で、前記係合解除状態と係合状態との間で移行するように構成されており、前記クラッチ係合速度(ω
E)を上回ると前記スリップクラッチ(34;234;334;434)が前記係合状態を取り、
前記スリップクラッチ(34;234;334;434)は、予め決定されたスリップ限界速度(ω
L)で、前記スリップ可能状態から前記ロックアップ状態へ移行するように構成され、前記スリップ限界速度(ω
L)を上回ると前記スリップクラッチ(34;234;334;434)が前記ロックアップ状態を取り、
前記スリップ限界速度(ω
L)は前記クラッチ係合速度(ω
E)よりも少なくとも200rpm高い、請求項4又は5と組み合わせた、請求項6に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項8】
前記スリップクラッチ(34)は慣性で作動される、請求項1~7のいずれか1項に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項9】
前記スリップクラッチは遠心クラッチ(34)として構成される、請求項4~8のいずれか1項に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項10】
前記従動部材は、直径60mm~90mmのクラッチドラム(38)を含み、及び前記駆動要素(36)は、弾性要素(70a、70b)によって互いに弾性的に接続される2つ又は3つ、好ましくは2つで1組の摩擦シュー(68a、68b)を含み、前記摩擦シュー(68a、68b)のそれぞれ個々重量は30g~70gであり、及び前記弾性要素(70a、70b)のそれぞれのばね定数は35nm/mm~60N/mmである、請求項9に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項11】
前記スリップクラッチ(34;234;334;434)は、前記電気モータ(22)に向く基端側(34b)と、前記電気モータ(22)から離れた方を向く先端側(34a)とを有し、
ソーチェーン駆動スプロケット(32)は、前記スリップクラッチ(34;234;334;434)の前記先端側(34a)で、前記スリップクラッチ(34;234;334;434)の前記従動部材(38;238;338;438)に接続される、請求項1~10のいずれか1項に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(110)。
【請求項12】
前記スリップクラッチ(34;234;334;434)は、前記電気モータ(22)に向く基端側(34b)と、前記電気モータ(22)から離れた方を向く先端側(34a)とを有し、
ソーチェーン駆動スプロケット(32)は、前記スリップクラッチ(34;234;334;434)の前記基端側で、前記スリップクラッチ(34;234;334;434)の前記従動部材(38;238;338;438)に接続される、請求項1~11のいずれか1項に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10)。
【請求項13】
前記電気モータ(22)は、
ステータ(52)によって回転されるように構成されたロータ(54)であって、ロータ外径(D1)を有するロータ(54)と、
前記スリップクラッチ(34;234;334;434)の前記駆動要素(36;236;336;436)に駆動接続されるアウトプットシャフト(30)であって、軸径(D2)を有するアウトプットシャフト(30)と
を有し、
前記ロータ外径(D1)と前記軸径(D2)との比(D1/D2)は2.5~4.8である、請求項1~12のいずれか1項に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項14】
前記スリップクラッチ(134)は、クラッチ制御信号に基づいて、電磁的に作動される、請求項1~7のいずれか1項に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項15】
さらに機械式ブレーキ配置構成(40a、40b)を含み、この機械式ブレーキ配置構成は、前記機械式ブレーキ配置構成(40a、40b)が前記トランスミッション配置構成(28;128;228;328;428)と係合して前記従動部材(38;238;338;438)の回転を制動させるように構成される制動位置と、前記従動部材(38;238;338;438)が自由に回転できる解放位置との間で可動である、請求項1~14のいずれか1項に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項16】
さらに、前記電気モータ(22)を操作するためのトリガー(24)が設けられた後方ハンドル(14b)を含み、前記機械式ブレーキ配置構成は、前記トリガー(24)の位置とは無関係に動作するように構成される、請求項15に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項17】
前記従動部材はクラッチドラム(38)を含み、及び前記機械式ブレーキ配置構成(40a、40b)は、ブレーキアクチュエータ(25)の作動に応じて、前記クラッチドラム(38)の半径方向外側の面にクランプ力を加えるように構成されたブレーキバンド(40b)を含む、請求項15又は16に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項18】
前記機械式ブレーキ配置構成(40a、40b)は、前記スリップクラッチ(34;234;334;434)から軸方向に分離されたブレーキドラム(40a)と、ブレーキアクチュエータ(25)の作動に応じて、前記ブレーキドラム(38)の半径方向外側の面にクランプ力を加えるように構成されたブレーキバンド(40b)とを含む、請求項15~17のいずれか1項に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項19】
さらに、電気的に制御されたブレーキ(23e)、例えば電磁ブレーキ及び/又は誘導ブレーキを含む、請求項1~18のいずれか1項に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項20】
前記電気的に制御されたブレーキ(23e)は、前記スリップクラッチの前記駆動要素側、すなわち前記電気モータ(22)と、前記駆動要素(36;236;336;436)と、前記電気モータ(22)又は前記駆動要素(36;236;336;436)に固定式に取り付けられる要素と、のうちの1つ以上に制動力を加えるように構成される、請求項19に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項21】
前記バッテリー駆動式チェーンソー(10;110)は、前記電気モータ(22)の回転速度(ω
m)が電気ブレーキ解放速度(ω
R)を下回ることに応じて、前記電気的に制御されたブレーキ(23e)を解放するように構成される、請求項19又は20に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項22】
前記電気モータ(22)は、モータ回転軸(A)の周りで回転するように構成されたロータ(54)を含み、及び前記駆動要素(36;236;336;436)は、前記ロータに回転式に嵌合するように回転式にロックされて、前記モータ回転軸(A)の周りでの両回転方向における前記駆動要素(36;236;336;436)の回転を防止する、請求項1~21のいずれか1項に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項23】
さらに、前記スリップクラッチ(34;234;334;434)の前記駆動要素側と常に共に運転するように結合された冷却ファン(46)を含む、請求項1~22のいずれか1項に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項24】
前記スリップクラッチ(34;234;334;434)は、電気モータ(22)の第1の軸方向側(44a)に位置決めされ、及び前記冷却ファン(46)は、前記第1の軸方向側(44a)とは反対側の前記電気モータ(22)の第2の軸方向側(44b)に位置決めされる、請求項23に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項25】
さらに、前記スリップクラッチ(34;234;334;434)の前記従動部材(38;238;338;438)側から動力を受けるように結合されたソーチェーンオイルポンプを含む、請求項1~24のいずれか1項に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項26】
さらに、前記スリップクラッチ(34;234;334;434)を、前記スリップクラッチ(34;234;334;434)が前記ソーチェーン(16)を駆動するように構成される係合状態と、前記駆動要素(36;236;336;436)が前記ソーチェーン(16)を駆動せずに自由に回転できる係合解除状態との間で動作させるように構成された制御装置(23)を含む、請求項1~25のいずれか1項に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項27】
前記制御装置(23)は、前記スリップクラッチ(34;234;334;434)を係合解除した状態で、前記電気モータ(22)の動作を維持するように構成される、請求項26に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項28】
前記制御装置(23)は、前記スリップクラッチ(34;234;334;434)を係合解除した状態で、前記電気モータ(22)の動作を維持することにより、検出温度が限界温度を上回る条件に基づいて、前記バッテリー駆動式チェーンソー(10;110)の冷却ファン(46)を動作させるように構成される、請求項27に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項29】
前記バッテリー駆動式チェーンソー(10;110)は、さらに、押し下げられた位置と解放位置との間で可動なトリガー(24)を含み、前記トリガー(24)が前記押し下げられた位置にあることに応じて前記ソーチェーン(16)を動かすように前記電気モータ(22)が動作させられ、前記トリガー(24)が前記解放位置にあることに応じて前記ソーチェーン(16)が停止され、
前記制御装置(23)は、前記トリガー(24)が前記解放位置にあるとき、前記電気モータ(22)の動作を可能にするように構成される、請求項26~28のいずれか1項に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項30】
前記制御装置(23)は、前記トリガー(24)が前記解放位置にあるとき、前記従動部材(38;238;338;438)を制動させるように構成された機械式ブレーキ(40a、40b)が係合されている条件に基づいて、前記電気モータ(22)の動作を可能にするように構成される、請求項29に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項31】
前記制御装置(23)は、過度のクラッチスリップを検出するように構成され、該過度のクラッチスリップを検出することは、例えば、スリップ限界速度(ω
L)を下回る長期の動作を検出することによって行われ、前記スリップ限界速度(ω
L)を上回ると前記スリップクラッチ(34;234;334;434)がロックアップ状態を取り、
前記制御装置(23)は、過度のクラッチスリップの検出に応じて、前記電気モータ(22)を動作させるために、制御信号に変化を加えるように構成される、
請求項26~30のいずれか1項に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項32】
前記電気モータ(22)を動作させるために制御信号に前記変化を加えることは、前記電気モータ(22)によって生じたトルク(T
m)をパルスにすること、及び/又は前記電気モータ(22)の前記回転速度(ω
m)を変えることを含む、請求項31に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項33】
前記制御装置(23)は、制限時間若しくは限定パルス数以下で、前記電気モータ(22)によって届けられるトルク(T
m)をパルスにした後、前記電気モータ(22)の前記回転速度(ω
m)をクラッチ係合速度(ω
E)未満に下げるように構成される、請求項32に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項34】
押し下げられた位置と解放位置との間で可動なトリガー(24)を含み、前記トリガー(24)が前記押し下げられた位置にあることに応じて前記ソーチェーン(16)を動かすように前記電気モータ(22)が動作させられ、前記トリガー(24)が前記解放位置にあることに応じて前記ソーチェーン(16)が停止され、
前記制御装置(23)は、前記電気モータ(22)の前記回転速度(ω
m)を前記クラッチ係合速度(ω
E)未満に下げた後、前記トリガー(24)が解放された後に再度押されるまで、前記スリップ限界速度(ω
L)までの速度上昇を無効にするように構成される、請求項33に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項35】
前記電気モータ(22)は、ステータ巻線を備える、1組の永久磁石を備えるロータによって半径方向に囲まれた、回転式に固定されたステータを含むアウトランナーである、請求項1~34のいずれか1項に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項36】
前記電気モータ(22)はベクトル制御永久磁石モータである、請求項1~35のいずれか1項に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項37】
前記制御装置(23)は、前記電気モータ(22)の過負荷を検出することに応じて、前記電気モータ(22)のトルク(T
m)を維持するか又は増やすように構成される、請求項1~36のいずれか1項に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項38】
チェーンソー本体(12)と;
前記ソーチェーン(16)を案内するための長尺状のガイドバー(18)であって、前記ガイドバーの伸長方向は軸線(X)を規定し、前記ガイドバー(18)は、前記チェーンソー本体(12)の前端部から前記軸線(X)に沿って順方向に延在し、前記ガイドバー(18)はガイドバー平面に延在する、長尺状のガイドバー(18)と;
前方ハンドル(14a)と;
後方ハンドル(14b)であって、前記後方ハンドル(14)の底面は、操作者が前記電気モータ(22)を操作できるようにするトリガー(24)を備え、及び前記ガイドバー平面と平行であり且つ前記トリガー(24)の最も後方の点(24a)を含む平面(P)は、交点において前記前方ハンドルの頂点(B)と交差し、及び前記交点(B)と前記トリガー(24)の前記最も後方の点(24a)との間の距離(L)は、270mmを上回る、後方ハンドル(14b)と
を含む、請求項1~37のいずれか1項に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項39】
前記バッテリー駆動式チェーンソー(10;110)は、最大出力(E)まで前記電気モータ(22)を動作させるように構成され、前記交点(B)から前記トリガー(24)の前記最も後方の点(24a)までの前記距離(L)と前記最大出力(E)との商(L/E)は、0.11mm/Wを上回る、請求項38に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項40】
前記バッテリー駆動式チェーンソー(10;110)は、モータトルク(T
m)を発生させるように前記電気モータ(22)を動作させるように構成され、
前記モータトルク(T
m)は、前記スリップ限界速度(ω
L)においてスリップトルク(T
s)に達し、前記交点(B)から前記トリガー(24)の前記最も後方の点(24a)までの前記距離(L)と前記スリップトルク(T
s)との商(L/T
s)は、90mm/Nmを上回る、請求項7と組み合わせた、請求項38又は39に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項41】
電気モータ(22)と;
前記電気モータ(22)に結合されたトランスミッション配置構成(28;128;228;328;428)であって、前記電気モータ(22)は、前記トランスミッション配置構成(28;128;228;328;428)を介してソーチェーン(16)を駆動するように構成される、トランスミッション配置構成(28;128;228;328;428)と;
前記電気モータ(22)を動作させるための制御装置(23)と;
前記制御装置(23)に動作可能に結合されたトリガー(24)であって、前記トリガー(24)は、押し下げられた位置と解放位置との間で可動であり、前記トリガー(24)が前記押し下げられた位置にあることに応じて前記制御装置(23)が前記電気モータ(22)を動作させて前記ソーチェーン(16)を駆動するように構成され、前記トリガー(24)が前記解放位置にあることに応じて前記制御装置(23)が前記ソーチェーン(16)の前記駆動を停止させるように構成される、トリガー(24)と
を含む、ハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)であって、
前記トランスミッション配置構成(28;128;228;328;428)は、前記電気モータ(22)から回転動力を受けるように構成された駆動要素(36;236;336;436)と、前記ソーチェーン(16)へ回転動力を伝達するように構成された従動部材(38;238;338;438)とを含むクラッチ(34;234;334;434)を含み、
前記クラッチ(34;234;334;434)は、前記クラッチ(34;234;334;434)が前記電気モータ(22)を前記ソーチェーン(16)と係合する係合状態と、前記クラッチ(34;234;334;434)が前記電気モータ(22)を前記ソーチェーン(16)から係合解除して前記駆動要素(36;236;336;436)が前記ソーチェーン(16)を駆動せずに自由に回転できるようにする係合解除状態との間で可動であり、
前記制御装置(23)は、前記トリガー(24)が前記解放位置にあるとき、前記クラッチ(34;234;334;434)が前記係合解除状態にあるアイドルモードに前記電気モータ(22)の動作を自動的に維持するように構成されることを特徴とする、ハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項42】
前記クラッチは遠心クラッチ(34)であり、及び前記制御装置(23)は、前記遠心クラッチ(34)の係合速度(ω
E)を下回るアイドル速度(ω
i)において、前記アイドルモードに前記電気モータ(22)の動作を自動的に維持するように構成される、請求項41に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項43】
前記制御装置(23)は、2000rpm~6000rpmのアイドル速度(ω
E)において、前記アイドルモードに前記電気モータ(22)の動作を自動的に維持するように構成される、請求項41又は42に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項44】
さらに、前記クラッチ(34;234;334;434)の前記駆動要素側と常に共に運転するように結合された冷却ファン(46)を含む、請求項41~43のいずれか1項に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項45】
電気モータ(22)と;
前記電気モータ(22)に結合されたトランスミッション配置構成(128;528)であって、前記電気モータ(22)は、前記トランスミッション配置構成(128;528)を介してソーチェーン(16)を駆動するように構成される、トランスミッション配置構成(128;528)と、
前記電気モータ(22)から角運動量を受けて蓄えるように構成されたフライホイール(90;190)であって、前記フライホイール(90;190)は、フライホイール回転軸(A)の周りで、前記トランスミッション配置構成(28)の少なくとも一部分と共に回転するように結合される、フライホイール(90;190)と
を含む、ハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項46】
モータ回転軸(A)の周りで回転するように構成されたロータ(54)を含む電気モータ(22)と;
前記モータ回転軸(A)の周りで前記電気モータ(22)によって回転されるように構成された複数の構成要素(30、32、34、40a、42a、46、90)と
を含む、ハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)において、
前記ロータ(54)と、前記電気モータ(22)によって前記モータ回転軸(A)の周りで回転されるように構成される全構成要素(30、32、34、40a、42a、46、90)との慣性モーメントの合計Jは、1.5*10
-4kgm
2を上回ることを特徴とする、ハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項47】
モータ回転軸(A)の周りで回転されるように構成されたロータ(54)を含む電気モータ(22)と;
前記電気モータ(22)によって前記モータ回転軸(A)の周りで回転されるように構成された複数の構成要素(30、32、34、40a、42a、46、90)と
を含む、ハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)において、
