(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-23
(54)【発明の名称】多層ヒーター構造のための成形された電気相互接続体
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20241016BHJP
H05B 3/02 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H05B3/02 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520871
(86)(22)【出願日】2022-10-07
(85)【翻訳文提出日】2024-05-29
(86)【国際出願番号】 US2022045967
(87)【国際公開番号】W WO2023059841
(87)【国際公開日】2023-04-13
(32)【優先日】2021-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502137880
【氏名又は名称】ワトロー エレクトリック マニュファクチュアリング カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【氏名又は名称】海老 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100083895
【氏名又は名称】伊藤 茂
(72)【発明者】
【氏名】ミヒェルゼン, ユリアン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァリンガー, マルティン
(72)【発明者】
【氏名】トイフル, ゲルノット
【テーマコード(参考)】
3K092
5F131
【Fターム(参考)】
3K092QA05
3K092QB02
3K092QB45
3K092QC34
3K092VV03
3K092VV22
5F131AA02
5F131CA70
5F131DA42
5F131EB11
5F131EB78
5F131EB81
(57)【要約】
多層ヒーターの層間の接続に使用するための電気相互接続体は、下端部分と上端部分とを有する成形本体を含む。下端部分は、上端部分の接触面よりも小さい接触面を有し、下端部分の接触面は加熱層に近接し、上端部分の接触面は配線層に近接する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層ヒーターの層の接続に使用するための電気相互接続体であって、下端部分と上端部分とを有する成形本体を備え、前記下端部分は、前記上端部分の接触面よりも小さい接触面を有し、前記下端部分の接触面は加熱層に近接し、前記上端部分の接触面は配線層に近接するようにした、電気相互接続体。
【請求項2】
前記成形本体が、円形変断面を画定している、請求項1に記載の電気相互接続体。
【請求項3】
前記成形本体は、前記成形本体の外周の周りを前記成形本体の前記下端部分に隣接して延びる凹状半径を有する、請求項1に記載の電気相互接続体。
【請求項4】
前記成形本体が、前記成形本体の外周の周りを前記成形本体の前記上端部分に隣接して延びる凸状半径を有する、請求項1に記載の電気相互接続体。
【請求項5】
前記成形本体が、約45度までの角度で前記下端部分と前記上端部分との間を延びる側壁を画定している、請求項1に記載の電気相互接続体。
【請求項6】
前記成形本体が複数の個別のセグメントを有する、請求項1に記載の電気相互接続体。
【請求項7】
加熱層と、
前記加熱層の上に配置された誘電体層と、
前記誘電体層の上に配置された配線層と、
前記加熱層から前記誘電体層を通って前記配線層にまで延びて電気相互接続体を形成する少なくとも1つのビアと、
を備え、
前記少なくとも1つのビアが、下端部分と上端部分とを有する成形本体を有し、前記下端部分は前記上端部分の接触面よりも小さい接触面を有し、前記下端部分の接触面は前記加熱層に近接し、前記上端部分の接触面は前記配線層に近接している、多層ヒーター。
【請求項8】
前記加熱層が複数の抵抗トレースを有し、少なくとも1つの抵抗トレースが、前記少なくとも1つのビアの前記下端部分の近くで前記上端部分の下を延びている、請求項7に記載の多層ヒーター。
【請求項9】
前記成形本体が、円形変断面を画定する、請求項7に記載の多層ヒーター。
【請求項10】
前記成形本体が、前記成形本体の外周の周りを前記下端部分に隣接して延びる凹状半径を有する、請求項7に記載の多層ヒーター。
【請求項11】
前記成形本体が、前記成形本体の外周の周りを前記上端部分に隣接して延びる凸状半径を有する、請求項7に記載の多層ヒーター。
