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特表2024-538713マルチトーン定常状態励起を使用した構造検査
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-23
(54)【発明の名称】マルチトーン定常状態励起を使用した構造検査
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/04 20060101AFI20241016BHJP
   G01N 29/44 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
G01N29/04
G01N29/44
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520978
(86)(22)【出願日】2021-10-07
(85)【翻訳文提出日】2024-04-24
(86)【国際出願番号】 US2021054012
(87)【国際公開番号】W WO2023059328
(87)【国際公開日】2023-04-13
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FIREWIRE
(71)【出願人】
【識別番号】503148834
【氏名又は名称】シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】520349104
【氏名又は名称】トライアド ナショナル セキュリティー、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルート、アリソン ヘイリー
(72)【発明者】
【氏名】フリン、エリック ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ワハター、アダム ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ジャコブソン、エリカ マリー
(72)【発明者】
【氏名】カミング 、イアン トーマス
(72)【発明者】
【氏名】デシャン、ロドニー エフ.
(72)【発明者】
【氏名】シーア、ロバート クワン メン
【テーマコード(参考)】
2G047
【Fターム(参考)】
2G047AA05
2G047AA07
2G047BC02
2G047BC03
2G047BC07
2G047BC11
2G047GF11
2G047GF21
2G047GG12
2G047GG28
2G047GG30
2G047GH19
(57)【要約】
構造物の定常状態励起の様々な周波数は、励起周波数範囲をスイープすることによってテストできる。異なる励起周波数での構造物内の応答の部分的な測定値を使用して励起周波数を選択することができ、選択された励起周波数を使用して構造物を検査することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物を検査するための方法であって、
複数の励起周波数を使用して、前記構造物において予備的音響励起を生成すること、
前記構造物内の前記予備的音響励起の測定値を取得すること、
前記構造物内の前記予備的音響励起の前記測定値に基づいて、前記構造物を検査するために使用されるように前記複数の励起周波数のサブセットを選択すること、
前記複数の励起周波数の前記サブセットを使用して、前記構造物内で検査音響励起を生成すること、
前記構造物内の前記検査音響励起の測定値を取得すること、及び
前記構造物内の前記検査音響励起の前記測定値に基づいて、前記構造物の1つまたは複数の特性を判定すること、を含む、前記方法。
【請求項2】
前記構造物内の前記予備的音響励起が、前記構造物内の予備的な定常状態の音響励起を含み、前記構造物内の前記検査音響励起が、前記構造物内の検査定常状態音響励起を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記構造物内の前記予備的音響励起の前記測定値は、前記構造物内の前記予備的音響励起の部分的な測定値を含み、前記構造物内の前記検査音響励起の前記測定値は、前記構造物内の前記検査音響励起の完全な測定値を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記構造物内の前記予備的音響励起の前記測定値が、前記構造物内の速度応答の測定値を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記構造物内の前記予備的音響励起の前記測定値に基づいて、前記構造物を検査するために使用される前記複数の励起周波数の前記サブセットを選択することは、前記構造物の前記速度応答の要約統計量に基づいて前記複数の励起周波数の前記サブセットを選択することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記構造物内の前記検査音響励起の前記測定値に基づいて前記構造物の前記1つまたは複数の特性を判定することが、
前記構造物内の前記検査音響励起の前記測定値に基づいて、前記構造物の損傷マップを生成すること、
前記損傷マップから複合損傷マップを生成すること、及び
前記複合損傷マップに基づいて、前記構造物の前記1つまたは複数の特性を判定すること、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記損傷マップは、前記構造物における前記検査音響励起の前記測定値のフィルタリングに基づいて生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記構造物の前記1つまたは複数の特性が、前記構造物内の欠陥を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記構造物内の前記欠陥は、材料の追加、材料の損失、または材料の亀裂を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記構造物は、中空構造物、支持構造物、または可動構造物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記構造物は、鋼柱及び鋼板補強材を有する鋼板を含み、
前記予備的音響励起及び前記検査音響励起は、前記鋼柱の1つまたは複数に取り付けられた1つまたは複数のトランスデューサによって生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記構造物内の前記検査音響励起に基づいて判定される前記構造物の前記1つまたは複数の特性が、前記鋼板の孔食、腐食、及び/または亀裂を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記構造物が、鋼管セクションを含み、
前記予備的音響励起及び前記検査音響励起は、前記鋼管セクションに取り付けられた1つまたは複数のトランスデューサによって生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記構造物内の前記検査音響励起に基づいて判定される前記構造物の前記1つまたは複数の特性が、前記鋼管セクションの孔食、腐食、及び/または亀裂を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
構造物を検査するためのシステムであって、
1つまたは複数の物理プロセッサであって、
前記構造物内の予備的音響励起の測定値を取得し、複数の励起周波数を使用して、前記構造物内の前記予備的音響励起が生成され、
前記構造物内の前記予備的音響励起の前記測定値に基づいて、前記構造物を検査するために使用される前記複数の励起周波数のサブセットを選択し、前記構造物内の検査音響励起は、前記複数の励起周波数の前記サブセットを使用して生成され、
前記構造物内の前記検査音響励起の測定値を取得し、
前記構造物内の前記検査音響励起の前記測定値に基づいて、前記構造物の1つまたは複数の特性を判定する機械可読命令により構成される、前記1つまたは複数の物理プロセッサ、を含む、前記システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦権利に関する声明
米国政府は、ロスアラモス国立研究所の運営に関する米国エネルギー省とTRIAD National Security, LLCとの間の契約番号89233218CNA000001に従って、本発明に関する一定の権利を有する。
共同研究契約の当事者
【0002】
ここで説明する研究作業は、Los Alamos National Laboratory(LANL)とChevron under the LANL-Chevron Allianceとの間でCooperative Research and Development Agreement(CRADA)、CRADAの下に、CRADA番号LA05C10518で実施された。