前記ロータ(54)と、前記電気モータ(22)によって前記モータ回転軸(A)の周りで回転されるように構成された全構成要素(30、32、34、40a、42a、46、90)との慣性モーメントの合計Jと、前記ロータ(54)と、前記電気モータ(22)によって前記モータ回転軸(A)の周りで回転されるように構成された全構成要素(30、32、34、40a、42a、46、90)との全質量Mとの商J/Mは、3.6*10
-4m
2を上回ることを特徴とする、ハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項48】
ソーチェーン(16)の回転を開始するためのトリガー(24)を含むチェーンソー(10;110)において、前記ソーチェーン(16)を選択的に駆動するための電気モータ(22)の制御方法であって:
前記トリガー(24)の押し下げの検出前に、前記電気モータ(22)を動作させることと;
前記トリガー(24)の押し下げの検出に応じて、前記ソーチェーン(16)を動かすことと
を含む、方法。
【請求項49】
前記電気モータ(22)を前記ソーチェーン(16)と機械的に係合することは、前記電気モータ(22)の回転速度(ω
m)をクラッチ係合速度(ω
E)超に増すことを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
ソーチェーン(16)の回転を開始するためのトリガー(24)を含むチェーンソー(10;110)において前記ソーチェーン(16)を選択的に駆動するための電気モータ(22)の制御方法であって:
前記トリガー(24)の押し下げの検出に応じて、前記ソーチェーン(16)を動作させることと;
前記トリガー(24)の解放の検出に応じて、前記ソーチェーン(16)の動作を停止させることと;
前記ソーチェーン(16)の動作を停止させた後、前記電気モータ(22)の動作を維持することと
を含む、方法。
【請求項51】
前記電気モータ(22)を前記ソーチェーン(16)から機械的に係合解除することは、前記電気モータ(22)の回転速度(ω
m)をクラッチ係合速度(ω
E)未満に下げることを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
チェーンソー(10;110)においてソーチェーン(16)を選択的に駆動するための電気モータ(22)の制御方法であって:
トリガー(24)の押し下げの検出に応じて、前記電気モータ(22)を第1の回転速度(ω
m)で動作させることと;
前記トリガー(24)の解放の検出に応じて、前記電気モータ(22)を第2の回転速度(ω
i)で動作させることと
を含む、方法。
【請求項53】
クラッチ(34;234;334;434)を含むチェーンソー(10;110)においてソーチェーン(16)を選択的に駆動するための電気モータ(22)の制御方法であって:
前記クラッチ(34;234;334;434)の状態であるクラッチ状態を決定することと;
決定された前記クラッチ状態に基づいて、前記電気モータ(22)のトルク(T
m)若しくは回転速度(ω
m)を調整すること、及び/又は前記チェーンソー(10;110)の操作者にアラートを生成することと
を含む、方法。
【請求項54】
前記クラッチ(34;234;334;434)の状態を決定することは、現在の回転速度(ω
m;ω
C1;ω
C2)を決定することを含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記クラッチ状態はスリップ状態であり、
前記電気モータ(22)のトルク(T
m)若しくは回転速度(ω
m)を調整することは、前記回転速度(ω
m)をクラッチ係合速度(ω
E)未満に下げること、及び/又は前記電気モータ(22)のトルク(T
m)を減らすことを含む、請求項53又は54に記載の方法。
【請求項56】
前記クラッチ状態はスリップ状態であり、
前記電気モータ(22)のトルク(T
m)若しくは回転速度(ω
m)を調整することは、前記電気モータ(22)のトルク(T
m)を増やすことを含む、請求項53~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
チェーンソー(10;110)においてソーチェーン(16)を選択的に駆動するための電気モータ(22)の制御方法であって:
現在の回転速度(ω
m;ω
C1;ω
C2)を決定することと;
前記決定に基づいて、電気機械式クラッチ(234;334;434)を作動させることと
を含む、方法。
【請求項58】
さらに、ユーザインターフェース(27)から、クラッチ係合速度設定及び/又はクラッチ係合解除速度設定を受信することを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
請求項48~58のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成された少なくとも1つのプロセッサー及びメモリを含むデータ処理装置(23)。
【請求項60】
プロセッサーでのプログラムの実行時に、請求項48~58のいずれか1項に記載の方法を実行する命令を含むコンピュータプログラム製品。
【請求項61】
請求項60に記載のコンピュータプログラム製品が記憶されているコンピュータ可読記憶媒体(99)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー、そのようなチェーンソーの制御方法、並びにそのような方法を実行するコンピュータプログラム製品、及びコンピュータプログラム製品を記憶するデータキャリアに関する。
【背景技術】
【0002】
チェーンソーは、ここ100年程度にわたって知られてきた。重量対パワー及び作業時間を考慮して、ほとんどのチェーンソーは、依然として二行程型の内燃機関によって動力供給されるが、バッテリー駆動式チェーンソーの人気が高まってきている。しかしながら、重量やバッテリーの持ち時間などのチェーンソーの他の側面を損なうことなく、高出力、高切削効率及び高有用性を得ることは、依然として課題のままである。さらに、チェーンソーを安全に簡単に使用できるようにするための絶え間ない努力がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、上述の問題の一部若しくは全てを解決するか又は少なくとも緩和することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的のために、電気モータと、電気モータに結合されたトランスミッション配置構成とを含む、ハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソーが提供され、ここでは、電気モータは、トランスミッション配置構成を介してソーチェーンを駆動するように構成され、トランスミッション配置構成は、電気モータからの回転動力を受けるように構成された駆動要素と、ソーチェーンへ回転動力を伝えるように構成された従動部材とを含むスリップクラッチを含み、スリップクラッチは、駆動要素と従動部材との間の係合においてスリップを可能にすることによって、電気モータをソーチェーンから少なくとも部分的に係合解除するように構成される。スリップクラッチは、機械クラッチ、例えば遠心クラッチ、ベルトクラッチ、選択的に係合自在な遊動輪、電気機械/電磁クラッチ、例えば電磁的に作動される摩擦板クラッチ、又は流体継ぎ手とし得る。本明細書で理解されるように、スリップクラッチは、駆動部材及び従動部材が互いに対してスリップし、それにより滑り係合によってトルクを伝達することを可能にするか、又は可能にする状態にもたらし得るクラッチであり、伝達されたトルクは、ソーチェーンが無負荷である場合、ソーチェーンを駆動するのに十分である。動かされると、クラッチの段階的な滑り係合が可能にされ、電気モータの回転速度を全く低下させずに、動力伝達を漸進的に増やし得る。これにより、回転速度がゼロに低下することに応答してトルクが低下しないため、切断されるべき材料と既に係合されているとき、チェーンを簡単に(再)始動できるようにする。さらに、電気モータのロータによる慣性の増大が、チェーンの始動に寄与し得る。さらに、スリップクラッチはチェーンとのソフトな係合をもたらし、これは、一般的なユーザエクスペリエンスを改善する。スリップクラッチはまた、例えば切断されるべき材料にユーザがソーチェーンを強く押し付けすぎることによってソーチェーンが過負荷であるとき、ユーザへフィードバックを行うが、これは、多くのクラッチタイプではクラッチがスリップしているときにかなり簡単に聞くことができるためである。可視及び/又は触覚フィードバックは、ユーザに、負荷を解放するように指示し、低回転速度での電気モータからの高トルクで、電気モータはチェーンを直接再始動させ、即座にチェーンソーを高切削効率へ戻す。スリップ時、切断されるべき材料に操作者がソーチェーンを強く押し付けすぎる場合でも、電気モータは停止されない。さらに、いくつかの電気モータタイプは、停止状態で低・中間トルクのみをもたらす一方で、既に非常に低回転速度である場合、トルクはその最大に達する。それにより、スリップクラッチは、電気モータタイプをより自由に選択できる。ハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソーは、さらに、電気モータを選択可能に操作するために、電気スイッチに結合された指操作トリガーを含み得る。トリガーは、段階的な又は連続範囲の出力、回転速度、及び/又は出力トルクで電気モータを動作させることができるように構成され得る;代わりに、トリガーは、電気モータの単純なオン/オフ制御用に構成され得る。実施形態によれば、スリップクラッチの駆動要素は電気モータに回転式に固定され得る。同様に、スリップクラッチの従動部材は、ソーチェーンを駆動するためにソーチェーン駆動スプロケットに回転式に固定され得る。さらなる実施形態によれば、駆動要素は、電気モータのアウトプットシャフトに固く接続され得る、及び/又は従動部材は、ソーチェーン駆動要素、例えばソーチェーン駆動リムとかみ合うように構成されたソーチェーン駆動スプロケットやキー付きシャフトに固く接続され得る。実施形態によれば、チェーンソーは、チェーンソーに給電するバッテリーを受け入れるように構成されたバッテリー収納部を含み得る。その代わりに又はそれに加えて、チェーンソーは、例えば非常用バッテリーに接続されるように構成され得る。電気モータに電力をもたらすための典型的な好適なDCバッテリー電圧範囲は、18V~100V、一層好ましくは、約36V~約72Vとし得る。電気モータは、例えば1.8kW~3.5kWの例示的な電力範囲で出力をもたらすように構成され得る。
【0005】
実施形態によれば、トランスミッション配置構成は、電気モータと、ソーチェーンとかみ合うソーチェーンスプロケットとの変速比を1:1にするように構成され得る。ここで、1:1の変速比は、駆動要素が非スリップ式に従動部材に回転式にロックされる場合、電気モータの1回のフル回転がソーチェーンスプロケットの1回のフル回転に対応することを意味する。実施形態によれば、ソーチェーンスプロケットは、電気モータのアウトプットシャフトと同軸とし得る。
【0006】
実施形態によれば、スリップクラッチは、スリップしている間に、2Nm~4.5Nmのスリップトルクを伝達するように構成され得る。そのようなトルク範囲は、ハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソーによく適していることが分かっている。いくつかの実施形態によれば、スリップクラッチは、スリップしている間に、2Nm~3Nmのスリップトルクを伝達するように構成され得る。
【0007】
実施形態によれば、スリップクラッチは、スリップクラッチがソーチェーンを駆動するように構成される係合状態と、駆動要素がソーチェーンを駆動せずに自由に回転できる係合解除状態との間で可動とし得る。これにより、より安価な電気モータの使用を可能にし得る。例えば、ベクトル制御ブラシレスDCモータは、しばしば、モータ内での正確なロータの位置を感知するためにロータ位置センサーを含んで、意図した順方向における電気モータの始動を可能にする。係合解除状態は、ロータ位置センサーをなしで済ませることができる。ロータの位置に関する情報がないことによって、電気モータを逆方向に不注意に始動させるかもしれない。逆方向に最初に動いた後、ベクトル制御は電気モータを順方向に自動的に回転させる。係合解除状態においては、そのような方向の逆転は、操作者によって気づかれずに過ぎるが、これはチェーンを動かすことなく行われ得るためである。
【0008】
実施形態によれば、スリップクラッチは、回転速度の変化に応答して係合状態と係合解除状態との間を移行するように構成され得る。ハンドヘルドのチェーンソーを使用するとき、チェーンは仕事をするが、操作者は、一般的に、可能な最適な切削効率を得るために、ある程度の力を加える。過度の力が加えられる場合、チェーンソーは、最終的には、そのトルクの限界に起因して、停止する。ガソリンチェーンソーでは、エンジンに過重な負荷が加えられているときには可聴合図があり、操作者は、エンジンを失速させないために、加えられている力を緩めることができる。しかしながら、電気モータに過重な負荷がかかっているとき、一般的に、しばしばいずれの実質的な可聴、可視又は触覚合図もなく、より突然に急激に失速する。これは、切断を継続できるようにする前にチェーンソーに加わる圧力を解放する必要があるユーザを苛立たせることがある。停止はまた、例えば木の伐採時に、ソーチェーンの押し潰し(squeezing)を生じ得る。それにより、一般的に熟練したチェーンソーの操作者に公知のように、計画外の停止は潜在的に危険な状況をも生じ得る。しかしながら、電気チェーンソーでの回転速度作動クラッチの使用は、例えば太い幹の切断時に、高負荷での突然の予期しない失速を防止する。さらに、クラッチの区別しやすい係合状態又は係合速度は、ユーザが、モータを突然完全に失速させる前に、過重負荷状況に気づいて、切削効率に影響を及ぼしすぎる前に後ろへ下がるのを簡単にする。低~中域のrpmでの比較的高トルクの典型的な電気モータの特性は、例えば伐採中のチェーンの再始動に特によく適している。例として、スリップクラッチは電気機械式クラッチとしてもよく、チェーンソーは、電気モータの検出されたrpmに基づいて、電気機械式クラッチに係合するように構成された制御装置を含み得る。代わりに、スリップクラッチは、例えばトランスミッションの慣性によって、厳密に機械的に作動され得る。実施形態によれば、スリップクラッチは、上回るとクラッチが係合状態を取るクラッチ係合速度において、係合解除状態と係合状態との間を移行するように構成され得る。クラッチ係合速度は予め決定され得る。例えば、チェーンソーの制御装置の制御値として設定され得るか、又は遠心クラッチの機械的設計によって決定され得る。スリップクラッチの例示的な好適な係合速度は、2000rpm~7000rpm、一層好ましくは、3000rpm~6000rpm、さらにより好ましくは、4500~5800rpmとし得る。スリップクラッチは、例えばモータ及び/又は駆動要素の回転速度の変化に応答して作動され得る。
【0009】
実施形態によれば、スリップクラッチは、駆動要素の回転速度の変化に応答して、駆動要素が従動部材に対してスリップし得るスリップ可能状態と、スリップクラッチがスリップせずにソーチェーンを駆動するように構成されるロックアップ状態との間を移行するように構成され得る。実施形態によれば、スリップクラッチは、上回るとスリップクラッチがロックアップ状態を取る予め決定されたスリップ限界速度で、スリップ可能状態からロックアップ状態へ移行するように構成され得る。スリップクラッチは、例えばモータ及び/又は駆動要素の回転速度の変化に応答して、スリップ可能状態とロックアップ状態との間を移行するように作動され得る。スリップ限界速度は、クラッチのスリップトルク、すなわち駆動要素を従動部材に対してスリップさせるために必要なトルクがモータトルクを上回る回転速度であると定義される。一般に、例えば遠心クラッチに関し、クラッチのスリップトルクは、駆動要素の回転速度と共に増す。それにより、スリップ限界速度はまた、チェーンソーを動作させながら従動部材が非回転位置にしっかりと保持される場合に、駆動要素によって負わされる速度である。それにより、スリップ限界速度は、上記で定義したようないずれの係合速度よりも高い。スリップクラッチの例示的な好適なスリップ限界速度は、3500rpm~7500rpm、一層好ましくは、5500~7000rpmとし得る。実施形態によれば、スリップ限界速度におけるスリップトルクは2Nm~4.5Nmである。実施形態によれば、スリップ限界速度におけるスリップトルクは2Nm~4.5Nmである。一層好ましくは、スリップ限界速度におけるスリップトルクは2Nm~3Nmである。
【0010】
実施形態によれば、スリップクラッチは、上回るとクラッチが係合状態を取る予め決定されたクラッチ係合速度で、係合解除状態と係合状態との間を移行し、及び上回るとスリップクラッチがロックアップ状態を取る予め決定されたスリップ限界速度で、スリップ可能状態からロックアップ状態へ移行するように構成され得、スリップ限界速度は係合速度よりも少なくとも200rpm高い。これは、当然ながら、スリップクラッチの係合解除状態とロックアップ状態との間の滑らかな移行になる。スリップクラッチの突然の係合は、電気モータのロータを突然減速させ得、それにより、電気モータの巻線に電流ピークを誘発する。これは、巻線の過熱を引き起こし得る、及び/又は電圧ピーク又はアーク放電を引き起こし得、これは、例えば駆動エレクトロニクスを損傷させ得る。例として、ブラシレスDCモータのステータ巻線は、一般に、いわゆる空隙巻線タイプであり、熱を対流させる能力が制限されている。さらなる実施形態によれば、スリップ限界速度は係合速度よりも少なくとも1000rpm高い。好ましくは、スリップ限界速度は、係合速度よりも2500rpm未満高い。
【0011】
実施形態によれば、スリップクラッチは慣性作動され得る。それにより、スリップクラッチは作動され得る、すなわちトランスミッション配置構成の好適な部分の慣性によって、係合状態と係合解除状態との間及び/又はスリップ可能状態とロックアップ状態との間を移行する。例えば、スリップクラッチは遠心クラッチとして供され得る。スリップクラッチはまた、ベンディックスドライブ(Bendix drive)と同様のクラッチ作動機構によって作動され得る。
【0012】
実施形態によれば、スリップクラッチは遠心クラッチとして構成され得る。従動部材はクラッチドラムとして構成され得、駆動要素は1つ以上の摩擦シューを含み得、摩擦シューは、駆動要素の回転に応答して、オプションとして弾性偏倚部に抗して、クラッチドラムの半径方向内側に向く面と係合するように、半径方向に動くように構成され得る。クラッチドラムは、電気モータのアウトプットシャフト上の軸受に回転自在に装着され得る。
【0013】
実施形態によれば、従動部材は、直径60mm~90mmのクラッチドラムを含み得、及び駆動要素は、弾性要素によって互いに弾性的に接続される2つ又は3つ、好ましくは2つで1組の摩擦シューを含み得、ここで、各摩擦シューの個々の重量は30g~70gであり、及び各弾性要素70a、70bのばね定数は35N/mm~60N/mmである。そのようなクラッチのスリップ限界速度でのトルク伝達は、バッテリー駆動式チェーンソーの好適な典型的なトルク範囲における電気モータのふるまいに特によく適合されることが分かっている。クラッチドラムの直径に幾分好ましい範囲は、65mm~82mmである。その代わりに又はそれに加えて、個々の摩擦シューのそれぞれの重量に幾分好ましい範囲は、40g~60gである。その代わりに又はそれに加えて、弾性要素のそれぞれのばね定数に幾分好ましい範囲は、60N/mm~50N/mmである。さらなる実施形態によれば、クラッチドラムの直径と1組の摩擦シューの総重量の積は、5000g*mm~10000g*mmにある。
【0014】
実施形態によれば、スリップクラッチは、電気モータに向く基端側と、電気モータから離れた方を向く先端側とを有し、ソーチェーン駆動スプロケットは、スリップクラッチの先端側にあるスリップクラッチの従動部材に接続される。そのような配置構成は、ソーチェーン駆動スプロケットへのアクセスを容易にし、これは、同様に、例えばソーチェーンの交換を容易にする。実施形態によれば、従動部材はクラッチドラムとし得る。クラッチドラムは、基端側の方へ向かって開口しており、基端側を介して駆動要素を受け入れることができる。
【0015】
別の実施形態によれば、スリップクラッチは、電気モータに向く基端側と、電気モータから離れた方を向く先端側とを有し、ソーチェーン駆動スプロケットは、スリップクラッチの基端側にあるスリップクラッチの従動部材に接続される。そのような配置構成は、チェーン駆動スプロケットを、チェーンソーの横方向の中心の近くに位置決めし、これは、コンパクトなチェーンソーに特に適している。実施形態によれば、従動部材はクラッチドラムとし得る。クラッチドラムは、先端側の方へ向かって開口しており、先端側を介して駆動要素を受け入れることができる。さらに、クラッチドラムの向きは、クラッチドラムの基端側及び/又はソーチェーン駆動スプロケットの基端側にあるトランスミッション配置構成の従動側を制動するために、別個のブレーキドラムと都合よく組み合わせられ得る。
【0016】
実施形態によれば、電気モータは、ステータによって回転されるように構成されたロータであって、ロータ外径を有するロータと、スリップクラッチの駆動要素に駆動接続されるアウトプットシャフトとを有し得、アウトプットシャフトは軸径を有し、ロータの直径と軸径の比は2.5~4.8である。そのような比の範囲は、トランスミッション配置構成の重量と耐久性との適切なバランスを得るのに好適であると分かっている。スリップクラッチの使用は、アウトプットシャフトの自由端部の長さを長くし、並びに自由端部によって運ばれる質量を増やす。従動部材の係合面はクラッチ係合面直径を有し得、ロータの直径とクラッチ係合面直径との例示的な好適な比は0.50~1.2とし得る。典型的な好適な軸径は、例えば、10mm~15mmとし得る。実施形態によれば、上記で定義したようなクラッチドラムは、軸受、例えば針状ころ軸受を介してアウトプットシャフトに回転自在に配置され得る。軸径は、軸受の軸方向位置のシャフトの直径とし得る。オプションとして、アウトプットシャフトには、針状軸受からアウトプットシャフトの端面にある潤滑剤入口まで延在する潤滑通路が設けられ得る。
【0017】