【請求項12】
前記成形本体が複数の個別のセグメントを有する、請求項7に記載の多層ヒーター。
【請求項13】
前記少なくとも1つのビアが、約45度までの角度で前記誘電体層を通って延びる側壁を画定している、請求項7に記載の多層ヒーター。
【請求項14】
前記少なくとも1つのビアが、少なくとも部分的に前記加熱層内へと延びている、請求項7に記載の多層ヒーター。
【請求項15】
加熱層と、
前記加熱層の上に配置された誘電体層であって、前記加熱層を露出させる少なくとも1つの孔を含む、誘電体層と、
前記誘電体層の上に配置され、前記孔内へと延び且つ前記加熱層の上にまで延びる配線層と、
を備え、
前記孔は下端部分および上端部分を有する形状とされ、前記下端部分は前記上端部分の開口よりも小さい開口を有し、前記下端部分の開口は前記加熱層に近接し、前記上端部分の開口は前記配線層に近接している、多層ヒーター。
【請求項16】
前記配線層の上に形成された保護層をさらに備える、請求項15に記載の多層ヒーター。
【請求項17】
多層ヒーターであって、
加熱層を形成することと、
前記加熱層を露出させる少なくとも1つの孔を含む誘電体層を前記加熱層の上に形成することと、
前記孔内ヘと延び且つ露出した前記加熱層の上にまで延びる配線層を前記誘電体層の上に形成することと、
を含む工程により形成され、
前記孔が下端部分および上端部分を有する形状とされ、前記下端部分が前記上端部分の開口よりも小さい開口を有し、前記下端部分の開口は前記加熱層に近接し、前記上端部分の開口は前記配線層に近接している、多層ヒーター。
【請求項18】
前記孔が、前記誘電体層を形成する際にマスクを用いて形成された、請求項17に記載の多層ヒーター。
【請求項19】
前記孔が、前記誘電体層の領域をサブトラクティブプロセスで取り除くことによって形成された、請求項17に記載の多層ヒーター。
【請求項20】
前記加熱層の少なくとも一部がサブトラクティブプロセスによって取り除かれた、請求項19に記載の多層ヒーター。
【請求項21】
前記サブトラクティブプロセスが、レーザーアブレーション、機械的フライス加工、化学エッチング、ウォータージェット、およびこれらの組み合わせからなる群から選択された、請求項19に記載の多層ヒーター。
【請求項22】
前記孔が、最初に前記加熱層の上にマスカントを堆積させて硬化させ、前記マスカントおよび前記加熱層の上に誘電体層を設け、前記マスカントを取り除き、続いて前記誘電体層の一部を取り除いて前記孔を形成することによって形成された、請求項17に記載の多層ヒーター。
【請求項23】
前記配線層の上に保護層を形成することをさらに含む、請求項17に記載の多層ヒーター。
【請求項24】
前記保護層の上面を平坦化することをさらに含む、請求項23に記載の多層ヒーター。
【請求項25】
多層ヒーターであって、
加熱層を形成することと、
前記加熱層を露出させる少なくとも1つの孔を含む誘電体層を前記加熱層の上に形成することと、
前記少なくとも1つの孔内に前記加熱層と接触したビアを形成することと、
前記誘電体層の上に前記ビアと接触した配線層を形成することと、
を含む工程により形成され、
前記孔は下端部分および上端部分を有する形状とされ、前記下端部分は前記上端部分の開口よりも小さい開口を有し、前記下端部分の開口は前記加熱層に近接し、前記上端部分の開口は前記配線層に近接している、多層ヒーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2021年10月8日に出願された米国特許出願第17/497,280号の優先権およびその利益を主張する。上記出願の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、多層ヒーター構造体のための電気相互接続体(electrical interconnect)に関する。
【背景技術】
【0003】
本項の記述は、単に本開示に関連する背景情報を提供するものであり、先行技術を構成するものではない。
【0004】
典型的な多層ヒーター構造体(例えば、セラミックペデスタル)は、少なくとも2つの電気的に活性な層の間に電気相互接続体を含む。例えば、1つ又は複数の電気相互接続体が、電気絶縁層(すなわち、誘電体層)を介して物理的に分離された加熱層とそれ続く配線層との間に採用されることがある。他の例では、多層ヒーター構造は複数の加熱層と複数の配線層を含み、電気相互接続体が層の間を延びてヒーターアセンブリの最上部まで延びており、それらはヒーターのさらなる電気接続のための端子として機能していてもよいし、していなくてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電気相互接続体/ビアに関連する課題には、従来のテープマスキング手順によって電気相互接続体/ビアを製造することが含まれる。