【0003】
本開示は、一般に、構造物のマルチトーン定常状態励起を使用して構造物を検査する分野に関する。
【背景技術】
【0004】
構造物の定常状態波動場測定を使用して、構造物内の欠陥を特定することができる。ただし、このような構造物の検査では、使用される波長のオーダーよりも小さい欠陥を特定できない場合がある。構造物の一過的波動場測定は、このような小さな欠陥を特定するために使用できるが、構造物の一過的波動場測定には時間がかかる場合がある。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、構造物を検査することに関する。複数の励起周波数を使用して、構造物内で予備的音響励起が生成され得る。構造物内の予備的音響励起の測定値を取得できる。複数の励起周波数のサブセットは、構造物内の予備的音響励起の測定値及び/または他の情報に基づいて、構造物を検査するために使用されるように選択され得る。検査音響励起は、複数の励起周波数のサブセットを使用して構造物内で生成され得る。構造物内の検査音響励起の測定値が取得できる。構造物の1つまたは複数の特性は、構造物内の検査音響励起の測定値及び/または他の情報に基づいて判定され得る。
【0006】
構造物を検査するシステムは、1つまたは複数の電子記憶装置、1つまたは複数の音響励起装置、1つまたは複数の音響測定装置、1つまたは複数のプロセッサ、及び/または他の構成要素を含み得る。電子記憶装置は、構造物、構造物内の予備的音響励起、励起周波数の選択、構造物内の検査音響励起、構造物の特性、及び/または他の情報に関する情報を記憶することができる。
【0007】
いくつかの実装形態では、構造物は、中空構造物、支持構造物、可動構造物、及び/または他の構造物を含み得る。中空構造物は、車両、コンテナ、パイプ、及び/または他の中空構造物を含み得る。支持構造物は、設備、プラットフォーム、フレーム、クレーン、ビーム、及び/または他の支持構造物を含み得る。可動構造物は、タービンブレード及び/または他の可動構造物を含み得る。
【0008】
音響励起装置(複数可)は、構造物内に音響励起を生成するように構成され得る。音響励起装置(複数可)は、構造物内で予備的音響励起、構造物内で検査音響励起、及び/または構造物内で他の音響励起を生成するように構成され得る。予備的音響励起は、複数の励起周波数を使用して、構造物において生成され得る。検査音響励起は、複数の励起周波数のサブセットを使用して構造物内で生成され得る。
【0009】
音響測定装置(複数可)は、構造物内の音響励起を測定するように構成され得る。音響測定装置(複数可)は、構造物内での予備的音響励起、構造物内での検査音響励起、及び/または構造物内での音響励起を測定するように構成され得る。
【0010】
プロセッサ(複数可)は、機械可読命令によって構成され得る。機械可読命令を実行することは、プロセッサ(複数可)が構造物の検査を促すことを引き起こし得る。機械可読命令には、1つまたは複数のコンピュータプログラム構成要素が含まれ得る。コンピュータプログラム構成要素は、予備的励起構成要素、予備的測定構成要素、励起周波数選択構成要素、検査励起構成要素、検査測定構成要素、特性構成要素、及び/または他のコンピュータプログラム構成要素のうちの1つまたは複数を含み得る。
【0011】
予備的励起構成要素は、構造物内に予備的音響励起を生成するように構成され得る。予備的音響励起は、音響励起装置(複数可)を使用して構造物内で生成することができる。複数の励起周波数を使用して、構造物内で予備的音響励起が生成され得る。いくつかの実装形態では、構造物内の予備的音響励起は、構造物内の予備的な定常状態の音響励起を含むことができる。
【0012】
いくつかの実装形態では、構造物は、鋼柱及び鋼板補強材を有する鋼板を含み得、予備的音響励起は、1つまたは複数の鋼柱に取り付けられた1つまたは複数のトランスデューサによって生成され得る。いくつかの実装形態では、構造物は鋼管セクションを含むことができ、予備的音響励起は鋼管セクションに取り付けられた1つまたは複数のトランスデューサによって生成され得る。
【0013】
予備的測定構成要素は、構造物内の予備的音響励起の測定値を取得するように構成され得る。構造物内の予備的音響励起の測定値は、音響測定装置(複数可)を使用して取得できる。いくつかの実装形態では、構造物内の予備的音響励起の測定値は、構造物内の予備的音響励起の部分的な測定値を含むことができる。いくつかの実装形態では、構造物内の予備的音響励起の測定値は、構造物内の速度応答の測定値を含み得る。
【0014】
励起周波数選択構成要素は、複数の励起周波数のサブセットを選択するように構成され得る。複数の励起周波数のサブセットを選択して、構造物の検査に使用することができる。複数の励起周波数のサブセットは、構造物内の予備的音響励起の測定値及び/または他の情報に基づいて、構造物を検査するために使用されるように選択され得る。
【0015】
いくつかの実装形態では、構造物内の予備的音響励起の測定値に基づいて、構造物を検査するために使用される複数の励起周波数のサブセットを選択することは、構造物の速度応答の要約統計量に基づいて複数の励起周波数のサブセットを選択することを含み得る。
【0016】
検査励起構成要素は、構造物内に検査音響励起を生成するように構成され得る。検査音響励起は、音響励起装置(複数可)を使用して構造物内で生成することができる。検査音響励起は、複数の励起周波数のサブセットを使用して構造物内で生成され得る。いくつかの実装形態では、構造物内の検査音響励起は、構造物内の検査定常状態音響励起を含むことができる。
【0017】
いくつかの実装形態では、構造物は、鋼柱及び鋼板補強材を有する鋼板を含み得、検査音響励起は、鋼柱の1つまたは複数に取り付けられた1つまたは複数のトランスデューサによって生成され得る。いくつかの実装形態では、構造物は鋼管セクションを含むことができ、検査音響励起は鋼管セクションに取り付けられた1つまたは複数のトランスデューサによって生成され得る
【0018】
検査測定構成要素は、構造物における検査音響励起の測定値を取得するように構成され得る。構造物内の検査音響励起の測定値は、音響測定装置(複数可)を使用して取得できる。いくつかの実装形態では、構造物内の検査音響励起の測定値は、構造物内の検査音響励起の完全な測定値を含み得る。いくつかの実装形態では、構造物内の検査音響励起の測定値は、構造物内の速度応答の測定値を含み得る。
【0019】
特性構成要素は、構造物の1つまたは複数の特性を判定するように構成できる。構造物の特性(複数可)は、構造物内の検査音響励起の測定値及び/または他の情報に基づいて判定され得る。
【0020】
いくつかの実装形態では、構造物内の検査音響励起の測定値に基づいて、構造物の特性(複数可)を判定することは、(1)構造物における検査音響励起の測定値に基づいて、構造物の損傷マップを生成すること、(2)損傷マップから複合損傷マップを生成すること、及び(3)複合損傷マップ及び/または他の情報に基づいて、構造物の特性(複数可)を判定することを含み得る。
【0021】
いくつかの実装形態では、損傷マップ(複数可)は、構造物における検査音響励起の測定値及び/または他の情報のフィルタリングに基づいて生成され得る。
【0022】
いくつかの実装形態では、構造物の特性(複数可)は、構造物内の1つまたは複数の欠陥を含み得る。いくつかの実装形態では、構造物内の欠陥(複数可)は、材料の追加、材料の損失、材料の亀裂、及び/または他の欠陥(複数可)を含み得る。
【0023】
いくつかの実装形態では、構造物内の検査音響励起に基づいて判定される構造物の特性(複数可)は、鋼板の孔食、腐食、及び/または亀裂を含み得る。いくつかの実装形態では、構造物内の検査音響励起に基づいて判定される構造物の特性(複数可)は、鋼管セクションの孔食、腐食、及び/または亀裂を含み得る。
【0024】
本明細書に開示されるシステム及び/または方法のこれら及び他の目的、特徴、及び特性、ならびに構造物の関連する要素の動作方法及び機能、部品の組み合わせ及び製造の経済性は、以下の説明及び添付の特許請求の範囲を、添付の図面を参照して検討すれば、より明白になるであろう。そのすべては、本明細書の一部を形成しており、様々な図において同様の参照番号は対応する部分を示している。しかしながら、図面は、例示及び説明のみを目的とし、本発明の限定を定めるものとして意図されていないことが明確に理解されよう。本明細書及び特許請求の範囲に使用される、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈によりそうでないことが明確に示されない限り、複数形の指示対象を含む。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】構造物を検査するための例示的なシステムを示す。
図2】構造物を検査するための例示的な方法を示す。
図3】損傷マップの例示的な処理を示す。
図4】様々な数の周波数を使用して生成された例示的な損傷マップを示す。