実施形態によれば、スリップクラッチは、クラッチ制御信号に基づいて電磁的に作動され得る。例えば、スリップクラッチは、コイルを励磁することによって作動され得、それによって、軸方向に、すなわちスリップクラッチの回転軸に沿って、駆動要素及び従動部材の少なくとも一方を、駆動要素及び従動部材の他方と係合させるように動かす。オプションとして、チェーンソーは、スリップクラッチの係合ステータス、すなわちスリップクラッチが係合状態にあるか若しくは係合解除状態にあるか、及び/又はスリップクラッチがスリップ可能状態にあるか若しくはロックアップ状態にあるかを検出するように構成されたセンサーを含み得る。それにより、ステータスは、チェーンソー操作者へ通信され得る。実施形態によれば、チェーンソーは、さらに、電気モータの回転速度を決定し、及び回転速度に基づいて、スリップクラッチの係合を制御するように構成された制御装置を含み得る。そのような配置構成は、例えば、クラッチ係合速度の選択又は調整における一層の自由を可能にし得る。いくつかの実施形態によれば、チェーンソーにはユーザインターフェースが設けられて、ユーザがクラッチ係合速度を設定できるようにする。
【0018】
実施形態によれば、ハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソーはさらに機械式ブレーキ配置構成を含み得、機械式ブレーキ配置構成は、機械式ブレーキ配置構成が、従動部材の回転を制動させるトランスミッション配置構成と係合するように構成される制動位置と、従動部材が自由に回転できる解放位置との間で可動である。実施形態によれば、機械式ブレーキ配置構成は、スリップクラッチの従動部材側でトランスミッション配置構成と係合するように構成される。それにより、機械式ブレーキ配置構成は、スリップクラッチの係合位置にかかわらず、ソーチェーンの回転を停止させ得る。その代わりに又はそれに加えて、実施形態によれば、機械式ブレーキは、ブレーキドラムと、ブレーキドラムの周りに締め付けられるように構成されたブレーキバンドとを含み得る。ブレーキドラムは、場合によっては、いずれのクラッチドラムとも分離し得る;代わりに、ブレーキバンドは、遠心クラッチドラムの半径方向外側の面と係合するように設けられ得、それによりブレーキドラムと兼任し得る。
【0019】
実施形態によれば、ハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソーは、さらに、電気モータを操作するための指操作トリガーを備える後方ハンドルを含み得、機械式ブレーキ配置構成は、トリガーの位置とは無関係に動作するように構成される。それにより、あらゆる状況における安全動作が得られ得る。実施形態によれば、機械式ブレーキ配置構成は、トリガーを解放するとき、解放位置に留まるように構成され得る。それにより、モータ及びトランスミッションの慣性は、トリガーを解放するとき、少なくとも部分的に維持され得る、これにより電力消費を減少させ得る。これは、当然ながら、バッテリー駆動式チェーンソーに特に有益とし得る。
【0020】
実施形態によれば、従動部材はクラッチドラムを含み得、機械式ブレーキ配置構成は、ブレーキアクチュエータの作動に応答して、前記クラッチドラムの半径方向外側の面にクランプ力を加えるように構成されたブレーキバンドを含み得る。ブレーキアクチュエータは、チェーンソーのハンドルの前側にハンドガードとして構成された跳ね返りブレーキレバーを含み得る。
【0021】
実施形態によれば、機械式ブレーキ配置構成は、スリップクラッチから軸方向に分離されたブレーキドラムと、ブレーキアクチュエータの作動に応答して、前記ブレーキドラムの半径方向外側の面にクランプ力を加えるように構成されたブレーキバンドとを含み得る。さらなる実施形態によれば、ブレーキドラムは、クラッチの基端側に位置決めされ得、それにより、特にコンパクトな配置構成を生じる。ここでも、ブレーキアクチュエータは、チェーンソーのハンドルの前側にハンドガードとして構成された跳ね返りブレーキレバーを含み得る。
【0022】
実施形態によれば、ハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソーは、さらに、電気的に制御されたブレーキ、例えば電磁ブレーキ及び/又は誘導ブレーキを含み得る。そのようなブレーキは、ソーチェーンを停止させるのに寄与し得る。電気的に制御されたブレーキは、例えば電気モータ操作用のトリガーが操作者によって解放されることを検出したことに応答して、制御装置によって選択的に作動され得る。例えば、誘導ブレーキは、モータ制御装置内に実装されて、モータロータに選択的に制動力を加える。誘導ブレーキの代替例によれば、チェーンソーは、トリガーが操作者によって解放されるとき、電気モータ巻線を短絡させるように構成され得る。
【0023】
実施形態によれば、電気的に制御されたブレーキは、スリップクラッチの駆動要素側、すなわちモータ、駆動要素、及び/又はそれらに固定して取り付けられた任意の要素に、制動力を加えるように構成され得る。そのような電気的に制御されたブレーキは、特にコンパクトで軽量な配置構成を提供し得る。スリップクラッチの従動部材側を制動させるために機械式ブレーキと有益に組み合わせられ得る。
【0024】
実施形態によれば、チェーンソーは、電気モータの回転速度が電気ブレーキ解放速度を下回ることに応答して、前記電気的に制御されたブレーキを解放するように構成され得る。それにより、モータ及び駆動要素の角運動量は、トリガーを解放するとき、少なくとも部分的に維持され得る、これは、電気エネルギーを節約し、次にトリガーが押されるとき、モータをクラッチ係合速度まで加速する時間を短くする。さらに、ファンと組み合わせられる場合、モータ及び/又は任意のバッテリー及び/又は制御装置の冷却が改善される。好ましくは、上記で定義したように駆動要素の回転速度の変化に応答して作動されるスリップクラッチと組み合わせられる場合、電気ブレーキ解放速度は、クラッチ係合速度の半分を上回り、さらにより好ましくは、クラッチ係合速度の少なくとも80%である。
【0025】
実施形態によれば、電気モータは、モータ回転軸の周りで回転するように構成されたロータを含み得、駆動要素は、ロータと回転式にぴったりと合うように回転式にロックされて、モータ回転軸の周りで両回転方向において駆動要素の回転を防止する。例として、駆動要素は、例えばキー溝、半月キー、又はD字形状のキー付きの係合によって、電気モータのアウトプットシャフトに固定され得る。さらなる実施形態によれば、駆動要素は、例えばナットやネジによって、オプションとしてワッシャーと組み合わせて、アウトプットシャフトに対して軸方向に保持され得る。ぴったり合う回転ロックは、モータの電気制動と組み合わせられるとき、特に有益とし得、これは、制動又は加速のいずれも、駆動要素をロータに対して、それらの間に強い摩擦係合がある場合でも、回転させるためである。
【0026】
実施形態によれば、ハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソーは、さらに、スリップクラッチの駆動要素側と常に一緒に運転するように結合された冷却ファンを含み得る。それにより、ソーチェーンを動作させずに冷却ファンを動作させることが可能である。これにより、冷却の恩恵を受け得るチェーンソーの任意の部分、例えばモータ、制御装置及び/又はバッテリーを、いつでも冷却することが可能になる。例えば、高い大気温度において使用する前、又はチェーンソーが暖かい環境に保管されていたとき、チェーンソーを冷却するように冷却ファンを動作させることが可能である。さらに、典型的な使用事例においてチェーンソーが断続的に最大動力で運転するため、冷却ファンは、中断中、チェーンソーを冷却し得る。これにより、そのいずれの部分の過熱リスクも高めることなく、又は場合によってはいずれの過熱保護機構もトリガーすることなく、チェーンソーがより高いピーク出力を備えるように設計することができる。冷却ファンはハウジング内に配置され得、そのハウジングは、空気の流れを、モータ、制御装置及び/又はバッテリーへ方向付けるような形状にされる。さらなる実施形態によれば、冷却ファンは、モータのアウトプットシャフトに固く接続され得る。冷却ファンは、冷却用空気を動かすように構成された1組の羽根を備えるファンロータを含み得る。いくつかの実施形態によれば、冷却ファンは軸流ファンとして構成され得る。他の実施形態によれば、冷却ファンは、渦巻き形に配置されたインペラを含む遠心力ファンとして構成され得る。渦巻き形は、構成要素がコンパクトな形態で沢山詰め込まれるときに、冷却用空気を関連する全ての領域に押し進めるのに有益な比較的高い冷却用空気圧を得るのによく適しているという追加的な利点を有する。ファンは、例えばアルミニウム又はプラスチックで作製され得る。
【0027】
実施形態によれば、スリップクラッチは電気モータの第1の軸方向側に位置決めされ得、冷却ファンは、前記第1の軸方向側とは反対側のモータの第2の軸方向側に位置決めされ得る。そのような配置構成は、電気モータをチェーンソーの横方向の中心の方へ向かって位置決めすることを可能にし、これは、チェーンソーの良好なバランスを保証して、快適さを高める。実施形態によれば、電気モータはモータハウジング内に配置され得、冷却ファンは、複数の羽根を備えるファンロータを含み得、ここで、冷却ファンの外径はモータハウジングの直径を上回る。それにより、スリップクラッチの冷却が高められ得る。
【0028】
実施形態によれば、ハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソーは、さらに、スリップクラッチの従動部材側から動力を受けるように結合されたソーチェーンオイルポンプを含み得る。それにより、ソーチェーンオイルは、電気モータの運転中の場合でも、ソーチェーンが動いているときにのみ、ソーチェーンに供給する。これによりソーチェーンオイルを節約する。さらなる実施形態によれば、オイルポンプは、ウォームドライブを介してスリップクラッチの従動部材側によって動作し得る。ウォームドライブのウォームネジは、電気モータの回転軸と同軸とし得る。実施形態によれば、ウォームネジは、電気モータとスリップクラッチとの間に位置決めされ得る。
【0029】
実施形態によれば、ハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソーは、さらに、スリップクラッチがソーチェーンを駆動するように構成される係合状態と、駆動要素がソーチェーンを駆動せずに自由に回転できる係合解除状態との間でスリップクラッチを動作させるように構成された制御装置を含み得る。例えば、制御装置は、電気モータの回転速度をクラッチ係合速度超又は未満で動作させることによって、操作者入力に応答してスリップクラッチを動作させ得る。
【0030】
実施形態によれば、制御装置は、スリップクラッチが係合解除された状態で、電気モータの動作を維持するように構成され得る。それにより、スリップクラッチの駆動側でモータ又はトランスミッション配置構成に接続された任意の補助構成部品、例えばファンは、ソーチェーンを動作させずに、動作させられ得る。特に、制御装置は、電気モータ操作用の指操作トリガーが十分に解放されたことを検出することに応答して、スリップクラッチが係合解除された状態で、電気モータの動作を維持するように構成され得る。例えば、スリップクラッチは遠心クラッチとし得、電気モータは、遠心クラッチの係合速度を下回るアイドル速度に維持され得る。アイドル速度は、制御装置において設定された、予め決定された速度とし得る。例示的な好適なアイドル速度は、2000rpm~6000rpm、一層好ましくは、3000rpm~5500rpmとし得る。実施形態によれば、制御装置は、スリップクラッチに係合せずに、予め決定された時間、電気モータの動作を維持するように構成され得、その予め決定された時間は、一般に2秒より長く、より一般に10秒より長い。その代わりに又はそれに加えて、制御装置は、例えばチェーンソーの所定の部分の温度が限界温度を下回る、又はチェーンソーの電源スイッチがオフにされるという外部的事象が検出されるまで、電気モータの動作を維持するように構成され得る。実施形態によれば、制御装置は、例えばオン/オフスイッチによってチェーンソーのスイッチがオンにされるとき、又はチェーンソーが持ち上げられたか又はハンドルを握られたことを検出するとき、スリップクラッチに係合することなく、電気モータの動作を自動的に始動するように構成され得る。
【0031】
実施形態によれば、制御装置は、スリップクラッチが係合解除された状態で、電気モータの動作を維持するように構成され得、それにより、検出温度が限界温度を上回る条件に基づいて、チェーンソーの冷却ファンを動作させる。さらなる実施形態によれば、チェーンソーは、さらに、少なくとも1つの温度センサーを含み得、検出温度は、前記少なくとも1つの温度センサーによって検出される温度とし得る。例として、少なくとも1つの温度センサーは、モータ、制御装置、及び/又はバッテリーの温度を検出し得る。代わりに、検出温度は、チェーンソーの外部にある温度センサーによって検出される大気温度とし得る。限界温度は、固定されても、又は動的に設定されてもよい。
【0032】
実施形態によれば、ハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソーは、さらに、応答して電気モータがソーチェーンを動かすように動作させる押し下げられた位置と、応答してソーチェーンが停止される解放位置との間で可動なトリガーを含み得、ここで、制御装置は、トリガーが解放位置にあるとき、電気モータの動作を可能にするように構成される。
【0033】
実施形態によれば、制御装置は、従動部材を制動させるように構成された機械式ブレーキが係合されている条件に基づいて、トリガーが解放位置にあるとき、電気モータの動作を可能にするように構成され得る。そのような配置構成は、スリップクラッチのいずれの故障の結果も軽減させることによって、チェーンソーの安全性を高める。
【0034】
実施形態によれば、制御装置は、例えば、上回るとスリップクラッチがロックアップ状態を取るスリップ限界速度を下回る長期の動作を検出することによって、過度のクラッチスリップを検出し;及び過度のクラッチスリップの検出に応答して、電気モータを動作させるための制御信号に変化を加えるように構成され得る。過度のクラッチスリップ、すなわち過度に長期間にわたるクラッチスリップは、熱を発生させてスリップクラッチ及び電気モータの摩耗の原因となる、望ましくない条件である。例えば、制御装置は、予め決定されたスリップ制限時間を上回る時間の間、スリップが発生したことを決定するように構成され得る。電気モータを動作させるための制御信号の例示的な好適な変化は、トルクを自動的に増やし得、これは、例えばスリップクラッチの回転速度をスリップ限界速度超に上げ得、それによりソーチェーンを動かすか、又はモータの回転速度をクラッチ係合速度に向けて若しくはそれ未満に自動的に下げて、摩耗及び熱の発生を減少させ得る。さらに、電気モータの制御の変化はまた、チェーンソー操作者への過度のスリップの可聴若しくは触覚アラートに寄与し得、チェーンソー操作者は、例えば切断されるべき材料に加えられるソーチェーンの圧力を減らすことによって、又は上記で定義したようにトリガーを解放することによって、修正措置を取り得る。
【0035】
実施形態によれば、電気モータを動作させるための制御信号に前記変化を加えることは、電気モータによって生じたトルクをパルスにすること、及び/又は電気モータの回転速度を変えることを含み得る。それにより、ユーザは、電気モータがスリップクラッチのスリップトルクを上回るように奮闘していることを、かなり直感的に、可聴式に若しくは触覚で効率よく通知され得、且つ例えば切断されるべき材料に加えられるソーチェーンの圧力を減らすことによって、修正措置を取り得る。さらに、パルス状のトルク又は可変速度は、動けなくなったソーチェーンを再度動かすのを容易にする。トルクは、例えば電気モータへの駆動電流をパルスにすることによって、又は電気モータに駆動電流の断続的な位相シフトを加えることによって、パルス状とし得る。いくつかの実施形態によれば、制御装置は、20Hz超、好ましくは50Hz超のパルス周波数でトルクをパルスにするように構成され得、可聴信号をもたらす。他の実施形態によれば、制御装置は、0.2Hz~10Hz、さらに一層好ましくは、0.5Hz~5Hzのパルス周波数でトルクをパルスにするように構成され得、操作者に触覚フィードバックをもたらす。パルス周波数は、固定されても又はパルス列内で変わってもよい。パルスは、方形波パルスとして構成され得、広い周波数範囲で可聴倍音が出され、それにより、複合背景雑音環境でもパルスを聞くことができる。同様に、例示的な好適な速度変化は、例えば0.2Hz~10Hzの周波数で周期的とし得る。回転速度変化の例示的な好適な振幅は、少なくとも10rpm、より一般に、50rpm~1000rpmとし得る。
【0036】
実施形態によれば、制御装置は、制限時間若しくは限定パルス数以下で、その後、クラッチ係合速度を下回るより低い電気モータの回転速度で、電気モータによって送られるトルクをパルスにするように構成され得る。それにより、チェーンソーは、スリップ限界速度を上回ろうとさらに試みることが防止される間、冷却されることが可能である。これは、いずれかの構成要素の過熱や損傷のリスクを高めることなく、電気モータのより高い出力を可能にする。制限時間若しくは限定パルス数は、場合によっては、予め決定され得る。実施形態によれば、制御装置は、電気モータの回転速度をクラッチ係合速度未満に下げる前、30秒未満、一層好ましくは、10秒未満、トルクをパルスにするように構成され得る。
【0037】
実施形態によれば、ハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソーは、応答して電気モータがソーチェーンを動かすように動作させる押し下げられた位置と、応答してソーチェーンが停止される解放位置との間で可動なトリガーを含み得、ここで、制御装置は、電気モータの回転速度をクラッチ係合速度未満に下げた後、トリガーが解放され、その後再度押されるまで、スリップ限界速度までの所望の任意の速度を増加させるのを無効にするように構成される。そのような形態は、操作者がトリガーのみを使用して簡単にチェーンを再始動させることができる。
【0038】
実施形態によれば、電気モータは、1組の永久磁石を備えるロータによって半径方向に囲まれた、ステータ巻線を備える、回転式に固定されたステータを含むアウトランナーとし得る。アウトランナーは、一般に、インランナーよりも良好にそれ自体を冷却し、別個のファンインペラを提供する必要性を低下させる。さらに、アウトランナーは、一般的に、インランナーよりも安価であるが、より高い回転慣性を有し、これは、加速をよりゆっくりにする。高回転慣性は、始動からの加速時には欠点であるが、切断されるべき材料にソーチェーンが係合するときのより高い回転速度では有益とし得る。クラッチと組み合わせることによって、クラッチが係合解除されるとき、アウトランナーを迅速に加速することが可能になり、それにより、より低速での過度にゆっくりとした加速の欠点なく、より高い速度で回転慣性を高める利点を提供する。
【0039】
実施形態によれば、電気モータはベクトル制御永久磁石モータとし得る。そのようなモータは、本明細書で説明する特定の動作方法によく適している良好な制御性を提供する。
実施形態によれば、制御装置は、電気モータの過負荷を検出し、それに応答して、電気モータのトルクを維持するか又は増すように構成され得る。モータ過負荷は、電気モータの回転速度が、トリガーの所定の位置に関して又は所定のモータトルクに関して予想した回転速度を下回ることを検出することによって、検出され得る。スリップクラッチなしで、例えば回転速度が制限速度を下回ることを検出することによって、モータ過負荷が検出される場合、モータの過熱を防止するために、例えばモータへ供給される電流を減らすことによって、電気モータトルクを迅速に実質的に減らすことが有益とし得る。しかしながら、スリップクラッチと組み合わせられるとき、スリップクラッチはいずれにせよモータを完全に停止した状態に保つため、同様に過負荷が検出されるときに高モータトルクを維持することが有益とし得る。スリップ限界速度のrpm領域において維持された又は増したトルクは、例えば横方向の押し潰し又は操作者によって加えられる過度の圧力のせいで動けなくなったソーチェーンの再始動を容易にする。さらに、モータによって回転されるファンと組み合わせられる場合、ファンは、モータへの冷却用空気の流れを維持し、これにより、高トルクを維持するための前提条件を改善する。
【0040】
実施形態によれば、ハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソーは、チェーンソー本体と;ソーチェーンを案内するための長尺状のガイドバーであって、ガイドバーの伸長方向は軸線を規定し、ガイドバーは、チェーンソー本体の前端部から軸線に沿って順方向に延在し、ガイドバーはガイドバー平面に延在する、ガイドバーと;前方ハンドルと;後方ハンドルであって、後方ハンドルの底面はトリガーを備えて、操作者が電気モータを操作できるようにし、ガイドバー平面に対して平行であってトリガーの最も後方の点を含む平面は、交点において前方ハンドルの頂点と交差し、及び交点とトリガーの最も後方の点との間の距離は270mmを上回る、後方ハンドルとを含み得る。スリップクラッチのおかげで、切断されるべき材料にチェーンを強く押しつけすぎる操作者によって引き起こされる重要な問題を発生させることなく、前方ハンドルと後方ハンドルとの間に大きな距離が設けられ得る。それにより、チェーンソーの安定性及び制御性が高められ得る。さらなる実施形態によれば、交点とトリガーの最も後方の点との間の距離は、300mm、320mm、340mm、又はさらには360mmを上回り得る。
【0041】
実施形態によれば、チェーンソーは、最大出力まで電気モータを動作させるように構成され得、交点からトリガーの最も後方の点までの距離対最大出力の商は、0.11mm/Wを上回る。クラッチは、電気モータの失速のリスクなく、後方ハンドルと前方ハンドルとの間の比較的長い距離を、適度に給電された電気モータと組み合わせることができる。
【0042】
実施形態によれば、チェーンソーは、モータトルクを発生させるように電気モータを動作させるように構成され得、モータトルクは、上記で定義したようなスリップ限界速度におけるスリップトルクを減らし、交点からトリガーの最も後方の点までの距離対スリップトルクの商は、90mm/Nmを上回る。クラッチは、電気モータの失速のリスクなく、後方ハンドルと前方ハンドルとの間の比較的長い距離を、電気モータの適度なトルクと組み合わせることができる。