このようなテープマスクは、通常、鋭い外側エッジと垂直面を有する円筒形状のビア形状をもたらし、これは、それに続いて配線層をコーティングする際に問題となる。その結果、このようなエッジや面に沿って均一な層特性を得ることが困難となる。その代わりに、配線層のコーティングの前にビアを導電性材料で充填することも考えられるが、追加の製造工程が必要となり、製造プロセスが複雑になる。半導体プロセスにおけるセラミックペデスタルのような多層ヒーターの構造における諸課題の中でもとりわけ、これらの課題が本開示によって解決される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本項は、本開示の一般的な要約を提供するものであり、その全範囲または全特徴を包括的に開示するものではない。
【0007】
一形態においては、本開示は、多層ヒーターの層の接続に使用するための電気相互接続体を提供する。電気相互接続体は、下端部分と上端部分とを有する成形本体(shaped body)を備える。前記下端部分は、前記上端部分の接触面よりも小さい接触面を有し、前記下端部分の接触面は加熱層に近接し、前記上端部分の接触面は配線層(routing layer)に近接する。
【0008】
個別に又は任意の組み合わせで実施することができる電気相互接続体の変形形態においては、前記成形本体が、円形変断面(varying circular cross-sectional area)を画定している;前記成形本体は、前記成形本体の外周の周りを前記成形本体の前記下端部分に隣接して延びる凹状半径を有する;前記成形本体が、前記成形本体の外周の周りを前記成形本体の前記上端部分に隣接して延びる凸状半径を有する;前記成形本体が、約45度までの角度で前記下端部分と前記上端部分との間を延びる側壁を画定している;及び、前記成形本体が複数の個別のセグメントを有する。
【0009】
別の形態において、本開示は、加熱層と、誘電体層と、配線層と、少なくとも1つのビアとを備える多層ヒーターを提供する。前記誘電体層は前記加熱層の上に配置されている。前記配線層は前記誘電体層の上に配置されている。前記ビアは、前記加熱層から前記誘電体層を通って前記配線層にまで延びて電気相互接続体を形成している。前記ビアが、下端部分と上端部分とを有する成形本体を有する。前記下端部分は前記上端部分の接触面よりも小さい接触面を有し、前記下端部分の接触面は前記加熱層に近接し、前記上端部分の接触面は前記配線層に近接している。
【0010】
個別に又は任意の組み合わせで実施することができる多層ヒーターの変形形態においては、前記加熱層が複数の抵抗トレース(resistive traces)を有し、少なくとも1つの抵抗トレースが、ビアの前記下端部分の近くで前記上端部分の下を延びている;前記成形本体が、円形変断面を画定する;前記成形本体は、前記成形本体の外周の周りを前記下端部分に隣接して延びる凹状半径を有する;前記成形本体が、前記成形本体の外周の周りを前記上端部分に隣接して延びる凸状半径を有する;前記成形本体が複数の個別のセグメントを有する;前記ビアが、約45度までの角度で前記誘電体層を通って延びる側壁を画定している;及び、前記ビアが、少なくとも部分的に前記加熱層内へと延びている。
【0011】
さらに別の形態において、本開示は、加熱層と、誘電体層と、配線層とを備える多層ヒーターを提供する。前記誘電体層は、前記加熱層の上に配置され、前記加熱層を露出させる少なくとも1つの孔を含む。前記配線層は、前記誘電体層の上に配置され、前記孔内へと延び且つ前記加熱層の上にまで延びている。前記孔は下端部分および上端部分を有する形状とされている。前記下端部分は前記上端部分の開口よりも小さい開口を有し、前記下端部分の開口は前記加熱層に近接し、前記上端部分の開口は前記配線層に近接している。
【0012】
上記段落の多層ヒーターのいくつかの変形形態においては、保護層が前記配線層の上に形成されている。
【0013】
またさらに別の形態において、本開示は、多層ヒーターを形成するプロセスを提供する。本プロセスは、加熱層を形成することと、前記加熱層を露出させる少なくとも1つの孔を含む誘電体層を前記加熱層の上に形成することと、前記孔内ヘと延び且つ露出した前記加熱層の上にまで延びる配線層を前記誘電体層の上に形成することと、を含む。前記孔は下端部分および上端部分を有する形状とされる。前記下端部分が前記上端部分の開口よりも小さい開口を有し、前記下端部分の開口は前記加熱層に近接し、前記上端部分の開口は前記配線層に近接している。
【0014】