図5】構造物の欠陥の例示的な特定を示す。
図6】構造物の欠陥の例示的な特定を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示は、構造物の検査に関する。構造物の定常状態励起の様々な周波数は、励起周波数範囲をスイープすることによってテストできる。様々な励起周波数での構造物内の応答の部分的な測定値を使用して励起周波数を選択することができ、選択された励起周波数を使用して構造物を検査することができる。
【0027】
本開示の方法及びシステムは、図1に示されるシステム10などのコンピューティングシステムによって及び/またはコンピューティングシステム内で実装され得る。システム10は、プロセッサ11、インターフェース12(例えば、バス、無線インターフェース)、電子記憶装置13、音響励起装置14、音響測定装置15、及び/またはその他の構成要素のうちの1つまたは複数を含み得る。複数の励起周波数を使用して、構造物内で予備的音響励起が生成され得る。構造物内の予備的音響励起の測定値をプロセッサ11により取得できる。複数の励起周波数のサブセットは、構造物内の予備的音響励起の測定値及び/または他の情報に基づいて、構造物を検査するために使用されるようにプロセッサ11により選択され得る。検査音響励起は、複数の励起周波数のサブセットを使用して構造物内で生成され得る。構造物内の検査音響励起の測定値が、プロセッサ11により取得され得る。構造物の1つまたは複数の特性は、構造物内の検査音響励起の測定値及び/または他の情報に基づいて、プロセッサ11により判定され得る。
【0028】
音響励起装置14は、構造物内に音響励起を生成する装置を示し得る。構造物の音響励起は、構造物内に音響応答を生成するために構造物にエネルギーを適用することを示し得る。音響応答は、構造物内部での1つまたは複数の機械的な波の存在及び/または伝播を示し得る。つまり、構造物が音響的に励起されて、構造物内に機械的な波が生成され得る。機械的な波には、可聴範囲内の波及び/または可聴範囲を超える波が含まれ得る。
【0029】
音響励起装置14は、構造物にエネルギーを加えて、機械的に(例えば、1つまたは複数のトランスデューサを使用して)、熱的に(例えば、1つまたは複数のレーザを使用して)、及び/または他の方法によって、構造物内に音響励起を生成することができる。例えば、エネルギー(例えば、音、熱、超音波、振動の形態)は、構造物に結合された1つまたは複数のトランスデューサ、1つまたは複数のパルスレーザー、及び/または他の音響励起装置を通じて構造物に適用され得る。例えば、超音波励起に応答して板状構造物内に誘導波を生成することができる。超音波励起/誘導波は、構造物の様々な特性に対して感受性がある場合がある。例えば、超音波励起/誘導波は、構造物内の欠陥(例えば、損傷)に対して感受性があり得、それが、構造物内に欠陥がある場所の超音波励起/誘導波の特性を変化させ得る。
【0030】
音響励起装置14は、構造物内に音響励起を生成するように構成され得る。音響励起装置14は、様々な目的で、構造物内に音響励起を生成するように構成され得る。音響励起装置14は、構造物内で予備的音響励起、構造物内で検査音響励起、及び/または構造物内で他の音響励起を生成するように構成され得る。
【0031】
構造物内の予備的音響励起は、様々な励起周波数を使用して音響励起をテストするために生成される音響励起を示し得る。予備的音響励起は、複数の(別個の、異なる)励起周波数を使用して構造物内で生成することができ、構造物でのこれらの予備的音響励起の測定値を使用して、構造物の検査に使用する特定の励起周波数を選択することができる。例えば、予備的音響励起は、励起周波数の範囲をスイープすることによって生成され、構造物内のこれらの予備的音響励起の測定値は、より包括的な構造物の検査で使用するために、テストされた励起周波数のサブセットを特定するために使用され得る。
【0032】
構造物内の検査音響励起は、構造物を検査するために生成される音響励起を示し得る。検査音響励起は、予備的音響励起で使用される複数の励起周波数のサブセットを使用して構造物内で生成され得る。例えば、テストされた励起周波数のサブセットは、構造物内で予備的音響励起を生成する際の有効性に基づいて選択され得、テストされた励起周波数の最も効果的な(例えば、最適な)サブセットを使用して構造物内の検査音響励起を生成することができる。
【0033】
音響励起装置14は、一度に単一の励起周波数を使用して、または一度に複数の励起周波数を使用して、構造物内に音響励起を生成するように構成され得る。例えば、音響励起装置14は、10の異なる励起周波数を使用して構造物内に音響励起を生成するように構成することができる。音響励起装置14は、一度に単一の励起周波数を使用して音響励起を生成することができる(励起周波数を使用して構造物内で音響励起の生成を開始し、励起周波数を使用する構造物内で音響励起の生成を停止し、異なる励起周波数を使用する構造物内の音響励起の生成を開始する、など)。音響励起装置14は、複数の励起周波数を同時に使用して音響励起を生成することができる(例えば、励起周波数すべてを一度に使用して構造物内に音響励起を生成し、励起周波数の2つ以上を一度に使用して構造物内に音響励起を生成する)。いくつかの実装形態では、構造物内で音響励起を生成するために使用される励起周波数の数は、音響励起装置14の最大出力に依存し得る。例えば、複数の励起周波数を同時に使用して構造物内に音響励起を生成するには、複数の励起周波数にわたって音響励起装置14の電力を共有することが必要となる場合がある。複数の励起周波数を同時に使用して構造物内に音響励起を生成することは、検査時間と信号レベルの間のトレードオフを必要とする場合がある。
【0034】
音響測定装置15は、構造物内の音響励起を測定する装置を示し得る。音響測定装置15は、構造物内の音響応答(例えば、速度応答)を測定する装置を示し得る。例えば、構造物は、音響励起装置14によって音響的に励起されて、構造物の内部に機械的な波(複数可)を生成することができ、音響測定装置15は、構造物の内部の機械的な波(複数可)の1つまたは複数の特性、及び/または構造物の内部の機械的な波(複数可)を反映する(例えば、示す、影響される)構造物の1つまたは複数の特性を測定することができる。
【0035】
音響測定装置15は、機械的(例えば、1つまたは複数のトランスデューサを使用)、光学的(例えば、走査レーザーを使用)、及び/または他の方法によって、構造物内の音響励起を測定することができる。例えば、構造物内の音響励起は、構造物に結合された1つまたは複数のトランスデューサ、走査型レーザードップラー振動計、及び/または他の音響測定装置を通じて測定され得る。例えば、音響測定装置15は、構造物内の音響応答(例えば、完全な場での表面速度応答)を測定することができる。音響応答には、可聴範囲内及び/またはそれを超える(超音波応答)振動/波動応答(例えば、全波動場での応答)が含まれ得る。
【0036】
いくつかの実装形態では、音響測定装置15は振動計を含んでもよい。振動計には、構造物内の振動の振幅、速度、及び/または周波数を測定する1つまたは複数の振動計及び/または他の装置が含まれ得る。いくつかの実装形態では、振動計は、1つまたは複数のビームを使用して音響応答を測定することができる。例えば、振動計は、構造物の異なる部分における音響応答を測定するためにレーザービームを使用する1つまたは複数のレーザードップラー振動計を含むことができる。音響応答には、構造物内部の振動/波の振幅、速度、及び/または周波数が含まれ得る。走査経路は、測定値を作成するために構造物に沿って振動計のビーム(複数可)が追跡する及び/またはたどる経路を示し得る。いくつかの実装形態では、振動計はラスタースキャンを使用して測定値を作成する場合がある。
【0037】
音響測定装置15は、構造物内の音響励起を測定するように構成され得る。音響測定装置15は、様々な目的で、構造物内の音響励起を測定するように構成され得る。音響測定装置(複数可)は、構造物内での予備的音響励起、構造物内での検査音響励起、及び/または構造物内での音響励起を測定するように構成され得る。
【0038】
音響測定装置15は、構造物内の予備的音響励起と構造物内の検査音響励起を同じ方法で、または異なる方法で測定するように構成することができる。例えば、音響測定装置15は、構造物内の予備的音響励起の部分的な測定値を作成でき、構造物内の検査音響励起の完全な測定値を作成できる。構造物内の音響励起の部分的な測定は、構造物内の音響励起の完全な測定よりも包括的ではない可能性がある。構造物内の音響励起の部分的な測定には、構造物内の音響励起の不完全な測定が含まれ得るが、構造物内の音響励起の完全な測定には、構造物内の音響励起の完全な測定が含まれ得る。例えば、構造物内の音響励起の部分的な測定には、構造物内の音響励起の完全な測定よりも少ない数の点及び/または小さな領域での測定が含まれ得る。構造物内の音響励起の部分的な測定は、構造物の異なる部分が異なる励起周波数を使用してどの程度(例えば、どの程度効率的に)音響的に励起されたかを判定することを目的とした、構造物の特定の部分のサンプリングを含むことができる。構造物内の音響励起の完全な測定には、測定された音響励起(選択された励起周波数を使用して実行される音響励起)を使用して構造物の特性を検査することを目的とした、構造物全体にわたる測定が含まれ得る。