【0043】
第2の態様によれば、電気モータと;電気モータに結合されたトランスミッション配置構成であって、電気モータは、トランスミッション配置構成を介してソーチェーンを駆動するように構成される、トランスミッション配置構成と;電気モータを動作させるための制御装置と;制御装置に動作可能に結合されたトリガーであって、トリガーは、応答して、制御装置が、ソーチェーンを駆動させるように電気モータを動作させるように構成される押し下げられた位置と、応答して、制御装置が、ソーチェーンの駆動を停止させるように構成される解放位置との間で可動である、トリガーとを含む、ハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソーによって、上述の問題の一部若しくは全てが解決されるか、又は少なくとも緩和され、トランスミッション配置構成は、電気モータからの回転動力を受けるように構成された駆動要素と、ソーチェーンへ回転動力を伝えるように構成された従動部材とを含むクラッチを含み、クラッチは、クラッチがモータをソーチェーンと係合する係合状態と、クラッチがモータをソーチェーンから係合解除して駆動要素がソーチェーンを駆動せずに自由に回転できるようにする係合解除状態との間で可動であり、制御装置は、トリガーが解放位置にあるとき、クラッチが係合解除状態にあるアイドルモードに電気モータの動作を自動的に維持するように構成される。アイドルモードは、モータ及びクラッチの駆動側の回転慣性を維持し、ひとたびソーチェーンが動かされたら、ソーチェーンのより高速のふかしを可能にする。例えばスリップクラッチ又はかみ合いクラッチとし得るクラッチは、下記又は上記で定義する実施形態のいずれかに従って構成され得る。実施形態によれば、クラッチは、電気モータの回転速度に基づいて、係合状態と係合解除状態との間を移行するように構成され得、アイドルモードは、電気モータを、クラッチ係合速度を下回るアイドル速度で動作させることによって、維持され得る。第2の態様によるチェーンソーは、上記で定義したような第1の態様によるチェーンソーの種々の実施形態と組み合わせられ得る。
【0044】
実施形態によれば、クラッチは遠心クラッチとし得、制御装置は、遠心クラッチの係合速度を下回るアイドル速度でアイドルモードに電気モータの動作を自動的に維持するように構成され得る。さらなる実施形態によれば、制御装置は、遠心クラッチの係合速度を200rpm超下回るアイドル速度で、一層好ましくは、遠心クラッチの係合速度を500rpm超下回るアイドル速度で、アイドルモードに電気モータの動作を自動的に維持するように構成され得る。その代わりに又はそれに加えて、制御装置は、遠心クラッチの係合速度を3000rpm未満下回るアイドル速度で、一層好ましくは、遠心クラッチの係合速度を1500rpm未満下回るアイドル速度で、アイドルモードに電気モータの動作を自動的に維持するように構成され得る。これは、アイドルモードで動作されるファンと組み合わせられるのに特に有用である。
【0045】
実施形態によれば、制御装置は、2000rpm~6000rpm、一層好ましくは、3000rpm~5500rpmのアイドル速度で、アイドルモードに電気モータの動作を自動的に維持するように構成され得る。
【0046】
実施形態によれば、ハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソーは、さらに、クラッチの駆動要素側と常に一緒に運転するように結合された冷却ファンを含み得る。
第3の態様によれば、電気モータと;電気モータに結合されたトランスミッション配置構成であって、電気モータは、トランスミッション配置構成を介してソーチェーンを駆動するように構成される、トランスミッション配置構成と;電気モータから角運動量を受けて蓄えるように構成されたフライホイールであって、トランスミッション配置構成の少なくとも一部分と一緒にフライホイール回転軸の周りで回転するように結合されているフライホイールとを含む、ハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソーによって、上述の問題の一部若しくは全てが解決されるか、又は少なくとも緩和される。チェーンソーを使用して、特にまき用に丸太を切断するとき、ユーザは、一般に、切断を開始する前にフルスロットルを与える。それにより、フライホイールの追加された回転慣性は、大幅な改善となる。例えば、木材に接触するときのチェーン速度の典型的な低下が、減少され、完全に切断を行うことがより簡単になる。さらに、育樹専門家にとって、例えば刈り込まれるべき枝のより迅速な切断は、枝が完全に切断される前に下に垂れる傾向を減らすため、かなり望ましい。実施された試験からの結果は、刈り込み時に、フライホイールの追加された回転慣性が切断速度を増すことを示す。実施形態によれば、フライホイールは、駆動モータのアウトプットシャフトによって運ばれ得、オプションとしてそれに固く接続され得る。実施形態によれば、フライホイールの重量は、80g~250gとし得る。一般に、それは、70mm~130mmの外径を有し得る。フライホイールの例示的な好適な慣性モーメント範囲は、1.2*10-4kgm2~3.5*10-4kgm2とし得る。その代わりに又はそれに加えて、フライホイールの総重量の少なくとも80%、より好ましくは、少なくとも85%が、フライホイールの総半径の50%を上回って、フライホイール回転軸に対して半径方向の位置にあってもよい。そのような重量分布は、自重と回転慣性の有益な比をもたらす。第3の態様によるチェーンソーは、上記で定義したような第1及び第2の態様によるチェーンソーの種々の実施形態と組み合わせられ得る。例えば、チェーンソーは、上記の実施形態のいずれかによって定義されるようなクラッチを含み得る。さらなる実施形態によれば、クラッチは、電気モータの第1の軸方向側に位置決めされ得、フライホイールは、前記第1の軸方向側の反対側のモータの第2の軸方向側に位置決めされ得る。フライホイールは、オプションとして、ファンとして動作するために羽根を備え得る。フライホイールの重量の大部分は、金属、例えば鋼の慣性リングによってもたらされ得る。慣性リングは、フライホイールの総半径の少なくとも90%に、半径方向に延在し得る。
【0047】
第4の態様によれば、モータ回転軸の周りで回転されるように構成されたロータを含む電気モータと;電気モータによってモータ回転軸の周りで回転されるように構成された複数の構成要素とを含む、ハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソーによって、上述の問題の一部若しくは全てが解決されるか、又は少なくとも緩和され、ここで、ロータと前記複数の構成要素との慣性モーメントの合計は、1.5*10-4kgm2を上回る。さらなる実施形態によれば、前記複数の構成要素の慣性モーメントの合計は、1.9*10-4kgm2を上回り得、さらなる実施形態によれば、前記複数の構成要素の慣性モーメントの合計は、2.3*10-4kgm2を上回り得、2.8*10-4kgm2を上回り得、又はさらには3.5*10-4kgm2を上回り得る。複数の構成要素は、上記で定義したようなトランスミッション配置構成の構成要素、フライホイール、及びファンの全て又は部分集合を含み得る。
【0048】
第5の態様によれば、モータ回転軸の周りで回転されるように構成されたロータを含む電気モータと;モータ回転軸の周りで電気モータによって回転されるように構成された複数の構成要素とを含む、ハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソーによって、上述の問題の一部若しくは全てが解決されるか、又は少なくとも緩和され、ロータとモータ回転軸の周りで電気モータによって回転されるように構成された全構成要素との慣性モーメントの合計Jと、ロータとモータ回転軸の周りで電気モータによって回転されるように構成された全構成要素との全質量Mとの商J/Mは、3.6m2を上回る。さらなる実施形態によれば、前記商は、4.1m2を上回り得、4.6m2を上回り得、5.1m2を上回り得、5.6m2を上回り得、又はさらには6.1m2を上回り得る。ここでも、ロータとモータ回転軸の周りで電気モータによって回転されるように構成された全構成要素との慣性モーメントの合計は、上記で定義したように、1.5*10-4kgm2、1.9*10-4kgm2、2.3*10-4kgm2、2.8*10-4kgm2、又は3.5*10-4kgm2のいずれかを上回り得る。
【0049】
第6の態様によれば、ソーチェーンの回転を開始するためのトリガーを含むチェーンソーにおけるソーチェーンを選択的に駆動するための電気モータの制御方法によって、上述の問題の一部若しくは全てが解決されるか、又は少なくとも緩和され、方法は:トリガーの押し下げの検出前に、電気モータを動作させることと;トリガーの押し下げの検出に応答して、ソーチェーンを動かすこととを含む。それにより、モータ及び任意のトランスミッション配置構成の慣性は、ソーチェーンの加速に寄与し、これは、トリガーの動作に対するチェーンソーのより迅速な応答を発生させ得る。トリガーの押し下げは、十分な解放位置に関して検出され得る。方法は、上記で定義したチェーンソーのいずれかと組み合わせられ得る。一実施形態によれば、ソーチェーンは、クラッチを介して電気モータをソーチェーンと係合することによって、動かされ得る。代わりに、電気モータは、トルクリミッターを介してソーチェーンに接続され得、ソーチェーンは、機械的なチェーンブレーキを解放することによって、動かされ得る。方法は、さらに:トリガーの前記押し下げの検出前に、前記電気モータを使用して冷却ファンを駆動することを含み得る。
【0050】
実施形態によれば、電気モータをソーチェーンと機械的に係合することは、クラッチ係合速度超に電気モータの回転速度を上げることを含み得る。
第7の態様によれば、ソーチェーンの回転を開始するためのトリガーを含むチェーンソーにおけるソーチェーンを選択的に駆動するための電気モータの制御方法によって、上述の問題の一部若しくは全てが解決されるか、又は少なくとも緩和され、方法は:トリガーの押し下げの検出に応答して、ソーチェーンを動作させることと;トリガーの解放の検出に応答して、ソーチェーンの動作を停止させることと;ソーチェーンの動作を停止させた後に、電気モータの動作を維持することとを含む。それにより、慣性は、次にソーチェーンが動作されるまで、蓄えられ得る/維持され得、それによりエネルギーを節約する。その代わりに又はそれに加えて、電気モータは、他の機能の動作、例えばファンの動作を維持し得る。モータの動作は、再度ソーチェーンを動かすことなく、少なくとも次にトリガーが押し下げられる直前まで、維持され得る。ソーチェーンの動作を停止させることは、ソーチェーンから電気モータを機械的に係合解除することを含み得る。代わりに、電気モータは、トルクリミッターを介してソーチェーンに接続され得、ソーチェーンの動作は、チェーンブレーキを係合することによって、停止され得る。方法は、さらに:トリガーの前記解放の検出後、前記電気モータを使用して冷却ファンを駆動することを含み得る。オプションとして、方法は:トリガーの完全な解放の検出後、電気モータを動作させることを含み得る。方法は、上記で定義した方法又はチェーンソーのいずれかと組み合わせられ得る。
【0051】
実施形態によれば、ソーチェーンから電気モータを機械的に係合解除することは、クラッチ係合速度未満に電気モータの回転速度を下げることを含み得る。
第8の態様によれば、チェーンソーにおけるソーチェーンを選択的に駆動するための電気モータの制御方法によって、上述の問題の一部若しくは全てが解決されるか、又は少なくとも緩和され、方法は:トリガーの押し下げの検出に応答して、第1の回転速度で電気モータを動作させることと;トリガーの解放の検出に応答して、第2の回転速度で電気モータを動作させることとを含む。方法は、上記で定義した方法又はチェーンソーのいずれかと組み合わせられ得、例えば、チェーンソーの制御装置内に実装され得る。好ましくは、ソーチェーンは、前記第1の回転速度でモータによって動作されるように結合され、前記第2の回転速度でモータによる動作から切り離され得る。実施形態によれば、チェーンソーは、第2の回転速度で動作されるときに電気モータによって回転されるように結合されるファンを含み得る。その代わりに又はそれに加えて、チェーンソーは、前記第1の回転速度で電気モータによって動作されるように結合され、前記第2の回転速度でモータによる動作から切り離される、ソーチェーンオイルポンプを含み得る。実施形態によれば、第2の回転速度は、クラッチ係合速度よりも低いとし得る。
【0052】
第9の態様によれば、クラッチを含むチェーンソーにおけるソーチェーンを選択的に駆動するための電気モータの制御方法によって、上述の問題の一部若しくは全てが解決されるか、又は少なくとも緩和され、方法は:クラッチの状態を決定することと;決定されたクラッチ状態に基づいて、電気モータのトルク若しくは回転速度を調整すること、及び/又はチェーンソーの操作者へアラートを生成することとを含む。方法は、上記で定義した方法又はチェーンソーのいずれかと組み合わせられ得る。例示的なクラッチ状態は、係合解除状態、スリップ可能状態、クラッチの実際のスリップを示すスリップ状態、及び/又はロックアップ状態とし得る。方法は、例示的な条件のうちの1つが発生したか、起こりそうであるか、又は起こりつつありそうかどうかを決定することを含み得る。例えば、方法は、クラッチが制限時間を上回る期間スリップ状態になっていることを決定することを含み得、その制限時間は、予め決定され得るか又は動的に設定され得る。操作者へのアラートすなわち注意喚起は、例えば点灯すること、アラームを発すること、又は予め決定されたパターンで電気モータを動作させることによって、生成され得る。実施形態によれば、状態の決定は、電気モータの回転速度を決定することを含み得る。回転速度作動クラッチに関し、クラッチ状態は回転速度から直接生じ得る。
【0053】
実施形態によれば、クラッチの状態を決定することは、現在の回転速度を決定することを含み得る。例えば、トルク若しくは回転速度は、チェーンソーが、制限時間を上回る時間、上記で定義したようなスリップ限界速度で、又はクラッチ係合速度とスリップ限界速度との間のスリップ可能速度で動作されているかを決定したことに応答して、調整され得る。代わりに、トルク若しくは回転速度は、スリップ状態の動作を決定したことに即座に反応して調整され得る。トルクは、前記モータに供給される電流を制御することによって、調整され得る。
【0054】
実施形態によれば、前記クラッチ状態はスリップ状態とし得、電気モータのトルク若しくは回転速度を調整することは、回転速度をクラッチ係合速度未満に下げること、及び/又は電気モータのトルクを減らすことを含み得る。トルク若しくは回転速度の減少は、例えばトリガーからのいずれの操作者入力にも優先することによって、得られ得る。それにより、クラッチ係合速度でのチェーンソーの長期の又は過度に激しい動作が回避され得、これは、熱の発生を減少させ、クラッチ及びいずれかの軸受の寿命を延ばす。
【0055】
実施形態によれば、前記クラッチ状態はスリップ状態とし得、電気モータのトルク若しくは回転速度を調整することは、電気モータのトルクを増やすことを含む。トルクは、電気モータを過熱させるリスクなく、連続操作トルク超に一時的に増やされ得る。これは、例えば切断されるべき材料にソーチェーンが強く押し付けられすぎるか又は切り口内で押し潰される場合に、失速されたチェーンを動かすのを容易にする。いくつかの実施形態によれば、速度及び/又はトルクは、最初に下げられ、その後上昇される、又は逆も同様である。
【0056】
第10の態様によれば、現在の回転速度を決定すること;前記決定に基づいて、電気機械式クラッチ、例えば電磁クラッチを作動させることを含む、チェーンソーにおけるソーチェーンを選択的に駆動するための電気モータの制御方法によって、上述の問題の一部若しくは全てが解決されるか、又は少なくとも緩和される。電気機械式クラッチは、電気モータの速度がクラッチ係合速度を上回ると、係合され得る。同様に、電気機械式クラッチは、電気モータの速度がクラッチ係合解除速度を下回ると、係合解除され得る。係合速度は係合解除速度と同一とし得る。代わりに、それらは異なってもよい。ここでも、方法は、上記で定義した方法又はチェーンソーと組み合わせられ得る。
【0057】
実施形態によれば、方法は、さらに、ユーザインターフェースから、クラッチ係合速度設定及び/又はクラッチ係合解除速度設定を受信することを含み得る。それにより、操作者又は保守技術員が、異なる用途に合うように所望の係合又は係合解除速度を設定し得る。例えば、ソーチェーンが詰まるリスクが高い応用では、高クラッチ係合速度が望ましく、それにより、詰まったチェーンを動かすモータの高角運動量の恩恵を被るかもしれない。
【0058】
第11の態様によれば、上記で定義したような方法のいずれかを実行するように構成された少なくとも1つのプロセッサー及びメモリを含む、データ処理装置によって、上述の問題の一部若しくは全てが解決されるか、又は少なくとも緩和される。データ処理装置は、ハンドヘルドのチェーンソー、例えば上記で定義したようなハンドヘルドのチェーンソー内に配置され得る。データ処理装置は、マイクロコントローラとして供され得る。
【0059】
第12の態様によれば、プログラムがプロセッサーで実行されるとき、上記で定義したような方法のいずれかを実行する命令を含むコンピュータプログラム製品によって、上述の問題の一部若しくは全てが解決されるか、又は少なくとも緩和される。
【0060】
第13の態様によれば、上記で定義したコンピュータプログラム製品に記憶されているコンピュータ可読記憶媒体によって、上述の問題の一部若しくは全てが解決されるか、又は少なくとも緩和される。
【0061】
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に列挙される特徴の全ての取り得る組み合わせによって具現化され得ることに留意されたい。さらに、装置に関して説明した種々の実施形態は、方法と組み合わせられ、及び逆も同様であることが理解される。
【0062】
本発明の上記の、並びに追加的な目標、特徴及び利点は、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態の以下の説明に役立つ非限定定な詳細な説明を通してよりよく理解され、図面では、同じ参照符号は同様の要素に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図1A】側面から見るときの第1の実施形態によるハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソーの平面図である。
【
図1B】上から見るときの
図1Aのチェーンソーの平面図である。
【
図2】チェーンスプロケットカバーが取り除かれてトランスミッション配置構成を露出している状態の、
図1A及び
図1Bのチェーンソーの斜視図である。
【
図3A】
図2のファン及びトランスミッション配置構成に接続された
図2のチェーンソーの電気モータの斜視図である。
【
図4】ソーチェーンと、ソーチェーン駆動スプロケットと、
図1Aのチェーンソーのガイドバーとの間の境界領域の拡大図であり、図は、
図3Bの線IV-IVに沿って取った断面に実質的に対応する。
【
図5】
図1Aのチェーンソーの電気モータ及び制御装置の機能ブロックを示す概略的なブロック図である。
【
図6A】
図3A及び
図3Bの電気モータ、ファン、及びトランスミッション配置構成の斜視的な分解図である。
【
図6B】
図3A及び
図3Bの電気モータ、ファン、及びトランスミッション配置構成の、
図4Bの線VI-VIに沿って取られた断面の分解図である。
【
図7A】
図6A及び
図6Bの電気モータ、ファン、及びトランスミッション配置構成の第1の斜視図で見た図である。
【
図7B】
図7Aの電気モータ、ファン、及びトランスミッション配置構成の第2の斜視図で見た図である。
【
図7C】
図7Aに示した軸Aに沿って見た、
図7A及び
図7Bの電気モータ、ファン、及びトランスミッション配置構成の平面図である。
【
図7D】
図7A~Cの電気モータ、ファン、及びトランスミッション配置構成の、
図7Cの線D-Dに沿って取った断面である。
【
図8A】
図4のソーチェーンが妨害されないときのシナリオにおける電気モータの回転速度に応じた、
図3Aの電気モータ及びトランスミッション配置構成のトルク及び回転速度を概略的に示す第1の図である。
【
図8B】
図4のソーチェーンが妨害されるシナリオにおける電気モータの回転速度に応じた、
図3Aの電気モータ及びトランスミッション配置構成のトルク及び回転速度を概略的に示す図である。
【
図9】チェーンスプロケットカバーが取り除かれて、第2の実施形態によるトランスミッション配置構成を露出している状態の、第2の実施形態によるチェーンソーの斜視図である。
【
図10】
図3Aの図に対応する、
図9のファン及びトランスミッション配置構成に接続された
図9のチェーンソーの電気モータの平面図である。
【
図11】
図10のトランスミッション配置構成の斜視図である。
【
図12】第3の実施形態による電気モータ及びトランスミッション配置構成の断面の概略図である。
【
図13】第4の実施形態によるトランスミッション配置構成の概略図である。
【
図14】第5の実施形態によるトランスミッション配置構成の概略図である。
【
図15】
図1A及び
図9のチェーンソーを動作させる第1の方法を示すフローチャートである。
【
図16】
図1A及び
図9のチェーンソーを動作させる第2の方法を示すフローチャートである。
【
図17】
図3Aの図に対応する、第1の実施形態によるトランスミッション配置構成、ファン、及び第1の実施形態によるフライホイールを駆動する電気モータの平面図である。
【
図18A】
図3Aの図に対応する、第1の実施形態による電気モータ及びトランスミッション配置構成、並びに組み合わせられたファンとフライホイールの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