個別に又は任意の組み合わせで実施することができる多層ヒーターの変形形態においては、前記孔が、前記誘電体層を形成する際にマスクを用いて形成されている;前記孔が、前記誘電体層の領域をサブトラクティブプロセス(subtractive process)で取り除くことによって形成されている;前記加熱層の少なくとも一部がサブトラクティブプロセスによって取り除かれている;前記サブトラクティブプロセスが、レーザーアブレーション、機械的フライス加工、化学エッチング、ウォータージェット、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されている;前記孔が、最初に前記加熱層の上にマスカントを堆積させて硬化させ、前記マスカントおよび前記加熱層の上に誘電体層を設け、前記マスカントを取り除き、続いて前記誘電体層の一部を取り除いて前記孔を形成することによって形成されている;前記配線層の上に保護層を形成する;及び前記保護層の上面を平坦化する。
【0015】
またさらに別の形態において、本開示は、多層ヒーターを形成するプロセスを提供する。本プロセスは、加熱層を形成することと、前記加熱層を露出させる少なくとも1つの孔を含む誘電体層を前記加熱層の上に形成することと、前記少なくとも1つの孔内に前記加熱層と接触したビアを形成することと、前記誘電体層の上に前記ビアと接触した配線層を形成することと、を含む。前記孔は下端部分および上端部分を有する形状とされる。前記下端部分は前記上端部分の開口よりも小さい開口を有し、前記下端部分の開口は前記加熱層に近接し、前記上端部分の開口は前記配線層に近接している。
【0016】
さらなる適用可能な領域は、本明細書で提供される説明から明らかになるであろう。本明細書および具体的な実施例は、説明のみを目的としたものであり、その開示の範囲を限定することを意図したものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本開示をよく理解できるようにするために、添付図面を参照しながら、例示としてその様々な形態について説明する。
【0018】
【
図1】本開示の教示に従って構成されたセラミックペデスタルアセンブリの側面図である。
【0019】
【
図2a】本開示に従って構成された、セラミックペデスタルアセンブリの誘電体層に孔が形成された状態でのセラミックペデスタルアセンブリの部分側面断面図であり、明瞭にするためにセラミックペデスタルアセンブリの配線層を削除した図である。
【0020】
【
図2b】配線層を含む
図2aのセラミックペデスタルアセンブリの部分側面断面図である。
【0021】
【
図2c】セラミックペデスタルアセンブリの抵抗層に形成された抵抗トレースを含む代替のセラミックペデスタルアセンブリの部分側面断面図である。
【0022】
【
図3a】本開示に従って構成された、セラミックペデスタルアセンブリの誘電体層に代替形状の孔が形成されている、セラミックペデスタルアセンブリの部分側面断面図であり、明瞭にするためにセラミックペデスタルアセンブリの配線層を削除した図である。
【0023】
【
図3b】配線層を含む
図3aのセラミックペデスタルアセンブリの部分側面断面図である。
【0024】
【
図4a】本開示に従って構成された代替のセラミックペデスタルアセンブリの部分側面断面図である。
【0025】
【
図4b】
図4aのセラミックペデスタルアセンブリの部分側面断面図であり、セラミックペデスタルアセンブリの配線層の上に平坦化された保護層を有する状態の図である。
【0026】
【
図5】本開示の教示に従ってセラミックペデスタルアセンブリを形成する方法を示すフローチャートである。
【0027】
【
図6】基板に挿入された複数のビアの斜視図であり、明瞭にするために誘電体層を削除した図である。
【0028】
【
図7】基板に挿入された複数のビアの上面図であり、明確にするために誘電体層を削除した図である。
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【
図9a】本開示に従って構成された代替のビアの斜視図である。
【0034】
【0035】
【
図10】本開示の教示に従ってセラミックペデスタルアセンブリを形成する方法を示すフローチャートである。
【0036】
本明細書に記載された図面は、説明のためのものであり、本開示の範囲を何ら限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下の説明は、本質的に単に例示的なものであり、本開示、適用、または使用を限定することを意図するものではない。図面全体を通して、対応する参照数字は、同様なまたは対応する部分および特徴を示していることを理解されたい。
【0038】