【0039】
いくつかの実装形態では、システム10の1つまたは複数の構成要素は、システム10から分離され得る。例えば、音響励起装置14及び/または音響測定装置15は、システム10とは別個であってもよく、プロセッサ11とは別個の1つまたは複数のプロセッサによって制御されてもよい。システム10の構成要素は単一の構成要素として示されているが、これは単なる例であり、限定することを意図するものではない。
【0040】
構造物は、1つまたは複数の物の配置及び/または組織を示し得る。1つまたは複数の機能を実行するために、物(複数可)を配置及び/または組織化して構造物にすることができる。構造物は、特定の種類の物質、または異なる種類の物質の組み合わせで構成され得る。例えば、構造物には、金属製の剛性の構造物及び/または他の構造物が含まれ得る。構造物は、対称的な形状または非対称的な形状を有し得る。構造物には、1つまたは複数の単純な幾何学的形状、1つまたは複数の任意の複雑な幾何学的形状、及び/または他の幾何学的形状が含まれ得る。
【0041】
いくつかの実装形態では、構造物は、中空構造物、支持構造物、可動構造物、及び/または他の構造物を含み得る。中空構造物は、構造物の内部に1つまたは複数の空の空間を含む構造物を示し得る。空の空間(複数可)は、1つまたは複数の物を保持、運搬、輸送、及び/またはその他の方法で相互作用するために使用できる。例えば、中空構造物には、車両、コンテナ、パイプ、及び/または他の中空構造物が含まれ得る。支持構造物は、1つまたは複数の物に対する支持を設ける構造物を示し得る。例えば、支持構造物には、設備、プラットフォーム、フレーム、クレーン、ビーム、及び/または他の支持構造物が含まれ得る。可動構造物は、その機能を実行するために移動する構造物を示し得る。例えば、可動構造物は、タービンブレード及び/または他の可動構造物を含み得る。構造物の非限定的な例としては、オフショア浮体式生産設備(スパー、半潜水船、張力脚プラットフォームなど)、船/はしけの船体、オフショア移動掘削ユニット、航空機、宇宙打ち上げロケット、風力タービンブレード、圧力容器、配管システム、バラストタンク、ボイドタンク、貨物タンクなどの1つまたは複数の部分または全体が挙げられる。他のタイプの構造物が企図されている。
【0042】
構造物がその機能を実行できるかどうかを確認するために、構造物が検査され得る。例えば、構造物を検査して、その構造物に材料の追加(例えば、材料の固着)、材料の損失(例えば、腐食、欠け、孔食)、材料の亀裂(例えば、面割れ、面外割れ)、及び/またはその他の欠陥などのいずれかの欠陥が発生したか判定し得る。
【0043】
構造物の様々な特性(例えば、構造物内の物質の配置/組織)は、構造物の音響励起に対する様々な応答を引き起こし得る(例えば、構造物の異なる音響励起をもたらす)。例えば、構造物内の特定の種類の欠陥は、構造物の音響励起に対して構造物の対応する部分に特定の種類の音響応答を引き起こし得る。構造物内の音響励起(速度応答など)の測定を使用して、構造物の特性を判定することができる。
【0044】
いくつかの実装形態では、構造物は、より大きな構造物の一部を示し得る。例えば、構造物は、より大きな構造物の関心領域を示し得る。つまり、構造物全体を検査するのではなく、構造物の特定の部分を検査することができる。
【0045】
構造物の定常状態波動場測定を使用して、構造物内の欠陥を特定することができる。ただし、このような構造物の検査では、使用される波長のオーダーよりも小さい欠陥を特定できない場合がある。例えば、誘導超音波の波数の推定は領域にわたる欠陥を特定するために使用できるが、これは亀裂や小さなへこみなど、波長のオーダーより小さい欠陥を特定できない場合がある。欠陥自体がそれらにおける波形の一部しか占めておらず、そのため波形を適切に推定することが実行不可能であるためである。
【0046】
構造物の一過的波動場測定は、このような小さな欠陥を特定するために使用できるが、構造物の一過的波動場測定には時間がかかる場合がある。個々の一過的波動場測定では、波が構造物を通って測定点まで伝播し、その後波が消散するまで待つ必要がある場合がある。異なる測定点で波の伝播と消散のサイクルを繰り返すと、一過的波動場測定が遅くなる可能性がある。一過的波動場測定はまた、ノイズを減らすために同じ点で繰り返し測定することを必要とし得、測定をさらに遅くする。
【0047】
本開示は、構造物の特性を判定するために、複数の励起周波数からの定常状態波動場測定を利用する。例えば、複数の励起周波数からの定常状態波動場測定(例えば、複数の励起周波数からの複合的な速度の大きさのデータ)を使用して、構造物の欠陥の位置及び/または種類を示し得る、構造物の損傷マップを生成することができる。異なる励起周波数からの定常状態波動場測定を組み合わせて、損傷マップを生成することができる。
【0048】
定常状態波動場測定を使用すると、構造物の迅速な検査(一過的波動場測定よりも高速)が可能になる。複数の励起周波数を使用すると、様々な波長で構造物をプローブ/検査できるため、様々なサイズの欠陥を調査できる。さらに、定常状態波動場測定を使用することは、検査を実行するために構造物の内部に大量のエネルギーが存在し得るため、一過的波動場測定よりも高い信号対雑音比を得ることを生じ得る。
【0049】
特定の励起周波数を選択して、構造物の定常状態波動場測定を実行することができる。そうするために、構造物内で応答を生成するのに効果的な周波数を特定するために、構造物で様々な励起周波数をテストすることができる。様々な周波数が、構造物内で様々な音響応答を生じさせ得る。つまり、異なる励起周波数を持つ構造物では、異なる音響励起が発生する可能性がある。テストされた周波数のサブセット(例えば、最良の/最多の応答を生成した周波数)が、構造物の詳細なマルチ周波数定常状態波動場測定のために選択され得る。構造物のマルチ周波数状態波動場測定では、様々な励起周波数に対する様々な形状の欠陥の応答の違いを利用できる。例えば、構造物内で最もエネルギー性のある応答を生成する励起周波数を使用して、構造物の詳細なマルチ周波数定常状態波動場測定を行うことができる。複数の励起周波数を使用すると、損傷マップに存在する情報量が増加する可能性があり、定常状態波動場測定の一般的な波数の推定を使用しても表示されない欠陥の判定(例えば、特定、分類、定量化)が可能になる可能性がある。
【0050】
図1に戻って参照すると、電子記憶装置13は、情報を電子的に記憶する電子記憶媒体を含んで構成される。電子記憶装置13は、ソフトウェアアルゴリズム、プロセッサ11によって判定された情報、遠隔で受信した情報、及び/またはシステム10が適切に機能することを可能にする他の情報を記憶することができる。例えば、電子記憶装置13は、構造物、構造物内の予備的音響励起、励起周波数の選択、構造物内の検査音響励起、構造物の特性、及び/または他の情報に関する情報を記憶することができる。
【0051】
プロセッサ11は、システム10において情報処理機能を設けるように構成され得る。したがって、プロセッサ11は、デジタルプロセッサ、アナログプロセッサ、情報を処理するように設計されたデジタル回路、中央処理装置、グラフィックス処理ユニット、マイクロコントローラ、情報を処理するように設計されたアナログ回路、ステートマシン、及び/または情報を電子的に処理するための他のメカニズムのうちの1つまたは複数を備え得る。プロセッサ11は、構造物の検査を容易にするために1つまたは複数の機械可読命令100を実行するように構成され得る。機械可読命令100には、1つまたは複数のコンピュータプログラム構成要素が含まれ得る。機械可読命令100は、予備的励起構成要素102、予備的測定構成要素104、励起周波数選択構成要素106、検査励起構成要素108、検査測定構成要素110、特性構成要素112、及び/または他のコンピュータプログラム構成要素のうちの1つまたは複数を含み得る。
【0052】
予備的励起構成要素102は、構造物内に予備的音響励起を生成するように構成され得る。予備的音響励起は、音響励起装置14及び/または他の音響励起装置(複数可)を使用して構造物内で生成され得る。予備的音響励起は、複数の励起周波数を使用して、構造物において生成され得る。予備的音響励起を構造物内で生成して、様々な励起周波数に対する構造物の応答をテストすることができる。予備的音響励起は、一度に単一の励起周波数を使用して、または一度に複数の励起周波数を使用して、構造物内で生成することができる。構造物内の予備的音響励起は、構造物内の予備的な定常状態の音響励起を含むことができる。つまり、定常状態の音響励起を構造物内で生成して、様々な励起周波数に対する構造物の定常状態の応答をテストすることができる。励起周波数は、1つまたは複数の超音波周波数及び/または1つまたは複数の非超音波周波数を含み得る。