全ての図面は概略図であり、必ずしも縮尺通りではなく、全体的に、実施形態を明らかにするために必要な部分のみを示し、他の部分は省略されているかもしれない。
図1Aは、ハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー10を示す。チェーンソー10は、一対のハンドル14a、14bを備えるチェーンソー本体12を含み、ハンドルによって操作者(図示せず)はチェーンソー10を保持して操作し得る。一対のハンドルは、一般に左手で保持するための前方ハンドル14aと、一般に右手で保持するための後方ハンドル14bとを含む。ソーチェーン16と、長尺状のループにソーチェーン16を案内する長尺状のガイドバー18とを含む切断アセンブリが、チェーンソー本体12の前端部からチェーンソー10の軸線Xに沿って延在し、その軸線Xはガイドバー18の軸線によって規定される。チェーンソーの垂直軸Yは軸線Xに対して垂直であり、ガイドバー18の延長面に対して平行である。チェーンソー10は、さらに、バッテリー収納部20a内に取り外し自在なバッテリー20と、電気モータ22(
図1Aに破線の円によって概略的にのみ示す)と、操作者が電気モータ22を使用してソーチェーン16を選択的に動かすことができるようにする指操作トリガー24とを含む。軸線Xの方向に沿った、トリガー24の最も後方の点24aも
図1に示される。チェーンソーは、さらに、トリガー24からの入力に基づいて電気モータ22を制御するように構成された制御装置23(
図1Aに破線の四角によって概略的にのみ示される)を含む。トリガー24は、後方ハンドル14bの底面から下方に延在し、応答して電気モータ22がソーチェーン16を動かすように動作させる押し下げられた位置(図示せず)と、応答してソーチェーン16が停止される解放位置(図示)との間で可動である。前方ハンドル14aの前にあるハンドガード25が、反動で跳ね返る場合にソーチェーン16を停止するために、機械式ブレーキ配置構成に動作可能に接続される。機械式ブレーキ配置構成は、トリガー24の位置とは無関係に動作する安全特徴である。
【0065】
図1Bは、上から見るときのチェーンソー10を示す。ガイドバー18の平面に平行な平面Pは、トリガー24の最も後方の点24aを含む。平面Pは、チェーンソー10の垂直方向Yに関して、前方ハンドル14aの頂点Bと交差する。再度
図1Aに戻ると、交点Bとトリガーの最も後方の点24aとの間の距離は、約300mmである。
【0066】
図2は、ソーチェーン16(
図1A)がなく、チェーンスプロケットカバー26(
図1A)が取り外されて、チェーンソー本体12へのガイドバー18の取り付け部を、電気モータ22(
図1A)からソーチェーン16(
図1A)へ回転動力を伝えるトランスミッション配置構成28と一緒に露出している、チェーンソー10を示す。
【0067】
図3A及び
図3Bは、電気モータ22及びトランスミッション配置構成28をかなり詳細に示す。トランスミッション配置構成28は、遠心クラッチ34の実施形態に示す例において、とりわけ、モータ回転軸Aの周りで回転するように構成される電気モータ22のアウトプットシャフト30と、ソーチェーンスプロケット32(
図3B)と、スリップクラッチとを含む。遠心クラッチ34は、電気モータ22からの回転動力によって回転し且つアウトプットシャフト30を介してそれを受ける駆動要素36と、回転動力によって回転し且つそれをソーチェーンスプロケット32へ伝える従動部材38とを含む。
図3Bから明らかとし得るように、駆動要素36、従動部材38、及びソーチェーンスプロケット32は全て、モータ回転軸Aの周りで同心円状に回転するように構成される。トランスミッション配置構成28の形態から明らかとし得るように、トランスミッション配置構成28は、電気モータ22とソーチェーンスプロケット32との変速比を1:1にする。
【0068】
トランスミッション配置構成28は、さらに、ハンドガード25によって動作させられるブレーキバンド40bと協働するように構成されたブレーキドラム40と、ソーチェーンオイルポンプ(図示せず)を駆動するためのウォームドライブのウォームネジ42aとを含む。
図3Aの図では、ブレーキバンド40bは、破線で極めて概略的にのみ示される。ウォームネジ42a及びブレーキドラム40aの双方共、ソーチェーンスプロケット32に回転自在に固定されて、遠心クラッチ34の従動部材38と一緒に回転する。ウォームネジ42a及びブレーキドラム40aの双方共、極めて任意選択的であることが明らかである;ソーチェーンオイルが、必要ならば、任意の他の好適な手段によってポンプで送り込まれてもよく、ブレーキバンド40bが、もしあれば、代わりに、遠心クラッチ34の従動部材38の半径方向外側の面とちょうどよく協働し得る。
【0069】
図3Bに示すように、遠心クラッチ34は、電気モータ22に向く基端側34aと、電気モータ22から離れた方を向く先端側34bとを有し、ソーチェーン駆動スプロケット32は、遠心クラッチの基端側34a上で、遠心クラッチ34の従動部材38に固く接続される。この配置構成は、ソーチェーン駆動スプロケット32を、平面P(
図1B)によって規定されたチェーンソー10の横方向の中心の比較的近くに位置決めする。
【0070】
トランスミッション配置構成28は、電気モータ22の回転軸Aに対して、電気モータ22の第1の軸方向側44a(
図3B)に位置決めされる。冷却ファン46が、第1の軸方向側44aとは反対側の電気モータ22の第2の軸方向側44b(
図3B)で、アウトプットシャフト30に固く接続される。それにより、冷却ファン46は、電気モータ22及び遠心クラッチ34の駆動要素側と常に一緒に運転するように結合される。冷却ファン46は軸流ファンとして構成され、電気モータ22を越えるように冷却用空気を吹き込んでそれを冷却するように構成された1組の羽根50を備えるファンロータ48を含む。チェーンソー本体12(
図1A)の内部構造はファンハウジング(図示せず)を規定し、それは、電気モータ22、制御装置23、及び/又はバッテリー20上に空気の流れを方向付けるような形状にされる。冷却ファン46は、好ましくはプラスチックなどの軽量な材料で作製される。
【0071】
図4は、
図3Bの線IV-IVに沿って取った断面で、ソーチェーンスプロケット32、短いソーチェーン16セクション、及びガイドバー18の基端部を概略的に示す。ソーチェーンスプロケット32は、トランスミッション配置構成28(
図3A及び
図3B)を介してモータ22(
図1A)によって回転されて、ソーチェーン16と駆動係合して、ソーチェーン16をガイドバー18に沿って動かす。それ自体公知であるように、ソーチェーン16は、ソーチェーンスプロケット32の駆動歯32aとかみ合う駆動リンク16aと、カッターリンク16bと、駆動リンク16aをつなぎ合わせるタイストラップ16cとを含む。
【0072】
図5は、電気モータ22の機能要素、及び電気モータ22を制御するための制御装置23の機能ブロックを概略的に示す。電気モータ22は、ステータ52と、ステータ52の半径方向内側に、ステータ52と同心のロータ54とを含む。代わりに、電気モータは、異なるタイプ、例えばアウトランナー(図示せず)としてもよい。図示の例において、電気モータ22は、ブラシレスDC(BLDC)モータ又は永久磁石ロータを有する永久磁石同期モータ(PMSM)である。ステータ52は、一般に、通常3相巻線52a、52b、52cを備える多相ステータとし得る。巻線52a~cは、磁界方向制御(FOC)方式を使用するインバータ23aによって制御される。インバータ23aは、バッテリー20から出力を受け取って、パルス幅変調方式に従ってモータ巻線52a~cへ電力を供給する。昇圧コンバータがインバータ23aに含まれて、巻線52a~cに印加される電圧を上昇させてもよい。FOCを用いるために、巻線52a~cに印加される個々の電流が測定されてもよく、コンバータは、それらの電流を、クラーク(Clarke)/パーク(Park)変換ユニット23bによって、ロータ54の瞬間磁界に対してそれぞれ平行な電流(直流電流)及び垂直な電流(直角位相(quadrature)電流)に関連する直流電流及び直角位相電流に変換してもよい。それらの変換された電流は制御論理23cへ供給され、ロータ54の向きを推定するオプションの角度位置センサー56からのセンサー出力も制御論理23cへ供給され得る。制御論理23cは、一般的に、例えばPI(比例、積分)制御方式に基づいて制御オペレーションを実行して、ロータトルクに寄与しない平行な電流成分を最小限にし、且つトリガー24(
図1A)からの入力に基づいて得られた入力所望トルク値に基づいて、トルクを発生させる所望の垂直な成分を得る。このようにして、制御論理23cは直流電圧及び直角電圧を生じ、これらは、逆クラーク/パーク及び空間ベクトル変調(SVM)の変調ユニット23dを使用してインバータ制御用の所望のインバータデューティサイクル値へ変換され、対応する巻線電圧を生み出す。それにより、制御装置23は、電気モータ22の回転速度とは無関係に、電気モータ22の出力トルクの精密制御を可能にする。制御装置23は、約4000~7000rpmの回転速度において、アウトプットシャフト30(
図3A)において例えば2Nm~4.5Nmの最大トルクTmを電気モータがもたらすことができるように構成され得る。さらに、制御装置23は、電気モータ22がアウトプットシャフト30において1.8kW~4.5kWの例示的な最大電力Eをもたらすことができるように構成され得る。温度センサー57が電気モータ22の温度を制御装置23へ通信し、それにより、制御装置23が、電気モータ22が過熱リスクを冒しているかどうか検出できるようにする。また、制御装置23は個別の温度センサー23gを含み、これにより、制御装置23自体の過熱の検出を可能にする。制御装置23はまた、例えばトリガー24が操作者によって解放されるときにモータロータへ制動力を選択的に加えるように、制御論理23cによって制御される誘導ブレーキ23eを含む。誘導ブレーキ23eは、例えばステータコイル52a~cによって発生した磁界の極性を逆にすることによって、又は電気モータ巻線52a~cの短絡によって、ロータ54へ制動力を加え得る。制御装置23は、さらに、外部ユーザインターフェース27、例えばスマートフォンと通信するための無線接続インターフェース23fを含む。それにより、制御装置23は、外部ユーザインターフェースを介して操作者(図示せず)から設定及び/又はコマンドを受信し得る、及び/又は外部ユーザインターフェース27を介して操作者へアラートを送信し得る。ユーザインターフェースがチェーンソー本体12に直接設けられてもよいことは明らかである。
【0073】
図6Aは、電気モータ22、ファン46、及びトランスミッション配置構成28の斜視的な分解図である一方、
図6Bは、同じアイテムを、モータ回転軸Aに沿った断面で示す。アウトプットシャフト30は、遠心クラッチ34の駆動要素36と係合するための第1の端部接続インターフェース31aを備える第1のアキシャル端部30aを有する。第1の端部接続インターフェース31aは、アウトプットシャフト30を駆動要素36に回転式にロックするためのキー付きインターフェース(図示せず)として構成される;例えば、第1の端部接続インターフェース31aは、D字形状のキーとして構成され得る。駆動要素36は、例えばアウトプットシャフト30の第1のアキシャル端部30aにあるネジ穴と係合するネジ(図示せず)によって、軸方向に適所に保持され得る。第1のアキシャル端部30aとは反対側のその第2のアキシャル端部30bにおいて、アウトプットシャフト30は、冷却ファン46と係合するための第2の端部接続インターフェース31bを有する。ここでも、第2の端部接続インターフェース31bは、アウトプットシャフト30を冷却ファン46に回転式にロックするためのキー付きインターフェースとして構成される。冷却ファン46は、例えばアウトプットシャフト30の第2のアキシャル端部30bにあるネジ穴と係合するネジ(図示せず)によって、軸方向に適所に保持され得る。第2の端部接続インターフェース31bに隣接して、アウトプットシャフト30は、ロータ54と係合するための中間接続インターフェース31cを有する。ここでも、中間接続インターフェース31cは、アウトプットシャフト30をロータ54に回転式にロックするためのキー付きインターフェースとして構成される;図示の例において、キー付きインターフェースはキー溝によって規定される。中間接続インターフェース31cと第1の端部接続インターフェース31aとの間に、アウトプットシャフト30は円柱セクション31dを有し、この円柱セクションは軸受面を規定し、例えば針状ころ軸受として構成される軸受58を半径方向に支えるように構成される。明瞭にするために別々の構成要素として示されているものの、ソーチェーンスプロケット32はクラッチ34の従動部材38に溶接されていてもよい。組み立てられた状態にあるとき、ウォームネジ42a、クラッチドラム40及びソーチェーンスプロケット32は、
図6Bの図に示すそれらの個々の形状から明らかであるように、互いに軸方向に部分的に挿入されて、回転式に連動させるように互いに固定される。それにより、ウォームネジ42a、クラッチドラム40、ソーチェーンスプロケット32、及び遠心クラッチ34の従動部材38は、回転剛体ユニット60を規定し、これは、アウトプットシャフト30に対する回転を可能にするように、軸受58上に半径方向に支えられる。
【0074】
組み立てられた状態にあるとき、ステータ52はモータハウジング62aに収納され、これはハウジングカバー62bによって覆われ、アウトプットシャフト30は、モータハウジング62a及びハウジングカバー62bにそれぞれ配置された軸受64a、64bのジャーナルにある。
図6Aの図はまた、ロータ54の周辺に分配された永久磁石54aを、ステータ52の巻線52aと一緒に明確に示す。
図6Bに示すように、アウトプットシャフト30は、第1のアキシャル端部30aと円柱セクション31dとの間に潤滑通路66が設けられており、軸受58を滑りやすくすることができる。
【0075】
図7A~7Dは、トランスミッション配置構成28をかなり詳細に示す。遠心クラッチ34の従動部材38は、円柱内側クラッチ係合面38aを有するクラッチドラムとして構成される。遠心クラッチには、クラッチ係合面38aの他の形状、例えば円錐台状も好適とし得ることが理解される。
【0076】
駆動要素36は、一対のコイルばね70a、70bによって結び付けられた一対の摩擦シュー68a、68bを含む。摩擦シュー68a、68bは、回転軸Aに対して半径方向に案内するように可動であるように、摩擦シューガイド72によって軸方向に適所に保持される。摩擦シューガイド72は、回転固定式にアウトプットシャフト30に取り付けられる。駆動要素36の回転に応答して、摩擦シュー68a、68bは、クラッチドラム38のクラッチ係合面38aに向かう半径方向の係合方向に、摩擦シュー68a、68bの質量への遠心効果によって、コイルばねの付勢に抗して、半径方向外向きに押圧される。それにより、遠心クラッチ34が慣性によって作動され、摩擦シュー68a、68bの慣性は、回転速度の変化に応答して遠心クラッチ34を作動させる。
【0077】
クラッチドラム38の係合面38aの直径は約70mmである。各摩擦シュー68a、68bの個々の重量は約40gであり、各ばねのコイルばね70a、70bの個々のばね定数は約40N/mである。それにより、遠心クラッチ34は、約2Nmのスリップ限界速度でトルクを伝達できる。
【0078】
例では2つの摩擦シュー68a、68b及び2つのコイルばね70a、70bを示しているものの、他の数の摩擦シュー及びばねが使用されてもよいことが明らかである。さらに、また、摩擦シュー68a、68bを半径方向内向きに付勢するためにコイルばね以外の弾性要素が使用されてもよい。実際、本開示の目的のために、クラッチをロックアップ状態とスリップ可能な係合状態との間で動かすことができるようにするのにコイルばね70a、70bが必須ではないため、摩擦シュー78a、78bを半径方向内向きに付勢するコイルばね70a、70b又は任意の他の弾性要素はオプションとし得る。遠心クラッチ34はスリップクラッチとして動作する、すなわち、場合によっては、駆動要素36と従動部材38との間のスリップを可能にする。スリップ能力のおかげで、電気モータ22は、ソーチェーン16(
図1A)が動けなくなった場合でもその動作を継続し得る。これは、本明細書で明らかにするように、いくつかの利益をもたらす。
【0079】
ここで、
図7Cを参照して説明すると、ロータ52(破線の円によって概略的に示される)はロータ外径D1を有し、アウトプットシャフト30は、軸受58の軸方向位置に、軸径D2を有する。スリップクラッチ34と組み合わせられるとき、ロータ直径D1と軸径D2との例示的な好適な比D1/D2は、2.5~4.8である;図示の例において、それは約4である。クラッチドラム38の係合面38aはクラッチ係合面直径D3を有し、ロータ直径D1とクラッチ係合面直径D3との例示的な好適な比D1/D3は、0.50~1.2である;図示の例において、それは約0.75である。図示のアウトプットシャフト30は、軸受58の軸方向位置において、約12mmの直径D2を有する。例えば
図3Bから明らかとし得るように、冷却ファン46には、モータハウジング62aの直径を上回る外径を有し、これは、遠心クラッチ34への冷却用空気の流れを改善する。
【0080】
図7Dの断面は、とりわけ、ウォームドライブ42、及びウォームネジ42aとウォームネジ42aによって駆動されるウォームホイール42bとの間のかみ合い係合を示す。
図8A及び
図8Bの概略図は、電気モータ22(
図3A)の回転速度ω
mに応じた遠心クラッチ34(
図3A)の例示的な一般的なふるまいを示す。駆動要素36の回転速度ω
C1は、電気モータ22の回転速度ω
mに従う一方で、従動部材38の回転速度ω
C2は、クラッチ34(
図3A)の状態及びソーチェーン16(
図1A)に対する負荷次第である。電気モータ22が始動するとき、低回転速度において、遠心クラッチ34は係合解除状態にある、すなわち摩擦シュー68a、68bがクラッチドラム38と係合していない状態で、自由に運転する。係合速度ω
Eに達すると、摩擦シュー68a、68b(
図7A)はクラッチドラム38のクラッチ係合面38a(
図7A)と係合し、それに対してスリップし始める。速度ω
C1が増すと、遠心クラッチ34のスリップトルクT
s、すなわち従動部材38に対して駆動要素36をスリップさせるために必要なトルクも、増す。
【0081】
ここで、2つの異なるシナリオが考慮され得る。どちらのシナリオにおいても、電気モータは、長期の動作に好適なその最大トルクT
mで動作されると考えられる。
図8Aに示す第1のシナリオでは、ソーチェーン16(
図1A)は、ガイドバー18(
図1A)に沿って自由に運転し、従動部材38の速度ω
C2はすぐに駆動要素36の速度ω
C1に達する、すなわちスリップを終わらせる。
【0082】
図8Bに示す第2のシナリオでは、ソーチェーン16(
図1A)は、例えば切り口に挟まれ得るか、又はそうでなければガイドバー18(
図1A)に沿って運転するのを妨げられ得る。このシナリオでは、従動部材38の速度ω
C2は、ソーチェーン16を動かすために必要なトルクが電気モータ22のトルクT
mを上回る限り、ゼロのままとなる。駆動要素36の回転速度ω
C1、並びに電気モータ22の回転速度ω
mは、遠心クラッチ34のスリップトルクT
sがモータトルクT
mと等しいスリップ限界速度ω
Lよりも高速になることはできない。
【0083】
そのため、第1の無負荷シナリオから第2の負荷シナリオへ進めて考慮すると:電気モータ22がスリップ限界速度ωL超の回転速度ωmで動作され、及びソーチェーン16が曝される負荷が徐々に増加する(この負荷はモータトルクTmを上回るように増加する)場合、駆動部材及び従動部材36、38は互いにロックされたままとなり、それらの個々の回転速度ωC1、ωC2は、互いにスリップ限界速度ωLまで下がるように辿り、その速度では、従動部材38は急激に完全に停止する一方で、駆動要素36はスリップ限界速度ωLに留まる。
【0084】
係合速度ωE及びスリップ限界速度ωLでの例示的な値は、例えば、ωE=約5000rpm及びωL=約6500rpmとし得る。完全にするために、クラッチスリップの摩擦ヒステリシスに起因して、スリップ限界速度ωLは、スリップ限界値が従動部材36のより高い回転速度又はより低い回転速度ωC1から接近されるかどうか次第で、ある程度異なってもよい;簡単にするために、この影響は本明細書では無視される。
【0085】
0~ω
Eの電気モータ22の回転速度範囲では、遠心クラッチは係合解除状態にあり、電気モータ22は、ソーチェーン16を動かすことなく、動作する。係合解除状態は、種々の目的のために、ソーチェーン16を動かすことなく、電気モータ22を使用できる。例えば、電気モータ22は、トリガー24(
図1A)を介して操作者によって又は制御装置23(
図1A)によって自動的にのいずれかで、係合速度ω
Eを下回る速度で動作して、骨の折れる切断の実施後にエンジンを冷却し得る。
【0086】
ωE~ωLの電気モータ22の回転速度範囲では、遠心クラッチはスリップ可能状態にあり、ここでは、過重負荷が遠心クラッチ34のスリップを引き起こすか又は増やす。換言すると、スリップ可能状態にあるとき、遠心クラッチ34はまた、スリップ状態であるとみなし得る、すなわちスリップし始める。また、スリップ可能状態は、電気モータ22の新しい特徴及び機能を可能にする。例えば、操作者が、切断されるべき材料にソーチェーン16を強く押し付けすぎると、スリップは可聴合図を発生させ、これは、操作者にスリップ状態であると注意喚起し得るため、操作者は圧力を低下させ得る。
【0087】
ωL超の電気モータ22の回転速度範囲では、遠心クラッチ34はロックアップ状態にあり、ここでは、過重負荷は、スリップせずに、電気モータ22の速度ωmの低下を生じ得る。
【0088】
遠心クラッチの状態は、制御装置23の制御論理23cにおいて実行され得る種々の制御方法を可能とする。マイクロコントローラに実装され得る制御論理23cは、種々の制御方法を実行するためのプロセッサー及びメモリを含む。制御装置23はまた、スリップ状態、すなわちクラッチ34の実際の状態又は少なくとも疑わしいスリップを自動的に検出するように構成され得る。これは、例えば、制限時間を上回る期間のスリップ限界速度ω
Lでの動作を検出することによって、設定速度ω