図1を参照して、本開示の教示に従って構成された支持ペデスタル20は、一般に、ウェハーなどの加熱ターゲットをその上に支持して加熱するために半導体処理チャンバ内で使用される。例示的な形態では、支持ペデスタル20は、セラミックペデスタルアセンブリまたは多層ヒーター22と、ペデスタルアセンブリ22の中央領域23に取り付けられた管状シャフト24とを含む。ペデスタルアセンブリ22は、その上にウェハー(図示せず)などの基板を支持するための上面25と、管状シャフト24が取り付けられた下面27とを含む。支持ペデスタル20は、ペデスタルアセンブリ22に埋め込まれた少なくとも1つの電気素子/層を外部電源に接続するために管状シャフト24に受け入れられた複数の電気/電源リード線26をさらに含む。電気層は、用途に応じて、抵抗加熱層、温度センサ、静電チャック(ESC)用電極、または無線周波数(RF)アンテナ、およびそれらの組み合わせなどであってもよい。
【0039】
図2aおよび
図2bを参照すると、本開示の教示によるセラミックペデスタルアセンブリ22の部分側面断面図が示されている。この形態では、セラミックペデスタルアセンブリ22は、セラミック基板30、抵抗層32、誘電体層34、および配線層36(
図2b)を備える。抵抗層32と配線層36は、誘電体層34の互いに反対側の表面に配置されて、異なる平面に配置されている。抵抗層32はまた、セラミック基板30の上面に配置されて(すなわち、セラミック基板30と誘電体層34との間に配置されて)、熱を発生させる。抵抗層32は、独立して制御可能であり且つ1つ又は複数の加熱ゾーンを画定する複数の抵抗加熱素子を含み得る。抵抗層32は、例えば、物理蒸着(PVD)、スパッタリング、薄箔、溶射蒸着、または当該技術分野で公知の任意の方法によって、セラミック基板30の上面に形成することができる。
【0040】
誘電体層34は、抵抗層32上で、抵抗層32と配線層36との間に配置されている。誘電体層34は、抵抗層32と配線層36とを絶縁し、一形態では、抵抗層32を露出させる少なくとも1つの孔38を含む。図示のように、孔38は、円形変断面を画定する形状とされている。しかしながら、断面は、円形以外の他の適切な形状(例として、楕円形や多角形など)であってもよく、本明細書に図示されるような円形断面に限定されるべきではないことが理解されるべきである。孔38は、下端部分40と上端部分42とを有する形状とされている。下端部分40は、上端部分42の開口46よりも小さい開口44を有する。下端部分40の開口44は抵抗層32に近接し、上端部分42の開口46は配線層36に近接している。孔38はまた、下端部分40と上端部分42との間を角度αで延びる側壁48を画定している。一形態では、角度αは45度以下である。この形態でさらに示されるように、側壁48は、孔38の中心に向かって抵抗層32にまで下方にその勾配が大きくなっていく。また、この形態では、孔38は滑らかな外側エッジ50を有する。
【0041】
配線層36は、誘電体層34の上に配置され、孔38内を延び(すなわち、孔38の側壁48上に配置され)、露出した抵抗層32上にまで延びる。配線層36は、孔38の中央領域において露出した抵抗層32上に配置され、それにより配線層36と抵抗層32との間に平面接触による電気的接続を形成する。このようにして、ケーブル26の1つ又は複数に電気的に接続された配線層36は、抵抗層32の1つ又は複数のゾーンに電力を供給する。この形態では、抵抗層32は、電気的接続が形成される領域(すなわち、配線層36と抵抗層32との間で平面的接触がある領域)において連続している。いくつかの例では、
図2cに示すように、抵抗層32は、そのうちの少なくとも1つが孔38の下端部分40の近くで上端部分42の下を延びている複数の抵抗トレース37を含む。このようにして、抵抗トレース37は、電気的接続を形成している領域により高密度に配置されて、電気的接続を形成している領域を積極的に加熱しないことによって生じる可能性のあるコールドスポットを低減することができる。
【0042】
図3aおよび
図3bを参照すると、本開示の教示に従ったセラミックペデスタルアセンブリ122の部分側面断面図が示されている。セラミックペデスタルアセンブリ122の構造および機能は、以下に述べる事項を除き、上述したペデスタルアセンブリ22と同様または同一とすることができる。セラミックペデスタルアセンブリ122は、セラミック基板130と、抵抗層132と、誘電体層134と、配線層136とを備える(
図3b)。抵抗層132と配線層136は、誘電体層134の互いに反対側の表面に配置されて、異なる平面に配置されている。抵抗層132はまた、セラミック基板130の上面に配置されて(すなわち、セラミック基板130と誘電体層134との間に配置されて)、熱を発生させる。抵抗層132は、例えば、物理蒸着(PVD)、スパッタリング、薄箔、溶射、または当該技術分野で公知の任意の方法によって、セラミック基板130の上面に形成することができる。