【0053】
構造物内で予備的音響励起を生成するために使用される複数の励起周波数は、手動及び/または自動で選択され得る。例えば、特定の励起周波数は、構造物内で予備的音響励起を生成する際に使用するために、1人以上のユーザによって手動で選択され得る。別の例として、特定の励起周波数は、デフォルト、検査される構造物のタイプ(例えば、構造物の幾何学的形状、構造物を構成する材料など)、判定される特性のタイプ(例えば、判定される欠陥のタイプ)、及び/または他の情報に基づいて、予備的励起構成要素102によって自動的に選択され得る。
【0054】
構造物内に予備的音響励起を生成するために使用される特定の励起周波数の選択は、使用される周波数の増分(複数可)と共に、特定の励起周波数の選択及び/または使用される励起周波数の範囲の選択を含むことができる。例えば、ユーザは、構造物内で予備的音響励起を生成するために使用される励起周波数の特定の値を指定できる。別の例として、ユーザは、励起周波数が変更される(例えば、50Hz毎の増分/減分)増分と共に、スイープされる励起周波数の範囲(例えば、30kHzから120kHzまで)を指定することができる。いくつかの実装形態では、テストされる励起周波数の範囲及び励起周波数が変更される増分は、検査される構造物のタイプに依存し得る。構造物内での予備的音響励起を生成するために他の励起周波数を選択することも企図されている。
【0055】
予備的測定構成要素104は、構造物内の予備的音響励起の測定値を取得するように構成され得る。構造物内の予備的音響励起の測定値を取得することは、構造物内の予備的音響励起の測定値にアクセスし、取得し、分析し、判定し、検査し、特定し、生成し、ロードし、位置特定し、作成し、開き、受信し、検索し、概観し、選択し、保存し、獲得し、及び/またはさもなければ取得することのうちの1つまたは複数を含み得る。構造物内の予備的音響励起の測定値は、音響測定装置15及び/または他の音響測定装置(複数可)を使用して取得できる。構造物内の予備的音響励起の測定値は、音響測定装置15、他の音響測定装置(複数可)、及び/または他の場所から取得できる。例えば、音響測定装置15は、構造物内で測定された予備的音響励起を特徴づけ、定義し、特定し、及び/または反映する情報を生成することができ、その情報は、音響測定装置15から直接的に、及び/または間接的に音響測定装置15から(例えば、音響測定装置15の電子記憶装置から)取得することができる。いくつかの実装形態では、構造物内の予備的音響励起の測定値は、構造物内の速度応答の測定値を含み得る。予備的測定構成要素104は、予備的音響励起による構造物内の速度応答の測定値を取得することができる。いくつかの実装形態では、構造物内の速度応答の測定値は、生の波動場画像として取得され得、生の波動場画像の大きさは、速度応答の種類及び/または量を反映する。構造物内の予備的音響励起の他の測定値も企図されている。
【0056】
いくつかの実装形態では、構造物内の予備的音響励起の測定値は、構造物内の予備的音響励起の部分的な測定値を含むことができる。構造物内の予備的音響励起の部分的な測定値は、完全な測定値ほど包括的ではない測定を含み得る。構造物内の予備的音響励起の部分的な測定値は、構造物内の予備的音響励起の不完全な測定値を含むことができる。構造物内の予備的音響励起の部分的な測定値は、構造物内の音響励起の完全な測定値よりも少ない数の点及び/または構造物のより小さな領域での測定値を含み得る。構造物内の予備的音響励起の部分的な測定値は、構造物の異なる部分が異なる励起周波数を使用してどの程度(例えば、どの程度効率的に)音響的に励起されたかを判定することを目的とした、構造物の特定の部分のサンプリングを含むことができる。
【0057】
いくつかの実装形態では、測定が行われる回数及び/または位置は、手動及び/または自動で判定され得る。例えば、測定が行われる回数及び/または位置は、1人または複数のユーザによって手動で選択され得る。別の例として、測定が行われる回数及び/または位置は、デフォルト、検査される構造物のタイプ(例えば、構造物の幾何学的形状、構造物を構成する材料など)、判定される特性のタイプ(例えば、判定される欠陥のタイプ)、及び/または他の情報に基づいて、予備的測定構成要素104によって自動的に選択され得る。
【0058】
いくつかの実装形態では、測定が行われる回数及び/または位置は、無作為に判定され得る。いくつかの実装形態では、測定が行われる回数及び/または位置は、1つまたは複数の走査線(例えば、垂直の走査線、水平な走査線、対角線の走査線)を使用して判定され得る。いくつかの実装形態では、構造物が走査される方向は、測定速度を高めるために選択され得る。
【0059】
励起周波数選択構成要素106は、複数の励起周波数のサブセットを選択するように構成され得る。複数の励起周波数のサブセットを選択することは、複数の励起周波数のサブセットを確認する、選択する、判定する、確立する、見つける、特定する、取得する、設定する、及び/またはさもなければ選択することを含み得る。複数の励起周波数のサブセット(予備的音響励起で使用される)は、すべてよりも少ない複数の励起周波数を含む場合がある。複数の励起周波数のサブセットを選択して、構造物の検査に使用することができる。励起周波数選択構成要素106は、構造物内に予備的音響励起を生成するために使用された励起周波数のいくつかを選択することができる。励起周波数は、構造物内で検査音響励起を生成する際に使用するために選択できる。
【0060】
複数の励起周波数のサブセットは、構造物内の予備的音響励起の測定値及び/または他の情報に基づいて、構造物を検査するために使用されるように選択され得る。構造物内の予備的音響励起の測定値は、構造物内に検査音響励起を生成するために、構造物の予備的音響励起を生成するために使用された複数の励起周波数のうちのどれを使用するかを判定するために使用され得る。様々な励起周波数は、構造物内で様々な種類及び/または量の音響励起が発生することを引き起こし得る。つまり、構造物内の音響応答の種類及び/または量は、音響励起を実行するために使用される励起周波数に依存し得る。構造物内の予備的音響励起の測定値は、異なる励起周波数に対する構造物の応答性を特定するために使用でき、異なる励起周波数に対する構造物の応答性は、励起周波数を選択するために使用できる。例えば、構造物内の予備的音響励起の測定値を使用して、構造物が最も応答する励起周波数を判定することができ(例えば、構造物内の音響励起の種類及び/または量による励起周波数のランク付け)、励起周波数選択構成要素106は、構造物内で最も多くの応答を生成する励起周波数を選択することができる。例えば、励起周波数選択構成要素106は、構造物内で最も高い応答を生成する10個の励起周波数を選択することができる。他の数の励起周波数の選択も企図されている。
【0061】
いくつかの実装形態では、選択される励起周波数の数は、手動及び/または自動で判定され得る。例えば、選択される励起周波数の数は、1人以上のユーザによって手動で選択され得る。別の例として、選択される励起周波数の数は、デフォルト、検査される構造物のタイプ(例えば、構造物の幾何学的形状、構造物を構成する材料など)、判定される特性のタイプ(例えば、判定される欠陥のタイプ)、及び/または他の情報に基づいて、励起周波数選択構成要素106によって自動的に選択され得る。選択される励起周波数の数は、検査の精度/正確性と検査の実行にかかる時間の長さとの間のトレードオフに関わり得る。選択される周波数の数が多いほど、より長い検査時間という代償を払って、検査の精度/正確性が高くなり得るが、選択される周波数の数が少ない場合は、より迅速に検査を行うことができる一方で、検査の精度/正確性の低下を生じ得る。
【0062】
いくつかの実装形態では、構造物内の予備的音響励起の測定値に基づいて、構造物を検査するために使用される複数の励起周波数のサブセットを選択することは、構造物の予備的音響励起の測定値の信号の質の尺度に基づいて複数の励起周波数のサブセットを選択することを含み得る。構造物内の予備的音響励起の測定値の信号の質の尺度は、構造物内の予備的音響励起の測定値によって伝達される情報の質の尺度を示し得る。例えば、構造物内の予備的音響励起の測定値の信号の質の尺度は、構造物内の速度応答の要約統計量(例えば、平均及び/または標準偏差)に基づいて判定され得る。例えば、構造物内の予備的音響励起の測定値には、構造物の様々な場所での振動速度の測定値が含まれ得る。ある場所での振動速度の大きさは、その場所でのエネルギーの尺度を与えることができる。構造物内の予備的音響励起から測定された振動速度の平均及び/または標準偏差は、構造物内で最も多くの応答を生成した励起周波数を判定するために使用でき、構造物内で最も多くの応答を生成した励起周波数(例えば、上位10の励起周波数)を選択することができる。他の質の尺度/要約統計量の使用が企図されている。
【0063】