sに到達しようとするときに、電気モータ22がスリップ限界速度ω
Lを上回ることができないことを検出することによって、又はモータ速度ω
mと、従動部材38におけるω
C2を検出する別々の回転センサー(図示せず)から受信するような従動部材38の回転速度ω
C2を比較することによって、行われてもよい。例えば、制御装置23(
図5)は、電気モータ22の回転速度ω
mが制限速度、例えば係合速度ω
Eや別に定義された電気ブレーキ解放速度ω
Rを下回るとき、誘導ブレーキ23e(
図5)を解放するように構成され得る。
【0089】
図9は、第2の実施形態によるハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー110を示す。チェーンソー110は、ここでもそのチェーンスプロケットカバー26(
図1A)が取り外された状態で示されており、
図9のチェーンソー110が、第1の実施形態のチェーンソー10を参照して説明したトランスミッション配置構成28に置き換わって第2の実施形態によるトランスミッション配置構成128を含むことを除いて、第1の実施形態(
図1A)のチェーンソー10と同一である。また、
図9のトランスミッション配置構成128は、スリップタイプの遠心クラッチ34を含む。
【0090】
図10は、
図3Bに対応する図において、
図9の電気モータ22及びトランスミッション配置構成128をかなり詳細に示す一方で、
図11の分解図は、
図10のトランスミッション配置構成128をさらにかなり詳細に示す。
図10のトランスミッション配置構成128は、別個のブレーキドラム40(
図3A)を備えていない。その代わりに、クラッチドラム38はブレーキドラム40aとしても動作し、ハンドガード25(
図9)によって動作されるブレーキバンド(図示せず)は、クラッチドラム38の外部マントル面と係合する。例えば
図3Bに示す実施形態とは異なり、ソーチェーン駆動スプロケット32は、遠心クラッチ34の先端側34bでクラッチドラム38に固く接続される。クラッチドラム38は、その代わりに、クラッチ34の基端側34aの方へ向かって開口して、基端側34aから駆動要素36を受け入れる。第1の実施形態28と同様に、駆動要素36は、1組の摩擦シュー68a、68bと、例えばキー溝31aを介してモータ22のアウトプットシャフト30によって駆動される摩擦シューガイド72とを含む。
図10の図では、駆動要素36の位置は、破線によって概略的に示される。ソーチェーンオイルポンプを駆動するためのクラッチドラム38及びウォームネジ42aは、アウトプットシャフト30のジャーナルに回転式に装着されるため、駆動要素36とは無関係に回転を可能にする。ウォームネジ42aに取り付けられた金属線ばね43a(
図10)が、クラッチドラム38にある切欠部43b(
図11)と係合して、ウォームネジ42aがクラッチドラム38と一緒に回転するようにする。ソーチェーン駆動スプロケット32及びクラッチドラム38は、ネジの頭33(
図10)によってモータ22のアウトプットシャフト30に対して軸方向に保持され、それにより、アウトプットシャフト30と係合する。
【0091】
図12は、電気モータ22及び第3の実施形態によるトランスミッション配置構成228を概略的に示す。トランスミッション配置構成228は、チェーンソー10(
図1A)において、上述のトランスミッション配置構成28、128と置き換わる。第3の実施形態によるトランスミッション配置構成228は電磁クラッチ234を含み、その回転軸は電気モータ22の回転軸Aと同心である。電磁クラッチ234は、クラッチロータ板236として構成された駆動要素と、アーマチュア板238として構成された従動部材と、制御装置23(
図1A)の制御論理23c(
図5)によって制御される界磁コイル241とを含む。制御装置23は、界磁コイル241に電流を発生させることによりクラッチ234を選択的に作動させ、それによりクラッチロータ板236を磁化するように構成される。界磁コイル241によって発生した磁界は、モータ回転軸Aに沿ってアーマチュア板238を引き付け、それにより、アーマチュア238をロータ板236と接触させる。界磁コイル241に発生した電流次第で、クラッチ234は、クラッチロータ板236がソーチェーン16(
図1A)を動かすことなく自由に回転できる係合解除状態となっても、及びソーチェーン16を動かすようにトルクが伝達される係合状態となってもよい。係合状態にあるとき、クラッチ234は、クラッチロータ板236がアーマチュア板238に対してスリップし得るスリップ可能状態にあっても、及びクラッチ234がスリップせずにソーチェーン16を駆動するように構成されるロックアップ状態にあってもよい。それにより、制御装置23は、上述の状態のいずれかにクラッチを選択的に設定し得る。界磁コイル241への制御装置23の制御信号は、制御装置23に、クラッチ234が係合されているか又は係合解除されているかに関する先験的な知識を提供することが明らかである。代わりに、クラッチ状態センサー74は、例えばアーマチュア板238の軸方向位置を検出し、それにより、制御装置が、クラッチが係合されているか又は係合解除されているかを検出できるようにすることによって、クラッチ234の状態を直接検出し得る。回転センサー76はアーマチュア板238の回転速度ω
C2を検出する。アーマチュア板238の回転速度ω
C2と電気モータ22の回転速度ω
mを比較することによって、制御装置23は、クラッチがスリップ状態にあるかどうかを決定できる;それにより、回転センサー76はスリップ検出器として動作する。いくつかの実施形態によれば、制御装置は、クラッチ234を電気モータ22(
図1A)の回転速度ω
mに基づくクラッチ状態間で移行させるように構成され得る。それにより、
図12の電磁クラッチ234は、例えば
図6Aの遠心クラッチ34と同様の方法で動作するように設定され得る。クラッチ状態間で移行するための係合速度ω
E及びスリップ限界速度ω
Lは、オプションとして、操作者によってユーザインターフェース27を介して設定され得る。実際、速度ω
mが加速するか又は減速するか次第で、異なる制限速度が設定され得る。例えば、制御装置は、係合速度ω
Eにおいて、クラッチ234を係合解除状態から係合状態へ移行させ、及び係合速度ω
Eとは異なり得る係合解除速度ω
Dにおいてクラッチ234を係合状態から係合解除状態へ移行させるように構成され得る。制御装置23(
図5)は、さらに、電磁クラッチ234が係合解除状態にあるときはいつでも、誘導ブレーキ23e(
図5)を解放するように構成され得る。
【0092】
図13は、第4の実施形態によるトランスミッション配置構成328を概略的に示す。トランスミッション配置構成328は、チェーンソー10(
図1A)において、上述したトランスミッション配置構成28、128、228に置き換わり得る。第4の実施形態によるトランスミッション配置構成328は、ベルトクラッチ334として構成された電気機械式クラッチを含む。ベルトクラッチ334は、ドライブシャフト30に取り付けられて電気モータ22からの回転動力(
図1A)を受ける駆動プーリ336として構成された駆動要素と、ソーチェーン駆動スプロケット32に取り付けられる従動プーリ338として構成された従動部材とを含む。図示の実施形態において、駆動要素336及び従動部材338は、平行な回転軸の周りで回転し得るが、回転軸は同心ではない。駆動プーリ336及び従動プーリ338は駆動ベルト337によって接続され、その張力が、遊動輪339の位置を調整することによって制御され得る。駆動ベルト337の張力次第で、クラッチ334は、駆動プーリ336がソーチェーン16(
図1A)を動かすことなく自由に回転できる係合解除状態になっても、ソーチェーン16を動かすようにトルクが伝達される係合状態になってもよい。係合状態にあるとき、クラッチ334は、駆動プーリ336が従動プーリ338に対してスリップし得るスリップ可能状態にあっても、クラッチ334がスリップせずにソーチェーン16(
図1A)を駆動するように構成されるロックアップ状態にあってもよい。遊動輪339は、制御装置23(
図1A)の制御論理23cによって生成された制御信号に応えてクラッチアクチュエータ341によって動かされる。それにより、制御装置は、上述の状態のいずれかにクラッチを選択的に設定し得る。
【0093】
図14は、第5の実施形態によるさらに別のトランスミッション配置構成428を概略的に示し、これは、上述したトランスミッション配置構成28、128、228、328に置き換わり得る。第5の実施形態によるトランスミッション配置構成428は、ドライブシャフト30に取り付けられた駆動輪436と、ソーチェーン駆動スプロケット32に取り付けられた従動輪438とを含む。電気機械式クラッチ434が、駆動輪436と従動輪438との間の、選択的に係合自在な遊動輪439として構成される。ここでも、遊動輪439は、制御装置23(
図1A)の制御論理23cによって生成された制御信号に応答して、クラッチアクチュエータ341によって動かされ、それにより、制御装置23がクラッチ434を上述の状態のいずれかに設定できるようにする。
【0094】
図15は、ソーチェーン16を選択的に駆動するための電気モータ22の第1の制御方法を示す。
第1の方法ステップ1001では、制御装置は、クラッチ34、234、334、434の状態を決定する。クラッチの状態は、例えば回転速度作動クラッチの場合には電気モータ22の回転速度を決定することによって、電磁若しくは電気機械式クラッチの場合にはクラッチの設定状態を決定することによって、又は上述したように実際のスリップ状態を検出することによって、決定され得る。
【0095】
第2の方法ステップ1002では、制御装置23は、決定されたクラッチ状態に基づいて、電気モータのトルクTm及び/又は回転速度ωmを調整し、及び/又はチェーンソーの操作者にアラートを生成する。
【0096】
一実施形態によれば、ステップ1001は、例えば、クラッチ34、234、334、434がスリップ状態にあるか又は制限時間を上回る期間スリップ状態になっていることを決定することを含み得る。ステップ1002は、例えば点灯することによって、警報を発することによって、又は例えば電気モータ22の回転速度ωm及び/又はトルクTmを変えることにより予め決定されたパターンに従って電気モータ22を動作させることによって、例えば操作者にアラートを生成することを含み得る。電気モータ22の回転速度ωm及び/又はトルクTmは、例えば可聴式又は触覚的に知覚できる周波数のパルス周波数によってパルスにされ得る。遠心クラッチ34の場合、スリップ限界速度ωm近くでトルクTmをパルスにすることは、動けなくなったソーチェーンを再度動かすのに寄与し得る。
【0097】
別の実施形態によれば、ステップ1001は、ここでも、例えば、クラッチ34、234、334、434がスリップ状態にあるか又は制限時間を上回る期間スリップ状態になっていることを決定することを含み得る。ステップ1002は、例えば、電気モータ22のトルクT
mを、電気モータの連続操作に許される最大トルクT
maxを上回る超過トルクT
+まで一時的に増すことを含み得る。それにより、一時的に増したトルクT
+が、動けなくなったソーチェーン16(
図1A)を動かすことができるかもしれない。
【0098】
さらに別の実施形態によれば、ステップ1001は、ここでも、例えば、クラッチ34、234、334、434がスリップ状態にあるか又は制限時間を上回る期間スリップ状態になっていることを決定することを含み得る。ステップ1002は、電気モータ22のモータトルクT
m及び/又は回転速度ω
mを下げることを含み得る。回転速度作動クラッチ、例えば遠心クラッチ34(
図3A)の場合、例えば、制御装置23は、トリガー24(
図1A)からのいずれの入力も無視され、及び回転速度ω
mをクラッチ34の係合速度ω
E未満に自動的に下げ得る。制御装置は、操作者が最初にトリガー24を解放し、その後それを再度押すまで、回転速度ω
mを係合速度ω
E超にこれ以上上げてしまうのを可能にするのを控えるように構成され得る。
【0099】
さらに別の実施形態によれば、ステップ1001は、ここでも、例えば、クラッチ34、234、334、434がスリップ状態にあるか又は制限時間を上回る期間スリップ状態になっていることを決定することを含み得る。ステップ1002は、第1に、トリガーが十分に押し下げられたままである場合、限られた時間中に電気モータ22の回転速度ω
m及び/又はトルクT
mを変え、その後、トリガー24からのいずれの入力も無視し、且つ例えば遠心クラッチ34(
図3A)の場合には回転速度ω
mを電気モータ22の係合速度ω
E未満に下げることによって、クラッチ34、234、334、434を自動的に係合解除することを含み得る。
【0100】
さらに別の実施形態によれば、ステップ1001は、例えば、クラッチ34、234、334、434が係合解除状態にあることを決定することを含み得る。ステップ1002は、冷却ファン46を動作させるのに好適な予め決定された回転速度で電気モータ22を動作させること、及び/又はロータ巻線52a~cへの電流を減らすことによってモータトルクTmを下げて、ファン46を動作させながら低電力消費をもたらすことを含み得る。
【0101】
図16は、ソーチェーン16を選択的に駆動するための、電気モータ22の第2の制御方法を示す。
ステップ2001において、制御装置は、トリガー24(
図1A)が十分な解放位置にあることを検出してから、電気モータ22を動作させ、それによりファン46(
図3A)を動作させる。
【0102】
ステップ2002において、トリガー24の押し下げが制御装置23(
図5)によって検出され、それに応答して、制御装置23はクラッチ34、234、334、434を係合し、それによりソーチェーン16(
図1A)を動かして、ソーチェーンオイルポンプを動作させる。
【0103】
ステップ2003において、トリガー24の完全な解放が制御装置23によって検出され、それに応答して、制御装置はクラッチ34、234、334、434を係合解除し、それによりソーチェーン16を動かなくする。
【0104】
ステップ2004において、制御装置は、トリガー24の完全な解放後の電気モータ22の動作、クラッチ34、234、334、434の係合解除を維持し、それによりファン46の動作を維持する。
【0105】
一実施形態によれば、ステップ2001及び/又はステップ2004において、制御装置23は、温度センサー、例えばモータ温度センサー57又は制御装置温度センサー23gからの温度示度が限界温度を上回るさらなる条件に基づいて、電気モータ22を動作させるように構成され得る。制御装置23はまた、又は代わりに、予め決定された時間、例えば30秒間、電気モータ22の動作を維持するように構成され得、電気モータが切断後に冷たくなることができるようにする。その代わりに又はそれに加えて、制御装置23は、機械式ブレーキ配置構成40a、40b(
図3A)の状態に基づいて、例えば機械式ブレーキ配置構成40a、40bが係合されているさらなる条件に基づいて、電気モータ22を動作させるように構成され得る。
【0106】
回転速度作動クラッチ、例えば遠心クラッチ34(
図3A)の場合、ステップ2002において、制御装置は、電気モータ22の回転速度ω
mを遠心クラッチ34の係合速度ω
E超に上げることによって、クラッチ34に係合し得る。ステップ2001及び/又は2004において、制御装置23は、例えば約4000rpmとし得るアイドル速度ω
i(
図8A)で電気モータ22を動作させるように構成され得る。
【0107】
ステップ2001に先行するオプションのステップ2000において、制御装置23は、例えばオン/オフスイッチ(図示せず)を介してチェーンソー10のスイッチをオンにされることに応答して、及び/又は例えば加速度計(図示せず)によって示されるようにチェーンソー10が持ち上げられたことの検出に応答して、及び/又は例えばハンドル14a、14bにある容量センサー(図示せず)によって示されるように一方の若しくは両ハンドル14a、14bが操作者によって握られたことの検出に応答して、スリップクラッチに係合せずに、電気モータ22の動作を自動的に開始し得る。
【0108】
図17は、第6の実施形態によるさらに別のトランスミッション配置構成528を概略的に示し、これは、
図1Aのハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー10又は110において、上述のトランスミッション配置構成28、128、228、328、428に置き換わり得る。第6の実施形態によるトランスミッション配置構成528は、クラッチを含まない点で、
図11のトランスミッション配置構成128とは異なる。その代わりに、ブレーキドラム40a、ウォームネジ42a、及びソーチェーン駆動スプロケット32が結合されて、電気モータ22と常に一緒に回転する。ソーチェーン駆動スプロケット32、ブレーキドラム40a、及びウォームネジ42aは全て、アウトプットシャフト30(
図11)のキー溝と係合して、ネジ33及びワッシャーによって軸方向に適所に保持される。さらに、図示の実施形態において、電気モータ22はまたフライホイール90を駆動する。フライホイール90は、電気モータ22の回転軸Aと一致するフライホイール回転軸の周りで電気モータ22のロータ54(
図6A)と一緒に回転するように結合される。それにより、フライホイール90は、電気モータ22から角運動量を受けて蓄え、これは、切断されるべき材料と係合するときに、ソーチェーン16(
図1)の速度を維持することに寄与する。フライホイール90は、ファン46の先端側44cで、すなわち電気モータ22から離れた方を向くファン46の側でアウトプットシャフト30に取り付けられる。フライホイール90とファン46との間には軸方向ギャップが設けられ、これは、フライホイール90がファン46中への空気の流れを妨げるいずれの傾向も低下させる。代替的な実施形態(図示せず)によれば、フライホイール90は、ファン46の基端側に、すなわち電気モータ22を向くファン46の側に設けられる。そのような形態は、フライホイール90の質量及び慣性モーメントをチェーンソー10(
図1)の横方向の中心の近くへ動かし、これにより、チェーンソー10の機敏性を改善する、すなわち操作者が作業中にチェーンソー10を動かすのを簡単にする。フライホイール90の重量は約125gであり、外径は約90mmである。特に、フライホイール90は、スポーク(図示せず)を介してアウトプットシャフト30に吊るされる鋼の慣性リングとして構成されて、フライホイール90の重量が、回転軸Aに対して、フライホイール90の半径方向に最も外側の部分に集中するようにする。スポークはまた、軸方向の空気の流れがファン46に入ることを可能にする。
図17の実施形態において、ロータ54(
図6A)と、ロータ54によって回転される全構成要素(すなわちシャフト30、ファン46、ブレーキドラム40a、ウォームネジ42a、ソーチェーン駆動スプロケット32及びフライホイール90を含む)との慣性のモーメントの合計Jは、約2.4*10
-4kgm
2である。フライホイール90は、この慣性モーメントの合計の約60%に相当する、すなわち約1.4*10
-4kgm
2である。ロータ54と、ロータ54によって回転される全構成要素との全質量Mは、約440gであり、これにより、質量Mと慣性モーメントJとの商J/Mが約5.5m
2となる。J/Mの大きい商は、チェーンソー10の慣性エネルギー貯蔵の高重量効率を示す。
【0109】
図18A及び
図18Bは、第2の実施形態によるフライホイール190を示し、ここで、フライホイール190は、クラッチ34を含む
図3A及び
図3Bに示すような第1の実施形態のトランスミッション配置構成28に接続される。
図18Bは、電気モータ22の回転軸Aに沿って見るようなフライホイール190を示す。
図18A及び
図18Bのフライホイール190は、ファン46の羽根50に直接取り付けられた慣性リング190aを含む。それにより、ファン46の羽根50はまた、スポークとして動作し、回転軸Aからある半径方向距離に慣性リング190の質量を保持する。羽根50は、比較的軽量な材料、例えばアルミニウムやプラスチックで作製され得る一方で、慣性リングは、比較的重い材料、例えば鋼や銅で作製され得る。
図18Aから明らかであるように、慣性リング190aは、フライホイール190の総半径の100%に延在する、すなわちフライホイール190の半径方向に最も外側のリムを規定する。
図18A及び
図18Bは、組み合わせられたファン46とフライホイール190を示すが、トランスミッション配置構成の自重を過度に増すことなくトランスミッション配置構成の慣性モーメントを増加するために、トランスミッション配置構成28の他の回転構成要素の半径方向に最も外側の部分にも重量が追加され得ることが明らかである。
【0110】
図19は、CD(コンパクトディスク)99として供されるコンピュータ可読記憶媒体を示す。CD99は、プログラムがプロセッサーで実行されると、上記で定義した方法のいずれかを実行する命令を含むコンピュータプログラム製品が記憶されている。
【0111】
本発明は、主に、いくつかの実施形態を参照して上記で説明されてきた。しかしながら、当業者には容易に理解されるように、添付の特許請求の範囲で定義されるように、上記で開示したもの以外の実施形態が、本発明の範囲内で等しく可能である。
【0112】
例えば、本発明は、後部ハンドルタイプのチェーンソーを参照して説明されてきた。しかしながら、本明細書の教示は、上部ハンドルタイプのチェーンソーに等しく応用可能であることが理解される。
【0113】
特許請求の範囲では、語「含む(comprising)」は、他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除外しない。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気モータ(22)と、
前記電気モータ(22)に結合されたトランスミッション配置構成(28;128;228;328;428)であって、前記電気モータ(22)は、前記トランスミッション配置構成(28;128;228;328;428)を介してソーチェーン(16)を駆動するように構成される、トランスミッション配置構成(28;128;228;328;428)と、
を含む、ハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)において、