【0043】
誘電体層134は、抵抗層132上で、抵抗層132と配線層136との間に配置されている。誘電体層134は、抵抗層132と配線層136とを概ね絶縁し、一形態では、抵抗層132とセラミック基板130とを露出させる少なくとも1つの孔138を含む。この孔138は、下端部分140と上端部分142とを有する形状とされている。下端部分140は、上端部分142の開口146よりも小さい開口144を有する。下端部分140の開口144は抵抗層132に近接し、上端部分142の開口146は配線層136に近接している。孔138はまた、第1の部分148aおよび第2の部分148bを有する側壁148を画定している。第1の部分148aは直線状の表面を有し、配線層136に近接して位置している。第1の部分148aはまた、下端部分140と上端部分142との間を角度αで延びている。角度αは、45度以下とすることができる。第2の部分148bは、非直線状の表面を有し、抵抗層132に近接して位置している。提供した例では、第2の部分148bは楕円形状を有するが、いくつかの形態では、第2の部分148bは他の適切な形状(例えば、球形状)とすることができる。
【0044】
配線層136は、誘電体層134上に配置されて、孔138内に延びている(すなわち、側壁148の第1および第2の部分148a、148b上に配置されている)。いくつかの構成では、
図3bに示すように、誘電体層134に形成された孔138が抵抗層132を貫通しセラミック基板130を少なくとも部分的に通って延びている結果として、抵抗層132は孔138に近接する領域で不連続であってもよい。誘電体層134上に配置された配線層136は、そのリング状領域150に沿って抵抗層132と接触し、それによって電気的接続を形成することができる。
【0045】
図4aおよび
図4bを参照すると、本開示の教示に従ったセラミックペデスタルアセンブリ222の部分側面断面図が図示されている。セラミックペデスタルアセンブリ222の構造および機能は、以下に述べる事項を除き、上述したペデスタルアセンブリ22、122と類似または同一とすることができる。セラミックペデスタルアセンブリ222は、セラミック基板230と、抵抗層232と、第1の誘電体層234と、配線層236と、第2の誘電体層237とを備える。セラミック基板230、抵抗層232、第1の誘電体層234、および配線層236の構造および機能は、上述したセラミック基板30、抵抗層32、誘電体層34、および配線層236とそれぞれ類似または同一とすることができるが、その詳細な説明は省略する。
【0046】
第2の誘電体層237は、配線層236上に配置され、配線層236を外部の影響から電気的および機械的に分離する。一態様では、第2の誘電体層237は、とりわけ、レーザーアブレーション、機械的フライス加工、化学エッチング、ウォータージェット、およびそれらの組み合わせなどのサブトラクティブプロセスを使用して平坦化される。このようにして、多層ヒーターエンジンのその後の組み立てのために均一な表面が提供される。
【0047】
図5を参照すると、上述のようなセラミックペデスタルアセンブリを形成する方法300が概略的に示されている。302において、セラミック基板の上面に抵抗層が形成される。抵抗層は、例えば、物理蒸着(PVD)、スパッタリング、薄箔、溶射蒸着、または当該技術分野で知られている任意の方法によって、セラミック基板の上面に形成されるようにすることができる。
【0048】
次に、306において、誘電体層が抵抗層の上に形成される。誘電体層は、抵抗層を露出させる少なくとも1つの孔を含む。一態様では、誘電体層を形成する際にマスクを用いて孔が形成される。別の態様では、孔は、誘電体層の領域をサブトラクティブプロセスで除去することによって形成される。サブトラクティブプロセスは、レーザーアブレーション、機械的フライス加工、化学エッチング、ウォータージェット、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。このようにして、孔は、下端部分、上端部分、および下端部分と上端部分との間をある角度で延びる側壁を有する形状とされる。下端部分は、上端部分の開口よりも小さい開口を有する。上記角度は45度以下とすることができる。
【0049】
最後に、310において、配線層が、誘電体層の上に形成されて、孔内に延び(すなわち、孔の側壁に配置され)且つ露出した抵抗層の上に配置される。配線層は、例えば決まった厚さを有する電気相互接続体が配線層から抵抗層にまで形成されるように、溶射蒸着を使用して形成することができる。