検査励起構成要素108は、構造物内に検査音響励起を生成するように構成され得る。検査音響励起は、音響励起装置14及び/または他の音響励起装置(複数可)を使用して構造物内で生成され得る。検査音響励起は、複数の励起周波数のサブセットを使用して構造物内で生成され得る。つまり、検査音響励起は、構造物内で予備的音響励起を生成するために使用される励起周波数の一部を使用して、構造物内で生成され得る。検査音響励起は、励起周波数選択構成要素106によって選択された励起周波数(例えば、最適な励起周波数)を使用して構造物内で生成され得る。構造物の検査を実行するために、構造物内で検査音響励起が生成され得る。
【0064】
検査音響励起は、一度に単一の励起周波数を使用して、または一度に複数の励起周波数を使用して、構造物内で生成することができる。構造物内の検査音響励起は、構造物内の検査定常状態音響励起を含むことができる。つまり、定常状態の音響励起を構造物内で生成し、選択された励起周波数に対する構造物の定常状態の応答を使用して構造物を検査することができる。励起周波数は、1つまたは複数の超音波周波数及び/または1つまたは複数の非超音波周波数を含み得る。例えば、音響励起装置(複数可)を使用して、構造物の定常状態のマルチトーン超音波励起を生成することができ、構造物の様々な部分の超音波応答を測定及び使用して、対応する部分での構造物の特性を判定することができる。定常状態のマルチトーン超音波励起を使用すると、超音波応答測定を、繰り返しの必要がなく、長距離(例えば、数十メートル離れたところ)から迅速に(例えば、1平方メートル以上の領域を数秒でスキャンするなど)実行できるようにし得る。構造物の他の検査音響励起も企図されている。
【0065】
検査測定構成要素110は、構造物における検査音響励起の測定値を取得するように構成され得る。構造物内の検査音響励起の測定値を取得することは、構造物内の予備的音響励起の測定値にアクセスし、取得し、分析し、判定し、検査し、特定し、生成し、ロードし、位置特定し、作成し、開き、受信し、検索し、概観し、選択し、保存し、獲得し、及び/またはさもなければ取得することのうちの1つまたは複数を含み得る。構造物内の検査音響励起の測定値は、音響測定装置15及び/または他の音響測定装置(複数可)を使用して取得できる。構造物内の検査音響励起の測定値は、音響測定装置15、他の音響測定装置(複数可)、及び/または他の場所から取得できる。
【0066】
例えば、音響測定装置15は、構造物内で測定された検査音響励起を特徴づけ、定義し、特定し、及び/または反映する情報を生成することができ、その情報は、音響測定装置15から直接的に、及び/または間接的に音響測定装置15から(例えば、音響測定装置15の電子記憶装置から)取得することができる。いくつかの実装形態では、構造物内の検査音響励起の測定値には、構造物内の速度応答の測定が含まれてもよい。検査測定構成要素110は、検査音響励起による構造物内の速度応答の測定値を取得することができる。いくつかの実装形態では、構造物内の速度応答の測定値は、生の波動場画像として取得され得、生の波動場画像の大きさは、速度応答の種類及び/または量を反映する。構造物の他の検査音響励起の他の測定値も企図されている。
【0067】
いくつかの実装形態では、構造物内の検査音響励起の測定値は、構造物内の検査音響励起の完全な測定値を含み得る。構造物内の検査音響励起の完全な測定値は、部分的な測定値よりも包括的な測定値を含み得る。構造物内の検査音響励起の完全な測定値は、構造物内の検査音響励起の完全な測定値を含み得る。構造物内の検査音響励起の完全な測定値は、構造物内の音響励起の部分的な測定値よりも、構造のより多くの数の点及び/またはより大きな領域での測定値を含み得る。構造物内の検査音響励起の完全な測定値は、構造物の異なる部分が選択された励起周波数を使用してどの程度(例えば、どの程度効率的に)音響的に励起されたかを判定することを目的とした、構造物の異なる部分のサンプリングを含むことができる。例えば、選択した数の点で音響励起を調べるのではなく、構造物全体にわたる音響励起を測定して、構造物全体/対象領域の音響応答を示す完全な波動場測定を生成することができる。全波動場測定は、対象の構造物/領域内の欠陥を特定する(例えば、視覚化する)ために使用できる。
【0068】
特性構成要素112は、構造物の1つまたは複数の特性を判定するように構成できる。構造物の特性は、構造物の物理的属性、質、及び/または特性を示し得る。例えば、構造物の特性は、構造物内の1つまたは複数の欠陥、構造物の厚さ、構造物内部の材料の配置、及び/または構造物を構成する材料の種類を示し得る。構造物の欠陥は、材料の追加(例、材料の固着)、材料の損失(例えば、腐食、欠け)、材料の亀裂(例えば、面割れ、面外割れ)、及び/またはその他の欠陥を含み得る。他の種類の欠陥及び構造物の特性が企図されている。
【0069】
構造物の特性の判定は、特性の徳定、特性の定量化、及び/または構造物の特性の他の判定を含み得る。例えば、特性構成要素112は、構造物の様々な部分の厚さを判定し得、構造物の1つまたは複数の欠陥の存在及び/または不在を判定し得、構造物の欠陥の種類を特定し得、構造物の欠陥を定量化(例えば、定める数値を与える)し得、及び/または構造物の特性のその他の判定をする。
【0070】
構造物の特性(複数可)は、構造物内の検査音響励起の測定値及び/または他の情報に基づいて、特性構成要素112により判定され得る。励起周波数(励起周波数選択構成要素106によって選択される)に対する構造物の音響応答を使用して、構造物の特性(複数可)を判定することができる。構造物内で測定された検査音響励起の量及び/または種類は、構造物の特性(複数可)を判定するために使用され得る。例えば、特性構成要素112は、構造物の特定の部分の特性(複数可)を判定するために、構造物の特定の部分における検査音響励起の量及び/または種類を使用することができる。いくつかの実装形態では、幾何学的形状(例えば、励起の形状、励起の焦点、励起の幅)を使用して、構造物の特性(複数可)に関する幾何学的情報(例えば、欠陥のサイズ/形状)を判定することができる。
【0071】
例えば、構造物の速度応答の振幅は、構造物の欠陥の種類(例えば、材料の追加、材料の損失、材料の亀裂)及び/またはサイズ(例えば、幅、深さ)を示し得る。構造物を通る速度応答の振幅プロファイルを使用して、構造物内の欠陥の位置、形状、及び/またはサイズを判定することができる。構造物内の欠陥を判定するために構造物内の速度応答を使用すると、視野から隠れている欠陥(例えば、構造物の表面の下の欠陥、覆われた欠陥)の特定及び/または定量化が可能になり得る。
【0072】
いくつかの実装形態では、構造物内の検査音響励起の測定値に基づいて、構造物の特性(複数可)を判定することは、(1)構造物における検査音響励起の測定値に基づいて、構造物の1つまたは複数の損傷マップを生成すること、及び(2)損傷マップ(複数可)及び/または他の情報に基づいて、構造物の特性(複数可)を判定することを含み得る。いくつかの実装形態では、損傷マップ(複数可)は、1つまたは複数のグラフィカルユーザインターフェース内に表示され得る。いくつかの実装形態では、損傷マップ(複数可)は、1つまたは複数のディスプレイに表示され得る。
【0073】
損傷マップは、構造物の欠陥を視覚的に表す画像を示し得る。損傷マップは、構造物の様々な特性を視覚的に表す画像を示し得る。例えば、損傷マップは、様々なピクセル値(例えば、様々な色、様々な強度)を使用して、構造物内の様々な音響応答を視覚的に表すことができる。
【0074】
いくつかの実装形態では、損傷マップ(複数可)は、構造物における検査音響励起の測定値及び/または他の情報のフィルタリングに基づいて生成され得る。例えば、構造物内の検査音響励起の測定値は、様々なピクセル特性を使用して様々な音響応答(例えば、速度応答)を表すヒートマップとして取得でき、損傷マップはヒートマップをフィルタリングすることによって生成できる。いくつかの実装形態では、フィルタリングにより、正確な損傷マップを作成するために使用する必要がある励起周波数の数が削減され得る。フィルタリングにより、構造物内の検査音響励起の測定値における信号対雑音比が増加する可能性がある。
【0075】
例えば、励起周波数に関する構造物内の検査音響励起の測定値は、時系列データを含むことができ、時系列データは、測定されたグリッド内のピクセルに対応するセグメントに分割することができる。セグメントは励起周波数の複素指数で点在し得、その結果、ピクセルごとに単一の複素数値の速度応答(振幅と位相)が得られる。
【0076】
1つまたは複数のフィルタを使用して、ヒートマップに含まれる情報を改善することができる。例えば、バンドパスフィルタを使用して、他の情報をノイズとして低減しながら、一次空間周波数付近の情報を保存することができる。例えば、バンドパスフィルタは、構造物の一次振動を(周囲の周波数と共に)保持しながら、高すぎるまたは低すぎる周波数をカットできる。フィルタを使用すると、ヒートマップを平滑化して損傷マップを生成することができ、その結果、損傷マップ内でヒートマップの特徴がより見えるようになる。フィルタは、測定値から主波周波数成分を除去し、測定値の他の成分をより見えるようにし得る。いくつかの実装形態では、測定値の主波周波数成分は、ヒートマップを波数領域に変換し、波数領域の最大値を特定することによって判定され得る。