前記トランスミッション配置構成(28;128;228;328;428)は、前記電気モータ(22)から回転動力を受けるように構成された駆動要素(36;236;336;436)と、前記ソーチェーン(16)へ回転動力を伝えるように構成された従動部材(38;238;338;438)とを含むスリップクラッチ(34;234;334;434)を含み、前記スリップクラッチ(34;234;334;434)は、前記駆動要素(36;236;336;436)と前記従動部材(38;238;338;438)との間の係合におけるスリップを可能にすることによって、前記ソーチェーン(16)から前記電気モータ(22)を少なくとも部分的に係合解除するように構成されることを特徴とする、ハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項2】
前記トランスミッション配置構成(28;128;228)は、前記電気モータ(22)と、前記ソーチェーン(16)とかみ合うソーチェーンスプロケットとの変速比を1:1にするように構成される、請求項1に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項3】
前記スリップクラッチは、スリップしている間に、2Nm~4.5Nmのスリップトルクを伝達するように構成される、請求項1又は2に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項4】
前記スリップクラッチ(34;234;334;434)は、前記スリップクラッチ(34;234;334;434)が前記ソーチェーン(16)を駆動するように構成される係合状態と、前記駆動要素(36;236;336;436)が前記ソーチェーン(16)を駆動せずに自由に回転できる係合解除状態との間で可動である、請求項
1に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項5】
前記スリップクラッチ(34;234;334;434)は、回転速度(ω
C1)の変化に応じて、前記係合状態と前記係合解除状態との間で移行するように構成される、請求項4に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項6】
前記スリップクラッチ(34;234;334;434)は、前記駆動要素(36;236;336;436)の回転速度(ω
C1)の変化に応じて、前記駆動要素(36;236;336;436)が前記従動部材(38;238;338;438)に対してスリップし得るスリップ可能状態と、前記スリップクラッチ(34;234;334;434)がスリップせずに前記ソーチェーン(16)を駆動するように構成されるロックアップ状態との間で移行するように構成される、請求項
1に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項7】
前記スリップクラッチ(34;234;334;434)は、前記スリップクラッチ(34;234;334;434)が前記ソーチェーン(16)を駆動するように構成される係合状態と、前記駆動要素(36;236;336;436)が前記ソーチェーン(16)を駆動せずに自由に回転できる係合解除状態との間で可動であり、
前記スリップクラッチ(34;234;334;434)は、予め決定されたクラッチ係合速度(ω
E)で、前記係合解除状態と係合状態との間で移行するように構成されており、前記クラッチ係合速度(ω
E)を上回ると前記スリップクラッチ(34;234;334;434)が前記係合状態を取り、
前記スリップクラッチ(34;234;334;434)は、予め決定されたスリップ限界速度(ω
L)で、前記スリップ可能状態から前記ロックアップ状態へ移行するように構成され、前記スリップ限界速度(ω
L)を上回ると前記スリップクラッチ(34;234;334;434)が前記ロックアップ状態を取り、
前記スリップ限界速度(ω
L)は前記クラッチ係合速度(ω
E)よりも少なくとも200rpm高い
、請求項6に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項8】
前記スリップクラッチ(34)は慣性で作動される、請求項
1に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項9】
前記スリップクラッチは遠心クラッチ(34)として構成される、請求項4~8のいずれか1項に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項10】
前記従動部材は、直径60mm~90mmのクラッチドラム(38)を含み、及び前記駆動要素(36)は、弾性要素(70a、70b)によって互いに弾性的に接続される2つ又は3
つで1組の摩擦シュー(68a、68b)を含み、前記摩擦シュー(68a、68b)のそれぞれ個々重量は30g~70gであり、及び前記弾性要素(70a、70b)のそれぞれのばね定数は35
N/mm~60N/mmである、請求項9に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項11】
前記スリップクラッチ(34;234;334;434)は、前記電気モータ(22)に向く基端側(34b)と、前記電気モータ(22)から離れた方を向く先端側(34a)とを有し、
ソーチェーン駆動スプロケット(32)は、前記スリップクラッチ(34;234;334;434)の前記先端側(34a)で、前記スリップクラッチ(34;234;334;434)の前記従動部材(38;238;338;438)に接続される、請求項
1に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(110)。
【請求項12】
前記スリップクラッチ(34;234;334;434)は、前記電気モータ(22)に向く基端側(34b)と、前記電気モータ(22)から離れた方を向く先端側(34a)とを有し、
ソーチェーン駆動スプロケット(32)は、前記スリップクラッチ(34;234;334;434)の前記基端側で、前記スリップクラッチ(34;234;334;434)の前記従動部材(38;238;338;438)に接続される、請求項
1に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10)。
【請求項13】
前記電気モータ(22)は、
ステータ(52)によって回転されるように構成されたロータ(54)であって、ロータ外径(D1)を有するロータ(54)と、
前記スリップクラッチ(34;234;334;434)の前記駆動要素(36;236;336;436)に駆動接続されるアウトプットシャフト(30)であって、軸径(D2)を有するアウトプットシャフト(30)と
を有し、
前記ロータ外径(D1)と前記軸径(D2)との比(D1/D2)は2.5~4.8である、請求項
1に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項14】
前記スリップクラッチ(134)は、クラッチ制御信号に基づいて、電磁的に作動される、請求項
1に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項15】
さらに機械式ブレーキ配置構成(40a、40b)を含み、この機械式ブレーキ配置構成は、前記機械式ブレーキ配置構成(40a、40b)が前記トランスミッション配置構成(28;128;228;328;428)と係合して前記従動部材(38;238;338;438)の回転を制動させるように構成される制動位置と、前記従動部材(38;238;338;438)が自由に回転できる解放位置との間で可動である、請求項
1に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項16】
さらに、前記電気モータ(22)を操作するためのトリガー(24)が設けられた後方ハンドル(14b)を含み、前記機械式ブレーキ配置構成は、前記トリガー(24)の位置とは無関係に動作するように構成される、請求項15に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項17】
前記従動部材はクラッチドラム(38)を含み、及び前記機械式ブレーキ配置構成(40a、40b)は、ブレーキアクチュエータ(25)の作動に応じて、前記クラッチドラム(38)の半径方向外側の面にクランプ力を加えるように構成されたブレーキバンド(40b)を含む、請求項15又は16に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項18】
前記機械式ブレーキ配置構成(40a、40b)は、前記スリップクラッチ(34;234;334;434)から軸方向に分離されたブレーキドラム(40a)と、ブレーキアクチュエータ(25)の作動に応じて、前記ブレーキドラム(38)の半径方向外側の面にクランプ力を加えるように構成されたブレーキバンド(40b)とを含む、請求項1
5に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項19】
さらに、前記スリップクラッチ(34;234;334;434)の前記駆動要素側と常に共に運転するように結合された冷却ファン(46)を含む、請求項
1に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項20】
前記スリップクラッチ(34;234;334;434)は、電気モータ(22)の第1の軸方向側(44a)に位置決めされ、及び前記冷却ファン(46)は、前記第1の軸方向側(44a)とは反対側の前記電気モータ(22)の第2の軸方向側(44b)に位置決めされる、請求項
19に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項21】
さらに、前記スリップクラッチ(34;234;334;434)の前記従動部材(38;238;338;438)側から動力を受けるように結合されたソーチェーンオイルポンプを含む、請求項
1に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項22】
電気モータ(22)と;
前記電気モータ(22)に結合されたトランスミッション配置構成(28;128;228;328;428)であって、前記電気モータ(22)は、前記トランスミッション配置構成(28;128;228;328;428)を介してソーチェーン(16)を駆動するように構成される、トランスミッション配置構成(28;128;228;328;428)と;
前記電気モータ(22)を動作させるための制御装置(23)と;
前記制御装置(23)に動作可能に結合されたトリガー(24)であって、前記トリガー(24)は、押し下げられた位置と解放位置との間で可動であり、前記トリガー(24)が前記押し下げられた位置にあることに応じて前記制御装置(23)が前記電気モータ(22)を動作させて前記ソーチェーン(16)を駆動するように構成され、前記トリガー(24)が前記解放位置にあることに応じて前記制御装置(23)が前記ソーチェーン(16)の前記駆動を停止させるように構成される、トリガー(24)と
を含む、ハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)であって、
前記トランスミッション配置構成(28;128;228;328;428)は、前記電気モータ(22)から回転動力を受けるように構成された駆動要素(36;236;336;436)と、前記ソーチェーン(16)へ回転動力を伝達するように構成された従動部材(38;238;338;438)とを含むクラッチ(34;234;334;434)を含み、
前記クラッチ(34;234;334;434)は、前記クラッチ(34;234;334;434)が前記電気モータ(22)を前記ソーチェーン(16)と係合する係合状態と、前記クラッチ(34;234;334;434)が前記電気モータ(22)を前記ソーチェーン(16)から係合解除して前記駆動要素(36;236;336;436)が前記ソーチェーン(16)を駆動せずに自由に回転できるようにする係合解除状態との間で可動であり、
前記制御装置(23)は、前記トリガー(24)が前記解放位置にあるとき、前記クラッチ(34;234;334;434)が前記係合解除状態にあるアイドルモードに前記電気モータ(22)の動作を自動的に維持するように構成されることを特徴とする、ハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項23】
前記クラッチは遠心クラッチ(34)であり、及び前記制御装置(23)は、前記遠心クラッチ(34)の係合速度(ω
E)を下回るアイドル速度(ω
i)において、前記アイドルモードに前記電気モータ(22)の動作を自動的に維持するように構成される、請求項
22に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【請求項24】
前記制御装置(23)は、2000rpm~6000rpmのアイドル速度(ω
E)において、前記アイドルモードに前記電気モータ(22)の動作を自動的に維持するように構成される、請求項
22又は
23に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0113
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0113】
特許請求の範囲では、語「含む(comprising)」は、他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除外しない。
[付記1]
電気モータ(22)と、
前記電気モータ(22)に結合されたトランスミッション配置構成(28;128;228;328;428)であって、前記電気モータ(22)は、前記トランスミッション配置構成(28;128;228;328;428)を介してソーチェーン(16)を駆動するように構成される、トランスミッション配置構成(28;128;228;328;428)と、
を含む、ハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)において、
前記トランスミッション配置構成(28;128;228;328;428)は、前記電気モータ(22)から回転動力を受けるように構成された駆動要素(36;236;336;436)と、前記ソーチェーン(16)へ回転動力を伝えるように構成された従動部材(38;238;338;438)とを含むスリップクラッチ(34;234;334;434)を含み、前記スリップクラッチ(34;234;334;434)は、前記駆動要素(36;236;336;436)と前記従動部材(38;238;338;438)との間の係合におけるスリップを可能にすることによって、前記ソーチェーン(16)から前記電気モータ(22)を少なくとも部分的に係合解除するように構成されることを特徴とする、ハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
[付記2]
前記トランスミッション配置構成(28;128;228)は、前記電気モータ(22)と、前記ソーチェーン(16)とかみ合うソーチェーンスプロケットとの変速比を1:1にするように構成される、付記1に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
[付記3]
前記スリップクラッチは、スリップしている間に、2Nm~4.5Nmのスリップトルクを伝達するように構成される、付記1又は2に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
[付記4]
前記スリップクラッチ(34;234;334;434)は、前記スリップクラッチ(34;234;334;434)が前記ソーチェーン(16)を駆動するように構成される係合状態と、前記駆動要素(36;236;336;436)が前記ソーチェーン(16)を駆動せずに自由に回転できる係合解除状態との間で可動である、付記1~3のいずれか1つに記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
[付記5]
前記スリップクラッチ(34;234;334;434)は、回転速度(ω
C1
)の変化に応じて、前記係合状態と前記係合解除状態との間で移行するように構成される、付記4に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
[付記6]
前記スリップクラッチ(34;234;334;434)は、前記駆動要素(36;236;336;436)の回転速度(ω
C1
)の変化に応じて、前記駆動要素(36;236;336;436)が前記従動部材(38;238;338;438)に対してスリップし得るスリップ可能状態と、前記スリップクラッチ(34;234;334;434)がスリップせずに前記ソーチェーン(16)を駆動するように構成されるロックアップ状態との間で移行するように構成される、付記1~5のいずれか1つに記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
[付記7]
前記スリップクラッチ(34;234;334;434)は、予め決定されたクラッチ係合速度(ω
E
)で、前記係合解除状態と係合状態との間で移行するように構成されており、前記クラッチ係合速度(ω
E
)を上回ると前記スリップクラッチ(34;234;334;434)が前記係合状態を取り、
前記スリップクラッチ(34;234;334;434)は、予め決定されたスリップ限界速度(ω
L
)で、前記スリップ可能状態から前記ロックアップ状態へ移行するように構成され、前記スリップ限界速度(ω
L
)を上回ると前記スリップクラッチ(34;234;334;434)が前記ロックアップ状態を取り、
前記スリップ限界速度(ω
L
)は前記クラッチ係合速度(ω
E
)よりも少なくとも200rpm高い、付記4又は5と組み合わせた、付記6に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
[付記8]
前記スリップクラッチ(34)は慣性で作動される、付記1~7のいずれか1つに記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
[付記9]
前記スリップクラッチは遠心クラッチ(34)として構成される、付記4~8のいずれか1つに記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
[付記10]
前記従動部材は、直径60mm~90mmのクラッチドラム(38)を含み、及び前記駆動要素(36)は、弾性要素(70a、70b)によって互いに弾性的に接続される2つ又は3つ、好ましくは2つで1組の摩擦シュー(68a、68b)を含み、前記摩擦シュー(68a、68b)のそれぞれ個々重量は30g~70gであり、及び前記弾性要素(70a、70b)のそれぞれのばね定数は35nm/mm~60N/mmである、付記9に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
[付記11]
前記スリップクラッチ(34;234;334;434)は、前記電気モータ(22)に向く基端側(34b)と、前記電気モータ(22)から離れた方を向く先端側(34a)とを有し、
ソーチェーン駆動スプロケット(32)は、前記スリップクラッチ(34;234;334;434)の前記先端側(34a)で、前記スリップクラッチ(34;234;334;434)の前記従動部材(38;238;338;438)に接続される、付記1~10のいずれか1つに記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(110)。
[付記12]
前記スリップクラッチ(34;234;334;434)は、前記電気モータ(22)に向く基端側(34b)と、前記電気モータ(22)から離れた方を向く先端側(34a)とを有し、
ソーチェーン駆動スプロケット(32)は、前記スリップクラッチ(34;234;334;434)の前記基端側で、前記スリップクラッチ(34;234;334;434)の前記従動部材(38;238;338;438)に接続される、付記1~11のいずれか1つに記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10)。
[付記13]
前記電気モータ(22)は、
ステータ(52)によって回転されるように構成されたロータ(54)であって、ロータ外径(D1)を有するロータ(54)と、
前記スリップクラッチ(34;234;334;434)の前記駆動要素(36;236;336;436)に駆動接続されるアウトプットシャフト(30)であって、軸径(D2)を有するアウトプットシャフト(30)と
を有し、
前記ロータ外径(D1)と前記軸径(D2)との比(D1/D2)は2.5~4.8である、付記1~12のいずれか1つに記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
[付記14]
前記スリップクラッチ(134)は、クラッチ制御信号に基づいて、電磁的に作動される、付記1~7のいずれか1つに記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
[付記15]
さらに機械式ブレーキ配置構成(40a、40b)を含み、この機械式ブレーキ配置構成は、前記機械式ブレーキ配置構成(40a、40b)が前記トランスミッション配置構成(28;128;228;328;428)と係合して前記従動部材(38;238;338;438)の回転を制動させるように構成される制動位置と、前記従動部材(38;238;338;438)が自由に回転できる解放位置との間で可動である、付記1~14のいずれか1つに記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
[付記16]
さらに、前記電気モータ(22)を操作するためのトリガー(24)が設けられた後方ハンドル(14b)を含み、前記機械式ブレーキ配置構成は、前記トリガー(24)の位置とは無関係に動作するように構成される、付記15に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