【0050】
方法300は、本開示のセラミックペデスタルアセンブリを形成する一例に過ぎず、他のまたは代替のステップを含んでもよい。例えば、別の態様では、方法300は、サブトラクティブプロセスによって抵抗層の少なくとも一部を取り除くことをさらに含む(
図3aおよび
図3b)。
【0051】
さらに別の態様では、方法300は、最初に液体マスカントを抵抗層上に堆積させて硬化させ、マスカントおよび抵抗層上に誘電体層を設け、マスカントを除去し、続いてサブトラクティブプロセスを用いて誘電体層の一部を取り除いて孔を形成することを含む。液体マスカントは、例えばUV(紫外線)硬化性マスカントとすることができる。
【0052】
さらに別の態様では、方法300は、配線層の上に保護層を形成することと、保護層の上面を平坦化することと(
図4b)を含み得る。
【0053】
図6および
図7を参照すると、多層ヒーター422が図示されている。多層ヒーター422は、セラミック基板(図示せず)、抵抗層432、誘電体層(図示せず)、配線層(図示せず)、および複数のビア438を備える。抵抗層432と配線層は、誘電体層の互いに反対側の表面に配置され、異なる平面に配置されている。抵抗層432はまた、セラミック基板の上面に配置されて(すなわち、セラミック基板と誘電体層との間に配置されて)、熱を発生させる。抵抗層432は、ビア438と接触しており、複数の抵抗トレース440を含む。抵抗層432は、例えば、物理蒸着(PVD)、スパッタリング、薄箔、溶射蒸着、または当該技術分野で知られている任意の方法によってセラミック基板の上面に形成することができる。
【0054】
誘電体層(図示せず)は、抵抗層432上で抵抗層432と配線層との間に配置されている。誘電体層は、概して、抵抗層432と配線層とを絶縁し、一態様では、抵抗層を露出させる少なくとも1つの孔(図示せず)を含む。孔は、円形変断面を画定する形状とされている。しかしながら、断面は、上記で規定したような他の適当な形状であってもよく、円形断面に限定されるべきではないことを理解されたい。孔の構造は、上述した孔38、138と同様または同一であってよく、したがって、再度詳細には説明しない。配線層は、誘電体層上に配置されて、ビア438と接触している。
【0055】
図8a~8dをさらに参照すると、複数のビア438のうちの1つのビア438が図示されている。各ビア438は、抵抗層432から誘電体層を通って配線層まで延び、それによって電気相互接続体を形成する。各ビア438は、下端部分446および上端部分448を有する成形本体444を含む。下端部分446は、上端部分448の接触面よりも小さい接触面を有する。例えば、下端部分446は、例えば1ミリメートル(mm)の直径に広がる接触面を有してもよく、一方、上端部分448は、例えば3ミリメートル(mm)の直径に広がる接触面を有する。下端部分446から上端部分448までのビア438の長さは、例えば、300ミクロン(μm)であってもよい。下端部分446の接触面は加熱層に近接し、上端部分448の接触面は配線層に近接する。成形本体444は、円形変断面を有する。いくつかの構成では、成形本体444の断面は、異なる様々な形状を有してもよい。成形本体444は、成形本体444の外周の周りを下端部分446に隣接して延びる凹状半径450を含む。成形本体444はまた、成形本体444の外周の周りを上端部分448に隣接して延びる凸状半径452を含む。少なくとも1つの抵抗トレース440(
図6および
図7)が、下端部分446の近くをビア438の上端部分448の下に延びる。このようにして、抵抗トレース440は、電気相互接続体を形成している領域内に引き込まれて、加熱されない領域であるコールドスポットを低減させることができる。抵抗トレース440のうちの1つ又は複数のトレースは、ビア438と抵抗層432上の回路の周囲の部分との間の高電位差を防止するために、ビア438の周囲で円形にすることができる(
図7に最もよく見られる)。
【0056】
いくつかの態様では、
図8dに示されるように、ビア438は、多層ヒーター422の他の電気機械部品への電気相互接続を容易にするために、例えば、スズ462のような導電性材料で充填された空洞部460を下端部分446に有することができる。このようなスズ462による空洞部460の充填は、超音波はんだ付けプロセスなどの専用プロセスで行うことができる。
【0057】
図9aおよび
図9bを参照すると、別のビア538が図示されている。このビア538は、ビア438の代わりに、またはビア438に加えて、多層ヒーター422に組み込むことができる。ビア538の構造および機能は、以下に述べる事項を除き、ビア438と同様または同一とすることができる。