【0077】
いくつかの実装形態では、バンドパスフィルタは主要な構造モードよりわずかに高く設定され得る。このようなバンドパスフィルタは、波数を増加させる(主要なモードからのエネルギーのシフト)小さな欠陥の検出を可能にし得る。構造物の欠陥は、欠陥のない部分の主要な周波数/波数ではないエネルギーの集合がある場所を探すことによって、損傷マップから見つけることができる。損傷マップにより、波数の推定を実行せずに波数の変化を特定できる場合がある。
【0078】
例えば、図3は、損傷マップの例示的な処理を示す。図3において、生データ310は、ヒートマップを使用した構造物内の検査音響励起の測定値を示し得る。ヒートマップの色/強度は、構造物内の様々な位置での速度応答の振幅を反映し得る。生データ320の2D FFTは、波数領域に変換された生データ310を示す。生データ320の2D FFTに示されているように、円は、構造物が振動している一次モードを示している。生データ320をフィルタリングして、フィルタリングされたデータ330を生成することができる。フィルタリングされたデータ330は、構造物の損傷マップとして使用することができる。生データ310では見えない構造物の特定の特徴(例えば、波紋特徴)が、フィルタリングされたデータ330では見える。
【0079】
いくつかの実装形態では、励起機構によって生成されるバックグラウンド信号が除去され得る。図3において、フィルタリングされたデータ330からバックグラウンド信号を除去して、バックグラウンド除去データ340を生成することができる。例えば、励起機構により音響励起にノイズが導入され得、これが除去され得る。例えば、構造物内の特定の位置に取り付けられたトランスデューサは、構造物内に不均一な音響励起を引き起こし得る(例えば、音響応答のエネルギーはトランスデューサが取り付けられている位置に向かって高くなる)。つまり、エネルギーが構造物内に不均一に導入され得る。バックグラウンドの除去には、不均一に導入されたエネルギーによって引き起こされる音響励起の歪みの除去が含まれ得る。いくつかの実装形態では、データ内のバックグラウンド信号は、特定の割合(例えば、5%)未満の最も高い値のピクセルを有する値として特定され得る。線形最小二乗法を使用するなどで、平面をバックグラウンドのピクセルに適合させることができ、強度画像全体を適合した平面で分割することができる。
【0080】
いくつかの実装形態では、データが平滑化され得る。例えば、図3では、バックグラウンド除去データ340を平滑化して、平滑化データ350を生成することができる。平滑化により、データからアーティファクトが除去され得る。例えば、データのフィルタリングにより、データ(フィルタリングされたデータ330及びバックグラウンド除去データ340に示される)にリップルが導入され得る。1つまたは複数の平滑化カーネルを使用してデータからリップルを除去することができ、これにより特徴の特定が容易になる場合がある。
【0081】
いくつかの実装形態では、データは対数スケールを使用して分析及び/または提示され得る。対数スケールは、データの特徴をより明確にさせることができる。例えば、図3では、平滑化データ350は、対数スケールデータ360として表すことができる。構造物内の欠陥(応答が高い位置)は、平滑化データ350よりも対数スケールデータ360の方が特定しやすい場合がある。
【0082】
異なる励起周波数からの損傷マップを共に組み合わせて、複合損傷マップを生成することができる。例えば、異なる励起周波数からの損傷マップの値を加算して、複合損傷マップを生成することができる。いくつかの実装形態では、異なる励起周波数からの損傷マップの値は均等に重み付けされ得る(1つの励起周波数からの応答は、別の励起周波数からの応答と同じ重み付けがなされる)。いくつかの実装形態では、異なる励起周波数からの損傷マップの値は異なるように重み付けされ得る(例えば、1つの励起周波数からの応答は、別の励起周波数からの応答と異なるように重み付けされる)。複合損傷マップは、個別の損傷マップよりも構造物の欠陥のより包括的な視界をもたらし得る。
【0083】
図4は、様々な数の周波数を使用して生成された例示的な損傷マップ410、420、430、440を示す。損傷マップ410は、単一の励起周波数を使用して生成された損傷マップの対数スケールの視界を示す。損傷マップ420は、2つの励起周波数からの損傷マップを結合することによって生成された、損傷マップの対数スケールの視界を示す。損傷マップ430は、10の励起周波数からの損傷マップを結合することによって生成された、損傷マップの対数スケールの視界を示す。損傷マップ440は、400の励起周波数からの損傷マップを結合することによって生成された、損傷マップの対数スケールの視界を示す。図4に示すように、使用する励起周波数の数を増やすと、損傷マップの精度/正確性が向上し得る。ただし、使用する励起周波数の数を増やすと、検査の実行に必要な時間の長さが増加する可能性がある。
【0084】
図5は、構造物の欠陥の例示的な特定を示す。図5の構造物は、鋼板510、鋼柱520、及び鋼板補強材530を含むことができる。構造物は、以下の欠陥、つまり孔食540、腐食550、及び亀裂560を含み得る。トランスデューサ500が、構造物において音響励起を生成するために鋼柱520に取り付けられてもよい。異なる周波数を使用して構造物内で音響励起を生成及び測定することにより、構造物上で異なる励起周波数をテストできる。テストから得た最高の性能の(例えば、最適な)励起周波数を使用して、定常状態励起を使用して構造物を励起することができ、これらの励起周波数を使用して構造物の音響励起を測定することができる(例えば、レーザードップラー振動計を使用して)。測定値は、構造物内の欠陥を特定するために使用され得る。例えば、測定値は、以下の欠陥、つまり孔食540、腐食550、及び亀裂560の位置、形状、サイズ、及び/または種類を特定するために使用できる。
【0085】
図6は、構造物の欠陥の例示的な特定を示す。図6の構造物は、鋼管セクション610を含むことができる。構造物は、以下の欠陥、つまり孔食640、腐食650、及び亀裂660を含み得る。トランスデューサ600が、構造物において音響励起を生成するために鋼管セクション610に取り付けられ得る。異なる周波数を使用して構造物内で音響励起を生成及び測定することにより、構造物上で異なる励起周波数をテストできる。テストから得た最高の性能の(例えば、最適な)励起周波数を使用して、定常状態励起を使用して構造物を励起することができ、これらの励起周波数を使用して構造物の音響励起を測定することができる(例えば、レーザードップラー振動計を使用して)。測定値は、構造物内の欠陥を特定するために使用され得る。例えば、測定値は、以下の欠陥、つまり孔食640、腐食650、及び亀裂660の位置、形状、サイズ、及び/または種類を特定するために使用できる。他の種類の構造物の検査及び他の種類の欠陥が企図されている。
【0086】
本開示の実装形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの任意の適切な組み合わせで成すことができる。図1に示される本開示の態様は、機械可読媒体に保存された命令として実装され得、それは、1つまたは複数のプロセッサによって読み取られて実行され得る。機械可読媒体は、機械(例えば、コンピューティングデバイス)が読み取り可能な形式で情報を保存または送信するための任意のメカニズムを含み得る。例えば、有形の(非一時的な)機械可読記憶媒体には、読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイスなどが含まれ得、機械可読伝送メディアには、伝播信号の形式が含まれ得、搬送波、赤外線信号、デジタル信号などがある。ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、または命令は、本開示の特定の例示的な態様及び実装形態、及び特定のアクションの実行という観点で、本明細書で説明され得る。
【0087】
いくつかの実装形態では、本明細書で図1のシステム10に帰属する機能の一部またはすべてが、システム10に含まれない外部リソースによって設けられ得る。外部リソースは、情報、コンピューティング、及び/または処理のホスト/ソース、及び/またはシステム10の外部の情報、コンピューティング、及び/または処理の他のプロバイダを含み得る。
【0088】