[付記17]
前記従動部材はクラッチドラム(38)を含み、及び前記機械式ブレーキ配置構成(40a、40b)は、ブレーキアクチュエータ(25)の作動に応じて、前記クラッチドラム(38)の半径方向外側の面にクランプ力を加えるように構成されたブレーキバンド(40b)を含む、付記15又は16に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
[付記18]
前記機械式ブレーキ配置構成(40a、40b)は、前記スリップクラッチ(34;234;334;434)から軸方向に分離されたブレーキドラム(40a)と、ブレーキアクチュエータ(25)の作動に応じて、前記ブレーキドラム(38)の半径方向外側の面にクランプ力を加えるように構成されたブレーキバンド(40b)とを含む、付記15~17のいずれか1つに記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
[付記19]
さらに、電気的に制御されたブレーキ(23e)、例えば電磁ブレーキ及び/又は誘導ブレーキを含む、付記1~18のいずれか1つに記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
[付記20]
前記電気的に制御されたブレーキ(23e)は、前記スリップクラッチの前記駆動要素側、すなわち前記電気モータ(22)と、前記駆動要素(36;236;336;436)と、前記電気モータ(22)又は前記駆動要素(36;236;336;436)に固定式に取り付けられる要素と、のうちの1つ以上に制動力を加えるように構成される、付記19に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
[付記21]
前記バッテリー駆動式チェーンソー(10;110)は、前記電気モータ(22)の回転速度(ω
m
)が電気ブレーキ解放速度(ω
R
)を下回ることに応じて、前記電気的に制御されたブレーキ(23e)を解放するように構成される、付記19又は20に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
[付記22]
前記電気モータ(22)は、モータ回転軸(A)の周りで回転するように構成されたロータ(54)を含み、及び前記駆動要素(36;236;336;436)は、前記ロータに回転式に嵌合するように回転式にロックされて、前記モータ回転軸(A)の周りでの両回転方向における前記駆動要素(36;236;336;436)の回転を防止する、付記1~21のいずれか1つに記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
[付記23]
さらに、前記スリップクラッチ(34;234;334;434)の前記駆動要素側と常に共に運転するように結合された冷却ファン(46)を含む、付記1~22のいずれか1つに記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
[付記24]
前記スリップクラッチ(34;234;334;434)は、電気モータ(22)の第1の軸方向側(44a)に位置決めされ、及び前記冷却ファン(46)は、前記第1の軸方向側(44a)とは反対側の前記電気モータ(22)の第2の軸方向側(44b)に位置決めされる、付記23に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
[付記25]
さらに、前記スリップクラッチ(34;234;334;434)の前記従動部材(38;238;338;438)側から動力を受けるように結合されたソーチェーンオイルポンプを含む、付記1~24のいずれか1つに記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
[付記26]
さらに、前記スリップクラッチ(34;234;334;434)を、前記スリップクラッチ(34;234;334;434)が前記ソーチェーン(16)を駆動するように構成される係合状態と、前記駆動要素(36;236;336;436)が前記ソーチェーン(16)を駆動せずに自由に回転できる係合解除状態との間で動作させるように構成された制御装置(23)を含む、付記1~25のいずれか1つに記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
[付記27]
前記制御装置(23)は、前記スリップクラッチ(34;234;334;434)を係合解除した状態で、前記電気モータ(22)の動作を維持するように構成される、付記26に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
[付記28]
前記制御装置(23)は、前記スリップクラッチ(34;234;334;434)を係合解除した状態で、前記電気モータ(22)の動作を維持することにより、検出温度が限界温度を上回る条件に基づいて、前記バッテリー駆動式チェーンソー(10;110)の冷却ファン(46)を動作させるように構成される、付記27に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
[付記29]
前記バッテリー駆動式チェーンソー(10;110)は、さらに、押し下げられた位置と解放位置との間で可動なトリガー(24)を含み、前記トリガー(24)が前記押し下げられた位置にあることに応じて前記ソーチェーン(16)を動かすように前記電気モータ(22)が動作させられ、前記トリガー(24)が前記解放位置にあることに応じて前記ソーチェーン(16)が停止され、
前記制御装置(23)は、前記トリガー(24)が前記解放位置にあるとき、前記電気モータ(22)の動作を可能にするように構成される、付記26~28のいずれか1つに記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
[付記30]
前記制御装置(23)は、前記トリガー(24)が前記解放位置にあるとき、前記従動部材(38;238;338;438)を制動させるように構成された機械式ブレーキ(40a、40b)が係合されている条件に基づいて、前記電気モータ(22)の動作を可能にするように構成される、付記29に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
[付記31]
前記制御装置(23)は、過度のクラッチスリップを検出するように構成され、該過度のクラッチスリップを検出することは、例えば、スリップ限界速度(ω
L
)を下回る長期の動作を検出することによって行われ、前記スリップ限界速度(ω
L
)を上回ると前記スリップクラッチ(34;234;334;434)がロックアップ状態を取り、
前記制御装置(23)は、過度のクラッチスリップの検出に応じて、前記電気モータ(22)を動作させるために、制御信号に変化を加えるように構成される、
付記26~30のいずれか1つに記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
[付記32]
前記電気モータ(22)を動作させるために制御信号に前記変化を加えることは、前記電気モータ(22)によって生じたトルク(T
m
)をパルスにすること、及び/又は前記電気モータ(22)の前記回転速度(ω
m
)を変えることを含む、付記31に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
[付記33]
前記制御装置(23)は、制限時間若しくは限定パルス数以下で、前記電気モータ(22)によって届けられるトルク(T
m
)をパルスにした後、前記電気モータ(22)の前記回転速度(ω
m
)をクラッチ係合速度(ω
E
)未満に下げるように構成される、付記32に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
[付記34]
押し下げられた位置と解放位置との間で可動なトリガー(24)を含み、前記トリガー(24)が前記押し下げられた位置にあることに応じて前記ソーチェーン(16)を動かすように前記電気モータ(22)が動作させられ、前記トリガー(24)が前記解放位置にあることに応じて前記ソーチェーン(16)が停止され、
前記制御装置(23)は、前記電気モータ(22)の前記回転速度(ω
m
)を前記クラッチ係合速度(ω
E
)未満に下げた後、前記トリガー(24)が解放された後に再度押されるまで、前記スリップ限界速度(ω
L
)までの速度上昇を無効にするように構成される、付記33に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
[付記35]
前記電気モータ(22)は、ステータ巻線を備える、1組の永久磁石を備えるロータによって半径方向に囲まれた、回転式に固定されたステータを含むアウトランナーである、付記1~34のいずれか1つに記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
[付記36]
前記電気モータ(22)はベクトル制御永久磁石モータである、付記1~35のいずれか1つに記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
[付記37]
前記制御装置(23)は、前記電気モータ(22)の過負荷を検出することに応じて、前記電気モータ(22)のトルク(T
m
)を維持するか又は増やすように構成される、付記1~36のいずれか1つに記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
[付記38]
チェーンソー本体(12)と;
前記ソーチェーン(16)を案内するための長尺状のガイドバー(18)であって、前記ガイドバーの伸長方向は軸線(X)を規定し、前記ガイドバー(18)は、前記チェーンソー本体(12)の前端部から前記軸線(X)に沿って順方向に延在し、前記ガイドバー(18)はガイドバー平面に延在する、長尺状のガイドバー(18)と;
前方ハンドル(14a)と;
後方ハンドル(14b)であって、前記後方ハンドル(14)の底面は、操作者が前記電気モータ(22)を操作できるようにするトリガー(24)を備え、及び前記ガイドバー平面と平行であり且つ前記トリガー(24)の最も後方の点(24a)を含む平面(P)は、交点において前記前方ハンドルの頂点(B)と交差し、及び前記交点(B)と前記トリガー(24)の前記最も後方の点(24a)との間の距離(L)は、270mmを上回る、後方ハンドル(14b)と
を含む、付記1~37のいずれか1つに記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
[付記39]
前記バッテリー駆動式チェーンソー(10;110)は、最大出力(E)まで前記電気モータ(22)を動作させるように構成され、前記交点(B)から前記トリガー(24)の前記最も後方の点(24a)までの前記距離(L)と前記最大出力(E)との商(L/E)は、0.11mm/Wを上回る、付記38に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
[付記40]
前記バッテリー駆動式チェーンソー(10;110)は、モータトルク(T
m
)を発生させるように前記電気モータ(22)を動作させるように構成され、
前記モータトルク(T
m
)は、前記スリップ限界速度(ω
L
)においてスリップトルク(T
s
)に達し、前記交点(B)から前記トリガー(24)の前記最も後方の点(24a)までの前記距離(L)と前記スリップトルク(T
s
)との商(L/T
s
)は、90mm/Nmを上回る、付記7と組み合わせた、付記38又は39に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
[付記41]
電気モータ(22)と;
前記電気モータ(22)に結合されたトランスミッション配置構成(28;128;228;328;428)であって、前記電気モータ(22)は、前記トランスミッション配置構成(28;128;228;328;428)を介してソーチェーン(16)を駆動するように構成される、トランスミッション配置構成(28;128;228;328;428)と;
前記電気モータ(22)を動作させるための制御装置(23)と;
前記制御装置(23)に動作可能に結合されたトリガー(24)であって、前記トリガー(24)は、押し下げられた位置と解放位置との間で可動であり、前記トリガー(24)が前記押し下げられた位置にあることに応じて前記制御装置(23)が前記電気モータ(22)を動作させて前記ソーチェーン(16)を駆動するように構成され、前記トリガー(24)が前記解放位置にあることに応じて前記制御装置(23)が前記ソーチェーン(16)の前記駆動を停止させるように構成される、トリガー(24)と
を含む、ハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)であって、
前記トランスミッション配置構成(28;128;228;328;428)は、前記電気モータ(22)から回転動力を受けるように構成された駆動要素(36;236;336;436)と、前記ソーチェーン(16)へ回転動力を伝達するように構成された従動部材(38;238;338;438)とを含むクラッチ(34;234;334;434)を含み、
前記クラッチ(34;234;334;434)は、前記クラッチ(34;234;334;434)が前記電気モータ(22)を前記ソーチェーン(16)と係合する係合状態と、前記クラッチ(34;234;334;434)が前記電気モータ(22)を前記ソーチェーン(16)から係合解除して前記駆動要素(36;236;336;436)が前記ソーチェーン(16)を駆動せずに自由に回転できるようにする係合解除状態との間で可動であり、
前記制御装置(23)は、前記トリガー(24)が前記解放位置にあるとき、前記クラッチ(34;234;334;434)が前記係合解除状態にあるアイドルモードに前記電気モータ(22)の動作を自動的に維持するように構成されることを特徴とする、ハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
[付記42]
前記クラッチは遠心クラッチ(34)であり、及び前記制御装置(23)は、前記遠心クラッチ(34)の係合速度(ω
E
)を下回るアイドル速度(ω
i
)において、前記アイドルモードに前記電気モータ(22)の動作を自動的に維持するように構成される、付記41に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
[付記43]
前記制御装置(23)は、2000rpm~6000rpmのアイドル速度(ω
E
)において、前記アイドルモードに前記電気モータ(22)の動作を自動的に維持するように構成される、付記41又は42に記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
[付記44]
さらに、前記クラッチ(34;234;334;434)の前記駆動要素側と常に共に運転するように結合された冷却ファン(46)を含む、付記41~43のいずれか1つに記載のハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
[付記45]
電気モータ(22)と;
前記電気モータ(22)に結合されたトランスミッション配置構成(128;528)であって、前記電気モータ(22)は、前記トランスミッション配置構成(128;528)を介してソーチェーン(16)を駆動するように構成される、トランスミッション配置構成(128;528)と、
前記電気モータ(22)から角運動量を受けて蓄えるように構成されたフライホイール(90;190)であって、前記フライホイール(90;190)は、フライホイール回転軸(A)の周りで、前記トランスミッション配置構成(28)の少なくとも一部分と共に回転するように結合される、フライホイール(90;190)と
を含む、ハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
[付記46]
モータ回転軸(A)の周りで回転するように構成されたロータ(54)を含む電気モータ(22)と;
前記モータ回転軸(A)の周りで前記電気モータ(22)によって回転されるように構成された複数の構成要素(30、32、34、40a、42a、46、90)と
を含む、ハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)において、
前記ロータ(54)と、前記電気モータ(22)によって前記モータ回転軸(A)の周りで回転されるように構成される全構成要素(30、32、34、40a、42a、46、90)との慣性モーメントの合計Jは、1.5*10
-4
kgm
2
を上回ることを特徴とする、ハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
[付記47]
モータ回転軸(A)の周りで回転されるように構成されたロータ(54)を含む電気モータ(22)と;
前記電気モータ(22)によって前記モータ回転軸(A)の周りで回転されるように構成された複数の構成要素(30、32、34、40a、42a、46、90)と
を含む、ハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)において、
前記ロータ(54)と、前記電気モータ(22)によって前記モータ回転軸(A)の周りで回転されるように構成された全構成要素(30、32、34、40a、42a、46、90)との慣性モーメントの合計Jと、前記ロータ(54)と、前記電気モータ(22)によって前記モータ回転軸(A)の周りで回転されるように構成された全構成要素(30、32、34、40a、42a、46、90)との全質量Mとの商J/Mは、3.6*10
-4
m
2
を上回ることを特徴とする、ハンドヘルドのバッテリー駆動式チェーンソー(10;110)。
[付記48]
ソーチェーン(16)の回転を開始するためのトリガー(24)を含むチェーンソー(10;110)において、前記ソーチェーン(16)を選択的に駆動するための電気モータ(22)の制御方法であって:
前記トリガー(24)の押し下げの検出前に、前記電気モータ(22)を動作させることと;
前記トリガー(24)の押し下げの検出に応じて、前記ソーチェーン(16)を動かすことと
を含む、方法。
[付記49]
前記電気モータ(22)を前記ソーチェーン(16)と機械的に係合することは、前記電気モータ(22)の回転速度(ω
m
)をクラッチ係合速度(ω
E
)超に増すことを含む、付記48に記載の方法。
[付記50]
ソーチェーン(16)の回転を開始するためのトリガー(24)を含むチェーンソー(10;110)において前記ソーチェーン(16)を選択的に駆動するための電気モータ(22)の制御方法であって:
前記トリガー(24)の押し下げの検出に応じて、前記ソーチェーン(16)を動作させることと;
前記トリガー(24)の解放の検出に応じて、前記ソーチェーン(16)の動作を停止させることと;
前記ソーチェーン(16)の動作を停止させた後、前記電気モータ(22)の動作を維持することと
を含む、方法。
[付記51]
前記電気モータ(22)を前記ソーチェーン(16)から機械的に係合解除することは、前記電気モータ(22)の回転速度(ω
m
)をクラッチ係合速度(ω
E
)未満に下げることを含む、付記50に記載の方法。
[付記52]
チェーンソー(10;110)においてソーチェーン(16)を選択的に駆動するための電気モータ(22)の制御方法であって:
トリガー(24)の押し下げの検出に応じて、前記電気モータ(22)を第1の回転速度(ω
m
)で動作させることと;
前記トリガー(24)の解放の検出に応じて、前記電気モータ(22)を第2の回転速度(ω
i
)で動作させることと
を含む、方法。
[付記53]
クラッチ(34;234;334;434)を含むチェーンソー(10;110)においてソーチェーン(16)を選択的に駆動するための電気モータ(22)の制御方法であって:
前記クラッチ(34;234;334;434)の状態であるクラッチ状態を決定することと;
決定された前記クラッチ状態に基づいて、前記電気モータ(22)のトルク(T
m
)若しくは回転速度(ω
m
)を調整すること、及び/又は前記チェーンソー(10;110)の操作者にアラートを生成することと
を含む、方法。
[付記54]
前記クラッチ(34;234;334;434)の状態を決定することは、現在の回転速度(ω
m
;ω
C1
;ω
C2
)を決定することを含む、付記53に記載の方法。
[付記55]
前記クラッチ状態はスリップ状態であり、
前記電気モータ(22)のトルク(T
m
)若しくは回転速度(ω
m
)を調整することは、前記回転速度(ω
m
)をクラッチ係合速度(ω
E
)未満に下げること、及び/又は前記電気モータ(22)のトルク(T
m
)を減らすことを含む、付記53又は54に記載の方法。
[付記56]
前記クラッチ状態はスリップ状態であり、
前記電気モータ(22)のトルク(T
m
)若しくは回転速度(ω
m
)を調整することは、前記電気モータ(22)のトルク(T
m
)を増やすことを含む、付記53~55のいずれか1つに記載の方法。
[付記57]
チェーンソー(10;110)においてソーチェーン(16)を選択的に駆動するための電気モータ(22)の制御方法であって:
現在の回転速度(ω
m
;ω
C1
;ω
C2
)を決定することと;
前記決定に基づいて、電気機械式クラッチ(234;334;434)を作動させることと
を含む、方法。
[付記58]
さらに、ユーザインターフェース(27)から、クラッチ係合速度設定及び/又はクラッチ係合解除速度設定を受信することを含む、付記57に記載の方法。
[付記59]
付記48~58のいずれか1つに記載の方法を実行するように構成された少なくとも1つのプロセッサー及びメモリを含むデータ処理装置(23)。
[付記60]
プロセッサーでのプログラムの実行時に、付記48~58のいずれか1つに記載の方法を実行する命令を含むコンピュータプログラム製品。
[付記61]
付記60に記載のコンピュータプログラム製品が記憶されているコンピュータ可読記憶媒体(99)。
【国際調査報告】