【0058】
ビア538は、下端部分546と上端部分548とを有する成形本体544を含む。下端部分546は、上端部分548の接触面よりも小さい接触面を有する。下端部分546の接触面は加熱層に近接し、上端部分548の接触面は配線層に近接する。ビア538の成形本体544はまた、互いに間隔をあけて配置された複数の個別のセグメント550を含む。3つのセグメントが示されているが、ビア538はより多い又はより少ないセグメント550を含んでもよいことが理解される。セグメント550の間の空間は導電性材料で充填され、従って、セグメント化によって次の層の接着性が改善される。ビア538はまた、セグメントの1つが機能不全に陥った場合に、他の残りのセグメントが電流負荷を引き受けることができるように、ある程度の冗長性を有している。
【0059】
図10を参照すると、上述のようなセラミックペデスタルアセンブリを形成する方法600が概略的に示されている。602において、セラミック基板の上面に抵抗層が形成される。抵抗層は、例えば、物理蒸着(PVD)、スパッタリング、薄箔、溶射蒸着、または当該技術分野で知られている任意の方法によってセラミック基板の上面に形成することができる。
【0060】
次に、606において、誘電体層が抵抗層の上に形成される。誘電体層は、抵抗層を露出させる少なくとも1つの孔を含む。一態様では、孔は、誘電体層を形成する際にマスクを使用して形成される。別の態様では、孔は、誘電体層の領域をサブトラクティブプロセスで除去することによって形成される。サブトラクティブプロセスは、レーザーアブレーション、機械的フライス加工、化学エッチング、ウォータージェット、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。このようにして、孔は、下端部分、上端部分、および下端部分と上端部分との間をある角度で延びる側壁を有する形成とされる。下端部分は、上端部分の開口よりも小さい開口を有する。上記角度は45度以下とすることができる。
【0061】
次に、610において、誘電体層の少なくとも1つの孔内にビアが形成される。ビアは、抵抗層と接触しており、誘電体層の孔に対応する形状を有していてもよい。
【0062】
最後に、614において、配線層が誘電体層の上に形成されてビアと接触し、それによって電気相互接続体が形成される。配線層は、例えば溶射を使用して形成することができる。
【0063】
セラミックペデスタルアセンブリは、特定の多層構造に限定されるものではなく、ペデスタルアセンブリは、本開示の範囲内にありながら、追加の機能層(例えば、接合層、誘電体層、検知層、および保護層など)をさらに含んでもよいことが理解されるべきである。一例では、ペデスタルアセンブリは、追加の加熱層および配線層をさらに備え、相互接続体がそれらの間に埋設され、また相互接続体がヒーター構成の最上部まで達するようにされており、その相互接続体は、ヒーター構造のさらなる電気的接触(例えば、外部構成要素への電気的接合の有無を問わないスルーホールまたはブラインドビア)のための端子として機能してもよいし、しなくてもよい。
【0064】
本開示のセラミックペデスタルアセンブリは、ヒーターの熱的特性を改善する形状を有する電気相互接続体の利点を提供する。本開示はまた、セラミックペデスタルアセンブリの製造工程を改善する(例えば、製造工程を半自動化または全自動化しながら製造工程を削減する)という利点も提供する。本開示のセラミックペデスタルアセンブリは、滑らかな外側エッジを有する電気相互接続体の利点も提供し、これは特に溶射堆積を用いて配線層を堆積する場合に高い動作信頼性を提供する。
【0065】
本明細書において別段の記載がない限り、機械的/熱的特性、組成割合、寸法および/または公差、またはその他の特性を示す数値はすべて、本開示の範囲を説明する際に「約」または「およそ」という語によって修飾されたものとして理解されるものとする。この修飾は、工業的慣行、材料、製造、および組立の公差、ならびに試験能力を含む様々な理由から所望される。
【0066】
本明細書において、A、B、およびCのうちの少なくとも1つという表現は、非排他的論理和を用いた論理的(A OR B OR C)を意味するものと解釈されるべきであり、「Aのうちの少なくとも1つ、Bのうちの少なくとも1つ、およびCのうちの少なくとも1つ」を意味するものと解釈されるべきではない。
【0067】
本開示の説明は、本質的に単なる例示であり、したがって、本開示の本質から逸脱しない変形は、本開示の範囲内にあることが意図される。このような変形は、本開示の精神および範囲から逸脱するものとはみなされない。
【国際調査報告】