図1では、プロセッサ11、電子記憶装置13、音響励起装置14、及び音響測定装置15がインターフェース12に接続されているように示されているが、システム10のいずれかの構成要素間の直接的及び/または間接的な対話を容易にするために、任意の通信媒体を使用することができる。システム10の1つまたは複数の構成要素は、有線通信、無線通信、またはその両方を介して相互に通信することができる。例えば、システム10の1つまたは複数の構成要素は、ネットワークを介して相互に通信することができる。例えば、プロセッサ11は、電子記憶装置13と無線通信することができる。非限定的な例として、無線通信には、無線通信、ブルートゥース(登録商標)通信、Wi-Fi通信、セルラー通信、赤外線通信、または他の無線通信のうちの1つまたは複数が含まれ得る。他のタイプの通信が、本開示によって企図されている。
【0089】
図1ではプロセッサ11は単一の実体として示されているが、これは説明のみを目的としている。いくつかの実装形態では、プロセッサ11は複数の処理ユニットを備え得る。これらの処理ユニットは同じ装置の内部に物理的に配置されてもよいし、プロセッサ11が連携して動作する複数の装置の処理機能を表してもよい。プロセッサ11は、システム10の1つまたは複数の構成要素とは別個であってもよく、及び/または一部であってもよい。プロセッサ11は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、ハードウェア、及び/またはファームウェアの何らかの組み合わせ、及び/またはプロセッサ11の処理能力を構成するための他のメカニズムによって、1つまたは複数の構成要素を実行するように構成され得る。
【0090】
コンピュータプログラム構成要素が図1に単一の処理ユニット内部で同じ場所に配置されているものとして示されているが、プロセッサ11が複数の処理ユニットを備える実装形態では、コンピュータプログラム構成要素の1つまたは複数が他のコンピュータプログラム構成要素から離れて配置され得ることを理解されたい。コンピュータプログラム構成要素は、動作を実行する、または動作を実行するように構成されているものとして説明されるが、コンピュータプログラム構成要素は、プロセッサ11及び/またはシステム10をプログラムして動作を実行できる命令を含み得る。
【0091】
コンピュータプログラム構成要素は、本明細書では機械可読命令100を通じてプロセッサ11を介して実装されるものとして説明されるが、これは単に参照を容易にするためのものであり、限定する意図はない。いくつかの実装形態では、本明細書に記載されるコンピュータプログラム構成要素の1つまたは複数の機能は、ソフトウェアではなくハードウェア(例えば、専用チップ、フィールドプログラマブルゲートアレイ)を介して実装され得る。本明細書に記載されるコンピュータプログラム構成要素の1つまたは複数の機能は、ソフトウェアで実装されても、ハードウェアで実装されても、またはソフトウェアとハードウェアで実装されてもよい。
【0092】
本明細書で説明される様々なコンピュータプログラム構成要素によって提供される機能の説明は、例示を目的としており、コンピュータプログラム構成要素のいずれも、説明されている以上の機能または以下の機能を提供し得るため、限定することを意図したものではない。例えば、コンピュータプログラム構成要素の1つまたは複数を削除し、その機能の一部またはすべてを他のコンピュータプログラム構成要素によって提供することができる。別の例として、プロセッサ11は、本明細書に記載される1つまたは複数のコンピュータプログラム構成要素に起因する機能の一部またはすべてを実行することができる、1つまたは複数の追加のコンピュータプログラム構成要素を実行するように、構成され得る。
【0093】
電子記憶装置13の電子記憶装置媒体は、システム10の1つまたは複数の構成要素と一体的に(すなわち、実質的に取り外し不可能に)、及び/またはシステム10の1つまたは複数の構成要素に、例えば、ポート(例えば、USBポート、Firewireポートなど)またはドライブ(例えば、ディスクドライブなど)を介して接続可能なリムーバブルストレージとして設けられ得る。電子記憶装置13は、光学的に可読な記憶媒体(例えば、光ディスクなど)、磁気的に可読な記憶媒体(例えば、磁気テープ、磁気ハードドライブ、フロッピードライブなど)、電荷ベースの記憶媒体(例えば、EPROM、EEPROM、RAMなど)、ソリッドステート記憶媒体(例えば、フラッシュドライブなど)、及び/または他の電子的に読み取り可能な記憶媒体のうちの1つまたは複数を含み得る。電子記憶装置13はシステム10内部の別個の構成要素であってもよいし、または電子記憶装置13はシステム10の1つまたは複数の他の構成要素(例えば、プロセッサ11)と一体的に設けられてもよい。図1では電子記憶装置13は単一の実体として示されているが、これは説明のみを目的としている。いくつかの実装形態では、電子記憶装置13は複数の記憶ユニットを備え得る。これらの記憶ユニットは同じ装置の内部に物理的に配置されてもよく、あるいは電子記憶装置13は連携して動作する複数の装置の記憶機能を表してもよい。
【0094】
図2は、構造物を検査するための方法200を示す。以下に示す方法200の動作は、例示を意図している。いくつかの実装形態では、方法200は、説明されていない1つまたは複数の追加の動作を用いて、及び/または説明された動作の1つまたは複数なしで達成され得る。いくつかの実装形態では、動作の2つ以上が実質的に同時に発生する可能性がある。
【0095】
いくつかの実装形態では、方法200の1つまたは複数の動作は、1つまたは複数の処理装置(例えば、デジタルプロセッサ、アナログプロセッサ、情報を処理するように設計されたデジタル回路、中央処理装置、グラフィックス処理装置、マイクロコントローラ、情報を処理するために設計されたアナログ回路、ステートマシン、及び/または情報を電子的に処理するための他のメカニズム)において実装され得る。1つまたは複数の処理装置は、1つまたは複数の電子記憶媒体に電子的に記憶された命令に応答して、方法200の動作の一部またはすべてを実行する、1つまたは複数の装置を含み得る。1つまたは複数の処理装置は、方法200の動作の1つまたは複数を実行するために特別に設計されるハードウェア、ファームウェア、及び/またはソフトウェアを通じて構成される、1つまたは複数の装置を含み得る。
【0096】
図2、及び方法200を参照すると、動作202において、複数の励起周波数を使用して構造物内に予備的音響励起を生成することができる。いくつかの実装形態では、動作202は、音響励起装置14及び/または予備的励起構成要素102(図1に示され、本明細書で説明されている)と同じまたは類似した構成要素によって実行され得る。
【0097】
動作204において、構造物内の予備的音響励起の測定値が取得できる。いくつかの実装形態では、動作204は、音響測定装置15及び/または予備的測定構成要素104(図1に示され、本明細書で説明されている)と同じまたは類似した構成要素によって実行され得る。
【0098】
動作206において、複数の励起周波数のサブセットは、構造物内の予備的音響励起の測定値及び/または他の情報に基づいて、構造物を検査するために使用されるように選択され得る。いくつかの実装形態では、動作206は、励起周波数選択構成要素106(図1に示され、本明細書で説明されている)と同じまたは類似した構成要素によって実行され得る。
【0099】
動作208において、検査音響励起は、複数の励起周波数のサブセットを使用して構造物内で生成され得る。いくつかの実装形態では、動作208は、音響励起装置14及び/または予備的励起構成要素108(図1に示され、本明細書で説明されている)と同じまたは類似した構成要素によって実行され得る。
【0100】
動作210において、構造物内の検査音響励起の測定値が取得できる。いくつかの実装形態では、動作210は、音響測定装置15及び/または検査測定構成要素110(図1に示され、本明細書で説明されている)と同じまたは類似した構成要素によって実行され得る。
【0101】
動作212において、構造物の1つまたは複数の特性は、構造物内の検査音響励起の測定値及び/または他の情報に基づいて判定され得る。いくつかの実装形態では、動作212は、励起周波数選択構成要素112(図1に示され、本明細書で説明されている)と同じまたは類似した構成要素によって実行され得る。
【0102】
本開示のシステム(複数可)及び/または方法(複数可)は、現在最も実用的で好ましい実装形態であると考えられるものに基づいて、説明の目的で詳細に説明されてきたが、そのような詳細は、単にその目的のためであり、本開示は、開示された実装形態に限定されるものではなく、逆に、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲内にある修正及び同等の構成をカバーすることを意図しているということを理解されたい。例えば、本開示は、可能な範囲で、いずれかの実装形態の1つまたは複数の特徴を他のいずれかの実装形態の1つまたは複数の特徴と組み合わせ得ることを企図しているという旨を理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】